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塚田十一郎君 非常に貴重な
決算委員会の時間を、与党の私の立場として八十分ほ
ども割いていただいて非常に感謝をいたしておるわけであります。
きょうお尋ねしたいのは、ほとんど
国税庁所管の事柄に限ります。ただ、若干波及して主税
局長、それから証券
局長にお尋ねしたいことがあります。
実は、私は徴税行政というものは、自分自身も職業の
関係もあって、現実の事務にも携わり、相当長い期間見ておる。徴税の問題については、
納税者の側には何とかして脱税をしたいという強い志向があり、それをよく克服して、よく税金を取っていただくという感じが全体としては私は徴税
行政については持っておるんであります。ただその裏に、まあこれだけ専門家の人たちがおやりになるのだし、問題は国民の権利、義務に関する財産権の取られるか取られないかに関する大事な問題だから、まさか徴税側に過ちはないだろうなという漠然たる気持ちでもって今日まで私は対処してまいりました。ところが、ここ四、五年の間に私が現実に扱わしていただいた事件を見て、残念ながらそうはいっていない。それで一度はこれは
決算委員会の機会に
大臣、
国税庁長官並びに
関係の方々にお集まりいただいて、現実にこういうこともございますよということを事実をもって
指摘して御注意を促しておきたい。私は、わずか扱っている問題の中にこれだけ問題があるとすると、相当私は全国的にあるのではないかという残念ながら推測を持たざるを得ない。ところが、私が扱っている事件でもこういう事件は
納税者の側、国民の側からは非常に扱いにくい、主張しにくい、ほとんど泣き寝入りになる、こういうケースであります。それが私が最近になって事実をもってつかんだ実情であります。
きょうは、実は三つの問題をお尋ねしたいと思って用意してきておるんでありますけれ
ども、何にしましても時間が八十分ということでありますので、他の二つの問題はごく概略の御説明を申し上げて御一考を願うということにいたしたいと思う。
一つは、ここにありますこれは、関信越国税局が新潟の某金融業者について行った査察の件であります。これは、私が告発になった
段階で事件に弁護士として関与している。だんだんと調べてみますと、金融業者で手形割引を主にしておったんで、恐らく査察官の方も調べるには相当な困難をされたと思うんです。しかし幸いに本人の協力、それから
関係金融機関の協力があって扱われた件数だけは大体わかっている。何月何日に幾らの手形を割り引いたと、何月何日というのはわからないんです。幾らの手形を割り引いて、その手形が何日何日に決済されたという記録だけは、これは金融機関側からあったんです。ところが脱税額を判定をしますのには、それでは手形の金額と決済日だけわかったってどうにもなりませんので、そんなことは申し上げぬでも。結局利率が幾らだったか、割り引いた期間が何日かということ、これの調べようがないのですね。やむを得ず割引を受けた相手方から聞き出す
方法がとられたのです。それが反面調査という
方法でなされておるのですが、大体反面調査によった部分が全体の九四%ぐらいになっている。したがって、大体反面調査で、つまり割り引いてもらった人の話を聞いて脱税額を決定されたと、こういうことだと思うんです。それは、それで私は
一つの調査
方法ですから結構だと思うんです。問題はその割り引いてもらった人間から
答申書というものがとられたのですね。何月何日、私はこういう手形を幾らで割り引いて何日間と、そういうことの記録をした
答申書を割り引いた人からとられた。法廷においてその割り引いてもらった人たちの約六人か七人が証人に呼ばれまして、――私は全部の人を証人に呼びたいと言ったのですけれ
ども、裁判官が同じことですからまあこの辺にしておいてくださいと、余り暇が要るからというので。ところが呼んだ証人は全部
答申書の主要な部分、この手形の利率及び割り引いた期間が私が書いたのではないのだと言うのです。だれが書いたのだと言ったら、それは査察官が、税務署の人が書いて持ってきて、われわれが調べたらこのとおりだから間違いないからこのとおり書いて出しなさいと言って。したがって、それはそう言われるから。この
答申書に真実性がありますか。一種の文書偽造です。
ところが、私がその
答申書によって向こうが認定したある事件に
一つの問題を二つに扱った事件があった。これはもうもとのところの証拠を見ればわかるんですから、これは重複ではありませんかと法廷で尋ねた。そうしたらば、査察官がその
答申書を見て、
答申書にそのとおり書いてありますからと、こういう答弁をした。あにはからんやその
答申書は自分がつくって、そうして本人、
答申者に書かせて出さしたんです。残念ながら私も正確には、それではどうなるのか、自分で
数字の計算ができませんのでそれ以上は争わなかった。しかし、よくここ長官も
大臣も聞いておいてくださいよ。証人は法廷に出てくるときは、御承知のように宣誓をしております。事実を述べると宣誓をしております。その人間が、これは私が書いたんじゃありません、税務署の役人が書いて、こう書けと言って、だから出したんですと言ったのを裁判は全然取り上げませんでしたね。私はちょっとこれは意外だったけれ
ども、まあそれは裁判のことはきょうは……。その問題が
一つあるんです。
いま
一つ、これは東京局のつい最近の査察。五十五年中にある人が株の売買で三億ぐらいの
利益を上げました。五十五年中ですから五十六年の三月十五日までに
申告するはずです。
申告するかしないかを待ち構えていたように、
申告しなかったらば、五月の二十六日に査察が入った。私はちょっと意外だった。こんな事件は調査か特別調査でまず調べる。てんから査察が入っている。査察が入るということは、皆さん方も御承知のように、次の
段階は告発ですから、この事件も結局三千八百万円の罰金を取られた。ところが、公判廷の記録を見ますと、何遍も本人が、取り扱ってくれた証券業者、名前を申し上げておきます、黒川木徳証券八日市場支店、大和燈券千葉支店、これが扱った。当時、御承知のように、加藤誠備事件という問題があって、必ずこれはばれると、
申告した方がいいんじゃないかと、本人が、扱ってくれた両証券業者に
申告した方がいいんじゃないかと何遍も問いただしても、絶対ばれないから
申告はやめなさいと言ってとうとう
申告させなかった。それが三月十五日を過ぎて五月の二十六日に査察が入った。これなんかもうけた額よりも、本税、過少
申告加算税、重加算税、地方税、罰金。しかもこういう事件はその翌年は必ず損をするんです。この事件の該当者も大変な欠損をしております。しかしそれはきょうは、その点について一体証券業者がそういう指示をしていいのかどうなのか。しかもあれ、満額、二十万株ですか、それを超えると必ず架空の名前もしくは実在の他人の名前を出しなさいと言って証券業者が勧めてくる。この場合には、ですから本人にはほとんどその査察になって罰金を取られるような犯意は私はないと思うんです。あれは私は査察と調査――特別調査と普通の調査とおのずから区別があってやられているんじゃないかと思うが、そうではないんですかね。まあしかしこの点はきょうはもう時間がありませんからその辺で。
最後の問題です。
これはこの間たまたま
大蔵委員会で問題を
指摘をしておきましたので皆さんは御存じかと思いますが、
大臣もわかっていただいておりますね。長官、あのときは欠席でしたが、おわかりですな。
結局、二枚の大津税務署長が
執行した更正決定通知書。更正の期日はいずれも
昭和五十四年五月十一日、減額更正でした。減額を受けた人は大津市大江三丁目一四ー二七井上宗次、大津市一里山三丁目一四ー二六井上健二郎、これは兄弟であって親の財産を相続をして二分の一ずつの共有という
関係になっておる。更正を受けた額、つまり税金を減らしてもらった額は井上宗次が二百五十二万九千六百円、井上健二郎が二百五十六万三千七百円、二人合わせると五百九万三千三百円ということになっておるんですが、まず最初に、これは事実かどうかをひとつ
お答えいただきたい。