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政府委員(関根則之君) 御指摘をいただきましたように、十二月一日に大蔵省と自治省の間で、従来からとられておりました国税と地方税との間の徴税問題につきましての資料の交換その他協力
関係をさらに推進いたしまして、税務執行の国、地方を通ずる効率化、能率化を図っていこう、こういうことを実施に移すわけでございます。
その中で一番大きな問題は、所得税の確定申告をいたしますときに、その申告は地方の住民税の申告としての
意味を持つものですから、
一つの申告をいたしますれば住民税の申告はわざわざ別にする必要はない、こういう仕組みになっておるわけです。ところが、所得税の申告をいたしましたものが税務署に保管されておるわけでございますが、それを地方団体が利用いたしますためには、それのコピーをとりに行かなければいけない、こういうことになっておりまして、大変その
事務がふくそうをいたしたわけでございまして、何とか複写をとれないかということが長い間地方団体から切実な要請として出されていたわけでございます。
この際、この問題につきましても片をつけようということで話し合いがつきまして、五十八年度の確定申告から申告書の
用紙の中に一枚複写を挿入いたしまして、地方団体に閲覧できるための写しをとれるようにする、こういうことが決まったわけでございます。ところが、実際これを実務に移してまいりますためには、いろいろ実務
段階での細かい詰めを必要といたしますので、
具体的にその
内容についてどういうふうなやり方をしていくかということについて、細かい詰めを大蔵省との間で、御指摘ありましたように五月末までを目途に現在詰めているところでございます。
御指摘のように、その
内容は六項目あるわけでございますが、
一つはそもそもそういう閲覧用の写しをつける申告書の種類をどうするのかということでございまして、確定申告書の
様式は五種類ほどあるわけでございます。通常使いますのは
一般用ということでございますけれども、それから還付用というのも使われております。そのほか分離申告用でありますとか、青色申告でありますとか、こういったようなものがあるわけでございますけれども、それらをすべて対象にして閲覧用の写しを入れるのかどうか、あるいは
一般用というごく普通のものだけに限定するのかどうか、こういった問題についても検討をしているところでございます。
また、申告書に閲覧用の写しを加えますと、従来の申告書の
様式ではちょっと不便であるという問題も起こってまいります。ワンライティングで上の数字を入れますと下まで全部写っていく、そういうやり方をとりたいために、従来申告書の裏面に書かれておりましたものを表面に持ってまいりまして、それを書けば閲覧用写しにまですべて必要事項が写ってくる、こういう仕組みにする必要もございますので、そういったそもそも申告書
そのものの編成の仕方をどういうふうにしていくのか、こういった問題もございます。
それから、
市町村の閲覧用写しの対象とならない項目なり添付書類の閲覧というものがどうしても残ってしまいますので、そういった問題をどこまで限定をし、また実際の閲覧をどういう形でやっていくか、そういう問題が第三番目でございます。
第四番目が、申告事項に訂正が行われることがしょっちゅうあるわけでございますけれども、その訂正が行われたものを
市町村にどういう形で連絡をしていくのか、閲覧用の写しにそれがうまく乗り移るような形で処理ができないのか、その辺の
事務処理の問題も詰めていかなければいけないということ。
それから五番目が、当然新しく
様式を変えたり、閲覧用写しを追加するわけでございますので、経費が掛かり増しをしてまいります。その費用負担をどういう形で分担し合うのか、これは当然全額国に負担させるということは無理でございますので、
市町村なり都道府県なり地方サイドで応分の負担をしなければいけない、こう思いますけれども、その
具体的な費用負担をどうするのかということが問題にされておるわけでございます。
それから六番目の問題といたしましては、その他細かい必要な事項がございまして、実際に閲覧用写しを
市町村が参りまして分離しなければいけないわけですから、その分離の場所をどこでやるのか、だれがやるのか、それからそのときに資料等が散逸しないように管理しなければならないという問題もあろうと思います。そういった細かい問題につきましてもろもろの事項を詰めていく必要があるわけであります。
以上六項目について、現在大蔵省の国税当局が中心でございますが、それとわが方で
事務的な詰めをやっております。なお、その詰めをやる
段階におきましては、実際に地方団体におきまして徴税
事務に携わっている
人たちの現場の生の声を反映させる必要がございますので、そういった方々の
意見も伺いながら詰めているところでございます。
いまの進行状況からまいりますと、ほぼ予定どおり五月中には結論が出し得るものと考えておりますけれども、
内容なりあるいは結論的なものについて現時点で申し上げる
段階にはないわけでございます。