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政府委員(
久本禮一君) いろいろ多岐にわたるお尋ねでございますので、若干不同になるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
確かに、最近原付の性能が非常に向上しているという面があることは事実でございますが、反面原付、自動二輪、そういった
一つの段階がそれなりの
システムとしての
意味を持っている点もございますので、原付は原付としてのやはり本来の
考え方の範囲であってほしいというのが私
どもの
一つの考えでございます。
それで、最近、
運輸省の方では、余り性能のよ過ぎる原付というようなものについては業界の方に自粛をするようにという指導をされているように承知をしておりますが、それは私
どもも大変望ましい
方法であるというふうに考えておりますので、その点ではいわば青天井で原付がどんどんよくなるということは、少なくとも今後の
状況としてはないであろうというふうに考えております。したがいまして、直ちに原付だけあてがっておけばそれでいいではないかという形にはちょっと
現実の問題としてなりかねるのではないかというふうに考えております。
したがいまして、二輪の免許
年齢の問題につきましては、その点を踏まえての
検討が必要であるわけでございますが、御
指摘のとおり自動二輪の免許取得
年齢を引き上げるということは多くの議論がございまして、その点について私
どももこういう議論には非常に現在関心を向けているところでございまして、
一つの
検討すべき
課題であるというふうには考えております。
しかしながら、この点につきましては、おっしゃるとおりまさに大変多くの意見や議論がございまして、その点についてのコンセンサスは容易に得にくい
状況でございます。
たとえば、単に自動二輪による
交通死者を原付とか四輪による
交通死者に移すだけではないかといったような意見、あるいは
年齢を引き上げることが果たして
事故防止対策として有効であるかといったような意見もございます。それから、
先生も御
指摘になりましたように、
現実に二輪を仕事に利用しておる少年に対する影響の問題も議論ではございますし、またさらに突っ込んだ意見といたしましては、むしろ現代の
車社会においては、なるべく早い段階から十分に車とのかかわりについてしかるべき積み上げをしておくのが、かえって健全な
交通社会人として成長させるためには重要でないかといったようなきわめて有力な意見もございます。
こういった点を踏まえて、さらにこういう二輪免許の引き上げということが、最近の
状況の中でもときどき見られますように、無免許運転の
増加といったような意外な波及
効果を及ぼす
可能性はいかがであろうかというような点を考えますと、これは
一つの大きな
課題ではございますが、直ちに引き上げという結論を出すには余りにも問題が大き過ぎるのではないかというふうに考えておりまして、今後より多角的な観点からこの点につきましては十分関心を持って
検討してまいりたいということでございます。
ただ、そういう形でいたずらに放置するということではございませんので、やはり
若年層の自動二輪免許取得という点につきましては、それなりにやはり他の免許取得の場合とは違った
対応をできるだけ事実行為としていたしたいというのが私
どもの考えでございまして、あるいは
先生お耳に入っているかと思いますが、いわゆる各県で若干試験的に試みておりますような、自動二輪免許のいわゆる段階的取得の指導であるとか、あるいは新免取得の際における二輪特別教室であるとかといったようなものは、そういう
一つの制約の中で、少しでも何とか二輪免許取得ということに伴う特別な
対応になるのではないかということで試みておるということでございますので、その辺の苦心をおわかりいただきたいということでございます。