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1983-03-30 第98回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月三十日(水曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      梶原  清君     土屋 義彦君      三治 重信君     柳澤 錬造君      田  英夫君     江田 五月君  三月二十五日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     梶原  清君      宮澤  弘君     安田 隆明君  三月二十六日     辞任         補欠選任      江田 五月君     田  英夫君  三月二十九日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     沓脱タケ子君      柳澤 錬造君     伊藤 郁男君  三月三十日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     初村滝一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢追 秀彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 江島  淳君                 青木 薪次君                 黒柳  明君     委 員                 梶原  清君                 木村 睦男君                 鈴木 正一君                 内藤  健君                 初村滝一郎君                 安田 隆明君                 沓脱タケ子君                 伊藤 郁男君    政府委員        運輸政務次官   関谷 勝嗣君        運輸大臣官房長  犬井 圭介君        運輸省船員局長  小野 維之君        海上保安庁長官  永井  浩君        海上保安庁次長  山下 文利君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        海上保安庁警備        救難部参事官   中島 眞二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○海上衝突予防法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  海上衝突予防法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。関谷運輸政務次官
  3. 関谷勝嗣

    政府委員関谷勝嗣君) ただいま議題となりました海上衝突予防法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  船舶交通の安全を図るための海上交通基本ルールにつきましては、その国際性にかんがみ一八八九年以来国際規則が作成され、主要海運国は、いずれもこれらの国際規則をそれぞれ国内法化してきております。わが国におきましても、明治二十五年に海上衝突予防法が制定されて以来、国際規則に対応して、数度の改正を経て今日に至っております。  最近では、一九七二年に海上交通実態変化に対応して国際規則全面的見直しが行われましたが、その後の小型船船舶交通増加等海上交通事情変化等に伴い、海上交通ルール適正化を図るため、一九八一年の政府間海事協議機関総会において国際規則の一部改正案が採択され、本年六月一日から発効することとなりました。  このため国内法を整備する必要があることから、海上衝突予防法の一部を改正しようとするものであります。  次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、近年の分離通航方式の定着に伴い、同方式適用される海域における船舶の円滑な交通等を確保するため、小型船等が遵守すべき航法について規制を緩和することとしております。  第二に、小型船船舶交通実態に即して、その表示すべき灯火及び形象物規制を緩和することとしております。  第三に、船舶の行うべき信号について一層の改善を図るため、錨泊中の操縦性能制限船が行うべき音響信号改正等を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 以上で趣旨説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 前回昭和五十二年以来、新しい海洋秩序に対応いたしまして、二百海里の漁業水域や十二海里の領海内の外国船の監視、取り締まりというような問題について、海上交通を何としても円滑に処理するために役割りが非常に重要になってきていると思うのでありますが、現在持っている船艇、それと航空機勢力というものは一体どうなっているのか。警備救難業務というものは、だんだん広域化してきていると思うのです。と同時に、多様化してきている。このことについて、わが国海上保安庁としてはこの辺についてどのような計画を持っているのか。その点について、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  6. 永井浩

    政府委員永井浩君) 御指摘のように、海上保安庁警備救難業務といたしましては、法令海上における励行、海難救助海洋の汚染及び海上災害防止海上における犯人の捜査及び逮捕、あるいは海上における船舶交通に関する規制等業務を行っておるわけでございますが、昭和五十二年、いわゆる海洋二法ということで、領海十二海里それから漁業水域二百海里ということで従来の当庁の守備範囲が非常に広がりました。特に、これらによりまして外国漁船取り締まり等業務が新たに付加されたわけでございます。こういった結果、当庁の業務も外洋に向けまして拡大、多様化いたしております。  これに対応いたしまして、海上保安庁の現在の勢力を申し上げますと、巡視船百十三隻、巡視艇二百三十一隻、固定翼航空機二十二機、ヘリコプター三十三機を保有いたしております。これらの巡視船艇航空機の整備につきましては、五十二年以来逐次整備してまいっておりまして、このようなことになったわけでございますが、さらに今後海上捜索救難条約あるいは海洋法条約が採択されまして、これへの加入も日程に上ってきておりますので、今後、特に広域における海上保安庁救難勢力を逐次整備してまいりたい、このように考えております。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 一九七二年に国際海上衝突予防規則が制定されたわけでありますが、この適用状況についてちょっと説明してください。
  8. 永井浩

    政府委員永井浩君) 一九七二年の国際規則につきましては、昨年末現在の数字で申し上げますと、八十カ国が加入いたしております。これらの加入している国の保有しております船舶は、総トン数トン以上で調べますと六万九千隻、四億八百万総トンでございまして、隻数で全世界の九三・五%、トン数で申し上げると九六・九%を占めておるわけでございます。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 一九八一年の政府間海事協議機関総会において、いま説明のありました七二年の衝突予防規則改正案が採択されたわけでありますが、これに応じて今回の改正案が提案されているということでありますが、衝突予防規則改正が必要になった経緯を説明していただきたいと思います。
  10. 永井浩

    政府委員永井浩君) 一九七二年の国際規則はいわゆる全面改正でございまして、これに対応いたしまして、国内法として海上衝突予防法を制定していただいたわけでございますが、制定時には予見できなかった運用上の不都合あるいは小型船増加等につきまして、政府間海事協議機関、現在は国際海事機関と名前を変えておりますが、この国際海事機関におきまして、以来、航行安全小委員会あるいは海上安全委員会といった内部組織を置きまして検討を続けてまいりました。その結果、九年の後、一九八一年十一月の総会におきまして改正案全会一致で採択されたものでございます。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 日本は狭水道が非常に多いのですけれども予防規則により分離通航方式をなぜとっていないのか、また日本に最も近いところで分離通航方式をとっているところは大体どんなところがあるのか、その辺についてちょっと説明してください。
  12. 永井浩

    政府委員永井浩君) わが国では、御指摘のように狭水道が非常に多うございまして、船舶交通がふくそうしているわけでございますが、東京湾伊勢湾あるいは瀬戸内海におきましては、この海上衝突予防法特別法の地位にあります海上交通安全法という法律がございまして、これによってこの衝突予防法で言う分離通航方式よりさらにきめ細かい規制内容を定めた航法を実施しております。したがいまして、わが国の沿岸ではこの国際規則に基づく分離通航方式を設定する必要のある海域はない、このように考えております。  第二番目の、わが国の近くでの分離通航方式をとった地域はどこにあるかということでございますが、日本船がわりあい頻繁に通りますのはマラッカ・シンガポール海峡でございます。ことにおいて分離通航方式が設定されておりますが、そのほかには樺太沖ナホトカ沖あるいは千島列島北部に設定されております。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 この分離通航方式適用する場合には、たとえば海峡の真ん中に一つのブイを浮かべて、そしていろんな標識を立てなきゃならぬとか、いろんな設備上の問題もあるし、あるいはまた全世界が同じ方式で今回の海上衝突予防関係ルールを守っていくためには、期日、いついつまでに教育、訓練しなさいというような担保が必要だと思うのでありますが、これが守られていく可能性が完全にあるのか、どうなのか。その点についてはいかがですか。
  14. 永井浩

    政府委員永井浩君) この分離通航方式については、海事関係者には十分周知されているものと思っております。さらに、私どもといたしましては、そのほかに各種海事あるいは水産団体を通じてのPR、それから訪船指導講習会実施等を行いまして、これらの船舶について衝突予防法分離通航方式だけではございませんが、そういった海上関係安全関係法令指導いたしております。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 わが国の近海で海難事故を起こして、海上保安庁に助けを求めてきたような船舶はあるのかどうなのか。その現状について、大体どの程度の件数があるのか。私は相当多いのじゃないかというように思うのでありますが、原因別にそれをちょっと説明してもらいたいと思います。
  16. 永井浩

    政府委員永井浩君) 昭和五十七年の一年間の統計で申し上げますと、わが国周辺海域におきまして救助を必要とする海難に遭遇いたしました船舶は二千百三十七隻でございます。総トン数で約百九十五万総トン、こういうことになります。また、これらの船舶に乗船して海難に遭遇した乗組員は約一万一千六百人、このうち死亡、行方不明は二百八十九人でございます。  これらの海難原因別に見ますと、見張りの不十分、あるいは操船の不適切、気象、海象に対する不注意といった運航上の誤りによるものが五二・八%、千百二十九隻、それからエンジンの取り扱い不良が二百六十五隻、一二・四%、それから船舶そのものの材質とか構造に起因すると思われるものが百九十五隻、九・一%、それから火気あるいは可燃物取り扱い不注意によるものが八十六隻、四%、主な原因はそういうことに相なっております。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 この海上衝突予防法が効力を発生するのは六月一日と聞きましたが、それでいいのですね。  それから、何十万トンというタンカーと、いわゆる釣り舟といわれる、まさに何トンもない、こういう全く小型船舶とが同じルールでもってやっていかなきゃならぬということになるわけでありますが、そのことについて海上保安庁はこのルール周知徹底させるだけの責任と義務があるのじゃないかというように考えているわけでありますが、もうわずか二カ月になったわけでありますが、この間に完全に周知徹底させるだけの自信があるかどうか。その点、ちょっとお伺いしたいと思います。
  18. 永井浩

    政府委員永井浩君) 御指摘のように、この改正案周知徹底する期間は非常に短いわけでございますが、期間的に限られている中でこの改正内容を重点的かつ強力に周知いたしたいと考えております。  具体的には、ポスター、リーフレット等の配布による周知を行うほか、私どもは毎年春と秋に海上交通安全運動というものを行っておりますが、特に春の四月十九日から始まります全国海上交通安全運動の中でこれらの改正案内容周知を重点的に取り上げたいと考えております。さらに、従来から行っております海難防止講習会、それから船に出かけていって指導を行います訪船指導、こういうものもこの改正を重点に置いて行いたいと考えております。特に問題になりますのは、いま御指摘のございましたようなプレジャーボート小型船でございますけれども、これらにつきましては、私ども従来からこういったプレジャーボート団体というものの設立指導してまいっております。現在五十九団体設立されておりまして、会員が一万五千人余り、こういった団体を通じましてさらに強力に指導をいたしまして周知徹底を図りたい、このように考えております。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 たとえば航空機から東京湾を見た場合、大木が浮いていると思うと、全く虫めがねで見なきゃならぬような小舟が浮いている。これを、いま私が質問いたしましたように、一つルールのもとに指導するというのは容易なことじゃないと私は思うのです。それから日本のような、いわゆる瀬戸内海伊勢湾東京湾、これらのところは特にタンカーが非常にいるのですね。このタンカーは七七%がこの地域に大体寄港するということになっているわけでありますが、この点について、タンカー海難事故衝突予防というような問題についての対策、それから私がいま申し上げましたように、大型船舶と全く小型の舟艇みたいなもの、このいわゆる海上交通に対する指導、この二つが私は一番大きな問題じゃないだろうかというように思うのでありますが、その点いかがですか。
  20. 永井浩

    政府委員永井浩君) 御指摘のように、船舶の非常にふくそういたしております東京湾伊勢湾 あるいは瀬戸内海地区の三海域におきましては、この衝突予防法特別法でございます海上交通安全法に基づきまして、さらにきめの細かい規制を行って安全指導を行っております。  具体的には、この三海域におきまして十一の航路を指定いたしまして、この航路における船の通航の仕方を定めておりますが、特に巨大船に対しましては、航路航行に際して事前に通報を義務づける、あるいは巨大船が入港する、通航する予定時刻を必要に応じて変更させたり、あるいは巨大船の進路を警戒するための船を配備させる、こういった指示も行っております。そのほか、航路内の気象等情報を当庁の方から提供いたし、また巡視船艇を常時この地域にパトロールさせておりまして、交通の整理やあるいは航法指導を行っておるところでございます。特に東京湾につきましては、東京湾海上交通センターというものを私どもが設置いたしまして、これはレーダーとコンピューターを組み合わせたシステムによりまして、きめの細かい航行管制あるいは情報提供を行っておるわけでございます。こういったシステムは今後瀬戸内海地区においても整備してまいりたい、このように考えております。  次に、タンカーの問題でございますが、タンカーはもし一度事故が起これば大変な問題になるわけでございまして、私どもとしてもその事故未然防止については特段の配慮を行っておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような海上交通安全法に基づく諸規制指導のほかに、たとえば東京湾に初めて入港する二十二万重量トン以上の原油タンカー、あるいは本邦に初めて参ります二万五千トン以上のLPG、LNGタンカーに対しましては、ふくそうする海域通航時刻入港時刻を制限する、あるいは所要の消防設備を備えた警戒船を本船の周りに配備する、こういった指導を行っておるわけでございます。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 長官、私は釣りが好きなものだから、釣り舟をときどき借りて、行くわけですよ。そうしますと、大型タンカー巨大タンカーといま言いましたけれども、それが入ってくる。それで、水先案内と言われるような人が必ずしもついているわけではない。それから釣り舟等が行った場合に、タンカーばかりじゃありませんが、普通の中型船と言われるくらいの一千トン、二千トンクラスの船が入ってくると、そのために波で転覆しそうになるというようなことだってあるし、今回の改正右回りでしょう。右回りになるわけですね、通航方式が。そして標識灯やその他が今度は変わってしまうわけですね。全方位灯をつけるとかなんとかということになるわけでしょう。それがこの二カ月間で私は必ずしも完全に周知徹底させるということはこれは考えられないというように思うのです、自分の経験から言ってみて。その点について自信があるのですか。
  22. 永井浩

    政府委員永井浩君) 一般的に、漁船とかあるいは漁船と兼業のいわゆる遊漁船、これらについては漁業組合を通じて指導いたしたいと考えております。さらに、そういった団体に所属していない船につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども指導いたしまして、そういった団体を結成し会員になることを指導しておるわけでございますが、非常に数が多うございまして、またアウトサイダーも多いわけでございますので、これに対する周知徹底は御指摘のように非常に大変なことだと思いますが、何とか私どもとしては全精力を挙げまして、この改正内容について周知徹底させたい、このように考えております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 これは、いま言われましたように、インサイダー、アウトサイダーがある。しかも、船種別に、またトン数別に、使用目的によって、日本周辺というものはありとあらゆる船でいっぱいなんですね。このことについて、私はやっぱり個別的に指導しなければとてもやってはいけないと思うのです。業界に任せるなんということはとてもこれはできないと思うのです。そういたしますと、これは特に民間団体やその他が中心となって、海の交通安全というような問題を中心といたしまして組合をつくるというようなことについて、われわれだってやはり努力しなきゃならぬと思うのです。ですから、そのことについて、もしもわれわれが、たとえば遊漁船の話をしたし、漁船の話もしたわけでありますが、漁船にも、太平洋から大西洋まで、鉄製の船舶があって、そして外国でとったものを外国で売ってくるというぐらいの巨大な鋼鉄船が、漁船がいまできているわけです。そのほかに、いろいろボートがあったり、たくさんあるわけでありますが、これが故障した場合にそれじゃ標識灯をどうするかというような問題等についても、これはなかなかやっぱり事実上、海上衝突予防ということについての目的には合致いたしておりますけれども、なかなかむずかしい問題が多過ぎるというように思うのでありますが、われわれがたとえばこのために団体とか組合とかをつくるような指導をしたような場合においては、海上保安庁としては積極的に指導または援助する気があるかどうか。この点についていかがですか。
  24. 永井浩

    政府委員永井浩君) 御趣旨のような団体を私どももつとにその必要性を感じておりまして、先ほど申し上げましたように、全国でこういった団体設立指導してまいったわけでございます。こういった団体設立いたしますと、そこに指導員というようなものを私ども指導で設けたり、あるいは講習会を開催いたしまして会員交通安全に対する認識を高めるように努力しております。ただ、先ほど申し上げましたように、非常に数が多うございまして、まだすべてのこういった小型船を網羅するまでにはいっておりませんが、極力こういった団体設立について積極的に指導、援助してまいりたい、このように考えております。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 前回改正のときには漁業者との関係が非常に問題になったのですね。長官おっしゃるけれども漁業者はそう法を理解し、またその運用、その他規制についてなかなか急に百八十度変わるということについては、これをのみ込むまでには大変な努力が必要だと思うのです。ですから、そういうことから考えてみまして、漁業者との調整、この点についてはどんなふうに考えていますか。
  26. 永井浩

    政府委員永井浩君) 前回改正の際に、御指摘のように、一般船舶と漁労中の船との優先関係についていろいろ御議論がありましたが、現在の法律で特にこの解釈をめぐって一般船舶漁業者との間のトラブルというものはございません。また、この法令解釈の問題が原因海難が発生したというような事実もございません。ただ、御指摘のように、確かに漁業船舶コースとの調整というものは非常に大事な問題でございます。今回の法律案改正につきましては、社団法人日本海難防止協会というのがございますが、この中に海運関係者と、それから漁業関係者、それから学識経験者を入れまして、改正についての調査研究委員会を設けて、そこで十分議論していただいたわけでございます。さらに、最終段階では運輸大臣諮問機関でございます海上安全船員教育審議会に諮問いたしまして、この審議会メンバーの中にも水産関係の方、海運関係の方が入っておられるわけでございますが、その審議会の承認を得て改正案を提出したわけでございます。  しかしながら、今後とも海運漁業調整の問題というのは両者共存共栄という立場からぜひ必要であると思いますので、こういった両者意見が平素から交換されるという場が必要であると私ども考えまして、先ほどの日本海灘防止協会の中に、昭和五十一年に海上安全問題海運水産懇談会、こういう場を設けまして、海上安全問題についての海運関係水産関係意見の交換を常日ごろからしていただく、こういう組織をつくっております。今後とも、こういった場を通じまして両者の利害の調整を図ってまいりたい、このように考えております。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 この海上衝突予防法外国船にも実は適用をされるわけでありますが、これがなかなかむずかしいと思うのですね。しかも、わが国海運業界の一番頭の痛い問題に便宜置籍船といっ たような問題がある。船の籍はどこ、しかし乗組員というのは台湾の人が乗ったり、パナマの人が乗ったり、韓国の人が乗ったり、なかなかむずかしい点があるわけですよ。こういう点に対する指導といいますか、連絡調整といいますか、そういう点も非常にむずかしい問題があるというように私は思うのです。ですから、わが国海域水域航行する外国船事故その他については大体どれくらいに上っているのか、また外国船に対するわが国海上衝突予防法についてどのように徹底をさしていくことになるのか、その点についてお伺いいたしたい。
  28. 永井浩

    政府委員永井浩君) 先ほども申し上げましたように、この法律国際規則に準拠しておりまして、またこの国際規則については全世界船舶の九三・五%が適用されておるわけでございますので、また今回の改正については全会一致でございまして、異議を通告した国はございません。したがいまして、それぞれの船舶の所属する国がまず第一義的にはこの国際規則周知すべきものだろう、このように考えておりますが、しかし、それだけでは必ずしも十分でないと思われますので、私ども従来から外国船についても訪船指導を行っております。そういった機会をとらえてこの改正規則周知すると同時に、主要な港湾には外国船舶安全対策連絡協議会、こういう組織を設けてございます。これは船会社の支店あるいは代理店等メンバーでございまして、こういった協議会を通じてそれぞれの所属の船にパンフレットあるいはリーフレットを配布してもらう、こういうようなことを考えております。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 私は、海上衝突予防法改正ということについてはいいことであるというように、まず前提を置いて質問いたしているわけでありますが、何といたしましても、船の海上衝突を防止するための規制というもの、あるいはまた規則というもの、そういうものについて徹底させるということが、これが一番やっぱり大切なことだと思うのであります。ですから、そのことを考えたときに、これから私どもも、やはり陸上交通のことについてはなかなか熱心にやるけれども海上交通海難事故防止という点については非常に関心が薄過ぎるというように実は考えているわけでありますが、その点から考えてみまして、海難の救難救助という問題もさることながら、その前提となるルールの確立について関心を持って進みたいと思いますので、海上保安庁としても、それらの善意ある民間団体また指導というようなものについて、従来とはまた変わった形で、だんだんふくそうする海上交通に対して万遺憾なきを期すために、指導、援助ということについて格段の要請をいたしたい、こう思っておりますが、最後にそのことについて質問いたしまして、時間がまだありますけれども、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 関谷勝嗣

    政府委員関谷勝嗣君) 運輸省といたしましても、海上交通の安全というものは基本の問題でございまして、一番大切な問題でございますから、今後ともあらゆる角度から対策を講じていきたいと考えております。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。
  32. 黒柳明

    ○黒柳明君 マラッカ・シンガポール海峡は、わが国の経済安全保障にとって非常に重要なところであることはもちろんでありますが、ここは分離方式がとられて、その効果のほどはどういうことになっておりますでしょうか。御説明いただきます。
  33. 中島眞二

    説明員(中島眞二君) マラッカ・シンガポール海峡につきましては、大変地形も複雑でございますし、長大な水道でございますので、船舶交通がふくそうしているところからかねて問題のところでございました。そこで、昭和五十六年の五月一日から三つの分離通航方式が施行されました。これによりまして通峡が非常に容易になったというふうに聞いております。この海峡におきましては、御審議いただいておりますこの法律で決めております分離通航方式が採択されているわけでございますけれども、特にこの通航路の中におきまして喫水の深い船だけが通る航路を設定したり、あるいは船と海底との間のクリアランスを一定以上とる、三・五メートル以上とるというような船舶通航規則を制定したり、あるいは速度の制限というようなこともいたしております。また、わが国の技術援助等もございまして、航行援助施設の整備も行いまして、あわせて水路通報とか海図の改正などによって船舶通航の安全が図られておりまして、大変効果がありまして、わが国の船も通りやすくなったということでございます。
  34. 黒柳明

    ○黒柳明君 海難救助についていろいろ海上保安庁も手をお打ちですが、広域海難救助について将来具体的にどのような方策をお持ちでしょうか。
  35. 永井浩

    政府委員永井浩君) 広域の海難救助につきまして、大体範囲から申しますと、今後海上捜索救難条約わが国が加盟いたしますと、太平洋でいきますと、大体一千海里から一千二百海里ぐらいが日本の分担になるのではないか、このように考えております。したがいまして、私どもといたしましては、ヘリコプターを搭載いたしました巡視船をこれらの海域にいわゆる前進配備いたしまして海難救助に即応できるようにいたしたい、このように考えております。  それからもう一つは、船位の通報制度を設けまして、この広大な海域航行しております船舶の位置を定時に知らせてもらう。これによりまして、その船が海難に遭った場合には救助海域が早期に確定される。また、他船が海難に遭った場合には近傍にいる船がわかりますので、こういった船舶に当面の救助を頼む。こういった船位通報制度を中心といたします海洋情報システムというものを私どもとしては整備したいということで、五十七年度から整備を始めております。こういったことで、巡視船艇航空機の整備とこういった海洋情報システムの整備によりまして広域海難に対して対処したい、このように考えております。
  36. 黒柳明

    ○黒柳明君 大型タンカーに対する安全対策、なかんずく今度の改正案では小型のレジャー用のボートについても大幅に規制が緩和される、こういうことでありますけれども、これから夏にかけてレジャー用のボートがしばしばいままで事故を起こしたりなんかしておりますが、そのレジャー用のボートについての安全対策、これもどうなりますでしょうか。
  37. 永井浩

    政府委員永井浩君) 大型船の安全対策につきましては、特に交通のふくそういたします東京湾伊勢湾あるいは瀬戸内海、それと港湾内につきまして、この海上衝突予防法特別法でございます海上交通安全法あるいは港則法によってきめ細かい規制が行われております。これに従いまして、私どもの出先機関あるいは巡視船艇がそれぞれ指導取り締まりを行っておるわけでございます。一方、プレジャーボート中心といたします小型船については海難が逐次ふえてまいっておりますので、これの安全対策につきまして私どもも重点的に行っておるわけでございますが、機会あるごとに訪船指導を行う、あるいは団体設立指導いたしまして、その団体において講習会を実施する、あるいはその団体指導員を設けて指導させる、こういったような措置を講じております。特に最近では、こういった団体に関連しまして、民間有志による自主的なパトロール等も行わせておりまして、その行動に対しては私どもも積極的に援助し、あるいは育成を行っているところでございます。
  38. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に、次官、六月一日施行で、いまも話がありましたが、世界中に散らばっている海員の皆さん方にこれを周知徹底するのは非常に大変な作業でありますが、当然、これは改正を促進し、わが党としてもこれを全面的にバックアップする意味におきまして、この周知徹底の万遺憾なきを図らなければならない、こう思いますが、ひとつ、その徹底方と、また基本的な遺憾なき体制というものについて万全の策をとられたい、こう希望もつけ加えます。
  39. 関谷勝嗣

    政府委員関谷勝嗣君) この予防法は海上交通基本ルールでございまして、改正内容海上交通関係者に徹底することが一番重要なことと考え ております。本法案が成立いたしますれば、施行日であります六月一日までの期間というものが限られておるわけでございますが、関係団体を通じまして周知徹底をいたしまして遺憾なきを期したいと考えております。
  40. 黒柳明

    ○黒柳明君 以上です。
  41. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 最初に、小型動力船の灯火に関する規定、今回の改正で十二メートル未満まで拡大されているわけですが、最近小型船事故が非常に増加している中で今回のこのような措置は矛盾しているのではないか、こういうように私は思うのですが、特に遊漁船、それからプレジャーボート、ヨット、漁船等の小型船に対する本法の遵守の徹底を図る措置が絶対に不可欠だ、こういうように思いますが、その辺の指導をどのようにされようとしておるのか、まずお伺いします。
  42. 永井浩

    政府委員永井浩君) 今回の改正の中で小型船の灯火等についての規制が緩和されております。これは従来七メートル未満まで緩和されておった措置を十二メートルまで拡大するということでございますけれども、これは七メートル未満まで従来つけておりました灯火の効力が非常に有効である、安全上問題ないということで国際的に認められまして、この範囲を拡大するわけでございます。従来、構造上あるいは設備上、若干小型船にとって設備がむずかしかった灯火あるいは形象について、それよりも容易につけさせるということでむしろ法令の遵守というものが容易になるのではなかろうかということで、安全上問題なく、むしろプラスの効果もあるのではないか、私どもはこのように考えておるわけでございます。  御指摘のように、しかしながらこの小型船は非常に数が多うございまして、組織された団体もあるいは構成員も非常にまだ一部でございます。こういうことでございますので、私どもとしては団体における講習会指導を行うといったもののほかに、具体的に現場で巡視船艇による指導を行う、あるいは私どもの出先保安部署に講習会を設けまして積極的に参加を呼びかけて周知徹底を図りたい、このように考えております。
  43. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 やはり小型船海難増加傾向、これにストップをかける、あるいはまたこれを減少させる。このためには、一体監督官庁としてどんなことをやれば最も効果的であると考えておられるのか、この点をお伺いします。
  44. 永井浩

    政府委員永井浩君) 非常に全体を把握するというのはむずかしい対象でございますが、私どもとしてはきめ細かく、先ほど申し上げましたような講習会あるいは現場指導取り締まりあるいは訪船指導、こういったものを行っていくということがまず第一点でございます。  それからもう一つは、これらのプレジャーボートのユーザー等によります自主的な団体設立、それに伴います安全対策を自主的に行わせる、こういったことが必要ではなかろうかということで、まず組織化ということが第一歩ではないか、このように私どもは考えております。
  45. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いま長官のおっしゃるように、全体を把握することは非常にむずかしい。そして、自主的に行わせるといっても、なかなか範囲が広く細かいですから、したがって、いまおっしゃったように、パトロール、講習会、さらに訪船等を含めて十分な指導徹底した指導というものを十分にやらないと、この緩和によりましてむしろ海難事故がふえるのではないかというおそれもあるものですから、その点の指導徹底してやっていただきたい、このように要望いたしておきます。  それから、これは先ほどからもしばしば質問の中に出ておるわけですが、六月一日、もう目前に追っておるわけですが、これを関係者に周知徹底させることは、私は現状から見て容易ではないと思っているのです。というのは、やっぱり小型船舶操縦士というのは二十トン未満だけでも百五十万人いると言われているわけです。これらを含めた海抜従事者が現在約二百万、こういうことですから、この二百万ないし百五十万人の人に徹底的にこの法の改正周知徹底させるということは容易ではない、こういうように思うのですが、この点について、もっと具体的に、どういう方法でやろうとされておるのか、お考えをお聞きしたい。
  46. 永井浩

    政府委員永井浩君) 現在考えておりますのは、ポスター、パンフレットあるいはリーフレット等を印刷いたしまして、船主団体漁業組合、あるいはプレジャーボート等の団体に配布するということが第一点でございます。  それから、先ほど申し上げましたが、春の海上交通安全運動を四月十九日から行います。これに本年度は最重点事項としてこの衝突予防法改正周知を行いたい、特にその中でも小型船に対しまして、極力把握してこれに周知徹底させたい、このように考えております。  そのほか、講習会あるいは訪船指導、現場指導、先ほど申し上げましたようなことできめ細かく、短い期間ではございますが、海上保安庁の全精力を挙げてこれに対応してまいりたい、このように考えております。
  47. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 海運日本として海事思想の普及、このためにも、あるいはまた今後小型船免状受有者が海洋レジャーの普及とともに増加する見通し、これは十分そういうように思うのですが、そういう中で、いま言われましたようなポスター、リーフレット、あるいは安全運動の中でやるのだ、こう言うのですが、こういうような傾向の中で細部にまでわたって周知徹底を一体六月一日の施行日までにやれるのかどうか、実際実行できるのかどうかということが心配なんですが、この点はどうでしょう。
  48. 永井浩

    政府委員永井浩君) 私どもの出先が全国に相当数ございます。それで、漁業組合あるいは船主団体に所属していないような船でも大体その所在はつかんでおりますので、そういったところに一人一人、一隻一隻周知して歩く。さらに、そのほかに捕捉できないようなケースもございますので、これは船が実際に航行している現場で巡視船艇により指導を行う、こういうふうなことをやっていきたいと思います。  一〇〇%捕捉することはきわめて困難でございますが、極力それに近い数字で私どもはPRしてまいりたい、このように考えております。
  49. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 ぜひ、その点十分配慮して徹底してやっていただきたい、こういうように思います。  それから次に、航行安全の問題につきまして質問をしたいと思うのですが、小型船等による海難事故は依然として多く発生している、こう言われておるわけですが、最近の状況はどうでしょうか。
  50. 永井浩

    政府委員永井浩君) 小型船を長さ十二メートル未満ということで整理いたしまして海難を調べてみますと、五十七年一年間に海難に遭遇いたしました船舶は千九十隻でございます。これは全船舶海難の五一%、約半分に相当するわけでございます。経年的に見ますと、ほかの海難がやや減少の傾向にございますけれども、この小型船については横ばいということでございまして、さらにプレジャーボート等を見ますと、それだけではむしろふえているというような感じになっております。
  51. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 その中で、船のかじを固定して走る自動操舵で航行中の衝突あるいは乗り上げ、こういうものの事故はどのくらいになりますか。
  52. 永井浩

    政府委員永井浩君) オートパイロット使用のために事故が起こったかどうかという問題はなかなか分析がむずかしいのでございますが、少なくともオートパイロット使用中に衝突あるいは乗り上げた、こういう海難につきましては、小型船、十二メートル未満の場合には十六隻が五十七年に事故を起こしております。
  53. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この自動操舵中の事故では、居眠り運航あるいはブリッジを無人にしたとき、こういうときの事故が多いのではないかと私どもは考えておるわけですが、内航船が自動操舵で走る場合の基準というものはあるのか、あるいは基準があるとすればそのことに基づいてどのような指導をやられておるのか、この点についてお伺いします。
  54. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 自動操舵装置の使用の 基準と申しますか、使用の仕方として、船員法の施行規則で、長時間使用した後では手動操作ができるかどうかということを確認しなさい。長時間という意味は、長い航海であれば半日、短い航海の場合であれば一当直に一回というような指導をしているわけでありますけれども、そういうもの。それからもう一つ、衝突があるとかということで船舶に危険のおそれがある海域に入ろうとする前、そのときにも手動操作ができるかどうかの確認をしなさい、こういうようなことになっております。そして、そういう危険のおそれがある海域を走る場合には、自動操舵装置を動かすシステムがダブルモードという、デュアルモードといいますか、二系統以上ある船が大部分でございますけれども、この二系統とも作動するようにして動きなさい。それから、もちろん船長がおって手動装置の切りかえなんかを監督するように。このような点の省令の規定と指導とを一緒にして申し上げましたけれども、そんなことになっております。
  55. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いかに交通ルール船舶の灯火に関する規定を整備しても、この自動操舵を使用する場合などの基準を野放しにしておいたのでは事故はなくならないのではないか。船長判断だけでなく、一定の基準づくりについて指導を行うべきではないか。こう思うのですが、その点のお考えはいかがでしょう。
  56. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 私がお答えすることかどうか、ちょっとわかりませんが、自動操舵装置を使っているというだけで海難に結びつくという可能性は少ないと言われております。もちろん自動操舵装置でございますから、ノッチを変えますと船は自由に運動ができるわけで、そういう意味では余り問題がないという話でございますけれども、ただ緊急に大かじを切るというときにはやはり手動の方が早い、こんなことが言われておりますので、どうしても一般的にこういうときにオートパイロットを使ってはいけないというような指導というのはむずかしいのではなかろうか、そう考えております。
  57. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 自動操舵にしておいて、結局飯の時間になったら、乗組員少ないものですから船の底に行って動かしたまま食事の準備をするとか、そういうときの事故が多いわけですね。そういうところがありますので、その点は指導についてもっと徹底したものが私どもは欲しいな、こう思っておるわけでございます。  それから次に、関連してお伺いをするのですが、内航船でたとえば五百トン未満の船舶が一昼夜以上連続して航海する場合、何人くらいの乗組員が乗っておるのか。実情についておわかりならば、お教えをいただきたい。
  58. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 詳しい実態は、まだ全船舶の調査というのをやっておりませんので、申しわけございません、わかりませんが、恐らく六名程度の乗り組みで走っておるのではなかろうかと考えております。
  59. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 たしか、やっぱり実態五人前後というように私ども把握をしているわけですが、こういうように少ないために、先ほど私が言いましたように、調理などすることがある、あるいはブリッジを無人にしちゃう、こういうこと。それと同時に、少数でやっているものですから過労からくる居眠り運航、こういうことも少なくないわけですね。したがって、この事故をなくするためには、やはり安全運航に必要な乗組員を乗せておくことが必要だ。これは当然ですが、この基準と指導はどのようになされておるのか、お伺いします。
  60. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 小型は、おっしゃるように、七百トン未満の小型船で、沿海区域または平水区域の船については船員法の定員に関する規定が適用ございません。それから漁船についても同様でございます。こういった船は、就航の形態であるとか航路の特異性というものがいろいろいままでのところはございますので、一律な指導というのはちょっとむずかしいということから、個々具体的な船につきまして、船員法に決めております労働時間、これを大体守れるような形に準じた乗り組みをするようにという個別の指導をしていくことが適切というふうに考えられております。  特に最近、内航船についてその乗組員の疲労といいますか、問題があるということが言われておりますので、ことしは船員労務官の監査の重点事項の一つにいたしまして、内航船について実態の把握もしながら、かつ、それぞれについての指導をしていきたいというふうに考えております。ただ、一般に、内航船よりはずっと乗組員の多い漁船、その方が事故が多いということから考えまして、定員が少ないことだけが事故原因ではないというふうに言われておるわけでございます。
  61. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 時間がありませんので、最後にお伺いしますが、二十トン未満の小型船の安全確保について関連をしてお伺いするわけですが、昭和四十九年の船舶職員法の改正によりまして、二十トン未満の船舶は船長だけを乗り組ませればよいということになって、機関長の配乗は不要となったわけです。しかし、この法を改正する際に、衆議院でも参議院でも附帯決議がなされているわけです。  その内容をかいつまんで申し上げますと、港内を航行する通船等旅客を運送する船舶については補助者を一名乗り組ませること、特に港湾運送事業に従事する船舶には機関士を乗り組ませるよう特段の処置を講ずること、こういうように附帯決議がなされておるわけですが、この附帯決議に基づきましてどのように指導をしてきておるのか。この行政監督が行き届いていないために、通船や港湾船は過当競争が激化し秩序が混乱していると言われているわけですから、こういうことでは安全運航はできないのではないか。したがって、この決議に基づいて補助者一名、機関士の乗り組みに特段の措置を講ぜよ、こういうことですが、この附帯決議が生かされるようにどのような指導をされておるのか。今後どのようになされようとしておるのか。この点をお伺いして、終わります。
  62. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 先生おっしゃいますように、四十九年の改正のときに附帯決議を両議院からちょうだいしております。そして、通船に関しましても、おっしゃいますような補助者を乗せなさいとか、それから四十九年の時点で少なくとも機関士を乗せている船については雇用不安を起こさないようにそのまま雇用を継続するようにというような通達を、海運局と私の方との連名で出しております。  それ以後は、大体こういう旅客船業者に対しましては、おおむね二年に一回ということをめどにいたしまして監査をしております。その監査は、実船検査、実際に船に参りまして船の方を検査し、それから事業場の方へ行って事業場監査をやるというようなことで監査をしておるわけでございますが、最近までのところ、実はきのう先生から御注意いただきまして各海運局へ問い合わせてみたわけでございますが、監査の結果としては、大体その補助者は一名乗っておる、こういう結果でございますけれども、確かに港湾での通船、特に営業が芳しくなくて困っておる業者が多うございます。そこで、その業者の生きていく方の指導とあわせまして、やはりもう一遍この補助者というのは乗せなさいよという指導をやり直していきたいというふうに考えております。
  63. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 終わります。
  64. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めまます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海上衝突予防法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  65. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議 ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時七分散会