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政府委員(
山本純男君) 御
指摘のとおり、この問題は大変急がなければならない面があると私
どもも
理解しておりますし、この点につきましては、この春、事務レベルで
中国政府の職員との間で
協議をいたしました際にも、
中国側もやはり同様の
理解でございまして、
日本における肉親の方のみならず、
中国における養父母その他身内の
方々についても老齢化の時期が参っておりまして、基本的にこれはなるべく促進すべきであるという点では意見は一致いたしたわけでございますが、しかしながら具体的な進め方という点になりますと、これはなかなか
外交交渉を経なければならない点にむずかしさがございまして、基本的な
認識は一致したのでございますけれ
ども、たとえば五十八年度百八十人という訪日調査の予算を私
ども計上いたしておるわけでございますが、これにつきましても原則の合意だけでございまして、それを具体的に何回に分けて何名ずつ訪日させるかという点になりますと、これは実はただいま在外公館を通して現に折衝が始まっておるというまだ段階でございます。そういうところから、いま、具体的な運びがなかなか思うに任せない点もあるわけでございます。
そこで、将来の進め方でございますが、
一つは、
先ほど八百十六名の方が身元不明という御
指摘ございましたけれ
ども、この中にはすでに一度訪日調査をいたしましたが身元がわからなかった方が数十名含まれておりまして、
概数で申しますと約七百五十名ぐらいの方がまだ
日本の土を一度も踏んだことがないという方が現におられる。私
どもとしては、まずその七百五十名ほどの
方々にとにかく一度
日本の土を踏んでいただく、それが一番の優先的な
課題ではないかと考えておりまして、これを百八十人ずつでやってまいりますと御
指摘のように四年もかかってしまうわけでございまして、まあ少しでもこれを促進したいと思うわけでございますが、具体的な計画を立てるということになりますと、これはむしろ
外交交渉を前提に決めるべきことなだけに、私
どもが一方的に計画を立ててしまいますのはかえって
交渉面で感情的にもなりかねないと思いますので、その辺はなるべく促進するということで今後とも
中国政府との間で鋭意
交渉を続けるということにいたしたいと思います。
また、これ以外に、調査の方法につきましては、現地、東北地区におきます事情調査というものが必ずしも行き届いていなかったということを私
どもいろいろ感じておるわけでございまして、この点につきまして
行政機関の職員あるいは
報道関係の方から協力のお申し出があったりいたしますので、ひとつ現地での調査をもう少し進めたいということも
中国政府との間で
交渉をいたしておるのでございますが、これにつきましては、現段階では
中国側が大変消極的でございまして、できれば現地における調査は全部
中国政府、中央、地方の
政府に任してくれという段階でございます。これは今後ともひとつなるべく私
どもそれにお手伝いできるような
状況になれるよう
交渉をなお進めていきたいというふうに考えております。