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1983-03-24 第98回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十四日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宮田  輝君     理 事                 亀長 友義君                 松浦  功君                 志苫  裕君                 田渕 哲也君     委 員                 岩上 二郎君                 加藤 武德君                 金井 元彦君                 上條 勝久君                 後藤 正夫君                 原 文兵衛君                 上野 雄文君                 佐藤 三吾君                 大川 清幸君                 神谷信之助君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    山本 幸雄君    政府委員        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁長官官房        会計課長     森田 雄二君        警察庁警務局長  福田 勝一君        警察庁刑事局審        議官       高田 朗雄君        警察庁刑事局保        安部長      大堀太千男君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       田中  暁君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治大臣官房会        計課長      大塚 金久君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     坂  弘二君        自治省財政局長  石原 信雄君        消防庁長官    砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        総理府賞勲局総        務課長      田中 宏樹君        行政管理庁行政        監察局監察官   塩路 耕次君        文部大臣官房総        務課長      加戸 守行君        文部省大学局医        学教育課長    前畑 安宏君        厚生省社会局生        活課長      浅野 楢悦君        農林水産大臣官        房文書課長    谷野  陽君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部業        務課長      野間 耕二君        建設省都市局公        園緑地課長    勝浦 康之君        建設省道路局企        画課道路経済調        査室長      小林 芳夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営企業金融公庫)     ─────────────
  2. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  前回に引き続き、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大川清幸

    大川清幸君 私、地方財政問題点と、それから地方自治を支えている町会ないしは自治会等関連する問題、それから最後に消防のマル適マーク関連した問題について逐次伺ってまいりたいと思います。  そこで、初めに地方財政にかかわる問題でございますが、五十年度以来御承知のように毎年財源不足補てんするために財源対策債発行交付税特別会計、これにおける借り入れがずっと行われてきておりますが、五十八年度も二兆九千九百億円、この二分の一の利子負担を加えると、実に三兆三千三百四十六億円の財政赤字という勘定になるわけですね。地方債発行残高も五十八年度末で約四十六兆円ですか、交付税特別会計借入金残高、これが約十一兆五千億円、合計で五十七兆五千億円余となるわけでございまして、国の累積残高よりはこれは低いのですけれども、しかし決して楽観できる実情にない。こうした深刻な地方財政現状を見ますと、先々もいろいろ問題が残るわけでございまして、今後の地方財政健全策といいますか、これについてはどのようなお考えをお持ちですか。
  4. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまお話しのように、地方財政はだんだんと厳しい状態になってきておりまして、これが再建といいますか対策というものを真剣に考えなければならない段階に来ておる。これはひとり地方財政のみならず国家財政についても同じことだと思うのでございますが、車の両輪と言われる国家財政地方財政ともに苦しい状態にあるわけで、地方財政もやはり国家財政との関連性も大いにあるわけでございますが、しかし地方財政地方財政なりの対策考え方をとらなければならない。そこでやはり私は国と同じように歳出をできるだけひとつ見直すということがまず先決であろう、これは地方だけの問題ではない、やはり縦割り行政と言われる国の行政との関連も大いにあるわけなんでして、そういういろいろな観点からの地方財政の中での歳出見直しということがまず第一番であろうと思うのです。  その次には、やはり歳入構造をどうするかということであって、これはいまの歳入あり方というものについても国との関連性が非常にあるわけでございまして、そういう国のあり方との関連において考えなければならぬ問題がたくさんあるわけですが、そういう地方税源あるいは財源の、ひとつ根本的といいますか、少し大げさかもしれませんが、そういう見直しをやはりする時期が来ておるのではないか。じゃ、どうすればいいのだということになってきますと、なかなかいい知恵がないわけでございますが、いずれにしろ、いまの歳入構造についてやはりいろいろな観点からひとつ各方面の御意見、お知恵を拝借して立て直しを図らなければならぬと思っておるところでございます。
  5. 大川清幸

    大川清幸君 いま大臣の御答弁で、地方歳出見直しをしてもらうことは、これは大変大事なことだというのは確かにそのとおりですが、地方自治体ではかなり手がたく貴重な財源を有効に使おうということで、この点はかなりの努力をしていると見てよろしいのじゃないかと私は思いま す。  歳入構造見直しの問題ですが、税財源のことは地方制度調査会等でも長年言われてきたし、地方知事会あるいは市町村長会からもいろいろな要望が毎年出て、それが実際の効果が上がらないので、みんなあきらめかげんなぐらい効果が上がらないで失望しているのですが、いま大臣のおっしゃったことをそのまま受けて率直に伺うと、それじゃ、地方と国の関係を含めて税財源配分見直しなんかは具体的に事務的には進める努力をしているのですか、どうなんですか。その点はどうですか。
  6. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これはまず一つの例でございますが、これはどこまでそこが進んでおるか、まだ大蔵大臣は全然検討対象にもなっていないようにおっしゃっておるように思いますが、仮に直間比率見直しということが起こったときに、それじゃ国税三税の三二%という交付税、これは一体どういう形になってくるのかということを初めといたしまして、それから住民税法人割りにしろあるいは所得割りにしろ、やはりこれも国税の方との関連性を持っている。事業税にしても私はそうだと思います。そういう税源はやっぱり国との関連性が非常に大きい。国に動かされるという場合が多い。しかもそれは経済の動向、景気の動きによってやや安定性を欠いているというようなことをだんだん考えてまいりますと、やはり税収の確保という場合に、余り安定性を欠くのはぐあいが悪いのじゃないだろうかというようなことも考えられます。たとえば市町村税で、やはり固定資産税というのは非常に安定しているわけです。これは外形課税です。  そういうようないろいろなことを具体的に考えてまいりますと、これは一つのまだ簡単にだれの頭でも浮かんでくるようなことだけ考えてもそういうことが頭に出てくるように思うのです。しかし、これは私がここでいま申し上げても、すぐにそれがどうこうなるとか、国との関連がありますからすぐにそういうわけにはまいらぬと思うのですけれども、いま具体的にどうだというたってのお尋ねがありますから、私が一人で頭の中に浮かぶ事柄をひとつ並べてみたということにとどまるわけでございますが、そういう受けとめ方で私の申し上げたことを聞いておいていただきたいと思います。
  7. 大川清幸

    大川清幸君 税制その他を含めての問題ですと、これは実際に大蔵省の方でそれを基本的な問題を整理して法案として出してこないと論議になりませんので、きょうここで論議しても始まらないと思いますから、問題をしぼって伺いたいと思います。  従来、毎年地方財源不足に対して手当てをするには交付税法の手法で不足分財源手当てをするということでやってきた。これはある一面で言うと、地方側の方に財政に取り組む姿勢の意欲を低減させるような嫌いもあるし、また国の方はどんな形であろうと間に合えばいいというような考え方でやってきたと断定すると失礼なんで、傾向としてそういうことが見えるのじゃないかと思うのですが、問題はやはり地方財政再建については基本的な問題をしっかり一つ一つ処理していくことが一番大事なことだろう、こう思うわけでございまして、とりわけ国と地方の間の事務の再配分税源配分、あるいは補助金整理合理化、これは補助金予算委員会でも大変問題になりました。この辺についてはどのようにこれは改善をされるつもりか、お考えがあれば伺っておきたいと思います。
  8. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 一番基本的な問題は、事務配分見直しとそれに伴う税源配分見直しの問題であろうかと思いますが、この事務配分見直しの問題につきましては広範多岐にわたる問題でありまして、この点についてはあるいは行政局長から答弁があるかと思いますが、なかなか具体的な進展が見られないというもどかしさがあるわけでございます。また税源配分の問題につきましては税制改正基本にかかわる面が多い。そして今日では増税なき財政再建という、増税しないという大枠の中で税制をどう見直していくか、税体系をどうしていくかということが論議されているわけでありまして、こちらの方も率直に申しまして、ただいま大臣が申し上げましたように、われわれはわれわれなりにいろいろな議論はしておりますけれども政府としてこういう方向でというところまで結論が見出せないでいるわけです。  それから、補助金整理合理化の問題につきましては、臨調の一次から五次にわたる答申の中でもいろいろな形で行政改革の大きな眼目として取り上げられてきております。これについては、私どもは私どもなりに事務的に個々具体補助金の持つ問題については毎年度予算編成に当たりまして各省庁大蔵省概算要求をする前の段階、具体的には毎年七月の段階個々具体に問題を指摘してその改善を求めてきております。それから、全般的には補助金については極力これを地方一般財源に振りかえていくべきではないかということで、そういう見地での改善を各省庁あるいは大蔵省当局に対して要請をしてきております。五十八年度予算編成におきましても、規模はわずかでありましたけれども、一部の補助職員につきまして廃止あるいは一般財源振りかえが行われております。そしてまた、農業改良普及事業費あるいは中小企業指導職員、これらにつきまして、いわゆる交付金方式への移行が行われております。私どもは、これらの改正は必ずしも十分とは言えませんけれども補助金制度改革一つ方向を示すものというふうに理解をしております。
  9. 大川清幸

    大川清幸君 そこで、先日の本会議の私の質問に対して、これ総理答弁ですが、「地方公共団体自主性自律性を十分に発揮できるように、特に住民に身近な問題は関係自治体においてこれを処理する、こういう基本原則に立ち」、「国と地方機能分担あるいは財源配分というものを今後改善してまいりたい」、「また、今後、この趣旨を実現すべく、法令制定改正に当たっても最善の努力」をしたい、こういう御趣旨答弁なんですね。  ですから、毎年予算編成の時期を前にして、いろいろな補助金等についてもいま努力をしていることについては評価いたしますが、基本的にはやっぱり総理の御答弁のとおり、法令制定改正等も含めて努力をしてもらわないと、いつまでもこれは将来に残る問題だと思うのですが、せっかくの総理の御答弁ですから、この方向に沿って努力はしていただけるのですか、いただけないのですか、どうでしょう。
  10. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 補助金整理というのは、これは今度の臨調答申の中でも、私は各省庁間でも相当なやはり御意見が出る問題であろう、なかなかむずかしい問題であろうと思うのです。思いますが、しかし、仰せのように補助金整理というのは一つ臨調行革の大目標でございますから、やはり一つ一つ、今回も何がしかずつ整理方向に向かっておることは間違いないわけですが、なおまだいろいろ問題のあるのも自治体側から見ればある、こう思いますので、御趣旨のとおり今後自治省としては努力していこう、こう思っております。
  11. 大川清幸

    大川清幸君 先ほどもちょっと触れたのですが、地方借金累積残高が五十七兆円もあって、その中で交付税特別会計借入金十一兆五千億円、ところでこの償還状態、これを見ますと、自治省は五十六年度からその五十年度以降の借入金について、それまでの何といいますか二年据え置き八年返済ですか、このルール、これを五年据え置きで十年返済、こういうふうに変更しましたね。  これで考えますと、五十六年から五十八年までの借り入れ返済をゼロにして地方財政改善を図った、こういうことになるのでしょうけれども、五十九年度は二千五百八十億円、これは返済額がそうなりますね。六十年度にはこれどうなんですか。五千億円、倍ですな。六十四年度以降は一兆円前後になるのじゃないですか。計算上そうなりますね。ですから、この返済計画を見てみます と、これは容易ではないし、また来年度以降の借り入れを前提としていないので、借り入れが必要な状態が起こってくれば、なお状況としては悪化をするという心配があるわけですよ。ですから、これは先の問題ですけれども、深刻な事態が起こりかねない。  そのときに従来の必要財源を特会から借りてまた一般の方へ肩がわりさせたり、大蔵省は言葉嫌うのだけれどもツケ回しみたいなことで間に合わせるというようなことでやっていたのじゃしようがないので、これを何とか制度的に改善するか何かの方法をいまから考えてもらわないと、うまく地方財政回っていかないのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  12. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 御指摘のとおりでございまして、実は五十六年度改正のときでしたか、それまでの償還条件を変更いたしまして、五年据え置きの十年償還という形に変えたわけです。ということは、五十七年度あるいは五十八年度までの間に何とか国地方を通ずる行財政改正が図られて、新たな借り入れ事態が起こらない、具体的には五十九年度から赤字公債をゼロにするという目標を当時政府としては持っておったわけですが、こういう考え方のもとに五十七、五十八の償還を一応棚上げするというか、後年度に送るという改正をいたしたわけであります。が、しかし、今日の時点におきましても依然として国、地方を通ずる巨額財源不足状態から脱却できるような具体的な改革案というのはまだできていないわけであります。そういう状態のままで五十九年度から交付税会計借り入れ元金償還が始まるわけです。  で、この償還額はただいまお示しのように五十九年度には二千五百八十億円、それが六十年度は倍の五千四百八十億円になる。そして年々これはふえていきまして、五十九年度以降の借り入れをゼロといたしましても六十五年度には一兆二千七百五十九億八千万円という数字になります。現在の国の財政地方財政を両方勘案いたしますと、このような巨額の返還を行いながら地方財政収支の均衡がとれるだろうかというと、実にそれは暗たんたる気持ちになるわけであります。しかし、嘆いてばかりおれない、何とかこれを打開するための歳入歳出両面にわたる改革というものを国、地方を通ずる形で五十九年度に向けてこれから真剣に取り組んでいかなければならない、こういう気持ちを強くしているところでございます。
  13. 大川清幸

    大川清幸君 そこで、このことばかりやっていられないのですが、昨年も一昨年も対大蔵省折衝地方交付税交付税率引き上げの問題は大分努力をされたようですが、結果としては出てこないということなんですが、いまの地方財政の将来を考えますと、これ借金返しがもうえらい状態になるので心配だということを局長もみずからおっしゃっているのですが、この辺の交付税率引き上げ等もっと基本的な問題の方で大蔵省との間で何とか話し合いがつく見込みはありませんか。
  14. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 最近の予算におきましては、五十七年度の場合には当初予算段階では地方財政は何とか収支が均衡するのじゃないかという見通しでありましたので交付税率議論はいたしておりませんが、五十七年度以外の年度においては、五十一年度から本年度まで毎年度ども地方財政対策折衝に当たりまして、地方財政収支状況がどう考えても交付税法第六条の三第二項のケースに該当する、これはまあ大蔵省も認めているわけであります。そういうもとで、私どもとしては基本的にはやはり借金ではなしに、当面の応急策ではなくて何とか構造的に地方財政収支のバランスがとれるような改正をしてほしいという気持ちで、税制改正の問題から、あるいは補助金制度改革の問題から始まりまして事務見直し等について幅広い議論をしてきております。そうして、税制改正がある程度輪郭が固まってまいりますと、結局最終的には地方財政対策折衝の中で地方財政運営支障のないような方途を見出さざるを得ない。そうして、その段階で私どもはやはり筋論として、法のたてまえとして交付税率見直し議論もいたしております。具体的な交付税率引き上げの率を示して議論をしたこともありますし、特に率は示しませんけれども交付税率引き上げ必要性を迫ってきております。  そうした場合に結局ここ数年の問題としては、交付税率引き上げということは結局国と地方国税三税の配分割合の変更でありまして、国の取り分を減らして地方取り分をふやすということでありますから、取られる方の国の財政がどうなるのか、要するに交付税の方をふやした後の国の財政が成り立つのか成り立たないのかという議論になってしまいまして、国、地方を通ずる形でのその財政論議の中で、国の財源の一部を地方に移譲する、こういうことが可能かどうか、この議論になってしまうわけです。そうしますと、御承知のように今日の国の財政状況、大変危機的な状況でございます。そういう国の財政実態というものを前にして交付税率引き上げが可能かどうか、この議論になりますと、最終的に私どももわれわれの主張をあくまで貫くということができない状況になっているわけです。そうして、最終的にはそこで当面の地方財政運営支障のない次善の策として交付税会計借り入れによる不足財源補てんという方策をとってきているわけです。  この点につきましては、私どもはこの地財折衝を通じまして地方財政現状からスタートして、強くこの制度改正を迫るのでありますが、そのときに常に立ちはだかる問題は、そのたびに国の財政が年一年悪くなってきた、どうにもならない状況になってきている、こういう現実を前にして、結局当面の措置に落ちつかざるを得ない状況に陥っているというのが現状であります。したがいまして、やはり交付税率見直しを含めまして、この地方財政基本的な立て直しを図るためには、どうしても国の方の財政立て直し問題もあわせて解決しなければ、結局われわれの一方通行の議論になってしまうという感を深くしているところでございます。
  15. 大川清幸

    大川清幸君 国の財政を全く配慮するななんて私乱暴なことは言いませんけれども、だけれども地方公共団体の側に立つ自治省ですから、もう前から言われているように、大ざっぱな言い方かもしれませんが、税源配分の方で言うと七対三なり六対四、これが実際には今度は行政ベースでどういうふうになっているかというと、逆に地方の方が国内のいろいろな行政サービスをやらなければならないということで、それが全く逆転をする形になっている。行政需要に対応する点では金が地方の方にそれだけ流れていっているわけですから、入ってくる体系現状だけれども、もっと地方財政健全化の方から考えたら、行政に必要な分だけ下げちゃった方がすっきりするわけなんで、国の財政の深刻さはわかるので、大蔵省ペースにはまった考え方折衝したって答え出てきませんから、その辺はもう少し姿勢を変えたらどうですか。どうです。
  16. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま仰せのように、国民の納める税全体は、国税地方税はいまおっしゃるような数字になっております。しかし、結局はそれが、じゃ、どういうふうに使われているかと言えば、逆転する、そのとおりなんです。  そこで、地方の方から言えば、できるだけ地方自治の本旨に従って、地方地方選択によって使える金をふやせというのが地方自治目標であろうと思うのですね。交付税というものは、ひとつ言うなればこれは自由選択に任される、そういうものを逐次ふやしていくということだと思うのです。しかし、税全体は国税地方税を含めまして増税するということは、これ非常に困難、増税なき財政再建と言っている。結局そうすると、そのパイの分け方を中央と地方とどういうふうに分けるか。特に補助金とかなんとかという縦割りで来るやつは別としまして、やはり自由に使える、自由に選択できる財源をふやすという方向で物を考えていく、こういうふうなことであろうと思うのですね。そういう意味では、いまのおっしゃる 交付税率を上げろということは、要するに地方選択して使える金をふやす、こういうことだろうと思うのです。  そこで、国の方の財政もきつい、しかし結局は地方に返ってくる金だ、その辺のところは一体どうやっていったらいいのか。先ほど申しましたけれども、率をふやしましても、もとの根っこが小さくなったり、つまり直税が減って間接税に行っちゃったりすると、これまた問題だ。だから、やっぱり国税地方税含めてそういう税構造全体を増税なき財政再建という立場の全体枠の中でどうするかという大きな問題に私はいま行き当たっているのじゃないかと、こういうふうに思っているわけなんです。
  17. 大川清幸

    大川清幸君 余りこれ答えになっていませんけれども、やむを得ませんね。  ところで、減収補てん債のこともちょっと心配なのでお伺いしておきたいと思うのですが、五十七年度地方財政計画では当初地方税収を十九兆九百四十三億円ですか、これ見込んでおった、ところが景気長期低迷のために法人関係税が落ち込んで十七兆八千八百五十一億円に減額補正されましたね。その減額幅というのは一兆二千九十二億になるのですが、この税収不足のための穴埋め、これは減収補てん債の大量発行によらざるを得ないのじゃないでしょうか、どうですか。
  18. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 五十七年度地方税収入につきましては、法人関係税を中心といたしまして私ども地方財政計画上見込んだ金額に対して、最終の実績見込みでは一兆二千億円を超える減収になるものと、このように見ております。そこで、この減収につきましては各地方団体とも大変頭を痛めておりますので、いわゆる減収補てん債発行で対処しようということで、各団体ごとに具体的にどれだけの減収補てん債が必要であるかヒヤリングを行いまして、ほぼ数字を固めております。  その結果によりますと、減収補てん債発行を希望しております額が、都道府県では五千五百七十二億円、それから指定都市が四百二十四億円、一般市町村が五百三十二億円、合計いたしまして六千五百二十八億円というように数字を一応積み上げております。団体の申請があればこの金額で許可をいたしたい、このように考えております。なお、この金額は私ども地方財政計画上想定しておりました減収見込み額一兆二千九十二億円に比べて半分ちょっとという数字でありますが、このように小さな数字というか初めの見通しよりも減収補てん債の希望額が低くなりましたのは、大きく言いまして二つ理由があると思います。  一つは、各団体とも地方財政計画の収入見込みよりもかなり低目に当初から税収見込みを立てておった。といいますのは、各団体とも法人関係税については自分のところの企業については各個別に当たっておりますから、かなり正確な見通しが立て得たのではないかということで、そもそも地方予算計上額と実績とのギャップが地財計画ほど大きくなかったということが一つ。それから各団体ともこのような事態に備えてある程度積立金を持っておりまして、積立金の取り崩しで対応するという団体もかなりありました。それから、小さな市町村になりますと、この際減収補てん債はがまんして交付税による五十八年度以降の精算を希望する、こういう団体もありました。  いずれにいたしましても、そういった事情がありまして、現時点で私どもが把握しております金額は六千五百二十八億円と、このように見ております。
  19. 大川清幸

    大川清幸君 これ地方の方でも借金しないで手がたくやった方がいいので、取り組みは予想を下回ったことは財政運営上から言うと好ましいことだろうと思うのですが、ところで、六千五百億を超えるこの減収補てん債ですが、このうち政府資金と民間引き受けとの比率どのぐらいに考えておりますか。
  20. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 私ども予定としましては都道府県と指定都市はすべて民間資金で消化する、それから一般市町村の五百三十二億円は全額政府資金で引き受けたいと、このように思っております。
  21. 大川清幸

    大川清幸君 今度はこれ引き受ける地銀の方の立場なんですが、国債もかなり来ますし、これ地方債は予想の約五〇%ぐらいだから幾らかその点は楽なのかもしれませんが、地方財政のいわばしりぬぐいみたいな役目をこれやらなければならぬということで、この地銀の協力の方はだんだんむずかしくなってきている空気があるのじゃないかと思うのですが、そんな心配ありませんか。
  22. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 今回の減収補てん債の金額につきましては五十年度以来の規模になりますので、私どももその円滑な消化について心配しておりました。昨年末以来、関係の引受機関とはいろいろ情勢分析をしております。それから、各団体もそれぞれの金融機関、引受機関との間でいろいろ折衝を持っておりまして、現在までのところ、この五十七年度分の減収補てん債の消化について不安である、心配だというような声は聞いておりません。しかし、いざ具体の引き受けの段階で問題があれば、私ども大蔵省ともよく相談しまして、消化の問題で後に問題が残らないように、完全な消化ができるように緊密な連携をとっていきたい、このように考えております。
  23. 大川清幸

    大川清幸君 ところで、交付税の特別会計の借入金償還計画と、それから財源対策債償還計画、これは資料としていただいているので状況わかるのですが、地方債、これ都道府県あるいは市町村というようなことで大変なんですけれども、これら地方債の償還計画みたいなことについては何か指導するなり、ガイドラインみたいなものなり考えているものがあるのですか、あるいは地方にまるきり任せるということですか。どうです、その辺。
  24. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 交付税会計借り入れについては、御案内のように、すべてもう各後年度の金額が全部決まっておりますが、地方債につきましては償還年限は政府資金の場合には許可の段階ですべて何年据え置きで何年償還と決まってしまいます。それから公営企業金融公庫の場合も全部決まってしまいます。  問題は民間資金でありますが、民間資金の場合には多くの場合、現在は三年据え置き七年償還で十年目借りかえというものが一般的であります。そしてもう一回借りかえて大体二十年で償還するというのがほとんどでございます。ものによってそれよりも長い条件で借りているものもありますし、またものによってはもっと短い期間で決めているものもあります。この点については私どもも既発債についてはこれまでの償還条件である程度の計算ができます。それから各団体につきましてはほとんどそういった償還条件が具体的に決まっておりますから、将来の償還計画は持っているものと、このように理解しております。
  25. 大川清幸

    大川清幸君 次に、地方財政健全化というか再建の指針といいますか、そういう点で考えると、地方財政の中期計画みたいなものをつくる話が前から出てまして、しかし状況考えるとなかなかむずかしい。国の方でもさんざん予算委員会でやり合ったら、特例公債依存体質の脱出というようなことについてもなかなかはっきりしたお答えが大蔵省側からもなかったので、僕も失望しているような状況ですからなかなかむずかしいと思うのですが、やはり財政再建の指針となるような計画なりあるいはガイドラインをつくって、これは将来計画ですから、その年度経済状況を見てローリングをするなんというような手法も取り入れた上でつくっておいてもらった方がいいのじゃないかと、こう思うのですが、この辺について考え方を聞かしてください。
  26. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 先般大蔵省財政の中期試算として五十九、六十、六十一年度、三カ年度収支の試算を発表され、これについては国会でもいろいろ御論議がありました。私ども地方財政を預かる者としてこの種の何らかの計算をしてみたい、またしなければいけない、こういうことで検討はいたしております。ただ、検討すればするほど、いろいろまた問題というか、疑問も出てくるわけであります。  まず、基本的な問題、基本的というか技術的な問題といいましょうかについてでありますが、先般大蔵省が国会に提出いたした中期試算では一応歳出面では後年度負担は積み上げ方式になっております。五十九年度にどれだけ、六十年度にどれだけ、六十一年度にどれだけというふうに、一応積み上げ方式であれを計算しているのでありますが、地方財政の場合には率直に申しましてこの積み上げ方式というのが大変むずかしいのであります。国庫補助事業の場合には理論的には補助条件、補助率等が決まれば、理論的に事業費なり地方負担額なりが積算できるわけですけれども、先般の大蔵省の提出されたあの中期試算の中身について、各省庁別に詳しくデータを私どもいただけないのであります。いただいてない。ですから、マクロで、ヤマカンでこの程度というのはできるのですけれども、やはり積み上げ方式による試算というのは理論的には可能なはずなんですが、実際にはなかなか作業ができない、非常に壁にぶつかっているというのが実情です。  それからもう一つ、さらに頭の痛い問題は地方の単独支出でございます。これについては私は積み上げは不可能じゃないかと思うのです。といいますのは、それは都道府県の段階でもいろいろな財政計画のようなものはつくっているところもありますが、個々の経費ごとに単独の施策について金額まで積算しているというのは非常に少ないのです。いわんや、三千三百団体についてそれぞれの単独施策について後年度の支出予定額を積算するということは現実の問題として不可能で、各団体自身が持ってない面がありますから不可能なんです。そういたしますと、結局後年度推計をするにしてもマクロ推計しかできない、大体こういうことじゃないかという推計しかできないと思うのであります。  それから、歳入の面について、大蔵省の試算で一応名目成長率を六%として、それから国税の弾性値を全体を一・一、GNP弾性値を一・一、それから国税三税については一・二という想定で推計をしているようでありますけれども、この経済見通しについても大変御論議がありました。したがって、これと同じベースで地方歳入の推計をする、やればできないことはないのですけれども、それ自身大変積み上げ計算をしながら、われわれ自身も自信がない、不安がある、こういうようなことでございます。そのほか雑収入の問題、あるいはそれぞれの地方債をどういうふうなことでやっていくのかというような問題等について詰めていけば詰めていくほど、いろいろな問題、疑問も出てきております。そこで、私どもさらにこの問題は研究を続けてまいりますけれども、ここで、いまの段階でこういう姿になりますというものを自信を持ってお示しできるようなものがなかなかできないというのが実情であります。  それから、昨年度も実は国に対応して地方についても収支の試算を出すべきじゃないかという御議論をいただいたわけですが、昨年度の場合も私ども内部ではいろいろやってみたのですけれども、率直に言いまして、どう計算してもあの当時の国の方の試算のようなかっこうになるのだろうかどうかと非常に不安を持ったわけでございます。そして不安をそのままに自信のないものを提出しますと、その出た収支の結果だけがひとり歩きして、地方財政は楽になるのじゃないかというような議論をされたのでは、これはむしろ利益よりも害の方が大きい。そういう不安もあって、昨年度の場合は結局いろいろ技術的な問題もあり、また結論的にもどうも自信が持てないということで提出を御容赦いただいたわけですが、今年度の場合につきましてもいまいろいろ研究を重ねておりますが、公にできるほどの案がまだ固まっていないというのが実情でございます。  さらに申し上げるならば、国の方できちっとした経済計画が、いわゆる財政計画の名に値するようなきちっとしたものができるのであれば、当然私どもはそれに対応して地方財政計画といいましょうか、長期の見通しというものをつくらなければいけない、そういうしっかりした前提要件があるならば、われわれも作業ができるのじゃないか、またやってみたい、このように思っております。
  27. 大川清幸

    大川清幸君 昨年の暮れだかも、ちょっと報道されましたけれども、中期五カ年計画、自治省で一生懸命努力していた、これは内部ではいろいろ資料としてお使いになっているのだろうけれども、こいつは認知されるのか、あるいはそれともどういうことになりますか。
  28. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 一部の新聞に報道されたのでございますが、私ども内部ではっきりと固めたものを持っていたわけではございません。ただ、その当時、それまでの経済の七カ年計画をやめて五カ年計画をつくる、経済企画庁が中心になって新しい経済五カ年計画をつくられるという話が当時あったわけです。そういうものができるのであれば、それに対応して地方財政の姿がどうなるのか、われわれも勉強しなければいけないということで内々議論をしていたことは事実であります。ただ、問題の五カ年計画なるものがなくなってしまったものですから、前提が飛んでしまったというのが実情でございます。
  29. 大川清幸

    大川清幸君 大部分の地方公共団体は、真剣にやはり住民行政サービスを達成するために予算の執行等を手がたくやっておられると思うのですが、昨年十二月十三日、内閣に送付された五十六年度決算検査報告、これを見ますと、地方交付税の交付金が過大に交付されていた実態が明らかになっておりまして、会計検査院から指摘をされている例が幾つかあるようです。これは地方の都道府県の地方部というのか、地方課というのか、総務部かどこかあるのでしょうけれども、その辺の監督が悪いのかどうかわかりませんが、結果としてこういう報告が出ていますが、積算の善意というか、無過失による誤りだったのか、あるいは作為的なものだったのか、この辺はどういういきさつなんですか。ちょっと御報告願いたいと思います。
  30. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 地方交付税につきましては、ほかの補助金などと違いましてこれはもともと地方財源であるということで、これの計算結果については、従来は自治大臣及びその委任を受けて都道府県知事が検査を行ってきたわけであります。会計検査院は従来は交付税の計算についてはタッチしていなかったのです。  ずっと以前、平衡交付金時代はそうでもないのですけれども、最近は地方の自主財源だということで会計検査院はタッチしていなかったのですが、御案内のように奈良県の香芝町で大変悪質な交付税の作為による計算違いといいましょうか、平たく言えばごまかしの事件がありまして、これがオープンになりまして、会計検査院としても、これはやはり地方交付税といえども国の国税の一部が出ている交付金であるからどうしても検査する必要がある、こういう御意見がありまして、それで五十七年に五十五年度、五十六年度を中心に、北海道を初め二十府県、それから関西地方を中心に市町村を百幾つですか、検査をしたわけです。その際に相当大がかりな検査を実施いたしまして、その結果、計算のミス、基準財政需要額の算定課題あるいは算定個所、あるいは基準財政収入額の算定課題、算定個所、こういったものをあわせまして全体で九百件ほどの計算違いを発見したわけであります。  この交付税の計算につきましては、私ども交付税制度というものが円滑に運用され、公平が期し得られるためには、その大前提としてこの計算が正確に正しく行われることが絶対の要件であります。そこで、これまでも自治省自身あるいは都道府県の主として地方課で担当しているわけですけれども、これを督励して検査を行い、また交付税制度の理解を深めるための研修を行う、あるいは指導を行うということを続けてきているわけであります。しかし何分にも非常に膨大な計算作業を行う、それからたくさんの資料を集める、こういう過程でどうしても係数の取り違い、あるいは計算ミスというのが出てきております。私ども としてはこの絶無を期しているのでありますけれども、どうしてもこれが出てきている  これたまたま会計検査院が大がかりに組織的に検査されたところ、いま申しましたように九百件を若干超えるほどのミスが発見されたというのが実情であります。私どもはこの検査院の指摘を踏まえて今後こういった計算違いが起こらないように、さらに指導を徹底していきたい、検収を徹底していきたい、このように考えております。それからまた制度的な面でも誤解を受けやすいような表現等をなるべく改めていくということにしたいと思います。  といいますのが、やや技術的になりますけれども交付税の計算に使いますいろいろな数値は、各省庁が所管しておりますほかの法令の規定による台帳の数値などを便宜使わせていただいているものがたくさんあるわけですが、それぞれの法令においては、もともと交付税計算のために台帳をつくっていないものですから、とかく計算ミスを起こしやすいような表現もあるわけです。そこで、その辺はこちらの使わしてもらう交付税の方で、それを避けるような手だてを講ずるというようなこともいたしながら、このミスの絶無を期していきたい、このように思っております。  それからまた、香芝町で起こったような作為というか、これは論外でございます。こういったものについては私どもは全地方団体の信用を失墜する行為でありますから、そういうものについては断固たる処置をとっていきたい。香芝町については発見したものを直ちに全額加算金をつけて返還をさしております。
  31. 大川清幸

    大川清幸君 これ最後にちょっと大臣の御所見を伺っておきたいと思うのですが、自治省が二十二日にまとめて発表されました地方公務員給与の実態調査でございます。  これは国の職員に比べて六・一%高くて、これは計算の仕方がいろいろありますが、平均年齢を国家公務員の平均年齢に置きかえて計算したケースで言うと、国よりも一万三千六十七円地方の職員の方が高い結果が出ているというような報告になっておりますが、これは地方公共団体の労使の間で民主的に折衝されて決められた給与ベースというものが本来あるし、それから都道府県レベルでは勧告等も受けてきちっとやっているという原則がございます。その上でこういう格差が出てくることについては、まあある時期は地方公共団体に人材が集まらないということがあって、多少の格差のあることが認められてずっときた慣例もあるわけですわ。今日のように財政が厳しくなって、これ論議の的になっていると思うのですが、極端に高いものだから住民から批判を受けるので、余りこれに折衝するのはどうかと思うのですが、いずれにしてもこれが毎年論議になるようなことは好ましいことだとは私は思っておりませんので、同じ格差があっても何%ぐらいまでというようなガイドラインみたいなものを決めるのが大変むずかしいと思うのですが、ある程度住民の良識で了解を得られる範囲については余りごたごた言わない、それを超えたものについてはやっぱり指導さしていただくというようなことで、どこかでけじめをつけておいてもらった方がいいのじゃないかと思うのですが、御所見いかがですか。
  32. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) この問題は、やはり同じ公務員という立場、これは住民から見たら恐らく国家公務員も地方公務員も同じ公務員、やはり全体に奉仕する公務員だと、こういうセンスでおられると思います。そこで、給与は、私はできるだけひとつ全体公務員のレベルというものは、国家公務員と地方公務員は同じレベルでひとつやっていただきたい。  これは国家公務員の方はもちろん人事院勧告というものによって措置をされていくわけでございますが、それを受けて地方にも人事委員会がございますから、人事委員会でいろいろ人勧を受けてお決めになる、こういうやり方でやっていっていただくわけでございます。やはり私は基本的には人事院勧告の場合に、すでに民間給与との調整もできた勧告でございますから、それにのっとって地方の人事委員会もおやりになっておるように思っておるのですが、そういう意味で私は地方公務員と国家公務員というのは同じレベルでひとつ給与を措置していただきたい、こういう気持ちでいるわけであります。  この問題はいろいろ住民の方々にそれぞれの地方公共団体の職員の給与について認識をしていただいて、その上でひとつ、いまのお話のような、確かに自分のところの自治体はこういう給与でいいな、国と違っておってもいいなと、こういう感じが出てくれば、まあそれでも私はやむを得ない場合もあると思いますが、しかしやはり全体としては私は国民の感情というものは、公務員というのは同じレベルであった方が国民感情に合うのではないか、こう思っておるのであります。  この問題が国家財政地方財政のどっちにゆとりがあるのだというようなことの議論にまで往々にして発展するということも間々あるわけでございまして、私どもは今日の厳しい地方財政現状から見て、私ども考え方で今後ともやらしていただきたい、こう思っております。
  33. 大川清幸

    大川清幸君 いまの大臣の御答弁ですと、なるべく基本的には国家公務員とも役人だからそろえてもらいたい、多少の幅のあることはいいというのですか、どうなんですか。やむを得ないということですか。
  34. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 私がここでやむを得ないのを認めたというようなことになると、これもいろいろ影響がございますので、一応私のお答えとしては、地方公務員も国家公務員も同じレベルでひとつお願いしたい、こういうことでございます。
  35. 大川清幸

    大川清幸君 十分な配慮をしていただきたいと思うのです。そうでないと、財政的にどこかの地方公共団体が余裕があると言ったって、財政運営なり予算執行を手がたくやっているところがかえって割りを食うような指導をされては困るので、その辺は注意してやってもらいたいと思うのですよ。これは念のため申し上げておきます。  次に、別の問題に移りますが、実は地方の時代と言われ、民主主義の根幹をなすのは地方自治だと言われております。ところが、実情を見ますと、地方公共団体がいろいろ住民に情報を徹底させたり普及する、あるいは住民サービスに何らかの効果を持たせるためのいろいろな連絡事務等がある。この地方公共団体行政サービスあるいは事務等についてかなりな協力をしているのは、御承知のとおり町内会とかあるいは自治会とか、地方でいうと区というのか、区長さんみたいな方がおられるのですよ。これはまさに地方自治の大部分、住民に直結する仕事を支えているパイプ役だと言っても過言ではない。  ただしかし、これは住民からの盛り上がりで自主的に成立したという基本的な精神がありますので、余り法律の規定を設けたりするようなことは好ましくないということで任意団体扱いになっておるわけで、法律上は何ら法人格が認められていないところにちょっと不便な問題があるのですが、実際に町内会等がそうした行政事務の、いわば平たい言葉で言うと下請ですな。大分いろいろなことをやっておるのですが、この実態については御承知になっているのでしょうね。どうですか。
  36. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) お尋ねの町会あるいは自治会、いろいろな名称があるわけでありますが、そういったところについての仕事の内容、少し前になりますが、五十五年十二月に一度調査をしたことがございます。  その結果によりますと、市町村の方でこういった住民の自治組織に対して事務を委託しておると答えましたところが二千二百九十四市町村で全体の七割を占めております。つまり七割の市町村が何らかの事務を委託しておる。その内容は主なものが広報紙でありますとか、あるいは連絡文書でありますとか、そういった印刷物の配付、これを委託しておりますのが九一%、ほとんど大部分であります。それから各種募金の協力依頼、これが八二%ぐらいの数字になっております。それから 市区町村とか住民相互間の連絡事務、これが七四%、各種調査の依頼事務、これが五四%、これがほとんど大部分というかっこうになっております。
  37. 大川清幸

    大川清幸君 いまおっしゃるとおりでして、私も実際に町会何カ所か行って調べましたら、いろいろなことやっています。国の関係あるいは都道府県の関係、区市町村の関係あるいはそのほかに赤十字関係の献血だとか、あるいは消防団員をどうするかというようなあっせんまで大体町会で全部引き受けてやっているのですよ。そういうようなことで大変これ町会は多種多様の仕事を引き受けてやってくれているので、地方行政事務がうまくいっている。任意団体であるために本来は長い間実質かかる事務費補助みたいなのをやらずにしんぼうしてきたのですが、余りにこれお願いする仕事が多いので、市町村ではいろいろ格差があったりばらつきがあるようですが、実質的な事務費の補助なんかもいま出さなければならない状況になっちゃっている。  こういう点から考えますと、これは法律とか法令で何か立場を決めてしまうことは民主的団体、今後のますます住民自主性というものを尊重していく点から言うと、これは困難だと私は思うのです、その点は。ですから、法律なんかに組み込んでしまうとかえって自由がきかないし、行政の権力が介入するというような心配もありますから、その点はやむを得ないと思うのですが、こうした地方自治を支えている任意団体について、何らかのこれ法的な立場を与えることはいま私が言っているとおりでむずかしいのですが、これ扱い上自治省あたりで何とか方法を決めてもらうと大変市町村段階でも扱いが楽になる。というのは報奨とか表彰とか、そういうようなことでは何か配慮してやれないものかどうかということですが、どうですか。
  38. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 確かに町内会、自治会等の立場、地位、取り扱いにつきましては、いろいろな沿革もありまして非常にむずかしい問題があろうと思いますが、全国のほとんどの市町村で設けられており、なおかつ、いままでの活動実績もあるということでありまして、そういった関係の方々からもいま御質問がございましたような趣旨で御要望もかつてはございました。ただ、法制的な問題ということになると非常にむずかしい。しかもなおかつ現在の表彰制度と申しますのがやはり一つの基準としてかなり公的色彩を持つというようなものを重点にしておるというようなまたいきさつもございます。  そこで、現在のこういった組織をどういう位置づけにするのが一番いいのか、これは非常にむずかしい問題と思います。しかも、なおかつ大体全国で二十七万カ所ほどある自治会、こういったものの具体的なまとまりぐあいでありますとか、その実態面、こういったものもそのためのやっぱり検討課題になってこようと思いますので、私どもとしましてももう少し慎重に検討さしていただきたいと考えておるところでございます。
  39. 大川清幸

    大川清幸君 ところで、町会長さんや自治会長さんあるいは町村の区長さんがおやりになっている仕事は、地方公共団体から依頼があって、たとえば民生委員を推薦するとかあるいは国勢調査に協力していただくメンバーを選ぶ場合なんかも、みんなこれは実際は町会で苦労しているわけですね。あそこで働いてもらわないと区や市町村で選べっこないのですよ。どんな人材がどこにいるのかわけわからないのですから。しかも町会などで推薦された民生委員さんですと、あれなんかの表彰が二十年かな。それから国勢調査が七回とか八回やると何か対象になるでしょう。それのもとの苦労した人は何もないのですな。  そうすると、これ現在行っている叙勲の基準みたいなものは、根拠法は何によっていますか。
  40. 田中宏樹

    説明員田中宏樹君) 先生御案内のとおりでございまして、日本国憲法に国事行為の一つに「栄典を授与する」というのがございまして、それに基づいておりますが、非常に古い伝統のある制度なものですから途中の法律の方はございませんで、明治八年の勅令という形で制定されておるものによって行われております。
  41. 大川清幸

    大川清幸君 その明治八年四月十日の太政官布告第五十四号の名称は何と言うのですか。
  42. 田中宏樹

    説明員田中宏樹君) 「勲章従軍記章制定ノ件」という名称でございます。
  43. 大川清幸

    大川清幸君 戦後三十八年たって、これは町会長やなんか対象に入ってないのも私問題だと思うのですが、いろいろ社会に貢献されたり行政上に協力された方々の表彰は、これやってもらえばそれで生きがい感じて社会に尽くしてくれる方たくさんいるのですから結構なことだと私は思う。しかし勲章従軍記章制定ノ件は、これは何とか改めた方がいいのじゃないかな。どうですか、これ。これ何とかしたらどうでしょう。大臣どうですか。このまま置いておきますか。もっとも中曽根内閣の方針でいうと、いずれこれが必要になるのかな。どうなんです。
  44. 田中宏樹

    説明員田中宏樹君) 直接私どもでどうこうという問題というよりは、実は政府提出ということで法案そのものも四回ほど国会に提案を申し上げまして、いずれも審議されましたが結局成立いたしませんで、やはり伝統のあるものでやってもよろしいと、こういうことに相なっておるというふうに承知をしております。ですから、また先生方の御議論の行き着くところも十分見守りながらというふうにしかお答えができません。
  45. 大川清幸

    大川清幸君 大臣、これお話をお聞きになったとおりです。これはまた総理府かどこかで検討してもらうことになるのだと思うのですけれども、国会で大論議しなくたって、これ何とか折を見て直してもらった方がいいと思いますよ。  私都議会にいたときに笑い話になったのですが、あれは何ですか、米飯提供と何だかだけが戦前のずっと古い名称がそのまま残っている変な法律があって、これも直した方がいいと陳情した経験もあるのですけれども、もう時代にそぐわないですよ、これは。ちょっと頭の隅に入れておいていただいて、ひとつ総理とも相談していただけませんか。  で、言葉は悪いのですが、地方自治のいろいろな運営の縁の下の力持ちを町会が全国的にやっている、御苦労さんと。それで表彰の方は法律の根拠はありませんし何にもありません、対象じゃないですよというようなことになるのですが、私はそういう点ではこれは何らかの形で市町村長から、まあ知事なんかは地元のことですから何らかの配慮をするというようなことが考えられましょうが、そういうようなものの積み重ねでいずれは自治功労者として何かやっぱり報いてやる方法を将来の問題として配慮していただけたらと思うのですが、どうですか。
  46. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 確かにおっしゃるように町会とか自治会は一番末端組織としてはいろいろな仕事していると思うのです。いまの何か報いる方法はないかというお話だったのですが、やはり賞勲局の領域なんで、私がかれこれ申すのもいかがかと思うのですけれども、賞勲局のおやりになっているのはやっぱり法的に根拠を置いた仕事でないと表彰の基準に上ってこない。ですから、いまのお話を承っておると、やっぱり町会、自治会というものを法制化しないとなかなか基準にのせてもらえぬのじゃないかと思うのです。  しかし一方、先ほど来のお話のように、私はこの町会、自治会というのは日本の社会の一番末端と言ったら失礼ですが、土台のところでいろいろな仕事を全く奉仕的にやっておってくださる団体で、まあいわば日本的なものだと思うので、余り法制化しない方がいいのではないか。全く私は先生と同意見でございますので、その辺を一体賞勲局の方でどうお考えいただくかということだと思います。
  47. 田中宏樹

    説明員田中宏樹君) 先ほど御答弁申し上げましたときに明治八年と申しましたが、それは勲章の種類とか形状を決めたものでございまして、叙勲の基準そのものは三十九年に再開されますときに新しい中身で盛り込んでございます。  それから、もう一点でございますが、いまのお 尋ねの自治会長等の取り扱いでございますが、非常に地域社会のためにボランティア的に大変御苦労いただいているということは十分承知をしておりますが、先ほど自治省の方から御答弁がありましたような検討状況を見守りつつ、今後さらに自治省とよく協議をしてまいりたい、こう思っております。
  48. 大川清幸

    大川清幸君 それでもう一つ、この任意団体について大変困る問題が実はあるのです。  というのは、任意団体で個人としても法律上も人格が認められておりませんので、どういう問題が起こるかといいますと、一部片づいていますが、何年か前に、お父さんが町会長で、結局町会の財産は、町会の事務所なんかつくると土地も要るというようなことで、その財産が個人名義でないとどうしようもないのですよ。固定資産税の問題やなんかは地元の税務署にその証明を出せばこれは免除してもらったりという措置が一応はあるのですが、財産権の問題をめぐって何代か後に町内会で大げんかになって裁判になっているというようなこともあるわけ。私の経験では東京都交通局のもう公共の目的に使えない土地について町会の事務所用に払い下げてもらう問題も、町会の役員会を開いてもらって公式の文書にして、そうして町会の代表何人かがその土地を東京都交通局から払い受けるというようなことをやる。それから、上に建てる上物については、今度は民間の金融機関からその代表になった三人なり四人の町会の役員が保証人になって金を借りて建てる。こういうような不自由なことをやっているのですよ。だから、税法上の扱いの問題もさることながら、そうした財産権をめぐっていろいろトラブルがある事例も全国では探すとこれはかなりあると思いますよ。中央区なんかでも数年前にありましたしね。  こういう点を考えると、なかなかむずかしいのですが、こうした財産権をめぐる問題については、町会そのものについて何かの規定みたいなものを設けてもらって紛争の起こらぬように、あるいは個人財産でないものについて、個人名義だから固定資産税がかかってくる、手続がめんどうだ、まあやればこれは免除してもらえる等の措置がとられていますが、大変不自由で、要するに地方の自治を支える町会そのものが大変不便をしておるという実情があるわけですので、これきょうあしたに答えを出していただくことは大変むずかしい性質の問題だということは私理解をしておりますが、地方自治を支える立場のそうした住民の組織といいますか、町内会あるいは自治会についても何らかのやっぱり根拠は与えてやらないと、大変不自由だし、迷惑を逆にかけているということも言えるので、この対応策については今後真剣にひとつ取り組んで、何か名案があれば措置をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  49. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) その辺のこと勉強をさしていただきます。
  50. 大川清幸

    大川清幸君 大臣、いかがでしょう。
  51. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま大川先生のおっしゃったような経験も私はしたのです。昔は国有財産とかなんとかでやっぱり区が法人格を持っておった。ところが、それがなくなりまして、結局仕方がないから一番近い町とか村とかあるいは市とかの一応財産にして、そして実体は町会が持っているのですよという文書、覚書でも交換してやる、そういうやり方しかいまないと思っておるわけです。私もそういう経験しましたので、ただいまの話は本当に承りまして今後考えさしていただきたいと思います。
  52. 大川清幸

    大川清幸君 次に、マル適マーク関連して消防庁に何点かお伺いをしたいと思います。  これは新聞でも報道されておりますので概要はほぼ承知をいたしておりますが、去る二月二十一日の山形県の蔵王観光ホテルの火災事故ですね。これについては一応の概況をちょっと御報告願いましようか。
  53. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ただいまお話がございました蔵王観光ホテルの火災の概要についてお話を申し上げます。  こういうホテル火災が起きましたことはまことに残念なことでありますし、遺憾だと思っております。特にこの火災の中で亡くなられた人がございまして、その人には心から御冥福を祈りたいと存じます。  お話がございました山形県の蔵王観光ホテルの火災でございますが、出火の日時は昭和五十八年の二月二十一日でございます。消防署が覚知をした日時は同日の午前三時五十二分でございます。鎮圧の時間は六時三十三分、鎮火の時間は六時四十分ということになっております。出火の場所は山形市の蔵王温泉二番地、株式会社蔵王観光ホテルでございます。出火の原因は現在調査中でございます。  損害は、人的損害につきましては死者十一名、男四人、女七人でございます。負傷者は二名、男女各一名でございます。物的損害は出火のホテル本館木造モルタル四階建て千五百九十六平米が全焼でございます。それから別館も同じく木造モルタル三階建てでございますが、六百六十八平米全焼でございます。出火当時の在館者はお客さんが九十九人でございます。  類焼しましたホテルがございまして、これは隣にあります柏屋旅館と申しまして、この本館の木造一部鉄骨づくりの地下一階地上二階三百七十五平米全焼でございます。それから第一別館がございまして、これが木造二階四百四十平米全焼でございます。さらに第二別館木造一部鉄骨づくりでございまして、地下一階地上二階四百三十平米全焼でございます。それから別棟、食堂がございまして、これは木造でございますが、二階でございまして百四十七平米全焼でございます。出火当時の在館者は八十三名でございます。ここでは死傷者はございません。その隣に海老屋旅館というのがございまして、これも木造のモルタル三階建て九百十六平米でございますが、これは壁体を二十平米ほど焼損いたしてございます。  消防活動は出動車両が三十四台、出動人員が二百六十一名でございまして、消防職員七十七名、消防団員百八十四名の合計二百六十一名でございます。  「適」マークにつきましては、蔵王観光ホテルにつきましては五十七年の十二月一日に交付をいたしてございます。海老屋にも同じく五十七年の十二月二十四日に交付しております。柏屋は、これは対象の外でございます。  以上でございます。
  54. 大川清幸

    大川清幸君 ところで、この蔵王観光ホテルは「適」マークを受けておるホテルでございますが、これは二十四項目のチェックの点ではどういう状況だったのでしょうね。
  55. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 蔵王観光ホテルにつきましては、ただいま申し上げましたように、昨年「適」マークの交付をいたしておりますが、現地の消防機関の報告によりますと、これは厳正にチェックをいたしておりまして「適」マークの表示基準に合っておるということで、確認をした上交付をしたというふうに聞いております。
  56. 大川清幸

    大川清幸君 ところで、これは現地に行ってみなければわからない問題もあるのでしょうが、どうも報道の情報によりますと、所要の避難訓練の実施をしていたかどうかという問題もちょっと問題のようですし、それから規定されている感知器の警報が鳴らなかったとか、いろいろな問題がありますが、せっかくマル適マークを大変勇断をもってこれを適用することになったことに私も評価をしておるのですが、こうしたチェックポイント二十四項目に全部適合していても、あとのこうした運営といいますか、管理の問題がどうしてもなかなか目が届かないという点もあるのだろうと思うのですが、こうした指導についてはきちんとしてもらわないとせっかくの「適」マークの信用性を失うことにもなりかねませんので、この辺は手不足その他もあって現場の方の第一線は大変だと思うんです。しかし、この辺の指導はきちっとやってもらわないと困るので、この対応については大丈夫ですか。
  57. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) いまお話がございまし たように、こういう「適」マークを交付したということだけで旅館、ホテルが安心をしておるというのはやっぱりいかがかと思います。やはり毎日毎日を大事にしていっていただかなければいかぬことでございまして、そういう点では防火管理という点をもっと強調していかなければならぬだろうと思っております。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕  特にこの二十四項目の中に消防計画をつくらせましたり、あるいは防火管理者に対する責務をいろいろ負わせたり、いろいろなことをしておりますが、やはりソフトの面に対する把握の仕方、あるいはソフト面に対する経営者の注意の仕方、その辺は私はきわめて大事なことだと思っております。この表示制度によりまして「適」マークを受けましたこの観光ホテルにつきましても、消防計画に基づく避難訓練、まあ年二回以上やれということになっておりますが、それは行っておるという形でございまして、一度は、蔵王温泉の自主防災会というところがございまして、そこで総合的に消防機関の指導を受けながら訓練をやったということも聞いております。  いずれにいたしましてもやはり経営者に対する避難訓練あるいはソフト面における防火管理という点が非常に重要でございまして、私たちもこれからもこういう問題がうまく適合するように指導してまいりたいと思います。特に避難訓練が未実施の対象物につきましては期限を付して避難訓練の措置命令を出すようにいたしておりますので、そういう点からも各経営者はそれぞれの自覚を持ってやはりやっていただきたいものだと思っております。
  58. 大川清幸

    大川清幸君 経営者の商業ベースだけでやられては困るので、きのうですか、上條委員からもその点は御所見を交えた話がありましたが、この辺の対応はぜひしっかりやっていただきたいというふうに思います。  ところで、煙感知器、熱感知器等ですが、これの性能の問題でちょっと伺っておきたいのですけれども、何か非火災報といいますか、火災でないのに鳴ってしまうとか、この辺については技術的にむずかしい問題が幾つかあるのじゃないかと思うのですが、やはり性能的には的確に反応してもらう器械が望ましいということなんですが、この辺の研究、検討はどうなっておりましょう。
  59. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃいますように、私たちも非火災報の問題大変悩んでおるわけであります。昨年のニュージャパンの火災以来、防火管理委員会をつくりまして、そこで実は検討しておりまして、近日中にいろいろな学識経験者からの見解が示されまして報告を受けることになっております。  ただ、いま御案内であろうとは思いますが、日本におけるこういうセンサーというのは世界的にもわりあいすぐれている器械でございまして、別に世界各国に比べて劣るものではないとわれわれも承知をいたしております。技術的にはわりあいいいのですが、要するにたばこを吸ってマージャンをやっている煙というのと、それから火事が出たときの木が燃えたときの煙というのをセンサーが見分けることができるかどうかというのはこれ大変問題でございまして、非常に多くの金をかければ煙の中の成分を引き受けるのにコンピューターでやるというのはできるかもしれませんけれども、ただ物すごく高くつくということになるだろうと思います。余り高くつくものですと実際問題として普及しないということがありますが、ある程度のものはやらざるを得ない。  先生方も外国へ行って御案内だとは思いますが、よく外国のホテルでも非火災報でベルが鳴ることがございます。これは世界共通の事案なんですが、私たちもともかくそういうことを言っておっても、なかなかこれはらちが明きませんので、実は先ほど申し上げました委員会でいろいろな検討をさせておりまして、もう少し質とか量とかを比べながら少し時間、タイムをはかって、非常に量がたまったら鳴るとか、あるいは煙感知器と熱感知器とを併用させるとか、いろいろなことを少し考えてみなければいかぬのじゃないか。そういうことをしながらセンサーの効率を上げていくということを考えませんと、どうも非火災報ということだけでスイッチを切っておるとか電源を切るとかいう問題が起きて、大変多くの方に御迷惑をかけることになりますので、この点は私たちも十分配慮しているつもりでありますが、近日中にその報告書が出次第、またそういう指導をしていきたいと思っております。
  60. 大川清幸

    大川清幸君 それから、「適」マークの交付の条件と状況を見てみますと、各府県等で、何というのですか、ばらつきがあるというのは、それは実情が違うから違いが出ていいのだと思うのですけれども、    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕 これは交付条件そのものについての統一的なものや何かがきちんとしていれば余りこんな格差は出てこないのじゃないかなと思うのですが、これはどうでしょうか。
  61. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) いまの「適」マークの交付状況はすでに新聞等で御案内かとは思いますが、ホテル、旅館約八万四千軒ほどいまあるわけですが、このうち三十人以上収容して三階建て以上の旅館、ホテルというのを「適」マークの対象にいたしておりまして、それが一万六千八百七十一あるわけですが、調査を終えたものがそのうちの一万六千八百四十三、約九九・八%ぐらい終わっておりまして、そのうちで「適」マークを交付したのが大体七割、七一・三%ということになっております。これは各県の旅館の構造なりそういったものが違っておりまして、たとえば沖縄県というのが大変これは「適」マークの交付状況悪いわけでありまして、これはもともと日本に復帰したのが遅うございまして、建築基準法の適用がなかった建物が大分ございます。そういうために、適用基準の適用にならないということのために率が下がっているという特殊事情が私はあるのだと思います。  そういうことで各県ともこの不備事項の是正については指導はいたしておりますけれども、古い旅館あるいはホテルというものが抱えておりますところの構造物、そういうものに対してマル適の申請があってもなかなかこれに適合してこないというのがございます。そのために各県によっていろいろな違いが出ておりますが、ソフトウェアの面等については、これはやればできる話ですから、これは幾らでもできますが、そういう部分の救済の道がいまのところございませんので、改善の指導をしながら「適」マークの交付率を上げていく方がいいのではないか、こう思っております。
  62. 大川清幸

    大川清幸君 大変むずかしい問題も含んでおるのでやむを得ない面もあるかと思うのですが、やっぱり安全性が高いことが何といっても望ましい。しかし厳しいだけでもこれはまずい面もあることよく私理解をいたすのですが、そういう点で大都市のいろいろな悩みを抱えている東京都ですが、これけさほどの報道によりますと、東京都火災予防審議会が東京都消防庁に答申をいたしておるのですが、この「適」マークをより確実にするための五段階の何か点数方式みたいなものを新たに発表されました。これについての評価はいかがですか。
  63. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) いま私たちが実施しております「適」マークに関します二十四項目というのは、御案内のとおり法令の基準に合っているかどうかということを主体にしながら少なくとも人命に対する被害というのを最小限度に食いとめようというためのチェックポイントをつくっているわけであります。  いまお話がございました東京都の審議会の部分につきましては建物の危険度というのはどういうものかという点からのとらえ方をしておりまして、若干違いがあります。いま私の方にも実は委員会をつくっておりまして、そういう危険度と申しますか、危険度調査というのをいま私の方もやっておりまして、近いうちにこれについても結論を出さなければいかぬと思っております。私は東 京都が現在やっております建物に対する危険度の評価方法というのはやっぱり一つの見方であろうと思いますし、それはそれなりに私は東京都がやっていただくということは大変いいことだと思っております。  ただ、気になりますのは百何項目かという評点になりますと、余り多過ぎて少し困るかなという感じがしないわけでもありません。しかし、これは実態をよく見てみないとわかりませんので、今後の推移を見ながらよく相談をしていきたいと思っております。
  64. 大川清幸

    大川清幸君 時間がなくなってきたのですが、行管庁の方で「適」マークのことについて意見を述べておりますね。これに対する対応はどうなんですか。
  65. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 行管庁の勧告が出まして、一部新聞にもそれが報道されました。これは実は私の方と申しますか、地元における消防機関と建築行政をあずかっている行政庁、特定行政庁との間の話し合いという話になるわけですが、建物の構造その他防災上芳しくないということで建築基準の上で許可を与えられないというものについて、たとえば二十四項目が合っておっても消防機関はそれに対して「適」マークを交付するなというのが私たちの従来の指導でございます。ところが、たまたまちょっとずれがございまして、交付をしてしまったということが起きてしまいました。これは二十四項目以外の話でございますけれども、ここはやはり消防機関と地元の建築行政庁との間でよく話し合いをしながら対応すべきだということを言っておりまして、そのことを行管庁が実は指摘をして、よく連絡をとってやってくれという指摘でございまして、二十四項目見直しをしろとか、そういうことではないということは行管庁に私の方で確認をいたしております。
  66. 大川清幸

    大川清幸君 最後に、これは答弁要らないのですが、大臣、ちょっと聞いていただいて、今後の善後策を考えていただきたいというのは、実はいま火災の安全対策のことでいろいろ聞いてきたのですが、これは全く違うので、ゴルフの練習場なんです。  近ごろはなかなかクラブも改善されてよう飛ぶようになったそうです。ツーピースだ何だかんだとえらい飛ぶのは結構なんですが、大部分のゴルフ練習場は構造その他をきちんとやっているところが多いのですが、中には設備が不備で近所の住宅等に球が飛び込んでくる。私が報告受けているところでは、これ千葉市ですけれども、小深町なんというところですが、実際かわらが割れたり窓ガラスが割れるというのに、これ経営者の方が少し人間的に問題があるのかどうかわかりませんが、余り対応してくれない。これはだれかけがでもしたりすれば刑事事件で何とかということになるのでしょうが、ガラスが割れたりかわらが割れたぐらいで地元の警察に持ち込んでも、実際には警察の方でもこんなの扱いに困ると思うのですよ。  そうかといって、いつまでもこれ放置しておくのは問題でして、私はこの問題、全国的に見ると問題の練習場が幾つかあるのじゃないかという心配も実はしておるわけで、どこが所管かというので建設省に聞いてみたら、建設省はどうもうちじゃないと言う。いろいろ調べた結果、どうも通産省らしいのですけれども、それで通産省にきょう出てこいと言ったら、その担当の課長さんが何だか金の事件があって全部そっちに行っちゃって、いないから出られないと言うのですが、委員会に出てこないこと自体も問題だと思うけれども、実際にそっちに行っちゃって人がいないのじゃ私はやむを得ないと思っておりますが、あるいは答弁サボるために出てこないのかどうかわかりませんけれども、これ、事件が起こってからじゃ手おくれで、安全基準みたいなものをつくる必要がある。  放置しておくこと自体が問題で、いまも所管が明確でなくて、対応も不十分。これ考えると、事件が起こってからだとこれは警察の方へ持ち込まれたりする。それは警察に持ち込まれることが望ましいのじゃなくて、持ち込まれないように安全策をやることの方がいいのであって、これは安全基準みたいなものをぜひ通産省と御相談を願いたいと思うのです。これは、ぜひよろしくお願いをいたします。要望をいたしておきます。  以上です。
  67. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治省、消防庁、それから警察庁所管がありますが、そのうち、きょうは時間の関係もありますから警察庁に集中してお尋ねをしたいと思います。  大阪、兵庫で賭博機のリー汚職事件が起こりました。これ大問題になって、警察の信頼を損なう状況が起こっているわけですが、問題はそれにとどまらないで、最近幾つかの事件が起こっています。したがって、その点を中心に警察庁にお尋ねをしていきたいと思うのです。  まず、いま問題になっております尼崎中央署及び尼崎北署ですか、ここで発生しておりますにせ調書事件というのですか、これの事件の概要をまず報告してもらいたいと思います。
  68. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 御質問の件につきましては、今回の汚職事件の捜査の過程で認知をいたしまして真相の解明に当たっておるところでございますが、これまでの調査結果では、尼崎中央署の保安係長の松葉の外数名の警察官が、風俗関係事犯の参考人供述調書の作成に際しまして、供述人の真実の住所、氏名と異なる住所、氏名などを記載したということが判明をしておりますが、現在なおその洗い直しを続けておるところでございます。
  69. 神谷信之助

    神谷信之助君 現在捜査中ですから、事件そのものの詳しい内容についてお伺いできないかと思います。  そこで、一、二これに関連して確かめておきたいと思うのですが、報道によりますと、おとり捜査をしたという報道もあります。これは最高裁判例で、麻薬に関して特に限定的に認めるといいますか、逆に言うと、おとり捜査は捜査方法として日本では認められていないというように思うのですけれども、このおとり捜査というのは警察の方ではどういうようにお考え、定義されていますか。
  70. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 最高裁の判例を御指摘になりましたが、いわゆる最高裁の判例では、犯意を誘発する、つまり犯意のない者に対して犯意を生じせしめるということにつきまして問題になったわけでございますが、それがいわゆる犯意のない者に犯意を生じさせるものというのがおとり捜査であろうかと思います。ただ、二十八年の最高裁の判例によりますと、犯意を誘発された者の犯罪構成要件該当性あるいは有責性もしくは違法性を阻却するものではないという趣旨の判例であったかと記憶をいたしております。
  71. 神谷信之助

    神谷信之助君 この犯意を誘発させるということと、それから犯罪行為を確認をするという行為、これは別だというようなお話を警察の方からも聞いたのですけれども、その辺の区別というのは、一体現実には区別ができるのですか。
  72. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 個々のケースによっていろいろ異なるとは思いますけれども、単に犯罪に関する事実を第三者が確認をするということは、犯意を生じせしめる行為には当たらないわけでございまして、通常見聞をする、あるいは体験をするという事実、それを捜査側に協力をして情報を提供をしていただくということは、いわゆる犯意を生じさせるという意味のおとり捜査ではないというふうに考えております。
  73. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう一つ聞いておきますが、犯意を誘発させるいわゆるおとり捜査をすれば、それは刑法に触れるわけですか。どういうことになりますか。
  74. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 犯意を誘発させるということの中身になりますけれども、教唆犯等になり得るケースがあろうかと思います。しかし、通常そういった形での協力者の運用というものは私ども厳に戒めておるところでございます。
  75. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、これは松葉係長ですか、それからその係の者をひっくるめてにせ調書 がつくり上げられたということなんですが、これは捜査中ですから仮定の問題としてお尋ねするのですが、そういうにせ調書をつくられたということになれば、これは公文書偽造の罪ということになるのだろうと思うのですね。そういう犯罪行為を係長が指示をしてやった、それに対して、その係員の方からはそれに対する批判なり、そういうものはなかったのでしょうか。
  76. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) それに関しましてはまだ詳細兵庫県警の方から報告を徴しておりませんので、いまここで係員がどういうふうな反応を示したか云々ということにつきましてはお答えをいたしかねます。
  77. 神谷信之助

    神谷信之助君 警察ではそういう上司の行為について下級の警察官がそれに対して批判をする、あるいは注意をする、そういう行為はいままであるのですか、ないのですか。
  78. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 当然いろいろとディスカッションをするケースもございますし、上司が間違ったことを言った場合にはそれは違うのではないかというようなことを言うケースはあり得ると思います。
  79. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、これはリース機の汚職問題の捜査の中で生まれてきたようですが、しかも言うなればリース機の汚職に入る前にそういう協力者との関係で親密なそういうつながりができ、それが結局汚職につながっていったという、そういう報道もあるわけです。しかもその協力者に対して謝金を払う、その謝金で一緒に協力者と警官が酒食をともにする、そういう関係が生まれてきて、そしてそういうのが広がって、自分のところも目こぼしをしてもらえるということで自分のところの従業員を協力者に提供する、協力をしていくというようなことが広がっているという、そういう報道もあります。  こうなりますと、これ風俗営業関係のそういう事件の捜査のやり方自身あるいは協力者の選定の問題、こういったとこら辺にもいろいろな問題が起こってくるのではないかというように思うのですが、この辺は捜査中だから結論が出ないことにはどうにもこうにもいかぬだろうと思うのですが、そういった面まで含めて捜査を終了すれば具体的な対処というものをお考えになるであろうと思うのですが、いかがですか。
  80. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 今回のケースが協力者の運用が先であったのか汚職ケースが先であったのか、その辺はまだ捜査中でございますし、詳細把握をしておりませんが、一般論で申し上げますと、もちろん協力者の運用については、それと癒着をするというようなことがあってはならないことは当然でありますし、また捜査をする上で協力者の適正な運用ということについては配意をしてまいりたい、かように考えております。
  81. 神谷信之助

    神谷信之助君 こういう調書でっち上げ事件というのは十年ほど前に京都の峰山署にありまして、六人の少年が窃盗犯をでっち上げられておったわけですね。ただ交通違反で一人の少年が調べられて、そのときに前科が、全然知らない前科がつけられていたという事件がありました。その当該の塩谷という防犯少年係長がそうやって成績を上げてスピード出世して、宮津署の課長にまでなって警部になっておったわけですね。そこでたまたま発覚したわけです。こういうことが今度も、いま捜査中ですから結論そう簡単に断定するわけにはいきませんが、こういうことが起こってくると、ここに共通のものがあるのです、感じられるのですね。  点数を上げる、成績を上げるといういわゆる成績主義、こういうことで峰山署の事件はまさにその典型でしたけれども、相通ずるものがあるので、この点私は警察行政の中に権威主義といいますか、そういった成績主義、これによるゆがんだ警察行政というもの、これが根源にあるのではないか。ですから、私は単に規律とか綱紀、これを粛正するという、そういうことを通達で指示をするということだけではこの問題は解決しないのであって、それは警察行政の中の基本的な再検討といいますか、民主的に物が言える、批判ができる、そういう空気というものをつくらなければだめだというように思うのですが、この点についての対策はどういうようにお考えでしょう。
  82. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 今回のケースがいかなる動機で作成といいますか、参考人の真実でない住所、氏名等を書いたかということにつきましてはまだ捜査中でございますから詳細わかりませんが、もちろん私ども仕事をしていく上において件数主義ということは厳に戒めておるところでございます。  もちろん私ども治安の責任を担っておるわけでございますので、業績を上げるそのことが結果として治安の責めを全うするという目的を達成するための適正な方法でなければならないことは当然であります。件数というのはやや目的を逸脱したと申しますか、そのこと自体が目的になってしまうような危険性もございます。したがって、どの署は何件上げなければいけないというような、単に件数だけを上げるということを成績判定の基準にするというようなことはいたしておらないところでございます。いろいろな点を勘案して業績を上げ、治安の責めを全うするということの目的のために今後とも指導してまいりたい、かように考えております。
  83. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし、現実にはやっぱりそういうことが感じられるのです。  そこで、具体的にもう一つ次の事件ですが、兵庫県警の交通部運転免許本部長だった中川豊造警視、この人のかけマージャンの事件を報告してもらいたいと思います。
  84. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 事案の概要について御説明申し上げます。  かけマージャンを行ったと報道されました警察官は、兵庫県警交通部の参事官をいたしておりました警視五十四歳でございます。監察官室におきまして本事案が発覚いたしまして、本人を含めまして関係者から事情を聴取した結果によりますと、この者は芦屋警察署長在任中、これは昭和五十一年の三月から昭和五十三年の三月まで二年間芦屋警察署長に在任しておったのでございますが、管内の知人らとマージャンを行っていたわけでございます。その後中断をいたしておったのでございますけれども昭和五十六年の四月ごろから七月末ごろまでの間、七回ないし八回でございますけれども、千点二百円程度のマージャンに誘われまして再びマージャンをしておったということが判明したわけでございます。  警察官たる者は廉潔を保ちまして名利を退け慎みを保つことが期待されておるわけでございます。まして署長などの幹部の地位にある者はその行動により慎重であるべきであるところでございます。そういう意味におきまして本人が大変配慮を欠きまして、結果として警察に対する国民の信頼を損ねたということで、三月十一日付で諭旨免職処分にしたものでございます。この処分につきましては、兵庫県警察におきまして事案の性質あるいは本人の反省の情、そういったものを勘案いたしまして懲戒処分にすべきや否や、いろいろ判断がなされたわけでございますが、それに次ぐ厳しい処分である諭旨免職処分が相当である、こう判断いたしまして諭旨免職処分にしたということでございます。  また、刑事事件としてこれを立件すべきや否やという点につきましても十分検討をしたところでございますけれども、マージャンの内容が非現行犯事案であるということもございまして、捜査技術上いろいろ限度がございまして、しかも先ほど申し上げましたように、新聞等におきまして大変批判をされ、いわば社会的制裁を受け、本人も深く反省しておる、かつまた諭旨免職という厳しい処分を行った、こういうことから刑事責任は追及しなかった、こういうものでございます。
  85. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまもお話がありましたけれども、かけマージャンというのはこれは刑法百八十五条の罪に該当しますわね。それから、非現行犯ではあるけれども本人自身は認めているのだし、一緒にマージャンをやった者も限定できるのですよ。立証は不可能じゃない。それでしかも警察官 はそういうかけマージャン、それを取り締まる側にある。取り締まる方が自分がやって、そしてそれは別に送検もしない、立件もしない。仲間うちで、本人はもう情状厳しく自己批判しておるということで立件もしないというようなことは、これはどういうことになるのですかね。かけ金が少ないから立件しない、そういうことになるのか。  ところが、竹林精一県警本部長は、地元の新聞の報道によりますと、処分理由を三つほど挙げておられますが、その一つは、かけ金が常識から比べたら高いということが一つになっていますよね。それからもう一つは、新聞に報道されたからというのです。もう一つは、一緒にやった相手が民事トラブルに巻き込まれかねない人物だったという三つの理由で、警察の威信を傷つけたということで諭旨免職の処分にした、こうおっしゃるのです。だから、かけ金が常識より高いと言うてみずから認めておりながら、少なくとも送検をして、それは検察庁がどう判断をするかは別として、それはやらないで、自分たちの内々でもう立件もしない。それから新聞に報道されたからだと。それなら、ばれなかったらいいのか、今度も一緒にやった警官のOB、仲間から出てきてわかったわけですから。だから、ばれない間はかけ金マージャン何ぼやっていてもいいのか。だから、おまえらかけマージャンやったらいいよ、ばれぬようになれと、こう言っているのと同じじゃないですか。この点はいかがですか。
  86. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 新聞に報道されたということだけではなくて、その報道の中でも大変批判を受けておりますし、その後いろいろの面で社会的な批判を受けたというふうに申し上げた次第でございますので、御了承をいただきたいと思うわけでございます。  次に、事件として立件送致しなかったという点でございますが、先ほど申し上げましたように、非現行犯でございまして、しかもこの日時あるいは場所、そういったものがふくそういたしておりまして、関係者の言は、やりましたということは言っておるのでございますけれども、それではいつどこでどういうような具体的な勝負をして、どのような、まあ千点二百円というようなレートでやったというようなふうに聞いておるわけでございますけれども、それを具体的に特定するということが非常にむずかしいという点も、これはいわば捜査技術上非常にむずかしいという点がございます。  そういうことでございまして、内々に検察庁とも連絡は十分さしていただいておるわけでございます。そういうこともございまして立件送致に至らなかったと、こういうことでございます。
  87. 神谷信之助

    神谷信之助君 私はそれは納得できないですよ。みずからをやっぱり律するにもっと厳しくなければ、どうして国民が警察を信用しますか。しかも七万九千円の借用証という物証まである。それで、とにかく本人、この中川警視が言っているのでは、あなたのなにですと、五十六年の四月から七月の間に七、八回でしょう。何十回もやっているのだったらなかなか特定できぬでしょう。わずか七、八回だもの。七、八回を特定して、どこでどうやったということは調べる気になったら調べられますよ。  だから、私は、こういう問題をひとつ警察があいまいにして、しかも諭旨免職ですからね。だから、大体かけマージャンやらで一般の公務員が警察につかまったりしたら、これはもう問題なく懲戒免職ですよ。問題なく懲戒免職ですよ、公務員法から言っても問題なく懲戒免職。飲酒運転やっても懲戒免職やっている役所もありますわね。それを警官が身内だから、署長までやったえらい人だからというので、署長さんが自分の管内でそんなかけマージャンやって、それで退職金はちゃんと出ますよという諭旨免職、懲戒免にもならない。公安委員長、これはどうですか。私はそういう身内をかわいがって適当に処理している、その体質、これ汚職を生む土壌じゃないですか。お互い傷をなめ合う、それでいいと思われますか。
  88. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 事案の内容は私も詳しいことはわからぬのですけれども、その警察というのの内輪の者だから特別に取り扱ったということは、これは私はないと……
  89. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、そうなっておるじゃないか。
  90. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) さような措置はしていないと、こう思っております。
  91. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうなっておる、結果は。
  92. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) また処分の問題についても、それは常に行政処分というのにはいろいろなケースがあるわけなんで、それらの均衡も考え合わして、こういう処分にしたものであろうと、こう考えております。
  93. 神谷信之助

    神谷信之助君 そんなことをおっしゃっても、これはもう処分済んでしまっているわけですからね。そう言って擁護せざるを得ぬからそうおっしゃるのですが、国民は納得しませんよ。  福岡県警で交通警察官らと、それからレッカー業者との癒着事件がありましたね。これも処分されていますが、時間の関係もありますから、処分結果、事案と、簡単にちょっとやってもらいたい。
  94. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 本年の一月、交通警察職員の不祥事案についての端緒を福岡県警では入手いたしまして、関係者から事情聴取を行うなど事案の解明に努めてきたところでございますけれども、二月二十八日、レッカー業者と限度を超えた交際をしていたことが明らかになったわけでございます。そこで、関係警察職員七名と、これらを監督する者の監督責任を有する者九名の合計十六名を処分したものでございます。処分の内容は諭旨免職が二名、減給が一名、戒告が一名、本部長訓戒が二名、本部長注意が六名、所属長注意が三名、管区局長注意が一名ということでございます。  諭旨免職になりましたのは、一人は北九州市警察部交通課長、警視の松尾淑朗、五十五歳でございます。これは五十五年九月ごろからレッカー業者と知り合いまして数回にわたりまして接待を受けたほか、病院に入院した際に見舞いを受け取ったということでございます。さらに犬小屋の修理等を手伝ってもらったというようなことで限度を超えた交際をした、こういうことで諭旨免職にしているところでございます。  いま一人、これは運転教育課筑後試験場の免許係の主査でございます技術吏員、四十九歳でございますが、この者がやはり同じレッカー業者の従業員が免許を取る際に実技試験に必要以上に助言を加えた、こういうことでございます。  そういうことで二名の者が処分をされておるわけでございます。その他の処分につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。
  95. 神谷信之助

    神谷信之助君 これもそうなんですが、自分の担当している職務、それを通じて知り合ったいわゆる取り締まり対象になっている者、これと酒食をともにしたり見舞い金をもらったり、それから犬小屋の改築をやってもらったり、あるいは自分の家の造園作業をやってもらったり、そういう酒食をともにする者、これは相当人数いたわけですね。そういう者が結局七名、当事者として処分をされたということになるのですが、そういうことは警察は大目に見ているのですか。
  96. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) いや、もう全然それについては厳しく、先ほど申し上げましたように、廉潔を旨として、やはり名利を退けて慎重に行動するように平素その指導をしているところでございます。
  97. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、この中で諭旨免職になった松尾氏は、これは警視ですね。それから、注意を受けた宗像署次長の淵上さんという方も警視ですね。それから警部の方もおられる。言うなれば上級の警察官ですよ。だから、そういうことをしてはならないということは十分知っているはずです。  ところが、そういうことが見つかって、これで処分されたら、懲戒免じゃなしに諭旨免職、悪うございましたと言うて謝ったら罪一等減じてやる。どうなんですかね。これは警察官になってま だ日が浅い、そういう点で十分また訓練も受けてない、だからその場合は懲戒はなんだから諭旨でやるとかいうこともあるでしょう。この宗像署の次長に至っては、そういう酒食のもてなしを受けたということはわかっておりながら、それは回数が少ないということになっているのでしょう。注意で終わっているのですよ。してはならぬことをしているじゃないか。してはならぬことをやって注意で済むのですか。  ということは、逆に言うたら大目に見ているのだ、一回や二回はかまへんのや、注意で済むのだと。松尾さんの場合は、おまえはお金までもろうておる、犬小屋の改築までしてもろうておる、回数が多いということで諭旨になった。これも同じですよ。先ほどと同じで、やってはならぬことをやる。かけマージャンと同じで、やってはならぬことをやっておるやつは、済みませんと言うて謝ったら諭旨免職や、あるいは注意やと。これはどうですか。そんなことで、やっぱり処分相当と思いますか、これは。
  98. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 実はいろいろのケースその他等を福岡県警におきましては検討いたしまして、諭旨免職というのは、大体退職金等におきましても三三%以上普通退職よりは削られるという、そういう退職処分でございますし、一般的には大変重い処分であるというふうに私ども考えるわけでございますが、そういう横並びというようなこともございますし、そういうようなことをいろいろ検討した結果、申し上げたような処分をしたわけでございます。
  99. 神谷信之助

    神谷信之助君 冗談じゃないですよ、大体。限度を超えた交際やつき合いだった、だからいかぬと言うのだ。冗談じゃないんです。限度を超えているどころじゃない。悪いのだよ。自分の職務上取り締まりの対象になるそういう業者と酒食をともにしたり、そういう行為をすること自身が悪い。限度の問題じゃない。だから、限度を超えた交際だから諭旨になっているのでしょう、これは。退職金が三三%少のうなる、冗談じゃないですよ。私なんか見てみなさい、あなた。無罪が確定した事件で、あなた方が逮捕したために昇給はストップですよ。無罪確定しない前にやめたから、退職金もらうどころの騒ぎじゃない。警察官はそうやって無実の者もひどい目に遭わしながら、自分の方は何だ、冗談じゃないと言うのだ。  そういう業界との癒着体質、これがもう一つ鮮明にされたのが、私は、これも報道されておりますが、社団法人宮城県指定自動車教習所協会、これが県警幹部の転勤に対して祝い金を贈るという、そういうならわしがあった、各教習所ごとでやっていると金額何ぼやというのがむずかしいから、五十年三月に理事会で贈呈要領というのを決めて、そして協会専務と会長と副会長の三人で決定した、ことしは三月七日付の通知で各学校に七千円分拠出を求めて、不足分は協会が出す、だれに出したかというと、二人は十五万円、二人三万円、合計三十六万円ということで転勤をする四人の幹部に贈っていると、こういうことが報道されているのですよ。  転勤祝いというのは、これは皆さんもおもらいになっているのですか。
  100. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 宮城県の事例でございますけれども、宮城県指定自動車教習所協会では、先ほど御質問にありましたように、昭和五十年ごろから部外関係者の転任、退職、そういった際に儀礼的なものとしてせんべつを贈る、それについては要領を何かつくったようでございまして、その割り当てを各教習所に負担さしておったようでございます。しかし慣行的に行われていたものでございますけれども、時節柄を考えまして、本年三月、臨時総会においてこの要領を廃止した、こういうふうに聞いておるわけでございますが、本年三月の宮城県警察の人事異動に際しましては警察関係者はせんべつを受け取っていないという報告を受けているわけでございます。  なお、せんべつ等についてでございますけれども、全くの善意による儀礼的なものとしてのせんべつの扱いというのは、本来これは個人の良識により判断すべきものでございますが、今後とも部外者との交際等に当たって、いやしくも疑惑を持たれることのないように慎重に対処するよう指導してまいりたいというふうに私ども考えておる次第でございます。
  101. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、大体こういう風習はあるのですよ。私も京都で調べてきましたよ。京都の教習所の方も去年までは宮城方式でやったのですよ。それで、交通関係の幹部が異動するときにはお祝いを贈る、しかし今度は大阪のあの事件がありましたから、ことしはちょっと自粛せにゃいかぬなということになって、協会としてはやらない。それで結局は個別にやるということになった、協会でやると目立つから。こっそりやろうと、こうなったのですよ。あるのですよ。  それで、あなたは、個人のつき合い、善意のそういうお祝い、せんべつならいいかのような言い方をされる。それは勤務している間に個人的に友人関係というやつはできるでしょう。そういう場合にせんべつというのもあり得るかもわからぬ。しかし職務上対象の団体なり、その対象の会社なり個人、そういうものをこれは善意だといってもらっていいのですか。それは善意であったらよろしい、自分の判断でやりなさい、こういうことなんですか。私はそういうのは絶対に禁止すべきだ、そこの点がはっきりしないのじゃないですか。いかがですか。
  102. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 私が先ほど申し上げたのは、全くの善意による儀礼的なものとしてのせんべつ、そういったものは本人の良識によって判断すべきものであるということを申し上げたわけでございますが、善意で儀礼的なせんべつを贈ってくださる方々が部外者であって、しかもそれが許認可の対象者であるとか、あるいは取り締まりの対象者であるというような場合には、これは厳に避けるべきだというふうに私は思うわけでございます。そのように指導いたしておりますし、今後も厳重に指導してまいりたいと思うわけでございます。ただ、本当の友人関係、たとえば部内であるとか、そういうような関係で、全くの善意によるところの儀礼的なそういうせんべつ、そういうものについては個人の良識によって判断する以外にない、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  103. 神谷信之助

    神谷信之助君 では、そういう場合もらったらいかぬということははっきりしているのですか。  もう一つ、もう時間ありませんから、これ私の方から言いますが、沖永良部の知名町、ここで助役の選任をめぐって汚職、贈収賄事件がありました。これは昨年の三月以来疑惑がうわさされておりながら、なかなか警察当局は手をつけなくて、そしてわが党の方も九月の県会で取り上げまして、そしてやっと警察が動いて逮捕して送検をされて、八月の三十一日初公判という状況になっています。  この事件を取り扱った沖永良部署の井上満義署長が県警の広報課長に転勤になりました。そこで、三月一日に町主催の送別の宴がやられた。これには交通安全協会の代表、商工会、農協など関係者約六十人が出席をしているのですが、問題は、そこに贈収賄事件で逮捕し送検をして保釈されてきた三人の町会議員、これは収賄罪で当然起訴されているわけです。高山、それから栄、西という三人の町会議員、これがそれに出席をして、そして井上署長、それから同席をしていた刑事課長にあいさつをする、そして酒のやりとりがあった、こういう事件です。これは地元の方でも問題になって、追及されると、井上署長は、いや、深くは考えなかったと、こう言っているのです。  もう一つは、送別の宴をやった場所ですが、これはリリーホテル、経営者は宗岡何がしというのですね。これはこの事件の贈賄側の仲介者です。直接金品をこの三人の町会議員に渡した男、それの経営しているホテルで宴会をやった。さすがにこれについては井上さんも場所については少し気になったと、こうおっしゃっているのですよ。  こういう事件があるのですが、こういうのはどうなんですか、やっぱり町長やら、そういう人が 送別の宴やってくれたら、これはつき合い上しょうがない、そういう席に出てよろしいというのが警察庁の指導方針になっているのですか。それから、みずから事件で立件をして起訴をして、公判前の男であっても保釈で出てきて、前へ来れば、杯を出されれば受け取らざるを得ぬ、それもつき合いや、それは大いにやってよろしいと、それは警察庁の方針なんですか。こういう問題について、県警の監察官、監察室で何らかの処置をとっておるのかどうか、そういう報告を聞いておられるのか。こういった点についてお答えいただきたい。
  104. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 御指摘の送別会でございますが、仰せのとおり、沖永良部の警察署長の転勤に際しまして、三月一日夕方、地元の知名町及び交通安全協会の知名支部の主催による会費制の六十人出席の送別会がホテルで行われたようでございます。で、開会当初にはそういったいわゆる事件関係者は全然出席しておらなかったようでございますが、宴たけなわ、約一時間ぐらいたったころでございますが、意図的でありますかあるいは偶然でありますか、その辺のところははっきりしないのでございますが、この事件関係で検挙され、しかも保釈中の三人の議員が割り込んできた、こういう状況のようでございます。  そういうことだったのでございますが、いろいろ報告を聞いている範囲におきましては、この会場を直前になるまで知らなかったという、これは転任で大変忙しかったというようなこともございまして知らなかったという点もございますし、それから出席者の顔ぶれについては、とことん途中からも割り込むか割り込まないかというようなことについてもやはり注意すべきだったということが後になっては言えるのかもしれませんが、事前においては必ずしもそれを知る手だてはなかったのではないかというような前後の事情があるわけでございます。  ただ、本人の弁明等につきましては、あるいは質問を受けた際に必ずしも正確に応対をしておらぬというような、そういう気の毒な面も若干あるのではないかと思うのでございますが、いずれにしましてもそういった者が入ってきたときには、できれば、私ども考えることは席をけって出てもらいたかった、こういうことを期待しているわけでございますが、御指摘のように残念ながらそういう状況が現出された、こういうことではなかったかと思うのでございます。
  105. 神谷信之助

    神谷信之助君 やっぱりこれも同じなんですね。日ごろそういう酒食のもてなしとか、あるいはせんべつをもらうとか、こういうのに厳しい態度をとっていれば、そういう者が来たら席をけって出ていくというのをとっているでしょう。まあ何というか、ゆるま湯におるような形でお互いに認め合っているという状況だからやあやあと言うてもらっちゃう、そういうことに私はなっていると思うのですよ。  それで、これもう一つ、この町は町議会の議長選挙をめぐっても買収が行われたという疑惑があって、そして県警の方に情報の提供、あるいは告発したかどうかちょっとわかりませんが、情報の提供があったというように思いますが、これは捜査をされていますか。
  106. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) ただいま初めて伺いましたので、事情を調べてみたいと思います。
  107. 神谷信之助

    神谷信之助君 この助役選任をめぐる買収事件も、先ほど言いましたように、非常に時間がかかっているのですね。三月ごろからうわさをされておりながら、九月段階でやっと捜査に入り、そして買収事犯を検挙することができた。だから、島ですからそういう特殊的ななにがあるからいろいろな面もあると思いますけれども、この署長のとった態度といい、私は国民の信頼を増す態度ではない、不信を招くそういう行動だと思うのです。  それからもう一つ、これは宝塚署ですが、宝塚市の清澄寺、このお寺の警備をしておるという謝礼として年間百五十万円を受け取っている、それを署員に分配をする、あるいは一部は署員のレクリエーションその他のやつに使うというようなことが報道されています。  それに対して鈴木誠之助警察庁警務局首席監察官は、それはおかしい、湯茶の接待を受ける程度はいいけれども、しかし百五十万円もの金を受け取っているとなると話が違う、警察に必要な金は全部出ているはずだという談話が載っていますが、しかし当の宝塚署長は「多少まとまった金額かもしれないが、決して社会通念に反していない額だ。何十年も前から続いていることで、歴代の幹部がやってきたように、寸志の趣旨に沿って出来るだけ公平に、署員のためになるよう幹部が集まって使い道などを決めている。」と、こう言っているのですね。  私はこれ見て、なるほどやっぱりここに汚職腐敗の一つの根源があると、こう思うのです。これはどういう措置なんですか。
  108. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 神谷君、時間が参りました。
  109. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 歴史的に大分古い事案のようなんでございますが、最初は寒中の中、雑踏警戒に当たってくれる警察官が腹をすかしているからということで握り飯をちょうだいしていたのじゃないかというような感じがいろいろ歴史的にたどってみますとあるわけでございますが、その後物も豊富になったので、一々物を差し上げるのはめんどうだというようなことで、途中で一括お金を下さるような形になったようでございます。それで握り飯なり弁当なり買ってくれと、こういうような補食費として最初はちょうだいしていたようでございます。  こういうことを申し上げては恐縮なんでございますが、神社の方も大変実入りもよくなるというようなこともあったのではないかと思うのでございますが、若干金額がふえてきた、そういうことではなかったかと思うのですが、私どもといたしましてはもちろん補食費に使わしていただくことはそれなりに結構なんでございますけれども、できるものなら雑踏警戒その他で必要な、もちろんお寺の雑踏警戒をしていく過程で必要な脚立であるとか、そういう警備の資材を買わしていただくというような方向で有効に使わしていただければよかったのでございますが、若干使い方が趣旨が広がったということではないかというふうにいま考えているわけでございます。
  110. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間ですが、ちょっといまの、重大な答弁ですから。  お金をもらってもいいんだ、だから、それを補食に使ったり、あるいは警護に必要なそういう資材を買うのに使えばよかったということですが、お金やっぱりもらっていいのですか。もらえるところと、出せるところと出せないところとあるのですよ。大きな企業だったらもうかっているから、それは警備に来ていると出すかもわからぬ。貧乏人は出せませんよ。警察官も人間ですから、もらえるところは大事にしますよ。もらえぬところは粗末にしますよ。意識しなくてもそういうことになってしまうのです。もらってもいいという態度は私はけしからぬと思うんだよ。  全体そうなんです。酒食の提供を受けてもいい、善意でくれるものはしようがない、もらったらよろしい、その思想、その考え方、発想が警察の最高幹部の中にあるのじゃないですか。だからずるずるとお金をもらっても、あるいはいろいろ接待をされても、なれになっている。そこは人情ですから見逃していくということも起こってくる。それが汚職なんですよ。それが温床なんです。最もみずから律するに厳しくなければならぬところがそういう態度なんですよ。この金は、あなた、会計に入ってないじゃないですか。私は前にもやったんだよ、大津市警の問題、京都府警の問題で。だから全部一切、金もらったとしたら、それはちゃんと公金にしてやりなさい、それがどうだった、署内でプールしているじゃないですか。そして年の初めとかそういうときの酒代にしたり商品代にしたり、そうやっていろいろな協会やら警察の関係する団体からの金をプールしてやっておるんだよ。これは岐阜県警でもありますよ。問題にしたことが私はあるのです。あなた方 の方がそういうのはもらってもいいという態度をとっている限り、こんなものはなくならない。  これは公安委員長、そんなもの、もらってもいいのですか。十分な給料払ってないから、あるいは十分な食事も与えてないから、十分な資材を提供してないから、警察は貧乏でございますから、もらえるところはもらいなさい、こういう態度でいいのですか。
  111. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) 先ほどの私の答弁、若干不足しておったと思うのでございますが、やはり現金等については会計法上の手続によりまして寄附採納を受ける、そういう形でちょうだいしたものもそれなりに会計法に照らして正規の支出をするというのがもちろん原則でございます。そういうことを守らせるべく指導しているわけですが、若干そういう取り扱い等について問題があった、もう少しその辺の指導を徹底してやればよかったという点はあったのではないかと思います。もちろんこれは私が先ほどの説明の中で、寄附採納を受けるべきだ、正規の手続で寄附を受けるべきだということを一言申し上げれば、ちょっと申し上げなかったので大変誤解を招いたようでございますが、その辺のところはよろしくお願いしたいと思います。
  112. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 先ほど来幾つかの事案についてお話がございましたが、警察としては、この問題については厳しく部内を引き締めて今後ともやっていきたいと思います。
  113. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと最後に一言だけ。  これは毎日新聞三月三日の「アクションライン」に出ているのですが、静岡の公務員が、三月、人事異動のシーズンで煩わしいことの一つが送別の宴の出席だ、建設、運輸方面の役所、事業所の幹部が警察の幹部と管轄区域外の料亭で設営をして、そして会場でせんべつを渡すのだ、これは相当な金額だと。そして問題は、二次会をやらなければいかぬ、この二次会は仲間内なら割り勘でいけるけれども、県警幹部の場合は設営者側が負担をしなければならぬ。こんな悪習はわれわれの方からやめようと言いたいけれどもなかなか言いにくい、相手が警察だから。だから警察庁あたりからそういうのを禁止をするようにしてもらったらどうかというのですよ。  いかがですか。これ最後で終わります。
  114. 福田勝一

    政府委員(福田勝一君) たしか御質問の点は新聞の投書ではなかったかと思うのでございますけれども、ちょっと私どもも想像できないような内容なんでございますが、そういったことにつきましては厳禁する方向で指導していきたい、かように思っている次第でございます。
  115. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  116. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時四十分開会
  117. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 上野雄文

    ○上野雄文君 私は、昨日の志苫委員の質問で、臨調問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。  臨調の最終答申で、現業特殊法人の扱いの問題で、労働省関係で雇用促進事業団の住宅、あるいはまた厚生省関係で赤字経営の国立病院、療養所などの地方移管の問題が明記されているわけでありますが、これらについて私は赤字のツケ回し地方に対して行うというふうに受けとめているわけでありますけれども、きのう大臣の御答弁臨調を最大限に尊重するという趣旨のお話があったわけでありますが、地方に対して不当な負担を強いる結果が生まれてくるということを大変心配をしているわけでありますけれども、これらの点についてどういうふうな御見解をお持ちか、自治省のお考えをお伺いをいたしたいというふうに思います。
  119. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) ただいま御指摘の点でございますが、臨調答申の中で特殊法人の見直し関連いたしまして、雇用促進事業団が設置しております移転就職者用の宿舎について、その実態にかんがみ、これを「地方公共団体に移管する」というようなくだりがあります。あるいは国立病院や国立療養所の合理化に関連いたしまして、この利用が著しく非効率になっている、あるいはその配置が地域的に偏在している、こういった点に関連して「おおむね十年を目途に相当数の施設の統廃合及び地方公共団体等への移譲を行うことにより、その整理合理化を図る。」と、こういうくだりがあります。  本来、国の特殊法人がいろいろな施設を設置しておりますのは、それぞれの法人の設置の目的に沿ってその政策遂行手段として行われているわけでありますから、その管理運営がうまくいってないということであれば、その法人自身の努力によってこれが改善されるべきであろうと思います。で、地方公共団体への移管ということは、やはりその施設を地方公共団体としても必要とする、あるいは地方公共団体がより効率的に利用できるというような条件がある場合はともかくといたしまして、単に国の方の都合といいましょうか、各法人の方でうまくいかないから地方に引き継ぐということでは、これは行政改革の理念にも沿わないのじゃないか、したがいまして、この問題は各地域の実情に沿って地方団体の立場も踏まえて考えられるべきでありまして、国の方の都合だけでこの問題が進められるということはあってはならない、このように考えております。
  120. 上野雄文

    ○上野雄文君 そうすると、ここにいま御答弁がありましたように明確に書いてあるわけですけれども、必ずしもそのとおりやるということにはならないというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  121. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 結局、これらの問題はその具体の施設が現状はどうなっているのか、またその地域の地方公共団体としてこれを受け入れた方がいいというような状況があるのかないのか、結局具体の状況によって判断せざるを得ない、一律的にいいとか悪いとか言えないと思うのでありますが、ただ、基本的な考え方としてやはり行政改革というものは国、地方を通じてこれは行われるべきものでありますから、国の方でぐあいが悪いから地方に持ってもらうとか、そういうことではいけないと思うのです。したがって、地方の方で利用できる、国ではうまくいかなかったけれども地方としてはいろいろ工夫してうまくやっていけるというようなものであるならば、それは当然協力していくべきだと思います。  いろいろ努力があっていいと思うのでありますが、単に国の方でお荷物になっているからという理由だけで地方への移譲ということはあってはならない、このように思うわけであります。
  122. 上野雄文

    ○上野雄文君 お話わかりましたが、いま局長答弁のように私も受けとめていきたいというふうに思っているのですけれども、余りにもはっきり書いてあるものですから、今後の対応策としては慎重にやらざるを得ないのだろうと思うのであります。  続けて臨調答申の問題でありますけれども、実は今回の場合は地方の実態というものを無視してやられている面が非常に多いのですね。一例を申し上げますと、去年間伐促進総合対策事業の補助金というのができまして、栃木県では五十七年度に初めて二億五千八百万の予算化をしたわけですが、今度の補助金等整理の問題で五十八年度には二億一千五百六十余万円しか組むことができない。あんな県で一つの事業で国が促進をするといって、言うならば補助金制度をつくったから一生懸命になって間伐促進事業を始めたわけですけれども、一方的に今度は四千三百万円も減額せざるを得ない。一生懸命取り組んできた側にしてみれば大変な事態でありますし、さらにまたマツクイ ムシの防除関係についても五十七年度は八億一千四百余万円組んでおったのが五十八年度は六億九千六百八十万程度しか組めない。実に一億二千万余も減額せざるを得ないということに追い込まれてしまっているわけですね。  こういう一方的なやり方などから考えてみますと、局長答弁をいただいたわけでありますけれども、どうも国の都合が最優先して地方に負担の転嫁を図る、そういうことが平気で行われるというふうに思えてならないわけなんでありまして、こういう点については自治省としても積極的に地方の立場に立った主張を続けていっていただきたいというふうに、この点については私の強い要望にいたしたいと思います。  それから、次は自治医科大学の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  御存じのように、僻地の医療を充実させるために四十五年七月に、当時の秋田自治大臣が医学高等専門学校設立構想を表明されて以来、栃木県の南河内町に自治医科大学が設立されたことは御存じのとおりだと思うのでありますが、その後、この自治医科大学がどういうような状況になって推移しているかというようなことについて主務官庁の文部省から一通り御説明をしていただければと思います。
  123. 前畑安宏

    説明員(前畑安宏君) お答えをいたします。  先生ただいま御指摘がございましたとおり、四十七年四月にこの大学は開学をいたしたわけでございます。学則あるいは寄附行為には、僻地等の地域社会の医療の確保及び向上のために高度な医療能力を有する医師を養成するということで設置をいたしたものでございます。すでに学生も五回卒業いたしておりまして、第一回、第二回の卒業者につきましてはすでに臨床研修も終了し、それぞれ地域の病院で医師として勤務をしておる、またその後の卒業者につきましては各県の公立病院等で卒後の臨床研修に励んでおる、こういう状況であるというふうに承知をいたしております。
  124. 上野雄文

    ○上野雄文君 それだけの説明では大体別にお話伺わなくてもわかるわけなんですけれども現状自治医科大学が発足してから五回にわたって卒業生が送り出されているわけでありますけれども、将来の問題として医師の過剰時代を迎えようとしている折から、ある県ではもう自治医科大学に各県から送り込まなくてもいいのではないかという議論が起こっているという話などを聞いているわけですけれども、将来展望の問題と絡んで、そういうような動き、たとえば具体的には昭和五十二年から各県が負担をしている負担金の額を上げないというようなことが行われているようなんですけれども、そういった問題と絡めて、この大学をめぐる状況などについてお話を承れればと思います。
  125. 前畑安宏

    説明員(前畑安宏君) 先生御指摘のように、医師につきましては昭和六十年までに人口十万単位で百五十人を確保するということで、厚生省とも御相談をさしていただきまして、大学の新設あるいは学部の増設等を進めてまいったわけでございますが、今年じゅうにはこの目標が達成されるということがほぼ確実になっております。ただ、こういう目標が達成されることが確実になったとは申しましても、御案内のとおり医師確保の困難を訴える向きがあることは御案内のとおりの状況でございまして、特に公立病院等ではまだ医師の確保に大変御苦労をなさっておるというふうに伺っているわけでございます。ただ、今後現在の規模で養成が続きますと、従来いわゆる医師の確保と言ってまいりましたものが次第に量よりも質の方に移ってこようかと思うわけでございます。  この自治医科大学につきましては、単純に僻地医療ということもさることながら、高度な臨床能力を持った医師の養成ということが設置の当初からうたわれておったようでございまして、今後ともその役割りは非常に重要なものじゃなかろうかと思っております。ただ、医療環境の変化ということが新しい問題を投げかけていくことは、それはそれなりにあろうかと思っております。  また、この自治医科大学の問題といたしましては、きわめて単純なことでございますが、この大学を大学として存立をさせると申しますと、そういう卒業生が僻地の医療あるいは地域の医療のために大学から皆離れていくということから、いわゆる大学へ残って後継者となるということについて若干難点がある、こういう点をどのように克服していくかということがすでに大学当局者におかれても御議論が進んでおるように伺っております。今後そういった点で一段と御工夫が要るところがあるのではなかろうかというふうに承知をいたしておるわけでございます。
  126. 上野雄文

    ○上野雄文君 各県で分担金が高過ぎる、一人の医者をつくるのに各県が負担をしている金は大体四千万以上五千万近い金がかかるのがこの自治医科大学の実態ですね。文部省がこれに助成をしているのは一体年間一人当たりにするとどのぐらいのお金になるか、その点もちょっとお尋ねしてみたいと思うのですが。
  127. 前畑安宏

    説明員(前畑安宏君) 昭和五十六年度で申しますと、私立大学経常費補助というものをこの大学にも交付しておるわけでございますが、二十億三千万円ということに相なっております。これ一人当たりの計算をいたしておりませんが、総額で二十億でございまして、この大学は入学定員が百でございますから約六百人の学生がおる、こういう状況でございます。
  128. 上野雄文

    ○上野雄文君 そこで、自治宝くじが発行されて、そのうちから五十七年度はたしか二十七、八億のお金がいっているのだろうと思うのですけれども、いままでそういう宝くじ等によって自治医科大学に助成をされた累計というのはどのぐらいになっておりますか。
  129. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 昭和五十年度以降交付金額といたしましては、五十年度が十四億、それから五十一年度が十八億、五十二年度が二十億、五十三年度が二十五億、五十四年度が三十億、五十五年度が三十億、五十六年度が二十七億ということになっております。
  130. 上野雄文

    ○上野雄文君 これらの金の使い道は一体どんなところに使われているのでしょうか。
  131. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 大学の建物、設備、それから医療研究機器、そういうふうなものの整備に充てられております。
  132. 上野雄文

    ○上野雄文君 そこでお尋ねをいたしたいのは、この自治医科大学に自治省から職員が派遣をされているというか、出向しているというか、身分は栃木県の職員の身分で出ていっているのですね。全体では職員が大学の教員関係を除いて百十八人いることになっていますが、このうち自治省から行っている人たちは一体何人ぐらいおいでですか。
  133. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) いわゆる出向と申しますか、現役と申しますか、栃木県を通じて経由しておる者、派遣、出向いたしております者と、そのほかに自治省の勤務経験者、いわゆるOBと申しますか、含めますと、現在事務局におきましては事務局長以下十名でございます。事務局長、次長、大学及び病院事務部長、その他課長級合わせまして十人、このうち現役が七人でございまして、これがいわゆる出向ということになります。そのほかに経験者、いわゆるOBと申しますか、三人ということでございます。なお、そのほか役員の中で三人、自治省の経験者がおる、こういう状態でございます。
  134. 上野雄文

    ○上野雄文君 自治医科大学は所管が文部省で実際の中枢を占めている人たちが自治省、こういうかっこうで、われわれ何とはなしに主務官庁も自治省であるような気がしているわけですね。  実は、いまあそこで労働争議がずっとここのところ続いているわけですけれども、いろいろな問題点が出てきているのですね。私どもとしては、私立の大学ですからまさに大学の自治の範囲内でいろいろ物事をお決めになればいいのだろうと思うのでありますけれども、どうも自治省の鼻息をうかがって物事を決めるというようなやり方になっていやせぬかという疑いを持ちたくなるような構成なんですね。具体的に日常そういうようなことで指導というか助言というか、そういうような ことをおやりになっているのかどうか、それらの点もお尋ねしてみたいと思うのですが。
  135. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のように自治医科大学、これは学校法人でございますから、御指摘のようにこれは自治省自身には直接の監督等の権限はございません。ただ自治医科大学は先ほどお示ししたように地域医療、特に僻地医療ということを充実させるためにつくられたものでございまして、設立のいきさつから申しまして全国の都道府県が共同してお金を出して設立したものでございます。またここの大学を経ました者はそれぞれ公的病院に勤務し僻地医療に従事する、地方自治行政と大変密接な関係を持っておるわけでございます。  職員の出向、派遣につきましても、そういった観点で非常に自治行政と密接な関係を持っておるということから、大学当局の御要請に基づきましてあっせんをしておるところでございますが、法律上の監督権限というのは直接ございませんが、いま申し上げましたように、自治行政と密接な関係にございますので、いろいろ私どもの方に御相談あるいは御報告といったようなことはございます。そういった場合には適切な私どもとしても御協力をするということは、これは事実上あるわけでございます。  なお、ついででございますけれども、都道府県が中心になって設立いたしたものでございますから、自治医科大学にも主に都道府県の代表者をもって構成される評議員会がございまして、その評議員会におきまして予算その他のいろいろ意見を聞かなければならぬという規定がございます。そういった点を通じて、都道府県の行財政を通じての自治省との関係というようなものも、これも一面であるということも事実でございます。そういった意味での関係は深いということでございます。
  136. 上野雄文

    ○上野雄文君 そういう協力をするという立場でのお話はそれなりにわかりましたけれども、実はそこのところがいろいろな問題を醸し出す、いろいろな問題点を提起しているのですね。直接自治省にそのことの責任があるとかなんとかという意味ではなくて、出ている人たちの、たとえば管理職の方々の手当の問題にしてみても、かなりの本省部長級の手当をとっておったり、それからポストについても、調査役というようなポストを新設して本省のやはり部長級の手当を出しているとか、そういうような点があるのですね。  それから、大学当局の要請によってというお話なんですけれども、大体二年ないし三年ぐらいのローテーションでかわってしまう、かわってしまうと、かわった人によって方針がぐるぐる変わるというような問題が起こってきて、そのたびにやり方が変わってくるという問題にぶつかっているというのですね。だから、そういうふうに御協力とは言いながらも、余りにも何かしら勝手気ままにやられているというようなことについては、どうも現場の皆さん方は納得しがたい面がたくさんあるのですけれども、そういう点なんかについては、その協力の度合いの中で自治省の中ではどんなふうにお感じになっていますか。
  137. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 自治医科大学に自治省から出向しておる職員、これはいわゆる現役の場合には、それぞれの年齢なり年次なり、あるいはその能力なりに応じて出向させておるわけでございますが、御指摘のように現役の場合には全体での人事の交流の中で比較的短い期間しか勤務しないで、また他のポストにかわったというような例があろうかと思います。  ただ、私どもの方としては自治医科大学の仕事を円滑に進めるためにふさわしい人物をできるだけ出す努力はいたしております。いたしておるつもりでございます。かつて自治医科大学ですでに勤務をした経験のある者、あるいは財務その他の事務についての能力を有する者、こういった点は十分配慮しているつもりでございますが、いろいろ今後における人事の配置、出向の要請等に基づくところの派遣につきましては、自治医科大学の業務そのものが円滑にいくように、私どもとしても最大限の努力をいたしたいというつもりでございます。また、大学側の意見はもとより十分聞いてまいりたいと考えておるところでございます。
  138. 上野雄文

    ○上野雄文君 たてまえでは、先ほど申し上げたように、私立の大学で主務管庁が文部省、だから自治省はそういう人的な面や何かで協力をするという立場をおとりになっているようでありますけれども、いま巷間伝えられるところによると、自治省は自治医科大学を四十八番目の県として心得ているのじゃないのかというようなことが現地で言われているのですね。  ですから、確かに主務管庁は文部省であるかもしれませんけれども、どうも一切合財自治省の指示に従って全部やられているというふうに受けとめているのが現状なんでありまして、私は、大宮に病院をつくる問題であるとか、先ほど触れた医師過剰時代を迎えて年間一人当たり七百二十万円もの負担金を出し、さらに多額の文部省の補助金を受けるこういう大学の存在が将来ともずっといいのだろうかという疑問が出てきているような事態の中で、ここに働いている人たち、それから患者の皆さん、こういった方々が安心して働き、安心して将来とも病院で治療を受けることができ、さらにまた最大の目的である学生がまともに勉強ができるという体制をつくっていくということが非常に大切なんだろうと思うわけでありまして、いたずらな不安、動揺というものが大学の中に起きないような、そういう措置というものをとっていただきたいというふうに思っているわけでありますけれども、設立の当初の意図からして、しかも自治省が、当時の秋田自治大臣が発想されたというそういう経緯から言っても、ひとつ大臣特段の意を払っていただきたいというふうに思うのでありますけれども大臣の御所見等をお伺いできればと思います。
  139. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまいろいろ地元の実情を先生から承ったわけでございますが、何せ設立の趣旨がやはり地方の過疎地帯、僻村の医師の不足ということを解消するために設けるというのがそもそもの趣旨であったろうと思うのです。その限りにおいてはそういう心構えを常に持った医者を養成したいという気持ち自治省の中にやっぱりある、それは文部省所管とは言い条、その辺が文部省だけの、限りの所管の医科大学とは少し違う点がある、したがって、そういう面で自治省がいろいろ関与し参画をしていることでございますが、いろいろいまお話がございましたので、それらの点につきましても今後の運営上の一つの大きな参考にさしていただいて、今後の問題の対応に当たっていきたいと思います。
  140. 上野雄文

    ○上野雄文君 次は、老人医療の問題について触れてみたいと思うのです。  御存じのように、ことしの二月から老人医療の無料化制度が廃止をされて有料化されたわけでありますが、この間ある新聞に、ことしの二月以降老人医療の無料化を継続する県や市町村が出てきた場合には補助金をカットするという方針を厚生省が固めたというような記事を読んだわけでありますけれども、このことについて厚生省の方ではそういう方針をお決めになったのかどうか、そういう点をお尋ねをしたいと思うのですが――呼んでなかったですか。  そこで、自治省として地方自治のたてまえから言ってこういった措置は私は不当だ、こう思っている一人なんですけれども、どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞かせをいただければと思います。
  141. 田中暁

    政府委員田中暁君) 老人医療の地方単独事業の問題でございますが、これはいずれも各地方団体がいわば自主的に行っているものでございまして、その地方団体の自主的な判断につきまして自治省が個別に行政指導を行う考えはないわけでございます。ただ、一般的に申し上げまして、このような単独事業につきましては将来にわたる財政負担でございますとかあるいは行政効果、また国の施策の動向等を勘案して慎重に行うべきものであるというのが自治省基本的な考え方でございます。  御質問の補助金の問題でございますけれども、先生よく御承知のように補助金の交付につきましてはいろいろございますが、ある程度の裁量の余地というものはあるものではございますが、ただ地方公共団体が老人医療の地方単独事業を継続するからといって、これのみを理由にして直ちに補助金をカットするというようなことはあり得ないのではないかというようにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  142. 上野雄文

    ○上野雄文君 そうすると、厚生省の方がそういう方針を出したというのはまさにおかしい話でありまして、そもそもいま審議官言われたように老人医療の無料化というのは地方自治体の側が先鞭をつけて始めた仕事なんですね。そこで後から国が一元的に扱うという制度をつくって、今度はそれを有料化したから無料制度の継続をしていることはけしくりからぬという物の言い方に変わってくるというのはまさに変な話だと思いますし、各自治体が自主的にやろうとしているそういう事柄について横やりを入れるような態度はとってほしくないというふうに思っておりますので、その辺については適切にひとつ対応していただきたいというふうに思います。  それから、次に移らせていただきますが、国鉄の合理化の問題について、特に本県栃木県は関東地区で唯一の足尾線と真岡線の廃止問題で頭を抱えているところでありまして、県や県議会、市町村、市町村議会挙げてこの廃止反対のためにいま運動を継続しているところであります。しかし、幸い第二次計画の方に回っておりますから、廃止問題そのものについては当面次の段階でという、そんなことで取り組みしておりましたところが、一月に足尾線の貨物取り扱いの廃止の問題が出てまいりました。これは過疎地である足尾町にとっては大変な問題なんです。  かつて人口三万七、八千を数えた足尾町が銅山の閉山以来急速に人口が減少いたしまして、いまや六千人を割り、ほぼ五千八百人、こういう状態にあり、しかも中心の企業が足尾銅山の製錬関係なんですね。こういう状態のところに、まさに地域の実情というものを無視した国鉄の貨物扱いの廃止、貨物の合理化の問題が出てきたわけなんで、一体運輸省の当局、国鉄はそういう地域の実情というものを全く無視して強行しようとしているのかどうか、その辺をまず最初にお尋ねをいたしたいと思うのです。
  143. 野間耕二

    説明員(野間耕二君) 国鉄貨物経営の現状からいたしまして、私ども国鉄貨物の経営の合理化というものはこれはぜひとも進めなければいけないというふうに考えているわけでございますけれども、その実施に当たりましては荷主ですとかあるいは通運事業者等関係者の理解と協力というものがぜひとも必要であろうということで考えておりまして、国鉄に対しましても誠意をもって関係者との協議を進めるように指導しているところでございます。  足尾線につきましても、これらの方々と十分な話し合いを行い、その理解と協力を得て実施せよということで現在指導しているところでございます。
  144. 上野雄文

    ○上野雄文君 そうすると、こういう計画が地元に対して説明が行われたけれども、必ずしも強行するものではない、こういうふうに受けとめていいわけですか。
  145. 野間耕二

    説明員(野間耕二君) 先生御承知のとおり、足尾線につきましては第二次選定線に挙げられている関係もございますので、これとの関係を十分考慮しつつ話し合いを進めていきたいというふうに考えております。
  146. 上野雄文

    ○上野雄文君 特にこの足尾線の場合は、鉱石輸送やそれから濃硫酸の輸送、こういう分野を担当しているわけですね。貨物の廃止を先行さしたら、その第二次路線の方に入っているとかなんとかというよりも、もうそのことによって決定的な打撃を受けてしまう、こういう状況にあるわけですね。  運輸省当局はもうとっくに承知をしている話だと思いますけれども、草木ダムの関係で四十八年六月に延長五千二百四十二メートルというトンネルまで掘っているのですね。大変な投資をしているはずですよ。そのお金はダムの補償だから、国鉄当局は確かにお金は出していないかもしれませんが、地元の住民にしてみれば、あれまでして投資をしたものをここで廃止をしてしまう、そして廃止を前提にするような国鉄のやり方は、なに、貨物だけなんだということかもしれませんけれども、それがもう決定的なことにつながる。運賃収入もたしか十億円を超えるはずだと思うので、これは何としても納得できかねるというふうに私どもは思うわけでありますから、ぜひそういう計画をやめにしてもらいたいという強い要請を私の方でまずいたしたいと思うのです。  私どもはさらに心配をしているのは、あの足尾線がだめになったら、古河鉱業のあそこの企業はあそこに立地する意味がない、だからもう撤去せざるを得ない。こういうことになれば、六千人を割ってしまった人口がさらにこれは減少していくでしょうし、さらにまた足尾から原料供給をしている日光市への影響というのも大変なものなんです。  現に日光は市でありながらも人口二万人を割りそうな状況にあります。ことしの四月から福井県の三国という町にアルミ部門の一部分が移転するわけですけれども、これによって人口が三百人近くも減少するということがもういまから予想されているわけですが、その日光の精銅所へ足尾銅山の粗銅が全部原料として供給されているわけですね。これも福島の方の小名浜と足尾の両方からの原料供給ですから、これもまた日光へ波及をするという問題が起こってくるわけですから、これは栃木県としては県北一帯の産業の問題、あるいは市の問題としてもゆるがせにできない問題でありますから、ぜひともそういうことについては地元との納得の上に決めてもらうようにしていってもらいたい。  そこで、そういうことを再確認をしていいのかどうか、もう一遍お尋ねをいたしておきたいと思います。
  147. 野間耕二

    説明員(野間耕二君) 先ほど申しましたように、国鉄貨物の合理化というものはぜひとも進めたいわけでございますけれども、これには地元の御理解、御協力がぜひとも必要であろうということを考えておりますので、引き続き国鉄をそういう形で指導していきたいというふうに考えております。
  148. 上野雄文

    ○上野雄文君 自治省の側に私の方でも要請をしたいわけでありますけれども、足尾線も終点の足尾町が過疎、それから真岡線も終点の茂木町が、過疎、これは鉄道を廃止されたら大変な事態になるわけでありまして、自治省の側からも過疎町村に対して大変な援助をしているわけでありまして、今日まで援助をしてきたものが全く無にならないような、そういう立場で運輸当局、国鉄当局に対してこれらのひとつ措置をやめるような、そういう要請を自治省の立場からも強く主張をしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  149. 田中暁

    政府委員田中暁君) 鉄道路線の整理という点につきましては、これは地元にとっては御指摘のとおり大変な問題でございまして、地域におきます交通体系を相当根っこから変えるということになりますし、住民生活や地域産業にも大きな影響を与えるわけでございます。特に二次選定の路線につきましては、北海道などでは百キロを超すような長大路線も含まれておりますので、一次選定の路線と比べましても地域社会に及ぼす影響はきわめて大きいというようにわれわれも考えておる次第でございます。  これにつきましては御承知のように過去二度にわたりまして閣議決定がなされておりまして、平均乗車密度二千人未満の路線につきましては六十年度までにバス等に転換するということになっておるわけでございますが、この大枠の中におきまして自治省といたしましては特定地方交通線対策の実施に当たりましては地域の実情や関係地方公共団体意見を十分尊重してもらいまして、地元 の理解と協力の上に立って進めていっていただきたい、また住民生活や地域産業に支障を生じないように、その後の地域交通の確保につきましては国として責任を持って万全の措置を講じていただきたい、こういう観点から運輸省、国鉄とも十分今後とも協議してまいりたいと思っておる次第であります。
  150. 上野雄文

    ○上野雄文君 次に移らせていただきたいと思います。  北関東横断道路の問題についてお尋ねをいたしたいのでありますが、昭和四十六年度から五十七年度までに四億四千七百五十万円の調査費で、この道路の問題について調査が行われてきたわけでありますが、これらの現在までの経過についてお知らせをいただければと思います。
  151. 小林芳夫

    説明員(小林芳夫君) お尋ねの北関東横断道路は群馬、栃木、茨城の三県を相互に連絡して、広域的な都市圏の骨格を形成するとともに、茨城県水戸射爆場跡地付近に計画されております流通港湾の整備と相まって、北関東地域の開発の基盤としての役割りを果たす百五十キロ程度の幹線道路の計画であります。  いま先生が御指摘になりましたように、建設省におきましても昭和四十六年度からこの道路に関する基本的な調査をずっとやってまいりまして、現在経済調査、環境調査、路線調査、そういったものの調査を実施してきておるところでございます。今後はさらに調査を推進いたしまして、将来の交通需要の動向とか地域における開発計画の進展、それから周辺道路の整備状況、そういったものを勘案しながら緊急に整備を要する区間から逐次事業化を図っていきたい、こんなふうに考えております。
  152. 上野雄文

    ○上野雄文君 調査が十二年続いているわけですね。これはもう前々から話がずっと出ておりまして、私ども県議会の時代も水戸射爆場跡地の問題、あそこにはまた流通港湾をつくる、その流通港湾の建設経費については一部三県にもしょわせるのだという問題などがあって、もう少し中身が明らかにならない限り簡単に賛成はできないぞというようないろいろな議論が交錯をしました。しかし余りにも長い期間、しかもこれだけの調査費をかけて調査をされたのなら、ある程度のめどがつけられてきてもいいのじゃないかというふうに思うのですけれども、もう少し具体的な話にはならないものですか。
  153. 小林芳夫

    説明員(小林芳夫君) 確かにいま先生御指摘のように十年あるいはそれ以上調査をしておるわけでございますけれども、初期の調査は言ってみれば構想を固めるというような調査でございまして、調査の費目といたしましても私どもの道路のプロパーの調査費ではございませんので、国土庁関係の調査調整費というようなものを使って基本的な調査をやってまいったわけでございまして、言ってみれば本格的な調査をやってまいりましたのは昭和五十四年ころからでございます。そういう意味で、何といいますか、かなり初期の段階が長かったというようなことは事実としてあると思います。  今後の問題でございますけれども関係公共団体ともいろいろ協議を重ねまして、地域の開発計画とかそういったものとの兼ね合いを考えながら、より具体的な計画を固めていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  154. 上野雄文

    ○上野雄文君 より具体的な計画をという、そこのところが一体どの辺までどういうふうになっているのだろうかというのを知りたいわけなんで、一体それじゃ全体像というのはいつごろ公にされるというか、出てくることになりますか。
  155. 小林芳夫

    説明員(小林芳夫君) 御承知のように、昭和五十八年度から第九次の道路整備五箇年計画というのが新たに発足することになるわけでございます。そういった中で調査を完全に固めまして一部区間事業に着手していきたい、こういうふうに考えております。どの区間をどういうふうに事業化を図っていくかというような問題につきましては、今後また先ほど申しましたように地元の公共団体ですとか開発計画等を勘案しながら決定していきたい、こういうふうに考えております。
  156. 上野雄文

    ○上野雄文君 次に、どうもローカル色豊かなものばかりで申しわけないのですけれども、渡良瀬遊水池の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  渡良瀬遊水池は、もう私が申し上げるまでもありませんように、最近では首都圏の水がめでありますが、古くさかのぼれば足尾銅山の鉱害、谷中村の焼き打ち事件、そして村民の集団移転なんという悲劇を残した土地でありまして、これが栃木県の中に大変広い面積、申し上げれば南北九キロ、東西六キロ、面積三千三百ヘクタールという広大な土地があるわけでありまして、これが水がめだけでなくて広くレクリエーション基地として何とか開発をしてもらいたいというのが周辺地域の皆さんの強い要望であるわけであります。  従来から国の方では各ブロックに一カ所ずつ大規模な国営公園をつくる、こういう計画ができているわけでありますが、関東地区では常陸海浜公園というものが計画されて、そちらにお先に失礼をされてしまったから、そういう意味では渡良瀬の開発というのは後回しになってしまったという話を聞かされているわけですけれども、だんだん首都圏も広がってまいりましたし、広く多くの方々に御利用いただくという意味からも、内陸部で、しかも国有地としてこれだけの大きな面積を持っているというのを放置しておく手はないではないかというふうに思うわけですけれども、いま関係当局ではここら辺についてどんなふうにお考えになっているか、そのことをまずちょっとお尋ねをしたいと思うのです。
  157. 勝浦康之

    説明員(勝浦康之君) 渡良瀬遊水池につきましての国営公園化は、いま先生御指摘のように、地元栃木県等から強い要望があるということはもうすでに承知をしております。そういうことで現在までも調査を進めてきたわけでございます。しかしながら、現在の財政状況、あるいは全国の国営公園の先ほど申されましたような九ブロックに分けましての配置計画等々から見まして、すぐに事業化するというようなことでは非常に困難かと考えておるわけでございますが、全体の将来構想としましては全国に二十カ所ばかりの国営公園をつくりたいということで検討はしております。そういう中でさらに検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  158. 上野雄文

    ○上野雄文君 何か施行規則で区域を決めてぴしやっとやっちゃって、おやりになるようですね。各地での動きというのも、非常に一カ所だけというのはひどいじゃないか、もう少し広げてほしいというような運動が起こっているということも聞かされているわけですけれども、こういったものに関して、いまのところ当局ではどんな受けとめ方をされておられますか。
  159. 勝浦康之

    説明員(勝浦康之君) お答えします。  私ども、現在都市公園等整備五箇年計画におきましては、九ブロックにおきまして広域公園をつくるということで都市公園法の施行令によって規定されておるところでございます。しかしながら、一方都市計画中央審議会の答申に基づきます将来の公園の構想につきましては、先ほど申しましたような長期構想というもので全国二十カ所程度の国営公園が要るであろうというふうなことを考えております。今後さらに五箇年計画の推進等合わせまして将来検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  160. 上野雄文

    ○上野雄文君 この首都圏の水がめの問題と公園化の問題は分けて考えるというわけにはちょっといかないのだろうと思うのですが、両方の計画でここのところもう少し進める手だてといいますか、もっとありていに言わしていただくと、栃木県が足尾銅山のあの被害を受けることにより、実は村をつぶされただけではなくて水路のつけかえもやられているのですね。それで、県内のあちこちで大変な問題が起こっていますし、渡良瀬川の遊水池のくっつく部分あたりではいまでもまだまだ逆流現象などが起こっておりますね。ですから、それを一刻も早く解決をしてもらう。と同時にそういう問題について公園の計画化も同時に進 めてもらうということでないと、なかなかあの地域の人たちの気持ちというものが、ただ単に渡良瀬遊水池の中にあったお墓を一カ所に集めて供養するとか何かというようなこと、あるいは田中正造翁のいろいろなものを集めて、それの記念のためのいろいろな事業に助成をするというようなことだけでは、あの地域の人たちの気持ちが私はおさまらないものがあると思うのでありまして、そういう面からも配慮を加えて、この地域の開発をさらに進めていただきたいというふうに思うのでありますけれども、その点を強く要望をいたしたいと思います。
  161. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  162. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 速記を起こしてください。
  163. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 初めに大臣にお伺いしたいのですけれども、二十二日の参議院の大蔵委員会におきまして、竹下大蔵大臣答弁の中で五十九年度予算もマイナスシーリングにせざるを得ない、こういうような発言があったわけであります。  最近は国の財政も非常に厳しい情勢でありますけれども、そういうことが私はどんどん地方財政にしわ寄せをされていく傾向が強くなってくるのではないか、こういう感じがするわけでありますけれども、来年度の国の予算もそれだけ厳しい状況である、こういうことを踏まえて、そういうことがまた地方財政にどういう影響を及ぼしていくと考えられますか。まずその点について大臣にお伺いをしたいと思います。
  164. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 私も大蔵大臣からそういう御答弁があったということは新聞で拝見したにとどまるわけでございますが、    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕 やはり現在の国家財政の姿から見たら、そういう発言もあり得ることであろうと思うのです。  五十九年度予算編成は私は非常にむずかしいのではないだろうか、大蔵大臣は大変な苦労をされることであろう、ことに臨調答申で「糧道を断ちつつ」という言葉を使っていますから、つまり歳入はふえないのだ、同時に増税なき財政再建をするのだという、そういう大原則がございますから、そうすれば結局歳出を抑制せざるを得ないというのが当然の成り行きであろう、こう思います。そこで歳出を抑制しなければならぬというときには、ことしでさえもゼロシーリングでやったわけですから、来年はとてものことにゼロシーリングでもむずかしいよという大蔵大臣のお考えであったのだろうと、こう思うのでございます。  そこで、国家財政も大変厳しゅうございますが、地方財政も非常に厳しいことなので、常に言われるように国家財政地方財政というものは車の両輪だ、こういうことでございます。そこで、増税なき財政再建という場合は、臨調の言われるように、つまり租税負担率は上げないのである、租税負担率は上げるようなことはしないのだと、こういうことでございますから、つまり私は国民が納めていただく租税というものにはふえてくるはずはない。そうすれば、それをどう国家財政地方財政で振り分けして車の両輪がうまく動くようにするかという、そういう課題になってくるであろうと思います。  そうすれば国家財政もがまんしなければならぬ場合もある。もちろんそういう抑制が行われなければならぬけれども、私は地方財政の場合もやはり同じ苦しみを味わわなければならないのではないか、そういう観点一つ私はあると思うので、ただ、いまお話のように、国が苦しいから地方に転嫁をするのだということだけは御免こうむりたいと思うのです。さりとて、国の方が幾ら苦しかろうと、おれの方だけよければいいよというわけにもこれは私はまいらぬ面もあるであろう、そこは大変お互いに同じように苦しい国家財政地方財政という立場で物を考えていかなければ、来年の予算編成は非常にむずかしいのではないかと、こう思っております。
  165. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 われわれは従来から地方交付税率の引き上げとか、あるいは第二交付税というようなものを制度化したらどうか、こういう主張をしてきたのでありますけれども、こういう措置がなかなかとられるような情勢にないといいますか、そういう傾向にないわけであります。  ところが、そういう中において五十八年度予算におきましては土壌保全調査員の設置費の補助とか、あるいは農業改良普及研究員の補助、こういう全体で千三百二十八人の補助対象の補助をやめて一般財源化する、こういうようなことが行われております。これはすなわち地方財政への圧迫にならざるを得ない。さらにはこの地方交付税の特別会計の借入金、これに対する利子負担は五十七年度までは国が全額負担ということをやっておりましたけれども、    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕 五十八年度からは金利の二分の一は地方が負担しなくてはならない、こういうふうに制度がどんどん変わって、従来国が持っておったものを地方に肩がわりするという傾向がふえつつあるわけであります。  私は国の財政が厳しくなればなるほど、こういうことがふえてくると思いますけれども、この点についてどうお考えになるか、あるいはこれからどう対処されるのか、お伺いをしたいと思います。
  166. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまいろいろ具体例をお挙げになりましたが、要するに地方だけに転嫁をしてきて国の方が楽をするということだけは、これは私どもも絶対に避けていきたい、そういう考え方で今後に処していきたいと思っております。  ただ、先ほど来申し上げまするように、全体のパイというのは一つ固定してきておるという場合に、どういう資源配分があるのであろうか。あるいは国と地方との仕事の見直しということも臨調は強調しておるわけであり、そういう仕事の見直しをやって、そしてもちろんそれに伴う財政措置というものを考えなければならない、こういうことになってくるのでございましょうから、私はいままでの既存のいろいろな制度、仕組みというもの、これは当然に頭に置いてやっていかなければならないと思います。思いますが、同時に、やや根本的にやはり考えが変わってくるという面も逐次私は出てくるのではないか、こう思いますので、そういう新しい事態に対応をしていけるように、地方財政地方行政考えていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。  じゃ、それは一体具体的に何だと、こうおっしゃられると、これは国との関連もありますので、ここですぐに私がお答えをするということもできないわけでございますけれども、どうも私はそういう考え方で対応をしていかないと新しい時代に乗り切れないのではないかと、こう思っておるのでございます。  繰り返し申し上げますが、地方財政だけに転嫁されて、地方だけがつらい目に遭うということだけは、これは絶対に私どもはその線は守って、各方面の御意見も承りながらひとつ守っていきたいと思っております。
  167. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 五十八年度予算に当たりまして大蔵省の方は国民健康保険の国庫補助率を五%引き下げる、こういうふうな要求をしておったということを聞いております。もちろん自治省の方はこれはけられたわけでありますけれども、先ほどの問題と言い、こういう問題と言い、私は制度として見直していくということは重要だと思いますし、それから国の税収が不足するときは地方交付税も減りますし、それから地方税にも影響を受けるわけで、どちらも苦しい状況になるということは変わりがないわけであります。  これは国においても地方においても、行政改革等を進める、あるいはむだを省く、こういったことでやりくりをすることが避けられないと思いますけれども、あるいは国と地方の間の財源配分とか、あるいは行政権限、そういったものの見直しをやるということは非常に重要だと思いますけれども、何となく行き当たりばったり的で、思いつくものをどんどん切っていく、こういうやり方は困ると思うのですが、この点はどうですか。
  168. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 全くお説のとおりでございまして、行き当たりばったりでは困るのでありまして、やはり先を見通したそういう将来といいますか、これからどうなるのかということを考えながら、その前提で物を考えていかなければならない、その場限りとか、あるいは行き当たりばったりということではもう処理がし切れなくなってきている、こう私どもは思っております。
  169. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、次に地方公務員の給与の問題について若干質問をしたいと思いますけれども、先日新聞等でもラスパイレス指数というものが発表されまして、徐々にこれが国の水準に近づきつつある、しかし平均の指数は一〇六・一ということで依然として高いのだと、こういう記事が出ておりました。  こういう問題について自治省としても改善を指導されておるわけでありますけれども、この間まとめられたこの結果に対して自治省とすればどう判断されるか、あるいはどう評価されるか、お伺いをしたいと思います。
  170. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 昭和五十七年四月一日現在の給与実態調査の結果が最近判明いたしまして、ただいま先生御指摘のとおり全地方団体で一〇六・一%ということでございます。これを都道府県、指定市、市町村別に見ますと、いずれも前年度より多少は低下しているわけでございます。それから、特に昭和五十年以降このラスパイレス指数を見ますと、全地方公共団体平均でずっと八年間続けて低下しているということは、やはり各地方団体でそれなりの給与是正の努力をされた結果であろうと思っています。
  171. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大体地方公務員の給与の方が国家公務員よりも高い傾向にあるということが言えると思いますけれども、このようになった原因というのは何でしょうか。
  172. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 原因は各地方団体いろいろあると思いますが、総じて申し上げますと、かつて高度成長期におきまして地方団体に来る人材が少ない、企業とかほかの方に行くということで、人材確保の必要があるということで、そのころ初任給の引き上げ等が行われたということがございます。それからまた、高度成長期におきます高いベア率による給与改定とか、財政規模の拡大の傾向の中で安易な給与制度や運用が行われてきた、またあるいは、やはり周辺の類似の市町村あるいは地方団体とのバランスを見ますので、不適正に高い給与決定をしたほかの地方団体などがありますと、それに安易に追従したというようなことが主な原因ではなかろうかと思います。
  173. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 確かにいまのおっしゃったことが原因だと思いますけれども、その中で特に問題なのは、たとえば一斉昇短とか運用昇短、あるいはわたり、こういうことは自治省としてもこれは地方自治法とか地方公務員法から見て問題があるというような指示もされておるようであります。これの是正状況はどうなっておりますか。
  174. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 一斉昇短、わたり等は問題でございまして、特にわたりなどの場合にはやはり標準職務表だとか等級別資格基準表、そういうようなものをまずしっかりとしていくことが重要であるというようなことで折に触れ指導もしてまいっておるわけでございまして、ここで件数でどれだけ減ったとか、ちょっとむずかしゅうございますが、やはりこの是正がかなり進んでまいりましたので、先ほど申し上げましたようにラスパイレス指数も下がってきたというふうに考えております。
  175. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、自治省は特に給与の高い団体に対する個別指導を進められている、その対象としては百五十三市町村、ラスパイレス指数が一一五以上というふうに言われておりますけれども、こういうところから是正計画が提出されておると思いますけれども、これらの計画の中身といいますか、概要はどうなっておりますか。
  176. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) これらの計画は、もともと地方公務員の給与の是正は、各地方公共団体が雇用者でございますから、そこで自発的に行うということが大前提でございますので、われわれはその著しく給与水準の高いものにつきまして是正するように指導を申し上げておるわけでございまして、その計画はございますが、個々の団体の計画につきましては、これはちょっとその団体の心づもりというようなものでございますので、一般的に申し上げますと、その百五十三地方団体、個別指導団体の是正計画は大体大部分の団体が三年間ぐらいで是正したいということにいたしております。それから、初年度はほとんどが昭和五十七年度でございますが、一部にはすでに昭和五十六年度の時点から計画いたしまして着手しているものもございます。  それから、その内容でございますが、内容は大きく分けまして二つございまして、給与水準そのものを是正するための計画と、それから先ほどお話のありましたわたりとか、いろいろ給与制度またはその運用を是正する、この二つに分かれておるわけでございまして、給与水準を是正するための措置といたしましては、ある年度あるいは二年度以上にわたって給与改定を見送るとか、あるいは給与改定率を抑制する、あるいは適用等級、号級の下位切り下げを行う、あるいは昇給期間を延伸するというようなことが計画の内容に入っております。それから、給与制度、またその運用を是正する方法といたしましては給料表自体を改編するとか、あるいは初任級基準を引き下げるとか、先ほどお話のございましたわたりを廃止する、あるいは是正する、運用短縮の廃止、是正というようなことがその内容になっております。
  177. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この給与の高い団体の計画は、大体において三年ぐらいの計画でラスパイレス指数が一一五以下になるというような計画が多いというふうに伺っておりますけれども、これは一一五以下ぐらいになればそれほど大きな問題はないというふうに考えられておるのか。あるいは、それが達成したらさらに今度は低いところに目標を置いて指導するのか。その辺はいかがですか。
  178. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) この百五十三の団体がそれぞれ現在計画しておりますものが達成されて、ラスパイレス指数がそれぞれについてどのくらい落ちるかということにつきましては非常に複雑な計算になりますので、ちょっと一概に申し上げられませんが、いずれにいたしましても、この計画を達成した後に、なお給与の面において不適正なものがあればもちろん是正しなければならぬと思いますし、その計画の達成状況の推移を見守りたいと思います。
  179. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ラスパイレス指数を一律に当てはめることの可否についてもいろいろ論議があるところだと思います。  午前中の質疑の中で、大臣地方公務員は国家公務員並みにすべきだというようなことを言われましたけれども自治体側からは、むしろ物価とか生計費の地域差という事情もある、それから地域の民間給与の水準というものも参考にすべきである、それから人件費総額の予算に占める割合、そういうものも考えなくてはならないし、職員の構成比といいますか、構成の内容分析ということも、そういうものによって変わってくる面もある、それからその自治体自体が抱えておる行政課題、それの特殊性というものもあるし、あるいは職員の仕事ぶりというものもある、だからラスパイレス指数を一律に当てはめることはどうかというような論議もあるわけですけれども、この点はどう考えられますか。
  180. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) ラスパイレス指数は、ただいまお話しの国家公務員の給与水準を一〇〇とした場合のその対比でございますが、なぜラスパイレス指数を重要視いたしますかと申しますと、第一番目に、国家公務員の給与水準というものそのもの自体が人事院勧告によりまして生計費を勘案したり、あるいは全国の民間水準等を平均的に保つようにいたしたり、また地方公務員の給与そのものが基本的には国家公務員の給与、制度、運用等に準ずるべきであるというようなところから、国家公務員と比較することによりまして、地方公務員の場合におきましても生計費、民間事業の従事者との比較等も間接的には行い得る、そう いうような観点からラスパイレス指数を用いているわけでございますが、もちろんこのラスパイレス指数が絶対ではございませんで、このラスパイレス指数はその当該団体の国との比較においてどのような給与水準にあるかということをはかる一つの目安として非常に有効でございますが、その目安にすぎないわけでございますので、各地方団体はこのラスパイレス指数をもとにして当該団体が地方公務員法の趣旨に沿うような給与、運営になっているか、あるいは組織、規模その他の諸条件、先生先ほど御指摘になりましたような条件などもいろいろ勘案して、そして最終的に自分たちの給与水準はどのようなものが妥当であるか、そういう判断する出発点と申しますか一つの物差し、そういうふうに考えております。
  181. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国家公務員の給与決定にかかわる人事院勧告というものがあるわけですけれども、人事院勧告の場合には民間賃金への準拠というのが大原則になっているわけです。地方公務員の場合は、特に都道府県あるいは指定都市等におきましては人事委員会というものがあって、そこが勧告を出すというようなことになっておりますけれども、過去数年間の人事委員会の勧告等の内容を見ますと、ほとんどが国に準じてということがその中の大きな要素になっておるわけであります。  地方公務員の賃金を決定する場合には、やはり国家公務員に準拠してやるという要素と、それからその地域の民間準拠、両方の考え方がありますけれども、これはどちらにウエートが置かれるべきものですか。
  182. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) それは地方公務員法そのもので給与を定める際の基準としてそういうものが挙げられておるわけでございますので、どちらがどちらと申すことではございませんが、各人事委員会もその勧告をするに当たりましては、その土地におきます公務員格差の調査検討をもちろん行っておるわけでございます。  それらを行った上で総合的に判断した結果、御指摘のように多くは国に準じたような勧告をいたしておるわけでございますが、それはわれわれ考えますのに、やはり国の方の人事院勧告そのものが全国的な官民比較を基礎にしているということ、あるいは地方公務員も国家公務員と同じく公務に従事している者である、あるいは人事委員会も都道府県の多くは国の給与表と同じ表を使っているわけでございます。そういうふうなことがございまして、もちろん地域の公務員格差も参酌いたさなければなりませんが、主として国の方に準じたような勧告が行われているのであろうと推察いたします。
  183. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は地方公務員の場合の人事委員会の機能というものが、もう一つ発揮されていないのではないかと思うのです。確かに民間賃金も調べてその格差率というものも見ておるわけでありますけれども地方の人事委員会が出す民間との格差率と国の人事院勧告の場合の格差率との間に非常に大きなずれがあるような気がするわけです。  もちろんこれは対象の取り方とか計算の仕方でかなり変わってくるものだと思いますけれども、私は地方公務員の場合大事なことは何かというと、やはり地方の自治ということが基本でありますから、その地域における納税者の納得ということが、納税者から見て妥当なものである、納税者から見て妥当なものであるということは、納税者の給与水準、賃金水準というものとの権衡というものはやはり尊重されなくてはならないだろう、そういうことが一つと、もう一つは、その決め方といいますか給与の内容といいますか、賃金だけじゃありません、労働条件も含めてそういう内容というものがみんなによくわからなくてはならないと思うのですけれども、そういった面で必ずしもこの人事委員会の機能とか、あるいは地方公務員の給与の決定の仕方というものが、そういった要件を満たしていない面があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  184. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 民間の給与の調査は人事院と人事委員会が協力いたしまして、人事院のやり方に従いまして共同調査して、おのおの分担いたしまして、その結果、資料を交換いたしたりしているわけでございますので、人事委員会の公務員格差と人事院が出す官民格差、もちろん全国ベース、その地域ベースという差はございますが、基本的には異ならないと思うわけでございますが、確かに先生御指摘のように、われわれから見ましても人事委員会が勧告に至ったいきさつというものが余りよくわからないようなところもございますので、この点は人事委員会の事務局長会議とか、そういう連絡会議等ございますので、その都度われわれの方からできるだけ住民にわかりやすいように勧告に至った経緯とか内容とかするように、これは強く要望しておるところでございます。
  185. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、地方公共団体の職員給与等の公表については臨調の第一次答申、五十六年七月に出たものでありますけれども、さらに五十六年八月の閣議決定で、行財政改革に関する当面の基本方針というのが出ましたけれども、それに基づいて昭和五十六年の終わりから五十七年にかけて各自治体が住民に対して職員の給与の実態に対する公表をするように自治省が指示されたということであります。この実施状況はどうなっておりますか、お伺いをしたいと思います。
  186. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 給与の公表は、ただいまのお話のように指導いたしたわけでございまして、昭和五十六年度におきましては、都道府県は全部、それから指定都市も全部、特別区も全部が公表いたしましたが、ただ市の場合が九割近くのものが公表いたしました。それで、調査についてはもともと任意にいたしております。
  187. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このような公表は今後とも続けて行われるわけですか。
  188. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 今後とも毎年一回以上は公表するように指導しています。
  189. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、自治省が示されたその公表様式では一般住民が見てわかりにくい面があるのではないかと思うのです。もっとも給与というのはわかりやすくするというのは非常にむずかしいわけでありますけれども、たとえばラスパイレス指数なんというのは国家公務員との関係でこれは一目瞭然でわかるわけですけれども、余り単純にわかるものはそれですべて律し切れないという要素があるわけですけれども、私はその地域における民間水準との比較とか、そういうようなことも添えて出した方がわかりやすいという気がするのですけれども、この点はいかがですか。
  190. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 給与の実態を公表する以上はできるだけ住民にわかりやすいようにとわれわれも考えておりまして、その公表の様式とか、その記載要領等は基準を示して地方団体に指導しているわけでございますが、ただその地域民間の賃金との比較がうまく出るとよろしゅうございますが、これはたとえば都道府県などでは人事委員会などございますからそういう調査をしておりますが、市になりますと独自の調査ができるのかできないのか、あるいはその調査結果が正当なものであるかどうか、いろいろ問題がございますので、一律にこれを載せるというわけにはまいりませんが、われわれといたしましては、少なくとも国家公務員とか他の類似団体、あるいはできれば地域民間等との比較をなるべくわかりやすいように、その点は地方団体の公表の手段とあわせまして工夫をこらしてやってくれというふうに指導しております。
  191. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、給与の水準とか、あるいは大体決められておる普遍的な手当とか、そういうものについては公表されるようになっておりますけれども地方自治体の給与体系というのは非常に複雑であって、手当の数も非常にたくさんある。そういうこともやっぱり明らかにする必要があると思いますし、それから、手当等でもむやみやたらにいろいろな手当がついておりますけれども、これも何とか改善をすべきではないかと思いますが、この点はどのように指導されておりますか。
  192. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 地方公共団体の場合は国 家公務員と異なりまして、わりといろいろな部門を回る。たとえば税務職員一つとりますと、国家公務員の場合は国税庁に入って一生税務職員で過ごす。それが地方団体の場合はある一時期を税務職員で過ごす。そういうようなことがございますので、国家公務員の場合、たとえば税務職の給与表がございましても、地方公務員の場合は一般行政職の給与表を用いて、そのほかに税務手当をつける。そういうふうな多少公務員制度上の相違がございますので、地方団体に手当の多いことは事実でございますが、それらにつきましてはなるべく合理化することは当然のことでございまして、これは給与指導の上でいたしております。  それから、ただいまの給与公表の際にどうするかということでございますが、給与公表の場合、やはり一番重要なのは給与本体であると思いますし、その他期末勤勉手当、退職手当等は、これは当然住民の関心がきわめて高いわけでございますから、それらは公表していく。それが大体その団体の代表例になると思うわけでございます。その他の手当につきましては、地方団体と各団体の判断によってわかりやすいようにする必要があるならば、してというような指導をいたしております。
  193. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、賃金のみならず勤務条件といいますか労働条件といいますか、そういう面もこれは重要だと思うのです。  政策推進労組会議地方公務員のそういう勤務条件等について調査した資料がありますけれども、それによりますと、たとえば特別休暇一つとりましても非常に種類も多いし、休暇の日数も民間に比べたら非常に多いということを指摘しております。たとえば特別休暇、有休で目立っておるのは私傷病休暇、これが九十日ないし百八十日、これ普通の年休のほかにあるわけです。それからスクーリングの休暇が六週間とか、あるいは看護休暇というものもあるとか、こういう実態は余りこれ知られないわけですけれども、こういう面もやっぱり明らかにする必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  194. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 休暇、勤務時間等、その給与以外の勤務条件につきましては国家公務員と権衡をとれということがございますので、そのように指導いたしているわけでございますが、給与の場合は毎年ベースアップの問題とかいろいろございますので、その都度これこれというふうに公表ということも指導しているわけでございますが、給与以外の勤務条件は再々変わるものでございませんので、もちろん住民に明らかにすることは大切とは思いますが、いわゆる給与公表みたいに定期的に公表するとかいう性格のものではないのではなかろうか、各地方団体が住民によくPRすると申しますか、明らかにするというような何か方法を考えてやるべきものではなかろうかと思っております。
  195. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私が前に委員会で指摘したこともあるのですけれども、夏期休暇というものがあるわけです。国家公務員の場合には夏期休暇がない。地方公務員の場合は都道府県で調査しても大部分のところは夏期休暇というものがある。最近は民間においても夏期休暇というものがかなりできておりますし、定着しつつある。したがって、私は公務員の場合にも夏期休暇はあっていいと思うのですけれども、ただ、これが一般の人にわかりにくい形になっておる。夏期休暇というのは私は労働条件上の一つの重要な要素だと思うのですね。したがって、これはやはり条例主義にのっとってちゃんと制度化をしないといかぬ。ところが、大部分のところが職務専念義務の免除規定を適用して、その他の冠婚葬祭等の場合は首長が認めたらいいというふうなことがありますけれども、それと同じような扱いになっておる。こういうやり方はやはりおかしいような気がするわけです。  私が指摘したのは大分前ですけれども、こういう面についての改善はされておるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  196. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 先生がその問題で御指摘になりました以後、昭和五十四年十一月二十六日事務次官通達、それからさらに昭和五十五年十二月十三日にも事務次官通達をもちまして、地方団体に対しまして、先生いま夏期休暇がある方がいいとおっしゃいましたが、われわれといたしましては国家公務員と権衡をとれと法律はなっておりますので、国家公務員に夏期休暇がない以上、地方公務員にも夏期休暇を設けるべきでないというのが前提でございます。そして、それは年次有休休暇を夏期に集中的にとるとか、配るというようなことで夏期休暇を行うように、それから、御指摘のありました職務専念義務免除というものをいたずらに拡大解釈したり、それを乱用することのないようにと、これは重ねて指導をしております。
  197. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その指導をされた結果かなり改善はされているわけですか。
  198. 坂弘二

    政府委員(坂弘二君) 目立って改善されたわけではございませんが、都道府県、市町村、ことに町村におきましてかなり改善されております。
  199. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、別の問題に入りますけれども地方自治体で行政改革を進める場合に、特別地方機関等の設置の義務づけ、すなわち必置規制というものが非常に障害になっておるということが指摘されております。  五十五年五月の行政管理庁が特別地方機関等の設置及び運営に関する調査結果報告書というものを出しておりますけれども、その中でこの必置規制制度見直しというものが、その必要性が指摘されておるわけであります。この中での指定は現在八十五法令、百八十一機関というものがあるわけですけれども、そのうち五十三法令、七十六機関に及んで廃止または再検討というようなことを指摘しているわけですけれども、しかしこれまでにこれに対する改善というのは遅々としておりまして、改善されたのは昨年の許認可に関する一括法案による十項目にすぎないということになっておるわけでありますけれども、これはどういうわけでしょうか。
  200. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 地方団体の行革を進めるにいたしましても、また地方自治行政の健全な発達を期する上からも、特に仰せのような国の必置規制というものが大変な障害になっておることはまさに御指摘のとおりでありまして、従来からいろいろな機関におきましてその是正が指摘をされてきたところであります。  臨調におきましても、いろいろの御検討の結果、第二次答申におきましてある程度の必置規制の是正について各省の方でも手当てをされたところでありますけれども、なお大部分の必置規制についての問題が取り残されたままとなっております。もちろん臨調におきましても具体的にどういった機関あるいはどういった種類の職員についての必置規制について、これを抑制するというような作業を心がけておられたようでありますけれども、どうも伺ってみますところきわめて多岐にわたり複雑であるということで、同時に地方自治行政地方分権を推進する場合の一つの大きな眼目としての機関委任事務整理という問題が今後の新しい審議機関において審議をされるというふうに後送りになったということとの関連におきまして、最終答申におきましても必置規制と機関委任事務整理については、機関委任事務の当面一割の問題は別といたしまして、基本的な整理についての論議は新しい審議会において行う、こういう後送りの状況になったことが事柄が進んでおらない一番大きな原因であろうと考えております。
  201. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 行政管理庁がこの指摘をされてからもう三年たとうとしているわけです。それで、行政管理庁としてこういう問題が遅々として進んでいないということについてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
  202. 塩路耕次

    説明員(塩路耕次君) お答え申し上げます。  先生からいまお話がございましたように、私ども昭和五十四年一月から三月にかけまして「特別地方機関等の設置及び運営に関する調査」というものを実施いたしまして、その結果、いま先生からお話がございましたように、私どもで必置規 制の廃止等の改善方を関係省庁に求めたということは先生のおっしゃるとおりでございます。昭和五十五年五月十九日付をもちまして通知をいたしております。その後、いまもお話ございましたが、行政事務簡素合理化法の中で十の機関、十の法律につきまして改善措置を講じたわけでございます。  この問題につきましては、いま自治省の方からお話ございましたように、種々困難な面もあるわけでございますが、私どもといたしましては臨時行政調査会の第三次答申におきます整理合理化を積極的に進めろという趣旨を受けまして、今後とも答申趣旨を踏まえて改善を推進していきたいというふうに思っております。その後、関係省庁におきましても種々御努力がなされつつあるというふうに聞いておりまして、私どもといたしましても引き続きそういった意味合いにおきまして改善を推進していきたいというふうに思っております。
  203. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 特にこれに該当する省庁で多いのは厚生省、次いで農林水産省、さらに文部省ということになっておりまして、法令数で言ってもこの三省で約七〇%、機関数で言いましても七〇%を超えるというような状況であります。それぞれの省庁において行政管理庁から指摘はされておるけれども、なかなかこれはむずかしいという事情があるのではないかと思いますけれども、その点どうなのか。行政管理庁の指摘されておることは無理なのかどうなのかをお伺いしたいと思います。
  204. 浅野楢悦

    説明員(浅野楢悦君) 厚生省関係の特別地方機関につきましては、これは全国的に見まして福祉水準あるいは保健衛生水準の斉一性を保つという観点から設置を義務づける等の措置を講じておるところでございますけれども、これもやはり過度に地方公共団体に対する関与をしない、あるいは社会経済情勢の変化に見合った見直しをしていかなければならないということは、厚生省といたしましても基本的に踏まえておるところでございます。  先生お話ございました五十五年の行政管理庁の御調査に基づく指摘、厚生省関係で数々いただいておるわけでございますけれども、具体的には現在までのところ、昨年、五十七年に行政事務の簡素合理化のための立法が行われましたけれども、この中でトラホーム予防あるいは寄生虫病予防等の関連施設、あるいは性病病院等につきまして設置義務の廃止をいたしたわけでございます。残りました問題まだ数多くあるわけでございますが、これらにつきましても現実具体的な設置の必要性、あるいは社会経済情勢の変化を踏まえまして、やはり必要性の非常に薄れてまいったものについては規制を緩和する等の措置を今後検討いたしまして講ずるように努力をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  205. 谷野陽

    説明員(谷野陽君) 農水省関係についてお答え申し上げます。  ただいま御指摘がございました調査結果報告におきましては、農林水産省関係では八つの機関につきまして必置規制の廃止あるいは規制の緩和等を行うべきであるというような御指摘があるわけでございます。  申すまでもないことでございますが、必置機関を置いておりますのは、全国的な行政水準の確保あるいは処分を行う際の一定のルールをつくる、こういうような趣旨で置いておるわけでございまして、それぞれそれなりの私どもは理由があると考えておるわけでございますが、しかしながら、時代の推移に伴いまして、これらのものにつきましてもできるものについては行政簡素化の観点から検討はしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  具体的には、先ほどお話が出ました昨年の一括整理法におきまして肥料検査吏員につきましてこの必置を解消いたしておるわけでございますが、このほか二、三のものにつきまして現在さらにこの規制につきまして何らかの緩和措置がとれないかということで検討をしておるところでございます。
  206. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) お答え申し上げます。  文部省関係につきましては、いわゆる特別地方機関が二十二ございまして、小中学校の教諭、養護教諭を初めとした種類のものでございますが、そのうち三つの特別地方機関について必置規制の廃止が指摘されております。  その一つが学校保健技師でございまして、これは各学校に学校医、歯科医あるいは薬剤師を必置しておりますそのパラレルの関係におきまして、都道府県教育委員会に専門的、技術的指導を行わせるという観点から置かれておるものでございます。それから、二つ目が地方産業教育審議会でございまして、これは産業教育の地方の実情に応じた建議をしていただくという機関でございまして、特に五十三年の学習指導要領の改定に伴いまして大幅に地方の実情に即した産業教育というのを各県ごとに立てるシステムをとっております関係上、なお今後とも続けていきたいという気持ちがあるわけでございます。それから、三つ目がスポーツ振興審議会でございまして、最近のスポーツ需要の増大等に伴います住民の関心あるいは必要性を反映させるという観点から、なお存続をしたいということで、このいずれの三つにつきましても、存続の合理的な心要性というのを感じておるわけでございます。  したがいまして、実は昨年一括整理法案におきましてはこの三つは期待に沿えないわけでございますが、指摘を受けなかったものでございますけれども必要性が若干低いと思われます社会教育主事補につきまして、これを簡素合理化の対象として必置規制を廃止と、こういう状況でございます。
  207. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間が来ましたので、最後に一言だけ質問して終わりたいと思いますが、確かにこの必置規制というのは各省庁から見たらそれなりの理由は皆あると思うのです。皆あると思いますけれども、しかしながら各自治体だってその是非の判断はみずからする能力はあると思うのです。したがって、私は地方分権ということがやかましく言われておる時期でありますから、やっぱり大幅にこれを管理して、やはり地方の判断や地方の権限に任せるということを思い切ってやらないと地方分権も進まないし、あるいは本当の意味の地方自治というものも機能しないということになると思うのですけれども、最後にこの点について大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。
  208. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) ただいま各省の方からも、あるいは行管庁からもお答えがありましたが、これはなかなか私は各省にとっても非常にむずかしい問題であろう、こちらの方から、自治省の方から言えば、相当各省では簡単にそう廃止はなかなかできないよというおつもりも私は相当強い問題であろうと思うだけに、今後私ども努力をして地方自治体がやりやすいようにひとつ努力をしていきたい、こう思っております。
  209. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  210. 宮田輝

    委員長宮田輝君) これをもって昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会