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1983-04-26 第98回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      関口 恵造君     山本 富雄君      森下  泰君     鈴木 正一君  四月二十五日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     小西 博行君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢追 秀彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 江島  淳君                 青木 薪次君                 黒柳  明君     委 員                 梶原  清君                 木村 睦男君                 高平 公友君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 小谷  守君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 立木  洋君                 小西 博行君                 田  英夫君    国務大臣        運 輸 大 臣  長谷川 峻君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君    政府委員        内閣審議官    林  淳司君        内閣法制局第四        部長       工藤 敦夫君        運輸大臣官房長  犬井 圭介君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    三上 和幸君        行政管理庁行政        管理局管理官   新野  博君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      繩田 國武君        日本国有鉄道常        務理事      三坂 健康君        日本国有鉄道常        務理事      坪内 享嗣君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      濱  建介君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会内閣提出、第九十八回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案の審査のため、本日の委員会に、日本鉄道建設公団理事濱建介君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 前回に引き続き、日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄再建監理委員会法案に対しまして、社会党反対であります。その反対立場を明らかにして、その反対理由の主なる問題について質問をしていきたいと思います。  まず、反対いたします第一の理由は、現在、第四次五カ年計画再建計画第四次の経営改善計画国鉄再建の方途が着々と進行しつつある。言うならば、列車がいま進行中であります。その進行中であるにかかわりませず、臨調から答申が出たので、これを受けて、その臨調答申内容を十分に内閣で検討することもなくこの法案を出しておられるとわれわれは判断する。言うなら、屋上屋を重ねた法律である。  国鉄問題は、私が言うまでもございません。昭和三十九年、国鉄経営赤字になりまして以来、国会衆参両院で真剣に論議を重ねてきている問題である。その国会論議いたしました結論を内閣なり国鉄当局あるいは関係者が具体的に実施いたしますならば、いまごろこのような法律を出して、国鉄問題をこれからどう再建するかなどという論議をする必要はない。言うならば、今日まで十数年にわたります国会論議が、論議論議決議決議大臣答弁答弁、それがひとり歩きいたしまして、実際それが実施されていない。そういうところに、本日この法案を出さなければならぬ、苦しい、悲しい日本の運命がある、そう私どもは判断いたしています。  特に、この法案前提にあるのは臨調答申でありますが、その答申民営分割である。公共企業体である日本国有鉄道民営分割するという前提のもとに検討しなさい、検討するには監理委員会をつくって、五人の委員をもってひとつ検討しなさい、五カ年間検討しなさい、その結果で国鉄再建しなさいというような悠長な話です。いま私どもは、国鉄再建はこれから監理委員会で、五人の先生方おいでになって、そしてかんかんがくがく論議して、こうやりなさいと政府内閣にこれを進言して、内閣はまた法律をつくって、そしてこれを運輸省なり国鉄に与えて、さあやりなさい、そういう悠長な段階ではないと判断している。今日、やがて二十兆円くらいの累積赤字、しかも毎日の新聞国鉄労使問題などが出て、たたかれ続けている。したがいまして、この民営分割前提とする臨調答申で出されておるこの委員会法案、私どもはこの民営分割そのものは不可能だと考えています。  いま一つ民営をとってみますと、民営国鉄が違うのはどこにあるかというと、言うなら、民営会社社長権限国鉄総裁権限が全然違う。総裁には全然権限を与えていない。これが一つ。それからもう一つは、国鉄労働者国鉄職員にはストライキ権を与えていない。民間の私鉄会社職員にはストライキ権が与えてある。違いは、大きくはたった二つですね。社長権限国鉄総裁に与えていないということと、労働者ストライキ権国鉄は与えていないということ、 それだけ違う。あとは同じなんです。  並行線があって、そこを私鉄国鉄が走っています。たとえば賃上げ春闘で、私鉄国鉄が同じようにストライキをやったとする。片一方私鉄は、賃金が妥結したらスト解除、ああ御苦労でしたで終わる。市民皆さん国民皆さんもそれで納得する。こっちの方はストライキ権がないから、ストライキをやった、けしからぬといって処分が出る。処分が出るから処分反対闘争をやらなきゃならぬ。そして、これまた紛争になる。三十数年間の国鉄職場の荒廃はそこにあると私は思う。  仲裁裁定は完全実施しなければならぬとわかっておりながら仲裁裁定を完全実施しないから、いまから三十年ばかり前に、汽車、電車、全部とめた。それから一昨年まで仲裁裁定は完全に実施されました。鈴木茂三郎社会党委員長岸信介総理が話し合いまして、これから仲裁完全実施しましょうということで、一昨年まで完全実施された。しかし、その労働者仲裁裁定を完全実施するために実力行使をやったから、委員長以下十九名首を切られた。六千名ばかり処分された。それから二、三年は、その処分反対闘争で毎年紛争が起こった。それが今日の日本国有鉄道のこの危機になっている一つの大きな要素ではないかと思うのです。  したがって、民営分割をもし監理委員会皆さんが、これからたとえばこれが強行採決されて通った場合に、論議するならばたった二つ一つ国鉄総裁会社社長と同じように経営権なり権限を与えなさいということと、国鉄労働者ストライキ権を与えなさい、それだけで問題は一切解決すると私は思います。しかし、そのようなことは監理委員会をつくらなくたってできることですよ、内閣が腹を決めてやれば。国鉄総裁権限を与え、国鉄労働者スト権を与える。それは、いま経済団体の中にも声が出ている。これは偏った私見になりますけれどもストライキ権がないからストライキをやった者が英雄視される。ストライキ権がありますというと、ストライキをやらないで団体交渉成果をおさめた労働組合指導者というものが英雄視される。その差ですね。私鉄がうまくやっているのと国鉄が荒廃したのと、その差だけですね。それがなぜわからぬのか。たくさんこれだけ自民党の優秀な議員がおられる、大臣もおられる、総裁もおられる、なぜそれがわからぬのかと言いたい。これが第一ですね。  第二は分割。簡単に学者が分割を言っておられる。しかし、いまあの新幹線御存じのように、これは本社ボタン一つでリモコンやっているんですね。運転士がおりますけれども、これは速度三十キロになりまして停止位置を合わせるだけです、ブレーキは。あとは全部本社のリモコンで新幹線走っているんですね、東京から博多まで、東京から新潟まで。これ七分割、ナンセンスですよ。しかもダイヤだって、ダイヤをつくった苦労のない方の御意見であるとは思うけれどもダイヤ一本編成するには大変です。機関車の力を計算して、列車抵抗を計算して、線路抵抗勾配抵抗、全部計算して、列車スピードによって列車編成いたします。  そして、運転員、あの運転士、たとえば十五台の旅客列車持っていますと、ブレーキをゲージ見ながら、一番最後の、十五両の最後列車の振動が腰に来るんですよ、ブレーキとると。それで列車定時運転やっているんです。しかも運転員というのは、審査する場合にはプラス・マイナス五秒が満点です。停止位置は一メーターが満点です。それだけ精巧なんです、鉄道技術も、運転員技術も。でなきゃ列車定時に運転できないのです。その列車の編成とその速度ダイヤができていくんです。そういう技術的なもの、あるいは人間ニーズもありましょう。地域ニーズもありましよう。  それから、たとえば今度は九州、四国、北海道を分離するといたしますと、それはもう全部赤字ですね。これは廃線する以外にございませんでしょう。したがいまして、私ども日本社会党は、民営にも分割にも反対であるし、特に分割は不可能だ、そう言いたい。したがって、それを前提とする監理委員会法にも反対であります。  もう一つ。いや、その前提ではない、これから五年間この監理委員会論議をして、その結果によって民営分割もあり得るぞ、ほかの経営形態への移行もあり得るぞ、そういう意見をちょっと衆議院議事録で見ました。とするならば、これから五年間待てないんです、もういまの鉄道は。国鉄経営は、構造的欠陥による累積赤字設備投資による累積赤字、あるいは年金の問題、あるいは退職者退職金の問題、あるいは公共負担の問題など、五年間待てないのです。しかも、それはもうすぐやらなきゃならぬ。  したがいまして、これから監理委員会、五人の先生方を呼んで、仕事をやるのはだれかというと、そこにいらっしゃるスタッフですよ。各省から二十名、三十名集まるでしょう。皆さん、そこにいらっしゃる方々が行ってやらなきゃだれができましょうか。これだけ国会で、衆参両議院で十数年論議して、もう内容は全部出ているんですよ。内閣がサボってやらないから、そしてこれをまた監理委員会に全部責任をぶっかけようとしているからこういう法律が出たんですけれども、問題は全部わかっているわけだ。しかも、これからスタッフが二十四、五名おいでになる。そこの中の皆さんが行かなきゃだれがやる人がいましょうか。  鉄道がわからぬ者がスタッフになったって監理委員会動きません。しかも非常勤ではないですか、監理委員は五人が。五人の非常勤先生方で具体的に計画が立ちましょうか。国鉄だけで言って常務理事何人いらっしゃる。本当にプロだ。運輸省だって鉄監局長以下プロが何人いらっしゃる。その人たちができないものを監理委員会で、五人の先生方の下に二十四、五人のスタッフを置いてこれから五年間検討いたします、その結果によって民営分割もあるいはそのほかの方法もあります。それから法律出して二十兆円、そのころではもう恐らく二十四、五兆円の累積赤字になりましょうが、それを解決できますか。したがいまして、そういうことでわが党としては反対であるし、じゃ社会党はどうしようというのか。  現在、第四次五カ年計画進行中である、これは六十年度まで。しかも経営改善計画は着々と進んでいる。先般、国鉄総裁は、何か賃金引き上げのためにまた合理化を、新規採用ストップするような新聞発表されておりましたけれども、初めの経営改善計画よりももっと猛烈なスピード合理化が進んでいる。したがいまして、私どもは、現在のこの第四次計画進行中であるから、これをもっと真剣に政府運輸省国鉄も、関係省庁が真剣にやるならば国鉄再建はできる、またやらなきゃならぬ、そう確信しています。  問題は、一体中にどういうものがあるか。構造的欠陥累積赤字二十兆円、共済年金支払い能力欠如。この共済年金につきましてはことしから赤字でしょう。五年待てないのです、年金は。いまこれは他の法律が出ておりますけれども、もう少し政府は真剣になりませんというと年金法が成立しない。また、終戦処理で、戦争後、朝鮮鉄道なり台湾鉄道なり満鉄から引き揚げた方が国鉄に入りました。初め三十数万人の国鉄職員が六十数万人にふえました。その人がずっと退職していって特別に退職金がふえているわけです。これは当然、政府責任でしょう。  それから公共負担公共負担の問題も、これは国会で何回も問題になった問題ですね。各省ともなぜもっと早く解決しないのか。決議も何回もついてますよ、国会決議が。  それから、あと総合交通体系。先般、ここでトラック秩序を守る法律、これを集中論議しました。非常に委員長なり各理事に感謝いたしておりますが、トラックに働く労働者諸君が感激している。初めてだと言うんだ。貨物自動車の総合的な運送、あのような集中審議してもらって、しかもりっぱな決議をつけていただいたといって感謝している。それは労働者だけじゃありません。 私、くにに帰りましたら、トラック協会のあの運送屋のおやじさんたちが感謝しています。国鉄は、昭和五十三年五月十日に総裁名運輸大臣に、「物流秩序改善について」、こういう書面を出している。ちょうどこの間論議いたしました、社会党が出しました法律内容と同じようなのが国鉄総裁から運輸大臣に出ているわけだ。したがって、あのこの間の論議は、単にあれはトラック業者だけの論議ではなくて国鉄問題解決論議です。  もう一つは、国鉄労使問題でしょう。私は、自民党関係議員諸君職場に行って視察されたことについては敬意を表します。ただし、新聞記者皆さんがついていって、そして小さい問題というか、全体の定時で走っている列車運転というものから見たらまことにささいな問題が大きく取り上げられて、これが国鉄労使間の紛争になっている。非常に情けない。  具体的に言えば入浴問題です。たとえば機関区で一日に二十台の機関車を検査し、修繕する。これは夕方、たとえば四時ぐらいに完成しませんと、次に出ていきますから機関車が。次の夕方のラッシュに全部つくわけですから。そうしますと、あの汚れた労働者諸君はキャッチボールするか、あるいは碁を打つ、あるいは将棋を指して時間を待つわけだ、職場を整理して掃除やったら仕事ないのだから。そうすると、いままでの例として三十分ぐらい退庁の鐘の鳴る前にふろに入っておったというわけだ。それがあたかも国鉄十何兆の累積赤字原因であるかのごとく国民皆さんは錯覚しておられる。それは国鉄職場の紊乱では絶対にない。いままでの慣習であるし、職場長が御苦労だったろうと。点検したら、機関車検査係が一台点検しますと五十カ所か百カ所の不良個所があるわけだ。それを検修係が全部修繕するわけですよ。そして、後また検査やりますと、オーケーになったらその列車はどこにでも走れる。機関車が出ていきましたら、後に、職場掃除したら、道具を掃除したら、汚れたままキャッチボールしておるか、あるいは将棋指しているか、そして退庁時間まで待つわけだ。そこで、かつての温情ある現場長は、そうするなら少し早く体を洗っておいて退庁の鐘が鳴ったら帰れと。そうすると、事務員と一緒に帰れるわけだ。工場もそうでしょう。工場はもうちゃんと労使関係で十五分調印しています。線路保守諸君汚物を頭からかぶる。それはまだ日本列車は、これは新幹線はなんですけれども、昔の列車たれ流しです。皆さん、われわれのがたれ流しですよ。その汚物をかぶっている。したがって、保線区長がかわいそうになってふろに先に入れるわけだ。お昼でも入れるわけだ。もちろん、それは仕事をサボってやるなら厳罰しなければいかぬ。その区分は現場長助役がやらなければならぬです。それが全部の労使の問題であって、国鉄赤字の元凶であるかのごとく宣伝される、それが私は不満です。  もう一つあります。採用。いま国鉄職員はほとんど高等学校卒以上です。しかも田舎では優秀な高等学校卒の青年が入ってくる。あるいは私大出が三分の一です。いま高卒として入ってくるのです。これはやっぱり大臣官房長官総裁ももう御存じと思うけれども、聞いておってください。国鉄職員は、昔は高等小学校出でした。それが東大出管理者高等小学校出職員だから親分、子分です。年齢も違いますし、学歴も違います。いまや高等学校出以上、大学。私大ですから、三分の一は。そうすると、選考学士の二十七、八で局の課長にいかれる人と職場で油に汚れて働いている人、年齢同じなんです。しかも、片一方私大出ているのだ。片一方東大出選考学士だ。それは人間ですから、それが目の前にあるんですから。しかも選考学士諸君は、たとえば大きな機関区の助役でいくと、これは見習いと言っている。あるいは現場駅長さんにいってもこれは見習いと言っている。片や、高等学校を出て、あるいは私大を出て一生やって四十四、五で助役さんになる。片や、選考学士諸君は二十七、八で見習いとして大きな幹部助役になる。職場の方の空気はうまくいくはずはない。  私は、委員長のときに十河総裁にそれをこんこんと話した。そのころは大部分が高等小学校出で、中学校出も余りいないくらいだ。しかし、十河さんはその選考学士でない人を局長にも入れ、いろいろ入れまぜて、しかし十河さんやめましたね。いまの総裁もそういう意向であることは聞いておりますけれども、それは私はいま理想論を言っています。  それだけでは管理ができないことはわかりますけれども、そういうものが職場の中にやっぱり空気としてあるということを知ってもらわなきゃならぬ。ただ、労働組合がわがままを言うから、労働組合が強過ぎて管理者の言うことを聞かぬから職場が紊乱しているなんということは考えを改めてもらわなきゃならぬ。悪いものはわれわれも悪いと言いますよ。  したがいまして、いま私が言いました国鉄の現状というものは明らかなんです。その何項目かをずっと申し上げました。その項目監理委員会ができなければやれない問題ではないわけですよ。早急にやらなきゃならぬ問題ばっかりでしょう。緊急十一項目というやつはわかりました。これはもうほとんどできた。パスもなくなりました。兼職もなくなりました。その他緊急十一項目についてはもうほとんど。あとローカル線の問題があります。  ローカル線の問題というのは、これは県民、市民ニーズ。これは選挙でもそうですけれども大衆は賢明ですよ。ああこの知事はわからぬと思ったら、こっちはどうかなと思って、新人ちょっと怪しいと思ってもやっぱりそちらに入れる。大衆は非常に賢明ですね。ローカル線の問題も、ただ市長が反対するからだけじゃないんですよ。県知事が反対するから廃止ができないのじゃないんですよ。御存じのように、いまマイカーが多過ぎまして、朝、通勤、通学間に合わないんです。あるいはお年寄りはマイカー運転できないでしょう。子供は運転できないでしょう。電車があれば時間見て行きますよ。地域経済の発展の格差ができないように、へんぴなところほど鉄道が必要でしょうに。それが国有鉄道の使命でしょうに。国有鉄道法の一条にそう書いてあります。効率的な運営をして国民の福祉を増進しと書いてある。それが国有鉄道の目的だと書いてある。そのようなわかり切ったことが解決されない、そういうところにわが党の反対の大きな理由があるわけです。  まだあります。この論議の過程で、私は長く国鉄に生きておりますから、まだ具体的にいろいろ知っています。しかし、せっかく大臣おそろいですから質問していかなきゃなりません。  そこで、まず後藤田官房長官にお聞きしたいのは、閣議決定というようなものは一体どのくらいの国の行政の上で重さがあるのか、そしてそれができない場合、内閣はどういう責任をとるのか。たとえば昭和五十二年十二月二十九日の閣議了解事項日本国有鉄道再建基本方針」について云々、このときは運賃法定制を緩和せいと、この法律は。それから昭和五十四年十二月二十九日の閣議了解事項日本国有鉄道再建について」、これが昭和五十五年十二月二十七日に法律第百十一号として日本国有鉄道経営再建促進特別措置法となって国鉄経営改善計画を出しておられる。この法律は六十年まで任期がある。この法律の上を列車が走っているのに横から監理委員会法持ってきて、これで五年間また国鉄内容を検討しますなんということが出てきた。これも閣議了解している。こういうものに対して、官房長官として日本の国の閣議というものの重さをどういうふうに考えておられるか、お聞きいたします。
  6. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まず、閣議というものはどういうものかという御質疑でございますが、閣議は、当然のことながら、国の重要施策について政府全体として取り組んでいかなきゃならぬ、こういう重要施策閣議にかけて、そういたしますと、閣議決定事項については各省大臣に対して内閣総理大臣指揮監督権を行使して決定内容を実現していく、こういう性格のものでございます。  先ほど来、小柳さんから民営分割、したがってまた臨調答申、これらについては小柳さん御自身の高い御見識に基づいての反対立場に立っての御意見、これは私は拝聴をさしていただいたわけでございます。なるほど、そのような見方も当然あるのではなかろうかと思いまするけれども、御案内のように、すでに国鉄の問題はたしか昭和四十四年から、第一次、二次、三次、再建計画を立てて取り組みましたが、遺憾ながら途中で変更せざるを得ない、成果を見るに至らなかった、こういう経緯を踏まえて現在第四次の計画進行中である。そこで、小柳さんがおっしゃるように、やればやれるじゃないか、おまえらやらないからいけないんだ、こういう御意見、これは私はその意味においては、やはり政府はそのときどきの閣議決定をして取り組んでいるわけですから、それがうまくいかないということについては、私は率直に政府みずからも反省をしなければならない、こう考えます。その原因はどこにあったかといえば、政府がまず反省をしなければなりませんが、同時に、国鉄という大きな組織全体が社会経済の変化、ことに交通の需要といいますか、秩序といいますか、これらの変革に対する対応力に欠けておったということも考えなきゃならぬ、かように思うわけでございます。  一方、国民立場に立つならば、今日のこの累積赤字が十七兆、単年度で国庫助成を除いても一兆円を上回る赤字が出ておるこの現状、このままでは国民の財産である大切な国鉄というものがこれでは滅びる以外ないではないか、何かここらでしっかり立て直しについての方策を検討しなきゃならぬではないか、こういった私は国民立場に立っての要望というものが非常に強くなってきておるのが現状ではなかろうか。それらを踏まえて、いま私どもは、緊急対策として現在の再建法に基づいて鋭意六十年度までの国鉄再建の施策を講じてはおるけれども、もう少しやはり抜本的にこの際やらなきゃならぬじゃないかといったような声を受けての第二臨調答申だったと思います。したがって、政府としては、この第二臨調答申を受けて、経営形態の問題であるとか、いろんな点も含めた検討を、今回の法律で御審議を願っております監理委員会をつくって、そこで検討願った上で、本当に今度こそは国民の期待にこたえて成功させなきゃならぬ、こういう強い決意のもとに取り組んでおるのだ、かように私は御理解をしていただきたいと思うわけでございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官、この委員会法の内容についてはまた別途質問しますけれども、私は閣議決定の重さ、権威、それは一体どのくらいあるものであろうかと聞いておるわけですよ。したがって、もう少し具体的に言いますならば、いま五十四年十二月二十九日の閣議了解事項進行中である。進行中であるにもかかわりませず、監理委員会法閣議決定して、いまこれを審議に出されたというのはどういう神経だろうか。無神経じゃないか。けじめをつけなきゃならぬでしょう。この前の法律はやったけれども、あれはだめだから今度これ出しますというのか。あれはあれ、これはこれ、日本大臣諸君の閣僚会議がそんな無責任なことを決めるだろうか。じゃ、具体的に、この六十年まで期限がある現在進行中の国鉄再建特別措置法というのはこれはだめだと御判定ですか。
  8. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 国鉄再建法は、たしか五十五年から六十年度までに国鉄再建仕事をやっていこう、こういう法律でございますから、現在これによってやっているわけでございます。しかし、先ほど言いましたように、今日の国鉄の現状を考えた場合に、ともかくいまのままではどうにもならぬじゃないか、もう少し何とかしたらどうだといったような私は国民の声にこたえた第二臨調答申だと思うのです。したがって、政府としてはそれを受けて、そしてこの監理委員会をつくって、その中で国鉄の抜本的な問題を、この経営形態等をも含めて結論を出して、それに従って六十二年度以降実施をしていこう、こういうことでございます。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 さっき言いましたように、六十年までの期限がありまして、これに沿って経営改善計画総裁運輸大臣に出しているわけですよ。その内容は着々進んでいるわけだ。だから、六十年度には幹線は百億程度黒字になりますというのがこの論議したときの政府の提案です。ところが、いまはもうすでにこれは二千億ぐらいの赤字という見通しですね。失敗しているわけだ。わが社会党はこの法案反対しました。いまの前の法律です。この委員会法でなくて、再建措置法に反対したんですよ、こんなので再建できないと。そこで附帯決議などをつけてやっているでしょう。したがって、それは附帯決議もついているし、後でやる衆議院運輸委員会の提言もあるんですから、それを六十年度までやってみて、どうしてもいけません、だから、あなた、さらに再建の方途を考えなきゃなりませんというのならわかりますよ。それをあんな審議の途中で、われわれ反対しているにもかかわりませず強引に通しておいて、じゃ通すからにはということで参議院の附帯決議衆議院の提言があって、それで模様を見ようとしてわれわれは来たわけだ。  ところが、それじゃもうだめだという大体のこの法案前提ですよね、委員会法は。それは無責任ではないか、したがって責任をとりなさいというんですよ、前のやつの。前の法律責任だれがとりますか。閣議了解して、われわれは反対したけれども、いやこれで大丈夫といってやった。いかぬなあといま言っているんだから、だれの責任ですか。でなきゃ今度この監理委員会法が通りましても、ああこれもだめでしたと、これは国費のむだです。委員会の審議のむだです、そういうことでは。責任体制を明らかにして、この委員会決定したものはこうやりましたとやっていかなければ委員会審議むだですよ。したがって、前の法律のこれは失敗だという前提ですから、だれの責任ですかと聞いているんです。
  10. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これも先ほどお答えしましたように、今日のように改革案を何回もやりながらうまくいかなかったということについては、私は、やはり政府は重い責任を感じなければならぬと思います。しかし、同時にまた国鉄自身が膨大な組織で、組織全体としてこの変化に対応できなかったということがその基本にはあるわけでございますが、責任は、私はあくまでも政府にある。しかし、何といいますか、えらい言葉は悪いので恐縮ですけれども、私は、責任は十分政府は感じなきゃならぬ、だからこそ国鉄再建についての第二臨調答申にこたえてこういう法律でひとつ抜本的に取り組もう、こう考えておるわけですが、何といいますか、過去の死児のよわいを勘定しても決してそれでよくなるものではない。やはり過去は過去として、厳しい反省の上に立ちながらも、国民的な財産であるこの国鉄をどのようにして再建することができるのか。これには政府も、それから国鉄経営者も、国鉄労働者も一体となって私はやっていかなければならぬのではないか、これが政府のいまの立場でございます。別段、うまくいけば、何も第二臨調にああいう指摘を受けなくったって私はできると思う。しかし、それができなかったところはなぜか、そこにメスを入れなければならない、その点に着眼しなさい、こういうのが第二臨調の私は今回の答申であろう。それだけに私どもは真剣にこの答申の趣旨を生かして何とか国鉄を再生さしたい、これが私どもの念願でございます。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 言葉じりをとるのじゃありませんけど、死児のよわいを数えないなんて、もうこの法律は死んだように言っておりますけれども、これは大問題でしょうね。これは後で訂正してください。  それじゃ、一般論として言いましょう。閣議で決める、それを各省が実行しない、そういうときには一体だれに責任を負わせますか。
  12. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはもちろん閣議決定事項については、その決定の中身に沿ってなければ、これは内閣総理大臣がそれを是正す る、あるいは積極的にやらせるというのは総理大臣の職務権限である、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、いまの死児のよわいという言葉については、先ほどちょっと、言葉が適当でないかもしらぬと言いながら言ったのは、この法律のことを言っているのじゃないのです。責任はそれぞれあるではないか、しかし、その責任をいま追及するよりも、その責任をおのおのが厳しい反省の上に立って、これから先どうするかということを考えてやるのが先ではないのか、こういう意味でございますから御理解願いたいと思います。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 その点は、今度、閣議はいつかわかりませんが、閣議で問題にしてください。閣議決定の重さについて、委員会でずいぶんひどく、しつこく質問されたが、これはやっぱりちゃんとしておきませんと、閣議了解事項なんということは通りません。もう全然問題にしませんね、国会は。したがって、行政府として、閣議了解事項の重さというものについて一遍閣議了解して、そしてこの委員会に報告してください。次の、連休明け、ありますから、また来てもらいます。  それから同様の、今度は委員会決議とか委員会提言なるものに対して、政府なりあるいは各省責任。たとえば決議があります。これを全然無視して何にもやりませんね。そういうときは、やっぱり各省大臣なりあるいは事務次官なり局長なり、責任の所在を明らかにしなきゃならぬと思うが、その点どうでしょう、官房長官
  14. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん国会決議、附帯決議等は、これは政府としては当然尊重をしなければならぬ政治的な私は責任がある、かように考えております。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、これから監理委員会で検討しなきゃならぬような事項に対しまして、昭和五十五年十月三十一日、衆議院運輸委員会の提言というのがあるんですよ。この提言の中にいろいろ書いてありますが、大きくは三つです。国鉄再建のために責任ある経営体制の確立と経営改善推進二つ目が財政上の措置、三つ目が総合交通政策の確立、内容いろいろ書いてあります。  私は、さっき国鉄の問題点を言いました。その問題点に対してはこうしなさい、こうしたら解決するということを運輸委員会が提言しているんです、衆議院が。参議院の方では決議がありますね。このようなものが、五十五年ですから、もう三年たっています。これが実施されておりますならば、監理委員会法臨調答申したにいたしましても、いや、もう提言もあるし、国会の前の議論もあるからちゃんとやっておるんですと、臨調にちゃんと返事しなきゃならぬでしょう。運輸大臣、座ったままで結構ですが、この運輸委員会の提言について、五十五年です、これは。これが今日なされておれば、同じような議論をわれわれがいまやる必要はないわけです。  しかも、最も心外なのは、総合交通体系の問題はもう十数年来の問題です。私も運輸委員会で何回これを言ったかわからぬ。特に森山欽司運輸大臣のとき、総合交通体系を強く迫ったものですから、運輸省の審議官お二人で来ました。しかし、総合交通計画などというものはまだ聞いていません。総合交通計画がありますと、この間のトラック法の問題も解決しますし、鉄道貨物の問題も解決するわけですよ。  それから第二の財政上の措置。これには退職金の問題、年金の問題、それから地方交通線の補助の問題、公共割引の問題、全部書いてありますね。これをどうして運輸省は完全実施できていないのであろうかと質問いたします。
  16. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 当時、御決議ありましたことは存じ上げておりますが、総合交通政策などでも、御提案のあったとおり私の方がなかなか動けないという実情もありましたし、一方はまた、当時決議されたそれ以上に世の中の変化が激しくて、モータリゼーション、国鉄が見込んだよりは少ないお客さん、こういうことからして、いままでのものではとてもこれじゃ大変だということが、運輸委員関係者だけの議論じゃなくて、国民一般の議論になってこのたびの監理委員会法案というふうな空気が生まれた。これをだから活用して、この際われわれのなかなかできなかったことも国民的世論の中に実行してもらって、本当に国鉄再建するのが何より大事なことじゃなかろうか、こう思って御提案申し上げたわけであります。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官、くどいですけど、この委員会決議及び委員会の提案、この間参議院で運輸委員会の物流の決議もいたしました。この決議というものは各省庁が、これは労働省も関係あります、警察庁もありますから、この間の決議は。その決議というものをちゃんと各省庁が実施して、毎年決議したこの委員会に報告するぐらいの、そのくらいの責任体制をとるべきだと思うが、いかがでしょうか。
  18. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 国会の御決議とわれわれ行政府との関係ですが、これは国会決議は最大限に尊重をしなきゃならぬという政治的な立場に、行政府については責任がある、こう思いますが、何せこの問題は、立法府と行政府との関連に係る重要な問題でもございまするので、政府としても検討いたしたいと考えますが、立法府においても、この問題はやはり立法府と行政府の基本に係る問題である、こういう点も御検討を賜ればありがたいな、かように思います。私どもは私どもなりに検討をいたしたい、かように思います。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 その問題も、内閣の問題として各省庁を指導する上で今後どういうふうに扱うとか、あるいは毎年一回ずつぐらいこの決議に対しては、文書でもいいですから、参議院運輸委員会のあの決議は現在こういうふうに進行中であるとか、そのくらいの、報告出すぐらいのことはお決めになってもいいと思うが、一遍この点も次の機会に返事してください。  それからもう一つ、これも重要ですけれども、総理大臣国会答弁です。内閣総理大臣が本会議やこの委員会に来て答弁いたします。その権威というものは一体どういうものであろうか。  たとえば昭和五十二年十月二十八日に福田元総理が運輸委員会に来て、運賃法定制緩和の際の答弁をここにしておられます。この国鉄問題というのはいま始まった問題じゃないんですね。これは福田総理の答弁ですけれども、「私は、国鉄がいま非常に窮況にある、その打開の方途いかんということになりますと、なかなか一挙にという名案も立てかねるような状態でありますが、」「そう遠からない時期に国鉄の大量輸送機関としての使命というものが見直される、そういう時期が必ずやってくる、そういうふうに私は思うのです。そういう展望を持ちながら、今日この時点において国鉄をどうするか、こういう問題でございますが、政府としては従来から国鉄自身の経営努力、それから適正な利用者負担、それからさらに国の適切な行財政上の援助、この三つの要素を中心といたしまして」云々と、国鉄再建に対して答弁しています。  それから、これは鈴木前総理。昭和五十五年十月二十八日の運輸委員会の総理の答弁です。「今回の御審議いただいております再建促進法案は、国鉄の健全な経営基盤を確立するということが一つ、それから国鉄の危機に瀕しておる財政再建を図ろう、この二つの大きな目的」でありますと答弁しておられるわけだ。「なお構造的にどうしても欠損が出るということを私どもは承知いたしておりますから、そういう面につきましては、政府としても」欠損に対する棚上げとか書いてあります。公的な負担はちゃんと各省がやります、年金問題も解決します。これは五十五年です。  こういう総理大臣の御答弁というのは、委員会決議以上に私は尊重しなければならぬと思うが、いかがでしょうか。
  20. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 仰せのように、やはり国会における総理大臣答弁というものはそれなりの重みとそれに伴う責任を伴うものである、かように理解をいたしておるわけでございます。  御質疑の中にありました福田さんの御答弁鈴木さんの御答弁も私も読ましてもらいましたが、 やはりそれなりに、その答弁に従って、政府はもちろんのこと、国鉄当局一緒になって努力はしているわけですよ。しかし、その努力にもかかわらず、なかなか成果が上がらないのだ、そこをどう考えていくかというのが私はこれからの問題であろう。政府答弁のしっ放し、言いっ放しで何もしなかったということであれば、これははなはだ無責任、けしからぬ話ですが、そうではありません。やはり政府は、そういう答弁の趣旨に沿って国鉄当局を督励をし、監督もし、国鉄の当局者は当局者としてそれなりの精いっぱいの努力を重ねておる。しかし、それでもうまくいかなかった、そこをどう考えるか、これが私はこれから先の課題であろう、こう考えておるわけでございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 いま私は、三つの点ですね、閣議決定及び決議及び総理大臣答弁、その重さというものがありませんと、国会論議いたしましても非常に空疎なものを感ずるわけです。何だ、時間をかけて論議して一体何になるか。結局、法律だけが通りまして、ひとり歩きして、これを官僚が施行するだけだ。もっと法律に出ない論議した内容に重要なものがたくさんあるわけでしょう。したがいまして、この問題も、総理大臣答弁などについて各省庁はどうこれを受けとめて処置するのか、一回、閣議でもひとつ論議してくださいよ。そして、政府の考えを次の機会に示してください。  それから結論として、この監理委員会法が今度通りましても、官房長官、これはたとえばこの参議院で通過いたしましても、これから五年間、五人の先生方論議される、国鉄問題を検討する、そして法律をつくって、また五年先にこの運輸委員会論議をして、さあこれから国鉄こうしなさい、同じじゃないか。そんな、もうひまはございません。したがって、潔く、この法律はこの際取り下げて、やるものからやる。法律はあるのですから、進行中ですから。そういう考えになってください。長官の見解を聞きます。
  22. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは、私は逆の考え方でございます。ここまでともかく論議し尽くされたわけですね。しかし、なぜできなかったのだ、これは政府責任は感じますよ。しかし、なぜできなかったということを考えて、まさに国鉄再生の最後のこれはチャンスである、この機会を逃せば国鉄は再び私は立つことはできなくなるのじゃないか、そういうせっぱ詰まった段階に追い込まれてのこの臨時行政調査会の答申だ、私はかように受けとめて、そこで答申の線の趣旨に沿って、将来のあり方をも含めて、この監理委員会で御検討願って、政府として国鉄の当局、労働組合、さらには国民皆さんの御理解を得て、何とかひとつ国鉄を立ち直らしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣に、いままで私、ずっとわが党の態度なり、監理委員会法に対する考えなり言いました。しかも一番、私が運輸大臣に質問いたしたいのは、第四次国鉄再建計画の措置法が現在まだ生きているということ、改善計画国鉄から出したものも逐次実施されておるということ緊急処理事項についてはほとんど処理しつつあるということ、そういうことにかんがみまして、この監理委員会法がこれからできますと、それにおんぶされますね。いままで一生懸命に官僚の皆さんがやろうといたしておりますけれども、それにおんぶされる。監理委員会がいま論議しているから五年間待とうとなったら、私は国鉄再建は非常におくれる、そう思いますが、運輸大臣の見解を聞きたいんです。
  24. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 何さま毎日大きな利子を払い、しかも二十兆円の累積債務というものが生まれて、国民が出す税金の中から、なお一兆円の赤字が出るという国鉄ですから、これはみんなでこの際に再建委員会をつくって、そこで処方せんを書いてもらいたい。それだけ大きな長期債務について、この法案が通過しないとき、だれもいままでどおりの考え方で何もしなかったらどうなるか。私はそういうところに国鉄諸君も、また組合の諸君も、この法律を注目して、再建委員会法案というものが通過をして、何か行動を起こし、それに対して政府なり国鉄なり国会責任を持って再建委員会法案の示すものを実行させる、こういうところに私は大きな期待を持っておると思っております。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 次に、国鉄総裁に質問します。  これは私が調査したんですから、若干数字が違うかもしれませんが、昭和十六年度と昭和五十七年度の生産性をちょっと比べてみました。昭和十六年度に国鉄職員数が三十八万四千五百五十九人、昭和五十七年度は三十九万六千五百人。営業キロが、昭和十六年は一万八千四百九十五・五キロ、それから昭和五十七年が二万一千四百十八・八キロ。輸送量が、お客さんの方が昭和十六年は五百五十五億人キロ、貨物の方が二百八十九億トンキロ、昭和五十七年度はお客さんの方が千九百五十二億人キロ、それから貨物の方が四百四億トンキロ、昭和十六年度で五十七年度を割りますと、お客さんの方で三・五倍、貨物の方で一・四倍、生産性を言いますと。私は、昭和十六年度、もう少し職員の数少なかったと思ったんですけれども、調べてみましたら三十八万四千五百五十九人いるわけだ。生産性からいいましても、何か国鉄職員ばかり多過ぎて、輸送人キロ、輸送トンキロ全然昔とがた落ちしているような印象を新聞などで感じておったんですけれども、実際はお客さんの方で三・五倍、貨物の方で一・四倍現在の職員は働いているわけですね。  そういうものを私、一応腹に入れながら総裁に聞きたいのは、さっきから言っておりますように、第四次の国鉄再建計画の特別措置法で列車が走っておる。経営改善計画もお出しになって、それを着々実行している。その改善計画で実施できなかったものがあるのかどうかというのと、現在まで一生懸命努力しているのだから、もうあと二年、六十年までこれをそのままおいてくれ、やらしてくれ、新たにまた監理委員会法ができまして、そしてまた五年間ももたもたしたらかなわぬ、そういう気に総裁はなっておられるのじゃないかと思うんですけれども総裁の見解を聞きたいんです。
  26. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 私どもが理解をしております監理委員会の設置の意味でございますけれども臨調答申の主題は三つあるというふうに考えています。  一つは、よく伝えられますように分割民営化ということで、経営形態まで踏み込んで改めないことには国鉄再建ができないのではないかという前提での経営形態論でございますし、第二は、それにしても国鉄自体の努力によってもう少し効率の高い運営をしなきゃいかぬのではないかということで、いわゆる緊急十一項目の指摘があって、それを監理委員会が今後いわば見守る役割りをお持ちであろうかと思います。三番目は、先ほど来お触れになっておりますように、国会においても御指摘がありましたし、また閣議の了解においてもしばしば触れておりますところの過去債務の問題、年金の問題といったようなことに代表されます、いわゆる私どもの言葉で構造的赤字と言っております問題についての処理を、財政の問題を含めて結論づける役割りが臨時行政調査会の指摘として監理委員会にバトンタッチされたものというふうに理解をいたしておるわけでございまして、その意味で私どもはこの三つは相互に絡み合っておる問題であるわけでございますので、先ほど来小柳委員が御指摘をなされ、私どもも常日ごろ若干腹におさまりかねておりますところの未解決のまま後送り後送りになっている問題についての取り組みをしてくださるということでございますから、われわれとしてはぜひ早く監理委員会ができて、そういう取り組みをしていただけるように強く期待をしているというのはそういう意味でございます。  なお、御質問の前段に触れられました効率の問題でございますが、これは残念ながら計画どおりいっておりません。それはなぜかと言いますと、職員の方は組合とも十分協議をして数を減らすということでがんばっておるわけでございますけれ ども、何さま輸送量が落ちておりますので、経営改善計画で考えておりましたような形の効率まではいっておらない。輸送量を人の数で割った意味での効率という意味では、人の分母の方は計画どおりいっておるのですけれども、分子がすっかり狂っておるということでうまくいってないということでございます。  なお、戦前との比較の問題等につきましては、いま手元に資料を持っておりませんけれども、しかし、何といいましても、戦前と戦後ではわが国の経済がまるっきり変わっておりまして、人件費というものが非常に高いものになりましたから、労働集約型産業であるところの鉄道につきましては戦前とはまた全く違った形での経営をやっていかなきゃいかぬのではないかというふうに考えておりますし、世界のどこの国を見ましても、国鉄赤字赤字だと言われながら一人当たり生産性という点では戦前とは全く違ったような鉄道になりつつあるわけでございまして、決してわれわれの努力は十分であるとは言えない、さらに努力を重ねなきゃならぬ点がいろいろあると考えておるわけでございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官には最後の質問ですが、いま国鉄総裁も言われたように、国鉄年金問題というのがやっぱり緊急な、しかも大きな問題であります。この監理委員会法にもやっぱりそのことを、年金とか構造赤字とか経営形態とかありますが、ところが年金問題がいま別途の法案で別途の委員会に移っていますが、これを解決いたしませんと、退職いたしましたかつての一生懸命に国鉄を守ってきたOBの諸君が大変な不安ですね。わが党も一生懸命内部で努力をいたしておりますけれども、この年金問題については、やっぱり早急に通過いたしまして年金制度というのが確立して、みんなが、それは国鉄職員だけじゃありません、これからの高齢者社会で年金に依存する人はたくさんですから、年金の統一化ということに全精力を政府として取り組んでもらいたい。また、いまのこのかかっております国鉄関連の年金法案も早急に可決するように、われわれも努力いたしますが、政府としても努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 高齢化社会を控えて、年金統合という大きな目標を持ちながら、まずその第一段階として国家公務員共済、それと三公社の共済年金、これの第一段階の統合をお願いをしようということで、御案内のようにいろいろ利害の対立ありましたけれども、それぞれごしんぼう願いまして、今国会法案を提出いたしてございます。政府としては、何としてでも、これはやはり大きな国民的な課題の解決の第一歩ですから、国鉄の問題も当然頭の中に入れながら、この法案の成立を皆さん方にお願いを申し上げておるような次第でございますが、政府としても、ぜひひとつ通していただきたい、かように考えております。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 長官については、どうぞ御退席ください。あと運輸大臣に質問いたします。私は時間が余りありません。  長官、退席ですけれども、さっきの課題はまた聞きますからね。
  30. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) わかりました。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣、いま、くどいようですけれども再建計画進行中であるけれども、これは長官は失言して死児などとおっしゃったけれども、現在まだ生きている。一体これがうまくいかないそういう原因は一体どこにあると判断しておられますか。
  32. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いろいろいままで考えてきたことも、時勢の変化、意識の変化、そんなこともありまして、早い話が、このごろ職場規律の確立ということがしきりに言われました。こういうものなどは私はやっぱり一つの変化だ。そして、それが国鉄の当局並びに組合員がそのとおりやっているのだと胸を張って社会に述べるゆえんでもあるし、またそういう関連においていまのような年金問題も国鉄の場合に何とかしなきゃいかぬじゃないかというふうな労働組合員の連帯感、あるいは政府全体の取り組み方というものが真剣になってきた。こういうことからしても、私はこの監理委員会法案というものをきっかけにして、ぜひ国鉄がりっぱに信用のある交通事業として再建できることを期待しております。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 臨調答申尊重ということが内閣の大きな柱でありますが、臨時行政調査会ができましたのが昭和五十六年の三月、第三次の最終答申が出されたのが昨年の七月三十日です。国鉄再建という国政の重要な問題につきましては、もう十数年衆参両院論議しているわけです。それを一年間臨調で審議されまして、民営分割前提にしての答申ですね。余りにも軽率ではないかというのと、国会論議無視ではないか、軽視ではないか。国会ではずいぶん、さっき申し上げたとおり、問題点は明らかになっているわけです。わざわざ臨調先生方論議していただかぬでも、この衆参国会で問題点は明らかになっているわけです。ただ、政府がやれないとか、やらない、それで問題になっているわけですね。  もう一つは、臨調国民意見というもの、たとえば地方交通線の廃止なんかありますね。いまずっと毎年現地に行って、この委員会もあさって現地へ行って公聴会をやるようになっていますけれども委員会は相当現地の意見を聞いております。臨調先生方は、国民の声というのは一体お聞きになったのであろうか、国鉄の問題に対して。そういう疑問があるわけですよ。だから、これは運輸大臣よりもむしろ行管の方から、余りにも軽率ではないかというのと、これが出たからすぐこの監理委員会法に肩がわってきた、そして五年間置いて検討しなさい、どうも余りにも無責任じゃないか、無責任内閣じゃないかと思いますものですから、まずこの点に対する、臨調の一年のものが重要視されて、国会でずっと論議して第一次から第四次再建計画が盛っているのが軽視された、これははなはだもって国会軽視ではないかということ。その問題は大臣あと臨調先生方の一年間の審議については行管から御説明願いたいと思います。
  34. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お互い運輸委員会などに所属しておりまして、国鉄問題というのは十数年以上みんな注目してきたわけであります。それは、部面、部面において参画もしたりしましたし、話も聞いたりしたことであります。当事者能力がない国鉄、だから国会で運賃を審議する、それは皆さんお互いの審議で許可をもらう、ここにおいてはだれもそのとおり、国鉄から言うてきたとおり判こつく者はおりません。議論はしょっちゅう行われました。ようやく通過したころは、その金は国鉄が使おうと当初思っていた方には使えないでタイミングを逸した、こういうロスがあったことなども私は記憶しております。そんなちぐはぐだらけが実はいままであったのじゃないでしょうか。  そうしたことからしますというと、今度本当にお互いもそうだし、政府もそうだし、組合もそうだし、国鉄経営者もこの辺が最後の段階だということで、自分の職場なり、やっぱり交通責任を持つということでまとまってきて、ここに議論が出されているのが今日の段階である、私はこんなふうに感じているのです。
  35. 新野博

    説明員(新野博君) 国鉄の関係につきまして臨調での審議の状況を申し上げますと、国鉄を担当いたしましたのは第四部会でございますが、第四部会では監督官庁あるいは公社当局、関係労働組合、有識者等から経営の実態なり問題点あるいはそのあり方等につきまして幅広く意見聴取を行いますとともに、それを踏まえまして制度や運営のあり方について精力的な調査審議を行いまして、回数にいたしまして二十六回開催いたしております。それと部会報告が上がりましてからは調査会の段階で十二回の審議をする、こういう形で答申が出ております。  また、御承知のように、国鉄問題には限りませんが、調査会の委員先生方は、一日臨調ということで各地で行政改革の御意見を聞いておりますし、また各界各層の方々といろいろ意見交換の場 を持って意見の聴取には努めておる、こういうようなことでございます。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 臨調の審議などは、後で瀬谷議員がいろいろまた質問されますからこれでおきますが、私の方、時間が足らないのですが、国鉄総裁、さっき経営改善計画の問題もおっしゃいましたが、いまの法律について運輸大臣もこれはまだ死んでおるのじゃない、まだ進行中であるというなら、いまの経営改善計画をもう少し見直していかなきゃ何ともならぬのではないか。言うならば、これから監理委員会ができましても、五年間の論議を待ってなんていうと、その間にも国鉄はどうなるかわかりません。その間は一体どうされるんですか。これは運輸大臣にも国鉄総裁にも聞きたいんです。  監理委員会法は、私どもはとてもこれは本当に無意味だ、屋上屋だと反対ですけれども、仮にこれが通過したといたしますと、これに、監理委員会論議しているからということで全部責任転嫁される危険性がある。その間、運輸省なり国鉄としてはどうやって国鉄再建されるか。わかり切っているんですから、金の問題とか収入の問題とか。  ただ、私は総裁にも運輸大臣にも申し上げておきたい。さっき持論の中で言っておいた方がよかったのですけれども、運輸収入が減って、人件費が多くなって赤字だ、即、今度は運輸収入の面まで、労使の問題、労使紛糾しているからだとか、あるいは職員の働きが足らぬとか、そういう印象を世間の人は持っていますけれども、たとえば国鉄職員は外に行ってお客さんを誘致したり、貨物を誘致する、そこまでは手が出ぬのですよ。そういう責任はまたやってないわけですね。それは計画者のたとえば経営委員会などがどうやったらお客がふえるか。それはさっき言った総合交通政策ですね。  職員としては、たとえば改札のとき愛きょうよくせいとか言いますけれども、改札もおらぬ、機械で切符をやっているところもあるんですから、全然人間おらぬところもあるんですから、愛きょうというのじゃなくて。職員は、A駅を定時列車を出して、B駅に定時に安全で着いたら百点でなきゃならぬですよ。百点ですね。あと、この国鉄をこれから改善するのは累積赤字の利子支払いとか、そういうものでしょう。わかっているんですね。したがって、たとえばこれが通るといたしまして、これに全部責任を転嫁されるのか。いやそうじゃないのだ、これこれこれやっていくんだ、国鉄改善計画については見直すんだと、具体案があったら、運輸大臣並びに総裁から御返事願いたい。
  37. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 再建監理委員会ができましても、従来のいわゆる特別措置法による経営改善計画を中心とするところの国鉄再建の実行ということは一向変わらないというふうに考えております。すでに政府に御提出申し上げて御承認いただいております。経営改善計画につきましては、先ほども触れましたように、輸送量の減ということを主体として計画どおりなかなか進行してないという状況でございますので、これに手直しをいたしまして、なるべく早い機会に現行経営改善計画の修正について政府にお願いに出たいというふうに考えておるわけでございます。  その場合に、この前あの法律を御審議いただきました段階、それからその後私ども経営改善計画をまとめて政府に御承認をいただきました段階、さらに今日の時点、三つに分けてみますと、親元といいますか、財政の状態が極度に悪くなってきております関係で、この前法律を御審議いただきましたときに政府でお考えになりました、胸の中に置いておかれました国鉄に対する財政からの援助といいますか、バックアップといいますか、そういう点についての考え方が大分変わってきておるわけでございますので、その点につきましては経営改善計画の枠内ではなかなか処理ができないという状態になってまいりましたから、そうした問題については主として再建委員会の方で御討議いただけるものと考えておりますし、そのフィールド、つまり構造的赤字の処理の問題につきましては経営改善計画の中でというよりは、どちらかというと、今後は再建委員会の方に御説明を申し上げ、お願いをして解決策をそこでお出しいただくというふうに多少変化を、ちょっとスタンスを変えた取り組みにせざるを得ないと思っておりますけれども、その点を除きましては従来どおり経営改善計画を中心として、つまり現行の特別措置法の基盤のもとにおいて何とか再建の道を見出していくということを続けていかなければならない。そして、われわれとしては、むしろそっちの方に今後ともより重点を置いて取り組んでいかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  38. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いま国鉄総裁が現場を預かる人として変化を申し上げ、決意を申し上げておりますが、それらを中心にしながら、基礎にしながら、いまからの再建監理委員会が生まれた、そういうときに活用していきたい、こう思っております。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 時間が参りましたのでこれで質問は終わりますが、きょうは総論的なことだけになりました。具体的な問題をきのう通告した省もありますけれども、次の機会に譲らしてもらいます。  ありがとうございました。
  40. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この法案の審議に当たって、何点かあらかじめ要望をしたいと思うことがございます。  いままでの衆議院の審議の議事録等を拝見してみましたけれども、一言で言うならば、むずかしい問題は先送りをしていく、それから責任政府としてはあくまでも回避をする、こういう姿勢がきわめて強いんです。なぜかというと、これは臨調答申を尊重する、それから監理委員会で、そこで処置してもらう、検討してもらうということで、すべてがいままでの論議は尽きていると言ってもいいくらいなんです。だから、そんなにその臨調答申を尊重するとおっしゃるならば、臨調答申そのものが十分尊重に値する内容を持っているのかどうかということをわれわれとしてはじっくりと検討をしてみる必要があると思う。内容をろくに検討もしないで頭からこれを尊重する、こういったようなことではこれは食い物をかまないで飲むのと同じなんです。そういうことになっちゃいけないと思うんです。だから、いままでの臨調答申を尊重するといったようなことを、一体政府としてどの程度内容について吟味をしているのか。尊重するということのニュアンスもどうも変わってきているような気がするんですが、その点はどうですか。
  41. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 臨調答申、いろいろ論ぜられましたが、その中にはやっぱり国鉄をはっきり再建させるための方針として、時に分割民営等も論ぜられました。そしてまた、膨大な赤字、この問題の処理を真剣に考えなきゃならぬのじゃないかということなどは、よその部会で初めて言うてくれたことだ、私はこういうふうに感じております。そうした処方せんを書いてもらったことをいかにお互いが、国会政府、そしてみんなでこれを実行していくことが大事なことか、そういう命題を与えられた、こう思っておるわけであります。
  42. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 処方せんを与えられたと言いますが、その処方せんが間違いなく合っているかどうかなんです。私は、やはり国鉄の問題は、国鉄累積赤字というのはいま始まったことじゃないんですよ。私ども、いままでの衆参両院委員会における附帯決議やらいろいろな意見書やらたくさんあります。これを検討してみると、ろくにその大事な点については政府は実行してないんです。これは歴代の運輸大臣責任があると思いますよ。なぜならば、運賃の値上げにしてもあるいは国鉄の予算にしても、だれがこれを一体組んだんですか。国鉄労使が勝手につくったわけじゃないんです。政府責任において運輸大臣国会の方へ提案をして、国会で通って、そしてそれが今日までの国鉄累積赤字になっているわけですよ。一言で言うならば、借金でもって設備投資を するというやり方、これが今日の膨大な累積赤字になっているというふうに認識しても間違いないと思うんですが、その点どうですか。
  43. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 国鉄赤字の要因はいろいろあると思いますが、先生がおっしゃいますような、いわゆる設備投資は借金でつくった、そういうものに基づく利子負担というようなものが国鉄の財政を大きく圧迫していることは事実であると思います。
  44. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そういう紛れもない事実を何か労使に転嫁をする、国鉄労使責任であるかのように思わせるような言い方を今日までしてきたと思うんです。これはきわめて卑劣だと思う。また、臨調そのものも、そういう肝心な点についての触れ方はきわめて不十分だ。  それで、先ほども総裁から小柳委員の質問に対して御答弁ございましたが、臨調答申内容を大別すると、分割民営化ということですよ。これは政府の手を離れる、政府から離してしまうということを意味していますね。それから緊急十一項目といったようなことがありました。それから構造的赤字の処理ということがありました。しかし、この構造的赤字などというものは政府責任によって生じたわけです。歴代の運輸大臣責任があるわけです。その歴代の運輸大臣の中には、今日の中曽根総理大臣も含まれています。  だから、こういったような身動きのならない、首の回らない借金になったという責任は、これはだれがとるのだということになりゃ、いやおうなしに歴代の運輸大臣でしょう。それがいけないというならば、歴代の、その赤字になって以来の運輸大臣は、全部そろって坊主になって、頭下げて、申しわけございませんと謝らなきゃいかぬですよ。それを、おれのせいじゃないというような顔をして、そして臨調で何とか言いなさい、臨調は今度は監理委員会だ、キャッチボールです、これは。ボールを投げて、五年間で何とかしろ、五年間たってよくなる、そんな手間ひまかけているときじゃないと私は思うんですよ。  しかも、処方せんというふうに言われたけれども、その中には緊急十何項目なんというのがありますけれども、これは財政再建に何の足しにもならないですよ。これが処方せんだということになると、私はこの病状に対する認識が足りないということを指摘しないわけにいかないです。内臓疾患の患者に対して水虫の薬をくれているようなものですよ、これは。これで内臓疾患が治りますか。そういう感じを私は持つんですよ。大臣、どうですか。
  45. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 内臓疾患と水虫の関係はちょっと気がつきませんけれども、いろんな方々がいろんな方面からこの国鉄赤字の分析をされているというところに私は一つの意味があるのじゃないか。それをいかに今度は片づけさせるという方策と実行をやらせるかというところに私は大きな問題がある。歴代運輸大臣責任だと言われりゃそれっきりでございますけれども、新しい鉄道を敷く場合には、鉄道建設審議会等々があって、そこには時には各党の方々も御出席になっておったこともありますし、ですからこの際は、私は、国も政府も、もちろんそれから国会も、みんなが一枚何かをはぐつもりで懸命にやらなければ、いまから先構造的な問題で伸びる赤字というものを消すわけにもいかぬし、また消させるところの努力も仕切らぬのじゃないかというところに私は多少の決意を持って皆さん方にお願いしているわけです。
  46. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そこで、私はこの臨調答申に対して疑問を持つんですよ。本気になって、これは国民のために国鉄を何とかして生かそうとしているのかどうかという疑問を持つんです。これは国鉄を解体するということが一番大きなねらいになっています。分割民営化というのはこれは柱なんです、臨調答申の。分割民営化以外の方法もあるかのようなやりとりが衆議院でもありました。そういったようなニュアンスのやりとりがありました。しかし、じゃ分割民営化以外の方法というのは具体的に何か。臨調答申には出てないでしょう。  そうすると、臨調答申を尊重するということになると、分割民営化を具体的に実行する以外にないわけですよ。もしそれが実行できないようだったならば、臨調そのものが無責任だったということになる。実行できないようなプランを出したということになると、これは出した方に責任をとってもらわにゃいかぬですよ。昔のちょんまげ時代だったならば、できもしないプランを出せば腹を切らなければならなかった。いま腹を切らないでしゃあしゃあとして解散をして、涼しい顔をして勝手なことを言っている。それが臨調の姿じゃないかと私は思うんです。そういう無責任体制というものが臨調に果たしてなかったかどうか。そのことは、私はこれからも十分に検討してみなきゃいかぬと思う。  そこで、行管長官の出席を求めたのでありますけれども臨調が、先ほどもちょっと御答弁がございましたけれども、どういうような審議をして、どういうような経過でこういう答申を出すに至ったのか、そのことを説明してもらいたいと思うんです。
  47. 新野博

    説明員(新野博君) お答えいたします。  国鉄の関係につきましては、臨調の第四部会というところが三公社を担当いたしまして、その中で国鉄につきましても、運輸省、それから公社、関係労働組合、有識者等からいろいろ経営の実態なり問題点あるいはあり方等につきまして幅広く意見聴取を行いますとともに、これを踏まえまして制度、運営のあり方について精力的に調査審議を進めまして、都合二十六回の審議を開いております。また、部会報告が調査会に上がりましてからは、調査会におきましてやはり十二回にわたり審議をいたしまして、答申をまとめております。また、先ほど申し上げましたように、一日臨調ということで委員先生方が各地に出まして、そこで、国鉄問題には限りませんが、行政改革全般についていろいろ御意見を聴取するというようなこともやっております。  以上でございます。
  48. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 臨調のいろいろな審議の内容については、これは何も逃げ隠れする必要のないことだと私は思うんですよ。それならば臨調の、いま何回開催したとか何をやったとかということを言われましたが、それらの議事録というものを出してもらいたいと思うんです。それが出せるのかどうか、まとめてあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  49. 新野博

    説明員(新野博君) お答えいたします。  臨時行政調査会の議事録につきましては、臨調の初会合におきまして、各委員先生方がそれぞれ御自分の識見に基づきまして自由濶達な議論を交わしまして中立公正な審議が行われるようにする、こういうことから実は非公開の原則を打ち立てられたわけでございます。  それで、現在臨調が解散しておるわけでございますけれども議事録の公開につきましては、委員やあるいは専門委員、参与等、それぞれ御審議なさった諸先生方に対しまして種々不都合が生ずるおそれなしとしないということが一点と、また臨調自体がこの非公開原則を解散時点までに変更されていなかったというようなことがございますので、これらをあわせ考えますと、今後ともこの非公開の原則は貫かれてまいるべきものではないかと考えている次第でございます。
  50. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 このことは重要ですよ。臨調答申を尊重するということでもって国鉄問題が処理をされようとしている。ところが、いま聞くと非公開だと言うんですね。議事録も公開できない。なぜ公開できないか。いろいろ不都合が生じる。何で不都合が生じるんですか。国会の審議はいままで公開でやっていますよ。これからも公開でやりますよ、本会議であろうと委員会であろうと。秘密でやらないし、その審議の議事録だってちゃんとオープンです。国会の審議でも公開でやっているのに、国会の頭越しに重要なことを決めようとする臨調がなぜ非公開でなきゃいかぬのか。  この間のある新聞に、臨調の丸山委員がこの臨 調について一生懸命メモを書いているということがございました。それはなぜかというと、非公開ということが決まった。丸山さんが、公開を主張したけれどもあとの多数というものは非公開を主張したので結局非公開になってしまった。何で非公開にしなきゃならぬのか。何で泥棒猫のようにこそこそと国民の目を避けて作業をしなきゃならぬのか。こんなやり方をやっていて、そして結論だけ尊重しろ。こんなばかなことはないですよ。私は、その点から言うと納得できません。したがって、あくまでも臨調議事録というものを国会には提出してもらいたい。国会にも提出できないということであれば、そんなものは尊重することはできません。国会にも提出できないと言うのか。その理由も、これは明らかにしなければなりません。  そこで、その点について、今度は臨調責任者の出席も求めたいと思います。真意を聞かなきゃなりません。臨調の土光会長初め、責任ある人々は今日まで国会に出て答弁をしたということを聞いておりません。しかし、これから先、臨調答申を尊重するというならば、その答申責任者に対して出席を求めるということは当然あってしかるべきではないかと思うのでありますが、長谷川運輸大臣、その点どうお考えになりますか。
  51. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) これは国会の問題であろうかと私は存じ上げております。
  52. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国会の問題であるということなら、国会にお任せをいただいて、ここで決めれば臨調議事録も出してもらわなきゃなりません。それから臨調責任者にも出てもらわなきゃなりません。解散したからおれは知らないというようなことを言われたのでは困るので、後の責任を持たないというなら、臨調答申なんというものはこれは尊重できませんよ。その点どうですか。
  53. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 議事録についてはやっぱりだめだろうと私は思います。何となれば、臨調が生まれたときにそういうふうにお決めになったということですから、私たちの方からどうこうと言うわけにはまいりません。
  54. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これは議会制民主主義という立場に立つと大変重要な問題ですよ。臨調といったような特別の機関国民の目の届かないところで勝手に作業をして、結論を出して、政府はそれを尊重しなきゃならぬというようなことを決める。今回は行革の問題だけれども、すべての分野にわたってそういうことが行われるようになったらどうなりますか。たとえば防衛問題、教育問題、すべて臨調方式でもって政府の息のかかった適当な人間を集めて、そしてここに作業をやらして答申を出さして、政府はそれを尊重する、国会はそれを追認するというような形になれば議会制民主主義は壊れるのじゃないですか。そういう点、国会というのはあくまでも公開を原則にして、そして議事の内容もオープンにしているんですよ。そういう議会制民主主義を頭越しに勝手に決めるというやり方がこれから許されていいと思うのかどうか。議会制民主主義の将来を考えてみるとき、きわめて重要な問題だと私は思うんですが、これはもちろん国会理事会でも検討してもらわなきゃなりませんけれども大臣自身はどのようにお考えになりますか。
  55. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) その委員会、それぞれの会合がそれぞれの権限を持っていると思います。私たちが基本的人権を持つと同時に、会合する方々も基本的人権がある。そこでお決めになったことは私たちはとやかく申し上げるわけにはいかぬ、こう思います。
  56. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 とやかく申し上げることはできないと言われるならば、臨調答申そのものも、これは国会でもって十分に内容を検討して、取捨選択の自由をわれわれは保有をしていてしかるべきだと思うんです。これを立法府の頭越しに臨調答申政府は尊重しなきゃならぬといったようなことになると、立法府は要らなくなります。国会なんというものは要らなくなりますよ。臨調といったような、こういうあいまいな機関に大事なことはすべて任して、そして政府は思いのままに操縦するということが可能になってきますよ。そんなことが一体許されると思いますか。大事なことだと思いませんか。
  57. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) そこで出た議論について国会でお互いが大いに議論することは差し支えないと思います。しかし、それ自体も一つ機関で基本的人権があることですから、その内容全部をお互いの力で出せというのはこれはやっぱり行き過ぎじゃないだろうか。出た結論について、私たちが関係する結論について十二分に付議し討論するということは一向差し支えないではないかと私は考えます。
  58. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、もう一つ。この答申の中で出ております監理委員会ですね、この監理委員会にきわめて強力な権限を与えるようになっている。しかし、この監理委員会が勝手に、五人なら五人だけでもってすべてを任せられたというつもりで何でも決められるということになると、これまた大変に問題だと思います、どういう人が選ばれるかわかりませんけれども。どういう人が選ばれるかわからないけれども、中には素人もいるのじゃないか、中には財界のひもがついている人間がいるのじゃないか。これはまだ結果がわからないから何とも言えませんけれども、人選についても非常な不安を覚えますね。臨調答申そのものがどうもこれは財界寄りである、こういうふうに考えられるんです。だから、監理委員会がもし発足をするということになったら、監理委員会もやっぱり国会に、関係委員会出席をしてわれわれの質問に対して答えるということは義務づけられてしかるべきではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  59. 林淳司

    政府委員(林淳司君) それは監理委員会で基本的にはお決めになることだと思いますけれども、やはり内容とかあるいは時期というものもございましょうが、国会の方から監理委員会について説明をしろということでお求めがございました場合には、監理委員なりあるいはその事務局なりが適宜御出席をして、できる限り御説明を申し上げるということになろうかと思います。
  60. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは監理委員会委員長初め委員出席をしてもらうということでなければならないわけなんですよ。事務局が出てきてごまかされたのじゃたまらないです、これは。臨調だってそうでしょう。今日まで臨調のメンバー出席をしていないでしょう。臨調について何か質問するということになると、だれか余り責任のない人が出てきて、何回開きましたとか、何をやりましたとか、どうでもいいようなことを報告しているんです。肝心な問題について、われわれの追及に答えられるような体制になっておりませんでしたよ。こういう無責任体制、あえて私は無責任体制と言いますが、こういう無責任体制が監理委員会に持ち越されたならばこれまた何をやられるかわからぬ、そういう不安がございます。その点、監理委員会はその責任者が国会関係委員会等に必要に応じて呼ばれた場合には出席をして質問等に答える、意見を述べるということを確認してもよろしゅうございますか。
  61. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この監理委員会の性格でございますけれども監理委員会国鉄再建に関する改革案というものを立案いたしましてこれを内閣総理大臣に提出する、政府の方でこれを受けて必要な措置を講ずる、政府はその必要な措置を講ずる際に当然立法的な問題がございました場合には国会の方に御審議をお願いする、こういうことになるわけでございますので、基本的には監理委員会で出したものは国会の方で法律案という形で御審議をいただくことになろうかと思います。  ただ、その前段階でどういうふうに審議が進んでいるかということについて国会の方からいろいろお求めがございました場合には、これは監理委員会ができてから監理委員会の方でお決めになることでございますので、監理委員会の運営の問題にわたる問題でございますので、いまここで私がだれというふうに申し上げるわけにはまいりませんが、何らかの適切な形でできるだけ御説明申し上げるということになろうかと思います。
  62. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 監理委員会で決める問題だからといって逃げられても困るんですけれども、やはり重要な権限を持っている機関だとか人だとかというものが国会を避けるようなことをされては困るんですよ。  したがって、これは理事会で改めて御協議をお願いしたいと思いますけれども臨調答申を尊重するという以上は、臨調答申内容についてわれわれは吟味しなければならないし、そのためにはこの議事録についても提出してもらわなければならないし、責任者にも出席をしてもらわなければならない。さらに、監理委員会でやってもらうということであれば、監理委員会にも当然関係委員会出席することを義務づけてもらわなきゃならぬと思うのでありますが、これらの点について委員長に要望したいと思います。これは国会の問題であるという御答弁もございましたが、きわめて重要な問題でございますから、その点、御配慮願いたいと思います。
  63. 青木薪次

    ○青木薪次君 関連質問いたしますけれども、これは私も理事会の問題だ、こういうふうに考えます。国鉄経営する事業再建推進に関する法律を審議しているわけですから、法律に基づいて設置される監理委員会行政に対する一つの判断とかあるいはまた方針とかを決めるわけでありますから、随時適切に国会に対して説明をし、あるいはまた方針を述べることについてはこれはあたりまえのことであるというように、瀬谷委員の発言について私は確認をいたします。したがって、理事会でこのことについては検討するというように、委員長、諮っていただきたいと思います。
  64. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまの瀬谷委員、青木委員の要求につきましては、後日、理事会において検討いたします。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、いま私が申し上げましたようなことは、理事会で十分御検討いただきたいと思います。  それから、また臨調答申内容に入りますけれども、中には構造的な赤字の処理といったような問題も重要な柱になっているということを先ほど総裁がお述べになりました。しかし、元来、この構造的な赤字の処理などということは、臨調答申だ、監理委員会だというようにキャッチボールをするまでもなく、政府責任においてこれは処理しなきゃならないことだと私は思うんですよ。なぜならば、この赤字を生んだのは政府なんですから。そうでしょう。生んだ方が自分の生んだ子供のめんどうを見ないでどうするんですか。だれにめんどうを見させるんですか。それは指摘されるまでもなく、当然これは政府が処理をするために必要な手だてを講ずるのが本当じゃないかと私は思うんですが、その点、政府としての考え方をお伺いしたいと思うんです。
  66. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 構造的な問題、長期債務等の問題でございますけれども、これについては、やはりその処理については、いまのその額から見て非常に大変なこれは検討を要する問題である、非常に困難な問題である、これを解決するには尋常な手段ではなかなかむずかしいというのが第一点でございます。  それからもう一点は、長期債務等の問題。これはいわゆる効率的な経営形態というもの、これを確立するに当たってそれとの絡みでこれを解決していく必要がある、全体として解決をしていく必要がある、こういうことでございまして、したがって監理委員会において十分詳細な検討をし、結論を出していただきたい、このように考えておるわけでございます。
  67. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私どもは、監理委員会そのものに対して反対立場をとっておるわけなんですよ。だから、監理委員会において検討し、というふうに逃げられると、それは一つの逃げ道だと思うんですが、そうすると、監理委員会というものをつくること自体、運輸大臣なり国鉄総裁を侮辱したことになるんですよ、これは。先ほども話が何回も出ております。屋上屋を重ねると言うんですね、この監理委員会というのは。そうでしょう。屋上屋を重ねるということは、屋根の上にまた屋根を乗っけるということですよ。そのまた屋根の上に風見鶏が乗っかっている。こういったようなものですわな。  こういう行革の趣旨と相反するようなまねをするということは、どう考えてみても、これは運輸大臣としては反発を感じなきゃいけないですよ。早い話が、運輸大臣国鉄総裁、おまえらには任せられない、引っ込んでいろ、おれたちにやらしてもらうというふうに出しゃばってくるのが監理委員会じゃないですか。どんなりっぱな人が出てくるかわからないけれども国鉄の財政の問題について国鉄総裁より詳しい人間が出てくるということはちょっと私は想像できないような気がするんですね。一番詳しいのは国鉄総裁です。ところが、臨調国鉄総裁には当事者能力がないとか、いろいろ言っています。当事者能力がなかったら与えりゃいいでしょう。与えないでおいて当事者能力がない、こんなことを言ったってしようがないです、これは。  さっきも小柳委員のときに話がありましたけれども総裁私鉄で言うなら社長ですわね。ところが、国鉄総裁の場合は社長としての権限も能力も持ってないわけでしょう。言い方は悪いけれども、雇われマダムみたいなものだ。その雇われマダムのヒモが政府といったような関係になっておるわけでしょう。そういう当事者能力を与える、ないからこうだと言うならば。この歴代の国鉄関係の法案の附帯決議の中にもそういうことが書いてあるんです、いろいろと。過去債務を積極的に処置をするとか、あるいは公共負担政府でもって検討して適切な処置を講じろとか、あるいは衆議院の提言の中にも、責任ある経営体制を考えるとか、関連事業の充実をやれとか、いろいろとこうすれば何とかなるじゃないかということが、いままでも附帯決議あるいはいろんな形でもって出てきているんですよ。それを守れば問題はこんなに深刻にならなかったと思う。要は、それを守らなかったんでしょう。守られていないでしょう。  ここで総裁に、たばこに火をつけたところで悪いけれども、お聞きしますが、過去における附帯決議やら提言というものが忠実に履行されたと思われるかどうか。これが履行されていなかったというふうに私は思うんですが、たくさんいろんな問題がありますけれども、その点、総裁、どのようにお考えになりますか。
  68. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 確かに附帯決議その他で御指摘を受けたことで、その線に沿って進んだことと、残念ながらそのとおりなってないということと、二つに明確に分かれておると思います。  どうしてそうなっているかということにつきましては、やはり何と申しましても、現在の予算統制を中心とする公社制度そのものに問題があると言わざるを得ないわけでございまして、そこは鶏と卵の関係になりますけれども、一方において附帯決議で示されましたようないろいろな事項政府において実施していただくということが一つの道でありますけれども、もう一つの道としては、やはりいまの公社制度によるところのもろもろの政府の統制というものの前提において附帯決議で指摘された事項が実施できるかどうかというところに非常に問題があるわけでございまして、反面、いまの予算統制を外してしまうということは、そもそも公社制度そのものを否定するということになるわけでございますので、大変大問題であるわけでございます。  そこのところは、いろいろ御指摘がありましたけれども、実施できてないということについては、経営形態論とはまたちょっと別の形になりますけれども、現行公社制度論というものがもう一度基本から御論議いただく必要のある問題ではないかと私どもは考えておるわけでございます。率直に申しまして、雇われマダム的性格というのは払拭できない、それはいまの基本はやっぱり予算を中心とする統制という形に基本の問題があるのじゃないかというふうに考えております。
  69. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 予算は大蔵省の方で原案をつくって、そして矢面に立つのは国鉄総裁、そうすると、国鉄総裁というのは何か事故があったときの 謝り役だとか、文句を言われるときの文句の引受役だとか、そういうことばっかりで実権はさっぱりない、実にこれは考えてみりゃばからしい役割りなんですよ。よくがまんしてやってきてもらえたと私は思うくらいなんです。しかし、そういう状態をこれからも続けるということになると、総裁のなり手は私はなくなるのじゃないかという気がするんです。  そこで、こういう形態がいけない、もし政府責任を持ってやると言うならば、運輸大臣、昔のように鉄道省にして、政府みずからやってみたらどうなんですか。そうすれば、この構造的赤字の問題も、年金問題も、ごちゃごちゃした問題は一切解決できます。そのかわり、大臣自身が責任を持たなきゃならぬです。責任国鉄総裁といったようなところに転嫁をするというわけにいかなくなる。そういう方法が最もストレートな方法であるでしょう。その点、大臣としてはどうお考えになりますか。
  70. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 鉄道にはずっと長い歴史がありまして、昭和二十四年に公社になってから今日までの経過がいまのようなことになったわけでありますから、一つ一つの歴史を私も学んでもおりますが、さて私がすぐに昔のように鉄道省をお引き受けするような、そんなことがいいのかどうかというのは大きな行政上の問題でございますので、直ちにここで御返事申し上げるわけにはまいりません。
  71. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私が一番最初に問題の先送りと責任転嫁ということを指摘しましたけれども運輸大臣という責任者がやはり自分でもってどうしたらいいかということを考えなきゃいけないと思うんです。どこかに責任を転嫁しようということを考えていたらろくなことはできません。だから、この臨調などという、こういうえたいの知れない機関がわけのわからない答申を出すんです。私はあえて言いますよ、りっぱな答申だなどとは決して思わない。  そこで、その臨調答申の問題についてまた今度入っていきますけれども分割民営化ということが柱になっています。分割民営化ということは、具体的に言うと、北海道、九州、四国、本州、本州をさらに分割をする、こういうのがこの臨調答申の中で一番重要な柱になっております。これは否定のしようがない。それならば、じゃ北海道なり九州、四国、これは本州から海を隔てておりますから分割するには一番分割しやすいところだから、じゃそこからテストケースとして分割をしてやってみる。やれるかどうかやってみる。やれるなら逐次あちこち分割していったらいいでしょう。それは論議をする必要はない。臨調答申を守るというのならば、尊重するというならば、そこから始めなきゃならないと思うんですよ。  そこで、じゃ北の方からいって北海道、北海道を分割してやっていけるのかどうか。その営業係数は一体どうなっておるのか。さらに、青函トンネルというのはもう九分どおりでき上がっておる。この青函トンネルの費用はどこが払うのか、払わなくていいのか。払うとすればだれが払うのか。分割民営という場合には、北海道がこれを引き受けるのか、北海道と本州でもって折半をするのか、どういう形になるのか。その場合に、やっていけるのか、やっていけないのか。その点は差し迫った問題で、具体的な問題なんです。抽象論でもって逃げちゃいられません。この点について、お伺いしたいと思います。
  72. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 北海道、四国あるいは九州、これを分割したら一体どうなるかというお尋ねがまず第一点でございますが、一般的に言いますと、分割民営化ということについては、これは臨調答申も述べておりますが、経営に自主性が付与される、あるいは自由度が与えられる、こういうことによってひいては経営責任が明確になる、こういう問題、さらには各地域の実態に即した運営が可能になる、こういうふうな効果というものも期待できるのではないかと思います。  ただ、北海道とか、四国とか、九州、これをじゃ分割したらどうかということについては、これは具体的にやはりどういう形で分割をするかという、その分割案なるものがないと何とも言えないわけでございますが、その分割案を検討するに際しましては、こういうふうな経営の仕組みというものを変えることによる合理化とか、あるいは生産性の向上とかというふうな要素が一体どの程度働いてくるかという問題とか、あるいはいろんな関連事業、その他の事業の自由度が大きくなるということに伴うメリットとか効果、あるいはこういう経営形態をこれから検討するに当たっては当然長期債務の問題、こういう構造的な問題については何らかの処理をしなきゃならぬわけでございますので、そういうふうな問題をどのようにして処理するかということとか、いろいろ関連する問題ございますので、それらの要素を十分検討した上でその採算性はどうなるかということを検証しなきゃならぬ、こういうことだろうと思います。したがいまして、いまここで直ちに分割が可能か不可能かということについては、北海道、四国、九州についてどうかということについては、いまここで直ちに結論を出しにくいと思います。まさに、そういうことのためにこれから一定期間かけて十分その辺の問題点を詳細に詰める必要があろうか、このように考えております。  それから青函トンネルの問題でございますけれども、これについてはどうかというお尋ねでございますが、これについては、やはり八百億の資本費というものを発生する青函トンネルというものを抱えて経営をしていくということは、これはなかなかむずかしかろうと思います。したがいまして、こういう問題については、今回の法律におきましても第二条の「国の施策」というところで、長期債務等の問題と並びまして、これについては国としても適切な措置を講ずるということで第二条に規定をしてあるわけでございまして、国として何らかの措置を今後考えていかなければならぬだろう、このように考えております。
  73. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 言葉の数は多いけれども、中身はさっぱりないわけですね。国として適切な措置を講ずる、具体的にどういうことですか。適切な答弁してください。
  74. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私どもとして、まさに、その辺の処理の仕方、措置の仕方、これは青函トンネルだけではございませんで、長期債務、これは二十何兆にも上るという長期債務の問題も含めての問題でございますけれども、あるいは年金にかかわる国鉄経営上の諸負担というような問題も絡めてでございますが、そういう問題についてはこれはやはりある一定の時間をかけてかなり突っ込んだ検討をしなければなかなか結論は出せないだろう。ただ、この法律で書いてございますのは、それについては国として施策を講ずるよということは第二条にはっきりと規定してあるわけでございまして、これは国鉄経営にこのまましょわしていったのでは再建はできないという認識に立っていることは事実でございます。ただ、その具体的な内容については、やはり一定時間をかけて十分に検討する必要があろうかというふうに考えております。
  75. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 一定の時間をかけて論議をしていたのじゃ何年かかるかわからないですよ。だけれども、青函トンネルが間もなくでき上がろうとしているんです。でき上がっても、むずかしい問題だから一定の時間をかけてじっくりと検討するということでほうりっ放しにして待っているんですか。間もなくでき上がろうとしているんですよ。でき上がったら何とかしなきゃならないでしょう。国鉄にとってははなはだ迷惑なお荷物になるか、政府自身が国としてこういう問題について国鉄に別に心配させないということになれば国鉄はのうのうとしてこのトンネルを通す方法考えるでしょうけれども、これはおまえらでもって全部返してくれ、かかった銭は全部利息つけて返してくれ、こう言われたらこれは大変なことです、トンネルばかりは全部でき上がらないと使えないですから。本四架橋だって同じです。だから、こういう差し迫った問題、本四架橋はもっと先になりますけれども、青函トンネルは目前に迫っているん ですよ。国鉄総裁としては、この青函トンネルの問題についてはどのように処置をしたいというふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  76. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在、私ども経営の大変圧迫になっておりますものとして東北新幹線、上越新幹線の資本費負担があるわけでございますけれども、この場合には、かなり先のことでございますから確たることは申し上げられませんが、いずれ十分採算がとれるであろうという見通しを持っております。  それに比べまして、青函トンネルの場合にはその資本費負担はどう計算してみても旅客収入等によって賄うことは不可能であろうかと考えております。したがいまして、お国の方針としてあそこへ鉄道を通すべくトンネルをつくられたわけでございますので、それの処理は政府によって処理をしていただく、その上でおまえの方で列車を走らせるということでないと、われわれとしてはお引き受けが非常にむずかしいということでございまして、このことはいまになってそういうことを私ども申しておるわけではないのでございまして、いろいろな機会に、公式な機関、たとえば鉄道建設審議会等の機関において公式にそのことを申し上げておりますし、それからいろいろの建設に関する計画について建設公団から協議があります場合に、その都度そういうことの処理方について鉄道建設公団においてもあらかじめお含み願いたいという申し入れをしておるわけでございます。  なかなか財政事情等もあって、その御決断がつかないで今日まで至っておるわけでございますが、このことこそ再建監理委員会において至急に御検討願いたい重大事項一つになっておるわけでございまして、私どもが、先ほど来屋上屋であるという御指摘でございますけれども、にもかかわらず、なおかつ再建監理委員会の早期の発足を念願しております事情の一つの中には、青函トンネルの処理の問題について早く政府で御方針を御決定願いたいという気持ちも込めているわけでございます。
  77. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣にお伺いしたいんですが、いま国鉄総裁は、どう計算してもこの青函トンネルは旅客収入で賄うことは不可能と断言をしているわけです。どう計算しても不可能だと国鉄総裁が断言できる内容のものを、監理委員会のどういう人が来るかわからないけれども、言ってみれば中にはど素人もいるかもしらぬ、そういう人がうまい方法が編み出せるかどうか私は疑わしいと思う。その場合には政府みずからが責任を持つ、適切な措置ということじゃなくて、具体的に政府みずからが責任を持つ。こさえさせたのは政府なんだから、こさえさせた方で、後は子供の生みっぱなしでもって知らないよというわけにいかないでしょう。これは監理委員会意見を待つまでもなく政府として考えるべきことである、処置すべきことであるというふうに私は思うんですが、その点どうですか。
  78. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 青函トンネル貫通まで、私も両方の口から一遍ずつ入ったことがあります。そして、やっぱり世紀の工事をやるあの坑夫諸君が、暑い坑道で裸になって仕事をしている。それがせんだって十九年ぶりに落成した。そして、涙を流して自分たち技術のすばらしさをたたえている。一方には、役に立たぬものだからあんなものをつぶせ、トンネル無用論なども出ておりました。私は、日本技術としてすばらしいものが世界に展開されたことであるから、これはやっぱりお役に立ってもらわなきゃならぬ、こんなことから、私一人の知恵でもまずうございますし、ただいまの日本の財政がこんなふうでございますから、トンネルの委員会をつくりまして、この方々にお集まりいただいて活用方法をいろんな場面で考えていただけませんかと、こうして委員会を一度開いたわけです。こういう日本にはプロジェクトが二十四ぐらいあるそうです。その中で、この青函トンネルもとにかく知恵があってつくったことですから、これをむだにしないように、時にはまた監理委員会諸君の知恵も煩わすかもしれませんが、長い目で見たならばこれをどうしても活用するという方向にお互いはいかなければいかぬ、こう思っておりますので、その際の御協力、御声援をお願いいたします。
  79. 青木薪次

    ○青木薪次君 いまの瀬谷委員の指摘はきわめて重大な問題です。私は、この間、OECDへ行ってみた。ヨーロッパの人が何と言ったか。あそこへ難工事の末りっぱなトンネルを掘ったようだけれども、一体何に使うんですか、聞くところによれば、ここを油タンクにするということも聞いている、あるいはまた戦争に備えて格納庫にするそうじゃないかということも聞いている。しかし、いずれにしても、これは政府がこれよりトンネルを掘るんだということで決定をして、掘った結果について、皆さん、ひとつそのときには適切な御援助をもらいたいということだけでは、大臣、これは済まないと思うんです。経営を圧迫すること最大の問題ですから、これは政府責任において処理し、国鉄には責任を負担させないということについて明言をしてもらいたいと思うんです。
  80. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) この場で明言はできませんけれども、とにかく大事にこれを活用するようにしていきたい、こう思っております。
  81. 青木薪次

    ○青木薪次君 明言はできないと言うけれども、それだと裏返しに、国鉄で負担してもらうこともあり得るということですか。
  82. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、今回御提案申し上げている法律の第二条におきまして、「国は、」「次に掲げる事項に関し必要な施策を講ずる」、これで一号、二号とありまして、「効率的な経営形態の確立」ということと並びまして、いわゆる長期債務の処理の問題、その他いわゆる構造上の問題というものを掲げてあるわけでございます。したがいまして、こういう長期債務の処理の問題、それから現在進行中の青函あるいは本四というような問題から発生する資本費の問題、こういうものについてはこの法律の第二条で、「国は、」「必要な施策を講ずる」ということを法律上明言しておりますので、国としても、どういう形になるかはこれはこれから検討してみなきゃわかりませんけれども、少なくとも国鉄経営の負担にならないように必要な措置を講じていくということになろうかと思います。
  83. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄の負担にならないように必要な措置を講ずる、このことについて、大臣、いいですね。——じゃ、いいです。
  84. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄経営の負担にならないようにということは、これは幾通りも方法ないんです、このトンネルは。政府政府責任において、借金でもってつくったんだけれども、払いの方は政府責任において処理をするんだという方法が一つ国鉄にもしょわせるという方法が一つ分割民営になった場合にどうするか。北海道にしょわせるのか、本州と折半するのかという方法と、そういうことは一切やらない、全部これは国の責任においてやるのだという方法。それ以外の方法というのは余りないでしょう、それ以外の方法は。私は、そうなると道は一つしかないと思うんですね。これは国として適切な措置というあいまいな表現を先ほど使ったけれども政府責任において処置をするというふうに確認する以外にないと思うんですよ。  特に、そこで問題になっておりますね。先ほども私が言いましたけれども分割民営の問題で、じゃ北海道を分割をするという場合には北海道に負担をさせるということもないのかということですね。これは実際問題として、北海道の営業係数から言うと、北海道みずからが独立採算でもってやっていける状況にはないと思うんですよ。札幌あたりに人でも持っていって人口を一千万ぐらいにするというようなことになれば別ですけれども、そういうことは簡単にできないことだから、現在の五百万の人口をあの広大な地域に抱えている北海道としては、だれがやったってこれは独立採算でもって列車を動かすということは不可能だというふうに私は思うんです。その点は、大臣の認識はどうですか。
  85. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いずれにいたしましても、大きな負担にならないように知恵をひとつしっかり出していかなきゃいかぬと思って、それぞれ工夫などをさしているところです。
  86. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 幾ら知恵をしぼったって道は幾つもないんですよ。そうでしょう。じゃ分割民営にする、北海道の鉄道を、おれが赤字を全部しょうから引き受けるといったような、そんな奇特な企業が出てくると思いますか。どうですか、その点。
  87. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほども申し上げましたように、分割といいましても具体的に一体どうするのかということについていま決まっておるわけではございませんし、それからいろんな要素というものが加わってくると思います。先ほど申しましたように、生産性の向上というふうなものが一体どの程度いけるのかということとか、あるいは長期債務その他のいわゆる過去の負担の問題というのをどういう形で処理していくかということとか、さらには場合によっては必要に応じて助成制度というものも考えなきゃならぬかもしれませんし、そういう仕組みも考えなきゃならぬかもしれませんし、そういうふうなものを総合的にかみ合わせて果たして採算がとれるかどうかということを具体的に個別にこれから検討していく、こういうことでございます。
  88. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 具体的に個別にと言ったって、私は具体的に北海道を引き合いに出しているんですよ。抽象的な理屈を幾ら並べてもらったって何にもならないんです。だから、私は具体的な問題として北海道を引き合いに出した。今度、あした、あさってと当運輸委員会では北海道と九州へ現地公聴会のために赴くことになっております。だから、北海道の人たち意見あるいは九州の人たち意見も現地で私どもも聞きたいと思っているんですよ。その意見を聞いた上で、改めて本委員会でもってこの法案の審議について臨みたい、こう思っておるんです。だから、いままでの行管庁の話というのは——長官もきょうは出席になりませんでした。だから、行管長官に対する質疑は次回に回します。  次回に回しますけれども、青函トンネルのような問題は、これは差し迫った問題なんだから、政府としてはどう処置するのか。いろんなごちゃごちゃと理屈をこねてみたところでしようがない。この答申のとおりに分割をするのかしないのか、これは北海道の人にとってはきわめて重要な問題ですよ。九州を分割するのかしないのか、四国を分割するのかしないのか、これもきわめて重要な問題ですよ。しかし、政府答申を尊重すると言っているんですね。尊重すると言う以上は、一番重要な問題については実行するということになるでしょう。そういうふうにならないですか。その点どうですか。
  89. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 答申尊重というのが基本でございますので、したがいまして監理委員会においてはまずは分割民営化という方向での検討が行われるということになろうかと思います。  ただ、これについては、これから検討を進めていく問題であるということから、まさに先ほどおっしゃったようないろんな具体的な諸問題あるいは技術上の諸問題ございますので、そういう点についてこれからさらに検討して解決を要する課題がたくさんございます。したがいまして、まずは分割民営化の方向で検討するけれども、その検討の過程において具体的な諸問題について詳細に詰めてみて、その結果、もしどうしても分割民営にはよりがたいという重大な事情が出てくる、いわゆる合理的な事情が出てくるということでありますならばほかの経営形態を選ぶこともあり得る、こういうことでございます。
  90. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 詳細にいろいろ検討してみた結果分割民営はできない、こういう場合には別の方法だ、こう言うんでしょう。そうすると、別の方法をやらざるを得なくなった場合を考えると、分割民営という結論を大上段に振りかざした臨調答申というのはきわめて粗雑であった、不見識であった、無責任であった、こういうふうに断言せざるを得ません。そういう不見識な臨調答申をこれからも尊重していくなどということは、これは国鉄をばらばらにしてしまうようなことになるわけですね。これは、とてもできないことだと思うんです。その点、尊重するということと実行するしないということは別だという解釈のようでありますけれども、その点は、政府が憲法だって、憲法は尊重すると言いながら軍備を拡張するんだから、そういう手品をおやりになるんだから、臨調答申も尊重はするけれども実行はしないということもあり得るのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  91. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) なかなか厳しい御質問ですが、せっかく臨調があのとおり分割民営というふうなことで、しかもそれによって運営の効果、さらに効率化というものを上げよう、こういう気持ちでございますから、これはやはり答申を尊重しながら御審議をお願いするというところに私たちは第一の重点を置いているわけです。しかし、物事にはどんなときでも絶対というものはございませんから、時にいろんなことがまた起こるのじゃなかろうか。イフの場合を想定しているわけじゃありませんで、原則を尊重し、そして時にまたイフの問題もあり得るという形で臨みたい、こう思っております。
  92. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 実行不可能な答申というものは尊重に値しないと私は思うんです。一番肝心かなめの点で実行不可能な答申を出したということは、いかに無知で、不勉強で、不見識であったかということを証明することになるんです。それにもかかわらず、どうでもいいような細かい問題だけを尊重していく。緊急十何項目などというのは、言ってみればこれは大事なことじゃないですよ。鼻くそをほじくるような問題です。鼻くそをほじったり、つめのあかをほじくるようなことばっかり一生懸命やっているけれども、一番大事な問題について、肝心な問題について抜けているということを私は指摘しないわけにまいりません。  だから、この分割民営ということは、やる気ならば北海道、九州、四国から具体的にその実行プランを立てていかなきゃなりません。北海道、四国、九州のように海を隔てているところの分割民営すら実行できないのに、本州を分割するなんということはなおできないでしょう。本州というのはみんな地続きなんだから、これを何等分かにするなんといったって、これは列車はみんな通しで走っているんですから、これは大変むずかしいですよ。もしこれをやるということになると、具体的には、運賃というものは分割をされた地域ごとの運賃を積み重ねるということにならざるを得ないでしょう。そういうふうになりますね。そうすると、大変割り高な運賃になってくる、結果論として。そういうことになりませんか。その点、どうですか。総裁、私が言っていること、おわかりだろうと思うんですが、これは遠距離逓減制などというものはこの場合にはできなくなりますね。分割をされた地域地域の運賃を積み重ねていくということにならざるを得ないと思うんですが、その点どうですか。
  93. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 運賃の問題は、確かに非常にむずかしい問題だというふうに思っております。しかし、現在私鉄相互間でどういう問題があるか、あるいは同じ路線を別の会社経営している航空機の場合の運賃の立て方がどういうことになっておるかといったような問題を考えますと、現行の国鉄の運賃システムからいえばきわめてむずかしい、幾多の乗り越えなきゃいかぬ困難な問題があるとはいうものの、絶対越えられない不可能なことかどうかということになると、私どもも必ずしも絶対不可能なことだとは言い切れない点があるのじゃないかと思います。  実は、先ほど御指摘がありましたように、臨調の中での御審議の経過というものは公表されておりませんけれども、私ども臨調にいろいろ意見を申し述べましたときに、運賃の問題が非常に困難な問題であるということはるる当時、説明をいたしました。しかし、臨調の御判断は、現在の東京における私鉄と私どもの相互乗り入れ等の例を 念頭に置き、またヨーロッパにおいて国を越えてたくさんの鉄道が走っているのが、現実にはこれは経営形態の問題ではなくて、国が違ってもなおかつ共通で切符を売っている事例があるといったような例を引用されまして、その運賃の問題は、経営を分けても不可能な問題ではなくて、困難ではあろうけれども可能な問題だという御意見をおまとめになったわけでございます。  そう言われれば、現実にヨーロッパのいまの運賃システムというのは、確かに全く違うものが相互に契約を結んで共通の切符を売っておるわけでございますから、そういう事例を引用して、やってやれないことはないではないかと言われれば、そこまでといいますか、それ以上抗弁のしようがなかったというのが現実でございまして、私どもとしましても、まじめに分割になった場合にはどういう運賃であるべきやということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  94. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 確かに、やってやれない問題じゃないと思います。ヨーロッパだって、違った国の間をオリエント急行みたいなのが通っています。そして、切符は一枚の切符でもって買えるようになっています。しかし、向こうでいろいろ様子を聞いてきましたけれども、たとえばフランスからスイスを通ってイタリアへ行くというような列車の場合は、フランスの領内はフランスの運賃、スイスの領内はスイスの運賃、イタリアの領内はイタリアの運賃がそれぞれ積み重ねられるようになっています。日本私鉄だって、私鉄私鉄との間を相互に乗り入れる場合には、こっちの私鉄の運賃とこっちの私鉄の運賃と、そのまま積み重ねられるようなシステムになっています。  だから、私が言ったのは、やってやれないことはないけれども、割り高なものになるだろうというんです。遠距離逓減制といったような気のきいたことはできないのじゃないのか、割り高なものになるのじゃないのかということを言ったわけです。その点、どうですか。
  95. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 遠距離逓減制といったようなシステムはなかなかとりにくいと思うわけでございます。いまの東京でやっておりますやり方も、併算といいますか、それぞれの運賃を足したようなことを中心にして基本的には考えられておるわけでございます。ただしかし、それでは大変割り高になるかというと必ずしもそうは言えないのでございまして、それは一種の特殊切符の割引制といったようなことを通じて考えることができるわけでございまして、遠距離逓減システムは困難でございますが、そのことが直ちに割り高になってしまうというふうにはつながらないのではないか。フランスとスイスとイタリーの間におきましても、それぞれの鉄道企業としてはやっぱり何とかお客さんにたくさん乗っていただきたいわけでございますから、その運賃が飛行機や自動車と比べてどういう水準になるかということをそれぞれ相談しながらやっておるわけでございまして、やはりそこは商売でございますから知恵を出すということになりましょう。遠距離逓減制以外の方法をいろいろと考えるということになろうかと思うわけでございます。
  96. 青木薪次

    ○青木薪次君 いま総裁は、分割民営化されたような場合に対処して運賃の問題を言った。しかし、これから、たとえば車両が全国を回って歩くわけです。これに対する検査、修繕、あるいはそれを最寄りの基地において検査、修繕をするというような問題、あるいはまた北海道を発車したものが、道内を歩く場合はいいけれども、青函トンネルを通すといったような場合における東京なら東京に乗り入れる関係におけるダイヤ編成その他の問題等について、全国的規模でもって計画立案がなかなかできなくなるという問題もあります。それから、運賃あるいは人件費の精算、その他の関係等についてもこれはきわめて大変、しかも資材その他の関係あるいはまた全体的に工事に対する資金の投入その他の関係等については、私は不可能になってくるのじゃないかというように考えているわけであります。その点について、どう考えますか。
  97. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ヨーロッパの例を見ましても、それぞれ国は別ですから鉄道経営主体は別でございますけれども、一種の連合体のようなもの、これがどの程度法律的なものかというのは私もよく存じませんが、一種の連合協議体のようなものをつくりまして、そして運賃その他についていろいろと協議をして物事を進めるということになっておるわけでございまして、恐らく、もし臨調答申のように複数に分割されるということになりました場合には、どうしてもそういう連合協議体が必要になってまいろうかと思います。  それから分割が非常に困難な問題として、たとえば技術水準を維持するための技術研究所の機構をどうするかとか、あるいは車両の設計基準等、あるいは車両の基本設計等を行いますところの車両の設計事務所といったようなものをそれぞれが持つのかあるいは共通に持つのか、あるいはまた構造物の維持なり検査なりといったような問題、あるいはいまお触れになりました全国運用で現にやっておりますところの貨車の検査の問題といったような問題は、分割した場合に独立した会社が引き受けるのかあるいは相互に契約を結んでやっていくのかというような形になっていこうかと思うわけでございまして、いまの概念では非常に取り組みにくいのですけれども、分かれた場合には分かれたなりで知恵を出す余地はゼロではないわけでございまして、それらが今後、分割民営論を議論する場合に、監理委員会に対してわれわれがどんどんと材料を提供して討議をしてもらうということになろうかと思います。  その意味で、再建監理委員会というところが分割なり民営なりという問題を議論されますときには、われわれとしては、特殊な技術的な問題を含めて、相当いろいろなことを御説明しなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  98. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 要するに、大変に困難である、一言で言えばそういうことなんですよ。  それからもう一つ、運賃の問題でお聞きしますけれども、北海道なんかの場合は営業係数が非常に高いです。これはみんな赤字なんですから。それから九州も同様に高い。四国も高い。そこへもってきて青函トンネルとかあるいは本四架橋とかいったような費用もかかるかもしれない、一部負担するようなことになるかもしれない、こういう状態にある。だから、そうすると、北海道なり九州、四国なりというものの分離というものをやってみて、運賃を上げずに、国から助成をもらわずにしかもやっていけるんだというようなことになれば、これは問題ありません。しかし、そういうことは恐らくできないでしょう。そして、もし分割をした場合の北海道なんかの場合は、現状でもって運賃を何倍ぐらいにしなければならないのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  99. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在の私どもの運賃システムの最大の弱点は、全国一本の運賃であるということでございます。今度、地域分割が仮に起こりました場合の運賃問題として非常に重要な問題は、その地域ごとの国鉄の運賃とバスその他の運賃とをどういうバランスにするかという問題が非常に大きな問題になってまいります。現在では、全国一本でございますから、そういうバランスを考える余地がないわけでございますが、地域分割になりますと、北海道のバスなり他の交通機関の運賃と鉄道の運賃とをどういうバランスにするかということが、まず大きな問題になってこようかと思うわけでございます。また同時に、それは運賃システムだけではなくて、地域交通としてどういうところは鉄道がよろしいか、どういうところはバスがよろしいかという論議が、いまとは違った形で進んでいくことになろうかと思っておるわけでございます。  したがいまして、運賃だけじゃなくて、輸送形態そのもの、それから私どもが今日まで非常に強く政府にお願いしながら、うまく実現しておりません総合交通システムというものが、北海道なら北海道について、九州なら九州についてもっと具体的、個別的に議論が進むという形になろうかというふうに思います。そういう意味で、運賃だけ ではなくて、あるいはまた輸送だけではなくて、そしてまた鉄道だけではなくて、陸上の他の交通機関と総合的に議論するのでなければ、なかなかうまく新しい分割後の運賃体系ということは考えることのできないことになるのではないか、大変大きな問題があるということで、それから先のことは私どもはまだ勉強しておりません。
  100. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先のことは勉強しておられないそうですけれども、総合的な輸送形態、これもやっぱり具体的に明らかにしてもらわなきゃならないと思います。  それから、いま抽象的な話が非常に多く出ましたけれども、私どもが質問しているのは具体的な例を挙げているんですよ、北海道、九州、四国と。こういうところでできないものが本州でできるわけがないんです。こういうような問題、宿題がたくさんあります。  行管長官に対する質問は保留しましたけれども臨調答申についても、どうもわけがわからない点が多過ぎる。だから、こういう点について、もう少し内容がわかったような、われわれの理解できるような点について再度御答弁を求めまして、きょうの質問はこれで保留して終わりたいと思います。
  101. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十三分開会
  102. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、私ども、周知のとおりに、この法案賛成でございまして、臨調答申も大枠においては尊重する、こういう姿勢なんですが、衆議院議事録を読ましていただきまして、先般の参議院本会議、それから委員会の質問、どうも何かすっきりしない点がありまして、どうも反対と同じような立場から質問をしちゃうような感じはしますんですが、やっぱりすっきりさせて賛成するならしませんと。  どうなんでしょうか。分割民営に対しまして、大臣も、まだこれからできるであろう監理委員会の審議待ちという面は若干残っているとは言いながら、当然、内閣の姿勢として臨調答申尊重する、大臣としまして、この分割民営ということで国鉄経営事業再建できる、こういう確信はお持ちでしょうか。それとも、現状の国鉄の状態がうまくないというのはこれは大体一致したところなんです。どうするかというのは若干食い違いがあるわけですね。ベストじゃなくてベターだけれども、次善の策として一回やってみようじゃないか、任せてみようじゃないか、この程度なんでしょうか。いかがでしょう。
  104. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 新しいことをやるのには、なかなかいままでのなれがありますから抵抗があります。私は、国鉄再建というものは従来だれの口からも言われ、だれもまたそれを願っておりましたが、手当てをやってなおかつ効果がない。ここにおいてか、分割民営、こういう線で経営合理化、働く諸君の意欲の向上、こうしたところが臨調からの答申としてあらわれてきた。よって、私たちも一遍そういうふうに新しい冒険をすることによってお互いの心身をひとつ試練にさらけ出して、なおかつそれでちゃんと仕事があることです、予算がついていることですから、これを拡大活用することが大事じゃなかろうか、こう考えております。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、必ずしも終着点のゴールが栄光のゴールであるかどうかわからないけど、冒険する意欲だけは満々である、こういうふうに理解させていただいて、到達するゴールというものはどういうことかわかりませんが、ともかくそこに栄光のゴールをつくるために最大の努力をする。いままでいろんなネックがあって、ここで六十年めどの第四次の経営再建計画だってこれは軌道に乗るわけありませんし、先ほど総裁おっしゃったように、いつの時点か速やかに手直しもしなきゃならないとおっしゃっております。そうなると、いま私が言った次善の策である、ベストであるかどうか全くわからないけど、現状に対して、ともかくうまくはないから何かしなきゃならない。そのためには、臨調にせっかくやっていただいたものだから、それを受けて意欲的にやってみよう、こんな程度と言っちゃ失礼なんですけれども、こんなものなんでしょうか。
  106. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) そういうふうに受け取られるのは心外ですが、私たちは、国鉄が大きい場所ですから職場規律の確立ということをお互いの口からずっと言い続けました。閣議決定しました。それ以来、非常に効果が上がったことでしょう。そして、それを評価しておりますが、また一面、そうでない部面がなおかつ新聞に出ている。私は、やっぱり自分の勤労する場所、それに誠実にやること、それが自分の事業の永遠につながる、こういうところをねらうのが国鉄再建の一番大事なことである。それに対する財政的な、いままでよくされていなかったところの年金問題も改めてみんなで考える。こういうムードが私はこのたびの国鉄再建委員会設置であり、またそれを御声援される皆さん方のお気持ちでもある。こう考えまして、懸命にその線に向かって進んでいこう、こう思っております。
  107. 黒柳明

    ○黒柳明君 臨調の場合も、全く白紙から多角的に各界の人をえりすぐって人選して、そして部門別に分かれて、一生懸命努力して各部門において答申が出された。そうすると、今度の監理委員会の場合には若干性格が違うのじゃないかと思うんですが、すでに臨調答申民営分割ですから、それに沿ったやっぱり人選というものが行われるんでしょうか。  せんだって、十日ぐらい前ですか、大臣の談話で、テレビか新聞で見たんですが、この法案が成立した直後とおっしゃったのか、あるいは成立と同時とおっしゃったのか、人選をしなきゃならない、こんなのを一部の報道で私耳にしたんですが、その時期、それからあくまでもその人選というのは、そこまでやっぱり準備室なり大臣なり責任を持たなきゃならないと思いますね。設置後はやっぱり総理府、こういうことでしょうけれども。そうすると、その人選というのは白紙というわけにいかないのじゃないかと思うんですが、あくまでも最低の基準は、分割民営それに賛成をしている、こういう人をピックアップして五人委員会をつくるんでしょうか。それはいかがでしょうか。
  108. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) これだけの重要法案衆参両方で御審議いただくわけでありますし、また国民も注目しているわけでありますから、分割民営の線に沿うた委員、しかもそれは少なくとも私たちが見て、なるほどこういう人選かな、こう感心されるような、評価されるような諸君に入ってもらいたいという気持ちで、法案でも通過した暁には発表などができるならば幸いだと思っているわけであります。
  109. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、いまこの分割民営反対している層というのは完全に排除される。臨調答申ということについてこれは尊重する、しかし委員会の審議の過程において何か別の方向もあり得るということ、これはたびたびおっしゃっていますですね。一時は総理と運輸大臣意見が違っているのじゃないかなんというようなことも若干ありましたけど、決して意見は違っていないんだと。先ほども、すべて一〇〇%、万全というのはないんだ、こんな発言も大臣ございましたですが、そうすると、少なくとも基本的には分割民営賛成である、あと長期債務に対して、あるいは分割の方法を幾つにするか、あるいは先ほど言った運賃の問題とか、いろんなことがこれからあるわけですけれども、最低条件としては分割民営は賛成、これだけの最低条件のものは確保した人選というものが行われるというふうな認識でいいわけですか。
  110. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) そのとおりでございま す。
  111. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうなりますと、必ずしも、ちょっと先ほどおっしゃった——いやいや、林さん待って、いまそちらでまた言っていただきますから。大臣だっていま体の調子が悪いから、ちょっとやっぱり発言だってあれですから、いいですよ、私、賛成ですから、大丈夫ですから。  そうなりますと、私、林さんの方にあれするわけですけれども、そうすると、ここの場でも三回ぐらい先ほど社会党の先生におっしゃった、あるいは衆議院議事録を見ましても再三おっしゃっているんですけれども、人選につきまして、いわゆる一つの色を決めた人選をするとなりますと、これはいままでの政府の審議会でも、政府の隠れみのだと言われた審議会だって、そんなことを前提に人選して審議会発足したわけじゃない。あるいは大臣の私的諮問機関だって、これは大臣の私的なものですから、それこそ大臣の意を受けたそのものずばり大臣の分身みたいな人を集めてやってきたはずですよ。それが絶えずおかしいじゃないか、それは隠れみのじゃないかという反対側の批判を受けてきた。  これは言うまでもないんですが、これだけの重要法案、これは臨調答申を受け、しかも再三おっしゃっているのは、いや変わった方向も出るかわからない、出るかわからないと盛んにおっしゃっているんですから、そうすると、準備室の方がこれは当然こういう準備もやって、それから大臣に最終的な決断を求められるわけですね。最終的決断をいまここでおっしゃっていただいたので、その過程のお話を聞かなかった私の方にその責任があるんですが、準備室の方としてはどういうやっぱり最低の基準を持ってその人選をこれから——これからといったって、もしかしますと、いつか時期わかりませんですけれども、一部新聞では、一週間ぐらい前、十二日なんて出た早とちりのマスコミもあったくらいですから、それはそんなに時間がかかるのかどうか、ともかく二十六日が最終日でございますので。  大臣いまおっしゃったように、成立した暁速やかにということになると、準備の方でも相当やっぱり目星をつけておかないと、これだけの大ごとに当たるわけですから、反対意見も相当強硬ですし、しかも相当なやっぱり力を持たされた五人委員会ですから、そうなると、これに対してのやっぱりリアクションも相当あると思いますし、またもとに戻りますけれども、どういう色ということじゃなくても、どういうことを一つの基準にして選ばなきゃならないと考えていらっしゃるのか、あるいは基準なんというのはなくたっていいんだ、広く識見を持った方というのか、そこらあたりをお聞かせいただけますか。
  112. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この監理委員会、大変重要な委員会でございます。したがいまして、先ほど大臣から申しましたように、この法案をしていただきました暁におきましてはできるだけ早く監理委員会をスタートさしたい、このように考えております。  その場合、私ども準備をする立場といたしまして、やはりこういう重要な委員会でございますので、一つは、やはり広い国民的視野を持っている、高い識見と広い国民的視野を持っている人というのが絶対条件だろうと思います。  さらに、こういう重要な問題を扱う以上は、やはり、公正中立と申しますか、いろんな御意見があると思いますが、それを十分吸収した上で公平に判断をできるような人ということが必要だろうと思います。  それからもう一つ重要なことは、やはり今回がこれが最後国鉄再建の機会でございますので、熱意と推進力というもの、これを持ち合わしたお方、こういうお方にぜひお願いをしたい、このように考えております。
  113. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの条件と、やっぱり専門的ということを、いまの高い識見という中に専門的というのも含まれるといえば含まれるんですけれども、やっぱり先ほど、午前中に社会党の先生おっしゃいましたように、一番これに造詣が深いのは国鉄総裁であり、国鉄の幹部であり、当然、運輸大臣もそのお一人である、こういうことなわけですね。ですから、そのいまの条件の中の最大優先するのが、やっぱり問題は限られているわけです。臨調だなんという幅広いものを討議して、それから何かつくるものじゃなくて、もう相当これは枠が狭められているわけですわね。国鉄の問題であり、先ほど言った、この答申の中にも、二項にも書いてありますように、これは政府が適切な処置をする問題であるとか、分割民営であるとか、相当狭められているわけでしょう。そうすると、狭められればられるほど、やっぱりより専門的な知識を持った人に糾合してもらわなきゃならない。間口の広いところですと、ある程度の、識見が高いとか情熱がある、意欲があるということでいいんでしょうけど、相当枠が狭まっているんじゃないですか。  そうすると、先ほども国鉄総裁おっしゃったように、委員会には相当なやっぱり専門的なことも申し上げたいとおっしゃっているわけですから、それに総裁あるいは国鉄の人が必ずしも分割民営賛成、そういうわけじゃないし、むしろ大反対だ、こういう層だってまだいらっしゃるわけですし、そうなると、それと太刀打ちして——ただ、臨調答申するときには幅広く御意見を承ってと、こういうことでよかったと思いますよ。さらに、もしかすると、国会の場に呼ばれて、私なんか賛成でおとなしいからいいですけれども反対先生方から鋭い質問を浴びせられてもたえ得るような人選もしなきゃならない。そうすると、何よりもかによりも、やっぱり間口が狭まっているわけですから、最高の専門的知識、まずどういう答えが出るかわかりませんが、その過程においても相当やっぱり御苦労も専門的にいただくのだと思います。それが何よりもの条件というように私は考えざるを得ないんですが、いま何回も申しましたように、識見があるとか意欲があるとか、そういう中に専門的な知識というのは当然含まれるのだと思いますが、私は、ただ漠然とした識見とかなんとかいうものじゃこれは務まらないのじゃないか、こんな気がするんですが、いかがでしょう。
  114. 林淳司

    政府委員(林淳司君) おっしゃるとおり、非常に具体的な問題を検討する委員会でございますので、そういう意味合いでの専門的な観点というのがこの監理委員会には必要だと思います。  それをどのような形で監理委員会として専門的な問題を処理していくかということでございますけれども、たとえば国鉄の非常に技術的な問題というふうなことにつきましては、これは国鉄の方から十分意見を聴取するというふうなことで事足りる場合もございましょうし、いろんな形で技術的な問題は吸収できると思います。しかし、経営についての専門的な知識とか、そういうのはこれはまた別問題でございますので、そういう意味合いでの専門的な知識、その他いろんな意味での専門的な知識をできるだけ持ち合わした人が好ましいとは思います。ただ、やはりこういう国鉄問題というのは非常に重要な国政上の問題でございますので、高い立場から判断できる、そういうお方ということがやはり重要じゃなかろうか、このように考えております。
  115. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、大所高所からすべて国の施策も踏まえて、ただ単に、国鉄一つの専門的なことですけれども、これだけのことだけじゃだめでしょうな。やっぱり長期債務をどうするとか、いろんなことがひっ絡みますし、分割した場合には今度は地元の受け入れがどうなるのか、そうなった場合にはやっぱり財界とのパイプも太いとか、いろんなともかく条件がなきゃならないことはこれは当然だと思います。中立公平であり、反対側の意見もやっぱり受け入れてたたき台にする、これも当然だと思います。  ですけれども、やっぱり間口がぐっと、いま何回も申しますように、狭められた段階ですから、だから相当高度の専門的なもの、これはただ単に、今日までの国鉄経営とか、国鉄のいままでの経営と言っていいのか、公共性なり、それを知 つているだけじゃだめだと思います。先ほど言った、ヨーロッパは各国でもやっているんだから日本が分断されたって大丈夫だとか、そういう世界的な知識もあるいは経営的な能力もなきゃならないでしょう。だけれども、その五人の中には、一人になるか、二人になるか、三人になるかわかりませんが、国鉄のいまの現職以上、あるいはそれと少なくとも同等の国鉄の現状についての知識を持った人がまずいなきゃならない。五人ですから非常に狭められるわけですよ、メンバーとするとまず一人は。  それから、人間の能力ですから、あっちもこっちも持っているというわけにいきません。臨調の方でもりっぱな方いらっしゃいますよ。いままでは答申をつくるだけで、分割したって大丈夫だよ、ヨーロッパは国と国でやっているんだからというようなことで、ただ漠然としたことでよかったんですけれども、今回は五年間で移行するまでやるわけですから、六十二年の七月には完全にピリオド打つわけですから、そうなりましたらいろんな知識、その中にはやっぱり常識的には現職の国鉄人たち、しかも古い知識じゃなくて現状の国鉄の知識というものを持っている人がいないと絶対だめ、これがまず第一条件。それは兼ねている人がいればいいですけれども、なかなか兼ねるというのはむずかしいと思います、評論家的な立場じゃだめですから。  それからもう一つは、やっぱり先ほど言った経営能力、公共性を含めての。殿様商法、親方日の丸とよく言われますけれども、これは労使との関係もあるし、予算の天下り、それを受けとめるというだけのことしかないということもありますけれども、ともかく商売やっていくわけですから、経営やっていくわけですから、そういう経営能力のある人、こういう人もいなきゃならない。専門知識と経営能力を兼ね合わせる人がいればこれは一人で済むんですけれども、これはまず無理でしょうな、こうなりますと。  さらに、国鉄の現在の知識といったってこれは広範ですよ、国鉄といったって。先ほどおっしゃったように、地元のバス路線との競合とか、あるいは北海道から本州へ来たときの修理はどうするとか、やっぱり国鉄で言うと事務と技術と、こういう面が分かれていたわけです、完全に技師長というのはやっぱり国鉄の中の一つの城を築いていたわけですから。総裁、副総裁でもやっぱり技術面についてはなかなか一朝一夕に覚えられるものじゃありゃしません、世界でも最高の技術ですから。そういう技術面もやっぱり専門的なべテランの人が入ってこないとこれはなかなか、ただ単につくって、後は分割したところで何とかやってもらえばいいんだ、こういうわけにもいきません。そうなったら、これをやった今度は政府国会責任になりますからね、うまくいかなければ。  そんなことで考えてみますと、非常にいま抽象的に条件をおっしゃいましたけれども、こういうことが必然的な条件に、もっと具体的に、何回も言うように間口が狭められておりますから、条件の中にはこういうものが入ってくるのじゃないか。それから、しかもこういうものは兼ね備えている人というのはなかなかむずかしいのじゃないか。それで、そういう者を五人集めてベストというものをつくっていかなきゃならないのじゃないかという、私は素人考えでもそんな気がするんですけれども、もうちょっといま言った情熱があるとか、識見があるとか、大所高所とかいうのは、これは何回も何回も聞いているんですけれども、もう目前にこの法案成立する物理的には可能性だけあるわけですね。  そうなりますと、いま大臣おっしゃったように、その暁となりますと、その人選については非常にやっぱり問題が起こるんじゃないですか、国会レベルにおきましては。これは激突法案ということになるかならないかわかりませんけれども、少なくともはっきり賛否が明確に分かれているし、大問題なわけですよ、国家の大事業ですから。すると、そこらあたり、準備される方はいま言ったような漠然とした考えじゃなくて、相当突っ込んだ条件なんか持っているのじゃなかろうか、こう思うんですが、もしこの時点でおっしゃれるような条件があったら、もうちょっと具体的なことはおっしゃることできませんか。
  116. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 基本的には、先ほど申し上げましたような、やや抽象的で恐縮でございますが、そういう条件でやはり選考するべきであろうと思います。ただ、やはり国鉄問題というのは非常にいろんな側面がございますので、おっしゃるように、多角的な見地から検討ができるようなそういう委員構成ということについても十分考慮しなきゃならぬ、このように考えております。ただいまの時点で、まだ具体的にどの分野でどうというのをなかなか申し上げる段階まで至っておりませんので恐縮でございますが、やはり多角的な側面から監理委員会を運営していけるようなそういう人選というものはこれは重要な要素であろうか、このように考えております。
  117. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、先ほどあれしましたけれども、基本的には中立公平ということは、必ずしも分割民営に対して賛成する人だけを入れるのじゃなくて、それに反対意見の人も中には入る可能性もある、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  118. 林淳司

    政府委員(林淳司君) やはり国鉄の現状というものを踏まえまして、これを改革していく、それでよりよいものにしていく、こういう意欲を持ったお方ということは必要だろうと思います。その場合、それが手段としての分割民営というものに賛成であるか反対であるかということよりも、むしろそういう将来にわたって本当にこれを改革していこう、いいものにしていこう、こういう意欲を持ったお方にぜひお願いをしたい、このように考えております。
  119. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、分割民営賛否は問わない、条件としては、こういうふうな理解でいいですか。
  120. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 大変むずかしい御質問でございますけれども、それぞれ分割民営について賛成とか反対とか、あるいは条件つき賛成、条件つき反対、あるいはその中間、いろいろございましょうと思います。したがいまして、そういう見地よりも、やはり先ほど申しましたように、将来にわたって本当に国鉄をよりよいものにしていく、こういう観点から物事をお考えいただけるような方、こういうことで私どもは考えていきたい、このように考えております。
  121. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣委員会の審議の過程において分割民営になるかどうか、それはお任せする、そうすると、逆のことも出る可能性だけはあるわけですよ。そうすると、中曽根内閣がどこまで継続するかわかりません。同時選挙ですと、終わった後反主流に足を引っ張られてすぐいなくなっちゃうかわかりませんし、そこのところは何ともわかりませんけれども、少なくとも中曽根内閣臨調答申尊重ということは、これは実態面はわかりません、非常に疑問なんですが、少なくとも行動面は非常に疑惑が多々あるんですけれども、この国鉄再建監理法案につきましても、当然最大の尊重ということは、やっぱり具現化する、実現化することを含めて尊重ということになりませんと、答申だけ尊重しますけれども、活字だけは確かに尊重しますけれども、これをどうやるかやらないか勝手ですよなんという尊重じゃ当然ないということは再三答弁の中で出ました。と同時に、だけれども監理委員会に任せるのだから分割民営という結論が出るかどうかもまだ疑問の余地がある、こういう答弁もあったわけです。  非常にこれは、そのこと自体が中立公平な委員を選ぶという前提だからこそそういうような過程であり、結論が出ざるを得ない、こういうふうに私、判断するわけですけれども、ただ全く逆な結果が出る可能性もあるわけですね、その中の一つの結論としては。そうなったとき、これはどうしますか。可能性ですから、いま。これは大臣、いま準備室の方から可能性をおっしゃっているから私も可能性を言うだけであって、可能性としては、分割民営反対だ、民営化するのだったら、い まのままだって幾らもマイナス条件を除去すれば、いまの国鉄の体制だってできるんじゃないかと、いろんな考えがいまでもあるわけですから、全く反対の結果が出た場合でも、これは答申を尊重するという第二段階の委員会の人選をしてそれに任せる、こういうことについて、委員会のさらに結論を尊重するという約束をいまからするわけですか。
  122. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 段階的なことまで考えないで、一番大事なことは、国民的な声望のある方、よく委員になっていただくという方をどうして選ぶかということに私は腐心しているわけであります。そして、そのことによって国鉄再建させる。ですから、物には絶対ということがございませんから、いろいろ御協議の中に多少いろんな余裕が出てくるということも当然だろうと思いますが、とにかくこれだけの赤字で、それを早く補充して働く諸君を安心させなきゃいかぬ、一方は建設もしなきゃいかぬ、こういうことですと、余り時間をかけて御議論願うということじゃなくして、早く委員をお願いし、その委員の方々が、なるほどああいう人々ならばお互いも信用して、大事なことは、やっぱりみんなに信用があって説得力のあるところの委員がどうしても必要だ、こう考えてやってまいるつもりであります。
  123. 黒柳明

    ○黒柳明君 私が基本的にわからないのは、先ほどから何かおっしゃっていた、総裁が一生懸命がんばってきた、その総裁ががんばってきたけれども再建できない、四次ももう不可能だというには、それなりの総裁に対して負わされたマイナスのお荷物があるからだめなんだ。運輸大臣が最高責任者だから、ほかの介入なんか排除して、おれがやる、これでこそ長谷川運輸大臣大臣になった使命があるんだ。ところが、ここにまた屋上屋のかさが来ちゃった。その方が運輸大臣より、国鉄総裁より、国鉄の幹部より識見が高いか、視野があるか、僕はそんなことないと思う。それは大臣になる人なんですから、総裁を二期も三期も続ける人ですから、そんな識見にしたって情熱にしたって何にしたって、これからなるであろう五人よりもっと卓越したものがあることはあたりまえなんです。じゃ、なぜそういうものを中曽根総理がっくり、臨調最大の答申をし、あるいはさらに、おりてきたその窓口が狭まったところの再建監理委員会の五人委員会をつくるか。  これはやっぱりいろんな問題あるでしょうけれども、政治的介入もあったし、雑音もあったし、どうしても排除できないし、大臣だからといったってオールマイティーじゃないし、まして国鉄総裁なんというのはいろんなたががはめられているし、ともかくここでいろんなものを排除して、上からストレートに白紙の状態でこうやれ、そのとおりやりますと、一回やってみなきゃこれはにっちもさっちもいかないんだ、こういうことの方がこの五人委員会をつくるという最大の要素でありまして、私は、これをつくられた人たちが識見だとか高邁だとか大所高所なんていう形容詞を当てはめられると、さっきも言ったように、じゃ大臣総裁どうなっちゃうんだ、国鉄幹部が長年二十年も三十年もその専門の分野でいろんな仕事をし、世界一の技術を育て上げた国鉄技術陣なんかどうなっちゃうんだ、こんなことになるかと思うんですよ。  それよりも、私は端的に言って、いままでのいろんなマイナス要素が陰に陽にあったわけで、それを排除するには、いまの大臣、いまの国鉄総裁のシステムじゃできない、だから天の声をもらうよりほかにないんだという、非常にこれはそれこそ大所高所の見地からつくらなきゃならない至上命令である。その国鉄の抜本的再建あるいはそれが国家の行財政の相当の中核の、中曽根内閣の行革の目玉となるわけですし、なっているわけですから、だから、そういう意味での監理委員会じゃないかと私はストレートに、単純に思うんですね。  それが形容詞つけられて、大臣はだめなんだ、総裁はだめなんだというような形容詞がつけられますと、そうすると、何か賛成していても、総裁だって責任を感じていても、先ほどあったように、国鉄総裁は何か防波堤になるだけであって、いままで百年の国鉄の歴史というのは、何も歴史だけが線路走ってきたわけでないわけでありまして、それなりのやっぱり積み重なった代々の人間が、ストレートに言って、努力の積み重ねで今日の国鉄があるわけですから、それが国鉄責任でも、あるいはもっと言うと運輸大臣責任でもないところに、いろいろ今日のその二十兆に上る負債を抱えざるを得ないような構造的な機能があって、それは断たなきゃならないとみんな思いつつ断ち切れないで今日まできた。  だから、中曽根総理あたりが一番それをよく知っているわけですから、天の声をここでやらなきゃだめなんだという意味での委員会じゃなかろうかな、こう私は単純に考えた方がわかりいいのであって、そうじゃないと、何か識見だ、高邁だ、意欲だというと、いままでの日本の国の運輸行政を全部つぶしちゃって、この監理委員会だけがこれから新しく何か運輸行政というものについてオールマイティーで、これからはいままでのこの百年の国鉄の歴史を全部断ち切っちゃって、その人たちに一〇〇%の力を与えて、それでこれから新しいものをつくらしていくんだと。そんなものじゃないかと僕は思うんですけれどもね。  それが証拠には、国鉄総裁だって、いままでのマイナスの負債というもの、借金だけじゃなくていろんなものがあるわけですよ。全部断ち切った場合に、それじゃ今後自信があってやっていけますかと言ったら、自信ないとは言わないと思いますよ。だけれども、いままでそういう意味でのテストケースは課せられなかったわけですよ、四回の再建のプランの中では。すべて一つの枠の中でプランだけが先行してきたわけだから、これはとてもじゃないけれども、意欲だけ先行したってできないという枠がこうあるわけですから、ですから、そういうものを全部取っ払うという条件はいま与えられていませんね。  ですから、それを天の声として委員会をつくるというのだと私、何となく納得できるんです。それを先ほど言ったような条件のもとにつくっていくのだとなると、何か私は賛成しながらどうも抵抗を感ぜざるを得ない。その点、準備室長として、これは失礼ですけれども、事務的な運営ですから政治的な発言なんというのはなかなかできかねるとは思いますけれども、ですけれども、これから全部、運輸大臣を補佐しまして、国家を挙げての大事業をこれからやる責任者ですから、大臣もそれに意欲をかけて就任されているわけですから、だから、そこらあたり、ちょっとやっぱり余り美辞麗句の形容詞を並べると、何か誤解するだけじゃなくて反発を覚えてくる、こんな感じがしますけれども、間違っていますかな。
  124. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 黒柳さんの御意見に敬意を払います。私は、実は四十九年、五十年、労働大臣時代にスト権問題がありまして、いろいろ協議が行われました。そのときに、私見であるけれども日本全体が赤字の国である、しかしこれは一億人国民がいるからいろんな方法で黒字にすることもできる。が、一方、国鉄はお客さんを乗せる。乗らない人がおるならば収入が上がらない。ところが、この収入が思ったより上がらない。そして赤字の借金がふえている。この借金はどんどんふえる。そうすると、国全体の赤字を減らすのより国鉄赤字を減らす方が大変むずかしい。そこで、総理大臣運輸大臣国鉄総裁が、本当に裸になってこれは再建するという気分を持たなければだめなんじゃないでしょうか、こう申し上げたことです。  そういう意味からしますと、ただいま黒柳さんがおっしゃったとおり、新しいそういう気持ちをこの委員会皆さん方が盛り上げていただいて方向を示していただくことを心から私は敬意を払うのです。何といたしましても、みんなに影響力のある、信用のある方々が国鉄を本当に直そうとするのだというのに賛成してもらうような気分が大事である、こう考えて、絶対的にどうこうじゃなくして、いまのようなフレキシビリティーのある 中に国民の賛成を得たい、こう思っているわけです。
  125. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 若干補足をさしていただきますと、この監理委員会の性格について先生お触れになったのだと思いますけれども、この監理委員会は、私ども御提案申し上げておる法律によりましても、第一条の基本方針に従って所掌事務を遂行していただく、すなわち臨調答申を尊重する、この基本線に従って仕事をしていただく、こういうことになっておりますので、やはりこの監理委員会は、まずはその方向で、最初は白紙の状態からいろんな可能性を検討するのではなくて、分割民営化という臨調答申の基本線というもの、この線を踏まえて検討を進めていただく、こういうことになろうかと思います。
  126. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、いまの段階に来まして、総裁にこういう質問してもしようがないとは思いますけれども、確かに総裁になってから再建プランも立てて、なかんずくいまの六十年をめどに立てましたけれども、これは軌道に乗らない、これははっきりしているわけです。ただ、衆議院を通じて、参議院でもいろいろ質問が出ましたように、総裁がやりにくい——やりにくいというよりも、再建なんかできないという要素も幾らあったことは、これは常識的に間違いないわけでありまして、そういうものが排除されたとすれば、長期債務を棚上げにするとか、いろんなそういうマイナス要素ですよ、予算の枠というものを若干、天下りじゃなくて、大蔵の予算だけじゃなくていろいろなものがあるでしょう、そういうものを排除すれば、分割民営だって、答申が出る前に、いまのこの公社の形態じゃなくて、国鉄がいまの国鉄という中においてブロック別にやったっていいじゃないかという意見が出ましたですね。  そういうものについては、現状においては国鉄総裁としては完全にギブアップである、もう国鉄経営事業再建なんというのはどうやったって私たちはできない、こういうことなんですか。それとも、いやいや、私たちがいままでの国会での附帯決議だって、やれたことが半分、やれないことも半分、その附帯決議もやっていただければ、こちらは再建の軌道だっていまよりは乗っていたし、さらに、先ほどから何回も抽象的に言いますけれども、いろいろ国鉄側に枠をはめられたものを、これを排除していけば、分割民営じゃなくたって、いまの体制で分割したって十二分に再建はできる、こういう自信はおありですか。
  127. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 大変むずかしいお尋ねでございます。もし、いまのままでもうまくいけるのだということであれば、今日ただいまもう少しうまくいっていなければならないわけでございまして、私の及ばざるところもございますけれども、やはりいろいろな制約がありまして思うように進んでないという事実はやはり否定できないと思うわけでございます。  それでは、もし分割民営をしなければ何ともやりようがないのかということになりますと、いまもちょっとお触れになりました、先ほど他の委員の御質問にありましたように、かねがねから当委員会あるいは衆議院委員会等で御指摘になっております点について、もう少し政府の御理解をいただけるならば相当程度のところまではやれることは間違いないわけでございまして、大変歯切れの悪い答弁でございますけれども、しかしそれは事実として申し上げられるのではないかというふうに思っております。  ただ、むしろ困難は、現在財政全体がこういう状態になって、行財政改革が国のお仕事の中心の柱になってまいりましたから、したがって、しばしば両院の委員会から応援をしていただいたいろいろな御提案というものもなかなかまた実現ができないという状態であるわけでありますので、その辺を、つまりわれわれの赤字の問題とお国全体としての財政再建の問題との調整をどなたかが積極的にお進めいただくということがいままず大事なことでございまして、そういう意味では、私は民営分割論ということとは別にいたしましても、やはり強力な再建委員会でその辺の道を求めていただく、決めていただくということがどうしても必要ではないかと思っております。  お尋ねに対するお答えにあるいはならないかもしれませんけれども、絶対にできないとも申し上げられませんし、いや絶対このままでもやれますともなかなか申し上げられないというところでございます。
  128. 黒柳明

    ○黒柳明君 林さん、当然、いまの段階に来て総裁の方に聞いても時期的にちょっと御無理かと思うのですけれども、だけれども政府の理解があれば相当のところまでできそうな感じがするというようなことはやっぱり大きな一つのポイントだと思いますけれどもね。  それから、先ほどの人選の中で、臨調でこの答申をつくってくれた人が監理委員会のメンバーの方にと、こんなこともマスコミの活字の方では、先走っているのかどうか、予測記事として出ておりましたけれども、そういうことは当然考えられるんでしょうね。結局、ここまでやっぱりいろいろな資料を分析して、意見を聴取して、それでやってきた人ですから、その人が何もこの再建委員会から、その人は入っちゃ困る、あるいは入ってもらっちゃ困るということはないんでしょうね。やっぱりその人も含めて、あるいはむしろ逆に言うと、その人の方がいままでの熱意さもあったし、一生懸命やってくれたのだから、そういう人も入ってもらいたい、あるいは入る可能性は十二分にある、こういう理解はいいでしょうか。
  129. 林淳司

    政府委員(林淳司君) おっしゃるとおり、この委員の選考は、幅広く各界から選考することになろうかと思いますので、先生御指摘の、その臨調委員を経験した人を排除するということはございませんで、それは当然その選考範囲には入ってくる、このように考えております。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 この監理委員会は、臨調と当然性格が違うので、ここには「非常勤」とも書いてありますし、「五人」と。この五人と決められたのには何か根拠があるんですか。特別にないんですか、五人というのは。これは大臣の方ですか、林さんの方ですか。
  131. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 五人という数字でございますけれども、通常の審議会等でございますと、二十人とか三十人とか非常に数が多いわけでございますけれども、やはり今回は白紙の立場で何か新しい政策と申しますか、これをやっていくということではなくて、臨調答申というものはすでに存在しておりまして、これを踏まえて検討を進めていく非常に具体的な作業でございますので、余り数の多い委員ではかえって効率性を阻害するのではなかろうか、こういう考え方が一つございます。  それからまた、それじゃ三人ぐらいでいいかという議論もあったわけでございますけれども、やはり先ほどからいろいろ御議論がありますように、国鉄問題というのは非常に多角的な見地からの検討が必要である、こういうこともございまして、やはり三人では少なくて、五人ぐらいがいいのではなかろうか、こういうことで効率性の面とそれから多角的な検討が可能であるという面、両方を勘案いたしまして五人という数字で御提案を申し上げておるということでございます。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、その答えを出す作業をやる過程において、先ほど専門的なことは国鉄に聞けばいいと。そうすると、やっぱり臨調委員と同じように各方面からの意見を聞きながらまとめるということをやるんですか。もっとはっきり言うと、政治家との接触もやるんですか、各党と対話したり接触したり。臨調のときのあの対話も必ずしも各党の御意見を承るということが、意見を聞いて、それをいい意味で答えを出す材料にするということなのか、それともたてまえだけでやるのか、そこらあたり非常に微妙なものがあったと思いますね。ただし、反対であろうが賛成であろうが、広く意見を交わすことは結構なんです。  ただ、今回の場合は、分割民営という路線が相当決まっているわけでしょう。そうすると、それと今度は、いままでの臨調答申をつくるときの各層との対話と、この次の非常に間口が狭められて 専門的な、より技術的な、具体的なものをつくるという作業の中においての幅広くの対話というのは、おのずからやっぱり角度、考え方が違わざるを得ないし、特に政治家との接触というのは臨調答申づくりとはちょっと違うのじゃなかろうかという感じだけしますが、ただ先ほど言ったように、専門的なことは国鉄に聞けばいいというような話がありましたものですから、この監理委員会で答えを出すまでの意見というのは密室で作業してぽこっと出すということじゃないとは思いますよ。ですけれども臨調の場合だって分割民営ということについて非公開であったし、議事録は公開できない。それじゃ政府、なかんずく大臣はどの程度分割民営についての裏づけの根拠は御存じだったのかなと、私はそこらあたりもちょっと疑問に思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  133. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 監理委員会の運営でございますけれども、やはり国鉄の問題、従来から各方面で非常に議論もございましたし、関係する方面も非常に多いと思います。したがいまして、監理委員会意見をまとめていく段階におきましては、できるだけその関係する方々の御意見を幅広く承っていくという運営を多分、これはいまの段階でまだ監理委員会発足しておりませんので、委員会の運営の問題でございますが、そのような方向で監理委員会としても御判断になるものと、このように考えております。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、先ほどから話ありました議事録の非公開ということ、大臣分割民営ということを最終ゴールだけで、あと過程というものについては余り承ってはいないんですか。相当やっぱり議事録なんかをお読みになって、具体的にこうすれば、分割民営にすれば大丈夫だからと……。
  135. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いままで、そういう議論は聞いておりません。
  136. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、先ほども冒頭に分割民営ということに一〇〇%自信があるんですかといったら、それは一〇〇%あるとは私受け取れないような、極論すればともかくやってみるんだ、こういう意欲が先行しているような感じがあったんですが、少なくとも部会では幅広く意見を聞き、それからさらに国際的にも知識を持っていたわけですし、それもかみ合わせてやったその議論というものは、非公開ということは、やっぱり最終結論についての個人的ないろんなデメリットというものが、当然立場がいろいろありますから、あるかと思って非公開にしたのだと思いますけれども、審議の過程というものについては相当分割民営で大丈夫だという自信がなければ答申なんか出やしませんし、その答申を尊重するというのは、委員を信ずるということから人選したわけですから、政府が信ずるということからある。その信ずる中においてやっぱり委員の方も自信を持って検討した。その検討したというのは、相当細部にわたって検討したものがあることは間違いないと思いますけれども、そこらあたりは鉄監局長は相当御存じなわけですか、その審議の状態。  分割民営ならば一〇〇%大丈夫だという答申をしたのかどうかわかりませんよ、あの人たち心情的には。聞いてみたわけじゃありません、国会の場で聞けやしませんから。ですけれども、少なくとも責任を持って答申したわけですからね。そうすると、しさいにわたって裏づけというものを相当審議の中に積み重ねてきたんですか。それとも、失礼ですけれども、いや分割してあれしたって、並行して私鉄だって走っているのだから料金体系はどうでもなるよ、それはヨーロッパだって国と国行っているのだから、そんな修理やなんかどうでもなるよという、そんな漠然としたような論議しかしてないんですか。そこらあたりは、議事録というものは運輸省当局というものも含めて非公開なんですか。見てないんですか。
  137. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 私も、議事録と申しますか、詳細なやりとりというのは拝見いたしておりません。したがいまして、向こうの事務局がそれぞれの会議に立ち会っておられますので、要点等、あるいはわれわれが疑問とするようなところ、あるいはどういうような御議論があったかというような話というのはわれわれも承っております。その承っておる中での過程においては、臨調の中で分割民営論に関しまして非常にいろいろ具体的なデータに基づく御議論があったというふうに聞いております。
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど、理事会でこれから検討するということになっているので、検討しなきゃならないと思うんですが、相当やっぱり中曽根内閣答申を尊重するという全面的な信頼をしたわけですから、それについて相当な議論の中に細部の積み重ねはあって、試行錯誤もあって、それから相当の知識もそこに盛られて、そして分割民営にたどりついた。こういうものが万が一ないとしますと、これは仮定の話になりますので失礼な話かと思いますし、いまその答申を審議しているのじゃなくて、再建監理委員会の方の審議をしているわけでありますから、もうすでに汽車は東京、新橋でもたもたしているのじゃなくて、博多に到着する一歩手前であるか、下関か、あるいは岡山か、大阪かわかりませんけれども、そういう段階にいるんですけれども、もう一回、やっぱり何か、私は先ほど一番冒頭に言ったように、どうも賛成でありながらすっきりしないものがあるということにつきましては、少なくとも私、十八年の経験では、うそにせよ、大臣は一〇〇%自信を持ってうそついたわけですよ。それから局長なんというのは、それをカバーすること二〇〇%うそをつきながら私たち丸め込まれてきたわけです、私なんか人がいいですから。  ところが、いまのこの法案については何だか、私、さらにもう一倍運輸大臣をカバーしなきゃならないかなという心情にならざるを得ないような自信のなさというものがありましてね。そうなると、これからどうなっちゃうんだ、社会党の先生にやり込められちゃったら、おれたちどうなっちゃうんだという、賛成の立場で私たち不安が増しているわけですけれどもね。いままでは少なくともどんな法案にせよ、正直なことは正直で端的に述べていただいているということはありますけれども、もっともっと自信を持ってきたんですけれども、どうもこの臨調答申ということ、御自分たちでつくったものじゃない、御自分たち苦労してまとめた法案じゃない、こういうものがどうしてもあるのかなと。  だから、臨調答申、しかも中曽根総理が当事者になって尊重するんだ、尊重するんだということが全面的に出て、これが先行しちゃって、何だか問題があっても中曽根内閣にいるうちは総理と意見が違ったら大変なんだからというようなところで、どうも何かそういうものが先行してきて、私たち臨調全面賛成だったんですけれども、財政問題になったら反対立場になった。増税なきといったって増税を示唆しているじゃないか、後になって。だから、何も臨調尊重するといったって、これはケース・バイ・ケースでありまして、一〇〇%臨調尊重する、全部賛成だよという前提を設けたわけじゃありませんから、そんなことはいいんですけれども、やっぱり財政問題では私たちもどうも臨調は増税なき財政再建とはちょっと違うのじゃないか、そこらあたりはっきり明示していないぞ、おかしいぞというクレームもつけています。  ですから、何か答申というものについて受けたから、失礼ですけれども、自信がないようにこっちが受けるだけかわかりませんよ。さらに言うならば、その答申自体にもこれを全面的に尊重するということについて、どういうものを検討し、どういう意見が出て、どういう具体的のものがあったのかわからないというところにも、何かそこの国会の場においての自信を持った発言が出てこない原因が、あるいはこちらが感じられるかどうかわかりません。感ずるにしてもそういう感ずる面があるのかなと、こんなことがしますので、ひとつ万が一でも、再建委員会をつくった、そこでともかくやってみてくれや、おれたち国鉄も、運輸省も、政府もどうしようもできないんだからと。五人委員会、ここも何もまとまらなかった。まと まるにしたって、こんなものやったって再建なんかできないことは見え見えじゃないか。こういうものになって、六十二年の七月にはどうしようもなかった。そのときになって、初めていやいや実はなんて言ったって、これは防衛論議でよく政府が言うように、もう繰り返しはできないんです。これは繰り返しできないのは、国家の安全保障だけじゃありません。これだけの大改革するわけですから、もう取り戻しなんかできませんよ。だけど、何となく天の声で……。  反対派というのは非常に主張を持っているんですけど、賛成派でも私たちだけですかね、不安なのは、あいまいなのは。何か不安材料があるんです。臨調答申の裏づけなり、そこらあたり、もうちょっと賛成派につきましても納得できるようなひとつ材料が提示できるのか、いまの段階で。それが必ずしも議事録が公開されたから納得できるかどうかわかりませんよ。何だ、こんなもので審議したのかとなるとよけい不安が増しちゃうというようなことも、もうちょっとそこらあたりが何となくというものがあるんですよ。そこらあたり、ひとつ大臣——大臣はそんなことはないと思います。局長や林さんは一〇〇%そういう裏づけを含めてやっているのだと思いますが、いま申しましたように五人の人選、これはもうそんながたがたしないと思います。いまのままの賛否のままでいくと思います。それからだと思いますよ。  それで、六十三年といったって、すぐたっちゃうわけですから、四年や五年たっちゃう。その過程においていろんな問題が出てくるわけですから、その過程において取り返しがつかないようなことになると、そら見ろ、だからあのときの臨調の姿勢はどうだったんだ、審議はどうだったんだ、そのときは答申を尊重するということだけじゃだめだったのじゃないか、もう一歩さかのぼって、そこらあたりも私たちの認識の甘さがあったのじゃないか、こんなことをそこになって言ったってこれはどうしようもないわけでしょう。ですから、私たち臨調は尊重します、あれだけの人たちが一生懸命になって私的なことをなげうって公的な面で働いていただいたわけですから。だけれども、これだけの抜本的な大事業をここでやろうとするからには、もっともっと裏づけというものを、確信というものを、賛成なら賛成なりの自信というものを持って、それで六十二年七月のそこに至るまでの過程というものを全面的に私たちもバックアップしていかなければいけない、賛成したんですから。途中で反対なんかに変わったら、これは大変なことです。  そういうようなことなんですが、ここらあたり、長々しく話をして申しわけないんですけど、大臣、どうでございましょうかね。
  139. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いろいろ御心配いただきましてありがとうございます。答申を尊重して監理委員会法案をこうして御審議いただいているわけですけれども、何でも最後までいってみなきゃわからぬところも、お互いの知恵でございます。しかし、私自身は、今度が国鉄再建最後じゃなかろうか。いままで四回、五回とみんなでやりました。そして、事業の拡大、さらにはまた運賃法も国鉄の方にお願いしたりして、しかしなおかつ制約があった、なおかつお客さんが減った、なおかつ労使の間に問題があった、こんなことなどが積もり積もって今日に及んで、それが二十兆円、そしてことしも二兆円、どこでとまるかわけがわからぬ。ならば、臨調皆さん方が国政の最大なる財政問題としてこれを取り上げて、この法案でいってみて、それを政府責任を持たせるという形で来ていることですから、途中御審議された一つ一つの議論は、私も記録などにあらわれておりませんからわかりませんが、結論を見まして、これは御信用申し上げて、われわれの時代にやっておかなきゃ国鉄が来年、再来年はどうなるかわけわからぬ。そこで皆さん方にお願いしているわけでありまして、これは最後最後まで詰めてみなきゃわからぬけれども、私はお互いの努力でここでうまくいくこと、それを絶対にやらなきゃならぬ。  おとつい、私のところにイギリスの国鉄総裁が参りまして、イギリスの国鉄日本の十倍以上線を切っている姿を見ている。そして、去年あたりから単年度で黒字になった。私はそのとき申し上げました、組合の非常にお強いあなたの国がどうしてそういうことをやれたのでしょうかと。こんなことまで実は話したのですが、その詳しい会議録は後で大臣に送りますと。私は、イギリスは日本国鉄の大先輩、大恩人でありますから、イギリスのおかげでわれわれは国鉄を学び、国鉄を敷いたのですから、そこで、ぜひそれじゃそういうふうな計画書というのか、記録をお願いしますと、こう申し上げたら、彼は帰りに、あなたも国鉄を愛しておることを尊敬します。私も素人から国鉄総裁になりましたが、六年間でここまでみんなの応援でやり上げることができました、こう言われて感激したことであります。  これほど熱心な委員会皆さん方に、私が持っている情報かれこれをお隠しするようなことはございませんで、ぜひひとつここは、いまから先どう展開するかわかりませんが、誠意と誠意で話し合いながら再建委員会をおつくりいただきたい、心からお願い申し上げます。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただ問題は、この法案を通すことじゃなくて、六十二年の七月までに経営内容事業再建させる、赤字から黒字に転換させること。そのときは、失礼ですけれども大臣責任の当事者じゃないわけでして、ここにいらっしゃる人は、総裁もそのころは盛んに横目で、あんなものはできるかい、ざまを見ろなんてなことで横目で見ているか、おれに任せればよかったのになんて。林さんあたりですね、当事者は。鉄監局長は次官あたりで、これも当事者じゃなくなっちゃう。そうすると、林さんあたりが一番の当事者になっちゃってあれですが。  冗談は別にしまして、やっぱり大臣、これは通すことに意味があるのじゃなくて、これがスタートですわな、言うまでもなく。それから本当にこの五人の人を盛り上げて、あるいはこの五人の人がどういう妙手を出してくれるか。それについては、いまの大臣のお言葉、いままでのあれでも皆目だれもわからないわけですな。皆目わからない、こんなものは。再建できるのか、できないのか。そうなると、民営がいいのか、分割はどういうものがいいのか。これは本当に、こう出たとしたって、やってみなきゃわからない。すべて、極端に言うとやってみなきゃこれはわからない、案ができたって。案ができるまではやっぱりすべて机上のプランですからね。それを実行に移してみて、それで初めて、それでもお客離れしちゃったらどうしようもないわけですしね。あるいは公共性についても、確保したつもりでも地元からまたクレームが出たらこれはどうしようもないわけでしょう。そこまでは読みなんかできやしませんから、ともかくすべてこれはやってみなきゃわからない。  こういうものを前提にして、それで五人の人の天の声を中心にして、意欲的にひとつ運輸省国鉄もこれをバックアップしてやっていくんだ、こういう非常に何か意欲先行型、努力が続いていく。だけど、結果は非常に不明瞭、こういうような感じがしますね。その点が、逆に言うと、国鉄総裁あたりは、まだまだおれたちに任せれば、あるいは任せればとは言わなくたって、非常に不安が多いなと、こういうようなことをちらちらのぞかせる原因にもなっているのじゃないですか。ですから、私たちも賛成という立場から全面的にこの五年間は、これでおしまいになるわけじゃありませんものですから、これこそ勝負なわけですから、大臣がただ単にこの法案を通すだけに執念を燃やしている、これじゃ困るわけでして、その法案を通して、それでやっていただくその内容の充実までしっかりして、それでやっていただかないと、いまの運輸大臣としての役職、役目を果たしたことにならないのじゃないかというような、老婆心ながら気持ちもしますので、そこらあたりひとつ、何かまだまだ私、説得されたという感じがしないんです。何か漠然としているなという感じ がするんですけれども大臣答弁も盛んにお聞きしました。  それで、総裁ですね、もう時間がありませんで、具体的なことはまたこの次ありますので、国鉄の資産の活用とか関連事業とかいろいろありますけれども、具体的なことはあれですが、六十年めどのいまの第四次の再建計画が、これはこの法案が通過した後に手直し。これは六十二年の七月ですから、そうすると、いまの六十年まであと二年間、その手直しはどうするのかわかりませんけれども、それから当然六十二年のこれを全面的にバトンタッチするまでやっぱり再建計画もう一回練り直し、こういうことになるわけでしょうか。
  141. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在の特別措置法による経営改善計画は、一応六十年時点でどこまでいけるかということで、法律でもそういうふうに予想されておりますし、法律に基づいてわれわれは提出し、政府の御承認をいただいております経営改善計画におきましても一応六十年で区切っておるわけでございます。しかし、その後、二年間の時間の経過の過程におきましてなかなか計画どおりいきそうもないという現状でございまして、現在、しばしば御説明申し上げておりますように、改善計画をつくり直す作業に取り組んでおるわけでございますけれども、その場合におきまして、ただいまお尋ねの監理委員会設置法との関係で申しますと、それとは直接の関係なく、私どもとしましては、前の特別措置法の規定ないし精神に従いまして、健全経営の基盤をどの程度にまで練り上げるか、積み上げていくかということで今後の経営を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  具体的には、たとえば経営収支で申しますと、六十年時点で、東北・上越新幹線の資本費負担を別にして一兆円の赤字、ただし、その中では特定人件費の赤がこのぐらい、地方交通線、地方バスの赤字がこのぐらい、そして幹線は収支ほぼ均衡するということで改善計画をつくってあるわけでございますが、それがどの程度までその線にいき得るか、あるいは若干時間的余裕をいただかないとそこまでいかないことになるかということをいま練っておるわけでございます。いずれにしましても、再建委員会ができる、できないとは関係なく、特別措置法による経営改善計画を練り直しながら、それの実施を図ってまいるという次第でございます。
  142. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、鉄監局長、六十年から六十二年まではどういうふうになるんですか。
  143. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) いまの再建措置法は、この監理法案との関係では、監理法案は今後の抜本的な対策としての枠組みを決めるということで、現在はわれわれはこの再建措置法でできるだけ国鉄合理化を進めたい、こういうふうに考えておりまして、法律のたてまえからいいますと、六十年までに経営基盤を確立するというのがこの現行措置法の考え方でありまして、改善計画については必ずしも六十年と限りませんので、六十年に経営基盤のある程度の節目ができて、さらにそれをスリムにするための計画をつくるということはこれは可能であると思いますので、仮に監理委員会の結論等が六十年以降できた場合に、国鉄としては六十年までに何とか現在の改善計画を見直しながら基盤の確立に努める、さらにその後も合理化をするための計画をさらに延長するなり、つくるということは可能であると思いますし、そうすべきではないかと思っております。
  144. 立木洋

    ○立木洋君 大臣に、まずお尋ねしたいんですが、大臣はこの法案について国鉄再建ということを繰り返し述べられているわけですけれども、私は、この法案というのは国鉄再建ではなくて国鉄を解体に導くものである、しかも大変な五人の委員会に強力な権限を持たして、これをつまり強行する、そういう大変な法案であるというふうに指摘せざるを得ないと思うんですね。  その点から、まず最初にはっきりさせておきたいのは、先ほど来問題になっておりますように、この設置されるということが問題になっているこの法案での委員会というのが、いわゆる臨調答申、これを尊重する。経営形態の変更という点で明確に臨調答申の中では、「国鉄事業分割し、各分割体を、基本的には民営化する。」ということが明確にされているわけです。これを尊重するということになれば、分割して民営にするわけですから、そういう方向で進むわけですから、そういう方向で進むということは、つまり国有鉄道がなくなるということなんですよね。どうですか、その点。
  145. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いまのような理論から参りますと、そういうこともあり得ます。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 だから、大変なことは、これまで続いてきた日本国有鉄道、これが事実上なくなってしまう。ですから私は、大臣、正確に言っていただきたいのは、国鉄再建国鉄を愛するということを私は軽々に言っていただきたくないんです。国鉄を愛するなら、国鉄をなくなすような法案を積極的に通そうなんてするようなことはできっこないんですから。ですから私は、本当に国鉄再建ということではなくて、国鉄をなくして別のものをつくる、そういう立場に情熱をかけられているのが運輸大臣ですよ。だから、国鉄再建というふうな言葉ではなくて、基本的にはそこに問題があるんだと。  先ほど来の議論からもはっきりされていますように、つまり国鉄再建することができないのかどうなのか、いまの国有鉄道を。これは高木総裁がいままで数年やってこられて、現に国の方である程度の配慮があるなれば、これが完全とまではいかなくても、ある程度まではできますというふうに感じられるということまで述べておられるわけですね。だから、国鉄がいままでどこに問題があって、どういうふうに直していけばできるのかということは全くゼロにしてしまって、結局は先に分割民営という結論があって、それを尊重するという立場で突っ走ってしまう、こういう大変なことだということを私は指摘しておきたいと思うんです。  そういう点から、この監理委員会が総理府のもとに置かれるわけですね。この委員会の審議というのが運輸委員会でされるということはこれはある程度私は理解できますけれども、この設置される監理委員会というのが総理府のもとに置かれるという理由がどういう理由なのか、そしてどういう経過でそういうふうになったのか、これちょっと御説明いただきたい。
  147. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) ただいまの御質問の点でございますが、経緯等につきましてはむしろ内閣審議官の方からお答えいただいた方が適当かと存じます。  実は、国鉄経営いたします事業再建、こういう問題は非常に重要な政策課題でございますし、またその再建のために講じなければならないという施策も、当然運輸省の所管のものが中心になるとは思いますけれども、それのみにとどまりませんで、それ以外に広く各省庁にまたがる、こういうことが予想されるわけでございます。政府全体が一体としてこれに取り組み、そして計画的に、かつ円滑にこれを推進していく、こういう必要があることだろうと思います。  したがいまして、国鉄再建監理委員会を、内閣総理大臣を長といたします、しかも任務といたしまして、各行政機関の施策及び事務の総合調整、これは総理府の設置法にもございますが、そういったことを任務といたします総理府に置くことにつきましては、特段の問題はないかと存じます。  なお、このような例といたしまして、たとえば総理府に置かれております審議会で実質的に各省庁にまたがるというふうな事項、そういうものに密接に関連いたします事項を審議いたしますものといたしまして、たとえば農政審議会ですとか、中小企業政策審議会ですとか、こういったものもございます。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 この法案の十四条に書いてある「委員会に関し必要な事項は、政令で定める。」ということになっていますね。この政令で定める原案を起案するのは、省庁はどこが主管ですか。
  149. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在、内閣官房に国鉄再建監理委員会設置準備室というのが置かれております。この法案の作成に当たりましても、この準備室においてその事務に当たってきたわけでございますけれども、したがいまして……
  150. 立木洋

    ○立木洋君 準備室がどこの所管かと聞いているんです。
  151. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 内閣官房に現在置かれておるわけでございます。  そこで、今度この十四条に基づく政令につきましても、準備室において原案をつくりまして、内閣法制局の審査を経て閣議決定をする、こういう手続になるわけでございます。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 この法の執行だとか、それから政令をつくって事実上具体的にどういうふうに進めるかという問題については、総理府が所管するわけでしょう、事実上。
  153. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この法案を成立さしていただきました暁におきまして、監理委員会ができた時点での問題でございますが、この監理委員会は、この法律にございますように、総理府の附属機関ということになるわけでございます。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 そしたら、ここにいろいろ問題になる、この第四条に述べられているように、「総理府に、日本国有鉄道再建監理委員会を置く。」ということになるわけですが、具体的にそういう問題点なんかをいろいろ質疑する場合に、この委員会の席上にその総理府の長官が出てきていないというのはどういう意味ですか。
  155. 林淳司

    政府委員(林淳司君) それは、この法案の御審議をいただく過程と、それからこの法案によりまして監理委員会ができた後の問題と、これは別でございまして、現在は内閣官房の設置準備室においてこの法案の御提案を申し上げておるわけでございます。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 できた後の執行に対して責任を負う所管長官にいろいろ聞きたいと。問題は、先ほど同僚議員が言いましたけれども、この法案を通すだけに熱情を置かないで、あなた方責任を持ってくれといったって、運輸大臣、後のこと責任持てないんですよ。総理府に置くんでしょう、監理委員会は。運輸省に置くんじゃないんですよ。だから、運輸大臣責任を持ってこれからの監理委員会内容についてどうこうするというのは答弁できっこないじゃないですか。総理府長官が出てきて、いろいろそういう問題について運営上どうなるのか、監理委員会の運営上。先ほど来、あなたは、それは監理委員会の人も当委員会の要請があれば出てきて答弁ができることになろうかもしれませんなんというようなことを言っていましたけれども、だけど、もしかできなかったらあなたが責任を負わなければならなくなるのですよ。やっぱり最高責任者である総理府に置くのだから、総理府の長官が出てきてどういうふうになるのかということをはっきり答弁する必要があるんじゃないですか。そういう点から言えば、これはまさに法案を通すためにだけ運輸大臣責任があって、この法律が通った後の法律の執行、監理委員会を置かれて、それがどういうふうになっていくのかということについては、運輸大臣責任を持てるんですか。ちょっとはっきり答弁してください。
  157. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほど申しましたように、この監理委員会ができた後の問題と、この法律を御提案している段階とはこれは違うわけでございまして、現在は内閣官房に置かれている設置準備室においてその案の作成に当たって閣議を経て御提出を申し上げたということでございまして、その場合、この法案のそれじゃ担当はどうなるかということでございますけれども、これについては、この法案国鉄再建監理委員会の設置のためだけの法案ではございませんで、国鉄再建のための今後進めるべき枠組み、あるいは方向性というものを備えた法案でございまして、したがいまして、この法律の実質的な内容あるいはその目指すところというものに着目いたしました場合に、この法案を担当していくのは運輸大臣が適当である、こういうことで昨年の十二月の閣議におきましても内閣総理大臣から運輸大臣にこの法案を担当するように委嘱があった、こういう経緯でございます。
  158. 立木洋

    ○立木洋君 林さん、何も私は監理委員会の設置だけがこの法案内容だと言っているのじゃないんですよ。あなたは衆議院でも一生懸命そういうふうに答弁されているから、私、議事録を全部読んできましたから、あなたが述べようとすることはわかります。しかし問題は、監理委員会が設置されて、監理委員会がどういうふうに運営されて、どうなっていくのかという問題は、これは重要なこの法案の柱とも言うべき内容なんですよ。これは国鉄再建ということを前提に述べてありますけれども、それじゃその重要な内容を聞く場合に、権限を持って将来、法の執行に対して私はこういうふうにしてやります、こういう考えでやりたいと思いますと、運輸大臣言えないんですよ。運輸大臣のもとに置かれるのじゃないんですから、この監理委員会というものは。それは国務大臣の一人としては当然責任を分担するでしょう。しかし、あと法案が通ってしまったら総理府に行くんですからね。そうでしょう、大臣。そのことまで含めてあなたが責任を持って答弁してくださいと言ってもこれは無理じゃないですか。大臣、いかがですか。——いや林さん、あなたは、さっき聞いたんだから、もうわかったからいいから。大臣、きつかったら座ったままでいいですから、答えてください。
  159. 林淳司

    政府委員(林淳司君) その点につきましては御説明いたしますが、いずれにしましても、この法案の担当というのは、内閣におきまして事実行為として閣議の席上で総理から運輸大臣責任を持って取りまとめてくださいということを委嘱されておるわけでございます。したがいまして、この法案についてはそういう立場から運輸大臣が御答弁を申し上げておるということでありまして、監理委員会ができました暁におきましては監理委員会はそれなりに独立性を持った機関でございますので、いまの段階でこれは何大臣でありましても内閣としてそれを拘束するようなことはできないわけでございまして、したがって運輸大臣としてはここで法案担当大臣としてこの法案内容についての御説明を申し上げておる、こういうことでございます。
  160. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いま林君が申されたとおりで、通過した暁には関係閣僚会議もありますし、それと車の両輪をなしてこの法案責任を持つ、こういうことでございます。
  161. 立木洋

    ○立木洋君 そうですよね。結局、法案が通ってしまえば大臣責任じゃなくなる、直接的な所管大臣として責任を負わされるわけじゃないんですから、この法の執行については。そういう点はやっぱり審議の仕方に問題があるんですよ。林さん、あなた準備室でしょう。だから将来、あなた、事務局にでもなるんですか。どういう権限でいまここで答弁されているんですか。それを、ちょっとはっきりさしておいてください。
  162. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私は内閣官房の国鉄再建監理委員会設置準備室に所属しているわけでございまして、したがいまして内閣官房において、この準備室におきましてこの法案の原案をつくりまして、それでこの監理委員会の発足まで準備を進めていく、こういうことで内閣官房の中で所掌が決まっておりますので、その立場で御答弁を申し上げているわけでございます。
  163. 立木洋

    ○立木洋君 だから、あなた事務局になるのかと聞いている。わからなかったらわからないでもいいですよ。なるならなるでもいいです。ならないならならないでもいい。はっきりしてください。どういう責任で答えているのか、はっきりしないんですよ。
  164. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私は、現在準備室の人間という立場で、政府委員として答弁を申し上げているということでございます。
  165. 立木洋

    ○立木洋君 委員長、これ、私、ちょっと理事会で協議してもらいたいと思うんです。法案の重要な内容である監理委員会内容についてどうなるのかということを聞くのについて、責任を持って答える人というのはいないんですよ。準備の段階 だけ責任を持つ、こちらの人は法案が通ってしまえば、大臣、自分の所管ではなくなるわけだから、責任を持って答えるような状態に委員会がなっていない。だから、所管のちゃんと総理府長官が出てきて、私が長官としてこの法案を執行する場合にはどういう考えでやりますと、はっきり答弁してもらわないと討論にならないんじゃないですか。いかがでしょう。これは何も委員長に文句言っているわけじゃなくて、こういうことを提言申し上げているんですが、ひとつ……。
  166. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 立木委員の御意見につきましては、後日、理事会において協議をいたします。
  167. 立木洋

    ○立木洋君 だから、私はこの審議の仕方というのが、衆議院議事録を全部読ましていただきましたけれども責任のある本当の答弁というのがないんですよ。さっき同僚議員も言われた。あいまいなんです、全く。こうにもなるかもしれない、ああにもなるかもしれない。だって、こうなりますといって責任持って言えるのかと言ったら運輸大臣だって言えないんですから、そういう内容の形で審議を何ぼやったってはっきりしっこないですよ、これ。だから、そういう形での審議でいわゆる時間を稼いで、通してしまえば後は終わり、国鉄再建はパー、そんなような審議のやり方ではだめだということを最初に強く私は指摘しておきたいと思うんです。  次の点ですが、これは国鉄政府の配慮があればある程度可能だ、完全とまではいかなくてもという高木総裁の指摘もあったので、若干この点についてお聞きしておきたいんですが、私は国鉄をなくして次のものをつくるという意味でお聞きするのではなくて、いわゆる本当の意味での国鉄再建ですよ、国鉄再建について最も重要なことは、私は国鉄がこれまで再建されるという問題が、何回か法案出されたけれども、それが本当の意味ではどこに根本的な原因があったのかということが明確に分析的に解明されていない。だから、正しい克服の方策というのが生まれてきていない。だから、何回やったって同じだ。結局、それを、情勢に急激なモータリゼーションがどうだ、いや財政危機がどうだのと言って全部他に転嫁をしてしまって、根本的な問題がどこにあるかということがはっきりされない限り、これは何回やったってだめなんだ。その結末が今日来ている。  ですから私は、国鉄総裁衆議院でも述べられていましたけれども計画と実績との違いを数字の上で見るならばいろいろ違いがあります、それは御指摘のとおりだと、高木総裁。しかし、経費の面ではほぼ計画どおりに進んでいると私は見た、ただ収入が一番狂っている、収入が一番狂っているのが問題だと思う、こういう指摘をされた。これはわからないわけではないんです。そういう点から、もちろんこれは総裁自身の責任だということで私はお尋ねしているわけじゃありませんけれども、これまでの国鉄の投資のあり方、これを総裁というお立場から見てどういうふうにお感じですか。
  168. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 投資にもいろいろな投資があるわけでございまして……
  169. 立木洋

    ○立木洋君 設備投資
  170. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 俗に設備投資というときには、一般的常識といたしましては、たとえば河川改修とかあるいは農業関係のものとかという場合には、いままでないものを新しくするというのが設備投資の概念なんですけれども国鉄の場合の設備投資の概念は、実はそれよりはるかに広いものになっておりまして、たとえばまくら木を取りかえるという場合でも、木のまくら木を木のまくら木に取りかえるという場合は投資とは考えませんけれども、木のまくら木をコンクリートのまくら木にかえるという場合には投資というふうに考えておりますし、車両を新しく買うという場合でも、どこかに線路ができて、そして新しく車両が必要になったという場合の車両購入費はこれはだれが考えても投資という概念に入ってくると思いますけれども国鉄の場合にはそうではなくて、従来、SLが走っておったものがDLにかわるとか、それがELにかわるとか、電車にかわるとかというのも、そういうふうにかわってきますと全部根っこから投資、こう概念しておりますので、そういう意味で非常に広い意味での投資ということで、実は少し焦点がぼけてしまっているわけでございます。  本来ならば、そういう投資を、取りかえ的なものと新規改良的なものとに、もっと厳格に区分して考えるべきものだと思いますが、そういうふうに混在してしまっておりますこともありまして、過去においては、たとえば新しく線路をつくるというような場合には政府から出資をしていただいた時期もありましたが、もうここ十年ぐらいはそういう例がございませんので、全部ひっくるめて借入金で賄う、ただし金利負担が余り大きくならないように利子補給をしてもらうという形式になっております。  それで、このようなことで多少とも新しくしようというときにはどうしても借入金によらざるを得ないという点は、これはいまの国鉄経営の非常に弱い点の一つでございますけれども、しかしまだまだほかの面で非常にもっと弱いといいますか、ありますものですから、今日まで私が経営責任を負うようになりましてから後も、何とか設備投資を借入金でなしにできる方法はないかということを考えたこともございますけれども、実はまだまだほかの面で経理の強化を図る必要がございましたので、私になりましてから一度もそれを出資に切りかえてもらうような交渉をするというか、お願いをするというか、そういうことはやったことはございませんので、私は、御指摘のように、設備投資を借入金によっていることが経営悪化の最大の問題であるというふうには実は理解をしていない、問題点だとは思いますが、最大の問題だとは理解をしていないというふうにお答えさしていただきます。
  171. 立木洋

    ○立木洋君 当局の方で数字をちょっと示してほしいんですが、この二十年間の国鉄の収入と国鉄設備投資額の推移はどういうふうになっているのか。それから平均してみると、国鉄の運輸収入の中で占めるその投資の比重は大体どの程度になっているのか。
  172. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) お答えいたします。  二十年というお話でございますので、ちょっと時間がかかりますが、年度別に申し上げます。
  173. 立木洋

    ○立木洋君 大体の動きでいいです。二十年間の動きと、それからパーセンテージ、比重がわかれば。
  174. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) それでは、昭和三十七年度を申し上げますが、運輸収入と雑収入で、雑収入というのは関連事業の収入でございますが、五千二百九十三億円ございました。三十七年度の設備投資額は二千四百三十九億円でございます。率にしまして四六%でございます。  それから四十年度に例をとりますと、収入は六千三百四十一億円でございました。設備投資額は三千二百三十七億円。率で五一%でございます。  次に、四十五年度で申し上げますと、収入が一兆一千三百三十五億円でございます。設備投資は三千六百八十四億円。率で三二・五%でございます。  次に、五十年度で申し上げますと、収入が一兆六千二百三十一億円、設備投資が七千六十七億円、四三%でございます。  少し飛びますが、五十五年度で申し上げますと、収入が二兆六千七百四十六億円、設備投資が一兆七十億円でございまして、三七%。  それから五十八年度の予算でございますが、収入予定が三兆一千五十三億円ございまして、設備投資が七千六十億円、二二%でございます。  いま申し上げましたように、全部の平均は出しておりませんが、大きなプロジェクトの投資の年、あるいはそれの継続投資等によりまして率がいろいろ異なっておりますが、大体三割から四割というような感じでございます。
  175. 立木洋

    ○立木洋君 その設備投資額の中には、利子だとか工事負担金は入っていませんね。
  176. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) 利子と工事負担金は入っておりません。
  177. 立木洋

    ○立木洋君 これ、ざっと数字を見てみましたけれども、一番大きな四十八年のときのことをあなたはお述べにならなかった。ここでは、運輸収入に対していわゆる設備投資が五五・三%を占めている。  ところで、全体的には、利子及び工事負担金を含んでいないわけですから、利子、工事負担金を含むと大変なものになる。いわゆる国鉄収入の五割から六割近くぐらいの設備投資が毎年やられたというんですよ。普通の会社だったらこんなことやりますか。収入の五割以上も設備に投資するなんというのは、これを二十年近くも続けるなんというようなことはあり得ない。  総裁、これはあなたの責任だということでお聞きするわけじゃなくて、あなたが責任を持ってやるということだったら、こんな投資の仕方をしますか、それだけお答えいただきたい。
  178. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 率直に申しまして、私、就任当初にその点は非常に疑問を持ったわけでございます。  それで、説明を聞きますと、国鉄は絶えずお客がふえまして、したがって設備を更新したり拡大をしたりしませんと輸送し切れないという状態が戦後ずっと続いてまいりました。その関係で、将来収入を期待して投資をしてきたというのが歴史であろうかと存じます。  むしろ問題は、私が責任を持つようになりました時期以降の問題でございまして、貨物につきましては四十五年から、旅客につきましては五十一年から輸送量が減りました。そういうふうに国鉄の置かれる地位が大変変わってきたわけでございますので、本来ならば五十一、二年ごろから設備投資を抑えるべきであったかもしれません。また、私もできればそうしたいという気持ちは持っておりましたのですけれども、たまたま東北・上越新幹線の投資というものを途中でやめるわけにはいかないという事情がございまして、今日のような状態に推移してまいりました。  五十八年度予算におきまして一挙に三割設備投資を抑制したということは、臨時行政調査会の御意見もございましたし、またその他からの御意見もございましたが、多少今日までの姿勢を軌道修正するという意味でとったわけでございまして、率直に申しまして、投資抑制の時期が遅かったということは否定できないわけでございまして、この点については私自身が重大な責任を感じておる次第でございます。
  179. 立木洋

    ○立木洋君 設備投資ということを先ほど総裁が言われた広い意味で言えば、それからいろいろと交通対策の上での競争等のことも考えて、そのすべての設備投資を何も悪だということを言っているわけじゃないんですよ。しかし、もっと計画的にやっぱりやるべきことがやれたのではないか、こういうふうなやり方をすること自身、やっぱり問題がある。こういう投資の額というのは、何も国鉄総裁だけの責任だと私は思わない。これ、もっと言うならば、やっぱり自民党の、四十八年からのこれほどに莫大に伸びてきた投資の内容を見たってそうですけれども、列島改造論、これは政治的な、いわゆるこういう形でやらして、事実上国鉄に莫大な赤字をしょわすようなやり方をやってきた自民党政府に問題があるということを指摘しておきたいのと、同時に、もう一つ聞きたいのは、国鉄の建設投資において借入金、つまり借金がどれだけの比重を占めているのか、ちょっと数字をお聞きします。
  180. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) お答えいたします。  昭和四十六年に例をとりますと、投資額は三千九百六十四億でございまして、政府から出資金をいただきましたのが当時三十五億円でございまして……
  181. 立木洋

    ○立木洋君 時間がないので、比率だけでいいです。
  182. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) 借入金は三千九百二十九億円、九九%でございます。  それから四十八年で、七千百三億というのがございまして、これに出資金が千九百五十億ございまして、借入金は五千百五十三億、七割三分でございます。  それから五十二年で申しますと、七千八百七十億、助成金をここで百六十九億ちょうだいしまして、借り入れは七千七百一億。  それから五十六年の決算で申しますと、投資額は一兆百八十五億、助成金を四百四十九億いただいていまして、差し引き九千七百三十六億円、借入金の率が九六%。  そんなところでございます。
  183. 立木洋

    ○立木洋君 道路建設だとか、それから道路は建設ですから調べてきてくれと私はきのうお願いしておったんですが、それから港湾建設、空港建設、これらでは国の援助というのは比率はどれぐらいになっていますか。比率だけで結構です。
  184. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) いまお話のありました空港、港湾、道路というのはそれぞれ公共施設でございまして、これらの施設の建設につきましては国と地方公共団体がそれぞれの財源によりまして相互に負担して、共同してつくるという形が多いわけでございます。  それで、これらの国の財源につきましては、空港では航空機燃料税あるいは空港使用料という形で利用者が財源を負担しておりまして、また道路につきましては揮発油税、自動車重量税、借入金等の形でそれぞれまた利用者が負担するという形でございます。
  185. 立木洋

    ○立木洋君 国の補助だけを聞いているんです、比重を。時間がないので……。
  186. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) はい。  それで、全体の事業費におきます国費の割合を申しますと、大体港湾、道路が四割程度、それから空港では八割程度、これが国費の割合でございます。
  187. 立木洋

    ○立木洋君 総裁、これはさっきもお尋ねして、さっき御自身の責任だというふうなことを投資の内容についてお述べになりましたけれども、しかし本来ならば、いま道路、空港、港湾、これは公共施設でございますのでと言った。国鉄というのは公共施設じゃないのか。国鉄には、これ、十年間ざっと見てみたら全部そうですよ。ある場合には全部借金。建設投資の全部借金ですよ、一〇〇%。少ないときだって、ここらあたりなんか九六%、九八%、九七%、ほとんど全部借金で建設しないといけない。一方は道路が公共施設であり、一方は空港もそうであり、港湾もそうだ。そこには四割から八割の国から補助が出ておる、建設に対しては。国鉄はほとんど出ていない。こんな状態で結局赤字がどんどん出るというのはあたりまえでしょう。  そして問題は、国鉄のこういう自己資金でやられているという問題だけではなくて、たとえば台風なんかで災害があって被害が起こる。被害が起こった場合に、国鉄の場合修理するのはどこでやるのか。全部自己資金ですよ。道路だとか港湾だとか空港だとか、これ全部国が援助するじゃないですか、七割からの。それから除雪だってそうですよ。除雪のために使うお金、機械から何から全部国鉄がやるんでしょう、自己資金で。公共だ、公共だと言っておきながら、国鉄には何にも、国は援助しようとしない、ほとんど。何にもと言ったら、これは語弊がありますから。しかし、一方ではそういう形で援助をしている。  臨調答申の中にも出ておりましたけれども、「急激なモータリゼーション」とある。急激なモータリゼーション、確かにわかります。このモータリゼーションを急激にさしたのはだれか。私はその責任の一端が政府にあると言いたい。道路をつくる。道路をつくって車がふえるでしょう。車がふえたらガソリン税から自動車重量税から全部取ってきたのが、これは全部道路財源になるんです。これを直しなさいと言っても、いままで直さなかった。それが道路財源になるから、また道路がふえる。道路がつくられると、また車がふえる。この十年間、二十年間の間に車両がどれだけふえたか。エネルギーの問題からしても、いわゆる土地の利用率からしても、効率からしても、そ れから事故の問題からしたって、国鉄の方がずっといいですよ。そういう問題がありながらも急激なモータリゼーションに対応できなかった。急激なモータリゼーション、政府がさしたんじゃないですか。そして、一方ではどんどん国鉄が悪くなる状態をつくり出しておいて、国鉄けしからぬ、国鉄けしからぬと言って、国鉄自身でもっとやればできることがある、こういうふうに言われているのに、そういうふうにしない。そして、それこそ分割民営という結論だけが先にあって、さあこれをやれ、こんなようなやり方の法案で本当に国鉄再建——もう国鉄再建というようなことを言わないんですから、われわれは国鉄再建という立場で言うならば国鉄再建はできない、こんなことでは。  結局、もう時間がないからこれ以上余り議論はできませんけれども、それで浪費の問題だけ一言ちょっとどうしても聞いておかなければならないので聞いておきますけれども、鉄建公団、AB線の五十六年度の総工事費は幾らでしょうか。
  188. 濱建介

    参考人(濱建介君) AB線の五十六年度百三十億です。
  189. 立木洋

    ○立木洋君 五十五年度と五十六年度二年間でAB線の継続工事を行っている路線の総額は幾らですか。
  190. 濱建介

    参考人(濱建介君) 五十五、五十六年度で合わせまして三百四十三億、これは決算ベースでございます。
  191. 立木洋

    ○立木洋君 決算ベースですね。  五十五年度以降、このAB線の廃止、これはいろいろ問題があるから一括的に、私が言っているわけじゃありませんけれども、そういう政策決定を行った。その後、いわゆるAB線の工事というのが事実上凍結されるべきなのが凍結されないで進行しているという事態になっているわけですが、これはどうしてそういう結果になっているのか、御説明いただきたい。
  192. 濱建介

    参考人(濱建介君) 五十五年度の事業計画におきまして、運輸省の御指導といいますか、事業計画の認可をいただかなければわれわれいけません。その時点で、すでに四千人未満の線につきましては国鉄線としての新規の工事をとめるということで、五十四年度以前の債務契約をしたものについてのみ進めております。鹿島線、内山線という二線は、これは四千人以上でございますので新規の予算をつけていただく、こういうことでございます。
  193. 立木洋

    ○立木洋君 このAB線については、五十五年の十二月でしたか、いわゆる政策決定として凍結するというふうなことがなされてから、事実上それに対して運輸省の方としては、そういう政策決定に基づいて工事が進行している内容について、いわゆる政策的なそういう決定がなされたんですから、工事のその後の状態についてどういうふうな指導をなさったんですか。
  194. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 地方ローカル線対策との関連で整合性を持たせるために、建設中のAB線について一定の輸送密度、ただいま話がありました四千人未満については建設を当面差し控えよう、こういうことで五十五年末にそういう政策を出したわけでございますが、何分建設中の一部の基準外のものにつきましても、工事の残余の契約等のあるものにつきましては、若干その後継続して建設をした線はございます。
  195. 立木洋

    ○立木洋君 私は、すべて一律的にということじゃなくて、それぞれの線についての事情があるでしょうから、それはそれなりに検討して対策を立てるということについて反対しているわけじゃありませんけれども、しかしどういう線についてどういう決定をしたんですか。具体的に中止すべきだというふうな指示をなした線があるのか、工事の継続を。なければないでいいですし、あればあると言って答えていただきたい。
  196. 濱建介

    参考人(濱建介君) いま申しましたように、五十四年度以前からの債務契約で工事が二年、三年にわたるものがございます。そういうものにつきましては、契約ももうすでにしておりまして、現地も進んでおりますので、それを途中で切ることはいたしません。
  197. 立木洋

    ○立木洋君 だから、中止したのがあるのか、ないのかと聞いている。
  198. 濱建介

    参考人(濱建介君) 契約中のものは中止しておりません。
  199. 立木洋

    ○立木洋君 いや、AB線の内容で。
  200. 濱建介

    参考人(濱建介君) その後、新しい新規の工事をその線に起こすことはしておりません、四千人未満のものについて。それで、現在では鹿島、内山という二線、これが国鉄新線としてやっております、四千人以上ということで。それからあと、久慈、盛、野岩、宮福、この四線につきましては経営を第三セクターが引き受けるということで主体が変わりまして、それについては新規の工事を現在も進めております。ですから、いまいわゆるAB線で、前の線から言いますと六線が仕事が動いておる。
  201. 立木洋

    ○立木洋君 ほかは、とめたんですか。
  202. 濱建介

    参考人(濱建介君) ほかはほとんど、お守りはしておりますが、とまっております。
  203. 立木洋

    ○立木洋君 だけど、五十五年度、五十六年度、つまり凍結が決まってから三百何十億という金、事実上工事しているわけでしょう、AB線全体について。
  204. 濱建介

    参考人(濱建介君) それは、いま申しました久慈、盛とか、そういった第三セクターになったもの、あるいはいわゆる鹿島、内山線というふうなものについて進めておる、それも含んでおるわけであります。
  205. 立木洋

    ○立木洋君 だけど、資料をもらった内容から言うと、使っているのが大部分じゃないですか、五十六年度までの決算額で。使ってないのは氷見線だとか、岡多線だとか、小国線だとか、北松線だとか、事実上、実際に政策としてはいわゆる中止する。そうすると、それを中止するように指示をして、そしてむだ遣いできないように、いわゆる廃止するということが決まっているのに工事を継続させるというふうなことというのは、これはむだになるんでしょうね、大臣。  だから、それが五十五年の十二月の段階で決まっているわけですから、そしてそれを、地域との話し合いもありますから、どうなるかというようなことも見きわめなければもちろんなりませんけれども、しかし全体としては、何も工事をそのまま進めろというふうな方向でやるべきではないでしょう。いわゆる中止できる線、地元のあれもあって中止できるところがあれば中止をして、そういう廃止するということが、もう一年か二年先廃止するということが、六十年に廃止することがわかっておって、それに金をつぎ込んで建設させている。二年、三年契約だといったって、そういう政策が決まったならば企業の側と話し合いをして中止することだってできるわけです。それを継続してやらせるということはそれだけむだ遣いになる。そういうきめの細かい政策をやっていない。私は、すべてを切れと言っているわけではない。地元と話し合いをしてやらなければならないけれども、そういうことをよく計算してみた場合に、やっぱり中止すべきことは中止すべきだということを指示して、廃止するということがわかっているのに莫大な工事費を何十億なんてつぎ込む必要はないんですから。どうですか、大臣
  206. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) いま先生お持ちの資料と同じ資料で、公団がつくったもので五十六年度の百二十一億投資した表がございますが、その中をちょっと見ますと、先ほどお話がありましたように、四千人以上あると見てつくっておりますものが、鹿島線が二十七億ございますし、それから内山線と申しますのが十億ほどございます。さらに呼子線、これは福岡の地下鉄との関連で直通乗り入れの三十一億、あるいは先ほど申しました第三セクターとしての野岩線の十四億等、百二十一億の大半はいま申しましたルールによって投資したものでございますが、先生確かにおっしゃいますように、線によりましては契約の継続ということで投資したものがあります。これはやはり公団側としましては、たとえば橋梁なりトンネル等で工事中でそのまま途中でやめるわけにもまいらな いし、契約の一つの区切りとして若干の投資をしなきゃならないというような問題もあったかというふうに聞いておりますので、百二十一億のうちおおむね現状の政策の展開に必要な経費ではなかったか、こういうふうに考えております。
  207. 立木洋

    ○立木洋君 済みません。時間ちょっと延びましたので、これで最後にします。問題がたくさんあり過ぎて、聞こうと思っても聞けないんですよ。だから、徹底して審議をしてやってもらいたいと要求しているんですけれどもね。  最後に、二つだけお尋ねしますけれども、鉄建公団の方の説明によりますと、五十五年の十二月にいわゆる政策決定がされた後、そういう問題に関する省令も通達も何もないというんですよ。何か口頭で伝えられたというようなことがあったようであるという、これは名前言わなくてもいいですけれども、そういう話ですよ。だから、そういうむだが生じないように、いまむだの問題が大変問題になっているんだから、この大変な、長期のこんな債務がこれほど莫大になっていることをどうするかと大騒ぎしているのに、大騒ぎしているしりからそんなむだ遣いをして、どんどん国鉄赤字をふやすようなやり方をしていること自身が問題なんですから、そういう場合にはきめ細かい通達を出して、在やっている工事線についてはAB線の場合にどうするのか、どの線の場合どうする、どの線の場合どうする、これは検討してちゃんときちっと報告をとって、それに対する対応をやって、むだ遣いしないようにするということをやるべきだと思う。それをやっていない。これが一つ。  それからもう一つは、先ほど来の話で——私は、国鉄総裁にだけ、きょう、お聞きしたんです、大臣お疲れだから。次のときまでに病気をよく治しておいてください、一生懸命。私、まだたくさん聞きたいことありますから。だけど、一言だけ最後に言ってほしい。  先ほど言ったように、これはやっぱり政府の政策のやり方自身に大変な問題があったんですよ、国鉄がここまで来たということは。このことを反省して、どこに問題があったのかということに徹底的にメスを入れて、いまの国鉄の状況のもとで、いわゆる全国的な総合的な交通体系を保ちながら、どうしたら再建できるのか。全くできないのか、私はそう思わない。総裁だってそう言っている。何年間か経験があった、やってきた方ですら、いろいろ私自身にも責任はあったけれども、やり方さえ変えれば、完全とまではいかなくてもある程度できるだろうと言っているんですから、そういう道に向かって本当の意味での国鉄再建を私はやるべきだと思う。そうでなくて、こんな分割民営なんて、山のものとも、それこそ何だかわからぬ、これからどうなるか。答弁を聞いたって何も責任ある答弁一つも出てこない。そういう状態でこれを白紙で委任せいなんて言ったって絶対できっこないですよ。その点についての、最後運輸大臣答弁を求めて、きょうはもう時間がありませんから残念ですが、次の機会にひとつたっぷり聞きますから、体を治しておいてください。
  208. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) ただいまのお話、参考にしながら勉強してみます。
  209. 小西博行

    小西博行君 けさからの審議で、国鉄再建につきましてぜひともやらなきゃいけない。ただ、新しく監理委員会をつくったから、あるいは臨調から答申をいただいたから簡単にできるものではない、大変厳しいというのが私は実態じゃないかと思います。  きょうは時間の都合で、実は国鉄職場の規律の問題、これは一昨年でしたか、行革のときにもいろいろ無料パスの不正発行、この問題につきましても私はお聞きしたと思います。その後かなりよくなっているというようには聞いておるんですが、ちょうどけさの新聞でしたが、国鉄助役が自殺したという非常にショッキングなニュースがサンケイ新聞に実は載っております。私は、そのことにつきまして何点かお尋ねしたいと思うんです。  何といっても、国鉄再建というのは非常に大事な問題であるし、この法案を通して前向きに進んでいただきたいというのが私の考え方なんですけれども、同時に、先ほどから同僚議員の方から何回もお話がございましたように、現在でもすでにやらなければいけないことが、特に管理の体制といいますか、職場の規律といいますか、そういう問題がどうやらまだ十分にされていないではないか、そのように私は実は思うわけです。  そこで、これは長崎の客貨車区というところがあるそうでありますが、首席助役さんが自殺しておりますね。四月十二日です。実は、自動車で海の中へ飛び込んでいるわけです。そういう問題が起こっているわけです。これがどういう原因で自殺にまで追い込んだのかという問題について質問さしていただきたいと思うんですが、この問題に対してはどのように国鉄は把握していらっしゃるのか、その経緯について説明していただきたいと思います。
  210. 坪内享嗣

    説明員(坪内享嗣君) 国鉄を挙げて再建に取り組んでおります最中に、このような大変残念な事故が起きましたことに、私ども大変大きな衝撃を受けておるわけであります。せんだって葬儀がありましたときに、私、参列いたしました折に、関係者集まりましていろいろ事情を聞いたこともございますし、それらを含めまして、概要を御報告申し上げたいと思います。  その背景を四、五点申し上げたいと存じますが、第一に、本人は大変まじめな責任感の強い人であったということでありまして、昭和二十八年から五十一年まで当長崎客貨車区に勤務をいたした。それから後、早岐、それから前任地の直方の貨車区に移りまして、ことしの三月二十二日付で首席助役に転出したわけでございます。実は、当時、長崎の客貨車区に前におりましたときに大変労働問題で苦労をしたということがございまして、長崎の客貨車区に転出することを大変へジテートしたという経緯がございます。これにつきましては、しかし当人が大変優秀な頼りになる男だということで管理局も説得いたしまして、思い切ってやってくれということで、最終的には本人もじゃやりましょうということで、客貨車区に転任をしたという経緯が第一点ございます。  それから第二点は、首席助役として転任いたしましたのですけれども、当時、区長がやはり三月の初めに転任をいたしたわけでありますが、管理局に大分長くおりまして、優秀な人でありますけれども、現場の事情に多少疎い面がなかったとは言えないわけでありまして、当人は直方で大変張り切って実績を上げたというプライドと評価がございまして、自分がやらなきゃこの職場はよくならないという責任感がさらに加わったという背景がございます。  それから第三点は、当時、例の時間内入浴の問題がこの客貨車区に起こっておりまして、昨年の十二月の二十四日から勤務内の入浴を禁ずるということで、一部の職員がそれを押して入浴したということによりまして、これで賃金カットを行ったという事実がございます。これに対しまして、二月八日から苦情処理委員会が開かれたということで、これは全体的に見ると大変異常でございますけれども、合計二十八回も苦情処理委員会が開かれたということであります。当助役が着任いたしまして、二十八日から合計六回、苦情処理委員会に実は出ておるわけであります。この苦情処理委員会が、実は審議時間が一時間から五時間という大変長い時間で原則論等が闘わされた。要するに、勤務内で入浴したのは慣行なんで尊重しろとかしないとか、そういった原則論が展開されまして、大変当助役としては苦情処理の委員として出たわけでありますけれども、精神的に大きな負担を受け、心労が重なったということであります。  それから第四点は、当助役の個人的な問題で、大変個人攻撃を受けたということであります。それは、たとえばマル生当時、われわれを踏み台にして管理者になった者が来ますと、そのような管理者を長崎に転勤さした当局の意図を粉砕しようというふうな趣旨のビラを掲示板に張り出すと か、あるいは大変言葉じりをとらえ、謝る、謝らないというふうな議論をしたとか、いろいろこのわずかな期間でございますけれども、大変個人的につるし上げというとあれですが、嫌がらせを受けたことは事実でございます。しからば、そういうことを区なり管理局が十分承知をしてバックアップしていたか、あるいは一緒に悩んだかということでありますが、当人は、先ほど申し上げたように大変責任感の旺盛な人で、あの人がまさかということを、やはりこれは率直に聞いてきたわけでありますけれども、そういうふうに申しておりますが、そういえばあのときこうだったなというようなことは反省としてございますが、周りが結果としてそれだけの応援ができてなかったという事実があります。  これら、大変簡略に申し上げましたけれども、こういった事情がございまして、大変不幸なことになったということであります。  これに対しまして、私どもも重大な、先ほど申し上げましたように、反省をいたしておりますし、少なくともこういうことがないように、いかに私ども管理者一体になって取り組んでいくかということを、これは始終われわれの中で議論をし、そういった指導もしてきたつもりでありますけれども、十分でないということが事実となってわれわれに示されたということを受けとめまして、今後とも少なくとも管理局の応援、あるいは区における本当の意味での管理者一体の原則、そういったものを中心に、そしてまたこういった問題は苦情処理委員会だけでなくて、現協協定がいま一部の組合と締結されてないという状態もございます。そういった中で、あるいは労安の場であるとか、あるいはこういった苦情処理の場であるとか、あらゆる面で現場長交渉を要求するとか、そういういろいろな面でこういった不幸な事態にならないような、私どものきちっとした態度を今後ともさらに徹底していきたいという重大な反省をいたして、これからさらにそれを強力に推進したいということで覚悟を決めておる次第でございます。
  211. 小西博行

    小西博行君 いまお聞きのとおりだと思います。ほとんどおっしゃったとおりの形だと思うんですね。  私は、現場の管理者というんでしょうか、特に私、広島なんですが、実は、昨年、四人ほど小学校、中学校の校長先生が自殺したという事件がございました。そして、いろいろ調べてみますと、どうしても校長先生という立場、さっき自殺されました助役さん、こういう立場というのは、やはり一方には労働組合という形がございますね。そして、しかもトップの方からは経営的にこうやりなさい、管理的にこうやりなさいという非常に強い指示も当然受けるわけです。したがって、小学校、中学校の校長先生が自殺した場合も、本人自体をいろいろ調べてみますと、非常に生まじめな、情熱を持って一生懸命やる、そういう性格なんですね。それだけに責任感が旺盛なゆえに、私から言いますと、やっぱりもっと教育委員会とかそういう分野の方が助けてあげればと、こう思うんですが、私どもが、たとえば文教委員会でいろんな質問をして、いろんな要請します。そうしますと、文部省の方は県とかあるいは市の教育委員会の方へ通達を出す。そうなりますと、ストレートに今度教育委員会から校長さんに圧力がかかる。校長さんはやろうと思うんだけれども、日教組の皆さん方がおられてなかなか協力していただけない。こういう中でやはりこの自殺という、全く私は同じような形じゃないかと思うんですね。  しかも、この方は、昔は国労にいらっしゃって、それから一時組合かわられまして、そしてまたもとへ帰られたと、いろんないきさつがあるようなんですけれども、結局はその区には帰ってきたくなかったんですね。さっきおっしゃったように、われわれを踏み台にしておまえは偉くなったのじゃないか、絶対に反対するぞというような形を目の前に突きつけられたということがあるんですね。あるいは掲示板に張られた。そこまでやられまして、この方はもうがっくりしたわけですね。  私は、そこでお聞きしたいんですけれども、警察庁の方いらっしゃいますでしょうか。——この事件は、実際調べてみて、明らかにいま申し上げたいろんな原因によって自殺されたという判断がされるかどうか、調査の経過についてちょっと知らしていただきたいと思います。
  212. 三上和幸

    説明員(三上和幸君) 御質問の事案でございますが、四月の十二日午後一時五十八分ごろ、長崎市京泊町一番八号先の長崎県漁連の新港岸壁に沿いまして南北に走っている県道がございますが、走行中の車両の運転手の方が前方を走っている普通乗用車からかばんが落ちたのを発見したので、クラクションを鳴らして知らせようとしたところ、その車両は岸壁に向かってそのまま走行して海中に転落した、こういう事案でありますが、その方から一一〇番通報がございまして、長崎県の時津警察署ではクレーン車などを手配いたしまして、午後四時ごろ、クレーン車で車ごと海中から引き揚げたところ、車内に国鉄の制服を着用しました年齢五十歳ぐらいの男の人が発見されたわけであります。国鉄職員等からの調査の結果、長崎客貨車区の首席助役さんであるということがわかりまして、そのときはすでに死亡いたしておった、こういう状況でございます。時津警察署の刑事課長らの検死の結果では溺死ということでございます。  この原因、動機でございますけれども、そういったいま申し上げましたような目撃者のあるような状況で、海中に走行してそのまま突っ込んだ、こういう状況でございますが、その原因、動機等につきまして同人の奥さんあるいは上司、同僚などから事情を聞くとともに、この自殺をした方の残しました遺書がかばんの中からも見つかりましたので、総合的に判断をいたしましたところ、やはり職場におきます人間関係に悩んで車ごと海中に入水した、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  213. 小西博行

    小西博行君 しかも、車で突っ込むときに窓をあけてかばんを投げた。そのかばんの中に遺書が入っている。遺書の内容につきましては、どうなんでしょうか、実際には警察の方ではもう調べたわけでしょう。私も実はこの遺書は入手しているわけなんですけど、これは個人の名前がわかりますので、これ一々、全部は読めないんですけれども、自分の奥さんの場合はもう九日の日にすでに書いておるんです。そして、いつ死のうかと思ってずいぶん苦労されたそうなんですね。そして、あとはその上司の方、三通ほど書いているんですね。  これを読みますと、本当に職場の中でどうやって皆さんの世話をしたらいいのだろうか、地元にせっかくこうやって帰ってきて、そしてがんばろうと思ったのだけれども、やっぱりだめだったという失意のどん底の文章がたくさん見られるわけです。それだけに私はこの問題がただのこの一件だけということではなくて、この十年間調べてみますと、もう二十七件実は助役さんが自殺しているわけですね。こういう実態を踏まえまして、何としてもこの問題の解決というものをどのように考えていらっしゃるのか、国鉄の方では。聞きますと、この間亡くなられた方には偉い方が葬儀に出られたというふうに聞いているんですけれども、いままではそういうことが余りなかったと言うんですね。私は非常に残念だと思うんですが、これから先の対応をどのように考えていらっしゃるんでしょうか、この問題について。
  214. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 先ほど坪内常務が現地に参りました報告をしたところでありますが、私ども非常に残念なのは、全般的に職場の規律をこの一年間全管理者が非常にがんばってよくしておる最中にこういう問題が起こったのを非常に残念に思いまして、事実をよく調べておるわけでございますが、非常にこの助役さんが一人で思い詰められて孤立されておったのを非常に残念に思っておるわけです。  たとえば現場の掲示にそのように個人を中傷するビラが張られているということが管理局に上が ってきてない、また本人がその苦情処理でいろいろ嫌がらせを受けて悩んでおるということが現地の駐在運輸長もよく把握してない、こういうことをわれわれはいままで管理局はあらゆることに優先して現場の管理者をバックアップしてやらなきゃいかぬという指導をしておりましたのですが、やはり私どもの指導に若干の欠陥がありまして、そういうことが本人の悩みにだけとまっておって、一つも駐在運輸長なり管理局にストレートに上がってきてないということが非常に私どもとしては反省をいたしております。  われわれは、この際、この問題を非常に深刻に受けとめまして、再度全管理局に、このことにかんがみまして、現場の管理者をそのように孤立させることのないように、また管理者は自分の胸の中にそういう悩みをいつまでも持ってなくて、若干組合に譲歩したというふうなことがあっても何ら恥ずかしいことではないから、即刻上級機関なり自分の同僚に打ち明けるように指示をいたしておる次第でありまして、非常に御本人には気の毒でありますが、今後このようなことのないようにますますこの趣旨を全機関に徹底さしたいと思っております。
  215. 小西博行

    小西博行君 しかも、二十八回の苦情処理委員会というんですか、さっき入浴というお話がありましたが、二十八回もこういう委員会で、言ったら、つるし上げみたいな状態じゃないかというように私は思うんですけれどもね。これも当局も入っていらっしゃるわけですよね。そういう中で二十八回もずっと詰められて、本人は六回ということなんですね、後で来られましたから。それにしても回数が多過ぎるのじゃないかと思うんですね。この問題はどういうふうにお考えですか。今後ともそういうことはやっぱりあり得るんでしょうか。
  216. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 苦情処理というのは、賃金カットを受けた個人が、自分が賃金カットを受けたことに対する苦情を申し開くわけでありまして、そう時間のかかる場ではないわけであります。この場はやはり労使双方二名ずっと当事者でありまして、関係者四人、当人入れて五人でございますが、それほど喧騒にわたる場ではないわけであります。ただ、先ほど言いましたように、喧騒にはわたっていないんですが、時間が非常にかかっておって、進め方としては非常に異常であるし、またそういう異常事態が一つも上局でわかってなかったということ、非常に残念でなりません。これはこの現場における非常に特殊な現象だと思うわけですが、こんなのは即刻打ち切って、これ以上苦情を聞く必要はないということで処理すべきだったことだと思います。
  217. 小西博行

    小西博行君 私は、今回の事件は非常に残念な事件だと思うんですね。  先ほどの話に返りますけれども国鉄再建法案というのが出まして新しい方向でひとつ改革しよう、私は非常に結構なことだと思うんです。しかし、いずれにしても現場の長ですね、助役さんあるいは区長さん、この辺の方が一番私はロードがかかる、しかも精神的に非常にまいる私はポジションじゃないかと思うんですね。それだけにどんな法案が出ようと、これは私もうほとんど変わらないだろうと思うんですよ。どうせ、一つの方針に従って、やっぱり当然やるべきことはちゃんとやりなさいということを指示しなきゃいけないし、問題があればそれはいけません、賃金カットしようと、ちゃんとそこでけじめをつけなきゃいけないという職制だと思うんです。それだけに私は大変な職制だ。それだけにやっぱりバックにいらっしゃる方々が、先ほど情報が十分入らなかったとおっしゃるんですけれども、これは私は許されないことだと思うんです。やっぱり私は、そこで合理化をやるのならやるでちゃんとしたシステムの設計というのをやり、報告制度というのを明確にして、そしてコミュニケーションを十分とっていくという体制がなかったら、どんないい監理法案ができようと絶対私はできないと思うんですが、その辺のところ、大臣、ちょっと御意見ございましたらお願いしたいと思います。
  218. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私は、現場が一番大事だと思っております。よく駅におりまして、助役さんやら駅長さんとお話をすることです、運輸大臣になる前でございますが。なったから、ひとつ内部の方はよろしく頼むと、こう言いますと、私の顔も知っています。フランクに、私たちがいなくなったら国鉄はどうなるんでしょう、こんな話が出てくるわけです。しかも、今度は国鉄再建ということで大変なときに僕も加勢するんだから、破産して私が破産の証人になるというようなことのないように諸君職場を守るためにしっかりがんばるから、とにかくやることだけやらせてくれ、実はこう申し上げて今日に至ったわけです。せんだっても、そのうちの駅の若い職員が一人自殺したというものですから、まさかいまのようなことで自殺したのじゃなかろうなと言うて慰めてまいりました。  いずれにいたしましても、そういう中においても、きのうお決めいただいたように、今度の賃金問題なども、ほかの閣僚もなかなかきつうございますが、しかし労使の協調、働く諸君に対する激励、こういう意味でカットをしないように、差をつけないようにお願いするというのも、そういう雰囲気をつくって、ぜひひとつ自分たちの働く場所を自分たちで楽しくやってもらうというふうな気持ちでございます。
  219. 小西博行

    小西博行君 なれ合いの管理者の場合は当然自殺をするまで悩まなくて済むんですね。まじめなだけに悩むという、非常にその辺が私は気をつけてあげなければいけない問題だと思います。ぜひお願いしたいと思います。  それからもう一点は、これも例のリボン、ワッペンの着用の問題ですね。これも予算委員会で私どもの井上先生がちょっと質問しておりまして、総裁からも御意見いただいておりますけれども、現在でもやっぱりワッペンをつけて、闘争用のワッペンというのでしょうか、それをつけてやっている。これはやめようじゃないかという通達を出しておられながら、やっぱり現実にやっている。この問題に対してどういうふうに処分するのか。処分すると言っているんですけれども、その辺のところはこれまた不明確である。その点に対してはどういうふうにお考えでしょうか。
  220. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 先生御指摘のとおり、昨年一年間、職場における悪慣行、規律問題、全力を挙げて取り組んでまいったわけでありますが、どうしてもなかなか直らないものの中に、ごく最近まで時間内入浴がございました。また、このリボン、ワッペンが最も執拗な問題であります。先生御指摘のように、私ども労働組合に対しまして、再建途上にあるわれわれがこういうことをやっているのは非常に国民、利用者に対して見苦しい、やめようではないかという呼びかけもいたしておりますし、旅客局長からも、少なくとも接客部門の職員はやめてくれという通達を出しておりますが、依然としてなかなか後を絶たないで悩んでおるところでございます。職場では繰り返し繰り返し点呼その他の場をかりて指導をいたしておりますし、現場長は人事考課に反映させるためにその事実を確認いたしております。これは当然昇給等にも反映さしていかなければなりませんし、悪質な者についてはその処分も辞さない決意でおります。
  221. 小西博行

    小西博行君 再三注意しても外さない者に対しては勤務評価に反映する、こういうように言っているんですね。具体的にそういうことをもうすでに何件かやっていると思うんですが、最近はこれはずいぶん減っているんでしょうか、どうなんでしょうか。
  222. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) やはり勤務評価いたしましても、事実問題としては昇給等に反映させるわけでありまして、昇給は年に一回であるわけでございまして、まだその昇給時期にも至っておらぬわけでありますが、できるだけ勤務評価に反映さして、そういうことが抑制できるように持っていきたいと思っております。ただ、これは処分だけの問題ではなくて、やはり多くの者がやっておりますので、できるだけ職員自身の自覚に訴えまし て、ほかの職場でも、そのようなことをやっているのは民間でもほとんど見られないわけでありますので、そういうことをぜひ職員に訴えて、全員がそういうことをしないように指導してまいりたいというふうに思っております。
  223. 小西博行

    小西博行君 最後にしますけど、実はきょうは、こういう細かい問題について、どうやら、行革という非常に大きな中で、細かい、実際やらなきゃいかぬ問題がいっぱいあるというように私は思いまして、この問題はいずれにしたって早くやってもらわなきゃいけない。そういう問題だけに、まずこれはやったんだということを国鉄の内部から実績で示していただきたい。  前に私が質問した一番最初に返りますけれども、例の組合発行の無料パス問題、これは実際は当局の方、管理者の方もみんな知っているんだけれども、現実は知らないような顔をしているというのがあるんですね。また、そこが非常にわからない問題なんですよ。ですから私は、この問題というのは、一般の組合員を責めることも当然なんでしょうけれども、やっぱり管理者層、この方々がもっと真剣にこの問題を考えてもらわないと、決してなれ合いというやつはなくならないだろう。その辺をぜひお願いいたしまして、私はきょうはこれで終わりたいと思います。
  224. 田英夫

    ○田英夫君 国鉄の現状からすれば、しかも今回こういう法案が出ている中で、いささか、余りにも根本的で、急場の問題でない御質問になるかもしれませんが、むしろ私は、国鉄がいまこういう状態になっているということを考えたときに、逆に最も根本的なところを政治の立場で考えないと、幾ら今度こういう法案をつくって五年間御審議をいただいても、政治の根本のところがきちっとしていないと国鉄再建はおぼつかないのではないかという気持ちで、ひとつお聞きしたいと思います。  それは、一つは、いささか政治哲学的な話になりますけれども、いま日本の政治の中で、いわゆる三K赤字という、国鉄、健保、米、これは変な表現かもしれませんけれども自民党の政権の中でいわばやや社会主義的な手法を取り入れた三つの問題というふうに言えるのではないかと思うんですね。その三つの問題がいずれもうまくいっていないということは、何か一つここに問題があるのじゃないかという、そういう観点をもって国鉄を考えてみたらどうだろうか。つまり社会主義的な手法、社会主義的なやり方というのは、長所ももちろんありますし、私は、だからこそ社会主義はいい点があると思っておりますが、同時に欠点もあるわけですね。しかも、日本のいまの経済体制というものが、資本主義的な自由経済のすべてがそういう体制の中にあるときに、きわめて基幹的な、つまり鉄道の問題と主食の問題と国民の健康の問題というきわめて重要なところがなぜか違った手法を用いているというところに基本的な問題があるのではないかという、そういうことが考えられるのじゃないか。  社会主義的な手法を用いているところは国家としてもたくさん存在するわけですけれども、そこではいずれも実はこの問題で悩みを持っている。つまり長所はありますけれども、短所として、一つは、能率が上がらないといいますか、これをどうするかということで、たとえばソ連の場合はノルマを課すとか、中国の場合はきわめて東洋的に倫理的な面からこれを正していこうとか、そういうことに苦慮をしているのが事実ですね。  ところが、日本のような経済環境、社会環境の中でこの三つの問題が現状のような形に置かれているところに非常に問題があるのじゃないか。たとえばお米の問題にしても、これは北朝鮮の例ですけれども、逆ざやも日本どころではなくて、たしか八倍、八対一ぐらいの逆ざやになっていたと思います。しかし、全体の環境が社会主義体制の中に置かれておりますから、これはうまくいっているようですね。そういう観点で国鉄を考えてみたときに、一体そこの基本のところをどうお考えになるか。これは大変抽象的なことになりますけれども、政治家としてあるいは国務大臣としての長谷川さんの御感想を、まず伺いたいと思います。
  225. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 新しく国がつくられると、国の方で金を出し、技術を出して、お手伝いしながら生産手段を向上させなきゃいかぬ。これは国鉄の場合もそうだったろうし、あるいは鉄の場合もそうだったろう、こういうふうな感じを持ちます。しかし、一方また、伸びてくれば適当なときにこれを切りかえるという国もあるわけでして、最近イギリスが国有鉄道民営に切りかえたですね。そして、その総裁が、八年かかった、素人でありながら、こう言うて私に効能をしゃべっておりましたが、なるほど一つの行き方だな、こう私も感じたことです。  それと直接今度の場合連続するわけじゃありませんけれども、ここ二、三十年国鉄赤字を出してきている。その赤字がいまのままではとどまるところを知らないのじゃないか。いずれ、これは全部国民の負担にかかる。一方はまた、親方日の丸ということなどがあるから、いま前質問者が質問するようなことも不問に付されてしまうというふうなことと同時に、みんな重なってきた場合に一体どうなるか。ここに、今度の場合に分割民営、こういう話になっている。全部ができることはなかなか大変でございましょうが、そういう中に物事をやっぱりベンチレーションしていかなきゃまずいのじゃないか。米の場合は消費者が高く買うことによって赤字が解消している面もございますが、一つ一つの処方せんは、やっぱり国民全体の福祉といいますか、あるいは富を増す、そして能率というところと、働く諸君が社会の中に生きているのだ、いわんや自由主義経済の中に生きるのだから、その辺の認識を持ってもらわなきゃいかぬ。隔靴掻痒の感がありますが、制度を一発に直すわけにまいりませんから、そういうふうな気持ちを持っております。
  226. 田英夫

    ○田英夫君 いま大臣も言われましたが、小西委員の言われたようなことも基本はその点にあるのじゃないかと思いますし、同時に、その前に立木委員が指摘された、日本国有鉄道という名前がついていながら政府からの補助というものは、他のたとえば交通機関の中だけでとってみても国鉄だけはなぜか歴史的に非常に少ない中でやられてきた、この辺も基本の哲学がきちんと決まっていないからそうしたことが起こってくるのじゃないかという気がいたします。したがって、これは運輸委員会で何度もあるいは過去しばしば論じられてきたいわゆる総合交通計画という問題になってしまうわけですけれども、たとえば外国の例で、いまイギリスの例を言われましたけれども、西ヨーロッパの国の中でやはり国鉄的なやり方をとっているところもありますし、また鉄道に限りません。フランスの場合などは自動車産業まで国有化をするという形で、しかもミッテラン大統領が出ても、やはり経済体制、社会体制はいわゆる西側と言われる資本主義の体制の中にいるわけですから、そういう中でうまくやっているところもあるので、私は何も日本がこういう経済社会体制だから社会主義的な手法をとってはならないと結論づけているわけではないのでありますが、ただ、少なくとも交通体系だけでも総合的に運輸省として早急にそうしたものをつくり上げていかないと、国鉄のところだけいかに手直しをしようとしてもこれは救うことはできない、この病人は助からないということになってしまうのじゃないか。  ですから、臨調の御討議の内容を知ることができないというのは私も大変残念なんでありますけれども、その辺のところをどの程度議論をされて今回の分割民営という結論に達せられたのかというところを実は非常に知りたいんですね。総合交通計画というものを踏まえるぐらいの、そういうところに至るぐらいの御論議をされ、またいまの私が申し上げたようなやや政治哲学的なところまで踏まえて議論をされた上の問題であるならいいけれども、そうでなくて結論だけなされてしまったということであれば、これは病気を治す処方せんにはならないと言わざるを得ないので、長谷川運輸大臣が就任をされた中で、この総合的な交通 計画というものをどうこれからやっていかれるのか、いかれないのか、この点はいかがでしょうか。
  227. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) いま田先生から、非常に抜本的な物の見方を十分考えた上で総合的な交通政策を展開すべきだというお話があったわけでございますが、これは御承知のように、先般運輸政策審議会から基本的な方向につきましては答申をいただいております。  私ども、現在の社会体制のもとでの交通政策の基本的な考え方としますと、これはそれぞれの交通機関に対して、それぞれの需要に応じまして一番効率的に適切なサービスを提供できる体制を整えていく、その適切な体制を整えていくために必要な範囲で行政がタッチしていくということでございますが、どのような形でサービスを提供するかということは、それぞれの交通機関の性格によりましておのずから違ってまいる。  たとえば道路交通というものにつきましては、これはいわゆる公共財でございまして、他のものの入ってくるのを排除できない。したがいまして、それは個別の運賃、料金というような形ではその費用を負担させられない。したがいまして、現在やっておりますのが税という形で利用者の負担で行うという形でございますが、これに対しまして鉄道というようなものはこれは公共財とは考えられない。したがいまして、個別の利用ごとにその利用の対価を取る、運賃という形でその利用の対価を取るという形でやってまいりますので、したがいまして、投資におきましても、道路の場合は税金を通じてこれはほとんど利用者負担という形でやっておりますが、国鉄の場合にはむしろこれは事業経営という形で投資をしていく。その中で借入金をし、あるいは必要な欠損については国が補助をするという形でやっていくわけで、このような形は現在のところ一つの社会制度の問題として、私どもこういう形を前提として、その上で交通政策を展開していくということだと思います。  このような交通政策の展開をしていきます場合に、実際にわれわれが配慮しなければならないのは、需要者の動向でありますとか、あるいは客観的に産業構造がどう変わっていくかとか、その変化の中におきまして、一番いま適切にサービスを提供するための体制はどうすればいいかということを注意深く見守りながらかじ取りをしていくということが、交通政策のやっていく方法でございます。そして、これらの交通政策が一番需要者の必要に応じてやれるような条件をつくっていくということ、それを相互に比較しながらやっていくということに私どもは総合的な交通政策の根拠を求めているわけでございます。  そういう意味で、私どものいまやろうとしている総合交通政策というのは、決して固定的に定められたものでデザインをして、それに何が何でも合わしていくというような形ではなくて、産業構造の変化、経済情勢の変化というものに合わせて、おのずからその状況を見きわめながらかじ取りをしていく、こういう形が現在の社会体制におきます運輸政策のやり方でございます。今後ともそういうような考え方で、そのときどきの課題を注意深く見守りながら、それに最も効果的な方策をとっていくということを基本にしてまいりたいと考えております。
  228. 田英夫

    ○田英夫君 伺っていますと、そこがまさに問題だと思いましたね。社会経済状況の変化に合わせてかじ取りをしていくということで本当にいいのかどうか。実は、非常におっしゃることに矛盾があると思うのは、立木さんもさっき言われましたけれども、道路は利用者の税金ですと。しかし、それは一つの政策になって道路はどんどんその形でつくられていく。これは車社会をますます促進をする。いまや国鉄の貨物という非常に悩みの問題は、当然国の政策としてこれは自動車、トラック輸送に切りかわるように行政がしむけていったと言わざるを得ないんですね。  それを、そのときそのときの状況の変化に応じてかじ取りをしていくというのだったら、完全にそういうことの中で国鉄が置いていかれるのはあたりまえです。それで国鉄がバンザイだ、まいりましたと言っても、それは後の祭りということになるのであって、絵をかいてそれに合わせていく、非常に縛りつけるようなことであってはいけないかもしれませんけれども、しかし時代の変化を先取りして、車社会になっていくということはわかっているのだから、そういう中で鉄道の役割りはどうかということを総合的に考えるのが総合交通政策だと思うので、いささか私はいまの御答弁は私のような素人でも納得ができないんですけれども大臣はどういうふうにお感じになりますか。
  229. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 日本のよさが自由社会だというふうなことなどが国民の創意と工夫、それがまた社会にマッチすればいつの間にやらすばらしい産業として伸びていく。たとえば国鉄が使うトラックはだめでしょうけれども、小さい小荷物を扱う宅送便なんというのは大変な新しいことだし、とてもかつてはこんなものを専用便で人が運んでくれるとは思えなかったというふうなことなどは、本当にぼくは変化の激しい国だと思う。同時に、第一次オイルショックのときなどは、フランスの閣内では閣僚といえども一人で車に乗るな、必ず三人以上乗れ、こういうことをフランスでは出しておる。私の方は自分勝手ですから、これはオイルをセーブする者はいざ知らず、そうでないこともあったという中に今日至っている。だから、どうしてか、こういうふうな一つのデシプリンというのか、そういう様式というものをどこかで定着させつつも産業の発展を阻害させないような調和というものをとらなきゃいかぬのじゃないか、こう実は考えてまだ手が出ないわけでございます。
  230. 田英夫

    ○田英夫君 本当に、いまのようなことをやっていると、いつまでたっても国鉄問題というのは解決しないように思うんですが、先に進みまして、これは衆議院の速記録を拝見いたしましても何度も論ぜられていることですけれども、やはり国民感情としてこの点はお聞きしなければならないことなんですが、今度の法案臨調答申というものとを比べてみると非常に微妙な違いを感ずるわけですね。  それから、長谷川運輸大臣衆議院の御答弁の中で、答申を尊重するということを言われながら、他に別の選択もあり得るということを言っておられる。ところが、その御答弁の背景にある過去の歴史を見てみると、元運輸大臣のお名前を挙げて考えてみても、田村私案とか小坂私案とか、この問題についてはそういうものが相次いで出てきているわけですね。そうすると、どうしてもその辺と結びつけて、与党である自民党皆さんの中の専門的な方々の御意見も承知をしておりますが、そういうこともあわせ考えると、実は尊重するという言葉の意味は、どうもそれよりも別の選択もあり得るということの方へ重点が今後置かれていくのじゃないだろうかという疑問を持たざるを得ない。この点は重ねて運輸大臣に伺っておきたいんですが、別の選択もあり得るということは一体どういうことなのか、その点を伺っておきたいと思います。
  231. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私は、今度の再建法案というものは、いまの財政、いまの政府、いまの関係する諸君ではとても再建の道はない、みんなある意味ではさじを投げているのじゃないか。いわんや、そこへ勤めている皆さん方は非常にグルーミーな感じになっている。そしてまた、たくさん組合がありますけれども国鉄の組合の諸君は毎日、新聞にたたかれておりますから、心置きなく働くような意欲もなくなりつつありはせぬかということを思いますと、ここに分割民営という新しいアイデアを出して、それを二十兆円以上の債務、これを何とかしようじゃないかという話も出ているし、そしてまた、片や合理化といえども首を切るわけじゃない、生首を切るわけじゃない、いろんなところでやっていく、それをこの際にぜひ私はやってもらいたい。しかし、世の中には絶対ということがないことですから、どうしてもい ろんな、それだけ真剣な協議をされて、ほかにまた方法があるならというふうに話したので、ほかに方法があるかということを、九割の重点を置くのじゃなくして、私は一部の重点というふうな意味で申し上げているわけであります。
  232. 田英夫

    ○田英夫君 どうも依然として明確でないので、これは国鉄問題について詳しくない一般の国民皆さん、しかし行革という問題については国民の関心はきわめて賛否両方を通じて高いわけでありますから、しかもいまこの国鉄問題がその焦点になってきているこういう情勢の中で、つまりこの法案の審議が、行革の行方を占う素人の国民皆さんから見れば一つのバロメーターになっているというときに、臨調が出された分割民営という方向とまた違った選択もありますよということを責任者の運輸大臣国会の審議の場でやっぱり言われるということは、一体どこへ行ってしまうのだろうかという疑問を一般の皆さんが持つのは当然だろうと思います。何も、それは国民皆さんの中にも賛否両論があるわけでありますから、遠慮されることもないので、むしろ国民皆さんを惑わすといいますか、わからなくすることの方が責任が重いと思います。本当に、この時期になって、この段階になってまだそこがはっきりしないということは、非常に国民に対して、賛否両方の人に対していら立ちをつのらせる結果になってよくないのじゃないか。この際、ひとつ、もっとはっきり言われた方がいいのじゃないかと思いますが、重ねていかがですか。
  233. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 田さんにそこまで激励されて、ありがとうございます。一本にして、あくまで分割民営という線で進みたい、進むというのが私の決意でございます。
  234. 田英夫

    ○田英夫君 この席でそういうお言葉を聞きましたので、ひとつこれは衆議院における御答弁を前進をさしたというふうに受け取らしていただきたいと思いますが、これは実は大変重要な御答弁と受け取ります。  そこで、これは国鉄赤字の問題を論ずるときには常識でしょうけれども、念のために、全然別の問題でひとつ伺っておきたいのは、やはり国鉄赤字が出てきたのは三十九年度、まさに東海道新幹線ができたときから後は雪だるまのようになってきたわけですけれども、にもかかわらず、与党の一部では、さらに新しい新幹線を云々される声がごく最近も報道されておりますけれども運輸大臣としては、この新新幹線の問題についてはどういうふうにお考えですか。
  235. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 東海道新幹線は、御案内のように、いままで無事故に走りまして、非常に効率がいい。そして、次に東北あるいは上越が生まれたわけでありますが、これも借金でつくっているわけですが、総裁等々の答弁によりますと、二十年もすればペイするじゃなかろうかという話もあります。そこで、もう一つ新しい新幹線をつくろうじゃないかと党の中に動きがございます。余裕があれば全体の平均的な発展を願うわけでございますが、何さま、これだけ赤字を抱えて皆様に御心配をお願いしているときでありますから、これは当分は私はむずかしい。何かえらい情勢の、景気のいい話でもあれば別として、とても当分は私たちは話に乗るわけにいかぬのじゃないか、こう思っております。
  236. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つ最後に。  青函トンネルが貫通したわけでありますけれども、これをどういうふうにお使いになるのか。いまの国鉄赤字の問題とも直接関連をすると思いますけれども、現状におけるお考えを聞かしていただきたいと思います。
  237. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) これはどなたからも御質問いただいておりますけれども、何さま、いまあそこは在来線を通す計画なのです。そして、大変な借料も要ることですから、国鉄がこれをしょった場合には大変なまた赤字になるということから、運輸省といたしますと、なかなか国鉄も喜ばないだろうし、また国の負担も大変なことになるから、何か国民全体の中からいい知恵がありはせぬかというふうなことで、各界のアイデアマンと申しますか、代表の方々にお集まりいただきながら、アドバイスをいまもらいつつある。何とか将来、国鉄に大負担がかからないような形で活用すべきじゃないか、こう思っております。
  238. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  239. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 恐縮でございますが、先ほどの先生の御質問の中で、臨調答申尊重という点で御質問がございましたけれども大臣答弁に若干補足をさせていただきたいと思うのですが、これは実はこの法律の性格から来る問題でございまして、この法律は、国鉄経営形態というのは現在、日本国有鉄道法という実体法で決まっておるわけでございます。この経営形態を変えるということになりますと、別の実体法が必要なわけでございます。  ところが、この法律は検討のための仕組みを定めた法律だという性格でございまして、したがって臨調答申尊重であります以上は、臨調答申で述べられております方向に向かって最大限の努力をする、先ほど大臣が申しましたように、分割民営化の方向に向かって最大限の努力をしていく、それが基本であるということでございますが、この法律はそういういわゆる検討の仕組みを定めた法律という性格上、検討をこれからするものである以上は、検討してみた結果、いまの段階から実定法として一〇〇%分割民営というものを予見することはなかなかむずかしい。したがって、実定法としていま分割民営のもの、いわゆる現在の国有鉄道と違う形態のものを法律上書き込むことはこれはできない。  したがって、これから検討していって最終的にどういう結論になるかという場合に、もちろんその向かう方向としては臨調答申の尊重という方向で最大限努力をしていくわけですが、最後の結論は、もしそれがどうしてもだめだという場合には、それが合理的な事由があるものであるならば、しかも臨調答申の指し示す方向というものに沿っているものであれば、それが別の形を、別の結論を出さざるを得ない場合もこれはあり得る、これは現在の法律の仕組みからそういうのが出てくるわけでございまして、ただ、私どもが現在そうしたいということでありませんで、私どもの姿勢としては、あくまで臨調答申尊重ですから、その方向に向かって最大限の努力をする、先ほど運輸大臣が申し上げたとおりでございまして、この仕組みからそういう制約が出てくるということでございます。  若干、補足をさせていただきます。
  240. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時二十七分散会