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1983-03-07 第98回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月七日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 今井  勇君       浦野 烋興君    小渕 恵三君       倉成  正君    岡田 利春君       草川 昭三君    木下敬之助君       玉置 一弥君    兼務 上原 康助君 兼務 清水  勇君    兼務 榊  利夫君 兼務 菅  直人君  出席国務大臣         通商産業大臣  山中 貞則君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      田中 義具君         通商産業大臣官         房審議官    斎藤 成雄君         通商産業大臣官         房会計課長   鎌田 吉郎君         通商産業省通商         政策局長    中澤 忠義君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         通商産業省立地         公害局長    福原 元一君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         通商産業省生活         産業局長    黒田  真君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   弓削田英一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君         中小企業庁長官 神谷 和男君         中小企業庁計画         部長      本郷 英一君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     植木 邦之君         大蔵省主計局主         計官      中平 幸典君         大蔵省国際金融         局投資第三課長 中村 昭一君         文化庁文化部著         作権課長    吉田  茂君         農林水産省農蚕         園芸局繭糸課長 阪田 彰夫君         労働省婦人少年         局婦人労働課長 佐藤ギン子君     ───────────── 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   木下敬之助君     小渕 正義君 同日  辞任         補欠選任   小渕 正義君     玉置 一弥君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   神田  厚君     木下敬之助君 同日  第一分科員菅直人君、第四分科員榊利夫君、第  五分科員上原康助君及び第八分科員清水勇君が  本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ────◇─────
  2. 今井勇

    今井主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算通商産業省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原分科員 どうもお久しぶりに山中大臣にお尋ねする機会を与えられて、ひとついい答弁期待しております。  本論に入る前に、去る五日の山中大臣の、武器輸出未来永劫に許さないという御発言は、よい意味で最近にないみごとな御答弁だと思うのですね。これは、従来の武器輸出禁止原則や、その対象地域外についても武器輸出を慎むという昭和五十一年の政府見解より一歩進んだ、はるかに私は明快なる御答弁だと思うのですね。したがって、ぜひこの考えというものは、政府全体の政策というか見解としてまとめていただきたいと強く期待をしているわけですが、ただ昨今の、タブーに挑戦をするとかあるいは軍拡路線その他のいろいろな外的、内的プレッシャーというものも少なくないんじゃないかという懸念もまたないでもございません。そういう意味で、改めて通産大臣の御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 エールの交換という意味ではありませんが、久々に上原さんの質問に答えることができまして、私も大変なつかしく、またうれしく思います。  これは土曜日の発言でありますが、突然出た私の考え方ではありません。それは私の永年勤続の表彰を受けた際の答辞の中にも、私がなぜ政治家への道を選んだかということに若干触れておりますが、戦争から生き残って帰ってきて、そして亡くなった多くの戦友、部下を含めた犠牲者のことを考えると、自分は生きていることの償いのために政治家の道を選んだ、そういうことを述べているはずでございます。そのようなつもりで政治家になった私でありますから、今回のこの問題は、何も今までの国会答弁でだれがどう言うたとかなんとかということと全く関係ありません。政治家山中としての終生変わらざる信念であります。ことに上原さんは不幸にして沖縄戦を記憶しておられます。しかし一般国民は、戦争というものを実感として目にあるいは記憶にとどめていない年齢が十歳以下だったとすると、すでに四十八歳以下の人たちは、戦後の戦争を知らない人を含めて、その年齢構成の中に私たちの国は構成されてきつつあると思うのです。そうすると、私たちのいましなければならないこと、しておかなければならないことがたくさんあります。誤りのない国家、民族の行くべき道をきちんとしておく、それが私たち義務であります。それができなければ、私は政治家としての資格を持っていないとみずからを顧みて思う私自身であります。  ことに沖縄担当大臣もいたしましたが、復帰前後の沖縄人々の、沖縄に住んでおる者でない限りは、本土の人では絶対にわからない心理状態国民の大部分が認めている自衛隊に対しても、いまなおアレルギー的な性格があり得る、このことに私は理解を示します。  そのような立場からの御質問でございますが、私は今回の政府方針決定というものは、国会決議その他の議論もありますが、それとは全く別に、安保条約のための対米的バイパスを通すという武器技術に限っての話でありますから、技術とは何か、技術終結点とは何かも全部答弁いたしております。しかし、安保条約のあるいはMDAの精神と言っても、それは義務ではありませんから、したがって、将来を予想して国民に心配を与えたり、次の世代へのわれわれの渡すべきものが不安定なものであってはならない、そのように確信しております。したがって、絶対に武器輸出しない、これは、アメリカに対してであってもどこに対してであってもそうであります。そういう私の信念を申し述べたものでありますから、総理に対してもその旨を申し述べました。  総理も、私の政治家としての生涯を貫く政治信念と哲学に基づくものであることについては理解をしていただきました。したがってその旨、どのような表現になるかは、これは総理大臣最後の御決断でありますからゆだねるとしても、私の信念、そして今回の武器技術の限度、そして武器についてはやらないというはっきりした姿を、これは御要望でございましたから、理事会の相談を経てということでありますが、新自由クラブの総括締めくくり質問の際に政府統一方針を、私の見解が途中で出ましたから、それを踏まえての結論を改めて報告をしてくれということでありましたので、そのような手続ではっきりさせたいと考えております。
  5. 上原康助

    上原分科員 いまの御答弁で尽きるかと思いますが、きょうはこれが本題でありませんので、そうしますと明日、政府統一見解を御答弁にまとめて御質問者に明らかになさるということで、当然そうなると思いますが、これは当然、いま御答弁のありましたように政治的な判断が必要になってまいります。そうしますと、首相の政治判断を含めた政府見解をおまとめになる、こういうふうにならざるを得ないと思うのですが、そのように理解をしてよろしいですか。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 政府としての所信でありますから、総理の御決定を最終的に形式的に経なければなりません。そのことについての態度は私は固まっておりますが、総理はそれを受けて、私の精神を尊重した表現にまとめられるものと私は確信いたしております。
  7. 上原康助

    上原分科員 ぜひ私たち期待に背かないような見解が出ることを、改めて強く御要望申し上げておきたいと思います。  そこで……。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっと……。  これは、私たちとかあるいは何党とかいう立場のものを私は超越して、政治家としてのことを言っておりますので、そういう意味で、どこの党の、あるいはどこの派閥——派閥と申しますかグループ、新自連ですかの質問があったからといって、そのことに対して賛成とか反対とかじゃなくて、私の所信を述べたのでありますから。ただ、質問者の御要請が、自分たちの代表に対して答えてくれということでございましたから、先ほど念を押しましたように、理事会の議を経てという発言がございますので、国会としては理事会の議を経られるでありましょうし、政府政府としてのやはり内部手続が要りますので、そのことできちんと処理してお答えを申し上げたいということであります。
  9. 上原康助

    上原分科員 そこで、いまの御見解に加えて、最近世界的に原油価格値下がりする方向にある。電気料金もそれにちなんでといいますか、それに伴って大幅に引き下げるということまで御見解を明らかにされるとなお喜ぶと思うのですけれども、そのことは議論をしていくとして、この原油価格値下がり方向にあると言われていることについて、きょうも何かOPEC各国石油担当相会議がロンドンであるような報道もなされているわけですが、一体今後の推移、見通しはどういうふうにお考えになっておるのか。実際に四ドルないしあるいは一説には六ドル、七ドル程度にもなるのではないかという説もありますし、いろいろ経企庁あたりも試算をしている向きもあるという発表もあるわけですが、エネルギー問題を担当する通産相としてはどういうお見立てをしておられるのか。またこのことによって、わが国の今後の電力あるいは総合エネルギーにどのような影響をもたらすと見られるのか、お答えをいただきたいと思います。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもうお述べになっているように、まだ未知数の分野が多い、いわゆる国際価格決定というものがどの線でまとまるかわからないときでありますから、残念ながらそれを前提にした話はできませんが、恐らく湾岸を中心とするOPEC人たちは、三十ドルでとめたいという願望でいま努力をしているのではなかろうか。しかし、それでは困る国もあるし、あるいはまた総量と割り当ての数量、価格、これがセットになって議論されておりますから、よくわかりませんが、私どもとしては、一応四ドルの場合は三十ドル台を維持するという意味でありますが、それで維持できるかどうか疑問に思われる点もありますので、六ドルの場合と、それから代替エネルギー石炭代替の場合のコストがデッドクロスするおそれのある二十五ドルになった場合というようなことを想定に置きながら、通産省の全知全能をしぼっていま検討会をやっております。先週一回やりまして、土曜日の午後にはもう決まっているものだということで第二回をやったのですが、これもまだ決まっていないものですから、それに対しての対応について最終的な具体的な表明はできません。  しかしながら、いずれにしても下がる方向は間違いはない。しかし、三十四ドルから下がったんだという考え方の前に、二ドル五十セントから三十四ドル五十セントになっているんだという原点を踏まえて、今度はあわてふためいて対応するのではなくて、じっくりと、しかも安くなりました原油でありましても、それは買い付け契約あるいは輸送、そして高い値段で持ってきた、日本にある備蓄を含めた、輸送途上のものを含めたストックというものとの価格の差があるわけでありますから、OPEC諸国が決めたからといって、すぐにその日から国内で四ドル安なら四ドル安の油が流通するわけではありませんので、そこら辺のところは、最終的には国民生活向上をもたらすための、日本全体の活力、そして日本産業全体の活力、非常に暗い前途しか指数が出てこない、それらの状態を、国際的にも貿易収支も改善されるであろうし、レートも安定してほしいし、国内の公定歩合も何とかしてほしいし、いろいろな願望を持ちながら、その理想的な状態日本産業を展開させていくということをいま作業中でございまして二回も作業しておりますが、まだ決まりません。日本の力で決めさせることのできない、決められたものしか買えない日本としては、その作業をするしか現時点では方法がないということで、間もなく決まるでしょうから、決まったら直ちに最終仕上げにかかるつもりで作業をしております。
  11. 上原康助

    上原分科員 いずれにしましても、原油値下がりというのは経済その他に好影響を与えることになると思われます。もちろん相当下落をした場合の反動というものもいろいろ懸念はされているようですが、全国電力会社の年間の原油消費量というのは現在約七千万キロリットルのようですね。そうしますと、一ドル値下がりしても単純平均で一千億、四ドルというと四千億、さらに円高という問題なども絡むと、相当差益が生ずるということは素人にもよく計算できることなんですね。そういう前提電力料金問題あるいはその他消費者要望というものも強いと思いますので、これに対しても、ひとつ方向づけがなされた段階では適切かつ迅速な対処をしていただくことを要望しておきたいと思います。  そこで、この問題とも非常にかかわり合いがあるわけですが、かねがね問題になっております沖縄電力民営移管の問題があるし、同時にまた将来の経営形態をどうするかということでも、この石油問題は私たちにとっても非常に関心の深いことなんです。一時石油価格の暴騰といいますか高騰によって、石炭火力に転換しなければコストの問題とかで経営の維持ができないということで、ことしの九月から石川に石炭火力を建設していくという方針でいま進められているわけなんですが、このことについては政策変更するのかあるいはまた従来どおりやっていくのか、この件についてはどのような御見解なり御検討をしておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 沖縄電力というものは、施政権下において沖縄県民の総力を振りしぼって、本土と違う配送電会社などということも踏まえながら電力会社をもってこられましたが、復帰後十年を超えて今日の時点で眺めましても、あれだけの多くの離島に平等な電力料金電力恩典を与えなければならないという最終的な使命を考えますと、経営形態も含めて大変先行き展望がしにくい、明るい展望が描きにくいという環境にあるたった一つの電力会社であると思いますが、これはもっぱら沖縄県民のお考えというものを私は尊重していきたいと思いまして、知事を通じて、できれば県議会等でも、決議とまではいかぬけれども、こういう方向でよかろうというような御了承を得るようなものが何かできないかということでお願いしてあります。  現在のところまだ具体的には上がってきておりませんが、少なくとも沖縄県民意思になるべく沿うように、しかしながら、そのことによって沖縄県民のみがいつまでも高い電力料金を負担させられるということがあってはならないことでありますから、もしこの石油値下がり等が均てんされて、そして沖縄電力のためにもプラスになり、将来の展望にもプラスになるということがあれば、私は石油値下がりを大変ありがたいことであると受けとめておるわけであります。
  13. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、石炭火力の問題はそのまま進めていかれるおつもりですか。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 沖縄はいろいろな振興計画などを研究してみましても、幾ら検討しても、その背後に大きな暗い影が忍び寄っているものに電力と水がありますね。そうすると、やはり国の政策会社である電発というものが沖縄で少しでも貢献するために石炭火力というものをやるということは、さしあたりはこの石油環境の変化にとらわれず、やはり豊富、低廉なる電力供給ということに国策会社で貢献していこうということでありますから、このことは現在のままで進ませていきたいと考えております。
  15. 上原康助

    上原分科員 そこで、最終的には経営形態をどうするかということなんですね。いま御答弁がありましたが、たしか昨年の十二月一日ですか、西銘知事沖縄電力民営移行現地法人の線でやっていきたいということを御要請をなさったようです。しかしこれについても、まだ必ずしも県民のコンセンサスを得たものではないという一面のあることも付言をしておきたいわけですが、同時に沖縄電気事業協業会は、要するに独立民営会社または本土の九電力のいずれかとの合併問題で、二者択一を資源エネルギー庁に答申をしている。一方、知事諮問機関である県電気エネルギー問題協議会は、最近の石油事情等もあって結論を四月に延ばす、こういうふうになっておるわけですね。  私も、やはり先ほどありましたように沖縄電力というのは歴史がありまして、沖縄独立経営形態というものが環境整備ができれば、雇用面その他の地場産業育成という面からしても、できるだけそういう方向がいいんじゃないかという感じを持っているわけですが、いまありましたように、地元の是とする方向最大努力をしていかれるというのが通産大臣通産省のお考えのようですが、今後の経営形態についてはどういう方向で県なりあるいは沖縄電力に指導、助言をしていかれようとするのか、固まっておればひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 まだ固まっておりません。というのは、知事さんにそうやって県民意思をなるべくまとめて持ってきてくださいと言ってあることが、途中経過はあるのかもしれませんが、私のところには判断を下す具体的なものが参っておりません。  ただ、これは資本金が九九%国、一%が県という特殊な構成でありますから、そのままでずっとやっていけるかどうかについても、国の財政の事情からいろいろありますから、ずっとそのことで未来の姿を設定するのは可能なのかどうか。そうすると、沖縄人々電力について高いものでずっと満足されるかどうか。ここらのところは精神論具体論と申しますか、そういうことで最後判断の際には私もよく考え決定をしたいと思います。
  17. 上原康助

    上原分科員 問題は、これは十分御案内のように沖振法でも規定されておりますが、低廉にして安定した電力供給体制をどうつくり上げていくかということが、一番県民にとっては関心事であります。もちろん、その料金原価主義とか受益者負担という原則電気事業の場合はあるようですが、それはともかく、先ほど御答弁がありましたように、あれだけの離島を抱えての電気供給ですからなかなか容易でない。そういうことをぜひ御考慮に入れて、民営移行をするにしてもあるいはどういう形態にするにしても、県民期待にこたえる経営形態でやっていただきたいということを強く御要望を申し上げておきたいと思います。  それと、このこととも関連するのですが、時間がありませんから簡単に申し上げますが、最近の県内企業といいますか、大変不況絡み地場産業などがピンチに立たされている。県内最大製造業とも言える地場産業である琉球セメントレイオフをやらざるを得なかったということ、せっかく二次振計を立てて企業誘致とか地場産業育成ということを強調されながら、伝統ある琉球セメントがこういう状態では将来はますます暗いのじゃないか、産業構造の改善もおぼつかないのじゃないかということが、県民はもとより企業サイドでも大変懸念をされていることなんです。加えて、セメントというのは本土不況業種のようですが、アルミとか建設資材関係も軒並みいま大変ピンチに立たされているということで、細かいことは申し上げませんが、どちらかというと、本土からの大手メーカーがどんどんダンピングとまではいかないにしても、出先の支店、そういうものをシェアを広めていくという面から、必然的に打撃を受けているということなんですね。したがって、これは企業サイドなり県の努力も必要ですが、やはり通産省としても沖縄地場産業を、二次振計の計画策定段階において、この種の企業についてはもう少し大局的に保護育成をしていくという方針なり政策というものも私はあってしかるべきじゃないかという気がしますが、このことについてはどういう御検討をなさり、どういう御見解を持っておられるか承りたいと思います。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 沖縄既存産業の問題も大変大事な問題であります。琉球セメントカイザー社資本が入っていた。これが純日本資本になったというだけでも前進だったのですが、おっしゃるとおり本土においても構造不況業種ということになっておりますから、そこらの影響が出ていると思いまして大変遺憾にたえませんが、沖縄のそういう地場産業あるいは将来の沖縄の二次産業中心とする活力というものは、何とかならないものかと思っております。しかし、企業の方が、いま出ていこうという意欲設備投資その他拡張しようとする意欲は全体的に冷えております。しかしながら、なお私どもは、沖縄においてフリーポートフリーゾーンということにおいて活力を、日本国内の最南端であって、離島条件の厳しいところであるけれども沖縄はこれによって立ち直ったというものができるように、日本以外の国に、外国にしか適用しない租税特別措置のうち海投損、すなわち海外投資損失準備金というものは沖縄フリーゾーンに出たものに適用できるように、なお税法でも、本土に帰った後、失礼だと言われればそれまででありますが、税制恩典外国の場合と同様に、沖縄フリーゾーンに与えるということで税制は残してございますので、何らか県当局、議会と一緒になって未来への手がかりを探りたいと私も念願いたしております。
  19. 上原康助

    上原分科員 時間がありませんから、この琉球セメントのことについては恐らく関係者から強い要望が近々出てくると思いますので、それを受けてひとつ御検討いただきたいし、もしこれがうまくいかないと、次はまたオリオンビールがいろいろな面で締めつけがいくでしょう。そうしますと、いま大臣がおっしゃるような特別措置、いろいろな手だてをやろうとしても、あるものさえうまくいかないのに新しく立地できるかということになってしまうわけですね。特に製造業の場合は全国平均が二三・六に対して六・八%しかない。いままさに沖縄地場産業製造業をどう育成するかというのが最大の課題なんですよ。これは十分おわかりの大臣に申し上げるのは失礼かと思うのです。そういう面からも、この琉球セメントの問題なり地場産業育成ということについては、通産省にも地域産業ビジョン骨子ということで要請書が出ているわけでしょう。したがって、こういうことなども十分に受けてひとつ対策政府としても講じていただきたいと思います。
  20. 黒田真

    黒田政府委員 琉球セメントの問題につきましては、レイオフが最近行われておりまして、地元で大変に問題になっておるということについては承知しております。全国的にセメント不況でございますし、沖縄県内の需要も落ち込んでおるということが最大の原因だと思いますが、県外大手企業との競争の問題もあるのではないかというような御指摘もあるようでございまして、現在その辺の事情をよく調べまして必要な対策を講ずるということを考えております。その点についての要望はいただいております。
  21. 上原康助

    上原分科員 どうもありがとうございました。
  22. 今井勇

    今井主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田利春君。
  23. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、日ソ経済関係、エネルギー、石炭関係についてお伺いをいたしたい、こう思います。  日ソ関係を振り返ってみますと、サンフランシスコ平和条約で、多数講和でこの条約が成立をして、そして昭和三十一年に、鳩山総理時代に日ソ共同宣言が締結をされて、日ソのいわば国交が回復をされたわけです。私は、やはり鳩山さんという方は改憲論者であり、いわば反共主義者である、これはもう疑う余地がない、こう思うのであります。そして、当時中曽根総理大臣は鳩山さんに対して、世界史的な立場から、いわば日ソの国交回復は行うべきだ、こういう書簡を出されたことも予算委員会で明らかになっているわけです。私も予算委員会総理のいろいろな見解を承ってまいりますと、中曽根総理大臣は、一方において反ソ、軍拡のシフトを敷いている、一方においてやはり日ソ関係は改善をしていく、何かこう二つの関係を、一枚のコインの裏表のような一つの立場で日ソ関係というものを考えているのじゃないかなというふうに、実は質問をしながら感じておるわけであります。  私は、そういう意味で、日本とソ連の関係というのは、いまアフガン問題やポーランド問題はございますけれども、少なくともやはり機会をとらまえて関係を改善をしていく、わが国の平和と安全保障の立場からもきわめて重要であり、わが国の外交の、しかも八〇年代の重要な課題である、こう理解をいたしておるわけです。  私は、そういう意味で、山中通産大臣として、きょうは大臣の対ソ観について率直に第一点として承りたい。  同時に、これから対ソ連との経済政策についてどのような考え方でこれを進められていこうとしているのか、率直に承りたいと思う次第です。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 総理大臣が表裏の顔を持っているという話でありますが、私は、ソ連という国が表裏の顔を使い分ける国だと思うのです。要するに信用の置けない国、最終的に大丈夫かと言われるとさあと首をかしげたくなる国、それは日ソ中立条約を好機とばかりに一方的に無通告で満州という国境を踏み越えた、そのためにいま多くの黒竜江省に残された孤児たち日本に来ている現実を見ても、そういうところまで連れていったのはだれだという日本側の問題もあります。しかし、条約上の関係がある国なら、事前の通告等があれば、恐らくあのような孤児たちも含めて、せめて一週間前の通告でも祖国へ返してやる道はあったのではないか。その後の理由なきシベリア抑留、強制労働にしても、私たちは、世代の違いと言われればあるいはおじんのたわ言かもしれませんが、しかし歴史の教訓は忘れてはならぬ。  したがって、前提には、ソ連こそ二つの顔を持った国である。しかし私たちは、またそれと地続きで国境を接しているヨーロッパとも違う。はるかに遠い。もっとも、ミサイル戦略から言えば近いアメリカとソ連でありましょうが、われわれ日本はその中間の島国で、直接日常ソ連の脅威を受けることはないということにおいては、ほかの国と違う立場にあると思うのです。そしてその日本が高度な技術とかあるいはソ連にないようなもの、ソ連が必要とするようなものを持っているというような関係は、やはり相互補完しながら、隣人であってもわざわざこっちの方が嫌なやろうだという態度を示す必要はない。  そういうことで、約束を守ってくれることを最大限望みながらも、両方利益になることですから、こういう場合には余り約束を破らない国だと思ってもいいのでしょうが、そういうような少し腰を引いた構えはしながらも、隣人とのつき合いはつかず離れずといいますか、向こうが欲しいものを一定限度までの御協力もするし、そのことが日本にもプラスになる面もあればそれもまた分けてもらう。木材の輸入などはその一例でありましょうが、そういうようなことを考えれば、ソ連を嫌いだからといって、私たちがどこかほかの南太平洋に引っ越していくわけにもいきませんし、ソ連もまたああいう横に広い、横に広いという表現はおかしいですが、広大なる、しかもツンドラ地帯を含めた国土を持っている国として、いろいろの国内の苦しみが農業問題にあらわれるようにあると思うのですね。そこらのところはお互いに仲よくやっていきたい。  ことに、私は漁業にも関係しておりますが、北洋のソ連海域をめぐるトラブル等で日本人の中にレポ船といわれるようなものを生ませるようなやり方等は慎んでもらいたい。北海道に日ソ友好会館をたくさんつくるならば鹿児島につくってみたらどうだと言ったって、鹿児島はソ連から見れば何の魅力もない地域なのですよね。そうすると何かの打算があると見ざるを得ない。そういう意味で、隣人であるが、日本側が、一方的にある日突然約束が違うというようなことをやっても平気だという国であると、エネルギー依存などを無条件でそういう国にするということは、外交上大混乱を起こさせることを目的として、それを手段として使うことがあり得るだろう、こういうことですが、これは私の政治家としての考えでして、後で御質問になる産業問題その他についてはまた別途答弁いたします。  そういうことで、親ソとか反ソとかいう立場でもない。一番警戒しながらも無視できない隣の国ということだと思います。
  25. 岡田利春

    岡田(利)分科員 昨年の十一月の中旬、米国の経済の訪ソ使節団がモスクワを訪れているわけです。ケンドール・ペプシコーラ会長を団長として二百二十五名名に達しております。そして第七回米ソ貿易協議会を開催をされましたし、今年の秋にはモスクワで米国産業の見本市の開催の合意がすでになされておるわけです。これには相当高度な機械機器の展示を行うというようなこともその内容として含まれておるということを私は承知をいたしているわけです。先般、シュルツさんが日本に来た場合にも永野訪ソ団に対して若干コメントをされたようでありますけれども通産大臣として、米国の経済訪ソ使節団のこのような一連の動きや、あるいはまた産業見本市開催の合意がなされた、こういう点についてどう評価をされておりますか。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 評価というより、そのアメリカのミッションの中には純民間とは言えない立場の人まで入っていますから、これはアメリカはまた相当意欲的にやるもんじゃなというふうに見ておりました。かといって、アメリカがそのように経済面では友好的なのかというと、経済は当然産業でもありましょうから、ときどき海の向こうから聞こえてくるのは、どうもソ連に対して日本の民間産業技術が漏れて困る、だから日本が一番アメリカにとって困るような情報をソ連に流すところであって、その場所は東京だというようなことが言われたり、ちょっとした戸惑いも感ぜざるを得ません。対ソ禁輸を言いながら、穀物はアメリカの農民が困るから売るのだとか、やはりそれぞれの外交戦略というものがあるのでしょう。日本の場合には公式な人は入っていないわけですから、純民間人の方々が行かれたというふうに考えておりますが、御意見もあるでしょうから答弁はこれぐらいに。
  27. 岡田利春

    岡田(利)分科員 いま大臣が触れられた、先端技術がソ連に流出をしているということが特に日本を経由してとかいろいろ言われておるわけでありますけれども、昨年の十二月二十六日付のワシントン・ポストでは、有名なコラムニストでありますジャック・アンダーソン氏が、米政府内部の情報を実はキャッチして載せておるわけです。  その内容によりますと、対ソ高度技術の流出のリスト、その内容の一部が掲載されております。これには、レーザー波の問題、レーダーあるいはまたミサイルアンテナ、対潜水艦作戦に不可欠な音響センサーとか、核ミサイル装置に必要なチタン合金及び溶接の技術とか、あるいは宇宙での重要な意味を持っておるレーザー兵器、粒子ビーム兵器の関係技術、いろいろこういうことがすでにアメリカ国内で暴露されておるわけですね。直接流出をしたのか第三国経由で流出をしたのか、第三国経由で流出した傾向は非常に強いと思うわけですね。  したがって、アメリカでいろいろ言いますけれども、とらえてみればわが子であるということに、すでにワシントン・ポストにさえもこういう記事が載っておるわけですから、そういう点についてはもう少し日本立場としてもぴしっとして、そういうアメリカのいわれなき中傷に対しては反発する必要があるのではないのか、コミットをしておく必要があるのではないか、私はこう思うのですが、その点はいかがですか。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 アメリカ国内では何やかや言っているようでありますけれども日本政府に対してその点は、具体的な表現としては日本がけしからぬのじゃないか、注意しろなんということは何ら言ってきておりません。ですから余り、日本に公式に言ってきていないのにこっちから公式に物を言うのも大人げない話じゃないでしょうか。
  29. 岡田利春

    岡田(利)分科員 昨年の十月、レニングラードにおいてソ連主催のロボット展が開催されておるわけであります。当初日本側は、ジェトロが中心になってメーカーとかあるいは商社の取りまとめをしておったわけでありますが、これがジェトロとして取りまとめを中止されたわけですね。したがって、メーカー、商社、ごく限られた数社がこれに参加をしたという実績があるのであります。しかし、アメリカやあるいはまたヨーロッパの国々はそれぞれこれに参加をして、見本市の場合には日本のスペースが一番小さかったということになってしまったわけです。そしてこの見本市が終わった後、アメリカ、ヨーロッパはすべて見本市に展示をしたロボットは売却をしたわけです。日本だけがこれを持ち帰ってきておるわけです。ジェトロが一体なぜこの取りまとめを中止されたのか、同時にまた、アメリカ、ヨーロッパと違った措置をこの場合にもとられておる理由は一体どの辺にあるのか、この点を伺っておきたいと思うのです。
  30. 福川伸次

    ○福川政府委員 御指摘のレニングラードのロボット展でございますが、五十六年の末から五十七年の初めにかけまして、ジェトロの参加ということの可能性を内部的に検討をいたしておったことは事実でございます。しかしその後、わが国といたしましては、五十七年の二月二十三日にいわゆるポーランド情勢に対応いたしまして西側諸国の結束と協調が必要であるということで官房長官談話が発表されまして、対ソ措置を講ずることを決定いたしたわけでございます。このような状況を踏まえまして、西側の主要国も政府として参加をしていないことになっておるわけでございまして、そういった特にハイテク分野の展示会、そこにジェトロという公的色彩が強い機関が参画することは問題を生ぜしめる懸念がある、こういう判断のもとに、ジェトロといたしましてはその参加の検討を取りやめたということでございます。西側諸国からも政府の参加はなく、いずれも民間企業ということでございます。
  31. 岡田利春

    岡田(利)分科員 ジェトロというのは、当初わが国が外貨が不足で輸出ドライブをかける、さくら丸を建設をして日本の商品を大々的に世界に紹介をする、こういう任務で生まれたわけですね。その後幾たびかずいぶん性格も変わってきておるわけです。しかし、今日時点で国際摩擦、貿易摩擦が非常に激化している情勢の中でさらにジェトロをこのまま存在をさせるとすれば、ジェトロの任務といいますか性格といいますか、そういう意味においてもう少し追加するといいますか、情勢に適合する任務をぴしっと構築をするとか、こういう見直しがある程度必要になってきたのではないか、私はこう思うのですけれども、この点はいかがですか。
  32. 福川伸次

    ○福川政府委員 岡田委員も御指摘のように、ジェトロにつきましては当初輸出振興ということに重点を置いた運営をいたしてまいったわけでございますが、最近の国際諸情勢を見まして、現在でも輸入の促進ということにウエートを置いておりまして、輸出部門につきましては特に中小企業に限りまして、その予算におきましても七、八%というウエートに下げておりまして、輸入の促進に努力をいたしております。さらにまた、即世界経済の活性化が求められるという状況におきまして、産業技術協力を推進をしていくということにウエートを置いておりますし、さらに、御指摘の貿易摩擦ということの中に、いわゆるパーセプションギャップと指摘されますように、日本に対する国際的な理解を進める必要もあるということから、そういったPR事業ということにウエートを置いているわけでございます。そういうわけで、ジェトロ自身の機能というのも、時代の変遷とともにあるいは政策要請の変化とともに変わっていくことは当然でございまして、そういった意味で言えば輸入の促進、さらに産業技術協力の促進あるいはPR事業といったことにウエートを置いて、効率的な事業の展開を図ってまいりたいと考えております。
  33. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先般、永野経済訪ソ使節団がモスクワを訪れたわけでありますが、私も予算委員会でこの訪ソ団について総理見解をただしたわけです。総理としては、非常に結構なことだ、私自身としては、永野訪ソ団がソ連側と接触をしたその状況というものにきわめて注目をしている、こういう発言予算委員会でなされておるわけであります。その後外務省から、加藤局長の方からこの訪ソに対する注文がつけられて、人数を減らしなさいとか時期が尚早ではないかとかいろいろ経過があったようであります。しかし、結果的にこの使節団は訪ソをして帰国されたわけでありますが、この永野訪ソ使節団について通産省としてはどういう評価を与えられておりますか。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 まだ評価は結論的には出せないと思うのですが、出発前それから帰られてから、永野さん初め顧問、副団長、全員で大臣室に来られましてその御報告をいただきました。  その中で、これは私自身がなるほどと気がついたことが二つありまして、それは、ソ連において穀物収穫関係の日本の進んだ技術機械というものがあれば何とかそれの生産性を高めたい気持ちがあるんだな、しかし、それは実際にはあの広大な農地ですから、アメリカの方がぴったりする機械を持っておるわけですね、そういうことを伺いました。  それからもう一つは品物についてですが、私の不勉強のせいもあって、ソ連がいま技術を新しく欲しているという問題の中に、実は時計と自動車というものを、その報告によって私はすぐぴんと感じ取ることができたのですが、自動車については、昔やりましたイタリアのフィアットとの提携で今日まで来ているソ連としては、フィアット社自体の国際的な地位から考えて、もはやソ連でも自動車の生産にフィアット技術だけでは満足できなくなっているな。これは、だからわが国に教えてくれというのか、企業に出てくれというのか、それはわかりません。  それから、思いもよらなかったことですが、時計というものに対して、要するに正確な時を知らせる時計が欲しい。ということは、いまソ連の時計はどういうことになっているのかよくわかりませんが、とにかく三日もてばいい方だという話も聞かぬでもありませんし、なるほどそうなると、日本の時計技術はもうソ連の民衆の腕にまで達する。正確なのが時計だと日本人は信じて思い込んでいるわけです。紀元二〇〇〇年まで、うるう年まで組み込まれているような時計は、はめるのは私も抵抗感がありますけれども、そこまでいっている日本の時計の技術がソ連の国民、民衆に貢献するものになるのならば、あるいは日本が貢献できる分野になるのじゃないかなという程度の、報告と雑談でございましたが、感触を受けました。  やはり行ってみなければわからないものだなということで、その意味では永野さんが第二パナマ運河もさることながら、その前にソ連に行ってこられた、しかもあのメンバーと数は大変なものでありますから、この効果はある意味における日ソ民間の友好親善、そしてソ連の方の民衆の生活の向上に役立つものがひょっとしたら生まれるのじゃなかろうかという気がいたしましたが、いまその程度の観測しかできない状態です。
  35. 岡田利春

    岡田(利)分科員 最近のヨーロッパ、ECにおける、特にきょう西ドイツの選挙の結果も発表になりましたけれども、西独、フランスの対ソ経済協力の動向について、政府はどのように把握をされますか。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 政治的な問題だと私は判断いたしておりますが、さっきもちょっと触れましたように、地続きの国の間は、思想が異なっていようとも、信条が異なっていようとも、あるいはそれゆえにこそ、NATO、ワルシャワ条約軍とかそういうもので分かれていようとも、これは東西ドイツの例をとるまでもなく、地続きという条件は日本では実は想像できないものを国策としてもとらざるを得ない。たとえばフランスは、アメリカが反対しているのにその反対を押し切ってソ連の方に穀物を輸出したり、アメリカは自分が売っているくせに反対もおかしいですが。かと思えば、NATO軍の中でフランスだけが独特の虫のいいスタンスをとろうとしたり、大変おつらいことだろうなという気持ちでいますし、また、ドイツの国民が苦悩の末選択した選挙結果であるにしても、いずれの側に立ってもまず東と西という前に東独、西独と、同じ民族が分断されて壁がつくられているという状態がいつまでも続いていいという気持ちを持っている人はいないと思うのですね。そうすると、それらの国が独自にあるいはグループでとる行動においても、いろいろなその国の特色ある発言が出てきて、まとまったものしかできないということでありましょうが、日本の場合は幸いにして単一領土、単一言語、文化というものでやっているわけでありますから、そういう意味では日本の場合とヨーロッパとは、私たちが見るときもその行為のみを見ないで、その行為の背景にはどういうことがあってそういうことが生まれてきたのだろうかという想像といいますか理解といいますか、そういうものを持ちながら見ていかなければならない、基本的にはそのように考えます。  具体的な問題は事務局から答弁します。
  37. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 ただいまの御質問の西側諸国とソビエトとの経済交流の問題でございますけれども、基本的に申しますと、西ドイツあるいはフランスなどの西欧諸国からのソ連に対します貿易関係につきましては、機械あるいはプラント類を輸出するという関係になっておりまして、その見返りといたしまして、西欧諸国はソ連からはエネルギー等の原燃料を輸入するという構造になっております。そういう意味では、いわば相互補完的な関係になっているわけでございまして、その一例といたしましてヤンブルグの天然ガスプロジェクトというようなものもあるわけでございます。  ただ、昨年のベルサイユ・サミットにおきましても、対ソ関係につきまして、西側としては、政治上及び安全保障上の利益と合致した形でソ連及び東欧に対して経済面において慎重かつ多様なアプローチを追求するという合意ができておりまして、そのような合意のもとで対ソ貿易が進められているということでございます。貿易関係も近年は逐年増加しておりましたけれども、この一両年、八一年、八二年というようなときを見ますと、やや停滞ぎみにあるという関係になっております。
  38. 岡田利春

    岡田(利)分科員 いずれにしても、対ソ貿易あるいはまた経済交流、技術協定、こういう面ではそれぞれアメリカとスタンスの違いがあるという点だけは言えるのではないか。その背景はいま通産大臣からも説明がありましたけれども、この点に注目しておく必要があるだろう、私はこう思うのです。  そこで、きのうも問題はなりましたけれども、現在ココムのリストレビューが行われておるはずであります。この内容は発表しないものであると再三再四言われておるわけでありますが、問題は、今日的国際情勢の中でこれをさらに強化をしていくという方向日本はこのココムリストレビュー交渉に臨んでいるのか、それとも、時代に適応するという面で、ある程度修正する面は修正するというような姿勢で臨んでいるのか、ココムのリストレビューに臨んでいるわが国の姿勢について、この機会に承っておきたいと思うのです。
  39. 福川伸次

    ○福川政府委員 ココムに関しましては、自由主義諸国の一員といたしまして国際協調を図るという立場からココムに参加をいたしているわけでございまして、そういった観点では自由主義圏との協調ということが一つの姿勢の柱でございます。しかし、また一方、ココムによります規制がわが国の共産圏貿易の円滑な発展を不必要に妨げることがあってはならないわけでございます。したがいまして、わが国といたしましては、ココムのリストレビューにおきましては、それぞれの技術の進歩などの諸情勢の進展に応じて適応していくことが必要でございまして、最近ココム強化の動きもございますけれども、真に規制の必要性があるかないか、これを十分検討の上、必要のあるものを対象とし、一方、技術の陳腐化等、規制の必要のなくなったものは対象から外す、こういう考え方で加盟各国と密接に協議をして対処をしてまいる方針でございます。
  40. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先ほど指摘をしましたように、今度はロボットとかあるいはコンピューター、こういうものが対象になっておるやにわれわれは情報を聞いておるわけでありますけれども、これらはもうすでにモスクワで堂々と見本市が開催をされておる内容なわけですね。  それはさておいて、当面わが国はアメリカ、西欧諸国とともに対ソ経済措置を続けておるわけでありますけれども、対ソ経済措置の内容、基準、方針、どうもこれらが不鮮明である、私はこう思うのであります。したがって、今日的情勢をどう見るかという問題もございますけれども、たとえば対ソ経済措置を解除する前提になる条件は、わが国としては一体何と何を挙げているのか。同時にまた、もし今日的に対ソ経済措置について一定の基本方針や基準があるとすれば、この点、きょう承りたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  41. 福川伸次

    ○福川政府委員 対ソ経済措置、特にいま御指摘の先端的な技術分野、この点に関しましては、私どもとしては、先ほど申しましたように、いろいろな情勢、たとえて言えば、技術の陳腐化の程度でありますとかあるいはソ連側の技術の進歩とかいった諸情勢を勘案いたしまして、そういった本来のココムとしての規制の趣旨、いわゆる共産圏の防衛能力あるいはその基盤を強めるということの比較考量の上に立ちまして、対応いたしてまいっているわけでございます。私どもとしては、たとえば技術の陳腐化が進んだものあるいはソ連関係で十分それの能力があったものといった、規制の必要でなくなったものはこれを削除する、こういう方針で自由主義圏との協調に臨んでいる次第でございます。
  42. 岡田利春

    岡田(利)分科員 伊東外務大臣時代に、予算委員会で、私の質問に対して、要はわが国としてはケース・バイ・ケースである、こう述べられているわけですね。ではケース・バイ・ケースの中身は一体何なのか、こう言った場合に、伊東外務大臣は、たとえばわが国は資源小国である、したがって、プロジェクトに協力をして資源が日本供給をされるという面については、これはわれわれとしても協力をしていく方針である、だがしかし、装置工業的な面については今日差し控えたい、ケース・バイ・ケースの内容について、伊東さんはそういう説明をしているわけですね。今日は、そういう意味では、この伊東さんの予算委員会における説明に対して、何か変更されたことがありますか。あるいはまた、つけ加えらるべきことがありますか。この点はいかがでしょうか。
  43. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 ケース・バイ・ケースで対応するというのは、これはあくまでもそのとき置かれた状況などを勘案しながら対応していくということでございまして、現在はアフガンの事態も、それからポーランドの情勢も、基本的にはまだ変わってないということで、基本的な情勢というのは伊東大臣が御答弁されたときと同じような状況にあるわけですけれども、具体的にどういうような措置をとっていくかということについては、現在も西側諸国の間でいろいろ相談をしながら対応していくという状況でございますので、そういう西側諸国の動きなども勘案しながら、それからポーランド情勢、アフガン情勢なども見ながら、今後とも適切に対応していくという方針で臨んでいきます。
  44. 岡田利春

    岡田(利)分科員 そうしますと、あなたがいま挙げられたのは、ポーランド情勢とアフガンの二つの問題ですね。たとえばいまアフガンの問題でも、水面下で政治的平和解決の方向というものを模索をされているという動きがあることは御承知のとおりだと思うのですね。したがって、わが国の自主的ないわば対ソ経済措置を解除する前提条件というものは、アフガンが政治的、平和的に解決されたという条件があった場合。ポーランドの問題はちょっとアフガンとは別な次元の問題だと思うのですね。やはり前提があって対ソ経済措置をしているわけでしょう。どうなったら対ソ経済制裁措置は解除されるのですか。何かそういうお考えがあるのでしょう。明確になりますか。
  45. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 これは、現在とられている対ソ経済措置というものがアフガン事件に端を発してとられておりますので、アフガンの事態が完全に正常に戻って、ソ連軍も全面的に撤退する。それから、その後ポーランド情勢に基づいて、ポーランドとの関係でも対ソ経済措置というものがとられておりますので、そのポーランドの情勢が完全に正常化するということになれば、現在とられている経済措置をとる根拠というものは全然なくなるということだと思います。
  46. 岡田利春

    岡田(利)分科員 まあ田中さんの答弁としてはそれ以上は無理でしょうから、聞いても時間が過ぎるだけだと私は思います。  しかし、日本とソ連の関係というのは、二億六千万の国民がいて、ウラル山脈を越えてかつては二千万、最近二千数百万人の人口しか住んでいないわけですね。あとの二億三千万強の人間は、いわゆるウラルの向こうのヨーロッパに住んでいるわけでしょう。ですから、軍事的に見ると、心臓部はウラルから向こうにあるわけですね。そういう日ソの関係になっている。  それから、経済的に見ると、かつて日本と豪州の関係は経済関係では階上階下の国であろう、こうわれわれは言うのでありますけれども、ソ連の、特にシベリアから極東に関しての資源を考える場合には、日本と相補う関係にある、こういうことははっきり言えるのだと思うのです。その点、アメリカとは違うのだと思うのです。  アメリカの戦略は、第二次世界大戦でも、本国が無傷だったのはアメリカだけですね。アッツはちょっと日本の国が行きましたけれども、まあ無傷だった。あとヨーロッパなり日本はそれぞれ戦火を浴びたわけです。そういう面で、日本国民の真の安全と平和を守るためにはどうするかというのは、わが日本の外交にもう少し自主的な面の展開がなければならぬのではないか。  こういうことを言って恐縮でありますけれども、最近の外務省の対ソ・シフトを僕なりに分析をすると、もう親米一辺倒というような、安保マフィアといいますか、そういう態勢でばあっと固められておるような感じを私は持っておるわけです。ずうっと言動とかいろんな行動を考えてみますと、そういう非常に厳しいシフトの状況にある。そのことで、どうもいろんな面でぎくしゃくしているのではないかなという感じがするんですね。だから、経済の問題は、政経分離とはいかないまでも、そのときの情勢に敏感に対応していく、こういうことを多くの国民が、やはり節度ある貿易を進めていくという点では望んでおるのではないかなと、私は私なりの見解を持っておりますので質問をいたしたわけです。  そこで、対ソの関係において、ではココムリストに含まれていない先端技術については、別にわが国としてはこの協力についても問題がないと言い切れるかどうか。ココムリスト・プラス先端技術という何らかのリストで、ココムリスト以外に、わが国の先端技術のリストというものが上乗せされておるのか。この点いかがですか。
  47. 福川伸次

    ○福川政府委員 私どもといたしましては、輸出貿易管理令、外国為替管理令、これに基づきまして規制いたしておりますものを公表をいたしておりますが、その範囲のものについて規制をいたしておるわけでございまして、それ以上のものは規制の対象にはいたしてございません。
  48. 岡田利春

    岡田(利)分科員 では、過去五年間、一九七八年から八二年で結構であります、対ソ信用供与の件数と額の実績はどうなっているのか。同時にまた、今日申請されている件数とこの希望額はどういう状況にあるか。特にバンクローンとサプライヤーズクレジットに分けて、この機会に御説明願いたいと思います。
  49. 中村昭一

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の数字につきまして、昭和五十三年度から五十七年度、ただし五十七年度につきましては二月末日までの数字を集計いたしましたところ、件数といたしましては、サプライヤーズクレジットで合計五十七件、それからバンクローン等直接借款につきましては十二件、合わせて六十九件を日本輸出入銀行が融資承諾しております。それから、この金額の総計は四千三百四十六億円でございます。
  50. 岡田利春

    岡田(利)分科員 申請実績はどうですか。
  51. 中村昭一

    ○中村説明員 今後の申請の実績につきましては、これはちょっと具体的な数字をつかんでおりませんので、大変恐縮なんでございますけれども日本輸出入銀行が融資承諾をした数字で傾向をおつかみ願いたいと存じます。  なお、この五年間につきまして、傾向としましては大体横ばい。昭和五十六年度に件数、金額とも非常に大きくなっておりますが、傾向としてはほぼ似たような額が承諾されております。
  52. 岡田利春

    岡田(利)分科員 一九七六年五月の輸銀法の改正の際に、これは衆議院、参議院とも附帯決議がつけられておるわけです。その附帯決議の中で、特に中小プラントの輸出の促進を図る、いわば中小企業のプラント輸出を積極化しようじゃないかという意味の附帯決議が付されているわけです。いわばミニプロジェクトに対する輸銀の適用を図ろうではないか、こうなっておることは御承知かと思います。  したがって、この五年間の、資本金一億円以下の中小企業のプラント輸出の実績についてはどういうことになっているのか、その中でまた対ソについてはどういう実績になっているのか、この機会に承りたいと思います。
  53. 中村昭一

    ○中村説明員 昭和五十三年度から五十七年度の同時期までの、資本金一億円以下の中小企業の、輸出入銀行の融資承諾実績は、件数として百十一件、承諾額として八百六十六億円でございます。それから、同じベースでの中小企業の対ソ連融資承諾状況は、総計五件、承諾額で八十六億円でございます。
  54. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、せっかくこういう附帯決議がつけられても、どうも中小プロジェクトについての輸銀の適用というものははかばかしくない、こう思うのですね。中小企業の分野でももう少し積極的に取り上げてやる、そしてむしろ中小企業のそういうものを育成してやる、育成するという思想がないと、私はなかなかふえないと思うのですね。この点についてはさらに検討もしてもらわなければなりませんけれども、姿勢としてどういう姿勢で臨んでおられるのか、承っておきたいと思います。
  55. 中村昭一

    ○中村説明員 ただいま先生御指摘の点につきましては、輸銀法改正のときにかかる附帯決議がなされていることを、日本輸出入銀行としては十分勘案し、また大蔵省としてもそれを念頭に置いて指導しておるところでございます。ただいま申し上げましたとおり、件数ベースで申しますと、資本金一億円以下の企業で、取引先件数としては一三%、それから取引件数としては三%のものを日本の中小企業からの輸出承諾に充てております。また、一億円超十億円以下まで加えますと、その数字はそれぞれ二九%、六%と増加いたします。  それから、これに直接こたえた形でございますけれども、実は日本輸出入銀行では、最近相手国の中小企業向けのバンクローンというものを創設いたしまして、これによって相手国側の中小規模工業の育成を図ろうと考えております。本件は、翻って日本の方に当てはめましても、中小規模工業の、それらの国向けの輸出に貢献する、そういう施策であると私どもは信じて指導しております。
  56. 岡田利春

    岡田(利)分科員 通産省としては、これはこれから非常に重要な問題だと思うのですね。わが国の中小企業の近代化、あるいはまた技術的にも、相当先端技術で進んでいるところもあるわけであります。しかし、何といっても競合する大企業の方が優先をする、あるいはまた力がある。ですから、今日、中小企業育成していくという観点に立って、通産省としてはこの問題についてどういう姿勢で臨まれておるのか、承っておきたいと思います。
  57. 福川伸次

    ○福川政府委員 プラント輸出の重要性、これは大変国内経済にも波及の程度が高い分野でございます。特にまた中小企業輸出の促進というような観点からも重要な分野であろうと私ども考えております。したがいまして、今後輸出入銀行の融資あるいはその他の中小企業関連諸施策の中で、この中小プラントの輸出ということにつきましては、政策的にも十分配意すべきものと考えております。
  58. 岡田利春

    岡田(利)分科員 ここで外務省に承っておきたいと思うのです。ソ連人がわが国に入国する場合にビザを発給するわけですが、これはどういうルートで審査をして、そして許可をするのか、発給されない場合には、ほかの国の場合と同じ理由による以外はないと断言できるのか、この点いかがでしょうか。
  59. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 ソ連人から査証の発給申請があったときには、これは法務省等の国内の関係各省庁と協議をした上で、最終的に政府としての方針決定して発給を決定いたします。この査証の発給は完全な国家の主権行為であって、そのときそのときの全般的なソ連との関係その他を考慮して、一件一件具体的に検討するということでありまして、すべてどこの国とも同一という形ではございません。
  60. 岡田利春

    岡田(利)分科員 たとえば外務省としては、以前に不法な行為があったという認識でビザの発給をしない。しかし、もし不法な行為があったとすれば、当然法務省でチェックされると思うんですね。したがって、法務省では入国許可をしないと思うんですね。法務省では何らクレームもつかないのに、外務省で入国ビザを抑えるということはあり得るのですか。
  61. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 外務省が最終的にはこの査証の窓口になっておりまして、法務省等と協議をいたしますが、最終的には外務省の決定の形で査証の発給をするかしないかを決めているという状況でございます。
  62. 岡田利春

    岡田(利)分科員 わが国からソ連に入国するためのビザの発給を求めた場合に、ソ連側が入国ビザの発給をしない、こういう例がありますか。
  63. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 ソ連側が発給しないというケースはもちろんございます。
  64. 岡田利春

    岡田(利)分科員 ソ連の通商代表部の買い付けミッションの場合、ビザの期間というのは従来一年だったわけです。今度はこれを半年に短縮したのは、一体どういう理由なのでしょうか。
  65. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 買い付けミッションのビザの件につきましては、この前のポーランド事件の後、日本がとった一連の対ソ経済措置の中で、今後の情勢を見て判断するという決定を行っているわけです。そういうポーランド関連でとられた対ソ経済措置との関連で今回慎重に検討した結果、従来の一年を半年という形で許可するということに決めたわけでございます。
  66. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、最近の外務省の動きは私なりに分析をしているのですけれども、単純には受け取っていないんですね。一つは、中ソ関係の動きに外務省は非常に敏感に注目をしているし、対応している、こういうものがやはり節々に出てきていると思うんですね。たとえば中ソの関係がよくなるような分母というものは絶対に与えないという視点が、発表はされてないけれどもいろいろな面に出てくる。あるいはまた、いま日本とソ連、日本と中国の関係では、特に中国は一時日米安保条約については認めるという見解でしたね。これはまだ別に否定をしたわけじゃないですが、最近は非常に警戒の念を中国側も表明しておるわけですね。ソ連の方は、軍備増強についてすでに非常に敏感な反応をしているという面があるわけですから、少なくとも中国が日米安保条約について警戒の念を表明しても、ソ連と同じように反対だという方向には中国の関係は持っていかない。二つの視点が最近特に顕著につけ加えられている外務省の姿勢だなというのが、実は私の分析なわけであります。これは聞いても返答がないだろうと思いますけれども、そういう点が従来と違った面にあらわれているということを、私自身の判断としてきょうは申し上げておきたい、こう思うのです。  そこで、通産大臣に承りたいと思うのですが、私は予算委員会で、恐らく今度の五月のサミットの議題となるものは、一つには、南北関係を含め、そしてまた先進諸国家には三千万の失業者がおる、一体どう国際経済というのを閉塞性を脱して活性化していくか、その場合には協力による縮小均衡ではなくて、協力による拡大均衡の方向を当然サミットも模索するであろう、これが第一の議題になるのではないのか。第二の議題は、いまのフロート、為替の変動幅が非常に大き過ぎる、これでは国際経済が安定しませんから、一定の幅に変動制というものをはめるといいますか、そういうものを模索する、この二つが恐らく中心議題であろう、こう述べたのです。  ただしかし、その場合に、これからの国際経済を考える場合に、単に西側諸国だけではなくして、これからの米ソの戦域核兵器縮小とかあるいは米ソ首脳会談が実現できるかどうかとか、いろいろあるでしょうけれども、少なくとも中期的には、緩急の差はあっても、一つのデタントの方向というものは進んでいくのだと思うのです。そう考えていくと、真に国際経済を活性化する場合には、東西経済の交流の枠組みをどうするか、このことを全然度外視して国際経済の活性化ということにはならないと思うのですね。その面も一つの枠に組み込んで考える、こういう視点が当然必要になるし、これからのサミットの場合でも、これからのOECD関係の中でも、当然それらを含めて議論されると私は思うのであります。その点についての通産大臣見解を承っておきたいと思います。
  67. 山中貞則

    山中国務大臣 第一、第二の点等が触れられるか触れられないかはまだわからない。詰めの折衝はしていないと思うのですが、そういうことも考えられる。  ただ、その際に、ソ連をも含めた全地球的な立場でということでありますが、先進国の首脳会議、ところが対ソ軍事問題というようなものを中心議論する場合には、実は日本はお呼びではないのですね。サミットの加盟国の中で日本だけを除いた残りが集まる、別な意味の、NATOを中心としたサミットが毎年、これ見よがしに、われわれのひがみかもしれませんが行われている。日本はその会合にお呼びでないということは、日本は呼んでみてもしようがない、自分の国土、民族を守る、そのほかのことは平和国家として憲法を守っていきますということを繰り返す国を入れて議論をするのは、もうできないやつを入れたってしようがないじゃないかということで除外されているんだと私は思うのです。しかし、だからといって、除外されている理由がそうであるならば、そうである理由を根拠として、どうぞひとつ東西ということも考えてみたらどうだ、ソ連という大国を抜きにしてわれわれだけで、自由主義経済、共産主義経済の違いはあるにしても、議論してみてもむずかしいのではないかという提議を日本が行う資格がないとは私は思わないのです。そこらは、総理が行かれるわけですから、総理は中曽根総理でございますので、客観的に私はそういうふうに見ておりますが、日本もそういう積極的な姿勢というものはそろそろ持っていい時期であろう、そういうふうに考えます。
  68. 岡田利春

    岡田(利)分科員 通産大臣は機会があれば、あるいはまたそのときの情勢にもよるでしょうし、閣僚の一員でありますから、個人というわけにはまいらぬでしょうが、もしソ連側からそういうチャンスがあって招待されれば、ソ連を訪れる気持ちはありますか。
  69. 山中貞則

    山中国務大臣 ありません。
  70. 岡田利春

    岡田(利)分科員 あと時間がありませんから一、二点承っておきたいと思います。  きょう、OPECの総会が開かれるわけですが、先ほども大臣が言われているように、ほぼまあまあということでまとまるのではなかろうかという観測も非常に強まっているわけであります。しかし、今日のエネルギーの場合は、そう価格ばかりではないわけですね。すでに予測と実績に大きな差が生まれてきていることは、予算委員会でも指摘したとおりであります。したがって、価格の問題については当然その過程で加味をすればいい問題でありますから、やはり新経済五カ年計画の作業が進んでいる以上、これを早急に出さなければいかぬでしょう。そうすると、エネルギーの暫定見通しについても正式に見通しを見直すということに着手する、踏ん切りがやはり大事だと思うのですね。この点はいかがでしょうか。
  71. 山中貞則

    山中国務大臣 これは非常に短い視野で見る場合と、一体どれくらいの時間、年月で続くものであろうかというようなことも踏まえませんと、計画と現実とが完全に遊離したようなものでは意味をなしません。しかし、直すにしてももう少し模様を見ないと……。予算委員会でも、何年くらい続くと思うかという質問もありました。答えぬわけにはいかぬから二、三年という答えはしましたが、じゃどこに根拠があるかといったら、根拠はなしなんですね。今回幾らかは引き下げられるでしょう。それによって世界経済は活性化して、貿易量もふえて、やがてまた石油の需要もふえるということになって、再び産油国の立場からカルテルが組めるという時期が来たときに、また第三のショックなどということを受けてうろたえるようなことは今度はないように、慎重な見通しを立てながら対策を立てていく。  日本にとって、そういう民族性からいって、何だか苦手な作業のようですけれども、こういうことの作業をきちんとしておく能力を日本が持ちませんと、資源から、あるいは物を売る場合から受け身、受け身に立たされて、自由貿易主義と口では言いながら、各国同士の対話になったら、自動車は制限しろ、テレビは制限しろとか、そういう話ばかり。ですから、もう少し私たちも、日本が独自の経済外交路線をとるということで、その一環から計画の——確かに、現実と余りに遊離したらいけないという問題はありますが、これはひとつじっくり取り組んでいきたいと考えます。
  72. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、見直し作業の中でじっくり検討されることは非常に結構だ、こう思うわけですね。しかし、やはりわが国のエネルギー政策の基本的な方向というものは変わってないのだと思うのですよ。ただ、情勢が変化すれば、在来型のエネルギーとの最適なミックスを考えるとか、こういうことは当然生まれてくるでしょう。省エネルギーとか代替エネルギー石油から離陸するという方針があるから、逆現象で油の値段が下がるという現象も生まれたわけですね。あるいはまた、すでに世界の備蓄も大変な量になっている、備蓄の取り崩しができたからこういう現象が生まれているわけでしょう。そうすると、OECD関係の戦略としては、この戦略方針を変える必要はないのだと思うのです。  問題は、個々のエネルギーの予測と実績に差があるわけですね。あるいはまたエネルギーの弾性値についても、最近顕著にあらわれてきているわけですね。ですから、大臣が言われる、慎重に検討されることは結構だ。しかし、中間報告も必要なわけですよ。新経済エネルギー政策もやるわけでありますから、そういう意味で早急に見直しに着手する、こう言明されても差し支えないのじゃないか、こう思うのです。
  73. 山中貞則

    山中国務大臣 その意味なら、答えはそうですと申し上げていいのですが、基本的に私が、この線は守っていくと決めているものがあります。それは通産省としても国としてもですが、この機会に、省エネ、新エネ、代替エネ等の、石炭で苦しみ、石油で苦しんだ——この代替エネルギーに石炭が入っているわけですから、苦しんだ教訓を一挙に忘れるようなことがあってはならぬ。国家の政策としてはそれは堅持する。  ただ、心配されるのは民間の方で、民間はそろばんとの合理性がなければならぬものですから、それで意欲が下がったりなどしたり、あるいは長期的な期間を要するもの等にちゅうちょするようになったり、そういうことのないように、やはり政策的に誘導していかなければならない。こっちのところは決めておるわけです。ただ、入ってくる量とこれからの価格との問題なものですから、そこのところで慎重過ぎることは、それにこしたことはないと思っておりますが、私の性格上いつまでもぼんやり見ていて、計画はあれ何だい、そんなことにするつもりはありませんので、ここしばらく模様を見定めさせていただきたいという意味で、ちょっと慎重だということであります。
  74. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がありませんから、最後の一問御質問しますけれども予算委員会でも申し上げたように、大体石油が、四ドルになるかどうか、とにかく下がることは間違いがないわけですね。そうすると、四、六、二十四の一キロリッター二十四ドルですが、これに二億キロリッター掛ければ、それだけ外貨支出が減るということに簡単になるわけですね。その場合に当然、従価税である石油税はその分減るわけですね。予算は成立していないわけであります。もしここ近日中に決まれば、二カ月後から入ってくる油になるか、あるいは繰り上げて現時点になるか、これは産油国の決定でありますけれども、いずれにしても五十八年度はまるっきりといいますか、ほぼ近いだけの石油税の減少というものははっきりしたわけですね。そうしますと、いませっかく予算審議中でありますけれども、そういう場合に対応する基本的な考え方だけは明らかにしておかなければならないのではないかと思うのですね。この点はいかがでしょうか。
  75. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもう数字的に幾ら下がったら、従量税である関税は幾らの減収になるか、数量はずっと減ってきておりますが、値下がりになると最終的にふえる方向に行くかもしれませんですね。しかし、今度は石油税の方は従価税でいっておりますから、これは相当ふえてもらわぬとマイナスが立つ。そうすると計画が遂行できなくなる。したがって、歳入の面を手当てをするか、あるいは計画のうち、この部分は一年ぐらいおくれても問題はないというものを、特別会計の中でことし一年お休みということにするか、何らかの対応を迫られることは間違いありません。これもしかし、いまのところわからないということであります。
  76. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、沖縄返還のときに、特にエネルギー関係を担当して国会で審議をした経験があるわけです。先ほど上原君が電力問題を質問していますけれども、これはやはり相当時間がたっても結論が出ないわけですね。大臣は、知事並びに県会に意向を聞きたい、こう言っておるわけですが、やはり沖縄の実情、特に北海道電力で経験した経験から考えても、そう簡単な妙手はないと私は思うのです。  そうしますと、現在ある九電力体制といいますけれども、私は十電力体制、こう言うのですね。電発は卸売電力会社だと決めつけておりますけれども、その時代において任務が変わってきておるわけですね。沖縄は特にああいう離島なわけであります。九州も離島が多いわけです。そのコストというものは決してよくないわけであります。そして、いまの民間体制を維持していくとすれば、沖縄については全国平均ぐらいの電力供給するという立場に立てば、地元の意向もあるでしょうけれども電発の任務として、業務内容につけ加えてもいいのではないか。電力事業本部というものが一つあってもいいのではないか。そうすると問題は簡単に解決すると思うのですね。問題は九電力の合意なんです。そういう点、一貫して私は主張いたしておりますので、この点意見を申し上げておいて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  77. 今井勇

    今井主査 これにて岡田利春君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。
  78. 玉置一弥

    玉置分科員 毎年、予算委員会分科会におきまして、同じような質問をするわけでございますけれども、現在の、特に絹織物業界の状況につきまして、大変情勢が悪くなっているというところから、ぜひ大臣に情勢をよく御理解をいただいて、今後の対応について十分な御配慮をお願いしたい、こういうことで本日は質問をしていきたいと思います。  それで、絹織物、特に全国のシェアのうち五〇%が京都にございます。そのうち、丹後、西陣、二つの地域でほとんどを占めるというような状況でございます。消費の方は、昭和五十三年から見てまいりますと、現在の段階で、日本全国の平均でいきますと七二%ぐらいまで落ち込んできている。京都で見てまいりますと、五十四年を一〇〇にいたしますと、五十七年で八二%というふうに、大変な落ち込みを示しております。これは、一つは繊維全体が昭和四十七年から大変低迷をしてまいりまして、これが非常に長引いてきているということもございますし、また生活様式の変化が定着をして、それに合ったいわゆる商品企画というものができないということがあるかと思います。しかし、いずれにしても京都の中のいわゆる伝統ある地場産業として、いままで地方経済を支えてまいりましたこの産業が、大変な影響を受けているということには間違いがないわけでございまして、時期的に見ても、何らかの対策を打たないと産業基盤の存続が危うくなるのではないか、そういう危機感を持っておるわけでございます。そういう意味で、これからの対応について、より具体的な御答弁をお願いを申し上げていきたいと思います。  いま現在、中国、韓国と二国間貿易を政府間で協定をしてやっておりますけれども、そのほかに民間協約として台湾がございます。ほかにもいろいろな輸入先があるわけでございますけれども、私の考え方は、一つは、やはり自由貿易にのっとった上で日本の経済を維持していかなければいけない。これはほかの産業を踏まえて考えてみた場合に、やはり日本としては守っていかなければいけない姿勢ではないかというふうに考えるわけです。  そこで、従来必ず問題になりますのはいわゆる糸でございまして、絹糸につきましては現在一元化輸入ということで規制をされておりますけれども、これについて、十六日に養蚕農家の方の大会が開かれるというお話を聞いております。私としては、やはり養蚕農家も守っていかなければいけないし、その中で絹業のいわゆる織物の業界をいかに擁立していくかということがあるわけです。一元化輸入の問題につきまして、現在のままでいいのかどうか、その辺にも大変大きな問題があるかと思います。この辺について、通産省としてのお考えがございましたら、御答弁をお願いしたいと思います。
  79. 山中貞則

    山中国務大臣 この一元化は議員立法でやったわけですが、議員立法であっても、成立した以上は国の法律でありますから、私たち自体も問われているわけであります。しかも、実際にあった問題として、たとえば西陣のネクタイの織物の方々が、安く手に入る原料である糸が近くに見えているのに、一元化輸入という事業団の行為によってわれわれは損害を受けたということで、たしか一億八千万か二億一千万円か、国家を相手に賠償請求訴訟を起こされたという記憶を私は持っております。  そのことが示しておりますように、確かに、そういうネクタイの分野等では、安い原料が入れば売れ行きもよろしいのでしょうが、玉置さんもお触れになりましたように、国内の消費の減というのはどうにもならないですね。要するに、生活様式の変化ばかりでなくて、戦後世代も含めて、着物を必要とする世代、ゼネレーションが、私たちを含めた世代でさえだんだん——外で洋服、うちでゆかたとか着流しとか、二重生活ということをよく言われた世代で、もちろん昔は着物だけだった日本ですけれども、最近は、女性も含めて、着物をなかなか買わないですね。農林省の方が中心になって、日本製の絹洋服生地とかジーパンとか、いろいろなことを苦労してやっておるようでありますが、そっちの方の購買意欲がないところに——農林省の分野ですからこれ以上申しませんが、法律の基準価格とか糸価とかいうものがあっても、生産者も、その途中の製糸業者も、何ともいたし方がない状態。両すくみと申しますか、輸入の方は約束した数量も守らない、守れない状態。約束した数量は守りなさいよ、自粛したじゃないですかと言われて、交渉に当たる農林省は本当につらい、針のむしろを強いられているようであります。  このような、ある意味では八方手詰まり、行き先が詰まってしまった中でどういうふうにしてやるのかということは、いろいろな考え方があると思いますが、需要の再喚起ということが果たして可能なのか。結婚式でも、ほとんどいま——ここでほかの党の方と議論がされたのですが、貸し衣装の値段の問題は問題になるのですね。しかし、それを負担する親、花婿花嫁の方の議論が余り出てこないということは、必要なときには借りればいいじゃないかという考えの方が、若い人には定着してしまっているのじゃなかろうか。ですから、三回も四回もお色直しなんという歌舞伎役者みたいなことを、男まで何回かやるのが最近あるようですが、あれはどうも紋つきはかまも借り物だというのですね。  ちなみに、雑談ですが、うちの役所の中の者たちに、紋つきはかま一式持っているかと言うと、いやと言う者も大分いまして、通産省ぐらいは紋つきはかまを何とか買おうじゃないかと言うけれども大臣買ってくれるんですかというくらいのことを言われると、こっちもややたじろぐ。  そういう消費問題をどう打開したらいいだろうか。これは意識の変化であって、大変むずかしい問題だなと考えておりますが、法律をそのままにしておいて、二国間の協定も、国内の生産農家もそのままにしておいて、毎年何とか、去年は引き下げましたけれども、糊塗していこうとしても、たとえば商品市場では玉が動かないというところまで来ておるわけですから、これは官民挙げて何か知恵を出さなければいけない。農林省が主ですけれども通産省の方も御加勢申し上げるにやぶさかではございません。
  80. 玉置一弥

    玉置分科員 昨年、価格安定法の基準の改定がございまして、従来ですといわゆる下べそといいますか、基準価格を大幅に下回った場合には輸入生糸の放出をしないというのを、一応放出をする。基準が月二千俵ですか、年間二万四千俵ということでやられまして、当時は大変前向きで非常にプラスになったというふうに考えたわけでございますけれども、改定後の状況を見ておりますと、市況が一万五千数百円からいま一万四千二百七十円まで低下をしてきている。いままでは下がれば出ないということで大変な影響があったわけですけれども、逆にある程度微調整ですね。その辺から見て、価格はともかくとして、原価の方に大変大きく影響している。市況が悪くなるということは製品が売れないということですから、ただでさえも原価は圧迫される、そこに安い生糸が入らないということになってきますから、今度はそれにプラス圧迫要因ということになるわけです。  いままでは放出をされないということで、いままでよりは大分ましになったわけでございますけれども、そういうことから考えますと、放出の基準が、あるレベル以下になると二千を切る、千ということになります。上になりますと三千が限度であるというふうに振れているわけでございますけれども、いまの状況から考えますと、むしろ年間二万四千、月々二千俵というふうに固定をした方が、経営の方の安定から見ればよくなるのではないか。いままでの中の分析から見るとそういう感じを受けるわけでございますけれども、これについては大臣はいかがお考えになりますか。では、先に農水の方から聞きますか。
  81. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 お答えいたします。  先生御指摘の点は、いわゆる織物業者に対する実需者割り当ての問題かと思いますが、私どもも、相対的に価格が安い輸入生糸につきまして実需者の需要があるということは了解をいたしております。ただ、国内全体の生糸価格の安定を図ります上から、どういう運用をしたらいいかという問題があろうかと思います。昨年法律改正をしていただきまして、安定的に実需者割り当てを運用するという制度ができておりますので、私どもとしては極力その線に沿って安定的に運用していきたいというふうに考えております。  ただ、先生御指摘の点の、市況が非常に暴落をいたしまして、最低保証価格であります基準糸価を割りそうな事態になった場合については、ある程度量を縮減せざるを得ないというのが私ども立場でございます。
  82. 玉置一弥

    玉置分科員 全体の流通量から考えまして、二千を千にしても、市況に対する影響度はほとんどないと思うのです。そういう面から考えても効果がないのじゃないか。それよりもむしろ、もし効果がなければ、全体の規制枠としては一応二万四千ということで妥協いたしまして、二千にそろえたらどうかということを私は言いたいわけです。  それと、いままでは養蚕農家の保護ということで、農林省としてかなり強硬な姿勢で事業団と一体となった取り組みをやられてきたわけです。この間価格を調べてみますと、生糸の値段というのは、現在を見ますと一三五%、だから昭和四十五年から三五%しか上がってない、十年以上たって。そういうことが一つ言えるわけです。しかし、われわれとしては、絹織物業界の立場考えてみた場合に、価格、市況というものがありますけれども、養蚕農家に対するいろいろな合理化指導が本当にやられているかどうかというような心配もあるわけでございまして、その辺についていままでどういうことがやられてきたか、お伺いしたいと思います。
  83. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 私どもは農林水産省でございますので、養蚕農家の育成といいますか、養蚕農業の生産性の向上あるいはその振興ということに鋭意、意を用いているわけでございます。ただ、御案内のように生糸につきましては、養蚕業もあり、製糸もあり、あるいは絹業もあるわけでございまして、またその各段階における流通業も相当の範囲にわたっておるわけでございます。私どもとしましても、単に養蚕だけではなくて、全体の産業の発展に、どういうふうに調整をし、その施策を講じていくかというようなことに意を用いておるつもりでございます。  それから、お尋ねの養蚕につきましては、私どもは各種の生産性向上のための施策を講じておりまして、現在、養蚕農家も約十四万戸弱に減少いたしておりますが、各養蚕農家の桑園規模で言いますと相当な拡大をいたしております。またこの間、いわゆる三齢期に至るまでの幼齢飼育につきましては、人工飼料などによりまして共同飼育を行うとか、あるいは桑園につきまして密植栽培を行うほか、各種の生産性向上対策努力をいたしている次第でございます。  ただ、御案内のように、養蚕農業は比較的山間地におきます農業でございまして、立地条件が悪い中で養蚕農家も努力をいたしております。私どもとしては、国際的な問題もございますし、生産性の向上には極力努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  84. 玉置一弥

    玉置分科員 確かに、地域的に見てほかの産業に転用のきかない、そういうふうな地域が養蚕農家に非常に多いわけでございまして、それがあるから一概に輸入枠廃止ということを言わないわけで、一時は前の次官の矢野さんが言われたように、一年間休憩したらどうかというようなことがあるわけでございますけれども、実際そういうことをやりますと大変な問題が生じてくるわけで、その間をとって何とかしたい。私も、農業関係に非常に関連が深いものでございますから、余り農業に向かってこうやれ、ああやれという話はなかなかできないわけでございますけれども、いまの繊維業界の状況を見ていると、何とかしなければいけないということがあるわけです。  農水の方にいつも言っているのは、一元化輸入の規制の枠の問題と、事業団から放出される量の問題ということでございますけれども、どちらにしてもその二つは同じ枠での食い合いということになるわけでございまして、業界としてこれから基盤をさらに強固にしていくことは、業界独自の中の合理化はもちろんでございますけれども、いろいろなことをやっていかなければいけないと思うのです。この問題が生じましてから相当長く年数が経過いたしておりますけれども、いままで通産省として、こういう問題に対応するためにどういうことをされてきたのか、そして、かなり押し迫った時期に差しかかっておりますけれども、これからもっと効果のあることをやっていくには何を考えておられるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  85. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のとおり、国内の和装の需要というものが非常に減退をしておるということがございます。そして、一元輸入に伴う問題は先生御指摘のとおりでございますが、そういう中で、一つ前向きの施策といたしましては、やはり新しい需要をつくり出していくということがあるだろうと思います。消費者の方はいろいろな新しい素材の、新しい衣料というものを求めているという現実があるわけでございまして、絹需要を掘り起こしていこうというところに、前向きの施策としては、通産省としてもいろいろ意を用いておるところでございます。  従来からやっております施策について簡単に申し上げますと、たとえば繊維工業構造改善事業協会の中に絹振興基金というものを一億円ほど設けまして、その果実をもって国内の振興事業に応援をするということを蚕糸事業団とやっておるというようなこともございますし、産地中小企業対策臨時措置法に基づきまして、全国の絹産地二十三産地を指定いたしまして、活路開拓調査指導事業という大変むずかしい名前でございますが、将来へのビジョンの作成というものに補助をいたす。さらに新商品開発能力育成あるいは需要開拓事業という名のもとに先進国市場の調査をし、展示会、求評会等を行う。こういった事業が現在それぞれ着々と進んでおるわけでございまして、今後も、そういう努力の中でつくられた新しい商品の普及事業というものに展開をしていきたいということが考えられております。  また、絹の新製品の開発試作事業というようなこともやってみようということで、一件五十万円程度の開発費補助でございますが、約三十件の総額千五、六百万円の規模の補助金を交付いたしまして、新しい織物をつくり出す。特に洋装用でございますが、新しい織物を開発することに応援をするということもやっております。また、国内で、シルク・ストッフ展というようなことでそういう新しい織物を展示し、需要を喚起する。さらに国外にも目を向けまして、ニューヨークで日本の絹織物の展示会というものを、ジェトロの方からお金を出しまして、すでに五十七年の五月に開催しておりますが、これは大変評判が高かったということで、五十八年度におきましても、九月ごろをめどに第二回の絹織物展を開催してほしいということで、現在準備が進められておるというようなことでございます。  なかなかむずかしい状況ではございますけれども消費者はいろいろ新しい、よい素材、よい衣服というものに対しては非常に関心を持っておりますので、そういった絹という素材を従来の和装からむしろ洋装の分野にも広げられるように、絹の特質を生かしたものを提供していくというような努力に、ただいま申し上げたような予算措置を講じまして、需要振興に努めてきておるところでございまして、今後とも、いま申し上げたようなそれぞれの催し物がさらに充実いたしますように応援をしていきたいと考えております。
  86. 玉置一弥

    玉置分科員 予算的には大変少ないような感じがするのです。  いままでの産地といいますと、特に意匠から加工までをやっておられるところもあるわけですけれども、どちらかというと最近は加工屋さんに成り下がってきているというような感じがします。付加価値の高いところが東京なり大阪なり大都市にだんだん集中している。そこががんばってくれないと、なかなか地元産業が栄えないというような形になってきております。だから、われわれとしても付加価値のあるもの、いわゆるデザイン、意匠、その辺からやはり地元に持ち込んでいかなければいけないという話をしているわけです。先日も、西陣の方をずっとうろうろしまして、ネクタイなんかを見せていただいていますと、なるほどこれじゃいま売れないなというのも実際あるわけですね。それだけに、やはり時代に合ったニードというのがなかなか地元ではつかめないということもあるので、その辺についての御指導もお願いを申し上げたいと思うわけです。  それと、いま余った機械といいますか織機、いわゆる機屋さんの機の買い上げということをまたしばらくやってもらえないかというような要望もかなり出ておりまして、従来から何回となくやられておるわけでございますけれども、これについてもしばらくもうちょっと規模を縮小しないと、稼働率等の問題があるので、その辺についても御協力をお願い申し上げたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  87. 黒田真

    黒田政府委員 ただいま御指摘の過剰織機の処理につきましては、先ほど来ございましたけれども、絹を取り巻く非常に厳しい事情のもとで、特別に第二回目の買い上げを実施するということを現在決めておりまして、約二万台の処理を目標に、現在着々とその具体的な取りまとめ事業が進行中であるというふうに聞いております。  それから、先ほどおっしゃられました、付加価値の高い部分というものを消費地で考えて、産地はその製造だけをするということでは、なかなか産地の振興に役立たないのじゃないかという点は御指摘のとおりでございまして、やはり産地側におかれましても、消費地側の需要というものを的確に把握していただいて、消費者の需要にこたえ得るようなものをつくり出す技術というものを持つことによって、加工あるいは最終段階で発生するであろう大きな付加価値というものの適正な配分にも参加していくことができるということで、基本的には先生御指摘のような方向で進むべきものというふうに私ども考えております。
  88. 玉置一弥

    玉置分科員 一番最初に申し上げた方向とちょっと変わるわけですけれども、現在輸入規制というか二国間の協定がやられております。やられているということは事実でございますから、一応是認する。一元化についても一応是認をしていくというふうに考えていきますと、輸入数量の規制がありながら中身が大きく変化をしてきているということです。当初は裏生地に使われる裏物が非常に多く入っておりました。裏生地の生産地に非常に大きな影響があったということですけれども、最近だんだん表の方に回ってまいりまして、値段も高くなってきている。  その一例を申し上げますと、たとえば五十六年、五十七年を比較いたしまして、韓国で見てまいりますと、いわゆるトータルの大きさというか面積で見ますと、五十七年は五十六年対比で九七・三%。ところが小幅紋織物というふうに製品を限定して見てまいりますと一三七・三%、いわゆる白生地、小幅の無地の織物で見てまいりますと一二四・八%というふうに、構成比率が非常に変わってきているということが実態として出てきております。重量でまいりますと一〇三・七%、重量で若干ふえてきておるということもあるわけです。  こういうようにいきますと、製品規制ということで一応やっておりますけれども、中身をある程度細分化して協定をしていかないと、それぞれの産地に集中して大きな影響が出てくるということが言えるかと思います。いま貿易の規制は時期としては非常にむずかしい状況でございますけれども、同じやるならば、そこまでやらなければいけないのじゃないか。やらないならやらないで一元化輸入も撤廃、こちらも撤廃、自由貿易でいくということにすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のような状況、すなわち面積というものを厳しく規制をするように輸出国と話をし、実際に減少をさせるというようなところまでいっておるわけですが、その中で輸出国側の対応といたしましては、それでは少し値段の張るもの、重いものという方に重点を移していこうかという傾向は確かにあらわれております。したがいまして、重量規制を採用してみたらどうだろうか、あるいは品種別にもう少し細分して徹底した規制というものができないだろうかという要望については私どもも産地側から聞いておるわけでございますが、それを具体的に実施するということになりますと、これは相手方もあることでございまして、なかなか容易ならざるむずかしい状況にあるということはどうも申し上げざるを得ないと思います。  一元輸入化という、織物業が非常な困難に直面しておるこの状況を相手国に説明をしながら、相手国の理解を得て現在規制を行っているわけでございまして、いま申し上げたような傾向が余り急激に起こってくるということは好ましくないわけでありますから、輸出国に対する要望としては、余り急激な形でそういう変更が起こらないということは私どもとしてもぜひ申し述べたいと思っていますが、かっちりした規制というようにすることはなかなかむずかしいのではないかと思います。
  90. 玉置一弥

    玉置分科員 時間が参りましたので、一言だけ農林省にお伺いしたいと思います。  数量も動かない、規制も動かないということを前提として考えますと、少しでも値段を安く放出をするというのがわれわれの希望でございまして、いま保税品で生糸が入っておりますけれども、その値段を調べますと七千円から七千五百円だという値段があるわけです。リヨンの取引価格の実態が一キロ当たり八千円から八千二百円というふうに値段がついております。ところが、いま輸入生糸の放出される値段が大体一万一千二百円から一万二千円ぐらいになっておりまして、非常に高くなっていますけれども、まずどうしてかというのと、それと市況とこれだけ離れてきていますから、その実態について、値段を引き下げる見通しがあるのかないのか。急に言って無理だと思うので、後で回答願いたいと思います。実態との差、それはいまお願いします。
  91. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 御指摘のように確かにリヨン相場は約七千円から八千円でございます。それから、現在日本が中国から入れておりますもの、これは為替相場の変動によりまして相当変動がありますけれども、約一万一千円、最近は円高でございますので一万一千円を割った場合もありますけれども、一万一千円から一万二千円でございます。  この原因いかんというお話でございますが、これは私どもとしては個別に毎回の価格に役所として介入しておるわけではございませんで、相手国と輸入商社あるいは絹業の団体との話し合いで大体決まっておるというふうに聞いております。先生御案内のように、中国は最大あるいはほぼ唯一と言っていい大手輸出国でございまして、相手の国によって値段を変えておるという問題もあるし、また国内の安定制度帯における価格との関連もあろうかと思います。私どもとしては、いわゆる実需者割り当てにつきまして、先ほど申し上げましたように、数量的には安定的な数量を入れる必要があるということでございますが、価格の点につきましてはそういう状況にあるということでございます。
  92. 玉置一弥

    玉置分科員 最後に一言だけ。値段の差が、輸入生糸の方も一万一千二百円から一万二千円くらいだ。片方では七千円から八千円というのがあるわけですから、どこでそんな差ができたのか。要するに当事者同士の力関係で決まるということであれば、その決めている方の能力がないということですから、かえてもらいたいというのもあるわけです。輸入業者がマージンを取っておるということであれば、大幅に取り過ぎだということもあるので、それを至急調べて御回答いただきますようにお願いを申し上げます。時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  93. 今井勇

    今井主査 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  94. 今井勇

    今井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。榊利夫君。
  95. 榊利夫

    ○榊分科員 早速ですが、通産省許可の冠婚葬祭互助会の問題で質問させていただきます。  この互助会の加入者は、全国で約七百万世帯と言われております。しかし、この互助会の営業のあり方に多くの問題があると私ども考えておるのでありますが、昨年この分科会でも取り上げさせていただきました。その後も各地の消費者センターに訴えなどが相次いでおりますし、それからトラブルも続発しているようであります。一種の社会問題化している。テレビなどでもしばしば取り上げるようになってまいりました。たとえば葬儀の際、積み立て分の数倍もの追加料金を取られた、あるいは解約要件が生活保護を受けることになったときなどの制約があるためになかなかやめられない。その際、掛金が一円も返還されない。そして逆に互助会の収益にされている。大蔵省の調査では、大体八十億から百億だという数字が出ておりますが、こういうふうに厳しく、言うなれば一種の悪徳商法になっている。こうした中で通産省の方も互助会の約款改定を指導されてまいりましたが、その改定案には御承知のようにいろいろな方面からの批判が相次ぎまして、結局、割賦販売審議会の約款問題分科会に持ち込まれたというふうに聞いております。  大臣にお伺いをいたしますけれども、この間、通産省がとった一連の措置の経過、これを簡潔に御説明願いたいと思います。
  96. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 冠婚葬祭互助会の約款問題につきましては、国民生活審議会から昭和五十六年十一月に問題点があるという指摘がございました。答申というかっこうで出ておりますけれども、それを受けまして、互助会の団体の方でどういうかっこうで取り組むのがいいのかということでいろいろ検討を重ねておりまして、昨年の秋には大体こういうことでどうであろうかという結論がほぼ出かかったわけでございます。その内容につきまして通産省の方に相談がございましたので、通産省におきましてもこの問題について幾つかの問題があるという認識をいたしまして、それについてはさらに通産省だけでなくて、いまお話がありました審議会で十分検討した方がいいだろうという結論を持ちましたので、割賦販売審議会に分科会をつくって現在検討を行っているところでございます。先月、第一回の会合を開いておりまして、六月の上旬ぐらいを目途に検討を続けているところでございます。  検討の内容は、御指摘のような解約問題、その他委員の間で適宜指摘があった問題を取り上げていこうというふうに考えております。  それから、現在若干の時間がかかると見込んでおりますのは、現在の互助会の全国の状況などにつきまして別途調査を行っておるために、その成果も御披露して結論を出していただこう、こういうふうに考えておりますので、できるだけ急いで結論を出そうとは思っておりますけれども、いまのところでは六月上旬ぐらいが目標というふうに考えております。
  97. 榊利夫

    ○榊分科員 ただいまお聞きしますと六月上旬がめどということでございますけれども、それは何らかの報告書か答申かまとめられるわけですね。
  98. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 諮問をいたして分科会に諮っておりますので、そこでいろいろなかっこうで指摘がなされると思います。その結論を受け入れるかっこうで業界の指導をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 榊利夫

    ○榊分科員 ここに冠婚葬祭互助会の悪徳商法を正す会という、これは会員さんの組織ですが、その調査を持ってきております。調査の範囲はまだ限られておりますけれども、九割九分、九九%の人が、加入も自由であるべきだし解約も自由であるべきだ、入るのも自由、出るのも自由、これがやはり筋ではないかと考えておられるのです。これは常識的だと思います。この約款問題分科会の審議には、そういう意味合いでは消費者保護及び冠婚葬祭業界の健全な発展という見地から、やはりそれにふさわしい代表、たとえば消費者代表であるとか会員の代表、葬儀店の代表、こういった方々の意見も広く反映させる必要があるのではないか、こう思うのですが、この点はいかがでございましょう。
  100. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御指摘のとおり、消費者の代表ということで全国消費者団体代表を三人予定しております。それから当事者である互助会の団体である互助協会の方からもいろいろ実態の説明ができるように三人を予定し、それ以外に中立的な学識経験者ということの観点から大学の教授二人に御参加をいただくということでやっております。
  101. 榊利夫

    ○榊分科員 互助協会の代表は三名参加される、大変多いと思うのです。ところが、当の会員さんはどうか、一人も代表がいない。あるいは同じ葬祭会の代表はどうか、一人もおられない。これは私、公正な構成ではないという批評が出るかと思います。もうすでに発足しているので、いまさらこれを改組しなさいと言うつもりはございませんけれども、やはりこのような形で広い方々の、いま申し上げたような方々を含めまして御意見を聞く、たとえば、ある場合には説明員という形でもいいでしょう。あるいは証人ということでもいいでしょう。いずれにしましても、実効ある形で御意見を聞く必要があるのじゃないかと思うのですが、この点は御異存ないでしょうね。
  102. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 いろいろなところから出る意見につきましては、当然学識経験者もそれについて配慮をいたしますでしょうし、それからまた、消費者団体の方も広く一般利用者からの声を十分体して議論がなされるというふうに期待しております。
  103. 榊利夫

    ○榊分科員 いや、あなたの答弁質問をずらしておられる。私が言うのは、そういう抽象的なことじゃなくて、たとえばいま申し上げました会員とかあるいは葬祭会の代表、この方々の御意見は聞きますかと言っているのです。聞くのが筋じゃないか。
  104. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 数が大変多うございますから、それらの意見を全部聞くというわけにもまいりませんでしょうけれども、そういった意向が実質的に反映されるのは当然であるというふうに考えております。
  105. 榊利夫

    ○榊分科員 どうも煮え切らないのですね。私なぜこんなに言うかといいますと、率直に申し上げまして、これまでの通産省のこの分野での指導というのは非常に偏っているのです。癒着関係ということがしばしば言われるくらい偏っておる。そういう点では実際にそのことで被害を受けていらっしゃる方があるのだから、その方々の説明を聞く、意見を聞く、これはあたりまえだと思うのです。学識経験者、一般消費者代表あるいは互助協会の代表者ということに限らないで、説明員その他の形で率直に御意見を政府が聞く、通産省が聞く、これが問題の公正解決の第一歩だと私は思うのです。むしろ皆さん方担当としてこれまでいろいろなひっかかりがあると思いますので、言いにくいとすれば、私は大臣からでもその点お伺いしたいと思うのです。いかがでございますか、大臣
  106. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御理解をいただきたいことでございますけれども、別に私どもの方はそういった声に耳をかさないというわけでは決してございませんで、そういった声を十分反映していきたいと考えております。ただ、そのやり方として、そういった具体的な被害を経験している方にその会合に出ていただくのがいいかどうか、これは会合の運営の問題でもございますから、委員長とよく相談をした上でそういったものの処理を図ってまいりたい。実際に分科会の運営につきましては委員長に裁量をお願いしておりますので、私どもにはそういった御要望のような声を実質的に反映するようにしたいという気持ちは当然持っておるわけでございますけれども、その具体的な、たとえば被害者に会合に出るようにしろというふうに仮に御要望がございましても、これは私いまこの段階でお約束するわけにはまいらない。しかし、実質的に批判の声というのはこの分科会に十分反映されなければならないと考えているということを申し上げておきたいと思います。
  107. 榊利夫

    ○榊分科員 それでは、いまおっしゃったような実効ある、実際に声を聞くという措置をとっていただきたいと思います。  次に、手数料問題ですが、この互助会の現行約款の場合、会員さんが互助会をやめられる、そういう場合に、集金費用が幾ら幾ら、募集手数料が幾ら幾ら、こういうかっこうで多額の手数料が払戻金の中から差し引かれるわけですね。たとえば月掛け三千円ずつ掛けてきた、二十回目で解約ということになると、そのとき、通産省の標準約款によりましても、集金費用だということで三千八百円は差し引いていいということになっているのです。それから募集手数料ということで七千八百円は差し引いていいとなっております。その他契約費用の二百円。したがいまして、仮にすでに六万円掛金をしていた、ところが解約をするということになりますと、いままで言ったようなものが差し引かれますので、実際に手元に残るのは四万八千二百円しか戻ってこない、こういうことになるのですね。この集金費用あるいは募集手数料と称する金は、それぞれどういう性格のものでしょうか。また、その計算根拠はどういうものなのか、お伺いします。
  108. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 実際にどのぐらい控除されているかということにつきましては、いまお示しの控除される金額については私ども正確に掌握いたしておりません。むしろそういった経費として各互助会でどのぐらい必要となっているか、実際の支出があるかということを目下調査をしているわけでございまして、先ほど割賦販売審議会の結論を出すのに若干の時間がかかる、目下調査しているからということを申し上げましたけれども、そういった実情について、現在各地の互助会に調査票を回してそれを調べているという段階でございます。ですから、いまお尋ねの金額の内容につきましては、私ども正確なところを掌握いたしておりません。
  109. 榊利夫

    ○榊分科員 実態調査と言われますけれども、私、いま現行のこういうことで進んでいるわけで、その計算の根拠をお示し願いたいということなんです。大変あいまいなんです。たとえば二千円コースで入ります。四回目で解約、そういうことになった場合に、募集手数料は五千二百円ということになっているのです。三千円のコースで同じく四回目で解約ということになった場合、七千八百円というふうに手数料が取られることになっています。そうしますと、一方は二千円、一方は三千円とコースが違うから、すなわち月掛け金が違う、月掛け金が違うから募集の手数料が違ってくるというのは、常識的には考えられないわけですよ。つまり手数料というのは、三千円コースであろうと二千円コースであろうとあるいは一万円コースであろうと同じです、訪ねていったりなんかするのは。そういう点では大変非常識だ。そういう点で、計算根拠をしっかりさせていただかないとやはり納得しがたいし、いま根拠を示すことはむずかしい、実情調査中だということでございますので、調査をしていただいて、計算をしていただいて、後で文書ででも御提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  110. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 調査をいたしますと、それは分科会、先ほどの割賦販売審議会の方に報告をいたしますので、そこで議論をいただいた後、当然文書に整理をいたしますから、その段階で御報告申し上げたいと思います。
  111. 榊利夫

    ○榊分科員 次に追加料金の問題ですが、先ほど申し上げましたように積立金の何倍もの追加料金を取られる。どうしてこういうふうになっているかということですけれども、その一因というのは、互助会の約款に明記されている役務内容、これが祭壇とか、ひつぎなど特定のものだけに限られているということが一つあるだろうと私は思うのです。ところが加入者の方は、葬式の一切を互助会に請け負ってもらっていると、こう考えていらっしゃるわけですね。そこに食い違いがある。実際は互助会の方は役務の一部しか前金として受け取ってません、あるいはインフレで経費がふえましたのでと、こういうことで、掛金の何倍もの追加料金を実際葬式やった場合には取る。結婚式やった場合には取る。こうなっているわけですね。特に葬式の場合なんか、本当にもう掛金に対する実際の追加料金というのは、場合によりましたら百万円単位で取られたなんという例もあるわけです。さあ骨箱代だ、さあ経机代だ、さあ蓮華代だ、火葬料だ、こういうふうにして、そういう点では最初の説明や入ったときの約束と違うわけですから、一種の詐欺商法的な形態をとるわけであります。  私は、この点では初めから互助会というのは葬儀の役務を一切提供しますということを明記すべきだし、もしそれができないとすれば、やらないとするならば、消費者がだまされないように、後で追加料金をいただきますよということをあらかじめ明記しておくべきだと思うのです。そうしなければこういう追加料金をめぐってのいろいろなトラブルというものはやまない、こういうように思うのですが、いかがでしょう。
  112. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御指摘のとおりの問題がございまして、当省としましては、去る五十五年にも業界の団体の方に、互助会の提供する役務表示の適正化のために十分その表現その他配慮をして周知徹底をするようにということを指示しております。現在におきましても考え方は基本的に変わっておりません。たとえば、例で申しますと、葬式の場合のお坊さんに対するお布施みたいな問題、これは時によって相場も変わってまいりますし、そういったものは当初から契約に入ってないのだそうでございますけれども、そういった問題について事前の説明が十分行われておりませんと、御指摘のようなだまされたという感じも出ることでございましょうから、そういう点につきましては今後とも周知を図ってまいりたいと考えております。
  113. 榊利夫

    ○榊分科員 いまお布施の話が出ましたけれども、どうも湿っぽい話になるのですが、この間私がお寺のお坊さんと会いまして、お布施の中からも互助会に天引きされるそうですねと聞きましたら、互助会のあれでお経上げに行くわけですね、その中から手数料引くというのですよ。話によりますと一割五分ぐらい取られるそうですねと言ったら、いや一割五分じゃありません、三割取られるのですよと。俗世間で薬九層倍なんとかと言いますけれども、お経料からさらにその手数料を取るなんてことは、ずいぶん世の中もけちくさくなったな、これじゃ安心してあの世へも行けないな、こういう気持ちを本当に持ったわけです。私は、この問題は本当に、聞けば聞くほど、考えれば考えるほど、全く常識外のことが横行しておる。  次の問題に移りますけれども、ひとつそういう実情だということを頭に置いていただきたいのです。大体人間は何回もお世話になるわけじゃないのですね。だから結局はおざなりになっちゃうのです。しかし大変広域的な、また全社会的なかかわりを持つ問題でございますので、そこはひとつ真剣なお答えをお願いしたいわけです。  次は名称問題でございますけれども、現在の互助会が、標準約款に示されている互助の精神で運営する、こういう互助の精神に基づいて本当に運営されているだろうか。私は、とうてい言えない。また、互助会という名称そのものも、たとえば財団法人の郵政互助会であるとかあるいは東京都職員互助組合とか、あるいは政府省庁でも互助会という名前をとった職員組織があります。これは半ば公のものです。恐らく皆さん方も何らかの形で加入されているのじゃないかと思うのですが、そういう公的な機関と非常に紛らわしいわけですね。互助会と言えばだれだって互助の精神で、と理解します。ところが実際はそうじゃない。りっぱな営利会社である。したがって、消費者が互助会を公的機関と思い違いする要因、これはやはり名称の問題が一番大きいのです。しかも、何々市、鹿児島市なら鹿児島市あるいは熊本県なら熊本県、東京都なら東京都、こういうのがしばしばつくわけです。そうしますと、これは東京都の組織か県の組織かというふうに誤解するのもやむを得ない。そして入ってしまう。そういう点では、互助会という名称は、不当表示を防止するという法的な観点からもやはり見直しをする必要があるのじゃないかと私は考えるのですが、いかがでございましょうか。
  114. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 先ほどお話に出ました国民生活審議会からの答申の中でもたしかそういった名称の問題を指摘しておりまして、これを受けまして通産省も、何々県互助会あるいは何々市互助会という名称については変更するように指導いたしましたので、昭和五十一年現在ではそういった県とか市とか名のっておったものが九十三ございましたけれども、現在はそれは一つもなくなっております。そういう意味で、県とか市とかそういう公的機関との混同の問題は一応解消したというふうに考えております。  ただ、互助会という名称まで変えろという御指摘でございますけれども、これは互助会というものが発生をいたしましたときの経緯から、昭和二十年代に始まっておりますけれども、そのころからそういった互助会という名称で一般的に事業を営んでおりまして、法律の対象にいたしました昭和四十七年の改正のときにも、営業そのものは許可事項といたしておりますけれども、名称については法律上特に禁止の措置をとっておりませんので、互助会というものの性格が明らかになるように十分指導をしながら運営していくということで対処したいと思っております。御存じのように、大変広範な人たちをメンバーと申しますか契約の相手方にしておりまして、それだけ大きな営業基盤というものを持っておりますので、消費者と申しますか利用者の方にも御理解をいただけるのではないかというふうに考えております。
  115. 榊利夫

    ○榊分科員 それは古くて新しい問題です。しかし、たとえば東京なら都というのは除かれても、東京というのは依然として残っているというわけですし、それから、互助会という名前そのものが非常に多くの思い違い、不幸を呼んでいるわけです。互助会社でもいいしあるいは葬儀会社でもいいわけですから、そのあたりはひとつ根本にまでさかのぼって御検討願いたい。  それから、この問題の最後ですが、掛け捨て救済の問題です。  互助会に加入していたけれども、いろいろな事情で役務提供を受ける必要がなくなった、解約を申し出た、なかなか認めてくれぬ、しびれを切らす、掛け捨てになる、そういう例が数限りなくあるわけです。きょう、ここにちょっと持ってまいりました。貯金通帳みたいになっていますけれども、これは大体四百二十九通ございます。その掛金の、いわば掛け捨てになっている金、これを合計しますと約七百万円でございます。これだけで七百万円の値打ちがあるのです。実際に金を払ったのです。払ったのだけれども、宙に浮いているのです。全国をとりますと、これが膨大な金額になるわけであります。大蔵省でも百億だと言っているわけでありますけれども、実際はもっと多いと思います。  こうした中断の掛金、これは本来会員に返却されるべきものでありますので、通産省としても、せめてきょうここに寄せられた人たちの解約手続について、後でまたお届けいたしますけれども、その点ひとつ実現に努力していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
  116. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 従来の互助会の運営の仕方というのは、途中で掛金の支払いを停止された場合にも権利義務関係というのは引き続いて残っておる、したがって、それから後、また利用するという御希望が出たときには、支払い足りない分を払ってもらえばいつでも引き続きサービスをいたしますということで処理をしてきておるようでございます。  ただ、御指摘のとおり、そうして預かった金の処理について、そのまま互助会に滞留をするというのは適切であるとは私どもも思っておりませんので、それをどういうかっこうで処理をしていくか、先ほどの分科会に十分御議論をお願いいたしまして、合理的な解決ができるようにいたしたいと思っております。
  117. 榊利夫

    ○榊分科員 時間がないのですが、権利は引き継いでといいますけれども、人間は一度しか死なないのです。掛け捨てになればそれっきりなんですよ。家族がその分を受け持たなくてはいけないのです。この点、この解約についてやはりきちりとした指導をしてもらいたいと思います。  大臣、いままでの論議を聞きながら、恐らく通産大臣としていろいろ所感があると思いますが、一言だけ、是正の方向について見解をお願いします。
  118. 山中貞則

    山中国務大臣 ネズミ講被害者の会とか、そういうのをときどき見るのですが、入るときにはきちんとした取り決めというものをよく読んで、そして、その条件なら加入する、その条件ならもう加入する必要はないとか、何かそういう入り口のところで、被害者の会とかなんとかができる前の整備をきちんとしておかないと、どうも欲と二人連れでうまくいかなかった人もあるでしょうし、うまくいった人は黙っているわけですね、この互助会ばかりではなくて。いろいろな知恵が世の中には出るものだと思いますが、その互助会という名称が紛らわしいといる点も、おっしゃるとおり私もそう思いますし、いま審議会にかけているのなら、私も、最終答申前か答申後でも、具体的にどういうところをやらなければいかぬのかというのが大体わかりますから、そこらのところで、約束違反だ、あるいは裏切られた、うそをつかれた、損をしたとか、そういうことにならないような形で契約ができるようなところが一番大切なことじゃないかな、そう思っております。
  119. 榊利夫

    ○榊分科員 大変申しわけありませんが、一つだけ残りましたので、質問させていただきます。工場アパートの問題なんです。  国と地方公共団体が融資をする工場共同利用事業、つまり通称工場アパート事業、これは発足後七年たちますけれども、利用県というのは十六都府県、全国の約三割足らず、こうなっています。山中大臣の鹿児島県は、利用率はゼロなんです。これは助成の割合も大変よくて、事業総額の九〇%まで認められるわけですね。業者の持ち出しは一〇%で済む。  それなのになぜ余り利用されないかといろいろ聞いてみますと、これは工場だけを対象にしておる、住宅つきの工場を対象にしないことに難点がある、こういうふうに業者の方々はおっしゃるのですね。したがって、実際は大体げた履きでやっているわけですが、住宅つきの工場アパート、これが融資の対象になれば、制度利用を希望する業者は非常に多い。東京の大田区が一昨年実施したアンケートでも、住宅つき工場アパートの希望者は六三%、こういうふうになっています。したがって、宝の持ちぐされにしないためにも、十坪から十五坪ぐらい、大変狭いわけですけれども、それぐらいの住宅つき工場アパートにも融資を認めるよう運用の改善を図ってもらいたいという切実な要望があるのです。この点についてひとつ前向きの検討をお願いしたい、こういうことです。
  120. 神谷和男

    ○神谷政府委員 工場共同利用事業その他の高度化事業は、御承知のように、通常であれば本来望ましい方向ではございますが、中小企業者がそのような形で組織化し高度化していくというのが非常にむずかしいようないろいろな環境にある、そこで、かなり思い切った優遇的な条件で資金を提供して、むしろ一定の政策目標に中小企業者を誘導していこう、こういう努力でございますので、金を出せばすっといくというわけにはいかぬので、われわれも、御指摘のようにできるだけこの利用を拡大していきたい、そのためのいろいろな指導等も行っていきたいと思っておりますし、条件についても、いろいろな御意見を伺いながら、改善できるものは逐次改善をしていく努力を惜しまないものでございます。  ただ、御指摘の住居につきましては、たとえば従業員の住居を工場アパートと一緒にする場合はどうかというような問題は別といたしまして、事業主の場合でございますとあくまで住居でございまして、これは一般の方々のバランスもございますので、やはり住宅公団あるいはその他住宅関連の機関の資金を御活用いただくということ以外、いわゆる中小企業高度化の政策目的の中にそれを盛り込んでいくというのは非常にむずかしいのではないかというふうに考えられております。大田区等でも、たとえば住宅関係の公的資金とこの高度化資金との結びつけによって、ひとつ実態的には御指摘のようなものをつくっていこうではないか、こういう努力も現実に行われていると伺っておりますが、基本的にはそういう方向をやはりわれわれとしても目指していき、いろいろその中で出てくる問題につきましてはさらに勉強をさせていただきたいと思います。
  121. 榊利夫

    ○榊分科員 時間が参りましたので一言だけです。  実態が裕福な企業だったら工場と住居は別はできるわけですけれども、中小企業の場合はそういかない。だから、一階に旋盤を置いて仕事をして二階に住む、こういうケースが御存じのように非常に多いわけですよ。しかも立地条件、これまでの長い間の信用その他を生かして、そして集積と共同化のメリットで受注増を図ろう、そこから出てくるのが、やはり住宅つきの工場アパートに活路を見出そうという、そういう非常に死活のかかった要望でございます。いま基本的にそういう方向を目指すということでございますので、ぜひひとつ実態に見合って大いに早急にこれが実現できるように、いま業者の中からも自主的にそういうのをつくりたいという準備会ができたり、いろいろな動きがあるようでございますけれども、それだけ切実だということを踏まえていただいて積極策をとっていただきたい。このことを要望いたしまして、もしできたら一言でいいですけれども、やります、努力します、そういう答弁をいただいて、私は終わりたいと思います。
  122. 神谷和男

    ○神谷政府委員 住宅関連の資金との有機的結びつけ等に関してはさらに勉強させていだたく、こういうことでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  123. 今井勇

    今井主査 これにて榊利夫君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  124. 草川昭三

    ○草川分科員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  きょうは私の方から、新聞販売店を取り巻くもろもろの問題についてぜひ大臣に聞いていただきたいわけでありますし、特にきょうは通産省所管の「ABCレポート」というのがありますので、それを取り巻く問題に触れていきたいというように思います。  私は、昨年の本委員会におきましても、新聞業における取引の実態は非常に問題が多い、特に販売店に従事する方々の労働条件、あるいはまた奨学金でたくさんの販売店の配達員を募集したりしておるわけでございますけれども、その奨学金も奨学金ではなくて単なる前借制度にすぎないのではないかというようなことも申し上げてきたわけでございますが、しかし、何せ四千七百万、五千万近い日刊新聞というのが実際私どもの日常生活の中に溶け込んでおるわけでございます。しかも日本の新聞というのは世界でもすぐれた情報機関だと私思っておりますけれども、一たん新聞社から発送されたその後の流通過程というものは、恐ろしくこれは前近代的というのでしょうか、後ほど質問いたしますけれども公正取引委員会もさじを投げたというような状況というのがあるわけであります。しかも、九一%が戸別に配達をされておるわけでありますが、押し紙、拡材、無代紙の提供あるいはまた悪名高き拡販団と称する別働隊の強引な勧誘というのは依然として後を絶っておりません。新聞というのはだれが何と言ったって新聞の紙面の優劣あるいは個性によって読者に購入をしてもらうという大原則があるのでありますけれども、紙面の優劣には全く関係がないわけであります。  それで公取も五十六年の二月に改善案を提示をして、一年三カ月の余裕を持って昨年の六月、業界みずからが正常化を約束をし、ことしの一月どの家庭にも配布をされております「新聞の正常販売にご理解を」というこういうチラシで、無料配布はしません、スポーツ紙の土曜、日曜のサービスはしません、定価の割引販売もしません、景品類の提供もしませんと配っておみえになるわけです。ところが、たまたまことしの二月の、もう名前を挙げたらびっくりするような優秀な新聞社ですけれども、それの請求書の中には、れっきとして拡張料の請求があったり、あるいは拡張奨励金、いわゆる景品代です、景品代の本社負担分を五万円なら五万円を持ちますよという請求書を私は持っておるのです。一月に出しておいて二月に相変わらず舌の根も乾かないうちにやるわけです。これがもうわれわれが日ごろ尊敬するいまの日本の新聞の一流の社説なり報道記事に裏打ちをされる現場の実態かと思うと、余りにも乖離がひど過ぎると思うのです。ひとつそういうことを主題にきょうは議論を進めさせていただきたいわけでございます。  問題点を販売店にしぼります。販売店というのは非常に御苦労な立場にあるわけでありますが、最近販売店の倒産あるいは夜逃げ、私の後援会にも実は夜逃げしたいのがいるのです。非常に苦しんでおるということでお店をやめた方もおりますが、なかなか倒産、夜逃げの数というのはつかみがたい点があると思います。たとえば本社が肩がわりをしてしまうということで数字にカウントされない例がございますが、ひとつ東京都内だけでもいいので、最近の販売店の現状について報告をしていただきたい、こう思います。
  125. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 新聞販売店の数でございますが、五十五年の商業統計で五十四年の六月一日現在で全国に一万八千六百ございます。これが御指摘のように廃業とか新規開業とかあるいは吸収合併とかいろいろ変化が激しいものですから、これについて十分ウォッチできる状況にございませんで、全国団体でございます日本新聞販売協会でも全国の状況については掌握できてないという状況でございます。  たまたま御指摘のように東京都の分につきましてはこの新聞販売協会で調べた数字がございまして、昭和五十年に新聞販売店が東京都二十三区内でございますけれども千三百六十七ございましたのが五十五年には千三百四十九になっておる。単純な計算をいたしますと十八店減ったということでございますが、この間における廃業というのが表に出ないかっこうでございまして、その数が四百二十九というふうに報告を受けております。
  126. 草川昭三

    ○草川分科員 五年間に四百二十九店舗が廃業になったというわけであります。それで、これもパーセントで言いますと約三割、三一%が廃業になっております。これは名前を挙げた方がいいのかどうかわかりませんけれども、たとえば朝日新聞のような新聞社でも廃業が五十一店舗で一四%であります。毎日新聞の場合でも百五十一店舗で五一%、読売新聞が七十四店舗で二〇%、日本経済新聞が三十店の廃業で二八%、サンケイが九十八店舗で五六%、東京が二十五店で三一%。こういうようにわずか五年の間に廃業があるわけですから、これは本来は中小企業対策としても重大な関心を持たなければいけないわけです。それは、日本の中にはもろもろの産業がございますが、営業をしてわずか五年の間に三割近くがやめなければいけないというのは、どこかに欠点があるわけです。景気、不景気という問題ではないわけですから。しかも、私がいま名前を挙げたのは全国紙で一流紙です。どの新聞を取り上げても非常にりっぱな新聞であります。だから、まずいわゆる商品という意味で言うならば、文句のつけようがないものを扱っておる。しかし、なぜ三割の店が五年間でつぶれなければいけないのか。これを少し解明していかなければいかぬと思うのです。  そして、これをいろいろと追求してまいりますと、昨年も取り上げたわけですけれども、販売部数ということにどうしてもノルマがかかるわけですから、耐え切れなくてやめるということになるのでしょう。  ABCレポートというのがあります。これは新聞社がいわゆる広告収入を上げる場合の一つのめどになるわけでございます。ちなみに、最近の数字は変わっておるかわかりませんが、新聞社の収入というのは広告収入が四六%、販売収入が四三%だ、こういうわけで、大変大きいわけですから、どうしても広告に依拠しなければなりませんが、それは販売部数に当然のことながら比例をするわけです。ですから、このレポートというのはどうしても水増しになるわけです。実質売れる以上の部数になる。その差額が販売店にいわゆる押し紙というのですか押しつけになる、これに耐え切れない、こういうことになるわけですね。  押し紙の実態でございますけれども、日販協では依然八・三%は押し紙の実態じゃないか、こう言われております。ちなみに四千七百万部に掛けると、全国で約四百万。これは相当なものになります。一部二千六百円ですから、二千六百円で計算したら、これだけの金額でも膨大なものになるわけであります。  もう一つ数字をどこで見るかというと、実は新聞の販売管理センターというのが——公取の方からもいろいろな話がありまして、親会社、いわゆる本社にもう今月はマイナス五百になりましたと言って押し紙を返そうと思っても、なかなか返せませんから、いわゆる販売管理センターというのをつくって、そこを通じて発行本社に来月はこれだけの数にしてくださいよ、こういうことを言う、そういう意味で販売管理センターというのができたわけでございます。  販売管理センターで発表する数字とそれからABCレポートが発表する数字とは、おのずから食い違うわけですね。これは一体どちらを信用したらいいのでしょうね。どうです、これは。
  127. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御指摘のとおり、販売管理センターで数字が掌握しやすいわけでございます。実際に販売店の方で数字をとるわけでございますから、数字としては販売管理センターでまとめた数字が実態に近い。新聞社が販売店に送付した、要するに販売店に対する原価請求の部数というのは、御指摘のように実数を上回るというふうに受けとっております。
  128. 草川昭三

    ○草川分科員 それで、いま押し紙の実態が余りにも多過ぎるので、それで販売管理センターというのをつくって正直な数字を出そうということになったわけでしょう。ところが、販売管理センター自身が数字を発表できないシステムになっているのですね。いわゆる三社立ち会いのもとでなければというのですが、その三社というのは朝日、毎日、読売の販売局長が立ち会わないと、自分たちで自主的に管理した数字が発表できないわけですよ。だから、これもわれわれにはわからない。これは僕たちにはわからなくてもいいのですけれども、たとえば広告主に対する欺瞞になるわけですよ。広告主にしてみれば一体どの数なんだろう、こういうわけです。  これは非常に問題があるのですけれども、昨年の十二月から始まりましてことしの一月、二月というところで、東京の管理センターで私どももいろいろと探してみたら、恐ろしいですね。たった二カ月で本当の正直な数字が出てきたのですね。たとえば読売は十二月から一月の間で東京都内だけでマイナス一万六千部というのが出てきたのです。あるいは朝日は一月から二月でマイナス七千二百部というのが出てきたわけです。毎日は同じ月で約二万部というのが出てきたわけです。サンケイはマイナス一万二千部というのが出てきたのです。東京もマイナス一万五千部。合わせただけでも、本当にちょっと調べただけでも東京都内で十万出るのです。この十万というのは、販売店がお金をもらえないのだけれども本社に納めておるわけです。これはどういうことですかね。それこそ通産省の問題だと思いますけれども、販売店の負担で親会社はのほほんとしておるわけです。たとえば十万部だけでも、二千六百円掛ける十万部で二億六千万です。東京都内の零細な新聞店がいままで二億六千万を抱え込んじゃっているわけです。いま申し上げたように全国で約八・三%で四百万部としたって、約百億でしょう。百億を超すわけです。百四億になるわけです。それがみごと新聞社の収入で入っちゃうのです、読んでない金が。これは近代国家として、文化国家として私は許されないことだと思うのです。大臣、途中ですが、ぜひ一遍答弁してください。これは幾ら言ってもあすの新聞には絶対載らぬことになっていますから、思う存分言ってくださいよ。
  129. 山中貞則

    山中国務大臣 なるほどね。そこのところにまた問題があるのじゃないでしょうかね。たとえば、いまのは別なチラシでしたが、普通の日刊紙に「購読者の皆様へ」という、これぐらいの大きさの「資材、人件費等の値上がりにより来月から値上げいたします」、それに対する抗議の投書も、新聞資本も入っていますからテレビでも、値上げには大体消費者の反対がつきまとうのですけれども、何にも表示する場所がない。そういうようなところから、いま幾ら言ったってあしたの新聞には出ないからとおっしゃったのでしょうが、そこらのところは、新聞の持つ公器性というものもあるわけで、事業税等は非課税にまでしてあるわけですから、一定のモラル、紙面創作の方のモラル、それから販売する収益の方のモラル、両方なければならぬと思います。  しかし、かく申す私も記者をしていたことがありますので、そこのところは結局広告収入といま言われた——そのからくりは後の方は実は私は知りませんでした。発行部数幾らだから横何センチ幅で広告料幾らというふうにずいぶん違います。だからそこらのところで、社の営業の方針としては計算のもとになる発行部数をなるべく多く確保したいし、あるいは見せかけるというのはおかしいでしょうが、いま言われたような押し紙ですか、そういうことが言われているとするならば、見せかけの発行部数による実際の広告の収入ということになるわけでしょうから、これは被害者は広告主、広告を出す人ということになるわけでしょうか。そこらのところで私としては、この仕組みの中に問題がありますならば、その仕組みはぜひ、公共の立場にある、ペンは武器よりも強しということで紙面をつくっておいて、裏ではあこぎな商法と言われないようにしてもらいたいものである、そういうふうに思います。
  130. 草川昭三

    ○草川分科員 いま犠牲は広告主というお話もありましたが、日本の省エネルギーからいっても販売店から——御存じのとおり包み紙になっていますわな。ひもでくくってあるものを、専門の残紙屋という商売があるわけですけれども、梱包のまま販売店からパルプ会社というのですか、製紙会社にそのまま戻るわけですよ。わが国の省資源からいっても残紙屋というようなものが存在をすること、あるいは関西では古販屋というんですね。いわゆる残紙屋のことですよ、回収業者ですね。スクラップというのは、使ってスクラップになるわけです。新聞も、読んで意味がなくなったからくず屋さんに渡すわけですが、読まないそのまま残紙屋なり故紙屋に、古販屋に回るということは、私は、これはいま申し上げたように非常に問題があると思っております。  そこで公取に今度はお伺いをいたしますが、公取が新聞販売の正常化について十三項目の要望書を出しております。これは、昨年業界自身が正常化を約束した以後七十二件に及ぶ警告があったということを前提に、非常に目に余るというので、ひとつ新聞協会の一組織になっている新聞公正取引協議会というものを協会外の独立機関にしたらどうだろうというようなことも言っておるわけでありますし、それから、守れない規約があるために違反があるのだから規約を破棄しろとまで言っておみえになるわけでありますし、いまのその協議会等につきましても構成メンバーの見直しを行って、新たに販売店の利益を適正に代表する者をメンバーに入れるというようなことを言っておりますけれども、その間の経過なり問題点、特に公取として問題だという点を指摘をしていただきたい、こう思います。
  131. 植木邦之

    ○植木説明員 昨年来先生に御心労をいろいろおかけしているわけでございますが、私どもも、五十六年二月からこの問題が非常に混乱してまいりましたので、口頭で新聞発行本社あるいは発行者で組織しております新聞公正取引協議委員会の代表を私どもの方にお呼びいたしまして、いろいろ申し入れをしていたわけでございます。それで昨年の七月から正常化ということになりましたわけですが、いま御指摘にありましたように、それ以後もいろいろ違反が出てくるということでございましたので、それでは、われわれがいろいろ申し上げておったことを文書にしてお示ししようということになりまして、そして昨年の十二月にいわゆる十三項目提案あるいは十四項目提案と言われますが、そういうことをいたしましたわけでございます。  その要点と申しますか、それは、先ほど先生がおっしゃいましたように、まず新聞の増減管理センター、これがうまくいっているかどうかということがありまして、この点はわれわれとしても今後少しフォローをさしていただきたいということが一点。それから、いろいろな違反が出てまいります。これが実際問題として新聞公正取引協議委員会の方、それの下部組織の方、こういうところで解決できないということでございますので、これをきちっと解決するような組織づくりをしてほしいという点、この点が中心になっているわけでございます。
  132. 草川昭三

    ○草川分科員 それで、公取協の方からも公取委の方に回答が来ておりますけれども、その回答の中で、たくさん十三項目ありますから問題点をしぼりまして、たとえば違反を処理することはひとつ協議会でもやりましょう、迅速に処理をするために各支部の協議会にも事務局を設置したいということを言っておりますけれども、その迅速に処理をするといっても、これはいままででも何回となくそういうことを言っておみえになるわけですよ。それで一体その苦情があったときに直ちに責任を持って親会社なら親会社がやるとか、あるいは支部協に店の代表を参加させるということを言っておりますけれども、なかなかこれは、第三者なら第三者にしてしまいませんと、いわゆる親会社というのですか発行本社の販売局長がおるわけです。これはもう生殺与奪の権利を持っているわけです。余り文句を言うなら君やめろ、けちをつけるなら幾らでもつけられるわけですから、ほかの店にかえさせるぞ、こういうことにもなっていくわけでありますから、これはまあ公取のいろんな指導の中からもずいぶん違反することにはなると思いますけれども、もう少しここらあたりを、第三者なら第三者をもう少し入れて、販売局長と店という感じではなくて、もう少し客観性を帯びた、あるいは公開というのですか、公の場で議論ができるようなものに立ち至ったらどうなんだろうか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  133. 植木邦之

    ○植木説明員 御指摘の点でございますが、確かに発行本社の力が強いということで、なかなか販売店の方がいろいろ意見を言えないということがあろうかと思います。私どもも聞いておりますわけでして、そういう場合には第三者ということになるわけでございますが、第三者の場合でも、現在私どもの持っております提案の、事務局をつくってほしい、そこできちんとした処理ができるような事務的な体制をまず整えてほしいというところにつきまして、私どもはできるだけ第三者にしてほしいというようなことを申し上げている次第でございます。  それから販売店の関係でございますが、これにつきましても、販売店がせっかく入られましても、同じようなことを言って、スピーカーがいままで一つだったのが二つになるというようなことは望ましくないわけでございますから、だから私どもとしてもあの提案に書きましたように、適正に代表するものを販売店の代表として入れるようにしてほしいということを申し上げている状況でございます。
  134. 草川昭三

    ○草川分科員 これは私どもも、相手が新聞社ですから新聞の中身がどうのこうの、報道の自由というのが原則としてありますから、そのことをとやかく言うつもりはない。ただ、その新聞社から出た先を、その流通を問題にしておるわけですよ。いま申し上げたように、東京都内だけでもわずか二カ月の間に、正直な数字を出せばマイナス十万というのが出ちゃったわけです。これは私は全国に広げていった方がいいと思うのです。ですから、従来通産省の所管であるところのABC協会、ABCレポートというもの、これを少し体制というのもある程度見直して、販売管理センターともう少し接近をするとか、それこそ全国にこれを広げて、結論的に申し上げますと販売店というものの経営を安定させる、そのことによって、そこで働く従業員の方々の労働条件というのも安定化させる、世間並みにするということが大切だと思うのですが、通産省、その点どういうようにお考えになられるでしょう。
  135. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御指摘のとおりでございまして、すでにABC協会では、センターでもって実体部数を掌握しているところにつきましてはABC協会のレポートに採用することにいたしております。今後さらに地区センターがふえてまいりますれば、御指摘の方向でさらに改善が図られるものと期待をいたしております。
  136. 草川昭三

    ○草川分科員 ぜひこの管理センターというものを、せっかくこういう組織ができたわけですからそれを大切にしてもらいたいと思うのです。  そこで私どももたまたま調べてみましたら、管理センターがあるから安心だと思うと、管理センターにマイナスの減紙を申請する前に親会社がやってきて、この程度にしてくれよと言って発行本社が販売店は圧力をかけるという例がすでに出ておるわけです。だから、ここまでいきますと、もう切りがないので私はあえて申し上げませんが、そういうこともあるということは承知をしていただきたいと思います。  さらに、地方の販売店なんかにいきますと、ローカル紙は非常に販売網が強いわけですから、シェアが強いわけですから、たとえば契約書も双方が話し合いで何部という部数を売ってもらいたいという契約になるのですが、どうしてもそれは親会社の押しつけの販売数になるというわけです。だから東京のような都内とまたローカルとは違うというような地方店主の訴えもあるわけでありますので、それは通産省と公取の委員にはくれぐれも御理解を願いたい、こう思います。  最後になりますけれども、労働省にお伺いをいたします。かねがね基準法上、この販売店の労働条件というのが問題になっておるわけでございますが、細かいことになりますけれども、女子の早朝の五時の就労を四時にしてもらいたいというような問題もございます。私どもは、これは安易に認めますと——確かにお母さん方は、早くやって早く御主人の朝飯をつくりたいとか、一時間ぐらい早く起きてもいいから四時に終了させてくださいという声もあることは私も承知しております。しかし、いまここでこれを認めると、かえって矛盾点が隠れてしまう、結局喜ぶのは発行本社だけだという立場を私はとっておるのですが、そのことも含めて、労働省の方からお伺いをして、私の質問を終わりたい、こう思います。
  137. 佐藤ギン子

    ○佐藤説明員 いまお尋ねの点は、労働基準法の女子保護規定に関することでございますが、現在、この問題に関連いたしまして、労働大臣諮問機関でございます婦人少年問題審議会におきまして、雇用における男女平等を確保する対策検討していただいております。この検討課題の重要な一つの問題となっておりますので、私どもといたしましては、この検討結果を待って対処していきたいというふうに考えております。
  138. 草川昭三

    ○草川分科員 いまいろいろとお話もございましたが、いま一番新聞販売店労働者にしわが寄っておる、そして販売店の経営者に大変な御苦労をかけて、世界に誇るべき日本の新聞というものが配達されておる。この問題の矛盾はいずれ解決をしませんと、近代国家として恥であることは間違いないわけですから、ぜひ関係方面の方々の御努力を求めて、終わりたい、こういうように思います。どうもありがとうございました。
  139. 今井勇

    今井主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、菅直人君。
  140. 菅直人

    ○菅分科員 きょうは、この分科会で、通産省、関連して文化庁に、コンピューターのソフトの問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、できれば大臣に、一般論ですけれども、この二月に通産省の機械情報産業局というところから出された「情報処理産業の現状」という中にも、かなりコンピューターのソフトウエアのことが出ていまして、年間のソフトの売り上げが五十六年で大体八千億、多分ことしあたりは一兆円を超えているのじゃないだろうかということが言われているわけです。また、この中には同じく、情報処理にかかる費用の中で、従来はいわゆるコンピューターの本体、ハードウエアの部分が八〇%ぐらいあったのが、最近では、情報処理の費用に占めるコストの割合で言うと、逆に九〇%以上がソフトウエアになっている。そういう意味では、これからますますコンピューターソフトという問題が、産業的にいっても大きな問題になろうかと思います。  わが国では、コンピューターソフトの問題に関して、保護のあり方、さらには流通のあり方などいろいろと問題が起きているわけですけれども、まず、このコンピューターソフトの重要性ということについて、一般的で結構ですが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  141. 山中貞則

    山中国務大臣 これから先の私たちの日常生活、社会構成あるいは産業の転換、こういうようなことで、ソフトウエア部門に対して、場合によっては法的な対策も必要ではないかという考えはございました。あるいはプライバシー論から発したものもあれば、あるいは著作権との関連で、何かゲーム機の端末の問題がちょっとあったようでございますが、ああいうことも契機となりましていろいろ相談いたしまして、どのようにこれに対処すべきか、問題点は何かということで、いま審議会で検討しろということで、たしかもう始めていると思います。  一般的に、複雑多岐にわたるこれからの私生活の面も含めて、われわれがいまだ未知の分野の世界に入っていく、その未知の分野で予知できる分野については、やはり近代産業の先端を行くにおくれをとらない措置というものは最低限何と何かということを見きわめて、それの検討に入らなければいけない時期に来た、このように思っております。
  142. 菅直人

    ○菅分科員 いまの通産省のお取り組みについてまでかなり教えていただいたわけですけれども、いまの大臣の話の中にも関連があると思いますが、日本では特にソフトウエアの流通という問題がまだまだ非常におくれをとっている。この問題、日本の独特の企業のあり方などにも原因があるのかもしれませんが、通産省としては、ソフトの流通がおくれている原因といいましょうか、またはその問題点というものをどんなふうにお考えになっていますか。
  143. 志賀学

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、確かに、これは何も日本だけに限ったことではなくて、アメリカ以外の先進国ほぼ同じような状態ではなかろうかと思っておりますけれども、流通という面からソフトウエアの問題を考えてみますと、必ずしも十分なことになっていないというふうに思っております。  日本の場合に、ソフトウエアの流通がなぜおくれているかということについて考えてみますと、一つは、ソフトウエアの内容として、汎用性のあるソフトウエア、しかも質のいいソフトウエアの開発が必ずしも十分いっていない、そういった点があるのではないか。で、さらにその背後をたどってみますと、ソフトウエア開発会社の企業力が弱いということもあると思います。さらに、今度は制度的に考えてみますと、流通を図っていく場合に、やはり権利保護がきちんとできておりませんと流通がどうしても進みにくい、こういうことがあろうかと思います。そういった、ただいま申し上げました幾つかの要因が絡み合いましてソフトウエアの流通が必ずしも十分な状態にない、こういうことが言えるのではないかと思っております。  それに対しまして通産省として、たとえば資金的な面について言えば、情報処理振興事業協会を通じまして、ソフトウエア会社に対する債務保証によって資金の供給の円滑化を図るとか、いろいろな対応をやっているわけでございます。
  144. 菅直人

    ○菅分科員 いま局長の言われた中で、流通のおくれの一つの原因として、企業力の問題、それから質のよい汎用性のあるものの開発がおくれているということ、そして権利保護という問題を指摘をされましたけれども、その権利保護の問題についていろいろと入っていきたいのですが、きょうはまず文化庁の方にこの問題で幾つかお聞きをして、またさらに通産省にも関連をして聞かしていただきたいと思います。  大変注目をされている判決が昨年の十二月六日に東京地裁で出されたわけです。先ほど大臣も触れておられましたけれども、タイトーというゲーム機のメーカーの、いわゆるインベーダーというゲームのプログラムをデッドコピーした会社があって、そこに対する民事訴訟であります。原告側の主張がほぼ認められたということで、いわゆる著作権法においてこのコンピュータープログラムを保護するというか、裁判の中でそういう著作権法に抵触するのだという形の地裁の判決が出たわけですが、まず文化庁に、この判決についての文化庁としての一般的な見方、見解をお尋ねしたいと思います。
  145. 吉田茂

    ○吉田説明員 御指摘のコンピューターソフトに係ります東京地裁判決でございますが、昨年十二月六日に出たものでございます。  ビデオゲームのプログラムにつきまして、著作権法上保護される著作物に当たるという判断が一つでございます。当該プログラムの無断複製を著作権侵害であるというふうに認めたわけでございます。  著作権審議会では、第二小委員会というところで、コンピューターをめぐる著作権問題につきまして、四十八年六月に報告書を出しておりますが、その中でコンピュータープログラムは著作物たり得るという考え方を示しておるわけでございます。本判決はこの第二小委員会の結論に沿ったものであるというふうに考えておるわけでございます。私どもといたしましては、この判決はコンピュータープログラムの著作物性を認めた最初の判決でございますし、コンピューターソフトウエアの法的保護という課題について、非常に意義のあるものであるというふうに考えております。
  146. 菅直人

    ○菅分科員 それに関して、いまの課長の話にも、文化庁の昭和四十八年の著作権審議会の第二小委員会の報告書のことが指摘をされておりましたけれども、この中に、確かに、プログラムというものは「「思想を創作的に表現したものであって、学術の範囲に属するもの」として著作物でありうる。」という見解が示されているわけです。  しかし、この議論については、かなり学界でもいろいろな議論がなされていると思いますけれども、もう一度文化庁にお尋ねしたいのです。これはちょっと条文の解釈になるかもしれませんけれども、著作物というのが「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義をされているわけです。  このコンピューターソフトの場合に、従来著作物として法律が予定していた、一番簡単なもので言えば本とか絵とか、そういう非常に人格的な要素を持ったものとはかなり性質を異にしている。あえてそれは学術的分野と言えば言えるのかもしれませんが、学術的分野ということをこの法律が想定したのは、たとえば本とか物理の何かの論文の本とか、そういうものは想定したのかもしれませんが、コンピュータープログラムそれ自体がこの法律の予定したものになじむかどうかという点については、私自身大変疑問な感じもするのですけれども、このあたりについてどんなふうに考えられているのか、お尋ねをしたいと思います。
  147. 吉田茂

    ○吉田説明員 御指摘の点でございますけれども、著作物概念というものは、やはり時代の進展に伴って、著作物の基本的な考え方に当てはまるものについては拡大する、増大していくということが基本的にあろうかと思うわけでございます。現在の著作権法が立法されたのは昭和四十五年でございますが、その時点でコンピューターソフトウエアというものは存在していたと思います。  この著作物の中にコンピューターソフトウエアが入るかどうかということにつきましては、その直後の四十七年から始まりました第二小委員会におきまして相当突っ込んだ議論がなされておるわけでございます。それによりますと、   プログラムは、人間の知情意に訴えてその精神活動に影響を与えることを本来の目的とする著作物の概念になじむものである。   プログラムの多くは、いくつかの命令の組み合わせ方にプログラムの作成者の学術的思想が表現され、かつ、その組み合わせ方およびその組み合わせの表現はプログラムの作成者によって個性的な相違があるので、プログラムは、法第二条第一項第一号にいう「思想を創作的に表現したものであって、学術の範囲に属するもの」として著作物でありうる。 というふうに報告しておるわけでございます。そういう意味におきまして、コンピューターソフトウエアないしプログラムというものは、その多くが著作物であり得るということが言えるのではないかと考えておるわけでございます。
  148. 菅直人

    ○菅分科員 文化庁のさきの第二小委員会の報告がまさにいまのおっしゃったところだと思いますけれども、御存じのように、これについては相当議論があるところで、私なりに考えてみても、たとえば著作権者の人格権なんかを考えていろいろと条文が著作権法はつくられているわけですけれども、たとえば同一性保持なんというのは、絵をかいた場合に、勝手にモナリザの絵にひげをつけて、それが自分の何とかだと言ってはいけないとか、そういうことで、そういう人格的な意味の保護ということまで言っているわけで、そういうことを考えますと、それが想定している著作物というのは、コンピューターソフトのような産業的につくられてくるものとは性質がかなり違うんじゃないかなという感じがするのです。  それはそれとして、ではもう一度文化庁の方にお尋ねをしたいのですが、今後のこういった問題についての検討はどういうふうに進められるつもりか、今後の問題を一言お尋ねをしておきたいと思います。
  149. 吉田茂

    ○吉田説明員 先ほどから話題になっております、昭和四十八年に出されました著作権審議会の第二小委員会の報告で、基本的にコンピューターソフトウエアというものは著作物性を有しているという報告があったわけでございます。  しかし、御指摘もございますように、コンピューターソフトウエアというのは、従来の著作物と異なる性格と申しますか特性もまた有しているということもございますので、文化庁といたしましては、著作権審議会に新たに第六小委員会という小委員会を設けまして、さきの第二小委員会における検討結果を踏まえ、その後におきますコンピューターソフトウエアの制作あるいは流通、利用、こういったものの実態が非常に変化しているということ、あるいは国際的な動向、こういうものを見きわめながら、コンピューターソフトウエアを著作権制度によって保護することとした場合の問題点につきまして、調査審議を開始したところでございます。二月に第一回目の第六小委員会を開催いたしまして、この審議の結果というものをひとつ大いに参考にしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  150. 菅直人

    ○菅分科員 そうした文化庁の検討と並行してといいましょうか、通産省がこれまでこのソフトウエアの保護に関してどういうことを検討され、また、今後どういうふうな方向考えられているか。特に通産省の場合は、いわゆる産業上の保護という産業上の観点というものが、その役目柄出てくるかと思うのですけれども、そういうことを含めて、現状をお尋ねしたいと思います。
  151. 志賀学

    ○志賀政府委員 いままで先生から文化庁の方に御質問がありましたことに対する私ども考え方を若干交えながら、お答えを申し上げたいと思います。  まず、東京地裁の例の判決でございますけれども、これにつきましては、私どもとしても、ソフトウエアの権利保護という観点から言えば一歩前進であるという評価はしております。  ただ、そこで東京地裁の判決でございますけれども、これを見ますと、コンピュータープログラムは作成者によって個性的な相違が生じるから、このプログラムというものは著作権法上保護される著作物である、こういう論理を立てているわけでございますけれども、ただ、ソフトウエアと申しますのは、先生よく御承知のように、コンピューターに対する指令、一つの結果をもたらすための指令の組み合わせでございます。言ってみますと、論理的な思考の産物であるというふうに言えようかと思います。  他方、著作権法上の著作物というのは、先ほど文化庁からもお答え申し上げましたように、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」こういうのが著作物ということになっておりまして、ソフトウエアの場合には、その学術というところで入ってくるというふうに理解をしておりますけれども、ただ、いずれにしても論理的思考の産物でございますから、作成者によって個性的な差異が生じるとしても、いわゆる文化的なものとかなり違うのではないか。  たとえば、ある結論を出す場合に、あるプログラムでは三つのプロセスを経て結論が出る。ところが、ほかのプログラムでは四つのプロセスを経て同じ結論が出る。確かに違うわけです。しかし、どっちがいいかと言えば、三つのプロセスを経て同じ結論が出る方が好ましいに違いないわけです。ただ、三つのプロセスを経て出るものもあれば四つのものもある、したがって、個性的な違いがあるのだということで果たしていいかという疑問を私どもは持っています。  いずれにいたしましても、現在まで、私どもといたしまして、昭和四十七年にこのソフトウエアにつきましての権利保護に関して、専門家の方々に集まっていただきまして、一つのレポートを出しております。このレポートでは、ソフトウエアにつきまして、著作権法とも、あるいは特許法とも違う第三の道と申しましょうか、そういう方向を一つ提示しているわけでございます。ただ、当時といたしまして、まだ国際的にきわめて流動的であるというようなこと等々を踏まえまして、具体的な立法化については、さらにいろいろな情勢を見きわめて慎重にやるべきである、こういう意見を実はいただいているわけでございます。  そんなことも踏まえまして、その後アメリカにおいて著作権法の改正をいたしましてソフトウエアを著作権法の対象にするとか、そういった改正がございましたり、あるいはWIPOにおいての作業があるとか、そういったいろいろな動きがございます。そういったことを踏まえまして、先ほど冒頭大臣が申し上げましたように、産業構造審議会の情報産業部会におきまして、この権利保護の問題につきまして、私どもとして早急に検討を進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  152. 菅直人

    ○菅分科員 文化庁と通産省のこの問題に関する法的なといいましょうか、見方はある程度差があるようにも思うのですが、これからのこの問題についての進展で、ある新聞によると、文化庁と通産省との間での相互交流もやっておられるというように聞いていますけれども、その点についてはどういうふうになっているのでしょうか。
  153. 志賀学

    ○志賀政府委員 そういうことで、私どもと文化庁と、このソフトウエアについて両方で並行的に検討が進められているわけでございまして、そういうことから、私ども産業構造審議会の情報産業部会においても文化庁の方に出席をいただいておりますし、それから文化庁の方で御検討になっている委員会の方に私どもの方から出席をさせていただいているというふうなことで、両方密接な関係をとりながら作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
  154. 菅直人

    ○菅分科員 いま出た中で、コンピューターソフトの保護については、著作権という考え方をとる道、または特許法などの工業所有権の対象にするという道、さらには第三の道という表現を使われておりましたけれども、新規立法というふうな道を、それぞれいろいろな形で検討されているようですけれども、産構審は諮問をされているようですが、大体の時間的なめどといいましょうか、大体この問題は十年ぐらい前から各方面でかなり本格的検討が始まり、先ほど申し上げたようにかなりの巨大産業になりつつあるということでは、どういう対応にしろ、そろそろ一つのルールづくりを進めていく時期じゃないかという感じもするのですが、大体の時間的な見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  155. 志賀学

    ○志賀政府委員 情報産業部会の審議につきましては、私ども審議会の方にお願いしておりますのは、一年ぐらいかけて結論を出していただきたいというお願いをいたしております。ただ、要すれば、たとえば年央にでも中間報告という形でおまとめをいただくということもできればお願いしたいというようなことも申しておりまして、ファイナルな形では一年ぐらいというふうに思います。
  156. 菅直人

    ○菅分科員 大体の現在の状況についてお尋ねをしたのですけれども、このコンピューターソフトの問題は、先ほどの中にもありましたけれども、海外との関係も非常に関連が深いのじゃないかと思います。たとえば、最近特許制度においてもときどき言われていると思いますが、発展途上国と先進国の間での技術移転の問題なんかで、果たして発展途上国側にとってこの制度はどうだろうかというような議論がある。同じように、このソフトの保護を一たん間違うと、ある意味では、そういう進んでいるところはいいけれども、おくれているところが事実上全部長期間にわたって独占をされて、逆に産業的な発展に非常にマイナスになるおそれもある。かなりそういう産業的な配慮ということも同時に必要だと思いますけれども、そういったあり方、特に外国との関係について、この審議を含めて、検討されていると思いますけれども、条約の状況とか外国のそういう関係等について、何かいま深い関係のある問題があれば教えていただきたいと思います。
  157. 志賀学

    ○志賀政府委員 先ほどちょっと私お答えを落としてしまいましたけれども、著作権法でやっていく場合の一つの大きな問題と申しますのは、先生再々おっしゃっておられます産業経済への配慮というものが、著作権法の体系で十分かという問題が基本的に一つございます。そういうことから申しまして、私さっきお答えした第三の道ということを申し上げましたときも、むしろ権利の期間をソフトウエアの実態に合わせた形で短くするとか、あるいは利用の促進というようなこと、そういう観点から、先ほど先生がおっしゃいました同一性保持権という、非常に著作権法上は厳しいあれがあるわけですけれども、そういった点についてもソフトウエアの実態に合わせて見直していくというようなことで、利用の促進あるいは技術移転の促進ということを十分頭に置きながら法制というものを考えていくことが必要であろうというふうに思っております。  そういう意味から申しまして、先生いまお尋ねの発展途上国との関係あるいは国際的な関係という面から、やはりこの著作権法で十分かという問題がそういう面からも一つあるのではないかというふうに思っております。  そこで、世界の動きでございますけれども、世界の動きは、先ほどちょっと申し上げましたように、アメリカにおいて著作権法の改正をしてソフトウエアを対象にしたという動きがございます。ただ、片や西ドイツあるいはイギリスというようなところは必ずしもそこまでまだいってない、検討中、こういうような状況でございます。私どもとしては、そういった各国の動きをさらに勉強して、今後の対応を考えてまいりたいというふうに思っております。
  158. 菅直人

    ○菅分科員 ほぼ時間もなくなってまいりましたので、これで終わりにしますけれども、コンピューターソフトという問題は、単にこれからのわが国の産業というだけではなくて、日本の一種の社会構造そのものまでも含めて、この進展によっては大きく変わっていくのではないかということもありますし、また、一たんこういう制度が生まれてくれば、それによって非常に大きな影響がある問題ですから、慎重にされることは必要だと思うのでございますけれども、同時に、余りおくれると、日本においてはソフトの開発がおくれているということも先ほどの大臣の話にもありましたけれども、そういうことになって、まさに立ちおくれてしまう。そういう点では、おくれることなく対応を検討していただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。
  159. 今井勇

    今井主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。  次に、清水勇君。
  160. 清水勇

    清水分科員 大臣は、一昨日この分科会で、武器の共同生産、とりわけ武器輸出については、平和国家の理念を体して、未来永劫にこれはやらない、こういうふうにその所信を披瀝されておりますが、私は、率直に言って勇気ある発言であり、心から敬意を表しておきたいと思います。  ただ、同時に一言だけつけ加えさせてもらうと、いま予算委員会を通して問題になっている武器技術の供与の問題。釈迦に説法でありますけれども、言うまでもなく、個々の武器技術の集合体が武器だというふうに解されている点から言えば、武器輸出をしないけれども武器技術はその限りにあらずというのはどうも矛盾があるのではないか、私はこう思わざるを得ませんので、これは通告はしておらない事柄なんですが、せっかくの機会ですから、この辺についても、政治家山中貞則、こういう立場できちっとした所信をお聞かせをいただければ幸いだと思います。
  161. 山中貞則

    山中国務大臣 武器というものは、その性能、種類の区別は抜きにして、人を殺傷するものであります。では、戦争とは何か、侵略とは何かということになると、それに人がついていく。人と武器とが組み合わさって他の国家とか領土とかそういうところに入っていけば、これは侵略であり戦争である、そういうことになるわけでしょう。  したがって、武器技術、これは安保条約の趣旨を体して、アメリカから数多くの技術や完成品までもらっておりますから、日米安保条約の互換性が必要だというなら、日本側からも技術というものが——日本技術のレベルがようやく何かアメリカが欲しいようなものができてきたのでしょう、まだ何も言いませんけれども。そこのところは、私どもがつくったものによって直接人を殺傷するわけではなくて、その技術がアメリカの武器のどこかのところに必要であるということで協力の要請があるのでありましょうから、その結果が武器になることはわかっていても、技術で人を殺すことができるわけじゃありませんから、私は、技術の面については、予算委員会で述べたとおり、異論はなく賛成もしておりますし、関係省庁の打ち合わせのときにも、技術終結点はどこだ、それは試作品で、形は武器の形になることもあるけれども、それは日本国内で使用するための生産を伴うものではない。すなわち共同生産はやらないということであって、それは向こうの方で、技術が形を伴ったものでなければ、頭脳とか設計書だけではわからないという場合に、必要な場合、そういう物の輸出になることはあろうが、問題はそこまでである。終結点の試作品までである。それから先は武器の製造に入るということですから、あくまでもそこを技術終結点として、明雄に範囲を示しております。  しかし、外務省の答弁が、仮定とかあるいは将来のこととかという前置きはあったにしても、純粋に安保、MDAというものの性質から言えばということでしょうが、これはよく読んでみると義務ではないのですね。したがって、そういう未来への想定を含めてのことで私たちはいま判断をしていいかどうか。少なくとも、三関係省庁のすり合わせの最終の申し合わせと違う。  そしてその後に、私の政治家としての生涯を貫く信念をつけ加えたわけでありまして、これはあした締めくくり総括で、総理大臣か官房長官かによって、私の言ったことに対して、それがきちんと踏まえられた政府見解というものが示されることになっておりますから、これは、私の政治家個人の信念と、それから通産大臣として、技術供与には賛成をし、そしてどこまでかというぎりぎり詰めた限界を外れるものであるということで、限界にとどめるという決意を二つ表明したものですから、あしたきちんとしたものになると思います。
  162. 清水勇

    清水分科員 いずれにしても、従来技術供与の問題では、三省庁間でずっと長い議論があった。通産省は終始一貫して条約優先論にくみせず、日本の開発をした大事な技術を安易に提供するというようなことは反対である、こういう立場を貫いてこられたが、ことしの一月になって、ああいう閣議決定で一定の方向を変えられることになったわけです。  私は、きょうはこのことで議論するつもりではないものですから触れませんけれども、少なくとも武器輸出技術輸出、この間に、論理的にも実際的にも矛盾のないような明快なる対応を、特に山中大臣にこの機会に希望を申し上げておきたい、こう思います。
  163. 山中貞則

    山中国務大臣 誤解のないようにしていただきたいのですが、通産省が反対をしていたという過去のいきさつについて、私は詳しく知りません。しかし、通産省はそのたてまえは貫いております。すなわち、アメリカのペンタゴン、国防省からの要請等がいろいろなルートであるでしょうが、日本の民間産業が開発したものとか、そういうものに対しての要請であった場合に、取り決めに基づいて取り次ぎはいたします。しかし、民間産業がノーと言った場合には強制しませんから、どんな条件でも、合意しないものを出しなさいと言いませんから、通産省政策は変わっていない、これも御理解願いたいと思います。
  164. 清水勇

    清水分科員 この点は、いませっかくの大臣からの答弁ですから、もう一言言わなければいけませんが、外務省の場合とは少し見解が違うのです。外務省の場合には、民間のものであっても、要請があればこれを提供するというような観点が従来から言われていたやに私は承知している、たとえばMDAとの関係等々で。しかし、これはこれ以上やっているとほかのことが聞けなくなるので、この程度にしておきたいと思います。  ところで、大臣は、一月十二日でしたか、日商の永野会頭さんたちと会合を持たれた際に、日本経済を支える一部に町の商店街がある、これがたとえば大型店の出店等の影響を受けて、万が一にも倒産をするようなことがあってはならない、そういうことは避けなければならない、こういうことをおっしゃっておられる。私は伺ってなかなかの——なかなかと言っては失礼な言い方だが、一つの見識であるというふうに伺いました。  ところが、現実はどうかというと、いま全国的に大型店の出店をめぐって大変なトラブルが起こっているわけです。従来は現行大店法で調整をしてきたけれども、大店法ではどうにもならない。そこで、昨年二月から新しい指導方針を出して、たてまえとしては大型店の出店を抑制する、こういうことで新しい指導を進めておられるはずなんだが、現実には、たとえば私の県の岡谷などというようなところを見てもその他のケースを見ても、大型店出店をめぐる調整という際に、いささか強引な、出店を許容するというような立場での通産当局の指導がどうも行われているのじゃないか、これが実はたくさんの紛争を生む一つの側面になっていはしないか。だから、この点は注意をしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  165. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 具体的に岡谷の御指摘がございましたが、岡谷を含めまして、全国的な状況について申し上げますと、以前に比べますと、大型店出店問題の紛争というのは、全般的には鎮静化の方向にあるというふうに私どもは承知をいたしております。ただ以前から、特に場所によりましては出店の問題で対立の激しいところがございまして、これがいまなお対立を続けておる、それがまた地域によってはかなり激しくなっている場所もあるということでございますが、全般的な傾向としては鎮静化。  私どもは、その処理に当たりまして、昨年の一月末の指示におきまして、三条の届け出がなされる前に十分地元に説明をするようにという指示も出しておりまして、各地における調整の話というのは、地元の意向を十分聞きながら進めるという体制になっております。ただ、現実に商調協、商業活動調整協議会における運営につきましては、商調協の委員長あるいは地元会議所というのが責任を持って処理いたしておりますので、ここで現実の状況をにらみながら運営しているわけでございます。通産省としまして、いろいろ審議を商調協にお願いしておるさなかに、私どもの方が遠くの方から早うせいとかゆっくりせいとか、そういうことを言う立場になくて、あくまでも商調協で自主的な調整をやってもらいたいということをお願いしております。
  166. 清水勇

    清水分科員 たとえば岡谷の駅前再開発事業をめぐる大型店出店に伴う調整、商調協がずっと存在をしているわけですけれども、五条受理をしたのは昨年の暮れなんですね。一月以降まことに過密なスケジュールで、早く結審をと、東京通産局の係官が言っておられるのだけれども、たとえば結審をした二月十六日のごときは、午前十時から翌日の午前二時過ぎまでぶっ通しで審議を求める。大臣も心配しておられるように、その町の商業集積について五十年あるいは百年という長さにわたる、その町にとってはまさに百年の大計を立てようという問題なんです。  岡谷の場合などは、建設省の駅前再開発事業の補助金との関係で、タイムリミットが迫ってきたというようなことが事情としてあるのかもしれないが、そういうやり方は結局拙速主義になって、紛争の種をさらに今後に残してしまう。そして一万平米以上のオーケーを出した、こういうわけなんですけれども、それが、大臣が心配されるように、たとえばいままでの商店街にどういう影響があるのか、これは暗たんたるものだと言って嘆き悲しんでいるわけですから、これからは、そういうことが行われず、十分に将来のために時間をかけて納得づくでこの種の商調協の活動というものが行われる、こういう指導をしてもらわなければ困ると思うのですが、どうでしょうか。
  167. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 岡谷の件が御指摘ございましたので、岡谷の件についてまず申し上げますと、私どもが承知をいたしておりますところでは、二月の十六日に審議を始めたところ、夜遅くなりまして、したがって、その席上で東京通産局から出ておる職員あたりは、委員の肉体的な疲労などを考えると、審議をこのまま続けるのはどうであろうかということも打診をしたそうでございますけれども、商調協の委員全員が、議論が煮詰まってきたところで中断はむしろしたくない、この議論はここまで来ているから、この際ずっと詰めたいという御要望があって行われたというふうに聞いております。  かつ、その当日、その皆さん方が、いろいろ議論が煮詰まったところで熱中してなされたところの結論だけで決めるのはどうかということもあって、それから八日後に正式商調協が開催された際に、もう一度議論をして全員一致で確認されたというように聞いております。したがいまして、岡谷の指導につきまして、私ども、御指摘のような通産省が急ぐということで無理な指導をしたということはなかったというふうに理解しております。  全国的な審議の状況について申しますれば、御指摘のように商調協での十分な審議が行われるのが当然というふうに考えております。ただ、岡谷の例で言えば、これは五条の届け出がなされてから後の審議だものでございますから、五条の関連の審議というのは、御存じのように法律でもって期限が切られております。そういう事情も考慮して商調協で議論を急がれたというふうに理解をいたします。全般的な指導につきましては、御指摘のようにやたら急ぐということのないように、審議が的確に行われるよう十分指導してまいりたいと思っております。
  168. 清水勇

    清水分科員 実は最近、大型店の出店をめぐって、御承知のようにニチイが賄賂工作をする、これは氷山の一角なんですよ。これは大臣も耳にされたことがあるだろうと思うのですけれども、一平米の出店について一万円程度の工作費か使われる。これはもう数年前からの常識になっているのですね。知らぬは何とかばかりなりで、皆さんのところへは達していないのかもしれぬが、そういう形というものは、たとえば藤沢だとか小田原だとかその他のところでいみじくも発覚したにすぎない。  だから、大型店が今日の時点で出店をするということは、実は大変な無理が手伝っているわけなんですね。深刻な消費不況、そういう中で既存の商店街や中小小売業者は、もういまですら容易でないところへ大型店が出てくるということになれば、これはどうにもならぬ。だから、好むと好まざるとにかかわらず出店はひとつやめてもらいたい、こういう切なる声を上げている、そういうことに思いをいたせば、私は、現行大店法では十分な調整ができないというところからいまこの見直しが検討されていると思うのです。だから、大店法の見直しが行われるまでの間は、この際は思い切って大型店の出店は凍結をするとかあるいは凍結に準ずるぐらいの慎重なる取り扱いをするとか、もうそういう時期に来ているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  169. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 大型店の出店につきましては、各地によりましてその事情を異にしております。特に新しく開発された団地のようなところでの出店などにつきましては、むしろ早く出店をやらしてくれ、消費者がいろいろ不便があるからということで、地方自治体の方からも手続の促進方を言ってきているケースもございます。ですから、御指摘のように全部を一律に抑えてしまうというのは適切ではないだろう。ただ、問題の多いところにつきましては、御指摘のように十分話し合いを進めるということが必要であると考えておりまして、昨年二月の指示というものは、十分な調整をということを言っているわけでございます。  そういう意味で、御指摘のようにトラブルが起こらないように、それからまたニチイのケースをお挙げになりましたけれども、おっしゃるような公正さを疑われる審議というのは、はなはだ遺憾な問題でございますので、これについても全国に注意を喚起しているところでございます。  御指摘のございました工作費云々ということでございますけれども、私どもが聞いておるところでは、たとえば地元への説明会などの際に、どうしても夜やらざるを得なくなる。そうすると……(山中国務大臣、だめだめ「警察に逮捕されて、呼んで厳しく説教しただろう」と呼ぶ)おっしゃるとおりです。ですから、そういった公正さを疑われることのないように十分注意は喚起しているところでございますが、その工作費が必要であるということについて、先生御指摘の工作費というものが怪しげな方に使われているということは必ずしも言えないわけでございまして、実際に夜会合などを開いたりするようなときに、会場費その他で必要な場合もあると聞いております。したがいまして、疑惑のないように十分公正な審査が行われるように、今後とも指導してまいりたいと考えております。
  170. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、いまみたいな考え方について、通産省が忘れてはならない二つのものがあるのじゃないかと思うのです。  一つは、スーパーは、最初は安く消費者に物を供給する店としての注目を浴び、そして大量供給、スケールメリットによる利潤で、少し消費者にサービスしてでも何とかやっていけるという意味で、非常な勢いで全国的に伸びていったのだと思うのです。いま私が問いかけたい一つの疑問は、そういうスーパー、大型店の経営者の皆さんは、その原点をお忘れではありませんかということです。消費者のために安く豊富に、しかもいい品物を提供するという原点を忘れて、資本の論理に走っておるところはないか、強者の論理に走っているところはないか。強ければ、巨大な資本であれば、そこにおのずから強さのゆえに求められる倫理というものがあります。おのれを戒めなければならぬ。これが一つ。  それからまた、地方の方では、最近は道路の発達、舗装の完備、自動車の農山漁村への普及ということと相まって、消費者も、自分たちの購買意欲というようなもので相当広範な情報を耳にするようになると、昔は相当遠いところであっても、いまはすっと自動車でふっ飛ばして行ける。だから、極端な例を申しますと、議員立法でお互いに一緒につくった法律ですが、国が過疎地域と指定をしておるようなところ、商店街も町役場の前の一通りか一通り半というようなところが共存共栄で親戚みたいなつき合いをしておる、いわゆるその町のへそあるいは顔。そういうようなものでも、過疎地は何とかしていかなければならないと法律をつくってやっていますが、しかし、なるほど商売の理屈からだけ見ると、道路その他は完備しているし、昔の一日がかりは一時間というような時代になったら、過疎市町村を七カ所か八カ所展望して、どこかの畑の真ん中にどっかーんと出店をやったら、そこまで前の町の商店街といっていたところと同じ時間で行けるものなら、七つか八つの過疎地域の商店街は完全になくなっちゃうんですね。  そうすると、役場があって、農協があってそして銀行の支店があってというようなところが、町の中心地で顔かへそみたいなもの、それがなくてのっぺらぼうな過疎町村が累々と横たわる。そういうことで、われわれは過疎地域振興法で、町村、集落の崩壊を憂えたんですね。ところが今度は、町村そのもののへそがなくなっちゃうというようなところまであえて押し込んでこなければならないのか。しかし、消費者は歓迎する方もあります。したがって、ここのところも、消費者ニーズは踏まえながら、集落の崩壊、さらに顔のない町村になってしまうようなことにしてしまってはいかぬ。そういう原点に二つ反省すべき点がある。  ここら辺のところを調和させるためには、大都会における商調協の持ち方の論理と、農山漁村におけるそういう議論とはまたおのずから違ったものでなければならぬ。したがって、いままでの通産行政の展開がどのようであったかについては、もう少し詳しくいま原点から洗い直して、商調協も、そういうような逮捕者が出るようなことに乗っかってはいかぬし、あるいはまた、逮捕者を出す原因をつくるようなことでは、企業そのものがいまの社会に不必要な企業である、私はそう思うのですね。そういうことを原点にして考えていきたいと思います。
  171. 清水勇

    清水分科員 いま大臣から共感を受ける意見が開陳されたわけで、ぜひそういう立場でしっかりやっていただきたいと思うのですが、一言つけ加えて、あえて注文をさせていただくならば、いま紛争が多発しているのはどういうことかというと、地方でも中部市ではもう全部進出が終わっているわけですね。それで人口が三万とか四万という小都市へどんどんと出店をしようという状況になっている。いみじくも大臣が言われるような、営々と何十年もかけて地域の住民と町を形成してきたその商店街がねらわれるというところへ来ているわけです。  私は、国の政治というものを静かに考えた場合、少なくとも力の弱い者をくじくようなことがあってはならないと思う。弱さを助け、強きをくじくという、ちょっと俗っぽい言い方で失礼ですけれども、そういう立場に立ってのみ、大型店の出店をめぐる紛争をどう調整するか、あるいは過度の大型店の出店をどう抑制できるか、こういうことが言えるのじゃないかと思うのです。この点、一言だけでいいけれども、今後どうするか、ちょっと聞かせてください。
  172. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 昨年二月の緊急措置の中で、御指摘の点については一応配慮しておるつもりでございまして、大型店の出店が相当水準に達していると認められる地域への出店届け出については自粛を指導する、それから特に小規模市町村への出店届け出については慎重な取り扱いをするという方針になっております。この考え方は、先生御指摘の考え方とマッチするものと考えますので、この線でさらに指導を進めてまいりたいと思っております。
  173. 清水勇

    清水分科員 中小企業庁長官、時間がなくなっちゃって恐縮です。仄聞するところ、私が最後のバッターのようですからちょっと時間をいただいて、お願いをしたいのですが、この間の商工委員会でも、私の官公需の中小企業に向けての発注に一層留意をしてもらいたいという質問に対して、わかりました、こういうふうに言われた。  そこで、もう一言つけ加えれば、一口に中小企業と言っても、私どもがいま一番留意をしなければならないのは、中小企業のうち約八割くらいを占める小規模企業なんですね。そこで、小規模企業は、大企業なり中堅企業と互角に受注機会を確保しようという立場に立ってそれ相応の努力をしている。たとえば事業協同組合をつくる、官公需法に基づいて適格組合をつくる。この適格組合については特に中小企業庁がお墨つき、つまり証明を与えて優先受注の機会を確保させる、こういうことをやっている。これは政策的に非常にすぐれた政策だと私は思う。  ところが大臣、他の省庁の中では、中小企業庁が勝手にそんなお墨つきを出したと言っても、わが省にとって適格組合なんて何も関係ないというような声があって、阻害をされたり、あるいは地方公共団体が国に準じて配慮をしなければならぬにもかかわらず、行政監察報告でも指摘をされているように、適格組合という制度そのものが周知徹底を欠いていて、何のことだかわからない、したがって、優先受注機会なんというものはさっぱり確保されない、オミットされている。ですから、せっかくそういう制度を設けている以上は、仏つくりて魂入れずというようなことにならないように、たとえば適格組合なら適格組合に対してそれこそ優先的に受注が確保されるような行政上の特段の配慮、各省庁あるいは地方公共団体に対する周知徹底を図らなければ、余り意味がなくなってしまうのじゃないかと僕は思うのですが、その辺はどんなふうに考えておられますか。
  174. 神谷和男

    ○神谷政府委員 適格組合につきまして、御指摘のような問題があるということはかねてから承知しておりますし、先般の行管の勧告の中にもその問題が一部取り上げられている、こういうことでございまして、また現実に、末端の方に参りますと、いま先生御指摘のような問題があるということもわれわれは耳にいたしております。したがいまして、この適格組合だけの問題ではございませんけれども、いわゆる中小企業のための官公需の問題に関しては、末端の窓口に行けば行くほど認識が薄くなる、こういう問題がございますので、適格組合の問題を含め、あるいは中心といたしまして、できるだけ末端の窓口まで官公需法の趣旨が十分生かされるように、あるいは官公需法に基づく計画を積み上げていく場合にも、そういう人たちに問題意識を持って末端から積み上げていっていただくように、こういうことに実はことしは大いに力を入れて各省庁に協力をお願いしよう、こういうふうに思っております。  したがいまして、その中で私どもといたしましては、これは閣議決定の中にも適格組合に関しての言及があるわけでございますから、中小企業庁が指定したからといって必ず工事がとれるというものではございませんけれども、しかし、そういう組合は共同受注体制を整備しており、組合としての基盤を十分備えておる、こういうことでございますから、閣議決定の中で、事業協同組合を活用せよ、特に官公需適格組合に留意してやれ、こういうことである以上、この趣旨を十分体して運営していただくように、まさにたゆみない努力を強力に進めてまいりたい。大臣からの、官公需全般について力を入れるようにという御指示がございますから、大いにがんばっていきたいと思っております。
  175. 清水勇

    清水分科員 時間が参りましたから終わりますが、最後に、いま長官の方から、大臣からの指示もあり官公需の中小企業向けについては特段の努力をしているのだ、こういう話がございました。大いにやってもらわなければならぬと思います。また、五十八年度の中小企業向け官公需をどうするかということを近く閣議でも御相談になる時期を迎えると思います。  そこで、私は、きょうはこういう機会ですから、どこの省なんという個々の名前は挙げません。あえて申し上げてもいいんですけれども、来るべきそういう閣議の中で、ぜひとも各省庁大臣に対して、主務大臣という立場で、官公需法等の本旨にのっとってせっかくの協力と努力を払うように一声かけてもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  176. 山中貞則

    山中国務大臣 各省の名前を挙げても一向差し支えないと思うのですよ。私のところで長官以下中小企業庁の負う責任と、しかしながら、命令権、指示権等が余りないという矛盾に苦しんでいるようでしたから、たとえば通産大臣山中がこう言ったと、この役所に言いなさい。  たとえば、防衛庁なんというのは、全国制服が云々と答弁していましたね、聞いていましたから。じゃその各部隊の駐屯地ごとに調達するものは、その地方の小さな町なり何なりのところから調達できるわけですから、そのことについて、中央で一括調達しないで、駐屯地司令の方にその権限をおろしなさい、やっているかどうか。あるいは厚生省は、病院等について、白衣の全国調達もそれはいいだろう、しかし、それぞれの国立病院のあるところで、地域で調達をするような検討をやっているか、あるいは文部省の国立大学病院にしても同じである。具体的に私は指摘をして、いま横の連絡の会議をつくれと言ってありますから、このことをその連絡の席で、これはうちの大臣の指摘事項である、それについて持って帰らなければならぬから報告してくれ、対策があったら言ってくれというふうに具体的にやりますから、遠慮することはない、名前を挙げてもいいですよ。
  177. 清水勇

    清水分科員 きょうは、幸か不幸か時間もないものですから名前を挙げませんけれども、いずれ別の機会に率直に指摘をさせてもらいます。申し上げた諸点について一層の御精進をいただくことをお願いをして、終わります。ありがとうございました。
  178. 今井勇

    今井主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分料会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の特段の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時五分散会