運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-02-10 第98回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年二月十日(木曜日)    午前十一時四分開会     ─────────────    委員異動  二月九日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     安武 洋子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 四郎君     理 事                 井上  裕君                 内藤  健君                 降矢 敬雄君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君     委 員                大河原太一郎君                 岡部 三郎君                 河本嘉久蔵君                 竹内  潔君                 塚田十一郎君                 仲川 幸男君                 福岡日出麿君                 福田 宏一君                 森山 眞弓君                茜ケ久保重光君                 鈴木 和美君                 本岡 昭次君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 中山 千夏君                 森田 重郎君    国務大臣        建 設 大 臣  内海 英男君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  加藤 六月君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     楢崎 泰昌君        国土庁長官官房        長        宮繁  護君        国土庁長官官房        審議官      荒井 紀雄君        国土庁長官官房        会計課長     金湖 恒隆君        国土庁土地局長  小笠原正男君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        建設省計画局長  永田 良雄君        建設省都市局長  加瀬 正蔵君        建設省河川局長  川本 正知君        建設省道路局長  沓掛 哲男君        建設省住宅局長  松谷蒼一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   上谷 勝徳君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部施        設課長      廣田 良輔君        運輸省航空局飛        行場部環境対策        第二課長     山下 哲郎君        会計検査院事務        総局第三局長   坂上 剛之君    参考人        住宅金融公庫総        裁        大津留 温君        北海道東北開発        公庫総裁     新保 實生君        阪神高速道路公        団理事      寺田 久彌君        住宅都市整備        公団総裁     志村 清一君        住宅都市整備        公団理事     救仁郷 斉君        住宅都市整備        公団理事     武田 晋治君        住宅都市整備        公団理事     吉岡 昭雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十四年度政府関係機関決算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十四年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十五年度政府関係機関決算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨九日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。     ─────────────
  3. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省国土庁北海道開発庁住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 本岡昭次

    本岡昭次君 きょうは、建設省関係国土庁関係でございますので、住宅問題、道路問題の二点について質問いたします。  まず、住宅問題ですが、昨年四月十四日の当決算委員会においても私は住宅問題を取り上げましたので、その関連からまず伺ってまいります。  そのときの問題になりましたのが、住宅都市整備公団が保有している長期利用土地として会計検査院から指摘された二十一カ所、さらに、長期ではないけれども、未利用地として百八十七カ所が全国に点在している、これを早く解決しなければならない、こうした観点で質問をいたしました。建設省の担当あるいは大臣の方からも、これ は非常に問題があるので、早期にこの有効利用について解決を図りたい、こうした答弁がありました。そこで、その後この問題がどのように進展しているか、概略御報告をいただきたいと思います。
  8. 内海英男

    国務大臣内海英男君) お答えいたします。  長期保有土地の問題につきましては、その解決を図るため、昭和五十六年三月、建設省公団住宅等事業促進対策委員会を設置いたしまして、個別地区ことに関連公共施設整備促進等具体的な対策を講ずることといたしまして、公団指示をいたしたところでございます。公団側といたしましても、この指示を受けて対策を進めて、逐次事業の進捗を図っておるところでございます。  建設省といたしましても、今後この事業推進に力を入れて公団指示して指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、具体的に私も先ほど数字を挙げました長期利用地にしぼって言いますと、二十一カ所あったと指摘されております。その二十一カ所が、それでは具体的にどのように現在解決に向かって進展しているか御報告いただきたい。
  10. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 昭和五十年度の会計検査院決算報告におきまして、いわゆる長期保有土地として二十二地区千五百八十九ヘクタールが指摘されたわけでございます。当時から、建設省の御指導のもとに、公団におきましても経営改善推進本部を設けまして、その早期解決努力したわけでございますが、五十五年度におきます決算検査報告におきまして、それまでに二十二地区のうち十一地区解決いたしましたが、十一地区がまだ完全に解決に至っていないということで、それを含めまして二十一地区千三百二十九ヘクタールの御指摘を受けたわけでございます。  そこで、ただいま大臣からお話がございましたように、建設省でも公団住宅等事業促進対策委員会を設けていただきました。その御指導のもとに、市街化区域の編入、関連公共施設整備促進、あるいは住宅建設用地宅地分譲用地に切りかえるとか、あるいは住宅以外の学校とか公園とか、あるいは工業用地とかいうように切りかえるというような、そういった仕分けをいたしまして、個別にその対策を現在までとってきております。  その結果、現在まで鳴滝、美原の二地区につきましては、学校用地及び工業用地として処分が終わっております。残る十九地区のうち、関連公共事業に、本体工事にはまだ着手しておりませんが、関連公共河川改修あるいは取りつけ道路建設ということに、もうすでに事業着手しているものもございますが、それを含めまして、本年度中には、十地区につきましては関連公共事業あるいは本体工事に着手できる見通しでございます。それから残りが八地区でございます。八地区のうち四地区につきましては、公共団体との間で基本的な開発方針が決まりまして、具体的な実施計画についていろいろ御相談をしているという段階でございます。残りの四地区が、まだそういった残念ながら基本的な開発方針というものを調整している段階でございまして、私どもといたしましては、できるだけ具体的に対策を検討いたしまして、いろんな公共団体等との調整を終えまして、できるだけ早くこの解決に当たりたいというように考えております。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 長期保有土地がいろんな形で解決されていくのは、それはそれでいいと思います。しかしいまの説明によりますと、まず高校用地として処分したとか工場用地として処分したとか、あるいはまた公共団体といろいろその処分について話し合っている。処分するというそのことは、またその結果、本来住宅を建てるべく購入した土地がそういう形で処分されていく、そのことをどうも私は余り釈然といたしません。ただ、ここでその問題に深く入っていく時間がありませんので、二、三その点についてお伺いします。  その高校用地あるいは工場用地、あるいはまたさまざまな公共事業体に別途目的にそれを使用させるために処分するという場合に、その土地の売価というのはどういうふうにされているのですか。
  12. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 原則といたしまして、私ども用地処分します場合には時価処分ということになっております。そういった観点で、時価でお譲りするということが原則になっております。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、十二、三は進行中、さらに残りの八つのうち四つは目途がつきつつあると、こういうことですが、その解決の方法が、全体を見て住宅建設という方向解決されていく割合と、他の目的に供するために公共事業に、あるいはまた自治体に、あるいはまた工場用地として民間に売却する、その比率はどのような比率になっていますか。
  14. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ただいま御報告申し上げました二地区につきましては、これは全部が住宅でなくて、そういった他用途に変換するというようなことでございます。残りのものにつきましては、私どもは少なくとも住宅建設中心開発していきたいと。当然、住宅建設を行いますと学校も必要でございますし、道路も必要でございますし、そういうものには当然一部分転用されるわけでございますが、基本的には住宅開発中心に私ども開発すべく、いろいろ公共団体と調整しているところでございます。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 高校用地あるいはまた工場等に転用することは、それぞれの目的としては意味があったとしても、住宅都市整備公団として保有している土地目的からいえば私はうまくない、間違いだ。もともと住宅になり得ないところの土地を購入したと、結局その結果がこういう形になってあらわれている、こういうふうに考えざるを得ないわけで、そうした問題点についての責任所在というものは一つ一つ明らかにしていかなければ、長期保有土地がなくなればいい、あるいはまた必要なコストがその土地を売ることによって返ってくればいい、そういう簡単なことではない。そういうところにこの公社としての一つ責任所在というものがある。そこが一般民間と違った、特殊な目的を持った一つ仕事をしている公団という性格のゆえんがある、私はこのように考えているんですが、こういう処分の仕方を大臣はどうお思いになりますか。
  16. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘の点はまことにごもっともだと私も感じております。したがいまして、御指摘の趣旨を踏まえまして、今後できるだけ住宅建設という所期の目的に合致した方向で、未利用地の活用を図っていくように指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 ぜひそういうふうにお願いをしたいと思います。  それから次に、住宅空き家について伺います。  五十五年度末で空き家が三万四千八百四十九戸と当時報告をされていましたが、この問題につきましても、当時建設大臣が「大変申しわけのない失態でございます」、「政府住宅政策の根本の過ちにつながっておるという御指摘に対しましても、素直に反省をいたしまして、今後この種の過ちを繰り返さないように十分に配慮してまいりたいと、かように存じております。」という答弁も昨年の決算委員会でありました。  そこで、この三万四千八百四十九戸という空き家が、その後どのようになったか。  あるいはまた、管理が始まったその住宅に対して入居者がなく、新たな新築空き家という現象も生じていくことが想像されます。そこで五十六年度末では空き家は何戸になっておりますか。
  18. 武田晋治

    参考人武田晋治君) お答え申し上げます。  五十五年度に問題になりました新築空き家につきましては賃貸住宅が二千八百三十九戸、分譲住宅が三千九百六十二戸で、合わせまして六千八百一戸、それから保守管理住宅につきましては一万八千四百四十四戸ということで、合わせますと二万五千二百四十五戸という数字になります。  それが五十六年度につきまして、先ほどお話にもございましたように、建設省におきますところの公団住宅等事業促進対策委員会指示を受けまして、公団役職員挙げまして未入居住宅等解消努力をした結果、五十六年度末におきましては賃貸住宅千四百七戸、分譲住宅五千百三十四戸、保守管理住宅一万二千五百六十八戸、合わせまして一万九千百九戸というような形に減少をいたしております。この数字につきましては決して十分なものではないというように理解をしておりまして、今後ともなお新築空き家解消等努力をしていきたいというように考えております。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 空き家関係改善していくことは結構でございますが、それでは具体的に兵庫県下の保守管理団地がたくさんありますが、そのうちの一つについてお伺いしてみます。  神戸市の北区に花山東団地というのがありまして、その中の五百六十四戸が保守管理団地として長期にわたって入居者がないという状況になっておりますが、この問題は今後どのように解決されていきますか。
  20. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 花山東団地につきましては、先生の御指摘のように、長期保守管理というようなかっこうで保有していることは、まことに申しわけないというように考えております。ここの住宅の、団地のいわゆる入居者が非常に少ないという問題点、いろいろございますが、基本的にはやはり北神戸電鉄の沿線に非常に大量の賃貸住宅供給があったということ、ストックがあるということ、それから私どもがこの当時建設しましたここの住宅がほとんど二DK、一DK中心でございます。三DKは全体の中の約二割程度しかございません。したがいまして、そういったことで二DK、一DK入居が非常に悪いということ。それからもう一点は、駅から非常に至近の距離にあるわけでございますが、これが山の上にこざいまして相当な坂道を上っていかなければならないというような問題がございます。したがいまして、私どもそういった問題を踏まえまして、現在、駅の駅前から山の上に斜めに上がるエレベーターを設置するように現在計画しておりまして、これが来年の二月から運行を開始する予定でございます。その間そういった交通といいますか、坂道を上がるためにその間につきましてはつなぎで私どもでバスを運行していきたいというように考えております。  そのほか、先ほど申し上げましたが、どうしてもここは二DK、一DKという小さい住宅が非常に多いということが大きな問題でございまして、現在私どもはこの二DK等につきまして二戸を一戸に改造しまして、大型の賃貸住宅に改造して、来年度から供給していきたいということで現在設計を進めているところでございます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうしますと、保守管理をしていく状況というのは、六十年度には入居者があっていわゆる保守管理状況はその時点で終わる、こういう見通しでいま進められておるんですか。
  22. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 私ども少なくとも五十九年度中にはここは全部お入りいただくという方針で、方向で検討しております。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま公団のおっしゃっていることは初めからわかっているわけでして、その保守管理されている五百六十四戸の住宅山の上ににわかにできたわけでもなく、初めから山にそれをつくり、交通の便も、地域開発状況もはっきりわかった上でこうした団地を建てて、六年も七年も保守管理としてこれを放棄していく。地元の人たちはその公団を見るたびに、住宅都市整備公団のお役所仕事、何ともったいないことをするものだということで、冷ややかにその住宅そのものをながめているというのが状況なんですね。だから、これからエレベーターをつけて、あるいはまた二戸を一戸にする、そうしたことはこの住宅建設し、そこに地域住民あるいは神戸市民入居という条件を整えるために最初から考えなければならないことを、あなた方がただ戸数だけを建てればいい、こういう立場に立ってやった結果だと私は思っております。だから、六年も七年も保守管理をして、まあ五十九年か六十年に入ればい——私はそれもむずかしかろうといまでは思っております。  こうしたお役所仕事の後追い的なやり方、どうしてもがまんがならないのです。会計検査院から指摘され、行政管理庁から監察を受け、そうしないと動かない。先ほど空き家については漸次改善されていると報告がありました。しかし、これとても会計検査院が厳しく報告し、それぞれの委員会指摘されなければ、果たしてこういう状態になっていたかどうかという点については私は非常に疑問を持ちます。  そういう意味で、今後の問題は早急に改善してもらわなければなりませんが、それはそれなりの、内部になぜこのようになったかという責任というものの所在をはっきり私はさせてもらわなければ、ただ結果がうまくいっているからそれでいいというわけには済まされないという気持ちを持っております。建設大臣いかがですか、そうした事柄について。
  24. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のとおりのことであろうと思います。  したがいまして、公団におきましては、私も先日の新聞で拝見したわけでございますが、公団総裁を初め幹部が街頭に出て、みずから未利用住宅といいますか空き家問題の解決のためにいろいろPRを積極的に街頭でやるというような姿勢になってきたということも、御指摘のような事態から、反省の上に立ってそういう直接行動で住民に訴えていく、積極的な、お役所仕事じゃない民間のペースに見合ったようなサービス街頭でまで行おうというところになったということは、私はある意味においては非常な成果であったんではないか。今後そういった姿勢を持って公的住宅供給といった意味努力していけば、いずれこの問題も解決をするんではないかと私どもは期待をいたしておるところでございます。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 街頭へ出て役職員がPRされる、それはそれなりの効果としてあると思いますが、しかしそれは私は基本でないと思っています。それが証拠に、また五十六年度も会計検査院によって、今度は民営賃貸用特定分譲住宅の問題がまた指摘をされております。結局のところこれ会計検査院が入って、次々と公団の中の詳しい経理等業務状態を調べない限り、公団業務の怠慢というふうな状況が明らかにされないわけなんですね。私たちはそのたびにそれを指摘する、するとそれを直す。これはいまおっしゃったように街頭に出て総裁なりみんながサービスに努めたからといって直る問題ではない、別のところに私はこの問題を惹起する本質がある、こう考えているんです。それは後でそのうちの一つの原因ではないかと思うことについては論議をさせていただきます。  その前に、民営賃貸用特定分譲住宅、いわゆる民賃制度と言われているものの概要についてお伺いをいたします。  それで、まず公団の方に民賃制度内容をずっとお伺いすればいいんですが、時間もありません、そしてまた重複することも避けて、これを検査をされた会計検査院の方からその概要をここで御報告いただいて、それに基づいて内容の問題を詰めていきたい、こう思いますので、会計検査院の方でひとつ内容についてここで簡単に御報告を願いたいと思います。
  26. 坂上剛之

    説明員坂上剛之君) 私ども昭和五十六年度決算検査報告是正改善処置を要求する事項といたしまして、公団民賃住宅割賦金滞納について指摘をいたしました。  御案内のとおり、民賃制度と申しますのは、これは土地所有者土地を提供させ、それに公団住宅を建てまして、それを土地所有者に譲渡いたします。それで譲渡された土地所有者は、その貸し家経営によりまして家賃収入を上げ、そのうちから割賦金の返済をするというのがこのシステムでございます。  その内容を見ますと、その割賦金の支払いの滞納が十二回以上に上がっておるというものが、ここに書きましたとおり約六十億円何がしかございました。  そのよって来った内容を見ますと、土地を持っておられる方が貸し家を建てたいというようなことを公団に申し出る際のその審査ですね、果たしてその人に貸し家経営をする能力があるのか、それから十分に貸し家収入を上げていって、それから割賦金を返済されることができるのか、そういう面におきまする審査が十分でなかったということ、それからもう一つはこういう滞納が生じました十二回というようになる前に、もっとてきぱきした処置公団がおとりになる必要があるのではなかろうかというような二点から見まして、まだ十全にそういう処置が十分にとられてないということについて、公団是正改善処置を要求いたしたものでございます。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま六十億円というふうに概数でおっしゃいましたけれども、六十七億六千八百九十四万余円というふうに報告書には書いてありますが、そういうふうに正確に言っていただきたいと思いますね、会計検査院ですから。どうなんですか、それ、約六十億円というふうな話で済まされるんですか。
  28. 坂上剛之

    説明員坂上剛之君) ちょっと大変概数で申し上げまして失礼いたしました。  この検査報告に掲記いたしておりますのは、十二回分以上滞納いたしておるものが百四件五十一億五千二百三十余万円でございます。そういうことでございます。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 じゃ、会計報告書の二百十六ページに書いてあります、下から六行目。「計六十七億六千八百九十四万余円となっていて」というこの数字とは違う数字があるんですか。
  30. 坂上剛之

    説明員坂上剛之君) ここに六十七億と書いてございますのは収入未済額でございます。収入未済額住宅に係るもの三十三億六千六百二十四万余円、それから施設に係るものが三十四億二百六十九万余円で、それの計が六十七億六千八百九十四万円と相なっております。そして、その未済となっておる割賦金のうちで十二回以上滞納しているものが、先ほど申し上げた五十一億円に当たるということでございます。ちょっと言葉足らずで失礼いたしました。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 それではその六十七億六千八百九十四万余円というこの割賦未収金がどのような形でこれが生じたか、会計検査院として具体的に指摘できる事項をここで申していただきたいと思います。
  32. 坂上剛之

    説明員坂上剛之君) 検査の結果、割賦金滞納が非常に著しいということが明らかになりましたので、私ども建設及び譲渡の処理、それから割賦金の徴収の処理の二面からその原因の分析を行いました。その結果、譲渡申し込みについての審査に当たっての調査が不徹底であったということ、それから収入見込みの計上が甘かったりしているというような点、それから契約に当たりまして債権保全の措置という面に不十分な点が見られました。さらに、滞納が生じてからの措置でございますが、支払い催告の処理が適切でないということが見られました。それでこれらの事務処理について基準や指針を整備されること、そういう点について改善処置を要求いたした次第でございます。
  33. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣、いま会計検査院の方の報告を聞かれて、これは普通にやっておればそうした問題が起こらない。また、そういう問題が起こるような体制であればこのような民賃制度というものに手をつけるべきでない。どちらかだと私は思うんですね。怠慢なのか、怠慢から生じたのか。もともとそうしたことをきちっと調査し、管理し、督促し、徴収するという機能がないところがこうしたことを手がけたから起こっているのか。どちらだと思いますか。
  34. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のように、公団の事前の審査、調査、その後の管理といいますか指導、そういったものに適切さを欠いておったということは指摘できると思います。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 適切さを欠いていたということでなくって、公団そのものはそうしたことをやっていく力があるんだけれども、別の言葉で言えば、それは新聞では殿様の商売だというふうに指摘をされておりますが、言ってみれば業務の怠慢から生じたというふうに私は言わざるを得ないと思うんですが、どうですか。
  36. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 一面のとり方でございますが、公団の方としては民間の遊休地を活用するという意味で、いい制度であるというつもりでそういう制度を採用してやってきたと思うんでありますが、率直に申し上げまして、事前のその土地保有者の調査、審査というものに甘いところがあったと。また、公団の運営そのものにも甘い、適切さを欠いた運営の仕方があったということは御指摘のとおりだと思います。
  37. 本岡昭次

    本岡昭次君 ここで、行政管理庁の方も公的住宅の行政監察を行っておりますが、行政管理庁のこの民賃制度についての行政監査の結果、私は非常に甘い見方をしているというふうに思えて仕方がないんです。行政管理庁の方は、この民賃による住宅は、住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域において、重点的な建設が必要であるとされているが、大都市地域以外の地域においても相当建設されているというふうにすらっと書き流している。実は、この大都市以外の地域に相当数建設されていることの中に、この問題が生じているということであるにもかかわらず、それに対する的確な指摘がここになされていない。にもかかわらず、今後一層大都市地域においてこれを増加せよと、こういうふうに言っているわけなんで、現在生じつつある公団の中の問題点をえぐり出さず、何かきれいごとにこの行政監察の方の勧告が行われている、報告が行われていると思えて仕方がないんですが、行政管理庁の方いかがですか。
  38. 上谷勝徳

    説明員(上谷勝徳君) 御説明申し上げます。  民営賃貸用特定分譲住宅、いわゆる民賃でございますが、これは御承知のように、主として大都市の地域におきまして民間のエネルギー、これを活用しながら賃貸住宅供給を行って借家需要にこたえていく、こういう役割りを持っているものであることは御承知のとおりでございます。  ところが、私ども今回調査いたしました結果によりますと、この民賃の建設住宅事情が特別に逼迫しているというふうには思われない地域——これは大都市地域以外の地域でございますが、この地域においてもただいま先生御指摘のように相当数建設をされている。したがいまして、本来の役割り、本来の趣旨、これに沿いまして、今後におきましては大都市地域にさらに重点を置いた建設を進めるようにというような勧告をいたしているわけでございます。したがいまして、その重点の置き方ということが本来の趣旨でございまして、必ずしも民賃そのものの供給の増加ということに触れているわけではございません。  それからもう一点でございますが、勧告のこれは別の項目でございますけれども、これは公団の経営について触れているわけでございます。つまり公団の財務、これにつきまして、先ほど来いろいろに論議をされております土地の問題とか未入居の問題とかございますが、これら財務に非常に大きな影響を及ぼしていろいろんな要因がございますけれども、これを常時的確に把握をする、そうしてそれを経営的な観点から評価をする、そうしてその公団の経営の合理化を促進するというような趣旨の指摘を行っております。ここでは、この民賃の収納未済金、これにつきまして格別に例示はしてございませんけれども、これも非常に大きな公団の経営に関係する要因でございますので、当然ここで申しております評価、把握、それから改善、この検討の対象になるものでございます。
  39. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣、いまの行政監察の立場からの行管の話ですが、私は滞納が起こったのは業務の怠慢と。まあ言い過ぎかもしれませんが、本来取り立てるべきものをきちっと割賦金を取り立てなかったという問題、また取り立てることのできない条件もありながら、そうした住宅建設していったという手続上の問題等があります。しかし、いまの行管庁の話から感ずるところは、公団そのものが民賃制度の持つ本来の政策的判断とい うものを間違った、そういうことを行管庁は言っていると思うんです。大都市周辺を中心にこの制度を活用して、そして、民間の活力も受け入れて、そして土地が非常に高い、また、手放す人が少ないという隘路を打開していくことが、この民賃制度の持つ政策的な判断であったと思います。  ところが、そうでなく、四国だとか九州だとか、そのほか住宅事情がそう緊迫していないところに対してもそれを拡大していったという、このことは政策判断のやっぱり誤りだと思うんですね、首脳部の。宣伝をしたから、あるいは取り立てるという、これは二次的な問題であって、基本的な政策判断の誤りを公団が犯しているということを行管庁が言ったと私は聞いたんですが、いかがですか。
  40. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 確かにその一面もあるかと思います。  公団としては、都市周辺になかなか土地の得がたい事情もあり、また、戸数も建てなきゃならぬというような両面から見まして、先生の御指摘のような、余り住宅事情に困っていない地域に、そういう未利用地の地主が土地を提供してくれるというようなことで、それに乗ったというような一面も確かにあるかと思います。  そういう点の反省も踏まえて、この問題についても今後さらに突き進んだ検討を進めてまいるように公団指導してまいりたいと思っております。
  41. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、大臣としては、今後、その責任の問題もさることながら、具体的にどういうふうにこれを、こうしたことがこれから起こらないように、また、現在起こっている滞納そのものを解消させる指導建設省としてしておられるんですか。
  42. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 建設大臣から申し上げましたように、今後、民営賃貸用特定分譲住宅につきましては事前の審査を強化をしていくということ。それから、滞納発生後の措置につきまして、特段にまた強化をしていくということをいたしていくと同時に、今後の制度の改善といたしまして、一つは、民賃の割賦金前納制度というものを今後考えていきたいというように考えております。  これは、平たく申し上げますと、土地所有者に賃貸アパートを住宅公団建設をいたしまして、譲渡する時点におきまして約二カ月分ほどの頭金を徴収をするということでございます。  また、特に滞納率が多い民賃の施設につきましても同じような趣旨で、三百平米を超える部分につきましては、ある一定の比率で一時金を徴収をするというような形で、今後の徴収の改善を図っていきたいというように考えております。
  43. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまおっしゃったことは、当然民間のベースで行われる住宅建設であれば、信用調査の段階から始まってやられるべきことだと思うんですね。それはこれからの問題として厳しくやってもらわなきゃいけません。  しかし、いまあるこの滞納の問題、これをどのようにそれでは回収するのか、あるいはまた、いますでに貸している金の割賦金というものがあるわけですから、これから貸す分の割賦金についてはこの問題の反省に立ってこういうことが起こらないような制度を考えていくのは当然ですが、いますでに貸し付けているお金が年々、この資料を見ますと、滞納割賦金というのが増大をしていく、倍々ゲームのようにふえていっているんですよね。これを的確にそれでは徴収するということについてはどういう対応をとるんですか。
  44. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 現在、すでに滞納している分につきましては、抵当権の使用に関連する強制執行等も考慮しながら、今後とも収納の改善を図っていきたいということで住都公団指導してまいりたいと考えております。
  45. 本岡昭次

    本岡昭次君 その問題はもう少し後から論議します。  それで、私はこうした問題が起こってくる根幹に、言われているところの特殊法人、公団に対する天下り人事の問題がある、こういうふうに考えています。天下り人事の弊害がこういう業務状況をつくり出す要素になっている、このように言えるというふうに思っています。  そういう立場から、少し住宅都市整備公団の役員の問題についてお尋ねをいたします。  現在の役員数は何名ですか。
  46. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 住宅都市整備公団におきます現在の役員数は、総裁、副総裁、理事、監事、総計十九名と相なっております。
  47. 本岡昭次

    本岡昭次君 統合して住宅都市整備公団になったのですが、統合前それぞれの法人の役員数はそれぞれ幾らでありましたか。
  48. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 統合前におきましては、日本住宅公団が十四名、宅地開発公団が十名、計二十四名でございました。
  49. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、役員のそれぞれ総裁、副総裁あるいは理事としていろんな業務を担当していますが、役員のポストそのものが各関係省庁、建設省とかあるいは国土庁、そのほか各省庁の天下り先として世襲制になっている、こういうふうに聞くんですが、その十九名のポストの大半はそういうことになっておりませんか。建設省の方がずっと跡を継いでいく、国土庁なら国土庁の方がそれを継いでいくというふうな、あるいは建設省内でも一つ業務の縦割りの、部によってそれが引き継がれていく、局によって引き継がれていく、こういうふうなことになっていると私は聞いておりますが、いかがですか。
  50. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 御案内のとおり、公庫、公団等の政府関係機関につきましては、その業務が国の行政とも密接な関係もございますので、経験を有しております国家公務員からの登用ということもあるわけでございます。したがいまして、役員のうちある程度の者が関係省庁の出身者が登用されておるというような傾向であることは御指摘のとおりでございます。  ただ、そのときそのときの公団あるいは公庫全体の職員構成、また適材適所の観点からの人材登用というようなことを考えまして、ポストによりましては部内の方を御登用するということもありますし、また省庁のポストが必ずしも特定しないで、必要に応じまして担当がかわるということもございます。
  51. 本岡昭次

    本岡昭次君 私の手元には水資源開発公団の役員の世襲制の状況を持っています。まあ大体こういうことになっているんじゃないかと思うんですね、建設関係の各特殊法人は。  たとえば農水省から出てくる場合の天下りポストは、四代にわたって農水省、農水省、農水省、農水省と。郵政省もずっと五代にわたって郵政省の方が。それから自治省、また郵政省、厚生省と通産省が交代交代になっている。それから大蔵省がずっと一貫して大蔵省。それから国土庁と経企庁が交代になっている。農水省、建設省というふうに、一つのポストが全部世襲制に完全になっているというこの問題、私は、これはおかしいし、先ほど言いましたように、官庁の、いま言ったように、行政の仕事とそれから特殊法人の仕事を一体化してやるという利点、それは利点としてあります。しかし一方、特殊法人並びに公団はそれの持ってる固有の事業がありますから、その固有の事業をそこの役員によって総体的に自主的に進めていく場合、そこの理事が各省庁の縦割りの中に組み込まれていて、そこにどうして住宅公団とかあるいは水資源公団とかさまざまな業務推進する事業が円滑に活気を持って、そして力を合わせて経営していけるかということになると、それぞれみんなこう各省庁の顔色をうかがって、そしてその出先のポストを確保するための仕事と、こういうことになった場合に、私は当然新聞等が指摘しているように、殿様商法というふうなものに結果としてこれはならざるを得ない。公団が本当にその公団仕事を全うする業務なんというのはほとんどできないじゃないかと、こういうふうに思うんですよね。だから、この縦割りの世襲制の役員の天下り、これをできるだけやめる、解消していく。そして内部からも民間からも登用して、それぞれの公団の持っている固有の目的実現のため に打って一丸となって業務推進していくという体制。これは世襲制をつぶすことから私は始めなければならぬと、このように思っています。その点についてどうですか、建設大臣
  52. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘の点はごもっとものところでございますが、公団、公庫が設立した時点を考えてみますと、住宅金融公庫昭和二十五年、住宅都市整備公団昭和三十年、宅開公団の方が後でございますけれども道路公団昭和三十一年、首都高速公団が三十四年と、こういうふうに考えてまいりますと、できた当初はそれなりに適当な役員を民間から、あるいはその内部から上げるという事情にはなかったということで、最近はだんだん年次を経てまいりまして部内からの登用も相当出てきておると私は思っておるわけでございます。  したがいまして、住宅都市整備公団につきましては、十九人のうち建設省出身が八人、他省庁が八人ということで、あと三人の方が部内から上がってきておられるんじゃないかと思います。  道路公団の場合は、十一人のうち建設省が四人、他省庁が四人ということで、あとの三人の方が庁内から上がってるんじゃないかというように、ある程度経営といいますか、公団の歴史が古くなることによって、部内から上がってきている方も徐々にふえてきておるというような設立の経過から見まして、徐々に御指摘の点は解消されつつあるのではないかなあという、数字の上で判断でございますけれども、そういう判断も一応いたせるんではないかと、こう思っておるわけでございます。
  53. 本岡昭次

    本岡昭次君 まあ大臣が世襲制のポストをずっと占有していくという形についての弊害は、若干認められているようですが、その問題にきょうは集中できませんので、お願いがあります。  いま、私は水資源公団の役員のそれぞれの理事のポストに対して、五代ぐらい前からずっとどういうところから来ているかという一覧を持っておりますが、それでは住宅都市整備公団を初め、建設省国土庁関係のそれぞれの特殊法人の総裁、副総裁、理事、監事、それぞれ役員が創設以来どの省庁からずっとこう来たかという一覧を提出していただいて、大臣がおっしゃっているように徐々に改善されているのかされていないのかという問題について、私なりに検証さしていただきたいと思いますが、いかがですか。資料を要求いたします。
  54. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 後ほど資料を整えまして、お届けしたいと思っております。
  55. 本岡昭次

    本岡昭次君 国土庁は。
  56. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 後ほど資料を提出いたします。
  57. 本岡昭次

    本岡昭次君 お願いします。  そこで、同じような制度をやっている住宅金融公庫も、金を貸してその償還をやっています。まあこれは銀行ですから、貸した金を取り立てるというのは、もうそのことが生命ですからね、これは公団がやっているのとわけが違うと思いますが、そういう条件を考えてみたとしても、いま私の手元にありますこの住宅金融公庫が行っております貸し付けに対する割賦の償還状況というものを五十六年度中に見てみますと、五十六年度中に回収予定額が四百二十九億五千三百万円、五十六年度中に回収した額が三百九十四億七千八百万、差し引き未回収額というのが三十四億七千五百万、回収率九一・九一%。まあ住宅金融公庫でも一〇〇%を回収するというのはむつかしいということ、これはこの種の業務に当然つきまとうことですが、なおそれに対しての、償還不能に対して抵当権を設定してそれを行使したのが制度発足以来五件ある、こうした資料をもらっています。  したがって、同じように公団、公庫、特殊法人として住宅建設にかかわっている立場で、こう見てみた場合に、先ほど会計検査院指摘における未回収状況というのは、ちょっとこう納得ができない。やはりどうしても納得できない。こういうことで、やはりこうした状況をつくり出している監督責任というのは、これは大臣にあると思いますので、最後にこの問題についての大臣の監督責任の立場から、ひとつ見解をお述べ願いたいと思います。
  58. 内海英男

    国務大臣内海英男君) お答えします。  住宅金融公庫につきましては、当初からこれは持ち家制度といいますか、そういうものを促進する意味で、自分のものを建てるという観念でお金を政府機関から借りるという趣旨でありますので、比較的そういう問題も少なく順調に今日まで進んできたと思います。公団につきましては、でき上がったものを申し込んで取得すると——分譲住宅の場合ですけれども、そういった意識の違いといいますか、そういったものも多少関係しておるのではないかと思います。また、公団自体の業務が、自分みずからが建ててそれを公募によって分譲なり賃貸をするというところに管理責任というものもありますし、御指摘のような多少怠慢という御指摘を受けるような事態も出てくるのではないかと、こういうような感じも私自身受けとめておるわけでございまして、そういった点からいきましても、今後そういった点について厳しく指導をして、私もいろいろ現地を見て回って実情を把握してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  59. 本岡昭次

    本岡昭次君 ひとつ、大臣もいまおっしゃいましたように、みずからの責任においてこういう問題が今後起こらないように、現在起こっている問題を早期解消するための努力を願いたいと、このように思います。また次の機会に、その具体的な努力の結果についてお伺いをすることにします。  そこで最後に、細かいことでございますが、前回もお尋ねいたしました兵庫県の北摂ニュータウンという大規模なニュータウンづくりがいま進行をいたしております。三万六千の人口のところに十万の団地をつくるということですから大変な事業です。そこで、公団の側としてそこに住宅をいま建設中でございますが、私の心配しますのは、住宅をつくっても果たしてそこに人が入るのか、またそこに長期新築空き家というものを保守管理しなければならない住宅が現出しないか、こうしたことを心配しております。その心配を解消するための一つの大きな手だてとして、足の問題が論議をされております。三万の人口を充足しているこの交通機関のままで十万の人口が入れば、これはもう当然大変なことになります。そういうところには人が来ないということですから、それで福知山線の複線化の問題とか、あるいは神戸電鉄という私鉄の複線化の問題等々で、その住民の足を確保するということとその住宅建設というものを、同時並行して進めなければならない。でなければ、同じような問題が次々と起こってくるということで、この前も質問いたしました。そこで、この住宅建設交通機関というものが並行的にニュータウンづくりとして行われているのかどうかという点について、現況と今後の問題について簡単に御報告願いたいと思います。
  60. 吉岡昭雄

    参考人(吉岡昭雄君) お答えいたします。  先生のお話の北摂のニュータウンの中央地区でございますが、約六百ヘクタールございます。現在鋭意工事を進めておりまして、地元を初め関係方面の御協力を得て順調に仕事は進んでおります。造成は、五十七年度末、本年度末で約七〇%程度になる予定でございます。  今後のあれでございますが、第一次入居昭和六十一年ごろを予定いたしておるわけでございます。また御指摘の足の確保という点でございますが、神戸電鉄その他いろいろございますが、主軸は国鉄の福知山線の複線電化と新駅の設置ということをわれわれとしては当面の軸にしておりまして、駅前広場の決定あるいは取りつけ、駅前道路整備といったような問題、あるいは鉄道そのものの問題につきまして県、市ともども国鉄その他と、関係機関と協議を重ねておりまして、新駅の早期設置と複線電化ということについて強く要望しているところでございます。
  61. 本岡昭次

    本岡昭次君 運輸省の方にもおいで願っていると思うんですが、鋭意努力していますという公団側の対応だけではどうにもならないと思う。運輸 省の方の答弁をお願いします。
  62. 廣田良輔

    説明員(廣田良輔君) お答えいたします。  ただいま御質問の福知山線の宝塚—篠山口間の線路増設工事並びに福知山線の宝塚から福知山までの電化、これにつきましては昭和五十三年以来工事を進めてきておるところでございます。工事は着々と進行しておりますが、昨今の国鉄の財政状況にかんがみまして、昨年の九月閣議決定がなされておりますが、国鉄関係の設備投資につきましては、今後は当面安全対策等に関するものを除き原則として停止するということにしております。財政再建の国鉄の再建の一環としてのことでございます。したがいまして、当面この本件につきましてもどのように推移するかということにつきましては、これから来年度予算の成立を待ってさらに検討することになると思われますが、当初予定しておったタイミングよりは若干ずれ込むことが予想されます。
  63. 本岡昭次

    本岡昭次君 再度お尋ねします。六十一年度入居ということで進んでいるこの十万人規模のニュータウンの足を確保するという問題が一方にあります。その六十一年入居に福知山線の複線電化という問題が並行的に政府一つの統一的な仕事としてやっていけますか、どうですか。
  64. 廣田良輔

    説明員(廣田良輔君) 先の見通しはなかなか困難だろうと思いますが、これはたとえば国鉄の財政再建が六十年前後までになされるかどうかという前提条件もありますので、正確には見通しとしては申し上げられないんでございますが、宝塚から先の線増、電化といいましても、特にいま先生の御指摘になっておるのは宝塚から広野付近までの線増であり、あるいは電化であろうかと思います。これにつきましてはその当該工事の中でも特に重点的に宝塚に近い方から工事を進めておりますので、今後の見通しいかんによりますが、財政再建状況等も勘案されますが、そんなに大きくずれることはないのではないか、まあずれないように努力をいたしたいと、あるいは国鉄に努力をさせたいと考えておるところでございます。
  65. 本岡昭次

    本岡昭次君 建設大臣に最後にこのことでお願いしておきます。  いまの北摂ニュータウン問題は、これは国の近畿整備圏にかかわる一つの国策として進められている事業でありまして、その問題のかぎを握っているのがやはりこの交通機関をどう確保するかということになっております。したがって、公団事業と、その足を確保するこの問題とが一体的に、統一的に政府の立場から進められていくように特にここでお願いをしておきたいと思いますが、いかがですか。
  66. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のとおりだと思いますので、関係省庁の責任ある方々とよく相談をいたしまして、公団ができましたときに足が確保できるように最善の努力を尽くして話し合いを進めていきたいと思っております。
  67. 本岡昭次

    本岡昭次君 公団では、来年度公団住宅の家賃値上げの意向があるというふうなことが昨年末から流布され、新聞等でもその平均が三五%ぐらいではないかとか、あるいは一万円前後になるのではないかとかいうふうな情報が流れておりまして、公団に入っておられる方々についてはいろいろ不安な毎日を送っておられるようでございます。  そこで、先ほどから論議しましたように、公団長期の未利用地をまだ抱え、そして長期空き家、新規空き家保守管理——徐々に減ってきております。しかし新しく民賃制度による滞納というふうなものが起こり、絶えず公団住宅については政府が利子補給によってその金利差というものを補っていかなければならぬという事態が生じております。そして一方では、かさんでいく金利分というふうな問題等々もからめて家賃を値上げをしなければならぬという問題も、そうしたものと並行的に起こってきているんではないかと私は思います。もちろんそんなことと家賃とは無関係ではないんだというふうにおっしゃるかもしれませんが、しかし、先ほどから指摘しているような問題をいろいろ考えてくるときに、そうした公団の不手際、そして政策判断の誤り、さまざまなそういうふうなものを一方で残しながら、家賃の値上げというものに踏み切ってくるということについては、どうしても納得がいかないと私は考えています。  大臣はこの値上げ申請そのものについてもう受けとめておられると思うんですが、今日のような状況の、いわばしりぬぐいを入居者にさせるというふうな形での値上げはすべきでないと、こう思います。大臣のこの公団の家賃値上げについての現在の姿勢、そうしたものをお伺いしておきたい。
  68. 内海英男

    国務大臣内海英男君) お答えします。  公団の方といたしましては、御指摘のように、最近建てたものと大分前に建てたものとの家賃の開き、大変安いところもあるというような点からいきまして、値上げをしたいという気持があることは承知いたしております。しかし、現在の厳しい経済情勢の中で、果たして適正な家賃算定によっての改定問題であるかどうかということはまだ具体的に申請が出ておりませんから、私どもとしては可否は申しあげられかねますけれども原則として上げない方がいいということだけは私自身も考えております。ただし、上げざるを得なければならないという事情について篤と納得のいくような改定であるならとも、また一面考えております。ですから、改定の案が出ました中で慎重に対処してまいりたいと、こう思っておるわけであります。原則といたしましては、いまのままで上げない方がいいに決まっております、それは。ですけれども、どうしても上げざるを得ないという事情が納得のいくものであるという結論を得ましたならば、それもある程度はやむを得ないかなと、いまのところまだ出ておりませんので、具体的な意見を述べることは差し控えたいと思います。
  69. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま前半と後半と二つに分けてお考えが出ました。ぜひひとつ上げない方がいいという、そこのところに立脚して、この公団家賃の問題については対応していただきたいと要望しておきます。  そこで、この問題を論議するときにどうしても大切にしてもらいたいのは、現に公団に入っている人たちの意見、そしてその人たちによって組織されている自治会というふうなものがあるというふうにも聞いています。だから、現に入っている人たちがなぜ家賃の値上げが行われるのかという具体的な問題について、納得のいく答えというものをしていかなければならぬと、こう思うんです。でなければ、私のように、不手際やさまざまな業務の怠慢等から起こっておる、あるいはずさんな経営の中から起こっている問題をだんごにして、一つのプールにして家賃値上げによってそれを解消しようとしているんではないかというふうなそしりを受けても仕方がないいま状況公団業務がある、こう思いますから、ぜひともこうした問題を論議するときに、現に住んでいる人たちの意見をよく聞く、そして自治会という形での組織があればそこと十分話し合いで詰めて、そして納得のいく状況をつくるということについて、大臣のひとつ確約をいただいておきたいと思うんですが、いかがですか。
  70. 内海英男

    国務大臣内海英男君) もちろん入居者の皆さん方の全面的な賛成ということは、何と言っても、いまの時代上げることに全面的に賛成するという事態はあり得ないと思います。したがいまして、ある程度やむを得ないんだなというような御認識をいただけるような方法でいろいろ御相談を申し上げたいと、こう思っておるわけでございます。
  71. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは次に、道路問題に入ってまいります。  まず、国道四十三号線、阪神高速道路交通公害対策に集中して質問をいたします。  建設大臣、いまから私が申し上げます国道四十三号線は、昨年八月三日、全国初めての沿道整備道路として指定されたところでございます。また、昨年七月三十一日から二十二日にかけて、当時の原環境庁長官が公害対策のために四十三号線の現地視察も行っておられます。したがいまし て、私はこの四十三号線問題は単に一地方の交通公害の問題でないと、このようにも考えています。年々増大していく交通量、それから車の大型化、そうしたことから騒音、振動、大気汚染などの公害が交通公害ということで全国的に激化しつつあります。固定発生源という企業、工場、そういったところの排出する汚染の問題よりも、移動発生源である車による公害、特に排気ガス等の問題は全国的に本当に悩ましいいま問題になっております。そこで、私はこの四十三号線問題をどう解決するかということが、こうした激化しつつある交通公害対策を国としてこれからどう進めるかということの問題を解決する重要なかぎになると、このように私は考えておりますが、建設大臣はこの国道四十三号線、またその上を走る阪神高速道路、こうしたものがつくり出していく交通公害そのものについて、あるいはその対策について現在どのように認識しておられるか、最初にひとつしっかりとお伺いをしておきたいと思います。
  72. 内海英男

    国務大臣内海英男君) お答します。  御指摘のように四十三号及び阪神高速道路大阪—神戸線の沿道におきましては、騒音、大気汚染等の環境問題が頻繁に起こっておるということは十分承知いたしております。このため、道路管理者である近畿地方建設局、阪神高速道路公団におきましては緑地帯の整備、遮音壁の設置、住宅の防音工事の助成、こういった沿道の住民の方々の生活環境の保全に資する対策を鋭意推進してきたところでございます。それ相応なりの成果が期待されるものと思っております。  なお、ただいまお話しにもございましたとおり、全国で初めて幹線道路の沿道の整備に関する法律というものがこの道路に適用になりまして、重点的にこの道路の公害問題に対処するという、政府としては姿勢をとっておるわけでございます。
  73. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、具体的に現在四十三号線の交通公害状況についてでありますが、一日の全交通量の問題、あるいはまた騒音の状況、大型車の混入率、あるいは新しくいま生まれつつあります公害として低周波空気振動というふうなものが西宮市等、自治体の側から指摘をされるような状況にもあります。こうした交通公害の状況建設省としてどのようにとらえておられますか、ひとつ概括的にここでお知らせを願いたいと思います。
  74. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) お答えいたします。  国道四十三号、阪神高速道路大阪—神戸線の最初に交通実態から御説明したいと思いますが、五十七年六月二日に実施いたしました調査結果によりますと、尼崎市西本町では、国道四十三号が日交通量八万三千百十四台、大型車混入率が二六%、阪神高速道路の方が日交通量四万八千十七台、大型車混入率が二一%。両方合わせますと、日交通量が十三万一千百三十一台、大型車混入率二四%となっておりますし、もう一カ所、西宮市の鳴尾町では、国道四十三号については日交通量五万九千九百八十一台、大型車混入率二三%、阪神高速道路では五万二千二百六十八台、大型車混入率二二%、合わせせまして一日十一万二千二百四十九台、大型車混入率が二二%ということになっております。  これらによります騒音でございますが、朝夕につきましての実測値では約六十七から七十四ホン、昼間が七十一ホンから七十六ホン、夜間で六十二ホンから六十七ホンという実測値が出ております。また、二酸化窒素の現況につきましては、〇・〇六四ppmから〇・〇七二ppmというような数値が環境庁の資料等で出されております。それから、振動につきましては、昼間が約四十三から五十一デシベル、夜間が四十一から四十九デシベルというような数値になっております。
  75. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまの細かい中身は、またこれは公害の方の委員会で詰めていくことにしまして、そういう実態の道路であるという共通認識だけここでつくっておきたいと思います。また、あと環境庁とかにも尋ねてまいりたいんですが、ちょっと時間がありませんので、いまの答弁を基礎資料にして論議をしていきます。  こうした交通公害を減少させて住民の生活、健康、生命、こうしたことを守るために、沿道都市である尼崎、西宮、芦屋を初め神戸、そして兵庫県あるいは住民、こうしたところが強く昭和五十四年時代から毎年この問題については要望をしております。これは大臣もごらんになっていただいておると、こう思うんですが、その中心になっておりますのが四十三号線の車線削減、それから大型車対策、民家防音を中心とする環境対策、こうしたことが中心になっておりますが、私が五十四年からずっと今日まで四年間のそうした中身を精査してみますと、やはり地元の皆さんの一番強い要望というのは四十三号線の車線削減にかかっている、このように思うんです。これは非常にむずかしい問題があろうかと思いますが、現在の時点で建設省が、あるいは警察が考えておられる現行八車線を六車線に削減して、外の各一車線を緑地帯にして、さまざまな交通公害を減少させ、住民の暮らしや健康を守りたいとする住民あるいは地方自治体の要望について、現在ではどういう見解を持ち、どういう立場に立っておられるかお尋ねいたします。
  76. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) お答えいたします。  一般国道四十三号の環境対策につきましては、兵庫県下において環境対策上、従来の十車線を八車線に削減し、削減車線には緑地帯を新設する措置をすでにとっているところであります。さらに車線を削減し、六車線化にすることにつきましては、いま申し上げましたように、尼崎市西本町の交通量は日交通量で八万三千台、芦屋市、精道町の交通量が日交通量で六万四千台という実態にかんがみまして、現時点で直ちに実施するということは非常にむずかしい問題があるのではなかろうかというふうに考えております。  これにつきましては、阪神間の道路交通問題の抜本的解決を図るには大阪湾岸道路建設が不可欠であり、建設省といたしましては、引き続き大阪湾岸道路事業推進に努めてまいり、一般国道四十三号の代替機能を果たす区間が供用された時点で、四十三号の交通状況、沿道の土地利用等を総合的に勘案して、いま先生御指摘の車線削減等について改めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  77. 本岡昭次

    本岡昭次君 阪神高速道路の大阪—西宮線が開通するに当たって、建設省なりそれから阪神高速道路公団は、地元の尼崎に対して大変協力をしてもらっている、そのことを私は忘れてはならぬと思います。その段階で地元の住民なり地域人たちが、いま言います四十三号線の八車線を上下一車線ずつ減らして六車線にする、そういうことが、阪神高速道路というものが二階建てに上を走ることによって交通量が減り、さらに将来そうしたものについて道路公団なり建設省が必ず希望をかなえてくれるであろう、そうした望みを託して尼崎市が仲介に入って地元住民と話し合って決めていったという経緯がここにはあるんですね。建設省の方も道路公団の方もそんな約束ははっきりしていない。そのとおりそんな約束ははっきりその時点ではできなかったと思いますが、しかし少なくともそのことがその問題の解決のきっかけになったという事実はこれは否定できません。だから、いまのような紋切り型の話ではどうにもなりません。四十三号線の六車線にするという問題についての将来来るべき整えるべき条件がこれこれあって、それを整えたらそういうふうにしますという問題について、誠意ある話し合いというものが建設省なりあるいは道路公団の方から進められなければならぬと思うんですがね。そうした立場から再度ひとつお答えをいただきたいと思います。
  78. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) この区間の騒音につきましては、夜間が特に高うございまして、夜間が六十二ホンから六十七ホンという数値になっておりまして、要請基準の前後する数値を示しております。このため、道交法上の措置でございますので、先ほど私、道路関係のみを申し上げたのでございますが、道交法上の措置といたしまして、現在、先生御指摘の区間については夜間四車線のみが自動車の走行可能通行帯となっておりまして、 民家側のそれぞれの二車線ずつにつきましては、自転車のみが通行できるというような措置を講じさせていただきつつ、いま先生のおっしゃったような対策をとっておるところでございまして、したがって、まず道交法上の措置をとり、阪神間の道路交通の確保を図りつつ、私、先ほど申しましたように、大阪湾岸線の整備と相まって、先生御指摘のような措置を検討してまいりたいというふうに考えております。
  79. 本岡昭次

    本岡昭次君 できるだけ条件を整備をして早い時期にそうした要望にもこたえていくよう努力したい、そういう建設省の考えである、このように確認してよろしいですか。
  80. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) この四十三号沿道の公害問題を解決していくことは重要な課題でございますので、いろいろな対策を講じつつ、そういう方向で進めてまいりたいと思っております。ただ、いま申し上げましたように、直ちと申されても、いろいろな他の問題もございますので、そういう環境条件を整備しつつ、御趣旨の方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
  81. 本岡昭次

    本岡昭次君 ぜひ早急にやっていただきたいと思います。でなければ、基本的な沿道住民の生活の問題は、この八車線というものを維持している限りどんな方法を講じても交通公害から生活を守ることができないという、この基本的な条件になっている、私はこう思いますから、その点はしっかりと受けとめておいていただきたいと思います。  それに関連をいたしまして、現在、そうした交通状況の中で大変な騒音に悩まされている状況を減少させていくために、民家の防音工事というものがいま行われております。この防音工事の問題でありますが、この防音工事は大阪国際空港の周辺整備、公害対策にも民家の防音工事が行われています。また、新幹線の沿線にも行われております。そうしたものと私は道路沿いにある沿道の民家に対する防音工事の問題に関連させて二、三お伺いをしてまいりたいと思いますが、まず、大阪国際空港に対する防音工事あるいは新幹線に対する防音工事の基準、そうしたものがどうなっているか、ここで説明していただきたいと思います。
  82. 山下哲郎

    説明員(山下哲郎君) 大阪国際空港におきます民家防音工事についてお答え申し上げます。  御指摘の民家防音工事は空港の環境対策の中身で、環境対策といたしまして、発生源対策と並びまして非常に重要な施策でございまして、昭和四十九年に事業を開始いたしまして以来、事業内容の充実と事業の拡大を図ってきております。  助成の対象でございますが、現在助成対象区域といたしましては、WECPNL——うるささの指数でございますが、うるささの指数のWECPNL七五以上の区域にございます住宅を対象といたしておりまして、対象の室数につきましては、昭和五十四年度にいわゆる全室防音制度というものを採択いたしまして、一世帯当たりの家族数に応じて、最高五室までの防音工事を実施している状況でございます。
  83. 廣田良輔

    説明員(廣田良輔君) 新幹線関係の騒音対策について申し上げます。  新幹線関係の騒音対策につきましては、五十年七月の環境庁の告示、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」という告示がございますが、この告示に基づきまして現在対策を進めておるところでございます。  それによりますと、地域類型IとIIというぐあいに分かれておりますが、類型Iというのは主として住宅の用に供する地区、IIは商工業等の用に供する地区ということになっておりますが、I地区につきましては七十ホン、II地区につきましては七十五ホンを守るようにということで基準に定められておりまして、それを超えるものにつきまして逐次対策を進めているところでございます。
  84. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま四十三号線の沿道民家に対する防音工事の基準はどうなっていますか。
  85. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 防音工事の助成は高速自動車国道と、この中に阪神高速道路も入るわけでございますが、等の利用等に起因する自動車交通騒音が六十五ホン以上の居室につきまして、その所有者が防音工事をする場合の助成という性格の行政措置として行っておるものでございます。部屋数は人数によって変わっておりますが、最高限度四室というふうにいたしております。
  86. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで大臣、お聞き願いたいのですが、新幹線の騒音から守るために沿道の防音工事がされている。大阪国際空港の周辺もされている。そして尼崎の、あるいは西宮、そういったところの四十三号線の沿道にもされている。それぞれ状況が違いますから基準も異なってくると思うんですが、状況の違いというのは、新幹線も大阪国際空港も深夜には走らないわけですね。特に大阪国際空港は七時から午後九時までということで、いわゆる夜の九時以降は飛行機が離発着しない、こういう条件が守られております。新幹線の方も、これは相当遅くまで走りますけれども、深夜はこれは走っていないということで、いずれも深夜については住民は騒音に悩まされることなく、一定の静かな環境を保持できるという必然的な条件を具備しながらその防音工事をやっています。ところが、道路だけはそういう住民の生活とはかかわりなくどんどんと道路を車が走るということで、その騒音の問題も先ほど報告がありましたように、朝だから昼だから夜だからといってそう変わらないという状況、最近は特に夜の方が大型車がどんどん入ってきて、その振動とか騒音とかいうものはあるレベルでは非常に高いものがあるということで、二十四時間その騒音に悩まされるのがこうした沿道の民家の住民でありますね。だから、私はそういう意味では沿道の民家の防音工事の基準が一番充実をしていなければならぬ。こう思うのですが、どうもそうでありません。たくさん例を並べている時間がありませんので、一つだけ言います。  家族一人について国道の沿道は一室、二人について二室、三人について三室、四人について四室ですか、それ以上はないという仕組みになっております。新幹線もそういう一つの基準があるようですが、大阪国際空港の場合は家族一人が二室、二人で三室、三人で四室、四人以上で五室というふうに五室まで過去出ている。道路の場合は四室でとまっているという、こういう状況があります。したがって、基本的には民家の防音工事ですから、すべての部屋をそうしなければ、これは本当に騒音から静かさを守るということはできないと思います。しかし、一定の制限と条件下で行っている助成措置ですから、全室防音措置というまでに何遍かの過程を通らなければならぬのも現実的にはやむを得ないと思います。だから、そういう立場に立って、百歩も千歩も譲って、せめて大阪空港並みの防音工事の家族と部屋数の基準というものを改善できないかということなんですね。一歩前進させることについての努力はできないかという問題なんです。いかがでしょうか。
  87. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) ただいま申し上げましたように、防音工事助成等の措置は緊急的な措置として五十一年度から行っているところでございまして、現在までに約一万七千戸実施いたしておりますが、まだ高速道路等にかかわるものだけでも残事業が一万二千戸、一般道路につきまして、この対象になるものが約十万戸等残されておるような状態でございます。  こういうふうな観点から、高速道路等の一万二千戸の方を早急にやっていかなければならないというようなこともありまして、いま直ちに居室数をふやしていくということには、なかなか困難な問題があるというふうに考えております。
  88. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣、大阪国際空港のそうした民家の防音工事とか周辺の緑地化とかいうさまざまな整備のための予算がどのくらい投入されているか御存じですか。
  89. 山下哲郎

    説明員(山下哲郎君) お答え申し上げます。  環境対策ということで大阪空港を中心にいたしておりますこれまでの予算上の累計の実績、五十七年度までの予算の累計の実績で申し上げますと、民家防音工事その他を含みましたこれまでの累計といたしまして、約三千数百億ということに なるかと思います。
  90. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣聞いておいていただきたいんですが、五十二年から五年間、五十六年までのトータルで二千四十八億のお金が公害対策のために、環境整備のために投入されておる。五十七年度予算で六百三十九億です。五十八年度は百億ほどたしか減らされていたと思うんですが、それでも五百億台。こういうお金が集中的に空港の周辺に投入されてそしてやられている。要するに金の投入の仕方の問題なんですよね。どれだけのお金を割くかという問題なんです。だから建設省道路事業にお金がないのかというと、私は一番たくさんあるんじゃないかと。何に使うのかというその問題ではないか、こう思えて仕方がないんですがぬ。逆に建設省あるいは阪神高速道路公団の方で公害対策のためにどのぐらいのお金が使われているのかということになります。ちょっとお聞きしておきます。
  91. 寺田久彌

    参考人(寺田久彌君) お答え申し上げます。  いわゆる四十三号線と私の方の阪神高速道路、大阪—神戸線の併用しております区間につきまして、五十七年度まで公害対策で実施いたしました金額が、五十七年度を含めまして約百三十二億円でございます。
  92. 本岡昭次

    本岡昭次君 百三十二億円、これが今日まで投入した予算ですね。そして本年度の方ももらいましたが、何か十六億とかいうふうなお金でございます。要するに、どれだけ公害対策のために金を使うのか。言ってみれば環境を破壊する人とされる人がそこにあります。環境を破壊するということはどれだけ高くつくかという問題をこうした問題ではっきりさせなければ、環境問題の一つの財政的な問題は解決しないと思うんですね。だから道路財源にそれではお金がないかというと、先ほど言ったようにたくさんある。どれだけそれを投入するかという問題について私は考え直していただきたい、このように思うんですが、いまの段階大臣何か御感想があればお願いします。
  93. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のような点を踏まえまして、今後の道路整備に当たりまして十分こういったものも含めて配慮して推進をしていかなきゃいかぬと考えております。
  94. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、そんな抽象的なことでは解決しないと思うんですよね。沿道整備法というふうな法律をつくってやっているんでしょう。それで、それに基づいて兵庫県がいま「幹線道路の沿道のまちづくり幹線道路の沿道の整備に関する法律のあらまし」といって、こういう冊子を出している。これ道路ですよ。どうですか、これ。私たちの想像できない、ここにこういう道路をつくりましょう、この中には阪神高速道路が四十三号線の上を二階建てが走っているような絵はないわけなんです。道路というのは町の一つの単位だということになっておるんですよね、これ。生活単位としての道路がここに設計されてある。これを見たときに四十三号線沿道の人は怒るんですよ。これ何だと、夢物語というんですかね、これだったら人間が月に行くときの方がまだ早いんじゃないかと言います。まさにこういう道路であろうとするために沿道整備法という法律を制定されたと思うんですよね。しかし、これを実現するために、それでは財源をどれほど投入しなければいけないかという問題について余りにも弱い。地元負担というものが非常に多いというこの現状をもっと厳しく認識してもらわなければ、地域では、このようにしてまさに幻想をばらまいていると言ってもいいような状況があるんですよ。こうなりますよ、協力してください、協力してください。どうですか、大臣、こういうものをごらんになったことありますか。沿道整備法に基づく構想というものがどういう形で具体的な地域で行われているかということについて。
  95. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 最近その刷り物を見せていただきました。こういうふうな理想的な道路ができればということを強く感じておるわけでございます。  現実の問題といたしまして、公害対策というものに対しては、十分今後配慮して積極的に取り粗んでいかなきゃならぬ問題だと思いますけれども、何にいたしましても日本の道路整備はいまだに先進諸国に比べて大変おくれておる。こういうような実情から、延長を延ばす、延長の整備あるいはそういうところに重点が置かれておったわけでございまして、市街化地域あるいは住宅地域というものに対する配慮が非常に立ちおくれておった、そういうところからそういう沿道の整備に関する法律というものができて、今後そういうものを十分配慮しながら、都市内における道路整備というものは考えていかなきゃならぬというふうに私どもも受けとめておるわけでございます。
  96. 本岡昭次

    本岡昭次君 まあ沿道整備法による環境対策が全く効果がないとは私は思っていません。またこういうふうなものが夢とか幻想だけでなく、やはり将来こうあるべきだという姿を示し、それに対して努力していくということは必要ですからね、それでは、その意味ではこの法律の持っておる精神というものは私も認めます。しかし、地元自治体の、それではこういうふうなことをやっていくについて、果たしていまの財滅の問題ね、地元負担の問題で本当にこういうものに対して一歩でも二歩でも実現していく、そういう可能性というものがあるのかというと、私は、非常に問題があるし、恐らくまた地元住民をだましたという結果に終わるんではないかという危惧を持っています。  それで、いまおっしゃいましたように、日本の道路というのはこれからもどんどん延ばしていかなければならぬ、もっともっと道路整備してくれと、ここに道路が欲しいというところがあると、そのとおりだと思います。そうしたことにこたえていくために重量税とか揮発油税ですか、そうしたものが道路財源として五カ年計画で二十兆、毎年四兆、五兆というお金が投入されるということについても、私はしてはならないとは言いません。しかし一方、既設の道路の中で、いま言いましたように環境破壊が行われて、それによって苦しんでいる住民の問題は、それでは後回しにしてもいいのかという問題になると、私はそうではなかろうと思うんです。やはり道路財源というものの使い方の問題について、環境破壊は高くつくという具体的な財政的な裏づけによってそのことを示してもらわなければならないと思います。だから、いま政府として私は考えなければならぬのは、道路をどんどんと延長していくことでなくって、そのテンポを少しおくらせることで建設費を削減して、その分を大阪空港並みに五百億も六百億も投入せいとは言いません。せめて、たった十六億というお金を五十億にするとか百億にするとかいって、環境を整備することを早めることは可能じゃないかと、こう思うんです。だから、いまは一方のテンポを緩めて、現在起こっている交通公害、どんどんと激化しています。東京都内もそうでしょう。その問題をまず解決してしまってから、そして、ここにあるようなこういう問題が将来の日本の道路なんですと、市街地における道路なんですという理想に向かって進めていくという、従来の道路政策そのものの転換期という認識を建設省として持っていただいて、抜本的な環境対策、それに必要な財源、そういうものを投入することについての検討を早急に始めていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  97. 内海英男

    国務大臣内海英男君) お答えいたします。  御指摘の点は全く同感でごもっともだと思っております。一面、幹線道路の沿道の整備に関する法律というものがつくられまして、昨年の八月に、この四十三号と阪神高速道路の重なっておる地域に全国で初めて指定をされたという経緯から見まして、いまの段階ではいろいろまだ十分でない、御不満の点もよくわかります。したがいまして、そういった御意見を踏まえまして、今後沿道の公害というものにつきましてさらに積極的に解決策を図っていかなきゃならぬと思うわけでございます。  また一面、先ほど新しく道路を進めていくのを少し抑えてもという御意見がございましたけれども、その御意見もわからないわけじゃございませんけれども、一面、公害対策をこの道路にやって いくと同時に、大阪の湾岸道路等についてもやっているわけでございますから、それでは大阪の湾岸道路を少しおくらせても、こっちの公害を早くやれというようなかっこうになってもまずいんではないか。ですから、やはり両々相まって、昨年初めて指定したばかりでございますので、この法案の趣旨に従って、不備な点、今後こういうふうにさらに突き進んでやっていくべきであるというような御提言を踏まえまして、前向きで検討さしていただきたいと、こう思うわけでございます。
  98. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまの大臣の御答弁、ある部分は私も納得し、ある部分は納得できませんが、それはまた別の機会で論議させていただくとします。  具体的な問題としまして、湾岸道路をとめるとか、あるいはテンポをおくらせるとかいうふうな、大変なお金を使わなくとも改善できる問題として、私が一つの例を挙げました民家防音の問題で、一人一室、二人二室ということでなくて、一人二室、二人三室という部屋数を一つふやすという、そういうことからでも具体的に建設省が示していくことが住民にとっての誠意だと思うんですよ。そして、耐えられない部分はいっぱいあるけれども、少しずつは改善されていっているんだということによって、国の道路行政とか政策についてもついていくという気持ちになるわけで、具体的なそうした問題を手がけるということについて、すぐそこに、尼崎、西宮、芦屋、神戸という沿岸都市と大阪国際空港のある伊丹というのは全く隣同士でございまして、そこで空港とそれから道路という違いがあっても、そこに受ける騒音そのものの被害の状況は同じというよりも、沿道の方が、いま言いましたように二十四時間公害を受けているわけですから、そうした問題について、大臣、これはひとつ検討すると、それをいただいて私は終わりたいと思うんですが、いかがですか。
  99. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御提言の趣旨を踏まえまして検討してまいりたいと思います。  大阪国際空港の場合、いまの伊丹空港でございますが、その騒音の場合も、最初はだんだんに改善をされていったように承っておるわけでございます。したがいまして、先生のような御貴重な御意見を踏まえまして、建設省といたしましても前向きに検討していかなきゃならない問題だと、こういうふうに認識をいたした次第でございます。
  100. 本岡昭次

    本岡昭次君 建設大臣に問題の重要さを認識していただいた、このように私は受けとめ、きょう長時間にわたって質問をいたしましたことについての何か喜びみたいなものを感じているんですが、あとは、具体的に建設省内部で道路公団とよく話し合っていただいて、そうした問題をこれから具体化していく方策、裏づける財源問題等々について、きょうのこの議論がむだにならないような結論を早急に出していただくことを心より期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  101. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ─────・─────    午後二時四分開会
  102. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題とし、建設省国土庁北海道開発庁住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、昨年の八月、特に大阪、奈良両県にまたがりまして台風十号並びに低気圧による集中豪雨の災害があったわけでありますが、その災害の状況並びにその後の対策等についてお伺いをしたいと思います。  特にこの集中豪雨、特に大阪、奈良両県にわたりまして相当いろんな被害があったわけでございますが、その被害の状況につきまして初めに事務当局から御説明を願いたいと思います。
  104. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 昨年の大和川の出水の規模は既往最大のものであったというわけでございますけれども、いま先生おっしゃいましたように、流域の大阪府、奈良県を通じまして特に支川におきまして大きな被害を発生しておりました。  大阪の堺市、松原市を流れます西除川という支川がございますが、そこの地区におきましては、大和川本川のバックウオーターによる影響と、それから西除川自身の洪水によるはんらんあるいは内水の湛水、そういったものによる浸水を受けまして、浸水面積が約三十七ヘクタール、浸水戸数が七百三十六戸に及んでおります。また、同じく松原市を流れます通称今井戸川と称する水路がございますが、それも同じような大和川のバックウオーターによる影響、それから今井戸川の洪水はんらん、内水湛水、そういったものによりまして浸水面積が約三百四十ヘクタール、浸水戸数が四千六百戸に及んでおります。  また、奈良県では支川の葛下川という川がございますが、これも同じような問題によりまして浸水面積が約九十ヘクタール、浸水戸数は千六百二十二戸に及んでおると、そういう大きな被害を出しております。
  105. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま支川の西除川、今井戸川についてそれぞれ説明がございましたが、今回の災害におけるトータルでは大体どの程度の災害になっておりますか。
  106. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 大和川水系にかかわります公共土木施設の被害というものを私どもは担当して集計しておりますけれども、これは直轄区間におきましては三十四カ所で十九億七千六百万円、補助区間におきましては千四百八十カ所、百七十四億二千三百万円という額に上っております。
  107. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は特にきょうは大和川水系の問題だけに焦点をしぼってお伺いをしたいわけでありますが、その災害の起きた原因ですけれども、これはどういうふうに分析しておられますか。
  108. 川本正知

    政府委員(川本正知君) こういった災害は、いずれも七月三十一日から八月三日にかけまして台風十号並びに台風九号崩れの低気圧による豪雨に起因するものでございまして、支川の流域に降った豪雨と大和川本川流域に降った未曾有の豪雨による洪水が相まって引き起こされたものであると考えております。
  109. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その程度の雨でこんなにたくさんの被害が起きているわけでありますが、それは要するに大和川水系のいわゆる治水事業のおくれ、治水対策のおくれというものがありますね。そういう点からは建設省としてはどういうふうにお考えでございますか。
  110. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 大和川水系のみならず全国の河川もまだまだ整備水準が低いわけでございますが、特に大和川水系につきましては、本川はともかくといたしましても、いま申し上げたような支川筋の対策といったものが、かねてから促進努力してきておるところでございますけれども、いろんな事情でいまだ進んでなかったということが現実であるというふうに認識しております。
  111. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大阪と奈良県と意見の対立するところでありますけれども、これは災害の前後、特に大阪府としては要するに水源の地帯であります奈良県に対しまして、いわゆる山の乱開発等をやめてもらいたい、そういうような問題がやはり今回の災害につながっておると、こういうふうな話が出たわけであります。ところが、奈良県の方はとんでもないということで、奈良県の方としては、そういう問題はかねがねからこういう問題が起きるということで私たちは配慮してきたと、それよりか大和川の改修工事の方が先ではないかと、そういうようなことで意見が対立しているわけですね。これは非常に重要な問題でありまして、きょうは私は非常に短い時間でありますから全体的にはできません。したがいまして、その初めの方だけ少しだけやりたいと思ってきょうは質問しているわけでありますが、実際に私の手元にも「大阪の河川」という大阪府が出した小冊子があるわけでありますが、この雑誌によりまして も大和川の川床が非常に高いわけです。今回の水害はたまたま西除川、東除川を中心にいたしまして、そちらの方の災害につながったわけでありますけれども、大阪市内におきましては日ごろから平野川、第二寝屋川等を初め、こういう川がはんらんをいたしまして非常に困っているわけであります。実際問題として、下水工事が大阪市内では完璧になってまいりましたけれども、それでもこの下水が逆流をいたしまして、下から下水が吹き出してくる、そういうふうな災害がずいぶん起きているわけであります。また、そういうような問題とさらに関連をいたしまして、これからの大阪の発展というものを考えた場合には、大和川という問題を抜本的に解決しない限り大阪の発展はないと、要するに大和川を境にいたしまして国が違うみたいに大阪のいろんな事情が違うわけであります。  しかしながら、大阪の——関西のと言ってもいいかもわかりませんが発展のためには、大和川から南の方を何とかしなきゃならないと、そのためには大和川の抜本的な改修が必要であると、そう考えているわけです。そこでいま河川局長さんですか、御答弁くださっているのは。大和川のつけかえ工事をやりましたね、あれ何年前ですか。
  112. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 大和川を昔、江戸時代につけかえて現在の河道にいたしましたのが一七〇四年というふうに聞いております。
  113. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一七〇四年、いまから二百七十九年前ですか、そうですね、そうしますとそんなに昔、前につけかえて、しかもつけかえ工事をやりまして、その後大和川が非常に川床が上がってしまって天井川になっているわけですね。そういうふうな意味では大和川を抜本的にもっと改修工事をやったらどうかという議論がいまから百年ほど前、あるいは五、六十年前には相当あった。大阪府のいろんなこういう資料にも大和川の抜本的な改修をやるべきだという議論がずいぶん出ておったわけです。ところが最近はそういうふうな話が出なくなったわけです。というのは、やっぱりこれだけの改修工事をしようと思いますと大変なお金がかかる、よくわかるわけです。そういうふうな意味で大和川を抜本的な改修をしなければならないということについては、建設省としてはどういうふうにお考えなのか、要するにただ単に、たとえば西除川をちょっちょっとこうやったから、あるいは支川の護岸をちょっとやったから災害がなくなるというものじゃない。抜本的には大和川を抜本的な改修をして、そして平野川なり第二寝屋川の水を本来なら大和川へ流してしまえば一番いいわけです。ところがそれができないからいまも難儀しているわけです。そういうふうな点から考えてみまして、お金が幾らかかるとかいうことをしてますと、これはすぐはできませんね。しかしながら、お金のことを考えなくてやるとしたら、やっぱりそういうようになるんじゃないですか、どうですか。
  114. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 大和川は先生先ほどお話ございましたように、もともとは河内平野を北流して大阪城の北の方で淀川に合流しておったと、それが非常に、大阪平野そのものに大きな被害をいつも与えるということで、二百七十数年前ですか、大規模なつけかえ工事によって現在の河川ができ上がりました。そして河内平野に洪水が流入しないようにという対策をしたわけでございます。このように大和川の下流部につきましては、上流の山地部からの大量の洪水を流下させる役割りをしておりまして、先生のおっしゃる抜本的改修というのは、この大和川を思い切り切り下げて、そして平野川などもこちらへ入れたらどうかというお話であろうと思いますけれども、洪水時の水位で平野部の平野川とか寝屋川とか、こういった河川が自然に流入するまで大和川を下げるということは、技術的にもまた先生おっしゃった経済的にもきわめて困難な状況であろうと思っております。平野川とか寝屋川などの、寝屋川流域の河川の改修計画は在来河道の拡幅というものを基本的に考えておりまして、そのほかに流域におきまして自然の遊水機能を持たすように計画的に遊水地をつくるとか、あるいは街路の下に貯留池をつくって洪水調節を行うとか、また大きな大型のポンプ場——毛馬とか太間とか大型のポンプ場によりまして淀川に分布排水をするとか、そういうふうなことを考えてやっておるわけでございます。大和川そのものは、やはりそういった先ほどのようなことで、五十七年の災害を初め、近年の災害につきましても現在の改修計画、これで対応はできるものだというふうに考えておりまして、大変雄大な御構想だろうと思いますけれども、私どもといたしましては現計画に基づく事業推進をさらに図ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  115. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは局長のおっしゃるとおりなんですよね。それはわかるんですが、そやから言うてるやろ。要するにお金のことやその費用のことを考えればそうなるわけですわな。だけどお金のことを考えなくて、ほんまに河内平野の発展というものを考えた場合は、やっぱり大和川を十メーターぐらいすぱっと切り下げてやった方がええのと違うか言うているわけですよ。これは理想論かもしれませんがね。お金のことを考えたらそんなことはできませんわな。いま橋全部かけかえて大変なことをせないかんわけですからね。  そこでこれは一遍、きょうは私ちょっとしか時間をいただいておりませんので、これ以上言いませんが、たとえばこれは大臣もいらっしゃいますので一言ずつ御意見を聞いておきたいと思うのですが、今度関西国際空港ができるわけですね。それで関西国際空港をつくるためには相当埋め立ての泥も要るわけですね。そういうふうな意味で、空港かてこれは何百年に一遍しかできないわけです、それこそ。そういうような意味では大変な事業になるわけであります。そういうような意味で、川をしゅんせつするお金がどのくらいかかるのか私知りませんが、実はこれ、ある大学の防災研究所でこういう問題を実際に研究している人がおりまして、私もこの間からずいぶんレクチュアを受けたわけでありますが、実際問題としてちょっとやそっとではできないことをやるわけですから、大和川のしゅんせつぐらいやったらどうか、そしてやってやれないことはないと。問題点はどういう点があるのかと聞いたら、こういうふうな点があるということで、こんなにたくさん資料をつくっておられるわけですね。それで将来のために大和川をしゅんせつして、いわゆる河内平野、泉州にわたる平野を本当に発展させるためにはこれを思い切ってやらないと、空港も非常に大切な問題でありますけれども、いろんな問題の発展から考えれば非常にいい構想だと、それでこういうようなことを一遍やる必要があるんじゃないか。また、すぐできないにしても、そういうことを研究してやるべきじゃないか。まあ利権とかいろんな問題があって、泥の問題も何かとうさん臭い話もあるわけでありますけれども、純粋に学術的に考えてこういう問題も取り組んだらどうかと、こういう話がこの間からありまして、それで一遍私も決算委員会でこういう問題について建設大臣国土庁長官がお見えになることになっているから、一遍一言聞いてみるわと、どんな返事をするかわからぬけれども、あかんちゅうて言うやろけれども、一遍聞くだけ聞いてみようということになっておりまんねん、これね。そういうわけです、事情は。それで決して私一人がこないして言っているんじゃなくて、実際問題としてある大学の防災研究所の先生方が集まって、本気になってこういう問題に取り組んでおられるのも事実であります。それで大和川を抜本的に改修しなくちゃならないとお考えになっておられるのも事実ですし、またこの大和川水系、特に奈良平野の水害をなくするためには、大和川を抜本的に改修する以外にないと、また奈良県の知事やそういう人たちも、大阪府の知事に大和川の改修を本格的にやってもらいたいという申し出があったというのも聞いております。そういう点から考えてみますと、こういう問題をやらなければならない時代に入ってきていると、お金のことがあります、これは別問題として、お考えになっていただいて、全然あかん 問題なのか、または研究してみてもいい問題なのか、将来の展望としてやったらどうかということなのか、両大臣おられますので、一言ずつで結構ですが、御意見をお伺いして終わりたいと思います。
  116. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大変貴重な御提言だと思います。関西新国際空港というのは画期的な大事業であるという国家的観点からいきますと、一運輸省の問題だけではなく、もちろん建設省も大いに御相談にあずかって、それにつながる道路あるいは川の問題、海岸の問題いろいろあると思います。そういった総合的な中で、この大和川水系の抜本的な改修計画というものはどういうふうに結びついて、しかもそれがいかに有効に活用されることができるかということも大きな検討課題だと思います。そういった時点に御相談をする機会がございましたら大いに相談に乗って、それに対応できるようなことであるならやってみたいという感じは持っております。ただ、建設省といたしましては、大和川改修の基本的な計画もございます。したがいまして、その計画をいまのところは早急に促進をしてやっていくというのが本来のたてまえでございます。しかしながら、新しい問題として、画期的な国家的な事業として関西新国際空港ができるという中で、この大和川の改修計画がいかにそれに役立つような活用ができるかという問題はまた別だと思います。そういった観点から総合的に御相談しなきゃならない問題も出てくるかと思いまして、御提言については十分考えてまいりたいと思っているわけでございます。
  117. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 私は、昨年の八月二日の十号台風が来たときは、実はこの現地のあたりにおりまして、身をもって、水の量がふえてき、いろいろなことがあるのを体験して、車で大阪市内まで帰れるかどうか心配しながら通った経験がありました。ただいま先生の御意見を承っておるうちにそのことを思い出しておったわけでございます。結局、寝屋川、大和川流域における市街化が急速に進んできておるということ等の問題、そして、そういういろいろな問題の要素を加味して激甚な災害が発生したということ。さらには、いま河川局長と先生との質疑応答を承りながら、二百八十年前にわれわれの先人は荘大な土木事業をおやりになったんだなという感じも持ったわけでございます。大和川及び寝屋川流域についての安全性を高めていくということは非常に必要だな、その点については今後とも建設省と十分連絡を密にしまして、総合的な治水対策を講じないといけないということ。そしてまた、災害復旧は全力を挙げてこれをやらなくてはならない。去年、補正その他におきまして七〇%の復旧予算を組みました。ただいま国会で審議していただいております五十八年度予算で九〇%近くが復旧できるような予算も講じておる次第でございます。全力を挙げて取り組むということは大切であると思っております。  なお、関西国際空港問題につきましては、国土庁としましても関西国際空港ができるについての周辺の環境整備問題という問題につきましては調査費もつけ、そしてまた、周辺の地方公共団体の知事さん、市長さん、その他の皆さん方の意見も承っていくということにいたしておる次第でございますが、これと大和川の改修を短絡に結びつけていいものかどうかということは、今後、各界、各方面の御意見を承っていかなくてはならないと思います。  なお、運輸大臣がお答えするのが一番適当ではないかと思いますが、同じく昭和五十八年度の関西国際空港の関係予算の中に、土を取るという問題についての費用、予算も計上してあるわけでございますが、それとこの大和川の関係の土を取るということと関係があるかないかはわかりませんが、そういう問題等も関西国際空港を推進するに当たっていろいろ今後幅広く勉強していく問題ではないか、このように考えております。
  118. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 きょうは住宅都市整備公団の未利用地新築空き家保守管理住宅についてお伺いをいたします。午前中、同僚議員からも若干質問がありましたが、私も同じような質問がありますので、それは避けてお尋ねしたいと思います。  最初に、住宅都市整備公団住宅用に収得した用地長期にわたって利用されていない、そういう実態が昨年当委員会指摘をされましたけれども、午前中の質疑で、そのうち若干の進展があった——未利用地については五十五年、五十六年を見ますとほとんど進展がなかったわけですけれども、五十七年にかけてある程度進展があったと、こういう御答弁でございました。その進展を見たと言われる土地のうち、他の目的処分された土地がございます。この点についてですが、本来住宅建設して庶民に安くといいますか、庶民のために、さらに、しかも良質の住宅を提供するとして取得した土地用地、これを地元の要請とはいえ他の目的処分するということは、私は必ずしも公団目的から言って好ましい、望ましいものではない、こういうふうに思うわけでございます。また反面、住宅がいつまでたっても建てられない、こういう土地を抱えておっても仕方がないわけです。そういう面もございます。  そこで、高校用地として処分した、午前中お話しありました鳴滝第二と、工場等用地として処分した美原について、住宅を建てて本来の目的に利用できるのに、地元の要請でそれを手放したのか、また、住宅建設には当分期間を要するという公団側、そちら側の要望で手放したのか、この点を確認したいわけですけれども、いかがでございますか。
  119. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 長期利用地の問題につきましては午前中もお話し申し上げましたが、私どもは、住宅都市整備公団として本来の仕事は、住宅建設する、あるいは宅地開発をする、あるいは都市整備をするというのが目的でございます。したがいまして、先生の御指摘のように、まあ住宅以外の用途に私どもが手に入れた土地を転用するということは、私どもの本来の目的ではないというように考えております。しかしながら、両地区とも住宅地として開発できないわけではございませんが、いろんな周辺の条件、状態、あるいは地方公共団体の意向等から開発に時間がかかる。そうなりますと、せっかくの資金の回転が悪くなるというようなことから、地元の要請もございましたし、そういった判断から他の用途に処分したということでございます。  和歌山市にございます鳴滝第二につきましては、私立の高校用地として、これは県の要請もございまして処分いたしました。それから、美原町にございます美原の用地につきましては、隣に工業団地がございまして、その工業団地の方々との調整が、住宅として開発することにつきましての調整がなかなかつかないということで、工業用地として処分いたしたという次第でございます。もちろん私どもは、これは私ども事業の本旨ではございませんし、処分できたからいいといって喜んでいるというわけではございません。
  120. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、結論は地元の要望でと、強い要望があったんでと、こういうことになると思います。目的でないことに処分するということは、これは私たちとしてもやってほしくないし、そういう目的ではないわけですから。もちろんおたくも不動産屋じゃないわけですからね、本当はやっていただきたくないと。しかし、さっき言ったように、その反面いつまで置いておいてもこれはむだになると、こういうことならば仕方ない面もあるということは私承知しております。  そこで、鳴滝第二は四十六年十二月から五十五年十月までに取得したことにこれなっているわけですけれども、広範囲でございますから、ぽつぽつ収得したのか、一度に取得したのか、その辺がわからないんですけれども、いずれにしても、四十六年十二月から五十五年十月までと、こういういわゆる取得期間があるわけですけれども、その大部分を取得したのはいつごろなのか。また、美原についても四十八年十二月から五十年の八月までに取得したことになっていますけれども、この点について、いわゆるその二つの地区ですね、大部分取得した時期というのはいつなのか。
  121. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ちょっと申しわけございませんが、手元に正確な資料ございません。しかし、後でもし必要があれば正確な資料を取り寄せますが、恐らく、こういう年度にまたがっているということは、大部分の主体はその年度の初めの方で取得しているんではないかと。そして、後で周辺を整備するために取りつけ道路とか、いろんな形のものを追加買収したんではないかというような想像をされます。もし必要でございましたら、後で正確な資料を取り寄せたいと思います。
  122. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 資料いただけますか。
  123. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) はい。後でよろしゅうございましょうか。
  124. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 はい。  それでは、その取得したのが片方は四十六年十二月から五十五年と、片方は四十八年十二月から五十年八月と、こうなっておりますけれども、いまのお話だと、その大部分の取得は始まった当初が多いんじゃないかと、こういうお話でございますけれども、そうすると、ここでお伺いしたいのは、二地区とも大部分を取得してから期間的にはかなり長期になっているわけです。そこで、この取得価格と処分価格の関係でございますけれども、いまどういうテンポで取得したのか、そこに資料がないというんで、この辺もおわかりになるかどうかわかりませんが、午前中の答弁では時価ということで処分したと、こういう答弁であったようですけれども、取得価格とその間の金利分を含めた価格で処分したのか。この点はいかがなものですか。
  125. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) この点につきましては、午前中の答弁で申し上げましたように、私どもは現在の時価の評価額、これは鑑定をとって処分しております。しかし、お尋ねのことにつきましては申しわけございませんが、私どもやっぱり売った相手先との契約上等いろんな問題がございますので、私どもの原価と金利を入れてどうなったかというようなことについては、ちょっと公式な場では御答弁を差し控えさしていただきますが、まず私ども申し上げられることは、大体私どもとしては金利を入れて処分できたというように考えております。
  126. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それじゃ重ねてお伺いしますけれども、要するに私が聞きたいのは、長期間寝せておいたんだから、本来ならば取得して早い時期に住宅を建てて国民に供するというのが、これがいわゆる公団目的であるわけです。長期間そこにいわゆるほうっておいて、仕方がないというか、そういう要望があったから処分したんでしょうけれども、私が聞きたいのは、この二地区処分したことによって、おたくとしては、要するに公団としては損をしたのか得をしたのか、端的に言えば。その辺はどうなのかと、これを聞きたいわけです。
  127. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 先ほど申し上げましたように、相手の売り先の問題もございますので、正確な数字は差し控えさしていただきますが、私どもとしては損はしてないつもりでございます。
  128. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それはおたく、公表しちゃまずいんですか。後でこういう経過で売って、処理としてはこういうふうにしたと、こういうことをお知らせ願えないですか。
  129. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) できますれば、やっぱり相手の売り先との関係もございますし、差し控えさしていただければ、というようにお願い申し上げます。
  130. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 なぜできないんですか。公団は国の金を借りてやってるわけでしょう。なぜわれわれがこういう要求してもそれは見せてもらえないのですか、教えてもらえないのですか。
  131. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) やはりこれは取引の問題でございますし、相手のあることでございますので、できれば差し控えさしていただきたいというようにお願い申し上げます。
  132. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかりました。  それでは次に、分譲空き家についてお伺いをしますけれども、五十七年度の資料がまだありませんので、五十五年度、五十六年度を比較してみると、相変わらず分譲空き家が多く売れ残っているわけです。昨年の指摘が三千九百六十二戸であったのが、今年度は五千百三十四戸、分譲住宅空き家はかえってふえてるという数字になってるわけです。この原因はどこにあるのかお伺いいたします。
  133. 武田晋治

    参考人武田晋治君) 五十五年度末の未入居につきまして、賃貸住宅につきましては二千八百三十九戸ございます。分譲住宅につきましてはただいまお話しございましたように三千九百六十二戸となっておりまして、六千八百一戸ということになります。五十六年度につきましては、賃貸住宅千四百七戸、分譲住宅五千百三十四戸ということになりまして、六千五百四十一戸ということになってございます。賃貸住宅につきましては傾斜家賃等の対策を講ずることなどによりまして未入居の減少等は、二千八百三十九戸が千四百七戸というような形で実は減少をいたしてる状況でございます。分譲住宅につきましては、ただいま先生が御指摘ございましたように、三千九百六十二戸がふえまして五千百三十四戸というように実はなってるわけでございます。  この分譲住宅につきます未入居戸数が上回ってまいってることは事実でございまして、この状況につきましては、御承知のように昨今の経済状況の悪化によりますところの所得の伸び悩み、あるいはまた分譲価格の上昇等によりまして所得との乖離などが生じたのが一番大きな理由ではないだろうかというように考えております。そういうことなどを兼ね合わした分譲住宅市場の急激に悪化したことによりまして、このような状況になってるというように考えております。
  134. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 まあ東京を例にとってみると、千七百十五戸も新築空き家の分譲が残っているわけです。この空き家解消について、午前中もちょっとお話しありましたけれども、幹部がビラを配ったり、それからオンラインシステムというんですか、要望にこたえてこういうのがここに空いてるというようなオンラインシステム導入をして努力をしてると、これは大変結構なことだと思いますけれども、その成果、オンラインシステムだとか、いわゆる売らんかなということで努力している成果はいかがなものですか。
  135. 武田晋治

    参考人武田晋治君) 先ほど申し上げましたような戸数の状況でございますが、五十七年度になりまして、その後分譲住宅等につきましての募集を実はいたしております。現在におきまして実は分譲住宅は八千余戸という形で若干ふえてきてるのも実情でございます。実は、この問題につきましては私たち住宅を募集してまいりますのに、できるだけ市場に提供いたしまして皆様方の御要望にこたえるような機会を長く置きたいというようなことを考えまして、五十七年度におきましては比較的そういう期間を長く持てるような状況で募集をいたしております。そういうような関係がございまして戸数がふえておりますが、現在行っておりますオンラインシステムとか、あるいはまた土、日、祝日等を利用いたしまして現地におきます案内所等におきます住宅相談、あるいはまた、今後もやろうと思っておりますが、バス見学等によりますところの公団住宅のPRというようなことで、成果をより一層上げていきたいというように考えております。
  136. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 成果を上げるように努力しているのは、私はやっていることについては結構だと思いますけれども、それが成果に結びつかなければ、これは何もならないわけです。  一つ売れない例ですけれども、これは船橋の去年同僚議員の峯山議員がやった例ですけれども分譲住宅が完成して一般に売り出してから入居者が少ない一つの事例ですけれども、船橋の上山町のエステート上山、これは御存じだと思いますが、ここは千葉県の船橋ですから、国鉄武蔵野線の船橋法典駅を下車して徒歩五分のところ。東京大手町、東京の中心から通勤時間にして三十五分という非常に近い、交通便利なところであるわけです。ここについては、いま申しましたように、峯山議員が昨年当委員会指摘をいたしました。 その指摘した点というのは、一つ、もともと低い建物しか建てられないのを承知して土地を購入した点はいかがなものかと。それから二番目は、下水道工事見通しの悪さから、住宅完成後——おととしの八月に完成しているわけですけれども入居募集があったのは去年の八月。したがって、一年ぐらいその工事のためにおくれた。それで、その分だけ割り高になった。それから三番目は、いわゆる高価なFF暖房器ですか、それを入れたために、設置したために、その分分譲価格が割り高になったと、こういった指摘を当委員会でやったわけですけれども、それで大丈夫かと、こういう会議録が残っておりますけれども、一年たった今日、まあ昨年十二月でこの団地の三LDK七十八戸、四LDK六十三戸、合計百四十一戸のうち、入居者が三十三戸しかないわけです。幾ら公団分譲住宅の部屋が狭くて部屋数ばかり多いといっても、一番多い価格帯が二千五百八十万、これが最低価格で、四LDKの最高価格が三千五百五十万、こういうことですけれども交通の至便から考えれば、四分の一も入ってないというのは、これ私理解できないんですけれども公団として、この団地に限って、こういういいところ、いいところというか、交通的には、交通網からいけばいいところにある、便利なところにあると。しかも入居者のない原因はどういうふうに分析をしているのか。それから、今後どのようにしたらこの団地についてはいいのか。その辺はいかがですか。
  137. 武田晋治

    参考人武田晋治君) ただいま御指摘ございましたエステート上山団地の件でございますが、五十七年の五月に募集をいたしまして、その際に応募者倍率が実は一・二倍ございました。それで、五十七年の八月に管理開始を百四十一戸いたしております。現在、まあ御指摘のように十二月末現在で、未入居住宅が百八戸あるという状況でございます。  まあ理由につきましては、先ほども申し上げましたような一般的な住宅不況という理由もございますが、私たち団地につきましては、強いて挙げるとすれば、最寄り駅でございますところの国鉄武蔵野線船橋法典駅から乗りまして首都圏への通勤という形になるわけでございますが、武蔵野線の本数の関係とか、あるいはまた乗りかえ等というようなことで若干不便な面があるというような点から、需要者の方々に敬遠されているのが一つの大きな原因ではないだろうかというような分析をいたしております。  しかしながら、私たちが扱っております団地といたしまして管理開始をいたしまして、現在百八戸残っています。これ、率にいたしますと七六%でございますが、こういう高率の団地は非常に少ない例でございまして、私たち今後入居促進を特に配慮する必要のある団地だという認識をいたしておりまして、これにつきましては今後さらにPRの徹底あるいは現地の受け付け、企業訪問等というような特別な供給促進活動を懸命に図りまして、早急に未入居住宅解消を図りたいというふうに考えております。
  138. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 団地は日本国じゅうたくさんあるわけで、皆さんもそれを一々売れたか売れないかということで監督するのは大変だと思いますけれども、あなた、この団地行かれましたか。
  139. 武田晋治

    参考人武田晋治君) 私はまだ参っておりません。
  140. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 なぜお聞きするのかというと、分析がやっぱり甘いんですよ。だから、住んでいる人、また買いに来ている人、なぜ買わないのか、その辺をきちっと掌握して、それならばそのように対応策を立てて本気になってやらないと、この団地解消できないですよ。私はそう思うんです。それは景気が悪いとか、みんな所得が減ったとか、これはいろいろ理由はありますけれども、ただそれだけで漫然としていたんでは、これは処分できない。それならばそれなりに、やはりニーズに合わしたものにするために努力していくのが、やっぱり皆さんの務めじゃないかなと、こういうふうに私は思うんです。ましてや国の金を使ってやっているわけですから。ここに住んでいる人に聞けば、私は聞いたんですけれども、なぜこの上山エステートですか、これが売れないのか。日曜日なんか来るそうです、見には。来るけれども一つは大体学校が遠い。小学校へ行くのに、真っすぐ直線で行けば何か二十分ぐらいらしいですけれども、いわゆる通学道路というのがないために、山の中にありますから結局迂回していくということになると一時間かかる、小学校は。それからもちろん買い物は不便である。そのほかに、管理費が一万五千円かかるというんです。もちろん三十年月賦ぐらいでこれ買っているらしいんですけれども、その払うお金のほかに管理費が一万五千円ぐらいで、大体おたくの公団管理費というのは七千円か八千円ぐらいが普通だと私は思うんですけれども、その倍払わなければならない。これは屎尿処理ですか、これが第三次までやってそういうことになるんだということらしいんですけれども、そういう隘路があってこの団地が売れないんじゃないかと、こういうふうに現地では言うわけです。そういうところを皆さん全部行ってみるのはこれは大変でしょうけれども、細かく分析をして、そうしてやっていけば、それはビラを配るのも結構ですし、オンラインシステムにするのも結構ですけれども、その努力をするのが私は必要ではなかろうかと、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
  141. 武田晋治

    参考人武田晋治君) 先生おっしゃいますとおり、私たち問題のあります団地につきまして現地に行きましていろいろの実情を調査をし、その問題解決に当たる必要のあることを十分認識いたしております。それをできないのを非常に残念に思っております。  しかしながら、実はこの団地を扱っておりますのが東京支社でございますし、それからまた首都圏の募集を担当しております募集センターというのがございます。その東京支社あるいは首都圏の募集センターにおきまして供給促進役等を配置いたしまして、この販売等につきましてのいろいろな何と申しますか、販売供給の特別活動を実はやってもらっているという状況でございます。いま御指摘のございました、計画に問題があるというような感じを受けますが、そういう事柄につきましては実情をよく調査いたしまして、今後の建設等に当たりましては、そういう問題等十分考慮に入れて対応してまいりたいというように考えております。
  142. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いま申しましたような状況で、いわゆる現在の分譲住宅の売れ行きは非常に深刻な状態になっているわけです。多摩ニュータウンの例を新聞でも見ましたけれども、極端に昨年あたりから不振になっている。先ほど言いましたように、所得の伸び悩み、実質賃金の目減り、こういうこともあるかと思いますけれども、そこでこの不況時には、いま言ったようにそういうふうに努力をしていただきたいと私申し上げましたけれども、それもやっていただかなければならないけれども、この分譲住宅の販売促進方法の一つとして、売れないのをそのまま置いてもこれもよくないし、そうかといって余りたたき売りというのもこれもできないわけですから、この不況時に際して価格を多少引き下げて売る方法も考えたらいかがかなと、こういうふうに思うんですけれども、そういう方法は考えられませんか、おたくの方でどうですか。
  143. 武田晋治

    参考人武田晋治君) 私たち公団分譲住宅につきましては、公団の省令におきまして、建設価格を基準といたしまして価格を決定しなければならないという規定がございます。したがいまして、適正な価格で分譲させていただくというのがたてまえに実はなっているわけでございます。その際に、近辺の分譲住宅等の価格等につきましても十二分な調査等をいたしまして、そういう値づけの上で実は分譲しているのが実情でございまして、適正な価格で募集をいたしているというのが状況でございます。それで、一度定めました価格につきまして、特にまた値引きをするというようなことにつきましては、すでに分譲をしておりますところの居住者の皆さん方との関係も出てまい りますし、それからまた、規則的にもそのような場合には改めて建設大臣の承認等も得なきゃいけないというようなこともございまして、なかなか値引きをして販売するというようなことは現実の問題としては非常に困難であるという状況でございます。
  144. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 事情はわかります。たとえば、百戸あって三十戸分譲できたと、あと七十戸残ったと、それを値引きすれば先に買った人は文句言うに決まっていますから、そういう点は考慮をもちろんしなきゃいけないし、また、そういう規則になっているわけですから。  建設省は来ておりますか。——建設省は、この値下げをするということについて、全体の経済情勢とかそういうのを含めて御所見はいかがですか。
  145. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) ただいま住宅公団武田理事から申し上げましたように、また、先生からも御指摘がありましたように、すでに分譲譲渡されている譲渡人との価格のバランスをとるということは非常にむずかしいことにあろうかと思います。しかしながら、そのまま放置しておくというのもいかがかと存じますので、これについては別途検討を加えましてできるだけ現在未入居になっております分譲住宅が譲渡促進されるよう検討を加えていきたいと、また住宅公団指導してまいりたいと考えております。
  146. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで大臣にお伺いしたいんですが、    〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕 いままで公団住宅の質より量と、こういうことから四人家族で五十平方メートル、約十五坪ちょっとですか、という最低居住水準さえ満たさない住宅を十六万四千戸も抱えているわけですけれども、これらよほど交通の便がいいかあるいは家賃が安くなければ入居者がないわけです。それらが今日大量の空き家及び管理住宅になっているわけです。一方、分譲住宅についても最近は急に売れ残りが多くなって、さっき申しましたとおりです。これは質を重視した余り、今度は四LDK、それから五LDK、価格は四千万以上と、こういう住宅ができてきているわけです。これが果たして国の税金をつぎ込んで民間より安い金利の、いわゆる財投資金を使っての公的機関が行うことなのかどうなのか。  昭和五十六年の総理府の貯蓄動向調査によりますと、勤労者世帯の平均年間収入は四百七十九万五千円と、こういうことですから、四千万の分譲価格は年収の計算をすると八倍強になるわけです。買いやすさの限度と言われるのは一戸建てで年収の一応五倍、マンションは四倍と、こういう数字が出ているわけですけれども、完全に八倍というのはこの限度を明らかに超えているわけです。これからもとのような分譲の公団住宅建設していくのが、いわゆるこちらの住宅都市整備公団に課せられた使命と考えておられるのかどうか、これが一つと、これからもこのようなものをつくる予定にしているのかどうなのか、その辺は大臣いかがですか。
  147. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大変むずかしい問題を御指摘を受けたわけでございますが、従来公団住宅につきましては、当初は、遠い、高い、狭いというようなことで入居者が敬遠されておった向きもあると思うのであります。最近は、御指摘のように量より質ということに重点を置きまして、その方面に力を注いでまいったわけでございまして、そうなりますと、今度また相当高いものになる。しかも御案内のとおり景気が非常に落ち込んでおって、所得が伸び悩んでおる。賃金その他目減りのような状況でもある。こういった周囲の環境も非常に厳しいものがございまして、当初住宅公団が考えておったこととは情勢が非常に変化してきておると思うわけでございます。したがいまして、今後の住宅対策につきましては、未入居、未利用地解決を図ると同時に、今後の住宅建設についても抜本的に根本から見直してみなきゃならない時期にも来ているかなという感じもいたしておるわけでございます。    〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕 したがいまして、従来のままの考え方でこのまま推移していって、ますます未入居がふえる、あるいは分譲住宅としては売れ残りがふえると、このような状況を加速的にふやしていくわけにもまいりませんので、ただいまも申し上げたように、建設省公団一体となってこれらの解決には全力を挙げて相談をして抜本的な対策を図っていきたいと、こう考えておるわけでございます。
  148. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 空き家問題についてはまだございますけれども、いままで指摘した程度でとめます。現実問題として、この空き家問題について公団がいろいろ対応策を立てているのは、私も十分承知しております。しかし多額のむだ金が使われているということは、これはもう国の損であります。  そこで、兵庫県の芦屋浜田地の分譲マンションを賃貸住宅に仕様変更し、対応策がとられたと、このように聞いておりますけれども、この建設された背景の現況及び仕様変更した理由、最初分譲住宅ということだったけれども賃貸にしたと、この理由ですね、その辺をお伺いしたいんですが。
  149. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) この芦屋浜につきましては、兵庫県の企業局で埋め立てて造成された土地でございます。その土地住宅地として開発しようということで、当然これは兵庫県が中心になりまして、建設省あるいは地元の芦屋市といろいろ御相談になりまして、ここで県営住宅、公社住宅、私ども公団住宅、それから民間住宅、いろいろ取りまぜていろんな階層の方にお住まいいただくような都市づくりをしようというような基本方針がつくられております。  当時の計画、これは昭和四十七年でございますが、四十七年の計画で県営住宅を五百九十六戸、公社住宅を五百九十五戸、公社住宅はこれは賃貸住宅でございます。それから私ども公団住宅が千五百九十一戸、これは全部分譲住宅、それから民間の五百九十九戸がこれも分譲住宅という形で、いわゆる賃貸住宅分譲住宅とをミックスした団地にしようという、そういった計画がなされ、それに従って、それぞれの県、公社、公団民間というような形で、そのマスタープランに従いまして建設を進めたわけでございます。ところが私どもは、やはり分譲住宅でも、先ほど先生から御指摘ございましたように、やはり中堅勤労者の手が届く範囲ということで、どちらかといいますと分譲住宅では小ぶりの分譲住宅を企画いたしました。主として三LDKでございますが、六十平米から七十平米ぐらいのものでございます。ところが、その後やはり住宅需要の変化によりまして六十平米の分譲住宅というのが非常に何といいますか、人気がなくなったということでございまして、そのために私どもとしましてはつくってからそういった七十平米のものは分譲住宅として出す、六十平米のものはできるだけ賃貸住宅として出すというような形に方針を変更せざるを得なかったという次第でございます。
  150. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、建設段階においての調査検討は十分されたけれども、いわゆる情勢が変わったのでそうせざるを得なかったと、こういうことになるわけですね。  全国で分譲住宅の売れ残り保守管理住宅三千五百七十一戸ですか、新築空き家が五千百三十四戸、合計八千七百五戸。芦屋浜団地は募集前に分譲から賃貸にすっぽりその棟は変えたわけですけれども、そういうまるごといわゆる分譲にしようと思ったのが賃貸に変えたということになればこれは問題がないようでございますけれども、分譲で募集したけれども実際に何戸かしか売れなかったと、残っているのが大半であると、こういう分譲住宅について賃貸住宅目的変更することはこれは不可能なのかどうなのか、今後この点について検討する考えはあるのか、また検討されているのかどうなのか。いまこういう時代ですから分譲といってもやはりお金のかかることですから、賃貸ならばいいだろうと、こういう私素人目でそういうふうにも感じるわけです、実際に数字にも出ているわけですから。分譲でやったけれども実際問題として売れない、しかし何軒か買ってしまっ たと、この辺を賃貸に目的変更してやれるのかどうなのか、その辺はいかがでございますか。
  151. 武田晋治

    参考人武田晋治君) ただいま先生のお話にございますことでございますが、分譲住宅団地におきまして未分譲住宅のみを賃貸住宅に変更いたしまして、同一の住棟内に賃貸住宅分譲住宅を混在させるということになるわけでございますが、これにつきましては管理上の問題が実は二、三あろうかと思います。  その問題と申しますのは、まず一つにはすでに分譲いたしました住宅の譲り受け人に対しまして法的にはともかくといたしまして、道義的にはその了解を得る必要があるという問題がございます。実は御承知かと思いますけれども民間マンション等におきまして分譲住宅を賃貸に変えるという問題が出てまいりまして、相当大きな争いになりまして、その分譲民間マンション業者は分譲から賃貸に変更することを断念したという例が実はあるわけでございます。私たちもある団地につきましてそのようなことを考えてやってみたこともあるわけでございますが、居住者の皆さん方の説得をするのに非常に骨折った事実があることも事実でございます。  それから、次の問題といたしまして分譲住宅所有者の方と賃貸住宅の貸借人との間におきますところの共同生活ということが起こってくるわけでございますけれども、その間におきますところのコミュニティーの育成というようなことにつきまして、十分配慮をしていかなきゃいけないというようなことがあろうかと思います。  それから、次の問題といたしましては、区分所有者といたしまして管理組合との複雑多岐にわたりますたとえば管理組合の役員の選出の問題とか、あるいは公租公課の負担の問題とか、あるいは修繕等の実施等に関しますあるいはまた管理水準の確保についての協議とか調整というような、実は問題がございまして、この問題をひとつ克服していかないと、いまおっしゃられましたような分譲住宅賃貸住宅に変えていくというようなことは解決しないんではないだろうかというように考えるわけでございます。  ということでございますが、公団といたしましては未分譲住宅が非常に多くある場合、これを賃貸住宅に変更することにつきましては、未入居解消が図られると考えられますような場合には、すでに分譲いたしました住宅につきまして、譲り受け人の了解を得て住宅の返還を受けまして、当該管理単位内の全住宅賃貸住宅に変更することは、でき得ることではないだろうかというように考えております。そういう場合にも全体の譲り受け人の方からの解約の了解を得るということにつきましては、先ほども申し上げましたようになかなか困難な面があるわけでございます。しかしながら、私たちといたしましては資産の有効利用というようなことを考えました場合に、これはある面におきましてはぜひ検討に値することではないだろうかというふうに考えておりまして、団地をブロック単位ごとに、あるいはまた住棟単位ごとに賃貸住宅に変更するというような形で、すでに譲り受けをされている方々の了解を得るというような問題等も克服しながら、今後ひとつ前向きに検討していきたいというように考えております。
  152. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかりました。困難なことはよくわかるわけです。ですけれども、現実の問題として分譲と賃貸の関係から言って、やはり賃貸の方がはけるというか、利用者が多い、こういうことはいまは事実なんですから。そういうことでいろいろ努力をしていっていただきたい、こういうふうにお願いをしたいわけです。  それでもう一つ、この分譲といわゆる賃貸の関係ですけれども、五十七年の計画としては分譲が全体の五七・一%、その残りが賃貸になるわけですけれども四二・九%、まあ大体半々になるわけです。  先ほどからいろいろ言っているような経済事情とか、それから諸般の事情、これ含めまして五十八年度の計画についてはこの配分はどういうふうにするおつもりですか。
  153. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 現在国会で御審議お願いしております五十八年度の政府予算原案におきまして、先生のただいまいろんな御質問あるいは最近の情勢等を考えまして、できるだけ賃貸に重点を置きたいということで、五十八年度の賃貸住宅分譲住宅比率はちょうど五〇、五〇、先生御指摘のように前年度が五七対四三というような比率でございましたが、これを賃貸住宅分譲住宅比率を五〇、五〇というようにいたすべく原案が作成されております。
  154. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間が来たので次の問題に移らしていただきます。  これは千葉県の市川市に流れる真間川の問題ですけれども、一、二点簡単にお伺いします。  この真間川等に対する激甚災害対策特別緊急事業、このお願いも含めての質問でございますけれども、一昨年台風二十四号、それから昨年の十八号台風、この市川市は未改修部分の真間川を初め大柏川、国分川、春木川、中小河川がはんらんして各河川流域を主に、もちろん床上も床下も浸水の被害がたくさん出たわけです。この改修工事の進捗状況ですけれども、どういうふうになっているのか、また五十八年度における事業計画はどういうふうになっているのか、この辺簡単に御説明いただきたいと思います。
  155. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 真間川につきましては一昨年十月の災害にかんがみまして、お話がありましたように五十六年度に全体計画額が百億円という河川の激甚災害対策特別緊急事業として採択しまして改修を促進しておるところでございます。五十七年度までに十三億七千七百万円ということで用地買収の促進に努めておりますほか、洪水流下のネックになっております橋梁の改築を行ってきております。五十八年度におきましても引き続き用地買収の促進、橋梁の改築、護岸工事等を実施して改修の促進に努めてまいりたいと、そう思っておるところでございます。
  156. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一点、たとえば国分川、春木川、大柏川、真間川、これにはいわゆる激特の事業と、それから総合治水対策特定河川事業とこれが両方重なっているわけです。私が申し上げたいのは、たとえば、国分川にしても一千五十メートル、これを激特でやる、それから一千四百五十メートルの部分がいわゆるいま言った総合治水対策でやる。それから真間川にしても四千七百五十メートルが激特で百五十メートルが総合治水対策と、こういうふうになっているわけです。これが重なっているわけです。それで、激特の方は五十七年から五カ年計画と、こういうことになっているわけです。それから総合治水対策というのは五十四年から、いままでも二十年やってきましたけれども、新たに五十四年から。十二年間ということは六十五年と、こういうことになるわけです。ですけれども、台風は毎年来るわけです。そうすると、私は思うのには、ぽつぽつやるのも結構ですけれども、一遍にやるというのはこれはちょっと無理かもしれませんが、実際にことし改修してよくなった、ところがまた台風が来てまたやられたと、端的に言えばもとのもくあみになってしまったと、こういうことがあっては困るし、また地元としても非常に恐れているわけです。そういう被害を毎年毎年やるわけですから。したがって、できれば総合治水対策というのを五十四年から六十五年ですから、これを激特の五年間、五十七年から五年間、六十一年までというのと同じぐらいに、端的に言えば、この総合治水対策特定河川事業というものを短縮できないかと、こういうふうにお願いをしたいわけなんですけれども、この辺はいかがですか。
  157. 川本正知

    政府委員(川本正知君) この区域につきましては、総合治水対策の特定河川事業というものをまず昭和五十四年度から採択してやっておったわけでございまして、全国的に言いましても都市河川の整備率がまだ時間雨量五十ミリに対応するのにも三八%という非常に低い水準でございます。そういった中で、この真間川流域につきましては、さらにそれを大幅に促進しようということで、総合治水対策でやっておったわけでございますが、 五十六年に災害を受けましたので、その区域の中から激特事業に採択できる部分を採択して、さらに促進を図ろうというふうな手段を講じたわけでございまして、激特事業そのものに対しましても採択基準がいろいろございますので、本当はその総合治水の区域を全部激特事業に採択できれば、それはいまおっしゃったような一番いい姿になろうかと思いますけれども、やはりそのいろいろの要件がございますので、その要件を満たす部分を特に激特に採択をしたということでございまして、残っております総合治水対策の区間が、いまおっしゃったような区間があるわけでございますが、それについてもさらに促進を図っていく、当然のことながら当初考えておったとおりの促進を図っていきたいと、そういうことでございまして、そのほかにも大柏川もおっしゃいましたが、治水緑地事業をやっておりますし、国分川につきましても都市小河川改修事業と、いろんな事業をあわせまして、できるだけ早く真間川全体の治水水準が上がりますように努力しておるところでございますので、今後ともがんばってまいりたいと思っております。
  158. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つ、国道の拡幅工事のことについてお聞きしたかったのですが、時間がございませんので簡単にお聞きしたいと思います。  柏から我孫子市を通り取手方面に行くいわゆる国道六号線、これは東京—茨城を結ぶいわゆる幹線道路として大変重要な道路でございますし、また科学万博が三年後に行われますので、それも加えて大変大切な幹線道路であることは間違いございません。この拡幅工事について、建設省の方でおわかりだと思いますけれども、進捗状況と今後どういう見通しなのか、簡単にお答え願いたいんですが。
  159. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 御説明いたします。  一般国道六号我孫子拡幅工事は、我孫子市根戸から同市柴崎の延長三・八キロメートルについて、二車線を四車線に拡幅するものであります。  当事業昭和四十七年度から事業に着手しており、昭和五十六年度までに我孫子市柴崎から同市根戸までの延長三・七キロメートルについては四車線で供用済みでございます。残りの百メートルのうち我孫子市我孫子地先の延長四十メートルについては五十八年三月に供用を図る予定であり、その残りの我孫子市我孫子地先の六十メートルについては一戸の用地補償を残すのみとなっておりますが、今後解決に努め昭和五十八年度供用を目途に事業促進してまいりたいと考えております。
  160. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 工事はそういうことですけれども、五十八年、ことしの三月ですか、一応終了ということで始まっているわけですよね。だけれども、現地を見ると、昨年の三月三十一日現在で本当の一部分を残して工事は大体終了しているように見受けるわけですけれども、そこで問題は、この地元の人に対する補償の問題です。壁が亀裂したとか、それから屋根が曲がってしまったとか、いろいろ複雑な問題がございますけれども、そういうことで、建設省と地元のここの工事をやっている地崎道路ですか、それと地元の自治会、菱田自治会、この三者が昨年の三日一日に三者会談というのをやっていろいろ話し合いをした。こういうふうにしてもらいたいと合意ができたわけですけれども、ここに合意事項がありますけれども、現実の問題として、でき上がった現在でも、内容的にはその補償問題が遅々として進んでいない。細かく申し上げればいいんですけれども時間がございませんので、ここに五十一軒のいわゆる被害を受けた図面があるわけです。この中で、簡単に言うと四十二軒が、まだ、全然いわゆる合意事項どころじゃなく、話にも何にもならない、こういう状況になっているわけです。五十一軒のうち九軒は示談が成立した。しかし、この合意事項の中にはいわゆる建設省責任をもって調査、補償を行うことになってもおりますし、去年の四月からそれを開始して、金額の提示は六月か七月ごろやる、こういうふうにも合意事項にはなっているわけです。ところが、地元の人に聞くと、そういうふうな合意をしたにもかかわらず、もう一年になろうとしているのに依然として話し合いが進まない。しかも、松戸の、あそこは建設省の出張所ですか、話し合いに来てくれるんだけれども、これは聞いた話ですけれども、お役人さんが態度が非常に横柄だというのです。だから非常に不信感を持ってしまっている、こう言うふうに言う人もあるわけです。いずれにしても、建設省がこれをやって、地崎道路にこれを請け負わして、それで被害を受けたのが地元の人が被害を受けたんですから、下請の請負の契約書の二十三条という条項もございますけれども、いずれにしても、建設省が大もとでやっているわけですから、建設省指導のもとにいわゆる補償問題について、自治会の代表もおりますし窓口もおりますし、また最終的には個々にやらなければならないと思いますけれども促進をしていただきたいというのが私のお願いなんです。この点について、どういうふうに話し合いが行われて、また、どういう条件になっているのか、その辺ちょっとお聞きしたいんですが。
  161. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 一般国道六号我孫子拡幅工事に伴う工事の損害補償につきまして、我孫子市菱田自治会と建設省、請負業者間で昭和五十七年三月一日に昭和五十七年六月ないし七月までに損害の調査をし、必要な補償を行う旨の合意を行っております。いま先生のおっしゃられたとおりでございます。  当該工事における損害は工事個所が軟弱地盤上の盛土構造となっているため、既存の舗装版を取り壊す際の振動や拡幅のための盛土等による沈下が原因と考えられ、施行に伴う影響の発生は避けられない状況であり、周辺の住民に大変御迷惑をおかけしておるところでございます。菱田自治会の沿道家屋七十二戸について地元との合意に基づき損害について調査を実施いたしました。  この調査の結果、当方で損害が生じていると認められました三十九戸のうち、十二戸につきましてはすでに解決済みでございます。また、私の方で損害が生じていないと認めました三十三戸のうち、八戸につきましてはすでに了解をいただいております。残りの五十二戸につきましては現在協議中でありますが、御趣旨に沿い、今後とも建設省、請負業者が協力して解決を図るべく一層努力してまいりたいと考えております。
  162. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そういうことでございますので、早急に建設省責任を持ってきちっとやっていただきたいと思いますけれども、もう一度御答弁をお願いします。
  163. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 合意事項のとおり、いま先生がおっしゃったように責任を持って協議を推進してまいりたいと考えております。
  164. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わります。
  165. 三治重信

    ○三治重信君 最初に、住宅都市整備公団の方に御質問をさせていただきます。  住宅公団関係の方で、従来、いわゆる土地ころがし的な結果として住宅公団として建てる予定のないものまでずいぶん買わされて、その後始末にいま非常に困っているし、どういうふうにしても、いわゆる調整区域やまたは上下水道なんかもとてもじゃないが住宅公団でできない、地方公共団体がやってくれないとできない、そういうような土地が非常に残っている。こういうふうなことを聞いて一応資料の提出方を求めたのですが、そんな住宅にできないような土地は買ってないというのが、これはたてまえだろうと思うのですが、しかし、なかなかいい言葉を覚えたもので、長期保有という言葉を使っておられるようだが、長期保有の土地はありますと、こういうことでございますが、そういうことのいわゆる長期保有で結構ですが、いま土地を、そういう調整区域とか長期保有としておって、やはりこれは住宅適地じゃなくて相当処分しなければならぬのじゃないかというふうな、いま持っている土地でそういうふうに予定をしている土地がどれぐらい、面積並びに価額上住宅公団の方で簿価として持っておられるか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  166. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 長期利用地につきましては、私どもやはり当面の責任者として非常に責 任を感じております。長期未利用につきましては建設省の御導導を受けながらその解決を図っているわけでございまして、まあ私ども言いわけではございませんが、私どもはやはり住宅宅地をつくるのが目的でございまして、住宅宅地として造成できないようなものを買っているつもりはございません。  ただ、いろんな周辺の住民の方々あるいはいろんな方々との調整、あるいは公共団体との調整で非常に調整が難航しまして、非常に開発に時間がかかっているというものが長期利用地として残っているわけでございます。その中で、私どもいろいろ建設省の御導導を受けながら検討しておりまして、やはり住宅として開発するにはもう少し時間がかかる、そういうことがあれば、地元にもし要望があるんならほかの用途に転用したらどうかというような御指示もございまして、長期利用地の中で私ども現在二地区、和歌山市の鳴滝団地、これは十三・六ヘクタールで高校用地として処分しておりますし、それから大阪府の美原町の美原につきましては十・一ヘクタールを、これは隣地が工業団地でございまして、工業団地との調整が難航しておりましたので工業用地として処分をいたしております。そのほか、これは長期利用地ではございませんが、愛知県の日進町にございます二十九・六ヘクタールの土地は、これは町とのいろんな調整の上で町の公園及び学校の運動場として割愛してほしいというようなことがございまして、これも処分しております。  現在、ほかにどういうものがあるのかということでございますが、私どもはやはりほかの土地につきましては住宅を主とした開発ができる、もちろん大きな住宅団地でございますと学校も必要でございますし、そういった住宅以外のいろんな施設が必要でございますので、部分的にそういうものに割愛するということはこれは当然でございますが、ほかの現在私ども長期保有地として持っております土地は、住宅を主として開発してまいりたいというように考えております。
  167. 三治重信

    ○三治重信君 この三つの土地を例示的に挙げられたわけなんですが、いままでもこういうふうなことで、いまは当面使えないから地元の方でほかに転用したいというようなことで、こういうふうにいま考えているような転用、いわゆる住宅用地として買ったんだけれども、やはりすぐには建てられないから、いわゆる昔の言葉では払い下げだね、払い下げをしたというようなのがここ最近、いま五十四年の決算なわけなんだが、その前後であったかどうか。  それから、この三つの土地でも例示でいいわけなんですが、買った値段よりか高いのか低いのか、例示的にでもいいですが、高いところは買ったときよりか何割ぐらい高く売れる予定だとか、またあるいは損をしたところはどれぐらいの損までで処分をしたかというようなのをひとつ御説明を願いたい。
  168. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) この三例は私どもここ最近の事例でございます。これはもう当然そういった土地をいろいろ持っておりますと、いろんな地方公共団体等の要請とかいろんな問題がございます。  一番過去で大きかったのが横浜大学の跡地でございます。これは横浜大学の跡地を私ども、ちょっと面積はここに資料ございませんが、跡地を買っておりましたが、その買った後で横浜市の方でどうしてもそこの周辺に大きな公園をつくりたいということで、後で都市計画の公園の指定がございました。これは横浜市の方でそういう都市計画上どうしても公園をここにつくりたいというような御要請がございまして、横浜市の方にお譲りしたと、そのかわりといったらおかしいんでございますが、横浜市で持っておられます土地を、私どもの方で埋め立て地の方を買わしていただいて、そちらの方に住宅を建てたというような例がございます。  そのほか、最近はございませんが、二、三年前までのいわゆる高校の建設問題ということで、私どもの買った土地を高校の新設のために割愛してほしいというような、そういったことはしょっちゅうございます。まあそういったことで、私どもももちろん住宅をつくるのが主とした目的ではございますが、やはり都市整備といった、そういった公共団体都市整備に協力するというのもやはり国の機関としての一つの任務ではないかと考えまして、できるだけそういったことには協力したいというように考えております。  それから、第二点のそういった処分するに当っての値段で損しているのかもうかっているのかということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、大勢として私どもは損はしてないということを申し上げたいと思います。私どもがやはり買いますときも売りますときも、いわゆる鑑定価格というもので買い、あるいは処分するときも鑑定価格で処分するというたてまえになっておりますので、全体的に見ますと、大体とんとんに近い線でいっているというようにお答え申し上げたいと思います。
  169. 三治重信

    ○三治重信君 最近こう不景気になってくると、こういう用地を抱えていても、いつ資金繰りが悪くなって、住宅公団なら一番支払いがいいだろうと言って売り込みに来るところが相当あるんじゃないかと思うんですが、そういういわゆる土地の先行取得というようなものに対する政策は、今度は土地が、住宅・都市というのは、宅地公団と一緒になったわけですわね。だから、たしかこの宅地公団の方は、宅地開発のための土地を先に買って、そして住宅用地開発して、そして提供するという、いわゆる土地の先行投資、開発というたしか大きな理由があったと思うんですが、それと今度は合併したわけなんだが、そういうようなことについて、今度は合併した公団として、土地の先行取得、それからさらに、いまおっしゃったように、いろいろ買ったけれども、買って持っておれば、それが高校用地として払い下げてくれ、いや公園にしたいからこうやってくれ、それは弾力的にやられたらいいと思うんですよ。住宅用地に買ったんだから、これはそんなものけしからぬとかということではなくて、やはりせっかく買ったんだけれども住宅に建てる前にその当該土地で新しい利用計画があって、ことに公共的な用地として提供方を申し出られた場合に、これは積極的にそれに応ぜられるということは、やはり公共使命を持っておられる公団としては、それは積極的な土地利用で、私はそういうことは何ら遠慮なく積極的にやられて結構だと思うんです。  ただ、問題は、これは、いい悪いとかいうことや利権に絡むということがほとんどなんだけれども、実際は相当経済の動きによって、この土地住宅公団に買わせようかというようなのが、いろいろうわさに聞くわけなんだけれども、そういうことに押されて土地を予定以上に買わざるを得ぬというようなこともあろうかと思うんですが、大体そういうような計画、土地の取得の計画というものをこなしていく以上に売り込みは相当あるんじゃないかと思うんですが、その需給、買ってくれというのと、まあ住宅公団として年間予算これぐらいのところでしか買えないという、いわゆる供給側の方と、あなたの方が予算や計画として買う何倍かの申し込みがあるんじゃないかと思うんですが、その点の最近の動きは、五十四年ごろから、五十年代の動きは、土地住宅公団の需給論だな、住宅公団が買おうとして予定を立てているのと、そこらじゅうから五十年代で買ってくれ、買ってくれというのとの需給のバランスはどんな調子ですか。
  170. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ただいま先生の御指摘のように、やはりこの土地の、何といいますか、素地の供給といいますか、売り込みといいますか、こういった問題はやはり景気の動向と関係がございます。五十四年ごろの、いわゆる土地の値上がりの、年率二けた台で上がったときはなかなか売りが出ない。最近みたいにほとんど土地が鎮静しておりますと、売りが若干ふえるというような傾向はこれは当然ございます。  それから、一体どれぐらい話があるんだという話でございますが、これは正確に申し上げられま せんのは、土地はよく、これは変な俗っぽい言葉で申しわけございませんが、土地は一応千三つと言われるように、不確定な情報が非常に多うございます。したがいまして、私どもはその中から本当に住宅として使える土地を選別するということをいたしております。しかしながら、現在でも私どものところにはいろんな話が来ておりますが、私どもの現在の状況を申し上げますと、やはり住宅として適地じゃない、あるいは住宅として適地であるけれども、とても住宅では賃貸住宅あるいは分譲住宅として値段から経営できないというようなことで、実は私ども用地取得につきまして年度予算で予定されたところまで買えないというのが最近でも実情でございます。それは、土地がないんじゃなくて、やはり土地を持っておられる方が高く売りたいと、私どもはやはり国民に提供できる価格でなければ買えませんので、そういうところでなかなか話が折り合わないというのが実情でございます。
  171. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、そんなに話はあっても、成立するのは千三つだし、それからなかなか話がそううまくいくものではないと、こういうようなお話なんですが、そこで、ひとつ今度はもう少し問題を限って、最近臨調なんかが、住宅公団は三大都市圏だけやればいいじゃないかと、ほかのところはそんなに国の公団でやることはない、問題は、宅地開発それから住宅供給、これはもう三大都市圏でいいじゃないかというのがちょっとあるようにうわさを聞いているわけなんですが、いま現に行っているおたくの方の事業の全体の割合の中で三大都市圏がどれぐらい、大体多いほどいいけれども。また、そういうふうに制限されても、結構それに対応する、むしろそちらの方を制限せぬでも重点的にやっていく方針なのか。いやそうじゃなくて、まだ非常に三大都市圏だけにしぼられちゃいかぬのだ、こういうふうな中堅都市でもわれわれ住宅都市整備公団は任務があると考える、こういうような御主張か、そこを簡潔に。
  172. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ちょっと手元に正確な資料を持っておりませんので申しわけございませんが、臨調で指摘されましたのは四大都市圏でございます。北九州市、福岡を入れまして四大都市圏。この四大都市圏のシェアがどれぐらいになっているかというお話でございますが、ちょっと正確ではございませんので御勘弁願いたいと思いますが、私ども仕事の中で、私どもが直接やっております住宅建設と、それから民間の、いわゆる民賃住宅と申しまして、民間の地主さんが借家経営されるのをお手伝いするというやり方と、二つございます。  私どもが直接仕事をしておりますものにつきましては、大体四大都市圏の比率が九十数%になっていたかと思います。そういうことで、私どもも現在私どもの、何といいますか、直接住宅建設をやっておりますシェアは、ほとんど四大都市圏だと言っても過言ではございませんし、今後とも私どももやはり臨調の御趣旨を体しまして、四大都市圏を重点というか、ほとんど四大都市圏にしぼると。ただ、地方中心都市等でも、法律上はこれは行われるわけでございまして、やはり私ども公団が地方・公団会議で、いわゆるいろんな技術力とか、たとえば再開発に近いような仕事で、いろんな技術力とかノーハウから、どうしても私ども公団でなければできないというような要請があった場合は、もちろん私どもも積極的に参加したいというように考えております。
  173. 三治重信

    ○三治重信君 それから今度は、住宅団地を建てられて、それに、せっかく住宅を建てたのだけれども、しかし、すぐ上下水道の完備ができない、あるいは導入路の交通路が確保できないというようなことから、利用が、いわゆる入居者募集が、また分譲募集ができないというようなのが五十四年ごろから最近において建てたうちの何%ぐらいあるか。
  174. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ちょっと正確な数字、パーセントでということでございますが、感じとしますと全体の中の恐らく一%とか二%とかいう数字ではございます、だろうと考えております。  また、確かに御指摘のように五十五年の会計検査院指摘等にございましたいわゆる保守管理住宅の中で、上下水道等の整備のおくれのために募集できないというものが五団地ございました。それにつきましては鋭意地方公共団体にお願いいたしまして、早くそういったものを整備していただきたいということで、この五団地は現在全部解決しております。大阪の淀の競馬場の隣にございます伏見納所という団地がございます。これがことしの三月にこれはもう募集、三月に下水道が完成しまして、四月にもう入居できるというようなことで、これを最後としまして全部解決しております。  なお、こういった原因はどちらかというとそういう上下水道の計画に合わせて見込み的に先行建設したということで、これもまた非常に私ども見通しの悪かったということで、残念なことでございますが、その後は私どもは厳しくやはりそういった上下水道等の見通しを立てた上で建設するということにいたしておりまして、この五団地以外に新しくそういった事態の起こっている団地は現在ございません。
  175. 三治重信

    ○三治重信君 そうですか。じゃ資料を出していただいた、公団とすればこの五団地だけだということで理解していいわけなんですね。  そうすると、今度はいままでもう入っておられる、何と申しますか、公団の、これは異動というものを、公団管理されているいわゆる賃貸住宅、分譲すればそれは空いておろうが何しようが住宅公団責任ではないわけなんで、これに対して御報告願ったわけなんですが、非常に何と申しますか、過去ときどき新聞なんかで報道されるような入居率や、幽霊住宅でもなさそうなんですが、やはりこういうのは平均でと、こういうぐあいになる。しかしながら相当、たとえば三分の一とか半分も入ってないというような住宅団地といいますか、賃貸住宅が所々にあってこういう結果があるのか。  これはあるいはおたくの団地ではないかもしれないけれども、愛知の春日井市というところに高蔵寺ニュータウンという、いま四万五千ぐらいの人口のところで、本当にこれは山を開発したところなんですが、それでも高層アパートの、山近くの、駅から一番遠いところの賃貸住宅では、最近まあ三分の一以上空き家が出て、訪ねて行った人がびっくりして、あれでは残った住民が、ことに御婦人なんかが夜目分の家へ帰ってきたりなんかするのに、非常に不安ではないだろうかというふうなことを聞いたわけなんですが、こういうようないわゆる空き家住宅が、ことに住宅団地や高層住宅で相当あると、いま残っている——残っているというか、入っている人が非常ないわゆる生活に不安を持ってくるんじゃないか、そういうような申し出や、それに対してどういう何か対策をとってくれというようなのがあるんじゃないかと思うんですが、しかし、こういうのはやはり生活環境が、二割なり三割空き家ができるということは、八割なり七割の入っている人に非常な生活不安をもたらす新しい事態じゃないかと思うんですよね。初めのときにはまだそのうちに後から入ってくるだろうと思っているから、わりあいに気が強いんだけれども、いっぱい入っていた人が一割、二割抜けていって、あと八割残っていても、入っていた人が抜けた後というものは非常な不安をもたらすと思うんです。こういうような対策というものは、いま起きていないのか、これはもう本当のレアケースなのか、またそういういわゆる集団的な空き家のある高層住宅についての治安対策というのか、往環境を保全する対策というものについてはどうか。  それと関連して、結局そういうような非常に入らぬときには、住宅の家賃を下げてもいっぱい入れようじゃないかというのがちょっと出たことが、報道されたことがあるかと思うんです。何か対策を立てぬと、せっかく入って住んでそこへ住もうと思っている人が非常な不安になるんじゃないか、そういうことに対する事例と今後の対策というものについて、どう思われるか。
  176. 武田晋治

    参考人武田晋治君) いま先生のお話にございました未入居率というのがまず一般的に問題になろうかと思いますが、その未入居率について申し上げますと、五十六年度末現在におきまして一・三%という状況でございます。  この率につきましては、五十六年度末時点におきまして公団賃貸住宅管理戸数が六十二万五千二百四十一戸ございます。それに対しまして、いまの未入居住宅と称しましていわゆる新築の空き家でございますが、それが五十六年度末で千四百七戸ございます。それから長期空き家と称しまして、これは一年以上空いている、会計検査院指摘を受けました空き家の戸数でございますが、それが指摘を受けましたときに九千三十四戸でございますけれども、五十六年度末時点におきましては七千十五戸になっておりまして、先ほど申し上げました新築空き家の千四百七戸と再空き家の七千十五戸を合わしまして八千四百二十二戸の割合が一・三%の未入居になっているという状況でございます。  こういう未入居になりました原因等でございますけれども、近年の需要構造の変化とかあるいは地域社会事情の変化等によりまして、そういうものが出ているという状況でございます。  それからこの空き家、未入居等に対します対策でございますが、五十六年の七月に建設省におきまして公団住宅等事業促進対策委員会というのが実は設置されまして、その中におきましてその対策等につきましての緊急対策が実は定められております。公団におきましても経営改善推進本部というようなものを設けまして、公団挙げてその対策に実は取り組んでいるわけでございますが、たとえば関連公共施設等を整備することによりましてそういう事柄が解消できるところにつきましては、そういう対策を実施するというようなことでございますし、それからまたいま先生おっしゃいました家賃等につきまして、五十七年の二月でございますけれども、傾斜家賃等の据え置き等の実は家賃対策等を実施いたしまして、そういう対策も対応いたしております。  それからまた団地によりますと二DK住宅空き家等が多いものがあるわけでございますが、そういうものにつきましてはある団地を指定いたしまして、二DKを二戸お貸しして、一戸はほぼ五〇%程度の家賃で御利用いただくというような二戸賃しによる家賃の割引きというようなことも対策として考えております。  それからまた、公団住宅一つ問題点でございますいわゆる狭いという問題に対応いたしまして、二戸を一戸に改造いたしまして、広いものにして住宅供給するというようなことも実施をいたしております。駐車場等の増設によりましてまた利用いただくというようなところにつきましては、事情等を考慮しながら駐車場を設置するというようなことなどをやっております。  それから、そういうハード的な対策を講じながら、一番公団住宅につきまして御利用いただく皆様方によく御認識をいただく必要があるというようなことで、特別供給促進活動等の募集活動を大いにやらなきゃいけないというようなことで、そういう面に力を入れているわけでございます。私たち、いままでにいろいろと努力をいたしまして、公団住宅のよさ等についてのPRはできているつもりでございますけど、ある調査などによりますと、まだ公団住宅についてよく知っていないという方々が半分、五〇%もおられるというような調査等もございまして、より一層、やはり公団住宅についてのハウジングキャンペーン等によりますところの、よさを御認識いただいて御利用いただくというようなための募集、販売活動をしっかりやらなきゃいけないんだろうというようなことはございます。  それからいまの、先ほど申し上げました新築空き家の問題と再空き家の問題があるわけでございますが、また別の問題といたしまして、現在公団管理しております、先ほど申し上げました管理戸数で六十二万五千二百四十一戸というのがあるわけでございますが、この住宅につきまして絶えず出入りされている方が実はあるわけでございまして、そういう退去の方が年に一〇・二%ということになっております。これらの空き家につきましては年に五月、八月、十一月、二月という形で年四回空き家募集というのをいたしております。その空き家募集で応募される方々の応募倍率は全国平均で二二・四%というような形になっておりまして、大体そういう空き家につきましては絶えず補充されて問題のない形になっているという状況でございます。
  177. 三治重信

    ○三治重信君 これだけの数字が、六十二万戸という戸数の中からいけば非常に優秀な成績だろうと思うんです。一部新聞なんかでわれわれが見たときには非常なセンセーショナルな報告だなと思って、これぐらいの営業成績なら非常に優秀だと思います。ひとつがんばってやってください。  それから、今度は建設省にお尋ねしますが、やはり日本のこれからの住居並びに生活環境の最重点は、やはり大都市圏の問題が一番重要かと思うんですが、ことにこの再開発住宅地、それから土地の区分による地域によっての再開発計画、これをやはり大きく三大都市圏で長期計画というものなり理想、一つの見取り図というものをやはりやらぬことには、この三大都市圏へ人口が過剰に集中し過ぎると。  五十七年度の建設省の白書だと、最近三大都市圏へは人口の集中化がとまったというふうに出ているわけなんですが、そうあるべきであり、またこの三大都市圏が一番先、いまからの生活環境、まあ都市活動に欠陥が出てくるところだと思うんですが、これに対して建設省としてやはり三大都市、ことに東京、大阪、名古屋の長期住宅、こういうようなのはやはり三十年、五十年という長い開発計画でないと、最終的にはうまくいかぬだろうと思うんですが、これをやはり国家計画として、一つの案として発表されて検討に供されるということが必要じゃないかと思うんですが、こういうようなことについてのお考えや、どの程度やっておられるか。
  178. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) ただいまの御質問にあるいは的確にお答えしてないかもしれませんが、私どもといたしましては、三大都市圏におきますいままでの異常な人口の集中現象というものは現在とまりまして、少なくとも社会増といったものは鎮静化しているわけでございますが、国土庁その他とも相談をしながら、たとえば建設省におきましては、南関東におきます一都三県を中心としました首都圏の、ことに南の方でございますが——におきます今後の開発あるいは整備方針というものについて鋭意勉強をしておりまして、一応の成果は得ております。  それによりますと、今後は首都圏におきます開発整備方向としては、一点集中型の都市構造を改めて多角的な構造にしていくというような方向での計画づくりを展開しようということを考えておるわけでございます。  一方、近畿圏につきましては、現在勉強の緒についたところでございまして、やはり同じようなことについての勉強を開始しておるという段階でございます。
  179. 三治重信

    ○三治重信君 それから、それとも関連すると思うんですが、民間事業として大都市の方でいわゆるミニ開発、まあ十五坪とか二十坪以下で家を建てたりするやつが一時盛んであったわけですが、こういうのに対して早くそのミニ開発に対する規制措置をとってほしいということを私は前に申し上げたことがあるんですが、最近はどうなっているのか。ことに消防、防火対策ということが当面の問題であろうし、それから、こういうことをやられると再開発や都市を住みよいやつにやろうという大変な大計画をつくって金を投じても、民間の方が先々ミニ開発して、何といいますか非常なスラム街になるやつを一生懸命先へ先へつくっておったら、イタチごっこになるわけなんで、そういうスラム街の形成をとめなくちゃいかぬと思うんですが、そういうようなものに対して最近の規制またはこのミニ開発状況というようなものについてひとつ御説明を願いたい。  まあこれとの関連で、ひとつ都市の災害、防災。大きな火事が起きるとそこでわいわい言うけれども、これはやはり日本における都市計画の最大の欠点だと思うんです。ことに、その中で河川、中小河川のやつを、道路は一生懸命計画の中へ入れるが、中小河川はどこかへ抜かしちゃってやるから、ちょっと雨が降ると道路が河川に変わってしまったり大災害を起こす、こういうことになろうかと思うんですが、そういう関連的な都市計画の防災、災害対策、このスラム対策というものについて、ひとつ逐次お答え願いたいと思います。
  180. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 大都市のミニ開発状況はいかんという点でございますが、ミニ開発状況についての詳細なデータを特別にはとっておりません。ただ、私どもは一戸建ての新規着工住宅の統計がございますが、そのうち敷地面積が百平米未満のやつをミニ開発と、こういうふうに考えてみますと、これの状況は過去数年減少いたしてきております。これは一つには先ど先生御指摘がございましたように、規制面がある程度功を奏してきているという面もあろうかと思います。ただ、それでも地区によっては大変そういうのが問題になっておりまして、自治体のうちかなりの大都市周辺の自治体の担当者は、ミニ開発対策として大変頭を痛めているという状況は私ども聞いております。
  181. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 都市の防災問題につきまして、その中でも特に中小河川の災害対策というふうなことを都市計画との観点から御質問があったわけでございますが、都市内の中小河川のはんらん防止のために、いま通常一般に行われておりますいわゆる河川改修といいますか、たとえば堤防をつくったり川幅を広げたり川底を掘り下げたり、あるいは護岸の整備をするとか、そういったようなほかにも、流域におきます遊水機能の確保のために遊水地をつくるとかあるいはその他分水路、放水路、そういったものの整備といったような多様な工事を実施いたしまして治水安全度の向上に努めております。近年の都市化の進展にかんがみまして都市計画とも十分マッチをした都市河川対策に重点を置いて、新しい第六次の五カ年計画の中でも都市河川対策を最もの重点として推進しているところでございます。  また、流域の都市化の著しい河川につきましては、総合治水対策特定河川事業ということで、治水施設整備を計画的に進めるのは当然でございますが、流域の持っております保水機能、遊水機能を確保したり適正な土地利用の誘導等を図りますようないわゆる総合治水対策、こういったものを推進して都市問題の中でも都市計画と十分対応するように努力しておるところでございます。
  182. 三治重信

    ○三治重信君 この点もう少し御質問しようと思っておったんですが、余り時間がなくなったから、本当に一通りの質問だけにして次へ移りますが、最後に地価対策なんですが、私は非常に地価が上がっているこのとき、土地さえ買えばもうかるというふうなときに、政府はみずから土地は買わさんなと、買うことはやめて借地でやりなさいというようなことをやったんですが、従来、政府は何をやるにしてもまず土地を買って、その上で仕事をする、こういう長年の慣習になってきているわけです。したがって、どんどん政府公共事業をやればやるだけ土地がどんどん上がっていく、こういうことを指摘して多年おったわけなんですが、最近地価の上昇が不景気のためにとまった、これは非常にこの機会にこそ地価対策でいろいろやればやるほど、これは税金をまけることしか自民党政府はやらぬわけだから、ますますこれは土地を買っておけば必ず将来はもうかる、税金も安くなるからなおさらいい、こういうことになると思うんですけれども、やはり地価というものは何と申しますか、利潤、利益の対象にさせないことが非常に必要だと思うわけなんです。そのためにも私は、地主はいわゆる地主として睡眠をさす、そしてその利用の対価だけは払う、所有権を没収するということはやらぬから、こういう政策をひとつしっかりやれば地価というものは上がらぬし、地主はもう自分で持っていなさい。売れと言うと、いやこれは先祖代々の土地だからなかなか売れぬ。売れぬと言うとなお買うと、そうすると札びらでほっぺたはたいて買うと、こういうことで土地をめちゃくちゃに上げてきたわけなんで、これに対してやはり全部が全部しようということではないけれども、ことに、都市計画地域の農地の宅地化なんかでも、初めは税金を高くするぞとこう言って非常におどかして買おうとしたけれども、これは全然だめ。だから百姓に土地は持っていなさいと、そのかわり、都市計画地域だから宅地にして住宅を建ててそうして賃貸なり、土地は持っておって、上屋を売ればえらいもうかるんじゃないかと、管理権もつくじゃないか、こういうふうにやりなさいと言ったのですが、その後どうなっているか。  また、用地の買収よりやはり基本的に借り地でやる。地方でも学校住宅でも借りてくれと、それからいろいろ市が大きな用地として公共施設をつくる場合にはひとつ買うよりか借りてくれ、そして毎年地代をくれればその方が将来生活安定に保障がいいというようなことを方々から聞くわけなんですが、建設省国土庁はこういうようなものに対して本当に土地政策について再検討してもらいたいと思うのですが、聞けばことしから一部そういうことについて試験的にやる用意があるというようなこともあるわけなんですが、大臣ひとつ簡単に。
  183. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 公共用地の確保の問題についてのお尋ねでございますが、先生のお尋ねの御趣旨からいきますと、買うより借地方式で運営していったらどうかというような御意見かと思います。御指摘のような点につきましては、効果は期待される点もございますが、一面、河川、道路のような半恒久的な所有権者の利用が全く将来期待されないというような事業につきましては、借地契約を締結をいたしましても所有権者の同意が大変得られにくい。恒久的にもう所有権はあっても、全然自分の利用価値がないということになりますので、なかなかこれは手放しがたい、話がつかないことになるんではないかと思うわけでございます。  それから財源対策の面から見ますと、当初は取得する経費が節減されるということで効果があると思いますが、一面、借地権の設定のための一時金であるとか、借地料の負担、また、さらに進んでいきますと、今度は買い取り——買い取ってくれというような問題も出てまいりまして、経済的な負担が将来に残されるというような場面も多いかと思われます。したがいまして、公共用地を借地方式によって確保することは、一般的に公共事業の場合には大変むずかしい問題があると思われますが、先生も御指摘のように、公営住宅の敷地であるとか、都市公園の敷地であるとか、そういった面では借地方式というものがとられております。  また、地方公共団体等によって地元のある意味における公共的なものに利用できるということで、地主が貸してもいいというような例はございますでしょうけれども、大がかりな公共事業ということになりますと、もう永久的に、所有権はあるけれども、自分たちの使える状態ではないというようなことで、大変困難な問題が後に残されていくという感じがいたしておるわけでございます。
  184. 安武洋子

    安武洋子君 けさほど来、住宅都市整備公団の問題につきまして質疑が行われておりますので、できるだけ重複を避けまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず、住・都公団民賃住宅についてお伺いをいたします。  民賃住宅滞納理由別の態様につきましては、検査院の昭和五十六年度決算検査報告、これに記されてございますけれども、こういうふうな事態を生じました公団側公団側でございますよ、この公団側の原因や責任についてどのようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  185. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) こういった事態になりま したことを深くおわびしなければならないと思いますが、この原因につきましては会計検査院の御指摘もございましたように、大半は公団側責任にあるということを痛感しております。  その第一は、やはりそういった申し込みを受けまして、そういった住宅経営というものを審査するに当たりまして、その住宅経営そのものの審査状況が的確でなかったということ。  それから、やはりそういったものの住宅経営をなさる場合でも、ほかにいろんな事業をなさっておられる場合がございます。そういったものを含めましてそういった住宅経営をなさろうという方全体の、いわゆる信用力と申しましょうか、そういったものの把握が的確でなかったという、そういった審査上の問題が第一点でございます。  それから第二点は、そういった者の滞納が生じました場合に、迅速、的確な督促の手続というものが不十分であったということも一つ、第二の原因かというように考えております。  したがいまして御指摘を受けるまでもなく、私どもとしてもそういった問題につきましてその解決策を図るべくいろいろ努力しているところでございまして、逐次そういった改善措置を現在とっている次第でございます。
  186. 安武洋子

    安武洋子君 審査上の不十分さということをおっしゃいました。民間では一つの物件を建てたり、売ったりするというふうなときには、当然市場調査とか信用調査とか、こういうことをいたします。例を挙げますと、審査案件の周辺の住宅とか、施設の需要の動向とか、あるいは周辺の家賃等の実態に比べまして妥当な家賃で返済計画が成り立つのかどうかとか、あるいは発足当初にありましたように、六年間で返済額が二倍にもなるというふうな傾斜償還方式で、果たして数年後の採算が成り立つのかどうかとか、こういうふうな申請したときの経営計画で収支が成り立つかどうかとか、あるいは申し込み人の信用、ほかの機関——金融機関ですが、こういう面からの資金調達状況がどうなっているか、あるいは事業を経営していたらその事業がどうなっているのかというふうなことを行うのが、これは当然でございます。ところが、これが不十分なままに譲渡をするというふうなケースが出たことについては、どういうところに原因があるんでしょうか。どうしてこういう事態が生じたんでしょうか。
  187. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 従来も決してそういったことを審査してないわけではございません。ただ、私ども審査が甘かった、甘かったと申しますと、そういった審査が出てきますと、一応形式的にはそういった審査はすべてやるわけでございますが、それを確実に裏づける、あるいはその申請書の裏に隠されているものはないかというところまでの突っ込みが足らなかったということが、私ども反省として挙げられるんじゃないかというように考えております。
  188. 安武洋子

    安武洋子君 では、公団の場合、建物を建てて、それから譲渡をして、割賦償還させるというこの特定分譲住宅制度といいますのは、この民賃が初めてではないはずなんです。企業の社宅とか、従業員の宿舎などを建てまして分譲する給与向けの特定分譲住宅、まあ特分と言うそうですが、こういう制度を昭和三十五年ごろからやっておられると思いますけれども、これは間違いございませんか。
  189. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 昭和三十年代におきましては、そういった当時の窮迫した住宅事情をいわゆる社宅という形で解決していこうということで、私ども指摘のように給与住宅向けの特定分譲住宅というものをやってきております。ただ、この場合は企業が企業の持っている土地に自分の従業員の社宅を建てるということでございまして、今度の同じ特定分譲住宅という名がついておりますが、今度の特分いわゆる民賃というものは、先ほど来いろいろ土地政策についても御議論ございましたが、いわゆる都市の中に地主さんが遊休地として持っておられる土地を高度利用して活用して、そうしてそれを一般の国民の方の賃貸住宅のストックとして活用していただこうという趣旨でございます。したがいまして、その地主さんは先祖代々のいわゆる農家の方もおいでになりますし、いろいろな商売をしておられる方もある。非常にそういった経営形態というのが、従来のいわゆる社宅をお建てになるようないわゆる一般的な企業と申しますか、そういう形と非常に態様が複雑になっております。そういったことから、従来の審査体制では不十分であったということをやっぱり反省せざるを得ないんじゃないかというように考えております。
  190. 安武洋子

    安武洋子君 御説明はわかりますけれども、しかし給与向けの特分の場合も当然申請があった企業の経営状態を調査するというふうなことで、割賦金の回収に支障が生じないかどうかというふうなことを審査した上で建設、分譲すると、こういうシステムになっていると思いますけれども、そうでございましょう。
  191. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) さようでございます。ただ、こう言っちゃ申しわけございませんが、やはり社宅を建ててというような企業というのは、一応中小企業であっても中以上ぐらいの企業でございます。ところが、土地を持っているんだけれどもという方の中には、いろいろな御商売の方がおられまして、その辺の複雑ないわゆる信用調査というものが、非常にこれはむずかしい問題でございます。そういったことで、企業向けにはもっと突っ込んだ信用調査が必要であろうかというように考えております。
  192. 安武洋子

    安武洋子君 この給与向けの特分の場合の回収でございます。これは企業の経営が悪化するというふうなことになりますと、これは回収が非常に困難になる場合が多いわけです。それで抵当権の行使とか買い戻しとか、あるいは再譲渡と、こういう措置をとって私はいままで対応されてこられてるのではなかろうかというふうに思うんです。ここで伺いますけれども、特分のこういうふうな買い戻し、再譲渡、こういう措置をとった件数というのは何件ございますか。
  193. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ちょっと手元に資料ございませんが、私の記憶の範囲内で申し上げますと、いわゆる買い戻し、再譲渡の前に何と言いますか、その社宅をほかの企業あるいはほかのところに転売、あるいはその権利といわゆる債務を承継するというような形で解決しているのがほとんどじゃないかというように考えております。
  194. 安武洋子

    安武洋子君 企業向けよりも民賃の方を厳しくしなければならないんだと、いま御答弁の中であったんですが、その企業向けの特分ですね。私の方から公団に一体件数は幾らあるのかということをお伺いいたしました。ところが御返事というのは、各支社に問い合わせて調べさせなければわからないと、数日間調査に要ると、こういうことでございます。一体、償還上のこの問題点、これは本社で掌握するという点は一体どうなっているんですか。
  195. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) もちろん建設した件数というのは本社で把握しておりますし、それからその年度、年度のいわゆる未収状況というようなことも本社で把握しております。
  196. 安武洋子

    安武洋子君 いえ、それにしましても特分の、私どもはいままで抵当権の行使とか、あるいは買い戻し、再譲渡、いろんな措置がとられたと、それを一つずつどれぐらいの件数があるのかというふうなことは本社の方では掌握をしていないということなんでしょう。私の方でこういう件数を出してほしいということでお伺いしたわけです。そういう御返事が返ってまいりました。ということは、給与向けの特分の割賦金の回収、これは現場の方たちは大変苦労されているということを聞いております。こういうふうな実態を掌握した上で私は民賃住宅の制度を発足させて適用すべきでなかったかというふうに思うわけです。こういう点も掌握なさらないでこの民賃住宅の制度を発足された。だから、この制度が発足した当初から申し込み人の計画を十分調査しないで、滞納が生じてしまうということは、現場の人はこの調査を十分やらないと大変なことになるということはよく知っておられるし、そういう点を憂慮なさっていた はずなんです。それにもかかわらず新しい制度を発足させるに当たって、従来の問題点の掌握も不十分なままにあなたたちはこういう制度をまた発足させていらっしゃるわけです。公団はこのことを一体どういうふうに考えてなさるんでしょうか。
  197. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 先ほど申し上げましたように、従来もそういった特定分譲住宅のいわゆる審査の制度というのはもちろん持っておりますし、給与向けの特定分譲住宅につきましては非常に事故が少のうございました。いま手元に資料がございますが、昭和三十五年からずっと二十万戸の給与向けの賃貸、社宅向けのいわゆる分譲住宅をやってきております。最近は非常に減ってきておりますが、合計二十万戸をやっておりますが、その中でいわゆる事故として契約解除あるいは買い戻しあるいは抵当権の実行をやったのが五件ということでございます。  したがいまして、私ども、確かに御指摘のようにそういった制度を発足するに当たっての、いわゆるいろんな制度なりあるいはそういった信用調査あるいはそういった仕組みというものが不十分であったということは認めざるを得ないと思いますが、そういったいわゆる企業の社宅向けの事故件数というのは過去において非常に少なかったということでございます。
  198. 安武洋子

    安武洋子君 住宅公団は一体どうなっているんですか。私の方からその件数を聞いて、資料をお出しください、件数をお知らせくださいということに対して、各支社に問い合わせて調べなければわからない、数日かかるんだ、こういうことをお答えになる。実にでたらめじゃないですか。いまここでは、過去にはわずか五件しかございませんでしたと、そういう点について一体どういうふうにお考えになるんですか。
  199. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) これは事務処理的に申しますと、支社で実際のそういった事故処理は当然するわけでございますが、これは当然本社に情報として上がってまいります。上がってまいりますが、上がってまいりまして、恐らくその書類というものは当然とってございます。しかし、これはそういった事故処理済みのものにつきましては、いわゆる書類としてはとってございますが、倉庫とか書庫の中へしまわれているというようなことでございまして、それを急に統計上出せと言われますと、書庫を探すかあるいは支社にそういったことを問い合わせるかということで、急場の間に合わなかったんじゃないかというように考えております。
  200. 安武洋子

    安武洋子君 そんなのは言い抜けであるということはだれでもわかります。国政調査に非常に非協力的だと私は言わざるを得ないと思います。  そこで、建設省にお伺いいたしますが、この給与向けの持分の割賦金の回収、これ、私の方に資料をよこさないというふうなことでことで論議になっておりますが、これで事故件数が全然なかったかといいますと、五件というふうなことが報告されているわけです。新しい制度を発足させる場合に、こういう点も十分に踏まえて、やはり同じ轍を踏むというふうなことをしてはいけないと思うんですよ。建設省はこういう点、どういうふうに指導をされてこられたんでしょうか、そしていまのこういう資料も出さないという態度についてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
  201. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 民賃住宅の制度につきましては、民間エネルギーの活用という観点から、私どもはすぐれた住宅政策一つの制度であると考えております。しかしながら、その運用についてはもちろん十分に適正に行う必要があるわけでございますが、今回、滞納につきまして会計検査院指摘を受けるに至ったと、まことに遺憾に存じております。  建設省といたしましても、この事態につきましては重視をいたしまして、すでに発生いたしました滞納につきましては、督促の強化あるいは抵当権の行使等、適切な対応策を講じて早期解消を図るとともに、今後このような滞納が発生しないように、たとえば割賦金の前納の制度でありますとか、一時金の徴収等の制度でありますとか、そういうような制度の見直しを行いまして、その適正な運用の確保について十分公団指導してまいりたいと考えております。  なお、御指摘の資料が先生の御要求にかかわらず若干遅かったということにつきましては、今後できるだけ早く資料をお手元にお届けするよう指導してまいりたいと考えております。
  202. 安武洋子

    安武洋子君 いままでどういう指導をされてこられたかということをお伺いしたわけですが、今後のことをお答えになりました。  まあ公団が大変無責任と言おうか、あるいは怠慢と言おうか、大変多額の滞納を生み出しているわけです。この責任は大変重大だと言わざるを得ないと思います。こういうことを生み出した原因の一つといいますのは、当初、公団の戸数稼ぎという、戸数至上主義的な考え方にあったのではなかろうかと思います。  数字を追ってみますと、制度が発足いたしました四十九年当時、公団住宅建設が落ち込んでおります。また、発足後も分譲、それから賃貸住宅とも建設が落ち込む一方で、この民賃は発足して二、三年で公団住宅建設戸数の三割近くを占めるというふうに急増をいたしております。これを見てみましても、分譲、賃貸住宅の落ち込みを補うために現場に建設ノルマを課して、民賃の希望さえあれば、経営の見通し、そういうものが立たなくても、申し込み人の信用能力、こういうふうな調査は二の次にしてもどんどん建設を進めていったというふうな事態があったのではなかろうか。それで、民賃滞納の原因は、やはり当初の公団のこういう姿勢がいま滞納という形になってあらわれてきていると思うんです。一部、若干ですが、手直しはされておりますけれども、こういうふうな御反省はございますでしょうか。
  203. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) ただいま御指摘がございました四十九年発足以来、千戸、五千戸、七千戸、九千戸、一万戸というように急激に伸びております。先生のおっしゃるように、これが公団の戸数主義、戸数ノルマのせいだというような御指摘でございますが、私どもはやっぱりできるだけ住宅をたくさん建てて国民に喜んでいただきたいということから一生懸命やっていることは事実でございますが、戸数ノルマというようなことで、決して何でもかんでも建てればいいんだという気持ちを持っているつもりではございません。  ただ、やはり五十一、二、三あたりで非常に急激に伸びております。これは私どものいわゆる直接建設戸数がこの間非常に落ち込んでおります。これは、先ほど来いろいろ御指摘受けておりますように、第一次ショック後のいわゆる安定成長期に入って住宅事情が非常に急激に変化して、この間にいわゆる未入居住宅等の問題が発生しまして、その対策のために直接建設戸数というのが非常に落ち込んだということでございます。  その反面、いわゆる第一次石油ショック等によりまして土地の価格が非常に上がりまして、土地を買って住宅建設するということが非常にむずかしくなってまいりました。  この民賃住宅の非常な利点というのは、土地が値上がりいたしましても、その土地を地主さんが活用されるわけでございまして、その土地が上がってもその地価というものが顕在化しない、それを利用して賃貸住宅供給できるという利点がございます。そういった点から、五十三、五十四というような土地のいわゆる値上がりが進むにつれて、逆にそういった民間賃貸住宅というものの、民賃住宅供給が伸びたと。最近ではまた土地の値上がりが落ち着いておりますと、今度はまた民賃住宅の申し込みが落ちていると、そういうような傾向がございます。
  204. 安武洋子

    安武洋子君 私は、やはりこの制度を発足させた当時の戸数至上主義、現場にノルマを課して、建てればよいというふうなそういうやり方が一つ滞納を生んだ大きな原因になっているという反省がなければいけないと思うんです。やはりそういう反省を踏まえないから、高い、狭い、遠いと いうふうなことで、同質の問題を今後もやはり生み出していくということで、いまも空き室の問題をつくり出しているというふうに思います。それで、現場の審査が単に甘かったというふうなことで、若干の手直しで今後糊塗しようというふうなことではなくて、一体こういう問題がどこから起こってきたのかということをもう少し真剣に反省をしていただきたい。指導的なお立場にある建設省としましても、こういう点を十分に踏まえていただいて、私は今後の指導をなさっていただきたいと思うんです。  時間が迫ってまいりましたので、いままでの論議を踏まえまして最後に一つ私お願いをしておきたいんですが、これは大臣とそれから公団の両方に申し上げます。  この民賃制というものは、私は適切に運用されればこれは住宅難の地域住宅供給ができるということで、いい制度だというふうに思います。だから、まず何よりもこれは適切な審査と制度の運用が図られるべきだと思います。そして、現在滞納している人につきましては、公団の制度を食い物にして悪用しているという人は、これはやはり厳しく対処をしていただかなければならないと思います。しかし善良に経営に取り組んでいる、しかし大変計画が甘かったと、それから経済の動向に応じ切れなかったということで、公団側の制度の運用上の不十分さと相まちまして、経営不振とかあるいは他の借入金と合わせた返済に大変難渋されているという方々ですね、こういう方々は、経営面で立ち行くような援助というものが要ると思うんです。それから返済につきましても、弾力的に運用をやはり考えなければいけないのではないか、立て直しを図りつつ返済をしていただく方途をやはり考えなければいけないと思うんです。こういう方途をひとつ講じていただいて、今後運用していただきたいと思いますけれども大臣の御所見と公団の御意見を伺って私の質問を終わっていきたいと思います。
  205. 内海英男

    国務大臣内海英男君) お答えします。民賃制度につきましては、ある意味においては大変いい制度で、民間の活力を有効に引き出すといった意味におきましては大変いい制度であったと思いますが、その運用の面におきまして多少甘い面があった、あるいは審査等において適切な審査が十分行われておらなかったと、こういった反省に立ちまして、皆さん方の御意見も踏まえて、今後こういった原因をよく探求をいたしまして、善意に基づく結果がこうあったのか、あるいは最初から御指摘のように悪用するというような意味の形でこういう結果が出たのかということまでも踏まえまして、厳しく調査をして今後指導に当たっていきたいと思っております。
  206. 志村清一

    参考人(志村清一君) 公団総裁でございます。  ただいま安武先生からお話がございましたように、また大臣から御答弁申し上げましたように、この民賃という制度は私はなかなかいい制度だとかように者えております。ただ会計検査院の御指摘のありましたように、多くの滞納を生じていることはまことに残念でございます。これからわれわれといたしましてもかようなことのないように努力をいたすと同時に、現在経営状況の悪いものにつきましては、せっかくでき上がった住宅が有効に使えるように、お互いによく相談し合いながら努めてまいりたい、かように考えております。
  207. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 他に御発言もないようですから、建設省国土庁北海道開発庁住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会