運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-04-15 第98回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十五日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      小西 博行君     伊藤 郁男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野  明君     理 事                 後藤 正夫君                 藤田  進君                 太田 淳夫君     委 員                 江島  淳君                 長田 裕二君                 片山 正英君                 杉山 令肇君                 藤井 孝男君                 藤井 裕久君                 八百板 正君                 吉田 正雄君                 佐藤 昭夫君                 伊藤 郁男君                 青島 幸男君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       安田 隆明君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      安田 佳三君        科学技術庁振興        局長       原田  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○技術士法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 中野明

    委員長中野明君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十四日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。     ─────────────
  3. 中野明

    委員長中野明君) 技術士法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 八百板正

    八百板正君 割り当ての時間もございますので早速お尋ねいたしたいと思います。  この法案は、経過的に見まして、さきの昭和五十五年八月の科学技術会議議長内閣総理大臣見解を受けて今日に至ったものだと考えていいのであります。そういう意味で、ちょっとそのときの考え方を引き合いに申し上げますが、  我が国技術水準も著しく向上し、これまでの技術導入依存体質から脱却して自ら革新的な科学技術を生み出し、技術開発面においても国際的に貢献していくことが求められるようになるなど、我が国の置かれている状況は、技術士制度発足当時とは様相を全く異にしている。   このような状況の中で、昭和五十五年八月科学技術会議議長 内閣総理大臣)は、今後我が国安定成長下技術水準を大きく向上させ、優れた新技術開発に寄与し、社会経済発展に大きく貢献するものとして技術移転重要性指摘し、「技術移転推進に関する意見」を取りまとめた。同意見の中で、技術士に関し、技術移転推進のために大きな役割を果たすべきものとしてその位置付けがなされており、その健全な発展が期待されている。   当審議会としては、これらの経済社会情勢変化科学技術会議意見等を踏まえ、技術士制度発展に資するため、技術士制度問題点及び改善策 云々というふうなことによっておるものと考えるべきだと思うのでありますが、このような考え方が具体的にこの技術士法案の中にあらわれておると見るべきところが見当たらないのです。これはひとつ、総理大臣見解ではなくて、まだ総理大臣になっておられませんから、科学技術庁長官の御意見最初に伺っておきたいと思います。
  5. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いま八百板先生から御質問がございましたとおり、わが国の戦後今日までの科学技術の足取りをたどってみまするというと、いわゆる導入の中において、これにわれわれの英知とそれからわれわれのすばらしい知恵というものを加えて、今日このようなすばらしい科学技術立国というものを成就しておるわけであります。  しかし、いまお話しのとおり、今日の情勢ははなはだしく社会経済的に多様的な変化をしておるわけでありますが、いま御指摘のとおり、その変化の中で、いままでは移転を許容しておったものが逆に貿易摩擦、こういう中において、移転というもの、導入というものが非常にむずかしい情勢の中に置かれるようになった。したがってみずからがみずからの英知によってこれをやらなければならないという中で、この技術士法との関連はどうか、こうなりますると、いままでの歩みをずっと見ると、四分の一世紀たっておるわけでありますから、この中には、やはり活性化というものを与えなければならない、こういうところが指摘される。審議会のお知恵をいろいろおかりしましたところが、そういう姿に今後軌道を修正すべきである、こういうふうな発想がそこに指摘されましたものですから、それを受けて今度こういう改正案をまとめた、こういうふうに御理解いただきたいと思うのであります。
  6. 八百板正

    八百板正君 私のお尋ねしている点は、これは活性化はもちろんですけれども、技術にしても科学にしても、国際的な立場考えなくちゃいけないのであって、そういう意味で、いわゆる技術移転という重要性が受け継がれておらないのではないかという感じがする。その点について一点だけ。
  7. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 仰せのとおりでございまして、本当に発展途上国海外協力、こういう面でもって技術士メンバー技術士制度というものは活用されなければならない、こういうことをわれわれは指摘され、それを考えていきますためにも、技術士法位置づけというものを今度改正させていただきたい、こういう願いを込めておるわけであります。  私も海外へ行ってまいりました。先生指摘のとおり、国際協力事業団、この機能の中でコンサルタントの皆様が本当に働いておるところを私も現実によく見てまいりましたし、当該国から非常に高い評価を受けていることも私は承知しております。そういう面で、ひとつ技術士位置づけというものを国際的なものにもして、国際的に協力してやるためにもこの評価というものを高めたい、こういう趣旨を込めていることを御理解願いたいと思います。
  8. 八百板正

    八百板正君 いわゆる国内の、国内といいますか、技術向上という点と、それから国際的に技術を普遍化すると申しましょうか、発展途上国後進国技術を高めるということと並列的に考える、そういう発想でこの技術会議意見が出ているという点をもう少し重要視していただきたいという点が、私の率直な意見であります。  そこで、時間が余りございませんから、それについての私の見解をちょっと述べて、できれば御同意を得たいと思うのでありますが、日本技術士会技術士向上、これはもちろんですが、科学技術向上を図り、わが国産業の発達及び海外との技術協力推進に寄与することを目的とするというふうに、第二条に日本技術士会は定めております。これは、海外技術移転考えをそのまま受けてこの定款の第二条の目的にうたったという点で、私は大いに評価できるものだと思っております。国際社会に立つ日本としてまさに正しい態度であります。  この技術移転について私は、いま日本の当面する問題は国際的にはやはり貿易摩擦とか国際摩擦の問題が一番大きい問題ですから、これは重要な点なのでちょっと見解を述べさせていただきたいと思いますが、この技術移転ということは、現地に活用される技術を移すということでなければならない。いわゆる発展途上国経済的な引き上げなくして、日本の高度に発達した科学技術の市場というものはあり得ないのでありまするから、常に発展途上国後進地域を引き上げる、なるたけ日本あるいは先進国と同じような地位に引き上げるような、そういう立場からこの技術移転考えるべきである。  その場合に、とかくしまするというと、日本の一番進んだ、ハイテクノロジーと申しましょうか、そういう一番進んだところを持ち込んでいくという傾向があります。これは日本企業方向もそういう形にならざるを得ない。ある意味では、先行投資みたいな考え方に立っていきます。一方今度、受ける方はと申しますと、これまた御承知のように、発展途上国開発途上国の国の政治指導者は、えてして、政治的立場が不安定でありますから、したがって、これ見よがしの、見せびらかしの技術導入とか、あるいはプラントにしても、資本導入にいたしましても、そういう形に持ち込みやすいのであります。私は先進国のこんなものをこんなふうに持ってきてわが国向上を図ろうとしているということを国内に見せびらかして、それによって指導性を確立しようというふうな、そういう不安定な指導者がややもすれば多いのであります。でありますから、どうしても最先端のものをつくりたがる。  それで日本がこれに対応するという形になって、日本資本技術プラントなんかが移っていきますと、結局日本の一番すぐれたものがそこに持ち込まれたといたしましても、結果は、低賃金労働者現地で使って、それででき上がったものが、高度の製品が仮にでき上がったといたしましても、それが現地にさばかれるということはないわけであります、購買力が伴いませんから。そうすると、結局それは単なる後進地域の低賃金を持ち込むという形になって、逆に日本の、あるいは日本だけじゃございません、先進国の進んだ産業そのものが痛めつけられる。こういうような、天に向かってつばするような、言葉は悪いけれども、というような結果になって、いわゆる世界不況をつくっていくわけであります。でありますから、今日、不景気だと言う場合に、いや国際的に不景気なんだというようなことをよくおっしゃいますけれども、その国際的な不景気というものは、そういうふうにして、先進国後進国の本当に経済向上に役立つような技術移転を、どちらかというと考えない、あるいはそういう点に欠けているというところから、いわゆる国際的な購買力が高まってまいりませんから、先進国工業製品ははけないという形になって世界的な不況が起こってくる。こういうふうなことは、これは私としては、そういうものだというふうに考えております。これは決して私は間違いでないと思っております。  そういう意味で、技術海外移転に当たりましては、やはりその現地経済状況、あるいはその国の立場に立って、本当に役立つもの、経済向上に役立つもの、そういうふうなものに日本の進んだ技術を持ち込んでいくというふうな、そういう姿勢が必要であって、企業先行投資的な考え方では決して相手国をよくするという結果にならないということ、この点を私は強調したいわけであります。こういう考え方がいわゆる技術移転の問題の重要な点だと思うのであります。  技術士会海外への移転をうたっておる。これに対して行政指導的立場科学技術庁がとるという、そういう観点から考えますと、この点は私、強く見解を述べまして、そして大臣の御意見を、御同意をいただきたい、こう思います。
  9. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いまおっしゃるとおりのような考え方にわれわれは立っております。  企業サイドのいわゆる技術移転の問題と、それから行政サイドにおけるいわゆる技術移転の問題と、おのずからいささかその立場を異にする問題はございます。しかし、行政サイドにおける技術移転、これにつきましては、先生のおっしゃるとおりのようなわが国が置かれている立場、無資源の国において海外協力をするということは、これはぜひとも、いまおっしゃいましたそういう考え方にのっとってわれわれは、相手国事情相手国立場に立って、国境のない指導、援助を行いたい、こういうことでございます。
  10. 八百板正

    八百板正君 それで、この法案趣旨は、技術士試験制度と申しましょうか、試験の実務的なものを民間に移す、日本技術士会に移すという考え方に立ったものだと思います。  そこでこれは、技術士会試験実務に取り組む態度、それからまた、試験問題を出したり試験を扱っていく科学技術庁、それから、これはすべてほかの試験制度とかに共通するものとして、その中でこの技術士についてもそういうお考えがあってほしいという意味で申し上げるのでありますが、えてして試験というものは、いわゆる上げるという立場ではなくて、落とすという立場に立った試験態度が多いのであります。極言するというと、試験を受ける受験生というのは敵だ、敵性を持っている。何とかしてむずかしい、ひっかかりやすい問題を出してふるい落としてやろうという、そういう立場試験問題なり試験官態度が共通してあります。  これは非常に問題なんです。これは、そうでないとは恐らくどなたも言わないと思うのです。試験問題を選ぶ、あるいは選考する態度というものは、何とかしてむずかしいものを出して振り落としてやろうという、そういう態度がおのずから出てくる。これは木戸番みたいなものでありまして、木戸番というのは木戸破りに対しては非常に敵意を持ってくるというふうな傾向がある。この態度は、少なくとも科学技術発展向上というものから考えると非常に危険な考え方だと思う。  こんな話をしているともう私の持ち時間がたってしまいますが、大事な点ですから触れておきます。  それで、これは行き過ぎではありますけれども、十年ほど前に、中国にいわゆる白紙英雄というのが出ました。試験のときに白紙を出したんです。白紙の答えを出した。これはどういうことか。ただ、白紙だけれどもそこに意見を述べたんです。私は国家指導者の、あの当時毛沢東ですね、毛沢東趣旨に従って、こういうふうにして現場に入って一生懸命に働いた、だから高校で勉強したことなんか忘れてしまった。朝から晩まで働いた、だからこんな問題はとても書けないというようなことを書いた。しかし、みんなからすすめられて、あなたは大学の試験を受けなさいと言われて推薦されたことを私は光栄に思うというふうなことを、いわゆる答案ではなくて、意見を書いた。これを見た先生が、頭を抱えちゃったんですね。これは一体われわれの態度が間違っていたんじゃないかというふうな考えでもって、国家的論議になりまして、結局この白紙青年を採用したのです。そして、やがてこれが認められて、中国中央委員候補にまでなったんです。日本にも来ました。張鉄生という青年であります。このことがいい悪 いということはしばらく別として、行き過ぎであることは間違いでありまするが、あの当時の中国事情の中でこういう者が出ました。  しかしこれは、一面大変重要なことで、やっぱりどこかにいいところがあれば、ふるい落とそうというんじゃなくて、それをなるたけ取り上げようという態度試験というものは取り扱っていかなければ、科学技術発展というのは私はないと思います。そういう意味で、この試験問題にしても、試験をする態度というものにしても、これは科学技術庁だけじゃございません、おしなべて今日の試験制度の中で、何かひっかかるような問題を出してひとつひっかけて落としてやろうというんじゃなくて、いいものを見つけて、それを引き上げて、励まして伸ばして、そうして科学の創造と技術発展に役立てるような、そういう配慮が常にどこかに幾らかなくちゃいかぬ、私はそういう意味で、そういう配慮がこの試験制度の今後の上に考えられてほしいと思います。  だからというわけではございませんが、なるたけふるい落としてとっちめてやろうというような立場試験だからというわけではございませんが、いわゆる独占排他的な形で、外国と比べてもそうでしょう、技術士というものは非常に少ないですね。アメリカのプロフェッショナルエンジニアが三十五万人もおって、イギリスのチャータードエンジニアが二十一万人もおるというのと比べると、日本が一万五、六千人しかいない、合格したのが二万人もないというふうなことになると、これは一体、日本技術陣が層が薄いのか、それともおくれているのかということになります。私は、最初に申し上げましたように、日本技術移転するというようなことが日本のいま必要なことだと言われておるほど、ある程度進んだ、層の厚いものがあるだろうと思うのであります。  そういう意味で、なるたけ落第生をよけいつくってやろうというのじゃなくて、特色のある者はどんどん取り上げて技術士にして、日本科学技術発展のために励まして、国際的にも国内的にも役立てるという、そういう積極性で取り組んでいくべきだと思います。この点、大臣の御見解はどうですか。
  11. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いろいろいま御意見を拝聴いたしておりますが、とらえる側面二つございまして、一つはいま先生の御指摘のような側面一つはいわゆる内外経済社会が求める技術コンサルタントとして最高のやはり見識を持った権威のあるものでなくちゃなるまい、そうでなければ国際的にも評価を求めることができない、こういうことでございます。いわゆる最高見識を持った技術士、こういう位置づけでございますので、そこは、いわゆる公認会計士ですか、あるいは司法試験のような、いま実態はそういうことになっておりますが、非常にやはり厳しい関門になる、あるいはならなければ見識を保持することができないであろう、こういう二つ側面を持っております。  したがって私たちは、いま先生のおっしゃいますように、そういう面を頭の中に入れることも必要でございますけれども、私たちは今度のこの改正によって技術士補という一つのクッションをとって、そこでの救済措置一つ講じて、しかる後今度、士、ここへ移転させる。こういうことでやっぱり最終的には内外に権威ある、そして経済社会が、相手が求めるものにこたえ得る、それだけのものに持っていきたい、持つべきだ、こういう理解の上に立っておりますので御了承願いたいと思います。
  12. 八百板正

    八百板正君 いまの社会は、何ぼ権威づけるレッテルを張ったって、その者が値打ちがなければ、商品社会ですから買いません。何ぼ肩書きをくっつけたって、それでもって評価するというようなことはありません。ことに科学技術技術士なんというのは、もう三十分間か一時間も話し合ったらどの程度の頭かわかりますからね。だから、そういう悪い面を余り心配しないで、やはり積極的に向上を図っていくという面に主力を置いていただきたいと思うんです。  私、これはちょっと批判になりますが、大体審議会にいたしましても、あるいは技術士資格者にいたしましても、ちょっと数字を見まするというと、これは土建技術者主導型なんですね。メンバーも、建築とか建設とか、水道なんかまで入れるとしますと、三分の一はその方面です。そして今度、審議会ですか、の方に入っているメンバーも、そういうところの有力者が入っているということになると、土建屋が悪いというわけじゃございませんけれども、建設関係ボス支配みたいな形に技術士の大御所がなる危険がある。それと、よく自民党が批判されておりまするように、自民党の何といいますか、たとえばやがて一つの組織、政治連盟をつくって、自民党を推薦してなんというふうな形になりますと、非常に悪い面だけがふくれ上がっていくという危険性があります。えてしてそういう危険性をはらんでおりますから、この点はお答えいただかなくてもいいです、そうじゃないと言うに決まっているでしょうから。だからひとつ、これはそういうことにならないように気をつけていただきたいということを特に希望します。  専門技術が十七ある。その中で技術士の数は非常にアンバランスです。これは試験制度にもよるし、日本科学技術世界最高水準に進んでいるという形が技術士の中に全くあらわれておらないというふうな点は、大いに今後の課題だと私は思います。科学技術日本の現状からいま展望されている、たとえば将来の生命科学とかバイオマス、そういうふうないろいろな問題は、一つの基礎的なものだから技術士の対象から見送った、こういうふうに説明の中にございますけれども、やっぱり士補というようなものをつくったんですから、また、そういう点の経験、蓄積がないとしても、それを励ます意味でも、補ぐらいのところでそういうふうなところを救済していく。何か、十七に分けたけれどもその十七以外は技術士でないというような考え方は、私はあり得ないと思うんです。常に新しいものが模索、追求、創造されていく発展の過程でございますから、そういう意味で、十七というふうに限ったけれども、そこはひとつ発展的に考えていく必要があろうと思います。  いま申し上げましたような点について、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
  13. 原田稔

    政府委員原田稔君) 先生のおっしゃるとおりでございます。  私ども、この十七部門、現在は十七部門でございますが、この部門見直しにつきましては、従来も、いろいろな科学技術発展状況あるいは世の中のこういったものに対する需要といったものを考えて、いろいろと見直しをやってきております。たしか四十六年でございましたか、情報関係電子計算機とかああいう関係のものが非常にこれから大きくなりそうだということで、従来の十六部門情報関係部門をつけ加えたところでございます。  先般の技術士審議会におきましても、新しい部門の問題についていろいろ議論をしたわけでございます。先生のおっしゃったように、生命工学の問題ですとか、そういう問題が非常に大事でございますからどうしようかということで議論したわけでございますが、まだ少し早いのじゃないだろうか、引き続き検討していこうじゃないか、こういうことになっております。  私どもといたしましても、この技術士部門見直し、これをなるべく世の中実態に合うようなかっこうでいろいろ検討していくという点については今後ともよく注意をしてまいりたいと思っております。
  14. 八百板正

    八百板正君 それから、試験の委譲ということになりますから、いわゆる向上的な、前に向かって進んでいくという立場に立った公正なよい試験をやるように、これは行政当局責任者として大臣もひとつ十分の御配慮を願いたいと思います。  大体私の見るところでは、いままで政府がやっておったのを民間に移して、果たして政府がやったときにどういう欠陥があって、これを民間に移せばどういう欠陥がどういうふうに是正されると かよくなるとかというふうな点については、必ずしも私はこの法案の中で保証されているものがあると思えませんので、そういう点は結局信頼の問題ですから、これはこの法律をつくった大臣責任ですから、大臣一人でつくったわけじゃございませんけれども、ひとつ大臣、その点は、責任を持って、公正なしかも発展的方向でこれに具体的に取り組んでいくように切に希望します。
  15. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 先生のおっしゃいましたとおりでございまして、いま第三者機関にこれを任す、こういうことでございますけれども、これは行政は全くこれに介入しないという意味じゃございませんで、本当に公正に公正に、もう他から指摘、非難を受けることのないような本当に間違いのないものにわれわれは運営していく、こういうことをかたく期しているわけであります。御了解、御理解いただきたいと思います。
  16. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、技術士法案改正につきまして質問します。  最初に、改正点の第二として皆さん方から提出をされました資料の中にございますけれども、行政簡素化観点からの改正だということですが、具体的にはどのような簡素化がされるのか。  また、簡素化されましたり、あるいは登録の実施に関する事務が委譲されてまいりますけれども、それはやはり受験者の方であるとか、あるいは現在の技術士皆さんとか、そういう方々にとりましても何らかのメリットが必要ではないかと思いますが、どのようなメリットがあるのか、その点のお答えをいただきたいと思います。
  17. 原田稔

    政府委員原田稔君) 一つは、試験事務あるいは登録の事務民間のしかるべき公益法人に委譲しようということでございます。しかし、この試験事務の中で非常に大事な、問題の作成ですとかあるいは採点ですとか、こういった事務は、もちろん従来どおり試験委員という方々にお願いするわけでございます。  しからばどういう事務かといいますと、たとえば、現在受験者の数が七千名をオーバーしておりまして、最近ふえる傾向にございますが、こういう方々の受験の申し込みの受け付けですとか、あるいは試験場の設営ですとか、非常に細々としたいわば機械的、定型的な事務があるわけでございますが、試験につきましてはこういった事務を委譲しようというわけでございます。  それから登録につきましては、たとえば技術士の登録は年間に九百件ございます。あるいは登録した内容の訂正、たとえば事務所が変わったとかいうような訂正の登録が年間千三百件ございますが、こういったものの事務、これも非常に機械的でございますから、これも民間のしかるべき団体に委譲しよう、こういうことでございます。  こういうことをやりますと、しからばどういった関係者にメリットがあるのかという御質問でございますが、受験者やあるいはこういう登録をいたします技術士の方々にとりましては非常に便利になるということが、一口で言えると思います。それは、現在は科学技術庁でやっているものですから、全部東京にある科学技術庁に持ってくるわけでございます。しかし今度、たとえば私どもが念頭にあります日本技術士会という団体がございますが、そういう団体に委譲するということになれば、技術士会の支部が全国で七支部ございますから、北海道ですとか東北ですとか九州ですとか、そういう支部に出せばよろしくなるわけでございまして、その意味ではいろいろな意味でサービスが向上するのではないかと思います。  それから、技術士会にとりましても、試験の実施、これは機械的な事務でございますけれども、たとえば登録の関係などで現実の窓口になるわけでございますから、技術士の方々との接触の機会もふえてくるわけでございまして、技術士会の活動の活発化、地位の向上というものにもつながるのではないか、かように考えております。
  18. 太田淳夫

    太田淳夫君 ただいま同僚の八百板委員の方から、試験の公正さが堅持されるようにということでお話がございましたが、私どももやはり、こういった委譲によりまして、そのやり方によりましては、制度の根幹が影響を受けるようなことになりかねないことになっては非当に困る、このように思います。先ほど大臣から見解がございましたけれども、この問題につきましては具体的にどのような対策を講じようとされていますか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  19. 原田稔

    政府委員原田稔君) 試験事務の公正を担保するということは、これはもう非常に大事なことでございます。この点につきましては、すでにほかの法律の例もございますから、そういう法律の例も参考にしまして本当にがんじがらめにいろいろな措置を講じております。  ちょっと事務的になって恐縮でございますが、まず、先ほど申し上げましたように試験事務の中での機械的な事務、これが民間に移るわけでございますが、実質的な試験問題の作成や採点は試験委員がやることになります。この試験委員はどうやって選ぶかということでございますが、技術士審議会というのがございます。これは科学技術庁長官大臣の諮問機関でございますが、この技術士審議会の推薦に基づきまして科学技術庁長官が、技術士試験委員の候補者というものを選定いたします。この選定された委員候補者の名簿を、たとえば日本技術士会なら技術士会に示す。その名簿の中から具体的に試験委員技術士会が選ぶわけでございますが、この選任は科学技術庁長官の認可が必要でございます。したがいまして、いろいろめんどうくさい手順を踏むわけでございますけれども、実質的には従来どおり、科学技術庁長官が直接に委嘱するというのと全く同じでございます。  それからこの試験委員の方々は、当然でございますけれども、指定機関の役員の方々あるいは試験に関連する職員の方々につきましては、秘密保持義務というのがこれに課せられます。これはもう当然のことでございます。  それから具体的な試験の実施のやり方、いろいろな手続ですとかそういうやり方でございますが、試験事務規程というのを指定機関につくらせます。試験事務規程は科学技術庁長官の認可ということになっております。  また、この指定機関というのは全般的に科学技術庁長官の監督に服するわけでございまして、指定機関になりますと役員の選任等につきましても科学技術庁長官の認可ということになるわけでございますから、大変にがんじがらめになっているわけでございまして、私どもといたしましては、少しでも公正について疑念が生ずることがないように細心の配慮をいたしていくつもりでございます。
  20. 太田淳夫

    太田淳夫君 その指定機関というのは、どのようなものをいま考えてみえるんですか。それは日本技術士会とは違うんですね。
  21. 原田稔

    政府委員原田稔君) 私どもは日本技術士会、現在の技術士法の中にも日本技術士会に関する条文がたしか一条ございますが、日本技術士会というものを現在一つ念頭に置いて考えております。
  22. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、技術士制度は常に最新の技術進歩に対応していくことが不可欠であると思いますけれども、情報技術とかバイオテクノロジーですか、そういった先端技術を初めとする技術進歩にこたえるためにも、いろいろな方策を考えていかなきゃならないと思うんですね。先ほども、新しい部門として情報関係ですかの部門等が追加されたようなお話もありましたけれども、今後どのような部門見直しを行っていくことが必要であろうか、そういうことで何か検討はされておりましょうか。
  23. 原田稔

    政府委員原田稔君) 最新の世の中の要請、あるいは最新の科学技術の進歩の状況などにつきまして、技術士制度の中に取り入れていくということは非常に大事なことでございます。  具体的には、技術部門を常時注意深く見直していくということだと思います。先ほども御説明申し上げましたとおり、ちょっと古くなりますが昭和四十六年には情報処理部門というのをつくっておりますが、前回の審議会におきまして話題になったのは、たとえば生命工学、バイオテクノロ ジーとかいうものが一つの話題になっておりますが、いろいろ技術的に御検討をいただきまして、まだ特定の部門として技術コンサルタント業務の対象として考えるのは早いかな、こういう感じでございまして、そういったような項目も一つの有力候補になっているわけであります。
  24. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほども八百板委員の方からお話がありましたが、これからは技術の国際化、これがますます進んでくると思いますけれども、やはりその際に技術士というのは、高い資質が必要でありますが、そのために、国内の業務にとどまらず国際的にも大いなる活躍をする場所がこれからできるんじゃないかと思いますけれども、国際的な活動は現状はどうでしょうか。  いろいろとお話を聞いてみますと、海外市場を対象とする技術士業務というのは一般に低調だということがよく言われておりますし、また一面では、海外におけるコンサルタント事業というのは、日本の高い技術あるいは長年の経験がありながら、韓国、台湾とかいうようないわゆる中進国から追い上げを受けているということで、開発途上国における業務というのは非常に苦しい局面にある。国際協力事業団開発調査に関する件でも、まだまだそれほど技術士の活躍の場は広がっていないというようなことも言われておりますけれども、こういった問題についてどのようにお考えでしょうか。
  25. 原田稔

    政府委員原田稔君) 技術士の国際的な業務に対する進出と申しますか、そういう方面を開拓していく、それをもっと大きくしていくということは非常に大事な問題であろうと思っております。御案内のとおり、エンジニアリングコンサルタント、これは国際的な仕事でございますから、その関係で、国際的な非常に伝統のある団体もすでにできております。これはFIDICというのだそうでございますが、もう今世紀の初頭ぐらいにできた国際的な団体で、非常に高い評価を得ているわけでございますが、日本の有力な技術士の方々もそこのメンバーになっております。それがまた、日本技術士の方々がいろいろ海外で仕事をする場合に、非常に大きな信用の基礎になっておるわけでございます。  それからまた、先生が御指摘になりました国際協力事業団関係でも、これは技術士を大変に活用願っております。いろいろの海外での指導事業あるいは海外での調査事業等々につきまして、非常に技術士の方々を活用していただいているわけでございます。  しからば、現状で十分かというと、決して私どもも十分であるとは思っていないわけでございまして、先ほども大臣が御答弁申し上げたように、この方面につきましては政府全体としてもっともっと力を入れていきたいと思っております。
  26. 太田淳夫

    太田淳夫君 今回この法案の中で、技術士補の新設ということがうたわれてあるわけですね。これは、どのような考え方からこの技術士補の新設になったのでしょうか。
  27. 原田稔

    政府委員原田稔君) 技術士補を設けました目的は、一言で言いますと、大臣が冒頭に申し上げましたとおり、この制度の活性化を図るということでございます。  御案内のとおり、現在の技術士試験というのは実際の実務経験が七年以上ないと試験を受けられないということでございまして、これはこれでまた非常に意味のある制度でございますが、これがまた反面、技術士の平均年齢あるいは技術士受験者の方々の平均年齢を引き上げております。技術士を受験する方々の平均年齢は約四十歳ぐらいでございまして、非常に高くなっているわけでございます。これはこれでまた意味があるわけでございますけれども、やはり若手になるべく技術士制度に関心を持ってもらおう、これに早くから入ってもらうということが、技術士制度をより発展させる、あるいは進歩する科学技術の速い流れに追いついていける、こういうような体制をつくるもとになるんじゃないかということで、一次試験と二次試験とに分けまして、二次試験というのは従来の技術士の本試験でございますが、一次試験はこれは大学在学中あるいは大学卒業時にもすぐに受験できる、それに合格いたしまして技術士のもとで四年以上実務経験を相当インテンシブにやるわけでございますが、そういう実務経験が四年以上ある場合には第二次試験を受験できるという、若手をなるべくこの制度に入ってもらおうということでつくったのがその意味であるわけでございます。
  28. 太田淳夫

    太田淳夫君 なるほど技術士は非常に高齢化しているということは資料でも拝見してわかるわけでございますし、それに今度はいまお話しのように若手の参入ということが実現されるかもしれない。それによって技術士としての質が低下してしまう、こういうことがやはり心配されるのですが、その点はどのようなお考えでしょうか。
  29. 原田稔

    政府委員原田稔君) 私どもは、質が低下するようなことがあっては絶対にならないと思っております。それを、何と申しますか、担保する一番大きな関門は第二次試験、従来の技術士試験でございますから、この第二次試験のレベルは従来と変えないわけでございますから、そこでしっかりと担保されるわけでございますが、従来の実務経験の七年というのとそれから今度の技術士補の実務経験の四年というのは、実務経験の中身の濃さが当然変わってくるわけでございますから、そういう点からいっても、技術士のレベルが低下するというようなおそれは全くないと私どもは考えておりますし、そういうことがないようにいろいろな意味配慮をしていきたいと思っております。
  30. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後になりますけれども、優秀な若手の人材を技術士補に引きつけるためにも、この技術士補という新しい制度の周知徹底あるいは他の資格制度との交流等を図ることが必要じゃないかと思いますけれども、その点はどのようなお考えでしょうか、それをお聞きします。
  31. 原田稔

    政府委員原田稔君) この技術士制度の周知徹底、あるいは技術士補ということで新しい制度ができたわけでございますから、その周知徹底は非常に大事なことでございます。一つ日本技術士会のルートを通じて従来から、試験制度の普及ですとかあるいは技術士制度のPRなどもやっておりますけれども、この制度改正を機にひとつ、国というか科学技術庁としても、もっといろいろなルートを通じまして積極的にPRをしていきたい、かように考えております。
  32. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 法案の提案説明では今回の法改正二つの内容でまとめているわけですけれども、その第一点は、技術士制度活性化を図る観点から改正を行うということてありますが、具体的には技術士補の新設とそれに伴う試験制度の改革をやる。第二点として、行政簡素化観点からの改正と称するものでありますが、具体的には試験と登録事務民間委譲に道を開く。そうして予備試験を廃止し、学歴制限を撤廃する、こういう内容になっているわけです。先ほど来触れられていますように、こうした改革が打ち出されてきたその背景として技術士審議会の報告、これが土台になっておりますが、この報告を拝見いたしますと、改正点の第一の技術士補の新設とそれに伴う試験制度の改革という問題については、かなり説得力のある展開がされておる。ところが第二の改正点、中でも事務民間委譲、この問題については、読んだ範囲でも非常に説得力に乏しいんじゃないかというふうに私としては思わざるを得ないわけであります。  そこでまず、事務民間委譲に関する問題について幾つか質問をいたしたいと思います。  試験事務、登録事務、これを含む事務民間委譲ということだと思いますけれども、現在国が行っておるこれらの事務にかかわっておる国家予算、支出をされておる国家予算、それからこれにかかわっている人員の体制、どういう状況ですか。
  33. 原田稔

    政府委員原田稔君) 現在は、技術士試験事務に関する予算は約二千五百万円でございます。これは試験委員に対する手当ですとか、あるいは会場を設営するとか、その他いろいろな試験関係の仕事が含まれております。試験監督のためのお礼であるとか、全部合わせまして約二千五百万円 であるわけでございます。  人数は、現在は科学技術庁の本庁の職員四名ということになっております。ただ、この試験事務が、七千名ということでふくれ上がっておりますので、ピーク時にはもうとてもそれではさばき切れないわけでございまして、科学技術庁の振興局の職員総動員でピーク時にはいろいろと仕事に当たっているというのが実情であるわけでございます。
  34. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうしますと、それが民間に委譲をされたという場合、費用並びに人員体制はどうなるんですか。減る見込みなんですか。
  35. 原田稔

    政府委員原田稔君) 民間の指定機関に委譲された場合どうなるかということでございますが、現在、私ども念頭にあります日本技術士会におきまして、寄り寄りその体制問題につきまして検討をしております。  具体的に人数がどうなるかというのはまだはっきりいたしておりませんが、私どもの見当といたしましては、現在の技術士会事務体制からいきまして、その体制の整備がある程度必要ではないかと思っております。ただ、御案内のとおり、特に試験事務につきましては非常に季節性が大きいわけでございますから、そのピーク時に対する対応ぶりというのは、非常に事務が定型的あるいは何と申しますか、機械的でございますから、たとえばアルバイトを雇うとかそういったような対応も考えて、なるべくひとつ何と申しますか、合理化された体制でやっていくことができるようにしたい、かように思っております。
  36. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 人員がどうなるか、そこはこれからの問題ということですけれども、事務経費はどうなるんですか、技術士会に委譲した場合。
  37. 原田稔

    政府委員原田稔君) 人員その他も含めまして、それがわからないとまた事務経費も出てこないという点もございますが、現在検討しているところでございます。  私の感じでは、この現在の二千五百万円ということの中でやっていくことができるかどうか、これはやっぱりちょっと疑問じゃないかと思います。しからば具体的にどういう額になるかという点につきましては、目下検討中ということでございます。
  38. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 民間へ委譲をしたその暁は、今回の法改正目的からいって、委譲した団体に国からの補助金のようなものを出すということは全く考えていないということであるわけですね。  そうなりますと、結局、現在国がやっておるあれで事務的経費二千五百万、そしてピーク時を除いても大体四人ほどの人間がかかり切らなくちゃならぬという、それほどの仕事がある。これがそっくり技術士会、当面そういうところへ委譲をされていく、こういうことになって、国は補助金を一銭も出さないということになりますと、勢い技術士会としてはそれを手数料の引き上げというところに求めざるを得なくなるというのは理の当然だと思うんてすけれども、現行、受験手数料六千円、それから登録手数料四千円ですね。いま検討中だということなんですけれども、大体いまの検討段階では、この六千円、四千円という手数料がどれくらいの負担増になるかということについての目安はついていますか。
  39. 原田稔

    政府委員原田稔君) 大変残念でかつ申しわけないのでございますが、全く新しいことをやるわけでございまして、現在全体の経費が一体どのぐらいかかるのか、そういった点につきまして検討中でございまして、したがいまして、一体手数料を大体どのぐらいにするかという点もまだ明確でないわけでございます。ただ、先生が申されたように、現在の受験手数料は本試験が六千円でございますが、この六千円という額では無理ではないかと思っております。やはりこの受験手数料などの値上げが必要ではないかと思っております。  ただ、私どもとしては、ほかの類似の試験が幾つかございますから、ほかの類似の試験などもよく参考にしながら、適切な額を選定していきたい、判定していきたい、かように考えているわけでございます。先生御案内のとおり、現在の大学の共通一次試験がたしかすでに八千円か八千五百円でございますか、そういう水準でございますが、別にその額が参考になるというわけではございませんけれども、そんなこともひとつ念頭に置き、かつほかの類似の試験、そういうもののその制度につきましても念頭に置きながら、適切な額を判定していきたい、かように思っております。
  40. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 長官、お尋ねをしますけれども、国会にこの法改正案を提案するときに、国民の、というか受験者ですね、の負担増は避けられないだろうということはもう当然あると思いますけれども、しかし、どれくらいの負担増になるか、まあ何円何銭というところまで目くじら立てるようなそういうことはともかくとしても、おおよそどれくらいの負担増になるかということを国民に提示をしないままで、そんなむちゃくちゃなことは起こりませんよという大ざっぱな言い方で、しかし、いよいよ詰めた後、検討していったらちょっと話が変わってきたと。こういう何というか、あいまいさを含んだまま法改正案を提案するというやり方というのは、これはおかしいやり方だというふうに思われませんか。
  41. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 佐藤先生の御指摘は、財政負担が脆弱な中でやはり負担増を求めてくるんじゃないかいな、腹づもりもないのにこういう法案を出してきていかがか、こういう御指摘でございますけれども、いま局長が答弁しておりますが、いわゆる横並びの問題がございますからして大体やはり腹づもりは持っておる、こういうことで御理解願いたいし、それからもう一つ大きなことは、これは行政目的を持ってこういういわゆる技術士法というもの、技術士制度というものができているわけでありますが、こういう行政目的には必ず補完事業というものがくっつくんですよ。私また、くっつけることが、期待される活性化の問題である、こう思っておるんです。  これは例は適当じゃないかもわかりませんけれども、あの輸出検査制度、御存じのとおりあれを民間特定指定法人の方へ委譲しましたわね。検査してみると、いわゆる欠点、不合格が出てきた。一体これはなぜこういう不合格になるんだ、それならば欠点防止のための講習会を開くよと。こういう補完事業というものをどんどこ私はやってくれるだろう、やってもらわなきゃならぬだろう、こう思うんですよ。そういう中において、一体財源をどう求めるか等々、そういうことをも期待しながらこの制度の財源措置というものについて考えていきたい、いくべきだ、こういうことでございまして、全く一方的に全部これ負担増、負担増、こういうことのみを考えておるものではない。横並び等を勘案しながら、ある程度の腹づもりを持って対応している、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  42. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 依然として、私がただしておる根本の点についてはお答えがないんです。  法案を提案するときに負担増は避けられないということははっきり言っておられる。しかし、どれくらいの負担増になるか、おおよその目安はこんなところだということを明示しないまま法案を出すというのは横着じゃないか、無責任じゃないか、政府として、提案者として。ということを言っておるわけです。そのときに附帯事業がどうなるとか何だろうとか、そんなようなことは理由になりませんね。負担増が避けられない。しかし、それがどれくらいかということを明示しないまま法案提出をする。この提案者としての横着というか不備というか、ここの問題についての説明というものがない。局長は共通一次を例に出されているわけですけれども、私はその程度の負担増でおさまり得るだろうかということについて危惧を持っておるんです。  たとえば、日本技術士会、ここは常勤の職員というのは常任理事一人、それから常勤の事務職員六人、七人でいろいろ仕事を、本来業務、八項目の業務を定めていますが、やっているという状況ですね。
  43. 原田稔

    政府委員原田稔君) おっしゃるとおりでございまして、現在は常勤の理事一名、事務職員六名、 その人的な構成は七名ということになっております。
  44. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どこの団体もですが、いままで試験、登録事務を科技庁が四人ぐらいかかってやっていたというのを、その四人分浮かし得るような、仕事の整理、合理化をやっても七人のうち四人浮かし得るような技術士会の現状にあるとは考えられない。そうすると、人間もふやさにゃならぬ、こういうことも当然出てくるだろうし、それから、国は一銭も補助金を出さぬということであれば、その分当然かぶってくるということで、相当の負担増になってくるんじゃないかというふうに私としては指摘せざるを得ないわけです。  この問題ばっかり言っているわけにもいきませんから、もう一つ別の問題を角度を変えてお尋ねします。  同僚委員からも試験の公正確保の問題についていろいろ言われておりましたが、現在、日本技術士会の役員、その顧問として政治家の方が何人か参画をされているわけですけれども、何党の議員が何人参画されていますか。
  45. 原田稔

    政府委員原田稔君) 現在、顧問には自民党先生が約五名でございますか、参加しておられるわけでございます。それから副会長にお一人の方が参加しておられます。いずれもこれらの方々は技術士の資格を持っておられるわけでございまして、非常にその分野におきましても高い識見と力を持っておられるわけでございまして、そういう立場から技術士会の事業に参加をしておられるわけでございます。顧問は役員ではないわけでございます。文字どおり顧問、こういう役割りを持っておるわけでございます。
  46. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 顧問がどういう権限を持つかということについては、いろいろ見解があるわけでありますね。しかし、少なくとも副会長に政治家の方が加わっている、これははっきりしている。そういう状況のもとで、先ほど来試験の公正、これは二重三重に公正を確保するための定めをいろいろやっているということを言われているわけですけれども、果たしてそれが貫徹し得るかということについて私は疑問を持たざるを得ないわけです。  先ほど来お話が出ていますように、審議会が推薦をしたその名簿に基づいて長官が試験委員の候補者名簿をつくる。これを指定機関、具体的には日本技術士会、ここに提示して、その中から技術士会が選択をするわけですね。ですから、技術士会の発言の場というか、技術士会がそこでだれを試験委員に選ぶかということについての一定の発言権がそこにあるということは、これは明らかなんです。こうなった場合に、副会長を初めとして、一定数の政治家の人が顧問にいる。こういう状況というのが果たしてシステムとして適切かどうか。私は、現におられる副会長なり顧問の方々に疑惑あり、こういうことで言っているんじゃなくて、制度として、システムとして、いささかでも不安を生むようなシステム、これが適切なシステムかというふうに思わざるを得ないとどうしても考えるわけですけれども、この点、長官、御意見どうでしょう。
  47. 原田稔

    政府委員原田稔君) まず私の方から事務的にお答えを申し上げたいと思いますが、試験委員の方々の選定でございますが、先ほど私御答弁申し上げたとおりでございます。現在私どもの運用といたしましては、ほかの制度も大体そのようになっていると思われますけれども、私どもが現在試験委員を任命というか、お願いしているわけでございますが、そのお願いしていると全く同じような、実質的に全然変わらない、こういうやり方で運営をしていきたい、かように思っております。したがいまして、試験の厳正、公正、中立な実施という点につきましては、少しの疑念もない、こういうことで私どもは運用できるし、また運用していかなくてはならない、こういうぐあいに考えております。  先ほど申し上げましたとおり、たとえば試験の具体的なやり方につきましても、試験事務の規程というものをつくらせまして、それで科学技術庁長官の認可を得るわけでございまして、その意味では非常にがんじがらめの監督と申しますか、そういうもとで行われるわけでございますから、試験の公正、厳正な実施という点につきましては、私ども自信を持って御心配はない、こういうことを申し上げることができると思います。
  48. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いま局長が申しましたとおりに、いわゆる技術士会の構成とそれから試験委員のいわゆるリストを出すということとはおのずからこれは違っておりまして、いま局長のお話のとおり、われわれはあくまでも厳正に公正に、疑惑を受けるようなことのない委員の選任を図る、こういうことで御理解願いたいと思います。
  49. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 厳正、公正という言葉を何回使われましても、制度がそういうことが貫かれるような制度になっているかということで私はただしているわけです。局長は、現在と変わりない運営で、これを徹底していくんだと。しかし、現在の試験制度と現に変わっているじゃないですか、この法文ないし法文をつくられた考え方を見る限り。変わっていることは明確でしょう。  それから、顧問は役員じゃありませんと言われた。それならば、顧問は技術士会の運営について何の発言権も持たないのか。そうじゃないでしょう。だから、そういう疑念が発生するようなシステムについてはいかがなものか。いささかの疑念も発生しないようなシステムになぜしないのかということで聞いているんですけれども、もう一遍長官どうですか。
  50. 原田稔

    政府委員原田稔君) 技術士試験委員の任命は、先ほど申し上げましたとおり、科学技術庁長官技術士審議会意見を聞いて候補者を選んで、それを提示して、指定機関が選んできて、最終的には科学技術庁長官の認可が要るわけでございます。そこで最終的なチェックが担保されているわけでございますから、私どもは法的には万全の措置を講じている、かように考えております。  そのほか、試験事務規程ですとか、あるいは予算ですとか、そういった点につきましてもすべて科学技術庁長官の認可にかかわらしめているわけでございますから、そういう点についての御疑念は全く御心配ない、かように私ども自信を持って申し上げることができるのじゃないかと思っております。
  51. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は現在文教委員もやっていますから、私立大学の不正入試問題などもいろいろ調査をしてみたり、実際の実情、なぜそういう不正問題が起こってくるのか研究もしたりしているわけですけれども、絶対に厳正、公正が確保されておる、そんなことはもう起こるはずがないというふうに言われておるところで往々にして起こる。その際に政治家が政治力を生かしてそれに関与しておる事例というのも、これはいままで幾つかすでに明るみに出ている問題ですね。そういう状況のもとで、もちろん大学入試問題と今回の技術士試験制度の問題と同列に論ぜられる問題でないということも重々知りつつ、しかし、さっきから繰り返し言っていますように、制度、システムとしてこの形がいいのか。だから、私が言っている問題を一番払拭しようと思えば、政治家が顧問に座っている、いわんや副会長に座っている、こういう状況をなくすということが第一です。それから技術士試験制度のあり方をどうするか、この問題をもう一遍よく検討するという問題が第二。この二つの問題があると思うんです。  もう一遍最後に長官に聞いておきますけれども、この二つの角度、いささかの不安も国民が持たないように、委嘱をする技術士会のきちっとした役員構成のあり方についてこの機会にもう一遍よく考えてみるべきではないかという問題と、技術士試験制度のシステムについてもう一遍よく考えてみるべきではないかというこの二つの点について、私が指摘している問題について、そんなものを考える余地はない、うだうだ言いなさんな、こういう態度なのか、もう一遍最後に聞いておきます。
  52. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 技術士会の中のいわゆる役員構成の問題につきまして、これはたまたま そういう見識者が入っておられた、こういうことでございますので御了解願いたいし、きょう佐藤先生からはそういう御意見が出ました、こういうことを拝聴いたしましたというところで、ひとつ私も承っておきたいと思います。  それからシステムの問題につきましては、これは見解の相違で、私たちは本当に佐藤先生のような御心配をされる向きがあるということは承知しておるわけであります。しかし行政はこれは手を引くものじゃなくて、厳正にやるというこういう枠組みの中で行われるわけでありますから、システムの変更につきましては私としては考えていませんので、ひとつこれを御理解いただきたいと思います。
  53. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 これだけ聞いても答えが出ないのですから、あとはもう修正案を出します。
  54. 青島幸男

    ○青島幸男君 技術士試験民間に委嘱することにするということがこの法案趣旨のようでございます。しかも、その目的一つ行政改革の一助になるだろうということを掲げておられますけれども、私いろいろ資料を調べましても、技術士会の規模とか実態とかというものはなかなかつかみにくい。従来行われていた試験の規模さえ的確につかめないんです。それと、技術士会の規模、実態が明確でないので、具体的に委嘱したときにどういう結果が生まれるかというイメージがなかなかつかみにくいんですが、それが明確になるようにまずひとつ御説明をいただきたいと思います。
  55. 原田稔

    政府委員原田稔君) どういうお話を申し上げたらいいか、大体の見当を申し上げますと、まず試験関係でいきますと、受験者は御案内のとおり、約七千名強おるわけでございます。それでこの事務の中で実際上技術士会がやることになりますのは、非常に定型的な、受験の受け付けですとか、あるいはそれに番号を打つとか、あるいは試験場の設営、これは現在全国で六カ所でやっていますけれども、大体それぐらいの個所でやるわけでございますが、そういう試験場の設営ですとか、あるいは試験場における物理的な監督と申しますか、そういうような事務ですとか、こういうような事務技術士会が行うことになります。それから試験問題の作成とか採点は、先ほどの私の御答弁のとおり、試験委員が行います。従来、いま申し上げましたように、試験問題の作成、採点の問題を除いた非常に機械的な物理的な仕事を国がやっていたわけでございます。国というのは、現在まで科学技術庁がやっていたわけでございますが、それを技術士会に移そう。  それでは技術士会の受け入れ体制、規模は一体どうなっているかということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、専任の事務職員としては七人でございます。東京にございますが、支部が全国で七カ所ございます。現在の技術士会の予算規模というのは会費収入あるいは事業収入含めまして年間で約一億五千万ぐらいでございます。この団体が、いま申し上げました主として機械的な事務、登録の事務も入ってまいりますがこれはもう全く機械的な事務でございます。これを行うことになっている。したがいまして、現在の人数ではやっぱり不足じゃないかと思っております。したがって、これを一体どう体制を強化していくのか、現在技術士会におきまして一生懸命検討中でございます。私どもと一緒になって現在検討しているという状況でございますが、事務の性格からいきまして非常に機械的、定型的でございますから、私どもといたしましては心配はない。非常に長い伝統のある団体でございます。かつまた公益法人でございます。そういう意味からいきまして、ある程度の体制が整えばまず心配はない、こういう感じを持っておるわけでございます。
  56. 青島幸男

    ○青島幸男君 技術士会にしてみれば、そんなものを押しつけられて、事務繁雑になるし、一つもメリットはないし、総予算でも一億ぐらいのものでしょう。それで、この技術士試験に実際に関与する、あるいは要する費用というのはそれほどの問題でもないし、それが果たして科学技術庁行政改革の一助に実態としてどの程度寄与するのかということがはなはだ疑問に思われるんですね。押しつけられた方はまた迷惑な話でして、規模を拡大したりしなきゃならないし、予算も改めて取らなきゃならぬ。お話を伺っていますと、国は援助しないということのようですし、受験料を値上げしてその分採算点を上げていくよりしようがないということになりますと、被害をこうむるのは受験者だ。そうすると、実際このとおりにいっても、行政改革の一助にはならないわ、技術士会事務繁雑になるわ、受験料が上がるわということになりますと、目的が何のためにあるのかということが非常に不明確だという気がするんですが、私の理解が非常に行き届かないということなのか、あるいは実際にそうなのかというところを明確にひとつお願いしたいと思います。
  57. 原田稔

    政府委員原田稔君) 行政機構改革の理念の問題にまでなってくるかもしれませんが、御案内のとおり、臨時行政調査会でもこういう試験制度ですとかあるいは登録制度ですとか、そういうものが重要な検討課題の一つに取り上げられまして、この技術士に関する試験とか登録とか、同じような問題を抱えているいろいろな、たとえば建築士ですとか、そういったものにつきましても同じように民間に委譲ということが決められたわけでございますが、私どもは、中央官庁がそういう機械的な事務で貴重な人員を割かれるというのは中央官庁のありようとしては問題があるのじゃないかと。やはり中央官庁のありようというのは、御案内のとおり、私から申し上げるのも釈迦に説法でございますが、政策の立案、そういう本来の科学技術庁の機能、あるいは総合調整機能の発揮、こういった点にあるべきであって、単にスタンプを押してみたり、あるいは番号をつけてみたりということはこれはやっぱりどうかなという感じがいたします。したがいまして民間のしっかりした団体に委譲しようということでございます。  しからばこの委譲される方の日本技術士会としては一体どんな心境なのかということでございますが、確かに事務量がふえて、それに対する体制整備をしなくちゃいかぬと。現在の年間の予算が一億五千万でございますから、そういう点の補強も必要だという点は一つございます。ただ、技術士会といたしましては、試験事務の委譲なり、あるいは登録の事務技術士会が引き受けることになりますから、技術士さんの方々の実態を常時把握できるわけでございます。そういった意味で、一言で申しますと、技術士会のステータスが向上すると申しますか、この意味は非常に大きいわけでございまして、現在、技術士会としても、ひとつ大いに喜んで前向きにこの委譲事務に積極的に取り組んでいこう、こういう心境であるわけでございます。
  58. 青島幸男

    ○青島幸男君 お説のようだとそれで大変いいとは思うんですけれども、いずれにしても、金額だけの問題ではなくて、行革の基本方針と申しますか、思想にも関連してくる問題だ、そういう意味で取り上げているんだ、その御趣旨はわかります。実際には余り金額的には節約にならないというように私は感じますけれども、金額だけの問題じゃないというとらえ方をなすっていらっしゃるんならそれでもいいと思うんです。  私は、現行のやり方は短大理工系卒業者というのが受験資格の重要な一つのポイントになっていますけれども、これを外されて、すべての者に平等に受験の機会を与えるということにしておりますが、このことは大きく評価したいと思います。  と申しますのは、どうしても、学歴偏重をなくそうじゃないか、能力主義でいこうじゃないかというようなことを言っても、これはやっぱりある種の差別だ、生まれ育った境遇、環境で学校にいけなかった人を、こういう国家試験みたいなもので差別してしまうというのは実にゆゆしき問題だと思っていますが、それを外してすべての者になさった。学校は出ていなくとも実際に御自分だけで研さん、努力の結果すばらしい高等な技術や能力を身につけている方もおいでになりますし、また身につけようとしている多くの青年たちもいる。その人たちにこの枠をはめてあったというこ とは、やっぱりあった方にむしろ問題がありますね。すべてそういうものを取り去って、これからは能力のある者は平等に資格が得られるというふうにしたということは、これは私はすばらしいことだと評価したいと思います。  しかしその分、一次試験を行ったり、あるいは技術士補の登録をしたり、事務量は増しますな。でも、こんな事務量が幾ら繁雑になったとしても、人を差別したり、機会を広げなかったり、狭めたりというようなことは慎むべきことで、そのことで事務量が繁雑になっても構わないと思うんです。  しかし、繁雑になればなるで、技術士会の方は困るわけです。それでまた、すべての者になりますと受験者もふえてくるかもしれませんね。ですから、また事務量がふえるかもしれない。そうなりますと、技術士会の地位向上はおっしゃるとおり確かにあるかもしれませんが、財政的に非常に困ってくると、企業から賛助金を受けようかというような話も出てくるんじゃないかという気がしますが、その辺のところはどうなんですか。
  59. 原田稔

    政府委員原田稔君) これで企業から賛助金を受けるとか、そういうようなことは現在全く考えていないわけでございます。試験なりあるいは登録に必要な経費というのはあくまでも、先ほど大臣が申し上げましたとおり、技術士会の中でしっかり賄う、こういうことでやるつもりであるわけでございまして、人数の増大も先生の御指摘のような点は確かにあるわけでございますが、ある一定規模以上の人数の増大ですと、逆に何と申しますか規模の利益のようなものも出てくるんじゃないか、そこにそれを受け入れてやる方として合理化の余地がまた出てくる、こういう可能性もあるんじゃないか、かように考えております。
  60. 青島幸男

    ○青島幸男君 確かに最近は、運転免許試験場なんかへ参りましても、免許証の試験と同じに扱うのはどうかとも思うんですが、昔のそれこそ鮫洲にあった運転免許試験場なんかに比べますと、コンピューターの使用だとか、非常にさまざまの事務処理能力の高い工夫がなされておりまして、それほど繁雑にならなくともいける。事務処理を簡略化するというようなこともかなり進んでおりますし、そのことで公平を欠くということは恐らくないでしょう。ですから、そんなに心配な点は出てこないかもしれません。  ただ一つ難点は、従来より受験料が高くなるということだと思うんですが、その点先ほどの佐藤さんとの質疑応答を伺っておりまして、一般の、ほかの共通一次等の例も出ましたけれども、余りばかばかしく高くなったり、受験者に迷惑をかけるようにはしないつもりだと。しないように行政指導をしていきたいしそのように努めるというような御趣旨を承りましたので、少なくとも一般の方々が希望を持ってこの試験に臨めるという、希望と勇気を持って勉強していこうという意欲をそがない、むしろ助長するようなかっこうでこれに取り組んでいくという御確約を大臣からいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  61. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 青島先生のおっしゃるとおりです。本当に希望を持たせて、勇気を持ってこの制度に挑戦できる、こういうわれわれの行政指導というものが一番大事だ、こういうふうに思っております。よく趣旨を踏まえてやらせていただきたいと思います。
  62. 中野明

    委員長中野明君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について佐藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤君。
  63. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、技術士法案に対する修正案を提案いたします。  案文はお手元に配布しておりますので、その要旨を簡単に御説明いたします。  わが党は、技術士制度わが国科学技術の振興に果たすべき役割りは大きなものがあり、今後とも量質ともにその充実発展が期待されるべきものであると考えています。今回政府提案の法改正案に盛り込まれた技術士補の新設と、それに伴う試験制度の改革は、そうした期待に沿う積極的な一面を持つものであると考えます。特に、技術士及び技術士補試験に臨むに当たって学歴制限が撤廃されたことは、より多くの国民に技術士への道を広げるものであり、また技術士補の新設は、若い優秀な人材の技術士への参入を促進し、技術士制度に対する国民の、特に学生を含めた若手技術者の関心を高めることにつながるものであり、いずれも評価できるものであります。  一方、政府案に盛り込まれた試験事務及び登録事務民間団体への委譲に関する規定は、幾つかの点で是認できない問題を含んでいます。  問題点の第一は、民間団体への事務委譲は技術士制度の運用そのものの簡素化に結びつかないということ。確かに国の負担は人的にも予算的にも削減されますが、民間に委譲された後の技術士制度の運用に関する事務は軽減されるわけではなく、そればかりか、予算的には民間に移した場合の方が試験委員への謝金の増加などによって増加するであろうということ。  第二は、試験及び登録事務に独立採算制の原則、いわば受益者負担の原則が導入され、受験者、登録者の手数料が大幅に引き上げられる結果となること。  第三に、以上のことから、事務委譲されることが予想される社団法人日本技術士会の業務に支障を来す結果にならないか懸念されること。  第四に、試験事務民間委譲によって、この試験の国家的権威や試験内容の公正、厳正さが損なわれることにならないかと危惧されること。  以上の理由から、試験、登録事務民間委譲は、その必要性に根拠がないばかりか、かえって技術士制度にマイナスの影響を与えかねないものであり、是認できないのであります。したがって、技術士制度試験事務及び登録事務民間団体に委譲できることを定めた規定を政府案から削除して、この事務については現行どおり国が行うことを内容とする修正案を提案するものであります。  委員各位の御賛同を期待いたしまして、提案説明を終わります。
  64. 中野明

    委員長中野明君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより技術士法案について採決に入ります。  まず、佐藤君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  65. 中野明

    委員長中野明君) 少数と認めます。よって、佐藤君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  66. 中野明

    委員長中野明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 中野明

    委員長中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十四分散会