○梶原清君 実は、ことしの一月下旬に、当
委員会が大阪府、兵庫県下における
公害及び
環境保全の対策の実情
調査を行っていただいたわけでございます。その際に、大阪国際空港の周辺対策の実情をつぶさにごらんをいただきまして、その報告はすでに当
委員会でなされておるわけでございます。御内案のとおり大阪の飛行場の周辺対策、これは毎年五百億、六百億の
予算を投入いたしまして民家の防音工事、民家の移転、土地の買い取り等を進めておるわけでございます。その実情は
先生方十分ごらんをいただきました。
ところが、この報告書にもございますように、民家の移転あるいは土地の買い取りというのは申請主義でございまして、その土地に住んでいる人からの申し出に基づいて土地の買い取りをし、民家の移転補償をするということでございますので、おのずから限界があるわけでございます。中には地主、借地権者、たな子等の複雑な権利
関係の中で交渉がなかなかうまくいかないというような実情にもございます。移転補償をいたしましたその跡地が点々としてあるわけでございますが、その跡地管理が非常にむずかしい。フェンスを張りまして中を整地しておるわけでございますけれ
ども、あの辺特有のセイタカアワダチソウというのがすぐに生えてきます。雑草が生え、害虫が発生する。犬、猫がたむろするというようなことで非常に困る。また、点々として空き地があきますので、それを集約して有効に使うということもできない。
こういうような非常に苦しい
立場になっておるのが今日の実情でございまして、航空機の騒音被害を受け、さらにこの移転がどんどん進んでいくことに伴う第二次災害といいましょうか第二次
公害といいましょうか、こういうことを訴えられる声が非常に大きいわけでございます。仮にいままで百戸ありました集落が五戸抜け、十戸抜けいたしてまいりますと住
環境が相対的に悪くなっていく。いままでそこで商売をなさっておった方、小売商をやっておられた方の営業がうまくいかなくなってくる。営業を補償してくれ、こういう声がありましてもなかなかそれに対応できないというのが偽らざる
実態でございます。じゃ、それをどうしたらいいのかということで、実は私も運輸省に長くおりました間、飛行場問題と取り組みまして大変苦労をしてまいった経験を持っておるわけでございます。
そこで、私が
一つの仮定の話で申し上げたいと思うわけでございますが、たとえば東北新幹線の大宮から以南、上野、東京とそこへ乗り入れてくるわけでございますが、それが乗り入れてきますときにはやはり地元で
環境問題が当然持ち上がってまいります。線路の両側に十分なグリーンベルトをつくれという要請が出てくるのが自然でございます。かといいまして、現在の破産
状態にあります国鉄が新幹線の両側に二十メートル、三十メートルものグリーンベルトをつくるということはとうてい至難なことである。仮に百歩譲りましてグリーンベルトをつくりましても、そこは国鉄の用地になりますので、これは周辺の人が中へ入り込むことができない。楽しむことができない。そこに木を植えましてもどうしても雑草が生える、犬、猫がたむろする、害虫が発生するということになってしまうのが落ちでございます。
そこで、私が考えておりますのは、この新幹線の
環境対策と同時にそこを東京都なりどっかが都市公園をつくっていただく。計画の
段階からそれをうまく
調整いたしまして、新幹線の周辺対策、
環境対策、それから都市公園をつくって都民の憩いの場所にする、
一つの土地を二重に、多目的に使っていくという知恵があってしかるべきではないだろうか、このように思っておるわけでございます。
〔
理事本岡昭次君退席、
委員長着席〕
今日、新幹線とか飛行場とか、そういう広域的に必要な基幹交通施設、これはそれぞれの起業者が自分で鉄道をつくり、空港を設置いたしております。その周辺対策も同時に同じ人がやっております。同じ国鉄なり、航空局、飛行場の
関係の者がその飛行場をつくってその対策も同様にやっておる。そこに私は非常に無理があるんではないか。それで、計画の
段階からその起業者を中心として、
政府全体が寄りまして、
大蔵省、国土庁、
環境庁さん、運輸省、
関係各
省庁が寄って計画の
段階からうまく
調整していくことによってこれを円滑にスムーズに進めることができる。また、
環境対策としても十全を期することができる。これが私の七年間飛行場問題で苦労に苦労を重ねてきた結論でございます。
御
案内のとおり用対連というのがございまして、用地買収をしますときの補償の
基準につきましては
各省統一のものがございます。しかし、私の訴えたいと思いますのは、こうした広域的に必要な基幹交通施設、あるいはそのほかのいろいろ大きなプロジェクトがあろうと思いますけれ
ども、こういうものにつきまして、その起業主体がもちろん空港とか新幹線をつくるわけでございますが、その周辺対策を
各省が寄って事前に打ち合わせをし、うまく
調整してやっていくという姿が望ましいのではないだろうか、こう考えておるのが今日の私の心境でございます。
これは言うべくしてなかなかむずかしいことだと思いますけれ
ども、ぜひこういう方向で
政府一体となってのお取り組み、これを心から願い祈っておるわけでございまして、
国務大臣として、また防衛庁
長官として若干のもし御感想を承りますなら幸せでございます。その御答弁をいただきまして私の
質問を終わらせていただきたいと思います。