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吉田正雄君 念を押しますけれ
ども、それが
共同研究であって、いま言ったような非常に、
公開か非
公開かという
部分が絡んでくる。ところが、
共同研究ですから、
企業との
共同研究の場合、これはその
成果というのは
企業も分かち合っているわけですよね。それが今度は
企業内部では
企業秘密ということで、結局はこの
研究施設を
利用して、
企業が
企業秘密の名のもとにそれを抑え込んでしまうということになって、まさに
企業に
利用された、こういう結果になっていくわけです。それは
公開できないんですから、あくまでも都内秘でもってどこにも出ていかないという点がありますので、私も、では具体的にどの程度までのどの点ということになりますとよくわかりませんので、私の方でももう少しその辺は調べてみたり聞いてみたりして、この点だけはひとつ次回までにもうちょっとはっきりさせてもらいませんと、非常に問題が残る
部分だと思いますから、灰色
部分としてこの問題はそこのところだけ保留しておきます。
次に、
研究施設の
建設をめぐって
地元住民との問題、トラブルがいろいろ起きてきたわけですね。昨年の二月、ちょうど一年ちょっと前になりますけれ
ども、当時、
局長も参議院の
会議室か何かに出られたと思うんですけれ
ども、前の別の
局長だったですか、
理研側の代表理事、それから松田審議官ですか、等もおいでになりまして、
現地住民との間には、
住民の合意がない限りはくい一本打ちません、こういうことをそのとき明確に約束されたんですよ。そのときに、
地元の同意というのは何だと、町が賛成と言ったらそれでいいのかと言ったら、いや、それはあくまでも
住民の皆さんが当然含まれます、
町当局だけがうんと言えばいいということじゃない、そういうことまで
発言をされておったんです。それで
住民は安心して帰ったということなんですけれ
ども、その後の
状況というのはそれとは別の方向に行ってしまったということなんです。
そこで大臣、P4の問題に限らず、原発に限らず、要するに環境に一定の影響を及ぼす
施設あるいは
研究機関等というものが
設置される場合には、これはやはり
地元住民の同意を得るということは私は憲法上も当然のことだと思うんです。
日本の現憲法では、あくまでも基本的人権、生命あるいは生活、幸福、職業、あらゆる面での基本的人権というものを非常に手厚く保障しているわけです。保護じゃないんですよ、保障しているんです。そういう点から
考えますと、最後に問題になるのが、公共の利益とか公共の福祉という問題と、それから個人の基本的人権、そういう個人の利益とのかかわり合いの問題になってくると思うんです。そこで特に私は、単なる利益的なものでなくて、
住民の生命とか健康とかに影響を及ぼす環境、公害の問題に関連するわけですが、そういう問題について厳しく憲法の基本精神というものとのかかわり合いで
検討する必要があるのじゃないか。
後ほど放射線被曝の問題でもお聞きしますが、
分野は違っても本質的には同じだと思うんですが、御承知のように国際放射線防護
委員会の七七年の勧告の中でどういうことを言っているかというと、十一項目のところで「人間の諸活動に関するたいていの決断の基礎をなしているのは、費用と利益とを暗々裏にはかりにかけた結果、ある選ばれた行為は行う価値があると結論される、という形式である。それほど
一般的ではないが、選ばれた行為の遂行は個人あるいは社会に対する利益を最大にするように調整されるべきであるということも認識されている。」ということなんですね。ただ公共の利益とか国家政策の名のもとに個人の基本的人権が一切無視されるということになれば、これはまさに国家による暴力行為になるわけでして、これは憲法が厳に禁止しているところです。
そういう点で、個人の許容し得る範囲内の忍耐といったらいいんですか、権利放棄といったらいいんですか、そういうものでなければいけないと思うんですけれ
ども、今回の
建設に当たっては
地元住民との
安全性の
論議というのが必ずしも十分でなかった。
説明がその都度変わっていった。それから
関係諸官庁の
意見も、私は国土庁にも当たったり、
厚生省にも当たったり、もちろん
科学技術庁、それから
理研の
考え方、これをいろいろ聞いたわけですけれ
ども、微妙に少しずつみんな食い違ったりしておるわけです。これはいままで何回も
論議をやっておるからはっきりしておるんです。
地元住民の一番
心配したのが
安全性の問題ですから、その都度答弁が変わっていくというふうなことではこれは納得するわけがないんです。そういう点で、約束がほごにされたということは、私も立ち会っておりますので、非常に遺憾に思っているんです。しかし現に
建設が強行されております。
そこで、この前実は現地に行って、これは科技庁当局からも
担当者が参りましたし、
理研側からも出てまいりましたし、それから周辺の町村の皆さんも後で見えたんですけれ
ども、その
論議の中で私が一番驚きましたのは、地域
住民というのは一体何なんだ、
住民の範囲というのは何か、こう言ったら、それは行政区域を指すんだという答弁が返ってきたわけです。これはもう全く官僚的発想でしてね、
地元住民というのはその
施設が建つことによって影響を受ける人たちなんですよ。だから、地図の上で線を引いて、ある町の外れにあったとします。そこには
住民はいない。ところが、地図の上の線一本の向こうに隣村の人がおって、この人たちがその
施設の影響を一番受けるというときに、影響のない行政区域の
町当局の賛成を得たからそれでいいんだということにはならぬわけですね。そういう点で、全く何を
考えておるのか、じゃ
地元住民という
地元という
意味はどういうふうに判断をするんだ。こういうことで、これは改めて
委員会でお尋ねをいたしますと言ってそのとき別れたんですけれ
ども、これは重大な問題ですので、
局長の答弁になりますか、大臣の答弁になりますか、
地元というものは一体何なのかということを明確にさせていただきたいと思います。