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1983-05-10 第98回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員の異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      立木  洋君     小笠原貞子君  四月二十七日     辞任         補欠選任      鈴木 正一君     森下  泰君      小谷  守君     安恒 良一君      小笠原貞子君     立木  洋君      小西 博行君     伊藤 郁男君  四月三十日     辞任         補欠選任      森下  泰君     鈴木 正一君  五月七日     辞任         補欠選任      梶原  清君     遠藤 政夫君  五月九日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     竹内  潔君      遠藤 政夫君     梶原  清君      伊藤 郁男君     三治 重信君  五月十日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     木村 睦男君      安田 隆明君     宮澤  弘君      山本 富雄君     関口 恵造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢追 秀彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 江島  淳君                 青木 薪次君                 黒柳  明君     委 員                 梶原  清君                 鈴木 正一君                 関口 恵造君                 高平 公友君                 内藤  健君                 宮澤  弘君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 立木  洋君                 三治 重信君    国務大臣        運 輸 大 臣  長谷川 峻君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君    政府委員        内閣審議官    林  淳司君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        行政管理庁長官        官房総務審議官  竹村  晟君        大蔵省主計局次        長        兼内閣審議官   宍倉 宗夫君        運輸政務次官   関谷 勝嗣君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君        自治大臣官房審        議官       津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        大蔵省主計局共        済課長      野尻 栄典君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      半谷 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      繩田 國武君        日本国有鉄道常        務理事      橋元 雅司君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      岩瀬 虹兒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会内閣提出、第九十八回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案を議題といたします。     ─────────────
  3. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  当委員会は、本案審査に資するため、去る四月二十七日及び二十八日、委員派遣を行い、福岡市及び札幌市においていわゆる地方公聴会を開会して現地における意見を聴取し、その後、現地の実情を調査してまいりました。  つきましては、各班からそれぞれ委員長の手元に報告書が提出されておりますが、口頭報告は省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) これより、前回に引き続き、本案質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案、いわゆる国鉄監理委員会法案は、今国会の最終的な場面における最大の山場になったことは御案内のとおりであります。  これは、臨調答申で明らかなように、分割民営化という路線に沿って出されたものであって、答申を最大限尊重するという前提に立っておるものであります。中曽根総理も、ASEANのところどころの記者会見等におきましても、この法案の成立に異常なほどの決意を示しているのでありますが、やはりこのねらいというものについては、この際、足手まといになるところの国鉄を分断して、しかもこの中で十数万人という職員を、いまの試算でいくと昭和六十年までに十五万人も三、四年前から削減をするという内容をもとにいたしまして、きわめて厳しいことを国鉄の組織内の職員に課しているということと同時に、地域住民の犠牲において国鉄再建を果たそうとするねらいそのものであると私は考えておるわけであります。しかも、国労や動労等をこの際ひとつ徹底して抑え込んでいく、あるいはまた社会党や総評ブロックについても切り込んでいこうということであるし、国鉄解体論に通ずるということでありまして、自民党独裁体制を強化しようとする何物でもないというふうに私は考えておるところであります。  したがって、この法案ができてまいりますと、まさに一昨日の与野党の国対委員長出席によるテレビ討論会におきましてわが小谷国対委員長が言いましたように、国鉄解体に通ずるものであるということは御案内のとおりでありまして、この点について私は、やることをやらないで、ただ一気かせいに財政のきわめて厳しいという中にあって切り込んできたということを実は感ぜざるを得ないのでありまして、いままでの政府のやってきた措置について、一体本当に誠心誠意、何回も何回も、六回も国鉄再建という具体的な計画があったにもかかわらず、これを放置してきた歴代自民党内閣、特に運輸大臣責任は私はきわめて大きいと言わざるを得ないのであります。長谷川運輸大臣はその点についてどうお考えになっているか、お聞きをいたしたい、こう思います。
  7. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) まず第一に、この国鉄監理委員会法案は、自由民主党の独裁体制をつくるものでもございません。さらにまた、このことによってお互いがやろうとしていることは、いままでできなかったいろいろの問題があったものを、この際はひとつ国民全体が国鉄の問題に対して、PRし、よく理解をしておりますから、そういう面において一つ一つ法案について御研究を願うというところでございまして、六回もいろいろなことがいままでできなかったことは、きょうも後で官房長官が見えると思いますけれども、この前この委員会で話がありましたから。そのときそのときが時間が足りなくて、ある場合にはその法案をやろうとしても情勢がすっかり変わってしまう。国鉄運賃法がそうでしょう。運賃法が通ったときには、かかった法律案はもう物の役にも立たない。そのうちにまた経済情勢が変わってきてすっかり物の需要が減ってしまっているということで、後になったり後ろになったりというのが今日までの姿でございます。  一方、ですからお客さんが減る。これはお客さんは選択の自由がありますから、サービスがよくて安い方に行きます。また、ありがとうと言う方に、御無礼な商売人よりは親切な方に行く。こんなムードが全部重なったところに私は国鉄信用といいますか、利用されるものが少なくなった。こういうものが全部集約されて、このままじゃとてもだめだと、国会にも、委員会の皆さんお互いおりますし、政府もやってもおりますけれども、国民的視野に立って御研究願った結果がこの監理法案でございまして、私はそれは十五万人にするとか、二十万にするとか、首切り法案だというふうな形じゃなくして、いかにしてこれだけの日本交通動脈を築いたあの国鉄諸君を活用しながら将来ともに元気をつけて仕事をやらせるか、こういうところに私はこのねらいがあるし、私はそのねらいのままに皆さん方に御協力をお願い申し上げているわけでありまして、どうぞひとつ、自民党独裁体制とか完全な分割とか、そんなことじゃなくして、やはりいかにして残していくかというところにお互いがねらいを持っておるというところに御着目をいただいて御審議いただきたい、こう思うのであります。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 きのうあたりからの長谷川運輸大臣意見を聞いていると、あなたはサービスが悪いとか、やれ何とかと、そのことだけで問題をすりかえようとしたりしているわけでありますが、大臣であるならばもっと根本的な、モータリゼーションの世の中にすべからく機動的に対応できなかった問題とか、あるいはまた日本のいまの交通政策上の問題とかということを言うべきである。あなたのきのうからの発言を聞くと三百代言みたいなことばかりに終始している、これはけしからぬことだというように私は考えますので、この点は冒頭に当たって御注意申し上げたいと思います。そんな問題じゃない。  それじゃ、今日の緊急実施項目項目以外に何があるんですか、政策が。何もないでしょう。そういう問題等について再建のための具体策について、いま申し上げたように緊急実施項目以外に何にも提案していないというところにも問題があるんですよ。六回も再建の機会というものがありながら、附帯決議をやりながら何にも実施されていないというような問題、そういうととを先に私は言うべきである。サービスがよくなる、能率がよくなる、賛成です。私どもも組合に対して堂々とそういうことは申し上げているわけであります。そういう点について、最終的な場面における国会審議で言うべきあなたの話ではない、私はそう思いますので、再度にわたって御忠告申し上げます。  それから、国鉄が抱えている基本問題であるところの長期負債とか、新幹線等設備投資によるところの負担増とか、あるいはまた異常に増大する退職金特定人件費の問題とか、こういう問題について監理委員会にすべて送られているわけですよ。したがって、こういう問題について、臨調国鉄危機という問題についてどの程度危機意識を感じてやっていかれるかという問題については、これがすべて分割民営化というところに落ちになっているということについては大変残念だと言わなきゃならぬと思っております。五年間で議論をして、それが全部答えになってあらわれてくるというふうには私は必ずしも考えない。したがって、再建の基本と関係のない、いろんな職場規律の問題とかそういうところに問題をすりかえているところに問題がある、私はそう思うのでありますが、その点について、大臣、私がいまあなたの発言を聞いて考えたことなんですけれども、御答弁いただきたい。
  9. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) モータリゼーションとか構造的な変革のあったことに先ほど触れなかったことは、この際つけ加えておきます。  何といたしましても、日本ほど自動車がこんなに急に発達したところもないわけでして、ここ十年間のモータリゼーションというものが至るところの町村に及び、それがまた鉄道離れ、国鉄離れをさせたことも事実でございます。そういう中に、いかにして大都市間の輸送とか最も必要なところに重点的にサービスをしてよくやるかというふうなところも考えなきゃならぬことはもちろんでございます。  もう一つ、私は基本的に思っておりますことは、国鉄の働いている諸君、それは一、二ふまじめな人もいるでしょう、大ぜいの中には。しかし何としても、夜、夜中に鉄道を動かしている諸君、こういう諸君が営々とあの職場を守って、なおかつ信用を世界的にいただいている、こういう諸君職場というものをお互いがみんなで拡大することによって守っていきたい。その一つ方法がこのたびの監理法案である。ある場合には、いまのような長期債務の問題とか年金の問題とか、こういうものはなかなかお互いだけでも片づけ得なかったが、大ぜいの人々の応援と、そこに対する援助の空気が生まれたことをきっかけに、このたびの法案きっかけに、ぜひ前進させていきたい、こう思っております。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣は、答申に沿って五年以内に国鉄事業再建の全体構想を設定して、その実現のために方策も明らかにしながら実現を図るというように、あなたは再三にわたって述べておられるのであります。そういたしますと、国鉄事業再建の全体構想というものは具体的に何なのかということを私は後でいろいろお伺いしたいと思うのでありますが、いまの特殊法人日本国有鉄道法という法律から分割民営化という形になった場合における法改正については何と何と何があるかということについて、一々全部これを聞いていきたいと実は思っているのでありますが、その用意がありますかどうですか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  11. 林淳司

    政府委員林淳司君) 具体的なその分割民営化方向での検討というのは、これから監理委員会で具体的、詳細に行われるわけでございまして、まだいまの段階では政府としてそういう結論を持っているわけでございませんので、したがってそういう状態になった場合に各個別の法律についてどういう手当てが必要かということについてはまだ検討いたしておりません。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 審議官、それはきわめて不誠意回答ですよ。大臣、そう思いませんか。分割民営化される。いまの日本国有鉄道法という法律がある。これは特殊法人である。それから移行されるものには大体どういうものがあるか。私だって、鉄道営業法改正がまず前提としてあるということぐらいわかりますよ。そういう問題等について、おぼろげながら検討しているのかどうかという点についても私はお伺いいたしたい。これは大臣からお伺いしたい。
  13. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) これはやっぱり監理委員会が生まれたときにそちらの方で御研究いただくものだろうと私は推察しております。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 それは、監理委員会というのは万能じゃないんですよ。これからだれを選ぶかわからぬような人たちに対して、これからひとつそのときになったら考えるなんということについては、これは少し無責任回答じゃないのかというように私は思います。したがって、そういう点については、これは関係法律改正という問題は容易なことではない。大体において何と何と何の法律があるということがわかっていないと思うのだけれども、どうなんですか。
  15. 林淳司

    政府委員林淳司君) 先ほど申し上げましたように、まだ具体的な検討はいたしておりませんが、現在の公社制度という前提での国有鉄道というのは、仮に別の経営形態に移行する場合には、その経営形態にもよりますが、基本的に予想されますのは、たとえば日本国有鉄道法でありますとか、あるいは国有鉄道運賃法、あるいは鉄道国有法というふうな基本的な法律、さらには関連いたしまして鉄道敷設法でありますとか、あるいは公共企業体等労働関係法でありますとか、そういうふうな関連する法律、こういうものについては何らかの改正なり変更が必要であろうかと思いますが、そのほか単なる字句の修正というふうなものについては恐らく相当多数の法律に上るだろうと思います。それは現段階でも仮に公社制度を変えるとすれば容易に予想されることでありまして、それについての逐一、詳細な検討というのは、これからの具体的な結論に従って法律内容検討していく必要があろうかと思いますので、いまの段階では詳細にはその検討をいたしかねる段階でございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 臨調が、国鉄のいまの役割りとか、総合交通体系の中における国鉄役割り、任務、それから本来、公共性というものと企業性というものについては、これは相反する課題です。これを国民交通政策や福祉のためにどういうように位置づけているかということについてもろくに勉強しないで、ただ分割民営、全国七ブロックということを出したことについては無責任だと私は思うのでありますけれども、その点、大臣、いかがですか。
  17. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 私が直接答申をいただいたわけじゃございませんけれども、いまの制度を効果的にした場合にはどういうふうなシステムになるかというのが言われておって、それが七ブロックになるのか四ブロックになるのか、そこまでは私は存じ上げておりません。いかにすれば効率的な運営ができるかというところに重点を置いて考えているというふうに聞いております。  なお、足りないところは、事務当局が私以上に詳しいかしれませんが、そちらの方に聞いてもらっても結構です。
  18. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) いま公共性企業性のお話がございました。臨調議論ということで推察をいたして御答弁をいたすわけでございますが、時代の変遷があって非常にさまざまな交通機関が急速に発展してきて、国鉄独占性が失われてきている現在におきまして国鉄の果たすべき公共性というのは、いわゆる鉄道が十分にその特性を発揮し得る分野で大量、高速という良質のサービスを安定的に供給することではないかというふうに考えておるのではないかと思います。したがって、そういう国民利用者期待にこたえるためには国鉄はどうあるべきかというときに、国民期待にこたえ、その公共の使命に沿うためには、いわゆる国鉄の効率的かつ合理的な経営形態というものが向いているのではないか、こういうふうに考えたのではないか、こういうふうに思っています。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、考えたのではないかとか、大臣答弁に至っては私が直接受け取ったものじゃないとか、事務方の方がもっと詳しい、それはそうでしょう。しかし、あなたはやっぱり政治決断を下ささなきゃならない立場だ。しかも日本の陸海空の交通政策に対する行政の立場最高責任者なんですから、そういう点から少なくとも分割民営化は、きのうのあなた方の答弁でもわが党の対馬委員発言に対して、少なくとも北海道においてはこの法案賛成とか反対とかという領域を超えて分割民営化は困難であるということについて認めますかと言ったら、あなたはそのことについては認めます、そういうように答弁をされたことでもわかりますように、この臨調答申というものは、まさしく予断と偏見、まさに木に竹を接いだような答申になっていると私は言わざるを得ないのです。  したがって、日本で有数な人たちの手をかりてきて、そしてこの人たちの権威に頼って何とかするというのだったら、これは全く政府は要らないということなんです。これは大変なことだと私は言わなきゃならぬと思うのであります。そのうち監理委員会で何とかしてくれるだろうというような態度は無責任だと私は思うのでありますが、大臣、いかがですか。
  20. 林淳司

    政府委員林淳司君) 政府といたしましては、この臨調答申というものを尊重するということを閣議決定しているわけでございますが、その意味するところは、臨調答申の目指すところ、すなわち現在の国鉄経営状況から見れば、現在の仕組みの延長線上で対策を部分的に講じていくということではなかなか再建はむずかしいのではなかろうか。そこで、やっぱり根本に立ち戻って国鉄経営全般について検討を加えていく。その場合に、検討する方向としては国鉄経営というものに対して自主性を付与する。そして、それは裏返せば経営責任明確化ということでございますが、そういう経営仕組みというものについて検討を加えていく。さらには、地域に密着した形で経営が行われるようにしていく。この辺の改善を加えることによりまして、いわゆる国鉄経営効率性活性化というものを取り戻す。これが本来、答申がねらっているところだろうと思います。  その具体的な方法として分割民営化ということを提言しているのだと思いますが、その臨調答申の基本的なねらいとするところというものはやはり妥当な方向を示しているのであろう。したがって、その方向に沿って具体的にこれから詳細に検討していこう。こういうことで監理委員会を設置したいということを御提案申し上げているわけでございまして、したがって無責任に、ただ臨調答申というものを何ら評価することなくやっているのでは決してございません。そういうねらいというもの、方向づけというものについては一定の評価をして、その方向で具体的、詳細にこれから検討して最も適切な結論を出していこう、こういう態度でございます。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 それでは、お伺いしますけれども、現在進んでいる経営改善計画というものについては、これは私が申し上げるまでもなく、後のない計画、この後のない計画というのはずいぶん私聞きましたよ、いままで。ここで、宍倉主計局次長が笑っているけれども、大分宍倉さんとも討論をした。いろいろやってきましたし、高木総裁なんかは顔を上げないで下をうつむいている。それくらい、これはやってきたんです。ところが、今日二年もたたないうちにこの計画が早くも破綻をしている。この原因は一体何でしょうか、大臣、どう考えますか。——大臣が言わなきゃだめだ、政治責任だもの。
  22. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) まず、現在の経営改善計画がどういうような状況になっているかということを事務的にちょっと申し上げさしていただきます。  御案内のように、六十年度には経営基盤を確立するということで改善計画を五十六年に国鉄が出し、これを承認いたしまして、その改善計画に沿って合理化に努め、国鉄再建への道に鋭意努めたわけでありますが、大まかに申しまして、合理化の方はやはり積極的に、計画どおりと申しますか、進んでおるというふうにわれわれも評価をいたしておるわけでありますが、特に貨物輸送量が非常に激減をしておるということ、あるいはどうも旅客も伸びないというようなことから収入の見込みというものがやはり相当大きく外れまして、これに対応してできるだけ貨物の前倒しとかあるいは新規採用原則停止とかというようなことで対応をしてはおりますけれども、どうも現状におきましては経営改善の所期の計画は達成が困難ではないかというふうに考えられておりますので、さらに今後の緊急対策進捗状況、あるいは収入等のもう少し見直し、あるいは貨物の今後の合理化等内容等を具体的に盛り込んだもので改定を行わなければならないのではないか、こういうふうに現在考えております。
  23. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) いま局長が御説明いたしましたように、一昨年つくった計画でさえも、お客さんの落ち込みやら貨物激減からしますというと、当然に計画を見直さなきゃいかぬ、このままでやったならば大変なことになるという社会的情勢の中に国鉄があるということ、これをいかに今度改善していくかということがいまから先の問題であるということを御理解いただきたいと思います。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 経営改善計画によれば、特に国鉄の特性を発揮し得るところに金をつぎ込むのだ、こういうことが中心となっていると思うんです。  大蔵省の宍倉主計局次長が見えておりますが、大蔵省は財布のひもをかたく締めて、そのことについて必ずしもこたえていない。その点について、どう思いますか。
  25. 宍倉宗夫

    政府委員宍倉宗夫君) 御質問のように、五十四年の末に現在の経営改善計画のもとになります閣議了解をいたしまして、五十五年度予算からこの経営改善計画の線に沿った予算措置を講じているわけでございます。その金額は、各年七千億円前後で推移してきてございます。折しも五十五年度以降国の方の財政事情というものが非常に厳しくなってまいっておりまして、特に五十七年、八年ということになりますと、皆様方よく御案内のように、マイナスシーリングだというような厳しい状況でございます。その中におきましても、先ほど申し上げましたように、たとえば五十八年度予算でございますれば七千三十億円という大きなお金を国鉄に対する助成として国庫から支出をいたすことにいたしておるわけでございます。私どもとしては国鉄の財政再建が円滑にいくようにできるだけのことはしてまいってきているつもりでございます。  ただ、親方そのもののふところぐあいが非常に悪くなってございまして、まあ子供みたいなものかもしれませんが、国鉄に対する応援ということ自体が国の財政事情が悪いために十分なことはできていないかもしれません。しかし、それは絶対的な十分さかげんか相対的なものかということでありまして、目下の国の財政事情からいたしますれば、私ども最大限、これでも少し多いのじゃないかという御批判をいただくほどのことはいたしているつもりでございます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 私は、分割民営化という問題については、これは絶対にできない。やろうとしてもこれは実態論からできないし、その点については、私は冒頭申し上げたように、社会党や労働組合に対する攻撃だ、こういうぐあいに考えて位置づけているものでありますが、この点から、無理なことをすれば私どもと地域住民が一緒になって長谷川運輸大臣自民党政府を揺さぶってしまうということになるというように、あなたはやっぱりおなかの中へしっかりとたたき込んでおかなきゃいけない。法案は多数で通るかもしれないけれども、無理なことはできないというように考えなきゃいけないと思うのです。  そこで、この分割民営論の鬼子のように言われている加藤第四部会長が、国鉄は全国的なネットワークの中で運営されているからできないと言うけれども、そんなことはない、できるのだと、なぜできるかといえば、東京の都区内においても私鉄同士の乗り入れをやったり、国鉄と私鉄の乗り入れをやったりなんかしているのだから、これはできるのだということを言っているのでありますが、それは局部的な単なる連絡調整の仕事だけであって、全体的に国鉄の占める役割りとか、全国的なダイヤを編成するとか、車両の編成をどうするとか、あるいはまた検査、修繕のために全国に散らばった車両をどう捕捉するとか、あるいはまた運賃の精算をどうするとか、技術断層をどうやるとか、新規採用をどうするか、人事の運用をどうするというような問題とか、災害対策その他の問題等についても考えていない。キジを追う者山を見ずとかのたぐいにすぎないし、こういう者こそ私は曲学阿世の徒だというように言わざるを得ないと思います。これは私のきのうの要請によって、加藤第四部会長はこのわが参議院の運輸委員会出席してもらうことになると思うのでありますが、それらの点について詰めてまいりたいというように考えております。  国鉄をそういう形で北海道、四国、九州の三つと本州を四つに分けるという、そのものずばりで分割民営を中心とする答申がなされておりますが、これはなかなか拙速をとうとんだ議論であって実態に合わないというように私は考えているわけでありますが、大臣、ひとつこの点、簡単で結構ですから、困難があるとか、できないとか、あるいは簡単にできるとかという立場に立って御答弁願いたいと思います。
  27. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 監理委員会がどういうことを考えているかは別といたしまして、やっぱり分割民営を原則として作業をする、これを私たちは認めます。  その場合に、やはり青木さんのおっしゃるように、いままで百年間やったことを手直しすることですから、大変そちこちにフリクションがある、不便さがある、このことだけは間違いないと思います。それをいかに円滑にやりつついままで以上の経営成績なり、いままで以上の労働効率を上げつつやっていくかということは、お互いのやはり努力のことであるし、またその中に働く労働組合の諸君がそういうものに目覚めて、これもいいぞというふうにしてやってもらうならば一つの効果が生まれるのじゃないか。私はこう考えまして、新しいことをやるのには常に冒険があるし、そこにフリクションがあるし、それをいかに円満に遂行するかというところにお互いの良知、良識というものが働くのじゃなかろうか、こう思っております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 私もそうですが、運輸大臣分割民営なんということはあなたの心じゃないと思うのです。そうでしょう。——あなたは黙っていますけれども、中曽根総理大臣とこの間の答弁は違った。しかし、そこでマスコミの皆さんからつかれたら同じことだというように言い直しているというように、あなたの答弁も振れているんですよ。それだけこれは、いまもあなたがいみじくも言われたように、百年の国鉄経営というものについて一朝一夕のもとにこれを変えるということは困難である。それはやっぱり冒頭申し上げましたように、企業性のどこまでももうけ本位でいくか、公共性という形でもって国民の交通弱者に足を提供するか、福祉を提供するかということについて、国家的な一つのこのことに対するコモンセンスというものがないというところに私はこの問題が非常に混乱している原因があると実は思っているわけであります。  都留重人さんとか松本清張さん等の七人委員会が、国鉄の自主再建を願うという立場に立って分割民営化方向づけをきわめて手厳しく批判をいたしているわけでありますが、これは国民有識者の意見であって、御用学者の意見であってはならない、私はこう思うのでありますけれども、分割民営化という問題についてできないだろうけれども、いまの中曽根内閣だったら何をやるかわからぬというように私は思うのであります。そういう点に立って、大臣、私が口をきわめて厳しく、しつこくあなたに申し上げているのは、監理委員会の皆さんといえども素人の集団だと思うのです。それをその準備室の方でいろんなデータを提供するということになると思うのでありますが、専門家は国鉄総裁以下皆さんがいるし、それから政府だっているわけですから、そういう立場の皆さんがこのことの困難性を指摘すればこの分割民営化の問題については歯どめがかかるというように考えておりますが、この点について、大臣、しつこいようですけれども、あなたの答弁を願いたい。
  29. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 先生のお立場もございますが、私の立場もございます。何さま、この分割民営を基本原則として国鉄再建を図ろうじゃないか、こういうことで中曽根内閣が生まれ、また国民の御支持もそこにあるわけです。むずかしいだろうけれども、ひとつやってみよう、こう思っております。そんなところから、いろいろな御批判等々もいただきながら、いまから先も御批判の中に言われたものが効果的に上がるように進んでまいりたい、こう思っております。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 五十七年度の収入はどんなふうになっていますか。予算に比べて五十八年度の収入目標は達成できるのかどうなのか、その点お願いします。
  31. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 昨五十七年度の収入でございますが、先生御承知のように、私ども毎日の収入管理は取扱収入という形で管理をいたしております。これから連絡社線とか後払い運賃あるいは本線収入等精算をいたしまして収入を確定いたすわけでございますが、その確定には大体今月いっぱいかかると思います。現在、精査中でございます。しかし、おおむねの金額はつかまえておりまして、現時点では大体昨五十七年度の客貨の、しかも鉄道、船舶、自動車の合計でございます運輸収入でございますが、二兆八千二百億円、これは対前年一〇四%程度に落ちつくであろう、こう見込んでおります。ただ、これは対前年では一〇四%の伸びでございますが、予算に対しましては九二%にとどまることに相なります。  これを客貨別に申し上げますと、旅客でございますが、二兆五千四百億円でございます。これは対前年比一〇六%、予算に対しましては九六%でございます。旅客につきましては、上期、景気の低迷あるいは災害の頻発等によりましてやや低調でございましたが、五十七年十一月のダイヤ改正によりまして上越新幹線の開業あるいは東北新幹線の本格開業ということもございましたし、また「プラス一〇増収キャンペーン」等で増収努力をいたしましたので、ただいま申し上げましたように、対前年比では一〇六%ということで、昨年四月に運賃改定をさせていただきました当時見込みました実収見込み率五・三%をやや上回るというところに落ちつく見込みでございます。  問題は貨物でございまして、貨物は二千八百億円にとどまる見込みでございます。これは運賃改定をいたしましたにもかかわりませず、対前年比で九〇%という成績でございます。予算に対しましては実に七〇%ということでございまして、これが大変問題であるということでございます。貨物につきましては、やはり何と申しましても素材型産業部門が非常に落ち込んでおる。減送分の大体半分が石油、セメント、石灰石の三品目でございます。ただ、わずかに明るみがございますのは、コンテナにつきまして十二月以降前年の水準に戻ったということでございまして、今後の貨物輸送改善方向を示唆しておると思います。  以上でございまして、二兆八千二百億という収入見込みでございますが、今年度の先般成立いたしました予算につきましては二兆九千五百億という目標を立てております。これはただいま申し上げました五十七年度の見込み二兆八千二百億に対しまして一〇四・五%、四・五%の増収努力が要請されるということでございます。本年は値上げをしないということでございますので、この条件のもとで精いっぱいぎりぎりの増収努力を尽くしたい、このように考えておるところでございます。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 主計局次長が、時間的な問題、内閣委員会との関係もあるようですから、この際申し上げておきたいのでありますが、国鉄再建のための国の行財政措置について、公共負担の是正等についても何回も何回も私どもは附帯決議をやり、そして政府を全く与野党一致して拘束するような国会の意思というものを鮮明にしたわけでありますけれども、今日まで少しも検討の成果が上がっていないと思うのでありますが、具体的に、たとえば累積債務はどうするのか、あるいはまた公共負担の中心であるところの学割に対する負担、あるいはまた身体障害者に対する負担、あるいはまた特定人件費等の国鉄の責めによらないもの等については、これを全部借金やその他、サラ金財政という意見が出ているけれども、そういうことでやっておいて、利子までまた払うために金を借りてくるなんというようなことをやっておいて、それも黙って見ておいて、やれ、ふろに勤務時間内に入ったとか、やれ、現場で人民管理だとかなんとかというような、ありとあらゆるばり雑言を加えておいて、そして問題をそっちにすりかえようとするところに私は非常に陰険なやり方があるということを大変立腹いたしているわけでありますが、大蔵省としてはこれから具体的にそういう問題に取り組んで実効ある措置をやっていくということを考えているかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  33. 宍倉宗夫

    政府委員宍倉宗夫君) いわゆる国鉄公共負担というのは、なかなかむずかしい議論であると思っております。いま委員が例示としてお挙げになりました、たとえば累積債務で申しますと、五十八年度末で約二十兆になるわけでございますけれども、この累積債務の額がみんな国鉄の責めによらないものかというと、私は決してそうでないと思うわけでございます。どちらかといえば、まさに国鉄の責めそのものの結果が累積として残っているのではないか。ただ、この累積債務が二十兆残っておるということを放置したままでこの後の国鉄をどうするかということの議論はできないだろう、これは確かなことだと存じます。  学割、身体障害者に関する問題、いわゆる運賃上の公共負担の問題でございますが、これはいま委員が御指摘になりましたように、かねてからずいぶん議論がございまして、担当でございます文部省なり厚生省とそれから運輸省の方とまず御協議いただいて、その取り扱いを決めていただく、そうした後、各省から私どものところに予算要求として出てくるのが筋合いのものと、私どもこういうふうに整理をいたしてございますが、残念なことに、昨日も御討議があったのを伺っておりましたけれども、関係の各省と運輸省の方との間の御議論がまだ詰まっておらないというのがいまの状態かと存じております。  それから、特定人件費の問題でございますが、これもなかなかむずかしい議論があろうかと存じます。確かに、現在国鉄の平均年齢は高うございますものですから退職者が大ぜい出るということで退職金が出る。それから年金につきましても、年金受給者が相対的に多うございます。いわゆる成熟度が各共済組合と比べますと高うございます。しかし、これもそれぞれ国鉄がこれまでやってまいりました国鉄の歴史の中において出てきている問題でございまして、終戦直後人間をかなり多く採用いたしまして、たくさんになった人間を整理いたしたわけでございますが、そのときに若い方々を多く残したというのが、つまり昭和三十年代から四十年代の初めにかけましては相対的に安い人件費で当時の国鉄は運営されてきた。それがその後四十年代から五十年代にかけまして、その昔若かった方々が年をとってくるわけでございますからして退職金も多くなる、年金も多くなる。つまり過去におきまして国鉄経営をいたしてきましたときに安いコストでやってきたものがいまになってツケになって出てきておる、こういう面は確かにあるわけでございます。  そのことが国鉄の責めによるものかよらないものかということをいま余り議論しても意味がないことではないか。現実の問題といたしまして、国鉄がこういった経費の増大に苦しんでいることは事実でございますからして、いま御審議をいただいております監理委員会ができますれば、監理委員会でこれらの問題を含めまして御議論をいただき、また私どもも監理委員会の御議論には私どもとしての御意見も申し上げるつもりでございますけれども、そこでお決まりになったことにつきましては、私どもも運輸省と一緒になりまして国鉄再建に向かいまして努力をしてまいりたい、このように考えております。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 宍倉さん、あなた、国鉄の責めによるものが大部分だというような発言をしたわけですけれども、たとえば南満州鉄道とか、朝鮮鉄道とか、北支とか、中支とか、いろんなところから約二十万人の人がどっと国鉄職場に入ってきた。そして、これは時の政府が社会不安を醸成するからこの際国鉄は受け入れなさいという政府の閣議決定によって国鉄は受け入れた。その人たちがここ数年来にわたって退職をしている、年金も払っている、この現実というものを忘れてはいけない。  それからもう一つは、何としても国鉄の投資計画、これは国として、きのう私は梶原委員が質問されたことについて私も共鳴したわけでありますが、国家的な投資配分というものを考えていく場合に、赤字の国鉄に二兆からの借金をさして、しかもその借金のうち損益に一部持ってきて一部を工事勘定に使う、そしてまたその中から工事費のいわゆる利子を払っていくというようなことは、これはイコールフッティング理論を用いるまでもなく、国鉄としての役割りというものはこれがいわゆるTVAの公共企業体になっているからそういう形で自前でやれということだろうけれども、しかしこれが昔の鉄道省だったらどうだろうかということを考えてみますと、それは全部国で負担しなきゃならぬ。  戦中、戦後を通じて国鉄のトンネルとか傷んでいる。この間も富士川の橋梁が流れてしまった。これは明治三十二年につくったものだ。あるいはまたのり面に傷が入ってきている。わが静岡県なんかは地震の発生県になっている。大地震が来るというような中で、この点が大変に心配をされているわけであります。そういう点について国鉄責任だというけれども、ほとんど二十兆になんなんとするこの累積債務というものについては、これは本来的に公共投資の分野に入るし、国家の投資配分の中で考えるべき性質のものである、これが多いとか少ないとかいう問題はこれは別だというように考えておりますので、これはそういう点からも、歴然とした学割とか、あるいはまた身体障害者の負担とか、特定人件費とかいうような問題等とは別に私は投資の資金について全部これが借入金であったというところに最も大きな原因があるわけでありますから、その点を私は今後の課題として根本的に考えるべき時期に来た、こう思いますが、あなたはどうですか。
  35. 宍倉宗夫

    政府委員宍倉宗夫君) いまのお話の中で二つあるのかもしれません。  まず、年金の話でございますが、確かに満州から引き揚げてこられた方とか中国から引き揚げてこられた方々の年金がいま響いている分があるわけでございますけれども、この分は実際には、よく議論をされるわけでございますけれども、それに比べまして意外と財政的には大きな負担になっておらないわけでございます。はっきりとした計算はできておらないようでございますけれども、大まかなところのことで言いますと大体二十億程度、こういう話でございますから、その二十億円が一兆数千億円に及びます国鉄の全体の欠損といいますか、赤字と比べてみますと、それほどむやみに大きい数字ではないと思っております。  それから投資の方でございますが、おっしゃるように、国鉄が自己財源ございませんで、借入財源で投資をするということは大変に問題が大きいと思います。でございますからして、投資につきましてはごく厳選された投資に限定すべきであるというふうに私どもも考えてございますし、国鉄、運輸省御当局もそのような御意見で本年は投資規模を相当圧縮してございます。全体の国鉄の債務がいま約二十兆あるわけでございますけれども、そのうち大体十兆円、半分ぐらいはいままでの毎年毎年の累積欠損の積み重なりでございます。半分ぐらいの十兆円はいまの公共投資に見合った形で何らかの財産がそれの見合いであるものでございますから、二十兆円の累積債務が全部全くの不良債務だというわけでは私はないと思っております。でございますが、いま先生おっしゃったように、必要な取りかえ投資というものはやらなきゃいけないわけでございますから、そういったものに厳選をして慎重に進めていくということがぜひとも必要かと思いますし、今後ともそのような形で国鉄及び運輸省御当局と御相談申し上げていきたいと思っております。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄総裁にお伺いしたいと思うんですが、あなたもかつては大蔵事務次官をやった。いまは、あなた赤字の国鉄の王様と言っているようでありますが、赤字会社を引き受けたという中において、いまの宍倉主計局次長意見については賛成するところと私ども納得しかねるという点と二つあるわけでありますが、あなたはそういう立場において、大蔵省の責任者から国鉄責任者になったという立場に立っていまの宍倉さんの発言に対してどういう感想を持っておられるか、ひとつ端的に話してください。
  37. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 赤字の要因というのはいろいろあるわけでございます。それと財政との関係について見ますと、まず一つは年金といった問題があります。年金は、実はむしろ国鉄の方が強く希望をしていまの公企体年金をつくり上げたのが昭和三十年の初めごろであったわけでございますが、今日になって考えますと、長い目で見て毎年人を減らしておる、そして一方わが国の老齢化現象が顕著に進んだということから掛金を掛ける方の人がだんだん少なくなって給付をもらう方の人がどんどんふえていくということで、いわゆる成熟度が異常な状態になったわけでございますので、独立の年金システムというものにしたことに実は誤りがあるわけであって、その意味で大変他の公務員の方々等に御迷惑をかけますが、何とか統合という方法を通じて御処理願いたいということを念願いたしておったわけでございますけれども、ようやく成案を得ていま法律審議をしていただく段階になってまいりました。こうした年金の問題については、財政の問題でもありますけれども、やはり基本的には制度的な問題として解決をしていただくということで、多少遅かったうらみはありますけれども、一つの解決の道がついてきたのではないかというふうに思っております。  第二のグループとして投資の問題があるわけでございますが、投資の問題は、私も長年財政を受け持たせていただいてまいりましたが、きわめてこれは歴史的な事情によるわけでありまして、国鉄は原則的に昔から自己の努力によって建設をしてくる。あるいはむしろ、民間の資金で鉄道会社ができました。それを明治三十八、九年でございましたか、国有化ということが行われて国が金を出して買収をする。また、昭和十六、七年の時点で第二次の大規模な買収が行われたという結果を見ましても、もともと金利のつく金でやって採算がとれるという歴史を持っておりました。その歴史をしょって、最近においてもなおかつ原則的には国鉄が自分で資金を調達する。本来ならば償却等によって相当部分資金があるわけなんですけれども、償却前にもうすでに赤字になっておりますので、現在は償却見合い金額もそうですし、新幹線のようなものについても利子補給をいただいておりますけれども、大部分はやはり借り入れに頼っておるということでございまして、この行き方が道路とか港湾とか空港とかあるいはまたさらには、ちょっと性格違いますけれども、治水その他のもろもろの公共事業と大変違っておるわけでございますが、それぞれの補助の制度なり、そしてまた補助の割合なり、あるいはまた国と地方、都道府県、市町村の負担割合なりというものにつきましてはいつでも歴史的な事情によって決まっているわけでございまして、必ずしも横並びに見て合理性があるとは言えない。鉄道の地位が変わってまいりました後におきましても、明治、大正、昭和前期のやり方がそのままいわば踏襲をされておるかっこうになっております。  これは、実は私ども国鉄としましても非常に問題であるわけでございまして、国鉄の方の責任を持つようになりましてから、いずれかの時期にこれの仕組みを他の公共事業とのバランスを考えていただけるようにならぬものかと思ってきたのでありますけれども、なかなかそういう予算要求する時期に恵まれませんといいますか、もっと他の当面の処理のために一般会計からお金をいただかざるを得ないということから、現在借入金でやっているものを利息のつかない金に変えてもらう、公共事業扱いにしてもらうということはなかなか現実の問題としてできにくいということで、いい悪いは別にして、過去の歴史をそのまま踏襲しておるわけでございます。しかし、それではいけませんので、最近さらにいわゆる整備五線といったような問題につきましては、私どもはやはり借入金をもって整備五線を進めるということについてはなかなか踏み切れないということを申し上げておりますのも、そうした思想の延長線でそういうことを申し上げておるわけでございます。  最後の問題は、いろんな性格のものがたまりたまって出てくるところの赤字を自転車操業的に借入金で賄っているという問題でございますが、これはまことにぐあいの悪いことでございまして、私どもといたしましても、本来なら、他の赤字経営のもろもろの機関に見られますように単年度処理を求めたいわけでございますけれども、それも現実的でないということで、過去二回棚上げをしていただいて、何年か分をまとめて棚上げということで処理をしてきた。ところが、いま主計局から御説明ございましたように、ここ数年財政の方が、つまり親元の方が非常に財政不如意という状態になってきましたので、過去二回は処理をしていただきましたけれども、いままた新しく発生している債務についての処理がむずかしいということで、まさにこのことこそ国鉄の立て直しの基本として、いわゆる緊急項目等については私ども自分の範囲内でできることは一生懸命やりますので、お助けを願いたいといいますか、何とかこの過去債務、年金処理については御配慮願いたいというふうに考えているわけでございますが、しかし現状は私どもが財政の仕事を担当さしていただいておりました時代とはまたさま変わりに財政状況が悪いわけでございますので、その辺も横ににらみながら適当な時期に、しかしなるべく早い時期に処理をお願いに出たいというふうに考えているわけでございます。  長々とおしゃべりいたしたようなことでございますが、いろんな問題がたくさんあるわけでございまして、それを解決するのはやはりじみちに一つ一つやっていかなければならぬと思います。年金の法律を御審議いただけるようになりましたのはその一つのあらわれという意味で、こうした形でいろんな問題を一つ一つ直していくということによって何とかいまの状況から抜け出したいというふうに考えておる次第でございます。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 投資配分の関係は、私どもこれから国会でいまの赤字の国鉄に借金でもって投資をどんどん進めていくというようなやり方等については、これは国家的目的からいってみましても、私は共通の基盤に立っているところを、片方は税金でやった、片方は借金でやれということについてはこれは基本的に間違いであるということのために、その是正を、いまも総裁も言いましたし、大蔵省もそのことを認めていないわけじゃないと思うし、大臣はつとによくわかっていると思うのでありますから、その点についてはひとつ解決できるように努力をいたしたい。  問題は、この年金の関係等については、国家公務員共済、電電共済、専売共済、国鉄共済とあるわけでありますが、現在使用者と本人の負担の中で、現行では千分の百三、専売が百十六、国鉄が百四十八、五十八年十月には国鉄が百七十五、そして専売が百十六、それから電電と国家公務員共済が百三、こうなっているわけです。これを統合された形になってまいりますと、国家公務員共済が千分の百七十に上がります。電電が百三から百七十に上がる。それから専売が百十六から何と一挙に百九十四に上がる。それから国鉄が百七十五から二百四に上がる。この中における負担関係等においては国鉄が最も負担をしなきゃならぬ。千分の百二を国鉄は本人負担。専売が五十八から九十七、千分の九十七に上がる。電電も五十一・五から八十五に上がる。国家公務員共済も五十一・五から八十五に上がる。こういうことでありますので、その上がるところについてはこれは大変問題のあるところかもしれませんが、いまいろいろ議論いたしてまいりましたように、局部的に一つの団体だけで共済をするというような制度では今日なくなっていることも御案内のとおりです。  しかし、今日これだけの負担を要請する専売、電電の皆さんに対しても国家公務員に対しても私どもは非常にこれは大変なことだ、御苦労なことだし気の毒なことだということを思いつつも、全体として将来日本の年金制度のあり方というものについて、厚生年金なり国民年金なりの統合の問題もその次にあるでしょう。そういうことのはしりとしてこの問題についてもやはりこれはクリアしなきゃならぬという事態に来ていると思うのであります。問題は、千分の六を国鉄の赤字に回すんですね。それは月二十万円ですから、千分の六になりますと千二百円というものをそれぞれ電電なり専売なりの皆さんが国鉄の赤字対策で余分に払わなきゃならぬというところに実は問題があると思うのでありますが、大蔵省の野尻共済課長見えておりますけれども、これらの点については過去の既得権とか負担率の非常に多かった時代というものをずっと通ってきたわけですね。こういう期待権とか、そういうような問題について、私はやはり国鉄の皆さんは自分ではたくさん負担する、そのかわりひとつ救ってくれということについては、これはやっぱり私は理があるし、そうならなきゃいけないと思うのでありますが、この点どうですか。
  39. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは共済制度ということで大蔵省の方でお取りまとめを願っておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いま青木委員がお触れになりましたように、他の公企体あるいは一般会計の職員等に月額で約千二百円程度いままでよりもより多く御負担を願うということにいま予想されておるわけでございまして、これはわれわれとしては何とか年金システムが崩壊をしないようにということの願いを込めて、いまぐあいが悪くなっておりますのは国鉄でございますけれども、老齢化現象等の関係から他の共済組合等も何年か先には同じような事態になるということを頭に置きながら、当面お助けを求めるという形で統合法案がまとめられたわけでございます。  そこで、いまおっしゃいますように、およそ余り縁のない関係にありますところの他の方々に大変御迷惑をかけるという以上はみずからも痛みを大いに感じなければならぬということで、掛金は大変高い掛金率になりますけれども、いまよりもさらに多くしようということ、そしてまた年金の給付のスライド停止等によりまして受給者の方にもある程度の痛みをしてもらうということを考えざるを得ないということになったわけでございまして、私どもの年金受給者の方々にも、また職員諸君にも非常に負担がふえることについては、簡単ではないということで胸に一種のつかえを感ずるわけでございますが、しかしどうしてもやはりよその方に、余り御縁のない方々にも持っていただくという以上はそうならざるを得ないということでこういう案になったわけでございます。  また、国鉄自身の負担も非常に多くふえるわけで、年平均で千五百億円ぐらい負担増国鉄会計に及んでくるということでございますけれども、これまたこうした異常なことをお願いする以上はやむを得ぬというふうに踏み切ったわけでございまして、いろいろまだこれに対しては賛成しがたいということが現実に負担をしなきゃならない方々から出てくるのはむしろ当然と考えられるわけでございますが、全体の立場、年金システムの将来性ということに気を配っていただいて、この案を中心にしての御審議が進みますことを強く期待いたしておるわけでございます。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 当面して昭和六十年には国鉄共済がパンクするということについて、国鉄共済年金に対する財政調整問題がいま問題になっているわけですが、この点についていまいろいろ議論をしている不足額二千六百億円に対してどうするかという点が問題なのでありますが、当面する過渡的措置として、軍事費なんかということを見れば全く少ない額なんだから、国が負担するというようなことを一気に考えないですか。大蔵省、どうですか。
  41. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) 国鉄共済組合の年金のシステムも、その他の共済組合の考え方も、すべて保険制度が基礎になっております。もちろん公経済としての負担も一定割合されているわけでございますけれども、基本は保険システムでございます。これは、厚生年金も国民年金も広く公的年金と言われている諸制度はすべて社会保険という形で運営されているわけでございまして、その保険のバランスが崩れたときに国庫負担を導入するということは、これは保険システムそのものの制度を否認するというかっこうにもつながりかねないわけでございまして、まず保険制度であるという原則を踏まえた対応を最初に考えていかざるを得ない。  そのためには、国鉄共済組合も公共企業体職員等共済組合法に基づく一年金保険者でございますから、それに近い類似の年金保険者である電電公社あるいは専売公社、さらには国家公務員の各共済保険グループがこれに対する対応策を一義的には考えていくというのが道筋ではないか、いきなり国庫負担その他の公的な資金を導入するということはこの制度のあり方にとって問題が多い、こういうふうに考えている次第でございます。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 時間がありませんから次の問題に移り、この問題はまた将来とも議論をいたしていきたいと思っております。  私は、国鉄の新幹線問題についてひとつ質問をいたしたいと思います。  この間も、私は静岡から東京へ新幹線に乗ってくるときに意見を聞いてみたんです。私どもは半分近い実はもうけを出している、東海道新幹線。その中で赤字だ赤字だ、やれ手当は〇・二四だということでは全く怒りを覚える、悲しくもなるし張り合いがないということで、世界に冠たる新幹線としていろいろと多客に備えて努力をしている、こういうことを言ったのでありますが、やれ共済組合も困ったようだ、やれ手当は出ない、仲裁裁定もやっとのことで皆さんの努力で格差はないということを言ったようだけれども毎度毎度の期末手当のときに格差をつけられるということでは一体どうなるのかというようなことも実は言われたわけでありますが、もう一つの新幹線の課題として東北・上越新幹線は巨額な赤字を生じ、当分改善の見込みというものがないのであります。  これは、これを国鉄の負担とするのでは財政再建は全く不可能と言わざるを得ないと思うのであります。赤字ローカル線の廃止とか人減らし合理化などというようなことは、これは新幹線建設のための犠牲になっているのじゃないかということさえあえて申し上げてもいいと思うのであります。今後、新幹線の延長とか整備五線などを継続して実施するということについては、地元の物すごい要望もあるし、それにもこたえなきゃいかぬという課題もあるでしょう。あるでしょうけれども、この矛盾というものが一層拡大していくであろうことを私は大変心配を実はいたしておるのであります。  東北、上越を含めまして、先ほどから議論されておりますように、これからの高速輸送体系に伴う交通建設投資、これは国鉄の負担でなくて国が負担すべき課題じゃないだろうかというように考えているわけでありますが、これが地方公共団体へ全面的しわ寄せという形でもってなされるということについては、特に大臣の御出身の宮城県から以北の岩手県、青森県等においては、いま私のところへ大変地元の皆さんから心配の、新幹線何とかつくってくれ、しかしもう金がないというようなことで言われてきているわけでありますが、大臣、その点どうお考えになりますか。
  43. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) おかげさまで東北の場合は盛岡まで新幹線が走りました。東海道線と違って大分おくれましたが、その文化の恩恵に地方は喜び、そしていろんな国鉄離れしたものが国鉄に戻ってきたとか、非常な経済的効果が生まれております。それを見ましてでしょう、それから以北、青函トンネルができた今日であるから、何とかこのまま継続したいとか、そのほかの整備五線、こういう話が出ております。これは国土の均衡ある発展からしますと本当にやってやりたい気持ちが腹いっぱいですが、本家本元が破産するものでございますから、これはなかなかそこまで手が出ません。何かそこでいい工夫はないものだろうかと思って、党内の方でも研究してもらっているわけであります。
  44. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連質問。  いま青木委員から新幹線、特に上越・東北新幹線の赤字の問題が出ました。そこで、私の方からもそれに関連して質問をしたいのですけれども、上越新幹線の赤字のツケ、新幹線の重いツケということで朝日新聞の社説に載っていることは、「一日に約三万人の乗客を見込んで、年間収入が五〇〇億円、これに対して二〇〇億円の営業費がかかるうえに、公団への借料など約一二〇〇億円を負担しなければならない。年間約一〇〇〇億円の赤字である。」、こういうようになっています。年間一千億円の赤字であるというその前に公団への借料など約一千二百億円を負担しなきゃならぬ、とういうことが書いてあります。  ところが、公団への借料ということでありますけれども、私は鉄建公団ができ上がる当初、この鉄建公団というのが一体どういうことなのか、こんなものを、余分なものをつくって、そして赤字線をどんどんつくっていったのじゃ国鉄の方は首が回らなくなるのじゃないのかということを質問した記憶があるんです。当時の運輸大臣は綾部健太郎さんでした。ところが、そのときにその綾部さんはろくな答弁ができないで、そのかわりに出てきた答弁は田中角榮大蔵大臣だった。田中大蔵大臣がもっぱら鉄道の問題の答弁をしたんです、鉄建公団の。そして、この鉄建公団をつくるというのは、国鉄に負担をかけない、そのために鉄建公団をつくるのだということを答弁をされたんです。議事録にもまだ残っております。  そうすると、話が違ってきているわけです。田中大蔵大臣が言うように、鉄建公団というのが国鉄に負担をかけないものであるならば、借料でもって上越新幹線の赤字なんという心配する必要はないはずです。青函トンネルが年間八百億円の借料を今度鉄建公団に払わなければいかぬ。それもさきの約束であれば何も鉄建公団が国鉄にしょわせる必要がないことになる。全部政府の方でそっちの方の払いはすることになっていたはずです。そこのところが全然話が違ってしまっているのですけれども、その辺は一体どういうことになっているんですか。幾ら当時の田中さんといえども、政府責任者として答弁をして、今日の立場がどうあろうと、ここのところはあれは昔の話だから私は知らぬと言われたのではこれは困るんです。大臣の方にちゃんとした申し送りというのはないのか、どういうことでもって鉄建公団の借料を国鉄が払うようなことになってしまったのか、その辺を明らかにしてもらいたいと思います。
  45. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 鉄建公団創設のときの経緯を詳細にはあれでございますが、いわゆる鉄建公団がつくります鉄道のものでは、いわゆる無償でつくるAB線と、それからある程度収支がとれる都市交通線等のCD線とに分かれて建設がされている。途中から青函トンネルあるいはこういう新幹線等が問題が出たと思いますが、昭和四十七年ですか、整備計画ができた当時におきましては、いわゆるわりに短期的に東北も上越も採算がとれるという考え方がもとにありまして、したがって有償資金でもってこの上越もつくったわけでございます。  そもそも上越新幹線は、現在でも開業当初は経過的には赤字が生じますけれども中長期的には黒字に転ずるというふうに試算もされておりますし、そういう意味で現実には現在の青函トンネルとは若干様相が違うものと思いますし、確かに当初の見込みに比べて、有償資金でつくってもらって、そしてそれを償還するのに非常に大きな負担に国鉄の現在の経営財政状態がなるということは事実でございまして、当初建設に当たりましたときにはそういうような状態を考えていなかったものと私は考えております。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 いまも瀬谷委員の御指摘のように、国鉄自体の負担し切れない財政負担、それと、それから地方財政への影響という点についても申し上げたいわけでありますが、新幹線整備法と地方財政再建促進特別措置法、この矛盾の点について私は指摘をしたいと思うのであります。  この点については、一つの切符でもって東京へ乗っていくのと大阪へ乗っていくのと一緒に乗っていっちゃうようなものだ。これは全く股裂きなんというものじゃない。そういう問題について、いま混乱して収拾すべき方途が見つからないということで、きょうの新聞を見ますと、その点をひとつ自民党の皆さんが議員提案として出していきたいということを考えているようです。  けさの読売に載っています。「在来の新幹線に新駅を設置する要請が各地で強まっているが、自民党は、九日、新駅設置に地元負担を可能にする新幹線整備法改正案をまとめた。十日の政調審議会・総務会で決定したうえ、野党にも働きかけて、今国会に議員提案する。地元負担による新駅設置は、現在、地方財政再建措置法で禁止されているが、新幹線整備法に除外規定を設けて改正しようというもの。」、こう出ているわけであります。  私は、この点について、いまも瀬谷委員が言いました、新幹線の財政というものについては一体赤字はだれの責任だ、公団の借料なんというものはこれはもう国鉄に負担させないよということを言っておきながら、いまも言いましたように、まさにこの東北新幹線は、収入一千億円、運営費が五百億円で資本費が二千四百億円、合計して、いまも指摘がありましたけれども、赤字が千九百億円。上越新幹線は、収入が五百億円で運営費が三百億円、公団借料一千億円、その他二百億円、合計して千五百億円の経費に対して五百億円の収入では一千億円。合計して二千九百億円ですから約三千億円です。東北・上越新幹線は五十八年度でこのような赤字になるわけでありますけれども、この償還については二十年間かかる。一体この見通しと計画についてはどんなふうに考えていますか。総裁、答弁してください。
  47. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまから十数年前に、東北と上越の新幹線をつくりましょうというときには、国鉄の見通しでも十年前後で収支のバランスがとれるということでありました。決して上越について鉄建公団がつくられる、そしてその経営を私どもが引き受けるということについて、私どもの方に異論があったわけでもなく、むしろわれわれとしても非常に歓迎ということでつくっていただいて、いまそれを引き受けておるわけでございます。  今日の状況では、当時と二つの点で大きな差が出てまいりました。  一つは、建設費が非常にふえたということでございます。建設費がふえた事情の中で物価の変動による部分につきましては、これは常識的には運賃水準の方も予定よりは高くできるということでありますから何とか回収可能な限度になるわけでございますが、時たまたまわが国全体で環境問題が非常ににぎわしくなりました。ある意味からいえば、静かなそしてまた振動のない鉄道をつくれというのはごもっともなことでございますので、この環境問題の高まりに応じまして設計を変更いたしまして、振動なり騒音なりの対策というものを万全にとったわけでございます。これは私どもも十分鉄建公団とも御相談をいたしました。また、東北新幹線については、われわれ自身の問題としてそういう取り組みにしたわけでございます。建設費がそうした事情によって高まったということは、これはいわばやむを得ないことであったと思います。さりとて、途中まで工事が進んでおりましたものを取りやめるわけにもいかないということで、今日までずっと進めてきているわけでございます。  一方、またお客さんの方でありますけれども、経済の伸び率が昭和四十年代とはまるで違ったものになってまいりましたので、予測旅客収入というものがやはり伸びないということで、コストはふえるわ、収入は見込みまでいかないわということでございますから、非常に困難な状態になっておることは御指摘のとおりでございます。ただ、今後日本の経済がどういうふうに展開をしていくかわかりませんのですけれども、全く成長のない経済ということもあり得ないということで考えますと、運賃単価も少しずつは上昇してまいりますでしょうし、そしてまたお客さんの数も少しずつはふえてまいるのではないか。  鉄道と道路及び飛行機との競争というものの厳しさはありますけれども、やはりある程度旅客の数もふえていくのではないかというふうに考えておるわけでございまして、当初十年足らずでもって均衡するであろうと考えましたことは、結果としてはそうならないということになったわけでございますけれども、現時点で考えましても、多少楽観的な見方だといってまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、決していつまでたっても赤字だというものではなくて、先ほど新聞記事としてお取り上げになりましたように、二十年ぐらいでは回収が可能であろうかというふうに考えておるわけでございます。  先ほど鉄監局長答弁をされましたように、青函トンネルについてはこれとまた事情が大変違いますし、また整備五線についてもいろいろ事情が違うわけでございますが、東北と上越のところまではどうにか、大変その期間、二十年間いろいろ苦しみを背負うことになりますけれども、やっていける見込みを持っておるわけでございます。また、それなくしては、いつまでも在来線だけではとうてい飛行機と自動車との競争に耐えかねるという状況らいいましても、私は東北・上越新幹線ができましたことは決して失敗ではなくて、苦しいけれどもまずつくってよかったということになると思っておるわけでございます。  今後は、どのようにして百人でも二百人でもよけいお客さんに乗っていただくかという経営努力をすることによって、この当面二十年間における年々の赤字を少しでも減らすということに全力を傾注してまいりたいと考えております。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 新幹線は、新幹線整備法によって全国の高速輸送体系をつくるという国策によっているものですね。この新幹線の赤字は、そういう国策に基づいて当然国が負担することができるものであるし、やらなければいけない、こう私は思うのであります。  そこで、これを破産状態にあるまさに国鉄に負担させるということについては、いまいろいろやっているけれども、財政再建なんという問題についてまさに無意義にしてしまうという非常に残念な事態というものが意識の中に今日生まれている。このことについて、政府はどんなふうに考えていますか。
  49. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 新幹線整備法は、東海道、山陽の後、要するに全国を国土の均衡ある発展なりあるいは地域格差の是正ということで、高速交通ネットワークの一環としましてその新幹線の整備を促進するためにつくられた法律でございまして、その中で、十三条におきましても国ある いは地方の財政的ないろんな助成をするというようなことが規定してございまして、現実には一時出資をいたしたこともありますし、現在は利子補給等によりまして東北、上越はつくってまいったわけでございますが、先生がおっしゃいますように、現状はなかなか厳しい収支状況でございまして、いまお話がありましたように、やはり相当懐妊期間が長いということで、これが非常に苦しい国鉄経営をさらに圧迫した形になっておることは事実でございます。  中長期的にはさらに今後新幹線を整備していくということも必要ではないかと思いますし、国鉄のスクラップ・アンド・ビルドという点からもまた要請があると思いますけれども、今後の整備新幹線の建設なり整備に当たりましては、やはり国鉄経営なりにマイナスにならないように、影響がないような形でつくっていかなきゃならないとわれわれも思っておりまして、そういう意味で、公的負担なりあるいは財源問題ということを各方面で御議論を願いながら、われわれとしては国土の開発という面あるいは鉄道の将来という面からはそういう新幹線というのが必要であるけれども、やはり当面の状態から見ましたら、財源問題等を含めてやはり国鉄経営に影響を及ぼさないようなかっこうでつくっていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 問題は、私がかく発言をいたしておりますのは、地財再建法とそれから新幹線整備法との矛盾点を政府はどういうように片づけるのかということについて処方せんを示さずに、相異なる問題について政策をどんどん発表するということでは、私はここにも無責任な行政が行われる可能性があるし、また将来にわたって処方せんを示さないと混乱をする、こう思うのでありますけれども、地財再建法の二十四条では、当分の間、地方自治体は国鉄その他の公社に対して寄附などをしてはならないとされているんです。ところが一方、新幹線整備法第十三条二項では、地方自治体は新幹線に対して補助金などの交付金、財政上の措置ができると規定を実はいたしているわけでありますから、この二つの規定は相矛盾をしているというように考えるのでありますが、この点については、大臣、どういうように処置なさいますか。——じゃ自治省。
  51. 津田正

    政府委員(津田正君) 先生御指摘のとおり、従来から地方財政再建促進特別措置法二十四条二項によりまして、国鉄等に対して地方団体からの寄附は原則として禁止されておったわけでございます。それが五十六年におきまして、議員立法でございますが、御指摘のような全国新幹線鉄道整備法第十三条の第二項という規定ができたということでございます。いわば、この十三条二項は地方財政再建特別措置法の特例に当たるもの、このように考えております。  そして、この規定に対する自治省としての考え方でございますが、当時国会で御審議いただいたときにも申し上げましたところでございますが、新幹線鉄道というのは国土の基幹的な交通体系の整備という非常に重大な意味を持っておる、これは自治省としても十分理解するわけでございますが、従来から国鉄あるいは日本鉄建公団が行ってきたものでございますし、現在の国と地方との間の財源配分等を考えますと、国あるいは国鉄あるいは鉄建公団というものの負担において行うことが基本的なものではないか。そして、国と同様、地方財政も非常に厳しい事態でございますし、特に整備新幹線の該当する地域というものは非常に財源の脆弱な地方団体ということもあるわけでございます。そこで、この十三条の二項というものが意味するところは、新幹線鉄道の建設につきまして、関係地方公共団体と協議することができる道を開くことを趣旨とするものであって、強制的に地元負担を行わせるというようなものではない、このように私どもは理解しておる次第でございます。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 強制的に地元負担をさせるものじゃない。そうすると、今度は国鉄としては、金がないのに地元に駅をつくってくれ、これについて金がなければできませんと、こういうことになる。その辺の問題について、私は国策だから国が特別な交付金ということを考えないといけないけれども、新幹線の駅をつくって地元で負担するということになれば、自治大臣がオーケーを言わなきゃこの地財再建法の関係でできないのでしょう。したがって、その点の矛盾をどう解決するのかということを聞いているんです。
  53. 津田正

    政府委員(津田正君) この整備新幹線の十三条二項の規定は、いわば地方団体が自主的な判断において、自分の責任において金を負担するということでございます。財政再建法二十四条二項の自治大臣の承認を要しないで支出できる、こういうことでございます。そういう道を開いたというふうに理解しております。現実問題としては、いろいろ財政事情等困難な状況があるのは御承知のとおりだと思います。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 私は、東北、みちのくの皆さんと話し合ったんです。もちろん社会党の国会議員や、与野党問わず、地元の皆さん、いろんな皆さんと話し合ってみた。何としても新幹線をつくってくれ、これは物すごい要望ですよ。よろしいと、その点についてはわれわれもこたえましょう、努力しましょう。ただし困ったことに、一抹の不安はやっぱり莫大な金を地方に負担してもらうということ。それを負担するといったら自治大臣の許可は要りませんよと、こういうこともこれは一つの考え方であり、そういう方向でやれば地元の皆さんは一つは安心するかしれぬけれども、金も欲しいということなんです。  したがって、そういう問題について地元に過大な負担をかけないで、国家的立場から、高速輸送体系を中心とした今日の時代、特に私は東北新幹線に乗ってみても、大臣の「グッデイ」における意見なんかいろいろ見てみた。見てみたけれども、大変喜んでいるし、あの意見が私はあの東北方面の皆さんの御意見じゃないかと思う。しかし、この点については、大変その点で悩んでいらっしゃるという点について、早急に相矛盾したこの問題について自治省と運輸省、国鉄が話し合って問題解決をする。基本はやっぱり地元が精いっぱい努力するけれども、負担の限界を突拍子もなく超えるような負担ではいけないと思うのでありますが、その点についてはいかがですか。
  55. 津田正

    政府委員(津田正君) 当時の国会審議のときにおきましても、私ども自治省としましては、それはあくまで関係地方団体の自主的判断、それから財源につきましても自分で責任を持って処理する問題、このように考えておりまして、自治省としまして、そのような地方公共団体の財政上の措置の財源について地方交付税その他による財源措置は行わないというようなことを申し上げておる次第でございます。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 片づけないと、地財再建法に基づいて自治省はそういう考え方を持った、しかし住民が全部が全部そんな莫大な金を負担し切れないから反対だと言って立ち上がった、もしも訴訟にでもなったらどうしますか。法律法律でひとりで生きているんです。だから、これは単なる行政の運営上の技術的な問題じゃないというような点などがあるから、私はこの相矛盾する点については解決しなさいということを言っているんです。これは現地の皆さんの御要望を聞いた前提に立って言っていることを受けとめていただきたいと思います。  それから、現実的な問題として東北新幹線の盛岡以北の問題。建設中から地元の皆さんから要望がいろいろ出ておりまして、特に花巻とか水沢とかというようなところについてはそういう意見が出ているし、また盛岡以北、青森までの延長の問題等については、工事費についてその一部を地元負担という形で地方自治体に負担を求めるというような意見があると聞いていますけれども、この点、総裁、どうですか。
  57. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 盛岡以北の新しい整備新幹線延長の問題と、それから現存する東北新幹線の中で花巻、水沢の新駅設置と、二つ問題をいま先生おっしゃったのじゃないかと思いますが、一方の花巻、水沢につきまして、非常に地元から新駅設置の要望も計画当初から強いわけでございまして、国鉄としては現在の状況では新駅設置についての経費は負担ができない、こういうことで、地元がぜひということであれば、技術的に余り問題もないし全体のダイヤにも余り影響がない、そこでランニングコストを償える程度の旅客もどうもありそうだから地元が負担していただければというような話で、話が現在進められていると聞いております。  それから、盛岡以北の問題につきましては、これは先ほどお話が出ましたように、全国新幹線鉄道整備法の改正ということで地方自治団体からの補助といいますか、負担を求められる道を開いたという制度的な仕組みをつくったわけでありまして、現実には地方でも応分の負担はする。盛岡以北をつくってもらえるなら応分の負担をする、こういう議会の決議等地元の声もありますが、現実にはなおまだ具体的にどの程度どうだというようなことは、国の負担部分等との関係もありまして、まだ決まってはおりません。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 その点は特に自治省、運輸省等において連携を図りながらこの問題解決に当たるように、地元の皆さんからの要望でありますので、私は東海道新幹線の方の側だけれども、やはり地元の皆さんの要望をわが党の議員を中心としていろいろ要請がございますので、その点を申し上げておくし、地元の皆さんの要望にこたえてもらいたい、有効にこたえてもらうように要請をいたしておきたいと思います。  それから、ことしの国鉄予算を見ますと、資産の処分という問題が大分言われておるんです。これはどこの破産会社でもそうですけれども、土地をどんどん売っていくということになったらこれはもう最後だな、こういうように思うのでありますが、いまスクラップ・アンド・ビルドというようなことがいろいろ言われておりますが、やっぱり国鉄はそういう点についてはいままで三百億ぐらいの資産処分ということを言われたけれども、今度は一躍千六百億円ということでは大変だと思うし、また買う側にとっても大変な額だと思うのでありますが、これが必ず予算どおり売れていくものだというように考えておりますか、どうですか。国鉄はどう考えますか。
  59. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 経営改善計画におきましては、六十年度までに五千億の用地処分益を上げることを見込んでおるわけでございまして、これは六十年までの累計金額でございます。そこまで届きますために五十八年度、五十九年度、六十年度に努力をしなきゃならぬわけでございまして、五十七年度の実績は約七百億円ということになっておりますので、相当がんばっていかないと目標の五千億円になかなかならないということもありまして、かつ五十八年度は実は年々行ってまいりました運賃改定を見込まずしてやっていこうということになりました関係もありまして、かなり骨の折れる目標額でありますけれども、ひとつ五十七年度の八百億円の二倍に当たる千六百億円の売却を見込もうということで取り組んでおるわけでございます。  それは可能かどうかということでございますが、率直に申しまして千六百億円という金額の土地売却収入を上げることは、五十七年度ががんばってがんばってかつ七百億円までしかいかなかったというところからいいましても非常にむずかしいということも言えるわけでございますが、土地の売却ということにつきまして積極的に取り組むようになりましたのは五十五年ごろからございまして、内部の体制も大分整備してまいりました。従来はどちらかといいますと、遊休用地の売却というようなことを中心に進めてきたわけでございますが、それだけではとても五千億円という目標を達することは困難であるということでございますので、現在使っております土地をむしろ売却のためにひねり出すというか、そういうことも含めて考えております。  そう申しましても、実は木造の耐用年数が過ぎた宿舎がかなりありまして、そしてそれらにはごく一部しか入居してない、また職員を住まわせるにはもはや老朽し過ぎておるというような宿舎もいろいろありますので、それをまとめて、全体の半分も人が住んでないというようなところにつきましては、いま住んでいる人が入れるような宿舎を、いわば高層化といいますか、立体化をすることによってつくりながら用地を生み出していくというようなこともいろいろやっております。  あるいはまた、一例をとれば新幹線なんかもそうでございますけれども、そういうものをつくる場合に、工事用の道路であるとか、あるいは工事のための詰め所といったようなものも建設のためには必要なわけでありまして、そういうものも従来はどっちかというとそれほど急いで処分するということではなかった、それはちょっと不適当であったわけでございますが、ちょうどこういう時期でございますので、それを処分していこうというようなことを考えておるわけでございまして、私はせっかく……
  60. 青木薪次

    青木薪次君 総裁、時間がないから、演説はわかったから、なるべく短縮してください。
  61. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま、この場で千六百億円大丈夫かということにつきましては、非常に簡単ではない、しかし可能の限度の目標金額であるというふうに考えております。ことし一年、担当者にはよほどがんばってもらって、そして目標に向かって進むように督励をいたしておるわけでございます。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 土地をどんどん売っていくということについては、これは内部に働く皆さんもさびしいし、また経営的にも身売りということに通じるわけでありまして、財産にどんどん手をつけて日常の経常費に充てるということについては私は最後だというように考えますので、その方式はなるべくやめるように努力すべきじゃないかと思います。  それから、いま総裁の言ったように、工事用道路とか宿舎がハモニカ長屋みたいなところがまだたくさんあるわけでありますし、詰め所も非常に悪いというところもたくさんございますから、そういうものも含めて将来——この間、退職者との懇談会をやったところが、国鉄は二万五千ぐらいの人がどんどんやめていっているということで、もう働き場所もない、ひとつ雇用対策等も考え、駅の顔をつくる意味で関連事業をもっともっと拡大してもらいたいという声が大分ありました。この点について、どう考えますか。
  63. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 関連事業の拡大につきましては、これまでもいろいろ政令の改正とか法律改正によりまして国鉄が投資できる範囲を非常に広げていただいてきておりますので、国鉄といたしましても逐次拡大に努めてまいったところであります。すでに駅ビルなどにつきましては六十を超える施設を持っておりまして、その中に国鉄のOBもかなりの数就職をしている現状でございます。今後とも関連事業収入を上げるとともに、いま申しました国鉄の再就職の口ということも考えまして、さらにこれに努めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 貨物輸送の点でちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、今日国鉄貨物から撤退する、それから経営内容についてはきわめて厳しい条件下にあることは認めるのでありますが、貨物合理化計画を繰り上げ実施することを考えたようでありまして、一月の三十一日に「新しい鉄道貨物営業について」ということで、貨物合理化計画を発表いたしておりますが、この計画によれば従来のヤード方式を改めて拠点間の直行輸送を実施するということになっていますけれども、貨物取扱駅を全国で四百五十七駅に集約されることに実はなっているのであります。これは全国ネットワークの輸送体系をみずから放棄したものじゃないか。国民生活に多大の影響を与えるけれども、この点についてはどういうように考えていますか。
  65. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 貨物経営改善と申しますのは、だれにも頼ることのできない私どもみずからがやらなければならない努力の分野の最大の課題であろうと思っております。  先生御承知のように、五十六年度で貨物の共通費が四千五、六百億円ばかりございますが、これはちょっと別にいたしまして、貨物固有の経費で大体五千億ございます。これに対しまして収入は約三千億でございますので固有経費で二千億の赤ということでございまして、この中で三百億ぐらい特定人件費部門がございますので、これを除きましてもなお一千七百億円の赤字を出しておるという現状でございます。  そこで、かねてから貨物経営改善を図るべしという御批判をいただいておったわけでございますが、五十三年、五十七年十一月、それぞれ十一月にダイヤ改正をいたしまして需給の調整をいたしたわけでございますが、なおこの輸送力が余っておる。さらには、第一次、第二次オイルショック後の荷主さんのニーズが非常に高まってまいると、よりスピード、より安いものという御要請も強うございまして、そういった御要請にこたえますには、やはり五十七年十一月、昨年十一月にいたしました改善計画で六十年度に予定いたしておりました八百駅、百ヤード体制、これを実施いたしたわけでございますが、なおそれを切り込んで抜本的に貨物輸送方を改善しなければならぬということで、先生おっしゃいました去る一月の三十一日でございますが、新たな改善策を発表させていただきました。  その内容は、先生御指摘のように、従来の百年続いておりましたヤードを経由する集約型の輸送を廃止いたしまして拠点間の直行輸送体制に変えるということでございます。その意味するところは、やはり鉄道の特性でございます大量、高速、定時定型、この特性を発揮できる分野に重点化するということでございまして、モータリゼーションの進展その他いろいろございますので、そういった情勢に照らして駅数を四百五十七ばかりにいたすということでございます。  申し上げるまでもなく、貨物は駅から駅へ動くわけではございませんで、戸口から戸口へ参るわけでございますが、いわば鉄道と道路の結節点をそういった形に再配置し直すということでございまして、鉄道の持つ特性と道路の持つ特性を一番いい有機的な結合体系をどうつくるかということでいろいろなシミュレーションを重ねまして約四百五十駅ばかりを対象にする、ヤードを使わないということでございます。そういたしますと、いろいろ試算をいたしておりますが、ほぼこの千七百億円の固有経費の赤字を消すことができる、固有経費において収支の均衡を図ることができるということでございます。  ただ、やはり百年続いた体制でございますので、それを変換するにはいろいろなフリクションがございます。私どもとしては一つ一つの具体的なケースにつきましては十分荷主さんのお話を伺い、御一緒にその新しい拠点間直行輸送への乗りかえと申しますか、転換と申しますか、そういう点を御一緒に考えさせていただくというつもりでおります。現在八千ばかりの事業所に、これは大体貨物輸送量の九割の数量をカバーする荷主さんでございますが、八千ばかりの事業所にアンケート調査をいたしまして、一つ一つ具体的なケースについてどういうことになるか、それをどうしたらよろしいのだということについていろいろ調査をし、その調査に基づいて具体策検討中でございます。いろいろ影響する範囲が大きいわけでございますが、ひとつぜひこういった体制で新しい物流体系、そしてその中で鉄道の特性が十分発揮できるような体制にぜひ体質改善を果たしていきたい、こう思っておるところでございます。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 私は、先般、貨物自動車の輸送秩序に対する規制を伴った秩序ある輸送について大筋においていろんな問題で運輸省との間に合意を得て、いまいろいろと皆さんから喜ばれているわけでありますが、いまの橋元常務の答弁を聞いておりますと、いま確かに物流の体系というものが戸口から戸口で、駅から駅でなくなったということはよくわかります。しかし、この貨物輸送の分担関係というものを市場原理に任せるがために、道路輸送を中心とした大型トラック輸送の増加に対する道路のふくそうその他の関係について放置している傾向があるというように私は言わざるを得ないと思うんです。一方で、採算上の見地からだけでなくて、国鉄貨物部門を加速度的に縮小していくことは総合交通政策上問題があるのじゃないだろうか。  そして、先ごろ発表されました中央公害対策審議会の「今後の交通公害対策のあり方について」という答申の中でも自動車交通による騒音、振動、排ガス等の交通公害の深刻化が指摘されております。それから大型トラック輸送の抑制が求められておりますが、これは白ナンバー輸送、違法輸送というものを取り締まるために私は努力して運輸省自動車局との間でいろんな合意ができたわけでありますが、特に全体としてこれは総合交通体系になるかもしれません。しかし、特に運輸省は、大型トラック輸送の抑制、そういう立場でわれわれも努力している、実効が上がってきているときに、トラック輸送からむしろ鉄道輸送への転換のための具体的な対策を講じるべきときではないだろうかというように私は考えます。その点について、大臣、いかがですか。
  67. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 国鉄は大量輸送には最も適しておる部門ですから、私はぜひそういう傾向にやってもらいたい。そしてまた、運送業者に聞くと、私たちのものよりも安く運ぶならば国鉄に持ってまいります、こういう話も出ますから、この辺の調整をうまくやってぜひ大量輸送としての貨物は伸びてもらいたい、こう思っております。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄貨物輸送の点は、非常にこれは難関の一番大きな私は課題だと思うんです。著しく国鉄貨物輸送のシェアが低下したことは、これはいろんな国鉄の対応する力関係等においてもいろいろ試行錯誤を繰り返してきたと思うのでありますし、現にわれわれもいろんな提言をしてきたけれどもなかなか問題が大きい。これはやっぱり一つ政府の施策が適切を欠いていたことにもよるのじゃないかということを考えざるを得ないのでありますが、市場原理依存というこの運輸政策はこれは私は改めないと、ある意味ではガイドラインを引かないと国鉄貨物輸送は衰退する一方だと思うんです。ですから、この際、公共輸送の確保、輸送秩序の維持、交通公害の抑制、エネルギーの節約、輸送コストの低減といったような問題等について各輸送機関の分担関係の調整を行うべきときであると思うのだけれども、この点、大臣、いかがですか。
  69. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 私よりも運輸省ではそれを担当しておる部署がございますけれども、一応いま先生のお話にお答えいたしますが、われわれもやはり国鉄貨物問題というのは大きな問題でありますし、できれば効率的にたくさんの量を運んで少しでも収支の改善なりに寄与してもらいたいと思うわけでありますが、総合交通のわれわれ運輸省なり政府の考え方は、いま先生がおっしゃいますように、ある程度人為的にと申しますか、目標を決めて、ある交通機関にはこれだけというような形ということの政策はいろいろ問題があると思っておりまして、やはりそれぞれの交通機関が特性が発揮できる分野で効率的な交通体系を形成するということが基本ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、それぞれの交通機関がやはり適正な形で特性を発揮しなければならない、こう思いますので、仮に他の交通分野におきましていろんな法律上の問題等々がございましたら、これはやはり適正な形でそれぞれ競争し、あるいは相提携して、それぞれの交通機関が特性を発揮しつつ日本の物流体系に資するということではないか、こういうふうに考えております。
  70. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 国鉄からも一言申し上げたいのでございますが、私どもとしましては、運輸省、警察庁初め政府御当局にはいつもその点御要請を申し上げておるところでございます。去る五十三年でございましたが、白トラあるいはダンピング、過積載というような問題を具体的に申し上げて、御指導方をお願い申し上げたところでございます。ただ問題は、私どもがそういったお願いをするについては、特性を発揮して十分輸送分担ができるという姿に一日も早くしなければならない。それはとりもなおさず、よりコストの低い、スピードの速い、そして安定性のある輸送体系をつくらなきゃならぬということでございます。  私ども、いつも考えるのでございますが、東京—大阪間に荷物がある、その恐らく一%も運んでないのではないか。その太いパイプに私どもがきちっとした輸送体系をつくる。いまは逆でございます。その太いところは他の輸送機関に分担されて、あるいは少量分散の輸送をむしろ私どもがやっておるという実情でございますので、それを早く体質改善して私ども自身がその御期待に沿うように輸送体質を変えていく、こういうことでございまして、今回の改善策はそういった意味で省エネあるいは低公害という私どもの特性を十分発揮できるような形にするというねらいでございます。
  71. 青木薪次

    青木薪次君 貨物輸送がヤード方式から拠点間直行方式に移ったということについての説明を受けたわけでありますが、問題は、貨物を全部撤収してしまうということではならぬ。しかも、私が申し上げたように、エネルギーとか公害とか、あるいはまたいま無政府状態に私はあると思うのでありますが、白トラ、神風トラックなんて言われているけれども、労働者の労働条件なんて全くないんです。過積載がある、オーバーワークがある。こういう中で事故は頻発する、物すごい燃料を使うというようなことで、これは一刻も猶予はできない。そこで、政府がやらぬものだから、またトラック協会なんというのは全くだらしがないものだから、われわれがそれをやって、そしてそういう新たな規制を中心とした形で先般私どもは一定の解決を見ることができたんです。問題は、国鉄貨物から私は撤収することはできないし、まかりならぬと思っています。そういう中で、現行の経営改善計画の中で六十二年時点での貨物収支はどんなふうに考えているのかという点について、意欲も含めた答弁をしてもらいたいと思います。
  72. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 六十二年はまだはじいておりませんが、六十年度、先ほど申し上げました固有経費において収支均衡を果たすという目標をいま精査中でございます。五十四年に政府の御承認を受けました計画は、その後の推移によって貨物につきましては明らかに大きなそごを来しております。そこで、先般一月に発表いたしました構想に基づきまして、来年の二月に予定いたしておりますダイヤ改正、さらにはその一年後のダイヤ改正におきまして六十年度で固有経費の千七百億円の赤字はゼロにいたす。それ以降なお残ります共通費部分がございます。共通費の四千五、六百億円の回収に相努めるという目標でございます。
  73. 青木薪次

    青木薪次君 これはたんぼへ土石を入れてたんぼをつぶしてしまうと、もう二度と再びすばらしいたんぼは戻ってこないということと同じように、国鉄が全部貨物をヤード方式から拠点間直行方式に移して駅をつぶせば、これはもとの姿にするということはほとんどできなくなるということでありますし、それからまた今日多大の影響を各方面に与えています。貨物取扱駅が半減されて拠点駅間直行方式になっただけで、需要の少ない中小都市や農村における貨物輸送に大きな影響を与える。たとえば農村からの米の出荷、あるいはまた化学肥料の輸送に重大な影響を与えることになるのでありますけれども、これに国鉄当局はどういうように対応されるのか、説明してもらいたいと思います。
  74. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 先生おっしゃいましたように、拠点間輸送方式への全面的な転換に伴いまして、いろいろ荷主さんに御迷惑をかけるのは事実でございます。地域的に見ると、やはり北海道の北の方とか、あるいは九州の南の方、あるいはたとえば奈良県には一つも駅がなくなるというようなお話もございますし、それから品目的に見ますと、やはり肥料、飼料、そしてお挙げになりました化成品、農作物というのが問題でございます。  私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、具体的な流通につきまして個々の荷主さんにお話を進めているところでございまして、まずもって第一には、やはり拠点間直行輸送にどうやって乗りかえていただけるか。そのためには、たとえば駅頭に一時保管のための施設が必要であるとか、あるいは着にもそういう施設が必要である、それは駅頭をぜひ御利用いただきたい。あるいはコンテナに変えていただければこれは拠点間直行、全面的なネットワークに乗るわけでございまして、コンテナにつきましては実は輸送方のみならず、問題は運賃問題でございまして、やや従来高目の運賃を設定いたしておりましたが、これにつきましては、従来の車扱いを転換していただくためにも、より安い割り安の運賃を設定いたしたいというようなことも考えておりまして、そういった運賃、営業制度の面からも、ぜひコンテナ化がより一層推進できるような制度に変えたいということも含めまして、いろいろ具体的なお話として申し上げているところでございます。  そういったことで、ダイヤが固まるのは恐らく夏過ぎになるかと思いますが、それまでの間、そしてそれ以降も十分お話を重ねてまいりたい。御迷惑を最小限にとどめて、そしてむしろ新しい輸送体系で大いに私どもは貨物輸送を伸ばしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  75. 青木薪次

    青木薪次君 いま言われた農村部の季節野菜とか果実等の食料品輸送でトラック輸送への切りかえが困難なものもある。それからこれについての措置についてどうするかという問題。それから劇薬や火薬、高圧ガス等の危険物の輸送については道路輸送が規制されているのですから、今日なお国鉄貨物輸送に大きく依存しているという実態だと思うんです。日本化学工業協会なんかにおいては、化学品の輸送に壊滅的な打撃になるとして強く反対していることは御案内のとおりでありますが、このような危険性の高い化学製品の輸送をどのようにするかということについて、運輸省は一体この点についてはどういう適切な指導をする気持ちがあるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  76. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 現在、国鉄が八百駅体制を半減いたしまして徹底的なシステムチェンジを図るために、各荷主なりあるいは地方の方々と話をされておるわけでございまして、大方の方向として、われわれも貨物のそういう鉄道合理化ということについてはすべきものと考えておりますが、具体的にいまお話がありましたような個別的な危険品等の輸送につきましては、問題が個別的にありましたらわれわれも受けまして、通産省等といろいろ御相談を申し上げながら、やはり安全等の観点は十分に配意しながら考えていかなければならない、こういうふうに思っておりますし、あるいは危険品等で道路の整備が非常にまだ進んでいないというような話があれば、あるいは建設省等ともいろいろ御相談をしながら、やはりその点は遺漏がないようにこの物流の合理化を進めていきたい、かように考えております。
  77. 青木薪次

    青木薪次君 私は、大型、白トラ等の対策が非常になまぬるいという点を返す返すも言わざるを得ないのでありますが、国鉄貨物の大幅縮小はその端末を取り扱っている通運業者にも大変な影響を与えています。廃止や縮小を余儀なくされているし、通運業者に対する対策については、特に労働者の雇用対策をどうするか、これは深刻な問題だと思うんです。しかも、その点についての考え方、対処の方針と、貨物合理化に伴って荷主や通運業者に支払われてきた補償金の算定方式についてはどういうように考えているか。専用線、通運事業者、これは日通、地区通運、荷主、わが静岡県では製紙業者なんかありますね。そういう点について、その内容については時間がありませんから、ひとつなるべく簡潔にお願いいたしたいと思います。
  78. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 簡単に申し上げます。  まず、免許でございますが、限定免許を別にいたしまして、一般免許が日通一社、旧免、新免含めまして三百四十五業者ございます。ちょうどその二割ぐらいの業者が免許駅、みずから免許を受けている駅を失うことになりますので、免許を他の拠点駅につけかえなければならない、こういうことになります。  それから、特に日通の場合でございますが、約七百駅に免許を持っておられますが、その四割に当たる三百二十四駅についてこれは他駅に移転する。これは同じ日通でございますから池駅に移転する、こういうことになるわけでございます。従来も三千六百駅ぐらいらいま八百駅になっておるわけでございまして、その都度そういう事態があるわけでございますが、免許のつけかえとか、あるいは事業所の移転ということで、先生もおっしゃいました補償問題も含めまして、できるだけ円滑に行われるというようにこれからも最大限努力してまいりたいと思っております。  それから、通運従事員のことでございますが、現在通運事業に従事しておられる方々は三万六千人と推定されております。取り扱いトン数が一億三千三百万トン程度でございますので、大体一人年間三千七百トンぐらい扱っておられるという計算があるようでございます。それがちょうど今度一億トンから七千万トンぐらいに一応下がるであろうということでございまして、三千万トンの輸送量が落ち込むということに伴いまして、先ほど申し上げました一人年間三千七百トンという物差しで当ててみますと、八千人程度がいろいろ労働条件の変更を伴うのじゃないかという計算もあるようでございまして、私どもとしましては、通運労使の方々と十分これは御一緒に対処してまいりたい、こう思っております。  過日、三月の二十九日でございましたが、全日本交通運輸労働組合協議会——全交運の方々からお申し入れをいただきました。大変基本的な視点を踏まえて、いろいろ具体的な御提案もいただいておりますので、その通運の関係につきましてもいろいろ御提言をいただいておりますので、私どもよくそういった御意見を踏まえて具体的に対処してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  79. 青木薪次

    青木薪次君 いま説明のありましたように、拠点駅九十、それからその他の貨物取扱駅が三百六十、計四百五十駅に集約される。拠点駅及び貨物取扱駅の選定基準というものについて、どういう意味だかはっきりさしてもらいたい。新しい貨物駅の配置計画を見ると、奈良県のように、貨物取扱駅がゼロになってしまうというような地域が実は出てくるわけであります。新しい貨物駅の配置については、地域的な配分を考慮しなければいけないのじゃないか。少なくとも一県に一駅程度は存置すべきじゃなかったか。いまも運輸委員長が奈良県なんか大変なんですよという話をしていらっしゃるわけです。そういう点を考慮すべきだと思うのでありますが、どうなんですか。
  80. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 今回の選定に当たりましては、貨物の取扱量がまず第一の条件になりますが、その地区の将来性あるいは道路状況等々いろいろ総合的に勘案いたしまして選定をいたしたわけでございます。  奈良県についての具体的なお尋ねでございますが、奈良県はいま四駅ばかりございますが、いずれも数万トンの規模でございます。かつまた、京都には梅小路、これが大体二十キロ程度、あるいは天王寺に近く百済という貨物駅もございまして、これは十数キロでございますが、そういったことで道路条件もよろしゅうございますので、ぜひひとつコンテナ化へ切りかえていただきたいというようなお話をいましているところでございます。  そういったことで、それぞれの駅の選定につきましては、具体的にいろいろ条件を勘案いたしまして、しかし、まず第一には取扱量というのを基準にいたしております。大体一般駅では十万トン以上のお取り扱いをいただく駅を選んだわけでございます。そういったことで、貨物駅の配置については大体これでいきたい。問題は、その駅までのあるいは駅からの集散、広域集配体制をどのように組み上げるか、これは通運事業者の方々と十分タイアップして円滑にやってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  81. 青木薪次

    青木薪次君 いま橋元常務が言ったように、集配体制について集配列車を運転する、それから直行列車との連絡を行う、荷主に不便をかけないということを言っているわけでありますけれども、どの程度の集配列車ダイヤを予定しているのか。たまには旅客列車に連結するのじゃないかなんという話もあるのでありますが、その点、いかがですか。
  82. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 四百五十七駅のうち、拠点駅を大体九十から百程度と考えております。したがいまして、残りの三百五十ばかりの駅は、いわばそれの拠点駅に対して集配列車を動かす、鉄道による集配を行うということでございます。実は率直に申し上げて、これは鉄道輸送よりも道路による輸送の方がより効率的ではないかと思うわけでございますが、激変緩和の意味を含めまして、当面、駅につきましては鉄道による集配列車を運転するということを考えております。  いまおっしゃいました北海道の北であるとかいうようなところで、多少、昔走っておりました混合列車方式と申しておりますが、旅客と併結するようなやり方も便宜できるかなというようなお話もございますが、これは検討中でございます。  いずれにいたしましても、私どもは、将来の体系としては、大体百駅程度でその拠点間にたくさんの高速の列車を走らせる、それに道路との有機的な結合体制が最もわが国の物流体系の中では最適体制ではないか、こう思っておるわけでございますが、一遍にそこまではなかなか参らぬということもございますので、その点は来年二月の改正以降十分推移を見きわめて今後勉強してまいりたい、こう思っております。
  83. 青木薪次

    青木薪次君 具体的な改善策としては、荷主が希望する時間帯への列車ダイヤの組みかえをするとか、あるいはまた通運業者の責任体制の確立等の問題がいろいろ求められているのでありますけれども、その点はどうなんですか。
  84. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) おっしゃるとおりでございまして、とかく通運事業者と息が合わないために荷主さんに御迷惑をかける向きもあったわけでございます。これは作業の上でもあるいは運賃制度の上でもそうでございます。  そこで、通運事業者とは、文字どおり戸口間の輸送については、鉄道と通運が本当に一体になって、イコールパートナーとしてその機能を発揮しなければならないわけでございまして、その点は道路運送事業者とはかなり違っておるわけでございまして、そういった意味で、いままでもいろいろ努力をしてまいりましたけれども、今度のシステムチェンジに伴いましてはまさにそれがかぎになってまいるわけでございまして、いろいろな形で通運事業者との一体性、信頼性をどう高めるか、これは大いに勉強してまいりたい、こう思っております。
  85. 青木薪次

    青木薪次君 貨物輸送の問題点は、便宜性とか機動性というものが貨物輸送に少ないということから、ピギー列車というのですか、ピギー方式というのですか、トレーラーとか貨物トラックを全部貨車に積み込んでしまってそのまま輸送するということを私ども社会党の運輸部会でも提言をしたことが七、八年前にあります。そういう点については今回いいじゃないかというような意見があると聞いているのですが、その点いかがですか。
  86. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 実は、三十年代の後半から四十年代の初めにかけまして諸外国でも非常に一時期発展したわけでございますが、ピギーバック輸送という貨車に載せる、逆に貨車をトラックに載せる方式もまたございますけれども、貨車にトラックを載せる、こういう方式を勉強いたしたことがございます。その時点ではやはりトラックのシャシー部分のスペースが非常にむだになるということで、コンテナ方式を主力にということで割り切ったわけでございます。その際には、日本の狭軌鉄道の場合には架線の問題、これは電化の問題がございまして架線がひっかかる、あるいはトンネルのアローアンスがない、クリアランスがないというようなことがございまして、いろいろな角度から総合的に判断してコンテナ輸送を主体にと考えてまいったわけでございます。  その後、近年に至りまして、もう一度ピギーバック輸送の利点を詰めてみたいということでございます。いろいろな技術的な開発も行われてまいりましたし、かつまたピギーバックの一番の難点は、積みおろし方が非常に問題でございまして、長大列車に総方向でずっと詰めていくあるいはおろしていくということで非常に時間がかかったわけでございますが、これは横取り方式もかなりいろいろ技術開発も進んでまいりましたので、そういうことも含めまして、ピギーバックにつきましては想を新たにしてもう一回検討してみようということでいろいろ勉強中でございます。  かつまた、実は完成車の輸送、クの五〇〇〇という特殊貨車がございますが、あれがかなり流通が変わってまいりまして余剰になっております。これは一部石炭貨車にも回しておりますが、これをうまく活用して都市間の路線トラックを載せるというよりも、都市内の集配のより小型な貨車をこれに載せたらどうかというような勉強もいたしておりまして、いずれにいたしましても道路運送用の車両を鉄道貨車に積むということを改めて勉強し直しているところでございます。
  87. 青木薪次

    青木薪次君 鉄道利用ということは、これはサービスの点がやっぱり伴わなきゃいけない。私がなぜこんな細かく質問しているかといえば、国鉄貨物の改革に伴って全国物すごい影響が出てきておりまして、私どもも労働組合を初め、いろんな地域の運送業者、荷主の皆さん、それぞれから相当な要望を実は聞いているわけであります。  輸送の拡充強化も図らなきゃいけない。撤収するばかりが能じゃないんですから。その意味で、荷さばきとか荷づくりとか流通加工とか、それから保管等の機能を有する貨物の複合ターミナルといったようなものをつくらなきゃいけない時期だと思うんです。ですから、そういう点について、北九州なんかにはありますけれども、現状では必ずしも荷主や通運業者のニーズにこたえていないという点から、これらの設備状況に対する見通しと計画はどうですか。
  88. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 御指摘のとおりでございまして、四十年代の後半にいろいろ考えたわけでございますが、なかなか思うに任せないまま今日に至っております。  実は、数年前に名古屋に八田のコンテナターミナルをつくりました際に、いまおっしゃいました、単に駅で積みかえするだけではなくて、内容貨物を荷さばきするあるいは一時保管するという機能を加えましたいわゆる複合施設をつくりまして、大変御好評をいただいております。同じような設備をただいま東京貨物ターミナルにつくっております。恐らく夏までにはこれが完成すると思っております。  さらには、先般、委員会の先生方に御視察いただきました福岡のターミナルにもぜひそういった設備が欲しいということでございます。したがいまして、福岡あるいは広島、あるいは大阪に今度新しくできました鳥飼のターミナル、そして名古屋、東京、仙台、札幌というような太平洋ベルト地帯をつなぐ大拠点駅にはぜひそういった複合施設を持って荷主の御要望にこたえていく。よってもって、また鉄道貨物の増送、増収に努める。こういうことで、いま鋭意努力中でございます。
  89. 青木薪次

    青木薪次君 私は、質問を長く続けてまいりましたけれども、午後とそれから後日にもまた質問いたしたいと思っております。  この国鉄経営する事業再建推進に関する臨時措置法案というものは、これは国鉄の将来における国民のニーズにこたえることができるかどうか、あるいはまた一部の特権階級の利益だけ、それからそこに働く人たちの要望というものを抑えて、そして国鉄を特権意識の中に置いてきてしまうことになるかというような大きな問題を私ははらんでいると思うのであります。あとまだ詰めていきたいと思いますのは、たとえば労使問題、今日いろんな問題点が発生いたしておりますが、その問題や累積債務の問題やいろんな問題が実はあると思うのでありまして、その点については後刻質問をすることにいたしまして、一時私の質問を中断いたしたいと思います。
  90. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、時間が限られております。昨日の連合審査会でもありましたように、地方公聴会賛成の財界、学者も、私は北海道に行ったわけですけれども、法案自体には賛成ですが、北海道に限ってはやってもらっちゃ困る、困るどころじゃなくて分割民営なんか絶対できない、こういう地域エゴと申しますか、ただ単にこれはエゴだけで片づけられないと思うんです。やっぱり長い間北海道で商売をやられて、これからも財界をしょって立つような人でありますし、またそれなりの専門知識を持った学者ですからね。ですから、政府あるいは準備室あるいは臨調が相当なやっぱり専門的知識を駆使して分割民営という結論、さらにはこれから監理委員会が専門的にさらにそれに上積みをするわけですけれども、それと同じような同等の力を持った人でも、地域エゴというものを含めながら、ただ単にエゴじゃ片づけられないものも私たち聞かされたわけであって、これは産む苦労よりも産んだ後の苦労が大変だな、こういうふうなことを、その地方公聴会でさらに感を強くしたわけなんです。  これは大臣もお聞き及びですし、昨日も指摘があったとおりでございまして、そこで五人の人選、これは大臣はしばしば法案成立して速やかに、こうおっしゃっていたわけですし、そろそろ何となく山も見えてきた、そうすると人選の腹づもりだって当然あるのではなかろうか、これは速やかにスタートするにこしたことはない、こんなふうに思うんですが、今国会中にこの国会の承認を得るというような考えはあるんですか。
  91. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 大変むずかしい国鉄再建法案でしたが、皆さん方の御理解でここまで円満のうちに討議されてまいりました。ですから、これが可決された暁には、大事な法案であるだけに、やはり政府といたしましても、すばらしい方に委員長なり委員になっていただいて取り組む姿勢というものを出すべきじゃないか、こう存じているわけであります。  中曽根総理がずっと外遊でございまして、今晩あたりお帰りになる、こんなことなどもありますから、お帰りになった後でそれぞれ総理の御意見などもお伺いしながらそんなところに手をつけてまいりたい、こう思っております。
  92. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま申しましたように、長い審議の過程ですから、五人の人選なんかも腹案なんか準備室にはある、林さんの胸にもあるし、大臣はもう大体コネはつけていると思います。了承も得ているのじゃなかろうか。こう思いますけれども、二十六日、いずれにせよ国会が終わって、延長も参議院の選挙の動向によってはないのじゃなかろうか。そうすると、法案成立後ということがこれは前提ですけれども、今国会というのはこれはリミットがあるわけですね。そうすると、今国会中にもできればやりたいという総理の意向もあるでしょうけれども、お伺いして、できれば今国会中にスタート、発足させたいという御意向はあるんですか、大臣としては。
  93. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 黒柳さんがおっしゃったとおり、ここまでやったことですから、やはりその期待に沿うてりっぱな人物に委員になってもらって、これを皆さんに早くお諮りしたいという気持ちは腹いっぱいございます。
  94. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、当然、監理委員会が発足しますと、これはお金の問題。だけど、お金の問題は、長期債務や年金の問題はある程度結論は出ているわけでありますが、これから数年にわたって国鉄監理委員会と調節をしながらこれから新しい事業経営に対する土台づくりと申しますか、いままでよりもこれは大変だと思うんです。  そこで、先ほど論議のありました資産の売却なんかについてですけれども、これは一千六百億努 力目標としてやる。ただ、総裁、用地なんというものは、やっぱり一時的な収入源にした方がいいのか、あるいは中長期的に収入源としてそういう活用の仕方をした方がいいのかというようなことは基本的に考える余地がある、こんな発言をしばしば委員会でされていたわけですが、きのう、それからおととい、私は違った新聞で同じような論調を二回見まして、いまここで泡食って用地売却なんかするべきじゃない、もっと中長期的にやっぱり考えなきゃいけない、こんな論調を偶然見たものですから、当然いまのこの審議の中でそういうことが論議されなきゃならない一つの問題点でありますので、昨年七百億、これから一千六百億目標、こういうことはそういうこととしまして、これから数年にわたって、あるいは五年にわたってそういう用地、保有地を含めての資産の売却、これをやっぱりやっていかなきゃならない面と、いま申しましたように、それは一時的収入源に消えちゃう。あくまでも赤字の根源というのは監理委員会に移行するときは除去されるわけでして、そうすると当面赤字解消に努めることもこれは努力しなきゃならないことではありますけれども、さらにその五年後には新形態の事業経営の、国鉄じゃない何とか鉄道というものが長期的に続くことは間違いないわけでありまして、ここでちょっとやっぱりかじ取りを間違えますと、さらにそれがまたもとに戻って、何だ、総裁があのとき売らなきゃよかった、一時の目先だけに惑わされてと、こういうことが非常にあるやに私きのう、おとといの新聞論調なんかを見ますと感じましたし、いま総裁がしばしばそういう問題について考えなきゃならない、熟慮しなきゃならない問題である、そういう発言とあわせまして、基本的にはどういう考えでこの監理委員会とタイアップしながら五年後の移行まで続けていかなきゃならないか、こういうお考え、いかがでしょうか。
  95. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまお話しのとおりでございまして、個別具体的に、いろいろな土地、遊休地があるという場合に、これを処分すべきかあるいは何かの形で活用すべきかということ、さらには処分、活用をはっきりしませんで、しばらく何らかの形で暫定利用をするという三つの道のどれを選ぶべきかは非常にむずかしい問題でございますし、なかなか一律にどちらにはめ込んでいくという基準はつくりにくいものでございまして、申すまでもなく、土地はそれぞれ個性を持っておりますので、その土地にふさわしい処分、利用方を頭に置いて処分をしたり、関連事業に充てたりということでやっております。  一例を申し上げますと、駅の周辺の土地については、原則として何らかの形で今後とも私どもの方で使っていきたいという考え方でございます。その理由は、駅施設を単にステーションとして使うだけではなくて、いろいろ駅ビルをつくってやるということは三十年も五十年も前から私鉄の方ではやっておられることでありまして、それが私鉄経営に非常に貢献をしているということを考えますと、私鉄に見習うという意味も含めましてそういう道を考える。それによってまた鉄道利用のお客さんがふえるということになれば、その土地の持ちます価値以上の収入を生み出してくるということがありますし、それから昨日も連合審査の際にお話がございましたように、うちの職員、現在の段階ではOBが中心でございますけれども、OBの諸君の第二の人生がそこで生み出されてくるという面もありますので、駅周辺は原則として処分というよりは活用の方に持っていきたい。  逆に、飛び地につきましては、宿舎等で飛び地がありますのですが、飛び地につきましては管理のめんどうさといった問題もありますので、特別な事情がなければむしろ処分をする方に持っていきたいというぐらいの漠然たる一つの基準めいたものを頭に置いておりますけれども、それ以上につきましては、一般的基準をつくるというよりは個別個別に対応しておるというのが現状でございます。しかし、今後とも何か基準がつくれないものかということは研究さしておりますけれども、なかなかむずかしいというのが今日までの状況でございます。
  96. 黒柳明

    ○黒柳明君 駅周辺はなるたけ使うということで、ちょっと前ですか、何か新宿の西口の貨物操車場ですか、中曽根総理のたっての要望で三千戸ぐらい収容する高層住宅をつくる、それからさらに通勤新線が池袋から新宿に乗り入れた場合、同じくそこに駅をつくるとか、そこらあたりがひとつ競合して同じ場所に、ここらあたり具体的に何か構想をお持ちなんでしょうか。  それからもう一つ。同じく東京駅も上越あるいは東北新幹線が最終的には上野から東京駅に来る。そうなりますと、東京駅のあの建物の再開発、駅ビルとなるのか。あの周辺の国鉄の保有地もあるわけですが、そこらあたり——あるいはあれを保存しろ、こういう向きも当然あるわけですね、東京駅の形を。そこらあたりも、いま総裁がおっしゃった駅付近はなるたけ活用したい、こういうお言葉の中に当然入ってくるのじゃないかと思うんですが、新宿と東京駅はどういうふうな構想をお持ちでしょうか。
  97. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 新宿につきましても東京駅につきましても、いまお話しのように、私どもとしては処分ということでなくて、何かやはり一種の駅ビルのようなものをつくることを通じて今後とも旅客の培養にもなりますし、本来そういう方向でいくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。  新宿について、一部の報道で住宅というふうな話が出ておりますけれども、ああいう日本でも有数の地価の高いところでは常識的に考えましてもなかなか住宅としては大変家賃の高いものになりますので、もう少しほかの方法で使うということの方が常識的であろうかと思っております。  それから、通勤新線を延長するかどうかという問題については、まだちょっと日程には上がっておりません。現在のところでは、池袋までということでこれは工事等どんどん進めておりますが、それをさらに新宿なり渋谷なりまで延長してほしいという声は地元では出ておりますけれども、まだそれはちょっと具体化しておりません。本年度、暦年で申しますと来年の二月に新宿の扱いは大幅に縮小できますので、それができましたのと並行しながらどういうふうに使うかということは考えてまいるつもりでございますが、必ずしも通勤新線のための施設をつくることとそれから駅ビルをつくることとは相矛盾しない。低い層、地上の部分は駅設備に使って、上空部分はいろいろ開発関連事業に充てるということが可能でございますので、その両者は矛盾しないで使うということを今後研究課題としてまいりたいと思っておりますけれども、ちょっとまだ新宿の方は時間がかかる問題だと御理解いただきたいと思います。
  98. 黒柳明

    ○黒柳明君 東京駅。
  99. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) 東京駅につきましては、かねて一番、目に立ちます赤レンガの駅本屋がございまして、これについて、私どもとしては非常な戦災を受けた建物でもありますし、現在の旅客流動等から見まして、機能的な面から見ますとなかなか使いにくい面があるわけでございまして、改築したいという希望を持っております。しかし、一部の方にはああいった大正時代の建物を残せというような御要望もございまして、なかなか東京駅につきましても今後の計画をまとめるにつきましていろんな御意見があるわけでございます。  ただ、いま私どもが東京駅でやっておりますのは、お客さんの流動に対しまして中央通路を広げるとか、あるいは東北・上越新幹線が東京駅に乗り入れる、そのための工事をやっておりますが、それに伴いまして、一部のところで東北新幹線乗り入れに伴っての改良工事を進めていくつもりでございますが、その段階でも、いま先生御指摘のありましたように、関連事業というものを含めて事業収入に結びつけられるような道を考えながらこの計画を立てていきたいというふうに検討しているわけでございます。  丸の内側の計画につきましては、この東北新幹線の乗り入れ等の経緯を見まして、その後での段 階でやはりこの改築につきましては相当広い視野に立ってこの計画を決めていかなければいけないのじゃないかというふうに考えている次第であります。
  100. 黒柳明

    ○黒柳明君 いつごろですか行管庁が発表した国鉄の全国の保有地が六億幾ら平米で、価格が七千億ぐらい、これはちょっと素人考えでも、どこにどういうものを持っていて、どこがどれだけの価格かというのはわからないんですが、何か入手価格というような感じがするんですが、これはどうなんでしょうか。
  101. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) お答えいたします。  いまおっしゃいますとおり、私どもの価格は取得の原価でございまして、それ以上のものは取得に要しました費用を帳簿の価格で表示しておるわけでございます。先生おっしゃいますとおり、六千八百九十九億円でございます。これは帳簿価格算定の方式で昭和三十年に、私ども、初め資産再評価表というものが昭和二十五年から二十九年までございまして、私どものは昭和三十年にこれに基づきましていま申し上げました資産の再評価をやっただけでございまして、自来一切やっていないのが現状でございます。
  102. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、含み資産が何十兆あるとかなんとか、よく国鉄の赤字に伴って書かれる、批判される、こういうことになっているわけですけれども、どうなんでしょうか、監理委員会にいろいろ細かいことの検討が移れば、まず国鉄の全財産はどれだけあるのか、こんなことを当然まず明らかにせずして、それでその再建なんというようなことはないわけでして、三十年代以来やってないのですから、ひとつここで再評価というものをきちっとやるということが、当然その監理委員会に対してバトンタッチ、やがて五年後の新しい経営形態に移る大前提で必要じゃないのかなと私は思うんですが、総裁、どうですか。
  103. 高木文雄

    説明員高木文雄君) おっしゃるように、大変大きな財産を持っております。それが一体幾らの価値があるものなのかというのは、現在価値を把握しなければおかしいじゃないかという議論は前々からありまして、ごもっともだと思うのですけれども、しかし、たとえばレールの路盤の価値というものをどう評価するかということになりますと、たとえば線路を廃止するというようなときになれば評価という問題が意味をなすわけでございますが、どうも従来どおりずっと使っているという状態のもとにおいては、それが近傍の土地の評価額との関係において幾らの値打ちがある、こう申しましても、現実にはいわばそのことによって帳簿上の整理ができるだけであって、余りメリットがないということのために、全国的にもし評価し直すとすると大変人手も要しますし、お金もかかるということもあって、しばしば御指摘を受けながら見送りにして今日までに至りました。  それで、いまおっしゃいますように、もし民営だとか分割だとかということになりますと、現在の公共企業体から分割された民営会社にその土地を渡さなければならぬという問題があるので、幾らで渡したらいいかという問題から評価という問題はそれはやらなければならぬということになってくるのだと思います。  しかし、その場合でも、いわば遊休地というようなものであればこれは近傍類地の価格と右へならえで評価すればよろしいのじゃないかと思うのですけれども、一体、レールの下の土地、非常に鉄道としては値打ちがあるわけでございますけれども、それを本来の土地の値打ちということで考えますと、ばかに細長いものがありますものですから、これを隣の土地と同じ価値ありということで評価していいものかどうかというような問題がありまして、再建委員会が発足し、分割あるいは民営という問題が具体化してまいりました場合には、これはどちらでやることになりますのか、委員会の方でやることになりますのか、国鉄でやることになりますのかわかりませんが、いずれにしても評価方式をまず何か研究しないことにはなかなか評価に入れないということではないかと思っております。  しかし、おっしゃるように大変大きな課題であるという認識はいたしておるわけです。もうすでに数年前からそう言っておるのですが、まだ申しわけありませんが、現実には手をつけてないというところでございます。
  104. 黒柳明

    ○黒柳明君 全国的にやるというのは大変な作業であろうことは前から言われておりますが、いわゆる北海道等を中心にして、廃止決定したわけじゃありませんが、話が進まないと二年後には廃線になる可能性がある線があるわけですから、そこらあたりから始めるという構えもやっぱりこの際、先が見えたと言っては失礼ですけれども、必要なときに来たのではなかろうか、こんな感じがします。  先ほどにまたちょっと戻って失礼なんですが、特に都心部での用地の利用がステーションビルを中心にして頻繁になってきているわけですけれども、新宿あるいは東京駅と。その場合には、当然民間のデベロッパーに払い下げるのじゃなくて、民間のデベロッパーとタイアップして再開発をしていく、こういう考えが将来の考えである、こういう認識でよろしゅうございますか。
  105. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これも場合によってであろうかと思います。現在、進行しておりますものにつきましても、都市側から譲ってほしいというものがございまして、そういう場合は譲るわけでございますが、駅ビルといったような場合にはほとんど多くの場合にごく少額の出資をいたしまして子会社をつくりまして、そこでやるということでございます。  そのやる場合に、国鉄のいわば息のかかったような会社でやる場合と、それからむしろ民間の方のお知恵を拝借するという意味で、駅ビル会社もしくはホテル会社といったようなところの主要メンバーに民間の方に入っていただいてやる場合と提携しながらやる場合とあります。  私どもはでき得れば自分でやらしていただきたいと思いますけれども、武士の商法になってはいかぬということが一つと、それから業種によってはネットワークを持って仕事をした方がいいというような場合もございますので、その場合には民間の方に入っていただくか、あるいは全面的に経営をお願いするかというようなことであろうかと思います。現在までやっておりますものでもいろいろなケースがございます。大分いろんな事業のノーハウを勉強してまいりましたので、その勉強が蓄積されてくればむしろ国鉄自身あるいはその息のかかった会社ということでやるケースの方が将来はふえていくのじゃないかというふうに見通しております。
  106. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間でございますので、また次回に譲って質問いたしますが、ともかく五年後には監理委員会が何らかの形を出して形態が移行するわけでありますが、三十二万になるのか、二十八万になるのか、ともかくいまの国鉄の従業員が、ただ単に高級OBだけが天下るところの場じゃなくて、すべての人がやっぱりこれから長期的に生活の場を確保しなきゃならないわけでありまして、それがどういう形態になるのかわかりませんが、私鉄が多角的にいろんな遊園地等を含めて経営形態があるわけですから、国鉄の場合も、現在におきまして、ただ単に目先の赤字補てんのためにがたがた資産の売却なんかしますと、それが今度は監理委員会との検討の場の中においても、そういうものがもしあればこういう新しい事業国鉄の従業員も再就職の場ができたのにと、こんなこともなきにしもあらずですし、私も臨調の方にそういう意見も聞いております。ですから、そういうことは間違いはないとは思いますけれども、ひとつ五年後の国鉄の数十万の人がさらにいまよりももっと明るい職場の中で生きられる、多角的な場において生活できる、そういう場もいまから確保しなきゃならないということもぜひ考えておかなきゃならないだろう、こういうふうな素人考えですけれども、考えますので、一言つけ加えさせていただきます。  以上です。
  107. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 午後三時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後一時二分休憩      ─────・─────    午後三時三十分開会
  108. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 官房長官が三十分しか時間がないそうですから冒頭に質問いたしますが、先般、私は長々とわが党のこの法案に対する態度を表明いたしました。そして、私どもはこの法案は必要ない、そういうことを言いました。  その前提じゃありませんが、いままで十数年間、衆参の運輸委員会で徹底的に論議しておりまして、国鉄の問題というのは明らかになっているわけです。いまさらこの非常勤の監理委員の先生方五人任命いたされましても、これから五年間、もう時間待てません。一番大事なのは、閣議決定あるいは総理大臣答弁あるいは委員会の決議などを政府が重んじてない。軽んじてこれを実施しなかったから、きょうの国鉄を招来しているんです。したがって、官房長官は、一括していいですが、閣議決定に対する政府責任、総理大臣国会答弁した、それに対する政府がいろいろ仕事をしなかった責任、あるいは委員会で決議した、委員会で提言したものを政府が実施していない責任、そういうものをどういう形で政府として責任を明らかにせられるのか、まず長官から御意見を聞きたい。
  110. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先般の当委員会で、いまおっしゃるように、四十四年から三回にわたって国鉄再建問題は計画を立てて実施に移してきた、それもうまくいかない、現在は再建特別措置法というもので六十年まで計画でやっておるではないか、そこへまた改めてこういうものを出した、一体いままでのこの国鉄再建に取り組む政府の姿勢、やり方に欠点があったのではないか、その責任はどう考えておるか、こういう御趣旨でございましたが、それらの責任はまさに私はやはり政府は逃れることはできないと思います。  そういうようなことで、今度は本当に国鉄危機状況にかんがみて、こういう法案を出して、本当にこれはもうラストチャンスだという意味合いでこの法律の成立をさしていただいて、国鉄監理委員会等のお知恵も拝借をして、そして国民的な理解を求めながら政府国鉄当局、あるいは組合の皆さん方一体になって、この国民の財産である国鉄再建を今度こそなし遂げよう、これはまさに私は従来のいろんな経緯にかんがみての反省の上に立って今度こそはと、こういうことで御審議を願っておる、かように御理解を願えればありがたい、こう思います。  なお、先般の御質疑の中に、閣議決定であるとか、あるいは閣議了解、あるいは国会の決議、総理の答弁、それらについて一体どのように心得ておるのか、いま少しく閣議等でもこういう問題を論議をすべきではないか、こういう御意見ございまして、ごもっともでございまするので、私、実はきょうの閣議で小柳さんのこういう御質疑があったがと各閣僚にお伝えをして、十分閣僚としても閣議決定の重み、こういうものについて十分ひとつ配意をしていただきたいということを伝達したというような次第でございます。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 これから将来のことにつきましてはよくわかりました。しかも、きょうの閣議で、将来は決議なりあるいは大臣答弁については責任を持ってやれよと、それは敬意を表します。  ただ、私が言っているのは、いままで過去に四回も再建法を出して、これは全部失敗しております。私ども、わが党なりほかの他の野党も、これを出したってこれはとてもだめでしょうと言ったにかかわりませず、自民党の皆さんと政府が、いや、これで国鉄再建できるのだと言って強引に通されたわけです。それがまだ生きているんです。あと二年間はこれは法律というのは生きていると私は理解しておるんです。これは失敗だった、だから今度また監理委員会法を出した、そういうふうに官房長官は認識ですか。
  112. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいま申し上げましたように、政府としては過去の国鉄再建計画に従って全力を挙げて取り組んできたことだけは、私はお認めいただきたいと思うのです。しかし、何せこの国鉄再建という仕事は非常にむずかしいという結果、所期の効果が上がっていない。そこで、今回そういう過去の経緯にかんがみて、そして同時に過去の失敗はどこにあったか。まあいろいろあります。しかし、大きく言えばやはり輸送需要の変化、これに十分対応し切れなかった。それからまた、せっかく計画を立ててもいろんなところの抵抗その他があり、なかなかうまくいかなかった。これらの反省の上に立って、今度こそ最後のチャンスである。やはり責任を果たす一つのやり方として、私はこの国鉄監理委法案を提案申し上げて御審議をいただいておる、かように御理解をしていただきたい、こう思います。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 冒頭に長官は、再建法はまだ生きておるけれどもこれでは再建できないからとおっしゃいますから、言うなら、あの再建法では再建できませんということですね。それをお認めになっておるんだ。そしたら、やっぱりその責任政府は、したがって政府はこう一応責任をとりまして、そしてまた次にはこういう法律を出します、よろしく審議してくださいと言わないと、もう全然ほおかぶりでしょう。いままで四回もやってきました。閣議決定は五回です。五回やっているんです。それが全部失敗。しかも、その閣議了解あるいは法律に基づいて今度は国鉄は苦労して経営改善計画を出しているわけだ。法律がだめだとおっしゃるなら、経営改善計画もだめでしょう。  午前中の青木君の質問に国鉄総裁などの答弁は、この経営改善計画をまた毎年毎年見直しましていきますとおっしゃっている。その根拠法はもうだめだとおっしゃっているんですよ。再建法はこれはもういけませんから監理委員会法をつくったんですとおっしゃっている。そのもとの法律が失敗でこれじゃ再建できませんと言うなら、それに基づいて出す経営改善計画は、これこそ根のない草じゃないでしょうか。国鉄問題もそういうところを解決していきませんと、責任ある仕事をしませんと、たとえば監理委員会法を出しましても、五年間これがかかりますね。三年間ぐらい先生方が勉強されて、そして今度はスタッフが文書をつくられるでしょう。政府答申しますね。政府はそれで法律つくりまして、法律が出ますのは五年後です。国鉄再建法の関係法律が出ますのは五年後です。それから今度はまた国会で論議しまして、一年か二年かかりましょう。七年間の空白がありまして国鉄はどうなりましょうか。  私は、そういう感覚というのがわからぬのです。私どもが反対しているのは、分割民営、もちろんそれもあります。それだけじゃなくて、そういう措置をやられる閣議の考え方、内閣の考え方がわからぬのです。これから五年間余裕があって、監理委員会の先生方がしかも非常勤で五人各界各層からおいでになると聞いております、法律が通れば。われわれは通ると思っていないけれども、通ればそうなると聞いています。労働関係もありましょうし、大蔵もありましょうし、あるいは財界もありましょう。ただ、五人の先生方が三年間知恵をしぼられぬでも問題はもう明らかなんです。いままで十数年、衆参の運輸委員会で論議して、問題はさらっと出ているわけです。きのうの連合審査会でも問題は出たそうで、けさの青木委員の質問でも問題はちゃんと出ているんです。構造欠陥はどうしますかとか、累積赤字はどうしますかとか、年金はどうしますかとか、特定人件費はどうしますかとか、あるいは将来運賃はどうしたらいいでしょうとか。  一番根本にあるのは、その背後に、自動車は自動車ばらばら、飛行機は飛行機ばらばら、海は海ばらばら。そして、鉄道は自分で土地を買って、レールを敷いて運転しなさい、新幹線もひとつつくりなさい。みんなその借金は鉄道でしょうに。問題はわかっているんです。それを先生方が五人で何をお書きになるか、これから。どんな別なことがあるでしょうか。結局は民営分割する。そういうレールで走るでしょう。しかし、そんなことは不可能です。民営分割も、これから三年ぐらいしましたら、やろうとする人はいないでしょう。そうすると、またこれは失敗します。そのときに、いまの中曽根内閣及び後藤田官房長官は、その閣議の取りまとめの長官としてどういう責任をとるおつもりであるか。私がいま申し上げておることがわかりましょうか。これから五年なり七年、国鉄再建は時間を許してはならぬのではないでしょうか。まず、そのことだけおわかりでしょうか。
  114. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) したがって、今回の法案の中にもございますように、現行の国鉄再建の特別措置法、これによる緊急の課題というものは精力的に取り組んでいく、こういう考え方に立っておるわけでございます。  小柳さんがおっしゃるように、確かにこれはむずかしいのです。だからこそ、今度のこういう法律案を御審議願って、成立さしていただいて——問題は、おっしゃるように私はわかっておると思います。わかっておる。それをどのような仕組みといいますか、気構えといいますか、そういうことで取り組んでいくということが私は一番肝心なのではないか。問題はわかっていると思います。これはいままで何でできなかったか、そこをやはり今度のこういう法律案をつくることによってすべて浮き出させて、それで私はみんなで取り組んでいくということで初めて国鉄再建という難事業が——もちろん経営形態含めて御審議を願ってやっていくということでなければ、これだけやってみても、最近の単年度赤字を見ましても、やっぱり七千億国から財政援助をしながらも一兆円余りのやっぱり赤字が出る、累積赤字はどんどんたまっていく、このままではこれをほうっておくわけにはいかない、ならば、思い切ってこの際、抜本的な国鉄のすべての根っこにまでメスを入れてやろうではなかろうかというのが私は今度の臨調の御答申であろうと思うのです。私どもは、この臨調答申を受け、臨調答申の趣旨に沿って真剣にこの問題に取り組んで国鉄の再生を図ろう、こういう決意でございますので、御理解をいただきたい、かように思います。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ、まだ大きな責任がありますけど、具体的なやつ、たとえば公共負担です。学生の割引とか身体障害者の皆さんの割引とかあります。公共負担の問題だけでも参議院の運輸委員会あるいは衆議院の運輸委員会で数回決議して、もう七年間検討しているんです。その公共負担の問題を政府が、厚生省とか文部省とか、各省に内閣としてこれをやりなさい、実施しなさいと。七年間かからぬでもいいのじゃないでしょうか。そういうやらないところの各省の責任者に責任とらせるぐらいのことをやらなきゃ、そんな閣議なんて意味ないでしょうに。内閣総理大臣なんて要らぬでしょうに。その点どうですか。それじゃ公共負担をすぐやりますか。
  116. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 具体的な事柄でございますので、国鉄総裁からお答えさせます。
  117. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御存じのとおり、私どもはしばしば文部省あるいは厚生省に対してお願いをいたしておるわけでございますけれども、それぞれの省庁はそれぞれの省庁なりの事情があるということで今日まで実現していないわけでございまして、決議に対して何も措置をとってないということじゃなくて、運輸省が中心になって各省と折衝しておられるわけでございますので、われわれとしては決してせっかくの両院の御意見がありながらそれが無視されているということじゃなくて、真剣な御検討があっておるということでございますので、見守っておるということでございます。  私どもとしましても、せっかく両院から私どもにとってありがたい決議が行われておるのが実現しない状態でおりますことは私ども自体にも大いに責めがあるわけでございまして、今後とも運輸省を通じまして両省、担当省にお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  118. 小柳勇

    ○小柳勇君 官房長官、それは何も国鉄総裁が答弁できる問題じゃないんです。ことに統計がありますけれども、たとえば通学定期の割引、これが二十四年から全体の合計で八千億、それから身体障害者割引など、これが四百五億、合計八千四百五億です。五十七年度予算で見ますと六百十九億。これは文部省及び厚生省、内閣でやればこれは国鉄からこれだけ赤字が減るわけでしょう。しかも、それは衆参運輸委員会でちゃんと決議までしているんです、公共負担をやらせなきゃならぬと。それが七年間かかっているんですよ。政府はそんなことでいいでしょうか。だから、国鉄がばらばらになっちまっているんです。そして、国鉄が悪いとか、国鉄の労使だけにいま世間の目が厳しいでしょうに。国会で決まったことを、法律で決まったことを政府がやっていったらもっと国鉄の赤字が減っています。  たとえば労働者の職場の問題が大きくクローズアップされて、それが全体の赤字の原因であるかのごとく国民の皆さんがいま怒って、それで国鉄は総スカンでしょう、労使とも。世間に顔出しができぬくらいでしょうに。その政府責任というものをもっと明らかにしなきゃならぬのです。毎年同じことを運輸委員会で論議しなきゃならぬでしょう。法的にいろいろ追及しようと思ったけれども、三権分立でありますし、政治的、道義的責任、そしたら官房長官、もっと責任を感じてもらわなきゃ困るですよ。総理大臣に私は本当に面詰したい、総理大臣を呼んで、あなたの内閣ではないかと言って。五十七年度だけでも六百十九億でしょうに。しかも、それは文部省と厚生省、ちゃんと明らかに出ているんです、予算が。それをやらないでしょうに。だから、いませっかく重要なポストの長官が見えておりますから、すぐやりますか、やりませんか、御答弁願います。
  119. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはこれから、当然そういうことは決まっておるわけですから関係省庁で検討しておると思いますので、その結果によって決めていきたい、こう思います。
  120. 小柳勇

    ○小柳勇君 きょうの閣議で、国会で決まったことは早急に実施するぞとお決めになったそうですから、これも予算は明らかですから、いまの官房長官答弁をそういうふうに受け取ってよろしいですか。
  121. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私が申し上げておるのは、閣議の重み、そういうものを各閣僚が十分理解をして、ひとつ内閣の施策の推進を図ってもらいたい、こういう発言を私はしたわけでございます。  いま仰せの点は、これが国会の決議の中にある、こういうことでございますから、政府としては当然それを尊重して、この法律法律でお願いしておりますが、同時に、先ほど言いましたように、国鉄再建措置法は生きておりまして、これによって再建の施策を講じておる、緊急措置をやっているわけですから、その緊急措置として検討すべきものは検討して、実施すべきものは実施をする、こういうことでやっていかなきゃならぬだろう、こう考えます。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 この公共負担というのは金額としてわずかでありますが、これは問題としては内閣、具体的に文部省、厚生省の責任である。全般的には、言うならば国鉄の総裁の権限を全部、体を縛って水の中にぶち込むようにして、さあ泳いでみろというようなことを数年やってきていますよ。それがいま国鉄のこういうふうな論議しなきゃならぬ羽目になっていることでしょう。  もう一つ聞きます。今度、いま臨調答申が出まして、この法律を論議しています。それで、閣議で了解して法律ができました。失礼かもしれませんけれども、長官はこの臨調答申——この法律には、臨調答申を尊重してこの法律を出すと書いてあります。臨調答申はここに書いてありますが、国鉄を民営分割する、そのために監理委員会をつくると書いてあります。民営分割するのがいまの国鉄再建に唯一の道であるという、そういう臨調委員会が御審議になりましたその議事録なり内容を長官はお読みになったことがございますか。あるいは林審議官から、民営分割したら国鉄はこんなにりっぱになります、そういうお話をお聞きになったことはございますか。お聞きいたします。
  123. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私も臨調審議、別段国鉄問題だけでなしに全体の行政改革、この問題についての説明は承知をいたしておりますが、ただいまお話しのような細かなことをおまえ読んだか、こう言われれば、私はそれは読んではおりませんと率直に申し上げなければならぬ。しかし、国鉄の問題についてはやはり臨調答申を受けて、それでこの委員会をつくらしていただいて、経営形態をも含めて国鉄再建検討していただこう、こういうことになっておるということは十分わかっておるわけでございます。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 これだけ重要な国鉄が、とてもいままでの四回の国鉄再建法でだめだから国鉄監理委員会法を出しますと。第五次の再建法ならもっと真剣にわれわれも取り組んで論議します。ところが、第四次再建法が出たけれども、再建法ではどうもなりませんから、今度は監理委員会をつくりまして、五人の先生方にこれからまた分析してもらいますと、それを賢明なる長官などがおられる閣議で了承するということが私にはわからぬのです。五年間日にちを置いて、それからまた法律をつくって出しますのも二年ぐらいかかりましょう。緊急十一項目は見ています。それはもうやっていますよ。この経営改善計画の中でやっています。そのほかは共済年金の問題と累積赤字の処理でしょうに。監理委員会の先生方を煩わせなくたって、これこれは政府が持ちます、これから先は国鉄がやれ、それは運輸委員会で全部論議してきているんです。  まず、いまの質問のずっと前段ですけれども、長官、そのことを御存じでしょうか。いまの私言いました国鉄の問題点は、累積赤字が六十年に二十兆円になります。それから共済年金がパンクです。それから構造欠陥いろいろございます。公共負担もございます。それから今度本四架橋とか青函トンネルがあります。にかかわりませず、今度は新幹線をつくりました。そういうものが矛盾であるし、国鉄のいまにっちもさっちもいかぬような実態です。そこで、これから五年間かけて監理委員会で新たに再建法を考えるという、それはもう日にちがないのではないか。したがって、私はそれをまず長官が御認識ならば、いまの再建法、もう一回これに返って、この監理委員会は一応置いておいて、国鉄再建法に返って経営改善計画を見直して、緊急にことし、来年、六十年までにやらなければならぬ、その問題についてはちゃんとわかっておられましょうか、聞きます。
  125. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 小柳さん、私これは所管でないものだから、余り細かなことを言われましてもなかなか一々お答えはできませんが、今日の国鉄がなぜこうなったかということについてのいま小柳さんがおっしゃったような項目は、これは私ものみ込んでおるつもりでございます。  そこで、こういう問題をどうするのだ、こういうことでしょうが、先ほど言いましたように、これは国鉄再建特別措置法によって、そして緊急に講ずべき対策というので、十項目のあれが決まっておるようでございますから、それは当然これからやっていくのじゃなかろうか。この法律案が出て監理委員会ができるから、そこで監理委員会の案ができるまで寝て待っているということではなくて、監理委員会監理委員会でその緊急措置推進するということでしょうし、関係の省庁あるいは国鉄等は緊急対策をどんどん遂行していくべきもの、私はさように考えておるわけでございます。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 担当でないからと、その閣議の取りまとめとして、閣議了解事項として答申を認めて、そしてこれで法律をつくる以上は、長官はいま国鉄の問題点はどこか、それは知っておられて知らぬふりされると思いますけれども、余りにも政府責任転嫁しているんですよ、監理委員会に。責任転嫁して、監理委員会をつくったから国鉄はと、それが私はひきょうだと言うんです。それをしかも閣議了解しておられるから、閣議の取りまとめである長官が、そんなひきょうな、そういう内閣を取りまとめておられる、そのことをいま追及しているんです。責任転嫁でしょうが。そう思いませんか。  まだ二、三分ありますから、ちょっと長官の前で運輸大臣に聞きますけれども、現在の再建措置法、これは失敗だから、これでは再建できないから監理委員会をつくるのだと言っておられますが、運輸大臣は担当の大臣でありまして責任は感じておられるでしょうが、内閣として、たとえばほかの省に対してももうちょっ運輸大臣として協力を求めながら再建法で再建できないでしょうか。これは失敗でしょうか。そういう点を明らかにしてもらいたいと思います。
  127. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) ほかの大臣に御協力を求めていないかという話でありますが、ここへちょっとおくれてきたのも、衆議院の本会議で実はわが国鉄関係するところの共済年金の法案の御審議がありまして、いずれも私はほかの大臣からしますというとお願いする方の側でありますから、そちらの方に出席しておったわけです。  ここへ官房長官に来ていただいて、小柳さんがだんだんお話がある模様を私は拝見しまして、その中身はいざ知らず、こういうことだけはひとつ御理解してくれませんか。長官に私はごまするつもりじゃありません。この席上で、この前、官房長官がそういう重みについてお話しされた。普通はこういう話はなかなか——その次の閣議のときに御自分の方からおっしゃって、みんなでひとつこういうことは思い出して考えてみようじゃないか、こういう話を私は官房長官がされましたのを見て非常に敬服したのです。当然やらなきゃならぬことかもしらぬけれども、自分がこの委員会に来て出席したときに言われたそれをほかの閣僚にも、それぞれの委員会に所属する大臣でありますから、改めてこういうものは尊重して行政の措置をとるべきじゃないかという話でありまして、まず私はこの官房長官措置に対して皆様方と審議をやっていく上において非常にすばらしい勉強をさせられた、こう思うわけであります。  それから、十項目をやっておるけれども間に合うのかという話は、午前中も国鉄総裁が言うておられましたけれども、とてもじゃない、お客さんの数が減って収入が減ってどうにもなりません、こういうのがだれにもわかりやすいところの議論であります。そして、そういう中から、一方、そのためにもやってもおるが、こういうすばらしいところのアイデアで、しかも長期債務から年金の問題から何もかにもあるものを全部ひとつ総洗いして勉強してみようじゃないか、こういうふうなムードで私はおやりいただくならば、お互いこれは、国鉄のポイントマンでも何でもありませんから、詳しいことは何もわかりませんが、大まかなことで御推進が願えるのじゃないか、こう思っております。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 政府責任についてはもうちょっとやりたいが、長官が時間がないようですから、またあさってでも来ていただきまして、どうぞひとつ退席していただいて……。  運輸大臣は、どうぞ着席のまま答弁してください。  それで、他の委員も質問しておりますけれども、この再建措置法についてはまだこれから二年間生きて、これは失敗しておらぬということで、これから二年間はそのままやっていくのだというふうに確認していいですか。
  129. 林淳司

    政府委員林淳司君) 現在の再建特別措置法と、それから今回御提案申し上げている法律との関係でございますけれども、今回の法律は、御承知のとおり、臨調答申を尊重いたしまして、これからの再建の方途について検討をしてまいるといういわゆる検討仕組みを定めた法律でございます。したがって、これから一定期間洗いざらい検討いたしまして、そして一定期間後に結論が出てくる、それが実施に移されていく、こうなるわけでありまして、その実施に移される期限というのは昭和六十二年七月三十一日ということになっておりますが、それまでは現在の公共企業体という形での国鉄は生きて残ってそのまま運営されていくわけでございますから、したがって現在の公共企業体というものを前提としております現在の特別措置法というものは当然生きていきまして、その法律に基づいて経営改善という枠組みのもとで実際の措置が講ぜられていく、こういう関係になるわけでございます。  したがいまして、現在の法律というのは今度新しく提案申し上げている法律と並行いたしまして、今回提案申し上げている法律はこれから検討していく法律、それから現在の特別措置法は現実の国鉄について改善措置を講じていくための現実に生きた法律、こういうことで並列して生きていく、こういう関係でございます。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 長官の答弁審議官答弁、少し意味が違う。長官は、いまの措置法では国鉄再建できがたいから監理委員会をつくってこれから国鉄再建する方途を分析してつくるのですと、こうおっしゃっている。あなたは、いま再建法は生きております、これでやっていく、並行して。経営改善計画ももちろんこれはそのままやっていきます、六十年まではそれでいく、こういうことですか。もう一回答えてください。
  131. 林淳司

    政府委員林淳司君) 若干御説明が不十分でございましたけれども、おっしゃるように、現在の特別措置法というのは現在の公共企業体という経営形態前提といたしまして、その枠組みの中で再建を図っていこう、こういう法律でございます。ところが、それではやはりなかなかむずかしいのじゃなかろうか、やはり現在の公共企業体という経営形態の枠組みを超えて、その仕組みまで含めて、経営形態問題を含めて検討をこれからしていかないとやはり再建はなかなかむずかしいのじゃなかろうかということで今回新しい法律を提案申し上げておるわけでございますので、したがいましてそういう意味では現行特別措置法と今回の法律はこれは違うわけでございます。現行特別措置法のいわゆる経営形態の枠組みの中では再建を図ることはなかなかむずかしかろう、こういう疑問のもとに今回の法律が提案されたということはこれは事実でございます。  ただ、私が先ほど申し上げましたのは、それじゃ直ちにいまの特別措置法は死んでしまうのかということになりますと、それはそういうことではなくて、一定期間検討を進めるわけでございますから、その結論が出て実施に移されるまでの間は、その手段、手法として現在の特別措置法でいろんな経営改善措置を講じていくということになるということを申し上げたわけでございます。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、今度、運輸大臣ですけれども、経営形態につきましては監理委員会の方がいまのままでいいか民営分割がいいかあるいはその他のいろいろ方法があるのか検討いたしますと。ただ、再建法は生きておりますと。同時に、累積赤字が十六兆円、毎年の赤字約二兆円、これは新幹線のいろいろあります。これはわかっているんですね。この処置はどういうふうに処理してまいりますか。
  133. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 五十六年に現行の改善計画をつくりましたときに、要するに幹線部門で黒字を計上するということを目的にしまして、いろんな合理化措置なり重点化措置を講ずるということを大きな柱にしておるわけでございます。  そのときに、ある意味では上越・東北新幹線から生じる赤字、あるいは特に資本費問題から生ずる赤字等についてもわかっておりましたし、さらにその後の債務がふえるということも一応は頭の中に入れながら当面六十年までには経営の基盤を確立するということで、一応幹線においては独力で、何とか自前でやっていくところまで六十年に顔を出していこう、それからその後累積債務等を少しずつ償却していきながら健全な経営の基盤の確立に努めるということで現在の改善計画はできておる。  いま、いろいろな収入の低迷とか、あるいは収入が非常に激減している、減っておるというようなところから、いまのままでは六十年に経営基盤確立という点が非常にむずかしいような状況になってきておるということでございます。したがいまして、五十六年に改善計画をつくりましたときに、いわゆる東北、上越等の債務その他につきましても一応は織り込み済みで、当然それは別の枠として、幹線部門について何とか自前でやっていこうというのが現在の計画であるとわれわれは考えております。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの答弁、あなたがいま考えておるようなことは、たとえば大蔵省とか、ほかの関係省庁は御存じでしょうね。
  135. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 私も当時、改善計画をつくりますときに若干携わりましたのであれでございますが、やはりその当時、改善計画で六十年までの現在の計画をつくるときに生じるであろう債務についても棚上げというような話も当時事務的には実はないわけではなかったと思います。あるいは東北新幹線等についても相当債務がふえるということもいろいろ議論があったわけでございますけれども、一応、特定人件費、あるいはローカル線、それと幹線の三部門に分けて、いわゆる損益状況に着目してできるだけ六十年に基盤を確立するということで、やはり予算につきましては単年度主義というような問題もございますので、若干そういう問題については改善計画をつくるときに解決しないで先に延ばしたようなかっこうで、われわれとしては問題意識を十分に持ちながら、関係者としても当然持ちながら、当面は損益上の問題をとにかく計画の中に盛り込んだ、こういうことでございます。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 具体的な問題はまだたくさんありますが、行管庁長官がお忙しいのにおいでになりましたから、運輸省の問題は後でずっとまたやりますから。  行管庁長官、いま私どもが論議しております問題は国鉄監理委員会法です。この監理委員会法というのは、臨調答申によりまして国鉄を民営分割方向経営形態検討する、そういう前提臨調答申を尊重して」と、この法律の明文にあるわけです。その臨調答申は、ただ国鉄を民営分割と提案しているわけです。いまの国鉄の問題いろいろあります。それは、長官、御存じのとおりだ。だから私どもは、この前もきょうも言っておりますのは、再建措置法あります、経営改善計画ありますから、各省庁、政府がこれを真剣にやればわざわざ監理委員会は必要ないではないですかと、こう言った。  ところが、どうも臨調の先生方は、いや、いまのは民営分割をしなきゃだめであろう。運輸大臣は、その他の方法検討しなきゃならぬ。これから五人の非常勤の先生方が集まって三年間分析されるわけです。そして、政府意見を具申して答申、今度は政府がそれを見まして閣議決定するでしょう。そして、法律をつくって、さあ民営分割すると出るのか、あるいは現状のままでやれると、そう出るのかわかりません。わかりませんが、これから五年間ぐらいかかります。私が言っているのは、それまでの時間は待てぬでしょうと言っているわけです。  ただ、臨調の先生方が会議の中で、いや民営分割しなきゃだめだとおっしゃっている。それが答申でぱあっと——会議の論議した内容は、われわれは何にもわからぬわけです。衆議院の諸君に聞きましても、いや議事録は出さぬそうだと言うのだ。この間も議事録をなぜ出さぬかと公明党の先生が言ったら、いや議事録は出しませんと林さんが一生懸命突っ張っておるわけだ。そんなことが、この大事な百何年の歴史を持った国有鉄道を民営分割すると議論がなされた会議の議事録を国民にわからせないで、そして監理委員会をつくったらもうすぐ再建できるかのごとき、そういう議論は貴重なこの運輸委員会ではできません。  したがいまして、臨調で優秀な先生方が論議されておりますから、その会議の議事録を見て、なるほどこういうことで結論は民営分割になったかとわれわれが納得すればこの法案賛成しなきゃなりません。私どもは反対なんです。民営分割なんてできないと見ているし、もうそれまで時間が待てないと私は見ている。しかも問題は、衆関院の運輸委員会、参議院の運輸委員会で十一年ばかりこれをずっと論議してきているわけです。それで問題は明らかなんです。そして再建措置法を四回出しました。われわれはこんなものを出したってだめだと言ったら、いや、これでできるぞと言って政府が出されました。自民党政府です。あなたの所属している自民党政府が。  したがって、私どもは、こういう重要な段階でありますから、臨調の先生方が論議されました議事録をこの委員会にお出し願いたい。それは行管庁長官が責任だそうですから、お忙しいのに来ていただきました。出してください。
  137. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 国鉄再建その他につきましては、今日まで皆さん方でいろいろ長いこと論議していただいたことについては私ども深く敬意を表しておるものでございます。  しかし、臨調の方では、今日までいろいろ政府で考え、また法律を出したりして改革に努力をしてきたようだけれども、やっぱりどうしても民営という路線に変えなけりゃだめじゃないかというのが基本に流れておった、私はそう思います。もちろん、私も速記録も議事録も見たことございません。私は、この第三次答申というものを見まして、従来の路線と違えてやはり民営分割でいかなきゃならぬだろう、そうしなければ国鉄再建はできぬだろう、こういうふうに私も基調はそうあったということを理解しております。  そこで、臨調委員会等の議事録を公表したらどうだろうかというお尋ねでございますが、これは御承知のように、臨調が初め発足いたしましたときに、委員の方々が自由濶達な議論をしようではないかというふうなことからいたしまして、議事は非公開ということを申し合わせといいますか、決議をしまして始まったものでございますので、解散いたしました今日、その議事録を公開するということは私としてはちょっと無理な話、できないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  先般の予算委員会においてもそういうお尋ねがございましたので、発足当時の委員の方々が、自由濶達な意見を交換して、その中で案をまとめていこうではないかということで非公開ということを決議して出たわけでございまして、それは三月十五日には解散してしまった、こういうことでございますので公開することはいかがなものであろうか、私はできないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 非常にそれは非民主的です。もちろん会議中は、臨調の先生方が論議する間はいろいろ雑音が入りますから非公開、それは結構でしょう。それはやむを得ぬでしょう。なるべくなら公開でなければなりません。何もこの国有鉄道をどうするかということを内緒にやる必要もないと思うんです。たとえば軍艦をどうつくるとか、飛行機はどうするかとかいえば、これは相手がありますから。ところが、国鉄をどうするかという問題は、それは論議の中では先生方にいろいろ他からやじが入ったりしますが、しかし、もう終わっていますから、その議事録をこの委員会に大事な審議の中で公開しないということは、これは非民主的です。だから、もう一遍、閣議なり、臨調の先生方でも緊急に集まってもらって、公開にするように手続をやってください。でないと、これは論議できません。
  139. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほども申し上げましたように、臨調の初めの審議をするときに非公開にしようという決議をして今日までずっと来ておったわけでございます。しかしながら、できるだけ国民にはお知らせしなくちゃならぬというようなこともありまして、部会の報告等についてはそれぞれ要旨等も発表をしております。それから、いろいろな委員会をやりましたときには、その都度記者会見をいたしまして、きょうはこういうことが議論になった、ああいうことが議論になったということの、その都度その都度の新聞発表はいたしておるわけでございます。  そこで、私としては、しかもまた三月の十五日にはこの委員会は解散してしまっておるわけでございまして、いまこれを公表したらいいではないか、こう言われましても、私としてもこれを公開するということはちょっと無理じゃないか、こう考えておる次第でございます。  したがって、その当時、事務局がいろいろ立ち会って聞いておったこと等もございますから、そういう点は、その当時の事務局員がおりますから、こういう議論があった、ああいう議論があったということは、わかっているだけできるだけ皆さん方にお知らせするということは私は結構だと思いますが、議事録を全部公表するということは、解散しました今日、これは私はちょっと無理じゃないのでしょうか。私は、そう思う次第でございます。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 この大事な審議、しかもあさってですか、臨調委員の先生をお一人は呼ぶというような話も聞きましたけれども、たとえば賛成にしろ反対にしろ、お一人の先生を呼んでこの委員会結論を出すわけにまいりませんです。貴重な議事録を公開するということは、私はこれは一番大事なことだと思う。これだけの重要な、これから国鉄をどうするか、百何年かの歴史がある日本国有鉄道を民間にあるいは分割するなんということを決める、そういう前提法律を論議するのに、反対の先生方もおっただろう、賛成の先生もおっただろう、その議事録を公開しないならこの法律を通すわけにまいりません。したがって、私はいま質問を中断いたしますから、理事会で後をどうするか諮ってください。
  141. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 速記をとめて。    〔午後四時二十二分速記中止〕    〔午後四府三十八分速記開始〕
  142. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 速記を起こして。  質疑を続行いたします。
  143. 青木薪次

    青木薪次君 午前に引き続いて質問をいたしたいと思います。  長谷川運輸大臣、きのう連合審査の中でわが党の対馬孝且委員とか、あるいはまた目黒委員、そしてまた共産党の沓脱委員、あるいはまた山田無所属委員、これらの皆さんから国鉄の労使関係について、政府からこうしろと言ったわけでないけれども、国鉄職場規律という立場に立ってきわめて厳しい対応をしているということについて、それだけじゃだめですよ、北風と太陽というものがあるのですよと、こういう発言がありまして、総裁としても、私の責任であります、それから大臣としても、たとえばふろ問題等がテレビでもって全国に放映されるということについてはこれは労使の問題として大変な問題を発生させる、したがって国鉄再建に立ち上がっているときにイメージとしてもよくない、したがってそういう問題については早急に解決するように努力したいということを、あなたも総裁も発言をし、答弁をしたと思うのでありますが、その点についてはいかがですか。
  144. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) いま青木さんのおっしゃったとおり、国鉄再建に一番注目していることは、労使の皆さん方が、経営形態まで変えて何とかやれという臨調答申が出るときに、それにこたえる意味じゃないけれども、いかに自分の体質というものをきれいにして一生懸愉やっている姿を見せるかということだろうと思います。  皆さん方に御審議いただいたように、十項目の中の職場規律の確立、これが最近非常によくなったと皆さんからも褒めていただきます。私もそう思います。そういう積み上げがあって初めて苦しいところをみんな金を出す、国の金を出すわけですから。そしてまた、その諸君に、すばらしい技術で将来よその国に進出するとか、未来に夢を持たせるとかいうことを、みんな国鉄を心配している諸君でありますから、そういう信用を得るところに、お互いが銭のかからぬことだからしっかりがんばろうじゃないかという気持ちになりつつあるということを私も認めておりますし、またそのとおりだろう、こう思います。
  145. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄は、いま職員数何人ですか。
  146. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ことしの四日一日の予算定員で申しまして、三十七万三千九百でございます。
  147. 青木薪次

    青木薪次君 前回の国鉄再建法が議論されました段階では、確かに四十二万四千人おったはずですが、これは間違いございませんか。
  148. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そのとおりでございます。
  149. 青木薪次

    青木薪次君 わずか五年足らずの間に三十七万三千人になったという現実について、総裁、大変労使ともに、特に組合は努力したというように思いませんか。
  150. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 何度も申し上げておりますとおり、経費を減らさなきゃならぬということを説得したり、説明したりいたしまして、そういう協力を得られたわけでございまして、総体として、経過的にいろいろ問題はありますけれども、結果的にはよく理解が進んできたというふうに考えております。
  151. 青木薪次

    青木薪次君 こういう短期間の間にこういう何万人という人が国鉄から去っていったというよりも、定員がどんどん減らされ、その分がほかの皆さんの双肩にかかっている。いわばオーバーワークを承知の上でこの問題に対応をしてきたということについて、急激の間に緊急実施項目経営改善計画と銘打って、従来までの労働条件というか労使慣行というものを一遍に変えてもこの際努力しようということで、何度も何度も総裁は説得したと言うけれども、やはりこれを受ける方の立場というものもこれまた大変ですから、その点について、運輸大臣、ここまで来たということ、予定どおり要員削減が行われているという現実について、あなたは主管大臣として、大変御苦労さんだと言ったことはないけれども、改めて御苦労であったということは言う気にはなれませんか。
  152. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) あなたから褒められたことはありませんが、国鉄の働く諸君の問題については一方ならず心を配っておるつもりであります。そして、こんなふうによくやっているという姿が、再建法案についても皆さんの御審議をいただくゆえんでありましょうし、またそこに希望も生まれてくる。  私は、自分の近くに駅がありますから、二、三日前も北鎌倉の駅へ行きました。駅長さんが私を知っている。やってきて、走っている姿を見て、よくやっているなと思わず褒めたものですけれども、歩いた駅でいろんな話を聞くのは楽しみです。そういう中からすると、その隣にはこの前、査察か監察された駅があります。そういうところを比較してみて、やっぱり違う、自分でやろうとしている意欲が。そういうことがわかります。  本当に、これはこの際、自分が損するわけじゃないし、気持ちがいいし、ちょっとやってくれよ、それが自分の雇用の場であるし、飯食う場所だ、ほかに何にも理屈はない、こう私は申し上げているわけでして、この場においてあなたから、そういう全体よくなりつつある例などを引いて私に対する激励、いまから先も私もその諸君を激励できるような立場においてやらしてもらうことを心から御礼申し上げます。
  153. 青木薪次

    青木薪次君 従来まで私どもは衆参とも附帯決議を行って、小柳委員も言われたわけでありますが、これが一つとして実施されたためしがないということ、こういうことについてやるべきことを私どもは政府がやっていなかったということについて問題にしているわけでありますが、これを私、午前中にあなたに苦言を申し上げましたのは、枝葉末節的な問題だけとらえて、国鉄再建の問題について、だから赤字になったのだというような問題等については、そうでないことについて私は事例を挙げ、数字を挙げて申し上げてきたわけであります。ですから、この附帯決議一つとして実施されなかったということについて、この国鉄再建法が成立したらこれらの問題については、先ほど後藤田官房長官が閣議において、ひとつ勉強し、このことに意欲を持って実施するようにしようじゃないかと言ったことについては、私はそれなりに敬意を表しているわけでありますが、そういう点について、ひとつ従来までの附帯決議——いまも附帯決議の問題で与野党で折衝中でありますけれども、そのことについて、実施するということについてお約束できますか。
  154. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) どういう内容のものかわかりませんけれども、この場において、あなた初め、おっしゃる精神が、国鉄再建させたい、そういう意欲に燃えての御発言だろうと思います。これは閣僚とか閣僚でないとか別として、いま議席を持っている者は国鉄再建というのが本当に大きな課題じゃないでしょうか。自分の選挙区に行けばおかしくなる、首切られやせぬかという心配、陳情されたときの。貨物駅がまた一つなくなったというふうな話は選挙区を歩く者はみんな出てきます。そのときに、こういうことだとよくなるぞという附帯決議があったら、これは本当に皆お願いして実行を期す。私たちは、もちろん皆さんのような国鉄を愛する方々がやる決議でございますから、内容はいま見ませんけれども、そういう意味では御信用申し上げて、まさに私初め、ここには齋藤行管長官もいらっしゃいますが、ほかの閣僚にもこの気持ちをお伝えして実行するようにいたそうという感じを持っております。
  155. 青木薪次

    青木薪次君 一つだけ、私は過去債務について、昭和六十年には二十兆を超すというような中で、五十八年度末で十八兆円に上っているということでありまして、六十年は二十四兆ですか、そういうことになっているわけでありまして、これらの点について主計局次長から、二十兆円のうちの十兆円は国鉄の責めによらないものと解する、あとの十兆円についてはこれは赤字の累積という問題を含めて若干問題があるという話も聞いたわけでありますけれども、この点については、行管庁長官、どんなふうにお考えになりますか。
  156. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) よく私承知しておりませんから……。
  157. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) この問題は、臨調でも今後の形を考えるについて大変しばしば議論をされた問題でございます。その臨調の、当時、私、担当の次長でございましたものですから、そのあたりの経緯については承知をいたしておりますけれども、今後いずれ国鉄を他の経営形態に移すとした場合にもこれは大変な問題になってくるであろう、これについてぎりぎりの段階まで経営採算性を上げていただいて、国鉄でもって処理してもらうとともに、そのほかのものについては国家でもって対応せざるを得ないであろう、このような認識を臨調は持っておったということについて、この答申に書かれているとおりでありますけれども、そうしたような認識があったということについて、ただいま御説明を申し上げておきたいと思います。
  158. 青木薪次

    青木薪次君 そんな話を聞いているのじゃないですよ。数字的に、鉄監局長、ひとついまの問題について答弁してください。
  159. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 大蔵省の話を私も聞いておりまして、五十六年の決算——もう五十七年が間もなく出ると思うのですが、五十六年度末確定額がございますので、五十六年度末の長期債務残高が十六兆二千億ということで、五十七年が十八兆を超えたと——大体同じようなパターンだと思いますが、この十六兆の内訳が、いわゆる設備投資、減価償却等に対応する取りかえは別にしまして、いわゆる増強工事費が八兆六千億、大体半分でございます。それで、残りがいわゆる赤字ファイナンスというようなこと等で、その中でいわゆる運営資金が不足したことによる借入金と、それから償却費を計上しておりませんので、これによりますところの取りかえ工事費金の調達というようなものが残りの額になるということで、大体先ほどの話の半々というのはそういう意味で大蔵省は述べたのではないか、こういうふうに思っております。
  160. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵省いますか——大蔵省いないようでありますから、運輸省に聞く以外にないと思うのでありますが、どうしてこんな巨額な長期債務が累積されるようになったのか、この点についてはいろんな、午前中投資問題について私は質問をいたしました。また、東北新幹線を初めとして、上越新幹線その他についても非常に懐妊期間が長かった。総裁の答弁にあったように、土地代その他が非常に高く暴騰したというような問題や、いろんなことがあるわけでありますが、そのほかに公共負担の問題、いわゆる構造欠損というような問題があるわけでありますが、この点について、大まかでいいけれども、原因別に内訳を示してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  161. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) なかなかむずかしい問題でございまして、非常に分析もいろいろな見方があろうかと思いますので、御答弁になるかどうかと思いますけれども、いま、たとえば増強工事費のために八兆六千億の債務がある。これはもちろん工事費につきましては、御案内のように借入金でやっておりますので、工事費の八兆六千億は当然これに充てる借入金が該当するわけでございますが、この中でいわゆる新幹線も含めまして輸送力の増強、あるいは合理化投資、あるいは保安のための工事というようなのがいろいろあると思いますので、それが一体いわゆる国鉄に他から、何といいますか、本来の投資でないといいますか、そういうものがどの程度どうだというようなことは過去にさかのぼってみませんとなかなかわかりませんが、やはり採算的には非常にいろいろ問題のある線につきましても、地元の要望なり、あるいは保安、安全というような問題もあって投資したものもありましょうし、それをどういうふうに見るかという問題があると思います。  それから、赤字ファイナンスの額につきましてこれはどういう分担になるか、こう申しましても、これもやはりいわゆる経営合理化が進まなかった、あるいは経費の切り詰めなりあるいはその他もろもろの節減が十分でなかったということによるものもありましょうし、あるいは構造的と言われております特定人件費等の資金が足りなくてそちらの方から借り入れをやったというような内容のものもありましょう。そういう借り入れによる利子もまたこの中に含まれると思います。いろいろ中身自体問題が、そうすっきりとえり分けられないのではないかと思います。確かに先生おっしゃいますように、われわれとしても、もう少しこの長期債務の残高の中でどういうような形でこれが分かれておるかということをさらに勉強はいたしたい、こういうふうに考えております。
  162. 青木薪次

    青木薪次君 いろいろなことがあると思うのでありますが、このままいったら、また累積債務についてはこれはひとつこの際また後送りして、そしてやっていくということになるとするならば、これはこんなに議論をしてこの監理委員会法が成立するというような一汗かく必要はないということになるわけであります。  今度こそは後のない計画だということを言われるならば、今日までいわゆる経営努力をもってしてはとうてい不可能な欠損、いわゆる構造的赤字とこう言っているわけでありますが、これらの点について、先ほど冒頭申し上げたように、附帯決議も何にも実施してこなかった、こられなかったというよりは私はこなかったと言った方が正しいと思うんです。ですから、そういうことから、問題を先送りしてきたやはり政府、特に大蔵省の責任というものは大きいと思うのでありますが、その点、大臣、どういうようにこの問題に対する対処をするのか、決意のほどをお伺いしたいし、また監理委員会ができましても、この数字的なもの、政策的なもの等についてやはりこれから大いにひとつ御進講申し上げなきゃいかぬと思うのでありますが、その点についての御決意も含めてお願いいたしたいと思います。
  163. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 監理委員会が生まれまして、内容をいろいろ御討議される場合に資料を提出したりする人々もあるでしょう。私も所管の一人でございますから、ことに皆さん方と一緒に国会立場からこれを御審議申し上げた者といたしまして、できるだけいろいろな話も聞きつつ、そしてまたほかの方々とは別に国会議員の感覚で物を見ているものなどを御報告申し上げて万全を期したい、こう思います。  従来、とかく決議して一年以内にだめになったという話が出ておりますが、それはせんだっての運賃値上げのときがそうでして、値上げした途端にその金はよそに使わなきゃならぬ。今度でも二年前に経営計画を立てたもののお客さんが乗らなきゃ赤字になるのはあたりまえですから、それじゃこれは人は要らないということから結局削るようになる。問題は、お客さんを集めることなんです。そういう努力をして、そしてそれを健全なスピードのあるところの経営をして、人気をとっていくかということだろうと思いますから、ですから、これは国鉄総裁初め国鉄の問題だけじゃなくて、今度の場合は日本じゅう全体の者の知恵で国鉄を生かす。かつてデイスカバージャパンという宣伝ポスターを国鉄が観光宣伝するためにかいたが、本当にそういう意味ではディスカバージャパンを新しくやらなきゃならぬ、こういう感じを持っております。
  164. 青木薪次

    青木薪次君 設備投資のための長期債務についても、国鉄の場合には道路や空港やあるいはまた港湾等とは異なって、全資金を借入金に頼らざるを得なかったという点について私は午前中もちょっと触れたのでありますけれども、きのうの梶原委員の質問等においても、これは国の投資配分の関係だ、したがって膨大な投資についてもこれから国の立場国鉄をどうするかということを考えざるを得ないのじゃないか。  もちろん、分割民営化してみんな民間企業に渡ってしまうというならこれは別ですけれども、恐らくその点については政府の思惑とは違って、引き受け手がないということになるならば、ひとつその点についてどうするのか。膨大な投資は続けていかなきゃならぬ。これは多い少ないはあっても続けていかなきゃならぬということになれば、やはり今後において政府も全く変わった立場でもってこの問題に対応せざるを得なくなるのじゃないかと私は思うのでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  165. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 先生おっしゃいましたように、確かに借入金で工事をやっておりますと、それの資本費が非常に経営を圧迫するということは確かでございまして、また現状におきまして、国鉄経営上、設備投資の借入金による実情もそういうことでございます。  この前、総裁が答弁をいたしておりましたが、長い間の歴史で、そういう形で借入金で従来採算的にもとれておった鉄道ということもありまして、そういう経緯もあります。利子のない金で投資をしていくということになれば、これは確かに国鉄経営上も非常にいいわけでございます。現実には三・五%を超える利子につきましての利子補給ということで、そういう利子のつく金で国のそういう助成を受けながらやっておるということでございますので、現時点におきましては、やはりこういう経費を極力圧縮して、そして経営にできるだけ影響がないような形で当面は工事を進めていかなければならないのではないのか、こういうふうに考えております。
  166. 青木薪次

    青木薪次君 私鉄においては、新線建設する場合に、初めに用地を買って、開発計画を立てて、そして団地の施設や観光施設やその他をやって、そして新線建設をするわけです。したがって、不動産事業というのが前に出ている。一定期間たてばすぐペイをしてしまうということなのでありますが、いまの鉄監局長のおっしゃるように、三・五%以上の関係等については国が負担する、これは少しぐらいの利子負担をしたぐらいじゃ間に合わぬわけです。あなた、どういう気持ちで言っているかわからぬけれども、これだけやっていったのだというような恩恵的な問題じゃないというように私は考えるわけです。ですから、借金をして投資する、全部借金だというところに問題がありはせぬのか、こういうことの答弁を求めているので、やはりその点から考えて、抜本的に負担の軽減措置をする必要に迫られているということについて、どう考えますか。
  167. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 投資のやり方につきまして抜本的に考え直したらどうかという御質問でございますが、現在の国の財政状況等考えまして、あるいは公共事業についても全体的に抑制というような方針の中で現在の国鉄の投資のやり方を変えるというのはやっぱり現実になかなかむずかしい問題がまだあると思いますので、先ほど申しましたように、若干の利子補給といいますか、財政当局としてはそれなりに千数百億の助成金を出しておるわけでございますので、その範囲内でできるだけ投資規模を必要最小限度に抑えながら当面投資を続けていくということでやっていきたい、こういうふうに考えております。
  168. 青木薪次

    青木薪次君 いまの国鉄再建法は現在も生き続けているわけですね。それから、国鉄経営する事業再建推進に関する臨時措置法ができれば、そこから生きるわけですね。だから、両方とも生かしながらやっていくというところに非常に対応の苦しさというか、本委員会における答弁だって非常に苦しみがあるのじゃないかと私は思うんです。二刀流でやっていくんだから。だから、そういうことについては、私は監理委員会の方にウエートがかかってくるというように思っているわけでありますが、この累積債務の問題については特に監理委員会の最重要なテーマになる、私はこう思うんです。  この間にも、しかし債務はふえ続けるわけであります。ですから、少なくとも赤字のための長期債務という問題については、監理委員会検討を待つまでもなく、これまでの例にならって棚上げ措置をしていかないと、これは監理委員会法を制定する意義と役割りというものについて相当変わってくるのじゃないかというように思いますので、その点、大臣、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  169. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 監理委員会の中身まで入って御心配いただきます御審議、私は結構だと思っております。  大事なことは、やっぱりそういう累積債務、赤字をどう処理するかということが、どんな監理委員会が生まれても、分割民営前提であってもそれは大きなテーマだろう、こう思うのです。  私は、生産に通ずるところの借金というものはそう苦にしない。たとえば、さっきも東北新幹線あるいは上越新幹線があるという話が出ましたけれども、投資して、いまは借金であっても、二十年後にそれが全部自分の財産になる、みんなパアになった非生産的なものじゃなく、そのことによって毎日皆さんが仕事をして、そして日本の生産が上がり、国鉄の名前が上がるということならば、私はこれは生産的な問題であるから、借金というものもそう苦にしないで済むのじゃなかろうか。  ただ、非生産的なところにもしあるとするならば、そういうものをやっぱりこの際にきれいにしていきつつ、純粋の生産的なものに集中して、これでわれわれは仕事をやっていくのだというふうな目標を立てるようになったならば幸せだ、私、事業家じゃありませんけれども、そんな感じを持って実は見ているわけであります。  いずれにいたしましても、長期債務問題等々は、今後、監理委員会が生まれまして、いわゆる一番先にこちらの方もお願いしなきゃならぬことだろう、こう思っております。
  170. 青木薪次

    青木薪次君 監理委員会の任務と役割りというものについて、監理委員会政府から全然離れ、あるいはまた国民から離れて存在しているものじゃないんです。何か言うと大臣は、監理委員会の中身についての発言までということで、すぐあなたは引っかかる発言をするのだけれども、それは間違いですよ、運輸行政の責任者として。やはり監理委員会に注文するなら注文する、それを判断してもらうということだろうと思うので、そういう点については言うべきものはどんどん言ってもらって、今度こそはあらゆる国鉄の責めによらない問題について、苛斂誅求であったというような投資を含めて、ひとつ国としての対応については、中曽根総理も最大限尊重すると言っているんですから、その点に関してひとつ厳しく注文もしていただいて、そして高度な判断ができるような素材を提供してもらうことを要請いたしまして、私の質問を終わります。
  171. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 青木さん、激励ありがとうございます。  私も、ちょうどこういうときに運輸行政を担当しまして、長く国鉄に、運輸省にお勤めになった方もおありでしょうけれども、国会昭和二十八年に入ってきて、運輸委員会、そして自分で何ら商売もしないで国鉄のいろんなものを見てまいりました。そして、こんな破局的なときに、国鉄再建法案が生まれたから、おまえがひとつしっかり世話しろと、私は男冥利に尽きているのです。そして、私が皆さんの御意見を聞いて、これならばだれをしても文句言われない、こういうことでしっかりがんばろう。こういうふうに考えておりますから、ぜひひとついい知恵、これによって御支援のほどをお願いいたします。
  172. 立木洋

    立木洋君 長谷川大臣、この間、私がお尋ねしたのは、やはり国鉄を根本的に再建するという場合には、こういう事態に至った根本的な原因が明確にされなければならない、それをはっきりさせないで幾ら手を打ってもだめだということで、無責任な投資のあり方の問題から、実際には自分の意思から離れた結局投資の責任を負わなければならないような状態や、あるいは借金財政や無計画な交通総合政策問題等々、いろいろお尋ねをしました。大臣は、その席で、その点についてはさらにもっと勉強してみたいというお話でした。きょうは私は、分割民営の問題について若干立ち入ってお話をして、いろいろとお尋ねをしたいと思うんです。最初に、私は林さんにいろいろお聞きしたいので、大臣、しばらく休んで、よく議論内容を聞いておいていただきたいと思うんです。  林さん、御承知のように、この間、北海道に行って公聴会をやりました。公聴会の席上で、つまり事実上、今度の分割民営を、基本的なこれを尊重するという内容監理委員会法案について賛成の方が小林先生とそれから重森専務、お二人が出席された。しかし、実際には北海道の場合というのは特別に目をかけてもらわなければ困るというふうな趣旨の発言も最後にはあったわけです。一北海道の道民であるという立場から述べさしていただきたいというお話もあった。ところが、その経過の中で明らかにされたことは、つまり分割民営ということが言われているけれども、この法案それ自体にはこのことが明言されていない。ということは、いまの国鉄の状態ではよくないということはわかるが、何とかしなければならない、そのためには一つのショック療法といいますか、こういう形で十分に議論をして、そしてその中で英知を集めていい道を見出していく、そういうものとしての賛成だという趣旨だったと思うんです。  それで、改めて最初にお尋ねしておきたいんですが、つまり分割民営という問題について繰り返し発言されているのは、これは基本的な方向としてそういうことがあり得るけれども、しかし検討のいかんによっては分割民営化という経営形態をとらないこともあり得るということを再三言われていると思うんですが、準備室の見解としてはどういうふうになっているんですか。もう一遍明確にしておいていただきたい。
  173. 林淳司

    政府委員林淳司君) 今回の法律におきまして、その点についての解釈でございますけれども、臨調答申を尊重して体制の整備を図る、こういうことでございますので、監理委員会としては分割民営化という方向でまずは検討を行っていく、白紙の状態ではなくて分割民営化方向検討を行っていく、こういうことだろうと思います。ただしかし、これから検討することでございますので、十分詳細な検討をした結果、分割民営化ということではどうにもならない、それによりがたいという合理的な事由がもしありました場合には、その場合には分割民営化以外の経営形態というものを究極的な結論として採用することもあり得ないことではない、解釈上そのようになるというふうに考えております。
  174. 立木洋

    立木洋君 つまり分割民営化としては重大な支障が生じるということも、いままで発言を何回かされています。そういう場合にのみといいますか、そういう場合には別の結論をとり得ることもあり得る。その重大な支障といいますか、そういう分割民営化をとらないというふうに想定される条件というのはどういうものでしょうか。
  175. 林淳司

    政府委員林淳司君) 条件と申しますか、分割民営化によりがたい重大な支障というか、分割民営化によることについての重大な支障というのはどういうことかということかと思うのでございますが、それについては、言いかえれば、先ほど申しましたように、分割民営を採用するということについてそれを採用しがたいという合理的な事由があるということであろうと思います、言いかえれば。その合理的事由があるというのはじゃ一体どういうことかということになるわけでございますけれども、これは一般的に申し上げれば、分割民営という具体的な案というものについて、それがいわゆる臨調答申の目指す経営の効率化、活性化という目的というものはそれではとても達成できないなというふうに大方の人がなるほどとこう納得するような、要するに合理性があるというふうに大方の人が納得するようなそういう事由だろうという、現段階ではまだこれから検討をして、具体的な内容はこれから出てくるわけでございますから、現段階ではそういう一般的な基準と申しますか、一般的な考え方というふうに申し上げるしかない、こう思います。
  176. 立木洋

    立木洋君 どうも林さん、その辺がいつもあいまいなんです。何回議事録を読んでみても、そこの辺がはっきりわからない。  それじゃ、ちょっと言葉をかえて聞きますけど、言うならば国鉄というのは公共の福祉ということで第一条に述べられているようにこれで発足したわけですね。そうすると、この分割民営でやったら公共性が著しく侵されるというふうな問題がその重大な支障の要点に入っていますか、内容に。
  177. 林淳司

    政府委員林淳司君) 今回の法律は、国鉄経営する事業再建でございますから、したがってその国鉄をだめにしてしまうということではなくて、あくまで国鉄が現在やっております事業というものを再建していく、こういう観点に立っております。したがいまして、現在の国有鉄道法上の公共性というものとイコールであるかどうかは別といたしまして、やはり国民にとって本当に必要な鉄道輸送サービスというものはこれはやっぱり維持し、発展さしていかなきゃならぬ、こういう前提に立っているわけでございます。  したがって、具体的にそれじゃ重大な支障とかあるいはそのよりがたい合理的な事由というのは、具体的にどういうふうにその事業というものが継続できるかどうかというあたりのことになろうかと思いますけれども、その辺についてはやはり検討してみた結果、その具体的なそれぞれの個々のケースに応じて判断をするしかしようがないだろう、こう考えます。ただ基本的には、ただいま申し上げましたように、国民にとって本当に必要な輸送サービスというものは維持をしていくという前提経営形態検討していくということであろうと思います。
  178. 立木洋

    立木洋君 つまり、いまちょっとあいまいだったんですけれども、しかしいずれにしろ国民公共の福祉という、これが著しく侵されるというふうなことがあってもやはり困るわけですから、だからこの点も検討する重大な支障の一つの側面としては考えに置いていい、それがすべてとは言わないけれども、その公共性というものの内容はまた別としても、公共の福祉という観点から重大な支障ということは一応念頭にあると。いいですね。
  179. 林淳司

    政府委員林淳司君) その重大な支障というのはこれは相対的な問題だろうと思いますので、ほかのメリット・デメリットというものを比較して……
  180. 立木洋

    立木洋君 いや、あるかないかだけでいいんです、次に進めますから。
  181. 林淳司

    政府委員林淳司君) 判断をする問題だろうと思いますけれども、いずれにしても監理委員会検討していく場合に、いまの国民にとって本当に必要な輸送サービスというものはこれは確保していくというのが一つの大きな視点だろうと思います。
  182. 立木洋

    立木洋君 それから、もう一つの面は、たとえば採算が成り立たない、分割民営では。そして、そのものが実際に引き受け手もないから、そこには交通機関としての鉄道そのものがその地域にはほとんど見込みがなくなる、分割民営では。というふうな場合も重大な支障というふうに考えていいですか。
  183. 林淳司

    政府委員林淳司君) 引き受け手があるかないかというのは、これは具体的な内容によるわけでございまして、現在の制度あるいは仕組みというものを前提にして、そしてその採算というものを考えた場合に、それは成り立たないというケースが非常に多いと思います。しかし、それはこれからその仕組みも含めて検討していくわけでございますから、経営自主性とか、営業の自由度とか、そういうふうな問題、あるいは構造的な諸問題の解決の仕方、あるいは場合によって必要に応じて採用されるべき助成制度というもののあり方、こういうふうな諸要素というものを十分勘案して採算性というものを検討していくことになろうと思いますので、したがいまして、その採算性というものも、ただ単に現状を前提として考えるべき問題ではなかろう。その辺のところは監理委員会でこれから十分検討した上で、その辺の採算性がとれるかどうか、したがってそれに対する引き受け手が出るかどうかというものはその検討の結果出てくる問題であろうということで、現段階で引き受け手があるかないかということについて、それを仮定の問題として議論するのはちょっとむずかしかろう、このように考えております。
  184. 立木洋

    立木洋君 引き受け手の問題はまたさておくとして、そうすると分割民営をやってその地方としては採算が成り立たないというふうな状態でも分割民営はやることがあり得る、逆な聞き方をしますけれども、それでいいんですか。
  185. 林淳司

    政府委員林淳司君) 先ほど申しましましたように、いろんな要素、これは助成制度もその中に入りますけれども、いろんな要素を絡めてその採算性というものは考えていかなきゃなりませんので、いまちょっとその辺のところ、仮定の問題としてこういう状態ならどうかというふうにこう御質問いただきましても、なかなかその辺は御答弁申し上げにくいということでございます。
  186. 立木洋

    立木洋君 林さん、これは重大な問題なんです。臨調が出しておるのは、分割民営でなければならないと言っているんです。そうでしょう。臨調が出しているのは、分割民営でなければならないけれども、そうでなくても結構だなんという結論を出していないんですよ。分割民営でなければならないと言っているんだ。それを政府が採用する場合に、どういう形に採用するか。そうでない場合もあり得るならなぜあり得るのか、はっきりとした方向を出さなかったら国民をごまかすことになるんですよ、分割民営臨調はやれと言っているのに、そうでない場合もあり得るという答弁をしているんですから。だから、そうでない場合があり得るなら、どういう根拠でそうでない場合があり得るのか、はっきりしなかったらわからぬじゃないですか。一体なるのかならないのか、分割民営にするのかしないのか、国民は惑うでしょう。大臣、いかがですか。
  187. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 前から御答弁申し上げているように、分割民営を原則として監理委員会は生まれるわけです。そこでの御協議の中にどういう結論が出るか。恐らく分割民営として出すでしょう。しかし、いろんな場合が、時に人間のやることだからあり得るのじゃなかろうか、これだけに私は一つの余裕を持っておるわけです。
  188. 立木洋

    立木洋君 大臣、人間であるからそういうこともあり得るかもしれないという形での答弁では、これは国として施策を決めるわけですから、そしてこの監理法案を出してきて、いわゆる分割民営 を基本的な方向でやります、そうでない場合もあり得るという答弁をするからには、どういう場合がそうでない場合があり得るのか、これははっきせぬといかぬでしょう。そうしないと、こちらのことになるかもしれぬ、基本はこうですよ、しかし場合によったらこんなこともありますよ。そして、それならばどういう場合にそうなるんですかという根拠が明確にされないで、いままで政府法律を出して、なぜそういう法律を出したんですか、その根拠をはっきりしてください。こっちは基本ですけれども、こんな場合もあり得ますよというふうな説明したこと、ほとんど聞いたことないですよ。それがいいか悪いかは別として、政府政府なりに私はこう思うからこうして出したのだと。だから、今度の答弁は、そういう意味でこれは大変あいまいで、国民もどういうふうに行くのかさっぱりわからない。  じゃ、大臣がそういうふうな答弁されたんですから、それはそれとして、もう少し話を進めましょう。  林さん、政府臨調答申の基本的かつ最も重要な施策というのは、この現行の公社制度ではだめだというふうなことになって、つまり分割民営でなければならないということになっている、臨調答申は。これを政府としては最大限尊重すると言っているんです。それから、あなた自身が衆議院で答弁した内容には、これは基本的方向としては妥当なものです、こういう方向づけをしているわけですね。分割民営が基本的な方向としては妥当だと言われる根拠、これは最大限尊重するという、中曽根さん自身も言っているんだけれども、この根拠は何ですか。妥当だと言われる根拠。
  189. 林淳司

    政府委員林淳司君) 臨調答申分割民営というものを一つの手段として出しておりますけれども、その基本に流れる思想というものは、現在の仕組み制度という中で部分的な手直しで国鉄再建を図ろうとしても、もうそういう事態ではない。現在の枠組みを超えて、その仕組みを超えて再建を考えなきゃいかぬだろう。それは具体的にはじゃどういうことかというと、経営自主性を付与する。それを裏返せば経営責任を明確にするということだと思いますが、そういうふうな問題、あるいは営業にもっと自由度を与えるというふうな問題、こういうふうないわゆる仕組みまで立ち入った検討をしてしかるべき改善を図っていくということでなければなかなかいまの状態の国鉄再建できないであろう、こういう考え方が基本に流れていると思います。それで、その手段として分割民営というものを提言しているのだと思います。  政府がこの答申を最大限尊重していくということについては、基本的にその方向づけ、目指すところ、臨調答申の基本的な方向、考え方というものはまさにそのとおりではなかろうか、妥当性があるということで、これを政府としては尊重して施策を講じていきましょうということでございまして、そういう臨調答申に流れる基本的な思想というものについてわれわれは妥当性がある、こう考えておるわけでございます。
  190. 立木洋

    立木洋君 それは若干言葉のあやであって、私の質問に対しては明確に答えられていないんですよね。    〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕 つまり、あなたが言われるには、分割民営でなければならないという根拠、臨調が出しているのは分割民営でなければならない、公社制度ではだめだ、これが病源だ、病気のもとだと言っているんでしょう。そういう考え方もあり得るということであれば、これはそうでない場合もあり得るという、さっきの質問に通じるわけですよ。だけど、これは基本的には妥当だと言うんでしょう。そしたら、分割民営でなくてはならないという根拠、そして公社制度では絶対にだめだという根拠を、これを尊重するという前提として明確に国会に提示しなければならないわけじゃないですか。その根拠は一体どこにあるんですか。
  191. 林淳司

    政府委員林淳司君) 臨調答申についてどういう議論が行われたか、それは別問題といたしまして、私ども十分承知しているわけではございませんけれども、ただいま申し上げましたように、臨調答申というものの底流に流れる思想というものについて私どもは妥当性を見出しておるわけでございまして、臨調は、確かにおっしゃるように、いわゆる方法としましては分割民営というものを唯一の方法として提言しております。  そこで、政府はその臨調答申を尊重してということで今回法案を御提案申し上げているこの法案仕組みでございますけれども、第一条の「(基本方針)」にありますように、臨調答申を尊重して体制整備を図る、監理委員会はその基本方針に従って仕事をしていく、こうなるわけでございます。その「尊重して」というのは、特段の合理的な事由がなければ——あれば別でございますが、特段の合理的な事由がなければその本来趣旨とするところに沿ってやっていくということでございますので、「尊重して」という解釈は私どもはそのように解釈いたしております。  したがいまして、臨調答申が言うところの底流に流れる思想というものを尊重し、かつ分割民営という方向も尊重し、したがって監理委員会としてはまずは分割民営という方向検討を進めていく、これは尊重してやっていくということでございます。ただしかし、「尊重して」という言葉の、先ほど申し上げましたように、その意味合いからして、これから検討するものである以上、検討した結果どうしてもそれによりがたいという場合もこれは絶対ないとは言えないわけでございまして、その場合には別の結論を選ばざるを得ない、こういう場合もあり得る、これは「尊重して」という言葉の範囲内の問題である、解釈上の問題である、このように考えているわけでございます。
  192. 立木洋

    立木洋君 あなたも先ほど聞かれただろうと思うけれども、後藤田官房長官が、臨調答申の議事録を読まれましたかと言ったら、これを読んでいないと言った。詳しい説明を聞いたかと言ったら、詳しい説明は所管大臣でないから聞いていない。行管庁長官も議事録を読みましたかと言ったら、議事録を私も読んでいない。だから、分割民営が基本的な方向としていわゆるいい、しかし具体的にはその議事録の、何が議論されて、どういう問題がなったのか、正確には閣僚が読んでいないんですよ。しかし問題は、分割民営でなければならないという方向答申として出した。その場合に、臨調が出した答申だから、せっかく臨調が出してくれたのだから、臨調が出したという意味で尊重する、内容については、基本的にはそういう考え方があるけれども、それは別の場合もあり得る、そういうふうな考え方はどうですか。
  193. 林淳司

    政府委員林淳司君) 臨調が出したから尊重するということではございませんで、先ほど申しましたように、臨調答申の考え方、目指すところというものについてこれは妥当であるということで、政府としてはこれを尊重していくということにしておるわけでございます。そういう考え方で私どもは対処しておるわけでございます。
  194. 立木洋

    立木洋君 大臣、さっき私がお尋ねしたのは、つまりこうでない場合もあり得る、変わり得る場合もあり得る、それがどういう場合に変わり得るかということもはっきりした根拠はないわけですね。人間の考えだからそれは万全ではないからという一般的な解釈でお片づけになった。いまの問題でもそうですよ。これは基本的には妥当な方向だ、しかし実際には検証されていない。また、閣僚自身も読んだかというと、読んでいない。大臣自身だって臨調の議事録を読んでいないだろうと思うんですよ。ところが、実際には、それは思想的な方向としては基本的にはその流れを尊重するのだというふうなことで、この間の大臣の御発言では私はこれから分割民営一本でやっていきますという発言までなさっている。非常にこの答弁なさる内容というのが変わるわけですね。  そして問題は、本来ならば、法案が出される場合にはその法案の根拠づけ、それを尊重するというならば尊重する根拠、変更があり得るなら変更があり得る場合の条件、これらのことはすべて提示して、そして御審議を願いたいというのが、これが国会のあり方だと思うんです。これらの問題が全部あいまいで、それならばそのもとにさかのぼって議事録まで出してくれ、そうしないと審議できないじゃないかと言っても議事録も出さない。そうすると、結局はこの監理委員会に対する白紙委任ということを要求するきわめて非民主的な議論の仕方だとはお考えになりませんか。
  195. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) この法案をお願いいたしまして、その間の説明というものは、国鉄というものの経営がいまのままでいいかどうか、いろんな問題が幾つか出たわけです。そうした問題の一つの解決として臨調分割民営ということで来ましたし、またそれがいまの場合には国鉄がりっぱになる私は一つ方法であると思います。ただ、原則でありますから、この場合はこうだ、これがだめになった場合にはこうだというふうに例示がほかの法律案と違ってできないうらみがある、これはやっぱりお認めいただかなければいかぬと思っております。その例示のできないところをいま林君とあなたの間で押したり引いたりしていりゃ結局そこへ行ってしまうのですね。私は、そこのところの違いというものがお互い議論の中にあるというふうに感じております。
  196. 立木洋

    立木洋君 それはお互いに引き合い押し合いじゃなくて、林さんがちゃんと答えてくれれば問題ないんですよ。いいかげんな答えをするから押し合い引き合いになってはっきりしないんですよ、私の方ははっきりしているんだから。大臣、それはお考えを間違えないように。林さんがちゃんと答えてないから問題はぼやかされてはっきりしていないんです。私の方ははっきりしているんです。  佐々木さん、ちょっと済みません、前の方に。  加藤寛さんと山同陽一さんが書かれているこの「再生の構図」、これはお読みになっておられるだろうと思いますけれども、お読みになっておられますか。
  197. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 精査をしたかと言われるとちょっとあれですけれども、一応、一読はいたしてございます。
  198. 立木洋

    立木洋君 林さんは、これをお読みになっていますか。
  199. 林淳司

    政府委員林淳司君) この本が出されたときに、ざっと目を通しております。
  200. 立木洋

    立木洋君 精査じゃない、ざっとじゃ、ちょっと困るんですよね。  これは臨調の第四部会長が国鉄分割民営でなければならないということを書いている本なんですよ。これは臨調検討した内容に基づいて書いているんです。これをいいかげんに読まれておったのじゃ私は困るんだけれども、ここにこういうふうに書いてあります。  この臨調に対して部会報告に対するいろいろな批判がある。「「具体的数字を挙げない観念論」とか、「分割・民営後の数字の裏づけを持った展望がない」とか、「具体的施策をすべて監理委員会に委ねた分割・民営論」というのが多かった。私たちはその批判は承知の上で、分割・民営化を提案したのだった。」と書いてあるんですね。その後に、「しかし、一つの改革提案をするからには、その可能性、将来展望について、単に観念論ではなく、施策と数字によるある心証を持っていなければならないこともまた当然である。事務局はこの見地から国鉄および運輸省の提出する限定された資料をさまざまな角度から分析して、一つの未来像を描き上げていた。」、明確にこう書いてある。  その事務局の責任者をしておったのがあなたですね。この「一つの未来像を描き上げていた。」と言われるこの「未来像」をここに御提示いただきたい。資料を出していただきたい。いかがですか。
  201. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 当時の加藤部会長あるいは山同先生、こうした方々がもろもろその後研究されたこともこの中に一応入っておるわけであります。当時、臨調の第四部会でもろもろの論議をいたしました。これは運輸省なりあるいは国鉄からの提供されました資料、主としてこれは監査報告書を中心といたしておりますけれども、それらにつきましての諸般の分析、検討をいたしたことはこれは事実でございます。しかしながら、それを集大成しまして一つのビジョンとして数字的な根拠を確定させた事実はございません。したがいまして、加藤部会長の御本の中にいまお読みのような文言がございますけれども、そうしたような確定的な、いわば統一的な数字によるところの像を描いたことはないわけでございまして、これについて幾つかのもろもろの論議があったということにとどまるわけでございます。
  202. 立木洋

    立木洋君 形容詞を大分幾つかつけられました。確定的なものはない、統一的なものはない、総合的なものはない。だけど、あるのはあるんでしょう。
  203. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) たとえば、当時、経営改善計画によるところの六十年度三十五万人という体制についての国鉄から提出された資料がございました。そうしたもので果たして今後採算性がとれるのか、あるいは六十年度における経営改善計画によるところのいわばパフォーマンスをたとえば予定しました場合に、その場合でも国庫助成を除きますと二億近い赤字がある、その場合にどの程度までこれを引き下げなきゃならぬかというふうなことについての幾つかの論議をいたしたことはございます。ただし、これについてたとえば人員については幾らとか、それから設備投資については幾らとかいうふうな議論をいたしたことはございますけれども、いま申しましたように、それは幾つかの物の考え方が一応ございましたものですから、一つに統一されて出されたわけではございません。したがいまして、いま先生が言われた未来像というふうな形でまで固まったものを論議をした事実は部会ではございません。
  204. 立木洋

    立木洋君 一つには固まらなかったかもしれないけれども、いろいろなものがあって、ここで加藤さん自身が書いておるのは、この「未来像を描き上げていた。」。それを参考として彼が試算しているわけですね。だから、試算するからには試算するもとのものがあるんですよ。もとのものがなければ試算ができない。これは大変な試算をしていますよ、この後ろの方に。ごらんになっているだろうと思うんですね。試算をするからには試算をする材料があって、一つのやっぱりデータがあって、そしてそれに基づいて試算したわけでしょう。だから、あなたがあくまで未来像というのがあると言うのがお嫌でしたら、私はそういう質問の仕方をしますよ。未来像があるだとか、ビジョンがあるだとかいうのに答えるのがお嫌でしたら、そのもとになっている資料を出してくれませんか、事務局で。こういうふうに先生自身が言われているんだから。
  205. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 先ほどお答えを申し上げましたように、例の国鉄の監査報告書、それから経営改善計画、そこにあります諸数字、これについてのもろもろの分析をしたことはございますけれども、いま申しましたように、事務局の中でこうしたものについての体系を組み立てたという事実はございませんし、後の試算のこの加藤先生の表は、加藤先生とそれから山同先生とがこの表書きにも一応書いておられますように、もろもろ後で相互で御勉強になってこうしたものを一応おつくりになったものであって、まだその当時の事務務局の状況ではこうしたような基礎数字を精査するには至ってなかったわけでございます。したがいまして、御要求の資料的な価値を持つようなこうしたような数字はございません。
  206. 立木洋

    立木洋君 ここでは、加藤さんが私はとは書いてないんです。「事務局は」と書いてあるんですね。「一つの未来像を描き上げていた。」というのは、「事務局」が主語なんですよ。私はじゃないんです。この百三十八ページのところにはっきり書いてある。そうすると、加藤さんと山同さんが一つの未来像を事務局が描き上げていたというのは正しくない、間違っておる、うそだと。いいですか。
  207. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) これは、事務局が一つの未来像を描いていたということについては、恐 らくは加藤部会長あるいは山同専門委員の事実誤認に基づくものだと考えます。「はじめに」の二ページにも一応ございますように、「学者と経営実務家の立場の双方から十分に意見の交換を行い考え方の調整を図った。」ということを一応書いておられますけれども、その後お二人でもって、若干当時の事務局員も一応つき合いまして、こうしたような数字を非常に整理をされて、お二人でもってこうしたものをおつくりになったものと、こうしたように一応理解をいたしております。
  208. 立木洋

    立木洋君 事実誤認されたのだろうとあなたはおっしゃるけれども、いずれにしろ、それは事務局が出したということを誤認されたのか、あるいは事務局のだれか一部の人が出したのを事務局が出してくれたというふうに誤認したのか、いずれにしろそういうものがあるという意味では加藤部会長が書いているのは正確なんですか。
  209. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) ばらばらの数字を分析結果として幾つか持っていたことは事実であります。たとえば人員がどの程度でならなきゃならぬかとか、それから営業収入がどの程度でならなきゃならぬかとか、そうしたものについてばらばらの数字を幾つか確かに当時議論をした記憶はございます。ただし、先ほども申しましたように、そのばらばらの個別の事項について、まさしくそのばらばらの数字が幾つか一応ありまして、それでこれらについての論議を重ねたということもまた事実でございますけれども、いま申しましたように、これを一本にして、しかも一つの体系にまとめ上げる、つまりここの後の表にありますようなものにまとめ上げるような作業は、当時はとても時間もなくて、そこまでのことはいたしておりません。
  210. 立木洋

    立木洋君 あなたはまとめ上げていないということを盛んに強調されますけれども、まとめ上げるまとめ上げない、最終的な結論であるないにかかわりなく、いわゆる試算をする資料は出されているんですよ、加藤さんのところに。あなた自身も、それはばらばらの形でと、あなたはいま言っているんです。だから、それを出してください。どうですか。
  211. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) いまばらばらにと申し上げましたのは、先ほど申しましたように、経営改善計画なりそれから監査報告の数字についての幾つかの議論をやりましたときに、それぞれについてこの程度じゃだめじゃないかというたぐいのことについて論議をし、それでせめてこの程度にというふうなことを幾つか議論をした経緯があるということを申し上げているわけでありまして、したがいまして、個別の事項についてA案もあればB案もあるというたぐいのものはそのときどきにお互い議論をした経緯は一応ございます。しかしながら、たとえばいま先生御要求のような、いわば権威あるといいますか、当時統一的に論議をした数字というふうなものはこれはないというのが実態でございます。したがいまして、いま御要求ありましても、これはないわけでありますから、とてもその御要望に応ずるわけには一応まいらない、こういうことでございます。
  212. 立木洋

    立木洋君 佐々木さん、この最初の「はじめに」というところにこう書いてあるんです。「四つの部会報告は調査会での審議とりまとめの過程でおおよそ半分の量に圧縮された。そのため答申を読んだだけでは、当事者以外理解しにくい点のあることは否めない。」と書いてあるんですよ。答申を出した本人たちが、答申を読んだだけでは一般の人にはわからない、当事者以外は。こんなことを書いているんですが、これを、あなた、どう思いますか。あなた、次長だったのじゃないの。
  213. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) ここに書いてありますことについては、私どもはこう解釈をいたしております。  四つの部会からそれぞれ膨大な報告が一応提出されました。これが基本答申になったわけであります。大体そのトータルが、ページ数で申しますと、ほぼ二百数十ページにわたっていると思います、四つの部会で。それを、これではどうにもならないということでもって相当程度に圧縮整理をした事実がございます、調査会段階で。そこで、たとえば国鉄なら国鉄についての答申の分量はほぼ部会報告の当時に比べまして半分になっておるわけであります。そのことを、ここでは「おおよそ半分の量に圧縮された。」というふうに書いておられるのだと思います。  ただ、要するに調査会の答申は簡にして要を得たといいますか、そうしたものにしたい。特に、総論段階でもってある程度意を尽くしておりますので、個別の部会の意見の部分についてはいわば処方せんの部分だけになっておるのもまた事実なんであります。その中には、当然のことながら専門用語もいろいろと出てまいります。その専門用語について、いわば答申を見ただけでは専門家以外にはこれはちょっと理解できない、これまた当然のことだろうと思います。たとえば年金のところで追加費用なんという言葉も使っておりますけれども、その言葉自体について直ちに一般の方々がおわかりにならないという部分が一応当然あるだろう。そこで、そのあたりについての解説をしておきたい、当然御自分の御見解も含めまして、というのがここに序文をお書きになった趣旨であろうと思います。当事者以外に理解できないというよりも、むしろ専門家以外に理解できないという部分が、処方せんですからテクニカルタームを当然に一応使いますから、あるのはこれは必然でありまして、それについての解説をこの際お書きになるという御趣旨でこうしたようなことをお書きになったもの、このように理解いたしております。
  214. 立木洋

    立木洋君 佐々木さん、当事者と専門家と言い違えたらだめですよ、本人は「当事者」と書いているんですから。これはあなたの感じで、専門家以外はというふうにあなたはそう考えるという意味で。
  215. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) はい、さようでございます。
  216. 立木洋

    立木洋君 本人は「当事者」と書いている。  それから、これでこの本を「一面では臨調基本答申の解説書」というふうに本人が書いてあります。これは正確ですか、すべて。いかがです。
  217. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) いま申しましたように、私一読をいたしましたときの感じを一応申し上げますと、大体事実に沿っておると思います、物の考え方は。ただ、先ほど議論がありましたように、事務局で未来像を一応描いておったとかいうふうなところについてはこれはやや事実誤認があると考えます。若干、部分的にそうしたところなしとしないとは思いますけれども、全体としてここに書かれてありますことの経緯、それから物の考え方、これは当時の部会の考え方の大筋を入れたものだ、このように考えております。
  218. 立木洋

    立木洋君 先ほど来議論してきましたけれども、一つの未来像としてつくったかどうかという問題、これは、あさって御本人が来ますから、加藤寛さんが。あなたにも来ていただいて、ここで両方どちらが正確かちょっとお尋ねしてみようかと思います。それから、これに対するあなたの評価についてもいろいろ聞いてみたいと思います。  それで、林さん、この後ろに書かれてある試算、これについてはどういうお感じをお持ちですか。ほぼ正確なのか、こういう試算はいいかげんなものだと言われるのか、あるいは妥当なものだと言われるのか、若干問題があるが基本的にはいいと言われるのか、あなたがお好きな基本的な方向は妥当だと言うのか、いかがです。
  219. 林淳司

    政府委員林淳司君) これは加藤先生と山同先生お二人が共同で作業された内容だと思いますので、これがいいか悪いかという評価はこれは客観的に見て私どもとしてはちょっと判断を下しかねるという感じでございます。私どもとしては、こういうふうな手法でいろいろ物を考えていくということはそれはよかろうと思いますけれども、その数字が果たして妥当であるのかどうかということについてはにわかには判断しがたい、こういう感じでございます。
  220. 立木洋

    立木洋君 佐々木さん、いかがですか。あなた、一緒に仕事された部会長だったんですから、そのもとで仕事されたんですから、いかがですか。
  221. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) このような数字は、実は部会が終了しまして、その後、あれは去年の七月の三十日に答申を出しておりますけれども、この本はことしの二月に出版をされているわけであります。実は、先ほども申しましたように、その部会中あるいはその調査会の審議の過程を通じてもこうした数字はまだ出ておりません。その後、こうした数字について、先ほど申しましたように、整理をされたということであると思います。実は、この数字自体について、先ほど申しましたように、精査をいたしていないということもございますけれども、一つの考え方であろうと思います。その前のところで言っておられるように、若干数字というのはいろいろととりようによって変わるという面が一応ございます。ですから、固定的に考えられることはこれは適当ではないのだと思いますけれども、一つの考え方を、部会長それから山同専門委員がその後作業されてお示しになったもの、このように一応理解をいたしております。
  222. 立木洋

    立木洋君 鉄監局長、これをお読みになっておれば、あなたが局長として国鉄をずっとごらんになってきた観点から見て、いかが御判断なさいますか。
  223. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) そういう本があることは存じておりましたけれども、いまいろいろお話を伺っておりまして、勉強させていただきたいと思います。
  224. 立木洋

    立木洋君 大臣は、これをお読みになっていますか。——読んでない。  それはお尋ねしてもあれですけれども、一応の試算としてはといま佐々木さんが言われましたけれども、数字がひとり歩きするからいろいろな問題が出てくるでしょうけれども、ここで書かれているのは、非常に私は大変なことが書かれている。  これで見てみますと、これはデフレート四%で計算しています。計算した内容で、昭和六十六年に国鉄の従業員が二十三万六千人になるというんですよ。総裁、二十三万六千人になる。そして、どういうことになるかというと、投資、これが削減される。六十一年から六十六年度までは五割削減ですね。五十七年度の投資額を五十八年から六十年度にかけては六割、六十一年から六十六年度にかけてはさらに五割。それから貨物合理化。ヤード経由輸送が、六十年度に二分の一、六十三年度全廃。そして地方交通線がいま百七十五線ありますね、これが百三十一線が廃止されて、残るのが四十四線。これは大体四千人になると相応するのじゃないですか。こういう試算をしているのですよ。  委員長、資料を大臣にちょっと渡しますから、読みやすいように私つくってきましたから。(資料を手渡す)そして、その後に私の試算もあるので、後で言います。  こんな大変な試算がここではなされているわけです。この試算に対してはだれにお尋ねしたらいいのだろう。林さん、この試算いかがお考えですか、いま述べたような状況で。
  225. 林淳司

    政府委員林淳司君) これは、先ほども申し上げましたように、これをお書きになったお二人の先生方の考え方による前提でございますので、それについて私の立場らいいとか悪いとかいう判断はこれはなかなか下しにくい、こう思います。
  226. 立木洋

    立木洋君 鉄監局長、これはこの間、札幌に行って北海道総局の資料をもらったんですが、これを見ますと、設備投資等の実績ということで、五十六年度の数字までしか書いてありませんけれども、ここで言うならば、地上設備に対して大体保安及び公害対策の設備というのは約五〇%を超えるぐらい設備投資をしておりますね。これは、この間、高木総裁も言われた。先生、設備投資といっても、何もプロジェクトだけじゃございません、安全やそういう対策のためにも必要ですということを言われた。これは半分くらい占めているのです、北海道では。これは二分の一に削るということになると大変なことになるのですね。それから病院も自動車も分離するというふうなこと、それから貨物の大合理化の問題や地方線の廃止の問題。いま林さんがそういうふうに言われておりましたけれども、国鉄をいままで運輸省からごらんになってきた局長としては、この試算をどういうふうにお考えですか。
  227. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) まだはっきりわかりませんのですが、いまお話の項目につきまして、五割というのは、恐らく北海道の場合ですから、国鉄の投資のうち、私の感じでは、新幹線を含めて、たとえば去年まで一兆、それからことしが七千億という中で大体三割ぐらいがいわゆる安全、老朽取りかえというようなものではなかったかと思います。北海道あたりではあるいは、新幹線がありませんので、半分くらいだと思いますが、やはり投資につきましては極力圧縮するということでありますし、仮に新幹線は別にしますれば、半分ということは、全体の三分の一ぐらいが老朽取りかえということであれば、若干の輸送力増強等も緊急なものは残るのではないかと思いますが、はっきりいたしませんが、非常に投資について厳しい態度前提に置いて試算されておるなとは思いますが、それも一つのお考えかと思います。
  228. 立木洋

    立木洋君 大臣、その二ページ目からは私がやった試算ですから。一ページは加藤寛さんが書いたことを要約したものです。私も、加藤さんがこういうふうな試算をしているので、実際には北海道だとか四国、九州、こういうところはどういうふうになるのか。彼が試算をして書いている結論の部分のところにいきますと、こう書いてあるのだな。「現行助成を前提として、昭和六六年度には償却前でほぼ収支相償が見込まれる。」と書いてあるのですね。ところが、これは彼自身の試算のやり方でこういうふうにしているのだけれども、実際には、北海道だとか九州だとか四国だとかいうのは一体どうなるのか。私も、やはりデフレート四%にして同じように計算してみました。  大臣のお手元にだけ渡してありますけれども、収支の差が昭和六十六年ではマイナス一千九百二十六億円。これはもちろん支払いの利子なるものは算入しておりません。資金の不足額もずっとこれに書いてありますからおわかりのように、それの利子の支払い等々含めて償却前の損益が昭和六十六年には四千七百九十七億円、純損益が五千二百七十三億円、累積欠損が昭和六十六年では四兆一千百四十八億円、大変なものですよ。これは私が彼と同じ計算の仕方で計算したんです。そして、どうなるかというと、高木総裁、北海道では労働者がいま大体四万人余りだと思うんですが、ところが、これが昭和六十六年には一万五百人というんですよ。四万人いま働いている北海道の総局で、一万五百人で、あんな災害の問題から除雪の問題からあって実際に鉄道が運営できるか。大変なことですよ。  それから、これはたとえば九州の場合でどうなっておるかというと、これは収支の差が一千三百六十二億円です。これに資金の不足額に対する充当や支払い利子等々含めて償却前の損益では三千七百十九億、純損益が四千百七十七億、累積の欠損がどれだけかというと、三兆四千五百三十七億。九州はこれですよ。九州がいまやはり同じように人員がどれだけかといったら、四万六百人、これは五十七年度ですがね。ところが、これが一万一千三百七十人になる。  四国の場合はどうか。これも同じように計算したんですが、収支の差がこれは三百九十三億。一番後ろです、大臣。そして、これに資金の不足額、利子の支払い等々を含めますと償却前の損益九百九十七億、純損益が一千七十三億、累積欠損が八千六百九億。四国では現在九千八百人、五十七年度職員がいます。これが二千八百三十人になるというのです。  これは部会長の計算に基づくものです、いまは部会長じゃありませんけれども。これは大変なことですよ。そして、これだけの欠損がある。これを分割民営にしてうまくいくなんというような保証は全くないんです。彼の試算は一定の根拠があるかもしれないみたいなお話ですけれども、そうすると、これに見返るだけの収益を一体どこで上げるのか。新幹線でそれだけの収益を上げる保証があるのか。国電でそれだけの利益を上げる保証があるのか。六十六年度に相償するなんと言ったって保証がありますか。  大臣、この私がやった試算、専門家でないと言われれば、私も専門家じゃないんです。だけれども計算の仕方ぐらいわかりますから、いろいろみんな力を集めれば。大臣、いかがお考えですか。
  229. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) いろんな方がいろんな試算をして国鉄問題を分析している一つの材料じゃないかと思います。時に、これだけのものがどういう資料で、どういう根拠で、そしてまた果たしてこの数字がそのまま生まれるような環境であるかどうか、これもまた考えなきゃならぬと思いますが、いずれにしてもこの資料というものは私たち国鉄を見ている者にすればよくよく考えてみなきゃならぬ問題である、こう思います。
  230. 立木洋

    立木洋君 林さん、いま言ったように大変なことなんですよ。これは監理法案をやって、五人のどんな偉い先生が来るか私はわかりませんが、それで本当にやって、五年後にいまここでやったような、昭和六十六年には収支相償しますなんというようなことができるような結論が出るとあなたは確信を持ちますか。私は、問題はそうではない。監理委員会に託したってだめなんです、問題は、やっぱり徹底して、政府自身がどこに問題があったのかということをはっきりしてきて、この間からいろいろ議論されている政府がそれ相応の責任をとった態度をとるということがいまの最も急がれている問題じゃないですか。これは数字がひとり歩きするといって自分御自身がやっている。  大体これは、高木総裁、ここら辺でひとつお尋ねしてもいいでしょう。総裁が去年からおととしにかけて、一年近くの間、民鉄のいろいろな方と御懇談なさっておる。私も読ましていただきました。「私鉄経営に学ぶ」というので、これはまとめられたものです。これはまた次の機会にゆっくり伺いたいということを要望するんだけれども、なかなか時間をくれそうにありませんけれども、一回お尋ねはしたいと思っています。  ところが、この臨調の考え方で言えば、いまの国鉄の経費の三分の一でやってみせるという私鉄の方がいますというんです。そんなことをうのみにして試算をしているような内容なんですよ、臨調答申というのが。それは加藤先生がどんな偉い方か、私まだ一面識もございませんから、何も個人的な恨みはさらさらないですよ。佐々木さんが次長としてそのもとで仕事をされた。一定の根拠があるでしょうと言われる。だけど、いまの国鉄の三分の一で本当に一定程度のサービスを保証してやれる、国鉄全体を。総裁、これは私は全くそういう珍論を初めて聞くんですけれども、総裁、いままで五年余り大変御苦労なさって、いかがですか。そういうこともあり得るというふうにお考えでしょうか。余り加藤先生の御批判にならないように言っていただくことは結構ですけれども、本当のところをひとつ。
  231. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 臨調が御審議がありました最中におきましても、非常に達観しての見方でございますけれども、北海道、九州といったところで収支を償うという考え方をとるのは非常に無理な話ではないか、もともと鉄道というのはお客さんの多いところで採算がとれるわけでございまして、私鉄にうまくやっているところがあるじゃないかと言われますけれども、北海道にはほとんど私鉄はないわけでございますし、九州にもほとんど私鉄がないということ自体がそれを物語っておるではありませんかということを申し上げたわけでございますけれども、いや、そういう細部の点はここで論議をしておるだけの時間がないからということで、実は臨調委員の方々とはその点での議論を余りしないで終わっております。  それから、もう一つ問題があると思いますのは、やはりそこに著者として並んでおられます山同さんのように、長年製造業の仕事に従事されてその経営に腕をふるわれた方でございますけれども、どうも輸送業というものと製造業というものの違いというものが何も臨調だけではなくて一般の認識としても十分届いていないのじゃないか、私自身もやっておるうちにだんだんなるほど輸送業というのはこういうものだなという感じを持つようになったわけでございますが、そこで、その本も読ましていただきましたけれども、この計算も一体幾らの輸送前提とするのかということが詰まってないわけでございまして、私が私鉄のもろもろの経営者に伺いましたところでも、やはり北海道や九州を私が引き受けましょうという人はなかなかいらっしゃらない状態でございます。  しかし、一方におきまして鉄道よりもバスもしくはトラックで輸送した方がコストが明らかに安いという線区はたくさんあるわけでございまして、この試算というのは地方交通線について現在私どもがお願いをいたしておりますような程度のものではなくて、非常にもっと激しい鉄道からバスあるいはトラックへの移行ということを前提としておられるわけでございますから、そういうふうにすればいま四万人のところが一万人でもやってできないことはないかもしれないわけでございまして、問題はどの程度の輸送量前提とし、どの程度の線区を残すかというところを議論しませんと、そろばんだけではちょっとうまくいかないわけでございまして、そういう点については早く再建監理委員会ができましたならば、先生と同様な計算はわれわれ自身もいろいろ足したり引いたり、掛けたり割ったりする作業をいたしまして、今度の再建委員会ではそういう議論を詰めてもらわないと、いわゆるまず民営分割ありということにはなかなかいきにくいということの御理解が進まないのではないかと思っております。  私どもは、心の底から臨調に次ぐ機関としての再建監理委員会が早くスタートすることを念願いたしておりますが、なぜかと言えば、そういうことをよく御説明しないことには、いまお話がありましたような認識が日本の社会一般に根づいてしまっては困るという気持ちもありまして、そういう点をよく御説明する機会を待ち望んでおるということでございまして、それらをよく説明すれば精巧な認識というものがだんだん生まれてくることになるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  232. 立木洋

    立木洋君 時間がないので、これで終わりにしなければなりませんけれども、次にまた質問する機会が必ずできることを強く要望したいわけです。  私は、いま言いましたように、だからどれだけの輸送量をどうするのかということがあるからこそ、この重大な公益性を侵すような場合があるならばそれが支障の対象になり得るのかどうかということを初めに私は林さんに聞いたんです。北海道の公聴会に行ったときに、北海道大学の小林先生が言われた。これは賛成立場です、御承知のように。だって、現実に予算委員会審議のときにどうか。採算が立ち得るのは三つの都市圏の交通だけです、東京を中心とする、名古屋を中心とする、大阪を中心とするこの三つだけだというんです。ほかのところは採算が成り立たないというんです。ところが、これで明確なように、民営になればこれは利潤追求が第一でしょう。利潤が上がらなければやる引き受け手がないということは、これは民営の鉄則ですからね。いわゆるとんとんで、はい結構ですなんという、社会福祉しましょうなんというふうな企業家というのはいないですよ。もうけがあるからそこに資本が投下されるのであって、もうけがないところに資本の投下が起こりようはずがない。そうすると、小林さんがどうするかというと、それならそういうもうけないところに受け持ってもらうところにはこれは国が助成をしたらいい、こう言われた。  この中にもそういうことが書いてあります。もうけが出る幹線を受け持ってもらう人々には長期の債務を一部負担してもらう、そして払っていってもらう、そしてもうけの上がらないところには国から助成したらいい、それで相殺していくというふうな考え方。これは臨調の中で議論されたのか、その後加藤さんがお一人でお考えになったのかわかりませんけれども、いずれにしろそういうことが書かれてある。そんなにうまくいくはずがないんです。助成するのだったら、いまの国鉄で助成したらいいじゃないですか。そして、いまの国鉄経営状態でまずいところがあれば、いわゆるそれを改善する施策をもっと徹底して講ずればいいじゃないですか。問題は、この国鉄公社制度に原因があるのではなくて、これに対して責任をとろうとしなかった政府自身に問題がある。何回も決議で決められている。そういうところに問題があるのであって、道をすりかえて国鉄の問題を幾ら議論して監理委員会にゆだねても結局はいい結論が出てこない。  これから五年後、まだ大臣大臣でおいでになるかどうかわかりません。これはそのときに林さんがどういうふうになっておられるか私はわかりません。鉄監局長だってどうなっているかわからない。私もこうして国会に出てきて質問できる立場にあるかどうかわからないけれども、しかし五年先になったときに、本当に監理委員会ができて赤字がなくなるというふうな保証が一体どこにあるのか。これは歴史の検証を待たなければならないけれども、しかしそのときに、それは人間ですから間違いもありますじゃ済まないんですよ、大臣。もうここまで来ているのですからね。  だから、そういう意味で、私はもっと根本的な原因を徹底的に究明して、いままで明らかにされている点で政府責任を持ってやるべきことはやる、そういう態度を私はとるべきである。きょうは、これは私の結論ではありません。まだお尋ねしたいことがたくさんありますけれども、きょうの段階についての試算もごらんになって、大臣にきょうの時点でのお考えをお聞きして、きょうの私の質問を終わります。
  233. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) なかなかよく御勉強されて、その結果を皆さんの前に御披露されたことは非常にりっぱなことだ、参考になります。
  234. 立木洋

    立木洋君 勉強しているだけじゃないんです。誠心誠意、大変だということでやっているんですから。  終わります。
  235. 三治重信

    三治重信君 きょうは、ひとつ、この国鉄経営の問題の中で、社会情勢の変化に対する対応、いわゆる輸送革命と言われるやつに国鉄が対応がおくれたという問題と、これに対して本当にどういうふうに国鉄は総裁以下この輸送革命を認識して国鉄の内部また世間に対して理解を求めて、この輸送革命におくれたためにえらい赤字が出た、一部は撤退作戦もやり、一部は方向転換というんですか、内部改革をやらなくちゃならぬ問題があったのだろうけれども、いずれも、いままでの経過からいくというと、この輸送革命というものに対する対応がおくれたのではないか。  それで、国鉄総裁自身も、この輸送革命の対応がおくれたのがローカル線の処理と貨物の処理だ、こういうふうに言われておるんですが、この輸送革命の認識について、本当に国鉄のいまの経営内部、労使関係でこれがどういうふうに国鉄は対応していかなきゃいけないかということについて、対応について議論をされたり、ある程度部分的にはローカル線のやつも政府の了解をとって提案したり、貨物も最近は非常に急速に撤退作戦を具体的にやられております。  しかし、これが本当に輸送革命の認識のもとに行われているのか。また、これはやはりこういうふうな国鉄再建について火がついたから、いまのところ赤字対策としてやっているのか。基本的に、国鉄が生き延びていくために、いわゆる日本の経済の大変革の構造変化に対する輸送革命の変化に対して国鉄が対応がおくれたという問題の認識のもとに、本当にいまの合理化、改革が行われているのか。その点についての認識の問題をひとつ、総裁、お願いします。
  236. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもの方がいま一番追い詰められております問題の焦点は、しばしば組合問題とかいろいろ言われますけれども、それらも大きな問題の一つではありますが、私はやはり輸送量が減ってきつつあるというところに一番大きな問題があると考えております。  輸送量がいつから減り出したかと申しますと、貨物昭和四十五年がピークでございます。旅客は昭和五十年がピークでございます。その減り出した段階でどういう見通しを立てるべきかということについて私どもが少し常に楽観的に見過ぎておったということが一番の誤りの点であろうかと思うわけでございまして、私自身も、貨物輸送につきましてもだんだん減り出している現象の中において何とかいわゆる総合交通政策というふうなものに期待をし過ぎて対応がおくれたということを認めざるを得ないわけでございます。  今回、貨物について抜本的にやり直しをすることにしておりますけれども、そうした問題についても、でき得べくんば、いまから考えれば数年早くから取りかかるべきではなかったかという考えを持っておりますし、他の面でもそういう点がいろいろあるわけでございます。
  237. 三治重信

    三治重信君 いま国鉄再建のためには輸送革命を克服しなくちゃならぬということは、いまの経営なり労使に本当に認識されているとお考えですか。
  238. 高木文雄

    説明員高木文雄君) それと、国鉄は余り政策を論ずるよりは安全、正確、迅速に車両を走らすということが使命であるということで、長年幹部の職員も現場の職員も含めてそういう目標が掲げられて今日まで取り組んできたわけでございますけれども、今日のような独占産業ではなくて競争産業になりました段階においては、その三つのことはもちろん基本でなければなりませんけれども、同時に、この経営の感覚、国鉄という企業がどういう経営状態になっているかということについての認識が、本社だけではなくて末端にまで及んでいなければいけなかったのではないか。それもまた、もう少し早い時期からそうしなきゃいけなかったと思いますし、そういう経営の教育といいますか、経営についての認識という点については、まだまだ末端までそれが届いているということは言えないわけでございまして、それを今後の一つの課題としてまいらなければならぬと思っております。
  239. 三治重信

    三治重信君 十分いままでの反省をされた言葉だと思うんですけれども、やはりここが一番、ことに経営者、管理者、また組合ともに、やはり国鉄というものの公共性もこれは非常に重要なんですけれども、いまたびたび総裁が言われる独占性というものに頼り過ぎてきたということは確かで、これを打破しないとそれの対応の政策というものが出てこない。  いま、だれが考えても必要だというこのローカル線の転換の問題、国鉄がそれを全部抱えていったのでは国鉄再建はあり得ない。何とかやるなら地元で経営してくれ、それから国鉄がめんどうを見るというならバスに転換してくれ。こういうようなのも、やはり公共性とか——地元にとっては、それは国鉄が全部、地元が一つも負担をしないで、どれだけ赤字が出ようがやってくれればこんなありがたいことはないわけなんで、しかしそれに対してやはり運輸省をつついて、これは運輸省が全面的に表に立って、地方のローカル線の処理の問題、交通の処理の問題というものはやはり前面に出なければ、私は輸送革命、国鉄再建には対応できぬだろうと思うんです。  貨物の問題は、これは国鉄そのものがやはりしっかり対応しないと、これは本当の経営的な観点から、経営合理化という観点からやはりやってもらいたいと思うんです。  まず、ローカル線の処理の問題というものは、これは再建監理委員会とかなんかのやつもいろいろ案が出るのでしょうけれども、いまからまだ五年あるわけなので、その間にやはり国鉄当局と相談をして、ローカル線の処理の問題は運輸省が前面に出て政治的な問題も引き受け、そして地方も説得するということ、これは運輸省が相当責任を持ってやらぬことには私は国鉄を救うことにはならぬと思うんですが、どういうふうにお考えですか。
  240. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 先に答弁さしていただきます。  いま運輸省のローカル線対策に対する責任と申しますか、あり方につきましての御質問でございますが、やはり地方の交通はどうあるべきかという問題、あるいは国鉄の財政上の問題、その二面からやはり運輸省として今回の地方ローカル線対策については正面から取り組んでおりまして、あるいは御承知かもしれませんが、現在開かれております協議会の座長は運輸省の陸運局長が取り仕切っておりまして、地方公共団体等といろんな調整を行いながら行っておるところであります。  ただ、企業的にローカル線を廃止して、そして効率的な経営に脱皮しようという企業者としての国鉄が、やはりそれぞれ地元でまた別の面からいろいろ努力をされるということも必要かと思います。それぞれの立場は違いながらも、両方相協力して地方ローカル線対策推進いたしたい、こういうふうに考えております。
  241. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 地方交通線の問題は私どもの機関であります諮問委員会等において何とかしなきゃならぬということの指摘を受けましたのは、正確に記憶しておりませんが、十五年ぐらい前かと思います。それなりに一生懸命やったのですけれども、結局ほとんどうまくいかなかったわけでございます。ところが、先般のいわゆる再建特別措置法でこの問題を国会法律で取り上げていただくことになりました。その段階から運輸省が前面に出て進めていただくことになりまして、やっと本格的に推進できたと思います。  と申しますのは、ただ鉄道をやめるというだけではいけないわけでございまして、交通手段を十分に用意した上で転換していかなきゃならぬということになりますと、道路の問題もありますし、自動車行政の問題もあるものですから、なかなか国鉄だけではうまくいかないということだったわけですが、この再建法ができまして以来、運輸省が前面に出てやっていただけるようになりました。  もちろん、私ども逃げるわけではない。また、うちの職員の方が運輸省の方よりはまだ幾らか地元との密着性ということがありますから、うちの方の職員の力がなければだめでありますけれども、しかしそこの基本が、運輸省のお取り組みが大変変わってまいりましたので、大分軌道に乗ってきたということでございまして、その点いままで長年かかってうまくいきませんでしたけれども、これからはそういう意味で一歩一歩進み得る展望が開けてきたというふうに見ております。
  242. 三治重信

    三治重信君 ローカル線の処理の問題で、政治的な問題が一番大きな問題だと思うんですが、国鉄自身として見通しつけてきたと言うんですけれども、そういう線の赤字そのものは、いわゆる収益率というものは百円もうけるのに三千三百円とかなんとかいろいろ言われているんですが、国鉄自身としてローカル線としてこういうものはできれば経営から離したいというやつも、いまこれは終わるまで国鉄経営していかなくちゃならぬ、そういうときの収益率の改善の努力というものはどういうふうに具体的にされていくのか。
  243. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先ほども申しましたように、地方交通線が赤字で全体としての経営の負担になるという認識は非常に古く国鉄の中であったわけでございまして、具体的には駅を無人化するとかそういうことで、あるいは信号方式を若干投資をしてでも取りかえるということを通じて大分人を減らすことの努力は過去においても行われてきたわけでございますけれども、いよいよどうにもならぬ場合に線路を外してバスに切りかえるということまでは踏み切れなかったということでございますが、そういうことでありますので、どうしても幾ら仮に人減らしをやって能率的経営にしてもどうにもならぬというところについては、やはり御理解を得てバス利用に依存していくような形に持っていくということでやる以外にないと思うわけでございまして、もちろんそれまでの間についてもいろいろ省力化を図る努力はいたしますが、いままでもそれはかなりいたしてきておりますので、省力化等による経費減を図る余地というものはだんだんなくなってきておるということでございます。
  244. 三治重信

    三治重信君 その御努力は確かにあるのでしょうが、私は一つはこのローカル線の問題は政治問題だからすぐには解決できない。しかし、それが何らか国鉄経営から離れる、または別会計、別計算になれば、それだけ経営が楽になるということなんだけれども、このローカル線の経営というのは、非常に大量に定年退職というのか、企業は定年は六十歳だ、五年早く肩たたいてきて国鉄から離れてもらっているわけなんですが、しかし、こういうような人にローカル線を団体をつくってもらって委託経営して、自分たちは年金をもらってある程度生活できるわけなんだから、ひとつ経営をそのまま委託事業としていまのローカル線の運営、運転というものを総合的にやってもらうというような案というものはどうなんですか。
  245. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 発想としましては二つの方法がありまして、一つはいわゆる第三セクター。国鉄から、経営から設備から一切切り離して、そして第三セクターでやることによって能率が上がるという場合が相当ございます。現に三陸鉄道という私鉄を岩手県が中心になって今度つくられて、そういう方式で運行していこうということでございますし、野岩鉄道というものをつくって福島県と栃木県とでやっていこう、また京都府の中で宮福線についてそういうことをやっていこうということがここ二年ほどの間にやっと育ってまいったわけでございます。  それから、もう一つの方式というのは一種の委託でございますけれども、貨物の方について臨海鉄道という国鉄も出資しております会社がありまして、その臨海鉄道で一定地域貨物を扱っておりますが、これも採算から見まして決して楽ではありませんけれども、しかしかなりの程度私鉄でもってやれておるわけでございますので、そうしたものを一種のモデルといたしまして広げてまいりたい。したがって、現在の地方交通線協議会におきましても、どうしても鉄道で残したいということであれば地元が腰を入れて第三セクターでおやりになったらいかがですかということを協議会の協議内容にしておるわけでございます。  今後、そういう展開というのはあり得る。そうした別会社になりました場合には、いまおっしゃいましたような当方の職員の雇用対策ということにもかなりの程度役立つことは、われわれとして職員に職を与えてあげることができるというメリットも出てまいるわけでございますので、そういうことが可能な地域についてはやっていきたい。臨調の御提案の中にも大変この分割民営ということが大きく打ち出されてはおりますけれども、むしろそういう形での地域別あるいは機能別のもう少し小さい規模での民営分割を考えるべしということが指摘されておりますが、私どもはそれは大いに可能性のある問題だというふうに考えております。
  246. 竹内哲夫

    説明員竹内哲夫君) ただいまの御質問でございますけれども、三陸縦貫鉄道におきまして九十五人の要員を採用してやっていこうという場合に、五十名は国鉄OBを採用するということで、現にこの三月にやめました者につきまして採用をして使っていこう、こういう予定になっております。
  247. 三治重信

    三治重信君 ひとつ知恵を出して、ローカル線の廃止だとだれでもすぐはいそうですかといってやめませんよ、地方だってどこだって。だから、手を変え品をかえて納得さすすべをやっておくアイデアをひとつぜひ出して、それを政治的に運輸省が——確かに私の言がちょっと誤解を受けたわけですが、それは確かに国鉄当局の方が現地の接触は多いわけですから、あるいは現場においては国鉄が前面に出るということなんで、しかし政治的なバックというものはやはり本省で相当担当していただきたいと思うんです。  それからもう一つは、今度は大都会の問題で、非常な赤字の累積をどうして解消するかというや つ。日本一の土地を持っており、しかも大都会において非常な地の利を得た土地を持っておられる。しかも、最近においては土地の売買ということじゃなくて、土地の上の空間を利用すれば相当財産になるのじゃないかという議論も出てきておるわけなんです。そうすると、国鉄総裁のいままでのおっしゃり方は、これは何かやろうというとすぐ民業圧迫だ、あれやっちゃいかぬ、これやっちゃいかぬ、何かやると法律に引っかかるからそれもだめだ、こういうことになっているということなんだけれども、そういう弱音を吐かぬで、国鉄側が借金を返すのには持っている財産をこういうふうに利用したいのだから法律の枠があるならこの法律の枠を外してくれ。そして、そんなところでビルを建てたり、ホテルを建てられたら民業圧迫だ、国鉄がやってもらっちゃ困ると、これは国鉄がみずからやろうとするからそういう問題が出てきたと思うんです。  国鉄は、ひとついまの鉄道だけに使っている財産を使って、大金持ちとして、いわゆるランドロード、地主として、そしてレントなり、その上土料というのですか、空権料というものが取れるようなアイデアをやる。これに法律が妨げがあるならばこれは運輸省にこの法律改正をしてくれ。こういうアイデアを、これは私が空中権というのを新聞や雑誌で読んだことなんですが、そういうことで本当にやはり私は国鉄自身が自分の持っている財産を才能的に生かす。それは民業圧迫と言われて、国鉄自身が経営するというとやられるだろうけれども、民間に開放する。そういうもうけの仕事を開放するといえばたくさん金が取れるのじゃないかと思うんですが、そういうふうな民営圧迫論についてやはり対抗策というものを、大都会、少なくとも三大都市圏についての大変な土地の利用の可能性というものを、ただ売ったり出資して何かつくるということじゃなくて、ただもうけすることから少し考えたらどうかと思うんですが、いかがですか。
  248. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさにそこが重要なところでこざいまして、最近ではかなりの地域において私どもの土地の上に駅ビル会社をつくる。駅ビル会社の概念というのは、駅の旅客サービスをやる普通の駅の仕事をその建物の一部でやるわけでございまして、もうすでに相当古くなった駅舎の改造の機会に平らな建物を建てないで高い建物を建てまして、そして下の部分は駅に使いますし、その周辺の部分は専門店を入れるとか、非常に大きなところではデパートを入れるとか、あるいはホテルを入れるとかという方式を始めております。  現在、営業を開始しておる駅ビルというのは六十カ所あるわけでございますけれども、ことし一年だけでさらに二十カ所それがふえるということで、どく最近非常に早いテンポで各地域で進めております。それについては必ずいわゆる民業圧迫の議論が地元からは出ますけれども、同時に、消費者の方々からは、駅にそういう売り場があるということになれば、たとえば通勤の機会に利用できるというようなこともありましょうし、それから新しいセンスのお店ができれば他地域からも人が来るということで、各地域とも大体採算的にも成功いたしております。  その場合の考え方は、私ども国鉄は土地を貸すだけでございまして、駅ビル会社は私どもが出資をしてつくりまして、そして駅ビル会社が民間の専門店その他の方を誘致して、そしてお店をつくったりホテルをつくったり、あるいは一部スポーツ施設をつくったりということでやっておるわけでございます。この方法でやりますと、いわゆる民業圧迫論というのは、最初は皆さん反対されますけれども、よく御説明すれば大体理解をしていただけるということで、十カ所計画をしまして、どうしても反対ということでできないのは一カ所ぐらいという割合で、このごろはわりあいにそういう方式であれば地元でも受け入れていただけるということでありますので、それをさらに広げてまいりたいというふうに考えております。
  249. 三治重信

    三治重信君 それから運賃ですね。運賃を値上げするとそれは収入増につながるということで自由開放して、国鉄が幾ら上げるためには法律を一々改正するやつを国鉄、運輸省に任して毎年ずっとやったのだけれどもちっとも収入増にならぬ、こういうことになった。しかし、そのときでも一番初めは、一律上げるということじゃなくて、各線路の状況や時の状況によって別運賃や差別運賃や、そしてできるだけ収益を確保するような運賃にするのだというようなことも一部やっていく。それが一律の値上げの方がよけい簡単に計算でぱっと入るんですけれども、しかし実際に大都会では民鉄との競争では運賃を上げれば完全な減収になる、そうかといって独占区域の方では増収になる、こういういろいろの結果がわかったのだろうと思うんですね。  そして、実際、一律運賃の値上げばかりじゃなくて、本当に競争のところでは運賃を上げたら負けるというところは上げないようにして、独占、半独占的なところは上げるとか、そういう差別運賃——言葉が悪いかな、地域別や線路別の運賃というものをずいぶん聞いているのだけれども、それが実際にどの程度行われているんですか。
  250. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 運賃の改定の場合の手続につきましては大変緩和をしていただきまして、私どもが運輸省にお願いをして御承認を得られれば上げられるという、そういう手続面では大変弾力性を持つようになりました。ただ、現在の運賃の考え方は、やはり運賃法のいわば精神がありまして、大体、一キロは幾らだというのは全国統一である、そしてそれに距離を掛けたもので具体的運賃を算出する、ただし遠距離については遠距離逓減がある、こういう思想でございます。  これを、いまおっしゃいますように、競争の激しいところについては私鉄等参酌しながらもう少し低い運賃にするとか、それから遠距離逓減といいましても、私の方はまさに言葉どおり遠距離逓減で三百キロとか六百キロとかというような感じの刻みになっているわけでございますが、私鉄さんは仮に三十キロでも四十キロでもやられるわけでございまして、そうしたことが思想的によろしいかよろしくないか、そこが国鉄公共性というものについての国民の非常に強い期待あるいは理解といったようなものから制約を受けるわけでございまして、私どももでき得ればそういった方向には進みたいとは思っておりますが、たとえば次の改定のような機会にそれが持ち込めるかどうかということになりますと、法律がどうなっているとかなんとかいうことでなくて、およそいまの国鉄公共性企業性、その谷間を歩いていけという国民期待というものからいいますと、そう簡単に都会の運賃と地方の運賃とに差をつけにくいという問題があり、また同じ都会の中でも大阪は並行路線がたくさん走っているから安くしましょう、東京はそうはいきませんということが現実になかなか通りにくいという問題がありまして、今後ともそれは大きな研究課題でございますが、まだちょっといつごろからどういうふうにやるかというアイデアまでは持つに至っておりません。
  251. 青木薪次

    ○理事(青木薪次君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  252. 青木薪次

    ○理事(青木薪次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本案の審査のため、次回の委員会に、慶應義塾大学教授加藤寛君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 青木薪次

    ○理事(青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十六分散会