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政府委員(梅澤節男君) 現実問題といたしまして、現在相続税の課税問題をめぐって、いろいろ
議論が行われます
一つの大きな原因といたしまして、ただいま
委員がおっしゃいましたわが国における地価の特殊な状況があるということは、そのとおりでございます。今回御提案申し上げておりますのも、先ほど申し上げましたように、二百平米という小規模宅地に限定してではございますけれ
ども、そういう異常な宅地の情勢を勘案いたしまして、いわば課税の特例ということで
租税特別措置法で御提案を申し上げておるわけでございます。
それから、先ほど来大企業と零細企業と申しますか、対比の御
議論があるわけでございますけれ
ども、相続税の場合の
評価の基本は、これは
法律にございますように、資産については時価、債務についてはその時点の現況によるということでございます。したがいまして、客観的な株価の時価の相場の立っておりますものは、まさに現在、大会社につきまして類似業種比準方式で
国税庁がやっておりますように、客観的な同業種の時価相場の株で
評価できる、こういうことでございますが、小会社は、これはいろいろ
議論があるとは思いますけれ
ども、一番小会社の下の方にまいりますと、実は法形式としては法人格を持っておられまして、たてまえとしてはその同族株価に純資産価額が反映しておるということになるのでございますが、その実態は、実は個人と変わらないという実態があるわけでございまして、したがいまして、従来は課税の公平、バランスという観点から、そういう小規模な会社につきましては、資産と負債、純資産価額で
評価するということで貫いてきたわけでございまして、
評価の公平論から言いますと、それはそれなりに私は
一つのやり方であったと思うわけでございます。
ただし、先ほど来
委員が御主張になっておりますように、そういう小会社といえ
ども、やはり事業の継続性、収益性を反映した
評価があってしかるべきである、これも
一つの
議論でございます。先ほど
議論になりました中小企業庁で行われました研究会では、たとえばこういった小さな会社につきましても、収益還元とかあるいは配当還元という
手法で
評価すべきじゃないか、静態的なそういう純資産価額方式で
評価するのはおかしいではないかという提案があったわけでございます。これも理屈は理屈としてそのとおりでございまして、税制調査会の小
委員会でもそういう角度から
議論されたわけでございますけれ
ども、この提案の最大のネックは、小規模会社になりますと、収益あるいは配当について非常に操作
可能性というものがある。客観的に収益還元という
手法を使って時価が
評価できるかどうかというのは非常に問題があるわけでございます。
たとえば収益をどういうふうに観念するのか、あるいはある時点配当を操作した場合に、配当ゼロというような会社について、果たして配当還元という
評価ができるのかどうか、あるいはその還元率を一体どういうもので適用するのか。それから現在小会社の実態といたしまして、半分以上が形式上は欠損会社になっているわけでございますから、その時点で収益はゼロということになると、それではその会社の
評価はゼロであっていいのかというと、これはなかなか問題がある。つまり静態的に見れば、資産価値として
評価し直せばそれはそれなりの財産価値を持っている場合もある。そこはいろんな理屈はあると思いますけれ
ども、
一つの前進として、いわば妥協の産物であるかもわかりませんけれ
ども、とりあえず従来やってまいりました方式と純資産価額方式の併用ということで一歩を進めさせていただきたい。その課税の実態等を見ながら、今後ともまた適正な
方向を模索していくという趣旨でございますので、御理解を賜りたいと思います。