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柄谷道一君 同僚議員の方から、ペルシャ湾におけるノールーズ油田の原油流出事故でペルシャ湾一帯が油の
汚染によって重大な危機にさらされておる、この指摘はあったところでございます。
言うまでもありませんが、
日本は周囲を海に囲まれた島国でございます。しかも、
わが国のエネルギーは、近年、代替エネルギー、新エネルギーの開発が急速に進んでいるとはいえ、
現状においては大半は石油に依存しているわけでございます。したがって、大量の原油を積んだ
タンカーが毎日
わが国の港に入出港しておる、これが
現状であろうと思います。したがって、
船舶からの流出油事故
対策というものはきわめて重要な政治課題であろう、こう思うわけです。
そこで、仮に
わが国の
海域内で二十万トンクラスの大型
タンカーが海難を起こしまして大量の油が流出した場合、これは
沿岸漁民ばかりではなくて、臨海施設やその他国民に重大な被害を与えることが予測されるわけでございます。そこで、そうした場合の流出油防除
対策は果たして十分なのかどうかというところに
一つの問題が生ずるわけ
でございます。
私は、本法第三十八条で、
船舶からの油の
排出事故があった場合、その
船舶の船長から最寄りの
海上保安部署に通知する義務が課せられておること、そしてその通知を受けた
海上保安部署長が管区保安本部にこれを連絡して、保安庁所属の
船艇及び各
港湾に設置されている流出油防除連絡協議会に出動を求め、官民協同してその排除に当たるというシステム、そして本法によって設置されました
海上災害防止センターにその流出油防除処置を命ずることができる、一応、
体制的には整備されるわけでございます。
問題は、その防除に当たる
船舶の
実情ということになろうと思います。本法三十九条の四で、総トン数が五千トン以上の
タンカーは、
東京湾、
伊勢湾、
瀬戸内海など
運輸省令で定める
海域を航行する場合は、一時間に四十キロリットル以上の油を回収できる油回収船を配備することが義務づけられており、現在、
陸上の基地に油回収船が共同配備されておるということも承知いたしております。
しかし、これは世界に例を見ない
日本だけの
規制でございまして、民間負担という面からも問題があり、かつ四十キロリットル回収できる二百トン足らずの回収船では防除
体制としてはきわめて不十分と言わなければなりません。もちろん、このほかに、
海上保安庁は重要
港湾を管轄している保安部においてオイルフェンス展張船、油回収船を配備しておりますが、これも二百トン前後の
船艇でございます。各
港湾建設局の方にも約二千トンクラスの油回収兼ごみ回収船を置いておりますけれども、これだけでも十分と言えません。その他石油コンビナート防災法によりまして油回収船を配備いたしておりますが、これも小型
船艇でございます。このように、こう言っては失礼でございますけれども、ミズスマシ程度の小型
船艇を総動員いたしましても、波が高いという場合はこれはなかなか回収がむずかしくて被害がどんどんと拡大していく危険があるわけです。
そこで、近年、大型の一万トンクラスの油回収船を国の予算で建造して、
海水と油を一挙に吸い込みながら船内で油と
海水を分離しつつ早急に油の回収ができるということが技術的に可能であるということが言われ、かつ全日海等でもその大型油回収船の建造とこれを重要
港湾に配備する必要があるということが強く指摘されておるわけでございます。
こういう面について、
運輸省、
海上保安庁として積極的に取り組む意欲をお持ちなのかどうか、端的にお伺いいたします。