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1983-03-24 第98回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

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  1. 昭和五十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について (会議録情報)

    昭和五十八年三月二十四日(木曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     三治 重信君  三月二十四日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     宮澤  弘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢追 秀彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 江島  淳君                 青木 薪次君                 黒柳  明君     委 員                 梶原  清君                 高平 公友君                 内藤  健君                 宮澤  弘君                 山本 富雄君                 三治 重信君    国務大臣        運 輸 大 臣  長谷川 峻君    政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸大臣官房会        計課長      大塚 秀夫君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省航空局長  松井 和治君        海上保安庁長官  永井  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管及び日本国有鉄道)     ─────────────
  2. 委員長(矢追秀彦君)(矢追秀彦)

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  前回に引き続き、予算委員会から委嘱がありました昭和五十八年度総予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道についての予算を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 大臣、一昨日、衆議院の本会議監理委員会法案がスタートしたのですけれども新聞報道、きのうのあの報道によりますと、何か民営分割五年、大臣は必ずしも、臨調答申を尊重するということは前提ですけれども、これからの話し合いだ、こんなことが報道されておりましたが、この真意はいかがなものなんでしょうか。
  4. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) 臨調が長いこと御苦心して出された結論分割民営でございます。政府は、これを受けまして最大限に尊重いたしまして、そしてこの国会にお願いしている国鉄再建監理法案、これが成立した暁に五人の委員によってその分割民営中心にして御議論いただく。それは何かというと、結局するところ、いまの国鉄効率性あるいは活性化、こういうものがねらわれる。こういうことでございまして、そこの間の御議論というものは分割民営中心にしておやりいただく。そしてまた、その中にいろんな御議論があるだろう、こう思っております。
  5. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 そうすると、総理ニュアンスというのは、終始一貫しまして臨調最大限の尊重、それを今度は実行に移す。なかんずくポスト臨調構想もまとまっておりますから、内閣が今度は実行に移す段階であるわけですけれども総理考えというのは終始一貫変わらないような感じがするのですが、きのうの報道では、少なくとも何か運輸大臣の方が柔軟性がある、こんなふうな感じも受けるのですが、あくまでも臨調答申は尊重する、これは内閣姿勢ですから、またそれを中心監理委員会も検討する、これも当然だと思うのですが、その話し合いの中あるいは結論としまして、大臣は必ずしも分割民営ということに終着点が行かなくても、これは話し合いの中でそうなればそれもいたし方あるまい、こういうような考えもお持ちというようなニュアンス報道されておりましたけれども、そんなお考えなんでしょうか。それとも、いやあくまでも監理委員会の方も中心であると同時に、終着点もそこにぜひ行ってほしいということを結論に持ちながら、ただし話し合いですから、というようなニュアンスなんでしょうか。
  6. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) これは黒柳さんのおっしゃるとおり、五人の委員方々が、これだけ土光さんが苦心をし、また国民が支持した行革、こういうことでございますから、分割民営中心にして御議論いただくと思います。その間においていろんな話が出てくるだろう。そして、いまの国鉄を再建するために分割民営以上に何かいいものがあるというふうな話になったとき、またこれはそういうこともあり得るかな、こういうニュアンスでございまして、それを期待するとかなんとかじゃなくして、基本は分割民営で御議論いただきます、こういうことです。
  7. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 ポスト臨調の方は名前——名前は、こちらはもうはっきり前から決まっておりますね。メンバーも決まっている。それからポスト臨調の方は、労使、労働界も含めてあるいは政、官、財含めてというようなこと、学識経験者、この五人の方は相当構想はまとまっているのですか。あるいはまだまだまとまっていない段階なんでしょうか。
  8. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) これはなかなか、昨年法律案国会に御提出いたしまして、ようやく今度衆議院の本会議趣旨説明、そしてまた運輸委員会が開かれてスケジュールに乗ったところでございますので、いずれ参議院でもお願いしなきゃならぬと思っておりますので、そちらの方を中心にしておりまして、まだ実は人選の方までは入る余裕がございませんでした。必ずそういうときには皆さん方の御信頼を得るような人選をしたい、こう思っております。
  9. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 当然、法案審議がスタートしたばかりですから、人選は成立してからということでも別に遅くはないのですけれども臨調の方は総理が力を入れていて、全面的にこちらが期待する以上にとっととっと進んでいるみたいですけれども、その行革の目玉でありますので、五人だけ決まって、まずその構成がどうもはっきりしない。当然、衆議院審議段階でそういう問題がどんどん出てくるかと思いますけれどもそこらあたりはもうそろそろ決まってもいい段階じゃなかろ うかなという、こんな感じがいたします。それは、まあそういうことで。  新幹線といいますか、国鉄総裁アメリカ国鉄対外技術援助一環としまして、いわゆる日本で言う新幹線高速旅客鉄道についての計画、これは順調に進んでいるような私、感触がいたしますが、現状はどうなっているのか、お教えいただけますか。
  10. 説明員(高木文雄君)(高木文雄)

    説明員高木文雄君) もともとはワシントンからボストンまでの間の、いわゆる北東回廊と言われております既存の鉄道をもう少し改良することについて日本技術協力を求められたわけでございまして、この技術協力を求められることは、アメリカ運輸省と、それからわれわれ国鉄とやや似た感じでございますいわゆるAMTRAKの両者から依頼がございまして、そしていろいろな形で技術者を派遣して協力をしております間に、新しく新幹線スタイル鉄道をつくることに取り組もうではないかという機運アメリカの各地で生まれてまいりました。昨年に至りまして、そのきわめて熱心な推進者の一人であるところのAMTRAK総裁が、AMTRAKをやめて、新しいアメリカ高速鉄道会社というものをつくりまして、みずからそこの会長になっていま熱心にやっておるところでございます。  現在いろいろな計画がございますけれども、中でも一番進んでおりますのは、西部カリフォルニア州のロサンゼルスとサンジエゴとを結ぶ鉄道が、お客も多く予想されますところから、一番ふさわしいのではないかということになってまいりました。二年ほど前から技術者を先方の御要請に応じまして派遣をいたして、いまいわゆるフィージビリティースタディーをやっておるわけでございますが、同時に、最近のレーガン政権下におきましては、フェデラルガバメントとしては金を出さないという前提でございますので、純粋民間企業として成り立つかどうかということで、経営採算といった問題に関する勉強をしかるべき機関アメリカ高速鉄道会社が委託をした。昨日のごく一部の新聞報道されておりますように、その結果として、かなりいわば有望である、採算がとれそうであるという結論にだんだんなってきておるわけでございます。  私ども国鉄といたしましては、日米間の技術協力協定等に基づきまして、技術協力については全面的に協力をするということで今日まで参りましたが、ほぼ概略の案ができてまいりましたので、今後はそのアメリカ高速鉄道株式会社から依頼があれば、ということは、つまり有償協力を進めていく段階になってきたというふうに考えております。  また、資金的にも日本側に、全体の建設資金の一部について日本資金調達ができないかということが言われておるわけでございます。この面につきましても、日本金融界でかなり積極的な取り組みが進んでおるということで、ここ半年ないし一年ぐらいの間に非常にこの問題は具体的に進んでまいりました。  なお、別途第二の問題として、フロリダ州でも同様の鉄道をつくろうではないかという動きがございますけれども、この方はカリフォルニア州と比べればテンポがおくれておるという感じでございます。
  11. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 世界で優秀な国鉄技術が正々堂々と、単なる一部のところじゃなくて、天下のアメリカに行って、それが貢献し、役に立つことも大いに結構なことなわけでありまして、そうすると、いまのロス—サンジエゴ間のフィージビリティーが終わった、融資関係もいま話し合って、非常に採算もとれそうで有望だ。  このロス—サンジエゴ間の見通しはどうなんですか。いつごろから本格的な向こう側として着工するのか、あるいは有償のこちらの技術陣というのはいつごろから派遣されるのか、あるいはこの次のマイアミ線ですか、そこらあたり感触。これはロス—サンジエゴ間が先行しなきゃならないと思うのですけれどもそこらあたりフィージビリティースタディーや何かは果たして始まる可能性が近々あるのか。そこらあたり、いかがでしょうか。
  12. 説明員(高木文雄君)(高木文雄)

    説明員高木文雄君) 私ども承知しておりますところでは、この夏ぐらいには、要するにこのプロジェクト全体の経営なり採算なりを含めた計画が公式に発表される。それが発表されますと、株主募集という段階が、夏から秋といいますか、冬にかけて始まるということになろうかと思います。  アメリカでは、御存じのように、鉄道一般にはそうなじみがないわけでございますから、この種の会社について株主になろうという人が必要な金額に達するまで出てくるかどうかというのが一つの問題でございまして、道路なり飛行機なりの利用が非常に進んでおるアメリカにおいて果たして採算がとれる企業として株主がそれに応じてくるかどうかというところが、最もいまこれからのポイントになろうかと思っております。そして、その目論見書なるものが公にされるのは、この夏から秋ということではなかろうか。  私どもに届いておりますところの書類によりますと、アメリカ経営サイドからのスタディーを行っているコンサルタントの報告では、十分採算がとれるものになりそうだということで、いま目論見書の素案ができつつあるというふうに聞いておるわけでございまして、次なる段階は、技術協力の問題もありますけれども経営についてアメリカ人皆さんがみずから株主になってひとつ参加しようという勢いがどのぐらい出てくるかということが、今後の私どもにとっての最大の関心事でございます。
  13. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 それについて、政府が金を出さないと言うのですから、ホワイトハウスの方は直接関係あるのかどうか。あるいは議会サイド、あるいは地域住民、そんな点は当然アメリカ側が積極的に、アメリカン・ハイウェー何とかというのですか、向こうの新しい会社ができて手を打っているのだとは思うのですけれども日本側も、ある程度これはアメリカ任せというわけにいまの段階でいくのかどうか。もうちょっとやっぱり積極的にやる必要があるのか。いまそれをカバーしている職員は、ニューヨーク中心にどのぐらいいるのですか。ニューヨーク所長以下、アメリカ本土にこの事業をカバーできる人数というのはどのぐらいの人がいるのですか。
  14. 説明員(高木文雄君)(高木文雄)

    説明員高木文雄君) この問題については、一つフェデラルガバメントとしてどういうスタンスをとるかという問題もありますけれども、それは、先ほども触れましたように、現政権下においては余り積極的な活動は期待できないのではないか。むしろカリフォルニア州自体がどういうスタンスでこれに臨むかということでございますけれども、昨年の五月にはカリフォルニア議会におきまして日本技術協力に関する感謝決議というものが決議されまして、そのころから機運が高まってまいりまして、昨年の九月に新幹線計画推進に関するステートビル、州の法律といいますか、州法といったらいいかと思いますが、そういうものが制定をされました。  その中において、州としてもこの事業のために免税州債を発行しようということで、建設費の半分以上になります十二億五千万ドルまでを限度として税金を免除する州債を発行しようということを決めたり、それからカリフォルニア州は大変アメリカの中では環境基準のやかましい州でございますけれども環境規制法をこの鉄道設置については適用除外にしようということを決めましたり、また現にありますところの高速道路の用地を鉄道にも兼用できるようにしようというようなことを決めましたりということで、きわめて積極的な姿勢が州からは示されております。  今後の問題としまして、いまちょっと環境のことにお触れになりましたが、アメリカ高速鉄道会社が現在州の各カウンティーに入りまして、毎日毎晩のように環境問題についての説明やら説得やらをやっているということで、環境問題でございますからそうにわかに物事は進みませんけれども相当程度そうした問題も進行しているという ふうに聞いております。  ゼネラルでの段階でのいろいろなことにつきましては、やはり少なくともいろいろな精神的サポートアメリカ国会なり政府なりであることが非常に必要なわけでございます。黒柳先生もしばしば御参加いただいておりますところの日米鉄道議員会議といったようなものを通じて、今後とも雰囲気づくり支援態勢といったようなものが高まってくることが必要なことでございまして、私どもとしましては、さらに両国の運輸関係議員間の意見交換の場といったようなものが今後とも積極的に進められますことを大変強く期待いたし、また希望いたしておるわけでございます。
  15. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 運輸大臣、当然事情は御存じかと思うのですが、国内では守勢側に立っている国鉄アメリカでは攻勢側に立って大活躍する方向にあるわけですけれども、これをどういうふうに対外技術援助一環として大臣は御評価いたしますか。
  16. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) 私は、海外を歩く場合に日本を自慢するものを二つ三つ持っておりますが、その中の一つ新幹線です。アメリカは、御案内のように、最初は鉄道が敷かれたわけです、西部を開くときに鉄道を。そのために、いろんなトラブルがあり、そして鉄道によって西部が開発された。しかし、自動車とそれから道路というものによって鉄道が時になおざりにされたということがあるようでございます。そのときに、やっぱり大量輸送としての新幹線に着目して日本技術を使おうというのは、大変な私はメリットだと思います。日米貿易摩擦の激しいときに、技術によって日本協力していく。これはこっちの方からは積極的ですから、鉄道会議において国会議員皆さん方向こう議論されることになったら、新聞フロントページを飾ってグッドニュースでございます。いままでは国鉄も、よその国から海外援助を頼まれる、技術援助を頼まれたものに人を出しておりますが、私はこういうふうに何か国鉄がいま非常にグルーミーな姿になっているときに、こうしたことで外へ出ていく、そして働く諸君がそんなところに夢を持っていく、こういう形においてぜひ推進してあげたいという感じを持って見守っているわけであります。
  17. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 見守っているにしてはちょっと理解がないので、ひとつ国鉄側とタイアップして、運輸省当局もただ見守っているだけじゃなくて、もうちょっと積極的にやっていただくと日米鉄道議員会議メンバーも非常に張り合いが出てくるのじゃなかろうか、こんなふうに思います。  青函トンネル先進導坑が貫通したのですけれども、この利用法についていろいろ取りざたされておりますし、また国鉄一つの重荷と、こういうことも伝えられておりますけれども、これは国家的見地から有効利用というものは当然考えられなきゃならないわけであって、何かこの利用法についての懇談会が開かれるとか書いてありました。この利用をどういうふうにしていくのか、あるいは懇談会設置がちょっと活字に、マスコミでそういう意見も出ておりました。そこらあたりはいかがでございましょうか。
  18. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) これは黒柳さん、見守っているということは積極的だ、あなたに負けぬぐらい私も積極的ですから、これは御理解いただきたい。だから、よその国でも新幹線をやりそうなところは、ぜひひとつ、こちらの方から照会をし、プッシュして出ていくようにお願いしているところであります。  さらにまた、青函トンネルの話でございますが、せんだって、一月の二十七日でしたか、ようやく先進導坑が貫通したわけでございます。そのときに私たちも、こういう運輸委員会に長く所属する者からしますというと、よく十九年間がんばった。あのとき技術員諸君トンネルの中で本当に涙を流して喜んでいる姿というものは大変なことです。それが国家的なプロジェクト。しかしながら、財政の苦しいときであるから、この借料がどうなるかああなるかというふうなことで、またこれも暗いイメージが出ておりますから、何とかひとつそんなところを解消したいという意味で、私の私的諮問機関といたしまして、実はけさ八時半からいままで初めての懇談会を開いたわけでございます。新日鐵の前の社長である斎藤英四郎氏とか、あるいはまた演出家浅利慶太さんであるとか、あるいは西武の堤義明君ですとか、いろんな方々にお集まりいただいて実はいままで会議を開いて、なかなかいいアイデアも出たようでございますが、それらをひとつまとめて、いかにしてこれを活性化し、活用して、そして時に国鉄が走らせる場合に負担がなくなるように、安くなるように、さらにまたこれだけのプロジェクトに今度は若い諸君にやっぱり夢を持たせるというのがいまの御議論中心でございました。そんなことなどによって、青函トンネルの将来の活用にぜひ十二分にひとつ役立てたい、こう考えております。
  19. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 けさ発足してお話しし合ったばっかしということですが、若い人に夢を持たして国鉄に借金を持たすわけで大変なことだと思うわけですけれども大臣私的諮問機関でございます。大臣の一応考えとして、きょうスタートして、メンバーはいま三人お挙げになって、優秀な、独自の見解をお持ちになった、社会的にも相当影響力のある方でありますが、一応大臣考えとしてはいつごろまでに結論を出していただく予定なのか、あるいはその方向づけについて大臣としてはどんなようなお考えを現在お持ちなのか、そこらあたりはいまお教えいただけますですか。
  20. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) きょう、いろんなアイデアの中から、ひとつ計算を改めてこういう面を計算してみたらどうかとか、貨物の輸送量がこう変化したのはどういうふうになっているか、そういうふうな計算の話なども出ておりましたから、私が出た後で恐らく小委員会でもつくって、何さま一流のお忙しい方々ですから、小委員会などをつくって御議論をいただき、そしてあと二年ですか、向こうがいよいよ本坑が開通するまでに結論を出して、時に国会の方に御報告し、ある場合には政府の方にお願いするようなこともありはせぬか、こう思っております。
  21. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 先日、初めて東北新幹線に乗って非常に感じたことなんですけれども東北新幹線並びに上越新幹線は非常に赤字路線ということ、だからそれに対しては相当経費節減的なことが行われているだろうと思ってあっちこっち見ておったのですけれども、それどころでなくて、やはり東海道新幹線、山陽新幹線設備や状況から見る様子と、非常にデラックスといいますか、金をかけた新幹線になっているのじゃないかと思うわけであります。もちろん技術進歩、それから設備改良によって効率的に行われるための施設の改良というものは、これは当然いいわけなんですが、また駅舎でも、いわゆる民衆駅といって民間資本を投入しての利用の拡大を図るための民衆駅、そういう駅の設備について民間の投資を求めるというような新しいようなやり方ということで駅周辺が非常に再開発される端緒にもなった。こういうような新しい進歩はずいぶんいいと思うのです。  問題は、私は大宮の駅にしても、それから途中の新幹線の地上からの高さにしても物すごく高い。私は、これは高くしたのは——名古屋なんか、非常に名古屋市の住民の、名古屋駅は町の真ん中へ駅が入ってきているものだから、いわゆる騒音、振動の防止で、まだいまもって裁判が続けられている。そういうようなのは完全に技術的に排除できるような技術が進めば、それに対して金をかけるのは公害防止上重要かと思うのだけれども、そうでなくて、野原があり見晴らしがますますいいようなところに、こんなに三階も四階も上を通さにゃならぬだろうか、素人目で見て。それは高低なくして真っすぐ走らすためには、それは向こうの山とこちらの部屋とをずっと真っすぐ平たんに走らすためには高くした方がいいかもしれぬということなんだけれども、いずれにしても、この点はどういう設計基準でこういう非常なデラックスな線路が計算して建てられたのか。それは 本当に採算というものを考えてそういうようなものをやったのか。  これはりっぱな鉄道や便利なのができれば、地域住民は国がやってくれるのだから大歓迎なわけで、負担をしない。しかし、国とすればこれが将来国民全般負担になる。地域住民負担になればこれはまた別だけれども国民全般のえらい負担になる。それが営業をやれば、動いていれば動いているだけ赤字が出る。こういうような計算でも構わぬ設計でやったのかということになってくると、ちょっと非常な疑問を持たざるを得ない。ああいうようなのを国が国有鉄道という経営でどんどんやってくれれば、これは北陸でも九州でもぜひ新幹線をつくってくれという政治活動というものは物すごく強くなって当然だろうと思うわけなんですね。  したがって、理論的な交通体系もいろいろあるだろうけれども、こういうような新幹線設備、そういうような採算性というものについてやはり運輸省国鉄に対してある程度の枠をはめていかぬことには、またこれからの新幹線の猛運動に対してもやはり少し態度が甘いのじゃないか、こういうふうに感じたわけなんですが、それに対して運輸省はどういうふうに考えるか。私は経済的な部面からも考えていかぬと、やはり赤字が出ればこれはみんな国が負担すればいいのだという国有鉄道態度だというと、それに対して私はちょっと疑問を持つ。
  22. 政府委員(永光洋一君)(永光洋一)

    政府委員永光洋一君) いまの東北、上越の新幹線建設について御意見がございましたが、一つは、非常に駅舎等がりっぱでないかというお話、あるいは高架橋等構造物が非常に大き過ぎるのではないかというようなお話だと思いますが、いわゆる駅施設等につきましては、現在確かに開業時点において余裕のあるところではあると思いますし、採算性の面から考えますとできるだけコンパクトにつくるべきではないかという御意見もあると思いますが、やはり今後の輸送量の増大とかあるいは地域のやはり発展の度合い等考えまして、長期的な配慮も必要ではないかというふうには一応考えておるわけでございます。  それから、高架橋の構造物等の問題につきまして、これはやはり都市計画道路との調整、あるいは雪害対策、振動等の配慮も入れて計画しておるわけでありまして、必ずしも過大な施設とは考えられないと思うのでございますけれども、いま先生がいろいろ言われましたようなこと等は、われわれもよくわきまえて今後やっていきたいと思います。  それで、今後の新幹線等の鉄道建設につきましては、やはり建設工法なりあるいは工事費等につきまして工夫を重ねていかなければならぬということを考えておりますので、その点に沿いながら今後の建設については指導してまいりたい、かように考えております。
  23. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 ごもっともな答弁だけれども、一部計算を幾ら正確な計算をしても、それはお互いに計算の基礎の前提条件の与件によって、赤字がよけいも出れば少なくも出ることだろうと思うのだけれども、一応われわれが聞いているのでは、東北や上越新幹線は未来永劫にわたってえらい赤字が出るのだというふうなことを聞いているのだけれども国鉄当局では、正確に予想している年度の赤字、またあるいは収支が大体ゼロになる年度があるなら、大体立案し、また現在の運営上とか鉄道の新営の状況から見てどういうふうな計算になっているのですか。
  24. 政府委員(永光洋一君)(永光洋一)

    政府委員永光洋一君) 現在開業いたしまして、東北はほぼ去年の七月からでございますし、十一月から上越が開業いたしました。非常に予想を上回るような形で御利用いただいておりますが、その各線につきましての将来の収支状況についての見通しは、今後その乗客の利用数がどの程度伸びるかというようなこと、あるいは今後運賃といいますか、料金をどういうふうに見込むかというようないろいろな要素がございますので、現時点においていつごろにという明確な収支状況はまだちょっと検討中でございますが、確かにおっしゃいますように、資本費が非常にかかります。したがいまして、やはり現時点におきましては、収支が長期的に償うのは二十年ぐらいかかるのではないか、こういうふうな推定をいたしておるところでございます。
  25. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 したがって、新幹線の方が二十年で収支償うということなんで、新幹線はだんだん採算がよくなっていっても、既存の線はだんだん赤字になっていく。東海道新幹線でも、新幹線は黒字だけれども国鉄のドル箱であった東海道線も山陽線もいまやみんな赤字になっている。両方あわせていかぬといかぬと思うわけなんで、また結局赤字がふえていく既存の路線についての合理化、簡素化という問題、全体の赤字をどうして少なくしていくか、こういう問題があろうかと思うのです。  ことに新幹線ができた後の在来線の運営を見ると、これは地方輸送的なことにだんだんなっていっていると思うのですが、その地方輸送の立場で国鉄の在来線の運営を見ていると、やはりまだどうも列車の編成、それから時間表、こういうものも、いままでの長距離を走らせておった列車の編成や時間表というようなものが、まだやはり相当私は東海道の時間表なんか見ても、もちろん通勤時間帯については相当配慮しているけれども、また客を自動車や私鉄と競争してもとってくるような意欲というものが非常に見られない、ダイヤの編成からいろいろ見て。ちょっと見ても、がらがらの車両を、どんなにやってみてもいっぱいになりっこないのを六両も八両もで運転している。ああいうことが民間だったら三両か二両でやって、むしろそれを半分にして間隔をもう少し短縮すれば、一時間に一本のやつを三十分に一本にすればもっと便利さというものが地域住民にはなるし、それから駅の間隔にしても、若干はできたけれども、本当に地方輸送のたとえば民間鉄道駅舎や急行のとまる駅や地域開発の状況なんか見てみても、非常に客を集めようという意欲のもとに列車の編成や駅舎もつくってやっているわけです。  そういうことについて、もう少し国鉄も、いままでの新幹線以外の鉄道については、やはり貨物ではとても負けちゃうわけなんだから、人の輸送や、それから地域開発について、民間鉄道の先例があるわけなんだから、もう少しこれはやはり営業性というものを持った方がいいような気がするのだけれども、そういうものについての運営、いままでは東海道にしても山陽線にしても大動脈の立場で運営していたわけなんだけれども、今度は私鉄的な、本当にローカルな運営ということでないと、採算なんかはとてもじゃないがやっていけないと思うのだけれども、そういうような運営の態度というものがまだ余り変わっていないような気がするのだけれども、それについてどう考えるか。
  26. 政府委員(永光洋一君)(永光洋一)

    政府委員永光洋一君) おっしゃいましたように、やはり新幹線を今後の国鉄なり長距離の鉄道の中核に据えまして、思い切って、それに並行するあるいはそれから出ていく在来線についてはシステムチェンジをして、むしろ地域輸送の性格を強めた形でサービスを強化していくことが国鉄の今後の方向だとわれわれも思います。したがいまして、いまおっしゃいますように、従来から国鉄はその地域のそういうニードに的確に即応するということが、いろいろ御指摘を受けながら、回数にしても便数にしても、あるいはダイヤの時刻にしましてもなかなかいろいろ不平不満が地方にございますので、できるだけそういう現在の幹線を地域輸送の中核にするためにも、いま先生がおっしゃいましたような形で地域のニードに十分対応するようなダイヤなりを編成するということを民営の手法を取り入れながらやってまいりたいとわれわれも極力考えておりますし、指導してまいりたい、かように考えております。
  27. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 それから空港の問題なんですが、国際空港として逐次開発されておるところもできておるのだけれども日本はまだまだ先進国の国際空港の水準から見ると、やはり空港の設備が一番遅れていると思う。それからまた、日本のこう いうような過密なところで国際空港をつくるについては、非常に困難な、しかも大変な金がかかり、またつくるについての事前の準備に年月がかかる。こういうことが、成田空港一つとってみても非常に事実が証明している。  そういうことからいくというと、少なくとも大阪も必要であろうし、それから成田でも、貨物から見ると、やはり日本の中に、これからの貨物の国際的な航空運輸というもので、貨物の国際空港というものも非常に必要だろうと思うのですが、そういうことについて、やはり一番空港が地域住民や何かに問題が多いやつについて、そういう長期計画の大きなプロジェクトとして、ことに将来長期計画としても早く運輸省がそれに対する態度を出して、積極的に空港設置の場所の決定なり、そしてそれをどういうふうにして公害の少ない空港にしていくようにやるか、これは相当早く態度を決めてやっていかぬとまずいと思うのですが、それに対する態度一つ。  それから、東北新幹線、上越新幹線のできたことによって、またいまの東京から福岡までの新幹線もできたことによって、将来の国内のローカル空港の利用や対策というものが、私はそういう新幹線利用客、それから車の利用客、それから飛行機の利用客というものの人の流れが非常に変わっていくと思うのです。そうすると、せっかく新潟空港みたいなりっぱなものをつくってみたけれども、今度は新幹線ができると途端に空っぽになって、東京からのやつが赤字路線になって空港の利用率も悪くなる。それから仙台もそうだ。こういうようなことをいまから長期に見て、やはりそういう空港の整備というものが一番遅れているのではないかと思うし、それから現在の運輸省交通体系の整備の順序、価値判断からいくというと非常にちぐはぐだ。片方は、新幹線新幹線、空港は空港、しかし人の流れは、それができたことや空港のできたことによって非常に人の流れが違ってくるわけです。ところが、そこでせっかく設備をしてやったのだけれども、今度は空港よりか新幹線を使っていくから空港は宝の持ちぐされになっちゃう。片方は、こちらの方ではえらい必要な空港がまだ整備もされぬでたくさん待っている。そういうことについてどういうぐあいに考えられるか。  本当に空港整備というものは、いまの不景気のようなときに、いわゆるビジョン、見通しというものや将来計画というものが交通体系としてもっと早く決定され、しっかりした自信を持ってその地域住民を説得する姿勢を空港建設についてやっていく必要があろうかと思います。たとえば名古屋なんかで国際空港が必要だと言っているけれども、まだどこへつくったらいいかとも何にも議論もないし、だから、東京、大阪をやった、その後で、いざ名古屋といってやってみたところで、またそこであそこがありここがありという問題になってくるわけなんで、それはいつつくるか知らぬけれども、将来日本が発展していくためにはやはり名古屋にはいまの小牧空港じゃだめだ、それから大阪の伊丹の空港じゃだめなんで、そういうことについてそれはつくらにゃいかぬ。つくらにゃいかぬけれども、それについては、じゃ地域はどこへつくるのだか早く場所について候補地を出せ、そしてどういうふうな構想を地元としては持つのかという、夢と希望というのか、そこの地域の交通体系についてひとつ運輸省として必要なら必要ということで、そして研究せいということをやっていく。  陳情へ行くというと、すぐ予算の陳情かと思って、まだそんなものは後だ後だ、こう言われちゃうと、これは全然やる気がなくなっちゃう。さあ、やるかなとなってくると、またこれはできるだけ高く売りつけるためにすったもんだの議論が出てくる。こういうことになろうかと思うのですが、ひとつ、そういうことについて、運輸大臣、僕は運輸省というのはこれはやはり国全体の交通体系、それから外国との交通、後から海の問題も若干出ますけれども、そういうことについて、やはり非常に世の中が変わり、科学技術進歩によって変わる、人の流れも変わる、こういうことについてのやはり交通体系の価値基準、判断や、こういうものに対して……。  それから、新幹線にしても、空港にしても、港にしても非常にそれは莫大な投資が必要です。しかし、これも将来もいままでのように国が全部予算でやれるということではないわけなんで、民間の資金を大分使ってやらなければ大プロジェクトもできないという状況になろうかと思うのですが、そういうことについて、大ぶろしきというか、運輸省はもっとはっきり国民の前に、こういうふうになるからこういうことについて地域として検討してほしいとか、運輸省と一緒にやってほしいというような、空港は空港、港は港、鉄道鉄道ということじゃなくて交通体系としてこうだ、こういうようなものが示されているかどうかわからぬですけれども、どうかと思って空港を一つの事例に挙げたわけです。
  28. 政府委員(西村康雄君)(西村康雄)

    政府委員(西村康雄君) いまお話しのように、新幹線の整備というものは非常に問題を抱えているわけでございますが、それと同時に、空港の建設をして、全体としていまお話しのような高速交通体系をどうつくっていくかということが運輸省としても大きな課題になっているわけでございます。  それで、基本的な問題といたしますと、それぞれの交通機関にはそれぞれの需要に応じた、またそれぞれの特性に従って機能を発揮していくわけでございますので、そういう点では長期にどういう需要があるか、したがってどういう交通機関を整備していったらいいかということをこれに対応して考えるわけですが、基本的には、新幹線というものはかなり大きな交通需要があるところ、そしてそれが連続して連なっているという地域でないとこれはペイしないということでございますので、いま日本の現状から見ますと、やはり将来全国的に高速交通の体系、ネットワークをつくっていくという見地から申しますと、比較的交通需要の少ない地域でも高速交通の恩典に浴させるということが国土の均衡ある利用という見地からも重要でございますし、高速交通体系を形成していくという点からは空港のネットワークというものを中心として考えていかなきゃならない、こういうことが基本でございます。  これまで空港整備五カ年計画を逐次やってきておりますが、ただ非常にむずかしいのは、昭和五十年代から急速に全般の輸送需要というのが落ち込んでおりまして、そういう点では必ずしもいままでのような輸送需要の見込みのもとに空港のネットワークを整備していくということもなかなかむずかしい。したがいまして、たとえば空港整備特別会計というものを見ましても、全体として収入は減ってくる。そういう点で今後の経済の見通しというのをどうつけるかということが一つのポイントでございますが、それはそれとしまして、国はやはりこういう空港の整備を図って、こういう交通ネットワークをつくっていきたいという構図はとりあえず示す必要がある。  しかし、それを具体的にいつの年度に、どう具体化していくかということになりますと、これはそのときどきの経済の実態に応じてかじ取りをしていかなければいけない。いわゆる総合的な交通体系というのもきちっとした計画によって需要の分担をするということではなくて、それぞれのそのときどきの需要の動向に応じて注意深く、国が関与できる分については国が必要な投資をする、民間がまた必要な投資をするのは民間がみずから必要な需要に応じて投資をしていく、こういう形で形成していくもので、国が一方的に構図を書いてこうだと押しつけるものではございません。  したがいまして、いま私どもが航空についてもいたしていますのは、航空需要の動向というものを注意深く見守りながら投資を続けていく。ただ、この投資の順序、緩急というものにつきましてはおのずからございますから、それについては先ほど申し上げたような高速交通がどこの分野から必要かということをあらかじめ考え、広くわかりやすい形で示していくということが肝要かと思 います。今後の高速交通体系の整備というのは、ひとつ、もう少し先生の御指摘のようなわかりやすさということも考えて、その上で長期の見通しをつけていくということをしてまいりたいと考えております。
  29. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 今度は海上保安庁の方へお話を変えますが、海上保安庁は最近意欲的に海洋情報のシステムや哨戒関係というものを非常に改善意欲を持ってやっておられる。これもまた非常に海上輸送のふくそう化とともに事故もまた非常に多くなってなかなか減らないというようなことからもあろうと思うのですが、この広域哨戒システムというものがどれほど近代化されてきたのか、これがどの程度日本の近海はそういうことによってこれが完成すれば安全になるのか、その見通しというものを御説明願いたいと思います。
  30. 政府委員(永井浩君)(永井浩)

    政府委員(永井浩君) 海上保安庁は、昭和五十二年にいわゆる海洋二法と申します領海十二海里あるいは漁業水域二百海里という新しい海洋秩序に対応いたしまして、巡視船あるいは航空機の整備増強を図ってまいったわけでございます。また、最近では海上捜索救難条約の発効も日程に上っておりますし、さらには先般日本も署名いたしました海洋法条約といったことで、海上保安庁の担当いたします海域も非常に広くなってきたわけでございます。  そういうことで、ただいま申し上げましたように、巡視船艇、航空機の整備増強を図ってまいってきたわけでございますが、特に遠距離海難あるいは哨戒等に対応いたしますために、ヘリコプターを搭載いたしております巡視船の整備を行っております。現在稼働中のものが五隻でございますが、そのほかに建造中のものが二隻ございます。さらに、ただいま御審議をいただいております五十八年度予算案におきましては、従来のヘリコプター塔載巡視船が一機でございましたけれども、二機搭載できる大型の巡視船を計画しておりまして、これらによりまして、これらの巡視船を前進哨戒させることによって広域化いたしました当庁の業務について対応していきたい、このように考えておるわけでございます。
  31. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 そういう機材や設備の進展とともに、海洋情報システムが整備されていくわけであろうと思うのですが、その中で特に船位通報制度というものが取り入れられるということ、また、いま現に行われていると思うのですが、これは海上保安庁としては、日本の国籍の外航船だけか、あるいは日本の一定の地域の中に入ってきた船は全部そういうような船位通報制度を守らすように、また、そういうことができるようになるのか。また、それが日本国籍船だけだとすると、日本会社が外国船を用船していたりしている外国船籍のやつはどうなっているのか。それから沿岸の内航船舶、小さな船ですが、そういうようなものとの総合的なものはどういうふうな考え方でやっておられるのか。
  32. 政府委員(永井浩君)(永井浩)

    政府委員(永井浩君) 船位通報制度の対象となる船舶でございますけれども、これは旗国、国籍を問わず、日本船あるいは外国船もすべて対象にしたい、加入を希望するものはすべて入れたいと考えております。また、海域別には外航船、内航船を問わないわけでございますが、実質的には沿岸のみを航行する内航船ではそれほどメリットもないと思いますので、内航船のうちで特に長距離のカーフェリー等についてはこの加入をさせたい、このように考えております。
  33. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 そうすると、船位通報制度というのは、海上保安庁としては海の範囲、後で質問するのだけれども、海上自衛隊の方では海上航路帯一千海里とかいうような問題もよく議論されているわけなんですが、船位通報制度の海洋の広さ、海上保安庁の守備範囲というのですか、それはどういうふうになっているのか。また、この広さとともに、船位通報制度はアメリカの沿岸警備隊の通報制度とリンクさせるということ、日本アメリカとの間のやつは北洋から太平洋全部含まれていくような統一的な問題に将来発展していくものなのか。
  34. 政府委員(永井浩君)(永井浩)

    政府委員(永井浩君) まず、この船位通報制度がカバーします海域でございますが、これは先ほどちょっと申し上げました海上捜索救難条約というのを現在批准を検討中でございますが、これによりますと、世界の海を沿岸国がそれぞれ分担して海難救助の責任を負うという形になります。それで、その海域については隣接国と相談して決める、こういうことになるわけでございますが、太平洋で申し上げますと、これはアメリカあるいは東南アジア諸国と協議する問題となりますが、大体、日本の東側一千海里から一千二百海里ぐらい、南側も一千海里ぐらいが日本の分担区域になるのではなかろうか、このように考えております。したがいまして、この船位通報制度におきましても、そのカバーする範囲は大体そのような範囲、なお日本海側、東シナ海側においては隣接国との中間線ぐらいを考えておるわけでございます。  それからコーストガードとの関係でございますが、この同じシステムをすでに行っておるわけでございまして、まだ検討中でございますが、それぞれの船位の通報の情報が交換できるような形にしたい、このように考えております。
  35. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 そうすると、いわゆる日本の防衛のシーレーン問題との関連は、もちろんシーレーンを海上自衛隊が将来やるとすると、結局そのような一千海里の範囲内のやつについては大体海上保安庁としてはシーレーンの地帯に運航するいかなる国籍の船も大体船位がいつでもわかるようなことになる。そういうことになっていくと、シーレーンの、輸送路というのですか、もちろんその船の安全の確保に非常に有効になろうと思うのですが、こういうような問題についてそういう技術的な情報の交換ということになると、海上保安庁と事前あるいはそういう問題についての常々の連絡調整というものが行われていなければ、また行われていかなければならぬことになろうかと思うのですが、シーレーン防衛との関係は現在どの程度海上保安庁は防衛庁との協議が進んでいるのか。
  36. 政府委員(永井浩君)(永井浩)

    政府委員(永井浩君) いわゆるシーレーン防衛が外国からの軍事的攻撃に対応するものということであればこれはあくまでも自衛隊の問題でございまして、当庁としてはこれには直接関係ございません。ただ、広い意味で、海上の安全という意味で平時におきまして海上交通の安全を図る、一千海里なり一千二百海里のエリアの安全を図るという意味では当庁が第一義的に責任を負う、このように考えております。  そういうことで、たとえば防衛庁との関係では当庁が海難救助等の第一義的な責任を負いますけれども、当庁の能力では不足というような場合には防衛庁の救援を仰ぐというような形で、海上保安庁と防衛庁との協定をすでにつくってございます。過去においても、そういった海難救助を依頼して出動してもらった例はございます。そういった意味での防衛庁との関係は非常に密接に連携がとれている、このように考えております。
  37. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 これは一つの仮定の問題でございますが、海外で、沿岸地域で非常に暴動とか紛争が生じて多数の在留邦人がそこにおる、それは何とか救わなければならぬというようなときに、やはり海上保安庁はそういうところに邦人の救出に出かけていけるのか。また、そういうような問題について国際的にはある程度の取り決めというものがあるのかどうか。これは防衛とは違った、大体普通、戦争のすぐ前とかなんとかいうことじゃなくて、こういうような事例は余りないだろうと思うのだけれども、いわゆるそういう在外邦人、居留民の引き揚げについて海上保安庁はそういうことの任務をやることができるのか。どういうふうに調査研究が行われているのか。
  38. 政府委員(永井浩君)(永井浩)

    政府委員(永井浩君) 紛争当事国の在留邦人の救出につきましては、直接当庁の任務ではないと考えております。当庁の任務は、海上における人命、財産の保護ということが任務でございますので、直接の本来の任務の範囲外のものであろうかと考えます。  ただ、政府の方針として、このようなときに海上保安庁に巡視船を派遣すべし、こういうことであれば、海上保安庁の船舶の能力の範囲内で対応すること、これ自体を禁止しているものではない、このように考えております。また、相手国との協定というのはございませんが、こういった場合には当然相手国の入域、入港に対する了解が前提になるか、このように考えております。現在のところ、具体的な準備とか計画は持っておりません。
  39. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 これで質問を終わりますが、ひとつ大臣、運輸行政というものは、やはりこれから国際間においても、日本国内の再開発といいますか、この不況がどういうふうになっていくかわからぬけれども、いざというときにはそこに非常に夢が持てるような計画というものは、ぜひひとつ運輸省として長期展望、こういう案はどうだというようなことがやれるようなことがやはり非常に必要なことじゃないかと思うのです。国民のみんなが沈滞しているときに一つの希望を与えるというものが必要だと思います。それにはやはりそういう計画というものが、先ほど運輸省は一方的に押しつける案はつくらぬということを言っておったけれども、何も押しつけるのじゃなくて、こういう案、こういう考え方がありますよということぐらいはぜひ必要じゃないかということについての御意見をひとつ。
  40. 国務大臣(長谷川峻君)(長谷川峻)

    国務大臣長谷川峻君) 私も運輸委員会には大分前から所属をしておりましたから、あなた方の立場から運輸省の問題をいろいろと見てきましたが、自分で役所の中に入ってみて改めて運輸省の大きさというものを感じたわけです。空から、陸から、海から、そして日本は加工国日本ですから、まず第一に七億トンぐらいの輸入物資をしなければなりません。そして加工して、それを手づくりにして七千万トン海外に出して、それでお互いがこれだけの生活をしている。その場合にあるものは何かというと港です。これは運輸省の所管です。もちろん、それはその県の港湾管理者のいろいろなアイデアなりいろいろなものをお願いしなきゃなりませんが、それをやっていくということが一つでしょう。  さて、いまのような時代になりますというと、造船が非常に悪い、海運が悪い。こういうときには、それぞれの関係業者も苦心をしておりますけれども運輸省としては、やはり政策の面からこのままじゃまずいということで、いろいろ審議会なども開いて、こういうふうに新しい省エネの船をつくってみたらどうかとか、そういう面でアイデアなどを出したりして、私の方で政策担当の者がそれをやっているわけでございます。  それから陸の場合でも、おっしゃるとおり、何さま日本人は、意識の変化、生活の変化、こんなに激しい民族はないわけですから、明治時代は鉄道一本が独占で、大量輸送機関でございまして、私鉄などほとんど物の役にも立つようなことはなかったわけです。ところが、今日は民鉄もあれば、そして都市間交通の輸送体系というのは大変なものです。そういう中に新幹線ということになりますと、これは三治さんに私が釈明するわけになりますけれども、東海道新幹線は千九百七十億ということで、合い言葉でつくって、これがオリンピックを前にしてつくられて、いままで人身事故が一つもなし。それが山陽新幹線に延び、そしてまた九州新幹線に延び、東北新幹線に延びたわけでして、これは多少ぜいたくだという嫌いなきにしもあらずでございますが、これによって東北地方の新しい需要というものが生まれてきた。  たとえば仙台の品物がいままでどこまで行ったかというと、これは名古屋までしか商品は行っていませんでした。名古屋には宮城県出身の者がデパートの社長をしておりましたので、時折宮城県の品物を出していた。というのは、東北なんというのは雪の深いところ、奥の細道、みちのくといって、雪が深くてとても遠いというふうなものが、今度の新幹線によってずっと人が行き、そしてこれがまた国鉄離れのものを取り戻したという姿で、いまはぜいたくな面もありますけれども、これはいま鉄監局長が言うたように、国鉄当局でも、いまのようにお客さんが非常によく乗っておりますから、二十年ぐらいにはペイするのじゃなかろうか。そうすると、その間の私は投資というものは役に立っている。そんなことを地方で考えなきゃならぬということもありますし、空の問題一つにいたしましても、いま各県ともジェット機の空港が欲しい欲しい。これもやっぱりニーズの変化でございまして、それらをどうかみ合わせしていくか。  先ほど黒柳君の話から総裁の答弁の中に、アメリカは、フェデラルガバメントは一切国鉄新幹線に銭を出さない。向こうはそこまで変化しているわけです。しかしながら、アメリカというのは何といったって、西部劇でごらんになるように、鉄道一本敷くためにインディアンとけんかして、ずっとロサンゼルス、西部西部へと来たわけです。それが今日すっかり変わって、ガバメントは一切出さないということで鉄道はだめになってきて、道路と自動車になってきているわけです。  日本の場合には、長距離は飛行機であったり、中距離は都市間輸送がいまのような鉄道であったりということでございますので、だから、各局そのものがそこに政策担当官を置いておいて、いま変化するいろんな経済指標を、そちこちと連絡をとりつつ、政府の見通しなんかなかなか、これはニーズの方が先であり、民間の活力の方が先でありますから、うまく調子に乗ればいいですけれども、時にはダウンするなどがいまのような税収不足にあらわれるようなかっこうですから、その辺を、国民経済の時折中心をなしておるのが運輸省であるという使命を改めてみんなに御理解いただきながら勉強させていく。  何せホテルの火事があって、人間の事故があればみんな運輸省の責任というふうなことですし、飛行機が墜落すればまた運輸省の責任というふうなことで、それこそとても大変な役所である。その中に、それだけにまた大変だから責任を感じて、お互いにしっかりこの場所だけは守って推進していこうじゃないか、こういう気分の盛り上げ方をお手伝いしている今日の現況でございますから、幾ら御期待に沿えるかわかりませんが、懸命にやってまいりたい、こう思っております。
  41. 三治重信君(三治重信)

    三治重信君 よろしくお願いします。
  42. 委員長(矢追秀彦君)(矢追秀彦)

    委員長矢追秀彦君) これをもって昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 委員長(矢追秀彦君)(矢追秀彦)

    委員長矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十九分散会