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1983-03-23 第98回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十三日(水曜日)    午前十時三十一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         八百板 正君     理 事                 長田 裕二君                 高橋 圭三君                 成相 善十君                 大森  昭君     委 員                 小澤 太郎君                 沖  外夫君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 片山 甚市君                 福間 知之君                 太田 淳夫君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  桧垣徳太郎君    政府委員        郵政大臣官房長  澤田 茂生君        郵政大臣官房経        理部長      奥山 雄材君        郵政省郵務局長  永岡 茂治君        郵政省貯金局長  鴨 光一郎君        郵政省簡易保険        局長       魚津 茂晴君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       田中眞三郎君        郵政省人事局長  奥田 量三君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社総務理事    山口 開生君        日本電信電話公        社総務理事    西井  昭君        日本電信電話公        社技術局長    村上  治君        日本電信電話公        社営業局長    信澤 健夫君        日本電信電話公        社計画局長    池沢 英夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (郵政省所管及び日本電信電話公社)     ─────────────
  2. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  去る十五日、予算委員会から、本日及び明二十四日の二日間、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、桧垣郵政大臣から説明を求めます。桧垣郵政大臣
  3. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 郵政省所管会計昭和五十八年度予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十一億八千四百万円で、前年度補正後予算額に対し二億一千九百万円の増加なつております。この歳出予定額には、宇宙の開発利用推進に必要な経費のほか、電気通信政策推進放送行政国際協力推進電波資源開発利用秩序維持など、通信技術の著しい向上と多様化する行政需要に即応した施策推進に必要な経費を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも四兆二千十八億一千六百万円で、前年度に対し一千二百五十五億七千百万円減少なつております。これは主として業務外収入及び業務外支出減少したものであります。  このうち、歳出予定額におきましては、重要施策としております安定した郵便業務運行確保送達速度向上に必要な経費を初め郵便貯金簡易保険郵便年金普及推進に必要な経費郵便局舎等改善に必要な施設費、その他所要の人件費などを計上いたしております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和五十八年度年度で二百四十六億円の利益が見込まれており、過年度における欠損のため生じている累積欠損金は、年度末では四百九十三億円にまで減少する見込みであります。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出予定額ともに六兆一千七百十億九千五百万円で、前年度に対し七千八百六十八億一千八百万円の増加なつております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は五兆三千六百四十二億三千二百万円で、前年度に対し四千九百二十七億四千六百万円の増加なつております。歳出予定額は三兆九百四十九億五千九百万円で、前年度に対し三千七百二十六億五千二百万円の増加なつております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は九百九十六億五千八百万円で、前年度に対し四百八十二億四千六百万円の増加なつております。歳出予定額は九十六億三千万円で、前年度に対し十二億五千百万円の増加なつております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきまして御説明申し上げます。  事業収入につきましては四兆三千二百八十四億円で、前年度に対し一千六百二十億円の増加なつており、事業支出は四兆一千九百七十九億円で、前年度に対し一千三百九十一億円の増加なつております。  建設投資の額につきましては一兆六千百億円といたしております。これにより、一般加入電話百十万加入増設等を行うとともに、電気通信網維持改善に特に配意することといたしております。  また、臨時かつ特例的な措置として、臨時国庫納付金額のうち、昭和五十八年度に係る金額昭和五十九年度に係る金額を繰り上げて合計二千四百億円の納付を予定いたしております。  これらの建設投資のほか、電信電話債券償還国庫への臨時納付金等に必要な資金は二兆四千三百四十九億円となりますが、その調達につきましては、減価償却引当金等内部資金で一兆四千二百九十一億円を、特別債借入金財政投融資等外部資金で一兆五十八億円をそれぞれ予定いたしております。  以上をもちまして郵政省所管会計昭和五十八年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 八百板正

  5. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 電信電話事業につきましては、平素格別の御配慮と御支援を賜りまことにありがたく厚く御礼申し上げます。  ただいまから日本電信電話公社昭和五十八年度予算案内容につきまして御説明申し上げます。  昭和五十八年度予算案につきましては、政府予算編成方針に沿いつつ、公社を取り巻く厳しい環境を勘案し、事業の一層の効率化合理化に努めるとともに、公社財務健全性維持しながら高度情報通信システム、いわゆるINS基盤形成を志向しつつ、高度化・多様化する国民の皆様の電気通信サービスに対する要望に積極的にこたえ、サービスの一層の充実改善に努めることを基本として編成いたしました。  まず、事業収支計画でございますが、収入は、今国会に提出されております公衆電気通信法の一部を改正する法律案による遠距離通話料金等の引き下げを織り込み、総額四兆三千二百八十四億円といたしております。その主な内訳は、電信収入五百六十二億円電話収入三兆八千二百六十九億円、専用収入三千三百三十九億円等であり、昭和五十七年度予算に対し一千六百二十億円の増加となっております。  また、支出総額四兆一千九百七十九億円で、その主な内訳は、人件費一兆四千九百八億円、物件費七千五百三億円、業務委託費一千五百四億円、利子四千四百七十九億円、減価償却費一兆二千八百二十三億円等であり、昭和五十七年度予算に対し一千三百九十一億円の増加となっております。  以上の結果、収支差額は一千三百五億円となります。  建設計画につきましては、INS基盤形成を志向しつつ、電気通信網維持改善を図るとともに、加入電話需給均衡状態維持等サービスの一層の充実改善に努めることとし、投資規模については財務状況を十分勘案し、より一層投資経済化効率化に配意して一兆六千百億円をもって次の主要工程を計画いたしております。  まず、一般加入電話増設につきましては、最近における需要動向を勘案して百十万加入を計画しております。また、利用者利便向上を図るため、ビジネスホンファクシミリ等各種商品福祉対策用電話等についても引き続き積極的に普及を図ることといたしております。  基礎工程につきましては、市外通話サービス維持改善電気通信網信頼性向上INS基盤形成を図るため光ファイバーケーブル等増設を計画するとともに、設備維持改良を計画的に推進することといたしております。  また、データ通信施設につきましては、需要動向等を考慮して工事費一千二十五億円をもってデータ通信回線四万三千百回線及びデータ通信設備三十五システムを計画いたしております。  研究実用化計画につきましては、電気通信サービスに対する高度かつ多様な要請にこたえるため、衛星通信INSモデルシステム等技術研究実用化を一層促進することとし、研究施設費として四百二十六億円を計上いたしました。このほか損益勘定に五百十三億円を計上しておりますので、調査研究費総額は九百三十九億円となっております。  さらに、非常災害時における通信確保を図る防災計画につきまして大規模地震対策を含め実施することとするほか、農山漁村等における電話サービス改善のため、加入区域拡大について、五十七年度に引き続き、電話局から七キロメートル円外地域についておおむね十世帯以上の集落を加入区域とすることとし、当該地域に所在する離島振興法等に指定された離島のすべてを含めて計画いたしております。  資金調達計画につきましては、以上の建設計画に要する資金一兆六千百億円のほか、国庫への臨時納付金に二千四百億円、債務償還等に五千八百四十九億円をそれぞれ必要としますので、調達すべき資金総額は二兆四千三百四十九億円となります。  これの調達として、内部資金で一兆四千二百九十一億円、設備料で一千三百八億円のほか、外部からの借り入れとして、財政投融資により一千五百億円、特別債借入金により七千二百五十億円を予定いたしております。  なお、国庫への臨時納付金につきましては、国の財政に協力する立場から、五十九年度拠出分一千二百億円を五十八年度に繰り上げて拠出することとして計上いたしております。  以上をもちまして、日本電信電話公社昭和五十八年度予算案内容についての説明を終わらせていただきます。
  6. 八百板正

    委員長八百板正君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 大森昭

    大森昭君 郵政事業特別会計についてのまず総論的なことについて質問いたしますが、毎年予算を組んで事業運営を図っているわけでありますが、とりわけ五十八年度の中で、重点的に取り組んで施策を図りたいというようなことについては、どのような項目を考えておられますか。
  8. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) お答え申し上げます。  ただいま国会におきまして御審議をお願い申し上げております郵政省所管特別会計予算編成に当たりましては、御承知のとおり、一般会計におけるようなマイナスシーリングあるいはゼロシーリングといったような要求枠の設定はございませんでしたけれども事業財政の現況にかんがみまして、各種施策のプライオリティーを見直しまして、優先順位を厳しく選別いたした上で、利用者需要にこたえるとともに、利用者利益向上に資する見地から各種重要施策に取り組んだところでございます。  主な施策といたしましては、先ほど大臣説明にもございましたように、安定した郵便業務運行確保送達速度向上郵便貯金簡易保険郵便年金普及推進郵便局舎等改善に必要な経費などがございますが、さらに具体的に特に重点的に経費を計上した施策について申し上げますと、まず郵便関係につきましては、第一種定形外郵便物航空機搭載を実現するために十二億二千八百万円を計上し、さらに郵便事業拡大という見地から、郵便増収対策といたしまして三十三億三千七百万円を予定いたしております。この中には、営業活動の強化といった従来の施策のほかに、新規施策といたしまして、小包包装物品販売等も入っております。  また、郵便貯金関係につきましては、郵便貯金増加目標額を七兆九千億円と前年度同額に設定いたしまして、その目標達成のための諸施策を行うことにしております。たとえば奨励施策推進のための、いわゆる奨励施設費といたしまして五十三億九千二百万円を予定いたしております。  また、簡易保険郵便年金関係について申し上げますと、簡易保険新規募集目標額は、前年度四百九十億円のところ五百億円とし、また郵便年金新規募集目標額も、前年度の十四億円に対して、五十八年度は二十五億円といたしまして、それぞれの目標達成のための諸施策を実現することにいたしております。なお、奨励施設費といたしましては五十二億八千六百万円が計上されております。  またそのほか、直接歳出を伴うという意味におきましての予算事項ではございませんが、予算編成過程におきまして、省の最重点項目として取り上げたものといたしまして、簡易保険積立金運用範囲郵便年金並み拡大するという制度改善がございます。これも予算折衝過程予算政府案編成過程において実現したものであることを付言させていただきます。
  9. 大森昭

    大森昭君 郵便事業関係では、先ほど大臣から、二百四十六億円の利益が見込まれておりまして、大変好転をしているような御報告がありましたけれども、私ども料金改定をいろいろ議論をした際に、省側から出ました資料によりますと、確かに五十八年度の単年度では利益が見込まれていることで、少し当時と違う状況はあるんでありますが、しかしこの財政状況は、必ずしも郵便物がふえたり、あるいは非常に国民のニーズに合ったサービスをしたり、いまもちょっと言われましたけれども営業活動がよくて成績が上がったりというふうには私は分析をしないんでありますが、むしろ、その当時作成をいたしました料金改定の際に、人件費なら人件費が幾らかかる見込みだというようなことが、その計画書によると、人件費が伸びておらないというようなことでこれは好転をしているようなことになっているんじゃないかと思いますが、この郵便事業が単年度で二百四十六億円の増益があるという結果はわかりますが、これがどういう形でこういうふうになってきたのかという分析はされておりますか。
  10. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ただいま大臣からも御説明いたしましたように、また大森先生指摘のように、五十八年度予算におきましては郵便事業収入約一兆一千億でございまして、支出がそれを二百四十六億円下回るということで利益が二百四十六億円生ずると、そういった形の予算になっております。  五十六年の一月から郵便料金改正をしていただきました際に申し上げました見通しは、自今十年以内に二回程度料金引き上げを認めていただくならば累積欠損金も解消して健全な財政運営ができるということを申し上げたわけですが、その見通し基本については現在も変わっておりません。  しかし、先生指摘のように、単年度で見ますと当時の予測よりも若干好転しております。本年度におきましても約五百億を超える収支黒字が見込まれますし、来年度におきましてもただいま申し上げましたように二百四十六億円の黒字が見込まれるという状況でございまして、当時よりは好転しておりますが、その原因といたしましては、先生指摘のようにやはり何といっても人件費のアップが当時の予測よりも若干下回っておるということはあるかと思いますが、私どもとしましては、やはり一面において収入目標について各郵便局に割り振り、その達成について極力営業活動等を通じて督励いたしておりますこともございまして、そういった営業面での努力、また支出面における人件費及び物件費の圧縮といったようなことによって両々相まって若干好転していると、そういうふうに判断しているところでございます。
  11. 大森昭

    大森昭君 きょうの答弁はそれでいいんですが、もう少し今日の状況というのを分析して将来に備えてもらいたいと思うんでありますが、とりわけ最近問題になっておりますのは小包郵便でありますが、これについてはどのような対処の仕方をされておるわけですか。
  12. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 小包郵便物は、昭和五十五年十月の料金改正のときに約三四%ほどの引き上げをお願いしたところでございます。そういった料金引き上げというのとほぼ時期を一にいたしまして、民間運送業者小型物品輸送分野へ著しく進出してまいり、そういったことが絡みまして、昭和五十五年以来小包郵便物は残念ながら年ごとにかなり大幅に落ち込んでおります。  具体的な数字で申しますと、五十五年度に対前年比七・七%の減と。それから五十六年度には一五・二%の減少と。それから、五十七年に入りましても前半におきましては一〇%を超える減少を続けてまいっておるところでございます。  そういった危機的な状況改善するため、郵務局といたしましては、五十七年六月一日から、東京—大阪間を中心とした普通小包郵便物送達速度改善とか、速達小包郵便物航空機に搭載して運ぶとか、さらに昨年の十一月十五日からは小包郵便物の大口差出者に対して料金を割り引く等の施策を実施してまいったところでございます。その結果、十一月十五日以降の状況を見ますと、それまで一〇%を超える減少傾向を続けておったものが、割引制度実施以後におきましては約五、六%の減少ということで減少傾向が大幅にダウンしております。また、ごく最近のデータによりますと、二月の下旬におきましては前年度に対して若干の増加をしている、そういった状況もあらわれております。残念ながら三月の上旬におきましてはまた四%ほど減少しておりますので、郵便小包のそういった長期減少傾向に完全に歯どめがかかったという状況ではございませんが、これまでの施策によってそれなりの効果が上がってきておるというふうに考えておるところでございます。
  13. 大森昭

    大森昭君 前々から小包の問題というのは問題にされているわけでありますし、いまお話しのように多少減少がとまったと言いますが、財政的に見ますと小包収支というのは大変大きなウエート料金全体にかかってきているわけですから、今後とも積極的に取り組みをしてもらいたいんでありますが、この間ちょっと組合要求書を見ましたら、たとえばいま民間業者小包を持ってきまして、留守をしていますと隣のうちへ預けたり、私のうちなんか物置へ置いていったりやっているんですが、どうもまだ郵便局の場合は、仮に、それをまたもう一回局へ持ち帰って、何日までに取りに来なきゃ発送元へ戻しちゃうとか、どうもそういうことをやっていますと、これは確かに大切なものというのはよくわかるんですが、しかし、民間業者隣近所に頼んでいったり物置へ置いていってくれたりやっているやつを改善した方がいいじゃないかというふうに組合側の方がこれそういう要求などしているようですけれども、そういう問題は解決しているんですか、これ。
  14. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ただいま大森先生指摘のように、小包郵便物数は約一億五千万で郵便物数のわずか一%でありますが、収入は約八百億でございまして約八・数%を占めております。収入におきましてはかなり大きなウエートを占めておりますので、私どもとしましては郵便事業財政改善のために小包郵便物増加について今後とも一層努力してまいりたいというふうに考えております。  ただいま御指摘の、不在であった場合に持ち戻るという点につきましては、各方面から改善についての要望が私どもの方にも参っております。したがいまして、私どもとしましては近くそのことについての改善を実施したいというふうに考えております。と申しますのは、現在不在であった場合には不在通知書を中に入れるということになっております。そして、その不在通知書内容は、何月何日に配達してほしいということと、それから局に取りに行くという二つの内容のみ記載することになっております。その点を改めまして、もう一行設けまして、近くの知人の何々さんと、Aさんの家に預けてほしいとか、近くの何々というお店に預けてほしいといったような、そういった欄を設けることによって、一たん持ち戻った小包を再度配達する場合に、その受取人とそれから代理受領者というものを郵便局に知らしていただければそこに配達するということを実施していきたいということを考えておるところでございます。宅配業者のように、持っていったときに留守だからすぐ隣に預ける、また軒下に置くということは、やはりいろいろなトラブルの原因にもなろうかと思いますので、ただいま申し上げましたように、ワンクッション入りますが、不在配達通知書知人または非常に親しいお店等住所等をお書きいただいて、そこに配達するような仕組みに改めてはどうかというふうに考えておるところでございます。
  15. 大森昭

    大森昭君 まあ組合は、あるいは地域で働いている人たち状況を全部集約しましていろいろ問題提言していますからね。それはいま局長が言うように、たとえばどこのうちでもやったら問題が起きるなんというのは、それはあなたの、本省の局長はわかるんですよ、そういう意識になることは。しかし、日常郵便配達していますからね。大体あの隣の人は仲がいいとか悪いとか、あのうちは預ければ大体うまくいくわというのは、それは一回問題が起きれば、配達した方が預けた人に文句が来るわけだからね。それじゃ、あの隣のうちはまずいから一軒隣のうちに置いた方が、あのうちは大体うまくいくらしいというのは、それはもう日常配達している人ですから常識でわかるわけですよ。そういうことをいま議論しようというんじゃないんでありますが、どうかひとつ組合の方もそういう働く人たち立場、あるいは地域のそういうものも、状況も判断しながら積極的に、一体小包をどうしなきゃいけない、事業をどう思わなきゃいけないという提言ですから、まあいま十分検討するというお話ですけれども、出てきた問題というのは積極的にひとつ組合の意見なども聞いていただいて、小包の問題の解決をしていただくことをひとつお願いをしておきます。  そこで次は、臨調で大分鴨局長痛めつけられておるようでありますが、毎回目標額は前年と同額ということで、これは二年連続目標額据え置きのようでありますが、まあ余り目標額を上げて募集要員のしりをたたくことがいいという意味じゃないんでありますがね。少し何か毎年毎年同じ目標額というのは、ちょっと従来にない方針じゃないかと思うんですが、この辺はどういうぐあいでそういう目標額を従来と据え置きでやっておるわけですか。
  16. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先生指摘のように、昭和五十八年度郵便貯金目標額は七兆九千億円ということにいたしておりますが、この目標額七兆九千億円は、実は五十七年度の七兆九千億円と同じ額でございます。で、これは五十八年度の七兆九千億円、内訳を申し上げますと、純増額を約二兆四千二百億円、元加利子分を約五兆四千八百億円、このようにとったわけでございますけれども、これは一つには、郵便貯金というものが家計可処分所得というものの伸びに非常に密接に関連をいたしております。その家計可処分所得がいわゆる低成長という中で伸び悩んでいるということ。それから、他の商品、特にビッグとかワイドとか言われますような商品に対する金利選好といったようなことが出てきております。そしてまた、一面でたびたび申し上げてることでございますけれども、負債の増加とこれに伴ういわゆる返済というものにお金が回りますといった状態、もろもろ勘案をいたしますと、五十八年度の窓口での純増というものを、いま申しましたような数字に抑えざるを得ないのではないであろうかというふうな考え方で、五十七年度と同じにいたしております。この純増額は五十七年度見込みでは三兆四千五百億円でございますものを、五十八年度には先ほど申しました二兆四千二百億円、約一兆円下回るような数字を立てているわけでございます。  以上申し上げましたようなことから、このような数字にしている次第でございます。
  17. 大森昭

    大森昭君 定額貯金の見直しでいろんな議論がありますが、きょうは余りその問題について深く突っ込む気はないんでありますが、奨励目標額を大体前年と同額で置いておくということで事業計画を立ててやっていくというのは、いま局長が言ったように、もろもろなものを判断しているんだろうと思うんですが、しかし、いま世の中では定額が非常によくて、とにかく定額を廃止したらどうかぐらいなことを言われているわけですが、実際にその後の民間金融機関のビッグ、ワイドの新種商品なんかを見ますと、定額よりかいいんじゃないかと思うんですがね、この辺はどうなんですか。
  18. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 民間のいま御指摘のビッグ、ワイドといったものでございますが、五十七年中の増加状況を私どもが把握し得る限りの資料、データで見た限りでございますけれども、ビッグ、これは収益満期受け取り型のいわば新型の貸付信託でございます。これらを主力商品とする信託あるいは投資信託の伸びが非常に大きくなっております。信託では六一%対前年比の伸び、それから投資信託の関係では五・五倍というふうな数字が出ておりまして、郵便貯金の伸びとの関係でははるかに大きな伸びになっているというのが私どもの見方でございます。
  19. 大森昭

    大森昭君 ですから、この前も質問したら、可処分所得の増加がないとか、あるいはローンの負債が逐次増加しているとかって、貯金がなぜ伸びないかという質問に対してね。ところが、いま言うように、民間の方は伸びているわけですな。それから郵便事業の方は、遠慮しているんだかもろもろの要素を勘案しているのかどうか知らぬけれども目標額は前年どおり。少しやっぱし、貯金が置かれておる状態というのはわからないわけじゃないんだけども、少なくともいま答弁がありましたように、民間の方のビッグ、ワイドについても定額預金よりか高利回りで新種商品を発売しているわけでありますから、そういう意味からいけば、別に臨調から大変定額というのはいい商品であってなんて言われる筋合いもなければ、またこの貯金全体の事業運営の中で、むしろもっと新しいものを発売をしていったらどうかというぐらいなような積極性というのはどうなんでしょうね。
  20. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先ほど申しましたビッグ、ワイドといった新種商品、これは市場実勢を反映しました高利回りの新種商品というふうに見られるわけでございます。現在の利率で申しましても、定額貯金の預け入れ三年以上のいわゆる一番高いところの金利が六%、これに対しましてビッグはこれは五年物で予想年利でございますが、年利七・五二%、それからワイド、これは確定の年利でございますが、これも五年物でございまして年間七・五〇%というふうな数字で、ここでも大きな開きがあるわけでございます。  で、こういう市場実勢を反映しました高利回りの新種商品と比較をいたしますと、定額貯金は格別有利なものでないという実態になっているわけでございますが、私どもといたしましては、基本的に利用者の皆様方に対するサービスをいかにしていくかということからいたしまして、定額貯金の商品性を見直すという方向ではなくて、新しい形での、まあたとえばこれは民間銀行等でも検討をしているようでございますけれども、中期定期預金の創設というふうなことなどを含めまして、よりよい商品開発を可能な限りでしていきたいという気持ちは持っております。いろいろ厳しい環境はございますけれども、気持ちといたしましてはそういう方向での検討を考えておるということでございます。
  21. 大森昭

    大森昭君 新聞では大臣の談話などは時たま読ませていただいているわけですけれども、そこでどうでしょう、大臣
  22. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 新聞に報道をされておりますのは、私が特別に談話をしたわけではございませんが、臨調の答申、最終答申がございましたときに、答申を受けた郵政大臣としての心境はどうかということでございましたから、私としては、国民への簡易少額の貯蓄を奨励するという立場からの事業運営を行っておるのでありますから、採算可能である限り預金者の利益というものも配慮していくということが私ども立場である。それに言い足しまして、そういう観点からの御提言がなかったことについては私としては気持ちとしては素直に納得できる心境にはないということを申し上げたわけでございます。私の率直な気持ちでございます。  私は、臨調の答申で、シェア論もございますし、最終的な提言として定額貯金の見直しを行うべきであるということでございますが、私自身も郵便貯金のシェアがますます増大をするといいますか、そういうことで民業とのアンバランスが極端に拡大をしていくということは決して好ましいとは思っていないのでございますが、いままで貯金局長からの話もございましたように、現在の条件でも郵便貯金の伸びは純化の傾向にあるときでございますので、この際預金者の利害に直接関係をします条件の見直しという問題については慎重に扱わなければならぬ、また国会の御論議を含め各方面の御意見を踏まえた上で対処をしなければならぬというふうに思っておるわけでございます。
  23. 大森昭

    大森昭君 いずれにいたしましても臨調というのは何者も恐れないというようなことでありますが、しかし、いずれにしても、いま大臣のお話がありましたように、臨調そのものが最善のものじゃありませんのでひとつ——私に言わせますと、いまのようなことだと、まさに郵政事業の根幹をなす貯金事業が衰退をしていくということになりますと大変なことになりますので、がんばっていただきたいと思いますが。  そこで、次の保険でありますが、保険も余り問題がないようでありますが、問題は最高制限額がこれは五十二年以来一千万で据え置かれておりますし、とりわけ臨調でもこの引き上げについてはまかりならぬみたいな答申が出ているようでありますが、これについてはさきに引き続き努力をしていきたいという大臣のお話もありましたけれども、保険局としてはどういうようにお考えですか。
  24. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) この簡易保険の最高限度額というのは、もともと簡易保険そのものが不慮の事故に際しまして遺族の当面の生活費を補てんするに足る額を簡易に保険をするという趣旨でできておるものでございますから、この額は私は物価情勢の変化でありますとか生活水準の変化の中では当然適時適切に検討さるべきものであると思うわけでございます。現在の制限額一千万円は、御案内のように、昭和五十二年以来据え置かれておるわけでございますので、私としては、臨調では最高限度額の引き上げは問題であると、しかし引き上げる場合にはこうこうこういうようなことを考慮すべきであるということでございますから、それらの御意見を体しながら、五十八年度予算編成のときに大蔵当局と折衝しました際、五十八年は限度額の引き上げを見送らざるを得ないということになりましたけれども、五十九年度予算編成までの間において郵政省と財政当局の間で協議をするということになっておりますから、私どもとしては適切な引き上げを行うという姿勢で協議に臨みたいと思っておるわけでございます。
  25. 大森昭

    大森昭君 大臣、がんばっていただきたいと思います。  次に、簡易保険郵便年金福祉事業団に対しましてもいろいろなことが言われておりますが、五十八年度予算並びに将来郵政省はどのようにこれに対応するんですか。
  26. 魚津茂晴

    政府委員(魚津茂晴君) 事業団の施設の問題については先生御案内のところと存じますが、臨調は宿泊会議施設は原則として認めないという方針が出されているわけでございます。  そこで、お尋ねの五十八年度の対処ということでございますが、今回の予算の際に、私ども従来から、引き続いて、地域社会なり加入者の皆様方から依然として新設の要望も強うございましたので、要求を簡保センターにつきましてもレクセンターにつきましても出したところでございますが、結果的には認められなかったわけでございます。  そこで、今後の私どもの対応の仕方ということでございますが、いずれにしましても、宿泊会議施設、私どもの扱っております福祉事業団の施設につきますと、典型的には簡保センターが該当するわけでございますけれども、その簡保センターについては現在なお全国的に見まして百カ所を超える新設要望があるわけです。その新設要望と、原則として認めないという臨調の答申といかにして調和をしたものにするかということがわれわれとしてはなさなければならない最大の問題だと、こういうふうに考えているところでございます。
  27. 大森昭

    大森昭君 まあ亡くなられたときに保険金を払ったり、病気になったときにまたいろいろ手当をすることも必要ですけれども、やっぱり生きている間に楽しいこともさしてやるということはこれは保険の中の重要なことでありますから、いま局長から答弁がありましたように、交付金を削減しちゃえとかそういうようなことではこれは困りますので、保険事業推進をする役割りの大きなものを持っての簡保事業団でありますから、ぜひひとつがんばっていただきたいと思います。  さて特別会計で、いろいろ電波行政については多様に発展をしているということで、とりわけ力を入れなきゃいけないということでありますが、予算書を見ますと、これは毎年なんでありますが、どうも定員はふえておりませんし、経費の問題についても何か従来から見ると少し減っている部門もありますし、どうも電波行政の重要なわりには予算上はなかなか措置をされておらない。とりもなおさず、臨調の答申によれば信越だとか北陸の地方電波監理局を統合しちゃえ、廃止をしちゃえというようなことを言っておるわけですけれども、一般の事業と違ってというと少しお叱りを受けるかもしれませんが、電波行政というのは重要な要素でありますので、この辺についてひっくるめて電波行政についてはどのような考え方を持っておられるかお聞きしたいと思います。
  28. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 五十八年度の電波監理局の歳出予算額でございますけれども先生指摘のように二百二十四億六千百万円ということで前年度に比べまして四億九千万円の減というようなことになっておる次第でございます。私どもその中でも重点施策として宇宙の開発利用の促進、あるいは放送行政推進あるいは電波資源開発利用秩序維持などに重点的に、また苦しい財政の中で重点的に組んでいただいたわけでございますけれども、総じて申しまして、ともかく四億九千万の減であり、また要員につきましても第六次定員削減計画というようなことで二十八名の減員になっておるわけでございます。非常に厳しい状況にあるわけでございますけれども、現在の財政事情というものを踏まえまして極力経費の節減に努める、効率的な業務の運営をなお一層図っていくということで行政執行に支障のないように努力すべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  29. 大森昭

    大森昭君 そこで、この大臣所信表明の資料の中で、最も私は感銘するんでありますが、しかしそのわりには余り改善がされてないという問題、二、三の問題ちょっと提起したいと思いますが、「郵政事業は、人力に依存する度合いのきわめて高い事業でありますので、事業の円滑な運営を図るためには明るく活力に満ちた職場をつくることが必要」でありますと、こういう所信表明がありますがね、まさにそういうことなんだろうと思うんですが、しかしこの活力ある職場というのは、まず一つ、働く職場というのはまずきれいじゃなきゃいけませんし、働く、いわゆる作業に対応した施設がなきゃいかぬと思うんでありますが、まずその局舎の関係はどういうぐあいになってますか。
  30. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 先生指摘のように、郵便局舎はわれわれ郵便事業を行っていく上でのきわめて大事な拠点であるとともに、また職員がそこで働く、そういった労働者にとりましてもわれわれの住居と同じような重要な意味を持つものでございます。したがいまして、郵政省といたしましては、過去数次にわたる五カ年計画等、長期計画を立てて改善に努めてまいっておるところでございまして、最近における郵便局舎は十年前の昭和四十年代、さらに二十年前の昭和三十年代等に比べますと著しく改善されてきているというふうに考えておるところでございます。
  31. 大森昭

    大森昭君 それは昔から比べれば著しく改善されているんです。それは郵便局舎だけなんじゃないんだよ、全体がそうなんだよ。だから、そういう言い方をされればそれはそうかもわからぬけれども、しかし端的に申し上げまして、私も全国区だから言うわけじゃないんだが、全国を歩いていますと、これが郵便局かなというのもありますよね、正直言って。私は別に私有局舎を国営にしようなんていうことは言いませんがね、私有は私有でそれでいいんですが、官の場合には、いわゆる国営の場合は少なくとも五カ年計画を立てて、調査をして、指摘をしていくんですが、私有局舎で大変悪いものは、これは郵政局が、局長さんこれはお直しになった方がいいんじゃないですかとか、建て直した方がいいんじゃないですかとか、増築した方がいいんじゃないですかというようなかっこうで、郵政局がお借りをしているんでありますから、借り主に対しての、それはふところぐあいだとかいろんなことも無視はできないんでしょうけれども、一体どういう契約の形になっているんですか。
  32. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 特定局の私有局舎の改善につきましても、国費の局舎と同じように、大変古くて作業環境が悪い、また利用者にとりましても必ずしも快感を与えない、不快感を与えるといったような局舎につきましては、一般の他の局舎と同じように長期改善計画をつくって、所有者である特定局長、または第三者に対して改善を勧奨している、そういった状況でございます。
  33. 大森昭

    大森昭君 恐らく借料が安いのか、あるいはその局長さんが資金調達ができないかじゃないかと思うんですね。それ以外に何かあるかもわかりませんが、どうも、私どもが行きまして、局長さん、少し古くなりましたねってお話しますと、いや、私が実は持っているんじゃないんでありまして、前任の局長さんが持っておりますので私の一存ではどうにもならないんですよということを言われる局長さんがおられるんですね。そうなってきますと、局長さんになっておられて、所有がその局長さんのもののときには、ある程度長い間貢献していただいているわけですから、新築の強制や直ちに改善をしなければならないということにはならないが、前任の局長さんの場合には現局長がどうにもならないということになっているんじゃないんですか。
  34. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 先生指摘のように、たとえば現在の局舎が前局長の所有であって、現在の局長の所有じゃない、そういった場合には局舎の改善につきましても当然所有権者である前局長の承認と申しますか、それから前局長による投資というものが必要になるわけでございまして、局舎所有者と局長が一致しているという場合に比べて改善について困難性があるということは否定できないというふうに思っております。
  35. 大森昭

    大森昭君 大体局長さんがやめられるときは高齢でやめられますよね。そして、高齢でやめられれば、少し狭くなったけれどもこれは増築してやってやろうといってもなかなか——直接その局出ていくわけじゃないんですから、前任の局長さんはね。そうなってきますと、どうしても少し古くてもしようがないからがまんしてもらおうじゃないかというようなことなどもあるんじゃないかというふうに思いますから、きょうここで別に詰めるわけじゃないんですが、長い間局長さんが私有でもって貢献していただいた労は多としなきゃいけませんが、やめられたときは現局長が少し改善をしたいと言うんなら改善ができるように、あるいは新築しなきゃいけないと言うんなら新築できるように、別に裁判を起こしてしょっちゅう問題を起こせという意味じゃないんですが、どうもその辺のところがすっきりしないんですね。借料が安けりゃ上げてやったらいいんでしょうし、金がなくて新しく増築できなかったらどこかからか金を借りるような手配もしてやってもいいでしょうし、いずれにしても前任の局長さんがうんと言わなきゃ何もできないということになりますと、これは正直言って古い局舎はよくなりませんよ。現に地方へ行って——あなただってよく出張するんだから、郵政局へ行って仕事して一杯飲んで帰ってくるわけじゃないんだから、行ったらずっと見てごらんなさいよ。そして、これはちょっとひどいなというところはやっぱりそういう事情なら前任の局長さんにも郵政局の人が行ってお話をするとかね。それはなぜかと言うと、現局長さんというのは前局長さんに大変物が言いづらい、お世話になっているわけですから、その後局長さんになっているわけですからね。だからそういう人間関係なんかを見ますと逐次よくはなってきておりますが、どうかひとつ、中には非常に悪い局舎もあるわけですから、その辺のところの配慮をしてもらわなきゃ幾ら職場に活力をと言ってみたり、爽快な気持ちで仕事をやってみてくれと言ってみたって、それはあなた、建物が狭苦しくちゃ爽快にも仕事できません。これが一つ。  それからもう一つは、まあ郵便の場合もそうですけれども、配る郵便から出していただく郵便にしますとか、貯金、保険は地域に密着して事業の発展を図らなきゃいかぬと言われているんです、事業局長さんは。しかし、私はこの間、東北を回ってまいりました。しかし東北を回ってきましたら、管理者の皆さん方に、あなたは単身でありますか、それとも家族の方が一緒ですか、どこの県の出身ですかと聞きました。しかし、まあ二年ぐらいで、そしてまた郵便局というのは七十名の局長さんが二年たったら八十名の局長さんにしなきゃいけない、あるいは百名の局長さんにしなきゃいけないということなのかどうかしりませんが、余りにもがらがらがらがら、とにかく青森の人が福島に行ったり福島の人が青森に行ったり、これでは地域に密着するとか、それから郵便事業というのは営業活動をやるとか、そんなこと言ったってなってませんよ、現場の実態は。そうなってくると、一体そういう厳しい事業運営の中で、人力に頼って、人を大事にしなきゃいけないということを、どういう人事面では変革を起こしているんですか。
  36. 奥田量三

    政府委員(奥田量三君) 職員の配置につきましては、ただいま先生指摘のように、特にお客様との関係等も重視して、一つにはなるべく同一のポストにじっくり腰を据えてやってもらいたいという考え方をとっております。  実際問題といたしましては、現時点において、管理職の場合、平均在勤年数が約二年ということでございまして、三年在勤する者もおりますが、人事の都合上一年で転勤する者もあるという状況でございます。しかしながら、この点につきましては今後とも努力をして、なるべく、ある程度じっくり腰を据えて働いてもらう方向に持っていきたいと思っております。  それからもう一つの、ただいま御指摘の単身赴任の件でございますが、転勤に際しまして、単身で行くか家族同伴で行くかということにつきましては、たてまえといたしましては職員の個別の事情によるもので、省の方から云々するというわけにはまいらないものでございますが、現実問題としては、先生指摘のとおり、単身赴任者は経済的な負担あるいは家族の関係等いろいろ苦労が多いだろうと考えているわけでございます。  したがって、管理者の人事に当たりましては、人事配置上の計画とともに本人の健康状態あるいは家族の状況、それらを含めての勤務希望等をできるだけ加味しながら行っているところでございますが、やはり郵政事業は全国規模で事業経営を行っているという関係からいたしまして、ある程度離れた距離の転勤というような事態は避けられないということについても御理解いただきたいと思う次第でございます。
  37. 大森昭

    大森昭君 私が質問すればそういう答弁しかあなたはいつもしないんだけど、その言うとおり、ある程度の配慮をしてくれているなら私はいつもこうしつこくやらないんですよ。現実問題として、この間校内暴力の問題だとか非行青年の問題で連合審査で議論したって言うんだ、幾つかあるって言うんだ。しかし、家庭の中のしつけというものがやっぱり基礎だというわけだ。いろんなことがあるでしょう。先生がもっと責任感持ってやってくれなきゃいけないとかいろんなことがあるけど、そうなってきますと、それは郵政事業の人事というのは役所の仕事なんだからやむを得ないんだといってね、それはいいっていうんですよ、僕は単身の人だってね、やむを得ない場合もある。しかし、何も七十名の庶務課長がだよ、福島に青森から来て単身でいることないんじゃないの、僕に言わせればね。やっぱり青森だったら少なくとも隣りの秋田ぐらいには行くだろうし、あるいは統括局長みたいに偉くなっちゃうと、それはまあ青森の人だろうが秋田県の出身だろうが、それは仙台地郵の局長になったって、それはある程度ね。しかし、少なくとも七十名や六十名ぐらいの庶務課長、郵便課長、貯金課長、保険課長、大体この辺の人というのは本省か郵政局で見習いで来てない限りは、少なくともみんな少し——まあ私も大分しわがふえましたけどね、しらがか頭がはげているかどっちかですわな、本当の話ね、正直言って。それで、しかもその方の話を聞けば、せがれは大学に行っていて、奥さんは秋田にいて、私は福島へ来てるんですよと、これじゃ幾ら職場に活力を持たせるとかどうとか言って、そんなこと……。たとえば、そういう人事をするんなら、一年たてば秋田の近辺で七十名ぐらいのところが庶務課長があくんだったらそこへ入れたらいいじゃないんですかね。あなた方はいいよ、学校出だから、もう決まってるんだから、コースが。二年でもって見習いの郵便局の課長やって、二年やって、局長やって、二年やって、郵政局の……。だけれど、まさにもう長い事業の中でもうくたびれた人が、僕に言わせれば、一生懸命やっているでしょう、若いときに。それが郵便課長で、津軽の方から福島に何でしなきゃいけないのか。やっぱりそういうことを厳密に、とりわけ東北地方は、私が行ったときに、大体そのぐらいの局ですから五人くらいの管理者がいますけれども、四人は単身ですよね。この間なんかあんた、本省の人がどっか行くというんじゃないんですよ、同じ東北管内でもって奥さんと会えるのが年に三回しかないというんですよ。これでは活力もへちまもないでしょう。だから、私はいつも貯金局長がもう臨調答申で一生懸命がんばっている、郵便の方の小包も大変だからといって郵務局長ががんばっている、保険の方もそうだ、各事業局長さんが一生懸命がんばったって、人事のあり方が、いいかげんにそうすっ飛ばして、さいころ振っているのか何だか知らないけれども、飛ばしていたんじゃ、そんなもの、事業なんか発展するわけないですよ、そうでしょう。  それから、もう一つこれに関連して、これは管理者の立場で私は言うんですがね、党派を乗り越えて、余り気の毒なような人事をやっちゃいけません。それで断れないんです。もう五十過ぎたら、何を言ってるんだ、そんなところおれ行けるかと、役所なんかやめたいと、それはできないでしょう。できない人の弱味に突け込んで、ぽんぽこぽんぽこ……。だって、郵政省のいま本省の次席の皆さんがいますけれども、全員次席になったら全部現場へ出すんでしょう、それも希望調書をとってるんだけれどもね。希望調書というのは何のためにとっているかといえば、岡山に生まれたから、できれば見習いで行くんでも岡山の方に帰りたいわと、いや岡山は余り適当じゃないから、鳥取ぐらいならまだいいわ。岡山の人が盛岡に行ってみたり、東北生まれの人が四国に行ってみたり、どういうんですか、これは。希望調書なんというのは何のためにとっているのかね。将来幹部になってもらいたいからしっかり現場の管理者の苦労も身につけてというけれどもね、一斉に次席になったら出なきゃ本省には帰れない。本省で今度は係長に帰ってきたら一斉に出なければだめ、そんな人事ってありますか。私はもう、人事のやり方というのがやっぱり郵政事業を支えていく一つの基盤ですよ、これは。そこのところがきちっとしなければ、幾ら事業局長が一生懸命事業成績を上げようたって、人事の本体がそんなようなことだったら活力ありません。  しかも、最近は非常に公務員試験がむずかしくなってきましたから、優秀な青年が試験を受けて入ってきますが、当時はまさにお願いをして、東京だってみんな集めて回ったんでしょう。地方に帰りたいというUターンの取り扱いだって、どういう方針でUターン政策なんかやってるんですか。
  38. 奥田量三

    政府委員(奥田量三君) いわゆるUターン、つまり先生指摘のような大都市に勤務する職員が自分の郷里に転勤をしたいという希望を持ちました場合の扱いでございますが、その場合には、まずその職員から転勤の希望調書を所属長に出してもらいまして、所属長はこれを所轄の郵政局に送付することになっております。で、これを受けました所轄の郵政局では、勤続三年以上の職員につきまして、その転勤希望調書を受け入れ側の郵政局に送付することにしております。受け入れ側の郵政局では、郵便局に欠員が生じました場合、その欠員を付近の局の過員で補充するか、新規採用で補充するか、そしてUターンで補充するか等の、このいずれかによって措置するわけでありますが、そのいずれによるかにつきましては、その地域の要員事情等を考慮して決めることになるわけでございます。  またUターンの希望につきましては、ただいま申し上げました所属局並びに受け入れ局側の要員事情に加えまして、現実に希望者が大変多うございます。そういったことからいたしまして、本人の勤続年数、勤務実績、転勤希望の事由、転勤希望地域等を総合的に勘案して行うこととしております。  なお最近におきましては、職員を採用するに当たりましては将来とも当該の管内で勤務することになる旨を申しまして、その上で採用するようにいたしているところでございます。
  39. 大森昭

    大森昭君 これ以上質問は続けませんが、いずれにしても、国会の答弁じゃなくて、現実私が回って見てきた中で感じる最大のことですよ。とにかく、もう本当にお気の毒と言っては悪いけれども、そういう状況ですね。ですから、それも役所ですから、私が言うような人情小ばなしでいかないこともわかっています、私は。しかし、できるだけ、やっぱりお互いに家庭の事情——偉くすればいいというんじゃないんだよ。何だと、局長にするんだからどこへ行ったっていいじゃないか、課長にするんだからどこへ行ったっていいじゃないかということじゃないでしょう、郵政事業というのは。だからもう少し、たとえば本省の人なら全部どなたでも次席になれば現場へ出なきゃいけない。いや、現場へ行ったっていいですよ、貯金なら貯金のところへ行って、一生懸命貯金の管理の仕方を勉強したら、今度貯金局へ来るのかと思ったら全然違うところへ行っているんだよね。それはそうなんですよ。貯金の下でもって一生懸命やっていたなと思ったら今度は保険の方の仕事をやったりね。それは将来次官になるとか局長になるという人はいいんだよ、そういうことも必要な人もいるの。あらゆる仕事をマスターしてもらわなきゃならない人もいるの、郵政省の中には。しかしやっぱり、貯金なら貯金事業を専門にマスターしてもらわなきゃならない人だっているでしょ。保険なら保険事業を一生懸命——昔はもう神がかった人だっていたんだから、何々の神、何々の神と言って。いや本当に。それに四十年も五十年も一生をささげてきた人だって必要なんだよ。ところが、あなた方偉い人というのはもうてんでんばらばら。それはそうだよ、偉くなるんだから。それと同じことを一般の人に当てはめたんじゃやりきれません。  特に、単身赴任で行ったらどのくらい経費がかかるなんて計算したことがありますか。それから、毎年管理者七千人も八千人もがらがらやっているけれども、この赴任旅費というのは一体幾らかかるのか。臨調なんというのはそういうところが最大の問題点なんだよ。定額をやめるとか、簡保事業団の交付金を削減するなんというのは、そんなものは、事業のことなんか郵政大臣に任しておけばいいんだよ。そして赴任するでしょう。赴任して、まず管理者は名前を覚えなきゃいけない、性格を覚えなきゃいけない。そうでしょう。それにあんた半年はかかるんですよ。二年いたって津軽弁というのは、福島じゃ——先生に怒られるけれども、なかなかお互いに親身に話し合って、おい頼むぞと。仕事がこうかああかとやるまでに半年かかるんだ。  だから、そういう仕事をしなくていいように、いいように人事の配置をやっていたんじゃ郵政事業は発展しませんから、きょうはこれ以上言いませんが、どうかひとつ局長が言われるように、基本方針はおれの言っていることと余り違わないわけだから、本省の希望調書を次席からとる、係長からとる。なるたけ希望に沿ってやる。できないから、君はしかしここへ行ってもらうというようなことが納得できるようなことをやってくれなきゃ。もう希望調書なんか出さないという話もありますよ、どこへ行っちゃうんだかわからないんだからって。  これじゃあんまりいい関係じゃありませんから、ぜひ要望いたしまして私の質問を終わります。
  40. 片山甚市

    ○片山甚市君 公社の経営形態問題を通じて若干質疑を始めたいと思います。  電電公社の経営形態が論議される中で、現行公社制度が運用実態から見て、公共性を確保するとともに運営の能率的経営指標を取り入れた自主的な事業活動を行うという本来の理念が実現していないとしばしば言われておりますが、それ自身重大なことではありますが、しかし、最近の議論の傾向には、この機会にこれらを逆用して世論誘導を図りつつ意図的改革を求めているものがあると思います。憤慨きわまりないのでありますが、それ以上に、情報通信政策という国家百年の大計に対する政治的責任を自覚しているのかどうかが問題であります。  これらの問題点はさまざまな角度から追及されつつありますが、私自身、昨年度予算審議における委嘱審査での本委員会の質問でも触れ、あるいはそれ以前の審議を通じて感ずるのは、その場限りの弁解で済ませながら他方で世論操作をしながら特定の思想を既成事実化しようとしていることであります。そのため、再三同じ視点からの質問から入らざるを得ません。まずこの大前提を明らかにしながら答弁をお願いするところです。  そこで、前にも御質問したんですが、公衆電気通信とはどのようなものと考えているのか。総裁自身はどう考えていられるのか。まず郵政当局からお聞きをして、総裁からもお聞きをしたいと思います。
  41. 小山森也

    政府委員(小山森也君) まず法制上の方から申し上げますと、公衆電気通信については、現行公衆電気通信法上「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供すること」を電気通信役務であると、こう定義しております。したがって、この電気通信役務を提供することを公衆電気通信業務と言うこととなっておりまして、これは公衆法の第二条第五号に掲げられております。この公衆電気通信業務は、原則として電電公社または国際電電株式会社が一元的に運営すべきものとされておるのが法制上のことでございます。  こういったような法制上のことから敷衍いたしますと、公衆電気通信事業というのは、良質な電気通信サービスを低廉、公平かつ安定的に供給すること。それから、通信の秘密を確保利用者に不安を与えないこと。また、情報の円滑な流通に資することによりまして、経済の発展と国民生活の質的向上に一層貢献することが要請されているものであると理解している次第でございます。
  42. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) ただいま郵政の局長から御説明があったとおりのものと私どもも考えております。  いずれにしろ、公衆電気通信は電電公社が国内的には一元的にサービスを提供するということを前提とした公衆電気通信法体系によって規定されているものと考えております。このような公衆電気通信は社会経済に必要不可欠なものになっておりますし、社会のインフラストラクチュアとしてきわめて重要なものに今後もなっていくと考えております。
  43. 片山甚市

    ○片山甚市君 総裁にお伺いしますが、かつてあなたは、公衆電気通信法は時代おくれの法律であり前時代的であるとおっしゃっていましたが、どのように今日的にお考えでしょうか。
  44. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 確かにそういうことを申し上げましたのは、総裁として電電公社運営していくのにどういう不便な点があるかという御質問に対して答えたというふうに記憶いたしております。そういう立場で考えますと、現在の運営の実態は必ずしも終始一貫した形になっていないという意味でお答えしたのを記憶いたしております。と申しますのは、会計法と公社法とそれから公労法と三つが重なり合って、終始一貫した動きができにくいということを申し上げたと記憶いたしております。
  45. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は公衆電気通信法について聞きましたが、それの御答弁ですが、もう一度聞くことはいたしません。記録にとどめておいて、読まれた方々がどういう判断をされるかが最も大切だと思います。  次に、電気通信事業の将来展望を考えるときたとえばオンライン利用などの今日の国民経済、国民生活に対して電気通信に依存する度合いが非常に大きくなっておると思うんですが、その重大さについてどう認識されておりますか。これは総裁の方からお答えを願いたいと思います。
  46. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先生指摘のとおり、公衆電気通信事業はエレクトロニクス技術の発展に伴いまして急速に成長し、今後も発展が予想されておるところでございます。で、公衆電気通信設備利用して高度なサービスを提供する事業あるいはデータバンク事業といったような設備利用事業、いわばソフト事業とでも言うべきものですか、そういったものが今後新しい公衆電気通信設備利用業者という形で大きな産業にも育っていくものではないかというふうに考えておりますし、これは国際的な一つの流れでもあろうかと思っております。
  47. 片山甚市

    ○片山甚市君 国民生活に非常に大きな影響を及ぼすということについての質問をしたのでありますが、たとえばオンラインがとまる、テレックスの交換機がとまるということになれば、従来の国民生活に与える影響と格段に違うと思いますが、そういう点についていかがですか。
  48. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 従来の電話を中心とした、しかも人と人との間の会話を中心とした電話サービスの場合と比べまして、機械を中心とする、あるいは機械と人との間の会話をするというような、いま先生がおっしゃったようなオンラインサービスども含めまして、そういう高度な、また新しい分野のサービスが即時に提供されるということになりますと、このようなサービスが社会生活、国民生活に与える影響というのは確かにおっしゃるとおり大変に大きくなってまいります。それだけに、私どもとしても、そのネットワークに対する信頼性というか、あるいはネットワークの維持管理というものについてはいままで以上に十分留意しながらサービスの提供をしていかなければならないと思っております。
  49. 片山甚市

    ○片山甚市君 電電公社の電気通信事業運営のあり方によれば世の中のパニックを起こすような状態も惹起しかねない大きな力を今後持っていく、こういうふうに認識をしておるものでありますが、お答えを必要としません。  そこで、公社は二十一世紀に向けての事業構想としていわゆるINS構想を大宣伝しております。大変新聞でも大宣伝をしている。具体的にどういうものであるか簡略に述べてください。
  50. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) お答え申し上げます。  INSにつきまして具体的にという御質問でございますが、まずネットワーク、通信網をどうやって経済的につくり上げていくかということでございまして、まあいま電話が大宗を占めているわけでございますが、電話の増設あるいは老朽設備の更改等、これはいまのアナログ方式よりもディジタル方式の方が経済的になるわけでございます。そういったことと、あといろいろ電話系サービス、これから年々ウエートが高まっていくと思いますが、そういったものはこれはもちろんディジタル通信網の方が効率的に経済的に提供できる。いわば一石二鳥ということでございます。そういったことで基礎工程、そういったものは電話では一石二鳥でございまして、六十年代これからにかけて県庁所在地級都市、そこら辺、基幹につきましてはディジタル伝送路、光ファイバーあるいは交換機等を含めまして、具体的にはそういったディジタル化を進めてまいりたいというふうに考えております。
  51. 片山甚市

    ○片山甚市君 宣伝としては二十兆円とか三十兆円のこれからの設備投資であるということで産業界が色めき立っておるんですが、ここで国民的財産である電気通信事業を基盤とする以上、また利用者でもある国民のニーズにこたえるためにも、その合意を取りつける手段として、INSの実現のプロセスなどわかりやすく示すべき必要があると思いますが、それについての準備はどうでしょうか。宣伝はしておるんですが、プロセスについてわかっていない。答えてください。
  52. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) INS、いわゆる電話系ではなくて、非電話系の需要等いろいろ御利用をしていただく方の御意向、それから利用の仕方、もちろん幾らぐらいのコストでできるか、こういうものの関係もあるわけでございます。そういったことで武蔵野・三鷹でモデルシステムということでいろいろそういった点について検討を進めてまいりたいということでもございまして、世の中の御要望に合わせていろいろと計画を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  53. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、INSの実現のプロセスなどわかりやすく具体的にどのように進めていくか説明するということはできませんか、いま。
  54. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) 当面、先行き具体的には、いわゆる電話系を中心にディジタル化を進めていくわけでございます。これがいわばINS基盤形成、幹線の伝送路あるいは幹線の交換ということで、これが非電話系サービスにも効率的にまた提供できるということで、当面はそういうことでございまして、先行き、需要というものにつきましては、そういったINSのモデルシステム等でいろいろ私どもも研究をし、また利用者の方にもいろいろ御注文をいただきながら進めて、その結果として、いろいろな需要が、あるいはこういう使い方がいいとか、あるいはこういう料金であるとか、いろいろ御意見があると思います。そういったものを含めてまたプランニングを考えていきたい、こういうことでございます。
  55. 片山甚市

    ○片山甚市君 大山鳴動ネズミ一匹にならないように、宣伝ばかり大きかったけれども、非電話系のニューメディアに対する需要がなくて、設備投資はしたけれども、金は使ってみたけれども、それは後の祭りにならないように忠告をしておきたいと思います。  そこで、去る衆議院の予算委員会で総裁が、INS実現がおくれることは社会的活動の総合性が欠け、国際競争力の上からも問題が生ずるという意味の御答弁をしておりますが、その考え方について総裁は変わりはございませんか。
  56. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この電気通信が新しい技術革新によりまして、技術開発によりまして光ファイバーシステムというものが出てまいりましたし、それに加えてそれを使う関連の技術もでき上がってまいりましたものですから、世界各国ともいま現有の電気通信設備をそちらの方へ、順次世の中の需要に応じて変えていって、電気通信事業の飛躍的な性能を社会活動全体に有効に使っていって、そして一つの国を中心とした経済圏の効率をさらに進めていこうという考え方で、いま急速にそちらの方向へ変化しつつあるわけでございまして、それに伴いまして関連の産業、あるいは特にそういう高度な通信網を利用して新しく産業を興すという動きが、先進国を中心に急速にいま展開されつつあるわけでございます。そういう意味で、もし日本がその波に乗りおくれると、日本全体の社会活動の能率、効率といいますか、そういうものが、そういうことが早くでき上がった国に比べて非常なマイナスの格差が出てくるという心配があるということを申し上げた次第でございます。
  57. 片山甚市

    ○片山甚市君 INSの場合は、デジタル化の問題、光ファイバーの問題、通信衛星の問題と総合して計画されておるようでありますが、そこで大臣にお伺いします。  いままでの総裁の答弁、あるいは当局の答弁を聞いてますと、INSを含めて電気通信事業は、国民総体の利益にかなうもの、すなわち国益という立場と同時に、わが国の通信主権という立場を持ち、非常に重要な役割りを担っているということでありますが、大臣はそういうふうにお考えになりますか。
  58. 小山森也

    政府委員(小山森也君) INSの構想はいわゆる個別網のデジタル化でございます。これにつきましては、るる私から御説明申し上げることもなかろうと思いますけれども、要するにこれからの電気通信高度化、多様化を図る上において非常に有効なものでございまして、国際的な動向から見て技術革新の進展に沿う流れに沿ったものであると考えております。しかしながら、この構想は、まず最初に電電公社という電気通信事業体としてのネットワークを提供する立場から提唱した構想であります。今度これを利用する側からどういうような影響を受けるかというようなことを、別の面からももう一つ光を当ててみなければいけないのではないかと。そういうことによりまして、国民全体から納得の得られるものであるという、そういった必要があると考えていると、こういうような各方面からの御賛同を得て政策を選択すべきではないかと思っております。  私どもといたしましては、こういった関連産業に与える影響につきまして系統的にやはり御意見を分類整理するということが非常に最初のステップとして必要であると思いまして、先日もそれぞれの電気通信機器メーカーとかあるいは放送、CATV等の方々から御意見を伺っております。まだ必ずしもこういったISDNという非常に高度な情報通信システムというものに対する機械的な一つの技術的な御理解と、それを利用する立場の社会的機能としてのこのINSというものとの間にまだ若干乖離があるなというような感じもいたしております。しかしながら、これは一つの世界的な電気通信の流れの方向でございますので、そういった方々の御意見をよく取り入れた形の制度として、今度は次の新しい電気通信の世代に向けて対応していくというのが私どもの政策のとるべき道筋ではないかと、このように考えている次第でございます。
  59. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣にお聞きしたいんですが、かかる電気通信事業というものは国民総体の利益にかなうものであり、すなわち国益という立場、あるいは同時に通信主権という立場からも非常に重要な役割りを電気通信が果たすと。——いまは、プロセスとしてINSをどういうふうにつくっていくのかということについての合意をとるための小山さんの話です。そうじゃなくて、所管大臣として、INSそのものはディジタル化の問題だし、通信衛星の問題だし、光ファイバーの回線を引くことであるということはわかっておるんです。それについて、新しい非電話系をつけるかつけないかは別としても、先ほど言ったようにオンラインがとまれば皆さんが買い物ができなくなる、電話がかけられなくなる、いろんなことがありますね。ですから、電気通信ということは国民生活を根本的にいわゆる誘導するというか、支配するというか、影響を与えるものとして、そういう認識を持たれるかどうかということについて大臣から一言返事を賜りたい。
  60. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 片山委員からの御指摘がございますように、電気通信が今日また将来にわたりまして国民生活に不可分の通信手段として私はその位置づけが変わるものではないだろうと思うわけでございます。したがって、電気通信制度のあり方はこれは国民的な利害に直接関係する問題であるという意味で、仰せのとおりの認識を私も持っておるつもりでございますし、また、日本の電気通信システムというものの今後の社会的ニーズに対する対応のいかんということは、これは場合によりましては国際的なわが国の通信的な位置という問題にもかかわる問題でございますから、表現が適切かどうかわかりませんが、通信主権の問題ということもまたわれわれとしては念頭に置いて考えていかなければならぬ問題であるというふうに考えております。
  61. 八百板正

    委員長八百板正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時五分開会
  62. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管及び日本電信電話公社についての委嘱審査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  63. 片山甚市

    ○片山甚市君 午前に引き続き質疑をいたします。  いま新聞を見ますと、日経新聞ですが、郵政省の研究会が電気通信について、民間開放ということに基づきそれぞれの提案をしたんですが、このことについて小山電政局長は、この諮問機関をつくっておるところでありますが、この内容について概略報告してください。
  64. 小山森也

    政府委員(小山森也君) この研究会は「電気通信システムの将来像に関する調査研究会」という名称でございまして、電気通信システムの望ましい将来像、大体二十一世紀を目指したものとして明らかにすると、そういったような目的で郵政省に設置したものでございます。郵政省といいますか、電気通信政策局としてこの研究をお願いいたしたわけでございます。  御指摘の中間報告についましては、近々私どもに提出されることになっておりまして、あくまてもこれは中間報告でございます。  その中では、電気通信システムの現状と将来の動向、高度情報化社会、これはどういうものか、またその高度情報化社会における電気通信の果たす役割りはどんなものであるか、また今後取り組むべき政策課題というのは何であろうかというものを取りまとめていただけるというように承知いたしております。したがいまして、これは問題点の提起というのが中間報告の主な点をなすものでありまして、それではどのように政策的にこの課題を解決していくかということは、その後のさらに本答申に向けて検討していただくということになっております。この研究会は学者の先生方が主になって入っておられるわけでございます。  以上でございます。
  65. 片山甚市

    ○片山甚市君 この二十五日には電気通信審議会で報告されるということになりますが、その内容的な取り扱いはどういうふうにされますか。
  66. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 中間報告をまず電気通信審議会に御報告いたしまして、この電気通信審議会でまたいろいろな御議論をいただくということになろうかと思います。
  67. 片山甚市

    ○片山甚市君 これについての意見は後日述べることにいたしまして、先ほどに続きまして質問したいんですが、INSについてはお話を聞きましたが、まだ固まってないものとして理解してよろしゅうございますか。
  68. 真藤恒

    説明員真藤恒君) さっき御説明申し上げましたように具体的にきちっとした計画はいま全然ございません。さっき説明を申しましたようにディジタルに直しておりますけれども、それはいまのままの電話により安く、より合理的に使えるからという一石二鳥をねらっているということでございます。
  69. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、その立場から考えていきますと、最近報道されている、特にIBMとわが国の企業との合弁によるINS参入の動きなどがありますが、大臣がたまたま大蔵大臣と協議ということで離席をしていますから、小山局長の方からインフラへの外国資本の参加をどのように認めるつもりなのか説明を願いたい。
  70. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 幹線部門に外国資本が入ってもいいかどうか、これについての考えを問うというふうに理解いたしまして御説明申し上げますと、やはり日本の通信を取り扱うに当たりまして外国系のものをどうするかというのはこれからの新規参入の検討の中において明らかにすべきことだと思いますけれども、いずれにいたしましても日本の国益と重大なかかわりがございます問題ですので、そういった点で十分検討しなければならない問題だと思っております。
  71. 片山甚市

    ○片山甚市君 日本の企業は、特にITTあるいはIBM等、世界の巨大通信会社との間で共同的な企業経営を行い、日本の新規参入等にも準備をしてきようとしておる。特にコンピューター通信を中心とする問題でありますが、そのようなことについてはどのぐらい把握されていますか。
  72. 小山森也

    政府委員(小山森也君) いまここで正確にお答えする資料を持ち合わせておりませんけれども、情報の、いわゆる何といいますか、データベースの利用ということにつきましては、日本の企業とアメリカの企業とで共同している、そういったデータベースの使用をしているということは承知いたしております。
  73. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、INSに参入するために合弁会社をつくり、準備をしていると。たとえば三鷹で日立なら日立、どこならどこの会社とIBMとがやっておるというふうに書かれていますね。そういうことについてはお知りですか。
  74. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 新聞等でいろいろ拝見いたしておりますけれども、私の方の資料として正確には把握いたしておりません。
  75. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、国民経済の立場から見ても、電気通信事業のような社会資本に対し重複投資を誘導するがごとき考え方については私は問題があると思う。日本の国の通信網がいわゆる二重投資をされる必要があるかどうかについては疑問があるんですが、この考えはいかがですか。
  76. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 臨調答申では、独占の弊害によりまして国民の負担を生ずることのないようにするために、この弊害を除去すべく公衆電気通信事業に適切な競争の仕組みを設けるという趣旨で基幹回線分野における新規参入というものが取り上げられているものと理解いたします。  ただ、しかしながら、一方におきまして、新規参入のあり方によりましては、先生指摘のように、国民経済的な問題を含むような結果になるのではないかと考えられます。したがいまして、一つは、いわゆる適切な競争の導入、もう一つは、二重投資になるような国民経済的な損失、こういった面をそれぞれ調和させまして、国民生活上重要な役割りを果たす公衆電気通信サービスの安定供給をいかにしていくかという点から判断すべきである、このように考えております。
  77. 片山甚市

    ○片山甚市君 そういう意味から重複投資というのは奨励されるべきだと省は思っていますか。そういうことは省略されるべきだと思いますか。
  78. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいま申し上げましたように、要は独占というものによる弊害によって結果的に利用者の皆様方がむしろ損失をこうむるということになるか、あるいはそういったものとの比較考量において二重投資が結果的に国民経済的に見て完全な損失になるかということだろうと思います。まだこの新規参入ということにつきましてはきわめて考え方が新しい考えでございますので、その辺の十分な、何といいますか、分析というのは行っておりませんが、どの辺にその限界点を見出すべきかということが大事であろうと思っております。
  79. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、最近のマスコミなど世論操作の中で、先ほどからお話があるように、まだまだ不分明な段階であるINSなどについて、国民にバラ色の情報通信革命という幻想を抱かせて、かつ一方では、経営の効率的運用とか民間の活力導入と称して経営形態の論議に直接結びつけておるようでありますが、そのような意図があるとすれば、いわゆる国民の共有財産としての電気通信事業の私物化にならざるを得ない、国民に対する欺瞞ということにならざるを得ないと思いますが、電電公社総裁としてそんな無責任なことでよいのかどうか、お考えを述べていただきたいと思います。
  80. 西井昭

    説明員(西井昭君) お答えいたします。  電電公社といたしましては、先ほども郵政省から御答弁がございましたように、現在の公社制度と申しますのは、公社法の規定によりまして合理的、能率的な経営を行うという要請と、一方、予算統制とか公労法等によります国家統制と、こういういろんな要請が絡み合って実際の公社の運用がなされておるというのが実態でございまして、電電公社といたしましては、そういったものの結果、基本的には現在の公社法の理念が実現され得ない場合が多いと、このように理解をいたしておるところでございます。  したがいまして、公社といたしましてはそういうことのないように、従業員の働きがいのある、また利用者にとっては法的規制をかけられるということは当然でございますが、公社の内部経営執行につきましては原則として当事者の自主的な判断にゆだねていただきたい、このようなことをいままで申し上げてきたわけでございまして、そのようにいたしますと経営形態というものについてどのような形態がいいかということについて、臨調には三案並記で御意見を申し上げたわけでございますが、その結果、臨調のああいう答申をいただきまして、政府が行革大綱によって関係方面の意見の調整の上で云々という行革大綱の決定に沿いまして、現在政府並びに国会において御審議をいただいておるところでございます。公社といたしましては、基本的なそういう考え方が達成されるように御希望を申し上げておる、こういうのが実態でございます。
  81. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、INSというものがまだ構想段階で、固まってないにもかかわらず非常に大きな紙面を割いて広告を出し、情報革命のチャンピオンだと言っておりますが、小山さんにお聞きしますが、ISDNとINSとの違いはどういうものですか、小山さん。
  82. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ISDNというのは、いわゆる国際的な意味におきまして全世界的な広がりで総合ディジタルサービスネットワークという形で描いております技術の進歩に対する一つの電気通信の改革の方向を示したもの、この言葉がISDNである、要するに総合ディジタルネットワークであるわけです。  これに対しまして、日本の国内では電電公社がこれをINSという形でこのISDNを技術的に導入しようと、こういうふうになっているものと思っておりますが、ただINSの構想というのは、いま単なる、何といいますか、技術上の問題以外のものをどのように考えているかということがまだはっきりしない段階でございます。したがって、まだINSがISDNと違うかどうかということは、いま御返事するような何ものも持ち合わせてないというところでございます。恐らく電電公社の方ではその違いを承知の上で何かやっておられるかとも思いますが、私どもとしては技術上のディジタル化というものをいまINSという言葉によってあらわしているんだろうと思っております。
  83. 片山甚市

    ○片山甚市君 そのようなINS構想が電電公社の将来を展望するものとして、電電公社が熱心にやられたことについては認めます。  そこで郵政省にお聞きします。第二臨調の基本的思想である、すなわち官は悪、民は善、あるいは官は民を補完するものとの考え方について全面的に認めるのか。特に、経営形態の変更についてと直接関係があるかどうかについてお答えを願いたいと思います。
  84. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 臨調の答申の中で官業、民業についていろいろな角度から御議論がされているところでございますが、官業、民業のあり方を考えるに当たりましては、ことさらに私どもといたしましては官業、民業というものを対比させるという形ではなく、基本は何が国民利益になるかということ、こういう基本的な視点に立って事業の公共性とかあるいは社会経済の状況、あるいは国民生活の実態などというものを客観的、総合的に考察をして判断をしていくべきものであろうと、こういうふうに考えております。官業はもとより国民生活に深いかかわりを持つ公共性の高い分野において、かつあまねく全国に公平にサービスを提供していこうというようなものでございますし、また、民業に競争原理が働いていないというような場合には、これに対しまして刺激的役割りを果たすということなどによりまして国民利益の増進に役立っていくというものであろうと思います。公共性と企業性というものを調和をさして適切に運営をしていくということによりまして官業は国民にとって積極的な存在意義を有するものと、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、臨調答申におきましては、従来の非効率な官業のあり方という点からの視点を当てまして、あるものについては民営化、あるいは競争原理を導入する分割民営化というようなものを御提言をされている、こういうふうに理解をいたしております。
  85. 片山甚市

    ○片山甚市君 特に経営形態の変更とINSを実施することについては直接関係があるかどうか。
  86. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 先ほどからもるる御説明申し上げておりますけれども、いわゆるINS電気通信網のディジタル化を目指しているものであります。したがいまして、技術革新の方向に沿った一つの改革でありますが、これは長期的な構想でありますために、非常に及ぼす影響も広範囲にわたるため、非常に電気通信政策立場から慎重に検討していく必要があると思っております。  したがいまして、この経営形態といかにかかわるかということでございますけれども電気通信網のディジタル化とこの経営形態、直接的には関係はつながらないと、こうは思いますが、ただしかしながら、この電気通信網のディジタル化を、より国民のニーズに合わせた形でより合理的に構築していくという場合にどういう企業においてやるのがよいかということは、またこれ一つの検討事項だとは思いますけれども、いまINSはイコール経営形態の変更であるというのは若干短絡的ではなかろうかと思っております。
  87. 片山甚市

    ○片山甚市君 先だって読売新聞が九万人の削減が可能となるINS構想を発表されました。それについて公社と労組間でも議論をしたそうですが、電電公社はいま経営形態の変更とINS関係についての説明を承りたいと思います。
  88. 西井昭

    説明員(西井昭君) INSと経営形態の関係でございますが、ただいま電気通信政策局長から御答弁がございましたとおり、そのこと自体には直接関係がないとわれわれも理解をいたしております。ただ、このINSといいますのは、これは経営形態のいかんにかかわらず、世界的の技術の進歩の動向から見て速やかに実現されなければならないと、こういうふうにわれわれは理解をしておるところでございます。その際に、このINS時代になってまいりますと、利用者が電話機を含めまして、あるいはデータバンクの利用等、多彩な電気通信利用をされることになりまして、そういうふうに電気通信が質的にいままでの電信電話から変わってまいりますので、そういうことのできますような、ふさわしい当事者能力と申しますか、それを与えていただきたい、こういうのが電電公社の希望でございます。  結局、公社といたしましては、やはり国民のための電気通信という立場に立ちまして、利用者のために世の中の役に立つ活力ある事業運営を行いますとともに、働きがいのある職場をつくっていくべきであると、こういう観点からいろんな勉強をし、また必要な場合に御意見を申し上げておるところでございます。
  89. 片山甚市

    ○片山甚市君 重大な発言ですから、それじゃINSを実施するためには経営形態を変える方がよろしい、こういうことで、いわゆる労使間では関係がないと約束したけれども、ここでは、国会でそうおっしゃるんですね。言い切れますね。言い切ってください。
  90. 西井昭

    説明員(西井昭君) 誤解を招く……
  91. 片山甚市

    ○片山甚市君 誤解をしません。
  92. 西井昭

    説明員(西井昭君) 誤解をいたしましたかもわかりませんが、当初に申しましたとおり、INSの進捗と経営形態とは直接的には関係のないものでございます。いずれにしてもINSは行わなければならないと、こういうふうに理解をしておるところでございます。
  93. 片山甚市

    ○片山甚市君 INSについてはバラ色の話をしておるけれども、いま具体的に展開されていない、これから展開されてくることでありますから、将来どういうふうに変更していくかわからぬから、そのためにはと言われますから、私はいまの話については反対をしておきます。労使間で話をしたことをここで取り上げておるのでありません。公社の方の総裁の言葉でも、衆議院の審議の中で、経営形態とINSとは直接つながりはありませんと総裁が答えておりますから、そのとおり答えていただけりゃよろしいんですが、そうならない。そこに伏線があって、われわれが陥れられるところがあります。  そこで、去る三月十六日の自民党電信電話基本問題調査会・電信電話事業に関する小委員会、いわゆる亀岡小委員会ですが、で、さらに踏み込んだ案、すなわち全国一本の株式会社案を公社が主張されたと日経が報じておりましたけれども、これは公社の公式の今日的な態度だと考えてよろしゅうございますか。
  94. 西井昭

    説明員(西井昭君) 電電公社、臨調の基本答申並びに改府の行革大綱の趣旨に沿いまして現在いろんな点について勉強を進めておるところでございますが、先般先生のおっしゃいましたいわゆる亀岡小委員会で、現在勉強中のものでいいからその公社の考え方を述べると、こういう御意見でございましたので、一応現在勉強中の公社の考え方を述べさしていただきましたところでございます。
  95. 片山甚市

    ○片山甚市君 正確にお答えをいただきましてありがとうございます。私もそういうように聞きました。  現行公社制度が法的諸拘束、政治的介入で、今日的に事業をつくり上げた労働者にとっては非常にむずかしい中で働きがいのないものになっておる現状であります。いわゆる働いても報われないという感じがある職場だと考えます。また、電話の完全充足、全国ダイヤル化が完成した今日、情報化の進展、国民のニーズの多様化、国際化の動向などから見て、新しい時代に対応するため、現行制度より一歩進んだ運営制度にすることが必要であると考えております。そのためにわが党としてもよりよい方向はいかにあるべきかを検討しておるところでありますが、臨調基本答申に見られる株式会社化を志向する意見とは基本立場において異なります。そこで、今回公社が明らかにした経営形態の考え方について、次のとおりであるかどうかを確かめておきたいと思います。一つ、労働者の雇用不安を招来させないと同時に働きがいのある事業とすること。二つ、ネットワークを初め電信電話は一元的に提供すること。すなわち分割はしない。三つ、国益、公共性を最大限確保すること。四つ、現在行っているサービスは今後も引き続き提供していくこと。五つ、経営の公開と利用者の参加を保障し、国民利用者に役立つ事業とすること。六つ、競争分野については競争条件を整備すること。七つ、経営の自主性の確立を図ること、という趣旨であると理解しますが、どうでしょうか。
  96. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生がおっしゃいましたことのように私どもも勉強をいたしております。  ただ、一言申し上げますと、ただいま先生のおっしゃいました、電気通信は一元的にこれを管理し、分割はしないという点につきましては、先日の亀岡小委員会では、この問題については目下検討中でございます、直ちに実施するということについては、公社としては困難であります、という御答弁を申し上げたところでございます。
  97. 片山甚市

    ○片山甚市君 承知しました。「再編成」という言葉を使ってありますが、それについては諸外国の事情を見て勉強したいと書いてあるように思えましたが、それじゃ承知しました。  そこで、郵政省は電電の経営形態の変更について、今後どのように対処していかれるのか。小山さんからお答え願いたいと思います。
  98. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 私どもといたしましては、政府の一員といたしまして、今回の電電公社の経営形態の問題は、いわゆる臨調答申に基づいて、政府の行革大綱に基づいてこれを進めていきたい、こう思っております。  なお、行革大綱の中において、具体的な進め方でございますけれども、いわゆる政府・自民党でつくっております行革推進常任幹事会というのが具体的にこれを進めるというようになっておりますので、その中での御検討の大枠の中で私どもも立法の作業を進めていこうと、こう考えている次第でございます。
  99. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、現行制度を改めるとすれば、現行法制に対してどのような現行の諸法制の改正が必要か、法律をどのぐらい変えなきゃならぬか、いまの形態を変えるとすると。それは検討されておりますか。
  100. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいま具体的にこの方向が決まっているわけでございませんので、なかなかここでお答えする場面に立ち至らないわけでございます。
  101. 片山甚市

    ○片山甚市君 仮定でありますが、特殊会社あるいは株式会社等に改正するとすれば、どういう法律を当面実定法的に考えなきゃなりませんか。
  102. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 仮定のお話でございますならば仮定として申し上げますけれども、この経営形態というのは、経営形態というのが先にあるのではなしに、恐らく基本的な考えとしては、これからの電気通信事業というのをどういうふうに進めていくべきか、また、事業といわゆる個別の有線電気通信で行われておりますいわゆる電気通信全般にわたってのあり方はどうかということを検討した上で、それが最も国民経済的に、また利用者から見ても最も合理的であると思われるような、そういった公衆電気通信事業体というのはどういうふうな形で運営されるべきかというようなふうに論理は展開すべきではないかと存じます。そういたしますと、かなりの数の法律等が検討の対象になるものと考えております。
  103. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、せんだって三月十六日に電電公社が呼ばれて、公社制度のあり方について意見を述べられたのですが、そういたしますと、当該の事業の一方を支える労働者の意見とか、国民立場に立って政策を推進するわが党などの意見を十分に聴取して、尊重される機会は与えてもらえるのか。この間電電公社だけにお聞きをしたようでありますが、今後どういうように対処されますか。
  104. 西井昭

    説明員(西井昭君) 最初に、私どもの労働組合の圧倒的なウエートを占めております全電通との関係を申し上げますと、公社のこの経営形態問題につきましては、臨調に昨年、いわゆる三案併記で出しましたときにも一応労働組合ともお話をしておりますし、それからその後、いろいろ勉強中の点につきまして、必要な都度意見の交換をいたしておりますが、いままでいろんなそのときそのときの事態で完全に労働組合とうまく話がついておったとはわれわれも理解をいたしておりませんので、そのような労働組合との意思疎通をさらに十分にやるような体制について、一応公社の考え方を全電通側にもお示しをいたしまして、そしてこの問題について密接に連絡をとっていきたいといういま話をやっているところでございます。  それから、ただいま先生のおっしゃいました社会党を含みます野党との関係につきましても、そういう場をいままでも設けていただいたことがございますが、今後そういう機会をつくっていただきまして、なお一層両者の意見を闘わさしていただきまして、あるべきりっぱないわゆる公社制度と申しますか、電気通信のあるべき制度というものに向かってなお一層努力をしていきたい、このように考えているところでございます。
  105. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 先生指摘のように、電気通信事業は、社会経済の基盤として、またますます発展が期待されている分野でございます。したがいまして、国民生活あるいは今度は産業活動等に多大の影響を与えるものでございます。したがいまして、電電公社の改革問題につきましては、国会の御議論を初め、関係の方々の御意見を十分踏まえて、幅広い観点から検討しなければならない問題である、このように認識いたしておる次第でございます。
  106. 片山甚市

    ○片山甚市君 こういう委員会だけでなくて、研究会等開かれるし、これから検討されるということを大臣も先ほど申されましたね。これから検討してまいります、各般の意見を受け入れますと言われたのですが、いま私電電公社に聞くつもりなかったんですが、電電公社は労働組合とよく話しているからああいうふうにぺらぺらとしゃべっていただいたのですが、あなたの方は労働組合とか、あるいは各政党ともよく話をしていただく機会を持っていただけますか。こういう委員会ですと紋切り型の話しかできないでしょう。どうでしょう、今後のことで。
  107. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 関係の方の御意見を幅広く伺っていくというつもりでございます。
  108. 片山甚市

    ○片山甚市君 私の意見については賛成をして手続を踏んでいただきたいと存じます。  そこで、これに関連して、公社が明らかにした経営形態に対する考え方の中に、臨調の基本答申の趣旨を踏まえ欧米諸国の事例も勉強しながら云々とあります。昨年、臨調第四部会報告後、欧米諸国に調査団を派遣し、電気通信事業についての調査をしていると思いますが、特に総裁が御執心のアメリカにおける経営形態論議についてはどうであったのかについてお聞きをしたいと思うんです。  そこで、昭和五十七年六月二十一日付、電電公社の米国調査団のまとめというものを手に入れました。そこにこういうように書いてあります。「いずれにしても(公社を知る人も知らない人も)」一つ、「米国の動きを猿まねすることは危険である。」二つ、「米国の電気通信のフレーム、ストラクチャーが落着くまでには少なくとも二〜三年はかかる。」三、「さらに将来ISDNに代表されるような技術変動が急速に進んできた場合にはストラクチャー問題が再燃するのではないか。というように観測しており、そのような立場から「日本は大きな眼をあけて米国の動きを見極めた方がよい。」とアドバイスする人が多かった。」、なぜそういうことを言うかというと、「日本の今回の臨調第四部会報告に対する反応はいろいろあるが、公社のことを知っている人達程、何故そうするのか素直な疑問を提する向きが多い。彼らの言うところは、まずアメリカの非規制化、自由の動きは十分慎重に練られて動いている性格のものではなく、独占禁止というただ一本の線をベースとして、その上にいわば偶発的事件から流れが始まったものであり、」というような報告があるんですが、これらについて郵政省はお知りでしょうか。
  109. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 正式にそういう報告書は私ども受け取っておりません。しかしながら、いま先生のお話にありましたお話を伺いましても、いわゆる米国の場合のATTの分割というのは、いわゆる民営である以上、有効な競争を確保するためには措置として当然であろうと思います。ただ、米国がそうであるということと日本ではどうかということとは、通信事業をめぐります環境の違い、これが非常にありますので、諸外国の例は諸外国の例として非常に重要な参考であると思いますけれども、やはりわが国はわが国としての電気通信事業のあり方というのを検討していかねばならないじゃないかと、このように考える次第でございます。
  110. 片山甚市

    ○片山甚市君 昭和五十七年九月として「調査報告書」、米国調査団として小野浄治さんを初め五人の方の報告書を発表しています。いま申しましたのは六月の二十一日。六月の十八日にいわゆる調査が終わって帰ってきたのでありますから、恐らく早々の間に書き上げたのが、熱気のこもったときのものがこれだと思います。これからいわゆる三カ月たって、昭和五十七年九月の報告によると、相当まとまったものになっておる。それも大体客観的に書かれておるんですが、このまとめ方について、これだけの時間を要した理由について説明を聞かしてください。
  111. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先生指摘の五十七年六月二十一日の報告は、調査団が帰ってきました直後の部内的な上司に対する説明だろうと思いまして、これは恐らく調査団がアメリカの公式の企業、あるいは非公式の個人的な関係の意見等も聞いてまいっておりまして、そういった点から、ごく全部の聞いてきたことをまとめずに羅列をしたような感じがしておるわけでありますが、御指摘の五十七年九月につきましては三カ月間たっておりますが、その間にアメリカの各所で入手いたしました資料等、そういったものをいわゆるまとめて整理し、印刷、関係の方面に報告をしたものと思っております。
  112. 片山甚市

    ○片山甚市君 この報告書については後でまた質問する機会があればやりたいと思います。  そこで、昭和五十八年度予算における建設投資額は、対前年度比で千百億円減少になっています。昭和五十九年度までの三カ年計画遂行に当たり、今後の加入電話需要予測建設投資に対する考え方、三カ年計画後についての施策はどうなるのか、明らかにしてもらいたい。  といいますのは、INSというのはどういうものかわからなくなっておるんでありますから、せめて三カ年ぐらいのやつをしっかり聞いておきたいと思います。
  113. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) 先生いま御指摘がございましたとおり、五十八年度予算では、前年度に比して千百億円減となっているわけでございます。最近卸売物価が値下がり傾向でもありますし、そういったことで中身も濃くなってきているということもございます。  また、三カ年計画の中でINSのお話もございましたが、電話の増設、これがいま百十万でございますが、五十九年度も百万ぐらいは、まあきっちりではございませんが、やはり需要としては超すところがあるというふうに思われます。  そういったこととか、あるいは料金設備の更改、いわゆる電話網につきましても、非常に経済的に安く増設あるいは更改のできるディジタルネットワーク、そういったものをやっていくというふうに考えておるわけでございます。  当面、いわゆる市外の幹線網、光ファイバー、あるいは市外のディジタルの交換機、そういったものにして、そういったものをふやしていくということでございます。  午前中、先生の御注意にもございましたが、INSになってもむだのない——必要ないものは注意して、やっていかない。むだのないように十分銘記をしてやってまいりたいと考えております。
  114. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、今日の電気通信事業の発展は、諸制約のもとで技術革新を初め事業に協力してきた労働者の役割りを抜きにしては語れないと思います。直接雇用関係がある労働者はもちろんでありますが、下請を含めた関連企業に働く人たちの役割りもきわめて大きいと思います。  そこで、これについて、このように考えますと、すでに幾たびか国会審議を通じまして確認しておりますように、昭和五十六年の十一月の十二日、本院における逓信委員会審議、あるいは昨年の四月一日の本委員会での私の質問に対する答弁についても再確認してもらいたいんですが、よろしいでしょうか。  もう一度進んでお聞きしますが、事業の質的転換に当たり、そこに働く人の問題について、元請の責任として、関連企業の雇用問題に対し一定の政策と責任を持つべきであると考えますが、どうでしょうか。具体的にどのようにされるかの方策を示してもらいたいと思うんです。
  115. 山口開生

    説明員(山口開生君) ただいま先生が御指摘ありました、公社が数次にわたります長期計画を立てまして完全充足、全国自即化を完了したわけでございますが、その間には電気通信設備を建設いたします請負工事業界、また設備を製造いたしております製造業界が関連企業として私どもの業務の遂行に大いに参画をしていただいたというふうに感謝をしておるわけであります。  そこで、次に御指摘ありました、これらの業界、特に建設業界等の下請の業界に対する元請の指導その他について、公社がいかにいままで指導しかかわってきたかということでありますが、先ほどの認識に基づきまして、公社は発注者の立場といたしまして、これらの業界が健全に経営を営むということが非常に公社事業推進する上に重要であるというふうに考えております。  したがいまして、公社がこれから量的から質的に変化をいたしまして、いわゆるINSの構築に向かってまいるわけでありますが、それに対しまして関連業界につきましても、常日ごろそういう将来の動向について、それは技術的であれ経営的であれ、やはり一応説明するものはしてございまして、業界として公社の行く方向に、やはり業界も努力ができるように、説明はしてございます。  なお、具体的に特に建設業界につきまして申し上げますと、一、二点、特に雇用確保の関連といたしまして、一つは工事の平準化につきまして地域的に、あるいは時期的に工事が集中するような場合におきましては、これをなるべく平準化いたしまして、業界が効率よく稼働できるというようなことの計画を策定しておりますし、あるいはまた技術向上のための業界の訓練等の受託をしておりまして、これは実際に私どもで建設技術開発室等、あるいは各地方の学園等におきまして、受託で、業界の技術者の技能レベルの向上、こういうものをやってまいっております。いまの訓練の受託の実績で申し上げますと、人日でございますけれども、五十六年に全国で一万人に近い人の受託訓練も実施してまいってきております。
  116. 片山甚市

    ○片山甚市君 私の質問した昭和五十六年の十一月の十二日、本年の四月一日の発言についての答弁を確認するがということについて何も言わぬが、耳が遠いのですか。私が言うことに対して日本語が通じないのですか。答えてください。
  117. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先生のおっしゃったことは十分そのとおり私ども考えております。
  118. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、建設投資一千百億円削られたときに、従来建設投資の約三〇・二%が通信建設関係であったんですが、投資総額の絶対量が減りましたので、受注率が高くならなければ雇用の人手を使ってやっていましたら大変になるんですが、このパーセンテージを含めて配慮されますか、お答え願いたいと思います。
  119. 山口開生

    説明員(山口開生君) 全体の建設投資額が減ってまいっておりまして、そのことは直線的に直ちに建設業界の発注に結びつくというものではございませんけれども、具体的な中身を見ますと、やはり建設業界に対する発注額は減っていくというふうに考えております。
  120. 片山甚市

    ○片山甚市君 減っておるんじゃなくて、雇用問題を確保するということになれば、先ほど言った元請の責任として関連企業の雇用問題に対して一定の政策と責任を持つべきであると思いますが、と言ったら勉強さしていますと、そんなことを言って——責任を持つ方法を明示してください。
  121. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  雇用関係につきましては、元来公社が発注者としての立場でございますから、元請、下請の関係まで立ち入ることはできないわけてありまして、しかしそうは言うものの、やはり先ほど申しましたように元請業界がちゃんとした経営をしてもらってないと、ひいては公社の工事に影響するわけでございますから、元請業界に対しましても、仕事の拡大、業務の拡大について、特に電気通信関係といいますのは、電電公社の仕事以外につきましても全体としての仕事がふえてまいっておりますので、そういうものを含めまして公社以外の仕事についての拡大も含めておりまして、まあ公社の仕事、それから公社以外の自営の業界の仕事、そういったこと。それから、いまクロスバーの交換機から電子交換機等へ移っておりますけれども、そういった技術の変化に対しましての業界の技術レベルの変化、こういうことについても公社側として指導をしているところでございます。
  122. 片山甚市

    ○片山甚市君 具体的な方策がないということだけわかりました。電電公社関係人たちは何とかなるんじゃないかと思っておるようでありますが、いまの冷たいやり方で言えば、それは仕事が減ったんだから仕方がない、こういうことのようであります。公社がこのたび明らかにした、昭和五十八年三月十六日、経営形態に対する考え方の中で、企業家精神にのっとった経営体制の確立による経営責任の明確化と言っているが、公的企業の経営責任者として、わが国の労働市場に果たすべき役割りについてどのように考えているか。すなわち電電公社のような企業は労働市場を大きく広げていくということによって国民の雇用の機会をつくるという役割り、そうしてもう一つは総裁の好きな効率というものを高めてサービスをよくしていくという二つを持っているんでありますが、特にこの公的企業についての経営者の責任というのは企業家責任でありますけれども、雇用の確保というのは最も大きな役割りだと思いますが、いかがでしょう。
  123. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生のおっしゃいましたようにわれわれも理解いたしておりまして、電信電話事業といいますのは、先生いまお話しのとおり伸びがもうきわめてわずかでございますが、電気通信そのものはまだまだ発展産業でございます。そういう意味におきまして、公社といたしましては、公社の行ない得る事業範囲の拡大、またそれに伴います弾力的な投資活動によりまして新規事業というものを創出をすることによりまして、そうして公社の現在おります従業員に対しまして首切り等の事態が生じないようにそういうことを行いたいと、またそういうことの行えるような制度にしていただきたいと、こういうことを希望しておるところでございます。
  124. 片山甚市

    ○片山甚市君 公的機関のところで雇用が安定できないようなことであれば、私的な企業ではもっと困難だと思いますから、国民生活の基本である雇用安定のために公的企業としての公社が十分な配慮をしてもらいたいと思います。  時間がございませんから最後に通信衛星問題について一問だけ質問したいと思います。  去る二月打ち上げた実用通信衛星CS2についての開発経費及び諸元、利用計画、諸元はシステム、スケールですね。また、アメリカにおけるスペースシャトルなどの衛星打ち上げ経費と比較した場合どのようになるのか。CS2の公社側での利用計画は災害対策用、離島通信臨時通信のいわゆる三原則によるとされておりますが、そこで民間企業での衛星通信サービスを五十九年夏を目途に実施するための需要調査を行っているとのことでありますが、公社のCS2に対する利用方針はどのようになっているか。初めの方は郵政省、二番目については公社がお答え願いたいと思います。
  125. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  まずCS2の開発経費でございますけれども総額約五百六十億円が予定されております。  次に、機能でございますが、CS2の通信用中継基地といたしましては準ミリ波帯が六系統、マイクロ波帯が二系統乗っかっておりまして、電話換算で約四千チャンネルでございます。その利用につきましては、先生いまおっしゃいましたように電電公社、国等の機関によります非常災害対策用通信離島通信臨時通信等に利用される予定でございますけれども、その他衛星通信の特質を生かしました通信についてもその利用方向を検討しておるという次第でございます。  次に、スペースシャトルとの比較でございますけれども、衛星の規模等にもよって異なりますけれども、CS3程度の衛星の場合には追跡管制等の経費を約五十億円を除きまして六百三十億でございまして、これに対します国際価格は約三百五十億円と推定いたしております。
  126. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先生御質問の後段の通信衛星の利用内容についてのアンケート調査でございますけれども、昨年の十月から十一月にかけまして通信衛星を利用した新しい通信サービスについて、東京、大阪を中心に、一部、二部上場企業、それとそれに類する企業大体二千社を対象にいたしまして、サービス利用意向についてのアンケート調査を実施いたしまして、約半分の千社から回答をいただいております。このアンケート調査では、通信衛星を利用した新しい通信サービス、一応例としまして、統合ディジタル通信サービスと、それから高速ファクシミリ同報通信サービスと、それから映像同報通信サービスと、この三種類のサービスを対象として調査をいたしましたけれども、非常に多くの企業が関心を示しておりまして、約二百社がこの新しいサービスについての利用意向を示しております。
  127. 片山甚市

    ○片山甚市君 最後に一問と言いながら、時間がありますから、さらに一問加えさしていただきます。  郵政省としての利用制度についての検討状況及び関係方面に対する衛星利用に関するヒヤリングの結果はどうなっているか御説明願いたい。
  128. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、CS2につきましての活用方策でございますけれども、御存じのように、CS2は、電電公社、警察庁、建設省、消防庁、国鉄及び電力会社が、先ほど申しましたように、離島通信非常災害対策用通信臨時通信等に利用することになっておりますほかに、郵政省といたしましては、関係者の協力を得まして、衛星通信発展のためと申しますか、CS3へのつなぎといたしまして、いわゆるパイロット計画、各種の運用実験等に利用することを考えておる次第でございます。郵政省といたしましては、そのほか衛星通信の特質を生かしました通信サービス、先ほども公社の方からも出ましたけれども、全国同報通信あるいは統合ディジタル通信への利用についても鋭意検討を進めておるところでございます。  ヒヤリングでございますけれども、昨年の十二月から本年一月にかけまして実施いたしたわけでございますが、その実施しました対象は、通信衛星の利用に関心を有すると考えられます企業等四十社でございまして、その結果については現在取りまとめ中ということで、非常に関心が深いということを感じた次第でございます。
  129. 片山甚市

    ○片山甚市君 最後に、通信衛星の問題は国策上大変大切な課題であり、これを成功させないと通信ネットワークの問題が十分に機能しない。電電公社が指向しておったINSの問題についても、通信衛星を一つの軸にし、光ファイバーをし、ディジタル化を使うということでありますが、これは国際的な問題でもあるし、日本の自主的な技術開発を一層進めてもらうことをお願いして、私の質問を終わります。
  130. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、かわりまして、最初に郵便貯金の問題につきまして何点かお尋ねしたいと思います。  最近の郵便貯金増加状況はどうか、あるいは五十七年度増加目標額達成見込みですね、これはいかがでございましょうか。
  131. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 本年度郵便貯金増加状況でございますけれども家計可処分所得の伸び悩み、あるいは個人の金利選好の高まりといったことなどから、ビッグ、ワイドといった高利回り商品への移行というふうなことでの金融資産のいわゆる選択が多様化していると、こういう要因がございまして、二月末までの状況で見ますと、純増加額が三兆六千億円ほどでございまして、余り順調な推移ではございません。ただ、五十七年度増加目標額七兆九千億円、これはただいま申し上げました純増加額に元加利子を加えた総増加額ということでございますけれども、この数字で申し上げますと、二月末で八兆二千三百億円余りでございまして、実は大体例年三月は純増加額が落ち込んでくると、純減をする月でございます。しかしながら、この三月中の減を見込みましても、本年度立てました目標額の七兆九千億円、これはどうやら達成できるんではないかと、このように見ております。
  132. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまのお話ですと、五十七年度増加目標額はほぼ達成する見込みということですが、五十八年度増加見込みはどのようになっておりますか。また、先ほども大森委員の方からお話ありましたけれども、この郵便貯金増加目標を達成するためにどのような取り組みをされていますか。
  133. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) ただいま申し上げました七兆九千億円という目標額、これは五十七年度目標額でございますが、五十八年度につきましても同じ額を目標額として立てているところでございます。ただ、その中身といたしましては、五十七年度での窓口での純増加額、これを三兆四千五百億円ほど見込んでおりますのに対しまして、五十八年度での純増加額は二兆四千二百億円ほどでございます。逆に申しまして、元加利子が五十七年度では約四兆五千億円ほどの見込みでございます。五十八年度はこれが五兆四千億円ほど——御案内のように残高がふえてきております、これに伴いましての元加分がふえてきてるという状況でございまして、いわゆる純増加額は本年度よりも少なく見積もらざるを得ないと。両方合わせました目標額が七兆九千億円ということで立てているところでございます。  なお、この取り組みということでございますけれども、私ども郵便貯金の仕事、当然に全国あまねく公平に、できるだけ多くの国民の方々に利用していただくというのが本来の使命でございます。そういったことで、先ほど申しましたいろいろな金利選好、あるいは商品多様化というふうなことがございますけれども、そういった面での工夫もこらしながら、なおかつ基本的に私どもが提供いたしますもろもろのサービス、これは人的な形で最終的にはサービスを提供いたしておりますので、内、外それぞれの職員がお客様のためにということで、できるだけの努力をしていくということを基本に取り組もうとしているところでございます。
  134. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、純増額はだんだんとやはり低下しつつあるということでございますので、このままで推移していきますとこの特別会計の累積の赤字の関係でいいますと、赤字解消はかなり厳しいということになるんでしょうか。
  135. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 確かに増加状況収支の問題とが重なり合っている部分もございますけれども収支の問題につきましては、昭和五十七年度、これは予算上の見込み額でございますけれども、約七百三十億ほどの赤字見込みがございまして、五十七年度末には千二百億ほどを予定いたしているところでございます。  五十八年度、これもまた予定額でございますけれども、単年度で二千三百億円ほどの赤字を見込んでいるところでございますけれども、これは基本的には増加状況そのものと申しますよりも、預託利率——われわれがわれわれの資金資金運用部に預託をいたしております、そこから受け取ります預託利率に原因があるというふうに見ているわけでございまして、増加状況とも関連はいたしますけれども、それよりもいま申しました預託利率に大きな原因があるというふうに私ども考えております。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、預託利率のお話も出たわけでございますが、郵便貯金増加が伸び悩んでいるということもこれは原因であろうかと思うんですが、五十八年度のこの予定を見ますと、累積の赤字は三千五百二十七億円というふうな見込みをつけてみえますけれども、この原因と理由はどのようになっていますか。
  137. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 五十八年度に予定をいたしております収支差額、いわゆるこれは赤字になっておりますが二千三百億ほどございますけれども、こういった赤字が生じますのは、この貯金の種類と申しましょうか、定額貯金があるというふうなことが世間に言われておりますけれども、決してそれのためではございません。定額貯金につきましては、それを含めました郵便貯金のコストが過去七年平均いたしましても七・二六%というふうな状態にございます。ちなみに、民間金融機関、都銀の場合に利子等を含めましたコストが七・七二%、長信銀で八%というふうな状況でございます。こういった中で、一時的にせよこうした赤字が出てくるわけでございますけれども、これは先ほど申しております預託利率が政策的に他の長期金利に比べて常に低いという状況にあります。また、政策判断によりましては、郵便貯金の低い運営経費すら賄えないような低位に決定されているという状況からくるものでございまして、私どもといたしましては、この郵便貯金の定額貯金というもののあり方、これは個人預金、個人の貯金の対象としては最もふさわしい収益性、流動性を備えた商品であるというふうに考えておりますけれども、いま申しましたようなコストを賄うに足るだけの十分な預託利率になっていない。コストそのものは決して高いレベルにはございません。その低いレベルのコストすら賄えない預託利率が当面の赤字の最大原因であるというふうに見ているわけでございます。  なお、長期的に見ました場合には、この現在利差が私どもの定額貯金の最高のものが六%、預託利率が七・三%という具体的な数字がございまして、一・三%ほどの開きがございます。これが極端な場合には利差ゼロ、それから五十五年度当時には〇・五%という程度のものでしかなかったわけでございまして、このあたり現在は一・三%開きがございますので、これから先につきましては現在のような利差がございまして、伸び悩みという状態ではございますけれども、現在のような伸びの状態が続いていくといたしますならば、いわゆる過去の利差の少ない貯金の払い戻し、一方で利差の高いような状態における貯金の増加と、こういうことが相まちまして、五十九年度においてはおおむねいわば収支とんとんの状態になるであろう。六十年度、六十一年度にかけては単年度黒字が出てきて、六十一年度の段階では恐らく累積の赤字もほぼ解消するのではないだろうか。これには、先ほど申しましたように、いろいろな環境条件等がございますので、おおよそのということしか申し上げられませんけれども、傾向といたしましてはただいま申し上げましたようなことが申し上げられるかと思います。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと将来の見通しについてもお話があったわけですけれども、郵貯の赤字が五百億円近くにかさんだときが三十六年度にありましたけれども、このときは一般会計の負担で赤字を帳消しにしていたということですけれども、そのときの事情等はどのような事情だったんでしょうか。  また、三十六年度は五百億円でありましたけれども、五十八年度末の赤字額については三千五百二十七億円という赤字の額になるわけですけれども、この点についてはどのような認識をお持ちですか。
  139. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) いまの御質問にお答えいたします前に、先ほど五十七年度の目標の中で申し上げた数字、ちょっと数字を取り違えましたので訂正をさせていただきますが、純増加目標額が三兆四千五百億と申し上げましたのは三兆一千百億ほどでございます。それから、元加利子は四兆五千億と申し上げましたけれども約四兆七千八百億でございます。ちょっと訂正をさしていただきます。  それから、先ほどの御質問の昭和三十六年の累積赤字の解消の件でございますけれども、これは大蔵省との話し合いの中におきまして、それまでの預託利率が非常に低位であったということを双方が認め合った中で解消をしていこうということでそういう措置がとられたわけでございます。それが当時の状況でございますけれども、五十八年度以降の問題につきましては、郵政省といたしましては、この預託利率の水準につきまして、他の長期金利と同じような市場実勢が反映される形で決められることが望ましいというふうに考え、関係方面の理解を得るように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  140. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど定額貯金のことにつきましてお話があったんですが、臨調答申の中にもいろいろな財政投融資の問題等が出たり、あるいは定額貯金のことも出ておりましたけれども、この定額貯金の重荷のことがいろいろと指摘をされているいまの状況ですし、その実態についてどうなっているのか、ちょっとお話がありましたが、もう少しお答えをいただきたいと思いますし、それからいま郵貯残高の中でどのくらい占めているのか。あるいは、いま金利の状況をお話があったので、高い金利のときの残高はあとどのぐらいあるのか、その点についてお話しいただきたいと思います。
  141. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 郵便貯金の中で定額貯金の占めます割合、残高で申しまして約八八%ございます。それから、金利が高いときの金額がおよそどれぐらいかと。現在六%でございます金利が八%でございましたのが昭和五十五年度当時でございますけれども、このときの預入額はおよそ二十三兆円ほどというふうに私ども把握をいたしておりますけれども、ただ、この数字は逐次払い戻し等が行われてまいります。そういったことで変化をしてまいるということをちょっと申し添えさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、収支の問題でございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、定額貯金が存在をすることによって赤字が出ているのではないかというふうなことが世間でよく言われるわけでございますけれども、定額貯金を含めました郵便貯金のコストは、先ほども申し上げましたように、他の金融機関のいわゆるコストと比べまして決して高いものではないという一面、そしてまた、預託利率につきましては、先ほどこれも申し上げておりますように、決して高いものでは——これがまた高くないというところが大きな問題であるというふうに考えるわけでございますが、この預託利率のレベルにつきまして国債との比較をさせていただきますと、国債と申しますのは当然国の借金ということでございますけれども、これに過去七年間で支払われました利子の平均利率が七・七一九%という数字になっております。それから、郵便貯金資金運用部から受け取っております過去七年の平均実績値、これが七・一二%でございまして、その差約〇・六%というふうなことに相なっております。政府保証債、これは財投機関等が民間から資金調達いたします場合に発行いたします債券でございますが、これの平均利回りは、先ほど申しました七年の平均をとりますと、七・八二九%というふうな数字でございまして、この場合は〇・七%強の利差がございます。  それで、私どもよく申し上げておる事柄でございますけれども、約七十兆円の郵便貯金資金、これが国債で肩がわりされたと、あるいは政保債で肩かわりされたとすればどうなるか。国債の場合で申しますと約七十兆円の先ほどの〇・六%を掛けますと四千二百億円ほどになります。それから、〇・七%強の政保債との差で申し上げますと約五千億円近くの数字になります。この数字と申しますものが、毎年郵便貯金がそれになくて国債、政保債に肩がわりをしていたとするならば生じたであろう余分な出費ということになるわけでございまして、こうした面から、われわれの郵便貯金資金が財投資金として非常にお役に立っているという面は私ども大いに誇りに思っておるところでございますけれども、それにいたしましても、その預託利率というもののレベルがいかにも低い、他の国債、政保債との関係において十分なレベルになっていないということが私どもの当面の赤字の原因であるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
  142. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 財投原資の問題までお話があったわけですが、郵便貯金が伸びないから政府保証債で調達をしているという一面があるということを言われているのですか、その点どうでしょうか。
  143. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 財投の計画につきましては大蔵省の所管ということでございますけれども、私ども数字的に見ている限りにおきまして、五十八年度におきます政保債の対前年比増加との数字がございますけれども、ふえております。このふえている理由はやはり資金運用部資金が伸び悩んでいるからであるというふうに私ども見ている状況でございます。
  144. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま資金運用部資金の中から国債を購入していますね。国債を購入した分だけ今度は公社事業団に対する財投資金の割り当てが減っていくわけですね。したがって、公社事業団がその分だけ政府保証債を発行すると——民間ですね、そうすると、資金運用部が郵貯等の低いコストのお金を使いながらそれで国債を引き受けている。高い利息を払わなければならない。民間の方は、政府に、資金運用部の方に国債を引き受けてもらうかわりに有利な政府保証債を引き受けてやっているということで、政府保証債を発行するかわりに、増発しないで済むように資金運用部資金で国債引き受けを減らしているというような話もあるんですが、その点どうでしょうか、どう思いますか。
  145. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) ただいまの御指摘の点は、先ほども申し上げましたように、資金運用部を所管しております大蔵省がどう判断をするかということだと思いますけれども、国債の発行の必要性あるいは政府保証債の発行の必要性というものがそれぞれに応じてあるということで考えました場合に、やはり現在の経済、財政状態の中で資金運用部資金というものが国債にある程度は振り向けられざるを得ないであろうということからいたしまして、一面でこの財投機関がいわゆる必要な資金調達せざるを得ない状態があるといたしますと、それはどうしても政保債に向かわざるを得ない状況になってしまうだろうというふうに私どもは見ております。  ただ、冒頭お断りいたしましたように、これは私どもの直接の所管でございませんので、私どもはそういうふうに見ているという形でお答えをさしていただいたわけでございます。
  146. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、郵貯が伸びないと政府保証債を調達しなければならないとなりますと多少高いコストで財投資金調達しなければならないというようなことになってくるかと思うんですが、そうなりますと預託金利というものも簡単に上げられる状況ではないということになってくるんじゃないかと思うんですね。  一方では、郵貯は、これは個人の貯蓄充実という要請もありますし、そうしますと、財投への低利の資金供給という面と個人の貯蓄充実という要請がある中で、郵貯の赤字というのはやはり構造的なものへと変わってきているんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  147. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私が先ほど申しました財投に低利な資金を供給しているという一面は、先ほどから申し上げておりますように、国債あるいは政保債等との比較におきまして明らかに数字的に申し上げられることでございます。で、そのことが即郵便貯金に向けられます預託利率がそのレベルであってよいということにはならないであろう。むしろ、預託利率のレベルそのものが、私が申し上げたかったのは国の借金でございます国債あるいは財投機関が支払うであろう政保債の応募者利回りと比べましても、これがひとつの市場実勢を反映をいたしました金利ということになるわけでございますけれども、そういったものに比べて預託利率というものがいかに低位に抑制されているかということを申し上げたわけでございまして、もちろん財投資金という側面からいたしますと低いにこしたことはないわけでございまして、郵便貯金という有償の資金を提供する資金供給者という立場からいたしまして、なおかつ経営上の側面からの赤字の御指摘をいただきます場合には、どうしても資金供給者としての立場から、資金運用部から受けとっております預託利率のレベルが政策的に国債等の比較においてかなり低位であります。これをもう少し市場実勢に即応したものにしていただく必要があるでありましょうということを申し上げているわけでございまして、私どもの当面しております赤字、これを救済するという側面だけから申し上げますと、先ほどもお答えいたしましたコストの七・二六%、これは七年間の平均でございます。それから、受けとっております預託利率の平均七・一二%、この差〇・一四%というものがこの預託利率の面で改善をされておれば、当面の赤字の問題は存在しないということでございます。  ただいま申しました〇・一四%と申しますものは、先ほどの預託利率と国債の利回り〇・六あるいは政保債との利差〇・七余、これから見ますと依然としてかなりまだ差があるわけでございまして、赤字という側面からいたしますと、〇・一四というものだけ上がれば当面の赤字の問題が解消するということでございまして、これが国債の応募者利回りのレベルまで上がりますと、先ほどの計算と逆な形でございますけれども、約四千億円ほどの黒字が生じてくるということにもなるわけでございます。
  148. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これはおたくの方の郵政省監修の郵政要覧ですか、この中に財投についても問題点があるということも指摘もありますけれども、「郵便貯金として事業の企業的経営の基盤を確立すること及び多様化するニーズに対応した預金者サービスの充実を図ることのほか、今後予想される金利の自由化に対応するため、預金者の負託を受けた郵政省が資金の性格に即して直接運用することが必要となってきています。」ということで書いてございますね。  これによりますと、郵貯の経営的基盤を確立するためには直接運用が必要なのか、あるいはまた逆に言えば、直接運用しなければこれは経営的基盤が確立されないのか。また、「多様化するニーズに対応した預金者サービスの充実を図ること」、これと直接運用との関係について具体的にどのようなことか。あるいは「金利の自由化に対応するため」ともありますが、これとはどのように関連するとお考えになっておりますか、その点お伺いしたいと思います。
  149. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私どもが考えております直接運用についての御質問でございますけれども、経営基盤と関連をしておるということは事実でございますが、直接運用そのものにつきましては、それ以外の観点からも目的があるということでございまして、郵便貯金そのものが国民生活の安定あるいは福祉の増進を図ることを目的としておりますわけですが、その資金の運用という面につきましても、こうした目的に沿って預金者の負託にこたえるという点からは事業経営に責任を有しますわれわれがみずから直接運用することが必要である、これが直接運用の基本的な考え方でございます。  それが一つには、郵便貯金事業にとって、先ほどから申し上げておりますように、現在の預託利率は政策的に低位なレベルにあります。それはそれなりに意味がございますけれども、私どもの経営という側面から言いました場合には、少なくとも過去七年平均の〇・一四%というものが余りにも低位に抑えられていたではないかという気持ちがございます。  そういった意味で直接運用をいたしました場合には、いま申しました赤字を消すだけでなくて、たとえば全額を国債なり政保債なり引き受けに回しました場合でも、先ほどから申し上げているような数字が浮かんでくるということになります。そういった意味で、企業的な経営には経営基盤の確立に十分に資するという一面があることは間違いないことでございます。赤字が解消し、なおかつ、出てくる余分なと申しましょうか、浮いてくるお金につきましては、預金者サービス向上にも振り向ける余地が出てくるわけでございます。  それからまた、金利の自由化、これは現在二つの国債が問題になっておりますけれども、そうした中で大きな流れとして金融あるいは金利の自由化という問題が出てきておるわけでございまして、私どもこうした自由化に対応するという意味においても直接運用をしていく、直接運用いたしますと、いわゆる市場金利を反映をした運用ができるようになるわけでございまして、もちろん公的な資金ということではその運用にもおのずから節度あるいは限度というものがあるわけでございます。少なくとも現在のような預託利率のレベルよりはより有利な運用ができるであろうということが考えられるわけでございまして、こうした金利の自由化ということにも的確に対応していけるであろう。この直接運用を行うことがそのためにも必要であるというふうに考えているわけでございます。
  150. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても三十六年のときとは情勢も変わってきておりますし、いろんな意味郵便貯金特別会計が赤字ということでいまいろいろな話題になっておりますけれども、その中でツケを一般会計に回すなんていうことはとてもできない情勢であります。これだけのたくさんの積立金があるわけでございますので、やっぱり金融情勢次第ではまたこれは黒字に転ずることは不可能ではない、このようにも思っておりますし、そういった意味郵便貯金あるいは定額貯金を利用されている国民の皆さん方のいろんな不安を解消するためのやはり努力というものは必要でありましょうし、今後の再建の見通しについて先ほども部分的には話がありましたけれども、具体的に再度お答えいただきたいと思います。
  151. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先生ただいまお話しの中に、郵貯特会の赤字について一般会計へつけが回るというふうなお話があったかと思いますけれども、この点につきましては私ども郵便貯金特別会計は独立採算制でございます。したがいまして、現在生じております赤字、これはみずからの借入金で処理をいたしております。利子も払う形で借り入れをし、黒字が生じました場合にはその借入金を返す、つまり赤字をなくしていく。完全に黒字になりましたら、これは積立金という形で保有をするわけでございます。世間でよく、郵貯がふえたために財投資金がふえる、そしてそれがルーズな運用につながっている、そのことによって一般会計からの利子補給がふえるというふうな論法があるわけでございますけれども一般会計から利子補給を受けておりますのは財投機関でございます。  ちょっと話が長くなりますけれども、財投機関、たとえば住宅金融公庫等が住宅政策という観点からこの資金運用部資金よりもさらに低利の資金利用者にお金を貸すという場合に、そこに向けられます一般会計からの利子補給と申しますものは郵便貯金に対する利子補給ではございませんで、そういった住宅政策ということに対する利子補給ということでございまして、公庫なら公庫、あるいはその資金の貸し付けを受けます利用者に対する政策的な利子補給であるということでございまして、このあたりにつきましてもわれわれといたしましては十分御理解をいただくべく努力をしなければいけないというふうに常々考えているところでございます。  それから、現在生じております赤字につきましては、先ほども申し上げましたように、これから先行きの見通しいろいろな要素がございますので、それの要素を加味と申しましょうか、現在のような条件で進むという前提で申しました場合には、ここ数年の間に解消いたしますということが申し上げられます。  それから、現在生じております赤字、確かに千億台の規模になっているわけでございますけれども、全体の規模、これは現在高が七十兆になっております。それから五十八年度での収支という点からいたしましても、五兆、六兆という規模になっております。そうした中での赤字ということでございまして、過去におきましても赤字が生じた時期がございます。全体の残高規模、あるいは収支の規模との比較から申しますと、過去においてもこの程度の赤字比率と申しましょうか、の時代もあったわけでございまして、私ども会計の赤、黒というのはいろいろな状況の中で赤字、黒字を繰り返しながら最終的には収支相償という状態でまいっておるわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、郵便貯金特別会計自体といたしましては、みずからの負担において負っております借金はいずれ解消をできるという自信を持っているわけでございます。  なお、いま先生から御指摘がございましたように、私ども会計に関します御理解をいただく、あるいはその上に立ちまして国民の皆様からなお一層の御利用をいただくという点につきましても、できる限りの努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  152. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次の問題にいきますが、最近大阪に本社があるCATV会社が長崎とか佐賀県内で無許可のCATV局を開設をして視聴者を募集し始めた。そのために地元の民間放送局とか、あるいは既存のCATV組合等と衝突をしていまこじれた事態になっている様子ですが、その状況について郵政当局はどのように対応されてますか。
  153. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、佐賀県でCATVについていろいろ問題点となっております施設は、私どもの方では嬉野町と多久市、山内町の三カ所でございますけれども、いずれも放送事業者の再送信の同意が得られないままに許可申請、あるいは届け出をしないで業務を行っているものがございます。これを正常化いたしますには、まず放送事業者の同意をとることが解決の糸口になると考えられますので、特に理解の得られてない地元民放、他地区の民放の先に、地元民放との話し合いを中心に両者の調整を行いまして、早急に違法状態と申しますか、解消に努めるべく乗り出している次第でございます。  また、多久市の場合には少し複雑でございまして、許可施設であります他の有線テレビジョン放送施設との間にいわゆる地区の競合をめぐる争いも生じているわけでございまして、この両者間で区域の調整を行うよう指導しておるというのが実情でございます。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この有線テレビジョン放送法では視聴者数が五百を超える施設につきましては郵政大臣の許可を必要とするけれども、無許可の場合罰則が適用されるが、郵政当局はどういうような措置をしていかれる方針でしょうか。
  155. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 有線テレビジョン放送法では、有線テレビジョン放送事業者は、放送事業者の同意を得なければそのテレビジョン放送なり多重放送なりを受信して、これを再送信してはならないというふうに決めてあるわけでございますが、CATVが設けられる場合に既存のテレビ局との間に起こります問題は二つと申しますか、まず区域外の再送信の同意をめぐりまして、既存のテレビ局とCATV施設との争いがあるわけでございますけれども、これは一般的には地元の住民が、もう少しチャンネル——モアチャンネルと申しますか、に対する要望もあるということで同意が与えられることが望ましいとは考えているわけでございますけれども、しかし一方、地元の放送局にいたしますと、区域外のチャンネルが入ってきますと、場合によりましては非常に影響が大きいと、つまり自分のところで放送をしている番組と区域外で受けますテレビの内容とがかなりダブっているというようなこともございまして、そのような場合に非常に大きな影響があるということで、私どもといたしましてはやはり両者の意見を十分聴取いたしまして、その間に調整を図るといいますか、妥協を図れるように調整を進めてまいる以外に方法はないというのが立場でございます。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま両者の意見を聴取しながらその間の調整を進めていく以外にないというお話ですが、最近鉄道とか、あるいは商社などが相次いで都市型のCATV分野への参入をいろいろと決めておるわけですけれども、今後、既存のテレビ局と、あるいはそういったCATV事業者との競合というのは調整していくのはまた大きな課題になっていくんじゃないかと思うんですが、その点どうてしょうか。
  157. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生指摘のように、新聞紙上等では、電鉄その他、スーパー等が新しいニューメディアの時代を控えまして、かなり大きなCATV計画もあるやに聞いておりますけれども、この程度の規模になりますと、従来の、いま佐賀県内ないしは長崎県で起こっておりますCATVとの規模の点において格段の差があるというふうに考えております。先ほど御指摘になりましたCATV局は、ある場合にはほとんど再送信ばかり、その地域のテレビの再送信及び地域外のテレビの再送信というようなことでございまして、中に一チャンネル、週数時間程度の自主放送が交じるというような程度の規模のCATV局でございますけれども、繰り返しになりますが、最近計画されていると言われておりますCATVの規模につきましては、規模も非常に大きいし、また聞くところによりますと、アメリカ型ですと十チャンネル、二十チャンネル、あるいは四十チャンネルのものもあるというようなことでございまして、そうなりますと既設のテレビ局のほかに自主番組が十なり二十なり入ってくるというようなことでございまして、その様相は非常に変わるんではないだろうかというふうに考えております。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 郵政省は双方向CATVですか、このサービス民間に認めることを決めたと一月に一応報道されたわけでございますが、これは現行法の例外規定を運用して、早ければ三月に承認する方針ということでございましたが、もう承認されたんでしょうか、まだでしょうか。
  159. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これはいろいろな御要望がございますので、それぞれの方からヒヤリングしているということでございまして、まだその結果どのようにするかは決めておりません。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまヒヤリング調査を行っているということでございますが、その状況はどうでしょうか。そしてまた、その結果をどのように政策に生かしていこうとされますか。
  161. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 目下ヒヤリングの最中でございまして、全部まとめておりませんが、それぞれの御意向を伺いまして、ただいま有線電気通信法の関係で、どの条項によってどうすればよろしいかということを目下検討中でございます。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 三月二日に郵政省の都市の大規模有線テレビジョン放送施設に関する開発調査研究会議の最終報告がまとめられていますけれども、今後のCATV事業の育成策についてはどのようにお考えですか。
  163. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 三月二日に、先生おっしゃいますように、都市の大規模有線テレビジョン放送施設に関する開発調査研究会議というところから報告をいただいたわけでございますけれども、大規模化ということですが、有線テレビジョンが始まりまして十数年たっておるわけでございますけれども、日本の場合、普通は非常に小規模でございます。いまの施設を平均いたしますと、一施設当たり百世帯程度ということでございます。それがアメリカなどとよく比較されるわけでございますが、その一施設当たりの世帯数をアメリカの場合でとってみますと四千世帯というふうなことで、四十対一というような数字が出ております。それで、やはりCATVというものを盛んにするためには大規模化がまず前提であるだろうというようなことでお願いしましたのが大規模化を図る上で技術的なあるいは経済的な可能性につきまして調査研究を依頼したというのがこの研究会議であったわけでございます。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、電電公社にお尋ねしますけれどもデータ通信の回線利用の自由化が昨年の十月二十三日から実施されたわけですが、その概要及び自由化後の需要状況についてお伺いしたいと思います。
  165. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) データ通信回線利用制度の自由化は、先生ただいま御指摘のとおり、昨年の十月から実施をされました。これによってデータ通信のための回線利用が原則として自由になったわけでございまして、またいわゆる中小企業VANという制度も新しく認められたところでございます。  内容は、もう御承知のとおりでございますけれども、一つは、特定回線の共同利用は従来原則として製造業者あるいは販売業者相互間といったような八つ、業務上の関係を有するものを例示されまして、それに限るということになっておったわけですが、今回の改正によって業務上の制限が廃止をされまして、データ処理があること、それから、データ処理なく他人の通信の媒介は行わないことというこの二つの条件に該当すれば自由な回線利用ができるということになったわけでございます。  それから、特定通信回線の他人使用も、いわゆる行って帰ってこいという形での利用しかできなかったわけでございますけれども、先ほどの二つの基準に該当すれば自由な回線利用ができるということになった点が二点目でございます。  それから、公衆回線と特定通信回線の相互接続につきましては、従来はすべて郵政大臣の個別認可が必要であったわけでありますけれども、これもデータ処理があることと、それから、データ処理なく他人の通信の媒介を行わないこと、それから、いわゆる公衆回線—特定回線—公衆回線といったような、公—特—公といったような接続にならないことという三つの基準に該当すれば自由な接続ができるということになりました。  それから、契約者が異なる特定通信回線の接続につきましても同様に、いま申しました三つの条件に該当すれば自由な接続ができるということになりました。こういったような改正によりまして異なる企業間のデータ通信システムの構築が容易にできるようになったと考えております。  それから、臨時暫定措置として、いわゆる中小企業VANの制度も認められたわけでございます。  それで、この実施後の利用状況でございますけれども、まだ実はちょっと日にちが余りたっておりませんのではっきりとしたことは申し上げられないんでありますけれども、この自由化によって需要が一方では伸びるという面も確かにございますし、しかし、いままでは別々に引かなければならなかった回線を共同で利用できるようになるために回線の集約化が図られるというような面もありまして、回線の量としてはプラスの面とマイナスの面と両方があるんじゃないかというふうに考えております。で、先ほど申しました新しいデータ通信システムの構築はやっぱりユーザーの方々、このソフトを組むために時間がかなりかかるのではないかということもありましてまだ顕著な変化は現在のところはあらわれておりません。で、データ通信回線の回線数の需要はこのところ毎年大体一五%ぐらいずつ伸びてきておりまして、昨年十一月からこの一、二月ごろまでの伸びも従来の傾向とそれほど大きな変化がございませんので、もう少し様子を見守っていく必要があろうかと思っております。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨年の自由化に当たりまして未調整のまま今後の検討の課題になっておりましたVAN法案でございますが、これにつきましては、郵政当局は通産当局との調整がつかずに今国会への提出を見送ったとも言われていますが、その点はどうでしょうか。
  167. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 先生指摘のように、VAN法案につきましては民間企業からの要望も数多くありまして、できるだけ早期に実現を図るべく検討してきたところでありますけれども、私どもの考えるいわゆる秩序の中の通信の秘密とか信頼性の確保、電信電話業務との調整等いろいろな解決しなければならない点がまだ残っておりまして、今国会への提出は困難であると考えている次第でございます。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は、通常国会ですか、そのときに利用者の特定通信回線の利用効率が高まっているため、ダイヤル通話料との不均衡が生じている、そのことから料金体系の抜本的見直しということで質問さしていただきましたところ、電電当局としましては特定回線等のトラフィック調査を実施した上で検討していきたい、こう答弁されておりますが、その後の取り組み状況はいかがですか。
  169. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 専用回線、特定通信回線の料金につきましては、先生指摘のとおり、電話料金との均衡によって決めておるところでございます。現在の専用線の実態から見ますと、やはり半分以上の専用線が電話専用であるということからいたしましても、この考え方は基本的には変えておりません。ただ、先生指摘のとおり、回線利用の自由化あるいはネットワークの進展といったような利用態様の変化もありまして、特定通信回線の効用が一方ではふえているということも確かにあろうかと思います。将来INS推進していく段階の中で専用線あるいは特定通信回線の位置づけなり正当料金なりというものも、いろいろな方々の御意見を伺いながら多角的な検討を進めていく必要があろうと思っております。専用線の利用の態様も大分変わってきておりまして、オンラインサービスとして利用するものとか、あるいはセキュリティーのために利用するものとか、いろいろな姿が出てきておりますので検討を進めておるところでございます。  それで、その検討に当たっては、やはりユーザーがどのような利用をされているかという利用状況の把握も必要であるということで、トラフィック調査もやらなければいけないということで、早期に測定装置の開発をしたというふうに申し上げたところでございますけれども、この技術的方法については現在鋭意検討を進めておるという段階でございます。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 自由化によりましてデータ通信利用が大幅に拡大されるわけですが、これに伴いましてやはりコンピューター犯罪及びデータの保護、プライバシー保護ということが従来より大きな問題としてこれはなってくると思いますけれども、郵政当局の対応策はどのようにお考えでしょうか。
  171. 小山森也

    政府委員(小山森也君) データ通信技術の進歩を生かした新しいタイプの電気通信でありますために、その発展が大いに期待されている一方、いま先生指摘のようにプライバシー保護の問題、データ保護の問題、コンピューター犯罪等の問題も出てきているわけでございます。これらの問題は行政上積極的に対応して解決していかなければ、新しいせっかくの電気通信技術が安全に利用できないということになりますので、ぜひとも解決すべき課題の一つでございますが、ただ問題といたしまして、基本的人権の保障と表現の自由との関係、ソフトウエアの充実とか、施設管理の強化、取り扱い者の資質の向上等多岐にわたります重要な問題を含んでいるわけでございます。こういったことにつきましては、海外の動向にも十分注意を払いつつ、関係省庁とも密接な連絡をしながら検討を深めていきたいと考えております。  なお、郵政省におきましては、すでに暗号化手法の開発といたしましてミックス方法といったもの、また、データ通信ネットワーク安全信頼性基準といったものの制定、さらに本年度からはデータ通信総合安全対策システム開発調査等を行ってきております。引き続き、技術面を中心にプライバシーやデータの保護、コンピューター犯罪の防止等の対策を推進していく所存でございます。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最近わが国と外国との間の情報の動向を見ますと、わが国は情報の流入が多くて流出が少ない状態になっておりますが、このような情報格差を是正するためにはデータベースの育成等が大事だと思いますが、郵政省はどのようにこれに対応されるか、あるいはそれからデータ通信システムのネットワーク化ですね。それからコード化の促進を図るために、情報通信ネットワーク登録サービスですか、これが二月から実施されていますが、その概要と法的根拠をお伺いしたいと思います。
  173. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 先生指摘のようにデータベースの育成の問題は非常に大事なことだと思っております。ただいまのところ、また先生指摘のとおり、データベースの海外流通促進というものは一方的な流入の問題になっているわけでございます。このためにも技術面、実施体制面等において多角的に問題点を洗い出す作業にいま入ったばかりというところでございます。したがいまして、今後十分私どもこれに真剣に取り組んで、こういった一方的な一つのデータの流入と、情報量の流入ということのないような方向に持っていきたいと思っております。  また、第二の問題でございます情報通信ネットワーク登録サービスのことでございます。  これは昨年のデータ通信自由化措置によりまして各種データ通信システムがネットワーク化されまして、社会経済活動の円滑化、効率化等に大きく貢献することが期待されるところであります。しかしながら、実際にデータ通信システム同士を結合する場合には、それぞれのシステムの安全性、信頼性がどの程度確保されているか、またそのシステムにどんな通信方式が採用されているかということがわかりませんとなかなかこのシステム同士の結合ができません。したがいまして、情報通信ネットワーク登録サービスいうのは、こうした点を勘案いたしまして、一定のレベルの安全・信頼性の確保措置を講じまして標準の通信方式を用いている安全通信ネットワークを希望する者が登録し、一般の方が閲覧できるようにするものでございます。こういうことによりますと各企業は安心して接続できる相手企業を容易に知ることができるということでございまして、データ通信システムのネットワーク化が一層促進されると期待しているものでございます。  なお、この根拠でございますが、郵政省の設置法第三条第一項第四号によりますところと、やはり設置法第四条の第二十二号の三及び二十二号の八によりますところの郵政省の電気通信を規律、監督する権限でございます。  なお、第四条の二十二号の三は、設置法の四条に「郵政省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。」となっておりまして、「法令の定めるところに従い、有線電気通信を規律し、及び監督すること。」こうなっております。また二十二の八は、「法令の定めるところに従い、電波を監視し、及び規律すること。」となっております。なお、これに基づきまして、国家行政組織法第十四条第一項により告示しているわけでございます。この行政組織法の第十四条は、「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。」となっております。これらの根拠に従いまして登録規定を実施したところでございます。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、やはり公社の経営形態の問題についてお尋ねしますけれども、鈴木前内閣当時の閣議決定であります行政改革大綱で、臨調の「第三次答申の趣旨に沿って、各方面の意見を聴取し、所要の法律案を次期通常国会に提出すべく準備を進める。」とあるわけですけれども、まあ通常国会も半ばを過ぎているわけですが、その検討状況と提出の見通しについて御説明願いたいと思いますが。
  175. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま御指摘がございましたように、昨年九月の二十四日の閣議決定、いわゆる行革大綱におきましては、「所要の法律案を次期通常国会に提出すべく準備を進める。」ということになっておりますが、そのための手順として、「このため、政府・自由民主党行政改革推進本部常任幹事会において関係者の出席を求めつつ調整を進めるとともに、」ということで、第一次的にはこの推進本部常任幹事会が大綱を調整をするということになっておりまして、この本部の常任幹事会において現在調整作業を進めておるところでございます。郵政省としましては、その後にありますように、「政府部内においても、検討、立案のための体制を整えて所要の調整を進める」ということでございますために、私どもとしてはこの体制は整えておるつもりでございます。  ただ、郵政省としましては、答申があったわけでございますが、事は電気通信政策基本にかかわる問題であるわけでございまして、国民生活に不可欠となっております電話を中心とした公衆電気通信サービスを低廉な価格で安定的に、継続的に提供できるということが確保されなければならぬ、また、今後の情報化社会の進展の中で多様化、高度化する国民の情報通信のニーズというものに対応できるような体制を整えなければならないと、そのような観点から実体法との関係における検討を進めておるわけでございます。この問題は、経営形態をどうするということだけではおさまることではございませんで、現行の公衆電気通信法あるいは電波法等の関連法案、実体法の検討を要するわけでございます。立案にはそのことがどうしても不可欠の問題になってまいることで、その面の検討を取り進め、推進本部常任幹事会の調整を待っておるというところでございます。  これは大変幅広い御議論が提示をされておる段階でございますために、正直に申し上げまして、急速に調整が進んでおるとは私は受け取っておらぬのでございます。現段階でどのような日程、どのようなスケジュールで国会提案になるかということは申し上げられるような段階にないということでございます。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨日もちょっとお尋ねしたわけですけれども、報道によりますと、今国会の提出は断念したということで報道されているわけですが、じゃただそういう方向なんですね。もう断念というような方向、そこもまだ決まってないということですか。
  177. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 私どもは今国会の提案を断念したということの協議を受けたことは全くございません。総理大臣は御案内のように行革に専念をされるということでございますから、折に触れて郵政大臣に調整の努力を続けるようにという指示を受けておるだけでございまして、本国会の提案を断念をしたということについては、私どもは関知をいたしておりません。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 真藤総裁にお尋ねするわけですけれども、小委員会で公社の経営形態についてお話しされたということですけれども、いろいろと報道によってはまちまちでございまして、株式会社ということを勉強の成果としてお述べになったというところもあるし、あるいは特殊会社方式だというような報道もされておりますし、どれが本当であったかとちょっと私どもつかみかねるんですが、小委員会での真藤総裁のいままでの勉強の成果の結果、これが一番正しいんじゃないかということでお述べになったんじゃないかと思いますが、それはどの案をお話しになったんでしょうか。
  179. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 小委員会では、こういう問題についてどう思うかという特定の御質問についての勉強会という形になっておりました。したがいまして、その御質問に対して私どもお答えしたわけでございまして、私どものこれから先の、長い将来の電気通信事業というものを考えます場合に、こういうこともあり得るという意味の御説明をしたというのが事実でございまして、いま大臣のおっしゃったような環境のもとでございますので、いま私どもがこうでほしいとか、こうでなきゃいかぬとか言う段階にはございませんので、こういう考え方をすればこういうことが一つの答えとしては出ますがという、先生方の御勉強の材料を差し上げたというのが事実でございます。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、じゃ桧垣郵政大臣としてはどういうような経営形態が望ましいとお考えか、その点だけお聞きして終わりたいと思います。
  181. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほど申し上げましたように、経営形態の大筋は、政府・自民党行政改革推進本部の幹事会で調整すると言っておるわけでございますから、郵政大臣が、私はこういう形態がよろしいということを申すことになりますと、船頭が二人も三人もあらわれるというようなことになりますので、私は推進本部常任幹事会の調整を待って、むしろ私としてはその間にも意見を言うべきところは述べなければいけない。そうして、調整の大筋ができましたならば、現実の法律案の立案をするというのが私の責任でございますので、その段階で本格的な立案検討に取り組みたいというふうに思っておるわけでございます。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  183. 山中郁子

    ○山中郁子君 公社の経営形態の問題について、私も引き続きお尋ねをいたします。  けさほど来から幾つか出てきたことでございますけれども、総裁初めとして公社の方たちは、自分たちはいろいろ勉強しているんだと、勉強していることを聞かれればお答えしているんだということに終始されておりますけれども、私は総裁を先頭にして公社内外においてこれらの問題についてさまざまな発言をされていらっしゃる中身に照らし合わせれば、勉強しているから単にそのことをお話ししているだけだというのは大変な欺瞞だと思うんです。口先だけでそのようにおっしゃって、実際は民営化の方向を指向して、そしてアドバルーンを上げ世論づくりをして先取りをして、そして臨調と一体になってその線を推し進めていくというのが公社がやられている実態だと思うんです。私は幾つかの点につきまして、そうした欺瞞を国民国会に対して許すべきではないと、そういう欺瞞的な態度をとることは許すべきことではないという立場からお尋ねをいたします。  まず、三月十七日付の読売新聞では、「電電特殊会社案」を提示」という見出しで、「行政改「革の焦点の一つになっている電電公社の経営形態問題について、電電公社は、十六日開かれた自民党電電基本問題調査会電電事業小委員会に、独自の改革案を初めて提示した。注目の経営形態については、高度情報通信システムの展開で新しい時代に入る公衆電気通信事業に備え、企業家精神を持った経営体制の確立が不可欠との観点から、日航方式ともいえる「商法原則に基づく特殊会社」を打ち出している。」と報じられていますけれども、この考え方を外部に提示されたのは、今回初めてされたわけですか。
  184. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生おっしゃいましたとおり、自民党の中の俗称亀岡小委員会と言っているところで電電公社の経営形態問題について公社の意見を申し述べましたのはそのとおりでございます。  これは、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、臨調の基本答申、それを受けました行革大綱、それの趣旨に沿いまして私ども公社の改革に関する諸問題について公社なりに勉強を進めておるところでございますが、その勉強内容でいいから公社のその内容説明しろということで小委員会で御説明を申し上げましたところでございます。  基本的な考え方と申しましては、今後の公衆電気通信事業の課題とか、それからどういう経営条件を公社として希望するかとか、こういったようなことを中心にお話を申し上げましたわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいました特殊会社による民営化云々という問題は、現在の公社制度におきますいろいろ問題点を申し上げまして、そして公社としての考え方といたしましては、国益とか利用者保護の立場からそういった面については厳しく公共的規制を重ねることは当然でございますが、一方、事業組織内の経営執行にかかわる事項につきましては、原則として自律的規制の強化ということを前提にしまして、原則として当事者の責任ある決定にゆだねられるようにしていただきたいということを申し上げまして、そういうことになりますと、その物の考え方といたしまして、行為能力といたしまして原則自由の例外規制と、こういう経営体制が望ましい、こういうことを申し上げましたところでございます。  そして、この原則自由、例外規制の経営体制が現在いろいろございます経営形態の中でどういうパターンに一番近いかと申しますと、商法原則に基づく特殊会社というのが現在のパターンの中では一番近いので、そういうふうにして、そういうことが望まれると、こういう御説明をしたところでございます。
  185. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、昨年の段階では三つの考え方がある、勉強してますとおっしゃってましたね。ところが今回は、いまおっしゃったように商法原則に基づく特殊会社になるのがよろしいと考えると、こうおっしゃったわけですね。同じ勉強しているだけでありますとおっしゃりながら中身はそういうふうに変わってきたわけですね。そして特殊会社というのは今回初めてそれでお出しになったということですかということを伺っている。
  186. 西井昭

    説明員(西井昭君) 昨年の臨調に申し上げましたときでも経営形態は三案、いかなる経営形態をとられましても、先ほど申しましたように加入者の関係あるいは国益の問題については公的規制を受けるとともに、事業の経営執行にかかわる事項については事業当事者の責任ある決定にゆだねていただきたいというその基本原則にのっとりまして、公社法の場合ではこういうふうに直していただきたい、それから特殊会社ですとこういうふうにしていただきたい、純粋民営になりますとこういう点を逆に注意をしていただきたいという三案併記を申し上げたわけでございますが、もう少し端的に申しますと、自民党の中で出資証券によります特殊法人という案もございましたので、端的に言いますと、それに対する電電公社の意見というものをはっきり述べてほしいと、こういう要請がございましたので、出資証券によります特殊法人と申しますのは、これは一般的に原則規制、例外自由というのがいまの出資証券によります特殊法人の一般例でございますので、その意味では先ほど申しましたとおり原則自由の例外規制である経営体制、それは先ほど申しましたように強いて言いますと現在のパターンに当てはめますと商法原則に基づく特殊会社になるのではないか、そういうことを申し上げましたので、先ほど申しましたように基本的な考え方は格別変わっておりませんですが、そういう趣旨でそういうことを申し上げたということでございます。
  187. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとはっきりさしてほしいんですけれども、そうすると、いまあなた方がおっしゃっている特殊会社というふうにしぼられてきたかのように見える発言ないしいままでの御答弁もありましたけれども、それはあくまても自民党さんが言われた出資会社方式に対して、そういうことならば特殊会社の方がいいんだということであって、電電公社のいまの態度は依然として勉強中でありまして三案ありますと、この三案について勉強しているんですということの域を出てないということですか、そういうことなんですか。
  188. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生おっしゃられましたとおり勉強中でございます。
  189. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから私は欺瞞だと言うんです。実際は昨年夏以降、電電公社は特殊会社に移行する必要があるということを決めて、「経営形態に関する電電公社基本姿勢」という文書までつくっていらっしゃるでしょう。そして全国の管理者をオルグして、さらにその仕上げとして昨年十一月二十四日全国通信部長会議を開いて、そしてそこで「最もふさわしい経営形態は、」「企業原則に基づく機動的・弾力的事業運営を図りうる近代企業経営の根幹である株式会社形態である」、そういう見解をまとめているじゃありませんか。その内容は部外業界誌にも発表されています。御存じでしょう。一月五日発行の「管理情報」、これにもちゃんとそれ発表されているんです、電電公社の文書として。これは一体どういうことですか。
  190. 西井昭

    説明員(西井昭君) 何度も申しておりますとおり、電電公社基本的な考え方というのは先ほど申し上げましたとおりでございまして、前提はいろいろ——先ほど申しましたとおり原則自由の例外規制の企業形態にしていただきたい、そういうことでございまして、そういうものを公社の中でいろんな段階、いろんな部門で勉強しているのは確かでございます。われわれも勉強いたしておりますし、若手は若手でそれぞれのグループをつくり、あるいは地方は地方で機会のあるごとに意見を出し、あるいはわれわれと討議をしているというのが実情でございまして、そうしてそういった中で、現在のような何と申しますか、公社の考え方によるとこれがいいのではないかということにつきましてはいろんなところでいろんな意見が出ておる、公社の中でもいろいろの意見をいま闘わしておるというのが現在の実情でございます。
  191. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、そういうごまかしをしちゃ困るというんです。いま私が申し上げました文書、知っているてしょう、あなた方。それでちゃんと出しているんだから。「今後の事業運営施策のポイントとそのための経営条件、経営形態について」ということで、私、文書を持っていますよ、おたくから出している。その中でいま申し上げましたように、そういうことが電電公社の考え方だということを明記しているんです。それをうそを言わないでほしいんです。総裁どうなんですか。
  192. 真藤恒

    説明員真藤恒君) いかなる文書がありましても、いま大臣の言われた政治、行政の動きに結局は私どもは従う義務がございますので、私どもが幾ら主張しても世の中で受け入れられないことは受け入れられないというふうに心得ております。
  193. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ主張していらっしゃるんですね。
  194. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 主張してもと申し上げましたんで、現在主張しておるとは言っておりません。
  195. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、こういう文書、ちゃんと電電公社の責任ある文書ですよ、ちゃんとありますよ。私、持ってますよ。そういうものに書いてあることは勝手に書く、中ではそういうふうに言う。いろいろなところへ行ってそういうことを言う。そして、国会へ出てくればそういうふうにごまかされる、そういうことではフェアじゃないと言うの。そこのところを私、言ってるんです。
  196. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私どもは、私ども立場として自由に考えた場合に、どうあるべきかという勉強をすることはできるもんだというふうに考えております。そのために社内にいろいろな文書がございましても、それは外部に出す公式の文書ではこざいません。
  197. 山中郁子

    ○山中郁子君 考えの勉強する研究が、その三つの案で研究していますとおっしゃっているわけ。だけれども、いま私が問題にしているのはそうではなくて、「最もふさわしい経営形態は、」「企業原則に基づく機動的・弾力的事業運営を図りうる近代企業経営の根幹である株式会社形態である」こういう見解をまとめているの。そして、部内だけではありません、「管理情報」というのは部外誌です。管理者のための情報誌です。そこにもちゃんとそれが入っているんです、載っているんですよ。  私は、だからそういうことを申し上げて、明らかにそういうふうに言って、そしてオルグまでしているんだから。そして、「オルグ団の”定本”」としてちゃんと業界新聞にだって全部出てるんですよね。二枚舌を使ってもらっては困るということをまず申し上げます。以下、本当にそういうことがあちこちであるんですから、この国会で本当にでたらめを言わないでほしいということ。  一月三十日付朝日新聞も同じ内容。「電電は「株式会社」指向」として、「「株式会社方式しかない」との極めて大胆な主張を盛り込んだ「参考資料」を関係国会議員らに配布した。」と報じていますけれども、こういう経過から見ても明らかなんてすが、株式会社指向の意見を宣伝なさっているわけ。この報道に、関係議員に配付したと報道されていますけれども関係議員というと私も逓信委員で関係議員だと思うんですが、いただいてないので、これはどういうところに、どういうルールで配付されたんですか。
  198. 西井昭

    説明員(西井昭君) 先ほどお話のございました自民党の基本問題調査会の中のいわゆる俗称亀岡小委員会というところに、先ほど私が簡単に申しましたような資料を配付をいたしたことはそのとおりでございます。  そのときの実情は、先ほど申しましたとおり、公社は目下勉強中であるけれども、勉強中でいいから公社の考え方を聞きたいと。特に自民党の中で一応の原案として出ております、いわゆる金丸私案というものに対する率直なる意見を聞きたいという強い御要請でございましたので、それに対するお答えとして、先ほど申しましたとおりのことをお話を申し上げ、その席にいらっしゃいました関係議員の方にお配りをしておるところでございます。  なお、新聞等の報道は、先ほどもお話がございましたとおり、若干内容のニュアンスが変わっておりますが、これは新聞等が独自の取材をされたというふうに私どもは理解しております。
  199. 山中郁子

    ○山中郁子君 自民党にだけお出しになるということについては大きな問題があります。  これは「今後の事業運営施策のポイントとそのための経営条件、経営形態について」でしょう。「公社制度における制度上及び運営上の主要な問題点」でしょう。そういうものを自民党、一つの政党だけに渡される、そしてそれがどんどん新聞に報道される。そういうことの重要性を指摘をし、今後絶対にそういうことのないようにということを申し上げておきます。各関係議員に配るべきであるということを申し上げておきます。  それから、真藤総裁は先ほどそのようにおっしゃったんですけれども、しかし、総裁、あなたは基本答申に先立つ時期に、すでに第四部会長加藤さんに対して、公社を変えて民営あるいは特殊会社にしたらどうだという提案をしているという事実があると思われるんです。  これは昨年の五月十三日に発行されましたこの本、「土光さん、やろう 行革は日本を救う」ということで、土光さん、加藤さん、細川隆元氏、この共著になっています。これは新聞記者の方たちがあなた方の話を新聞記事にしたとか、そういうものではありません。責任ある著者がある。その中で加藤さんがこう言っていらっしゃるんですね。   そこで、電電公社では、まず真藤恒総裁が登場しまして、やんなきゃいかんとおっしゃって、公社を変えて、民営、あるいは特殊会社にしたらどうだということを提案されたわけですね。 こういうことを加藤さんがおっしゃっているんです。責任ある著者ですよ。全然話が違うじゃありませんか、総裁。こういうことをおっしゃったんでしょう。
  200. 真藤恒

    説明員真藤恒君) あの当時は臨調がヒヤリングをやっておる時代でございまして、ヒヤリングというのは自由な考え方を自由に発表する段階であるというふうに考えられますので、したがいまして私個人の見解を率直に申し述べたいということでございまして、その後、臨調でどう取り上げられ、政府・与党でどういうふうに取り上げられてどういう結論になるかということは、これまた別問題という立場で自由な発言をしたことは確かでございます。
  201. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ確認いたします。  あなたは臨調に対して公社を民営あるいは特殊会社にしたらどうかということを提案されたんですね。
  202. 真藤恒

    説明員真藤恒君) そういう考えもあり得るということは申したと思います。
  203. 山中郁子

    ○山中郁子君 個人とおっしゃったって、このときあなたはもうすでに総裁だったんですよね。それで、さっきから電電公社としては三案併記だと、それ以上一歩も出ているものではないとおっしゃって、個人ではこういう考え方を持っている、しかもそれを臨調に提案しているわけでしょう。だったら臨調がそういう方向に動くのは当然じゃないですか。それが欺瞞だと私は申し上げております。もう少しフェアにやっていただきたい。  それから、さらに基本答申の前に、六月十一日、自民党に対して特殊会社に移行した場合のメリットについての資料を出して、その中では、電話番号案内の有料化なども述べているんですけれども、「株式公開の際相当のプレミアムがつくこととなる。このプレミアムを含めた発行価額は全て国庫収入となる性格のものだ」ということまでそういうふうに言っているんですね。つまり、高く売れると、そして財政危機の穴埋めにすればいいと、電電公社を財界に売り渡して、そして財政危機の穴埋めにすればいいと、そういうところまで基本答申の前にもう言っている。そういうことは、国会の中でわれわれはこう勉強していますと答えられ、そしてこれを決めるのは国会であり、国民の皆さんであるとおっしゃっていることと全く違うじゃありませんか。そういう方向を決めて、そして電電公社をそういう方に持っていくという、あなた方が指導的に、総裁が指導的にそういう役割りを果たしてきたという事実は、だれが見ても明らかじゃないですか。
  204. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま六月十一日のお話が出ましたわけでございますが、実は臨調の基本答申が出ます前に臨調の第四部会報告というのが出されておりまして、その第四部会報告に基づきまして、これは自民党の基本問題調査会と通信部会との合同会議におきまして、この第四部会の臨調の答申を中心にいろいろ先生方の間で御議論をいただいたところでございます。そうしてその御議論の中に、こういう問題について公社はどう思うかということをいろいろ聞かれまして、その会が前後四回にわたって開かれたところでございます。  その四回にわたって開かれた中で、ただいま先生がおっしゃいました六月十一日、これが一番最後のときでございますが、特殊会社に移行した場合にどういう利益があるのかということを公社として整理をして出せと、こういう御下命でございましたので、特殊会社になるということを前提にしての資料をつくってこの合同会議に配付したというのが事実でございます。
  205. 山中郁子

    ○山中郁子君 何とおっしゃろうとも、いま私が幾つか申し上げました。これからも申し上げます。  そういう中で、電電公社が総裁を先頭にしてそういう方向を打ち出してきて、そして電電民営化の方へ路線を敷いて、そして国民の大切な大切な、貴重な財産である電電公社をどこへ持っていこうとしているのか、そこのところを私はいまこそ明らかにしてもらわなきゃ困るし、これ以上の二枚舌は使ってもらいたくないということを重ねて申し上げておきます。  それで、公社は、先ほど申し上げました今後の事業運営施策のポイントという文書の中で、今後の公衆電気通信事業の役割りは高度情報通信システム、まあよく言われるINS、これを提供することでありとして、昨年の九月二十五日にある通信局で幹部を集めた会議をしました。そして、その際、その席上で真藤総裁は、INSを安く提供しなければならないとおっしゃって、そのためには人件費を減らすよりほかにない、そのためには民間会社が過去にやってきたように、いろいろな事業に自由に手を出し、そちらに向いたような人が率先してそちらに行ってもらう、そして電話線から入ってくる収入にぶら下がらない人をたくさんつくる、そういうことが自由にできるようにしてくださいというのが経営形態の変革についてお願いをしている原点なんだ、こうおっしゃっているんです。ちゃんと文書があります。  この原点とまで言っているINSの建設に関して、先ほどから御議論がありましたけれども、まずお尋ねしたいのは、国民のニーズとか、あるいは建設費用の問題、どんな負担になるのかいまだに明らかにされてないでしょう。先ほどから繰り返し、まだこれからの問題だとおっしゃっています。しかし、そのINSの建設が原点だと言って、そして人減らしをする、そのために民営化をしてもらうんだということをはっきりおっしゃっているのは、これは一体どういうわけですか。
  206. 西井昭

    説明員(西井昭君) INSと申しますのは、現在アナログを中心として電送をいたしております通信をディジタル化をする、しかも現在の通信は、電報は電報、加入電信は加入電信、電話は電話、それからDDXでございますとか、そういういろいろなものは別々のネットワークによって運ばれておる、そのおのおのについて料金体系、制度も違っておる、こういうのが現状でございますが、INSといいますのは、ディジタル化をするのを機会にそういうものを一本の線で、一つのシステムでこれを統合するというのがINSの根幹でございます。  したがいまして、それによりまして料金体系も一つのガイドラインに基づく料金体系に一本化をしようというのがINS基本理念でございます。そして、その料金体系のガイドラインといたしまして、ビットに基礎を置く課金方式というものを国際的にとるべきではないかということで、現在、国際連合の中の電気通信の専門部会でございますCCITTに電電公社からそのINSのガイドラインというものについて提案をしておるというのが実態でございます。  このようにINS化になりますと、少ない設備でたくさんのトラフィックが、しかも一本のシステムで運べる、こういうことになりますので、端的に申しますと、トラフィックが同じでございますと少ない設備で済む、こういうことになってまいるわけでございまして、そういたしますと、もし公社基本伝送のみにとどまっておるといたしますと、当然のことながら、それに伴います人員縮小という問題が必然的に出てこざるを得ないわけであります。  このINS時代になってまいりますと、電話機を含みます多彩な端末機器、宅内機器が出てまいりますほか、データバンクでございますとか、データ通信でございますとか、付加価値通信でございますとか、非常に多様な、多彩な電気通信というものがこのINSによって安くて便利に運べる、こういう事態になってまいります。  それで、現在の公社制度と申しますのは、いわゆる電信電話を中心といたしました公衆電気通信独占が原則でございまして、人様もなかなか電電公社に入ってこられないんですが、公社もこういったサービス以外に出ていきにくい、きわめて限定された場合にしか出ていけない、こういう仕組みになっておりますので、そういう今後の電気通信の発展を見渡しましたときに、そういう事業が縮小再生産に陥らないように、事業範囲の拡大でございますとか、それに伴います弾力的な投資活動ということを行えるようにしていただくことによりまして新しい事業を創出する、それによりまして職員のいわゆる首切り等の事態が生じないようにやっていただく必要がある、こういうことを電電公社が主張しておるわけでございまして、技術の進歩、そういう仕組みの変化に伴います新しい分野の創出という分について、職員が安心して働けるような制度というものをぜひともつくっていただきたいということを公社として希望を申し上げておるところでございます。
  207. 山中郁子

    ○山中郁子君 電話線から入ってくる収入にぶら下がらない人たちをたくさんつくる、つまり外すということですね、人減らし、首切り。そういうことが自由にできるようにしてください、そのために経営形態を変革してください、総裁はそういうふうにおっしゃっているんです。これが原点だとおっしゃっているんです。  それで、これはもちろんお覚えがあると思います、総裁と現場機関長との懇話会ということで行われたものの中で総裁が答弁されたことです。  質問は、ここ四、五年の間に遠距離通話の値下げについてどのくらいまでやっていくのか、われわれとしてはターゲットをどこに置いて努力していったらいいのかお伺いしたい、こういう質問に対して、お答えの中でいま私が引用いたしました御答弁がありました。  それでは、ちょっと総裁にお尋ねいたしますが、いまあくまでも雇用不安を起こさせないようにしてほしい、したい、それが願いなんだ、こうおっしゃった、それは間違いですか、不安を起こさせないようにしてほしいと。
  208. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私の最大の関心事は、これから先の変革に対して人間を犠牲にしないことでございます。だから、明らかにそういうふうに申しました。
  209. 山中郁子

    ○山中郁子君 総裁がはっきり言っていらっしゃるのは、たとえばことしの一月十三日の郵電週報——業界誌ですね、ここの中でインタビューに答えて、INSは大企業先導で始めていく、まず業務用をブレークスルーの第一布石として着手する、つまり突破口と言うんでしょうか、大企業は大企業でINSを使って合理化し、こういうふうに述べていらっしゃる。  つまり、私どもが一貫して現在の電電公社のあり方についても、それから民営化志向の目的とするところについても批判してまいりましたように、国民を犠牲にし、労働者に犠牲を負わせ、そして大企業奉仕、大企業優先のサービスを第一の眼目に置いている、こういうことにならざるを得ない。いま幾つかの点であなたがおっしゃっていることを統合しましても、そのようにならざるを得ないんです。これが電電事業を民営化に変革していきたいという原点だというふうに総裁はおっしゃっている。  それでは、私はもう一度重ねて総裁にお尋ねいたしますけれども、さきに指摘しました通信局の機関長会議の席上で、総裁は——ちゃんと文書のあるものですけれども——十万人とも考えられる人が本当に新しい仕事を見つけていけるのかどうか不安だ、こういう質問を受けたんです。そうしたら、それに対して、人間は不安があるから努力して進歩するんだ、不安はわれわれの進歩の種だというふうに受けとめなければだめだ、民間の人間は年じゅう不安だらけだ、不安を乗り越えようとするから進歩する、こういうふうに答えていらっしゃるんですよ。  うそじゃないですか、さっきからあなたがおっしゃっていることは。一体これどういうことですか。
  210. 西井昭

    説明員(西井昭君) 委員長
  211. 山中郁子

    ○山中郁子君 総裁のおっしゃったことよ。
  212. 西井昭

    説明員(西井昭君) 先ほどからいろいろ申し上げておりますように、電気通信と申しますのは、今後十年あるいら十五年先に、ディジタル化によりまして、さらにINS化によりましてさま変わりするということは先ほどから申し上げておりますとおりでございまして、そうなってまいりますと、現在われわれの中で抱えております職員の中には、一体われわれの職場がどういうふうになるだろうかということに対する不安なりあるいは質問というものは、これは私どもも現場の職員からいろいろと聞かされているところでございます。  ただ、したがいまして、現在やっております仕事というものは当然のことながら質的に変わっていかざるを得ないということと、それから電信電話だけに閉じこもっておりますと要員も縮小に向かわざるを得ないということは、これは私どもが別にむずかしい計算をしなくても……
  213. 山中郁子

    ○山中郁子君 端的に質問に答えてください、時間が足りませんから。
  214. 西井昭

    説明員(西井昭君) 見通せることでございまして、    〔委員長退席、理事成相善十君着席〕 そういうものを受けましてそういう従業員が持っている不安は確かでございますが、そういう不安を乗り越えて、新しい時代に即してわれわれ職員全員がそういうふうに変わっていかなければいけない。総裁のいまの表現は適切であったかどうかは別といたしまして、そういうふうにわれわれ自身が仕事の中身あるいはやり方というものを改革していかない限りは技術の進歩に沿った電気通信というものはあり得ない。また、そういうふうに職員が変わっていかなければならないんだということは、われわれも労働組合を初め関係の職員に機会あるごとに申し上げておるところでございまして、ただいま先生がおっしゃいましたのも、そういう趣旨で総裁が発言をいたしたというふうに私どもも理解しておるところでごさいます。
  215. 山中郁子

    ○山中郁子君 違うんです。質問はこういうことなの。電電株式会社になった場合、三十三万人のうち十万人とも考えられるような人が本当に新しい仕事を見つけていけるのかどうか、いまの段階で非常に不安に思う、その辺はどうかと。雇用不安ですよ、首切られるんじゃないか、よその会社へはじき出されるんじゃないか、その質問なんですよ。その質問に対して、不安があるから進歩するんだ、不安がなくちゃいけないんだ。さっき労働不安をなくすということは至上命令だみたいなことをおっしゃったことは一体どうなるんですか、総裁、お答えいただきたい。——あなたもういいです、総裁に伺っていますから。
  216. 真藤恒

    説明員真藤恒君) これは、私の個人の人生観として今日まで持ち続けておる考えでございまして、不安にもいろんな種類があると思います。積極的な不安と消極的な不安、逃げる不安と攻める不安とあると思います。私は攻める不安という意味の不安として答えたつもりでございます。
  217. 山中郁子

    ○山中郁子君 個人の人生観を持ち出されても困るんですよ。いまあなた電電公社総裁として、これだってそうでしょう、現場機関長と懇話会されていらっしゃるの、総裁としてね。さっきもあなた個人でもって臨調にそういうことを提案したと。  冗談じゃない。総裁のそうした発言が動かしていくんだから、電電公社を動かしていって、日本の政治を動かしていくわけでしょう、そのあなたの権限の範囲の問題に関して言うならば。そういう本当に無責任なことはやめてほしい。三十三万人の労働者が一生懸命働いて、そしていまあなた不安があるから進歩するんだなんて言われてどこに立つ瀬がありますか。  同時に、伺いますけれども、人を減らす必要を盛んに強調されていらっしゃいますけれども、子会社だとか外郭企業をつくってそこに働き口を見つけさせるということでしょう、あなたおっしゃっているのは。そのポイントの中にも書いている。見つけ切れない人間というのは一体どういうことになるんですか。あたりまえですよ、そういうことを考えるのは。
  218. 西井昭

    説明員(西井昭君) 先ほどから申しますように、INSになってきますと、同じ仕事をしておればこれは結果的に人が減らざるを得ない、こういう意味の不安というものはもうこれは公社職員も持っておりますし、先ほど申し上げましたとおりでございます。そういったものを前向きの立場で解決をするというときに、新規事業の創出等によりまして、この電気通信事業といいますのは今後まだまだ発展をいたす分野でございますので、電信電話以外の、いわゆる古いサービス以外の新しい事業の創出あるいはその部門に対する進出ということがこれは必要でございます。もちろん従業員はそういうことによりまして職務内容が変わるとかということに対して不安を持つということはこれは当然でございますが、そういう不安をできるだけなくしまして、また逆に従業員の意識をそういうふうに改革をいたしまして、そして新しい事業に三十万人の職員が積極的に打って出て、そして新しい時代の新しい電気通信の担い手になるように、これはわれわれ指導者としてもそういう方に指導していく義務があるし、またそういうような新規事業の創出などというものにつきましては、これはわれわれが中心になって考えていかなければいけない、こういうふうに考えておるところでございます。
  219. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういう理屈であなた方がおっしゃっている民営化でもって、とにかく人を減らしていくんだということがうまくいくなどということがあり得ないということはだれだってわかります。そのことはあなたたち自身も知っているんですよ、知っているから何と言っているかといいますと、さきに申し上げました十一月二十四日の全国通信部長会議を受けて、今度はその下でいろいろまた管理者を集めて意思統一を行っているんですよね。そのある通信局の管理者会議でどういうことを言っているかというと、いろいろこうした公社の考え方を、それは三つあって勉強中だなんてだれも言っていないですよ、特殊会社と言ってアドバルーン上げて、そしてそれでオルグしているわけだから。そういうことで意思統一の中で頸腕等役に立たない人間は全国に五千人いる、株式会社になれば首切りは簡単である、こう言って説明しているんですよ、管理者が。そういうふうになるじゃないの、当然なんですよ。  それで伺いますけれども、先ほど総裁が原点だと言った。つまり人を自由に動かしたいと、それがこの経営形態を変えるための原点なんだと、こうおっしゃっている。  私も、頸腕問題何回も逓信委員会で取り上げてまいりました。この電電事業の、特に電話交換の全国自動化に至る過程で、本当に電話交換手が大変な労働強化の中で働いてきた結果、頸肩腕症候群その他職業病で体を壊す。もちろん業務上障害であって認定されている人はたくさんいますよ。そういう人たち、そういう頸腕だとか役に立たない人間は会社になれば首切りすることは簡単だ。だから会社にするんだ、管理者そう言っているのよ。あなた方だってそう言っているんでしょう。つまり、あなた方の真意はそこにあるということなんです。  もう一度引用します。さっきポイントの中で書いてある、電話線から入ってくる収入にぶら下がらない人をたくさんつくる、そういうことが自由にできるようにしてください、これが経営形態の変革についてお願いしている原点だと。つまり自由に人間を首切りたいということでしょう。首切りと言えなければ、とにかく自由に人を動かしたいということでしょう。そうすると、あなた方の経営形態について民営指向というのは結局公社法三十一条による職員の身分保障、これがじゃまだと、これをなくすということですか。つまり「職員は、左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降職され、又は免職されることがない。」という公務員法からの流れを引く公社法の中の一つの重要な職員の権利です。これを外したいということですか。
  220. 西井昭

    説明員(西井昭君) 頸腕につきまして最初に一言申し上げたいと思いますが、たまたま公社の職員の中で頸肩腕症候群に不幸にもかかられた方は、公社としてはその方をまず治療をして治っていただいて、できるだけ速やかに公社の戦列に復帰していただくということを第一といたしまして、先生御存じのとおり、いろんなあの手この手ということを考えまして、部外の有識者の方にも入っていただきまして、この頸腕の治療また頸腕にならないような対策というものをずっと過去やってきたことは先生よく御存じのとおりでございます。また、公社は、そういうことでございまして、そういう方に、別に頸肩腕症候群に限りませんが、不幸にして体の方に障害を受けた方はできるだけ速やかに、また受けられないように、体の障害にならないように、    〔理事成相善十君退席、委員長着席〕 いろんな健康管理等に力を注いでおるということも、これはまあ大企業の中でも、やや手前みそですが、一番よくやっている方ではないかと思いますし、また不幸にしてなられた方はできるだけ速やかに治療して戦列に復帰していただくということに努力しておることは確かでございます。  先生おっしゃいましたように、民営化によりまして首切りやすくなるから云々ということは、これは全くだれが申したか知りませんが、われわれの本意じゃございませんでして、われわれといたしましては、この電気通信事業が縮小再生産に入らないように、まあいまいる人間が、職場は違いましても新しい電気通信の中に元気にまた生き生きと活動していただけるように、またそういう生き生きと元気に活動された方がそういうことに多少とも報われるような、そういう制度にしていただきたいというのがわれわれがずっと申し上げてきたところでございますし、またその考え方というものにつきましては、いままで何度かいろんな会議等で終始申し上げてきたところでございます。
  221. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは本当に余りにも手前みそに過ぎます。それは私が何回となくこの逓信委員会で申し上げたことだけをとってみても、あなた方がいかに——それは頸腕の問題について何もしてないとは言いませんよ——頸腕患者をいじめて、そして、当然とるべき措置をとらないできたかということは明らかになっているんです。  いまそうおっしゃるけれど、それじゃあなたたちはいままでいろいろ経営形態の問題についておっしゃっていて、そして、要するに人を動かすことを自由にしてくださいというのがお願いしている原点だとおっしゃっているわけね。もうあなた方認めているように、ちゃんとおたくの文書に書いてあるわけです。にもかかわらず、いまあなたはここでそういうことは全くないと、こうおっしゃるわけでしょう。だから言っていることが全然うそだというのよ。実際に考えていること、現実にいろんなところで言ったりしたり進めたりしていることと、国会で答弁なさることが全く違うということ、そのことを重ねて申し上げておきます。  それで確認しますけれども、あなた方は特殊会社とかなんとかいろいろおっしゃっているけれども、そういうことについて公社法三十一条というのは生きるんですか。職員の身分保障ですよ。そういうお考えのもとに特殊会社だ何だとおっしゃっているんですか。他企業へ変えさせるということも公社から変わるわけですからね、身分保障は公社にいるということの身分保障ですからね。
  222. 西井昭

    説明員(西井昭君) 現在の公社法におきます身分保障といいますのは、かつて電電公社が国家公務員や電気通信省から変わってきたという歴史的経緯に基づいて国家公務員に準ずる身分保障を受けておるということでそういう規定があることは確かでございます。  で、もし経営形態が変わった場合に一体この身分保障はどういうふうに考えておるかというのが先生の御質問の御趣旨だろうと思いますが、これは先ほどからるる申し上げておりますように、公社といたしましては、いまいる職員をいわゆる首切り等の事態を生じせしめないように、新たな事業の創出などによってそういう事態に対処をしていきたいというのが趣旨でございまして、もし新たな経営形態になりましたときに、その点につきましてどのように規定をするかということにつきましては、これは当然のことながら労働組合等とも話しまして、これが法律になりますかあるいは公社の中の就業規則になりますか、その辺のところまでわれわれまだ詰めておるわけではございませんが、趣旨からいきましたら、いまいる職員が安心して生き生きと活動できるような制度なり組織にしていただきたいというのが公社の趣旨でございます。
  223. 山中郁子

    ○山中郁子君 公社法三十一条は保障されないというお考えだということがよくわかりました。  さらに、公社形態の変更の理由の一つにあなた方が挙げていらっしゃる、働きがいのある職場づくりをする必要ということを盛んに言ってらして、民営化していけば働きがいのある職場ができるんだ、いまそういう方向、ぜひそうしたいと思っているからこういうことを考えているんだ、そういうようなことをおっしゃる。  しかし、私もこの点について前から指摘しておりますけれども、思想、信条による不当な差別です。ここでも真藤総裁が着任早々私が申し上げまして、お約束もいただいたにもかかわらず果たしていただいてない。これも大変問題なんですが、技術開発を担っている通研での思想、信条による差別です。能力ある研究者を干し上げて成果を上げさせない、上がりそうになったら今度テーマを変えちゃう、学会にも参加させない、上げた成果についても発表させない。あらゆる方法で研究活動を妨害して不当な差別待遇をやっている。これはもう事実です。反共労務政策です。また、地方電報局でも、これはかつて私も国会で取り上げたことあるんですけれども、思想差別によって色分け表ですね。識別表というのをつくっているんですよ。そして人間を色で分けているの。そして気にいらない労働者にはペケ印をつけて、勤続三十年たったいまでもなお差別をして昇進させない。こういう、能力を抑え、本当に暗い職場にしているということを実際にやって、しかも幾ら国会でそのことが指摘されても改善しようともしないで、何が働きがいのある職場づくりをする必要があるから民営にするんだということが言えますか。この点についてはきょうは時間がありませんので深入りはできませんが、指摘をしておくにとどめます。国民に対してどういうことになるかといいますと、あなた方の考えていらっしゃる方向は、国民のニーズもまだはっきりしていないINS建設、しかも公社がどのぐらいの費用がかかって、そしてそれを負担する方法も何ら明らかにされていない。俗に三十兆円というふうに言われている向きもあります。この建設費をごく単純に国民一人当たり割っても三十万円、五人家族で百五十万円の負担ということになる。これは回り回って国民のツケになることははっきりしております。この負担を含む料金に長い間耐えなければならないというそういうこと。そういうことでもって、逆に経営形態の云々の一つの大きな柱にINS建設を持ち出される。ここのところは全く無責任きわまりないことであると同時に、単に無責任ということだけでない、国民に大きな負担を押しつける土台をあなた方はこれでつくろうとしている、そういうことにならざるを得ないじゃないですか。その負担の問題についてはどうですか。
  224. 西井昭

    説明員(西井昭君) INSの一番問題になります基幹伝送路でございますが、これは……
  225. 山中郁子

    ○山中郁子君 簡潔にしてね。
  226. 西井昭

    説明員(西井昭君) はい。電気通信技術の発達によりまして、特に市外回線部分については同じトラフィックを運ぶにつきましても大幅なコストダウンが可能性があるということはこれは明白でございます。したがいまして、この市外回線部分というものにつきましては、このコストダウンというものは当然のことながら料金にはね返っていくべき問題である。一般的なインフレ等がなければ、当然のことながら市外を中心として同じトラフィックに対しまして安い料金で提供できるようにすると、これがINSの一番の基本の考え方でございます。  で、そういったときにその建設投資資金をどこで賄うかということでございますが、これは基本的には公社の財務基盤を確立することによりまして、いまより少くとも高くない、安い料金で、かつそれをさらに利用者の負担の能力の範囲内でより多くのトラフイックが運べるように、端的に申しますと、同じ料金でたくさんのトラフイックが運べるように、こういうふうに持っていくというのがこのINSの思想でございます。  したがいまして、端的に申しますと、現在の設備をディジタル化することによりましてだけでもその利用者にとってそういうことになるのではないか、またそうしなければならないというのがわれわれの考え方でございますが、さらに先ほど申しましたように、いろんなネットワークを統合し、しかもそれを料金のガイドラインといたしまして、ビットに基礎を置く料金体系を建設することによって利用者の方はさらに一層便利で安いサービスを自分の負担能力の範囲内で提供できるというのがINSの思想でございます。
  227. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは言いかえると、こういうことになるんです。それは真藤総裁も「郵電週報」でインタビューに答えておっしゃっているんです。つまり大企業先導型で始めるというんですよ。で、財務基盤がないとできないと、そのためにはまず事業用にうんと使ってもらって、通信事業のトータルインカムをふやすと、そして経営形態を変えて自由な行動ができるようにして、先ほど申し上げました電話線、通信線にぶら下がる人を落として、そしてその財力を、一般家庭に普及させる方向、つまり可処分所得の中でということを何回かおっしゃっているけれども、そういうことになるのね。つまり大企業優先なんです。大企業で使ってもらう、そこのところを突破口にするんだ、それ以外の何ものでもないです。その証拠に、もうすでにいまこのINS建設に関してさまざまな新聞、業界新聞を初めとして一般新聞も報道されていますけれども、電機業界は民営化の先取りをする形で、たとえば住友電工が光ファイバー、日立、富士通、日本電気がディジタル交換機や、また超LSIの開発、製造ですね。世界最大のコンピューターメーカーIBMと三菱グループの全面提携、これもみんな民営化にねらいを定めたものとして伝えられ、そして報道され、財界は新たなもうけ口としてこれをねらっている。これはもう常識ですよね。毎日の新聞に出ていますでしょう。あなた方、そんなことを全部知りません、そういうことはありませんと、そして国民が便利になるようにと、きれいごとばかり言って通ると思いますか。こういう事実は、事実あるでしょう。業界のこういう動きというのは明らかに民営化の先取りで、新たなもうけ口をねらっているということ以外の何物でもないんじゃないですか。  私が申し上げているのは、まさにINSの建設を標榜しながら民営化志向を進めるということは財界、大企業の利益に奉仕するものである、そういうこと以外の何物でもないではないか、そのことを申し上げているんです。
  228. 西井昭

    説明員(西井昭君) INSが財界、大企業への奉仕ではないかというのは二つの面があろうと思いますが、一つは、いままでアナログを中心としていろんなメーカーなり工事業界がございますが、これがディジタルに変わることによりまして、そういう業界の方々も自分の設備を変え、あるいは新しい製品を開発していかなければいけない。ということは、これは電電公社と同じように関連団体の方も私どもから見ましたら大変なことだと思いますし、そういう方向にまた関係業界の方も向かっていっていただかなければいけないということは、私どももそのように思っておりますし、そういうことを関係の業界の方にも申し上げておるところでございます。  それから、そのINS利用者の方にとって大企業奉仕ではないかということかと思いますが、これは、先ほど申しましたように市外回線部分を中心としました大幅なコストダウンということは、これは別に電気通信を御利用になる方にひとしく利益は享受されるものだと理解をいたしますが、ただそのときに大幅にお使いになる方と少ししかお使いにならない方と比較いたしますと、たくさんお使いになる方ほど、率は別としましても、絶対額ではその恩恵をより多く受けられるということは、これは当然でございますし、また技術の進歩等によってそのとおりだろうと思っております。  それからさらに、もうちょっと突っ込んだ話になって恐縮でございますが、いままでたくさんのネットワークを一本のネットワークに統合しましたときの基本インターフェースをどうとるかということにつきまして、これは国際連合の場でいろいろ議論をされておりまして、いわゆる六十四キロビットプラスアルファ——プラスアルファはまだはっきり決まっておりませんが、六十四キロビットプラス十六でありますとか、六十四キロビット足す六十四キロビットプラス十六、いろんな案が出ておりますが、いずれにいたしましても六十四キロビットプラスアルファということで基本インターフェースを合わせようということで、これは通信は世界的な問題でございますので、そういう方向で動いているのは確かでございます。そういったものを、その基本インターフェースを御利用になりますときに、先ほどの市外回線部分の大幅なコストダウンとうらはらでございますが、普通の家庭で利用される方はそういう大量の通信というのを余りお使いになりませんので、そういう六十四キロビットプラスアルファという非常に高速なディジタル回線というものの恩恵はひとしくこれは受けられるわけでございますが、率からいきますと大企業の方が多くなるだろうとこれは事実そのとおりであろうと思っております。  いずれにいたしましても、利用者利用の態様に応じましてそれなりの、何と申しますか、利用面についてのサービス面あるいは料金面についてプラスになる、プラスになるからこそこのディジタル化なりINS化を進めるわけでございまして、そういう方向に向かっているということは確かだと思っております。
  229. 山中郁子

    ○山中郁子君 つまり、もし仮に国民がそれを享受できるとして先の先の話ですと、まずは大企業の方に使っていただきます、利便を提供します、そのために三十兆か二十兆か四十兆かわかりませんけれどもその莫大なびっくりするようなお金の建設費が要る、その建設費は国民の皆さんに負担をしていただく、そしてその建設費の使う投資によってたくさんの企業がもうかる、そのためにいま虎視たんたんとしてねらっている、そういうことが自由自在にできるように民営化をしていく、簡単に言ってしまえばそういう図式なんですよ。はっきりしているの、あなた方がいままでおっしゃっていたことも含めて。  それで、ちょっと具体的なことでお尋ねしたいんですが、運営政策のポイント、さっきから申し上げている文書の中で、新規参入の問題があるんです。新規参入者とイコールフィッティングし得る経営体制として——同じ立場に立つという意味ですね——特殊会社を挙げているという流れになっています。ということは、公社として新規参入を認めるという、認めていく方向を考えていらっしゃる、こういうことになりますか。西井さんにお願いしたいんですけれども、なるべく簡潔にお願いしますね、時間が余りないので。
  230. 西井昭

    説明員(西井昭君) 新規参入はいろいろな形で入ってこられると思いますが、一つは、たとえば現在ほとんど完全開放いたしておりますデータ通信事業者の方も広い意味の公衆電気通信事業者の一部であろうと思いますが、そういう意味新規参入者という方は入ってきておられます。それからさらに、基幹伝送路を自分で建設し、あるいは交換をも自分で行うというような、そういう新規参入者も、いろんな方が入ってこられるだろうと思います。  いずれにいたしましても、電気通信といいますのはこれから非常に多彩に発達をいたしまして、電信電話のほかに、データ通信とかさらに付加価値通信のように、今後この電気通信の発達によってどういう業態が出てくるかというのは、われわれの予測を超えるものがたくさん出てくるということが考えられておりますが、そういった方々と同じ立場で、いわゆる公社が格別のフェーバーも必要としないかわりに、公社がまた逆に格別のハンデキャップを負わない、こういう立場で電電公社というものは今後の電気通信の発展に対処していきたい。また、そういうことをやることによりまして、わが国の電気通信というのは、これからますます多彩に、また国民のニーズにこたえて発展できるだろう、こういうふうに考えているところでございます。
  231. 山中郁子

    ○山中郁子君 具体的にお尋ねしますが、そうすると、光ファイバーや衛星通信新規会社とも競争していく、こういうことになるわけですか。
  232. 西井昭

    説明員(西井昭君) こういう新規参入は、これは臨調の答申でも、一定の条件のもとに云々とございまして、そういう方をどういう条件のもとに認めていくかということは、これはすぐれて通信政策の問題でございまして、これは私どもも勉強をさしていただきたいと思いますが、すぐれて、郵政省を中心とします政府並びに国会の問題であろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、私どもは、どういう事態になりましても、公社としては、先ほどからいろいろ申し上げておりますような方針で進んでいき、また、そういうふうにできるようにさしていただきたいというのが公社の希望でございます。
  233. 山中郁子

    ○山中郁子君 当然なんですよそれは、政策の問題は。だけれども、実際は、新規参入者とイコールフィッティングし得る経営体制ということで文書にもちゃんと書いてらっしゃるわけです。だから私伺っているのよ。だったら、光ファイバーだとか衛星通信だとか、そういう人たちとも競争するということを考えているのか。——肝心なところに来ると、いやそれは政府が、とお逃げになるから困るんですけれども、問題点だけ指摘しておきますと、先ほどからの議論の中でも、公共性は重要な一つの項目であります、こうおっしゃってるわけね。これはいろんな面が言えますけれども、全国に電気通信を保障するという問題ですね。あなた方のおっしゃるように、イコールフィッティングだということでそうした競争をしていく、こういうことは、みんな、たとえば東京—大阪間とか、そういう幹線ですね、幹線のところにくるわけよ。そうしたら、料金安いものをつくられて、公社が経営上太刀打ちできるはずがないんですね、自由競争で。そうしたら料金下げなきゃいけなくなるのか。あるいは、東京と大阪だけ料金下げるわけにいかない、公共性の立場から。じゃあ地方間通信はどうなるのか。公共性の維持が保障できなくなるという問題も、あなた方の言うイコールフィッティングし得る経営体制だといって特殊会社をおっしゃっているけれども、そういう問題も出てきますよということを申し上げます。こういう点は、こういうことをおっしゃっている以上は、責任を持って、やっぱりちゃんとお考え方を示さなきゃ無責任だと思いますよ。  それからもう一つは、国会との関係です。これは昨年の質疑でも私申し上げましたけれども、あなた方がおっしゃっていることをずうっと聞いていると、どうも、特殊会社への移行を目指すということは、国会との関係を切りたい、こういうふうに常識的に考えざるを得ないんです。予算国会議決あるいは人事問題、あるいは料金法定制、こういうものを外したいということですか、結局は。
  234. 西井昭

    説明員(西井昭君) 公社が申し上げておりますのは、電気通信が新しい時代に移ってまいります、それに対応したいろんな諸制度あるいは電電公社運営のやり方というものをお考えいただきたいということでございまして、仮にその場合に公社がどういう形態になりましょうとも、国益とか利用者保護の立場からいろんな厳しい公共的規制を課されるということについては当然であると思っております。  また一方、何と申しますか、事業当事者の事業の執行の内部にかかわる問題につきましては、原則として自律的規制の強化を前提として当事者の責任ある決定にゆだねていただきたいということを申し上げておるわけでございまして、それを受けて御判断——どういうふうにそれを法律化をするかということは私どももまだそこまで検討は進めておりませんが、そういうことによりまして国会の統制を受けるものは受ける、外していただくものは外していただくと、こういう具体的な立法の案までは、私どももそこまでは検討を進めていないというのが実態でございます。
  235. 山中郁子

    ○山中郁子君 それもずるいお答えでありまして、すでに新しい時代にそぐわない料金決定の仕組みにより機動的対応が困難になっているというふうに述べているのです、料金法定制の問題でしょう。だから、そんなにたくさん何十もあるわけじゃなくて、大きく言えば、いま申しましたように、料金法定制、予算議決、それから人事あるいは事業計画の承認、こういう問題について国会議決を外したいというお考えなのですかというふうに伺っている。
  236. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま特に料金を中心としてお話がございましたので、料金について私どももそこまで詰めておるわけじゃございませんが、現在の料金決定原則といいますのは一応法律に書かれておりますが、これは非常に抽象的な書き方でございまして、この料金決定原則の考え方というものは、これは全くここから先は私の私見でございますが、もう少しきちんと法定をしていただいた方がいいのではないかという感じを持っております。  ただ、具体的な個々の料金につきましては、先ほど申しましたように、将来INS時代になってまいりますと電話もデータ通信もファクシミリも一つのシステムで一本の料金体系で提供できると、そしてそれがどういうものがこれから出てくるかわからない、そういう事態についてはできるだけ弾力的に対処できるようにお願いをいたしたいという考えを持っておりますが、この辺につきましてはすぐれて通信政策の問題であろうかと思いますので、一応そういうふうに考えておるということだけを申し上げたいと思います。
  237. 山中郁子

    ○山中郁子君 すぐれて通信政策の問題だとおっしゃりながらそういうことについて次々といろいろとおっしゃっているわけ。国会の議決も勘弁してほしい、民営化の方向だと、人を自由に動かしたい、首も切りたい、こういう内容のことも含めて公社の内外で、中ではもっと露骨にいろいろおっしゃっているわけです。そういうところを、私はまずそのごく一部しか明らかにできませんけれども、限られた時間の中で明らかにいたしましたけれども、要するにいまの総裁の御答弁初め公社の御答弁によると、私は三月十九日の毎日新聞が載せた論評、これは大変的を得ているというふうに思いました。  「ポスト臨調の課題」というところの4というのに、連載なのですけれども、出ております。   二月中旬、最終答申がほぼ部会報告通りに終わる見通しになったとき、財界出身のある臨調関係者は言い切った。二年間、五回にわたった答申で、これまで最も大きな改革は、国鉄の分割・民営化といわれてきたが、電電公社改革こそ今臨調の最大の功績であり、電電の分割・民営化が起爆剤となって、日本の産業構造が鉄鋼、自動車を基幹とする「重化学工業の時代」から、「通信・エレクトロニクスの時代」に大転換を遂げるというのである。   電電改革をまとめあげた第四部会関係者も「土光さん自ら、電電改革で産業構造の転換を強く主張した。「財界主導」の批判を恐れて、表には出さなかったが、部会での審議段階からそれが狙いだった」と証言。  財界主導なのですよ。財界主導で、先ほど私が簡単に図式的に申し上げましたけれども、労働者には首切りあるいは追い出し、労働強化、そういう犠牲を押しつけ、国民には過大な負担を押しつけ大企業に利益を保証する。そういうものを、あなた方が電電公社の内部から、そして臨調と一緒になって推し進めてきているというのが電電民営化の問題の本質であるということを私は重ねて指摘をいたしまして、私はあくまでも国民の重要な公共的手段である電気通信事業、これが本当に電電公社の形態の中でより民主的に国民立場に立って発展させるべきであるというわが党の考え方を申し上げ、特殊会社化、公社制度の廃止、そうしたものには絶対に反対であるという意思表示をあえて申し上げておきます。  今後も引き続きさまざまな議論が行われることになると思いますけれども、きょうはこの程度にとどめます。  最後に、別な問題で簡単に二点御質問をいたします。  昨日、私は設備料問題をちょっと申し上げたんですけれども、その中で営業局長が、私が設備料が不均衡ではないか、つまり不公平ではないかということを申し上げました。つまり、それは一般加入電話の場合の設備料の負担と、それからそのほかのビル電話だとかデータだとか、そうした場合にはうんと負担が軽くなる、率が軽くなる。それは不公平だということを申し上げたんですけれども、そうしましたら、局長ビジネスホンだとかそういうものを引き合いに出されて、第二義的だからと、こうおっしゃって、時間がなかったので私はもうそのときは重ねませんでしたけれども、そこはそういうことではなくて、データなりビル電話なりそういう付加使用じゃない基本使用であっても、一般の加入電話とそういうものとは莫大な違いがあるということを指摘いたしましたので、その点だけ明確に申し上げておきますが、御見解があれば伺いたい。
  238. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先ほどの先生の御質問にちょっと説明が舌足らずでございましたけれども加入電話設備料は現在八万円でございます。そして、いま御指摘のビル電話、データ通信回線等の設備料、これも実は加入電話設備料との均衡を図っていこうということで、前回改定をするまでは加入電話が五万円だったころにビル電話はたしか二万五千円だったと思いますけれども加入電話を五万円から八万円に上げましたときに、それとの均衡、料金の沿革、そういったものを総合的に勘案してビル電話は約三倍の八万円ということにいたしまして、現在これらのものの設備料は八万円ということにしてございます。これはその実態から見て必ずしもバランスを失しているとは考えておりません。  ただ、将来の問題といたしましては、きのうは現在この設備料の改定は考えておりませんと申し上げましたけれども、これからの公社の課題というのは、できるだけ安い料金で便利に電話をお使いいただけるようにしていくということは、これはもう公社として基本的にこれからやっていかなければならない仕事だと考えております。ですから、これからの料金体系のあり方を考えていく中で、現在の加入者との関係とか財政状態とか、いろいろ検討しなければいけない問題はあるわけですけれども設備料の問題も当然その中で検討していかなければいけないもんだと、私考えております。
  239. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵政省にお尋ねをいたします。  五十八年度の普通局、特定局の新規開局ですね。私もですけれども、全国的にいろいろ御要望も出ておりまして、私もお取り次ぎをしたり、また郵政省にお願いもしている部分がありますけれども、その辺の計画がおわかりでしたらお示しをいただきたいと思います。
  240. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 普通局の新設は神奈川県の海老名局と大阪府摂津市の摂津郵便局の二局でございます。  特定局の新設につきましては、予算上百局を現在お願いしておるという状況でございます。
  241. 山中郁子

    ○山中郁子君 これはちょっと具体的なものですけれども、前に私もお願いしたんですが、清瀬市の中清戸五丁目付近に郵便局の早期建設方をお願いしたいということで申し出ておりますけれども、この見通しはいかがでしょうか。それと百局の特定局の個所づけがまだ決まっていないんだと思いますが、個所づけが決まり次第御報告いただきたいということをあわせて御答弁いただきたい。
  242. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ただいま先生お尋ねの、東京都清瀬市中清戸五丁目に特定局の置局について柳沢という方から申請が出ております。来年度の特定局の設置は、ただいま申しましたように、予算上、百局をお願いしておりますが、これまでの過去の例から見ますと、東京郵政局に対する割り当ては大体九局前後、約十局ということでございまして、清瀬市の陳情されました個所は、付近の特定局との距離もわりあい遠うございますし、人口もふえておるという状況でございまして、いずれ将来、特定局を設置せざるを得ないというふうに考えておりますが、時期につきましては、東京郵政局でその他の陳情、希望等を勘案しましたところ、来年か再来年になるであろうというふうに申しております。
  243. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後に、電電の経営形態の問題で郵政大臣にお尋ねをします。  昨年の三月二十三日の逓信委員会でございましたが、私もこの問題につきまして質問いたしました。当時の箕輪郵政大臣がこのように御答弁なさっていらっしゃいます。「公衆電気通信事業国民生活にとって不可欠なサービスを提供するという高い公共性にあわせて強い独占性を持っておりますので、経営形態を検討するに当たっても、公共性及び効率性の確保並びに独占性からくるところの弊害防止を考慮しつつ、単に経営という立場からのみではなくて、広く国家的、国民的な立場から検討すべきものと考えております。」と。箕輪郵政大臣がいろいろおっしゃってはいるんですけれども、まとめて簡単に言えばこういうことを御答弁されていらっしゃる。この点は郵政大臣としてお考えがお変わりになっていないかどうかということを最後にお尋ねをいたします。
  244. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほど来、太田委員にもお答えをいたしたのでございますが、電気通信事業というのは、電話を中心といたしまして、国民生活の中で、あるいはまた社会経済活動の中で大変重要な密接不可分な通信手段となっておるわけでございますから、そこに重要な公共性を認めざるを得ないというのは、私は常識であろうというふうに思っておるわけでございます。  したがって、今後電電公社の経営形態を考えてまいります場合にも、それらの公共性の側面と、同時にまた、これから情報化の進む社会の中で、技術革新を伴いつつ新しい社会的な通信ニーズというものに対応できるような体制、それをあわせて考慮して電気通信行政の基本の考え方を固めた上で、私は経営形態の問題を最終的に判断すべきものというふうに考えております。基本的には、箕輪郵政大臣と変わらない考え方を持っておるわけであります。
  245. 山中郁子

    ○山中郁子君 終わります。
  246. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 腰が思わしくございませんので、座ったままで質問をやってよろしゅうございますか。
  247. 八百板正

    委員長八百板正君) どうぞ。
  248. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 朝からの質問でお疲れでございましょうから、私も端的に質問させていただきますので、お答えはなるべく簡潔にお願い申し上げます。プロパー ワーズ イン プロパー クエスチョンでひとつお願い申し上げます。重複する部分も多々あると思います。非常に簡単で結構でございます。  太田委員もお尋ねでございましたが、郵便貯金の赤字ですね、これは、たとえば昨年度を例にとれば幾らぐらいになっておりますか。
  249. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 昨年度、つまり昭和五十六年度で申し上げますと、単年度の赤字が千百億ほどございまして、その結果、五十五年度末に累積黒字でございましたけれども、五十六年度末には累積で四百七十億ほどの赤字になっております。
  250. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは発生主義に基づく経理をすれば、潜在赤字はもっとかさむんじゃないでしょうかね。
  251. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 国の会計は、先生御承知のように、原則として現在主義がとられております。郵便貯金特別会計につきましても、昭和二十六年度の制度創設以来、一貫して現金主義を採用いたしております。私どもとしましては、こうした経理基準を継続的に適用するということで事業経営の健全性の判断をいたしているわけでございます。私ども収入でございます預託利子の利率を決定するに当たりましても、この現金主義の収支ということを前提にいたしておりまして、発生主義に基づく収支の把握はいたしていないわけでございますが、経理基準を変えて経理をいたしますと、会計原則には二つございまして、もう一方の発生主義によれば当然相違は出てくると思います。その場合の相違は赤字がより大きくなるという方向になることには相なりますが、これはあくまでも会計原則の差から生ずるものであると考えております。
  252. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 一ころはどんどん郵貯にシフトしていって、常識的に言えば飛ぶ鳥を落とす勢いだった郵便貯金が、数年を出ずして赤字。原因は先ほどからるる承っておりますから結構でございますけれども、赤字を解消するための特効薬といいますと、鴨さん、どういうものを考えていらっしゃるんですか。
  253. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私ども、赤字の原因をまず考えたいわけでございます。私どもの赤字の原因というのは……
  254. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 簡潔に。
  255. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 郵便貯金の存在、あるいは郵便貯金の大宗をなします定額貯金の存在からくるのではなくて、その収入に当たります預託利子に問題があろうかというのが私どもの考え方でございます。で、この預託利子の利率のレベルでございますけれども、国の発行いたしております国債の応募者利回りに比べましても、はるかに低いレベルにあるということが当面いたしております赤字の原因であるというふうに見ております。
  256. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 自主運用ですね、これについてはどう考えていらっしゃいますか。うまくやれば赤字は解消するわけですか。
  257. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私ども郵便貯金はいわゆる国民生活の安定、それから福祉の増進を目的にいたしております。  自主運用のわれわれの主張の状況と申しますものは、こうした郵便貯金の目的からいたしまして、預金者の負託にこたえるということから、われわれ事業経営に責任を持つ者がみずから運用することが必要であるという考え方に基づいておりますが、この場合、直接運用をいたしますと、郵便貯金事業そのものにとりましては企業的経営基盤の確立に資することになりますし、さらに預金者サービス向上、それからさらには、金利自由化という、われわれも流れとして、傾向として受けとめざるを得ない、この金利自由化に対する対応のためにも必要なことであるというふうに考えております。その一環として経営基盤の確立にも資するであろうというのが直接運用をわれわれ主張いたしております一つの大きな根拠でございます。
  258. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、鴨さん、せっかく努力なされれば、比較的早期に赤字は解消するという見通しがあるわけですか。もちろん郵貯に対する攻撃も相当大きいわけですね。それについて確たる見通しがおありであれば、その時期を明示していただきたい。
  259. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私どもの自主運用の要求そのものは、先ほど申し上げましたように幾つかの要素がございます。自主運用をできるようになりますと、その一環として経営基盤の面にもプラスが出てくるという点がございますが、先生指摘の当面する赤字という問題に関しましては、これは現在いろいろ経済情勢等あるいは郵便貯金増加状況等も動いてまいりますけれども、現在の状況のまま推移をするといたしますと、直接運用とはかかわりなしに、現在の預託制度のもとでも、五十八年度は残念ながら赤字でございますけれども、五十九年度には改善の方向に向かいまして、六十年度あるいは六十一年度にはそれぞれ単年度黒字が見込まれております。したがって、六十一年度末になりますとほぼ累積赤字も解消するに至るであろうというのがわれわれの、大まかではございますけれども見通してございます。  したがいまして、これは直接運用、自主運用とは直には関係いたしませんで、現状のままでまいりましても当面しております赤字の解消の見通しはございます。  ただ、その上に直接運用がかないますれば、先ほど申しましたようなそのほかの効果も含めて、われわれとしてより充実した事業運営ができるというふうに考えているということでございます。
  260. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 金利を自由化する際に経営形態も見直そうじゃないか、これが臨調答申の一つに立てられているわけですけれども、金利自由化は従来から郵政省の主張するところであったわけですが、ここに少し矛盾がありはしないですか。
  261. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私どもは、金利の自由化自体につきましては、郵政省が主張する、あるいは郵政省がそれをリードして実現させるという性格のものではないと思っているわけでございますが、自由化というものは、金融の国際化あるいは国債の大量発行、いわゆる二つのコクサイの問題等からして起こってくる避けられない傾向であろうというふうに受けとめておるわけでございまして、その意味において郵政省と申しますか、郵便貯金事業としてもこうした自由化という状況には前向きな対応をしていかないと取り残されてしまうという気持ちでございます。  お話にございました臨調答申の問題につきましては、私どもとしてはそうした不可避の金利自由化、これがいずれやってくるであろう、そうした場合に、経営形態もそうでございますが、自主運用といった問題も含めて総合的に検討していく必要があるという趣旨というふうに受けとめている次第でございます。
  262. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 じゃそこに矛盾は何らないと見ていらっしゃるわけですね、臨調の答申といまあなたがおっしゃったお話の中には。
  263. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 自由化につきましては、現在いろいろ各方面、学者の方々も含めまして、将来どういう形になるのであろうかということが、金利の問題も含めて種々な角度から検討されている段階でございます。  臨調の答申でも確たる自由化のイメージを描いた上で出されているものではございません。  私ども、そういった意味で、この自由化の将来像というものが必ずしもいまの段階では明確ではないという前提のもとで、この経営形態なりあるいは私どもが考えております自主運用その他もろもろの問題がその段階において再検討されるべき問題であるというふうに受けとめておりまして、そういった意味合いにおいてこの答申を受けとめている、こういうところでございます。
  264. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 郵政省としては、この審議会に、これからどういう方向で審議を続けてもらいたいと考えていらっしゃるのですか、郵便貯金について。
  265. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 郵便貯金のあり方につきましては、一昨年郵政大臣から諮問をいたしまして、昨年の六月二十四日に郵政審議会から答申をいただいております。その中では郵便貯金は、個人金融分野を充実させるために、全国あまねく均一のサービスを提供する、そうしてそのサービスの下支え的あるいは先導的な役割りを持ったものとしてそれを果たしていかなければいけないということなどを含めまして、今後の方向についての貴重な御提言をいただいております。  そういった答申の趣旨を踏まえましてわれわれ事業経営に当たっていきたい、経済社会の動向に適切に対処してまいりたいと考えているわけでございますが、臨調の答申につきましては、場合によりましてはこの審議会とも御相談をする必要があろうかというふうにも考えておるところでございます。  しかし、基本的な郵便貯金のあり方に関する考え方はすでに昨年六月に示されているということでございます。
  266. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 郵政大臣にお尋ねいたしますけれども、臨調最終答申の主要項目と郵政省の考え方、これを拝見いたしますと、どうも全体の印象としては大臣、臨調の答申がお気に入っていないような印象を受けるわけですね。郵政省の考え方、非常にうまく書いてはありますけど、どうも最終的に申し上げますとなかなか臨調の言うとおりにはまいらない、そういうふうに感じますけれども大臣、いかがでございますか。
  267. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 臨調からは、郵政に関しまして、組織問題あるいは外郭機関の問題、また、郵貯、簡易保険等に関します幅広い答申があったわけでございます。私は大筋として臨調の答申に反対ということを言ったこともございませんし、そういう姿勢ではないわけでございますが、ただ郵便貯金等につきましては、私の感じから言いますと、民間金融機関の預金、それと郵貯の預金のシエアの問題に重点をおいた調整ということが非常に強調されておりますけれども、御案内のように、郵便貯金法は第一条で、郵便貯金というのは、国民の経済的生活の安定を図り、国民の福祉の向上に資するという目的でありますから、そのことは私はやっぱり郵便貯金運営する限り、預金者の利益について十分な配慮をすべきであるということが根本的理念であるというふうに思っておるわけでありますが、その辺についての答申の色彩ははなはだ乏しいように思われますので、その限りにおいて私はあの段階で、答申を受けました段階で素直に納得できるという心境にはございませんということを記者会見で言ったのでございますが、その心境はいまだに変わってないわけでございます。
  268. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 たとえばここのところですね、「郵便貯金への過度の資金の集中は、民間金融機関の預金の伸び悩みをもたらし、民間資金の円滑な供給という点で問題を生ずるおそれがある」、それについて「定額貯金は格別有利な商品とはなっていない。ビッグ、ワイド等の出現により、郵便貯金を含め預貯金全体は伸び悩みの傾向にある。」ということでございますが、貯金局長、全体として要するに私はやっぱり臨調の答申といいますのは、これだけの大きな機構を持っている官が民を圧迫したり、それから官が民と真っ向から勝負をするようなことはおやめなさいと。日本は自由主義社会なんですからね。そういうことを言いたかったんじゃないかと、こう思うんですが、その点についてどう思われますか。やはり民間が本当に生き生きとした新規商品をどんどん開発してやっていけば、結果として郵便貯金の伸び率がはなはだ鈍化してもそれはかえって結構なことじゃないんですか。
  269. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 臨調の答申の中の基本的な考え方が幾つかございます中で、官民補完論というのがございます。私どもといたしましては、郵便貯金が長い歴史を持ち、しかも国民生活に密着した幅広い個人サービスを全国津々浦々に提供しているということでございまして、私どもとしては、今後とも官民が共存をして、国民的な立場で官民が共存してサービスを提供していくということが事貯蓄の世界では必要なことではないだろうかというふうに考えております。  なお、シェアの問題でございますが、先生のお話にございましたように、私どもは私どもなりにてきるだけの利用者サービスを心がけておるつもりでございます。これからもまたそうしていくつもりでございますが、民間の側におきましても、これは臨調の答申の中でも何カ所か触れられているところがございますけれども、たとえば「過保護な金融行政」というふうな指摘もあるところでございまして、こういったあたりについては、シェアというものは結果的には預金者の選択でありましよう。  ちょっとお答えが長くなりますけれども、これまで定額貯金というものの存在というものが非常にこのシェアの問題でクローズアップされておるわけでございますが、先刻の御答弁の中でも、ビッグ、ワイドといった新しい商品が出現しております。そしてまた、これの出現によりまして定額貯金が格別有利な状態ではなくなってきております。民間のいわゆる銀行の定期預金との関係におきましても従来からも一定のバランスというものがあったわけでございます。現在もあるわけでございます。そうした中で両者が共存をし、競ってそのサービス向上させていくということがいまの日本の状況の中では国民にとって最も利益にかなうものではないかというのが私どもの考え方でございます。
  270. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 以前の逓信委員会で私は大蔵省の方に、過度の民業に対する保護は、これいわゆる船団護送行政とでも言いますか、好ましくないわけで、郵政職員の皆さんが本当に努力をして郵貯を勧誘される。これは大いに結構なことだと申し上げた記憶がございます。ありますけれど、やはり官民補完というんですかね、官は民を補完する。ここに書いてあります。これは臨調の答申は官民補完ですね、官業は民業を補充しつつ適切な役割りを果たしていく。ところが郵政省の考え方は官民共存ですね。共存と補充とは字を見ても違うわけですから、少しニュアンスが違うと思いますよ。私は、やはり時の流れというものがあるんですから、いまや郵政省は特に貯金業務に関しては官民補完の原則にのっとって答申の趣旨を生かしていくという方向で努力してくださることをお願いを申し上げておきたい、こう思いますが、それについては何か御異論はございますか。
  271. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 異論ということではございませんで、私どもの考え方をもう一度述べさせていただきますと、臨調の言われております官業は「民業を補完しつつ」というこの表現でございますけれども、一口に補完論ということで出ておるわけでございますが、先ほども申しましたように、事金融の世界、貯蓄の世界におきましては、私ども民間金融機関の発達、あるいは民間金融機関が提供されるでありましょう、現にまた提供もしておられる個人金融サービスといったものを決して足を引っ張ったりするというつもりはないわけでございまして、大いに発展をしていただきたいわけでございます。  その中で、ただ臨調も指摘しております、民間金融機関が対応が可能になったからもう郵便貯金はそこから手を引くのがいいのではないかというような意味での補完論に関しましては、私どもとしては先ほど申し上げましたように、現在の日本の状況からすれば、官業、民業がいい意味での共存関係ということでこれまでも来ております姿がこれから先においても心要なのではないか。おのずから、民間金融機関、いわゆる営利を目的にしております民間金融機関には限界があるでありましょうということを私どもの主張として申し上げているわけでございます。
  272. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 具体例を挙げてひとつお伺いしておきます。  いわゆる郵貯の外交員の存在ですね、これがおかしいんじゃないかという声があります。いまの共存か補完かということに関連してどうお考えですか、この外交員の存在意義といいますか。
  273. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 郵便貯金には御指摘のように外務員の制度がございます。民間におきましても、外務員というふうな表現ではございませんが、機能としての外務員、いわゆる外交活動というのは現にあると私ども承知をいたしておりますが、郵便貯金の場合の外務員の具体的な働きと申しましょうか、機能と申しますものは幾つかございますが、個々の御家庭を訪問する中での貯蓄心の涵養あるいは集金という形での少額貯蓄の実践、これはやはり貯蓄というものはそういった実践に移っていただくということが欠かせないことである。そしてまた窓口の補完的な機能というふうなこともあろうかと思います。  いまの日本でそうした外務員の活動はもう要らないのではないかという説もございますけれども、私どもとしては、やはりいわゆる金融、貯蓄の世界でこの種の実践的な活動、あるいは周知普及の側面を持ちました外務員活動というものは現在の段階では欠かせないものであるというふうに認識をいたしております。
  274. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 普及それから実践的活動とおっしゃいましたけど、その実践的な活動が結果において民を圧迫するか、民と真っ向から競合するというようなことがありますと、場合によっては官民補完論に抵触し、共存というよりもむしろ優位のうちに推移するという結果を招来しないとも限りませんから、一応私は事例として徴した次第でございます。  電電公社にお尋ねいたしますが、電話料金の遠近格差ですね、このスケジュールもう一遍教えていただけますか。
  275. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) ただいま国会審議をお願いしております公衆電気通信法改正は、大体法案成立後三カ月以内に実施をするように取り運んでおりますので、おおむね夏には実施できるものと考えております。
  276. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 どの委員会でもこれまでも私お願いをしてきたんですけれど、自動車電話ですね、あの料金もう一遍教えていただけますか。とにかく高いように思いますが。
  277. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 自動車電話の料金につきましては、自動車電話を架設されますときの料金加入電話と同じでございます。それから、毎月いただく基本料は月三万円ということでございまして、これはその自動車電話を利用される方の自動車に搭載する無線機器と、それから個々の加入者に対応する設備の費用をこの基本料で回収させていただくということにしております。  それから、通話料は通話をするために必要な共通の機器、アンテナ等の費用を通話料で回収させていただく。それらに一般の公衆のネットワークを使うわけですから、そのネットワークの料金にその分を付加するということでいただいておりまして、市内といいますか、百六十キロ以下は六・五秒十円ということでございますからおおむね一分百円、最高が三秒ですから、一分二百円ということで決めてございます。
  278. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この料金を改定する予定は具体的にありますか。
  279. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) これを安くするためには、やはり何といっても台数をふやしていかなければいけないわけでございます。台数普及を早めていくためには、やはり利用できるエリアを広げていかないと皆さん便利に利用していただけないということで、少し当初の予定を早めまして五十九年、あと二年ぐらいの間にはおおむね全国の県庁所在地ぐらいでは御利用いただけるようにしていこうということで設備投資を急速にいま行っておるところでございます。そのためにかなり先行投資をしておりますので、やはり今後の需要の出方にもよりますけれども、いまの見通しでは少なくとも六十年ごろまでは現行の料金でいかざるを得ないだろうと考えております。
  280. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それじゃ自動車電話の料金は自動車電話プロパーでお考えになっているのであって、自動車電話の料金がまあ結果的に高いわけですよ。普通加入電話の遠近格差は是正すると。全体として電電公社はもうかっているわけですから、それは別に、遠近格差を是正するチャンスに何も自動車電話をプロパーで考えなくたって、値下げしたっていいじゃないですか、四兆円からもうかっているんですから。それどうなんですか。
  281. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 基本料の問題と通話料の問題と二つあろうかと思います。そして、基本料につきましては、先ほど御説明しましたように、無線機器設備のコストということにしてございますが、こちらの方は技術革新が進めばかなり大幅に安くしていくことも可能ではないかと私どもは期待をしております。それから、量産ができるようになればかなり安くできるだろうというふうに考えております。  それから、通話料につきましては、これはやはり電話の方からそちらに補助をすればいいじゃないかというお話もございますけれども、まだまだこの自動車電話は何といいますか一万数千ぐらいの加入者でございますし、やはり一般の電話から見ますとかなりデラックスな商品だということもございまして、やはりこの自動車電話に要する経費は自動車電話の利用者の方々に負担していただくというのが原則であろうかと思っております。
  282. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そんな、シーザーのものはシーザーにみたいな言い方じゃなくて、あれでしょう、別にそうかたくなに言わなくたって私はいいと思うんですよ。それが真にやっぱりユーザーに対するサービスで、デラックスなものだから高くていいという理屈はちょっとアップサイドダウンなロジックだと思いますよ。  それから、実際使っておりまして、私、大阪ですけれども、奈良県へ入ったらもう聞こえなくなるんですね。京都府入ったらだめですよ。あれ、以前にもお尋ねしたんですけれども、中継局どうなんですか、もっとふやさないんですか。まあいまお金がかかるとおっしゃいましたけれども
  283. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) お答え申し上げます。  いま具体的に奈良県のお話も出たわけでございます。奈良県について申し上げますと、五十六年の九月に、御案内のとおり奈良市を中心とする四市、それからこれら四市を結ぶ国道二十四号線等、そういうところに沿いましてサービスをしております。まだ全域ではございませんわけでございます。それで、来年の春ごろまでには大和高田市を初め数市にサービスエリアを拡大していきたいということで、いま準備をしている次第でございます。それで、京都市はもうサービスエリアに入っておりますが、周辺まだたくさんございます。ここら辺は今後、逐次拡大というふうに考えております。  それからもう一つ、お隣の滋賀県もあるわけでございますが、滋賀県は電波としては県境を越えてちょっと出ていて、あるいは通話が可能かとも思いますが、サービスエリアとしては、大津市を初め来年の春ごろというふうに考えている次第でございまして、そういうことで準備を進めさしていただいております。
  284. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 市内で話をしておりましても、通話中に物すごいクリックが入りまして、ガーンというような音がしてびっくりするんですがね。やはり以前お尋ねしたときに、一つの中継局から次の中継局に乗り移るときにああいう雑音が入るんだという御答弁だったですが、改善されてませんね。何かそのことについて技術的な処置は講じておられるんですか。
  285. 村上治

    説明員(村上治君) お答えいたします。  以前にも先生から御質問ございまして、通話中に雑音が入るということでお答えをさしていただいたかと思いますが、自動車電話の通話品質は、そのサービスエリアの中でできるだけ良好な品質が保てるように方式設計しておるつもりでございますが、無線電波を使う性格上、どうしても一部のビルの陰であるとか、あるいは高速道路の下だとかというようなところでは必ずしも良好な電波伝搬の状況になってないかと思います。そういったところであるとか、あるいは極端な例がトンネルの中でございますけれども、トンネルの中になりますと雑音が発生し、あるいは最終的には聞こえなくなるということになります。  それからもう一つが、いま先生指摘の、基地局のエリアを切りかえる際に雑音が生ずる場合がございます。ただ、その場合でも、先生おっしゃるように、非常に大きな音ではないように思っておりますので、どうも基地局の切りかえで出るのではないんではないかというような感じがいたします。いずれにしましても、そういった大まかに言いますと三つぐらいの理由で雑音が一部出る場合がございます。  それで、二番目のトンネルの中につきましては、これは東京の中の場合で大変申しわけございませんが、まだ対策のできてないところがございます。これは道路管理者とのいろいろな交渉も必要でございますので、未実施のところがございますけれども、五十八年度にはできるだけそういった未実施のところに対しても対策をとりたい。  それから三番目のチャンネルを切りかえる際の、基地局のエリアを切りかえる際の雑音というのは、確かに約五十ミリセコンドですから、大体二十分の一秒ぐらいの時間で雑音が出る場合がございます。ただ、これは現在の方式の上から言いますと、どうしても避けられないことになっておりますが、私どもはこの次の方式といたしまして、自動車電話がどんどんふえてまいる、そうなってまいりますと、できるだけ電波を有効に利用しながらたくさんの需要にこたえるという新しい方式の開発に着手をいたしました。それで、この場合には、先生指摘の、基地局の間を切りかえる際の雑音の全く出ないようなことを心がけたい、それをぜひ実現したいということで設計を進めておりますけれども、もう少し時間をいただきませんと、それの完全な解決にはならないということで、いましばらくお時間をちょうだいしたいというふうに考えております。
  286. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先ほどの総裁の五十八年度予算案内容説明の中で、研究実用化計画については、衛星通信INSモデルシステム等技術研究実用化を一層促進することとし、調査研究費総額は九百三十九億円となっております、こうありますね。  私が長々と自動車電話について質問いたしましたポイントも実はここにありまして、けさほど来からお伺いしておりますと、技術革新は秒進時歩の勢いで進んでいるし、電電公社の職員も新しいジャンルにどんどん人材を活用していきたいということでございましたね。  しかし西井さん、脚下照顧という言葉がありますけれども、電電公社が何のためにつくられたのか。まず電話でしょう。電話ですよ。その電話をかけているときに不快な雑音が入ったり、そんな状態を解消もしないで、やれINSだとか、やれデータ通信だとか、そんなことに莫大な金を、しかもその収入のうちの三兆八千二百六十九億円は電話収入でしょう。その多くの部分が、一千億になんなんとする非電話系の研究開発に主として投じられているという、こういうアンバランスですね。これは、私はやっぱりぐあいが悪いんじゃないかとも思うんですがね。これについてお考えを、西井さん、聞かしていただけますか。
  287. 山口開生

    説明員(山口開生君) ただいま先生指摘の、電話系、非電話系に対する調査研究費の分系のお話でございますが、先生もこれは私が申し上げるまでもなく、特に最近の電気通信技術の発展というのは、電話系、非電話系というものを問わず、いわば情報通信技術という形で発展をしてまいっておりまして、特に技術的な話で、ディジタル技術というものが最近急速に進歩してまいっておりますが、この技術は本来から言って映像であれ、ファクシミリであれ、あるいは電話であれ、各技術分野におけるサービス分野における共通の技術を持っております。したがいまして、電話系で研究開発費幾ら、あるいは非電話系で幾らということが、一体どれだけ使っているか分系がしにくいのが現実でございます。あえて、たとえばコンピューターとか、あるいはファクシミリとか、これはもう電話ではないということのために研究開発費を使っているということを分系しますと、これは九百三十億のうち二百億以下の金額になろうかとも思いますが、そういうことで原則的には、本質的には電話系、非電話系、共通の技術をわれわれは開発をしておるところでございまして、そういう意味では、その技術がすぐやはりいまの自動車電話等の雑音なり、そういうものの開発に向けられてないという御批判はあろうかと思いますが、それはそれで別途対策を講じてまいりたいと思っております。
  288. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私は、そういうテクニカルなことはわかりませんけれども、私が申し上げたいのは、電電公社はやはり電話ですから、ということはいたずらに新しいものに飛びついて国民がそれをもろ手を挙げて歓迎するかどうかもわからないうちに、それが国民に対するサービスであると誤解をしないようにじっくりと足を地につけてやっていただきたい。一方で、私は電電公社の存在が世界をリードする存在であることは、これは横須賀通研を見せていただいても痛感をしているんです。承知の上で言っていることですけれど、常にやっぱり初心に帰って真に国民に対する良質なサービスを電電公社が提供するとすれば、それは何なのかということをお考えになりながら今後研究を続けていただきたい、そういう意味でございます。
  289. 西井昭

    説明員(西井昭君) いま先生が御指摘ございました御趣旨を十分体しまして今後研究活動にも力を入れてまいりたいと思っております。
  290. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先ほど山中委員の質問の中で、INS建設に、一説によれば三十兆、またこれが四十兆かもわからない、二十兆かもわからないという御発言がありましたけれど、どうなんでしょう。本当に三十兆かかると思っていらっしゃいますか。
  291. 山口開生

    説明員(山口開生君) 二十兆とか三十兆という数字はいろいろな仮定を置いて出た数字でございまして、たとえば現在の電電公社が持っております設備投資投資されます設備総額を足しますと約二十兆ぐらいの建設投資をやってまいっております。したがいまして、これがそのまま現在電話全部充足しておりますので、新しい設備に全部変えたとすればほぼ二十兆ぐらい要るんではなかろうかと、これは一つの目安になるかと思います。  しかし、私どもは先ほどから申しておりますように、技術革新に伴いますコストダウンというものを図っておりますので、いまのものを、いままでかかった投資でもってできるんでは全く能のない話でございますので、これを一〇%あるいは二〇%なりのコストダウンでもって設備をしていきたい、それが技術の進歩だと思っておりますが、いずれにしましても、そういうことからそのオーダーが出たものだと思っております。
  292. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その三十兆——仮に三十兆といたしまして、それは結果として大企業にもうけさせるための三十兆であるのか、国民に犠牲を強いるための三十兆であるのか、その点はどうお考えでございますか。
  293. 西井昭

    説明員(西井昭君) 私どもがいま構築を始めようとしておりますINS構想につきましては、これはやはり究極的にはお客さんの一人一人がより安く、より豊富で、より便利なサービスを受けていくということを目標としておりまして、それは当初新しいものが出たときに企業側が多く使うということはあろうかと思いますけれども、やはりテレビの普及を見ましても、企業が先に使って、後それによってコストダウンが図られて一般家庭に入っていくという、こういった新規製品の開発の過程がございますが、あるいはそういうような過程も経るかとも思いますけれども、いずれにせよ、私どもはいま言いましたように、一般の家庭、各個人があまねく便利な物を使っていただくということを目標としております。
  294. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総裁にお尋ねいたしますが、まあ朝からの討論を私お伺いした上での質問でございますが、総裁、やはりなんでございますかね、ゆくゆくは電電公社は、三十数万職員のためにも、形態は幾つかあるにしても民営が望ましいとお考えでございますか。
  295. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私申しておりますのは、あるいは考えておりますのは、要するに電気通信事業というものは世の中のための電気通信事業でありまして、それがいろいろな技術革新なり世の中の社会の動きのメカニズムに合わせて適応していきます場合に、いろいろな姿が途中は出てくると思います。しかしながら、究極的には一般国民全体の方々が新しい便利なサービスを安く自分の所得の範囲内で気がねなしにお使いいただくという形に持っていくのが私どもの義務だというふうに考えております。そこへもっていく途中の過程といたしまして、いろいろな問題が出てきますが、さっきもちょっと触れましたけれども、職員に犠牲を強制しなきゃならぬような過程をたどる方向は絶対にとるべきではないというふうに考えております。もちろんたとえばINSの場合でありましても、自動車電話の場合でありましても、事が始まってそれが緒についた過程では、やはり負担力、支払い能力のある方々が、加入者が先に使っていただいて、それによって量的にふえ、それがだんだん財務基盤の強化につながりながら一般のだれにも使える状態に値段を落としていくということが今日までのいろんな新しい商品が世の中に出てきて普及していく一つの過程でございまして、この過程はやはり前提として考えておかなきゃいかぬ過程だというふうに考えております。  たとえば自動車でありましても、いまから三十年前は全く業務用だけであったはずでございまして、それがいま一般家庭に普及しておる。テレビもやはりそうであったということは記憶に新たなところでございまして、私どものこのINSというものによる新しい電気通信サービスもやはりその過程をたどっていかなければ世の中のお役に立つようなものにはなかなかなりかねるというふうに実際問題として考えております。  私どもがいま考えておりますのは、いま世の中で一般家庭に要らないから要らぬのじゃないかというふうにも考えられますけれども、この傾向はさっきも触れましたけれども、日本だけの問題じゃございませんで、世界各国がその方向にいま急速に変革をしておる状態でございまして、もし日本がこれにおくれますと、かつてハワイからアメリカ全土に即時ダイヤルで電話がつけられたアメリカと、東京—福岡で三時間、四時間待ってもなおかつ電話が通じなかったというあの違いがまた再び出てくる危険性が多分にあるんじゃないかというふうに考えております。そういう意味で、私どもこれから先何年かかるかわかりませんけれども、その方向へ着実に進んでいかざるを得ないというふうに考えているのが現状でございます。
  296. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということは、総裁、臨調の今回の答申について非常にこれを評価すると理解してよろしゅうございますか。
  297. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 物の考え方の基準によっていろいろ評価の判断の仕方はあると思いますが、現実にわれわれいまの立場で何かああいうふうな方向の変化を決めていただければ、いま申しましたような責任を果たせるんじゃないかなというふうに考えているのは事実でございます。
  298. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 重ねてお伺いいたしますが、まあこれはサブジャンクテイブユースで結構でございますけれども、仮に電電公社が株式会社になるといたします。それは総裁のお考えとしては、株式会社になるということは、たとえば公社法三十一条の制約を脱する、国会の制肘から抜け出る、自由に労働者の首が切れるようになる、そういうことのためにいまおっしゃったような御発言でありますのか、それとも全くそうではないのか、その点について御確認をお願いいたします。
  299. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 全く逆の考え方から申し上げておるわけでございます。
  300. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大変結構でございます。  総裁はまあリコンストラクターのチャンピオンとして数々の手腕をこれまでもふるってこられたわけでございます。戦闘的経営者として、公社職員のみならず国民のために、いまるる開陳してくださいました哲学といいますか、御方針といいますか、経営の指針といいますか、そういうものを実現するためには一千万人といえどもわれ行かんという気概を持って私は当たってくださることを心からお願いをしておきたいと思います。  先ほどお伺いしておりますと、他の委員の質問に対して、政治の流れがありますとか、そういうものには従わなければなりませんとか、何かちょっとあいまいなことをおっしゃっておいでになりましたので、その点でひとつ一大勇猛心を持って公社のために、国民のためにがんばってくださることをお願いを申し上げておきたいと思います。  大臣にお伺いいたしますが、十八日の午後、この電電、専売の改革を具体化するための法案提出について、時間がないため無理だと、まとまれば国会に提出してもよいが、だめとわかっていて無理をする必要はないと述べて、両法案の今国会提出を事実上断念する意向を明らかにした、こういう記事が出ておりましたけれど、これはそのとおりでございますか。
  301. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 私も政府首脳の話として報道されたことは承知いたしておりますが、郵政大臣として、政府内部からもどこからも正式にそのような話を聞いた、あるいは協議を受けたということはございません。
  302. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということは、郵政省は時間がないため無理だ、逆に言えば、時間があれば、この改革を具体化するための法案を提出なさる御意思でございますか。
  303. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 中村委員も御承知のように電電の経営形態の改革の問題については臨調の答申ははっきりしておるわけでございますが、ざっくばらんに申し上げまして、臨調の答申と、現状のままでもいいではないかという御議論の方もおるわけでございます。その間で調整を図る必要がありまして、昨年九月二十四日の行革大綱においては、政府・自民党行政改革推進本部常任幹事会で各方面の意見を聞きつつ調整を図るということでございますから、私どもはその調整を受けて法制的に法律的な作業、つまり法案立案の作業は私どもの責任であるというふうに思っておりますから、実体法について、どのような場合にはどのようなことを考えてやらにゃならないかということについて検討を進めておるわけでございます。私は、この時間の関係というのはなかなかむずかしいのでございますが、申し上げました行革推進本部において大筋についての調整ができるならば、私は郵政省として今国会に出す時間的余裕がございませんという気持ちではございません。
  304. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大変心強い御答弁をいただきました。  ちょっと言葉の定義についてお伺いしておきたいんですが、郵政省、民営化というのは具体的にはどういうことを意味するんでしょうかね。
  305. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これも非常に教科書の返事のようなことを申し上げますと、民営というのは商法に基づいて設立されるということだろうと思います。特に典型的な形が株式会社ではなかろうかと思います。一般に社会的に妥当な利潤を追求していくということを基本とするものでございまして、市場原理あるいは競争の原理を通じまして企業目的の達成を図って、結果として、企業性、効率性を発揮すべきものであると。したがって、市場原理が働く場において公正な競争をして、得られた利潤を出資者に還元していくものであると、このように理解いたしております。
  306. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 公社の総裁は、言外にではありますけれど、将来とるべき電電公社の道として、いま定義をお伺いいたしました民営化の方向が望ましいというふうに御発言になったと私は理解しております。臨調の答申もまたその方向を示しているわけでございますが、郵政大臣はこの臨調の答申について、民営化——いまおっしゃったように、最終的には株式会社、利潤追求ですね、どうお考えでございますか。
  307. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま申し上げましたように、閣議の決定に従って私どもは行動を進めていかなければならぬということでございますから、政府・自民党行革推進本部の常任幹事会で調整がされたものを受けて私どもとしては立案、検討の作業に入るというのがわれわれの役目であるというふうに思っておりますし、これまた他の委員の御質問にお答えいたしたのでございますが、そういう体制をとっております中で、郵政大臣が民営を是とする、あるいはこういう形を是とするというようなことを判断を示しますことは、これは船頭が二人も三人もできたようなことになりますので、私は厳に慎んでいきたいというふうに思っておりますので、とかくのコメントをお許しをいただきたいと思います。
  308. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 じゃ、この経営形態問題ですね、電電公社について言えば、その最終決定権はどこになるんでしょうね、その機関といいますか。
  309. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 先ほどから大臣がるる申し上げておりますように、いわゆる大枠につきましては政府・与党の行革推進幹事会においていろんな調整をいたしまして、その推進本部で大枠を決めていく、その後の立法化につきましてはこの責任は政府にあると思っております。  以上でございます。
  310. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 中曽根総理大臣が行政管理庁長官のときに、行革三昧とおっしゃいました。やっとその待望久しい最終答申が出そろいました。その中で郵政省関係のマターもたくさんあるわけでございますけれども、私は野党の委員ではありますが、やはり行財政改革、それに伴う臨調の答申の小骨一本抜かない実行というのは、これは国民の総世論だと思います。私も委員の一人として、この委員会でもしそれに関係したことが討論され、かつ法律案としてこの委員会に付託された場合は、前向きに必死になってその実行にがんばってまいりたい、こう思っている次第でございます。総理大臣みずからが先頭を切っておやりになっているという臨調の答申でございますから、郵政大臣初め皆さん、政府委員の方も、ひとつ臨調答申の一〇〇%の実行についてせっかく御努力くださることをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  311. 八百板正

    委員長八百板正君) 本件に対する本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十三分散会