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1983-05-10 第98回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員の異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     小笠原貞子君  四月二十六日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     神谷信之助君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宮田  輝君     理 事                 松浦  功君                 志苫  裕君                 田渕 哲也君     委 員                 岩上 二郎君                 金井 元彦君                 上條 勝久君                 小林 国司君                 後藤 正夫君                 原 文兵衛君                 佐藤 三吾君                 大川 清幸君                 神谷信之助君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣  山本 幸雄君    政府委員        内閣法制局第三        部長       前田 正道君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     坂  弘二君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁次長    大嶋  孝君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        文部省社会教育        局社会教育課長  石井 久夫君        運輸大臣官房審        議官       武石  章君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (昭和五十八年度地方財政計画に関する件) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、地方行政改革に関する調査議題といたします。  昭和五十八年度地方財政計画について政府から説明を聴取いたします。山本自治大臣
  3. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 昭和五十八年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  昭和五十八年度地方財政につきましては、引き続き著しい収支不均衡の状態にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面におきましては、地方税負担公平化適正化受益者負担適正化等による収入確保を図るとともに、地方交付税所要額確保することとし、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。  昭和五十八年度地方財政計画は、このような考え方を基本として策定しておりますが、以下その策定方針について申し上げます。  第一に、地方税負担現状地方財政実情とを勘案し、地方税負担公平化適正化を図るため、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等税率調整非課税等特別措置整理合理化等を行う一方、住民税所得割非課税措置存続等を行うこととしております。  第二に、地方財政運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十八年度地方財源不足見込み額については、地方交付税の増額と建設地方債増発により完全に補てんすることとしております。  第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民福祉確保住民生活に直結した社会資本整備等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、福祉施策及び教育文化振興対策等推進を図るための財源を充実するとともに、投資的経費所要額確保することとし、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化一般行政経費抑制及び国庫補助負担基準改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。  以上の方針のもとに昭和五十八年度地方財政計画を策定しました結果、歳入歳出規模は、四十七兆四千八百六十億円となり、前年度に比し四千三百十八億円、〇・九%の増加となっております。  以上が昭和五十八年度地方財政計画概要であります。
  4. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 次に、補足説明を聴取いたします。石原財政局長
  5. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 昭和五十八年度地方財政計画概要につきましては、ただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明いたします。  明年度地方財政計画規模は、四十七兆四千八百六十億円で、前年度に比較して四千三百十八億円、〇・九%の増加となっております。  次に、歳入について御説明いたします。  まず、地方税収入見込み額でありますが、道府県税八兆三千四百九十一億円、市町村税十兆七千百九十八億円、合わせて十九兆六百八十九億円であります。  前年度に比べて道府県税は四千五百七十九億円、五・二%の減、市町村税は四千三百二十五億円、四・二%の増で、合わせて二百五十四億円、〇・一%の減となっております。  なお、地方税につきましては、地方税負担現状地方財政実情とを勘案し、地方税負担公平化適正化を図るため、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等税率調整非課税等特別措置整理合理化等を行う一方、住民税所得割非課税措置を存続することとしており、これらにより三百七億円の増収を見込むこととしております。  また、地方譲与税収入見込み額は四千八百八十一億円となっております。  次に、地方交付税につきましては、昭和五十八 年度の国税三税の三二%分八兆五百十八億円から昭和五十六年度分の精算額八千五百二億円を減額した額七兆二千十六億円に、特例加算分千百三十五億円、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金二十億円、返還金二億円並びに同特別会計における資金運用部からの借入金一兆八千九百五十八億円を加算した額から、同特別会計借入金利子について同特別会計で負担することとした額三千四百四十六億円を控除した額八兆八千六百八十五億円といたしました結果、前年度に対し四千六百十五億円、四・九%の減少となっております。  国庫支出金につきましては総額十兆三千九百七十二億円で、前年度に対し四千八百九十九億円、四・五%の減少となっております。これは生活保護費国庫負担金及び義務教育費国庫負担金などが増加した反面、公共事業費補助負担金などが前年度より減少したこと、老人保健法に基づく医療に要する費用に係る国庫負担金を計上しないこととしたこと等によるものであります。  次に、地方債でございますが、普通会計分地方債発行予定額は五兆十一億円で、前年度に対し一兆一千九百十一億円、三一・三%の増となっております。増加することとなりましたのは、地方財源不足に対処するため、建設地方債を一兆三千二百四十六億円増発することとしたことによるものであります。  なお、地方債計画全体の規模は七兆五千四百十一億円で、前年度に対し一兆八億円、一五・三%の増となっておりますが、建設地方債増発分を除いて比較しますと、前年度に対して三千二百三十八億円、五・〇%の減となっております。  以上のほか、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、公立高等学校授業料等の改定を見込むとともに、最近における実績等を勘案して計上いたしております。  その結果、歳入構成におきましては、地方税が前年度の四〇・六%に対し、〇・四ポイント減の四〇・二%となり、これに地方交付税及び地方譲与税を加えた一般財源は前年度の六一・四%に対し、一・五ポイント減の五九・九%となり、反面、地方債は前年度の八・一%から一〇・五%へとそのウエートが上昇しております。  次に、歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、総額は十三兆六千六百十四億円で、前年度に対し二千五百六十億円、一・九%の増加となっております。これに関連いたしまして、職員数につきましては、教育、警察、消防関係職員について所要の増員を見込むと同時に、それ以外の一般職員については、所要職員措置する一方で、国家公務員定員削減方針に準じ定員合理化を行うこととし、一般職員全体としては職員数純減を図ることとしております。  次に、一般行政経費につきましては、総額十兆八十七億円、前年度に対し、千五百四十四億円、一・五%の減となっておりますが、このうち国庫補助負担金等を伴うものは四兆六千七百四十八億円で、前年度に対し三千二百五十六億円、六・五%の減となっております。これは生活保護費児童保護費老人保護費などが増加する反面、先ほども述べましたように老人保健法に基づく医療に要する費用に係る国庫負担金を計上しないこととしたこと等によるものであります。  国庫補助負担金を伴わないものは五兆三千三百三十九億円で、前年度に対し千七百十二億円、三・三%の増加となっております。この中では社会福祉関係経費を充実するほか、高等学校以下の私立学校に対する助成経費として二千二百二十六億円、年度内及び年度越し回収貸付金として一兆六千二百八十一億円、災害等年度途中における追加財政需要に対する財源として四千五百億円等を計上いたしております。  なお、内部管理的な一般行政経費は極力抑制するとともに、旅費、需用費等について経費節約を見込んでおります。  公債費総額四兆七千五百七十四億円で、前年度に対し四千九百五十九億円、一一・六%の増加となっております。  次に、維持補修費につきましては、計画的補修必要性等事情を考慮するとともに、一般行政経費と同様、経費節約を見込むこととし、前年度に対し百二十億円、一・九%増の六千二百七十八億円を計上いたしております。  投資的経費につきましては、総額十六兆九千二百六億円で、前年度に対し五百八十三億円、〇・三%の減となっております。このうち直轄、補助事業につきましては、文教施設費等の減により〇・七%の減となっております。  一方、地方単独事業費につきましては前年度と同額の八兆五千五百三十六億円を計上いたしております。  また、公営企業繰出金につきましては、交通、上下水道、病院等国民生活に不可欠なサービスを供給している事業について総額一兆八百一億円を計上いたしております。  以上のほか、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入状況等事情を勘案して所要額を計上いたしております。  その結果、歳出構成におきましては、一般行政経費は二一・一%で、前年度に対し〇・五ポイント、投資的経費は三五・六%で一則年度に対し〇・五ポイントそれぞれ低下している反面、給与関係経費は二八・八%で、前年度に対し〇・三ポイント、公債費は一〇・〇%で、前年度に対し一・〇ポイントそれぞれ上昇しております。  以上をもちまして地方財政計画補足説明を終わらせていただきます。
  6. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 以上で説明の聴取を終わります。     ─────────────
  7. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本自治大臣
  8. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政現状にかんがみ、地方交付税総額確保に資するため、昭和五十八年度分の地方交付税総額に係る特例を設けるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費財源措置するため、地方交付税算定に用いる単位費用を改定するほか、交通安全対策特別交付金地方交付税の額の算定に用いる基準財政収入額に算入するとともに、同交付金交付に関する経理交付税及び譲与税配付金持別会計において行うこととし、これに伴い同交付金の額及び用途等についての所要規定整備を図る等の必要があります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  昭和五十八年度分の地方交付税総額については、現行の法定額に、特例加算することとした千百三十五億円、臨時地方特例交付金二十億円及び借入金一兆八千九百五十七億五千万円の合算額を加算した額から昭和五十八年度分の利子として国債整理基金特別会計に繰り入れられる金額のうち三千四百四十六億円を減額した額とすることとしております。  なお、借入金一兆八千九百五十七億五千万円につきましては、昭和六十四年度から昭和七十三年度までの各年度に分割して償還することとし、そのうち二千八十四億円についてはその十分の十に相当する額、それ以外の額についてはその二分の一に相当する額を昭和六十四年度から昭和七十三年度までの各年度において臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定に繰り入れ、当該各年度地方交付税総額に加算することとしております。  次に、昭和五十八年度普通交付税算定方法については、老人保健制度の実施に要する経費障害者福祉等福祉施策に要する経費教職員定数改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設市町村道下水道等生活に直結する公共施設維持管理に要する経費並びに過密過疎対策消防救急対策公害対策等に要する経費財源措置し、あわせて投資的経費については地方債振りかえ後の所要経費財源措置することとしております。  さらに、昭和五十七年度において発行を許可された地方税減収補てん債及び地域財政特例対策債元利償還金基準財政需要額に算入することとしております。  また、交通安全対策特別交付金については、これが地方団体の普遍的な財源であり、かつその額も地方団体間の財源調整上、無視し得ないものとなってきたこと等の事情にかんがみ、これを基準財政収入額に算入することとしております。  なお、法人関係税等に係る基準税額精算を三年度以内に行うこととしております。  第二は、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正に関する事項であります。  昭和五十八年度における交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定借入金限度額を引き上げるとともに、昭和五十八年度における同勘定借入金に係る臨時地方特例交付金の額について規定することといたしております。  また、交通安全対策特別交付金交付に関する経理交付税及び譲与税配付金特別会計において行うこととし、これに伴い、同特別会計交付税及び譲与税配付金勘定交通安全対策特別交付金勘定に区分する等所要改正を行うこととしております。  第三に、道路交通法の一部改正に関する事項であります。  交通安全対策特別交付金は、道路交通安全施設管理に要する費用で政令で定めるものにも充てることができることとし、あわせて同交付金の額は、反則金収入相当額等から通告書送付費支出金相当額及び郵政取扱手数料相当額合算額を控除した額とし、毎年度これを九月及び三月に分けて交付することとしております。  以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  なお、本法律案については、衆議院において、「昭和五十八年四月一日」と定めている施行期日について、すでにその期日が経過しているので、これを「公布の日」に改めるとともに、これに伴い所要規定整備を図る内容で、修正可決されております。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 宮田輝

    委員長宮田輝君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっとこの間に引き続きましてBG財団の問題について、まず続きの質問をしたいと思うのですが、日本船舶振興会笹川会長、このBG財団理事長でもあるわけですが、その方の強い願いといいますか理念というようなものをもとにして、BGプランと言われるこの運動を推進をするために幾つかの仕事がやられておるが、そのうち地域海洋センターを各地につくって、自治体がそれとかかわって土地を提供したり、あるいはまたでき上がった施設を借りたり運営をしたりということをやっておるいきさつをこの間一通り話をいたしまして、なぜ自治体がそれに食いついておるのかといいますか、受け入れておるのかというと、セールスポイントがあるわけで、土地ただで貸してくれれば建物をただでつくってあげます、それは無償自分で借りて運営ができます、自主的に運営できます、三年たったらただであげますというのがセールスポイントになっておるが、いわばそういうセールスポイントに食いついて、自治体がこの間いろいろ指摘したように非常に問題のある行政運営をしておるということを申し上げたのですが、以下続けて聞きます。  まず自治省、この運営委託契約というのは法律第何条の行為ですか。
  11. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 地方団体契約を締結いたします場合には、いろいろな契約があるわけでございまして、地方団体の長の権限として契約締結権があるわけでございますが、場合によりましては議会議決を要するような契約もある、原則的には第百四十九条で地方公共団体の長が契約を締結する権限、これに基づきまして行われておるものと存じます。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、長の担任事務ということですね。これは議決を必要としますか。
  13. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 土地無償貸し付け、こういった問題につきましては条例で定める場合を除くほか議会議決を要する、こういう規定になっておりますので議会議決が必要になる、こう存じます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 いや、私が聞いておりますのは運営委託契約
  15. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 運営委託契約自体については議会議決は必要でございません。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、実はその契約が、後段出てまいりますけれども、この契約が行われますと二百四十四条の二「公の施設設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。」という条項に基づいて、これは条例設置されるわけですか。
  17. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 公の施設として設置をする場合あるいはその管理につきましては、二百四十四条の二で「条例でこれを定めなければならない。」、こう規定しておりまして、この施設につきましても公の施設として設置をされているものと承知をしておりますので、条例で定めるという必要がございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、この間から、これの施設、まあ借り物であろうと自分のつくったものであろうと、それは公の施設である、したがって公の支配に属する、それが運営委託契約中身で言うと、公の支配に属しているというのではなくてBG財団支配に属するという実態になっておるではないかということを、私はこの委託契約の四条、六条、七条、八条、十条、十六条、十八条、十九条、二十条、それぞれの条項指摘したわけです。行政局長答弁は、読んでみますと、ずいぶん手の込んだ契約だなという印象は受けるけれども、それが長によって選択をされ議会によって承認を受けるものであれば、これまたそれも自治一つだろうと、こういうお話だったのですが、私は必ずしもそれだけではいかぬのではないかということを強く感ずるのですね。  私の手元に、BG財団、これは私の新潟県の話ですから、BG財団○○町海洋センター条例というのが手元にございます。これは二百四十四条の二に基づいて財団法人BG財団から委託を受けた体育施設管理及び運営に関し必要な事項を定めるというふうになっておりますが、しかし問題になりますのは、この委託契約中身というのは、もちろん条例にも規則にも取り扱い要項のどこにも出てこない。そして、それはもちろん議会にも出ない。したがって、住民には公表をされないわけであります。  あなたの先ほどの話によりますと、長の担任事務、百四十九条の長の権限に属するということになってはおるのですが、これは表へ出ないのですよね。しかし、ものすごく拘束を受ける内容になっておる。これほど細々と立入権から、私、この間幾つかの、たとえば九十六条の公共団体活動調整の問題であるとか、あるいは長の担任事務であるとか、百五十七条の公共的団体の監督であるとか、あるいは二百四十四条の公の施設に関する規定であるとか、こういう法律規定をこの委託契約内容が一切拒否をしておるという中身から見て、それでも自治体選択をしたのだからというわけにはちょっといきにくいのではないか、法律的にも、また法の精神はもちろんですが、法の規定から言ってもやっぱり少し無理があるというふうに思えてならぬので、この辺の点について、 自治省、もう一度見解を述べてください。
  19. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 先般の御質問で御指摘がございましたこの運営委託契約内容あるいは運営要領中身につきましては、非常にいろいろ多岐にわたります条件が付されておるわけでありまして、こういった条件が多過ぎるということが自治体の自主的な運営を阻害する、こういう御指摘でございました。  確かに、自治体の公の施設運用につきましては最終的には自治体責任、全責任において運営されることが一番望ましいわけでございますけれども、こういった公の施設利用の仕方というものも、場合によりますとあると存じます。そういった場合に、自治体がこれだけの条件では非常に自主的な運営を阻害されるというふうに判断をいたしますれば、こういう契約は結ばないであろうと思いますし、仮にこういった複雑な条件がございましても、この条件必ずしもその自治体行政運営とそごするものでもなく、なおかついろいろな募集要領等の段階におきまして、将来遠からず自治体の所有に属する道が開けてくる、こういった別のまた条件をも比較勘案をいたしまして、総合的に将来のその自治体住民福祉のためになるという、こういう長の判断あるいは議会との相談、こういったものが成立して現在こういった運営委託を受けておると承知をいたしておるわけでありまして、それぞれにおきます自治体判断はその判断なりに自主的に尊重すべきであろうと、こういうお答えを申し上げたわけでございますし、現在もそのような感じを持っておるわけであります。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 それで、いまあなたの答弁の中にもいみじくも、いろいろごちゃごちゃ厳しい制約があるけれども、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍べば、三年たったらおれのものになるという話ですね、極端に言いますと。そういう判断などももちろん選択一つの物差しでしょうから、そういうことなども比較して、それも選択だというのですが、五十五年八月四日に承認されておる地域センター無償譲渡に関する基準というものによりますと、どっこい、そうはいかないのです。  譲渡条件というのがありまして、譲渡条件にもまたこれたくさんあるのですよ。委託契約に近いような条件がございまして、実はここのところがやっぱり三年たったらあなたのものよと、こういうのだけれども、そうではない。名称、これはずっとこの名前を使え、運営BG財団の目的にのっとって行え、職員の配置、これについてはBGの育成士の配置に関する基準によって置け、それから、その職員、すなわち育成士は、財団が行う各種の訓練、研修会、これに参加をさせよ等々。あるいはまた利用状況の逐一の報告とか、これは事実上運営委託契約の延長なんです。  だから、いろいろあったが、耐えがたきを耐えて三年たって、いただけて、実はあれはがらんどうみたいな、修練道場みたいなものでありますから、まあ言うなら自治体の社会教育施設としてのスポーツ施設と言うには少し手を入れたいこともある。そういうところに少し手を入れて、あるいは地域ニーズにも合わせてというようなわけにはなかなかいかないという内容を持ってまいりますと、局長、それはあなたの言うとおりになりはせぬのよ、これ。  じゃ、もう少し問題を詰めていきましょう。ちょっと済みませんが、さっき百四十九条の第何号、これ。あなた、いま何号の長の担任事務ですか。
  21. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 長の担任事務といたしまして、百四十九条に一号から九号までいろいろ列挙されておるわけでありますが、第九号に「前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。」、非常に広範な権限の中の一つ、こういうことでございます。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 そこに何でも入るということですね。「前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。」、しかし、これは法の精神や法の規定を外れてはできないでしょう。
  23. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) もちろん地方団体運営するにつきまして、地方団体の長が長としての責任で行うわけでありますが、地方団体運営方針につきましては、地方自治法の精神にのっとって行うべきことは当然であります。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、そうなりますと、公の施設設置管理することという七号といい、さっきも言った公共団体活動調整という九十六条とか、二百四十四条の公の規定であるとか、百五十七条の公共的団体の監督であるとか、こういうものがこの運営委託契約では全然できないじゃないか、そこのことを私は言うているのですけれども、公の施設に属する、公の施設条例を設けますからやります、だけれども、それは実態として公の施設運営ができないという内容になる。それを承認するというのは、やっぱり地方自治のありようから言っても、法の規定や精神から言っても、これはやはり、まあ私は法律家でないから違法とかなんとかというようなことの規定はなかなかしにくいけれども、しかし少なくとも素直でない。いずれ、もう少し先へ行って、もう一遍戻りますから。  そこで、一応委託契約のところの問題点は指摘をしました。そこで、じゃ、少し内容に触れてみましょう。  内容は、笹川会長の強い願いが実ってこういうBGプランができ上がった。それの運動の推進財源が、この間いろいろとしたけれども、運輸省によって認められた。見ようによっては財源の均てん化でいいじゃないかという側面もないわけじゃないけれども、しかしそれにはやっぱりいろいろな制約があるわけで、とにかくそのBGセンターの中身を見てまいりますと、やっぱり笹川さんという一人の指導者の理念といいますかキャラクターというのか、あるいは思想とでもいうのか、そういうものがずいぶん色濃い。  名称が全国的に統一されることは先ほど申し上げましたね。地域には地域の顔があるのでして、いろいろな名前つけたっていいじゃないですか。少年の家でもいいだろうし、修練道場でもいいだろうし、海事思想普及場でもいいだろうし、まず名称が統一されていますね。それからスローガンがまずどかんと出てくるのでしょう、世界一家、水六訓という。わけもなく掲げているわけじゃないのですよ。世界一家、水六訓。それから笹川さんのブロンズの像ですね。金比羅さんへお母さんを担いでお参りしたという、本当だかうそだかわかりませんが、テレビによく出ているあの像ですね。それから中へずいと入りますと、金ぴかの勲章をいっぱい下げた、あれ勲一等だか何かもらいましたけれども、それはそれで国家で表彰されたのでしょうが、その写真ですね。まあ御真影だ。まずこれが必須条件になるわけですね。これないところはない。  それから、そこでは、月刊誌「B&G」、持ってきていますけれども、それから通称右翼政治新聞、こう言われておる「連合新報」ですね。ちなみに五十七年四月一日付の「連合新報」の見出しを見てみましょうか。「荒はいねらう日教組恐るべき非行教師たち——斗争にあけくれ 反米に走る文化人の反核運動 保安処分は急務」、こういう見出しが紙面にどんと躍るわけですけれども、こういう新聞を、これは自由にお持ち帰りくださいといって必ず置くようになっているわけですね。自由に置いているのではないですね。  さて、まずこれが運営の始まりです。これが施設の持つイメージです。これが自治体が公の施設として社会教育の一環として管理運営している施設の姿なんです。  私は、財団が財団なりの、民間団体いろいろございますから、青少年の人間形成と称していろいろな施設をつくったり、いろいろな運動をしたり、PRするのは構いません。あえて財団がやるのではなくて、それを自治体委託させるという形を通して、自治体をいやおうなしにいわば一つのBG運動、笹川さんの理念がふんだんに持ち込まれておる運動の中に組み込んでおることに非常に違和感を感じて、この間から取り上げておるわ けですね。このまず入口ですが、自治大臣、何か感想はありませんか。
  25. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 私もそのBG財団事業について詳しく調べたわけでもありませんし、詳細を承知しておるわけではないわけでございますが、先生のずっと二回にわたるいろいろいまの御論議を承っておりまして、確かに相当細かいところまでいろいろと規制といいますか、やってほしいという条項があるのだなという感じは確かに私もいたします。  そこで、地方自治の立場から見て許すことのできないというところまでその内容が行っているのかどうか。少なくも、先ほど来お答えしているように、全国の市町村でまだたくさんやっているわけではない。やはりやろうという市町村はそれだけの議会も含めてそういう意欲を持ってやろうとしたということで、その点は、条例を制定するというのはあくまでも地方公共団体のお考えでおやりになることであります。そういうことの枠の中で、枠といいますか、範囲の中でいまおやりになっておることだと思うのです。  一方、私は、いまわが国の各方面でスポーツ施設というものが非常に欲しいという、若い人も含め、また中年の人も含め、大変スポーツ施設が欲しいという、そういう要望といいますか、そういう希望が高まってきていると思いますね。それに公共的な施設として十分にこたえていない。私は、本当は国ももっと力を入れるべきだし、地方公共団体財源があれば、そういう施設を整えて、そういう住民の御要望にこたえていきたい、こう私は強く感じておる者の一人なんでございます。  簡単な話が、私どもの周辺でも、たとえばソフトボールをやりたい、こう言う方がずいぶんおります。しかし、グラウンドは取り合いでありますということなんです。だから、そういう要望が非常に高まっておるという中で、やはり地方自治体の中で、そういう要望を何とかかなえる方法はないかという、そういう非常に何といいますか、少し苦慮といいますか、そういうお考えがこういうところに私はあらわれたのではないだろうか、こう思うのです。しかし、最後は寄附をなさるというお話なので、やっぱり寄附者の意向というのは寄附する場合にはある程度尊重もしなければならない。  そういうことを尊重し、そういうその言い分を一体聞いてやれるかやれないかという判断は、これは地方公共団体で、これは議会も含めて御判断になっておやりになっておるとするならば、私は現状はそういう地方自治体のお考えでおやりになっておるものとして、われわれはとやかくいま言うべき段階ではないのではないか、こう思っておるところであります。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 この点は私もまた後刻触れますが、一つの問題点というのは、大臣いまお話がありましたように、スポーツの場が提供不足だということ、裏返せば財政も余り楽ではない。そういうところへ持ってきて高度経済成長時代の癖があるのでしょう。何か建物さえあれば選挙の票になるような、そういう意味での自治体における一種のぶら下がり根性といいますか、こんなものもないわけではない。そういうところがまたちゃんと計算に織り込まれて、これあげますよというような話、うまい話が取り込んでくるという、いろいろな意味の複合体かなという感じがしているのです。  で、問題はいま大臣のお話もあったけれども、寄附者の意向というふうなものも、それはある程度そんたくをすることは大事だと思うのですが、この寄附者といっても公共的団体なわけです。金も公共的性格を持ったお金なんです。こういうふうに考えてみると、そんなにつべこべよけいなこと言わぬでもいい団体間の話なんですけれども、だけれども、ここに色濃く出てくるその寄附者の理念といいますか、イズムというようなものが色濃く出てくるところを私いま問題にしているわけです。  これは運輸省の認可団体ですが、世界一家、人類きょうだいという哲学というのですか、理念、それから水六訓というものは、全体として何をあらわしておるのですか。水六訓は、水はあらゆる生物の生命力は水なりとか、常に自己の進路を求めてやまざるは水なりとか、いろいろなこと書いてありますが、全体として水六訓は何を言おうとしておるのでしょうか。人が読んでもわからないようなのを書いたってしようがないのでね。それから世界一家、人類きょうだいというのはどういう哲学といいますか、世界観といいますか、理念というのですか。これ運輸省は何か御存じですか。
  27. 武石章

    説明員(武石章君) お答えをいたします。  世界は一家、人類はきょうだいという言葉が使われているということは私どもも承知しております。これは私どもの方でどういうことを内容とするということを申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、BG財団の会長である笹川氏独特の表現ではある、しかしこれは国際社会における協調の精神、人類愛の普遍的な原理というものを述べたものではないかと考えておりまして、わが国が海洋を通じて国際社会と深いつながりを持つこと、そういうことの重要性を強調しているものと理解しておる次第でございます。  それから、水六訓につきましても、海洋性レクリエーション事業を軸とした実践活動を行うことを主たる目的とするBG財団として、水に親ませると同時に水の危険性についても注意させる必要がある、厳しさをもって水に接することの重要性を説いているものと考えられるところでございます。特に水の性質にたとえて、自然の摂理とか人間の自然の生き方を示したもので、特定の思想というほどのものとは私どもとして考えてはいないところでございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなた、有権解釈か。
  29. 武石章

    説明員(武石章君) 有権解釈ではございません。私ども先ほど最初にお断りいたしましたように、私どもとしてこういう内容についてお答えするのはいかがかと思うということを最初にお断りしたとおりでございます。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 いかがかと思う内容が実はこのBG運動の中の地域海洋センターの建設という、施設の提供という行為を通じて問題になっておるから私は言うている。世界一家、人類きょうだい、それはあなた、世界が一家で、色の違い、国籍の違い、さまざまな違いを乗り越えて一家のように仲よくなればいいことですよ。しかしそれは表だけで見えないでしょう。  たとえば、私はこの間、思想哲学の領域に入るからあれですが、戦前右翼の大アジア主義という問題を一つ取り上げました。これはこの当時は八紘一宇と言ったのです。天の下覆いて家となす、これ人類きょうだいなんですよ。世界一家なんです。空でいったけれども、今度は水でいっているのじゃないですか。水はどこへでもつながっていますから。だから、そういう大アジア主義といい、世界一家思想というのは、私はもしそういう思想の系譜をたどるとすると八紘一宇につながっておるという心配をしておるから言うておるのですよ。  八紘一宇という場合も、だれが盟主であるかを除けば、世界一家、人類きょうだいですよ。しかし、そこには、この間からも言いましたように、いわゆる日本なら日本、その国の文化や伝統というものがどこの民族やどこの国よりも優先をされなければならぬという強烈な思想なり個性が入っているのですよ。だから私が読むとすれば、その淵源や系譜をたどるとすると、これはやっぱりそういう大アジア主義とか八紘一宇とかというようなもの、その源流をたどればそうなる。まあ天皇信仰入っておりませんけれどもね。そういうような思想や哲学と読む人もいるのだ、私は現にそう読んでいるのですから。地方公共団体においてそういう問題を持ち込むところにまず問題が発生しているわけなんですよ。  で、文部省、社会教育法の第三条はどういう精神ですか。
  31. 石井久夫

    説明員(石井久夫君) すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、実際生活に即 する文化的教養を高めるというような環境を醸成するように国及び地方公共団体がその環境の醸成に努力しなければならないという、国、地方公共団体の任務を規定したものだと理解しております。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 その任務は教育基本法の第七条からきていると思うのです。七条はどういう趣旨ですか。
  33. 石井久夫

    説明員(石井久夫君) 国及び地方公共団体において「図書館、博物館、公民館等の施設設置、学校の施設利用その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。」というふうに書いているわけでございますが、その前に、そのような教育の目的、教育というものについては、家庭教育、勤労の場所、その他社会教育において行われる教育について「国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。」ということで、家庭あるいは社会その他の場所において、こういう先ほど社会教育法にあるようなことについて、国が、あるいは地方公共団体が普及奨励する責務といいますか、そういう必要があるということを規定したものだと理解しております。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 運輸省も聞いてほしいのですが、地域海洋センターは、委託契約が行われて設置条例ができますと、自治体の社会教育施設なんです。社会教育施設としてのスポーツ施設なんです。そういう形で公の支配に属している。利用され、運用されている。社会教育施設というのは、いまも文部省からお話もありましたように、社会教育というのは「国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。」、社教法三条では、そのための国、地方公共団体は任務がありますよと、こう言っているのですね。  社会教育を国とか公共団体の任務にするということは、一面、いま私がいろいろと指摘しましたけれども、それは教育基本法の前文に端を発するわけでありますが、とにかく特定のイズムというか、理念というか、思想というか、運動というか、それは普遍的で個性豊かな人間をつくることではないですね。特定の人間をつくるような教育、社会教育というようなものを逆に言えば排除するという意味を持つのじゃないのですか。  しかし、これはそうではない。真っ向からこれに挑戦をする形で自治体の社会教育の分野に刺さり込んでおるから、どうしてもそれについて異論が出てくる者もいるのは当然。こういう領域で異論があるならば、そういう分野についての衝撃や刺激をできるだけ避ける、財源の均てん化も含めて、施設の提供というのが、今日いろいろな意味で、それもまた一つの意味があるというのであれば、それはそれで、それを前提にしてもいいから、しかし、もう少しこういうさまざまな法律や精神や、そういうようなものに背馳をしない形で、それがコミットされてこなければいかぬのじゃないですか。  どうも私は、運輸省さんはそういうことは余り、そんなところまではそう大して考えないで、BG財団をしかるべく公の支配に置いて、それが少しでも地域の施設の提供や、あるいは財源の均てん化や、あるいはまた運輸省が所管としておる海洋国日本の発展に資することがあればいいというふうにお考えになっているかもしれない。しかし、それはBG財団自身がやっている分には、それはそれで大した、どこからどうこう言われる筋合いもないのかもしらぬけれども、それが自治体運営する教育の分野というところにはまり込んでくると、実はさまざまな衝撃やアクシデントを起こす、摩擦を起こすということの指摘をこの際しておきたい。  次に、育成士、職員の配置ですね。職員の配置は、公の施設ではあるのだけれども、運営委託契約の第七条によると、自治体はBG海洋センターにおけるBG育成士の配置基準に定める育成士を配置する。この育成士というのは、県知事が試験をしたり、育てたり、訓練したりするのじゃないのですよ。BG財団という先ほど言ったこの財団がそれぞれ育成士の基準というものを持っておる。育成士のプログラムを持っておって、そこでリーダーをつくり上げる。その人が地方自治体の社会教育施設としてのこのスポーツ施設、海洋センターに配置されなければならない。  B&G育成士規程第一条、BG財団の「事業推進するための業務並びに」、このBG財団事業というのは四つあるのですよ。地域海洋センターをつくるということだけじゃないのです。クラブをつくる、あるいは海洋実習ですかを行うとか、いろいろありますね。「並びにB&G財団海洋センター及びB&G海洋クラブにおいて、陸上及び海洋性のスポーツ・レクリエーションの指導業務にたずさわり、主として青少年の健全育成を任務とする」というB&G育成士規程に基づいて、BG財団が独自に行うプログラムの課程を終了して、そしてBG財団が配置する基準によって義務づけられる。  しかも、この育成士で地域海洋センターという教育委員会所管の施設の主任になろうとする者は、BG財団の承認を求めなければならぬのですね。勝手に任命できるのじゃないのですよ。これはちゃんと書いてあるでしょう。運営委託契約の第七条に、主任を定める場合は協議せいと書いてあるでしょう。まあ教育長の承認制みたいなものだな。  さて、こうなってまいりますと、行政局長、今度もう一度聞きますが、地方公務員法第六条、任命権者、同三十九条、研修、さらに地方自治法上の職員の任免、職員を置くという、こういう地方自治法上の規定、これらはすぐれて自治中身をなす問題なんですが、この規定とこの育成士の配置はどういう関係に立ちますか。
  35. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) ただいま御質問のございました育成士を置けとか、あるいはその承認を協議せいというようなことは、この事業地方団体事業として受け入れるかどうかに当たっての条件であろうと思います。そのような条件承知の上で、いろいろ総合的に判断した上で受け入れたのであるならば、職員の研修あるいは配置というものをその条件に従って行うことが直ちに法律に違反するということにはならないと思います。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 あなた公務員部長だね。地公法六条の任命権者、三十九条の研修、あるいは地方自治法の第百五十三条、補助執行、百五十四条、職員の指揮監督、こういうそれぞれの条文があることを頭に入れておいてください。  このBG、念のために申し上げますと、私は、育成士の養成、派遣、まあ新潟県のある町の場合を例に言いますと、これはBG施設ができもしなければ、議会で誘致が承認もされないときに、もうすでに沖縄に三カ月の研修に出かけているのですね。それから、それに相次ぐように、いわゆる二級育成士が派遣をされる。これは岩手県であるとか、それぞれにBG施設があるわけですけれども、ところが、そうこうしているうちに地元で反対でも起きたりしますと、反対があるところにはお金を出さない、こういう圧力がかかってきますから、一遍パアになるわけですな。それから反対派のいろいろな宣撫工作が行われて、また半年もして息を吹き返すという過程をたどるのでありますけれども、いずれにしても、そういう形で事実上任命権も研修権も、地方自治法が規定する自治内容というようなものを全部超越した形で職員の配置や管理や研修が行われるという、その問題点を指摘しているわけです。どうですか。
  37. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 地方公務員法第六条におきましては任命権者を特定いたしておりまして、それから第三十九条におきましては研修は任命権者が行うということになっておりますから、地方公務員の職員の研修は任命権者が行う、これが地方公務員法の大原則でございます。  ところで、その研修を行うということでございますが、これは必ずしも任命権者が独自に自分で行わなければならないということではございませんで、任命権者が主宰する研修もございますし、また適当な研修をとらえまして、任命権者がこれへ参加者を命ずるということもあるわけでございます。したがいまして、民間等の行う研修でありましても、任命権者においてその研修に職員 を参加せしめることが当該地方団体にとっていいか悪いかという判断があると思いますが、合理的にそれが適当であろうと判断されるのであればその研修に参加させるということもあると思います。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 判断をするかしないかは自治体の問題だということを言っているのだが、私は地方公務員法を所管しておる自治省の公務員部長に聞いておるのです。  いいですか。この人たちはBG財団事業推進するための業務を原則的に任務とするのですよ。自治体BGプランあるいはBG運動を推進する義務もいわれも何もない。そんなことはどうでもいいんだ、建物もらえばいいと思っているかもしれない。そして、そういう財団の規定によって、あるいはプログラムによって養成をされる育成士、これに職員を派遣する、財団の言うとおりに定数配置をする。  定数配置のことを念のために言ってみましょう。経済学的にも考えたらいいと思う。たとえば宮崎県のある町です。同規模の海洋センターと町の体育館があります。海洋センターの職員、専任一、兼任一、嘱託一、警備一、用務員一、計五名です。これ配置基準。同規模の町の体育館、警備一です。警備一に問題があるかどうかは別として、体育館の管理運営自治体が独自にやろうとすれば、いろいろと工夫をしたり、ボランティアを入れたり、あるいは住民に参加をさせたり、あるいはまた職員の繁閑を取り入れた補職にしたり、いろいろな工夫をして実は職員配置しますね。これが自治体の知恵でもあり工夫でもあり自治中身ですからね。  しかし、もう一方の方はこういう形で配置をしなければいけないわけですから、元も子もどこかに行っちゃうわけだから置くわけですね。これは私がいま問題にしておる自治中身よりも、経済の問題からいってもずいぶんこれ割りに合わぬ経済学をやっておるわけですけれども、たとえばこういうところにもそういう問題点が噴出をするわけで、その上、育成士はその後も定期的研修を受け、財団の各種会議に出席をし、今後の運営等について義務づけられる、その費用はすべて町の負担であります。これは一体どういうことですか。  公務員部長、それはあなた言いにくいのかどうかわからぬが、やっぱり公務員法あるいは自治法の職員設置管理というふうなものは、少なくとも全体の奉仕者としましてさまざまな義務もあれば権利もあるという、そういうことになっておるわけですが、ちょっとこれは違うのじゃないか。私の指摘をあなた方もう調べられただろうから、また準備すると思うのですが、何とも思わぬですか。それもまた自治中身で結構だと、こう思いますか。
  39. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 地域海洋センターに、ただいまの御指摘ですと、同規模のもので五名と一名ということでございますが、その職員をどれだけ配置する、あるいはその後も定期的か、いずれにしましても研修を町の負担においてさせなければならないというような問題は、すべてこれはその事業を受けるか受けないかに当たっての条件であろうと思いますが、これらの条件をとにかく承知して判断されて、それをしようというのであれば、われわれといたしましては、それは地域海洋センターの経営というものが地方団体の業務になるわけでございますから、そのために必要になる職員というものについては、町、地方団体全体としての職員増加を招かないように配置転換等により賄っていくべきである、これは他の業務、新規の業務が生じまして人員が必要になった場合と同じでございますが、そのように同様に処理すべきだろうと思っております。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、一般論で答えちゃだめよ。運営委託契約の七条では、BG育成士の配置基準に定める「育成士を配置する」というのですよ。いろいろ考えて、これ二級の方を減らそうとか、だれとかは兼務にしようとかと言っているのじゃない。ですから、あなたの答弁なっておらぬ。  だから、いずれにしても、私は先ほど大臣の答弁の方が一番普通の感覚を表現したと思ってお伺いしたのだけれども、あとの諸君は何だか、いやこれはもう違反でないんです、何とかでないんですというようなことにばかり固執をして、うっかりこれは第何条に照らしておかしいなんというと、またどこぞから変な鉄砲玉でも飛んでくると思っているのか、もう少し素直になりなさいよ。こんなめちゃくちゃな形で自治体がコントロールされていいものじゃないですよ。  それは施設をつくってくれるならつくってくれるで、そういう仕組みをもっとオープンにしたらいい。やたら誘致合戦をさせて、調査に出ていくときには町の消防団から学校の子供まで全部総動員をして、そろいのBGのユニフォームを着て旗を振らなければまずは合格をしない。いま申し込まなければ後がありませんよと言って誘致競争さして、盛んに雰囲気を高めて、つくった施設はこういう形でがんじがらめにして、三年たったらくれるという話も、どっこいそんな簡単なものじゃない。  こういうものにも運輸省から文部省から自治省から、まあ自治体もそうだけれども、全部がん首そろえておって問題の一つも感じないとは一体何事だ、問題だらけではないか。改めるところは改めるとか、検討するものは検討するとか、これぐらいの姿勢がなくて、こんな問題に対応できますか、あなた。先ほどから聞いておると、どれもこれも不十分じゃないか。もっと自治を大事にしなさい、自治を。それから見識を持ちなさい、見識を。もともとこの財団のもとになっておる船舶振興会のあり方についてもいろいろ議論があるところでしょう。そういうことについて幾たびか問題を提起しようとした人だって役所の中にもいるじゃないか。それはさまざまな状況が、機運が熟さないで今日ここまできておる。それがもう一つはみ出して、特定の運動を推進させる母体を改めてつくり上げて、さらに運輸省が財源を与えて、自治省は見て見ないふりをする。文部省は教育の分野にまでくちばしを入れられておっても黙っておる。  一体こんなめちゃくちゃな話がありますか。こういうやり方は職員管理上おかしいでしょう。どうですか、公務員部長
  41. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) いままでいろいろ御提起されました、私お答えしますのが適当かどうかは存じませんが、いろいろな職員に関する配置とか研修とかいうものは、すべてその条件でございますので、そのような条件があるということを承知した上で地方団体が受け入れようと、また反対したのであれば、それはやはり地方団体選択であろうと思いますし、またその選択が正しいか正しくないかということは、議会、最終的には住民判断する、そういうことになるのであろうと思います。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 あなたとやり合っておってもしようがないが、じゃ、別の言葉にかえてもう一遍あなたに聞く。  こういう形で拘束を受けて長が任免権やあるいはその研修権というようなものが執行されるのは余り望ましくないでしょう。できればそんな制約はない方がいいでしょう。そう思いませんか。
  43. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 研修を受けまして、任免権は任命権者に所属するものでございますから、任命権者が諸般の事情判断いたしまして、自分で、何と申しますか、正しいと申しますか、すべきであると判断して、当然すべきだと思います。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 研修はBG財団事業推進するためにBG財団が独自のプログラムで行う研修なんですよ。地域海洋センターというものを町が設置するために、必要な規定によって町とか、そういう専門家がやるのではない。民間によってつくられた人間が大変な拘束力を持って町に配置される。そしてBG海洋クラブの組織化という任務を背負う。これは契約上の具体的規定はどこにもない。しかし、センター利用の重要な条件になっておるのがBG海洋クラブの組織化なんです。百人以上の組織化というノルマがないと、これはだめになっちゃう。したがって、BGクラブ員という ようなものを組織化するわけですよ。これはまあ水上のことは言いません。  このためにどういうことが起きるのか、利用率を上げるためにどういうことが起きるのかと言うと、まず組織化のためには既存のスポーツクラブ、これを全部BGクラブの名のもとに統合いたします。いや剣道クラブとか、柔道クラブとか、野球の何とかとか、まあ野球はあるかどうかわからぬが、そういうものを全部BGクラブという名を冠して、大同団結をさせることによって頭数が出てくる。この数を報告してパスをするわけだ。こうやって一つの組織に系列化されていく。統合化されていく。  利用率を上げるためにどういうことをするか。幼稚園の子供、保育園の子供をバスで運んで、自分の遊戯室はあるにもかかわらず、そのBG体育館でお遊戯をさせますと、その分利用者の数がふえるわけ。それでも足りなければ、お母さん方に付き添いについてきてもらうわけ。付添者も利用者に入るわけだ。こういう形で涙ぐましいというか、ばかばかしいというか、そんなことをやっているのよ、これ。そして文部省、学校教育の分野もストレートにかむわけ。  これは中学校の体育館として使われておる。したがって、学校教育施設なんです。学校教育施設が何で水六訓だ。何で世界一家だ。何で笹川さんの銅像なんだ。何で笹川さんの勲章なんだ。この辺どうですか。
  45. 石井久夫

    説明員(石井久夫君) 学校教育の活動を展開するに当たりまして、本来でしたら学校施設を中心に使用していくわけでございますけれども、学校あるいは地域の実情等に即しまして、適宜他の施設利用することは現に行われているわけでございまして、このBG財団施設につきましても、そういう観点から学校の体育館を雨天等の場合において使うのに、ほかのいろいろな児童との関係において使えないというような場合に、この海洋センターを使ったりしているわけでございます。また部活動において、中学校の体育館がいっぱいになる場合などに使用している場合があるというふうに承知いたしております。  しかし、これはあくまでも補助的に地域海洋センターを体育館として使用しているということでございまして、特段の問題はないと考えております。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 あなたたちに聞いていて、みんな問題なくなっちゃった。問題があるのは皆さんの頭だけだ。  私は幾つか実態を指摘したのですが、やっぱりBGプランあるいはBG運動というのは、海洋センターの無償提供というものを一つのポイントというか、えさというか、にしたセット事業なんです。指導者づくり、組織づくり、施設づくり、これにもう一つ海洋体験もあるのですけれども、この海洋体験だって、総理府や運輸省も後援しておるのですが、海上で慰霊祭をやったり、なぜか訪問地は太平洋戦争の激戦地ばかりですよ。こういう訓練、これに自治体費用を支出していることは言うまでもない。  ともかくそういうセット事業で、やはりこのBGプランの趣意書にもあるように、笹川会長というリーダーの強い願いというようなもののやはり推進を指標にしておる。それに自治体が、言葉は悪いが、下さる物は夏もお小袖で、施設がもらえればいい話じゃないかというのでぶら下がって、気がついてみると、職員の配置から、学校教育の分野から、あらゆる管理運営にまでコントロールをされる。肝心の施設は三年たったら来るのかというと、どっこい、そうはいかない。やるにはやるが、この運動だけは続けてくれよというひもがちゃんとつく。ずいぶん御念のいった話になっている。  運輸省、BG寄附行為によりますと、無償譲渡はどの条項に該当しますか。
  47. 武石章

    説明員(武石章君) 地域海洋センターは、完成後運営委託契約によりまして、その運営管理が地元市町村にゆだねられ、実態的には市町村の施設として利用されておるわけでございます。これらの施設は本来の目的に沿って利用される見通しがたてば地元市町村に譲渡し、市町村の施設として運営されることに問題はないと考えております。これは寄附行為の四条(7)に「その他この法人の目的を達成するために必要な事業」ということで読めるものでございます。特にBG財団の寄附行為との関係につきまして地域海洋センターは寄附行為に定める普通財産でございます。これを地方公共団体譲渡するということについては特に問題はなかろうと考えております。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、普通財産でしょう。「(資産の種別) 第六条 この法人の資産を分けて、基本財産及び普通財産とする。」、そして普通財産の処分のことはどこに載っておるのですか、「普通財産は、基本財産以外の一切の財産とする。」、まず、この地域海洋センターが普通財産だという規定はどこにあるのか。
  49. 武石章

    説明員(武石章君) 寄附行為によりますと、基本財産というものを特定してございます。それ以外のものは普通財産ということになるわけでございます。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、地域海洋センターは、基本財産には、第六条の二項、「基本財産として、指定して寄附された財産 理事会の議決により、基本財産に繰り入れられた財産」、このいずれでもないので、第三項の普通財産になるという解釈ですね。
  51. 武石章

    説明員(武石章君) そういうことでございます。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 その普通財産の処分のことはどこに書いてあるのですか。
  53. 武石章

    説明員(武石章君) この寄附行為におきましては、基本財産の処分については第八条によりまして禁止行為が書いてございますが、それ以外のものについては特に書いてございません。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 書いてないので処分はできる、あるいは処分はできない、どう読むのですか。書いてないので、できるのですか、できないのですか。
  55. 武石章

    説明員(武石章君) 処分いたすことができると考えております。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 それは何か議事録ありますか。あなたが考えたというのではだめなんで、後で気がついてみたら、定款上無理なんだというようなことはないのでしょうね。
  57. 武石章

    説明員(武石章君) それはございません。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 この問題、いつまでもやっておれないのですが、問題点はいろいろ言いましたが、さっきちょっと触れましたけれども、さっき大臣もお話があったし、私も言ったのだが、一つは、そういう施設が欲しいのに財政不如意のこともあって提供できない、そこへ結構な話だからそいつをいただこうかという善意というのか、ぶら下がり根性というのがあることも否定できないのだが、大臣、何とかの経済学というのじゃないが、こういう借り物をしまして運営していきますと、必ずしも損得勘定でいきますと、もうけにならないのですよ。  いま国でも、やあ新農構であるとか国土庁の何とかであるとか、いろいろなことで体育類似の施設といいますか、そういうふうなものの枠がありますが、そういうものでやった場合どうなるだろうかなということで幾つかのケース私も手元に持っておるのですけれども、必ずしも得じゃありませんし、大体一つ施設ができますと年間二千五百万ぐらいは運営費にかかるようです。それから、つくるときも、ただがらんどうのものがぽんと建つのじゃなくて、付帯施設のようなものは、土地契約のときにその付帯施設自治体がつくることもはまり込みますから、そういうものにお金をかけて、さらにBG財団に言われたとおりの運営をしていきますと経済的には得でない。  しかも、問題点だけにしておきますが、これは全部どこでも同じ規格なんです。北海道であろうと、沖縄であろうと、新潟県の海辺であろうと山の中であろうと同じ。そして、大体三億から四億なんですけれども、これは地元の人は入札できない。特定の規格でBG本部が特定の業者に発注をしまして、地元の者は入札できない。  それと同じ規模の体育館が、たまたまそれよりも少し念が入った、観覧席があるとかなんとかというようなものが同時に建った場所がある。BGがこっちにつくる、どこどこの自治体がこっちにつくるというふうなものがある。それを比べてみますと、これがずいぶん違うのだな。町が地元の業者にやらしたものが地域の顔をしておって安いのだ。その体育館の建設をBG本部が一括をして一年間に幾つもやるのだからもっとコストが安くいくはずだ。たとえば鴻池組であるとか何とか組であるとかというのが中央で請負う。全国同時にやるのだから安くつくはずだ。しかし、うんと高くつくのだな。これは運輸省あたりでもうちょっと中身見てほしい。  そう考えてみますと、私はこの問題の締めくくり、まあこの点は私まだこの次にやりますので、町の財政負担という視点からだけでも、これは財政当局か自治省、ちょっと調べてみておいてほしい。それから運輸省の方も、財団自身がやっておる施設の建設のコストというのか、普通でやったらたとえば一億でできるのに、そこでやったら一億五千万かかるというふうな内容になってないかどうか、この辺をちょっと当たっておいてほしい。いずれにしても経済的に見るとそうでもない。結局うまい話はどこかに落とし穴があるとか、ただほど高い買い物はないとかというふうな話に落ちそうな感じがするので、これは検討してもらいたい。  たとえば新農構でBG規模の体育館を建設した場合に、総工事費二億三千万、国、県の補助が二分の一で一億一千五百万、町の負担が二分の一で一億一千五百万、七五%が起債になる、残は二千六百万円で、それは二年払いだということを考えると、どっちがいいのかというふうなことにもなってくるわけでありまして、この辺の点は、きょうのところは私数字がありますけれども、皆さんが持ってないのをやり合ってもしようがない。  大臣、いろいろと少し長い時間かけて申し上げました。私は、船舶振興会のありようとか、いろいろな問題点あります。きょうはそのことは一応こっちにおきますが、いずれにしても、地方自治体からいって財源均てん化という意味で何がしかのそういうことが行われるのであれば、自治体がもっと自由に使えるように、自治体にそれだけのお金あげますから考えてくださいと言ったら、いろいろなことを考えると思いますね。また町の費用も幾らか足すとか、同じ体育施設つくるのならもう少し別のアイデアもあるとかというふうに、みんないろいろな人が寄って集まって考えるでしょう。それで、そういうところ、この仕組みの本元を直せないのであれば、少なくとも自治体と海洋センターのかかわりで言えばそういう自由なお金の使い方、一種の交付金のような、あるいは自分のアイデアが生かせる地域の顔をした施設、文化的な香りをした施設にする。グラウンドをつくって人間をしごくような場所じゃない、父兄も来れるという、そういう一工夫があってしかるべきだ。  そういう点について、これ三日間にわたるやりとりですが、何かかたくなに問題ありませんよ、違法性はありませんよと。きょう法制局に聞かぬで済みませんでしたが、私はやっぱり法の精神からいくと至るところで抵触をしておるという見解に立っておるのですが、どうもこれで法制局に聞いたら異常ありませんと言うだろうから聞かぬ方がいいと思って聞きませんけれども、しかし問題の指摘は、私は少し長い時間かけたけれどもわかってもらえたと思うのですね。これはひとつそう各省庁こだわらずに、いいことになっていけばいいのでありますから、文部省も自治省も運輸省もそういう問題については一斉に検討をしてもらいたい。  大臣も先ほど問題の所在について若干所見も述べられましたが、これは十分検討に値する、しかも財源にしますとそう小さい額でもありませんし、これはまあ奇妙な理屈言って断るほどのこともないかもしらぬが、しかしそのことによって悪魔とでも握手をするというような無節操なことはできない。公共団体としての分を越えることはできないというあたりも一つの物差しにして検討してもらいたい。大臣いかがですか。
  59. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 私はいま地方は大変文化的な、何といいますか、雰囲気というもの、そういうのがだんだん芽を吹いてきている、同時にやっぱりスポーツというものをもっと国民の各階層に知らせる、特に青少年のために地方もやはり協力をしなければならないのではないかと思うのです。特にいま文化あるいは芸術も入るかもしれませんが、あるいはスポーツ、そういうものがやっぱり地方でもっと盛んになっていくような、何といいますか助言といいますか、あるいはそういうことをやっていくような雰囲気をつくっていくというのはこれからの地方行政の上では大切なことだと思っております。  ただ、残念ながらいまはなかなか施設をつくる上において財政的に許されない、財政的になかなかやれないという点があるのは大変残念であります。やはり民間の協力も私は得ていかなければならぬ面がある、それは一体どういう方法でやったらいいのか、これはいろいろ問題点あると思いますけれども、しかし民間の協力も得ながら全体としてそのレベルを上げていくということが大切だと思うのです。これはいま船舶振興会のお話ありましたが、たとえば自転車振興会とか、やはりそういうところからの助成を得て地方にいろいろな施設は過去においてできたと思うのです。その場合に、仰せのように無条件でとにかく提供してもらうというのは一番これが望ましいと思うのです。ただ、提供される方には、その施設をつくるからにはやはり高度にひとつ活用してもらいたいという気持ちは出てくると思うのです。  先ほどの育成士の問題もありましたが、この育成士というのはどんな研修を受けるのか私も詳しくは存じませんけれども、たとえばやっぱり一つのプールをつくるにしましても、プールをつくってただ泳いでいればいいやというのじゃなくて、やっぱり水泳の指導をしてもらう、指導をさせるというような人、スポーツにはそれぞれの適切な指導をしていくということが必要だと思うのですね。そういう指導をさせるような育成士の研修をやるとするなら、やっぱりそれは施設を提供する方も適切に利用してもらう上において必要だと考えるのも無理からぬことかなと、こういう感じもするわけでございます。  で、いろいろこれは私の方の自治省ばかりではありません。各省にわたる問題でございますが、そういう地方においてそういうスポーツ施設に対する要望というのが非常に高まっているという、そういう雰囲気といいますか、そういうニーズをどう吸収し、こたえていったらいいのかというのを私どももこれは政府全体も私は考えていかなければならぬ問題点だと思っておるのですが、大きなそういう枠というのか、そういう考え方の中で一体これがどういうふうに位置づけられるのか、そういうことも今後とも私どもは地方公共団体という立場がありますから、しかと見守っていい方に持っていっていただくように、今後ともそういう観点で自治省の立場から考えていきたい、こう思っておるところであります。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 何だか大臣はいろいろなことを言うているうちに何だかさっぱりわからなくなっちゃうのですが、まあ考えていくということにしておきましょう。  ただ、大臣、民間のそういうものも全部入れると、確かに地域には大きい意味での文化、そういうものに対するニーズというのは強いですし、それがまた地域社会の特徴になっているのですが、いま私が指摘している金は民間といっても公的なお金なんですよね。だから、一口に言えば公的なお金の使い方の問題ですから、もっと工夫があっていい。それが自治体が使うという場合であれば、いままで六百億というのでしょう。もっと自治体ならこれはうまく使いますよ。そういう意味でひとつ検討をお願いしておいて、また各省庁もそれぞれいままで何の気なしに来たが、やっぱり少し問題があるならば、それらについてひとつ話 めてみようという積極的な姿勢を要望して、この問題は一区切りをつけます。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕  次に、交付税の問題ですけれども、私は率直に言って、感想から申し上げますと、どうも交付税制度というのは本質変わっちゃったのじゃないか、法律読んで皆さんがおやりになっている結果を、あらわれた結果を見ますと、何かちっとも脈絡がないなと、そういう感じもするのですが、そういう認識をまず前提に置いて以下若干聞きます。  五十七年の当初、ここでやりとりしたことをあなた覚えているでしょう。一口に言うと、おかげさまで地方財政収支均衡しまして不足財源ゼロになりました、めでたしめでたしという雰囲気で、ここで皆さんの方はお答えになっておったのですが、ことしを見たら三兆三千三百四十六億円、一転をして、地方財政計画に、比率で見ますと七%相当額になりますか、足りない。あっと驚く為五郎みたいな話なんですが、私の理解では、五十七年から五十八年にかけてはあっと驚くほどの変化はなかったような気もするのですけれども、これはどういう事情ですか。
  61. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十七年度地方財政対策につきましては、当初の段階では、御指摘のとおり昭和五十年度の補正以来七年ぶりですか、収支が均衡する見通しになったというふうに申し上げ、そういう前提で関係法律案の御審議もいただいたところであります。で、この五十七年度地方財政対策の前提となりました収支の見通しは、実質的には五十六年の年末の時点でのいろいろな経済情勢、あるいは国の歳入見積もりなどを前提にして立てたわけであります。ところが、この五十七年度地方財政収支は最終的には御指摘のように大変な財源不足になってしまったわけです。  どこがその当時と比べて狂ってきたのか、違ってきたのかと申しますと、一つ地方税収入が当初の見通しよりも一兆二千億円ばかり減に立ってまいりました。もう一つ地方交付税でございまして、これが当初の見積もりに対して一兆六千九百五十七億円、約一兆七千億円ほど減に立ったわけでございます。両方足しますと二兆九千億円ほどの減になる。  さらに、その内容を尋ねてみますというと、地方税の減収見込み額の主力は法人住民税及び法人事業税であります。それから、一部住民税の所得割が減に立っております。で、五十六年の暮れの段階で私ども地方税収入の見積もりを立てるに当たりましては、その時点での国税の方の法人関係税の課税標準の見積もりと基本的には同一ベースを採用したわけであります。それから、住民税の所得割につきましても、その時点での五十六年の国税の方の所得の状況をベースにして推計したわけであります。この点が最終的に大幅に狂っていってしまった。それから、地方交付税の減収が生じました理由は、主として国税の法人税、所得税の減に伴うわけであります。  その当時からもいろいろ議論があって、地方税収入は大丈夫なのか、あるいは交付税のもとの収入見込みは大丈夫なのかというふうな議論があったように承知しておりますが、私どもとしては、あの時点ではとにかく国の予算編成の前提となっております経済見通し及び国税収入の見積もり、こういったものと基本的に同一のベースに立たざるを得なかった、その結果としてただいま申し上げましたような大幅な歳入不足に陥った、このような状況でございます。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、変化があったのじゃないのですよ。見方間違っただけの話なんでしょう。世の中そう変化はないのです。わりあいに安定的にきたのでして、皆さんの見方が間違ったわけです。  ですから、終わったことを言ってもしようがありませんが、たとえば地方税これだけ入ってくるのかなという議論もありましたね。弾性値の使い方だとか推計方法とか、そんなもの間違っているのじゃないのか、大丈夫かと聞いたら、いや、そんなものじゃないので、これは地方税はちゃんと積み上げですと言って、何か、さも自信ありげな話をしておったのだけれども、終わってみますと、皆さんも人が悪いというような感じがするのですね。これだけ、あなた、天下に冠たる官僚が日本にそろっておって、大蔵省のだれかが間違ったら自治省の果てまでみんな間違うということないよ。一人間違ったらみんな間違えちゃった。ばかなこと言っていなさんな、あなた。これ、間違いを気がついていた人はいっぱいいたのだと思う。  ただ、私は、だから意地の悪い言い方をすると、これはもうゼロの演出だったのです。ゼロの演出。演出はしょせん演出だから、うまい役者なら一年ぐらいは通せるのだろうけれども、幾らもたたぬうちに、すぐもう化けの皮がはがれるようなことになったのだなとつくづく思うので、ゼロ演出だ。これだけ大きい見込みの違いをして本当に責任とった者もいないようだね。いろいろなことをしたから、どこにも被害がなかったかというと、そうじゃないのですよ。  それはたとえば去年も議論をしましたけれども、落ち込んだ分だけは地方税は減収補てん債で何とかしよう、交付税も借り入れでしのごうと言うて、みんな借りるのかと思ったら、一千五百億円ぐらいはカットしたのですからね。結果的にはゼロ演出やって一千五百億円カットした。自治体はその分だけ当初の財政運営やそういうふうなものを途中で狂わせられた。これを一つ見てもやはり当初の見込んだ需要額を一方的にたたき切るというようなことも、少々のことなら別ですが、こんな大幅なものはなかったわけで、さあ、こうなってくると、もう私はこの一千五百二十四億円カットしたときから交付税の法の精神、あるいはたてまえのなし崩しが、もう本格的になっちゃったという懸念を持ったわけでして、以下もう一つちょっと聞きます。  ことしの五十八年計画の基調、先ほど大臣もお話がありましたし、財政局長から補足説明もあったのですが、これは一口に言うとマイナスシーリングと単独事業の圧縮という二本柱で組み立てられておるのじゃないですか。
  63. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十八年度地方財政対策につきましては、基本的には国の予算編成方針と同じ考え方に立ちまして、地方財政にとって最低必要なものは確保しつつ全体としては歳出を極力抑制するという考え方で積算し、また歳入につきましては、国の予算と基本的には同じ前提で経済の見通しあるいは税収見通しを立てまして、その上で収支の計算をしたところ、現行制度のもとでは二兆九千九百億円の財源不足が見込まれる、さらに地方財政対策の決定の過程で合意した利子の負担二分の一、三千四百四十六億円を加算しますと、三兆三千四百四十六億円の財源不足になる、これについて必要な補てん措置を講じたわけであります。  したがいまして、その地財対策の大前提になりました財源不足額の積算の前提として歳出を極力抑制する、国の予算の方では御案内のようにマイナスシーリングという方式がとられたわけでありますけれども、地方財政の方におきましても、たとえば公共事業費とかあるいは国庫補助対象事業につきましては、基本的に国の予算編成と同じ基調で積算をしております。しかし、地方独自の経費につきましては、それぞれ従来の一定の考え方、方式がありまして、一般行政費の中で地方単独分の経費でありますとか、あるいは維持補修費でありますとか、公営企業繰出金等についてはそれぞれの考え方に沿って必要額は積算いたしております。  ただ、地方の投資的経費の単独事業費につきましては、御案内のように過去三カ年度は公共事業費の方は前年対比ゼロで抑えてまいりましたが、地方の単独事業費につきましては七・五%、八%、あるいは八・五%というふうにかなり高い伸び率を五十七年度までは積算してまいったわけであります。しかしながら、五十八年度におきましては、財政環境が一段と厳しくなってきているという事 情、さらに実は五十六年度までの決算と計画との対比において、単独事業費については地方財政計画で予定しただけ実態が追いついてない、その乖離がかなりの額になっている、こういうような事情もあわせ勘案いたしまして、財源不足額の積算の前提としての地方単独事業は前年同額にとどめる、同額を確保する、こういうふうにいたしたところでございます。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 いや、私の言いたいのは、地方財政計画あるいは交付税の位置づけから言えば、収支を見積もって足りない分の財源手当てをする、そのことによって計画的な地方財政運営に寄与するということになるわけですが、そういう意味での自然体で地方財政計画収支が見積もられてはおらないのであって、いま言ったマイナスシーリングであるとか単独事業の圧縮であるとか、さまざまなそういう恣意というふうなものがずいぶん色濃く盛り込まれる。  これは後でも言いますけれども、それが特に五十年以降の地方財政計画を組み立てる特徴になっておるので、ここでは指摘だけしておきますが、大臣は先ほど抑制基調のもとにおいても「福祉施策及び教育文化振興対策等推進を図るための財源を充実」をしたと言っておるのですが、言葉はそうなっておるが、ちっとも中身はそうなっておらぬわけで、歳出の増減事由を一つ見たって、ちっともここにおっしゃっておるようなことに何もなっておりゃせぬのです。大臣が言っているところは皆三角ついておるのです、これ。三角ついておるところを何かばかにようやったようなことが書いてあるので、余りこの概要説明も私は納得はできないのだが、とにかく自然体で図ったのじゃない、さまざまな圧縮をして交付税制度の趣旨とはおよそ離れたことをやってもなお、そうやってぎりぎりやってもなお三兆三千三百四十六億円が足りない、こういうことになったわけですね。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕  としますと、これはもう三兆三千三百四十六億円は突発的なことでも何でもない非常に構造的なものだということになると、毎年言うようで悪いが、もうここまで来ると、せめてこの分だけは制度改正にでも持ち込まないと、もう乗り切れない、説明もつかない、言いわけにもならない。それでもというので、三兆三千三百四十六億円から利子の半分の三千四百何がしをたたき切っても二兆九千億残ったということになっておるわけですからね。これはこうなってきますと、この分だけでも制度改正に持ち込むべきだという主張ももっともになるでしょう。自治省はそう考えて何かやったのですか。
  65. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十八年度地方財政対策の内容をつぶさに検討いたしますと、確かにこの財源不足額そのものは、先生御指摘のように、歳出をたっぷり伸ばした結果ではなくて、歳出を切りに切って詰めに詰めた上でなお財源不足である、主としてこれは地方税地方交付税の減に伴う財源不足である、そういう意味で非常に私どももこの内容を深刻に受けとめております。今日の地方財政が非常に構造的に問題を抱えているということは十分承知しております。  そこで、こういった事態に対してはこれまでも本委員会でもたびたび御論議いただきましたように、基本的にはこういった収支の不均衡状態を制度的に恒常的に解消できるような措置が望ましいと私どもは考えております。しかし、御承知のように現在の国、地方を通ずる財政状況のもとにおいて恒常的な問題解決に資するような制度改正が残念ながらできなかったということで、五十八年度におきましても基本的には五十三年度にある程度形づくられました財源不足額については、基本的には交付税特会による借り入れと地方債特例的な増額、この二本立てで対応する、そして特会の借り入れにつきましては元本の二分の一を国庫が将来にわたって負担する、こういう方式でいかざるを得なかったわけでございます。  さらに五十八年度について申しますと、大変私どもも残念であったわけですが、従来、特会借り入れの利子につきましては全額を国庫が負担しておったわけでありますけれども、五十八年度についてはこの元本の負担割合に応じて交付税特会も負担せざるを得ない、具体的には三千四百四十六億円の利子を負担せざるを得ないということになったわけでありますが、私どもはその利子負担も含めて五十八年度地方財政運営に最小限度支障が生じないような手だては講じたつもりでございます。しかしながら、こういった姿、こういった制度改正の形というものが今日の地方財政の実態から見て決してこれでいい、これで望ましいというものではないということは十分認識いたしているつもりでございます。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 いまお話があったように五十年、五十一年と出てきた問題、五十二年どうするということになって制度改正の議論が出ました。五十二年はいま言った借り入れで元本半分ずつ、利子は全部国負担でしのいで、五十三年からそいつをルールにしたからこれが制度改正でございますと言って皆さん強弁してきたわけだ。毎年同じような議論をして、ことしに来た。だから、皆さんがこれが制度改正ですと言ったその制度改正も、いま局長のお話のように、不本意ながら利子の二分の一カット、三千四百四十六億ということになったわけですね。  あなたは予防線を張っちゃったから、われわれも不満だと言っておるのだから、追い打ちもないけれども、少なくとも制度改正ですと言って自治省という政府機関が公然と主張をしてきたことを自分で今度はひっくり返しちゃった。しかも、この金利というのは過去に借りた金でしょう。これがわからないのだな。利子は私が持ちますよと言って借りたのですよ。しばらくたったらあれ返せと、今度こう言うのでしょう。これは約束違反というか、ルール違反というか、そういう話で、過去にさかのぼらないという不遡及の原則というようなものからしても、これは道理に合わない。  そう言ってみれば、五十七年の補正のときに大蔵大臣が何かどこぞかの発言で特会における国の負担義務は見直さなければならぬとかいうようなことを言った。それが今度出てきたわけですけれども、しかし過去に借りた分の金利を追いかけてきて取り上げる、これは地獄の追いはぎみたいな話だけれども、大臣、これはどう考えてみても、こんなことされても、去年一年間で三兆円近い見込み違いが出ても責任とる者もおらなかった、自分がつくり上げてこれがルールです、これが制度改正ですと言った者に一太刀浴びせられて地獄の追いはぎに遭っても、だれも責任もとらず泣き寝入り、これは勇気ある人間のしわざでないと思うが、大臣、どうですか。
  67. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 先ほど来のお話も私は地方財政の根本に触れた論議であると思うのです。構造的という言葉が出てくるわけでございますが、先ほど来の五十七年度の見通しが悪かった、これは政府としては、まず経済成長はどれくらいになるかというのは経済企画庁で立てる、主としてはその経済成長率にのっとって、税の弾性値はどうはじくかということでやってきたわけです。ところが、その経済企画庁の経済見通しというのが私に言わせれば本当に当たったためしがない、こういうことです。  それで、今度は民間の見通しとまた国は違うのですね。毎年同じことを繰り返してきている。それは企画庁を責めるのも無理な点もあると思うのです。そう簡単にその見通しぴしゃり当たるわけにはなかなかいかないということはあると思うのです。しかし、それがやはり税収の一つの見込みの基礎になっているところに、やっぱり税収というのはある程度確実に入ってくる、やっぱり安定した税収でありたい、こう思うのですが、先ほどの財政局長の御答弁申し上げた中でも、たとえば道府県税で言えばやっぱり県民税の法人税割が落ちたとか、あるいは事業税が落ちたとか、今度は市町村税の中で固定資産税はわりあい安定しているということがあるわけなんで、やっぱり税にもそれぞれ性格がある。ですから、そういう点も考えなければならぬ。  それから、何といいましても地方交付税は国の 税収と全く私は連動していると思うので、向こうが見込み違いをすればもうてきめんにこっちに響いてくる、こういうことがあります。その辺のことを一体これから地方税収を確保するという観点からいったら、どういうふうに考えたらいいのだろうか、こうして毎年毎年御指摘のように交付税特会で借り入れをしているというだけでは、全くお話のように構造的な問題だと思うのです。  それじゃ、うちばかりかと言えば、やっぱり国の方も同じようなことをやっているのじゃないでしょうかという感じがするわけです。ですから、全体としましてやっぱりどうしたらいいかということを、一方においては歳出抑制あるいは合理化効率化ということを言うわけなんですが、それも当然に考えていかなければならぬ。一方、税収の安定的な確保をするのには一体どういうふうに考えたらいいのかという、やっぱり何といいますか、構造的な問題はどうしても考えていかなければならぬのじゃないだろうか、こう思うのです。  そこで、よくお尋ねいただくので、それじゃ、どうしたらいいのだ、こう言われると、私の方もこうだという妙薬はなかなかないわけなんです。しかし、同じことを繰り返しておっても、これなかなか、どんどん国の方はたとえば百十兆になったり、わが方は五十八兆になったりしてきますから、その辺はひとつ考えをどうしたらいいかなと、こう思うわけなんです。  それで、いまお尋ねの利子の二分の一負担の問題は、これは私は全く五十八年度予算編成の最大の眼目であったわけなんで、これはわが方としても大蔵省と十分に私ども折衝をしたわけですが、何せこっちもつらいけれども、しかし国もやっぱりつらい。これは車の両輪のごとしだということで、こういうことになってきたわけです。そういう確かに仰せのようなことはわかります。わかりますが、もう少し全体の仕組みというものを一体どう考えていったらいいかということもやはり検討をしなければならないのではないか、こう私ども思っております。
  68. 志苫裕

    志苫裕君 それは答弁をするあなたの顔を見ていると非常に深刻ですから、地方財政もこれは大変深刻だなというのですが、ただ、それでもおのずからルールがあるのですよ。約束しておいて、あなた、追いはぎという手はないだろうということぐらいは、やっぱりけじめつけなければ、もっとほかの工夫があっていいという意味で。  で、時間がないから少しいろいろ私の見解も述べていきますが、これは国も大変ですが地方も大変だ、こういうのですが、国の大変さと地方の大変さは少し質が違うのですよ。それはなぜかというと、たとえば、ただ財源不足額というのは自然体で算定されたのじゃないと私は言いましたけれども、ちょっと念のために皆さんから出ている資料を私なりにグラフにしてみましたら、四十九年から五十八年までの地方財政計画と国の一般会計の予算の伸び率を見ますと、五十五年から逆転をしていますね。あるいは補助事業及び直轄事業と単独事業との伸び率を見ても、その辺からひっくり返っている。  あるいは地方財政計画における主要な費目の伸び率など全部見ますと、一口に言って国の景気政策の変動、変化ですね。不況は大変だからひとつ景気よくしようというので、いろいろな意味で国が積極財政をとる、それに自治体も積極財政を強いられる。国が今度は公共事業等スローダウンさせるが、しかし景気政策はもうちょっと続けたいということになると、自治体の単独事業の分はそういう枠をふやして継続をせい、それももう限度に目いっぱいくると、どっちも一緒にすとんと落とす、それで今日の行革デフレの影響をもろに受けるといういきさつから見ましても、ここ少なくとも四十九年の後半から五十年—五十八年までのこの地方財政計画運用を見ていますと、これは全部国の政策に振り回されておるのですよ。  こういう一口に言うと国が積極財政、金があるわけじゃないのだから、したがって、それで起債がかさんでいくというふうな形で借金は残るでしょう。で、国が一遍スローダウンしても単独事業やれというので、それもまた残る。一緒に全部切り詰められてくると、これはまたそれはそれで財政がしりを受けるというふうな形で、財源不足算定というのはそういう意味では地方財政の操作の手段としていろいろやられてはいるのですけれども、やっぱり基本的には国の経済政策の変動に振り回されておるという要素が強いだけに、責任の大半の方はそれはやっぱり国にある。  そうかといって、自治体に少しむだなことをしているとか、世の中変わったのだからそれなりの工夫も努力もしなければならぬという分野が私はないと言っているのじゃないのですよ。基本的にはそういうところにある。そのことを踏まえておくと、地獄の追いはぎとは何だ、いつだってこうだと言って、おまえに振り回されているじゃないかという言い分ぐらいがあって、あなたが深刻な顔をしておるのもわかるが、同時にやっぱり開き直りの顔もせぬといかぬという意味でちょっと問題を指摘しておきたい。  そうして、その不足額の何割か、あるときには半分以上、あるときには半分を地方債で補いますから、交付税の性格が地方債化をしてくるとか、自治体のこの起債の残高だけは、やたらとかさんでいくとかという、もうめちゃくちゃな形になっちゃったわけですね。ですから、たとえば地方債計画一つ見ても自治体の財政需要ではないのですよ。財政需要に応じて地方債の計画組まれているわけでも何でもないわけだ。国の割合に応じて組まれているという形になるでしょう。  その上、充当率が年がら年じゅう上がったり下がったりしますから、自治体が計画的に財政運営はなかなかままならぬというふうな、がちゃがちゃになってきた上に、私は今度も皆さんの説明を読んで、足りない分の幾らから二千幾らを引いてというふうなこと書いてありますが、これは毎回言うことですが、もう算定基礎がこうやって過去のさまざまな尾を引いておりますと、そういう種類の情報がもう官僚に独占されまして、財政計画が自治官僚の独占物になっちゃったというふうな等々から見ますと、紛れもない地方交付税制度の崩壊現象だ、崩壊そのものだ、もう新しい制度に取ってかわるか何かしないと、ちょっとこれはいけないなという感じが強い。  この点の認識ぐらいは一致をさせて、まあそうは言っても、私もこうやればぴたりと直るというようなものを持っておるわけじゃない。社会党にでも天下をとらしてくれればできるかもしれぬが、しかし現行の仕組みの中でというと、あなたと同じように深刻な顔をせぬといかぬことはいかぬのですが、どうにもこうにもならない、もう崩壊現象だ、法はあって魂なし、何だか継ぎはぎだらけのことをしているうちに似ても似つかない化け物になっておるという、こういう認識は一致させておいた方がいいのじゃないですか。大臣どうですか。
  69. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま国税と地方税との国民の納める税の比率は、やはり国が三分の二で地方税三分の一だ、こう言うのですね。それを五、五にせいという、やったらどうだという御意見がときどき御質問で出るわけです。  五、五にするときは、いまの税制そのままでやったら、やっぱり大きな自治体には税収はどかどか入っていくけれども、小さなところへは入っていかない。富めるものはますます富む、こういうふうになるから、やっぱり何がしか四十七もある都道府県あるいは三千三百もある市町村の歳入調整はする必要はあるのじゃないだろうか、これを地方の税源で賄いなさいというだけでは、やっぱりわが国の地方財政は処理できないのではないだろうか、そうすれば、やはりそういう調整機能を何か発揮するような税収というのか、その際、国の方で調整をやるような税収はやはり確保する必要があるのかなと。ここで、いまお話しのように、交付税はもう崩壊したからどうするのだ、ストレートに私も全く同感でございますとはとてもまだ申し上げられない、こう思っているのです。  これはいろいろお考えありましょうから、今後 私はこういう御論議をいただく、あるいは税制調査会とかあるいは地方制度調査会、そういうところでもいろいろ今後とも御論議をいただきながら私どももひとつ考えていきたい、こう思っております。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 交付税問題はまだ後続部隊がありますから、私はこれでひとまず引きまして、最後化一点でいいのですが、消防職員の団結権の問題たついて、私は毎年必ずこの問題を追跡調査をする意味でお願いをしておるのですが、いわゆる一九八一年六月のILO総会で日本政府は消防職員の団結権問題たついて結論を得るため審議を促進するという見解といいますか情報を送っておいて、私はその結論を得るための審議促進方をその年の十月はこの委員会で求めておきました。従来は、慎重は検討をする、長期的な視点に立って慎重は検討するというところが一歩前へ出て、結論を得るための審議を促進するということ化なったことにかんがみ、のんべんだらりといつまでもしておってもらっちゃ困るという意味で、せっかく御精進を促したところですが、その後どうなっていますか。
  71. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 審議を促進いたしきすためは、昨年の御質問がありました後はおきましても、公務員問題連絡会議化おききして消防職員の勤務条件等に関する説明をさらは聴取するとか、あるいはその後三回はわたりましていろいろな各般の御意見を踏まえ、鋭意相互は検討を重ねてきたところでございます。今後とも審議の促進を図ってまいりたいと存じております。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 三回という中身は何ですか、三回化わたってというのは。
  73. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 三回にわたって会議を開いて検討をいたしました。
  74. 志苫裕

    志苫裕君 三回化わたって会議を開いても答えが出ないのを小田原評定と言うのですが、ひとつなお実りの出るように要望をして質問を終わります。
  75. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 午前の質疑はこの程度化とどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ─────・─────    午後三時四十九分開会
  76. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 大川清幸

    ○大川清幸君 初めに地方財政計画のことでお伺いをいたしたいのですが、この自治省発行昭和五十八年度地方財政計画、この中の「はしがき」には、「地方財政計画の意義」と「役割」というのがきわめて整然と整理をして書かれておるわけですが、午前中も問題はなっておったのですが、この中身の各項目について見てみますと、この項目のそれぞれが十分担保されているかどうかということでは、海年これを拝見いたしながら疑問に思うし、むなしい気持ちがするわけです。  先ほど午前中の質疑の中でもお話がありましたような、たとえば五十七年度の場合は歳入歳出規模で対前年比五・六%伸びたというかっこうになっていました。ただし、ゼロシーリングの基本的な問題があるものですから国庫補助事業などは伸びがずっと抑えられたというようなことで、結論的化は財源不足額がゼロというかっこう化なっていた。そこで、じゃ、地方財政の状況はどうなのかというと、世間で言うようは余裕があるのではなくて、実態を見ると、地方債の方で三月末で三十二兆円、それから時会借り入れの方で八兆円ぐらいあったと思うのですよ。ですから、地方財政は余裕があるなんということはとんでもない話で、大きな借金をしょい込んでおることはもう間違いない実情はあった。ところが、財源不足、ゼロとWうことで、国の財政事情もあったのでしょうが、地方交付税のうちの減額留保分の千百三十五億ですか、これを国の方へ一時貸与するようなかっこう化までしてしまったというような、ああいう扱いをした。  ところで、今度は宜十八年度はどうかといいますと、歳入歳出では対前年比で〇・九%の伸びで抑えてある。これは過去最低ですね。地方交付税の方は八兆八千六百億、前年対比でこれは四・九%下回るわけですね。一方、公債費を除く一般歳出の方では〇・一%の減、地方単独投資的経費の方の関係では八兆五千億円で、これは前年度並み。  いまちょっと五十八年度関係で挙ぼてみても、これは新聞論評なんかでもみんな言っていますが、これはきわめてめずらしい従来化なかったケースで、こういう措置をしておるという点から考えますと、大変皮肉な言い方で恐縮なんですが、先ほど申し上げた「地方財政計画の役割」の中で「国家財政・国民経済等との整合性」云々と、こうなっているのですよ。ところが、これは地方財政と国家財政あるいは国民経済等との整合性と言うけれども、これは国家財政の御都合はよってというふうは読みかえないといかぬような感じもしますし、それから「意義」の方では「地方公共団体は対し全国的な規模における地方財政のあるべぎ姿を示すこと。」、こうなっているのですが「あるべき姿勢じゃなくて追い込まれた姿勢が示されているのじゃないか、こう思うのですが、この辺のことについては、「意義」とそれから「役割」化ついては十分担保されていないと思いますが、いかがですか。
  78. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 私どもは五十八年度地方財政計画の策定化当たりましては、この「はしがき」は書いておりますように、地方財政計画の持っております役割りをできるだけ果たし得るようは最大限の努力を尽くしたつもりでございます。  ただ地方財政を取り巻く環境が余りにも厳しいという状況から、ただいま先生御指摘になりましたように、個々具体の歳入歳出の項目につきましては、地方の立場からこうあってほしいという線からは若干離れた姿にならざるを得なかったという点は率直に認めざるを得ないのでありますけれども、しかし、私どもはこういう厳しい環境の中にありましてもこの地方財政計画の持っております役割りというものを何としても維持確保していきたいということで努力したつもりでございます。
  79. 大川清幸

    ○大川清幸君 現実にそのパイは限界がありますから、いろいろやり繰りしなければならない実情は私も十分理解をいたすのですが、しかし、地方財政そのものの現在それから将来に対するあり方という点、地方財政のあるべき姿勢、こういう点で言いますと、やはり年々の財政事情や経済のいろいろな条件があることはわかりますけれども、地方財政計画そのものの一貫性なりあるいは自治省としての自主性みたいなものが年度を通して貫かれていて、それがはっきりわかるようなものがないのでは、やっぱり先ほどお話があったように国の財政事情で振り回されていると言われても、これは仕方がないのですね。  その点がきわめて私は残念に思うので、これは積み上げで財政規模、財政需要をずっと決定して数字を決めるのですが、実際には大蔵省の予算編成の場合の弾性値その他の問題があって、やっぱりあっちに引きずられた形で、積み上げたものとどこかですり合わせるみたいな作業をせざるを得ない、環境から言うと、そういうことなんだろうけれども、そうじゃなくて、何かいま言ったように自治省としての地方財政のあり方についての基本的な線が一本通ったようなものをきちっとしておけないものですか。毎年そのときの事情を見ては、向こうにすり寄るというか、寄りかかったような地方財政計画のやり方自体が私は問題だろうと思うのですが、どうですか。
  80. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 地方財政計画の策定に当たりましては、歳入の点について申しますと、地方税収入の見積もりなどについて、地方税独自の税目については、私どもの税務局においていろいろなデータを用いてできるだけ客観性のある、確実性のある収入見積もりを行っておるつもりで ございます。ただ、法人関係税あるいは国税の所得税と課税標準を基本的には同じくする住民税所得割、こういったものにつきましては国税当局の見積もりと自治省の見積もりとを基本的に合わせざるを得ない、合わしてきております。それから交付税につきましては、これは国税の見積もった額の一定割合として決まってまいりますから、これもまた国の方へどうしても引っ張られざるを得ないと思います。しかし、いま申しましたように、地方独自で決められる分野については私どもはできるだけかたく見積もってきているつもりでございます。また、雑収入等についても地方の主体的な判断で見積もりを行ってきております。  それから、歳出関係でございますが、国庫補助負担金を伴う経費につきましては、国の予算によって決まったところに見合って事業規模が決まってまいりますから、これはどうしても国の方針に引っ張られざるを得ないわけであります。  問題は、地方独自の経費をどのように見積もるかということであります。たとえば給与関係経費について申しますと、これはやはり地方財政計画上は国家公務員の給与と基本的には方針を同じくする、国の方針と同一歩調でいかざるを得ないという考え方に立っておりますが、一般行政費などについては、地方独自の施策については経済成長率や物価水準などの推移を見ながら必要な経費確保するという考え方に立っております。ただし、こちらの方も、たとえば管理経費については節約をする、合理化を図る、こういった点は国と同一基調に立たざるを得ないのであります。  それから、公債償還費のようなものは、これは義務的経費でありますから、地方債発行残高をベースにしてこれは積み上げております。  それから、維持補修費、あるいは投資的経費の中の単独事業費、これらについては地方の自主性というものを考えながら必要な額を積算してきております。単独事業について申しますと、過去三年間公共事業はゼロでありましたけれども、地方はやはり地方独自の施策が必要であるということで、七・五%、八%、八・五%というふうに国に比べてかなり高い伸び率を確保してきております。ただ、五十八年度につきましては、最近の地方の単独事業の実施状況と地方財政計画との絡みなども考えまして前年同額を確保するという方針にいたしましたけれども、これについても従来から地方の必要性というものを基本に置きながら積算を行ってきております。  公営企業繰出金につきましても、それぞれ一般会計、公営企業会計との負担原則をベースにして必要な額を積み上げてきているつもりでございます。  以上申し上げましたように、やはり大きなところでは国の予算編成方針とある程度調子を合わせざるを得ないわけでありますけれども、地方独自の分野につきましては、私どもは地方の必要性に基づいて最小限度のものは確保するという考え方で臨んでいるところでございます。
  81. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、ちょっと角度を変えてお伺いをいたしますが、これは三月二十五日、閣議決定をして国会に報告された「地方財政の状況」、いわゆる地方財政白書ですが、この中でも「財政構造の硬直化が進んでいる。」ということを地方財政について認めておりますし、それから今後の地方財源の安定確保のためのいろいろな問題をこの中で指摘をしておるわけですが、たとえば「第一は、自主財源の根幹をなす地方税源の充実である。今後、巨額の借入金への依存から脱却しながら、住民生活の安定と福祉の充実を推進するためには、歳出の徹底した節減合理化受益者負担適正化等の努力を重ねることはもとより、」と、この辺の表現はちょっと私問題があると思うのですが、「税制面においても、引き続き非課税等特別措置の見直し等税負担の公平化適正化のための措置を一層推進するとともに、地方税源の充実強化を図る必要がある。」、こういうふうな表現になっているのですが、これは「自主財源の根幹をなす地方税源の充実」、このことについては将来にわたる問題ではあろうと思うのですが、五十八年度についてはこの部分についての対応の仕方はいかがだったのですか。
  82. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 五十八年度地方税改正に当たりましては、私ども、もちろん基本的には何らかの方法で地方税源の拡充強化ができないかということで臨んだわけでございますが、御承知のとおりの経済情勢の中で、しかも臨調の答申にもございますように、ともかく現在の財政状況を乗り切るために基本的には増税なき財政再建という形で臨んでいくという基本方針がとられているところでもあるわけでございます。  こういう中にありまして、負担の公平適正化の観点から税率調整等によりまして、実質的に地方税源の拡充につながるものにつきましては私どもも極力改正をし、その方向で改正案を先日御承認いただいたわけでございます。結論といたしまして、初年度三百七億円、それから平年度にいたしまして五百六十億円の税制改正ができたということであるわけです。もちろん金額は小さいわけですけれども、国税の改正増よりは五十八年度の場合には地方税の方がわずかではありますが上回っておる、こういうような実績もできたというふうに考えております。  いずれにしろ、しかし実質的に従来の地方税源が国に比べてきわめて貧弱であるという状況を基本的に性格的に変えていく、そういうところまでは五十八年度の税制改正ではとうていでき得なかったものでございます。今後の制度改正あるいは税制全般についての基本的見直しの中で、地方税源の拡充強化のためにわれわれは引き続き努力をしていかなければならないもの、こういうふうに理解をしているところでございます。
  83. 大川清幸

    ○大川清幸君 これ一遍にはこの辺が解決しない問題であることはわかりますが、やはりこういう問題指摘をみずからしている以上は、この方向で十分な努力をいただくことがこれは道理だろう、こう思います。  第二番目は、「地方交付税の安定的確保」、これは白書の中で言っておりますし、この「地方財政計画の役割」の中でも「地方財源を保障する」、こうはっきり言っているのですが、これ保障の仕方が問題で、午前中も論議になったあの利息の二分の一取り上げちゃったり、こんなことやられていたのでは「地方団体の毎年度財政運営の指標」とするなんて、りっぱなうたい文句が泣くわけですよ。保障したって、つじつま合わせて年間の地方財政はころがるようにはしたのだけれども、中身は非常に保障されていないという解釈せざるを得ないと思いますが、どうですか。
  84. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 今日の地方財政の置かれている状況が交付税制度の本来の姿といいましょうか、法律に書いてあるとおりの形でなかなか運用できない状況に陥っている、そのために昭和五十年度以降毎年度いろいろな特例措置を講じてきているわけであります。そういった意味で交付税制度の本来的な姿と少し変わってきておりますけれども、ただ私どもそうした中でも、やはり地方財政計画上積算された地方行政水準、最低限度の地方行政水準を維持するために必要な財源は総量として確保に努めているつもりでございます。  五十八年度の対策につきましても、従来の物差しで、従来の考え方で積算いたしますと、二兆九千九百億円の財源不足になってしまう。そこで、これにつきましては一兆六千六百億円余りを交付税特例増額で、一兆三千三百億円弱を地方債特例増発でということで補てんしているわけでありまして、少なくとも地方財政計画上最小限度地方行政水準を維持するためにこれだけは必要だと考えられた歳出水準に見合った財源確保したつもりでございます。  ただ、その内容は、先ほど来御指摘ありますように交付税制度本来の姿からすると、かなり異なった形になっている。これは今日の国、地方の置かれている財政環境のもとで、まことに私どもはやむを得ざる措置として対応しているわけでございますけれども、そうした厳しい中で、苦しい中で何としても最低限度の地方行政水準は確保するに足る措置を講じている、このように考えている ところでございます。
  85. 大川清幸

    ○大川清幸君 地方交付税のその性格ですね。これが創設されたときの性格、これはきちっとやはり財政事情、経済状況、そういうものがどういう状況にあろうとも、もともとその立法の精神から言うと交付税そのものの基本的な性格だけはこれは崩さないのが道理と、こう思いますが、その辺のところが午前中指摘されたように、性格変化を来している。  これはそう言われてもしようがないと思うのですね。国の方も財政が厳しいものだから、資金運用部資金なんかも建設的投資に使うやつを借金のしりぬぐいなんかにそろそろ使い始めたような不健全なことをやっておるから、そういう事情から考えるとやむを得ない面も私は現実の問題としてはわかるのだけれども、やっぱり交付税創設当時の精神というのは、これはそれじゃ那辺にあったのですか。どうです、これ。
  86. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 交付税制度は、御案内のように昭和二十九年度にそれまでの地方財政平衡交付金改正して今日の制度に切りかえられたわけでありますが、その最大の眼目は、地方財政平衡交付金制度のもとにおきましては毎年度地方財政計画ベースで計算された地方財源不足額を一般会計予算に組んでいく、言うなれば毎年度積み上げ方式で地方の所要財源確保する、こういう方式であったものを昭和二十九年度からは国税三税、すなわち所得税、法人税、酒税、この三つの税金の一定割合の額として交付税確保する、その額によって必要な地方行政水準が維持されるようにしていく、こういう理念でスタートをしたと思っております。その基本的な考え方は今日においても変わっておりませんし、またそれを守っていかなければならないという私ども気持ちも変わっていないつもりでございます。  ただ、御案内のように昭和五十年度以降、この交付税率三二%では必要な地方財源確保できない、地方行政水準が維持できない状況に陥っているわけであります。そこで、これを改善するためには国と地方の税源配分あるいは財源配分を根っこから見直さなければいけない状況にあると思います。  地方の立場からすれば明らかにそういう状況にあると思いますが、問題は国の方の財政も全く同様に大変な財源不足の状態に陥っている。そのために国、地方を通ずる税源の恒久的な再配分、恒久的な見直しができない状態が続いておりまして、そのために最近まで毎年度、いわば当分の間の措置として地方財源を量的に最小限度確保する応急措置が講じられている。私はこういう姿はなるべく早く改められなければいけない、そういうことを願望しておりますけれども、いかんせん、今日の財政状況が何としても厳し過ぎる、情勢がまだ不安定である、こういうことではないか、このように理解しております。
  87. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、これ地方財政計画、いまずっとやりとりをいたしまして、三二%のこの交付税率の問題もやはり状況から考えて問題であるというようなお答えもありましたし、それから性格が少々やはり変化しているというか、変わっているみたいな答弁もあったのですが、私は現実にそうだろうと思うのですよ。ですから、この交付税制度そのものは出発の時点ではやはり地方財政の自主性みたいなものを確保された形で出発をしたと思うのですが、余りに財政事情が逼迫してきたために、毎年その年その年の状況によって、長くずっと歴史的に追って見ていきますと、どこでどうなったのだかわからないぐらいやりくりやったり、つけ回しをやっておって、いま局長から答弁のあったように、これはもう抜本的見直しが必要な時期には来ている。  一方、これ、こういう抜本的な洗い直しするには大事業であることはわかるのですが、やはり将来の地方財政のあり方を考えると、このまま放置しておくというわけにはいかないでしょう。大臣、制度としてどうですか。
  88. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 地方財政を確立するためには、地方税源をとにかく確保するというのか、措置をふやしていくということ、これは私どももよくその間の事情わからぬところがあるのですが、終戦後のシャウプ勧告で従来の制度から変わってきて、どちらかというと、国税におんぶしていたのと、それから地方税源ですっかり地方財政を賄うという考え方の妥協したみたいな中途半端な形にいまなっている、その辺のことを一体どうこれから考えていったらいいのか。  先ほども申し上げたように、いまの税制のままで、地方によけい、国の方の税源を地方の税源に移す、仕事の見直しもやって、その財政的な見直しもするというときに、国の方の税源を地方税源にするということ、確かに考えられることなんだけれども、それじゃ、今度は単位は小さいのあり大きいのあり、まちまちで、それでその単位の中にある例の負担する税源というのですか、それはやっぱり大都会とか、そっちに多い。そうすると、そっちはだんだん税収はふえていく。地方税源をふやすという名目のもとに大きいところはますます財政はよくなっていく。しかし逆に今度は小さいところはちっとも財政はよくならない。お金は回ってこない。こういうことになったのでは、これ救いようがないわけなんで、一体その辺をどういうふうに考えていったらいいのかなということが、まずわれわれ自治省サイドから言ったら私はあると思います。  そこで、今度は国との関連の問題が出てくるわけですけれども、交付税も、率直に言いまして、この前も私はたとえばという全く仮定の問題で申し上げたのですが、直間比率を見直せというようなお話がございますが、じゃ、直間比率を見直すということが課題になったときにどういうふうに見直すのかよくまだわからぬのですが、しかしいずれにしろ、いま言われているのは、やはり直接税のウエートを減らして間接税に持っていけ、こういうことだろうと思うのですね。そうすると、直接税と言えばやっぱり所得税、法人税が大宗をなすものだ、それが減っていくとなれば、交付税は三二%だ、やれこの比率を上げなさいなんと言っておっても、もとの根っこが小さくなっていくというのじゃ、交付税そのものの意味はやはり考えてみなければならない、こういうことだと思うのです。  そこで、仰せのように確かに交付税特会も借入金で賄っておるので、いつまでもこういうことではやっぱり私もいけない、しかしそれは国の方も同じことなんで、借金財政でやってきておるわけで、借りられるところは借りるだけ借りろということばかりでは、なかなかもういかなくなってきているということは間違いないわけですね。  そこで、歳出を思い切ってやっぱり切っていかなければならない、こういうことがまず出てくるわけなんです。で、地方公共団体もやはりいろいろと工面をして、交付税が減れば、それで結局借入金をふやすということで、何とかつじつまを合わせましたということでやっているので、やっぱり借金で借り入れた交付税中身だということもよく地方公共団体もわかっていただいて、私は地方公共団体財政運営をしてほしいなと思っているのです。  仰せのように、確かに基本的な問題を何とか考えなければならないなということはわれわれもよく感ずるわけなんです。それはもうひしひしと感じておるわけでございますが、さて、それじゃ来年度どうするのだということになってくると、これはどうしても国との関連が出てきますから、国の方の税制のあり方とも見ながら、やっぱり地方税制を考えていかなければならない、こういうことに思っております。ただ仰せのように、やっぱりこの辺でしっかり考えてみなさいというお話には、私どもも全くそういうつもりでおるわけでございます。
  89. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、この五十八年度の何といいますか、珍しいものずくめというか、初めてずくめというか、先ほど申し上げました歳入歳出規模で対前年比〇・九%の伸びにとどまったことや、地方交付税が四・九%前年比で下回るとか、公債費を除く一般歳出で〇・一%の減、それから 先ほども言ったように地方単独投資的経費でこれが前年並みということでしょう。このことは、どういう影響が出てくるかということについてはお考えになったことありますか。  というのは、これ地方独自のどこか税源見つけると言ったって、事業所税とかなんとか言っても、大体方々でやるべきところは大都市はやっちゃって、もうないのですよ。余地は余りないと思います。しかも、地方公共団体の行政サービスで言うと、公園とか道路とか、これから発展する都市なんかのいろいろな町づくりの整備ですとか、あるいはおくれている文化施設関係の整備をやらなければならないが、こいつはやっぱり抑えられる傾向にあって、余り地域的な景気刺激の効果というのは上がらないおそれありますよ、この地方財政計画は。  もう一つは、背に腹は変えられないから、公共料金の値上げなんということに一部の地方公共団体でなりますと、これは幸い国家財政がこんなふうにがたがたに破産状態ではあるのですが、不思議にここ二、三年卸売物価と消費者物価というのはずっと安定して横ばいなんで、これもう本当に天与の幸いなんですよ。不思議な現象なんですが、従来の経済理論ではこれ割り切れない現象出ているわけ。その辺はいいのですが、公共料金の値上げというやつは物価値上げの引き金になることは従来多々ずっと現実見てきているわけです。そういう点からの影響についてはどうお考えになっていますか、どう見ていますか。
  90. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 率直に申しまして、五十八年度地方財政計画におきまして歳出を極力抑制ぎみで積算した、その具体的なあらわれとして地方単独事業を前年同額にしている、このことは地方公共団体財政運営の面でも歳出を全般的に抑制ぎみにせざるを得なくなる、それはもう否定できないと思います。  ただ、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、地方単独事業につきましては、地方財政計画と現実の決算との間にかなり乖離がありまして、地方財政計画の方が恐らく実質的に言っても一兆数千億円上回っていると思います。ですから、これからは地方団体、いろいろ努力、工夫していただいて、これに追いついていただくということに御努力いただくようになると思いますが、それにしてもトータルをこのように抑制ぎみにしているということは、地方の歳出全体の傾向に影響が出てくることは避けられないと思います。  それから、公共料金でありますが、使用料手数料、これらにつきましては、今度の地方財政計画におきましても、たとえば高等学校の授業料を国立学校に準じて引き上げを前提にして歳入を見積もっております。地方交付税単位費用もそのように計算しております。税収入あるいは交付税を含む一般財源が非常に厳しくなってまいりますので、どうしても地方行政サービスによりましてはそのコストに見合った負担をお願いせざるを得ない、こういう面はどうしても出てくると思います。
  91. 大川清幸

    ○大川清幸君 これはイタチごっこの論議みたいになるので、少し具体的な問題で聞いてまいりたいと思うのですが、五十七年度の国と地方の財源の実質的配分、これを見ますと、形式的割合と実質的割合でそれぞれ数字が出ておりますが、これは五十七年ですから、形式的割合の方、国が六六・〇、それから地方の方は三四・〇、一方実質的経費、いわゆる歳出の形の方ですが、これで国の方が四〇・六、それから地方の方が五九・四ですね。五十八年度の推定で言うと、これが形式的割合の方で国が六三・六、それから地方の方が三六・四です。実質的割合の方は、国の方は四一・五、それから地方の方は五八・五、こういうことになっておるわけです。  この傾向を数字で見ますと、地方の税負担を強めて、そして歳出というか実質的割合の方は国以上に抑制をするような感じで、結果としては数字でそう読めるのだけれども、この点はやはりどうしても、何といいますか、いろいろ努力をなさっているとはいいながら、地方への負担を押しつけているということに解釈していいのでしょうか。
  92. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) ただいまの御指摘でございますが、国と地方の財源の実質的な配分、形式的な配分の傾向について御指摘があったわけです。  形式的な配分割合で、国の方が五十七年度より下がって地方が上がっている、これは地方税収入は前年度よりもちょっと減っておりますけれども、ほとんど減っていない、ところが国税の方は当初対比で四兆円も減っておりますから、形式配分では少し地方が高くなっておる、こういうことではないかと思います。これは法人税の影響などは国の方が大きく出ているということではないかと思います。  ところで、実質的な配分割合が前年度に比べて国の方が高くなって、地方が少なくなっているという御指摘でございます。数字的には私どももいろいろ検討してみたのでございますが、そういう傾向にはなっていると思います。ただ、それはなぜこうなったのかというと、原因が二つあるのじゃないかと思います。  一つは、五十八年度の場合、五十六年度精算減額八千五百億円が交付税から落ちておりまして、国税の方には根っこに入っているわけですから、その分だけ地方が実質では下がってくる。それからもう一つは、これは地方財政計画の積算上の技術的な問題なんですけれども、この数字の根っこに使っております国庫支出金地方財政計画上の数字を使っておりますが、五十八年度地方財政計画におきましては六千三百億円ほどの例の老人医療費の国庫負担金特別会計に直入になります。これは普通会計でなくなりまして、医療会計として別途経理になりますので、地方財政計画上はこれが五十八年度は落ちてしまっております。そのことが響いているのではないか。この二つの原因から、配分割合が実質では国の方が少し高くなって地方は下がっている、このように私どもは分析しております。  したがいまして、この事実をもって直ちに地方に負担転嫁されたということではないのじゃないか。いま申し上げましたような八千五百億円の精算減につきましては、それに対応して交付税会計の借り入れなどで必要な補てん措置は講じておりますので、この数字で直ちに地方への負担が強まった、このようには私どもは見ていないのでございます。
  93. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、細かい中身の数字のことについてはここで論議をしている時間もないしするのですが、実質割合の方でやはり国側の方の四一・五というのは前年度から見ても上がっていますね。ですから、国の取り分はどこでどういう操作になっているか、私は技術的なことはわからぬけれども、やっぱり国の方が割り得という勘定にはなるのでしょう。
  94. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) いま申し上げましたように、この表のつくり方の問題ですが、交付税の中には当然八千五百億の精算減が行われた後の姿で交付税が計算されております。ですから、それだけ地方への配分が減ってまいります。それからもう一つは、先ほど言いましたように、国庫支出金で老人医療国庫負担金が五十七年度には地方の方に入っておりまして、五十八年度地方財政計画から落ちてしまったものですから、それで国の方は変わりがありませんので、その二つの原因で率が国は相対的に上がっているのじゃないか、このように見ておるわけでございます。
  95. 大川清幸

    ○大川清幸君 同じような問題ですが、やっぱりいまのお話で、ある程度計算でこういう数字が出てくる状況については、その実質割合の方の地方の方が下がっている事情もほぼ納得はいくのですが、しかしいま前の表の、租税に国債あるいは交付税の借り入れ、地方債等入れて全部含めたやつで計算してみましても、形式的割合の方は国の方が五十六年から五十八年まで六七・七、六七・三、六四・二、こうずっと下がってきてはいるのですが、地方の方は今度は割合で言うと、三二・三、三二・七、三五・八、こういう傾向をとっているわけですよ。  ところで、実質的割合の方はどうかと言いますと、国の方が五十六年で三九・九、それから地方の方で六〇・一ですか。五十七年は国の方が三九・六、それから地方の方が六〇・四、それから五十八年では国の方が、これは計算の仕方がいろいろあって数字がちょっと問題だろうと思うのですが、そちらの試算でいう四〇・二、それから地方の方が五九・八、仮にこういう傾向だとしても、五十八年度は極端に国の方がこれら全体を含めた上でも取り分が多いというか何というか、配分の仕方で言うと大分割り得で、地方の方はだんだん借金依存型になる傾向というのはあらわれている、こう見ざるを得ないと思いますが、どうですか。
  96. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 国債、地方債を加えたところで眺めてみますと、五十七年度と五十八年度の対比では国債の方は若干減っているわけでございます。二兆円ほど国債の方は下がっているわけですが、地方の方は財源対策債が一兆三千億余りふえておりますし、それから交付税特別会計の借り入れが、五十七年度は当初の段階ですから収支が均衡しておったのが今回は大幅な不足になったということで、一兆八千億円ほど特会借り入れがふえております。その関係で、国との相対的な関係では地方の借金依存傾向が強まったということは否定できないと思います。
  97. 大川清幸

    ○大川清幸君 次に、いま財源対策債の話が出ましたので、一兆三千二百四十六億円、これが増発されるわけですが、地方債計画の項目で言うと、これはどういうことになるのですか。こっちの一般の資料みたいに、いただいたやつではちょっと中身がよくわからないので御説明願えますか。
  98. 津田正

    政府委員(津田正君) 財源対策債一兆三千二百四十六億円でございますが、地方債計画の中では普通の地方債財源対策債込みにしてございます。合わせた数字で出ておりますので、ちょっとわかりにくいわけでございます。  別途資料もお届けしていると思いますが、考え方といたしまして、普通交付税の方で国庫補助系統の事業の地方負担のうち一般財源、これを地方債で賄う、交付税がないために地方債の方で賄う、こういう考え方でございます。したがいまして、それを受け入れる地方債の方におきましてもいろいろな事業がございますが、これらの中で要するに国庫補助事業の地方負担、裏を地方債で見るもので入れております。したがいまして、一兆三千二百四十六億円のうちの一番大きなものは地方債の項目で申しますと、一般公共事業の中で一兆七百七十五億、それから義務教育施設整備事業四百六十七億、一般単独事業、名前は一般単独事業でございますが、中身は、起債積み上げますと実はプールであるとか幼稚園であるとか給食施設、あるいは公園、高等学校という国庫補助金の出る事業がございますので、そこの裏負担というものの中に入れておりますので、一般単独事業で六百六十五億、そのほか調整分、流域下水道等でございますが、ここで千百十億、それから特別地方債という分類の中で厚生福祉施設整備事業、やはり福祉施設関係で補助金出るものの裏負担、これの関係で五十七億、それからごみ処理等の一般廃棄物処理事業で百七十二億、このようなかっこうで一兆三千二百四十六億を各事業に配分しておるような状況でございます。
  99. 大川清幸

    ○大川清幸君 いま御説明があったように、この財源対策債ですが、地方交付税投資的経費地方債で肩がわりというか、振りかえをしたということですが、この部分での交付税単位費用、この単位費用を落としたものがこの関連の中で幾つかあるでしょう。それはどうなっていますか。
  100. 津田正

    政府委員(津田正君) 先ほどのように、普通交付税算定上国庫補助事業系統の裏負担、一般財源ベースで手当てしておったもの、それを地方債に振りかえるということでございますので、普通交付税の費目の中におきましては河川費などで道府県で大体十一費目、市町村では港湾費など十三費目になっております。  一番大きいものは道府県の河川費でございまして、従来標準事業費あるいは事業費補正で見ておりましたもので、単位費用ベースではなくて総額で申しますと、普通交付税基準財政需要額ベースで申しますと二千七百四十六億、同じく道府県の港湾費で千四十三億、その他の土木費で千四百六十三億、それから農業行政費、農業土木関係の国庫補助事業系統の地方負担を見ておったものでございますが、千七百九十億、ここいらが千億台を超える項目でございます。市町村分で申しますと、大きいものとしましては都市計画費で九百六十二億、農業行政費で六百三十九億、港湾費で四百八十二億、そういうようなものを中心といたしまして、費目数で申しますと市町村分で十三費目、道府県分で十一費目にわたっております。
  101. 大川清幸

    ○大川清幸君 これは近い将来の補正なんかでも、単位費用をまた落とすというか、切り下げるような考え方があるやに聞いておるのですが、そんなことはないですか。方針としてどうなんですか。
  102. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 補正予算で投資的経費単位費用をもう一回落とすというようなことは考えておりません。
  103. 大川清幸

    ○大川清幸君 これ、単位費用を落とした根拠というか、考え方はどういうことですか。
  104. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 投資的経費一般財源地方債に振りかえる場合に、私どもは技術的に振りかえができるもの、それから団体によって不公平が起こらないようなもの、これを基本に考えております。  そういう意味で、従来から公共事業あるいはその他の補助事業の地方負担力については、交付税の計算上は事業費補正あるいは標準事業費方式の単位費用、この二つの方法でそれぞれ算定しております。こういったものについては、これを標準事業費あるいは事業費補正それぞれを起債に振りかえて、その振りかえた起債の元利償還費をもう一度同じような形でもとに戻すといいましょうか、基準財政需要額に算入していくことによって不公平が起こらないではないか、こういう考えでございます。  一方の単独事業でございますが、地方の単独事業財源交付税上、ある程度算入しておりますけれども、こういったものは各団体がそれぞれ自主的に使っているものですから、これはできれば振りかえたくないということで、今回もそれは振りかえをしなかったわけです。かつて昭和五十一年度のときには地方の単独事業分を起債振りかえしたことがありますけれども、これは交付税制度の本質からしてもできるだけ避けたいということで、今回はいわゆる補助事業系統のものに限定して振りかえを行った、その内容ただいま審議官が申し上げましたように、一部は事業費補正をやめまして、それを起債に振りかえた、一部は単位費用の中の補助裏系統のものを落として、それを起債に振りかえた、こういう二つの方法をとっているところでございます。
  105. 大川清幸

    ○大川清幸君 この財源対策債の元利償還費についてですが、これは後年度において基準財政需要額に算入して従来見てきたでしょう。この算入率の問題なんですよ。これについては十割のものと八割のものとありますね。いま説明があったことにも関連があるのかもしらないけれども、この差は何ですか、取り扱いの根拠は。
  106. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) ただいま投資的経費を起債振りかえする場合の基本的な考え方として、後で団体によって不公平が起こらないようにするという大原則をとっているわけですから、そのことがこの財源対策債の元利償還の算入率と関係があるわけでございます。  いわゆる事業費補正系統のものを振りかえた場合には、小中学校とか清掃関係などの事業費補正で、補助裏を一〇〇%事業費補正で算入しているものは起債振りかえをした場合でも一〇〇%元利償還を算入する、そうでないと不公平になりますから、そういう扱いをしております。それから河川費とか港湾費というのは、もともと地方負担額を一〇〇%事業費補正で算入しているわけではありませんで、従来で申しますと地方負担の六〇%事業費補正で算入しておるわけです。その部分を 起債に振りかえるわけですが、振りかえるに当たりましては、たとえば五十六年度までのやり方でまいりますと、振りかえに当たっては地方負担額の七五%という充当率で財源対策債を許可しております。そうしますと、交付税事業費補正で六〇%で見た場合と、それから地方債が地方負担の七五%の充当率でありますから、それの八〇%を見ることによって、全体としては交付税計算では全く同じ結果になる、こういう計算式で算入率を決めているわけです。  このいろいろ細かい費目によっていろいろ差があるのでありますが、要するに基本の考え方はもともと一〇〇だったものは一〇〇で返してやる、それから、もともと一定の充当率、一定の事業費補正の算入率がかかったものは結果として同じ率になるように算入率を決める、こういう考え方でございます。
  107. 大川清幸

    ○大川清幸君 次に、交付税特会借り入れの償還額の問題なんですが、試算で見ていきますと、数字がちょっと確定しないところもあるかもしれませんが、たとえば六十五年度で言いますと、交付税借り入れ償還のうちの地方負担分ですが、これが六千四百二十五億九千万円になるのです。そうすると、これは六十五年度交付税がそれだけ実質的には減少する理屈になりますね。仮に国税三税が国の中期試算で見込んでいる例の成長率として、弾性値が実績の一・二である、こういうふうに仮定いたしますと、償還額のピークとなる六十五年で見ますと、十三兆円ですか。それで、これは百分率で割ってみると四・九一という数字が出てくるのですけれども、これは地方負担分四・九一、この程度の数字については評価としてはどうでしょう。
  108. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 確かに国の財政収支試算による昭和六十一年度交付税が九兆九千二百億になっておりますから、これにいまの名目成長率六%、弾性値一・二で計算しますと一・〇七二という率になりますから、これを連乗してまいりますと、昭和六十五年度は十三兆一千六億円という数字が出てきます。それでもって、ただいまの償還表から出てまいります交付税の負担額、償還分のうちの地方の負担額六千四百二十五億九千万円を割り返しますと、四・九%、結局このままでいきますと、六十五年度には交付税が本来の額に対して五%弱目減りする、減ってしまう、こういう状況になるわけであります。  このことがどういう意味を持つか、財政的にどういう負担になるのか、これにつきましては、六十五年度時点の地方税がどうなっているのか、歳出がどうなっているのか、こういうほかの要素とこれ切り離して考えることはなかなかむずかしいのでありますけれども、ただいずれにしても、もともとこの地方財政の現在の状況は収支が均衡していないわけでありますから、その上に本来の交付税が五%近くも目減りするということは、これはその時点では大変な財政負担、財政問題になるであろう、こういうふうに予測いたしております。
  109. 大川清幸

    ○大川清幸君 これはそのとおりで心配があるのですよ。やっぱりかなり高い負担率になるので、ですから、先ほど初めの方で言っているように、どうも借金体質みたいなのがだんだん国の方の御都合で地方財政を組むときに引っ張られちゃって、そのしわ寄せが来て、先へ行って軽くなる計算も出ていますけれども、これは六十五年前後というのは、そういう状況から見て、この分だけ見ても大変ですよね。これは将来の地方財政計画その他から考えてどうなさいますか。心配ないのか。どうなんですか。
  110. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) その点がまさに中長期の財政計画をつくるべきだという議論の背景にもなると思います。国の方でも経済計画とあわせて中長期の財政計画の検討をされているようでありますが、当然そういったしっかりした国の計画ができてまいりますれば、それに対応して地方財政の姿がどうなるのか、その中でただいまの御指摘になりましたような交付税特別会計借入金の負担がどう響いてくるのか、あるいは財源対策債を含めて地方債の償還費の負担がどうなるのか、こういったことを総合的に考えていかなければならないと思います。  ただ、非常にはっきりしていることは、いずれにしてもいまの状態のままで推移すれば、国の財政も地方の財政もどうにもならないような状況に陥ることだけは間違いない、何らかの手が打たれなければならない、歳入面歳出面で抜本策が講じられなければならないことだけは明らかだと思います。そういう意味でも、なるべく早く経済計画なり財政計画というものが検討されるべきじゃないかという問題意識を持っているところでございます。
  111. 大川清幸

    ○大川清幸君 同じような問題ですけれども、やはり財政事情を将来考えると、いま御説明のあったとおりで、大変条件としてはこれは心配な状況が出ていると思うのです。  同じように、交付税の伸び率で、もう一つの借金返済の財源対策債の理論償還の年度別還元償還率という、これはたしか予算委員会で出していただいた資料なんです。ずっと試算で出ているのですよ。この交付税特別会計借入金償還額のうちの地方負担分と合算してみますと、交付税に対する割合、これが六十年度で見ますと一九・五〇%、六十四年度までずっと二けたが続く勘定になるのです。地方財政の状況分析の一つの材料としては、やはり大変地方財政が苦しい状態になるということがこれ明らかだと思うのですけれども、この辺についてはどのように考えておられますか。
  112. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 償還額としては、この交付税特別会計借入金の償還額よりも財源対策債を含む地方債の償還額の方が金額はずっと大きいわけですから、それを考慮に入れれば地方財政に対する圧迫要因としてはさらに大きくなる、さらに問題が深刻になる、こういう認識を持っております。
  113. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、私どもとしてはこれ単純に交付税率を改定したらいいじゃないかという議論をさんざんいままでやってきたのですけれども、やはり地方財政に取り組む姿勢としては、基本的なものを持たないという言い方をすると非常に厳しい言い方で、そんなことはないのだろうと私は思いますけれども、やはりどうも国の財政事情に引きずられた地方財政計画をずっと毎年やってこざるを得なかったということで、先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、何とか措置する必要がある時期に来ているというか、そういう状況にあるという御認識はお持ちのようでございます。  先ほど大臣からも、はっきり結論はお立場では出せないから、そういう点では考えても心配だという答弁があったのですけれども、やはり交付税率その他も含めて、たとえば税調なり、あるいは地方制度調査会なり、どこかでこれ検討させる方向というのは早い時期に準備しておいた方がいいのじゃないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
  114. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 税調に先ごろ、ことしは減税問題があるものですから、少し早目に税調で御審議をいただこうということでお願いしたわけですが、これ、減税問題もありますが、もう一つ、やはり税制全体についての考え方もひとつ御審議をいただこう、そういうお願いもしてございます。この問題についてはひとつ各方面でお知恵を拝借しながら、この中で何らかの合意、コンセンサスが得られないものかなと、こう思っておるところでございます。
  115. 大川清幸

    ○大川清幸君 いま償還金の地方負担分では六十年度とか六十四年度とかということで先のことをお話ししたのですけれども、たとえば五十八年度、五十七年、五十八年、これやっぱり御承知だと思うのですが、状況見てみてくださいよ。これ、地方債が五十八年で五兆ですね。それから公債費は四兆七千五百七十億ですか。とんとん、まあとんとんというか、同額ぐらいですよ。五十七年はちょっと事情があったにしても三兆八千百億、公債費の方が四兆二千六百十五億、こういう状況ですね。五十七年は〇・八九%、こちら五十八年度 が一・〇五という対比になっているのですよ。  ですから、これ考えますと、借金を地方にさせるのはいいのだけれども、公債費を払うために借金を重ねていく感じになって、地方財政は自転車操業もいいところだ。こんなこといつまでもやらしておいてはだめなんで、これは何らかの措置を考える必要があると思うのですよ。このまま放置しておいたのでは、これ地方財政はよくなりませんよ。どうなさいますか。
  116. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 確かに五十八年度地方財政計画の上でも、普通会計の地方債が五兆十一億に対して公債償還費が四兆七千五百七十四億円でありますから、ほとんど公債費がそのまま償還費に見合っているという姿であります。五十八年度は財政状況が悪化したために歳入における地方債依存度も再び一〇%台に上がりまして一〇・五%になった、こういう状態は地方財政の健全な姿からすれば非常に憂うべき状況であろうと思います。  これを何としてもできるだけ早い機会に下げるような手だてを講じなければいけない。そのためには結局歳出を抑えるか、他の歳入を増強するかという両面からこれを検討せざるを得ないわけでありまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げておりますように、歳入歳出両面にわたってあらゆる角度から研究していきたい、ただいま現在の時点で、こういう方法でということが御答弁できない、申しわけないのですけれども、私どもは何としてもこういう状態を長く続けられない、これは国も地方も共通する問題でありますけれども、歳入歳出両面にわたる基本的な検討が必要な段階に来ている、このように認識しております。
  117. 大川清幸

    ○大川清幸君 基本的な検討はすることが必要な段階に来ているという御認識、それは当然常識で、数字詰めていったりすると、そうなると思うのですよ。  もう一つ心配なのは、これは明年度のことだから、なおさらはっきりした御答弁ただけないのは承知の上で念のため伺っておくのですけれども、五十九年度の予算編成は国も御承知のとおり大変なんですよ。今年度の人勧凍結は引き続きやらないとも言っているし、そうした人件費の問題やら考えますと、五十九年度また財政が苦しいからどこか約束していたのを、また地方の分で保障するやつを取り上げちゃったり、あるいはどこかつけ回しをしたり、借金の繰り延べをしてまた先送りするなんという危険性、五十九年度、十分これありますよ。これからいろいろ予算要求があったりして、大蔵省でどういうふうにするか決めるのでしょうけれども。  そのほかに五十九年度、もう一つあります。減税のお約束、かなりの規模のありますからね。これ、どうなりますか。五十八年度の借金返しの問題だけじゃなくて、五十九年度予算編成に関連して地方財政計画はもっとひどい状態になる。このことについてはよく認識しておいてもらいたいと思うのですよ。これ、どうなんですか。
  118. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) ことしの一月末ですか、大蔵省が国会に御提出申し上げました財政収支試算でA、B、Cの三ケースが示されております。この中で一番モダレートなケースCの場合でも、五十九年度の要調整額、実質的な財源不足額が四兆一千六百億円となっております。私どもこれは当然職務上大変気になることでございますから、この収支試算の歳入歳出につきましてその後の推移によってこれはどういうふうに変わるだろうかということをいろいろ見ております。  どうも歳入の面で申しますと、この収支試算よりもいい方向にはなりそうもない。国税のごく最近の収納状況などからいたしましても、これより非常に事態がよくなるということはまず考えられない。景気が世界的な影響を受けるわけですけれども、景気情勢が多少よくなるのだという見方もあるようですけれども、それが租税収入に大きくはね返ってくる期待が持てるのかどうかというと、なかなかそうもいかないのじゃないか。一方、歳出の方は、この歳出の積算内容必ずしも私どもは詳しくは大蔵省から聞いてないのですけれども、ただわかる範囲で見ましても、これは現行制度では必要最小限度のものを組んでいるだけでありまして、むしろこれよりもふえる要因が幾つか考えられる。そういたしますと、この要調整額というものをどのようにして縮めていくのか、これは大変なことになるのじゃないかという心配をしております。  ただ、先生御指摘のように、私どもは国の方の財源難がそのまま地方へのしわ寄せになってはいけないということで、五十九年度の予算編成に当たりましては地方の立場から問題が地方に振りかえられないように厳重な警戒をしていきたい、それから関係省庁にもその点の協力を要請していかなければいけない、そういう気持ちで現在おります。
  119. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、これ厳重な警戒だけじゃ、ちょっとどうにもならないと思うのですよ。来年五十九年度は大丈夫ですか。
  120. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 余り景気のいい話じゃなくて、しかし事態は私は五十九年度は非常に厳しい、こう思ってかからなければならないと思うのです。  ただ、いまの話のように、国の財政と地方財政というのはやっぱり車の両輪だ両輪だと言っておるのですから、苦しむなら両方同じように苦しむ、どっちかが楽してどっちかが苦しむということも、これも困る、そういうことのないように。ですから、私どもの方は地方に何か転嫁をするようなやり方だけは、私どもとしてもそれは納得のできないこと、こういうことでございます。しかし、国の財政の方もどういうふうになるのか。いまお話しのように、はっきりわかっているのだって、減税、それから米のベースアップ、人事院勧告があるのでしょうから、これをどう措置するか。それは私わかりませんけれども、そういう課題がとにかくあることは間違いない。  楽になる要素は余りないということなので、大変私は厳しい五十九年度予算だな、こう思っておるのでありまして、いま仰せのように地方財政をしっかり守れと、これはそのつもりでやっていこうと思っております。
  121. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、地方財政の借金は大体が建設地方債ということですが、これは社会資本の蓄積になることは間違いないのですけれども、借金ですから、やはり将来はどうしても返さなければならないということを考えますと、こういうやり方でだんだん借金がたまっていったり、あるいは償還年限を先へ繰り延べるというふうな措置だけではどうしようもないので、これは国の財政事情との問題もあり、景気対策等の問題もありで、なかなかむずかしい問題かもしれませんが、どこかで借金の負担がだんだん雪だるま式にふくらんでいく方向だけは歯どめをかけておく必要があるのじゃないかという私は心配をするのですよ。  これはいろいろまた限度を設けたりすると、地方との関係で微妙な問題があるのですが、借金がふくらむ傾向については、何らかこれ措置をするようなことを考えておくなり、財政上の努力を自治省側がしてもらうのが一番いいのですけれども、これ、このまま放置しておくというわけにいかないでしょう。どうですか。
  122. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 確かに、現在のような傾向で地方債あるいは交付税会計の借り入れがふえていくということになれば、地方財政は破局的な状況になってしまうということは明らかでありますから、何としても食いとめたい、少なくともこれ以上借入金への依存度を高めないような努力をしていかなければいけない、こういう気持ちではおります。  ただ、しからば具体的に、じゃ、どういう方法があるのかといいましても、現在ただいまの時点で私ども具体案を持っているわけではありません。何とかとにかく税制改正、あるいは国と地方の財源の見直し、あるいはさらには国、地方を通ずる歳出の見直し、こういったものを通じて、これ以上借金依存が強まらないように努力していかなければいけない、こういう気持ちでございます。
  123. 大川清幸

    ○大川清幸君 五十九年度は大分これはふんどし締めてかからぬとえらいことになりますね。御努力をお願いします。また来年になってから論議するしかこれはありませんから。  次に、例の問題になっていた利子の二分の一地方負担ですね。これは午前中もちょっと論議になっておりましたが、本年度限りの措置ですか。これはやっぱり制度改正で固定化する制度になってしまうのですか。どうなんですか、これ。
  124. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十八年度だけの措置として、御審議いただいております交付税法の一部を改正する法律案の中でも五十八年度について三千四百四十六億円を交付税総額から引いて、要するに利子負担になり得るようにするという改正をお願いしておるわけでございまして、内容的にこれは五十八年度について定めたものでございます。五十九年度以降については何ら決めておりません。
  125. 大川清幸

    ○大川清幸君 これも皮肉な聞き方で申しわけないけれども、たとえば五十六年、五十七年、五十八年と引き続き地方財政状況は悪いわけですね。これは六条の三第二項、例のあの規定から言ったら、まあ前からそうなんだけれども、検討しなければならない条件がもう整い過ぎているのだけれども、やらずにきちゃったそのときそのときの措置を、五十八年度はいまのような本年度限り、五十八年度限りでやるというのですが、これは財源がないし、方法がないから、もう目をつぶって、ほっかぶりして一時的な措置でずっと切り抜けてくるしかなかった、こういう状況解釈でいいのでしょうね。
  126. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十八年度地方財政交付税法第六条の三第二項に定める事由に該当する、その場合に該当する、このように私どもは基本的に考えております。そして、今回の改正法でお願いしております改正内容も、このような事態に対処するために、当分の間の措置として昭和五十三年度からずっと続けております交付税特別会計による借り入れと、その二分の一を国庫が負担するという、この基本的な制度、当分の間の制度でございますが、これを五十八年度についても継続してお願いするという考え方でございます。  ただ、これまではその大前提といいますか、そのベースとして交付税特別会計借入金利子については全額国が負担してまいったわけでありますが、五十八年度につきましては、私ども非常にこの問題については、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、最大の問題として論議し、私どもは何としてもこれは避けたかったのでありますけれども、最終的に国の財政事情というもとで、やむなく五十八年度について利子を二分の一負担するという形に決着せざるを得なかったわけでございます。  ですから、基本的なこの当分の間の制度というものは、五十三年度以降続けて五十八年度についてもお願いしているわけですが、その前提となる利子の負担について、元本と同じように利子についても二分の一を基本的に地方が負担するということに五十八年度だけについてはお願いしている、こういう理解でございます。
  127. 大川清幸

    ○大川清幸君 それで、五十八年度地方債計画の中でちょっと細かいことをお伺いしますが、地域改善対策事業、下水道事業、それから上水道事業、この三事業はいずれもこの表で見ると十億円ずつ、これおそろいで計上されておって、対前年比で見ると、これは地域改善対策事業の方は二十億の減、下水道が十億、上水道が二十億減なんですが、これ、こんなに減らした根拠は何ですか。五〇%、六〇%減っていますよ。
  128. 津田正

    政府委員(津田正君) この資金は、年金のいわゆる還元融資関係の資金を充てるわけでございます。御指摘のとおり、地域改善、下水道、上水道につきまして、五十七年度に比べますと、この三事業で五十億落ちた、八十億が三十億に減ったというような事態になっております。  これの大きな原因は、財投原資総体の問題もございますが、特に年金関係の資金が、財政投融資計画におきましても五十七年度が四兆三千億あったものが四兆一千億に落ちておる。それで、総体の枠がまず二千億落ちた。この原因は、いわゆる年金の財政再計算というものが進みますと、年々これ積み立ての純増加額というのが落ちてくる、こういう基本的な性格もございますし、またもう一つは、ことしの特殊事情といたしまして、国民年金につきまして国庫負担繰り入れの平準化措置ということで、大蔵省の方が、一般会計が金を入れない。そういたしますと、いよいよその年金のふえ方が少なくなる。そういうような事情で厚生年金、国民年金の原資自体が財投計画におきまして二千億まず落ちてしまいました。  それから、私どもといたしますと、この年金の総体の額と申しますと、五千七百二十億、五十七年度が五千七百五十四億で、三十四億減ということでとどめたわけでございますが、この年金還元融資につきましては、まず特別地方債といわれるもの、住宅事業、病院事業、厚生福祉、一般廃棄物、ここいらにつきましてはまず全部手当てしなければならない、そういうことで、その五千七百二十億のうち、本来の特別地方債分で五千六百九十億充てなければならない、そうすると、残るのは結局三十億しかないために、御指摘の地域改善、下水道、上水道につきましての措置が非常に手薄になった、こういうような事情でございます。
  129. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこらじゅう苦しくなってくるからこういうことになるのでしょうけれども、余りいい話がないので、弱りましたな、これ。  ところで、国、地方ともに借金大変な額に達しているわけですが、地方の借金の中で、企業債のうちで一般会計で将来負担するというか、繰り出して穴埋めするということになっているものがありますね。これは事業別で言うとどんなもので、残高はどのぐらいの状況になっておりますか。
  130. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 企業債の元利償還金のうちで、下水道の汚水処理に要する経費でございますとか、それから病院の建設改良費のうちで医療収入をもって充てることができないと認められる経費等につきまして、一般会計から繰り出すということになっております。  そういうことで一般会計と企業会計との一応負担区分がございます。その負担区分を前提といたしまして、それから五十六年度の現債高というものをベースにし、五十七年度発行、五十八年度発行見込みといったようなものを地方債計画をベースにしまして、五十八年度末に一般会計で負担しなければならないだろうと想定される企業債の残高というものを推計いたしますと、全体では七兆五千八百億円に相なるわけでございます。百億単位で申しますと、その中で一番大きいのは下水道でございまして、これが五兆五千億円でございます。それから病院が九千三百億円、それから上水道が五千百億円、それから交通が三千億円、そういうところが主なものでございます。
  131. 大川清幸

    ○大川清幸君 それで、これ地方公営企業法第十七条の二、これは経費負担の原則というのがちゃんとうたわれておりますね。この根拠でおやりになったのだろうなと思うのですが、企業債に対するこうした措置のやり方については、ちょっと私は疑問があるのじゃないかという気もするのですが、この点の何と言うか、企業債に対してその償還分を一般会計から繰り出す根拠というのは、これは法律ではどういうことになるのですか。
  132. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) ただいま御指摘のございました地方公益企業法十七条の二の規定によりますと、「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費」及び「当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なってもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」で政令で定めるものについては一般会計等において「負担するもの」というふうに規定がございます。それから十七条の三におきまして、一般会計から特別の必要がある場合には「地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」という規定がございます。それから十八条におきまし ては「出資をすることができる。」という規定がございまして、これら三つの規定によりまして一般会計から公営企業会計に繰り出すわけでございますが、一般会計から公営企業に繰り出します場合におきましては、当該年度の支出そのものについて繰り出すという形の場合もございますけれども、投資的経費につきましては企業債の元利償還金相当額を繰り出すという対応をいたしているわけでございます。
  133. 大川清幸

    ○大川清幸君 それは十七条の二、これと、それから同法施行令八条の五、これで対象事業というのは限定されていますね。その点で言いますと、それに限定しなければならないと思うのですが、これはこの表ではちょっとわからないところがあるのだけれども、いま言った事業のほかに、まあ下水道は、そうするといいのか、対象でいいわけ。市場事業なんかはこれどうなんですか。
  134. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 市場事業につきましては、一般会計の負担になりますもので千八百億ほどのものを見込んでおります。  なお、それでは残りのものを申し上げますと、簡易水道事業につきまして千四百億、それから工業用水道事業につきまして二百億というのが残りでございます。
  135. 大川清幸

    ○大川清幸君 そうすると、これは法的な根拠で言うと、ちょっといま細かいところ、どこかへ行っちゃったのだけれども、対象事業そのものについてはこれ問題ないですか。軌道事業の現債高等については、これ、対象ではあるはずだけれども、これ挙がってないのじゃないかな。どうなんですか。
  136. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) この公営企業と一般会計との関係につきましては、一般会計で負担すると書いてありますもの、それから補助することができると書いてありますもの、それから出資、この三段がらみになっておりまして、具体的には政令で書いてあるものもありますし、それから抽象的に書いてありますものにつきましてはその具体的な解釈につきまして通達を出しているわけでございまして、昭和四十九年二月二十二日に「地方公営企業繰出金について」ということで、私どもこれら全部ひっくるめました解釈というものを示しておるわけでございます。  その中で、市場事業等につきましては、消費者対策として市場の建設費といったもの、その元利償還を全部市場事業で賄うということになりますと、非常に市場の使用料が高くなるというようなことから、一般会計からの補助というものを想定している、こういうことでございます。
  137. 大川清幸

    ○大川清幸君 その通達の中身がちょっと項目並べてあるのですけれども、一般会計で負担すべき分というか、繰出金の基準といいますか、こういうものについての区分等は明確になっていないのじゃないですか。大丈夫ですか。
  138. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) たとえば市場事業で申しますと、この通達によりますと繰り出しの基準としては「現場取引、卸売人の業務及び経理等に対する指導監督、その他流通改善対策等に要する経費として当該年度における営業費用の二〇%に相当する額の範囲内とする。」とか、それから、建設改良に要する経費については「市場施設の建設改良にかかる企業債の元金償還額の二分の一に相当する額の範囲内とする。」とかいうようなことを通達で示しているわけでございます。
  139. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間がなくなりましたから、ちょっと次の問題二、三聞いて終わりにいたします。  今回、道路交通法関係の政令が一部改正されることになっておりますが、これは同法の十六条で「政令で定めるもの」というふうになっているのですが、これは具体的にどのような用途を考えておられるのでしょうか。
  140. 津田正

    政府委員(津田正君) この政令はどういうものに使っていいかというものを定める政令でございます。それで、従来から単独事業以外のもので一定の事業を掲げてございます。いずれもこれはいわゆる建設費でございまして、今回はその建設費の中身は同じでございますが、なおそのほかの問題としまして道路標示、区画線、道路反射鏡、これはカーブのところのミラーでございますが、そういうものの補修に要する費用を新たに加えたい、こういうような内容の政令を考えております。
  141. 大川清幸

    ○大川清幸君 じゃ、最後にもう一問聞いておきますが、そこで、交通安全対策特別交付金、これは基準財政収入額に算入することにしましたね。その理由と、それから私が心配するのは、基準財政収入額にカウントされたものは従来対象は地方税並びに地方譲与税、それから税に準ずる納付金だけだったわけでしょう。今回こういうものを、いわばちょっと性格が違うのじゃないかと思うのですけれども、これをこういうやり方をしたことに対してのちょっと疑問が私はあるので、それで、その理由はどういうことか。  それからもう一つ心配なのは、こういうことをやられますと、まあ時間がないからきょうは聞きませんが、例のギャンブルを施行している地方自治体がありまして、これが、あれ年限があるのは、たしか六十年度ですか。そのときにどうされるかというのも将来のために聞いておこうと思ったのですが、そういうような方まで影響してくる。そのことがいいかどうかはきょうの論議では別として、そんなことまで心配するものですから、根拠を聞いておきたいと思います。
  142. 津田正

    政府委員(津田正君) 今回の改正におきまして、交通安全対策特別交付金基準財政収入額に算入することもお願いしておるわけでございますが、確かに交通安全対策特別交付金は、その資金というものはいわゆる反則金収入でございまして、いままで基準財政収入額算定しておる税あるいは譲与税というものと非常に内容が違うことは承知してございます。それからもう一つ条件と申しますか、いわゆる当分の間の制度である、こういうような状況であったわけでございます。しかしながら、当分の間と申しましても、現在の交通安全対策の必要から申しますと、これまだ相当長く続けざるを得ないのではないか、やはり反則金収入交通安全対策のために使わなければならないのではないか、こういうようなことが考えられます。  それからもう一つは、確かに交通安全対策の経費という限定はございますが、国庫補助金等でございますと、どこの事業をいつやれ、どういうような事業内容でやれというのが決まるわけですが、この交付金につきましてはそういうことではなくて、一定の使途の限度はございますが、その事業内容あるいはどこにやるのかということは全く地方団体の自主的判断でできるというようなことでございます。したがいまして、反則金というところで見ますと、非常に地方税なり譲与税とは性格を異にいたしますが、使い方を見ますと、かなりそれらに似かよった、まあ一般財源と申しますか、いわゆる譲与税で申しますと目的財源という枠がかかってございます。むしろ譲与税に非常に性格が似かよっているということはございます。しかもこの金額が制度発足以来大体五倍になっております。相当大きな額になっている。  それからもう一つ、後の話で、いわゆるギャンブル収入をどうするかという御心配がございましたが、私ども、この基準財政収入額算定する一つの考え方といたしまして、地方団体に普遍的にある財源ということも一つの要素として考えるべきことと思っておりまして、この交付金はまさしく都道府県、市町村、余り少額のものは切るわけでございますが、ほとんどの団体に対して普遍的に交付される、で、使い方もかなり譲与税に近いものというようなことでございます。それからさらに、これは制度当初の議論としまして、この交付金、反則金収入を国が取るのか地方が取るのかという議論があった。私どもの主張としては、これは地方警察官が収入したものでございますから地方財源に還元すべきではないか、こういう主張もあったわけでございますが、そういうようなことから、地方財源としての性格もむしろ明確になってくるのではないか、交付税特会に直入するというような措置も織り込む、しかも普遍的な財源である、当分の間とはいえ、まだ相当続くものと いうようなことで今回基準財政収入額に織り込む、もちろんそれに対応する需要につきましては基準財政需要額でその分は加算していくものでございます。
  143. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間が来ましたが、念のために、話が出たからついでに聞いておきますが、地方財政法の附則三十二条の二、この規定を見ますと、六十年までの間に検討する必要があることになっているのですよ、この規定で言うと。これ、六十年はもうじき来ますが、将来どうされますか。
  144. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 六十年度以降の具体的な内容まで詰めているわけでございませんが、基本的な考え方といたしましては六十年度以降もこれは続けていきたい、均てん化措置の非常に重要な一環として続けていきたい、このように考えております。
  145. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会