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1983-04-26 第98回国会 参議院 運輸委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十八年四月二十六日(火曜日) 午前十時二分開会 ─────────────
委員
の異動 四月二十二日
辞任
補欠選任
関口
恵造
君 山本 富雄君 森下 泰君
鈴木
正一君 四月二十五日
辞任
補欠選任
伊藤 郁男君
小西
博行
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
矢追
秀彦
君 理 事 伊江 朝雄君 江島 淳君 青木
薪次
君 黒柳 明君 委 員 梶原 清君 木村 睦男君 高平
公友
君 内藤 健君 安田 隆明君 山崎 竜男君 小谷 守君
小柳
勇君 瀬谷 英行君 立木 洋君
小西
博行
君 田 英夫君
国務大臣
運 輸 大 臣 長谷川 峻君 国 務 大 臣 (
内閣官房長官
)
後藤田正晴
君
政府委員
内閣審議官
林 淳司君
内閣法制局
第四
部長
工藤 敦夫君
運輸大臣官房長
犬井 圭介君
運輸大臣官房総
務審議官
西村 康雄君
運輸省鉄道監督
局長
永光 洋一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長
棚橋 泰君
運輸省自動車局
長 角田 達郎君
事務局側
常任委員会専門
員 村上 登君
説明員
警察庁刑事局捜
査第一課長
三上
和幸
君
行政管理庁行政
管理局管理官
新野 博君
日本国有鉄道総
裁 高木 文雄君
日本国有鉄道常
務理事
繩田
國武
君
日本国有鉄道常
務理事
三坂 健康君
日本国有鉄道常
務理事
坪内
享嗣君
参考人
日本鉄道建設公
団理事
濱
建介
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
日本国有鉄道
の
経営
する
事業
の
再建
の
推進
に関する
臨時措置法案
(第九十七回
国会内閣提出
、第九十八回
国会衆議院送付
) ─────────────
矢追秀彦
1
○
委員長
(
矢追秀彦
君) ただいまから
運輸委員会
を開会いたします。 まず、
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
日本国有鉄道
の
経営
する
事業
の
再建
の
推進
に関する
臨時措置法案
の審査のため、本日の
委員会
に、
日本鉄道建設公団理事濱建介
君を
参考人
として
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
矢追秀彦
2
○
委員長
(
矢追秀彦
君) 御
異議
ないと認め、さよう
決定
いたします。 ─────────────
矢追秀彦
3
○
委員長
(
矢追秀彦
君) 前回に引き続き、
日本国有鉄道
の
経営
する
事業
の
再建
の
推進
に関する
臨時措置法案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
小柳勇
4
○
小柳勇
君
国鉄再建監理委員会法案
に対しまして、
社会党
は
反対
であります。その
反対
の
立場
を明らかにして、その
反対
の
理由
の主なる問題について質問をしていきたいと思います。 まず、
反対
いたします第一の
理由
は、現在、第四次五カ年
計画
、
再建計画
第四次の
経営改善計画
で
国鉄
の
再建
の方途が着々と
進行
しつつある。言うならば、
列車
がいま
進行
中であります。その
進行
中であるにかかわりませず、
臨調
から
答申
が出たので、これを受けて、その
臨調答申
の
内容
を十分に
内閣
で検討することもなくこの
法案
を出しておられるとわれわれは判断する。言うなら、
屋上屋
を重ねた
法律
である。
国鉄
問題は、私が言うまでもございません。
昭和
三十九年、
国鉄
の
経営
が
赤字
になりまして以来、
国会
、
衆参両院
で真剣に
論議
を重ねてきている問題である。その
国会
で
論議
いたしました結論を
内閣
なり
国鉄当局
あるいは
関係者
が具体的に実施いたしますならば、いまごろこのような
法律
を出して、
国鉄
問題をこれからどう
再建
するかなどという
論議
をする必要はない。言うならば、今日まで十数年にわたります
国会
の
論議
が、
論議
は
論議
、
決議
は
決議
、
大臣答弁
は
答弁
、それがひとり歩きいたしまして、実際それが実施されていない。そういうところに、本日この
法案
を出さなければならぬ、苦しい、悲しい
日本
の運命がある、そう私
ども
は判断いたしています。 特に、この
法案
の
前提
にあるのは
臨調
の
答申
でありますが、その
答申
は
民営分割
である。
公共企業体
である
日本国有鉄道
を
民営分割
するという
前提
のもとに検討しなさい、検討するには
監理委員会
をつくって、五人の
委員
をもってひとつ検討しなさい、五カ年間検討しなさい、その結果で
国鉄
を
再建
しなさいというような悠長な話です。いま私
ども
は、
国鉄
の
再建
はこれから
監理委員会
で、五人の
先生方
が
おいで
になって、そしてかんかんがくがく
論議
して、こうやりなさいと
政府
、
内閣
にこれを進言して、
内閣
はまた
法律
をつくって、そしてこれを
運輸省
なり
国鉄
に与えて、さあやりなさい、そういう悠長な段階ではないと判断している。今日、やがて二十兆円くらいの
累積赤字
、しかも毎日の
新聞
で
国鉄労使
問題などが出て、たたかれ続けている。したがいまして、この
民営分割
を
前提
とする
臨調答申
で出されておるこの
委員会法案
、私
ども
はこの
民営分割そのもの
は不可能だと考えています。 いま
一つ
民営
をとってみますと、
民営
と
国鉄
が違うのはどこにあるかというと、言うなら、
民営
、
会社
の
社長
の
権限
と
国鉄総裁
の
権限
が全然違う。
総裁
には全然
権限
を与えていない。これが
一つ
。それからもう
一つ
は、
国鉄
の
労働者
、
国鉄
の
職員
には
ストライキ権
を与えていない。民間の
私鉄会社
の
職員
には
ストライキ権
が与えてある。違いは、大きくはたった
二つ
ですね。
社長
の
権限
が
国鉄総裁
に与えていないということと、
労働者
に
ストライキ権
を
国鉄
は与えていないということ、 それだけ違う。
あと
は同じなんです。
並行線
があって、そこを
私鉄
と
国鉄
が走っています。たとえば
賃上げ春闘
で、
私鉄
と
国鉄
が同じように
ストライキ
をやったとする。
片一方
の
私鉄
は、
賃金
が妥結したら
スト解除
、ああ御
苦労
でしたで終わる。
市民
の
皆さん
も
国民
の
皆さん
もそれで納得する。こっちの方は
ストライキ権
がないから、
ストライキ
をやった、けしからぬといって
処分
が出る。
処分
が出るから
処分反対闘争
をやらなきゃならぬ。そして、これまた
紛争
になる。三十数年間の
国鉄職場
の荒廃はそこにあると私は思う。
仲裁裁定
は完全実施しなければならぬとわかっておりながら
仲裁裁定
を完全実施しないから、いまから三十年ばかり前に、汽車、
電車
、全部とめた。それから一昨年まで
仲裁裁定
は完全に実施されました。
鈴木茂三郎社会党委員長
と
岸信介総理
が話し合いまして、これから仲裁完全実施しましょうということで、一昨年まで完全実施された。しかし、その
労働者
が
仲裁裁定
を完全実施するために
実力行使
をやったから、
委員長
以下十九名首を切られた。六千名ばかり
処分
された。それから二、三年は、その
処分反対闘争
で毎年
紛争
が起こった。それが今日の
日本国有鉄道
のこの危機になっている
一つ
の大きな要素ではないかと思うのです。 したがって、
民営分割
をもし
監理委員会
の
皆さん
が、これからたとえばこれが強行採決されて通った場合に、
論議
するならばたった
二つ
。
一つ
は
国鉄総裁
に
会社
の
社長
と同じように
経営権
なり
権限
を与えなさいということと、
国鉄労働者
に
ストライキ権
を与えなさい、それだけで問題は一切解決すると私は思います。しかし、そのようなことは
監理委員会
をつくらなくたってできることですよ、
内閣
が腹を決めてやれば。
国鉄総裁
に
権限
を与え、
国鉄労働者
に
スト権
を与える。それは、いま
経済団体
の中にも声が出ている。これは偏った私見になりますけれ
ども
、
ストライキ権
がないから
ストライキ
をやった者が英雄視される。
ストライキ権
がありますというと、
ストライキ
をやらないで
団体交渉
で
成果
をおさめた
労働組合
の
指導者
というものが英雄視される。その差ですね。
私鉄
がうまくやっているのと
国鉄
が荒廃したのと、その差だけですね。それがなぜわからぬのか。たくさんこれだけ
自民党
の優秀な
議員
がおられる、
大臣
もおられる、
総裁
もおられる、なぜそれがわからぬのかと言いたい。これが第一ですね。 第二は
分割
。簡単に学者が
分割
を言っておられる。しかし、いまあの
新幹線
、
御存じ
のように、これは
本社
で
ボタン一つ
でリモコンやっているんですね。
運転士
がおりますけれ
ども
、これは
速度
三十キロになりまして
停止位置
を合わせるだけです、
ブレーキ
は。
あと
は全部
本社
のリモコンで
新幹線
走っているんですね、
東京
から博多まで、
東京
から新潟まで。これ七
分割
、ナンセンスですよ。しかも
ダイヤ
だって、
ダイヤ
をつくった
苦労
のない方の御
意見
であるとは思うけれ
ども
、
ダイヤ
一本編成するには大変です。
機関車
の力を計算して、
列車
の
抵抗
を計算して、
線路抵抗
、
勾配抵抗
、全部計算して、
列車
の
スピード
によって
列車
編成いたします。 そして、
運転員
、あの
運転士
、たとえば十五台の旅客
列車
持っていますと、
ブレーキ
をゲージ見ながら、一番
最後
の、十五両の
最後
の
列車
の振動が腰に来るんですよ、
ブレーキ
とると。それで
列車
定時
運転やっているんです。しかも
運転員
というのは、審査する場合にはプラス・マイナス五秒が
満点
です。
停止位置
は一メーターが
満点
です。それだけ精巧なんです、
鉄道
の
技術
も、
運転員
の
技術
も。でなきゃ
列車
は
定時
に運転できないのです。その
列車
の編成とその
速度
で
ダイヤ
ができていくんです。そういう
技術
的なもの、あるいは
人間
の
ニーズ
もありましょう。
地域
の
ニーズ
もありましよう。 それから、たとえば今度は九州、四国、北海道を分離するといたしますと、それはもう全部
赤字
ですね。これは廃線する以外にございませんでしょう。したがいまして、私
ども
日本社会党
は、
民営
にも
分割
にも
反対
であるし、特に
分割
は不可能だ、そう言いたい。したがって、それを
前提
とする
監理委員会法
にも
反対
であります。 もう
一つ
。いや、その
前提
ではない、これから五年間この
監理委員会
で
論議
をして、その結果によって
民営分割
もあり得るぞ、ほかの
経営形態
への移行もあり得るぞ、そういう
意見
をちょっと
衆議院
の
議事録
で見ました。とするならば、これから五年間待てないんです、もういまの
鉄道
は。
国鉄
の
経営
は、
構造的欠陥
による
累積赤字
、
設備投資
による
累積赤字
、あるいは
年金
の問題、あるいは
退職者
の
退職金
の問題、あるいは
公共負担
の問題など、五年間待てないのです。しかも、それはもうすぐやらなきゃならぬ。 したがいまして、これから
監理委員会
、五人の
先生方
を呼んで、
仕事
をやるのはだれかというと、そこにいらっしゃる
スタッフ
ですよ。
各省
から二十名、三十名集まるでしょう。
皆さん
、そこにいらっしゃる方々が行ってやらなきゃだれができましょうか。これだけ
国会
で、
衆参
両議院で十数年
論議
して、もう
内容
は全部出ているんですよ。
内閣
がサボってやらないから、そしてこれをまた
監理委員会
に全部
責任
をぶっかけようとしているからこういう
法律
が出たんですけれ
ども
、問題は全部わかっているわけだ。しかも、これから
スタッフ
が二十四、
五名おいで
になる。そこの中の
皆さん
が行かなきゃだれがやる人がいましょうか。
鉄道
がわからぬ者が
スタッフ
になったって
監理委員会
動きません。しかも
非常勤
ではないですか、
監理委員
は五人が。五人の
非常勤
の
先生方
で具体的に
計画
が立ちましょうか。
国鉄
だけで言って
常務理事
何人いらっしゃる。本当に
プロ
だ。
運輸省
だって
鉄監局長
以下
プロ
が何人いらっしゃる。その
人たち
ができないものを
監理委員会
で、五人の
先生方
の下に二十四、五人の
スタッフ
を置いてこれから五年間検討いたします、その結果によって
民営分割
もあるいはそのほかの方法もあります。それから
法律
出して二十兆円、そのころではもう恐らく二十四、五兆円の
累積赤字
になりましょうが、それを解決できますか。したがいまして、そういうことでわが党としては
反対
であるし、じゃ
社会党
はどうしようというのか。 現在、第四次五カ年
計画
が
進行
中である、これは六十年度まで。しかも
経営改善計画
は着々と進んでいる。先般、
国鉄総裁
は、何か
賃金引き上げ
のためにまた
合理化
を、新規採用ストップするような
新聞
発表されておりましたけれ
ども
、初めの
経営改善計画
よりももっと猛烈な
スピード
で
合理化
が進んでいる。したがいまして、私
ども
は、現在のこの第四次
計画
が
進行
中であるから、これをもっと真剣に
政府
も
運輸省
も
国鉄
も、
関係省庁
が真剣にやるならば
国鉄再建
はできる、またやらなきゃならぬ、そう確信しています。 問題は、一体中にどういうものがあるか。
構造的欠陥
の
累積赤字
二十兆円、
共済年金
の
支払い能力欠如
。この
共済年金
につきましてはことしから
赤字
でしょう。五年待てないのです、
年金
は。いまこれは他の
法律
が出ておりますけれ
ども
、もう少し
政府
は真剣になりませんというと
年金法
が成立しない。また、
終戦処理
で、戦争後、
朝鮮鉄道
なり
台湾鉄道
なり満鉄から引き揚げた方が
国鉄
に入りました。初め三十数万人の
国鉄職員
が六十数万人にふえました。その人がずっと退職していって特別に
退職金
がふえているわけです。これは当然、
政府
の
責任
でしょう。 それから
公共負担
。
公共負担
の問題も、これは
国会
で何回も問題になった問題ですね。
各省
ともなぜもっと早く解決しないのか。
決議
も何回もついてますよ、
国会
の
決議
が。 それから、
あと
は
総合交通体系
。先般、ここで
トラック
の
秩序
を守る
法律
、これを集中
論議
しました。非常に
委員長
なり各
理事
に感謝いたしておりますが、
トラック
に働く
労働者
の
諸君
が感激している。初めてだと言うんだ。
貨物自動車
の総合的な
運送
、あのような集中審議してもらって、しかもりっぱな
決議
をつけていただいたといって感謝している。それは
労働者
だけじゃありません。 私、くにに帰りましたら、
トラック協会
のあの
運送屋
のおやじさん
たち
が感謝しています。
国鉄
は、
昭和
五十三年五月十日に
総裁名
で
運輸大臣
に、「
物流秩序
の
改善
について」、こういう書面を出している。ちょうどこの間
論議
いたしました、
社会党
が出しました
法律
の
内容
と同じようなのが
国鉄総裁
から
運輸大臣
に出ているわけだ。したがって、あのこの間の
論議
は、単にあれは
トラック業者
だけの
論議
ではなくて
国鉄問題解決
の
論議
です。 もう
一つ
は、
国鉄
の
労使
問題でしょう。私は、
自民党
の
関係議員諸君
が
職場
に行って視察されたことについては敬意を表します。ただし、
新聞記者
の
皆さん
がついていって、そして小さい問題というか、全体の
定時
で走っている
列車運転
というものから見たらまことにささいな問題が大きく取り上げられて、これが
国鉄労使
間の
紛争
になっている。非常に情けない。 具体的に言えば入浴問題です。たとえば
機関
区で一日に二十台の
機関車
を検査し、修繕する。これは夕方、たとえば四時ぐらいに完成しませんと、次に出ていきますから
機関車
が。次の夕方のラッシュに全部つくわけですから。そうしますと、あの汚れた
労働者
の
諸君
はキャッチボールするか、あるいは碁を打つ、あるいは将棋を指して時間を待つわけだ、
職場
を整理して掃除やったら
仕事
ないのだから。そうすると、いままでの例として三十分ぐらい
退庁
の鐘の鳴る前に
ふろ
に入っておったというわけだ。それがあたかも
国鉄
十何兆の
累積赤字
の
原因
であるかのごとく
国民
の
皆さん
は錯覚しておられる。それは
国鉄
の
職場
の紊乱では絶対にない。いままでの慣習であるし、
職場長
が御
苦労
だったろうと。点検したら、
機関車検査係
が一台点検しますと五十カ所か百カ所の
不良個所
があるわけだ。それを
検修係
が全部修繕するわけですよ。そして、後また検査やりますと、オーケーになったらその
列車
はどこにでも走れる。
機関車
が出ていきましたら、後に、
職場
掃除したら、道具を掃除したら、汚れたままキャッチボールしておるか、あるいは将棋指しているか、そして
退庁
時間まで待つわけだ。そこで、かつての温情ある
現場長
は、そうするなら少し早く体を洗っておいて
退庁
の鐘が鳴ったら帰れと。そうすると、
事務員
と一緒に帰れるわけだ。
工場
もそうでしょう。
工場
はもうちゃんと
労使関係
で十五分調印しています。
線路保守
の
諸君
は
汚物
を頭からかぶる。それはまだ
日本
の
列車
は、これは
新幹線
はなんですけれ
ども
、昔の
列車
は
たれ流し
です。
皆さん
、われわれのが
たれ流し
ですよ。その
汚物
をかぶっている。したがって、
保線区長
がかわいそうになって
ふろ
に先に入れるわけだ。お昼でも入れるわけだ。もちろん、それは
仕事
をサボってやるなら厳罰しなければいかぬ。その区分は
現場長
、
助役
がやらなければならぬです。それが全部の
労使
の問題であって、
国鉄
の
赤字
の元凶であるかのごとく宣伝される、それが私は不満です。 もう
一つ
あります。採用。いま
国鉄職員
はほとんど
高等学校卒
以上です。しかも田舎では優秀な
高等学校卒
の青年が入ってくる。あるいは
私大出
が三分の一です。いま
高卒
として入ってくるのです。これはやっぱり
大臣
も
官房長官
も
総裁
ももう
御存じ
と思うけれ
ども
、聞いておってください。
国鉄
の
職員
は、昔は
高等小学校出
でした。それが
東大出
の
管理者
と
高等小学校出
の
職員
だから親分、子分です。年齢も違いますし、学歴も違います。いまや
高等学校出
以上、大学。
私大
ですから、三分の一は。そうすると、
選考学士
の二十七、八で局の
課長
にいかれる人と
職場
で油に汚れて働いている人、年齢同じなんです。しかも、
片一方
は
私大出
ているのだ。
片一方
は
東大出
の
選考学士
だ。それは
人間
ですから、それが目の前にあるんですから。しかも
選考学士
の
諸君
は、たとえば大きな
機関
区の
助役
でいくと、これは
見習い
と言っている。あるいは
現場駅長
さんにいってもこれは
見習い
と言っている。片や、
高等学校
を出て、あるいは
私大
を出て一生やって四十四、五で
助役
さんになる。片や、
選考学士
の
諸君
は二十七、八で
見習い
として大きな
幹部助役
になる。
職場
の方の
空気
はうまくいくはずはない。 私は、
委員長
のときに
十河総裁
にそれをこんこんと話した。そのころは大部分が
高等小学校出
で、
中学校出
も余りいないくらいだ。しかし、
十河
さんはその
選考学士
でない人を
局長
にも入れ、いろいろ入れまぜて、しかし
十河
さんやめましたね。いまの
総裁
もそういう意向であることは聞いておりますけれ
ども
、それは私はいま
理想論
を言っています。 それだけでは
管理
ができないことはわかりますけれ
ども
、そういうものが
職場
の中にやっぱり
空気
としてあるということを知ってもらわなきゃならぬ。ただ、
労働組合
がわがままを言うから、
労働組合
が強過ぎて
管理者
の言うことを聞かぬから
職場
が紊乱しているなんということは考えを改めてもらわなきゃならぬ。悪いものはわれわれも悪いと言いますよ。 したがいまして、いま私が言いました
国鉄
の現状というものは明らかなんです。その何
項目
かをずっと申し上げました。その
項目
は
監理委員会
ができなければやれない問題ではないわけですよ。早急にやらなきゃならぬ問題ばっかりでしょう。緊急十一
項目
というやつはわかりました。これはもうほとんどできた。パスもなくなりました。兼職もなくなりました。その他緊急十一
項目
についてはもうほとんど。
あと
は
ローカル線
の問題があります。
ローカル線
の問題というのは、これは県民、
市民
の
ニーズ
。これは選挙でもそうですけれ
ども
、
大衆
は賢明ですよ。ああこの知事はわからぬと思ったら、こっちはどうかなと思って、新人ちょっと怪しいと思ってもやっぱりそちらに入れる。
大衆
は非常に賢明ですね。
ローカル線
の問題も、ただ市長が
反対
するからだけじゃないんですよ。県知事が
反対
するから廃止ができないのじゃないんですよ。
御存じ
のように、いまマイカーが多過ぎまして、朝、通勤、通学間に合わないんです。あるいはお年寄りはマイカー運転できないでしょう。子供は運転できないでしょう。
電車
があれば時間見て行きますよ。
地域
の
経済
の発展の格差ができないように、へんぴなところほど
鉄道
が必要でしょうに。それが
国有鉄道
の使命でしょうに。
国有鉄道法
の一条にそう書いてあります。効率的な運営をして
国民
の福祉を増進しと書いてある。それが
国有鉄道
の目的だと書いてある。そのようなわかり切ったことが解決されない、そういうところにわが党の
反対
の大きな
理由
があるわけです。 まだあります。この
論議
の過程で、私は長く
国鉄
に生きておりますから、まだ具体的にいろいろ知っています。しかし、せっかく
大臣おそろい
ですから質問していかなきゃなりません。 そこで、まず
後藤田官房長官
にお聞きしたいのは、
閣議決定
というようなものは一体どのくらいの国の
行政
の上で重さがあるのか、そしてそれができない場合、
内閣
はどういう
責任
をとるのか。たとえば
昭和
五十二年十二月二十九日の
閣議了解事項
「
日本国有鉄道
の
再建
の
基本方針
」について云々、このときは
運賃法定制
を緩和せいと、この
法律
は。それから
昭和
五十四年十二月二十九日の
閣議了解事項
「
日本国有鉄道
の
再建
について」、これが
昭和
五十五年十二月二十七日に
法律
第百十一号として
日本国有鉄道経営再建促進特別措置法
となって
国鉄
は
経営改善計画
を出しておられる。この
法律
は六十年まで任期がある。この
法律
の上を
列車
が走っているのに横から
監理委員会法
持ってきて、これで五年間また
国鉄
の
内容
を検討しますなんということが出てきた。これも
閣議
了解している。こういうものに対して、
官房長官
として
日本
の国の
閣議
というものの重さをどういうふうに考えておられるか、お聞きいたします。
後藤田正晴
5
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) まず、
閣議
というものはどういうものかという御
質疑
でございますが、
閣議
は、当然のことながら、国の
重要施策
について
政府
全体として取り組んでいかなきゃならぬ、こういう
重要施策
を
閣議
にかけて、そういたしますと、
閣議決定
の
事項
については
各省大臣
に対して
内閣総理大臣
が
指揮監督権
を行使して
決定
の
内容
を実現していく、こういう性格のものでございます。 先ほど来、
小柳
さんから
民営分割
、したがってまた
臨調
の
答申
、これらについては
小柳
さん御自身の高い御見識に基づいての
反対
の
立場
に立っての御
意見
、これは私は拝聴をさしていただいたわけでございます。なるほど、そのような見方も当然あるのではなかろうかと思いまするけれ
ども
、御案内のように、すでに
国鉄
の問題はたしか
昭和
四十四年から、第一次、二次、三次、
再建
の
計画
を立てて取り組みましたが、遺憾ながら途中で変更せざるを得ない、
成果
を見るに至らなかった、こういう経緯を踏まえて現在第四次の
計画
が
進行
中である。そこで、
小柳
さんがおっしゃるように、やればやれるじゃないか、おまえらやらないからいけないんだ、こういう御
意見
、これは私はその意味においては、やはり
政府
はそのときどきの
閣議
で
決定
をして取り組んでいるわけですから、それがうまくいかないということについては、私は率直に
政府
みずからも
反省
をしなければならない、こう考えます。その
原因
はどこにあったかといえば、
政府
がまず
反省
をしなければなりませんが、同時に、
国鉄
という大きな組織全体が
社会経済
の変化、ことに
交通
の需要といいますか、
秩序
といいますか、これらの変革に対する対応力に欠けておったということも考えなきゃならぬ、かように思うわけでございます。 一方、
国民
の
立場
に立つならば、今日のこの
累積赤字
が十七兆、単年度で国庫助成を除いても一兆円を上回る
赤字
が出ておるこの現状、このままでは
国民
の財産である大切な
国鉄
というものがこれでは滅びる以外ないではないか、何かここらでしっかり立て直しについての方策を検討しなきゃならぬではないか、こういった私は
国民
の
立場
に立っての要望というものが非常に強くなってきておるのが現状ではなかろうか。それらを踏まえて、いま私
ども
は、緊急対策として現在の
再建
法に基づいて鋭意六十年度までの
国鉄再建
の施策を講じてはおるけれ
ども
、もう少しやはり抜本的にこの際やらなきゃならぬじゃないかといったような声を受けての第二
臨調
の
答申
だったと思います。したがって、
政府
としては、この第二
臨調
の
答申
を受けて、
経営形態
の問題であるとか、いろんな点も含めた検討を、今回の
法律
で御審議を願っております
監理委員会
をつくって、そこで検討願った上で、本当に今度こそは
国民
の期待にこたえて成功させなきゃならぬ、こういう強い決意のもとに取り組んでおるのだ、かように私は御理解をしていただきたいと思うわけでございます。
小柳勇
6
○
小柳勇
君
官房長官
、この
委員会
法の
内容
についてはまた別途質問しますけれ
ども
、私は
閣議決定
の重さ、権威、それは一体どのくらいあるものであろうかと聞いておるわけですよ。したがって、もう少し具体的に言いますならば、いま五十四年十二月二十九日の
閣議了解事項
が
進行
中である。
進行
中であるにもかかわりませず、
監理委員会法
を
閣議決定
して、いまこれを審議に出されたというのはどういう神経だろうか。無神経じゃないか。けじめをつけなきゃならぬでしょう。この前の
法律
はやったけれ
ども
、あれはだめだから今度これ出しますというのか。あれはあれ、これはこれ、
日本
の
大臣
諸君
の閣僚会議がそんな無
責任
なことを決めるだろうか。じゃ、具体的に、この六十年まで期限がある現在
進行
中の
国鉄再建
特別措置法というのはこれはだめだと御判定ですか。
後藤田正晴
7
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君)
国鉄再建
法は、たしか五十五年から六十年度までに
国鉄
の
再建
の
仕事
をやっていこう、こういう
法律
でございますから、現在これによってやっているわけでございます。しかし、先ほど言いましたように、今日の
国鉄
の現状を考えた場合に、ともかくいまのままではどうにもならぬじゃないか、もう少し何とかしたらどうだといったような私は
国民
の声にこたえた第二
臨調
の
答申
だと思うのです。したがって、
政府
としてはそれを受けて、そしてこの
監理委員会
をつくって、その中で
国鉄
の抜本的な問題を、この
経営形態
等をも含めて結論を出して、それに従って六十二年度以降実施をしていこう、こういうことでございます。
小柳勇
8
○
小柳勇
君 さっき言いましたように、六十年までの期限がありまして、これに沿って
経営改善計画
を
総裁
は
運輸大臣
に出しているわけですよ。その
内容
は着々進んでいるわけだ。だから、六十年度には幹線は百億程度黒字になりますというのがこの
論議
したときの
政府
の提案です。ところが、いまはもうすでにこれは二千億ぐらいの
赤字
という見通しですね。失敗しているわけだ。わが
社会党
はこの
法案
に
反対
しました。いまの前の
法律
です。この
委員会
法でなくて、
再建
措置法に
反対
したんですよ、こんなので
再建
できないと。そこで附帯
決議
などをつけてやっているでしょう。したがって、それは附帯
決議
もついているし、後でやる
衆議院
の
運輸委員会
の提言もあるんですから、それを六十年度までやってみて、どうしてもいけません、だから、あなた、さらに
再建
の方途を考えなきゃなりませんというのならわかりますよ。それをあんな審議の途中で、われわれ
反対
しているにもかかわりませず強引に通しておいて、じゃ通すからにはということで参議院の附帯
決議
と
衆議院
の提言があって、それで模様を見ようとしてわれわれは来たわけだ。 ところが、それじゃもうだめだという大体のこの
法案
は
前提
ですよね、
委員会
法は。それは無
責任
ではないか、したがって
責任
をとりなさいというんですよ、前のやつの。前の
法律
の
責任
だれがとりますか。
閣議
了解して、われわれは
反対
したけれ
ども
、いやこれで大丈夫といってやった。いかぬな
あと
いま言っているんだから、だれの
責任
ですか。でなきゃ今度この
監理委員会法
が通りましても、ああこれもだめでしたと、これは国費のむだです。
委員会
の審議のむだです、そういうことでは。
責任
体制を明らかにして、この
委員会
で
決定
したものはこうやりましたとやっていかなければ
委員会
審議むだですよ。したがって、前の
法律
のこれは失敗だという
前提
ですから、だれの
責任
ですかと聞いているんです。
後藤田正晴
9
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) これも先ほどお答えしましたように、今日のように改革案を何回もやりながらうまくいかなかったということについては、私は、やはり
政府
は重い
責任
を感じなければならぬと思います。しかし、同時にまた
国鉄
自身が膨大な組織で、組織全体としてこの変化に対応できなかったということがその基本にはあるわけでございますが、
責任
は、私はあくまでも
政府
にある。しかし、何といいますか、えらい言葉は悪いので恐縮ですけれ
ども
、私は、
責任
は十分
政府
は感じなきゃならぬ、だからこそ
国鉄再建
についての第二
臨調
の
答申
にこたえてこういう
法律
でひとつ抜本的に取り組もう、こう考えておるわけですが、何といいますか、過去の死児のよわいを勘定しても決してそれでよくなるものではない。やはり過去は過去として、厳しい
反省
の上に立ちながらも、
国民
的な財産であるこの
国鉄
をどのようにして
再建
することができるのか。これには
政府
も、それから
国鉄
の
経営
者も、
国鉄
の
労働者
も一体となって私はやっていかなければならぬのではないか、これが
政府
のいまの
立場
でございます。別段、うまくいけば、何も第二
臨調
にああいう指摘を受けなくったって私はできると思う。しかし、それができなかったところはなぜか、そこにメスを入れなければならない、その点に着眼しなさい、こういうのが第二
臨調
の私は今回の
答申
であろう。それだけに私
ども
は真剣にこの
答申
の趣旨を生かして何とか
国鉄
を再生さしたい、これが私
ども
の念願でございます。
小柳勇
10
○
小柳勇
君 言葉じりをとるのじゃありませんけど、死児のよわいを数えないなんて、もうこの
法律
は死んだように言っておりますけれ
ども
、これは大問題でしょうね。これは後で訂正してください。 それじゃ、一般論として言いましょう。
閣議
で決める、それを
各省
が実行しない、そういうときには一体だれに
責任
を負わせますか。
後藤田正晴
11
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) これはもちろん
閣議決定
の
事項
については、その
決定
の中身に沿ってなければ、これは
内閣総理大臣
がそれを是正す る、あるいは積極的にやらせるというのは総理
大臣
の職務
権限
である、こういうふうに考えておるわけでございます。 なお、いまの死児のよわいという言葉については、先ほどちょっと、言葉が適当でないかもしらぬと言いながら言ったのは、この
法律
のことを言っているのじゃないのです。
責任
はそれぞれあるではないか、しかし、その
責任
をいま追及するよりも、その
責任
をおのおのが厳しい
反省
の上に立って、これから先どうするかということを考えてやるのが先ではないのか、こういう意味でございますから御理解願いたいと思います。
小柳勇
12
○
小柳勇
君 その点は、今度、
閣議
はいつかわかりませんが、
閣議
で問題にしてください。
閣議決定
の重さについて、
委員会
でずいぶんひどく、しつこく質問されたが、これはやっぱりちゃんとしておきませんと、
閣議了解事項
なんということは通りません。もう全然問題にしませんね、
国会
は。したがって、行
政府
として、
閣議了解事項
の重さというものについて一遍
閣議
了解して、そしてこの
委員会
に報告してください。次の、連休明け、ありますから、また来てもらいます。 それから同様の、今度は
委員会
決議
とか
委員会
提言なるものに対して、
政府
なりあるいは
各省
の
責任
。たとえば
決議
があります。これを全然無視して何にもやりませんね。そういうときは、やっぱり
各省大臣
なりあるいは事務次官なり
局長
なり、
責任
の所在を明らかにしなきゃならぬと思うが、その点どうでしょう、
官房長官
。
後藤田正晴
13
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) もちろん
国会
の
決議
、附帯
決議
等は、これは
政府
としては当然尊重をしなければならぬ政治的な私は
責任
がある、かように考えております。
小柳勇
14
○
小柳勇
君 そこで、これから
監理委員会
で検討しなきゃならぬような
事項
に対しまして、
昭和
五十五年十月三十一日、
衆議院
運輸委員会
の提言というのがあるんですよ。この提言の中にいろいろ書いてありますが、大きくは三つです。
国鉄再建
のために
責任
ある
経営
体制の確立と
経営
改善
の
推進
、
二つ
目が財政上の措置、三つ目が総合
交通
政策の確立、
内容
いろいろ書いてあります。 私は、さっき
国鉄
の問題点を言いました。その問題点に対してはこうしなさい、こうしたら解決するということを
運輸委員会
が提言しているんです、
衆議院
が。参議院の方では
決議
がありますね。このようなものが、五十五年ですから、もう三年たっています。これが実施されておりますならば、
監理委員会法
を
臨調
が
答申
したにいたしましても、いや、もう提言もあるし、
国会
の前の議論もあるからちゃんとやっておるんですと、
臨調
にちゃんと返事しなきゃならぬでしょう。
運輸大臣
、座ったままで結構ですが、この
運輸委員会
の提言について、五十五年です、これは。これが今日なされておれば、同じような議論をわれわれがいまやる必要はないわけです。 しかも、最も心外なのは、
総合交通体系
の問題はもう十数年来の問題です。私も
運輸委員会
で何回これを言ったかわからぬ。特に森山欽司
運輸大臣
のとき、
総合交通体系
を強く迫ったものですから、
運輸省
の審議官お二人で来ました。しかし、総合
交通
計画
などというものはまだ聞いていません。総合
交通
計画
がありますと、この間の
トラック
法の問題も解決しますし、
鉄道
貨物の問題も解決するわけですよ。 それから第二の財政上の措置。これには
退職金
の問題、
年金
の問題、それから地方
交通
線の補助の問題、公共割引の問題、全部書いてありますね。これをどうして
運輸省
は完全実施できていないのであろうかと質問いたします。
長谷川峻
15
○
国務大臣
(長谷川峻君) 当時、御
決議
ありましたことは存じ上げておりますが、総合
交通
政策などでも、御提案のあったとおり私の方がなかなか動けないという実情もありましたし、一方はまた、当時
決議
されたそれ以上に世の中の変化が激しくて、モータリゼーション、
国鉄
が見込んだよりは少ないお客さん、こういうことからして、いままでのものではとてもこれじゃ大変だということが、運輸
委員
、
関係者
だけの議論じゃなくて、
国民
一般の議論になってこのたびの
監理委員会法
案というふうな
空気
が生まれた。これをだから活用して、この際われわれのなかなかできなかったことも
国民
的世論の中に実行してもらって、本当に
国鉄
を
再建
するのが何より大事なことじゃなかろうか、こう思って御提案申し上げたわけであります。
小柳勇
16
○
小柳勇
君
官房長官
、くどいですけど、この
委員会
決議
及び
委員会
の提案、この間参議院で
運輸委員会
の物流の
決議
もいたしました。この
決議
というものは
各省
庁が、これは労働省も関係あります、警察庁もありますから、この間の
決議
は。その
決議
というものをちゃんと
各省
庁が実施して、毎年
決議
したこの
委員会
に報告するぐらいの、そのくらいの
責任
体制をとるべきだと思うが、いかがでしょうか。
後藤田正晴
17
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君)
国会
の御
決議
とわれわれ行
政府
との関係ですが、これは
国会
決議
は最大限に尊重をしなきゃならぬという政治的な
立場
に、行
政府
については
責任
がある、こう思いますが、何せこの問題は、立法府と行
政府
との関連に係る重要な問題でもございまするので、
政府
としても検討いたしたいと考えますが、立法府においても、この問題はやはり立法府と行
政府
の基本に係る問題である、こういう点も御検討を賜ればありがたいな、かように思います。私
ども
は私
ども
なりに検討をいたしたい、かように思います。
小柳勇
18
○
小柳勇
君 その問題も、
内閣
の問題として
各省
庁を指導する上で今後どういうふうに扱うとか、あるいは毎年一回ずつぐらいこの
決議
に対しては、文書でもいいですから、参議院
運輸委員会
のあの
決議
は現在こういうふうに
進行
中であるとか、そのくらいの、報告出すぐらいのことはお決めになってもいいと思うが、一遍この点も次の機会に返事してください。 それからもう
一つ
、これも重要ですけれ
ども
、総理
大臣
の
国会
答弁
です。
内閣総理大臣
が本会議やこの
委員会
に来て
答弁
いたします。その権威というものは一体どういうものであろうか。 たとえば
昭和
五十二年十月二十八日に福田元総理が
運輸委員会
に来て、
運賃法定制
緩和の際の
答弁
をここにしておられます。この
国鉄
問題というのはいま始まった問題じゃないんですね。これは福田総理の
答弁
ですけれ
ども
、「私は、
国鉄
がいま非常に窮況にある、その打開の方途いかんということになりますと、なかなか一挙にという名案も立てかねるような状態でありますが、」「そう遠からない時期に
国鉄
の大量輸送
機関
としての使命というものが見直される、そういう時期が必ずやってくる、そういうふうに私は思うのです。そういう展望を持ちながら、今日この時点において
国鉄
をどうするか、こういう問題でございますが、
政府
としては従来から
国鉄
自身の
経営
努力、それから適正な利用者負担、それからさらに国の適切な行財政上の援助、この三つの要素を中心といたしまして」云々と、
国鉄再建
に対して
答弁
しています。 それから、これは
鈴木
前総理。
昭和
五十五年十月二十八日の
運輸委員会
の総理の
答弁
です。「今回の御審議いただいております
再建
促進
法案
は、
国鉄
の健全な
経営
基盤を確立するということが
一つ
、それから
国鉄
の危機に瀕しておる財政
再建
を図ろう、この
二つ
の大きな目的」でありますと
答弁
しておられるわけだ。「なお構造的にどうしても欠損が出るということを私
ども
は承知いたしておりますから、そういう面につきましては、
政府
としても」欠損に対する棚上げとか書いてあります。公的な負担はちゃんと
各省
がやります、
年金
問題も解決します。これは五十五年です。 こういう総理
大臣
の御
答弁
というのは、
委員会
の
決議
以上に私は尊重しなければならぬと思うが、いかがでしょうか。
後藤田正晴
19
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) 仰せのように、やはり
国会
における総理
大臣
の
答弁
というものはそれなりの重みとそれに伴う
責任
を伴うものである、かように理解をいたしておるわけでございます。 御
質疑
の中にありました福田さんの御
答弁
、
鈴木
さんの御
答弁
も私も読ましてもらいましたが、 やはりそれなりに、その
答弁
に従って、
政府
はもちろんのこと、
国鉄当局
一緒になって努力はしているわけですよ。しかし、その努力にもかかわらず、なかなか
成果
が上がらないのだ、そこをどう考えていくかというのが私はこれからの問題であろう。
政府
は
答弁
のしっ放し、言いっ放しで何もしなかったということであれば、これははなはだ無
責任
、けしからぬ話ですが、そうではありません。やはり
政府
は、そういう
答弁
の趣旨に沿って
国鉄当局
を督励をし、監督もし、
国鉄
の当局者は当局者としてそれなりの精いっぱいの努力を重ねておる。しかし、それでもうまくいかなかった、そこをどう考えるか、これが私はこれから先の課題であろう、こう考えておるわけでございます。
小柳勇
20
○
小柳勇
君 いま私は、三つの点ですね、
閣議決定
及び
決議
及び総理
大臣
の
答弁
、その重さというものがありませんと、
国会
で
論議
いたしましても非常に空疎なものを感ずるわけです。何だ、時間をかけて
論議
して一体何になるか。結局、
法律
だけが通りまして、ひとり歩きして、これを官僚が施行するだけだ。もっと
法律
に出ない
論議
した
内容
に重要なものがたくさんあるわけでしょう。したがいまして、この問題も、総理
大臣
の
答弁
などについて
各省
庁はどうこれを受けとめて処置するのか、一回、
閣議
でもひとつ
論議
してくださいよ。そして、
政府
の考えを次の機会に示してください。 それから結論として、この
監理委員会法
が今度通りましても、
官房長官
、これはたとえばこの参議院で通過いたしましても、これから五年間、五人の
先生方
が
論議
される、
国鉄
問題を検討する、そして
法律
をつくって、また五年先にこの
運輸委員会
で
論議
をして、さあこれから
国鉄
こうしなさい、同じじゃないか。そんな、もうひまはございません。したがって、潔く、この
法律
はこの際取り下げて、やるものからやる。
法律
はあるのですから、
進行
中ですから。そういう考えになってください。長官の見解を聞きます。
後藤田正晴
21
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) それは、私は逆の考え方でございます。ここまでともかく
論議
し尽くされたわけですね。しかし、なぜできなかったのだ、これは
政府
は
責任
は感じますよ。しかし、なぜできなかったということを考えて、まさに
国鉄
再生の
最後
のこれはチャンスである、この機会を逃せば
国鉄
は再び私は立つことはできなくなるのじゃないか、そういうせっぱ詰まった段階に追い込まれてのこの臨時
行政
調査会の
答申
だ、私はかように受けとめて、そこで
答申
の線の趣旨に沿って、将来のあり方をも含めて、この
監理委員会
で御検討願って、
政府
として
国鉄
の当局、
労働組合
、さらには
国民
の
皆さん
の御理解を得て、何とかひとつ
国鉄
を立ち直らしたい、こういうように考えておるわけでございます。
小柳勇
22
○
小柳勇
君
運輸大臣
に、いままで私、ずっとわが党の態度なり、
監理委員会法
に対する考えなり言いました。しかも一番、私が
運輸大臣
に質問いたしたいのは、第四次
国鉄再建
計画
の措置法が現在まだ生きているということ、
改善
計画
、
国鉄
から出したものも逐次実施されておるということ緊急処
理事
項についてはほとんど処理しつつあるということ、そういうことにかんがみまして、この
監理委員会法
がこれからできますと、それにおんぶされますね。いままで一生懸命に官僚の
皆さん
がやろうといたしておりますけれ
ども
、それにおんぶされる。
監理委員会
がいま
論議
しているから五年間待とうとなったら、私は
国鉄再建
は非常におくれる、そう思いますが、
運輸大臣
の見解を聞きたいんです。
長谷川峻
23
○
国務大臣
(長谷川峻君) 何さま毎日大きな利子を払い、しかも二十兆円の累積債務というものが生まれて、
国民
が出す税金の中から、なお一兆円の
赤字
が出るという
国鉄
ですから、これはみんなでこの際に
再建
委員会
をつくって、そこで処方せんを書いてもらいたい。それだけ大きな長期債務について、この
法案
が通過しないとき、だれもいままでどおりの考え方で何もしなかったらどうなるか。私はそういうところに
国鉄
の
諸君
も、また組合の
諸君
も、この
法律
を注目して、
再建
委員会法案
というものが通過をして、何か行動を起こし、それに対して
政府
なり
国鉄
なり
国会
が
責任
を持って
再建
委員会法案
の示すものを実行させる、こういうところに私は大きな期待を持っておると思っております。
小柳勇
24
○
小柳勇
君 次に、
国鉄総裁
に質問します。 これは私が調査したんですから、若干数字が違うかもしれませんが、
昭和
十六年度と
昭和
五十七年度の生産性をちょっと比べてみました。
昭和
十六年度に
国鉄
の
職員
数が三十八万四千五百五十九人、
昭和
五十七年度は三十九万六千五百人。営業キロが、
昭和
十六年は一万八千四百九十五・五キロ、それから
昭和
五十七年が二万一千四百十八・八キロ。輸送量が、お客さんの方が
昭和
十六年は五百五十五億人キロ、貨物の方が二百八十九億トンキロ、
昭和
五十七年度はお客さんの方が千九百五十二億人キロ、それから貨物の方が四百四億トンキロ、
昭和
十六年度で五十七年度を割りますと、お客さんの方で三・五倍、貨物の方で一・四倍、生産性を言いますと。私は、
昭和
十六年度、もう少し
職員
の数少なかったと思ったんですけれ
ども
、調べてみましたら三十八万四千五百五十九人いるわけだ。生産性からいいましても、何か
国鉄
は
職員
ばかり多過ぎて、輸送人キロ、輸送トンキロ全然昔とがた落ちしているような印象を
新聞
などで感じておったんですけれ
ども
、実際はお客さんの方で三・五倍、貨物の方で一・四倍現在の
職員
は働いているわけですね。 そういうものを私、一応腹に入れながら
総裁
に聞きたいのは、さっきから言っておりますように、第四次の
国鉄再建
計画
の特別措置法で
列車
が走っておる。
経営改善計画
もお出しになって、それを着々実行している。その
改善
計画
で実施できなかったものがあるのかどうかというのと、現在まで一生懸命努力しているのだから、もう
あと
二年、六十年までこれをそのままおいてくれ、やらしてくれ、新たにまた
監理委員会法
ができまして、そしてまた五年間ももたもたしたらかなわぬ、そういう気に
総裁
はなっておられるのじゃないかと思うんですけれ
ども
、
総裁
の見解を聞きたいんです。
高木文雄
25
○
説明員
(高木文雄君) 私
ども
が理解をしております
監理委員会
の設置の意味でございますけれ
ども
、
臨調答申
の主題は三つあるというふうに考えています。
一つ
は、よく伝えられますように
分割
民営
化ということで、
経営形態
まで踏み込んで改めないことには
国鉄
の
再建
ができないのではないかという
前提
での
経営形態
論でございますし、第二は、それにしても
国鉄
自体の努力によってもう少し効率の高い運営をしなきゃいかぬのではないかということで、いわゆる緊急十一
項目
の指摘があって、それを
監理委員会
が今後いわば見守る役割りをお持ちであろうかと思います。三番目は、先ほど来お触れになっておりますように、
国会
においても御指摘がありましたし、また
閣議
の了解においてもしばしば触れておりますところの過去債務の問題、
年金
の問題といったようなことに代表されます、いわゆる私
ども
の言葉で構造的
赤字
と言っております問題についての処理を、財政の問題を含めて結論づける役割りが臨時
行政
調査会の指摘として
監理委員会
にバトンタッチされたものというふうに理解をいたしておるわけでございまして、その意味で私
ども
はこの三つは相互に絡み合っておる問題であるわけでございますので、先ほど来
小柳
委員
が御指摘をなされ、私
ども
も常日ごろ若干腹におさまりかねておりますところの未解決のまま後送り後送りになっている問題についての取り組みをしてくださるということでございますから、われわれとしてはぜひ早く
監理委員会
ができて、そういう取り組みをしていただけるように強く期待をしているというのはそういう意味でございます。 なお、御質問の前段に触れられました効率の問題でございますが、これは残念ながら
計画
どおりいっておりません。それはなぜかと言いますと、
職員
の方は組合とも十分協議をして数を減らすということでがんばっておるわけでございますけれ
ども
、何さま輸送量が落ちておりますので、
経営改善計画
で考えておりましたような形の効率まではいっておらない。輸送量を人の数で割った意味での効率という意味では、人の分母の方は
計画
どおりいっておるのですけれ
ども
、分子がすっかり狂っておるということでうまくいってないということでございます。 なお、戦前との比較の問題等につきましては、いま手元に資料を持っておりませんけれ
ども
、しかし、何といいましても、戦前と戦後ではわが国の
経済
がまるっきり変わっておりまして、人件費というものが非常に高いものになりましたから、労働集約型産業であるところの
鉄道
につきましては戦前とはまた全く違った形での
経営
をやっていかなきゃいかぬのではないかというふうに考えておりますし、世界のどこの国を見ましても、
国鉄
は
赤字
だ
赤字
だと言われながら一人当たり生産性という点では戦前とは全く違ったような
鉄道
になりつつあるわけでございまして、決してわれわれの努力は十分であるとは言えない、さらに努力を重ねなきゃならぬ点がいろいろあると考えておるわけでございます。
小柳勇
26
○
小柳勇
君
官房長官
には
最後
の質問ですが、いま
国鉄総裁
も言われたように、
国鉄
の
年金
問題というのがやっぱり緊急な、しかも大きな問題であります。この
監理委員会法
にもやっぱりそのことを、
年金
とか構造
赤字
とか
経営形態
とかありますが、ところが
年金
問題がいま別途の
法案
で別途の
委員会
に移っていますが、これを解決いたしませんと、退職いたしましたかつての一生懸命に
国鉄
を守ってきたOBの
諸君
が大変な不安ですね。わが党も一生懸命内部で努力をいたしておりますけれ
ども
、この
年金
問題については、やっぱり早急に通過いたしまして
年金
制度というのが確立して、みんなが、それは
国鉄職員
だけじゃありません、これからの高齢者社会で
年金
に依存する人はたくさんですから、
年金
の統一化ということに全精力を
政府
として取り組んでもらいたい。また、いまのこのかかっております
国鉄
関連の
年金法
案も早急に可決するように、われわれも努力いたしますが、
政府
としても努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
後藤田正晴
27
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) 高齢化社会を控えて、
年金
統合という大きな目標を持ちながら、まずその第一段階として国家公務員共済、それと三公社の
共済年金
、これの第一段階の統合をお願いをしようということで、御案内のようにいろいろ利害の対立ありましたけれ
ども
、それぞれごしんぼう願いまして、今
国会
に
法案
を提出いたしてございます。
政府
としては、何としてでも、これはやはり大きな
国民
的な課題の解決の第一歩ですから、
国鉄
の問題も当然頭の中に入れながら、この
法案
の成立を
皆さん
方にお願いを申し上げておるような次第でございますが、
政府
としても、ぜひひとつ通していただきたい、かように考えております。
小柳勇
28
○
小柳勇
君 長官については、どうぞ御退席ください。
あと
は
運輸大臣
に質問いたします。私は時間が余りありません。 長官、退席ですけれ
ども
、さっきの課題はまた聞きますからね。
後藤田正晴
29
○
国務大臣
(
後藤田正晴
君) わかりました。
小柳勇
30
○
小柳勇
君
運輸大臣
、いま、くどいようですけれ
ども
、
再建計画
進行
中であるけれ
ども
、これは長官は失言して死児などとおっしゃったけれ
ども
、現在まだ生きている。一体これがうまくいかないそういう
原因
は一体どこにあると判断しておられますか。
長谷川峻
31
○
国務大臣
(長谷川峻君) いろいろいままで考えてきたことも、時勢の変化、意識の変化、そんなこともありまして、早い話が、このごろ
職場
規律の確立ということがしきりに言われました。こういうものなどは私はやっぱり
一つ
の変化だ。そして、それが
国鉄
の当局並びに組合員がそのとおりやっているのだと胸を張って社会に述べるゆえんでもあるし、またそういう関連においていまのような
年金
問題も
国鉄
の場合に何とかしなきゃいかぬじゃないかというふうな
労働組合
員の連帯感、あるいは
政府
全体の取り組み方というものが真剣になってきた。こういうことからしても、私はこの
監理委員会法
案というものをきっかけにして、ぜひ
国鉄
がりっぱに信用のある
交通
事業
として
再建
できることを期待しております。
小柳勇
32
○
小柳勇
君
臨調
の
答申
尊重ということが
内閣
の大きな柱でありますが、臨時
行政
調査会ができましたのが
昭和
五十六年の三月、第三次の最終
答申
が出されたのが昨年の七月三十日です。
国鉄再建
という国政の重要な問題につきましては、もう十数年
衆参両院
で
論議
しているわけです。それを一年間
臨調
で審議されまして、
民営分割
を
前提
にしての
答申
ですね。余りにも軽率ではないかというのと、
国会
論議
無視ではないか、軽視ではないか。
国会
ではずいぶん、さっき申し上げたとおり、問題点は明らかになっているわけです。わざわざ
臨調
の
先生方
に
論議
していただかぬでも、この
衆参
の
国会
で問題点は明らかになっているわけです。ただ、
政府
がやれないとか、やらない、それで問題になっているわけですね。 もう
一つ
は、
臨調
で
国民
の
意見
というもの、たとえば地方
交通
線の廃止なんかありますね。いまずっと毎年現地に行って、この
委員会
もあさって現地へ行って公聴会をやるようになっていますけれ
ども
、
委員会
は相当現地の
意見
を聞いております。
臨調
の
先生方
は、
国民
の声というのは一体お聞きになったのであろうか、
国鉄
の問題に対して。そういう疑問があるわけですよ。だから、これは
運輸大臣
よりもむしろ行管の方から、余りにも軽率ではないかというのと、これが出たからすぐこの
監理委員会法
に肩がわってきた、そして五年間置いて検討しなさい、どうも余りにも無
責任
じゃないか、無
責任
内閣
じゃないかと思いますものですから、まずこの点に対する、
臨調
の一年のものが重要視されて、
国会
でずっと
論議
して第一次から第四次
再建計画
が盛っているのが軽視された、これははなはだもって
国会
軽視ではないかということ。その問題は
大臣
、
あと
の
臨調
の
先生方
の一年間の審議については行管から御説明願いたいと思います。
長谷川峻
33
○
国務大臣
(長谷川峻君) お互い
運輸委員会
などに所属しておりまして、
国鉄
問題というのは十数年以上みんな注目してきたわけであります。それは、部面、部面において参画もしたりしましたし、話も聞いたりしたことであります。当事者能力がない
国鉄
、だから
国会
で運賃を審議する、それは
皆さん
お互いの審議で許可をもらう、ここにおいてはだれもそのとおり、
国鉄
から言うてきたとおり判こつく者はおりません。議論はしょっちゅう行われました。ようやく通過したころは、その金は
国鉄
が使おうと当初思っていた方には使えないでタイミングを逸した、こういうロスがあったことな
ども
私は記憶しております。そんなちぐはぐだらけが実はいままであったのじゃないでしょうか。 そうしたことからしますというと、今度本当にお互いもそうだし、
政府
もそうだし、組合もそうだし、
国鉄
の
経営
者もこの辺が
最後
の段階だということで、自分の
職場
なり、やっぱり
交通
の
責任
を持つということでまとまってきて、ここに議論が出されているのが今日の段階である、私はこんなふうに感じているのです。
新野博
34
○
説明員
(新野博君)
国鉄
の関係につきまして
臨調
での審議の状況を申し上げますと、
国鉄
を担当いたしましたのは第四部会でございますが、第四部会では監督官庁あるいは公社当局、関係
労働組合
、有識者等から
経営
の実態なり問題点あるいはそのあり方等につきまして幅広く
意見
聴取を行いますとともに、それを踏まえまして制度や運営のあり方について精力的な調査審議を行いまして、回数にいたしまして二十六回開催いたしております。それと部会報告が上がりましてからは調査会の段階で十二回の審議をする、こういう形で
答申
が出ております。 また、御承知のように、
国鉄
問題には限りませんが、調査会の
委員
の
先生方
は、一日
臨調
ということで各地で
行政
改革の御
意見
を聞いておりますし、また各界各層の方々といろいろ
意見
交換の場 を持って
意見
の聴取には努めておる、こういうようなことでございます。
小柳勇
35
○
小柳勇
君
臨調
の審議などは、後で瀬谷
議員
がいろいろまた質問されますからこれでおきますが、私の方、時間が足らないのですが、
国鉄総裁
、さっき
経営改善計画
の問題もおっしゃいましたが、いまの
法律
について
運輸大臣
もこれはまだ死んでおるのじゃない、まだ
進行
中であるというなら、いまの
経営改善計画
をもう少し見直していかなきゃ何ともならぬのではないか。言うならば、これから
監理委員会
ができましても、五年間の
論議
を待ってなんていうと、その間にも
国鉄
はどうなるかわかりません。その間は一体どうされるんですか。これは
運輸大臣
にも
国鉄総裁
にも聞きたいんです。
監理委員会法
は、私
ども
はとてもこれは本当に無意味だ、
屋上屋
だと
反対
ですけれ
ども
、仮にこれが通過したといたしますと、これに、
監理委員会
が
論議
しているからということで全部
責任
転嫁される危険性がある。その間、
運輸省
なり
国鉄
としてはどうやって
国鉄
を
再建
されるか。わかり切っているんですから、金の問題とか収入の問題とか。 ただ、私は
総裁
にも
運輸大臣
にも申し上げておきたい。さっき持論の中で言っておいた方がよかったのですけれ
ども
、運輸収入が減って、人件費が多くなって
赤字
だ、即、今度は運輸収入の面まで、
労使
の問題、
労使
紛糾しているからだとか、あるいは
職員
の働きが足らぬとか、そういう印象を世間の人は持っていますけれ
ども
、たとえば
国鉄職員
は外に行ってお客さんを誘致したり、貨物を誘致する、そこまでは手が出ぬのですよ。そういう
責任
はまたやってないわけですね。それは
計画
者のたとえば
経営
委員会
などがどうやったらお客がふえるか。それはさっき言った総合
交通
政策ですね。
職員
としては、たとえば改札のとき愛きょうよくせいとか言いますけれ
ども
、改札もおらぬ、機械で切符をやっているところもあるんですから、全然
人間
おらぬところもあるんですから、愛きょうというのじゃなくて。
職員
は、A駅を
定時
に
列車
を出して、B駅に
定時
に安全で着いたら百点でなきゃならぬですよ。百点ですね。
あと
、この
国鉄
をこれから
改善
するのは
累積赤字
の利子支払いとか、そういうものでしょう。わかっているんですね。したがって、たとえばこれが通るといたしまして、これに全部
責任
を転嫁されるのか。いやそうじゃないのだ、これこれこれやっていくんだ、
国鉄
改善
計画
については見直すんだと、具体案があったら、
運輸大臣
並びに
総裁
から御返事願いたい。
高木文雄
36
○
説明員
(高木文雄君)
再建
監理委員会
ができましても、従来のいわゆる特別措置法による
経営改善計画
を中心とするところの
国鉄再建
の実行ということは一向変わらないというふうに考えております。すでに
政府
に御提出申し上げて御承認いただいております。
経営改善計画
につきましては、先ほ
ども
触れましたように、輸送量の減ということを主体として
計画
どおりなかなか
進行
してないという状況でございますので、これに手直しをいたしまして、なるべく早い機会に現行
経営改善計画
の修正について
政府
にお願いに出たいというふうに考えておるわけでございます。 その場合に、この前あの
法律
を御審議いただきました段階、それからその後私
ども
が
経営改善計画
をまとめて
政府
に御承認をいただきました段階、さらに今日の時点、三つに分けてみますと、親元といいますか、財政の状態が極度に悪くなってきております関係で、この前
法律
を御審議いただきましたときに
政府
でお考えになりました、胸の中に置いておかれました
国鉄
に対する財政からの援助といいますか、バックアップといいますか、そういう点についての考え方が大分変わってきておるわけでございますので、その点につきましては
経営改善計画
の枠内ではなかなか処理ができないという状態になってまいりましたから、そうした問題については主として
再建
委員会
の方で御討議いただけるものと考えておりますし、そのフィールド、つまり構造的
赤字
の処理の問題につきましては
経営改善計画
の中でというよりは、どちらかというと、今後は
再建
委員会
の方に御説明を申し上げ、お願いをして解決策をそこでお出しいただくというふうに多少変化を、ちょっとスタンスを変えた取り組みにせざるを得ないと思っておりますけれ
ども
、その点を除きましては従来どおり
経営改善計画
を中心として、つまり現行の特別措置法の基盤のもとにおいて何とか
再建
の道を見出していくということを続けていかなければならない。そして、われわれとしては、むしろそっちの方に今後ともより重点を置いて取り組んでいかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
長谷川峻
37
○
国務大臣
(長谷川峻君) いま
国鉄総裁
が現場を預かる人として変化を申し上げ、決意を申し上げておりますが、それらを中心にしながら、基礎にしながら、いまからの
再建
監理委員会
が生まれた、そういうときに活用していきたい、こう思っております。
小柳勇
38
○
小柳勇
君 時間が参りましたのでこれで質問は終わりますが、きょうは総論的なことだけになりました。具体的な問題をきのう通告した省もありますけれ
ども
、次の機会に譲らしてもらいます。 ありがとうございました。
瀬谷英行
39
○瀬谷英行君 この
法案
の審議に当たって、何点かあらかじめ要望をしたいと思うことがございます。 いままでの
衆議院
の審議の
議事録
等を拝見してみましたけれ
ども
、一言で言うならば、むずかしい問題は先送りをしていく、それから
責任
を
政府
としてはあくまでも回避をする、こういう姿勢がきわめて強いんです。なぜかというと、これは
臨調
の
答申
を尊重する、それから
監理委員会
で、そこで処置してもらう、検討してもらうということで、すべてがいままでの
論議
は尽きていると言ってもいいくらいなんです。だから、そんなにその
臨調
の
答申
を尊重するとおっしゃるならば、
臨調
の
答申
そのものが十分尊重に値する
内容
を持っているのかどうかということをわれわれとしてはじっくりと検討をしてみる必要があると思う。
内容
をろくに検討もしないで頭からこれを尊重する、こういったようなことではこれは食い物をかまないで飲むのと同じなんです。そういうことになっちゃいけないと思うんです。だから、いままでの
臨調
の
答申
を尊重するといったようなことを、一体
政府
としてどの程度
内容
について吟味をしているのか。尊重するということのニュアンスもどうも変わってきているような気がするんですが、その点はどうですか。
長谷川峻
40
○
国務大臣
(長谷川峻君)
臨調答申
、いろいろ論ぜられましたが、その中にはやっぱり
国鉄
をはっきり
再建
させるための方針として、時に
分割
民営
等も論ぜられました。そしてまた、膨大な
赤字
、この問題の処理を真剣に考えなきゃならぬのじゃないかということなどは、よその部会で初めて言うてくれたことだ、私はこういうふうに感じております。そうした処方せんを書いてもらったことをいかにお互いが、
国会
、
政府
、そしてみんなでこれを実行していくことが大事なことか、そういう命題を与えられた、こう思っておるわけであります。
瀬谷英行
41
○瀬谷英行君 処方せんを与えられたと言いますが、その処方せんが間違いなく合っているかどうかなんです。私は、やはり
国鉄
の問題は、
国鉄
の
累積赤字
というのはいま始まったことじゃないんですよ。私
ども
、いままでの
衆参両院
の
委員会
における附帯
決議
やらいろいろな
意見
書やらたくさんあります。これを検討してみると、ろくにその大事な点については
政府
は実行してないんです。これは歴代の
運輸大臣
に
責任
があると思いますよ。なぜならば、運賃の値上げにしてもあるいは
国鉄
の予算にしても、だれがこれを一体組んだんですか。
国鉄
の
労使
が勝手につくったわけじゃないんです。
政府
の
責任
において
運輸大臣
が
国会
の方へ提案をして、
国会
で通って、そしてそれが今日までの
国鉄
の
累積赤字
になっているわけですよ。一言で言うならば、借金でもって
設備投資
を するというやり方、これが今日の膨大な
累積赤字
になっているというふうに認識しても間違いないと思うんですが、その点どうですか。
永光洋一
42
○
政府委員
(永光洋一君)
国鉄
の
赤字
の要因はいろいろあると思いますが、先生がおっしゃいますような、いわゆる
設備投資
は借金でつくった、そういうものに基づく利子負担というようなものが
国鉄
の財政を大きく圧迫していることは事実であると思います。
瀬谷英行
43
○瀬谷英行君 そういう紛れもない事実を何か
労使
に転嫁をする、
国鉄
の
労使
の
責任
であるかのように思わせるような言い方を今日までしてきたと思うんです。これはきわめて卑劣だと思う。また、
臨調
そのものも、そういう肝心な点についての触れ方はきわめて不十分だ。 それで、先ほ
ども
総裁
から
小柳
委員
の質問に対して御
答弁
ございましたが、
臨調
の
答申
の
内容
を大別すると、
分割
の
民営
化ということですよ。これは
政府
の手を離れる、
政府
から離してしまうということを意味していますね。それから緊急十一
項目
といったようなことがありました。それから構造的
赤字
の処理ということがありました。しかし、この構造的
赤字
などというものは
政府
の
責任
によって生じたわけです。歴代の
運輸大臣
に
責任
があるわけです。その歴代の
運輸大臣
の中には、今日の中曽根総理
大臣
も含まれています。 だから、こういったような身動きのならない、首の回らない借金になったという
責任
は、これはだれがとるのだということになりゃ、いやおうなしに歴代の
運輸大臣
でしょう。それがいけないというならば、歴代の、その
赤字
になって以来の
運輸大臣
は、全部そろって坊主になって、頭下げて、申しわけございませんと謝らなきゃいかぬですよ。それを、おれのせいじゃないというような顔をして、そして
臨調
で何とか言いなさい、
臨調
は今度は
監理委員会
だ、キャッチボールです、これは。ボールを投げて、五年間で何とかしろ、五年間たってよくなる、そんな手間ひまかけているときじゃないと私は思うんですよ。 しかも、処方せんというふうに言われたけれ
ども
、その中には緊急十何
項目
なんというのがありますけれ
ども
、これは財政
再建
に何の足しにもならないですよ。これが処方せんだということになると、私はこの病状に対する認識が足りないということを指摘しないわけにいかないです。内臓疾患の患者に対して水虫の薬をくれているようなものですよ、これは。これで内臓疾患が治りますか。そういう感じを私は持つんですよ。
大臣
、どうですか。
長谷川峻
44
○
国務大臣
(長谷川峻君) 内臓疾患と水虫の関係はちょっと気がつきませんけれ
ども
、いろんな方々がいろんな方面からこの
国鉄
の
赤字
の分析をされているというところに私は
一つ
の意味があるのじゃないか。それをいかに今度は片づけさせるという方策と実行をやらせるかというところに私は大きな問題がある。歴代
運輸大臣
の
責任
だと言われりゃそれっきりでございますけれ
ども
、新しい
鉄道
を敷く場合には、
鉄道
建設審議会等々があって、そこには時には各党の方々も御
出席
になっておったこともありますし、ですからこの際は、私は、国も
政府
も、もちろんそれから
国会
も、みんなが一枚何かをはぐつもりで懸命にやらなければ、いまから先構造的な問題で伸びる
赤字
というものを消すわけにもいかぬし、また消させるところの努力も仕切らぬのじゃないかというところに私は多少の決意を持って
皆さん
方にお願いしているわけです。
瀬谷英行
45
○瀬谷英行君 そこで、私はこの
臨調
の
答申
に対して疑問を持つんですよ。本気になって、これは
国民
のために
国鉄
を何とかして生かそうとしているのかどうかという疑問を持つんです。これは
国鉄
を解体するということが一番大きなねらいになっています。
分割
民営
化というのはこれは柱なんです、
臨調答申
の。
分割
民営
化以外の方法もあるかのようなやりとりが
衆議院
でもありました。そういったようなニュアンスのやりとりがありました。しかし、じゃ
分割
民営
化以外の方法というのは具体的に何か。
臨調
の
答申
には出てないでしょう。 そうすると、
臨調
の
答申
を尊重するということになると、
分割
民営
化を具体的に実行する以外にないわけですよ。もしそれが実行できないようだったならば、
臨調
そのものが無
責任
だったということになる。実行できないようなプランを出したということになると、これは出した方に
責任
をとってもらわにゃいかぬですよ。昔のちょんまげ時代だったならば、できもしないプランを出せば腹を切らなければならなかった。いま腹を切らないでしゃあしゃ
あと
して解散をして、涼しい顔をして勝手なことを言っている。それが
臨調
の姿じゃないかと私は思うんです。そういう無
責任
体制というものが
臨調
に果たしてなかったかどうか。そのことは、私はこれからも十分に検討してみなきゃいかぬと思う。 そこで、行管長官の
出席
を求めたのでありますけれ
ども
、
臨調
が、先ほ
ども
ちょっと御
答弁
がございましたけれ
ども
、どういうような審議をして、どういうような経過でこういう
答申
を出すに至ったのか、そのことを説明してもらいたいと思うんです。
新野博
46
○
説明員
(新野博君) お答えいたします。
国鉄
の関係につきましては、
臨調
の第四部会というところが三公社を担当いたしまして、その中で
国鉄
につきましても、
運輸省
、それから公社、関係
労働組合
、有識者等からいろいろ
経営
の実態なり問題点あるいはあり方等につきまして幅広く
意見
聴取を行いますとともに、これを踏まえまして制度、運営のあり方について精力的に調査審議を進めまして、都合二十六回の審議を開いております。また、部会報告が調査会に上がりましてからは、調査会におきましてやはり十二回にわたり審議をいたしまして、
答申
をまとめております。また、先ほど申し上げましたように、一日
臨調
ということで
委員
の
先生方
が各地に出まして、そこで、
国鉄
問題には限りませんが、
行政
改革全般についていろいろ御
意見
を聴取するというようなこともやっております。 以上でございます。
瀬谷英行
47
○瀬谷英行君
臨調
のいろいろな審議の
内容
については、これは何も逃げ隠れする必要のないことだと私は思うんですよ。それならば
臨調
の、いま何回開催したとか何をやったとかということを言われましたが、それらの
議事録
というものを出してもらいたいと思うんです。それが出せるのかどうか、まとめてあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
新野博
48
○
説明員
(新野博君) お答えいたします。 臨時
行政
調査会の
議事録
につきましては、
臨調
の初会合におきまして、各
委員
の
先生方
がそれぞれ御自分の識見に基づきまして自由濶達な議論を交わしまして中立公正な審議が行われるようにする、こういうことから実は非公開の原則を打ち立てられたわけでございます。 それで、現在
臨調
が解散しておるわけでございますけれ
ども
、
議事録
の公開につきましては、
委員
やあるいは専門
委員
、参与等、それぞれ御審議なさった諸
先生方
に対しまして種々不都合が生ずるおそれなしとしないということが一点と、また
臨調
自体がこの非公開原則を解散時点までに変更されていなかったというようなことがございますので、これらをあわせ考えますと、今後ともこの非公開の原則は貫かれてまいるべきものではないかと考えている次第でございます。
瀬谷英行
49
○瀬谷英行君 このことは重要ですよ。
臨調
の
答申
を尊重するということでもって
国鉄
問題が処理をされようとしている。ところが、いま聞くと非公開だと言うんですね。
議事録
も公開できない。なぜ公開できないか。いろいろ不都合が生じる。何で不都合が生じるんですか。
国会
の審議はいままで公開でやっていますよ。これからも公開でやりますよ、本会議であろうと
委員会
であろうと。秘密でやらないし、その審議の
議事録
だってちゃんとオープンです。
国会
の審議でも公開でやっているのに、
国会
の頭越しに重要なことを決めようとする
臨調
がなぜ非公開でなきゃいかぬのか。 この間のある
新聞
に、
臨調
の丸山
委員
がこの臨 調について一生懸命メモを書いているということがございました。それはなぜかというと、非公開ということが決まった。丸山さんが、公開を主張したけれ
ども
、
あと
の多数というものは非公開を主張したので結局非公開になってしまった。何で非公開にしなきゃならぬのか。何で泥棒猫のようにこそこそと
国民
の目を避けて作業をしなきゃならぬのか。こんなやり方をやっていて、そして結論だけ尊重しろ。こんなばかなことはないですよ。私は、その点から言うと納得できません。したがって、あくまでも
臨調
の
議事録
というものを
国会
には提出してもらいたい。
国会
にも提出できないということであれば、そんなものは尊重することはできません。
国会
にも提出できないと言うのか。その
理由
も、これは明らかにしなければなりません。 そこで、その点について、今度は
臨調
の
責任
者の
出席
も求めたいと思います。真意を聞かなきゃなりません。
臨調
の土光会長初め、
責任
ある人々は今日まで
国会
に出て
答弁
をしたということを聞いておりません。しかし、これから先、
臨調
の
答申
を尊重するというならば、その
答申
の
責任
者に対して
出席
を求めるということは当然あってしかるべきではないかと思うのでありますが、長谷川
運輸大臣
、その点どうお考えになりますか。
長谷川峻
50
○
国務大臣
(長谷川峻君) これは
国会
の問題であろうかと私は存じ上げております。
瀬谷英行
51
○瀬谷英行君
国会
の問題であるということなら、
国会
にお任せをいただいて、ここで決めれば
臨調
の
議事録
も出してもらわなきゃなりません。それから
臨調
の
責任
者にも出てもらわなきゃなりません。解散したからおれは知らないというようなことを言われたのでは困るので、後の
責任
を持たないというなら、
臨調
の
答申
なんというものはこれは尊重できませんよ。その点どうですか。
長谷川峻
52
○
国務大臣
(長谷川峻君)
議事録
についてはやっぱりだめだろうと私は思います。何となれば、
臨調
が生まれたときにそういうふうにお決めになったということですから、私
たち
の方からどうこうと言うわけにはまいりません。
瀬谷英行
53
○瀬谷英行君 これは議会制民主主義という
立場
に立つと大変重要な問題ですよ。
臨調
といったような特別の
機関
が
国民
の目の届かないところで勝手に作業をして、結論を出して、
政府
はそれを尊重しなきゃならぬというようなことを決める。今回は行革の問題だけれ
ども
、すべての分野にわたってそういうことが行われるようになったらどうなりますか。たとえば防衛問題、教育問題、すべて
臨調
方式でもって
政府
の息のかかった適当な
人間
を集めて、そしてここに作業をやらして
答申
を出さして、
政府
はそれを尊重する、
国会
はそれを追認するというような形になれば議会制民主主義は壊れるのじゃないですか。そういう点、
国会
というのはあくまでも公開を原則にして、そして議事の
内容
もオープンにしているんですよ。そういう議会制民主主義を頭越しに勝手に決めるというやり方がこれから許されていいと思うのかどうか。議会制民主主義の将来を考えてみるとき、きわめて重要な問題だと私は思うんですが、これはもちろん
国会
の
理事
会でも検討してもらわなきゃなりませんけれ
ども
、
大臣
自身はどのようにお考えになりますか。
長谷川峻
54
○
国務大臣
(長谷川峻君) その
委員会
、それぞれの会合がそれぞれの
権限
を持っていると思います。私
たち
が基本的人権を持つと同時に、会合する方々も基本的人権がある。そこでお決めになったことは私
たち
はとやかく申し上げるわけにはいかぬ、こう思います。
瀬谷英行
55
○瀬谷英行君 とやかく申し上げることはできないと言われるならば、
臨調
の
答申
そのものも、これは
国会
でもって十分に
内容
を検討して、取捨選択の自由をわれわれは保有をしていてしかるべきだと思うんです。これを立法府の頭越しに
臨調
の
答申
を
政府
は尊重しなきゃならぬといったようなことになると、立法府は要らなくなります。
国会
なんというものは要らなくなりますよ。
臨調
といったような、こういうあいまいな
機関
に大事なことはすべて任して、そして
政府
は思いのままに操縦するということが可能になってきますよ。そんなことが一体許されると思いますか。大事なことだと思いませんか。
長谷川峻
56
○
国務大臣
(長谷川峻君) そこで出た議論について
国会
でお互いが大いに議論することは差し支えないと思います。しかし、それ自体も
一つ
の
機関
で基本的人権があることですから、その
内容
全部をお互いの力で出せというのはこれはやっぱり行き過ぎじゃないだろうか。出た結論について、私
たち
が関係する結論について十二分に付議し討論するということは一向差し支えないではないかと私は考えます。
瀬谷英行
57
○瀬谷英行君 それじゃ、もう
一つ
。この
答申
の中で出ております
監理委員会
ですね、この
監理委員会
にきわめて強力な
権限
を与えるようになっている。しかし、この
監理委員会
が勝手に、五人なら五人だけでもってすべてを任せられたというつもりで何でも決められるということになると、これまた大変に問題だと思います、どういう人が選ばれるかわかりませんけれ
ども
。どういう人が選ばれるかわからないけれ
ども
、中には素人もいるのじゃないか、中には財界のひもがついている
人間
がいるのじゃないか。これはまだ結果がわからないから何とも言えませんけれ
ども
、人選についても非常な不安を覚えますね。
臨調
の
答申
そのものがどうもこれは財界寄りである、こういうふうに考えられるんです。だから、
監理委員会
がもし発足をするということになったら、
監理委員会
もやっぱり
国会
に、関係
委員会
に
出席
をしてわれわれの質問に対して答えるということは義務づけられてしかるべきではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
林淳司
58
○
政府委員
(林淳司君) それは
監理委員会
で基本的にはお決めになることだと思いますけれ
ども
、やはり
内容
とかあるいは時期というものもございましょうが、
国会
の方から
監理委員会
について説明をしろということでお求めがございました場合には、
監理委員
なりあるいはその事務局なりが適宜御
出席
をして、できる限り御説明を申し上げるということになろうかと思います。
瀬谷英行
59
○瀬谷英行君 それは
監理委員会
の
委員長
初め
委員
に
出席
をしてもらうということでなければならないわけなんですよ。事務局が出てきてごまかされたのじゃたまらないです、これは。
臨調
だってそうでしょう。今日まで
臨調
のメンバー
出席
をしていないでしょう。
臨調
について何か質問するということになると、だれか余り
責任
のない人が出てきて、何回開きましたとか、何をやりましたとか、どうでもいいようなことを報告しているんです。肝心な問題について、われわれの追及に答えられるような体制になっておりませんでしたよ。こういう無
責任
体制、あえて私は無
責任
体制と言いますが、こういう無
責任
体制が
監理委員会
に持ち越されたならばこれまた何をやられるかわからぬ、そういう不安がございます。その点、
監理委員会
はその
責任
者が
国会
関係
委員会
等に必要に応じて呼ばれた場合には
出席
をして質問等に答える、
意見
を述べるということを確認してもよろしゅうございますか。
林淳司
60
○
政府委員
(林淳司君) この
監理委員会
の性格でございますけれ
ども
、
監理委員会
は
国鉄再建
に関する改革案というものを立案いたしましてこれを
内閣総理大臣
に提出する、
政府
の方でこれを受けて必要な措置を講ずる、
政府
はその必要な措置を講ずる際に当然立法的な問題がございました場合には
国会
の方に御審議をお願いする、こういうことになるわけでございますので、基本的には
監理委員会
で出したものは
国会
の方で
法律
案という形で御審議をいただくことになろうかと思います。 ただ、その前段階でどういうふうに審議が進んでいるかということについて
国会
の方からいろいろお求めがございました場合には、これは
監理委員会
ができてから
監理委員会
の方でお決めになることでございますので、
監理委員会
の運営の問題にわたる問題でございますので、いまここで私がだれというふうに申し上げるわけにはまいりませんが、何らかの適切な形でできるだけ御説明申し上げるということになろうかと思います。
瀬谷英行
61
○瀬谷英行君
監理委員会
で決める問題だからといって逃げられても困るんですけれ
ども
、やはり重要な
権限
を持っている
機関
だとか人だとかというものが
国会
を避けるようなことをされては困るんですよ。 したがって、これは
理事
会で改めて御協議をお願いしたいと思いますけれ
ども
、
臨調
の
答申
を尊重するという以上は、
臨調
の
答申
の
内容
についてわれわれは吟味しなければならないし、そのためにはこの
議事録
についても提出してもらわなければならないし、
責任
者にも
出席
をしてもらわなければならない。さらに、
監理委員会
でやってもらうということであれば、
監理委員会
にも当然関係
委員会
に
出席
することを義務づけてもらわなきゃならぬと思うのでありますが、これらの点について
委員長
に要望したいと思います。これは
国会
の問題であるという御
答弁
もございましたが、きわめて重要な問題でございますから、その点、御配慮願いたいと思います。
青木薪次
62
○青木
薪次
君 関連質問いたしますけれ
ども
、これは私も
理事
会の問題だ、こういうふうに考えます。
国鉄
の
経営
する
事業
の
再建
の
推進
に関する
法律
を審議しているわけですから、
法律
に基づいて設置される
監理委員会
の
行政
に対する
一つ
の判断とかあるいはまた方針とかを決めるわけでありますから、随時適切に
国会
に対して説明をし、あるいはまた方針を述べることについてはこれはあたりまえのことであるというように、瀬谷
委員
の発言について私は確認をいたします。したがって、
理事
会でこのことについては検討するというように、
委員長
、諮っていただきたいと思います。
矢追秀彦
63
○
委員長
(
矢追秀彦
君) ただいまの瀬谷
委員
、青木
委員
の要求につきましては、後日、
理事
会において検討いたします。
瀬谷英行
64
○瀬谷英行君 それでは、いま私が申し上げましたようなことは、
理事
会で十分御検討いただきたいと思います。 それから、また
臨調答申
の
内容
に入りますけれ
ども
、中には構造的な
赤字
の処理といったような問題も重要な柱になっているということを先ほど
総裁
がお述べになりました。しかし、元来、この構造的な
赤字
の処理などということは、
臨調
の
答申
だ、
監理委員会
だというようにキャッチボールをするまでもなく、
政府
の
責任
においてこれは処理しなきゃならないことだと私は思うんですよ。なぜならば、この
赤字
を生んだのは
政府
なんですから。そうでしょう。生んだ方が自分の生んだ子供のめんどうを見ないでどうするんですか。だれにめんどうを見させるんですか。それは指摘されるまでもなく、当然これは
政府
が処理をするために必要な手だてを講ずるのが本当じゃないかと私は思うんですが、その点、
政府
としての考え方をお伺いしたいと思うんです。
林淳司
65
○
政府委員
(林淳司君) 構造的な問題、長期債務等の問題でございますけれ
ども
、これについては、やはりその処理については、いまのその額から見て非常に大変なこれは検討を要する問題である、非常に困難な問題である、これを解決するには尋常な手段ではなかなかむずかしいというのが第一点でございます。 それからもう一点は、長期債務等の問題。これはいわゆる効率的な
経営形態
というもの、これを確立するに当たってそれとの絡みでこれを解決していく必要がある、全体として解決をしていく必要がある、こういうことでございまして、したがって
監理委員会
において十分詳細な検討をし、結論を出していただきたい、このように考えておるわけでございます。
瀬谷英行
66
○瀬谷英行君 私
ども
は、
監理委員会
そのものに対して
反対
の
立場
をとっておるわけなんですよ。だから、
監理委員会
において検討し、というふうに逃げられると、それは
一つ
の逃げ道だと思うんですが、そうすると、
監理委員会
というものをつくること自体、
運輸大臣
なり
国鉄総裁
を侮辱したことになるんですよ、これは。先ほ
ども
話が何回も出ております。
屋上屋
を重ねると言うんですね、この
監理委員会
というのは。そうでしょう。
屋上屋
を重ねるということは、屋根の上にまた屋根を乗っけるということですよ。そのまた屋根の上に風見鶏が乗っかっている。こういったようなものですわな。 こういう行革の趣旨と相反するようなまねをするということは、どう考えてみても、これは
運輸大臣
としては反発を感じなきゃいけないですよ。早い話が、
運輸大臣
、
国鉄総裁
、おまえらには任せられない、引っ込んでいろ、おれ
たち
にやらしてもらうというふうに出しゃばってくるのが
監理委員会
じゃないですか。どんなりっぱな人が出てくるかわからないけれ
ども
、
国鉄
の財政の問題について
国鉄総裁
より詳しい
人間
が出てくるということはちょっと私は想像できないような気がするんですね。一番詳しいのは
国鉄総裁
です。ところが、
臨調
は
国鉄総裁
には当事者能力がないとか、いろいろ言っています。当事者能力がなかったら与えりゃいいでしょう。与えないでおいて当事者能力がない、こんなことを言ったってしようがないです、これは。 さっきも
小柳
委員
のときに話がありましたけれ
ども
、
総裁
は
私鉄
で言うなら
社長
ですわね。ところが、
国鉄総裁
の場合は
社長
としての
権限
も能力も持ってないわけでしょう。言い方は悪いけれ
ども
、雇われマダムみたいなものだ。その雇われマダムのヒモが
政府
といったような関係になっておるわけでしょう。そういう当事者能力を与える、ないからこうだと言うならば。この歴代の
国鉄
関係の
法案
の附帯
決議
の中にもそういうことが書いてあるんです、いろいろと。過去債務を積極的に処置をするとか、あるいは
公共負担
は
政府
でもって検討して適切な処置を講じろとか、あるいは
衆議院
の提言の中にも、
責任
ある
経営
体制を考えるとか、関連
事業
の充実をやれとか、いろいろとこうすれば何とかなるじゃないかということが、いままでも附帯
決議
あるいはいろんな形でもって出てきているんですよ。それを守れば問題はこんなに深刻にならなかったと思う。要は、それを守らなかったんでしょう。守られていないでしょう。 ここで
総裁
に、たばこに火をつけたところで悪いけれ
ども
、お聞きしますが、過去における附帯
決議
やら提言というものが忠実に履行されたと思われるかどうか。これが履行されていなかったというふうに私は思うんですが、たくさんいろんな問題がありますけれ
ども
、その点、
総裁
、どのようにお考えになりますか。
高木文雄
67
○
説明員
(高木文雄君) 確かに附帯
決議
その他で御指摘を受けたことで、その線に沿って進んだことと、残念ながらそのとおりなってないということと、
二つ
に明確に分かれておると思います。 どうしてそうなっているかということにつきましては、やはり何と申しましても、現在の予算統制を中心とする公社制度そのものに問題があると言わざるを得ないわけでございまして、そこは鶏と卵の関係になりますけれ
ども
、一方において附帯
決議
で示されましたようないろいろな
事項
を
政府
において実施していただくということが
一つ
の道でありますけれ
ども
、もう
一つ
の道としては、やはりいまの公社制度によるところのもろもろの
政府
の統制というものの
前提
において附帯
決議
で指摘された
事項
が実施できるかどうかというところに非常に問題があるわけでございまして、反面、いまの予算統制を外してしまうということは、そもそも公社制度そのものを否定するということになるわけでございますので、大変大問題であるわけでございます。 そこのところは、いろいろ御指摘がありましたけれ
ども
、実施できてないということについては、
経営形態
論とはま
たち
ょっと別の形になりますけれ
ども
、現行公社制度論というものがもう一度基本から御
論議
いただく必要のある問題ではないかと私
ども
は考えておるわけでございます。率直に申しまして、雇われマダム的性格というのは払拭できない、それはいまの基本はやっぱり予算を中心とする統制という形に基本の問題があるのじゃないかというふうに考えております。
瀬谷英行
68
○瀬谷英行君 予算は大蔵省の方で原案をつくって、そして矢面に立つのは
国鉄総裁
、そうすると、
国鉄総裁
というのは何か事故があったときの 謝り役だとか、文句を言われるときの文句の引受役だとか、そういうことばっかりで実権はさっぱりない、実にこれは考えてみりゃばからしい役割りなんですよ。よくがまんしてやってきてもらえたと私は思うくらいなんです。しかし、そういう状態をこれからも続けるということになると、
総裁
のなり手は私はなくなるのじゃないかという気がするんです。 そこで、こういう形態がいけない、もし
政府
が
責任
を持ってやると言うならば、
運輸大臣
、昔のように
鉄道
省にして、
政府
みずからやってみたらどうなんですか。そうすれば、この構造的
赤字
の問題も、
年金
問題も、ごちゃごちゃした問題は一切解決できます。そのかわり、
大臣
自身が
責任
を持たなきゃならぬです。
責任
を
国鉄総裁
といったようなところに転嫁をするというわけにいかなくなる。そういう方法が最もストレートな方法であるでしょう。その点、
大臣
としてはどうお考えになりますか。
長谷川峻
69
○
国務大臣
(長谷川峻君)
鉄道
にはずっと長い歴史がありまして、
昭和
二十四年に公社になってから今日までの経過がいまのようなことになったわけでありますから、
一つ
一つ
の歴史を私も学んでもおりますが、さて私がすぐに昔のように
鉄道
省をお引き受けするような、そんなことがいいのかどうかというのは大きな
行政
上の問題でございますので、直ちにここで御返事申し上げるわけにはまいりません。
瀬谷英行
70
○瀬谷英行君 私が一番最初に問題の先送りと
責任
転嫁ということを指摘しましたけれ
ども
、
運輸大臣
という
責任
者がやはり自分でもってどうしたらいいかということを考えなきゃいけないと思うんです。どこかに
責任
を転嫁しようということを考えていたらろくなことはできません。だから、この
臨調
などという、こういうえたいの知れない
機関
がわけのわからない
答申
を出すんです。私はあえて言いますよ、りっぱな
答申
だなどとは決して思わない。 そこで、その
臨調答申
の問題についてまた今度入っていきますけれ
ども
、
分割
民営
化ということが柱になっています。
分割
民営
化ということは、具体的に言うと、北海道、九州、四国、本州、本州をさらに
分割
をする、こういうのがこの
臨調答申
の中で一番重要な柱になっております。これは否定のしようがない。それならば、じゃ北海道なり九州、四国、これは本州から海を隔てておりますから
分割
するには一番
分割
しやすいところだから、じゃそこからテストケースとして
分割
をしてやってみる。やれるかどうかやってみる。やれるなら逐次あちこち
分割
していったらいいでしょう。それは
論議
をする必要はない。
臨調
の
答申
を守るというのならば、尊重するというならば、そこから始めなきゃならないと思うんですよ。 そこで、じゃ北の方からいって北海道、北海道を
分割
してやっていけるのかどうか。その営業係数は一体どうなっておるのか。さらに、青函トンネルというのはもう九分どおりでき上がっておる。この青函トンネルの費用はどこが払うのか、払わなくていいのか。払うとすればだれが払うのか。
分割
民営
という場合には、北海道がこれを引き受けるのか、北海道と本州でもって折半をするのか、どういう形になるのか。その場合に、やっていけるのか、やっていけないのか。その点は差し迫った問題で、具体的な問題なんです。抽象論でもって逃げちゃいられません。この点について、お伺いしたいと思います。
林淳司
71
○
政府委員
(林淳司君) 北海道、四国あるいは九州、これを
分割
したら一体どうなるかというお尋ねがまず第一点でございますが、一般的に言いますと、
分割
民営
化ということについては、これは
臨調答申
も述べておりますが、
経営
に自主性が付与される、あるいは自由度が与えられる、こういうことによってひいては
経営
責任
が明確になる、こういう問題、さらには各
地域
の実態に即した運営が可能になる、こういうふうな効果というものも期待できるのではないかと思います。 ただ、北海道とか、四国とか、九州、これをじゃ
分割
したらどうかということについては、これは具体的にやはりどういう形で
分割
をするかという、その
分割
案なるものがないと何とも言えないわけでございますが、その
分割
案を検討するに際しましては、こういうふうな
経営
の仕組みというものを変えることによる
合理化
とか、あるいは生産性の向上とかというふうな要素が一体どの程度働いてくるかという問題とか、あるいはいろんな関連
事業
、その他の
事業
の自由度が大きくなるということに伴うメリットとか効果、あるいはこういう
経営形態
をこれから検討するに当たっては当然長期債務の問題、こういう構造的な問題については何らかの処理をしなきゃならぬわけでございますので、そういうふうな問題をどのようにして処理するかということとか、いろいろ関連する問題ございますので、それらの要素を十分検討した上でその採算性はどうなるかということを検証しなきゃならぬ、こういうことだろうと思います。したがいまして、いまここで直ちに
分割
が可能か不可能かということについては、北海道、四国、九州についてどうかということについては、いまここで直ちに結論を出しにくいと思います。まさに、そういうことのためにこれから一定期間かけて十分その辺の問題点を詳細に詰める必要があろうか、このように考えております。 それから青函トンネルの問題でございますけれ
ども
、これについてはどうかというお尋ねでございますが、これについては、やはり八百億の資本費というものを発生する青函トンネルというものを抱えて
経営
をしていくということは、これはなかなかむずかしかろうと思います。したがいまして、こういう問題については、今回の
法律
におきましても第二条の「国の施策」というところで、長期債務等の問題と並びまして、これについては国としても適切な措置を講ずるということで第二条に規定をしてあるわけでございまして、国として何らかの措置を今後考えていかなければならぬだろう、このように考えております。
瀬谷英行
72
○瀬谷英行君 言葉の数は多いけれ
ども
、中身はさっぱりないわけですね。国として適切な措置を講ずる、具体的にどういうことですか。適切な
答弁
してください。
林淳司
73
○
政府委員
(林淳司君) 私
ども
として、まさに、その辺の処理の仕方、措置の仕方、これは青函トンネルだけではございませんで、長期債務、これは二十何兆にも上るという長期債務の問題も含めての問題でございますけれ
ども
、あるいは
年金
にかかわる
国鉄
の
経営
上の諸負担というような問題も絡めてでございますが、そういう問題についてはこれはやはりある一定の時間をかけてかなり突っ込んだ検討をしなければなかなか結論は出せないだろう。ただ、この
法律
で書いてございますのは、それについては国として施策を講ずるよということは第二条にはっきりと規定してあるわけでございまして、これは
国鉄
経営
にこのまましょわしていったのでは
再建
はできないという認識に立っていることは事実でございます。ただ、その具体的な
内容
については、やはり一
定時
間をかけて十分に検討する必要があろうかというふうに考えております。
瀬谷英行
74
○瀬谷英行君 一定の時間をかけて
論議
をしていたのじゃ何年かかるかわからないですよ。だけれ
ども
、青函トンネルが間もなくでき上がろうとしているんです。でき上がっても、むずかしい問題だから一定の時間をかけてじっくりと検討するということでほうりっ放しにして待っているんですか。間もなくでき上がろうとしているんですよ。でき上がったら何とかしなきゃならないでしょう。
国鉄
にとってははなはだ迷惑なお荷物になるか、
政府
自身が国としてこういう問題について
国鉄
に別に心配させないということになれば
国鉄
はのうのうとしてこのトンネルを通す方法考えるでしょうけれ
ども
、これはおまえらでもって全部返してくれ、かかった銭は全部利息つけて返してくれ、こう言われたらこれは大変なことです、トンネルばかりは全部でき上がらないと使えないですから。本四架橋だって同じです。だから、こういう差し迫った問題、本四架橋はもっと先になりますけれ
ども
、青函トンネルは目前に迫っているん ですよ。
国鉄総裁
としては、この青函トンネルの問題についてはどのように処置をしたいというふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
高木文雄
75
○
説明員
(高木文雄君) 現在、私
ども
の
経営
の大変圧迫になっておりますものとして東北
新幹線
、上越
新幹線
の資本費負担があるわけでございますけれ
ども
、この場合には、かなり先のことでございますから確たることは申し上げられませんが、いずれ十分採算がとれるであろうという見通しを持っております。 それに比べまして、青函トンネルの場合にはその資本費負担はどう計算してみても旅客収入等によって賄うことは不可能であろうかと考えております。したがいまして、お国の方針としてあそこへ
鉄道
を通すべくトンネルをつくられたわけでございますので、それの処理は
政府
によって処理をしていただく、その上でおまえの方で
列車
を走らせるということでないと、われわれとしてはお引き受けが非常にむずかしいということでございまして、このことはいまになってそういうことを私
ども
申しておるわけではないのでございまして、いろいろな機会に、公式な
機関
、たとえば
鉄道
建設審議会等の
機関
において公式にそのことを申し上げておりますし、それからいろいろの建設に関する
計画
について建設公団から協議があります場合に、その都度そういうことの処理方について
鉄道
建設公団においてもあらかじめお含み願いたいという申し入れをしておるわけでございます。 なかなか財政事情等もあって、その御決断がつかないで今日まで至っておるわけでございますが、このことこそ
再建
監理委員会
において至急に御検討願いたい重大
事項
の
一つ
になっておるわけでございまして、私
ども
が、先ほど来
屋上屋
であるという御指摘でございますけれ
ども
、にもかかわらず、なおかつ
再建
監理委員会
の早期の発足を念願しております事情の
一つ
の中には、青函トンネルの処理の問題について早く
政府
で御方針を御
決定
願いたいという気持ちも込めているわけでございます。
瀬谷英行
76
○瀬谷英行君
大臣
にお伺いしたいんですが、いま
国鉄総裁
は、どう計算してもこの青函トンネルは旅客収入で賄うことは不可能と断言をしているわけです。どう計算しても不可能だと
国鉄総裁
が断言できる
内容
のものを、
監理委員会
のどういう人が来るかわからないけれ
ども
、言ってみれば中にはど素人もいるかもしらぬ、そういう人がうまい方法が編み出せるかどうか私は疑わしいと思う。その場合には
政府
みずからが
責任
を持つ、適切な措置ということじゃなくて、具体的に
政府
みずからが
責任
を持つ。こさえさせたのは
政府
なんだから、こさえさせた方で、後は子供の生みっぱなしでもって知らないよというわけにいかないでしょう。これは
監理委員会
の
意見
を待つまでもなく
政府
として考えるべきことである、処置すべきことであるというふうに私は思うんですが、その点どうですか。
長谷川峻
77
○
国務大臣
(長谷川峻君) 青函トンネル貫通まで、私も両方の口から一遍ずつ入ったことがあります。そして、やっぱり世紀の工事をやるあの坑夫
諸君
が、暑い坑道で裸になって
仕事
をしている。それがせんだって十九年ぶりに落成した。そして、涙を流して自分
たち
の
技術
のすばらしさをたたえている。一方には、役に立たぬものだからあんなものをつぶせ、トンネル無用論な
ども
出ておりました。私は、
日本
の
技術
としてすばらしいものが世界に展開されたことであるから、これはやっぱりお役に立ってもらわなきゃならぬ、こんなことから、私一人の知恵でもまずうございますし、ただいまの
日本
の財政がこんなふうでございますから、トンネルの
委員会
をつくりまして、この方々にお集まりいただいて活用方法をいろんな場面で考えていただけませんかと、こうして
委員会
を一度開いたわけです。こういう
日本
には
プロ
ジェクトが二十四ぐらいあるそうです。その中で、この青函トンネルもとにかく知恵があってつくったことですから、これをむだにしないように、時にはまた
監理委員会
の
諸君
の知恵も煩わすかもしれませんが、長い目で見たならばこれをどうしても活用するという方向にお互いはいかなければいかぬ、こう思っておりますので、その際の御協力、御声援をお願いいたします。
青木薪次
78
○青木
薪次
君 いまの瀬谷
委員
の指摘はきわめて重大な問題です。私は、この間、OECDへ行ってみた。ヨーロッパの人が何と言ったか。あそこへ難工事の末りっぱなトンネルを掘ったようだけれ
ども
、一体何に使うんですか、聞くところによれば、ここを油タンクにするということも聞いている、あるいはまた戦争に備えて格納庫にするそうじゃないかということも聞いている。しかし、いずれにしても、これは
政府
がこれよりトンネルを掘るんだということで
決定
をして、掘った結果について、
皆さん
、ひとつそのときには適切な御援助をもらいたいということだけでは、
大臣
、これは済まないと思うんです。
経営
を圧迫すること最大の問題ですから、これは
政府
の
責任
において処理し、
国鉄
には
責任
を負担させないということについて明言をしてもらいたいと思うんです。
長谷川峻
79
○
国務大臣
(長谷川峻君) この場で明言はできませんけれ
ども
、とにかく大事にこれを活用するようにしていきたい、こう思っております。
青木薪次
80
○青木
薪次
君 明言はできないと言うけれ
ども
、それだと裏返しに、
国鉄
で負担してもらうこともあり得るということですか。
林淳司
81
○
政府委員
(林淳司君) 先ほ
ども
ちょっと申し上げましたように、今回御提案申し上げている
法律
の第二条におきまして、「国は、」「次に掲げる
事項
に関し必要な施策を講ずる」、これで一号、二号とありまして、「効率的な
経営形態
の確立」ということと並びまして、いわゆる長期債務の処理の問題、その他いわゆる構造上の問題というものを掲げてあるわけでございます。したがいまして、こういう長期債務の処理の問題、それから現在
進行
中の青函あるいは本四というような問題から発生する資本費の問題、こういうものについてはこの
法律
の第二条で、「国は、」「必要な施策を講ずる」ということを
法律
上明言しておりますので、国としても、どういう形になるかはこれはこれから検討してみなきゃわかりませんけれ
ども
、少なくとも
国鉄
の
経営
の負担にならないように必要な措置を講じていくということになろうかと思います。
青木薪次
82
○青木
薪次
君
国鉄
の負担にならないように必要な措置を講ずる、このことについて、
大臣
、いいですね。——じゃ、いいです。
瀬谷英行
83
○瀬谷英行君
国鉄
の
経営
の負担にならないようにということは、これは幾通りも方法ないんです、このトンネルは。
政府
が
政府
の
責任
において、借金でもってつくったんだけれ
ども
、払いの方は
政府
の
責任
において処理をするんだという方法が
一つ
。
国鉄
にもしょわせるという方法が
一つ
。
分割
民営
になった場合にどうするか。北海道にしょわせるのか、本州と折半するのかという方法と、そういうことは一切やらない、全部これは国の
責任
においてやるのだという方法。それ以外の方法というのは余りないでしょう、それ以外の方法は。私は、そうなると道は
一つ
しかないと思うんですね。これは国として適切な措置というあいまいな表現を先ほど使ったけれ
ども
、
政府
の
責任
において処置をするというふうに確認する以外にないと思うんですよ。 特に、そこで問題になっておりますね。先ほ
ども
私が言いましたけれ
ども
、
分割
民営
の問題で、じゃ北海道を
分割
をするという場合には北海道に負担をさせるということもないのかということですね。これは実際問題として、北海道の営業係数から言うと、北海道みずからが独立採算でもってやっていける状況にはないと思うんですよ。札幌あたりに人でも持っていって人口を一千万ぐらいにするというようなことになれば別ですけれ
ども
、そういうことは簡単にできないことだから、現在の五百万の人口をあの広大な
地域
に抱えている北海道としては、だれがやったってこれは独立採算でもって
列車
を動かすということは不可能だというふうに私は思うんです。その点は、
大臣
の認識はどうですか。
長谷川峻
84
○
国務大臣
(長谷川峻君) いずれにいたしましても、大きな負担にならないように知恵をひとつしっかり出していかなきゃいかぬと思って、それぞれ工夫などをさしているところです。
瀬谷英行
85
○瀬谷英行君 幾ら知恵をしぼったって道は幾つもないんですよ。そうでしょう。じゃ
分割
民営
にする、北海道の
鉄道
を、おれが
赤字
を全部しょうから引き受けるといったような、そんな奇特な企業が出てくると思いますか。どうですか、その点。
林淳司
86
○
政府委員
(林淳司君) 先ほ
ども
申し上げましたように、
分割
といいましても具体的に一体どうするのかということについていま決まっておるわけではございませんし、それからいろんな要素というものが加わってくると思います。先ほど申しましたように、生産性の向上というふうなものが一体どの程度いけるのかということとか、あるいは長期債務その他のいわゆる過去の負担の問題というのをどういう形で処理していくかということとか、さらには場合によっては必要に応じて助成制度というものも考えなきゃならぬかもしれませんし、そういう仕組みも考えなきゃならぬかもしれませんし、そういうふうなものを総合的にかみ合わせて果たして採算がとれるかどうかということを具体的に個別にこれから検討していく、こういうことでございます。
瀬谷英行
87
○瀬谷英行君 具体的に個別にと言ったって、私は具体的に北海道を引き合いに出しているんですよ。抽象的な理屈を幾ら並べてもらったって何にもならないんです。だから、私は具体的な問題として北海道を引き合いに出した。今度、あした、あさってと当
運輸委員会
では北海道と九州へ現地公聴会のために赴くことになっております。だから、北海道の
人たち
の
意見
あるいは九州の
人たち
の
意見
も現地で私
ども
も聞きたいと思っているんですよ。その
意見
を聞いた上で、改めて本
委員会
でもってこの
法案
の審議について臨みたい、こう思っておるんです。だから、いままでの行管庁の話というのは——長官もきょうは
出席
になりませんでした。だから、行管長官に対する
質疑
は次回に回します。 次回に回しますけれ
ども
、青函トンネルのような問題は、これは差し迫った問題なんだから、
政府
としてはどう処置するのか。いろんなごちゃごちゃと理屈をこねてみたところでしようがない。この
答申
のとおりに
分割
をするのかしないのか、これは北海道の人にとってはきわめて重要な問題ですよ。九州を
分割
するのかしないのか、四国を
分割
するのかしないのか、これもきわめて重要な問題ですよ。しかし、
政府
は
答申
を尊重すると言っているんですね。尊重すると言う以上は、一番重要な問題については実行するということになるでしょう。そういうふうにならないですか。その点どうですか。
林淳司
88
○
政府委員
(林淳司君)
答申
尊重というのが基本でございますので、したがいまして
監理委員会
においてはまずは
分割
民営
化という方向での検討が行われるということになろうかと思います。 ただ、これについては、これから検討を進めていく問題であるということから、まさに先ほどおっしゃったようないろんな具体的な諸問題あるいは
技術
上の諸問題ございますので、そういう点についてこれからさらに検討して解決を要する課題がたくさんございます。したがいまして、まずは
分割
民営
化の方向で検討するけれ
ども
、その検討の過程において具体的な諸問題について詳細に詰めてみて、その結果、もしどうしても
分割
民営
にはよりがたいという重大な事情が出てくる、いわゆる合理的な事情が出てくるということでありますならばほかの
経営形態
を選ぶこともあり得る、こういうことでございます。
瀬谷英行
89
○瀬谷英行君 詳細にいろいろ検討してみた結果
分割
民営
はできない、こういう場合には別の方法だ、こう言うんでしょう。そうすると、別の方法をやらざるを得なくなった場合を考えると、
分割
民営
という結論を大上段に振りかざした
臨調
の
答申
というのはきわめて粗雑であった、不見識であった、無
責任
であった、こういうふうに断言せざるを得ません。そういう不見識な
臨調
の
答申
をこれからも尊重していくなどということは、これは
国鉄
をばらばらにしてしまうようなことになるわけですね。これは、とてもできないことだと思うんです。その点、尊重するということと実行するしないということは別だという解釈のようでありますけれ
ども
、その点は、
政府
が憲法だって、憲法は尊重すると言いながら軍備を拡張するんだから、そういう手品をおやりになるんだから、
臨調
の
答申
も尊重はするけれ
ども
実行はしないということもあり得るのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
長谷川峻
90
○
国務大臣
(長谷川峻君) なかなか厳しい御質問ですが、せっかく
臨調
があのとおり
分割
民営
というふうなことで、しかもそれによって運営の効果、さらに効率化というものを上げよう、こういう気持ちでございますから、これはやはり
答申
を尊重しながら御審議をお願いするというところに私
たち
は第一の重点を置いているわけです。しかし、物事にはどんなときでも絶対というものはございませんから、時にいろんなことがまた起こるのじゃなかろうか。イフの場合を想定しているわけじゃありませんで、原則を尊重し、そして時にまたイフの問題もあり得るという形で臨みたい、こう思っております。
瀬谷英行
91
○瀬谷英行君 実行不可能な
答申
というものは尊重に値しないと私は思うんです。一番肝心かなめの点で実行不可能な
答申
を出したということは、いかに無知で、不勉強で、不見識であったかということを証明することになるんです。それにもかかわらず、どうでもいいような細かい問題だけを尊重していく。緊急十何
項目
などというのは、言ってみればこれは大事なことじゃないですよ。鼻くそをほじくるような問題です。鼻くそをほじったり、つめのあかをほじくるようなことばっかり一生懸命やっているけれ
ども
、一番大事な問題について、肝心な問題について抜けているということを私は指摘しないわけにまいりません。 だから、この
分割
民営
ということは、やる気ならば北海道、九州、四国から具体的にその実行プランを立てていかなきゃなりません。北海道、四国、九州のように海を隔てているところの
分割
民営
すら実行できないのに、本州を
分割
するなんということはなおできないでしょう。本州というのはみんな地続きなんだから、これを何等分かにするなんといったって、これは
列車
はみんな通しで走っているんですから、これは大変むずかしいですよ。もしこれをやるということになると、具体的には、運賃というものは
分割
をされた
地域
ごとの運賃を積み重ねるということにならざるを得ないでしょう。そういうふうになりますね。そうすると、大変割り高な運賃になってくる、結果論として。そういうことになりませんか。その点、どうですか。
総裁
、私が言っていること、おわかりだろうと思うんですが、これは遠距離逓減制などというものはこの場合にはできなくなりますね。
分割
をされた
地域
、
地域
の運賃を積み重ねていくということにならざるを得ないと思うんですが、その点どうですか。
高木文雄
92
○
説明員
(高木文雄君) 運賃の問題は、確かに非常にむずかしい問題だというふうに思っております。しかし、現在
私鉄
相互間でどういう問題があるか、あるいは同じ路線を別の
会社
が
経営
している航空機の場合の運賃の立て方がどういうことになっておるかといったような問題を考えますと、現行の
国鉄
の運賃システムからいえばきわめてむずかしい、幾多の乗り越えなきゃいかぬ困難な問題があるとはいうものの、絶対越えられない不可能なことかどうかということになると、私
ども
も必ずしも絶対不可能なことだとは言い切れない点があるのじゃないかと思います。 実は、先ほど御指摘がありましたように、
臨調
の中での御審議の経過というものは公表されておりませんけれ
ども
、私
ども
が
臨調
にいろいろ
意見
を申し述べましたときに、運賃の問題が非常に困難な問題であるということはるる当時、説明をいたしました。しかし、
臨調
の御判断は、現在の
東京
における
私鉄
と私
ども
の相互乗り入れ等の例を 念頭に置き、またヨーロッパにおいて国を越えてたくさんの
鉄道
が走っているのが、現実にはこれは
経営形態
の問題ではなくて、国が違ってもなおかつ共通で切符を売っている事例があるといったような例を引用されまして、その運賃の問題は、
経営
を分けても不可能な問題ではなくて、困難ではあろうけれ
ども
可能な問題だという御
意見
をおまとめになったわけでございます。 そう言われれば、現実にヨーロッパのいまの運賃システムというのは、確かに全く違うものが相互に契約を結んで共通の切符を売っておるわけでございますから、そういう事例を引用して、やってやれないことはないではないかと言われれば、そこまでといいますか、それ以上抗弁のしようがなかったというのが現実でございまして、私
ども
としましても、まじめに
分割
になった場合にはどういう運賃であるべきやということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
瀬谷英行
93
○瀬谷英行君 確かに、やってやれない問題じゃないと思います。ヨーロッパだって、違った国の間をオリエント急行みたいなのが通っています。そして、切符は一枚の切符でもって買えるようになっています。しかし、向こうでいろいろ様子を聞いてきましたけれ
ども
、たとえばフランスからスイスを通ってイタリアへ行くというような
列車
の場合は、フランスの領内はフランスの運賃、スイスの領内はスイスの運賃、イタリアの領内はイタリアの運賃がそれぞれ積み重ねられるようになっています。
日本
の
私鉄
だって、
私鉄
と
私鉄
との間を相互に乗り入れる場合には、こっちの
私鉄
の運賃とこっちの
私鉄
の運賃と、そのまま積み重ねられるようなシステムになっています。 だから、私が言ったのは、やってやれないことはないけれ
ども
、割り高なものになるだろうというんです。遠距離逓減制といったような気のきいたことはできないのじゃないのか、割り高なものになるのじゃないのかということを言ったわけです。その点、どうですか。
高木文雄
94
○
説明員
(高木文雄君) 遠距離逓減制といったようなシステムはなかなかとりにくいと思うわけでございます。いまの
東京
でやっておりますやり方も、併算といいますか、それぞれの運賃を足したようなことを中心にして基本的には考えられておるわけでございます。ただしかし、それでは大変割り高になるかというと必ずしもそうは言えないのでございまして、それは一種の特殊切符の割引制といったようなことを通じて考えることができるわけでございまして、遠距離逓減システムは困難でございますが、そのことが直ちに割り高になってしまうというふうにはつながらないのではないか。フランスとスイスとイタリーの間におきましても、それぞれの
鉄道
企業としてはやっぱり何とかお客さんにたくさん乗っていただきたいわけでございますから、その運賃が飛行機や自動車と比べてどういう水準になるかということをそれぞれ相談しながらやっておるわけでございまして、やはりそこは商売でございますから知恵を出すということになりましょう。遠距離逓減制以外の方法をいろいろと考えるということになろうかと思うわけでございます。
青木薪次
95
○青木
薪次
君 いま
総裁
は、
分割
民営
化されたような場合に対処して運賃の問題を言った。しかし、これから、たとえば車両が全国を回って歩くわけです。これに対する検査、修繕、あるいはそれを最寄りの基地において検査、修繕をするというような問題、あるいはまた北海道を発車したものが、道内を歩く場合はいいけれ
ども
、青函トンネルを通すといったような場合における
東京
なら
東京
に乗り入れる関係における
ダイヤ
編成その他の問題等について、全国的規模でもって
計画
立案がなかなかできなくなるという問題もあります。それから、運賃あるいは人件費の精算、その他の関係等についてもこれはきわめて大変、しかも資材その他の関係あるいはまた全体的に工事に対する資金の投入その他の関係等については、私は不可能になってくるのじゃないかというように考えているわけであります。その点について、どう考えますか。
高木文雄
96
○
説明員
(高木文雄君) ヨーロッパの例を見ましても、それぞれ国は別ですから
鉄道
の
経営
主体は別でございますけれ
ども
、一種の連合体のようなもの、これがどの程度
法律
的なものかというのは私もよく存じませんが、一種の連合協議体のようなものをつくりまして、そして運賃その他についていろいろと協議をして物事を進めるということになっておるわけでございまして、恐らく、もし
臨調答申
のように複数に
分割
されるということになりました場合には、どうしてもそういう連合協議体が必要になってまいろうかと思います。 それから
分割
が非常に困難な問題として、たとえば
技術
水準を維持するための
技術
研究所の機構をどうするかとか、あるいは車両の設計基準等、あるいは車両の基本設計等を行いますところの車両の設計事務所といったようなものをそれぞれが持つのかあるいは共通に持つのか、あるいはまた構造物の維持なり検査なりといったような問題、あるいはいまお触れになりました全国運用で現にやっておりますところの貨車の検査の問題といったような問題は、
分割
した場合に独立した
会社
が引き受けるのかあるいは相互に契約を結んでやっていくのかというような形になっていこうかと思うわけでございまして、いまの概念では非常に取り組みにくいのですけれ
ども
、分かれた場合には分かれたなりで知恵を出す余地はゼロではないわけでございまして、それらが今後、
分割
民営
論を議論する場合に、
監理委員会
に対してわれわれがどんどんと材料を提供して討議をしてもらうということになろうかと思います。 その意味で、
再建
監理委員会
というところが
分割
なり
民営
なりという問題を議論されますときには、われわれとしては、特殊な
技術
的な問題を含めて、相当いろいろなことを御説明しなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
瀬谷英行
97
○瀬谷英行君 要するに、大変に困難である、一言で言えばそういうことなんですよ。 それからもう
一つ
、運賃の問題でお聞きしますけれ
ども
、北海道なんかの場合は営業係数が非常に高いです。これはみんな
赤字
なんですから。それから九州も同様に高い。四国も高い。そこへもってきて青函トンネルとかあるいは本四架橋とかいったような費用もかかるかもしれない、一部負担するようなことになるかもしれない、こういう状態にある。だから、そうすると、北海道なり九州、四国なりというものの分離というものをやってみて、運賃を上げずに、国から助成をもらわずにしかもやっていけるんだというようなことになれば、これは問題ありません。しかし、そういうことは恐らくできないでしょう。そして、もし
分割
をした場合の北海道なんかの場合は、現状でもって運賃を何倍ぐらいにしなければならないのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
高木文雄
98
○
説明員
(高木文雄君) 現在の私
ども
の運賃システムの最大の弱点は、全国一本の運賃であるということでございます。今度、
地域
分割
が仮に起こりました場合の運賃問題として非常に重要な問題は、その
地域
ごとの
国鉄
の運賃とバスその他の運賃とをどういうバランスにするかという問題が非常に大きな問題になってまいります。現在では、全国一本でございますから、そういうバランスを考える余地がないわけでございますが、
地域
分割
になりますと、北海道のバスなり他の
交通
機関
の運賃と
鉄道
の運賃とをどういうバランスにするかということが、まず大きな問題になってこようかと思うわけでございます。また同時に、それは運賃システムだけではなくて、
地域
交通
としてどういうところは
鉄道
がよろしいか、どういうところはバスがよろしいかという
論議
が、いまとは違った形で進んでいくことになろうかと思っておるわけでございます。 したがいまして、運賃だけじゃなくて、輸送形態そのもの、それから私
ども
が今日まで非常に強く
政府
にお願いしながら、うまく実現しておりません総合
交通
システムというものが、北海道なら北海道について、九州なら九州についてもっと具体的、個別的に議論が進むという形になろうかというふうに思います。そういう意味で、運賃だけ ではなくて、あるいはまた輸送だけではなくて、そしてまた
鉄道
だけではなくて、陸上の他の
交通
機関
と総合的に議論するのでなければ、なかなかうまく新しい
分割
後の運賃体系ということは考えることのできないことになるのではないか、大変大きな問題があるということで、それから先のことは私
ども
はまだ勉強しておりません。
瀬谷英行
99
○瀬谷英行君 先のことは勉強しておられないそうですけれ
ども
、総合的な輸送形態、これもやっぱり具体的に明らかにしてもらわなきゃならないと思います。 それから、いま抽象的な話が非常に多く出ましたけれ
ども
、私
ども
が質問しているのは具体的な例を挙げているんですよ、北海道、九州、四国と。こういうところでできないものが本州でできるわけがないんです。こういうような問題、宿題がたくさんあります。 行管長官に対する質問は保留しましたけれ
ども
、
臨調
の
答申
についても、どうもわけがわからない点が多過ぎる。だから、こういう点について、もう少し
内容
がわかったような、われわれの理解できるような点について再度御
答弁
を求めまして、きょうの質問はこれで保留して終わりたいと思います。
矢追秀彦
100
○
委員長
(
矢追秀彦
君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ─────・───── 午後一時三十三分開会
矢追秀彦
101
○
委員長
(
矢追秀彦
君) ただいまから
運輸委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
黒柳明
102
○黒柳明君
大臣
、私
ども
、周知のとおりに、この
法案
賛成でございまして、
臨調
の
答申
も大枠においては尊重する、こういう姿勢なんですが、
衆議院
の
議事録
を読ましていただきまして、先般の参議院本会議、それから
委員会
の質問、どうも何かすっきりしない点がありまして、どうも
反対
と同じような
立場
から質問をしちゃうような感じはしますんですが、やっぱりすっきりさせて賛成するならしませんと。 どうなんでしょうか。
分割
民営
に対しまして、
大臣
も、まだこれからできるであろう
監理委員会
の審議待ちという面は若干残っているとは言いながら、当然、
内閣
の姿勢として
臨調答申
尊重する、
大臣
としまして、この
分割
民営
ということで
国鉄
の
経営
、
事業
は
再建
できる、こういう確信はお持ちでしょうか。それとも、現状の
国鉄
の状態がうまくないというのはこれは大体一致したところなんです。どうするかというのは若干食い違いがあるわけですね。ベストじゃなくてベターだけれ
ども
、次善の策として一回やってみようじゃないか、任せてみようじゃないか、この程度なんでしょうか。いかがでしょう。
長谷川峻
103
○
国務大臣
(長谷川峻君) 新しいことをやるのには、なかなかいままでのなれがありますから
抵抗
があります。私は、
国鉄再建
というものは従来だれの口からも言われ、だれもまたそれを願っておりましたが、手当てをやってなおかつ効果がない。ここにおいてか、
分割
民営
、こういう線で
経営
の
合理化
、働く
諸君
の意欲の向上、こうしたところが
臨調
からの
答申
としてあらわれてきた。よって、私
たち
も一遍そういうふうに新しい冒険をすることによってお互いの心身をひとつ試練にさらけ出して、なおかつそれでちゃんと
仕事
があることです、予算がついていることですから、これを拡大活用することが大事じゃなかろうか、こう考えております。
黒柳明
104
○黒柳明君 そうすると、必ずしも終着点のゴールが栄光のゴールであるかどうかわからないけど、冒険する意欲だけは満々である、こういうふうに理解させていただいて、到達するゴールというものはどういうことかわかりませんが、ともかくそこに栄光のゴールをつくるために最大の努力をする。いままでいろんなネックがあって、ここで六十年めどの第四次の
経営
再建計画
だってこれは軌道に乗るわけありませんし、先ほど
総裁
おっしゃったように、いつの時点か速やかに手直しもしなきゃならないとおっしゃっております。そうなると、いま私が言った次善の策である、ベストであるかどうか全くわからないけど、現状に対して、ともかくうまくはないから何かしなきゃならない。そのためには、
臨調
にせっかくやっていただいたものだから、それを受けて意欲的にやってみよう、こんな程度と言っちゃ失礼なんですけれ
ども
、こんなものなんでしょうか。
長谷川峻
105
○
国務大臣
(長谷川峻君) そういうふうに受け取られるのは心外ですが、私
たち
は、
国鉄
が大きい場所ですから
職場
規律の確立ということをお互いの口からずっと言い続けました。
閣議
で
決定
しました。それ以来、非常に効果が上がったことでしょう。そして、それを評価しておりますが、また一面、そうでない部面がなおかつ
新聞
に出ている。私は、やっぱり自分の勤労する場所、それに誠実にやること、それが自分の
事業
の永遠につながる、こういうところをねらうのが
国鉄再建
の一番大事なことである。それに対する財政的な、いままでよくされていなかったところの
年金
問題も改めてみんなで考える。こういうムードが私はこのたびの
国鉄再建
委員会
設置であり、またそれを御声援される
皆さん
方のお気持ちでもある。こう考えまして、懸命にその線に向かって進んでいこう、こう思っております。
黒柳明
106
○黒柳明君
臨調
の場合も、全く白紙から多角的に各界の人をえりすぐって人選して、そして部門別に分かれて、一生懸命努力して各部門において
答申
が出された。そうすると、今度の
監理委員会
の場合には若干性格が違うのじゃないかと思うんですが、すでに
臨調
の
答申
が
民営分割
ですから、それに沿ったやっぱり人選というものが行われるんでしょうか。 せんだって、十日ぐらい前ですか、
大臣
の談話で、テレビか
新聞
で見たんですが、この
法案
が成立した直後とおっしゃったのか、あるいは成立と同時とおっしゃったのか、人選をしなきゃならない、こんなのを一部の報道で私耳にしたんですが、その時期、それからあくまでもその人選というのは、そこまでやっぱり準備室なり
大臣
なり
責任
を持たなきゃならないと思いますね。設置後はやっぱり総理府、こういうことでしょうけれ
ども
。そうすると、その人選というのは白紙というわけにいかないのじゃないかと思うんですが、あくまでも最低の基準は、
分割
民営
それに賛成をしている、こういう人をピックアップして五人
委員会
をつくるんでしょうか。それはいかがでしょうか。
長谷川峻
107
○
国務大臣
(長谷川峻君) これだけの重要
法案
を
衆参
両方で御審議いただくわけでありますし、また
国民
も注目しているわけでありますから、
分割
民営
の線に沿うた
委員
、しかもそれは少なくとも私
たち
が見て、なるほどこういう人選かな、こう感心されるような、評価されるような
諸君
に入ってもらいたいという気持ちで、
法案
でも通過した暁には発表などができるならば幸いだと思っているわけであります。
黒柳明
108
○黒柳明君 そうすると、いまこの
分割
民営
に
反対
している層というのは完全に排除される。
臨調
の
答申
ということについてこれは尊重する、しかし
委員会
の審議の過程において何か別の方向もあり得るということ、これはたびたびおっしゃっていますですね。一時は総理と
運輸大臣
の
意見
が違っているのじゃないかなんというようなことも若干ありましたけど、決して
意見
は違っていないんだと。先ほ
ども
、すべて一〇〇%、万全というのはないんだ、こんな発言も
大臣
ございましたですが、そうすると、少なくとも基本的には
分割
民営
賛成である、
あと
長期債務に対して、あるいは
分割
の方法を幾つにするか、あるいは先ほど言った運賃の問題とか、いろんなことがこれからあるわけですけれ
ども
、最低条件としては
分割
民営
は賛成、これだけの最低条件のものは確保した人選というものが行われるというふうな認識でいいわけですか。
長谷川峻
109
○
国務大臣
(長谷川峻君) そのとおりでございま す。
黒柳明
110
○黒柳明君 そうなりますと、必ずしも、ちょっと先ほどおっしゃった——いやいや、林さん待って、いまそちらでまた言っていただきますから。
大臣
だっていま体の調子が悪いから、ちょっとやっぱり発言だってあれですから、いいですよ、私、賛成ですから、大丈夫ですから。 そうなりますと、私、林さんの方にあれするわけですけれ
ども
、そうすると、ここの場でも三回ぐらい先ほど
社会党
の先生におっしゃった、あるいは
衆議院
の
議事録
を見ましても再三おっしゃっているんですけれ
ども
、人選につきまして、いわゆる
一つ
の色を決めた人選をするとなりますと、これはいままでの
政府
の審議会でも、
政府
の隠れみのだと言われた審議会だって、そんなことを
前提
に人選して審議会発足したわけじゃない。あるいは
大臣
の私的諮問
機関
だって、これは
大臣
の私的なものですから、それこそ
大臣
の意を受けたそのものずばり
大臣
の分身みたいな人を集めてやってきたはずですよ。それが絶えずおかしいじゃないか、それは隠れみのじゃないかという
反対
側の批判を受けてきた。 これは言うまでもないんですが、これだけの重要
法案
、これは
臨調
の
答申
を受け、しかも再三おっしゃっているのは、いや変わった方向も出るかわからない、出るかわからないと盛んにおっしゃっているんですから、そうすると、準備室の方がこれは当然こういう準備もやって、それから
大臣
に最終的な決断を求められるわけですね。最終的決断をいまここでおっしゃっていただいたので、その過程のお話を聞かなかった私の方にその
責任
があるんですが、準備室の方としてはどういうやっぱり最低の基準を持ってその人選をこれから——これからといったって、もしかしますと、いつか時期わかりませんですけれ
ども
、一部
新聞
では、一週間ぐらい前、十二日なんて出た早とちりのマスコミもあったくらいですから、それはそんなに時間がかかるのかどうか、ともかく二十六日が最終日でございますので。
大臣
いまおっしゃったように、成立した暁速やかにということになると、準備の方でも相当やっぱり目星をつけておかないと、これだけの大ごとに当たるわけですから、
反対
の
意見
も相当強硬ですし、しかも相当なやっぱり力を持たされた五人
委員会
ですから、そうなると、これに対してのやっぱりリアクションも相当あると思いますし、またもとに戻りますけれ
ども
、どういう色ということじゃなくても、どういうことを
一つ
の基準にして選ばなきゃならないと考えていらっしゃるのか、あるいは基準なんというのはなくたっていいんだ、広く識見を持った方というのか、そこらあたりをお聞かせいただけますか。
林淳司
111
○
政府委員
(林淳司君) この
監理委員会
、大変重要な
委員会
でございます。したがいまして、先ほど
大臣
から申しましたように、この
法案
をしていただきました暁におきましてはできるだけ早く
監理委員会
をスタートさしたい、このように考えております。 その場合、私
ども
準備をする
立場
といたしまして、やはりこういう重要な
委員会
でございますので、
一つ
は、やはり広い
国民
的視野を持っている、高い識見と広い
国民
的視野を持っている人というのが絶対条件だろうと思います。 さらに、こういう重要な問題を扱う以上は、やはり、公正中立と申しますか、いろんな御
意見
があると思いますが、それを十分吸収した上で公平に判断をできるような人ということが必要だろうと思います。 それからもう
一つ
重要なことは、やはり今回がこれが
最後
の
国鉄再建
の機会でございますので、熱意と
推進
力というもの、これを持ち合わしたお方、こういうお方にぜひお願いをしたい、このように考えております。
黒柳明
112
○黒柳明君 いまの条件と、やっぱり専門的ということを、いまの高い識見という中に専門的というのも含まれるといえば含まれるんですけれ
ども
、やっぱり先ほど、午前中に
社会党
の先生おっしゃいましたように、一番これに造詣が深いのは
国鉄総裁
であり、
国鉄
の幹部であり、当然、
運輸大臣
もそのお一人である、こういうことなわけですね。ですから、そのいまの条件の中の最大優先するのが、やっぱり問題は限られているわけです。
臨調
だなんという幅広いものを討議して、それから何かつくるものじゃなくて、もう相当これは枠が狭められているわけですわね。
国鉄
の問題であり、先ほど言った、この
答申
の中にも、二項にも書いてありますように、これは
政府
が適切な処置をする問題であるとか、
分割
民営
であるとか、相当狭められているわけでしょう。そうすると、狭められればられるほど、やっぱりより専門的な知識を持った人に糾合してもらわなきゃならない。間口の広いところですと、ある程度の、識見が高いとか情熱がある、意欲があるということでいいんでしょうけど、相当枠が狭まっているんじゃないですか。 そうすると、先ほ
ども
国鉄
の
総裁
おっしゃったように、
委員会
には相当なやっぱり専門的なことも申し上げたいとおっしゃっているわけですから、それに
総裁
あるいは
国鉄
の人が必ずしも
分割
民営
賛成、そういうわけじゃないし、むしろ大
反対
だ、こういう層だってまだいらっしゃるわけですし、そうなると、それと太刀打ちして——ただ、
臨調
の
答申
するときには幅広く御
意見
を承ってと、こういうことでよかったと思いますよ。さらに、もしかすると、
国会
の場に呼ばれて、私なんか賛成でおとなしいからいいですけれ
ども
、
反対
の
先生方
から鋭い質問を浴びせられてもたえ得るような人選もしなきゃならない。そうすると、何よりもかによりも、やっぱり間口が狭まっているわけですから、最高の専門的知識、まずどういう答えが出るかわかりませんが、その過程においても相当やっぱり御
苦労
も専門的にいただくのだと思います。それが何よりもの条件というように私は考えざるを得ないんですが、いま何回も申しましたように、識見があるとか意欲があるとか、そういう中に専門的な知識というのは当然含まれるのだと思いますが、私は、ただ漠然とした識見とかなんとかいうものじゃこれは務まらないのじゃないか、こんな気がするんですが、いかがでしょう。
林淳司
113
○
政府委員
(林淳司君) おっしゃるとおり、非常に具体的な問題を検討する
委員会
でございますので、そういう意味合いでの専門的な観点というのがこの
監理委員会
には必要だと思います。 それをどのような形で
監理委員会
として専門的な問題を処理していくかということでございますけれ
ども
、たとえば
国鉄
の非常に
技術
的な問題というふうなことにつきましては、これは
国鉄
の方から十分
意見
を聴取するというふうなことで事足りる場合もございましょうし、いろんな形で
技術
的な問題は吸収できると思います。しかし、
経営
についての専門的な知識とか、そういうのはこれはまた別問題でございますので、そういう意味合いでの専門的な知識、その他いろんな意味での専門的な知識をできるだけ持ち合わした人が好ましいとは思います。ただ、やはりこういう
国鉄
問題というのは非常に重要な国政上の問題でございますので、高い
立場
から判断できる、そういうお方ということがやはり重要じゃなかろうか、このように考えております。
黒柳明
114
○黒柳明君 当然、大所高所からすべて国の施策も踏まえて、ただ単に、
国鉄
の
一つ
の専門的なことですけれ
ども
、これだけのことだけじゃだめでしょうな。やっぱり長期債務をどうするとか、いろんなことがひっ絡みますし、
分割
した場合には今度は地元の受け入れがどうなるのか、そうなった場合にはやっぱり財界とのパイプも太いとか、いろんなともかく条件がなきゃならないことはこれは当然だと思います。中立公平であり、
反対
側の
意見
もやっぱり受け入れてたたき台にする、これも当然だと思います。 ですけれ
ども
、やっぱり間口がぐっと、いま何回も申しますように、狭められた段階ですから、だから相当高度の専門的なもの、これはただ単に、今日までの
国鉄
の
経営
とか、
国鉄
のいままでの
経営
と言っていいのか、公共性なり、それを知 つているだけじゃだめだと思います。先ほど言った、ヨーロッパは各国でもやっているんだから
日本
が分断されたって大丈夫だとか、そういう世界的な知識もあるいは
経営
的な能力もなきゃならないでしょう。だけれ
ども
、その五人の中には、一人になるか、二人になるか、三人になるかわかりませんが、
国鉄
のいまの現職以上、あるいはそれと少なくとも同等の
国鉄
の現状についての知識を持った人がまずいなきゃならない。五人ですから非常に狭められるわけですよ、メンバーとするとまず一人は。 それから、
人間
の能力ですから、あっちもこっちも持っているというわけにいきません。
臨調
の方でもりっぱな方いらっしゃいますよ。いままでは
答申
をつくるだけで、
分割
したって大丈夫だよ、ヨーロッパは国と国でやっているんだからというようなことで、ただ漠然としたことでよかったんですけれ
ども
、今回は五年間で移行するまでやるわけですから、六十二年の七月には完全にピリオド打つわけですから、そうなりましたらいろんな知識、その中にはやっぱり常識的には現職の
国鉄
の
人たち
、しかも古い知識じゃなくて現状の
国鉄
の知識というものを持っている人がいないと絶対だめ、これがまず第一条件。それは兼ねている人がいればいいですけれ
ども
、なかなか兼ねるというのはむずかしいと思います、評論家的な
立場
じゃだめですから。 それからもう
一つ
は、やっぱり先ほど言った
経営
能力、公共性を含めての。殿様商法、親方日の丸とよく言われますけれ
ども
、これは
労使
との関係もあるし、予算の天下り、それを受けとめるというだけのことしかないということもありますけれ
ども
、ともかく商売やっていくわけですから、
経営
やっていくわけですから、そういう
経営
能力のある人、こういう人もいなきゃならない。専門知識と
経営
能力を兼ね合わせる人がいればこれは一人で済むんですけれ
ども
、これはまず無理でしょうな、こうなりますと。 さらに、
国鉄
の現在の知識といったってこれは広範ですよ、
国鉄
といったって。先ほどおっしゃったように、地元のバス路線との競合とか、あるいは北海道から本州へ来たときの修理はどうするとか、やっぱり
国鉄
で言うと事務と
技術
と、こういう面が分かれていたわけです、完全に技師長というのはやっぱり
国鉄
の中の
一つ
の城を築いていたわけですから。
総裁
、副
総裁
でもやっぱり
技術
面についてはなかなか一朝一夕に覚えられるものじゃありゃしません、世界でも最高の
技術
ですから。そういう
技術
面もやっぱり専門的なべテランの人が入ってこないとこれはなかなか、ただ単につくって、後は
分割
したところで何とかやってもらえばいいんだ、こういうわけにもいきません。そうなったら、これをやった今度は
政府
、
国会
の
責任
になりますからね、うまくいかなければ。 そんなことで考えてみますと、非常にいま抽象的に条件をおっしゃいましたけれ
ども
、こういうことが必然的な条件に、もっと具体的に、何回も言うように間口が狭められておりますから、条件の中にはこういうものが入ってくるのじゃないか。それから、しかもこういうものは兼ね備えている人というのはなかなかむずかしいのじゃないか。それで、そういう者を五人集めてベストというものをつくっていかなきゃならないのじゃないかという、私は素人考えでもそんな気がするんですけれ
ども
、もうちょっといま言った情熱があるとか、識見があるとか、大所高所とかいうのは、これは何回も何回も聞いているんですけれ
ども
、もう目前にこの
法案
成立する物理的には可能性だけあるわけですね。 そうなりますと、いま
大臣
おっしゃったように、その暁となりますと、その人選については非常にやっぱり問題が起こるんじゃないですか、
国会
レベルにおきましては。これは激突
法案
ということになるかならないかわかりませんけれ
ども
、少なくともはっきり賛否が明確に分かれているし、大問題なわけですよ、国家の大
事業
ですから。すると、そこらあたり、準備される方はいま言ったような漠然とした考えじゃなくて、相当突っ込んだ条件なんか持っているのじゃなかろうか、こう思うんですが、もしこの時点でおっしゃれるような条件があったら、もうちょっと具体的なことはおっしゃることできませんか。
林淳司
115
○
政府委員
(林淳司君) 基本的には、先ほど申し上げましたような、やや抽象的で恐縮でございますが、そういう条件でやはり選考するべきであろうと思います。ただ、やはり
国鉄
問題というのは非常にいろんな側面がございますので、おっしゃるように、多角的な見地から検討ができるようなそういう
委員
構成ということについても十分考慮しなきゃならぬ、このように考えております。ただいまの時点で、まだ具体的にどの分野でどうというのをなかなか申し上げる段階まで至っておりませんので恐縮でございますが、やはり多角的な側面から
監理委員会
を運営していけるようなそういう人選というものはこれは重要な要素であろうか、このように考えております。
黒柳明
116
○黒柳明君 そうすると、先ほどあれしましたけれ
ども
、基本的には中立公平ということは、必ずしも
分割
民営
に対して賛成する人だけを入れるのじゃなくて、それに
反対
の
意見
の人も中には入る可能性もある、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
林淳司
117
○
政府委員
(林淳司君) やはり
国鉄
の現状というものを踏まえまして、これを改革していく、それでよりよいものにしていく、こういう意欲を持ったお方ということは必要だろうと思います。その場合、それが手段としての
分割
民営
というものに賛成であるか
反対
であるかということよりも、むしろそういう将来にわたって本当にこれを改革していこう、いいものにしていこう、こういう意欲を持ったお方にぜひお願いをしたい、このように考えております。
黒柳明
118
○黒柳明君 そうすると、
分割
民営
賛否は問わない、条件としては、こういうふうな理解でいいですか。
林淳司
119
○
政府委員
(林淳司君) 大変むずかしい御質問でございますけれ
ども
、それぞれ
分割
民営
について賛成とか
反対
とか、あるいは条件つき賛成、条件つき
反対
、あるいはその中間、いろいろございましょうと思います。したがいまして、そういう見地よりも、やはり先ほど申しましたように、将来にわたって本当に
国鉄
をよりよいものにしていく、こういう観点から物事をお考えいただけるような方、こういうことで私
ども
は考えていきたい、このように考えております。
黒柳明
120
○黒柳明君
大臣
、
委員会
の審議の過程において
分割
民営
になるかどうか、それはお任せする、そうすると、逆のことも出る可能性だけはあるわけですよ。そうすると、中曽根
内閣
がどこまで継続するかわかりません。同時選挙ですと、終わった後反主流に足を引っ張られてすぐいなくなっちゃうかわかりませんし、そこのところは何ともわかりませんけれ
ども
、少なくとも中曽根
内閣
は
臨調
の
答申
尊重ということは、これは実態面はわかりません、非常に疑問なんですが、少なくとも行動面は非常に疑惑が多々あるんですけれ
ども
、この
国鉄
の
再建
監理
法案
につきましても、当然最大の尊重ということは、やっぱり具現化する、実現化することを含めて尊重ということになりませんと、
答申
だけ尊重しますけれ
ども
、活字だけは確かに尊重しますけれ
ども
、これをどうやるかやらないか勝手ですよなんという尊重じゃ当然ないということは再三
答弁
の中で出ました。と同時に、だけれ
ども
、
監理委員会
に任せるのだから
分割
民営
という結論が出るかどうかもまだ疑問の余地がある、こういう
答弁
もあったわけです。 非常にこれは、そのこと自体が中立公平な
委員
を選ぶという
前提
だからこそそういうような過程であり、結論が出ざるを得ない、こういうふうに私、判断するわけですけれ
ども
、ただ全く逆な結果が出る可能性もあるわけですね、その中の
一つ
の結論としては。そうなったとき、これはどうしますか。可能性ですから、いま。これは
大臣
、いま準備室の方から可能性をおっしゃっているから私も可能性を言うだけであって、可能性としては、
分割
民営
反対
だ、
民営
化するのだったら、い まのままだって幾らもマイナス条件を除去すれば、いまの
国鉄
の体制だってできるんじゃないかと、いろんな考えがいまでもあるわけですから、全く
反対
の結果が出た場合でも、これは
答申
を尊重するという第二段階の
委員会
の人選をしてそれに任せる、こういうことについて、
委員会
のさらに結論を尊重するという約束をいまからするわけですか。
長谷川峻
121
○
国務大臣
(長谷川峻君) 段階的なことまで考えないで、一番大事なことは、
国民
的な声望のある方、よく
委員
になっていただくという方をどうして選ぶかということに私は腐心しているわけであります。そして、そのことによって
国鉄
を
再建
させる。ですから、物には絶対ということがございませんから、いろいろ御協議の中に多少いろんな余裕が出てくるということも当然だろうと思いますが、とにかくこれだけの
赤字
で、それを早く補充して働く
諸君
を安心させなきゃいかぬ、一方は建設もしなきゃいかぬ、こういうことですと、余り時間をかけて御議論願うということじゃなくして、早く
委員
をお願いし、その
委員
の方々が、なるほどああいう人々ならばお互いも信用して、大事なことは、やっぱりみんなに信用があって説得力のあるところの
委員
がどうしても必要だ、こう考えてやってまいるつもりであります。
黒柳明
122
○黒柳明君 私が基本的にわからないのは、先ほどから何かおっしゃっていた、
総裁
が一生懸命がんばってきた、その
総裁
ががんばってきたけれ
ども
再建
できない、四次ももう不可能だというには、それなりの
総裁
に対して負わされたマイナスのお荷物があるからだめなんだ。
運輸大臣
が最高
責任
者だから、ほかの介入なんか排除して、おれがやる、これでこそ長谷川
運輸大臣
が
大臣
になった使命があるんだ。ところが、ここにまた
屋上屋
のかさが来ちゃった。その方が
運輸大臣
より、
国鉄総裁
より、
国鉄
の幹部より識見が高いか、視野があるか、僕はそんなことないと思う。それは
大臣
になる人なんですから、
総裁
を二期も三期も続ける人ですから、そんな識見にしたって情熱にしたって何にしたって、これからなるであろう五人よりもっと卓越したものがあることはあたりまえなんです。じゃ、なぜそういうものを中曽根総理がっくり、
臨調
最大の
答申
をし、あるいはさらに、おりてきたその窓口が狭まったところの
再建
監理委員会
の五人
委員会
をつくるか。 これはやっぱりいろんな問題あるでしょうけれ
ども
、政治的介入もあったし、雑音もあったし、どうしても排除できないし、
大臣
だからといったってオールマイティーじゃないし、まして
国鉄総裁
なんというのはいろんなたががはめられているし、ともかくここでいろんなものを排除して、上からストレートに白紙の状態でこうやれ、そのとおりやりますと、一回やってみなきゃこれはにっちもさっちもいかないんだ、こういうことの方がこの五人
委員会
をつくるという最大の要素でありまして、私は、これをつくられた
人たち
が識見だとか高邁だとか大所高所なんていう形容詞を当てはめられると、さっきも言ったように、じゃ
大臣
や
総裁
どうなっちゃうんだ、
国鉄
幹部が長年二十年も三十年もその専門の分野でいろんな
仕事
をし、世界一の
技術
を育て上げた
国鉄
の
技術
陣なんかどうなっちゃうんだ、こんなことになるかと思うんですよ。 それよりも、私は端的に言って、いままでのいろんなマイナス要素が陰に陽にあったわけで、それを排除するには、いまの
大臣
、いまの
国鉄総裁
のシステムじゃできない、だから天の声をもらうよりほかにないんだという、非常にこれはそれこそ大所高所の見地からつくらなきゃならない至上命令である。その
国鉄
の抜本的
再建
あるいはそれが国家の行財政の相当の中核の、中曽根
内閣
の行革の目玉となるわけですし、なっているわけですから、だから、そういう意味での
監理委員会
じゃないかと私はストレートに、単純に思うんですね。 それが形容詞つけられて、
大臣
はだめなんだ、
総裁
はだめなんだというような形容詞がつけられますと、そうすると、何か賛成していても、
総裁
だって
責任
を感じていても、先ほどあったように、
国鉄総裁
は何か防波堤になるだけであって、いままで百年の
国鉄
の歴史というのは、何も歴史だけが線路走ってきたわけでないわけでありまして、それなりのやっぱり積み重なった代々の
人間
が、ストレートに言って、努力の積み重ねで今日の
国鉄
があるわけですから、それが
国鉄
の
責任
でも、あるいはもっと言うと
運輸大臣
の
責任
でもないところに、いろいろ今日のその二十兆に上る負債を抱えざるを得ないような構造的な機能があって、それは断たなきゃならないとみんな思いつつ断ち切れないで今日まできた。 だから、中曽根総理あたりが一番それをよく知っているわけですから、天の声をここでやらなきゃだめなんだという意味での
委員会
じゃなかろうかな、こう私は単純に考えた方がわかりいいのであって、そうじゃないと、何か識見だ、高邁だ、意欲だというと、いままでの
日本
の国の運輸
行政
を全部つぶしちゃって、この
監理委員会
だけがこれから新しく何か運輸
行政
というものについてオールマイティーで、これからはいままでのこの百年の
国鉄
の歴史を全部断ち切っちゃって、その
人たち
に一〇〇%の力を与えて、それでこれから新しいものをつくらしていくんだと。そんなものじゃないかと僕は思うんですけれ
ども
ね。 それが証拠には、
国鉄総裁
だって、いままでのマイナスの負債というもの、借金だけじゃなくていろんなものがあるわけですよ。全部断ち切った場合に、それじゃ今後自信があってやっていけますかと言ったら、自信ないとは言わないと思いますよ。だけれ
ども
、いままでそういう意味でのテストケースは課せられなかったわけですよ、四回の
再建
のプランの中では。すべて
一つ
の枠の中でプランだけが先行してきたわけだから、これはとてもじゃないけれ
ども
、意欲だけ先行したってできないという枠がこうあるわけですから、ですから、そういうものを全部取っ払うという条件はいま与えられていませんね。 ですから、それを天の声として
委員会
をつくるというのだと私、何となく納得できるんです。それを先ほど言ったような条件のもとにつくっていくのだとなると、何か私は賛成しながらどうも
抵抗
を感ぜざるを得ない。その点、準備室長として、これは失礼ですけれ
ども
、事務的な運営ですから政治的な発言なんというのはなかなかできかねるとは思いますけれ
ども
、ですけれ
ども
、これから全部、
運輸大臣
を補佐しまして、国家を挙げての大
事業
をこれからやる
責任
者ですから、
大臣
もそれに意欲をかけて就任されているわけですから、だから、そこらあたり、ちょっとやっぱり余り美辞麗句の形容詞を並べると、何か誤解するだけじゃなくて反発を覚えてくる、こんな感じがしますけれ
ども
、間違っていますかな。
長谷川峻
123
○
国務大臣
(長谷川峻君) 黒柳さんの御
意見
に敬意を払います。私は、実は四十九年、五十年、労働
大臣
時代に
スト権
問題がありまして、いろいろ協議が行われました。そのときに、私見であるけれ
ども
、
日本
全体が
赤字
の国である、しかしこれは一億人
国民
がいるからいろんな方法で黒字にすることもできる。が、一方、
国鉄
はお客さんを乗せる。乗らない人がおるならば収入が上がらない。ところが、この収入が思ったより上がらない。そして
赤字
の借金がふえている。この借金はどんどんふえる。そうすると、国全体の
赤字
を減らすのより
国鉄
の
赤字
を減らす方が大変むずかしい。そこで、総理
大臣
と
運輸大臣
と
国鉄総裁
が、本当に裸になってこれは
再建
するという気分を持たなければだめなんじゃないでしょうか、こう申し上げたことです。 そういう意味からしますと、ただいま黒柳さんがおっしゃったとおり、新しいそういう気持ちをこの
委員会
の
皆さん
方が盛り上げていただいて方向を示していただくことを心から私は敬意を払うのです。何といたしましても、みんなに影響力のある、信用のある方々が
国鉄
を本当に直そうとするのだというのに賛成してもらうような気分が大事である、こう考えて、絶対的にどうこうじゃなくして、いまのようなフレキシビリティーのある 中に
国民
の賛成を得たい、こう思っているわけです。
林淳司
124
○
政府委員
(林淳司君) 若干補足をさしていただきますと、この
監理委員会
の性格について先生お触れになったのだと思いますけれ
ども
、この
監理委員会
は、私
ども
御提案申し上げておる
法律
によりましても、第一条の
基本方針
に従って所掌事務を遂行していただく、すなわち
臨調答申
を尊重する、この基本線に従って
仕事
をしていただく、こういうことになっておりますので、やはりこの
監理委員会
は、まずはその方向で、最初は白紙の状態からいろんな可能性を検討するのではなくて、
分割
民営
化という
臨調答申
の基本線というもの、この線を踏まえて検討を進めていただく、こういうことになろうかと思います。
黒柳明
125
○黒柳明君
総裁
、いまの段階に来まして、
総裁
にこういう質問してもしようがないとは思いますけれ
ども
、確かに
総裁
になってから
再建
プランも立てて、なかんずくいまの六十年をめどに立てましたけれ
ども
、これは軌道に乗らない、これははっきりしているわけです。ただ、
衆議院
を通じて、参議院でもいろいろ質問が出ましたように、
総裁
がやりにくい——やりにくいというよりも、
再建
なんかできないという要素も幾らあったことは、これは常識的に間違いないわけでありまして、そういうものが排除されたとすれば、長期債務を棚上げにするとか、いろんなそういうマイナス要素ですよ、予算の枠というものを若干、天下りじゃなくて、大蔵の予算だけじゃなくていろいろなものがあるでしょう、そういうものを排除すれば、
分割
民営
だって、
答申
が出る前に、いまのこの公社の形態じゃなくて、
国鉄
がいまの
国鉄
という中においてブロック別にやったっていいじゃないかという
意見
が出ましたですね。 そういうものについては、現状においては
国鉄総裁
としては完全にギブアップである、もう
国鉄
の
経営
、
事業
の
再建
なんというのはどうやったって私
たち
はできない、こういうことなんですか。それとも、いやいや、私
たち
がいままでの
国会
での附帯
決議
だって、やれたことが半分、やれないことも半分、その附帯
決議
もやっていただければ、こちらは
再建
の軌道だっていまよりは乗っていたし、さらに、先ほどから何回も抽象的に言いますけれ
ども
、いろいろ
国鉄
側に枠をはめられたものを、これを排除していけば、
分割
民営
じゃなくたって、いまの体制で
分割
したって十二分に
再建
はできる、こういう自信はおありですか。
高木文雄
126
○
説明員
(高木文雄君) 大変むずかしいお尋ねでございます。もし、いまのままでもうまくいけるのだということであれば、今日ただいまもう少しうまくいっていなければならないわけでございまして、私の及ばざるところもございますけれ
ども
、やはりいろいろな制約がありまして思うように進んでないという事実はやはり否定できないと思うわけでございます。 それでは、もし
分割
民営
をしなければ何ともやりようがないのかということになりますと、いまもちょっとお触れになりました、先ほど他の
委員
の御質問にありましたように、かねがねから当
委員会
あるいは
衆議院
の
委員会
等で御指摘になっております点について、もう少し
政府
の御理解をいただけるならば相当程度のところまではやれることは間違いないわけでございまして、大変歯切れの悪い
答弁
でございますけれ
ども
、しかしそれは事実として申し上げられるのではないかというふうに思っております。 ただ、むしろ困難は、現在財政全体がこういう状態になって、行財政改革が国のお
仕事
の中心の柱になってまいりましたから、したがって、しばしば両院の
委員会
から応援をしていただいたいろいろな御提案というものもなかなかまた実現ができないという状態であるわけでありますので、その辺を、つまりわれわれの
赤字
の問題とお国全体としての財政
再建
の問題との調整をどなたかが積極的にお進めいただくということがいままず大事なことでございまして、そういう意味では、私は
民営分割
論ということとは別にいたしましても、やはり強力な
再建
委員会
でその辺の道を求めていただく、決めていただくということがどうしても必要ではないかと思っております。 お尋ねに対するお答えにあるいはならないかもしれませんけれ
ども
、絶対にできないとも申し上げられませんし、いや絶対このままでもやれますともなかなか申し上げられないというところでございます。
黒柳明
127
○黒柳明君 林さん、当然、いまの段階に来て
総裁
の方に聞いても時期的にちょっと御無理かと思うのですけれ
ども
、だけれ
ども
政府
の理解があれば相当のところまでできそうな感じがするというようなことはやっぱり大きな
一つ
のポイントだと思いますけれ
ども
ね。 それから、先ほどの人選の中で、
臨調
でこの
答申
をつくってくれた人が
監理委員会
のメンバーの方にと、こんなこともマスコミの活字の方では、先走っているのかどうか、予測記事として出ておりましたけれ
ども
、そういうことは当然考えられるんでしょうね。結局、ここまでやっぱりいろいろな資料を分析して、
意見
を聴取して、それでやってきた人ですから、その人が何もこの
再建
委員会
から、その人は入っちゃ困る、あるいは入ってもらっちゃ困るということはないんでしょうね。やっぱりその人も含めて、あるいはむしろ逆に言うと、その人の方がいままでの熱意さもあったし、一生懸命やってくれたのだから、そういう人も入ってもらいたい、あるいは入る可能性は十二分にある、こういう理解はいいでしょうか。
林淳司
128
○
政府委員
(林淳司君) おっしゃるとおり、この
委員
の選考は、幅広く各界から選考することになろうかと思いますので、先生御指摘の、その
臨調
委員
を経験した人を排除するということはございませんで、それは当然その選考範囲には入ってくる、このように考えております。
黒柳明
129
○黒柳明君 この
監理委員会
は、
臨調
と当然性格が違うので、ここには「
非常勤
」とも書いてありますし、「五人」と。この五人と決められたのには何か根拠があるんですか。特別にないんですか、五人というのは。これは
大臣
の方ですか、林さんの方ですか。
林淳司
130
○
政府委員
(林淳司君) 五人という数字でございますけれ
ども
、通常の審議会等でございますと、二十人とか三十人とか非常に数が多いわけでございますけれ
ども
、やはり今回は白紙の
立場
で何か新しい政策と申しますか、これをやっていくということではなくて、
臨調答申
というものはすでに存在しておりまして、これを踏まえて検討を進めていく非常に具体的な作業でございますので、余り数の多い
委員
ではかえって効率性を阻害するのではなかろうか、こういう考え方が
一つ
ございます。 それからまた、それじゃ三人ぐらいでいいかという議論もあったわけでございますけれ
ども
、やはり先ほどからいろいろ御議論がありますように、
国鉄
問題というのは非常に多角的な見地からの検討が必要である、こういうこともございまして、やはり三人では少なくて、五人ぐらいがいいのではなかろうか、こういうことで効率性の面とそれから多角的な検討が可能であるという面、両方を勘案いたしまして五人という数字で御提案を申し上げておるということでございます。
黒柳明
131
○黒柳明君 そうすると、その答えを出す作業をやる過程において、先ほど専門的なことは
国鉄
に聞けばいいと。そうすると、やっぱり
臨調
の
委員
と同じように各方面からの
意見
を聞きながらまとめるということをやるんですか。もっとはっきり言うと、政治家との接触もやるんですか、各党と対話したり接触したり。
臨調
のときのあの対話も必ずしも各党の御
意見
を承るということが、
意見
を聞いて、それをいい意味で答えを出す材料にするということなのか、それともたてまえだけでやるのか、そこらあたり非常に微妙なものがあったと思いますね。ただし、
反対
であろうが賛成であろうが、広く
意見
を交わすことは結構なんです。 ただ、今回の場合は、
分割
民営
という路線が相当決まっているわけでしょう。そうすると、それと今度は、いままでの
臨調答申
をつくるときの各層との対話と、この次の非常に間口が狭められて 専門的な、より
技術
的な、具体的なものをつくるという作業の中においての幅広くの対話というのは、おのずからやっぱり角度、考え方が違わざるを得ないし、特に政治家との接触というのは
臨調
の
答申
づくりとはちょっと違うのじゃなかろうかという感じだけしますが、ただ先ほど言ったように、専門的なことは
国鉄
に聞けばいいというような話がありましたものですから、この
監理委員会
で答えを出すまでの
意見
というのは密室で作業してぽこっと出すということじゃないとは思いますよ。ですけれ
ども
、
臨調
の場合だって
分割
民営
ということについて非公開であったし、
議事録
は公開できない。それじゃ
政府
、なかんずく
大臣
はどの程度
分割
民営
についての裏づけの根拠は
御存じ
だったのかなと、私はそこらあたりもちょっと疑問に思うんですけれ
ども
、その点いかがでしょうか。
林淳司
132
○
政府委員
(林淳司君)
監理委員会
の運営でございますけれ
ども
、やはり
国鉄
の問題、従来から各方面で非常に議論もございましたし、関係する方面も非常に多いと思います。したがいまして、
監理委員会
が
意見
をまとめていく段階におきましては、できるだけその関係する方々の御
意見
を幅広く承っていくという運営を多分、これはいまの段階でまだ
監理委員会
発足しておりませんので、
委員会
の運営の問題でございますが、そのような方向で
監理委員会
としても御判断になるものと、このように考えております。
黒柳明
133
○黒柳明君
大臣
、先ほどから話ありました
議事録
の非公開ということ、
大臣
は
分割
民営
ということを最終ゴールだけで、
あと
過程というものについては余り承ってはいないんですか。相当やっぱり
議事録
なんかをお読みになって、具体的にこうすれば、
分割
民営
にすれば大丈夫だからと……。
長谷川峻
134
○
国務大臣
(長谷川峻君) いままで、そういう議論は聞いておりません。
黒柳明
135
○黒柳明君 そうすると、先ほ
ども
冒頭に
分割
民営
ということに一〇〇%自信があるんですかといったら、それは一〇〇%あるとは私受け取れないような、極論すればともかくやってみるんだ、こういう意欲が先行しているような感じがあったんですが、少なくとも部会では幅広く
意見
を聞き、それからさらに国際的にも知識を持っていたわけですし、それもかみ合わせてやったその議論というものは、非公開ということは、やっぱり最終結論についての個人的ないろんなデメリットというものが、当然
立場
がいろいろありますから、あるかと思って非公開にしたのだと思いますけれ
ども
、審議の過程というものについては相当
分割
民営
で大丈夫だという自信がなければ
答申
なんか出やしませんし、その
答申
を尊重するというのは、
委員
を信ずるということから人選したわけですから、
政府
が信ずるということからある。その信ずる中においてやっぱり
委員
の方も自信を持って検討した。その検討したというのは、相当細部にわたって検討したものがあることは間違いないと思いますけれ
ども
、そこらあたりは
鉄監局長
は相当
御存じ
なわけですか、その審議の状態。
分割
民営
ならば一〇〇%大丈夫だという
答申
をしたのかどうかわかりませんよ、あの
人たち
心情的には。聞いてみたわけじゃありません、
国会
の場で聞けやしませんから。ですけれ
ども
、少なくとも
責任
を持って
答申
したわけですからね。そうすると、しさいにわたって裏づけというものを相当審議の中に積み重ねてきたんですか。それとも、失礼ですけれ
ども
、いや
分割
してあれしたって、並行して
私鉄
だって走っているのだから料金体系はどうでもなるよ、それはヨーロッパだって国と国行っているのだから、そんな修理やなんかどうでもなるよという、そんな漠然としたような
論議
しかしてないんですか。そこらあたりは、
議事録
というものは
運輸省
当局というものも含めて非公開なんですか。見てないんですか。
永光洋一
136
○
政府委員
(永光洋一君) 私も、
議事録
と申しますか、詳細なやりとりというのは拝見いたしておりません。したがいまして、向こうの事務局がそれぞれの会議に立ち会っておられますので、要点等、あるいはわれわれが疑問とするようなところ、あるいはどういうような御議論があったかというような話というのはわれわれも承っております。その承っておる中での過程においては、
臨調
の中で
分割
民営
論に関しまして非常にいろいろ具体的なデータに基づく御議論があったというふうに聞いております。
黒柳明
137
○黒柳明君 先ほど、
理事
会でこれから検討するということになっているので、検討しなきゃならないと思うんですが、相当やっぱり中曽根
内閣
が
答申
を尊重するという全面的な信頼をしたわけですから、それについて相当な議論の中に細部の積み重ねはあって、試行錯誤もあって、それから相当の知識もそこに盛られて、そして
分割
民営
にたどりついた。こういうものが万が一ないとしますと、これは仮定の話になりますので失礼な話かと思いますし、いまその
答申
を審議しているのじゃなくて、
再建
監理委員会
の方の審議をしているわけでありますから、もうすでに汽車は
東京
、新橋でもたもたしているのじゃなくて、博多に到着する一歩手前であるか、下関か、あるいは岡山か、大阪かわかりませんけれ
ども
、そういう段階にいるんですけれ
ども
、もう一回、やっぱり何か、私は先ほど一番冒頭に言ったように、どうも賛成でありながらすっきりしないものがあるということにつきましては、少なくとも私、十八年の経験では、うそにせよ、
大臣
は一〇〇%自信を持ってうそついたわけですよ。それから
局長
なんというのは、それをカバーすること二〇〇%うそをつきながら私
たち
丸め込まれてきたわけです、私なんか人がいいですから。 ところが、いまのこの
法案
については何だか、私、さらにもう一倍
運輸大臣
をカバーしなきゃならないかなという心情にならざるを得ないような自信のなさというものがありましてね。そうなると、これからどうなっちゃうんだ、
社会党
の先生にやり込められちゃったら、おれ
たち
どうなっちゃうんだという、賛成の
立場
で私
たち
不安が増しているわけですけれ
ども
ね。いままでは少なくともどんな
法案
にせよ、正直なことは正直で端的に述べていただいているということはありますけれ
ども
、もっともっと自信を持ってきたんですけれ
ども
、どうもこの
臨調答申
ということ、御自分
たち
でつくったものじゃない、御自分
たち
で
苦労
してまとめた
法案
じゃない、こういうものがどうしてもあるのかなと。 だから、
臨調
の
答申
、しかも中曽根総理が当事者になって尊重するんだ、尊重するんだということが全面的に出て、これが先行しちゃって、何だか問題があっても中曽根
内閣
にいるうちは総理と
意見
が違ったら大変なんだからというようなところで、どうも何かそういうものが先行してきて、私
たち
も
臨調
全面賛成だったんですけれ
ども
、財政問題になったら
反対
の
立場
になった。増税なきといったって増税を示唆しているじゃないか、後になって。だから、何も
臨調
尊重するといったって、これはケース・バイ・ケースでありまして、一〇〇%
臨調
尊重する、全部賛成だよという
前提
を設けたわけじゃありませんから、そんなことはいいんですけれ
ども
、やっぱり財政問題では私
たち
もどうも
臨調
は増税なき財政
再建
とはちょっと違うのじゃないか、そこらあたりはっきり明示していないぞ、おかしいぞというクレームもつけています。 ですから、何か
答申
というものについて受けたから、失礼ですけれ
ども
、自信がないようにこっちが受けるだけかわかりませんよ。さらに言うならば、その
答申
自体にもこれを全面的に尊重するということについて、どういうものを検討し、どういう
意見
が出て、どういう具体的のものがあったのかわからないというところにも、何かそこの
国会
の場においての自信を持った発言が出てこない
原因
が、あるいはこちらが感じられるかどうかわかりません。感ずるにしてもそういう感ずる面があるのかなと、こんなことがしますので、ひとつ万が一でも、
再建
委員会
をつくった、そこでともかくやってみてくれや、おれ
たち
国鉄
も、
運輸省
も、
政府
もどうしようもできないんだからと。五人
委員会
、ここも何もまとまらなかった。まと まるにしたって、こんなものやったって
再建
なんかできないことは見え見えじゃないか。こういうものになって、六十二年の七月にはどうしようもなかった。そのときになって、初めていやいや実はなんて言ったって、これは防衛
論議
でよく
政府
が言うように、もう繰り返しはできないんです。これは繰り返しできないのは、国家の安全保障だけじゃありません。これだけの大改革するわけですから、もう取り戻しなんかできませんよ。だけど、何となく天の声で……。
反対
派というのは非常に主張を持っているんですけど、賛成派でも私
たち
だけですかね、不安なのは、あいまいなのは。何か不安材料があるんです。
臨調
の
答申
の裏づけなり、そこらあたり、もうちょっと賛成派につきましても納得できるようなひとつ材料が提示できるのか、いまの段階で。それが必ずしも
議事録
が公開されたから納得できるかどうかわかりませんよ。何だ、こんなもので審議したのかとなるとよけい不安が増しちゃうというようなことも、もうちょっとそこらあたりが何となくというものがあるんですよ。そこらあたり、ひとつ
大臣
——
大臣
はそんなことはないと思います。
局長
や林さんは一〇〇%そういう裏づけを含めてやっているのだと思いますが、いま申しましたように五人の人選、これはもうそんながたがたしないと思います。いまのままの賛否のままでいくと思います。それからだと思いますよ。 それで、六十三年といったって、すぐたっちゃうわけですから、四年や五年たっちゃう。その過程においていろんな問題が出てくるわけですから、その過程において取り返しがつかないようなことになると、そら見ろ、だからあのときの
臨調
の姿勢はどうだったんだ、審議はどうだったんだ、そのときは
答申
を尊重するということだけじゃだめだったのじゃないか、もう一歩さかのぼって、そこらあたりも私
たち
の認識の甘さがあったのじゃないか、こんなことをそこになって言ったってこれはどうしようもないわけでしょう。ですから、私
たち
も
臨調
は尊重します、あれだけの
人たち
が一生懸命になって私的なことをなげうって公的な面で働いていただいたわけですから。だけれ
ども
、これだけの抜本的な大
事業
をここでやろうとするからには、もっともっと裏づけというものを、確信というものを、賛成なら賛成なりの自信というものを持って、それで六十二年七月のそこに至るまでの過程というものを全面的に私
たち
もバックアップしていかなければいけない、賛成したんですから。途中で
反対
なんかに変わったら、これは大変なことです。 そういうようなことなんですが、ここらあたり、長々しく話をして申しわけないんですけど、
大臣
、どうでございましょうかね。
長谷川峻
138
○
国務大臣
(長谷川峻君) いろいろ御心配いただきましてありがとうございます。
答申
を尊重して
監理委員会法
案をこうして御審議いただいているわけですけれ
ども
、何でも
最後
までいってみなきゃわからぬところも、お互いの知恵でございます。しかし、私自身は、今度が
国鉄再建
の
最後
じゃなかろうか。いままで四回、五回とみんなでやりました。そして、
事業
の拡大、さらにはまた運賃法も
国鉄
の方にお願いしたりして、しかしなおかつ制約があった、なおかつお客さんが減った、なおかつ
労使
の間に問題があった、こんなことなどが積もり積もって今日に及んで、それが二十兆円、そしてことしも二兆円、どこでとまるかわけがわからぬ。ならば、
臨調
の
皆さん
方が国政の最大なる財政問題としてこれを取り上げて、この
法案
でいってみて、それを
政府
に
責任
を持たせるという形で来ていることですから、途中御審議された
一つ
一つ
の議論は、私も記録などにあらわれておりませんからわかりませんが、結論を見まして、これは御信用申し上げて、われわれの時代にやっておかなきゃ
国鉄
が来年、再来年はどうなるかわけわからぬ。そこで
皆さん
方にお願いしているわけでありまして、これは
最後
の
最後
まで詰めてみなきゃわからぬけれ
ども
、私はお互いの努力でここでうまくいくこと、それを絶対にやらなきゃならぬ。 おとつい、私のところにイギリスの
国鉄
の
総裁
が参りまして、イギリスの
国鉄
が
日本
の十倍以上線を切っている姿を見ている。そして、去年あたりから単年度で黒字になった。私はそのとき申し上げました、組合の非常にお強いあなたの国がどうしてそういうことをやれたのでしょうかと。こんなことまで実は話したのですが、その詳しい会議録は後で
大臣
に送りますと。私は、イギリスは
日本
の
国鉄
の大先輩、大恩人でありますから、イギリスのおかげでわれわれは
国鉄
を学び、
国鉄
を敷いたのですから、そこで、ぜひそれじゃそういうふうな
計画
書というのか、記録をお願いしますと、こう申し上げたら、彼は帰りに、あなたも
国鉄
を愛しておることを尊敬します。私も素人から
国鉄総裁
になりましたが、六年間でここまでみんなの応援でやり上げることができました、こう言われて感激したことであります。 これほど熱心な
委員会
の
皆さん
方に、私が持っている情報かれこれをお隠しするようなことはございませんで、ぜひひとつここは、いまから先どう展開するかわかりませんが、誠意と誠意で話し合いながら
再建
委員会
をおつくりいただきたい、心からお願い申し上げます。
黒柳明
139
○黒柳明君 ただ問題は、この
法案
を通すことじゃなくて、六十二年の七月までに
経営
内容
、
事業
を
再建
させる、
赤字
から黒字に転換させること。そのときは、失礼ですけれ
ども
、
大臣
は
責任
の当事者じゃないわけでして、ここにいらっしゃる人は、
総裁
もそのころは盛んに横目で、あんなものはできるかい、ざまを見ろなんてなことで横目で見ているか、おれに任せればよかったのになんて。林さんあたりですね、当事者は。
鉄監局長
は次官あたりで、これも当事者じゃなくなっちゃう。そうすると、林さんあたりが一番の当事者になっちゃってあれですが。 冗談は別にしまして、やっぱり
大臣
、これは通すことに意味があるのじゃなくて、これがスタートですわな、言うまでもなく。それから本当にこの五人の人を盛り上げて、あるいはこの五人の人がどういう妙手を出してくれるか。それについては、いまの
大臣
のお言葉、いままでのあれでも皆目だれもわからないわけですな。皆目わからない、こんなものは。
再建
できるのか、できないのか。そうなると、
民営
がいいのか、
分割
はどういうものがいいのか。これは本当に、こう出たとしたって、やってみなきゃわからない。すべて、極端に言うとやってみなきゃこれはわからない、案ができたって。案ができるまではやっぱりすべて机上のプランですからね。それを実行に移してみて、それで初めて、それでもお客離れしちゃったらどうしようもないわけですしね。あるいは公共性についても、確保したつもりでも地元からまたクレームが出たらこれはどうしようもないわけでしょう。そこまでは読みなんかできやしませんから、ともかくすべてこれはやってみなきゃわからない。 こういうものを
前提
にして、それで五人の人の天の声を中心にして、意欲的にひとつ
運輸省
も
国鉄
もこれをバックアップしてやっていくんだ、こういう非常に何か意欲先行型、努力が続いていく。だけど、結果は非常に不明瞭、こういうような感じがしますね。その点が、逆に言うと、
国鉄総裁
あたりは、まだまだおれ
たち
に任せれば、あるいは任せればとは言わなくたって、非常に不安が多いなと、こういうようなことをちらちらのぞかせる
原因
にもなっているのじゃないですか。ですから、私
たち
も賛成という
立場
から全面的にこの五年間は、これでおしまいになるわけじゃありませんものですから、これこそ勝負なわけですから、
大臣
がただ単にこの
法案
を通すだけに執念を燃やしている、これじゃ困るわけでして、その
法案
を通して、それでやっていただくその
内容
の充実までしっかりして、それでやっていただかないと、いまの
運輸大臣
としての役職、役目を果たしたことにならないのじゃないかというような、老婆心ながら気持ちもしますので、そこらあたりひとつ、何かまだまだ私、説得されたという感じがしないんです。何か漠然としているなという感じ がするんですけれ
ども
、
大臣
の
答弁
も盛んにお聞きしました。 それで、
総裁
ですね、もう時間がありませんで、具体的なことはまたこの次ありますので、
国鉄
の資産の活用とか関連
事業
とかいろいろありますけれ
ども
、具体的なことはあれですが、六十年めどのいまの第四次の
再建計画
が、これはこの
法案
が通過した後に手直し。これは六十二年の七月ですから、そうすると、いまの六十年まで
あと
二年間、その手直しはどうするのかわかりませんけれ
ども
、それから当然六十二年のこれを全面的にバトンタッチするまでやっぱり
再建計画
もう一回練り直し、こういうことになるわけでしょうか。
高木文雄
140
○
説明員
(高木文雄君) 現在の特別措置法による
経営改善計画
は、一応六十年時点でどこまでいけるかということで、
法律
でもそういうふうに予想されておりますし、
法律
に基づいてわれわれは提出し、
政府
の御承認をいただいております
経営改善計画
におきましても一応六十年で区切っておるわけでございます。しかし、その後、二年間の時間の経過の過程におきましてなかなか
計画
どおりいきそうもないという現状でございまして、現在、しばしば御説明申し上げておりますように、
改善
計画
をつくり直す作業に取り組んでおるわけでございますけれ
ども
、その場合におきまして、ただいまお尋ねの
監理委員会
設置法との関係で申しますと、それとは直接の関係なく、私
ども
としましては、前の特別措置法の規定ないし精神に従いまして、健全
経営
の基盤をどの程度にまで練り上げるか、積み上げていくかということで今後の
経営
を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 具体的には、たとえば
経営
収支で申しますと、六十年時点で、東北・上越
新幹線
の資本費負担を別にして一兆円の
赤字
、ただし、その中では特定人件費の赤がこのぐらい、地方
交通
線、地方バスの
赤字
がこのぐらい、そして幹線は収支ほぼ均衡するということで
改善
計画
をつくってあるわけでございますが、それがどの程度までその線にいき得るか、あるいは若干時間的余裕をいただかないとそこまでいかないことになるかということをいま練っておるわけでございます。いずれにしましても、
再建
委員会
ができる、できないとは関係なく、特別措置法による
経営改善計画
を練り直しながら、それの実施を図ってまいるという次第でございます。
黒柳明
141
○黒柳明君 そうすると、
鉄監局長
、六十年から六十二年まではどういうふうになるんですか。
永光洋一
142
○
政府委員
(永光洋一君) いまの
再建
措置法は、この監理
法案
との関係では、監理
法案
は今後の抜本的な対策としての枠組みを決めるということで、現在はわれわれはこの
再建
措置法でできるだけ
国鉄
の
合理化
を進めたい、こういうふうに考えておりまして、
法律
のたてまえからいいますと、六十年までに
経営
基盤を確立するというのがこの現行措置法の考え方でありまして、
改善
計画
については必ずしも六十年と限りませんので、六十年に
経営
基盤のある程度の節目ができて、さらにそれをスリムにするための
計画
をつくるということはこれは可能であると思いますので、仮に
監理委員会
の結論等が六十年以降できた場合に、
国鉄
としては六十年までに何とか現在の
改善
計画
を見直しながら基盤の確立に努める、さらにその後も
合理化
をするための
計画
をさらに延長するなり、つくるということは可能であると思いますし、そうすべきではないかと思っております。
立木洋
143
○立木洋君
大臣
に、まずお尋ねしたいんですが、
大臣
はこの
法案
について
国鉄
の
再建
ということを繰り返し述べられているわけですけれ
ども
、私は、この
法案
というのは
国鉄
の
再建
ではなくて
国鉄
を解体に導くものである、しかも大変な五人の
委員会
に強力な
権限
を持たして、これをつまり強行する、そういう大変な
法案
であるというふうに指摘せざるを得ないと思うんですね。 その点から、まず最初にはっきりさせておきたいのは、先ほど来問題になっておりますように、この設置されるということが問題になっているこの
法案
での
委員会
というのが、いわゆる
臨調答申
、これを尊重する。
経営形態
の変更という点で明確に
臨調
の
答申
の中では、「
国鉄
の
事業
を
分割
し、各
分割
体を、基本的には
民営
化する。」ということが明確にされているわけです。これを尊重するということになれば、
分割
して
民営
にするわけですから、そういう方向で進むわけですから、そういう方向で進むということは、つまり
国有鉄道
がなくなるということなんですよね。どうですか、その点。
長谷川峻
144
○
国務大臣
(長谷川峻君) いまのような理論から参りますと、そういうこともあり得ます。
立木洋
145
○立木洋君 だから、大変なことは、これまで続いてきた
日本
の
国有鉄道
、これが事実上なくなってしまう。ですから私は、
大臣
、正確に言っていただきたいのは、
国鉄
の
再建
、
国鉄
を愛するということを私は軽々に言っていただきたくないんです。
国鉄
を愛するなら、
国鉄
をなくなすような
法案
を積極的に通そうなんてするようなことはできっこないんですから。ですから私は、本当に
国鉄
の
再建
ということではなくて、
国鉄
をなくして別のものをつくる、そういう
立場
に情熱をかけられているのが
運輸大臣
ですよ。だから、
国鉄
の
再建
というふうな言葉ではなくて、基本的にはそこに問題があるんだと。 先ほど来の議論からもはっきりされていますように、つまり
国鉄
を
再建
することができないのかどうなのか、いまの
国有鉄道
を。これは高木
総裁
がいままで数年やってこられて、現に国の方である程度の配慮があるなれば、これが完全とまではいかなくても、ある程度まではできますというふうに感じられるということまで述べておられるわけですね。だから、
国鉄
がいままでどこに問題があって、どういうふうに直していけばできるのかということは全くゼロにしてしまって、結局は先に
分割
民営
という結論があって、それを尊重するという
立場
で突っ走ってしまう、こういう大変なことだということを私は指摘しておきたいと思うんです。 そういう点から、この
監理委員会
が総理府のもとに置かれるわけですね。この
委員会
の審議というのが
運輸委員会
でされるということはこれはある程度私は理解できますけれ
ども
、この設置される
監理委員会
というのが総理府のもとに置かれるという
理由
がどういう
理由
なのか、そしてどういう経過でそういうふうになったのか、これちょっと御説明いただきたい。
工藤敦夫
146
○
政府委員
(工藤敦夫君) ただいまの御質問の点でございますが、経緯等につきましてはむしろ
内閣審議官
の方からお答えいただいた方が適当かと存じます。 実は、
国鉄
の
経営
いたします
事業
の
再建
、こういう問題は非常に重要な政策課題でございますし、またその
再建
のために講じなければならないという施策も、当然
運輸省
の所管のものが中心になるとは思いますけれ
ども
、それのみにとどまりませんで、それ以外に広く
各省
庁にまたがる、こういうことが予想されるわけでございます。
政府
全体が一体としてこれに取り組み、そして
計画
的に、かつ円滑にこれを
推進
していく、こういう必要があることだろうと思います。 したがいまして、
国鉄
の
再建
監理委員会
を、
内閣総理大臣
を長といたします、しかも任務といたしまして、各
行政
機関
の施策及び事務の総合調整、これは総理府の設置法にもございますが、そういったことを任務といたします総理府に置くことにつきましては、特段の問題はないかと存じます。 なお、このような例といたしまして、たとえば総理府に置かれております審議会で実質的に
各省
庁にまたがるというふうな
事項
、そういうものに密接に関連いたします
事項
を審議いたしますものといたしまして、たとえば農政審議会ですとか、中小企業政策審議会ですとか、こういったものもございます。
立木洋
147
○立木洋君 この
法案
の十四条に書いてある「
委員会
に関し必要な
事項
は、政令で定める。」ということになっていますね。この政令で定める原案を起案するのは、省庁はどこが主管ですか。
林淳司
148
○
政府委員
(林淳司君) 現在、
内閣
官房に
国鉄再建
監理委員会
設置準備室というのが置かれております。この
法案
の作成に当たりましても、この準備室においてその事務に当たってきたわけでございますけれ
ども
、したがいまして……
立木洋
149
○立木洋君 準備室がどこの所管かと聞いているんです。
林淳司
150
○
政府委員
(林淳司君)
内閣
官房に現在置かれておるわけでございます。 そこで、今度この十四条に基づく政令につきましても、準備室において原案をつくりまして、
内閣法制局
の審査を経て
閣議
で
決定
をする、こういう手続になるわけでございます。
立木洋
151
○立木洋君 この法の執行だとか、それから政令をつくって事実上具体的にどういうふうに進めるかという問題については、総理府が所管するわけでしょう、事実上。
林淳司
152
○
政府委員
(林淳司君) この
法案
を成立さしていただきました暁におきまして、
監理委員会
ができた時点での問題でございますが、この
監理委員会
は、この
法律
にございますように、総理府の附属
機関
ということになるわけでございます。
立木洋
153
○立木洋君 そしたら、ここにいろいろ問題になる、この第四条に述べられているように、「総理府に、
日本国有鉄道
再建
監理委員会
を置く。」ということになるわけですが、具体的にそういう問題点なんかをいろいろ
質疑
する場合に、この
委員会
の席上にその総理府の長官が出てきていないというのはどういう意味ですか。
林淳司
154
○
政府委員
(林淳司君) それは、この
法案
の御審議をいただく過程と、それからこの
法案
によりまして
監理委員会
ができた後の問題と、これは別でございまして、現在は
内閣
官房の設置準備室においてこの
法案
の御提案を申し上げておるわけでございます。
立木洋
155
○立木洋君 できた後の執行に対して
責任
を負う所管長官にいろいろ聞きたいと。問題は、先ほど同僚
議員
が言いましたけれ
ども
、この
法案
を通すだけに熱情を置かないで、あなた方
責任
を持ってくれといったって、
運輸大臣
、後のこと
責任
持てないんですよ。総理府に置くんでしょう、
監理委員会
は。
運輸省
に置くんじゃないんですよ。だから、
運輸大臣
が
責任
を持ってこれからの
監理委員会
の
内容
についてどうこうするというのは
答弁
できっこないじゃないですか。総理府長官が出てきて、いろいろそういう問題について運営上どうなるのか、
監理委員会
の運営上。先ほど来、あなたは、それは
監理委員会
の人も当
委員会
の要請があれば出てきて
答弁
ができることになろうかもしれませんなんというようなことを言っていましたけれ
ども
、だけど、もしかできなかったらあなたが
責任
を負わなければならなくなるのですよ。やっぱり最高
責任
者である総理府に置くのだから、総理府の長官が出てきてどういうふうになるのかということをはっきり
答弁
する必要があるんじゃないですか。そういう点から言えば、これはまさに
法案
を通すためにだけ
運輸大臣
に
責任
があって、この
法律
が通った後の
法律
の執行、
監理委員会
を置かれて、それがどういうふうになっていくのかということについては、
運輸大臣
は
責任
を持てるんですか。ちょっとはっきり
答弁
してください。
林淳司
156
○
政府委員
(林淳司君) 先ほど申しましたように、この
監理委員会
ができた後の問題と、この
法律
を御提案している段階とはこれは違うわけでございまして、現在は
内閣
官房に置かれている設置準備室においてその案の作成に当たって
閣議
を経て御提出を申し上げたということでございまして、その場合、この
法案
のそれじゃ担当はどうなるかということでございますけれ
ども
、これについては、この
法案
は
国鉄再建
監理委員会
の設置のためだけの
法案
ではございませんで、
国鉄
の
再建
のための今後進めるべき枠組み、あるいは方向性というものを備えた
法案
でございまして、したがいまして、この
法律
の実質的な
内容
あるいはその目指すところというものに着目いたしました場合に、この
法案
を担当していくのは
運輸大臣
が適当である、こういうことで昨年の十二月の
閣議
におきましても
内閣総理大臣
から
運輸大臣
にこの
法案
を担当するように委嘱があった、こういう経緯でございます。
立木洋
157
○立木洋君 林さん、何も私は
監理委員会
の設置だけがこの
法案
の
内容
だと言っているのじゃないんですよ。あなたは
衆議院
でも一生懸命そういうふうに
答弁
されているから、私、
議事録
を全部読んできましたから、あなたが述べようとすることはわかります。しかし問題は、
監理委員会
が設置されて、
監理委員会
がどういうふうに運営されて、どうなっていくのかという問題は、これは重要なこの
法案
の柱とも言うべき
内容
なんですよ。これは
国鉄
の
再建
ということを
前提
に述べてありますけれ
ども
、それじゃその重要な
内容
を聞く場合に、
権限
を持って将来、法の執行に対して私はこういうふうにしてやります、こういう考えでやりたいと思いますと、
運輸大臣
言えないんですよ。
運輸大臣
のもとに置かれるのじゃないんですから、この
監理委員会
というものは。それは
国務大臣
の一人としては当然
責任
を分担するでしょう。しかし、
あと
は
法案
が通ってしまったら総理府に行くんですからね。そうでしょう、
大臣
。そのことまで含めてあなたが
責任
を持って
答弁
してくださいと言ってもこれは無理じゃないですか。
大臣
、いかがですか。——いや林さん、あなたは、さっき聞いたんだから、もうわかったからいいから。
大臣
、きつかったら座ったままでいいですから、答えてください。
林淳司
158
○
政府委員
(林淳司君) その点につきましては御説明いたしますが、いずれにしましても、この
法案
の担当というのは、
内閣
におきまして事実行為として
閣議
の席上で総理から
運輸大臣
に
責任
を持って取りまとめてくださいということを委嘱されておるわけでございます。したがいまして、この
法案
についてはそういう
立場
から
運輸大臣
が御
答弁
を申し上げておるということでありまして、
監理委員会
ができました暁におきましては
監理委員会
はそれなりに独立性を持った
機関
でございますので、いまの段階でこれは何
大臣
でありましても
内閣
としてそれを拘束するようなことはできないわけでございまして、したがって
運輸大臣
としてはここで
法案
担当
大臣
としてこの
法案
の
内容
についての御説明を申し上げておる、こういうことでございます。
長谷川峻
159
○
国務大臣
(長谷川峻君) いま林君が申されたとおりで、通過した暁には関係閣僚会議もありますし、それと車の両輪をなしてこの
法案
の
責任
を持つ、こういうことでございます。
立木洋
160
○立木洋君 そうですよね。結局、
法案
が通ってしまえば
大臣
の
責任
じゃなくなる、直接的な所管
大臣
として
責任
を負わされるわけじゃないんですから、この法の執行については。そういう点はやっぱり審議の仕方に問題があるんですよ。林さん、あなた準備室でしょう。だから将来、あなた、事務局にでもなるんですか。どういう
権限
でいまここで
答弁
されているんですか。それを、ちょっとはっきりさしておいてください。
林淳司
161
○
政府委員
(林淳司君) 私は
内閣
官房の
国鉄再建
監理委員会
設置準備室に所属しているわけでございまして、したがいまして
内閣
官房において、この準備室におきましてこの
法案
の原案をつくりまして、それでこの
監理委員会
の発足まで準備を進めていく、こういうことで
内閣
官房の中で所掌が決まっておりますので、その
立場
で御
答弁
を申し上げているわけでございます。
立木洋
162
○立木洋君 だから、あなた事務局になるのかと聞いている。わからなかったらわからないでもいいですよ。なるならなるでもいいです。ならないならならないでもいい。はっきりしてください。どういう
責任
で答えているのか、はっきりしないんですよ。
林淳司
163
○
政府委員
(林淳司君) 私は、現在準備室の
人間
という
立場
で、
政府委員
として
答弁
を申し上げているということでございます。
立木洋
164
○立木洋君
委員長
、これ、私、ちょっと
理事
会で協議してもらいたいと思うんです。
法案
の重要な
内容
である
監理委員会
の
内容
についてどうなるのかということを聞くのについて、
責任
を持って答える人というのはいないんですよ。準備の段階 だけ
責任
を持つ、こちらの人は
法案
が通ってしまえば、
大臣
、自分の所管ではなくなるわけだから、
責任
を持って答えるような状態に
委員会
がなっていない。だから、所管のちゃんと総理府長官が出てきて、私が長官としてこの
法案
を執行する場合にはどういう考えでやりますと、はっきり
答弁
してもらわないと討論にならないんじゃないですか。いかがでしょう。これは何も
委員長
に文句言っているわけじゃなくて、こういうことを提言申し上げているんですが、ひとつ……。
矢追秀彦
165
○
委員長
(
矢追秀彦
君) 立木
委員
の御
意見
につきましては、後日、
理事
会において協議をいたします。
立木洋
166
○立木洋君 だから、私はこの審議の仕方というのが、
衆議院
の
議事録
を全部読ましていただきましたけれ
ども
、
責任
のある本当の
答弁
というのがないんですよ。さっき同僚
議員
も言われた。あいまいなんです、全く。こうにもなるかもしれない、ああにもなるかもしれない。だって、こうなりますといって
責任
持って言えるのかと言ったら
運輸大臣
だって言えないんですから、そういう
内容
の形で審議を何ぼやったってはっきりしっこないですよ、これ。だから、そういう形での審議でいわゆる時間を稼いで、通してしまえば後は終わり、
国鉄
の
再建
はパー、そんなような審議のやり方ではだめだということを最初に強く私は指摘しておきたいと思うんです。 次の点ですが、これは
国鉄
が
政府
の配慮があればある程度可能だ、完全とまではいかなくてもという高木
総裁
の指摘もあったので、若干この点についてお聞きしておきたいんですが、私は
国鉄
をなくして次のものをつくるという意味でお聞きするのではなくて、いわゆる本当の意味での
国鉄
の
再建
ですよ、
国鉄
の
再建
について最も重要なことは、私は
国鉄
がこれまで
再建
されるという問題が、何回か
法案
出されたけれ
ども
、それが本当の意味ではどこに根本的な
原因
があったのかということが明確に分析的に解明されていない。だから、正しい克服の方策というのが生まれてきていない。だから、何回やったって同じだ。結局、それを、情勢に急激なモータリゼーションがどうだ、いや財政危機がどうだのと言って全部他に転嫁をしてしまって、根本的な問題がどこにあるかということがはっきりされない限り、これは何回やったってだめなんだ。その結末が今日来ている。 ですから私は、
国鉄総裁
が
衆議院
でも述べられていましたけれ
ども
、
計画
と実績との違いを数字の上で見るならばいろいろ違いがあります、それは御指摘のとおりだと、高木
総裁
。しかし、経費の面ではほぼ
計画
どおりに進んでいると私は見た、ただ収入が一番狂っている、収入が一番狂っているのが問題だと思う、こういう指摘をされた。これはわからないわけではないんです。そういう点から、もちろんこれは
総裁
自身の
責任
だということで私はお尋ねしているわけじゃありませんけれ
ども
、これまでの
国鉄
の投資のあり方、これを
総裁
というお
立場
から見てどういうふうにお感じですか。
高木文雄
167
○
説明員
(高木文雄君) 投資にもいろいろな投資があるわけでございまして……
立木洋
168
○立木洋君
設備投資
。
高木文雄
169
○
説明員
(高木文雄君) 俗に
設備投資
というときには、一般的常識といたしましては、たとえば河川改修とかあるいは農業関係のものとかという場合には、いままでないものを新しくするというのが
設備投資
の概念なんですけれ
ども
、
国鉄
の場合の
設備投資
の概念は、実はそれよりはるかに広いものになっておりまして、たとえばまくら木を取りかえるという場合でも、木のまくら木を木のまくら木に取りかえるという場合は投資とは考えませんけれ
ども
、木のまくら木をコンクリートのまくら木にかえるという場合には投資というふうに考えておりますし、車両を新しく買うという場合でも、どこかに線路ができて、そして新しく車両が必要になったという場合の車両購入費はこれはだれが考えても投資という概念に入ってくると思いますけれ
ども
、
国鉄
の場合にはそうではなくて、従来、SLが走っておったものがDLにかわるとか、それがELにかわるとか、
電車
にかわるとかというのも、そういうふうにかわってきますと全部根っこから投資、こう概念しておりますので、そういう意味で非常に広い意味での投資ということで、実は少し焦点がぼけてしまっているわけでございます。 本来ならば、そういう投資を、取りかえ的なものと新規改良的なものとに、もっと厳格に区分して考えるべきものだと思いますが、そういうふうに混在してしまっておりますこともありまして、過去においては、たとえば新しく線路をつくるというような場合には
政府
から出資をしていただいた時期もありましたが、もうここ十年ぐらいはそういう例がございませんので、全部ひっくるめて借入金で賄う、ただし金利負担が余り大きくならないように利子補給をしてもらうという形式になっております。 それで、このようなことで多少とも新しくしようというときにはどうしても借入金によらざるを得ないという点は、これはいまの
国鉄
経営
の非常に弱い点の
一つ
でございますけれ
ども
、しかしまだまだほかの面で非常にもっと弱いといいますか、ありますものですから、今日まで私が
経営
責任
を負うようになりましてから後も、何とか
設備投資
を借入金でなしにできる方法はないかということを考えたこともございますけれ
ども
、実はまだまだほかの面で経理の強化を図る必要がございましたので、私になりましてから一度もそれを出資に切りかえてもらうような交渉をするというか、お願いをするというか、そういうことはやったことはございませんので、私は、御指摘のように、
設備投資
を借入金によっていることが
経営
悪化の最大の問題であるというふうには実は理解をしていない、問題点だとは思いますが、最大の問題だとは理解をしていないというふうにお答えさしていただきます。
立木洋
170
○立木洋君 当局の方で数字をちょっと示してほしいんですが、この二十年間の
国鉄
の収入と
国鉄
の
設備投資
額の推移はどういうふうになっているのか。それから平均してみると、
国鉄
の運輸収入の中で占めるその投資の比重は大体どの程度になっているのか。
繩田國武
171
○
説明員
(繩田
國武
君) お答えいたします。 二十年というお話でございますので、ちょっと時間がかかりますが、年度別に申し上げます。
立木洋
172
○立木洋君 大体の動きでいいです。二十年間の動きと、それからパーセンテージ、比重がわかれば。
繩田國武
173
○
説明員
(繩田
國武
君) それでは、
昭和
三十七年度を申し上げますが、運輸収入と雑収入で、雑収入というのは関連
事業
の収入でございますが、五千二百九十三億円ございました。三十七年度の
設備投資
額は二千四百三十九億円でございます。率にしまして四六%でございます。 それから四十年度に例をとりますと、収入は六千三百四十一億円でございました。
設備投資
額は三千二百三十七億円。率で五一%でございます。 次に、四十五年度で申し上げますと、収入が一兆一千三百三十五億円でございます。
設備投資
は三千六百八十四億円。率で三二・五%でございます。 次に、五十年度で申し上げますと、収入が一兆六千二百三十一億円、
設備投資
が七千六十七億円、四三%でございます。 少し飛びますが、五十五年度で申し上げますと、収入が二兆六千七百四十六億円、
設備投資
が一兆七十億円でございまして、三七%。 それから五十八年度の予算でございますが、収入予定が三兆一千五十三億円ございまして、
設備投資
が七千六十億円、二二%でございます。 いま申し上げましたように、全部の平均は出しておりませんが、大きな
プロ
ジェクトの投資の年、あるいはそれの継続投資等によりまして率がいろいろ異なっておりますが、大体三割から四割というような感じでございます。
立木洋
174
○立木洋君 その
設備投資
額の中には、利子だとか工事負担金は入っていませんね。
繩田國武
175
○
説明員
(繩田
國武
君) 利子と工事負担金は入っておりません。
立木洋
176
○立木洋君 これ、ざっと数字を見てみましたけれ
ども
、一番大きな四十八年のときのことをあなたはお述べにならなかった。ここでは、運輸収入に対していわゆる
設備投資
が五五・三%を占めている。 ところで、全体的には、利子及び工事負担金を含んでいないわけですから、利子、工事負担金を含むと大変なものになる。いわゆる
国鉄
収入の五割から六割近くぐらいの
設備投資
が毎年やられたというんですよ。普通の
会社
だったらこんなことやりますか。収入の五割以上も設備に投資するなんというのは、これを二十年近くも続けるなんというようなことはあり得ない。
総裁
、これはあなたの
責任
だということでお聞きするわけじゃなくて、あなたが
責任
を持ってやるということだったら、こんな投資の仕方をしますか、それだけお答えいただきたい。
高木文雄
177
○
説明員
(高木文雄君) 率直に申しまして、私、就任当初にその点は非常に疑問を持ったわけでございます。 それで、説明を聞きますと、
国鉄
は絶えずお客がふえまして、したがって設備を更新したり拡大をしたりしませんと輸送し切れないという状態が戦後ずっと続いてまいりました。その関係で、将来収入を期待して投資をしてきたというのが歴史であろうかと存じます。 むしろ問題は、私が
責任
を持つようになりました時期以降の問題でございまして、貨物につきましては四十五年から、旅客につきましては五十一年から輸送量が減りました。そういうふうに
国鉄
の置かれる地位が大変変わってきたわけでございますので、本来ならば五十一、二年ごろから
設備投資
を抑えるべきであったかもしれません。また、私もできればそうしたいという気持ちは持っておりましたのですけれ
ども
、たまたま東北・上越
新幹線
の投資というものを途中でやめるわけにはいかないという事情がございまして、今日のような状態に推移してまいりました。 五十八年度予算におきまして一挙に三割
設備投資
を抑制したということは、臨時
行政
調査会の御
意見
もございましたし、またその他からの御
意見
もございましたが、多少今日までの姿勢を軌道修正するという意味でとったわけでございまして、率直に申しまして、投資抑制の時期が遅かったということは否定できないわけでございまして、この点については私自身が重大な
責任
を感じておる次第でございます。
立木洋
178
○立木洋君
設備投資
ということを先ほど
総裁
が言われた広い意味で言えば、それからいろいろと
交通
対策の上での競争等のことも考えて、そのすべての
設備投資
を何も悪だということを言っているわけじゃないんですよ。しかし、もっと
計画
的にやっぱりやるべきことがやれたのではないか、こういうふうなやり方をすること自身、やっぱり問題がある。こういう投資の額というのは、何も
国鉄総裁
だけの
責任
だと私は思わない。これ、もっと言うならば、やっぱり
自民党
の、四十八年からのこれほどに莫大に伸びてきた投資の
内容
を見たってそうですけれ
ども
、列島改造論、これは政治的な、いわゆるこういう形でやらして、事実上
国鉄
に莫大な
赤字
をしょわすようなやり方をやってきた
自民党
政府
に問題があるということを指摘しておきたいのと、同時に、もう
一つ
聞きたいのは、
国鉄
の建設投資において借入金、つまり借金がどれだけの比重を占めているのか、ちょっと数字をお聞きします。
繩田國武
179
○
説明員
(繩田
國武
君) お答えいたします。
昭和
四十六年に例をとりますと、投資額は三千九百六十四億でございまして、
政府
から出資金をいただきましたのが当時三十五億円でございまして……
立木洋
180
○立木洋君 時間がないので、比率だけでいいです。
繩田國武
181
○
説明員
(繩田
國武
君) 借入金は三千九百二十九億円、九九%でございます。 それから四十八年で、七千百三億というのがございまして、これに出資金が千九百五十億ございまして、借入金は五千百五十三億、七割三分でございます。 それから五十二年で申しますと、七千八百七十億、助成金をここで百六十九億ちょうだいしまして、借り入れは七千七百一億。 それから五十六年の決算で申しますと、投資額は一兆百八十五億、助成金を四百四十九億いただいていまして、差し引き九千七百三十六億円、借入金の率が九六%。 そんなところでございます。
立木洋
182
○立木洋君 道路建設だとか、それから道路は建設ですから調べてきてくれと私はきのうお願いしておったんですが、それから港湾建設、空港建設、これらでは国の援助というのは比率はどれぐらいになっていますか。比率だけで結構です。
西村康雄
183
○
政府委員
(西村康雄君) いまお話のありました空港、港湾、道路というのはそれぞれ公共施設でございまして、これらの施設の建設につきましては国と地方公共団体がそれぞれの財源によりまして相互に負担して、共同してつくるという形が多いわけでございます。 それで、これらの国の財源につきましては、空港では航空機燃料税あるいは空港使用料という形で利用者が財源を負担しておりまして、また道路につきましては揮発油税、自動車重量税、借入金等の形でそれぞれまた利用者が負担するという形でございます。
立木洋
184
○立木洋君 国の補助だけを聞いているんです、比重を。時間がないので……。
西村康雄
185
○
政府委員
(西村康雄君) はい。 それで、全体の
事業
費におきます国費の割合を申しますと、大体港湾、道路が四割程度、それから空港では八割程度、これが国費の割合でございます。
立木洋
186
○立木洋君
総裁
、これはさっきもお尋ねして、さっき御自身の
責任
だというふうなことを投資の
内容
についてお述べになりましたけれ
ども
、しかし本来ならば、いま道路、空港、港湾、これは公共施設でございますのでと言った。
国鉄
というのは公共施設じゃないのか。
国鉄
には、これ、十年間ざっと見てみたら全部そうですよ。ある場合には全部借金。建設投資の全部借金ですよ、一〇〇%。少ないときだって、ここらあたりなんか九六%、九八%、九七%、ほとんど全部借金で建設しないといけない。一方は道路が公共施設であり、一方は空港もそうであり、港湾もそうだ。そこには四割から八割の国から補助が出ておる、建設に対しては。
国鉄
はほとんど出ていない。こんな状態で結局
赤字
がどんどん出るというのはあたりまえでしょう。 そして問題は、
国鉄
のこういう自己資金でやられているという問題だけではなくて、たとえば台風なんかで災害があって被害が起こる。被害が起こった場合に、
国鉄
の場合修理するのはどこでやるのか。全部自己資金ですよ。道路だとか港湾だとか空港だとか、これ全部国が援助するじゃないですか、七割からの。それから除雪だってそうですよ。除雪のために使うお金、機械から何から全部
国鉄
がやるんでしょう、自己資金で。公共だ、公共だと言っておきながら、
国鉄
には何にも、国は援助しようとしない、ほとんど。何にもと言ったら、これは語弊がありますから。しかし、一方ではそういう形で援助をしている。
臨調
の
答申
の中にも出ておりましたけれ
ども
、「急激なモータリゼーション」とある。急激なモータリゼーション、確かにわかります。このモータリゼーションを急激にさしたのはだれか。私はその
責任
の一端が
政府
にあると言いたい。道路をつくる。道路をつくって車がふえるでしょう。車がふえたらガソリン税から自動車重量税から全部取ってきたのが、これは全部道路財源になるんです。これを直しなさいと言っても、いままで直さなかった。それが道路財源になるから、また道路がふえる。道路がつくられると、また車がふえる。この十年間、二十年間の間に車両がどれだけふえたか。エネルギーの問題からしても、いわゆる土地の利用率からしても、効率からしても、そ れから事故の問題からしたって、
国鉄
の方がずっといいですよ。そういう問題がありながらも急激なモータリゼーションに対応できなかった。急激なモータリゼーション、
政府
がさしたんじゃないですか。そして、一方ではどんどん
国鉄
が悪くなる状態をつくり出しておいて、
国鉄
けしからぬ、
国鉄
けしからぬと言って、
国鉄
自身でもっとやればできることがある、こういうふうに言われているのに、そういうふうにしない。そして、それこそ
分割
民営
という結論だけが先にあって、さあこれをやれ、こんなようなやり方の
法案
で本当に
国鉄
が
再建
——もう
国鉄再建
というようなことを言わないんですから、われわれは
国鉄再建
という
立場
で言うならば
国鉄再建
はできない、こんなことでは。 結局、もう時間がないからこれ以上余り議論はできませんけれ
ども
、それで浪費の問題だけ一言ちょっとどうしても聞いておかなければならないので聞いておきますけれ
ども
、鉄建公団、AB線の五十六年度の総工事費は幾らでしょうか。
濱建介
187
○
参考人
(濱
建介
君) AB線の五十六年度百三十億です。
立木洋
188
○立木洋君 五十五年度と五十六年度二年間でAB線の継続工事を行っている路線の総額は幾らですか。
濱建介
189
○
参考人
(濱
建介
君) 五十五、五十六年度で合わせまして三百四十三億、これは決算ベースでございます。
立木洋
190
○立木洋君 決算ベースですね。 五十五年度以降、このAB線の廃止、これはいろいろ問題があるから一括的に、私が言っているわけじゃありませんけれ
ども
、そういう政策
決定
を行った。その後、いわゆるAB線の工事というのが事実上凍結されるべきなのが凍結されないで
進行
しているという事態になっているわけですが、これはどうしてそういう結果になっているのか、御説明いただきたい。
濱建介
191
○
参考人
(濱
建介
君) 五十五年度の
事業
計画
におきまして、
運輸省
の御指導といいますか、
事業
計画
の認可をいただかなければわれわれいけません。その時点で、すでに四千人未満の線につきましては
国鉄
線としての新規の工事をとめるということで、五十四年度以前の債務契約をしたものについてのみ進めております。鹿島線、内山線という二線は、これは四千人以上でございますので新規の予算をつけていただく、こういうことでございます。
立木洋
192
○立木洋君 このAB線については、五十五年の十二月でしたか、いわゆる政策
決定
として凍結するというふうなことがなされてから、事実上それに対して
運輸省
の方としては、そういう政策
決定
に基づいて工事が
進行
している
内容
について、いわゆる政策的なそういう
決定
がなされたんですから、工事のその後の状態についてどういうふうな指導をなさったんですか。
永光洋一
193
○
政府委員
(永光洋一君) 地方
ローカル線
対策との関連で整合性を持たせるために、建設中のAB線について一定の輸送密度、ただいま話がありました四千人未満については建設を当面差し控えよう、こういうことで五十五年末にそういう政策を出したわけでございますが、何分建設中の一部の基準外のものにつきましても、工事の残余の契約等のあるものにつきましては、若干その後継続して建設をした線はございます。
立木洋
194
○立木洋君 私は、すべて一律的にということじゃなくて、それぞれの線についての事情があるでしょうから、それはそれなりに検討して対策を立てるということについて
反対
しているわけじゃありませんけれ
ども
、しかしどういう線についてどういう
決定
をしたんですか。具体的に中止すべきだというふうな指示をなした線があるのか、工事の継続を。なければないでいいですし、あればあると言って答えていただきたい。
濱建介
195
○
参考人
(濱
建介
君) いま申しましたように、五十四年度以前からの債務契約で工事が二年、三年にわたるものがございます。そういうものにつきましては、契約ももうすでにしておりまして、現地も進んでおりますので、それを途中で切ることはいたしません。
立木洋
196
○立木洋君 だから、中止したのがあるのか、ないのかと聞いている。
濱建介
197
○
参考人
(濱
建介
君) 契約中のものは中止しておりません。
立木洋
198
○立木洋君 いや、AB線の
内容
で。
濱建介
199
○
参考人
(濱
建介
君) その後、新しい新規の工事をその線に起こすことはしておりません、四千人未満のものについて。それで、現在では鹿島、内山という二線、これが
国鉄
新線としてやっております、四千人以上ということで。それから
あと
、久慈、盛、野岩、宮福、この四線につきましては
経営
を第三セクターが引き受けるということで主体が変わりまして、それについては新規の工事を現在も進めております。ですから、いまいわゆるAB線で、前の線から言いますと六線が
仕事
が動いておる。
立木洋
200
○立木洋君 ほかは、とめたんですか。
濱建介
201
○
参考人
(濱
建介
君) ほかはほとんど、お守りはしておりますが、とまっております。
立木洋
202
○立木洋君 だけど、五十五年度、五十六年度、つまり凍結が決まってから三百何十億という金、事実上工事しているわけでしょう、AB線全体について。
濱建介
203
○
参考人
(濱
建介
君) それは、いま申しました久慈、盛とか、そういった第三セクターになったもの、あるいはいわゆる鹿島、内山線というふうなものについて進めておる、それも含んでおるわけであります。
立木洋
204
○立木洋君 だけど、資料をもらった
内容
から言うと、使っているのが大部分じゃないですか、五十六年度までの決算額で。使ってないのは氷見線だとか、岡多線だとか、小国線だとか、北松線だとか、事実上、実際に政策としてはいわゆる中止する。そうすると、それを中止するように指示をして、そしてむだ遣いできないように、いわゆる廃止するということが決まっているのに工事を継続させるというふうなことというのは、これはむだになるんでしょうね、
大臣
。 だから、それが五十五年の十二月の段階で決まっているわけですから、そしてそれを、
地域
との話し合いもありますから、どうなるかというようなことも見きわめなければもちろんなりませんけれ
ども
、しかし全体としては、何も工事をそのまま進めろというふうな方向でやるべきではないでしょう。いわゆる中止できる線、地元のあれもあって中止できるところがあれば中止をして、そういう廃止するということが、もう一年か二年先廃止するということが、六十年に廃止することがわかっておって、それに金をつぎ込んで建設させている。二年、三年契約だといったって、そういう政策が決まったならば企業の側と話し合いをして中止することだってできるわけです。それを継続してやらせるということはそれだけむだ遣いになる。そういうきめの細かい政策をやっていない。私は、すべてを切れと言っているわけではない。地元と話し合いをしてやらなければならないけれ
ども
、そういうことをよく計算してみた場合に、やっぱり中止すべきことは中止すべきだということを指示して、廃止するということがわかっているのに莫大な工事費を何十億なんてつぎ込む必要はないんですから。どうですか、
大臣
。
永光洋一
205
○
政府委員
(永光洋一君) いま先生お持ちの資料と同じ資料で、公団がつくったもので五十六年度の百二十一億投資した表がございますが、その中をちょっと見ますと、先ほどお話がありましたように、四千人以上あると見てつくっておりますものが、鹿島線が二十七億ございますし、それから内山線と申しますのが十億ほどございます。さらに呼子線、これは福岡の地下鉄との関連で直通乗り入れの三十一億、あるいは先ほど申しました第三セクターとしての野岩線の十四億等、百二十一億の大半はいま申しましたルールによって投資したものでございますが、先生確かにおっしゃいますように、線によりましては契約の継続ということで投資したものがあります。これはやはり公団側としましては、たとえば橋梁なりトンネル等で工事中でそのまま途中でやめるわけにもまいらな いし、契約の
一つ
の区切りとして若干の投資をしなきゃならないというような問題もあったかというふうに聞いておりますので、百二十一億のうちおおむね現状の政策の展開に必要な経費ではなかったか、こういうふうに考えております。
立木洋
206
○立木洋君 済みません。時間ちょっと延びましたので、これで
最後
にします。問題がたくさんあり過ぎて、聞こうと思っても聞けないんですよ。だから、徹底して審議をしてやってもらいたいと要求しているんですけれ
ども
ね。
最後
に、
二つ
だけお尋ねしますけれ
ども
、鉄建公団の方の説明によりますと、五十五年の十二月にいわゆる政策
決定
がされた後、そういう問題に関する省令も通達も何もないというんですよ。何か口頭で伝えられたというようなことがあったようであるという、これは名前言わなくてもいいですけれ
ども
、そういう話ですよ。だから、そういうむだが生じないように、いまむだの問題が大変問題になっているんだから、この大変な、長期のこんな債務がこれほど莫大になっていることをどうするかと大騒ぎしているのに、大騒ぎしているしりからそんなむだ遣いをして、どんどん
国鉄
の
赤字
をふやすようなやり方をしていること自身が問題なんですから、そういう場合にはきめ細かい通達を出して、在やっている工事線についてはAB線の場合にどうするのか、どの線の場合どうする、どの線の場合どうする、これは検討してちゃんときちっと報告をとって、それに対する対応をやって、むだ遣いしないようにするということをやるべきだと思う。それをやっていない。これが
一つ
。 それからもう
一つ
は、先ほど来の話で——私は、
国鉄総裁
にだけ、きょう、お聞きしたんです、
大臣
お疲れだから。次のときまでに病気をよく治しておいてください、一生懸命。私、まだたくさん聞きたいことありますから。だけど、一言だけ
最後
に言ってほしい。 先ほど言ったように、これはやっぱり
政府
の政策のやり方自身に大変な問題があったんですよ、
国鉄
がここまで来たということは。このことを
反省
して、どこに問題があったのかということに徹底的にメスを入れて、いまの
国鉄
の状況のもとで、いわゆる全国的な総合的な
交通
体系を保ちながら、どうしたら
再建
できるのか。全くできないのか、私はそう思わない。
総裁
だってそう言っている。何年間か経験があった、やってきた方ですら、いろいろ私自身にも
責任
はあったけれ
ども
、やり方さえ変えれば、完全とまではいかなくてもある程度できるだろうと言っているんですから、そういう道に向かって本当の意味での
国鉄
の
再建
を私はやるべきだと思う。そうでなくて、こんな
分割
民営
なんて、山のものとも、それこそ何だかわからぬ、これからどうなるか。
答弁
を聞いたって何も
責任
ある
答弁
が
一つ
も出てこない。そういう状態でこれを白紙で委任せいなんて言ったって絶対できっこないですよ。その点についての、
最後
に
運輸大臣
の
答弁
を求めて、きょうはもう時間がありませんから残念ですが、次の機会にひとつたっぷり聞きますから、体を治しておいてください。
長谷川峻
207
○
国務大臣
(長谷川峻君) ただいまのお話、参考にしながら勉強してみます。
小西博行
208
○
小西
博行
君 けさからの審議で、
国鉄
の
再建
につきましてぜひともやらなきゃいけない。ただ、新しく
監理委員会
をつくったから、あるいは
臨調
から
答申
をいただいたから簡単にできるものではない、大変厳しいというのが私は実態じゃないかと思います。 きょうは時間の都合で、実は
国鉄
の
職場
の規律の問題、これは一昨年でしたか、行革のときにもいろいろ無料パスの不正発行、この問題につきましても私はお聞きしたと思います。その後かなりよくなっているというようには聞いておるんですが、ちょうどけさの
新聞
でしたが、
国鉄
の
助役
が自殺したという非常にショッキングなニュースがサンケイ
新聞
に実は載っております。私は、そのことにつきまして何点かお尋ねしたいと思うんです。 何といっても、
国鉄
の
再建
というのは非常に大事な問題であるし、この
法案
を通して前向きに進んでいただきたいというのが私の考え方なんですけれ
ども
、同時に、先ほどから同僚
議員
の方から何回もお話がございましたように、現在でもすでにやらなければいけないことが、特に
管理
の体制といいますか、
職場
の規律といいますか、そういう問題がどうやらまだ十分にされていないではないか、そのように私は実は思うわけです。 そこで、これは長崎の客貨車区というところがあるそうでありますが、首席
助役
さんが自殺しておりますね。四月十二日です。実は、自動車で海の中へ飛び込んでいるわけです。そういう問題が起こっているわけです。これがどういう
原因
で自殺にまで追い込んだのかという問題について質問さしていただきたいと思うんですが、この問題に対してはどのように
国鉄
は把握していらっしゃるのか、その経緯について説明していただきたいと思います。
坪内享嗣
209
○
説明員
(坪内
享嗣君
)
国鉄
を挙げて
再建
に取り組んでおります最中に、このような大変残念な事故が起きましたことに、私
ども
大変大きな衝撃を受けておるわけであります。せんだって葬儀がありましたときに、私、参列いたしました折に、
関係者
集まりましていろいろ事情を聞いたこともございますし、それらを含めまして、概要を御報告申し上げたいと思います。 その背景を四、五点申し上げたいと存じますが、第一に、本人は大変まじめな
責任
感の強い人であったということでありまして、
昭和
二十八年から五十一年まで当長崎客貨車区に勤務をいたした。それから後、早岐、それから前任地の直方の貨車区に移りまして、ことしの三月二十二日付で首席
助役
に転出したわけでございます。実は、当時、長崎の客貨車区に前におりましたときに大変労働問題で
苦労
をしたということがございまして、長崎の客貨車区に転出することを大変へジテートしたという経緯がございます。これにつきましては、しかし当人が大変優秀な頼りになる男だということで
管理
局も説得いたしまして、思い切ってやってくれということで、最終的には本人もじゃやりましょうということで、客貨車区に転任をしたという経緯が第一点ございます。 それから第二点は、首席
助役
として転任いたしましたのですけれ
ども
、当時、区長がやはり三月の初めに転任をいたしたわけでありますが、
管理
局に大分長くおりまして、優秀な人でありますけれ
ども
、現場の事情に多少疎い面がなかったとは言えないわけでありまして、当人は直方で大変張り切って実績を上げたというプライドと評価がございまして、自分がやらなきゃこの
職場
はよくならないという
責任
感がさらに加わったという背景がございます。 それから第三点は、当時、例の時間内入浴の問題がこの客貨車区に起こっておりまして、昨年の十二月の二十四日から勤務内の入浴を禁ずるということで、一部の
職員
がそれを押して入浴したということによりまして、これで
賃金
カットを行ったという事実がございます。これに対しまして、二月八日から苦情処理
委員会
が開かれたということで、これは全体的に見ると大変異常でございますけれ
ども
、合計二十八回も苦情処理
委員会
が開かれたということであります。当
助役
が着任いたしまして、二十八日から合計六回、苦情処理
委員会
に実は出ておるわけであります。この苦情処理
委員会
が、実は審議時間が一時間から五時間という大変長い時間で原則論等が闘わされた。要するに、勤務内で入浴したのは慣行なんで尊重しろとかしないとか、そういった原則論が展開されまして、大変当
助役
としては苦情処理の
委員
として出たわけでありますけれ
ども
、精神的に大きな負担を受け、心労が重なったということであります。 それから第四点は、当
助役
の個人的な問題で、大変個人攻撃を受けたということであります。それは、たとえばマル生当時、われわれを踏み台にして
管理者
になった者が来ますと、そのような
管理者
を長崎に転勤さした当局の意図を粉砕しようというふうな趣旨のビラを掲示板に張り出すと か、あるいは大変言葉じりをとらえ、謝る、謝らないというふうな議論をしたとか、いろいろこのわずかな期間でございますけれ
ども
、大変個人的につるし上げというとあれですが、嫌がらせを受けたことは事実でございます。しからば、そういうことを区なり
管理
局が十分承知をしてバックアップしていたか、あるいは一緒に悩んだかということでありますが、当人は、先ほど申し上げたように大変
責任
感の旺盛な人で、あの人がまさかということを、やはりこれは率直に聞いてきたわけでありますけれ
ども
、そういうふうに申しておりますが、そういえばあのときこうだったなというようなことは
反省
としてございますが、周りが結果としてそれだけの応援ができてなかったという事実があります。 これら、大変簡略に申し上げましたけれ
ども
、こういった事情がございまして、大変不幸なことになったということであります。 これに対しまして、私
ども
も重大な、先ほど申し上げましたように、
反省
をいたしておりますし、少なくともこういうことがないように、いかに私
ども
管理者
一体になって取り組んでいくかということを、これは始終われわれの中で議論をし、そういった指導もしてきたつもりでありますけれ
ども
、十分でないということが事実となってわれわれに示されたということを受けとめまして、今後とも少なくとも
管理
局の応援、あるいは区における本当の意味での
管理者
一体の原則、そういったものを中心に、そしてまたこういった問題は苦情処理
委員会
だけでなくて、現協協定がいま一部の組合と締結されてないという状態もございます。そういった中で、あるいは労安の場であるとか、あるいはこういった苦情処理の場であるとか、あらゆる面で
現場長
交渉を要求するとか、そういういろいろな面でこういった不幸な事態にならないような、私
ども
のきちっとした態度を今後ともさらに徹底していきたいという重大な
反省
をいたして、これからさらにそれを強力に
推進
したいということで覚悟を決めておる次第でございます。
小西博行
210
○
小西
博行
君 いまお聞きのとおりだと思います。ほとんどおっしゃったとおりの形だと思うんですね。 私は、現場の
管理者
というんでしょうか、特に私、広島なんですが、実は、昨年、四人ほど小学校、中学校の校長先生が自殺したという事件がございました。そして、いろいろ調べてみますと、どうしても校長先生という
立場
、さっき自殺されました
助役
さん、こういう
立場
というのは、やはり一方には
労働組合
という形がございますね。そして、しかもトップの方からは
経営
的にこうやりなさい、
管理
的にこうやりなさいという非常に強い指示も当然受けるわけです。したがって、小学校、中学校の校長先生が自殺した場合も、本人自体をいろいろ調べてみますと、非常に生まじめな、情熱を持って一生懸命やる、そういう性格なんですね。それだけに
責任
感が旺盛なゆえに、私から言いますと、やっぱりもっと教育
委員会
とかそういう分野の方が助けてあげればと、こう思うんですが、私
ども
が、たとえば文教
委員会
でいろんな質問をして、いろんな要請します。そうしますと、文部省の方は県とかあるいは市の教育
委員会
の方へ通達を出す。そうなりますと、ストレートに今度教育
委員会
から校長さんに圧力がかかる。校長さんはやろうと思うんだけれ
ども
、日教組の
皆さん
方がおられてなかなか協力していただけない。こういう中でやはりこの自殺という、全く私は同じような形じゃないかと思うんですね。 しかも、この方は、昔は国労にいらっしゃって、それから一時組合かわられまして、そしてまたもとへ帰られたと、いろんないきさつがあるようなんですけれ
ども
、結局はその区には帰ってきたくなかったんですね。さっきおっしゃったように、われわれを踏み台にしておまえは偉くなったのじゃないか、絶対に
反対
するぞというような形を目の前に突きつけられたということがあるんですね。あるいは掲示板に張られた。そこまでやられまして、この方はもうがっくりしたわけですね。 私は、そこでお聞きしたいんですけれ
ども
、警察庁の方いらっしゃいますでしょうか。——この事件は、実際調べてみて、明らかにいま申し上げたいろんな
原因
によって自殺されたという判断がされるかどうか、調査の経過についてちょっと知らしていただきたいと思います。
三上和幸
211
○
説明員
(三上
和幸
君) 御質問の事案でございますが、四月の十二日午後一時五十八分ごろ、長崎市京泊町一番八号先の長崎県漁連の新港岸壁に沿いまして南北に走っている県道がございますが、走行中の車両の運転手の方が前方を走っている普通乗用車からかばんが落ちたのを発見したので、クラクションを鳴らして知らせようとしたところ、その車両は岸壁に向かってそのまま走行して海中に転落した、こういう事案でありますが、その方から一一〇番通報がございまして、長崎県の時津警察署ではクレーン車などを手配いたしまして、午後四時ごろ、クレーン車で車ごと海中から引き揚げたところ、車内に
国鉄
の制服を着用しました年齢五十歳ぐらいの男の人が発見されたわけであります。
国鉄職員
等からの調査の結果、長崎客貨車区の首席
助役
さんであるということがわかりまして、そのときはすでに死亡いたしておった、こういう状況でございます。時津警察署の刑事
課長
らの検死の結果では溺死ということでございます。 この
原因
、動機でございますけれ
ども
、そういったいま申し上げましたような目撃者のあるような状況で、海中に走行してそのまま突っ込んだ、こういう状況でございますが、その
原因
、動機等につきまして同人の奥さんあるいは上司、同僚などから事情を聞くとともに、この自殺をした方の残しました遺書がかばんの中からも見つかりましたので、総合的に判断をいたしましたところ、やはり
職場
におきます
人間
関係に悩んで車ごと海中に入水した、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
小西博行
212
○
小西
博行
君 しかも、車で突っ込むときに窓をあけてかばんを投げた。そのかばんの中に遺書が入っている。遺書の
内容
につきましては、どうなんでしょうか、実際には警察の方ではもう調べたわけでしょう。私も実はこの遺書は入手しているわけなんですけど、これは個人の名前がわかりますので、これ一々、全部は読めないんですけれ
ども
、自分の奥さんの場合はもう九日の日にすでに書いておるんです。そして、いつ死のうかと思ってずいぶん
苦労
されたそうなんですね。そして、
あと
はその上司の方、三通ほど書いているんですね。 これを読みますと、本当に
職場
の中でどうやって
皆さん
の世話をしたらいいのだろうか、地元にせっかくこうやって帰ってきて、そしてがんばろうと思ったのだけれ
ども
、やっぱりだめだったという失意のどん底の文章がたくさん見られるわけです。それだけに私はこの問題がただのこの一件だけということではなくて、この十年間調べてみますと、もう二十七件実は
助役
さんが自殺しているわけですね。こういう実態を踏まえまして、何としてもこの問題の解決というものをどのように考えていらっしゃるのか、
国鉄
の方では。聞きますと、この間亡くなられた方には偉い方が葬儀に出られたというふうに聞いているんですけれ
ども
、いままではそういうことが余りなかったと言うんですね。私は非常に残念だと思うんですが、これから先の対応をどのように考えていらっしゃるんでしょうか、この問題について。
三坂健康
213
○
説明員
(三坂健康君) 先ほど坪内常務が現地に参りました報告をしたところでありますが、私
ども
非常に残念なのは、全般的に
職場
の規律をこの一年間全
管理者
が非常にがんばってよくしておる最中にこういう問題が起こったのを非常に残念に思いまして、事実をよく調べておるわけでございますが、非常にこの
助役
さんが一人で思い詰められて孤立されておったのを非常に残念に思っておるわけです。 たとえば現場の掲示にそのように個人を中傷するビラが張られているということが
管理
局に上が ってきてない、また本人がその苦情処理でいろいろ嫌がらせを受けて悩んでおるということが現地の駐在運輸長もよく把握してない、こういうことをわれわれはいままで
管理
局はあらゆることに優先して現場の
管理者
をバックアップしてやらなきゃいかぬという指導をしておりましたのですが、やはり私
ども
の指導に若干の欠陥がありまして、そういうことが本人の悩みにだけとまっておって、
一つ
も駐在運輸長なり
管理
局にストレートに上がってきてないということが非常に私
ども
としては
反省
をいたしております。 われわれは、この際、この問題を非常に深刻に受けとめまして、再度全
管理
局に、このことにかんがみまして、現場の
管理者
をそのように孤立させることのないように、また
管理者
は自分の胸の中にそういう悩みをいつまでも持ってなくて、若干組合に譲歩したというふうなことがあっても何ら恥ずかしいことではないから、即刻上級
機関
なり自分の同僚に打ち明けるように指示をいたしておる次第でありまして、非常に御本人には気の毒でありますが、今後このようなことのないようにますますこの趣旨を全
機関
に徹底さしたいと思っております。
小西博行
214
○
小西
博行
君 しかも、二十八回の苦情処理
委員会
というんですか、さっき入浴というお話がありましたが、二十八回もこういう
委員会
で、言ったら、つるし上げみたいな状態じゃないかというように私は思うんですけれ
ども
ね。これも当局も入っていらっしゃるわけですよね。そういう中で二十八回もずっと詰められて、本人は六回ということなんですね、後で来られましたから。それにしても回数が多過ぎるのじゃないかと思うんですね。この問題はどういうふうにお考えですか。今後ともそういうことはやっぱりあり得るんでしょうか。
三坂健康
215
○
説明員
(三坂健康君) 苦情処理というのは、
賃金
カットを受けた個人が、自分が
賃金
カットを受けたことに対する苦情を申し開くわけでありまして、そう時間のかかる場ではないわけであります。この場はやはり
労使
双方二名ずっと当事者でありまして、
関係者
四人、当人入れて五人でございますが、それほど喧騒にわたる場ではないわけであります。ただ、先ほど言いましたように、喧騒にはわたっていないんですが、時間が非常にかかっておって、進め方としては非常に異常であるし、またそういう異常事態が
一つ
も上局でわかってなかったということ、非常に残念でなりません。これはこの現場における非常に特殊な現象だと思うわけですが、こんなのは即刻打ち切って、これ以上苦情を聞く必要はないということで処理すべきだったことだと思います。
小西博行
216
○
小西
博行
君 私は、今回の事件は非常に残念な事件だと思うんですね。 先ほどの話に返りますけれ
ども
、
国鉄再建
法案
というのが出まして新しい方向でひとつ改革しよう、私は非常に結構なことだと思うんです。しかし、いずれにしても現場の長ですね、
助役
さんあるいは区長さん、この辺の方が一番私はロードがかかる、しかも精神的に非常にまいる私はポジションじゃないかと思うんですね。それだけにどんな
法案
が出ようと、これは私もうほとんど変わらないだろうと思うんですよ。どうせ、
一つ
の方針に従って、やっぱり当然やるべきことはちゃんとやりなさいということを指示しなきゃいけないし、問題があればそれはいけません、
賃金
カットしようと、ちゃんとそこでけじめをつけなきゃいけないという職制だと思うんです。それだけに私は大変な職制だ。それだけにやっぱりバックにいらっしゃる方々が、先ほど情報が十分入らなかったとおっしゃるんですけれ
ども
、これは私は許されないことだと思うんです。やっぱり私は、そこで
合理化
をやるのならやるでちゃんとしたシステムの設計というのをやり、報告制度というのを明確にして、そしてコミュニケーションを十分とっていくという体制がなかったら、どんないい監理
法案
ができようと絶対私はできないと思うんですが、その辺のところ、
大臣
、ちょっと御
意見
ございましたらお願いしたいと思います。
長谷川峻
217
○
国務大臣
(長谷川峻君) 私は、現場が一番大事だと思っております。よく駅におりまして、
助役
さんやら駅長さんとお話をすることです、
運輸大臣
になる前でございますが。なったから、ひとつ内部の方はよろしく頼むと、こう言いますと、私の顔も知っています。フランクに、私
たち
がいなくなったら
国鉄
はどうなるんでしょう、こんな話が出てくるわけです。しかも、今度は
国鉄再建
ということで大変なときに僕も加勢するんだから、破産して私が破産の証人になるというようなことのないように
諸君
の
職場
を守るためにしっかりがんばるから、とにかくやることだけやらせてくれ、実はこう申し上げて今日に至ったわけです。せんだっても、そのうちの駅の若い
職員
が一人自殺したというものですから、まさかいまのようなことで自殺したのじゃなかろうなと言うて慰めてまいりました。 いずれにいたしましても、そういう中においても、きのうお決めいただいたように、今度の
賃金
問題な
ども
、ほかの閣僚もなかなかきつうございますが、しかし
労使
の協調、働く
諸君
に対する激励、こういう意味でカットをしないように、差をつけないようにお願いするというのも、そういう雰囲気をつくって、ぜひひとつ自分
たち
の働く場所を自分
たち
で楽しくやってもらうというふうな気持ちでございます。
小西博行
218
○
小西
博行
君 なれ合いの
管理者
の場合は当然自殺をするまで悩まなくて済むんですね。まじめなだけに悩むという、非常にその辺が私は気をつけてあげなければいけない問題だと思います。ぜひお願いしたいと思います。 それからもう一点は、これも例のリボン、ワッペンの着用の問題ですね。これも予算
委員会
で私
ども
の井上先生がちょっと質問しておりまして、
総裁
からも御
意見
いただいておりますけれ
ども
、現在でもやっぱりワッペンをつけて、闘争用のワッペンというのでしょうか、それをつけてやっている。これはやめようじゃないかという通達を出しておられながら、やっぱり現実にやっている。この問題に対してどういうふうに
処分
するのか。
処分
すると言っているんですけれ
ども
、その辺のところはこれまた不明確である。その点に対してはどういうふうにお考えでしょうか。
三坂健康
219
○
説明員
(三坂健康君) 先生御指摘のとおり、昨年一年間、
職場
における悪慣行、規律問題、全力を挙げて取り組んでまいったわけでありますが、どうしてもなかなか直らないものの中に、ごく最近まで時間内入浴がございました。また、このリボン、ワッペンが最も執拗な問題であります。先生御指摘のように、私
ども
労働組合
に対しまして、
再建
途上にあるわれわれがこういうことをやっているのは非常に
国民
、利用者に対して見苦しい、やめようではないかという呼びかけもいたしておりますし、旅客
局長
からも、少なくとも接客部門の
職員
はやめてくれという通達を出しておりますが、依然としてなかなか後を絶たないで悩んでおるところでございます。
職場
では繰り返し繰り返し点呼その他の場をかりて指導をいたしておりますし、
現場長
は人事考課に反映させるためにその事実を確認いたしております。これは当然昇給等にも反映さしていかなければなりませんし、悪質な者についてはその
処分
も辞さない決意でおります。
小西博行
220
○
小西
博行
君 再三注意しても外さない者に対しては勤務評価に反映する、こういうように言っているんですね。具体的にそういうことをもうすでに何件かやっていると思うんですが、最近はこれはずいぶん減っているんでしょうか、どうなんでしょうか。
三坂健康
221
○
説明員
(三坂健康君) やはり勤務評価いたしましても、事実問題としては昇給等に反映させるわけでありまして、昇給は年に一回であるわけでございまして、まだその昇給時期にも至っておらぬわけでありますが、できるだけ勤務評価に反映さして、そういうことが抑制できるように持っていきたいと思っております。ただ、これは
処分
だけの問題ではなくて、やはり多くの者がやっておりますので、できるだけ
職員
自身の自覚に訴えまし て、ほかの
職場
でも、そのようなことをやっているのは民間でもほとんど見られないわけでありますので、そういうことをぜひ
職員
に訴えて、全員がそういうことをしないように指導してまいりたいというふうに思っております。
小西博行
222
○
小西
博行
君
最後
にしますけど、実はきょうは、こういう細かい問題について、どうやら、行革という非常に大きな中で、細かい、実際やらなきゃいかぬ問題がいっぱいあるというように私は思いまして、この問題はいずれにしたって早くやってもらわなきゃいけない。そういう問題だけに、まずこれはやったんだということを
国鉄
の内部から実績で示していただきたい。 前に私が質問した一番最初に返りますけれ
ども
、例の組合発行の無料パス問題、これは実際は当局の方、
管理者
の方もみんな知っているんだけれ
ども
、現実は知らないような顔をしているというのがあるんですね。また、そこが非常にわからない問題なんですよ。ですから私は、この問題というのは、一般の組合員を責めることも当然なんでしょうけれ
ども
、やっぱり
管理者
層、この方々がもっと真剣にこの問題を考えてもらわないと、決してなれ合いというやつはなくならないだろう。その辺をぜひお願いいたしまして、私はきょうはこれで終わりたいと思います。
田英夫
223
○田英夫君
国鉄
の現状からすれば、しかも今回こういう
法案
が出ている中で、いささか、余りにも根本的で、急場の問題でない御質問になるかもしれませんが、むしろ私は、
国鉄
がいまこういう状態になっているということを考えたときに、逆に最も根本的なところを政治の
立場
で考えないと、幾ら今度こういう
法案
をつくって五年間御審議をいただいても、政治の根本のところがきちっとしていないと
国鉄
の
再建
はおぼつかないのではないかという気持ちで、ひとつお聞きしたいと思います。 それは、
一つ
は、いささか政治哲学的な話になりますけれ
ども
、いま
日本
の政治の中で、いわゆる三K
赤字
という、
国鉄
、健保、米、これは変な表現かもしれませんけれ
ども
、
自民党
の政権の中でいわばやや社会主義的な手法を取り入れた三つの問題というふうに言えるのではないかと思うんですね。その三つの問題がいずれもうまくいっていないということは、何か
一つ
ここに問題があるのじゃないかという、そういう観点をもって
国鉄
を考えてみたらどうだろうか。つまり社会主義的な手法、社会主義的なやり方というのは、長所ももちろんありますし、私は、だからこそ社会主義はいい点があると思っておりますが、同時に欠点もあるわけですね。しかも、
日本
のいまの
経済
体制というものが、資本主義的な自由
経済
のすべてがそういう体制の中にあるときに、きわめて基幹的な、つまり
鉄道
の問題と主食の問題と
国民
の健康の問題というきわめて重要なところがなぜか違った手法を用いているというところに基本的な問題があるのではないかという、そういうことが考えられるのじゃないか。 社会主義的な手法を用いているところは国家としてもたくさん存在するわけですけれ
ども
、そこではいずれも実はこの問題で悩みを持っている。つまり長所はありますけれ
ども
、短所として、
一つ
は、能率が上がらないといいますか、これをどうするかということで、たとえばソ連の場合はノルマを課すとか、中国の場合はきわめて東洋的に倫理的な面からこれを正していこうとか、そういうことに苦慮をしているのが事実ですね。 ところが、
日本
のような
経済
環境、社会環境の中でこの三つの問題が現状のような形に置かれているところに非常に問題があるのじゃないか。たとえばお米の問題にしても、これは北朝鮮の例ですけれ
ども
、逆ざやも
日本
どころではなくて、たしか八倍、八対一ぐらいの逆ざやになっていたと思います。しかし、全体の環境が社会主義体制の中に置かれておりますから、これはうまくいっているようですね。そういう観点で
国鉄
を考えてみたときに、一体そこの基本のところをどうお考えになるか。これは大変抽象的なことになりますけれ
ども
、政治家としてあるいは
国務大臣
としての長谷川さんの御感想を、まず伺いたいと思います。
長谷川峻
224
○
国務大臣
(長谷川峻君) 新しく国がつくられると、国の方で金を出し、
技術
を出して、お手伝いしながら生産手段を向上させなきゃいかぬ。これは
国鉄
の場合もそうだったろうし、あるいは鉄の場合もそうだったろう、こういうふうな感じを持ちます。しかし、一方また、伸びてくれば適当なときにこれを切りかえるという国もあるわけでして、最近イギリスが
国有鉄道
を
民営
に切りかえたですね。そして、その
総裁
が、八年かかった、素人でありながら、こう言うて私に効能をしゃべっておりましたが、なるほど
一つ
の行き方だな、こう私も感じたことです。 それと直接今度の場合連続するわけじゃありませんけれ
ども
、ここ二、三十年
国鉄
が
赤字
を出してきている。その
赤字
がいまのままではとどまるところを知らないのじゃないか。いずれ、これは全部
国民
の負担にかかる。一方はまた、親方日の丸ということなどがあるから、いま前質問者が質問するようなことも不問に付されてしまうというふうなことと同時に、みんな重なってきた場合に一体どうなるか。ここに、今度の場合に
分割
民営
、こういう話になっている。全部ができることはなかなか大変でございましょうが、そういう中に物事をやっぱりベンチレーションしていかなきゃまずいのじゃないか。米の場合は消費者が高く買うことによって
赤字
が解消している面もございますが、
一つ
一つ
の処方せんは、やっぱり
国民
全体の福祉といいますか、あるいは富を増す、そして能率というところと、働く
諸君
が社会の中に生きているのだ、いわんや自由主義
経済
の中に生きるのだから、その辺の認識を持ってもらわなきゃいかぬ。隔靴掻痒の感がありますが、制度を一発に直すわけにまいりませんから、そういうふうな気持ちを持っております。
田英夫
225
○田英夫君 いま
大臣
も言われましたが、
小西
委員
の言われたようなことも基本はその点にあるのじゃないかと思いますし、同時に、その前に立木
委員
が指摘された、
日本国有鉄道
という名前がついていながら
政府
からの補助というものは、他のたとえば
交通
機関
の中だけでとってみても
国鉄
だけはなぜか歴史的に非常に少ない中でやられてきた、この辺も基本の哲学がきちんと決まっていないからそうしたことが起こってくるのじゃないかという気がいたします。したがって、これは
運輸委員会
で何度もあるいは過去しばしば論じられてきたいわゆる総合
交通
計画
という問題になってしまうわけですけれ
ども
、たとえば外国の例で、いまイギリスの例を言われましたけれ
ども
、西ヨーロッパの国の中でやはり
国鉄
的なやり方をとっているところもありますし、また
鉄道
に限りません。フランスの場合などは自動車産業まで国有化をするという形で、しかもミッテラン大統領が出ても、やはり
経済
体制、社会体制はいわゆる西側と言われる資本主義の体制の中にいるわけですから、そういう中でうまくやっているところもあるので、私は何も
日本
がこういう
経済
社会体制だから社会主義的な手法をとってはならないと結論づけているわけではないのでありますが、ただ、少なくとも
交通
体系だけでも総合的に
運輸省
として早急にそうしたものをつくり上げていかないと、
国鉄
のところだけいかに手直しをしようとしてもこれは救うことはできない、この病人は助からないということになってしまうのじゃないか。 ですから、
臨調
の御討議の
内容
を知ることができないというのは私も大変残念なんでありますけれ
ども
、その辺のところをどの程度議論をされて今回の
分割
民営
という結論に達せられたのかというところを実は非常に知りたいんですね。総合
交通
計画
というものを踏まえるぐらいの、そういうところに至るぐらいの御
論議
をされ、またいまの私が申し上げたようなやや政治哲学的なところまで踏まえて議論をされた上の問題であるならいいけれ
ども
、そうでなくて結論だけなされてしまったということであれば、これは病気を治す処方せんにはならないと言わざるを得ないので、長谷川
運輸大臣
が就任をされた中で、この総合的な
交通
計画
というものをどうこれからやっていかれるのか、いかれないのか、この点はいかがでしょうか。
西村康雄
226
○
政府委員
(西村康雄君) いま田先生から、非常に抜本的な物の見方を十分考えた上で総合的な
交通
政策を展開すべきだというお話があったわけでございますが、これは御承知のように、先般運輸政策審議会から基本的な方向につきましては
答申
をいただいております。 私
ども
、現在の社会体制のもとでの
交通
政策の基本的な考え方としますと、これはそれぞれの
交通
機関
に対して、それぞれの需要に応じまして一番効率的に適切なサービスを提供できる体制を整えていく、その適切な体制を整えていくために必要な範囲で
行政
がタッチしていくということでございますが、どのような形でサービスを提供するかということは、それぞれの
交通
機関
の性格によりましておのずから違ってまいる。 たとえば道路
交通
というものにつきましては、これはいわゆる公共財でございまして、他のものの入ってくるのを排除できない。したがいまして、それは個別の運賃、料金というような形ではその費用を負担させられない。したがいまして、現在やっておりますのが税という形で利用者の負担で行うという形でございますが、これに対しまして
鉄道
というようなものはこれは公共財とは考えられない。したがいまして、個別の利用ごとにその利用の対価を取る、運賃という形でその利用の対価を取るという形でやってまいりますので、したがいまして、投資におきましても、道路の場合は税金を通じてこれはほとんど利用者負担という形でやっておりますが、
国鉄
の場合にはむしろこれは
事業
経営
という形で投資をしていく。その中で借入金をし、あるいは必要な欠損については国が補助をするという形でやっていくわけで、このような形は現在のところ
一つ
の社会制度の問題として、私
ども
こういう形を
前提
として、その上で
交通
政策を展開していくということだと思います。 このような
交通
政策の展開をしていきます場合に、実際にわれわれが配慮しなければならないのは、需要者の動向でありますとか、あるいは客観的に産業構造がどう変わっていくかとか、その変化の中におきまして、一番いま適切にサービスを提供するための体制はどうすればいいかということを注意深く見守りながらかじ取りをしていくということが、
交通
政策のやっていく方法でございます。そして、これらの
交通
政策が一番需要者の必要に応じてやれるような条件をつくっていくということ、それを相互に比較しながらやっていくということに私
ども
は総合的な
交通
政策の根拠を求めているわけでございます。 そういう意味で、私
ども
のいまやろうとしている総合
交通
政策というのは、決して固定的に定められたものでデザインをして、それに何が何でも合わしていくというような形ではなくて、産業構造の変化、
経済
情勢の変化というものに合わせて、おのずからその状況を見きわめながらかじ取りをしていく、こういう形が現在の社会体制におきます運輸政策のやり方でございます。今後ともそういうような考え方で、そのときどきの課題を注意深く見守りながら、それに最も効果的な方策をとっていくということを基本にしてまいりたいと考えております。
田英夫
227
○田英夫君 伺っていますと、そこがまさに問題だと思いましたね。
社会経済
状況の変化に合わせてかじ取りをしていくということで本当にいいのかどうか。実は、非常におっしゃることに矛盾があると思うのは、立木さんもさっき言われましたけれ
ども
、道路は利用者の税金ですと。しかし、それは
一つ
の政策になって道路はどんどんその形でつくられていく。これは車社会をますます促進をする。いまや
国鉄
の貨物という非常に悩みの問題は、当然国の政策としてこれは自動車、
トラック
輸送に切りかわるように
行政
がしむけていったと言わざるを得ないんですね。 それを、そのときそのときの状況の変化に応じてかじ取りをしていくというのだったら、完全にそういうことの中で
国鉄
が置いていかれるのはあたりまえです。それで
国鉄
がバンザイだ、まいりましたと言っても、それは後の祭りということになるのであって、絵をかいてそれに合わせていく、非常に縛りつけるようなことであってはいけないかもしれませんけれ
ども
、しかし時代の変化を先取りして、車社会になっていくということはわかっているのだから、そういう中で
鉄道
の役割りはどうかということを総合的に考えるのが総合
交通
政策だと思うので、いささか私はいまの御
答弁
は私のような素人でも納得ができないんですけれ
ども
、
大臣
はどういうふうにお感じになりますか。
長谷川峻
228
○
国務大臣
(長谷川峻君)
日本
のよさが自由社会だというふうなことなどが
国民
の創意と工夫、それがまた社会にマッチすればいつの間にやらすばらしい産業として伸びていく。たとえば
国鉄
が使う
トラック
はだめでしょうけれ
ども
、小さい小荷物を扱う宅送便なんというのは大変な新しいことだし、とてもかつてはこんなものを専用便で人が運んでくれるとは思えなかったというふうなことなどは、本当にぼくは変化の激しい国だと思う。同時に、第一次オイルショックのときなどは、フランスの閣内では閣僚といえ
ども
一人で車に乗るな、必ず三人以上乗れ、こういうことをフランスでは出しておる。私の方は自分勝手ですから、これはオイルをセーブする者はいざ知らず、そうでないこともあったという中に今日至っている。だから、どうしてか、こういうふうな
一つ
のデシプリンというのか、そういう様式というものをどこかで定着させつつも産業の発展を阻害させないような調和というものをとらなきゃいかぬのじゃないか、こう実は考えてまだ手が出ないわけでございます。
田英夫
229
○田英夫君 本当に、いまのようなことをやっていると、いつまでたっても
国鉄
問題というのは解決しないように思うんですが、先に進みまして、これは
衆議院
の速記録を拝見いたしましても何度も論ぜられていることですけれ
ども
、やはり
国民
感情としてこの点はお聞きしなければならないことなんですが、今度の
法案
と
臨調答申
というものとを比べてみると非常に微妙な違いを感ずるわけですね。 それから、長谷川
運輸大臣
も
衆議院
の御
答弁
の中で、
答申
を尊重するということを言われながら、他に別の選択もあり得るということを言っておられる。ところが、その御
答弁
の背景にある過去の歴史を見てみると、元
運輸大臣
のお名前を挙げて考えてみても、田村私案とか小坂私案とか、この問題についてはそういうものが相次いで出てきているわけですね。そうすると、どうしてもその辺と結びつけて、与党である
自民党
の
皆さん
の中の専門的な方々の御
意見
も承知をしておりますが、そういうこともあわせ考えると、実は尊重するという言葉の意味は、どうもそれよりも別の選択もあり得るということの方へ重点が今後置かれていくのじゃないだろうかという疑問を持たざるを得ない。この点は重ねて
運輸大臣
に伺っておきたいんですが、別の選択もあり得るということは一体どういうことなのか、その点を伺っておきたいと思います。
長谷川峻
230
○
国務大臣
(長谷川峻君) 私は、今度の
再建
法案
というものは、いまの財政、いまの
政府
、いまの関係する
諸君
ではとても
再建
の道はない、みんなある意味ではさじを投げているのじゃないか。いわんや、そこへ勤めている
皆さん
方は非常にグルーミーな感じになっている。そしてまた、たくさん組合がありますけれ
ども
、
国鉄
の組合の
諸君
は毎日、
新聞
にたたかれておりますから、心置きなく働くような意欲もなくなりつつありはせぬかということを思いますと、ここに
分割
民営
という新しいアイデアを出して、それを二十兆円以上の債務、これを何とかしようじゃないかという話も出ているし、そしてまた、片や
合理化
といえ
ども
首を切るわけじゃない、生首を切るわけじゃない、いろんなところでやっていく、それをこの際にぜひ私はやってもらいたい。しかし、世の中には絶対ということがないことですから、どうしてもい ろんな、それだけ真剣な協議をされて、ほかにまた方法があるならというふうに話したので、ほかに方法があるかということを、九割の重点を置くのじゃなくして、私は一部の重点というふうな意味で申し上げているわけであります。
田英夫
231
○田英夫君 どうも依然として明確でないので、これは
国鉄
問題について詳しくない一般の
国民
の
皆さん
、しかし行革という問題については
国民
の関心はきわめて賛否両方を通じて高いわけでありますから、しかもいまこの
国鉄
問題がその焦点になってきているこういう情勢の中で、つまりこの
法案
の審議が、行革の行方を占う素人の
国民
の
皆さん
から見れば
一つ
のバロメーターになっているというときに、
臨調
が出された
分割
民営
という方向とまた違った選択もありますよということを
責任
者の
運輸大臣
が
国会
の審議の場でやっぱり言われるということは、一体どこへ行ってしまうのだろうかという疑問を一般の
皆さん
が持つのは当然だろうと思います。何も、それは
国民
の
皆さん
の中にも賛否両論があるわけでありますから、遠慮されることもないので、むしろ
国民
の
皆さん
を惑わすといいますか、わからなくすることの方が
責任
が重いと思います。本当に、この時期になって、この段階になってまだそこがはっきりしないということは、非常に
国民
に対して、賛否両方の人に対していら立ちをつのらせる結果になってよくないのじゃないか。この際、ひとつ、もっとはっきり言われた方がいいのじゃないかと思いますが、重ねていかがですか。
長谷川峻
232
○
国務大臣
(長谷川峻君) 田さんにそこまで激励されて、ありがとうございます。一本にして、あくまで
分割
民営
という線で進みたい、進むというのが私の決意でございます。
田英夫
233
○田英夫君 この席でそういうお言葉を聞きましたので、ひとつこれは
衆議院
における御
答弁
を前進をさしたというふうに受け取らしていただきたいと思いますが、これは実は大変重要な御
答弁
と受け取ります。 そこで、これは
国鉄
の
赤字
の問題を論ずるときには常識でしょうけれ
ども
、念のために、全然別の問題でひとつ伺っておきたいのは、やはり
国鉄
の
赤字
が出てきたのは三十九年度、まさに東海道
新幹線
ができたときから後は雪だるまのようになってきたわけですけれ
ども
、にもかかわらず、与党の一部では、さらに新しい
新幹線
を云々される声がごく最近も報道されておりますけれ
ども
、
運輸大臣
としては、この新
新幹線
の問題についてはどういうふうにお考えですか。
長谷川峻
234
○
国務大臣
(長谷川峻君) 東海道
新幹線
は、御案内のように、いままで無事故に走りまして、非常に効率がいい。そして、次に東北あるいは上越が生まれたわけでありますが、これも借金でつくっているわけですが、
総裁
等々の
答弁
によりますと、二十年もすればペイするじゃなかろうかという話もあります。そこで、もう
一つ
新しい
新幹線
をつくろうじゃないかと党の中に動きがございます。余裕があれば全体の平均的な発展を願うわけでございますが、何さま、これだけ
赤字
を抱えて皆様に御心配をお願いしているときでありますから、これは当分は私はむずかしい。何かえらい情勢の、景気のいい話でもあれば別として、とても当分は私
たち
は話に乗るわけにいかぬのじゃないか、こう思っております。
田英夫
235
○田英夫君 もう
一つ
、
最後
に。 青函トンネルが貫通したわけでありますけれ
ども
、これをどういうふうにお使いになるのか。いまの
国鉄
の
赤字
の問題とも直接関連をすると思いますけれ
ども
、現状におけるお考えを聞かしていただきたいと思います。
長谷川峻
236
○
国務大臣
(長谷川峻君) これはどなたからも御質問いただいておりますけれ
ども
、何さま、いまあそこは在来線を通す
計画
なのです。そして、大変な借料も要ることですから、
国鉄
がこれをしょった場合には大変なまた
赤字
になるということから、
運輸省
といたしますと、なかなか
国鉄
も喜ばないだろうし、また国の負担も大変なことになるから、何か
国民
全体の中からいい知恵がありはせぬかというふうなことで、各界のアイデアマンと申しますか、代表の方々にお集まりいただきながら、アドバイスをいまもらいつつある。何とか将来、
国鉄
に大負担がかからないような形で活用すべきじゃないか、こう思っております。
田英夫
237
○田英夫君 終わります。
林淳司
238
○
政府委員
(林淳司君) 恐縮でございますが、先ほどの先生の御質問の中で、
臨調答申
尊重という点で御質問がございましたけれ
ども
、
大臣
の
答弁
に若干補足をさせていただきたいと思うのですが、これは実はこの
法律
の性格から来る問題でございまして、この
法律
は、
国鉄
の
経営形態
というのは現在、
日本国有鉄道
法という実体法で決まっておるわけでございます。この
経営形態
を変えるということになりますと、別の実体法が必要なわけでございます。 ところが、この
法律
は検討のための仕組みを定めた
法律
だという性格でございまして、したがって
臨調答申
尊重であります以上は、
臨調答申
で述べられております方向に向かって最大限の努力をする、先ほど
大臣
が申しましたように、
分割
民営
化の方向に向かって最大限の努力をしていく、それが基本であるということでございますが、この
法律
はそういういわゆる検討の仕組みを定めた
法律
という性格上、検討をこれからするものである以上は、検討してみた結果、いまの段階から実定法として一〇〇%
分割
民営
というものを予見することはなかなかむずかしい。したがって、実定法としていま
分割
民営
のもの、いわゆる現在の
国有鉄道
と違う形態のものを
法律
上書き込むことはこれはできない。 したがって、これから検討していって最終的にどういう結論になるかという場合に、もちろんその向かう方向としては
臨調答申
の尊重という方向で最大限努力をしていくわけですが、
最後
の結論は、もしそれがどうしてもだめだという場合には、それが合理的な事由があるものであるならば、しかも
臨調答申
の指し示す方向というものに沿っているものであれば、それが別の形を、別の結論を出さざるを得ない場合もこれはあり得る、これは現在の
法律
の仕組みからそういうのが出てくるわけでございまして、ただ、私
ども
が現在そうしたいということでありませんで、私
ども
の姿勢としては、あくまで
臨調答申
尊重ですから、その方向に向かって最大限の努力をする、先ほど
運輸大臣
が申し上げたとおりでございまして、この仕組みからそういう制約が出てくるということでございます。 若干、補足をさせていただきます。
矢追秀彦
239
○
委員長
(
矢追秀彦
君) 本案に対する本日の
質疑
はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後四時二十七分散会