○鶴岡洋君 いまの総裁のおっしゃった新陳代謝の配慮であるとか、それから世間の御批判を受けないように配慮をしているとか、またそのほかに
憲法に保障する職業選択の自由、それから勤労の権利、また、個人にとっては生活権もかかっているわけですから、そういうことは私は重々承知でいるつもりでおります。しかし、現実に見るとこの天下り問題が、後で話しますけれ
ども、非常に意に沿わない、だれが見ても批判を受けても差し支えないような中身になっているわけです。したがって、きょうお伺いするわけですけれ
ども。
続いて
大蔵省の方ですけれ
ども、
大蔵省の五十二件の就職先を見ますと、銀行が五件、それから相互銀行が一件、信用金庫が二十四件、証券会社が六件、その他十六、こういうふうになっております。このその他の会社は倉庫業であるとか、それから商社など貿易
関係が多く、主に税関
関係の人が行っているようでございます。一番多いのはやはり金融
関係で、民間金融機関への天下りは五十二件中三十件、こういうふうになっているわけです。
そこで、人事院の承認の理由を見ると、たとえば信用金庫の場合ですが、離職前五年間に在職した官職は「同金庫に関する
事項を
所管しなかったこと。」と、こういうのがあるわけです。同金庫に関する
事項を
所管しなかったということになると、極端に言えば、そのものずばりでなければ何でもいい、こういうことになるわけです。人事院は、在職中に本人が当該企業に関する
事項や契約
関係事項を
所管していなかったことを承認の理由にこういうふうに挙げているわけです。私は、この点ちょっと理解できないんですけれ
ども。これでは逆に、いま言いましたように、当面直接的な
関係のあるところへ就職するのでなければ、極端ですけれ
ども、すべてフリーパス、こういうふうになってしまうわけです。
人事院の
報告書を見ると、財務局から信用金庫へというのが天下りの一つのコースになっているように見受けられます。さらに郵政省の場合はどうなっているかというと、二十人のうち電波
関係は、大体テレビかFM放送
関係に就職している。テレビ三人、FM放送が三人。そのFM放送の常務取締というのもあります。郵便
関係は郵便逓送会社とか郵便物輸送会社、こういうふうになっているわけです。
銀行業務に監査権を持つ
大蔵省から信用金庫にとか、それから国税庁から酒造会社、それから郵政省からテレビ放送
関係に天下るというのは、どう見ても、だれが見ても、在職中の職権といわゆる密接なつながりがある。この密接という、まあ国語の時間じゃありませんけれ
ども、解釈の仕方ですけれ
ども、明らかであるということは、私は国民の立場から本当に納得いかないわけなんです。
出身官庁が許認可権を持つ、いわゆる民間企業への再就職について、人事院としてこの二点をどう
認識しておられるのか。これは見解の相違かもしれませんけれ
ども、私から言わせれば、こんなことなら、極端かもしれませんけれ
ども、人事院のチェック
機能がなくてもいいんじゃないか、極端に言えばですよ。こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんけれ
ども、こういうことになると理屈をつける機関になってしまっているんじゃないか、こういうふうにも思わざるを得ないわけです。
この点について、もう少し国民が納得のできるような、先ほど総裁のおっしゃった批判を受けないような、理屈が通る、いわゆる道理にかなう、こういう制度に変えていくような何か方法はないのかどうなのか、また、そういう方法は全然
検討しておられないのかどうなのか。
先ほど言いましたように、たとえば名前挙げませんけれ
ども、「営利企業への就職の承認に関する年次
報告書」、これはたくさんあります。この中で一、二、先ほど申しましたように、たとえば承認の理由の中で、関東農政局、まあ関東農政局ならば関東一円ということですけれ
ども、その中で幾つか理由がありますけれ
ども、「当該契約額の同社の売上高に占める比率が極めて低かったこと。」と、こういう理由が理由になっていわゆる就職をしている。しかも、ゾーンは大体同じゾーンである。
それと、
大蔵省の方ですけれ
ども、東北財務局の例ですけれ
ども、東北財務局からある信用金庫のいわゆる常務理事になっている。それで東北財務局ですから東北六県と、それで就職先のその信用金庫というのは秋田であると。これは秋田県というのは東北ですよね。しかも、その理由に、「同金庫に関する
事項を
所管しなかったこと。」、こういう理由になっておるわけです。だから、ちょっと申しましたけれ
ども、同金庫そのものでなければいいと、こういうふうに解釈せざるを得ないわけです。そういったことで世間の批判は非常に厳しいわけです。一番最初に申しましたように、何回もこの問題出ているわけですから、この点について
人事院総裁として何かこの制度をいい方向に、批判を浴びない、また納得のいく、道理のかなった制度に変えていくつもりはないのかどうなのか、いかがですか。