○
田中寿美子君 経済問題だけじゃなくてあらゆる面で、いま国連の中では三分の二以上を占めるグループ77の人
たちの主張は新秩序要求になっておりますですね、文化の面でもあるいはマスコミの問題でもみんなそうだと思うのです。つまり、古い
体制から国連自体が変えられていかなきゃならないという要求、これは時としてひど過ぎるというふうに聞く方もあるけれ
ども、やっぱりそれは公正の原理から言えば当然じゃないかと思う。
実は、国連婦人の十年の問題なのですけれ
ども、これは一九七五年の国際婦人年から始まって十年間が国連婦人の十年運動で、男性の方が御存じないくらい女性は全
世界的に手をとり合って運動を展開しているわけなのです。その国連婦人の十年運動の中でも、この国際経済新秩序のことがしばしばもうこれは宣言の中に入れられている。一九七五年のメキシコ宣言でもそうですし、それから七九年の国連総会で採択されました婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃
条約、私
たちは差別撤廃
条約と呼んでおりますけれ
ども、これなんかの前文にも、つまり、いわゆる発展途上国において低廉な労働とそれから北側からの企業の搾取があるような
状況の中で、北の先進諸国で男女の平等を獲得したからといって本当に
世界じゅうの女性が平等の
地位に立ったことにはならないのだと。差別撤廃
条約の前文の中にこういう文句が掲げられております。
「窮乏の
状況においては、婦人は、食糧、健康、教育、職業訓練及び雇用機会並びに他の必要に対する機会を最小限しか有しないことを憂慮し、衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が、男女間の平等の促進に大きく貢献することを確信し、」と、こういうふうに書いてありまして、だから、
世界会議などで北側の先進国がまたかというふうに、もういやになるほど大ぜいたくさんの国々から国際経済新秩序だとか、それから国際新秩序をつくれという要求が出てきているわけでございますね。ですから、ぜひ本当に
世界的に新しい経済秩序をつくり上げる努力の中で
世界じゅうの男女の平等も実現されていく、これは公正の原理にのっとるものだというふうに
考えていただきたいのでございます。
それで、国連事務局の発表した統計の数字から見ましても、これは一九八〇年にコペンハーゲンで中間年の
世界会議が開かれました、その年に発表されたものですけれ
ども、それによりますと
世界の人口四十二億、その半分は女性である。そして
世界の労働力のやはり二分の一は女がしょっている。そして労働時間を見ると、総労働時間の三分の二を女がしょっておる。これは家内労働だの農業だのに女が働いておりますから、労働力は三分の二が女性がしょっている。ところが、受け取っている賃金や報酬は十分の一であると、それほどの格差がある。
世界の文盲人口八億、その三分の二が女である。
そして、私はさらにこれにつけ加えたいと思いますのは、このごろの難民は何億ありますか、そのうちの恐らく過半数が女であり子供である。つまり、いま全
世界的に差別されている女性の人口がたくさんいるのだと。これを平等にするためには、先ほどの、発展途上国が先進工業国に対して、北側に対して優遇措置を要求しているように、私は女性を本当に平等に引き上げるためには、全
世界的に見てもやっぱり特別の優遇措置を図っていかなければならないのではないかというふうに
考えております。
差別撤廃
条約の第四条にそのことが書いてあります。先ほどのような前文があった上で、差別撤廃
条約の第四条の第一項では、男女間の事実上の平等を促進するために暫定的な特別措置をとることは不平等じゃない。つまり、差別撤廃
条約ですから不平等があってはいけないという
条約なのです。ですけれ
ども、女性が本当に平等のところまで引き上げられるためには、特別措置をとらなければそこまではいかない。単に平等の法律をつくり、平等の機会を与えられてさあどうぞと言ったからといって平等のところまでは
——これはもう労働の面でもあるいは社会参加、政治参加だって、いまの
日本の国会に二十五人しか衆参で女がいないというこの
状況なんか
考えてみても、やはり特別措置をとることが必要だというふうに私は思うのですけれ
ども、そういう
考え方を
外務大臣はどうお思いになるか。
もう一点は、この差別撤廃
条約の非常に大きな原理は、母性というものを非常に高く評価しているわけですね。母性のこれまでの貢献、そして今後の母性というものを守っていくというためには特別措置をとることが必要であって、そういう特別措置をとったからといって男女不平等とは
考えないということが第四条二項にあるわけですね。
この二つについて、
外務大臣、この差別撤廃
条約は一九八五年、国連婦人の十年の終わるまでに批准しなければならない法律でございますのでね、この大
原則のところの御意見を伺わしていただきたいと思います。