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1983-04-21 第98回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十一日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      内藤  健君     加藤 武徳君      沓脱タケ子君     小笠原貞子君      伊藤 郁男君     柳澤 錬造君  三月三十一日     辞任         補欠選任      加藤 武徳君     内藤  健君      初村滝一郎君     山本 富雄君  四月十四日     辞任         補欠選任      広田 幸一君     瀬谷 英行君  四月十八日     辞任         補欠選任      鈴木 正一君     森下  泰君      内藤  健君     三浦 八水君  四月十九日     辞任         補欠選任      三浦 八水君     内藤  健君      小笠原貞子君     立木  洋君  四月二十日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     伊藤 郁男君  四月二十一日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     関口 恵造君      安恒 良一君     小谷  守君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢追 秀彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 江島  淳君                 青木 薪次君                 黒柳  明君     委 員                 梶原  清君                 木村 睦男君                 関口 恵造君                 高平 公友君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 小谷  守君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 立木  洋君        発  議  者  小柳  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  長谷川 峻君    政府委員        内閣審議官    林  淳司君        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       滝田 一成君        運輸大臣官房長  犬井 圭介君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    桑田 錬造君        労働省労働基準        局監督課長    野崎 和昭君        建設省道路局道        路交通管理課長  青木 保之君        建設省道路局高        速国道課長    宮原 克典君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      橋元 雅司君    参考人        全日本トラック        協会理事長    向井 重郷君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する特別措置法案(第九十六回国会小柳勇君外三名発議)(継続案件) ○運輸事情等に関する調査  (貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議の件) ○日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会内閣提出、第九十八回国会衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件 ○連合審査会に関する件     ─────────────
  2. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する特別措置法案審査のため、本日の委員会全日本トラック協会理事長向井重郷君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 次に、貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する特別措置法案を議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 向井さん、御苦労でございます。  トラック運送事業が余り芳しくないというのが一般の常識であります。特に、ダンピング中小企業運送事業者などは倒産寸前にあるというのが事実であります。私自身、北九州で貨物運送トラック運送事業のめんどうを見ておりますので、そういうものを、トラック事業者の苦悩を腹に入れながら、全日本トラック協会理事長である向井さんにいろいろ実情をお尋ね申し上げたいと思います。  なお、午後、社会党が提案いたしております貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する特別措置法、この法律の論議をするその前段の質問でございます。午後は、私に対しまして自民党などから御質問があるようでありますが、そういうものも頭に入れながら、まずトラック協会現状質問申し上げたいと思います。  冒頭に、全日本トラック協会というのは、どういういきさつでいつごろ設立され、会員は現在どのぐらいであるのか、お尋ねいたします。
  6. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 小柳先生初め、秩序法案をおまとめいただきまして、またかねがねトラック運送事業輸送秩序というようなものについては非常な御熱意を持って御指導をちょうだいしておりまして、お礼を申し上げたいと思います。  また、冒頭でございますが、運輸委員会先生の皆様には常日ごろトラック運送のために御指導をちょうだいしておりまして、厚くこの席をかりてお礼を申し上げたいと存じます。  ただいま小柳先生から御質問のありました全日本トラック協会概要でございますが、昭和二十九年七日二十四日に社団法人として設立の許可をちょうだいしております。  目的とするところは、「貨物自動車運送事業者の適正な運営および公正な競争を確保することによって、事業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉に寄与するとともに、事業の社会的、経済的地位の向上および会員相互連絡協調緊密化を図ることを目的とする。」、これは定款に記しておるところでございます。  ただいまは各部道府県トラック協会、これと、それから関連のあるタンクトラック協会日本環境保全協会全国郵便専用自動車協会全国霊柩自動車協会というような団体を包含いたしておる団体でございまして、正会員の数は五十二名、それから個人会員、これは私ども役員になりますためには会員にならなければなりませんので、個人会員九名、それから特別会員、これは各県における全国の主要な業者でございますが、これが特別会員として二百四十七名、そのほか賛助会員、これは賛助会費を負担しているものでございますが、八十三名、合計いたしまして三百九十一名、これが五十八年三月三十一日現在における全日本トラック協会会員数でございます。  その中におきまして、役員としては、常任理事が五十七名、その中に会長、副会長含まれているわけでございますが、それから理事五十五名、合計百十二名、監事三名、こういうのが全日本トラック協会内容でございます。  最高の議決機関総会でございまして、その下に理事会常任理事会があり、それから執行部としては会長理事長専務理事常務理事というような下にそれぞれ各関係協議会委員会というようなものをもって組織しているわけでございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 いまのトラック協会概要についてはわかりました。  関連しまして、これは運輸省が出しております「数字でみる自動車」、最も新しい統計でありますが、いま全国自動車が四千四十六万台走っている。その中でトラックの数が八百七十万台、それから自家用トラックが八百十万台、営業トラックが五十四万台、もうちょっと端数はありますけれども、概数そうですね。営業用の五十四万台につきましては、いまおっしゃった全日本トラック協会、これが組織大体九十何%とか聞いております、いまそこはおっしゃいませんでしたが。自家用トラックが八百十万台もおります。この全国的な協会というのがあるのかないのか、まずその点でお答えを願いたい。
  8. 向井重郷

    参考人向井重郷君) ただいま会員の数を申し上げましたが、会員の所属する県協会に所属する事業者の数、これは約三万四千何百、細かい数字は常時変わっておりますので省かしていただきますが、三万四千というぐらいでございます。  それから自家用につきましては、これはやはり各県に自家用協会というものがございまして、その連合会組織全国的な団体があるはずでございますが、私ども常時余り業務的に関連がございませんので内容をつまびらかにしてございませんので、全国的な団体はございますということは承知しているわけでございます。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 自動車局長おられるから、きょうは向井さんが主体ですけれども、大事な問題ですから、これが一番これからの日本経済道脈としての輸送機関中心にならなきゃならぬ、考えなきゃならぬ問題ですから、八百十万台の自家用トラックというのが全国自家用自動車協会というのをつくっているようだけれども運輸省からこれに達しが何か出ているやに聞いておりますが、現状について御説明を願いたい。
  10. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 全国自家用自動車協会につきまして、手元にちょっと詳しい資料ございませんが、概要を御説明いたしますと、これは全国団体として昭和三十年十一月三十日に設立されております。  会員数は三十八ということでございまして、会員の資格は都道府県単位組織する自家用自動車団体、こういうことになっております。  これの業務でございますが、いわゆる自家用自動車と申しましても主体トラック関係でございますが、このトラック関係自動車につきましての事故防止であるとか安全思想の普及であるとか、こういうような業務を行っている団体というふうに承知しております。  それから役員は、会長、常勤の常務が一人、専務が一人、そういうような体制になっておるというふうに承知しております。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 向井さん、おたくのトラック協会、いま役員らの御説明がありましたけれども、たとえばドイツの長距離貨物自動車協会会長などは大臣ぐらいの権限を持って、遠距離の貨物自動車業界秩序維持なり運賃の正常な取り扱いをちゃんと指導しておられるわけだ。いま日本全国トラック協会というのは全ト協、かつて自民党代議士諸君会長名目だけなっておった。最近は実質的に会長がなさいまして指導しておられるようだけれども、どのくらいの力があるのかということを聞いておきたい。たとえばダンピング非常に厳しい、九割以上の中小企業トラック業者倒産寸前にあるが、そういうのに対して全日本トラック協会が、たとえば総評みたいにちゃんと会議して荷主と話し合うのならば、そうみじめなダンピングなどあり得ない。どのくらいの指導力があるのか、お聞かせ願いたい。
  12. 向井重郷

    参考人向井重郷君) ただいまの御質問でございますが、全日本トラック協会会長は、御指摘のございましたように、前にはやはり政治関係の方がおなりになっておったわけでございますが、現在は業界出身の大橋さんが会長を務めておられるわけでございます。  指導力という面で、強制力とかその他につきましては、法律的な権限とかいろんなものが総合されての指導力ということになってまいるわけでございますが、社団法人でございまして、そういうような統制力、そういうようなものは持っておらないわけです。ただ、非常な事業としての先覚者でもございますし、それからまた人格者でもございまして、事業それから人生の方でもともに、人格的にも経営的に見ても手腕、力量ともにまことに円満な方がなっていらっしゃるわけでございます。そういうような方を中心にしていろいろとやっておるわけでございますが、何分にも三万四千業者ということでございまして、津々浦々までなかなか伝達しにくいといううらみはございますが、全国の各県のトラック協会を通じ、またその下の支部を通じというような組織によりまして、私ども考えておる全日本トラック協会指導方針というものは末端まで適当に浸透しておる。ただ、なかなかその実効がいろんな状況によって上がってこないというところにまだ遺憾な点があるわけでございますが、日夜懸命の努力を傾けているというのが実情でございます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 いま社団法人で、言うなら親睦団体みたいな話でありますが、こういう時期でありますから、たとえばこの社団法人をもっと強化するような法的な地位なり、あるいは常任理事が各都道府県から出ております。私も九州なり福岡県のトラック協会の幹部の諸君とはしょっちゅう会いますけれども、もっと組織を強化して、荷主さんたちなり、あるいは政府あるいは運輸省と堂々と交渉しながらみずからの業者団体の利益を守るという、そういうことをしたい、理事長、あなたは役所の経験もあるしベテランだから、そんな考えになられたことはありませんか。
  14. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 小柳先生の御指摘のとおり、そういうことが望ましい姿でございます。そういうようなことで、特に最近の不況というようなときになってまいりまして、荷主方面その他についていろいろと交渉率の多いという際でございますので、私ども現行委員会体制というようなものを十分に活用することはもとよりでございますが、さらにその上に一歩進めまして、より強力な実行力のある自主管理体制と申しますか、何かさようなものをつくるべく努力しているところでございまして、そのことにつきましてはまた後でも触れる機会があると思いますけれども道路運送問題研究会という研究会をつくりまして、そこの答申をいただいたりしておりますので、それらのものを踏まえて、今後そういうような自主管理体制、本当に強力な実行力のあるものをつくるというようなたてまえでやってまいりたい。小柳先生指摘のようなものにこれが近いものであろうと私は存じておるのでございます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 あなたのいまおっしゃったのが、社会党が出しております貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する特別措置法の中の第四章です。いまのトラック協会ではただ形だけだから、もっと実効のある実施機関にしたい。したがって、私どもは別の法人組織をつくろうと考えていない。いまのトラック協会にもう少し法律的に権限を与えよう、これが第四章ですから、そういう意味ではこれは賛成なんですね。いいです、それはまた後で論議ありましょうから。  そこで、いま一つは、これは後で青木理事の方から政府に御質問がありましょうが、全国自家用自動車協会名目だけあるようです。これをもっとがちっと政府も把握をして、あるいはあなた方の営業団体である全ト協もこの協会とがちっと提携をしながら、みずからの生存権、権利を守っていきませんと、あなた方の台数は五十四万台、白トラは八百十万台、その白トラの八百十万台の組織は野放しに動いていて、皆さんだけ秩序守りましてもそれは生活権守れませんです。その点は、ひとつ一番近い全ト協総会などで声を大にしてあなたが訴えて、どうしようか、そういう対策をお立てになることが正しいと私は思います。この問題、また後で論議をいたします。  そこで、いま今日の輸送秩序混乱原因確立を阻害している原因は一体何であると向井さんはお考えであるのか、お答えを願います。
  16. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 輸送秩序というものは、道路運送法の第一条にも書いてございまして、業界としても最も大切な事項でございます。ただ、この概念輸送秩序といういわば抽象的なる概念でございまして、これは具体的に業者の間にどういう姿であるのが輸送秩序の正しい姿であるかということでございます。現行道路運送法あるいはその前の昭和二十二年、三年ごろの道路運送法でもやはり輸送秩序というものを冒頭に掲げておるわけでございます。これは事業用運送事業者とそれからまた自家用自動車使用者というものが、お互いに定められた分野の中で正しく車を使用して相侵さず権益を相互に守っていくというのが輸送秩序であろうと思うわけでございます。そういうようなことで、現在、特に経済不況下におきますといろんな問題が出ておるわけでございます。まず、その混乱原因でございますが、幾つもたくさんございますが、主なものだけを若干申し上げてみたいと存じます。  その一つは、四十八年の石油ショック以来、特に経済不況による輸送需要が伸び悩んできている。それまでは順調に非常に輸送需要も伸びてきておったということで、モータリゼーションもどんどん進んでおったわけであります。輸送需要が伸び悩みになりまして、輸送需要と供給の輸送力との間にアンバランスが生じてきた、これが大きな一つ原因でございます。  それからまた、トラック運送事業というものの性格ということになるわけでございますが、内在的にいろいろな問題がございます。その一つを申してみますと、輸送事業の商品でありますところの輸送というものは、これは貯蔵性というものがありません。ためておいて必要なときによけい売り出すというわけにまいらず、生産即消費というような形で行われるのが常の形でありますので、したがいまして一定輸送力というものは業者において常に確保していなければならない、御承知のとおりでございます。そのためには、どうしても場合によると供給する輸送力が過剰を来しやすくなる。しかし、これを維持するためには一定収入を得なければならないというところが一つの問題でございます。  もう一つ内在する問題としては、自動車一台には必ず運転者その他の一ないし数人の人間を必要とするわけでございます。言うなれば、いわゆる労働集約型の生産体制自動車運送事業の特徴でありまして、これが人員の維持のためにも一定収入は常に確保しなければならないというような運命にございます。統計によりますと、人件費は約四八%で、五〇%に近くなっておるというのが実情でございまして、こういうようなところからどうしても無理をして荷物を追い求めるというようなことが運送事業に内在する一つ性格となっておる。これが溶け合って発動して秩序に結びついてくるということでございます。  それから、もう一つ大きな原因は、先ほど小柳先生から御指摘のありました白トラ等の攪乱でございます。これが不当料金であるとか、あるいはいろんな不法行為の大きな原因になっておるということが言えるかと存ずるわけでございます。  いろいろな問題がございますが、大きな内包する問題、それから部外的には白トラその他の問題、一般経済不況というものがベースになっている。そういうところが原因の主なものであろうと思いますので、主な点だけ申し上げた次第でございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 とにかく六十億トンの品物、そのうちの五十八億トンぐらいは自動車で運送しているわけです。したがいまして、トラック運送というものが日本経済秩序を守る一番大きな輸送機関であります。いま混乱原因をいろいろ述べられました。これに対する対策については後で聞きますが、運輸省通達を出しております。五十六年九月四日にトラック協会通達を出しております。この通達の中で、「過積載運行については、認可運賃収受が行われていないことを原因とするものがあることに鑑み、認可運賃適正収受等輸送秩序確立を図ること。」、こういう書面が出ております。  この運輸省通達、これは運輸省だけというよりも各官庁との関連で出しておりますが、どのようにこの通達を受けて措置をしたかというのが一つ。それから業界自体ダンピング防止についての取り組み状況問題点は何か。これが第二問です。  なお、大きな問題を七つばかり準備しておりますから、要約してお答えを願いたいと思います。
  18. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 五十六年九月四日にちょうだいいたしました通達につきましては、私どもはその御趣旨を体しまして、直ちに各都道府県協会あてトラック協会自体としての通達を流しております。そのほか、各種の秩序委員会あるいは協会役員会等を通じてこれが徹底を図ったところでございます。  いろいろな運動を毎年やっておるのでございますが、最近では五十六年の十月から十一月まで、それを受けまして「正しい運転、明るい輸送運動」、これを実施いたしまして、その中で、眼目としてはただいまお話の出ました過積載防止運賃完全収受ということについて通達をしているところでございます。それからまた、総会等におきましても必ずこの問題については特別決議というようなものを行ってやっておるところでございます。  関連いたしまして、ダンピング防止についてでございますが、やはり全日本トラック協会性格といたしまして、これは機会あるごとに秩序委員会あるいは運賃委員会、こういうものを通じて、中央、地方を通じて最も重要な事項として力を尽くしておるところでございます。  ごく最近の例といたしまして、本年の四月から九月までを期間といたしまして、去年改定の認可をちょうだいしましたいわゆる五十七年度制定の運賃、五七運賃完全収受運動というものを実施しておるところでございます。同時に、五十七年の高松における総会でも、この趣旨を受けて特別決議をいたして、その徹底を図るというようなことでございます。  それからもう一つダンピング防止問題点というお話がございました。問題点というところは、やはり冒頭申し上げました輸送秩序混乱原因ということと表裏する問題であろうと私どもは解釈をしておるわけでございますが、やはり現在一番これを進める上の難点は、不況による荷主運賃負担力が非常に低下しているということでございます。荷物は少なくなってまいりますし、運賃の割引を要求されるというようなことで、非常にこれを進める上に困難を来しているというところがございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 その荷主が、向井さんと議論しても何ですけれども業界指導の上で、たとえば荷主運賃負担力が弱まったと言いますけれども、とにかく六十億トンの品物日本国民一億二千万人が運搬してもらわなければ生活できないわけです。だから、その製造原価輸送運賃利潤、それが物の値段、定価となって家庭に行くわけですね。そういたしますと、この輸送原価をもちろん下げて、輸送単価を下げて物価を安くされることはそれはいいことですけれども、それでは運送事業者というのは倒産する以外ありません。生活できません。さっきおっしゃった三万五千社の運送会社というのは生活できないですね。その品物製造原価輸送原価利潤、だから、たとえば利潤は少なくしてでも輸送原価運賃は要るだけはちゃんと、これは製造原価運送原価運送賃とこれだけは——だから今度製造会社もつぶれるし運送会社もつぶれますね。そういうものを荷主トラック協会とが話し合って、そのために基準運賃というのがありましょうに。じゃ、基準運賃を守るというお互いの話し合いはどういうかっこうでやっていますか。
  20. 向井重郷

    参考人向井重郷君) これはやはり荷主との契約によってやるものでございますので、しかしその間職種別、地域別にいろいろの問題がございます。したがいまして、これは中央における話というようなことは包括的なものになるわけでございますが、個々に運送の実情輸送業界実情というものは特に十分に訴えて荷主の理解を得るように、いま先生がおっしゃいました生産原価輸送原価利潤というようなものを荷主の方におきましても上手に配分し、運送業界においても同様の立場で物を考える。これは荷主と運送業者というものは、ある場合にはこれは敵ではなくて相互依存、相互協力という体制を持っているわけです。しかも相当に、やはりベースカーゴーとなりますと長い期間のおつき合いがあるというようなことでございますので、十分にその間協力し理解をし合って最も有効なる運賃収受ができるような荷主懇談会というようなもの、これはたしかいろいろな講師を派遣したり業界自体でやったりで、数百回は恐らく全国を通じて荷主懇談会というようなものは進めておるというふうに承知しておるところでございます。これをやることによって少しでも前へ前へ進んでいる、効果を上げていると存じております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 向井さんは全ト協理事長ですから、直接になかなか大変でしょうけれども、たとえば県トラック協会で、荷主懇談会といいましょうか、陸運局と一緒になってそれに強力に働きかけまして、そして基準運賃があるのだから、これはアローアンスがありますね。プラス上に一〇%、下に二〇%アローアンスありますけれども、いまは全然そんなものなんか無視しておるのですよ。荷主が勝手に言ってくるわけだ。そういうときには拒否する。そういうものはちゃんと法的にも許してあるのだから、そういうときにどうするかというそこから先の、その拒否した業者に対してはみんなが補助してやるとかなんとか、協会でもう少し協力体制など——ただ、荷主が言うからしようがないのではなくて、トラック協会として、トラック協会はそのトラック事業者トラック事業者は労働者を養っているわけです。運転手あるいはその他の職員を養っているわけです。したがって、簡単に荷主が言うとおりにダンピングするなんということは、これは考えられないことだ。  後で、これは運輸省にまた青木理事からいろいろ追及してもらわなければなりませんけれども、国鉄の貨物運賃などは勝手にダンピングできないわけでしょう。それがあるからトラックもできません、そのことをがちっとしないなら、私はトラック協会に高い会費は——高い会費、それは言いませんよ。会費は納めても、それは会費だけ損じゃないかとみんな言っていますよ、下部のトラック業者は。役員たくさんおるけれども、大してわれわれを守ってくれぬと。くどいようですけれども、もう一回ひとつ、いま一番そこが重要な段階、貨物運送事業者ダンピングを一体どうして解決するかというのが一番大きな問題なんですよ。くどいようですけれども、もう一回全ト協の意見を聞いておきたい。
  22. 向井重郷

    参考人向井重郷君) おっしゃる点は、私どもが一番期待して希望してやりたいと思うことばかりでございます。実は、私もこの二月でございましたか、福岡県のトラック協会総会に参りました。これを業者大会に切りかえまして、私も鉢巻きをしまして収受運動の街頭行進をさせていただきました。小柳先生の地元でございましたけれども、やってまいりました。しかし、それくらいまでに業界はこの問題については熱心でございます。ただ、荷主が言うからそれをやむを得ずに聞いていくというようなことではございません。私どもの大橋会長も、完全収受運動は五十八年度の最も大事な事業であるという決意を持って宣言をしておるとおりでございます。五十八年度はその事業中心にひとつ全日本トラック協会の仕事を進めてまいりたい。地方の協会もその線で仕事を進めてまいるということで不退転の決意を持ってやっている次第でございますので、具体的にその補助制度云々ということまではまだちょっといきかねている面もあるわけでございますけれども、決意はいままでになく強い決意を持ってまいっておるということでございますので、御了承願いたいと思います。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 これは協会だけではなかなかできないことで、午後、私、後でまた運輸省の意見もよく聞いて、本当に早急にこの問題を解決しませんと、運送事業者やっていけない。やっていけないということは労働者も失業するということですね。しかも、それは日本の貨物の流れをとめるということです。何回も言いますけれども、とにかく六十億トンの荷物日本のこの島を流れなければ人間は生活できないわけですから大変な仕事です。だから、自家用トラックに野放しに貨物の運送をやらせること自体が、これは運輸省は本当に無責任と思います。これは大臣に追求しなければなりません。  そこで、前に言いました過積載運行、過積みですね、トラック協会としての決意を聞いておきたいが、たとえばいま免許申請、免許については規制緩和の方向に公取など、あるいは世間一般にはそう言われておりますけれども、しかしドイツもフランスもあるいはアメリカもそれを失敗しまして、いま規制緩和いけぬと言っておりますが、イギリスが一番そのうちでは緩和しております。が、イギリスでも過積みのトラックを発見したら過積分はすぐその場でおろさせて、そして裁判所へその運転員を連行して、悪質なものについては罰金をすぐその場で食わせるとか、あるいはナンバープレートを外すとか、非常に強硬な措置をとっているのです。  免許の尊厳といいましょうか、青ナンバーの免許というものがどんなに権威を持っておるかということを立証するにはみずからその権威を守らなければならぬ、義務を守らなければならぬ。それは過積みをしないこと、交通事故を起こさぬこと、労働者の過労をやらせないこと、ちゃんと基準がありますから、そんなものを完全に守ってこそ青ナンバーの権威です。したがって、その過積みを、十トンカーに二十トンも積ませて、そして取り締まりの目をくぐって運搬するようなことは、それは百回のうちに一回やる、千回のうち一回やむ得ぬ場合もありましょうが、それは許せないことです。したがいまして、その過積みのそれをやらせない、やらない、そういう決議なり、申し合わせなり、お互い業者間の取り決めなり、そういうものについてお聞かせ願いたいと思う。
  24. 向井重郷

    参考人向井重郷君) この問題につきましても、御指摘のございました五十六年九月四日の通達で詳しくちょうだいしておるところでございます。それを受けまして、運賃完全収受と同様に周知徹底を図るということでやっておりますが、その前からもこの過積みということは非常に大きな問題としてもうすでに実施しておるところでございます。  私どもは、わりあいに過積みの方は取り締まりも非常に厳重でございましたし、実効が上がっておったのではないかと考えておったのでございます。しかし、ときたまオーバーロードの貨物を落っことしてしまったトラックがあったというような重大事故を起こした新聞記事なども出たというようなことがございまして、きわめて遺憾に思ったわけでございますけれども、オーバーロードの点についてはわりあいといっておるのではなかろうかと思うておったのでございます。しかし、この問題は、やはり運送秩序という問題と表裏一体になる問題でございます。その意味からも、これは強力に過積みの防止ということに努めてまいらなければなりませんし、また何よりも大事なことは、やはり交通事故の防止というところに直結してくる問題でございます。そういうような観点から、私ども運賃完全収受秩序維持ということとともに、オーバーロードの防止ということについてはさらに一層今後とも力を入れていきたい。事故防止特別決議にもいつもこれは入っておるということでございまして、力をいたしておるところでございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、もう一回前に返りますけれども、なぜ過積みをやるかというと、いろいろありますけれども、たとえば二十トンの機械、一個の機械だからもうこれは二つに割れないからやむを得ず、しかもその運送業者は十トン車しか持たなかった、だからもうしようがないから二十トンやったという、本当に情状酌量しなければならぬ面もありましょう。しかし、それは例外ですよ。あとは十トン車に十トン積んだら、運賃ダンピングするから損するわけだ。運転員の費用も出ないのです。人件費が出ないのですよ。だから、十トン車に二十トン積めば二十トン分の運賃を取りますから、だからそれでやっとこさっとこ事業が成り立つわけです。言うなら、基準運賃を取らないから、ダンピングするから、結果、過積みするわけです。過積みしなきゃやっていけぬから、事業が成り立たぬから、運送事業が。だから、ただ過積みだけを、やったからけしからぬと責めるわけにいかぬそういうふうな仕組み、それはやっぱり運賃ダンピングする。だから、運送事業者が多過ぎて、過当競争で安くても運搬しますというダンピングなら、これはおたくの方が悪いわけだ。ところが、荷主の方が力が強過ぎて、安い運賃でなきゃ頼みませんというのは荷主が悪いわけです。そういうところをもう少し各県と相談しながら、これは県トラなどがもっと厳重にやるように、早急に会議でも招集して、この運輸委員会で問題になった、この点が一番やられた、国会で質問されておれはおれなかった、だからこれは何とかしなきゃならぬ、そういうことを早急にやってもらいたいと思うが、どうですか。
  26. 向井重郷

    参考人向井重郷君) まことにありがたい御指摘でございます。とてもいたたまれぬようだったということをよくひとつ伝えて、徹底を期するようにいたします。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 それから次は、私どもが提案しておりますこの秩序確立の法案に対しまして、協会は私には何にも返事がないわけだ。向井さんにもお電話でひとつ意見を正式に出してくださいと言ったけれども、私には何にも返事がなくて、運輸労連の方に何かお話があったそうで、それは認可運賃収受について荷主への罰則規定を設けるべきだと主張しておられる。だから、荷主にも罰を与えるようにこの法案の中に入れてくれ、社会党の法案の中にダンピングしたときは荷主を罰する、そういう規定を設けてくれという意見を開陳されたやに聞いておりますが、今後、運送引受義務との関連でどう考えておられるか。それは道路運送法の十五条にちゃんとあるわけですね。したがって、今後の対策について具体的にどうされるか、お聞かせ願いたいと思います。
  28. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 運送事業者として運賃の適正収受をするというのは、やはりこれは荷主との契約によってやるということになるわけでございますが、一般運送事業はたてまえとしては不特定多数の者を相手にしているということでございますが、やはり地域により、また業種によって、ベースカーゴーをもって数事業者荷主を対象として、それを基礎にして成り立っているのが実情であろうと思うわけでございます。  その中には、非常に古くからのおつき合い、共存共栄というような姿で歩んでおるものもございます。中には、事業の合理化というものを輸送というものにだけしわ寄せをしてくるというような、われわれから言えば、ちょっと語弊がありますが、悪質なものというようなものもございます。しかし、そういうようなものについても、私ども運送事業は、冒頭に申し上げましたような関係事業を継続するためには荷物を運ばなければならぬというような羽目に陥ることも間々あるわけでございます。  なるほど、道路運送法十五条にそういうような場合には運送を拒絶できるというような規定もございますが、これをむげに拒絶してしまうというわけにいかないような場合も出てくるのでございまして、そういうような場合には、運送業者の声としては、どうか、これは私ども運賃の違反をすると罰則の適用を受けますと同様に、そういうようなことを強制する荷主に対してもある程度まで取り締まりがいかないものであろうかというのが、これは非常に愚痴に類することかもしれませんが、意見として往々出る問題でございます。  特に、荷主としての優越的なる地位を利用して不当に低額の運賃業界に強いてくるというような場合には、これは独占禁止法の規定というものも発動できるものではなかろうかと思うわけでございまして、そういうような意味合いにおいて荷主をもやはりそういうふうにしていただきたいというのが一応のわれわれの願いでございまして、たしか第一回の要綱を拝見した折にはそれが盛られておったように記憶しておるわけでございますが、現行のように改められておるということも承知しておるわけでございます。  しかし、先ほどからたびたび申し上げておりますように、これは荷主懇談会その他を通じて、われわれが営業の努力によって正しい運賃を獲得するというのがあくまでもたてまえでございます。法律の罰則によって相手を強制してというようなことでは、これはかえって秩序というようなものでもありませんし、物事を平和的に解決する手段とは思えませんので、なるべくならばそういうことでなく、荷主懇談会その他を通じて正しい運賃、正しい輸送というものを普及してまいりたい、これが本願でございます。決して罰則に頼って、全部それによって運賃を正しく取ろうというような甘い考えではないのでございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 そういうところで、私どもこの法律をつくりましたのは、各県に法人的な、もう少しいまの全ト協の各県支部よりも強力な機関をつくっておいて、その機関と荷主団体と陸運局と一緒になって、そしてこの運賃基準を守る、そういうシステムにしなければやっぱり運送事業が一番弱いのではないか、そう心配してこの法律をつくろうとしておるわけです。  そこで、さっき現在のトラック協会では少し弱いということもございました。もう少しトラック協会を強化して、私ども考えとしては、輸送事業の免許をもらったその人は輸送状を県トラ協会から買う。そうすると、それが県トラ協会の運営資金になりますね。決して別の機関をつくろうと思っていなかったのです。いまのトラック協会というものを格上げして財団法人にして、そこで輸送状をちゃんと輸送事業者がトラック協会から買う、それが資金になる。その輸送状は、近距離はいいけれども、遠距離のトラックはちゃんと持っていて、そして他県など、たとえば北九州のメンバーで東京を走っている場合には、指導員がちょっと運転手からその輸送状を見せてもらう。行き先もわかりますし、運賃もわかる。過積かどうかも調べられるし、その運転員の労働条件もわかるし、いつ何時にどこを出てきたのかもわかります。それは県トラの資金になる。県トラに職員を置く、指導員を置く。その指導員というのは荷主といろいろ交渉する、そういう権限も持たせる。そうしなければ余りにもいまのトラック運送事業者というものは弱過ぎはしないか。そう考えたのがこの第四章の貨物自動車運送事業に係る秩序確立事業実施機関なんです。いまの県トラック協会というのにもう少し権限を与えて資力を持たせる、そこに職員を置いて、指導員を置いてそして指導させる、そういうものがねらいであったわけでございます。この点については屋上屋を重ねる実施機関をつくるなと書いてありますけれども、そのつもりではございませんでした、われわれは。いまのあなたのトラック協会を財団法人にして強化する。さっき冒頭におっしゃったその意向をこの法律に書いてあるわけです。  そこで、もう一つは、運賃収受の場合、お互い業界同士の足の引っ張り合いがダンピングの大きな原因である場合があります。ここに荷主さんがおりますと、Aという運送事業者が行く、お隣のBが行って、うちは少し安くしますと。もう一つは、青ナンバーでなくて白ナンバーの営業類似行為の人は、損してもいいから私に下さいと言って体を粉にして命がけで遠距離運送をやるわけです。九州から東京まで来るわけだ。それは営業類似行為です。それはしかし取り締まりができないのです、いま。その八百十万台の自家用トラックの何割かには営業類似行為があるのですよ。青ナンバーは五十万台そこそこです。五十万台をいかに厳重に取り締まりましても、八百十万台の中の何割かの白トラの類似行為をがちっと秩序を保ちませんと運送事業秩序を守れないですね。それは鉄道貨物も守れない、航空貨物も守れない。それで全部輸送秩序、貨物の流れが阻害されていきます。そういうのを何とかしなきゃならぬというのが本当のこの法律のねらいです。全ト協会は賛成とおっしゃればいいのに、社会党が出したから反対と言われた、そういう話を聞きまして本当に怒りました。しかし、わかっておられるところもありますよ。福岡のトラック協会なんか賛成です。中を見ないで、社会党が出したから反対といった声も聞きました。それは皆さんに指導していただかなければなりません。  そこで、もう一つはその指導員の話です。現在、指導員の配置及び指導員はどういう仕事をしておられるか、お話を願いたい。
  30. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 指導員につきましては、御承知のとおり、五十七年から陸運局長から委嘱されるという制度を開いていただきました。現在、全国で百六十四人の指導員がおります。そのうち陸運局長から委嘱をいただいておるのが百十六名、その他は自前でやっているというのが指導員でございます。しかし、この指導員というものは、そういう陸運局からの委嘱というようなことを受けましてからは非常に指導員自体の自覚というものも増加いたしましたし、またそれを運用しておる各県トラック協会も非常に有効に働かすように考えてやっておるわけでございまして、非常におかげさまで好評裏に活動をしていただいておるわけでございます。ただ、これについてはさらに一層研修をいたしましたり教育をいたしましたり、中央に集めて一斉にそういうことをやって資質を向上して、よりよい活動ができるようなたてまえにしておるわけでございます。  しかし、まだ指導員について煙たがったりというような業者もないわけではございません。そういうようなことでありますので、できる限りこの指導員が活動しやすいような環境をトラック協会においてつくるというようなことができるように、業界全体でこれをバックアップするという体制を現在考えておるところでございます。先生指摘のございましたような、足の引っ張り合いでありますとかあるいはまた違法な白トラというようなものも、貨物により荷主によってどういうところがやっておるかというようなことは、大体においてこういう仕事を継続しておるとつかめるわけでございますので、こういうものをそれぞれ陸運局なりそういう取り締まり官庁の方に通報いたしまして、より強力な御指導を願っていく、取り締まりを願っていく、また業界自体でもそういうことのないようにお互い業界内部の足の引っ張り合いというようなものは戒めていくという体制、この指導員の活動というものをひとつ大いに活用いたしまして今後とも進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 この間、九州のトラック協会役員と組合の幹部に指導員のあれを聞きましたが、指導員が車をとめましても運転手は、指導員は何も権限ないものだから、何言うのかといって、全然無視というか、重く見ないというわけです。いまの指導員では、先生、それはもう意味ないよ、こう言うわけだ。現在の指導員というのは、どういう経歴の人で、どういう待遇をしておられるのか、平均年齢はどのくらいなのか、ちょっとお聞かせください。
  32. 向井重郷

    参考人向井重郷君) ちょっといま各県に配属されておる年齢まで、はっきりとした平均年齢が、私手元に資料を持っておりません。これは調べればすぐわかることでございますけれども、ちょっといま持っておらないのでございます。  それから、これは一般県協会の職員ということでございますので、待遇その他は一般県協会の職員と同様でございます。  そういうことでございますので、ただいま小柳先生の方から御指摘のありましたような、指導員が車をとめたりあるいは事業所に行って調査をする際に、まだ強力な権限を持っておらないので仕事に不自由を来すという場合は確かに私どもも耳にするわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、指導員が本当に仕事がやりやすいような環境をトラック協会みずからがこれはつくっていかなければならないのでございます。指導員のそういう問題がありましたときには、快く車をとめて調査に応ずるとか事業所のいろいろなことについては調査をさせるというような協力体制指導員の活動に対するバックアップの体制というものをこれから今後つくっていくと申し上げましたのはさような意味合いからでございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 それだけではなかなかやっぱり効果が出ないでしょう。たとえば監理官という人がおられます。陸運局に一名ずつおられますが、その人の補助とかなんとか免状をもらって、たとえば鉄道公安官という人は、あれは警察官じゃありませんが、警察官の職務を行うことができるという資格を持っておるわけです。駅長さんもちゃんと現行犯を逮捕できる。警察官の職務を行う。あれは勲章つけています。そういうものを何かあなた方は希望しませんか。そして指導員が車をとめたらやっぱり運転員はとまらなきゃならぬ。これはあなた方、教育ではなくて、環境ではなくて、そういう法的なあるいは公共的なそういう資格を与えておきますと、小さい勲章でもつけていていい、バッジをつけていていい、そういうものを、何か希望はございませんか。でないと、教育とか環境だなんという、その言葉ではなかなか実効は上がらぬと思うが、どうでしょうか。
  34. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 確かに、おっしゃるような悩みはあるわけでございますけれども、まことにこれはいろいろ、権限ということになりますと、どの範囲のものをどういうふうに与えるかということについてきわめて問題が多いところでございますので、私どもにおいてもただいま研究を重ねているというのが実情でございまして、いろいろそれにつきましては、本日も実は会議をやっておるのでありますが、五十八年度の指導員の活動方針というようなものも本日主なブロックから集めてやっておるところでございますが、そういう方面とともに兼ね合わせて研究を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 後ろに運輸省がおられるから、なかなか答弁が慎重でございますけれども運輸省にもひとつまた御意見聞かなければなりません。なりませんが、せっかく指導員をつくりますならば、やっぱり実効が上がりまして——過積みの問題もあります。それからダンピングの規制もあります。もう一つは過労運転ですね。たとえば九州から東京まで運転席の後ろに寝台を設けて二人運転、人権尊重の場面からも大変な問題もございます、いま途中で休憩設備もございませんから。うまく使っているところはいいです。そうでない、特に類似行為の白トラなどは命がけの運転をやっている。そういうときに指導員がちゃんとこれをストップできるぐらいのことありませんと、せっかく指導員をつくりましても意味ないですね。  そこで、その過労について向井さんの見解を聞いておきたいのですが、いま二七通達ございます。いまの労働省の二七通達を完全に実行したら、たとえば四国の高松から東京まで運転するとすれば六割しか道路を行かないままでそれで終わりだ、そういうことをトラック協会の幹部の皆さんが言われます。九州の人もそう。九州から東京へ来るまでは、二七通達を言うなら六割しか営業できません、そうおっしゃる。ただ、この法治国家である日本が、二七通達というりっぱな通達があるけれども、これを完全に実施したら運送事業は六割しかできません、あとは法違反ですということが白昼堂々とまかり通っているわけでしょう。みんな知っているわけだ。知ったまま、通達はあるけれども、しようがないのだ、そういうようなあり方ではいかぬと思う。この参議院運輸委員会がありますし、運輸省がありますし、労働省もございます。皆さんのトラック協会もあります。この法治国家で、二七通達を完全に守ったら運送事業なんかやれませんです、それではならぬが、何かいい知恵ございますか。
  36. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 御指摘のとおり、この二七通達の重視ということは、二七通達をちょうだいいたしましてからいろいろ研究をいたしましてやっているわけでございます。ただ、一番遺憾なことは、これがハンドル時間の制限に直結しまして、ことに高速自動車国道上における休養の施設、駐車設備、それから一般国道上においても同様でございますけれども、駐車設備及び休養設備というものが数がまだ少のうございます。特に一般のサービスエリアや売店を伴っているような場合には、大型のトラックが入りますと一般自家用車その他の車が入れなくなるというようなことで、とかく入りにくいし、ぐあいが悪いということが多いわけでございます。そういうような意味合いから、私どもは高速自動車国道並びに一般国道上においてもっとその休養設備、駐車設備というものを増備していただくようにということをお願いしているわけでございます。  なお、これは若干の附帯する問題でございますが、トラック協会及び財団法人貨物自動車運送事業振興センターというものがございますが、そこで全国の主要な個所にトラックステーション、いわゆる長距離運行車の休養設備というものをつくるべくいろいろいま努力を傾けておるところでございます。これは発足してまだ満二年になったばかりでございますので、なかなか用地買収その他に手間取っておるところでございますが、全国主要個所にそれを設置するという努力をしておる、自前でもそういうことをやっておるわけでございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 皆さんもいろいろ経験ありましょうけど、私がいま一番印象に残っておりますのは、一昨年の暮れにフランスとかドイツなどの輸送秩序を調査いたしましたときに、フランスの交通大臣が私に言われた言葉が本当に印象に残っています。それは、運賃ダンピングの問題もあります、過積みもございます、それから鉄道貨物とトラック貨物との競合とか、いろいろございます、それでフランス、わが国として一番中心にありますのは、いずれの輸送機関であろうと労働者の労働条件を平等にすること、これが基本でございますと言われた。労働条件が平等でありますと運賃も余りダンピングできない、それから事業者がもうけてあれば過積みなんかやらない、事業者が安定しているところは過積みなんかやりませんと言われる。安定の基礎は労働条件だとおっしゃった。労働者が本当に正常な時間で、正常な賃金で、正常な神経で運転すれば事故がありませんし、それを基礎に運賃も決まっていくと言われた言葉が非常に私は腹にありまして、それが大体きっかけでこういう法律をつくろうという気になったわけです。  いま二七通達というりっぱな通達があります。それを省令にしないかと言ったら文句が出ている。冗談じゃありません。通達なら出すけど、法律にはしないなんということは、これは政府もひきょうです。これはまた、午後の時間あるいはあとずっと国鉄監理法案でも徹底的に論議するから、一つ一つ今度は解決していきますから、この国会で。  したがって、その労働条件を守るという立場でいくなら、白トラの類似行為なんか許せぬのです、本当は。それをトラック協会としてもっと大きくやっぱり旗を振ってもらわなければ困るわけだ。そうすると、二七通達を一社が完全に守ります、全社が守ります、そこから今度はほかに守らなければならぬように出てきます。だれもそれを知りながら、二七通達は守れませんと知りながら、しようがないとやっているから白トラがはびこっていくわけですよ。そういう問題について、それはいま向井さんのお話を聞きましたが、なかなかトラック協会としては言いにくい面もありましょう。ありましょうが、地方のトラック協会の幹部なんか皆そう言われます。したがって、それができなきゃできるように法律を直さなきゃならぬ。そして、徐々によくしていくとか、法律違反は罰するようにしなきゃならぬです。そのけじめをしないでいるところに私は輸送秩序混乱の一番の原因があるような気がしてなりません。その問題につきまして、それは向井さんからなかなか言いにくいかもしれませんけれども、もう一回、今後の取り組みなり、同時に、業界として輸送秩序確立のために行政へ要望することはございませんか。それをお聞きしておきたいのです。
  38. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 二七通達の点につきましては、設備の点だけについて要望事項を申し上げたわけでございますが、これは業界自体の問題でございますので、極力これは本当におっしゃられたような趣旨を体しまして、十分に自粛自戒をして守っていくようにということをさらに徹底するようにいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、輸送秩序の問題について官庁方面への要望事項ということでございますので、それについて若干お答えを申し上げます。  まず、運輸省を初め監督官庁の方にお願いをすることでございますが、先ほど来小柳先生からも御指摘のありました、特に部外からの秩序の攪乱要因としての、八百万台全部が悪いことをしているということではございますまいけれども白トラの取り締まり、それからまた違法行為の取り締まりというようなことについては、これはひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。私ども、もとより指導員を中心にしてそういうものの御報告を申し上げたり、みずから努力をしたりということがその裏打ちになることはもちろんでございますが、そういうお取り締まりということについてもさらに一層積極化をお願いしたいと思うわけでございます。  それから二七通達につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり高速自動車国道及び一般国道上において駐車、休養設備というようなものを完備していただきまして、われわれが場合によれば路肩で車をとめざるを得ないというようなことがないように、ひとつお願いを申し上げたいと思うのでございます。  それから、最近やはりときどき問題になるのでございますが、適正なる運賃収受しようとして業界が一致団結しなければ、個々の業者だけではできません。したがって、どうしても協会において運賃委員会などを中心にして話し合いを行って、一致協力して荷主に当たるというような場合がございます。そういうような場合に、とかく公正取引委員会の方から独占禁止法違反の疑いでもって御注意を受ける。そうすると、せっかくのわれわれの運動に水を差してしまって困るという事態が発生するわけでございます。また、輸送秩序というものは一定の地域の輸送需要と供給輸送力とがバランスを保っておってできるわけでございます。したがいまして、そういうところに新たな免許というような問題、あるいは事業計画を変更して他からの業者が出てくるというような場合、これは地元にとっては大きな問題になるわけでございます。そういうようなときには、地元の協会というものがありまして秩序と平和を保っているわけでございますので、そういうようなときにはトラック協会の意向というものを十分に行政に反映していただくような御措置をお願いしたい。特に、適法なる運賃収受のための活動というものは、もっともっと自由にさせていただくようにお取り計らいをちょうだいしたいと思うわけでございます。  それからもう一つは、例の優越的なる地位を利用して荷主が不当に安い料金を課してくるというような場合には、これは独占禁止法の違反事項として、これまたお取り締まりの対象に願いたいということでございます。  そのほか、昨今、行政管理庁、臨調というようなところでとかくいろいろ御批判が行われております政府の規制というようなものはミニマムにとどめる方がよかろうというような、これは抽象的な理念からでございますけれども、とかく規制に対する緩和を図ったらどうかというようなことが言われておるわけでございますが、昨今の輸送状況はますます、私どもが好むと好まざるとにかかわらず、鉄道輸送の方がだんだんと少なくなるような御措置が行われております。したがいまして、こちらにどうしても荷主はふえてくる。特にバルキーカーゴーなどがふえてまいりますと、車両の大型化というようなことも避けられない運命にあるのではなかろうかというようなぐあいに考えられるわけでございます。また、何か一朝天災地変というような場合には、私どもトラック協会中心になって緊急輸送体制というものを整備する必要がございます。これは輸送業者としての義務であろうと私ども考えておるわけでございます。そういうようなことをするためにも、今後国の動脈としての大きな働きをさせていただくトラック運送事業というものを、どうかひとつ今後とも基礎を固めるようなことでやっていただいて、いたずらに自由参入というようなことを認めるようなことのないようにお願いをしたい。  きわめて簡単に申し上げたわけでございますが、さしあたっての問題として官庁方面に対するお願い事項というようなものは、概略以上のようなことでございます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。また、午後の審議のとき、政府の方には青木委員の方から質問いたします。  最後の問題でございますけれども、全ト協会長の諮問機関であります道路運送事業関連諸問題研究会が昨年の十一月に報告書を出しております。この報告書の中に次の点が指摘されておりますが、これに対する参考人の御意見を聞きたい。  第一は、参入規制の問題です。参入規制の問題については、いろいろ各国、最近緩和の方向にはございます。また、行管庁の勧告あるいはOECDの勧告などもございますけれども、「今後の参入規制については、財務条件、施設条件、所要管理機能条件などの事業者資格要件をより厳しくし、社会的弊害を抑制するための規制対応が必要である。もちろん、このような資格要件は参入時のみならず、その後も継続的に充足されなければならず、管理機能の強化が必要とされるところである。」。言うなら、現在風潮としては、臨調などは免許などは簡単にせい、許可、認可を省略せいという方向でございますけれども、西欧諸国で、経験で、いまそれではいかぬということで、参入規制をなお今度は厳しくするような見直しがなされています。この点に対する向井参考人の御意見、これが一つ。  それから第二は、「規制における管理効果と自主管理体制について」。トラック協会自体が「組織的な管理機構を業界内部に設置し、権限委任を前提とした管理が行われなければならない。」、「業界内部において自主的な管理体制確立することが」必要である、そういうものがこれからの輸送秩序確立するあるいは自家用トラックの不法な参入などを抑制する道であると言われていますが、参入規制の問題と、それからおたくのトラック協会みずからの自主管理体制をどう強化するか、この二つの問題についてのお答えを願います。
  40. 向井重郷

    参考人向井重郷君) いま小柳先生が引用されましたのは、全ト協の中におきまして道路運送問題研究会という研究会を発足いたしまして、いろいろ当面の問題を論議した結論として答申をいただいたものでございます。  参入規制の問題につきましては、先ほど来種々いろいろと御説明申し上げておったところでございますが、輸送状況なり現状というものから見て自由にこれが参入できるというような体制にするということは絶対に困るということなんであります。しかし、ここにうたっておる内容とするところは、これは法律の各条項とも関係がありますし、また非常にきわめて重大なことでございますので、答申を受けてこれを直ちに実行に移すということについてはさらに慎重にこれを研究していく必要があろうと考えておるところでございます。  自主管理体制というものにつきましても、先ほど来輸送秩序確立のためにこれは業界みずからが真に実効のある運動をするために組織するものであるということを申し上げたわけでございますが、答申を受けて早急にこれは編成をして本当に実効のあるものにしたい。ただ単に、人を集めて抽象的に論議を重ねるというだけではなくて、おっしゃられたような趣旨を体してすぐこれを実行に移すような組織をつくっていく、そういう準備を現在進めておるところでございます。  なお、これはまた行政の運用方針というものとも関連してまいる問題でございます。どうか、この参入問題の御審議、免許審議というようなものに当たりましては、監督官庁の方におかれましてもそういう点についてより慎重なるお取り扱い、厳しいお取り扱いを願いたい、さようなぐあいに考えているわけでございまして、この結論を、いま直ちにどういう形でどうするということは現在申し上げかねるわけでございますけれども、きわめて慎重に重要な問題として五十八年度初頭から全ト協の大きな課題として取り組んで、なるべく早くこれを実現に移したい、かように考えておるわけでございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 以上で向井参考人に対する質問は終わらしていただきますが、私どもがこの法律をつくりました真意はいま申し上げたとおりです。いまのこの日本の貨物輸送の大部分を担当しておられる貨物自動車運送事業トラック事業というものが秩序整然とやってもらいませんと、日本経済的な発展についても懸念いたしますし、それから他の輸送機関、鉄道貨物とか航空貨物とか海上輸送とか、そういう機関ともこれは非常な密接な関連があるわけです。したがって、六十億トンの中の少なくともその大部分を担当するまず中心は、やっぱり青ナンバーの皆さんの協会であります。それから、あと全国自家用自動車協会です。白トラ協会も少し組織確立していただいて、そして政府なり、われわれ国会がちゃんと見えるように、そういうふうな体制を早急につくっていただかなきゃなりませんでしょう。  最後に、希望いたしますのは、さっき申し上げましたように、これはほとんどおたくの事業というのは人間が中心事業ですから、おたくの方のトラック協会運転者の労働条件を守ることが、鉄道の貨物の機関士の労働条件と相似たときに運賃も同じになりましょうし、そういうものをやっぱり基本に考えなきゃならぬであろうというのが私ども考えの中にございまして法律をつくりました。この法律の扱いについては、また理事会でどう扱われるかわかりませんけれども趣旨はそうでございますから、社会党だから云々とか、自民党さんだけのトラック協会になりませんように、いま自民党の皆さんもおられますけれども、われわれもトラック協会の将来の発展を心から念願いたしておりますから、どうぞひとつ、そういう意味で今後の御健勝を祈念いたしますと同時に、きょうはお忙しいのにありがとうございました。  質問を終わります。
  42. 梶原清

    ○梶原清君 時間の関係もありますので、私は三点につきまして御質問をし、また所見をお述べいただきたいと存じます。  まず第一点は、先ほどの先輩の小柳先生の御質問に答えられまして荷主懇談会のお話がございました。従来とも各地で荷主懇談会を開催してトラック事業者の立場を強く主張してこられておりますことにつきましては非常に結構なことであり、これを将来とも拡充していただきたい、このように強く要望したいわけであります。  もともとトラック運送事業、その特性につきましては向井参考人は十分御存じでございますけれども、私なりに要約してみますと三つの点が指摘できるのじゃないかと思います。  まず第一点は、労働集約的な産業である。トラック一合に必ず最低一人以上の運転をする人が必要になる。これを省くわけにはいかない。また、これをロボット化するわけにもいかない。したがいまして、総営業費用の中において占める人件費の割合は非常に高いはずであります。そのような労働集約的な産業という性格が、まず第一点でございます。  それから第二点は、主たる営業の場が一般公道であるということが指摘できると思います。製造工場でございますと、自分の限られた工場の敷地内で最も能率を上げるような生産設備を配備して、そしてシステム化して能率を向上していくということができる。自分の創意工夫によってそういうことが可能になるわけでございますけれどもトラック運送事業におきましては一般公道を走るという大きな特徴がございますので、この点が一つ指摘されるわけではないか。自動車がどんどんふえまして、交通渋滞がますます激化して運行能率は下がっていく、経営能率は下がっていく、こういう環境に置かれておるというふうに思うわけでございます。  第三点は、運送サービスが経済学で言いますところの即時財である。製造工場でございましたら、製造して保管をして、そして消費者の手に渡る。保管機能、貯蔵機能というものがある。ところが、この運送業につきましては、いわゆる生産といわゆる消費とが密着をしておる即時財である。荷主の皆さんからは、これこれの時期にこれこれの輸送をしてくれという要請をされる。それに応じなければいけない。運送業における生産はストックができない。したがって、製造工場におけるような平準的な生産活動ができないというところに一つの大きな特性といいましょうか、つらい点があると思うわけでございます。  いずれにしましても、このような特性を持ったトラック運送事業が、ますます厳しくなる経営環境のもとで努力をしておられるわけでございますから、この点を運送業界の皆さんが十分に理解をして、そして荷主の皆さん方に自分たちの置かれておる環境というもの、厳しい環境というものを訴えていく必要がある、自己主張をしていく必要がある、このように私は思うわけでございます。業界の皆さんが力を合わせて、そして産業界荷主の皆さん方に自分たちの立場を十二分に理解し協力をしていただくということが一番の原点ではないかと思うのでございますが、このような点につきましてトラック業界が今後どのように努力をされていこうと思っておられるのか、その点につきまして、まずお尋ねをいたしたいと存じます。
  43. 向井重郷

    参考人向井重郷君) ただいま梶原先生からトラック運送事業の特性についてお話がございましたが、私どもトラック運送事業というものはまさにいま先生のおっしゃられたような点がトラック運送事業の特性であろうと考えておるわけでございます。  顧みますと、こういうことは表に余り出ない、本当に理解なすっていただく方のみにわかるというような、とかく説明に苦しいような場面でございます。したがいまして、適正な運賃収受し、輸送秩序確立するというためには、こういうことこそ一般荷主の方々に訴えて理解をしていただいてちょうだいしていくべきものと考えるわけでございまして、そういう点については、前の小柳先生お話にあった、荷主の言うなりになっていたのではいけないとおっしゃられましたけれども、まさにそういうことと表裏一体となる筋合いでございます。  荷主懇談会につきましては、これは相当物流関係の方々を講師にお招きいたしまして、荷主業者相ともに研究をするというようなことでやっておるわけでありますが、最近の物流界の傾向等がそういうところで十分に論議されますので、各地においてこの荷主懇談会はまことに好評を得ているように思いまして、効果のあることと存ずるのでございます。  したがいまして、私どもはこれをどういう時期にやるのが一番適当であるかということを考え、また開催する場所ということも非常に大きな問題でございますので、この時期と場所というものをさらに慎重に考え、なるべくこれを数多く開催して、全国津々浦々輸送事業というものの特質を理解していただきながら、荷主の了解を得て秩序の向上というものを達成してまいりたい、かように考えておるのでございます。
  44. 梶原清

    ○梶原清君 第二点は、先ほどの小柳先生の御質疑でも触れておられたわけでございますが、トラック運送事業における秩序と競争の関係政府規制と競争政策の関係、これが非常に重要だと思うわけでございます。この秩序と競争、政府規制と競争政策の接点をどのように見つけていくか、これは非常に重要なことであろうと思うわけでございます。私ども自由民主党におきましては、政務調査会の中に独禁法に関する特別調査会というものがあるわけでございまして、その中でこの問題につきまして精力的に検討、審議を続けておるところでございます。  向井参考人も御承知のとおり、過般OECDの勧告がございました。昨年の八月十七日には公正取引委員会から十六業種につきまして政府規制制度を見直せという見解の発表があったことは御存じのとおりでございます。トラック運送事業につきましては、御案内だと思いますが、重ねてここで申し上げますと、三つの論拠があるわけでございますが、事業の免許制を導入した当時と比べましてトラック運送量が非常に増大をしており、トラック運送事業者の経営基盤も格段に充実をしておる、これが第一点。第二点は、現在の政府規制では事業者がその創意を発揮し自由に競争することを妨げておる、事業者の創意を生かせるように規制の簡素化、緩和を検討せよ。第三点は、トラック運送事業では企業間取引というのが非常に高いウエートを占めておる、認可料金が有効に機能していない実情にあること、従来物価安定政策会議等で制度の再検討の必要が指摘されておること等から自由化の方向で検討する必要がある。このように公正取引委員会が見解の発表をいたしたわけでございます。  私の基本的な考え方は、競争政策の必要性そのものを頭から否定するつもりはありません。しかし、先ほど申し述べましたトラック運送事業というのはあのような特性がある、そういう特性を踏まえた競争政策でなければいけないというのが私の持論でございます。もしも競争することがいいのだ、競争だけがいいのだということになりますと、トラック業界は恐らく中堅企業というものが私は崩壊していくのではないだろうか、そして適正でない事業者が参入をしてきましてかえって利用者の利益が阻害されるのではないだろうか。これが第一点。  第二点は、むやみに競争をします結果、かえって輸送の効率というものが阻害されてくるのではないか。私どもが問題にいたしておりました片荷輸送というのがございますが、そういう片荷輸送というのが多くなる。限られた道路、貴重な燃料資源を使って輸送するのですが、これは全部片荷輸送になってしまう。こういうような結果になって、かえって国の全体の利益、国民の利益に反するのではないかと私は思うわけでございます。  そこで、競争というものと秩序というものをどのようにかみ合わせていくか、政府規制と競争政策をどのようにかみ合わせていくかということが非常に重要な課題になるのではないかと思うわけでございます。そこで、これに関連して二つばかりお尋ねをいたします。  まず第一番は、帰り荷の輸送の問題でございますが、従来とも御尽力をいただいておると思いますけれども、その帰り荷のあっせんとか、そういうことにどのように努力をされ、それがどのようにいま成果を上げておるかということが一つ。その次に、先ほど公正取引委員会の見解がございましたが、そうした自由化論に対しましてどのようにお考えになっておるか。この二つをお答えをいただきたいと存ずるわけでございます。
  45. 向井重郷

    参考人向井重郷君) ただいま梶原先生から、とかく新聞紙上その他で問題になっております規制というものについて、まことに深い御見解を示されたわけでございます。  確かに、この規制と競争というものとの接点をどこに求めるかということは、非常に大きな問題になってくるわけでございます。私どもも、OECDの勧告であるとか、それから公正取引委員会の見解、行管の勧告というようなことについてはいろいろと研究をしてまいっておるところでございます。  いま先生の言われましたように、自由化ということになりますと確かに業界においては秩序が乱れる、これははっきりしていることではなかろうかと思うのでございます。そういうようなことから、私どもは構造改善事業というものをこれは政府の御認可をちょうだいしてやっているわけでございまして、ことに昨年からはこれを総合型の構造改善というようなものにさらに進めているわけでございます。零細企業を強くするために共同化する、共同化して共同で仕事をする、あるいは一歩進めて協業化というところまでいっている面もございます。そうすることによっていろいろな問題が有利に解決できるわけでありまして、私どもはそういう点も大きな政策の一つとして推進をしているところでございます。  御指摘のございました返路輸送という点につきましても、これは車の実車率を高めるということが経営上非常にいいことでありますし、また省エネその他についても莫大なる効果を持つものでございます。こういう点については、したがいまして、こういうような協同組合間における連携とか、あるいは事業の協定というようなものによって推進をしているわけでございます。特に、最近はこれに返路利用というものを取り上げまして、これをどういうふうにしたらうまくできるか、コンピューターの活用方法等についてはどういうふうにしたらいいかというようなことを研究いたしまして、どうやらソフトの面の解決を見て、今後はこれを実施面に五十八年度から移すべくいま努力をしているところでございます。実車率が現在平均では約六七%ぐらいということでございまして、これは営業用のものでございますが、これをさらに高めていくということが非常に有効なことでございます。今後、現在でもやっておるこの協業化と共同というようなことを進めるとともに、システム輸送というもの、これをひとつなるべく早く発足させるように努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。  また、その成果ということでございますが、ただいま実験的にやっておりますのが、前に全日本トラック協会でやっておりましたJUSTという組織と、日貨協運——日本貨物運送事業協同組合連合会でございますが、ここでやっておりましたNSTという組織がございます。これは電話でやっておったのであります。この二つを統合していま現在試行的にやっておるものがございまして、相当の成果を上げてございます。これを母体にして、いまのコンピューターを使ってのシステム輸送というものを今後進めてまいりたいと考えているわけでございます。  それからもう一つは、この自由化論というものは、これは先ほど以来申し上げているとおりでございまして、自由参入というようなものを勝手に許すということになりますと、これは秩序の乱れということは必至の状況である、以前にるる申し上げたとおりでございますので、こういう安易なる規制の緩和ということはまことにこれは御免をこうむりたい、かように考えている次第でございます。
  46. 梶原清

    ○梶原清君 最後の御質問でございますが、許認可制度の運用というものに若干関係する問題を取り上げてみたいと思うわけでございます。  と申しますのは、トラック運送業界では、御指摘のように、運賃ダンピングとか輸送秩序という問題が最大の悩みになっておる。古くて新しい問題になっておる。これを解決していくためには、総合的な取り組み方、じみな努力を積み重ねていくしかないのじゃないか。  その一つとして、私がまず第一番に取り上げてみたいと思いますのは、現在三万数千のトラック事業者のあります中で、すでに破産状態、倒産状態にあるような会社があります。また、ペーパーカンパニーになっておるところもあります。こういうものを、各県各支部、また大都市におきましては班という組織もあるようでございますし、協同組合もある、そうした組織でもちまして問題の会社を健全に育てていくように、あるいは業界全体を正常化していくように努力をするということが大切ではないか。苦しいから高利貸しからお金を借りる、それが暴力団的なものが入り込んでくる要素になっておるという傾向は各地で見られるわけでございますから、端的に言いますれば、このペーパーカンパニー的なものに対してひとつ力を入れていく必要があるのではないか。これがまず第一点です。  それから、ごっつん免許という問題を私、常々申し上げておるわけでございますが、トラック運送事業の免許申請をする人、純粋にこれからトラック運送事業をやるという申請者の大半が白ナンバーの車で営業類似行為をやっている人ではないかと私は推測をいたします。従来ある程度の実績が確証できなければ免許にならないという風潮がありましたために、まず実績を稼ぐ、白ナンバーで実績を稼ぐ、そしてどこそこにどういう荷物が確保できるからといって申請をする、それを認める。しかし、いままで白ナンバー営業をやっておったのだから、道路運送法違反だから使用禁止処分をするとごっつんを食らわせて、そして免許を与える。こういうことが従来二十年、三十年続けられてきたように思うわけでございまして、実は私も自動車行政を長く担当いたしてまいりましたから、その責任者の一人であるわけでございますが、しかしこれはちょっとやっぱり考え直さなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。  しかし、なかなか言うべくしてむずかしいことだと思います。トラック免許申請の需給関係について調査をしようというのがなかなかむずかしい、こういうふうに思うわけでございますが、こういう点につきまして運輸省にも一工夫をしていただかなければいけませんが、業界においてもそれなりの工夫をし努力をしていただかなければ正常化ができないのではないだろうか。また、そのごっつん免許の方式を改めるとすれば、言葉をかえて言いますれば、白ナンバー営業をしておった者には免許を与えないということをするためには、みずから業界の中でも襟を正していただかなければいけない、こういうふうに思うのですが、これはなかなかむずかしい指摘でございますので、簡単に、御所見がもしありましたらお答えをいただきたいと思います。  それから第三点でございますが、増車なり営業所の新設、そういう認可申請を出しますときに、ついこの間も岡山県トラック協会が公正取引委員会から勧告を受けたわけでございますが、会員が申請するときにはその協会内部で調整をする、こういうことをいままでやっておって、それが独禁法違反になったわけでございます。そうすると、独禁法違反を免れようとすると個々の事業者が個個に申請を出してしまう。そうなってくると、なかなか秩序といいましょうか、業界の平和ということが問題になってまいります。したがって、こういう点につきましてもやはり一工夫がなければいけないのではないだろうか、こう思うわけでございます。先ほども私、指摘しましたように、秩序と競争というもの、その兼ね合いをどう考えるか、接点をどこに求めるかということを指摘いたしましたが、こういうような問題につきましても非常に深刻な事態になるのではないかと思いますので、この点について、もし御所見がありましたら簡単にお述べいただきたいと思います。これはあくまでも簡単で結構でございます。
  47. 向井重郷

    参考人向井重郷君) 梶原先生から三点にわたっていろいろ御質問がございまして、御指摘をちょうだいいたしました。  まず第一に、ペーパーカンパニーというような問題でございます。私どもは三万四千の同業者全国におるわけでございまして、やはりこれはあくまでも全業者が正しい道を歩んで共存共栄の実を上げてもらいたい、これが根本的な私どもの念願でございます。そういうような意味合いにおきまして、破産寸前にある者でありますとか不幸にしてペーパーカンパニー的なものに堕してしまったというような者につきましても、これを、おっしゃられましたような協会内部の指導、あるいはさらにトラック協会の支部、あるいはその下にある班というようなものを活用しまして、お互いにこれを正しい方向に導いていくというようなことは、この際特に必要なことではなかろうかと考えるわけでございます。どうしてもそれがだめな者は、これはやむを得ずに毎年数百件の破産というようなものが放置されるのが私ども胸が最も痛む次第でございます。  それからもう一つは、いわゆる白トラを基礎にしての事業進出ということでございますが、これは場合によっては、ある一定の特殊な事業に限って一般業界に災いを及ぼすことなく自家用でやっておった、それが分離して一つ事業体になるというような場合ももちろんあるわけでございますが、一定の地域におきまして運送事業者荷物を奪取して営業を続けておったというような業者が罰せられることなく免許を取得するということについては、これはあってはならないと思うわけでございまして、そういうような場合におきましても、業界におきましては長い間の事業経験から、どこのものがどうだというようなことは大体において見当はついておると思うわけでございます。  そういうような意味におきまして、そういうような免許審議に当たっては、地区の協会の意向を十分に調べていただいて反映さしていただくのがこういうものを防止する一つの手段になるのではなかろうかと考えるわけでございます。  それからさらに、事業計画変更その他で営業所を設けあるいは免許をするというような許認可事項に際して、業界がみずからこれを経由しなければ申請をしてはいけないというようなことは、これは明らかに独禁法に違反することになると存じますけれども、申請に接した場合に、行政官庁におかれてその地方の輸送需要と供給輸送力関係、そういうようなものを調査される意味において業界の意向を聴取していただきたい、ぜひこれはそういうぐあいにしていただきたい、かように私ども考えておる次第でございます。
  48. 梶原清

    ○梶原清君 最後に、御要望だけ申し上げて質問を終わらせていただきますが、非常に厳しい環境のもとで国の産業なり国民生活の上で非常に重要な役割りを担っておられるトラック業界でございますが、先ほど来小柳先生も御指摘になりましたような運賃ダンピングとか輸送秩序の問題、非常に深刻な問題でございますので、これに真剣に取り組んでいただきまして、効率的な物流体系を形成するために格段の御尽力を賜りますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  49. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  向井参考人に一言御礼申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。どうも御苦労さまでございました。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  50. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 午前中に、わが党の小柳委員並びに自民党の梶原委員からもいろいろとお話がございました。そしてまた、大分全ト協理事長に対しまして詰めた話をしたのでありますが、私はこの問題について、主に政府に対して、この問題に対する若干の突っ込んだひとつ質問をいたしまして、認識を新たにして、むしろ参議院としてこの問題に対する見解の統一その他について一致さしてまいりたい、このように考えているところであります。声が若干痛んでおりますので、よくひとつ静粛に聞いていただきたいと思います。  今日、わが国の貨物運送事業者は何と三万五千を数えているわけでありまして、その大多数は中小零細企業者が占めておりまして、ダンピング運賃による輸送過積載の横行とか、自家用トラックによる営業類似行為の増加等があり、輸送秩序全体がきわめて憂慮すべき事態を招いているのでございます。輸送秩序確立が急務となっておりますが、運輸大臣輸送秩序確立の重要性に対する御認識を、まず伺っておきたいと思います。
  52. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、トラック運送事業者は確かに中小の零細業者が大多数を占めております。しかし、このトラック運送事業というのは、国民生活にとりましても、また日本の産業経済にとりましても、いまや重要な役割りを果たしているわけでございます。しかし、何といいましても、最近の景気の低迷等を反映いたしまして、輸送の荷動きが少なくなってきておる、こういうような状況のもとで、輸送秩序の乱れというものが、最近、以前にも増してふえてきておるという状況下でございます。  私どもの貨物運送事業に対する行政のやはり大事な柱というのは、この輸送秩序確立にあろうかと思いますので、トラック運送事業者が適正な運営と公正な競争を確保しながらその使命を達成していくためには、どうしても輸送秩序確立が大事ではないかというふうに認識しておるわけでございまして、私どもといたしましても、この点に特に力を入れてこれからの行政を進めてまいりたい、かように考えております。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 いま言われたようなことをもとにいたしまして、輸送秩序の乱れを直して、貨物自動車運送事業の健全な発展を図っていくためには、第一に、一般貨物運送事業の免許基準の適正化を図ることが必要であることは御案内のとおりでありますが、道路運送法による免許基準の適用は当たってはどのような運用方針で臨んでいくのか。特に、事業計画や事業遂行能力等の審査に対して運輸当局の方針を聞くと同時に、免許後におきましても、それらが的確に担保されているかどうか、十分な監督、指導をすべきだと思うのでありますが、その点いかがですか。
  54. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) トラック運送事業の免許事案の処理に当たりましては、道路運送法の免許基準がございますが、これに基づきまして需給の関係、それから事業計画の適切性、あるいは事業遂行能力等につきまして厳正な審査を行っているところでございますが、特に事業計画や事業遂行能力、この事業計画と申しますのは、需要に対しまして適切な供給輸送力をどうやって確保するかというようなところが中心でございますが、また事業遂行能力というのは、その事業を行っていく上についての財務あるいは施設、それから経営管理能力、こういったものが中心でございますが、こういうものにつきまして審査をしていくわけでございますけれども、各陸運局がそれぞれ具体的な免許基準を公示しておりまして、それに基づきまして慎重かつ厳正な審査を行っているところでございます。  また、免許の後におきましても必要な監督、指導に努めているわけでございますが、今後とも免許基準の運用、それから免許後の監督、指導に当たりまして、道路運送法目的が達成されますよう一層努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  55. 青木薪次

    青木薪次君 総理府の交通安全対策室長にお伺いいたしたいと思いますが、運行の安全確保のためには過積載防止が重要となります。政府は総理府の交通安全対策室を中心過積載防止対策連絡会議を設けて、関係の各省がその申し合わせに従って通達を出して防止に努めておりますが、十分効果を上げていないと思うのです。これまでの対策と改善の状況を、まず報告していただきたい。  それから、今後は都道府県レベルでも連絡会議を設けまして、指導と取り締まりの徹底化を図るべきではないかと思うのです。中央、地方の過積載防止連絡会議に運輸関係の労働組合の意見が反映されるような措置を講ずるべきではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  56. 滝田一成

    政府委員(滝田一成君) ダンプカーその他、大型貨物自動車によりまする過積載防止につきましては、交通安全対策上の長年にわたる重要課題でございまして、これまで数次にわたる交通対策本部の決定、また関係省庁の申し合わせなどに基づきまして、過積載原因となりまする差し枠の装着の禁止、重量計等の整備による取り締まりの強化等の諸対策を講じてきたところでございます。  また、昭和五十三年の道路交通法の改正によりまして、背後責任の追及が強化されるとともに、自動車運送事業については運輸省令の改正によりまして過積載となる運送の引き受け、運送計画の作成及び指示が禁止されるなどの対策が推進されているところでございます。  他方、過積載防止対策の効果的な推進を図るためには、指導、取り締まり等の強化とともに、荷主とか事業者運転者等の関係者による過積載自粛の徹底を図ることが必要でございまして、さらには流通輸送面での合理化、適正化を図るための根源的かつ総合的な対策を推進していく必要があるというふうに考えております。  このような趣旨に基づきまして、昭和五十三年の道交法改正を契機といたしまして、総理府を中心関係省庁による過積載防止対策連絡会議を設けまして、関係省庁の密接な連絡のもとに施策の推進を図っているところでございます。  さらに、昭和五十五年以降ダンプカーを中心として過積載による違法運行が増加したことから、この連絡会議での検討をもとにいたしまして、昭和五十六年八月二十九日付で総理府、警察庁、農林水産省、通商産業省、運輸省、建設省によりまして、「過積載による違法運行の防止に関する当面の対策について」という申し合わせを行いまして、これら関係省庁の緊密な連絡のもとに、一つは、「過積載による違法運行の防止に関する指導徹底」、二番目には、「さし枠の装着等物品積載装置の不正改造の防止に関する指導徹底」、三番目に、「過積載による違法運行に対する取締りの強化」、四番目に、「公共工事における過積載防止措置等」、五番目に、「関係機関の相互協力等」の対策を強力に推進をしてきたところでございます。今後とも申し合わせの線に沿って引き続き指導を強化し、広域的な対策の推進、また関係機関、団体連絡協調体制確立などに重点を置きながら指導が末端まで徹底するように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  57. 青木薪次

    青木薪次君 警察にお聞きいたします。  過積載に対する警察の取り締まり状況はどのようになっているかという点でありますが、一九七八年の道交法の改正で、過積載を命じた事業主等の責任を追及することができるようになったのでございますが、背後責任の追及の状況はどんなぐあいになっているのか、またこの運送事業者については道路運送法による処分ができることになっているけれども過積載を理由にした処分の状況はどのようになっているのか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  58. 桑田錬造

    説明員(桑田錬造君) 過積載の違反の取り締まりにつきましては、超過重量の多いものなど悪質でかつ危険なものを重点に取り締まりを行っておりますが、それと同様に、これらの違反行為を下命、容認した自動車使用者あるいは荷主等につきましても、その背後責任の追及を徹底して行っているところでございます。  ちなみに、昭和五十七年中におきます過積載違反の取り締まり件数は九万七千二百二十八件でございまして、前の年に比べまして六千八百七十二件の増加、パーセントにいたしますと七・五%の増加となっております。なお、超過割合別でその内訳を申し上げますと、十割未満の違反が七万九千百六十一件ということで、こちらの方は前年に比べまして七・三%の増加になっております。また、十割以上の超過の事案につきましては一万八千六十七件ということで、これは前年に比べまして九・一%の増加となっております。また、下命、容認あるいは両罰規定等の適用によりまして背後責任を追及した事案は五千二百八十二件ということで、これは前の年に比べまして千三百二十四件、三三・五%の増加となっております。
  59. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 道路運送法によります処分につきましては私の方から御報告申し上げますが、警告等を含めまして何らかの処分を行いました件数は、五十五年度で三百九十二件、それから五十六年度で四百二十八件でございます。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 建設省にお伺いいたしますが、過積載の取り締まりには重量計の設置が効果的であります。主要国道における重量計の設置状況はどうなっているのか、また今後の設置計画についても説明をしてもらいたいと思います。
  61. 青木保之

    説明員青木保之君) 建設省の道路法によりますと、重量車でありますとか大型車によります違法な通行による道路の損傷、交通の危険を防止するためにいろいろな規制を行っておるところでございますが、その実効を図るために車両重量計等の整備が必要なわけでございまして、私どもその整備を推進しているところでございます。一般国道の指定区間、これは大体二万キロ近くあるわけでございますが、全国で、重量計それから軸重をはかります軸重計、両方合わせまして大体百カ所程度、おおむね二百キロに一カ所の割合で整備をしているところでございます。  今後の問題でございますが、重量計の設置する場所というのは、やはり道路上ではなかなかできませんので、道路から横に入りましたような場所に設置いたしますとか、あるいは取り締まりのしやすい場所に設置するとか、非常に場所の制約がございますので、そういった取り締まりに適した場所を選定いたしまして、今後現地レベルで整備を進めてまいりたいと思っているわけでございます。  また、最近情報が非常に速くなりまして、一たん取り締まりを始めますと、すぐ情報が漏れると申しますか、連絡がなされまして、すぐ逃げてしまうというようなケースもございますので、固定的な場所だけでなくて、可搬式の重量計というのもございまして、地方建設局等で所有してございますが、そういう可搬式等の重量計等も活用いたしまして、機動的、効果的に取り締まりをやってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 過積載防止のために、第六十五回の通常国会において、すべての大型貨物自動車に自重計の取りつけを進めることが決議されているわけでありますが、なお今日、義務づけに踏み切れない理由を明らかにしていただきたいと思います。
  63. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 四十六年五月の交通安全対策特別委員会におきまして決議がなされたわけでございますが、同年の七月に、この自重計の研究をするために、自動車局に関係省庁、通産省、警察庁、運転者の代表、計量器のメーカー、それから自動車メーカー、こういった方々の代表から成ります大型貨物自動車過積載防止装置研究委員会というものを設置したわけでございます。  この研究会は、その後、ダンプカーのような荷台の昇降機構を持たないで、また車両構造がきわめて多様でございます大型貨物自動車に装置しても大丈夫なような自重計の開発可能性につきましていろいろ検討を加えたわけでございますが、バネの方式による試作、試験を繰り返し行ってきたわけでございますけれども、これは誤差が非常に著しいこと、それから年数がたちますとその目盛りが狂ってくるというようなことで、実用化が不可能であるということが判明した次第でございます。  それで、この委員会は、そのために五十一年からはひずみ計を利用した試作、いわゆるストレーンゲージ方式のものについて実車試験を行ってきたところでございますが、その結果、五十六年十月、使用者が適切な管理のもとで、砕いて申し上げますと、目盛りを空車状態でゼロ点に合わせて使用するというような、そういうような適切な管理のもとで使用するのであれば積載量の指針として活用することが可能であるという報告を行ったところでございます。  しかし、それは現在開発されていますものは、プラス・マイナスの誤差が二〇%程度も生ずるというものでございますので、運送事業者が自主的にこれを御自分の商売、お仕事のために取りつけるというのはよいといたしましても、その設置を義務づけるというのはまだ困難な状況であるというふうに考えております。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 私たちの調査では、過積載を行っているものの割合が営業用よりも自家用に多いことが判明いたしております。自家用トラックについても、過積載を行ったトラック使用者に対して運輸大臣が当該トラックの使用の制限または禁止ができるようにする必要があると思うのでありますが、いかがですか。
  65. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 過積載に対する運送事業者の処分は、これは運輸大臣が行っておりますが、自家用トラックにつきましては公安委員会が現在道路交通法に基づきまして行っているわけでございまして、それぞれ各省の所管に応じて全体として行政を担当しているところでございますので、自家用トラックにつきましてあえて運輸大臣過積載の違反についての処分を行うというような必要は現在のところはないのではないかというふうに考えております。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 それは将来検討する必要を私は提起いたしておきたいと思います。  それから、トラック運転者の労働条件の改善の問題です。  五十四年の十二月二十七日の労働省によるいわゆる二七通達が出されておりまして、午前中もその問題について議論がなされたのでありますが、その実施状況についてどうなっているか、御答弁願いたいと思います。
  67. 野崎和昭

    説明員(野崎和昭君) 自動車運転者の労働時間管理の適正化の問題につきましては、先生ただいま御指摘のように、昭和五十四年に新しい改善基準をつくりまして、その遵守に努めているところでございます。  トラック関係昭和五十七年度上半期の状況を申し上げますと、四千八百五十事業場に対しまして監督、指導を実施いたしたところでございます。その結果は、改善基準の項目に何らかの違背が認められたという事業場は五四・六%でございます。主な項目といたしましては、日勤勤務の一日の最大拘束時間が十六時間を超えるというものが三〇・七%、隔日勤務の最大拘束時間が二十一時間を超えるものが二八%、連続運転時間が四時間を超えるものが三五%というような状況でございます。これを前年度、五十六年度の上半期と比較いたしますと、全体では違背率が三・九ポイント減ということになっておりまして、全般的には若干ながら改善がなされているというふうに考えておりますけれども、まだまだ十分と言える状況ではございませんので、引き続き厳正な監督、指導に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 トラック運転者の休憩、仮眠等のための施設であるトラックステーションの整備についてはどのようになっているのか、今後の整備計画も明らかにしていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
  69. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 全国トラック協会が交付金を受けまして、それによって現在トラックステーションを整備しておるわけでございますが、現在供用中のものは五カ所でございます。それから五十八年度供用開始予定のものが十四カ所、それから今後さらに整備していく必要があると考えて計画をしておりますものが二十七カ所、そういうような状況になっております。
  70. 青木薪次

    青木薪次君 トラックステーション建設の財源となっている運輸事業振興助成交付金は二年延長されることになったのでありますが、振興助成交付金の永続化、恒久化に努めるべきだと思うのでありますが、その点いかがですか。
  71. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) この交付金は、先生ただいまおっしゃいましたように、五十八年度の税制改正の際に、軽油引取税の暫定税率が二年間延長されたことに伴いまして五十八、五十九年度二年間交付金も継続する、こういう取り決めになっております。したがいまして、六十年度以降は一応いまの段階では白紙ということになっておりますが、私どもといたしましては、この交付金がトラック運送事業の経営の健全な運営のために非常に有効な役割りを果たしておりますし、今後とも必要だというふうに考えておりますので、継続に向かいまして関係省庁と十分協議をして努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  72. 青木薪次

    青木薪次君 高速道路及び主要一般国道における駐車施設、休憩施設が不足していると思います。整備の促進が要望されてきているのでありますが、今後の整備計画等について明らかにしていただきたいと思います。
  73. 宮原克典

    説明員(宮原克典君) 高速自動車国道におきましては、駐車場、便所等々施設を備えたパーキングエリア、これを約十六キロメートル間隔に、さらに給油所、食堂等の施設を加えましたサービスエリアを約五十キロメートル間隔に配置して利用者の用に供しておるところでございますが、今後建設されます高速自動車国道につきましても必要な休憩施設の整備を行っていく考えでございます。  特に、東名高速道路、名神高速道路等の大都市周辺の休憩施設におきましては、当初の予想を上回る交通量の増加によりまして混雑を呈しておる状況にございます。このため、昭和四十八年度から駐車スペースの拡大などの休憩施設の改良に努めておりまして、昭和五十七年度末におきましては、当初供用いたしましたときの数に比べまして大型車用が千二百七十四から二千三百二十三と約八二%、小型車用が二千七百八十一から三千六百五十三と約三一%、合計で約四七%の駐車マスの増設を行っております。  東名、名神以外の高速道路におきましても、大都市周辺の休憩施設の利用が多くなっておるということにかんがみまして、駐車スペースの拡大を昭和五十五年度から実施してきております。今後とも利用状況等を勘案しつつ休憩施設の拡充整備を推進してまいる所存でございます。  また、一般国道でございますが、自動車専用道に指定されておる区間につきましては、沿道からの出入制限がなされております。このため、高速道路に準じまして駐車施設及び休憩施設を設置するよう努めております。  自動車専用道以外の一般国道におきましては、沿道からの自由な出入りが可能でございまして、もっぱら民間のドライブイン等の諸施設が利用されておる状況でございます。しかし、道路管理者におきましても、運転者の利便に資する駐車施設につきまして、地域の状況に応じ道路改築時に設けるよう努めておるところでございます。
  74. 青木薪次

    青木薪次君 午前中も論議いたしましたけれども、二七通達の遵守をさらに徹底させるということが絶対必要です。今後どのような措置をとっていくのか。午前中の全ト協理事長の意見もありましたけれども政府としてはどう考えているか、この点についてお伺いいたしたいと思います。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
  75. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 二七通達の遵守状況につきましては、先ほど労働省の方からの御説明もありましたが、まだまだ満足するような状態じゃございません。したがいまして、運輸省といたしましては、従来から運送事業者に対する計画的な監査とか、あるいは運行管理者に対する研修等を通じまして過労運転防止に努めてきているわけでございますが、この二七通達の遵守につきましては、特にトラック運送事業者に対して労働省と連絡をとりながらその周知徹底を図っておるところでございます。  それから運送事業者が、また運転者の勤務割りあるいは乗務割りの見直し、それから運転と荷役との分離、それから運送事業者自体による仮眠施設の充実、こういったいろいろな対策によりまして新しい二七通達という労働基準に対応するように指導しておりますけれども、その遵守をさらに徹底させるために五十五年十月一日から労働省と相互通報制度というものを実施しているところでございます。  そういうようなことで指導と取り締まりをやっておるわけでございますが、そのほかに、やはり二七通達を守れるような環境というものをつくっていかなければならないわけでございまして、そのための施設として、先ほども説明しましたようなトラックステーションの整備を促進するとか、あるいは高速道路上における駐車場の施設あるいは休憩施設、こういったものにつきましても建設省にお願いをするとか、あるいは道路公団、そういったところにもお願いをするというような措置を講じておるわけでございます。これからも関係機関と十分協議をいたしまして、いろいろな施策を通じて二七通達の遵守に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  76. 青木薪次

    青木薪次君 道路運送法に基づく自家用トラックの使用の届け出制度ですね、昨年、行政簡素化の見地から五トン以上の大型トラックのみを対象とするという法改正がなされたわけでありますが、これでは現在の対象車両はわずか二十一万台にしかなりません。不十分だと思うのでありますが、少なくとも百七万台ある普通トラック以上はチェックすべきではないかというように思うのでありますが、その点いかがですか。
  77. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 自家用トラックの届け出制度につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、第二次臨時行政調査会の答申を受けまして、対象を五トン以上に限定したわけでございます。五トン以上に限定しました理由は、五トン以上のトラックのいわゆる白トラ行為という違反の率が非常に高いものですから、そこに重点をしぼって違法行為を防止する、こういう考え方で五トン以上というものに限定したわけでございます。これは実施いたしましたのが昨年の十月からでございます。したがいまして、この五トン以上のトラックについての私どもの第一線の陸事の取り組み方、そういったものをさらに検討、分析いたしまして、運用の改善を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございまして、これを普通トラックまで拡大いたしますと対象が五倍程度にふえてしまうわけでございます。そこで、私どもの一線の体制との関係もございますので、当面はこの五トン以上に限定をいたしまして白トラ防止実効を期するように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  78. 青木薪次

    青木薪次君 トラック運送事業者や自家用トラック使用者の悪質な法令違反行為については、厳重な処分を行うとともに処分状況を公表すべきじゃないかと思うのでありますが、その点いかがですか。
  79. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 従来から悪質な法令違反につきましては、必要に応じて道路運送法に基づく行政処分、車両の使用停止とか、特に悪質なものにつきましては免許の取り消しというような事例もございますけれども、そういう処分を行ってきておりますし、それから処分状況の公表も各陸運局でやってきておるわけでございます。しかし、その公表の内容あるいは状態というものが全国やはり一律ではございません。件数だけを公表しておるところもございますし、悪質な業者の名前を公表しておるところもございます。そういうようなことでございますので、その辺のところを私どももう一度見直しまして、処分の厳正、公正さを確保し、また処分状況も適当に公表をしていくというようなことにつきまして陸運局をさらに指導してまいりたい、かように考えております。
  80. 青木薪次

    青木薪次君 過積載の取り締まりとか認可運賃の適正収受、これも午前中いろんな立場で小柳委員と全ト協理事長との間でいろいろ議論が展開されました。  それから、自家用トラックの営業類似行為等の取り締まりに当たるために、各陸運局で輸送監理官の配置状況に関心がございます。どうなっているのか。また、今後の増員計画が必要だと思うのでありますが、その点については、臨調の指摘もあってだめだということでなくて、前向きに取り組む必要があると思うのでありますが、いかがですか。
  81. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 輸送監理官は現在全国で十九名配置されておりまして、その内訳は、東京陸運局が二名、その他の陸運局が、これは沖縄総合事務局も含みますけれども、それぞれ一名ずつ、それから大きな陸運事務所、たとえば東京都の陸運事務所に二名ということでございます。それから、それ以外の札幌、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡、この各県の陸運事務所はそれぞれ一名配置してございます。  この輸送監理官は、輸送監理官だけで仕事をしておるわけではございませんので、それぞれ陸運局の貨物課なり、あるいは陸運事務所の輸送課なりの関連の事務をやっております職員の協力も得ながら輸送監理官としての事務をやっておるわけでございますが、この増員につきましては、これは国家財政の現状から見まして一般的には非常にむずかしい状況にあると思いますけれども、私どもとしてはこの問題についてなお努力を重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  82. 青木薪次

    青木薪次君 現在トラック協会が実施している輸送秩序改善指導員の制度をさらに拡充強化していく必要がございます。昨年度から各陸運局長が委嘱することになったこの制度は、現在委嘱中の輸送秩序改善指導員は一体いま何人か、それから今後の増員計画等についても明らかにしていただきたいと思います。  輸送秩序の改善指導員の権限がまだ弱いと思うのです。輸送監理官のいま補助者にすぎない。これでは十分な効果を上げることがなかなかできない。委嘱された指導員については、労働災害防止指導員に準じてその資格と権限を大幅に強化すべきではないだろうか。さらに、指導員の選任に当たっては関係労働団体の推薦する者を加えるべきではないだろうか。指導員に対する研修指導等についても、この際、説明をしていただきたいというように思います。
  83. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 現在、委嘱中の輸送秩序改善指導員は全国で百十六名おります。この輸送秩序改善指導員につきましては、今後ともこの増強につきまして私どもとしては最大の努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、輸送秩序改善指導員の委嘱制度が発足しましてからまだ間もないわけでございまして、この活動状況についてただいま陸運局を通じて調査中でございますので、この調査結果を踏まえまして指導員の活動のあり方についてさらに検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。  それから、指導員の選任に当たって関係労働団体の推薦する者を入れたらどうかという御指摘でございますが、これはやはり適材適所の考え方で対応するようトラック協会指導してまいりたいと思っております。労働団体の推薦する人がだめだとか、あるいはこれこれこういうような方で資格を持っていないとだめだとかというようなことではなくて、やはり指導員としての適材があるかどうかという観点から関係トラック協会指導してまいりたい、かように考えております。  それから、指導員に対する研修につきましては、全日本トラック協会においてただいま実施をしておりますけれども、各陸運局におきましても必要に応じて研修会あるいは指導員と陸運局の職員との連絡会、そういったものをやっておりますけれども、これからもこのような研修制度あるいは連絡のやり方等につきまして充実していくよう指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  84. 青木薪次

    青木薪次君 これも論議された点でありますが、相変わらず認可運賃の適正収受が行われておりません。そのことのために運賃ダンピングが横行しておりまして、運輸省はどのようにこの運賃ダンピング実情等について把握しているのかどうか、お伺いいたしたい。また、業者団体であるトラック協会に対して、午前中も質疑が行われましたけれども、どのような指導を行っているか、御答弁願いたいと思います。
  85. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 運賃ダンピング状況でございますが、これは昭和五十七年の九月に運輸省が区域トラックにつきまして調査したわけでございますが、その結果によりますと、千八百七十四件の調査件数に対しまして約四四%の八百二十九件が程度の差はあれダンピングをしているという結果になっております。  運輸省といたしましては、従来から事業の監査を通じ、また各種のトラック運送業界の会合等を通じまして機会あるごとに運賃ダンピング防止について業界指導しておるところでございます。また、午前中の参考人の御質疑の中でもお話が出ましたが、全日本トラック協会が現在五十七年運賃完全収受徹底運動というのを全力を挙げてやられておりますけれども、そういう運動に対しましてもこれを私どもとしてもバックアップしていく、こういうようなことで運賃ダンピング防止についてさらに一層の努力をしていく必要があるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  86. 青木薪次

    青木薪次君 運賃ダンピング防止のために輸送監理官や輸送秩序改善指導員の積極的な活用を私は図るべきだと思うのであります。指導員の委嘱業務内容に対して認可運賃収受についての指導が含まれていないのはどういう理由だろうか、また認可運賃の適正収受を委嘱業務に加えるべきじゃないかというように考えるのでありますけれども、その点いかがですか。
  87. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 輸送監理官それから輸送秩序改善指導員、こういった方々は、私どもがやる事業の監査、それから荷主懇談会への出席等を通じまして運賃ダンピング防止のためにも努力しているところでございます。これからもその積極的な活用を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、輸送秩序改善指導員だからといって運賃ダンピング防止のためのお仕事をさせていないというわけではございませんので、荷主懇談会であるとか、そういうような会合の場に陸運事務所の輸送監理官と同席いたしまして、荷主なり業者なりに対する指導に活躍していただくということをやっておりますし、今後ともその積極的な活用に工夫をこらしていきたいというふうに考えております。
  88. 青木薪次

    青木薪次君 運賃ダンピング防止には荷主の協力が不可欠であります。行政当局は、もっと前面に立ってトラック協会荷主との懇談会を計画的、積極的に開催すべきではないだろうかというように考えます。午前中の質問の中で、参考人荷主懇談会の開催状況について数百回というように言われました。大体何回開催されているだろうかという点について明らかでなかったわけでありますが、どのような現状にあるか、また今後回数をどれくらいひとつ増加させる気持ちがあるか、御答弁願いたいと思います。
  89. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 荷主懇談会の開催状況でございますが、これは五十七年一月から十二月までの一年間、私どもで調査したところによりますと、全国で約二百五十回開催されております。これは先生指摘のように、荷主の協力あるいは理解を求めるために非常に有効な機能を果たしているわけでございまして、私ども考えとしては、この二百五十回をさらに二倍程度に増加する必要があろうかと考えております。そういうような方向でこれからトラック協会指導してまいりたいというふうに考えております。
  90. 青木薪次

    青木薪次君 運賃ダンピングの横行というものは、事業者団体であるトラック協会荷主関係団体に対して弱いからだということに尽きると思うのです。トラック協会荷主関係団体に対等に交渉できるような対策を講じるべきではないだろうか、また運輸省として荷主業界を所管する通産、農林等の関係省庁の協力を得るようにすべきであると思うのでありますが、その点についてどうなんですか。
  91. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) トラック業者はやはり経済的な地位が荷主に対して弱いわけでございまして、この辺のところが運賃ダンピング一つ原因になっているのだと思います。この運送業者経済的な地位を高めるというのは、ほかにもいろいろな方法があろうかと思いますが、ただいま先生がおっしゃいました荷主関係団体に対する交渉というもの、これも一つの大きな柱でございます。ただ、トラック協会だけが荷主団体といろいろお話をしてもなかなかよい結果は得られませんので、従来から荷主とそれからトラック業者が懇談をするような場にはできるだけわれわれの第一線の陸運局の職員なりあるいは陸運事務所の職員が出て行って、そこでお互いに理解を深め、運賃ダンピング防止するというようなお話し合いをするように努めてきたわけでございますけれども、これからはさらに陸運局あるいは陸運事務所の職員をこの荷主懇談会に積極的に参加させるよう指導してまいりたいと考えております。  さらに、通産あるいは農林というような関係機関とも協議をしまして、荷主の理解と協力が得られるように私どもとしても最善の努力を払ってまいりたい、かように考えております。
  92. 青木薪次

    青木薪次君 現在、運輸省や全ト協会関係労働団体が物流政策懇談会を設けて輸送秩序確立のために協議いたしております。この懇談会の開催の回数を増加させるとともに、陸運局レベルにおいても同趣旨の懇談会を設けまして関係者問の定期的な意見交換を実施すべきではないだろうかというふうに思うのでありますが、設置の用意があるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  93. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 従来は、地方レベルではただいま先生がおっしゃいましたような懇談会を定例的に設けるというようなことはやっておらないわけでございますが、こういうような状況でもございますし、中央における物流政策懇談会と同趣旨のものを地方の陸運レベルでも設けるように、私どもといたしましても陸運局なりあるいは関係業界なりを指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  94. 青木薪次

    青木薪次君 以上申し上げてまいりましたように、貨物運送事業における輸送秩序確立はきわめて重要な課題であるにもかかわらず、十分な効果を上げるに至っていないと思うのであります。今後とも輸送秩序確立のための諸施策を強化していくべきだと考えますけれども、これを具体化するには必要な行財政措置を積極的に講じていくことが必要だと思うのでありますが、それを約束していただけるだろうかどうだろうか。また、私どもから言うならば、やっぱり法的な措置、立法措置等についても検討してもらいたいというような気持ちを持っているのでありますが、その点、自動車局長、どう考えますか。
  95. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 輸送秩序確立というのは、私どもにとりましても、輸送業界にとりましても、あるいはそこで働いておられる労働者の方にとりましても非常に大事な課題でございます。したがいまして、私どもとしては、先ほど来、先生にもいろいろお答え申し上げましたように、いろいろな行財政上の施策を総合的に、また積極的に講じていくという考えでおるわけでございます。ただ、立法措置につきましては、これは現在の道路運送法なりその他関係法令で法令上の措置というのは私どもとしてはいまのところ欠けているところはないと考えておりまして、当面、先ほど来いろいろと申し上げてまいりました行財政措置を総合的にまた積極的にやっていくということで対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  96. 梶原清

    ○梶原清君 私ごとで恐縮でございますが、小柳先生は鉄道教習所専門部の大先輩でございますし、日ごろ御尊敬申し上げておる仲でございますが、大変恐縮でございますが、三、四点につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。  まず第一点は、現在トラック運送事業につきましては、事業の免許制、運賃認可制等を中心とする道路運送法その他の法規があるわけでございます。この政府規制につきましては、後でも触れたいと存じますけれども政府規制制度の見直しをせよ、自由化を進めていけ、こういうような動きが見られるわけでございますが、そういう中にありまして、今回提案されております特別措置法を御提案になったわけでございます。私の受け取り方からすれば、大変ドラスチックな御提案のように思うわけでございますが、この御提案の趣旨を簡単にお述べいただきたいと存じます。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 昨年の連休明けにこの法案を提案いたしました。その背後には、いま梶原委員が言われましたように、参入規制に対するOECDの見解なり勧告なり、あるいは公取の見解などがございます。特に私が考えましたのは、いまのトラック事業輸送秩序混乱し切っている。運賃ダンピング。いまほとんど、九割以上が中小企業でございますが、倒産寸前にある。それで過積がある、あるいは運転員の過重労働がある。そういうようなものを正常にしなければ日本経済の発展は望めない。特に、六十億トンぐらいの荷物トラックがその九割、八八%を輸送いたしています。したがって、日本経済中心であるこの物の流れを秩序正しく動かす、そのためにはどうしても、いま道路運送法ありますけれども、これで十分でない。これで十分であれば問題ないはずだけれども、十分でないので、これをさらに強化発展せしめなければならぬと考えております。  もう一つ大きな背景は、鉄道貨物がほとんどゼロに近い。ゼロにせよという意見もありますけれども、私は一億二千万トンぐらいは確保しておかなければ将来日本の貨物輸送は終末に近くなると思うが、それには一貫輸送しなければならぬ。トラックと鉄道との一貫輸送。そういうものを、いろいろ問題がありましたので、一昨年の秋、ドイッ、イギリス、フランスをそういう問題をとらえながら見てまいりました。その集約としてこの法律をつくったということであります。非常に重要でありまして、この法律を各党とも最終的にこれをどうお扱いになるか理事会で御決定願いたいけれども問題点はどういうところにあるかということだけ申し上げておきたい。  まず一つ、免許でありますが、免許は、いま梶原さんおっしゃったように、私は重要に考えて、これを安易に免許すべきでない、参入を規制しなければならぬという見解です。しかも、それは業者の財産もあり、また力もありましょうし、雇用条件もありましょう。いろいろありますが、特に免許の期限を、一遍免許したら永久にあるようなことでは、これは本当の免許ではない。したがって、五年更新制にしよう。現在イギリスが五年、フランスが七年、ドイツが五年です。やっぱり期限を切って免許を更新するということが青ナンバーのこれは大きな権威です、まだいろいろありますけれども。  それから、貨物自動車はやっぱり輸送状はちゃんと持っている。たとえば指導員がとめて、この九州のトラックはどこへ行くのですかと、東京でわかるようにしなければならぬ。これは特に自家用トラックにつきましては輸送状を携行する。過積載のあるのはいろいろ文句を言いますけれども、もっとこれは書類の上ではっきりするようにしなければならぬ。  それから今度届け出が、自家用自動車が五トン以上になりました。これでは二十一万台しかない。これでは本当の意味にならぬです。いま自家用貨物自動車が約八百七十万台ぐらいあります。その中で五十四、五万台が青ナンバー、あとは全部白ナンバーですから、八百十万台ぐらい白ナンバーですから、その中でわずかに二十一万台をとらえても意味ないです、これは。したがって、私は少なくとも白ナンバーの自家用トラックというものは全部届け出る。そして五百キロ以上外に出る大型のトラック、われわれ四トン以上——四トン以上としても八十万台から九十万台しかありません。したがいまして、わが党の法律では四トン以上の大型自家用自動車が五百キロ以上の他県に出ていくときには輸送状を持っていく、このくらいのことが何でできないであろうかというのが私ども考え。届け出も、もちろん四トン以上やらせる。  それから輸送秩序確立のために、いまの全日本トラック協会では意味ない。これは懇親会としてならいいけれども、本当に意味ない。午前中にも言ったように、各県のトラック協会というのを財団法人化して、これから輸送状を一枚幾らで買ったらいい、一枚十円でも二十円でも買ったらいい。事業免許を取ったら、そこの県トラの本部に行って輸送状を買う、何百枚か買う。そこで県トラは資金ができます。財団法人として資金を持つ。ここに指導員も置く。そして、県トラの中の業者指導すると県内の荷主と話し合いができるわけです。  いまいろいろ自動車局長は荷主との懇談会をおっしゃるけれども、それは頭で考えるようにいかぬわけだ。県トラにもう少し権限を与えまして、たとえば県トラの中でも北九州のトラック協会とか福岡市トラック協会とかに権限を与えて、そこに指導員を置きますとすぐわかります、ぱっと電話しますから。ここはどうしてもこの荷主は頑として聞かぬというふうに話せばいいのだから。これは法違反ですから、通達違反だから、運輸省はわざわざ通達出しているのだから。そんな水準以下の、水準から二〇%までは下げていいことになっているのだ。そこから先下げるのだから、ダンピングは。そういうことを許さぬということを指導員が言えば荷主はしません。そういうところをこれでやりたいわけです。したがって、実施機関はわれわれはいまのトラック協会の別に考えていません。いまの法人組織を財団法人にして県トラを中心にする、それが大きなこの法律のねらいであります。  それから、あと輸送秩序確立。この警視総監通報とかなんとかしなきゃならぬのをしないからだめなんだ。さっき言いましたように、イギリスの方では、少し規制緩和していますけれども、過積がありますというと、その場で指導員がオーバーした荷物をおろしている。そして聞かなきゃ運転手を裁判所へ連れていってて過料を取るというのだ。そして、いよいよ聞かなきゃナンバーを外すというのだから。それくらいしますと過積しませんですよ。過積しないともうからぬからダンピングしませんです。運賃をそのまま取りますよ。それをやろうとしない、運輸省が。私はそう言いたいのです。運輸省がちょっと言えばトラック協会やりますよ、トラック協会向井さんなんか運輸省ばっかり見ているのだから。私と話すときにはいいけれども運輸省からちょっと言われたら、もうがっとなってしまう。  そういうところでありますから、この法律をつくって何とかもうちょっと秩序を正しくしたいと思っておるようなところでございまして、私は、この法律に余り自民党さんが賛成されませんので非常に不満でありますが、しかし、私どもの真意はそうでございますから、あと理事会で十分に御勘案あって、今後の扱いについては検討してもらいたいと思います。  以上です。
  98. 梶原清

    ○梶原清君 御質問を申し上げたいと思っておりましたことを全部一応お触れになりまして、ちょっと戸惑っておるわけでございますが、まず私が冒頭に御質問申し上げましたこととのうらはらになることでございますけれどもトラック事業をめぐる秩序と競争の関係政府規制と競争政策との関係、この両者の兼ね合いをどういうふうにするか、接点をどのように見つけていくかということは非常に重要だと思うわけでございます。  午前中の向井参考人に対しての御質問の際にも触れましたけれども自民党の中に独禁法に関する特別調査会を設けまして、そこで熱心に検討を進めておるところでございますが、いずれにしてもこの問題は非常に重要である。  そこで、重ねてお尋ねを申し上げたいのでございますが、過般のOECDの勧告、そして昨年八月に公正取引委員会から見解が発表されました政府規制制度の見直し、とりわけトラック事業につきましての政府規制を緩和せよという、こういう見解に対しまして、小柳先生はどのようにお受け取りになり、どのようにお考えになっておるか、この点を御答弁いただきたいと存じます。
  99. 小柳勇

    小柳勇君 私の個人の見解よりも調査いたしました諸外国の例の方を先に申し上げますが、アメリカも一応非常に規制緩和をしましたけれども失敗したということで、最近もう少し、特に労働者団体からの提案などで規制を強化していかなきゃならぬと言っている。それからドイツは徹底的に、地域のトラックはいいけれども、遠距離の大型トラックだけはがちっと規制しなきゃならぬという方向に固まっておりまして、特に遠距離のトラック協会会長権限などは本当に日本の運輸大臣ぐらいの権限を持ちながら業界指導しています。それからフランスもやはりそうです。規制はやっぱり強化しなければならぬ。  そして、さっき申し上げましたように、その免許はちゃんと期限を持っています。そして、更新するとき運輸省はめんどうくさいとおっしゃるけれどもトラック協会権限委譲すればいいのだよ、皆わかりますから。そこに県トラが、県トラのところに行ってもう五年の期限だからといって、見て正常に運転しておる営業車にはちゃんと代行してオーケーすればいいのだから、県トラの方で更新の手続をやっていればいいのだから、運輸省の方は役人の数はふやさぬでもやろうと思えばできます。したがって、五年の期限で、私は参入規制は、あなたの論文も読ませてもらいましたけれども、あなたの論文そっくり賛成です。ただし、私、言いたいのは、いまこの参入規制やりましても、さっき言ったように五十四、五万台です。あとのそれじゃ白ナンバーのトラック運転手さん方は、これは二七通達適用できないのです。したがって、私は、ある会社だけの荷物を限定輸送をやっているような免状は、白ナンバーにしていくよりも青ナンバーにしてやった方がいい。だから、限定輸送の免許などは余りやかましく言わぬで許可してやっておいて、そしてそれを法的に規制すべきではないか。  そうしまして、運転員の二七通達の適用などそういうことをやって、いま日本では白ナンバーはほとんど野放しで青ナンバーだけ厳しくいきますから、その参入規制に対する抵抗があると私は理解しているのです。そこのところを少し考えて、こっちの方は、県内を走る地域トラックは少し自由にして緩和して、しかし大型の遠距離へ行くやつはがちっともっと厳しくする、そして輸送状を持たせる、それからまた白ナンバーのトラックの中で限定輸送など会社で決まったやつは。そうしませんと、私、過去に論文書いたことございますけれども輸送効率が半分に落ちる、ガソリンはよけい使います。白ナンバーのトラックは集金でも何でも走りますから、荷物は積まぬで人間が集金に乗ってトラック運転しているわけだ。ずっとこれを統計しますと、輸送効率が半分、ガソリンは倍使っているわけです。  そういうものはこれは書いていますけれども、そういうことですから、私はその八百十万台の白ナンバーのトラックの中で厳しくこれをチェックしながら、青ナンバーでいけなきゃ紫ナンバーでもいいけれども、少しそういうものを考えて、そして政府の監督なり、あるいはトラック協会のこの指導体制の中に入るような体制をした方が今後の日本の将来の輸送体制を守るにはいい、そういう見解です。
  100. 梶原清

    ○梶原清君 先生がいまお触れになりました事業の免許制につきましてでございますが、先ほど諸外国で何年かの期限を付して免許をやっておる、こういうことでございますが、私の考えから申しますと、トラック運送事業は相当の資金を投入する。また、そこで働いておる従業員の諸君も安定的な雇用関係に置かれなければいけない。生活がかかっておる。また、荷主との関係におきましても安定的な関係にならなければいけない。よく言われましたことで、国鉄のストによって逃げた荷主はもう国鉄へ帰ってこない、こういうようなことをよく聞いたわけでございますが、とにかく荷主との関係も安定的な関係になければいけない。  そこで、事業の免許というものは、そういうゴーイングコンサーンといいましょうか、事業が継続をするのだという前提に立って物を見ていかなければいけないのではないだろうか、こう思うわけでございます。悪い事業者、芳しくない事業者は、これは現在の法規に照らしましても監査をし、時には事業改善命令、時には行政処分、こういうことで対応するのであって、すべての事業者に対する免許を五年で更新していくということにつきましては法制的にやはり問題があるのではないだろうか。それだけこの事業者に過重な負担をかけることになるのではないか。そして、いま先生が御指摘になりますように、このことを全日本トラック協会ですか、そういう団体に仕事を委託するということですけれども、この免許を更新するかどうかということは、その事業者にとりましては非常に大切な営業権といいましょうか、関係者全部の生活がかかっておるわけでございます。荷主との関係考えなければいけないということからしますと、やはり運輸省、陸運局がこれを担当しなければいけないのではないか、こういうふうに思われるわけでございますが、その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  101. 小柳勇

    小柳勇君 車の方から例とりましたら、車の免許証だって、やっぱり永久じゃありませんもの。一遍とると、また更新しなきゃならぬですものね。今度、たとえば私がいま博多に事務所——土地を借りていますけれども、プレハブだって金かかりますから、やっぱり十年ぐらい使いたいけれども、土地の借用証は一年更新ですもの。それは、たとえば自動車の貨物輸送事業者の免許を一回とったら永久に更新する必要ないなんて、それは私はかえってその権利を軽く見て腐敗すると見ています。だから、五年が期限よといったら、免許だったら、さっき言ったように、県トラック協会はわかりますから、営業を正常にやっているかどうか、もぐりやっているのか悪くやっているのかわかりますから、指導員がちょっと見て、ああこれいいよと言ったら、さっと更新するやつを県トラに置いておきゃいいでしょう。免許証をそのままぱっとやってやる。そのくらいのことが何でできぬかということ。役所主義言ったって、それはもう本当に何にも定員増要らぬですよ。それは聴問会でも形が本当に形式過ぎる。そんなことよりも、わかるのだから書類を持ってきたとき見て。その業界の趨勢とこの事業者のやつがわかるのだから、そしたら余りがたがた言わぬで、持ってきたら一カ月ぐらいでオーケーするかせぬかを決裁してやって、そしてさっき申し上げた私はやっぱり白ナンバーのやつをどうやって減らしていくかということ、免許の限定よりもそれに力を入れてもらいたいと思います。
  102. 梶原清

    ○梶原清君 いまお伺いしまして、私の頭がかたいのかな、こう思うて反省をするような気持ちですけれども、やはり免許申請事案の処理というのは非常に重要でございますので、権限を持っておる陸運局が担当しなけりゃいけない。それで、現在陸運局にどれだけの貨物を担当する人間がおってどのくらいの処理をしておるのか、こういう五年更新ということになりましたらどれだけ業務量がふえるのだ、そういう点の心配がありますので、簡単で結構でございますので、その点、自動車局長から御答弁いただきたいと思います。
  103. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 貨物関係に従事しております定員でございますが、陸運局では全部で九十六名おります。それから陸運事務所で百二十四名、合わせまして二百二十名が貨物関係の事務に従事しておるわけでございます。  これが五年更新とした場合にどの程度の事務量がふえるかということでございますが、先ほど来いろいろお話に出ておりましたように、トラック業者の数は約三万四、五千業者ございます。したがいまして、五年ということで更新をしますと、大体年間七千件から六千件ぐらいの処理をやらなければならないということで、経費それから定員につきましても相当膨大な措置が必要になるのではなかろうか、かように考えております。
  104. 梶原清

    ○梶原清君 小柳先生にお尋ねを申し上げたいわけでございますが、先ほどお触れになりました実施機関につきまして全ト協組織を使ったらいいじゃないかということでございますが、いまのような仕事を担当するということになりますと、当然のことでございますが、特殊法人という位置づけをしなければいけないだろう。ところが、特殊法人につきましては、先般来の臨時行政調査会の答申にもございますように、非常に特殊法人化ということにつきましては厳しい姿勢をもって臨んでおるのが今日の姿でございます。スクラップ・アンド・ビルドで対応しなければいけない、その他の非常に厳しい姿勢でおるわけでございますが、こういう点につきまして一つと、それから同じような組織でタクシー近代化センターというのがございます。東京と大阪に設置されまして活動をいたしておるわけでございますが、その設立に至りますには社会的にそれを必要とする事情というものがあったわけでございます。タクシーサービスを向上していかなければいけない、こういうことにつきましての強い社会的な要請があった。それに対しましてトラック輸送秩序という問題、これはトラック業界におきましても、また働いていただく皆さん方の生活のことを考えましても非常に重要ではございますけれども、そのためにあえてこういう特殊法人をつくらなければいけないのかどうかということが一つの問題となるのではないだろうか、こう思いますので、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  105. 小柳勇

    小柳勇君 けさ向井さんのおっしゃったように、いまのトラック協会では力がないからもう少し強いものが欲しい、そしてお互い指導、教育、研修して、荷主の懇談会にも臨みたいとおっしゃるように、特殊法人にしないでも財団法人にしまして、県トラが財産持って、指導員も雇ってやる。同時に、その指導員には、午前中申し上げましたように、監理官の職務代行とか何か、たとえば駅長が警察官の職務を執行することを許可する、こういうふうな記章をつけていますが、何かそういうふうなトラック協会指導員に少し権限を与えておきますと、私はそれはできると思います。そのことが、みずから業者同士が足を引っ張ったり、そしてダンピングするようなことがないように、荷主と対等に話ができるように、それから労働者がいろいろ苦労して、とにかく過労でもしているときは危険ですから、事故を起こしますから、指導員が注意する、労働者と会社の社長の間に入って、この運転員をそのまま使うと事故を起こすとか、何かもうちょっとみずから自主管理の協会をつくる。それにはいまの組織では、いまのトラック協会では力がありませんと向井さんが言うとおりです。だから、いまの組織でいいから、これをもう少し格上げするようなことを法律で決めたかったわけです。
  106. 梶原清

    ○梶原清君 最後に、要望をいたしまして私の質問を終わりたいと思うわけでございますが、トラック業界における運賃ダンピングその他の輸送秩序の問題というのは、非常に深刻な問題であり、古くして新しい課題でございます。しかし、これを解決していく、打開をしていくというのは総合的な取り組み方をしなければいけない、じみちな努力を積み上げていかなければいけない、このように私は考えております。その一つとして、先ほど来お話も出ておりました免許認可事務の取り扱いにつきまして、これを従来以上に慎重にやっていく必要があるのではないだろうか、このようにも考えておりますので、トラック業界輸送秩序の問題、これにつきまして運輸省が格段の御尽力をいただくことを強く御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  107. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  108. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  青木薪次君から発言を求められておりますので、これを許します。青木君。
  109. 青木薪次

    青木薪次君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び新政クラブの各派共同提案による貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議(案)   政府は、最近における貨物自動車に係る道路運送秩序確立の緊要性に鑑み、道路運送法その他関係法令の厳正な運用を図る等により、所期の目的が達成されるよう、遺憾なきを期するとともに、特に次の措置を強力に推進すべきである。  一、貨物自動車運送事業の免許に当たっては、適切な事業計画、適確な事業遂行能力が確保されるよう一層配慮するとともに、免許後の監督指導を強化し、公正競争の確保を図ること。  二、自家用貨物自動車使用者による違法な営業行為及び貨物自動車運送事業者の違法行為の防止に努めるとともに、悪質な法令違反行為に対しては厳正な処分を行なうこと。  三、過積載による交通事故・公害の防止徹底を図るため、新たに地方における対策連絡会議を設置する等更にその対策を強化し、万全を期すること。  四、過労運転による事故防止を図るため、「自動車運転者の労働時間等の改善基準(昭和五十四年十二月二十七日付労働省通達)」の遵守の徹底を図るとともに、貨物自動車運転者の休憩施設、駐車施設の設置等環境整備を促進すること。  五、認可運賃の適正収受を図るため、貨物自動車運送事業者とその荷主及びそれぞれの団体相互の協力体制確立に努めること。  六、道路運送秩序確立のための体制整備を図るため、輸送秩序改善指導員の増強に努めるとともに、指導員の円滑かつ効果的な活動が確保されるよう積極的に対策を推進すること。  七、運輸省貨物自動車運送業界及び関係労働界からなる懇談会を陸運局単位に設置し、道路運送秩序確立のための意見交換を行なうとともに、関係行政機関の相互協力を積極的に行なうこと。  八、輸送秩序確立のための行政措置を一段と強化すること。   右決議する。  以上でございます。  皆さんの御賛同をお願いいたします。
  110. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまの青木君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、長谷川運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川運輸大臣
  112. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 貨物自動車に係る道路運送秩序につきましては、その確立の緊要性にかんがみまして、ただいまの御決議の御趣旨に沿うて、関係行政機関とも協議の上、所要の措置を講ずるよう努力する決意でございます。
  113. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  114. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 速記を起こして。     ─────────────
  115. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。なお、本案は衆議院において修正議決されましたので、この修正部分につきましてもあわせて政府から説明を聴取いたします。長谷川運輸大臣
  116. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 皆様の御厚意によりまして、座ったままでもよろしいということですので、ありがたく御礼申し上げます。  ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄の経営は、昭和五十六年度において、年間一兆円の欠損を生み、また、長期債務は十六兆円にも達するなど、まさに危機的状況にあり、国鉄の事業の再建は、国政上、早急な解決を要するきわめて重大な課題となっております。  このような国鉄経営の現状にかんがみ、去る七月三十日に行われた臨時行政調査会の第三次答申におきましても、国鉄の事業の再建は最も重要な柱とされておりまして、抜本的な改革のための方策が示されるとともに、その推進機関として国鉄再建監理委員会を設置することが提言されております。  政府といたしましても、この臨時行政調査会の第三次答申を最大限尊重することとし、去る九月二十四日には、「国鉄の改革については、臨時行政調査会の第三次答申に沿って、五年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図る」ことなどを閣議決定しているところであります。  本法律案は、このような状況を踏まえて国鉄の経営する事業の再建の推進のために国が講ずべき施策等について定めるとともに、日本国有鉄道再建監理委員会の設置等に関し、所要の事項を定めるものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、国は、臨時行政調査会の第三次答申を尊重して国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制を整備することにより、当該事業の再建を推進することを基本方針とするとともに、この体制整備のために必要な効率的な経営形態の確立等及びその実施の円滑化のために必要となる国鉄の長期債務の償還等に関する施策を講ずることとしております。  第二に、国鉄の経営する事業の運営の改善のために緊急に措置すべき事項に関し、国及び国鉄は、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく措置その他の必要な措置を講ずることとしております。  第三に、国の施策の策定及びその計画的かつ円滑な実施に資するため、総理府に日本国有鉄道再建監理委員会を置くこととし、同委員会は、さきに述べた基本方針に従って、効率的な経営形態の確立等及びその実施の円滑化のために必要となる国鉄の長期債務の償還等に関する重要事項について、みずから企画し、審議し、決定し、内閣総理大臣に意見を述べること、及び国鉄の経営する事業の運営の改善のために講ずべき緊急措置の基本的な実施方針について内閣総理大臣に意見を述べることができること、並びに同委員会から、これらの意見が出されたときは、内閣総理大臣は、これを尊重しなければならないこととしております。  また、日本国有鉄道再建監理委員会は、五人の委員により組織することとするほか、委員の任免等及び委員会組織に関し必要な事項を定めるとともに、同委員会は、必要があると認めるときは、国の施策等について内閣総理大臣等に勧告することができること、並びに関係行政機関の長及び国鉄総裁に対し、資料の提出その他の必要な協力を求めること等ができることとしております。  第四に、国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制整備を図るための施策は、その速やかな実施を期するため、昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられるものとしております。  第五に、運輸大臣は、国鉄の経営改善計画の変更の承認または指示をしようとするとき及び国鉄の予算の調整を開始しようとするときは、日本国有鉄道再建監理委員会の意見を聞かなければならないこととしております。  第六に、日本国有鉄道再建監理委員会の設置に伴い必要となる関係法律の規定の整備等を行うこととしております。  なお、衆議院におきまして、この法律案の附則の規定中に引用されている法律番号の年の表示を、「昭和五十七年」としておりましたものを「昭和五十八年」と改める修正が行われております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  117. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 以上で趣旨説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 江島淳

    ○江島淳君 ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案につきまして若干質問をいたしたいと存じますが、運輸大臣はお体がまだ大変だと思いますので、運輸大臣に対しましては一番最後のときに御所信を述べていただくことにしまして、政府委員の方が大臣の意を体して答えていただきますようにお願いいたしたいと思うわけでございます。  法案の質問に入る前に、先ほど提案理由でございました、国鉄の事業が「国政上、早急な解決を要するきわめて重大な課題」とまでなっておるということに対して、それの背景と申しますか、その辺をやはりきわめる必要があるのじゃないかなという感じがいたします。午前中、小柳委員からもいろいろ貨物自動車等に対する問題に関しまして大きな問題があるという議論がございましたが、私も全くそういう点に関しましては同感でございます。昔は鉄道が独占的な輸送機関でございました。これが戦後になりまして、いろいろ自動車とか飛行機、船等が発達してまいりました。また、国の庇護政策からいきましてもそういうものを発展させる必要があるというふうなことで、非常に国鉄の経営が苦しくなったということが大きな一つ原因じゃないかと思います。しかし、エネルギーの消費率だとか、あるいは石油の九九%を日本は外国から輸入しておるというふうなことを考えますと、日本経済を国家的に見た場合にこれで果たしていいのかなということがあると思います。  私は、昨年のこの委員会におきましても、運輸省に対しまして、そういうことを勘案した総合交通政策が必要じゃないかという御質問をいたしたわけでございますが、そのときも、必要であるけれども、なかなかここまでがはっきりして鉄道の分野とか、そういうことを決めるのがむずかしいというお話がございました。きょうも午前中はいろいろ小柳委員お話がございましたが、私はむしろこの貨物自動車だけに限定しないで、もう少し大きい意味の鉄道を含めた交通機関のそれぞれの分野というものをやはり政策官庁として運輸省が確定なさる必要があるのじゃなかろうか。そして、それにのっとっていろいろ資本の投下もするし、そしてそれぞれ全力投球することによって総合的な交通が図られるというふうに感じるわけでございますが、ひとつお聞きいたしたいのは、そういうことに対しまして、トラックその他については過載の取り締まりだとかなんとか先ほどございましたけれども、それを全部総合して、これから総合交通政策として運輸省はどういうふうにいま考えていらっしゃるかということを簡単にお話しいただきたいと思います。
  119. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) ただいま江島先生が御指摘されましたように、各交通機関が国民あるいは国民経済が必要とするのに応じまして、その交通機関の持っております機能を十分に発揮させるように総合的な見地から交通政策を効率的に行っていくということは、運輸省の政策の基本的な課題でございます。  ただ、このために、どういう分野をそれぞれの交通機関が担当していくかということにつきましては、もちろん一般的には、たとえば鉄道は中近距離の都市間旅客輸送であるとか、あるいは大都市圏の旅客輸送であるとか、大量の定型貨物輸送であるとか、あるいは航空が遠距離や海越え山越えの二都市間の直行輸送を担当するとか、そういうような一般的な担当を考えていくということもあるわけでございますが、さらに具体的に、それではどのような交通機関がどれだけの交通量をどのように達成していくことが望ましいかというような、交通需要量との関係におきます分担関係をあらかじめ考えていくかどうかということが一つの問題になろうかと思いますが、現実の各種交通機関の分担関係といいますものは、具体的にこれらの交通機関が現在、現実に提供しているサービスの内容と質を前提にしまして、それを利用者がその必要に応じて選択していくということの結果決まってくる、これが現実の交通の分担関係でございます。  それでは、このような交通の分担関係がどうして形成されていくかといいますと、その前提といたしましては、各種交通機関に最も適当なサービスを提供させるということが最も合理的な関係をつくるわけでございますので、各交通機関の特性が十分発揮されるように、そのような前提条件を政府が十分整備していくということが必要でございまして、これを各般にわたりましてそれぞれの交通機関の特性を発揮させる政策、これが総合的な交通政策だと言ってよろしいかと思います。  そういう意味での効率的な交通政策ということを実施していくための条件整備を私どもしていくわけでございますが……
  120. 江島淳

    ○江島淳君 簡単に言ってください、時間が限られていますから。
  121. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) はい。  それで、具体的な投資その他におきまして長期的な政策をするという場合には、そのような需要の動向なりサービスを提供する輸送機関の動向等十分勘案した上で、将来の想定をしながらこれを注意深く投資政策を行っていくというのが国の政策の基本的な考え方でございます。
  122. 江島淳

    ○江島淳君 きょうの午前中の話にもありましたけれども、そういうところを余り野放しにするからいろいろな事故も起こるとか、自家用トラックがはびこるとか、いろいろあると思うので、ある程度やはり国として、そういうポリシーとしてそういうふうなことに政策的にも介入せにゃいかぬのじゃないか。また、それから投資をするというのも、それぞれ、いろいろ道路とか飛行機とか港とかには皆特別会計というのがあるけれども、たとえば鉄道にはないじゃないか、そういう片手落ちのないようなことをすることが、それによってやはり鉄道のたとえばいろいろな旅客、貨物に対するシェアというものを決めることが私は運輸省の責任だと思いますので、時間がいま少ないですからこれでやめますけれども、この次何かのときには、またもう少し詳しい、そういうふうなことをする政策官庁として、運輸行は許認可官庁ではないのだというふうなことを出すためには、私は総合交通政策は運輸省がやるのだということを、ぜひお願いしたいと思うわけであります。  そういうことがありまして、いま大変な国鉄が危機になったということでこういうふうな法案が提出されております。衆議院の方でこの法案に対しましていろいろ議論がございました。これの記録も読ましていただいたわけでございますが、この国のとるべき施策ということで、一つは「効率的な経営形態の確立」、もう一つが長期債務の処理方という二つがございますが、「効率的な経営形態の確立」とは何ぞやというのがずいぶん議論されておりまして、あるいは民営にするのか分割にするのか、いやそうじゃない、そうだとか、アクセントがどっちにあるかということの繰り返しになっております。  これもまた、恐らくほかの先生方もそういうことをお聞きになると思いますので、私はここでその議論をしようとは思いませんけれども、この速記録を読んでみますと、林政府委員が答えておられますところを私はこれが最大公約数かなと思って理解しておるわけですが、林政府委員が、「「効率的な経営形態」というのは、特定の公団とか特殊会社、そういうふうな特定の経営形態を指しておる概念とは違いまして、一般的にどういう経営形態であっても能率的、適切、効率的な業務運営ができるような形ということを指しておるわけでございます。」、「臨調答申は確かに民営、分割ということを提言しております。」、「ただ臨調答申は、あくまで基本的な考え方を示しているにとどまっております。」、「さらにその実施可能性ということについても十分検証してみる必要がある、」、「そういう検討を行う仕組みとしての法制、これで今回の法律を提案したわけでございまして、」というふうに書いてありますが、そういうふうに理解してもよろしいですね。
  123. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。
  124. 江島淳

    ○江島淳君 わかりました。  私が思いますのは、私も三十年ほど国鉄で大変お世話になりまして、国鉄の仕組み、いろいろなことがいかに大変な、単なる一つの会社の経営とかなんとかと違って、いろいろな世間との絡み合わせがあって大変だということを痛切に感じておる一人でございますけれども、臨調答申で約一年間ほどいろいろ御議論なさったといいましても、はなはだ失礼ながら余りそう専門家じゃない方がこれを検討しておられる。それから、この第四部会の公社の経営にいたしましても、国鉄だけじゃなくて、ほかのいろいろ公社その他の特殊法人も同時に議論しておられるということで、まだまだ時間がなかったのじゃないかと私は感じます。  そういうことで、いろいろテレビの討論会その他で当事者の臨調の先生方がお話しになっているのを伺いましても、非常に自信を持って私たちが及第点のような処方書をつくってみせますよというふうなことを放言しておられることを聞きますと、私は大変残念に思う一人でございますが、たとえばこれは委員の方も五人ということでございますけれども、本当に国鉄けしからぬから国鉄を分解してしまえとか、あるいは国鉄をつぶせとか、そういうことでいまのような答案を出すような方じゃなくて、本当に国民的な視野に立って国民の皆さんが困らないような、それからまたスタンドプレーをしないような、そういうメンバーということでぜひ選んでいただきたいと思うのですが、それに対しましては私たち安心できますか。それをお聞きしたいと思いますが。
  125. 林淳司

    政府委員(林淳司君) おっしゃるように、この監理委員会は大変重要な任務を持っておりますので、五人の監理委員会委員というその人選につきましても、高い識見を持ち、広い国民的視野を持ち、かつ熱意と推進力を持った、そういう方々にぜひお願いしたい、このように考えております。
  126. 江島淳

    ○江島淳君 私は、大臣にも、ぜひそういう方で国鉄を本当に愛する、国民の立場に立った委員で検討していただきたいと思いますし、また大変に深い問題でございますので、ぜひその点をじっくり構えて検討していただきたいと思うわけでございます。  それから、二番目のことで長期債務の処理方ということがその前提条件として問題になっておりますが、私も常々思っておったのですが、東北新幹線が今度開通いたしまして運輸大臣のところも大変に便利におなりになった。それから、けさのテレビで見ますと、ことしの連休の一番の一つの目玉が東北地方とあとは沖縄だという話がテレビで出ておりました。そういうふうに非常に国民の皆さん方は便利に使っておられますし、また東北地方の地域開発には大変に役に立つということだと思うのでございますけれども、ひるがえって国鉄のことを考えてみますと、東北あるいは上越新幹線の工事費というものは全部借金によって建設しておる。そして、これは非常に国鉄の大きな負担となっております。  この種工事に関しました長期債務については、本当ならば、民営でやるならば、これは宅地の分譲だとかあるいは観光地の開発等総合的な開発ができるということによって、開発利益の還元等で十分に建設ができるということで、そういうことができると思うのですけれども、残念ながら国鉄の場合にはなかなかそういうことができないということで、非常に国鉄の負担になっておるということでございます。そういうことについてもう少し、地域開発ということですと、公共事業的な考えで国がめんどうを見るとか、そういうことがぜひ必要だと思うわけでございますけれども、これもいまここで論じておりますとすぐ何時間かかかるわけでございますが、ちなみに、ひとつお伺いしたいのは、五十八年度に、たとえば鉄道建設公団がいろいろ線路をつくっておりますけれども、鉄道建設公団に支払っておる借料は幾らになっておるのでしょうか。
  127. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 五十八年度予算におきます国鉄が鉄建公団に支払います借料は千三百九十八億円と見込まれておりまして、その中で上越新幹線に係る部分が千九億円でございます。
  128. 江島淳

    ○江島淳君 青函トンネルも含めてということですね。  じゃ、これはこれからの問題なので、青函トンネル工事あるいは本四連絡架橋工事ということのためにする調達資金というのですか、それはいかがですか。
  129. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 青函トンネルは六十年以降建設が完成いたしますし、本四につきましては六十二年以降ということでございますので、いまお話しの五十八年度予算には入っておりませんが、いわゆるCD線方式で三十年均等ということで助成なしで大体試算をいたしますと、建設費等に異同があるかとも思いますが、青函につきましては八百億、本四につきましては五百億程度の支払いを毎年要するものと思われます。
  130. 江島淳

    ○江島淳君 大変大きな額でありますが、これを国鉄にそのまま負担させることはいまの状態では困難だと思うわけでございます。それに、さらに先ほどの鉄建公団に関する負債についても講じていかなければならぬと考えておるのですが、これに関してはいかがでしょうか。
  131. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま御質問の青函トンネルあるいは本四架橋というふうないわゆる現在進行中の大型プロジェクト、こういうものからは大変な借料という資本費の負担が出てくるわけでございますが、こういう問題については、国鉄の再建というものをこれから進めていくに当たってどうしても解決をしなければならぬ非常に重大な問題であるというふうに私どもは認識しております。したがいまして、この法律の監理委員会の所掌にもございますように、「効率的な経営形態」とあわせまして、そういう問題についてもこれから監理委員会で十分詳細な検討を行いまして、適切な結論を出していただくように期待しておりますし、それを受けまして政府としても対処をしてまいりたい、このように考えております。
  132. 江島淳

    ○江島淳君 これも林さんにお尋ねするのですが、五十八年度末で約二十兆円ぐらいに長期債務が達するというふうに伺っておるのですが、この問題も国鉄の再建を図る上ではぜひとも解決しなければならないというふうに考えておりますが、この長期債務の処理はどういうふうにお考えになっていますか。
  133. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これは先生おっしゃいますとおり、先ほどの青函とかその他の問題と同様に、非常にこれは国鉄再建を進める上で解決をしなきゃならぬ一つの重要な問題である、こう考えておりまして、先ほどの問題と同様に、監理委員会におきまして「効率的な経営形態の確立」の前提となる問題として十分に検討して適切に結論を出していただきたい、このように考えておるわけであります。
  134. 江島淳

    ○江島淳君 ついでに、念のために伺うのですが、その際に長期債務の一部切り捨てのような措置がとられるようなことは万々ないと思うのですが、これは、林さん、どうなんでしょうか。
  135. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 国鉄の長期債務の処理の問題につきましては、これは信用秩序に影響を与えるということのないように十分配慮が行われることは当然でございます。したがいまして、監理委員会におきましても、債務の一部切り捨てというような措置がとられ、あるいは提言が行われるということはないものと考えております。
  136. 江島淳

    ○江島淳君 再建についての大前提と思われますので、その辺はぜひともよろしくお願いしたいと思うわけであります。  それから、いまの長期債務とはいささか異なるわけでありますけれども、けさもテレビを見ておりますと、国鉄の土地の利用方等についてのいろいろな、ことに東京の辺だとか都心の辺の利用方についてというふうなことがテレビで出ておりました。私が思いますのは、非常に赤字であるから、それで自分の土地を売れという御方針が非常に強うございますけれども、自分のタコ足を食って、何かこれからやろうと思うときに、裸になってしまったときでは何もできないと私は思うわけでありまして、その辺が、ことに東京の都心ですと、これからもいろいろな新しい交通の体系ができてくるときのための貴重な用地であると私は思うわけでありますので、そういう点についてむしろ早く国鉄側としていろいろなプランを出して、一般的に皆さん方との御検討の場にのせることが遅いために、いろいろ、国鉄はただ大事な土地を遊ばしているじゃないか、それを高層マンションに使ったらどうだとかこうだとか、そういう議論になると思うわけでありますが、そういうことに対しましてもう少し早く前向きな、相手から言われるからということじゃなくて、こちらから積極的にいろいろな計画を打ち出すという必要があると思うわけでありますが、それに対しましていかがお考えでしょうか。
  137. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 国鉄はいわば遊休地を持っておるということで、これを赤字対策として充てるために売ったらどうかということ、あるいはこれをもっと活用したらどうかということが言われて大変久しいわけでございますけれども、積極的にそうした問題に取り組み始めましたのはまだ四、五年でございます。大分具体的な例も出てまいりました。  五十七年度におきまして処分いたしました土地の価格も予算面では八百億であったわけでございますが、ほぼその八、九割は達成するといいますか、その程度の規模で処分をいたしておりますし、関連事業の方の収入も大体予定どおり年に一割ぐらいずつふえてきておるという状況でございます。  そこで、それを進めてまいります過程におきましても、私どももどういう場合にはこれを処分という方法で対応したらいいか、またどういう方法ではもっと長い目で見て事業収入がふえるというここで対応をしたらいいかということを、経験的に大分積み上げてまいりました。まだいわば基本方針と申しますか、そういうものを立てるところまではいっておりませんけれども、それを分類整理して、そしてその上で利用をすべきものについては利用方について、いま御指摘のように受け身の姿勢ではなくて積極的な態勢で臨んでまいりたいというふうに考えております。  大変、外部からごらんになりますと、そうした取り組みについても遅いという御批判があろうかと思いますが、土地というものはやはり一つ一つが個性を持っておるものでございますので、そしてまた私どもの土地につきましては、いかに赤字とは申せ、ただ赤字の穴埋めということではいけないのであって、地域社会にお役に立つような後の使われ方でなければいけないということも考えなければなりませんので、大変どうしても慎重に取り扱うことになるわけでございまして、しかしそれではいけないということはわかっておりますつもりでございます。また、だんだんなれてきたといいますか、経験を重ねてまいりましたので、次第にそうしたものとの取り組みもテンポを速めていくことができると思います。いまお示しのような積極的姿勢ということもそのつもりでやってまいりますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
  138. 江島淳

    ○江島淳君 総裁のおっしゃるのはごもっともだと私は思いますし、社会のためということもありますが、国鉄再建のための貴重な財産ということで使うべきである。しかし、それも早くそういう計画を打ち出さないと、外から見ますと、ただ、じんぜんとして日を送っているのじゃないかというおそれを私はここに来ましていろいろな方から聞くものですから、その辺をぜひ一日も早くお願いしたいと思うわけでございます。  それから、現在の国鉄として早くとにかく再建をやらなくちゃいかぬということで、臨調答申を受けまして緊急に措置すべき事項ということで先日閣議決定した十項目につきまして、これについても、それの進捗ぐあいというのが衆議院の方ではいろいろ聞かれておりまして、ここにもたくさん載っておりますから伺うことはいたしませんけれども、私が一番常日ごろ感じておりますのは、大体公営企業がそういまどこで見ても黒字ではないということは、私は世間の常識ではないかという感じがいたします。それなのに、なぜ国鉄だけがそういうふうに大変にけしからぬ、けしからぬと言われているかということは、一つは、やはり職員の接客態度と申しますか、それから働き度とか、そういうことにおいて難がある。一般の国民の皆さん方、ことに中小企業の皆さん方と話をしますと、大変に自分たちが走り回っておるのに比べて、これだけの赤字をしょっておる国鉄職員の態度が問題であるということをよく聞くわけであります。  それから、先日も私は、朝の点呼で浜川崎と品川の駅の点呼に立ち会ったわけでございまして、参りました。私も国鉄のOBとして行って、若い職員等の点呼に立ち会ったわけでございますけれども、やはり、そこに参りますと、国鉄の先輩としてまことに嘆かわしいと思うような態度の職員がたくさんおりました。私が思いますのは、世間の一般の通念からいって常識外れなことでは国鉄はよくならないと私は思うわけでございまして、やはり国民の皆さん方が、国鉄職員の目の色も変わってきたなというふうに認識してもらわなければ、相手がけしからぬと幾ら言っても自分たちは救われないと私は思うわけでございまして、これは国鉄を愛する者はみんなそう思っておるのだと思うわけでございます。  そういう意味で、最近、私は一つ非常にいい例として、国鉄の本社に外から電話をかけましたときに交換が出てまいります。その交換の態度がこれは非常によくなったと私は思うわけでございます。この中でそうだと賛同してくださる方が何人おるかわかりませんけれども、恐らく国鉄の方にかけていただきましたらば非常に接客態度がよくなったとお感じになるのじゃないかと思います。  それから、これは国鉄の内部じゃございませんけれども自動車に乗りまして首都高速に乗りますと、あそこの入り口のところの切符をもぎるおじさんたちが非常に態度が、ありがとうございますとか、態度が私はいいのじゃないかという感じがいたします。  そういうことが一つの端的なあらわれで、国鉄のいろいろな、ことに東京を中心とした職員の態度というものによって、国民の国鉄に対する受け方が非常に変わってくるのじゃないかということでありまして、とにかく国鉄としては一日も早くそういうことの達成ということをしていただかなくちゃならぬじゃないか。この衆議院のいろいろ記録を見ておりますと、総裁が言っておられますのは、国鉄も職場がたくさんあるのでなかなかまいりません、なかなか一朝一夕に動かないという弁明をしておられますけれども、やはり弁明をするよりも、よくなったということを世間に認識させるということが私は国鉄を活性化する一番大きな要因の一つではないかと思うわけでございます。  そういうことで、そういうことを踏んまえて、いろいろなときに——いまから十年以上も昔のときにマル生運動というのがございました。これも私から思いますと、国鉄をよくしようという基本的な精神はよかったのじゃないかと思います。しかし、いろいろなことで挫折をして、ことにその後で、そのために本当にまじめな現場長がはしごを外されたとか、いろいろそういうことでいま国鉄の組織が非常に解体したということが思い出されるわけでございますけれども、もちろんまじめな職員のみんなで一緒に国鉄を再建しようということは必要でございますけれども、私が参りました東京外地区でも、若い、まだ二十にもならない職員たちの、そういうふうなことで非常に先鋭化したような職場での現場長、これをやはりみんなでバックアップするということが必要であると思いますが、そういうことは国鉄としても十二分にやっていただけるということでありましょうか。その辺のことをひとつ……。
  139. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 職場がいろいろな意味で乱れておるとか、あるいはまた応接態度に問題があるとかいうことは、ずいぶん前から、申しわけございませんけれども、気づいておるといいますか、承知をしておるわけで、それの改善、あるいはもっと一般の町の常識に合ったものにするということについての努力は、放置してあったわけではないのでございますけれども、しかしそのテンポが十分いきませんで、現在でもまだ不十分な状況にあることは大変残念に思っております。  しかし、ここ一年ほどの間で大分そういう点を直さなきゃいけないという気持ちが浸透してきたと思います。しかし、一日も早くそうしなければならぬということで、最近やや従来とは姿勢を変えた取り組みをいたしておるわけでございまして、私の現在持っております気持ちといたしましては、いままでこの点につきましても、まだテンポが十分でないということでございましたのが、だんだんとテンポを速めてそうした面での改善に取り組める状態にだんだんなってきたというふうに考えております。半年先、一年先にはなるほど大分またよくなってきたなと言っていただけるようにしたいし、またできるというのが現在の感触といいますか、私の持っております見通しでございます。
  140. 江島淳

    ○江島淳君 それは、私が思うのですが、これは釈迦に説法かもしれませんけれども、やはり国鉄の窓口、駅の切符を売ったりあるいは改札ということが一番お客の国民の皆さんと接触する第一歩じゃないかと思うのですが、それに対するいろいろサービス向上の訓練と申しますか、デパートなんかでは相当頭の下げ方とかなんとかいうのを大変に訓練しているようでありますけれども、やはり東京駅なんかに行きましても、残念ながら非常にまだまだお客に対する態度というものが余りよくないという感じをよくするわけですけれども、そういうものも、非常にいま合理化で人間が少ないと思いますけれども、特別な何かそういうふうな訓練のチームでもつくって、ずっとたとえば訓練をするとか、何かそういうふうなことということはおやりにならないのでしょうか。やっぱりそういう必要があるのじゃないかと私は思うのですが。
  141. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 御指摘のとおりでございまして、前々からもそういうことのためにエネルギーを使うことをもっとやらなければいけないということを督励してきたわけでございますが、職場、職場によりまして現在は大分差がありまして、そういう御指摘のようなことを推し進めることを現実にやれるようになってきた職場と、まだそこまで至っていない職場と、かなり色分けがはっきりしてきているというのが現状でございます。去年のいまごろと今日とでもかなり変わってきておりますので、まだ旧態依然たる部分を早く常識的な方向に直したいということでやっております。まだできないところはなぜかということは、なかなかいろんな事情があるわけでございますが、これはどうしてもやり遂げなきゃならぬと考えておりますので、もうしばらくお待ちをいただきたいというふうに考えます。
  142. 江島淳

    ○江島淳君 それから、いまは労使の両方の非常な御努力で相当な合理化が進んでおるということも聞いております。しかし、私が思いますのは、この際いろいろ業務を外託するとか、そういうことによって身を軽くするということも必要でございますけれども、やはり世間で期待しておりますのは、一人一人の職員の生産性を上げることということを期待しておるというふうに思います。ですから、もちろん生産性を上げることも相当にいろいろ進んでいると思うのでありますけれども、たとえば端的な例として、いままでハンドル時間が二時間だったものが二時間半になったとか、あるいはまくら木の更換丁数、更換をするのがいままで十丁だったものが十三丁になったとか、何かそういうふうな端的な例でも国民にお示しになりますと、非常に国民としても、ああなるほどやっぱりみんなもよくやっているじゃないか、国鉄もよくやっているじゃないかということになると思うのですけれども、何かそういうふうなわかりやすい例というのがあったら、一、二でもお知らせいただきたいのですが。
  143. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いろいろな面でどういうふうに説明をすればおわかりいただきやすいかということを考えながらおるわけでございますが、一番最近数字的に顕著になってまいりましたのは線路のつき固めの実績でございます。  御存じのように、非常に古くはいわゆるつるはしでやっておりました。それをハンドタイタンパーといいまして、手で持ってガガッとこうやって直す機械にかえていきました。今日ではマルチプルタイタンパーという非常に大型の機械にかえていっておりますが、残念ながらマルチプルタイタンパーの稼働状況というのは、導入当時、いまから四、五年前には余りよくなかったわけでございますけれども、最近は年間稼働延長、どのぐらいの区間を年間に直していくかといったような効率といったものは非常に上がってきております。ちょっといま数字をそらんじておりませんけれども、顕著によくなって、稼働率が上がってきております。  それに伴いまして、線路の狂いといいますか、横の狂い、縦の狂いといったようなものをしょっちゅう測定をいたしておりますが、その狂いの数値がいい成績の方にどんどんいっておりまして、一時は実は大変列車が揺れるという非難を受ける線区がいろいろあったわけでございますけれども、まだ地盤その他で十分直ってないところもありますけれども全国平均で見ますと、軌道狂いというものも大分よくなってまいりました。全国平均でもよくなってきていますし、各線区ともよくなってきております。  その関係で、まだまだなかなかゼロにはいきませんけれども、軌道を原因とするところのもろもろの事故件数も減ってきておるわけでございまして、私ども説明の仕方が悪いのか、まだ一般に知っていただくところまではなかなかいっておりませんけれども、部内ではそのことはかなり知られてきておりまして、そのことがまた、いままでどっちかというと批判がありました保線の職場が大いに能率を上げていこうという元気づけのためにもなっておるわけでございまして、保線の例一つとりましても、職員の数を減らしながら、なおかつ線路の状態がだんだんよくなるということが確実にこの三年ほど実現をいたしておるわけでございまして、いま御注意がありましたので、なおいろいろな機会に国民の皆様に知っていただけるようにPRしていくといいますか、知っていただけるような手だてをとってまいりたいというふうに考えます。
  144. 江島淳

    ○江島淳君 それから、いろいろ衆議院の資料を見ますと、やはり再建がなかなか思うようにいかないのは、合理化やその他はうまくいっているけれども、一番大きな狂いは収入の減だ、収入が旅客、貨物ともに減っておるのが非常に大きい、痛いのだという御説明がしばしばございますが、私もやはり、何といっても入るをはかるのが一番大事だと思いますので、具体的な営業の増収の実例ということなどをこれからできるだけ具体的にやっていただきたいなと思うわけでございまして、きょうもそれを御質問したいと思ったのですが、時間がございませんので、ぜひその点を営業担当の常務も身がやせるぐらいの思いでやっていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つ、先ほど長期債務のことでの関連にもなりますが、言い忘れたのでありまして、きょうは大蔵省はお呼びしておらないのですけれども、年金対策がこれから再建の一つの柱になると思うわけであります。私が聞き及んでおりますところでは、これから年金のいま出してあります法案がうまくいっても千四百億か何かの負担が国鉄にまた再建時にかかってくるということでございますが、この千四百億というのがあるいは千五百億になるか千六百億になるかということによって再建計画がまた大いに変わってくると思うのでありますので、これが再建計画の前にやはりはっきり確定する必要といいますか、見通しが必要だと思いますが、その辺に関しまして……。これは林さんの方ですか。
  145. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 年金問題は大変複雑な問題でございまして、つい最近、政府から国会に出していただきましたいわゆる統合法案におきましては、今日のままでは早くも昭和六十年度には支払い不能になるという状態でございますので、それは国鉄だけじゃなくて、およそ年金制度に対する信頼感を失うことにもなりかねないということで、支払い不能といったような状態をどうやって回避するかということを中心に今日まで取り組んでまいりました結果、大変御迷惑でございますけれども、他の国家公務員の方々あるいは電電公社や専売公社の方々にお助けをいただきながら、とりあえず昭和六十年度に支払い不能という状態からは脱さなければならないということで法案という形になったわけでございます。  その場合に、他の関係の方々に御負担をおかけするということになる以上は、国鉄自体あるいは国鉄の職員、つまり共済年金制度の組合員自体、そして支給を受ける受給者、これらがそれぞれ相当みずから身を正すといいますか、より負担するといいますか、そういうことを考えないことには他の方々に、何でわれわれが負担しなきゃならぬのだということについて御納得を得られないということでありまして、そういう前提でいまいろいろ組み立てられておりますが、それによりますと、いまお示しのように千四百億円とか千五百億円とかいう金額の負担が国鉄自体の方に今日よりもさらに多くかかってくるということになるわけでございます。  そこで、それだけでなくて、今日の年金負担額自体がもうすでにとうてい国鉄自身では持ち切れないといいますか、いわゆる構造的欠損としてお認め願いたい部分があるわけでございまして、今日現在すでに持っております年金についての構造的負担部分と、そしてまた、もし統合法律案が御承認願えました場合により増加するであろう負担というものと一緒にあわせまして、再建監理委員会の方でこれをさあどうするかということのお取り組みを願うことになろうかと思っております。臨時行政調査会の御答申でも触れておられますし、この再建法の考え方の中でも触れておられるわけでございまして、それにどう取り和組むかは林さんの方からの御答弁になろうかと思いますが、われわれとしては、まずもって年金の支払いを可能な状態にさしていただいて、その後の問題として年金に関する国鉄の負担の対処方についてお取り組みいただくというふうに理解をいたしております。
  146. 江島淳

    ○江島淳君 時間がなくなりましたので、最後に大臣と総裁の御意見をお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思うわけでございますが、まず大臣に対しましては、先ほど一番冒頭私が申しましたように、国鉄が現在直面しておりますいろいろな問題があると思いますけれども、これはやはり相当バックグラウンドがございまして、総合交通体系とかそういうものから掘り起こさなくてはならない問題だと思いますので、対症療法だけじゃなくて、そういうことも主管大臣としてこれからも詰めていただきたいということが一つ。  それと、いろいろ衆議院での質疑を伺っておりますと、監理委員会というものがあたかもオールマイティーの監理委員会のようなことになっておりますけれども、決していかなる委員会にいたしましてもオールマイティーということはないと思いますので、やはり所管大臣として、こういうことに対しましては先頭に立って、もちろんやっていただいておりますけれども、そういうことにいたしませんとなかなか大変じゃないかなと思うわけでございます。  それともう一つは、監理委員会の先ほど申しました五人の委員の方々も、テレビに出てきて余り大きいことを言わないような、じみでも本当に国鉄のため、国民のためを思うような方を人選していただきたい、そういうふうにお願いしたいと思うわけでございます。  それから総裁に対しましては、とにかくいまのようなこの一番の大事なときに総裁におなりになって大変御苦労さまでございますけれども、私が国鉄におりましたときは石田総裁がおられて、そのときは国会などでも、いろいろ国鉄のことを言われたときにも、たばこ巻きと人間の命を預かっておる国鉄とは違うのだというふうなたんかを切られたりいたしたわけでございますけれども、やはり国鉄の三十何万人の一番のキャップとして大きく、何を言うかというプライドを持って、そして突き進んでいただきまして、同時に、現場の方にも総裁が直接お見えになったということになれば、私が思いましたのは、若い諸君にしても、やはりわれわれの一番の親分が来たということでずいぶん効果があると思うわけでございますので、どうぞそういう点も、現場の方にもできるだけお忙しくとも行っていただきまして、そしてこれから何年か、十年先になってみんなでビールで乾杯できるような国鉄にぜひさしていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  147. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  このたびの監理委員会法案というのは五人の委員がやるわけでございますけれども、おっしゃるとおり、日本の国鉄は百年の歴史があって、それはすばらしいものでございます。それが、いま総裁がおっしゃるように、ここ十年間のいろんな荒廃ぶりがようやく総点検をやってこのとおり実績が上がりつつある。いま国民全体は、国鉄に幾ら金を出しても何か泥沼に金を出すようなかっこうじゃだめじゃないかという私は感じを持っていると思うのです。国鉄の内部の職員諸君が能率を上げて一つ一つの例をここにお出しになったときに、だれもこの委員会にいる人は反対する人はない、だれでもが私は心の中で拍手を送っていると思うのです。そういう雰囲気をおつくりいただきつつ、年金の問題にしろ長期債務の問題にしろ今日の国鉄ではどうにもならぬわけですから、そういう意味での監理委員会の責任は非常に重大でございます。ですから、私も、おっしゃるとおり、これは名前を売るとかなんとか、そういう意味じゃなくて、本当に切り込んで一生懸命やるような五人の信用のある委員をぜひともひとつお願いしたい、こう思っております。どうぞ、そんな心組みでありますことを御理解いただきたいと思います。
  148. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 大変御激励いただきましてありがとうございます。余りにもいろんな問題がありまして、なかなかうまくいっておりませんけれども、職員諸君を励ましながら前進をしてまいりたいと思っております。  ありがとうございました。
  149. 梶原清

    ○梶原清君 関連して。  先ほど来の御質疑にもございましたが、深刻な長期債務の問題、年金の問題等を抱えておるわけでございますけれども、昨年度の実績からいいまして一分間に三百三十八万円の赤字が出ておる、こういう現実でございます。少しでも多く稼ぎ、少しでも経費を少なくしていく努力を積み上げていかなければいけない、こういうふうに思うわけでございますが、昔から伝わっておりますことわざの中に、天はみずから助くる者を助くという言葉がございます。これを国鉄労使の皆さんが、大変御苦労でございますけれども、必死になって血のにじむような御努力をしていただくということがまず第一番ではないか、このように思うわけでございます。そのためには、労使一体となってがんばっていただかなければいけない。  先ほど江島委員が御指摘になっておりました点呼の問題一つにしましても、私もある現場を見てまいりました。私、広島陸運局長をいたしておりますときに、広島県下に福山通運という会社がございますが、そこは七時五十分に社長以下全員がそろいまして、ラジオ体操をやり、そして社是、社訓を斉唱し、そして注意事項を聞いて散らばっていくわけでございます。その光景を見ておりますと、やはり胸を打つものがあります。そういう気概、そういう意気込み、そういうことがいま国鉄労使全体について要請されておるのではないだろうか。私も、若いころ十三年間、国鉄の現場で働かせていただきました経験があるわけでございますので、ぜひともひとつ、そうした天はみずから助くる者を助くという、そういう気概でお取り組みをいただきたい、これをまず冒頭にお願いを申し上げておきたいと思います。  非常にささいなことを申し上げるようでございますが、不正乗車の点をお聞きいたしたいと思うわけでございます。本来入るべき収入が不正乗車によって入らない。この金額は相当の金額になるのではないだろうか。ばかにならない金額ではないだろうか。近畿日本鉄道に乗りますと、非常に従業員がチェックをずっとやられる。各段階でチェックがありますので、不正乗車ができない仕組みになっております。それに比べまして国鉄の場合は、そういう努力をなさっておるかと思いますけれども、依然として不正乗車が相当の金額に上っておるのではないか。要員を配置転換して、そういうところへ要所要所に配置をして、そして不正乗車を防止する努力をすればそれだけでも収入が入ってくるのではないだろうか。こう思うのですが、それにつきまして概要、あるいはこれからの計画等について、まずお尋ねをいたします。
  150. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 運賃あるいは料金を適正にちょうだいする、あるいは正しく切符を買っていただくということにつきまして、私ども常々お客様方にも申し上げておりますし、またそういった環境条件をまず整備しなきゃいかぬいということで私ども取り組んでおります。  特に、夏とかあるいは年末年始のお客さんの多い時期には、臨時に出札口を開くとか、あるいは移動巡回のグループをつくって巡回させるとか、さらには乗りかえ口で臨時に改札口をつくる、それからまた臨時の車内検札を強化するといった、いろんな手だてを講じておるわけでございます。これにはもちろん私どもの予備員をまず充てるわけでございますが、これから合理化も進み、効率化も進むという中で、一時的に要員上の余裕ができればそういう者も振り向けまして、全体として機動的な、重点的な体制を整備充実いたしたい、こう思っておるところでございます。
  151. 梶原清

    ○梶原清君 それから第二点でございますが、貨物輸送のことに関連をいたしまして、先般の臨時行政調査会でも答申がございました。鉄道特性が発揮できるように拠点間直行輸送体制へ移行していけ、それを中心とするような体制に切りかえていけ、こういうことでございまして、私も基本的にはその方向が正しいと思うわけでございますけれども、いろいろと関係業界から問題を指摘されておるわけでございます。  そのことに関連しまして三、四お尋ねをいたしたいと思いますが、まず、拠点駅とその他の駅との間の集配列車をどのように運転されるのか。そのいかんによりまして影響度合いが非常に違ってまいるわけでございます。そうしたフィーダーサービスの内容を、まずお聞きしたい。  それから第二点でございますが、側線を利用して営業している倉庫業者が、側線利用の貨物がなくなりました場合、影響を受けるわけでございますが、これに対してどのような対応をなさるのか。  第三点は、拠点駅に一段と貨物集積が行われることになるわけでございますけれども、貨物の保管集配施設の拡充、空閑地に施設新設の必要がある場合には、倉庫業者の優先活用と、その助成についてどのようにお考えになるのか。  第四点。これは前回もお尋ねをいたしましたが、連絡運輸をいたしております私鉄、これはやはり経営規模が小そうございまして、もし貨物取り扱いがなくなりましたときに非常に大きな影響を受ける。経営規模が小さいだけに要員の配置転換等もむずかしくなる、経営上の収支も非常に悪くなる。こういうことにつきましてどのような対応策があるのか、また暫定的にそういうものは引き続いて取り扱っていくようにするのか。こういうことが問題点として指摘されておるわけでございます。  もう一つ、すでにお聞き及びかと思いますけれども、北海道におきますバレイショとか、そういう生野菜的なものの輸送、これは青函連絡船を何か減らされるようでございますが、それによりまして便数がずっとなくなる、特に車扱い貨物がなくなってしまうということによる影響というのが非常に大きいようでございます。北海道のバレイショとか、そうしたものの輸送、季節的に輸送力をつけなければいけないけれども、ほかの輸送機関もいっぱいである、青函連絡船にぜひともお願いをしたいという強い要請がございますわけで、こうしたものについてどのように御検討になっておりますのか、また対応されますのか。この点について、おわかりの範囲で結構でございますから、御答弁いただきたいと思います。
  152. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) まず、拠点駅とその他の駅の集配列車がどのように運転されるかというお尋ねでございましたが、今回御発表申し上げました計画によりますれば、私ども大体四百五十七駅、うち拠点駅が九十駅ばかりございます。したがいまして、その残余の一般駅からは拠点駅まで、あるいは拠点駅から集配輸送を鉄道、レールによって行うわけでございます。現在大体三千二百本ばかり列車を運転いたしておりますが、今度は恐らくこれは千五百本程度の運転になろうかと思います。これは一年がかりでOD表をもとにしましてシミュレーションを繰り返しまして、こういった列車運行をすることが最適であろうということで計画をいたしておるわけでございます。その千五百本のうち六百本程度がその地域内の拠点駅を中心にするいわゆるフィーダーサービスということになろうかと思います。  そこで、その六百本をどういうふうに運転するかということでございまして、いま具体的に各地域地域に即して計画を詰めておるところでございます。恐らくは一日に一本必ず運転するということでございますが、必要があれば臨時に運転もするということであろうかと思います。ただ、このフィーダーは、やはり私どもとしては鉄道による以上に道路による方がふさわしい輸送ではないかと思っておりますので、これにつきましては機会あるごとに見直しをさせていただきたい、こう思っているところでございます。それから二番目に、側線を利用している倉庫営業者はどうなるかということでございましたが、専用線と解釈いたして申し上げますけれども、その専用線につきましては一定の補償のルールがございます。私ども国鉄の都合によって廃止をする場合にはルールに基づいて補償を申し上げるということでございますので、これについては具体的に個別にお話をいたしたい、こう思っております。  それから三番目には、拠点駅に貨物の集積が一段と行われるということでございまして、その場合に、保管集配施設の拡充あるいは新設が必要な場合に倉庫業者の優先活用あるいは助成措置というお話でございますが、これは当然でございますので、私ども十分考えてまいりたいと思っております。  それから最後に、社線の話がございましたが、連絡社線を私ども現在六十五社、年度末に二社廃止になりまして六十五社現在やっております。大体発の数量が二千万トン程度ございますが、実はそのうちで十三社の国鉄出資の臨海鉄道によるものが八割方ございます。八割が臨海鉄道の出荷でございます。したがいまして、そういったことで具体的にこれもお話をしてまいりたいと思いますが、問題は地方の私鉄の場合でございます。これについては、やはり先生指摘のようなことがございますので、よくお話を申し上げたいと思っております。  それから北海道の件でございますが、これは当然必要な時期に臨時季節列車を運行するということで、そのために、数少ない連絡船になりましたが、その連絡船の稼働率を上げまして対応いたしたい、またコンテナ化も大いに慫慂してまいりたい、こう思っております。特に、種バレイショの問題が非常にございますので、これはよく勉強したいと思います。
  153. 梶原清

    ○梶原清君 最後に、これは私見中の私見でございまして、自民党の方で鋭意検討されておりますので、いささかはばかるようでございます。大蔵省さんなり自治省さんにお越しをいただいていないのもそういう理由でございますが、実は設備投資の関係でございまして、臨時行政調査会の答申では、「設備投資は、安全確保のための投資を除き原則として停止する。」、こういうことでございますが、私の個人的な見解からしますならば、やはり必要な投資は続けていくべきである、体質改善をすべきである、鉄道特性が発揮できるような方向に絶えず努力をしていくべきである、このように考えております。  その際、いま国鉄は大変な長期債務を抱えて身動きができません。しかし、在来線の複線電化とか新幹線とかは、国土経営という立場からも、将来の国鉄のありようから考えましても、私は極力可能な限り続けていくべきである。そうするならば、私は国鉄にそのことを自前でやっていただくのじゃなくて、政府が国鉄に出資をすべきである。そして、ちょっとこれまた本当の私見だと申し上げておりますのは、その政府出資で投資をするうちの一部を地方公共団体に負担をしていただく。これは再開発利益の吸収という見地からそのようにしていただいて、一日も早く設備投資ができるようにしていくべきではないか。しかし、地方公共団体に負担していただくということにいたしましても、大体が経済力の乏しい地域でございますので、これを国全体に調整をして薄めてやっていく。それは自治省で配慮をしていただくという仕組みが必要ではないだろうか、こういうふうに私は考えております。  同時に、市町村納付金につきまして、自治省の税務局で非常に御配慮をちょうだいしておることは十分承知いたしております。しかし、いまのような状況下で設備投資をしていくということになりますと、市町村納付金についてはここ当分の間、減免といってもこれは全く免除していただくという方向で、ひとつ税務当局に御配慮をいただくべきではないだろうかという個人的な見解を持っておるわけでございまして、そのような方向でひとつ御検討をいただけたらなというのが私の個人的な希望でございます。  そのことを申し上げまして、先ほど来江島先生からもお話がございました、何としても、百十年の輝かしい歴史のある国鉄でございますので、労使一体となってがんばっていただきますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  154. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  155. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) この際、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  158. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  本案について連合審査会開会の申し入れがあった場合、これを受諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十分散会