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1983-05-13 第98回国会 参議院 公害及び交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十三日(金曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員の異動  五月十一日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     村沢  牧君  五月十三日     辞任         補欠選任     村沢  牧君     目黒朝次郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宮之原貞光君     理 事                 梶原  清君                 福島 茂夫君                 本岡 昭次君                 中村 鋭一君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 沖  外夫君                 山東 昭子君                 関口 恵造君                 内藤  健君                 中村 太郎君                 増岡 康治君                目黒朝次郎君                 小平 芳平君                 中野 鉄造君                 美濃部亮吉君    国務大臣        運 輸 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  内海 英男君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       丹羽 兵助君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       滝田 一成君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        警察庁交通局長  久本 禮一君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省航空局長  松井 和治君        高等海難審判庁        長官       佐藤 鉄郎君        建設省都市局長  加瀬 正蔵君        建設省道路局長  沓掛 哲男君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部調        整課長      糸田 省吾君        公正取引委員会        事務局経済部団        体課長      植松  勲君        文部省初等中等        教育局高等学校        教育課長     中島 章夫君        文部省体育局学        校保健課長    森脇 英一君        厚生省医務局指        導助成課長    柳沢健一郎君        消防庁救急救助        室長       大山 昭夫君        日本国有鉄道理        事        坪内 享嗣君        日本国有鉄道運        転局保安課長   岡山  惇君        日本国有鉄道施        設局土木課長   村上  温君        日本国有鉄道施        設局踏切課長   斎田  登君        日本国有鉄道電        気局信通課長   林  義郎君        日本国有鉄道工        作局車両課長   副島 広海君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査  (交通安全対策に関する件)     ─────────────
  2. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を開会いたします。  公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、交通安全対策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 本岡昭次

    本岡昭次君 昨日、東北新幹線で、時速百七十キロというスピード走行中の「やまびこ」の全車両十二両の片側の全部のドアが突然全開するという事故が起こったということで、きのうからきょうにかけての新聞、またテレビ等で報道されています。幸い乗客に転落というふうな惨事がなかったということ、これは非常に幸いでありましたが、しかし同車両が三月二十四日の定期検査、また先月十八日に検査したばかりの状況の中でこうした事故が起きたということで、新幹線の安全について国民ショックを受けていると私は思います。私も実はショックでしたが、事故概要あるいは調査結果等について、運輸省あるいはまた国鉄当局から、ここで報告できることをひとつ報告していただきたいと思います。
  4. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) まことに先生指摘のように、非常に重要な問題でございまして、このような事態が起こったのはまことに遺憾だと思っております。早速、昨日来国鉄当局、本日も関係の方から事情の聴取を行っておりますが、基本的には設備の面と人為的な面が重なったものではないかというふうに思っております。  詳細な技術的問題については、国鉄の方から御説明を申し上げるのが適当かと存じます。
  5. 坪内享嗣

    説明員坪内享嗣君) 昨日の事故につきましては、大変利用者の皆様に御不安をかけ、また御迷惑をかけましたことを深くおわび申し上げます。私どもも大変重大な事故と考えまして、これから緊急対策を行う一方、さらにこの事故の解明に努力したい、重大な衝撃を受けているところであります。  それでは、ちょっと事故概要を御報告させていただきたいと思います。  十時十五分ごろでございますけれども東北新幹線大宮—小山駅間で「やまびこ」の一七B列車、一七号でございますが、これが百七十キロで力行運転中に、戸閉め表示装置運転台で減灯したということを運転士が認めまして、非常停止手配をとっております。その直後に非常ブザーが鳴りまして、また第三ユニットの異常を知らせる表示灯が点灯したということを認めております。それで、五号車のデッキにおりました検札中の車掌が、進行左側ドアが開くのを認めて、非常ボタンを押しておるということでございます。それで、お客様の安全を確認して十五分停車の上に、那須塩原まで参りまして前途運休したというのが概要であります。  原因でございますけれども、昨日以来徹夜で調 査中でございますが、現在判明したところでございますけれども、まずこういった走行中にドアがあくということは、新幹線ではドア保安装置がございまして五キロ以上ではそういうことがない仕掛けになっておるわけでありますが、その仕掛けが働かなかったということが第一点であります。  それから第二点は、車掌スイッチが本来上下に動作する仕掛けになっておりまして、下にスイッチを押しますと閉じまして、上に上げますと開く状態になるわけでございますが、これが普通、本来ならば全部「閉」の位置にあるべきはずでございましたが、七号車ドアスイッチが「開」の位置になっておりました。これはまだ、なぜそういう状態になったかというのをいま現在分解して調べておりますけれども、本来こういうことはないはずでありますけれども、それが何らかの原因で固渋をしたというふうに考えております。要するに動かなくなってしまったということでございます。  そういうことで、七号車車掌スイッチが「開」の位置になっていた。そこへ車掌が、本来——この七号車スイッチ扱いというのはちょっとややこしいのでございますけれども車掌スイッチ扱いと、それからもう一つお客様が間違って扱ってはいけないということでかぎを持っておるわけであります。そのかぎを差し込んで、しかもスイッチを扱ってドアが開くという構造になっております。ところが、本来車掌取り扱いとしては、停車してかぎを入れまして、かぎを扱って、それからドアスイッチを扱うというふうになっておるわけでございますが、車掌が、当時大変込んでおりましたものですから、かぎをまず入れてドアを開く準備をして、それで検札して、それから駅へとまったときにスイッチを扱おうと、こういうことでかぎを入れたわけであります。ところが、いま申し上げましたように、その七号車ドアスイッチが「開」の位置にございましたものですから、それとかぎと両方で開き指令が出たわけです。そこにいま申し上げましたように保安装置——これはドアを押しつけている油圧系故障したものですから、そしてその故障原因から保安装置が働かなくなりまして、それでドアが全開したというふうに私ども現在推定をいたしております。  これは、いずれにしましても、たとえ間違って扱ってもこういったことは絶対あってはならないわけであります。当面、私ども緊急対策といたしましては、車掌取り扱いについてはルールどおりにとまってから扱ってもらうということをさらに徹底するということが第一点。それから、いま申し上げましたこの故障原因でございますが、この油圧系もいま仙台の車両基地でいろいろ調べておりますけれども、これの総点検、そしてスイッチの総点検、これを緊急にやりたいというふうに考えております。  それからさらに、こういったシステム問題点、これはいろいろちょっとここで御説明するのはなかなかむずかしいわけでありますが、いろんなことを考えましてこういうシステムを組んだわけでありますけれども、しかしこういう事故現実に起こっているということから、このシステムの再点検を早急に全社挙げて取り組みたい、かように思っております。
  6. 本岡昭次

    本岡昭次君 また後ほど、わが党の目黒委員がこの問題について専門家という立場でいろいろ質問があろうかと思いますが、三月二十日に上越新幹線火災事故が起こって、それについての原因対策等国鉄の文書を私は読ませていただき、また同じ日に東海道新幹線送電故障があって、その断線の理由が不明であるというふうな事柄新幹線は絶対安全なんだという状況でなくなりつつあるということに私は不安を持ちますし、新幹線は一たび間違えば大変な人身の事故につながり、多くの人命を失うということになるわけで、最近の状況を見るときに、新幹線に対するさまざまな安全装置という問題について、いまも出ていましたけれども、再度点検し、そして検討し直さなければならぬものは検討するという慎重な対応が必要ではないか、私はこう思っておりますが、その点についてひとつ運輸省の方の発言を私はいただいて、後はまた目黒委員の方に任せたいと思います。
  7. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) ただいま国鉄から詳細に御報告申し上げましたとおりでございますが、いずれにいたしましても先生指摘のように、新幹線につきましては、長年安全であるということで国民信頼を得ておるわけでございますから、そのような信頼を今後裏切ることのないように、早急な措置国鉄においてとり、それを私どもも十分監視していきたい、かように思っております。
  8. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、次の問題に入ってまいりたいと思います。  十一日から春の交通安全運動が始まったわけですが、最近の新聞報道によりますと、交通事故死者数は、昨年よりもペースが早く、このまま推移をたどると本年は昭和五十年以来の一万人に迫る可能性が強い、このように言われておりますが、昨年からの死傷者数、あるいはまたその増加傾向及びその理由特徴点、そうしたものについてひとつ簡単に御説明をいただけたらありがたいと思います。
  9. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 今年の交通事故発生状況特徴につきましてお答えを申し上げます。  まず、本年三月末の交通事故発生状況でございますが、事故発生件数につきましては、十一万三千八百四十四件と、前年の同期に比べて六%、六千四百八十八件の増加でございます。交通事故による死者数は、二千百十八人でございまして、前年同期に比べて百六十四人、八・四%増加をいたしております。負傷者数につきましては、十四万二千五百六十四名で、七千二百二十一名、五・三%の増加でございます。なお、事故件数負傷者数は概数でございますので、御了解いただきたいと思います。  次に、本年三月末の死亡事故についてその特徴点を申し上げたいと思うのでございますが、第一に年齢層別では、十六歳から十九歳の層、二十歳代、三十歳代といった若年層と七十歳代の高年齢層増加が目立っておりまして、中でも十六歳から二十九歳代の若年層は全死者数の約三分の一を依然として占めているという状況でございます。  なお、死者交通状態でその特徴を見てまいりますと、原動機付自転車に乗っておる最中及び自転車に乗っておる最中の事故は減少をいたしておりますが、自動車に乗っておる間の事故及び自動二輪車に乗っておる間の事故歩行中の事故につきましては増加をしておるという状態でございます。  次に、事故の類型について見てまいりますと、歩行者横断をしている最中の横断事故及び若年層の無暴運転によると見られる車両単独事故等増加が目立っておるというのが、本年の三月末における死亡事故を中心にした特徴でございます。  以上でございます。
  10. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、説明のときに、五十年以降一万人に迫る可能性が強いと言われているという、そういう状況説明をしたんですが、この問題はどうですか。
  11. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 死亡事故の増勢につきましては、ここ一両年各方面からその危険性指摘されておるところでございます。  私どもといたしましても、本年の死亡事故増加傾向、さらに昨年と比較しての増加状態というものは、先生指摘のようなまかり間違えば一万人にも達するという危惧を大きく持っているところでございまして、行政としてはこういった状態にならないような最善の努力を果たす環境にあると考えております。
  12. 本岡昭次

    本岡昭次君 八千人ということに一つの数字的な標準を置いて死亡事故をなくしていくんだといるふうな論議が二、三年前にはあったわけで、八千人だからいいというわけでないんであって、一人のとうとい命も交通事故によって失わしてはならぬということが究極の目的であろうと思います。その中で、一万人以上に迫る可能性が強いということで、高齢者とそれから若年層のところに 特徴があるといういま報告受けました。  その中で、まず初めに高齢者の問題を取り上げてみたいと思うんですが、高齢化社会がどんどんと進行をしているという状況で、当然これから六十歳以上、七十歳以上の方の交通事故に遭遇するという可能性は、これはもう当然高くなってまいります。したがって、行政の側としては、高齢化社会対応する、高齢者が増大するという一つ社会状態にどうこの交通安全対策というものを適合させていくかという明確な対応がなければならぬのじゃないかと思います。言ってみれば、いままでになかった新しい対応高齢者に対して行わなければ交通安全対策そのものが不十分になる、こう思うんですが、その点についてはいかがですか。
  13. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 高齢者の問題につきましては、一般的でございまして、警察だけで処理できるものとは考えておりませんが、警察としても、いままでのやり方を参考にいたしまして、そういった状態対応していく努力をする必要があるとは考えております。  それで、具体的なこの点についての警察としての取り組みでございますが、現在もそうでございますが、つとに若年層に対する対応策というものは交通警察の大きな課題であるわけであります。これと同じような考え方で、高年齢層につきましても、最近の高齢化社会の発展の中で交通安全上の措置を講じていく必要があると考えております。  ただ、若年層の場合と異なりまして、たとえば学校といったようなもの、あるいは職場といったようなもの、そういったいろいろ働きかけをする機会に高年齢層の場合には乏しいというような状態もございますので、一般的に申し上げますと、若年齢層に比べてはかなり対策が困難であるというのが偽らざる実情ではないかと思うのでございますが、これは具体的なやり方の中でできるだけ克服をしてまいりたいということでございます。  そういった意味から申し上げますと、高年齢者に対する交通安全上の対策というものは、あるいは免許の各種手続、あるいは交通安全教育といったような人に対する働きかけの中で主として行っていくということが、全体のバランスの中では最も比重が高いのではないかというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、こういった点につきまして、高年齢者特有交通安全に関する種々の問題についての検討をますます進めていきたいと思うわけでございますが、こういった検討の結果を具体的な教育機会等に生かしていくような方法をきめ細かに実施してまいりたいというのが第一でございます。  それから、これはかつていろいろ御指摘もあったところでございますが、やはり高年齢者行動原理あるいは行動様式というようなものを考えますと、やはり居住地の付近で安全な環境整備していくということは、一に高年齢者だけの問題ではございませんが、特に高年齢者に対して効果のある一つ環境整備からのアプローチではないかと思うわけでございまして、従前からいろいろ御報告をしておりますような、いわゆる生活ゾーン規制あるいはスクールゾーン規制といったようなものの効果が、高年齢者行動範囲の中に有効に機能していくような施策を強めてまいりたいということでございまして、この辺をあわせて進めていくことが当面の高年齢者に対する交通安全対策の主要な部分ではないかと考えているところでございます。
  14. 本岡昭次

    本岡昭次君 高齢者の方がおられたら十分納得できる答弁でなかったと思いますが、そのことだけを詰めていくわけにはまいりませんので、納得できません、不十分だと思いますけれども、それはそれとしておきますが、これは警察だけでなく総理府等も総合的に考えていかなければならぬ問題だと思いますが、どうですか。
  15. 滝田一成

    政府委員滝田一成君) いま先生のお話のとおりでございまして、最近高齢者人口増加とともにお年寄りの方々の事故がふえております。特に、死亡事故が、人口の割合によりました事故率といいますか、そういう面で見ますると、負傷事故はさほどでもございませんけれども死亡事故がふえているということ。それからまた、形といたしましても、歩行者事故が全年齢の平均に比べますと三倍近くになっている。あるいは自転車事故につきましてもやはり三倍ぐらいにもなっているというようなこと。また最近では、さらにドライバーの中での七十歳以上の方の事故というものも相当率としてはふえてきている。そういうような問題がいろいろあるわけでございますが、交通安全基本計画の中でも、従来から歩行者事故防止、特にその中でもいわゆる弱者でございます子供とお年寄り事故防止ということを施策重点目標としてきたわけでございます。  総理府といたしましても、関係省庁と従来から緊密な連絡をとりながらやってきておりますが、昨年度におきましても、老人事故の実態と事故防止上の問題点というものについて、外部にも研究調査を委託いたしまして、そのまとめができたばかりでございますが、そういうようなものも今後さらに活用しながら、一般的に広報活動、また特に全国の老人クラブなどの組織を通じまして、このお年寄り方安全指導の充実というものをさらに図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  16. 本岡昭次

    本岡昭次君 先ほど対策の中で述べられましたお年寄りに対する教育活動というのですか、広報活動、安全についての認識を高めていくという事柄は当然ですが、やはり問題は高齢者行動形式というんですかね、そういうものに対応した対策が必要だということです。  そういうことで、いまも出ているように、歩行者あるいは自転車、そういう形の死亡事故が増大しているということで、結局それは道路横断という問題、あるいはまたいわゆる生活ゾーンの中にある生活道路と言われているところにおける車と人との関係、こうしたものを、高齢者がこれから増大していくということの中で、新しい対策、あるいはまたその横断歩道等についても、新しい一つ検討——陸橋を渡ればいいじゃないかといっても、陸橋を渡ることについての問題は身体障害者やお年寄りにはあるわけなんで、そうした問題について新しいひとつ検討をする必要があるんじゃないか。  そうじゃなければ、幾らお年寄りに気をつけなさいと言って安全教育をやってみても、加害者立場に立つ車の側をお年寄りのそうした行動形式あるいは身体障害者等行動形式に合わせていくという、一方の側の働きかけがなければ私は不十分ではないかと思うんですが、そういう意味生活道路に乗り入れる車の制限の問題あるいはスピードの問題等々について、あるいはまた横断陸橋横断歩道関係等について抜本的な検討をし直すということが必要ではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  17. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 高齢者対策、特に環境整備の面からの対策というのは、老人高齢者という層だけではなく、幼児等も含めた一般的な弱者に対する対策ということでございますので、交通警察といたしましても、そういった見地からの施策を進めるということは大きな課題であると考えているところでございます。  それで、生活ゾーンの中における車規制のあり方でございますが、これはやはり現在の車社会は車というものが不可欠であるということを一応踏まえまして、それを現実社会生活との間で調和を見出していくということでございまして、したがいまして幹線道路においてはできるだけ車が機能的に動けるような施策を講じていく。同時に、住民が生活をする住居区域の中では、これは必要のある車が十分に周辺の環境に注意をして入ってくるという形を基本に置いて整備をすることといたしたい。  したがいまして、スピードあるいは特定時間帯における乗り入れ規制といったようなものにつきましては、そういったニーズを踏まえて、危険のないような動き方をしていただくようにできるだ け効果的な規制をしてまいりたいという考え方でございまして、率直に申しましていろいろな御意見もございますが、時間をかけて御説明いたしますれば大方はそういう点について御了解がいただけるという現状でございますので、そういう線を今後着実に、従前もそのつもりでやっておりましたが、今後ともその点につきましては着実に前進をさせたいという考え方でございます。  それから、二番目に御指摘横断やり方の点についてでございますが、具体的な横断の場所の状態、あるいはそこを横断する人の、どんな人が横断するかといったようなことにもよるわけでございますが、一般に不特定の方が多く集まるところで、したがってお年寄りの方も、障害者の方も、小さい幼児もそこへ来るという状態の中で歩行者を立体横断させるということは、現実に見てかなり酷な方法であるという認識は十分に持っているところでございます。したがいまして、横断歩道橋交通の安全と機能化のために大きな役割りを果たしているということは認めながらも、その問題の持つところのこういう課題につきましては、できるだけ現実の場に応じた柔軟な対応をしてまいりたい。  したがいまして、そういう事情があるにもかかわらず、なかなかスロープを切るとかいったような対策が十分すぐには間に合わないというところにおきましては、いろいろ関係の向きとも御相談はいたしますが、横断歩道橋と併用してそのまま平面で横断をする施設をつくるということも、やはり時宜に応じて考えていかなければならないというふうに思っているところでございます。  ただ、その場合におきましては、やはり信号機を併設して、車の面から見ても、歩行者の面から見ても、安全に横断ができるという状態をつくり出して横断をしていただくように整備をいたしてまいりたいという考えでございます。
  18. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまお述べになりました具体的な問題を早急にひとつ対策としてやっていただきたいと思います。  それでは、次の問題に入ります。次はトラックの大型化に伴う一般国道等における走行問題あるいはまた過積載運転の問題等について若干お伺いしておきます。  昭和五十六年、五十七年の警察白書には、大型貨物自動車の最大積載量を五割ないし六割超過する過積載運転の事例が掲載されておりますが、最近の過積載トラックの状況はどのようになっていますか。
  19. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) この過積載の問題につきましては、特にそのもたらすところの障害とこれに対応する施策との関連におきましてしばしば御指摘があったところでございますので、最近の過積載違反の取り締まり状況をひとつ手がかりに御報告をいたしたいと思います。  この点につきましては、過度の過積載等の悪質な、しかも危険な運転行為を重点に取り締まりをするという考えでございまして、さらに進みまして、これらの違反行為を下命容認をした自動車の使用者であるとか、あるいは荷主等の責任追及を徹底してやるという構えでございます。そういう点に着目いたしまして、五十七年中における過積載違反の取り締まりの実態につきまして申し上げますと、五十七年中の過積載違反に関する取り締まり総件数は九万七千二百二十八件でございまして、前年に比べて六千八百七十二件、七・五%ばかり多い取り締まりをしている状況でございます。  なお、この内容を超過割合別に若干見てまいりますと、十割未満の超過というのが、これは取り締まり件数でございますが、七万九千百六十一件でございまして、前年に比べて五千三百五十八件、七・三%増加をしておりますが、十割以上といった悪質な高程度の違反に対しましては、一万八千六十七件で、対前年比千五百十四件、九・一%増という取り締まりを執行しておるところでございます。なお、下命容認、両罰規定の適用等背後責任を追及いたしましたものは五千二百八十二件でございまして、前年に比べて千三百二十四件、三三・五%増の取り締まりを実施しておるという状況でございます。  以上が五十七年における取り締まりの実数でございますが、こういった点を踏まえまして今年も精力的な対応をしてまいりたいという考えでございます。
  20. 本岡昭次

    本岡昭次君 過積載そのものの違反という事柄での追及、取り締まり、それは警察にこれからも大いにやっていただいて、そういうものがなくなるようにしてもらわなきゃいけませんが、そうした大型トラックが一般国道を通ることからくる弊害というものが一方ではあるわけで、交通安全面でも大型車の混入が増大をするということで非常に大きな問題が出てきています。  国道二号線の赤穂地区は、これは騒音日本一としても知られておりますが、五十七年の調査によると大型車の混入率が六〇%に達している、こういう報告になっています。片側一車線の同地区の住民にしてみれば、まさに大型トラック、言ってみれば一つ間違えばこれは凶器になるわけで、そうした車が飛び交う中で朝も昼も夜も生活している、こういう状況にあるわけなんですが、この大型車の混入率が六〇%もある状態ということは、一体どういうふうにこれは理解すればいいんですか。
  21. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 一般国道二号赤穂市の有年地区の交通騒音は、いま先生おっしゃられましたように、環境庁の自動車交通騒音実態調査によりますと、昭和五十四年度には全国で一番悪く、その後関係機関が協力しまして種々の対策を講じてきたことによりまして、昭和五十六年度には全時間帯において若干の低下が見られるに至っております。  この地区の国道二号の代替路線としての機能を有しております山陽自動車道は、五十七年三月三十日に備前インターチェンジから竜野西インターチェンジ間を供用したところであります。この供用によりまして現在この地点における交通量二万四千台、日交通量でございますが、このうちの一一%に当たる二千六百台程度が山陽自動車道へ転換しております。この全交通量二万四千台のうち大型車が約一万四千台で、先生のおっしゃられたような六〇%でございますが、全交通量が一一%転換したのに対して大型車は約八%山陽自動車道へ転換いたしております。  このように転換が悪いのは、山陽自動車道の供用区間が短いこと、また国道二号からのアクセス道路の整備が進んでいないことによるのではないかというふうに考えております。このため、山陽自動車道を姫路方向へ延伸する事業を推進するほか、山陽自動車道へのアクセスをよくするための一般国道二号太子—竜野バイパスの事業を促進しているところであり、山陽自動車道への転換をなお一層図ってまいりたいと考えております。  なお、当面の措置として、山陽自動車道への交通を誘導する案内標識の増設、パンフレットの配付等の措置を講じるとともに、有年地区現道の良好な路面の状態を確保するため、きめ細かな維持修繕を行っておるところであります。  今後とも、当該区間の騒音対策につきましては、公安委員会等関係機関との連携を保ちつつ、引き続いて努力してまいりたいというふうに考えております。
  22. 本岡昭次

    本岡昭次君 その高速道路へ誘導するということについてですが、その高速道路の利用料金そのものが非常に高額であるという問題がその障害になっている、そういうことはありませんか。
  23. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) この区間の高速道路の延長は二十六キロでございまして、料金が六百円でございます。料金抵抗というのが幾分あるというふうには考えておりますが、有料道路と申しますのは、御承知のとおり将来利用する車から料金を取ることを担保といたしました借入金でこれを建設しておりますので、この借入金を償還しなければならないという問題もございます。そのほか、受益と負担といったようないろいろな関係もございまして、この区間についての料金を特殊な車両だけについて下げるというようなことは非常 に困難ではないかというふうに考えております。
  24. 本岡昭次

    本岡昭次君 学校の周辺にはスクールゾーンというのがあって、子供が登下校する時間、そこの車の通行をとめております。それと似たようなことで、先ほど例に出しました国道二号の赤穂地区のような状態のところに夜間もどんどんと大型車が走って住民の安眠を妨害するという状況、また交通安全上も問題があるというふうな場合に、一般道路の利用についての時間規制、特に深夜のそうした運行については規制をして、高速道路にあるいはバイパスに全部誘導していくというふうなことはできるのかできないのか。いかがですか。
  25. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) その規制関係は、これは公安委員会の方でございますが、私たちとしても、高速道路に転換しやすいようにアクセス道路の整備をするとか、それからまたある程度高速道路の延長がないと、それに乗り込み、またおりてから目的地へ行くまでの時間がかかりますので、高速道路の利用延長を長くするなどの対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  26. 本岡昭次

    本岡昭次君 警察の方、いまのはいかがですか。
  27. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 一般論で申し上げますと、その障害がきわめて大きい場合に、もとになる道路交通をそういった先生おっしゃるような夜間といった特定の時間帯にそこから誘導をして、問題の個所を通行しないように規制をもってするということは、当然私どもとしては考えていかなければならないというふうに思っております。  ただ、具体的に通過交通の非常に多い道路におきましてそれを、方向を変えるということにつきましては、いろいろ、まず第一に非常に多くの影響もあることでございますので、警察が軽々しくやるというわけにはなかなか現実の問題としてむずかしい点がございます。したがいまして、その点についての、これによって生ずる副作用あるいは問題点等を十分に詰めてまいらないと非常に現実の問題としてむずかしい点はございますが、これはやはり検討努力を重ねてのことでございますので、どのような状態であるならばそれが可能かということの検討は、私どもとしてはやはり絶えずしていかなければならないというふうに考えております。  それともう一つは、道路局長も言われましたような、仮にそれを転換するといたしますと、それの迂回道路その他がどうであるかという問題も起こってまいりまして、せっかくある地域における交通は排除したけれども、その結果また別のところに問題を新たに起こしたということの比重の問題もございますので、その点はやはりその置かれておる取りつけ道路その他の道路の状況によって若干その辺の可能性に相違があろうかという点がございます。  もう一つは、具体的にそういう時間的なとめをするということによって生ずるいろいろ副次的な作用でございますが、実は私もかつて一線の勤務をしておりますときに、そういう大型の交通の混入が非常に問題だということで、各方面の要請を受けて実験的に規制をやったことがございますけれども、大変多くの問題が副次的に起こってまいりまして、事実上なかなかこれを円滑にすることは困難だといった事例にぶつかった例がございます。たとえば時間規制規制待ちに、トラックが規制時間を待ちまして、その何時間も前から道路にずうっととまって幾ら呼んでも出てこないというような形で、せっかく規制はやったけれどもかえってその道路が全く通れなくなって収拾がつかなくなったといりたような事例、そういった妙な副作用もございますので、その辺も全部読み取った上、具体的に効果的な交通誘導ができるかどうかということを考えていかなきゃならないというむずかしさが交通面にはございます。  そういう点もいろいろ検討いたしながら、可能な方策を考えていきたいというふうに思っております。
  28. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう時間がありませんので次々と走っていきますが、次は児童公園問題について若干お伺いをしておきます。  都市公園法施行令第七条の意味ですが、児童の遊戯に適する広場、植栽、ぶらんこ、すべり台、砂場、ベンチ及び便所を設けなければ都市公園法上の児童公園ではなくなるのか。都市公園法上の児童公園でなければしたがって費用の補助はしないというふうになるのか。都市公園法上の児童公園というもののあり方について説明をいただきたいと思います。
  29. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) 現行法令におきまして、先生おっしゃいますように、都市公園法の四条第二項及びそれを受けました施行令七条に御指摘のような規定がございます。これは、実は児童公園つくるときにどの程度の施設が最低必要かということで、かつて立法時期に、児童厚生施設の設置の基準を定める児童福祉施設最低基準という、これ厚生省所管のものでございますが、そういったものとの均衡を考えながらこういう規定を設けたのが当初のいきさつかと考えております。  ただ、公園というのは、やはり子供さんたちが伸び伸びと遊ぶようなところで、どこに少なくも何がなきゃいかぬというような規定の仕方については御指摘のような問題が私あろうかと思います。この辺少なくも運用について十分に注意しながら弾力的に対処していきたい。したがいまして、もしこういう施設がないから補助しないというようなことを交付事務を現在扱っております都部府県レベルで言うようなことがあるとすれば、そういうような、何といいますか、現状に適さないような厳しさというものについては、私どもから必要な注意をして弾力的に運用していきたい、かように考えます。
  30. 本岡昭次

    本岡昭次君 これは大臣にも聞いておいていただきたいんですが、私はこの委員会で前々から児童公園のあり方はついてずいぶん論議をしてまいりました。私は、児童公園といえばぶらんこがあり、すべり台があり、砂場がありというふうな、一つの大人の側から見た施設をつくって、さあここへ子供は来なさいというふうな児童公園のあり方は間違いだ、こういう意見を持っている。  特に、最近は子供が自然に親しめなくなった、あるいは緑に触れる場合が少なくなったということで、中曽根総理も、緑化運動とか、子供をもっと自然に返すために田舎の学校で一定期間勉強させたらどうだとかという発想が出てきておりますが、それはそれとして非常に私は大事なことと思います。しかし、部会の真ん中にある児童公園に、自然をそこに取り戻す、そこに自然を与えるという事柄をもっと徹底的に一方でやらなければ、いま政府が取り組んでいるやり方というのはどうも全体として整合性がないような気がして仕方がないんです。  だから、児童公園に、たとえぶらんこ、すべり台、砂場、一切そんなものはなくて、ただ一つの草っ原、野原であったと、そこには転べば泥んこになる、水のたまったところもあるというふうなところで、子供が自然に、そこでいろんな自然との接触の中で貴重な生活体験を得ていく、人間として生きていく基本的な生活様式というようなものを覚えていく、そういう場がいまないから、子供の体の問題、心の問題、あるいはまた非行、校内暴力とかいうふうなことにも発展していくいろんな条件が出てくると思うんですね。  だから、児童公園が、交通安全上そこに広場がなければ道に子供が出てきて危ないからというふうなことじゃなくて、もっと広い意味で理解をして、その施設がなければということでなくて、自然のままで草がぼうぼうと生えているというふうなところでもいいんだというふうな理解の仕方での指導をぜひこれはやっていただきたい。でなければ、先ほども言いました公園法を読みますと、これでなければいかぬのじゃないかというまさに解釈ができるような条文になっておりますので、ぜひその点についでの指導をお願いしたい、こう思うんですが、その点大臣いかがですか。
  31. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 御指摘のように、次代を担う子供たちが伸び伸びと自然の中で楽しく遊べるような児童公園、これは最も望ましいことだと思っております。したがいまして、都市公園 法、いろいろ法律上の規定その他の基準のようなものがございますけれども、先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、弾力的に運用をいたしまして、できるだけ自然の中で伸び伸びと子供が遊べるようなふうに私どもも考えていきたい、こう考えておるわけでございます。
  32. 本岡昭次

    本岡昭次君 全国の状況についての資料もいただいておりますが、各県ごとに非常にアンバラが見られます。人口に比例して見ると大変問題のある県もたくさん出てくるんじゃないかと思います。私の住んでいる町は兵庫県の三万六千という小さな町なんですが、そこでも児童公園を調べますとたった一カ所しかない、こういうふうなことで、私も児童公園をもっとつくれということを自分の住んでいるところでやっているんですが、なかなかいろんな障害があってうまくいかない。しかし、児童公園の持つ意味というのはいろんな意味でいま非常に政府の政策上も重要なことだと思うんですが、建設省の積極的な児童公園を他の都市公園とあわせて全国的につくっていくという指導性、そうしたものをさらにこれからも発揮していただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。  次に、バイクの問題について若干お尋ねしておきます。  けさも新聞を見ますと、バイクの高校生がダンプにはねられて死ぬというふうなことの記事が出ておりまして、交通安全のこの委員会でも、いままでもこのバイクの問題については再々取り上げられてきたところです。そこで、事故状況等をいろいろここで論議する時間ももうありませんので、端的にお伺いをしてまいりたいと思います。  一つの問題は、自動二輪あるいは原付という一つの形の中で、高校生がというよりも、免許の取得年齢が十六歳というそこに問題があって、それを十八歳に上げるべきではないかという意見があります。また、そういう運動、要請も非常に強いわけなんですが、私は、小さいころからそうした機械あるいは自動車の免許というふうなものを取っていくことについて反対する立場ではないし、できれば十六歳から自動二輪の免許を取るという事柄をそのまま置いておけばいいという立場をとりたいと思っています。  しかし、最近のように事故がどんどん多発していく。高等学校の方でも、それを学校の規則によって、親と相談して三ない運動というようなもので、免許を取らせない、買わない、乗せないというふうなことをやっておる。警察の方も、法律は十六歳から免許を取れるということになっているんだけれども学校交通安全上そういうことをやっているということについてとやかく言える筋合いじゃないというふうなことになっておるんで、結局そこの問題を解決する一つ方法として、最近、原付の二輪を十六歳から乗るということについてはそれはいいとして、自動二輪の方は十八歳からというふうにしたらどうかと。そうすれば有職少年、十六歳から十八歳未満までの勤労青少年も現在の相当機能が高まった原付で仕事ができるであろう、また高校生も必要とあらば原付の方で間に合うんではないか、こういう議論もあるわけで、そうした事柄についていま警察の方ではどういうふうにお考えか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  33. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) いろいろ多岐にわたるお尋ねでございますので、若干不同になるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  確かに、最近原付の性能が非常に向上しているという面があることは事実でございますが、反面原付、自動二輪、そういった一つの段階がそれなりのシステムとしての意味を持っている点もございますので、原付は原付としてのやはり本来の考え方の範囲であってほしいというのが私ども一つの考えでございます。  それで、最近、運輸省の方では、余り性能のよ過ぎる原付というようなものについては業界の方に自粛をするようにという指導をされているように承知をしておりますが、それは私どもも大変望ましい方法であるというふうに考えておりますので、その点ではいわば青天井で原付がどんどんよくなるということは、少なくとも今後の状況としてはないであろうというふうに考えております。したがいまして、直ちに原付だけあてがっておけばそれでいいではないかという形にはちょっと現実の問題としてなりかねるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、二輪の免許年齢の問題につきましては、その点を踏まえての検討が必要であるわけでございますが、御指摘のとおり自動二輪の免許取得年齢を引き上げるということは多くの議論がございまして、その点について私どももこういう議論には非常に現在関心を向けているところでございまして、一つ検討すべき課題であるというふうには考えております。  しかしながら、この点につきましては、おっしゃるとおりまさに大変多くの意見や議論がございまして、その点についてのコンセンサスは容易に得にくい状況でございます。  たとえば、単に自動二輪による交通死者を原付とか四輪による交通死者に移すだけではないかといったような意見、あるいは年齢を引き上げることが果たして事故防止対策として有効であるかといったような意見もございます。それから、先生も御指摘になりましたように、現実に二輪を仕事に利用しておる少年に対する影響の問題も議論ではございますし、またさらに突っ込んだ意見といたしましては、むしろ現代の車社会においては、なるべく早い段階から十分に車とのかかわりについてしかるべき積み上げをしておくのが、かえって健全な交通社会人として成長させるためには重要でないかといったようなきわめて有力な意見もございます。  こういった点を踏まえて、さらにこういう二輪免許の引き上げということが、最近の状況の中でもときどき見られますように、無免許運転の増加といったような意外な波及効果を及ぼす可能性はいかがであろうかというような点を考えますと、これは一つの大きな課題ではございますが、直ちに引き上げという結論を出すには余りにも問題が大き過ぎるのではないかというふうに考えておりまして、今後より多角的な観点からこの点につきましては十分関心を持って検討してまいりたいということでございます。  ただ、そういう形でいたずらに放置するということではございませんので、やはり若年層の自動二輪免許取得という点につきましては、それなりにやはり他の免許取得の場合とは違った対応をできるだけ事実行為としていたしたいというのが私どもの考えでございまして、あるいは先生お耳に入っているかと思いますが、いわゆる各県で若干試験的に試みておりますような、自動二輪免許のいわゆる段階的取得の指導であるとか、あるいは新免取得の際における二輪特別教室であるとかといったようなものは、そういう一つの制約の中で、少しでも何とか二輪免許取得ということに伴う特別な対応になるのではないかということで試みておるということでございますので、その辺の苦心をおわかりいただきたいということでございます。
  34. 本岡昭次

    本岡昭次君 文部省にも来ていただいていると思いますが、文部省、高校での自動二輪問題について現在はどのようになっていますか、実態は。
  35. 森脇英一

    説明員(森脇英一君) 高等学校におきます交通安全教育は、他の小中学校における場合と同様に、生命の尊重という基本理念に立ちまして、児童生徒の心身の発達段階や地域の実情に応じまして、安全に行動できる能力や態度を養い、健全な社会人の育成を図ることをねらいとして、学校教育活動全体を通じまして、各教科、道徳、教育特別活動等におきまして計画的にあるいは組織的に行っているところでございます。  御指摘の二輪車に関しましては、高等学校におきまして、生徒が二輪車の運転免許取得年齢に達する年齢でありますために、生徒の実態や地域の実情に応じまして二輪車の安全に関する内容につきましても適宜取り上げまして、安全に関する意識の高揚を図るとともに、必要に応じまして二輪 車の安全運転の推進を図る機関、団体等と連携して、安全運転に関する指導を行うことといたしておるわけでございます。
  36. 本岡昭次

    本岡昭次君 そんなきれいごとじゃなくて、実際は私が言ったように三ない運動とかいう自衛手段を講じて、高校生には乗せない、免許がとれる年齢であっても乗せないというふうなことが行われている、そういう問題に関して文部省の実態的な点からの検討を私は望んでおりますし、そうしたここで答弁をいただきたかったんですが、いまのような答弁なら聞かぬでも同じことだったと思います。  それで、原付の問題なんですが、ミニバイクの普及で女性の事故が非常に多くなったということで、この教習内容の強化とか安全教育の徹底、技術指導の強化、いろいろなことがやられておりますが、いまのような学科試験だけで容易に取得できるという形から一歩進めて、原付の自転車の免許試験にも技能試験というふうなものをこの際もう積極的に導入しなければ、運転の技術指導を受けに行くとか、そういったことをほとんどやらない人も非常に多いと、そういうことが原因になって事故を多発化していくという問題もあるというふうなことで、私の県でも問題になっているんですが、原付自転車の問題について、技能試験というふうなものもこの際導入して、明確にしてはどうか、こういう意見を私も持つんですが、その点いかがですか。
  37. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 原付の実技試験につきましては、現在多くの方々の関心をお寄せいただいているところでございまして、その中に原付免許については技能試験を入れてはどうだという御意見が多くあるのは事実でございます。  結論として申し上げますと、私どもは原付免許に実技試験を課すというのはいかがなものであろうかなという現在考えを持っているところでございますが、これには幾つかの背景があるわけでございまして、やはり歩く人から自転車、原付から自動二輪といったように、やはりその性能と機能に応じて乗り物には段階がございますし、したがって原付というのは自動二輪と自転車の間にあると思うわけでございますが、御承知のとおり自転車に乗るには免許も学科試験も実技試験も要らないわけでございまして、自動二輪は一般的に性能も高くて、車と同じようにどこでも行くし、したがって車の流れの中における技能なり知識も十分に持つ必要があるということで、実技、学科の両面を課しておるわけでございますが、原付の場合には、その性能なり用途等からいたしまして、学科試験を課して、車との接点における危険性を十分認識させながら、技能については身近なところで手軽に運転できるということでそこまでの負担は課してないというシステムがございますので、やはりこれを変えるということは、全体のシステムの中からやはり相当の検討を要することではないかというふうに考えているところでございます。  それで、なお現在の原付の利用されておる状態とその事故の現状について見ておりますと、現在まで私どもが承知をしておるところでは、原付事故増加ということは、運転操作の未熟ということ、これはもちろんないわけではございませんが、それよりはむしろ安全運転態度の欠如であるとか、あるいは安全運転行動の欠如といったような、その辺の知識、対応、姿勢というものに欠くるところにより多くの問題点があるというふうに考えておりますので、この辺を現在、事実行為としてどのように充足していったらいいかということが、当面の現象としての原付事故の多発に対応する一番有効な方法ではあるまいかと考えて、先生指摘のような、いわゆる原付取得時における講習というものを現在施策の重点としてやっておるというところでございます。  この点につきましては、ここ一両年、この現象に伴いまして急速にやったところでございますので、率直に申しまして若干各県の対応にその辺の早いかおくれがございます。先生もそういう点について若干御承知のようでございますが、実は先生がごらんになられるような関西の身近な幾つかの県におきましても、私どもとしては対応のわりあい遅い方だなという県が幾つかございますので、あるいはその辺が先生のお目にとまったのかなというふうに思いますけれども、そういう点を含めまして、それをきわめて先進的に熱意を持ってやっておるという県の数字と合わせまして、現在大体八割以上のところがこの講習の対象になっておるというところでございます。  したがいまして、そういった出おくれを解消するという努力の中で、少なくとも一年以内にこの辺の普及率は頂点近く達するのではないかという見通しを持っておりますので、最近若干原付の事故の伸びが減ってまいりまして、考え方によっては横ばいと言っていいような状態になったのかなという点も、あるいはその辺の一つの結果ではないかというふうに見ておりますので、その辺の効果測定等も十分にいたしまして、今後の展開についてはできるだけ弾力的に考えてまいりたいという姿勢でございます。
  38. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に一問だけ質問しておきます。  先ほども、十六歳から十八歳まで免許の取得年齢を上げてはどうかという意見があるということについての質問をいたしました。その中で答弁として、自治体によっては行政指導によって十六歳では排気量の少ない自動二輪に限り運転できるというふうな形をとって、ちょうどそうした両方の意見が地域住民の、あるいは県民の皆さんの合意がいくような状態対応しているところがあるという話であったんですが、現在そういう自治体は全国にどのぐらいあるのですか、そうした対応をしている自治体は。
  39. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 現在のところ、ちょっと具体的な県名は私いま記憶しておりませんが、数では八つばかりあるというふうに承知をいたしております。
  40. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、その八つある自治体をそういう形でより積極的に行政指導の面で、高校の方で高校生に、とにかく法律があるのに、学校規制して免許証を取らせないというふうな、何か学校自体が法律に相反することを強制的に、退学処分に付するぞというふうな強圧をかけてやるよりも、むしろそういう形で行政指導で、ここまでやったら乗れるからここまでしなさいというふうな形で対応するのが私は望ましいと、こう思うんですが、よりそうした行政指導の面の対応をここで要請をしておきます。いかがですか、その点は。
  41. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) そういう御激励をいただくのは私どもとしても大変ありがたいところでございまして、そういう御意見も十分踏まえまして、今後一線を効果的に指導いたしたいと考えております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も、この交通安全という問題については、もう四年ぶりぐらいで帰ってきたんですがね。    〔委員長退席、理事本岡昭次君着席〕 交通局長、最近の交通事故が非常に量もふえて劣悪になっていると、こういう一般のマスコミなどがありまして、あちらこちらの県で交通事故撲滅運動の強化という点が、全国を歩きますと県民版で行われている、こういうのを目にするわけですが、交通事故が死亡者事故も含めて増加傾向に転化したという原因は何なんでしょうか。  せっかく交通安全対策特別委員会を設けて、予算の裏づけもしながら、われわれは交通事故の撲滅にずっと努力してきたのが、途中から逆転に転じたということは、原因は何なのかということを、やっぱり今後の問題もあるから、専門的におたくの分析を教えてもらいたいな、こう思うんですが、いかがですか。
  43. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 先生のお尋ねは大変全国的な立場からのお尋ねでございますので、多少視点を変えて申し上げたいと思います。  率直に申し上げまして、最近の事故増加、特にその中でも死亡事故が大きくふえているという点につきましては、私どもとしてはなかなかその核 心的な究明に難渋しているところでございますが、現在での私どもの一応の推論を申し上げますと、幾つかに分かれようかと思いますが、一つはやはり最近の車社会があらゆる点で肥大化をし、多量化しているところにあるのではないかと思うのでございます。  車の数が最近十年間に大きくふえ、また運転者もふえておる。その中で、交通量も特に大都市を中心にいたしましてはきわめてふえているところでございますし、また基本的に、安全はもとより円滑にも非常に支障のあるといった、交通の混合状態というものもますます広まっておるということでございます。  片やどんどん大型化ができながら、片やまたいろいろ細かなものについてもどんどん道路交通の中に混在してくるといったような傾向、あるいは御承知のとおり道路と周辺の利用との関係は必ずしも交通の面から見て好ましい状態とは言えませんので、幹線道路の周辺にどんどん出入りするアクセスもあるといったような交通を複雑にしているような要因、こういうものが交通全体の肥大化の中でますますその辺の問題性を高めてきたというところに構造的な一つ事故増の原因があるのではないかということで、かつては死亡事故増加と一般の事故増加とは必ずしも傾向は合わないんだと言われておりましたようなことが、最近は事故死亡事故も一緒にふえてくるという現象がございますのも、そういうことではなかろうか。  また、かつて事故が非常に減りました大都市等において最近はまた事故増の傾向があるということも、そういった多量化、過密化によって生ずる一つの構造的な原因があるのではないかというように考えておることが一つでございます。  二番目は、やはり死亡事故がかなり減少いたしまして、交通事故防止あるいは死亡事故防止ということが、もう課題としてはかなり過去のものになったのではないかといったような、いわば私どもの反省も含めまして、そういう関心の一般的な低下ということに一つの雰囲気としての問題もかなり大きくあるのではないかということでございます。  三番目は、先生指摘のとおり、交通事故は減りましたけれども、それはやはり県の規模あるいは都市化の程度等によりまして、かなり対応策に程度の差がございます。いわゆる県間格差が依然として残っておるということでございますが、こういう状況は現状でもまだ基本的に改善されておりませんので、こういう問題がいま申し上げましたような点と絡み合いまして、やはり必ずしも減らせるべき事故が十分に減っていないという点が一面にあろうかといったような点、いま申し上げましたような三つの点が、大ざっぱに言って最近の事故増加の大きな背景であるのではないかということを私どもは考えているところでございます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ私、五十五分までですからね。おくれてしまって申しわけない。時間がないから……。  ただ、私の考えでは、よく車の総合規制という議論をやったことがあるんですが、いわゆる交通政策と事故防止、それから車と道路政策、これは私は総理府かどこかで各関係者を集めて総合的に検討することがやっぱり抜本的に必要ではないか。  道路とトラックがついていかない。また、トラックの悪質運転手と警察の追及がついていかない。車、車、車で、車万能主義で、さっき免許の話が出ましたが、免許の問題も含めて、ぼんすかぼんすか免許が出ていく、こういう問題は、各人の希望であるからそれは結構だというだけではやはり交通事故は防げない。  十トン車に二十トンも積んで歩いて、スピード違反を五十キロも六十キロも飛ばして歩いている、そういう悪質なものを放任するのは、私は一を締めて十を野放すということになっているから、やはり道路政策と自動車の総量規制、それから運輸政策、それから警察交通事故対策、この三点をもう一回押さえて、いわゆる総合的な事故防止ということについてはやっぱりメスを入れるべきじゃなかろうか。  各県段階でも、そういう意味での各県内の道路の状態あるいは車の流れということで、それに対する住民の対応、そういうものを総合的にやらないと、交通事故の問題についてはなかなか問題が解消しないというのが私の持論です。答弁は要りません。そういう観点から総理府段階でもひとつメスを入れてもらいたいなということを要望として言っておきます。  それからもう一つの点は、国鉄側は、ことしの予算は大分厳しいということを聞いておりますが、しかし反面では、この前の富士川の橋梁が大雨で列車の通過した直後崩壊するという事故もあったわけでありますが、現状において、橋梁とかトンネルとか、そういう問題について危険の度合いといいますか、営業面から見た危険の度合いというものについてはどういう認識を持っておりますか。  いや、目黒議員、そんな心配しなくてもいい、ふたたび富士川のような事故はないから心配するな、こういう御認識か。いや、国鉄の側としては、相当老朽のトンネルなりあるいは橋梁あるいは保安設備があるから、国家財政は厳しいけれども、運輸大臣を通して大蔵大臣にお願いして事故のないようなものをつくりたい、こういうお気持ちか。現在の保安の健康診断といいますか、健康診断はどういうふうにお考えですか、総括的に教えてもらいたい。
  45. 村上温

    説明員(村上温君) 先生御心配の構造物、トンネルとか橋の老朽度の問題でございますが、国鉄は全国で非常に多数の構造物を抱えておりまして、年々若干ずつではありますが、その平均の年といいますか、経年がふえておることは事実でございますけれども、日常から全国の鉄道管理局に構造物の検査センターという専門の組織を置きまして、さらに保線区にも所要の技術者を置きまして、厳重な点検を行い、危ないものから厳しい財政事情ではございますが取りかえを進めてございます。それから、どうしても取りかえがむずかしいものにつきましては、所定の運転規制を行って万全を期しておるところでございます。現に昭和五十八年も、厳しい財政事情の中から重点的な投資をいただいておりまして、大勢としては御安心いただける体制をつくっておると考えております。  富士川の橋につきましては、倒壊したということで大変御心配をかけましたが、これは雨の量が大変な量でございまして、一万四千四百トンという史上始まって以来という予想以上の洪水で残念ながら倒壊したということでございまして、やむを得なかったと考えておるんですが、なお技術的な問題点、管理上の問題点等も含めて、この事故一つ機会としましてさらに勉強を進めてまいりたいと思っておりますので、少なくとも安全に関しましては御安心いただける状態にあるというふうに考えております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 富士川の鉄橋の問題でそんな言いわけは、雨が多く出たから云々なんということは、これは技術屋としてそんなのは答えになりません。水がふえたから石狩川の堤防を越えて北海道の住民に迷惑をかけたという昔の言いわけと同じで、そんなことは技術屋としてあなた言うべきじゃないですよ。老朽であるから事故になったんでしょう。運輸委員会の議事録見ているから、時間がありません、ここであなたとやりとりしません。  あなたがそういうことはないというんなら、ないで結構ですが、私はこのおたくが出した五十七年度運転阻害事故の中で、きのうの新幹線のものじゃないけれども、何ですか、保安装置故障というのが、これは在来線で昭和五十六年は四百五件、五十七年で四百十三件、プラス八件、新幹線では保安装置故障が対前年で五件もふえている。この保安装置というのは、これは私ら乗務員から見れば生命線ですよ。この保安装置故障がぽろりぽろりと毎年ふえているというのは、安全については御安心くださいと言っていながら、その裏づ けになる保安装置故障がふえているというのはどういうことなんですか。
  47. 林義郎

    説明員(林義郎君) お答えいたします。  在来線の保安装置故障を見ますと、故障発生件数は、いままでいろんな各種の故障調査だとか分析、あるいはそのハード、ソフト両面にわたる対策を進めました結果、五十一年度は実は六百二十三件ございまして、以後減少傾向を続けてきております。  御指摘のように、五十六年度は過去十年間で実は最低の四百五件でございますが、五十七年度はいまのお話にもありましたように八件ふえましたが、基本的にといいますか、マクロ的に見た場合は私ども減少傾向にあると思っております。  安全の確保だとかあるいは安全輸送というのは、私ども国鉄にとりましても一番基本の問題でございますので、これからもソフト、ハード両面にわたります対策を進めまして、なお一層進めていきたいと思います。  以上です。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 新幹線故障は去年に比べて五件ふえているでしょう、保安装置
  49. 林義郎

    説明員(林義郎君) 在来の東海道並びに山陽新幹線につきましてはほぼ横ばいだと思います。東北新幹線及び上越新幹線の分がふえたということになろうと思いますが、東北及び上越新幹線につきましては、初期不良的なもの及び偶発的なものと私どもいま考えております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 新幹線が出たついでに、けさ新聞でやられた、これはうちの同僚の本岡さんやったかどうかしりませんが、これはどういうことなんですか。  私は時間がありませんから言いません。もうずばり専門的に、先月の十八日に定期検査をやったというから、仙台運転所の車庫かどうかしりませんが、定期検査をやった検査の原票、いわゆる検査掛の検査原票、修繕個所があれば修繕原票、それで仕上げ検査したら仕上げ検査原票。これはないとは言わせません、私も専門屋ですから。この車両に関する検査の原本と原票、立会人、だれが、検査長がやったのか、検修助役がやったのかしりませんが、だれかがこれは仕上げ検査やって、仕上げ検査受けて乗務員に渡しているんですから、仕上げ検査までの一連の定期検査の原本を参考までに提出願いたい、委員会でなくて私に。  私は一回見せてもらいたい。見せてもらった上で、けさマスコミでぐるぐる言っていますが、どこまで本当かどこまでうそかというのは、私は私なりに一回チェックしてみたい、こう思うもんですから、原票を提示願いたい。いかがですか。
  51. 岡山惇

    説明員(岡山惇君) ただいま先生から御指摘の件、一つは、仙台に車両の基地がございまして、そこで交番検査という検査をやっておりますので、その件の御指摘と、もう一つは、仙台工場というところで車両の全般検査をやっておりますので、その工場における検査の記録、その二種類について御指摘のようにお届けしたいと思います。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それじゃそれを見てから。われわれは一般人じゃありませんから、憶測で言っちゃ失礼になりますから。  ただ、一点だけ教えてもらいたいのは、百七十キロで走っていて、ドア全部あかって、何の信号でとまったんですか。車掌弁でとまったのか、運転士の非常ブレーキでとまったのか、これはどっちでとまったんですか。
  53. 岡山惇

    説明員(岡山惇君) お答えします。  きのうの場合は、ドアがあいた瞬間に運転室のところにありますパイロットランプが消えるわけでございまして、運転士はそのランプが消えた瞬間、異常事態発生ということで非常制動をとりました。と同時に、検札中の車掌ドアがあいたのを見たものですから、非常ブザーを押しまして、運転室の中にあるブザーが鳴動したということの二点で非常がとられております。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、その二つのうちで、どっちが何秒先か知りませんが、どちらの作動でとまったんですかと聞いているんだよ。
  55. 岡山惇

    説明員(岡山惇君) 最初のパイロットランプが消えたことによって、乗務員は非常をとっております。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 新聞に出ている、一部新聞ですから、私はそれは、今後の責任問題とかいろいろあることは余り私も乗務員ですから言いたくありませんが、すると車掌の作動でなくて、ドアがあいたことによって、運転室のランプがあって、その運転室のランプによって運転士が非常をかけたと、それでとまった、こういうことだな。
  57. 岡山惇

    説明員(岡山惇君) はい。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、やっぱり運転士が機敏に作動したということでうれしいと思っております。運転士がぼやっとして車掌弁でとまったなんというのは、これはやっぱり運転士の恥ですからね。それじゃ、この問題は資料をもらってからさらにまた具体的にお伺いいたします。  時間がありませんから、もう二つだけ。  一つは、東京の国電とか中距離電車というのは、大体二十年以上私は皆たっていると思うんですが、この中距離電車とか国電の、車両の老朽化とまではいきませんが、取りかえ基準の段階に大分来ている車があるんじゃないかなと、こんな気がするんですが、これは取りかえの経過年数に来ている車はどのくらいあるのか。なければない、あるならある、あれば何割と、こういうふうにお答え願いたいと、こう思うんですが。
  59. 副島広海

    説明員(副島広海君) ただいま御指摘のとおり、実は国鉄車両というのは、全体で、機関車から貨車まで入れまして十三万両ほどございますが、その中で経理上の、償却上の耐用年数を超えたのはかなりの両数がございますが、一般的に使える限度を超えたというのは余りないということでございます。  これらの車につきましては、運転保安とかあるいは旅客サービスの両面、こういったものを考えながら、老朽度の程度とかあるいは保安面での経済性、こういったものを考慮しながら現在取りかえを進めておるところでございまして、取りかえに当たりましては、一方では輸送量の減という厳しい現状がございますので、そういったものとの関連を見ながら、混雑度の著しい首都圏とかあるいは関西圏の国電を重点的に現在取りかえを進めておる、こういったところの状況であります。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 余り国会だからといってきれいな答弁をする必要はないですよ。そんなきれいな答弁をするんだったら、わが田舎も、大臣の田舎ももっと田舎だけれども、あの仙台あたりに本当に前世紀の車を走らせる必要ないんでね。その点は困ったら困ったと率直に言ってくださいよ。もう時間がありませんから余り言いません。  それから、もう一つはいわゆるATS。ATSをやってからもうこれは二十年ぐらいたっているんじゃないかな。そろそろこれも、ATSの問題については再点検か見直しか、全国的な点検をやらないと、やっぱり運行管理の心臓はATSですから、ATSについて、今回の新幹線事故も含めてやっぱり再点検をしてほしいなと、こう思うんですが、ATSの保安関係は、目黒、そんなこと心配するなと、こういうことですか。たまにネズミにかじられて大宮あたりで皆列車とめるなんてことがちょくちょくありますが、だからATSの関係はもう二十年たっているから私は大分もういかれているんじゃないかなと、こう思うんですが、ATSはいかがでしょうか、在来線も含めて。
  61. 岡山惇

    説明員(岡山惇君) お答えいたします。  先生指摘のように、ATSは、三河島以降国鉄で採用した保安装置でございますが、車両装置と地上装置がございまして、車両装置は日常の検査のほか定期的に機能検査等実施しております。また、地上設備についても、日常の検査のほか電気検測車等による検査を計画的に実施しており、その結果に基づきまして常に必要な補修、取りかえを行っているということであります。このように常に機能維持、故障防止に努めており、現時点において特に問題はないと考えております。  なお、ATS設置後、技術の進歩に伴いまして、ATCという一段性能の高い保安装置を山手 線並びに京浜東北線に設置しております。また、ATSの一つの変形改良型でございますけれども、ATS—P型という新しい装置も現在開発進行中でございまして、おいおい敷設していきたいと考えておる次第でございます。
  62. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この前の大宮でとまった、私もあそこで四時間ほどとめられたことがあったんだけれども、あれも保安関係故障じゃなかったんですか。原因は、犯人はドブネズミだというけれども。まあいいです。  私は、もう二十年たっているから、相当感度も、あるいは電気の流れも、あるいは腐食その他を含めて大分いかれているんじゃないかなと、やっぱり保安関係で見直しが必要じゃないか、こう私は商売上感ずるんですが、保安課長がいや、めぐちゃん心配するなと言うならそれで結構ですがね。でも、事故が起きてからあれが悪かったこれが悪かったということでは理屈にならないですから、保安関係だけはやっぱり少々大蔵省に怒られてもきちっとしておいてもらいたいというのが私の最後の結論です。  あるいは新幹線の若返り問題についても言いたいと思いますが、今回の「やまびこ」の事故だって、やっぱり突き詰めていくとそういう保安関係でしょう。ですから、その点は後で泣き虫しないように、言うべき場はきちっと言ってもらって、そして責任とるところは責任とると、言うものは言うというぐらいのやっぱり保安に対する私は厳しい姿勢であってほしいということを老婆心ながら申し上げて、一分三十秒過ぎましたが、終わります。
  63. 梶原清

    ○梶原清君 まず踏切関係の御質問をいたしたいと思いますが、去る三月八日の夕方、宇都宮市で下校途中の小学校四年生の少女が、国鉄踏切のレールと踏切板のわずかなすき間に足を挟んでしまいましてどうしても抜けなくなった。そこへ電車が走ってまいりまして少女が即死するという本当に痛ましい事故が起きたわけでございます。  この報道記事を見まして、本当に耐えられないような気持ちになりましたことは単に私だけではなかろうと思うわけでございます。なぜこのようなことになってしまったのか。そしてまた、電車が急ブレーキをかけましたときに、百メートル手前で異常を発見しておるんですが、ブレーキをかけてもそれに間に合わなかったのかどうかというようなことがそのとき考えられたわけでございますけれども、この事故と、その事後措置概要、それから今後このような事故を再発しないようにどのような対策をおとりになっておるか、簡潔に御答弁をいただきたいと存じます。
  64. 斎田登

    説明員(斎田登君) 先生指摘のように、去る三月八日十八時十五分ごろ、東北本線の岡本—宇都宮駅間の第二今泉踏切で、下校途中の小学四年生の女の子がレールと踏切のガードレールの間に足を挟みまして、そこに居合わせた中学生それから主婦が救出活動をいたし、それからまた列車停止手配をとったわけですが、間に合わずに、折から進行してきました上り電車に触れて死亡するというまことに痛ましい事故が発生いたしました。  この事故原因につきまして調査いたしましたが、ただいま申しましたように関係者の多くが未成年者であったこと、あるいは危急の場合であったことによりまして不明確な部分が多く残りました。しかし、別途国鉄が鉄道学園の実験線で、実習用の踏切において行いました実験によりますと、亡くなられた女の子と同種同サイズの靴では、レールと平行方行に足を向けた場合にはすっぽりと入る、容易にレール間に入るということがわかりましたが、また逆に容易に抜けることがわかりました。このことから、確実な事故原因について究明することはできませんでしたが、何らかのはずみでレール間に足が入り、その折、骨折あるいは捻挫等の別の原因が重なったのが原因ではないかというように考察されるところでございます。  次に、同種事故防止対策についてでございますが、国鉄といたしましては次の対策を講ずることといたしました。  まず、新学期を控えまして、踏切安全通行ルールの周知徹底を図るために、教育委員会それから学校等の関係機関に、児童を対象に指導方を協力依願いたしました。  それからまた、構造上の対策といたしましては、事故状況を勘案いたしまして、主として通学路に使用されている踏切を対象に、アスファルトのてん充、またはゴム製の詰め物を挿入する方法によりまして、レールと踏切ガードの間隙を浅くして、同種事故防止を図ることにいたしました。  なお、当該の事故の発生にかんがみまして、踏切通行の安全対策につきまして運輸省から指示がありまして、これに対し四月十二日に報告をいたしております。
  65. 梶原清

    ○梶原清君 次に、先ほども目黒先生から御指摘のございましたことに関連するんですが、トラックの過積載、過積みの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  本岡先生も先ほどお触れになりましたわけでございますが、ダンプ規制法で自重計の取りつけが義務づけられておるわけでございますが、私の認識からいたしますと、自重計の取りつけにはそれ相応の費用なり手数がかかっておるものの、その性能にいささか問題があるんではないだろうか、このように考えておるわけでございます。  聞くところによりますと、運輸省におきましては、性能のいい大型トラック向けの自重計を研究開発されたように聞いておるんですが、こうした自重計の問題について、概要をかいつまんで運輸省から御答弁いただきたいと思います。
  66. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) いま先生からお話のございましたように、土砂等を運搬する大型ダンプトラック、これは車両総重量八トン以上、または最大積載量五トン以上のものでございますが、これは四十二年に制定されましたいわゆるダンプ規制法に基づきまして自重計の取りつけが義務づけられております。  それで、現在、ダンプに取りつけられております自重計は、一般にダンプの荷台の昇降機構に発生する油圧を検出いたしまして積載重量を表示するものでございまして、その精度はプラス側が二五%以内、マイナス側が一五%以内というふうに省令で規定されております。また、価格は取りつけの工賃を含めて二ないし三万円程度というふうに聞いております。  このダンプの自重計につきましては、使用者に対して、積載管理を行う上で、その適正な使用を今後とも機会をとらえて指導してまいりたいというふうに考えております。  それから、ただいま先生のお話しございましたダンプトラック以外の一般トラック用の自重計でございますが、これも昭和四十六年五月の交通安全対策特別委員会の決議を踏まえまして、その開発研究に努力をしてきているわけでございますが、五十六年の十月にストレーンゲージ方式のものにつきまして、使用者が適切な管理のもとで使用するというのであれば、積載重量の指針として活用することが可能であるというような報告を受けております。  ただ、これにいたしましても、相当な誤差がやはりございますので、これの取りつけの義務化といいますか、そういうような指導を私どもとしてするほどのまだ精度には至っておりません。したがいまして、いま申し上げましたように、使用者が自主的に適切な管理のもとで自分の積載重量の指針として活用するのであれば問題がなかろうというようなところでございます。
  67. 梶原清

    ○梶原清君 トラックの過積みの問題には、先ほども目黒先生が強く御指摘になりましたように、トラック輸送のあり方、トラック業界の体質というものが非常に問題になるのではないかと思います。自家用トラックも相当数が多うございますし、トラック事業者も全国で三万数千に上っておる。その中で、中小零細規模の事業者が圧倒的な数を占めておるわけでございます。大手は大手なりに大変しのぎを削って競争しておりますし、中小零細はそれこそ激烈な競争を行っておるという のが実態のようでございます。それが経営面なり労働面にひずみになってきて、過積載、過積みということを招来しているのではないか、こういうふうに思われるわけでございます。    〔理事本岡昭次君退席、委員長着席〕  公正取引委員会は、昨年八月十七日でございましたか、政府規制の緩和に関する見解の発表をされまして、トラック運送事業の政府規制を緩和せよ、運賃は自由化をせよ、こういうような見解を発表されたわけでございますが、私は遺憾ながらこれには絶対反対の立場をとっております。やはり厳格な政府規制を行って的確な事業運営をしていただく、そのことの方がわが国の実情に沿うのではないか。やたらに競争させたら、それこそ寡占化が進みますし、中堅企業が滅びていってしまう。そして、暴力団的な事業者が新規参入をするという結果になってしまう。競争の結果、行くだけは行って帰りは荷物を積まないということになりますので、貴重な道路資源をむだにし、また燃料等もむだになってしまう。私はやはり現行の政府規制制度が最も適当である、このように考えておるわけでございます。  そこで、トラック運送事業の特性をこの際強調しなければいけないんでございますが、きわめて労働集約的な産業であるということが一つ。それから第二番目としまして、事業運営の主たる場所が一般公共の用に供される道路である。その道路は交通渋滞がますます激しくなるにつれて事業の運営能率というのがだんだん下がってくるだろう。それから第三番目に、一般公共の用に供される道路を使用しておりますために、公害問題とか事故の問題とか随伴をしてくる。こういう厳しい状況下でのトラック運送事業でございますから、それなりに事業の実態、本質というものを見て政府規制の問題を考えていかなければならないというのが私の見解でございます。  そこで、大手のトラック事業者は荷主が非常に幅が広うございます。中小零細になるほど荷主が特定化される、荷主の範囲が狭くなってくる、こういう実態にあるわけでございますが、大体に共通しましてのことですが、荷主の方が経済的に有利な立場にあります。そして、トラック事業者に対して運賃をダンピングせよということを強要される、それを受けなければ荷物がもらえない、食い上がってしまうと、こういうことになっておるわけでございますので、そこで本日公正取引委員さんにお越しいただいておりますが、荷主が有利な経済的な立場を利用してトラック事業者に安い運賃でやれと強要することは、独禁法上いささか問題になるんじゃないかと思うんですが、こういう点につきましてちょっとお感じになっておりますことを御答弁いただければうれしゅうございますのですが。
  68. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) ただいま先生お話ございましたとおり、公正取引委員会は昨年八月十七日にいわゆる政府規制問題につきまして提言をさせていただいたわけでございます。  この政府規制問題と申しますのは、先生指摘のトラック運送事業に限る話じゃございませんで、現在日本のいろいろな分野で、いろいろな形で規制が行われているわけでございますけれども、私どもの感じからいたしまして、個々の企業の自主性を尊重して企業の活力によって経済運営を行うという立場からいたしますと、それなりに理由があって政府規制が行われることであろうとはもちろん思いますけれども、まあその政府規制というのが一種例外的な位置づけが行われる分野ではないのか、そう思っておるわけでございます。  そういった角度から見てみますと、いろいろな分野で現在存在いたします政府規制制度も、相当これが導入されてから長い年月がたっているものもたくさんあろうかと思います。そういたしますと、導入された当時の導入する必要性、理由というものが、その後経済実態の変化あるいは業界の成長の度合いといったようなことに応じて、いろいろと変わってきているということが実情じゃないのかと思います。としますと、現時点における必要な政府規制はどうあるべきかという角度から、いろいろと見直しをするということも必要じゃないのかという趣旨で昨年御提言させていただいたわけでございます。  その中には、先生指摘のとおりトラック運送事業につきましても二、三触れさせていただいてございますけれども、トラック事業につきましては、労働集約的な産業であるとか、あるいは一般公共の用に供される道路を使うものであるとか、その他いろいろと厳しい実態があることも私ども承知いたしておるつもりでございます。そういった実態というものに即しながらより望ましい政府規制のあり方というものを探っていくということが必要なのではないか、そういった見地で私ども御提言をさせていただいた次第でございます。  なお、先生最後におっしゃっておられました、たとえば荷主の方が非常に力が強くて、それがトラック運送事業者に対して非常に無理な注文をするというようなお話もあったやに承ったわけでございますけれども、これはまことに一般論で恐縮でございますけれども、独占禁止法の中には不公正な取引方法を禁止するという規定がございます。で、その不公正な取引方法というものにはいろいろな種類のものも含まれているわけでございますけれども、たとえばその中には優越的な地位を利用して取引をするというものも、ケースによっては独禁法上問題となることもあり得るかと思います。いまの先生のお話がそれに該当するかどうかは私どもつまびらかにはもちろんいたしておりませんけれども、そういった角度からもさらに問題を考えていきたい、かように考えている次第でございます。
  69. 梶原清

    ○梶原清君 いずれにいたしましても、トラックの過積載というのは、業界の体質から生まれてくる要素というのが非常に多うございますので、業界の健全化なり体質強化を図っていく方向で自動車行政、トラック行政を進めていただきたい、強力に進めていただきたいということを御要望申し上げまして、次に運転代行業の問題に入りたいと思います。  全国各地で、従来とも運転代行会等が、酒に酔ったお客さんの車を自宅までかわって運行するという名目のもとに、旅客運送営業類似の行為を行っているのがたくさんあったわけでございます。それが主要都市からだんだんと地方都市にまで蔓延をいたしまして、ごく最近の資料では全国で九百業者、三千両を超えるようになっておるわけでございます。  これは事故防止の面から言いましても、輸送秩序の面から言いましても非常にゆゆしいわけでございまして、まず第一点としまして、運転代行業は御存じのように法令上何らの制約もない。昼間は別の仕事をしておって帰ってきてから夜アルバイトをするというのが大半でございますけれども、労働過重による交通事故の誘発が懸念されるわけでございますし、その経営形態がいわゆる一匹オオカミでございますので、事故が起きました際の賠償能力も皆無に等しい。  そしてまた、最近の傾向でございますが、暴力団がだんだんほかの部面から締め出されてまいりまして、この運転代行という分野へ進出をしてきつつある傾向があるわけでございます。そうなってきますと、単に輸送秩序、交通安全というだけでなくて、社会治安という問題にも発展していくわけでございます。  したがいまして、物事というのは芽のうちにつぶしてしまわなければいけない、このように思うわけでございますが、従来ともこの取り締まりに腐心をされつつあります運輸当局、警察当局に、ぜひひとつよく御相談をいただいてこの取り締まりに当たっていただきたい、芽をつぶしていただきたい、撲滅をしていただきたいということを強くお願いの意味を込めまして、ちょっと簡単に御答弁いただければ幸せでございます。
  70. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) まず私の方から御答弁させていただきますが、この運転代行会が、いま先生がおっしゃいましたように、本来の代行運転の範囲を超えまして、その運転代行会またはその 所属する者の自動車によりまして顧客を運送する場合には、道路運送法の四条あるいは百一条一項、これに違反することになると考えております。  これらの運転代行会に対する取り締まりにつきましては、もう先生御案内のように、五十一年に私ども各陸運局長に通達をいたしまして、機会あるごとに取り締まりの指導をしているところでございまして、今後とも警察関係機関と連絡を密にしながらこの取り締まり、違反の防止に努めてまいりたい、かように考えております。
  71. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) ただいま運輸省の方からお答えがございましたが、私どもの方もその点十分に運輸省のお考えを承知いたしております。御指摘のとおり、運転代行業と申しますものは、まあ大体多くは酩酊客でございますが、こういった者の依頼に応じてその者にかわって自動車を運転するということを業といたしておりますので、率直に言って労務の提供だけということになりますとなかなかむずかしいわけでございますが、これは先生指摘のとおり車を持ってない普通の客まで輸送するようなことになりますと、いわゆる白タク類似になるわけでございますし、またそういう形に陥りやすいという側面もあるように承知しておりますので、この点につきましては運輸省のお考えなり御連絡も十分に承って、これには厳正に対処してまいりたいということでございます。
  72. 梶原清

    ○梶原清君 次に、車検整備の問題につきまして御質問を申し上げたいと存じます。  国民負担軽減という立場から先般道路運送車両法の改正が行われまして、この七月一日から実施されるようになったわけでございます。制度の改正が何らまだ実現されていないにもかかわらず、定期点検の実施率はこの数年落ち込んできておるはずでございます。いわゆる国民の定期点検離れということが具現化しつつあるわけでございますけれども、その実態と、また今後どのようにして交通安全、公害防止等を確保していくおつもりか、その点についてまず御答弁をいただきたいと存じます。
  73. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 昨年の道路運送車両法の改正によりまして、定期点検整備につきましての改善をしたわけでございます。そういうようなことで、確かに先生がいまおっしゃいましたように、整備事業者の点検整備の業務量というのはこれは相当減少していくと、こういうことは昨年の法律改正の際の国会での御審議の際にも私どもきちっと申し上げてきたわけでございまして、ただこの法律改正は、御案内のようにことしの七月一日施行を目途にいたしましていま諸般の準備をしております。もう政省令はすでに公布されておりまして、その周知徹底方につきましていま努力している最中でございます。  いずれにいたしましても、整備業者の整備の業務量というのは、法律改正が施行されますと減っていくと。それから、ただいま先生おっしゃいましたように、改正前の現在でも国民の方々の定期点検整備離れという現象が起こっておるというお話もお伺いしておるわけでございますが、私どもといたしましては、この整備事業者、まあ工場数で申しますと約七万八千工場あるわけでございますが、いずれにしましても中小の零細企業でほとんどが占められておるわけでございまして、経営基盤が非常に脆弱でございます。  それで、これからの厳しい環境にどうやって対応していくのかということでいろいろ私どもも考えておるわけでございますが、一つは従来から進めております構造改善事業の推進、それからもう一つ自動車整備近代化資金の活用、これは五十八年度予算におきまして——業務量が減っていく整備事業者でございますので、指定工場というのが先生御案内のとおりございますが、指定工場の経営も困難にぶつかってくるのではないかということで、そのために指定整備率が減少していく、あるいはふえていかないというようなことでは非常に困りますので、その指定整備率の維持向上のために、指定整備工場が必要とする運転資金、あるいは運転資金に対する借り入れの債務保証、あるいは近代化のための設備資金に対する借り入れに対する債務保証、それから近代化の設備投資に対する利子補給、こういうようなことをするために、日本自動車整備商工組合連合会が資金をつくりまして、それをもとにしてそういうようなことをやろうということでございますので、五十八年度の予算におきまして政府から十億円の助成をしようというような手当てもいましております。  それからまた、こういうような状況になりましたのも、やはり整備事業者の方々の中にユーザーの信頼を落とすようないろいろな行為があったわけでございますので、そういうようなことのないように、ユーザーの信頼を取り戻すために仕事を適正にやっていくというような御指導を整備事業者の方々にしたいということで、先ほど申し上げました新しい改正後の道路運送車両法では、分解整備事業者が遵守すべき事項を定めるということになっておりまして、その遵守すべき事項につきましても、三月に公布いたしました省令の中で定めておる次第でございます。  そういうようなことで、私どもといたしましても、分解整備事業者が十分整備事業の健全な運営をやっていけるようにこれからも努力をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  74. 梶原清

    ○梶原清君 私は、実は整備業界は戦国時代に突入すると、またまさに戦国時代に入っておるというふうに思うわけでございます。  先般の道路運送車両法の改正前からも、また改正後もそういう事態が予想されるわけでございますが、御承知だと思いますけれども、現在九州地区を中心にダイエー、ユニード、壽屋などの大手スーパーが自動車分解整備、車検整備等に進出をいたしまして、これが全国的に波及していく様相を示しておるわけでございます。これが大変な波乱なり混乱を巻き起こしておるわけでございますが、運輸省といたしまして車両法の運用上の観点からこれにどのように対処されるのか。  そしてまた、この整備事業者の資格を持たないでスーパー等が行っております行為、これは私は違法ではないかと思います。法律上は仲介、あっせんという業務を認めておりませんので、それをスーパー等が行うということはこれは明らかに違反であると、このように私は個人的に考えております。  いずれにしましても、運輸省におかれて必死になって業界の健全化、ユーザーに対する責任が遂行できるような体制に持っていくための努力をなさっておるわけでございますけれども、実は一方において大資本がこのようにしてどんどん進出していって乱される、こういう事態になっておるわけでございます。  先ほども指摘のように、仕事は落ち込んでいく、認証工場は伸び率は鈍化しましたけれどもふえていく、そこへもってきてこういうものが進出をしてまいっておりますので、私はまさに戦国時代ではなかろうかと。しかし、やっておる仕事というのは、業務というのは、これは安全と直結した、公害防止と直結した大切な仕事でありまして、この業界の体制というものを確実に健全にしていく努力というのが必要ではないかと、私はそのように理解をしておるわけでございます。これにつきまして運輸省がどのようにいまお考えになっておるのかということをまず一つ。  それから、公正取引委員会さんにお越しいただいておりますが、この種のスーパー等の行為、仲介、あっせん等に絡む広告表示の内容等につきまして、独占禁止法、景品表示法、あるいは下請法の観点からどのように御認識をなされ、どのようにお取り組みをなさるおつもりか。整備振興会におきましては、この問題が非常に大変になっておりますので、この問題を公取さんに申告したいというような意向も漏れ聞いておるわけでございますが、こうした点につきまして公正取引委員会さんの現在の段階のことで結構でございますので、御所見。  それからもう一つ、このように安全と公害問題 に直結した大切な仕事、しかもその仕事をやっておりますのは、全国七万数千の主として中小零細の事業者が取り組んでやっておるわけでございますので、そこに料金について標準化の作業というものをしていいんではないだろうか、標準料金を設定する方がかえって国民の利益につながるんではないだろうか、国益に沿うんではないだろうかと私は思うんでございますが、そういう点につきまして御感想だけで結構でございますので、非常にむずかしい問題であるということは重々承知の上で御質問申し上げておりますので、以上の点について簡潔にひとつ御答弁をいただきたいと思います。もう時間が超過をいたしておりますので、簡潔にお願いを申し上げます。
  75. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 整備事業者に対する大手業者の仲介、あっせんの問題でございますが、この問題は直ちに道路運送車両法に触れるのかどうか、その辺のところは私どもまだ十分研究はしておりませんが、車両法上の違反ということにはなかなかなりにくいのではないかというふうに考えております。  ただ、そういう大手業者の仲介、あっせんによって整備事業者が不当に収入を搾取されて、その結果手抜き整備やあるいは過剰整備というような非常に好ましくない状態が発生するということは私どもとしても望んでいないところでございますので、その辺のところはよく実態を調査してしかるべき適切な措置をとりたい、かように考えております。
  76. 植松勲

    説明員(植松勲君) 御質問は二点あったかと思うんでございますが、まず第一点の方でございますが、スーパーなどが仲介業務をやっていることに関連して、いわば不当表示の問題等で景品表示法といった問題があるのではないか、こういうことでございましたが、ただいま業界の方で、先生いまおっしゃいましたように実態を把握されて、独禁法なり景表法違反の疑いがあるのではないかと思われる実例を集めて、近々公正取引委員会の方に申告するという動きがあるということは私どもも存じております。したがいまして、具体的な実例が出てまいりましたときには、関係の法律に照らしてどのように対処するか検討していきたいと思っております。  それから、二点目の標準料金の設定についてでございますが、先生の御質問にもございましたように非常にむずかしい問題である。まさにこの標準料金の問題、過去にもいろいろとこの業界の団体とは経緯がございまして、私ども基本的な考え方は、価格ないし料金というのは本来公正かつ自由な競争を通じて個々の事業者が自由に決定されるべきものであると、事業者団体がそれに何らかの形で関与することは独占禁止法上問題になる場合が多いという基本的な考え方がございます。  したがいまして、それがたとえ標準価格といったようなことで、価格設定の目安というような形にすぎない場合でありましても、それが事業者団体が決定するということになりますと、一般的にはその会員、構成事業者の意向を無視したものを決めるということはないわけでございますので、やはり独占禁止法上の問題が出てくる、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、もちろん価格設定が困難な品目、まさに整備業界における整備料金といったものはそういうものだろうと思うんでございますが、そういう場合につきましては、中小企業者が多くを占める業界ということもありますので、何らかの指標といったものを業界、団体で決定すると、そういうことを団体で決定して会員に指導すると、それはまた消費者にとっても、ユーザーにとっても目安となって有益であると、こういうことがあろうかと思います。  そういうことを踏まえまして、独占禁止法上との兼ね合いでぎりぎりのところどの辺までできるかということで、社団法人日本自動車整備振興会連合会といったところからかなり前から相談ございまして、いままでのところ幾つかの点について問題ないというふうに答えております。  それを簡単に御紹介いたしますと、作業難易度といったものに応じたケースを設定して会員の整備料金の算定基礎あるいはユーザーへの説明資料として使用させる。それから二番目としましては、過去の整備料金について実態調査を行い、その結果を公表する。それから三番目といたしまして、整備料金を店頭表示する、その際のモデル様式を団体で決めて会員に頒布する、それから経営指導を行うこと。こういったものについて、いずれも独占禁止法上の問題が少ないのではないかと考えまして、業界につきまして御回答しております。  業界の方ではこれを順次実行に移しているというふうに承っております。こういうようなことを通じまして、整備料金に対するユーザーの不満も解消できるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  77. 梶原清

    ○梶原清君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  本日は、先ほど本岡先生がお触れになりました高年齢層の運転者の事故に関連をいたしまして、個人タクシー業界の問題に触れたいと思っておりましたが、これまた時間の関係で後日に譲りたいと思います。個人タクシーがもう相当年齢が高くなってきておるわけですが、これの問題というのは非常に深刻であり、当事者にとりましては非常に深刻な問題ですし、また利用者の立場というものもあるわけですから、これにつきまして十分な御検討をいただきたいという御指摘だけ申し上げて質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  78. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 車社会の多様化に伴いまして、先ほどから話題になっております運転代行会だとか、それから最近は交通反則金に関する保険業者の横行が新聞紙上をにぎわしております。私は個人的にはこの種の業態にはきわめて好ましくないことだと、こう思っておりますけれども、この業態の現況と、そして当局のこれに対する今後の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) ただいま先生のお示しになりました団体につきましては、御承知のとおり直接直ちに法令に触れるという点を見出しかねておりますので、私どもとしては率直に言って、かつてあった問題でもございますけれども、有効な対応策を見出しかねておるという状況でございます。また、実態の問題につきましては、そういうこともございますので、必ずしも私ども正確な数をつかめているとは申し上げられない状況でございますけれども、ちょっと本日手元に申しわけありませんが数字を用意しておりませんので、これは後刻御報告申し上げます。  それで、このことについての対応でございますが、最初に申し上げましたように、直接この点について現在取り締まるということをいたしておりません。これはほかの委員会におきましても、やはり同じような御関心と御指摘がございましたので、そういうお答えを申し上げておりますが、ただ私どもの見通しといたしましては、この種の事業はきわめて常識的に言いますとペイしにくい問題でございますので、これが大きく問題に発展をするという点につきましては、私ども必ずしもそのように深刻には考えておりません。  ただ、これが並行いたしまして、たとえば弁護士法違反であるとか、そういった付随的な事案を起こす可能性も多分にございますので、こういう点につきましてはそういう面から十分厳密に対応してまいりたいというふうに考えております。というのは、先生指摘のとおり、直ちに決め手はございませんが、交通安全の見地から考えますと好ましくないという考え方を持っておることは先生指摘のとおりでございまして、そういう構えで今後この点につきましては関心を持って見てまいりたいということでございます。
  80. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、交通事故による負傷者の救護についてお伺いいたしますが、以前当委員会でも若干この件について私お伺いしたことがございますが、交通事故を起こした場合、救急車が現場に到着する十分前後の間、現場にい合わせた人たちの適切な応急手当ての重要性が昨今非常に強調 されております。すなわち、生死決する事故後の数分間、こういうことがよく言われるわけですが、この事故現場での応急手当て、応急救護についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  81. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 交通事故の現場における適切な救護が、交通事故に遭遇をした被害者の人命の救助に非常に関係が大きいことは先生指摘のとおりでございます。したがいまして、この種の問題につきましては、できるだけ、まあ主としてそういう現場に出会わせて措置をするのはドライバーが多いわけでございますので、応急の措置ができるようにドライバーに対して必要な指導をするということは、基本的には現在の車社会で要望されていることであろうというふうには考えております。  ただ、これはもちろんそういう措置が適切に行われればこれにこしたことはないわけでございますが、事が事故による傷害の救急というふうにかなり専門的な知識を要するという仕事であること。それから、交通事故の現場というような面もございまして、その当事者としてはかなり動転をした気分でこれに対応せざるを得ない。そういう点で、いわゆる正常な神経、正常な心理ではなかなか対応しがたいといったような交通事故特有の雰囲気があるということ。それから、いわゆる一般の、これだけ普及いたしましたドライバーということの水準の中で考えなきゃならないということ。こういうことを考えますと、いわゆるドライバーがその現場ですることを期待されるという点につきましては、これは一応の限界があるのではないかというふうに考えております。  その辺の限界、それからそれに至る教育の効率ということを考えながら、当面といたしましては、できるだけ運転者一般に対するこの辺の知識の厚みを増すということを、着実にやるということを頭において指導するのは現状においては必要であり、妥当ではないかと考えておるところでございます。
  82. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ただいま御答弁がありましたように、現実には確かにそうだと思います。事故を起こした当事者としては動転してなすすべを知らないというのが現実じゃないかと思いますが、一方道交法の第七十二条には、事故を起こした当事者は負傷者の救護をするよう義務づけてあるわけですけれども、実際はなかなかいまおっしゃったように何をどうすればいいのかわからないというのが現実ではないかと思いますが、また冒頭私お尋ねいたしましたように、生命を本当に、まあ助かるか助からないかというその境だという非常に大事な数分間でもあるわけですけれども、こういったような現実、そうした二つの現実というのがあるわけですけれども、そういう面から考えた場合に、救護法の普及、そういうようなことを運転免許の更新時期等には一応言われはしますけれども、なかなかそれは抽象的なものであって、実際には何にもなされていないというのもこれまた現況でございますので、こういうことに対する具体的な方法なり考え方がございますか。
  83. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) この委員会でかつて先生にも御指摘をいただいたことがあるわけでございますが、やはり私ども事故に不幸にして遭遇した場合に最小限度ドライバーにやってもらいたいことと申しますのは、これは逃げてしまうのは論外でございますけれども、少なくともその現場にとどまってやってほしいことは、事故を起こした道路が交通頻繁な道路であるというような場合には、少なくともそういう交通の流れの中から被害者を急いで安全なところへ移してほしいといったようなこと。あるいは様子を見て常識的にわかる限りでは病院やあるいは救急隊に迅速に連絡をしてほしい。もし可能であるならば、場所によっては近くの病院等に運んでほしいといったようなこと。少なくともそれに関連したようなこと。あるいは血を流しておるならば少なくとも包帯ぐらいはしてやってほしいという、きわめてプリミティブな身近なことをしかし確実にやってもらうということが、いわゆる現場における被害者救護という点から見た道交法の救護義務の常識的な内容ではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。それがそれぞれの場所、事故の態様等によって多く変化する。それに大体その辺の枠の中でうまく対応してくれれば好ましいというのが私どもの考えでございます。  そういたしますと、この点につきましてそれをさらに進めまして、具体的な症状に応じてどう対応するかということは、具体的に遭遇する場合の対応を考えますとかなり多様化せざるを得ませんし、そういった場合に細かな対応を十分にドライバーに覚えてもらうような形のものを免許取得時あるいは更新時にするということが、全体の更新という手続あるいは免許取得ということの教育の中でしなければならないこと、ドライバーが遭遇する可能性の高いことの問題に比べてどれだけその比重を割くかというところに現実的なむずかしさがございますので、したがって先生指摘のとおり、余りその点についての具体的なものが盛られているようには思えないという御感想があるのも私は当然だと思いますけれども、それはそういったことの中における一つのやむを得ない現実があるのではないかということでございます。  これを補うにつきましては、たとえば最近、御承知のとおり更新手続の際には、できるだけ優良ドライバーに対しては手続を簡略にして、そのかわり資料等で十分必要なことをドライバーに知識をつけるというようなことをしておるわけでございますが、そういったことの中でつけ加える知識としてこういったようなものを具体的に活用していく側面があるのではないか、そういうことでございます。  こういうものは、今後いろいろな視点からこの辺の内容を厚みを深めてまいりたいと考えておりますので、今後そういった側面において先生の御意見が生かされるような形のものに工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
  84. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 実際問題としていまおっしゃった程度のことをやるのが精いっぱいじゃないかと、こう思います。しかし一面、西ドイツあたりでは、このドライバーに対する救急の場合の救護法といったようなものを習得させるというようなことも非常に盛んになっているようですし、この点についてのひとつ前向きな姿勢をとっていただきたいと思います。  ところで、救急隊の業務についてお尋ねいたしますが、現在、救急出場件数と搬送人員の推移、また交通事故の占める割合というものはどういうふうになっておりますか。救急隊員の出動件数ですね、出場件数ですか、それと搬送人員の推移、それがどのくらいあるか。そして、その中で交通事故によるものがどのくらいあるのか。
  85. 大山昭夫

    説明員(大山昭夫君) お答えいたします。  救急出場件数でございますが、昭和五十六年で二百五万五千七百五十件でございます。で、搬送人員が百九十七万七千二百三人でございまして、そのうち交通事故による出場件数でございますが、四十三万三千六百八十七でございまして、全体に占める割合が二一・一%ということでございます。  以上でございます。
  86. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 現在、救急隊員の行う応急処置というのは、昭和五十三年に基準が制定されて今日に至っておりますが、これは現場の対応として果たして十分なものであるかというふうに考えますが、たとえばその対応もさることながら、先ほどから申しておりますように、一刻も早く現場に救急隊の隊員なりそういう人がはせ参じる、それと一刻も早くそうした医療機関に搬入するというのが大事じゃないかと思います。  現在、フランスのパリあたりでは、近年の交通の渋滞の激しさに伴い、まず事故が起こればさらに渋滞がひどくなる、こういうことから、救急車が現場に到着するにはもうかなりの時間がかかる、そのために二輪救急車の見直しというのがいま非常に大きくなっていると聞いておりますけれども、日本の大都市部においてもこれは同じ状態が言えるんじゃないかと思いますが、そういった ような意味からこの二輪救急車の採用というものについての御検討はいかがでしょうか。
  87. 大山昭夫

    説明員(大山昭夫君) 消防庁におきましては、現在のところ二輪救急車については検討してございません。
  88. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私も清水谷の宿舎におりますけれども、それこそ夜あたり、救急車がマイクで、先の走っている車もう少しよけてください、そういったようなことを言いながら道をあけてもらうようにして急いでいるのを見ると、本当にあれが現場に到着するのはずいぶんかかるだろうな、大変だろうな、そういう気がしてならないわけですけれども、そういうことから考えると、やっぱりそれが二輪車の場合だと車と車の間をすり抜けて一刻も早くまずは到着できるというようなことがあるわけですから、この二輪車による救急車というもののひとつ検討もお願いしたいと、これは要望しておきます。  次に、救急隊員の応急手当ての範囲として、救急医学の専門家の人たちから最近、救急隊員に一部医療行為を認めるべきだ、こういう意見が出ているようですが、それは本当に現場での必要性から出てきたこれは意見で傾聴に値するものだと思いますが、法改正等によりましてより充実した救急体制をつくり上げる必要があるのじゃないか、こう思うわけです。現在医師法だとかその他の法規制によってこれはできないわけなんですけれども、この点はいかがお考えですか。
  89. 大山昭夫

    説明員(大山昭夫君) お答えいたします。  消防庁におきましては、御案内のとおり昭和五十三年に応急処置の基準を制定いたしまして、これに基づきまして救急隊員の資格要件の法制化等を行いまして、救急業務の第一線に立つ救急隊員の資質の向上あるいは養成という形で救命効率の向上に努めているところでございます。  御指摘のような、もう少し何と言いますか、高度な応急処置となりますと、医療行為であるかどうか、医師法との関係、あるいは救急隊員の養成等いろいろ解決しなければならない問題も多いのでございます。しかしながら、御指摘になりましたように、応急手当てを早くすればするほどその効果は大きい。そういう意味で、われわれ消防庁といたしましては、救急隊員の行う応急処置の重要性というのは非常に高いんではなかろうか、こういうふうに考えておるところでございまして、消防庁におきましては、今後とも関係省庁とも十分連絡調整を図りながら救急業務の一層の充実に努めてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  90. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 交通安全対策基本法第三十四条には「国は、交通事故による負傷者に対する応急手当及び医療の充実を図るため、救急業務に関する体制の整備、救急医療施設の充実等必要な措置を講ずるものとする。」、こうあるわけですから、これがひとつ死文化しないように、先ほど言った二輪救急車のそういう採用等も含めて、ひとつ十二分に検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  91. 大山昭夫

    説明員(大山昭夫君) 先生の貴重な御意見として消防庁に戻りまして十分研究したい、このように考えております。
  92. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 それと、救急告示医療機関についてお尋ねいたしますが、全体で人口十万に対して四・五と、こういうようになっておりますけれども、各県別に見ますとこれが非常にばらつきがある、こう思います。たとえば沖縄県で〇・六、山形、福島県で一・七と非常に少ないわけでございまして、反対に石川県等では九・八と、こういう状況でありますが、こういったようなばらつきというものを少しでもひとつ改善すべきではないかと思いますが、この点についていかがお考えですか。
  93. 柳沢健一郎

    説明員柳沢健一郎君) 救急告示病院についての問題でございますけれども、御指摘のように現在全国で約五千三百ございますので、先生おっしゃるような人口単位の率になるわけでございます。これは主として外科系の患者を取り扱うという、そういう救急医療機関になっているわけでございますけれども一つにはこの救急告示医療機関が、これは昭和三十九年の厚生省令に基づきまして都道府県知事が告示する医療機関でございますけれども、これをもっとふやすということにつきまして私ども努力いたさねばならないと考えておりますけれども、そのほかにさらに救急医療対策といたしまして、現在一次、二次、三次といったような救急医療施設、休日、夜間の診療所から、あるいは病院群輪番の要入院の患者を治療する施設、それからあるいは救命救急と称する重篤な患者を治療するそういう病院、それらの整備を体系的に厚生省としても進めているわけでございますので、それらの救急告示医療機関の整備と相まって救急医療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
  94. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、交通事故防止の重要な柱として交通教育が先ほどから当委員会でもいろいろ論議されておりますけれども、幼稚園から高校における交通教育の実施の現況というものについてお尋ねいたします。
  95. 森脇英一

    説明員(森脇英一君) 幼稚園から小中高等学校におきましては、それぞれの学校におきます教育活動の全体を通じまして計画的、組織的に行うということで、小中学校等におきましては、各教科でありますとか道徳、特別活動など教育活動の全体を通じて行っておるわけでございます。こういったことのために、教材の充実でございますとか、指導の手引きの改定でございますとか、あるいは教員の指導力の向上のための研修会等を行って交通安全教育の充実に努めておるところでございます。
  96. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほども本岡委員の質問に対してきわめて抽象的な答弁があっておりましたけれども、どうもそういうことではなしに、もっともっとより具体的な、何か本当に幼稚園の園児であれば幼い子供が、あるいは中学生、高校生の人であれば間もなく暴走族に入るような適齢期にあるわけですから、その人たちに強力に何か印象づけられるような、いろいろなスライドだとかそういったようなものをもって、ひとつ交通事故の恐ろしさだとか、そういう交通のマナーだとか、そういったようなものを教育するということが大事じゃないかと思いますが、どうも見ておりますと、交通安全対策の中でいろいろ教育の面で言われていることが形式的に流されているというような感じを深くするわけですけれども、その辺のところいかがですか。
  97. 森脇英一

    説明員(森脇英一君) 交通事故等の関連におきましても、昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定されまして交通安全基本計画が制定されましたが、文部省関係におきましても、文部省交通安全業務計画を定めまして年々実施をしておるわけでございますが、特に昭和五十六年度の第三次基本計画の際には、体育局長の通達を発しまして詳細について通知をいたしておるところでございます。  ただいま先生お話のございました指導の重点につきましても、たとえば幼稚園について申し上げますならば、道路の歩行、歩き方から始まりまして、道路の横断でありますとか、あるいは乗り物の安全な利用というふうな細々としたことについて、各幼稚園について指導に重点的に取り組むように要望を発しておるわけでございます。  ただ、文部省におきます幼稚園教育要領あるいは各学校の指導要領におきましては、それぞれの教育課程の基準となる基本を示すということでございまして、細々としたところまではこういった通達ないし基準には書いてないわけでございますが、その他指導書あるいは指導資料等を作成し、あるいは研修会等におきましてその細部についての教員の指導力の向上ということを図ってまいっておるわけでございます。  高等学校の場合でございますならば、小学校、中学校と行ってまいりました自転車の安全な利用をさらに進めまして、さらには二輪車とかあるいは自動車の特性に関する事柄、あるいは交通法規に関する事柄交通事故防止というふうなことについても重点的内容として取り上げることを要 望しておりますし、昭和五十六年度からは、財団法人日本交通安全教育普及協会に委託をいたしまして、高等学校におきます教材の調査研究を行っていただきまして、今年度以降、その具体化が図られるというふうな状況でございます。  また、教員の指導力の向上につきましては、昨年度から交通安全指導者養成講座というものを一週間にわたって実施をいたしまして、全国的な指導者の養成を図り、そこの事柄につきまして、各部道府県におきましても指導者養成のための研修会を実施するということで、余り目立たないところではございますが、それぞれ都道府県、市町村教育委員会、各学校におきまして取り組んでいるところでございますので、よろしく御理解をいただきたいと存じます。
  98. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 青少年の交通事故による死者増加と相まって、特に最近老人死者増加が問題となっておりますが、急速に高齢化社会へ移行しつつあるわが国といたしましては、今後ますます老人交通事故の問題ということが深刻になっていくのが予想されます。  そこで、この対策が急務になってまいりますけれども、いろいろ私調査してみましたら、老人死亡事故で、これは建設省にお尋ねいたしますが、道路の幅員が七・五メートル未満での老人死亡事故といったようなものが約四〇%を占めております。それに比較しまして子供の場合は五・五メートル未満でが非常に多い。こういう両方の数字を比較対照してみますと、老人事故というのは比較的幹線あるいは準幹線で発生しておる。  これは老人生活圏の広さと交通目的の多様性を示しているということが言えるのじゃないかと思いますけれども老人が利用する道路の状況老人にとって全く利用しにくい現況にあるのじゃないかと思います。というのは、歩道の整備について自転車歩行者道が多くなっておりまして、老人が安心して歩ける歩道というものが非常に少ない。歩道についても歩行者専用道の整備が必要と思いますけれども、その計画等についてはどうなっておりますか。
  99. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 現在約七万三千キロの道路について歩道等が設置されております。私たち必要な整備しなければならない延長は約二十三万キロというふうに考えておりまして、そのうち特に緊急に整備しなければならないものが十万キロございます。したがって、いま七万三千キロ整備されておりますので、この残りの二万七千キロにつきましては、第九次道路整備五カ年計画期間中に完成したいというふうに考えておりますが、現在できております七万三千キロについて見ました場合、自転車自動車から分離する必要性から、約二万六千キロにつきましては、先生いまおっしゃったような自転車歩行者道として整備がなされております。  御指摘のように、自転車交通が多い場合には、歩行者に危険が予想されるため、極力自転車道と歩道を分離して設置するよう努めるとともに、自転車歩行者道の幅員についてもより広くとるよう指導しておるところでございます。現在、自転車道と歩道とがそれぞれ分離して独立して整備されている延長が八百七十七キロでございまして、歩道のみのものが四万六千四百キロ、それから自転車歩行者道と併用しておるものが、いま申しましたように二万五千七百キロでございまして、合わせて七万三千キロとなっておるわけでございます。  また、横断歩道橋等につきましては、なかなか老人の方が使いにくいこともございますので、こういうものについても、老人の方が使いやすいようスロープを設置するとか、そういう面で鋭意努力しているところでございます。
  100. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、老人が第一当事者の事故並びにそれによる死者というのもふえつつありますが、これも高齢化社会の一現象であるわけですけれども、これは交通弱者としての老人が反対にいまの交通システムでは加害者にもなりやすいことを示しているわけでして、こういう傾向に対して何か対策というものがございますか。  私は、かつて当委員会でも、免許証に定年制を設けるということはこれはできないにしても、何か一つの、たとえば盲目の方々が白いつえを持って歩かれると同様に、高齢者である方の運転する車には何かそういう標識を立てるとかなんとか、そういうことはできないかというようなことを申したら、やっぱりそれは高齢者といえども自尊心を傷つけるというようなこと等もあってなかなかむずかしいだろうというような御答弁がありましたけれども、しかし現実にこれから高齢社会に入っていきますと、年はとってもまだまだ気は若いというか、そういうような方々が多くなって痛ましい事故等もふえるんじゃないか、そういう気がしてならないんですけれども、いまから十分そういう対策は考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  101. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 前回もこの点について先生からお尋ねいただいておりますが、まさに高齢者という条件と車社会の中において活動するという点との両立のむずかしさを御指摘いただいたわけでございまして、したがってこの辺私の方もなかなか明確にはお答えをいたしにくいところでございます。  先生が御指摘になりました例の高齢者マークというような点につきましては、一応ああいうお答えを申し上げましたが、実はなるほどそれも一つの見方だなという感じは私の考えにも一方にあるわけでございまして、老人の今後の車社会の中における対応に問題が出てくれば、やはりそういうような議論はまたわれわれとしても考えざるを得ないかなという感じはいたしております。  それから、御指摘のように気は若くても体がついていかないというのが車社会では一番厄介な話でございまして、しかもそれはいろいろ同じ状態にありながら人によって千差万別だと、これほど違いのあるものもなかろうと思います。したがいまして、制度でくくるということに大変むずかしさがあるというのが老人問題の、特に車社会における老人問題のむずかしさであろうというふうに思いますので、したがって高齢者サイドからのいわば選択的対応によっていろいろ必要な知識、体験をあらかじめ得ていただくということに努めるのが最も現実的な対策ではあるまいかというふうに考えて、先般もそういうことをお答え申し上げたわけでございます。  現在も、やはりそういった意味で、先ほど本岡先生のお尋ねにもお答え申し上げましたように、いろいろ高齢者として注意しなければならないような必要な情報をいろいろ外部の機会を設けてできるだけ多面的に差し上げていくということの中で、次第次第にやはりちょっと気をつけぬといかぬかなという気持ちを一般的に普及させていくという以外にはないのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。もちろんそれは当面そうせざるを得ないということでございまして、今後とも何か具体的ないいきっかけがないかという点は絶えず工夫をしていきたいと思っておりますので、またいろいろ御示唆をちょうだいいたしたいというふうに思っております。
  102. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 終わります。
  103. 中村鋭一

    中村鋭一君 総理府にお尋ねいたしますが、いま国民皆免許時代と言われておりますが、先般発表なさいました第三次の交通安全対策、それに関連した交通教育、その方針についてまずお伺いいたします。
  104. 滝田一成

    政府委員滝田一成君) 現在の交通安全対策につきましては、昭和四十六年から第一次、五十一年から第二次、五十六年から第三次という基本計画ができまして実施をしているわけでございますが、当初の計画から、交通安全教育の問題につきましては非常に大事な問題だと、こういうことで、学校、幼稚園あるいは地域社会それぞれの場における交通安全教育のあり方というものを決めまして、その実施の推進を図ってきたわけでございまして、その結果交通事故によりまする死傷者も、他の施策ともちろん相まってでございますが、だんだん減ってきたわけでございますが、第二次の基本計画が終わります五十五年におきまし ても、なお年間六十万人以上の方々が交通事故で死傷を受けております。  さらに、五十三年以降は交通事故発生件数あるいは死傷者などにつきましては増加の傾向をたどっていると、こういう状況になっておりますので、第三次の基本計画におきましては、特にその時点におきましてはより交通安全教育は必要であると、こういう一般からの声といいますか、示唆も高まったわけでございまして、各年齢段階に応じまして生涯にわたる交通安全教育機会を確保して交通安全意識の高揚を図ると、こういうことに第三次の基本計画ではいたしております。  さらに、家庭、学校、職場、職域等で行います各種交通安全教育につきましても、同じような生涯にわたる教育と、こういう観点から有機的な連携を保ちながら実施をするように配慮する、こういうことにいたしております。
  105. 中村鋭一

    中村鋭一君 警察庁にお伺いいたしますが、交通安全対策の中で交通教育、特に若年層についてどういう御方針でやっておられるかお伺いいたします。
  106. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 先生も御承知のとおり、交通安全対策にはもともと三つの柱があると言われております。すなわち、警察取り締まり等の外部的な働きかけ、それからいろいろ安全施設整備等の環境整備、それから交通の主体である運転者あるいは歩行者等に対する安全意識ということで、第三の対策としてその基本になるものは安全教育であるということがもともと言われております。  したがいまして、安全教育はいわば交通安全を達成するための三本の柱のうちの一つであるという認識を持っているわけでございますが、特に若年者に対しましては、これが免許という場に出ました場合に、いわゆる現実事故が多いという事故多発の傾向のある年齢層であるということ。それから、若年者は同時に初心者であるという立場を持っているということ。第三に、場合によってはたとえば暴走族になりやすいといったような、そういういわば交通秩序にともすれば外れやすいという一つの内容を持つ世代であるというような点がございますので、そういう点に着目をいたしまして、これを安全に車社会の中で位置づけていくという点から考えますと、若年者教育というのはそういった意味で全体としての対象の中でも特に重要な対象であると考えているところでございます。
  107. 中村鋭一

    中村鋭一君 自動二輪の免許は何歳からですか。
  108. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 十六歳からでございます。
  109. 中村鋭一

    中村鋭一君 文部省にお尋ねいたしますが、学校教育の場における交通安全のための実技面、それから精神面の教育はどのように実施しておられますか。
  110. 森脇英一

    説明員(森脇英一君) 学校におきます交通安全教育の精神面と申しますと、幼稚園から高等学校まで幼児、児童生徒が安全に行動できる体と能力を養うということでございまして、これをもう小し具体的に申しますならば、交通場面におきます安定的な情緒のもとに対応するということでございまして、交通危険における飛び出し等の事例を見ますならば、やはり粘り強さでありますとか、あるいはがまん強さでございますといったふうな態度といったものが交通に関する精神的な面で大変大きなかかわりがあるというふうな指摘があるわけでございまして、心身の発達段階や個人差に応じた指導に努めておるところでございます。  また、実技面でございますが、実技面といたしましても、たとえば幼稚園でございますと、歩くということが実技でございまして、道路の歩行あるいは横断、そして場合によりましては通園バス等乗り物の利用といったふうなことにつきまして、実地に訓練をするというふうなことによって対応をしておるわけでございます。その後、小学校、中学校と、自転車等の実技もいたしますし、あるいは乗り物に対する理解というふうなものも深めてまいるわけでございます。  なお、高等学校につきましては、二輪車の実技指導というものは一律全国的には行っておらないわけでございまして、現在の学校施設、指導者等の面から見まして、これを全国一律に実施することは無理があるというふうに考えておるわけでございますが、生徒の実態や地域の実情等に照らしまして、通学等二輪車の使用が必要であるケースもあるわけでございまして、そういった場合には、二輪車の安全に関する内容についても適宜取り上げまして意識の高揚を図りますとともに、実技面につきましても、二輪車の安全運転の推進を図る機関あるいは団体等と連携をいたしまして、安全運転等に関する指導を行うことが必要となる場合があるというふうな状態でございます。
  111. 中村鋭一

    中村鋭一君 警察庁にお伺いいたしますが、いま自動二輪は十六歳からとおっしゃいました。その年齢設定はどういう理由で十六歳と設定されたんですか。それが十五歳でもなければ十七歳でもない、十六歳ですね。十六歳という年齢は自動二輪の免許を取るにすでに十分な社会的成熟を見ているから十六歳というふうにお決めになったんですか、その経緯を簡略に。
  112. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) これは、一つには国際的なバランス、一つには国内におきますところの沿革のものでございますが、その背後には先生指摘のとおりすでに運転をすることのできる成熟があるということを基盤にしておることはそのとおりでございます。
  113. 中村鋭一

    中村鋭一君 ということは、成熟があるということは、法律をもってそれを認めている以上、たとえば満十六年に達した少年が男女を問わず自動二輪に乗ることは法律上一向に差し支えがないから、そのような年齢設定をしていらっしゃるんですね。
  114. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) そのとおりでございます。
  115. 中村鋭一

    中村鋭一君 文部省お尋ねいたします。  御存じだと思いますけれども、いわゆる三ない運動というのがございます。学校によってはこれを四ない運動と称しまして、免許証は収得しない、車は買わない、乗らない、乗せてもらわない、こういう運動がありまして、それにたとえば違反した場合は、まあ社会的通念、常識から見て過酷に過ぎると思われるような罰則を科している学校が多々あることは御存じだと思いますが、この三ない運動について文部省はどのような理解をしていらっしゃいますか。
  116. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) 御指摘のとおり、三ない運動というのを実施している高等学校がかなり多いということは私ども承知いたしております。法律上認められていることでございますけれども、連続して人身事故があったとか、あるいは加害に回ったとか、あるいは暴走族で大変回りの社会が迷惑をしているというようなことが集中的に起こってきますような地域におきましては、学校教育上のやむを得ない措置としてこれを三ない運動というような形で実施するということは、現実的なあり方としてまあ考え得ることではないかと私どもでは考えているところでございます。
  117. 中村鋭一

    中村鋭一君 ということは、文部省は何ですか、その三ない運動もしくは四ない運動を非常にコミットしておられるといいますか、教育委員会や学校当局に対して、それは結構なことであるから大いにそういう運動を推進してもらいたいとお考えなんですか。
  118. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) 実は、私ども教育上の生徒指導という立場からの考え方といたしましては、隣の県がやるから、あるいはどこかで決まったから三ない運動を実施するというやり方は好ましくない。いまも申し上げましたように、その地域のやむを得ない実情によって、学校も、それから父母も、それから学校の教員も、それから生徒も、そういうものに周知をさせた上で、みんなでこれは三ない運動をやらなければならないというような主体的な形をとって、その上で実施をするということが一番大切なことであるということを、私ども関係者の会議等で話をしているところでございます。
  119. 中村鋭一

    中村鋭一君 いや、私がお尋ねしているのは、その三ない運動そのものに対して、文部省はそれは内心結構なことであると思っておられるのか、それとも結構でないと思っておられるのか、その点についてお伺いしているんです。
  120. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) これは、ただいまお答えをしておりますように、その場所、地域地域によって実情が違っていると思っております。したがって、三ない運動を実施せざるを得なくなっているというようなところについては、これはやむを得ざる措置であるというふうに考えております。
  121. 中村鋭一

    中村鋭一君 どうもあなたのおっしゃることがよくわからないんですが、この狭い日本の国土の中で、場所によって三ない運動は結構なことだといい、そうでない地域もあるようにあなたの答弁ではうかがえるんですがね、その辺が徹底を欠いておりますし、よく私にはわからない。  警察庁にもう一遍お伺いいたします。十六歳という年齢設定されたのは社会的成熟というふうに理解していいとおっしゃいましたね。とすれば、たとえばここにですよ、これは享栄高等学校の父兄に対する通達でございますが、免許証の無断取収得をした場合は、これを校則において、懲戒規程第十四条の十でございますが、「運転免許証の無断取得はこれを禁止する。違反者は次の規程に従って懲戒する。」、これは学校の規程ですよ。「懲戒」という言葉を使っておりますが、「無断取得は七日以上の停学とし、免許証は学校預りとする。」、「免許証の学校預り中の運転又は交通違反は、十五日以上の停学又は退学とする。」、従来は七日以上であったんですが、それをこの通達では十五日と非常に重い方向へ懲戒規程を改めているわけなんですけれども、法律で十六歳と認めているのに学校がこういう通達を出している。免許証を取るのはこれは法律で認めていることなんでしょう。無断取得とは一体どういうことなんですか。その点についてどのようにお考えなんですか。  学校は、無断取得は、場合によれば無断取得免許預かり中に自動二輪に乗ったら退学と言っているんですよ。そうでしょう。十六歳とこう認めておきながら、無断も何も、法律で認めているんですから、十六歳になったら免許証取ることは。それを無断取得、だれに対して断らなきゃいけないんですか。その点についてのお考えをお伺いいたします。
  122. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) 先生のお尋ねは、交通安全という見地だけではなく、恐らく学校教育としての立場も中にはあるのではないかと想像しておりますので、その辺の処分の当否までは私からは直接にはお答え申しにくいところでございます。  御指摘のとおり、現在の法制度は十六歳から可能になっておりますし、またその制度のよって来るゆえんも御報告申し上げたとおりでございますが、ただこの委員会でもしばしばお尋ねがございますように、十六歳では低過ぎるのではないかというお尋ねが、実は最近の交通事故の情勢あるいは二輪の運転についての青少年のビヘービア等からあるというのも事実でございまして、したがって全く大いばりの権利と言えるか、あるいは七分三分でぐらぐら動いているかという点になりますと、実は私どももこの点についていろいろ問題はあるなという感じはいたしております。  したがいまして、この点は私どももいろいろ研究しているところでございますが、いまの法律はこれはまさに御指摘のとおり十六歳から可能でございますし、しかもそれをいま私どもといたしましてはすぐに変えなきゃならないというふうには思っておりませんので、やはりそれを基盤にして諸般の対策を講じていかなければならないという筋は通してまいるべきであろうと考えております。
  123. 中村鋭一

    中村鋭一君 だから、私が伺っておりますのは、十六歳が妥当であるかないかはいまおっしゃったように今後の問題でしょう。しかし、現にいま十六歳になったら免許取れるのですから、それを一方的に高校が、三ない運動だの何だのこう言って、無断で免許を取った場合は場合によれば退学にすると言っているのです。そういうことは警察庁として好もしいことと思っておられるのか思っておられないのか。もう簡単にイエスかノーで答えてください。
  124. 久本禮一

    政府委員久本禮一君) どちらかと申せば余り好ましくないのかなというような感じはいたします。
  125. 中村鋭一

    中村鋭一君 どちらかと言えば余り好ましくないというのは、それは役人一流のタクティクスとして承っておきます。好ましくないわけでございますね。  文部省、お伺いいたします。
  126. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) ただいまのお尋ねは、学校がたとえば懲戒権の一つの範囲内として退学、停学あるいは訓告あるいはその他の懲戒を実施することができるということが御承知のとおり学校教育法十一条に規定してございまして、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。」ということになっておりまして、その際この実施の細則を決めた規則におきまして、「懲戒を加えるに当っては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。」というふうになっているわけでございます。  ところで、その懲戒をどのように、いつ発動するか、あるいはどのような程度に実施をするかということにつきましては、懲戒権者に、その自由裁量にゆだねられているというふうに私どもは考えておりまして、特にその事実に基づかないような懲戒であるとかあるいは社会通念に著しく反するというようなことがない限り、それは自由裁量が与えられているというふうに考えているところでございます。  この三ない運動につきましては、先ほども申しましたように、その地域の実情等に応じまして、みんながまとめてみんなが決めたという場合には、きちっと守らせることが大切だと思っております。
  127. 中村鋭一

    中村鋭一君 いや、そういうことを聞いていない。  私が聞いておりますのは、その三ない運動についてさっきお伺いしました。いまは、その三ない運動に伴って無断で免許を取った場合等に学校が懲戒権を発揮することを文部省としては好ましいと思っておられるのか、思っておられないのか、そのことをお伺いしているのです。一言。
  128. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 答えを簡単にやってください。
  129. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) 学校がそういうことを規則に定めてみんながそれを実行するという以上、それはきちっと守らせるというのが筋であると考えております。
  130. 中村鋭一

    中村鋭一君 やっぱり文部省のそれは、先ほどからお伺いした方針に反していると思うのですね。国民ひとしく法律は守る必要がありますよ。でもね、さっきからこの短い時間の御答弁をお伺いをしておりましても、何か文部省並びに警察庁の大人の皆さんのお答えを伺っておりますと、若い者は暴走をしがちである、免許証を取りたがる、取ったら乗りたがる、乗ったら暴走をする、暴走をすればそれが少年の非行につながる、だからそういうものに対しては、厳重な懲戒規程を設けて、車には乗せない、乗らせない、車は買わせない、乗せてもらわない、何でもないない尽くしで懲戒もしくは訓告を与えていけば青少年が非行に走らない、そういう考え方があるように思うんですね。  私はそういうものじゃないと思うんですね。青少年が十六歳で免許を取ることは法律で認められていることです。その結果免許証を取る。自動二輪に乗る。そこで、正しい自動二輪の乗り方を精神面も含めて指導をしていくことが、三ないだとか四ないだとか言って、何でもかんでもいけないいけないと言って抑えつけることよりもむしろ私は妥当な安全教育であり、青少年のスポーツに対するあこがれ、スピードに対するあこがれ、そういうものを満たしつつ、正しく交通のルールを守 って事故を起こさないようにやっていくことにつながるわけでございますから、もう時間がありませんのでこれで私は質問を終わりますけれども、その辺をひとつ文部省並びに警察庁にもよくお考えをいただいて、かりそめにも学校がこういった懲戒規程をぐんぐん厳しくしていく場合に、これは大いにやりなさいというようなことだけはひとつ言わないように、よろしくお願いを申し上げまして私の質問を終わります。
  131. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会