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山中国務大臣 この一元化は議員立法でやったわけですが、議員立法であっても、成立した以上は国の法律でありますから、私
たち自体も問われているわけであります。しかも、実際にあった問題として、たとえば西陣のネクタイの織物の方々が、安く手に入る原料である糸が近くに見えているのに、一元化輸入という事業団の行為によってわれわれは損害を受けたということで、たしか一億八千万か二億一千万円か、国家を相手に賠償請求訴訟を起こされたという記憶を私は持っております。
そのことが示しておりますように、確かに、そういうネクタイの分野等では、安い原料が入れば売れ行きもよろしいのでしょうが、
玉置さんもお触れになりましたように、
国内の消費の減というのはどうにもならないですね。要するに、生活様式の変化ばかりでなくて、戦後世代も含めて、着物を必要とする世代、ゼネレーションが、私
たちを含めた世代でさえだんだん——外で洋服、うちでゆかたとか着流しとか、二重生活ということをよく言われた世代で、もちろん昔は着物だけだった
日本ですけれ
ども、最近は、女性も含めて、着物をなかなか買わないですね。農林省の方が
中心になって、
日本製の絹洋服生地とかジーパンとか、いろいろなことを苦労してやっておるようでありますが、そっちの方の購買
意欲がないところに——農林省の分野ですからこれ以上申しませんが、法律の基準
価格とか糸価とかいうものがあっても、生産者も、その途中の製糸業者も、何ともいたし方がない
状態。両すくみと申しますか、輸入の方は約束した数量も守らない、守れない
状態。約束した数量は守りなさいよ、自粛したじゃないですかと言われて、交渉に当たる農林省は本当につらい、針のむしろを強いられているようであります。
このような、ある
意味では八方手詰まり、行き先が詰まってしまった中でどういうふうにしてやるのかということは、いろいろな
考え方があると思いますが、需要の再喚起ということが果たして可能なのか。結婚式でも、ほとんどいま——ここでほかの党の方と
議論がされたのですが、貸し衣装の値段の問題は問題になるのですね。しかし、それを負担する親、花婿花嫁の方の
議論が余り出てこないということは、必要なときには借りればいいじゃないかという
考えの方が、若い人には定着してしまっているのじゃなかろうか。ですから、三回も四回もお色直しなんという歌舞伎役者みたいなことを、男まで何回かやるのが最近あるようですが、あれはどうも紋つきはかまも借り物だというのですね。
ちなみに、雑談ですが、うちの役所の中の者
たちに、紋つきはかま一式持っているかと言うと、いやと言う者も大分いまして、
通産省ぐらいは紋つきはかまを何とか買おうじゃないかと言うけれ
ども、
大臣買ってくれるんですかというくらいのことを言われると、こっちもややたじろぐ。
そういう消費問題をどう打開したらいいだろうか。これは意識の変化であって、大変むずかしい問題だなと
考えておりますが、法律をそのままにしておいて、二国間の協定も、
国内の生産農家もそのままにしておいて、毎年何とか、去年は引き下げましたけれ
ども、糊塗していこうとしても、たとえば商品市場では玉が動かないというところまで来ておるわけですから、これは官民挙げて何か知恵を出さなければいけない。農林省が主ですけれ
ども、
通産省の方も御加勢申し上げるにやぶさかではございません。