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1983-04-12 第98回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十二日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      井上  孝君     河本嘉久蔵君      伊江 朝雄君     円山 雅也君      伊藤 郁男君     栗林 卓司君  三月二十六日     辞任         補欠選任      河本嘉久蔵君     井上  孝君      田  英夫君     江田 五月君  四月十一日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     三治 重信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片岡 勝治君     理 事                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 谷川 寛三君                茜ケ久保重光君     委 員                 岩崎 純三君                 斎藤栄三郎君                 大木 正吾君                 二宮 文造君                 原田  立君                 三木 忠雄君                 上田耕一郎君                 三治 重信君    国務大臣        建 設 大 臣  内海 英男君    政府委員        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設省計画局長  永田 良雄君        建設省住宅局長  松谷蒼一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    参考人        東京大学教授   下総  薫君        日本経済新聞社        論説委員     畑中 達敏君        全国公団住宅自        治会協議会代表        幹事       工藤 芳郎君        住宅都市整備        公団総裁     志村 清一君        住宅都市整備        公団理事     有賀虎之進君        住宅都市整備        公団理事     救仁郷 斉君        住宅都市整備        公団理事     武田 晋治君        住宅都市整備        公団理事     久保田誠三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (住宅都市整備公団家賃値上げに関する件)     ─────────────
  2. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     ─────────────
  3. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事井上孝君を指名いたします。     ─────────────
  5. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、東京大学教授下総薫君、日本経済新聞社論説委員畑中達敏君、全国公団住宅自治会協議会代表幹事工藤芳郎君及び住宅都市整備公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 建設事業並びに建設計画に関する調査のうち、住宅都市整備公団家賃値上げに関する件を議題といたします。  まず最初に、建設大臣から本件経緯及びその内容等について説明を求めます。内海建設大臣
  8. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 昭和五十八年三月十八日付で住宅都市整備公団から提出されました賃貸住宅家賃等変更についての承認申請概要は、次のとおりであります。  第一に、家賃変更する理由としまして、昭和五十三年度の家賃変更からすでに相当期間を経過し、また昭和五十三年度の家賃変更に当たっては、激変緩和に配慮したこともあって、変更後の家賃はいまだに低い水準にあり、賃貸住宅相互間における家賃に不均衡が生じているため、この不均衡是正することとしております。  第二に、家賃変更対象とする住宅は、原則として、昭和三十一年度から昭和四十七年度までに管理開始された住宅、すなわち、前回昭和五十三年度の家賃変更対象となった住宅とし、家賃変更の実施時期は昭和五十八年九月一日としております。  第三に、変更家賃算定に当たっては、公営限度額方式に準じて算定した額と基準家賃との差額の二分の一を加えた額を基準とし、引き上げの限度額を、一居住室住宅にあっては八千円、二居住室住宅にあっては九千円、三居住室以上の住宅にあっては一万円としております。  この結果、平均約五千円、約二六%の家賃変更となります。  第四に、家賃変更に当たっては、生活保護世帯及び老人母子等生活困窮世帯については、昭和五十三年度の家賃変更の際に実施したと同様に家賃低減特別措置を講ずることとしております。  第五に、家賃変更による増収額は、維持管理経費及び家賃の抑制に要する費用に充てるものとしております。  第六に、家賃変更に伴い、敷金変更家賃の三カ月分に相当する額に変更することとしております。  以上が、今回の申請概要であります。  建設省としては、本申請を受けて慎重に検討を行ってまいりたいと存じますが、本日の建設委員会におきましても、本件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。
  9. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) それでは、これより調査に入りますが、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。参考人の皆様には、住宅都市整備公団家賃値上げ問題について忌憚のない御意見を述べていただき、本件調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  なお、会議の進め方としては、下総参考人畑中参考人及び工藤参考人の順序で、お一人十分程度の御意見をお述べいただき、その後、委員の質問にお答えいただきたいと存じます。  それでは、下総参考人お願いをいたします。
  10. 下総薫

    参考人下総薫君) ただいま御紹介にあずかりました下総でございます。  私は、今回の公団住宅家賃改定議題としました基本問題小委員会委員と、その中の家賃部会委員、それからその中に設けられました家賃専門部会の座長を務めさせていただきました東京大学工学部都市工学料下総と申します。  私は、いままでに東京都の都営住宅、それから東京都の住宅供給公社賃貸住宅、それから今回の公団住宅賃貸住宅と、三通りと申しますかの家賃改定におつき合いいたしましたが、その全体的な印象を申し上げますと、一体何をやっておるのかということを私自身もいろいろ考えさせられまして、どうも私の考えでは、一言に申しますと、非常に広い意味負担の適正という、そういう議論をしているんではないかなという感じがしております。その負担の適正と申しますのは、入居者負担の適正な負担ということもありますし、それから、広くは国民あるいは納税者の適正な負担、そのバランス、そういうような議論をしているんではないかなという、そういう感じがしているわけです。  それで、公団住宅家賃改定でありますが、その適正な負担と申しましても、適正な負担というのはどういうものなのかというのはなかなかむずかしい問題でありまして、特に公共住宅というのはどういう目的を持ち、どういう役割りを持っておるのかということから導き出される議論ではないかというふうに思うわけです。  御承知のことと思いますが、公共住宅体系と申しますか、賃貸住宅につきましては、建設供給体系というのは一応できているわけです。公営住宅、それから住宅供給公社及び公団賃貸住宅につきましては、公営住宅が、所得階層で申しますと、全体を五分位に割って下から一番目、二番目、それから公団賃貸及び供給公社賃貸住宅につきましては第三分位に対して供給するという、そういう供給体系というのはできているわけです。  それじゃ、そうして建設供給された住宅をどうやって運営していくのか、それから将来どういう方向に持っていくのか、そこの部分については公営住宅だけがある一つ方向を打ち出しておりますけれども、公団住宅住宅供給公社住宅については将来どういうふうにするのかというようなところがはっきり示されていないんですね。そこをめぐっての議論でありますので、なかなか理論的にすっきりした結論を得ることはむずかしいわけです。その三つつき合いましたけれども、どれも非常にはっきりした結論を導きにくい問題であります。  それで、御承知のように、家賃の問題というのは、戦後のインフレによりまして、当時の建設費の安かったころ設定された家賃と、現在の家賃との間に非常に差ができておる。新しい公共住宅は高い——高いと言っていいんですかね、比較の問題でありますけれども。それで古い住宅は安い、それから数量的には安いという住宅の方が数が多い、こういうふうな現状になっているわけです。入居者の方も、公共住宅一般入居者が入居されるときに若い方が入居されるわけです。それは公営住宅公団賃貸住宅も同じでありますけれども、そのために中に入ってからの所得の上昇が平均よりも速やかというか、遠いわけですね。そういうことで、家賃負担バランスが崩れてくる、そういう問題が公共住宅全般に見られるわけです。  公団賃貸住宅も、住宅公団が発足しましたのは昭和三十年でございますから、もうかれこれ三十年近くたつわけですね。それで、建っている住宅も初期に建てました住宅と現在の住宅とでは大変な開きがある。規模においてもしかり、それから設備においてもしかり。もう木製サッシなんていうのは残ってないと思うんですが、あるいは残っているかもしれない。最近のものは給湯設備はあるけれども、当初のものはないとか、初めのころのは台所もステンレス流しではなくて人造石研ぎ出しという、そういう状態だったとか、いろいろ規模設備、その他の差があるわけです。それから立地上の差もございますし、高層住宅エレベーターつき、五階でエレベーターのないものとか、いろんな差がありまして、公平を期するといっても一つ一つ非常に状況が違いまして、むずかしくなっているわけです。  それで、ここで家賃改定でございますけれども、家賃金額だけを改定するわけです、結局。金額だけを改定して、入居されている方に、あなたは広い方に移りなさいとか、あなたは人数少ないんだから狭い方に移りなさい、そういうことは言えないわけです。それで、家賃の支払っている金額だけを改定することによって適正な負担というものをはっきり目的どおりできるかどうか、それはなかなかむずかしい問題でありまして、そういういろんな種類の住宅、いろんな住まい方、いろんな経緯というものがあって、そういう中で適正な負担——先ほど私が申しました適正な負担というのは非常に広い意味で使いたいと思っておりますけれども、そういうものを実現していく、はっきりクリアな形で結論を求めるというのは非常にむずかしいことであるというふうに思うわけです。  それで、今回の家賃改定について申し上げますと、大筋は昭和五十三年に住宅公団が行いました方式をそのまま踏襲した形でございます。内容的には、金額算定につきましてはいわゆる公営限度額方式という、公営住宅家賃変更に際して用いております変更法定限度額というものの算定方式を使いまして、前回とほぼ同機の措置を講じております。これは前回やったことを覆すだけの特に大きな理由はないというふうなことであります。  それで、内容的には先ほど建設大臣が御説明なさいましたように、激変緩和措置、それから生活保護者及び老人世帯等に対する軽減措置ですね、それと、もう一つ前回と違いましたのは、敷金改定でございます。その生活保護者及び老人世帯等に対する軽減措置につきましては、これは前回と同じ内容のものでございます。それから激変緩和措置につきましても、その形は前回とほぼ同じ内容のものでございます。それから、敷金につきましては、敷金というのは御承知のとおり債権担保するために取るものでございますけれども、それが、家賃が相対的に低いために債権担保としての実際的な効力は少なくなっておるという実務上の理由によるものであります。  大体そういうようなことでありまして、その一つ一つにつきましてはいろんな問題があろうかと思いますけれども、全体的にやむを得ない措置であろうというふうに私は考えております。  簡単でございますけれども、以上で私の意見陳述を終わらしていただきます。
  11. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ありがとうございました。  次に、畑中参考人お願いいたします。
  12. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) 御紹介いただきました日本経済新聞の論説委員をしております畑中です。会社の担当といたしましては、建設省や国土庁あるいは自治省を主として担当いたしております。  それで、今回の公団家賃値上げでございますけれども、この家賃値上げ理由といいますか、これを検討する観点としましては、一つ公団申請書にありますように、新旧家賃の不均衡是正ということがポイントであろうかと思いま すけれども、もう一つ、いま下総先生もおっしゃいましたように、全体の、公団住宅に入っていない国民との公平の問題ということもやっぱり忘れてはならない、家賃問題を考える場合の視点ではないかと思うわけであります。  それで、公団説明書によりますと、五十七年度に新たに供給された賃貸住宅につきましては、国の利子補給による家賃軽減額月平均六万円を超えているということが書いてあります。これは年間にしますと七十二万円以上になるわけでありまして、聞くところによりますと、五十八年度分は年間百万円近くになるという話でございます。申し上げるまでもなく、これは国民の納める税金で賄われているわけでありまして、賃貸住宅の場合は償還期間が七十年でありますから、七十年間税金でもってこれだけの利子補給をしなければならないということになるわけであります。  一方、現在の当初家賃を見ますと、たとえば三十一年度に供給された住宅の当初家賃平均一万一千二百円でありまして、一平方メーター当たり家賃は三百二円であります。五十六年度に供給開始された公団賃貸住宅は、一平方メーター当たり九百五十八円でありますから、当初家賃はその三分の一以下ということになっております。公団賃貸住宅の当初家賃を見ますと、三十一年度以降を見ましても、一平方メートル当たり三百円台というのは四十年代初めまで続いておるわけでございます。  民間賃貸住宅家賃がどのくらいかというのはなかなか調べにくいのでありますが、私が見ました資料によりますと、大体一平方メートル当たり千数百円ぐらいの平均になっております。また、東京圏木賃住宅ですが、これは単純に公団の当初家賃比較するのは無理があるかと思いますけれども、一平方メートル当たり三千円という数字が建設省の方の調査で出ております。これらと比較してみますと、当初家賃の一平米当たり三百円台というのはかなり低い水準であると見ざるを得ないのではないかと思うわけであります。  それで、公団住宅のそういう既存住宅というのは確かに建物も老朽化しておりますし、設備も古いものが多いと思われます。しかし、その反面都心に比較的に近いところ、交通の便のいいところが多いと言われますし、また、民間賃貸住宅に比べますと居住環境はかなりすぐれているんじゃないかと思います。  これらを総合的に考えますと、やはり現在の当初家賃新規家賃やあるいは民間賃貸住宅家賃に比べまして相当な不均衡があると言っていいのではないかと私自体考えております。  このように不均衡が生じましたのは三十一年から五十三年まで一度も公団賃貸住宅家賃の見直しをしなかったというところに原因があるのではないかと思われますが、新たに供給される賃貸住宅家賃を軽減するために、一般国民税金から多額の助成をしながら既存住宅家賃をこのように低い水準のままにしておくということは、全体から見ましてどうも公平を欠くんではないかというふうに考える次第でございます。  公団住宅というのは、国民共有財産でありますので、国民の全体の利益に合致するように運営、管理する責務が政府及び公団にあるのではないかというふうに考えております。特に住宅というのは、道路や公園といった社会資本と違いまして、だれでもがいつでも使えるというものではなくて、特定の人たちが利用しておるものでございますので、受益と負担関係というのは、それぞれの経済の変動その他に応じまして適正に見直されなければならないのではないかというふうに思います。  今後、賃貸住宅をこれからもつくっていかなければならぬと思うんですが、そのためにはやっぱり相当利子補給その他財源が必要になると思います。その財源を、いまの当初家賃水準をそのままにしておいて国民負担を求めるというのはやはり疑問でありますので、当初家賃というもの、公団住宅の不均衡というものを是正する必要があるというふうに考えております。  それで、今回の改定案でございますけれども、いま申し上げましたような不均衡是正という観点から見ました場合は、決して十分なものではないのではないかと実は思っている次第であります。しかし、三十一年度から二十二年間改定しなかったものを、いま一度に適正な水準、不均衡是正するということは無理ではないか、わずか二度の改定でとてもそれだけの不均衡是正できないと思われますし、それから、特に最近は景気が後退しておりますし、今度の春闘を見ましてもそう大きな賃上げは望めないと思われますので、そういう情勢から考えまして、今回程度改定は妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。  それで、具体的に改定案内容について若干申し上げますと、算定方式公営限度額方式を使っておりますが、公営限度額方式というのは、公営所得層負担し得る範囲内での家賃算定する、あるいはそれの改定をするための方式でありまして、公団住宅とは住宅そのものの性格も違いますし、したがって家賃考え方も違うのではないかと思いますので、これをそのまま使うことには若干疑問がないわけではありませんけれども、すでに前回にもこの方式を使っておりますし、またいまこれにかわるような方式を考え出すことも相当困難があると思われますので、現段階ではこの方式算定するのはやむを得ないのではないかというふうに考えております。  今回の改定案前回と違ったところは、先ほどの敷金追加ということでございますが、これはやはり国民共有財産である家賃債権担保ということもございますし、それからいま入っていられる方が移転される場合に相当補修費も要ると思いますので、そのための準備ということから考えましても、敷金をこの際追加していただく方がベターではないかと思っております。ただ、家賃値上げ敷金追加というと相当負担が重なると思いますので、分割払いというような方法などを考慮したらいいのではないかというふうに考えております。  以上で私の陳述を終わらせていただきます。
  13. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ありがとうございました。  最後に工藤参考人お願いいたします。
  14. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 去る三月二十五日に衆議院建設委員会集中審議がございましたが、これに引き続きまして本院におかれましても集中審議が実現をされまして、参考人として発言の機会が与えられましたことにつきましては、委員長初め各党理事委員並びに関係皆さん方の特段の御尽力のたまものと存じております。改めて深い敬意を表するものであります。  私は、全国公団住宅自治会協議会約三十五万世帯並びに全国団地住民皆さん方の意向を体しまして、今回の公団家賃値上げに反対する立場から発言をさしていただきます。  衆議院集中審議におきましては、主として値上げ理由値上げ算定方式不当性について発言をしたのでありますが、本院におきましてもこの点につきまして冒頭簡潔問題点だけ触れておきたいと存じます。  公団家賃値上げ理由は、いわゆる新旧団地家賃の不均衡是正という目的改定をするというのでありますが、この問題点を次に述べます。  第一点は、現行家賃制度政策そのものから必然的に不均衡が生ずるということでございます。具体的に見ますと、一つ家賃決定原則建設年度ごと団地ごと個別原価主義に基づいていることからでございます。二つ目には、公団が他の公共住宅には例を見ない空き家割り増し家賃制度というものを採用しております。人為的にまさに不均衡をつくり出していると言わなきゃなりません。三つ目には、家賃構成要素の中に学校から鉄道の建設費通勤バス購入費などまで含めた関連公共公益施設費を算入して高家賃をつくり出しているということであります。四つ目には、政策問題としての土地価格野放し策公共賃貸住宅軽視住宅政策、あるいは長期未利用地、がらあき団地などずさん経営ツケ回しなどを指摘しなければならないと思います。  第二点は、家賃の不均衡というのであるならば、制度的にも政策的にも十万円や十二万円もするような高家賃こそ引き下げるべきであります。高家賃に歯どめをかけない限り家賃の不均衡は必ずつくり出され、際限のない値上げの繰り返しが行われることになるのであります。  第三点は、家賃均衡論住宅老朽化や狭さなど新旧団地の質の違いを抜きには成り立たないのであります。下総参考人の御発言のとおりであります。  第四点といたしましては、以上のことから不均衡是正論理由とする家賃値上げでは決して家賃の不均衡是正することはできないということであります。こうして見ますと、結局この理由は理論的には成り立たないものでありまして、値上げの口実にすぎないものと言わなきゃなりません。  さらに申し上げますと、こうした考え方の背景には、きわめて常識的ではありますが、民間家賃との比較論がある。公団住宅相互家賃比較論ではなくて、民間比較すると、こういったような考え方があるわけでございまして、これでは住宅に困窮する勤労者のために住宅供給するという公団使命そのものの否定につながると言わなければなりません。  次に、値上げ算定方式でありますが、前回改定時に公営限度額方式に準じたものとして出されたのでありますが、この段階国会要望事項が出されました。これは、住宅家賃体系が複雑であり未整備であるというので、それまでは、今後改定を、ルールをつくるという趣旨の要望事項がなされまして、住宅宅地審議会公団住宅にふさわしい家賃変更ルールづくりをせよと答申をしたのでございますが、にもかかわらずこの方式がまた今回適用されたということが問題であります。  この点は、下総先生も御関係なさっております昭和五十四年十二月二十四日の東京住宅対策審議会の中でも、この方式をとりますと、つまり「法定限度額による新規家賃の設定及び変更法定限度額による家賃是正は、現行の法定限度額算定方式をとる限り、大都市の実態にそぐわない。」という御答申が出ておるわけでありまして、これ自体が大変まずい内容であるということを御指摘申し上げたいと思います。  つまり、これは国会の要望を軽視するばかりか、内容的に見ましても、その発想の中には、政府公団がみずから設定しておりますところの原価主義を投げ捨てて、推定再建築費といった市場家賃論を採用するものでありますから、公団家賃の民営化に道を開くものと言わざるを得ない。したがいまして、これまた公団使命そのものを放棄し、公団の民営化を志向すると言わざるを得ないのであります。  以上、今回の家賃改定に関しての基本的な問題点を御指摘申し上げました。  以下、団地居住者の要求を中心に申し上げたいと思います。  第一は、値上げの上限でありますが、高過ぎるということであります。値上げ案によりますと、家賃改定に伴う激変緩和措置として、一居住室八千円、二居住室九千円、三居住室一万円を、それぞれ引き上げ額の限度とするというのでありますが、これを具体的に見ますと、前回の上限額が七千円でありましたが、これを上回る世帯が二五・八%、つまり八万六千四百世帯、また今回の平均五千円を上回る値上げとなる世帯は、値上げ対象戸数の四五・七%、十五万三千三百世帯になるわけであります。これに加えて、前回改定時に上限七千円の値上げとなった世帯は、五年間で何と一万七千円もの値上げとなるわけであります。こうした短期間における大幅な値上げは、他の公共住宅家賃改定はもちろん、民間にも例を見ないところでありますし、これがどうして激変緩和措置と言えるのかということであります。  ここで、公団がこのような大幅値上げを何のためらいもなく推し進める背景についても、一言触れておきたいと思います。  その一つは、公団居住者の実態についての認識を欠いているのじゃないかと思います。公団は、入居者の収入を勤労者世帯収入の第三分位の中位、五十六年度で年収四百三十八万円として家賃負担比を計算しておりますが、現実はそうはなっていないということであります。  二、三の例を挙げてみますと、公団自身が調査をされました公団居住者定期調査、五十五年度によりますと、第一分位の世帯が三一%、第二分位が二六%となっており、五七%が現実には第三分位未満となっておるわけであります。  さらに、私どもの団体が行った五十八年三月の調査でも、年収二百五十万円以下の世帯が一四・一%、二百五十万円から三百五十万円の世帯が二六%、計四〇・一%となっておりますし、特に今回、上限一万円の値上げ対象となる三十年代入居団地世帯主の年齢を見ますと、五十歳以上が三六・五%、六十歳以上が一三・二%で年金生活世帯と見られる世帯が多いのであります。公団家賃負担率が三%のものがあることを盛んに強調されておりますが、そういった世帯もないわけではないでありましょう。しかし、全体としての団地居住者の実態を正しく認識し、その上に立って諸策を立てるべきだと存じます。  もう一つは、以上のような実態を反映して、家賃を払い切れなくなっている世帯が特に五十三年の値上げ以降急増していることであります。家賃滞納者は、五十六年度は九万六千二百件、全世帯の一五・三%でございましたが、五十二年度の五万四千世帯に比べますと、四四%も増加していることに注目しなければなりません。  以上のような団地居住者の生活実態を抜きにして原案のような大幅値上げが進められますと、好むと好まざるとにかかわらず、家賃滞納者がさらに急増することは必至と言わなきゃなりません。私たちの調査でも、一万円もの値上げがされたら団地に住めなくなるといった切実な声が数多く寄せられているところでございます。住宅政策はそこに居住している人の立場に立って進めなければならないことは当然でありますが、これらの実態の上に立って、ぜひとも大幅値上げはやめていただきたいのであります。  以上は、家賃の大幅値上げ団地居住者の所得との関係でありますが、これらと関連いたしまして、公団値上げ理由は、いわゆる新旧団地家賃の格差是正でありますので、家賃額の比較住宅の質の問題を抜きにしたのでは社会的公正に反するという点をあわせて重ねて指摘しておきたいと思います。  これも公団調査を引用いたしますと、公団供給した全賃貸住宅のうち、最低居住水準未満世帯が二三・四%、平均居住水準未満世帯が五四・六%もあるのであります。つまり、最近の新設住宅に比べれば家賃は相対的に低いということにしても、居住面積はきわめて狭いのであります。また設備の劣悪さは、三十年代初期の団地では、洗濯機置き場はなく、絶えず水漏れ事故におびえ、換気扇の取りつけ口すらないというところ、シャワー取りつけも禁止されているなど、人間らしい生活ができない状況にあります。さらに、その老朽化の度合いもひどく、私どもの調査では、公団負担部分で傷みがひどくすぐ修繕が必要とされる世帯が全世帯の一五・二%、三十年度に建設された団地では二二・二%にも当たるのであります。  なお、お配りいたしました写真をごらんいただければ、実態の一部が御理解いただけることと存じます。  したがいまして、家賃の不均衡を云々されるならば、住宅の質の不均衡をこそ是正すべきであると考えるわけであります。  第二は、値上げ実施時期の問題であります。  以上申し上げました団地居住者の生活実態に加えまして、現下の情勢は戦後最大、長期にわたる不況、百四十万人に及ぶ完全失業者、続出する企業倒産、公務員の賃上げ凍結とその民間への連鎖的影響、所得税減税の六年連続見送りによる実質増税、幼稚園から大学に至る教育費の値上げ、社 会保障の切り下げなどによって受益者負担の強化などが前回改定時を上回る厳しいものがあります。少なくとも人勧凍結解除、所得税減税の見通しなどが明らかになるまで実施時期を延期すべきであると存ずるのであります。また、一般的に見ましても、九月という時期は庶民にとっては最も家計の苦しいときでもあります。  さらに、御承知のように、前回改定時における諸問題をめぐって、現在全国百三十団地から三百名の原告団が選出され、東京、千業、浦和、横浜、名古屋、神戸、大阪、奈良の八つの裁判所で債務不存在確認訴訟が係属中であります。決して一部の者の訴訟ではありません。こうした訴訟の係属中に再値上げを実施するなどということは一般の借家事件にも例を見ないところであり、こうした意味からも実施時期についてはまことに不相当であると存じます。  第三には、敷金追加徴収には断固反対するものであります。これは前回改定時における国会要望事項に反しますし、他の公共住宅家賃改定時にも例を見ないものであり、公団がこうした悪習の道を開くべきではありません。さらに、居住者の負担も上限では一挙に五万一千円となり、予期しない支出は負担能力を超えるものであります。上限一万円もの家賃負担と合わせると、これらの対象者は六万一千円一挙に払わなければなりませんし、これまた滞納者を増加させるだけのことと思います。  第四には、値上げ増収分の使途問題についてでありますが、基本的には負担者受益の考え方に立って、増収分は値上げ対象とされる居住者の居住性の向上に全額向けられるべきでありまして、他の用途に使用されるべきものではありません。増収分の三割を新設団地家賃の抑制に回すというのが原案でございますが、今後新設する高家賃団地のために使うというのは全く筋が通りません。また、値上げ対象団地への還元を図るに際しては、団地居住者の意向を反映して、修繕、環境整備計画等を策定すべきであります。  第五には、値上げ理由、根拠、値上げ増収分の使途などについて、団地居住者に納得のいく協議、話し合い、説明をするべきであります。前回改定時におきましてはこれが無視されたため、団地居住者は一方的値上げとして反発したのでございます。  近年、各種公共料金の値上げに際しましては、国鉄、私鉄、電力、ガス事業者などは十分な資料、わかりやすい資料を準備いたしまして消費者の要求に基づいて各種説明会、民間公聴会などを開催し、相互理解を深めているところでございます。今回改定に際しましては、今国会におきまして建設大臣も、「入居者の方々の納得のいくような、御理解を賜るような話し合いは必要である、」との趣旨の御答弁を繰り返しされているところでございますし、各紙の社説も異口同音に入居者との話し合いの必要性を強調しているところでございます。  たとえば、三月二十日の朝日新聞社の社説は、「なぜ値上げが必要か、値上げ算定の根拠はどうなっているか、などについて入居者にくわしく説明し、了解を求めることだ。古い住宅には老人世帯も多い。その人たちの不安にこたえるためには、今後の見通しについても可能な限りふれてほしい。」とされておるのでございます。私たちは、公団家賃改定について必要以上の摩擦を好むものではありません。しかしながら、公団が居住者との協議、話し合い、説明などの開催を拒み、いわゆる大家さんらしい対応をしないということになれば、私たちは、政府公団の言ういわゆる円滑な家賃改定にはとても応じられなくなるでありましょう。そうした事態を避けることこそ、公団と居住者の信頼関係を確立する第一歩であり、管理の円滑化を図る基礎であると考えるものであります。  以上、五点について団地居住者の立場に立って申し述べましたが、本院におかれましてはこれらの趣旨を十分御勘案の上、公団団地居住者の円滑な管理運営を長期的かつ総合的な観点からとらえられて、公正かつ民主的な御審議、御判断をされますようお願い申し上げる次第でございます。  以上をもちまして、私の冒頭陳述を終わります。
  15. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 大木正吾

    ○大木正吾君 忙しい中をお三人の参考人の方々に御出席いただきましたことについて、日本社会党を代表いたしまして冒頭感謝をいたします。  最初に、下総参考人にお伺いいたしますが、先ほどのお話もありましたけれども、相当事情に詳しいといいましょうか、本種の問題について何回か各種委員会でもって御苦労願っている、こういうふうに伺いました。  そこで、これは恐らく委員会におきましても繰り返し議論があった問題ではないかと思いますが、改めて伺いますが、住宅都市整備公団法の施行規則の第四条、第五条を拝見いたしますと、当初家賃算定、これにつきましては結果的には原価主義、そういったことが入っておりますし、同時に利子補給をしながら勤労者住宅に対応する、こういうふうになっているわけでございますが、この種の内容を拝見いたしますと、家賃の政策的な配慮などにつきまして若干ありましょうが、利潤を伴っている家賃じゃございませんから、結果的には軽減することはございましても原価より高くするということはない、こう考えているんですけれども、そういう理解でよろしゅうございましょうか。
  17. 下総薫

    参考人下総薫君) お答えいたします。  利潤を伴っていないという点は確かでございまして、家賃の問題というのは一応構成要素というのがございまして、その構成要素をなぜ変えていくのかという問題を一つ一つ考えていきますと、いろんな疑問が出てくるんですね。その中で大きなものは、償却費とそれから地代相当額の問題でありまして、これは償却費、たとえば今回の根拠となっております変更法定限度額公営住宅法に言う変更法定限度額でありますけれども、そこでは償却という言葉を使いまして推定再建築費というものを掛けていわゆる再評価を行っているわけですね。  そこの部分の考え方は何かということと、それから地代相当額につきましては固定資産税評価額に何%というそういう形でこれも再評価を行うわけです。そこの意味は何か。利潤を伴っていない団体なのになぜそういうことをするのかという、そういう部分だろうと思うわけです。  これは私の考えなんですが、償却費の考えというのは、結局どこが負担する——議論をはっきりさせますと、公団住宅が現在七十年で償却するたてまえになっているわけですね、考え方の中では。それで七十年たってそれでどうするという部分にかかわるんです。それきりなのか、いや今後ずっと継続していくのか、そこにかかわりまして、そこの部分を実は住宅政策上はっきりさせてないんですね。そこの部分に答えなければいけない種類の問題なわけです。  そこで、いやこれは今後ともつなげていきます、こうなりますと、減価償却というものが必要になってくるわけです。減価償却をなぜ再評価するか、再評価しませんとたとえばどういう結果になるかというと、現在は一九八三年でございますが、七十年を引きますと一九一三年になりまして、大正二年になります。その大正二年では多分五百円ぐらいで家が建ったと思うんですが、五百円が償却されてくるわけです、そのままにしておきますと。五百円では現在家が建ちませんで、上物だけでも二千万近くかかるかもしれませんので、その差額をどこが負担するかという、こういう種類の議論になってくるわけです。  ですから、そこに二通り議論がありまして、一つはそこの部分をいやその五百円ぐらいでしようがないと、ただその五百円で借金の元本部分は償還できるんですね、返せるんです。それは借金を再評価するという商習慣がございませんので、そ こは返せるんです。ただ五百円では現在二千万ぐらいする上物は建たないということだけは事実なわけです。それで、今後ともそこを継続させるのならば、そこの部分をどこかが負担しなければならない、この議論だと思うんです。  そこを再評価、これも十分なものではございませんで、公営住宅法に言う変更法定限度額によりますと、推定再建築費という数字を使いまして、それの現在価値との差額の三分の一だけを上乗せする、そういうふうになっております。ですから三分の二は再評価のたびに残っていくわけです。ですからそういうバランス入居者にも負担していただくというのが今回の考えだと思います。  それから、もう一つの地代相当額につきましては、これは性格的には民間の家主で言いますと利潤の部分に当たるものです。利潤をなぜ取るか、こういう議論になります。公団がなぜ地代相当額で利益を取るのか、こういう話になります。そこは公団が利益を取っているわけではないというふうに私は考えるわけです。もし公団がその利益を自分たちで配分してしまったら、これは公団がもうけるということになりますが、そうではなくて公団がそうやって余り赤字を生じないようになると利子補給金が減ってくる、そういう形で納税者負担が少なくなる。  要するに、私が一番初めに申しました、負担バランス議論ではないかと言っているのはそこの議論でありまして、入居者負担納税者あるいは国民のもろもろの負担、そこのバランスを調整する議論ではないかと言っているのはそこの部分であります。  お答えになったかどうかちょっと疑問でございますが……。
  18. 大木正吾

    ○大木正吾君 ついでにもう少し伺いますが、実はこれは衆議院の方の集中審議の中で、本吉さんという方の御発言があるんですけれども、彼は今回の値上げの問題、いま御発言がございました問題を含めて、要するに懇談会における議論は余りすっきり皆さん方が賛成という形でもってまとまった議論ではなかった、こういう趣旨のことを言っておるんですけれども、なかなかむずかしい問題だということは参考人の御意見からもよくわかるんでございますけれども、懇談会で実際皆さん方の合意が得られたのかどうなのか、その辺はどうなんですか。
  19. 下総薫

    参考人下総薫君) お答えいたします。  合意が得られたのかどうかというのはなかなかむずかしい問題でございまして、それから一つは懇談会というものの性格でございますけれども、これは審議会みたいなものではないというふうに説明されておりまして、結局委員たちが意見を持ち寄ってそれで案をつくって答申をするという、そういうような形をとっておりませんで、懇談会というのは住宅公団側が自分の意見を、案をつくりまして、それをほかの人に見てもらって、そしてその意見を聞く会であるというふうに聞いておるわけです。  それで、それじゃ意見を聞くだけでちっとも直さないのかということになりますが、その部分につきましてはそんなにひどくはないわけで、こういう表現をするとどうもよくないわけですが、たとえば当初の案では激変緩和措置が一律九千円になっていたわけですが、それが委員の方の御発言で、要するに一律九千円だと二DKの家とすぐそばにある四DKの家と一律九千円で、もう差がほとんどなくなってしまう。入居者としてもそんなのはおかしいという意見が当然ありますというようなことがありまして、そこを三段階に分けたというようなこともございます。  それから、敷金につきましても、当初は要するに債権担保のために敷金値上げする、これだけだったんですが、やっぱり金額が、先ほど工藤参考人の方からも御発言がございましたように、いかにも大きい金額でありまして、それは一時に払うのは無理じゃないかということで、そこも分割払い、その他の表現になっております。  それから、文言の修正についてはかなりあります。そういうことで、意見を聞いてそれっきりというのではないということを申し上げておきます。
  20. 大木正吾

    ○大木正吾君 政府には審議会というものがたくさんございますが、これは懇談会というなかなか巧妙な名称になっていますから、どうでも使い分けができるかと思うんです。これはまあ参考人に伺うということよりも、むしろ総裁が後ろにおられますからちょっとそういうことも含めて申し上げているんですが、結果的に私たちが心配いたしましたことは、こういうふうな形でもってやりますと、いわゆる隠れみのといいましょうか、それを利用しながらいかにも何か社会的には客観的な御意見も伺いまして公正に決めたと、こういう印象を与える。そういったもののためにどうもやっぱりつくったような感じがしているんですが、いまの下総さんの御意見でもって大体そんな感じかな、こういうふうに思っているんです。少しこれは私の主観かもしれませんが、いずれにいたしましても余りはっきりした決定機関なり、あるいは決定の内容の要素につきましても多様な意見があったことはよくわかりました。  それから、さっき工藤さんがおっしゃった中でちょっと気になりますこともありますが、関連いたしますことでございますが、この前五十三年値上げしましてから裁判が起きておる。普通でしたら裁判などがあれぐらい大規模に起きておりますと、まあ大体民間のマンションの方でも値上げは少しやっぱり控えるとか、あるいは和解をするとか、そういったことが考えられてしかるべきなんでございますけれども、今度の場合は、ばかに公団は自信を持って裁判には勝つんだろう、追い出せばいいんだろうと考えているのかもしれません。  ただ、不思議なことは、この懇談会に、工藤さんさっき三十何万とおっしゃいました公団自治協の方々が入っていない。要するに、たな子が入っていない懇談会ということはあり得るのかどうなのか。公団というものは初めから自治協は敵だと、こういうふうに見ているのかわかりませんけれども、これは後で午後また総裁に聞きますけれども、その辺のことについて、どうでしょう、こういったものにはあくまでも当事者が入り、同時に第三者が入って構成されるべきだ、こう考えるのが一般的なんでございますけれども、下総さん、その辺はどうでしょうか。
  21. 下総薫

    参考人下総薫君) 私の考えを申しますと、隠れみのに使うのではないか、そういう点につきましては、これは審議会全部について、審議会とかそういうものも含めてそういうことは言おうとすれば言えるところだと思いますが、公団の基本問題懇談会につきましては、前回は、先ほどの工藤参考人の御説明にもございましたが、住宅宅地審議会に報告するという形をとったわけです。それで審議をするのではなくて報告するという形をとって実施したわけです。  入居者意見も一切の説明も云々と、そういう御発言工藤参考人の方からございましたが、実態は私はよく知りませんが、それと比較しますと、今度は一応形はどうあれ、ほかの人の意見を聞いて、それでそれもただ聞きっ放しじゃなくて直すと、そういう態度をとったということは前回に比べれば前進ではないかというふうにも評価できるというふうに考えます。  それから、構成メンバーに居住者の代表を加えるべきではないかというあたりでございますが、この辺は住宅公団にお伺いしていただいた方がよいかもしれませんが、入居者化表としては二名を用意してございまして、一名は参加いただいておって、一名の公団自治協の方には御参加願えない、そういうのが現状であります。  裁判をやっている最中に値上げするのはどうだということでございますが、結局、前回の五十三年の家賃改定というのは裁判で係争中でございますので、理論上は片づいていないという段階であろうと思います。その間にやるわけですから、前回方式を踏襲すると、そういう形をとったのもそういう状況を見ながらのことと私は了解しております。この程度で。
  22. 大木正吾

    ○大木正吾君 あとは午後の質問の中でさらに公団側から伺いますので、これ以上はあれしますが、次に畑中さんにお伺いいたしますけれども、こういったものの解決をするときにはやっぱり当事者間のルールといいましょうか、そういったものがどうしても私は必要だろうと思いますし、同時に、宅地審の末尾の項にもそういったことが結語的にはうたわれておるわけでございますけれども、その辺についてルールをつくって解決をするというような方法が妥当だと私は思うんですが、畑中参考人、その辺についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  23. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) お答えいたします。  ルールという言葉の意味するところは二つあると思います。一つは、算定方式をどう考えるかということと、もう一つは、入居者の方と家主である公団との話し合いといいますか、そういうものをどういうふうな形でやっていくかということだと思いますが、恐らく前者の方の算出方法をどうするかという意味でのルールは、今回は公営限度額方式を用いたわけですが、これはさらに今後この方式が本当にいいのかどうかということは検討する必要があるのではないかと私は考えております。  それから、入居者の方と公団側との民主的な話し合いということですが、これは非常にたくさんの入居者の方がおられるのに、すべての方と話し合いをするということは物理的にとうてい不可能だと思いますので、その辺は今回の懇談会というのは特に決定機関じゃありませんので、適当かどうか知りませんけれども、何らかの代表を交えたもので話し合うという方法を考えたらどうかというふうに私は考えております。
  24. 大木正吾

    ○大木正吾君 これは大変意地の悪い質問でございまして、失礼だったらぜひ御勘弁をいただきたいんですが、先ほど冒頭のお話の中で、たしか春闘絡みのことをおっしゃったと存じますけれども、けさのJCの回答などを見てますと、鉄鋼関係六千八百円とか、あるいは多くとも九千円とかということがございますね。大体これはあくまでも表金額でございまして、税金とかあるいは社会保障関係の諸費用とか、そういったものは引いておりませんから、恐らくJCグループというのはわりあいに賃金水準が高うございますから、いまの税制ですと一四%ぐらいの部分に乗っかっていると思うんですね。そうしますと、手取りは恐らく相当に減ってしまう、四千円ぐらいになってしまうと考えるんですね、六千七、八百円の方々の場合にはですね。  そうしますと、今度公団値上げをしています、平均でいきますと約五千円、こうなっているわけですが、あなたが言ったからあえて私も質問さしてもらうんですけれども、結局賃上げ問題を超えるような値上げということは、今度は食費を切り詰めるかあるいは教育費を切り詰めるか、レジャーの方は目いっぱいもう切り詰めておりますから、そういうことしかないと思うんですけれども、たとえば上げる時期のことについて、工藤参考人の御意見もあったんですが、生活の切り詰めの限度にきている方々に対してはちょっと過酷な値上げじゃないか、こういうふうに感じるんでございますけれども、その辺の相対的な関係については先ほどの御所見のとおりでございますか、それとももう少し工夫をしてもらいたいという意見などはございませんか。
  25. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) お答え申し上げます。  確かに単年度で見ますと、かなり負担と賃上げとの関係は厳しいと思いますけれども、今度の改定は五年間の分でございますので、五年間の賃上げ額を合わせますと計算上はそれほど出るというわけではないんじゃないかというふうに考えております。  それで、この時朝にということでございますが、確かに景気の悪い時期にこういうことをという考え方もありますけれども、何しろある時期にはやらなきゃなりませんし、実は五年間据え置いてそのときにまた改定、見直すということでは、上げ幅がかなり大きくなりまして、入居者の方の負担が強く感じられますので、もう少し短い期間の見直しの方が実はいいんじゃないかというふうに私は思っていますけれども、そういう意見ではなくて、五年ぐらいがいいという意見の方が多いようでございますので、これはそれとしまして、やはりそういうある時期に、五年なら五年という長い期間において見直すというルールでございますので、その辺はやっぱり入居者の方々にもがまんしていただくというか、そういう予定でもって家計を考えていただくということ以外に方法はないんじゃないかというふうに思っております。  それと、二十何年間もやらなかったということのしわがいま実は出てきていると思いますので、二十二年間値上げしなかった、見直しをしなかったということをどう考えるかということは、いろいろ御意見もございましょうけれども、普通世間一般の常識で言えば、日本は高度成長をしましたし、まあインフレもありましたけれども高度成長で所得も上がりましたので、その間に一回も見直さなかったということ自体は、やっぱりちょっと疑問があるんじゃないかというふうに思っております。
  26. 大木正吾

    ○大木正吾君 ここで畑中さんと論争するという立場にはございませんので、また別の場所でさしてもらいますが、ただ、いまおっしゃったように五年間というお話になりますと、こちらがすぐにぴんとオウム返しに申し上げなければならぬことは、たとえば減税などは六年間結局なくて、ついに本年は大体七%あるいは政府計画でも五・二%ですね、やっぱり収入がなければバランスがとれぬと、こういうふうになっているわけでございまして、六年間の累積はむしろ入居している方々は減税問題とか社会保険料その他の問題等総合的に含めてまいりまして、ずっと六年間でもってふところぐあいが減ってしまった、こういうあれが大体経済的にどなたでもおっしゃっている最近の話でございますから、だから五年間やっていなかったんだから云々という話は、どうも話の筋がちょっと通らないという感じもいたします。  それは、まあしかしここは論争の場でございませんから、これ以上のことは避けておきますが、もう一つだけ伺わせていただきますが、住宅公団ですね、これは大体戦後始まって、昭和三十年代に勤労者、中堅サラリーマン、そういった人を対象にした低家賃住宅、こういうことを基礎にしてスタートしたものですね。それは一般民間マンションと比較対照、あるいはそれぐらいの家賃まで持っていった方がいいんだと、こういうお考えでございましょうか。それともやっぱりあくまでも勤労者住宅としての立場を踏まえてやるべきであって、そういった民間家賃との関係ということは一応別に、それから見たら低家賃にしておくべきだ、こういうどちらのお考えをお持ちですか。
  27. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) お答え申し上げます。  私が理解しておりますところでは、公団住宅というのは公営住宅と違いまして、低家賃住宅というふうには考えておりません。勤労者のための住宅ですから、政府利子補給その他でできるだけ安く、あるいは利潤も見込まずにできるだけ安い家賃でということは当然でありましょうけれども、極端に政策的に補助金を多額に入れて安くする住宅ではなく、この住宅公団住宅というのはむしろ日本のいろんな特殊事情その他がありまして、木賃住宅のような劣悪な賃貸住宅はたくさんつくられておりますけれども、質のいい住宅が適正な家賃でもって供給されなかった、これを補うといいますか、そういう形で民間供給できないものを政府供給するという形で発足したんじゃないかというふうに考えております。  それで、家賃はどの程度水準にあるべきか、民間賃貸住宅家賃と同じにすべきかということですが、民間賃貸住宅と同じにすべきだとはもちろん考えておりません。それはやはり国が利子補給その他いろいろな施策を講じまして安くするように努力しておりますのですから同じ水準でいいとは思いませんけれども、極端に低い水準であるのはどうかと、その水準がどの程度がいいのか、民間の八割がいいのか七割がいいのか、あるいは 五割がいいのかというのは人によって意見が違うでありましょうけれども、ある程度バランスのとれた程度家賃、それが望ましいんじゃないかというふうに考えております。
  28. 大木正吾

    ○大木正吾君 畑中さんに質問することはもうこれでやめますが、とにかく最近の東京、大阪圏等中心の周辺の都市におけるサラリーマンの、いえば手が届かない民間住宅についてもぜひお考えいただきたいということで、私の方ではやはりこういったもののルールをつくり、入っている方々も、別に修繕費その他必要なものについて出すことを嫌がっているわけじゃないわけですからね。余分なものを盛るというから問題になるわけですから、その辺のことについてもぜひこれは考えておいていただきたいし、むしろこれは午後の討論になりますけれども、こういった制度はこれからは大都市周辺ますます必要になる住宅じゃないか、家賃の決め方をどうするかは別にいたしましても。  工藤さんに最後に伺いますけれども、時間が実は来てしまったんですが、先ほども詳しいお話を伺って大変参考になりました。工藤さん、この懇談会に皆さん方の代表がお出になれなかったんですが、何かその背景といいましょうか、どうして——私不思議でならないのは、三十何万の組織を持っている公団自治協代表がこれに参加できないなんということは、日本のあらゆる各種の委員会や審議会の中にあり得るだろうかということが不思議なことなんですが、それについてまず聞かしていただけませんか。
  29. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 大木先生おっしゃいますとおりであります。私どもは結論から申し上げますと、懇談会に入らないという意向を持っていたわけではなかったわけであります。はいれない状況にあったということであります。  つまり、若干話がさかのぼりますけれども、私どもは前回改定のときに、これは国会でいろんな要望、決議をいただき、大臣も御承認なさった後ではありますけれども、やはり値上げ問題について十分な話し合いをしょうと、まあ今後の問題もあるからということで協議、話し合いを求める運動をしたわけでありますが、結局そこが実現できなかったために裁判という不幸な事態になったわけであります。この問題がありまして、裁判をやっている段階では、それ以前に全国自治協と公団との間で定例協議会というのを持っておったのですが、それ自体もストップをしたということになりました。  したがいまして、何とかそれを修復したいと望んでおりましたところ、五十六年の四月から五月にかけまして住宅都市整備公団が旧公団から生まれ変わりましたときに、時の斉藤建設大臣が、居住者が公的住宅を大切にしようとして公団との話し合いを求めている。つまり公団国民共有財産だから老朽化してはいけない、私たちもできるだけのことを協力したいということを常々思っているわけでありますが、そういうことに対して対立しておったのではまずいと、私が仲立ちしてもよいから話し合いをしてはという御趣旨のことを斉藤建設大臣がお答えになりました。  引き続きまして、時の住宅局長、現在の豊蔵官房長でございますが、豊蔵住宅局長が私たちの代表を招きまして、私は大臣の名代としてという前置きをされまして、裁判をおろさないで定期協議をしろと自治協が言うとすれば、これは自治協にとっては百点だ。しかし公団にとっては零点だろう。また裁判をおろしてしまってそれから定期協議をしろというのでは、自治協にとっては零点で公団は百点になる。これではまるっきり話が進まないので、その中間で、裁判が進行中のままでも何か話し合いを始めてはどうかという御趣旨の指導的な御発言をされたわけであります。  それに基づいて、以後、まだ表向きの会談になりませんで事務会談と称しておりますが、これを積み重ねてきて現在も続行中ではございますけれども、そういうことで事務会談を進めたわけです。これは何回か繰り返されておりますが、ところがその中で裁判をまずやめる、あるいはやめるということの見通しを立てるならば定例協議会も始めよう、こういう状況の中でいわゆる懇談会というものの発足が出てきたわけです。  去年の春に発足するという状況だったんですが、その段階では社会党初め各党の先生方にもお世話になりましたけれども、それは懇談会のメンバーに居住者団体の代表を入れないで発足するのはおかしいということでストップをかけていただきましたが、結局夏から秋にかけて再びその問題が議題になった。そこで私たちは、裁判問題のあり方についてもなぜ裁判を起こしたのか、なぜ存続せなければならぬのかということを自治協としても非常に集中的に討議をいたしました。結論としては、私どもは裁判の早期解決を望むという点でいまのところまとまっておるわけであります。  ただ、裁判をいまやめてしまってそれから懇談会だ、あるいは定期協議会を始めるんだといいましても、まあ車は急にとまれないわけでありまして、進行中のものでありますから一定の猶予期間等をいただきまして、やはり裁判を存続ならしめている要因を取り除くことによって裁判の早期解決ができるわけで、それを除去していかなきゃならない、一つ一つ。そういうための話し合いは裁判を進行中であっても、労働事件なんかでもまさにそうだというふうに伺っておりますが、並行して話し合いができるのじゃないかというふうにやったのでありますが、昨年の懇談会の発足はまさに見切り発車にならざるを得なかったのでございましょう。結局まあ入る状況になかったということで、結論から申しますと、われわれは入らなかったというんではないのであります。  以上であります。
  30. 大木正吾

    ○大木正吾君 時間が来ましたから終わりますが、もっと工藤参考人に、たとえば入居者の方々の平均、まあ老齢化傾向とかあるいは収入の状態等を伺いたかったんですが、これは午後の討論の中でもって公団に伺います。  ただ、私一つだけ申し上げておきたいことは、たとえば米番を見てください。米価審議会に行ったら農林省別館でもって、もっと多いですよ。全国から何千人の人が来た中でもって労働団体も大臣も、あるいは米審の会長も私たちまで出ている、集団交渉をしながら話をつけていくわけですよね。少しやっぱり公団側でやっていることは陰性じゃないか。陰性と言いましょうか、そんな中じゃ話できませんよ。激論結構。結構だけれども、もうちょっとこういった問題については激論しながらも、やっぱり相互理解というものを求めていく方向ということを求めなければ、私はきょう午後質問しますがね、裁判してまた上げた、また未納がふえた、一体それは最終的にどうするんですか。最高裁へ持っていって、何度でも持っていくかもしれませんけれどもね、持っていってどうするんですかということになるんです。  ただ、ここでもって申し上げておきたいことは、要するに公団側が、まあいえば、入っている方に対してどうも愛情といいましょうか、そういったものと、あるいはもっと明るく対応するという態度が欠けておる、こういう感じがしてなりませんが、私の所見ですけれども、後でまた午後質問さしてもらいますけれども、以上でもって終わらしていただきます。
  31. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 どうも参考人の方々御苦労さんです。  まず、下総先生畑中さんにお伺いいたしますが、第二臨調の答申の中に、公団家賃新旧家賃是正を行えという一項があります。公団家賃は月収の大体一六%というのを目標にしてやっている。ところが現実には公団のうち二十二万戸ぐらいの方々が一万円台である。そうすると、これは収入の大体一〇%ぐらい、こうなると片や一六%、片や一〇%ではやはり新旧家賃是正というのがはっきりしますからこれを直せという臨調の趣旨であろうと思いますが、この点、両参考人に御意見のほどをお伺いいたします。
  32. 下総薫

    参考人下総薫君) 私の考えを申し上げますと、なかなかすぐ聞かれてすぐ答えるその即答に慣れておりませんので申しわけありませんが、新 旧格差の是正ということでありますが、これは施行規則の中にもそういうことをうたっておりまして、やろうと思えばできるような仕掛けにはなっているわけです。  それで、なかなかむずかしい問題が出てきているのは、要するに長い間やらなかったことが原因なんでしょうね。それで、やっぱり前回まで五十三年の家賃改定というのは公団住宅が発足してから二十三年目でございますので、二十年間やらないと二十一年目もやらないのじゃないかということになりまして、いつやるにしても、ますます後にいくほど抵抗が大きくなるわけです。  それから、新旧格差というものの内容でございますけれども、これは工藤参考人からもいろいろ御説明ありましたように、なかなか多様でありまして、ある時期は若い人が新しい住宅で、高い家賃で、収入が低くて、便利が悪いところに通っている。それから都心に近いところでは昔から住んでいる人が、当初は四千円から五千円ぐらいの間ですか、それぐらいの家賃でずっと。収入はどんどん上がっている、負担も少ない、便利はいい、家が少し古くなった程度、こういう意味の不均衡がかなり目立ったわけです。それは公団賃貸だけではなくて、公共賃貸住宅にほぼ一様に見られた現象であります。  だが、三十年もたちますと内容がさらに変化いたしまして、もう結婚されてすぐ入居された方もかなりのお年になりまして、それから建物も傷んでくる。それから三十年間の間に住宅の質の向上というのですか、規模だけではございません。断熱材、昔の住宅は寒かったですが、このごろのは断熱性能が非常によくなっておりまして、そういう面とか、それから電気機器の普及ですね。それからシャワーなんか昔浴びることは夢であったわけですが、そういうことができるようになった。できるようになったではなくて、ごく常識になったと思います。  そういう質の向上がありまして、便利のよさ、それから所得の格差といっても、もう三十年もたてば非常に多様な形をとっておるということで、新旧格差というのは、ただ家賃額にあらわれたことだけで見るよりは、内容的に非常に多様になっている。ですから、臨調の方はそこまでお考えになった上ではなくて、主として財政効率の面からそういうことを指摘されたのだと思いますけれども、内容は非常に多様である。それを放置しておいていいだろうか。やはりこれは放置しておくべき問題ではないのでありまして、ただ、これは先ほど申し上げましたように、公共賃貸住宅というのにどういうふうな役割りを期待しているのかということに答えながら進めないといけない議論なんです。  それで、たとえば公団賃貸住宅に入られた方は一生そこに住んでいただく、いやその子供さんも住んでいただく、いやその子供さんも住んでいただくと、ずっと住んでいただくということを考えておるのかどうか。いやそうではなくて、公団賃貸住宅というのはある時期ある一定期間の間入居していただいてそこで力をつけてもらう、自力で、住宅の問題を自分で解決できるだけの力をつけていただく。そのために家賃を安くする。そのかわりどんどん収入が上がるようになってほしいと、ある一定期間たったならば自分の力で住宅の問題を解決できるようになって出ていってもらいたい、巣立っていってもらいたいと。ここは住宅困窮者の共同の財産である、因っている人がいたならば必ず常に門戸が開かれておる、こういう種類のものなのか、そこら辺の議論をきちんとさせながら進めていかなければいけない議論であります。  そういう意味で、住宅公団だけが公団家賃額だけを改定することによって問題を解決することはできないわけです。そういうことでむずかしさが常に伴っておるというのが私の考えでございます。
  33. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) お答え申し上げます。  臨調答申の新旧格差の是正という条項というか文章をどういうふうに解釈するかということでございますけれども、一つは、臨調は行政改革を目的としておりますし、増税なき財政再建というのを目的としておりますので、財政的理由が当然あろうと思いますし、それは私は非常に重要なことだと思っております。  と申しますのは、いま国民所得に対する租税と社会保険料の負担率は三五%でございますけれども、これが高齢化社会に伴って社会保険料の負担率はあと一〇ポイントぐらいはもう確実に上がっていく、四五%に負担率がなると思います。それにさらに税金を、増税しなきゃならぬということになりますと、租税、社会保険料の負担率は国民所得の五〇%を超えることになりますと、いまのヨーロッパの先進諸国と同じように経済が非常に停滞し、そのあげくにインフレになりスタグフレーションになって、物価が上がり失業がふえるというような状態がやがて来ないとも限らないし、その懸念は非常に大きいわけでありますので、財政的理由による不均衡是正、つまりいま低い割り安なところに入っている方々に受益に応じた負担をしていただいて、それを新しくつくる新規家賃の方に回していただく、そういうふうな回転を今後は公団賃貸住宅はさしていくべきではないかという考え方ではないかと一つは考えております。  それからもう一つは、やっぱり不公平があるというふうに考えているんじゃないかと思います。いま下総先生住宅の質が非常に変化してきたということでありまして、確かに古い住宅、いまの安い家賃住宅は質は決していいとは思いませんけれども、住宅家賃というものは決して建物だけでなくて、いろんな条件で決まるものではないかと思います。特に、東京圏のようなところでは立地条件が非常に大きな要素を占めるのではないかと思います。  たとえば、赤羽台の団地には、私の知人でかなりの所得の方々が住んでおられますけれども、その人たちが十分持ち家ができるのになぜそこに住んでいるかと申しますと、交通の便ということ、都心に近いという要素が非常に東京住宅を考える場合には——一時は郊外の一戸建てということがもてはやされましたけれども、いまは交通の便、都心に近いところということにウエートを置くようになりましたので、そういうことから考えますると、やっぱり住宅、その建物自体は老朽化し、設備もよくないけれども相当の価値のある住宅であるというふうに考えられるわけでありまして、そういうところに住んでいる方々にはそれ相応の負担をしていただいたらいいのじゃないか、そういうふうな考え方が臨調のこの新旧格差の是正という中にあるのではないかと解釈しております。  以上でございます。
  34. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 下総先生、もう一回お伺いいたします。  いまの御説明はよくわかりましたが、では、この家賃値上げを先生はどうお考えになりますか。
  35. 下総薫

    参考人下総薫君) 家賃是正につきましては、私の最初の意見陳述のところで申し上げましたように、これは要するに、入居者とそれから納税者とそれから広くは国民一般との負担バランスをとっていく議論であるというふうに大筋では考えているわけです。  それで、それでは具体的な公団住宅のこういう家賃改定というのはどう思うかという御質問だと思うんですが、要するに公共住宅を法の目的に沿って運営していく、そういう方向一つの手続じゃないかというふうに思っております。で、入居の適正化というのがありまして、本当に公団賃貸住宅に住んでいただくことが必要な方が住んでいただく、これが入居の適正化でありまして、それから負担の適正化——その負担というのは、公共住宅に入居されている方も応分の負担というのはあるべきであると、そういう議論でありまして、そのうちの一部になるわけです、その家賃改定というものは。  それで、それじゃ入居の適正化というのは、公 団のいまの状況の中であるいはその法のもとで、いまの体系の中でできるかというと、それはむずかしいんですね。それは、いつまでいなさいというようなことは書いてないわけです。それで入居契約書も恐らくその期間の明示がないのではないかというふうに了解していますが、何年というふうに書いてないと思うのです。それで黙示の了解というんですか、で次々と更新していくようになっておりますので、いつまででも住んでいて差し支えないというふうになっているように私は思うわけです。  そうすると、そこの部分については住宅対策全体として答えを出していない部分に相当するわけです。それで、できることは家賃の額の改定程度のことでありまして、そういうものを通じて公共住宅目的に沿った方向に物事を進めていく一つのステップではないかと、非常に多くの問題があり、十分なものとは申しがたいことは私も認めますけれども、その方向一つのステップであるというふうに私は考えてお手伝いをしているつもりです。
  36. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 民間家賃は家計支出の大体二六%、公団の場合は一六%、民間の方がはるかに高い。公団の方は安い。その原因は、一つ政府の利子の補給にあります。昭和五十七年度の利子補給額が千八十八億円、その七〇%が賃貸の方に使われ、三〇%が分譲の方に使われている。それを基礎にして計算をいたしますと、公団住宅一戸について年間十二万円の利子補給が行われているわけです。  もしも財政事情が許すならば、先ほど工藤さんがおっしゃったように、高いところは下げろということも望ましいかもわかりませんが、いまのような火の車の財政事情のときにそれはできない。したがって、せめていま不公平の是正をしたいということでこの値上げがいま議題になっているんだと思います。工藤さんこの点いかがでしょうか。
  37. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 公団住宅の発足の趣旨が、中堅勤労者対象にして大都市圏で住宅に困っているという状況の中で供給されてきておるということで、政府の最近の財政状況から見ますと、この利子補給金などが大変な御負担になるということもわかります。しかし、同時にこれは、数字をちょっと持ち合わせておりませんが、金融公庫などにも相当利子補給金が出されておるというふうに聞いておりますので、基本的には公共住宅政策を政府がどのような形でお進めになるのかということがやはり私たちとしても十分承知をしたいところでございます。  現在、これまで住んできた方が、じゃ、いまおっしゃっているような十二万円の補給金にあずかっているかというと、私はそのようには理解をしていない、新規供給住宅のことだと思いますけれども。もともと住んでいる既存住宅の方の御感想を聞いてみますと、入居当初は相当負担だったわけです、ぎりぎりのところで。先生御存じのように高ねの花と言われたような面もあります。内容的にもよかったのかもしれませんが、非常に負担は大変だった。私自身も十八回目の補欠当選でございまして、入居いたしましたときは数百円少し足りない状況がありましたが。  全国の既存住宅の方のお気持ちは、やっぱり政府の今後の見通しをどうされるのか、公共住宅政策の位置づけをどうされるのかということとあわせて、現実の問題としては、自分の経験からこれは発言せざるを得ないのですが、自分なりにやっぱり負担をしてきたというふうに思っておるのじゃないかと思うんです。  そこで、私たちは今回の改定について何が何でも絶対反対をしていこうという気持ちは、前回改定も含めてございません。やはり下総さんがおっしゃいましたように、応分の負担というようなお気持ちがあるのならば、それはそれとして受けとめてみたいと思っております。ですから、公団住宅国民共有財産でございますから、これを守っていかなきゃならぬ、そういう点での協力は拒むものではない。つまり、維持費とか管理費はだんだんかかるでございましょう、修繕費もかかるでございましょう。そういう点で本当に必要なものがあれば、全額それは負担能力があるかどうかわかりませんが、負担をする用意はあると思っておるわけでございます。  ただ、不均衡是正といいますと、何かいまそこに住んでいる人間にその責めに帰すべき事由があるかのごとき感じを受けないわけでもないですね。そういうことがございますので、不均衡是正論という理由は、お気持ちはわからぬわけでもないが、結局応分の負担というお考え方であれば、これは数字などが明らかになるならば十分協力の用意はある、このように考えております。
  38. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 もう一つ工藤さんにお教えをいただきたいのですが、いまのお言葉の中にあった修繕費、維持費などは経済情勢の変化に応じて負担をする用意があると、そういうことでございますね。地代やなんかはいかがなんですか。
  39. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 公団家賃構成要素、先生お詳しいと思いますけれども、地代というのは地代相当額というふうになっている。地代そのものは少ないと思います。地代相当額というのは、私たちの勉強した範囲では実質上金利だというふうに理解をしております。土地を購入し、造成をするための諸費用にかかる実質金利じゃないかと思います。  こういったものは、先生御専門のように、固定費と変動費というふうにもし仮に分けるといたしますと、固定費の部分に当たるのではないか。変動費の部分は申し上げましたように修繕費、維持管理費ということで、固定費の部分は余り変わらないわけですから、この点については変動のないものは推定再建築費というような市場家賃論でもって持っていきますと、これはあるいは考え方が変わるのかもしれませんが、一応原価論からいいますと、その点は負担をしなくてもいいのではないかと、このように考えております。
  40. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 見解はちょっと私は違いますけれども、あと一分間しかありませんから議論はいたしませんが、大変工藤さんが御苦労していることはよくわかりますが、あなたが御指導くださっている自治協の性格はどういうものなんですか。
  41. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 全国に各団地の自治会がございます。自治会の協議会でございます、性格は。内容的には団地の住民の生活の向上、スローガン的に申しますと住みよい住宅、住みよい団地環境をつくっていこうということが中心でございまして、それに意見の御一致される方がほぼまとまっておられるという団体でございまして、協議会の性格を持っております。
  42. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後の問題ですが、いまも工藤さんのお言葉の中にありましたように、経済情勢の変化に応じてある程度値上げをし、財政負担を軽くしたい。そういう気持ちは私は大変大事なことだと思いますから、その線をひとつ大いに推進してくださることを希望して私の質問を終わります。
  43. 原田立

    ○原田立君 下総参考人にお伺いするのですが、今回の値上げは全体的にはやむを得ないというお話、結論的にはそういうことでございましたけれども、いまの斎藤先生の御質問に答えている中に、地力をつけて大いに巣立っていってもらいたいのだと、入居者が。そしてしかるべき段階で自分の家を持てるようなふうになっていってほしいのだ。ということは裏ひっくり返すと、公団入居者は一時的なものだと、親や子や孫やと、こういう時代、そういう考え方ではないんだ、こういうようなお話がいまございましたけれども、ちょっと私、それに多少意見がある。  というのは、持ち家をしようとしても土地が高くて、材料が高くて建てられない。だからそういう人は安い家賃住宅に入るのだ、公団住宅に入っていこう、入りたいと、こう願うのは僕は当然じゃないかと思う。そうすると、いまも申されたような下総さんの御意見にはちょっと私は理解しがたいところがある。この点についてのお答えをいただきたいのが一つ。  それから、家賃を決めることに当たって民間家 賃との、あるいはまた最近建った公団なんかの家賃との不均衡是正するのだというようなお話がございましたけれども、これはちょっと当たらないのじゃないかという感じがするのです。要するに三十年代、四十年代に建てた住宅はそれに見合った家賃で、個別原価主義でやって決めた家賃ですからね。そうすると、それと五十年代に建てた家賃と不均衡があるからそれを是正するのだ、だから値上げするのだというのは何か理論として納得しがたい点があるのです。  それからまた、お決めになるに当たって鉄道の建設費だとか通勤のバス購入費等までも含めた関連公共施設費を算入して家賃というものはお決めになるのかどうか。以上、三点についてお答え願います。
  44. 下総薫

    参考人下総薫君) お答えいたします。  第一点でございますが、公団賃貸住宅というのは中で体を鍛えて巣立っていってほしいという、それが私の意見であるという前提での御質問だと思うのですが、私が先ほど斎藤先生にお答えしたのは、どちらかの立場であるということを答えながら家賃改定を行う必要があるという、そういう状況を御説明したのでありまして、つまり公共賃貸住宅というのは一たん入居されたらずっとそこにいつまでも住んでおられるということを目的としているのか、あるいはそうじゃなくてこれは回転という言葉を使ってはちょっと差し支えがあるかもしれませんが、要するに一時的なものだということですね。そういう性格のものであるか、そのどちらかを決めるというのですか、そのどちらかを選択しあるいは第三の答えもあるかもしれませんけれども、それに答えながら家賃改定というものを進めていかないと議論が整合してこないという状況を御説明したのでありまして、私の意見がどうだということを言っているのではないのです。  それじゃ、おまえの意見はどうだという御質問が当然来るだろうと思うわけですが、私の意見は、時間もございませんのであれですが、公共賃貸住宅というのは、性格的に申しますと一般対策というのに当たっておりまして、ある特定の人を入居させるというのではないのですね。公募によりまして幅広い層を対象としながら建設供給、管理される賃貸住宅でありまして、それを一人ずつずっと孫子の代までという、そういうのは恐らくいまの、長い間にまた状況も変わってくるとは思いますけれども、私の意見としては、一般対策としては、やはり公共賃貸住宅はどちらかを選択しろと言われたら、一時的、そちらの方を選択いたします。それは結局、私は先ほど自分の意見として申したのではないわけなんですが、あえて自分の意見を申せと言われればそうお答えいたします。  それから、第二番目のことでありますが、民間賃貸住宅との格差を是正するという、そういう発言を私はしなかったように思うんですが、記憶違いでありましたら申しわけございませんが、公団家賃部会でも、公団住宅民間家賃まで近づけるべきだという議論は出てこなかったように思います。これは公共的な性格を持っておりますし、当然民間のよりは安くするためのさまざまな措置が講ぜられておるわけですから、それを民間と格差をなくしてしまったらその意味がなくなるわけですから、そういうことまで考えてはおらないわけです。  それから、あるいは御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、三十年代に建ったものは三十年代の家賃でいいじゃないかという、こういう御意見でございますが、それは先ほど私が二度ぐらい繰り返して申し上げました部分に相当するわけですが、議論を詰めてまいりますと、償却費の再評価、それから地代相当額の再評価と、そこの部分に議論が来るわけです。  そこの部分は、片方は、大正二年につくった住宅は七十年たつとちょうど一九八三年、ことしで終わるわけですが、そうすると、家賃をそのまま固定しますと償却費は五百円であります。五百円では家が建たないわけです。それでそのときに、いやもう公団住宅はこれでおしまいだよ、やらないんだというと、そうすると今度は土地を処分すると、かなりの土地を持っていますから、かえってもうかっちゃったり、妙な話がそこからぞろぞろ出てくるんですね。それで、そこの部分に明確に答えておかないと、そこの議論の決着はつけがたいわけです。それで、再評価というのは今後も続けますと、こう言います。それで、五百円では新しい家は建ちません。建たなかったらそのときに出せばいいじゃないかと、こういう議論もありますが、そのときの部分の費用を一部入居者負担していただきますというのが再評価の議論です。  それから、地代の相当——地代ではありません、地代相当額の議論は、これは利潤の部分でありまして、じゃ、もうけるんじゃないかというのでありますが、いやもうけではなくて、その分だけ利子補給を減らす、そういう議論につながるわけです。そうすると、納税者入居者との負担バランスをどこに置くかという、そういう議論に導かれるわけです。私は、大正二年の住宅は大正二年のままで、維持経費は別でありますが、償却費と地代相当額の再評価というのは、全部ではないと思いますが、一部あるべきだというふうに考えております。  それから、関連公共施設が家賃構成要素に入っているかということでございますが、これは幾ら、どれくらいということは詳しく存じませんが、建設費の中に算入されても、関連公共施設は補助金がありまして、公団住宅の場合一部なんですね、全部ではないんです。一部かなりの規模団地については関連公共施設の補助がありますので、それは入っていないと思うんですが、そのほかは入っているというふうに思います。  それが正当であるか不当であるかという、そういう御質問でしたか……。それは建設コストに算入さるべきものだと私は思います。  そんなことでよろしゅうございましょうか。
  45. 原田立

    ○原田立君 第二点目の民間に準拠して云々というのは、それは多少私、言葉は言いましたけれども、そういう意味よりか、たとえば五十年代、五十五年ごろに建った家賃と、それから四十年代の初めに建った家賃と、三十年代に建ったものの家賃と、おのずと違うわけですよね。当然材料費、人件費が高くなっているんですから、だから最近建つのは高くなるだろう、これはわかるわけなんです。その高い方のと同じように引き上げるような均衡論というのはおかしいんじゃないですかということを、その点を申し上げたわけです。民間云々じゃないんです。それだけちょっともう一遍お答え願いたい。
  46. 下総薫

    参考人下総薫君) どうも御質問の趣旨を取り違えまして申しわけございません。  不均衡是正と言っている議論は、最近のたとえば五十七年度に建った住宅家賃、これは傾斜家賃で五万七千円、傾斜家賃の初年度が五万七千円だと思いますが、恐らくその傾斜家賃でなければ、ちょっと数字を間違えたら申しわけありませんが、七万円ぐらいになるんじゃないかと思います。その七万円にすべてそろえると、こういう議論ではないはずです。それは最近のものは、たびたび申しますように質の向上が非常に著しいのと、それから規模も大きくなっておりますので、これは、不均衡是正というのは困難な問題であるということを繰り返し繰り返し申しておるのでありますが、ある日突如として理論的にそろえるということはなかなかむずかしい議論なんですね。  それは、それぞれの経緯がありまして、なかなか理論的に急にそろえるという——激変緩和なんて言っているのはそのことであります。激変緩和というのは、本来は経過的な措置であるはずなんですね、激変緩和というんですから。激変が緩和された後には新しいものに完全に移っているのが激変緩和措置だと思うんですが、ここで使っている激変緩和というのはそうじゃないんですね。そのまま固定される激変緩和措置なわけです。  そういうことが必要なように、なかなかある日突如として理論どおりにいくということのむずか しい問題でございまして、新旧格差の是正ということは、やはり適正なとか、応分なとか、いろいろなことを申し上げますけれども、結果的には一律アップみたいな、同じ金額を一律アップするみたいな形にならざるを得ないわけですね。  私は、東京都の住宅供給公社賃貸住宅、それから東京都の都営住宅——賃貸住宅でありますが、そのいずれにおきましても、さんざん議論していろんな方式を検討するんですが、結果的には、何か同じ金額を一律に上乗せしたのに近いような形をとらざるを得ないわけです。それをもし理屈どおりにやりますと、地代相当額というのが非常に大きな金額になるんですね。それで、それはなかなか実際上は無理であろうというような社会情勢からの判断がございまして、それで結果的にそういう形になるということで、不均衡是正というのはなかなか理屈どおりにいかないし、それが日本の国情から見てやむを得ず——適切という言葉を使いたくないですが、やむを得ないのではないかという意味でやむを得ず認めるというような、そういう表現を一番初めの意見陳述のときにとらせていただいた次第でございます。
  47. 原田立

    ○原田立君 家賃部会の立場としていろいろと御苦心なさっただろうと思うのでありますが、実際問題、先ほども工藤参考人からお話があったように、全国各地で公団家賃値上げ問題について裁判が提起されている。どうしてそんなことがあるのか。やっぱり話し合いが不足しているからだと、こう私は簡単に考えるわけです。  僕らも今回の問題については当委員会で決議案をつくりたいと思って、一応原案つくりました。「公団は、家賃改定にあたっては、趣旨の徹底や、相互理解を深めるため、居住者団体と協議し、居住者の納得する説明会を開催すること」と。当然やるべきだ、こう私は思うんです。その点が少し足りないものだから、裁判問題とか、多くの方々が不信を抱くんじゃないか。これは指摘だけにとどめておきます。  で、工藤さん、あなたにお伺いしたいんですけれども、先ほども意見ございましたけれども、一方的値上げは納得できないというお話でありますが、これはもう当然だと思うんですよね。十分な話し合いの上に立って理解して、それでお互い相歩み寄りながら決めていくというのは必要だろうと思うんです。ところが、もう右は右、左は左で突っ走っちゃって、そこに歩み寄る点がないだなんというような硬直した姿勢だと、一体何をやってるんだろうかなあというふうなことを多くの人に見られると思うんです。いまも、決議案の出している内容、わが党の考え方を申し上げたんですけれども、一方的値上げは納得できないという反発されている点、どのような点について反対なさるのか、その点をお伺いします。
  48. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 中身はいろいろあるわけでありますが、いわば協議、話し合いということで、表現はいかがかと思いますが、処分権のあるようなものとそれから処分権を越えるようなものとが中身にあるように思っておるわけです。  たとえば、値上げ理由でありますけれども、これは、現在公団家賃改定にふさわしいルールができていないために、今回の改定でありますと、公営限度額方式に準じたものと、こういうふうなことでありますが、私たちはこれではまずいと思って、やはり公団法施行規則にある個別原価主義に基づいて、その中で変動する部分については、改定は一定の数字が公開されれば認めると、こういう態度とっておりますから、これは話し合いをしてみたところでかみ合わない部分なんですね。したがいまして、このルールはやはり各界各層の有識者の御意見などを入れて早期につくるべきであるということが引き続き——実を言うと、まだ大臣が承認をされておりませんから、われわれの希望から言えば、今回の改定は新しいルールのもとでとこう言いたいところでありますが、もしこれが仮に無理であるとするならば、この点は引き続きの継続的な課題にならざるを得ないだろうと思っております。いま申し上げましたのは値上げ理由並びに値上げ方式に関する問題であります。  しかし、減額をせなきゃならぬ。たとえば非常に生活にお困りになっている方がいるとか、あるいは一万円の部分については何とかもう少し、前回が上限が七千円でありましたからどうかならないとか、そういうような問題とか、あるいは値上げをした増収分を団地の居住性の向上に使う、つまり修繕とか環境整備に使う、こういうことは公団の方も十分管理はされておるというふうにお思いかもしれませんが、やはり自治会というのをせっかくつくっておりまして、そこでは、各自治会大抵一週間に一回ぐらい役員会などやりまして、住民の御不満、要求をせっかく集めておるわけですから、こういうところの意見を御参考になったら、私は国民共有財産としての公団が全体として向上されると思うんですね。だから、そういう点は団地の居住者の意見を当然聞くべきだろうと思うわけです。これは朝日新聞の社説を先ほど申し上げましたが、そういう点あるわけであります。  あるいはまた、公団というものは将来どうなっていくのか、これは非常に高い次元の問題でありますが、こういった点も十分やはり公団として居住者にお示しをいただく方がいいと。つまり安心して住めなきゃいけませんから。どうなっていくのかわからぬ、どうも家賃が上がっちゃったらもう出ていかなきゃならぬというような方に対して、どういう手当てができるのか。  たとえば、都営住宅におられる方は、収入が多くなりますと公団の方へ優先入居できるわけですが、公団にいる方で家賃が払い切れなくなったときには、都営住宅に優先入居できるという制度はシステムとしてはないわけですね。値上げをしておいて追い出しをするという意味であったらまずいのでありますけれども、道はやはり開くべきだろうと思いますし、団地居住者の生活実態が、先ほど御指摘申し上げましたように、第三分位の中位にいる人がもう少なくなっているわけですね。だから、その実態にかんがみてそういう新しい措置をとるとか、何か、血もあり涙もあるような、大家さんらしい対応をしていただくということが、私は説明のあり方だと思うんです。  説明をやるというと、何か、団地に行きますとつるし上げられちゃって大変だと、こういうふうなことを耳にするわけであります。先般も公団理事の方にも私申し上げたんですけれども、電力会社とかガス会社とか私鉄とか、各種の公企業、公益事業の場合は相当詳しい資料を持って、中身はともかくとして、何かおわかりにならぬ点がありませんかということで、向こうの方から居住者に対して対応してくるというのがもう現在の趨勢なんです。  これは、経団連が七四年の第一次石油ショック以降に、「企業・経済団体の広報活動のあり方」という指針を出しまして、その中でかなり詳しい企業の対応姿勢をされておるわけですね。どれとどれと、どういう資料は公開すべきである、説明をすべきであるということを非常に、私原本を持っておりますけれども、そういう対応をされておる。そういうことで、私も全国消費者団体の代表幹事をやっていますので、そういう対応をしょっちゅうしておるんですけれども、公団の場合はまあ不器用というのか何と言いますか、下手だと言ったら大変失礼ですけれども、そういう対応をなさったらいいと思っておるんですね。  やったら何か損なことがあるんだろうかと、私まあ逆に実は考えざるを得ないわけで、ぜひ公団の方は、団地居住者きょうこちらにたくさんいらっしゃいますけれども、取って食うような人は一人もいませんので、円満な解決を図るというんならば当然そういう姿勢を——団地が確かに多くあります。しかし、一軒一軒に行けとか、団地ごとに全部やれとかいうことを、無理難題のことを言ってるわけじゃありません。ですからそこは、どういうふうな対応をすべきかということは改めてお互いに話し合って決めればいいことで、その方向性は今回ぜひとも示すべきである、このように考えておるわけです。
  49. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも参考人の方、御苦労さま です。いろいろお聞きしたいことあるんですけれども、持ち時間十五分なんで、なるべく簡潔にお答えいただきたいと思います。  まず、下総さんにお伺いしますが、五十二年八月に経営改善推進本部が設置されて以来の機関設置で、しかも第三者機関は初めてですね。ところがその初仕事が家賃の一斉値上げになったと、これはまあどういうことかと思うんですが、この設置要領を見ますと「イ」は、「事業運営の基本的なあり方」、「ロ」が、一「まちづくり、住まい方の方向等」、「ハ」が、「家賃の適正化」なんですね。で、大量の空き家とか長期保有地あるいはずさん経営ですね、こういう問題にメスを入れるということがなぜ優先できないで、一斉値上げが初仕事ということになったのか、お答えいただきたいと思います。
  50. 下総薫

    参考人下総薫君) ただいまの御質問でございますが、なぜそれが一番目の仕事になったのかというのは、設置された公団の方に聞かないとよくわからないのじゃないかというふうに思うんですが、住宅公団住宅都市整備公団と変わりまして、宅地開発公団と一緒になりましたですね。法律の「目的」のところも、当初の目的と変わった書き方になっておりますね。それで当初は、詳しい文言はちょっと覚えておりませんが、住宅不足の著しい地域に集団的に住宅供給して、住宅に困窮する勤労者に寄与するような、そういう表現だったんですが、住宅都市整備公団になりまして、いま議題の中の二番目ですが、町づくりという話が出てくるんです、その法の「目的」の中に。三十年間と申しますか、まあ三十年余でありますが、二十五年ぐらいの間に公団の持っている目的も変わったのかなというふうに私は考えたわけです。  それで、公団住宅の、当初の目的ですとやはり住宅不足の著しい地域、地方公共団体の力をもってしては賃貸住宅供給し切れない部分をカバーするみたいなそういう雰囲気があったんですが、今度の住宅都市整備公団法の目的では、もっと健全な、将来に向かっての町づくりを行うような、そういう方向に姿勢が変わったように目的から見ると考えられたわけなんです。それで、懇談会の設置の議題の中の二番目にそういうものが挙がってくるのは当然のような感じがいたしておりました。  未入居空き家とか長期保有地の問題でございますけれども、なぜそれから議論しないかということでありますが、一応未入居空き家につきましては四万数千戸あったものを——もっとあったかな、それを一万数千戸まで企業努力によって減らしたと、そういう御説明がありました。基本問題懇談会というのは今後とも継続されるものと承っておりますので、今後の議題になってくるところだと思います。  なぜ家賃問題を最初に挙げたかということでありますが、それはやはり前回の五十三年から五年経過したという、せめて求めればそういうところにあろうかというようなことであろうと思います。  不十分ですけれども……。
  51. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、なぜこういう問題を聞くかといいますと、やっぱり私のところにも居住者の方から大分はがきが見えていますけれども、ずさんな経営を放置しておいて一斉値上げということに対する不満を大変お持ちなんですね。僕は五年前のこういう参考人質疑のときに、一つ具体的な提案をやったんです。あのときも平年度二百億の値上げ分で、そのうち三割が新規家賃の抑制なんですね。七割が修繕費その他だった。だから、考え方として三割の平年度六十億を国で持ったらあんまり問題起きないじゃないか。既得権を無視された上に、新規家賃の抑制に使われたその分まで自分が持つということは大変なんですね。私そういう提案しましたら、五年前は四人の参考人の方が基本的に大体賛成してくださったわけなんです。  今度も、平年度二百億で、大体三割を新規家賃の抑制に回すということなんですね。私は五年前の提案を少し変えまして、六十億をひとつ国とそれから公団がひねり出すと。ずさん経営、きょうも後で質問を少ししますけれども、いろいろあるわけで、そういう努力をちゃんとやれば、後の七割はこれは話し合いがつくと思うんですよ、修繕費その他その他に使うとすれば。そういう方向で基本的に解決するということが必要なんじゃないかと思うんですけれども、この点について三人の参考人の方々に簡潔にお考えをお聞きしたいんですが。
  52. 下総薫

    参考人下総薫君) 今回の家賃改定は、その経営状況云々の話と関係ないと申しては言い過ぎなのかもしれませんが、そういう考えで私は了解しております。ここの改定案にも、文言としては「経済事情の変動」に伴う家賃改定というふうになっておりまして、経営上赤字を生じたからその分値上げをさしてくれという、そういう表現になっていないし、終始経営状況の話とは関係のないような、そういう受け取り方を私はしております。
  53. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) ずさんな経営を放置してということでありますが、いま下総先生がおっしゃいましたように、これと今回の家賃改定とは直には結びつかないというふうに私も考えております。  実は、ずさんな経営を放置してということは、私の個人的なあれですと、特に政府機関といいますか、政府企業の悪い面が出ているのでありまして、民間企業ならとっくに倒産しているんじゃないかと思いますので、その辺をどう考えるかという問題にもつながってくると思います。非常に大きな問題でありますので、ここでお答えできるようなあれではありませんので、その辺で勘弁していただきたいと思います。  それで、二百億のうち三割は新規家賃の抑制部分は国で持てという、持てばいいじゃないかというお話ですが、それが実は単に財源の問題——もちろん財源の問題、財政事情が大変な問題でありますので財源の問題もありますし、それと不均衡是正という国民全体から見た公平の問題、公正の問題という観点がありますので、そこはそうおっしゃられるようには、金額は六十億ですか、わずかということだけではそういうふうには持っていきがたいのではないかというふうに思っております。  公団家賃ということを、単に公団といま入っておられる方々との関係という問題というふうにとられるのではちょっと疑問でありまして、やはりほかに、公団に入っていないで、公団に入居されている方々あるいは新規につくる住宅家賃のために援助、応援しているたくさんの国民がいらっしゃるわけでありますから、その方々との関係、公平という問題も配慮して考えなきゃならぬ問題だと思っております。
  54. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 基本的に、私は上田先生の御指摘に賛成をいたします。  この問題につきましては、今回の改定に対しまして各新聞の社説があるわけであります。いまお答えいただいた畑中先生のところの日経新聞の社説は「住宅都市整備公団は未入居住宅や未利用土地を多く抱え、ずさんな経営が指摘されている。それが家賃値上げにしわ寄せされているのではないかとの疑問が入居者の間には少なくない。そうした疑問を解消するよう経営の効率化に努めるべきである。」、こういう御指摘があります。  朝日新聞も「また、多くの空き家と売れない土地を抱え、運営のずさんさを指摘されている住宅都市整備公団だけに、値上げ分が赤字の穴埋めに使われるのではないかという不安を抱いている人も少なくない。経営改善のため、一層の努力を望みたい。」。サンケイ新聞もそういう趣旨のことを書かれてあるわけです。  この問題は、私どもは経営問題に必要以上に介入する気持ちは毛頭ありません。しかし、不安としては、前回改定のときもそうでありましたが、相当各新聞がいろんな形で報じておるところでありまして、今国会でも衆議院建設委員会では瀬崎議員の御質問に対して一定の因果関係があると いうふうなことが明らかになったように思います。  詳しくは存じませんが、やはりそういうことがなければないように、あるにはあるような措置を講ずるということが大事なわけで、居住者としては、専門家ではありませんが、非常に不安を抱いていることは事実でありますから、そういうもののツケ回しが絶対にあってはならないと信じておりますが、ぜひとも何らかの措置をしてほしいと、このように考えておるわけであります。
  55. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一番の問題は、準拠している公営限度額方式だと思いますね。下総参考人は、先ほどこの数十年の間の住宅の質の向上の問題や古さの問題、その他非常に多様な問題があるとおっしゃって、不均衡是正はなかなか大変だと言われたんですが、私非常に疑問に思いますのは、この公営限度額方式の計算式ですね、償却費に係る率というのを推定再建築費率から一引いて三で割っている、それに一足してあるわけですね。  この式は、どう見ましても古さというのは一つも入ってこないわけですな。五年前の住宅だろうが二十年前の住宅だろうがみんな三分の一なんですから。同じなわけですね。こういう下総さんが言われた住宅の質の問題、古さの問題を一切考慮に入れない式を使ったこの公営限度額方式というものに準拠した値上げというのは、非常に問題があるんじゃないかと思うんですが、下総さん、その点専門家としてどうお考えになりますか。
  56. 下総薫

    参考人下総薫君) その古さの問題が全然入ってこないという推定再建築費の……
  57. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 物価だけ入ってくるんだ。推定再建築費は物価変動だけです、入ってくるのは。私ここに表を持っている。
  58. 下総薫

    参考人下総薫君) その推定再建築費というのは標準の建物を想定して、その構成要素の物価の変動を加味して算出した率でありますけれども、経過年数が全然入っていないというふうには……
  59. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、入ってないです。
  60. 下総薫

    参考人下総薫君) してないのですか。ちょっと検討してみます。
  61. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあとにかく物価変動だけで、大体現に三十一年のものも四十何年のも一平米当たりの建築費全く同じになっていますからね、空き家の計算を見ますと、割り増し家賃。それから、一平米当たりだけじゃなくて二DKで全部同じです。だから、経過年数またその古さ、傷み方、設計の変化、向上、一切入ってない式でやっているというのはまことに大問題だと私思うのです。  もう一つ下総さんにお伺いします。  敷金の問題なのですが、五年前衆参両院の要望事項敷金はやめるということを要望して、実際に五年前にやめたのです。今度この敷金が入っているというのは、五年前の衆参両院の国会の要望事項が全く無視されたことだと思うのですけれども、基本懇の中ではどうだったのですか、この敷金問題は国会の要望を無視して挙げて賛成だと皆さんお思いになったのですか。
  62. 下総薫

    参考人下総薫君) 敷金につきましては、これは法律の専門家の意見はいろいろありまして、私は法律の方は詳しくございませんので、事務当局の説明では、敷金というのは債権担保というか、入居者が退去されるときに入居者の責めに帰する修繕の部分を修繕する、その費用を退去時に支払っていただくというそのための、あと家賃の滞納分みたいなものも含まれますけれども、そのための費用としていただくということでありますが、それが家賃が古いものは相対的に安いものですから、現在の物価に追いつかないで、平均して一カ月分ぐらいになっているという、そういう説明を受けました。債権担保に実効を持たせるために敷金の増額が必要であるということでありまして、そういうことで了承をしております。  衆議院で将来にわたってということになっておったのでしょうか。
  63. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、前回
  64. 下総薫

    参考人下総薫君) 前回のですか。前回のことは説明を受けております。
  65. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 前回分を今度取るというので全く無視されたと思うのですが、もう時間ですから終わります。
  66. 三治重信

    三治重信君 どうも本日は御苦労さまでした。  重複を避けて御質問をさしていただきますが、原価主義いろいろあるのですが、いまの公団住宅家賃の決め方に不十分なところというのですか、新しい値上げについていろいろ疑問が出てくることについて、公団住宅の前の原価主義というものがどうも聞いていて古い住宅のやつを上げることについての不均衡是正ということについて、いままでとっていた原価主義からはこの不均衡是正というのが僕はどうも時代感覚がピントが合わぬような気がするのです。  新しい住宅家賃の決め方というものは、全然新しく空に考えるということは無意味なことなのだろうが、いまの決めてあるやり方について時代感覚に合うような修正の、家賃の値下げということはないだろう。値上げについての納得のいく方式というものを若干変える必要があるのじゃないかと思うのですが、その点についてひとつ畑中先生にお伺いいたします。
  67. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) お答えを申し上げます。  個別原価主義ということが大変問題になっておりますけれども、あらゆる物の価格というのは、まず個別原価かあるいは、ともかく原価でもって決めていくわけでありまして、当初は原価によるのがいろんな商品でも当然じゃないかと思います。それをその後の経済変動に応じて修正していくというのもあらゆる商品の価格、財物の価格に行われておることでありまして、公団家賃だけ、それが修正が行われないという考え方をとるのは、実は私はおかしいと思っております。  いろんな方のお話を聞いておりますと、どうも家賃という問題を会計学的にだけとらえられて、当初の利子だけ払えばいいじゃないかというようなお考え、あるいは償却は要らないんじゃないかとか、地代相当額は要らないんじゃないかという御意見があるんでございますけれども、実は家賃という問題すぐれて経済的な問題でありますので、経済政策あるいは経済的、経済学的と言っていいかもしれませんけれども、そういうふうなとらえ方も一面でしなきゃならぬ問題でありまして、会計的な方法、考え方というのは、実は経済的な考え方のサブシステム、下位の考え方でありますから、上位が変動した場合は下位に真っ先に適用するように考え方を変えていくべきじゃないかと思います。その辺が、実はちょっと議論として混乱しているのではないかと思います。  ただ、個別原価主義がこれほど問題になるのならば、違った考え方のものを、方式を取り入れたらどうかという御質問ですが、それは私はそういう考え方も大変よろしいんじゃないかと思います。ただ、法律事項でありますので、法律の改正は先生方に属しますので、その辺が私にはどういうふうに展開するものか理解しがたいといいますか、私にはわからないところでございます。
  68. 三治重信

    三治重信君 どうもちょっと御意見がわからぬですが、私が抽象的に申し上げたのは、何といいますか、原価主義をとっているばかりに、やはり臨調なんかも言っているのは、三十年代の家賃と、同年代につくった一般民間住宅家賃が非常に上がっているんじゃないか、それが公団は原価主義ということでいままで上げてなかった。それを是正しろということを言っている。原価主義というものと民間住宅民間の経済状態が違うというのとえらい考え方が、発想法が違っているんじゃないか。だから家賃考え方というものが、一般の何というんですか、住宅公団なり公営住宅家賃の決め方についてのいままでの議論というのが、余り原価主義とか低家賃ということにとらわれ過ぎた議論の、家賃の決定の議論であったんじゃないか。  それについて、もう少し家賃の決め方について住宅を利用する方の立場に立って、そういう人たちが納得がいくような住宅家賃の決め方を考えたらどうか。同じ値上げされるにしても不平不満で何とか力ずくで押えられて上がるのを承知したというのと、まあやはり時代がそういうぐあいに 変わっているんならやむを得ぬじゃないかというふうなのとは、ずいぶん入っておられる方やなんかの対応が違うんじゃないかというような気もするわけなんですがね。  そうすると、こういう公団公営のあらゆるものの施設の利用者に対する考え方を変えていくような、それに対する説得の方式考え方を学者の方や一般の、何というんですか学識経験者にリードしてもらうと非常にいいんじゃないかと思うわけですが、そういうことについてもう少し意見があってしかるべきじゃないかと思うわけなんですが、その点についてどうお考えになるか。  いま一つ。そういうことから言って、具体的に私の意見といいますか、こういうのはどうかということは、やはり原価主義プラス民間の同年代にできた住宅家賃との比較というものを少し参考にすべきじゃないか。それから、公団住宅はやはりその所得では住宅の獲得に困難な階層について、第三分位というんですか、一つの標準があるんでしょうが、入ってもらうための家賃の決め方をやっているわけなんですが、それじゃ、所得が急に上がった人とそれから上がらない人、また、上がったけれどもまた二十年、二十五年たったら下がってしまっている人——いま工藤さんの御意見は、入ったときと同じように一時上がったかもしれぬけれども、家賃負担割合は、また下がってきちゃって、年寄りになったとか、経済状態の変化で。  だから、むしろどっちかと言えば、上がる人よりか下がっていく傾向の人が多いんじゃないかという危惧を持っておられるんじゃないかと思うんですけれども、それならそこで分けて、入ったときの家賃に対する割合よりか、非常に上がってきた人については家賃を上げたっていいじゃないかという議論、個別にそういう一つ基準を決めるというようなことについての御意見はいかがですか。二つですね。  同年代に建った民間住宅家賃との比較において、片方は原価主義で取っている、片方は民間の方は上がっているじゃないか。その間の調節の万策も一つ考え方としてあるんじゃないか。もう一つは、第三分位なら第三分位の人の方が非常に所得が上がったならば、それに対してある程度改定してもいいんじゃないかというような意見家賃改定の理屈の中に入らぬのかどうか。
  69. 畑中達敏

    参考人畑中達敏君) お答え申し上げます。  民間家賃との比較ということは、実は懇談会の席上で私は正式には申し上げたかどうか知りませんけれども、そういう考え方を実は若干しておりまして、公団家賃は政策的に公共住宅で、第三分位の方々が入られるのはどの程度水準、七割なら七割の水準というくらいに抑える方式を鑑定していただいて取るような方が、むしろすっきりした家賃の決め方になるんじゃないかという考え方も実はいたしております。  それから第二点なんですが、所得が人によって変動の仕方が違う、それをどうするかということですが、大変むずかしい問題ですが、所得の高い人だけに家賃を高くするということができるかどうかということを、実は私にはなかなか理解というか、わかりがたいところでありまして、工藤さんのお話のように、実態がそれぞれ違うんならば、公営住宅のように変えてしまわねばならないのかというふうにも思われますし、その辺は私には特に考えはございません。
  70. 三治重信

    三治重信君 工藤さんにひとつお答えいただきたい。  結局、今度のこの改定案についての話し合いができないというのも、どうも聞いていると前のやつのしこりがずっとあって、そのうちの最大はどうも裁判がかかっている問題なんです。そうすると、それに対して表面上の対話ができぬとなれば、裏というんですか、非公式の住宅公団との話し合いならばいいということなんですが、そういうことについての公団側がどういう態度をとっていると理解されているのか。また、そういうことで裁判についての和解というものができぬまま、次のさらに追い打ちの値上げになっているんですがね。  前と今度のをあわせて、もう一遍、何というか、話し合いするための裁判の継続というんですか、和解はすぐできぬにしても、裁判の方ではその間、進行をとめて話し合いをしようかとか、いろんな方策があるだろうと思うんですが、いずれにしても、片方は前からのやつで裁判をやっている、今度はまた値上げ案が出てきた、話し合いができぬということでは、これはさらにジェラシーというんですか、不安というんですか、非常な自治会にとってまずい状況が出てくるんじゃないかと思うのです。  こういうことについて、やはり一番自治会で希望されている話し合いの線を、何か結びつけて発見をしていかなくちゃならぬと思うんですが、そういうことについての要望というか、考え方について、話せることができましたら、その案をひとつお話ししていただきたいと思います。
  71. 工藤芳郎

    参考人工藤芳郎君) 前回改定の問題と今回の改定の問題とは時期的、内容的には若干違いますけれども、その底流を流れているのは共通している面がかなりあるわけです。したがいまして、前回の問題だけを解決するとか、今回の問題をセパレートして解決できるかはなかなかむずかしい点があります。  ですから、運動体といたしましては、裁判は裁判で継続して、今回の改定について云々ということは、それは希望するところではありますけれども、やはり内容的にその底流として共通する部分が多いとするならば、それをひとつ統合的に物を見るといいますか、ですから前回においてわれわれが要求したことについて、これは過去のことでありますから、これを今回の改定の中で公団側が対応してくれるというような方法は見出せないかというのが私どもの今回の改定について一番考えておることであります。  したがいまして、要求事項として各先生方にもすでにお願いをしてございますけれども、いろんな時期の問題とか、幅の問題とか、修繕費の使い方とか、あるいは増収分の使い方とか、あるいは居住者への対応のあり方とか、こういった点が話し合いの対象、つまり先ほど申し上げましたように、お互いの処分権の中にあるものだというように考えておるわけです。  そのほか、値上げ算定方式とか、値上げの根拠だとかというようなものは、これはこれまでも御論議いただきましたように、いわゆるルールというようなものに一括される部分でありまして、これはお互いに話し合いましただけでは実態面のルールは解決できないわけです。したがいまして、これはやはり国会の御審議並びに行政の方に引き続き早期に検討していただくというふうに、もちろんわれわれも参加をさせていただきたいと思っておりますが、お預けをするといいますか、一時的に繰り延べをしていく。  しかし、処分権のあることについては精力的に、この国会が終わり次第、公団と裁判問題を含めてどこに問題点があったかを整理をいたしまして、また話し合うことが私は望ましい。私たちの方はどういう方法であれ、話し合いをすることについてはきわめて積極的な対応で臨んでいきたいと思います。  そういう状況の中で、初めて裁判の早期解決という道に行き当たるんだろうと思っておりますから、まず国会の審議が非常に重要であるというふうに私ども考えておりますので、さらに欲を言えば、きょう大臣がいらっしゃいますが、大臣の方からもう一度、午後の段階でも結構ですが、斉藤建設大臣が言われたような趣旨を具体的に大臣の方から乗り出していただいて、その解決の方策を大所高所から御判断いただき、そして具体的な御指導をいただけばと、このように考えています。
  72. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を 代表いたしまして、謹んで御礼申し上げます。ありがとうございました。  本件に関する午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十七分開会
  73. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、住宅都市整備公団家賃値上げに関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  74. 大木正吾

    ○大木正吾君 まず、大臣に伺いたいのでございますが、三月の十八日に社会党が「公団住宅家賃制度の改善に関する提案」ということを発表しまして、大臣のお手元にも届けたわけでございますが、これについての御検討の内容について聞かしていただけますか。
  75. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 社会党からごちょうだいいたしました御提案の御趣旨は、公団住宅家賃制度につきまして大変示唆に富んだ御提案であると受けとっております。したがいまして、国会の御論議を踏まえて十分検討して作業を進めたいと、こう考えておる次第でございます。
  76. 大木正吾

    ○大木正吾君 同じ趣旨のことを総裁に伺いますが、この少し具体的に出しましたものがお手元に行っていると思いますけれども、全部受け入れがたいのか、あるいは一部でも——時間の差は別に関係ありませんが、直ちにできるもの、できないものありましょうが、幾らか選別をしまして、こういう問題については至急措置をしたいとか、そういったことについてお考えありましたら聞かしてください。
  77. 志村清一

    参考人(志村清一君) 社会党から御提案をいただきましたが、われわれといたしましても重要な問題でございますので、これからも検討を続けさせていただきたい、かように思っておりますが、「家賃制度の基本的問題について」という項にございます住宅保障法とか円卓会議とかその他の問題につきましては、私どもというよりむしろこれは国の住宅政策の問題かと存じます。  また、当面の公団家賃制度の改善につきまして、家賃抑制特別補給金制度とか家賃抑制協力債券の発行というようなことについて御提案がございましたが、これらにつきましてはメリット、デメリット等について基本的な住宅政策とかかわる部分もありますが、公団といたしましても今後勉強してまいりたいと、かように思っております。  また、公団管理運営委員会という御提案がございましたが、現在の公団の管理委員会と基本問題懇談会を統合したらいかがかと、かような御提案かと存じますが、管理委員会は、公団の業務運営の適正を図るとともに、出資しております地方公共団体の意見を業務に反映することを目的といたしまして、法律で定められております。一方、基本問題懇談会は、総裁の私的な懇談会でございまして、各界各層の有識者から広く自由活発な御議論を賜りたいということを目的といたしたものでございまして、その設置の趣旨、目的が異なっておりますので、これを同一体にすることはいかがかと、かように考えております。  また、賃貸住宅運営協議会の御提案につきましては、現地の管理業務におきまして常日ごろから居住者の御意見、要望は伺ってまいっておるところでございます。いまのところ、改めてこの委員会を設置しなきゃならぬというふうには考えておりません。  なお、維持管理の入居者参加によるコミュニティー協定制度の創設でございますが、コミュニティーの形成については大変重要な問題と考えますが、フィジカルな公団住宅の管理等につきましては、われわれといたしましては常々注意を払っているところでございまして、居住者の方々の御要望も承っております。改めてコミュニティー協定制度、さような面について創設する必要はないのではないか、かように思っております。  最後に、公団の未入居問題、未利用地問題等でございますが、これらにつきましては、建設省の御指導を賜りまして、私どもといたしましてもその早期解決に全力を挙げておるところでございます。  以上でございます。
  78. 大木正吾

    ○大木正吾君 いずれも検討されるとか、あるいは貴重な意見とかということで抽象的にはぐらかされている感じもいたしますが、ただ、きょうのこれから私が伺います具体的なことと関係がありますので、一つだけ確かめておきたいわけですけれども、たとえばルール問題、家賃改定ルール問題については、これは基本問題懇談会でも問題になったところでございますから、どうなんですかね、この辺の問題については、これは先ほどの参考人の方との話でも、急げというような話もずいぶんこっちからも出したり、皆さん方全部出しているわけですが、家賃改定ルールにつきまして、もう少しやっぱりこの辺は、現状からしたらむしろこの辺の問題こそもっと早く取り上げて具体化するということが必要だと思うんですが、これは感想じゃなしに具体的な作業、そういうところについてもう一歩進めた御見解をいただけませんか。
  79. 志村清一

    参考人(志村清一君) ルールの問題につきましては、たとえば家賃を見直す際に、どういう家賃が適正の家賃であるかということの考え方、あるいはそれによって生じました家賃値上げ幅が相当大きい場合にこれをどうやって激変を緩和していくのか、あるいは生活保護を受けられる方等々の方々に対する措置をどうするのかといったようなことが私はルールかと存じます。  これらにつきましては、懇談会でも皆さん方の御意見を承りましたが、私どもといたしましては、公営限度額方式に基づいて適正家賃を考える。ただ、その場合に相当大幅な差が出てまいりますので、激変緩和措置を考えまして、差額の二分の一にするというふうなことをとらえております。さらに限度額を加えまして激変緩和をいたす。また、生活保護世帯、母子世帯老人世帯等についての特別措置を考える。かようにいたしたわけで、これが一つルールかと考えておりますが、先生御指摘のとおり、家賃という問題はなかなか複雑ないろいろな問題を抱えておりますので、これからさらに、今後家賃問題について検討をいたしたいと、かように考え、基本問題懇談会にもその旨お願いをいたしておる、かような状況でございます。
  80. 大木正吾

    ○大木正吾君 今度の家賃改定の基礎的な考えの部分が、いわゆる公営限度額というような問題等に示されているわけですが、何か公団の方は、そういった新しい家賃の算出方法を決めればそれがルールだというようにお考えなんですか、これは。ここのところは非常に問題でして、先ほど三人の参考人の方の御意見、もっと時間があったら、私は工藤さんと、一番右におられた下総さんの意見なんか、調整していきますとわりあいに中身が接近してくる問題が出ていたと思うんですよ。  ですから、皆さんは何か家賃改定方式の中に要素をかみ合わせていけばいいんだと、こう言うけれども、たとえば質の問題でありますとかあるいは、きょうは傍聴にたくさんおいででございますけれども、いま入っておられる方々との対話の問題とか、そういったいえば運営上のことも含めて考えませんと、せっかくつくったって上の方からがちゃんと押さえつけていって、あと国会でもってがちゃがちゃまた私たちが文句を言うと、幾らか激変緩和をあれするとか、延ばすとか、そういったことだけでもって押し切ってきているわけですよね。  だから、一番ポイントは、たくさん問題をこの中に書いてありますけれども、やっぱりいまの公団のあり方なりあるいは入居者の方々の立場を考えて、日本のこういった公的な家賃、いえば住宅政策の将来を決めていくポイントはその一つルールの問題、これについて、単に計算方式をどうするじゃなくて、もう少し関係者の合意を得るた めの運営上の努力、そういったものについても一歩進んだ考え方を出さなければ、これは混迷を深めていくだけだと、こう考えているんで、もう一遍答えてくれませんか。
  81. 志村清一

    参考人(志村清一君) 午前中の参考人の御意見の中でも、公営限度額方式については現在のところこれで行くのはやむを得ないと、こういうようなお話がございましたが、私ども公営限度額方式を採用いたすように決心いたしましたのは、御存じのとおり、公営限度額方式というのは公営住宅法による家賃改定ルールでございます。公営住宅公団住宅よりもより以上公共性の高い、したがって国の補助金も相当多額に入っておる住宅でございます。そのルールを私どもも今回は借用させていただく、こういうことでございまして、それにいたしましても、従来長年見直しをしておりませんかったために相当大きな幅がございます。これらも考えまして、公営限度額方式で出した額をさらに半分にいたすようなことをいたしたわけでございます。  これにつきましては、入居者皆さん方にも十分御理解をいただきたい、かように考えまして、いろいろ文書によりまして個々の方々にもその趣旨を御連絡申し上げていると、こういう状況でございます。
  82. 大木正吾

    ○大木正吾君 ちょっとしつこくなりますけれども、この問題、先ほどの参考人に対する同僚委員の質問の中にもありました。私もこれを午後の質問にとってあったんですけれども、結局、現場の写真もきょう一部ございますけれども、そういった方々、三十一年以降早く入っている方々の住宅の質の問題でございますとか、経過年数、非常に雨漏りのひどいところもあるでしょうし、あの当時における一般民間住宅だって、いまではたとえば一般のマンションだって、日本の湿気の多い体質に合わないという話でもって、どんどんどんどんひび割れが入ってきているわけだし、木材も足りなくてソ連やあちこちからどんどこ買い込んだときでしょう。  そういう状況等を考えたときに、二十二年間もほうっておいたということ自身、そもそもあなた方に責任あるわけだけれども、いずれにしましても、このままのものを少なくとも今後の物差しにしていくということにつきましては、いえば激変緩和とか、あるいはそういったことも若干手直しを、私の意見を入れるなりいたしましても、この基本のところはもう一遍やっぱり考え直してもらわないと私は納得ができませんので、参考人さっき意見あったんですけれども、たとえば下総さんだってあれでもって全部納得しているわけでもないわけでしょう。  ですから、たまたま公営の方に持っていったものをこっちに持ってくる、変えたと言ってもいいんですがね。私に言わせると、何か知らぬけれども、後からできたものを、いえば新しい物差しをつくっておいて、そうして今度は古いものにそれをぶっかぶしていくというイタチごっこ的な形でもって、不均衡という話もその中に出てくるかもしれませんけれども、やっていこうという考え方にとれてしようがないんですよね。  だから、この家賃の計算方式は絶対に納得できない問題でございまして、もう少し名前はどう変わろうと、あるいはこのままでもいいんですが、もっと中の要素というものについて、同時にそういったものを、いま総裁最後におっしゃったけれども、一般入居者に対して、たとえば私も午前中申し上げたけれども、お互いにやっぱりにらみ合いとか陰性じゃない、特に公団側はもっと、いえば活力ということをよくあんた方言うんだから、堂々と入居者の方々の前に行きまして何遍でも説明するということでなしに、チラシ二、三枚配って終わりにするなんというばかなことじゃこれは困るんですよね。  だから、そういったやっぱり入っている方との話し合いということの手続等も含めて、これでもっていけるというふうに考えているかどうか。同時に、中身について若干の手直しするかどうか、その辺ちょっともう一遍聞かしてください。
  83. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私どもといたしましては、大臣に申請を申し上げておりますので、大臣の方でどのような御決定をなされるか、それを待っている状況でございます。  また、公営限度額方式の問題につきましては確かにいろいろな問題はございますが、ただいまのところではこれが一番妥当な評価方法ではなかろうか、かように考えておるものでございます。  なお、公営限度額方式におきましては、建物を現在できた新しい建物とすぐ直に比較して、その家賃の絶対額を云々というふうなことではございませんで、もちろん古さとか、規模とか、あるいは機能とかといったものをかみ合わせまして算定するシステムになっているわけでございます。
  84. 大木正吾

    ○大木正吾君 いまの話じゃ、これは公営限度額の話のあなたの考えを説明したにすぎないんで、私が言っているのはもう一つ加えて、こういうふうな家賃の変え方をいたしますということについて、民間のたとえば借家に住んでいる方だって、地代が二年に一遍上がりますよといった改定の話は大体地主さんなりから来るはずですよね。話がもつれれば当然説明にも、むしろ地主から来る、家主から来る、こうなるでしょう。あなた方御自身がこういった計算方式に変えますといったときに、入居者の方々に対して一体どういうふうに説明をしようとされているんですか。あるいは、説明は紙っぺら一枚でもって通知すればいいというお考え、どっちなんですか、これは一体。
  85. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  居住者の皆さん方とのお話し合いという問題でございますが、実はこの家賃改定につきましては、基本的な考え方といたしましては、居住者の皆さん方と協議をして、どうしても行っていかなければならない性格のものであるかどうかということにつきまして、私たちはそうではない性格を持っているんではないだろうかというようにまず考えております。しかしながら、お話にもございますように、家賃改定の実施につきまして円滑に進めていくというようなことにつきましては、契約の当事者でございますところの個々の居住者の方々に対しまして、家賃改定の趣旨等につきまして十二分に徹底を図り、御理解と御協力をいただく必要があろうと考えております。  今回の家賃改定は、多くの居住者の方々を対象として行うものでございます。御承知のように、今回の公団が考えておりますところの家賃改定につきましては、個々の団地の事情等によるものじゃございませんで、家賃の不均衡是正するために行うということでございます。そういうことでございますので、居住者の方々に家賃改定の趣旨等につきまして、正確にそして迅速に、かつ公平に周知徹底をする必要がある、そしてまた、御理解をいただくというようなことで、現在考えております文書によりますところの周知徹底の方法を図っているわけでございます。  しかしながら、文書だけでは決して十分なものではないというように考えておりますので、本社あるいはまた各支社に窓口等を設けまして、あるいはまた担当者等も決めまして、居住者の皆さん方から御質問等をいただき、その御質問に対しまして丁寧にお答えをして御理解をいただくというようなことで進めさしていただいているわけでございます。
  86. 大木正吾

    ○大木正吾君 これは公営住宅と違って、公団の場合には入居については契約関係じゃないんですか。そこのところをはっきり答えてくださいよ。
  87. 志村清一

    参考人(志村清一君) 公団住宅に入居される方と公団とが契約をいたしましてお入りいただいております。
  88. 大木正吾

    ○大木正吾君 契約ということになりますと、いま理事がおっしゃった、一方的にでもできるんだという言い分は、これはきわめて不穏当な発言だと僕らは思うんですね。やっぱり契約内容がどうなっていましょうとも、契約でやるからには、そういった窓口を設けて聞きにきたら教えてやるとか、そういったものじゃないと思うんですね。しかも、これがせめて昭和三十四、五年ごろからこういったものについてルール化が進んでおれば私はこんなことはなかったと思う。二十何年ほうってきたあなた方の責任なんですよ。  あなたはそのときに建設省に入っていたかどうかそれは知らない。同時に、総裁も恐らくそれは総裁になっていなかったかもしれません。建設省にいなかったかもしらぬけれども。しかし、いずれにしましても、そういった長く放置したことが理由で結果的にはこういった措置がだんだん導入され始めている。しかし、契約ということが現存する限りは、私はもう少し、いえば人間的なつき合いというか、人間的な話し合いというものの中でもって物事を決めていく、あるいは話し合いをつけていく、こういった態度がなければ混乱するだけだということをさっきから何遍も申し上げているわけです。  たとえば、大阪とか、東京でも東久留米なんかひどいらしいですけれども、そういった団地へ出かけていって、私たちも一緒に立ち会っていくから、行って、住んでいる方の代表の方なり、住んでいる方とお話し合いをするという勇気はないかね、どうです。
  89. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  実は、ただいま私たちが改定をいたしたいということで対象にいたしております団地につきましては、約七百団地、しかも四十二万戸に至ります大量な住宅を実は対象にして考えているわけでございます。  そこで、そういう住宅につきまして個々に対応するということにつきましては、なかなか実は大変な面があろうかと思います。それで、たとえば場所等も限定いたしましてというようなことも考えられなくはないわけでございますが、それにいたしましても、お見えになる方、あるいはお見えにならない方、いろんな問題がございまして、果たしてその説明につきまして公平にできるものかどうかというようなことにつきまして、非常に疑問に感じている面もあるわけでございます。そういうこと等を考えてまいりますと、先ほども申し上げましたように、文書等あるいはまた窓口等を設置いたしまして御説明さしていただくことが適切な処置ではないだろうかというように考えているわけでございます。
  90. 大木正吾

    ○大木正吾君 なぜしつこく言うかといいますと、たとえば斉藤大臣のときにも、大臣が入られて話し合いということがあったんでしょう。前に宮之原建設委員長のときにも、記録上見ていますけれども、やっぱりそういったことが提案されていたわけですよ。みんな心配していることは、いるとかいないとかじゃないんですよ。たとえば公団の総裁と委員長と私たちと自民党の理事の方々が行きましょうと、こう言ったときに、その公団に全部は行かれませんよ。しかし、何年かたったものを、その中から幾つか目ぼしいものをあれして、そしてこういうところに行きましょうという形のもので、私はそういった中でもって対話が初めてできると思うんだよね。  そういったときに、あなたいるかいないかわからないなんて、そんなことは本当に役人様の言うことなんだ。絶対納得できないんだよ。だから、せっかくの斉藤大臣とか宮之原委員長とか、そういった方がアプローチしている問題について、まだあなた方はかたくてかたくて、解決の具体的な行動を全然起こそうとしない、行動をね。窓口とかビラじゃだめだよ、文書だめですよ、そんなもんじゃ。やっぱりこういったものは人間対人間の関係なんだから、お互いに人間が裸になって話し合って解決しないはずはないでしょう。大臣、そうじゃないですか。そういうふうな立場でもって一歩踏み込んでみる気はないですか。あったら私たちも協力しますよ。
  91. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先ほど来御意見を承っておりまして、まことにごもっともなことだと思っております。したがいまして、積極的に公団もそれに対応して住民との話し合いをやるべきだと私は考えております。
  92. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣、わりあいに正直な方だから信頼いたしまして、ただ、総裁渋い顔しているもんだから……。総裁もちょっと一言言ってください、いまの話について。
  93. 志村清一

    参考人(志村清一君) 先ほど自治協との話し合いの問題が出ておりましたが、自治協とはいわゆる家賃裁判の前には随時あるいは定例に大体二カ月に一回ぐらいでございましたが、懇談会を開催いたしまして、よりよい団地の管理を行うために、管理上の御意見、要望等を伺っておりました。  しかし、家賃裁判以降やむを得ずこの懇談会を中止いたしたわけでございますが、さきの国会で建設大臣からもお話がございまして、自治協と懇談会を再開する環境をつくったらどうだと、かようなことがございました。それ以来、五十六年六月以降非公式でございますが四十六回会合をいたしております。今日までなかなかはっきりとした成果を得る状況に至っておりませんが、数多くの話し合いをいたしておりますが、公団としては自治協との懇談会を再開するためには、さらにお話し合いを続けてまいりたいと思っております。  また、基本問題懇談会の家賃部会でございますが、これにつきましても入居者の代表を入れようじゃないかというお話がございまして、自治協の方一人と、自治協でない方一人とお二人を考えたのでございますが、自治協でない側の方はお入りいただいて、自治協側はいろいろの御都合でお入りいただけなかった。しかし、その場合でも、ぜひ部会では御意見を述べていただきたいということで、時間をとりまして御意見を述べていただいておる、かようなことでございます。
  94. 大木正吾

    ○大木正吾君 私の提案について、大臣はわかっていただきましたけれども、総裁の話はちょっとくど過ぎるんですが、さっき工藤参考人がおっしゃった、話し合いをするならばとか、あるいは懇談会に入る場合には裁判の訴訟関係の問題がひっかかっていると、こういう話が確かに要旨としてあったと思うんですよね。あなた方はどうしても役人ですから、そういった、一方じゃ訴訟している、一方じゃ懇談会にメンバーとして入ってくる、そういうことはやっぱり筋が通らないというのか、あるいはもっと私が悪くとりますと、まず裁判をやめさせちまえと、外堀を埋めちまえと、俗に言う、そういった感じがどうしても両者の中に出てくるんじゃないですか。  しかし、私はさっきの話を聞いておりまして、やっぱり建設委員長とか、大臣とか、あるいは野党側なりあるいは与党の理事等が前に出まして、そして工藤さんなり、あなたなり、あるいは自治協の役員の方々何人かと話をまず持って、そして今度は現場へ乗り込んで行って、そしてここにいる方々と全部と話をしてもらって、そういうような話のタイプ、新しい形をもう一歩進めて提案しておるわけです。だから、それについてやる気はないかという問題なんですよ。  私たちもずいぶんそれはもう鉄火場でもってつるし上げ食ってきたこともありますよ。安い月給妥結してやられた問題とか、合理化問題、首切りのときに条件闘争に入ってけしからぬという話もずいぶんあったんですよ。何回か鉄火場くぐったけれども、最後は本当に自分自身が誠意をもってやっているんだと、こういったことが、気持ちが通じたときに初めて問題が解決に向かうんですよね。総裁、そういう気持ち、そういう行動が僕らどうしても欲しいんですよ。そうしなきゃ先行きは大変だと思うからあえて申し上げているんですよ。  ぜひ私の気持ちを酌んで、そういったことについて委員会で、これは理事会で後で相談してもらうかもしれませんが、本当にこの問題の解決をしていくならば、そういう方向にしてもらわないと、また上げました、未納ふえました、また裁判ふえました。だんだんだんだん悪い状況にばかり追い込む、こういうことが心配だからしつこく申し上げているわけですから、少しく私の言ったことについても考えて、せっかく大臣もああおっしゃってくれているから、こっちも協力するんだから、もうちょっと前向きな話をここで聞かしてもらえませんか。
  95. 志村清一

    参考人(志村清一君) 先ほど担当理事からもお話し申し上げましたように、契約当事者である 個々の居住者に対して、趣旨の徹底、御理解、御協力を賜りたいということは私も全く同感でございます。  そのためには、多数の居住者が正確、公平かつ迅速に御理解いただくためには、文書によりまして各人にお届けするのが一番適当である、かように考えております。ただ一片の文書ではございません。いろいろ窓口を設けまして、いろいろな御質問がある、そういったものの典型的なものをさらにまとめましてお配りするというように、前回も十数回にわたってパンフレットの配付等をいたしております。また、窓口業務にも相当の皆さんがおいでになり、いろいろお話を承っておる、かような状況でございますので、その方向で進ませていただきたい、かように思っております。
  96. 大木正吾

    ○大木正吾君 予算委員会だと私はここでもって質問を保留して協議してもらいますけれども、とにかくそういうことは知っておる。全部聞いておるんですよ、十何回ビラを入れたとか文書を出したとか、そんなことでもってこの種のことが解決するはずがないということを私は申し上げているんですよね。幾つかやっぱり同じこういったことを経験しているから。  さっき、たまたま米審のことを申し上げた。赤城農林大臣のときだってそうでしょう。亡くなった中川さんだってそうでしょうが、あなた。炎天下三時間ですよ。延々とやるんですよ、あの大衆団交やった中でもって。そういったことは、ある意味ではこれは不満が残ります、双方に。残るけれども、人間対人間の裸の話し合いができるから、やっぱりそうかという事情でもって前進はするんですからね。  総裁、本当に今度この家賃値上げ強行したときに未納がふえることは明らかです。不況ですから、みんな収入減っているんですからね。人勧凍結なんだから。あんたの子分だって賃金上がってないはずなんだから。そういうこと等を考えていけば、状態は悪化するだけなんですよ。私はどうしてもそのことについては前向きに検討するぐらいの返事はしてもらいたいんです。そうして委員長にこの問題について扱いは預けますけれどもね。
  97. 志村清一

    参考人(志村清一君) 先ほども申し上げましたように、各支社に特別の、あるいは本社に特別の説明の窓口を設けておりまして、そこにおいでになられる方とはいろいろお話を承り、懇談をいたし、御理解を賜るような努力をいたしております。自治協の幹部もお見えになりますならば、その際において十分の御理解を賜るように御説明申し上げたいと、かように考えております。
  98. 大木正吾

    ○大木正吾君 これは委員長お願いいたしておきますが、自治協というものに対する、いえば人間集団ですから、それが法人であろうと企業であろうと、公益法人、何でもいいんですが、自由法人、何でもいいんですが、とにもかくにも、さっき提案いたしました形でもってこの問題一歩進めないと先行き大混乱、こういうことを考えますから、大臣の方の命令等も受けていただいた中でもって、これはどうしても九月の前かどうか、前後ですね、そのころに実行して、何もあなた全部の団地やれと言っているわけじゃないんですからね。東京で三カ所、大阪で三カ所とか、大都市の中で三十二年たったものとか、四十年のものとか、幾つか選択しながら、状況調べも含めて私たちは出ていきたい、こういう気持ちもあるわけだから、ぜひそういった問題として受けとめてもらいたいと思います。  この問題、そういったことで委員長にお預けいたしまして、頑強な志村総裁の抵抗に遭っているわけですからね。私は、それをどうしても突破していかないとおさまらぬ性分でございますから、そのことを申し上げさせてもらいます。  次に、経営問題について少し伺います。  公団の長期未利用地、同時に空き家、それに関しての地点、面積、戸数、それから取得以来の維持管理費、それに絡む金利、こういったものの累積について現状どうなっていますか、お答えしてくれませんか。
  99. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) まず、長期未利用地でございますが、昭和五十五年度の会計検査院の決算検査報告におきまして掲記されました長期保有土地が二十一地区、約千三百二十九ヘクタールございます。建設省ではこういった問題の解消を図るために公団住宅等事業推進対策委員会を設置されまして、長期保有土地につきましては市街化区域への編入だとか、あるいは関連公共施設の整備の促進だとか、あるいは住宅建設用地の宅地分譲用地への切りかえだとか、あるいは工業団地等への切りかえだとか、いろんな対策を決定されました。それを受けまして、私どもは経営改善推進本部を中心に各個別地区ごとに具体的な対策を検討し、逐次実施に移しているところでございます。  これらの地区の現状を申し上げますと、大宮東、久喜本町などすでに本体の住宅建設あるいは宅地造成工事に着手したところも一部ございますが、そのほか関連公共事業あるいは造成工事に着手、あるいは近くもう着手できる話し合いがついております地区が十一地区ございます。そのほか……
  100. 大木正吾

    ○大木正吾君 その十一地区を全部言ってみてください。
  101. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) 阿武山、丸山台、杉田町、豊田乙部、大宮東、松伏、白根、久喜本町、北雲雀ケ丘、武庫川、仏向町、これが十一地区でございます。それから二地区、これは鳴滝と美原でございますが、これにつきましては、公共団体等といろいろ土地利用について調整いたしまして、高校用地等に処分をいたしております。これはもう処分済みでございます。残り八地区ございますが、八地区のうちの四地区、長津田、東条、祝園、木津というようなところにつきましては、公共団体とずっと協議を重ねておりまして、この四地区につきましては公共団体との間で基本的な開発方針につきましては協議が調いまして、現在具体的な開発設計等の協議に入っております。残りの四地区につきましては、川口、伊香立、京都西部、千葉東南部でございますが、この残りの四地区につきましては現在まだ地方公共団体等と開発基本方針について協議を重ねているというようなところでございます。  私どもといたしましては、できるだけこういった事業を早くできるように今後とも努力を重ねてまいりたいというように考えております。  それから保守管理住宅、未入居宅等でございますが、これにつきましては、五十五年度末に未入居住宅が六千八百一戸、保守管理住宅が一万八千四百四十四戸、その二つを合わせまして二万五千二百四十五戸ございました。これが五十六年度末には両方を合わせまして一万九千百九戸になっております。五十七年度末、先月末でございますが、これはまだ正確な集計が完成しておりませんが、現在概数で、速報で私ども集計しておりますところでは、この一万九千百九戸が一万四千七百戸程度になるんではないかというように考えております。  それから長期空き家がございますが、これは五十五年度末が九千三十四戸ございました。これが五十六年度末七千十五戸に減っておりますが、先月末におきましては、これも概数でございますが、大体三千八百戸程度というように考えております。  両方、いま申し上げました未入居住宅、保守管理住宅、長期空き家を合計いたしますと、五十五年度末が三万四千二百七十九戸、五十六年度末が二万六千百二十四戸、五十七年度末、これは概数でございますが、一万八千五百戸というように考えております。これも逐次減らしてきてはおりますが、私どもとしてもこれで満足しているわけではございません。早急に解決できるように今後とも努力を重ねてまいりたいというように考えております。  それから……
  102. 大木正吾

    ○大木正吾君 費用は。関係の費用。
  103. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) はい。  長期未利用地等の金利でございますが、二十一地区に係ります昭和五十五年度末までの金利が七 百二億ということになっております。五十六年度末が、これが八百五億ということに累計でなっております。それから保守管理住宅に係ります保守管理期間中の金利が百五十二億ということに、これも累計でございますが、これは五十六年度末で累計で百五十二億ということになっております。それから、保守管理住宅に係ります管理事務費は、五十五年度が一億五千万、五十六年度が一億一千万ということになっているわけでございます。  以上でございます。
  104. 大木正吾

    ○大木正吾君 大分長期の保有地の問題についてえらい前進的なお話があるわけですが、結局、調整区域に入っているところがございましたね。あれは地方自治体あるいは建設省等と話し合って区域の変更等はやっているんですか。
  105. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) 逐次区域の変更をしていただいております。
  106. 大木正吾

    ○大木正吾君 最近、中曽根総理が盛んに、何か、二十三区内はもう高層住宅でいけとか、僕に言わせるとそら恐ろしい、環境基準なんかは考えないめちゃくちゃな住宅政策が出てきておるような気がするんですが、大臣、いま言った調整区域というのは調整区域にすべき理由があってやったわけですが、その辺の話の中身については、大臣じゃなくたって、担当局長で結構なんですけれども、どういうふうにされているわけですか。
  107. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 予算が成立をいたしましてから、景気対策といいますか、経済対策といいますか、そういった一環といたしまして規制の緩和というようなことを取り上げまして、東京の中心部、第一種住宅専用区域とか第二種、いろいろと制約が都市計画上ございます。それらの見直しをやって、もっと高度化する住宅というものをあわせたものを考えてみたらどうか、こういうような議論が出まして、第一種住居専用地域と第二種の問題を検討してもらおうというようなことになっておるわけでございます。  それから、環状線の中側とか山手線の中側というようなことが新聞に出ましたけれども、もっと国鉄の、国公用地等の利用価値があるんではないかとか、郊外の方の調整区域を市街化区域に線引きを見直すだけでもいろいろな問題がある。どんどんどんどん郊外の方に住宅が出て、職住接近というよりますます遠くなってしまう。それよりも、あわせて都心部の高度利用というものをもう少し考えてみたらどうか。それには、容積率というようなことも考えまして、緑地をつくるとか公園をつくるとかというようなことをあわせながら、もっと高度利用をする。平家の建物とか二階家の建物を、何軒か御協力いただいて御理解いただけるなら、そこにそういうものを建ててみようとか、いろいろ総合的にそういうことを取り上げてみようということで、いま具体的な検討に入っておる、これが実情でございます。  あわせて、政府も、御案内のとおり、財政事情も大変厳しいものでございますので、規制の緩和によって民間の資金といいますか、活力を有効に引き出せないものだろうか、こういうような意見もありまして、それも踏まえていろいろと検討しておるというのが現状でございます。
  108. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 先ほど住都公団の担当の理事からお話し申し上げましたように、長期保有土地につきまして、市街化調整区域に存するものを市街化区域にできるだけ編入をしていくという方針でやっているところでございますが、このおのおのの地区につきまして、その状況を申し上げますのは煩瑣に過ぎますので省略いたしますが、たとえば松伏地区等では、土地区画整理事業が進行いたしまして、それによって関連公共施設等も整備をしていくということで、これを市街化区域に編入をしていくよう協議をしている。あるいはその他の地域につきましても、関連公共施設の整備が順調に進みましたところにつきまして市街化区域に編入をしていく、そういう状況であろうと思います。
  109. 大木正吾

    ○大木正吾君 公団の側としますれば、確かに相談をしている問題の説明があったわけでございますけれども、やっぱり進捗のぐあいとか中身ですね、同時に、政治的な総理の発言とか飛び出してきますと、私たちも非常に住環境、そういったもののために果たしていいのかどうなのか判断に迷う点が出てくるわけですね。だから、どうしても公団の方に早くこういった地域は解消してもらいたいということと同時に、また逆に、こういったものをなくしていく中で、今度は環境基準などが無視されるというとちょっとオーバーになりますけれども、軽視されるというか、そういったことがこわいわけで、住宅局長、申しわけないんですけれども、幾つかお話ありましたけれども、そういった問題についての中身を後で、資料がございましたら委員の中に配っておいてもらったらどうか、こういう感じがするんですがね、それをひとつお願いしておきます。  それから、続けて公団に伺いますけれども、さっきの、費用に加えて民間の債務ですね、これはふえていますか減っていますか。それとも累積なり金利なり、そういったものはどうなっていますか。
  110. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) 長期借入金が五十六年度末で総額八兆百五億円でございます。このうち民間資金の残高が八千八百七十三億、比率が一一・一%でございます。ふえているかどうかというお話でございますが、五十五年度が八千五百億、五十六年度が八千八百億というやはり微増はいたしております。しかしながら、長期借入金総額に対する構成比で見ますと、たとえば四十七年度が二九・三%でございました、民間資金の比率が。これが五十五年度は一一・九%、五十六年度は一一・一%というように民間資金の比率というものはシェアは急速に最近低くなってきております。しかし、絶対額自身としては微増というようなところでございます。  それに対する金利でございますが、金利につきましては、五十六年度の支払い利息総額が五千五百五十六億でございまして、そのうち民間資金に係る支払い利息が七百三十一億、構成比で申しますと一三・二%というようになっております。これにつきましても、五十五年度が構成比で一五・七%から五十六年度が一三・二%という、構成比としては低減しているというのが現状でございます。  なお、私どもいろんな事業をやっておりまして、少なくとも私どもの、たとえばいま問題になっておりますような賃貸住宅あるいは分譲住宅につきましては、民間資金でなくて全部財投資金でやっております。
  111. 大木正吾

    ○大木正吾君 そこで、これは経営問題と家賃値上げ問題に関連して伺いたいわけですけれども、けさほどの同僚委員の話の中にもございましたけれども、今回の家賃値上げによります、仮にいえば増収といいましょうか、あれは平均五千円として大体三十二万戸ですか、そういう関係でいきますと大体二百一億ぐらいになりますかね。それの数字をもう一遍的確に教えてくれませんか。
  112. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 平年度にいたしまして約二百億円と考えております。
  113. 大木正吾

    ○大木正吾君 それで、これはやっぱりこの前の、五年前と同じような使い方をされるんですか。要するに、維持費、修繕費、そういった形にも使い、一方では七、三ですか、比率ありましたね。あと三割ぐらいのものは高い家賃を抑える方に使う、こういう使い方をするんですか。
  114. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 増収額で出てまいります平年度二百億円の使途でございますが、私たち現在考えておりますのは、主なものにつきましてまあ大体七〇%考えているわけでございますが、維持修繕等の維持管理費に使用したい。それから残りの三〇%程度につきましては、家賃の抑制額等に使用してまいりたいというように考えております。
  115. 大木正吾

    ○大木正吾君 その抑制額に使う分というものは、一体どういう、この前も大分、私記録拝見したんですがね、余り的確な説明公団側からもなかったような記録拝見したんですけれどもね。三 〇%はどうしても抑制額に使うんだという根拠といいますかね、まあ理論的な根拠というか、そういったことについて納得のできる説明してもらえませんか。
  116. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  三〇%といいますものにつきましてこれという、何と申しますか、基準が実はあるわけではございません。問題は、今後建てられていきますところの住宅等につきまして家賃抑制等をしてまいりたいわけでございますが、そういうもの等につきまして今後の計画とにらみ合わせまして、ほぼそういう住宅につきまして三割程度の抑制額を充てることによりまして、公団が意図しておりますところのいわゆる中堅勤労者の方々に対しまして、いわゆる新規賃貸住宅家賃がほぼ一五%ないし一六%程度供給ができるというようなこと等も考え合わせまして、そういう数字を考えているわけでございます。
  117. 大木正吾

    ○大木正吾君 いまの三〇%問題ですが、どこから金を出すかということは別問題としまして、どうしても現行入居者家賃値上げ分から持ってこなければいけないんですか。
  118. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 現在、公団家賃考え方でございますが、一応いわゆる財投資金等でもちまして建設をしてまいります。そうしました場合に、一応の家賃額が決まってまいるわけでございますが、それを先ほど申し上げましたように、一五%ないし一六%程度供給するということになってまいりますと、国の方から利子補給というようなことでちょうだいいたしておりますのが、五十七年度について申し上げますと約六万円余というようなことで、多額の利子補給をちょうだいしているわけでございます。そしてなお、それを申し上げております一五、六%で供給するとなってまいりますと、傾斜家賃等の採用というようなことで考えていかなければならないということでございます。  そこで、これ以上いわゆる国からの利子補給等をちょうだいするにしては、現在の経済情勢あるいは財政状況等におきましては非常にむずかしいものがあるというように考えられるわけでございまして、そうなってまいりますと、増収額の中からただいま申し上げておりますような抑制額を使わしていただかざるを得ないというように考えているわけでございます。
  119. 大木正吾

    ○大木正吾君 先ほども住宅の質の問題等の話が出たり、きょう資料を写真でちょうだいしたり、私も三多摩などの選挙の応援に行ったときにも、壁の中まで入りませんでしたけれども、やっぱり古いものなんかの非常に何というか、雨漏りといいますか、あるいは横から雨が降ったときの状態とか、そういったことは外見ですぐわかるわけですけれども、そういったのを見ながらつくづく思うんですけれども、要するに公団家賃というものは大体個別原価ということが原則でスタートしたと思いますよね。同時に、一般の持ち家の方の場合には、仮に三十一年のときに自分でもってローンで借金して土地を買って、それから五年たって家を建てたとかというときには、家の方はいま約二十数年たちますからほぼ価値は売買してもないかもしれない。しかし、土地の方はぐんとある意味では上がっているわけですから、そういった総合的な面では持ち家の方の方が相当に、いえば含み財産というとこれはちょっと言い方が変わった言い方になりますけれども、そういったことなどがやっぱりあるわけですよね。  そうしますと、何か家賃が高いとか安いとかという話の問題なりあるいは個別原価主義というものが、だんだんいろんな公営の方を先に先行さして変更さしたり、臨調答申を利用したりといいましょうか、そういったものもありながら、だんだん総合原価主義というか、プール式に入っていっている、こういうふうに感じるんですが、その辺は原則的なところは一体どういうふうに見ているわけですか。
  120. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 公団家賃の仕組みでございますが、その家賃の仕組みにつきましては公団法の施行規則で定められておりまして、まず第四条で、当初の家賃の決定という原則がございます。その家賃の決定につきましては、当初に投じましたところの建設原価を基礎といたしまして家賃を定めるという原則に実はなっております。ということでございますが、その後建設費の上昇等あるいは物価その他経済事情の変動等によりまして不相当となりました場合には、公団法施行規則の四条の規定にかかわらず、大臣の承認をいただきまして五条で家賃変更することができるということに実はなっております。  その変更当たりましては、先ほど先生がおっしゃっておられました問題でございますが、償却費とかあるいは地代相当分等含めまして家賃変更が行えるというようなことになっているわけでございます。
  121. 大木正吾

    ○大木正吾君 一つ大事なことをあなたは答弁落としていると思うんだけれども、五条の二号の解釈の中には「均衡」という用語が入っているはずですね。あの辺の問題が結果的には四条の当初家賃問題等絡んで非常にやっぱり問題を起こしている、こう感じるわけですよね。  ですから、これは私個人の見解でございますけれども、仮に修繕費、そういったもの等がかかった部分が値上げになるというんだったら、ある程度これは入居者の説得も可能だと思うんですよね。しかし、上げた分の三割が新しくできる、家賃が高過ぎるからそれをその方に回すんだという理屈は、これは公団が経営採算の面など環境等からは言えても、入っている本人にしてみれば人の分の家賃をなぜ払わなければならないのかという話になりますし、そういったところが非常にデリケートな問題なんですよね。もう一遍その辺のことの考え方を聞かしてくれませんか。
  122. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) どうもお答えを省略いたしまして恐縮いたしました。  実は、五条の規定でございますが、先ほど申し上げましたのは実は五条の一号の「物価その他経済事情の変動に伴い必要があると認めるとき。」について主として申し上げたわけでございますが、二号におきまして「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」とか、あるいは三号で「賃貸住宅について改良を施したとき。」とか、あるいは四号で「家賃が著しく高額となるため、相当期間を定めてこれを減額する必要があると認める」というふうなときに、四条の規定にかかわらず、大臣の承認を得て家賃を上げることができる、こういうことに実はなっているわけでございます。  ただいま問題になっております家賃改定につきましての考え方であろうかと思いますが、家賃改定につきまして、いわゆる家賃につきましては、建物あるいはその敷地の使用対価というふうなことが当然に考えられてしかるべきものだというように考えておりますので、そういうものにつきましても当然に再評価すべき場合の対象になるものであるというふうに考えているわけでございます。
  123. 大木正吾

    ○大木正吾君 私が主として伺っていますことは、要するに均衡の問題、第二号に関する問題なんですよね。これは理屈をあえて申し上げますれば、非常にむずかしい問題なんですね。  たとえば、家賃が仮に五千円の方と一万円の方だったら二倍ですわね。同時にまた、五千円に対して五万円でもこれは大体十倍ですけれども、結局そういった不均衡というものの言葉の中にはある一定の何といいますか、何か物差しがないと際限なく転がっていくんですよね。さっきの参考人の話の中にも一部ございました。民間のマンションと一体どう考えるのかという話の中でもって、民間のマンションのことも考えて均衡論考える、こういう話もあったでしょう。こんなばかなことをやったら、まるっきりあなた、いまの公団関係住宅に関して根幹が揺らぐわけですからね。その辺の問題について、もう少し均衡という問題の中身について、皆さん方がどう考えているか聞かしてもらいたいんですよ。
  124. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 先生のただいま御質問になられました不均衡考え方でございます。家賃 の不均衡是正当たりましての考え方でございますが、実は単純に新旧、新しいあるいはまた古い住宅家賃の絶対額をもって実は比較しているわけではございません。当該住宅の古さとか立地とかあるいは設備水準等を考慮いたしまして適正な家賃額に比較して現在の家賃額が低額で不相当となったというようなときに是正するんだ、そういう場合に不均衡だ、実はそういうふうに考えているわけでございます。  すなわち、適正な家賃額と現実の家賃額との乖離の程度が、新旧住宅相互間におきましてバランスを欠いている状態というふうなときに不均衡であり、あるいはまたこれを是正するんだという考え方になっているわけでございます。  この程度がどの程度のときに不相当になったのか、あるいはまた、どの程度適正家賃との乖離が生じたのかという問題があるわけでございますが、これは社会通念上で判断さるべきものかというように考えているわけでございます。
  125. 大木正吾

    ○大木正吾君 社会通念という言葉自身も、これまたあいまいな言葉でありまして、本当にこの問題、なぞを解くのは大変なんですけれども、いずれにいたしましても、適正家賃とおっしゃったけれども、適正家賃とは所得に対して一五、六%というところの水準ということをおっしゃるわけですか。適正家賃とおっしゃいましたね。それはいまの所得に対して一五、六%のところが適正家賃、こうおっしゃるんですか。
  126. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私ども公団が発足して以来、公団は中堅階層の方々に対して貸し家を供給する。その場合、そのときにおける中堅階層の方々の収入の一五ないし一六%程度家賃で設定しているわけでございます。  しかし、だんだん時代がたちますに従いまして入居者所得もふえる、経済情勢も変わってくるということになりますと、古い住宅では現在の中堅階層の方の所得に対して三%程度というようなものも出てくるわけでございます。それらにつきましては、適正に妥当な家賃を計算いたしまして、それは先生と先ほど議論いたしました公営限度額方式でございますが、それをさらに激変緩和した額を出しまして、それにアプローチさせていこう、こういうことでございます。  大体、今回の改定では、改定前の平均家賃は一万九千円でございますが、それが二万四千円程度になるというふうなことでございます。
  127. 大木正吾

    ○大木正吾君 どうもやっぱり話がよくわからないんですがね。結局、さっきのところにまた返っていくのかもしれませんけれども、どうしても二百億円平年度でもって増収があって、そして、七〇%は第五条の二号以外の諸項目に当てはめて使っていくんだと。あとの三〇%を結局家賃の抑制分に使っていくんだという、その辺の内容の中身が、三〇%がどうしてなぜ現在の入居者値上げ分から出さなくちゃならないか。いまいろんな角度から話を聞いてみているんですが、どうも私、納得ができないんですよね。  本来では、これは臨調さんが何を言おうとも、地価が下がったって、やっぱり総裁も知っているとおり、どんどんどんどんドーナツ化していますよね。茨城だって半分以上、水戸周辺までもう首都圏でしょう、結局は。千葉県だって向こうの銚子に近いところまでもういっているわけですよ。そういった状態でもってぐんぐんぐんぐん広がっていく状態を考えていきますと、むしろこの問題は結果的には個別原価主義というものを唱えてきたけれども、その次、総合プール計算方式に変えていくと。それが今度は雪だるま式にどんどんどんどん均衡問題絡めて、そして家賃の問題については、しまいにはとうとう民間家賃よりも五%ぐらい安いかどうかという話になってしまうという問題。  それから同時に、非常に気の毒なことは、あなた方はその計算方式でもって激変緩和されるとおっしゃるけれども、現在の古い三十年代のあの公団住宅見たことありますか、本当に申し上げて。見てもらいたいんです、本当に。それはひどいです。スラムと、まあそんなことを言ったら失礼に当たりますけれども、とにかくそういった状態なんですよね。  確かにいろんな問題ありますけれども、収入問題とか値上げの問題、たくさんございます。ありますけれども、私はその家の状態を見ただけでもって、三十年から三十五年のあの前後には材料も高かったし、なかったんですよ。基礎的なものは鉄骨なんか入っている部分についてはまだ安定がありますけれども、壁とか内装とか中身とか、こういったものは家賃を百円だって上げるものには該当しませんよ、どう考えたって。そういったことを見ているから、私たちはあえて申し上げているわけでして、ああいったものに対して家賃平均五千円上がるぐらいいいじゃないか、こういう話はどうにもやっぱり私自身は納得できないわけで、せめてその三〇%分についてこの際はやめると、あえて。そういったことについて腹を決めてもらえないですかね、どうでしょう。
  128. 志村清一

    参考人(志村清一君) 三十年代に建てました住宅は確かに最近建てた住宅とは違います。したがいまして、公営限度額方式で再評価する場合にも、いま建っているような広さとか設備とかいうものを持ったものとして再評価しているんではなくて、前の状態のものとして再評価しているわけでございますから、従来の質が余りよくなかったとか、面積が小さいとかいうふうなことは限度額方式の中で組み込まれております。  また、今回の家賃の見直しというのは、先ほど来同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、不均衡是正でございまして、不均衡是正の結果生じたものを修繕費並びに家賃抑制に使いたい、かようなことでございます。
  129. 大木正吾

    ○大木正吾君 どうしてもそれは納得できないですね。不均衡是正のためにとおっしゃるけれども、私たちはむしろ質的な要素なり、あるいは耐用年数の問題とか、そういったこと等を考えたときに、これは非常に比較がむずかしいんですよね。ですから、総裁そうおっしゃるけれども、具体的に、じゃ、今度私もなおこれは勉強さしてもらったり、中へ入っていってよくまた調べさしてもらいますけれども、いずれにいたしましても、この三〇%問題については保留してもらいたい、こう考えているんですよ。  いずれにいたしましても、そういったことの中で、さっき新しい方式を唱えましたけれども、むしろ公営限度額方式からこっちへ新しい方式を、いえば輸入してきて、借りてきて、そして、今度はこういうプロセスでしょう。結局、個別原価方式はもう消えていくと。プール方式に変わっていく、だんだんだんだんこの三〇%認めていきますと。  その次には、もう飛躍して、さっき大臣の御答弁にあったんですが、最近、中曽根さんが民間の資金の活用ということを盛んに言っているわけですよね。東京湾にかける橋まで民間の西武資本でやるんですか。後の所有権はだれが持つのですか。埋め立てもやっているのは、あれは一体——国しかできないはずだけれども、今度はそれもやらせる心配がある、私はこう考えるんですよ。国民の所有物を私的な大資本が押さえてしまう、そんなばかなことをやったらこれは大変な問題になるんですよ。  そういったこと等も含めて考えていきますと、さっきの参考人の話の中に一部ございましたけれども、やっぱり真ん中におられた参考人の方の御意見というものは市場原理ですよ。民間のマンションですよ。民間のマンションとのアンバランスがあるから、こういう話が堂々ぶたれているんです、ここでもってね。懇談会でもってその話が出ているはずなんですよ。完全な使用対価論ですよ、今回ね。  そう行くんだったら、公団住宅なんというものは完全に根こそぎなくなってしまうですよ。そうして入っている方々四十万、五十万いるわけでしょうけれども、そういった方に対して、もしも裁判でもっておまえら負けたんだからと言って権力的に——どうせ最高裁へ行けばあなた方勝つでしょうけれどもね。そういった中でもって今度追い 出しをかける。バスかトラックでもって荷物を持っていって追い出しかけるんですか。そこまで私たち行きたくないという考えだから、時間がないからまとめて申し上げているんですがね。  こういった問題については、じわじわじわじわとやっぱり当初の方式を崩してきて、そして最終的には民間マンションとほとんど差のない状態まで持っていってしまう。しかも、今度加えて景気が悪いから民間の金持ちの金を利用して埋め立てから公共の橋までかけちまおう、こういう話なんですからね。日本列島買い占め論だよ、極端な話から言ったら。これは建設大臣の方に関連して飛躍して申しわけないんですが、そういったことがずうっと見えているから私はしつこく伺っているんです。  三〇%は、どんなに総裁説明をされましても、私納得できませんからね。要するに、これは単に数字の問題だけじゃなしに、家賃を形成する問題のいわばプロセス、あなた方の持っていこうとするプロセスの中間に問題点がある、隠しているから言わないけれども、腹づもりは大体見当つくから、私はどうしてもこれは納得できませんので、この際、明確に委員長にも御記憶願っておきたい、こう考えている問題点なんです。  もう一つ関連して伺いますが、さっき伺いました幾つかの保有土地の問題とかあるいは未入居住宅問題についての大分前進的な話があったんですが、今度の家賃の収入とこの種の経営上の問題について、公団は一切経理上関係ないというような御判断に立っているんですか。
  130. 志村清一

    参考人(志村清一君) 先ほど先生が民間家賃と同じになるんじゃないかというお話がございましたが、そうではございませんので、見直しする場合におきましても、もとはちゃんと政府利子補給をしたりいろいろな低利の金を貸したりというふうなことで十分な配慮をしている、それを見直すのでございますから、その基本は変わってないわけでございます。  ですから、民間家賃と同じになるというんじゃなくて、政府の援助のある住宅家賃を、それを前提として見直していく、こういうことでございます。
  131. 大木正吾

    ○大木正吾君 志村総裁の時代にはそれで済むかもしれぬけれども、あなたの次の総裁のときを僕は心配しているわけですよ。それは、さっき参考人に出た方がそうはっきりしゃべったでしょう。公団に入っている方々の家賃一般の隣の民間マンションの家賃に比べて低いんだと、こうおっしゃっておるんですよ。この方の頭の中にあることは、やっぱりそれに接近さしたい、こういうことなんですよ。同時に、市場原理論、使用対価論をぶっているんですよ、ここでもって。  そういう懇談会の中身がだんだんだんだんいきますと、これは大臣には申しわけないんですが、いえば総理の景気対策などとの関係とか、臨調問題とか、私だってお粗末でも政治家だからね、大体世の中の流れがどっちに行くだろうと見ているわけですよ。志村さんのときにはやらぬかもしれない。しかし、あなたにかわる総裁が来たときには、やっぱりだんだんだんだん、いえば個別原価問題からプール家賃的なものに変わっていって、均衡論がさらに今度は民間まで拡大していって、そうして出る金が国の補助金でいくのか——私はさっきちょっと減ったというから、まあまあ一応黙っていますけれども、民間資金をどんどん導入して景気政策でいくんだという問題になってきますと、まさしく方向として非常に危険なんですよ。  要するに、土地はもう手が届かない、持ち家はほとんど不可能なんだ。そういう中でもたった一つ私たちが頼りにしているのは、この賃貸しの低家賃住宅なんだという、そういったものに対する補給金まで切るという臨調の意見でしょう。結局はね。そういったものと国の政策を加味していくと、あなたどんなに否定しようとも、あと五年たったら公団住宅家賃は、たとえば五十年に建ったものと同時期のマンションとの比較では家賃安いぞと、こういう話出てきますよね。そういったことを、こちらも少し思い過ごしかもしれぬけれども、だんだんだんだん目的に向かって進行中のプロセスの中にあるからあえて私は申し上げているわけなんです。  そういったことなんで、意見が違うかもしれませんけれども、あなたはやらぬかもしらぬ。しかし、私は、やっぱり民間マンション比較論までこの問題はだんだんだんだん広がっていく心配が大いにあると、こういうふうに見ているので、あえて申し上げたわけなんです。  さて問題は、時間がありませんから最後に入っていきますが、具体的な問題の提起を若干さしていただきたいわけなんです。  今度の場合には、敷金の問題とかたくさん問題がございますが、さっきの三〇%問題ですね、こういったことはさっき私意見を申し上げてありますが、値上げの実施時期の延期、と同時に値上げ幅の縮小問題ですね、同時に老人、母子家庭、特に失業者が最近ふえていますね。そういった問題等含めて特別措置の拡大の問題とか、敷金をやめる問題とか、そういった問題について大臣と総裁の双方から意見を承りたい、こう考えています。
  132. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 国会の御論議等も踏まえまして、この実施の時期についても慎重に判断をいたしたいと思っております。  敷金の問題についても同様に考えております。  上げ幅の問題についても、皆さん方の御意見を踏まえまして慎重に検討いたしたいと、こう考えておるわけでございます。
  133. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私が大臣に申請申し上げた筋は、私自身としては正しいものと考えておりますので、大臣の御判断は別にあるかもしれませんが、申請どおり御承認賜ればありがたいと、かように思っております。
  134. 大木正吾

    ○大木正吾君 志村総裁という方は、まあお顔を拝見したらわりあいにやさしい顔をしているんですけれども、言うことはなかなか頑固な方で、よくきょうは性格まで御判断させていただきました。これからもそういうおつき合いをさしてもらいますので……。  そこで、実は幾つか問題点がございますが、たとえば皆さん方も、課長さん方以上の方々は去年も賃金が凍結で上がらなかったし、ことしもこれは人勧凍結でベアがなかったわけですがね。来年も内海さん、結局また大蔵省は二、三千億の赤字だと言っていますが、減税も危ないし、人勧だって人事院総裁はプラスして出すなんて言っていますけれどもね、なかなか実施には大変だという僕は見方なんですね。  同時に、けさ出ました金属労協への回答は、六千八百円からあるいは九千円前後ですね。そうしますと、大体七千円平均として見ていきましても、税金が今度の場合には二百一万円がまだ変わっていませんから、結果的には一〇%の方々ほとんどいなくて、上がった分はほとんど一四%に入ってしまう、こう見ているんです。僕自身はね。同時に社会保険料その他がずらっと関係していきますから、そうすると手取りは恐らくあれから大体二割以下ぐらいだろう。  そうすると、ちょうどこの公団平均家賃値上げと全く同じぐらいになりまして、もうこれは厳しい生活環境のままでいくし、同時に生活保護者の方とか、年金生活者とか、そういった問題についてさっき工藤さんもおっしゃったんですが、具体的に延期する時期ということの中で、この中には恐らく御不満の方もいるかもしれません、しかし、たとえば人勧の凍結が解けたとか、年金のスライドが始まったとか、そういったときには自治協としても考えなきゃならぬということを彼はおっしゃったですね。これは非常に大事なことなんですよ。  大体、世の中には常識ということがございまして、約五十万前後の公団入居者のうちの六割ぐらい占める方々の家賃が上がりまして、いまでもつらいところへもってきて追い打ちに結局家賃が上がっていくということは、これは大変なことなんですね。私は具体的な問題として申し上げておきたいことは、せめて延ばしていただけるものでご ざいましたら、さっきの工藤さんのおっしゃったようなことも十分に配慮して、あえて配慮と申し上げておきますけれども、配慮して時期を延ばしてもらいたいと、こういうふうに申し上げておきたいことが一つです。  それからもう一つは、これはここでもって明確に答えられるかどうかわかりませんが、敷金の問題ですが、これも貯金まではたいて生活している状態でございますから、そういった問題についてやっぱりこの際がまんして値上げを抑えてもらいたいという気持ちが二つ目にございます。  それから特段にお願いしたいことは、特別措置の中ですが、失業者の問題です。これは二・七二%の統計があったときに、大分政府閣僚会議では、実際には異論があったようですが、神代教授というのが横浜大学にいますが、波はこう言っているんです。日本で、たとえば三多摩へ行ったってみんなそうです、ラーメン屋をやっています、喫茶店をやっています。あなたは何やっていました、こう聞きますと、ほとんどの方が中堅会社の社員だったわけです。倒産したか、あるいは自由業的に自分でやめたかどっちかなんです。ところが並んでいるものですから、ひどいのは一年間に三人も経営者がかわっておるんです、似た仕事をしながら。そういう状態の人々を、私はあえて申し上げるんですが、潜在失業者と申し上げるんです。  神代教授の学説ですと、大体日本の場合には表向き百六十万、二・七%の失業者の場合には二・五倍でございますから、大体失業者が四百万ぐらいです。こう見なければ妥当ではない、こういうふうに言いまして、幸い農地解放でもって田舎へ行ったらこっち側に兄貴がいるから、そこへ行って食わしてもらうとか何かありますから、統計上には出てこないです。四百万ぐらいの失業者ということを考えた場合に、私はこの家賃値上げ問題について前回は三百か四百ぐらいですか、特別措置を受けた方々が。これについては失業者問題と加えて、もっと特別措置の拡大を考えてもらいたい。  大体こういったことを、私自身、大臣の方が最終的な決着をつける場合に——本当は全部をずっと延ばしてもらいたいです、大前提は。やめてもらいたいです、本当言ったら。やめてもらいたいけれども、最小限そういった問題については措置してもらわなかったら、とてもじゃありませんがこっちの方は絶対納得できない。  同時に、補完して申し上げますれば、例の裁判問題と自治協参加問題、これについてはくどく申し上げますが、私は、値上げ問題でもってまた家賃の滞納者がふえてくる。こじれればまたこれは恐らく裁判がふえてくるかもしれないという、そういったことが非常に心配ですから、そういったことにならないということの配慮を十分に背景に置きながら、実施上の問題については大臣の方でも、大臣は非常にりっぱな方なんですから、やっぱり決断は大臣のところでもってやってもらわなければ困るわけだから、そのためにこっちは一生懸命勉強し、審議もしているんです。  だから、そういった幾つかの問題申し上げましたけれども、お答えいただいて、私の質問を終わりたいと、こう考えております。
  135. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま大変貴重な参考になる御意見を賜りまして恐縮をいたしております。  敷金の問題あるいは実施時期の問題につきましては、慎重に考えて、時期等についても選んでいきたいと、こう思っております。  それから失業者のふえている問題についての特別措置につきましても、今後関係機関と相談いたしまして、特別措置についても対応できるかどうかということを検討してみたいと思っております。  それから自治協との問題でございますが、先ほど来御意見もございましたとおり、家主とたな子の関係にあるわけでございますから、できるだけ円満な話し合いによって、先ほど先生が御提案になっておりましたルールづくりという問題等も含めまして、積極的に検討していかなければならない問題だと、こう思っておるわけでございます。  しかも、今回のこの問題を契機といたしまして、いろいろ御議論をしていただいた中でこの問題が円満に解決をして、お互いに理解と協力が得られるようになればこれにこしたことはないと私は考えております。そういった方向に今後とも公団ともよく相談をいたしまして指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  136. 大木正吾

    ○大木正吾君 最後に、これも大臣に一言。だけで結構ですから……。  要するに、どんどんどんどんドーナツ地域が拡大していきまして、そうして私は非常に心配しますことは、若いいまの大学出あるいは三十代の諸君の生活は本当に大変だと思うんですね。ですから、公共の賃貸し住宅、こういった問題について臨調の報告を読んでいくと、もうあんなものなくしちゃえと、こういうようにしか読めない、極端に言いますと。だんだんこう何かかっこうよくしていってという、こういう話になるんですが、社会党自身も実は住宅基本法問題は早くから提起しておりましたし、同時に、最近ではそれを住宅保障法という形に変えているわけですけれども、要するに、低家賃の公共賃貸し住宅についての政策は今後絶対に変えないということについて、大臣のしっかりした見解、総裁の見解等も承っておきたい。それで終わりにいたします。
  137. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 住宅基本法の問題につきましては、従来からいろいろと関係方面との話し合いを進めて広範な検討を行っておるわけでございます。したがいまして、できるだけ速やかに成案を得るように努力をしておると、こういう現状でございます。  それから、公営住宅あるいは公団住宅、さらに公庫等による住宅、こういった方針につきましては従来の方針を今後とも堅持をいたしまして、庶民の住宅の提供ということに心がけてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  138. 原田立

    ○原田立君 大臣にお伺いしますけれども、公営住宅法の第一章総則、第一条に、「(この法律の目的)」として、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」と、こういう項目がありますけれども、この基本精神は現在でも十分お持ちなんですか。
  139. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 法律の趣旨は、徹底してそれを堅持してまいりたい、こう考えております。
  140. 原田立

    ○原田立君 公団の方はどうですか、総裁。
  141. 志村清一

    参考人(志村清一君) 公団住宅は、当初より賃貸に関しましては中堅階層の方の収入の大体一五、六%程度家賃で提供をいたしたいということで発足以来努力を重ねてきております。  地価の高騰とか工事費の増高とかというふうなことで大分苦労はいたしておりますが、できるだけその点で中堅階層の方々に喜ばれるような住宅の提供を続けてまいりたい、かように思っております。
  142. 原田立

    ○原田立君 ことしの二月二十三日に、衆議院建設委員会でわが党の薮仲委員が質問しております。前後は省きますけれども、  「住宅家賃については、その体系内容が複雑であり住宅基本法の制定と合わせて検討すべきである。したがって、それまでは、日本住宅公団の現家賃制度を逸脱しないように努めるべきである。」ここで指摘されたのは、住宅宅地審議会の方からも、家賃ルールをつくりなさいということを指摘されているのです。いつも値上げのときに、公団に入居なさっている皆さん方が不愉快な思いや、納得できずに値上げをなさるということがこれからずっと毎年毎年続くのだったら好ましいことではないと思うのです。こういう問題は当事者同士双方でよく協議をして、値上げについてどうしたらいいのか。公団自治協の皆さんは、民主的なルールという言い 方をなさる。私はそれがどういう内容なのかはっきりしていらっしゃいとはお話ししました。しかし、公団側あるいは建設省側も、どういう値上げが適正であり、公平であり、社会的に納得できるルールなのか、ここでルールづくりをしていただいて、それができれば、いやなトラブルや感情的な摩擦、あるいは納得できなくて不愉快な思いをしたりすることはないと思うのです。また不当に高い家賃、それによって生活が圧迫されるということもあってはいけないことだと思います。そういう意味で、私はルールをつくるということをまず最初お決めになって、それから値上げについてお話し合いを進めていかれればよろしいのではないかという考えを持っております。  こういう指摘に対して内海大臣は、  ルールづくりの問題につきましては、そういうルールができれば大変いいことだな、こう私どもも思っております。住宅問題は非常に生活と密着した問題でありますので、入居者の御意向を無視して値上げ等ができるわけでもございませんから、よく話し合いの上に円満な、納得のできる適正な改定が望ましい、こう思っておるわけでございます。御案内のとおり、大分前に建てたものと最近のものとの不均衡が最近目立ってきておるという御指摘のあることもまた事実でございますので、そういったもろもろの問題点をお互いに話し合って、円満なルールづくりのもとで話し合い、解決できれば、こう思っておるわけでございます。  こういう御答弁をなさっているのですね。いまでも変わりありませんか。
  143. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今後早急に円満なルールづくりができて、御納得のいくような、御理解と御協力が得られるような形ができればといまでも考えております。
  144. 原田立

    ○原田立君 いつごろを目途にしておやりになる考えですか。
  145. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 毎回毎回こういう問題を繰り返しておって、皆さん方に大変御迷惑をかけている、こういうことがないように早急にルールづくりの具体的な検討にかかってみたいと、こう思っておるわけでございます。時期はまだはっきり申し上げられません。
  146. 原田立

    ○原田立君 時期は申し上げられないという、そこが実は問題なんですよね。だから、あえて二月の二十三日にわが党の薮仲委員がこういう指摘をしている。で、あなたも、早急にやりたい、こういう御答弁。早急にやりますなんて、政治用語使っちゃあかんですよ。そういうのはいつになるかわからないんですから、正直言って。どうですか。
  147. 内海英男

    国務大臣内海英男君) できるだけ早い機会にルールづくりをやりたいと、こう思っております。
  148. 原田立

    ○原田立君 総裁、どうですか。
  149. 志村清一

    参考人(志村清一君) 家賃見直しのルールでございますが、一体家賃を見直す際の適正な家賃の計算はどうするのか、あるいはその適正な家賃と現在の家賃との差が相当大きい場合に激変の緩和をどうすべきか、あるいは先ほど来御議論のございましたような生活保護世帯等の方々に対する特別の手当てをどうするかとかいうふうなことがルールかと存じます。  これにつきましては、私どもといたしましては、基本問題懇談会を開きまして、皆さん方のフランクな自由な御意見を賜りまして、それを踏まえて案をつくったわけでございます。その際、家賃部会には入居者代表の方もお入りいただきましたが、自治協関係はいろいろの都合でお入りをいただけなかった。しかし、部会においては時間を設定いたしまして、十分御説明お願いした、質問も双方でやりとりをしたというような結果でございます。  それらの結果が、今回の家賃値上げ申請でございまして、適正の評価というのが、先ほど来いろいろ御議論ございましたが、公営限度額方式に準ずる。激変緩和公営限度額方式で出ました差額の二分の一にし、かつ限度額を設ける。それから生活保護者等の方々に対しましては、生活保護で見られる家賃、これは東京都の普通世帯では三万七千六百円までの家賃なら家賃扶助で見ていただけるそうでございますが、そういった額を超えるものについては、これは私の方で徴収を猶予するというようなこと等を踏まえた申請をいたした。これが私どもの考えているルールでございます。  しかし、なかなかこの家賃というのは微妙なものでございまして、めんどうなものでございます。そこで、この家賃の問題についてもう一遍基本からいろいろ考え直してみようじゃないかという御議論もございまして、これから新たに基本問題懇談会におきましてもこの家賃問題に取り組むというふうな姿勢でおる次第でございます。
  150. 原田立

    ○原田立君 公団入居者の方が入っていないで議論があった、会議があったというお話でしたね。そうじゃないですか。
  151. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  居住者の方を、実はいわゆる自治協加盟団地の方から代表一名の方、それから自治協に入ってない方、それから自治協に加盟している団地の方、それぞれ一人ずつ実はお入りいただくということで交渉をしてまいったわけでございますが、自治協に入ってない団地の方の代表者の方にはお入りをいただきまして、自治協加盟の団地の代表者の方は、先ほど総裁が申し上げましたように事情がございましてお入りいただかなかったということでございます。
  152. 原田立

    ○原田立君 どういう理由で入られなかったのかちょっと私もよくわかりませんけれども、そういう公団自治協という団体をつくって、それで十分話を進めていこうと、こういう人たちを無視するわけにはいきませんね。だから、もっとしっかり何度も繰り返し誠意を持って話し合ってもらいたいと思うんです。  それから、先ほど大木委員も指摘があったけれども、総裁、公団の方で何か四十何回か会議を開いてとか、あるいはパンフレットをつくって渡したとかいう話がありましたね、回数はちょっと聞き損なったけれども。だけれども、先ほど大木委員から指摘するように、これはやっぱり人間の世の中なんですから、人間対人間の心の触れ合いで物事が話が進んでいくわけなんですから、そこのところはしっかり努力しなきゃいけないと僕は思うんです。十分そのお考えはあるんだろうと思うけれども、大臣も監督していく立場にあるんですから、両方、総裁と大臣お考えをお聞きしたい。
  153. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のようにやっていきたいと考えております。
  154. 志村清一

    参考人(志村清一君) 自治協との間でございますが、先ほども申し上げましたように、家賃訴訟の起こる前はいろいろな問題につきまして二カ月に一遍ぐらい自治協の代表の方とわれわれと会っていろいろ懇談をしてまいったわけでございますが、家賃訴訟が起きましてから、これについて中断をいたしたわけでございます。  しかし、前大臣のお話もございましたし、委員会での御議論もございまして、正常な状態に戻すための話し合いをしろということでございましたので、その後四十六回にわたりましてお話し合いをいたしております。私どもといたしましても、自治協と正常な懇談ができるような場になることを期待いたしておりまして、これからもその話し合いを続けたい、かように思っております。
  155. 原田立

    ○原田立君 実は私、福岡市に住んでいるんですけれども、南区長住三丁目長住団地、これは大変棟数が多く、全体で千三百六十戸あるそうでありますが、入居率は一〇〇%。これは三十年代から供用しているのと四十一年から供用しているのとあるんだそうでありますが、私がお伺いしたお宅は五階のお宅で、そうして六畳の和室が一つ、四畳半の和室が二つ、六畳ぐらいの広さのキッチン、それから台所、便所、洗面所、これで家賃が、普通ですと一万六千五百円なんだそうだけれども、五階にあるということで五百円値引きされて一万六千円だそうです。共益費が千九百二十円。ですから、合わせると一万七千九百二十円、約一 万八千円ですよね。  何かおふろが古くなっちゃって別のに取りかえたところ、それについては割賦で毎月千七百円を支払っている。一万九千七百円この方はお払いになっている。この方のところに直接行ってみましたけれども、なかなか汚いですね、正直言って。  特に感じたのは、サッシが鉄製でぼろぼろにさびている。それでよくわからないんですが、何かつってあるようなもので、動きが非常に重たくてしようがない。鉄はそんなに曲がらないと思ったら曲がるらしいんですな。すき間があって、雨がさっと降るときはいいけれども、風が強いときには家の中に雨が吹き込んでくる。だもんだから結局その鉄製の窓枠がさびちゃう、それから家の中は雨で腐っちゃう、こういうことですよ。  それから、いわゆる団地サイズの家づくりですから、普通いろんな家具なんか、売っているのは本間の家とかあるいは京間とかあるんだけれども、あそこは団地サイズで特殊ですね。ですから、いままで移り住む前に買ったものが中にうまく入らないということを非常に悔やんでおりましたよ。そして今度何か五千円も値上げされるような話を聞いたけれども、胸のうちがむしゃくしゃしてしようがない、一体これどうしてくれるんですかと切実なことを言っておりました。これは四十一年から入っているおうちなんです。それでまた天井はしみだらけですよ。ここを何とか早くきれいにしてくださいと言ったらば、おたくさんでやってくださいと言ってなかなかうまくやってくれようとしない。確かに家賃は安いと思いますよね、一万八千円でね。だけれども、じゃ、一万八千円で安いから値上げして補修するのか、そこら辺がどうもはっきりしない。  同じ市内に、四箇田団地というのが早良区にあるんですけれども、同じ3DKで、これはいま建っている新しいところなんです。三万五千二百円から三万八千六百円が家賃。だから、これに比べてみれば家賃は一万六千円ですから、非常に安いことは安いです。だけれども、これを僕に話してくれた人の共通の皆悩みですよ。まじめな人たちですよ。こういう人たちが一体どうしてこんなに五千円も値上げされるんですかと、私たちの生活もかかっているんですと、こう言って嘆いていました。どうなさるんですか、これは。
  156. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 実は今回の家賃改定にてきましては、かねがね申し上げておりますように、古い住宅につきましては非常に均衡家賃が安くなっているという状況にございます。大体、中堅勤労者所得に対しまして三%台にございます住宅相当ございます。それから、ほとんどのものでも負担率が一〇%に当たるというような状況でございます。それからまた、一万円台の家賃が二十二万戸程度もあるということでございまして、そういう住宅につきまして不均衡是正というような形で今回家賃改定をさしていただきたいということでございます。  先ほど先生がおっしゃられますように、住宅につきましては確かに問題のある個所もあるやに聞いております。たまたまいま先生が例に挙げられました窓枠の鉄製サッシの問題でございますが、それよりもまだ先に実は木製のサッシ等もございまして、公団といたしましては非常に頭の痛い問題だというように認識をいたしております。こういうことにつきまして、維持修膳費の的確な使用というような形で何とか対応してまいりたいというようなことも考えているわけでございます。  たとえば、お話に出ました鉄製サッシ等をアルミサッシにかえてまいりますと、一戸当たりまあ概算でございますが、ほぼ八十万円見当のお金がかかるわけでございまして、木製、鉄製というような形で修繕してまいりますと、恐らく一千億あるいはそれ以上のものになるような額になろうかと思っております。そういうようなものを維持修繕費で対応していくのか、あるいはまた住宅の改良というような形で対応していくのか、そういう事柄につきましていずれにいたしましても、この対応策等につきましては検討しなければならないというようなことでいま真剣に考えているところでございます。
  157. 原田立

    ○原田立君 真剣に考えてもらいたいと思いますよ。その結論が五年も十年も先じゃ困るんですよ。鉄製のサッシだったからさびたと、だからその奥さんはアルミのサッシにぜひ早くしてほしいと言っていましたよ。  それから、大変失礼だったけれども、おうちちょっと見てみました。じゅうたんが全部敷いてあるんですよ。まさかじゅうたんをひっくり返して下の畳はどうかなんて見るわけいかぬから見なかったけれども、少し傷んでいるんだなあというような感じを私持ってきました。それからその建物は五階建て、外は塗装してとってもきれい。これが三十年代に建ったのかなと思って、いや外装はりっぱだけれども、中に入ってみてびっくりした。入り口は狭いし、先ほど説明したとおりなんです。  だから、この家賃値上げにしてもアルミサッシにすると八十万円ぐらいかかるというような話がいまありましたけれども、やっぱり大家さんとたな子とは——昔から古い言葉で言えばそういうことですから、公団の方は大家さんだ。どういうふうな金の工面をしてつくるかはそれはあなた方しっかり研究してもらいたいと思うのですよ。だけれども、現実にそういうような家に入って苦労している、悩んでいるという人がたくさんいるわけですよ。じゃ、値上げしてそれをやってやりましょうなんてそんな簡単なこと言わないでしょう。ここをどうなさるか、解決策。
  158. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) ただいまの何と申しますか、建物に対しますところの考え方でございますが、いまお話に出てまいりましたような畳の問題あるいはまたふすまがえ、いろんな問題があろうかと思います。  実は修繕費のお金の使い方の考え方でございますが、私たちともかくこの修繕につきましては非常に意を使っておりまして、巡回点検とか、あるいはまた居住者の皆さん方のクレーム対応、あるいはまた、私たちが日常管理の中でその建物等につきましての劣化状況、そういうようなもの等を丹念に実は調査をいたしておりまして、どういうようなものから調査をしていくのかというようなことも真剣に考えているわけでございます。  いま先生のお話に出ました室内におきますところの修繕のあり方でございますが、御承知のことと思いますけれども、いわゆる賃貸借契約書におきまして、入居者の方が負担される修繕項目と公団負担する修繕項目とが実は分かれております。というようなことがございまして、いま先生のお話に出ました修繕項目等につきましては、そのいまの入居者の方々の負担に係る問題ではないかというように考えます。  実は、仮の話でございますが、畳表等を、たとえば今回の家賃改定で考えておりますところの三十六万戸等について考えてみますと、大体概算でございますが、百四十億程度かかるというようなことになります。それから、ふすまの張りかえ等を考えてみましても、同じ住宅の戸数でまいりますと百二十億程度かかるのではないだろうかというように、概算でございますがなっておりまして、いまの入居者負担のあり方あるいはまた公団本来の負担のあり方というような事柄につきまして、そう実は簡単に対応しがたい状況にあるということを御理解いただけましたらと思います。
  159. 原田立

    ○原田立君 それだけのお金がかかるという、それは当然かかるでしょうよ、戸数多いのですからね。だけれども、ほったらかすわけにいかぬでしょう。だから、しっかり早くやれるようにしなきゃいかぬでしょう。そういう手も打たなきゃいかぬでしょう。予算措置も講じなきゃいけないでしょう。これは総裁の方の責任でもあるでしょうし建設大臣の方の所管でもあるのですから。  そういうような問題があって、その公団に入っている人たちは、入っていること自身については大変感謝しているのだけれども、実際にはそういうような悩みを抱いて何とか早く来て直してもらいたいと、こう言っているわけなんです。僕はその声を直接大臣や総裁にきょう申し上げておきま すから、即刻早急なる解決を責任を持っておとりいただきたいと思います。  それから、先ほども質問があったんですけれども、未入居住宅や保守管理住宅等から発生する収入減の分について、その利息とか保守管理経費が家賃や分譲価格に組み込まれているやに聞いておるのですけれども、これらの利息分や管理費が賃貸家賃や分譲価格に組み込まれるということは筋違いだという感じするのですけれどもいかがでしょう。
  160. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) 保守管理住宅それから保有土地でございます。これにつきましては、その金利経費はいわゆる建設仮勘定という項目に入っておりまして、建設原価に算入するということに経理上なっております。したがいまして、私どもとしましてはできるだけそういった経費のかからないように早急に解決したいというように努力しているところでございます。
  161. 原田立

    ○原田立君 総裁、いまのようなやり方をすると第二の食管会計みたいなものになる、こういうふうに指摘されている声もあります。空き地、空き家、保守管理住宅の経費、これは今度は分譲価格あるいは実際今度入る家賃に転嫁されるようなことをしたらば、一番困るのは購入する人であり、あるいはまたそこに入居する人たちでしょう。やり方としては、それは法律上そうなっているのでしょう。だけれども、それはもう考え直していただかなきゃいけないのじゃないでしょうか。いかがですか。
  162. 志村清一

    参考人(志村清一君) 未入居、保守管理、長期空き家等の問題でございますが、特に保守管理、未入居住宅は多いときには四万数千戸ございます。大変問題の点でございますので、その後鋭意努力をいたしまして、未入居、保守管理については五十六年三月では二万五千戸、五十七年三月では一万九千戸、本年の三月末は推定でございますが一万四千七百戸ぐらいに減らしております。  しかし、これで私満足するなんというのはとんでもない話だと思っております。どうしてもこういう仕事でございますからランニングストックは若干あるわけでございますので、それは御勘弁いただきまして、ランニングストックのみになるような未入居、保守管理の減少を全力を挙げて努めてまいりたいと、かように考えておる次第であります。
  163. 原田立

    ○原田立君 ちょっと観点違うんでありますけれども、昨年十二月に募集した光が丘パークタウン二LDK、三DKの家賃、これらをちょっと調べてみたらば——これはそちらに連絡してありますね、答えてください。
  164. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) まず、光が丘パークタウンのゆりの木通り北でございます。これが一番最初に、これは御承知かと思いますが、旧グラント・ハイツでございます。ここで去年の十二月募集いたしております。これの賃貸住宅が一LDK、二LDK、三DKという三種類になっております。一LDKそれぞれ家賃少しずつ場所によって違っておりますが、平均で申し上げますと、一LDKが六万六千三百二十五円、二LDKが八万五千七百三十五円、三DKが八万五千七百七十円ということになっております。  その前に、五十七年十月に同じところで分譲住宅を募集しております。これの分譲住宅の価格でございますが、これも二LDK、三LDK、四LDKと三タイプございますが、これもそれぞれ場所によって値段が違いますが、平均で申し上げますと、二LDKが二千四百五十一万、三LDKが三千百八万、四LDKが四千九十一万ということになっております。
  165. 原田立

    ○原田立君 あえて聞いたのは、平均月収三十六万五千円で家賃負担率が一五%ないし一六%の賃貸住宅供給する、こういうお話がありますけれども、そうすると家賃が五万四千七百五十円から五万八千四百円とこんなふうな、計算上そうなる。ところが、この光が丘パークタウンの場合二LDKで共益費を入れて八万八千二百円から九万六千八百円、三DKで九万五千六百円から十万九百円。要するに、家賃負担率は二四・一%から二七・六%と、こうなっております。公団の言う一五%ないし一六%の負担率の月収は六十万円以上の給料の人でなければ入居できない、こういうことになっちゃうのです。そういう人を対象にして公団はおつくりになっているんですか。
  166. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) 確かに、私どもも決してこの家賃が安いとは考えておりません。しかしながら、先ほど来平均的に大体一五、六%を目標にと申しておりますが、この一五、六%も当然幅がごいいます。結局非常に都心に近い便利なところでございますとこれが二〇%になり、あるいは郊外の、たとえば東京で申しますと四十キロ圏というようなところになりますと、この負担率が一二%ぐらいになってくるというような幅がごいます。  私どもが現在考えております、たとえばただいま御指摘の三DKの八万五千七百七十円、これは家賃だけでございますが、その家賃負担率を考えてみますと、京浜地区のいわゆる勤労者世帯の第三分位中位の五十六年度の年間所得が四百七十万だと、これは京浜地区でございます、ということになっております。これは供給いたしましたのが五十七年でございますので、この五十七年の四分位表がまだ正確にできておりませんが、私どもの推定では、大体五百万ぐらいになるのじゃないかというように考えております。  それで、この家賃負担率を考えますと、大体二〇・五%ということになっておりまして、これも一五、六%よりは確かに高いわけでございますが、住宅宅地審議会のいわゆる家賃負担率の限度として三分位中位、三分位の方々で大体二一・五%が家賃負担限度だというような御答申をいただいておりまして、私どもはほぼ最高額ではございますが、その線でおさまっているのではないかというふうに考えております。  また、現実にも、この三DKに申し込まれた方の平均の年収、これは五十七年に申し込んでいただいたわけでございますが、実は収入は五十六年度の収入を書いていただいております。その平均の年収が四百二十五万九千円ということになっておりまして、京浜地区の三分位中位の四百七十万よりも少し下のところの平均値が出ているというようなことで、その家賃の五十七年度の推定の家賃負担率を考えますと二二%ということになっております。
  167. 原田立

    ○原田立君 いま言った金額でも六万円前後家賃が軽減されているわけですよね。今回値上げして増収した中の三割をこういう住宅家賃軽減に回すという話を聞いているのですよ。本当ですか。
  168. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 新しく賃貸住宅として供給する住宅につきましては、そういうような家賃抑制額を何がしか使用させていただいております。
  169. 原田立

    ○原田立君 抑制額じゃなくて、その値上げした分をほかのところへ持っていって使うというやり方がおかしいという僕は指摘をしているのですよ。
  170. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 私たち家賃改定いたします考え方といたしまして、不均衡是正ということで家賃改定を実はいたしているわけでございます。その改定に伴いまして出てまいりました増収額につきましては、主として維持修善費に使わしていただいておりますし、それから五十三年度の場合には五十三年度に限り新規賃貸住宅供給家賃抑制に使わしていただくということでございまして、今回考えておりますところの家賃改定につきましては、今後主として維持修善費に使わしていただきたいと思いますし、残りにつきましては家賃の抑制にも使わしていただきたいという考え方をとっているわけでございます。
  171. 原田立

    ○原田立君 総裁、いま二十何%の率でいく家賃そしてその人の収入、それは六十万円ぐらいになるということを僕は指摘したわけです。六十万円ぐらいの月収をもらう人というのは課長さんか、係長じゃもらえないでしょうね。課長さんか部長さんでしょうね。となると、一生懸命若い人で働いて、子供さん一人か二人持ってそんなにお給料が少ない、税金は少しは払うけれども収入が少な いと、そういう人たちは一体どこへ入ればいいんですか、六十万なんて、そんな言ったって。そういう人たちが家を欲しいと思ったっても土地は高くて買えないから、一戸建てなんかつくれないから公団住宅を求めていくわけでしょう。そこのところがそんなに高い家賃を払わなければ入れないだなんといったらむごい話だ、これは。そんなことないようにしてもらいたいですよ。  特殊なところで、グラント・ハイツの光が丘パークは特殊なところだと、こういま言われておったから、ほかはそんなところじゃないんだろうと思う、ほかは。だけれども、そんなのがぼこぼこぼこぼこあったらば、それこそ公団の存在価値すら問われなきゃいけない、こう思うんです。  それから、さっきもちょっと話がありましたね、遠、高、狭という、昔、ずいぶんここの委員会でも議論があった。土地を求めるために遠いところへ行ってしまうもので、結局未入居者が多いのだという説明をあなた方何度も何度もしておった。私もそう思います。だけれども、それも本当は、道路の敷設あるいはバスの運行、これなんか充当すればもっと入居率はよくなるはずなのです。ところが、そこいら辺が三年も四年も五年もほったらかしになっておって、それで入居者が少ない、これは明らかにちぐはぐなやり方をしているからそうなっているのじゃないんですか、現実は。  それで、さっき僕が話した福岡の四箇田団地というところ、これはちょっと遠いんですよ。道路がつい最近きれいになった。バスも行くようになりましたけれども。ラッシュアワー時は一時間に十本ぐらい通ります。けれども、そのほかの普通のときには一時間に二本か三本ですよ。といったら、やっぱりどうしても足の悪いところは入りたくなくなってしまう。  いろいろなことをごちゃごちゃ言いましたけれども、結局冒頭に申し上げたように、六十万の収入ぐらいじゃなければ入れないなんというようなことでは、そんなことでは公団の存在理由を間われる、そうあってはならないと、こう申し上げているんですけれども、どうですか。
  172. 志村清一

    参考人(志村清一君) 四箇田団地も私も現地を見てまいりました。もう少しバス等の問題、道路の問題等配慮すべきであるといういうふうなことでせっかく努力をさしていただいておりますが、確かに交通問題等々、住宅環境の問題についてもっと私どもとしてできるだけの力を注ぐべきであろう。こういうように考えまして、国、公共団体等にもいろいろお願いをいたしたり共同でやらしていただいたりいたしております。  また、先生御指摘のように、家賃がうんと高くなる、そうすると高額の所得者でなければ入れない、おかしいじゃないか、私もそう思います。いかにして公団家賃を安くするかということが私どもの一番心にとめている問題でございます。現実に遠、狭、高と言われているように、遠くの方で狭い住宅をつくると困るから中へつくれというふうなお話もございまして、中へ戻ってまいりますと地価が物すごく高いわけでございます。また、高い地価のところに建てますと高層の建物でなければならぬ、そうしますと建築費もかさむというふうなこと等でどうしても高目になります。  そこで、われわれといたしましては何とか工夫をしたいということで、御存じのようにいわゆるげた履き住宅というもので、下に店舗とか事務所を置きまして上に住宅を持っていく。北九州におきましては、公共団体の御協力を得まして、下に区役所を置いてその上に住宅を載せるというようなこともいたしております。  そういうような問題のほかに、私どもといたしましては、たとえば東京都の妙正寺川のところでございますが、ここがあふれるというふうなことで遊水地をつくらなければならぬというふうなことがございまして、東京都並びに区と公団と三者が組みまして多目的に使う。そしてその上に住宅を建てますと住宅が安くなるというふうな工夫、いろいろな工夫を一生懸命努めているところでございますが、住宅の問題につきましては、これからわれわれもできるだけの努力をして安くていいものをつくるように努めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  173. 原田立

    ○原田立君 ひとつ安い公団住宅ができるように、極力配慮していただきたいと思います。  行管から指摘されている、滞納者がだんだんふえておりますね。これは数字的なものはつかんでおいでだろうと思いますけれども、年度別に見てどんなふうにふえているのか、あるいはまたその数は一体どのぐらいになっているのか、そこら辺のところをひとつお聞かせください。
  174. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  家賃の滞納でございますが、先生御指摘のように、確かに残念なことに増加傾向にございます。実は年次別にたどってまいりますと、五十二年度につきましては滞納者の方が五万四千人で滞納金額が十八億五千万でございまして、滞納率は一・六%ということでございます。それから五十三年度につきましては滞納者の方が九万五千七百人で滞納金額は六十三億でございまして、滞納率が四・五%ということになっております。五十四年度につきましては滞納者の方が八万五千九百人で滞納金額は四十五億八千万で、滞納率が二・七%ということになっております。五十五年度につきましては滞納者の方が九万二千三百人で滞納金額が五十九億五千万、滞納率が三・三%ということになっております。五十六年度につきましては滞納者の方が九万六千二百人で滞納金額は七十三億円、滞納率が三・七%という状況でございます。
  175. 原田立

    ○原田立君 それで要するに、なぜこういう滞納者がふえているのかというのが一つ。それから、どういうふうに対応なさるのかが二つ。  それで、僕も思うのですけれども、やはり入居者がお年寄りの方が多いとか、低収入の人が多いとか、家賃がよう払い切れないというようなことで滞納者がふえている。そこら辺も原因になっているんじゃないか。要するに、低収入の高家賃、こういう関係になっている。しかもその低収入というのは、こんなことを言ってはどうかと思いますけれども、非常に低い収入であるがゆえに公的年金の支給だけでしか生活ができないというような人も入っている。恐らくこういうような人たちが余り家賃が上がるとどうしても、払いたい気持ちは十分あるんだろうけれども、払い切れない滞納者がふえる。こういうふうなことがあるんじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
  176. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 滞納者の方々の内訳でございますが、その内容につきましては約一カ月ないし二カ月程度に滞納されている方が、先ほど申し上げました九万六千人以上の方の約八〇%程度でございます。そういうようなことで、特別な例外を除きまして一時的な出費というようなことで家賃の支払いが一、二カ月おくれているとか、あるいはまた、うっかりされまして支払いの時期が経過してしまったというようなことでおくれられている方が多いのではないだろうかというように考えているわけでございます。  それから、滞納の原因につきましては、個々の方々の生活の内容にまで入るのはなかなか問題があることでございますので、統計的には実は調査をいたしていないわけでございますけれども、私たちがそれとなく知り得た内容といたしましては、病気等によります入院とかあるいは失業の問題とかあるいはローンの返済というようなことでお支払いできない方等もいらっしゃるというようなことも理解をいたしております。  そこで、対応でございますが、私たちこの徴収につきましては、営業所を中心にいたしまして鋭意その督促に努力をいたしておりますが、ともかく過酷な取り立て等はすべきでないというようなことでございますので、そこらあたりは心をしながら滞納率は減少さしていかなければいけないというようなことで努力をいたしておるところでございます。
  177. 原田立

    ○原田立君 いまの返事では、ある程度調べたということのような意味合いのお話だった。それはそうでしょうね。家庭まで入り込んで聞くというのはなかなかむずかしいでしょうからね。そうい うような問題等についてはそれこそ公団自治協、そういうグループがあるのですから、そういうような人たちのいろいろなお調べになったことなんかの数字なんか当然参考にしてやられたならばいいんじゃないかと思うんですが、要するに、今回また一律ではありますけれども、一律五千円の値上げなどするとまた滞納者がふえるんじゃないかと心配するのですけれども、その点どうですか。
  178. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 私たち家賃改定につきまして申し上げているわけでございますが、そもそもの住宅家賃そのものが比較的低い状態にあるということがまず第一に言えるかと思います。  それからまた、実際の改定内容でございますが、公営限度額方式に準ずる方式を採用さしていただきまして、激変緩和というようなことで、二分の一というようなことを採用さしていただいておりますし、それからまた、なお頭打ちで限度額等も考えております。それからまた、生活保護世帯並びに老人、母子、心身障害者世帯の方々に対しましては特別措置等の対応をしてまいるというようなことでございますので、そういう面からは心して急激な負担等はもたらさないようにというようなことで考えて家賃改定をしようとしておりますので、問題は少ないのではないかというように理解をいたしております。
  179. 原田立

    ○原田立君 公団家賃等変更について、三月十八日建設大臣承認申請をなさっておられるわけでありますが、その変更について住宅都市整備公団法施行規則第五条に基づきとしているんでありますが、先ほどの大木委員との話の中で、第五条二号の「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」これを引用なさっての申請のようでありますが、現在の公団住宅は当初家賃が各団地ごとに決める方法、いわゆる個別原価主義制度であったはずなんです。その方面あるいは地域、あるいは全国でプールして家賃を決めるだなんて、そういうことではなかったはずです。そうじゃないでしょうか。  そうすると、いわゆる個別原価主義制度となっており、新旧団地家賃に不均衡が生ずるのはあたりまえじゃないですか。それを不均衡が出たから値上げするだなんというのはてんで理由にならないと思うのです。四十一年度に第一次空き家家賃を設定したのに続いて、五十一年、五十六年と三次にわたって家賃設定を行うことにより、新たな不均衡公団みずからつくっている。今回、不均衡是正理由家賃改定申請するのは筋が通らないと私は思う。  要するに、三十年初頭あるいは四十一年ごろつくったと、さっきの長住団地の場合ですよね。いわゆる原価計算は七十年償還で、それで家賃の設定というのはしてあるわけでしょう。ですから、四十一年ごろはいまと比べてみれば当然それは地価も安かろうし、材料費も安かろうし、人件費も安かったはずです。だからそれだけの家賃でできたはずなんです。それを最近の五十五年や五十七年に建てたのと同じようにしようだなんということは、明らかに法の悪用としか言いようがないと僕は感じるのですけれども、その点いかがですか。
  180. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 公団住宅家賃につきましては、公団法の施行規則の第四条に基づきまして、建設原価を基礎といたしましていろいろな政策的な配慮、たとえば国からの利子補給等があるわけでございますが、なされて実は定められているものでございます。  これらの決定された家賃でも、その後建設費の上昇等物価その他経済事情の変動がありますと、家賃バランスが崩れてくることになるわけでございます。こういうような状態に対応いたしますために、公団法施行規則の第五条では、第四条の規定にかかわらず、建設大臣の承認を得て、家賃変更することができる旨を規定しておりまして、実は家賃均衡負担の公平を図っていくこととしているわけでございます。  空き家賃につきましても、建設年度の古い住宅でありましても一たん空き家になりますと特別な補修をいたしまして、できる限り新規住宅水準に近づけた上で新たに供給されるものでありますから、常に均衡のとれた家賃とする必要がございまして、そういうことを実施いたしております。そのような考え方につきましては、住宅宅地審議会からも定期的に空き家家賃の見直しなどをしろというようなことで御指摘を受けているわけでございまして、公団みずからが意図的に新たな不均衡をつくっているわけではないというように考えております。
  181. 原田立

    ○原田立君 大臣、どうですかね、現状の住宅環境下では高家賃化は進むばかりであり、新たな不均衡が生まれ、際限のない値上げを繰り返す、悪循環を繰り返している、こんなふうに思えるんです。そうでなければありがたい話だ。新旧家賃の不均衡是正という理由は当てはまらないのではないか。総裁は大臣の方に申請書を出していく、この際、是正基準を明確にすることが一番大事であり、公団法施行規則の第五条二号の「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」なんて、これは削除なさったらいかがですか。
  182. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 「(家賃及び敷金変更等)」という規定が第五条にございまして、いま先生御指摘のように、「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」というのが二号に実はあるわけでございますが、変更要件といたしまして一号で、「物価その他経済事情の変動に伴い必要があると認めるとき。」というのがございまして、それが原因それからまた二号があるいは結果というような形に出てまいりまして、そのような経済事情の変動に伴いますところの住宅の再評価というようなことは必要なことではないかというように考えております。
  183. 原田立

    ○原田立君 何もそこのところを、第一号を削れと言ったんじゃないんですよ。第二号の「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」という、それを外したらどうですかと聞いているんです。
  184. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 公的賃貸住宅供給につきましては、従来住宅宅地審議会等から種々答申がございますように、賃貸住宅供給されます住宅家賃の相互間にやはり公正な均衡がある必要があると言われております。余りにも賃貸住宅家賃の間に不均衡がございますと、今後の賃貸住宅供給政策がある意味で非常にゆがんだ形になるということも考えられますので、やはりその住宅の立地の状況あるいは規模等々、居住水準等を勘案しながらある程度均衡のある姿で賃貸住宅家賃はあるべきではないか、そういう趣旨からこの住宅都市整備公団法施行規則の第五条の二号は規定されていると考えております。
  185. 原田立

    ○原田立君 だからどうするんですか。
  186. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) したがって、この規定は十分規定として適用されるべきであると考えております。
  187. 原田立

    ○原田立君 ちょっとおしまいの方、よく聞こえなかった。
  188. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) このたびの住宅都市整備公団からの家賃値上げ申請の根拠として十分適応したものであると、正しい規定であるというように考えております。
  189. 原田立

    ○原田立君 まるっきり話がかみ合いませんね。要するに私が言いたいのは、公団個別原価主義でしょう。そうして、建った時点で七十年間期間を設けて償還していくという、そういう基本に成り立って家賃というものは決めてあるんでしょう。そうじゃないですか、総裁。私はそういうふうに聞いています。  そこで決められた家賃、だからそんなに、いまのように大変物価が変動が激しいものだから、四十一年ごろと現在の五十八年とは大分違うことは、これは事実だ。だからといって、この二号を使って、そうして値上げの根拠にするというのは筋違いじゃないですか。で、根っこは公団個別原価主義だ。それからいけば、当然各戸によって家賃が違ってくるのはあたりまえの話でしょう。また、きょう午前中の公団自治協の代表の人たちは、それは修理や材料費や何かのものに関しての 値上げ等については、費用については十分話し合う用意がある、こう言っているわけです。非常に大事な問題だと僕は思うんです。だから、根っこの方の家賃の方は上げるべきではないと思うんです。ただ、補修したり何かしなければいけないという、そういう面でのある程度のプラスアルファというのは、これは当然あってしかるべきだと思う。僕はこう理解しています。  だから、公団法施行規則の第五条第二号は当然外すべきだと思うんです。これは局長じゃなくて大臣にお聞きしたい。——大臣に聞いているのです。
  190. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 技術的な、専門的なことですから、局長から答えさせていただきます。
  191. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 先生の指摘されていることは二つあるんだろうと思います。  一つは、この公団法の施行規則の第五条の二号にありますように、「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」は家賃値上げ申請をして、建設大臣の承認があれば家賃値上げができる。その不均衡の状況というのがどういうような状況かということが一つ。もう一つは、住都公団住宅家賃の計算、算定考え方個別原価主義であると。個別原価主義であるから、それをある時期におきまして、修理費とかそういうものは別ですが、本体の部分につきまして再評価して、家賃値上げするのはおかしいではないか、こういうことかと思います。  最初の御指摘の点は、やはり現在のように当初家賃の、すなわち三十一年度に建ちました住宅家賃平均が平米当たり約三百円。現在の供給家賃が平米当たり九百円を超えて、もう一千円に近いと。そうしますと、その間に三倍以上の格差がある。しかも、古さの問題はありますが、当初に供給されました住宅というのは非常に立地状況よろしい。現在、住宅についてのいろいろな調査をいたしましても、立地のよいものを選ぶ傾向が非常に強いわけでございます。そういうようなことから申し上げましても、余りにも格差が大きいんではないかということで、この二号によって家賃値上げ申請を行うということはやむを得ないことではないかというように考えられます。  もちろん、これにつきましては大臣がかねがね申し上げておりますように、国会の御審議、種々御意見を承った上で、建設省としては建設大臣が承認をするということになるわけでございますが、一つ理由はあろうかと思います。それから、第二番目の個別原価主義であるから、本体部分について途中で見直して値上げするのはおかしいのではないかという考え方につきましては、午前中に東大の下総教授から種々申し上げましたように、やはり住宅政策というものが継続的に今後も行われるとすれば、耐用年数が終わったときにそれで住宅が終わりだということではなくて、ある程度その間に再評価の積み立てがあって、その後住宅が新設をされて継続をしていく、そういう形が必要ではないか。  ただ、この場合でも、公営住宅で用いております公営限度額方式というのは、全部が全部、現在古い住宅を全部建て直してしまうという、全くの新規の住宅を建て直すということではなくて、古さの程度を加味しまして、三分の一程度だけしか評価の基準に置いていないわけでございますが、そういった方式で本体部分についても家賃値上げについて評価を行うということは、これも現在の住宅政策上もやむを得ないのではないかというように考えている次第でございます。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、五年前の二月九日に参議院の建設委員会集中審議をやったんですけれども、五年後にまた大幅一斉値上げがあったこと、非常に不当で、問題点が多過ぎると思うんです。  五年前そこにいらっしゃる救仁郷さんが住宅局長だったんですが、こう答えておられます。「今回はいわゆる二十年間ほうってある、したがって非常に格差が大きくなっておりまして、」で、激変緩和措置とってもまだ七千円という形になっているんだが、「今後はそういった大きな不均衝というものは、」「低成長時代になりますとそう生ずるとは考えられませんので、」というふうに言われているんですね。それから、当時の住宅公団の澤田総裁も、「次々とこういうことがあるというような不安はお持ちになる必要はないのでございます。」ということを答弁されていますね。  それで救仁郷さん。当時の建設省住宅局長で、七千円という形になっているというんですけれども、今度は七千円どころじゃなくて、八千円、九千円、一万円でしょう。どうですか、建設省時代と、公団へ行ったら大分考えが変わったんですか。
  193. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) 当時私が申し上げました趣旨は、もうすでにいわゆる低成長時代に入りまして、今後、たとえば三十年代と四十年代、四十年代と五十年代というような、そういった急激なインフレによります格差というのは、もう今後はそう急激には起こってこないんじゃないかというような感じで申し上げたと思います。ただ、当時でも、いろいろ激変緩和措置をとりました関係上、当然、最高七千円の値上げをさしていただいたとしても、相当な不均衡が残ることは、これはもう先生も御承知だったと思います。  したがいまして、まあいずれかの時期にそういったまた是正の必要なことは私も感じておりましたし、やはり大体五年目ということでその時期が来たんじゃないかというような判断をいたしております。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いろいろおっしゃるけれども、私は答弁を守らなかったと、約束違反のまず値上げだと思うんです。  もう一つ約束違反を救仁郷さんのを指摘しますと、これは衆議院の一月二十四日の議事録ですけども、家賃制度のルールの問題でこう言われている。「御指摘のように次回のもし必要があるころまでには何らかの基本的なそういった家賃体系というものの政策を確立したいというのが、私どもの願いでございます。」と。五年たちましたけれども、家賃体系の政策は確立しましたか。しないでまたやっているんですか。
  195. 救仁郷斉

    参考人(救仁郷斉君) これは私、当時そういった御答弁したと思いますが、これはまあ私からというよりも現在の住宅局長からお答えしていただきたいというように考えております。
  196. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) わざわざ御指示をいただきまして……。  いまの先生の御指摘の点でございますが、五十六年の八月の六日に住宅宅地審議会から「現行家賃制度の改善についての答申」がございます。これによりまして、家賃体系と言うにふさわしいかどうかわかりませんが、一応民間賃貸住宅及び公共賃貸住宅家賃制度の考え方、その運用等々につきましての答申がございます。これは私どもとしましては、さきに前救仁郷局長が申し上げました家賃体系ではないかというように考えております。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それじゃお聞きしましょう。  このいま触れた答申には、あなた方が今度使われている公営住宅公営家賃限度額方式についてこう言っているんです。「この場合、現行の変更家賃限度額算定式については、公営住宅の構造、建て方、経過年数等の実態により即したものとなるよう、償却費、修繕費等の算定式の見直しについて検討する必要がある。」と、こう言っていますな。この検討をおやりになりましたか。
  198. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 公営住宅限度額方式そのものについての見直しということではございませんが、毎年九月に住宅審議会におきまして各地区の……
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それはわかっている。算定式のことを言っている。
  200. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 住宅の再建築費の率につきまして調査いたしました、その結果に基づいて限度額方式に使います率を審議会の意見を聞いて定めているということでございます。
  201. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そんな、答弁になってないですよ。そんなことはもう法律で決まっているんで、それをやっているだけのことなんで。算定式を検討する必要があると書いてある、見直しを。あな た方は、五十六年の八月に出たこの答申について、検討しろと言われているのにしてない、きわめて僕は怠慢だと思うんですね。  少し総裁と議論したいんですけれども、総裁はこの申請の責任者です。先ほどあなたは、この公営限度額方式に準じたやり方について、古さ、構造も考慮に入れた方式だという答弁をされました。この式には、どこに入っているんですか、その古さ並びに構造などについて。
  202. 志村清一

    参考人(志村清一君) 公営限度額方式の再建築費は、たとえば三十年代に建てました建物については、その建物を再建築すればどうなるかということでありまして、五十六年度にできました新しい、広さ、設備その他を持った住宅の再建築費ではないわけであります。そういう意味において、当時の、三十年代に建てたものだったら三十年代のということになろうかと思います。  また、古さの問題でございますが、たとえて申しますと、たとえば昔建てたものが一〇〇だと仮定すると、最近建ったものが七〇〇だと仮定いたします。そして、それを再建築費を考えますと、七〇〇は一〇〇〇になる。そして一〇〇は一〇〇〇にはならぬはずで、構造が悪いですから、あるいは八〇〇ないし九〇〇になるかもしれない。そうしますと、この公営限度額方式というのは、古いものについては一〇〇と九〇〇との差八〇〇ですね、八〇〇の三分の一、すなわち二七〇ぐらいを積算するわけでして、それと一〇〇足して三七〇というのがいわば再建築費として考えられる。  また、新しいものでございますと、七〇〇が一〇〇〇ということになりますと差が三〇〇でございます。その三分の一で一〇〇ですから、七〇〇足す一〇〇で八〇〇と。三七〇と八〇〇の違いがある、これが古さをあらわしているんだと私は考えております。
  203. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そこがおかしいと思うんですね。大体三分の一ということで、古さの分に充ててある。構造については昔の設計の構造のものをいまの資材で建てたらどうなるかという計算だけしてあるわけですね。その意味で、ある意味で構造が計算になっており、古さについては一律に三分の一ということにしてあるわけですね。  それで、非常に僕は奇妙なことが起きると思うんですけれども、空き家家賃の場合には、公営限度額方式そのものを適用してやっているわけでしょう。そうしますと、いただいたこの資料に、公団の資料を見てみますと、第三次空き家家賃の例を計算すると、計算が出ています。一平米当たり、三十一年で一番古いものは、これは牟礼団地、蓮根団地ですな、一平米当たり七百二十三円、昭和四十三年のものも一平米当たり七百三十円、同じなんですね。  それから、二DK住宅家賃そのものの具体例が出してあります。三十一年の牟礼団地三万三千四百円、四十二年袖ケ浦三万三百円と、かえって安いんですな。とにかく十年たっているわけでしょう。十年前の三十一年のものと四十二年のものが、平米当たりもそれから全体も同じかそれより低いぐらいだと、こういう実例が出ているわけですよ。こうなりますと、一律三分の一で計算しているというのは、いわゆる経年度、古さの、老朽化の度合いについては全く計算してないということになるんだと思うんですね。  私も、蓮根団地は前の値上げのときに調査に行きました。雨漏りはするし、ひどいものです。それから、きょう自治協の資料には私の住んでいる国立の団地の三十一年のもの等と比べてある。これは資材はたとえ同じでも、設計そのものが違いますからね。台所から、キッチンからトイレから、換気扇がついているかついていないかとか、設計、つまり質の向上そのもののことは資材の値段だけでは計算できないような大きなものがあるわけです。それから、老朽度、雨漏りその他その他の経年による、つまり中古化していったために時代おくれになった、この分については何の計算式もなくて、みんな一律になっているわけですよ。  どうなんですか、総裁、この一番古い蓮根団地なんかと四十二年の団地と、平米当たりの計算も何もすっかり同じだという方式で、あなたは古さは考慮した計算式だと思われるんですか。
  204. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私が先ほど簡単な計算をしてお示ししましたように、私は古さが考えられておると、かように思います。  それから、上田委員が御指摘になられました個所については、私つまびらかにいたしませんけれども、恐らく立地の問題が……
  205. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、あなたの方で出した資料、住宅整備公団委員会に出た資料、われわれもらったもの。
  206. 志村清一

    参考人(志村清一君) 全部私は覚えておりませんから、その分につきましては立地条件が——住宅というのは立地条件が非常に大きなウエートを占めますので、立地条件の問題があろうかというふうに思います。
  207. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大体、委員に全部配った住宅整備公団のもの、これはここで配っただけじゃなくて、あらゆるものに出ていますよ。懇談会に出した資料にも同じ資料が全部出ていますよ。こんな資料見なくたって御存じでしょう。この計算式によると、平米当たりの単価は空き家家賃の場合全部同じになる、古さについては何ら考慮してないんですから。あなたの言った例は、式を見てみると三分の一ということだけなんだから、三で割っていると、一律、いつ建った住宅でもただ三で割っているだけなんですからね。これについては何年たとうが経年度の数字は何にもないんですから。  私は、きょう午前中に参考人の方にも質問したけれども、たしか経年度は入っているはずだと言われたけれども、あの東大教授も御存じなかった。入ってないんですよ、これは。入っていないからこの住宅宅地審議会の答申は、「現行の変更家賃限度額算定式については、公営住宅の構造、建て方、経過年数等の実態により即したもの」となるよう算式を検討し直すべきだと書いてあるんですよ。当然でしょう。経過年数も建て方も構造も何も入ってなくて、ただ当時使った資材の値段を物価変動に応じて、先ほど住宅局長、九月のことを言ったけれども、物価変動に応じて出しているだけですよ。  私は、ここに全部もらってきた。推定再建の率がここにありますよね、再建費率の。法律でも物価変動に応じてと書いてあるだけです。経年度については何らこの数式にも入っていない。しかも宅地審議会の答申にはそれについて見直せと言っているわけだ。その見直せと言っていることについては何ら見直しもしないで、二年もたっているのに、同じ公営限度額方式に準じというので二分の一にしました、二分の一にしましたと言ってまたやってくる。僕はおかしいと思うんですね。  それで、二分の一にしたから公営住宅より少し安くしたみたいに言われるかもしれぬけれども、まるで逆でね、あれは限度額なんですから。あれが限度であって各自治体がそれより下の範囲でいろいろ政策家賃を決めているわけでしょう。それをあなた方は限度額の最高天井を二分の一ということで今度は基準にしてしまって、しかも経過年数なんというのは一切入れないで持ってきているわけだ。こういうやり方通ると思いますか、自分たちの怠慢は棚に上げて。
  208. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私は先ほど申し上げたとおり古さが入っていると、かように考えます。
  209. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 入ってない、入ってない。
  210. 志村清一

    参考人(志村清一君) 見解の相違だと存じますが。
  211. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは大問題ですよ。公団の総裁は古さが入っている、入っていると、式に入ってないんだから入りようがないです、あなたの頭の中に入っているだけで。頭に入っているだけなんですからね。ちゃんとここに、あなた総裁でそういうことも知らぬのかね、償却費に係る率イコール一プラス三分の推定再建築費率マイナス一というのがこの計算の方式ですよ。どこに経過年数入っていますか。この推定再建築費率というのは物価変動だけ入っているんですから、経過年数なんてどこにも入ってない、入りようがないんです から。それを入っていると言って、あなた取り消す必要がある、公団総裁は。入っていると思ってこういう値上げ申請しているんだったら申請をやり直すべきだと思うんですね。
  212. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) ただいま先生がおっしゃっていらっしゃいます公営限度額方式についての古さの考え方が入っているかどうかということでございますが……
  213. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、経過年数が入っているかということです。
  214. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) まあ古さも経過年数もほぼ同じだと思います。それにつきましては全部を見るというのではなくて、先ほど来話が出ておりますように三分の一だけを見るというところが、これが古さを加味している。  ただ、この住宅審議会の答申にありますように、それでは何年たったらばどのぐらい、三分の一じゃなくて五分の一とか、何年たったらば四分の一とかいうように細かく経過年数に応じて細かい率が出るべきではないかという意見も確かにあることは承知しております。そういうような意味においてこの公営限度額方式が百点滴点ではない。百百点満点ではないんですが、経過年数あるいは古さの問題は少なくとも三分の一という意味においてこれは加味されておるというように思いますし、またこれはこれまでの解釈がそういう解釈でございます。
  215. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全く詭弁です。あなた方は社会的に認められた方式だなんて書いてあるけれどもね、答申で見直すべきだと、実態により即すようにしろと言われているんだからやらなきゃいかぬ、あなた方は。それを二年間ほっておいてそのまま使っているということですな。僕は建設大臣にこういうわざわざ答申が出てそういうことを言っている方式について、公団は何ら検討しないままやっていると、しかも答弁ではおわかりのように経過年数なんて入っていないのに入っている、入っていると言い張って出していることについては、建設大臣もこの申請を承認される際よくそのことも考慮に入れてこのままの形では認めるべきでないと、よく考慮してやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  216. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 詳細に検討して考慮してみたいと思います。
  217. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さて私は、こういう非常にずさんなやり方を居住者に対してはやっておきながら、他方、土地を買ったりする場合にとんでもない不正、腐敗もそのまま平気で押し通しているということについてこの委員会で二十三日に一度質問いたしました。  きょう、もう時間がございませんのでちょっと資料を配付いたします。資料を配付した後若干お聞きしたい。そのうちまた改めてやりますがね。    〔資料配付〕
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この資料が私ども手に入って本当に驚きましたね。  私はこの間、福岡の筑紫野の十三万坪、三十七億円で公団が買われたが、あるフィクサーがいて五億円もらう約束でやったということを言いました。久保田さんが全くそんなことはない、心外だと言われたんですけれども、涙声を出されたけれども、私の方が正確でしたよ。  平川覚書というのがあります。これにちゃんとその経過が書いてある。これは長崎の葉山町の土地をやろうとして、三億円の約束でやってうまくいかなくてお金がもらえない。そのお金がもらえないので、三ページ目にありますが、支払う財源づくりのために筑紫野所在の調整区域の土地を十三万坪何とか売りたいということで始まったというんです。これを売るために昭和五十五年九月十五日に協定書ができた。その協定書によると、長崎の分については一億円払うと、三億円がだんだんまけられて一億円払う約束にされて、その後、驚くべきだ、取引金額の一〇%払うというんだね。三十七億の一〇%で三億七千万でしょう。一億足すと四億七千万円ですよ。  これは平川氏自身が書いたメモです。あの筑紫野の土地を公団に売れば、彼は四億七千万円もらうという約束を林兼商会と協定を結んでやっているわけだ。驚くべきことですね。最後にちゃんと日本住宅公団を第一目標としてやると書いてある。口頭で意向の打診をしたらオーケーになったと。いいですか、五億円のフィクサー料をもらう約束であの土地は平川という人が林兼商会と覚書を結んでやったものなんです。これが第一点。  その次に議事録。議事録が二つつけてあります。  五十六年四月八日、筑紫野市長松田正彦、住宅公団九州支社の滝井開発部長——この前の質問では福井部長と言っていたけれども、やっぱり前任者の滝井氏でしたね。それから林兼商会の小山専務、これでずっと、一々言いませんが、いろいろやって、最後にそれぞれがサインをして判こを押しているんですな、判こを押している。これも驚くべきことですね。こういうことをやっているんですか。売る商社と公団の人と自治体の市長が集まってこういうことを全部やって、調整区域を市街化区域に編入することについては市長は全責任を持ってやるなんてことを言って全部判こを押しているんですね。松田市長は控えをちゃんと私は持っていますというふうにわれわれに証言した。こういうことをやらしているんですか、いつも。
  219. 久保田誠三

    参考人久保田誠三君) 先生のいまの、後の方からでいいですか、それとも平川さんの……
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 後の方からでいいです。
  221. 久保田誠三

    参考人久保田誠三君) じゃ、いまの方の、四月八日の三者の会合の話から……
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 簡単に言ってください、時間が三十七分までしかないから。
  223. 久保田誠三

    参考人久保田誠三君) その点につきましては、当時、五十六年の四月八日だと思いますが、宅地開発部長の発言内容は事実であります。ただ、この三者の話し合いは前年の十一月、この前お答えしましたが、市から開発要請があり、同年十二月に林兼商会から土地譲渡の申し込みがありました塔原地区につきまして、これを開発候補地として検討すべき諸条件などについて話し合いが行われたものでありまして、そういう関係からいきますと、すべて候補地としての条件つきの話し合いということでありますので、滝井部長の担当部長としての発言内容には、私らも詳細に検討いたしましたが、特別の問題は私ないと思います。  ただ、したがいまして判この点については、それは一般的にわれわれがそういうことを指示してやらせるということはございませんが、それは一般の担当部長として、内容として特別権限を逸脱したようなものでもございませんしということで私印を、確認の上私印を押したということで、われわれが一般的に指導していることじゃございませんが、そういうそのときの要請等も何かあったようでございまして、さしたる意味は特別ないというふうに存じます。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私たちは当時の秋山支社長に電話をして確かめました。秋山支社長は、こういう議事録ができて判こまで押してあるということを全く知りませんでした。驚いていましたね、そんなことをやっていたんでしょうかと。支社長は知らないんですよ、開発部長がこういうことをやっているのを。  私、高級料亭「政」と言って政治の「政」だと言ったけれども、再度調べましたら字が違いまして、「満佐」、満州の「満」に大佐の「佐」です。一晩一人十万円かかる高級料亭ですよ。そういうところで支社長にも報告しないで、恐らく林兼が金を出すんでしょうけれども、こういうことをやっているんです。それをあなたは、久保田さんは調べてさしたる問題はないと。問題はありますよ。  その後、その次の議事録、これがさらに問題。五十六年八月二十八日です。やはり滝井さん、それから人事異動で今度福井部長が来たというので福井さんも一緒だ。福井修司部長と滝井前部長、それから小山さんの議事録。これは小山さんの筆跡のメモです。  これを見ますと、まず公団の中央本社、ここもいろいろ話が来ています。公団の三橋部長、平田 次長、一平米一万円の話が来ている。これは最終的には一平米九千円で坪三万円で売られたんですから。公団の本社には、どうもこれで見ると、一平米一万円の話が来ていたんですな、三橋部長、平田次長。  最後のページに驚くべきことが書いてあります。九州支社での協議を真正なものにし、政治加算があればその協議も九州でやればよい。政治加算です。政治加算。ただし平米九千円は政治加算込みだから、福井君が来ても同じ結論だろう。これは滝井前部長の、当時部長ですな。いいですか、平米九千円は政治加算込みだということを担当の部長が述べているんだから。その上にまた千円政治加算で一万円という話も出たんだが、結局平米九千円、政治加算込みだと。政治加算込みなんですよ。先ほど言った五億円なんというのも入っているかもしれない。で、福井部長が、三橋部長も平田部長もざっくばらんな人だから、話があったら必ず私たちに伝えるだろうし、意見交換しますから。ざっくばらんな本社の人がいっぱいいて、こういう政治加算込みなんかでも全然ざっくばらんに公団なりで話し合って九州支社なんかにも伝えるという事実がもう明白じゃありませんか。  こういうふうに、あなたが言っていた滝井部長自身が政治加算込みだということを認めている九千円であなた方は買ったんです、三十七億円で。こういう証拠が出ておるのをどう思いますか。
  225. 久保田誠三

    参考人久保田誠三君) 八月二十八日は東京で話し合いがなされたわけですが、当日の話の内容につきましては、前任者、後任者の予定であります公団のいわばいまで言えば両部長ですが、からの事情聴取をその後いたしたわけであります。  それによりますと、滝井前部長は新しく自分の後任に来る福井君を小山さんに紹介するということが趣旨であり、その前に小山さんから紹介してくれというような話があったため……
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それはいい。政治加算はどうなんです。
  227. 久保田誠三

    参考人久保田誠三君) これまでの交渉経緯や今後の取り扱い等について話題にしたものでありまして、その場合、先生がおっしゃる小山専務メモなるものについては、これは公団が知っているような、たとえば先ほどの四月八日の滝井君が判こを押したような、いわゆる四月八日の議事録みたいなものではございませんし、それについては公団は存知しないわけであります。彼らも存知しないと言っております。  その内容につきましては、公団の両部長から篤といろいろ私聞いてみたわけです。それによりますと、当日の会談の内容とは事実が相当相違する点がありますということでございました。たとえば、いま先生がおっしゃいました土地価格に関する政治加算というようなことがありますが、それは全くつくられた表現であるということで、そういうことは絶対に申してないと滝井は申しております。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この資料はだれもつくったものじゃなくて、珍しく手に入ったものです。普通こういうのはやみからやみに隠されちゃうんですよ。やみからやみに隠されるものが、今度の福岡の事件についてはかなりの資料が私のところに手に入った。やっぱり天網恢恢疎にして漏らさずというもので、氷山の一角なんです。こういう議事録を小山さんがその場で書いたメモがわれわれの手に入って——志村さん、ピストルの話はこの間しましたね。あのピストルでおどかして何とか隠そうとした資料なんです、これが。それがわれわれの手に入ってしまったんです。  だから、恐らく本人は、これは事実と違うとか、政治加算と言わなかったとか言うでしょう。それはそれを認めたら大変なことになるから否定するけれども、疑惑は明白に出ている。松田市長は二千万円もらったということになっておりますし、これと別の件で、観音浦問題では、今度知事選で落ちましたけれども、亀井さんの確認団体に三千万円入っているというので、もうすでに告発まで現地で行われているんですね。そういう非常に大きな事件になっておりますので——もう時間がありません、そこで委員長に私は、やっぱり公団に絡まる非常に重大な疑惑で、恐らくざっくばらんなこんな話をしているところを見ると、ここだけじゃないですよ。あちらこちらにこういうものがあって、公団は日常茶飯事にこういうことを平気でやっているようです。  ただ私は、救いがあったのは、秋山支社長というのは非常にりっぱでしたね。私の聞いた話でも、三十億円超えるんだったら私の首切ってからやってくれということを言われたそうなんです。そういうりっぱな人もいるんですな。ところがその秋山さんは、話によると左遷されて窓際族になっていまもうやめていると。悪いことをしたと私が糾弾している滝井さん、福井さんはどんどん昇進をしているということが現地では言われているんです。そういう疑惑まで持たれておりますので、私はやっぱり公団の体質をつく問題として事実を徹底的に究明したい。  滝井英晴、福井修司、秋山実、それから公団の本社の三橋部長、平田次長、当時。筑紫野市長松田正彦、林兼の専務のこのメモをつくった本人小山徹思朗、この七人の証人の喚問をしていただきたいので提起したいと思います。
  229. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ただいまの上田君の提起につきましては、理事会の方で協議をいたします。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間なんですけれども、氷山の一角でつかまれた筑紫野の十三万坪、企業と結びついて、恐らく金も動いて、一億八千万円から二億円金が動いたという証拠も入っているんですけれども、恐らく捜査の手も伸びると思いますが、やっぱり公団の幹部もどうもかんでいる疑いがあるんであります。  そういうことをやっておいて、他方では先ほど申しましたように、公営限度額方式についても答申に書かれているのに何らの見直しさえしないで平気で大幅値上げを押しつけてくると。さまざまな問題があると思うんですけれども、こういうやり方を私はそのまま見過ごすことは、国会としてもまた建設省としても当然すべきでない非常に重要な問題だと思うんです。  最後に建設大臣に、今度の申請については幾つかの問題があって、一つはまず金額問題。私は午前中申しましたように、少なくともその三割、平年度六十億円ですね、これはやはり公団がずさんな経営、今度のような腐敗問題まですっかりメスを入れてみずから生み出すべきだと。それと国が補助して、国と公団がこの六十億円については持つという形で値上げの減額をすべきだということが第一点。二番目には敷金問題。これは取りやめるべきだ。参議院、衆議院も五年前にやめろということを決めたわけですから当然これ従うべきだ。三番目に、時期も延期すべきだという問題。それから四番目は、先ほどから問題になっております自治協との協議です。  建設省は、どうも裁判を取りやめなければ定期協議に応ずべきでないという指導をしたのではないかというように私は思うんですね。公団と話し合ってみると常にそういうことを言われるので、建設省の反対を押し切ってああいうことを言われるような公団ではないと思うので、どうもそういう内面指導があったんじゃないかと思いますけれども、そういう内面指導みたいなことは今後一切おやめになって、法治国家ですからね、裁判されたらもう話し合い一切しないというそういうことではなくて、やはり裁判は裁判でこれは解決を図るし、定期協議というものはこれだけの問題が起きているときに当然するというような指導を建設省としてもしていただきたい。  以上、四点の問題が大きな問題としてあると思いますので、大臣のお答えをいただきたいと思います。
  231. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 最後に御提案になりました減額の問題、あるいは敷金の問題、実施時期の延期の問題、さらに自治協との話し合いの問題、いずれも最終段階で十分配慮して私も決断をいたしたいと、こう考えております。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  233. 志村清一

    参考人(志村清一君) 塔原地区につきまして調査をしろというお話がございましたので、調査をいたしました結果を述べさしていただきます。  当地区につきましては、昭和五十五年十一月筑紫野市から公団に開発の要請があり、また土地所有者である林兼商会から、同年十二月公団に土地譲渡の申し込みがありました。  公団は、その後一年余にわたりまして、当該地域の人口動態、宅地需給の見通し等を調査するとともに、経営採算、工事の難易、上下水道、交通等の開発に係る諸条件について慎重に検討を重ね、開発の見通しを得たものであります。  当地区の開発を公団で行うことを市が要請し、林兼商会が土地譲渡の申し込みをしたのは、関係者の話によれば、おおむね次のとおりであります。  すなわち、当地区について、林兼商会は、当初自社開発を考えたが、所有地の位置等から、単独開発はむずかしく、隣接の福岡県住宅供給公社所有地を含め、一体的な開発を検討しておりました。しかし、公社はこの共同開発に賛同せず、一方、地元筑紫野市は、公団による開発を希望し、公団に開発の要請を行ったものであります。  さて、土地取得に関する上田委員の御指摘の点について申し上げます。  まず第一に、当地区の土地価格はせいぜい坪二万円であるとの御指摘でございます。公団が、当地区で、林兼商会、福岡県住宅供給公社及び地元の地主個人から取得した土地の価格は、平均して坪約二万七千円であります。平米約八千二百円であります。しかし、この土地の中には、市街化区域に接し、粗造成の状況にある平たんな土地があり、その価格は、地区内では相対的に高くなっております。したがって、公団が取得した土地から、先ほど申し上げました平たんな土地を除いた山地の取得価格は、平均して坪約二万円、平米約六千円であります。  また、福岡県が高校用地を県公社から取得した価格と、公団がこれに隣接した土地を林兼商会等から取得した価格との関連につきましては、県が昭和五十五年二月に取得した高校用地の当時の現況は山地でありますので、昭和五十七年四月時点の公団の山地の取得価格は、高校用地の価格とほぼ均衡がとれたものと考えております。  なお、取得価格に関して、前九州支社長が平米六千八百円以上ではだめだと言ったような事実は、調査した結果では、ございません。  次に、昭和五十六年九月、すでに価格を決めていたのではないかという御指摘についてでありますが、そのような事実はありません。公団が土地を取得する場合の土地の価格については、鑑定評価を参考とし、審議会に対し、その意見を聞いた上で支社長が決定することとなっております。また、支社長が決めた後、さらに総裁の承認を得なければならないとされておりまして、総裁は、承認に当たっては、あらかじめ理事会の議を経ることになっております。  当地区の鑑定評価は、鑑定機関三者に依頼し、昭和五十六年九月三十日に報告を受けました。この鑑定評価を参考として、支社長は、五十七年三月三十日総裁の承認を得て、土地取得価格を決定したものでありまして、五十六年九月は、用地取得交渉の中間段階における下交渉中であり、取得価格を決定できる段階ではありません。  また、当地区の鑑定評価については、日本不動産研究所外二者に依頼しており、鑑定依頼に当たっては、担当部長が干渉した事実は一切ありません。公団の所要の手続により、あらかじめ現地において土地等を三者の鑑定機関に同時に確認させるなど、適正に行っております。  なお、不動産の鑑定評価に関する法律により、鑑定は、良心に従い誠実に評価を行うことを義務づけられており、当地区の日本不動産研究所外二者の鑑定評価は、適正になされたものと考えております。  次に、当地区に隣接する大佐野地区について、昭和五十五年坪一万円の土地買収の申し入れを公団が断ったとのことにつきまして申し述べます。  その地区は、昭和五十五年当時、公団が開発を予定して地権者と交渉していた地区と考えられますが、当地区は、塔原地区の北側に、県道を挟んで位置する太宰府市向佐野及び大佐野に所在する市街化区域内にある土地であります。この地区については、昭和五十年以来、地元地権者等と開発のための諸条件について折衝がありましたが、公団の事業を成立させるために必要な地主さんの数の同意が得られず、昭和五十六年三月当地区の開発を断念したものであります。  ちなみに、公団昭和五十三年八月正式に地元に提示した価格は、坪でありません、平方メートル約一万円、坪約三万三千円でありまして、地権者から坪一万円での申し入れは存知しないところであります。  以上をもちまして御報告を終わりますが、なお、塔原地区の土地取得に関しまして、九州支社及び本社において、先ほど平川メモというのをお示しいただきましたが、その平川さんと接触した事実はありません。ただ、平川メモにもございますように、昭和五十五年の十月六日に福岡県のある係長が、林兼商会からの依頼を受けたといって九州支社担当係長に話を持ち込んだ事実はありますが、それ以後は何ら某係長との接触もございませんし、いわゆるフィクサーとの接触はありません。
  234. 三治重信

    三治重信君 まず最初に、自治会の協議会からの資料と公団の方の御主張と非常に格差というのですか、違っておるわけなんです。  そこで、ひとつ確かめたいんですが、古い住宅におられる方は、家賃負担が、大体一五、六%を基準にしておるのだけれども、三%ぐらいの家賃負担になっている世帯相当あるというふうに書いてあるわけですね、資料には。ところが、この自治会の協議会の方の資料を見ると、世帯主の年齢が高年齢化をしている世帯が非常に多くて、年金世帯も非常にあって、とてもじゃないが、家賃値上げ負担できないのが第一分位、第二分位で四〇%もあるんだと。  そうすると、公団側の調査の方だと、非常に高い所得の人を基本に調査している。他方では、第一分位、第二分位という世帯が非常に多いのだという資料を出しておられるのですが、実態は、もちろん公団側は全戸数についてよく調査しておられると思うのですが、公団側は、その入居者所得調査というのはしっかり把握しておるんですか。それはどういうふうな調査をして、そういうふうな古い入居者所得調査というのは正確にできておるのかどうか。
  235. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 公団におきましては、五年ごとに定期調査を実施することにいたしております。  そこで、五十五年度に公団の居住者定期調査というのをやっておりまして、まずその調査によりますと、一期と申しますのは、昭和三十一年度から三十四年度までの方でございますが、その平均の収入といたしましては三十九万六千円余でございます。二期につきましては、昭和三十五年から三十九年に当たるわけでございますが、三十八万二千円余でございます。それから三期につきましては、四十年から四十四年でございまして、三十六万二千円余でございます。四期につきましては、四十五年から四十九年でございまして、三十二万三千円余でございます。五期につきましては、五十年から五十五年ということになりまして、二十八万二千円余でございまして、全体を平均してまいりますと三十万七千円余ということでございます。
  236. 三治重信

    三治重信君 そうすると、むしろ、何といいますか、結局古い住宅に住んでおられる人の方が平均的な所得は非常に多いということになるわけですよね。こちらの協議会の方の資料によると非常にそういう古いところほど、ことに三十年代に入居した団地では六十歳以上が一三・二%の年金世帯になっている。というふうにすると、おたくの方のそういういまの答弁と協議会の方の資料と非常に違うわけです。  私は、実態をよく知りませんから何とも言えま せんけれども、こういうようなお互いに資料の主張の仕方やなんかもこれからもひとつ話し合いというのか、いろいろ話してみないと、ずいぶん公団家賃の争いの問題のいろいろのPRの資料の問題でも、何か両方が自分の一方的な説明だけになるような気がするんだが、そういうようないわゆる基本的な資料を統一した話し合い、また一致した上で話し合いなり解決の問題点を見つけていかないと、資料でお互いに認識していることが違っているということは、やはり話し合い、またいろいろそういう世間一般に理解を求めるということについて非常に両方ともが不利なことになると思うんであります。  私は、労使関係の問題をずっと長くやっていたんですけれども、初めのときの労使の紛争が非常にかけ違うときには言い分が全然違っていた。ところがだんだん資料が、データが少なくなってくるというと、同じデータの上で議論をして賃上げなりのやつが労使話し合いができてくるわけです。だから非常に問答無用的なものがなくなってきているわけなんですね。  こういう公共施設の利用の問題については、ことに公団側の方はやはり利用者側がどういうことを考え、どういう資料でもっていろいろ世論に訴えておるかということについて注意をしておられるのか。また、そういう問題について、そういうことでなくして、おれの方の調査はこういうぐあいになっているんだから、そっちの方の調査とどうしてこんなに違うんだろうというふうな実態の話し合いという問題、話し合いというか資料の存在について意思統一ということが、若干の調査——調査というものはすればするほど若干ずつは違う結果が出てくるんだろうけれども、何かきょう聞いていても、そこの点が資料が非常に不統一というんですか、もとが余りにも違っておりはせぬかと思うんですが、そういうことについて公団側の方は検討されたことはございませんか。
  237. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 次に調査をいたします内容につきましては、現在外に発注をしておりますので、そういうこともひとつ検討してみたい、こういうように考えております。
  238. 三治重信

    三治重信君 調査をしたということは、せっかく調査のやつをお互いに同じデータの上で議論ができるようにぜひ持っていっていただきたいと思うんです。  それからもう一つ、五年前の家賃値上げのときのが裁判にかかっている、そして話し合いが実態的にいかない。さらにまた、この二回目の家賃値上げをやろうとするということになっておると、実際の家賃値上げ対象住宅の管理——維持、補修の管理はストップしちゃっているのか、それは予定どおりやっているのか。
  239. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 住宅の維持管理、補修等につきましては、五十三年度に家賃改定するまでにも実はもう当然に公団の既定予算で修繕費等がございまして、いわゆる通常の維持管理しなければならない修繕費、あるいはまたいわゆる外壁塗装等、あるいは屋根防水等いろんな計画的に修繕をしていくことなどにもずっと修繕費を使用いたしておりまして、昭和五十三年度の家賃改定を契機といたしまして修繕費等も相当に多額に入ってまいるというようなことでございますので、より一層計画修繕等の事業を伸ばしてきて今日に至っている状況でございます。
  240. 三治重信

    三治重信君 そうすると、協議会の方で各地で家賃値上げの反対の裁判にかけているから、それが解決しなければ維持、補修というものについては力を入れないと、家賃値上げを認めないと言うんならおまえら勝手にせいというふうに、そういう値上げ反対のところも別に区別なく一定の計画に基づいて大蔵省から毎年毎年努力しては維持修繕費をよけい取って、ずっと維持修繕やっていて、大体古家でも何でもやはり国の共通財産だから万全の維持管理、できるだけ耐用年数が長くなっていく、しかも居住の条件が悪くならぬように予算措置をとり実行している、こういうふうに理解をしていいわけなんですか。
  241. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) 先生の全くおっしゃられるとおりでございまして、私たち修繕を実施いたすにつきましては、まず日常点検等を団地等につきまして実施をいたすことになっております。  それからまた、修繕の必要個所等につきまして居住者の皆さん方からのクレーム等もございまして、それに対応するというようなことも実はございます。それから管理をやっていきます途中におきましても、古い建物等につきましてのいろんな劣化状況等も調査をいたしておりまして、そういうことからまず日常的に偶発的に生じますところの破損等の修繕を実施いたしております。それからまた、先ほど申し上げましたように外壁塗装とかあるいは給排水管の取りかえ等とか、そういうような事柄につきましても計画的に実は実施をいたしておりまして、それは今後ともなお実施を進めてまいりたいというように考えております。
  242. 三治重信

    三治重信君 そうすると、予算措置でやっているわけでしょう。ずっとここ十年なり、長いものは二十年というものにいわゆる修繕費の値上げというのが出ているわけでしょう。だから、そういう問題も一つ説明材料になるかと思うんだけれども、そういう修繕費の非常に値上げになっているんだということについては余り、もちろん家賃の原価の構成としてそういうものが必要なんだということはあっても、現実の公団側が使っておられる修繕費と、家賃をもしも据え置いていくならば家賃に非常に食い過ぎてしまうという問題なんかも説明材料になろうかと思うんです。  そういうことからいくと、おたくの方で説明する資料として、やはり新しい住宅について利子補給がつき、平均軽減額が六万円もあるんだと、六万円もあるのにさらに高い家賃が限度いっぱいになりそうだから、安い家賃のところを上げて一部新しい住宅家賃の低減化を図るんだというのは、いま住んでいる人にとってみれば、何で人の家賃を、補助金を自分たちで負担して出すみたいなかっこうになると思うんだが、事実そういう考えとすると、私は家賃値上げについての考え方は非常に理解しにくい問題じゃないかと思うんです。  いまの修繕費の問題は余り主張しないで、新しい家賃の抑制するばかりの方へもう六万円も補助していてもなお家賃が高くなってしようがないから、あなたたちは安い家賃に入っているんだから少し出せというふうな言い方になってしまっているような気がする。そのバランスがどうも説明聞いていてもわからぬのだけれどもね。
  243. 武田晋治

    参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  実は、この家賃改定考え方でございますが、先ほど先生おっしゃられますような修繕費が必要で実は家賃改定をしなきゃならないとか、それからいまの抑制額が必要だから家賃改定をしなければならないという考え方に実は立っているわけではございません。  実は、前々から御説明申し上げていますように、いわゆる新旧住宅公団住宅相互間に不均衡が生じておりますので、その不均衡是正を行いたいということが家賃改定目的でございます。その結果増収額が出てまいりまして、その増収額の使い方といたしまして、修繕費等がより一層多額になりまして執行することもできますし、それからまた、先生のお話にございましたように、新規賃貸住宅供給のために、中堅勤労者の一五、六%の負担率にしたいという希望もございまして、現下の国家財政等から考えてみます場合に、これ以上の財政負担等もお願いできないというようなことから、そういう面に使用さしていただくということでございます。  それからなお、家賃の予算額でございますが、これは家賃収入の見合いにおきまして、それに必要な家賃額が出てまいりますというようなことでございます。
  244. 三治重信

    三治重信君 だから、予算で親方日の丸で経営していると、結局コストの問題とか運営という問題についてはほっといて、新しい家賃均衡論とかそういう問題だけやってくる。だから、むしろいまの御説明の中の不均衡論というものが、これは原価主義ということだけでは僕は不均衡論とい うものは余り成り立たぬと思うんです。ずっといままで家賃の決め方が、かかっただけのものを負担してもらいますと。特に新しいやつはだんだん、実際問題として、月六万円も利子補給したりなんかして、原価主義どころじゃなくてやっちゃっているわけだ、高くなり過ぎちゃったために。そうすると、新しい年度ごとに建てる公団住宅については、私は、原価主義は放棄して、一般国民税金をどんどんつぎ込んでやっているというふうな理解に立っても悪くはないんじゃないかと思うんですよね。  そうすると、不均衡論という問題と原価主義という問題と、そういうものの関連が、御説明聞いていてもみんな理屈が一つずつ柱が全然別々の柱になってしまって、統一的な説明になっていないんじゃないか。まあなっていると思われるかもしれないけれども、こっちは非常に理解しにくい、この家賃値上げ理由について、というふうに感ずるんです。  そこで、いろいろ家賃値上げというのは、民間家賃というような問題をなぜ考慮するということが入らぬか。やはり経済状態全体のあれが非常に動いていくときに、実際、公団に住まわれる人でもみんな家賃負担というものはやはり時代の移り変わりとともに変わってきているわけなんで、その点を考慮してほしい。はいれた人はえらい安くいけるけれども、実際はいれぬ人で民間住宅に住んでおられる方はこういうふうな状態で非常に家賃が上がってきているんじゃないか。  そうすると、いわゆる公、民という言葉で、簡単に言えば。公の施設のやつはえらい安くなっていて、民間の方はえらい高くなっている。これは国鉄と逆になっているんだね。国鉄の運賃は、国鉄が何と申しますか、運賃を非常高くしちゃって、民営の運賃の方が安くなっている。これは民営の努力が非常によくて運賃が安く抑えられているんだと、こういうふうになっているわけです。  ところが公団の方は、今度は逆に民間よりかは安く抑えられていて、民間の方の家賃がどんどん上がっている。そうすると、民間家賃よりか低く低くと一生懸命公団は努力しているんだけれども、公団住宅住宅供給目標が非常に違っているということをおっしゃるかもしれぬけれども、やはりそこは時代の変化とともに、国家財政がいいときにはいいですよ。いいけれども、やはり国民税金を何と申しますか、どういうふうに使うかという効用の問題になってくると、やはり公団住宅家賃というものは低いだけがいいのじゃなくて、そこに国の資金なり税金で使われた資金が入っているんだから、だからそれに対して民間の同じ状態の住宅との均衡が余りにもアンバランスというのは、やはり国費のむだ遣いと言われやせぬかというような問題も考慮に——やれというわけじゃないですよ、そういう問題も説明の中に入るのが僕は至当だと思うんです。  この整備公団——いいとか悪いとか言うんじゃないですよ。公団側に立って見ると、そういう説得の方のが、国鉄と民鉄との運賃の値上げの率を考えてみても、国鉄の方は赤字だ赤字だと言うから大蔵省の方がどんどん上げろ上げろと言って上げさしている。ところが、おたくの方も赤字になってきたから、上げろと言うから、先ほどから午前中にもあったみたいに、社説でも住宅公団も赤字になってきたからその赤字の穴埋めに安い家賃のところを逐次上げようとしているんじゃないかという疑問がある。  ところが、おたくの方は全然そんな赤字のことなんか見ようなんという家賃じゃ絶対ありませんと言うなら、言う説明がなけりゃおかしいと思うような気がするんですよね。そんな別の、公団住宅家賃公団住宅の運営、経営の部面とほかの事業とは、ほかの事業から出た赤字は見ないというやつについても必要だと思うんですよね。そういうことについて全然必要ない……、事実各新聞がそう書いているときに、マスコミがやっていることは、全然そんなものは勝手に言っておれというんじゃおかしいんじゃないかと思うんですよね。  そういう新聞の論調が、住宅公団は非常に赤字がどんどん拡張している。そういうようなときに家賃値上げというと、これは世論、通りやすいと思うんですよ。そんならそれで、こっちは絶対そんなことはないんだ、公団の赤字はこういう原因でなっているんだという説明があってしかるべきだ。家賃値上げとは別だということをおっしゃっているわけですわな。別だとおっしゃっているけれども、そういう赤字経営に対する、赤字経営と家賃とのやつについての説明の態勢というものは、どうも今度の家賃改定については余り出ていないんじゃないですか。
  245. 志村清一

    参考人(志村清一君) いろいろお話がございましたが、率直に言って、ただいまのところでは、民間で適当なところに土地を買って貸し家を建てるということは不可能でございます。非常に高い家賃になるわけでございます。たまたま土地を持っておって、そしてその上に家を建てる。土地代は余り勘定しないという経営ですならば成り立ちますが、土地を新たに買って建物を建てるということはできません。  そういう事態で、賃貸住宅等が非常に不足していることは事実でございますので、公団がその任務を負っているわけでございますが、公団は全部借金で建てております。しかし、借金で金利が相当政府の資金とかいろいろお願いしておりますが、それでも結構高い。ただいま七分三厘ぐらいでございますが、それではとても家賃が安くできない。家賃は大体中堅階層の一五、六%にしたいということで、利子補給金も五十七年度から一%をさらに下げまして、四ないし三・五%で、しかも七十年間で考えていくというふうな政策的な配慮をしているわけでございます。  まあ中堅階層の所得に対して一五、六%を目安にして私どもやっているわけですが、古い住宅につきましても実はその当時における中堅階層の所得の一五、六%を目標にしてやっていたわけです。でございますから、当時一五、六%の家賃を払うのはなかなか大変だったという方もいらっしやるかもしれません。しかし、現在の時点で見ますと、中堅階層の所得の三%台とか四%台とかいうふうな家賃になっているわけでございます。私は、政府施策住宅でございますから、安ければ安いほどいいとは思いますが、やはり限度があるということで、このたびの不均衡問題を盾にいたしまして家賃の見直しを申請をいたした、かような次第でございます。
  246. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 以上をもちまして質疑は終了いたしますが、本件についての当委員会要望事項が協議されましたので、この際、私から次の九項目について建設大臣に対し要望いたします。  一、政府は、住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅供給と高家賃の引下げに努めるとともに、住宅基本法の制定と家賃体系の確立を図ること。その間、公団の現行家賃制度を逸脱しないこと。  二、政府及び公団は、長期未利用地及び空家、民営賃貸用特定分譲住宅の償還延滞等を解消し、公団の経営改善を速やかに図ること。  三、公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。  四、公団は、入居者と日常的に意思の疎通を図り、既存住宅の居住性向上のため、適切な基準を定め、修繕及び環境改善を促進するとともに、値上げ増収分については極力修繕等に使用すること。  五、敷金追加徴収については、過去の経緯等をふまえ、取り止めること。  六、値上げに際しては、激変緩和措置を講ずるとともに、生活保護世帯及びこれに準ずる老人、母子、身障者世帯等で生活に困窮する世帯に対する特別措置について特段の配慮を行うこと。  七、公団は、家賃改定の周知徹底と相互理解を深めるため、入居者に対し積極的な努力を 行うこと。  八、建設大臣は、公団入居者との間の係争中の問題について、早期に解決を図るよう努力すること。  九、建設大臣は、家賃改定の実施時期については延期するよう措置すること。  以上であります。  建設大臣は、ただいまの事項について十分留意の上対処されるよう要望いたします。
  247. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 公団住宅家賃改定につきましては、本年三月十八日公団から申請が提出されて以来、各方面の御意見を伺いつつ慎重に検討を重ねているところでございます。  ただいま建設委員長からこの件に関し御要望がありましたが、私といたしましては、御要望の趣旨を十分尊重するとともに、委員会における御意見参考とさせていただき、最終的な判断を行いたいと考えております。
  248. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会