○
政府委員(
石原信雄君) 先般
大蔵省が
財政の中期試算として五十九、六十、六十一
年度、三カ
年度の
収支の試算を発表され、これについては国会でもいろいろ御
論議がありました。私
どもも
地方財政を預かる者としてこの種の何らかの計算をしてみたい、またしなければいけない、こういうことで検討はいたしております。ただ、検討すればするほど、いろいろまた問題というか、疑問も出てくるわけであります。
まず、
基本的な問題、
基本的というか技術的な問題といいましょうかについてでありますが、先般
大蔵省が国会に提出いたした中期試算では一応
歳出面では後
年度負担は積み上げ方式になっております。五十九
年度にどれだけ、六十
年度にどれだけ、六十一
年度にどれだけというふうに、一応積み上げ方式であれを計算しているのでありますが、
地方財政の場合には率直に申しましてこの積み上げ方式というのが大変むずかしいのであります。国庫補助事業の場合には理論的には補助条件、補助率等が決まれば、理論的に事業費なり
地方負担額なりが積算できるわけですけれ
ども、先般の
大蔵省の提出されたあの中期試算の中身について、各
省庁別に詳しくデータを私
どもいただけないのであります。いただいてない。ですから、マクロで、ヤマカンでこの程度というのはできるのですけれ
ども、やはり積み上げ方式による試算というのは理論的には可能なはずなんですが、実際にはなかなか作業ができない、非常に壁にぶつかっているというのが実情です。
それからもう
一つ、さらに頭の痛い問題は
地方の単独支出でございます。これについては私は積み上げは不可能じゃないかと思うのです。といいますのは、それは都道府県の
段階でもいろいろな
財政計画のようなものはつくっているところもありますが、個々の経費ごとに単独の施策について金額まで積算しているというのは非常に少ないのです。いわんや、三千三百団体についてそれぞれの単独施策について後
年度の支出予定額を積算するということは現実の問題として不可能で、各団体自身が持ってない面がありますから不可能なんです。そういたしますと、結局後
年度推計をするにしてもマクロ推計しかできない、大体こういうことじゃないかという推計しかできないと思うのであります。
それから、
歳入の面について、
大蔵省の試算で一応名目成長率を六%として、それから
国税の弾性値を全体を一・一、GNP弾性値を一・一、それから
国税三税については一・二という想定で推計をしているようでありますけれ
ども、この
経済見通しについても大変御
論議がありました。したがって、これと同じベースで
地方の
歳入の推計をする、やればできないことはないのですけれ
ども、それ自身大変積み上げ計算をしながら、われわれ自身も自信がない、不安がある、こういうようなことでございます。そのほか雑収入の問題、あるいはそれぞれの
地方債をどういうふうなことでやっていくのかというような問題等について詰めていけば詰めていくほど、いろいろな問題、疑問も出てきております。そこで、私
どもさらにこの問題は研究を続けてまいりますけれ
ども、ここで、いまの
段階でこういう姿になりますというものを自信を持ってお示しできるようなものがなかなかできないというのが実情であります。
それから、昨
年度も実は国に対応して
地方についても
収支の試算を出すべきじゃないかという御
議論をいただいたわけですが、昨
年度の場合も私
ども内部ではいろいろやってみたのですけれ
ども、率直に言いまして、どう計算してもあの当時の国の方の試算のようなかっこうになるのだろうかどうかと非常に不安を持ったわけでございます。そして不安をそのままに自信のないものを提出しますと、その出た
収支の結果だけがひとり歩きして、
地方財政は楽になるのじゃないかというような
議論をされたのでは、これはむしろ利益よりも害の方が大きい。そういう不安もあって、昨
年度の場合は結局いろいろ技術的な問題もあり、また結論的にもどうも自信が持てないということで提出を御容赦いただいたわけですが、今
年度の場合につきましてもいまいろいろ研究を重ねておりますが、公にできるほどの案がまだ固まっていないというのが実情でございます。
さらに申し上げるならば、国の方できちっとした
経済計画が、いわゆる
財政計画の名に値するようなきちっとしたものができるのであれば、当然私
どもはそれに対応して
地方の
財政計画といいましょうか、長期の見通しというものをつくらなければいけない、そういうしっかりした前提要件があるならば、われわれも作業ができるのじゃないか、またやってみたい、このように思っております。