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政府委員(松井和治君) 先生ただいま御質問いただきましたように、わが国の空港の数は、現在公共用ということで使われております飛行場の数七十七ございます。このうち定期航空の就航していない空港が幾つかあるわけでございますが、島の、離島の空港も含めて七十七ということでございまして、この数は最近、ここ五年間余りではほとんどふえてない
状況でございます。もちろん
昭和四十年代の初めごろまでさかのぼりますと、その当時空港は五十二ございました。それから見ますと二十五ばかりの空港がふえたわけでございますが、私
どもといたしまして、現在のこの七十七の空港の分布を見、またその能力を見た場合に、御
指摘のように決して十分なものとは考えておりません。
まずその第一点は、日本の航空の特性でございますけれ
ども、日本の航空路というのはすべてが東京、大阪中心でございまして、どうしてもこの二つの大きな拠点と
地方とを結ぶ路線というのが最も各地の要望の強い路線でございます。しかるに、御
承知のように、羽田空港と現伊丹空港につきましては騒音の問題、あるいは羽田の場合にはもはや管制の限界に近づいておるというようなことがございまして増便ができないような状態でございます。そういう
意味で、まず第一の問題といたしまして、首都圏と近畿圏の空港の整備というものを緊急の課題として取り上げていかなければいけないという問題がございます。
第二に、現在七十七空港があると申し上げましたが、そのうちでジェット機が飛び得る空港は現状では三十二でございます。今年度末で二つふえまして三十四になりますけれ
ども、まだ半分に至っていないわけでございます。そこで、将来の航空機の機種の変化を考えますと、プロペラ機がリタイアして小型ジェット機に移り変わっていくという趨勢はかなりはっきりいたしておりますので、現在まだジェット機の飛び得ない空港については、小型のジェット機が飛び得るぎりぎりの限度といたしまして、滑走路を二千メートルまで拡張するという要請がございます。現に、十八余りの空港についてジェット化を進めておりますけれ
ども、このジェット化の要請にこたえまして、各地の空港の滑走路の延長なり、あるいは場所を移して新空港を建設するというような要請にこたえていくという必要性がございます。これが第二点でございます。
そういうようなことで空港を今後整備してまいるわけでございますが、なおかつ現状におきましては高速交通の恩恵に浴さない地域が日本の各地に残されております。そういうところに鉄道を引きあるいは高速道路を引くということに比べますと、空港をつくるということの方がはるかに経済的であるということもございますので、将来、これは航空輸送需要によりますけれ
ども、現在残された空白地帯に空港をつくっていくというのも、
一つの長期的な課題ではないだろうかというふうに考えております。
第四に、先ほど申しましたように、わが国は大変多くの離島を抱えております。離島につきましてかなり空港の整備が進んでおりますけれ
ども、なおかっかなりの人口を擁しながら空港のない離島がまだ幾つか残されております。こういうようなところに、ごく小型の航空機でもいいから離発着できる空港をつくるというのも、これからの
一つの
仕事ではないだろうかというふうに考えております。
以上が空港についての比較的短期ないしは長期のビジョンまで含めた
お話を申し上げたわけでございますが、そのようなことで空港が整備されますと、当然のことながら航空機がふえてまいります。また、航空の輸送需要は現在低迷しておりますけれ
ども、長期的にはまだまだ伸びると予測されますし、そのような場合、機数がふえてまいる航空機を安全にかつ効率的にさばかなければならない。こういうことから、現在日本の各地の航空路を従来の古い保安施設から新しい近代的な保安施設に取りかえて、VORという新しい航空保安施設をつなぐ形での航空路の再編成あるいは複線化を図っております。このような傾向は、今後の機数の増加に応じてなお必要性は高まってくると思いますので、できるだけ早く
全国的なVOR航空路の設定、そうして主要な路線の複線化というようなことを進めまして、航空保安施設の充実に努めていきたい。
なお、航空保安施設につきましては、大変技術が日進月歩で進んでおりますので、諸外国の研究
調査等とも連携をとりまして、新しい次の世代の航空保安施設の
調査開発にも努めていきたいというふうに考えておるような次第でございます。
そのようなことで、第三に、そういう航空機を使いましてこれを行います企業の問題でございますけれ
ども、現在御
承知のように定期は大きい
会社が三つと、あと地域的な輸送を受け持つ
会社が別に二つございまして、国内は五社で賄われておるわけでございますけれ
ども、それぞれの企業がなお一層経営の効率化を図りまして、体質の改善に努めていき、良質なサービス、安全なサービスの提供に努めていけるような、そういう体質づくりを今後進めていく必要がある、以上のように考えておる次第でございます。
空港から始まりまして企業までかけ足の御
答弁になりましたけれ
ども、大体以上のようなことを考えて今後の航空
行政を進めていきたいというふうに考えております。