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1983-04-21 第98回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十一日(木曜日)    午前十一時一分開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      仲川 幸男君     桧垣徳太郎君      川原新次郎君     秦野  章君  三月二十六日     辞任         補欠選任      秦野  章君     堀江 正夫君  四月十一日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     田原 武雄君      板垣  正君     藏内 修治君      三治 重信君     栗林 卓司君  四月十二日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     三治 重信君  四月十三日     辞任         補欠選任      藏内 修治君     板垣  正君  四月十五日     辞任         補欠選任      田原 武雄君     桧垣徳太郎君  四月十八日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     藏内 修治君  四月十九日     辞任         補欠選任      板垣  正君     藤田 正明君      藏内 修治君     桧垣徳太郎君  四月二十日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     板垣  正君      源田  実君     梶木 又三君      三治 重信君     井上  計君  四月二十一日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     田沢 智治君      井上  計君     三治 重信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 板垣  正君                 大島 友治君                 山崎  昇君                 三治 重信君     委 員                 岡田  広君                 田沢 智治君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 勝又 武一君                 野田  哲君                 小平 芳平君                 秦   豊君    国務大臣        農林水産大臣   金子 岩三君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君    政府委員        総理府人事局長  藤井 良二君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房総務審議官   関谷 俊作君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        農林水産技術会        議事務局長    岸  國平君        食糧庁長官    渡邊 五郎君        水産庁次長    尾島 雄一君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        内閣審議官    太田 正利君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事板垣正君を指名いたします。     ─────────────
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 農林水産省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。金子農林水産大臣
  5. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案提案理由と改正の内容を御説明申し上げます。  わが国農業は、経済安定成長資源エネルギー制約等最近の経済社会情勢変化の中で、米を初めとする農産物需給の不均衡、資源消費型農業からの転換、海外からの市場開放要求等多くの困難な問題に直面いたしております。  これに対応して各般の施策が講じられているところでありますが、長期的にわが国農業の発展を期するためには、その基礎となる農業技術開発を強力に推進する必要があります。  他方、昨今バイオテクノロジーを初めとする革新的技術開発手法の発達は著しいものがあります。これらの手法農業分野に導入、活用し、すぐれた形質を有する農作物の作出、自然の生態系と調和のとれた農作物等生育環境の総合的な管理技術開発等農業技術革新を図ることが期待されるところであります。  農林水産省農業関係試験研究機関につきましては、従来から、農業をめぐる情勢変化等に対応して、昭和五十六年の農業研究センター設置等その体制整備を図ってきたところであります。  しかしながら、農業技術革新を強力に推進するためには現行の体制では必ずしも十分とは言えず、農業に関する技術上の基礎的調査研究体制整備が緊要な課題となっております。  このような観点から農業関係試験研究体制の再編を図ることとし、今回この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、農林水産省の本省の附属機関として農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所設置することであります。  農業生物資源研究所においては、生物資源農業上の開発及び利用に関する技術上の基礎的調査研究を行うとともに、農作物及び林木品種改良のための放射線の利用に関する試験研究をあわせ行うこととしております。  農業環境技術研究所においては、農作物等農業生産の対象となる生物生育環境に関する技術上の基礎的調査研究を行うこととしております。  第二は、農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所設置に伴い農業技術研究所及び植物ウイルス研究所を廃止することであります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
  6. 坂野重信

    委員長坂野重信君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 山崎昇

    山崎昇君 いま農林水産大臣から農林水産省設置法の一部を改正する法律案提案理由説明がございました。後ほど内容等についてはお聞きをしたいと思いますが、それに先立ちまして、当面する農林水産行政について二、三大臣見解を私はお聞きをしておきたい、こう思っております。  その第一点は、最近は少し鎮静をされておりますが、一時、米の不足問題等大変話題になりました。その背景としては、たとえば減反政策でありますとか、あるいはまた、ことしもどうも不作のようでありますが、三年来続いております不作状況でありますとか、あるいはもっと別な背景等もあるやにも伺っておりますが、いずれにいたしましても、一時的ではありましたけれども、この米の不足問題というのが大変社会的に話題を呼びました。また、私ども多少の資料を見ますというと、政府の持っております古米の在庫もかなり減少してきているような状況もありますようで、したがいましてこの機会に、この米の不足問題というのは一体いまどういうふうに認識をされて、現実にそんな状況にあるのか、あるいはまた、それが報道されました背景などについて農水省はどのようにお考えになっているのか、そういう点についてまず大臣見解をお聞きをしておきたい、こう思います。
  8. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 米の需給あるいは備蓄等についていろいろ御心配をいただいておりますが、三年続きの不作のためにことしの端境期持ち越しが十万トンしかないという計算になっていますので、大変いろいろと一ころ騒がれた時期がございました。末端の米の小売屋でいろいろなことを言い出しまして、私は世田谷の成城に住んでおるんですが、米がなくなるとか言って一日二日騒いだような事態が発生しました。これは持ち越しが十万トンしかないということを非常に皆さんがいろいろ御心配なさってのことであろうかと思います。  ただ、持ち越しは十万トンの計算になっておりますけれども、この八、九月から出ます早場米、いわゆる政府米で二百万トン、自主流通米で百五十万トン、こういうのが八月、九月までに出そろいますので、大体それを計算に入れますと別に不安は何もないのでございますけれども、まだ昨年の十月の持ち越しが四十四、五万トンありましたので、それが十万トンになったということで一応国民の皆さんに不安を与えたということは、これはやはり今後考えなければならない大変な問題だと、このように考えております。  したがって、これからの問題でございます来年の端境期はどのような予想で、どのような米の持ち越しをすればいいのかということも含めて検討中でございます。現在のままの減反をしていっても来年度の持ち越しは大体やはり四、五十万トンは持ち越しができると、こういうふうな一応計算をしております。  詳しいことは食糧庁長官から御説明申し上げます。
  9. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) ただいま大臣から御答弁申しましたように、ことしの五十八米穀年度、昨年の十一月から本年十月末までの米穀年度持ち越し量は十万トンになりますが、新米の集荷等がございますので、この五十八米穀年度に関しましては需給上の心配は全くございません。問題は五十九米穀年度、本年の十一月から来年の十月末までのことになります。この点につきましては、こうした状況を踏まえまして生産調整におきます面積を調整いたしまして、六十七万七千ヘクタールとするところを六十万ヘクタールにいわゆる減反を緩和いたしまして、これによりますゆとりを持たせまして、来年の持ち越し量は来年秋には五、六十万トンにするという計画を立てておりまして、五十九米穀年度についても需給上不安のないように措置したところでございます。それ以降の問題といたしましては第三期対策、五十九年産から始まります第三期対策を現在検討いたしまして、備蓄その他の問題についてもこの中で検討さしていただきたいと考えております。  なお、不安を生じたという意味では、確かに過剰米処理等が非常に順調に進みまして、現在農協倉庫内は、過去の例に照らしますと、三年前の五十五年の一月末にはおおよそ千二百万トン程度在庫がございましたが、これらが順調にはけまして、ことしの一月末では六百万トン台にきております。したがいまして、在庫全体にしますと過去のピークに比べまして半分程度に落ちているということは事実でございまして、こうした点から、産地におきましてそうした意見を言う方がございますが、これは非常に問題になりました六百五十万トンの第二次過剰米処理が順調に進んでいる結果としてこうなった姿でございますので、需給上の不安はないように私どもも措置いたしておるところでございます。
  10. 山崎昇

    山崎昇君 いま大臣並びに政府委員の方から心配はないという御答弁でありますから、それはそれなりに私どもは承っておく以外にないと思うんです。ただ、農水省が五十七米穀年度あるいは五十八米穀年度等当初の需給見通しをかなり修正をして、いまお話ありましたように、五十九年度では、一部にささやかれておりますのは、減反政策がかなり変更されてくるのではないか。それからことしもまたどうも天候上の問題等でかなり不作の問題が重なってくるのではないか。そういう意味で言うならば、あなた方が修正需給見通しをつくられておるんですが、これがさらに修正される見通しにもなるのではないか、つながるんではないんだろうか、こういうようなこともささやかれておりまして、いまそうではないというようなお話でございましたけれども、重ねてそこらの点についてお聞きをしておきたいと思う。
  11. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) 確かに気象上の問題点につきまして、私どもこれを確実に見通すことは非常に困難な面がございますが、そうした状況、これまでの経過も踏まえまして、特に本年産の水稲の生産につきましては、先ほど申しました減反緩和趣旨が十分徹底するように指導することはもちろんでございますが、適地適品種の原則に立った品種の選定や、あるいは気象の推移に即応した栽培管理その他の基本技術の励行等いろいろな生産対策も私どもも講じておりますし、かつ主要な生産県におきましても、かなり各県におきましても従来よりはこの米づくりの問題について真剣に取り組むようになっております。御指摘のあるような御心配も私どもも十分踏まえまして、これからもそうした点についてよく心を配って生産対策を講じてまいらなければいかぬ、このように考えております。
  12. 山崎昇

    山崎昇君 この問題は最近鎮静されて、いまそう大きな課題になっているわけじゃありませんからこれ以上申し上げませんが、いずれにいたしましても、日本人にとりましては基本的な食糧はやはりどう言おうとも米にあるわけですから、これが供給不足だとかいうようなことになれば、かなり社会的に不安感というのが増大をしてあらざる方向にいくおそれもないわけじゃないんじゃないか、そういう心配もあるものですからお聞きをしているわけなんです。いま政府委員の方からその心配はないと、あるいはことしの天候不順等も見越していろんな対策を講じてまいりたい、こういうお話でありますから、それはそれなりに承っておきたいと思うんです。いずれにいたしましても、かなり農政については猫の目農政ではないかとかいろんな批判がある今日でありますから、農水省としても慎重にひとつ扱いながらこれらの問題に対処願っておきたい、こう思うんです。  それからあわせまして、何か近く、農産物輸入問題等とも関連いたしまして、アメリカとの折衝に関係者が行かれるというようなお話も聞いておりますが、このアメリカを中心といたします農産物等貿易摩擦といいますか輸入問題といいますか、そういう問題についていま現状が一体どういうふうになっておるのか。またあわせまして、近く係官が渡米されるようでありますが、それに際して日本政府としてはどんなお考え係官を派遣しようとするのか、その点をお聞きをしたいと思うんです。  また、つい最近でありますけれども農業白書が発表になっておりまして、私は詳細に内容専門でもありませんから見ているわけでもありませんが、ただ、報道されておりますその中の一つに、中曽根内閣の対米外交で最重要課題になりつつある日米農産物協議に関してはまとまった記述が全くない、きわめて不満が残っておる、この一年間アメリカは何を要求し、わが国はどのように反論あるいは譲歩したのか、アメリカのこれ以上の要求は理不尽なのか、国内農業は、農業団体が主張するように工業製品輸出市場確保犠牲となりかねないのかとか、多くの点についてこの農業白書内容指摘をいたしております。  私はいま申し上げましたように専門でありませんから多くのことは申し上げませんが、この農業白書等とも関連をいたしまして、一体アメリカとの農産物交渉はどういう形でこれから進められるのか、これも大臣、並びに内容等の問題につきましては政府委員でも結構でありますが、御説明をお願いしたいと思う。
  13. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 農産物日米交渉の今日までの経緯と現時点をあらかた私の方から申し上げたいと思います。  御承知のとおり、一月に中曽根総理が訪米した折に、農産物の問題については専門家が冷静にこれから検討をしていくことにして、一応その時点では米国との決着をつけてまいっておるのでございます。それから機会があって外務省あるいは私の方、数回非公式なやりとりがアメリカと行われてまいりましたが、それは何も別に実のあるような交渉をしたわけでもなし、ただ、ひとつのお互いが腹の探り合いみたいなようなことを続けてまいっておったのでございます。  そうこうしておる中で、もうあれから相当日にちもたって、ぼちぼち日本側もそういう約束総理がしておるんだから、一応本式に話を持ちかけることが外交儀礼上当然のことではなかろうかということで、先般四月の七日に経済局長アメリカに差し向けた。そうして打診というような形で行ってまいったのでございます。そのときの報告を聞きますと、大変アメリカは強い姿勢で、やはり目標は自由化だということで、その段階として枠の問題を話しておるというようなこと、かつてのアメリカ考え方一つもやわらいではいないというような報告を受けました。それで、当然総理の方にも担当者からその報告を詳細にいたさせました。  そこで、いずれにしましても本式に話をひとつ始めてみるべきではなかろうかというようなことに政府部内がなりましたので、最近、特にこの二、三日の動き山崎先生も大体ごらんになりまして、業界は強い姿勢で、自由化はもちろん、枠の拡大も絶対困るということを申しておりますし、私自身も終始一貫自由化はもう当然これは永遠に認めるわけにはいかない。枠の拡大についてもいまは必要ないではないか。供給不足で需要が伸び過ぎて国産品で足らなくて自給に困っているんだということであれば別ですけれども、いま仮に肉を一つとらえましても、肉が足りなくて困っておるという状況でもないし、要らないものを買って冷蔵庫に詰め込んで自分で手持ちするような、そんなことまでしてアメリカにサービスする必要はないじゃないかというようなのが私の言い分です。  それで、柑橘については当然生産過剰で減反を行っておるような状態ですから、これはもう申すに及ばず、いわゆる昨年来国会決議をいたしておりますとおり、やはり日本農業犠牲を強いないように、損害を与えないようにということを決議しておるわけですから、それを踏まえてこの問題には私は今日まで取り組んでまいっております。したがって私の言動自体も、一昨日、全中の岩持会長以下院内に訪ねてきましていろいろ陳情を受けました。私の考え方は終始変わっていませんと。ただ動きが、事務的に専門家が冷静に云々ということを中曽根総理が言ってきておるので、その話をさせないわけにはいかぬから話をしてみて、どこまでアメリカが本式に日本農産物市場開放を言ってくるのか、それはやはり見る必要がある。したがって、交渉に入ってみてひとつその後対応すべきであって、私の考え自体は初めもいまも変わりませんということを岩持さんにも申し上げております。これがきのうまでの大体あらかたに申し上げますと実態でございます。あとは政府委員にもっと詳しい内容は御説明申し上げさせます。
  14. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 若干補足をさしていただきますと、牛肉柑橘につきましては、御承知のとおり東京ラウンドのときに日米間の合意がございます。それによりますと、柑橘につきましては一九八二会計年度下期前後と、それから牛肉につきましては一九八二会計年度末前後に協議を行うという約束になっております。  それで、この約束を受けまして昨年の十月、ホノルルにおきまして日米の間で牛肉及び柑橘についての第一回目の協議が行われました。それで、その際はアメリカ側は、東京ラウンド合意有効期間が終了いたします一九八四年四月一日をもってこれらの品目についての輸入割り当て制度撤廃すべしというのが米側要求でございました。日本側は、わが国牛肉及び柑橘をつくっております農家の実情などをるる説明いたしまして、米側要求はとうてい受諾しがたいということを返事をいたしまして、それでホノルル協議は終わったわけです。  その後、昨年の十二月、日米貿易小委員会が開かれました際に、アメリカ側ホノルル協議の際の米側の態度を若干修正をいたしまして、一九八四年四月一日をもって輸入割り当て制度撤廃するということが無理なら、日本側から、輸入割り当て制度撤廃できる時期のめどとかスケジュールとか、そういうものを提示してもらえればそれが一つ協議基礎になり得るであろうというようなことを示唆したという経緯がございます。  本年の一月、総理が訪米されました際に、総理レーガン大統領に対して、輸入割り当て制度撤廃という問題につきましては、即刻はもちろん、スケジュールとか時期とかということもそれはとてもできないのであるというふうにお話しになりました。という事情を踏まえて専門家レベル協議をやらしたらいいではないかというふうに総理お話しになりました。  先般私がアメリカへ出張いたしましたが、アメリカ側は、あのときの総理の御発言を踏まえて、当然日本政府から専門家レベル協議をやろうというアプローチがあるものというふうに心待ちをしておったのであるが、その後一向に何の音さたもないので、アメリカ国内でだんだん不安と申しますかいら立ちと申しますか、そういうものが蓄積しておってこれ以上放置しがたいので、早く日本側でイニシアチブをとってもらいたい。ただその際、ホノルルのように輸入割り当て制度撤廃、それはできない、終わりというそういう協議では困るので、協議はやっぱり前向きに前進をしていくような協議でなければならない、そういう用意をして協議に臨んでもらいたい、そういう先方の意向を私ども話を聞いてまいりまして、東京ラウンド以来の約束でもございますし、中曽根総理からの御発言でもございますから、私どももそういう体制は用意しなければなるまいということで、現在関係各方面と御相談中ということでございます。
  15. 山崎昇

    山崎昇君 要約していま大臣あるいは政府委員答弁をお聞きしますというと、従来の方針を変えておりませんと、しかしこれからアメリカ側のやはり要求というのはかなり強くなってくるであろう。言うならば一段と政治問題化してくるであろう。そういう際に日本側が一体それだけで防戦できるものかどうか、あるいはどの程度まで日本がどうするのか、それはこれからも行って話を聞いてそれからの問題だと、こういうふうにいま率直に言えば理解をしておきたいと思います。また、この問題は農水委員会がメーンでありまして、行政機構を論ずる内閣委員会のメーンテーマでもありませんからこれ以上私は多くのことを申し上げませんが、いずれにいたしましても当面の農産物輸入自由化の問題とか、あるいは牛肉、オレンジその他にいたしましても、もう少し市場を開放せよとか日本はもっと輸入すべきだとか、海外要求というのはかなり強いものになってきつつある。そういう現状でありましただけにいま大臣見解をお聞きしたんですが、従来の考え方をいま変えておらない、こういう答弁でありますから、それはそれなりに受け取っておきたいというふうに思います。  そこで、次にお聞きをしたいのは、きょうも新聞等で報ぜられておるわけですが、いまモスコーで日ソ漁業交渉が行われておりまして、これは外交上でいま交渉中でありますからここで詳細に大臣から聞くことはなかなか困難な点もあろうかと思うんですが、ただ新聞報道等によれば、漁獲高についてはほぼ前年並みといいますか、ただ補償金その他が多少上積みになるんじゃないかというような程度のことは報道されておりますが、外交上の問題で制限はあるといたしましても、ある程度この機会農林水産大臣からひとつ現状について、それから見通しと言えば少し外交問題に踏み切っちゃってまずい点もあるのかもしれませんが、それらをもし言えるものなら多少方針めいたものも述べてもらえば幸いである、こう思うんですが、日ソのサケ・マス等の漁業交渉現状についてひとつ御説明を願いたい。
  16. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) けさの新聞にいろいろと書いておるようでございます。大変ソ連は強い姿勢でいましたので、松浦長官を先週の土曜日に派遣したのでございます。毎日、電報は公式にいろいろ来ております。  大体新聞に書いておるとおり、数量は前年並みでほぼまとまるようでございます。ただ、いま山崎先生申されたとおり、補償金、こういうものが少し上積みにならざるを得ないような様子でございます。  それから向こうは日本の違反操業を厳しく取り締まろうとして、監督官を五名乗せるとか言って強い姿勢でおりましたけれども、それは名称も従来どおりオブザーバーにして、それで従来オブザーバーは三人ですから、それを五人というのを大体四人ぐらいで妥協して、やはり名目は監督官じゃなくてオブザーバーでおさまりかけておるようでございます。  そういうことで、最初ソ連側が言い出していたことは、非常に強く出てきておりましたけれども、大体もう日本側でも一応いまの時点では了承できるような妥結点が見出されておるようでございます。大体きょうじゅう、今夜までには結論が出るようでございます。
  17. 山崎昇

    山崎昇君 もし政府委員の方から内容的にもう少し説明できるものなら……。
  18. 尾島雄一

    政府委員(尾島雄一君) いま大臣からの御説明のとおりでございますが、ちょっと経過につきまして申し上げますと、わが国要求といたしまして、まず総漁獲量につきましては、昨年は四万二千五百トンでございましたが、四万五千トンということで要求を出しているわけでございます。それにつきまして、ソ連側からの提案といたしましては三万七千トンという形で来ておったわけでございますが、これにつきましては、先ほど大臣からの御説明のとおり、おおむね四万二千五百トンという前年並みの漁獲量でおさまるのではないかというような見通しでいま進んでおるところでございます。  なお、その中でいろいろな魚種別の組成がございますが、その魚種別の組成につきましても、おおむねわが方がことし要求いたしたような割合でまとまっていくのではないかというような方向に煮詰まりつつございます。  マスノスケにつきまして一種類だけ、従来その他の魚種ということでマスノスケはその特定の枠はなかったわけでございますが、これにつきましてことしは特に枠をつけたいということでありますが、これにつきましても、実態上は従来の漁獲の尾数の範囲内でおさまるということで、特に問題はないのではないかというぐあいに考えております。  なお、操業期間の問題で若干、三角水域と言われておる水域につきまして実は操業の短縮を要求いたしておりましたが、これも全体的にはおおむね従来どおりの方向でおさまるのではないかという見通しでございます。  いま一番問題になっておりますのはいまの漁業協力費の問題でございまして、昨年おととしと二カ年続けまして四十億円相当ということでまとまっておったわけでございますが、これにつきまして、いま大臣の御説明のとおり、若干の増加をせざるを得ないのではないかというような形で煮詰まりを進めております。  それからもう一点は、オブザーバーの乗船の問題につきまして、三隻のところを若干増加をせざるを得ないのではないかというような方向でいま話が進んでおりまして、きょうじゅうにも恐らくは決着ができるのではないかということでございまして、いずれにつきましても、五月一日から一応操業を開始したいということでございますので、円滑に行われるようにわが方としては万全の対策を講じていきたい、こういうぐあいに考えております。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 大変御努力願っているようでありますが、私も社会党の日ソ特別委員長をやりまして、何回か訪ソして多少この漁業問題にはタッチした一人でもありましたし、この行方というのは、私出身が北海道でありますが、とりわけ北海道の漁業民にとりましては重要な課題でもありますから大変注目をされていると思いますので、どうぞひとつ一層の御努力を願って漁民の生活というものを守るようにお願いをしておきたい、こう思っております。大筋、内容的な点はわかりましたので、この点はこの程度にとどめておきたいと思います。  次に、大臣にお聞きをしておきたいと思うんですが、実はこれは大臣の方にも、また衆参の国会議員全員にも配られた問題であり、また私のところにも関係者が参りまして陳情をいただいた問題でもありますが、秋田県の大潟村の問題についてずいぶん詳しい内容のものが届いておるわけなんですが、国策として相当な金をつぎ込んで、そして全国から入植者を入れて営農をやらしたものが、その後の国の一方的な政策変更で犠牲をほとんど入植者に負わせる、相当な借金を抱えていまはもうどうにもならぬような状態まで追い込まれておるというようなことで、絶えず私どもの方に陳情にも参ります。恐らく担当の農水省の方にも行っていると思うんですが、そういう意味では、こういう大潟村のような国策としてやりました営農政策というものは今後どういうふうにあなた方は扱われるのか、そして一体こういう入って一生懸命国の方針に従ってやられた農家の方々に対する補償といいますか、そういうものは一体どういうふうに政府はおとりになろうとするのか。  これ一つ見ましても相当なものですね。一々中身はあなたの方にも行っているでしょうから申し上げませんけれども、それらについて大臣のひとつ見解を聞くと同時に、政府委員の方から内容的な点についての説明を伺っておきたいと思います。
  20. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 私もたびたびこの問題についてはいろいろ文書で陳情を受けたりして、大体あらかた実情を認識しております。いろいろ役所の方でつくった資料も拝見さしていただいておりますが、大変、かつてあの干拓をする時代、私もいろいろな関係であそこの実情をよく知っておるのでございますけれども、国がああいう干拓をやって無理やり入植をさせ、その結果が経済社会の変化によって芳しくなくなってくるというような、その見通しがその当時適切でなかった、的確じゃなかったということに結論はなるのでございますが、ただ、入植された方が大変苦しい営農をやっていらっしゃるということを私も認識いたしまして、ああいう大規模の干拓で無理やり入植をさせるということは失敗だったなと、私はこのように考えております。  したがって、今後どうこの問題に農水省が取り組むかということは大変な問題でありまして、やはりいろいろ最善を尽くして検討の上ひとつ何らかの支援体制をとるべきではないだろうか、このように私は基本的には考えております。
  21. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 一部にそういう陳情書が出てデータの説明が行われたことは私どもも伺っております。若干その数字その他については、私どもは必ずしも承服しがたい点があることは事実でございます。  八郎潟につきましては、当初は十ヘクタールの配分を考えておりましたが、米の生産調整政策の実施を念頭に置きまして収支を確保するという視点から十五ヘクタールの配分ということにしております。実は入植希望者は非常に多数おりました中から選別して選んだわけでございます。この十五ヘクタールの農地のうち、八・六ヘクタールを水田面積、水稲の作付面積の上限といたしまして、残りは畑地として田畑の複合経営を実施させるということで実施してきたわけでございます。  現在の営農の状況を申し上げますと、全体の収支といたしましては、これは五十五年の数字でございますが、粗収入で二千百七万円、経営費が千六十五万円で所得が千四十二万円ということになっております。償還金は年々元利均等の二十五年償還になっておりまして、三百四十七万円で、可処分所得は六百九十五万円ということになっております。これは所得自体の水準といたしましては、大体夫婦二人の労働力より若干少ないぐらいの労働力で経営しておりますので、私どもとしては一般全国や東北の平均に比べてはるかに高い可処分所得は確保されていると思います。  問題は、やはり御指摘もありました米と畑作の関係だろうと思います。稲作につきましては、反当労働時間も非常に少ない、大体全国の四五%ぐらいの反当労働時間で処理されておりますし、収量も全国平均、県平均よりも高いという形でもちろん安定している性格でございますが、畑作につきましても、当初は試行錯誤がございましたが、五十四、五年以降はかなり安定してきております。小麦、大豆、小豆、牧草等をつくっておりますし、特に小麦を中心につくっておりますが、これらの反収とかあるいは労働生産性等を見ますと、一番効果が上がっておりますのは小麦で、小麦は収量は県平均や東北の平均や全国平均をはるかに上回る水準に来ておりますし、何と申しましても大型機械化営農が可能なものですから、反当労働時間が実は小麦については全国平均の約十分の一で経営ができる状況が生まれてきております。  そういう意味においては私ども、御指摘のように、まだまだこれからたとえば営農技術の確立の問題、それからさらにいわゆる低湿地の排水の改良の問題、さらに普及その他営農指導の問題、そういった点ではこれからも努力を続けなければなりませんけれども、いわゆるわが国に珍しいモデル的な大規模な田畑複合経営としては、所得手法からいってもあるいは労働生産性からいっても、とにかく一つの安定段階のめどをつけることができたのではないかと思います。御指摘の点も頭に置きまして、これから営農の指導には万全を期してまいりたいと思っております。
  22. 山崎昇

    山崎昇君 いまあなたから説明がありましたけれども、私どもいただいておりますこの陳情書等によると、必ずしもあなたの説明のようなことにはなってない。特に最近は、借金を返すために耕作権をひそかに売買する農家が出ている。あるいはこの十ヘクタール、いまあなたは十五ヘクタールというお話もありましたけれども、この農地の売買がかなり行われるんではないか、その陰には都市の大資本によって大潟村のこの農地というものが相当買い占められるんではないか、そういう危惧さえあると、こう指摘されています。私は現地に行っておりませんからわかりませんが、指摘をされています。  それからいまお話ありました農家の粗収入にいたしましても、千八百万前後だけれども、実際は土地の償還金が三百八十八万から四百七十三万円、農業用機械が三百五十万、肥料代が百三十万から五百万、生活費が三百五十万から五百万、これらを合計すると二千万から二千三百万ぐらいどうしてもなければ生活ができないと。しかし、粗収入そのものは千八百万前後でありますから、結局借金だけが残る。これはなぜかと言えば、あなた方の政策で入植してやらしておいて、後で減反政策その他でこういう苦況に陥るということになっておるわけです。これは当然政府が責任を負わなければならぬじゃないか。  そして、私ども説明を受けた限りでは、政府は三つの過ちを犯した。一つは、事業団が労働生産性を優先させようとするためにヘリコプターによって直播さした、これがまず大失敗だと。第二は減反政策の失敗だと。第三は、田畑複合のモデルにしようとしたんだが、いまあなたから大豆その他の話も出ましたけれども、必ずしもそれがうまくいってない。そういう点等が指摘をされて、いま陳情されておるのは、先ほど米の不足の問題等もちょっと質問いたしましたけれども、それはあなた方心配ないという答弁でありました。だが、それらとも関連して、できれば七十万程度生産調整を緩和してもらいたいという要請になっているのですね。  こういうことは当然私は政府はもっと真剣に受けて考えるべき性格のものではないんだろうか、こう思うんですが、いまモデルになっているのはこの秋田県の大潟村でありますが、それらの点について、大臣、これどういうふうに一体あなたは決断されますか。これはもう少し、やっぱりあなた方の国策に従って入った方々ですから、政府の責任で処理をしてもらいたいと、こう思うんですが、重ねて見解を聞いておきます。
  23. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 御指摘がありました数字その他の点について若干補足して御説明さしていただきます。  粗収入千八百万というのは、全国的に、特に秋田が大冷害でございました五十六年の数字でございます。その後は二千万を超える水準で推移しております。  それからもう一つは、土地の流動化というか、土地が動いていく懸念があるのではないかということで、私どももそういう御指摘もありましたので調べておりますが、まとまった土地の移動というのは、ちょっといまのところ情報としては入ってきておりません。まあ一へクタール以下の土地について数件ぐらい移動があるかという話は出ておりますが、それが外部の人に移動するというふうな動きのようには聞いておりません。なお、よくウオッチはしていきたいと思っております。  それから基本的な問題としては、稲作転換を八郎潟についても同じようにやっていくのかどうかということでございます。これはやはり八郎潟は、御案内のように全国から入植者を募集し厳選して入植させましたが、同時に地元の農家の方々にも増反をしております。やはり地域社会全体として、端的に申しますと、秋田県なり周辺地域として、八郎潟の入植者というのはかなり大きな経営規模を持って収入も上げていると。いろいろ御議論がございますが、私どもの毎年調べております資料では、所得は平均よりは高い水準に来ております。  それを八郎潟の農家にだけ米をつくらして格段の扱いをするということについては、私ども、やはり地域社会としてかなり反発があるし、批判があることは事実だろうと思います。現に五十六年、五十七年にそれぞれ一名ずつ米の過剰作付をした方々がありまして現在訴訟になっておりますが、これらの問題についても、周辺地域等地域社会の反応は、これは事情をお聞きいただくとわかると思いますが、非常に微妙でございまして、むしろ国に対して厳しい措置を要求しているというのが現実の姿であるという事情は御理解をいただきたいと思います。  いずれにしましても、大規模な畑作経営というものの確立にはなお時間がかかることは私どもも否定いたしませんが、先ほど申し上げましたように、反収の水準もはっきり高くなっておりますし、特に小麦等では顕著でございますし、労働生産性の格差というのが他の地域に比べて顕著に出ておりますので、そういった特徴を生かした営農の確立にはこれからも御指摘の点も頭に置きまして努力をさせていただきたいと思います。
  24. 山崎昇

    山崎昇君 私は、いまあなたの答弁でやっぱり納得できないのは、自分たちが政策でやらしておいて、結果、農民にしわ寄せが行くようなやり方をとうとうと述べて、あなた方の責任はじゃどこへ行くんですか。その他の農家とは本質的に違いますよ、これ。全国から入植者を募ってやらしておいて、そして一般の地域と同じだからここだけ特別扱いできませんなんてうそぶいている政府の態度は許されません、そんなものは。だから、そう特別なことはできぬ要素があるかもしれません。しかし、少なくともこれだけいま苦しんでいる者については、やはりもっとあなた方は温かい目で、自分たちがやった政策ですからしりぬぐいは自分たちでするというぐらいの覚悟でやりませんと、私は大変なことになると思う。その点について大臣のひとつ見解だけ承って、この問題を打ち切ります。
  25. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) いろいろ大変参考になる御意見を拝聴いたしました。できるだけのひとつ努力をして善処に向かっていろいろ検討をいたしてまいります。
  26. 山崎昇

    山崎昇君 これは本当に私は、メーンの委員会でありませんから、きょうも時間ありませんから打ち切っておきますが、本当にひどいやり方じゃないかと思いますよ、これは。これは大臣、本当に魂入れてやってほしい。  官房長官の時間もありませんので問題を移らせていただきますが、官房長官、実はこの間臨調の答申がありまして、その中に「国際政治経済情勢等の推移に対応して、安全保障の視点から、食糧、エネルギー、経済、輸送、外交、防衛等に関する政策を総合的・整合的に推進するため、関係機構の在り方を検討する。」というような指摘がございました。ところで一方では、昭和五十五年の十二月二日に閣議決定で総合安全保障関係閣僚会議の設置というのがやられまして、政府も対応を以前からされていると思うんですが、一体この議長であります官房長官として、総合安全保障関係閣僚会議というのはどのような運営になっておって、どういう内容の点が検討されて、それといま読み上げましたこの臨調の答申との関係を議長としてはどういうふうにお考えになっていくのか。  それからこのメンバーの中に農林水産大臣が入っておるわけでありますから農林水産大臣にお聞きしますが、この総合安全保障関係閣僚会議の中で農林水産省としてはどういう点を主張し、一体どういう点をあなた方は問題としてやっていこうとしてきたのか。この点はあなたからお聞きしておきたい。
  27. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御説のように、五十五年の十二月に、一国の安全保障というのは狭い単なる防衛力の整備だけでは確保できるわけのものではない。やはり一国の安全保障という場合には、その国の政治が安定をし、社会が安定をしておるということ、同時にまた経済が持続的に伸びていく、そして一部の者でなくて国民に幅広くその成果というものが均てんをするような政治の運営、経済の運営、こういうことが肝要であると。同時にまた外交努力、平和を維持するという立場からの外交の努力、そして最後に、一国の防衛力を憲法の枠内の許される範囲において整備をし、もちろん一国だけでどうなるものではありませんので、日本としては現在日米安保条約というものを背景にしながら、こういった幅広い施策をバランスのとれたやり方によって確保していくことが肝要であろうと、こういう御見解で鈴木内閣で発足をし、そして今日まで七回ばかり会議が開かれております。  その中身は、事務当局が来ておりますから後でお答えをさせますが、そういうことで運営をしておるんですが、それだけに、官房長官の指名する幹事というものを各省から出すことになっておるんですが、現在までは余り——日本のこのやり方、下からの積み上げが多いでしょう。そうすると、大局的な立場というものをとかく離れがちになるおそれがあるものですから、この総合安保の会議は閣僚九名でございますが、その九名によって少し従来とは違って高い、広い立場でひとつフリーなディスカッションをしよう、そしてそれはあくまでも総合的な安全保障という視点において幅広い施策を高い立場で議論をして、そうしますと、それは各省の施策の上に反映してもらわなければなりませんから、そういうような意味合いで今日まで運営をしておるわけでございます。  それらは十分臨調は御承知だと私は思いますけれども、臨調においてもいま山崎さんがおっしゃったような御意見が出ておりますから、この運営についてはさらに臨調答申の趣旨等も踏まえながら、私はやはりこういったいまの考え方は正しいと思いますので、従来のようなやり方にさらに検討を加えながら、改善する余地があれば改善したいと思いますけれども、とにもかくにもこの会議を有効に安全保障の観点から私は取り上げていきたい、かように考えているわけでございます。  いままでの審議の中身は事務当局から御説明させます。
  28. 太田正利

    説明員(太田正利君) 現在まで七回やっておりますが、第一回が五十五年の十二月の二日でございます。主要討議の題目としまして、経済技術協力問題、西側諸国との緊密な協力関係、原子力等代替エネルギーの開発等についての協議でございます。  第二回目が昭和五十五年十二月二十二日でございまして、経済協力の中期目標の設定の必要性、代替エネルギー対策の充実、外交体制整備強化、食糧確保、科学技術の振興、防衛努力等についての協議でございます。  第三回目が昭和五十六年三月十九日でございまして、総合的エネルギー対策、科学技術水準の向上、ODAの新中期目標等についての協議でございます。  第四回目は昭和五十六年四月二十三日でございまして、当時の総理の訪米を前にしまして、先進民主主義諸国の一員としてわが国が世界の平和と安定に対して果たすべき役割り等についての協議でございます。  第五回目が昭和五十六年十月十九日でございまして、アラファト議長の訪日とPLO関係の問題、レアメタルの備蓄、五十七年度予算における総合安全保障関連諸施策等について協議をいたしました。  第六回が昭和五十七年一月二十二日でございまして、ここでは欧米との経済摩擦の問題、経済協力の問題等についての協議でございます。  第七回目が昭和五十七年五月二十日でございますが、このときは、各省が持っております審議会等における本件問題の検討状況、それからシーレーンの関係等について協議いたした次第でございます。
  29. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) いま室長から御説明ございましたが、農林水産省といたしましては、この保障会議にはもっぱら食糧の安定供給、これは平時、不測の事態を踏まえまして、安定供給をどのように確保していくかという観点から参加しているわけでございますが、具体的にこの保障会議におきまして御説明申し上げましたのは、第七回、各省エネルギーその他関連の審議会を持っておりますが、そこにおいてこの食糧の安全保障問題をどのように検討しているかというような報告を求められまして、私ども、さきの昭和五十五年に農政審議会、あるいはその後農政審議会の答申を踏まえまして専門委員会を設けまして、そこで食糧の安全保障問題につきましていろいろ検討したわけでございますが、その検討状況等をお話を申し上げたわけでございます。  私どもといたしましては、平時、不測時を通じまして食糧をどのように安定的に供給していくかという観点から部内におきましていろいろ検討を進めておりますし、また農政審議会におきましても一応の審議経過はまとまっておりますが、なかなか、先ほど来お話もございましたが、米を中心といたします備蓄の問題あるいは今後世界の各国から食糧を安定的に供給、輸入する問題であるとか、あるいは海外協力の問題等いろいろ問題がございますが、最終的には私ども、特に米につきましては明年度から第三期対策が始まりますので、現在の米の在庫水準等も踏まえながら、今後どのように備蓄考えていくかということにつきまして現在検討を重ねているところでございます。
  30. 山崎昇

    山崎昇君 発足して三年ですね。いま御説明を聞いたら、農林水産関係でやったのは七回目の五十七年の五月の二十日、各審議会の問題、そして米の備蓄あるいは世界からの食糧の安定供給の問題等でありまして、言うならば総合安全保障といっても、その中におきます食糧の位置なんというのはわずか七回目でようやくこの問題が出ただけであって、それまではいまお聞きする限りはほとんど他の政治課題ですね。  これは私はいささか——これだけ重要な食糧問題で貿易摩擦の問題を抱えながら、この総合安全保障会議におきます農林水産関係の位置というものはきわめて低いんじゃないかと。これは否めないですね、私は。しかし、きょうは本当に時間がありませんからもう内容的にはやりませんけれども、七回やられて最後の五十七年の五月の二十日だけいまお話ありました。あとの六回何もないです。これはやっぱり私は心して農林水産大臣、メンバーですからやってもらわないと、これからますます多国からの問題の中に大きな位置を占めてくるのは農産物でしょう。そういうものと、国内の食糧は絶えず自給率の問題が問題でありますが、単純に自給率といっても私はそう簡単なものではないと思っている。しかし、ほとんどのものはもう輸入以外に頼れないようないま現状ですね、一々申し上げませんけれども。  最近、ある雑誌によりますと、ざるそばというのを例に挙げまして、あれは和食じゃない、和風洋食だなんという言葉さえ出て、エビから衣から油から何から全部これは外国産であって、国産というのはどんぶりと水だけだと、こういう批判さえある。そういう中において、やっぱりいまお聞きしますというと、こういうりっぱな会議があったって食糧問題というのは余りやられてない。この点は指摘をしておきます、きょうは。  それからいま官房長官から御説明ございましたけれども、私は臨調の討議の内容をそう詳しく聞いているわけでもありませんが、ただ気になりますのは、「関係機構の在り方を検討する。」と、こうなっていますからね。したがって、いま官房長官のお話ですと、従来のやり方でいいんじゃないんだろうか、まあ検討を加えるべき事項があれば何とかやってみようという程度の話であって、この臨調答申とはかなり違った考え方にあるんじゃないかという気もしますので、もう一度ひとつ官房長官のお話を聞いて、この問題を打ち切っておきたいと思います。
  31. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 臨調の答申は「関係機構」という言葉を使っておりますが、私は、機構に手をつけるということも一つの方法かもしれませんけれども、やはり肝心なことは、言葉は悪いですけれども、いわゆる機構いじりではなくて従来あるこの総合安全保障会議がどのような機能を果たしておったのかということの見直しをやりまして、そしてその上に立って、もし改善する点があるならば、そしてそれが機構にまで及ばなければうまくいかぬという結論になるならばその際には検討すべきことであろうと、かように考えております。
  32. 山崎昇

    山崎昇君 官房長官、結構です。  それでは一般的な農林水産省の行政問題等については打ち切りまして、御説明のありました法案の内容について二、三お聞きをしておきたいと思います。  その一点は、農業生物資源研究所が今度つくられるわけでありますが、この中身が、私も一遍説明を聞いたわけでありますが、バイオテクノロジーといってもわれわれ素人にはぴんとこないわけです、正直に申し上げまして。そこで大変恐縮ですが、概要をもう一遍ひとつ御説明をいただきたいということ。  もう時間も過ぎてまいりましたから二、三まとめてお聞きしますが、二点目には、このバイオテクノロジーというものが進んだ場合に、一体新作物の実用化というのにどういう影響が出ていくんだろうか、その見通し等がもしつくものならば御説明をいただきたい。  それから三点目は、最近世界各国でも遺伝資源の収集とか保存ということがかなり重視をされてやられているようであります。一説には種子戦争——種の子供と書きますが、種子戦争とも言われている時代だとも聞いておるわけなんですが、できれば世界の主なる国のこれらについての状況等も御説明いただければと、こう思うんですが、以上三点ほどまとめてお聞きをしておきたい。
  33. 岸國平

    政府委員(岸國平君) お答えをいたします。  バイオテクノロジーの中身についてどうかというまず最初の御質問でございますが、バイオテクノロジーというものの中身はかなり広く理解されているようでございまして、日本語に直せば生物工学というようなことだろうと思います。私どもが今回の法律改正の中でいろいろ御説明を申し上げ、またお願いを申し上げておりますのは、このバイオテクノロジーを次のように理解をいたしております。バイオテクノロジーを大変広く解釈いたしますと、現在行われておりますいろいろな育種の研究でありますとか栽培関係の研究でありますとか、いずれも生物にかかわるテクノロジーに関してはすべてが含まれるというふうに思われますけれども、私どもは新しい言葉として、むしろいままでやってきているものは一応端の方へ置いておいて、むしろこれから取り組むべき遺伝子組みかえでありますとか、あるいは細胞融合でありますとか、家畜でありますと人工授精にかかわる今後の新しい問題でありますとか、そういったようなことをそのバイオテクノロジーの中に理解をいたしております。  それから二番目の御指摘の点でございますが、そのバイオテクノロジーを活用して新しい農業生物資源研究所の中でどういうような研究をやっていくのか、あるいはその見通しはどうかというお話でございますが、その点につきまして申し上げますと、この農業生物資源研究所におきましては、ただいまのバイオテクノロジーを存分に活用いたしまして、いままでいろいろな民間から国公立の試験研究機関から、そういうところでやってまいりました育種の基本は交配による新しい品種の育成というものでございましたけれども、今後その交配で行います育種では到達できないような新しい方面に展開をしてまいりたい、そういうふうに考えているのが主体でございます。  それを主体といたしますけれども、この生物資源研究所におきましてはそれだけではございませんで、新しい育種技術開発してまいりまして、それを使って新しい生物資源をつくっていこうという場合には、その基本になりますのが、三番目の御質問にもございました遺伝資源でございます。この新しい研究所のまず基盤になります一番大きな問題といたしまして、遺伝資源の収集、またそれを保存し、配布する、それをこの生物資源研究所で活用するということをまず基本に据えております。  それから二番目の柱といたしましては、バイオテクノロジーの中の最も先端を行くと思われます遺伝子組みかえの問題でございます。この遺伝子組みかえにつきましては、現在世界的に大変注目を集めておる技術でございますが、まだこれを植物——われわれにとっては作物でございますが、その作物の世界に活用するという点から申しますと、世界的に見ましてもまだ大変未熟な状態でございます。私どもも現在それに関連いたします研究を開始いたしておりますけれども、十分でございませんので、今回の生物資源研究所におきましては、この遺伝子組みかえの技術を作物の方に今後取り入れてまいりたい、それの基礎研究をやっていきたいというのがこの研究所の第二番目の柱でございます。  それからもう一本の大きな柱は、植物におきましてはなかなか遺伝子組みかえというのは直接はむずかしいというふうに考えておりますので、その前段といたしまして細胞融合ということを考えております。これは遺伝子組みかえでございますと、細胞の中に入っておりますDNAを直接扱おうということでございますが、細胞の単位でむしろDNAまでいかない、もう一段上の単位でございます一つの細胞を対象にして、それを一つの植物、それに他の植物の細胞を融合させて、これはいままでの交配ですとなかなか種は結びませんでしたけれども、それを細胞融合という技術によって二つのかなり緑の違う、緑の遠い植物の間の交雑種をつくる、そういうことを目指すような研究、それの基礎になる研究を大いに進めていきたいというのが三番目の大きな柱でございます。  それからもう一つは、やはり育種を進めてまいります場合に一番大きな問題としては、いままで私どもが持っております遺伝子とは違ったものが欲しいというのがいままで申し上げたこといずれにも通ずることでございますが、その一つの方法といたしまして、放射線を当てていままでの遺伝子を変えていくという技術、これはもうかなり前から開発された技術でございまして、現に私ども農業技術研究所におきまして放射線育種場というものを持って、そこでやっておりますが、それは今後も大変重要だと考えておりますので、第四番目の柱として、そのものを今回の生物資源研究所のやはり有用な手段として研究を進めてまいりたい、大体そんなことを中心にしてこの研究所の将来を考えているわけでございます。  それで、その見通しはどうかということでございますが、私ども、この研究所で、ただいま申し上げました四つの中の最後の放射線育種につきましては、いままでにもかなり成果を上げてまいりましたし、今後も具体的なものが次々と出ていくというふうに期待をしておりまして、現に、ことしこれから品種名をつけて登録をしようとする品種の中にもそれの活用によってできるものがございますが、そういったことでこの点についてはかなり具体的なものが期待されるというふうに考えております。  しかし、前の二つの点、遺伝子組みかえあるいは細胞融合につきましては、すぐにこの技術によって新しい品種ができていく、一年、二年でできてくるということはとうてい不可能であるというふうに理解をしておりまして、この二つの技術については将来かなり長い期間がかかるということを覚悟いたしております。しかし、この面での研究は世界的にも大変日進月歩の部分でございますので、私ども自分自身の研究と同時に、世界との連携を深めながら基礎的な研究としていま始め、いま築いていかなければいけない、そういうふうに考えております。  それから第三番目の遺伝資源の問題でございますが、これは御指摘のように大変重要な問題でございまして、最近種子戦争と言われるようなことでいろいろ新聞、テレビなどでも報ぜられているところでございますが、私どももこの遺伝資源の問題については、いままでもそれから今後も大変重要であるというふうに考えております。  現在でも、農林水産省の中だけですでに八万数千点の遺伝資源といいますか、遺伝子のもとになる品種あるいは系統種、そういったものを保存いたしております。これを今後ともふやしてまいらなければいけないというふうに考えておりまして、先ほどの御質問の中には世界の状況がどうかということでございますが、この点につきまして大変残念でございますが、私どもアメリカとかソ連とか、この点について大変大きな保存の材料を持っている国に比べますとまだまだ弱体でございます。アメリカやソ連で実際にどのくらいかというのは、なかなか正確な数字はわからないのでございますが、私どもが八万と言っておりますのがアメリカあたりでは一つの研究所の種子貯蔵施設でもって十二万五千点を保存しておるというようなこともございますし、またソ連で、ある植物生産研究所というところで十六万九千点というようなデータも手元にしておりますので、多分それらの大きな国ではトータルといたしますともっと相当大きなものを持っているのじゃないか、そういうふうに理解をいたしております。
  34. 山崎昇

    山崎昇君 いまも大変専門的なことを御説明いただいて、まだ私の頭の中で実際にどんなことがやられるのか素人ですから全くわかりませんが、ただ基礎研究としては、全く新しいという意味ではありませんけれども、ようやく手をつけるといいますか「そういう方向にある基礎研究だという点は理解をいたしました。  それからいま世界の状況についても御説明ありましたけれども、そうするとこれからこの問題は、国際間の交流といいますか共同研究といいますか、そういう方向にかなり私は向いていくんではないかと思うし、そういう点の強化というのが相当これ重要性を帯びてくるのではないんだろうか、こう思うんですが、これはこれから研究をやるわけでありますから、いますぐどの程度でどうだという意味でお聞きするわけではありませんが、どうも私、素人なりに考えてそういうふうに思わされるものですから、その点についてひとつお考えがあればお聞きをしておきたい。
  35. 岸國平

    政府委員(岸國平君) ただいま御指摘のとおりだと私ども考えております。  先ほども申し上げましたとおり、この研究をやってまいります一番基礎になります遺伝資源の問題一つをとりましても、これは私どもの手の及ぶ範囲、この日本国内だけでございますと大変国土も狭うございますし、また島国であるというようなことから、遺伝資源の点からいうと大変貧弱な状態であるというのが現状でございます。それに対しまして、稲にいたしましても大豆にいたしましても、重要な作物の原産地というのはほとんど国外にございます。また、その原産地の大部分は発展途上国と言われるようなところが多いわけでございます。  そういうことを考えますと、現状で申しましても、これは先生御指摘のように、国際間の協力関係の中でしかなかなか遺伝資源さえも得られないということでございまして、その点は、わが国だけではなくて世界的にもそういう状況になりつつございます。発展途上国におきましても、自分のところにある資源をただではやらないよというような状況が出ておりますので、私どもその点につきましては、一つは世界的なこういった遺伝資源関係の機関と協力をいたします。そこに加盟をいたしておりますし、協力をいたしまして集めるということ。それからもう一つは、東南アジアあるいは中南米、そういったところの国々でその遺伝資源の貴重なものをたくさん持っておるところとは、たまたまそういった国々では、農業技術全般はもちろんでございますが、育種技術につきましても大変おくれているというところが多いわけでございまして、そういうところと研究の協力をいたしながら資源も集めていくというようなことを考えてまいりたいというふうに考えております。  それからまた、その遺伝資源の問題だけでなくて、新しい遺伝子組みかえの技術でありますとか細胞融合の技術でありますとかということになりますと、これまた逆に先進国との間の協力が大変重要でございまして、その点につきましては、現在でもいろんな情報の交換は積極的に進めておりますけれども、今後この新しい研究所をつくっていただきましたならば、その点を十分に心して対策を講じながら、ほかの国にも劣らないような開発を進めていきたい、そういうふうに考えております。
  36. 山崎昇

    山崎昇君 私は、これはちょっと問題が違うんですが、一度ソ連の核融合の研究所を視察したことがございまして、これは軍事問題ですからかなり秘密的なことですね。この施設というのが膨大なものでありまして、本当はこれから重要な研究をされるこの農業生物資源研究所を、一遍現地を見たいという希望を持っておりましたけれども、いかんせんいまの政治情勢で行けなくなりまして、どの程度の規模でやるのかよくわかりませんが。いずれにいたしましても、軍事関係ですと機密といいますか秘密といいますか、そういうものが大変問題になってくる。しかし、これら生物関係の場合には軍事問題と違いますからそれらのことはないと思うんですが、ただ、それでもやっぱり技術の何といいますか、本当のところへいくというと、そう各国もさらけ出してこのとおりですなんていうことにはなかなかならぬのではないだろうかというような気もするんですが、そういう点はどんなものですか。
  37. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 御指摘のように、軍事技術その他とは違いましてそれほどきついことはないと理解しておりますが、ただ先端的な技術でございますので、何年かすれば公の研究報告に載るものでもそれまではやはり研究者は出さないというのが通常でございまして、そういう点につきましては、確かに御指摘のようになかなかアメリカで行われている先端的な研究がすぐに何もかもわかるというわけにはまいらないのが現状でございます。  それからまた、遺伝子組みかえのような大変微妙なところをやってまいりますのには、その道具といいますか手段といいますか、大変高価ななかなか得にくい酵素を使わなければいけない部分がたくさんございます。その酵素につきましても、かつては比較的容易にアメリカから買えたわけでございますが、最近の情報によりますとなかなかそれが手に入りにくい状況もあるというようなこともございまして、私ども今後この研究を進めていくためには、そういう面でも困難があるということを覚悟いたしておりまして、むしろそういうところまで積極的に国内でも負けないような開発を進めながらやっていかなければいけない、そんなふうに考えております。  現に、その酵素の一つのかなり世界的にも貴重なものが、たまたま筑波にあります農林水産省一つの研究所ですが、家畜衛生試験場というところで、これは全く別な目的で行っておりました研究の中で、逆転写酵素というものが大変容易にといいますか安く優秀なものがつくれるような技術ができたということで、これはむしろ当方から特許を申請していることがございますが、その例にも見られますように、こちらも向こうに出して交換できるような技術あるいは研究の内容を持っておりませんとなかなか世界に伍して研究を進めていくことができませんので、そういう点も配慮いたしまして、ただいま御指摘のありましたようなことを十分頭に置いて研究を進めたいと考えております。
  38. 山崎昇

    山崎昇君 次に、今度の法案の中で農業環境技術研究所というのがつくられるわけなんですが、これもできれば具体的にどんなような研究が行われるのか。  それから農業生産力基盤の培養を図り、わが国農業の発展を図る上での役割りというのは一体どういうふうな位置を点めていくのか、まずこの二点をお聞きをしておきたい。
  39. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 農業環境技術研究所におきましては、非常に平たく申しますと、ただいま御説明を申し上げました農業生物資源研究所におきましては、地上に栽培をいたします作物のそのもとになるところの新しいものをつくっていきたいということでございますが、もう片方の環境技術研究所におきましては、そのつくる一番母体になる土壌あるいは水、それから植物の育ちます大気の状態、それからその全体の環境の中で作物をアタックしてまいります害虫でありますとか病気でありますとか、そういうような問題、それらをすべてひっくるめまして農業生産を上げてまいりますときの環境をいかにいいものをつくり上げるかということが基本の考えになっております。その場合に、特に農業を今後長く維持発展させていくためには、自然の生態系とマッチしたようなそういう技術でなければいけないんじゃないかということを特に強く意識をいたしまして、今後の農業環境技術研究所における一番大きな研究の目標としては、そういった生態系にマッチをした技術開発していきたいというのが基本でございます。  二番目の点で、培養を図りということがあるけれどもその点はどうかということでございますが、その点につきましては特に変わったことを考えているわけではございませんで、いま申し上げましたような農業を長く続け、そして農業の持っております使命であります食糧の生産はもちろんでございますが、それと同時に、国土の維持保全、そういった大きな役割りを農業が持っているわけでございまして、その役割りをますます確実に果たせるような、それの基礎になるような技術開発する。それを適用すれば今後の農業生産はしっかりと維持培養される、そういうような考え方でございます。
  40. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、これは少し幼稚な質問かもしれませんが、農業環境技術研究所はもちろん技術的に研究するわけでありますが、いまのお話を聞いておりますというと、たとえば環境庁の公害行政、大気汚染とか水質汚濁とか、こういうのは直接研究所とは関連がないと言えばないが、あると言えばある。こういう点は農林水産省は全体として私は一般行政としてかかわってくるものではないかと思うんですが、特にいまの研究所の御説明を聞けば、それらがきちっとしなければなかなか農業生産力基盤の培養なんか図れるわけでもありませんし、それから自然の生態系との関係なんぞというのはなかなか維持できない、こういう関係が出てくるんじゃないかと思うんですが、一般的にいう環境行政との関係はそれではどのようにお考えになるのか、この点もお聞きをしておきたい。
  41. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 私どもが今回お願いをしております設置法の改正の中の第十八条の三というところで、「農業環境技術研究所は、農業生産の対象となる生物生育環境に関する技術上の基礎的調査研究並びにこれに関連する分析、鑑定及び講習を行う機関とする。」というふうに規定をいたしておりまして、これを法律改正をお願いするまでの過程では、環境庁ともこの点について十分に協議をいたしまして、環境庁の行政の範囲とは異なる農業に関するところをやるのであるということを明確にしてやってまいりました。今後もその点については十分に境を明確にいたしまして研究を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  42. 山崎昇

    山崎昇君 それから次にお聞きしたいのは、この二つの研究所をつくると同時に廃止されるのが二つございますね。そこで、廃止されますのは農業技術研究所植物ウイルス研究所になるわけなんですが、この二つの研究所でやられておりました研究というのはどういう形で今度つくられます研究所に引き継がれるのか。それから特に私は植物ウイルス関係というのは、もちろんこれも基礎的な研究でしょうから、密接不可分な問題ではあると思うんですが、しかしいままでお聞きしたところによると、農業生物資源研究所の研究とはかなり異質なものではないんだろうかという気もするわけですね。  したがいまして、これは後で一括して研究者の配置転換その他お聞きをしたいとは思うんですけれども、こういう二つの研究所でやられた研究というものはどういうふうに引き継がれるのか、あるいはそういう研究をやっている方々が、今度でき上がります研究所に仮に引き継がれるとすれば、これはなかなかある意味では違和感もあるんではないか。それからまた、片方はなくなって片方は別のものができるわけでありますから、そこに多少の研究者同士の、言葉は悪いですがコンプレックスみたいなものも出てきはせぬだろうかというような危惧をいたしておるわけなんですが、その点についてのひとつ御見解を聞いておきたい。
  43. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 今回の二つの新しい研究所をつくるに際しまして、御指摘のように農業技術研究所植物ウイルス研究所を廃止をいたすわけでございます。私ども農林水産省関係試験研究機関を長い間運営してまいります間に、基本的に持っております考えといたしましては、研究というものは常に前進するものでございまして、変化をしてまいります。それと同時に、片方で農業をめぐる環境も変わっていくということがあるわけでございまして、やはり研究でございますので、かなりの期間安定して研究をしていかなければいけないというのが片方にございますが、それと同時に、常に周囲の農業情勢変化あるいは研究面におけるいろんな情勢変化、そういったことをもとにいたしまして、それを背景にして見直しをし、組織のつくりかえをしていかないと本当に有効な研究ができないというふうに基本的には考えておりまして、今回の二つの研究所につきましても全くそのような考え方で対処をいたしてまいっております。  二つの新しい研究所の方のことにつきましては、先ほど申し上げましたので省かしていただきますが、その二つの研究所をつくるに当たりまして、いろんな段階を経て検討をいたしまして、この農業技術研究所植物ウイルス研究所を発展的にこの二つの方に改組をしていくのが最もいいというふうな結論を得ましてやってまいるわけでございます。  その際に、農業技術研究所におきましては、現在、一つは作物の生理それから遺伝、そういったものを研究しております分野がございます。それからもう一つは、農業気象、土壌、水、それから肥料、病害虫、そういったものを研究している大きな集団がございます。その二つの、前者につきましては、これは今回の農業生物資源研究所の方で引き継いでいきたい、それから後者については農業環境技術研究所の方で引き継いでいきたいというふうに考えておりまして、研究の中身はかなり変わるところもございますが、相当程度引き継ぐような部分が出てまいります。もちろん、研究所の目指すところがかなり明確に変わってまいりますので、それに従って変わるところがあるわけでございますが、できるだけむだのないような配慮をしながら新しいところに向かっていきたいというふうに考えております。  それからもう一つ植物ウイルス研究所の方でございますが、ここでは御指摘のように植物ウイルスの研究、特にウイルス病を防除するための基礎的な研究をやってきたわけでございまして、この植物ウイルス研究所において行ってまいりましたウイルス及びウイルス病に関する基礎研究の部分については、今後環境技術研究所の方でやっていくことにしております。  しかし、この植物ウイルス研究所において、十数年間、二十年に及ぶような期間、大変有用な研究をしてまいりまして、世界的にも非常に被害が大きく、重要な病害でありますウイルス病という一つの大きな集団の病気の防除にわが国では非常に大きな役割りを果たしてきたわけでございます。その研究の中身の中で、ただいま申し上げました基礎研究の部類に属するものだけでなくて、いままでのウイルス研で行ってまいりました成果として、ウイルス病の防除に直接役立つような研究もたくさん出てまいりました。今後その面での、ウイルス病を防除するという研究につきましては、野菜でありますとか果樹でありますとか、あるいは稲、麦でありますとか、そういった直接作物に関連をする病気の防除の研究は、野菜試験場でありますとか果樹試験場でありますとか、あるいは今回は農業研究センターにかなりの強化をいたしまして、そういう面の研究を片方ではやってまいるというふうに考えておりまして、御指摘のありました両研究所の内容の引き継ぎは十分にできるというふうに考えております。  それから研究者の問題でございますが、これについてはまた御指摘があろうかと思いますが、ごく簡単に触れてまいりますと、確かに御指摘のように、いままでやってまいりました研究からかなり転換しなければいけない研究者が出てまいります。特に、今回は二つの研究所だけでなくて、蚕糸試験場の人員も活用するということを考えておりますので、そういう問題が当然出てまいります。そのことを頭に置いておりますので、今後実際に二つの新しい研究所が出発し進行していく過程では、それらの研究者が十分に適応していけるように、現在の研究者の専門分野あるいは研究対象、そういったことを今後の新しいところにかなり類似性を求めて活用するということを基本にいたし、御指摘のような点を十分に配慮しながら実行してまいりたいと考えております。
  44. 山崎昇

    山崎昇君 そういう意味では大変御配慮されるようでありますが、私は、やっぱり直接研究されている方々の意見というものも相当尊重してもらいまして、研究所内で違和感のないようにしてもらいたいということを一言つけ加えておきたいと思うんです。  それから大変重要な研究をされているわけでありますが、ともすればこの研究というのは専門でありますし、外から見てもなかなかわからぬ点もあるものですから、内に閉じこもりやすいという性格を持つのではないかと。そういう意味では、研究の公開というまではいかぬまでも、地域に対する還元といいますか、あるいは地域に対する影響度を強めるといいますか、そういう方向についてどういうお考えを持っているのか、一点。  それから、これは衆議院の内閣委員会で附帯決議がついているわけですが、基礎研究を一層充実するとともに、開かれた機関として農業の振興及び農業者の要請にこたえるよう努めるべきだという附帯決議等もついておりまして、そういう意味ではやはり研究されたものと地域といいますか、あるいはその対象になるといいますか利益を得るといいますか、そういう方々との関係というのは私はかなり重要ではないかと思うんですが、その点についての御見解をひとつお聞きをしておきたいと思います。
  45. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 今回の二つの研究所は、基礎研究所と言えるような、かなり私ども農林水産省の研究所としては基礎的な研究を行う機関と考えております。そのために、ただいま先生の御指摘にありますように、とかくその研究の中に閉じこもってしまいがちではないかということを私ども自身も心配をする部分もございます。そういうこともございますので、この二つの新しい研究所の運用に関しましては、衆議院の方での附帯決議の中身にもございますように、十分そういう点を配慮いたしましてやっていかなければいけないというふうに考えております。  ただ、現在考えております中身といたしまして、やはり口で申すだけではいけませんので、仕組みをつくっておかなければいけないというふうに考えております。その仕組みの基本といたしましては、この二つの研究所はかなり基礎的な研究をやるところでございますので、そこから出てまいります成果は、二つの研究所の周りを囲んでおります、主に筑波にあります国立の農林関係の研究機関、そういうところがまず受けることになるというふうに考えております。ほかにも野菜試験場とか草地試験場とかいうものが筑波以外にございますが、そういったものも含めました専門場所とか、あるいは北海道から九州まで六カ所に置いております地域の農業試験場、そういったところでここの二つの研究所でできた技術を受けまして、それぞれ生物研究所に関連するところでありますと育種につなげていくということをやってまいりたいと考えております。  それから、これは当然都道府県の試験研究機関あるいは民間との関係考えてまいらなきゃいかぬというふうに思いますので、その点につきましては、地域にあります研究所とそれぞれの地域におきます都道府県の研究所を十分に結び合うような、現在もやっておりますが、今後もその点を注意していきたい。  それから産官学ということで、民間あるいは大学との関係は、これは現在も、時に筑波におきましてはその点をかなり配慮しているつもりでございますが、今後二つの新しい研究所ができるということで、かなり民間からも大学からも注目を集めておりまして、私どももその点を十分頭に置きまして、すでに生物資源研究所の関係でございますと、そういった民間も大学も都道府県の研究機関なども含めまして呼びかけたセミナーのようなものも開始いたしておりまして、そういった機会を通じまして十分に御指摘のありましたような連携を深めていくというふうにいたしたいと思います。
  46. 山崎昇

    山崎昇君 次に、先ほどもちょっと触れられましたけれども、蚕糸試験場についてお尋ねをしておきたいと思うんですが、私がいま機構図を見ますと、現在九部一室六支場五百二十三人の定員でやっているわけなんですが、今度のこの二つの研究所の設置に伴いまして、農業生物資源研究所に六十六人、それから農業環境技術研究所に十二人、合計七十八人転任をするという形になるようでありますね。そして、組織そのものが五部一室一支場二百六十一人というふうになるように私自身は見ているわけなんですが、この蚕糸試験場をこれだけ縮小すると今後かなりな影響が出てくるのではないんだろうか。そういう意味で、この蚕糸試験場の縮小に伴う影響についてどのように御判断されるのか。あるいはまた、将来この蚕糸試験場というものをこれ以上縮小するというお考えがあるのか。あるいはこれが、世の中進みますから固定的には申し上げませんが、この程度でとめるというお考えになっているのか、この点が一つ。  それからあわせまして、蚕糸試験場に勤務されている方々が、先ほどの御説明のように、二つの研究所の方に配置がえの方も相当出ると思うんですが、しかしどうしてもこの配置が困難な人も出てくるのではないか。そういう点はどういうふうに御判断されるのか。また、これは後ほど一括してお聞きしたいと思っているんですが、私が総定員法をやったときに、本人の意思に反する配置転換をやらないようにということを当時の附帯決議につけまして、自後これが十何年守られて実は職員の身分というものを保障しているわけなんですが、そういう意味では、今回のこの組織がえに伴いまして配置転換される方々についてどのような方針で臨まれるのか。どうしても困難な方についてはどういう処置をされていかれようとするのか。まずこの二つをお聞きをしておきたい。
  47. 岸國平

    政府委員(岸國平君) まず第一点の蚕糸試験場を半減する、半分にするということだけれども、それで蚕糸の研究が大丈夫かというお話でございますが、私どもその点につきましては、十分にそのことを配慮いたしまして、いままでの五百二十三名という状況につきましても、かなりの期間、蚕糸業の趨勢をにらみながら、また外からのいろんな指摘にもこたえながら、ある程度の縮小を図ってきたところでございますが、今回、先ほど御指摘にもありましたように、この機会にかなり大幅な縮減をするということを考えたわけでございまして、それにつきましては、当然、御指摘のような将来の研究は大丈夫かということをまず基本に考えなきゃいけないと思っております。それで私ども、蚕糸に関する研究につきましては、今後わが国でも、現在の状況とあわせまして、これからもかなり研究をしっかりと残していかなければいけないということを基本に置きまして、それが果たせるような規模と中の配置ということを考えております。  それにつきましては、一つは、現在の五百二十三名というものを二百六十一名ということにいたしますけれども、先ほど先生の御指摘のところですでに詳しい御指摘がございましたので、中身についても御案内かと思いますが、新しい組織の中で五つの部を持っておりますが、その五つの中の一つは総務部で、総務関係でございます。それから研究部といたしまして四つの部を考えておりますが、その四つの部といいますのが、栽培部、これは桑の栽培全般でございます。それから蚕の蚕育種部というのがございます。これはいままでにもそれから今後もこの蚕糸の研究の一番中核になります蚕の新しい品種をつくり出していく、あるいは古いものをしっかりと残していくというようなことをやらなければいけない。それから養蚕部ということで、これは蚕の養蚕そのものの全般にわたるもの。それから加工利用部、ここのところで、いままででございますと製糸部でありますとか絹繊維部でありますとか、そういったところでやってまいりました研究をすべてカバーするというようなことで、加工全般を考えるということで、部の数は少なくなっておりますけれども、研究の分野から言いますと、十分にいままでのものを全部カバーできるということを考えておりまして、その面では確かに人数が少なくなりますので、その少なくなった分、研究の能力が若干の低下は免れない部分がありますが、こういった組織的な準備、それから今後の措置によって十分いままでの研究の力を落とさずにいくようにしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  それからもう一点は、いままで蚕糸試験場の中には支場が四つございまして、東北、中部、関西、九州という四つの支場がございましたが、その一つの中部支場は今後も残して、新しくなる蚕糸試験場でやってまいりたい。それから、あとの東北と関西と九州につきましては、それぞれの地域にございます地域農業試験場に統合いたしまして、その地域におきます養蚕問題について、やはりそれぞれに地域農試に持ってまいりましたところでもカバーをしていくということも考えておりますので、そういう面におきましても蚕糸の研究は大きな影響なしに過ごせるというふうに考えております。  それから第二点の研究員の再配置に関連した問題でございますが、これは確かに、御指摘のように、かなり研究の中身が変わる人が出てまいりますので、これは研究者にとっては大変きつい話でございます。私どももその点は十分に意識をいたしまして、できるだけ、現在蚕糸の研究に携わっている、桑や蚕の研究に携わっている人たちが今後の新しい二つの研究所で十分な役割りが果たせるように配慮をしてまいりたいというふうに考えております。  その具体的な策といたしまして、一つは、先ほども申し上げましたが、現在の研究分野それから研究対象、そういうものと今後の新しいところでの対象とがかなり近いところを選ぶということを基本にいたします。御案内のように、蚕糸試験場といいますのは、わが国農業関係あるいは生物関係の研究だけじゃなくて、世界的にも大変すぐれた伝統とキャリアを持った研究所でございまして、その中におります研究者は、遺伝の面でありますとか、あるいは生物化学の面でありますとか、そういう点では大変能力を持っておる者もおりますので、十分に活用できる、それから本人たちも転換ができるというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたような配慮をいたしたい。  それからもう一つは、そうはいいましても、やはり新しいところに参りますとかなり新しいことに対応しなきゃいかぬということで、そのためには研修をしっかりとやるようにいたしたい、そういうふうに考えております。  前の国会の決議等の関係もあるというお話でございますが、その点につきましては、私ども、確かに重要な問題でもございますので、先ほど申し上げましたような配慮をいたしながら、それぞれの配転につきまして無理のないことを実行してまいりたいというふうに考えております。  それから先ほどちょっと申し上げるのに間違ったかもわかりませんが、支場は松本支場でございました。中部の点を……。
  48. 山崎昇

    山崎昇君 いま詳細な説明があったんですが、私はやっぱり、研究者でも若い人はまだそれでも新しい研究に乗るという仕方は早いと思う。しかし、いまお話ありましたように、蚕糸試験場が伝統ある試験場だとすれば、相当年期を入れた研究者もいるでしょうし、年配者もおる。そういう方々の転換というのは、一遍の講習だけでそう簡単に転換できるものではない、また、その人にとりましては生活環境ががらり変わる、そういう意味では大変な私は背景があるんではないかと思いますから、その点は、御本人なり、あるいは関係する組合もあるでしょうから、そういうところとひとつ十分御相談願って、少なくとも、本人の意思に反して配転をやるとか、そういうことのないようにだけはこの場で重ねて指摘をしておきたいと思うんです。  そこで、質問事項はたくさんあるんですが、それに関連して、人事局長来ておったですかね、総理府。——いまお聞きのとおり、人事局としてもさっき申し上げました附帯決議は守られると思うんですが、特に人事局にもお願いしておきたいと思いますのは、筑波に研究所がいま集中しているわけでありますが、私どもお聞きするところによりますと、必ずしも職員の環境が整ってない、たとえば住宅事情にいたしましても。それから筑波以外から通勤されている方もかなりおるやにも聞いております。そういう意味では人事局としてもこの配転その他について慎重なやっぱり配慮をしてもらいたい。関係者と十分ひとつ打ち合わせをやってからやってもらいたい。それから環境の整備についても意を尽くしてもらいたい、こう思うんですが、この点は人事局長から一言ひとつ答弁願っておきたい。
  49. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) いまの問題でございますけれども、私どもといたしましては、主管省庁である農林水産省その他と十分に連絡をとりまして適切に対処してまいりたいと思います。
  50. 山崎昇

    山崎昇君 環境整備はどうなんですか。
  51. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 環境整備は直接人事局の所管ではございませんけれども、この辺も関係当局に伝えまして対処してまいりたいというふうに思います。
  52. 山崎昇

    山崎昇君 総理府の人事局というのは一体何をやるんですかな、そうなれば、あなた。全般を見て、公務員全体の労働条件が一体どうなっているのか、勤務状態がどうなっているのか、そういうことをあなたの方で把握をして、そして問題が指摘をされたら当然それに対処しなきゃならぬのが人事局じゃないでしょうか。だから、そういう点はもう少し私の方から指摘をしておきますから、関係者にお伝えも結構だけれども、人事局自体としてもその点はもう少し心を入れてひとつやってもらいたいということを申し上げておきます。  もう私の時間が来ましたから、最後に大臣、この臨調の答申を見ますと農業関係の機構改善だとか、一々は申し上げません、私はここにずいぶん資料を持っておりますが。それから政策の変更だとか、もうたくさんあります。あるいは農林水産技術会議の構成等の問題についても農水省設置法十四条との関係でありますとか、多くの問題があるわけなんですが、概して言えば農林水産省の側というのは人を出す側、言うならば配転で言えば供給する側にこれからますます回っていくんではないんだろうか、そういう気がしてならぬわけですね。今日までも大変農林水産省から、食糧庁を初めといたしまして、その他から多くの人が配転されておりますが、これからも私どもはそういう傾向というのは続いていくんではないだろうかというふうに思っているわけです。  そこで、一括してお聞きをいたしますが、この臨調の答申に対して農林水産大臣としては基本的にどうされていくのか。それからその中で、さっき申し上げました農林水産技術会議の再検討、あるいは農林水産省附属の試験研究機関の関係については見直すというように具体的に指摘をしている。さらには臨調答申では、八種の専門研究を行っております作目別の試験場がございますが、これらについても統合を含めて、あり方について見直すべきだというような答申もある。言うならば農林水産省全般について臨調答申というのはかなりきつい内容に私はなっていると思うんですが、おいおいこれから省自体としても検討されると思うんですが、大臣として、この機会でありますから、これらに対してどういうあなたは基本的なお考えで対処していこうとされているのか、その点だけ伺いまして、まだまだたくさんきょう用意したんですけれども、私の時間が参りましたから質問を終えておきたいと思います。
  53. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) いろいろ長時間まことに適切な御指摘がございました。臨調答申についての私の考え方を問われたんですが、臨調答申は適切な答申をいただいておるのでありますけれども、大変厳しいものであるという認識を持っています。答申までにいろいろ臨調に説明をしてずいぶんあれで緩和されたことになっていますけれども、これを実行に移すのは大変なことでございます。したがって、答申を尊重して最大限ひとつ実行に移したいと思いますけれども、容易ならない問題がございます。これはこれなりにひとつ検討を続けてまいって、そして先生方の御意見も十分尊重してひとつ結論を出していきたい、このように考えております。
  54. 山崎昇

    山崎昇君 最後に要望しておきますが、農林水産大臣は総合安全保障関係閣僚会議の一員でもあるんですね。日本の食糧問題というのはこれだけ重要な段階にあるわけでありますから、大臣としては、臨調の答申もさることながら、あなたの責任においてやっぱり農林水産行政というのが停滞しないように、後退しないように、職員の皆さんが張り切って仕事できるように、そういうやっぱり職場にするあなたには義務があると思うんです、任務があると思うんですね。そういう点は重ねてあなたに要望しておきますので、そういう観点から今後の行政を進めていただきますように要望して、私の質問を終えておきたいと思います。
  55. 三治重信

    三治重信君 最初にちょっとおわびをいたします。  私の都合でえらい時間、昼の時間を過ぎても質疑を続けるかっこうになってまことに申しわけないと思っておりますが、いましばらくひとつごしんぼうを願いたいと思います。  今度二つの新しい研究所をつくられて、スクラップ・アンド・ビルドの一端が出てきたと思うんですが、これはほんの一端であって、今後農水省の膨大な研究所、研究機関体制というものに新しいメスや新しい構想で改革をやるんだというのか、そうまではとても手がつかぬで、研究機関としてはこれだけだと、あとは全体の農水省の機構の再編との関連であるいはやるかもしれぬけれども、そう特別考えているわけじゃないのか、どちらかひとつ御説明願います。
  56. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 先生御案内のように、わが国農業状況技術開発というのが非常に基礎的に重要なわけでございますが、その場合に、ほかの工業方面におきますとかそういう農業以外のところに比較をいたしまして、農業の置かれております状況が非常に北から南まで長い自然環境のところにあるというようなことが一点ございます。それからまた、一つ一つ農業を営んでまいります農家の状況というのは、非常に小さな企業体といいますか経営体であるというような状況がございまして、なかなか品種一つつくるにいたしましても、農家の力でそれをつくるということは大変困難な状況にございます。そういうような背景から、わが国の農林関係技術開発というのは、いままでも主として国公立の研究機関で開発をされてまいりました。この点についてはわが国だけではございませんで、アメリカでありますとかあるいはヨーロッパでありますとか、そういうところでもほぼ似たような状況にあるわけでございます。  私どもは、いま御指摘の大変膨大なものではないかということもございますが、そういったような状況から考えまして、現在の研究機関の数あるいは大きさ、そういったものがそれほど過大なものではないというふうに理解をしておりまして、ただそうは申しましても、その研究を進めてまいりますときに、常に見直しをいたしまして、その時代その時代に要請される最も有効な研究ができるようなことを考えていかなければいけないということを考えているわけでございまして、今回の法律改正に絡みまして二つの新しい研究所をつくるにいたしましても、十分に見直しをいたしました結果、蚕糸試験場を半減し、その研究勢力の活用と、それからまた二つの研究所を廃止いたしまして新しいところに展開をするというふうなことを行ったわけでございまして、今後同じようなことを次々とやるのかというようなことから申しますと、私どもは、今回の大きな改正によりまして、これからかなりの期間今度は落ちついてしっかりとした研究をして、わが国農業の期待にこたえるような研究をしていかなければいけない、そういうふうに考えている状態でございます。
  57. 三治重信

    三治重信君 この説明にバイオテクノロジーとかいう新しい用語も書かれておるんですが、こういう新しい部面というのは、本当の基礎的な、何というんですか作物の品種改良にしても、よけいとれるものや、病虫害に強いものとか悪い土壕にでも育成できるとか、いろいろの部面があろうと思うんですが、バイオテクノロジーの今度の研究所で当面どういう品種、作物というものを大きな目標にするのか。いや、そういう作物の品種改良の前の基礎研究になるんだというのかというのが一つ。  それから環境技術の方の研究所は、これは研究所ばかりでなくて、現状についての環境の調査が相当なければ、この研究機関もそれに対する改善の取り組みができないと思うんですが、その全体の調査というものはいままでどういうふうにしてやり、今度の新しいので利用できるのかどうか。
  58. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 第一点の生物研に関連する部分でございますが、いま現在、私どもの研究機関全体を通じまして、常に新しい品種をつくるということでは毎日の研究の中で実施をいたしております。その新しい品種をつくるときの目標としては、先ほど先生の御指摘にありましたように、病気に強い品種でありますとかあるいは環境に適合する耐冷性の強い品種でありますとか、そういったことを目標にしておりまして、稲にしましても大豆にしましても、また野菜や果樹にしましてもそういった品種の育成をしております。  今回の農業生物資源研究所におきましてねらいます研究は、現在行っております品種育成、その主体になっております交配による品種育成ではなかなか到達できないようなそういう新しいものをつくり出す、そのことのために必要な基礎研究をやるということを一番大きな目標にいたしております。そういうことでございますので、今回の生物資源研究所の柱になりますバイオテクノロジーの活用による研究というところでは、かなり新しい、たとえて申しますと遺伝子組みかえでありますとか細胞融合でありますとか、そういったものを相当大きな研究の部面として開発をしていきたい、そういうふうに考えております。  それからもう一方の環境技術研究所でございますが、ただいまの御指摘にありましたように、この研究所でねらいますような研究を進めていきます場合には、やはりわが国全体のこの面での状況がどうなっているかということをまず基本的に調査することが非常に基礎として重要であるというふうに考えております。それで、その点につきましては、いままでにも全国にネットワークを張っております研究所の力を用いまして相当の調査を進めておりますが、その点については、今後環境技術研究所ができましたときに、新しいリモートセンシングの技術でありますとか、あるいは場合によっては非常に微量なものの検出の方法でありますとか、そういったものが次々と開発されつつある現況でございますので、そういった新しい技術をさらに適用いたしまして、御指摘にございましたような全般的な幅の広い調査をし、それをもとにしてどういった新しい技術開発していくかということを考えていくようにいたしたいと考えております。
  59. 三治重信

    三治重信君 せっかくの機会ですから、ちょっと農水省全般の問題について御意見を伺っておきたいんですが、農水省の行政の中で、バックとして食糧自給率の向上、こういうことがよく言われているんですが、非常に農地の狭いところで、しかも米の減反政策をやっている中で食糧自給率の向上というのは一体何ができるのかと、こういう疑問を持たざるを得ないわけなんです。  日本の水田というのは、一定面積からの穀物の生産力というものはやはり一番よけいできる。いかなる外国のどんないい美田、優良な土地からつくる穀物の生産量よりか、日本の水田からできる米や穀物の生産量というものは最大だろうと思うんです。それを生産制限していて、それで食糧の自給率向上というのは何を言うのかと、ただ米の、出たものを直接手から口へ入れるだけの食糧というものを考えていたらそういうことになるかもしれないけれども、それは一〇〇%やっているんじゃないか。それ以外のことで食糧自給率の向上というのは何ができるか。こういうことになってくると、やはり生活程度の向上とともに、人間の、われわれがとるのが、いわゆる炭水化物の米から、穀類、畜産、家畜を通して、そしてそれが肉となり、たん白の供給となっていくわけなんだから、飼料用穀物、同じ食糧でも家畜が食う食糧が日本は非常に不足し、また供給できないから食糧自給率がちっとも上がらぬ、こういうことだろうと思うんです。  現にソ連でもほかの国でも、いわゆる穀物の輸入といったら、先進国ではやはりほとんど家畜用飼料の輸入が大半を占めているんじゃないかと思うんです。そういう問題について基本的な考え方を後で大臣に御答弁願いたいとともに、事務当局の方から、いま疑問の、いわゆる食用米の自給率はもう一〇〇%になって、その上日本の食糧の自給率の向上というのは何を考えているのか、何が考えられるのかという問題についてひとつ具体的に答えていただければ大変ありがたいと思います。  そしてさらに、それにつけ加えて、前から米の過剰のときに、いわゆる飼料用の米の生産というのをずいぶん各議員からも発言がいままでされてきておったんですが、そういうふうな食糧の自給率向上というものは、水田を最大限利用してそこで穀物を生産して、その穀物の利用方法というものをどうして考えるかという以外食糧自給率の向上というのは私はあり得ないと思うんですが、そういうことについての意見。
  60. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 自給率の問題につきまして御説明申し上げます。  御指摘のように、日本の風土、立地条件等から見まして、米が土地生産性におきましては一番高いということは御指摘のとおりかと考えております。ただ、国民の食生活が非常に変わってきておりまして、米についての消費動向も年々減ってきております。一時、戦前あたりは、たとえば年間一人百五十キロというものがあったわけでございますが、あるいは戦後におきましても百二十キロ台の食糧消費の時代がございましたが、最近では八十キロを割り、さらに私ども、将来の見通しといたしますと六十キロ台、六十数キロというような見通しになってまいります。  この間、確かに人口増加等によります消費の増大も見込めますけれども、米全体の消費として見ますと、やはり先行き縮小せざるを得ないというように私ども見ておりまして、農政審議会等にいろいろ御検討いただきまして、昭和六十五年度におきます農産物需給見通しを立てておりますが、大体六十五年度におきまして米はおおむね一千万トン程度というような規模に大体需要が落ちつくのではないかというように見ているわけでございます。  ところが、現状におきましては、米の生産力自体はやはり千三百八十万トン、千四百万トン近い生産量がございます。これをこのまま生産してまいりますと、やはり米の需給上大きなインバランスを生じますし、過去におきましても私ども過剰米処理に二度余り大きな財政負担をしながらやってきておるわけでございますし、第二回目の過剰につきましてはおおむね五十八年度で処理を終わると思いますが、やはりこの米につきまして需要を拡大していくということは必要かと考えております。  そこで、物別の自給についてどうかというお話でございますが、私どもの自給率の非常に低いものは、小麦であるとか大豆であるとか、先ほど御指摘ございました家畜のえさ用の穀物でございます。ただ、小麦につきましては、日本産の小麦というのはグルテンの含有量、あるいはその性質から見ましてパン用にはなかなか適しないということがございまして、やはり古来から日本人の食生活になじんでおりますめん用、日本のめん用のものが一番いいんではないかということで、私ども現在、将来の自給力の目標といたしましては、小麦につきましては国内で需要される日本めん用のもの、これは完全自給という方向で現在考えておりまして、六十五年度に大体その一〇〇%日本めん用の自給を達成するという方向に努力をしておるわけでございます。  また、大豆につきましては、日本の場合にはまだ生産力が非常に低うございまして、平均的に見ましても十アール当たり二百キロ水準まではなかなかいかないというようなこともございますし、また日本の大豆の場合には豆腐というような特殊な用途に使われるものが適しておりますけれども、西洋の大豆としては必ずしも適性があるかどうかという点にはまだまだ問題がございます。そういう意味で、現在の生産力水準等から見まして、私ども大豆につきましては一挙に食用のものを自給することは非常に困難でございますし、また外国との値段の格差も非常に大きいということもございますので、六十五年度におきましては豆腐などの食用の大豆の大体六割程度が自給の目標であるというふうに考えております。  そのほか野菜、果実、牛乳、乳製品等につきましては、おおむね国内で自給できるように、ただ一部やはり嗜好の違いもございますので、完全自給というふうにはなかなかまいらないかもしれませんが、おおむね九割とかあるいは野菜につきましては一〇〇%、そういうような方向で私ども考えております。  将来、牛肉等につきましては、まだ国内生産力もそれほど伸びませんので、六十五年度におきましてもせいぜい七一、二%という程度の目標になろうかと思います。あと、豚肉、鶏肉、鶏卵等につきましては、現在の生産力水準等から見ましても、六十五年度におきましておおむね完全自給ができるというように品目別に考えております。  総じて申し上げまして、米以外の土地利用型の作物、特に穀物でございますが、これにつきましては御指摘のように自給率も非常に低うございますので、今後ともその面につきましては十分な努力をしていきたいと考えております。  そこで、もう一つの問題といたしまして、水田についてこれだけの大きな生産力があるわけであるから、これを生かしたらどうかと。特に、家畜用のえさとして穀物を外国からほとんど全量を輸入している現状から見て、米もえさ用に転換をしたらどうかというような議論もここ数年来ございまして、部内におきましても私ども、このえさ用の米と、あるいはこのほか原材料用の米であるとかアルコールとか、そういう他用途に米を使えないかどうかということにつきましてもいろいろ検討を進めております。  ただ、一番の難点は、現在米につきまして食管制度がございますし、これによりましてまた政府が買い入れをしておりますが、大体トン当たり三十万円ぐらいで政府が買い入れをしております。反面、一つの例といたしましてえさでございますが、米に見合う現在入れておりますトウモロコシ、マイロというのはトン当たり四万円弱、また仮にアルコールに転化する場合の原料価格としましても大体四万円前後と。せいぜい原材料に使いますせんべいその他工業用のものでございますが、これでせいぜい十二、三万というように、現在の政府買い入れ価格と非常に差があり過ぎる点がございます。そこで、それを全部国が買い上げて、そういう方向に転換することも現在の財政事情、あるいは物の品質等からいたしましていいかどうかということは問題がございます。  米というのは、小麦等に比べましても国際的に見て非常に高い商品でございます。そういうこともございまして、私どもえさ用の問題につきましては現在転作をいろいろ進めております。明年から第三期に入ります。転作につきましてはいろいろ御議論もございますし、また転作の定着というものにつきましても、いろいろ農家の方々、特に湿田地帯の方々については転作の定着化等について問題もあるということも承知しておりますので、第三期の段階におきまして米をどのように他用途に使えるかどうか。将来、私どもやはり七十六万ヘクタール程度まで昭和六十五年度には転作を伸ばさなきゃいかぬというように考えておりますが、五十八年度におきましてはこれを六十万ヘクタールに縮小いたしております。これを第三期、明年度以降どうするかという際に、あわせましてこのえさ用を含めた他用途米についてどうするか、それから備蓄問題等もあわせて考えたいということでございます。  なお、えさ用の米につきましてはもう一点問題がございまして、やはり収量が大体現在は十アール当たりで五百キロ水準でございます。これはやはり収量として相当程度伸びる。これが仮に一トンとか二トンのようにたくさんとれるようなことになればいいわけでございますが、現在の研究段階におきましては、十数年先におきましても全国平均でも恐らく七百五十キロ水準、このようになるまでが一つの研究のテンポではないかというように考えておりますし、またそういう品種をいろいろ検討もいたしておりますが、外国のいまイタリー産のアルボリオとか、あるいは密陽という品種もございますから、これにつきましても、日本におきましては脱粒をしやすいとか、あるいは耐冷性、耐病性というものにおきましていろいろ技術的な問題もございます。  そういうことと先ほど申し上げました食糧管理法によります米の管理の問題、こういう問題もございまして、まだ結論は得ておりませんけれども、私どもは第三期対策の確定の段階までに何らかの方向を見出したいというふうに考えております。
  61. 三治重信

    三治重信君 そこが焦点だと思うんですよ。食糧自給率向上というけれども、いまのお話を聞いていても、ちっとも食糧自給率が向上するような農水省見通しというのは一つもないと思うんですよね。だから、それを本当に向上させていくということが、技術的にも価格の問題でも非常に問題があるけれども、それをどうしてやっていくか。それができぬとなれば、食糧自給率向上向上と言うのは非常に国民に誤解を与えるし、農民団体にも非常に誤解を与える。できぬことを希望していることについて了解を与えるというのは非常に誤解を与える。もう少しその点の展望をはっきりしておいていただきたいと思います。  まあ、あと一つ質問しようかと思ったけれども、ちょうど一時半だからこれでやめておきますが、ひとつがんばってください。どうもありがとうございました。
  62. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  63. 坂野重信

    委員長坂野重信君) この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっておりますので、補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三治重信君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会