○立木洋君 これまで
国鉄が百年余り行ってきた実績というのももちろん総理は否定されないだろうと思います。問題は、民間の
経営にするならば第一の鉄則というのはつまりもうけなんです。いわゆる言葉で言えば採算が立つか立たないか。これはきょうも私は
高木総裁にお尋ねした。
高木総裁がいまの民営
鉄道の九人の社長と対談をされている内容がこの本に収録されております。だけれ
ども、これはもうけが鉄則だというんです。もうけができないところは全部やめる。貨物ももうけにならないからといって全部やめてきた。地方
鉄道も、うまくいかない、採算が合わないところは全部ぶった切る。そして、もうけのあるところだけをやる、この思想なんです。
私は、国有
鉄道、これが本当に公共の福祉ということを
考えて、国民の足をいかに保障するのか。地域の経済、御承知のように、
大臣、北海道では過疎地に住んでいるのが五人に一人なんだ。九州でも五人に一人が過疎地に住んでいる。中国地方、四国地方、東北地方七人に一人が過疎地に住んでいる。これは国土庁が発表した統計の数字です。そういうところは、このもうけの鉄則でやるならばこれはできないことになる。そうしたならば、そういうところの国民は全く
鉄道の足を奪われて大変な
事態になる。今度の貨物の問題でもそうです。ヤード系をぶった切るということになって、いまそのために通運の
関係者や労働者たちが大変な
自分たちの生活にかかわるという問題にまでなってきておる。荷主の間からも大変な問題が出てきている。私は何も採算がとられることがすべて悪いという言い方はしません、いまは資本主義の世の中ですから。しかし、私はそういう公共ということが本当に重視されなければならないのではないかということを非常に強く感じるわけです。この点についての御
答弁は要りませんけれ
ども、そのことを私はよく
考えていただきたいと思うんです。
同時に、私がこの際述べておきたいのは、やはり
政府の責任の問題なんです。私は、設備の投資がすべて悪だなんというようなことは
考えておりません。それは世の中の進歩のために設備の投資をするということも必要なことがあります。しかし、これまで
国鉄が出してきた材料の内容から見ても明らかなことは、
国鉄の
収入の六割、これが設備に投資されているんです、二十年間近く。もうけの六割じゃないんです。
収入の六割が投資されておる。その一〇〇%近くがすべて借金だというんです。こんな
経営のやり方をさしたのは一体だれなんですか。
鉄建公団がつくられて、つくられた
鉄建公団が結局どうなんだ。
国鉄の意思とは別のところで投資計画が
政府の指導によって行われて、その責任だけを
国鉄が負わなければならない。借金は雪だるまのようにふえていく。
この一事を
考えてみても、私は衆議院での議事録を読んで、総理がどこかで
政府の責任について述べられているところがあるかと思って全部ひっくり返してみた。そしたら、
政府の責任は、
政府としての責任は、という
答弁は一言もありませんでした。「
政府の責任も」というふうにして述べられている。そして、その後、結局その中心的な責任が
国鉄にある、
国鉄労使にあると言わんばかりの議事録の内容になっているのを見て、私は大変残念です。このような無計画な、ずさんなこうした投資のやり方を指導してきた
政府のあり方。
これまで六回にわたって改革案が出されてきました。しかし、出されてきた改革案はどれ一つも成功しなかった。それがすべて閣議で
決定されてきた。すべての閣議の
決定がだめだったということが証明されたわけです。ところが、この間問題にされたように、これほど重大な問題でこうした失敗、大変な
事態が起こっているのに、ただの一人の
大臣でもこの問題に責任をとった人があるでしょうか。
長谷川運輸大臣は、そういう
大臣はいませんと。ただの一人の
大臣でもこうしたずさんな
状態になった
状況を国民の前に述べて、済まなかったと言った
大臣が一人でもいるだろうか。
大臣は、そういうふうなことを述べた
大臣は私は知りませんと。私は、こういうような姿勢ではいまの
国鉄の大変な
状態を本当にやっていくことができないのじゃないか。いまの中曽根内閣に要求されているのは、
国鉄が問題になっているのはここにある、この点での
政府の責任がここにあった、しかしこれからは
政府としてはこういうふうにしてやるからひとつ
考えてくれないかということを率直に言われるべきであって、これを
監理委員会に提起して、
臨調にやってもらって今度は
監理委員会、私はいささかこれは無責任なやり方であって、こういうやり方では本当に
国鉄を
再建することができないのじゃないかというふうに思います。
きわめて残念なことでありますが、時間が来ましたから、私のこうした
考え方に対して最後に総理の御所見を述べていただいて、私の質問を終わります。