○梶原清君 これだけの
長期債務があって、そして平均で七・三四%の利子がかかる。寝ても覚めても金利がかさんでいくわけでございます。国ないし
国鉄が支払わなけりゃいけない金利が膨大な額に上がっておるわけでございます。いかに
国鉄問題が大変かといっても、かつての徳政令のようなものを出すわけにはならないと思います。払うべきものは払わなければいけない。この繰越欠損金といい、
長期債務といい、結局考えてみますと一円、十円、百円の積み重ねがこのようになってきておるわけでございます。今日の姿になってきておる。それをなしていくのは、これはやはり一円、十円、百円の積み重ねをしていかなければならない。だれも助けてくれない。
そこで、これからは私見になるわけでございますが、御
答弁はちょうだいできれば結構でございます。ちょうだいできなかったら、感想だけでもおっしゃっていただきたいと存ずるわけでございます。
まず第一番に、新幹線の環境対策でございます。
現在、新幹線の建設主体は鉄建公団の場合もあり
国鉄の場合もありますが、そうした建設主体がその環境対策も同時にやっておるというのが今日の姿でございます。例を挙げて申し上げますのはどうかと思いますが、たとえば大宮以南の新幹線を建設するときに、その周辺住民の要請に応じまして仮にグリーンベルトをつくれということになると思います。この厳しい
国鉄財政の中でグリーンベルトをつくるということはなかなか大変でございます。そこで、せいぜい防音壁をつくることがやまやまでございましょう。防音壁をつくるということになると、万里の長城のようなものがこの都内にずっと連なってしまう。それでは、とうてい住民が納得しない。そこで、どうしてもグリーンベルトをつくれ。百歩譲ってグリーンベルトを
国鉄の手でつくるとなりますと、
国鉄の用地になりますから、くいを打ってここから中へ入ってもらっては困るということになります。木を植えますけれども、同時に雑草が生えてまいります。害虫が発生する、犬猫がたむろするようになる。そこで、付近の住民の方は第二次公害ということで
国鉄に対してまた苦情を言われることになろうと思うわけでございます。
そこで、それをどのようにして解決したらいいか。私は、私の
考え方によりますと、そこに都市公園をつくっていただく。緑地公園
事業として建設省なり東京都の手で緑地帯をつくっていただければ、そのところへ付近の住民の方々が中へ入って憩いの場所にもなる。同時に、
国鉄の環境対策にもなるわけでございます。
一つの土地を、土一升金一升の土地を二重に使うことになるわけでございます。私は、ぜひともそういうことでやっていくべきではないだろうか。
いまでは縦割り組織になっておりますから、新幹線といえば、その新幹線を建設することと同時に環境対策も全部
国鉄だということになっておるのが
現状でございますけれども、こうした新幹線のように重要な基幹交通施設につきましては、その環境対策は
政府と
政府関係機関がみんな寄ってスムーズに円滑に安くつく方法というものを編み出していく知恵がなければいけない、私はそう思っておるわけでございます。私は、七年間、大阪飛行場問題と取り組みました非常に苦しい
経験からそのことを申し上げておるわけでございます。ぜひともこれをうまくいくように
政府並びに
政府関係機関がお打ち合わせをされて、円滑にしていくようになれば、現在のその環境対策に投ずる
国鉄の資金が少なくて済む、そしてかえって円滑にいくようになるのではないかということを私は考えておるわけでございます。
もし私の記憶に間違いがなければでございますけれども、新幹線の沿線で地方公共団体とお打ち合わせの上で
国鉄当局が道路敷地として用地買収をした、買収してみて地方公共団体と打ち合わせしますと引き取ってくれないというのでその土地が宙ぶらりんになっておるという記事を読んだような気がするわけでございます。新幹線の沿線に道路をずっと並行して走らかせるということは非常に私はよい知恵だと思うわけでございますが、せっかくそうやって
国鉄が資金を投入して肩がわりして用地買収をいたしましたにもかかわらず、地方公共団体が引き受けてくれない。引き受けてくれるまでは金利がだんだんとかさんでいくことになるわけでございます。問題はそういうところから
一つずつ解決をしていく、うまく仕組んでいくということでなければ私はいけない、このように考えておる次第でございます。これが
一つの
問題点です。
同様のことは、
ローカル線の廃止の場合でも同じことが言えると思います。現在、四十線でございましたか、第一次の
ローカル線の廃止計画につきまして、各陸運
局長が座長になって協議会を開いて一生懸命に取り組んでいただいております。私の立場からしますと、一線でもよろしいから実力でもちまして解決をしていただきたい。二年後を待たないでも実力でもちましてこの解決ができる、廃止ができるという方向に進んでいただきたいと思うわけでございますが、その際に幾らお金を出してもいいというのではない、やはり廃止をする場合には廃止する経済原則というものが私はなければいけない。
私が飛行場問題と取り組みました際によく問題に出てまいりますのは、環境対策と同時にいろいろの施設をつくってくれという地元の要望が出てまいります。たとえば今度の
国鉄の廃止の場合でも、道路を拡幅してもらいたい、整備してもらいたいという要望も出てまいりましょう。公民館をつくれという要望も必ずや出てくるに違いないと思います。そういうものは、そういう筋で、都道府県知事に努力をしていただくという方向に持っていかなければいけない。そして、それを都道府県知事が努力をされた穴埋めを
政府、
運輸大臣が中心になられて、そしてそれをうまく持っていくということになれば、
国鉄から出ていくお金が少なくて済むわけでございます。
従来、私の感じておりますのは、たとえば新幹線にしましても、私どもがいままで取り組んできました空港問題にしてみましても、飛行場をつくれあるいは新幹線をつくれということは一生懸命地元が要望されますが、一たん取り組んでしまいますと、環境問題とかいろいろ出てくる。全部、その企業主体といいましょうか、それがまるかぶりになるわけでございます。そこで、地方公共団体も一緒になってこの問題を解決していくという仕組み、そういう姿勢というものがなければ、
国鉄は何ぼお金があっても足りません。また、それを援助するところの
政府は現在百兆円を超える国債を抱えてぴいぴい言うておるのが今日の姿でございますから、
国鉄ローカル線を廃止する場合でも
一つの経済原則に立ってやっていただかなければいけない。その仕組みは必ずある、窮すれば通ずるで、誠意を尽くしていけば必ずその道が出てくる、私はそう思っております。せっかくの御尽力を賜りたい、このように思うわけでございます。
最後に、設備投資の
関係でございますが、午前中、私の大先輩の
目黒先生が月給五十五円という
お話をなさいました。私は日給七十一銭の駅員が振り出しでございます。十三年間、
国鉄の現場で働かせていただいてまいりました。今日の
国鉄の姿を見るのは残念で仕方がないというのが私の偽らざる感想でございます。なぜこのような
国鉄になってしまったのかということでございますが、それはいろいろ言い分はありましょう。ありますけれども、自動車が発達し飛行機が発達しましたのは、三十年代、四十年代に設備投資をどんどんやってきたからでございます。
その資金は、たとえば自動車で言いますれば、自動車
関係諸税をどんどん上げまして現在では恐らく一〇〇%利用者負担の形になっております。御案内のとおり、自動車が発展をしてきた。飛行場の方も、着陸料を何倍も上げ、特別着陸料も上げ、通行税も五%を一〇%にして資金をどんどん稼いで、そして飛行場の整備をし、環境対策もやってきて今日の航空機の発展というものを裏づけてまいった。
それに対しまして
国鉄はどうか。三十年代、四十年代の
運賃改定、収入になるべき
国鉄運賃の改定というのが、午前中の
運輸大臣の
お話にもございましたように、非常にむずかしかったわけでございます。
運賃改定をしようとすれば物すごい反対運動が起きて、
国鉄運賃
法案を通すにも大変難渋したことは
皆さんの記憶に新しいところであると思います。私も、三十五年の
運賃改定の際に木暮武太夫さんの
運輸大臣秘書官をやっておりまして、そのことを身をもって
経験をいたしております。収入がありましても、その九五%は給与改定に回った、設備投資にはなかなか回らなかった。そのために、私の郷里の方のことを申し上げて恐縮でございますが、京都から下関へ参っております山陰本線、本線とは言い条現在も単線でございます。ディーゼルカーが走っております。線路といいましたら、もうがたがたでございます。その山陰本線に並行しまして非常にりっぱな道路が走っております。それでもって、
国鉄にもっと乗ってくれ、利用してくれと言っても無理な相談でございます。
私の本当の郷里でございます福知山線にしましても、私が若いころ本を読みながら通勤をいたしました福知山線の篠山口から大阪まで六十キロ、このわずか六十キロが四十年前も今日もちょうど二時間余りかかります。それでもって
国鉄を利用してくれ、こう言っても無理な話でございます。やはり
時代に応じて体質改善をしていく、それに必要な設備投資をしていくということが私は大切ではないか、このように確信をするわけでございます。
旧態依然たる体質でもちまして、旧態依然たる設備でもちまして
国鉄を
再建してくれ、再生してくれと言っても、これはしょせん無理な話だ、いかに臨時行政調査会の
答申であろうとも私はそれに対しては不服でございます。そこで、設備投資をぜひともやっていただきたい。しかし、設備投資にも合理性なり経済性がなけりゃいけませんから、よく検討していただいて、設備投資をして
国鉄の特性が発揮できるような体質にしていくことが国家百年のために絶対に必要である、私はそのように考えておるわけでございます。
そこで、この前も、ちょっと
運輸委員会で恐る恐る私見として申し上げたわけでございますけれども、いまの
国鉄に自分のお金で設備投資をせよと言ってもなかなか無理であります。鉄道特性を発揮するためには、やはり必要な原資を与えてもらって、そして設備投資をしていく、体質改善をしていく。そこで私は、
政府出資でもちまして設備投資をしていく、新幹線にしろ複線電化にしろ、そうしたものを進めていく必要があるのではないか。その設備投資を全部国が負担するというのではこれまたしんどうございますので、促進してくれというところの地方公共団体にその一部を負担をしてもらう。
第二種空港と申しまして、国内主要航空路線に必要な飛行場、大体が国の
経営でございますが、その第二種空港を建設するのに国が一〇〇%出してやる、そのかわり二五%は国に納めていただくという地方公共団体の負担の制度がございます。二五%ということにこだわりません。一部を地方公共団体に負担をしていただくということが私はその設備投資を効率的に行うことにもなりますし、また問題でございますところの開発利益の吸収ということにもなるものですから、ぜひひとつ地方公共団体にも出資をしていただく、こういうようなことを私は個人的に考えておるわけでございます。
国鉄の鉄道特性を発揮する意味におきましても、わずか三十七万平方キロメートルの狭い国土でいまのように過密なり過疎があってはいけません。均衡のとれた国土
経営というものがなければいけませんので、ぜひともひとつ、そうした
政府出資の制度によって複線電化なりあるいは新幹線なりの設備をしていただくという方向で御検討をいただけないものだろうか、このようにささやかに考えておる次第でございます。
もっとほかに申し上げたいことがございますが、以上、新幹線の環境対策、それから
ローカル線を廃止します場合の地元対策費、それから設備投資のあり方、この三点につきまして私見を申し上げたわけでございますが、もし
国鉄総裁、
大蔵省で非常にらつ腕をふるわれました
国鉄総裁の御感想でもお伺いできましたら幸せでございます。時間が参りましたので、簡単にお願いを申し上げます。