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1983-05-10 第98回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十日(火曜日)    午前十時九分開会     ─────────────    委員の異動  四月十八日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     沓脱タケ子君  四月十九日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     山中 郁子君  四月二十七日     辞任         補欠選任      沖  外夫君     堀江 正夫君  四月三十日     辞任         補欠選任      堀江 正夫君     沖  外夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         八百板 正君     理 事                 長田 裕二君                 高橋 圭三君     委 員                 小澤 太郎君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 長谷川 信君                 片山 甚市君                 福間 知之君                 太田 淳夫君                 白木義一郎君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  桧垣徳太郎君    政府委員        郵政大臣官房長  澤田 茂生君        郵政大臣官房経        理部長      奥山 雄材君        郵政省簡易保険        局長       魚津 茂晴君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        厚生省社会局更        生課長      池堂 政満君        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社総務理事    西井  昭君        日本電信電話公        社技術局長    村上  治君        日本電信電話公        社職員局長    児島  仁君        日本電信電話公        社営業局長    信澤 健夫君        日本電信電話公        社計画局長    池沢 英夫君        日本電信電話公        社経理局長    岩下  健君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。桧垣郵政大臣
  3. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま議題となりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  この法律案は、簡易生命保険及び郵便年金特別会計保険勘定積立金運用範囲拡大することを内容とするものであります。  現在、外国政府等の発行する債券、信託業務を営む銀行または信託会社への金銭信託元本補てん契約があるもの及び金融機関への預金運用する積立金は、簡易生命保険及び郵便年金特別会計年金勘定積立金に限るものとされておりますが、簡易生命保険加入者利益増進を図るため、保険勘定積立金についてもこれらに運用することができるよう、その運用範囲拡大しようとするものであります。  なお、この法律施行期日は、公布の日からといたしております。  以上、この法律案提案理由につきまして御説明申し上げました。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 八百板正

    委員長八百板正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 福間知之

    福間知之君 ただいま大臣から趣旨説明をいただきました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に関しまして若干の質疑を申し上げたいと思います。  まず、法案に入る前に、簡易保険あるいは年金事業の今後の方向についてどうお考えなのか、基本的な姿勢をお伺いしたいのですが、御案内のとおり、先般臨調が最終的な答申ということで、いわゆる官業民業補完に徹すべきだという基本的な考え方のもとに、簡保あるいは年金事業についてもこの際事業あり方を見直す必要があるという見解に立っているような内容答申されたと思います。郵政当局はこの答申をどのように受けとめておられるのか、あるいはまた、今後両事業をどういう方向運営をされようとしているのか、基本的な事業運営方向についてお伺いをしたいと思います。
  6. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 臨調最終答申中身といたしまして、ただいま先生からお話がございましたように、いわゆる官業民業補完に徹すべきであるという哲学が基調として流れていると思うわけでございます。しかしながら、私ども郵政省といたしましては、国営簡易保険郵便年金事業は、簡易性普遍性の特色を持って、単なる民業補完にとどまることのない独自の役割りを持っている事業だと、基本的にそのように考えておるところでございます。  したがいまして、簡保事業は、国民に対し生命保険の普及を図り、時宜にかなった制度改善新種保険開発に努めるとともに、事業経営効率化等を積極的に推進しまして、国民経済生活の安定と福祉増進を図っていく所存でございます。
  7. 福間知之

    福間知之君 臨調答申中身を見てみますといろんなことが書かれてあるわけですね。  簡易生命保険は、まず、創設以来小口で簡易な保険として普及し、民間生命保険採算上及ばない分野においても生命保険サービスを提供するなどの役割りを果たしてきた。あるいは、その資金社会資本の充実など公共的分野運用され、そして国民福祉の向上に役立ってきた。こういうふうな認識が一応なされておるわけであります。  しかし、昨今は、簡易保険もあるいは民間生命保険も合わせまして世帯当たり加入率というのは九二・三%まで高まっておって、保険業界というのは一種の飽和状態にある。生命保険市場において簡易保険はすでに三四・四%の資金シェアを占めている。これからの民間との競合が深刻化するおそれがある。  さらにまた、一方民間においてもかなり厳しい行政的な規制によって競争が十分行われていない実情がある。だから、民間においても、今後実質的に競争を促進するための施策を強力に進めるべきだ。こういう指摘も一面なされておるわけです。  もちろん、具体的にしからば、その強い行政規制というものがどういう中身であって、それをどう改めるべきかというところまでは言及してない。まさに、これは一つ哲学というか、基本的な認識を示したにとどまっているわけです。  それに比べると、この簡易生命保険についてはまさに民業補完するという位置づけに徹してやや具体的な提言を行っておる。しかも、かねて問題として指摘されてきた郵便貯金事業経営あり方、これを見直すときにはあわせてこの簡易生命保険事業についても同様に対処するよう検討する必要がある、こういう考え方が示されているわけですよ。  そこで、これをずっと見てみますと、当面この簡易生命保険事業経営形態につきましては、いまの年金、あるいはまた郵貯、この三つ事業一体化して運営している現状を一応是認はしていると思うのですけれども、しかし将来的には、先ほど申した郵貯経営形態あり方変更を議論することとあわせて検討すると、こういうことになりますと、これは一つの将来方向としての大きな変更が示唆されているような気がするわけで、三事業一体化から独立化していくと、そういうような方向が示唆されているというように思うわけですけれども、これは一体郵政当局はそういうふうに受けとめておられるのかどうか、お伺いしたいのですが。
  8. 澤田茂生

    政府委員澤田茂生君) 臨調最終答申によりますと、三事業あり方、将来について、当面は現行の国営形態を維持していくということが書かれているわけでありますが、将来のあり方ということについては必ずしも明確な提言がなされておりません。当面の三事業一体として運営していく中でいろいろな問題点指摘をし、それらについての配慮を求められているところであるわけでございますけれども、しかし、私どもの行っております郵政事業、御案内のように国民日常生活に欠かせない多くのサービス郵便局を通じて、不採算地域あるいは不採算分野というものを含めて全国あまねく公平に提供しているというわけでございまして、御指摘郵便あるいは貯金保険、こういった三事業一体として運用していることによって、局舎あるいは要員の配置等効率化あるいはコストの低減を図るということができるわけでございます。  三事業一体と申しましても、独立採算制のもとにそれぞれが事業努力を重ねるということによって公共性の高い国民の基本的なサービスを提供することが可能になっているという仕組みでございます。  なお、利用者利便という観点から見ましても、郵便局というのが国の機関として地域に密着し、最もなじみの深い国の機関であるわけでありますが、その郵便局において国民生活に不可欠ないろいろなサービスが同一場所において受けられるということは大きな利便であるわけでありますので、こういった国民生活に基本的な公共性の高い郵政事業というものを効率的に提供していくというためには、今後とも三事業一体として運営していくということが必要不可欠であると、こういうふうに考えているところであります。
  9. 福間知之

    福間知之君 いま官房長の方からもそういうお答えがありましたが、これはもちろん魚津局長立場からもそのとおりと考えてよろしゅうございますか。
  10. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) そのとおりでございます。
  11. 福間知之

    福間知之君 ただいまの御答弁にもありましたように、三事業一体運営していることによるメリットが非常に大きい。もちろんそれぞれの事業分野で一層の効率化合理化を諸般の面で追求し努力を果たしていかなきゃならぬ。こういうことはもう当然でございますけれども、仮にそれぞれの事業体を分離独立さしていくということになると、これは一口に言って郵政省の解体につながっていくわけでございますので、単に事業合理化という視点のみからではこれは考えられないことだと思うんです。そういう意味で、将来方向はもちろん、いま臨調答申も具体的に指し示しているわけじゃありませんので、これからの課題ではありますが、十分ひとつこれは当委員会でも議論をしていかなきゃならぬ、そういうふうに思う次第でございます。  それから、具体的な法案中身でございますが、今回のこの改正案簡易保険積立金運用範囲郵便年金積立金並みにひとつ拡大しようということになっておるわけであります。しからば拡大される対象範囲運用対象というものは一体どのように考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  12. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 先生ただいま仰せのとおりでございまして、昭和五十六年に年金制度を大幅に改正をしましたときに、年金勘定積立金運用範囲改正していただいたわけでございます。それと全く同じものにしようという趣旨でございまして、具体的に申しますと外国債金銭信託元本補てん契約があるもの、それに金融機関への預金と、この三つのものを新たに追加しようと、こういうことでございます。
  13. 福間知之

    福間知之君 いま御説明のとおり、五十六年の九月からでしたか、郵便年金積立金についての運用範囲拡大が行われてきた。その中でただいまのお話の中にありましたたとえば外国債に対する運用が行われてきたというわけですが、その実績を概略御説明願いたいと思います。
  14. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) まず端的に申しまして、現在外国債には六十三億円運用しているところでございます。その内訳といたしまして、外貨建て債といたしまして、カナダドル建てカナダ国債が十四億円、円貨建て債では、フランス産業開発金融公庫債が二十五億円、欧州鉄道金融公社債が七億円、デンマーク王国債が二億円、フィンランド共和国債が十五億円、合計いたしまして六十三億円というところでございます。
  15. 福間知之

    福間知之君 この点について後ほどちょっとまたお聞きをしたいんですが、あわせまして、しからば現在の簡易保険資金量総額あるいは年金資金量総額、それぞれどれくらいになっておりますか。
  16. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 五十八年の四月末で簡易保険資金が二十兆三千百六十七億円、郵便年金資金が九百五十四億円で、合計いたしまして二十兆四千百二十一億円と、こういうことになっておるわけでございます。
  17. 福間知之

    福間知之君 簡易保険で二十兆三千億円強、年金の方で九百億円強、こういうことのようでございますが、この両者比較しますと格段の差があるわけですね。したがって、簡易保険積立金がこの法律改正運用対象拡大されていきますと、年金のその場合とは違ってかなり運用利益というものが期待されるわけです。どれくらいの運用利益改善拡大につながると見ておられますか。
  18. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) このたびの法案改正をお認めいただくとすれば増収がどの程度かということでございますが、これは御案内のところと存じますが、一概に幾らという額が決まらないわけでございます。つまり、そのときどきの金利水準あるいは外国債等にどの程度資金を現実的に投入するかという可変的な条件がいろいろとございますので、一概には確定した額は申し上げられませんが、私どもいろいろのそういう条件をかなり厳しく計算をいたしまして、大体昭和五十八年度、本年度では四十億ないし五十億の運用収入増収と、そして五年後になりますと、五百億ないし六百億程度増収が期待できると、こういうふうに考えているわけでございます。  ちなみに、その運用収入というのは最近どれくらいあるんだということについてちょっと申し上げますが、五十六年度の運用収入は一兆一千九百三十二億円でございまして、五十七年度はまだ決算が終了いたしておりませんので試算という段階でございますが、一兆三千八百億円程度と、そういう額の中でことしが四十億ないし五十億程度増収と、こういう私ども見積もりをいたしているところでございます。
  19. 福間知之

    福間知之君 いまの御説明はそれなりにわかるのですが、たとえば年金の方でいままですでに運用されているわけですね。それに対して、今度簡保の方がかなりそれよりも大きな額を運用に投入できるわけですから、大体その比率からいっても年金がいまどれくらいになっているのか、あるいはそれを運用した場合に今度はどれくらいになるのかというのは大体見当はつきますが、そういう意味も持っておるわけですか、そのいまの発表された数字は。
  20. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) そのとおりでございます。
  21. 福間知之

    福間知之君 ところで、今回の法改正が行われたとしましても、まあ運用範囲拡大するということにはもちろんなるわけですけれども、問題は、運用ができる資金の枠がどこまで実際問題として拡大できるのか、それが問題だろうと思うんですね。それが法改正による効果を左右する、こういうふうに思われるわけです。過去の実績を見ましても、昭和三十年に金融債を、三十八年に電力債運用できるようになったわけですけれども、実際は大蔵省がそれらへの長期運用をなかなか認めない。実際認められたのは四十八年度からだというふうに資料では読み取れるわけです。四十八年になってようやく長期運用が実現している。実際に認められたのは三十年ですが、十八年も大蔵省長期運用を認めなかった。こういうふうな実績があるのですが、そういうことなのかどうか確認をしたい。  それから、われわれの知るところによりますと、今回の運用範囲拡大に当たりましても、大蔵大臣郵政大臣、さらには自民党の政調会長というのですか、この三者による一つ申し合わせがあるわけです。ここにその写しがあるのですが、これは昨年十二月の二十九日、大蔵大臣郵政大臣自由民主党政務調査会長、この三者の連名で確認されているわけでございます。一口に言うと、簡易保険年金資金財政投融資に対する協力を強化するという原則に立って、その上で一定の枠を設けて自主運用郵政省ができるというふうな考え方に立っておりますね。しかし、具体的には、このところ若干郵政省自主運用の枠を拡大してきたところですが、それを圧縮するというふうなことになっているようであります。昨年度で運用計画に占める財政投融資協力分の割合は六五・四%、これは従来から見ると若干下がってきたのです。それを今回は七二%に高める、五年経過後はそれをもう一度見直す、こういうふうな中身申し合わせですね。これは一体どういうふうに考えているのか、大臣にちょっとこの点はお伺いします。桧垣大臣申し合わせのときの大臣、当時者ではなかったかと思うんですけれども、一応現大臣として、こういう申し合わせははなはだ納得がいかないのですけれども、いかがお考えですか。
  22. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 五十八年度予算の編成に当たりまして、簡易保険運用範囲拡大の問題を私どもとしては財政当局に要求をいたし、また財政当局の方からは簡保郵便年金特別会計積立金財投融資への協力を強く求められる、そういう関係で実は事務当局間の折衝では決着がつかなかったわけであります。そこで、自由民主党政調会長立ち合いのもとで大臣折衝を行ったわけでありますが、まず簡易保険運用範囲拡大につきましては、いま法案として御審議を煩わしておりますような方向外国債あるいは元本補てんのある金銭信託金融機関への預金というものが認めていいということになったわけでありますが、簡保年金特別会計財投協力の幅につきましては、これは一面においては簡保特別会計資金有利運用という点から言えば財投は比較的低利でありますから、できるだけ少ない方がいいわけであります。しかし一方、この金は一面においては国営事業によって集められた国家資金であるわけで、国の資金であるという性格を持つものでございますから、現下の大変厳しい財政事情のもとで財投運用による財政補完的な機能というものに目をつぶるわけにはまいらないと私は大臣としては判断をいたしたわけでございます。  それからもう一つは、これは私の思い過ごしかもしれませんが、過去においては大変高い財投協力を求められたことがあるわけでありまして、たとえば八五%などという高い財投協力時代があったわけでございます。これからの財政の見通しは私もよくはわかりませんけれども、決して楽なといいますか、財投依存力というものが減るという時代は私はなかなか来ないのではないか。そういうことになりますと、毎年毎年財投への協力をめぐって申し上げましたような有利運用の問題と国の財投計画協力という問題が問題になるということについてはいかがかというふうに考えまして、余り長期平均額では好ましくないと思いまして、少なくとも過去五年間の実績平均というのであれば、これは実績の上に立つものであるからまあ郵政大臣としてはこれをのもうという決断をいたしたわけでありまして、ある意味財投への協力について、ある期間安定的な水準郵政省としてもいわゆる完全な意味での自主運用の幅というものがあらかじめわかっておるという状態をつくることにも意味があると思いまして申し上げましたような決断をいたしたわけでございます。
  23. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) ただいまの七二%論議は大臣答弁のとおりでございまして、何ら私が補足する余地がないわけでございますが、先ほど運用範囲改正の経緯という点についてお触れになったことについて私からもう一度この点を申し上げておきますが、この金融債に対する短期運用開始が三十六年の十二月からでございまして、そして電力債運用範囲対象になったのが三十八年の七月からでございまして、そして電力債金融債への長期運用開始が四十八年の四月から、こういう事実でございます。
  24. 福間知之

    福間知之君 大臣説明もわからぬではないのですけれども、もともとこの法案と関連して後でお聞きをしようと思ったのですけれども余裕金の扱いについても考え方の面でやはり問題があるような気がするわけです。大臣のお言葉の中に、国営事業として集めたお金であり、これは国家資金だといういま表現がありましたけれども、これは一概にそれで割り切れるものではないと私は思っているわけです、国家資金ということで割り切っていいのかどうかですね。私は、税金とは違う。これは任意に皆が預けた金だと、こう思っていますし、一方、民間との競争関係もこれあり、やはり国民利益考えた場合にはその運用についてももっと郵政当局はシビアに対応してしかるべきものだと思っているわけです。運用法によってもその運用権というのは、あるいはその管理権というのは郵政大臣が掌握されているわけですけれども、これは全く有名無実になってきているんです、昭和二十八年以降。そういうところに一つ問題があるので、郵政当局として財投協力をしなきゃならぬという現状、そういう実態にさらされているんだということはこれはわかるのです。これはわかるのですけれども、やはり郵政当局としては、集めた金を管理し、運用する権限を持っているという立場では最もその主張を強くしていただかなきゃならない立場にあると思っておりますので、これは後ほどまた余裕金の面でもお聞きをしたいと思っておるわけです。  ところで、いまの五年間の平均でほぼ七二%ということで了解せざるを得ないと判断した。それで、反面当局としても自主運用の枠のめどが立つ、こういうことは確かにそうだと思うのですけれども、しからば五年後にこの申し合わせにあるように社会経済情勢、あるいはまた簡保年金事業経営状況などの推移に応じて改めて検討する、こういうことになっておるわけですけれども、そのときには、私はぜひひとつ自主運用の枠が拡大されるように努力を願いたいと、そういうふうに思っております。  ところで、この運用法第二条によりますと、先ほど申したように、「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」と、これ明記されているところでありますけれども、いま申し上げたような三者了解事項によって、今後の運用に大きな制約が課されるわけでございます。  最後に聞いておきたいのですけれども郵政当局は基本的にこの問題については、いま申した運用法の精神からしてもどうあるべきだとお考えですか。
  25. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほど私が御答弁申し上げました中で、簡保年金特別会計積立金も一面において国が集めた国家資金であるということを申し上げましたが、これは一面においてと申し上げておるわけであります。私は本質的にはこの特別会計資金は、将来簡保あるいは年金への加入者保険金として、あるいは年金として受給を受けるべき共同準備財産だという性質を持っておると心得ておりますので、いわゆる税金で徴収した国家資金というふうには思っておるわけではございませんので、多少舌足らずのところもあったかと思いますので、その点は重ねて補足をさせていただきたいと思っております。  なお、運用法二条の規定は、いま御指摘のあったとおりでございまして、この積立金郵政大臣が管理し、運用するものであり、その責任を負うものであるというふうに思っておりまして、できる限り有利に運用をしていくということが大切であると、私も思っておるわけであります。  で、七二%、過去の五カ年平均をめどに協力率を了解し合ったということは、これは申し上げましたように、私の方から言うならば、大蔵省もこれ以上は要求しないということを約束をし、私の方もこの限度までは協力をしましょうという約束をしたことでありますが、法律を超えて拘束力があるという性質のものであるとは私は思っておらないのでございますが、役所には、行政内部には行政内部の、何といいますか、仁義というようなものがあるわけでございますから、これはやはりむげに無視をするわけにはいかないことになると思います。  五年後におきましては、私は時の財政事情財投計画の情勢がどうなるかというようなこともあろうかと思いますが、基本的にはただいま申し上げましたように財政再建もその間に進むであろうとは思われますし、もっと一層有利な運用ができるようなことを郵政省としては方向づけるように努力をしなければならぬことであるというふうに思っております。
  26. 福間知之

    福間知之君 じゃ次に、この簡保年金資金運用に関しまして、まだ民間保険に比べますと、その運用範囲はかなり制約があって、結果として民間と格差が大きい。手元の資料によりましても、十九か二十ほど運用対象はあるわけですけれども民間はもちろんこれはもう全くフリーで、すべての対象に自由に投資ができる、あるいは預け入れができる、こういうことです。簡易保険の場合、いままでは年金がそうであったわけですから、年金の場合は自由に運用できる対象は四つですね、一部制限があるのは四つです。国家公務員の共済組合の資金年金よりも多いのですよ。年金運用対象の三倍、十二項目対象範囲があるんです。そういう点から言っても、結果として両者の利回り、民間との比較でその利回りの差がかなりあると思うんですけれども現状をどういうふうに把握されていますか。
  27. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) まず、この両者を比較して、結論を申しますと、ほんの一時的な現象として民間生保の利回りよりも私たち簡保年金運用利回りが高いことがございましたが、これは例外的な現象だと思います。したがって、その差が年々によって変わってまいりますけれども、現在のところ、先生仰せのとおり、私ども運用利回りが低いという現状でございます。  これを具体的に申し上げますと、四十一年度以降五十一年度まではほぼ一%ないしはそれ以上の格差があったわけでございます。それで、五十二年度、五十三年度は、いわゆる世の中が超低金利の時代でございましたため、総資産に占める企業貸し付けの割合が高い民保の場合は、簡保に比べまして市中金利の動向に敏感に反応するというようなことがございまして、五十二年度は格差がうんと縮まって、そして五十三年度は一時的要因というようなこともあったんですが、簡保の利回りは七・二九%でございましたが、民保は六・八七%ということで、このときが先ほど申し上げた一時的な要因ということもございまして、簡保の方が利回りが高かったわけでございます。しかしながら、比較的高金利の五十四年度になりますと、簡保が七%、民保が七・一 %。五十五年度においては簡保が七・三五%、民保が七・六五%。五十六年度においては簡保が七・四四%、民保が七・七八%。こういうことになっておりまして、簡保が民保を下回っておる。それで、まだ決算が済んでないということを、先ほども申し上げたわけでございますが、五十七年度の試算によりますと、五十六年度の七・四四%の運用利回りが〇・〇五%、つまり七・四九%になると、こういうふうに私ども見ているところでございます。
  28. 福間知之

    福間知之君 これからさらに運営範囲が拡大していくわけでございますし、金利の上下変動というものもありますから、そこは確かにいま予測することはむずかしいですけれども、いま御説明あった程度の民保との格差でも、今度は投入資金が大きくなりますと結果が拡大いたしますので、これは十分にベストをひとつ尽くして運用に当たってもらわなきゃならぬ、こういうふうに思うわけですけれども、そもそも先ほど、臨調答申にもいろいろ書いていますように、結果として民保と競合関係にあるということになりますと、やっぱり国民に対するサービスとして、より国民にとって有利な商品を提供していかなきゃならぬという立場は、簡保といえども同じだと思うのですね。民保と差はないと思うのですよ。そういう点で、国営事業でやっているから利回りは悪くてよろしい、あるいは加入者には一定以下の利益を与えておけばそれでよろしい、そういうものではないわけですので、そういうことでは簡保事業目的にも反するということに通じますから、そういうことを極力避ける、最大限利回りのいい運用をひとつ図っていく、こういうことに徹してもらいたいと思います。具体的には、これからの対象範囲というのは拡大するとは言うけれども、どういうものを考えておられるのかということをお聞きをしたいと思います。  それから次に、運用範囲拡大もさることながら、資金運用制度改善についてかねがね当逓信委員会でも附帯決議を再三にわたってつけてきた経過があるところの余裕金の直接運用という事柄についてであります。郵政省は、この余裕金の扱いについて、今次法改正に対しても何ら積極的、具体的提案をされておらないのですけれども、この余裕金については、簡易保険年金特別会計資金でございますけれども、これは他の政府会計の余裕金と性格が違う、こういうことを当委員会ではかねがね言ってきているんですね。今回、そういうことについても一言半句も当局としては触れておらない。これは少し奇異に感ずるのですが、その点もあわせてひとつお伺いをしたいと思います。
  29. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 今後の運用利回りを向上させるために具体的にはどのような運用範囲改善考えているかという、前段の質問は要約すればそういうことだと思います。  私ども保険経営をやる立場からいたしまして、保険経営というのはおかげさまで順調に推移しておりまして、毎年剰余金の増配ということを昭和四十三年度から続けているわけでございますが、その剰余金の生み出すもとになるのは、観念的には、死差益という死亡率の問題、それから事務費の節減という事業費差の問題、それから運用利回り、こういう三つのファクターがあろうかと思いますが、最近の実態からいたしますと、何といっても利益を生むもとになるのは運用利回りである。つまり、死差益といっても、かなり向上してまいりまして、今後そう大きく改善するということは期待できないというような状態になっている。それから事務費の節減といいましても、合理化等によってかなりその辺のコストダウンも図ってまいりましたので、今後期待できるのは何といってもやっぱり運用利回りを向上させるということであるということを、保険経営に当たる者の基本認識として私ども持っているところでございます。  そこで、具体的にどうしたらいいのかということでございますが、まず、現在の客観情勢からいたしますと、日本経済の国際化の進展、高利回り商品の相次ぐ開発という、金融環境が著しく変化をしているという社会経済の認識を持ちまして、さきに言いました、保険経営にとって必要なものは運用利回りであるというようなことからいたしますと、私どもは、結論的に考えておりますのは、投資信託、それから公共的銘柄の株式、こういったものを早い時期に国会の御賛同も得て、もちろんその前提に政府内の合意ということも必要でございますが、ぜひとも近い将来、実現をいたしたいというふうに考えております。それから、民間あたりで、それから国家公務員の共済組合でもそうなんですが、不動産への運用というような点がございますが、この点になりますといろいろ功罪もあろうかと思います。したがいまして、不動産の方に投資するというような点は多少検討を続けていかなくちゃならぬなというふうに考えているところでございます。  次に、余裕金の問題でございますが、かねがね附帯決議等で直接運用ということを決議していただいておりまして、私どもも、昨年の政府折衝の際に、運用範囲拡大するための問題と、いま一つ余裕金の直接運用と、二本柱で折衝したところでございます。ところが、結果といたしまして、余裕金という観念は、他の特別会計にもそのような余裕金の問題がございまして、そこでの全体的な法体系のバランスの問題、それからいま一つは、歴史的な経緯も実はあるわけでございます。簡易保険積立金も、戦前から保険余裕金につきましては直接運用がされていなかったというような歴史的な経緯も向こうが言いまして、今回は運用範囲拡大だけにとどめてもらいたいといういきさつがあったところでございます。私ども郵政省立場といたしますと、先生の仰せのとおり、余裕金積立金というのは単なる会計手続上の観念の差にすぎないわけでございまして、本質的には、将来の保険金あるいは年金支払いのための共通準備財産であるという点についてはいささかの違いもないことは重々承知をしているところでございますが、段階的にというようなことをのまざるを得ないということから、たび重なる附帯決議を承知しながらも、私どもはそこで昨年度については主張を続けることができなかったというような次第でございます。  いま余裕金というのは大体七・二%で運用しているわけでございますが、私どもの試算によりますと、直接運用するか、現在のような資金運用部に預託するかによって百数十億の運用収入が減ってしまうというような事実も重々承知しておりますので、近い将来、ぜひとも、先生方の御声援を受けながら、実現するために最大限の努力をいたしたい、こういうふうに思っているところでございます。
  30. 福間知之

    福間知之君 いま御説明がありましたわけでございますが、近い将来といっても、毎回毎回附帯決議つけてもなかなかうまくいかないのでございまして、困ったなと、こう思っておるわけです。確かにおっしゃるとおり、現在七・二%の運用利回りとおっしゃいましたでしょう。金額がいま五十七年末で二兆三千億という数字が出ているんですよね、かなり大きいんですよ。そういうことですから、税金が仮に今月何ぼ入った、再来月何ぼ入ったという筋のものじゃなくて、これ、みんな掛金がほとんどでございますので、積立金にかわる年度末までは、この二兆三千億プラスアルファがまあ何千億かずつふえてくるわけですね、一年間に。その間の運用は、僕は郵政当局でやれば、いまおっしゃったように七・二以上の利回り、二兆円強のお金が活用されるのじゃないかと、こういうことでございまして、確かに八十四国会、昭和五十三年に預託金の特別の利子というものが改善されたことはされたんですが、それでもいまおっしゃったように七・二だというのですから指摘をしているわけでございまして、これは改めてまた今後の課題にせざるを得ないと思います。  時間がございませんので、次に、簡易保険の被保険者一人当たりの最高制限額というものは、五十二年に現行の一千万円ということになって今日まで据え置かれているといいますか、変更されておりません。しかし、この間の国民生活の向上あるいは国民所得の向上などから、この生命保険期待金額というのはかなり上がってきているはずでありまして、ちなみに昨年の当局簡易保険に関する市場調査によりましても、期待額の平均は四千万円近くになっていると、一千万円の現行水準では国民のニーズにこたえていけないのではないか、こういうふうに思います。あるいは郵便年金におきましても、年金限度額は過般の法改正が行われたわけですけれども、当初郵政当局考えでは二百四十万円であったわけですけれども民間業界などの反対もこれあり、何と七十二万円に大幅にダウンをさせざるを得なかった、こういうような経過があります。当委員会でも、この制度改善法改正に際しまして、これまた附帯決議をつけて引き上げの要望をしてきたところでございますが、早急にやはりこの制限額あるいは限度額といいますか、引き上げをすべきだと思うんですが、どういうふうに当面対処されておりますか。
  31. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) まず、この簡易生命保険の最高制限額現行一千万円を、昨年の暮れ、これも先ほどの運用範囲拡大と一緒に、いま一つの大きな柱として一千八百万円に引き上げるべきであるという主張をしたところでございます。なぜ去年実らなかったかということを反省を加えながら考えてみますと、何といっても昨年は臨調が大詰めの審議をやっていた。臨調がどのような答申を出すか待とうじゃないかというような空気が非常に強かったという点が決定的な大きな理由であったと思います。  それからさらに、臨調答申よりも臨調哲学の中に民業補完論があるということはしばしば申し上げているわけでございますが、よしんばこの一千八百万というものが必要であるにしても、それから生命保険のいろいろの調査によりますと、四千万円ぜひとも必要であるという調査結果も出ております、その額が必要であるにしても、一定の額以上はむしろこれは生命保険と言いましても、民間生命に頼ったらいいじゃないかというような、民業補完論というような考え方もあるにはあるわけでございます。  それからいま一つは、今度の臨調答申の中にそういう文言もあるわけでございますが、保険料の負担能力がどうかというような点も議論として出たところでございます。一千万円でもかなり保険の種類によりますと月々相当払うということが所得の伸びが余りないという中で期待できるのだろうかというような問題も出たことは事実でございます。  しかしながら、私どもは、一方郵政省が伝統的に主張しておりますのは、保険金というのは単なる見舞い金ではないのだと、見舞い金じゃなくてやはり亡くなった場合の遺族の生活を保障するためのものであるということであるとすれば、そこにこの額が条件の変動によって変われば当然それによって引き上げるべきだという主張を続けまして、特に一千八百万円という金額は、五十二年の九月の一千万円と考え方としては全く一緒なのだと。生活費とか、医療費とか、葬祭費というものによって一千八百万円というものを改正方要求しているわけでございますが、考え方としては全然五十二年と変わってないのだというような主張を、向こうが、先ほど御説明したような理由を挙げて言ってきてもなお最後までがんばったところでございますが、最終的にはこれは大臣折衝によって決まったところでございますが、今後は引き続いてこの問題については折衝を続けるというような大蔵との間の合意を見まして今日に至っているわけでございます。  したがいまして、私どもの主張してきていた従来の立場、それから今日大臣折衝で引き続いてこの問題については折衝するというような合意があったということを踏まえまして、来年度はぜひとも最高制限額の引き上げということに最大限努力をいたしたいというふうに思っているところでございます。  それから、年金の問題は、端的に言いまして、私ども立場からまだ現行の七十二万円を幾ら幾らに引き上げるべきだという要求はしていないところでございます。いきさつとしまして、七十二万円の前に郵政省立場に立てばという額があったことは承知はしているところでございますが、何分期間がそうたっていないというようなことを判断いたしまして、出していないところでございます。しかしながら、これもやはり年金年金の機能を果たすために額というのはあるわけでございまして、その額が年金としての意味のない額にならないように、絶えず周囲の変化に目を向けてチェックしながら、必要に応じて改正要求を出してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  32. 福間知之

    福間知之君 保険金額のかさ上げについては、これはぜひ当局としても関係省庁との、あるいはまた臨調考え方も踏まえながら努力を願いたいと思うのです。臨調の方でも、これよくよく読んでみますと、加入者平均保険金額の水準ですね、あるいは先ほど局長がおっしゃった保険料の負担能力、家計所得の動向、さらには民間生保との関係簡易生命保険事業経営上の観点などなどを勘案して慎重に行うべきであると、さしあたって引き上げることについては問題があると、こういうふうな一つの結論のように思うのですけれども、いま申し上げた幾つかの具体的な要件は、まさに一千万円では低過ぎるという何物でも実はないのです。だから、一千八百万円という数字は、ちょっと先ほど説明でありましたけれども、せめてそれぐらいのことはやっていかないといかぬし、余り無理だとは思わないのです。  臨調答申でも、この簡易保険だけではなくて、三つ事業を通ずる改革の方向について中長期事業改善計画を立てろ、あるいは毎年度進捗状況を点検して事業内容事業成果を公表しろ、こうなっているわけですね。そうしますと、やっぱり事業というのはスピードの速い遅いはあるにしろ、あるいはまた拡大対象範囲というものに一定の制約があるにしろ、そういう事業計画展望というものを立てる場合に、どうしても前広で考える以外にないわけですよ。それをあれもいかぬこれもいかぬではこれは立てられないと思うのですね。単に内向的に合理化だ、効率化だということだけで事業が安定的に発展させられる筋のものでもないので、やっぱりそこは前広で考えていく以外にないわけですから、一定の制約はあるにしろ、一つ一つ、たとえば保険金額であれば保険金額、あるいは利回りのいいものに投資対象を広げるなら広げる、それぞれの面で一定の制約はあるにしろ、前広で考えていく以外に事業の展望なんか立てられないものですから、臨調のそういう精神は精神としても、全く事業を発展さしたらいかぬということは私は臨調としても言えないと思いますから、それは社会状況の変化に応じてそれぞれフレキシブルにやっぱり考え努力をしていくということであってもらいたい、そういうふうに思うわけでございます。  時間が参りましたので、最後に一点だけお聞きしたいと思います。  この運用範囲対象となる外国債などは、従来の運用対象とは異なりまして、相当専門的な高度な知識、能力を持って運用に当たらなきゃならない。加入者の貴重な信託財産である積立金を変動の激しい国際金融市場等において遺漏なく運用していくために、運用体制の整備、要員の措置、職員に対する教育などが欠くことができないと思うんですが、有効な資金運用に万全を期すために体制の整備という面について当局はどのように考えておられるかお聞きしたい。
  33. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 先生仰せのとおりでございます。  そこで、私ども具体的にどのようなことを考えているかということをお答えさしていただきますと、外国債運用する場合には、各国の政治、経済の動向や金融制度等を十分に把握するとともに、債券相場や為替相場をよく見きわめた上で慎重に運用することが基本であるというふうに考えているところでございます。    〔委員長退席、理事高橋圭三君着席〕 俗に言う為替リスクでございますとかカントリーリスクというようなことについては非常に広い情報、専門的な知識で分析をするということが必要だと思うわけでございます。このため、内外の金融機関等を通じてこれらの情報を収集するほか、専門機関に研究を委託するなど外国債運用に必要な知識、ノーハウの蓄積に今後とも努めていきたい。今後ともというのは、すでに年金勘定においてもこういう体制をとりつつあるということを申し上げているわけでございますが、しかしながら、今回の法改正によりまして年金積立金だけのときとは比較にならぬほど大量の外国債投資を行うこととなるので、今後は外国債運用のスペシャリストの育成、要員組織体制の整備充実など一段と運用体制を固めまして、加入者利益増進に努めてまいりたい、こういうふうに覚悟をしておるところでございます。
  34. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは引き続きまして、ただいま議題となっております法律案につきまして質疑を行わしていただきます。  最初に、簡易保険の普及率あるいは年齢別の加入状況ですね、これはどのような状況でございましょうか。
  35. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) まずこの普及率というのを加入している世帯ということでお答えさせていただきますが、世帯加入率簡保が五十七年度で五七・九%、それから民保で七五・六%、それから全生保で九一・二%という状態でございます。  それから、年齢別で申しますと、ちょっと煩瑣になるかもしれませんが、年齢別の加入割合が簡保の場合に零歳から九歳が二四%、それから十歳から十九歳が一四%、二十歳から二十九歳が八%、三十歳から三十九歳が一二%、四十歳から四十九歳が一四%、五十歳から五十九歳が一八%、六十歳から六十五歳が一〇%、こういう状況になっております。
  36. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 簡易保険国営生命保険としてあまねく国民に普及するように努めるべきじゃないかと思いますけれども国民がやはりいろいろと危惧を持っている点は、現在は物価は一応落ちついた状況にあるようでございますけれども、インフレに対抗できるかどうかということがやはり心配になる点じゃないかと思うのですが、その点に対する基本的な考え方をお伺いしたいと思うんです。
  37. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私ども、あまねく簡易のサービスを普及するという簡保の基本的な使命というものを振り返ってみまして、先ほどの年齢別の普及状況というような点を見ますと、言うなれば簡保のお客様として非常に層の厚いのは十歳までの学童――幼児と申しましょうか、それといまおはやりの言葉で言いますと熟年から老年というような層が非常に厚い。保障性として最も要請される青壮年層が加入として低いということは一体何だろうかということで、その理由を考え、そしてまた、その理由を考えて問題を解決することに私どもの課題があるというふうに思っておるわけでございます。  その点についてでございますが、まず考えられる第一の理由としては、保険金の最高制限額があるということでございます。保障ということに十分機能しない最高制限額というような点も一つの問題としてあると思います。  それから、魅力のある商品という点から見ますと、青壮年層にアピールするような商品というものにいささか欠けている点があるのじゃないかということは自省しているところでございます。この辺の点についても私ども早急に解決をしていかなくてはならぬ。今年の九月になると新しい奨励年度ということになるわけでございますが、奨励年度にはこの辺に着目した商品開発をぜひ実現したいというふうに現在詰めをしているものがございます。そういう商品の問題、それから運用範囲に制限があるということは、先ほど来申し上げてきたところでございますが、運用範囲に制限があるから運用利回りが民間に比べて低い。低いがゆえに実質的な保険料が高い面もあるというような点がこの青壮年層の最も保険の必要な層で売れてない大きな理由があるんじゃないだろうか、こういうふうに考えているところでございます。
  38. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かにいま局長がおっしゃったような点があろうかと思います。それで、これから魅力ある商品づくりに取りかかるということでございますので、その点での期待は私たち持つわけでございますが、先ほど、世帯加入率五七・九%というお話でございましたが、私があまねくと先ほど申し上げました点から、局長からもいろいろとお話あったわけでございますが、この点の課題、やはり簡保としての一つの使命があろうかと思うのですが、こうやって見ましても、世帯加入率というのはまだ半分にも満たないという点ですが、この点についてはどのようにこれから考えてみえますか。  いまの魅力ある商品づくりとかいろいろとおっしゃっているわけでございますが、制限額のこともおっしゃいましたけれども加入者に対するサービスの点もいろいろとあろうかと思うのですが、そういう点も含めてこれからの簡保経営あり方、まあ考えてみますと、いままで古い歴史がありますけれども、昔の契約、既契約の分については非常に少額契約が多いのじゃないかと思うのですね。皆さん方いろいろと努力されていると思いますけれども、新しい契約者を掘り起こすという面もあろうかと思いますが、いままでの行き方ですと、既契約の更改、これがいま中心になっているのじゃないかという感じがするのですが、これからの新契約の面についての拡大策についてはどのようにお考えでしょうか。
  39. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 問題の所在というのは、太田先生指摘のとおりだと思います。  未加入世帯というのは約四割あるということになるわけでございますが、さらにちょっとこの点を御説明さしていただきますと、簡保というのは、入っている割合が、年齢的に言いますと青壮年層が低い。それから、都市と地方とに分けますと、都市が低いわけでございます。地方の中小都市というのが簡保のお客様の厚いところ。それから職業的に言いますとサラリーマン層が簡保が案外低いわけでございます。自営業が簡保のお客様として非常に層が厚い実態でございます。  ですから、都会で青壮年層でサラリーマンの人、こういう人にいかにしてアピールするものにするかという、その辺の点が問題だと思うんですね。  したがいまして、そういう層の薄い、加入率の低い層を対象にする商品というのは一体何だろうかということをいま真剣に考えているという、先ほどのお答えとダブってそれ以上いま具体的に申し上げることを差し控えさしていただきたいわけでございますが、そのほかにお客様サイドと、いま一つは、今後は、募集をする外務員の立場からも、そういう層の商品を開発してその商品をセールすると募集手当をある程度政策的に誘導させるというようなことも必要じゃないだろうかということで、いま真剣に考えておりますので、必ずや近い将来、この辺の問題が段階的にしろ一歩一歩向上していくということを御期待をしていただいてよろしいかと思いますし、またその点についての御支援を一層お願いするところでございます。
  40. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、いまいろいろと同僚委員からも問題の指摘があったわけですが、やはり先ほどの局長あるいは大臣答弁の中でもありますが、資産運用をいかに有利にするかということが今後のやはり大きな課題であるということでございますが、先ほどもいろいろと御答弁を聞いて一応わかっているつもりでございますけれども、やはり民間との大きな差がございますが、五十六年度〇・三四%ですか、これらの差というのは、大体、金額的にしてどのような差になっているんでしょうか。
  41. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 約六百億程度になろうかと思います。
  42. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども福間委員の方からも質問ありましたけれども財投協力額の割合を七二%としたわけでございますけれども大臣もこれは認められているわけでございますけれども、これは非常にある面では厳しい制約が課せられていると思うのですが、これが六四・五%から七二%に割合が増加させられたとしても、やはり認めるということになりますと、ある程度メリットがあるのだと、このように判断をされているんじゃないかと思うのですが、その点のメリットですね、これは金額的にどのぐらいの利得があるのか、試算されていますか。
  43. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 具体的にちょっと申し上げてみたいと思いますが、五十八年度で社債等の運用枠というのはどれくらいあるかといいますと七千二百五十六億円でございます。ところが、五十七年度は財投協力分が六五・四%ということで、その結果としまして社債等に振り向ける枠が八千五百八十億であったわけです。  もう一度申しますと、八千五百八十億がこの五十八年度になりますと七千二百五十六億になったということでございますが、それを今度は外国債等で――外国債といっても六十三億いま買っていると先ほど御説明したところでございますが、運用利回りはそれぞれの銘柄によって違いますが、非常にいまは高く、しかも確実に運用しているということでございまして、その辺で差し引き勘定しますと、五十八年度で四十億ないし五十億、五年後では大体五百億ないし六百億ということで、そして運用の利回りというのは、そのことによって大体〇・二%程度向上することができるというふうに試算をしているところでございます。
  44. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣からの先ほど御答弁がありましたので、今回お聞きしませんけれども財投政府関係機関につきましては臨調でもいろいろと指摘されているわけですが、現在多くの問題を抱えている点がありますけれども、そういうところに七二%財投協力費、これは大蔵省にある面では協力をしたのじゃないかと思うのですが、財投政府関係機関への運用についての基本的な郵政省としての何か考え方がありましたら、お聞かせいただきたいと思うのですが。
  45. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 財投計画に対するどのような機関に配分をするかという点についての郵政省考えを申しますと、できるだけ有利な運用を図ると、先生御承知のとおりのところでございますが、財投といっても基準金利の部分と有利部分のものがございます。したがいまして、できるだけ有利部分の運用ということができるようにしたいというのが第一のところでございます。  それから二番目としまして、地方公共団体についても、御承知のように簡保資金年金資金というのは全国の方々から集めたお金でございますので、地方還元の趣旨を徹底したいということで、この点についても相応の配分をすることというのが二つ目の考え方。  それから三つ目といたしまして、道路、住宅、教育、中小企業等、国民生活に密着した分野に重 点を置いて融資をする、こういうような原則を踏まえまして具体的な配分という際に大蔵と話し合っているところでございます。
  46. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この資金運用計画の中で見ますと、国鉄が五十七年度八百億円から百億円に減額されているわけですが、その理由は何でしょうか。
  47. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 仰せのとおり、五十七年度は八百億の融資、五十八年度は百億と一挙に落としたわけでございます。  これは端的に申しますと、私ども資金というのはお客様の財産でございますから債権保全を考えなくちゃならぬ。債権保全を考えるという点について、私どもの判断とすれば、一つは過去の国鉄の再建計画、いろいろ私ども債権者という立場からも注視しているわけでございますが、その再建計画というものが十分効果を上げていないということに対する意識、それから今度の臨調で将来、国鉄の経営形態というものがドラスチックに変わるという報告がなされております。それに伴うところの債務をどのようにして処理するかという点については、抽象的な文言はございますけれども、その辺についての具体的な、そういう意味では確実な弁済方法というのは決まっていないというようなことから、最初に申しましたように、債権保全という立場から八百億はちょっと無理だ、どんな必要があるとおっしゃっても百億程度しかわれわれとしては貸すわけにいきません、こういう次第で百億になったところでございます。
  48. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、国鉄におきましては非常に経営がこれからなかなかむずかしい面があるじゃないかということで、債権保全措置を講じておく必要があるのでこういうふうに対処したというわけでございますね。  先ほど福間委員の方からもお話ありましたけれども、やはり外国債運用が増加するということで運用体制の強化、これもお話ありましたけれども、私たちもそれは必要ではないか、このようにも考えております。  それから、簡易生命保険郵便年金特別会計から郵政事業特別会計への繰入額についてですけれども、これの動き、最低三カ年の予算額あるいは決算額をここで御報告いただきたいと思うんですけれども
  49. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) お答え申し上げます。  先生ただいまおっしゃいましたように、簡易生命保険郵便年金特別会計法の第三条並びに第四条の規定によりまして簡保年金事業の業務の取り扱いに要する経費と同事業の営繕費に充てるための繰り入れを郵政事業特別会計に対して行うわけでございますが、過去三カ年の数字で申し上げますと、すでに決算を終わっております直近の三カ年を申し上げたいと思います。  まず、昭和五十四年度でございますが、予算額が三千二百八十四億円で、決算額も同額でございます。  昭和五十五年度につきましては、当初予算におきましては三千三百八十九億円でございましたが、年度途中におきまして補正を行いまして、補正後予算といたしまして三千四百六十九億円を計上いたしまして、決算額は補正後予算と同額の三千四百六十九億円でございます。  また、昭和五十六年度につきましては、予算、決算額とも三千六百十四億円、かようになっております。
  50. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 経理部長さんから答弁いただいたわけでございますが、三カ年間の予算と決算の額でございますが、それぞれが予算も決算も同額ということでございまして、われわれから見ますと、ちょっと理解しにくい面があるんですけれども、厳密に見ますと、やはり予算と決算では相違が出てくるのが当然じゃないかと思うんですけれども、これは郵政事業特別会計におきましては、郵便貯金、それから簡易保険の各事業一体的に経営しているところからくるわけではないかと思うんですが、その点どうでしょうか。  また、三事業どんぶり勘定と誤解されかねないと思うんですが、その点の見解をお伺いしたいと思うんですが。
  51. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) まず前段の、予算額と決算額が各年次全く一致しているのは不自然ではないかという御指摘でございますが、先生がおっしゃいましたとおり、厳密に申し上げますと、予算額と決算額が一円の差もなくぴたり一致するということは、まず通常としてはあり得ないわけでございます。それにもかかわらず、昭和五十四年度から五十六年度におきまして、結果的に予算額と決算額が全く同じという結果になっております理由につきまして申し上げたいと思います。  これは郵便貯金特別会計においても同様でございますが、年度当初、予算の定めるところによりまして、つまり予算に計上されました簡保年金特会から郵政特会への繰入額を原則的には十二等分いたしまして、月々、郵政特会へ繰り入れることといたしております。その際に、予算を積算する際、当然のことでございますが、元来、非常に厳密な積算根拠に基づいて予算を計上いたしておりますが、さらに予算の執行過程におきまして、ただいま申し上げました、毎月十二分の一ずつ繰り入れる際に、その予算統制をしながら執行してまいりますので、通例におきましては大きな開差は生じない、大きな過不足というものは生じないわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたし、先生も御指摘のとおり、ぴったり円差もなく一致するのは確かにちょっとおかしいような感じがいたすわけでございますが、これは一つには、事務処理上の簡素化という見地から、予算額と同額を繰り入れることが許されるのではないかという範囲内におきましては、見られる範囲内におきましては予算額と同額を繰り入れることにしております。  その第二点目に、基本的な根拠といたしましては、先生がお触れになりました、やはり郵政事業特別会計というのは、郵便貯金簡易保険郵便年金事業という、いわゆる郵政三事業一つの継続企業体、いわゆる一つのゴーイングコンサーンとして経営しているわけでございますので、多少の予算額と決算額との間に開差があっても、郵政三事業一つの継続企業体として運営する立場から見れば、多少の差を生じた場合でも予算額と同額を繰り入れることは許されるのではないかという考え方に立っているというふうに考えております。  しかし、このことは、逆に申し上げますと、非常に大きな開差を生じた年度におきましては、当然のことでございますけれども、予算額と決算額は違ってまいります。  たとえば手元にあります数字で申し上げますと、昭和四十六年度から五十五年度までの過去十カ年間の決算数字で申し上げますと、簡易生命保険郵便年金特別会計から郵政事業特別会計への繰入額が予算と決算で一致しております年度が六年度、違っている年度が四年度というようなことになっております。さらに、その中には、会計上の差し繰りで支弁できない場合は、補正予算を組んで支弁しているような場合も、予算の補正を行っているような場合もあることを付言さしていただきたいと思います。  それから、後段の、こういうことがやはり三事業どんぶり勘定になっているんではないかというふうな疑念を招くではないかという御指摘、確かに先生がおっしゃるような面がないわけではないというふうに私どもも思っておりますが、やはり郵便貯金簡易生命保険郵便年金といういわゆる郵政三事業を全国約二万三千の郵便局という窓口機関を通じて一体的に運営しているわけでございますので、三事業一体的に運営するその受け皿といたしまして、やはり会計制度としては郵政事業特別会計という一つの会計で処理することが妥当だというふうに考えております。そのために、どんぶり勘定ではないかというような疑念を払拭するために、予算の編成段階から三事業それぞれ独立採算を旨としているという精神にのっとりまして、各事業運営に要する経費は大変厳密な適正な積算に基づいて予算に計上し、郵政事業特別会計に繰り入れることにしておりまして、予算の執行過程におきまして、三事業相互間に流用をしてその垣根を乱してしまうというようなことは一切行っていないということを申し上げておきたいと思います。御理解を賜りたいと思います。
  52. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 できるだけ誤解を与えないようなことで進めていただきたいと思うんです。  次に、加入者から保険料が入りますとその加入者保険料が簡保特会に入るまでの経過ですね、これはどのようになって何日ぐらいかかるんでしょうか。
  53. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 郵便局の窓口で保険料が収納されまして最終的に歳入金として調定されるまでの期間は約一週間程度ではないかというふうに考えております。
  54. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、加入者からの保険料が郵政特会を経て簡保特会に入るまで一週間ぐらい時間がかかるわけですね。  これも先ほどからいろいろとお話に出ておりますけれども、年々歳入の規模も大きくなっておりますし、この日数の短縮によって運用される利益も小さくないんじゃないかと思うんですね。日数を短縮すればそれだけまた利息がつく分がふえて利益が増加してくる。われわれが多少試算した分でも百五十億円ぐらい違うんじゃないかというようなことも言われるわけですがね。その点の、銀行の口座を利用するとか、いままでのシステムをいろいろとやはり改善をして簡保特会に入るまでの日数をこれを早めるべきではないか、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
  55. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 保険料の収納といいますのは、郵便局の為替貯金の窓口で行われることは先生御承知のとおりでございまして、為替貯金の窓口はいわゆる国民の簡易な現金出納窓口、国庫の簡易な出納窓口と言われているぐらい実に何十種類の現金が取り扱われます。その中には先生がいま御指摘になりました保険料といった歳入金もございますれば、郵便貯金の預り金のような歳入歳出外現金もございます。郵便料のような即納歳入金もございます。その他年金、恩給、国庫金、さまざまな種類の現金が扱われるわけでございますので、それをまず第一義的には郵便局の窓口でそれぞれの帰属する会計機関の方へ振り分けて分類をし、証拠書は証拠書の流れとして、現金は現金の流れとしてそれぞれのルートで流していきまして、現金と証拠書がぴたりとびた一文違わない、御名算という形になった段階で最終的には調整が行われます。その間、調査局とか地方貯金局といったような現金出納を扱う中間機関がいろいろございますので、最終的に郵政省の中央の会計機関に入って歳入調定されるのが一週間かかるわけでございます。  しかしながら、私ども一週間という期間が決して非常に早いというふうには考えておりません。先生がおっしゃいましたとおり、これは少しでもスピードアップをすることによって、簡易保険郵便年金事業経営改善に資するべく、会計面、現金取り扱いの面から改善を加えていくのが当然だというふうに思っております。為替貯金業務のオンライン化、機械化、効率化ということもずいぶん進んでまいりましたので、そういった為替貯金事業の総合機械化の一環といたしまして、さらにこの歳入の調定期間を短縮するべく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣はどのようにお考えになりますか。
  57. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) これは簡保年金のみならず、郵政事業全体としていまの時代の流れの中でできる限り効率的な運営をしていくということはもう避けがたい方向であるわけであります。いままでも機械化あるいはシステム化等のことで努力をしてまいったわけでございますが、今後もできる限り事業効率化合理化を図るための努力を続けさせていきたいというふうに思っております。
  58. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども局長の方からいろいろと今後改善を図っていく点で、商品の面とかあるいは外務員の皆さん方の面とかいろいろお話ありましたけれども、やはり熟年と申しますか、一番保障が必要な年齢の部分の方々の加入率が少ないということは、やっぱり民保と比較しますと、これは私の個人的な意見ですけれども、民保の場合ですと、会社関係の職場におけるいろんな募集体系とか、あるいは女性外交員の方々が一生懸命働かれるとか、そういう面が非常にあろうかと思うのですね。簡保ではそういう点の開拓は非常にむずかしいのでしょうか、どうでしょうか。
  59. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 実態を申し上げますと、職場つまりサラリーマンの加入状況が低いというのはまさにその点が関連しているわけでございまして、民間保険の場合には団体保険という職場に向いた商品を売り出しておりますが、いろいろのいきさつで私ども簡保にはそういう職場に文字どおりフィットした商品がないという点もございます。それから同じ職場といってもいろいろでございますが、案外職場というのは資本系列化しておりまして、この会社は何々生命保険会社の市場というような点もいろいろあろうかと思います。  それからいま一つは、私どもこれは今後組合ともいろいろ話をしていきたいと思っておるわけでございますが、勤務時間の運用という点も非常に細かいようなことでございますけれども実は大きい問題としてあるわけでございます。私ども休憩時間が大体固定的になっている実態があります。そうなりますと、休憩して働く時間になると、職場ではなかなか――系列化したセールスマンであれば別といたしまして、私どものセールスマンが入るというのはむずかしいといういろいろの点がございますので、その原因を一つ一つ取り上げて解決策を段階的にやっていく、これが最善の道じゃないかという気持ちでいま一生懸命に取り組んでいるところでございます。
  60. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、臨調答申の中におきますところの特殊法人及び認可法人の事業別の整理合理化基準ということでございますが、郵政省所管のものとしましては簡易保険郵便年金福祉事業団あるいは郵便貯金振興会、そういったことが取り上げられているわけでございますが、これについては「会館、宿泊施設等については、民間の施設を含め全国的に同種の施設の整備が進んでおり、また公的施設相互及び民間との競合が発生しつつあることから、原則として新設を行わない。」、あるいは②として「会館、宿泊施設、教育文化施設等については、利用の増進経営効率化等の見地から、運営民間への委託等を進める。」、こういうような提言をされているわけでございますが、この点についてはどのように郵政省としてはお考えでしょうか。
  61. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私ども関係のものが、いま先生お話しのとおり簡易保険郵便年金福祉事業団という特殊法人がございまして、その特殊法人が、簡保センターでございますとか、それから診療所、それからレクセンター等々、現在百二十三施設持っているわけでございます。で、百二十三の施設のうち七十三カ所がその臨調の宿泊簡易施設として指摘を受けている簡保センターになろうかと思いますが、それが大部分を占めているわけでございます。したがいまして、臨調答申を受けて今後のそういう施設のあり方という点について私ども細部のまだ詰めはしておりませんが、基本的に言えることは、臨調の宿泊簡易施設の、私ども関係する場合簡保センターでございますが、その簡保センターは今後原則的にはやはりつくらないという方向は、私ども臨調答申ということでもございますし、そういった気持ちでおります。もちろん例外的にはいろいろあろうかと思いますが、したがって今後の福祉施設のあり方としましては、高齢化社会ということを考えますと、何といっても健康産業と申しますか、そういう言葉があるかどうかあれでございますが、健康産業ないしは健康管理の施設をつくるということで加入者福祉を依然としてそういうかっこうでやっていきたいなと。それから、その合理化を進めて経費を節減するということは当然でございまして、そのことから交付金の縮減ということも一方答申の中にあるわけでございまして、その縮減はそういうかっこうで進めてまいりたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  62. 山中郁子

    山中郁子君 簡保関係法改正に際しまして、団体保険の問題について若干お伺いをし、明らかにしていただきたいと思っております。  保険料の一括払い込みによって保険料を割り引きするといういわゆる団体割引ですね、こういう制度がありまして、その中で旅行だとか観劇、人間ドック、こういうものを行うということで、いわゆる同趣同好団体としての割引があります。  郵政省はもちろんよく御存じだと思いますけれども、約十年ぐらい前に株式会社都信用の事件で、保険料の不正流用事件がありました。国会でも大分問題になったわけですけれども、その際に郵政省としても、こうした団体保険あり方にメスを入れて、そうした不祥事件が起きないように改善を加えなければいけないということで、指導を強化したということになっていると思います。  私がきょうお尋ねするのは、やはりそうした事件が起きたような問題点現状でもいろいろとあるのではないか、そうした点が十分考えられる事態が起きているということについて一定の把握をいたしましたので、お伺いをするわけです。  まず、この事件が起きたのは四十八年ごろだったと思いますが、昭和五十年と現在と比べまして、同趣同好の件数、これがどのように変化をしてきているのかを数字で示していただきたいと思います。
  63. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 先生お話は、五十年と現在と比較しろというお話でございますが、私ども率直に申しまして、十年前と比較したということでいま手持ちの資料があるわけでございますが、それでお許し願いたいと存じます。    〔理事高橋圭三君退席、委員長着席〕  昭和四十八年度末における東京郵政局管内を例にとって御説明いたしますと、同趣同好団体の団体数は、昭和四十八年度は六千組ございました。そして契約件数が九十三万六千件、保険料額で四十四億一千万円でございました。それに対して一番新しいのが五十七年度末ということで申し上げますが、団体数で二千七百組、契約件数で七十一万六千件、保険料額で五十九億五千万円、したがいまして団体数、件数ともに減少をいたしていると。仮に昭和四十八年度末を一〇〇としますと五十七年度末が団体数で四六、契約件数が七六と、こういう実態でございます。
  64. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、十年間の推移は減少の方向をたどっているということだと思います。  それで、この同趣同好の団体というのにはどういう方針をお持ちですか。つまりどんどんふやしていくというような方針で臨んでいらっしゃらないんだと思うんですね、減っていますから。その辺の基本的なお考えはいかがでしょうか。
  65. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 先生先ほどお話しございましたように、私ども、不祥事件を契機に、適正な同趣同好団体であるべきだということに反省を加えまして、そのような団体運営の指導方針というものを内部的に策定をしているわけでございます。この指導方針は三つばかりございますが、第一点といたしまして、払い込み団体の規約を作成し、構成員に配布すること。二つ目として、会計監査の監査を受けて決算報告をすること。三番目といたしまして、払い込み団体は局連合会に加入するとともに、代表者は局連合会の代表者会議の構成員になることというような、不祥事の原因というものを見きわめて、いま申し上げたような指導方針をつくって指導してきているという実情でございます。
  66. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、私がいまこの問題をあえて取り上げましたのは、練馬郵便局に調査に行きました。それで、そこの練馬の局の中で同趣同好の団体がどのくらい、どういう名称の団体があるのか、どのくらいの人数が参加しているのか、その他幾つかのことについて、どんな規約を持っているのか、そういうことについてお尋ねをしたのですが、これを、局長、次長が出ていらしたんですが、どうしても教えてくださらないんですよ。それで、なぜそれを教えてくれないのかよくわからないんですけれども、上の方からの指示でそういうものは教えられないと、こう言うんですね。一体どういう名称の団体があって、そこには何人加盟していて、どういう規約を持っているのかなどということを、国会議員が調査に行って教えられないという指導を郵政省がされているのかどうか、まずそこのところからお尋ねしたい。
  67. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 具体的なケースで、具体的な事情の中で判断しなければ正確にはお答えできないうらみもございますが、基本的にはやっぱり公表はすべきでないという考え方で指導はしているわけでございます。  なぜかと申しますと、まず、払い込み団体の名称等を、みだりにと言ったらちょっと問題があるわけでございますが……
  68. 山中郁子

    山中郁子君 国会議員が言っているのよ。みだりじゃないですよ。
  69. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 理由もなくお知らせすることは、団体構成員と郵政省との信頼関係を損ない、ひいては業務の運営に支障が生ずるおそれがあるという観点、特に団体代表者を知らせることは、その者も保険契約者であるから、そのこと自体個々の契約に関する事項を他人に漏らすことになり、取り扱い規程においてそのようなことは知らせてはならないというような定めもございまして、その辺と抵触をするというようなこと。それから、会計報告、行事実施報告等については、団体が会員に周知すべきものであって、郵政省としてもそのように指導しておるところでございますが、省に提出された書類は、団体が省の要求に応じて提出したものであって、これを他に閲覧させることは、やはり団体と郵政省の信頼関係を損なうという、いろいろのいま申し上げたような事情の中で、基本的にはお見せ、あるいはお知らせをしないということに指導しているところでございます。
  70. 山中郁子

    山中郁子君 私が申し上げたのは、どういう名称の団体があるのかですよ。代表者の名前を数えろなんて言っているわけじゃないんですよ。どういう名称があるのか。それから、その団体がどういう規約を持っているのか。それは後ほど申し上げますけれども、都信用事件があった問題の反省の上に立って、そういうことをちゃんとしなきゃならぬというふうに郵政省は指導なすっているわけでしょう。だけれども、なぜ私が練馬の局に行って調査をしたかといいますと、ここでは、問題になった四十九年当時の契約件数が二万三千七百五十件であったものが、現在では四万四千九百七十六件になっている。それで、その約四千五百件のうち、同趣同好団体のものが実に三千五百件に上っているんですよ。八割です。八割が同趣同好団体です。それで、ここの局の資料によりますと、その当時の件数は四千六十九件、それが三万五千件に上っているわけですね。――失礼しました。先ほど言い間違えたかもしれませんけれども、三万五千件です。四万四千件のうちの八〇%の三万五千件が同趣同好団体で、それで、この件数のふえぶりは大変なもので、この七年間で約九倍にふくれあがっているんです、同趣同好団体の部分が、団体保険のうち。これはちょっと異常なふえ方ですよね。先ほど一番最初に全体の状況をお知らせいただきましたけれども、むしろ減っているわけですね。それで、郵政省としても、基本的には都信用事件の教訓に照らして、厳正に、適正にするということなので、どんどんふやすみたいな指導はしていない。だけれども、ここは、この局をとってみますと、異常にふくれあがっているわけです。それで私どもは問題にしたわけです、一体どういうことなのか。それで調査をいたしました。そうしましたら、それは名称も教えられないし、規約も見せられないし、何人入っているかも教えられない、これは上からの命令だ、こうおっしゃるわけ。みだりに見せろと言っているわけじゃないんですよね。国会議員として調査をしたいと言っていることについて、そういうものを見せられないとなったら、それじゃ一体何か見せられない都合の悪いことがあるのかというふうに思わざるを得ない。こういうふくれあがり方は異常でしょう。それは局長そう思われませんか。
  71. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私、具体的な練馬の実態でございますので、私どもの手持ちの資料に頼らざるを得ないわけでございますが、私どもの手に持っております資料によりますと、先ほど、東京管内全体で、十年前、四十八年ということで御説明をさしていただいたわけでございますが、それによりますと、練馬は、組の数、団体数で百三十六組、五十八年の三月で百十二組ということで、団体数としては減っているわけでごいます。で、件数は、ただ、二万二百四十三件から四万六百三十三件でおおよそ倍になっている、こういうことでございまして、先ほど来先生の仰せの数字が私どもの持っている資料には出てこないという実態で、いま当惑している次第でございます。
  72. 山中郁子

    山中郁子君 練馬局の保険課が五十一年十月二十五日現在にまとめた資料によりますと、その当時、四十九年当時は同趣同好団体が四千六十九件なんです。それが現在は約九倍になってて、約三万五千件が同趣同好団体のものになっている。それが異常なふくれ上がり方ではないかと私どもは注目をいたしました。  数字の行き違いがあるならば、それはもう一度正確に調べて次の機会に報告をいただきたいんですけれども、私が申し上げているのは、練馬局の保険課の五十一年十月二十五日現在にまとめた資料によると、その当時の件数は四千六十九件なんです。それが約三万五千件、いま同趣同好団体がですよ。だから、これは大変なふくれ上がり方なんですね。したがって、一体どういう背景があるのかということで、私どもは注目をしたわけです。そしてお伺いをいたしましたら、規約も見せられないし名称さえ教えられない。その各団体に何人ぐらい参加されているのかということも教えられない。参加者の規模の、適正基準というほどでもないにしても、適正な量というのはおのずとありますよね。そういうようなところからはみ出ているということは考えざるを得ないのですね。  それじゃ私、後ほど資料として出していただくものをまとめて申し上げますけれども、まず第一に、練馬局における同趣同好団体の、局で話をされたのは、旅行が四十、観劇が二十、人間ドックが十、七十団体だと、こういうお話だったんです、団体としては。しかしそれが、どういう名称の団体が何人の参加者でもって、どういう規約をお持ちなのかということについては教えられない、こういうお話でした。ですから、資料要求ですけれども、まず第一に、練馬局内における同趣同好団体の名称、それぞれの参加人数、それから規約、こうしたものを私の方に提出していただきたい、これがまず第一の要求です。いかがですか。
  73. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 後で、ただいま先生が仰せの数字を、まず、正確なところを突き合わせてみたいと思いますが、先生のおっしゃっているこの数字というのは、団体数と件数というのがどうも……
  74. 山中郁子

    山中郁子君 別です。件数で申し上げています。
  75. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 件数でですね。その件数で申しますと私さっき言いました数字のものでございまして、いずれにしましても、事実をまず確かめてみます。  それから、提出するかどうかという点でございますが、先ほども申しましたように、要するに払い込み団体というのは郵政省自身の団体ではないことは先生も御高承のとおりでございまして、性格的にいいまして私的団体であるわけでございます。私的団体であるものを、たまたま郵政省保険という仕事を通じて知っているということでございますので、その私的団体の具体的な内容、事情を、知り得るものを、その団体の了解なくして御説明するというのは、私どもとしてはいかがなものかと思いますし、結論としてはオーケーをするというわけにはまいらないというのが私のいまの立場でございます。
  76. 山中郁子

    山中郁子君 それではもう少しあれしますけれども、先ほどあなた方はこういうふうに指導をしたということでおっしゃったのは、まず規約を作成しなさい、そして構成員に対してそれを渡すと、周知すると、それから、決算報告もしなきゃいかぬと、そういう幾つかの点をおっしゃいました。そういう指導をされているわけですね。  ところが、私が短時間で限られた範囲で調べても、規約をもらったり決算報告をしてもらっている人が、全然そんなこと聞いたこともないし、もらったこともないという人がいらっしゃるのですよね。実際にお金ももらっていない。それから、人間ドックということで入っているけれどもドックに入ったこともない。つまり、何の還元もないという人たちがいるのです、現実に。それは、もらっている方もあります。旅行に行ったという方ももちろんいらっしゃる。しかし、例外的に一人か二人いたというものじゃなくて、そういう方たちがいらっしゃる。  ちょっと二、三申し上げますと、たとえば氷川台四丁目に住んでいらっしゃるAさん、規約はもらっていない、決算書はもらっていない。氷川台三丁目のBさん、規約も決算書ももらっていない。早宮というところのCさんとしましょうか、この方も何にももらっていない。それから、錦というところにいらっしゃるDさん、規約も決算書ももらっていない。高松というところにいらっしゃる方も決算書も規約ももらっていない。そういう方たちが私ちょっと調べただけで出てくるわけです。  そうした場合に、それじゃ一体実際にこういうものの募集をどうやってやっているのか。現実のやり方ですよ。それで、果たして、郵政省が、さっき局長がおっしゃったような指導をおやりになっているということについて、実際にそういうことがちゃんとやられているということを把握していらっしゃるのかどうか。直接の監督郵政局、たとえばこの場合、東京郵政局になりますね。その東京郵政局ではそういうものをちゃんと知っているのかどうか。その辺はどうなのですか。  もっとひどい例もたくさんあるのですよ。きょうはそう時間とれませんので、私引き続きこれはやっぱりちゃんと解明しなければ都信用事件と同じような不祥事が起きかねない、そういう中身を持っている問題だと思って重視をしているわけですので、まずそこのところをちょっとお伺いいたします。
  77. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 先ほど同趣同好団体の適正化ということのためにこのような指導をしておりますというふうに申し上げたところでございますが、最近私ども調査をしたところによりますと、練馬の局で決算報告がされていない団体があった、あるいは一部の加入者に対してでございますが、その払い込み団体の規約が配付漏れになっておったということが事実としてありました。ありましたので、私ども至急そのような事態を改善するように郵政局を通じまして――郵政局を通じてというか、私どもというよりも郵政局がその事実を承知しましたので改善方を指導しているところでございます。  それから、この払い込み団体、同趣同好団体のメンバーであるけれども、旅行にも行かない、あるいは観劇にも行かないということは、結果としてそれはないわけじゃないと思いますが、あくまでも私どもは、そのために、本人が行けなかったらかわりの方でいいというようなことを私ども考え方として示しているところでございまして、要するに、行かなかったから行かないかわりに全額お金で返してもらうというようなことは指導としてはやっていない次第もございますので、お金をもらえなかったというのは具体的な事情を聞かなければわかりませんが、そのこと自体私ども問題があるというふうには考えていないところでございます。
  78. 山中郁子

    山中郁子君 だけれども、そうすると、逆に、決算書はもらっていないと、行かないときはお金を返してくれたと、こういうところもあるんですよ。そうすると、これまたおかしいわね、あなたのおっしゃるあれによると。どっちにしてもいろいろめちゃくちゃという感じですわ。あなた方もいままあお認めになったわけだけれども、練馬郵便局の中で規約やなんかがちゃんと配付されてないとか、決算書が渡ってないというのがあったと、こうおっしゃるわけでしょう。だけれども、これ私の方で調査をしたからそういうふうになさっているのかどうかよくわかりませんけれども、もうあの都信用事件が起きてからほぼ十年になるわけですね。あのときにこういう通達も出して指導もしたわけでしょう。そうすると十年間何やっていたのかと、監査してたんですか。監査ちゃんとやっているんですか。やっていてどうして気がつかなかったんですか、そんなこと最近まで、最近になって注意をしているなんてということだったら、いままで何やっていたんですか。
  79. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 残念ながら監査はするけれども、遺漏があって犯罪が出る、あるいはその通達、方針どおりやられてないというのが、決して私責任転嫁で申し上げるわけじゃございませんが、そういうのが例外的にこの分野だけでもほかにもあり得るようなこともないわけじゃないのでございまして、本件もそういう例外的な見落としというふうに考えざるを得ないという性格のものだと、私は思っております。
  80. 山中郁子

    山中郁子君 だったら全部出してください。そうしなきゃ、それ論証できないわけよ。練馬の局の中で団体が幾つあると、この中でたまたま例外的にこの団体、Aという団体、Bという団体だけに見落とししましたということをここでおっしゃるなら、それ全部出してくれなきゃわからないじゃないですか。大臣、それちょっとお約束いただきたいと思います。
  81. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほど局長もお答えをいたしましたように、同趣同好団体というのは本質的に同趣同好の自主的な集まりであるわけでありまして、この同趣同好団体が自分たちだけの集まりとして運営をしていきたいということで、その運営は公明でなければならぬということは当然でございますけれども、それを、この団体はこういうものであるというようなことを私は役所として出すことはいかがかと。これは出してもよろしいと団体の方が同意をした場合は、それはそれでいいと思うんでございますが、役所として知り得たことであるから当然それは外へ出していいのであるという性質のものではないと、私は思っております。
  82. 山中郁子

    山中郁子君 例外的だとおっしゃるけれども、あなたが一方的に例外的だというふうにおっしゃっても客観的な論証にはならないわけですね。私はたくさんの人から、いや決算書ももらってない、規約ももらったことはないという人からたくさん聞いて調べているし、証言だってするという人たちいっぱいいるんですよ。  だったら、ごく例外だというならば、その例外だということを――例外だってあってはならないと思いますけれども、それは一〇〇%ということが望めないなら、本当の例外というのがまだやっぱりあったということが仮に百歩譲って、あり得たとしましょう。だけど、そうではなくて、あるから、だから問題にしているんです。だから、どういう団体があって、ここだけは例外的にやっぱり監査なり指導なりで遺漏がありましたというふうにおっしゃるなら、それはまたそれで理解できますわね、客観的にもそれは論証できますよね。そうでなくて、そういうのがどのくらいあるか知らないけれども、あるとすればそれは例外だと、こういうことじゃ全然誠意もないし、責任もないということになると思うんです。そのことを私はいま申し上げているんです。  大臣ね、任意の自主的な団体、自主的な人たちの集まりの自主的なあれだとおっしゃるけれども、それは実情を御存じで言ってらっしゃるのか。御存じないことはないと思うんだけれども、そんな実態じゃないわけですよね。実際問題としてはそういういろんな勧誘でもってこういう団体にお入りになれば、そうすれば割り引きになりますよということで勧誘していらっしゃるわけだわ。それで、もうこの場合ものすごく急増しているんですよね。そうしたときにちゃんとした還付が行われていない疑いがある。その前提として規約なり決算なりがちゃんと報告されていない。そういうような事態はやっぱり疑いを現実のものにさせるという十分な根拠になりますよね、そこを私は申し上げています。たまたま私は練馬での急増に注目をいたしまして調査をいたしましたから、練馬局だけではなくて、各それぞれの地域にもあり得る問題だというふうにも考えています。  それで、実際にこの扱っているところは、たとえば事務をやっているのは、練馬の場合ですと簡保加入者協会東京西部支部練馬出張所ということになりますよね。そうすると、こういうところのたとえば所長さんとかという方は、みんな郵政省からいらっしゃる方たちですよ。これは、都信用事件のときにも問題になりました。だから、そんな全然人ごとみたいにしておっしゃるような性格のものでないんですよ、本質的に。過去にもそういう不祥事があったわけで、現実にもそういういろんな問題点が出てくるということがありますから、私はあくまでも、いま魚津局長がおっしゃった、例外だみたいな言い逃れをなさるのではなくて、本当にちゃんと調べていただきたい。調べた上で、説得できる結果を報告していただかなければならない。同時にそれは、そのためには私は、先ほどから要求しておりますように、団体名だとか参加者名だとか、あるいはそこの規約だとか、そうしたものがちゃんと提示されなければできないと思いますので、そこのこともあわせて要求をしておきたいと思います。  問題は、この協会にしても郵政大臣の認可を必要とする団体ですよね。そういうところで、郵政大臣としての責任のあるところです。そこがだから、郵政省の直接じゃないから何をしていても何にも言えないんだ、国会にも報告もできないんだということでは、実際に国営保険である簡易保険運用、実情の中にまたまたそうした不祥事が隠されているということが絶対ないとは言えない、そういう事態があるということを私は申し上げております。  それからもう一つは、具体的に監査の方法をどうやっていたのか、どういう監査をしているのかということもあわせて、きょう御用意がないならば、あわせて具体的な監査の仕方をあれしてください。それで、幾つのところで遺漏があったと、なぜそれじゃ十年間にもわたってそうしたものが発見されないで、ごく最近そういうことに気がついたから指導しているというような、みっともないというか、無責任というか、そういう事態に及んだのかということの経過もあわせて報告をしていただきたい。いかがでしょうか。
  83. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私、先ほど来先生お話を聞きながら、一つの対案としていかがなものかと考えておりますのは、先生自身も別に個別的なもの自体に興味なり関心がおありということでなくて、要するに、適正に運営されているかどうかという立場にお立ちになったとすれば、個々の団体のいわば固有名詞を落としまして、抽象的なAとかBとかという印をつけたかっこうでお示しができないかなという、いま聞きながら考えていたことがあったわけでございます。そういったことで考えて、先生がただいま御注文された点について応じ得ないかということは、郵政局なり練馬の局の事情ももう少し聞いた上で、その方向でできないかなといま思っているわけでございまして、そういう意味では、完全に出しますということもここでは答弁しにくいわけでございますが、先生がただいまこの法案審議に取り上げられた趣旨を十分われわれ踏まえて、何らかのかっこうで対応してまいりたい、そしてその結果を先生に個別的にお話しをいたしたいというふうに思います。
  84. 山中郁子

    山中郁子君 最後に申し上げておきますけれども、いま局長が言われたことは、それはそれで御検討ください。その上になおかつ、私はこうしたものを国会に資料として提出できないはずはないし、すべきものであるという考え方は持っておりますから、その後の問題として理事会にお諮りするなり何なりするというふうにしたいと思っておりますので、引き続きこの問題は次の機会に明らかにしていきたいと思います。終わります。
  85. 青島幸男

    ○青島幸男君 ただいま議題になっておりますこの法案につきましては、私は基本的には賛成でございまして、とかく申し上げることはないんですけれども、ただ一、二点ただしておきたいと思うことがございますので、お尋ねをする次第でございます。  先ほども議題に出ましたけれども簡保では加入者サービスとして、宿泊所とか保養センターとしてそういうものを幾つかお持ちできましたけれども、大体総数がどのぐらいありまして、その内訳とか規模、それから利用率なんかを、もし資料がありましたらお知らせいただきたいと思います。
  86. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私の手持ちの資料としては詳細かつ正確にお答えするものを持ち合わせていないわけでございますが、先ほども答弁させていただきましたように、事業団の施設といたしまして百二十三カ所ございます。そして一番多いのがいわゆる簡易宿泊施設というカテゴリーになるんでしょうか、簡保センター、これが七十三カ所程度、現にオープンしているものでございますが、それから加入者ホームというのがございますが、加入者ホームが十三カ所でございます。それから、レクセンターが三カ所、キャンプセンターが三カ所、総合レクセンター一カ所、それから会館――会館というのは東京の五反田にありますようなのを会館ということで言っているわけでございますが、京都にももう一カ所ございまして、二カ所。そして最後に診療所が二十八カ所、合計百二十三カ所ということでございます。  それで、最近この百二十三カ所の施設を利用している人が年間八百万を超えているというような実態でございます。
  87. 青島幸男

    ○青島幸男君 この年間八百万、利用者がおいでになるということですけれども、この施設のキャパシティーからどのぐらいの割合の利用率になるのですか。百二十三カ所あるわけですね、その百二十三カ所を八百万人の方が使うわけですから。でも、百二十三カ所にどの程度のキャパシティーがあるかということがわからなければ、大体何割程度着実に利用されているかということがわかりませんので、その点はどうなんでしょうか。
  88. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) まず、この保養センターでございますが、いま手持ちの資料によりますと、利用率が六六%。それから加入者ホームが七九%、会館が七六%。そのほか診療所とかレクセンター等は、いわゆるキャパシティーというか、利用率という観念がちょっと違ってまいりますので、五十六年度の資料で申しますと、利用人員といたしまして診療所が四十一万四千人、それからレクセンターが九十七万七千人、こういう数字になっております。
  89. 青島幸男

    ○青島幸男君 これは、事業団という別のかっこうの組織――企業体といいますか、それが運営しているわけですね。その六〇%とか、あるいは八〇%の利用率で、独立採算といいますか、採算面はどういうふうになっていますかな。
  90. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 独立採算というのが厳格な意味では違っているわけでございます。と申しますのは、運営の経費に当たりましては事業団のこのような施設に働いている人の、正確な表現じゃございませんが、人件費に相当する分は交付金ということで簡保特別会計からお金を事業団に出しているわけでございます。したがいまして、まずお値段が同種の施設に比べますと安い。そして、その交付金を含めて全体として収支とんとんというかっこうで運営されているという仕組みになっているわけでございます。
  91. 青島幸男

    ○青島幸男君 これはもともと利益追求型の仕事じゃございませんしね、ですからその点の採算基準をきちっとわきまえてどうこうしなきゃならぬということを私は申し上げているわけじゃないんですけれども、そういう実態がきちっと明らかにならない限りは、やっぱり臨調からいろいろ指摘を受けたり、あれはもうそこから外した方がいいんじゃないか、勝手に独立体としてやらせたらどうだろうかというような指摘が出てくる根拠にはなると思うんですよね、違いますか。
  92. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私もいま先生の御質問に答えられなかったということと、それからいま先生指摘のその辺の経理状況が明確になっていないということは全然別の話でございまして、私、資料として的確にお答えできなかったということで御理解賜りたいと存じます。
  93. 青島幸男

    ○青島幸男君 それにしても、この事業団は臨調指摘によれば、簡保事業から切り離して独立でやらした方がいいんじゃないかという意味指摘を受けているわけでしょう、臨調からは。
  94. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) この特殊法人でいろいろ臨調があるべき姿を示しているわけでございますが、少なくとも簡保事業団につきますと、交付金を縮減しなさいと。いま御説明しました人件費等の節減をして、結果として交付金を節減しなさいと。大体百五十億程度年間交付金を出しているわけでございますが、その額を縮減しなさいということと、それから事業団につきましては、宿泊簡易施設のように民間でもかなりやっている、そういう施設とは競合しないような意味で今後つくるのをやめなさいと、こういう二つの趣旨でございまして、いまのような趣旨の報告はなされていないわけでございます。
  95. 青島幸男

    ○青島幸男君 しかし、交付金は少し差し控えようじゃないかというようなことになってくるとこの事業団の運営自体が苦しくなりますね。そうすると、サービスを低下させるか、あるいは事業を縮小するかということになりますと、これはもともと創設した意味を失いかねないですね。これは、あっちゃならないということを言っているわけじゃないんですよ。ですから、簡保加入者が安い料金でサービスよく泊まれる施設があったら、それは加入者の恩典になるわけでしょう。ですから、そこへ行ってレジャーなり保養なりをなさって英気を養うということは結構なことだと思いますし、できれば完全な形でサービスよく保管してほしいと私は思っているぐらいなんですよ。しかし、実際にそういうかっこうになりますと、なかなか希望どおりにいかなくなるということについての手当てはどうなさるおつもりかということなんです。
  96. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 私ども臨調答申答申として受けるわけでございますが、その交付金の縮減ということは、一つ考え方としては交付金が少なくなるから料金を上げるということになると思いますが、しかし、そういったことはできるだけやりたくないわけでございます。先生も仰せのように、事業団の施設は本来的な趣旨がございますから、趣旨からすると安いのがあたりまえなんです。その安いという趣旨が生かされないようになったんでは基本にかかわる問題になるわけでございまして、私どもは交付金の縮減という点についてはあくまでも合理化効率化という点で節減をして、そして料金にははね返らないように方法としてはやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  97. 青島幸男

    ○青島幸男君 しかし、これはやっぱりある種のサービス業ですから、サービスを充実させようと思うとどうしても金がかかるという仕組みにはなっていますね。ですから、合理化してしまうということはサービスが落ちるということですよ。だから、その相矛盾したことをやろうとなさるのは大変むずかしいことだと思うんです。でも御努力あってしかるべきだと思いますし、趣旨が生きるように御配慮いただきたい。これは当然のことかと思うんです。  それともう一つ、診療所の数が保養所に比較して少ないわけですね。ですから、保養も結構なんですけれども、診療所を充実させていくことが利用者にとっても有利なことだし、また寿命がそれだけ延びれば、結果として簡保が有利になるんじゃないかということから考えますと、ただ保養をするということよりも、いま大変に健康に対する関心が高いですから、前に質問に立った方への答弁局長おっしゃっていましたけれども、健康管理を主体とするような、あるいはそういう医療をメインとするようなものに移行していった方が利用者のニーズに合うんじゃないかというようなことをちらっと申されたように私も認識しますけれども、しかし保養所は地元の方の労働提供とかあるいはそういうことで、大して高いレベルの資格所有者だったりしなくても済みますからいいですけれども、診療所あるいは医療施設になりますと、それこそきちんとした有資格者の協力を仰がなきゃならないですから、そうおいそれとできないわけですね。しかも、医療をやろうと思えばそれなりの施設にも金がかかるでしょうな。ですから、金はかけたくない、そういう意味で経済的に膨張はさせたくない。しかし、そういう高度なサービスを充実させていきたい。ここにもまた矛盾があるわけですね。ですから、この矛盾をどう回避して充実したものをつくって利用者サービスを与えられるかということ、これはもう重大な課題になってきますね。でなきゃ、やめた方がいいんじゃないかという話にもなりかねない。御苦労だと思いますけれども、御決意のほどを承りたいと思います。
  98. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) いま診療所という問題が出ております。それを中心にちょっとお話ししてみたいと思いますが、診療所は先ほど申し上げましたように全国で二十八カ所ございますが、この診療所というのは古い時代に設置されて非常に小規模の、言葉として適当かどうかあれですが、町医者的なものなんです、実態は。したがって、この診療所という現在のネーミングの施設というものをふやすということは、私どもいかがなものかと。むしろこういったものを統合してといいますか、新しい時代に対応できるように健康管理センター的なものを私ども今日真剣に考えておりまして、現にいままでの予算で東京、大阪、名古屋にこの健康管理センター的なもの、つまりコンピューターつきの医療器具で人間ドックなんかをやれるというようなものを考えて、かなり規模を大きくするというもので、次第に診療所をそういったかっこうでモデルチェンジをするという構想を持っているところでございます。  いずれにいたしましても、事業団というのはことしで二十一年目になるのでございますが、その最初の段階は簡易宿泊施設と、センターとかまあ老人ホームというか加入者ホームでございます。加入者ホームというものに力を入れてまいりました。それから、今度ある時期になりましたらレクセンター的なものにかなり重点を置いてといいますか、アクセントをつけて設置してまいりました。今後は、臨調の報告との関連、それから今後の社会の中のあり方という点からすると、いずれにしましても現在の診療所は診療所としてあるのですけれども、そういったものを単にふやすというのじゃなくて、健康管理センター的なものを中心にして今後はやっていく時期が事業団の施設としては来ているのじゃないだろうかというふうに考えて、その方針で進めてまいりたいというのが私どもの決意のほどでございます。
  99. 青島幸男

    ○青島幸男君 そういう施設が充実して、本当に加入者が人間ドックに入ろうということになりますと、そういう施設が完備してそれで同趣同好の形で人間ドックへ入るというような会をつくって、実際問題としてそこできちっと人間ドックとして健康管理が行われるというようなことになりますと、先ほど山中さん取り上げられたような疑念を生むようなことにはならなくなりますし、本当の意味加入者へのサービスが充実してくるので、その辺のことをお考えでそうやっていらっしゃるのだろうと私も思いますし、その方向で検討をされたい、希望しておきます。  それから、郵便年金保険を合併したような考え方はとられないものかということですね。たとえば、死亡で保険金がおりますね。それからもう一つ、満期になって払い戻しということですね。それをそのまま一時金――一時金といいますか、まとめてもらってしまうよりはそれをそのまま置いておいて、それを年金の原資にしてくれというような希望がもしあるような、そういうものがもし創設できれば、しかもそれが多くの方にとって魅力的なものであり得るとすれば、またそれは伸びるわけでしょう。ですから、先ほども壮年層、一番保険に入ってもらわなきゃならない方々に利用率が低い、ということは勧誘の仕方にも問題があるんじゃないかということをおっしゃられましたけれども、実際方々の事業所へおいでになって、飛び込みで行っても、それはそれなりに先ほど言われたように会社はわりあい資本系列が厳しかったりしますから、何々系は何々ビールしか飲まないみたいな人もいますから、そういうことでなかなか簡保をとれないかもしれないですね。だから、皆さん方に魅力ある新たな商品をつくっていかなきゃならないと再三申されておられました。ですから、同趣同好にしても土地の婦人会とか町内会に観劇あるいは旅行でお誘いになって、団体を組んで入っていただくというようなケースでしょう。これはいままでの従来のタイプですね。こういうやり方をなすってたんじゃ、やっぱり青壮年には伸びないでしょうな。大体三十五、六から四十ぐらいの人たちを対象にして、観劇に参りましょう、旅行に参りましょうといっても、それは町内会のにこにこ大会とは違いますから、おいそれと加入してくれないでしょうな。そういう旧来型の勧誘の仕方をしていたんじゃ、やっぱり五割――いまは入っていない方が四割ですか、これを下げることができないと思いますね。だから、それならいっそ、その方々の一番関心を待っておられるようなことを、同趣同好の団体加入を私は決して勧めるわけじゃございませんけれども、実態としてゴルフの会だのテニスの会だのというような、その方々の年齢に沿ったニーズに対応できる、しかも施設も持っていて、保養センターとかそうじゃなくて、そこにはテニスコートがある、だから団体で御加入になればそこで何日泊まって毎年何回テニスができますよというような形で勧誘するような発想の転換がなければ、青壮年層に団体でも個人でも魅力あるものとして加入していただくことを望むのはむずかしいことになりはしないか。老婆心ながら申し上げますけれども、当然お考えになっているだろうと思いますが、その点に関してはどうお考えでしょうか。
  100. 魚津茂晴

    政府委員魚津茂晴君) 結論を申しますと、私ども事務当局の内部としては当然考えているところでございます。ただ、いろいろそれを商品として販売をするまでにはまだ検討しなければならない幾つかのテーマがございます。ございますけれども考えているということと、それからいま一つは、現に財形年金というものを昨年の十月から開始をしたわけでございますが、これは満期の保険金を五年あるいは十年に分けてお支払いをするということで、先生の仰せの保険年金を合わせた商品というものを、限られたかっこうではございますけれども、私どもの商品として持っているわけでございます。そういったようなことを通じまして、経営に及ぼす影響だとか、民間に及ぼす影響だとかあるいはニーズというものを確かめながら本格的にそういったものをやるのがいいのかどうか、早急に結論を出してみたいというふうに考えております。
  101. 青島幸男

    ○青島幸男君 いずれにしても、加入者の方々の要求に少しでもこたえられるように、しかも信頼されるような形で運営していかないと、せっかくここまで来た簡保事業ですから、それをますます発展さして、国民の健康と福祉を守ってもらいたいということは申すまでもないことです。  最後に大臣にお伺いしますけれども、今後の保険年金積み立て、あるいはそれらの利回りの向上とか、運用の範囲の拡大ということがこの法案で決まっていくわけですから、それに対する向上と運営の発展的な歩みを期待をしているわけですけれども大臣としてその決意を承りまして終わりたいと思います。
  102. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 簡易保険というのは、私が申し上げるまでもなく、加入者の不時の事故に備えて遺族の当面の生活を保障するという、加入者を含めました利益を確保していくということがこの制度の目的であるわけでございます から、そのために共同準備財産でございます積立金というものの安全で確実でしかも有利な運用をするということが大事であると思うわけであります。安全、確実の問題は対の問題でございますし、有利な利回りの運用の問題は、これは運用範囲の問題であると思うわけでございます。今回の改正をお認めいただきますならば、新しい運用範囲が得られるわけでございますので、いま申し上げましたような目的に貢献することができると思うわけであります。  ただ、これですべてが解決したわけではないわけでございまして、先ほどから御指摘がありましたように、余裕金の直接運用の問題が残っておりますし、また、いろいろなことを考えてまいりますと、経済変動に耐え得るような資金運用ということを考えると、もう少し運用範囲というものを広げてもらいたい。民保までいかないにしましても、国家公務員共済の運用範囲というものを頭に置きながらさらに運用範囲を広げていく。そしてまた、運用範囲の中でも、これまた御指摘がございましたように、職員の資産運用に関する知識経験というものを豊富にし、また関係機関協力を得るという努力を重ねながら加入者利益を守るためにさらに有利な運用を図っていくということに全力を尽くしていきたいと思っておるわけであります。
  103. 八百板正

    委員長八百板正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  高橋君から発言を求められておりますので、これを許します。高橋君。
  106. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 私は、ただいま可決されました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び無党派クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一、簡易生命保険及び郵便年金加入者利益増進するため、積立金運用範囲拡大余裕金の直接運用制度改善をさらに積極的に推進するとともに、資金の有効な運用を確保するための体制整備に努めること。  一、高度化する国民保険年金需要に対応するため、簡易生命保険及び郵便年金の最高制限額の引上げ、新種商品の開発サービスの充実、改善を図ること。   右決議する。  以上でありますが、この決議案は、本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、この趣旨につきましては改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。  以上でございます。
  107. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、桧垣郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。桧垣郵政大臣
  109. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 慎重な御審議をいただきまして、ただいま簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。  この委員会の御審議を通じて承りました御意見につきましては、今後簡易保険郵便年金事業運営していく上で十分生かしてまいりたいと存じます。  また、附帯決議につきましては、今後その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
  110. 八百板正

    委員長八百板正君) なお審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時四十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ────・─────    午後二時五十八分開会
  112. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。桧垣郵政大臣
  113. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、電話の近距離の通話料と遠距離の通話料との格差の是正を図るため、遠距離の通話料を引き下げようとするものであります。  わが国の電話の通話料は、諸外国の料金に比較して、近距離の通話料は安く、遠距離の通話料は高いことからいわゆる遠近格差が大きくなっております。この格差を是正するため、区域外通話地域間距離が三百二十キロメートルを超える遠距離の通話料を引き下げることとするものであります。  その内容は、現在三百二十キロメートルを超え五百キロメートルまでは四秒ごとに十円、五百キロメートルを超え七百五十キロメートルまでは三・五秒ごとに十円、七百五十キロメートルを超えるものは三秒ごとに十円となっている料金について、これを三百二十キロメートルを超えるものは一律四・五秒ごとに十円に改めることとするものであります。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日といたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました提案理由及びその内容でございます。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  114. 八百板正

    委員長八百板正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  115. 片山甚市

    ○片山甚市君 ただいま大臣から説明のありました公衆電気通信法の一部改正に関する質疑に当たりまして、まず、現在本院大蔵委員会において審議中のいわゆる財源確保法案について、一言触れておきたいと思います。  この法案によりますと、電電に対する納付金の前倒し調達は、納付金制度自体、公社経営独立採算制の堅持、公社法第六十一条による公社財務を安定させる立場からも、また電気通信事業の使命が良質なサービスをあまねく公平は提供することであり、剰余金を一般会計に入れる使命などを持っていないことからも、認められるものではありません。百歩譲って、公共事業としての社会的役割りから、制度現状やむを得ぬ措置だったとしても、あくまで臨時特別措置であるにもかかわらず、さらにこのたびは国家財政破綻に対する政府の政治責任をあいまいにしたまま、その帳じり合わせを前倒しという無法な手段でごり押ししようとするなどということは、もってのほかであります。  このような事態に対し、当事者である電電公社総裁から、まず本来の電気通信事業の遂行の趣旨にもとる今回の措置に対して、少なくとも、今後同様の納付金制度の再設置は認められないことを確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
  116. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) この臨時国庫納付金というのは、これはもう異例の措置というふうに私ども受け取っております。国の財政の特殊な状況から、やむを得ずこういうことになったものと考えておりますので、今後こういうことはもう起こらないものだというふうに考えてもおりますし、また、希望もしておる次第でございます。
  117. 片山甚市

    ○片山甚市君 郵政大臣にお伺いしますが、いま総裁の方から、少し口ごもった言い方でございましたけれども、公社法のたてまえから言えば、独立採算からいって、こういう臨時の措置は再び設けるべきでないと思いますが、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  118. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 今回の電電公社からの一般会計への納付金制度をとりましたことは、異常な財政危機に際しまして、特別立法をもって臨時特例的に定めたものでございます。きわめて例外的な措置と言わざるを得ないと思うわけであります。  元来、電気通信事業を背負います電電公社は、財政目的の事業ではないわけでございますので、私はこのような特例的な措置が行われることのないような財政再建が一日も早く訪れることを期待いたしておるわけでございまして、私としては重ねて納付金の納付をするというようなことは考えておらない次第でございます。
  119. 片山甚市

    ○片山甚市君 よくわかりました。公社法の趣旨からいっても、これは不当な措置でありますから、異常な措置ということから、今回限りになるように、きちんと締めくくりをしていてほしいと思います。  そこで、公衆電気通信法改正の問題でありますが、まず料金改定に当たり、基本的な情報通信政策と、その具体的な電気通信サービスあり方についてお聞きしたいのですが、まず審議会における検討課題のうち、今回の遠近格差解消のためと称する料金値下げの提案のみがつまみ出されてきた理由は何でしょうか、これが一つ。  二つ目に、今後電気通信審議会における検討結果と今回の値下げが絶対矛盾しないということを確約できるかどうか、これをまず、お聞かせ願いたいと思います。
  120. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 今回の値下げの措置でございますけれども、これは通信料金全体の中におきまして、特に三百二十キロ以遠の料金というものが先進諸外国に比較いたしましても異常に高くなっているということが現実にございます。  また、片方には市内料金がこれまた諸外国に比べて半分というような、非常に安いという現象もございますけれども、何といたしましても、遠距離が非常に割り高であるということは、利用者にとりましてかなり生活の実態から来たところの強い値下げ要求であろう、こう考えまして、今回御審議をお願いして、三百二十キロ以遠の市外通話料金を引き下げようとするものでございます。  また、今後の通信政策との関連はどうかということでございますけれども、通信政策とイコールそれが電話料金という御説明の仕方はなかなかむずかしいかとも存じますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、やはり電気通信というものの政策を進めるに当たりまして、二つの面から考えなければならないと思っております。  一つは、先ほど来議題になっております電話の問題でこざいます。  電話というのは、やはり実態といたしまして、現在の国民の皆様方が使う基本的な電気通信サービスの一態様だと思うわけでございます。したがいまして、電話のような国民生活にとって不可欠なサービス、これにつきましては全国あまねく公平な提供を確保すること。それから第二に、電気通信サービスをできるだけ低廉な料金で確実に継続して提供すること。第三に、通信の秘密を確保すること。それから第四に、通信に関する国益を確保すること。第五に、通信網の計画的な整備によりまして、防災対策等を含めまして社会基盤を確立すること、というようなことが、やはり基本的な通信手段である電話にとって必要なこれからの政策の基盤だろうと思っております。  第二の側面でございますが、これはいわゆるこれから今後の電気通信技術の発展の中で出てまいりますデータ通信等の新しい通信によります社会発展のための基盤の整備の問題でございます。これは当然、この第二の側面につきましても、電気通信の高度化を図ることによりまして、利用者のニーズの高度化、多様化に十分こたえていくような政策をとること。また、電気通信における急速な技術革新に対応するための技術開発力を確保しなければならないこと。それから、先ほど申し上げましたように、データ通信とか画像通信、CATVというようないわゆる多様なメディア、こういったものが整合性のある発展をしていかなければいけないということ。また、さらにはわが国がその通信技術を発展させることによりまして、世界的な技術水準をリードして、その高度な技術によって国際的に貢献するというような措置をとるべきである。こういったようなことが第二の側面の政策の基礎となるべきだろうと思っている次第でございます。
  121. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、電気通信政策局としての考え方は述べられたんですが、電気通信審議会ではこの問題についてどのような取り組みをされましたか。時に、電気通信審議会に設置された専門部会――これは有線放送部会、料金部会、技術部会というのがあるそうですが――には、どのような方針に基づき運営され、それぞれの課題に対する結論をいつごろ出されるおつもりですか。
  122. 小山森也

    政府委員(小山森也君) もうすでに二回、電気通信審議会は開かれておりますけれども、ただいまこのような基本的なことにつきまして、まだ御審議をいただくような状態になっておりません。私どもといたしましては、いわゆる原案をなるべく早く整備いたしまして、基本的なこのような政策につきましての御審議をいただきたいと思っている次第でございます。
  123. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、電気通信審議会では今回の値下げの問題について審議されて了承を受けたというのですか。それとも、その結果、先ほど質問しておるように、今回の値下げについては、電政局が言っている政策に矛盾が生じない、こういうことを考えてよろしいか。
  124. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 一月十八日に電気通信審議会に諮問をいたしまして御審議いただき、即日これにつきまして「妥当なものと認める。」という審議の結果を得ている次第でございます。
  125. 片山甚市

    ○片山甚市君 今回の値下げについては絶対矛盾は将来起きない、三百二十キロメートル以上の値下げについてこれから政策上矛盾を生じないというふうにお考えですか。
  126. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 遠距離につきまして料金を引き下げていく、料金を引き下げるというよりかむしろ遠近格差をなくしていくというこの方針につきましては、今後の電気通信技術の発展に伴う方向にある措置であると思っております。
  127. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは電電にお伺いしますが、電気通信サービスを提供している公社として、その将来像、すなわちどういうサービスをどのような姿勢で臨むのか、どういう考えを持っておるのかについてお答えを願いたいと思います。
  128. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) お答えいたします。  情報伝達手段としての電気通信は、従来電報、電話を中心に発達をしてまいりましたけれども、これからは、先ほどもお話がございましたように、光ファイバーの導入ですとか、伝送路のディジタル化とか、エレクトロニクス技術の一層の進展による通信網の高度化、あるいは通信と情報処理との融合、そういった過程の中で、人と人との対話から機械と人との対話、それからさらには、いままでは独立し合っていたほかの産業分野――放送ですとか印刷、出版、そういった分野との間で融合現象を起こしながら新しい分野サービスというのが生まれてくると考えております。そういう新しいサービス、既存のサービス国民生活あるいは社会経済に与える影響というのは今後ともますます大きくなってまいりまして、電気通信が社会の中でのインフラストラクチュァとして果たす役割りというのはますます大きくなるというふうに考えております。  公社としては、その役割りを十分に認識して一層豊富な、多彩なサービスがだれでも、どこでも利用できるように、しかもそれが可処分所得の範囲内でといいますか、できるだけ利用しやすい料金で利用できるようなシステムをつくっていくということ、そして、それによって社会の進展に貢献していくということが公社としてやらなければならない使命と考えております。
  129. 片山甚市

    ○片山甚市君 それは公社が今後ありたいと考える想像した話であるのですが、いままではよく使っておったINSをきょうは使わなかったんですが、具体的にどういうような計画をもって進められるつもりですか。
  130. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) いま最初にちょっと申しましたけれども、INSということは、結局いまある施設に新しい技術、つまり光ファイバーでありますとかあるいはディジタル交換機でありますとか、そういった新しい技術を取り入れながら新しい高度なネットワークを構築していく。そして、その新しい高度なネットワークを効率的に活用しながら電話網、ファックス網、データ通信網あるいは画像通信網、そういったものを総合的に利用できるようなシステムを構築していく。で、利用者の方々が利用しやすいような形でのシステムをつくっていくべく、そういう方向で進めていきたいと思っておりますし、その中では当然利用者の方々のニーズを的確に把握していくということが必要はなってこようと思っております。
  131. 片山甚市

    ○片山甚市君 それは計画としていつごろまでに明示されるような手はずになるんですか。
  132. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) いろいろモデルシステムで、武蔵野・三鷹地区のモデルシステムで、ニーズあるいは御利用の方法、そういったものをいろいろ調べていきたいというふうに考えておりまして、そういったことも踏まえまして今後検討していきたい。  先行きの計画につきましては、そういうわけで、そういうこととあわせていま鋭意検討をしていって、なるべく早くまとめたいと考えておりますが、いまはそういったことで検討中と、こういうことでございます。
  133. 片山甚市

    ○片山甚市君 想像の話はたくさんあるんですが、具体的な計画が示されておらないことは問題がありますから、警告をしておきたいと思います。  そこで、先行きの見通しと具体性に乏しい中で料金値下げだけが先行した理由は何でしょうか。先ほど電政局から聞きましたから、今度は公社から。  値下げの問題については、希望は述べられたけれども、いまのように先行きの見通しが明確でありません。それを公社から答えてください。
  134. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいまお話し申し上げましたように、これから電気通信といいますのは、ディジタルの技術を基本といたしまして発達をしていくだろうということがほぼ確実に見通されておりまして、そういうふうになってまいりますと、特に遠距離を中心といたしまして単位当たりのトラフィックを運ぶためのコストというのは将来的にいままでより以上に安くなっていくだろう、このように見通されておるところでございます。  それに対しましてわが国の電話の通話料は、先ほどから電政局長からもお話しのありましたとおり、近距離は諸外国に比べて安うございますが遠距離は諸外国に比べて高いという料金になっておりまして、いずれにいたしましても、長期的の問題といたしましては、長距離料金というものは引き下げていかなければいけない。それがまた技術の進歩に見合います料金体系であると、このようにわれわれは理解をいたしておりまして、さしあたり特に御要望の強い、諸外国に対して高い長距離の料金を引き下げていく。これは将来の電気通信の技術動向、あるいはあるべき料金体系、そういったものとも沿うものであると、こういうことで、今回とりあえずの措置といたしまして長距離三百二十キロメートルを超えるところについて料金を引き下げる、こういうことをお願いしておるところでございます。
  135. 片山甚市

    ○片山甚市君 電電公社の先行きの見通しについては、公社のいままでの説明で言うと、昭和六十五年まで何とか黒字を保つことができるというお話がありましたけれども、そこで、料金値下げをすることは国民的に歓迎されることです。しかし、先ほどから言いますように、先行きの見通しを具体的に示しておりませんから非常に不安であります。  そこで、財政的な立場から聞きますが、今年度は拡充法の廃止で、また納付金の前倒しなど借入金の比率が増加しておりますが、値下げを行うなどによって公社財政にひずみが生じないかどうか、財政的にお聞きします。
  136. 岩下健

    説明員(岩下健君) 先生ただいま御指摘のように、今回の値下げによる減収、これは平年度九百億程度と予想されます。それからまた拡充法の廃止に伴います資金調達法の問題もございます。御指摘のように決して前途につきましては楽観を許さないものがあろうかと端的に思っておるのでありますが、しかし、ここ一、二年来の現場の職員に至るまでの増収あるいは経費節減の努力、こういったものによりまして、幸い現在好調とも言える収支状況を維持しておるわけでございます。今後もこの努力を重ねることによりまして現在の料金水準を少しでも維持をするということで利用者の皆様のお役に立ちたい、かように考えております。  それから、資金調達面につきましても、現在公社の資金調達の主力になっております内部資金の充実がまず第一でありますが、外部資金にいたしましても、特別電電債あるいは外債、こういったものも信用度が大切でございますが、現在幸いのところ、公社のこういった経営努力も反映いたしまして比較的高い信用を国内外ともに得ているように思います。こういったものを基礎にしまして、資金調達につきましても自主的な調達力の強化、こういったものをさらに一層に図るということで、必要な資金を、しかもできるだけ低利で調達できるような手段を今後も努力してまいりたい、かように考えております。
  137. 片山甚市

    ○片山甚市君 財政当局から説明がありましたが、総裁にお聞きしますが、近い将来において国民に料金引き上げというような犠牲を強いることは絶対ない経営をされるかどうか。
  138. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 絶対という言葉は使いかねると思いますが、ここ当分の間、物価なり何なりの、過去の石油ショックのような異常なインフレということがない限り、料金値上げをしなくちゃならぬというふうには見ておりません。
  139. 片山甚市

    ○片山甚市君 いま私が聞いたのは、近い将来と言いましたから、当分の間と置きかえをされていることについては意味深長ですが、せっかくこういうことをやられた結果、遠距離は下げたが、近近格差を是正するというような口実のもとに値上げをしないように十分に警告しておきます。  そこで、料金政策についてお聞きしますが、料金政策の展望を早急に示してもらいたいと思うんですが、まず料金政策についてどういうように今後臨まれますか。
  140. 西井昭

    説明員(西井昭君) 料金問題につきましては、電電公社の提供しておりますサービスは、現在電信電話、それからデータ通信のためのDDX網あるいはファクシミリネットワークとかいろんなものがございますが、そのうちの電話につきましてのとりあえずの料金政策というほどのものではございませんが、電話についての考え方を申し上げますと、先ほど申しましたとおり、今後電話というものはアナログからディジタルによって通信を運んでいく。そしてそれは電話だけではなくていろんなものが、従来のような別々のネットワークではなくて一本のネットワークによってそこに運ばれていく。こういうふうになっていくということが大体現在のところほぼ確実ということに見通されておりまして、諸外国ともそういう方向に電気通信のネットワークを切りかえていくべく準備中でございます。そういった中で、一つの問題としましては、料金の体系といたしまして、ただいまは電話は電話、電報は電報、加入電信は加入電信、DDXはDDX、それぞれ全く別個の料金体系になっておりますが、今後の技術の発達によりまして、たとえばファクシミリで送ったものが向こうでタイプライターで出るとか、あるいはタイプライターで送ったものが音声で出るとか、そういう通信、メディア間のいわゆるメディア変換ということも今後の将来に起こってくるだろう、こういうふうに予測をされるところでございます。したがいまして、従来のように別々のネットワークで別々の料金体系ということになりますと、そういうことにはとても対応できなくなりますので、そういうものの料金を取ります共通的なガイドラインというものを設定する必要があるだろう。通信といいますのは日本国内だけではなくて世界じゅうにつながるものでございますので、そういう料金のガイドラインとして適切なものを設定すべきであるということで、御存じのとおりの国際連合の中の電気通信の専門部会でありますCCITTに、この料金を取りますときの基本的なガイドラインとしてビットを基礎としましたものをガイドラインとして設定すべきではないか、こういうことをわが国から提案をいたしておりまして、そして現在CCITTの中の専門部会において、その内容について審議をしていただいておるところでございます。そういうふうにいたしますと、結局あらゆるものがビットに換算をされまして、そうしてそれが距離あるいは時間、それからあるいは非常に高速、低速、そういったものによりましてそのビットをベースにしました料金体系に統一ができる、こういうふうに考えているところでございます。  それから、その料金水準の問題につきましては、先ほども申しましたとおり、設備がディジタル化になってまいりますと、特に長距離関係につきましては非常に豊富なトラフィックを少ない設備で運べる。特に、ディジタル化といいますのは長距離料金に対しまして非常に効果的でございますので、料金体系も、料金の水準につきましても、長距離の料金水準は物価変動がないといたしますと、引き下げていけるようになっていくのではないか、こういうふうに考えているところでございます。  それからあと、いろんなただいまの、特に電話を中心といたします料金体系の矛盾につきましては、ただいま先生もおっしゃいましたとおり、遠近格差のほかに、近近格差という問題もございます。こういった問題も今後の問題としまして、近近格差というものについても当然のことながら解消していくべきだと。その解消いたします方法といたしましては、イギリスのグループ料金制等を参考にいたしまして、わが国に適した料金体系というものに持っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  141. 片山甚市

    ○片山甚市君 長々と将来展望の話はよくします。おしゃべりというのはそんなものです。現実に聞いておるのは、昭和五十六年度公衆電気通信法改正において附帯決議しましたように、「通話料の遠近格差の是正、グループ料金制の導入及び料金決定原則の明確化等料金制度について引き続き検討すること。」と書いてあるのですが、それを検討されていないじゃないですか。ビットの問題は、北原副総裁がどっかで演説して世界じゅうから褒めてもらえたとか、またベルの研究所がやったとかありますが、よその人がビットという用語を発明したとか、そんな話はいいのですが、このグループ料金制というものについてどういうふうに取り組まれてどういうふうになっていくのか、簡単にやってください。時間が一時間しかないので、おしゃべりを聞くほどでもない。質問を簡単にしておるのは――簡単に答えてください。
  142. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) ただいま先生指摘のグループ料金制の問題につきましては、先般の料金改定のとき以来検討を進めておるところでございます。その際、附帯決議でもございましたように、現在の料金体系の問題は遠距離料金の問題と近距離料金の問題とあるということでございまして、主としてこれまでは、今回もそうでありますけれども、諸外国に比べてもあるいは料金体系の中で一番焦眉の問題と考えられるのは遠距離料金の引き下げであるということで、遠距離料金の改定に焦点をしぼって改定を行ったところでございますけれども、残された問題として、先生指摘のグループ料金制と近距離通話料金体系の改善という問題がございます。近距離料金体系の改善は、三分十円、そのお隣が八十秒十円ですから三分ですと三十円ということで、三倍の料金の格差がございまして、道一つ隔てると三分十円が三分三十円になるという問題ございます。それで、それをどうやって改めていったらいいかという問題については、内部的にあるいは学識経験者の方々の御意見あるいはアンケート調査なども行っておるわけですけれども、いろいろなやり方があるわけでございまして、先生指摘のようなグループ料金制あるいはイギリスで実施しておりますようなグループ料金制という方法もございます。それから三分十円、八十秒十円というそこの格差を少しずつ縮めていくという方法もございますし、さらに将来を考えますと、INS時代、全国均一料金に次第に近づけていくという方向がむしろ今後の方向として望ましい方法であるとすれば、いまの単位料金区域をそのお隣の単位料金区域まで拡大するという、グループ料金制でなく、もう一つ広くした県単位ぐらいまでを一つの単一料金区域にするという案も一つの案として考えられるわけでございまして、社会行動圏、社会生活圏の動向でありますとか、あるいは加入数の格差、同じ料金でかけられる加入数の格差がどのようになるか、それからエリアがどうなるか、それから広くすると基本料に影響を与えますので、基本料にどのような影響を与えるか、そんなようなことをいま鋭意検討しておりまして、次の課題としてこの近距離料金の改定に取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  143. 片山甚市

    ○片山甚市君 私がいつ具体的にグループ料金制、このようなものを要求したいと言いましたか。先生のおっしゃるとおりって、何ですか、それは。説明してください。
  144. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 失礼しました。
  145. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、実は私が申し上げるのは、遠距離と近距離の問題がいろんなところで問題になって、それで今度下げるようになった、それは糊塗的なものであって、本質的に料金制度として基準を決めなきゃならぬ、料金決定原則を決めなきゃならぬ、こういうことを言ってきたのでありまして、どういうような方法にするかということについて差し出がましいことを言ったことはありません。私は、古いから、労働組合におったときから言っていたことはありますけれども、この国会に来てからそういうことを言っておらないわけです。  そこで、いつまでにグループ料金制を含めた料金決定原則を決められるのか、いま信澤さん答えてください。――郵政省は後から聞くから。
  146. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 今回、料金改定を行いますにつきまして、大体私ども、もう先ほど御説明しましたように、一方で名目的な減収は千四百億ぐらいだけれども、トラフィック、需要量が五百億ぐらい出るだろうというようなこともございます。したがって、トラフィックの変動状況がどのようになるかということも見ながら、それから将来の長期の収支見込み、これがどのようになっていくかということも見ながら具体的な今後の料金改定の方向については検討を進めてまいりたいと思います。  いま、具体的にいつまでにどうするかということまでは現在の段階では申し上げられない状態でございます。
  147. 片山甚市

    ○片山甚市君 泥縄式値下げであることはわかりましたが、総裁がおっしゃったように、天変地変が起こるような事件が起こらぬ限り値上げはしないとおっしゃったんですが、天地神明に誓ってやってもらいたい。  そこで、郵政省は現業官庁ではありませんで政策局になっておるんだから、政策を立てるたてまえからいってあなたのお仕事ですから、電政局長の方で、これから料金政策をどのようにするか、私が先ほど附帯決議のことを言いましたから、ずばっと言ってください。電電公社の方は仕事をする方で、あんたは政策をつくる方でしょう、これを答えてください。
  148. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 料金決定原則というのは、ただいまいわゆる法的なものでは公衆法にはないわけでございます。これにつきまして、実定法上、やはりガス事業法であるとか電気事業法にはある程度の原則が定められておりますが、いまないという状態でございます。  それでは、ない中でどういうふうに考えるかということでございますけれども、まず総体的な問題ですが、電気通信の料金というのは何かということにつきましては、料金総収入というのはいわゆる総費用との関係で見なければならない、それはまず事業が合理的で能率的な電信電話事業をやっていっていること、それでその事業経営に必要な総費用を収入で埋めなければならないとかということは、非常に抽象的な言い方でございますけれども一つの総体としての考えであろうと思います。  それでは、経営に必要な経費はどういうふうに考えるかということでございますけれども一つは、やはり現在ありますところの電気通信の実情、実態的なサービスの品質、まずこれを今後とも落とさないための維持をしていくという現状の運行の問題でございます。  第二は、今後におきまして技術革新、これが進みました場合に、新しい通信の媒体としてのインフラストラクチュア、いわゆる社会基盤としての機能を果たし得る、そういったものへの投資、これもやはり後世の利用者に対する現在のわれわれの、利用者としての負担の義務ではないかと思います。したがいまして、それに費用として算入すべきであろうと思います。  またさらには、現在いわゆる債券でもっていろいろの、かなりの債券の費用がかかっております。これをなるべく償還することによりまして後世に大きな負担を残さない、そのための経費というような三つの側面から考えられると思います。こういったような総費用、こういったものを賄うにはどうしたらよいかということから総体としての費用というのが算出されると思います。  それじゃ個々の料金を決定するのはどうするかということでございますけれども、非常に抽象的な言い方でございますけれども、原価とか実際的な社会的な効用に対する報酬、その他類似サービスの料金との均衡というような問題、それから過去の沿革から申しますと、やはり私ども日常使っている電気通信の利用実態から、またその料金というものが非常に継続的に私たちの生活の実感の中に入っておりますので、それに対しての飛躍的な思想の変更がありますと、やはり生活実感とはかなり離れてしまう料金になってしまう。それであってはならないと思っております。  それでは、どうやってそういったものを総括したところの料金を決めるべきかということでございますが、当院の附帯決議等もございますので、現在学識経験者からなります調査研究会をいま開いております。その中におきましていろいろな御提言を近くいただくことになっております。  それでは、他人のこの研究会がやったことをそのままやるかということは、私ども必ずしも考えておりませんけれども、しかし非常に重要な提言をこの先生方からいただけると思っておりますので、それを基本にいたしまして、さらに公社の財務状況というものをやはり十分勘案した中でこういった決定原則を決めていきたい、それによりましていろいろ当院にもお諮りしたい、こう思っている次第でございます。
  149. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、それを明文化する用意はないですか。
  150. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 申しわけございませんが、ただいま当委員会で公式に申し上げるような形にまで熟しておらない次第でございます。
  151. 片山甚市

    ○片山甚市君 私が要求しておるのは、料金決定原則を決めて、内外から見てもわかるように見通しのいいようにしてもらいたいと思いますから、それは……。  と申しますのは、国会の審議で幾たびかグループ料金制の問題について提案をされ、検討してもらうように議論をしてきました。きょうはビットまで出まして、それを通り越した場合、これからあるべき通信の問題であって、現にある日本の通信の中で電話が大半――九九%とは言いません、九七%か八%を占めておるその電話の通話料についての規定が、遠距離を下げたならば、全体にこれから料金決定の基準を示さなければにっちもさっちも動かない。そういうことでありますから、そのような検討をして、いつごろ提出してもらえるか、グループ料金制を含めてそれはいつまでにできるかということを聞いておるのですが、御答弁願います。
  152. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 明確な期日ということを申し上げる段階にないことは非常に申しわけないと思いますけれども、しかしながら政策上の問題といたしまして、これはなるべく早い機会にそのような方向でお諮りすべきであろう、こう思っております。
  153. 片山甚市

    ○片山甚市君 この問題は大変むずかしいことでありますから、きょう電話料金の値下げをするときでありますから、これからの方針として、速やかに確立してもらいたいということを申し上げておきます。  電電公社に聞くんですが、公社の福祉政策のあり方についての考え方を聞きます。  現在どのようなことを福祉政策としてやっているのか、また現在やっていることで十分だと思っておりますか。電電公社は機器の開発を中心としてやっておるようですが、それらについてお答え願いたいと思います。
  154. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 福祉用電話機器の開発の問題と、それから身障者等に対するそのほかの施策という二つの側面があろうかと思いますけれども福祉用機器の開発につきましては、これまでできるだけ実際に体が不自由な方々の御意見も聞きながら機器の開発を進めておるところでございまして、五十年にはフラッシュベル、シルバーベル、それからシルバーホン「めいりょう」、五十一年にはシルバーホン「あんしん」、それから五十五年にはシルバーホン「ひびき」、それから昨年は手足の不自由な方のためのシルバーホン「ふれあい」といった、こういった身体障害者用の福祉用機器の開発を進めておりまして、シルバーホン「めいりょう」――耳の遠い方のための音量調節機能を持った電話でございますけれども、これが全国ただいま大体九万四千個ございます。それからフラッシュベルが一万六千個、シルバーベルが七千八百個、シルバーホン「あんしん」が二千四百個、「ひびき」が約六百個というような状態で普及しておりまして、つい先日サービスを提供を始めた「ふれあい」――手足の不自由な方の機器も約百台近くに現在御利用いただいておるわけでございます。  それから、老人用福祉あるいは身障者用のいわゆる福祉電話――黒電話を福祉電話として市町村の負担でお使いいただくという、これは現在約五万七百人の加入者が御利用いただいておるところでございます。  これらの福祉政策につきましては、本来社会福祉政策全体の中で考慮されるべき問題と考えておりまして、公社としてはやはり御不便のないように福祉用機器の開発、あるいは車いすの方々が公衆電話を便利に利用できるように、あるいは電話局の窓口に気やすく来ていただけるようにするための利便の向上策、そういったものについて公社は主として取り組んでまいりましたし、そちらの方面につきましては今後とも積極的にやっていくつもりでございます。  それから、身障者の方々の一層の利便を向上するために、身障者のために開発をした特殊装置といいますか、そういうものを身障者の方々がお使いになる場合には、その付加使用料を減額するという措置を昨年からとらしていただきました。今後新しい機器、便利な機器の開発とか、便利に使っていただけるようにするための施策については、今後とも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
  155. 片山甚市

    ○片山甚市君 公社の宣伝を聞きましたが、料金値下げをするに当たって、福祉政策について具体的に何かやられましたか。当然、今回のように遠距離については引き下げなきゃならぬ、こういうことで努力をされた以上、私たちが料金値上げの問題を審議のときから公社の福祉政策を要求してまいりました。今度はなぜそれについて具体的に提案をなされなかったか、もう一度聞きます。
  156. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 今回の料金改定は通話料金の改定でございます。で、基本料、通話料等のこういう基本的な料金につきましては、やはりこれを特別な扱いをするということは、全体的な国の社会政策、福祉政策の中で考えていただくべき問題だと考えております。  それから、先ほど最後に申しましたけれども、身障者の方々がお使いになる機器の料金の特別措置、減額措置につきましては、これは昨年の十月からですか、先行して実施をさせていただいたところでございます。
  157. 片山甚市

    ○片山甚市君 それじゃ、公社法第一条による社会福祉増進の問題について、その精神をどのように理解されていますか、公社法第一条。
  158. 西井昭

    説明員(西井昭君) 公社法の第一条では、公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営体制を確立するというのが一つと、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進するというのが二番目でございまして、並びに電気通信によります国民利便を確保すると、この三つを行うことによって、それが即公共の福祉増進するのだと、最初申しましたそういう三つのことをやることが公共の福祉増進するのだと、そういう目的で電電公社は設立されたんだと、こういうふうに理解をしているところでございます。
  159. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、公共の福祉増進させるために電気通信事業がこういう役割りをしておるということはわかりました。  で、福祉のことをやってはならないということでないということでありますが、それでは、イギリスあるいはドイツ、フランス等ではどのようにやられてますか。
  160. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 諸外国での福祉用の電話機器――まず機器の開発状況につきましては、大体日本と同じように難聴者用、盲人用、肢体不自由者用、あるいは発声障害者用、そういった機器の開発が行われておりまして、大体機器の種類としてはわが国とほぼ同じではないかというふうに考えております。  それから、使用料金につきましては、これは余り詳細なデータはございませんけれども、アメリカの場合、州ごとに電話会社によって対応が違っておるようでございますけれども、一般的には通常の場合の料金に比べて若干の割引を行っているというケースがあるようでございます。
  161. 片山甚市

    ○片山甚市君 詳細なことを追及しませんが、いまおっしゃったように、アメリカの場合は夕方の料金、夜間の料金、それぞれ四〇%、六〇%引きの通話を認めておるわけです。遠距離の通話料を下げるぐらいであれば、そういうような人たちに対する料金の改正の案を出してもしかるべきだと思いますし、特に機器の問題については黒電話と同じ値段で、公社は収支を償わなくてもそれをつけてあげるのが当然でないでしょうか。公社はその機器について、特に障害者の方々に対する値引きをしておると言うが、それは原価を償うための前提でありますか。原価を償わなくてもこの人たちにやるべきことだと思いますが、いかがですか。
  162. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) どうも繰り返しになって申しわけございませんけれども、基本的な考え方としては、やはり公社は独立採算を旨とする事業経営を行うということをたてまえとしております以上は、やはり原則は国などの社会福祉政策全般の中で考慮されるべき問題であって、公社としてはできるだけ便利な機器を開発していくと、そしてそういうものの利用はできるだけ低廉な料金で御利用いただけるようにしていくということが公社としての使命ではないかと考えております。
  163. 片山甚市

    ○片山甚市君 その価格を引き下げなさいということについては、私の意見について、いままでやった以上にやりたくないということですが、いわゆる社会的に身体的に著しいハンディキャップを負った人々は、電話の利用というのは日常生活にやむを得ない必要なものであります。その人々に対して採算制をとるという前提でやるべきでなくて、これは例外的に原価以下であってもいいと思うんです。と言いますのは、電電公社は相当努力をしてことしも収支差額を出しておる。そして、先ほどありましたように、特例法によるところの納付金を出しておる。そういうときでありますから、当然福祉について電電公社がやるべきだと思います。独立採算だということであれば、納付金もお断りをしたりしなきゃならぬと思いますが、いかがですか、独立採算を言うのなら。
  164. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先ほど、最初に御説明いたしました各種の福祉用機器――体が不自由なために普通の黒い電話がお使いできない方のための特殊装置、これらの料金につきましては、従来コストに見合った料金ということでいただいてまいったわけでありますけれども、昨年これらの特殊装置につきまして、これらの料金について大体半額程度で御利用いただけるようにしたところでございます。
  165. 片山甚市

    ○片山甚市君 やるつもりはないそうですから、もう一度聞きます。  機器の開発にとどまらず、さらに福祉電話の改良や設備の設置の個数、設置の場所、福祉形公衆電話の増設、その他積極的に関係団体、地方公共団体などの要望を聞いて配慮すべき余地があると思いますが、今後努力されますか。
  166. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 従来ともそういう福祉団体、市町村等からの御要望なりお話はございました。それに応じて公社としても新しい機器の開発でありますとか、そういう方々のための公衆電話の開発あるいはボックスの改善、そういったものに取り組んでまいりましたし、今後ともそういう方々の御意見には積極的に耳を傾けてまいるつもりでございます。
  167. 片山甚市

    ○片山甚市君 現行の福祉対策につけ加えて、その対象の家庭への具体的措置を考えた場合、どの程度の財源が要るかと考えてみますと、百億円もあれば十分に事足りる。そういう意味で、ぜひともそのような対策をしてもらいたいということを要求します。お答えください。
  168. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) ただいまの先生の御趣旨も十分私どもとしても頭に入れまして、今後とも福祉対策に対しては対応してまいりたいと思います。
  169. 片山甚市

    ○片山甚市君 公社は、福祉の問題についてはやるべきでなくて、それはお門違いだと、一般会計の問題でやるべきだとおっしゃっておって、そのようにおっしゃるのは、言うだけ言わしておけということでしょうが、まあその程度でいいでしょう。  私は、電電公社が三千二百億円とか三千三百億円等の黒字を出しておるということですから、その点についてどういうように福祉政策にお金を回されるかと。また、グループ制料金に対して努力されるかということを聞いたんですけれども、その二つとも非常に失望しました。  そこで、公社の収支差額の動向についてお聞きするのですが、最近の五年間の動向について説明してください。
  170. 岩下健

    説明員(岩下健君) お答えいたします。  五十七年度を含めまして、最近五年間の収支の模様でございますけれども、収支差額という形でこれを端的に申し上げたいと思いますが、五十三年度が三千九百八億円。五十四年度が四千五百二十九億円でございましたが、五十五年度、これは減少いたしまして三千八百八十一億円。五十六年度、これがまた三百数十億円減少しまして三千五百五十八億円。五十七年度でございますが、現在決算が出ておりませんので、確定的なものを申し上げる段階ではございませんけれども、いまの時点で申し上げられますことは、収入につきましては、予算に対しまして各種の増収努力等もございまして一千百億円以上の増収、また逆に支出につきましては予算に対しまして一千億を上回る節減が可能だろうと思っておりますので、当初予定しました約一千百億円の収支差額にこれを加えますと、少なくとも三千二百億円以上の収支差額を現在のところ期待しているわけでございます。
  171. 片山甚市

    ○片山甚市君 いま収支差額についてお聞きしました。そこで、約一千億円の節約費用についての内訳を説明してください。
  172. 岩下健

    説明員(岩下健君) 先ほど申し上げましたように、五十七年度の場合、まだ確定的なことは申し上げにくいわけでございますが、一千億円以上の節減は、端的に言いまして金融費用、つまり利払いを中心としました債務にかかわる費用と、それ以外の一般のいわゆる物件費、業務委託費、人件費といった営業費的なものと二つに分けることができるかと存じます。  金融費用につきましては、現在のところ六百億円以上、また営業費関係につきましては四百億円以上の節減を現在期待をしておるところでございます。
  173. 片山甚市

    ○片山甚市君 営業費のうち、人件費相当額は幾らですか。
  174. 岩下健

    説明員(岩下健君) 四百億円の内訳につきましては、まだ確定的なことは非常に申し上げにくいわけでございますが、恐らくその三分の一か四分の一程度が人件費、またそれ以外が物件費ないしは業務委託費ではないかと推定をしておるわけでございます。
  175. 片山甚市

    ○片山甚市君 労働生産性の推移はどういうような形に今日なっていますか。
  176. 児島仁

    説明員(児島仁君) 労働生産性のとらまえ方につきましてはいろんな指標のとり方があると思いますが、非常に簡単なかっこうでとらまえますと、職員一人当たり何個の電話機を受け持っておるかというとらまえ方が一番簡単で、世界的にも通用しておるわけでありますが、その数字を過去数年間見てまいりますと、ほぼ数%ずつの伸びを示しております。したがって、労働生産性としてその程度の向上があったというふうに見てよろしいのではないかというふうに考えております。
  177. 片山甚市

    ○片山甚市君 収支差額を生む企業努力は、ひとり総裁のみの力ではございませんし、労働者の協力に負うところも大きいと思います。にもかかわらず、現状は何ひとつ配慮されているとは思いません。仲裁裁定、その実施をめぐる一連の経過あるいは低額の裁定内容なのにその完全実施もされておらないようであります。基準外諸手当も企業の努力に反比例して年々値切られている様子であります。これでは労働意欲を減退し、企業の活性化など、とうてい図り得ないと思うが、公社はどう思いますか。経営形態論とすりかえる前に、いままでに労働者に対する責任をどう果たしてきたか、これは総裁のお得意のところでありますから、お答え願いたいと思います。
  178. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 労働生産性でございますけれども、いま職員局長から数字をベースに御説明するとそういう実績が出ておりますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、経営というものが労働の生産性だけで事が決まるわけではございませんので、たとえばさっき経理局長が申しましたように、五十七年度の支出の節約というものが大部分、半分からちょっとぐらいは現在の規定の中で借入金あるいは借入金の返済、あるいは国庫預託というふうなものの、いわゆる資金の操作で金利を倹約しましたものが千百億から千二百億の経費の節約の中の半分を占めるというふうなことで、これが今後継続できる可能性もございますので、こういう面が非常に大きく影響しております。  それと、この労働の生産性というものをどういうふうにわれわれみたいな業種で定義するかということも、これはなかなかむずかしい問題でございまして、たとえば生産会社でございますと、一時間当たりに製品が何個できるとか、あるいは製品の中の原価の労働費用が幾らだというふうに、非常にきちっと出せますけれども、私どもの方はそうはなかなかできません。結局は、いままで長い間習慣的にやってきております物、人、金の動かし方を、近ごろの世の中に合わせてできるだけ合理的にやっていくというふうなことを、月次決算を中心にして金の使い方というものに厳格性を持たせながら、みんなが毎月毎月反省しながらお金を使っていくというふうなことを始めましたものですから、どことはなしに出てきておるのがあと六百億から五百億でございますが、そういうことでございますので現在の制度の中で許される範囲のことをやっておりますけれども、ここで非常にいま不自由を感じておる問題がございますけれども、人件費の中で旅費、超動手当というふうなものが横の流用ができないで、それなりに予算措置として枠が決まっておるというふうなことになっておりまして、それと見合う物件費、外注費、こういうものが皆項目ごとに決まっておりますので、超過勤務手当を上手に使いますと、超過勤務手当を払ったためのエキストラ費用の倍から三倍ぐらい物件費が落ちてくるものなのであります。それから、超過勤務手当を合理的に使いますと、三日かかる仕事が二日でできるぐらいのことは楽にできるわけでございます。そうすると、トータルコストとしては三分の二に落ちていくというふうなことでございまして、この辺のあり方というものが従来の行政官庁並みの予算統制を受けておりますので、私どもみたいな現業官庁で非常にやりにくい、非常に非能率な動きをせざるを得ない、ある程度のことはできますけれども、それから先はなかなかできにくいということで困っておりますが、とにかく要するに何とかかんとかしながらこういうふうなことをやっておりますが、さっき申しましたように、いまの状態を皆が続けてくれれば当分の間この費用の伸びが収入の伸びを上回ることなしにやっていけるんじゃないかなというふうに思っております。
  179. 片山甚市

    ○片山甚市君 最後に大臣にお伺いします。  去る四月二十七日衆議院の逓信委員会大臣が御答弁をされたことは、公企体職員に対して賃金改定に当たっては差をつけるべきではないが、それぞれの企業努力に対する還元については考えるべきであるとの御趣旨を述べられておりますが、そのようにいま総裁のことをお聞きしながら確認したいんですが、いかがですか。
  180. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 公共企業体の職員の給与の問題につきましては、公共企業体というものが公共性を持ち、また企業によって違いますが、法律によって独占性を与えられておるところもあり、そうでないところもあるわけでございますが、そういう公共企業体の事業の特性から考えまして、私は公共企業体の職員についてそれぞれ公共企業体の法律の中に給与の考え方が示されておるわけでございます。一般公務員の給与の動向あるいは民間勤労者の給与水準というものを考慮した上で決めるようにということになっておるわけでありまして、これらのことを考えますと、公共企業体の職員の給与は私は基本給については格差を設けるべきではないのではないか、むしろ事業の業績はその他の手当に反映するということが私は適切な措置ではないかということを考えておりますし、ただいまもそのように考えておりま す。
  181. 片山甚市

    ○片山甚市君 もう一度念を押しますが、ただいまの大臣答弁でございますけれども、企業努力に対する還元の必要性について確認されて、具体的にそれが生かされるように、勤労意欲が高まるように、労使関係が安定するように企業主として配慮すべきだというようにとってもよろしゅうございますか。
  182. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 私は、公共企業体といえどもやはり職員が勤労意欲を持ってもらうということは何としても大事なことであると思うわけであります。おのずから、申し上げましたような公共企業体の特色から民間事業のようにはまいらないという制約は私は避けがたいと思うのでありますけれども、しかし業績を上げるためのインセンティブを何らかの形で公共企業体職員にも与えるということは私は考えるべきことであろうというふうに思っております。
  183. 片山甚市

    ○片山甚市君 終わります。
  184. 白木義一郎

    白木義一郎君 私は、本法案に関連して、福祉電話に関して若干お尋ねをいたします。  厚生省は難聴者と身体障害者に対して福祉電話の普及を現在まで進めてこられておりますが、その推進状況はどうなっておるか、初めにお尋ねをしておきたいと思います。
  185. 池堂政満

    説明員池堂政満君) お答えいたします。  身体障害者に対します福祉電話につきましては、電電公社の調査によりますと八万七千九百三十八台を貸与しているところでございます。  その内訳といたしましては、難聴者用のためのシルバーホン、「めいりょう」、「ひびき」、これが七万九千九百二十三台、それから身体障害者――若干これは老人の方々も入っていますけれども、この方々のためのシルバーホン、「あんしん」というのがございますが、これが二千十五台、それからその他の身体障害者のための電話が六千台、以上八万七千九百三十八台になっております。
  186. 白木義一郎

    白木義一郎君 身体障害者の方々は全国で約百九十七万人おられると言われておりますが、その中でこの福祉電話の対象者となる障害者の万はどのぐらいになっているでしょうか。
  187. 池堂政満

    説明員池堂政満君) 先生いま御指摘のように、全国の身体障害者は百九十七万人でございます。  福祉電話の支給の対象でございますが、これにつきましては難聴者あるいは外出困難な身体障害者を対象としておるわけでございます。実はこれらの支給対象者の実態につきましては、私どもは現在補助金のいわゆる交付といいますか、処理の仕方が日常生活用具給付等の事業の中のメニュー事業の一事業としてやっている関係等もございまして実は正確な数字を把握していないわけでこざいますが、ただ、障害の程度がございますけれども、この程度のみから見た場合には、大体一級ないし二級の人たちが、難聴者の場合には三級以下の方が入るわけでございますが、この方々が対象になると私ども考えております。  そこで、実際一、二級の数でございますが、これは私どもの方で五十五年の二月に実態調査した結果が出ておりますが、これの数といたしましては一、二級を合わせて六十四万八千人となっております。ただ、これは障害の程度から見た場合の支給対象ということになりますが、この六十四万八千人のうちに、あるいは支給要件が別な面で課されておるわけでございますが、それらを考えますとこれよりさらに低くなる、かように考えております。
  188. 白木義一郎

    白木義一郎君 いまお伺いしたように、五十五年の二月の実態では全国で約六十四万八千人の方が対象者になっているということですが、その中で実際に福祉電話の利用者は八万五千人ぐらい、すなわち一三%ぐらいしか普及していないということに伺っておりますが、非常に普及率が悪いように思いますが、その原因をどういうふうにとらえておられるか。あるいはまた、それに対して今後どのような対策をお考えになっているか。
  189. 池堂政満

    説明員池堂政満君) 実はただいま申し上げましたように、身体障害者の障害の程度から見た場合のこの対象となり得る数、これは確かにいま御指摘のように六十四万八千人でございます。ただ私ども、国の補助対象として福祉電話を貸与する場合には、これはある一定の条件を付しているわけでございます。一つには、障害者のみの世帯である、あるいはこれに準ずる世帯。それから第二点といたしましては、所得税の非課税世帯。それから第三点といたしましては、現に電話を保有してない世帯である。こういうもろもろの条件等があるわけでございますが、したがいまして、それらを除けばおおむね現在貸与されている福祉電話でもってカバーしているんではないか、かように考えているわけでございます。  ただ、実際問題としては、現実にまだこの制度があることを知らないでおられる身体障害者の方もあろうかと思います。したがいまして、今後とも私ども制度趣旨を十分周知徹底させるとともに、各都道府県等に対しましてまたさらに指導してまいりたい、かように考えているところでございます。
  190. 白木義一郎

    白木義一郎君 この身体障害者の方々の中で難聴者の方は何人ぐらいなっておられるか掌握をされておられますか。  その中で現行の福祉電話では全く使用できない人たちがおられるはずですが、その程度はどの程度かお伺いします。
  191. 池堂政満

    説明員池堂政満君) 身体障害者と私ども申し上げたのは、先ほど実態調査の数を申し上げましたけれども、百九十七万人でございます。その中に占めます難聴者の数でございますが、これは二十八万三千人となっております。もちろんこれは五十五年の二月の私ども実態調査に基づく数字でございます。  この中で、福祉電話を現実に支給される対象となっているけれども現実には使えないという方々につきましては、これはこの二十八万三千人の中の障害の程度が二級の方、それに三級の方々の一部がこの対象から漏れているというふうに私ども考えております。それから一級の数でございますが、二十八万三千人中八万六千人でございます。それから、三級の数は五万五千人になっております。
  192. 白木義一郎

    白木義一郎君 それに対する今後の対策はどのように――具体的に御説明をいただければと思います。
  193. 池堂政満

    説明員池堂政満君) 実は福祉電話の対象にならない、あるいはその対象になっても実質的には会話が不能であるという方々がまだ相当残っておるわけでございます。したがいまして、これらの方々に対します解決の手段、これについては私どもこれからさらにまた研究していく必要があろうと、かように考えているわけでございますが、どのような方法があるのか、そこらでまたどういう手段を講じたらこの解決はできるのか、それらにつきましてさらに専門家の方々の意見を聞きながら対処してまいりたい、かように考えております。
  194. 白木義一郎

    白木義一郎君 公社の方で、いま厚生省から伺ったような身障者の方々に、まだ福祉あり方考え方が及んでないという部分の方々に対して、今後機器の開発等を含めてどういうお考えをいま実施に移すべく検討されているか、お尋ねをします。
  195. 村上治

    説明員(村上治君) お答えいたします。  公社といたしましては、これまで各種の福祉用の電話機器を開発いたしてまいりました。ただいま先生指摘のように、重度の聴覚障害者といいますか、の方々、二級あるいは三級の一部の方々、こういった方々のための、安くて使い勝手のいい福祉用電話機を次のステップとして開発を現在進めております。したがって、いままで開発したものだけで十分だとは考えておりませんで、次のステップとしてはそういった全く耳の聞こえない方々のための福祉用の電話機というようなものを開発を進めていきたいと、こういうように考えております。  具体的には、いろいろな機器がございまして、既存にもございまして、たとえばファクシミリも そういった方々の用途には使えるんではないか。あるいはキーボードから入力いたしまして相手側のディスプレーに文字を表示する、そういったキーボード方式というようなものがございます。それから、手書きの文字であるとかあるいは図形を相手側のやはりディスプレーに表示するというふうな手書き伝送方式といいますか、そういった三つのものが主に考えられるのではないかと思います。  これらにつきまして、専門家の方々、あるいは難聴者の方々の御意見を踏まえまして検討してまいりまして、三番目に申し上げました手書き伝送方式、言うならば筆談的に会話ができる、そういった装置でございます。これが大変、漢字であるとかあるいは図形が表現できる、あるいは会話性にすぐれているというふうな評価をいただいております。したがって、こういったものを中心にしまして、もっともっと聾唖者の方々に使い勝手のいいようなそういった工夫をいたしまして、そういったものを開発をいたしたいというふうに考えております。今年度そういったものの試作を行いましてそれを実際に使っていただいて、いろいろとまた改善の意見などをちょうだいして実用に供し得るものを開発いたしたいというふうに考えております。
  196. 白木義一郎

    白木義一郎君 いま御答弁をいただいて、身障者の方々の立場で大変希望を持って伺ったわけですが、これちょっと無理かもしれませんが、そういったような前進的な開発研究の完成時期といいますか、実施時期といいますか、これはちょっと明確にならないかと、お尋ねしても無理かもしれませんが、おおよその時期を聞かしていただければと思います。  さらに、当然それには金銭的な問題がまつわってきますが、その補助等についても、もしお考えがありましたら伺っておきたいと思います。
  197. 村上治

    説明員(村上治君) お答えいたします。  新しい製品の開発でございますのではっきりした予定は申し上げられませんけれども、先ほど申しましたように、ただいまから試作にかかりまして、ことしの暮れから来年の春にかけましてそういったものをつくりまして、いろいろと使い勝手などの調査をさせていただきます。そして、そういった御意見をちょうだいした上で、ただいまの見通しといたしましては、来年度の第四・四半期ぐらいには実際にお使いいただけるようなものを提供できるような、そういう目標で現在進めております。  それから、料金のことに関しましては、現在までの各種の福祉機器と同様な扱いになろうかと思っております。
  198. 白木義一郎

    白木義一郎君 料金並びに金銭的な補助ということになりますと、郵政省並びに厚生省の方にもいろいろとお考えがあり、また進めていただきたいわけですが、この福祉電話に対する通話料金の改定という問題についてお考えをお持ちなのかどうか。あるいはまた、この金銭的な問題について、現行の補助のあり方等について、電話の普及並びに開発に対する郵政省並びに厚生省の両方からお尋ねをしておきたいと思います。
  199. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 福祉に関してでございますけれども、確かに電電公社は一元的に公衆電気通信を行うという一つの特権的な地位も与えられておりまして、そういった意味では、電電公社法第一条そのものの字句上からまいりますと、「公共の福祉増進する」ということは、その前の公衆電気通信を充実することを通して行うことであろうと、こうは思いますけれども、やはりある程度努力はすべきであろうと思います。  ただ、問題は、電電公社の収入によりまして、結局この福祉電話の経費を賄うということになってまいります。そうしますと、他の御利用の方々の負担の一部をもってその費用に充てるということになってくるということになるわけでございます。  したがいまして、そういったことと電電公社の一つの、何といいますか、一元的運用との兼ね合い、それからもう一つは、やはり基本的には、私ども福祉政策というのは通信主管庁のことではなしに、もっぱら福祉政策を担当する、具体的な名前言うのもどうかと思いますけれど、厚生省がお力を入れていただいて、その政策の枠の中で検討されていくべきであろうと、このように考えている次第でございます。
  200. 白木義一郎

    白木義一郎君 これは遠い将来になるか、あるいはそうならないか、私にはいま判断がつかないのですが、この福祉電話に関する料金等の問題を含めて、臨調の電電公社に関する考え方等がもし実現した場合には、民営ということに移行した場合に、この福祉政策あるいは福祉電話等の利用等について少し心配をするわけですが、その点あらかじめ対策といいますか、あるいはお考えが検討中であるとか、そういうようなことがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  201. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 非常にお答えしにくい点がございます。と申しますのは、臨調答申を受けまして、これからどうするかということにつきましては、まだ政府として明確な決定をしておるわけではございません。したがいまして、仮定のお話でございますので、仮定の上に立って申し上げることはなかなか困難なものでございますけれども、ただ万一民営というようなことがあると仮定いたしまして、あくまで仮定でございますけれども、なりますと、やはりこれは電電公社の一つの電電事業というものが競争原理を導入したものでございますので、より明確な形で国の政策としての福祉政策、これを明確に打ち出していくことによって初めてそれが実現するのでございまして、やはりその立場において事業の中において行うということは、より明確な形でいまよりもはっきり福祉政策に従っていくということになろうかと存じます。
  202. 白木義一郎

    白木義一郎君 最後に、これは素朴な疑問であり、質問ですが、電電公社並びに郵政省の姿勢ということについてお尋ねをしておきたいと思います。  まず、経営の姿勢についてでありますが、五十六年度の収支差額は、当初見積もりの九百三十八億円を大幅に上回る三千五百五十八億円の黒字になったそうですが、なぜこのような巨額な差が出てきたのか。当初見積もりの約四倍の黒字というのは、余りにも基本的な計算がずさんではないのか、こう素朴に思ったわけです。普通の企業体では全く考えられないようなことじゃないかと思いますが、この点に関する大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  203. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 公共企業体でございます電電公社の予算の編成につきましては、過去の実績、また最近の趨勢等を考えまして、確実な基礎に立った予算を編成するということを心がけておるわけでございますが、いまの大変流動的な電気通信事業の趨勢の中では、予想以上に利用度、利用回数といいますか、あるいは利用時間が長くなって収入がふえるというようなこともあり得ますし、またあらかじめ予定をすることがはなはだ困難な合理化余地というものも予算の枠の中には残っておるわけでございまして、それらの条件が重なりまして予算上の剰余金以上のものが出るということがあったわけでございます。私どもとしては、予想以下の実績というのは、これはまことに国民にも申しわけないことでもありまするが、予想以上の剰余金を出したということは、私はこれはそれなりに評価していいのではないか。  ただ、お話しのように、そういうことになったのが予算編成に甘かったんではないかという御批判もあり得ようかと思いますので、今後の予算編成については、そのような実績も踏まえながら、できるだけ適確な予算編成に努めてまいりたいというふうに思います。
  204. 白木義一郎

    白木義一郎君 終わります。
  205. 山中郁子

    山中郁子君 今回提案されております、三百二十キロ以遠に限ってはいますけれども、遠距離料金の引き下げ自体は、私どもかねてから主張しておりましたように、高過ぎる電話料金を引き下げるというものなので、賛成するものではあります。  しかし、この機会に、今後の電話料金のあり方や、それから改善方向との関係考えますと、いろんな問題が引き起こされるという可能性がある。したがって、その点について若干問題提起もしながら質問をしたいと思います。  まず最初に、今回三百二十キロ以遠に限って引き下げるということを出されたお考え方の基礎ですね、これをお伺いいたします。
  206. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 現在のわが国の料金体系の問題点は、遠距離料金が諸外国に比べて大変高いということと、近距離料金が諸外国に比べて大変安いという、そしてその周辺との間の格差がかなりあるという、その辺が問題だと思います。  その中で緊急課題として取り組むべきことは、やはり遠距離料金が高い。この遠距離料金の高いところをできるだけ引き下げて、情報を得るための格差といいますか、情報格差とでもいいますか、それを縮めていくということが当面の焦眉の急であるというふうに判断をいたしまして、御相談もいたしまして御了解をいただきまして、このような案にしたところでございます。
  207. 山中郁子

    山中郁子君 三百二十キロというところの何か特別な合理的な根拠というのがありますか。
  208. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 三百二十キロそのものが三百十キロではいけないか、三百三十キロではどうなのかというところにつきましては、余り合理的な根拠はございませんけれども、諸外国と距離と料金との比較をいたしますと、三百キロぐらいまでは大体わが国の通話料は同水準かむしろ安くなっております。三百キロを超えたぐらいから次第に諸外国に比べての格差が大きくなっておるという事実がございます。そんなことから、やはりそこの部分に焦点を当てようということにいたしたわけでございます。
  209. 山中郁子

    山中郁子君 この問題で公社当局も記者会見で発表したというように伝えられているんですが、いまも議論になっておりましたけれども、五十七年度も三千二百億円見当の大幅な黒字が出る。この黒字に対して国民の方から、電話料金が高過ぎるんじゃないか、電電公社はもうけ過ぎているんじゃないかという批判が当然あります。今回の措置はこれをかわすという面もこれは否定できないわけですよね。むしろ、そういうことに対する対応だという点がかなりあるわけですけれども、つまり黒字の還元策を三百二十キロ以遠の引き下げ、長距離の引き下げということで対応されるということだと思うんです、端的に言ってしまえば。しかし私は、もっと抜本的に、基本的にこの問題を考えていくとすれば、なぜそれじゃこういう大幅な黒字が出てきたのかという問題ですが、これは思い返していただければ十分おわかりだと思いますが、五十一年の大幅料金引き上げのときに、私はかなり長時間かけまして、当時の遠藤さんなんかを初めとしてずいぶん議論しました。これでは絶対電電公社もうけ過ぎで黒字になるということでずいぶんやりました。そのとおりになったわけですよね。問題は、大幅料金引き上げで度数料を七円から十円にした。一・四倍ですね。それから基本料を二倍に引き上げたわけです。そのことによって大幅黒字になるということになっているということはいままでの経過から見て明らかなんですよね。  したがいまして、こうした黒字に対する対応としては、国民に還元するという形で考えるならば、全般的な料金の引き下げという方向考えてしかるべきだと私たちは考えています。  特に、基本料金の二倍引き上げによるだけでも年間四千億円の増収になっているわけですね、公社の事業収入の推移を見ましても。ですから、この基本料金の引き下げを一つの重要なテーマとして考えるべきだというふうに私たちは思っていますけれども、この点についてのお考えはありますか、どうですか。
  210. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 五十一年のときの料金改定の経緯については、むしろ先生の方が大変お詳しいので、おっしゃるとおりだと思いますが、五十一年のときの改定は最終的には一律料金の改定をいたしました。つまり、通話料については七円を十円ということでしたわけでございます。そして、そのときの附帯決議もございまして、通話料体系の是正については今後検討課題として取り組みなさいという御指示をいただいたわけでございます。  そこで、その料金体系についての改定を今後は収支の許す限りでやっていくべきだというふうに私ども考えまして、その中での一番問題があるところから取り組もうということで取り組んでおるところでございます。  それと、当時予想したものに比べて幸いにして収支の状況はよくなってきておりますけれども、これは決してほうっておいてそうなったというわけじゃございませんで、やはりそれなりの職員の努力なりあるいは経費節約のいろいろな工夫なり智恵なりをしたということもお認めいただきたいと思いますし、そうやって努力をした結果というのは、やはりそれなりに利用者の方への還元、努力をした者に対する還元といったものも考えながら、今後も料金というものについて取り組んでいかなければいけないのではないかと思っております。
  211. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっと問題をそらさないでいただきたいのですけれども、私どもはそういう職員の方の努力だとか、あなた方のおっしゃる努力とかいうものを何もしてないじゃないかと言っていないのですよね。むしろ賃金をもっと引き上げるべきだという主張をしているんであって、そういうことにそらさないではっきりさせてほしいのは、あのときの大幅値上げによって結局大幅な黒字が出てきているじゃないか。これを今度還元するという形になっているわけでしょうo だったら、基本料金の引き下げということを考えていいんじゃないか。あのとき基本料金二倍に上げたんですよね。この基本料金を二倍に上げたことだけによって年間四千億の増収になっているわけです。だったら、これを引き下げるということを考えていいんじゃないかということを言っている。その点はお考えないですか。
  212. 西井昭

    説明員(西井昭君) 先生もあの五十一年の料金改定のいきさつは十分お詳しく御存じだと思いますが、あのときに一番の料金の体系上の問題として私どもが国会にお願いをいたしましたのは、わが国の電話に関する収入の中で諸外国等に比べますと通話料に関します収入が非常に多くて、そして基本料等定額で入ります収入が非常に少ない。また、料金水準の面で申しましてもわが国の基本料は諸外国に比べて著しく安くて、先ほどから営業局長がるる申しておりますように長距離料金が非常に高い。そういう実情でございますので、これを少しでもあるべき姿に近づけさせていただきたいということで、ただいま先生おっしゃいましたように、基本料は二倍に上げさせていただきまして、通話料はそのときにもいわゆる遠近格差縮小という話もございまして、最低度数制その他いろんなことの御検討をいただいたわけでございますが、結果的には一律七円を十円に引き上げる、こういうことで国会の方で御承認をいただいたところでございます。  ただ、そのときに先ほどからのお話も出ておりますように、通話料については、この体系問題というのは今回とりあえずこういうことでやるけれども、引き続き検討しなさいという国会の附帯決議をいただきまして、それに基づきます検討をいままでやってまいりまして、御存じのとおり今回で三度のいわゆる通話料についての体系是正をお願いしている、こういうのが実態でございます。
  213. 山中郁子

    山中郁子君 それでもまだ黒字が出ているということがそこで問題で、私は何回も申し上げている。  じゃ、公社には今後とも基本料金の引き下げを含む基本料金についての負担の軽減をしていく考えはないということですか。そういうふうに受けとめてよろしいですか。
  214. 西井昭

    説明員(西井昭君) 今後どういうふうになりますかということでございますが、先ほども片山先生の御質問で申し上げましたとおり、今後電気通信がディジタル化になってまいりますと、長距離関係につきましてはコストは安くなりますが、近距離関係につきましては、これは物価変動によりますが、余りそう大幅な画期的な引き下げというのは望めないというのが実状でございます。  それから、これは電話にかかわりますコストといいますのは、御存じのとおり基本料と通話料で回収をいたしておりますわけでございますが、原価に忠実な料金ということになりますと、かけてもかけなくてもかかる経費を基本料で回収し、通話をされることに付加されますコストを度数で回収するというのが一番理屈に合っておるわけでございますが、そういたしますと、基本料というのはもっと高くならざるを得ない、こういうことでございますので、そういうことも考えまして、いわゆる限界利用者と申しますか、余りお使いにならない方のことも考えまして現在のような料金体系になっておりまして、コストを回収いたします料金としての基本料と度数料の比といいますのは、諸外国に比べてかなり近づいておりますが、まだやや基本料の方が低い、少な目でございますので、今後これは電気通信の技術の発達によりましてどういうふうに考えていくかということとうらはらでございますが、直ちに基本料引き下げということについては、現在のような状態では少し無理ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  215. 山中郁子

    山中郁子君 基本料を引き下げる考え方がないということはわかりました。いまのお話だと、へたすると基本料引き上げなんて言い出しかねないなというような印象ですけれども、まさかそんなことは、お考えはないんでしょうね。
  216. 西井昭

    説明員(西井昭君) 片一方で度数料金を下げて……
  217. 山中郁子

    山中郁子君 端的に答えてくだすっていいです。
  218. 西井昭

    説明員(西井昭君) 基本料を上げるというような、そういうことは考えてはおりません。
  219. 山中郁子

    山中郁子君 引き下げ問題については考えがないということは、またこれは問題だと思いますので、引き続き問題として私は今後も追及していきたいと思っております。  もう一つの問題は、国民の不満というか、要求が高い夜間、日曜、祭日の割引料金適用の六十キロ以遠に限られているものについてのこの制限を取り払うという問題で、これは大変希望が強いんですけれども、この際、全市外に適用する夜間割引ですね、これはどうですか。そういう方向というものは考えられませんか。
  220. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先般、深夜料金、それから夜間割引時間帯の拡大を行ったわけでございますけれども、その結果、割引時間帯に通話が殺到してかかりにくくなっているというようなところも出たりしてございます。それで、割引時間帯を設けること、あるいは新たな割引率を設定する、割引率をもっと大きくするというようなことは、こういう通話の集中現象を起こすという危険がございますので、やはり慎重に対応しなければいけないと考えております。したがって、当面は割引時間帯を動かすこと、あるいは割引率そのものを変動させるということは考えておりません。
  221. 山中郁子

    山中郁子君 私の言うのは全市外に適用するように拡大したらどうか、つまり六十キロ以遠じゃなくて、時間帯のことももちろんありますけれども、いま申し上げたようなたとえばそのことはどうですか。いまおっしゃったのは時間帯を動かす考えはない、つまり集中するということがあるからとおっしゃるけれども、実際問題としては割引を拡大することによって国民への、利用者への還元になるわけでしょう。還元の一つの方法で、これは大変希望が強いわけですよね。だから、当然との部分についても還元の一つの道として拡大をしていくということがあってしかるべきであって、そして具体的には全市外への適用ということは考えられないかということを伺っております。
  222. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先ほど申しましたのは、現在割引を実施しております区間について時間帯を拡大したり、あるいは割引率、深夜割引を設けたことによってトラフィック変動がかなり大きく出たという事実を申しましたけれども、六十キロ以内というのはトラフィックが大変に高うございます。したがって、この部分について実施をするということになると、回線増設をしなければならないという可能性も出てくる地域が多々あるのではないかというふうに推定もされます。したがって、将来の課題としては、先生おっしゃいますように、これも一つの問題でございますので、近距離の問題あるいは遠距離もこれで大体いいということではない、さらにやはり今後とも遠近格差の縮小ということに努めていかなければならないと思いますけれども、そういうものとあわせて将来の課題として検討はしてまいりたいと思っております。
  223. 山中郁子

    山中郁子君 欧米諸国とよく比較されますけれども、たとえば、欧米諸国では土曜日の割引をやっているところもあるし、全市外料金の割引を適用しているところもあるし、割引率も非常に高いのもあるわけですね。  だから、私はこれひとつ総裁に理念的な問題としてお答えいただきたいんですが、いま局長は何かにつけて料金体系全般の中でというか、その後、私やりますけれども、今度近距離上げるという問題とセットにしておっしゃるわけでしょう、そういう含みを。だから、そういう具体的なことでなくていいですけれども国民に還元をしていくという道筋として、国民の中から、利用者の中から希望の高い夜間割引の拡大ということについて理念的でいいですから、積極的な対応をしていくようにされたいと思うんですけれども、その辺のお考えは総裁から、ほかの問題とのごちゃごちゃ絡みじゃなくて、電電公社の考え方としてお答えいただければ幸いです。
  224. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 料金の問題は、実はいま私ども非常な悩みを持っておりまして、現在までのように電話が主たるサービスで、ほかにいろいろありましても、日常の皆さんの生活に直接関係ない専用回線というもののほかはいまの状態と、これから五年、十年たちまして、さっきからいろいろお話が出ておりますような、複雑なデータバンクなんかをベースにした高度情報通信網というものが一般の世の中に非常に緊急に大量に要求されるような形になりましたときを考えますというと、そのときの料金体系と現在の料金体系をどうつないでいくかということが、まだ私ども、こういうふうにやっていけるなというふうに、行政的な考え方じゃなくって、経営の収支バランスをとりながらできるだけ世の中のお役に立つ形に、どういう姿でどう持っていくかということが、いま非常に複雑な大きなファクターがいろいろ絡み合っておりますものですから、いますぐことで先生のお尋ねに端的にすぱっとお答えできない状態でございますので、しばらく御容赦いただきたいと思います。
  225. 山中郁子

    山中郁子君 夜間割引の拡大利用者のかなり切実な、比較的広範な要求であるということはいろいろな調査によっても明らかになっておりますので、公共企業体たる電電公社がそれに対して積極的な対応を示されるべきであると思っております。にもかかわらず、なかなかはっきりは言えないというお答えで大変残念に思いますが、次の問題に入ります。  これは、結局北原副総裁が昨年の十二月に記者会見されてこの問題に関連した発言をされたときに、その後もずっと問題になっているのですが、近距離の値上げということが報道されているわけですね。それで、いろいろあるんですけれども、もう時間も余りありませんので、簡単に言ってしまいますと、そういう中で言っていること、あるいはこの前私が当委員会で電電公社の民営化の考え方についていろいろただしたいわゆる公社がつくっているポイントという引用した文書がありましたね。あの中にも触れられているんですが、電話料金の遠近格差を最終的にはゼロにしたいという考え方、それで北原さんの記者会見で述べられたと伝えられている、たとえば三分二百円ということで統一するとか、そういう話がいろいろ出てくるわけですね。その辺については一体どういうことなのかということなのです。  ということは、長距離だからといって、下げます下げます、下げてきました、また下げますとあなた方は何回もおっしゃるんだけれども、必ずそれについて回るのが、だけど近距離は上げますよと、近距離が安過ぎて長距離が高過ぎるからバランスをとるんだと、こういうお話になるわけね。でも、考えてもみていただきたいんですが、三分二百円なんていう料金になるでしょう。そうしたらちょっと隣の家へ――家というか、買い物で電話をするとか、そういう電話だけを使うという事態のもとであっても、一回かければ二百円なんていうとんでもない値上げになるわけでしょう、常識的に考えてもね。という問題は一体どのように考えていらっしゃるのか。公社の考え方が北原さんの発言として伝えられていることがどうなのかということも含めて、お話があれば聞かせてください。
  226. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) いまのお話の中にございました副総裁の発言でございますが、これは実に不用意な発言でございまして、その直後大臣からも厳重な注意をいただいているという状態でございます。  いまちょっとお話の中にありました三分二百円というふうなことは夢にも考えておりませんで、現在一時間お使いになって市内電話が二百円でございます。これはそのままいま据え置きながらやっておりますが、いろいろさっきから先生方の御意見にもございましたように、また電政局長からもお話もありましたように、三分十円という範囲が地域によって非常に違うわけでございます、話しできる相手の数が。一万ぐらいのところもあれば何百万というところもございます。それの差は基本料金で差をとっておりますけれども、これはとてもその基本料金の違いぐらいでは補いできないような大きな利用価値の差になっておりまして、したがってこの問題をどういうふうに解決するかということがいまいろいろ郵政の当局の方でも御研究なさっておるというふうに了解いたしております。  いずれにいたしましても、合理的に電話料金のことを気がねなさらずに長時間にわたって自分の目的を達するまで電話なり、あるいはその他の通信サービスをお使いになっていただけるような姿にならなきゃ役に立つ電気通信事業とも申し上げられませんので、そこへもっていくのにどうするかというのがこれからの問題でございまして、それにはやはり何といいましても、さっきお話も出ておりましたけれども、トータルコストを思い切って下げられるような方向に持っていきませんと、このサービスは原価が幾らだから幾らと言っておりましても、そんなこととても収拾つくような物の考え方になりませんので、どうしてもトータルコストとトータル収入のバランスをとりながら、トータルコストを下げながらトータル収入を下げていく、いわゆる値下げの方向へもっていくというふうにもっていくのが私どもの社会的義務だろうというふうに私どもいま考えて鋭意努力を始めておるのが現状でございまして、これがどこまでどういうふうにしてやっていけるか、個々によって高度情報通信網と申しましても、技術的にできることと、世の中に役立つこと、これはまた別問題でございまして、その辺をどういうふうに調整していくのか、非常に複雑ないろんな問題が絡み合っておりますので、さっきの御質問に対しましてもいまここですぱっとお答えできないという状態でございます。  ただ、はっきり申し上げられることは、とにかく総合的に値上げをすることはないようにするためには、歯を食いしばって努力しなきゃならぬというふうに考えております。ということは、収入の伸びと支出の伸びのバランスをあくまでもネガティブバランスにならぬようにしていくというのが当面の私どもの仕事だというふうに考えております。
  227. 山中郁子

    山中郁子君 時間がありませんので、ちょっと立ち入ってはできないのですけれども、総合的に値上げをしないようにがんばるとおっしゃっているところがまた問題なんですよ。  というのは、だからやっぱり近距離は上げても長距離は下げるから総合的には上がらないんだということもそこに入るわけね。私はその辺もう少し数字も含めて立ち入って議論もしたいし、解明もしたいんですが、それは次の機会に譲らなきゃいけないのですが、問題は、どうしてもそれでは近距離は上げないということを前提にしつついままでのお約束をされるならば、それはそれでいいわけ。だけれども、そうではなくて、やっぱり近距離と遠距離とのアンバランスということをおっしゃりつつ、総合的に上げないような方向でがんばると、こういうお話でしょう。だから、当然何回も何回も問題になるように、それからまた北原さんが思わずも本音を出したのかどうか知りませんけれども、そういう発言にもなってくると、こういう問題になってきます。それはどういうことになるかといいますと、一般利用者は、一般庶民はやっぱりどっちかといえば近距離の方が多いんですよ、使うのは。それで、遠距離を値下げして、利用実態、利用分布からいって非常に利益を受けるのはやっぱり企業ですよ。私はそこのところを一貫してこの電話料金のあり方として大企業本位の電話じゃないかと、ビル電話問題も含めてずいぶんそのことをやってきましたけれども、またまた料金体系についてメスを入れる、あるいは考えるということを一つの口実にしてと言えば、率直に言って、そうした上で庶民一般利用者に対する国民一般に対する負担を高め、企業の利益をもたらすようなことになっては、これは全く本末転倒であるし、大きな問題を新たに引き起こすことになるであろうということを申し上げているわけです。  それで、それとの関係もあるんですが、公社は要するに遠近格差をなくしていくと、最終的にはゼロにしていくという考え方を述べていることは確かなんですよね、一応考え方として。そこまでいかないまでも、DDXの場合、回線交換サービスで見ますと料金は一対十二ですね、最大が。それで、これがパケット交換に至っては一対一・五なんですよね。非常に格差は少ないわけですね、データの場合には。このことを考えていけば、つまりINSで技術的にそうしたことが可能になってくれば、電話の場合でも一対一・五、最低ですね、いま現状の最低一対一・五でしょう。ということになるとするならば、そして電話料金を上げるのではないですよということになるならば、極端に申し上げますと、一対一・五なら十円、最も高くても十五円、そういうふうになってくるわけでしょう。そのぐらいそれが大変すごい懸隔のある数字になるわけですよ、現状と比べれば。データと電話ではそのぐらい懸隔のある料金体系になっているわけですよ。それで、なぜそうなっているのかということは公社としてはやはり説明する義務もあるし、そこのところを明らかにしないで料金体系の問題を云々できないと思いますので、きょうは時間がありませんから資料要求だけをしておきますけれども、DDX、ディジタルデータ交換網の場合の回線交換サービスの場合の資料、それからパケット交換の場合の資料、それがなぜ一対十二になるのか、一対一・五になるのか、コストは計算されているはずですね。そこの資料を提出していただきたい。この要求をして質問を終わります。それだけ出していただくようにお約束ください。
  228. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) ただいまのお話のDDXの料金に関する資料は別途また先生の方にあれいたしますが、一言だけ言わせていただきますと、DDXでは基本料部分のウエートが六割でございます。ですから、電話とは全く根元から違った体系になっておりますので……
  229. 山中郁子

    山中郁子君 だから、そういうものを出してください。
  230. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) はい。
  231. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 非常に初歩的な質問からさせていただきたいと思うんでございますが、電話料金は近距離は安く遠距離は高い。われわれこれ当然のこととしておりますけれど、従来はたとえば遠距 離にかける場合は待時通話で大変長時間待たなければいけなかったし、その間に人手が要ったわけでございますが、いまはもう全国的にダイヤル即時通話。つい最近、私沖縄の石垣島からはるかまた南に下がりました小さな小さな島に行ったんですけれど、そこにもやっぱり黄色電話がありまして、瞬間的に離島から大阪へ電話がつながりました。そういうふうに考えてみますと、電話料金が昔のような待時であればともかく、今日のように、そんな離島からも、沖縄の果てから北海道まで瞬時にしてつながるというダイヤル即時通話の時代でありますから、その考え方からすれば遠近格差がすでに今日において存在することすらおかしいという考え方もできると思うんですが、そういったことについての考え方といいますか、電話料金についてのイデオロギーをまずお教え願いたいと思います。
  232. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 大変むずかしい哲学的なお話はできないんでありますけれども、電気通信、電話の役割りというのは距離と時間を克服するということでございまして、電話の歴史というのはそういう距離との闘いでありましたし、技術革新、新技術の導入というのも、その距離による要素、つまり遠くなればなるほど高くなるというその要素をいかにしてなくしていくかということに心血が注がれてきたのだと思います。  国際的に見ましても、先進国では過去二、三十年間の間に距離の要素を少しずつ取り除く努力をしてまいりまして、遠いところから次第に料金を均一化すると、つまり均一でかけられる距離を次第に遠くから近づけてくるというような努力をしてきたのが先進諸国の電話料金の歴史ではないかと思います。  日本の場合にも、御承知のとおり、南北間の距離は二千キロございますので大変に長うございますし、先生のさっきおっしゃったようなことになるわけでございますけれども、その二千キロの中の距離段階区分を現在は七百五十キロ以遠を一律にしておるわけでございますけれども、その七百五十キロ以遠一律を今回は三百二十キロ以遠一律にする、そして今後はできるだけその一律段階というのを縮めていくことによって全国的な遠近格差を縮小していくのが今後の方向かと考えております。
  233. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私がお尋ねしているのは、概念としていまおっしゃった説明はよくわかるんですけれども、現実具体的に昔のような人手が介在して待時通話の時代ならいざ知らず、今日のように二千キロに及ぶ区域がダイヤル即時通話できるわけです。いわばダイヤル即時が完成した瞬間から、物の考え方として遠近格差の料金が存在することがおかしい、そういう考え方に立てはしないかとお尋ねしているわけでございます。
  234. 西井昭

    説明員(西井昭君) 先生のおっしゃる考え方は、遠い将来の究極の目的としてはそういうふうにあるべきだとわれわれも理解いたしておりますが、現在ただいまのところでは、やはり長距離になりますと、それがマイクロウェーブで運ばれるにしろ、同軸ケーブルで運ばれるにしろ、やはり途中の設備なり伝送路というものにコストがかかってまいりますのと、それからINS時代になりまして光ファイバーケーブル等になりますと、これはもっとそういう意味では長距離のコストというのは本質的に下がっていく、電気通信の技術の発展がそういう動向になっておるということは、もう先生よく御理解のとおりでございます。  したがいまして、そういう意味におきまして、先生のおっしゃるようなことが究極の目的ということについては、われわれもそのように持っていかなければいけないと思っておりますが、現在の公社の設備といいますのは古い設備、新しい設備いろんなものが混在をいたしておりますので、実際かかるコストだけで料金は決めておるわけじゃございませんが、コストのほかに効用面からいきましても長距離ほど効用があるという意味で、一挙にそういうところに持っていくということについては、これはなかなか国民の御理解も得にくいと思いますし、また先ほど申しましたようなコスト面からいきましても、いますぐというのはちょっとまだ時期尚早ではないかと、こう思っておる次第でございます。
  235. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 究極の目的とおっしゃいましたけれど、私が言っているのはそれが究極の目的ではなくて、物の考え方としてはそれを究極の目的とするのではなく、ダイヤル即時ができた瞬間からコスト等を勘案いたしまして遠近格差の存在はあってはならないことだという考え方に立ってこれからINS化を進めるのと、それから、それはまだまだ先のことだと、INSができてからのことだという、そういう考え方に立ってやっていくのとでは電電公社の料金問題に対する取り組みの物の考え方、そのインパクトが違いますから、あえて指摘をした次第でございます。  それから税率ですけれど、国民税金を納める義務が当然のことでありますがあります。いまの税率は累進税率を採用しております。所得が多ければ多いほど税率は高くなっております。これは考え方を変えますと、国民は得た収入の中から国民に還元すべき税金を全く平等の税率で納めなければならない、こういう考え方もあると思うんです。それからすれば、所得の高い万が累進税率で納めるというのは考え方としてはややおかしいじゃないかと指摘する学者もあるわけでございます。  電話の通話の問題ですけれど、最近長電話ということが問題になりますね。特に中学、高校生なんか――私のうちも子供がいますけれど――友達と話を始めますと、すぐに一時間とか一時間半話をいたしますが、これまで電電公社が検討なさった中で、電話料金は長く話すにつれて加算はされていきます。加算はされていきますけれど、最初の十分間に対する電話料金と、ずっと切らずに話をしている四十分、五十分の電話料金とは同じ加算率であるわけですね。いま私が指摘をいたしました累進税率の考え方をもし採用するとすれば、通話時間が長くなれば長くなるほど電話料金が累進をしていく、もしこういう料金体系を採用いたしますと、いわゆる長電話は比較的防ぎやすくなる。やっぱりかける方が電話を一たん切らずに話をすればするほど、後へいくほど電話料金が高くなるわけでございますから、もう切ろうじゃないか、あるいはまた別の考え方で、十分単位に警告のノイズを電話機に入れる、もうあなたは十分間通話したんですよということでビーッという音が入る、二十分になったらそれがビーッビーッと入る、ここから先は料金が累進していきますよと。そういうようなことについてこれまで電電公社は検討なさったことはございますか。
  236. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 実は料金体系を検討していく中で、外部の方々の御意見もいろいろ聞いておりますけれども、その御意見の中に先生がおっしゃったような御意見もございました。それは、三十分かけるといま先生がおっしゃったように三分の料金の十倍になっておるんだけれども、近距離の場合にはそれを十五倍か二十倍にしてもいいだろうと、そのかわり遠距離の場合にはそれを七倍か五倍かにするというようなことで、遠距離と近距離の場合に片方は累進、片方はそれをむしろ低めるというような、そういう工夫はできないものかという御意見もございました。それで、これは技術的に大変むずかしゅうございまして、不可能ではないけれども、現在の設備の中でやろうとするとちょっとなかなかむずかしい。しかし、将来の課題として電子交換機になっていく中で、そういう一つの新しい発想というのもわれわれは検討の課題の一つとしてやっぱり十分まじめに取り組むべきであろうということは内々中では議論したことはございます。
  237. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いままじめにと言ってくださいました。私は何もふまじめにそれを申し上げているわけではないので、ひとつあらゆる角度から発想を新たにして利用者のために何が一番いいのか、料金体系も含めて、せっかく御研究をお願い申し上げておきたいと思います。  たとえば、市外電話の局番を調べる場合、番号案内の局へ電話いたしますが、大阪の場合です と、夕方の五時から六時どろ番号案内局へ電話いたしますと、非常に、ただいまふくそうしておりますのでおかけ直しを願いますという返事が返ってくるわけですね。私は市外電話の案内局へお話しに上がったこともございまして、何百人という方が一生懸命仕事をしていらっしゃる。常々研究を怠らないでやっていらっしゃる。敬意を表するんですけれども、あれですか、電電公社の場合、常にそういう番号調べの場合にお客さんを待たさないように、どういう人員配置をすればいいか、時間帯に応じて、利用状況等に合った交換手の配置等はやっていらっしゃるわけでございますね。
  238. 西井昭

    説明員(西井昭君) 公社の交換手の配置につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、時間帯によりますトラフィックに応じまして交換手の配置をふやしたり減らしたりというような措置をとっておるところでございますが、ただ交換手は人間でございますので、三十分ついてまた後二時間家へ帰らす、また二時間たったら出てこさせると、こういうことはなかなかできませんので、現在やっておりますやり方は、六輪番制という輪番制をとりまして、その六輪番の範囲内におきまして、これは局によって六輪番じゃないところもございますが、もうちょっと違うやり方をしておるところもございますが、一般的には六輪番の範囲内においてトラフィックに応じて交換手を配置している、こういうのが実態でございます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、特定の時間帯あるいは特定の曜日でございますね、そういうときに非常にトラフィックが集中いたしますと、ただいま先生のおっしゃいましたような、そういう一時的に通話がふくそうしてかかりにくいということは、特に大都市等の一部の局においてあることは事実でございますが、そういう点につきましては、公社といたしましてはいろんな対策を講じましてそういうことのないように努力をしておるつもりでございますが、御迷惑をおかけいたしましたことについて深くおわびをいたしたいと思っております。
  239. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いや、私別に迷惑だって言っているわけじゃないんですが。ただ、非常にせっかく便利な番号案内ですから、そこに適正なプロパーマン、インプラィアティーといいますか、人材配置をしていただいて、同時に私これやっぱり利用者の側にも問題があると思うんですよ。いつか番号案内局へ行きましたときに、その主任さんですか幹部の方がおっしゃっていたんですけれども、夕方の五時から六時第というのはわりに番号案内が、大阪で言いますと北新地ですな、ミナミの宗右衛門町、ああいうところのクラブだとかマージャン屋さんの電話番号調べが非常に多いんだそうですね。  この間、例として伺ったのは、たとえばクラブ・スリーエス。このクラブ・スリーエスというのは実はマージャン屋んなんですね。ところが、その番号案内局の方は、クラブ・スリーエスと聞いたものですから、これはいわゆるお酒を飲む方のクラブだと思ってそこで十分ぐらい果てしもなく、いやこれはマージャン屋だとか、いや飲み屋だとか言って番号案内の方と討論している。こんな時間のむだはありませんので、そういった利用者の側にビジーな時間は余りそういう電話はしないようにというふうな非常にソフトなPRといいますか、広報をやっていただけるとありがたい。利用者の側にも問題がなしとしないと思うんです。  そこで、お尋ねいたしますが、たしか公社はオレンジ電話ですか、何かこういう窓口ですか、設けていらっしゃるそうですが、これはどういうきっかけでいつからどのような形で設けられたものですか。
  240. 西井昭

    説明員(西井昭君) 電電公社の社会的使命と申しますのは、これは先ほどからいろんなお話が出ておりますとおりでございまして、今後の情報化社会の発達に伴いまして公社のそういう使命というのはますます増大するだろうとわれわれは考えております。そういった中で、公社といたしましてはお客の心を、社会の心を公社に、それから公社の心を社会に、こういうことを合い言葉にいたしまして、お客様との幅広いコミュニケーション活動を、これを単にかけ声だけではなくてシステムとして実施をしたいと、こういうことでできましたのがただいま先生がおっしゃいましたいわゆるオレンジラインというものでございまして、具体的には昨年から実施をいたしております。  これは具体的に申しますと、各電話局の窓口にオレンジカウンターというものを設置いたしまして、そこにお客様から気軽に御意見あるいは電電公社のサービスに対します要望、こういうものを寄せていただけるようにいたしております。それから、そのほかにお客様の御意見を積極的に聞くためにお客様代表者会議というものを主要電話局に設置いたしまして、これはそういうものを通じてお客様の御意見なり御要望を承りたいと、こういうふうにいたしておるところでございます。  そういうものを通じまして寄せられました御意見等を迅速に検討し迅速に処理をする、こういうことのために社内にオレンジ委員会というものを設けまして、そしてただいま申しましたようなことを実施していくように大体昨年から取り組みまして、昨年度中に全国の体制がほぼ整ったというのが実態でございます。
  241. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そういうふうに積極的に前向きに利用者のために努力をしてくださっていることに敬意を表したいとこう思うのですが、しかしせっかくあるものだけれども案外利用者が知らない。私もつい最近までその存在を知らなかったようなわけでございますが、せっかくそういうものがあるんですからね、もっともっと利用者に対してそういうものの存在をPRしてくださるようにお願いをしておきたいと思います。  総裁にお尋ねいたしますが、先ほど片山委員の生産性についての質問に対して、総裁は超過勤務手当を例にお挙げになりました。超過勤務手当を非常に効率よく効果的に運営すれば、さらにもっと生産性は向上するんだというふうに私は答弁を理解いたしました。にもかかわらず、公社の予算の執行に当たって官庁並みの制肘、介入――とはおっしゃいませんでしたが、非常に厳しい何というんですか、そういったいろんなチェックがあるために少し困っているというふうにおっしゃったと思うのですが、じゃ公社としてそういったたとえば超過勤務手当をフレキシブルに運用して生産性を向上するためには、総裁、どうすればいいとお考えなんでございますか。
  242. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) なかなか実際問題としてはむずかしい問題だと思いますけれども、超過勤務手当の一年間の大体の目安というものは、これは当然要るものでございますけれども、それをやはり状況に応じて、ちょっと説明のやり方を変えますが、いままでのやり方でございますと、各現場機関に一年間の超過勤務手当はこれだけだよというふうに予算として出してあるわけです。ところが、現場機関というものはどこもここも一様な仕事を一様な濃度でやっておるわけではございませんで、ある場合にはそこの超過勤務の要らない時期がかなり続き、ある時期には超過勤務が非常にふくそうするということもあり得るわけでございます。要するに、超過勤務というものはこれは一つのエマージェンシーのものでございまして、定常的にあるべき性質のものじゃないんです。にもかかわらず、定常的に決まったパーセンテージ、前例に従った超過勤務手当を各現場機関に割り当てているということそのものが、またそういうふうにしなきゃしようがないというこの運用の実態になっているということが、もうこれ根本的におかしいんでございまして、そういうことも改めたいと思いますけれども、超過勤務手当というのは、超過勤務手当百億あればこれはほかに振りかえができない。超過勤務手当を物件費に回すとかあるいは出張旅費を超過勤務手当で一緒にするとかということはできないわけでございまして、出張というものも、これも大体本来がエマージェンシーのものでございまして、それがまた各現場機関に一年間の出張旅費が割り当ててあるというのも、これはおかしなものでございまして、だから、結局これだけは使っていいということになってしまうわけなんですけれども、いままではそうであったんだけれども、そういうふうなものをいまの規定を犯さない範囲内でいろいろ皆が工夫しながらいま月次決算で使い始めるようになりまして、さっき申しましたような合理化がだんだん緒につき始めておるんですけれども、こういうことがもう少し本来の超過勤務手当の本質あるいは旅費の本質というふうに使えるような形になっておって、いわゆる総人件費をどう切り下げるかということが勝負でございますから、予算の項目別にレファーした考え方じゃなくて、総人件費をどう下げ得るかということがもう少しフレキシブルになりませんと問題は、なかなか本格的な働きがいのある職場であり、また非常に能率のいい職場であるという形にはならないんじゃないかなというふうにいま悩んでいるところでございます。
  243. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 確認をしておきたいんですが、総裁のおっしゃることは、決してそれは労働者の労働強化につながるとか、その人件費を削っていこうとか、労働者の正当な労働に対して正当な報酬を払うことにやぶさかであるということでは全くないわけでございますね。
  244. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 私は、働きがいのある職場といいますけれども、抽象的にはそうでございますけれども、きょうはおれは働いたなという自覚がある働きをしたときにはそれだけのものがやはり自分の報酬としてきちっと返ってくるという期待感を確実に持たせるということがない限り人間というものは働けるものじゃないと、私自身もそうでございますけれども、そういうふうに思っております。
  245. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 次にお伺いいたしますが、無線電話がございますが、列車電話ですな。列車電話は、いまたとえば新幹線に乗りまして東京駅を出た瞬間に大阪へかけましてもたしか一通話三百円だったと思いますし、新幹線が京都駅を出て大阪へかけましてもやっぱり三百円だったと、こう思いますけれど、この列車電話の三百円という料金はどこからどういうふうにして割り出されて――この列車電話につきましてはしたがって遠近格差というものが存在してないわけですね。その辺の御説明をお願い申し上げます。
  246. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) ただいま東海道・山陽新幹線につきましては、先生指摘のとおり三百円と、約五百キロ程度のところまで三百円、それ以遠が六百円と、二段階になっております。このサービスは残念ながらまだ完全自動化になっておりませんで、先ほどの先生のあれでいきますとまだ交換手の介入する手動のサービスになっております。したがって、手動のサービスということになりますと通話時間を交換手が全部読み取らねばならないということもございますので、一応三分までは均一料金ということでこれに特別にかかるいわゆるコストを積算いたしまして三百円と六百円という二段階にしてございます。
  247. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ちょっとよくわからないんですが、その三百円と六百円ですが、東京から三百円はわかりますけれども、もう列車が茨木過ぎてそこに団地が見えているようなときにかけても三百円というのは、これは逆にその三百円はちょっと高過ぎるんじゃないですか。
  248. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) これは将来の方向といたしまして自動化をされていく。そして、自動化をされた場合にはこの料金の格差というのはもう少し縮まってくるだろうと思いますし、上越の新幹線ではたしか最低が六十五秒百円でございますということで、自動になりますとかなり合理的な料金体系にすることができるかと思いますけれども、現在のところ手動の間はこの料金体系でちょっと御勘弁願いたいというような状態でございます。
  249. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いま御勘弁願いたいとおっしゃいましたけれども、御勘弁願いたいという情緒的な言葉が入ってくるのはおよそアンチサイエンティフィックな料金体系であると、こう言わざるを得ないと思いますね。  冒頭に申し上げましたように、ですから、将来はINSが完成いたしますと、当然ながらもう遠近というイデアはなくなるわけでございますから、当然全国どこへかけても単一料金ということに将来的にはなるわけでございますね。ですから、列車電話にしても自動車電話にしても、そういうふうな考え方に立ってどんどん革新を進めていただいて、とにかく電話は、どういう種類の電話を使ってどこからどこへかけても、日本の行政区域内であれば常に一時間についての一定の料金は画一であると、こういう日が一日も早く来るように努力をお願い申し上げたいと思います。  あと数分あります。まだたくさん質問が残っておりますけれども、の質問はこれで終わらしていただきます。
  250. 八百板正

    委員長八百板正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  252. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  高橋君から発言を求められておりますので、これを許します。高橋君。
  253. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 私は、ただいま可決されました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び無党派クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   この法律の施行に当たり、政府並びに日本電信電話公社は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、料金決定原則の確立等料金政策の明確化、通話料の遠近格差の一層の是正及びグループ料金制の導入などについて引続き検討すること  一、福祉形電話機器については、その改良・開発福祉充実のための施策をさらに推進すること。  一、高度化、多様化する電気通信事業の発展に対処するため、労使の信頼関係の上にたって、層企業努力に徹するとともに、職員の勤労意欲の向上が図られるよう適切な措置を講ずること。   右決議する。  以上でありますが、この決議案は、本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものでございます。したがいまして、その趣旨につきましては改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。  以上でございます。
  254. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  255. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、桧垣郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。桧垣郵政大臣
  256. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま公衆電気通信法の一部を改正する法律案を御可決いただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。  この委員会の御審議を通じて承りました御意見につきましては、今後電気通信政策を推進していく上で十分生かしてまいりたいと存じます。  また、附帯決議につきましては、今後その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  257. 八百板正

    委員長八百板正君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会