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1983-03-23 第98回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十三日(水曜日)    午後一時九分開会     ─────────────    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      小山 一平君     上野 雄文君  二月二十三日     辞任         補欠選任      山田  譲君     坂倉 藤吾君  二月二十六日     辞任         補欠選任      坂倉 藤吾君     山田  譲君  三月十九日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     伊藤 郁男君  三月二十二日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     田渕 哲也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宮田  輝君     理 事                 亀長 友義君                 志苫  裕君                 田渕 哲也君     委 員                 岩上 二郎君                 金井 元彦君                 上條 勝久君                 小林 国司君                 後藤 正夫君                 原 文兵衛君                 上野 雄文君                 大川 清幸君                 神谷信之助君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    山本 幸雄君    政府委員        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁長官官房        会計課長     森田 雄二君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      大堀太千男君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房会        計課長      大塚 金久君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営企業金融公庫)     ─────────────
  2. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月十七日、小山一平君が委員辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。     ─────────────
  3. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事志苫裕君及び田渕哲也君を指名いたします。     ─────────────
  5. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 次に、去る三月十五日、予算委員会から、三月二十三日及び二十四日の二日間、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件に関する説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 第二次臨調が一次から五次までの答申を出しまして一つの区切りをつけておるわけでありますが、この答申にかかわって、とりわけ国と地方との関係中心にしてお伺いをしていこうと思います。  第二臨調はずいぶん鳴り物入りで、さまざまな期待評価や憶測も含めて今日まで推移してきたんですが、率直に申し上げて、自治体関係のある者としては、せっかくの機会であれば地方分権推進に何がしか寄与できればなと、こういう期待はあったと思うんですが、以下おいおい尋ねますけれども、まず大臣、総じてこの一次から五次に及ぶ臨調答申をどのように評価をなさいますか。
  7. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 臨調がこのたび第五次答申まで出しまして解放した、臨調答申は終わったわけでございますが、これらを通じまして政府としては「最大限に尊重する」ということを閣議で決めておりまして、この臨調答申は今後の実施に向けて努力をしていく、こういう態勢にあることは御存じのとおりでございます。  そこで、地方自治あるいは地方行政につきましては、つまり総論的な理念というものは、国、地方を通ずる事務見直しあるいはそれに伴う財源見直しということ、それから地方分権という精神ということで、私ども総論的には大変に地方自治進展のためにいい方向を打ち出していただいたと思っております。問題は、さて、その具体的な問題、各論にわたる問題でございますが、これは答申の中でいろいろ各般にわたりまして記述がされておりますだけに、これらをこれから具体化に向けて各省各庁とも連絡をとり、また自治省には地方制度調査会という組織もございますから、それらの御意見も伺いながら今後の対応を決めていきたい、かように考えております。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 総論において地方自治尊重あるい は分権推進が掲げられている、各論は各省庁あるいは地方制度調査会等々その辺の意見も聞きながらこれからだという趣旨なんですが、ところで、八一年三月二日に、自治行管両省大臣確認国会において政府統一見解として述べられておるんですが、これによると「地方自治本旨尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議する」、その具体的な中身内容というのは「適切な選択が行われることを期待する」、まあ臨調がやるのですから期待する以外にないわけでありますが、そこで、どうでしょうね。具体的に出されたもの、皆さんが期待をした適切な選択が行われただろうか。  「地方自治本旨尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議する」、その具体的な中身は適切な選択が行われるように期待をする、こういうことだったんですが、具体的に打ち出されてきたもの、適切な選択が行われたというふうに、個々の項目についていろんなことを打ち出してきましたけれども、適切な選択が行われたというふうに判断できますか。
  9. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 答申をいただいて十分な検討もまだできない状態にありますから、これから臨調のお気持ちも聞かなければならないというところも私はあると思うので、それらも伺いながら、今後これの実現に向けて具体的にどういうふうにやっていくか定めていきたい、態度を決めていきたい、かように思っているところであります。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 もっと突き詰めて聞きますと、地方自治原則尊重ということと、具体的に打ち出された個別の方策というものの間に矛盾はないとお考えになりますか。矛盾しているところがあるがなというふうに考えますか。
  11. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 総論的な理念理想というのと、それと具体的な現実的な施策というものとの間には、なかなか見方によってはいろいろ議論も私はあると思うのですが、けれども大筋としてはやはり地方自治というものを推進するという立場に立ってこれから政府はやりなさいと、こういう私は態度あり方には余り異論はない、こう思っているわけでございます。  具体的に一つ一つ細かくとらまえていけば、やはりその具体的な実施について各方面の御意見もあることでしょうが、どうしたらいいかなという点もないではないということに私は各方面の御意見も出てくるような気もします。それはまだこれからのことでございますから、答申が出て検討するいまいとまもないというこの段階で、私が具体的に一つ一つどれこれということを申し上げるのは適当ではなかろうと思うのであります。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、その点は私から幾つか指摘しておきますけれども、たとえば地方公共団体においても国に準じ支出節減合理化、抑制を図る、あるいは単独事業としての老人医療無料化ないし軽減措置を廃止せよ、保育所新設地域の実情に配慮しつつ全体としては抑えよ、地方行政効率化及び支出節減合理化を国に準じて行え、あるいは行き過ぎた上積み福祉実施、国の水準を著しく上回る過剰な定数配置は厳に戒めよ、単に他の団体でも行っていることを理由としてそれと同様の行政サービスを行うような安易な姿勢があるのは遺憾である、あるいは地方議会合理化であるとか、定数組織、給与、こういう分野についてずいぶんたくさん触れておられます。  実はいまここに私が幾つか指摘したようなことをどうするかというのが自治中身なのであって、それを自治体住民とともに議会とも相談しながら自分考え、一番効率のいい、一番能率の上がる住民に責任を持てるやり方をするというのがこれ自治中身なんです。そのために人をどれだけ置くか、どういうふうな税を取るか、あるいはどういうふうな待遇にするかということが自治中身なんです。自治の実体なんです。こういうことにはわりあいに細かく触れておる。そういうものが可能となるような、答申にもありますけれども、自治体自律機能を高めて自分地域社会のニーズにこたえた行政展開できるような、もう少し大きい国と地方の仕組みであるとか、財源の枠の保証であるとか、自律性の強化というものについては、においだけかいだような、わりあいに理念的な抽象的なもので終わっておるという点について、私はどうも、いま大臣も少しあるいはずれているところがあるかもしらぬという話があったけれども、地方自治原則あるいは本旨尊重ということと具体的に提起をされた内容は、この自治中身にかかわり過ぎたのではないか。そうすると、自治、大蔵両大臣が五十六年に両相で確認をして、こういうことを「期待する」というものとはずいぶんずれたなという感じがしませんか。そのことが一つ。  それから、先ほども御答弁がありましたように、政府としては尊重する、もちろん大臣政府一員です。と同時に、自治省自治大臣がしばしば本委員会においてもあるいは国会全体を通しても所信を述べたり答弁に立ったりしまして、この答申にかかわる部分についていろいろ所信を述べたりしております。あるいはまた地方制度調査会等から答申があると、総理諮問機関ですから総理大臣もこれを十分に尊重しますというふうに言っておられます。すると、かつて自治省として、あるいは自治大臣として、あるいは総理大臣として、さまざまな案件について述べた所信方針答弁臨調答申との間には食い違うものがたくさんあるわけです。これも最大限尊重するわけですね。尊重するものが幾つもあり過ぎちゃって、これからなかなか尊重調整が大変だなという感じもいたしますけれども、どっちの方が中心尊重になるのですか。そのいままでの方針との間に背馳をする、あるいは矛盾をする、まるっきり食い違っているという問題の調整をどうなさいますか。
  13. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまお話のように、臨調答申の中には具体的になかなか細かく書いてあるところもございます。しかし、私は、先ほど申し上げたように、大筋としてはやはり地方自治前進ということの、そういう旗印の中でお考えになったことであろうと思うんです。臨調地方自治を逆行させようというお考えは恐らくなかったであろうと思う。しかしそういうお考えのもとでおやりになった具体案、それは一つ一つ私どもこれからひとつ具体化をしていく段階で、先ほど申し上げたように、各方面の御意見も伺いながらやっていかなければならないということであるわけなんです。  それだけに、また臨調のそういうことをお書きになった真意というものは私は聞きたださなければならないということもあると思いますので、そういうことの中でその具体化に向けていきまする中で、ひとつこれから国会先生方にもいろいろ御意見をいただきながら、地方自治の現在の姿、これは私は時代とともにやはり自治前進をして様子が変わってきますから、それに対応した地方自治の新しい展開というものに沿うような一つの大きな一里塚を築いていきたい、こう思っているのであります。  そういう考え方で、さしあたりまだ具体的に中でも議論一つもしておりませんし、これからの問題点をこれから検討していくという段階でございますだけに、いま直ちに私が具体的にどうこうと申し上げるのはまだ早いと、こう思っております。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これからなんですよ。これからなので確かめておきたいと思って聞いているんで、つき詰めて言いますと、従来国会を通して、本委員会を通して、あるいはさまざまな場においてそれぞれ所信なり方針を述べているものがある。それも地方自治進展あるいは地方分権推進という立場に立っていろいろと約束をされていることがあります。そのことと臨調答申では食い違うようなことが答申がなされておって、それを閣議としては最大限尊重するということを決めたわけでありますから、あなたとしてはその閣議一員としての拘束をお受けになるわけですね。そうすると、こっちではこう言ったことがある、こっちでは尊重しなければならないという立場現実に お立ちになるわけだ。  そこで、これからの対応になるわけで、われわれとすれば、一体前に私たちにこういうふうに所言を述べた分をやはり追求していきなさるのか、あるいは臨調の方で言ったことを追い求めていこうということになるのか、さてこの人どっちを向いて走るのだろうかなということをある程度確かめておいて、つまらぬ方へ行くならこれはかじを変えてもらわなければいかぬですから、そういう意味で伺っておかなければならぬという気持ちで私は聞いているわけです。  幾つかあるんですよ、食い違い部分が。きょうは個々に指摘はしませんが、そういう物の考え方というか、そこのところ地方自治を所管するあなたの一種の哲学のようなものをこの機会に聞いておきたい、こういうわけです。
  15. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いままで地方自治あり方としてこうなければならない、こうやりたいということも確かにたくさんあるわけでありまして、また、それも明らかに今日までなっておる点があるわけでございます。  私は、それと臨調答申とは、精神原則的には余りその乖離はなかろうと、こう思うのでございますが、さて、臨調答申中身具体化していく場合に、いま仰せられた二つの両方面からの、何といいますか、一つのテーマの受けとめ方、その受けとめ方の前に自治の現状あるいはこれからの自治あり方というものなども考えながら調整をやはりしなければならぬ面は出てくるであろう、それは自治省ばかりではなくて、関係方面のひとつ御意見も十二分に伺いながら新しい自治展開に向けてひとつ今後の道を切り開いていくべきであろうと、こう考えておるわけでございまして、どちらを尊重するのか、そこのところ私はやはり一つ調整機能が働かなければならぬ場合が起こるであろう、こう思うのでありまして、それはやはり今日の自治の姿として、これから自治はどうあるべきかということの考えのもとにまとめ上げなければならない問題であろう、こう思っておるところであります。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 いま随所に出てきますが、ちょっと話題を変えますが、第一次答申ですか、「変化への対応」というものが入っておるわけですが、実はこの分権をわれわれが特に力を入れて主張するのは、その「変化への対応」、この国は長いこと集権という手法で、とにかく追いつけ追い越せ型の経済運営なり国の運営をしてきた、そこから出てきたさまざまな問題から分権、あるいは地方地域というようなものを一つの新しい時代のキーワードにしようという意味で、とりわけ分権というようなものが主張されるわけですが、たとえば高齢化社会進展あるいは都市化進行等一つ問題考えてみても、とても画一的にやれるものでもない、地域にさまざまな顔が出てくるということになるわけですが、「分権」とあちこち随所に表現がありながら、しかし読んでみると、国の施策に準じた行政一体性といいますか、国、地方一体性というふうなものの方がずいぶん性格として強く出ているんじゃないでしょうか。  国の方も月給減らすから地方も月給減らせとか、この辺は端々のことですけれども、国もそうするから地方もそうせい、国は貧乏なんだからおまえたちもがまんせいという、どっちかというとそっちの方がずいぶん強調されておって、地方にそれぞれの顔があって、それぞれの文化や伝統をひっ提げながら地域自律性のある地域社会をつくっていく、それに必要な手だては何かというふうなことについては、言葉だけのサービスで具体的にはちっとも出てこなかったというどうしてもうらみが残るんですが、大臣地域社会の「変化への対応」というものについてどのようにお考えですか。  これは地方制度調査会の十七次答申ではその辺にずいぶん目を向けたことになっています。これからの地域社会、これからの人々の物の考え方、ありようというもの、そこから実はあの当時の地方時代論なり、地方自治意味というふうなものを追求する手法であったような気がいたします。その点はどうですか。
  17. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 先ほどおっしゃった答申は、確かに私は地方自治の将来というものを一つ描いた、何といいますか理想像みたいなものであったと思うんです。そこで、今日の地方自治時代とともにずいぶんやはり進展はしている、地方地方なりに非常に私は努力をしておられる、三千以上にわたる地方公共団体それなりに、いまお話しのように地域社会の発展と住民福祉の向上ということを日指して懸命にやってこられて、地方自治は今日私はずいぶん進展をしてきた、こう評価をしたいと思います。  しかしながら、一面においてまたどんどんと社会経済の姿は変わっていきますから、それにも対応をしていっていただかなければならぬわけなのであります。また、もう一つ大きな問題は、やはり価値観がずいぶん変わってきつつある。この新しい価値観にのっとって新しい社会経済事象対応をしていこうという地方公共団体の姿というのは、私はずいぶんやはり努力をしておられるなということであります。  ただ、今日の日本経済はやはり低成長でありまして、なかなか財源的にそう豊かではない、やはり地方行政地方自治前進させるためには財政問題がどうしても基本になってくる、こういうことでありまして、その場合に地方と中央との調整といいますか、それは私は幾つかの面で、いろいろの面でやはりその間の調整をしなきゃならぬ面がある。地方公共団体もやはり日本の国の中の公共団体であるには間違いないのですから、国というものとの整合性を保っていただくという面も当然にあってしかるべきであろう、ただ、それが余り強く出てはいけない、この辺の調整というものがなかなかむずかしい、こういうふうに思うのでありまして、その辺が地方自治の今後の私は一つの、特に自治省という役所の立場から見てわれわれは一つ目的意識を持って行動をしなければならないのであろう、こう思っておるのであります。そういうことで、今後新しい社会経済情勢に処した地方自治進展というものにやはり努力をしていきたいと思っておるところであります。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 少し私抽象的なことをやっているのは、これ承知してやっているんですが、大臣、あなた自身自治大臣におなりになっておるわけだが、あなたが集権人間だか自治人間だかよくわからぬが、確かに日本経済もおかしいし、社会もさまざまな模様が出てきたり、その辺で中学生が暴れたりとか、さまざまになっていますね。そういうときにひとつ何というか、ここを乗り切ろうとする危機管理というんですか、一種危機管理のような手法、発想が非常に強いんですよ。それに対して地方時代とか分椎を説く者が、そうではない、危機管理でここを乗り切るのじゃなくて、人間自律で乗り切ろう、自治自律で乗り切ろうというところに大きい食い違いがあるんだと思うんですね。  われわれが地方分権なり地方自治をずいぶん主張しますのは、なるほど六〇年代、七〇年代は量の時代でしたから、今後も量の時代がいいわけじゃない、財政であれいろんな暮らしの価値観であれ、それは質に転換をしなきゃならぬということは確かなんです、世の中は。それを先ほど言ったのは、危機管理手法でいくのではなくて、まさに自律自治でそれを乗り切っていこうということだから、この自治というものを、あるいはそれを容易にするための分権化というようなものを一生懸命にいま主張をしているわけだ。むちゃくちゃにいままでどおりに月給を上げていいとか、やたらと橋や道路をつくっておればいいということを言っているんじゃないんですよ。そういう時代に来たら来たで、その地域の顔をそれぞれ生かしながら自律的にやっていこう、それを容易にするような国と地方関係を今度の臨調答申を契機にできるものなら一歩を進めたいというところが自治体関係者期待であったはずなんです。  ところが、出てくるものはそうではなかった。そうではないということを先ほど来言うておるわけで、そこのところをできればしっかり大臣から は押さえておいて、現実にいろいろ食い違うようなことも出てきているわけで、調整機能をどこで持つのかわからぬけれども、あなたは具体的に調整機能が作用しなければならぬなということも言っておられますから、随所食い違いがあることもお認めになっているのでしょう。一々食い違うところを聞いておってもしようがありませんから。  ところで、地方制度調査会意見なども聞いてというお話もありましたが、そうすると、地方制度調査会は今後も続ける、それはそれなり役割り期待するということですか。
  19. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) そのとおりです。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 そうですね。  機関委任事務のところに「機関委任事務、国の関与等見直し」のための「審議機関設置」というくだりがありますが、これについてはどのような対応考えておられますか。
  21. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 機関委任事務につきましては、当面の一割削減のほかに基本的な検討として今後「新たな審議機関設置」する、この答申を受けまして、現在政府の方では将来の審議機関あり方をどういうかっこうに持っていくかという検討をしておるところであります。近く行革推進審議会設置法案というものが提出されるように検討されると承っておりますけれども、その審議会とこの新しい審議会との関連、こういったものが今後具体的にどういう関係になるのかというのがポイントになってくると思いますが、現在の段階ではこの新しい審議機関設置はするけれども、どういう形で設置をするかということまでは決まっておりません。今後の検討課題ということになっております。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、国の機関委任事務、あるいは国の関与というのはすぐれて地方自治体と国との関係なんでして、それを何とかするために衆知を集めようという機関になるわけですから、これは当然のことながら自治体側、地方側の意見が本当によく入り込むような構成なり人事配置なり、これがなかったらいけませんよ。この点はどうですか。
  23. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) この審議会は、臨調答申の中で審議会をつくって別にやるというのはこれ一つしかない。ですから、この審議会は私どもはぜひひとつこしらえて機関委任事務の整理をしてほしい。確かに二年間に一割という目標も一応示されておりますし、今日の機関委任事務はやはりもう地方自治体の仕事になり切っておるものも私は相当あると思うのです。そういうものの整理を初めとしまして、いまお話しのように、機関委任事務はこの審議機関の中でしっかり私は検討してほしい、こう思っておるところなんです。委員の構成とか、そういうものまでまだ話し合いの中に出てきておりませんから、何とも申し上げかねるわけですけれども、当然に私は地方側の意見を反映する、そういう意見は当然に私は代表として取り入れてもらわなければならない、こう思っております。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 その点は特に大臣もがんばってもらわなければなりません。  次に、答申の中の標準行政のくだりについてちょっと伺いますが、三次答申、五次答申を通して、選択と負担が改革の基本理念だというずいぶん大きい位置づけをしております。選択と負担、抽象的なことで議論をしている分には、自治というのがたてまえにあって何を選択しようと、それの負担は選択するものは住民がやる、当然負担もそれらの義務を負うと言っている分には別にこれはどうということはない。むしろあたりまえのことを言っているんですが、いろいろな説明がついておるのを全部総括的に言うと、大体もう今日では南から北まで標準的な行政は行えるようになった、それだけの財政基盤もあるし仕組みも整っておるというまず認識が前段にありまして、そしてその標準行政を越える部分というのは何かぜいたくか何かのような気分でとらえて、それを越える部分というのは住民選択と負担でやれ、留保財源を使ったりあるいは公営競技のテラ銭を使ったり、あるいは超過課税をやったり、そういうふうなことをしてやりなさい、こういう考え方なんです。  ここで問題になってきますのは、そうすると標準行政というのは何だと。標準行政が伸縮自在で小さくなっていこうものなら、標準行政を際限なくどんどん切り詰めていったら、いつでも地方財政は黒字になっちゃうのだけれども、そういうところにまで道を開くような答申になっているのは大変私どもは気になっているわけです。しかもここでは標準行政というのが、たとえばというので説明がついていまして「現在の制度に即してみれば、各地方公共団体が行う行政のうち、地方交付税算定上の基準財政需要額の対象とされている「標準的な施設を維持し、標準的な規模において行う行政」がそれ」だと、こう言っておるわけですね。これは冗談じゃありゃしませんよ。基準財政需要の算定といってみましても、これはそのときの財政によってしょっちゅう変わっている、こんなもの。銭がないからといって起債の方に回したり、ふるいわけたり、いろいろさまざまなことをしながらしょっちゅう変わっているんだ、これ。  ともあれ、自治省の皆さんは標準行政というものをどのようにお受けとめになっていますか。
  25. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 臨調答申が述べております標準的な行政を越える行政については選択と負担という考え方対応すべきだ、そういう動き、考え方そのものについては私どもも特に異存はございません。ただ、その場合の標準的な行政というものをいかにとらえるか、どのように把握するかということにつきまして、第三次答申では現在の地方交付税の算定の基礎となっております基準財政需要額の算定内容一つの手がかりとしているように受け取れるわけであります。  ところで、この基準財政需要額は、御案内のように、そのときどきの地方財政全体の状況を前提といたしまして地方交付税を公平かつ妥当に配分するための一つの物差しとして使っているものであります。したがいまして、基準財政需要額の算定内容がすべての団体について標準的と申しましょうか、現在の地方行政として最低この程度は必要だと考える水準をすべてこれが包括しているか、含んでいるかというと必ずしもそうは言えない。いろいろ技術的な制約もあります。財源的な制約もあります。したがって、ここのところはダイレクトにいまの基準財政需要額が即標準行政と、こういうふうに読むべきではないので、一つの手がかりとして、そこに想定されている行政というものを一応の前提としてというぐらいの意味ではないであろうか、このように受けとめております。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、いまの財政局長の答弁は基準財政需要が一つの手がかりになるというんですから、正確に聞いておきますが、「基準財政需要額の対象とされている「標準的な施設を維持し、標準的な規模において行う行政」がそれであり」と、こう臨調答申言っているわけですよ。括弧してそれ「標準行政」と書いてある。これちっとも標準行政でも何でもないんで、銭配る配給の方式でしかない。総額の決め方によってしょっちゅう変わる、こんなもの。これ「(以下「標準行政」という。)」とされたんじゃ、これ問題にならないですよ。ここのところはあなたのところの方がきちっとしておきませんと押しまくられちゃいますよ、これ。
  27. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ここの表現は「この標準的に行うべき行政を現在の制度に即してみれば、各地方公共団体が行う行政のうち、地方交付税算定上の基準財政需要額の対象とされている「標準的な施設を維持し、標準的な規模において行う行政」」、この「標準的な施設を維持し、標準的な規模において行う行政」というものを標準行政と、言葉をそういうふうに言いかえたわけなんですが、以下「それであり、」と言っておるわけですけれども、ここでは基準財政需要額の算定の際に想定されておる施設のレベルであるとか規模とか、こういったものを一応の目安にするというぐらいの意味ではないか。これで金額的にと言いま しょうか、直にそれが標準行政だという意味ではないんではないか。もしそうだとすれば非常にこれ無理が来ます。  基準財政需要額というのは、先ほども申しましたように、そのときどきの財政状況によっていろいろな制約がありますので、その制約の中で地方交付税を合理的かつ妥当に配分するためのメカニズムでありますから、それを一つの手がかりにするということはあり得るでしょうけれども、その金額は絶対的なものというふうにとるには若干無理がある。ですから、そこに想定されております施設の水準とか規模というようなものを一つの標準行政の手がかりにするというぐらいの意味ではないかと読んでいるわけであります。これは臨調の方でどういう考え方のもとにこの文章をつくられたのか、私どもこの文章表現についてそれにあずかったわけではありませんので、答申について私どもはそういう読み方をしているわけでございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、僕ははっきりさせておいた方がいいと思うので、基準財政需要額の対象とされている行政が必ずしもすべての標準的な行政ではない、こう確認できますね。
  29. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) それが一つの判断の手がかりにはなるでしょうけれども、それがすべてではない、このように理解しております。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 その点はしっかり対応して、今後の問題ですが。  で、一部の議論では標準行政を超える部分は留保財源を使うとかなんとかやればいい、こうなっておる議論と対で出たんでしょう。この留保財源の率を小さくするといいますか、議論の過程ではそうしたらどうだというような意見などありましたけれども、これに対する自治省の見解は。
  31. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) この答申の文案がまとまる過程におきまして留保財源の引き下げの論議があったようであります。具体的には第三次答申のいまの標準行政のちょっと後の方に「なお、その前提として、後述のとおり留保財源等が各地方公共団体を通じて一層均てん化されるよう検討する必要がある。」ということが述べられておりまして、その次、もう少し後の方に「地方公共団体間の財源調整の強化方策」というところの初めの方に、いまの留保財源のくだりなんですけれども、「税源の偏在にもかかわらず標準地方税収の一定率とされているため、各地方公共団体間で格差が大きい留保財源については、例えば、当該率の引下げ等の方法による財源の一層の均てん化を検討する。」というくだりがあります。  したがいまして、先ほどありました現在の交付税算定の前提となっております基準財政需要額の算定内容、そこに想定されておりますいろいろな行政施設の水準、規模、こういったものが一応標準行政というものの一つの手がかりになるのだと思いますが、その話とこの後の方に出てきます基準税率の引き上げ、すなわち留保財源率の引き下げの話とはきわめて重大な関係があるわけであります。答申の作成者がそこのところをどういうふうに意識されたのか、交付税の配分の見地からいたしますと、この留保財源率を引き下げる、すなわち基準税率を引き上げるということになれば、当然現在の基準財政需要額の算定内容をその分だけ引き上げなければバランスがとれないわけでありますが、その辺どうもここのところははっきりしていないのであります。  ただ、いずれにいたしましても、現在の交付税の算定の技術的な限界あるいは交付税制度の基本理念、こういったものからいたしまして基準税率の引き上げを行う、すなわち留保財源率の引き下げを直ちに行うということは、この臨調答申の基本理念である地方自治地方分椎の強化あるいは地方団体の自主性の拡大あるいは地方行政効率化、こういう見地に反するのじゃないか、そういうその趣旨に合わないのじゃないかという私どもは疑問を持っております。したがって、この臨調答申も、「当該率の引下げ等の方法による財源の一層の均てん化を検討する。」と言っておりまして、必ずしも引き下げだけを考えているようではないのでありますけれども、この辺についてはやはりこの交付税制度の運用の実態などとも関連いたしまして私ども若干疑問を持っているところであります。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 大臣事務方はこういう見解をいま述べているわけです。私もここのところで非常に大事な点というのは、先ほども言いましたけれども、標準行政、そこがはっきりしないけれども、標準行政もうちゃんとやられるようになっているんだ、格差はないんだ、それでも格差の是正を望むのであれば留保財源使ったり、あるいは不交付団体に回っているものをもうちょっとこっちに持ってきたりしてそうやってやればいいんだ、地方財政どこにも窮屈な状況ないんだ、こういうような認識をもう努めて示すようにしているわけですよ。  だから、これから出てくるのは、いまもお話がありましたように、留保財源率を引き下げるとかあるいは交付団体の超過財源をさらに吸い上げて再配分をするとかというふうなことになっていきますと、後ほどまた議論をしたいと思いますが、いま窮々としておる地方財政財源不足の状況をどうしようかなんという議論はもう不必要な議論になっちゃうというところが、このいわば標準行政論議の非常に危惧される点であるので、この点についての大臣の所見をまずはしっかり伺っておきたい、こう思うんですよ。
  33. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) このくだりは確かに地方財政あり方関連して地方自治そのものに影響する重大なくだりだと思っておるんです。  臨調のお考えが一体どういうところからこういうものが出てきたのかということも、この文句だけで判断せいということかもしれないのですけれども、もう少し私はよく臨調のお気持ちもひとつ伺って、いま財政局長が申しましたように、従来から自治省地方財政という観点からやってきたこととはやはり考え方が違う点があるわけですから、その辺のところは今度はひとつその辺で今後のこれどういう考え方でやるのがよいかという結論を出していかなきゃならぬと思いますが、中身をまだ自治省全体でも余り論議をしておりませんので、きょうのところはただいまの財政局長の答弁ということで御理解を願っておきたいと思います。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 臨調の言う基準財政需要の行政が標準行政でないということはあなた方の考えでわかりましたが、ならば自治省は改めて標準行政とはこれであるというものをつくる気があるのですか。
  35. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 漠とした理想像というものは頭にありましても、具体的にこれが標準行政であるという、どこへ出しても恥ずかしくない標準行政だというものをつくる自信はありませんし、その考えもありません。  先ほど来申し上げておりますように、ただ地方交付税は毎年度そのときどきの財政状況のもとで確保された地方交付税財源というものを適正に配分するその手段として単位費用については五十八年度分、今国会でも御審議いただいておるわけでありますが、そういう意味一つの限定されたといいましょうか、技術的な前提を置いての標準団体を想定し標準行政規模を想定して単位費用をつくっておりまして、そういったものは当然今後とも毎年度これを作成し御審議をいただくつもりでございますけれども、完璧な意味での標準行政がこれだというようなものはとてもつくれる自信もありませんし、その考えも目下ございません。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。局長、自信があるなしじゃないんで、そんなこと考える必要はないんですよ。自信があったらやろうなんて言われたら困っちゃうからね。それはちょっと違うんですね。まあそれはそれとしまして。  それから、広域行政のところでちょっと気になる文言は、この点は皆さんどうお考えになっていますか。「当面、現実の問題としては、市町村間の共同処理方式によって臨時緊急に対応する必要があり、これらの事務の共同処理体制・制度の充実に努め、市町村合併への条件整備を図っていく ものとする。」、逆に読みますと、共同処理体制というのは市町村合併への条件整備だ、市町村合併を既定のものとして、それを進めるためにこういう条件整備をせよというふうに読まれないわけでもないわけなんだけれども、この点は皆さんの方はどう読んでおられるのか。
  37. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 最近の社会経済の複雑化、住民ニーズの増大に応じまして広域行政をさらに一層推進する必要性は私どもも認識しております。ただ、臨調答申にありますように、合併の一つの前提というようなニュアンスというものは考えておりません。町村合併は昔華やかに行われましたが、最近はかなり行政も落ちついてきております。もちろん各地域におきましてそれぞれの行財政の推移に応じて自主的に合併が行われるということは、これはまた結構なことであろうと思いますけれども、当面は広域行政推進するのは合併の前提として推進しておるのだという認識はございません。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 次に、今度ちょっと補助金の問題に一、二触れて次に行きます。  補助金にまつわるさまざまな弊害を何とかなくしたい、極端な言い方をするというと、地方自治にとって、あるいは自律にとって補助金は諸悪の根源だ、政治的な意味でもこれずいぶん悪いことをするものだから何とかその辺のメスが入らぬものかということは共通の認識にはなったんですが、ところで今度補助金等のうち、あるものは廃止、あるものは一般財源化、あるものは交付金というふうにちょっと振り分けされました。これは何か具体的な物差しがあったんでしょうか。どういうものは交付金、どういうものは一般財源化、どういうものは既存の財源でも吸収できるから廃止のしっ放しと、ここに三種類になっているんですが、何か物差しありますか。
  39. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今回の臨調答申でも、補助金の整理合理化一つとしていわゆる人件費補助金についてはなるべく早く一般財源化すべきだという趣旨の答申が出されております。そして私どもも地方行政立場から補助金制度のあり方としていわゆる人件費補助というものは地方自治の見地からも好ましくないという考え方をシャウプ以来とり続けているわけでありますが、五十八年度の予算編成におきまして、ただいま先生御指摘のように、農水省関係が多いのでありますけれども、一部の補助職員につきまして廃止、一般財源化されたもの、それから交付金化されたものと三つの合理化が行われております。  このうち全く廃止されたもの、これについてはその当該事務事業の必要性がなくなったという意味で廃止されたものと思います。それからもう一つの類型は、比較的人数も少ない、規模も小さい系統のものについていわゆる一般財源化が行われております。すなわち補助金はやめますけれども、関係の職員の人件費は地方の一般財源でカウントする、具体的には地方財政計画上必要経費を計上して、それに見合う一般財源を確保するという方式がとられておる。そして一番数の多い農業改良普及事業関係などと、それから中小企業診断指導関係の事業につきましてはいわゆる交付金化が行われております。  これどういう考え方でこのような整理をしたのかについては、正確にはやはり国庫当局あるいはこの補助金の所管省の考え方を伺わなければいけないのですけれども、私ども聞いておるところによりますと、比較的人数も少なくて地方が一般財源職員として受け入れてそう支障のないものについて一般財源化が図られた、それから農業改良普及員などのように人数も非常に大きいし、またいわゆる人件費補助と事業費補助、活動費補助が一体的に運用されているものについてはこれを交付金化する、いわゆるユニットグラント方式に変えまして、一定の客観的な指標で総額を交付する、そうしてその交付金につきましては各地方団体の判断でそのそれぞれの交付金の目的事業にこれを充当していく、このように変えられた、このように承知しております。すなわちこの三つの区分けにつきましては、事務事業の実態、規模、必要性、こういったものとの関連において仕分けがなされたように承知しております。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、ちょっと細かい数字の食い違いはいずれ聞くことにしますが、そこで、いまの問題で、私どももまずは人件費補助から始めて、これを自治体財源に振りかえていくということは異存がありませんけれども、ただ前々からこれは自治省もそう言って、地方団体も、われわれもそう言っているんですが、仕事は残すわ、ちゃんとした折り目けじめのついた財源の振りかえはないわということでは、これは困る。  いまのあなたのお話聞きますと、比較的規模の小さいわずかなものというのは即廃止で、事業を廃止するかしないかは自治体がやることだから、事実上地方財政全体の中で吸収できる、その程度のものは余り目くじら立てないで即廃止、中程度のものはこれは財源振りかえ、でかいやつは国の方が権限抑えたかったのかどうかわからぬけれども、交付金ということで抑えておるような形になっているんですが、それだって五十八年度は細目がついているからいいですよ、交付金。五十九年はその辺は全然今度は中の細目がつかないで、つかみで幾らというふうになる可能性があるんじゃないですか。その点どうですか。
  41. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) いま御指摘の点は、農業改良普及事業関係中心とするいわゆる交付金化されたものの今後の扱いの問題だと思うんです。おっしゃるとおり交付金化されまして、金額の内容についてチェックしないと、じり貧になってしまうという心配があるわけです。  そこで、今回の交付金への振りかえに当たりましては関係省庁とも十分確認いたしまして、その振りかえ時点における積算内容というものがあるわけです。トータルとして人件費がどうなっている、事業費がどうなっているという。それぞれの事業につきまして今後五十九年度以降各年度の人件費の動向、あるいは物件費の動向等を勘案しながらその交付金の対象となる事業の水準を維持できるように必要な財源を確保していくということをそれぞれ関係省庁とも十分話し合っております。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 この点は大臣にも確認しておきますが、これから小さなものは地方財政全体の大枠の中で消化できるからまあいいわというふうに思っているうちに、だんだん国からの移譲財源の裏づけのない一般財源化というようなものが拡大をされていって、相対的にはしりは全部自治体が最後は引き受けてしまったということになる心配があるわけなんですよ。これは前々からも補助金を廃止して一般財源に振りかえるという基本的な主張と裏づけがなければ困りますよという立場はいつでもはっきりさせておるわけであって、この点は大臣もはっきり構えていてもらわぬといかぬと思うんです。  大蔵省と自治省との関係で言うと、たとえば後で触れますが、利子の二分の一ルール、利子の全額負担だって、これ制度改革でございますと言って何年もたたぬうちに半分持たされたりしましてね。からきしだらしがないんだ、そういう意味じゃ。この辺の点は、なし崩しに財源裏づけのないまま自治体がひっかぶってしまうということのないように、これはひとつ全日自治体の重要な問題ですから、しっかりしてもらわぬといかぬと思います。大臣、どうですか、その点は。
  43. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 財源は確保しながら一般財源化していく、こういう方針でやっていきます。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 行革に絡んだ問題はひとまずここで切りまして、残余一、二お伺いしますが、B&Gという財団がありますね。これ地方公共団体とこのBG財団とのかかわりはどういうものになっておりますか。そして、さらにこのBG財団というのが発足をするに当たって地方公共団体財源とのかかわり、いわば公営競技の財源あるいは自治体間の財源の均てん化というようなもので自治体と無関係にできたわけではないわけで、この財団の発足に当たって地方財政等々のかかわりにおいて自治省としてはどのような関与があったのか、 この辺ちょっと説明していただけますか。
  45. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) BG財団は運輸大臣の認可の法人でございますが、このBG財団のスタートの際に自治省として直接これに関与したということは聞いておりません。記録もございません。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、自治省はこれにかかわりがない。地方公共団体はどんなかかわりを持っていますか。
  47. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方公共団体におきましては現在BG財団がいわゆる海洋性リクリエーション事業というものを行っております。具体的には地域海洋センターというようなものをつくりまして、そこでプールでありますとかあるいは体育館でありますとか艇庫とか、こういったものをつくっております。その設置につきまして、関係地方公共団体設置をBG財団に要請している、その際に市町村から設置の要請がなされ、あるいは団体によっては都道府県がこれに副申をつけている、こういうような状況になっております。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 自治省かかわりないと、そうでしょうかね。  これは私は憶測でしかないけれども、BG財団という、何というのか、ブルーシー・アンド・グリーンランドというんですね。という財団の寄附行為が承認されて以来もうずいぶん長いことたつのですが、簡単に言うと競艇という公営競技の特別枠をつくって、そこで上がった上がり金を事業に充てる、その事業というのは施設づくり、組織づくり、リーダーの養成という三つになっているわけですね。  この施設づくりのところを見ますと、どこでも欲しいものをつくってやるかと言うと、そうなってないんですね。そうなってなくて、まずは公営競技をやってないところなんですよ。これを財政的な視点で考えますと、よくありますように公営競技の金をみんな山分けしたらどうかという議論がありますが、結局その公営競技の上がりのお金というものを公営競技をやっていない地域に均てん化をするという、そういう使い方をしている面があることだけは確かなんですよ。  そうしますと、これはやっぱり公営競技の益金全体を地方財政にいろんな形で役立てておる自治省がこれの設立のときからこれにかかわりないということはないと思うのだな。でなかったら、公営競技をやってない場所を適地として施設を建設して委託契約を結んでやらせるということに話はいかなかったんじゃないかと思うのですが、本当に関係ないかな、これ。
  49. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私が申し上げましたのは、財団設立の際に自治省が何か積極的な役割りを演じたかどうかというお尋ねかと思いまして、そういうふうなことは私聞いておりませんし、記録にもないのでありますが、ただ運営につきまして、たとえば船舶振興会がその助成金を配分する際に、どうしたら地方公共団体に最も公平に配分できるかというような方針を決める際には私どもにも相談あるいは意見を求めてきております。そういった際に、私どもは公営競技の収益均てん化の見地から、その収益金のない団体に優先して配分していただくということが望ましいと、こういうような意見はかねがね申し上げております。  したがいまして、全体としての収益金の配分について意見を求められることはありますし、これについては私どもも地方財政の見地から意見は申し上げております。そういう意味ではかかわり合いを持っております。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 そうすれば、もう少しあなたのところに詰めて質問しますが、公営競技の中でも競艇だけが財団法人で、その他競馬、競輪というのが特殊法人になっておる。これ少し何とかうまく改善ができないものかというふうな意見は前からあったんですが、私はきょうはその問題には直接触れませんで、とにかくB&G財団がその事業のうちの一つ、施設づくり、具体的には海洋センターと言うんですが、その海洋センターの中身は体育館と、ボートを入れる艇庫というんですか、それをつくって、それをつくるには自治体は適地を探して提供する、その上に建物ができる、建物ができるとそれを自治体と財団との間に委託契約を結んで自治体がそれを管理運営する、こういう仕掛けになっているわけなんです。  それで、うまい話がついておりまして、三年以上大変利用率がよかったり喜ばれておったら、おまえの自治体にこれをくれると、こう書いてあるわけなんですね、譲渡すると。三年せっせと利用率向上に励めばもう体育館一つぽんともらえるのかなと思うから、幼稚園の子供だろうと構うことないからみんなそこへ連れていって員数にしまして利用率を上げているわけだ。そういうことをやっておるんですが、問題は、そうなりますと、これは公共の施設ですね。
  51. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 地方自治法上の「公の施設」というのは別段所有権を持っていなければならぬということでもございませんし、何らかの理由で管理する権限を持っておれば公の施設になり得るということでございます。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、地域海洋センターというのは、あれは体育館なり艇庫なんですが、社会教育法第三条に言うところの「国及び地方公共団体は、この法律及び他の法令の定めるところにより、社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布その他の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。」というこの条文にかかわる施設ですか。
  53. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 御指摘の施設がそういった法律にかかわる施設であるかどうかということにつきましては私ども責任あるお答えをする立場にございませんが、地方自治法上の「公の施設」というのは非常に幅広いものでありますから、あるいはそういう法律と関連をする面があるかもしれません。確実なお答えはいたしかねます。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 私はこれはいずれ時間をもらってゆっくりやりますが、問題だけ言っておきましょう。  これの建設を申し込むときに、三年以上利用率がよかったりなんかすると地元に無償で譲渡をするというくだりがあるわけなんです。財政難の折から、できるだけそういう公の施設あるいは社会教育、スポーツの施設が欲しいという自治体気持ちもわからぬわけじゃありませんが、そういうところに飛びついてこれを大いに利用しておるということになるのでしょうが、公の施設にしては、たとえば委託契約の中に一定の報告が義務づけられたり、あるいは公の施設をBG財団が立入検査をしたり、あるいは地域にそういう社会教育施設、スポーツ施設を欲しければ地域のニーズに応じて建設されるのであるかというと、そうではないのでありまして、一定の規格で、地元の業者なんかは全然それの建設には入札も入れてもらわなければ、資料も納めることもできないで、とにかくこの財団の一方的なセット事業として規格品を地元の業者等も排除をされてつくられる。全く地域のニーズはこれにはかかわることができない。  その施設というものも、一種の鍛練施設、精神修養施設でありますから、普通の体育施設等に常識的に盛り込まれるような施設の内容というふうなものはずいぶん欠けておるというふうに中身である。三年後にもらえるかもしらぬという利用率を上げるために体育館と併設をしたり、あるいは幼稚園、保育園の子供をスクールバスでみんな運んで、そこへ行って遊ばせることによって人数の総枠、利用者の総枠をふやして報告をする。あるいはまたこの施設にはこのBG財団の会長さんの処世訓とでも言うべき、あるいはその人の哲学とでも言うべき訓辞が掲げられる。肖像画が掲げられる。孝子像が表に建立をされる。最近は撤去されたようですが神棚が置かれる。こういう形でBG財団の哲学というか、理念というか、思想というか、そういうふうなものが大変太い線で貫かれ ておる。公共施設であるからにはそういうものは好ましくないと私はこの機会に指摘をしておきたいと思うんですね。  もう一つはリーダーの養成、委託契約の中に、育成士というようなものがなければそれ委託さしてくれぬものですから、当該市町村の職員がBG財団の行ういわばリーダー養成の研修等にどうしても数カ月間参加をしてこれの育成士というリーダーになる。これは地方公務員であります。地方公務員でありますね。そういう形になって、その人を中心にしていわゆる海洋少年団等の特定のいわばグループの組織化、あるいはそういうものにかかわるという仕組みになっておるのも、それはその自治体の要請である体育館の施設であるとか、あるいは若者の教育であるとか鍛練であるとかというものが自発的に行われることについて私はとやかく言うものじゃありませんけれども、これは委託契約の条件としてそのようなことがなされ、その条件に違背をすれば直ちに契約を解除される、立ち入り検査がされるという権能がBG財団側にある。まあよく役所の方が民間を立ち入り検査するという話は聞いたことがあるけれども、民間が役所を立ち入り検査するというのは恐らくこれだけだろう。こういうような内容になっておることに私はやっぱり弊害があると思うんですよ。  これは自治省もかかわりなしとしない。都道府県は副申書をつけ市町村に周知徹底をする役割りを担っておる。市町村も市町村ですよ。ぶら下がり根性というのか、高度経済成長時代の惰性になれて、量さえあれば何でもいいというので、その辺から取れるものは何でも取るというふうな、こじきみたいな根性でこういう施設にぶら下がる。そのために大事な自治の機能というようなものを特定のグループのそういう精神運動に寄与するという、こういうところまでいっては邪道になる、私はそう思うんです。この点自治大臣どうですか。
  55. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 本来は市町村自身が自分の手で、自分の判断でいろいろな住民の福祉増進のための施設をつくってそれを利用させるということが一番好ましいわけでありますけれども、いろいろな財政事情もありまして他の者がつくった施設を借り受ける、あるいは委託の管理をするということも間々あろうかと思います。それはそれなり一つ効率的な運用の方法であろうと思いますが、ただ、先ほどお示しのような条件といいますか、三年たったら利用がよければもらえるというような条件がございますだけに、いろいろ財団の意思というものが委託管理契約の中に条件として盛り込まれている。そこで問題はそういった条件というものを受け入れてまで住民の福祉を増進することがいいかどうかというその地元市町村の判断ということになるわけであります。  したがいまして、こういった問題について意思を決定する場合には、執行部あるいは議会の方がいろいろ緊密に相談をして、果たして住民の福祉増進に役立つかどうかというような結論を得てこういった申し込みをされ、管理の委託を受けているものと存じます。それぞれの施設の設置原因というものが違えばおのずからやはりその施設の管理運営のまた条件も異なってこようと思いますけれども、結局は、先ほど御批判がございましたけれども、地元市町村のそれを受け入れる場合の意思決定、それが住民のためになるかどうかという意思決定にかかわる問題であろうと思います。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 私は社会教育行政における地方公共団体の責任というものをこの際に改めて注意を喚起しておきますが、もちろん責任はあっても、あらゆる施設やリーダーや、そういうものがすべて提供できるわけではない。でありますから、民間の施設を借り上げたりしていろいろ工夫をするのは大いに結構だと思います。しかし、そのこととBG財団が提示をするさまざまな条件というふうなものは、公共施設の管理運営にとってはいささか行き過ぎが出てくるという、そういう要素も十分にあるということについて、きょうのところは指摘をしておいて、いずれまた細かくやりますので皆さんの方でもよくお調べを願いたいということにとどめておきます。  その次に、これひとつ、ちょっと行政局長、ついでですが、ずばり事例を挙げましょう。公選法関係。  越山会というずいぶんでかい後援会がありますが、ここが、あれ映画はどこがつくったんですか、「小説吉田学校」という、何でも自民党の、戸川猪佐武の「吉田学校」の映画化なんです。そこには西郷輝彦という役者がおって、田中角榮さんを演じてずいぶん迫力があるんだそうですね。これはうちの先生の生い立ちを見るようなものだから大いに諸君見に行けというので大いに会員に奨励をした。そこまではいいでしょう。で、おれは見に行きたいと言うて後援会の事務所に申し込むと、千五百円の映画館の入場券がただになる。先着千名様というから、まあ先着順にということになる。結果的には何のことはないですよ、ただの映画券を配るという形になりますね。これは公選法上いかがなものですか。
  57. 岩田脩

    政府委員(岩田脩君) お答え申し上げます。  御承知のとおり、公職選挙法の上では後援団体が行う寄付についての一定の制約の条件がございます。ただ御指摘の越山会というのが後援団体であるかどうかというのも一つ問題は問題なのでございますけれども、仮に後援団体であるといたしましても、実は公職選挙法の上における後援団体がその選挙区内にある者に対して寄附をすることを禁じている規定は一定の期間の制限がございまして、たとえば衆議院の総選挙の場合ですと、任期満了前九十日に当たる日からその選挙の期日までの間規制を受けるという形になっております。ですから、現在の時点に関して申し上げますと、後援団体が行う寄附行為については特別公職選挙法上の禁止規定がないということに相なります。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 候補者等の寄附行為の禁止には当たらないという見解ですね、あなたの方は。
  59. 岩田脩

    政府委員(岩田脩君) そこら付近が寄附の実態にも絡んでくることでございましょうけれども、御承知のとおり、候補者または立候補しようとする者、公職にある者、これはただいまの期間のいかんを問わず選挙区内にある者に対する寄附が禁止されておるわけでございますけれども、いまの越山会とお名前をお挙げになりましたけれども、候補者と団体とは別個の存在でございますので、いまの候補者、候補者たろうとする者の寄附の禁止規定を直ちに当てはめるわけにはまいるまいというように存じております。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 警察庁、いま御存じのようにいつ衆議院の解散があるかというので、率直に言って議員は走っていますな。ダブル選挙の四月二十四日なんという説があったくらいですから、私らもずいぶん走りましたが。そういう状況です。そして越山会というのは、もう私から説明申し上げるまでもなく、特に新潟県においてはずいぶんたくさんの県会議員や市町村の議員、市町村長まで所属をする大きい一種の政治団体ですね。これがいまのような行為を行っておる。候補者等の寄附禁止に当たらなければ、もう一つ何かに当たりませんか。
  61. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいま自治省の方からお答えがありましたとおりだと思います。私どもの方も実態に即して判断していきたい、こういうふうに考えております。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 買収には当たりませんか。
  63. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 実態がはっきり把握できませんので、具体的にどういうことになるかということについてのお答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 実態を私言っているでしょう。「小説吉田学校」という映画がかかるから、そのうちには田中先生の一代記がのっておるから大いに皆さん見に行きましょう、おいでになる方には千五百円の無料券を差し上げますと、こう言っておる。実態はそれ以下でも以上でもない。いかがですか。
  65. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) いまお話しの点だけで買収罪になるかどうかという点に関してはなかな か判断はむずかしいと思います。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、候補者等の寄附行為の禁止、私なら私の名前で映画の券配ったり、あるいは花輪を贈ったり、香典、寄附が一般の社会通念の範囲を越えることをすれば候補者等の寄附禁止だ、ただし後援団体ならいいということになっているわけだ。  そうすると、私の後援団体が映画の券であれビールの券であれ、やたらとその辺に配っても全然一方の買収行為にも当たらなければ、いつ選挙があるかわからぬという意味では買収行為にも当たらないし、それから九十日以内でなければ寄附行為の禁止にも当たらない、後援団体と名乗っているのだから全然差し支えないということになりますか。法律はそういうことを容認しているんですか。
  67. 岩田脩

    政府委員(岩田脩君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、後援団体が行う寄附についての規制は九十日間という規定がございます。ただ、そのことが買収に当たるかどうかという話は、刑事局長からお話がございましたように、また別のことだと考えております。
  68. 志苫裕

    志苫裕君 しかし、寄附行為の禁止というのが、五十二年法ですか、できるときの議論は、それは花輪を贈ったり香典をおあげしたり、あるいは何かたまに寄附をするというようなことは普通あり得ることなんです。そのことを口実にして際限なく広がっていくことを抑えようというのであれがやられたわけですね。  こういう形で行われるとすると、まさにその芽をみごとにくぐり抜けられる、あのときみんなして禁止をしようと言ったその精神を物のみごとに覆していくことができるという中身になっているんです、これは。それとも、実はそれはしようがないんだ、後援団体の名前で配る分には構わないんだということになったら、これは大変なことになりますよ。皆さん大いにみんなおやりください、ここにいらっしゃる皆さん全部後援団体の名前でそうやって隣近所から何から九十日以内でなければ大いに結構ですという解釈になるんですね。
  69. 岩田脩

    政府委員(岩田脩君) 選挙に関する寄附、さらには選挙には直接関しなくても政治活動に関する寄附、このことについてどういう形で規制をかけるかということについては、御承知のとおり五十年改正以来、もう代表的な例ですけれども、いままでたびたび御議論のあったところだと思います。実際のそれぞれの団体の政治活動の実態、さらにはそういった後援団体一つ団体として世の中に存在しておるという実績、そういったようなものを踏まえまして、候補者については一切の寄附行為を禁止するけれども後援団体については一定期間内にすべての寄附を禁止するという選択で御立法があったものというように考えております。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、いずれこれはまた別の機会にやることにします。  最後でいいですが、実は大阪府警、兵庫県警の賭博遊技機にかかわる汚職、この間判決も大阪府警についてはあったようでありますが、大変遺憾なことであります。当委員会国家公安委員長からこの問題について報告を受けたこともないし、遺憾の意の表明を受けたわけでもないのでありますが、最近中学の卒業式などにも、あるいはまた青少年の非行などにも警察の役割りが何か出てきたような雰囲気ですが、おとりを使ったり、あるいは賄賂を要求したりというふうな状況がある限り警察が教育の場に顔を出す資格などはない、私はそう思います。  これについて細かく聞きたかったんですが、時間ありませんので、国家公安委員長、ひとつ所見を伺っておきたい。
  71. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いろいろ少年非行といいますか校内暴力、これは私はやっぱり教育の問題だと思うのです、家庭教育あるいは社会教育あるいは最も重要な学校教育。ですから、子供の人間形成という場で、これ魂の問題なんですから、これはやはり教育が解決をしてもらわなければならない、これはもう私どももそう思っているんです。  しかし、いかにも校内暴力は最近やや減少の傾向にある、こう報告を聞いておりますが、逆に教師が被害者になる、教師がぶん殴られるという事案がどんどんふえてきているという事態は、これは私は学校教育としても重大な事態じゃないか。警察の立場は、私は出しゃばっちゃもちろんいけない、ただそういう暴力が行われるというのは私は警察としては見逃せない、こう思うのであります。私は教育がもっとこういう校内暴力を一つでもなくするように今後とも格段のひとつ努力、配意をしてほしいなと、こう思い、また同時に暴力がなくなることを願うという立場でおるわけでございます。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと、少しピントぼけているんじゃないの、答弁。あなた、前段の方の答弁ないじゃないか。大阪と兵庫の方の答弁してください。
  73. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これはまことに遺憾なことでありまして、私は、常に規律というものは警察というそういう組織の生命だ、ですから規律を振粛するということはこれは常に念頭に置いてやっていかなければならぬことだと思っております。  先般来の事案については全く遺憾なことであり、今後こういうことの起こらないように警察内部の規律の振粛に努めるといういろいろな方途を考えなければならないと、こう思っております。日本の治安は、これは世界の中でも非常にいいと言われておりまして、私は特に一部の、私はこれは一部だと思うんですが、そういう不心得者のために警察全体の士気が衰えるということになってはこれはいけない、こう思っておりまして、まじめにやっていてくれる警察官の士気の振作ということも一つ考えていかなければならない問題だと、こう思っておるところでございます。
  74. 上條勝久

    ○上條勝久君 私は、自治省所管の全体についてお尋ねをいたしたいと思いますが、きょうのこの予算の委嘱審査ということにはあるいはなじまないかもしれませんけれども、それぞれ私自身非常に大事であるという考えのもとにお尋ねをしてまいりたいと思います。一問一答方式を避けまして全部一遍に聞いてしまいますから、お答えの方もそれぞれひとつまとめて大臣なり政府委員からお答えをいただきたい、そう思います。時間がありませんので、簡明にまずお願いをしておきたいと思います。  第一点は、基地交付金の問題でありますが、実は私は以前の予算委員会でもこの問題の持つ非常な重要性を痛感いたしまして、当時のたしか大蔵大臣自治大臣、防衛庁長官、それぞれ私の考え方に対して御賛意をちょうだいしておる、こう思うわけでございます。    〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕 というのは、やはり日本の国を守っていくということは、これはやはり全国民の私は義務である、その守り方に問題はあろうかと思いますけれども、それは義務である。その中で基地と言われるものがかなりありますけれども、いずれも非常に大事に施設を持った基地である。しかもその基地の所在する市町村、当該市町村におきましては、これまた精神的あるいは経済的に直接間接にかなりの負担を強いられておることも事実であろう、こう思うわけでございます。  仮にこれらの基地を他に移転しなければならぬというようなことになりますると、私は日本の国は狭いと皆さんおっしゃいますけれども、決して狭くないという考えを持っておる一人でありまするが、どこの市町村なり地域でも、どうかひとつおいでくださいというところは一つもないだろう、そういうことを考えてみますると、その基地の当該市町村の状況等を勘案されて交付される防衛庁の交付金なり、あるいはまた自治省で御所管になっておるこの交付金というものは、その意味が非常に高いものがある、しかもまたこの予算は非常に使い価値のある金である、かように思っておるわけであります。この点を予算委員会でもただし たのでございます。  そこで、この基地交付金というのは、私の概念では基地に所在する固定資産に対比して百分の七十五が配分される、それからあとの二十五は、これは基地の性格なりあるいは市町村の財政事情等を勘案して配分されるという仕組みに相なっておると思うのでありますが、これがゼロシーリングの中において、五十六年度にこの五十七年度を比較してみますると、私の記憶では四%ぐらい基地の固定資産関係が伸びている。というのはいわゆる防衛予算が増額をしておる、にもかかわらずこの基地交付金を含んだ自治省の予算はゼロシーリングに抑え込まれてしまっておる、そういう結果であろうと、こう思うわけでございます。  そこで、これがまたことしあるいは来年に一体どうなってくるかということになりますと、現在の状況でいけば、防衛費は御承知のとおり伸びているわけでありますから、恐らくやはり五十六年度、五十七年度対比以上の比率でふえてくるんじゃないか。そうなった場合に、今後これは自治省のやりくりでいろいろ配慮をされて、当該市町村にしわ寄せにならぬような配慮はあるものとは私は思いますけれども、それはつまびらかに承知いたしておりません。しかし、そういう措置が講ぜられることな、特に専門家であり、また期待の中に就任された山本自治大臣でありますから、大変私は大きな期待を寄せているところであります。  ただ、きょうは大蔵省来ておりませんが、いまの大蔵大臣予算委員会でこのことについて了承しておるわけでありますから、その竹下大蔵大臣のもとでこれがやはりゼロシーリングの中に抑え込まれるということは、私はどうも大蔵大臣はこの予算の特質というものを理解しておらぬなと、こういう感じを強く持っておる次第でありまして、どうかひとつこの交付金についてはそういう点等を配慮の上ぜひひとつ、予算はこれは力の分捕りですから、理屈はどっちにもあるわけでありまして、私は中川科学技術庁長官壮健なりしころ、あなたはなかなか元気がいいのだから、渡辺みっちゃんの横びんたを張り回してでも予算を分捕ってきなさいよということを言ったことがあります。そういうものなんです、これは予算は。だから、ぜひひとつ自治省では、この点については腰を強くお取り組みをいただきまして、向後にいま私が申し上げたような現象があらわれることのないように、また私も機会を得て大蔵大臣にもひとつお尋ねをし、お願いをいたしたい、こう思いますので、お願いをしておきたいと、こう思います。そのことについてどうお考えになっておるか、これが第一点であります。    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕  それから、地方財政が非常に厳しい。先ほども志苫委員の御発言の中にもありましたが、私は国の公共事業等を含めまして地方の公共事業に該当するような都道府県、市町村を含んだ単独事業、これもかなりな予算になるわけでございまするので、特にこういう緊縮の場合にはこの予算の使い方、すなわち工事を行うならばその施工法を合理化する、合理化するということはよりいい仕事をより安くやる、こういう創意工夫というか研究努力を御指導いただく必要があるんじゃないかなと、こう考えておる次第であります。これは私の希望でありまして、そういうお気持ちで御指導いただく必要があってもしかるべきじゃないかと、こういうことでございます。それが二点であります。  あと消防庁関係で、長官見えておるが、どうも最近のホテル等の火災の状態を見ておりますと「適」マークをいただいておるホテルが必ずしも完全ではない。また「適」マークがなくても、その管理の状況によりましてはそういう事故が発生していないという事実もこれは事実であります。  そこで、私は自分の郷里のことを言って恐縮でありますけれども、宮崎に比較的有名な、これは皆さんもぜひ一遍お泊まりをいただきたいと思うわけでありますが、海岸に「フェニックス」というホテルがあります。そこの社長は佐藤棟良といいまして、東大を出て商売をやっておるわけでありますが、実は守衛の部屋からあるいは便所の隅々まで社長みずからが、これは大阪でも旭洋製紙とかいろいろな総合的な企業をやっておる社長なんですよ。それがやっぱりみずから自分のお客様を泊める大事な施設である、また一方においてはホテルも繁盛しなければ大変だと、こんなことで見回りまして、そして社長みずからがその管理に怠りない。もとより月に一遍か二月に一遍ぐらいであります。  しかし、私はこの前から施設を整備すること、これも大事です。また消防管理者等の教育も必要です。しかし、より一番大事なことは、一番トップにおる企業の長がやはりそういったような心構えを持っていただくような指導を、できれば義務づけると一番いいのだが、そこまであるいはいかないかもしれないから、そうすれば指導でやっていただいて、そしてここは、私の申し上げた「フェニックス」は「適」マークはないんです、これは御承知のとおり。そういうことでありまするので、ぜひひとつやっぱり企業の総元締めの教育、そうしますと、やっぱり社長が陣頭に立ってそういう細かいことまで配慮いたしますると部下がこれを見ております。見ておる部下には非常に大きな励みになる。でありまするから、私は単にその担当者だけの教育をする、あるいは施設を整備するだけでは十分じゃないのじゃないか。そういう点について、ひとつ消防庁長官ぜひ前向きに検討をして取り組んでもらいたい、こう思います。  それから、最後に警察庁、先ほど志苫委員の発言もありましたが、日本の警察というのは、先ほども大臣から御発言のとおり、やはりこれは世界に冠たる警察である、こういうふうに私自身も非常に誇りに思っております。そしてまた多い数の中でありますから不心得な者がたまに出てくること、これもまたみんな神様でないのですから、しかしそういう言い方をいたしますると、これは非常に危険も伴いまするので、これは適当でないと思いますが、要するに今度の事件の状況を見ておりまして感じますことは、単に不心得な一人、二人じゃなくて、どうも何か一つの固まったグループがというような感じを受けるわけでありまして、まことに残念であります。  しかし、先ほどはっきり大臣もおっしゃいましたが、私は、所信表明の中で綱紀の粛正をやるというお話がありましたので、この中に今後これらの問題については遺憾であるし、そういうことのないように万全の措置をして綱紀の粛正をやっていきたいと受け取っておったのでございます。ございますが、またこの経緯なりあるいは処分等につきましては、先般警務局長から細かい報告をいただきました。警察の中に起きた事件でありますけれども、厳正に対処されたと、私はそれはそれなり評価をいたしております。  ただ、これから再びこういう問題が起こらぬようにという大臣お話もございましたが、そのとおりで、それはもう心から期待いたしますけれども、この前の具体的な警務局長の対策を伺いましたけれども、私は余り詳しくはありませんけれども、ささやかな教育に対する私の経験からいたしましても、先ほどのホテルのことではありませんけれども、警察官で一番大事な時期というのは巡査部長試験に合格するときじゃないかなという気がいたします。  事件をずっと見ましても、一巡査その他いろいろありますが、主としてやっぱりその辺のクラスが多いのじゃないか、今度の事件でもそういうことが言えるのじゃないかと、そう思うわけでありまして、この巡査部長試験というのはやはり警察官上進の一つの大事なはしご段じゃないか。したがいまして、この巡査部長試験の際に警察大学へでも何でも一週間でも十日でも缶詰にしていただいて、学問も大事でありますし、いろいろ制度上の問題も大事でありますが、今度のようなことが再び発生しないような思想教育といいますか、そういうことを徹底的にひとつやっていただいてはどうかなと、これは私の提案であります。そして、できれば御多用の際でありまするが、大臣にもおいでをいただいて大臣みずからもひとつ十分 お話しをいただく、そういうふうなことも一つ考え方じゃないかと思いますので、ひとつお聞き取りの上、考え方を承れば幸いである。  以上申し上げましたが、時間が十五分しかありませんから、どうかひとつ十五分以内に、早い方が結構ですが、簡明にお一人ずつお答えをいただきたいと思います。
  75. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 最初の基地交付金の問題につきましてお答えを申し上げます。  基地交付金につきましては、私どもは先生お話のありましたように固定資産税の代替的性格を有するものであるという考え方を終始一貫持っておるところでございますが、残念ながら法律上はあくまでも助成交付金ということで、予算の定める範囲内において交付する、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、昭和五十七年度予算及び五十八年度予算を編成するに当たりまして、国の方針といたしまして補助金の一割削減ということが実施されたわけでございますけれども、その削減対象に入れられてしまっているわけです。  自治省全部合わせまして一千億ちょっとしかない補助金の中で、二百億近い基地交付金の一割削減をしろということでございますが、自治省の中の補助金の中でも最も重要な補助金の一つであるというふうに私どもは考えておりますので、むしろほかのところに御遠慮いただいたといいますか、カットいたしまして、基地交付金につきましては五十六年度額をそのまま続けて維持をしてきたような状況でございまして、私どもといたしましては、基地交付金の重要性並びにこの補助金額を確保するということについては最善の努力をしてきたというふうに考えております。  今後におきましても、基地の重要性及び基地を維持するために地元の対策というものが大変重要であるということを認識いたしておりますので、今後におきましても予算折衝の段階で所要額を確保できるよう最善の努力を続けていきたいと考えております。
  76. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 昭和五十八年度の地方財政計画の策定に当たりましては、五十八年度の地方財政の環境非常に厳しいというようなこともありまして、地方単独事業は前年度と同額の八兆五千五百三十六億円を計上いたしております。すなわち前年対比伸び率ゼロという形になっているわけであります。ただ、この執行に当たりましては、先生御指摘のように効率的な執行に努める、いろいろ努力、工夫していただく、さらに地方団体財政全体の中で極力経常的な経費を節減して投資的な経費を確保していただく、こういった指導をしていきたい、このように考えております。
  77. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ホテル・ニュージャパンの火災以来ホテル火災が続いてございまして、大変遺憾なことだと存じております。亡くなられた方には心から御冥福を祈りたいと存じますが、いまお話がございましたように、私も全く同感でございます。  建物の安全を確保するというのは、単に消防用設備のハードの部面だけではなくて、まさに防火管理の面が大変重要でして、この両面が相まって初めて人命の尊重という点に思いをいたすことができるのであろうと思っております。そういう面につきまして、特に防火管理の面につきましては、いまお話がございましたように、経営者の防火意識と申しますか、これが大変重要であるという観点から、防火管理者の講習に加えて経営者の実は研修も行っているわけでございます。特に今回の蔵王の観光ホテルの火災がございましたので、木造三階建て以上の建物につきまして、いま現在悉皆調査を行っておりますが、この際にも防火管理の面に特に注意をして、経営者に対する教育もあわせ行うようにということを実は指示をいたしてございます。  全く先生がおっしゃっていることは私たち考えていることと同感でございまして、今後とも防災教育の充実強化のために努力をしてまいりたいと存じます。
  78. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 大阪府警の不祥事案に引き続きまして、兵庫県警察におきましても同種の不祥事案が発生いたしており、国民の警察に対する信頼を大きく損なう結果になり、まことに遺憾であり申しわけなく存じております。  今後はただいま先生からお話がございました貴重な御示唆を十分参酌しながら、人事管理の徹底、監察機能の強化、特に各種教養の徹底を図り、防犯保安部門の体質強化等とも相まちまして規律の振粛を完全なものとし、事故防止の万全を期してまいる所存でございます。
  79. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま上條委員からいろいろ御示唆をいただいたわけでございますが、基地交付金の問題は、これは自治省の予算というのは交付税とかそういうのは非常な巨額に上るのですけれども、自治省自体の予算というのは余り大した予算じゃないわけですが、その中でやはり基地交付金というのは大変な大事の予算でございまして、常に予算編成の際には自治省としてはこれ非常に大事に考えて対処してきたものでございます。ただいまお話がございましたが、五十六年から七年、八年にかけて横並びになっていたわけでございますが、来年度一体どういう予算の、特に補助金という名前でいくとどういう組み方になるかということが心配されるわけでございますが、しかしこれは固定資産税の代替措置でございますから、普通の補助金とは性格が違うという点を今後とも強調してまいりたいと考えております。  それから警察教養につきましては、教養の非常にいい御示唆をいただいたので、今後ともこれを参考にして努力をしてまいりたい、こう思います。
  80. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 本日の委嘱審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十分散会