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説明員(遠藤哲也君) 先生御
指摘のとおり、この
宇宙条約ができましたのは一九六七年でございますからもう大分前で、それ以降のいわゆる
宇宙技術の発展というものはきわめて日進月歩、目覚ましいものがありまして
状況が変わってきている。そこで私どもとしましても、こういった
宇宙での軍備競争が将来激化していくことは人類の将来にとって非常に懸念すべきことなので何とかしてこれを防止しなくちゃいけない、こういうことは全くそのとおりでございまして、それじゃ問題はどうしてこれをやるか、こういう問題になってくるのじゃないかと思うのでございます。そこで、実はこういった問題が
宇宙における軍縮といいますかあるいは軍備管理といいますか、それが国連等の場で取り上げられてきましたのはきわめてごく新しい話でございまして、実は一九八一年になってやっとこれが耳目をそばだてるようなことになり国連でも取り上げられるようになったということで、まだ実は二年ぐらいしかたっていない歴史の浅い軍縮交渉の話なのでございますけれども、そこでその国連の場であるいは軍縮
委員会の場での二つの流れというか考え方がございまして、一つはソ連の考え方なのでございますけれども、ソ連は
宇宙に対して兵器を配備することを全部やめようという
宇宙における兵器配備禁止
条約というものを一九八一年にグロムイコが国連
総会で提案してきたわけでございます。他方、これは実は
日本が共同提案国の一カ国であるわけでございますけれども、ソ連の言ういわゆる
宇宙における軍備競争の防止ということ自身の
趣旨はわかるけれども、しかし兵器の配備を全部廃止するといってもどういうふうに特定していくのか。つまり、
衛星の中にも先生御承知のとおりいわゆる査察のための
衛星というのがあって、これは米ソともたとえばSALT
条約でもってこれを認めているわけで、これはある意味での、ある意味でというかお互いの軍備管理の一つの有効な手段になっていることもこれまた事実であるわけで、したがいましてソ連の言うようにあらゆる兵器といっても、どういうふうに特定するのかという問題が一つと、それじゃどうやってこの
条約が守られているかといういわゆる検証と申しますか、検証の問題をどうするのかとこういうことがありまして、
日本はソ連の提案に対しましては棄権をしておるわけでございます。しかし、
日本としましてはそれじゃどうすべきかということで、いま
宇宙の軍備競争の中で非常に大きなウエートを占めていますというか危険をはらんでおりますのは迎撃
衛星であって、たとえばSIPRIの情報等によりますとこの迎撃
衛星につきましてはソ連はかなりの
実験を繰り返しておるようでございますし、したがいまして、迎撃
衛星の禁止ということを
宇宙軍縮のまず第一歩の最優先事項にしようじゃないかと。これの禁止についてどうやったら禁止できかつ検証を伴って
条約なり何なりが遵守できるかということから、そういったような決議案を
日本が共同提案国の一国として出したわけでございます。かつ、そういったような
条約につきましてジュネーブにあります軍縮
委員会で議論しようということも含めた決議案でございまして、それは幸いにして国連
総会で通ったわけでございます。今度いまや舞台がジュネーブに移ってまいりまして、ジュネーブにおきましてもさっき申し上げましたように
宇宙軍縮問題が取り上げられましたのは実はまた一九八一年の国連
総会を受けた後で、まだ本当に一年半ぐらいしかたっていないわけでございますが、幸いにしまして
宇宙軍備競争の防止に関する点が一つの
議題に——ことしたしか全部で六つ
議題があるのでございますけれども、その六つなり何なりのうちの一つの
議題として取り上げられておるわけでございます。しかしながら、それじゃこれを具体的にどう進めるかというのはちょっと手続的なことになりますけれども、やはり作業部会をつくらにゃいかぬということで、ことしの春会期は実は二週間前に終わったわけでございますが、春会期には残念ながらこの作業部会の設置はできなかったのでございますけれども、七月から始まります夏会期におきましては何とか——きわめて手続的なことでまず本当の一歩ということでございますけれども作業部会の設置に
日本はコンセンサスをつくり出すように努力してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。