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1983-03-23 第98回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十三日(水曜日)    午前十時三十分開会     ─────────────    委員異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     杉山 令肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 板垣  正君                 大島 友治君                 山崎  昇君                 三治 重信君     委 員                 岡田  広君                 杉山 令肇君                 林  寛子君                 山内 一郎君                 勝又 武一君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       丹羽 兵助君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君         ─────        会計検査院長   鎌田 英夫君         ─────    政府委員        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       禿河 徹映君        内閣官房内閣調        査室長      鎌倉  節君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        管理局長     加藤 圭朗君        人事院事務総局        任用局長     白戸  厚君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     渡辺  尚君        内閣総理大臣官        房広報室長兼内        閣官房内閣広報        室長       小野佐千夫君        内閣総理大臣官        房管理室長    菊池 貞二君        総理府人事局長  藤井 良二君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        宮内庁次長    山本  悟君        皇室経済主管   宮尾  盤君        行政管理庁長官        官房総務審議官  門田 英郎君        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君    事務局側        事 務 総 長  指宿 清秀君        事 務 次 長  佐橋 宣雄君        常任委員会専門        員        林  利雄君    衆議院事務局側        事 務 総 長  弥富啓之助君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  西村 健一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  青山  達君    国立国会図書館側        館     長  荒尾 正浩君    説明員        法務省刑事局総        務課長      井嶋 一友君        大蔵省主計局共        済課長      野尻 栄典君        会計検査院事務        総局次長     丹下  巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁))     ─────────────
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十二日、竹内潔君が委員を辞任され、その補欠として杉山令肇君が選任されました。     ─────────────
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 去る十五日、予算委員会から、本二十三日及び明二十四日の二日間、昭和五十八年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち、総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁防衛本庁、防衛施設庁について審査委嘱がありましたので御報告いたします。  この際、昭和五十八年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち、総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁を議題といたします。  予算説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は昨日の委員会におきましてすでに聴取いたしておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管予算説明を聴取いたします。  まず、国会所管のうち、衆議院関係予算説明を求めます。弥富衆議院事務総長
  4. 弥富啓之助

    衆議院事務総長弥富啓之助君) 昭和五十八年度衆議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。  昭和五十八年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は三百八十九億九千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三千八百万円余の減額となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百七十五億七千三百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し四億円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして十四億一千百万円余計上いたしております。このうち主なものは、五十八年度末完成を目 途として改修中の第一議員会館外装改修工事等でございます。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億五千万円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費でありますが、三億四千三百万円減額して七百万円計上いたしました。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  5. 坂野重信

  6. 指宿清秀

    事務総長指宿清秀君) 昭和五十八年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は二百三十四億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額二百三十二億五千三百万円余に比較いたしますと、二億四千六百万円余の増加となっております。  その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百二十一億一千三百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し四億九千八百万円余の増加となっておりますが、増加の主なものは、第十三回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費議員秘書及び職員人件費等であります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして十三億八千百万円余を計上いたしております。その内訳は、本年十月完成予定の麹町議員宿舎第一期改築工事費六億五千七百万円余のほか、昭和六十年度末完成を目途とする麹町議員宿舎第二期改築工事費二億九千三百万円余及び本館その他庁舎等施設整備費四億二千三百万円余であります。  第三は、国会予備金でありますが、五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 坂野重信

  8. 荒尾正浩

    国立国会図書館長荒尾正浩君) 昭和五十八年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百十四億三千九百万円余でございまして、これを前年度予算額百八億二百万円余と比較いたしますと、六億三千六百万円余の増額となっております。  次に、要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は七十五億九千八百万円余であり、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億五千四百万円余の増額となっております。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、二千万円余を増額いたし、要求額は五億一千二百万円余であります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、別館新営と支部上野図書館整備等に必要な経費三十三億二千八百万円余であります。  なお、別館新営に関しては、昭和五十八年度を初年度とする三カ年国庫債務負担行為十六億一千万円余を新たに要求いたしております。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 坂野重信

  10. 西村健一

    裁判官弾劾裁判所参事西村健一君) 昭和五十八年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は七千八百七十五万二千円でありまして、これを前年度予算額七千六百十九万八千円に比較いたしますと、二百五十五万四千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比べて増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 坂野重信

  12. 青山達

    裁判官訴追委員会参事青山達君) 昭和五十八年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は八千四百四十七万六千円でありまして、これは裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費であります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  13. 坂野重信

  14. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 昭和五十八年度会計検査院所管歳出予算について説明いたします。  会計検査院昭和五十八年度予定経費要求額は八十七億四千八百五十四万二千円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法規定に基づく本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として七十七億六千四百六十七万一千円を計上いたしましたが、これは総額の八九%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十名を増員する経費も含まれております。  旅費として五億七千五百五十四万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億六千百四十万六千円、外国旅費が六百七十二万五千円であります。  施設整備費として三千五百二十四万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎本館給排水設備その他改修工事費二千百九十三万円であります。  その他の経費として三億七千三百七万五千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千二十万四千円、並びに検査業務効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費四千三百五万八千円、電子計算機等借料一千七万円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十八年度予定経費要求額八十七億四千八百五十四万二千円を前年度予算額八十六億一千七百三十三万三千円に比較いたしますと、一億三千百二十万九千円の増加となっておりますが、これは人件費において一億一千五百九十二万七千円、検査業務に必要な経費において三千四百三十七万一千円増加し、施設整備費において一千五百九十九万五千円減少したことなどによるものであります。  以上、はなはだ簡単でありますが、本院の昭和五十八年度予定経費要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  15. 坂野重信

    委員長坂野重信君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 山崎昇

    山崎昇君 この委員会委嘱審査案件というのは大変な数の機関がございまして、本来ならそれ相応に質疑を申し上げるのが筋道でもありますが、とても与えられた時間ではできませんので、当面する問題点等中心に二、三お聞きをしたいと思うんてす。  本当は最初に官房長官お尋ねをする予定でありましたが、十一時から定例記者会見等がありますために、途中で官房長官に切りかえるかもわかりませんので、その点は政府の各関係の方々にあらかじめ御了解をいただいておきたいと思います。  まず、人事院総裁総務長官お尋ねをしておきたいと思うんですが、昨年の九月の二十四日の閣議で、御存じのように昨年の人事院勧告凍結するということになりました。今日、まだ各党間で代表者会議あるいは実務者会議等々が進められて最終決断には至っていないわけでありますが、この閣議決定の後に当時の宮澤官房長官から三点指摘をされました。第一点は、財政が赤字だからやむを得ないのだと。第二点は、国家公務員法第二十八条の第二項によれば、五%以上の場合には勧告しなきゃならぬが、五%以下だからやらなくてもいいんだと。第三点は、公務員は率先して財政再建に努力をすべきだと。この三点が中心であったと思っております。  そこで、私はこの国家公務員法の二十八条の規定についてきょうはお伺いをしておきたいと思うんです。これはもう御承知のように第一項と第二項がございまして、第一項は、これは国会情勢に応じまして適宜に改正をしようと思っても、それに対しても人事院意見勧告がなければできないという規定になっております。それだけ、この人事院意見提出あるいは勧告というのは、国会といえどもそれをなしにむやみやたらにこの情勢適応ということができない仕掛けになっておる。しかし、この一項を読む限り、一体人事院はどこに勧告をするのか、どこに意見を出すのかという点は明確でございません。したがいまして、第一項の人事院が仮に勧告を出すとすれば、一体内閣なのか国会なのか、両方なのか、その辺の見解をひとつまずお聞きをしておきたいと思います。  それから、あわせまして第二項でありますが、御存じのように、これは俸給等について当を得てないと判断をされれば、国会政府に対して人事院報告をすることになっております。ただ、その後段で、五%以上の場合には勧告をしなければならぬと、こうなっておりまして、したがって人事院がいまの俸給表が当を得てないと判断する場合には、五%以下でありましても当然報告にあわせて勧告があってしかるべきであるし、ここ二、三年来その方向をとってきたことは御存じのとおりであります。  そこでお聞きをしたいのは、この第二項で国会に対しても勧告することになっておりますが、私もずいぶんいろいろな文献をあさってみているのですが、この国会に対して人事院勧告するという趣旨立法の際にどういう趣旨でこの規定が設けられたのか、またその後どういうふうにこれが生きてきているのか。この点、まず人事院に二点、あわせまして総務長官見解もお聞きをしておきたい、こう思うんです。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) まず二十八条の一項でございますが、私は、制度組み立て方から申しまして、情勢適応の原則に基づいて公務員勤務条件等についてかくあるべきだという意見なり、あるいは勧告をするという必要が生じました場合においては、これは政府、いわゆる内閣だけではなくて、常に内閣国会というものに両方あわせて勧告をする、意見の申し出をするというのが本来的な趣旨であるというふうに思っております。これは、やはり日本公務員制度公務員あり方、それの仕組みというものの組み立てからいたしまして、大変そこにはやっぱり重要な意味を持ってかくのごとき制度ができておる。私は、それなりに大変意義のあるりっぱな制度であるというふうに、自画自賛みたいなことになって恐縮でございますが、そういうふうに考えておりますが、これはいずれもやはり内閣国会に対してやるというのがその趣旨であるというふうに考えております。  それから第二の点でございますが、これは最近三年間ほどにわたりまして、五%以下の較差の場合においても勧告をあえていたしました。この席上でも累次繰り返し申し上げておりますように、三%台というようなことでもこれはやはり無視はできない状況になっておる。それから三公四現の関係もあります。その他いろいろの情勢判断から見て、あえて五%以下でもやはり勧告をして、それ相応の処遇はしていただくことが適当であるという見解に立っていままでやってきたつもりでございます。この第二項の規定は、五%の場合においては人事院に対して義務づけをしておるということでございますが、五%を欠けたといたしましても、これはやってはならないということは書いてはございません。私は当然、情勢適応というような趣旨から申しまして、仮に四%台でも三%台でもこれは勧告をすべきいま情勢にあるのではないかということで過去三年度間にわたってやってまいりましたし、去年の場合もそうであったということでありまして、私はそれが正しい法律規定の解釈であろう、また趣旨であろうというふうに思っております。
  18. 山崎昇

    山崎昇君 国会勧告するという意味
  19. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは要するに、公務員のいろいろな制度あるいは制度の改廃というものはやはり法律事項でございますから、場合によっては内閣の方から提出をする場合もあるし、国会自身において議員立法その他でもって処置をされることもございましょうし、いずれにしてもこれは国会内閣両方の責任であるという趣旨において――ほかに例はございません、こういう仕組みになっておるのは。そういうところに大変なやはり人事院勧告の重みというものがあるのではないかというふうに私は解釈しております。
  20. 山崎昇

  21. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま人事院の方からお答えがございましたが、政府の考えを申し上げさしていただきたい。お尋ねでございますから答弁させていただきたいと思いますが、国家公務員、特に非現業国家公務員は、その地位の特殊性職務公共性から労働基本権が制約されており、その代償措置として、非現業国家公務員給与は独立の第三者機関でありまする人事院勧告を受けて最終的には国会において法律をもって定めることとされております。また、非現業国家公務員給与の財源は、国の財政とも関連して主として税収によって賄われております。以上のような理由から、非現業国家公務員給与は、国権の最高機関であり主権者としての国民を代表する国会において法律予算によって定めることとされておるものであり、この趣旨を踏まえて、国家公務員法第二十八条は、人事院給与勧告を直接国会に対して行うことを定めておるものと私どもは解釈しております。
  22. 山崎昇

    山崎昇君 いま、総裁総務長官との見解にはそう私は相違はないと思います。  そこで、私もずっと調べてみると、この二十八条の第二項という規定は当初国家公務員法ができるときにはなかった。途中から二十三年の改正で初めてこれが出てきた規定でございますね。それから私がかつてこの委員で、亡くなられましたが、佐藤総裁に当時二十八条の見解をお聞きしたときに、一項、二項と分けずに二十八条全体で御判断願いたい、これが当時の人事院総裁見解でもありました。したがって、私ども今日まであえて一項、二項分けずにやってきたつもりなんですが、ところが官房長官は二十八条の二項だけ取り出して、これが一つ凍結理由にされたというところに私は納得できないものが一つ存在をするわけです。  それから、いま総務長官からも答弁ございましたが、そこで重ねてお聞きをしたいと思うんですが、この規定とそれから国家公務員法の六十三条以降には給与準則についての規定があります。特に私は、この二十八条の規定は、同じ条文でありますからどちらが先でどちらが後ということにはならぬにいたしましても、六十四条では「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定める」と、こうなる。そして六十七条では「人事院は、給与準則に関し、常時、必要な調査研究を行い、給与額を引き上 げ、又は引き下げる必要を認めたときは、遅滞なく改訂案を作成して、これを国会及び内閣提出しなければならない。」と、こうあります。  この二十八条と六十七条というものを関連して私ども考えますと、今回の政府人事院勧告凍結というやり方はとうてい承服しがたい。また、人事院勧告出したわけでありますが、六十七条の規定から言えば、当然人事院もまた政府内閣に対してこういう給与法をやるべきだというあなた方の見解が強く出されてしかるべきではないんだろうか。一体今日まで六十七条という規定をどういうふうに人事院は運用してきたのか、改めてこの機会にお聞きをしておきたいと思うんです。
  23. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 給与準則の御指摘でございまして、これが率直に申して私自身も大変職務怠慢と申しますか、長い間放置されてきた、非常に変則的な状況にあるということは、私はこれは否定することはできないというふうに思っております。  ただ、この点は職階法職階制というものと密接不可分関係がございます。給与準則というものは、やはり職階制というものの実施を前提として考えられておるものでございます。先生もこれはお詳しいから詳しいことは申し上げませんが、ただ、その基本になります職階制自身が、いろんな事情から、これは実は大変変則的な取り扱いでたなざらしになって今日まで来ておるということでございます。これはいろんな事情があったと思います。ただ私は、これは法律制定自身の場合に日本の国情というものに余り適応しなかったということが実際上の原因ではなかったかというふうに考えておりますし、私自身は、やっぱりこの職階制自身というものに対しては大変制度あり方自体についても疑問を持っております。  そういうことでございまして、御承知のように、一度職階法というものができて、それに基づいて給与準則というものを国会にお出しをしておるわけなんです。お出しをしておるわけなんですが、諸般の事情職階制は動かない、したがってそれに応じて給与準則も動かないということで今日まで来ておるということでございます。  そこで、先般来から申し上げておりますように、人事院といたしましては、一昨年以来、戦後における三十年にわたるいろいろな情勢の変化を踏まえまして、任用制度あるいは給与制度、研修制度その他の各般の分野にわたりまして、根本的にやはり情勢に適応できるようなそういう制度をつくりたいということで大変精力的に取り組んでまいりました。大体デッサン的なものはでき上がりつつございます。これについて、大変重要な問題でございますから、しかるべき手順を踏みまして正式の国会に対する勧告なりあるいは法律改正、制定に対する意見の申し出なりというものをやらなければならぬものだというふうに私は考えております。  その間、その中で職階制にかわるものといたしまして、やはり私は現状に合うようなもう少し簡素なわかりやすい職務分類制度というものを取り入れていかなければならぬのではないだろうか。そういう意味で、はっきり申して、やはり現在に法律として現存いたしておりますけれども、この職階制自身についてはもう一度政府なり国会においてお考え直しをいただきたい時期に来ておるのではないかというふうに考えております。怠慢は怠慢でございますが、そういう社会情勢が背景にあったということもひとつ御了解を賜りたいというふうに考えております。
  24. 山崎昇

    山崎昇君 総裁みずから怠慢と言われれば、それ以上私の方は言う言葉もないわけなんですが、確かに職階制そのものは施行されておりませんし、現実に法の発動はありません。しかし、それにかわっていま当面しておりますのは、一般職の給与法で標準職務表等をつくりながらやっているわけですね。言うならば、少し短絡的でありますけれども、この給与準則にかわって一般職の給与法でほとんどのことが律せられておると思うんです。  もしそうだとすれば、あなたがいま怠慢とみずから認めましたけれども、六十七条を真剣に考えるなら、当然一般職の給与法の改定についても人事院としての考え方をまとめて、単に勧告だけでなしに、二十八条だけでなしに、六十七条に基づいての改定案というものを政府なり国会提出すべきではないんだろうか。まだ三月でありますから、いまからだって遅くはないんです。いま各党で協議中なんですね、専門家が集まって。そうだとするならば、当然六十七条に基づいて人事院はそれらの作業をやってしかるべきではないんだろうか、当然のこれはやり方ではないんだろうか、私はこう思うんです。そして、これを受けまして国会も真剣に議論しなければなりませんし、また政府としましてもそれをどう処理されるかを改めて検討する必要があるのではないか、こう思うんですが、重ねて総裁見解をお聞きをしておきます。
  25. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 山崎委員のおっしゃることは十分理由のあることであるというふうに思います。私もやはりそういう面ではいろいろやり方について反省をしなければならない面も過去にもあったと思います。ただ、この制度が今日まで慣熟をいたしておりますのは、官民較差というものを調べてそれに基づいて勧告をしておる、これは内閣国会に対して勧告をしておる、その勧告の際に実は法律自身もこれを参考にしてくださいと、このままおやりになれば勧告の内容はそのまま実現いたしますよということ、これは内閣国会に対してもお出しをしておるわけなんです。それはやっぱり実質的に言って、いま御指摘になりました関係規定の適用と同じ効果を持ってきておるのではないだろうか。これが過去において長い歴史のもとに慣熟をいたしておりますので、私は、やはりこの制度でもっていままでも効用を果たしてまいりましたし、それでいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  26. 山崎昇

    山崎昇君 重ねて、先ほど総務長官からも答弁ございました。私は、この二十八条の第二項で国会にも勧告なされるということを重大視する一人なんですが、これを詰めて言えば、給与が法定主義であるということ、国会は国民の代表でありますから、当然予算その他について発言をしなきゃならぬという点、その範疇には公務員給与も入るという意味、さらにまた予算提出権は内閣にございますけれども、議員にも議案の提出権があるわけでありますから、当然そういうことを想定の上でこの二十八条の第二項というものがつくられたのではないんだろうか、こう私も判断をいたします。  もしその見解に立つとするならば、政府閣議決定で一方的に人事院勧告凍結するというやり方は、これまた私はいま申し上げました趣旨からいっても納得しかねるわけでございまして、言うならば、仲裁裁定と性格は異なりますが、仲裁裁定でも承認案件とする場合と議決案件とする場合と二つの場合がある。もし政府に本当に国会の決断を仰ぐという姿勢があるならば、当然人事院勧告についても事前に国会意見を聞くなり、あるいは法案を出して、この法案の最終的な判断国会に求めるという態度があっていいのではないか。一方的に閣議で決めて公務員の賃金を抑えてしまう、二十八条を死文化してしまう、これはとうてい国会議員であります私どもとしては承服しかねる一つの考え方なんですね。  この点については、改めて総務長官お尋ねいたしますが、やはり仲裁裁定と法的性格も違うし、やり方も違うことは承知の上であなたに聞くわけでありますが、当然国会判断を求めてあの仲裁の議決案件と同様のような処置をとる考え方がないかどうか、改めてあなたの見解を聞いておきます。
  27. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生のお尋ねでございますが、国家公務員法の第二十八条について、公務員給与関係、先生からお話がございました。給与等の勤労条件を社会一般の情勢に適応するよう改善すべきことを要請するとともに、第二項において、給与について百分の五以上増減する必要がある場合には、人事院国会及び 内閣に対して勧告すべき義務を課しておるものでありますが、さらに官民給与の較差が百分の五未満の場合に勧告することがどうかとの判断は、人事院の方からも言っておられまするように、私ども人事院に任せておると、人事院に何と申しますか、ゆだねておると理解しております。  ところで、本年は増税の危機的な財政事情にありまして、政府の立場から申しますると、国民各層に痛みの伴う行財政改革を推進しなければならない状態にもあるし、このような状況のもとで、公務員にはまことにつらいことと思いまするけれども、国民に率先して痛み分けをしてもらう御理解を願いたい必要があると思われて、加えて、勝手な言い方かもしれませんが、現実をとらえてみまするときに物価の上昇が二%台と安定しておる。さらに、本年度の官民給与の較差は五%を切っており、比較的に低位にある。これらの事情を総合的に勘案して、政府としては、ただいま申しましたように、また先生方御承知のように、今回の決定を行ったものでございまするが、先ほど来先生からも御指摘があり、また私も申し上げましたように、現在国会の方で与野党で話し合いをいただいておるさなかでございまするので、国会の方でどのような御決定がなされるのか、私はそれを見守っておる、こういうような立場でございます。
  28. 山崎昇

    山崎昇君 総務長官が見守るというのはどういう意味ですか。見守るというからには、国会が結論を出したら従いますということも入りますね。それはしかと承っておきますよ。そうでありませんと、見守ると言って、ただ目をあいて見ているというだけじゃ意味がないんです。  先ほど来、私は二十八条の法律論から展開しまして、いかに政府が勝手に一方的に人事院勧告をとめるということの不当性ということをいまついている。人事院はみずから六十七条で怠慢でございましたとさえいま答弁された。こういう事態を受けて、国会にも勧告を出すという意味から言えば、当然事前に国会の意向もあなた方は聞かなければならぬ。それもやらない。単に一方的に政府判断だけでやられるということは承服しがたいのです、私は。  そこで、いま仲裁裁定とは制度が違うけれども、少なくとも国会に対して判断を求めるというあなた方の姿勢がなければならぬじゃないですか、こうお尋ねしたわけですね。そしたら、あなたはいま各党で話しておりますから見守ると言うから、見守るという中には、各党で結論を出したら政府はそれに従います、こう私は理解しておきますが、よろしゅうございますね。
  29. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生が、私の見守るということについてはこういう考え方だ、そしておれはこういうように解釈をしておくぞという断言をしていただきましたが、先ほど私も申し上げましたように、また人事院総裁からも申されましたように、この公務員給与改定と申しまするか、このことにつきましては、国会の方へも政府の方へも人事院の方から勧告をされております。五%以下ではございますけれども、とにかく勧告両方にしておっていただいた。政府は、いままでにないこういう財政的な厳しいときであって、何としても財政再建をしていかなくちゃならない。せっかく毎日御努力をいただいておる国家公務員に対して申しわけない、つらいことではございますけれども、こういう大事な行財政改革を進めていかなくちゃならぬときだから、国のためにお働きいただいておる公務員の方々が率先して国民の理解を求めるように、率先してやっていただきたいという財政面を考えての措置から、私どもこうして据え置きをするとか、見送りするとか、凍結をするとかというやむを得ざる措置をとらせていただいてお願いしておるのでございまするが、国会の方ではいろいろとお話しいただいて、どういうふうな結果を国会としてお出しくださるか私どもではわかりませんけれども国会勧告をお受けになったのでございますから、いろいろと御論議をなさって結論が出る。  その国会としての結論が出ましたときには、私ども見守っていくと申しましたのは、先生はそれを必ず政府はそのとおりにやるのかと、こうおれは断言するぞと、こういうふうに解釈するぞとおっしゃいましたけれども、いま私の立場は、働いていただく方々にできるだけ喜んでいただくように努力をすることは私の責任上当然なことであり、給与担当大臣として当然それはやりたいのでございまするけれども、しかし政府としては、財政、国政全般を眺めた上の配慮をしていかなくちゃなりませんので、いまの段階においては私自身は、できるだけ働いていただく方々にこういうようなごしんぼうを願うとか、このつらいお願いをしなくちゃならないとか、身の切られる思いがいたしまするけれども、しかし国会の方から話が出てまいりましたときに、国会が最後の方針をお打ち出しになりましたときには、国政全般を眺めて配慮さしていただくと申しまするか、それ以外に必ず云々ということを、私はいかに先生の前でも、気持ちはどう思っておりましても言い得ない立場でございまするので、どうぞ御了承をちょうだいいたしたいと思います。
  30. 山崎昇

    山崎昇君 あなたの心情は酌み取っておきますよ。酌み取っておきますが、いざ出たら泣き言を言わぬように、きちっと……。  したがって私は、あなたみずからも二十八条の二項で抑えるということはいかにまずいものであるか、いかにそれは見当違いのことであるかということはよくわかったと思うんです。かつて福田さんが総理のときに、私もこの委員会で質問したときに、給与というのは財源の問題ではありません、給与政策の問題でありますと私に答弁した。財源が苦しくても一カ月ずつ前進さしてきたんです。それが過去の歴史です。そういうことを考えるときに、財源だけであなた方が一方的に判断するということは許されないということを重ねて私は申し上げておきたいと思います。いませっかく各党一生懸命やっておりますから、その結論に政府は十分ひとつ対処願うように重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、これも人事院総務長官お尋ねをしたいんですが、公務員制度の中でいろんな問題点ございますが、私が一つだけわからぬのは、政務次官が発令されますと、必ず一級に叙すると、こうついてくる。しかし、事務次官その他、以下一般職につきましては一級、二級、三級というのはない、この制度は。何で政務次官だけが一級に叙するというものがついてこなきゃならぬのか。その根拠と、今日までの経過がありましたら、法制的な意味でその経過について御説明願いたい。
  31. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 特別職の任免につきまして、いまだ一級、二級の官職に叙するというような発令をいたしております。これがどうしてこうなったかということにつきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  戦後、それまでございました勅任官、奏任官、判任官の制度が廃止されまして、それにかわるものとして、昭和二十一年四月に官吏任用叙級令及び親任官及諸官級別令によりまして官の級別制度が設けられました。現在、この官の級別制度が存続しておりますのは、国家公務員法規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律によりまして、「従前の例」というふうにされているからでございます。一般職の公務員につきましては、国家公務員法ができておりますのですべて国家公務員法の方で律することになっておりますけれども国家公務員法の適用を受けない政務次官それから国務大臣秘書官、宮内庁長官と、特別職のうちでごく限られた職員につきましては、この官の級別制度が、いま申し上げました国家公務員法規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律によりまして、「従前の例」ということで残されている次第でございます。
  32. 山崎昇

    山崎昇君 いま、あなたから簡略に話が出ました。私もずっと調べてみた。国家公務員法昭和二十二年十月二十一日に公布になりまして、そして二十二年の十一月の一日に臨時人事委員会ができて、言うならばその他の規定もでき上がりました。ところが、その後二十三年の一月に、国家公務 員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律というのが施行になる。あわせて、人事委員会規則が政令と読みかえられまして、そしていまあなたが言われました二十一年四月一日に官吏任用叙級令というものができました。人事院規則一―四というのがつくられて、経過をたどってきているわけです。  ところが、この人事院規則の実は八―一によって一級から三級まで定められておりましたが、二十七年の六月の一日に人事院規則八―一二でこの八―一は廃止になりました。したがって一般職に関する限りはないんですが、特別職であるかもしれませんが、何で政務次官だけが一級に叙するという発令をしなければならぬのか、私はやっぱり理解ができない。政務次官は特別職になりますね。しかし、何でそれが一級というものに叙しなければならぬのか。これが、ずっと調べてみますけれども、私は何としても今日理解ができない。さらに、もし「従前の例による」というならば、一般職についてそういうものがないなら、法制的にも当然改めるべき筋合いのものではないんだろうか、何で今日までここだけこれが残されておるのか、お聞きをしたい。  あわせまして、法務省にお尋ねしておきたいんですが、検察庁法だけで、検事だけが一級、二級が存在する。検察事務官にもない。検察官はこれ一般職です。特別職でも何でもありません。何で検察庁法だけが残って、そして検事だけが一級、二級という区別になっているのか。これはどういう実益があるのか。これは法制的にあなた方がおくれたというのか。これは私はわかりませんので、あわせてひとつ法務省からも見解を聞いておきたいと思います。
  33. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) まず、なぜ政務次官についてだけ一級、二級が残っているかということでございますけれども、先生がいまおっしゃられました国家公務員法規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律によりますと、官吏その他の政府職員の任免、叙級、休職、復職、俸給、手当その他に関する事項については「その官職について国家公務員法規定が適用せられるまでの間、従前の例による。」と、叙級につきましては「従前の例による」ということにされているわけでございます。ただし、法律または人事院規則をもって別段の定めをした場合にはその定めによるということになっております。一般職の職員につきましては、国家公務員法におきまして別段の定めをしているわけでございますけれども、政務次官だとか秘書官だとかにつきましては、この叙級について何ら触れてないわけでございます。  したがって、法制上は依然として「従前の例による」という形で残されているわけでございますけれども、現在では、いま申し上げましたように、従来の慣行に従って運用をしているという面がなきにしもあらずということでございまして、現在この制度を残しておくことがいいかどうかについては、先生御指摘のように非常に問題があると思います。今後、この制度の存廃につきましては関係当局と相談しながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  34. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 御説明申し上げます。  現在の検察庁法は、先生御案内のとおり、検事は一級、二級に分けております。そして、地方検察庁の検事正は一級の検事をもって充てる、あるいは検事総長、次長、各検事長は一級とするというような規定がございまして、現在の庁法上、一種の任用資格基準というようなものとして規定がされております。  ところで、御案内のとおり検察庁法は、昭和二十二年四月十六日に公布をされまして二十二年五月三日から施行になった法律でございますが、これは国家公務員に先立ちましてできました法律でございまして、当時、先ほどお話に出ました官吏任用叙級令、勅令百九十号でございますが、これがございましたので、これをもとといたしまして一級、二級の叙級の区別が検察庁法に取り入れられたものだというふうに考えられております。  しかし、先ほど来お話に出ましたとおり、国家公務員法の制定あるいはそれに基づきます人事院規則の制定あるいは改正といったような経過を経ました間に、「従前の例による」ということで残っておったわけでございますが、先ほど御指摘のとおり、昭和二十七年、人事院規則で叙級の区別が全廃されましたので、国家公務員法上の根拠は全くございませんで、現在は検事の一級、二級というのは、先ほど御説明いたしました検察庁法の規定によるもの、これを唯一の根拠とするものであるというふうに考えられております。  このように、法律的にはこの官吏任用叙級令が沿革であることは間違いないと思われますが、先ほど御説明いたしましたように、要するに、検事を一級と二級と分けまして、一定の経験年数あるいは一定の経歴を経た者を検事正あるいはそれ以上の上位の官職に任命するというような意味におきまして、この一級、二級という表現をそのまま残して運用をしておるわけでございまして、そういった意味におきまして、一定の官職になるための経験年数ないしは経歴を明らかにするためのみに実質的な意味が現在ではあるというふうに考えておるわけでございます。しかし、沿革的にこの官吏任用叙級令を沿革としておるということで、公務員法の唯一の例外として残っておるということなどを考えあわせますと、そういった実質的な効果もさることながら、御指摘のような問題もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、そういった効果を今後どのように改めていくかということも含めまして、ただいま総理府の御答弁もございましたように、総理府等とも協議をいたしまして今後の措置を検討してまいりたいというふうに考えております。
  35. 山崎昇

    山崎昇君 私は不思議なんですね。国家公務員法で廃止して根拠がないんです。ただ、検察庁法が先にできたからそのまま残っているというだけの話ですね。あなたの方で、法律でありますからこういう言い方はおかしいですが、内規的みたいに一級だの二級だの三級だのにしている。それも検事にだけありますが、事務官はないんですね。ここに――「二級又は三級」というのがありますね、二十七条に。  そこで、これは後でまた人事院に今後の人事行政の課題等に関連してお聞きをしたいと思っているんですが、こういうものを検察官だけ残しておいて、それから特別職ではありますけれども、政務次官だけ一級というのが残って、あと法的には何にもない。これは私は、法制的な意味で言えば、法制の体系の整備について怠慢でないかと思うんです、言うならば。これは人事院中心になりまして、これらの問題は、今度再検討をいまやっているようでありますけれども、私は法制的に早急に整備すべきものではないかと、こう思うので、人事院総裁見解もお聞きしたいと思うんです。  それから、さらにこれは総務長官にも人事院にもお聞きをしますが、いまだにたとえば官吏分限令あるいは官吏服務紀律あるいは太政官布告、こういうものが実質的には残ったような形になっている。言うならば、全く明治時代の規定といいますか慣習といいますか、そういうものが、人事院ができてすでに三十年たっている今日、法制的にきちっとこういうものが整備されないというところに私は一つの問題点があるのではないか、こう思うんです。そういう意味では、いま申し上げましたような点について、後ほどこれは人事院にまたお尋ねする項目にもあるんですけれども、この機会でありますから、これら一連の制度についてどういうふうにされるのか、人事院総裁総務長官からも重ねてひとつ見解を聞いておきたいと思うんです。
  36. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一級、二級、三級等の問題については、沿革その他についていま総理府の方から、あるいは法務省からお話がございまして、そのとおりであるというふうに思います。私の所管は一般職の公務員でございまするので、特別職について云々することは差し出がましいとは思いますが、あえて意見を聞かれるので御答弁を申し上げますと、私もいまやそういう必要はない というふうに考えます。いまこれから検討してしかるべき結論を出したいとおっしゃられることは、それで方向としては私は間違っていないのではないかというふうに思っております。  それともう一つ、いま明治以来の法制というものがまだ若干残っております。これも私はやはり整理をするもう時期、しかもそれは非常に遅過ぎているんじゃないかという感じがいたしますが、この一、二、三級の問題、それから服務紀律なりそれらの官庁の執務規程の問題、執務時間の問題、これらを含めまして、私の勝手な希望を申しますれば、ちょうど人事院で大体六十年を目途に根本的な情勢に合うような制度改正をいま検討いたしておりますので、それに合わせてひとつ時期も同じようにしてすっきりとしたものにするということが望ましい形ではないかというふうに、これは私の個人的な見解でございます、そういうふうに考えております。
  37. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) いま人事院総裁も、そしてまた法務省の方からもお尋ねについての見解を述べられましたし、先ほど総理府の人事局長からも私どもの考えておることを先生にお答えしたように思います。重ねて、人事局長から総理府の考え方をこの場で申し上げさせていただきたいと思いますので、お聞き取りをいただきたいと思います。
  38. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) いま先生が御指摘のように、特別職につきましては、最近新しくつくっております審議会の委員等につきましては、それぞれの個別の法律で服務規定その他を全部置いてあるわけでございます。ただ、昔から残されておりますその先生御指摘の政務次官あるいは大臣秘書官あるいは宮内庁長官、こういった方々につきましては、さっき申し上げました国家公務員法規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律によりまして、「従前の例」ということで官吏服務紀律その他が適用されることになっているわけでございます。  したがって、今後この辺の問題をどう持っていくかというその点が一つございますけれども、できればそれぞれの個別の法規によって服務規定その他を決めていくべきじゃないかと思っておりますけれども、この問題につきましては、それぞれの省庁の問題があると思いますので、今後御相談の上検討してまいりたいというふうに思っております。
  39. 山崎昇

    山崎昇君 大変恐縮ですが、冒頭お断りしましたように官房長官がおいでになったので、ちょっと質問を切りかえていきたいと思います。  官房長官に二点ほどお聞きをするわけですが、一点は、最近一般職には汚職事件等は少し減ってきたように私は感じます。しかし警察官、あす防衛庁には自衛隊の問題でお聞きをしますが、司法関係それから教育関係ですね、相次いで不祥事件といいますか汚職事件というのが続発をしておる。とりわけ、きのうは御存じのように大阪府警のあのゲーム汚職の問題について判決が一つありました。特に治安関係に従事するだけに、私は国民のこれらに対する憤りも大きいものがあるのではないか、こう思うんです。  そこで、司法関係はもちろん最高裁の所管でありますから、あなたにどうこうということはお尋ねするつもりはありませんが、ただ内閣全体として、この綱紀粛正というものについてどういうふうにお考えになるのだろうか。私は、この委員会でかなりこの問題については何回か当時の総務長官お尋ねをしています。一時は、事前にこういうことを私の省ではやります、こういうふうにやりましたと、そういう報告を求めるとか計画を求めるということさえ答弁された時期もありましたけれども、最近どうなっているかよくわかりませんが、一体内閣としてこの綱紀粛正というものについてどういうふうに御判断をされるのだろうか。  それからあわせまして、いまあなたは官房長官でありますが、警察庁長官の経歴もお持ちなわけなんですが、特に警察官の問題につきましては、これは柏で警官が強盗を働いた事案に関連してこういう記事が当時載りました。「個々の警察官が悩みを率直に同僚や上司へ打ち明けられる職場環境がつくられていれば、今回のような不祥事の芽は事前に摘むことができたかもしれない――との反省から、風通しのよい職場環境をつくりたい」というのが発表になりました。  そこで、これは本来なら警察庁を呼んで聞くことなんですけれども、きょうは地行で恐らく国家公安委員長が出席されていると思いますので、あなたが経験者であるがゆえに官房長官お尋ねしているわけなんですが、一体こういう風通しのいい職場環境というものをどういうふうに内閣としてはおつくりになるおつもりなのか、それをお聞きをしたいと思うんです。  そこで私は、これは少し古いもので恐縮でありますけれども昭和四十六年に、当時国家公安委員長がたしか中村寅太さんだと思いました。そのときにも警察官の汚職事件が続発いたしまして、この委員会で論議をやりました。そのときに、やはりいまと同じように、下級職員の苦情とか不満とかそういうものを吸い上げるような措置を何とかとりたいという当時答弁がありました。そこで私は、少しとっぴでありましたけれども、横断的で言うならば、やはり警察官といえども組合を結成して自由に物の言えるような職場をつくったらどうですかという提案をした。これが当時、東京新聞で大々的に報道された警察官の組合結成かという記事になっているわけなんですが、これは昭和四十六年です。しかし、それから以後毎回毎回この不祥事が起きるたびに、二度とこういうことが起こらぬようにだとか、最大の注意を払いますだとか、あるいは風通しのいい職場をつくりますだとか、さまざまなことは述べますけれども、去ってしまえばそれまでだと。これでは私はいかぬのじゃないかと思いますので、官房長官として一体どういうふうにお考えなのか、この機会に綱紀粛正というものについて内閣の態度をお聞きをしておきたい、こう思うんです。
  40. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 最近、いろいろと批判を受けなきゃならぬような不祥事案が発生していることはまことに遺憾であるというふうに考えているような次第でございます。ただ私自身、長い役人生活もやったわけですが、最近の役人の綱紀粛正、これはその都度、内閣としてもいろいろな機会をとらえて、それぞれの関係筋に対して綱紀の粛正ということの重要性、何よりも行政に対する国民の信頼、これを確保しなければ国民の期待するような仕事はできぬわけですから、そういう意味合いからもその都度警告もし、努力もしてもらっておるんですけれども、なかなかうまくいかない。  そこで、全体として一体公務員の勤務の状況がどうなんだろうかということなんですが、私は、やはり大多数の国家公務員はもちろん、地方公務員その他、公の仕事に従事している皆さん方は誠実に職務を遂行してくれておると確信をしております。ただ、公の仕事ですから、大ぜいの中に不心得な者が発生すれば全体が狂ってしまっているんじゃないかといったような非難を受けること、これはまことに私は残念に思います。  ただ、いわゆる露出犯を犯す者は別として、探知犯の件数ということになりますと、これは司法当局が取り締まりの重点をどこに置くかということによっても件数は変わってくるわけですね。したがって、果たしていまが、たとえば四十六年なら四十六年と比べてどっちがいいかということになると、比較は私は困難であろうと思います。しかし、少なくともだんだんよくなっているというだけの証拠は、これはやっぱり私は挙げるわけにはいかない。それだけに、内閣としては絶えざる綱紀粛正についての反省、これを各省それぞれ通じて求めなきゃならぬと。従来やっているわけですけれども、こういう点は今後とも努力を傾注したい。ことにまた、いま行財政改革がやかましく言われておりまして、土光調査会からも、こういった際に綱紀の粛正ということをいま一段と考えなさいと、こういう御忠言もいただいておりますから、今後さらに努力したいと思います。  御質問の中の治安機関、これは一番綱紀の点について気をつけなきゃならぬ職場であることは間違いありません。それについてどうだと、こういう話ですが、これは警察とかあるいは防衛庁とか、こういった役所はいわゆる階級社会ですね。まあ、ほかの役所だってそれは階級社会ですけれども、階級章をぶら下げているわけじゃありませんから、いわゆる階級社会ということになると防衛庁とか警察ということでしょう。これはやっぱり見方によると一種の封鎖社会ですね。なかなか階級社会でしかも封鎖社会、特殊なこれ職場ですから、それだけにこういったところでの非行を防止するとか綱紀粛正ということになると、どうしてもあなたがおっしゃったような風通しをよくしないと、やっぱりこれ横っちょにはみ出ていく傾向がどうしても出てきます。  これも私ども長い経験でしょっちゅうやかましく言って、なるほど組合はありません、組合はないけれども、それぞれの階級に応じ、さらにまた上と下との階級の組み合わせなんかによっての協議会とか、そういったものを職場にずっと設けて絶えざる話し合いをしなさいと、そして余り個人の家庭生活にまでくちばしを入れることはよくありませんけれども、やはり直接上に立っている者は、自分の部下の本当はその家庭の状況まで頭の中に入れた適切な指導をして間違いのないようにひとつやってもらいたいとか、これ事実やっておるんです。あるいはまた、外との関係においては警友の組織とか、こういったものをつくって士気の高揚を図っていくとかいうような、いろいろの努力をいたしておるのは事実でございます。  しかし何といいましても、最近の大阪とか兵庫とか、その他の県にもいろいろな不祥事案が発生しておりますけれども、これはもう国民に対して本当に申しわけないと思います。こういった点は公安委員会はもちろんのこと、警察庁の方の幹部にもよく私の方からも御質問の趣旨をさらに伝達をしまして、一層の努力をしてもらいたいということは話をしたいと、こう思います。  それで、もう一点の組合の関係ですね、これは確かに一つの考え方でしょう。諸外国の例から見て、恐らくいま世界で半数ぐらい警察、消防にも労働組合はあると思います。しかし、それらの国と日本と比べてみた場合に、いろんな仕掛けが違うんですね。たとえばフランス等について言えば、組合はありますけれども、これはもちろん争議権がありませんね、団体交渉権とかなんとかという点までですけれどもね。しかし、そのときには代替の組織があるんです、みんな、代替組織が。日本はそういうものがありません。こういったことを考えて、日本の警察にそういったものをつくるということは、これは職場の規律をよくする、そして不祥事案を減らすという観点から見てプラスになるかというと、残念ながら私はそれは否定的でございます。  むしろそういうことでなしに、いまあなたがおっしゃったような上下、横、これの風通しをよくする、そして不平不満がたまらないといったような仕組みに、いまやっていますけれども、これをもう少し活発化する方がいいであろう。それからもう一点は、階級社会でございますから、昇進の試験、これが筆記試験だけで決まるといったようなことでなしに、まさにこれは平素の勤務の成績を重点に置いて昇進制度等についても十分ひとつ配慮をする必要があるであろう、かように考えます。いろいろ教育の面その他ありますけれども、今後とも御趣旨を体して十分注意をするように私の方からも申し伝えておきたい、かように考えます。
  41. 山崎昇

    山崎昇君 いま、あなたから答弁あったんですが、ただ私はずっと見ておりまして、特に事件を発生する年齢というのがいわば分別盛りですね、五十前後。それから役所の機構で言えば、長年いて事務に精通して大変ベテランの域にあって、後輩を指導しなきゃならぬような立場の人が多い、若い人の事故もかなりありますけれども、多い。そういうことを考えると、いまあなたからくしくも昇進試験のあり方等についても考え直さなきゃいかぬと、こういう話ですが、これはあす防衛庁にもお聞きしますけれども、何でもいまや試験試験でやられてくるというところに――これは後でノンキャリアの問題で少しく論じてみたいと思っている問題でありますが、これはやっぱり改めてもらいたい。  それから組合をつくることによってはマイナスだというのは私とあなたと見解が違うわけですが、いま、あなた世界で半分ぐらいは組合を持っておる、争議権与えているところもあると、いろいろですね、ILOでいま調べてみましても。ですから私は、何かやっぱり自分たちが集まって物を言う場がなければ、いかに横をどうせいと言ったっていかない。たとえば親睦会にしましても共済組合の何かにしましても、全部ポストで決まって縦ですね。一般職員が横で参加するなんというのはほとんどあり得ない。これはやっぱり真剣に考えてもらいたいと思うんですね。  そしてこれも、少し古いんですけれども、かつて中部管区警察学校の教務部長さんをやられた人が朝日新聞に投稿されまして、三点ばかり述べているわけですが、特にこれ警察官の場合でありますが、警察官の素質が低下しているんではないか、第二が魅力ある警察になってないんじゃないか、第三が教養の面が少し足りないのではないかというようなことを指摘されておりますね。きょうはこれについて見解は聞きませんが、いずれにいたしましても十年同じことを繰り返しておりまして一向に改善されてない、この点は強くひとつあなたにきょうは指摘をしておきますので、内閣として真剣に私は取り組んでもらいたい、こう思うんです。  時間ありませんので、もう一点あなたにお聞きしたいのは、ことしから会計検査院の問題が当委員会委嘱審査になってきたんですが、会計検査院の問題について一点だけお伺いいたします。  実は、この点は会計検査院長にもそれから行管庁長官にもお尋ねをしたいんですが、会計検査院と行管の制度の違い、規定の違いは私も承知しております。それから会計検査院の行います検査行政管理庁の行う行政監察との違いも承知をしております。ただしかし、行政管理庁の監察部からかつて「会計検査院検査行政管理庁の監察との異同について」という文書が出まして、重複する場合がある、この点については「行政管理庁としては極力重複回避のため会計検査院と協議努力中である。」という文書が出されたことがございますが、一体どういう重複問題等について行管と会計検査院で話をされておるのか、また、そのときどういう事例が挙がってこういう方針になったのか、これは行管庁長官と会計検査院長にお聞きいたします。  それから官房長官会計検査院長お尋ねしたいのは、会計検査院法改正について、会計検査院の充実の問題になるわけでありますが、衆参両院の本会議で決議がされた、決算委員会でも決議がされておる、昭和五十三年ぐらいですね。自来もう五年ぐらいたつわけでありますが、一向に進まない。したがって、会計検査院法改正について検査院長はどうお考えになるのか、官房長官として、政府としてどういう判断をされておるのか、この点をお聞きをしておきたい。
  42. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) いまのお尋ねの点でございますが、会計検査院検査行政管理庁の行います行政監察、これはもうすでに先生御承知のとおり、それぞれの指針、機能が違っておるわけでございますから、理論的には理屈から言うと重複はないわけでございます。しかし、結果的にはいろいろやっぱり重複している面があるというので、この点はお互いに重複のないように努めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  会計検査院のいろいろな検査報告等も私どももよく承知しておりますし、それからまた、私どもの方の行いました監察の結果、これも会計検査院の方にお送りする、こういうことにしておるわけでございます。さらにまた、現地などの監察、検査の場合等におきましても、会計検査院検査を やるというふうなときに時期的に場所的に重複した監察をやるということは適当でございませんので、そういう点は十分調整をしながらやっていかなけりゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、会計検査院の決算の検査を十分尊重しながら、私どもの方は、もう先生すでに御承知のとおり、将来の行政の改善といいますかそういう趣旨でやるわけでございますから、結果的にも重複のないように今後とも努力をしていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  43. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) お尋ねでございますが、いま先生、会計検査院行政管理庁のそれぞれ置かれた位置、職務、これについてはもう知っておる、こういう御前提でございますので、その点につきましては申し上げずに、ただ、どういう違いがあるか、あるいは重複の問題、そういう点についていささか申し上げたいと存じます。  本院の検査行政管理庁の監査の相違というものは、先ほど申し上げました基盤、職責の相違から出てくるわけでございますが、本院の検査は、あくまでも憲法に規定されましたように、収入支出等の会計経理を対象とした、そこから発展いたしました検査でありまして、内閣の外にあるいわゆる外部の検査、独立機関としての外部からの検査でございまして、そういう意味合いにおきましては、私どもは行管の監察と多少違ったニュアンスを持っております。この基本的な検査の考え方から出まして、私どもがやっておりますことは、会計経理が適正であるか、あるいはそこから出発しまして、さらに貴重な財政資金、そういったものが効率的に使われているかどうかというものを実際に計数的にとことんまで突き詰めまして、その計数を出した上で非難なり指摘なり申し上げていると、こういう点が非常に大きな違いがあると思います。  それと、もう一点私ここで申し上げたいことは、会計検査院は組織上、局、課、これが分かれておりまして、これは建設省なら建設省、農林省なら農林省と、こういったものにつきまして書面検査の面でも常時検査をしていく、そしてその補完的な意味で実地検査を行っていると、こういう意味合いでございまして、常時相手官庁なり公団、事業団、そういったものの実態を把握して検査をやっておる、そういうところがございます。私、仄聞いたしまするに、行管の監察の方は年ごとに計画を出されます。あるいは四半期ごとの計画を立てられまして、そしてまたあるいはその時期、時期に応じまして臨機応変な監察もなさると、こういうふうに承っておりますが、その辺に検査と監察の根本的な相違がございます。  したがいまして、ある場合におきましてはお話しのような重複という問題が出てくるわけでございますけれども、私どもといたしましても常時監察結果の報告をいただいておりますし、私ども検査の結果につきましては検査報告として行管の方にお渡しして、まあいわばこれは情報の交換でございます。そういったことを念頭に置きまして、やはり行管がおやりになったことを私ども外から見ておりまして、ああ、非常にいいことをなさっておられるなと、非常に参考になると、この場合にはそうやられたことについては少し様子を見よう、こういうような立場をとることもございます。そういうようなことでございまして、あるいは行管が入っているから、いま忙しいからと言われれば、私の方もそれじゃ少し時期をずらしましょうかというような柔軟な姿勢もとる、こういうようなことでやっておるわけでございまして、特に重複したからという点につきまして、それがむだであるとかというようなふうには私どもの立場といたしましては考えておらない次第でございます。
  44. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御質問の会計検査院法改正の問題ですが、焦点は、政府関係金融機関が貸し出しをすると、その民間の融資先までの立ち入りその他の検査、これを会計検査院法改正して認めるかどうかという点だろうと思いますが、これは御案内のように数年来の懸案で、いろんな紆余曲折を経たわけでございますが、政府としては関係省庁の担当者を集めて何回となしの調整をやったわけですけれども、なかなか意見が一致しません。それは、やはり現在のような経済体制のもとでそれを認めるということになると、私の企業活動、それに対する公権力の過剰介入ということになるのではないかという点が一つの反対の理由でございます。  もう一点は、本来政策金融でございます。そこで、政策金融でお金を民間の人が借りるわけですから、ならばそれは公の金融機関なんだから、それについてまで検査を受けるのはあたりまえではないかという議論が一方にあること、これは事実ですね。しかしながら、さればといってそれを認めると、今度は政策推進のためのこれ政策金融なんです。ところが、受ける方がそれではといって大変警戒をしまして、私企業の活動の中身まで国の機関に握られるということについてはちゅうちょをするということになって、政策金融そのものが十分な効果を発揮しなくなるおそれがある。この二つの点ですね。これからどうしても各省の意見が一致をいたしません。  それで、一応会計検査院の方に、内閣としてはいま一度ひとつわれわれも努力はもちろんするけれども、各省と検査院の間で直接お話し合いをしていただけぬかということで、またお返しをしてしまったというような経緯もあるわけでございます。ただ、もちろん会計検査院の機能強化という点についてはこれはきわめて重要なことですから、検査院の検査機能が十分に発揮できるように、やはり政府全体としては現行制度のままで最大限の検査に対する協力体制を築くということは当然のことでございますから、そういう点については、しばしば問題になるようないわゆる肩越し検査といいますか、こういったような点についてもひとつ各省十分協力をしてもらいたいということで今日に至っているわけでございます。  そこで、院法改正そのものについて政府として法律案を提出するかどうかという詰めた議論になりますと、現在の段階ではまだその段階に至っていない、今後さらに検討をさしていただかなければならぬ、こういうことでございます。
  45. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 会計検査院法改正問題につきましては、御承知のとおり昭和五十二年五月に衆議院で議決されまして以来の問題でございます。特に五十三年の五月、六月衆参両院におきまして権限を拡大せよという議決もございまして、五十三年の同じ六月には、当時の福田総理からも、これは会計検査院の問題であるから、会計検査院が速やかに検討を了して見解を求めることを期待すると、こういうお言葉がありまして、会計検査院といたしましても、両院の議決もあり総理からもそういうお話があったということを踏まえまして、会計検査院はそれまでいろいろ各省庁と交渉を重ねた上での結論を五十四年の五月に内閣の方へ提出したわけでございます。以後、内閣にいろいろお願いしてきたわけでございます。  その間におきまして福田内閣、大平内閣、鈴木内閣というふうに内閣がかわります。その都度お願いしていたわけでございますが、いま官房長官からお話のありましたような難点があるというようなことで、どうしても各省庁との調整がとれないというふうなお話はございました。ただ、いま官房長官がおっしゃいましたように、検査院へ返されたと言われましたけれども、私どもの方は返されたというふうに承知いたしておりません。これは、国会が議決になっておられます以上は、私どもも必要と認めたことを御提案申し上げたわけでございますので、これはあくまでも国会の議決が変わらない以上はこのままお願いするという考え方でございます。つまり、これは立法府、内閣、そういったところの高度の政治的な御判断によってお決めいただく性質のものだと、こういうふうに考えております。  私どもといたしましてはそういう考え方でございまして、先ほど官房長官が仰せられましたような公権力の過剰介入になるというようなことは、極力そういう印象を与えないという形で、最小限の権限ということで、検査をするときには検査会議で十分その必要性を検討した上でお願いする、検査を受けさしてもらうようにお願いするという、そこまで突き詰めた案でございまして、これを一歩下がればもうないと同然と、こういうふうな案になっております。したがいまして、これを調整して変えるという考えもございませんし、また検査院としてこれを取り下げるという考えも現在ないことを申し上げます。  ただ、その間におきまして、五十六年の七月に、内閣の方から各省庁に対しまして、会計検査の肩越し検査については十分協力するようにと、こういう御指導がございました。私もこの文書はここに持っております。これにつきましてその後どうであるかということでございますが、従来私どもがやっております会計検査、肩越しの検査というものは、以前もいまも支障なくできるところは変わらずやっておるわけでございます。できないところは二カ所か三カ所でございます。そこについては現在までのところ、どうしてもやらなくてはいけないという事案がございません。ですから、内閣の御指導がそこまで効果を発揮しているかどうかというのをいま直ちにここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはり何か問題があった場合にこれをお願いして、その内閣の御指導の効果があるやないかを判断していきたいと思います。  なお、そういう場合、どうしてもこれは検査しなければならない、そしてまた相手に乗り込んで拝見しなければわからないという場合に、その際なお御協力が得られないというようなことでありましたならば、そのときはそのときでそういう事情を何らかの形で表明しなければならないかと、ここまで突き詰めて考えております。  以上でございます。
  46. 山崎昇

    山崎昇君 官房長官見解会計検査院長見解が違うんです、いま聞いたとおり。あなたの方は、五十四年の五月に会計検査院としての案を提出済みで、あとは内閣で決定してくれればいいという立場だ。官房長官の方は、検討したがなかなか部内でまとまらぬから会計検査院に返したと、こう言う。しかし、返されてないと言う。本来なら、これ私はこの場で詰めなきゃならぬ問題点でありますが、官房長官との時間、私は約束で、十二時から退出されるという約束でありますからきょうは詰めませんけれども、これはやっぱりゆゆしいことだと思うんですよ。両議院の決議があって、参議院の決算委員会でも警告決議があって、会計検査院の権限の強化ということが出されている。そして、そのときには政府から、御趣旨を踏まえて云々という答弁もあって、それが今日まで五年間も放置をされて、いまだに両者の見解がこれほど違うということになると私はこれは大変だと思うんです。そういう意味で、これは早急にひとつ官房長官の手元で部内の調整を行いまして、この両院決議が生きるようにしてもらいたい。このことだけきょうあなたに申し上げて、この問題を打ち切っておきたいと思うんです。  先ほどの会計検査院検査と行管の監察との間の差異について私も承知しています。ただ、受ける側から言えば、重複の嫌いがやっぱりあるということを指摘しているわけですから、そして一例を災害復旧事業の調査についてあなた方は挙げているわけですから、ですから検査を受ける方の立場をもう少し判断されて、重複のないように、せっかくあなたの方のこの方針の中に、会計検査院と行管で極力協議をすると、こうなっているわけでありますから、今後もそういう重複が起こらぬようにひとつしてもらいたいということを申し上げて、この会計検査院の問題については質問を終えておきたいと思うんです。  さてそこで、時間が大分過ぎてまいりましたが、人事院総裁総務長官お尋ねをいたします。  私は、この委員会でたびたびノンキャリアの問題について指摘をしてまいりまして、その後人事院も大変努力をされているようでございます。そこで、その中心はどうも係長クラス等々の研修に中心が置かれているやにも聞いております。そこで、この方々がどういう昇進なり登用なりをされておるのか、その現状についてまずお聞きをしたいと思います。
  47. 加藤圭朗

    政府委員(加藤圭朗君) 先生の御質問は、現在パイロットスタディーとして実施しております行政研修の別科コースだろうと思います。第一回を実施いたしましたのが五十四年度でございまして、第一回の受講人員が二十四名でございます。第二回が五十五年度でございますが、二十八名でございます。第三回が五十六年度で四十名、それから第四回が五十七年度三十九名、これは先般終わったわけでございますが、計百三十一名という実施状況になっております。なお、参加人員はおおむね全省庁にわたっておるという状況でございます。  ただ、現在の別科コースと申しますのは、いわゆるパイロットスタディーという形で実施しているわけでございます。今後、先ほど総裁から申し上げました人事施策の総合施策の見直しの観点の中の研修の一つの、いわゆる初中級職員の登用のための研修ということで実施をしたいということでいま検討しておりますが、その一つの前駆的なものというような形で位置づけてやっているわけでございまして、その内容その他につきましては現在研究を進めているという段階でございます。  したがいまして、この研修の修了者の処遇その他につきましても、いろいろ時期をとらえて各省の研修担当官等から事情をお聞きしている段階でございますが、先ほど申し上げましたように、五十四年度が初回でございますので、その後四年ほどしかたってないといったような実績もございまして、特にそういう方々が、通常の昇任の経路と申しますか年数と申しますか、そういうものとは別個の形での昇任といったような形に必ずしも現在の段階ではいってないというのが実情でございます。  大体、状況といたしましては以上のような形になっております。
  48. 山崎昇

    山崎昇君 総務長官にお聞きしますが、私はこの委員会でたびたびこの問題を取り上げておりますのは、公務員の採用試験、御存じのように上級、中級、初級とありますが、その中で戦前の行政科試験みたいに幹部職員という意味で採っておられる。この方々は、採用試験であるにかかわらず一種の資格試験みたいになっている、事実上。したがって、それに合格して採用されますと、もはやその後は何にもない。歩くたびに昇進していくといういまの状況になっているわけです。ところが、同じ大学を出ても、片やそうでない方は依然として低位に置かれるといいますか昇進の機会がないといいますか、そういう意味でノンキャリアの問題というのは大変大きな課題だったものですから私ども取り上げているわけです。  これは後で、人事院の今後の公務員制度の再検討の問題とも絡んでまいる問題でありますが、そこで、いま人事院から五十四年二十四人、五十五年二十八人、五十六年四十人、五十七年三十九人、計百三十一人、別科コースで係長クラスが研修をやられたんですね、一応は。そこで、総理府としてはこういう方々についてどういう処遇をされるつもりなのか。各省に対してどういう人事上の指導を行っておるのか。私は人事官会議等もあるんじゃないかと思います。人事課長会議もあるんじゃないかと思います。その際に総理府としてはどういう方針で臨まれておるのか、聞いておきたい。
  49. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま山崎先生のお尋ねと同時に御意見でございますが、私は、きわめて適切な御意見で、そうしていくべきだという考えを持っておるということを率直に申し上げておきたいと思います。  そこで、仕事主義と申しまするか成績主義という原則ではやっておりまするが、しかし幹部職員として、まあノンキャリアと申しまするか、上級試験に受かっていない方でも、幹部職員としてのふさわしい資質を有する者をだんだんと認めて登用をしていくことには大変意義があると、先生もそうおっしゃっておるんですが、私も意義があると思います。総理府は前々にも、ここにもござい まするが、五十七年度における人事管理運営方針というところで、成績本位による人事運用の推進ということを、抽象的ではございますが、強く先生の御意見のようなことを踏まえてやっておるのでございますから、総理府としては、今後とも各省庁に対し成績主義の一層の徹底を図り、資質のいい人を、やってくれる人はどんどん登用していくように、上の方に上がっていけるようなことにしていけというように各省庁との連絡も十分ひとつとらしていただきたいと思います。  それで、きょうも午後から、ここの委員会の先生方のお尋ねと御質問の間にちょっと時間をいただきまして、ただいま、これまたお話のありましたように、各省庁の人事課長、管理の課長さんにお寄りいただきますので、これから、いま先ほどあった綱紀の粛正等、これもひとつしっかりやってもらわなくちゃいけないし、国民の手本として大事な仕事をお預かりしておっていただくんだから、その点も御注意を申し上げたり、そして、いまのようなこういう点についても、ひとつ各省庁ともしっかりやってくれというように連絡をとらしていただくように、きょうの午後そのことを伝えたい、こう思っております。  以上でございます。
  50. 山崎昇

    山崎昇君 この問題は、本当はきょう時間があれば、きのうあなたの所信を聞いても青少年の非行問題に相当ページ数を割いていますね、本来ならこの問題も僕は聞かなきゃならぬのですけれども、もう物心ついて幼稚園に入るときから試験だ、小学校も試験だ、中学も高校も大学も、大学を出てもまた就職試験だ、職場へ入ったら昇進試験だ。さっき官房長官は警察の例を出しましたけれども、もうとにかく物心ついたらこの世の中は試験試験で追いまくられる、自分の人生を考えるなんて余裕がない、これではどうしようもない。そして採用試験でありながら一種の資格試験みたいになっちゃって、特定の者だけが黙っていても昇進するようないま公務員制度になっている。能力でそんなに差はなくてもやられてしまう。  そこで、言葉は悪いんですが、ノンキャリアという言葉を使いながら人事院に盛んに私どももいろいろ意見を述べているわけなんですが、さて、これが研修をやられました。しかし、その研修をやられてせっかく勉強をされたんですが、これから人事課長を集めるそうでありますけれども、総合調整をする総理府としてやっぱり確たる方針がなければおかしいと思うんです。こういう人についてどう登用しながら公務員全体の資質を向上していくのか、この点は真剣に私はひとつ考えてもらいたい、こう思っているわけです。  そこで、きょうはもう時間がなくなりましたから細かな点の詰めはやめまして、あわせまして、研修の問題がいま出ましたので、これから人事院は、今後の公務員制度の検討事項の中で幾つかの問題ありますけれども、その中から、私はとりわけいま人事院が具体的にやっておられると思う点について総務長官見解を聞きながらひとつ検討してみたいと思うんですが、時間がないのでまとめて申し上げますから、どういうふうにいまなっておるのか、お聞かせを願いたいと思うんです。  一つは、高学歴化社会を迎えている。言うならば中級試験に大学卒者が相当数入っている。初級試験に短大卒あるいは場合によりましては大学卒が受験をされる。私がある自治体へ参りましたら、現業職員、清掃の職員について大学卒が受験をするといういま時代だというんです。言うならば一般的には高学歴の年を迎えているんではないか。これに人事院が対応を何とかしたいという考え方をお持ちのようでありますが、一体どういう方針でこれから検討され、臨まれるのか、これが第一点。これは総務長官にもお聞きをしておきます。  第二は、いま研修の問題もありますが、この試験の問題とも関連して、昇進管理のあり方についてどうされるのか。これは選考問題も含めましてどういうふうにされていこうとするのか。  第三点は、これに関連しまして給与体系が私は問題だと一つ思っております。それはいまの八等級制、まあ指定職を入れまして事実上九等級みたいになっておりますが、昭和三十二年にできたきりですね。そこで、行政改革とも関連しまして、たとえば課が減れば官や職がふえる。そのままでおけば本人の給与が上がらぬためにいろんなポストが設定をされてくる。これが今日給与体系を乱している一つの側面でもある。そういう意味では、これらに関連しましてこの給与体系というものをどういうふうに人事院はなされようとするのか、これは行革の臨調答申とも関連をしてくると思うんですが。  それから第四点は、お聞きをしますというと手当制度についてもいろいろお考えだそうでありますが、たとえば初任給調整手当なんて十五年も二十年もお医者さんにつける。一体、初任給で入ってきて、十五年も二十年もそういうような手当をつけなければそのお医者さんを管理できないなんていう、こういういまの給与体系なんというのは私は邪道だと思うんです。そういう意味で、この手当制度というものをどういうふうにされていくんだろうか。  それから冒頭総裁からお話ございましたが、職階制についてはいま生きておりません。そこで、何か官職の分類等について検討したいというお話でございました。そこで、この給与制度と関連しまして、官職の分類というものを、いまの段階でこれから検討でしょうから、どうされようというのか、ひとつお聞きをしたい。  それから最後になりますが、休暇制度、それから私は人事考課制度というのは余り好きな言葉じゃございませんが、かつて人事院ができた当時、この人事考課制度について、勤務評定とも言いますが、いろんなやり方をやりましたね。結局うまくいかない。そこで、改めて何かいまお考えのようでありますけれども、これは公務の能率の問題とも関連してまいりますので、それらの点について人事院は、いまの段階で結構でありますが、大体どんな状況になっておるのか。あわせまして、人事院見解に総理府としてどうされようというのか、お聞きをしておきたいと思うんです。
  51. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 事務的にわたる点につきましては、管理局長が参っておりますので補足的に申し上げたいと思いますが、私から大体のことについてお話を申し上げて御答弁にかえたいと思います。  第一点は、高齢化社会あるいは高学歴化社会というものに対してどのような対応をしていくのかという点でございます。これは先生も具体的に御指摘になりましたように、いまの人事院がやっておりまする試験の種類は上級、中級、初級ということになっておるんですが、この点につきまして大変異常な形が現実の姿として出てまいっております。というのは、中級試験、これはそもそもが短大卒ということを目途にして設定をした試験でございますけれども、この中級試験に四年制の大学の人が大変多く入ってきている。大変多くといいますか、パーセンテージにいたしましてもこれは異常なことで……
  52. 山崎昇

    山崎昇君 恐縮ですが、簡潔に頼みますわ、時間がもうないので。
  53. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 上級と中級を分けることがおかしいくらいになっております。初級についても、大変おかしな話ですが、大学卒が入ってきておる、志願者として出てきておる。これはもう黙っておれません。やはり何か現状に合うような措置を講じていかなきゃならぬということで、これはいまだんだん煮詰まってきております。できるだけ早い機会に各省庁の人事担当者あるいは組合にも示して意見を聞いてだんだん調整をとっていきたい、かように考えております。  それから第二点の昇進管理の問題でございますが、これは従来もたびたび山崎先生からは御指摘がございまして、私もこれはもう大変重要な、また放置できない問題であるというふうに考えております。職場の士気を高揚する意味から申しましても、また人材を登用する意味から言いましても、大変これは重要なことであると思って、これは積極的に私は取り組んできております。研修について別科というものを新設いたしましたのもまさし くそのつもりでございますが、これはやはり研修だけじゃだめでございまして、その結果を具体的に昇進管理の方にあらわしていくということが必要であろうと思っております。実際にこの別科は私も率先いたしまして出ておりますが、大変優秀な連中が来ております。やっぱりこの効果は十分に各省庁において酌み取って、昇進に具体的に適用していくということにならなければいけないという点は強く感じております。  それから給与制度でございますが、これも御指摘のとおりでございまして、いまこれも詰めに入っておりますが、現在の俸給表の種類自体がそれでいいのか、あるいは等級自体がこれで現実に対応できるのか、そういう面も含めてやっておりまして、等級についてもあるいは新設をしなければならぬ、ふやしていかなきゃならぬものも出てまいりますし、俸給表自体についても、たとえば専門職俸給表と申しますか、そういうものについてやっぱり新設の方向で検討をしなきゃならぬ面もあるんじゃないかというふうな点も考えておる次第でございます。  それから手当制度についても、これは御指摘のとおりで、たとえばお医者さんの初任給調整手当等が二十年も三十年もそのままでずっとついていくなんということは、これはもう俸給制度あるいは手当制度としてまことに変則的でございまして、応急措置としてはやむを得ない面がございましたですが、やっぱりもっと現実に即した恒久的なものに変えていかなければならぬのではないかというふうに思っております。  官職分類は、先刻も申し上げましたように、職階制は現実に適応いたしませんので廃止をしたいというふうに私は考えております。これにかわる官職分類制度でわりと簡略なわかりやすいものを考えていくという方向でいませっかくの詰めを急いでおります。  それから休暇制度につきましても、これは山崎先生先刻お話しになりましたように、実はもう戦前から、もっと極端に言えば明治時代から続いておるものもあるわけでして、これにつきましては、やはりきちっとした制度をつくっていくということがございますし、それとやはり民間との見合い、それと現在のところまだございません結婚休暇とかなんとか、そういうものがもう民間には大変普及をいたしておりますので、こういうものの取り入れ、あるいは年次休暇についてはそれに比較して民間の方が非常に少ない、こっちは――こっちというか公務員の場合は非常に優遇されておる。そこらの整合性をどうとっていくかという点も含めて、近代的なものに模様がえするように検討をいたしております。大体それだけ申し上げまして、管理局長から……。
  54. 山崎昇

    山崎昇君 いや、いいわ、あと時間ないんで。
  55. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 答弁、簡単に。
  56. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) いま総裁の方からるる人事院の見直しについて申されました。それで一方、私どもの方といたしましては臨調の答申も受けております。そういった中で、先ほど先生が言われましたようなノンキャリアの登用その他の問題が多々ございます。われわれといたしましては、できるだけこれを積極的に前向きに推し進めていく所存でございます。
  57. 山崎昇

    山崎昇君 基本的には人事院でいろいろ検討されて、そしてある程度の方針が出て、総理府とももちろん協議はしなきゃならぬと思いますが、ただ、いま私は何点かについて問題点と考えられる点の指摘をしているわけでありますが、これがきちっとしませんと、ところどころはもう戦前のやつをつまみ食いしておる、ところどころはまたずっと進んでいるような――私は、もうせっかく見直すわけでありますから、公務員制度全般について、私ももしあれならこの公務員法について私の見解ももちろんありますし、いずれ論戦する場もあるんじゃないかと思いますが、そういう意味で、どうかひとつこれらの問題については、せっかくの機会でありますから、さればといって余り職員にあれもだめだこれもだめだという圧迫感を与えるといいますか規制するといいますか、そんなことでは無意味なんで、そういうことにならぬように御注意はお願いしておきますが、いずれにしてもひとつ検討方をお願いをしておきたい、こう思います。  きょう、もう時間ございませんので、詰めたいことはたくさんありますけれども国会の問題に移りたいと思いますので、総務長官人事院総裁、これで結構であります。  それじゃ、最後になりまして、大変お待たせして恐縮でありました。  去年も私は、この委嘱審査の際に国会の問題について一、二質問をさしてもらいました。特に、国会職員特殊性という問題について、私なりに三点ほどにまとめて申し上げてみたところでありまして、皆さんの方でも余り異議がなかったのではないかというふうに私は考えております。したがいまして、それらを土台にしながら二、三点お聞きをしておきたいと思うんです。もう私の時間余りありませんので、続けて申し上げますから、ひとつ見解をお述べいただきたいと思うんです。  第一点は、何としても私は、私ども国会議員が職務を遂行する上において調査室の拡充ということは避けて通れない。たとえば、いま内閣調査室でも私の聞くところによれば十一名。防衛問題担当一名、公務員給与担当一名、恩給共済一名、これだけ膨大なものをたった一人でやっているわけです。私ども資料をお願いするにしても、何か気がねする点もあります。そして、私ども社会党ばかりにその職員の方々は応対するわけにいきません。これだけある会派、ここで言えば二十名になりますが、委員の皆さんの要望にこたえなきゃならぬということになる。全く、私はそういう意味では、私ども国会議員がもう少し詰めた勉強をするという意味におきましては、その補助をしてもらいます調査室の機能の強化という、これは定員の問題もあるでしょう、あるいは資質の問題もあるかもしれませんが、そういう定員増の問題等に絡んでまず一点お聞きをしておきたい。  それから第二点は、調査室のない特別委員会がたくさんございます。衆議院は特別委員会が二つほど常任委員会になりましたからちょっと参議院とは違う点もありますが、私が公害及び交通安全対策特別委員長のときに公害及び交通安全の調査室はつくってもらいました。これはわずか三名ですね。職員は。しかし、八つあります特別委員会で調査室のないものが大半である。これも常任委員会と兼ねておりますから、そこの職員は大変なことです、これは。そういう意味で、この調査室の新設というものについてどういう見解をお持ちになるのか。あわせまして、専門員の任命あるいは扱い等についてもお聞きをしておきたいと思うんです。  それから第二点としまして、速記の方々から私どもお聞きをしますというと、従前、速記職の皆さんにつきましては、一課三名程度になりましょうか、何か課長職相当という形に処遇をされておる、現在十二名ぐらいにおるようでありますが。そこで、一般職の行政の(一)の課長さんが二等級から一等級に昇格をされておる。これは指定職俸給表がつくられてそういうことになっておるわけでありますが、何も職務が変わらぬのに等級だけ上がったという仕組みになっている。ところが、課長職相当というんですけれども、速記職については二等級でそのまま抑えられておる。一等級への道がない。これはやっぱり考えてみなきゃならぬのではないんだろうか。その意味で、一等級への道筋というものを一体どうお考えになっておるのか。それから、いま十二名ぐらいおられるようでありますが、その枠を広げる考えがないのかどうか。  それから第三点として、私が昭和四十年に国会に参りまして、行(二)の問題でずいぶんここで議論をやりました。例を自動車の運転手の皆さんにとりますが、ほとんどの方は行(二)から行(一)にいま移行されていると聞いております。しかし残念ながら、行(一)にいったのはいいんだけれども、これまた四等級どまりでそれ以上いかない。言うならば、せっかく皆さん魂入れて行(二)を事実上なくされた んですが、これまた三等級への道というものを一体どうお考えになっているのか、これもお聞きをしておきたいと思うんです。  それから第四点としまして、私は十八年間宿舎に御厄介になっているわけでありますが、あそこの職員の皆さんといろいろ話をしてみますというと、名称はどうも用務員というようであります。所得税の源泉徴収も用務員という名前で出てくるようでありますが、いろいろ意見があるようであります。昼間は確かに用務員としての仕事もされますが、昼間の場合には書類の整理あるいは各室に配付あるいは本院との連絡等々、一般的な事務や一般的な技術と変わりない仕事もやられる。しかし、名称だけは用務員という言うならば社会的差別みたいな用語になっておる。  これは私の一つの案でありますが、私は北海道庁に勤務しているときに組合の委員長をやっておりまして、こういう名称をやめました。事務をやっている方については事務補という名前にしています。技術の方については技術補という名前にいたしました。そういう経験もあるところから、でき得るならばそういう名称に直らぬものだろうか。ただ、この問題は、お聞きをしますというといまあります規程との関係でありますとかあるいはその他人事制度上の問題等もあって、用務員という名称をそっくりそのままいますぐなくするということはできないというような話もあるようでありますが、少なくとも対外的にはそういう名称が言われないように、そういう措置がとれないものだろうかどうだろうか。私は、基本的には、こういう用務員というような名称をやめてもらいたいと思っているんですが、それらについての御見解をひとつお聞きをしておきたい。
  58. 指宿清秀

    事務総長指宿清秀君) 四点につきましてのお尋ねがございましたので、順次御答弁申し上げたいと思います。  まず第一点は、調査室の拡充の問題でございまして、私ども事務局といたしましても、議員の国政調査の基本をなします調査室の拡充強化の問題につきましては、かねて重要な問題としてこれを受けとめております。そういう立場から、定員増の問題についてのお話ございましたが、常任委員会の調査員の定数につきましては、先生も御承知かと思いますけれども昭和三十一年に議院運営委員会の決定がございまして、当時、各専門員を除きます調査員でございますが、総数九十名ということが決定を見ておるわけでございます。  その後、増員につきましては、事務局におきましても大蔵の方と協議をしながら増員を実施、実効を上げてまいったわけでございますが、昭和五十年度から五十七年度まで合計十一名の調査員の増が実施されておるのでございます。この昭和五十八年度の増員一名を含めますというと十二名の実質増と、こういうことに相なっております。この定員増につきましては、今後とも基本的には議員活動のもとをなすという立場から、私ども引き続き増員につきましても格段の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、特別委員会についてもお話がございましたが、御承知のように、特別委員会は常任委員会と違いまして制度的にも異なる要素がございます。しかしながら、昨今の実態はその多くが常設的な委員会ということになっております点を勘案いたしまして、特別調査室の新設につきましても事務局としてはことのほか力を入れてまいりたい、こういう考え方でおります。  ちょっと委員会別に申し上げますと、現在エネルギー、安全保障、沖縄及び北方問題、公害及び交通安全対策特別委員会の四特別委員会につきましては、それぞれ所管の特別調査室というものが設けられておるのでございますが、他の物価、災害、公選、科学技術でございますが、この四特別委員会につきましては専属の特別調査室というのは現在ございませんで、それぞれ関係の常任委員会の御協力を得ながら調査業務に支障がないように努めておると、こういう実態でございます。  なお、科学技術特別委員会につきましては、衆議院との関係もございますし、委員会の性格上独立した調査室がとりあえず必要であるという観点で、今後ともその特別調査室を設けるという方向で努力をしていきたい、こういうふうに考えております。  それから、それに関連いたしまして、専門員の任命の問題等お触れがございましたが、専門員につきましては、昨年の当委員会での委嘱審査の際にも御答弁申し上げたのでございますが、きわめて重要なポストでありますだけに、その登用につきましては最善の努力をすると、慎重の上にも慎重を期して行いたいと、こういうふうに御答弁申し上げたのでございますが、御指摘のように、いやしくも専門員の任用、登用につきまして疑念がありましたり、あるいは職場の中で不満が起こることのないように格別の配慮をしてまいりたい、こういうふうに存じます。  第二点は速記の問題でございますが、御指摘のように、速記につきましては昭和三十二年以前から、前の十五級制度の時代から各課につきまして三名程度の課長に準ずるような地位にある者につきましては、当時の十二級というものを三名程度、合計十二名程度でございますが、そういう考え方のもとに現在に実質的には至っておるわけでございます。形の上では自然消滅をしたということかもしれませんが、実質的には、その後の俸給表の改定等がございましてもその考え方を現在に踏襲をするということで努力をしてきておるのでございます。  ただいまの御指摘は、速記監督の一部につきまして、このような者については行(一)の二等級どまりになっておる、こういう御指摘で、これを一等級への道筋をつけてしかるべきではないかというようなお話でございますが、私といたしましてはそういう観点からの御指摘も理解ができるわけでございますけれども、行(一)一等級と申しますと管理職、課長の最高の等級でもございますので、これにはやはり、直接一等級に当然であるというわけにはまいらぬ無理な面もあろうかと思います。そういう無理なことがございまするので、直ちに一等級への昇格ということはむずかしいといたしましても、せめて行(一)二等級の増加という点については実態を踏まえながら善処していかなければならぬものではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから三番目には、行(二)との関係で行(一)へ移行をしました技術職員関係でございますが、特に運転手につきまして四等級どまりであるというお話がございました。これにつきましては、運転手の業務の複雑困難性を勘案いたしますと、国会における運転手の役割りというものはきわめて重要なものであろうと存じますので、従来から、私どもといたしましては三等級への道を何か考える方法はないかという、こういうことで検討をいたしております。三等級と申しますと、先生も御案内のように、課長補佐でも特に困難な業務に従事するという等級でございますので、運転手につきまして直ちに三等級ということが適当かどうかという問題はもちろんございますけれども、先ほどから申し上げましたような事情で三等級への道を開いてもいいのではないか、こういうことで考えて、今後ともそういう方向で努力をしてまいりたいと存じておる次第でございます。  最後に、用務員の名称についてお触れがございました。確かに用務員という名称が適当かどうかということは、先生の御指摘のとおり、全く問題がないとは私も考えておらないところでございます。ただ現在、この用員あるいは用人という用語につきましては、両院議長決定によります標準職務の表に明記してございますし、また人事院でも用務員といったような職名を使っておるのでございますので、検討はいたしますが、さしあたり対外的な点につきましては、先生の御意向を踏まえまして実際問題として配慮していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  とりあえず、そういうことで答弁を終わらしていただきます。
  59. 山崎昇

    山崎昇君 もう時間が来ましたから一、二要望だけしておきますが、重ねて、調査室はさっき申 し上げましたように全く一人で膨大なことをやっている、そういう意味もありまして、ひとつ引き続いて努力を願っておきたい。  それから速記職の場合には、本来から言えば、いまどうあろうとも、かつての二等級の課長を一等級に全部持っていったんですから当然私はすべきだと思うが、なかなかむずかしいというならば、やはり何人かでも一等級への道をあげるということが必要ではないか。あなたはいま、それも検討するけれども二等級の増加について努力したいという答弁がございましたから、それもあわせてひとつ御努力願っておきたい。  それから運転手の問題を例に出しましたが、あなたはいま、これは三等級への道を考えたい、検討したいということでありますから、あなたの努力を見詰めておきたいと思うのです。ぜひひとつこれは穴をあけてほしい。  それから、いまの用務員の問題については、さっき申し上げましたように、法制的その他いろいろありますからあしたからすぐというわけにはいかぬにしましても、対外的には考えたいということでありますから、当然その点は十分配慮願いたい。  このことを重ねてあなたに要望して、ちょうど時間になりましたので、私の質問を終えておきます。
  60. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩します。    午後零時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十三分開会
  61. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度総予算皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち、総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 林寛子

    ○林寛子君 委嘱審査に入りまして、御存じのとおり常任委員会が全部開かれておりまして、文部大臣も党任委員会へ御出席ということで、きょうは大変恐縮なんですけれども総理府所管事項でもございますので、青少年問題について大臣に幾つかの御質問をさしていただきたいと思います。ただ、時間が限られておりまして、三十分という時間でございますので、さわりだけで済むような不本意なことがないようにと思ってはいるんですけれども、端的にお答えいただければありがたいと思います。  御存じのとおり、最近青少年問題が本当に社会問題になりつつあるというのは長官も御認識があろうと思いますけれども、先日来の先生が生徒をナイフで刺すという起きてはならない事態が起こってしまったりとか、これは町田市でございましたか。また、少年による浮浪者の殺傷事件というのも横浜で起こるという、まさに少年の非行、校内暴力の問題が申しましたように社会問題にまでなっておるわけでございますけれども、このような校内暴力、青少年の非行問題について、先日も中曽根総理もまさに内政重視の目玉として取り組んでいくという決意を予算委員会でもお示しになったんですけれども、われわれ自民党でも対策本部を設置して具体的な対策を協議中でございまして、政府と党が一体となって取り組まなければならない問題であることはもちろん言うまでもございませんけれども、青少年問題を所管する総理府として、この問題に対する対策をまず長官からお聞きしておきたいと思います。
  63. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生がおっしゃいましたように、最近の青少年の非行問題は、御心配をいただいておりますようにまことに憂慮すべき様相でございますから、そのことから、もうすでに昭和五十六年の一月に青少年問題の基本的な対応策について青少年問題審議会に諮問いたし、ずいぶん時間をかけて、昨年の六月の二十四日でございましたか、諮問したものの答申を受けまして、そのいただいた趣旨を踏まえまして、政府としてはとるべき措置として直ちに閣議決定をいたしまして、これに基づき総理府に設置された非行防止対策推進連絡会議において関係省庁の具体的な対応策を取りまとめ、その推進を図ってきておるところでございます。  そのようにやっておりますけれども、これまた御指摘にありましたように、最近の横浜市、町田市等の一連の事件にかんがみ、青少年の非行問題は内閣を挙げて取り組んでいくとの総理のあのような御発言の趣旨を体しまして、関係省庁と連携し、一体となって対処をすべく、当面とるべき措置として五項目の申し合わせをいたしました。もうすでに先生御存じだと思いますが、時間があれでございますから申し上げませんが、五項目を申し合わせいたしましてその推進を図っている。これらの芽を摘み取り、将来こういうことが少しでも減っていくように、健全な青少年の育成にと努力をしておるのでございます。
  64. 林寛子

    ○林寛子君 いま長官からお話がございましたように、青少年問題を内閣全体の課題として取り組んでいこうという中曽根総理の御指示にこたえて、いまおっしゃったような総理府で青少年の問題等に関する検討会、またあるいは非行防止対策推進連絡会議を開いて意見交換を行ったという御報告をいただきましたけれども、この問題について長官とこのメンバーとで懇談会をお開きになって、いまおっしゃったような五項目にわたる方針をまずお決めになったという、これも報道されているところでございますけれども、新聞報道によりますと、私ここに見ておりまして、総理府は今後地方公共団体との議論ももちろん、これを踏まえて文部省初め関係省庁との間で連絡をとり、なるべく早い時期に青少年問題についての緊急対策を取りまとめる方針だと言われているんですけれども、地方公共団体との連絡会議というものに拡大していく、その点についてもどうなっているのか、長官から伺っておきたいと思います。
  65. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生もこれまたおっしゃっていただきましたように、ただ中央で各省庁が連絡をとり合って五項目を決めてそれを推進するといっても、やはり地方の団体または行政機関がよく理解して協力していただかなければ、これはもう全国民が挙げて理解をし、関心を持ってやっていただかなきゃならないことでございますから、その後、申し合わせした以後におきまして、地方の課長さん会議もやりまして、それから文部省関係で教育長さんと教育課長さん等のお集まりをいただいて、政府でも国会でもこのように皆さん方が、次代を負うところの青少年の健全育成のためと、そういうことを考えたときに、こんな非行があっては困るから、早くこういう方針で申し合わせをして防止に努力をしていこうとしておるんだから御協力をいただきたい、進んでひとつやっていただきたいというようにお願いして、いま御指摘いただきましたような順序を踏んで進めておるということを申し上げておきたいと思います。
  66. 林寛子

    ○林寛子君 速やかに地方公共団体との連絡をとり、いまや社会問題となっている青少年非行問題について、長官が早急に地方公共団体とも連絡をとって拡大的に協議なさることをぜひしていただきたいと要望申し上げておきたいと思います。  また、去る五十六年の一月でございますけれども、当時の鈴木総理から諮問を受けた青少年問題審議会が、五十七年の六月に「青少年の非行等問題行動への対応」についての答申を出しました。その中で、青少年に反省と努力を求めるという、答申としては異例のアピールを盛り込みながら行政施策の提言を行ったんですけれども、あるいは五十七年十二月に総理府が発表されました青少年白書を見ましても、たとえば非行を抑える要因として家庭の役割りが強調され、夫婦間、親子間の対話を強調、しかも家族間の結びつきを強めるなどと適切な分析を行った、そういうふうに言われているんですけれども、これらの答申を見ましても、すでに青少年問題の議論は出尽くしたのではないかというような感がその当時はあったのでご ざいますけれども、それだけ論議が出尽くしているにもかかわらず、なおかつ各地で事件が後を絶たないという、そういう面で私はこういうふうに提出されました具体策というものをどのように実行していくか、それがもう最重要問題であろうと思います。総理府総務長官として、この問題に対しましての取り組み方の決意というものを重ねて伺っておきたいと思うんです。
  67. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生から、なるほどおまえたちの考えており、やろうとすることは結構だ、が、しかしながらこれは真剣に取り組んで進めていかなくちゃだめじゃないか、協議会を開いたり会議ばかり開いておったり申し合わせをしたりで、実行に移さなくちゃこれはだめではないか、実効を上げ得ないじゃないか、こういう御指摘でございました。  そのためにはどういう方法をということでございますが、それは先生からも御指摘いただきましたように、これは学校教育に問題があるというようなことだけ言っておったって、そういう問題ではないので、社会においても家庭においても、もちろん学校においては当然でございますが、みんなして青少年の健全な育成ということ、特に不良化防止ということ、非行防止ということを考えていかなくちゃなりませんので、地方公共団体にも、あらゆる婦人、青少年の関係の団体にも呼びかけて御協力をいただく、みんなして大事な青少年を育てていくんだというそういう気持ちでやっていただけるように、私の方は、ただ先回来言っておりますけれども、いま申し上げたように、会議だけやっておってもだめだ、申し合わせだけしておったってだめだ、実行に移してもらわなくちゃいけないと、その実行にはみんなしてやろうというので、婦人団体を中心とし青少年のことを考えていただく協議会等にもう全力を挙げてやっていただくようにお願いして、そうやっていただけるように呼びかけていくということ、誠意を持って、誠実を持ち熱意を持って呼びかけていくということが私の決意であって、皆さんにやっていただきたい、こう思っておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  68. 林寛子

    ○林寛子君 長官のいまお答えいただいたことがまさに実行されて実が上がるように、これは政府から指導するだけではなくて、現場の学校の教師の意識あるいは家庭における両親の意識、それらすべてが合致しなければいまの青少年の非行問題というものはまさに解決できないであろうと思いますから、総理府だけに質問するのはもちろん私も不本意でございますし、われわれ家庭の一軒一軒の者、あるいは文部省も関係として出ていただいて総合的な施策というものを今後実行していただかなきゃならないと思いますので、その点、長官には所管でございますので、総理府として最大の努力をしていただきたい、ぜひお願いしておきたいことでございます。  ちなみに、私今回こういうふうな問題が取り上げられております中にも、昨年の青少年白書を見ましても私はまさにびっくりしたわけでございます。御存じのとおり、もう青少年白書が出ておりますので、マスコミにも報道されましたので大半の方は御存じかもしれませんけれども、まさに青少年の非行というものはこの白書の中で十年間に八割もふえているということですね。そして、戦後最悪のピークを形成しつつあると指摘しておりますし、非行の低年齢化いわゆる拡散化など病める青少年の姿を浮き彫りにしている。そういう白書が出ているにもかかわらず、一体どこでどうしてどうなるんだろうという正直な声がありますし、親は親でどうしていいかわからない、いざ自分の子供が非行ではないかなという疑問を持っても、果たしてそれに声をかけていいのかどうか、注意をして逆にぐれて仲間にはまっていくのではないかという、そういう危機感があるために親もどういうふうに声をかけていいかわからない。  また学校の先生も、いろんな先生方の参考の御意見を聞きましても、御存じのとおり学校の教師もマンモス化しまして、少なくとも二十五から五十ある教室、そういうものになりますと、教師もやはり二部屋に分かれて教師間の連絡というものもとれない、しかも教師の指導力というものも、教師の側からしますと、たとえば体刑というものができないとか、あるいは私立学校のように処罰をしたり、いわゆる退学というようなことが公立の学校ではできないとか、教師は教師の立場としての悩みをおのおのお持ちのようでございますし、またモラルとして、教師のモラルというものが倫理観としてどういうふうに教師が感じているか。あらゆる教師は教師の立場、家庭は家庭で両親の立場、生徒は生徒の立場というふうに三者が対立して、いかにも交わる点がないような深刻さを増しているのではないかと思います。  私は、青少年白書を見たり最近の非行問題で事件が起きた学校の先生方のお話を、この間も文教委員会で参考人の先生方においでいただいて御意見を聞きましたけれども、そういう面でいま机の上で、審議会などで長官がおっしゃるように幾つかの問題点は出されているけれども、果たしてそれを実行するのに何年かかるんだろうというのが大変危惧している点でございますので、ぜひその点も長官に御努力いただいて、なるべく各省庁統轄して、そして地方自治体との連携をとって改善の方向にという御努力を一層していただきたいというふうにお願いしたいと思います。  それからもう一つ、私はこれも大きな問題だと思うのですけれども御存じのとおり、いま日本には塾というものがございまして、長官も御存じのように、受験期の子供を持つ親というものは、大体塾に通わせなければ自分のところの子供だけ取り残されていくのではないかという危機感を持つのが母親の弱い点でございます。  そういう意味で、私もちょっとこれ調べてみましてびっくりいたしましたのは、大抵の子供が塾に通っているのではないかなというふうに思っているのですけれども、塾に通わしております親たちに調査をいたしますと、これはNHKの調査で出ているのですけれども、実際に塾に通わしている親の二七%が学校で勉強するだけでは不十分だというふうに思っている。学校だけでは自分の子供は足りないのだ、そう思って塾に通わせているというのが親の心情でございます。それが数字の上で出てきているわけでございますけれども、また、学校では子供の潜在能力が最大限にまで引き出せていると思っているかという質問に対しては、親の二五%が引き出せないと思っている。母親あるいは父親の学校不信ですね、そういうこともこの調査の中では出てきているわけでございます。  また、小学校からも塾に行っているわけでございますから、小学校の生徒で塾で一日平均一時間勉強しますと、大体月謝は平均一万二千円払っているわけでございます。そして、中学校の生徒で平均やはり一日一時間で一カ月一万五千円の塾の月謝を払っているというのがいまの塾の実態でございます。そういう意味で、義務教育はただでというふうになっていますけれども、逆に学校はただにしてもらって、塾では平均小学校で一万二千円、中学校で一万五千円払っている。ですから、まさに塾に払うお金の、生活にゆとりのない子供は明らかにこれは不利でございます。そういう意味で、私は塾がいけないとはいまここで短絡的に言えない。塾がなければならないような現状という、根本は別にあるわけでございますけれども、いまそういうふうな風潮といいますか、ほとんど自分の子供は受験期になれば塾に通わさなければ、自分の子供だけかわいそうだから、母親はパートをしてでも自分の子供の塾の月謝を稼ごうというのが母親の一面での母性愛のあらわれでもあるという、大変曲がった社会になってしまっているわけでございますので、これは文部省管轄でございますから大変申し上げにくいのですけれども、そういう現状もぜひ長官には御理解いただいて前向きに検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、青少年問題を初め、がん対策と並んで中曽根総理もこの間予算委員会でおっしゃいました緑と小鳥の倍増運動、それを打ち出されたわけでございますけれども政府一体に なって緑化促進運動に取り組むという、そして私ども自民党も、いま申しましたように政府一体になってという方針を打ち出したんですけれども、伝えられるところによりますと政府は、緑の日の祝日制定、それを検討しているという話を伺ったわけでございますけれども、この点のお考え、緑化促進の具体策、またどのように具体策を考えているか、祝日制定に関して、御意見を承りたいと思います。
  69. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生の御質問の大事な時間でございますから、自分の主観を述べて大事な先生の質問の時間を費やしたらいけませんので、簡単にお答えをさしていただきたいと思います。しかし、そういう意味で簡単にお答えをさしていただくんですから、どうか私の御答弁と申しますか、お答えが簡単であったというようにとらないように御理解をいただきたいと思いますが、先ほど塾の話が出ましたけれども、私もやはり孫を持っておりますのでいつも嫁からそれは聞いておるわけで、ちょうど先生のおっしゃるとおりのことを言いますから、これは所管ではございませんが、文部大臣にもきょう先生のこのようなお話があったということをよく伝えると同時に、また総理府としても大いに考えていくようにしたい、こう思っております。  学校には、義務教育には金はかからないけれども、塾にはどえらい金がかかる。また、これをやらないとついていかれないということは、午前中に山崎先生から御意見がありましたが、やっぱりこれは社会の仕組みをひとつ基本的に考えていかなくちゃならぬ。私は変えるとまではよう言い切れませんけれども、世の中の仕組みというものをこれは考えていかなくちゃならぬじゃないか。もう初めからしまいまで試験ですからね。選挙も試験の一つかもしれませんけれども、入ったときからもう試験も試験、試験を受けなければついていかれないというこういう仕組みになっておっては、これは塾もやむを得ないことと思うんですけれども、しかしこれだけ世間からいろんな批判があるようなことではいけませんので、考えていきたいと思っております。  それから教育問題についてもう一つ言わしていただきますと、非行防止なんかでも、私は学校に問題があるだけではいかぬと言ったんですが、そういう言い方ではいけないと、もうみんなして、先生もおっしゃったように昔は――昔と言ったら変ですけれども、よその子供のことでも注意したものです。近ごろはもう、よそ様の子供は要らぬことを言うなといって、自分のところのことだけ考えて人の子供のことは全然関心を持ってくれない、これでは私はいけないと思うんです。やはりみんなして近所の子供のことも考えてあげるようにしなくちゃいかぬ、見ていかなくちゃいかぬと、こう思っております。  先回の参議院の予算委員会の方で、私の方の地域の学校を大変お褒めいただいた先生があるんですが、あれだって、褒めていただいたんですけれども、褒めていただくためにはずいぶん学校の先生とPTAと一緒になってああいういい学校にしてくれたんですよ。そしてまた、地域の婦人会がみんなして子供たちに、世の中をきれいにしていこう、それには川もきれいにしましょうやと、そういう地域ぐるみの運動をして初めていい環境ができるんですから、いまも御指摘があったように広く私どもは呼びかけてやっていきたい、こう思っております。  最後に、お尋ねのございました緑化問題でございますが、これは政府としてはいままでやってきておることなんです。やっておることでございますが、特に総理からもあのような御発言もあり、自民党でも取り上げておっていただいて、もうすでに、緑化政策についてお披露目しておかなくちゃならぬことは、もうこの緑化推進事業、これは全国の植樹祭で林野庁がやっておりますね。それから都市緑化事業は建設省がやっておりまするし、工場緑化推進事業は通産省がやっておっていただけるし、もう一つ、自然公園の保全は環境庁、水緑都市の緑化事業は国土庁、こういうことでもう総合的にずいぶんやっておっていただいておりまするので、こういうことを大いに進めるように私どもも調整をとっていきたいと思っております。それについては、全国各地で住民が気軽にこれまた参加できるような森づくりや花を窓辺に外国のように置くような方針も検討してまいりたい。こういうようにして、国民みんなして、一つの政党だとかじゃなくして、みんなして緑というよさ、きれいさ、若さというもの、緑に日本を包んでいくようにみんなしてやりたいという私の考えでございますが、国や地方や公共団体、営々と努力してまいりたいと思っております。そこで協力をいただくようにしたい、こういうように考えております。  それについては、そういうことを意識してみんなしてやるためには祝日にしたらどうだという先生の御意見、これも私はもっともな考え方だと思うのです。みんなして日本を緑化していくんだというようにするためには休みにして、その日をよく意識するように、理解するようにしたらいいじゃないかというそういう考えもございまするので、この緑の日の新たに祝日を設けることについては――現在祝日ですね、休日がすでに以前に十二日もあるんです。といって多いということを私は申しませんですよ、休みの多い方がいいし、できるだけ豊かな生活をした方がいいという。ですけれども、先進諸国並みというものは十二日ということになっておりまするし、国民の生活、経済ということも各方面に影響がありまするので、十分これは国会の先生方々も御意見を聞かしてくださることでございましょうから、十分世論の動向を見きわめた上で、必要があると認めたときにはまた何か御相談をさせていただきたい、こう思っております。  私どもの所属しております自由民主党においても、この日を休みにすることについてはどうだというようなことのいま動きがあるようでございますが、これは大変結構だとは思っておりますけれども、いま申し上げたように私の立場では、何といいますか世界的に見てもう十二日もある。多いとまで言われておりまするし、いろいろ生活の環境等も考えていかなくちゃなりません。いろいろ関係がございまするので、今後世間の動きというものをよう見きわめて、祝日のことはひとつ考えがまとまりましたら御相談をさせていただきたい、かように考えております。
  70. 林寛子

    ○林寛子君 時間がございませんので、先に移らせていただきたいと思います。  建国記念日に関してなんでございますけれども、去る四十一年の二月十一日建国記念日が祝日になって以来、建国記念の日奉祝式典というのが毎年開かれている。しかも五十三年に総理府が後援を決めて歴代総務長官が御出席になっておりますし、祝辞を述べていらっしゃいます。また、本年は特に中曽根総理が祝電を寄せられたということでございます。ところが、報道によりますと、本年の式典はきわめて復古色の近い式典であった。それについて総理府総務長官が政府後援を見直すということを発言なすった云々ということがあるんですけれども、今後その政府後援というものをどういうふうにされるお考えなのか、一言伺っておきたいと思います。
  71. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 建国記念日が法律で制定されたのは、趣旨は国民の祝日であって、全国民がひとしくお祝いする日であると、そういうことが望ましいというのは当然でございますが、私はいま先生のおっしゃったように、総理府として後援しておりまするし、文部省も後援しておりまするし、自治省も後援しておけまするし、特に総理府はいままで総務長官がしょっちゅう出ておりまするので出席させていただきましたが、私はどちらかというと幅広く人間的に見る性格の男でございますが、ちょっと感じますると、新聞で言いまするようにいかにも復古調のように感じられる面がなかったとは言いませんけれども、気分的にはそれほど大きな感じを受けたものではない。  だから、先生どこでお聞きくださったのかしらぬが、今後検討するというようなこと、後援する ことについて総理府総務長官がこれは考えなくちゃならぬななんと言ったということは、私にはいまちょっと記憶にございませんが、そこまではっきりは言っておりませんけれども、今後のことについては、後援の申請があればその際、すなわち建国をしのび、国を愛する心を養うという、建国記念日の趣旨に沿った国民の祝日であることから、国民各層がどなた様も行っていただける、国民各層の広く参加できるような式典にしていただきたい。こういうことで式典をやっていただくように、世間で誤解を招かれるような――私はそうは受け取らなかったけれども、そういう感じを受けるようなことのないような式典をやっていただけるように申請者に要請して、その要請が受けられるならば引き続いて私どもも後援してまいりたい、かように考えております。
  72. 林寛子

    ○林寛子君 ぜひそのように慎重に対処していただきたい。また行き過ぎないように、みんなが参加できるような祝日になるように御協力賜りたいと思います。  時間がございませんので、あと一点伺いたいと思いますけれども、総理府の五十八年度予算に、五十七年度に続いて五百万円の戦後処理問題懇談会の検討費用というものが計上されておりますけれども、五十七年度ではどういうことを検討なすったのか、また私どもこの委員会でもたびたび政府がおっしゃっていますように、従来から政府がすでに戦後処理問題は解決済みという発言をなすって、そういう立場をとっていらっしゃるのですけれども、五十八年度も五百万円の戦後処理問題の懇談会の検討経費が計上されているというのはどう関連づけていけばいいのか。戦後処理問題解決済みという発言と、なおかつ五百万円の計上という、これもあわせてお答えいただいて最後にしたいと思います。
  73. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 一応、前には戦後処理はもうこれで済みましたと、済んだように御理解願いたいということで済んでおりますけれども、そういうことで特別交付金の支給はするという法律でやらせていただいたのでございますが、どうもその後いろいろのことで強い要望等も出てきておりまするので、民間有識者によって、一体こういうことをおっしゃるのだけれどもどうであろうかというようなことで戦後処理問題懇談会を開きまして、皆さんのおっしゃったシベリアの抑留者の問題であるとか、恩給欠格者の問題であるとかいろいろあるんですが、そういう問題を私どもはまじめというのですか、素直にひとつ御検討いただきたいということで、そういう方々に戦後処理問題懇談会を持っていただいて、月々のようにして会を開いていただいております。しかし、こういう大きな問題でございますから、私としては大きな問題だと思うんですが、重要な問題であり大きな問題でございますから、そう簡単に一年で結論が出るわけじゃないので、もっと引き続いてやっていただきたいというので、今年度もお願いして五百万円という会議費を持ち、研究をしていただくための費用を組ましていただいたと、こういうことでございます。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は行政管理庁に初め伺います。  行政管理庁設置法には所掌事務及び権限が規定されております。そして、「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行う」というふうに規定されております。そこで初めに、監察し勧告を行った場合にどういう効果があるかという点を伺いたい。
  75. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 行政管理庁におきましては、各省の行政の運営等について今日まででももろもろの監察をいたしてきてまいっておるわけでございますが、その行政監察の結果に基づきまして各省庁に対しそれぞれの勧告をいたしておるわけでございますが、その勧告は、それぞれの省庁に対してそれぞれの行政の改善を促すように勧告をするわけでございますから、強制力はもとよりございません。強制力はもとより持っておりません。しかしながら、監察局が監察をいたしますときには、もろもろの資料を整理いたしまして、確実にこれはどうもまずいではないかと、これはこうしたらいいではないかと、こういうような資料をもとにして勧告をするわけでございます。言うなれば実証データというものに基づいて勧告をするわけでございますから、私は相当やっぱり説得力のある中身だと思います。したがって、強制的なそういう力はございませんけれども、そうした実証データに基づく説得力が強いということでございますから、各省庁ともその勧告に従って改善措置を講じましょうと、こういう回答をしていただいておるわけでございます。  この勧告は各省庁にするわけでございますが、物によりましては閣議の席上において関係大臣にも強くお願いをし勧告をするわけでございますから、私は相当な、強制力はなくても実効はあるものと理解をしております。そしてまた、過去のいままでの勧告の実例等を見ましても、その勧告に従ってこういうふうな改善措置をいたしますというふうな回答をよこし、そしてまた実際にそれを行っているという実例でございますから、私はやっぱり行政監察の勧告というのは相当効果のあるものではないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官としてはそういうお立場であると思いますが、過去に行管が勧告をした、それに対して実態はこれこれしかじかではないかと、全く勧告趣旨が生かされてないじゃないかというふうなことを私も他の委員会指摘した事例なんかもあったわけです。  そこで伺いますが、極端に強制力はないとおっしゃるのですが、極端に勧告に従わないと、その勧告の方が間違っているというふうなことはありませんか。また、そういうことがあったらどうしますか。
  77. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 私も最近、去年の十一月に行管長官に就任したわけでございますが、私はそういう実例はまだ聞いておりません。あるいは以前にはそんなことがあったかと思いますけれども、私は聞いておりませんからさようなことはないんじゃないか、かように考えております。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 従わなかった場合はどうなさいますか。
  79. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 従わないと言っても従っていただけると期待しておるわけでございますが、従わないときは、そういう実例が判明いたしますればさらに強く勧告をして、こういう勧告があるのにさっぱり従わぬじゃないかということで、またさらに強く言わざるを得ないのではないかと思います。しかし、どうもそういう例は余り聞いておりませんので。
  80. 中庄二

    政府委員(中庄二君) 補足で説明させていただきます。  私ども勧告の後、大体三カ月から六カ月後に一回目の回答をとりまして、その後予算措置なり、場合によっては法案等の措置が必要になりますので、物によりましては二年後ぐらいに回答をとるわけでございます。それで勧告との内容の対比をいたしております。先ほど御指摘ございましたが、各省との間で論戦がその間でも起こりまして、まだ勧告どおりにいかないという場合も時にはございますが、そういう場合ですと、一定の時期を置きました後で再度私どもの陣容も立て直して再監察をやっていく、こういうふうな手順をとっている次第でございます。
  81. 小平芳平

    ○小平芳平君 では、これはことしに入ってからの事例ですが、輸入牛肉ですね。輸入牛肉の売り渡しは適期、適量に行い適切な価格操作をすべきだということ、輸入肉の差益金の助成対象を肉用牛の生産振興などに重点にすべきだというふうな勧告をなさいました。これについて新聞にも各紙に大きく報道されました。それで、これはいかがですか、いま論戦の最中ですが。
  82. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 間違いなくことしの一月の下旬にそういう勧告をいたしました。その勧告の対象になりましたのは、輸入牛肉の適期、適量の売り渡しという問題が中心でございますが、どうもやっぱり適当でない事例がたくさんあったようでございます。相当長期間にわたって上限の価格を超えておるという状況に畜産振興事業団が 適切な措置をとらなかったというので勧告をしたわけでございますが、この勧告につきましては、勧告が出る前に監察局の方で事前に農林水産省の方とも十分打ち合わして、こういうことはおかしいじゃないですかということを十分言い渡しをし、向こうもそれじゃそれは改めましょうという大体の下相談ができて勧告が出たわけでございます。  それに対する措置をどうするかということにつきましては、まだ報告は来ておりませんけれども、四月に農林水産省から返事が来ることになっておりますが、私はこれなんかはやっぱりちゃんと守ってもらわにゃならぬと、こういうふうに考えております。農林水産省からはまだそういう正式の報告は来ておりませんが、最近におきましても、この事業団もよほど反省を私はしたと思いますが、輸入牛肉の特別販売ということで肉の日の設定などをやりましょうというふうなことを計画いたしておるわけでございますが、正式の回答は四月三十日ということになっておるわけでございます。
  83. 小平芳平

    ○小平芳平君 行管からどういう勧告をなさったか。それでこうなる、こういうふうに是正されるという見通しがあったら御説明願いたいです。
  84. 中庄二

    政府委員(中庄二君) 牛肉の事業団の販売のシステムでございますが、畜産審議会で安定価格帯の上位価格というのを肉の種類によりまして決めてございます。それの上限を出た場合には、事業団が輸入牛肉の放出をやりまして需給の面からの価格調整をやっていく、こういうシステムになっております。事業団の方でもやはりその辺はいつもにらんではやっておるわけでございますが、国内産の肉牛の動向等を考えまして私ども指摘した時期には、ちょっと目が行き届いていなかったのではないかというようなことを私ども指摘しまして、向こうの方でも今後十分注意していくという回答をいただいたところでございまして、農水省の方とは単にその価格の問題だけではございませんで、流通段階の問題もございますし、もちろん生産段階の問題もございます。それからなお消費の問題もございまして、そういう面も全般を含めまして牛肉行政全体の勧告を農水省と詰めをやって行ったという次第でございます。
  85. 小平芳平

    ○小平芳平君 結論的に申しまして、ほぼ勧告趣旨は農水省、事業団とも了承し、今後生かしていくということでありますか。
  86. 中庄二

    政府委員(中庄二君) 先ほど申し上げましたように、生産から流通それから消費の段階、こういうふうに申し上げましたが、こういういわば価格の需給問題と申しますのは非常にむずかしい分野でございまして、行政機関だけで行うというわけにもまいりません。関係業界等の問題がございますし、長年の慣行等もございまして、私ども指摘が一気にそこまで進むということはなかなかむずかしい問題も中にはあろうかと思いますが、農水省とも打ち合わせまして、目標としてはこういうことではないのかという方向は打ち出したものもございまして、その実現には、やはり民間の業界等の関係もございますので、相当の時日を要するものも含まれているのは事実でございます。
  87. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に伺いますが、中曽根前行管庁長官が行革三昧にふけるとか、それから鈴木前総理は政治生命をかけるとか、五十九年赤字国債脱却とかいうふうに熱心にこの行政改革を推進しようとしていたが、中曽根内閣はそれほどの熱意がないじゃないか、防衛とかそういう方に熱心で行革はそれほど熱心にやっていないじゃないかというような疑問は持たれませんですか。また、そういう疑問に対してお答えいただきたい。
  88. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 鈴木内閣は行革に熱心であったが、中曽根内閣は余り熱心ではないではないかという心配をされてのお尋ねでございますが、さようなことは私は全然ないということをはっきり申し上げることができると思います。  私が申し上げるまでもなく、鈴木内閣がやめまして中曽根内閣が後を継承したわけでございますが、鈴木政治の何を継承するんだということになりますと、やっぱり行革政治を継承するということであったと私は理解もしております。したがって中曽根総理も、鈴木内閣を継承した、イコールそれは行革という政治を継承したんだという、総理自身そういう気持ちでおりますし、いままで内閣をつくりましてからすぐアメリカ等に行かれたり、いろんな発言等もありましたので、こういったふうな防衛問題が新聞を相当にぎわしておったわけでございますが、それはそのときの問題を皆さんが取り上げられただけであって、中曽根内閣としてはあくまでも行政改革を自分の使命だと理解し、自分の政治的最大の課題の一つであるというふうに理解し、全力を尽くしてこの問題に取り組むという力強い発言を常日ごろいたしておるわけでございまして、行革に取り組む考え方というものは鈴木さんの時代と毫末も変わりはないとはっきり申し上げることができると思います。
  89. 小平芳平

    ○小平芳平君 以下、具体的に若干お尋ねしたいのですが、行政改革推進委員会の設置という点でありますが、この推進委員会関係法律案を国会提出するというふうにも伝えられておりましたが、それらの見通しはどうか。  それから五十八年度予算にはこの推進委員会設置に伴う経費というものは計上されていないかと思いますが、これはどうなさるのですか。  それから行革推進委員会委員長は土光さんにまたお願いするんだというようなことが新聞では報道されておりますが、まだ設置もされていない、法律案も出ていないものの委員長が先に決まるということもなかろうと思いますし、その点はいかがでしょうか。
  90. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 臨時行政調査会は満二年経遇いたしまして、去る三月の十五日にその存置期限を終えたわけでございますが、今日まで最終答申を含めて五回の答申を出されたわけでございます。第一回目の答申は一昨年の秋の臨時国会において行革関連法案と称してこれを実現いたしました。第二次答申は許認可が中心でございまして、これも昨年の通常国会で完全に実施いたしたわけでございます。そこで、あと残っておりますのは第三次答申、これは御承知のように昨年でございます。その第三次答申につきましては、一番大きな問題でありましたのが国鉄の再建問題でございまして、これは十二月の臨時国会においてこの法案を提案いたしまして、そして昨日から衆議院において審議が始まると、こういう段階になってきたわけであります。さらに、そのほかに第三次答申では電電、専売公社の改革問題等が残っておるわけでございます。それから、さらに第五次の最終答申につきましては、将来の中央省庁の機構問題それから地方出先機関の問題、これは今後仕上げていかなければならぬ問題がたくさんあるわけでございます。  そこで、臨調としましては、答申をしっぱなしで後は政府が逃げられちゃ困るという、まあ率直に私は言いますよ。率直に申しますと、そういうことになっては大変ではないかという心配をされ、そしてまたそのことは当然であります。答申をした以上はその実行を見定めるというのが臨調としての責任ではないか、こういうふうな考え方から、最終答申の出る二月の末でございましたか、行革推進委員会というものをつくって、そして今後の行革の実施状況を見守っていこうという答申が出たわけでございます。私は、それは本当にごもっともであり、そしてまた、それは当然のことだと考えております。行革の答申があれば、後は実施するのは政府の責任でありますけれども政府がそれを実施するに当たっても、やっぱり民間有識者の方々の意見を聞きながらその答申を実行していくということが適当であろうというふうに政府も考えまして、行政改革推進委員会――委員会といいますか審議会でございますね、そういうものをつくろうではないかというふうに考えまして、その法案作成の準備作業にいま入っておるわけでございまして、ここ数日の間にその構想をまとめ、法律化し、国会に御提案を申し上げ、御審議いただくようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  ところが、この行政改革推進委員会予算とい うことになりますと、これは御承知のように二月の末の答申でございますから、五十八年度の当初予算には計上されておりません。しかしながら、その答申にもありましたように、この推進委員会の構成は、委員は若干名、それから事務局を仮に置くとしましてもこれも本当に小規模のものにしなさいと、こういう答申でございます。土光臨調のときには九人の委員を擁し、それから職員も百人以上の職員を抱えておったわけでございます。さらにまた、専門委員その他等を合わせますともう数百人になるわけでございまして、そういう膨大なものは必要はない、委員は若干名、しかも小規模の事務局でいいではないか、要するに答申の実行を見守るというだけでございますから、そして政府を鞭撻しようというわけですからそれでいいじゃないか、こういうふうな答申でもございますので、なるほど五十八年度の当初予算にはありませんから、私もどうしようかと思って迷いました、本当に。これは率直に言いますと迷いました。しかしながら、やっぱり行政改革というものは非常に緊急を要する問題であり、重要な問題でもございますので、皆さんで、まあ小人数の委員であり小人数の事務局ですから、そういう言葉はいいかどうかわかりませんが、手弁当でいこうじゃないかと、そのくらいの熱意で行政改革に取り組まなければできないよと、こんなふうな気持ちを持ちまして、手弁当方式でひとつこの審議会をつくっていただきたい、こんなふうに考えて、ここ数日中に国会に御提案申し上げたい、こんなふうに考えておるわけでございます。  それからその委員会ができたときに、もうどなたか委員長になるじゃないかというすでに新聞にうわさがあるじゃないか――それはまことにそんなものは何にもありません。これはマスコミがどういうわけでそういうことを書かれるのか私もようわかりません。出どころも何もわかりません。法案を提案もしない、成立もしないうちから人事がいろいろうわさされるということは私は心外だと思って考えておるわけでございまして、法律が皆さん方の御協力をいただいて成立しました後に人事は考えるべきである、こういうふうに私は考えておりますので、全然そういうことは考えておりませんということだけははっきりと申し上げておきたいと思います。
  91. 小平芳平

    ○小平芳平君 手弁当という方式がちょっと理解しがたいのですが、もう少し、もしできたら説明していただきたいと思います。  それからちょっと時間がありませんので次の質問をやりますが、手弁当方式が一つと、それから第二には、ただいま御説明のあった、国鉄は再建監理委員会設置法案として要するにきのうから審議に入ったということ、それは承知しておりますが、電電公社、専売公社の経営形態はどうなさるのか、今国会では見送りにされるのか、あるいはこれから提案なさるのか、以上二点についてお伺いします。
  92. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) まず電電、専売についてお答え申し上げますが、昨年の七月の第三次答申においては、民営的な経営形態にすべきであるというのが中心になっておるわけでございます。これにつきましては、関係各方面の意見を十分聴取しながら慎重に案を練りなさいと、こういう答申になっておるわけでございますが、この電電、専売はなかなかむずかしい問題をたくさん抱えておることは先生御承知のとおりだと思うんです。ですから、そう簡単に案をまとめるということは非常に困難だと思います。しかし政府としては、こういうふうな経営形態をも含めた公社の改革ということは断念しちゃならぬ、これはやっぱりやり遂げなければなりません。しかしながら、いろいろ関係するところが多いわけですから、やっぱり慎重な態度で臨むということが必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  当初、できまするならばこの通常国会に御提案申し上げるところまで努力したいと、こう考えておったのでございますが、もう三月末ともなりましたので、いまのところ必ず提案できますと、こう断言はできませんけれども、今後とも慎重な検討を続けていきたいと、こんなふうなことで考えておりますので、その点を御了承いただきたいと思います。
  93. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 大臣から種々と御説明がございましたけれども、手弁当という表現でございましたが、この行政改革推進審議会、まあ仮称でございますが、これはいずれにせよ小規模なものでいいんじゃないか。したがいまして、その事務局等もできるだけの最少の人数でやってくれと。先生御指摘のとおり五十八年度予算にこれが組み込まれていないということでございますので、既定経費で賄っていかざるを得ないということでございます。でございますので、具体的には非常に小規模な人数につきましては各省からの併任でやれるんじゃないか、そういうつもりでおります。これ以外のやりようがないということでございますので、併任でやっていく。それを大臣は手弁当というふうに表現したのだと思いますけれども、具体的にはそういうことでございます。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に年金についてですが、これは齋藤長官がずいぶんお詳しいわけですが、そういう内容には入りませんですが、この年金問題は、五十八年度末までに年金制度の具体的内容、手順等について成案を得ることというふうになっておりますと思いますが、この五十八年度末といいますと、もうどういう段取りで成案を得るのか、具体案がなくちゃならないと思うんです。まあ順序、段取りの、年金制度のいろんな見通しについては決めようがないとしましても、たとえば審議会とか懇談会とか、どういう形でそういうものをつくっておやりになるのか。あるいはそういうものはもう必要ない、過去においていろんな審議会、懇談会等からの意見提出されていることでもありますので、その辺の段取りはどう立てられますか。
  95. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 公的年金の統合というものは、本当に年金制度の将来を考えたときには何としてでもこれはなし遂げておかなければならない私は本当に大問題だと思います。そこで、昨年の第三次答申におきましてもその気持ちが出ておるわけでございまして、政府としてはその手順を決め、それぞれの実現のために努力をしておるわけですが、まず第一段階としては三公社の共済組合と国家公務員の共済組合、これを統合する、これ第一段階。これはいま大蔵省が中心になりまして、国共審と申しますか、そこで御審議をいただいておるわけでございますし、さらにまた社会保障制度審議会――これ内閣ですね、これにも諮問をしておるわけでございますので、これは私ははっきりいま日にちは申し上げることはできないと思いますが、何とか今月中に一本化の年金統合案を国会に提案したい。こういうことで、年金担当大臣は厚生大臣でございますが、大蔵省の、大蔵大臣の手元でいま審議中でございまして、それぞれ国共審、社会保障制度審議会、それの御意見を聞きながら最終案を今月中に何としてでも国会に出せるようにという努力をしておる段階でございます。  それから学校の先生と警察官を除いた地方公務員のもろもろの方々の共済組合の統合、これは統合と申しますか財政単位の一元化ということでございますが、これはそれぞれの審議会等の議も経、社会保障制度審議会の議も経て、きのうですか、閣議決定をいたしましたから、近く国会に提案申し上げるということになっておるわけでございます。  そういうふうに公務員関係国家公務員、地方公務員、まずそこが何とか解決をし、それと同時にやっぱり一番大きな年金の大宗は御承知の厚生年金でございます。さらにまた国民年金ですね、国民年金も将来のことを考えますと、これは御承知だと思いますが大変な苦しい状況になるのではないかと予想される問題でございますので、この厚生年金と国民年金を統合しよう、これは厚生省プロパーの仕事でございまして、五十八年中に一応の統合案をまとめて、そして来年の通常国会に提案を申し上げたい。こういうことをいたしまして、大どころ三つできまして、そして将来の一元 化のための環境条件を整備していく、こういう手順で着々進んでおるわけでございます。  これは強制国民皆年金の日本の社会でございますから、将来を考えますときには、一時はいろいろお互い共済組合員の方々にも苦しい面があると思うんですよ。これはたくさんの制度がありまして、御承知のように保険料にも差があり、給付にも差がある。これを国民皆年金ということで一本化していこうというんですからなかなか容易ではないと思いますが、私は、やっぱり将来のことを考えれば、どんな苦しくても、それからいろいろな立場の相違、エゴ等もありましょうけれども、何としてでもこれは一元化していくことが将来の展望を考えたときにやるべきことではないだろうか、こう考えておりまして、それぞれの手順を踏まえていま進めておる段階でございます。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっとこの問題は大き過ぎまして詳しく取り組む時間がないわけですが、簡単に申しますと国民年金と厚生年金は五十八年度末までに統合する、一本化するということですか、そういうふうにいまおっしゃったわけですが。それで厚生省だけが方針を決めればそれはできることだということでしたね。  それで、私がいま、さらにお尋ねしたいのは公務員共済についてでありますが、公務員共済は、国家公務員共済と地方公務員共済は職場単位に入っています。ところが、厚生年金は職場単位だが国民年金は地域単位ということでありますが、いまの大臣の構想から申しますと、厚生省関係が一本、それから共済が国家と地方で二本。三本ということになりますか。
  97. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生年金と国民年金の統合問題は、五十八年中に案をつくって次の五十九年ですか、五十九年の通常国会に提案をしたい、こういうことで厚生省がそれぞれの審議会の議を経ながら案をまとめていこうという手順になっておることを御了承願いたいと思います。  それから、さしあたり今度の国会には国家公務員と三公社の共済組合の統合案、統合する案ですね。それから地方公務員の統合案、この二つが今度の国会に提案される、こういうことになるわけでございます。将来は、統合されたそういうものありますね、いま大筋言うと三つになるわけですが、そのほかに入ってないものもまたあるかもしれませんが、大きなところはその三つのところがあるわけでございまして、それは将来十年後くらいになるわけでしょうか、将来それも全部統合していきたいというのが公的年金統合の大きな構想であろう、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 いろんな意見があると思いますが、ちょっと内容に触れることは避けまして、いま申しましたところの国家公務員の共済それから三公社の共済を統合しようということで政府が……、大蔵省来ておられますか。――大蔵省が提案をし、審議会でいま審議中、まさしくきのうきょうというふうな最終段階にあろうかと思いますが、この辺はいかがでしょうか。
  99. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) お答え申し上げます。  国家公務員共済組合と公共企業体職員の共済組合制度の統合に関する法律案につきましては、ただいま先生御指摘のように、関係審議会に諮問している最中でございます。国家公務員共済組合審議会に対する諮問は、去る二月二十一日に正式に諮問いたしまして、実は本日午後一時に答申をいただきました。同時に、三月の初めから社会保障制度審議会に御諮問をし、審議をお願いしている最中でございますが、この方は本日もこの時間帯に審議が続行されておりまして、御審議の結果、御答申をいただくというような手はずが整いますれば、直ちに国会にこの法案を御提案申すべく諸準備を進めさせていただきたいと考えている次第でございます。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 それにしましても電電、専売については、経営形態もはっきりしないままで年金だけ共済に統合しようというところに非常に無理があるわけです。それから、本来は民営にすれば民間の会社として、企業として厚生年金に入るのが当然だろうという意見も十分あるし、それからまた午前中も問題にされておりました、人事院勧告国家公務員には凍結されたままになっていて年金だけ先に統合しましょうというような点、非常に無理をなさっているんですね。齋藤長官もその意味のことをちょっとおっしゃっておられましたけれども、非常に無理じゃないですか。
  101. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) 確かに、三公社の経営形態問題につきましては、臨調の答申でも、現在の公共企業体の形から何らかの民営化の方向へ進むべきであるという御答申が出ているということはよく存じております。経営形態の問題と適用されるべき年金制度との関係につきましてはいろいろな御議論があろうかと思いますけれども、結局、経営形態と適用年金制度をパラレルに物を考えていくのか、あるいは将来の公的年金制度の一元化という展望のもとで、経営形態の変更にかかわりなく年金制度の面の歴史化が一元化に向かって進んでいくべきなのか、いろいろ御議論が分かれるところだろうと思います。国共審の審議の中でもそれら二つの御意見が確かにございまして、この際その点についてどう割り切るべきかにつきましては非常に意見が分かれたところでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、現に国鉄の共済組合の財政危機というのが身近に迫っておるという一つの背景もございますために、経営形態の変更そのこととのかかわりよりは、年金制度の歴史、古くから共済年金を持ってきたというその年金制度の歴史の上からこの問題に対応する方が現実的な処理ではないかというふうに考えて御審議をいただいている次第でございます。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 いろいろ年金問題には意見がありますけれども、きょうはこれだけにしておきます。  以上で年金は終わりまして、そのほかの質問をいたします。  まず、会計検査院につきまして、会計検査院予算や定員はいまで十分だということじゃないと思うんですが、特に会計検査院としての御意見、重点的に充実したい面を挙げていただきたい。  それからけさの検査院の予算説明でも、電子計算機等借り料千七万円となっておりますが、そういうようなことで、この点についてちょっと御説明をしていただきたい。何を借りて、これは借りるだけで十分なのかどうか、御説明願いたい。
  103. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) お答え申し上げます。  会計検査院予算が十分であるかどうかということでございますけれども、私どもは業務に従いまして予算要求はいたすわけでございますけれども、皆様御承知のとおり、大変国家の財政が困難な状況でございますので、その中で私ども予算もある意味においてはがまんしなければならないわけでございます。私ども予算は、先ほど院長から御説明申し上げましたように、人件費が八九%でございます。そのほかの経費の中で大きなものは検査旅費でございまして、これが六・四%でございます。言ってみれば検査旅費というのが私ども一つの事業費みたいなことになりますし、人件費はそれを推進していく中核になる人間でございます。  したがいまして、私ども予算の要求の重点といいますのは、増員とそれから検査旅費ということが主でございますけれども、増員につきましては、こういう非常に困難な状況におきまして、本年、定員削減九名に対しまして十名増ということで、実質一名増が認められておるのでございます。検査旅費につきましては前年並みでございますけれども、この範囲で私どもとしては何とかやっていかなきゃいかぬと思っております。  それから、そういうふうなことで非常に困難な情勢ということと、それから検査対象機関の業務が非常に変わってきている、それから私どもといたしましても検査の機能を充実していかなきゃいけないということでございまして、数年来会計検査情報システムというものを開発しておるわけでございます。電子計算機の導入につきましては、かねて、もう相当前からいろいろ検討しておったのでございますけれども、最近に至りましてかなり電子計算機の値段が安くなっていると、私ども の業務の中では、こういう業務でございますので電子計算機を計算に使うというよりもいろいろな事務的なものに使うということで、従来は非常に値段が高くてペイしなかったわけでございますけれども、それがかなり大幅に可能になるということでいろいろ開発検討していたわけでございますけれども、昨年、五十七年度に一応開発の費用が認められまして、これの検査情報システムの開発をやって、五十八年度におきましては電子計算機を年度末に導入をいたしまして、五十九年度から本格的な電子計算機の情報システムの運営ということになろうかと思うわけでございます。  それで、この会計検査情報システムといいますのは、幾つかのサブシステム――十ぐらいのサブシステムが中に含まれておるわけでございますけれども、一応当面は個別検査システムと検査情報管理システム、それに検査事例検索システム、それから決算確認システム、人事給与システム、こういったふうなシステムを内容にいたしまして、中核的なものといたしましては、私ども検査を担当する調査官がいろいろな情報あるいは事例をなるべくたやすく取得して、これによって検査を効率的に執行するということともう一つは、各調査官を旅費の請求等の雑用からある程度解放するというふうな点を含めましたシステムでございます。  以上でございます。
  104. 小平芳平

    ○小平芳平君 次は、内閣官房に官房の予算について若干質問したいのですが、時間が限られておりますので便宜全部質問いたします。  まず、情報の収集及び調査経費としての報償費、この経費につきましては、情報収集に対する謝礼の基準とか、そういうことがどうなっております か。  それから、同じく官房の予算の中に情報調査委託費として計上されておりますが、これは調査委託団体はどういうような団体に委託されますか。あるいは委託事項はどういうことを委託されます か。  それから第三点には、官邸特別整備等経費としまして、これは去年も、つまり五十七年度もまたことしも計上されておりますが、こういう古い建物のためにそういう経費がかかってかえって不経済な結果になっているのかどうか、その辺の観点はいかがでしょうか。それから首相官邸の機能につきましても、臨調の第三次答申で官邸の近代化について述べておりますが、これらとの関係はどう考えておられますか。また一部新聞では、立川に広域防災基地を建設するというような報道もなされましたが、立川にそういうような大きな計画を内閣として立てられようとしていらっしゃるのかどうか、以上お伺いします。
  105. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 内閣機能につきましては、世の中がだんだん高密度の社会になる、それに従って各官庁の仕事も非常に複雑に絡み合ってきておるわけです。そこで、内閣全体としてのそういった各省の調整の仕事、これは非常に重要になってきているわけでございます。そういうようなことから臨調等でも、いまお読み上げになりましたように、総理大臣に対する補佐、助言機能の強化であるとか、あるいはまた内閣の総合調整機能の強化、内閣官房の充実強化、そしてまたいま御質疑内閣総理大臣官邸機能の近代化といったようなことに取り組んでいくべきであるという臨調からの御答申もいただいておりまするので、そういう線に従って行政改革の一環として政府としてはこれから鋭意取り組んでいきたい、こう考えております。  なお、御質問の内閣調査室の情報収集の予算は全体でたしか十六億程度だと思いますが、細部は調査室長から後でお答えを申し上げたいと思います。  それから官邸は御承知のように昭和の初めのあれで大変古くなりまして、本来あの建物の中に審議室とか調査室とかあるいは広報室とか、全部一つにまとめて、そして同時にまたわれわれがおる場所も、本当にもう少し機能的にやらなきゃならないと、ことに通信なんかの機能はまさにそうだと思うんですね。そこらはこれから取りかからなければならぬ近代化の改善の措置だと思います。これも実はもう十数年前から実はときどき議論になっておるのですが、何せ予算の都合等でいまだ手がついておりませんが、これからやはり政府としては財政事情等も勘案しながらやっていかなきゃならぬと、こう考えております。そして、官邸の維持修繕費の予算も、それは新しければあんな予算要らぬわけですけれども、実際古いものですから毎年こういった経費を計上いたしておりますが、その内容につきましては会計課長からお答えをいたしたいと思います。  それから最後の御質問の立川の問題ですが、これは第二総理官邸なんて新聞に出ていますけれども、そんなことじゃありません。これはやはり災害非常の際に、あそこに医療の施設であるとか、あるいは情報通信の機能であるとか、消防機能であるとか、あるいはヘリコプターの施設であるとか、いろんな非常災害用の施設をあそこに設けるべしという議論が前々からございます。その中の一環として、総理官邸はこれは当然つぶれてしまえばまた別の考え方もしなきゃなりませんが、やはりあそこが前線指揮所になるわけでございますから、そこでやはり総理みずからが前線指揮所として非常災害の際に全国をにらんで仕事をやっていくと、そういう応急の非常災害用の施設をあそこにつくったらどうだと、こういうことでございまして、いわゆる第二総理官邸という物の考え方とはちょっと食い違っているような私どもは考え方をとっております。  以上でございます。
  106. 鎌倉節

    政府委員(鎌倉節君) 謝礼の基準ということでございますが、報償費につきましては、御承知のとおり部外の協力者に対しまして謝礼的あるいは代償的な意味において使用する経費と、こういうことになっておりますので、それぞれの情報提供の内容に応じまして実費弁償的な分、その他おのずからその基準的なものが出てくる次第でございます。  それから第二点の委託団体でございますが、五十七年度におきまして私どもが委託をいたしました団体は、社団法人の内外情勢調査会、社団法人の共同通信社、株式会社時事通信社、財団法人ラジオプレス等十二ばかりの団体になっております。五十八年度におきましても、予算をお認めいただきましたら大体ことしと同じような団体にお願いをしようかと考えております。その委託をしております内容につきましては、国内外のそれぞれのニュースあるいは海外情報の分析、調査研究というようなことで政治、経済、外交あるいは科学、そのほか多岐にわたりまして内閣が必要とする情報につきまして調査研究をお願いをしておると、こういうことでございます。
  107. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 官邸の特別整備関係経費について補足して御説明申し上げます。  長官も申されましたように、総理官邸は昭和四年にできておりまして、五十余年をもう経過しておるわけでございます。そこで、昭和五十五年度に、建物の安全性などにつきまして、専門家の方々にお願いして委員会をつくりまして調査をやったわけでございます。その結果、たとえば外装タイルがたくさん浮いてしまっているとか、それから給水給湯関係が非常に老朽化している、あるいはコンクリートの中性化が見られるというようなことがあったわけでございます。そこで、早急に改修しようということで五十七年度から、こういう非常に財政的に苦しい状況でございますけれども予算をお願いして、老朽が非常に著しい個所から整備を行っているということでございます。  経済性云々のお話ございましたが、先ほど官房長官も申されましたように、確かに新しい方がそういうお金は一切かからないわけでございますけれども、やはり現実的な対応として必要な予算をお願いしているということでございます。
  108. 小平芳平

    ○小平芳平君 最後になりましたが、宮内庁に伺いますが、皇室費歳出予算の御説明がありましたが、これを見ましても、内廷に必要な経費は前年 同額、宮廷に必要な経費は減少、皇族に必要な経費は前年同額ということでありますが、こういう点は大丈夫なのかどうか。国家公務員給与も据え置かれているときだからということでもありましょうけれども、その辺のお考えはどうか。  それから第二には、天皇あるいは皇太子等皇室の御一家の五十八年度における外遊の計画はありますかどうか。それから一方、外国の元首で訪日予定がありますかどうか、以上についてお伺いしたいと思います。
  109. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、五十八年度におきます内廷費及び皇族費につきましては、昨年度と同額をお願いを申し上げておるところでございます。  内廷費及び皇族費につきましての改定の原則といたしましては、物価の上昇率それから国家公務員給与の改善率、こういったものを勘案をいたしまして、前回の改定後の増加見込み額が定額の一〇%を超えた場合には改定をお願いをする、これが原則でございます。昭和の四十四年ごろからそういったような原則でやらしていただいているわけでございますが、五十八年につきましては、ただいま申し上げましたような基準で計算をいたしますと、一〇%は少々上回る率に実際にはなります。ただ、御案内のとおりの厳しい国家の財政状況といったような諸般の事情を考慮いたしまして、これは現在据え置きでお願いをいたしているということでございます。  なお、こういったようないろいろな国の財政状況等を勘案いたしまして、多少一割を超えましても改定をお願いをしないというのが、過去の実績といたしましては五十一年、五十四年、五十七年と、こういったようなときに例はあるわけでございますが、それはそれなりに皇族費が苦しくなるということは事実であろうとは思います。ただ、やはりこの積算の基礎といたしましては、定額を改定いたします際に積算上一〇%程度の予備的経費といいますか、いろんな事態に対応する経費というようなものを見込んでいるというような事情もございますし、この据え置きのために特段に御不自由をおかけすると、従来の規模が全く変わってしまうというようなことには毛頭ならないというように存じておるわけでございます。したがいまして、内廷あるいは各宮家におかれましても、いろいろと対処の仕方といいますか、御工夫をお願いをいたしましてやっていっていただいているというのが実情であろうと存じます。  宮廷費につきましては、何と申しますか、皇室の御活動と申しましてもやはり皇室用財産の維持管理費でございますとか、そういったようなものに相当の部分が割かれているわけでございますので、それらにつきましては、やはり工事なり維持管理関係の施行年度の調整といったようなことその他で工夫をいたしまして、特にいろいろな管理の状況が悪くなるというようなことは避けながら、何とかやはり国全体の予算のシーリングと申しますか、こういったものに対応した工夫をいたしているというようなのが実情でございます。  それから第二点の、天皇、皇后両陛下あるいは皇太子、同妃両殿下その他の方々の外国の御訪問計画ということでございますが、これらの方々の外国の御訪問につきましては、内閣において閣議決定ないし閣議了解という手続を経ましてから公表されると、もちろん相手方のこともあるわけでございますが、そういったようなことでございますので、現在のところ具体的に申し上げることはないわけでございます。ただ、各種の国賓等がずっと毎年数件ずついらっしゃっているわけであります。そういうところにお返しとして行かれるというようなことというものは考えなきゃならない。そうしませんとだんだんたまっていく一方になるわけでございますので、そういったことを考えますと、やはり年度内というもので考えれば何らかの形で、たとえばただいまは皇太子、同妃両殿下は東アフリカ三国に行っていらっしゃいますが、ああいう形での御訪問というようなことは、年度を通じて考えますと当然議論としては起こってくるんじゃないかというように存じますが、具体的にはまだ現在何とも申し上げかねるわけでございます。  それから次に、外国の国賓ないし公賓といったような賓客の関係でございます。これまた同じく御承知のとおり、国公賓の接遇につきましては内閣閣議決定あるいは閣議了解という手段によって決定されることでございまして、ただいまのところ決定されておりますのは、エジプト・アラブ共和国のムバラク大統領が、三月四日の閣議決定によりまして、四月五日から九日まで五日間、国賓として来日される、これは決定になっているわけでございますが、その他の部分につきましてはまだ私どもといたしましてもつまびらかにいたしていないところでございます。  ただ、やはり各年見てまいりますと、この数年間、国公賓の御来訪というものは非常にふえていると思いますので、恐らく年度を通して見れば相当な数の国賓なり公賓なりがいらっしゃるものというように存じているわけでございまして、宮廷費といたしましてはやはり国際親善等経費といったようなところで計上させていただいておりまして、多少の増加というようなものにもそれぞれ対応するような措置をいたしているところでございます。  以上でございます。
  110. 安武洋子

    ○安武洋子君 まず行管庁にお伺いをいたします。  第二臨調は三月十五日に解散をいたしました。第二臨調の膨大な資料は非公開のままでございます。それで、部会とか調査会の議事録の保管とか取り扱いでございますけれども、これはどこの省庁が保管をいたしますのでしょうか。総理府の附属機関でございましたから総理府が保管をするのか、あるいは事務局を受け持たれたのが行管庁でございますから行管庁が保管をなさるのか、お伺いをいたします。
  111. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) お答えいたします。  御質問の臨調の資料でございますが、この二年間臨調でいろいろと集めました資料あるいは審議の議事録、こういったデータにつきましてはただいま整理中でございます。何分ともかなり膨大な量にわたりますので、今後相当の時日を要するものではないかというふうに見ておりますが、その保管責任はどこであるかという御質問でございますが、これは今後諸方面といろいろと協議し、相談して決めてまいりたいというふうに思っております。ただいまの段階でお答え申し上げることができませんので、御理解をお願いしたいと思います。
  112. 安武洋子

    ○安武洋子君 整理中ということでございますが、それはいままでの事務局が整理をいたしておりますのでしょうか。そして、どれぐらいの見込みでそれを整理なさって、そしてだれがその保管場所を決めるんてしようか。保管省庁。
  113. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) 臨調の事務局には各省から職員が併任で出向していたということは御承知のとおりでございます。その出向職員のうち、かなり多くの人間を出しておりましたのが当庁でございます。当庁から併任出向しておりました職員は去る三月十五、六日併任解除ということに相なったわけでございます。非常に数が多うございます。そのうちの一部の職員、これがそのまま二年間にわたる資料、議事録等の整理に当たるということで、目下暫定的にその作業を行っているというのが実情でございます。  御質問の後段でございますが、その保管責任はどうするのかというお話でございます。これにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、今後御指摘の総理府本府、あるいは私ども、さらにはそのほかの関係省庁、諸方面といろいろ御相談申し上げて保管責任を定めてまいりたい。たとえばコピーの数をどうするかというふうなことも含めまして、取り扱いについても協議してまいりたいと考えております。現在お答えできるような段階にはございませんので、御理解願います。
  114. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっとはっきりさせておきたいんですが、事務局の一部が併任解除にならないでそのままとどまっているんですか、臨調が解散し た後でも。
  115. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) いえ、すべて併任解除になりまして、臨時行政調査会事務局あるいは臨時行政調査会というものはすでに三月十五日をもってなくなったわけでございますので、併任していた職員はそれぞれのもとの役所に帰っているということでございます。
  116. 安武洋子

    ○安武洋子君 もとの役所に帰りながら仕事だけは併任して整理を続けていると、こういうことでございますね。私どもはいままで臨調の審議あるいは議事録の公開、こういうことを要求してまいりました。ところが政府は、議事録の公開につきまして、自由濶達な論議が阻害される、プライバシーが守れないとか、こういうことで拒否をしてこられました。しかし、公の席上で責任を持って発言をする、こういうことですから、私はそういうことは当然公開して何ら差し支えがないというふうに思います。しかも、ただいま臨調は解散したわけですから、自由濶達な論議の阻害になるというふうなことは考えられません。プライバシーの問題につきましても、私はプライバシーにはかかわりはないというふうな立場をとっておりますけれども、もしそれに固執されるというふうなことであれば、これは百歩譲って名前を消してもよいというふうに思います。いずれにしても議事録は公開すべきだと、整理が済み次第。そういうふうに思いますが、いかがお考えでございましょうか。
  117. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) お答えいたします。  臨時行政調査会が過去二年間審議を続けていた間、ただいまのような御質問に対しまして、臨調の初会合におきまして、各委員がそれぞれ御自分の識見に基づいて自由濶達な御議論をちょうだいし、そして中立公正な審議が行われるということを担保するために非公開原則というのを立てた次第であるというふうな答弁を事務局からしていたということは事実でございます。御質問の、もう解散したんだからどうなのかというお話でございますけれども、先生もおっしゃいましたわけでございますが、解散後におきましても、これを公表するということは、委員であられたあるいは専門委員であられた、参与であられたというふうな諸先生方それぞれの方々に対しまして種々不都合が生ずるというおそれがなしとしませんので、そういった想定もございますし、かたがた臨時行政調査会はこの非公開原則というものを解散時点までに何らお変えになっていらっしゃらないということもあわせ考えまして、今後ともこの非公開原則というのを貫かれてまいるべきものではないかというふうに考えている次第でございます。
  118. 安武洋子

    ○安武洋子君 公の席上で自分が責任を持って発言する、しかもこれが臨調が解散されてしまっている、しかも私は、プライバシーにこだわるなら、不都合が生じるとおっしゃいますけれどもどういう不都合が生じるんでしょうか、名前を伏せてもよいと、しかしこれはあくまでも国民に公表していくというのがたてまえではなかろうかと、こう申し上げております。  こういう議事録を非公開にするというのは、やはり国民の目の届かないところで国民にかかわる重大問題が審議をされているわけですから、非常に非民主的だと言わざるを得ないわけです。しかも要らざる紛糾、混乱も起こすわけです。たとえば増税なき財政再建、これ一つをとってみましても、竹下大蔵大臣とか小倉税調会長、これは一切の増税を否定しているものではないというふうな意味のことを発言されておられます。ところが一方、財界の永野日本商工会議所会頭、この方は小理屈をつけて税を取ろうとするのは何事だというふうに言っておられるように、実にさまざまな政治的な思惑を含めた解釈というのが横行しているわけです。ということになれば、こういうふうな場合には、答申の結論が出されるまでのプロセス、こういうことをみんなが見て、国民が主権者ですからね、国民が見て、どういうふうにこの結論を解するか。私どもがその結論を納得するとか納得しないとかということは別問題で、国民がどういう判断を下すかということは、この結論が出るまでのプロセスということが重要になってまいります。  そういうことからも無用な混乱を起こさないためにも、私はこういうふうないままでの議事録は公開すべきだと。先ほども申し上げましたけれども、臨調がいろいろ審議をした内容というのは、もういままでの民主的な制度そのものを根底から覆していくとか、あるいは国民の権利そのものを奪っていくとかというふうなことで、国家体制にもかかわるような重要な問題、こういうものを審議いたしております大変歴史的な審議だと、まあ悪い意味でね。私はそういうふうに思いますけれども、こういう議事録を非公開のままで置くというふうなことは大体許されないことでもあるというふうに思います。それで、臨調は解散したわけですし、不都合なことが起こりようもない。先ほど不都合なことが起こってはというふうなことがありましたけれども、公の席上で責任を持って発言されて、そして名前を伏せて議事録が公表されるというふうなことでは不都合の起こりようもないわけですから、しかも何よりも大事なのは、国民がそれをどう判断するか、そして無用な混乱がいま起きている、こういうことを防ぐためにもひとつ私は資料を公開すべきだと思いますので、長官の御所見を承ります。
  119. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) まあ一般的な話ということになりますれば、そういう御意見もいろいろ私はあると思いますよ。しかしながら、臨調の委員の方々は当初から、私どもは自由濶達な議論をしたいので一切公表しない、非公開にしましょうというたてまえでずっと来ているわけですね。でございますから、仮に匿名、名前を書かなくてもというお話もありましたが、名前を書かなくても大体見当つくんですね。本当言うとみんな見当つきますよ。こういうことはあの人は言いそうだとか、大体みんなわかりますよね。でございますから、臨調の答申というものは自由濶達な議論の上にでき上がっておるものというものでございますから、やっぱり公表しない、私はそれが適当だ、かように考えております。  そしてまた、臨調の行革推進審議会というものも今度つくるわけですから、あのときあの人はこんなことを言っていたじゃないかとか、この人はこんなことを言っていたのにまた今度は違うことを言うじゃないかとかなんとかいうことになりますと、これまたおかしな話でございますね。ですから、臨調の審議というものが始まるときの非公開の原則というものは貫いていくということが私は適当だ、かように考えております。  それから先ほど来お話しの保管の問題は、行政管理庁の方々で併任になって向こうへ行っておりました者も戻ってきておりますから、その方々が資料のいま整理をしております。それは行管庁で整理をしております。整理しておりますが、それは関係省庁とまたよく相談をして最終的な保管の責任者は決めたい、かように考えております。
  120. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官は大変臨調の委員だった方をかばっていらっしゃいますが、一貫性、おかしな話が出たら困るとおっしゃいますけれども、そんなものがあるから困るので、やはりそれはそういう話がないように公表していただくのが至当ではなかろうかと。ですから、まだ所管も決まっておりませんから、所管を決められた時点でやはり私の要求もよく聞いていただいて、公開するということも前向きに検討していただきたい。そのことを私は強く要望しておきます。
  121. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 委員長
  122. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと待ってください。質問者は私なので、申しわけないけれども。何のお答えか知らないけれども、時間がありませんので後でお答えいただくとして、私は婦人の問題でお伺いしたいんです。  四月の十日から第三十五回目の婦人週間が始まります。その重要なテーマに、社会生活における婦人の政策、方針決定への参加、これが掲げられております。一九七五年の国際婦人年以降の審査会等への婦人の登用状況、これをまずお伺いしておきます。
  123. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) いまお尋ねの中に、おかしな意見もあったのでそういうことが漏れたら困るではないかというふうなことで……    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
  124. 安武洋子

    ○安武洋子君 いえいえ、おかしなことになったら困ると言っているんです。
  125. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 私はおかしなことになったとは言いません、私は。おかしな意見が出たら困るでしょうとおっしゃるから、おかしな意見は出なかったと、私はそう思いますよ。臨調の方々が慎重に、真剣に自由濶達な意見をされてあの答申をまとめたんだと、こういうふうに私は信じておりますから、おかしな意見があったかもしれぬからそれが表へ出たら困るとさようなことは私は考えておりません。
  126. 安武洋子

    ○安武洋子君 今度新しくまた委員会ができて、そのときにあの人はこう言った、こう言ったというふうなことで、それと違うような意見が出たらおかしなことになるので困るとおっしゃるから、そんなことがあったらよけい困るから公開をすべきだと私は申し上げている。  もうそれで、時間が大変惜しいのでいまのお答えをいただきます。婦人の問題をお答え下さい。――登用状況ですよ、婦人の問題の。
  127. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 長々とお答えするように原稿は書いてきておりますけれども……
  128. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんな、いいです。登用状況を簡単に言うてください。
  129. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 時間をということて簡単に言えということでございますから、前段は抜きにさしていただいて、お尋ね昭和五十年六月以降、強力に私どもお尋ねのことについて推進してまいりまして、審議会等委員への婦人の登用に当たっては、婦人委員の割合を政府全体として一〇%とするよう努力してきたのであります。  現在その割合はどうなっているかということでございますが、四・三%でありまして、今後一層その推進を図るため婦人問題企画推進本部では本年一月、昭和六十年度までに原則として審議会等に新たに一名ずつ婦人を登用する等により、今後も政府全体として一〇%になるよう鋭意努力する旨の具体的な取り組み方針を申し合わせてまいりまして、今後ともいまお話のありましたように、国連婦人の十年最終年は昭和六十年でございますから、それに向けて目標の実現のため鋭意努力しておる途中でございます。
  130. 安武洋子

    ○安武洋子君 御答弁のように国の平均というのは四・三%です。都道府県の平均が六・五%、指定都市が七・七%、婦人全体としても一割以下の低さです。ところが、この中でもとりわけ国が一番低いわけです。それで、国内行動計画の中にも、男性と婦人があらゆる分野で同等に参加して、婦人みずからが責務を担い行動することが婦人の地位向上の基本であると。だからこそ的確な婦人の参加を進める最大限の努力が必要だと。最大限の努力ですからね、的確な婦人の参加を進めていくというふうなことです。ですから、もうあと二年。ですから、本当に私はここで真剣にもっと前向きに努力をしていただきたい。御答弁もありましたので、そのことを強く御要望申し上げます。よろしゅうございますね。
  131. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 努力さしていただきます。
  132. 安武洋子

    ○安武洋子君 では次に、国立学校の等級別定数の件につきまして人事院にお伺いをさせていただきます。  国立学校の職員は約十三万人になっております。十三万人ですから全国家公務員の四分の一、これを占めているわけですね。このうちの行(一)の等級別定数というのは、五等級以上が三八・五%、六等級以下が六一・五%です。国立学校以外の特別会計の職員では、五等級以上が五五・二%、六等級以下が四四・八%です。国立学校の職員の六等級以下は一六%も多い、こういうふうな状況になっております。他省庁の同等クラスの管区の出先機関と比較をしてみましても、下位等級が大変多いわけです。たとえば京都大学と近畿農政局、ここは職員数がほぼ千五百人ぐらいということで同クラスなんてすね。同規模なので比べてみますと、六等級以下は農政局で二三%です。ところが京大の方は五九%、大変多い。四等級という等級を比べてみますと、農政局で三〇・一%です。京大の方はというと、これは何とわずか五・五%、余りにも大きな違いがあるわけなんです。それで、数字を申し上げましたので、この数字は否定のしようがございませんので、この数字が明確に示すように、国立学校というのは他省庁に比べても下位等級者が大変多い、こういう状況人事院は把握をなさっておられますでしょうか。
  133. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) ただいま先生のお述べになりました京都大学と近畿農政局、その数字はちょっとわかりませんが、全体といたしましては六等級以下が国立大学の場合六一・四、それから他省庁の場合はそこのところが四〇%前後ということで、確かに国立大学における下位等級者の定数が多いということはそのとおりでございます。
  134. 安武洋子

    ○安武洋子君 職員の構成の問題もございますからね。私は他省庁と全く同じにせよと、そういうわけにいかないということはわかります。しかし、余りにも極端過ぎるというふうに思います。国立学校の職員の立場に立ちますと、たまたま国立学校に勤務したということで他省庁に就職したという人よりも著しく昇格がおくれるということになるわけです。私は、これは人事行政上見ましても大変まずいのではなかろうか。人間の感情としましても、こういうことは大変不満を持つのがあたりまえでございます。人事院はこういう原因はどこにあるというふうにお考えでございましょうか。
  135. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 他省庁と同年齢者で比べた場合に、非常に極端に、もちろん全く同じということではないのですが、極端に差があるとは思っておりません。  それで、原因と申しますのは、私たち考えてみまするに、ここのところ定員削減で総体的に行(一)が減っている中で国立大学だけは、新学部あるいは新学科、あるいは医大、こういうものの新設、増設ということで定員がふえておるわけでございます。したがいまして、採用率というのが非常によその省に比べると高くなっております。そういう関係で、大体三十歳半ば以降の職員というのが他省庁に比べると非常に比率が高い、そういう在職状況がございます。それが主たる原因ではなかろうかというふうに思っております。
  136. 安武洋子

    ○安武洋子君 新規採用が多いので若年者が多いということでございますが、私はここに一つ資料を持ってきております。人事院、おたくの方でお出しになった任用状況調査でございますが、文部省の行(一)職員、この九五%は国立学校の職員でございます。ですから、文部省全体の数字というのは、大体国立学校の職員の数字と私は大差がないというふうに思います。文部省の二十九歳以下の六等級以下に占めるパーセンテージ、これを見てみますと、これが四〇・五%でございます。ところが全省庁の平均というのは、この二十九歳以下の六等級以下に占めるパーセンテージですが、五六・四%です。全省庁のうちの二十九歳以下の占める率というのは文郎省が一番少ないということになります。六省庁は七〇%以上、こういうことになります。だから、若い人が多いから下位等級が多いという理由は全く成り立たないわけです。  私は、こういう認識を改めていただいて、シビアにもっと見ていただかないといけない。国立学校の下位等級、これはやっぱり減らしていくという努力をやっていただかないといけないと思います。四等級、五等級、この定数をやはり国立学校については至急にふやしていかなければならないと私は思いますけれども人事院、これは前向きに検討していただけますでしょうか、御答弁いただきます。
  137. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 定数の査定の基本についてまず御説明いたしたいと思いますが、定数は、仕事の内容それから組織のあり方、これを基本にいたしまして定数を配分するわけでございます。しかし、職員の在職実態というものも全く無視するわけにいきませんので、その組織における年齢 構成でありますとか、あるいは学歴構成あるいは新陳代謝の状況、そういうものも考慮の対象にいたしまして定数は決めていくということでございます。  それで、文部省の場合に、従来ずっといろいろの事情をお聞きしながらそういう面も考慮を払いつつ査定をしておるわけでございますが、なお文部省につきましても、これから先、たとえば図書館職員でありますとか、あるいは教室におります技術職員でありますとか、こういう方々は専門職ということで、特に役職につかなくてもある程度までは上がっていけるという定数の配分もしておりますし、ということで、そういう職務をよく見ていくということで対応してまいりたいと思います。
  138. 安武洋子

    ○安武洋子君 どちらにしましても、私は定数配分のやり方とか、そういうのは知っております。だから、いまの御答弁は一面ではわかりますけれども、しかしいままでの文部省、国立学校の等級別の定数を見てみますと、余りにも六等級以下が他省庁に比べて多いわけでしょう。この数字ははっきり見ていただかないといけないわけです。先ほども申しましたように、国立学校の職員の六等級以下は他省庁に比べましたら一六%も多いという、こういう数字があらわれているわけです。ですから、私は先ほどの御答弁のその定数の決め方というのは知っておりますから了解はいたしますけれども、ここはひとつ特別に人事院としても前向きに検討すべきではなかろうかと、検討課題として申し上げておりますが、総裁いかがでございますか。
  139. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 検討課題としてよく承りまして、前向きに対処する努力をいたしたいと思います。
  140. 安武洋子

    ○安武洋子君 ぜひそのようにお願いをいたします。  それから今度文部省は五十七年度と五十八年度に国立大学の四等級、五等級の専門職のポストを要望されております。ところが人事院はこれをお認めになりませんでした。国立大学というのは、御存じのように専門的知識を要する特殊な業務の多い職場でございます。ですから、この点をやはり勘案をしていただきまして、職場職場の問題を勘案するということは大変大事なことでございますから、これも私はそういう点も含めてやはり前向きに検討すべきではなかろうかと。いかがでございますか、そういう検討をやっていただけますでしょうか。
  141. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 専門職につきましては、行政事情がいろいろ変化してまいります過程で、各省に一般行政事務の中にいろいろな種類のものが生まれております。それで、国立大学の場合もそういう観点で、先ほども申し上げましたように、図書館職員でありますとか、技術系の職員でありますとかはそういう対応をしておるわけでございますが、一般事務職についてそういう専門職として評価できるような業務内容があるのかどうかということは、いま先生がおっしゃいましたように、ここ二年ばかり要求がありました問題でございまして、そういうことを少し時間をかけて検討させていただきたいということで文部省にも御返事しておるわけですが、前向きに検討いたしたいと思っております。
  142. 安武洋子

    ○安武洋子君 文部省がやっぱり必要と認めて二年連続して要求をしてきているわけです。いまの前向きに検討したいという御答弁を私はやっていただけるというふうにお待ちするわけですけれども、ここで総裁にも御検討を前向きにしていただきたいということでお願いをして、その御答弁をお伺いいたしとうございます。
  143. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 十分検討いたします。
  144. 安武洋子

    ○安武洋子君 終わります。
  145. 三治重信

    ○三治重信君 まず最初に、内閣所管予算関係について御質問いたします。  それで、これは官房長官お尋ねいたしますが、この内閣の所管で、情報の収集及び調査に必要な経費、これは余り前から変わっていないんじゃないかと思います。したがって、金額がどうのこうのということは何も申し上げませんが、世界の情報の過多といいますか、情報のいろいろの処理のやり方、技術的なものが非常に進んできておる。そうすると、情報はたくさん入ってくるけれども、しかしそれを本当に的確に政治の上に、総理大臣、内閣官房長官ができるだけ事前にその内閣のいろいろの問題点についてあらかじめのポイント、感じというものを受けるためには、こういうような機関が十分機能していないというと国家的な利益を大いに損ずるんじゃないか、こういうふうに思っております。  したがって、この予算を見る限りにおいては、内閣調査室というのはまだ十年一日のごとく余り中身が変わっていないんじゃないかと思うんですが、ことに長官は行政の方の出身でベテランであるし、情報関係にも詳しい人であるしというようなことで、私は最近の中身を知りませんからお尋ねするわけですが、この内閣の情報収集機能について格段と変わったところ、変えたところ、またその重点を国内情報と国外情報と二つに分けて、ずっと見てどちらにやはり内閣として比重がかかってきているか、どの程度の割合の比重で進んできているのか、そういうような感じと申しますか、方針というようなものを御説明願えれば大変ありがたいと思います。
  146. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いま三治さんの御質問の、情報全体を集めて総合的な判断をしていくというのは、いまのところ内閣調査室、これが精いっぱいの努力をしておるわけでございます。もちろん外務省、防衛庁、警察庁、法務省あるいは通産省、こういったところで、国内はもちろん、各国の政治、経済、軍事等の情報、これを集めて、そして内閣調査室にそれらの官庁から定期的な会合等も持って御連絡をいただくと、こういうことをやっておるわけでございますが、御質疑のように、私これで十分だとは思いません、これは。  ただ、三治さんも御案内のように、情報機関というのはおよそ縦の関係なんですね。横の関係というのはもうまことにむずかしい、こういう特質があるわけでございますね。ここらをどのようにうまく調整をして、国全体としての重要な情報というものを集め、分析し、それを施策の上に反映させていくかということは、これが一番重要なことであるけれども、大変むずかしいということですね。それから同時にまた、この種の機関については戦前からのいろんなアレルギーも率直に言って日本にはございます。そういうようなことで、なかなか重要だということはわかりながらも思うに任していないというのが残念ながら私は実態だろうと思います。しかし、そうは言っても、それぞれの役所はそれぞれの人員と予算を擁して精いっぱいのいま努力をしておるので、何とか曲がりなりにも必要な最小限度の情報等は入手をすることはできておると、これが実態だと考えております。  内外どちらが重点かと、こう言われますと、これは内外大変絡み合っていまして、必ずしもどちらがどうということは私は言えないと思います。しかし、調査室の仕事はどちらかというと海の外の方が多いのかなという気がしますけれども、これはきょう専門家の室長がおりますからお答えさせたいと思います。
  147. 鎌倉節

    政府委員(鎌倉節君) 私どもが収集をいたしております情報の中身でございますが、ただいま官房長官がお答えいたしましたように、最近におきましては非常に事象が複雑でございまして、国内で起こりました事象について素早い海外の反響がある、あるいは海外でちょっと起こりましたことが国内でいろいろ関連をしてくるということで、海外の分、国内の分というのを峻別をするというのは非常にむずかしゅうございますが、感覚的に言いますと、国内につきましては関係の各省庁がそれぞれ情報を収集して私ども御協力をいただいておりますので、調査室自体といたしましては、外務省等と十分連絡をしておりますが、できるだけ海外の、国内でそのままでは入ってこないような情報をできるだけ収集をするという努力をしておりますので、感覚的にはやや国外の方が多いというふうな感じでございます。
  148. 三治重信

    ○三治重信君 いま一点、ひとつ御質問しますが、アメリカのCIAやソ連のKGBというんですか、それから韓国のKCIAというものみたいなのをつくろうとすると国内ではなかなか大変なことになろうかと思うんですが、こういうような権力的な情報機関というのは、やはり日本では大体つくることからしてほとんどむずかしい。いかに後藤田官房長官が強力といえども、つくろうとはされないだろうと思うんですけれども、しかしそうかといって、私はやはり相当な情報を集める機能というものを余り広げると、そこの焦点がぼけてしまうんではないか。したがって、何か主なところへ集まっていく一つの大きな情報の筋といいますか、戦前に同盟通信社を一生懸命育てたみたいに、民間の機関も先ほども何かある程度委託をいろいろされているわけなんですが、そういう民間の調査機関でも筋のいいのというんですか、やはり政府として必要な情報を集めるために、余りあちこちの機関に、それぞれ専門的に利用するのは結構なんだけれども、筋とすればやはり一つの大きな情報の正しいルートをつくる、民間の機関を二、三あるいは一つに限って重点的に育てるような工夫が必要ではないか。  事実、やはり最近ではアメリカのニューズウィークなりあるいは有力な調査機関が発表したことは、アメリカ政府にも非常に重要な影響を及ぼすし、またほかの世界にも貴重な資料。それはなぜかというと、これは相当正確なしかも重要な情報、政府としてはちょっと出せぬようなことでもやはり関心のあるものを出しているからだと思うんですよね。それだけ情報機能が進んでいるんじゃないかと思う。だから、そういうやはり世界的な情勢を正確に反映するのをまあ官製ではできないにしても、民間のそういう機能を育成する、それをしかも日本として少数から育成をしていく方向というものはひとつ考えてもいいんじゃないかと思うんですが、そういうことについて、まあ相当な抵抗がやり方によってはあるかもわかりませんが、どういうふうにお考えになっておられますか。
  149. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) CIAであるとかあるいはKGB、GRUあるいはKCIA、あるいはフランスのSDECE、いろいろ各国そういう情報機関がありますが、私はこれらの機関でよくないなと思うのは、謀略をやるからじゃないでしょうかね。だから、むしろこういう機関でも謀略でなしに情報を集めるということは私は大変重要な、独立国家としては必要なことであろう、こう思うわけです。  ただ、その情報を集めるにしても、実際はいま、三治さん御案内のように、私は九割以上は公開の資料を精密に集めて精密に分析をするならばおよその情勢判断はできる、こう思いますね。だから、そういう意味合いで、やはりこれから先われわれが努力をするとすれば、そういう面で公開資料を広範に集めて、それの分析、そして判断ということではなかろうか。そういう意味合いにおきまして、いま三治さんが御提言になったような、民間にもいろんな機関があるわけですね、商社であるとか通信社であるとか、いろいろございます。これらはみんな公開資料でございますから、そこらの資料をよく利用さしていただくといったような方向にやっていくのが一番無難なやり方、しかもこれは必要なことではなかろうかなと。もちろん現在、調査室等ではそういった関係で、わずかな予算ではございますけれども、また人員も百二十名ですか、わずかな人員で、海外にもほとんど駐在員は出していないんです。こういった点はこれから先の一つの検討課題かなと。しかし、これはよほど慎重に扱いませんといかぬのではないかなと、かように考えております。
  150. 三治重信

    ○三治重信君 長官、結構です。室長だけ残っていてください。  そこで、いまから事実問題の関係、一、二お尋ねいたしますが、先進国の中では珍しい日本の総合商社というのは、世界に網を張り、商売をやっている。これはやはり早く情報を集めていろいろ商売やることによって契約をよけいして、もうかる、こういうことなんだから、だから総合商社が成功するかしないかというのは、もうかる、また取引のできるそういう情報をできるだけ早くたくさんつかむことだから、相当この情報機能を強化していることだと思うんですが、そういうことについてどうも私たち一、二、たまにしか海外へ行かぬですが、そういうことの出先機関の相互の関係についてのやつはわりあいに在外公館等も、まあ小さいところはわりあいにつき合っているところもあるんですけれども、先進国の中ではそんなにそう情報交換が行われてないじゃないか、こういうふうな感じも持つわけであります。したがって先ほど、海外情報の方が多いかなというような問題になってくると、海外のそういう総合商社なりジェトロなり、そういう商売という問題でこれは彼らやるけれども、やはりこれがまた国益につながる問題も相当あるんではないか、こういうようなものの相互連関をどう考えているか。  それから、外務省とか通産省というのはわりあいにいままでの調査のやつとして、お互いに大体腹いっぱい情報交換をやっている長い慣習があると思うんですね。ところが大蔵関係というのは独自に自分で、出先は外務省の所管に入れているけれども、実際は大蔵官僚――大蔵の出身のやつは上へ上げないで直接大蔵本省の方へむしろやって、出先も外務省にも重要なことは余り報告しないという慣習があるように聞いているわけなんだが、しかしこれから、日本がこういうような状態で経済大国ということであるから、経済的な問題で日本の国益がどう判断されるか、それにどう対応するかということが今後非常に重要なことなので、大蔵の金融財政、金融情勢、ことに私は金融関係というのは、これは国際金融戦争というんですか、というものは必ず起きてくると思うんです。  それから先ほど長官が言われた、ほかの国の情報機関で謀略をやっているがあれはよくない、あれはやるつもりはない、これも私は賛成で、けれどもしかし、いわゆる国際的な治安関係、警察の方もそういう国際的な情報の出入りが非常に多くなれば多くなるほど国際的な犯罪というものの防遏のための情報を相当収集する。したがって、総合的にやると、先ほど長官の言われたように、防衛と警察というものを入れられる。それは最近若干緊密な情報交換になっているかもわかりませんが、さらに私は、金融関係や経済情勢を通産、外務だけでなくて大蔵関係も相当入れていく方がいいんじゃないかと思うんですが、そういうことについての御所見をひとつ。
  151. 鎌倉節

    政府委員(鎌倉節君) お答えを申し上げます。  海外の情報につきまして私どもができるだけ幅広く正確な情報をキャッチするというためには、海外にあります接点をできるだけ多くしていく必要があるというふうに考えております。そのために、在外公館というのはこれは外務省を通じまして協力をいただいておるわけでございますが、そのほか私どもが利用を非常にしやすいといいますか、各通信社あるいはマスコミ等も世界各地に散らばっておりますし、そのほか、いまお話のありました商社というのもそうでございますが、そのほか建設会社であるとか海運会社であるとか航空会社であるとか、海外に人を派遣しておるところというのはいろんな情報が入ってきますので、広く民間のそういう各、海外に拠点のあるところの方々の御協力を得まして、できるだけ広く情報を収集をするというふうな努力をいたしております。また、公的な機関につきましても、外国政府のそれぞれの機関もございますし、そういうところは外務省等を通じまして広く情報交換できるような体制に持っていきたいという努力をしておるところでございます。  いま御指摘のありました財政上の問題につきましては、実は内閣調査室自体が各省庁の職員が全部で十一省庁集まりましてでき上がっておりますので、そういう人的な面を通じましてもスムーズな各省庁の情報が交換できるようにということで、各省庁の情報につきましても努力をしておるところでございますが、大蔵につきましても、大蔵省の方から私どものところに主管の人が出向し ておりまして一緒に仕事をしております。そういう人たちを通じまして財政上の情報等につきましても必要なものをいただいております。  必ずしも現状がすべて完璧にいっておるとは思いませんので、御指摘のような欠陥を補完しながら、できるだけ内閣が重要施策を進めていきます上で欠陥のないように、情報の面で落ち度がありまして十分な行政ができない、あるいは政治ができないということのないように努力をしていきたい、このように考えております。
  152. 三治重信

    ○三治重信君 御意見だけ結論的に申し上げておきますが、そういうふうにして情報を集める、また各省の持っているのはわりあいに内閣調査室として情報収集、分析というものは役人同士だから非常に気安くやっていけると思うんですが、しかしそれだけではやはり独善的なものになるので、むしろそういう世界の情勢を、先ほど官房長官が言われたようにオープンな情報資料から正確な判断を得たいと、また、それはもう世界の先進国どこでもこれだけ情報が発達したら、ことにマスコミも発達してくると、そういうものからも正確な判断をするためには、やはりその判断をする優秀なスタッフが必要だと思うんです。それを、役人ばかりじゃなくて、役人の情勢分析、判断とともに、専門の民間機関のスタッフ、情報を分析する調査機関の優秀なスタッフを養成するというんですか、それに期待をすることを私は特に望んでおきたいと思うわけであります。その点ひとつ、そういう意味において、民間の調査機関の情報収集というか情報分析の判断の人材、情報の収集分析のスタッフの養成に特にひとつ力を入れてほしいと、こういうふうに望んでおきます。以上でございます。  それで、今度は総理府本府の方にちょっと一つだけお尋ねをしたいんですが、総理府の方には啓発広報費と広報委託費、これは主に、いまのは情報の問題ですが、今度は国内に、政府としていろいろ国民に、あるいは各種機関に知ってもらいたいことをこれだけ非常な金を使って広報をしようとするために予算が計上されている。これはもう情報費のことから見ると非常にたくさんの経費だと思うわけでありますが、この啓発広報費というのは主に総理府本府が直接使う金であろうと思うんです。それから広報委託費というのは、地方公共団体、民間団体、こういうふうに書いてあるわけだから、主にそういうふうな団体にこの広報費を交付して、そして新聞、ラジオ、テレビその他雑誌、機関誌というところの費用に充てると思っているんですが、これについてひとつ御説明願いたい。
  153. 小野佐千夫

    政府委員小野佐千夫君) お答えいたします。  まず啓発広報費でございますが、これは、国民各層に広い読者を持ち生活に密着した媒体でございます新聞、週刊誌、月刊誌といったそういう広報媒体の紙面を購入していわゆる広告形式の広報を行うものでございます。それからもう一つの分野といたしましては、行政施策をわかりやすく解説した「フォト」「時の動き」等の広報出版物の買い上げ、配布などを行う経費でございます。  それから広報委託費でございますけれども、これは先ほど先生御指摘のように、国民に直結しております放送媒体、ラジオとかテレビ等の民間放送を利用する経費でございます。それから地方公共団体との連携の緊密化を図るために都道府県に対しまして政府広報の実施を委託する経費でございます。それから最後でございますが、広報活動の一環として、広報映画でございますとかムービースポットといったものの制作を行いまして一般映画館等で上映を行う等の経費でございます。
  154. 三治重信

    ○三治重信君 時間が来ましたようですからもう質問はやめますが、どうかひとつこれマンネリ化しないで、この時の移り変わりによく合って国民にわかりやすいようにひとつ努力をしていただければありがたいと思います。  以上をもって質問を終わります。
  155. 大島友治

    ○理事(大島友治君) 本日の委嘱審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時散会