○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま
議題となりました
内閣提出による
地方税法の一部を
改正する
法律案並びに日本社会党及び日本共産党共同提案による同修正案に反対する立場から討論を行います。
反対
理由の第一は、住民税減税についてであります。
住民税の
課税最低限は
標準世帯で百五十八万四千円と三年間据え置かれたままであります。わずかに低
所得者層の
税負担軽減を図るために五十六年度以降
所得割の
非課税措置の制度を設けたにすぎず、この間における実質増税や物価の上昇による可処分
所得の減少を招き、国民の重税感は強まる一方であります。
一方、今日の経済は著しい停滞を来し、この回復を図ることが今日の政治に課せられた最大の課題であります。このように冷え切った景気を回復するためには、大幅減税、
公共事業の追加、中小企業の投資減税の拡大などを盛り込んだ総合的かつ積極的景気対策を講ずることが急務であります。中でも五十八年度の経済成長率三・四%のうち二・一%が
個人消費の伸びに置いていることから見て、減税の役割りは一層大きいと思われます。
これらの見地から、私どもは
所得税、住民税合わせて一兆円以上の減税を行うべきであると主張してまいりましたが、今回の
改正案にはこうした
措置がとられておりません。
減税については衆議院議長見解が示され、これを受けて
政府も景気浮揚に役立つ相当規模の減税を行うことにしております。私どもは
政府のこの約束に期待するものでありますが、景気浮揚という減税目的を達成するためには、それ相応の規模の減税を行うことは当然でありますが、それと同様に重要なことは実施時期及び減税の方法であります。
政府に対し五十八年度中の早期実施を強く要求しておきたいと思います。
反対
理由の第二は、国、地方間の税源配分についてであります。
最近の住民の価値観の多様化に伴って、地方
公共団体の行政は質量ともに増大しておりますが、これに対し国、地方間の税源配分は、国が二に対し地方は一となって国に偏重しております。このような国に偏重した税配分は、
補助金主体の財政構造となって地方行政の隅々にまで国の介入を許す結果となっております。こうした
実態は地方の自主性を喪失させ、民主主義の基盤としての地方自治を形骸化させることになります。
地方自治の本旨を達成するために自主財源の拡充は不可欠な課題であります。今回の
地方税法の
改正にあたってもこうした改革の方向すら見当たらないのであります。
反対
理由の第三は、非課減
措置等についてであります。
現在、国の経済政策のために、地方税は各種の減免
措置がとられているとともに、国の租税
特別措置等により税の減免を行う場合にも、地方税はその影響を受け
減収する仕組みになっております。地方税の
非課税措置や国の租税
特別措置の中には、社会経済情勢の変化から見て、当然廃止すべきものやすでに役割りが終わったものも少なくありません。
このような制度は税の公平を欠くとともに、地方
公共団体の
課税自主権が損なわれるものであります。したがって、地方税の
非課税措置の根本的見直しを行うとともに、国の租税
特別措置等による地方税の
減収を遮断すべきでありますが、これらの
措置がとられておりません。
なお、社会党及び共産党提案の修正案については、その趣旨は理解しつつも、その実現方について具体的な
措置等をいかにするかなどの検討が残されたこの段階におきましては、にわかに賛成しがたい点があります。
以上をもちまして反対の主な
理由を述べ、討論といたします。