○松前達郎君 いま私が申し上げたのは、これは
ヨーロッパにおいても、たとえばソビエトの衛星国ですね、ここの責任ある指導者の一部の人もこういうことを言っているわけですから、やはりこういった非核地帯の問題ですね、こういうことも含めて
考えていっていいのじゃないか。
INF交渉というのはこれは現実の問題かもしれませんが、現実であればあるほど、フランスとかその他の国の
核ミサイルまで含まれて
考えられるようになってきているので、非常に遠い道かもしれませんけれ
ども、その両面作戦でいかなきゃならない。私は
米ソを孤立させてしまえば、彼らはもうどうしようもなくなると思うのです、核についてですね。そういうこともひとつ配慮しながら、いわゆる平和戦略を練っていく必要があるのじゃないか、こういうふうに私は
考えておるわけです。
たとえば、
アメリカの核の傘の中に
日本がいるということをよく言われるのですが、ICBMに関しては、私は問題はそう複雑じゃなくなってきたと思うのです。これは主に
米ソの問題ですね。ところが、いま
INFで問題になっているのは中距離
核ミサイルですから、こうなりますとやはり
極東もこの戦略の中に入ってくるわけなので、これからわれわれとしても注意深く対応しなければならない部面がたくさんあるというふうに思うので、その点は十分お
考えでしょうから、非核三原則を守るということを前提にして、これらの核戦略が
極東において拡大しないようにひとつ御尽力いただければと、こういうふうに思っておるわけであります。
そこで、核の問題はこのくらいにいたしまして、
条約その他についてもお伺いしたいのですけれ
ども、この次もございますので、いま
一つの問題、これはちょっと
内容が違うのですけれ
ども、国際交流あるいは国際的な援助、この問題につい
てお伺いしておきたいのですが、
アジアが重要だと私はさっきから申し上げたのですけれ
ども、発展途上国、これに対する
わが国の
協力事業というのがたくさんあると思うのです。いままでずっと見ていますと、経済的に、とにかくお金で勝負しようというのが多過ぎると私申し上げたのですがね。
たとえば貿易を裏に
考えた供与、こういう問題が非常に多いのじゃないかと。エコノミックアニマルと言われてフィリピンの大統領も訂正したという話が、いわゆる
日本の供与に対する問題は経済的だというふうに訂正されたようですが、やはりまだそれは消えていないというのは、すべて何でも金さえありゃ
解決できるという
考え方が、どうも
日本の経済
協力の基本になっていると彼らは受け取っているので、その点が非常に残念なのです。
私、前の
委員会で申し上げたのだと思いますが、やはりこういう
協力体制の中に教育の交流、いわゆる発展途上国が発展するための基本的な問題として、たとえば工業的に発展するのであればその裏づけになる技術教育が必要である、こういうことになりますから、ただ品物とか、それからプラントを出してもそれを動かす能力がない、さらにそれを拡大する、あるいは発展させる能力がない。そこに能力がないというのはなぜかと言えば、いわゆる工業教育というものがその国で行われていない。非常にレベルが低い。ですから、これをやはりわれわれとしては援助の対象にしていく必要があるのじゃないかと思うのですけれ
ども、私、これ聞いたところによりますと、たとえば国際技術振興協会というのがあるのだというふうに伺っているのです。これが
アジアの、ASEANだと思いますが、その国々での工業教育に必要な教科書、これを現地の言葉で、母国語でもって印刷をして供給をする、こういう事業をやっておられると私聞いているのです。
昭和四十二年から十五年間にわたってこの協会がいろいろな出版をされてきた。私もその本を見ました。りっぱな本ができておるわけですが、その中の主なものは工学図書であり、教科書です。ところがことしの
予算を見ますとこれがゼロ査定になっているのですね。
私が
考えるとどうも逆行じゃないかという気がしてしようがないのですが、最も必要な援助であろうと私が
考えている教育援助、これがゼロ査定になってしまっているということについて、ことしゼロですからいまからどうのこうのというわけにいかないかもしれませんが、これについて、今後やはりこういう問題は慎重に扱ってもらいたい、こういうふうに思うものですからお尋ねしたいのですが、これ、現状どうなのでしょうか。