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説明員(
高木文雄君) 赤字の要因というのはいろいろあるわけでございます。それと財政との
関係について見ますと、まず
一つは年金といった問題があります。年金は、実はむしろ
国鉄の方が強く希望をしていまの公企体年金をつくり上げたのが
昭和三十年の初めごろであったわけでございますが、今日になって考えますと、長い目で見て毎年人を減らしておる、そして一方わが国の老齢化現象が顕著に進んだということから掛金を掛ける方の人がだんだん少なくなって給付をもらう方の人がどんどんふえていくということで、いわゆる成熟度が異常な状態になったわけでございますので、独立の年金システムというものにしたことに実は誤りがあるわけであって、その意味で大変他の公務員の方々等に御迷惑をかけますが、何とか統合という
方法を通じて御処理願いたいということを念願いたしておったわけでございますけれども、ようやく成案を得ていま
法律で
審議をしていただく
段階になってまいりました。こうした年金の問題については、財政の問題でもありますけれども、やはり基本的には
制度的な問題として解決をしていただくということで、多少遅かったうらみはありますけれども、
一つの解決の道がついてきたのではないかというふうに思っております。
第二のグループとして投資の問題があるわけでございますが、投資の問題は、私も長年財政を受け持たせていただいてまいりましたが、きわめてこれは歴史的な事情によるわけでありまして、
国鉄は原則的に昔から自己の努力によって建設をしてくる。あるいはむしろ、民間の資金で
鉄道会社ができました。それを明治三十八、九年でございましたか、国有化ということが行われて国が金を出して買収をする。また、
昭和十六、七年の時点で第二次の大規模な買収が行われたという結果を見ましても、もともと金利のつく金でやって採算がとれるという歴史を持っておりました。その歴史をしょって、最近においてもなおかつ原則的には
国鉄が自分で資金を調達する。本来ならば償却等によって相当部分資金があるわけなんですけれども、償却前にもうすでに赤字になっておりますので、現在は償却見合い金額もそうですし、新幹線のようなものについても利子補給をいただいておりますけれども、大部分はやはり借り入れに頼っておるということでございまして、この行き方が道路とか港湾とか空港とかあるいはまたさらには、ちょっと性格違いますけれども、治水その他のもろもろの
公共事業と大変違っておるわけでございますが、それぞれの補助の
制度なり、そしてまた補助の割合なり、あるいはまた国と地方、都道府県、市町村の負担割合なりというものにつきましてはいつでも歴史的な事情によって決まっているわけでございまして、必ずしも横並びに見て合理性があるとは言えない。
鉄道の地位が変わってまいりました後におきましても、明治、大正、
昭和前期のやり方がそのままいわば踏襲をされておるかっこうになっております。
これは、実は私ども
国鉄としましても非常に問題であるわけでございまして、
国鉄の方の
責任を持つようになりましてから、いずれかの時期にこれの
仕組みを他の
公共事業とのバランスを考えていただけるようにならぬものかと思ってきたのでありますけれども、なかなかそういう予算要求する時期に恵まれませんといいますか、もっと他の当面の処理のために一般会計からお金をいただかざるを得ないということから、現在借入金でやっているものを利息のつかない金に変えてもらう、
公共事業扱いにしてもらうということはなかなか現実の問題としてできにくいということで、いい悪いは別にして、過去の歴史をそのまま踏襲しておるわけでございます。しかし、それではいけませんので、最近さらにいわゆる整備五線といったような問題につきましては、私どもはやはり借入金をもって整備五線を進めるということについてはなかなか踏み切れないということを申し上げておりますのも、そうした思想の延長線でそういうことを申し上げておるわけでございます。
最後の問題は、いろんな性格のものがたまりたまって出てくるところの赤字を自転車操業的に借入金で賄っているという問題でございますが、これはまことにぐあいの悪いことでございまして、私どもといたしましても、本来なら、他の赤字
経営のもろもろの機関に見られますように単年度処理を求めたいわけでございますけれども、それも現実的でないということで、過去二回棚上げをしていただいて、何年か分をまとめて棚上げということで処理をしてきた。ところが、いま主計局から御説明ございましたように、ここ数年財政の方が、つまり親元の方が非常に財政不如意という状態になってきましたので、過去二回は処理をしていただきましたけれども、いままた新しく発生している債務についての処理がむずかしいということで、まさにこのことこそ
国鉄の立て直しの基本として、いわゆる緊急
項目等については私ども自分の範囲内でできることは一生懸命やりますので、お助けを願いたいといいますか、何とかこの過去債務、年金処理については御配慮願いたいというふうに考えているわけでございますが、しかし現状は私どもが財政の仕事を担当さしていただいておりました時代とはまたさま変わりに財政
状況が悪いわけでございますので、その辺も横ににらみながら適当な時期に、しかしなるべく早い時期に処理をお願いに出たいというふうに考えているわけでございます。
長々とおしゃべりいたしたようなことでございますが、いろんな問題がたくさんあるわけでございまして、それを解決するのはやはりじみちに
一つ一つやっていかなければならぬと思います。年金の
法律を御
審議いただけるようになりましたのはその
一つのあらわれという意味で、こうした形でいろんな問題を
一つ一つ直していくということによって何とかいまの
状況から抜け出したいというふうに考えておる次第でございます。