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1983-03-07 第98回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月七日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 藤本 孝雄君       奥野 誠亮君    熊川 次男君       村田敬次郎君    串原 義直君       佐藤 観樹君    清水  勇君    兼務 上原 康助君 兼務 川本 敏美君    兼務 沢田  広君 兼務 柴田  弘君    兼務 和田 一仁君 兼務 浦井  洋君    兼務 辻  第一君 兼務 渡辺  貢君    兼務 伊藤 公介君 兼務 石原健太郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君  出席政府委員         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 永田 良雄君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         建設省住宅局参         事官      吉沢 奎介君  分科員外出席者         沖縄開発庁振興         局振興第一課長 丸田 哲司君         国土庁長官官房         防災業務課長  西澤 辰夫君         大蔵省主計局主         計官      斉藤 次郎君         文化庁文化財保         護部建造物課長 鈴木 嘉吉君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     坂根  勇君         林野庁業務部業         務課長     小沢 普照君         建設大臣官房官         庁営繕部長   渡辺  滋君         自治省財政局調         整室長     前川 尚美君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君     ───────────── 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     清水  勇君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     佐藤 観樹君 同日  第一分科員和田一仁君、伊藤公介君、石原健太  郎君、第二分科員川本敏美君、第三分科員柴田  弘君、第五分科員上原康助君、第七分科員沢田  広君、浦井洋君、辻第一君及び渡辺貢君が本分  科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ────◇─────
  2. 村田敬次郎

    村田主査代理 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算建設省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  3. 串原義直

    串原分科員 まずは百五十二号国道につきまして伺いたいのでありますが、青崩峠地域というのがございますけれども、これは五十八年度より事業着手ということに決定をしたはずだと思います。  そこで、五十八年度から着手をして、今後の事業計画、どんなぐあいに進めようと考えていらっしゃるか、伺いたい。
  4. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 一般国道百五十二号は、長野飯田市から静岡県浜松市に至る国道で、南信地域東海道ベルト地帯とを結ぶ幹線道路であります。しかしながら、現況青崩峠小川路峠において自動車の通行は不能となっております。この交通不能区間の解消を図るため、昭和五十二年度より建設省におきまして調査着手し、これまで地形地質調査路線計画調査などを行ってまいりました。  このうち、長野静岡県境青崩峠区間につきましては、昭和五十八年度より事業着手する方針であります。今後は、ルート中央構造線上の大断層帯に位置することから、さらに詳細な地質調査等を十分行った上で工事着手してまいりたいと考えております。
  5. 串原義直

    串原分科員 そこで、ここの地域はおよそどのくらいかかるのか。いまの計画について教えていただけませんか。
  6. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 いま御説明いたしましたように、この地域は大断層帯に位置しておりますので、これから測地等によりまして地質調査ボーリング等をし、それから構造設計等をやった上で詳細な事業計画を定め、それに基づいて実施することになりますので、いまの段階でいつまでにできると言うだけの資料が整っておりません。早急に調査を進め、事業計画を定めて着実に進めていきたいというふうに考えております。
  7. 串原義直

    串原分科員 この青崩峠地域から見ますると、飯田市側ということになるでしょうか、小川路峠というのがございます。この小川路峠ルートは昨年の三月、一応は決まりました。そこで、関係地域、市町村にとっては、中部日本を東西に結ぶ重要路線でありますのに、なお未開通区間でありますだけに、事業早期着工が渇望されているわけであります。調査は何年で終わる予定でありますか。五十七年度から調査が始まったわけでありますから、およそ五十九年ごろには終わると私ども理解をさせていただいているのですが、そんなぐあいにいくのでしょうか。そして、事業着手のめどというのはいつごろに考えていらっしゃるか、伺いたい。
  8. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 お答えいたします。  一般国道百五十二号の小川路峠区間につきましては、青崩峠区間とともに調査を進めてきたところでありますが、この区間交通不能延長が長く、長大トンネルが予想されるため、今後さらに地形地質調査路線計画調査の精度を高め、青崩峠区間進捗状況を見ながら事業化の時期について検討してまいりたいと考えております。
  9. 串原義直

    串原分科員 その調査期間というのは、今年度、五十七年度からかかっていただいているはずでございますが、およそ三年ぐらい、そんなところで終了をする、こういうふうに理解させていただいていいのですか。
  10. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 調査と申し上げますものは、いろいろ不明の点をボーリングしたり、あるいは電探等を使うとかいろいろなことで明らかにし解明していくものでございまして、初めからそういうことが全部予測されておれば、調査期間が何年ということも定められるのでございますが、不明な点をいろいろ調査し解明しながら進めてまいりますものでございまして、特にこの区間長大トンネルがぜひ必要になるのではなかろうかというように考えておりますので、幾つかの比較路線、さらに長大トンネルの場合の出入口等いろいろな問題がございますので、そういう問題を逐一解決しながら調査を進めさせていただきますので、いまの時点調査が何年に終わるということは、ちょっと詳細に申し上げられない状態でございます。
  11. 串原義直

    串原分科員 この小川路峠も重要な地点であることは局長承知のとおり、建設省皆さん承知のとおりだと思いますが、この調査をできるだけ急いで、事業着手ができるだけ早く具体化するように、せっかくの御努力を期待をしておきたいと思います。  そこで、中部電力泰阜ダム問題について、まず大臣に伺います。  このダム水利使用期限昭和六十年三月のはずであります。昭和三十年の水利使用期限更新が行われましたとき、当時は長野県知事許可権を持っていたのでありますが、ダム撤去訴訟など大問題に発展した経過があります。今日、許可権は法の改正によりまして建設大臣が持っている、こういうことになります。したがって、水利使用更新は、理論的には建設大臣県知事意見を聞いて判断することになりますか。どうでしょう、教えてください。  それからなお、泰阜ダム水利使用期限更新について大臣の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  12. 内海英男

    内海国務大臣 水利権更新の時期につきましては、先生指摘のように、昭和六十年三月でございます。しかし、まだ中部電力の方から申請が出されておりませんので、出されました時点で、建設省といたしましては、地元の安全に万全を期するため、同ダム治水上及ぼす影響、とるべき対策等につきまして十分な検討を行い、遺憾のないように措置してまいりたいと考えております。
  13. 串原義直

    串原分科員 泰阜ダム問題については慎重に対処しよう、こういうことでございますが、これは原則的なことをちょっと改めて伺っておきますが、この水利使用更新許可というのは、いま私が触れたように、理論的には建設大臣関係県の知事意見を徴して判断していく、こういうことでいいのですか。
  14. 川本正知

    川本政府委員 事務的なことでございますので、私からお答えいたしますが、おっしゃるとおりでございます。
  15. 串原義直

    串原分科員 さてそれでは、大臣のお答えに基づきまして、以下二、三お伺いをしたい、こう思っておりますが、この中部電力泰阜ダム水利使用更新には不同意であるということで、地元飯田川路竜江土地改良区、水害予防組合などは寄り寄り協議しておるようであります。そして訴訟準備までに進んでいると地方新聞は伝えております。建設省はこの動向をどんなぐあいに受けとめていらっしゃいますか。
  16. 川本正知

    川本政府委員 地元におきまして御指摘のような動きがあるということは、私どもも聞いておるところではございますけれども建設省といたしましては、この水利権更新に当たりまして、ただいま大臣から御答弁申されましたように、十分地元の安全の万全を期するということからも、治水上及ぼす影響、とるべき対策等について検討を行いまして、何とか円満な解決を図りたい、そういうように考えているところでございます。
  17. 串原義直

    串原分科員 円満な解決を図りたい、こういうお話でありますが、これから関係者と話し合ってまいります場合に、建設省といたしましては、地元あるいは関係する地域といたしまして、だれを相手にこの問題を協議していく方針でありますか。飯田市長ということになるのか、あるいはまた川路竜江など関係する地区皆さんということになるのか、伺っておきたいのでございます。
  18. 川本正知

    川本政府委員 建設省といたしましては、本件の処理に当たりましては、地元の御意向とも十分に調整を図りたいと考えておりますけれども、ただいまおっしゃいました直接地元住民の方々、これも当然地元意見としてあるわけでございますが、地元公共団体の長でございます長野県の知事さん、また飯田市長さんが中心となって地元意見を集約していただければありがたい、そういうふうに考えております。
  19. 串原義直

    串原分科員 いまお話しのように、県知事飯田市長さんが中心になって関係者皆さん意見調整をしながら国と相談をしてもらえるとありがたい、こういうお話でありますが、いま御答弁になった意向というものは飯田市長並びに長野県知事に伝え、打ち合わせをしてございますか。
  20. 川本正知

    川本政府委員 私ども現地工事事務所がございます。その工事事務所常々長野県の知事さん並びに知事さんの出先でございます県の土木事務所、あるいは飯田市長さん、こういったところと十分打ち合わせをしながら検討を進めておるわけでございますので、そういった点はいま申された相手の方にも通じておるのではないかと思っております。
  21. 串原義直

    串原分科員 もう一度この際確認をしておきますけれども、いまお話しのように、県知事飯田市長中心になって地元関係皆さん意向をもまとめるというかっこうで方向づけしてもらえるとありがたいということについては、国としては、長野県知事飯田市長さんの方には伝わっているものと思っているということですね。これは文書などでそういうことをするというものではない、こういうことでしょうか、どうです。
  22. 川本正知

    川本政府委員 おっしゃるとおりだと思います。私ども過去から現在もすべてそうでございますが、地元県土木あるいは飯田市長さんとの間で連絡協議会的なものもつくっておりますし、そういったところで議論をされておるわけでございますので、それをさらにその組織の中でいろいろ進めてまいりたいと思うわけでございます。
  23. 串原義直

    串原分科員 そこで、飯田市に建築基準法に基づきますところの災害危険区域条例というのがございます。これは御承知のとおりだと思いますが、この条例制定建設省長野県、飯田市、この三者によりまして昭和四十一年三月十九日協定が結ばれ、この協定に基づくものでありますけれども、いま飯田市長地元関係住民から解除してくれないか、こういう要請が出ているわけでありますね。実は、それを受けまして飯田市長より、たしか昭和五十五年十二月と思いますけれども災害危険区域撤廃対策樹立についての具体案というものを建設省提案、提出をしたはずでございます。このことについて建設省考え方をこの際伺っておきたいのであります。
  24. 川本正知

    川本政府委員 いま先生指摘がありました、この地区災害危険区域指定につきましては、大変歴史的な経緯があるわけでございます。昭和三十六年に大災害がこの地区に発生いたしまして、それを契機にいたしまして、計画対象洪水を完全に防ぐようないわゆる大堤防方式といったものがその時点で一つ考えられたわけでございますが、それについては地元から大変反対があった。そういうことで、中程度洪水まで、いわゆる大洪水は溢流させるという中堤防方式というものについて、いまお話がありました四十一年に合意ができて、溢流して入る地域につきましては、家屋を移転しまして、その地域建築基準法にあります災害危険区域指定するということで建設省長野県等の関係者の間の合意に基づきまして、四十一年以来飯田市の条例により行われているものでございます。  したがいまして、指定解除等の権限は、直接的には飯田市長に属するものではございますけれども、その取り扱いについては、このような経緯を踏まえまして、関係者の間で十分な検討を行う必要があろうかと考えております。
  25. 串原義直

    串原分科員 この改廃の問題は、直接的には飯田市長にある、私もそう思いますが、この条例制定に至る経緯等々から見まして、いま御答弁のように、関係者が話し合っていかなければならぬということになると思います。  そこで、飯田市長から五十五年十二月に提案されました「天竜川水系川路滝江竜丘地区災害危険区域撤廃対策樹立について」という建設省に対する提案については、いまのところどういう態度で飯田市長に御返事なさっていらっしゃるのか、ちょっと教えてください。
  26. 川本正知

    川本政府委員 先ほど申し上げました天竜上流工事事務所というのがございますが、その地元工事事務所の方で飯田市長さんといろいろと継続的な打ち合わせをしながら、その案の検討といいますか、その御要望に対する検討というものを現在進めておる最中でございます。
  27. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、飯田市長さんのこの問題に対する提起、提案というものは、いま建設省飯田市とで協議中である、検討中である、こういうことでいいわけですか。
  28. 川本正知

    川本政府委員 御提案の問題が非常にむずかしい内容を含んでおります。それは過去におきます経緯もそうでございますし、また純技術的な問題もございますし、特に昭和十年につくられた泰阜ダムということもございまして、大変古い歴史もございます。そういったことから、当然これは先ほど冒頭にお話がありましたように、長野県知事管理時代のときからの話でございます。そういったことも含めまして、地元県でございます長野県、そういったものと飯田市の市長さん両方の方に対してのいろいろな協議打ち合わせをやりながら検討しておるところでございます。
  29. 串原義直

    串原分科員 それではこういう理解でいいわけですね。いまお話しのように、飯田市長提言、その内容はなかなかむずかしい内容である。したがって、むずかしい内容であるだけに、長野県とそれから飯田市長建設省で、飯田市長提言に基づいて、いま内容について検討中である。またこれから検討して、しかるべき答えを出そうと考えているんだ、こういうことでいいわけですね。
  30. 川本正知

    川本政府委員 これまでも、先ほど来申し上げたように、関係者の間で調整を図りながら処理してきたところでございますけれども、今後の取り扱いについても、地元である長野県、飯田市等と十分連絡調整を行いながら、やはり慎重に対処してまいらなければならない、そう思っておるわけでございます。
  31. 串原義直

    串原分科員 重ねるようでございますけれども飯田市長提言はとてもむずかしい内容を持っている。しかし、検討によりましては、飯田市長提言した、その方向に基づいて考えることもあり得る、仕事をやることができることもあり得ると、こういうふうに理解しておいてよろしいわけですか。
  32. 川本正知

    川本政府委員 先ほど申し上げましたように、危険区域撤廃そのものについて、いろいろかかわる問題点が多いわけでございます。また困難な問題点も多いわけでございますが、そういったものを飯田市長さんの御要望といいますか、そういう御意見に対してどういうふうに対応できるかということを現在検討しているところでございます。
  33. 串原義直

    串原分科員 その検討方向について見守らしていただきたい、こう思っております。  そこで、関係地域水防組合などのほか、このごろわが国でも有名な峡谷美で知られますところの天竜峡を昔の姿に戻そうというので、「天竜峡景勝保全復元を願う会」というのが地元住民郷土史家文化人らによりまして結成をされました。御承知願っていると思いますけれども、この願う会の諸君の言われますように、泰阜ダムによって、事実著しく河床が上がっておりますために、災害が多発し、天竜峡の貴重な奇岩が埋没しているわけであります。したがいまして、これらの皆さん期待にこたえるためには、河床を下げなければならぬ。河床を下げますために思い切った対策が求められてくるわけであります。どう対応いたしますか。
  34. 川本正知

    川本政府委員 泰阜ダム地点におきましては、三十六年の大災害のとき大変膨大な量の土砂の流出がございまして、河床が隆起したということはございます。それも、その後の中小洪水といいますか、年月の経過に伴いまして、次第に低下をしておりまして、川路竜江地区におきましてはもとに大体復しておるというふうに私ども把握いたしております。また天竜峡そのものについて、確かにまだ河床上昇部分があるわけでございますが、そういったことについては、中部電力の方で現在その砂利を取り除くというような準備作業をしておるというふうに把握しておりまして、そういったことで対応ができるのではないかと思っております。
  35. 串原義直

    串原分科員 局長さん、中電河床を下げるために天竜峡付近砂利採取を考えておるようだ、これで対応できるのではないかというのですけれども、私は、それだけではあの付近河床を下げることは大変にむずかしい、こう考えている者の一人なんですよ。いまの中部電力の問題も含めて、これは地元皆さん期待にこたえる意味もあるけれども河川管理の上からも、建設省でもう少しきっちりとした取り組みをすべきではないのか、こう思うのです。いかがでしょうか。
  36. 川本正知

    川本政府委員 水利権更新という事実がございますし、昭和六十年三月に向けてのいろんな従来の問題点が議論されておるわけでございますので、そういったものの中で十分検討していきたいと思っております。
  37. 串原義直

    串原分科員 したがって、現在どのくらいダム建設前から比較して河床が上がっているのか、どの地点でどのくらいな堆砂があるのか、この具体的な調査をこの祭やるべきだ、もう一度検討すべきなのだ、こう私は思うのです。局長さん、いかがです。
  38. 川本正知

    川本政府委員 河床砂利堆積現状につきましては、工事事務所の方で把握をしておりまして、先ほど申し上げましたように、一時的には、三十六年の災害直後、そういった時点では十メートル近くも河床が上がったというふうなことも聞いておりますけれども川路滝江地区河床については、最近は落ちついてもとに復しておる。またダム貯水池区域内におきましては、まだもとに比べますと数メートル上昇している、こういうふうな把握はしておるところでございます。
  39. 串原義直

    串原分科員 出先工事事務所現状把握しているということはわからないわけではない。わからないわけではないが、関係者皆さんの納得を得るためにも、改めた立場で昔と比較して現状河床がどうなっているのか、土砂堆積がどんなぐあいになっているのか、あるいは将来展望を含めた意味での検討をこの際しておく必要があるのではないか。しておく必要どころか、やらなければいけないのではないか。私はこう思っているんですよ、どうです。
  40. 川本正知

    川本政府委員 これは現地工事事務所だけにすべてを任せておるということではございませんで、当然のことながら、現地工事事務所上部機関でございます中部地方建設局並びにその上部でございます建設本省、そういったものと一緒になって打ち合わせをし、また検討しておるところでございますし、今後の問題につきましても、そういったことで長野県、飯田市を含めまして建設省全体として考えていかなければいかぬと思っております。
  41. 串原義直

    串原分科員 そうしますと、改めて申し上げておきますけれども、この際水利権更新の時期をも踏まえて、もう一度河床上昇現況、将来展望について建設省を挙げて検討していく、こういうことに理解をしておきたいと思うし、そういう意味期待もし、注文をしておきたい、こう思うのですけれども、それでいいですか。
  42. 川本正知

    川本政府委員 そういう方向で私どもも努力してまいりたいと思っております。
  43. 串原義直

    串原分科員 時間が来たようですから、もう二、三伺いたいと思いましたが、最後に改めて確認をしておく意味で申し上げますけれども、いま伺ってまいりました現況から見まして、飯田市及び地元との話し合いによりまして解決すべきことが幾つかある。したがいまして、水利使用期限伸長許可の可否は地元との協議進捗を見つつ判断をしていくということで今日段階では理解してよろしいわけですね、確認をしておきたいと思います。
  44. 川本正知

    川本政府委員 水利権許可更新に当たりましては、先ほど来お話し申し上げておりますように、地元でやります長野県並びに飯田市、そういったものとの意見調整というものを十分いたしまして、円満に更新が図られるように努力してまいりたいと思っております。
  45. 串原義直

    串原分科員 終わります。
  46. 村田敬次郎

    村田主査代理 これにて串原義直君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺貢君。
  47. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 最初に、国土庁から御説明をいただきたいと思うのですが、昨年七月、八月の長崎での集中豪雨台風十号あるいは台風十八号など、昨年一年間でも大変大きな台風災害があったわけでありますが、概括して、人的な被害、金額に換算して被害の総額は主なものだけでどの程度になるか、まず御説明をいただきたいと思うのです。
  48. 西澤辰夫

    西澤説明員 御説明いたします。  いま言われましたように、五十七年は非常に風水害の甚大な年でございました。長崎豪雨から台風十号を含む七、八月豪雨を初め、台風が続々来襲したわけでございますけれども、それらの主な災害だけ合計いたしましても、死者、行方不明者四百九十六、家屋の全半壊三千五百余り、それから施設関係農作物等被害も甚大でございまして、これらの災害による公共土木関係被害が九千億余り施設被害農作物被害ひっくるめまして主要災害被害で一兆八千億程度になってございます。
  49. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ある意味では日本列島の宿命かというふうにも言えるわけなんですが、これは公共土木関係農作物関係なんですが、水没した家屋も多いし、家庭の被害というのも大変なものだというふうに思います。  そういう点で、治水問題というのはわが国にとっても大変重要な課題だというふうに考えるわけなんですが、現在第六次五カ年計画に入っているわけですね。災害などが起きたときにいろいろ言われておりますけれども長崎などは土石流による被害ということですね。あるいは台風十八号など、私の住んでいる埼玉でも大変大きな被害があったのですが、その当時の新聞を見ると、都市型水害だとか都市化が進む中で対策がおくれている、そこにまざまざ都市型水害を見るというふうな見出しで触れられているわけなんです。こうした被害の中で都市型水害と言われているこの問題について、局長さんにちょっと御説明していただきたいと思います。
  50. 川本正知

    川本政府委員 わが国は、地形的にもまた自然現象的にも水害に対して大変厳しい環境にございまして、特に全国の国土の一割相当分ぐらいが河川のはんらん区域ということになっておりますが、その中に人口では五〇%、国民の資産では七〇%が集約されておるというふうなことでございまして、局地的に平地が大変少ないということもございまして、局部的に資産、人口の集積が多いという特徴がございます。  また、特に最近の大都市周辺での都市化現象といったものにかんがみまして、従来はたんぼや山林、そういったもので流域の雨に対するいわゆる保水機能あるいは水の遊水機能を有しておった地域、そういったものがだんだんと都市化されまして、そういったことからやはり降った雨が一度に川の方へ入ってくる、川の方がそれで流量が多くなるといったことから、いわゆる都市型の水害が各地で頻発をしておるということでございます。  そういったことに対しましては、先ほどお話がございました第六次治水事業五カ年計画を現在進めておるところでございますが、その中でも都市河川対策というものに重点を置いて、何としてでも河川改修整備水準を上げなければ水害の解消には役立ちませんので、そういったもので努力をしておるところでございます。
  51. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 都市化の進行の中で保水機能、遊水地がなくなるということでありますが、たとえば埼玉県は荒川、利根川という大きな河川に含まれておりまして、綾瀬などの流域を見ますと、昭和五十五年で市街化率が三〇%に近い、荒川の左の方の新河岸などは周辺は六〇%だというふうに言われております。浦和の西部地域、ここも大変水が出るところなんですけれども、鴨川というのが荒川に入るわけでありますが、昭和六十年には周辺人口が五十万になる、こうなるともう七〇から八〇%ぐらいではないかという推定もされていまして、綾瀬のすぐ横にある松原団地など、三日間水が引かないで団地孤島になってしまった、こういう状況なんです。  第五次五カ年計画からいま局長から説明があった第六次計画にずっと入っていく中で、特にこの都市河川の整備、総合的な治水ということで、たとえば綾瀬、中川の総合治水では、人工の遊水地をつくったりあるいは放水路をつくるという計画、あるいは水門、ポンプ場などを整備してポンプアップをやるということがかなり重点の一つだというふうに聞いているわけです。特に綾瀬、中川の——これは伝右川など県内では一番水害の集中している地域なんです。現状はどういうふうになっているか、御説明いただきたいと思います。
  52. 川本正知

    川本政府委員 綾瀬、中川流域がいま大変変貌しているとおっしゃいましたのはそのとおりでございますし、われわれもその綾瀬川、中川の河川改修の促進をさらに図ってまいらなければいかぬということで進めておるわけでございます。  この流域は五十四年、五十六年、五十七年と連年災害が発生しておりまして、それにかんがみまして、激甚災害対策特別緊急事業によりまして、いわゆる激特事業でございますが、綾瀬川、伝右川、新方川、辰井川といった川について、再度災害の防止を図るための河川改修を推進しているところでございますし、また近年の都市化の著しい進展にかんがみまして、昭和五十五年度から総合治水対策の特定河川として、この中川、綾瀬川を指定いたしました。綾瀬川放水路とか、いま申されましたいろいろな対策中心として治水施設の整備を計画的に推進する、そういうこととともに、放水、遊水機能の確保並びに土地利用の適正化、こういったものなどを含めた流域対策をあわせて実施することによって、治水安全度の向上を図ってまいろうという努力をしているところでございます。  そのためには、五十五年の八月に、この流域にございます四十の市、区、東京都を含めまして市区町村がございますが、そういったものを合わせまして、それに東京都、埼玉県、もちろん建設省が入ってでございますが、そういうものから成ります流域総合治水対策協議会をスタートさせまして、流域整備のための具体の計画について検討を行っているところでございます。  また、こういった総合治水対策の一環といたしまして、五十六年の六月には、既往洪水による浸水実績の公表というものを全国に先駆けてやっておりまして、いろいろと住民皆さん方にも、そういった面での危険度といいますか、実態を知っていただくという一助にして、努力しておるところでございます。
  53. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 計画を立てていま着工されているわけですが、現場の工事担当者などの方に聞きますと、技術的には、わが国のこういう土木、治水関係の技術水準は相当高いということで、十分に仕事はできるのだけれども、しかし何せ予算がなかなか厳しいというような御意見がありました。  綾瀬、中川の総合治水というのは、約十カ年計画で二千億というふうに算定がされていると思いますが、この第六次五カ年計画などを経ながら、実際上、その計画の目標が達成できるのかどうか。ゼロシーリングで非常に厳しいと思うのですが、特に冒頭、風水害の中でも都市での集中的な被害が続出しているということでありますので、この綾瀬、中川など、あるいは先ほど触れました鴨川も、荒川に入るところに新しく昭和水門を設けるということで土地買収が始まっているわけですが、そういう点などを見た場合に、現在の計画の遂行が可能かどうか、その点どんなふうになっているでしょうか。
  54. 川本正知

    川本政府委員 第六次の治水事業五カ年計画でございますが、これは十一兆二千億円という総投資規模でございまして、その中で治水事業本体は八兆二千五百億円でございます。  この計画内容といたしましては、いわゆる大河川につきましては、当面の目標ということをセットいたしておりまして、戦後の最大洪水に対処できるように、こういうものを当面の目標としております。それに対して、現在整備率五八%というものを五カ年計画で六三%に上げようということを考えておりまして、また中小河川につきましては、その暫定目標を時間雨量五十ミリという雨に対しまして安全なようにということとしておりまして、中小河川全体では整備率が現状ではわずか一八%でございます。それを二五%まで上げようということで進めておるわけでございますが、その中ではやはり都市河川対策、そういったものを重点に置いておりまして、現況の整備率が三八%——全体が一八%でございますが、その中で都市河川は三八%、それを五三%まで上げようということで、格段に都市河川に重点を置いて進めようということを考えておるわけでございます。  それで、その治水事業八兆二千五百億円の中で、そういう河川に関する事業費というのは四兆七千五百五十億円ということになっておりまして、実際に最近の財政事情を考えてみますと、なかなか厳しい環境ということは私どもも認識しておるわけでございますが、その中でもやはり水害対策、国土保全、こういったものは、国の産業、経済の発展の基盤にもなる重要な基幹事業でございますので、さらにその予算の確保その他について格段の努力を払ってまいりたいと思っておるところでございます。
  55. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 いま局長から御答弁があったわけでございますが、計画の遂行はなかなか厳しいようでございます。  大臣、水を治むる者は天下を治むというふうに昔からよく言われておりますし、日本列島不沈空母などというようなことではなくて、日本列島を本当に災害から守って国民生活を安定させていくという点からも、ぜひ格段の御努力を賜りたいというふうに思うわけなんですが、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  56. 内海英男

    内海国務大臣 御承知のとおり、昨年は長崎県を初めといたしまして全国各地で激甚な災害に見舞われたわけでございます。建設省といたしましては、今後とも治水事業の強力な推進を図りまして国民の生命、財産を守る、また国民生活の向上に資する、こういった意味からいきましても、治水事業は強力に推進してまいらなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  57. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ぜひそういう御努力を要請したいと思うのです。  河川の改修、治水問題と並んで、都市部で大変重要なのが下水道の問題であります。西欧先進諸国に比べても、日本の下水道の普及率というのは低いわけであります。  現在も、第五次五カ年計画、五十六年から六十年までということで、全国的な目標では四四%、埼玉では四三・六%という目標になっているわけなんですね。第四次のときには、全国目標で四〇%という普及率の目標を立てて、達成率が二九・八%でありました。埼玉の場合には、二八・七%の目標を立てて二四%、比較的努力をしたということでありますが、第五次の場合も、少なくとも全国水準ぐらいにということで県や市町村は相当努力をしているわけなんですが、市町村の公共下水道を完成させるということになると、前提として流域下水道を促進しなければならない。埼玉の場合、荒川左岸の南北、右岸から中川ですね。さっき中川、綾瀬のあれがありましたけれども、あるいは古利根というように、流域下水道と公共下水道は並行的に進めなければならないと思うのですが、この流域下水道の、特に五十八年度の重点的な計画はどういうふうにされていらっしゃるのか、都市局長
  58. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 全国的な話でございますか、埼玉県だけでございますか。(渡辺(貢)分科員「県内」と呼ぶ)  県内では、中川、荒川左岸、荒川右岸の流域下水道、これを五十七年度に引き続きまして五十八年度も鋭意整備を進めていくという考えでございます。
  59. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 この間、私も下水道の幹線、準幹線に入りまして、シールド工法——現在、手掘り、機械掘りというかっこうじゃなくて、泥水方式で事業はかなり推進されているのですね。そうなりますと、五十八年の四月ぐらいの段階で、たとえば、いままで普及率ゼロであったと言われる草加、これは中川ですが、それに鳩ケ谷、これは荒川左岸の関係になりますが、これがほぼ供用が開始できるであろうというふうなお話を現場ではされているわけなんですが、その辺、実際上四月から、もうすぐ四月ですけれども、四月から一部供用開始になる。さらに工事のテンポを、せっかくそこまでいって、鳩ケ谷の場合などは市の内部ではほとんど整備が完成しているということなんですけれども、今後そういうものと整合性を持たせて工事が進行できるかどうか、その点いかがでしょうか。
  60. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 中川流域下水道につきましては、五十七年度末に草加市等四市を対象として一部供用開始する予定でございます。  それから、荒川左岸の流域下水道につきましては、南部処理区は四十七年度に、北部処理区は五十五年度にそれぞれ供用開始しておりますが、五十八年度早々に、いまおっしゃいました南部処理区におきまして、新たに鳩ケ谷市が供用開始できると思っております。  それから、荒川右岸の流域下水道につきましては、昭和五十五年度に一部供用開始をしているわけでございますが、五十七年度新河岸川中継ポンプ場の完成に伴いまして、川越市等五市においてすでに供用しまして、さらに五十七年度末に所沢市等一市一町で新たに供用開始をする予定でございます。
  61. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 これも予算の問題、なかなか厳しいわけでして、道路ですと特定財源でやれるわけですが、下水道はかなり受益者負担も厳しいというふうに思いますけれども、ぜひ一層の努力をしていただきたいと思います。せっかくこれだけ埼玉県や市町村が全国水準に早く追いつこうと、都市化が進んでおりますし、あるいは河川の汚染、綾瀬川などは全国のワーストワンでありますが、そういう努力も進められております。  先日、二月二十七日、荒川、入間などでサケの稚魚が数万匹放流されましたが、荒川の秋ケ瀬のせきのところで取水した水でふ化すると八二%のふ化率だったということですから、前に比べますと大分きれいになっているようであります。その荒川の水をさらに若干浄化してふ化すると九十数%というふうに、参加された学校の先生方も言われていたのです。しかし、秋ケ瀬のせきの周辺ですと五ないし六ppmぐらいなんですが、ずっと東京の下の方に下りますと一五ppm前後で、果たしてあのサケがカムバックできるかということで、放流されたのはお子さんが非常に多いわけでありまして、河川の改修と下水道、これによって川を生き返らせる、こういうことが夢にもなっておりますので、大臣局長、ぜひひとつ一生懸命努力をしていただきたいと思います。  時間がありませんので、次に住宅都市整備公団にまず現状をちょっとお伺いしたいと思うのですが、現在、住宅都市整備公団が住宅用地として確保された土地の総面積と、現実に建設されている面積、取得して数カ年たっているけれどもまだ活用されていない面積というのがあろうかと思うのですが、それはどのくらいになりましょうか。
  62. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 現在、当公団が持っております土地の総面積は、住宅建設用地あるいは宅地開発用地含めまして一万六千百二十九ヘクタールということになっております。そのうち、昭和五十五年度の会計検査院の決算報告によりまして、五年以上たってまだ開発していないじゃないかというおしかりを受けましたものが千三百二十九ヘクタール、率にいたしますと八・二%ということになっております。
  63. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 昭和五十五年にも家賃の値上げがありましたし、最近もそういう問題が起きているわけですね。臨調、行革などでもいろいろそうしたむだを省くということが言われているわけでありますが、五年間も保有をしていてまだ十分に活用がされていないということになると、その用地費あるいは支払いの金利だけでもかなりになろうかと思うのですが、単年度でどのくらいの金額になりましょうか。
  64. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 ただいま申し上げました千三百二十九ヘクタールにかかります投資額が千三百九十六億ということになっております。五十五年度末でございます。その五十五年度末までにかかりました累積の金利が七百二億ということになっております。単年度に直しますと、約百億程度ではないかと考えております。
  65. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 これは土地の関係でありますけれども、かなり大きい負担になっているわけですが、さらに、空き家の状況ですね、未入居住宅、保守管理住宅、長期空き家、これは合わせてどのくらいになりますか。
  66. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 私どもも、未入居住宅、長期空き家、保守管理住宅等につきまして、現在いろいろ解消の努力を重ねてきております。  五十七年三月末現在で、未入居住宅が六千五百四十一戸、保守管理住宅が一万二千五百六十八戸、合計して一万九千戸程度でございまして、五十二、三年当時はこれが四万戸程度でございましたので、相当な改善はしておりますが、私どももなお一層の努力をいたしたい、かように考えております。  それから、長期空き家住宅につきましては、五十七年三月末現在で七千十五戸ということになっておりまして、この方は現在では大体四千戸台ぐらいまでに落ちついております。
  67. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 三種合わせますと二万戸を超えると思うのですね。せっかくつくってまだ入居できていない、あるいは長期空き家であるというのは、これは公団の経営上も一つの大きなマイナスの要因だと思うのですね。土地の未利用、空き家を含めましてね。せっかく政府資金などを活用してつくられたものがこういう現状でありますから、さらに入居が促進できるように努力をしていただきたいと思うのです。  そのこととあわせまして、公団の経営が厳しいということになると、すぐに家賃の値上げだ。前回の値上げのときも、平均六千円近い値上げであったというふうに聞いておりますし、しかもこれは傾斜家賃でありますから、場合によっては大変な負担になってしまうわけであります。こういう点で、公団としての経営の健全化を図り、最大限入居者に負担をかけないように、こういう点を一層努力していただきたい。その点が一点。  それから、もう二十年以上たっている住宅がかなり多いわけでして、外壁が非常に汚れている、あるいは地盤沈下などで戸がうまく閉まらないとか、あるいは入った当時と比べて家族の数も多くなっていて、環境周辺整備が必ずしも十分ではないという意見が、私どものところにもたくさん寄せられているわけですが、ぜひそういうものも取り上げて積極的に改善を進めていただきたいと思います。  その二点について。
  68. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えいたします。  まず、第一点の家賃値上げに関連する問題でございますが、先ほど先生お話にございました未利用地あるいは未入居住宅等の問題につきましての、公団の経営上の重要な課題であることにつきましては、現在全社を挙げてその解消には実は努力をいたしております。  しかし、その問題とは別の問題といたしまして、家賃の改定の問題が実は考えられております。御承知のように、古い住宅につきましては、設備水準あるいは規模等の問題がございまして、必ずしも比較できる問題ではございませんが、まだ低い家賃水準にあるわけでございます。それで、古い住宅につきましての家賃の負担割合等を見てまいりますと、五十六年の中堅勤労世帯の実収入の三十六万五千円の方に対しますと、現在約一〇%以下というような負担割合にもなっております。中には三%以下というのも実はあるわけでございます。そういうことを考えてまいりますと、どうしても均衡を図るべき家賃を考えていかなければならないということでございます。  負担が過重にならないようにというお話でございますけれども、その点につきましては、計算上激変緩和措置等をとるとか、あるいはまた保護世帯の方々、あるいは老人、身障者の方々、母子世帯等の方々につきましては特別措置を考えるなど、十分そういう面での対応はしていきたいというように考えております。  それから、団地の環境整備の問題でございますが、公団といたしましては、いわゆる日常出てまいります偶発的な破損等につきましての補修は常時実施はいたしております。それからまた、御指摘のように古い住宅が多くなってまいっておりますので、それを計画的に修繕してまいらなければならないということでございまして、それにつきましては、計画修繕とか特別修繕というような形で予算も計画的に検討いたしまして実施をしているのが現状でございまして、今後ともそういう面につきましては努力してまいりたいというように考えております。
  69. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 終わりたいと思いますが、特に家賃の問題、入居者の皆さんとも十分に意見を交換し合うといいますか、お話し合いを深めて、適正な家賃ということで努力をしていただきたいと思います。  終わりたいと思います。
  70. 村田敬次郎

    村田主査代理 これにて渡辺貢君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  71. 沢田広

    沢田分科員 これは大臣にお伺いいたしますが、水資源を確保するということに対して大臣としてはどういうふうなお考えを持っておられるか、その考え方だけひとつお聞かせいただきたい。これは平素の感じで結構です。
  72. 内海英男

    内海国務大臣 大変大きな御質問で、簡単にはなかなか答えにくい問題と思いますけれども、わが国の地形的な現状から見まして、水資源の確保というのは、まことに重要なわが国の資源であるというふうに考えております。したがいまして、この水資源を有効に活用し、国民の生活向上、あるいはあらゆる方面に有効に活用することによって産業、経済の発展に資する、こういった大きな意味もあって、水資源の確保は重要な問題であると考えております。
  73. 沢田広

    沢田分科員 そういう認識をお持ちいただけることだけでも当面はいいと思うのでありますが、これは非常に各省にまたがる問題であります。中曽根さんは、鉄砲のガンと病気のがんと両方ともガンが好きらしくて、一生懸命ガンガンと言っておりますが、やはり水資源もこれからの日本の重要政策の一つだろうと思うのです。どこが窓口になるかは別として、建設省はその当面の直接関係機関でありますから、十分この点は御考慮いただくようにお願いをしておきたいと思います。  ひとつ、いま議論しておりますが、私は視点が違うのでありまして、建設省がなぜ分流方式の下水道をやるのか。金がないからそうなるのかどうか。どうして合流方式は取り入れられないのか。一部取り入れているところもあります。しかし、分流方式でこれを終わってしまったら、いま日本の雨で、台風の時期等では、分流方式の下水道では五十ミリぐらいが限度ですね。ですから、これでいったならば台風被害というものは全然なくならないのではないか。その視点については、これは担当で結構ですが、どういう考え方でこの分流方式をやっているのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  74. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 最近の傾向としては、おっしゃいますように、分流式を採用するような方向で私ども考えております。これは、やはり下水道によりまして排出される水質というものをなるべくよいものに持っていきたいという考え方で、合流式より分流式の方がすぐれているという考えからとっているわけでございます。
  75. 沢田広

    沢田分科員 この問題は、分科会で簡単に終わる問題じゃないのですが、そうなると、雨水は、いまも言ったように、下水道計画が全部できたとしても、四十六ミリから五十ミリぐらいが分流方式で許容できる限度である。そうすると、雨量がそれ以上超えた場合の水は、ではだれが管理をし、だれが処置をするのかということの責任の所在が、これまた不明確になってまいります。  私も土地改良関係を三十年近くやっていますが、これはもういやおうなしに小水路に皆水が入ってきてしまって、越水すれば管理者の責任である、こういうことになって、いままでの判決は皆読んでおりますが、寝屋川の判決もしかりであります。あるいは長良川のもそうでしょうし、その他の判決もそうなんでありますが、土地改良法五十六条には、都市側のサイドの水が入ってくる場合においては当然協議することができて、拒否することもできる、こうはなっているわけでありますが、民法上の関係もこれあり、あるいは市民生活のこともこれあり、なかなかこれを拒否というわけには現実問題としてはいかない。そうなると、農民負担で水路の改修をやらなければならぬ、こういう必然性をもたらす。ですから、農林省サイドでは、これは都市サイドが責任を持つ問題だから、農林資金や融資ばかりではなくて補助もできない、こういう言い方を一方はする。一方は、自然に流れるのだからそれはおれの方の河川で負担はできない、こういう突っかけ者の扱いがされるわけでありますが、その点はどういう御認識になっておられますか。
  76. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 下水道の関係について申し上げますと、下水道の整備におきまして雨水の排除計画を立てる場合、下水道の雨水管渠というものは、農業用の排水路と分離するのが原則でございます。ただ、地域の状況によりましては、やむを得ず農業用の排水路に雨水を排除せざるを得ないという場合もございます。このような場合には、当然土地改良区等の農業用排水路の管理者と下水道の接続に関しまして十分御相談する必要があるわけでございまして、そのような指導をしているところでございます。その際に、下水道の接続によりまして農業用排水路の改修というものが必要になるときがございますが、その場合は、費用の負担等について調整協議を行っているところでございます。
  77. 沢田広

    沢田分科員 では、調整には応ずる、協議には応ずる、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。  それでは、次に具体的な問題で。これも地元の問題が一番わかりやすいだろうということで、それ以外にもたくさん問題はあるのでありますが、この前の台風十八号で荒川の水位が八・六三、これはAPで言っています。APの八・六三という数字は海抜で直しますと十・五、これは五万分の一の地図で見ていただこうという意味でいきますと、それにプラス二メートルは最小限度加わる。東京湾の中等水位、TPで見ましてもそういう数字になってきますから、そうしますと、結果的には堤防以下に居住している人たちは、ほとんどいま一番低いところで海抜四・八で住んでいる。しかもそれが市街化区域になっている。六・五ぐらいのところでもこれまた市街化区域になっている。八・〇ぐらいのところでもなっている。そういうところは全部水没する運命にあるわけですね、この短い時間の中での結論でありますけれども。  では、これは人災か天災かということになるわけでありますが、どうしても天災とならざるを得ない。先般の判決でも、床下浸水は受忍限度であろう、それ以上は受忍限度を超えるものだという判決も出ていますね。ですから、それから見るとどうしても、台風十八号の教訓から、八・六三という状況が出た場合における排水はポンプでやるのかあるいは時間差でやるのか、あるいはダムをつくるか、横堤を整理をするか、いずれかの方法をとらざるを得ない。この点はどのようにお考えになっておられますか。
  78. 川本正知

    川本政府委員 わが国の地形的な宿命といいますか、山地が大変多くて、また山地から海岸までの距離が非常に短いということから、わが国の河川は多くが天井川といいまして、いわゆる民地よりは川の方が高いというのが多いわけでございます。特に関東平野は沖積平野で、昔から海であったところへ土砂が押し出して平野ができたということでございまして、非常に低平な土地になっているわけでございまして、山からの洪水が、どうしてもその土地の標高よりは高く水位が上がってしまうということは宿命でございます。  そういったことからまいりますと、われわれも、河川の治水対策を立てますためには川の堤防を高くしたり、あるいは強くしたり、また川底を掘削したりというふうな方式だけではとてもとてもできないわけでございますので、やはり上流にダムの適地があればできるだけダムをつくって洪水をカットする、あるいは中流部、下流地帯でも調節池的なものがあれば、できるだけそういったものを取り上げて計画に入れて洪水量を軽減してやる。また放水路、そういったものも地形的にできるようなところがあれば、河口付近の市街地を避けて放水路で直接海へ放流するような方法、そういったことも考えておりますし、またそういう手段だけではまだ水位が高いという場合には、どうしても洪水のときに内水がたまるという被害も生じてまいりますので、まず第一義的には、私ども外水と申しておりますけれども、山からの水を災害から防ぐということがまず第一段階として必要だと思っておりますけれども、その次の段階として当然のことながらやはり内水ポンプ、いわゆるポンプによる強制排水といいますか、内水対策、そういったものも必要だと思っておりまして、山の中から河口に至るまで多彩な対策を組み合わせながら、河川全体の治水の万全を図っていきたいということを考えてやっております。
  79. 沢田広

    沢田分科員 私の方の関連する芝川、鴨川、新河岸川、これは後で書面ででも、どういうふうに今後考えていて、どの程度の時期までかというのはもうここで質問しませんから、書類で回答していただきたいと思うのですが、これはいかがですか。
  80. 川本正知

    川本政府委員 後ほど先生のところへ参りまして、いろいろ御相談しながら御報告させていただきたいと思います。
  81. 沢田広

    沢田分科員 そこで、荒川だけにしぼりますが、いま言ったように八・六三という、台風十八号、三百ミリちょっと超える雨が秩父に降れば、二瀬ダムはあるのでありますが、現在ではそういう状況が生じます。これを直すのにはいま言った中のどれをとるかということなんで、いま横堤二十七本ある。これは吉宗時代に、江戸を守るために武蔵の国にはんらんを起こして、そして江戸を助けるという目的で横堤がつくられた。横堤というのは、水の速度を緩めるために、鉄砲水を防ぐために川の中に横に張り出してわざわざ水速を遅くしているというのが横堤ですね。これは釈迦に説法でしょうが、念のため申し上げるのですが、私はその横堤を取れという論議もしたのですが、今度逆に、もしダムができなければ横堤をふやす。そうすると、いまのままでいくと上流がはんらんを起こす可能性がある。  ただ問題は、これは政策の選択になるわけですね。ダムをつくるとすると、埼玉の場合で言えば長瀞が水浸しになってしまう。ダムの中に入ってしまう。そうなると景勝を失するということにもなりかねない。しかし何かせぬことには、あのときの教訓から言えば救う道はない。いまあなたがおっしゃっている内水面対策や放水路対策は、勾配がない。何といっても勾配がない。どんなでかいポンプ、何百トンのポンプをつくっても水が到着しない。到着しないのですから、これはポンプでは用が足りないのですね。上流の水がポンプ場まで到着する時間が、勾配がないのですから、これはどうしても遅くなるわけです。ですから、勾配があればそれはすぐにポンプが機能します。大きくすれば大きくしただけの効果があります。ところが勾配がないのですから、水の速度が——一メートルちょっとぐらいしかない。三千分の一から四千五百分の一ぐらいの勾配ですね。ですから、そういう勾配で水が到着するのには相当な時間がかかる。いままだ荒川の方の到着時間の方が遅いことは遅いのですね、いわゆる秋ケ瀬なら秋ケ瀬を一つ例にとれば。ですから、そうならもう少しおくらせてもらって、かえって下流の地区の湛水している水を早く先に放流してしまう、こういう時間差をやはり考える必要があるのじゃないのか。ただ堤防を強化するだけじゃなくて、何とかこの時間差を——関東平野はそれを考える以外にはとりあえず方法がない。やはり自然放流が一番最大効果を上げるわけですから、自然放流を一番するためにはどういう時間差をそれぞれの河川に位置づけるか、早いうちになくして樋門を閉める、あとはポンプアップ以外にないのですね。それでも床下浸水にとどめる、こういうことを考えないといけないんじゃないか。いまのままでいきますと、二瀬がいっぱいになって危なくなれば放流する。二瀬が放流すると荒川は水位が六十センチも上がってしまうのですね。ですから、この二瀬の放流の時期もこの下流とのつながりにおいてきわめて重要なんです。  ですから、そういう認識をお持ちになっていただければ、いまの荒川にダムをつくるか、あるいは横堤をさらに大きくするか、つくるか、速度を緩めるか、そして都市化してしまった県南を、やや十六号以南、そういう地区ですが、その以南を救うためには、早くその水を先に出してしまう。そしてその後から荒川が追っかける。これは時間がありませんが、荒川にうんと雨が降った場合、県南にうんと降った場合、それからこの両方に降った場合と、この三ケースあるわけなんですね。そのA、B、Cの三ケースごとに調べてみましても、その原理は変わらないのですね。ですから、荒川の流れる分量の時間差をどういうふうに調節したらいいかというのが提言として課題だと私は思っているのですよ。それを考えなかったならば、もう二の舞い、三の舞いを踏まざるを得ない、そういう状況にあります。鴨川の改修をどんなにやってみても、あるいは芝川の改修をどんなにやってみても、新河岸をどんなにやってみても、いま言った問題が解決しなければ、樋門逆流はするし、いやおうなしに樋門を閉めれば内水で皆被害を受ける、この原理は変わらないのですね。ぜひ荒川のこの基本的な物の性格、吉宗時代、知恵者だったのだと思うのです、今日までそれが生きているのですから。そういう意味において、それを何とか生かしてその時間差をつくって——県南が東京並みに発展しちゃったわけですから、これ以上の被害をつくるわけにはいかない、こういうふうに思うのです。  これは私、素人の私見なんでありますけれども、そういう方向で御検討をいただけないかどうか、お伺いをいたします。
  82. 川本正知

    川本政府委員 ごく一般論から申し上げますと、やはり流域の大きい河川につきましては、その中に、河川にたとえば小さな支川があるとしますと、小さな流域に降った雨の方が先に出まして、大流域に降った雨の方が後から出てくる。たとえば荒川で言いますと、山の方から出てくる水は遅くて、平地に入った方が早く出るというのが一般的な傾向でございます。  そういうことも考えまして、荒川につきましては、現在の治水計画といたしましては、基準地点が荒川下流の岩渕というところでございますが、そこで基本高水流量を毎秒一万四千八百トンということにしておりますが、その中で七千八百トンを上流のダムでカットをする、調節をする。川の中には毎秒七千トンの水を流すということで、大幅にダムの方でできるだけカットをするということを考えておりまして、現在、二瀬ダムができておりますけれども、滝沢ダムとか浦山ダムとか幾つかのダムを今後とも計画して、そういう洪水調節をしたい。また、そのダムのほかに調節池も活用したい。それから内水ポンプをどうしてもやらなければいかぬところはやらなければいかぬ。そういうふうなことで多彩な内容を持って、河道改修だけではなくてやっていこうと思っておりますけれども、ただ、雨の降り方、これは先生おっしゃいましたように、単純に三つの仮定をしてそれで済むというものではございませんし、降雨域の移動方向とか速度とか、あるいは雨の時間的な降り方とか、そういったものは自然現象そのものでございまして、的確に予想することはきわめて困難でございます。  そういうことからいきますと、水の流出に時間差をつけるということはどうにも単純に割り切れないところがあろうかと思います。ただ、最初に申し上げたような一般的な傾向はございますし、そういった場合でも荒川のような大河川になりますと、洪水が後からおくれてきたときでも内水がたまるとか、あるいはどうしても内水被害が、ただ水位差をつけることだけで排除できないという宿命がございます。そういったところに対しましては、やはり強制排水ポンプによる強制排水がどうしても必要なんじゃないか、そういう感じを持っております。
  83. 沢田広

    沢田分科員 時間がなくなりましたが、いまの認識じゃないので、私はこの三十年見ていて、この三つのケースを考えればもうそれ以外にないという、実は自信を持っている。ですから、この荒川の利根導水もありますし、整備もされてきましたし、ほかの市街化の中も舗装もできたし、分流方式で下水道ができているし、雨水の速度はものすごく速い、しかし、河川の勾配がない、結果的にどうしても時間差が——昔、一昼夜かかったものがいま六時間くらいになったのですよ。河道整備やったりなんかしてなった。なったけれども、大体台風というのは南から北へ来るのですから、その路線にもよるわけですけれども、大体その三つのケースがいままでの経験のケースなんです。ですからもう一回、全国を眺めているあなたに部分的なことだけを認識させようということは無理な話だと思いますが、全国的な立場に立って、その問題は今後の課題だ、もう一回これを起こしたら今度は人災になってしまいますからね。これはやはり焦眉の問題として考えていかなくちゃならぬ。検討する課題じゃない。もう一回同じ事態を起こしたら完全に責任は免れないと思うのですね。われわれもこういうふうに言っているのですから、その辺は心して聞いていただいて、私もそういう意味においては遠慮しながら言ったつもりでおりますけれども、いろいろな場合を検討した結果はそういうこと以外にはないだろうというふうに私は判断をしておりますので、この点十分考慮をいただきたい、こういうふうに思って、これはもういいです。そのことで終わります。  台風の名称で、実は運輸省に言ったのでありますが、十六号台風は何年だった、十八号台風は何年だった、いや十五号台風は何年だった、キャサリン台風は何年だったいうことが、年次が非常に不明確になりがちなんです。そこで、頭へ西暦だろうとなかろうと、八三年だったら八三の三をつけて三一〇、三一八と、そういうつけ方をすると、わりあい——十八号と言ってもあなたにはぴんとこなかっただろうと思う。十号台風と言っても、去年のことだから去年のことだろうと想像はするけれども、一般の場合にこれはわからない。三一八と言えば、ああ八三年の十八号だなということになります。それから、三年くらい前だったと思いますが、十号台風も今度の十号台風とは違うのですから、そのときには八一〇なら八一〇ということになればこの前の台風だということで、これは国民的な認識の上においても、一つ頭につけて台風の国民的な理解を得られるようにすることが必要なんじゃないか。  委員長もこっくりしておりますが、十八号と言ってもいつの十八号なんだ、こういう疑問が通用しないようになるわけですね。ですから大臣、これはこれから気象庁と連絡をとって、台風にはそれぞれ固有名詞をつけるのも一つの案でありますが、いま言ったように、その年次のけつをつければ十年間はそれで使えるわけですから、そういう形はとれないかどうか、ひとつお考えを承りたいと思います。
  84. 川本正知

    川本政府委員 ただいまの先生の御提言、まことにもっともだと私も受けとめたところでございまして、確かにナンバーが毎年ダブっておる、数年たつとそれがいつのことか、印象が薄れてしまうということがこざいます。台風にナンバーをつけるあるいは名称をつける、そういったことは、いま先生指摘のとおり気象庁の管轄でございますので、十分連絡をとって今後対応してまいりたいと思います。
  85. 沢田広

    沢田分科員 あと、この間出た道路の問題の判決、最高裁の判決でありますから、われわれにはいろいろな教訓が与えられたと思うのであります。そういう判決はこれからの諸工事、国が勝ったわけでありますけれども、そのかわり、そのケースが住民にとってはこれから非常な損害というか、簡単に言うと、間接的な要因に基づくものについては補償義務がないという判決なんでありますね。ガソリンスタンドの中に——これは建設法規にも触れる、消防法にも触れるんですね。触れるのだけれども、補償義務がないという判決なんです。そうすると、消防法に違反するのですからそれは本人負担で直さなければならね、こういうことになってくるわけでありまして、そうなりますと、道路をつくるときには絶対それが出せないという判例が出ちゃったから、今度はそれを認める側は、お断りします、裁判やろうが何しようがとにかく断る、それが補償されないで自分の費用でそれまで直すのでは、そんなばかな話はない、こういう気持ちを与えることは間違いないのです。  だから、勝ったことはいいことかもしれないけれども、それだけ今度は障害がより一層強く大きくなる。この補償関係の問題は道路工事だけに限定しなくなりますから、いろんな分野、土地改良でも同じ、あるいは下水道工事でも同じです。同じように間接的要因に基づく補償義務がないということになりますと、これは住民側にとってみれば大変な影響を受けるし、判こはなかなか押さない、こういうことになりかねないと思うのです。きょうは直ちに返答は求めませんが、補償義務の適正化、こういうことについて新たな立法が必要になってきているのではないか。これは最高裁の判決ですからそれを否定する法律はできないにいたしましても、補償限界ということは、国家賠償法の判例もたくさんありますけれども、そういうことを考える必要性があるということだけ申し上げて、その点お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。大臣
  86. 内海英男

    内海国務大臣 先生の御指摘のように、公共工事を施行するに当たりまして、やはり行政の立場に立って地域住民と十分話し合いをして円満な工事を遂行するということが第一前提だと思います。したがいまして、裁判で勝ったの負けたのということは余りいいことではないと私は思うのです。裁判以前の問題で、行政と地域住民との話し合いを円満に調整して、その上で安全なりっぱな工事をやるということが行政に与えられた使命だ、こう考えております。したがいまして、裁判で争うなんということは、実際問題からいいますと行政としては非常にうまくない行き方だというふうに私は考えております。今後とも地域住民の方々と十分話し合いの上に円満な工事を遂行してまいりたい、こう考えているわけでございます。
  87. 沢田広

    沢田分科員 若干時間が残っておりますが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  88. 村田敬次郎

    村田主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、清水勇君。
  89. 清水勇

    清水分科員 私は、きょう道路の問題にしぼってお尋ねをしたいと思います。  政府は五十八年度から第九次五カ年計画を進めるわけでありますが、これは二十一世紀を展望する新道路整備第一次五カ年計画、こういうふうに銘打っておられるわけであります。そこで注文があります。率直に言って、これまでの経過現状というものを見てみると、財政投資にどうもアンバランスがある。このアンバランスが大きな格差を生んでいるのじゃないか。そこで、二十一世紀を展望すると言うからには、現在ギャップあるいは格差に悩む、整備改良状況のおくれている地方、地域に道路財源を重点配分してしかるべきではないか、こう思うのでありますが、まず大臣のお考えを承りたいと思います。
  90. 内海英男

    内海国務大臣 第九次道路整備五カ年計画の策定に当たりましては、産業構造の高度化、地方定住と都市化の進展、高齢化社会の急速な進展等、今後予想される経済的社会的な条件の変化を踏まえまして、新たな国民のニーズを的確にとらえるために道路整備を推進していくということが第一点でございます。その際、国土の均衡ある発展を図るとともに、豊かな地域社会を形成するために、道路整備は各地域間の調和を保ちつつ進められることが必要であると考えております。このため、地方におきましては効率的な地域道路網の整備、たとえば木橋、老朽橋の解消等、また都市部におきましては環境改善のためのバイパス、市街地道路の整備等、また広域的には各地域間を結ぶ高速自動車国道等の幹線道路の整備を、それぞれ地域の特性に応じて進めることとして、その実施に当たりましては、各地域地域計画等に基づきまして各種事業の進展に特に配慮するように措置して、対応して道路計画を進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  91. 清水勇

    清水分科員 実は私は九十一国会の際に、五十四年版の道路統計を引用してあれこれと尋ねたことがあるのです。私の長野県の場合にしぼって指摘をすると、当時一般国道長野県下における改良率は全国の四十三位、主要地方道も三十四位、一般県道も三十五位、非常に悪いんですよ。経済度等で見ると大体全国水準の十六、七位ぐらいなんですけれども、どうも道路の整備状況が悪い。     〔村田主査代理退席、佐藤(観)主査代理着席〕  そこで、当時の渡辺建設大臣に、あるいは山根道路局長に、そうした状況を指摘をしながらどうするのかということをただしたところ、今後の道路予算の配分については未改良率というものにかなりのウエートを置いて、後進地域の整備のために力を尽したい、こういうふうなことを言われたわけでありますが、局長、そうした約束はその後、具体的に実行されているのでしょうか。
  92. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 道路事業地域配分についてでございますが、これは地域の道路の整備状況、いま先生おっしゃいました改良率等でございますが、さらに道路交通の状況、経済社会情勢等を勘案し、他事業との整合を図りつつ、各地域間相互において調和のとれた道路整備が進められるように行っております。その際、改良率等の道路整備水準を初め、交通量、人口、面積などの各種指標を基本要素として全国的に均衡ある配分となるよう配慮してきたところでありますが、今後とも、このような観点に一層配慮しながら地域配分を行い、地域の特性と調和のとれた効率的な道路整備を進めてまいりたいと考えております。  では、いま御質問のありました長野県の道路改良率はどうなったのかということでございますが、長野県内の一般国道及び県道の延長を合わせますと五千二百九十四キロメートルございますが、この改良率は、昭和五十五年度末で五八%となっております。昭和五十二年度末の、先生おっしゃいましたときの年度の統計でございますが、この時点では五三%でございました。この五三%に比べて三年間で五%上昇しております。全国平均がこの間に三%上昇しているのに比べますと、まずそういう面での努力を評価していただきたいというふうに思っております。  御指摘の順位でございますが、昭和五十二年度末で三十六位でありましたものが、昭和五十五年度末では、一般国道及び県道を合算した延長についての改良率は三十四位と二位上昇しておる状況でございます。
  93. 清水勇

    清水分科員 私も、いま局長が言われるように一定の努力を払ってこられた、このことは否定をしておりません。だが、この三年間に五%改良率が高まったよ、こう言われるわけでありますが、例の五十四年版の統計を見たときには、全国平均より一三・四%も長野県は落ち込んでいたわけですね。多少改良度が上向きになって全国平均に接近はしてきているけれども、まだ一〇%以上の差が残っている。そこで、こうした点については、引き続き第九次五カ年計画を進めるに当たって重点的に配慮を払ってもらうべきではないか。これが一つ。  いま一つは、先ほど大臣の所信を承っている中で、国は国土の均衡発展を図る責務を負っているのだ、こう言われているわけでありますが、無論同感でございます。ところが現実には、先ほど指摘をしたような財政配分のアンバラ等を通じて、均衡発展に対する不均衡発展という現状が、残念ながらかなり残っているわけなんですね。とりわけ、率直に言うと道路の持っている機能というものは、産業経済活動の面でも、生活環境の面でも非常に大きい。そこで道路が悪いということは、現実には後進性を再生産する、あるいは過疎を再生産する、こういうことにつながるわけでして、大臣が言われる均衡発展の方向から言えば、残念ながらそれに沿うものではない、こう言わざるを得ないわけです。  したがって、幾重にもそういう現実を踏まえて、少なくとも二十一世紀を展望してと言われておるわけでありますから、二十一世紀を展望するに当たっては、現に存在をするギャップや格差、これをまず解消して平均的に均衡化の方向を図る、こういう点に特段の配慮を払うべきではないのか。もう一回、ひとつ承りたい。
  94. 内海英男

    内海国務大臣 先生指摘のように国土の均衡を図るために、特に、この次のところをよく聞いていただきたいのですけれども、重点的、効率的に配慮して予算の執行を図りたい、こう思っておるわけでございます。     〔佐藤(観)主査代理退席、村田主査代理着席〕
  95. 清水勇

    清水分科員 局長、どうですか。
  96. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 大臣の御指示どおりにやらしていただきたいと思っております。
  97. 清水勇

    清水分科員 篤とこの部分を聞くようにと大臣から言われたわけでありますが、私には、未改良率等について十分配慮をし、そうした分野に重点的に措置をしていきたい、こういうふうにおっしゃられたと思いますがよろしいのですね。
  98. 内海英男

    内海国務大臣 さようでございます。
  99. 清水勇

    清水分科員 そこで、少し具体的なことを申し上げながら所見を聞いてまいりたいと思うのです。  国道百十七号、局長御存じですね。これは私が言うまでもなく、長野県の北部から新潟県の中部に通ずる、いわば重要な幹線道路でございます。ところが、この百十七号をきわめて客観的に見た場合、新潟県側の整備改良の状況と長野県側の状況との間に大変な格差といいましょうか、ひずみといいましょうか、そういうものが存在をしておる。そこで、率直に言って新潟県側の改良が進むということはそれで結構なのでありますが、新潟県側が幾ら進んでも、長野県側が相変わらず整備が進まないで、たとえば、現在は大型の車などはすれ違いができないという個所がもう随所にあるのですね。あるいは冬場、ここは豪雪地帯なんですが、除雪をした雪が両側にあるものですから一方通行でしか通れないというような状況になって、これは幹線の機能あるいは動脈という機能を果たすことができない。だから、この改良整備を急げということで、私もこの予算の分科会で過去二度も訴えて、五十四年度ごろからかなりピッチを上げて取り組んでいただいていることは事実でありますが、長野県側の整備状況がどうもおくれているということはどういう原因なのか。それから建設省の側から見て、いわば改良の現状とこれからの計画、大体いつごろまでに整備を終える、こういう考え方でおられるか、少し具体的な問題ですけれども、お聞かせいただきたい、こう思います。
  100. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 お答えいたします。  一般国道百十七号は、長野市を起点とし飯山市、新潟県十日町市等を経て小千谷市に至る実延長百三キロメートルの幹線道路であります。長野県内の実延長は五十一キロメートルであり、その改良率は五〇%となっております。  本路線の狭隘区間、線形不良区間等の解消のため、長野県下におきましては、現在栄村平滝から新潟県境の同村森宮野原に至る区間、延長四・八キロメートルでございますが、これを直轄事業で、さらに飯山市小沼から湯滝工区、延長九・七キロメートルでございますが、これや、さらに野沢温泉村市川工区、延長九・四キロメートル及び栄村白鳥工区、延長一・四キロメートルにつきましては補助事業で、それぞれ一次改築事業を実施いたしております。また、飯山市街地の交通混雑緩和のために、飯山市飯山工区、延長三・七キロメートルでございますが、ここにおきましては二次改築事業を補助事業として実施しているなど、ほぼ全線にわたって事業を進めております。  しかし、地形条件の険しい区間が多い等のため、全体の完成にはかなりの期間を要することもあり、河川改修等他事業とも調整を図りつつ、他の道路との接続等を考慮し、早期に事業効果の発揮できる個所について重点的に事業促進を図っているところであります。本路線の重要性にかんがみ、今後とも引き続き事業の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。  先生、いつころまでにこれができるのかという御指摘でございますが、なかなか大事業でございまして、この工区だけでも五十八年度以降の残事業が二百数十億あるところでございます。したがって、部分供用を図りつつ全体の整備計画を促進してまいりたいと考えております。  それで、部分供用についてでございますが、現在一番早く部分供用できるところは、新潟県境寄りの栄道路のうちのちょうど栄村森宮野原から栄村の青倉までの二・三キロメートルを第一期整備区間として重点的な事業整備を図っておりまして、用地収得もすでに完了しておりますので、この区間については特に早期の供用開始を図っていきたいと考えております。
  101. 清水勇

    清水分科員 財政事情のこともありますし、これはどうしても事業がおくれがちなんですが、いま局長が挙げられた険しい環境もそれはありましょう。しかし一面では、これはやはり補助事業という部分が非常に多い。だからこの点について、関係自治体との関係もむろんあるわけですけれども、直轄に編入をするというような形で促進を図ることはどういうものなんでしょう。
  102. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 直轄事業に編入して促進を図ってはどうかという御質問でございますが、まだ未整備の国道が全国で大変多うございまして、御要望に応ずることが大変むずかしい状態にございます。しかし、この百十七号については、非常に重要な路線であるということで、長野県、新潟県境区間については直轄事業でさせていただいておるわけでございまして、こういうものが完成し、その上でまた次のことについて検討させていただきたいと思います。
  103. 清水勇

    清水分科員 ぜひ検討をしていただいて、大臣の言われる重点的な財源の配分の対象になるように御努力をいただきたいと思います。  次に、五十七年度から四百六号ということで国道に編入を見た、私の方の関係で言うと旧白馬長野線、そして須坂真田線、こういうのがあるのですが、おかげさんで今年度末で松島トンネルが完成を見る。しかし、長野からわずか二十キロしか離れてないところに鬼無里村というのがあるのですが、この鬼無里と長野の間で普通車のすれ違いすらできないという個所が随所にありまして、わずか二十キロが一時間余もかかるということで、人口の流出がどんどんと進んで過疎化が進行している。道路さえよくなれば、鬼無里なんという地区は、お隣の戸隠村もそうですけれども長野市のベッドタウンになり得る非常に良好な環境を持っているわけなんですけれども、道路がこういう状況だから何ともしようがないという状況にある。ですから、せっかく国道に編入されたわけですから、四百六号の改良について、この際、思い切って財政をつぎ込んでもらうような形で改良を進めてもらいたいと思いますが、この改良計画はどんなふうな段取りになっておりますか。
  104. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 御説明いたします。  一般国道四百六号は、大町市を起点とし、長野市、須坂市等を経て群馬県高崎市に至る実延長百三十キロメートルの幹線道路で、昭和五十七年四月一日に国道昇格した路線であります。長野県内の実延長は八十キロメートルであり、その改良率は八七%となっております。  本路線の狭隘区間、線形不良区間等の解消のため、長野県下におきましては、現在、長野市百瀬工区、延長三・二キロメートルでございます、須坂市仙人岩工区、延長は二キロメートルでございますが、ここにおきまして一次改築事業を実施しているほか、局部的な線形改良等によりその対応を図っているところであります。長野市百瀬工区につきましては、先生いまおっしゃいましたように松島トンネル、延長五百九十メートルの長大トンネルでございますが、これを、また須坂市仙人岩工区におきましては改良工事を、本年度中に完成させる予定であります。本路線の重要性にかんがみ、今後も安全かつ円滑な交通の確保や地域振興等のために必要な事業を順次進めてまいりたいと考えております。  先生、残りの区間の改良計画も含めてどうかということでございますが、この二工区の間が非常に狭隘な区間でもあり、交通の隘路となっておりましたので、まず重点的にこの区間を早期に完成し、それから順次他の区間についても改良を進めてまいりたいというふうに考えております。
  105. 清水勇

    清水分科員 これは大臣に一言聞いておきたいのですけれども住宅の問題で大変御苦労をいただいておるわけですが、長野市なども宅地がどんどん騰貴しまして確保が容易でないわけですね。ところが、いま申し上げた道路さえよくなれば、この鬼無里村だとか戸隠村などというところは非常に格安の土地が豊富に存在をする。マイホームの夢を持っている勤労者等にとって大きな期待なんです。ですから、そういう面も相まって、いま局長から答弁がございましたが、重要な路線であるという認識を持っておられるわけでありますから、ひとつ大臣の方からも大いに督励をしてピッチを上げてもらいたい、こう思いますが、どうでしょう。
  106. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のようにがんばりたいと思います。
  107. 清水勇

    清水分科員 短い言葉ですけれども意味が込められているように思いますから、そういうふうに伺っておきます。  さて次に、局長に重ねて一般国道十九号の問題でちょっとただしておきたいのですが、長野市に入って両郡橋以北、つまり長野市街に向けての部分がこれは大変な渋滞である。それで、五十四年、五十五年、当時の山根局長といろいろ論議をいたしまして、建設省としても県や市と相談をして、状況に応じて臨機に臨時暫定的なバイパスなどをつけるというようなことも含めて、いろいろと計画を進めてこられたわけなんですが、現状、どういう状況になっていますか。
  108. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 一般国道十九号の長野市側の交通混雑に対して、どういうふうに建設省いろいろ検討しておるかということでございますが、一般県道川中島停車場線から犀川左岸沿いに東へ向かい、裾花川右岸を北上して市道高田安茂里線に至る全体延長約三キロメートルの道路につきまして、現在長野県の県費補助として長野市が事業を進めております。このほか、国道十九号の現道対策として、特に渋滞の著しい長野市安茂里地区における三カ所の交差点について、直轄で昭和五十六年度から右折レーン、左折レーンや歩道を設けるなどの交差点改良事業を行うこととし、これまでに工事に必要な設計や測量を実施してきているところであります。当面、この二つの事業を促進することによって、十九号線の長野市側の交通問題に対症療法的な措置を講じてまいりたい。  それからさらに、高速自動車国道の中央自動車道長野線が現在整備されておりますので、これができますと、松本から長野市へ行く交通のかなりの部分がこの長野線に転換いたしますので、そちらの方からも、この十九号線の交通渋滞対策が効果的に行われるのではないかというふうに考えております。  こういうものの効果を見ながら、いま先生おっしゃられました十九号線の長野付近の交通問題に対処していきたいというふうに考えております。
  109. 清水勇

    清水分科員 いまの局長答弁の中でちょっと触れられているのですけれども、十九号線の改良整備を促進すると同時に、中央道長野線の整備が進むことによって十九号の渋滞の緩和を図りたい、こう言われているわけですが、問題は、九十一国会の際、当時の道路局長は中央道長野線について、終点の須坂まで六十年代の早い時期に供用開始ができるようにしたい、こういう言明をされているわけです。いろんな事情があって、私も事情は百も承知しておりますから、ここであれこれ申しませんが、その後この計画はずっとおくれているわけですね。いま局長は、一面では長野線が整備をされることによってと言われるけれども、なかなかこれが遅々として進んでいない。いまのところ、この長野線はいつごろまでに全線の供用開始ということをもくろんでおられるか、参考までに聞かしていただきたい。
  110. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 まず第一段階として、松本までの供用開始を一日も早くできるよう現在鋭意整備に努めているところでございまして、松本までについては、何とか第九次道路整備五カ年計画期間内に供用を図りたいというふうに考えております。  それから、松本から長野線のインターチェンジに当たります須坂まででございますが、この区間につきましても整備計画は決定されておりますし、松本から麻績まではすでに路線発表もなされ、地元に路線の説明を行ったり、一部は用地買収等の協議も始めさせていただいているわけでございます。それから、麻績から須坂の区間につきましては、まだ路線発表はされておりませんが、早急に路線発表を行い、調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  111. 清水勇

    清水分科員 もう時間が来ましたから一言だけ聞きますが、早急に路線の発表というふうにいま言われましたが、どんな時期を予定をされておりますか。
  112. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 この一、二カ月内には発表したい。円滑に事務が進めば、この一、二カ月中にも発表したいというふうに考えております。
  113. 清水勇

    清水分科員 終わります。
  114. 村田敬次郎

    村田主査代理 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤公介君。
  115. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 限られた時間の中でございますので、具体的に伺っていきたいと思いますが、東京を初めとして大都市の都市づくりの中で、住宅の問題と交通の問題は建設大臣にとっても非常に重要な課題だと思っておるわけでありますが、私どもが海外に出て、東京に行きましたとか大阪に行ったことがあります、こういうお話を外国でよく聞きまして、どうですかその印象は、こう聞きますと、東京や大阪の交通の混雑、そして表現はともかくとして、日本の高層住宅、日本の住宅づくりに対してはいろいろ批判のあるところでございます。日本を象徴する、ある意味では大きな政治の課題だと思っておるわけでありますが、建設大臣に、いまたとえば住宅公団、東京で言えば多摩ニュータウンなどという日本を代表する町づくりが行われておるわけでありますが、最近できている住宅公団の平均家賃が大体どのくらいしているか、大臣御存じでございますか。年代によっていろいろありますけれども、つい最近できた公団の新しい家賃はどのくらいしているか。
  116. 内海英男

    内海国務大臣 いろいろ大きさ、場所等にもよると思いますが、平均的には六万円ぐらいと聞いております。
  117. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 六万円をはるかに超える家賃もあるわけですね。いま大臣六万円というお話がありましたけれども、平均サラリーマンで六万円の家賃を払うということはなかなか大変でありまして、もちろんニュータウンでは、はるかにそれを超える家賃の部屋もあるわけでありますが、どうもこういう住宅づくりの状況では、大都市における住宅問題はなかなか片づかない。そして、すでに年代が古くなっている公団は、私、古い三十年代の住宅公団に知り合いがいるものですから最近よく行くわけですけれども、階段はもう非常に古い階段になってしまっているし、中はイメージが非常に暗いわけですね。ドアをあけますと、本当にがたがたというドアなんですよ。いまのはサッシでさっとあくような住宅になっているわけでありますが、古いものに対しても早くイメージチェンジを図らなければいけないと思うし、新しい公団は非常に家賃が高くてなかなか入居しない、そういうケースも出てくるわけであります。  そこで参考に、これは細かいデータですから大臣、御存じないかもしれませんので、年代別にまず住宅公団の家賃体系、平均的な数字で結構ですけれども、ちょっと教えていただきたいと思います。
  118. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  公団で供給いたしております住宅につきまして、たとえば現在時点におきまして入居されている方がずっと継続しているということで考えました場合の平均家賃でございますが、たとえば昭和三十一年度に供給いたしました住宅では一万一千二百円でございます。四十一年度に供給した住宅につきましては一万七千二百円でございます。五十一年度に供給した住宅では五万一千百円でございます。五十六年度に供給した住宅につきましては五万九千七百円でございます。  以上、年度ことに代表した形で供給した住宅につきましての家賃を申し上げたわけでございますが、公団といたしましては、それぞれ供給いたします年度につきまして、勤労者世帯の第三分位の所得の方に対しまして一六%前後で家賃を決定しているのが現在公団のたてまえとなっております。
  119. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 そこで、住宅公団の家賃値上げの問題が最近新聞紙上にも載ってまいりました。私、最近公団の方々にも若干お話を伺いました。事実、民間の家賃との格差あるいは家賃のそれぞれの分野の格差ということを考えれば、いろいろな問題が指摘されると思いますが、実は前回の住宅公団の家賃値上げのときに、これは衆議院と参議院ともに、建設委員長の国会要望事項というのがございました。六項目にわたって住宅公団の家賃値上げ問題についての要望というのがありました。これはその後どういう形で履行されてきたのか。全党一致で上げた国会要望でございますので、その経過について伺いたいと思います。
  120. 武田晋治

    ○武田参考人 五十三年のときだったと思いますが、二十数年ぶりに家賃の値上げをさせていただいたわけでございます。その際、衆議院、参議院両院におきまして集中審議をお願いしたわけでございますが、そのときの委員長要望事項につきまして、いろいろとその後対処をしてまいっております。  まず第一点でございますが、未入居住宅、長期未利用地の問題につきまして、現在公団内部に設置いたしております経営改善推進本部を中心にいたしまして、全社を挙げて解消に取り組んでいるところでございます。実は、五十二年当時に未入居住宅等が四万戸を超える数がございました。それが、五十六年度におきましては一万九千戸程度に減少いたしております。決して満足できる数字だとは思っておりませんけれども、なお努力を重ねているところでございます。  第二点の、家賃値上げに際しましての激変緩和措置でございますが、引き上げ額は一定の算定方式があるわけでございますが、その算定方式から出てまいりました引き上げ額を二分の一にいたしまして、その額が七千円を超える場合には七千円で打ちどめという形にしたわけでございます。そしてまた老人、母子、心身障害者世帯のうちで生活に困窮される世帯につきましても、生活保護世帯と同様に特別の減額措置を講じたところでございます。  次に実施時期でございますが、二カ月延期をいたしまして、七月という申請に対しまして九月一日から実施をいたしております。  それから敷金の追加徴収の問題でございますけれども、行わないことにいたしたわけでございます。  それから入居者に対しましてのPRの問題でございますが、パンフレットの配布等を九回程度行いましたし、自治会等との話し合いも百四十回に及びます回数を行っております。それからまた、各支社に特別の窓口を設けまして家賃改定の趣旨等の周知徹底に努めたわけでございます。  その他の項目、たとえば増収額の使途の問題とか、あるいは現行家賃制度の遵守等の問題につきましても、その趣旨に沿いまして対処をしたわけでございます。
  121. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 前回の値上げで増収分がたしか二百四十億円くらいあったのではないでしょうか。前回値上げをしたその増収分がどういう形で使われたか。正直を言って私は格差のある部分というものも事実あると思っているのですけれども、納得のいく家賃値上げというものが前回のときにも非常に議論になったところでございまして、民間では入居していただいている方と大家さんが、そうしょっちゅうトラブルを起こしているというわけではないわけですから、国が大家さんになっている公団が、その都度、家賃裁判までやらなければならぬ、そういうことではどうもうまくない。前回のときにも皆さんが不承不承で、では値上げをしたら、その増収分は実際にどういう形で使われるのかというところにも非常に関心があったわけでありますが、その増収分についての使途を明らかにしていただきたいと思います。
  122. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  前回の家賃改定によりますところの増収分につきましては、さきの衆参両院建設委員長の要望の趣旨に沿いまして、そのおおむね七〇%を修繕費等維持管理費に充てますとともに、おおむね三〇%につきまして家賃の抑制に充てたわけでございます。  それで、修繕費等維持管理費の問題でございますが、特に外壁の塗装の問題とか、あるいは屋根防水層の取りかえの問題とか、屋内屋外にわたりますところの給水管の取りかえの問題とか、あるいは雑排水管の取りかえの問題等、特別修繕と称しておるわけでございますが、そういうものに充当してまいっております。
  123. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 もう少し具体的に伺いたいと思います。  三十年代に建設の団地あるいは四十年代に建設された団地、そういうものについて具体的にどういうように使われたのか。また増収分が高家賃抑制分としてはどういう形で使われたのか。そして特別団地環境整備費というのがありましたね、これは一般会計から百億円の支出をされているはずでありますけれども、この百億円の使途はどういう形であったのか。その内訳を伺いたいと思います。
  124. 武田晋治

    ○武田参考人 修繕費の執行状況でございますが、御承知のように修繕費につきましては通常のいわゆる家賃から入ってまいりますところの修繕費相当部分、それからまた、いまお話に出ておりますところの家賃改定に伴いまして出てまいります増収分からの修繕費部分というようなものが考えられるわけでございますけれども、そういうものにつきましては実はいわゆる修繕費一本にいたしまして執行いたしておりますので、格別詳細にわたる形での御説明が困難なわけでございます。  いずれにいたしましても、古い年次に供給されました住宅につきましては、御想像いただけますように相当に修繕の必要が出てまいります。そういう修繕につきましての費用充当等につきましては、先ほどお話しいたしましたような、いわゆる一万円台の家賃では当然に充当することができないというような状況にあります。それはまた修繕費をプールというような形で実施をいたしまして、当然にしなければいけない偶発的な破損等の修繕につきましては適確に実施をいたしておるつもりでございます。  それから家賃の抑制につきまして三〇%を充当したわけでございますが、その三〇%につきましては五十三年度に管理開始をいたします新規賃貸住宅の家賃抑制のために充当をしたわけでございます。  それから、特別団地環境整備と申すわけでございますが、その項目といたしましては、自転車置き場、集会所、それから運動施設、遊戯施設、エレベーター、歩行者路、時計塔あるいは厨雑廃の整理場というような形で百十三億円を使用いたしておるわけでございます。なおつけ加えさせていただきますと、実は一年間で実施するという形ではなくて、五十三年度から五十六年度にわたりまして百十三億円の特団環の事業への執行をいたしております。
  125. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 後刻でいいのですけれども、この百十三億円は具体的にどういう形で使われたというのは、きちっとした文書でいただけますか。
  126. 武田晋治

    ○武田参考人 はい、提出いたします。
  127. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 いま増収分がいろいろな外壁だとか内容の充実のために使われた、こういうお話がありましたけれども、実際に私たちが団地に行ってみますと、確かに外壁は大分やりましたね。いまやっているところもあります。しかし部屋の中については、大臣、三十年代の団地を実際に一度できたら視察してもらいたいと思うのですね。外だけは大分塗りかえをしていただいたけれども、中は依然として最初につくったままの状況になっている。  だから、いろいろな社会的な状況の中で前回も家賃改定がされた、家賃の値上げがされた。そういうものが自分たちが住んでいる住宅に実際にはね返ってきて、そして非常に環境が整備されたということになれば、皆さんの気持ちの上でも納得がいくだろうと思うのですね。しかし実際には、どうも外壁だけはかなり手をつけていてくださるようですけれども、部屋の中は、私がお訪ねした部屋がそうなのかどうかはわかりませんけれども、もう少し大家さんとして、入居していただいている皆さんの気持ちに立って、そうした増収分をきちっとした形で快適な住まいづくりに充てていただきたいと思うのです。いま、これからの増収分、そうしたものの使途について、どういう考え方でやっていかれるのか、基本的な考え方計画をちょっと伺たいと思います。
  128. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  公団住宅の修繕につきましての基本的な考え方があるわけでございます。実は契約書におきまして、お入りいただきます方の居住者の方々に直接負担していただく修繕と、それから公団がいわゆる大家の立場で修繕しなければならない、共用部分の修繕になるわけでございますが、そういう事柄を契約書の中で実はきちんとうたってあるわけでこざいまして、ただいま先生が申されている内容等につきましては、いわゆる居住者の皆さん方が自分で修繕をしていただくというのが実はたてまえになっているのではなかろうかと思います。  そこで実は、いまの外回りだけの修繕だけではなくて、公団といたしましては、実は共用部分等につきまして、たとえば流し台の取りかえの問題だとか、つり戸棚の取りかえの問題だとか木造床の張りかえの問題だとか、そういう事柄につきましても、この前の五十三年度の家賃改定等に関連いたしまして計画的な修繕ということで、より一層そういう面の修繕に努力をいたしておるわけでございます。そういうことで、たてまえ上そういう形になっておりますので、その点は、住まれる方々もぜひひとつ、そういう修繕につきましてのお骨折りをいただきたいと思います。  それから、今後の修繕のあり方でございますが、先ほど来申し上げておりますように、日常、公団として修繕しなければならない偶発的な破損等につきましては当然に実施してまいりたいと思っております。それからまた、いわゆる従来から出てまいりますところの、家賃等の見合いにおきまして、先ほど来から申し上げておりますところの計画修繕とか、あるいは特別修繕等の項目が十数項目あるわけでございますけれども、そういう事柄につきまして計画的に修繕を実施していきたい、こういうふうに考えております。
  129. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 ぜひ増収分については入居者の皆さんが納得のいくような形で、また大家の立場で、入っていただく方々にできるだけ快適な方法で、そうした道を開いていただきたいというふうに思っております。  もう一つ。最近、前回の家賃の改定後、家賃の滞納者が非常にふえてきている。私のところの資料が確かかどうかわかりませんけれども、参考にいただいている資料で伺いますと、非常にここのところ急速に家賃を滞納している人たちがふえてきている。これはどういうことが原因で家賃滞納者がふえてきているのか。また滞納著の推移をちょっと伺いたいと思います。
  130. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  家賃の滞納につきましては、全く公団といたしましても遺憾なことだというふうに受けとめているわけでございます。家賃の滞納状況でございますけれども、五十二年度につきましては滞納者が五万四千人おられまして、滞納金額に対しますところの滞納率は一・六%でございます。五十三年につきましては九万五千七百人で、滞納金額に対しますところの滞納率は四・五%でございます。五十四年は八万五千九百人で二・七%に当たります。五十五年度は九万二千三百人で三・三%に当たります。五十六年度につきましては九万六千二百人で三・七%に当たるような状況でございまして、確かに上昇傾向にあることにつきまして、私たちはこの解消のために現地の営業所等を中心にいたしまして、その督促に努めているところでございます。  このよって来る原因でございますが、家賃滞納件数の内訳を見てまいりますと、一万六千二百件というような形になっておりますが、その中の八〇%程度につきましては実は一、二カ月程度の滞納でございまして、特別な例外を除きまして、一時的な出費によりますところの家賃の支払いが一、二カ月おくれたとか、あるいはまた、うっかりいたしまして支払い時期を経過してしまったものだというふうに受けとめているわけでございます。中には、統計的に調査をしたわけではございませんが、病気等によります入院あるいは失業というような形の原因もあるやに伺っております。
  131. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 いまお話を伺ったように、最近公団家賃の滞納者がとにかく数字の上では確実にふえている。しかもここ五十三年、五十四年、家賃改定後特に家賃の滞納者がふえているんですよね。じゃあどういう人たちが実際に滞納しているのかということを調べてみますと、いまもちょっとお話がありましたけれども、比較的高齢者の人たちが多いですね。あるいはいろいろな事情で支払いができなくなったという人たちが非常にふえてきている。  実は、たとえば都営住宅の場合には、ある一定の収入を得るようになると住宅公団に優先的に入れる、そういう制度がありますね。できるだけ安い家賃で、ある一定の時期過ごされて、そして充実をしてきたら公団とか一般住宅、一戸建てとか、そういうコースなんでしょうけれども、都営住宅から住宅公団にという制度があるのだから、住宅公団に入った、しかし現実には滞納者が非常にふえている、家賃を払えないという人たちがふえている、そういう方々には今度は逆の制度、今度は、そういう支払いができないという内容を吟味した上で、むしろそういう方たちは都営住宅に優先的に入居さしてあげる、いまある制度の逆のコース、こういう制度にしたら家賃の滞納ということもあるいは防げるのじゃないか。こういう方々にとっては、むしろそういう制度があったら救われるのじゃないかと思うのですけれども、そういう制度をお考えいただくというのはどうでしょうか。
  132. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 御案内のように都営住宅すなわち公営住宅は低所得階層の方々のための住宅でございまして、当然収入制限がそれに伴ってあるわけでございます。しかしながら収入制限に合った形で当初入居いたしましても、次第に収入がふえてきまして、それで収入制限の限度よりもはるかに高額の所得を取るようになる、あるいはなった方々がございます。そういう方々は当然その公営住宅を退去をしていただく、引っ越していただくということになるわけでございますが、実際問題としては直ちに引っ越すといってもなかなかむずかしい問題がございます。そこで、そういうような場合には、他の公的賃貸住宅、たとえば公社住宅でありますとか、あるいは公団住宅とか、そういうようなところにできるだけ私どもがごあっせんをいたしまして優先的に入居をしていただこう、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、低所得者階層のための住宅から、そういう所得制限のない賃貸住宅へあっせんをしようというのが、先ほど先生の御指摘になりました制度でございます。  一方公団住宅の方から公営住宅にどうだ、こういうことのお話がございますが、これは一般論から言いますと、所得の高い人が住んでいるはずの住宅から、所得の低い方へ優先入居を認めろ、こういうことになりますので、一般論としてはむずかしいと思います。しかしながら公営住宅というのは、所得の低い方あるいは母子家族とかあるいは身障の方だとかそういう方々に対しては、現在それが民間の賃貸住宅だろうと公団の賃貸住宅だろうと入っている方にもオープンに、所得制限あるいは目的に沿ったものであれば入居ができることになっておりますから、そういう形で、もしそれが母子家族になったとか、あるいは身障のような状況になったとかいうふうなことであれば優先的に入居のできる道はございますので、そういう形であっせんはできるというように存じております。
  133. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 基本的なルールはわかりました。  しかし、先ほど申し上げたとおり都営住宅とか住宅公団にはそういう制度があるのですから、実際に支払いができなくなった、あるいは新しい状況下に置かれたという方々には、支払い能力がないということは当然それだけの理由があるから払えないわけですから、そういう方たちには逆の制度をつくって、そして公営住宅に入って家賃が払えるような環境をつくってやる、その制度をつくることは何も不自然じゃないと私は思うのです。大臣の御決断でそういう道を検討してくださると、これは新しい制度ができるわけですから、大臣がここですぐ即決して、いいですね、そういう制度をつくりましょうということを言えるかどうかわかりませんけれども、将来の方向として、上に行く制度があるのだから、払える能力がなくなってしまって新しい状況が生まれたときに、そういう人たちにも制度として道を開いてやることは決して不自然じゃないと私は思うのですけれども、ちょっと大臣のお考えを。
  134. 内海英男

    内海国務大臣 検討すべき御提言だと思います。したがいまして、関係局その他担当の方ともよく相談をしてみますけれども、少なくとも家賃が払えなくなったから出ていったらいいだろうというようなかっこうになって、おまえのところは公営住宅の方へ移れというふうにとられることもいかがかと思いますし、そこに非常に問題があると思います。したがいまして、そういうような取り扱いにつきましては慎重に検討していかなければならぬ問題だと思います。格上げの方ですと、社会的な環境からも素直に受けられますけれども、格を下げるというようなことは、払えないからこっちへ移れというふうにとられる向きもあると思いますから、これは慎重に検討してみなければならぬ問題だと思います。貴重な御提言として勉強させていただきます。
  135. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 時間が参りましたので、もう一つ、ほんの短くお答えをいただければいいと思うのですが、冒頭に申し上げたとおり、前回の家賃値上げのときに非常に問題になったのはルールづくりですよね。きちっとしたルールがある。そして皆さんも納得のいく形であれば、格差が出てくれば、それに対して対応するということはそんなに不満がないと思うのですけれども、家賃改定についてのルールをどういう形でつくっていくのかということだけ大臣ひとつ、もしお答えいただければ……。
  136. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 これにつきましては五十六年八月の住宅宅地審議会の答申に基づきまして、既存家賃につきましては三年ないし五年ごとの定期的な見直しを行う、それから家賃の適正化に当たりましては、適切な手続に基づく必要なルールづくりを行い、家賃の変更が公正かつ円滑に行われるよう配慮する旨、住宅局長から各事業主体あてに通知をいたしたものでございます。住宅公団といたしましては、総裁の私的な諮問機関といたしまして基本問題懇談会をおつくりになって、居住者を含めた各界各層の方々の意見を聞き、適正な家賃の評価につきまして検討をしているというような報告を伺っております。
  137. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 時間が参りましたので質問を終わりますが、いまいろいろ家賃値上げの問題がうわさされて大変心配をしている。しかもサラリーマン家庭ではなかなか生活が楽ではないという状況でございますので、どうぞ大臣篤と御配慮をいただきたいと強く御要望して、質問を終わりたいと思います。
  138. 村田敬次郎

    村田主査代理 これにて伊藤公介君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分より再開することとし、この際休憩をいたします。     午後零時五分休憩      ────◇─────     午後零時三十分開議
  139. 藤本孝雄

    ○藤本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。和田一仁君。
  140. 和田一仁

    和田(一)分科員 きょうは、短時間ではございますが、主として人口が大変急増している府県、こういう府県の道路対策、道路網の整備状況、こういった点についてお伺いをしたいと思います。  そういった県は幾つかございますけれども、特に最近急激に人口がふえて、そういった対応がおくれているのではないかと思われます埼玉県を例にとりまして御質問させていただきたいと思います。  人口は、やはり関東周辺で非常に急増している県が多いのですが、この埼玉も千葉に次いで大変増加率の高い県でございまして、すでに人口は五十八年一月一日に五百六十三万を超えるという人口県になりまして、北海道とやや同じ人口でございます。加えて、これは東京、首都に隣接しておる県でございまして、東京を核にいたしまして、ここの埼玉県を流通する交通量というのも非常に高い県でございます。したがって、県内の自動車保有台数も最近は非常に急激にふえてまいりまして、五十七年十月末で自動車の保有台数が全国でいま第四番目の府県ということでございます。私の手元の運輸省の調査資料によりますと、百七十三万八千台という保有台数でございまして、これは全国で四番目の自動車保有の県でございますが、そういう県の中で、東京を核として幾つかの高速道路、国道というものがございます。最近は、東北縦貫自動車道、関越自動車道、常磐自動車道、こういうものが県内を通過しておりますし、昔からの国道としては、日光街道、中仙道あるいは岩槻街道、川越街道、こういうような主要な国道が埼玉を通過しております。これはいずれも東京を核として各地方へそれぞれ放射線形に延びている国道でございまして、それを県内で環状的につなぐ道路といいますと、わずかに国道十六号であるとか、あるいはいま計画中の東京外環であるとか、この程度の道路が主要な道路というのが現状でございます。そういうことを考えてまいりますと、ここは渋滞するのが当然ではないかという感じのするところでございます。そういう中で、大変時間も少ないので、五点ほどきょうは質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、こういった人口がふえ、そして交通も飛躍的にふえている府県の道路が常時渋滞しておりますと、それに伴って、いらいら運転のせいか事故率も非常に高いのです。この埼玉を調べますと、交通事故もワーストファイブぐらいに入るのではないですか。そういう意味で非常に対策を急がなければならぬと思うのですけれども、道路整備について、建設省方針として、こういう県に優先度を設けてでもやるべきだとお考えになるのかをまずお聞きしたいと思います。
  141. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、首都東京に隣接の埼玉県として大変交通渋滞があり、道路整備等を急がなければならぬと思っております。いろいろな面で国の財政も大変厳しいときでございますので、そういう点も配慮しなければならぬわけでございますけれども、十分事情等も私ども承知いたしておりますので、御指摘のような点を配慮しつつ重点的に進めてみたい、こう思っております。
  142. 和田一仁

    和田(一)分科員 どうもありがとうございます。ぜひ優先度を設けてやらなければならぬ問題ではないかと思います。  そこで、これは私の手元にある中で、国道とか都道府県道とか市町村道というものの整備状況という表があるのですけれども、この中で整備率というのがございますが、この整備率というのは、一言で言うとどういうことでございますか。
  143. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 整備率は、改良済みであって、かつ混雑度が一以下の区間ということでございまして、もう少し簡単に申しますと、渋滞なくして通過できる、そういう区間というふうに御理解願いたいと思います。
  144. 和田一仁

    和田(一)分科員 私もいまその数字を見ておりまして、いま私がお聞きしております埼玉県は、一般国道総延長六百十一キロ、整備率三二・八という数字が出ております。ずっと上から、北海道から下まで見まして、東京の二五・八に次いで悪い率ですね。これは、先ほど申し上げたようなことが原因で大変整備率がおくれている、こう思うわけなんです。大臣答弁のように、やはりこういう特徴のある県は、重点的にひとつ道路整備に力を入れていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、まず五つのうちの一つですが、この埼玉の入り口みたいになっているところに、首都高の出口で高島平ランプというのがございますが、これは私も利用させていただいておってよくわかるのですけれども、常時渋滞のようなところですが、あれは暫定ランプなんですか。それともあれはそうでなくて、あのまま計画どおりやったのか。暫定ランプであるとすれば、あのランプは将来どういうふうに、いつごろ完成するのかをまず最初にお聞きしたいと思います。
  145. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 御指摘の高島平の出路でございますが、これは現在暫定的なものでございます。接続する暫定道路がいま一車線になっております。それから三園交差点という交差点に接続しておりますが、そういったところがございますので、非常に渋滞が激しいわけです。  これに対しまして、当面の対策としては、この高島平の一つ手前に中台というのがございますが、この中台の出路の手前に設置してございます情報板、これは可変の情報板でございますが、これを効率的に運用して、なるべく中台の出路に流出を促進するということでの緩和を努めているところでございます。  さらに、抜本的な対策といたしましては、首都高速五号線の二期の未完成区間、これは三園交差点まででございますが、これを整備すること、それからその先になります戸田市早瀬までの板橋戸田線を整備する、こういったことが必要であるわけでございますが、これにつきましては、地元住民関係機関等と鋭意調整を図りました結果、昨年の末に地元住民の同意が得られましたので、現在両路線の早期完成を図るべく一層の努力をしているところでございます。  その先の板橋戸田線の延伸計画としての戸田市早瀬から同市美女木までの区間につきましても、なるべく早い機会に整備する必要があると考えておりますので、これについても鋭意調査を進めているところでございます。
  146. 和田一仁

    和田(一)分科員 あそこから新大宮バイパスという交通量の比較的流れのいい道路に接続をして入っていくので、あそこをそういうふうに接続さえしていただければ、一気にあの渋滞は解消する。あそこでつかえることによって、和光市の方から来る大きな道路も巻き添えを食って、大変渋滞しておる。先ほど来言っておりますように、こういった渋滞がひどくなれば大変経済的効率も低下するわけなんで、ぜひひとつ急いで整備をしていただきたいと思います。  その新大宮バイパスをさらにずっと下っていきますと三橋五丁目というところがございまして、これは朝ラジオで名前の出ない日はないぐらい東京方面への渋滞個所の名所みたいになっていますが、それは十六号との交差点なんですね。この十六号との交差点で大宮の市内を通過して岩槻の方へ抜けていく十六号なんですが、これの東部分、東大宮バイパスはでき上がって、これはもう大変利用度は高いわけですが、その残りの西部分の西大宮バイパスが、これは十六号のバイパスになるのですが、これができないと、これはもう全く仏をつくって魂入れずみたいなもので、半分だけいいのですよ。あとの半分、ここの三橋五丁目へ来て大変な渋滞で、やはりあちこちへ渋滞のおしりがひっかかっていく。こういうことで、西大宮バイパスの建設計画はどうなっているか。用地買収もいまのうちならまだまだいいと思うのです。特にこのバイパスの取りつけ、先へ行って荒川を越える橋はもうでき上がっておりまして、この橋は新大宮バイパスに向かってかけかえていただいたわけです。ところが旧道を使うために橋をおりてから急カーブをする。本来なら真っすぐ西大宮バイパスにつなげるべく設計してあるのが、いま橋をおりたところで急カーブする。そして旧道の十六号につながる、こういうような状態でございまして、ぜひこれの建設計画進捗状況、そういったことをお聞きしておきたいと思います。
  147. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 御説明いたします。  西大宮バイパスは、一般国道十六号の大宮市西北部における交通混雑の緩和及び交通安全の確保を図るために計画されたバイパスで、大宮市西遊馬から大宮市宮前町に至る延長三・七キロメートル、四車線のバイパスであります。このバイパスは昭和四十六年度から直轄事業として事業着手したのでありますが、バイパス沿道の一部の地域から環境の問題で住民運動が起こりまして、自来鋭意話し合いを続けてきておるところでありますが、いまだ解決に至っていないところがございます。  この間建設省といたしましては、主として関係土地所有者からの用地の買収請求に対応する形で用地買収を行っており、五十七年度末で全体用地の約三〇%が取得済みとなっております。今後なおこのバイパスの整備の緊急性にかんがみまして、環境保全に十分配慮した構造を検討し、関係住民理解を得べく努めて事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
  148. 和田一仁

    和田(一)分科員 三〇%を取得済みということでございましたので、ぜひひとつ急いで完成していただくようお願いしたいと思うのです。あとの七〇%の用地の手当てが済んででき上がるまで、いつごろまでかかりますか。
  149. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 この地域はまさに都市道路を代表するようなところでございまして、この沿道にはいろいろな団地等もございます。そういうことで、道路構造そのものについても環境等に対処するためいろいろ検討しておるところでございまして、その検討を早急に終えて、これから地元説明し、さらに必要がある場合には都市計画の一部変更等も行い、それから事業化するということになりますので、いまの時点でいつ供用できるかということはちょっと私自身まだ自信がございませんので、留保させていただきたいと思います。
  150. 和田一仁

    和田(一)分科員 現地の人たちあるいは地方自治体、やはりそういう計画がどれくらいでいつごろかということは非常に心配というか気にしておりまして、家を建てたい、あるいは建てかえたいというときも、そういう基本計画がはっきり明示されないと、やはりなかなか決断がつかない。やはり都市計画にも影響してくるのですね。  それでもう一つ。これは西大宮バイパスもそういった御答弁ですけれども、埼玉には幻の国道ではないかと言われているのがあるのですね。これは三つ目の御質問ですが、上尾バイパス、これは地元では幻の国道ではないかと言われていて、計画だけはあるかのごとく示されていて実体がよくわからぬ。ここが通るのではないか、そういった沿線の市町村は、やはり住民の家の建てかえやら増改築やらに対しても、どういう指導をしていいのか大変苦慮しているようなところも見えるわけなんですね。この上尾バイパス、私らが知っている限りにおいて、これは十七号のバイパスで、これは放射線の方ですけれども、二十キロぐらいの延長、幅員も四十メーター、こういうふうに聞いているのですが、これが最近環境施設帯を設けて幅員を五十七メーターにさらに広げる、こういうようなことも聞かされてまいりますと、それに本当にすぐ接しているところでは、どっちでいくのかというようなこともあって、やはり計画全体をもう少しはっきり示していただけないか、こういう要望もあるようなので、この点についてもお聞きしたいと思います。
  151. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 国道十七号の大宮市から鴻巣市に至る区間は、現在四車線で供用されておりますものの、一日約四万台から四万五千台の交通が流れておりまして、朝夕を中心に相当の渋滞をしておる現状にあります。このため、当該区間につきまして、現在上尾バイパスの調査を実施しているところであります。  本道路は、昭和四十四年幅員四十メートルで都市計画決定されたことは、いま先生のおっしゃられたとおりでございますが、沿線に新たな宅地開発が進んでおり、現在、主として道路構造の検討及び環境保全対策に関する調査を鋭意進めておるところでございまして、早急にその成果を取りまとめ、地元の方々との対応を進めてまいりたいというふうに考えております。
  152. 和田一仁

    和田(一)分科員 そうすると、この住宅地区をバイパスするわけなんですが、四十四年の都市計画の幅員四十メーターは五十七メーターの道路構造にしようという調査をなさっているわけですね。これはまだ五十七メーターにするというふうには決まったわけではないのですか。これは調査ですか。
  153. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 調査中でございまして、五十七メートルと決めたわけではございません。この沿道の開発利用状況等から勘案して、環境問題に対してどのように対応していったらいいかというその対応を考える過程で幅員についてもどうしたらいいのかを検討調査しておる段階でございます。
  154. 和田一仁

    和田(一)分科員 ここの予定されているのを地図の上で見ますと、これは幻の国道なんて言われているようですけれども、いまならばこの計画を実施するのに難易度から言えば比較的少なくて済む。先へ行くほど実施のためのエネルギーはよけい必要になってくる、こういうふうに思います。冒頭申し上げたように、大変急増ですね。全国二位の急増地帯。自動車の保有台数も飛躍的にふえている県ですから、一年おくれればおくれるほど苦しくなってくる、こういう感じがいたしますので、至急に調査、決定して実施に移っていただきたいと思います。  次に、東京外環ですね。非常に壮大な計画の外環、外郭環状道路のようでございますけれども、この中で埼玉県でも幾つかのところで問題があるのですが、きょうは一地区についてひとつお聞きしたいと思うのですが、和光地区というのがございます。和光市です。これは非常に小さな市ではございますけれども、東京に隣接しておりまして密集しております。ここへ外郭環状線がぐっと大きく抜けていくわけでございまして、この和光市の外郭環状線についての計画、見通し、その他について、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  155. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 先生の御指摘の和光市における外郭環状道路につきましては、昭和五十五年に都市計画決定をいたしております。その後、買い取り請求のあるものにつきましては、それなりの的確な対応をしているわけでございますが、五十六年度からは直轄事業化いたしまして、区画整理を実施している区間あるいは東武東上線との立体化のための負担金、そういうものに対処しながら、この区間の整備、促進を図っていきたいというふうに考えております。
  156. 和田一仁

    和田(一)分科員 大変恐縮ですけれども、どれくらいで完成するかというような目安はございませんでしょうか。
  157. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 この和光地区だけの外郭環状道路の建設費というのは約五百八十五億でございまして、非常に膨大なものでございます。いま申し上げましたような買い取り請求への対応あるいは区画整理、あるいは東武東上線の立体化の負担金というようなものにこれから対応していきたいという段階でございますので、いまの時点でこれがいつ供用できるかというのは非常にお答えにくいことでございますので、留保させていただきたいと思います。
  158. 和田一仁

    和田(一)分科員 供用にまで至らなくも、これは全体つながらないと、なかなか供用というかっこうにならないと思うのですが、工事が相当大規模な工事なものですから、全体がつながるのでなくて、あの部分での工事の完了は、たとえばいま御答弁のような東武東上線の立体化だとかを含めて大体いつごろを目安に置いておられるのか、わかりませんか。
  159. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 私たちは、ある程度工事進捗状況の目安を立てておりますのは、五カ年計画策定の段階に、この五カ年計画期間中にどのくらいのものができるかというようなことを検討するわけでございまして、もちろん長期的には二十一世紀初頭までにいろいろ考えておりますものは全部つくることを目標にしておりますものの、先生の御質問のような和光地区について工事を完了するというような具体的な話については、五カ年計画期間中のものをある程度積み上げながら検討しておりまして、この区間工事費が約五百八十五億と非常に大きなものでございまして、この第九次五カ年計画期間中にはとうてい工事が完成するあるいは供用できるという状態にございませんので、それが何年度になったら工事ができるかということは、ちょっと私自身もまだ目安が立たない状態でございますので、留保させていただきたいと思います。
  160. 和田一仁

    和田(一)分科員 買い取り請求があればそれに対応するという御答弁でしたが、これは五百八十五億の中で対応されているわけだと思うのですが、これはたとえば代替地ではなく、補償というか、そういう形ですぐ立ち退くぞという人に適用していこう、こういうことでございますね。
  161. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 先生の言われた後者の部分でございまして、五十七年度で、金額で申し上げますと約六億円くらいがこの買い取り請求費となっております。
  162. 和田一仁

    和田(一)分科員 やるなら早くやってくれというのがどうやら地元意向のように聞こえてもおりますので、ひとつそういった地元のいまの空気を勘案して計画を推進していただきたい、御要望しておきます。  それから最後に、こういった県の実態の中で河川があるものですから、これがやはりネックになっておりまして、その河川の中で、荒川にかかっている橋の一つで大変よく利用される羽根倉橋というのがございます。これは浦和—所沢を結ぶ幹線道路ですが、先般新しい橋になりましたが、片側一車線というので、ここは長蛇の列という感じがいたします。いまこれの拡幅の進行状況が大分進んできているようでございますけれども、これの見通しについてお尋ねしておきます。
  163. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 羽根倉橋は、主要地方道浦和所沢線の荒川にかかる橋長八百六十メートルの長大橋梁であります。本橋は昭和四十八年に上り二車線を暫定供用して往復それぞれ一車線ずつで使っておるわけでございますが、その後の交通量の増加に対応するため昭和五十六年度に四車化事業着手いたしました。昭和五十七年度におきましては、前年度に引き続き上部工の製作架設を進めており、本橋の重要性にかんがみ、早期完成に努めてまいりたいと思っております。この総事業費は十七億円でございまして、五十八年度以降残事業費が七億円でございます。五十七年度事業費は五億円でございますので、できるだけ早く供用するように努めてまいりたいと思います。
  164. 和田一仁

    和田(一)分科員 大臣お聞きのように、大変問題の多いところでございまして、さりとて人口の増加をとめるわけにもいかず、首都圏の中で埼玉という県が通過する県でもあって、日本全体へも大変大きな影響がある、こう思いますので、冒頭御答弁いただきましたような意味で、考慮される中で最重点の考慮をお願いしておきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  165. 内海英男

    内海国務大臣 埼玉県の交通事情につきましては十分承知をいたしております。御指摘のように努力をいたします。
  166. 和田一仁

    和田(一)分科員 ありがとうございました。
  167. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて和田一仁君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  168. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は大和川の治水対策について質問いたします。  昨年八月一日の台風十号及び八月三日の大雨で奈良県は深刻な水害を受けたわけであります。県の集計でも、死亡者、行方不明が十六名、床上、床下浸水が一万二千三百九十八棟、罹災者は四万二千五百二十六人、このような重大な被害を受けたわけであります。ことに大和川水系では、王寺町の下葛川の逆流、溢水で約千七百戸という床上浸水を二回受けております。田原本町での初瀬川の決壊を初め、大和川全流域でがけ崩れだとか土砂の流出、田畑の冠水など大変な被害を受けました。私は、この水害直後も災害対策特別委員会でこの水害の救済、復旧の抜本的対策についてただしたところでありますが、きょう再び質問をするわけでございます。  先日も王寺町へ参りまして罹災をされた方と懇談をしたのであります。この王寺町は、先ほど申しましたように、二度の逆流、溢水で八月一日には、実際は二日ですが、千六百九十五戸、三日には千七百六十戸の床上浸水であります。本当に深刻な事態であったわけでありますが、この被災地の住民の方々は、この被災から立ち直るために懸命な努力を続けられております。しかし、雨がちょっと強く降りますと、またあのような水害にならないか、びくびくして暮らしている、不安な日々を送っているのだというお話を聞いてきたわけであります。そして二度とこのような水害が起こらないように万全な対策を一刻も早くという切々たる訴え、要望を聞いてきたところでございます。  まず最初にお尋ねをいたしますが、王寺町では応急対策が、葛下川の堤防のかさ上げなどすでにやられたわけでございますが、いま激特工事で葛下川の改修、下之庄地域河床の掘削、護岸などが五カ年計画で進められておる、このように承知しているわけです。しかし、五年かかるということですね。もうあと半年しますと、また台風シーズンが来るわけであります。二度とあのような水害を繰り返さないような対策、対応が十分なのか、まずお尋ねいたします。
  169. 川本正知

    川本政府委員 先生ただいまお話しのように、昨年の七月三十一日から八月三日にかけまして、大和川流域に台風十号とそれに続く台風九号崩れの低気圧によって大変な雨が降ったわけでございます。そのために、王寺地区におきましてハイウォーターを上回るような出水になりまして、支川の葛下川から溢流をいたしまして、王寺の町中が浸水するという大変な被害が起こったわけでございます。  奈良県全体といたしましても、先ほど御指摘がありましたように、一般被害というものも甚大なものがあったわけでございますが、建設省で所管しております公共土木施設の奈良県内の被害額が四百六十三億円でございました。これの被害に対しましては、五十七年度中に約六八%の復旧を図る。例年でございましたならば、五十七年に起こりました災害は、五十七年度中に三〇%というのが標準でございますけれども、奈良県のこういった災害の実態といったものを考えまして、さらにそれを大幅に前倒しいたしまして災害復旧事業を実施しておるところでございます。五十八年度内には累計で八五%までの復旧を図ろうということで進めておるところでございます。  また、県内でも幾つかの河川につきまして、災害復旧の助成事業あるいは関連事業として採択して、改良復旧ということも努めてまいることにしておるところでございます。  また、いま御指摘のありましたところにつきましては、葛下川の区域が約一・三キロ、それが下流で合流いたします本川の区域が約一・五キロ、これにつきまして激特事業として採択して、今後用地などで地元の御協力もいただかなければいけないわけでございますが、それに基づいて計画的に改修を進めていかなければいかぬと思っております。  ただ、溢水いたしましたところにつきましては、仮堤防等で復旧しております。しかし、おっしゃるとおり、こういった事業が完成するまでの間は、いまの仮堤防等で溢水を防止するということでやらなければいかぬわけでございますし、また出水期に際しましては、昨年の出水の教訓といいますか経験を生かしながら、より一層万全の水防体制、こういったものをとられるように奈良県を指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  170. 辻第一

    ○辻(第)分科員 十分な対応をとっていただきたいと要望いたします。  私ども奈良県党組織は、あの水害の後、早速救援活動をやったわけでありますが、同時に調査団をつくりまして、被害の実態を調査し、真の原因究明、根本的な総合治水対策の確立を目指して、ことしの二月に「大和川水系の奈良県における科学的で民主的な総合治水計画の策定と実施のために」と題する提案、こういうものをつくって発表したところであります。  この八二水害の原因につきましては、建設省近畿地建は、記録的な大雨が原因とし、大和工事事務所は、戦後主要豪雨一覧を公表され、八月一日、二日にかけての大和川流域の平均雨量が二百八十四・一ミリ、これは三十四年八月十二日、十三日の二百十・二ミリに比し群を抜いた雨量と説明をされているわけであります。  水害を見ていく物差しとして、二日間の雨量が使われるということは承知しているわけであります。しかし、今回の雨の状況をしさいに見てみますと、一日から二日未明にかけての雨と三日の雨の間に約十九時間という晴れ間があるのですね。奈良地方気象台では、一日目の雨は大体百六十ミリと発表しております。この雨でもうすでに甚大な被害が王寺町、田原本町初め全流域に及びました。そしてその特徴は、同時に多発し、規模が大きく、いろいろな形での水害が出たということだと思うのです。  先ほど申しましたように、一日から二日の午前三時までにかけての雨は百六十ミリですね。それから三日のといいますか、二日の夜十時から降り出した雨が三日の八時ごろまで降ったのですが、これが百五十五・五ミリ、こういうふうに私どもは奈良地方気象台から聞いておるわけでございます。 それまでに、昭和三十四年八月十三日に百八十二ミリという雨が降っているということであります。昭和二十八年から三十年間で見てみますと、この昭和三十四年八月十三日の百八十二ミリが一番で、二番が八月一日の百六十ミリ、三番が三日の百五十五・五ミリ、こういうふうに承知をしておるわけです。奈良地方気象台から資料をいただきまして、私どもでちょっと調べてみますと、一八九七年から一九八二年の約八十五年間に、大体百五十ミリ以上の雨が降ったと思われるのが十四回ありました。  このように見ていきますと、私どもは、この二つの雨の関連を無視することは正しくないと思いますが、同時に、二日間の雨を合算して、それを主として判断の基準にするということは、事実の正確な把握を欠くものである、こういうふうにも考えるわけでございます。当局は、先ほど申しましたように、記録的な雨だとか、県当局なんかに言わせますと、未曾有の雨だ、こういう表現をされておるのですが、一つ一つ見てまいりますと、そういう百年に一回というような雨ではなしに、百年に何回もあり得る雨だ、こういうふうな認識をするわけであります。この点について、いかがですか。
  171. 川本正知

    川本政府委員 先生がおっしゃいます雨の記録でございますけれども、大和川水系の工事実施基本計画というのがございますが、それにも記述してはございますけれども、王寺地区なんかに対しましても、大和川流域の特性からいきますと、いわゆる流量の一番高いピークを支配いたしますのは、流域全体の雨量記録から、流域平均の二日雨量という言葉を使いますけれども、流域平均二日雨量が支配的であるというふうに考えておりまして、奈良の測候所の記録そのものは、先生のおっしゃったとおりだろうと思いますけれども、私どもがこしらえておりますデータからまいりますと、王寺の水位観測所の最初のピークが八月二日の三時に七・三八メートルでございました。これが最初のピークなんでございますが、これに関係いたします雨量は、七月三十一日から八月一日までの流域平均二日雨量であり、それは計算してみますと、二百四十一ミリということになりまして、先生先ほど御指摘の、従来戦後最大でもありました昭和三十四年の洪水、この場合の流域平均二日雨量は二百八ミリでございまして、それをはるかに上回っておるものでございました。  それから、御指摘のように、確かに水位の山が二つございまして、次の水位のピークが八月三日の十一時の七・五四メートル、これが先ほど申し上げたハイウォーター以上になったという山でございますが、これにかかわる八月一日から二日までの流域平均二日雨量を出してみますと二百七十七ミリということになって、既往の記録では最大となっておるという認識を持っておるわけでございます。
  172. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私どもの奈良地方気象台のデータで見てみますと、一日の雨というのが百六十ミリですね。それから三日の雨というのが百五十五・五ミリということでありまして、いまおっしゃいましたように、二日の午前三時のピークが七・三八メートルですか、それから三日の雨が午前十一時で七・五四メートル、こういう異常な水位の高まりを見たということであります。  ちなみに、これまでの最高が昭和五十四年の六月二十九日に五・八六メートル、それから先ほど申しました昭和三十四年八月十三日百八十二ミリというこれまでの奈良気象台での最高の雨で見てみますと五・七七メートル、これに比べてみますと、本当に異常というほど水位が高まったということであります。そして二極を示したということですね。  このことは、端的に申しまして流域の保水力の著明な低下を示すものである。さらに端的に申しますと、これは流域全体の、大企業を中心とした乱開発、宅地化が根本的な原因である、このように認識をしているわけでございます。建設省の「大和川」というパンフレットの中にも、昭和三十五年には住宅地が四・六%だったのが、五十四年には二〇・一%になった。もう約五倍近くふえたのですね。それで六十五年にはさらにふえるだろう。いま言った数字はパンフレットかほかのかちょっと——ほかのかもわかりませんが、パンフレットにもこういうことが書いてあるようです。それから人口で言えば、昭和四十年に六十万だったのが、五十五年に百万になっているのですね。恐らく六十五年には百二十万とも百三十万とも予測される、こういうことですね。こういうことから見てまいりましても、流域の保水力の著明な低下ということが明らかであろうと思います。私どもはこの異常な水位の高まりというのをこのように認識しているのですが、当局はどうですか。
  173. 川本正知

    川本政府委員 全国的に見まして、大都市周辺地域の都市化というのは確かに相当な進度がございました。といいますのも、わが国はこの狭い島国で大変山地が多い。平地が少ないところに大変な人口や資産が集積をせざるを得ないような宿命があるということでございまして、国土面積の約一割に相当する面積が河川のはんらん区域でございますが、その一割の区域の中に、現在人口では五〇%、国民の資産では七〇%が集積をしておるというふうなことでございます。そういう自然地形的な宿命もあるわけでございますが、一般的に申し上げますと、確かに流域の都市化によりまして、その河川の流域が従来持っておりました保水能力あるいは遊水能力といったものが低下いたします。低下いたしますと、やはり降った雨が滞留することなく一度に川の中へ流れ込んでまいる、そのために流出量が増加するということは事実でございます。また先ほど申し上げたように、はんらん区域の中の資産が続々とふえてきておることからいきましても、その被害は増大するという傾向があることは事実でございます。しかし、昨年の大和川の災害の主たる原因といいますのは、現在の治水施設の能力を上回る異常な豪雨にあったんだということは事実であると考えております。
  174. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私どもは、このように見てまいりますと、記録的な雨ということじゃなしに、百六十ミリ程度の雨で、大企業の乱開発を主原因とする保水力の極端な低下、それの後追い的な立ちおくれた治山治水対策もとでこの深刻な水害が起こった、このように認識をいたしております。これでは天災ではなくまさに人災だ、このように認識をするわけであります。そしてこの認識の上に、いまこそ抜本的な、総合的な治山治水対策がとられるべきであります。当然、これまでの治山治水計画のように、戦後最大の洪水に対応できるような河道整備を主にするのではなく、上流部の保水力の回復と維持も一つの重要な柱として対策をとらねばならないというふうに考えます。当然乱開発の規制など土地利用計画の再検討ということも大きな意味を持っているのではないか、このように考えるわけであります。そして十分な治山、遊水地の確保、河道整備、堤防の改修、内水対策など、本当に総合的な、抜本的な治水対策をやっていただきたい。そしてそれをやる上には、住民関係者意見をよく聞いて、それを十分反映をする。そのような民主的な総合的な治水対策委員会というものも設置されるべきではないか、このように考えているわけであります。  そこで、亀の瀬対策についてひとつお尋ねをいたします。これは大変むずかしい問題で、地すべり対策も非常に難工事だということも存じているわけですけれども、しかし、今度の水害を見てまいりますと、そうばかり言っておられないというふうに思うのですね。地元の人は、何としてもこの亀の瀬の地すべり防止のために、あらゆる対策をとっていただいて、一刻も早く地すべりを食いとめていただくこと、そして下流対策も十分行き届かしていただいて、その上で河床の掘削をやっていただきたい、強く、強く要望されているわけであります。  よく見てまいりますと、大和川というのはあそこで全部一つになりまして、まさにネック、そして全体の治水の問題でのネック、二重のネックになっているということはすぐわかるわけであります。それから昭和六年でしたか、地すべりが起こって、一・二メートルか一・何メートルか隆起をしたということがあるわけであります。こうなりますと、亀の瀬問題というのは避けて通れない問題だと私は思うのですが、いま私が申し上げた点の当局の考え方をお聞きをしたいと思います。
  175. 川本正知

    川本政府委員 亀の瀬地区は、先生指摘のように、奈良盆地ののど首に当たっておりまして、奈良盆地から大阪平野に入りますところの狭窄部でございまして、確かに奈良盆地の排水のために亀の瀬の狭窄部がいろいろ問題になっておるということの地域ではございます。ただ、御存じのように、その右岸側が全国でも有数の大地すべり地域でございまして、この地すべりが現在の河道をふさぐことがまずないように、昭和三十七年から直轄の地すべり対策工事ということで毎年相当な投資を行って、その対策を実施しております。水を抜いたりというふうないろいろな対策をしているわけですけれども、地すべりの現象というのは、対応も非常にむずかしいし、また原因、あるいはその根本的な対策をどこまでやればいいかとか非常にむずかしい問題がございます。したがって、この当該個所の河道を広げるということから開削するということは、技術的にはきわめて慎重に対処しなければいけない重大な問題だと考えておりまして、この方策を今後とも慎重に検討していかなければいかぬと思っております。  なお、今回の出水に対応いたしましては、先ほどお話しいたしました激特事業で、葛下川合流点から下の本川側につきましても、たとえば三郷町の西浦あるいは下之庄、王寺町の大田口、この辺の地先に狭窄部があるわけでございまして、そういった狭窄部を掘削することにしております。それによりまして、今回程度洪水に対しては十分流下能力を確保することができる、そういうふうに考えております。
  176. 辻第一

    ○辻(第)分科員 今回の雨程度なら十分な対応ができるというようなお話でありましたけれども、私はなかなかそう簡単に、はいと申し上げられるような状態ではないと思うわけであります。本当に亀の瀬の掘削という問題をもっともっと現地調査をし、検討し、対応していただくことを強く要望をしておきます。  それから、この王寺町の被災者の被害額は莫大なんです。これはちょっと建設大臣にお尋ねをしたいのですが、現在のいろいろな救済措置では、私はまだまだ不十分だというふうに思わざるを得ない現状であります。この間もお話を聞いてきたのですが、床上浸水になりますと、壁も畳も家財もそれこそ大変なんです。王寺町で千七百戸ほど床上浸水しているわけですから、その被害だけでも大変ですし、それから御商売をなさっている方、あるいは工場で機械を入れていらっしゃる方というのは、これはまた莫大な被害になるわけです。いま御商売をなさっている方とか工場をやっておられる方というのは、大変な不況でどうにもこうにもならないような状況の中でやっておられるのが、そういう被害を受けるということですと、それこそ大変なことであります。ですから、もっともっと十分な救済措置、あるいは私ども考え方から言えば人災の側面が強いわけですから、補償措置というようなことを考えていただきたい、こういうふうに強く要望をするわけでありますが、建設大臣として大きな立場からひとつお考えをお述べいただきたいと思います。
  177. 川本正知

    川本政府委員 とりあえず、ちょっと事務的なことを御答弁させていただきます。  いま先生がおっしゃいましたように、昨年の大和川の洪水による災害は大変大きかったわけでございますが、これも大変な豪雨という自然災害でございまして、補償を直接的にやるということは困難であると考えております。一般的には、洪水などによる個人の財産上の被害につきましては、市町村による災害援護資金の貸し付け、住宅金融公庫による災害復興住宅融資、租税の減免猶予措置などの政府施策、そういったもののほかに、民間での損害保険によるてん補が行われておるところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、災害を防ぐために、私どもといたしましては、治水施設の整備水準を向上させることが何としてでも緊要でございます。そういったことのために、五十七年度から第六次治水事業五カ年計画をスタートさせていただいたところでございますけれども、今後とも治水事業計画的な推進ということに最大の努力を払ってまいりたい、そう思っておるところでございます。
  178. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いま局長がお答えになったのですが、大臣は閣僚としての立場から、本当にこういう救済補償というようなことで積極的な対応を考えていただきたい。再度要望しておきます。  最後に、大臣に御所見をいただきたいのですが、私が先ほど来るる述べてまいりました今度の水害は、人災的な要素がきわめて強いというふうに考えております。したがって、天災を主とした観点ではなしに、こういう観点から治水計画治水対策を抜本的に見直すというような立場に立って、二度と再びこのような水害が起こらないような十分な総合的な治水対策を立てていただきたい、このように強く要望をするわけでありますが、御所見をいただきたいと思います。
  179. 内海英男

    内海国務大臣 御承知のとおり、治水事業につきましては、治水事業五カ年計画というような具体的な計画に基づいて改修工事が行われておるわけでございます。ただいままで御指摘のように、集中的な豪雨等によっていろいろ全国的に災害が発生していることもまた事実でございます。しかしながら、建設省としての治水計画の根本は、災害を未然に防止するといった立場に立って国民の生命財産を守る、こういった観点からも治水計画が進めるれておるわけでございまして、万一、天災等による不可避な事態から発生しました災害等につきましては、できるだけ速やかに措置を講じて民生の安定を図る、これが政治の原点だと思います。そういった趣旨に従いまして、今後とも災害復旧、また基本の治水計画につきましても、改良復旧等も含めまして、全力を挙げて努力をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。  災害についてのいろいろな補償問題につきましては、局長からただいま申し上げたとおりでございます。
  180. 辻第一

    ○辻(第)分科員 終わります。
  181. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、石原健太郎君。
  182. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 最近、私どもの子供のころに比べますと、建設省初め各方面の御努力で、大水害、大災害というものは比較的少なくなってきたのではないか、こう思われる。ありがたく思っているところですけれども、一方、機械力の発達等により、かつては水害の起こらなかったようなところに、人為的と申しますか、そういった災害が起こるケースが多々あるように思われるわけであります。  それで、大規模に山地を、山を農地に開発するといったような場合、降雨時におきましては、伐採、開発以前に比べればはるかに多量の水が短時間に流れる、こう予想されるわけです。こういった場合、農水省としては、開発の際に、洪水防止にどのような配慮をされているのかといったようなことをまずお聞きしたいと思います。
  183. 坂根勇

    ○坂根説明員 御説明申し上げます。  農用地開発を進めるにあたりましては、農地保全上の諸計画検討いたしますのはもちろんでございますが、受益地区外への、たとえば先生いまお話しのございました洪水量の増大とか土砂の流亡等、こういうように受益外への影響につきましても十分検討いたしまして事業計画の策定に当たっておるところでございます。  私ども計画を進めるに当たりましては、土地改良計画設計基準というものをもとといたしましてそれを進めておるわけでございまして、開発前と申しますか、事業着手前の原状が、農地開発という行為を行うことによりましてどういうように改変されていくかというような過去の類似のデータまた近傍のデータ等を収集いたしまして、これに基づきまして計画の中の諸元並びにこの計画を安全に実施いたします工事計画、こういうようなものを取り決めまして計画の策定に当たっております。
  184. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 それで具体的にお尋ねいたしますけれども、福島県の吾妻小富士地区の農用地開発、これはかなり急な山の上の平らなところを、五百三十ヘクタールぐらいのうち四百六ヘクタールを農地に転換した。そして、そこの排水は三面コンクリートの排水溝を引いて在来の川に流すというような計画でされたようでありますけれども、川が以前のままの川で、そこにそういった四百町歩からの農地の水が一気に流れていく、こういうことでは災害が当然予想され、現に昨年も二度、一昨年も一度溢水、はんらんを起こしている。この吾妻小富士の山ろくの鍛冶屋川についてはどういうふうな配慮、対処をなされたのか、お伺いいたします。
  185. 坂根勇

    ○坂根説明員 御説明申し上げます。  国営農用地開発事業の吾妻小富士地区についてでございますが、この地区につきましては、昭和四十五年に着工いたしまして昭和五十五年に完了した地区でございまして、農用地造成を目的とした事業でございます。  本事業の開始に当たりましては、ただいま一般的な計画策定の方針で申し上げましたとおり、いろいろな諸元につきましても、地区外に与える影響を当然十分考慮いたしまして策定したわけでございまして、特に下流の河川流域の防災対策につきましても十分な検討を行ってございます。特に、防災施設計画とその施行分担につきましては、農水省と福島県におきまして協議調整を行った上、実施しております。この協議調整につきましては、鍛冶屋川流域におきます国営事業地区内の防災施設につきましては農林水産省が実施することといたしておりますし、そのほかにつきましては福島県が実施するということで、事業着手前に協議調整を行った上で着工してございます。  なお、農水省が実施することになっておりました渓流工、床止め工等防災施設につきましては、すでに事業は五十五年に完了しておりますので、それ以前に工事を完了してございます。
  186. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 この鍛冶屋川というのは一級河川になっておるわけですけれども建設省の方には、この開発に際して相談なりはあったのでしょうか。
  187. 川本正知

    川本政府委員 御指摘の鍛冶屋川は一級河川ではございますけれども、一級河川の本川でございます阿武隈川の支川の荒川のまた支川の須川というのがございますが、その支川でございまして、指定区間ということになっておりまして、いわゆる管理は福島県知事が行っておられる区域の河川でございます。そういうこともございまして、建設省に直接いろいろお話があるということはなかったかと存じますが、福島県には十分御協議はあったものと考えております。
  188. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 農水省の方としては、自分たちのやるべきことは十分やったのだ、こう言われるわけですけれども、現に災害が数度にわたって起こって、そこに住んでいる地区の人たちは大変難渋しているわけですね。それで、川も改修がなかなか進まない。こういう事業をやる場合には、開発した翌年にあるいは大洪水が起こり得るということだって考えられるわけでして、当然この工事着手前に河川の改修がちゃんと行われるという見通しが立ってからやるべきだ、あるいは河川を改修してからそういう工事着手するべきではないのでしょうか。
  189. 坂根勇

    ○坂根説明員 ただいま御説明申し上げましたとおり、事業に当たりましては事前に——ただ、本地区について申し上げましたのは、事業を実施する前に福島県と協議調整を行ったわけでございまして、完了間際とか実施に入ってからでは決してございません。したがいまして、国営事業の実施計画と申しますか、着工と完了年もほぼ予定を立てた上で協議を進めておるわけでございまして、先生お話のとおり、河川側の実施を待った上でということもあろうかと思いますが、そういたしますと、受益の皆さん方の農業のこのような情勢に対応いたしますタイミングが非常におくれるということもございまして、協議調整の上、私どもが一方的にやったわけではございませんで、事業を円滑に進める観点と申しますか、考えは十分私ども持っておるわけでございますので、今回のこの地区につきましても十分農水省といたしましては福島県と協議調整したつもりでございますので、その点御了承願いたいと思います。
  190. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 そうしますと、いままでお伺いしているところの話からすれば、何かいかにも県に一方的な責任があるという感じにも受け取れるわけでありますけれども、県は県で、国からもらえる予算が少ないからというような話もたびたび出てくるわけであります。この鍛冶屋川の改修等に対して、建設省は予算面でどのように配慮されているのか、お聞かせください。
  191. 川本正知

    川本政府委員 鍛冶屋川の改修につきましては、先ほども申し上げましたように、福島県知事の管理河川でございますので、いわゆる補助事業として改修を進めてきておるところでございまして、改修を要します区間のうち下流部につきましては、白津川との合流点あたりからでございますが、それから上流の区域でございますが、この区域につきましては局部改良事業という補助事業がございます。そういった事業で四十三年度から五十一年度までに完了しております。そのすぐ上流部につきましては、小規模河川改修事業という補助事業がございますが、これに格上げをいたしまして改修を促進してきたところでございます。  五十六年ごろに、一部地域におきまして用地の問題でやや難航した時期もございますけれども、それも解決いたしまして、五十七年度も、よそからの予算流用をいたしまして当初予算よりも増大いたさせまして、そして補助河川改修を順調に推進しておるというところでございまして、残っております未改修区間、これにつきましても、今後できるだけ早く改修を促進してまいりたいと思っております。
  192. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 一刻も早く洪水の心配がなくなりますように、農水省の方からも、今後県あるいは建設省に対して、どんどん工事進捗するようあれしていただきたいと思います。よろしくお願いします。では、結構です。  それから、やはり五十三年、五十六年、五十七年と三度にわたってはんらん、溢水を起こしております一級河川の北八反田川というのがあるわけですけれども、これの改修計画はどういうふうになっておりますでしょうか、教えてください。
  193. 川本正知

    川本政府委員 北八反田川につきましては、これも一級河川阿武隈川水系の八反田川の支川でございまして、やはり先ほどと同じように知事さんの管理しておられる河川でございますが、五十六年の災害につきましては、八反田川との合流点の上流約五百三十メートルを災害関連事業として採択いたしまして、すでに五十六年と五十七年の二カ年で施行済みでございます。その上流につきましては、五十七年度に起こりました災害、これの災害復旧事業にいわゆる県単の河川改良事業を合併いたしまして改修する予定でございます。  さらに、その上流につきましても数カ所の災害復旧事業がございますので、そういったもので対処してまいりたいと思っております。
  194. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 よろしくお願いします。  それから、ちょっと言葉で説明するより写真をごらんいただいた方がわかりやすいと思うので、主査、写真をあれしてよろしいでしょうか。
  195. 藤本孝雄

    ○藤本主査 はい、結構です。
  196. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 これは一昨年の水害のときに在来の堤防が決壊しかかりまして、それを補修したところなんでありますけれども、一昨年災害が起こって、すぐに復旧作業に取りかかって、大変素早くやっていただいたことは大変ありがたいのですけれども、昨年秋ごろ私が通りかかってみますと、すでにいまの写真のように壊されてしまっている。工事は完全に設計どおり行われたわけなんでしょうか。
  197. 川本正知

    川本政府委員 そのとおりでございます。
  198. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 そうしますと、設計に問題があったのかなとも思われるわけです。この写真をよくごらんいただくとわかると思いますけれども、鉄筋なんかも本当に二、三メートルに一本ぐらいというような感じしか入っていない。いまブロック塀でさえ何十センチか置きには鉄筋を入れるような時代に、これは不十分なような感じもするわけなんですけれども、これはやはりだれが見ても、建設省、国がつくった堤防がたった一年たつかたたないかで壊れてしまうというのでは、信用問題といいますか、信頼感というか、そういうものも薄れるでしょうし、もう少し出水量が多ければ、あるいはここで堤防が決壊したというようなことも考えられるわけなんですけれども、どの辺に問題があるのでしょうか。
  199. 川本正知

    川本政府委員 先生指摘の被災個所の問題につきましては、阿武隈川の支川でございます荒川でございますが、その荒川そのものが、御承知のように溶岩によります高原状台地を浸食しながら流下してきておりまして、流出する土砂も大変多くて、扇状地形を形成しながら阿武隈川に合流してくるという大変急流な河川でございます。それで、河床にあります材料、これが粒径が大きいわけでございます。河道も急匂配でございますので、大雨がありますと鉄砲水というようなかっこうになって、曲折流下してくるような川でございます。  五十七年の出水に際しても、同様な急流河川の通常の姿として蛇行現象というのが起こりまして、水衝部が移動するわけでございます。その先生の写真にもございますように、旧来、昭和初期に施行した色の濃い方の護岸がございます。それにつながって新しい五十六年の災害復旧の護岸があるわけでございますが、その昭和初期に施行いたしました古い施設に、まず急流がそこに当たりまして、そしてその旧施設をまず下から洗掘決壊させた。それから前年度、五十六年度の工事個所に洗掘が波及いたしまして、その結果、新しい護岸も決壊流失させたというふうな現象であると思っております。  そういうことで、鉄筋量が少ないというふうにおっしゃっておりますが、それは、この工法はのり面をコンクリートのブロックで張る工法でございまして、その部分には鉄筋は普通は使用いたしません。鉄筋を使用しておりますのは、コンクリートブロックの基礎になります、のりどめの部分かあるいは、根固めのブロックを入れておりますが、根固めのブロックの鉄筋ではないかと思いますが、それは設計でもその程度の数量で、設計どおりの数量で施行されておるものでございます。原因はそういうことだと私どもは認識しております。
  200. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 この個所の補修はどういうふうにされるのか、時期的な問題、あるいは一昨年やった工事よりももう少し頑丈なものをされる予定なのか、その辺おわかりでしたら教えてください。
  201. 川本正知

    川本政府委員 五十七年の災害復旧につきましては、早速今年度の補正予算でも前倒し発注することになっておりますし、できるだけ早く復旧したいと思っておりますが、その復旧工法につきましては、五十六年の災害時よりさらに洗掘が深くなりました。そういう実態も勘案いたしまして護岸をさらに深く入れるようにいたしまして、根固め工のブロックの設置の位置も深くいたします。また、根固めブロックの単体の重量も増すことにしておりまして、そういうことで、五十六年の災害よりもさらに深く掘れた現象に対する安全度を高めるということを考えておりまして、先ほど発注すると申し上げましたけれども、現在もうすでに発注して復旧工事を施行中でございます。
  202. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 それから次に、ちょっと林野庁の方にお尋ねしたいのでありますけれども、農地の開発のみならず大規模に森林を伐採いたしますと、先ほど申し上げたように近所の人たちも言うのですけれども、いままで水の出たこともない思いもかけないところに水が出た、そしてその上流の方をずっと考えてみますと、二、三年前に大変大規模に森林が伐採されている、こういうこともあるわけで、その森林の伐採に際しまして国有林の場合にはどう対処されているのか。また、民有林の場合には何の方法もないのか、その辺お聞かせいただきたいと思います。
  203. 小沢普照

    ○小沢説明員 お答えいたします。  ただいま、森林の伐採が洪水の原因になるケースがあるのではないか、どういう対処をしておるかという御質問でございますけれども先生がおっしゃいますように、確かに森林というものは、通常はその森林の働きによりまして洪水を防止する機能を持っております。森林がございますと、その森林土壌の中に根を張りまして、森林の土壌を耕していくと申しますか、そういう働きをしております。それから、木の葉が地上に落ちまして、これが森林の土壌をだんだんつくっていくというようなことで、森林が洪水防止に非常に働いているわけでございますけれども、非常に著しい豪雨等がございますと、森林の能力をオーバーすることもございます。  そういうことで、私どもとしましては、まず全体的に国有林、民有林を通じまして森林の機能をもっと高めるために、森林の整備をさらに進めてまいりたいということで努力をしておりますが、さらに、洪水防止というような観点からどういうことをやっておるかということでございますけれども、まず重要な森林につきましては保安林というものを指定いたしまして、これは全国的に申しますと、いま森林面積の大体三〇%ぐらいを保安林にしてございますけれども、その中で伐採の制限を行っております。特に重要なところは禁伐というような形で、一切切らないというケースもございます。それから択伐と申しまして、抜き切りにしておきまして皆伐はしない、こういうような制限を加えております。  それから、その他の保安林につきましては、たとえば植えてから収穫できるまで、杉とかヒノキでも大体五十年というようなのがわりと多いのです。そういう場合は集水区域といいますか、流域の面積の中にある森林を五十年間であれば五十で割りまして、五十分の一以下に伐採面積を抑えていくというようなやり方で森林の機能を発揮させるように考えているわけでございます。  それから、特に伐採のやり方が無秩序になりますと災害を起こすという心配もございますから、そういうことがないように、私どもとしましては、一個所当たりの森林の伐採面積を極力小さくするよう指導をしてございます。それからまた、伐採する場所を極力分散させるというようなやり方、こういうようなことで、計画的な森林の施業というふうに言っておりますけれども、それが維持されるようにやってまいりたい。  したがいまして、国有林におきましても、当然国が直接やる仕事でございますから、いまのような施業方法、それから伐採する場所と、伐採する間に保護樹帯と申しまして一定の森林を保護するというようなやり方、そういうものもやってまいっておりますし、それから亜高山帯というような場所につきましては天然の力を活用した択伐施業を行うというようなこともやっております。  それから民有杯につきましては、やはり民有林につきましても同じように保安林という指定はやっておりますが、それ以外の民有森林につきましては、やはり森林の機能を有効に働かすためには森林に活力が必要でございますから、どうしても一定の伐採とか造林とかいう行為は伴いますけれども、それをやはり計画的にやるように森林計画制度というのがございまして、これで適切に対応してまいりたい。それから開発を行う場合には林地開発許可制度というのがございまして、これによりまして適切な開発をやっていただくというようなかっこうにしてございます。  それからなお、全体を通じまして、やはりそれでも豪雨等によりまして林地の土砂崩れというようなことも起きますので、こういう災害に対しましては、現在、第六次治山事業五カ年計画というのがございまして、これの計画の中で治山事業というものを実施いたしまして森林の整備に努めまして、先生がおっしゃいますような洪水等が軽減されるように、また防止されるように考えながら事業を実行し、またその森林機能の維持に努めてまいりたい、かように考えております。
  204. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 いまいろいろとっておられる方策をお聞きしたわけですけれども、それでも先ほどの写真の荒川の上流ですか、そういった地域の国有林、私ども本当に素人で適当なのかどうかわかりませんけれども、とにかくびっくりするぐらい見渡す限り木が切られている。あるいはまた、民有林なんですけれども、やはり川があふれるほど切られてしまっている。災害復旧も、さいの河原の石積みみたいでも困るわけでして、民有林なんかにつきましてもできることならば、行革の精神には逆行するかもしれませんし、また余り行政が介入するということはうまくないかもしれませんけれども、ある程度一遍に伐採する面積というものの制限といいますか、そういうものも考え検討する必要もあるんじゃないか、こう考えますけれども……。
  205. 小沢普照

    ○小沢説明員 国有林につきましては先ほども申し上げましたし、民有林につきましても一部申し上げたのですけれども、民有林のそういう伐採の規制あるいは計画的な実行ということにつきまして、私どももとの重要性につきましては十分認識しております。  そこで、保安林の制度あるいは計画的施業と申しまして、これは農林水産大臣がまず全国的な計画を立てまして、それに基づきまして知事さんにさらにその細部計画を立てていただくというような仕組みで、民有林の適正な伐採や造林が行われまして森林が整備されるように努めてまいりたいというように考えております。
  206. 石原健太郎

    ○石原(健)分科員 どうもありがとうございました。
  207. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて石原健太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、川本敏美君。
  208. 川本敏美

    川本分科員 私は、建設省に同和対策の問題について若干お聞きをいたしたいと思います。  まず、最初に大臣のお考えをお聞きしたいのですが、五十七年度の建設省の予算では、同和対策関係の予算は千百六十五億、今度新しい五十八年度の予算を見ますと千二十四億ということで、率にしますと対前年度比一二%ほど減少しておるわけです。  今度、同和対策事業特別措置法が昨年三月三十一日で期限切れとなりまして、新しい地域改善対策特別措置法に変わりました。その関係で、この予算が一二%減ったのかどうか、この点については大臣はどのように考えておりますか。
  209. 内海英男

    内海国務大臣 昭和五十八年度の建設省地域改善対策の予算は、全体といたしまして御指摘のように一二%減となっておりますが、たとえば、最も多くの事業量が見込まれます住宅地区改良事業につきましては六%の増、こういった増加の分もあるなど、事業ごとに各府県からのヒヤリング等に基づきまして、今後の予定事業量等も勘案して定めたものでございます。これにより、法の有効期限内に事業を実施していくものと考えておるわけでございます。  なお、地区ごとに見た場合、大規模な住宅地区改良事業等で相当期間を要するものもございますが、これらについても期限内に完了するよう関係地方公共団体に対し、強くこの旨を指導してまいる考えでございます。
  210. 川本敏美

    川本分科員 まず、私は若干細かいことをお聞きしたいと思うのです。  大臣はそういう積極的なお話をしていただきましたが、現実に二、三問題を取り上げてみますと、地域改善対策特別措置法の政令の中で指定されておる事業の中には、たとえて言いますと、駐車場設備というようなものが入っていないわけです。ところが、現在末端の市町村へ参りますと、一番強い要求が出てきておるのがいわゆる駐車場の設置。戦前から狭い地域で押し込められておったところに、仮に地区改良事業をやっても、そこで自動車の駐車場がとれなかったらこれはどうにもならぬということで、駐車場を何とかしてもらいたいというような要望が出ておるのですが、現在、これについてはいわゆる用地費も整備費も補助対象になっていないんじゃないか。公共事業にはなっていないし、市町村の単独事業としてしかやれないようになっているんじゃないかと思いますが、その点、建設省どうなっておりますか。
  211. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お尋ねの駐車場の件でございますが、改良住宅あるいは公営住宅の場合も同様でございますが、まず、原則で申し上げますと、その場合の駐車場につきましては、団地内の空地等をうまく利用することによって従来から対処していただくよう指導しているわけでございます。したがいまして、住宅地区改良事業等によりまして環境の改善を行う際には、計画法を工夫いたしまして、限られた土地の中から、まず住民が共同で利用する公園とかあるいは集会所などの公共的な施設等の用地を最優先的に確保する、その後、団地の配置に際しまして、十分な日照、通風等を得るための必要な隣棟間隔等を確保いたしますが、そのときに、その結果生まれた空地が十分駐車スペースになるように、活用のやり方によりましてはそういうようなことで考えていったらどうかということで指導しているわけでございます。非常に現在、用地の収得がむずかしい状況にあるために、こういうような形で、できるだけ十分な駐車スペースもほかの用途との関係で生み出していくように、そういうことで指導しているところでございます。
  212. 川本敏美

    川本分科員 地区改良事業等におきましても、公園とかあるいはその他公共施設の用地等には優先的に確保させるようにして、その間の空地を利用して駐車場をつくるようにしているというのがお答えの趣旨だと思うのですけれども、その空地がないところで、公共施設と同じような形で公共施設としての駐車場が必要な市町村、部落もたくさんあるわけです。だから私は、そういうところについては実情に即して用地費も、あるいは、駐車場にするのですからアスファルトで舗装したりあるいはネットを張ったりというような整備費も要りますよね、そういう整備費も補助対象にすべきではないかと思うのですが、その点どうですか。
  213. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま御指摘の件でございますが、一つは、現在財政事情が非常に厳しいということで、かつ用地の取得も非常にむずかしい状況にありますので、その中で何とか活用できるものということで、さきにお答え申し上げましたような方針で指導しているところでございます。  それからもう一つ、これは公営住宅の場合も同じような問題があるわけでございますが、居住者の中には車を持っている方と持っていない方がありまして、その持っている方は当然駐車場の用地を十分にとってもらいたいという要望が多いわけでございます。持っていない方の側では、そういったものに駐車場の用地を使ってもらうよりも、もっと広々とした公園施設等をとってもらいたいという要望がありまして、その辺の調整を各事業主体ともに非常に苦しんでやっておるという状況でございます。将来ほとんどの方が車を持つような時代になりましたら、それは先生の御指摘のようなことで十分検討していかなければならぬだろうというように考えます。
  214. 川本敏美

    川本分科員 将来すべての方が車を持つような時代になったらとおっしゃっているけれども、それはちょっと認識のずれがありましてね、もうほとんどの家庭が一台ないし二台持っていますよ。だからこれは、地域改善対策特別措置法は五年間の時限立法で、あともう四年ですから、私はやはりその四年の間に、そういうことで悩んでおる市町村の財政負担を軽くする意味においても、ひとつ前向きに取り上げていただきたいと思うわけです。  次に、同和対策の公営住宅の問題についてちょっとお聞きしたいのです。  現在、市町村で建てられておる同和対策住宅と言われるのは、一般の公営任宅に対して三・三平米ですか、一坪プラスした面積ということで補助対象にして補助を出しておられると思うのですが、その大部分は、私の見る限りにおいては、二戸建てのコンクリートブロックの住宅しか認めて補助対象にしていないのではないか。私は、先ほども農林水産省の方で、林業あるいは木材産業の不況の問題について大臣にお聞きしてきたのですが、現在の林業、木材産業の不振の原因は何だと聞いたら、住宅が建たぬことだ。住宅が建たぬ言うても、住宅が建ったかて木造の住宅が建たなければ林業はよくならないんだろう、こう言うたら、私も小さな山を持っていますということですけれども、何とかして木造の住宅がたくさん建てられるように建設大臣にも相談したい、とこう言う。木造の住宅を建てるのなら、公営住宅がコンクリートブロックということに指定をして補助対象にしておって、木造なら認めない、これじゃおかしいのじゃないかということを言ったら、わかりました、強くその点は……ということで答弁していただきました。  同和対策住宅は、都会の住宅もありますけれども、山間僻地、山の中のきれいなところにある同和地区もあるわけです。そこへコンクリートブロックのマッチ箱を置いたような建物を建てて、それで風景とマッチすると思っておるのかどうかということです。やはり日本人は一戸建ての木造住宅に住みたいというのが国民の大半の願いなんですから、少なくとも同和対策住宅にも、一つはコンクリートブロックづくりの二戸建てでしか認めないというような補助対象を木造住宅でも認めるということに、これは同和対策住宅じゃない一般の公営住宅にも私は主張したいと思うのです。その点についてはひとつこの際、国内の林業や木材産業の不況を守るという立場からも考え直さなければいかぬ点があるのじゃないかと思うのですが、その点住宅局、どうですか。
  215. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいまの木造一戸建て住宅の建設の問題でございますが、住宅地区改良事業あるいは小集落地区改良事業は、不良住宅が密集している地域の環境の改善のために行う事業である。したがいまして、通常は不良住宅が密集しておりますので、これを環境改善する。そこで、空地をとり、小公園をとりということになりますと、そこにどうしてもまた一戸建て住宅をつくるということが非常にむずかしい状況にある。そこで、従来からこういった事業につきましては耐火構造の共同住宅を建設する、土地の有効利用を図るということと、それから火災になった場合の災害の防止という観点から、改良住宅につきましては耐火性能のある二戸以上の連続建てあるいは共同住宅ということにしているわけでございます。  ただ、御指摘の公営住宅全般といたしましては、いわゆる密集地区住宅を除却してそこに高層共同住宅を建てるという場合と違いまして、一般的にざら地に公営住宅を建てるという場合が多いわけでございますので、そういったものにつきましては、従来、それも都市不燃化のためということで耐火構造を原則としておりましたが、先生の御指摘のように、大都市における既成市街地は別でございますが、その他の地域につきましては、今後木造公営住宅をできるだけ建設することを促進するように、地域の実情に合わせた形で促進するように現在指導をしておりますし、今後も指導していきたいと考えております。
  216. 川本敏美

    川本分科員 そこで、同和対策住宅についての超過負担ですが、補助単価がやはり安いのじゃないかと私は思うわけです。住宅局長、この点については将来とも是正される気持ちはありませんか。
  217. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 公営住宅初め改良住宅の標準建設費につきましては、地域によりましては建設費が厳しいではないかという御指摘は承っております。ただ、これまでの標準建設費の設定といたしましては、従来からございました標準建設費に対しまして、建築費の値上がりの率を種々の統計資料等によりまして推定いたしまして、その値上がり率によって標準建設費を上げていくという手法を行っております。したがいまして、一応現在の事情では十分ではもちろんございませんが、平均的に見れば建設ができる、十分とはいかないにしても、できる状況にあるとは思います。ただ、地域によりましては確かに御指摘のようなこともありまして、私どもも何とかその地域の実情に合った形で標準建設費を上げていきたいと考えておりますが、やはり財政事情が非常に厳しい状況もありまして、なかなか思うようにいかないというのが偽らぬところでございます。  しかし、今後ともできるだけその地域の実情に合った形で、標準建設費の向上といいますか水準を上げることについて努力をしていきたいと考えております。
  218. 川本敏美

    川本分科員 建設省局長が財政事情まで心配する必要はないのでして、それは大蔵大臣とか総理大臣が考えたらいいことで、建設省そのものは住宅を建てるために、あるいはそのことによって市町村の財政が、国の財政さえ立ったら市町村の財政はつぶれてもいいという考え方は根本的に間違っておるわけですから、やはり超過負担を解消する方向で御努力をいただかなければ納得しないと思うわけです。いまは第二臨調、行政改革で、そこへ来て財政危機だということで、財政危機、財政危機ということさえ言っておれば国民は納得すると思うかもしれませんけれども、私はそんなに心配したものじゃないと思うのです。この間から石油価格も下がっておるし、あるいは円も高くなっていますし、また法人税ががっぽり入ってくる時期も来るわけですから、余り財政のことは御心配なく、ひとつ前向きに強気で取り組んでほしいと思うわけです。  そこで、次に、少数点在部港の小集落地区改良事業とか、都市の大部落、つまり住宅とか工場が混在しておるような地域の問題とか、あるいは災害で非常に危険な急傾斜地とかあるいは河川敷に近いような低いところにある地域とか、こういうところが全国的には非常に多いわけですし、特に少数点在というのは広島県とか兵庫県とか、あの付近には大変多いわけです。  私は、少なくともそういう少数点在地域に対する小集落改善事業は、現在十五戸以上ということで一つのめどとされておるようですけれども、これはやはり実情に合わせて五戸以上というくらいまでは引き下げるということでなければいかぬのじゃないかと思うのですが、その辺についてひとつお聞きしたいのと、それからさらに都市の大部落ですけれども、これは大阪の西成などの例を見ますと住宅と工場が混在をしておる。こういうところは建設省だけではどうにもならぬという地域なのです。少なくとも通産省とか厚生省とか、そういうところで一つのプロジェクトチームでもつくって、そして総合的な見地から対処しなければならぬというところもあると思うのです。そういうところについてもひとつ根本的に考えていただきたい。さらには災害の危険地あるいは急傾斜地、こういうところも優先的に配慮できるような措置を考えてもらわなければいかぬと思うのですが、この点について当局の考え方を聞きたいと思います。
  219. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 いまの御指摘、三つに分けて御答弁いたします。  まず第一の御指摘の点でございますが、比較的小規模な集落の環境の改善やあるいは急傾斜危険区域にあります住宅の移転対策といたしましては、現在まで小集落地区改良事業及びがけ地近接危険住宅移転事業等を実施しているわけでございます。さらに本年度よりは、従来、小集落地区改良事業の対象となりませんでした小規模な集落、すなわち、御指摘のように従来は十五戸でございましたが、これを十戸まで落としまして、そういった小規模な集落につきましても、水害の危険のある地区について宅地のかき上げを行う水害危険集落地区改良事業制度を創設することにしたわけでございます。また、こうした事業の対象とならない地区につきましては、公営住宅建設事業あるいは老朽住宅除却促進事業、道路事業などを組み合わせることによりまして必要な環境改善を行っていきたいと考えております。  次に、大都市の大規模地区の環境改善の問題でございますが、これにつきましては、住宅対策のほかに産業対策でございますとか公害対策等さまざまな課題があることは御指摘のとおりでございます。そこで、まず総合的な行政を具体的に実施できる立場にございます地方公共団体におきまして計画を立てる必要があるわけでございますが、こうした計画の中で建設省の所管事業につきましては、住宅地区改良事業や街路あるいは公園事業などを適宜組み合わせることによりまして対処していきたいと考えております。  なお、昭和五十八年度の政府予算案では、住工混在地区におきまして住宅地区改良事業などを実施する場合にありまして、環境改善のために移転する必要のある工場につきましては移転補償費を補助できることとしております。
  220. 川本敏美

    川本分科員 いろいろ御努力をいただいておるわけですけれども、私どもの目から見ますと、地域改善対策特別措置法は何しろ五年間の時限立法ですから、五年間に全部やってしまうということになると、これはなかなかはかどらないのじゃないかということで大変不安を持っておるわけです。  いろいろ考えてみますと、建設省には、もうあと残り四年間ですけれども、いわゆる地域改善対策特別措置法による五年間の年次計画といいますか、総合的な計画がつくられていないのじゃないかと私は思うわけです。少なくとも五年間の時限立法で対処すれば、五年計画を持つのがあたりまえだ。ところが、まずその基礎になる実態調査すらできていないという現状ではないかと思うわけです。これは総合的な実態調査をやる必要があるんじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  221. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 御指摘のとおり、限られました法の有効期限内に対象地域の整備を完了するためには、事業主体であります地方公共団体が個々の地区の事情、事業進捗状況等に応じまして的確な年次計画を策定しまして、これに基づきまして着実かつ効率的に事業を実施していく必要があると考えております。  しかしながら、事業の中には、たとえば住宅地区改良事業等に見られますように、現在その地区住宅に居住者が住んでおる、そういたしますと、そういった居住者の方々と御相談をしながら説得をいたしまして改良事業を行っていかなければならない。すなわち、地区住民意見調整の問題がある。また各種事業間の調整の問題がある。こういうことで、実はそういった年次計画が非常に策定しにくい事業もあるわけでございます。こういうようなものにつきましては、地区の事情や事業進捗に応じまして弾力的に対応していくことが必要ではないかと考えております。  したがいまして、建設省としても、一般的な調査というよりも、むしろ各地区ごとの実情を十分に把握をいたしまして、法の有効期限内に的確に事業を実施するため地方公共団体からのヒヤリングを何度も何度もやっていく。ヒヤリングによって地区の事情を十分に把握しながら建設の事業を促進していく、あるいは担当職員の現地派遣を行いまして、その上で計画的かつ効率的な事業進捗を図っていったらどうであろうかということで、そういう観点から現在精力的に実施しているわけでございます。関係地方公共団体にもこの旨を強く指導してまいりたいと考えております。
  222. 川本敏美

    川本分科員 いまの住宅局長の御答弁を聞いていますと、言葉はきれいですけれども、まあ俗に言えば、いろいろな事情があって年次計画は立てにくい面もある、だから行き当たりばったりでやっています、このようにしか聞こえないわけなんです。しかし、これは時限立法でなかったらいいですけれども時限立法ですから、その五年の間には環境改善の事業が残らないように、現在まだ未指定地区もあるような現状ですから、そういうところも拾い上げて完全にやれるということでなければ意味がないと私は思うわけです。  いろいろ財政の問題もあろうと思いますけれども、五年内に少なくとも、いま要望が出されておる事業は全部消化できるように大臣としてがんばるかどうか、ひとつ決意のほどを最後にお聞きしておきたいと思います。
  223. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、時限立法の趣旨からいきましても、その年度内に御要望に沿うように全力を挙げなければいかぬ、こう考えております。
  224. 川本敏美

    川本分科員 終わります。
  225. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて川本敏美君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  226. 上原康助

    上原分科員 短い時間ですが、お聞きしたいことが二、三あります。  まず最初に、先ほどもちょっとニュースを聞いておったのですが、波しぶきなどの塩害による橋の被害が全国的に非常に出ている。全国の沿岸近くの二十六に及ぶコンクリートの橋が塩害によってひび割れもしくは剥離などの被害をこうむっておるということですね。たとえば鹿児島にある橋は、塩害によって被害が生じたため鉄板等による補強をしたが、今度はまた橋げたの取りかえまで工事をしなければならない状態である。当初、この橋は完成すれば五十年は大丈夫と建設省が太鼓判を押したものが、十年足らずでこういう結果になっているということですね。しかも、全国二十六カ所のうち沖縄では三つの橋が塩害でやられておる。五十八号線の塩屋大橋、これは大宜味村ですかね、昨年鉄板で補強工事をした。あるいは源河橋、名護市ですね。いま一つは石川市の石川橋。このように被害が出ておるようで、建設省、年間の道路補修費は大体千九百億くらいですか、二千億前後のようですね。こういう被害が出ると、これではとてもじゃないが予算措置もできないのじゃないか、建設省にとっては大変ショッキングな出来事だということなんですが、いま若干指摘しましたことと、一体実態はどうなのか、これの対処策はどうなのか、お聞きしたいと思います。
  227. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 いま先生から御指摘のありました、海岸部のコンクリート橋梁にひび割れ、剥離脱が見受けられ出しましたのは、昭和五十年代の初めからでございます。日本海側の東北及び北陸あるいは沖縄や北海道のうち、海岸から二百メートル以内のところに多く見受けられておる現象でございます。  原因につきましては、建設省の地方建設局、土木研究所等において検討を進めてきております。未解明の部分もなお多いのですが、被害程度の大きい橋梁は、季節風が強く海水の飛沫を受けるところに多く分布していることから、海水に含まれる塩分の影響が大きいのではないかというふうに考えております。  早速、調査を実施したわけでございまして、耐荷力調査等の結果から、当面交通の供用には支障がないというものが多うございますが、早速これらに対しての補強等の方法を調査し、調査を終えたものから、樹脂を注入する工法あるいは外側より補強する工法等によりまして、応急的な補修を行っておるところであります。  沖縄で申し上げますと、一般国道五十八号の塩屋大橋あるいは源河橋及び一般国道三百二十九号の石川橋などの三橋が塩害を受けております。塩屋大橋につきましては、昭和四十八年及び五十年に応急措置により鋼板接着を実施したのは、いま先生の御指摘のとおりでございます。石川橋につきましては、昭和五十八年度に応急修理をする予定でございます。源河橋につきましても引き続き対策検討し、必要な措置を講じていきたいというふうに思っております。  これからも、塩害を受けております橋梁につきましては定期点検の頻度を多くするとともに、いま申し上げたような措置を図りまして、安全な交通の確保を図っていきたいというふうに考えております。先生、維持修繕費がかなりかかるが、そういうものは用意できるのかということでございますが、何といっても既設の橋梁を維持管理していくことは最重要課題でございますので、最重点的に実施していきたいというふうに考えております。
  228. 上原康助

    上原分科員 これは当初の工事をやる段階で、工法やその他いろいろいまの技術面からすると、十分そういった塩害なりいろいろなことを想定して、橋をかけるとかトンネルをつくるとかやると思うのですね。なぜそういった狂いが出ているのか。工法にミスがあるのか。これこそ、もしずさんな工事あるいは手抜き等というのがあって、こういう現象が出たとすると大きな問題だと思うのですね。原因は何ですか。全く予測できなかったのですか、不可抗力ですか。そうでもないのでしょう。
  229. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 こういう被害と申しますか、ひび割れとか剥離とかいうようなものが出てくる原因は、大きく分けて二つあるのではなかろうか。一つは、不可抗力的な、私たちが設計する際に外力として考えられなかったり予想できなかったようなものが、長期間にわたって影響したために、そういう問題が出てくるというのが一つでございますし、二つ目は、いま先生も言われたように、材料面で問題がなかったのかどうか。いずれもコンクリート橋でございますから、砂利、砂、セメントこういうものと、鉄筋を主な材料として使っておるわけでございますが、そういう中に当初から塩分等が含まれていなかったかどうかという問題もございます。また、施工といたしまして、いま申しましたような材料が十分ミックスされ、養生されていたかどうかという施工面。それから管理面として、特別大きな車等が通って、こういうクラックをいたしていくというようなこともございますが、私が申し上げました第二番目のことについては、多くの橋梁がこの地域でもかけられておりまして、特にいまのような問題が出ておるのはわずかな数でございますし、また、これらが出ております地域は、先ほど申しましたように季節風が強く海水の飛沫を受けるところに多く分布しているところから、いまのところ、明確には申し上げられませんが、恐らく季節風によって砂が相当のスピードで飛び、そういうものが橋体に当たる。そして海水の飛沫がいわゆる気化状態になってそういうところに浸透していく。そういうものが何回も何回も繰り返されていくうちに、このような被害が生じたのではないかというふうに私は推測しております。いずれにしても、現在なお研究所等でその原因を探求しておりますが、私たちとしては早急に対策が必要でございますので、いま申し上げたような対策を講じておるところでございます。
  230. 上原康助

    上原分科員 いずれにしましても、いろいろ弁解とは申しませんが、そういう御答弁をなさっても、私はもっぱら素人ですからよくわかりませんが、設計の段階あるいは工法の段階で、そういう塩害とかに耐え得るような工法、設計をやってこそ十分な橋梁になり得るのであって、これだけの問題が出た以上は、ぜひひとつ十分な補修をやると同時に、地域住民に交通の不便とか、万一の場合に、事故でも起きたら大変なことですからね。いまのところはどうなんですか、補修程度で済むわけですか、実際問題として心配ないですか。
  231. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 この塩害を受けた橋梁につきましては定期点検の頻度を多くいたしまして、注意深く監視しておるわけでございます。なお、いま申し上げましたような種々の補修工法等につきましても、研究機関等と打ち合わせしつつ適切な対応策を講じておるわけでございまして、いま直ちにこれが落橋するとか、そういうようなことはないと思います。ただ、このままに放置しておきますと、その被害、塩害がどんどん進みます。そういうものが進みますと落橋という最悪の状態にもなりますので、そういうことにならないような対応措置を現在講じておるところでございます。
  232. 上原康助

    上原分科員 大臣、こういう事態がいまの段階で全国二十六カ所に出ているという御答弁が、いま事務局からあったのですが、どう対処なさいますか。御見解を聞いておきたいと思います。
  233. 内海英男

    内海国務大臣 そういう現状にある橋梁につきましては、早急に調査をやりまして、建設省にも土木研究所という研究機関もございますし、そこで早急な結論を得て、十分な対応を図っていきたいと思います。
  234. 上原康助

    上原分科員 ぜひひとつ早急な善後策を講じていただくことを強く御要望申し上げておきます。  それともう一点は、これも工法ミスなのか、あるいは設計なのかよくわかりませんが、沖縄県の宜名真トンネル、まだこれ開通もしていませんね。たしか落成式とか何かがこの十八日じゃなかったかと思うのですが、これがまた亀裂を生じているというのですね。ひび割れが生じて、その補強工事で、いまやり直しという事故に見舞われている。コンクリートの厚さの三分の一くらいまでひび割れが生じているというのですね。沖縄総合事務局の道路建設課でいろいろやってはいるようですが、これはどうしてなんですか。地質とかそういう面ですか。いまさっきの橋の問題といい、あるいはこういうものといい、どうも建設省工事そのものに問題があるのじゃないですか。手抜きをするとか、あるいは監督を大目に見るとかいうところの何とかであったら困るのですね。これはどうなのですか。
  235. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 宜名真トンネルについてでございますが、このトンネルは地質が膨張性の粘板岩で、かつ断層破砕帯のあるところを通っておるために偏圧を受けてクラックが生じたというふうに、その後の調査で判明いたしております。ちょうどこのトンネルは延長が千四十五メートルでございまして、片側から百十五メートル掘削しライニングした段階で、このライニングにクラックが入ったわけでございます。その後、早速調査をいたしまして、いま申し上げましたような原因がはっきりいたしましたので、これに対する対策として、この百十五メートル区間につきましては地山にロックボルトを打ち込んだわけでございます。約九メートルで直径二十四ミリのロックボルトを百一本打ち込んで、この区間の措置を講ずるとともに、残りの区間につきましては鉄筋コンクリート構造物といたしまして、このトンネルを現在完成したところでございまして、この三月十八日に供用を開始する予定でございます。
  236. 上原康助

    上原分科員 それでは別に問題はないというわけですか。ひび割れしたところは十分な補修、補強をして、開通とか今後の通行には問題がないわけですか。
  237. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 万全の措置をいたしましたので、これからの供用には支障を来すようなことはないと確信いたしております。
  238. 上原康助

    上原分科員 開通もしない前から、通行開始もしない前から、こういうひび割れとかいろんな問題が生ずるということは、せっかく道路整備あるいはトンネルを掘ってみたって、国のこういう工事に対する県民の不信なり、関係者への疑惑というものを持たせかねない面もありますので、今後かようなことが起きないように、また特段の御配慮を求めておきたいと思います。いいですね。  次に、これは前々から取り上げてきたことなんですが、大臣、大変失礼ですが、沖縄のつぶれ地問題というのを御案内ですね。これは、開発庁あるいは自治省もおいでかもしれませんが、また、お尋ねしておきますが、要するにつぶれ地というのは市町村道未買収用地なんですね。市町村道の未買収道路といいますか、未買収用地。この市町村道のつぶれ地の発生原因というのは、もう申し上げるまでもないと思うのですが、沖縄県の土木建築部でまとめたものを若干目を通してみますと、大体九つぐらいの原因を挙げているのですが、その六つまでが戦争あるいは米軍支配によって発生したつぶれ地なんですね。  第一に日本軍による基地建設資材等の輸送路、二番目に日本軍の命令による市町村独自の拡張、三番目に米軍による上陸と同時に戦闘用に拡張した道路とか、四番目に米軍による基地及び諸施設建設用地の拡張、五番目に米軍による基地及び諸施設間連結用道路、六番目に米軍の指示により罹災者救助のため市町村により拡張した道路とか、こういうのが俗につぶれ地というふうに言ってきているわけです。  このことについては、われわれは、この発生源がそもそもそういった戦争というか、米軍支配によって生じたものであるがゆえに、国の方でその補償についてはぜひ御配慮をいただきたいということを今日まで強く要求をしてまいりました。もちろん建設省、開発庁、自治省の方も、大蔵を含めて御努力をいただいて前進はしつつあるわけですが、沖縄県が昭和五十四年十二月に国に提出した「市町村道つぶれ地の現況と処理に関する提案」を見てみますと、講和発効前の市町村道つぶれ地は全部で四百万平米、地代といいますか、地料にして約八百億円ですね。この内訳は、幹線市町村道分が約百七十万平米でおおよそ三百五十億円程度、その他の市町村道が約二百三十万平米で大体四百四十億円となって、合計八百億程度だというふうになっているわけですね。その後、この幹線市町村道の百七十万平米のうち三十万平米くらいは県道に格上げをして、その他の市町村道の二百三十万平米のうち百二十万平米は新たに幹線市町村道に昇格をさせてきた。問題は残りの百十万平米のその他の市町村道というものが今日まで残ってきているわけだと思うのですね。  いま私が言った数字等については、ほぼ掌握をしていただいていると思うのですが、国道、県道は問題ない。あるいはまた幹線市町村道のうちから県道に格上げしたものも、これは国でめんどうを見ていただく。幹線市町村道に格上げした方も、一応その分までは国としては考えましょうということですが、その他の市町村道というものは今日まで手つかずの状況になっているわけですね。これも含めて何とか解決のめどを立てていただかないと、各地方自治はこの問題の処理で財政的にも地主との関係においても非常に苦労をしておられる。改めて、どのような御方針でどう今後見通しを持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  239. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、沖縄におきますいわゆるつぶれ地の処理の問題につきましては、ただいまお話しのようなつぶれ地の発生原因というようなものを考え合わせてみますと、それらの経緯にかんがみましてこの解決が重要な課題となっておりまして、かねてから買収の促進を図ってきたところでございます。  市町村道のうち、幹線市町村道のつぶれ地につきましては昭和五十四年度から買収に着手し、逐次予算の拡大を図ってまいりましたと同時に、昭和五十五年度には国庫補助の対象となる幹線市町村道への格上げ等を図りまして市町村の財政負担の軽減を図るように措置してきたところでございます。今後ともこの方針で、この事業の重要性にかんがみ、つぶれ地の買収促進、こういった方面に努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  240. 上原康助

    上原分科員 確かに、これは年次的に解決をしていかなければいけない点、いまおっしゃるように幹線市町村道の方から手がけて、随時やっていくということもわからぬわけじゃありませんが、先ほど指摘をしましたように、いわゆるその他の市町村道つぶれ地をどうするかということなんですね。幹線市町村道でない、その他の市町村道のつぶれ地についてどうするかということです。  従来から自治省は、市町村道つぶれ地が生じた先ほど言いましたような経緯あるいは発生原因から考えて、市町村に財政負担がかからないよう国庫負担で補償した方がよい、こういう御見解を示してきたと思うのですね。いま大臣はお触れになりませんでしたが建設省は、幹線の分は国で見るが、その他の市町村道分は国で見るというわけには、いまのところいかない、こういうふうな見解を持ってきておられるわけですね。  そこで、そうは言ってみたって発生源がそうであった。地主も、ここは幹線道に格上げされて補償できた、ここは依然として市町村が使っているけれども補償がないとか、やはり現場では不行平が出ているわけですね。これでは行政の公平さからいっても、あるいは処理をする市町村長の方からしてもやりづらいですよ、行政としては。したがって、改めてこの問題について、その他の市町村道についても逐次何らかの方法で解決をしていく、国の立場でやっていくということでないといけないと思うのですね。自治省の御見解、建設省そして沖縄開発庁の見解を改めて聞いておきたいと思います。
  241. 前川尚美

    ○前川説明員 いわゆるつぶれ地の問題でございますが、いま先生からもるる御指摘がございましたような経緯を経て今日に至っておるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり、お話にございましたように、基本的にこの問題は国庫負担によって対応していただくということがまず第一の原則であるというふうに考えております。特に市町村の財政状況等を勘案いたしましても、この点について、自治省といたしまして従来から機会あるごとに関係省庁にもお願いをいたしているわけでございます。お話にございましたように、いわゆるその他の市町村道につきましての財源対策というのは、市町村にとりましても非常に重要な問題でもございますし、また関係団体それぞれが、やはり国、国庫負担によって対応していただくことを期待もしておるということでもございます。私どもも、そういった事情を踏まえながら、さらに関係省庁と連絡を密にして対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  242. 丸田哲司

    ○丸田説明員 いわゆるその他市町村道のつぶれ地買収に対します国庫補助の問題につきましては、現行の補助体系上いろいろと困難がございます。それから現在までの幹線部分の買収の執行状況という実態面から見ましても、なお相当の期間を要しますので、当面、幹線部分の処理に力を傾注したいと考えております。  と申しますのも、沖縄県の五十三市町村全部でございますが、そのうち幹線部分の買収を行う市町村が四十二ございますが、五十七年度末で三十三市町村が着手いたしておりますが、いまだ九市町村はこの幹線部分につきましても手をつけてないというような状況にありまして、面積的に申しますと幹線部分の五十七年度末の進捗状況が二七%、金額面では二二%というような状況にあるということも考慮しなければならないと考えております。
  243. 上原康助

    上原分科員 時間ですから、大臣、いまそういう経過があることは私もわかります。先ほど申し上げましたように若干時間もかかる。また、いろいろ市町村、自治体の準備受け入れ問題もあるでしょう。しかし、先ほど言いましたように、現場では非常に不公平さが出てきている、行政的にもやりづらいという面は御理解いただけると思いますので、これは継続して建設省、開発庁、自治省で御相談をいただいて、その他の市町村道についても何らかの方向づけをやるように御検討はいただけますね。
  244. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘の趣旨は、そのつぶれ地ができた原因等から考えましても当然な御主張だと思います。したがいまして、さしあたり五十五年度に格上げいたしました幹線道路解決を図りまして、その上で逐次幹線になってないものに対しましても配慮していきたい、関係省庁とも話し合って推進したいと思っております。
  245. 上原康助

    上原分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  246. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  247. 柴田弘

    柴田分科員 最初に大臣にお尋ねをしていきたいわけでありますが、公共投資のあり方、つまり社会資本の充実整備のあり方ですね。その方向というのは大臣としては一体どのようにお考えになっているのでしょうか。
  248. 内海英男

    内海国務大臣 わが国の社会資本の整備水準は、御承知のように、欧米先進諸国に比べまして、いまだ立ちおくれております。その向上に対する国民のニーズには大変強いものがございます。特に今後は、二十一世紀に向けて都市化、高齢化の急速に進行することが予想されるわけでございます。これに備えまして、社会資本の先行的、計画的な整備を図っていくことが必要と考えております。  建設省といたしましては、このような観点から、いわゆる社会資本について長期的整備目標を決定しているところから、これを目指して着実な整備を推進してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  249. 柴田弘

    柴田分科員 これは事務当局にお尋ねしていきますが、公共投資の持つ経済的な波及効果、特に景気に対する波及効果、これはどのようにとらえていらっしゃいますか。
  250. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 公共投資の場合は、他の政策手段に比べまして経済に対する波及効果は大きいものと考えております。
  251. 柴田弘

    柴田分科員 お尋ねしていきたいわけでありますが、ここ数年の公共事業費の伸びは、金額、そして仕事量、つまり実体的な数量、これはどういうふうになっているのでしょうか。
  252. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 公共投資につきましては、約六兆円余りで四年間横ばいとなっているのが、国費の関係におきます実情でございます。
  253. 柴田弘

    柴田分科員 いま大臣から、とにかく長期社会資本の整備、公共投資については、今後の二十一世紀を展望した場合に、わが国の高齢化社会、これは欧米水準を上回る人口比率になってくる、つまり投資余力というものが今後だんだんと減退をしてくる、こういうことだと私は思います。  そこで、やはり後追い投資にならないような計画的な先行投資というものが、これは当然必要であるわけです。ところが、ここ数年来、昭和五十五年度から公共事業費の伸びを見てまいりますと、これは事業費が伸び率ゼロ、仕事量からいって当然一〇%なりあるいは一二%程度の減少を示しているのではないかというふうに私は思うわけであります。  もちろん、これは財源難ということがあります。これはよく私も承知をいたしておるわけでありますが、しかし一面から言えば、昭和五十五年の二月から今日まで三年間続いたこの不況、これを脱出していくためにも、私は、いま御答弁がありましたように、一番経済的な波及効果のある公共投資というものは、一つのそういった長期的な社会資本充実のあり方と考えてやっていくべき問題ではないか、こういうふうに考えるわけであります。大臣どうでしょう、御見解は。
  254. 内海英男

    内海国務大臣 同感でございます。
  255. 柴田弘

    柴田分科員 それで、いま景気を考えてまいりますと、昭和五十八年度の予算ずっと見てまいりまして、要するに減税とそれから公共投資の伸びがゼロ。減税はないわけです、実質増税であります。こういった予算のあり方、有効需要の縮小策がとられた予算というものは、果たして本当にこういった長期不況を脱出していく予算であるかどうかということを考えてみました場合に、非常に無理があるのではないか。  先日も私は、予算委員会の一般質問において日銀総裁あるいは経企庁長官等々にもお尋ねをいたしました。今日考えられる景気対策といたしましては、一つは、これは金融政策の機動的な発動ということで、いわゆる公定歩合の引き下げがあります。ところが、この公定歩合の引き下げも、円相場がいま不安定だということでずっと見送られておりまして、日銀総裁の答弁を聞きましても、これは慎重である、こういうことであります。  それから、いま一つ減税の問題があります。これは御案内のように、与野党合意を受けて政府見解が示されました。景気回復に役立ついわゆる減税、大型減税といいますか、ところが現在の段階といたしましては大蔵省あるいは大蔵大臣は、じゃそれをいつ行うのか、あるいはまた規模は、景気回復に役立つ減税と言いながら、まだ規模も明確にしていない、これもまだ先の話です。  それから油の問題もあります。経企庁のモデル試算等々によれば、いわゆる一定の前提条件を置いているわけでありますが、いわゆるGNP、経済に対する波及効果というのは、わが国にとってはプラスになるであろう、こういうふうに言われておりますが、この問題だって半年なり一年先なんですよ。だから、あと残されたことと言えば、やはり私はこの公共投資というものを有効かつ適切に発動し、あるいは活用していかなければならない、こう思っておるわけであります。  そこで、いま同感だというお話があったわけでありますが、この伸び率ゼロ。しかもいろいろ見てまいりますと、まあ五十七年度は補正予算がありまして増額をしたわけでありますが、これに比較いたしますと六千二百五十八億五千七百万ですか、これは減額になっておるわけなんですよ、御承知のように。それで、今日のあれからいって三・四%達成できるかどうか、きわめて私としては疑問に感じているわけなんです。だから、やはり一つ考えられることは、昨年やりましたようないわゆる前倒しの問題、それからやはり補正予算、これはまだ当初予算がいま審議中のところで、そんなことを言うのもおこがましいかもしれませんが、やはり大臣の頭の中には、同感とおっしゃる以上は、いわゆる財政事情の許す限りにおいて、そういった一つの社会資本整備の充実のあり方と関連をしまして、景気対策これも関連をいたしまして、あわせてやはり追加投資ということも、私は建設省としては十分に考えていかないといけない問題ではないか、このように考えております。  たまたま先日日本経済新聞を見ておりましたら、丸山事務次官が三日の記者会見で、公共事業の前倒し発注ということについて、一つは業界からの前倒し発注の要望が強いということ、それから二つ目には、これは季節的な関係でしょうが、やはり時期的に言って前倒しした方がいいじゃないか、非常に積極的なそういった方針というものを示された。私も同感だと思いますよ。大臣どうでしょうか、この前倒しの考え方
  256. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま国会で予算案を御審議いただいております関係上、私がそういう具体的なことを先走って申し上げることもいかがかと思いますが、その気持ちで対処していきたいという程度を申し上げておきたいと思います。  それから補正の問題でございますけれども、補正も、いま本予算をやっているときに補正のことを申し上げることも、これもまたいかがかと思います。  いずれにいたしましても、前向きに公共投資を推進していきたいという気持ちは十分持っておるということを御理解いただきたいと思います。
  257. 柴田弘

    柴田分科員 それじゃ、まあこれは私のひとり言として聞いておってもらえばいいですが、要するに昨年と同じように大幅な前倒しもやっていきたいという考え方大臣の頭の片隅にもあるし、でき得れば景気浮揚のためにも、どんどんと追加をしてでも公共投資をやっていこう、こういうお気持ちもある、こういうふうに私は理解をいたしまして前に進めさしていただきたい、こういうふうに思います。  そこで地元の問題で、きわめて恐縮であるわけでありますが、先ほどの公共投資の長期的な展望という考え方に沿って、とにかく後追い投資にならないような先行的、計画的な社会資本の整備というものが必要である、こういうことであるわけでありまして、私の地元は名古屋であります。御案内のように、この名古屋を中心といたします中部圏というのは、東京、大阪のはざまにありまして、三全総では、やはり今後発展が非常にでき得る良好な環境というものを持っている地域である、こういうふうに位置づけられておりまして、現在国土庁中心にいたしまして東海環状都市帯整備計画、この計画策定のために五十七年度と五十八年度の二カ年にわたり調査を進められているわけであります。私どもといたしましても何とかひとつ、東京、大阪のはざまにあって、いわゆる地盤沈下しつつある東海地方、名古屋中部圏、こういったものを何とかしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、いろいろ考えていけば、これは国土庁も言っておりますように、わが国を取り巻く資源エネルギーの制約あるいは貿易摩擦、財政制約等の厳しい内外情勢を考えてみますと、まだ国土資源にゆとりがある、またしかも日本の中央に位置をする中部東海地域の発展が——中部東海地域の発展がですよ、わが国の発展にとっても非常に重要である、こういうふうに位置づけられておる。そういうことでして、とにかくこの東海環状都市帯整備計画、これをもう何としてでも早期事業化を図って実現をしていきたい、こういうふうに私どもは考えているわけであります。  これは国土庁が主務官庁になるわけでありますが、やっぱり建設省関係がありますので、簡単で結構ですので、ひとつ計画についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  258. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま御提案の東海環状都市帯構想は、名古屋市を中心とする三十キロから四十キロ圏の、四日市市、岐阜市、豊田市等の諸都市を有機的に関連づけまして、既存の産業の一層の発展を期するとともに、先端産業の導入、学術研究機能等の集積により、これらの都市群の飛躍的な発展を図ろうとする構想であることは先生の御指摘のとおりでございます。  このため建設省といたしましては、昭和五十七年度より二カ年の予定で、関係省庁と調整を図りつつ都市帯整備のあり方について調査を行っておるところであります。当該地域は、中部東海地域の発展を期す上でも最も重要な地域であると認識しておりますので、今後とも鋭意調査を進めて御期待に沿うようにやってまいりたいと考えております。
  259. 柴田弘

    柴田分科員 大変な御理解をいただきましてありがとうございました。よろしくひとつお願いいたします。  それで東海環状都市帯整備計画を推進するに当たっては、やはり東海環状自動車道が必要になってくるのではないか、こういうふうに言われているわけであります。この東海環状自動車道、これは仮称ということでありますが、伊勢湾北部の環状に並んだ、三重県の四日市から岐阜県の大垣、岐阜、美濃、関、美濃加茂、多治見、それから愛知県の豊田の各市付近を経由し、碧南市に至る高速道路構想であり、名古屋圏を中心として放射状に配置されている東海自動車道、中央自動車道、東海北陸自動車道及び近畿自動車道を相互に連絡する路線で、沿線地域の開発と東海三県の一体的な発展を図る上できわめて重要な役割りを果たすものであります。  この構想は、昭和四十六年九月の第十九回中部圏知事会議において、中部高速自動車道網の一環として事業の推進が決議され、以来、中部圏の重要事業として取り上げられております。また、愛知、岐阜、三重の三県は、昭和四十八年四月に東海環状自動車道建設連絡協議会を結成し、その早期実現を図るために調査研究を行ってきております。こういうことでありますね。  仮称であるわけでありますが、この東海環状自動車道構想について、つまり本路線の必要性あるいはまた重要性については、大臣としてはどのような御認識をいただいておるのか、承っておきたいと思います。
  260. 内海英男

    内海国務大臣 東海環状自動車道につきましては、先ほど申し上げました、また御提案のありました名古屋周辺三十キロから四十キロ圏内にある諸都市を環状に連絡する幹線道路の構想でありまして、関連する地域の発展に大きな役割りを果たすものと認識をいたしております。したがいまして、本道路につきましては、現在国土庁中心関係省庁で、先ほどお話もあり、お答え申し上げました東海環状都市帯整備に関する調査といったものと関連をさせまして、建設省の実施している全国的な高規格幹線道路網と関連させまして、調査を具体的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  261. 柴田弘

    柴田分科員 ひとつ調査を進めていただきたいと思います。  そこで、この道路に関連をいたしまして、二点の要望があるわけであります。  一点は、東海環状自動車道を第三次全国総合開発計画における高規格の幹線道路網一万キロメートル構想に位置づけ、国土開発幹線自動車道建設法あるいは高速自動車国道法に基づく高速自動車国道として予定路線に組み入れていただきたい。いわゆる法律に基づく高速自動車国道として路線に組み入れていただきたい、こういうことだと思います。  第二点は、国の高規格幹線道路調査において、東海環状自動車道の事業化の促進を図るために、ひとつ重点的な調査を行っていただきたい、こういうふうに要望があるわけでございますが、この辺について、具体的にどう取り組んでいただけるでしょうか。
  262. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 三全総でうたっております一万キロ構想につきましては、これをどういうふうにして進めていくかについていろいろ検討しておるところでございますが、一万キロのうち、すでに七千キロ余が予定路線として高速自動車国道として決められておるわけでございます。残りのものにつきまして、どういう整備手法でこれを整備していくか、またどういう路線をこれに位置づけるかというようなことについて、現在、調査検討しておる段階でございますので、その中で先生のおっしゃられたようなことを詰めていきたいというふうに考えております。
  263. 柴田弘

    柴田分科員 いま二点の御要望を申し上げましたが、御検討されるときには、こういった方向での推進をぜひひとつお願いしたいと思っております。  最後に、名古屋環状二号線であります。つまり国道三百二号線、これは去年も御質問いたしまして、非常に御理解を示していただいたわけでありますが、この問題についてお聞かせいただきたい、こう思います。  それで、これは大臣に基本認識というのか基本的な見解についてお尋ねしていくわけでありますが、御案内かと思いますけれども、この道路は名古屋市の外周部に環状街路として都市計画決定が昭和三十二年になされてから、現在、供用が開始されているのは、六十六・二キロメートルのうち、北部部分の平面部の二車線の八・六キロですね。投下されました事業費もほんのわずか一〇%足らず、用地買収も全体の五〇%足らず、こういうことでありまして、都市計画決定がなされましてから、もう二十六年近くたっているわけでございますが、こういった状況であるわけであります。でありますから、諸問題もあろうかと思いますが、何とかこの道路整備の推進というものを図っていただきたい。いま建設省では昭和五十八年度から道路整備五カ年計画が始まるわけでありますが、ぜひともこの中に入れていただきまして、ひとつ推進を図っていただきたい、こんなふうに思っているわけでありますが、これはどうでしょうか。
  264. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 名古屋環状二号線は、名古屋市の中心部から半径約八キロメートルの周辺地域を結ぶ延長約六十六キロメートルの環状道路でありまして、名古屋市内へ放射状に集中する東名高速道路、東名阪自動車道及び国道一号、十九号、二十二号などの幹線道路を受けて、交通の効果的分散導入及び名古屋市周辺の適切な土地利用の誘導を図るために計画された幹線道路であります。  現在、国道三百二号として直轄で事業を実施しております区間は、国道二十三号から、これは海部郡の飛島村からでございますが、そこから国道一号線、名古屋市の緑区のところでございますが、そこに至る延長四十八・六キロメートルと、日本道路公団で事業中の名港西大橋に関連する直轄区間の延長二・四キロメートルで、合計五十一キロメートルの区間事業化を図っております。本道路の重要性にかんがみ、事業の促進を図っているところでありますが、名古屋北部地域幹線道路を東西方向に連絡する区間として、国道二十二号から国道十九号バイパスまでの延長八・六キロメートルにつきましては、先生からいまお話のありましたとおり、五十五年四月に暫定二車線で供用を図っております。さらに、沿道地域のバス路線の一部として猪高町の七百メートルが五十七年四月に暫定二車線で供用されておりますし、また富田町の四百メートルを五十七年度末に暫定二車線で供用することとしております。これまでに全体事業費に対しては約三三%の進捗になり、用地については約六二%が取得済みとなっております。今後とも名古屋環状二号線の持つ重要性にかんがみ、引き続き事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
  265. 柴田弘

    柴田分科員 具体的にお聞きしていきます。  四点ありますが、いまちょっと説明があった分もあるわけでありますけれども一般国道二十三号飛島村地内から一般国道百五十三号線、このバイパスの間の四十・一キロの一般部、この中の主として平面構造部における一層の整備促進を図る問題。それから二点は、百五十三号バイパスから一般国道一号間の八・五キロの用地の早期取得と一般部の整備促進。それから三点は、一般国道一号から一般国道二百四十七号、この七・三キロ区間の直轄事業化を早期に図ってもらいたいというもの。第四点は、一般国道二百四十七号から一般国道二十三号の間十・三キロ、名古屋港を横断し、市内通過交通を迂回させる区間でありますが、この区間の整備を図っていただきたい。特に名港西大橋については早期の完成を図っていただきたい。こういった四点の要望があるわけでございます。これは簡単で結構ですが、どう取り組んでいかれるかということ。  それから最後に大臣に、国道三百二号の推進、これはいまいろいろと御説明があったわけでありますが、非常に重要な道路ということでありますが、大臣としての取り組む姿勢というもの、御決意をお述べいただきたい。  以上の二点、御答弁をいただきまして終わりたいと思います。
  266. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 第一点の二十三号から百五十三号までの整備でございますが、この区間については用地取得等もかなり進んでおる区間でございますので、そういう用地進捗にあわせながら整備の促進を図っていきたいというふうに考えております。  それから二点目の百五十三号から一号までの八・五キロの区間でございますが、この区間については区画整理というようなものもいろいろあって、その中で用地取得を図るというふうに聞いていたわけでございまして、この区間はもう少し用地取得にまだ時間がかかるのではなかろうかというふうに思っております。  それからもう一つは、未着工区間についてでございますが、国道二十三号から国道一号の、事業化区間についてはいま申しましたような対応を講じておりますが、未着工区間につきましては、現在事業中の区間進捗状況等を勘案しつつ、事業実施の時期について検討してまいりたいというふうに考えております。  それから名港西大橋でございますが、名港西大橋につきましては、昭和五十四年度より日本道路公団の一般有料道路及び直轄国道事業として建設に着手し、昭和五十九年の完成を目途に鋭意事業を進めているところでございます。なお、未着工の中央大橋、東大橋等につきましても、構造検討等の調査を引き続き進めてまいりたいと考えております。
  267. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘国道三百二号はもちろんでございますが、道路整備につきましての国民の要望は、至るところで大変強いものがございます。したがいまして、この予算編成の中において第九次道路整備五カ年計画も認めていただくという前提に立ちまして、今後、産業、経済に及ぼす影響はもちろんでございますし、国民生活の安定、向上にも大変重要な役割りを果たす道路整備につきましては、全力を挙げて努力をしてまいりたいと考えております。
  268. 柴田弘

    柴田分科員 時間が参りましたので、これで終わります。
  269. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君。
  270. 浦井洋

    浦井分科員 明治以後にできた近代洋風建築物の再生と保存ということで、建設省とそれから文化庁が来ておられるので、お尋ねをしたいと思うわけです。  私、最近「日本近代建築の歴史」という本を読んだのです。東大の村松貞次郎という教授が書かれておるのですが、たとえば東京でも、百年たつと七十年、八十年、九十年ぐらい前にできた明治以後の建築物ですね、近代建築物がほとんどない。世界でも、こういう珍しい例はないというほど様相が一変しておるわけです。その教授も「私はここに痛恨の念をもって建築の滅びを記さねばならない。百年の栄光も、うたかたの如く消え去る今日このごろの私の心境である。」だから、「その滅びを起死回生に転ずる気運の醸成を求め」たい、こういうふうにその本で訴えておられるわけであります。  確かに、高度成長の時代には、少々由緒があっても、建築学的にすぐれた建物であっても、機能的にぐあいが悪いということでどんどん壊されて、新しい、いわゆる機能的なと言われるビルが建てられていったわけですが、皮肉なことに、低成長の時代に入って、その建築のテンポが落ちていくのと同時に、明治以後の歴史的な建築物の保存をやらなければならぬという関心が非常に高くなってきているわけです。最近、建設省が行って出したところの、法務省本館の赤れんが庁舎保存の現状調査報告書ですか、これが非常に関心を集めているし、こういう歴史的な建築物の保存に強い関心がいま寄せられておるというふうに私は判断をしておるわけです。それで少々調べてみたわけですが、なかなかとらまえどころのないような新しい分野の問題でもあるし、なかなか質問になりにくいのですけれども、重要な問題でもあり、いまやらなければ、もうちょっと取り返しのつかぬようなことになるということで、あえて取り上げたいと思うわけです。  まず基本的な態度ですけれども建設省は、これはもう建設ということで、どんどん新しいものをつくっていく仕事というふうに言えば言えるわけです。道路づくりであるとかあるいは開発というようなことで、新しいものをつくっていくわけでしょうが、しかし古い側から見ますと、建設省というのは古いものを破壊する先頭に立っておる官庁であるというような批判もあるわけであります。だからそういう点で、建設省として、近代建築物の保存であるとか再生というようなことについて、どういうような基本的な認識を持っておられるか、これはひとつ大臣からお答えを願いたいと思うのです。
  271. 内海英男

    内海国務大臣 お答えします。  御指摘のような明治、大正、昭和と通じて、歴史的に文化的に価値のある官庁施設の保存につきましては、現在大変厳しい財政事情ではございますが、学識経験者の方々の御意見や国民的要請等にも配慮しながら、慎重に検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  272. 浦井洋

    浦井分科員 非常に慎重なお答えであります。  もう一つ、これも実情でありますけれども、文化庁にお尋ねしたいのですが、一九八〇年、一昨昨年ですね。日本建築学会が日本全国各地に残っておるところの明治、大正、昭和の建築物を調査して「日本近代建築総覧」というのを出した。神戸の建物もかなり残っておるので、私も調査をしてみたわけです。御存じのように、古い港町ですからかなり全国レベルよりもたくさん、しかもすぐれた古い洋風建築物があるわけです。しかし、かなりあると思って予期しておったのが、歩いてみると、もう大正あるいは昭和初期のものでもほとんど壊されておる。私もびっくりしたのですが、明治に建てられたものはまれであるというようなことであります。しかも一九八〇年の五月に出された、一昨昨年に出された総覧に載っておる建築物でも、いまもう壊されてないという非常に破壊のスピード、テンポが速いわけであります。  だから、早く対策を講じなければならぬということを私は痛感をしたものでありますけれども、そこで日本建築学会は、去年に、古いものの中でも評価の高いもの、食堂で言えばおすすめ品、おすすめメニューみたいなもの、こういうものを持っている持ち主に保存を呼びかけるという、俗に言う言いかえればラブレター作戦をとって、民間所有ですから、これに対して行政の方からもラブコールを送って、行政と民間が協力をして近代建築物の保存、再生に力を尽くそう。私もそう思うわけです。そうすべきだと思うのです。  そこで文化庁に、大体文化財保護法で指定されておる近代建築物というのは、全国的にどれぐらいあるものなのか、ちょっと数字だけ尋ねておきたい。それからもう一つは、重要文化財に指定された場合に、その建築物にはどういう規制が加えられるか。その二点をちょっと尋ねておきたい。
  273. 鈴木嘉吉

    ○鈴木説明員 御指摘のとおり、近代建築物、大変減少の速度が速まっております。文化庁が現在重要文化財に指定しておりますものが全国で百九棟ございます。こういうふうに指定したものにつきましては、修理のとき等には補助金を出したりいたしまして、その修理、管理にはできるだけの助成をいたしております。ただし、そういう指定した物件については、やはり学術的あるいは意匠的にもすぐれたものであるという、そういう点で指定しておりますものですから、その後、勝手に直してしまうといいますか、勝手な改造等は差し控えてくれということを申し上げております。
  274. 浦井洋

    浦井分科員 県の指定したのもあるでしょう。
  275. 鈴木嘉吉

    ○鈴木説明員 はい。国指定に及ばないと申しますか、その郷土にとって非常に重要だというふうなものがかなりたくさんございます。現在、県指定が五十六棟ございます。
  276. 浦井洋

    浦井分科員 内海大臣、いま聞かれたように、かなりあるわけなんですよ。総覧に載っておる中で建築学会が取り上げておすすめ品としておるのは約二千あるわけですね。これ全部重要文化財の値打ちがあるのかどうかわかりませんが、全部をとにかく重要文化財にするわけにもいかぬ。すれば、いまもお話しのように、所有者の方もかなり規制を受けて使用しにくくなるということもあるので、そこで私、提案なんですけれども、重要文化財の指定に必ずしも及ばないというかふさわしくないというか、そういうものではあるけれども、やはり残しておくべき値打ちはあるというようなものに緩やかな規制をかけられないだろうか。保存というよりも、上手に内部を改装したりして、後から申し上げますけれども、外から見れば、やはり明治の伝統を残しておるというような制度がひとつ主務官庁であろうと思われる建設省として考えられないだろうかということを私は大臣提案をしたいわけです。かなり重要文化財というかっこうでぴしっと指定されると、いろいろな点で規制を受けるという声はよく聞きますので、やはり何か別の工夫をしていく必要があるんではないかというふうに思うのですが、この点について、現在どんなような制度があり、またどういうような方向で前向きに考えていただけるのか、ちょっと聞いておきたいのです。
  277. 渡辺滋

    渡辺説明員 私ども国家機関の建築物の営繕を担当しておりますけれども、その場合の基本的な考え方を申し上げたいと思います。  建設省では庁舎等国の建築物を営繕するわけでございますが、それは当然行政需要があってそれをつくるということになるわけでございます。それと、さらにいろいろな社会的要請がございますので、そういうものを踏まえまして、十分配慮しながらああしたような建物をつくってきておるわけでございます。  これらの建物につきましては、設計の理念といいますか、考え方があるわけでございますが、それは親しみやすく便利で、かつ安全なもの、そういうものを提供していくという考え方事業を進めております。  これらの建物につきましては、国民の公共財産といいますか、ということで後々まで使われるものでございますから、そういうことを考えまして、それぞれの施設にふさわしい品位といいますか、あるいは文化的な香りといいますか、そういうものを配慮しながら進めていくというふうな考え方事業を進めてまいっております。今後ともそういうふうな考え方でいきたいというふうに思っております。
  278. 浦井洋

    浦井分科員 いや、ちょっと私の質問にぴしっと答えていただいてないわけです。おたくが言われたのは、行政に使う建物について言われたわけでしょう。私は文化財保護法の問題に関連して、民間も含めたもう少し緩やかな規制で古い建物を保存していく、あるいは再生していく、そういう手法が考えられないか、そういうことを言ったわけで、ちょっと次の質問に答えておられるわけです。私はそこまで言ってないわけです。
  279. 内海英男

    内海国務大臣 官庁営繕の建物を建てる方の部長でございますから、御期待に沿えるような答弁がなくて失礼をいたしましたけれども、何にいたしましても、先生のおっしゃっておること私もよくわかるわけでございますが、いわゆる仕事をやっていく上において、非常に内部が老朽化しておるとか、あるいは能率的な行政運営ができないとか、いろいろな問題もあって老朽化が激しいというので、改善あるいは新しく建て直すという問題が出て、建設省は近代設計をやって、いま部長が言ったような基準に基づいて新しい建物を建てておる、こういう形になるかと思います。  先生の場合には、そういう歴史的な建築物としても価値のあるようなものは保存して残しておけ、こういう御趣旨だと思いますが、私もそういう点、わからないわけではございませんけれども、結局、その物をそのままにしておきますと、また別なところに用地を取得しなければならないとか、それを内部だけ直す、床が傷んでおるとか、いろいろ不便なところを修理するとかいうようなことよりも、役所そのものを新しく建ててもらいたいという希望がある意味においては強いんじゃないかと思うのです。したがいまして、担当の文化庁の方ともよく御相談をしなければならない問題だと思いますが、文化庁の方で、これは文化財保護とまでいかないにしても、相当建築物として価値のあるものだ、これは残しておくべきものじゃないかというような御意見でも強く打ち出されて、そういうような御意見が強いということになれば、またいろいろ考え合わせてみなければならぬと思いますけれども、営繕関係を担当しておる一役所としては、これは文化財として残すべきだという主張をやるのもちょっと筋が違っておるような感じもいたします。御意見の趣旨はよくわかります。
  280. 浦井洋

    浦井分科員 大臣の御答弁は前向きでよいのですけれども、それもちょっと……。私が言っているのは、町づくりを全体の調和を考えていく、景観とかそういうのを考えていく上で、いま残っておる由緒のあるすぐれた建築物というのは、民間、公共を問わず、これを何とか保存をするような手法を所管官庁であるところの建設省が一遍前向きに考えられないだろうか。いまは都市計画法であるとか建築基準法であるとか、文化庁のサイドからいけば文化財保護法であるとか、それから伝統的建造物群保存地区地区指定ですね、こういうようなことがあるけれども、それでもどんどん壊されていっておるわけなんで、たとえば私ここに持ってきておりますけれども、神戸にはわりに古い大正時代のいろいろな商船会社のビルであるとかこんなのがあるのですよ。こんなのは、効率からいけば確かに冷暖房からデスクワークから非常にぐあいが悪いのでどんどん壊されるのですね。こういうのを残されないだろうかということを言っているわけです。だからこれもひとつ大臣、前向きにそういう手法——なかなか大変だろうと思うのですよ。法律を新しく制定するか、あるいは何かつけ足すか、あるいはそれに伴う政省令の改正みたいなことで間に合うのか。その辺私もよくわからぬところがありますけれども、そこをやってほしいということを言っているわけです。これは大臣がお答えすべきことなんですよ。部長さんではちょっとそれは無理なんです。
  281. 内海英男

    内海国務大臣 私から申し上げますが、民間の由緒のある建物につきましては、先生の御指摘の御意思もよくわかります。しかし、その所有者が、おれは近代的な建物に建て直して効率的に建物を活用したいんだ、こういう主張をされますと、現行の制度の中では、それまでも規制するというわけにもまいりませんので、非常にむずかしい問題が出てくるかと思います。したがいまして、いろいろな関連法規も検討してみまして、その上で考え合わせませんと、その会社なり所有者はそこにおって初めて事業が円滑にいっておる。それをそこは文化財に準ずる扱いで建て直してはいかぬのだ、おまえのところは別なところへ行けといった場合に、事業を運営する立場から非常に不便だから、ここでなければ困るんだ、おれの建物をおれが直して何だなんということになって非常にむずかしい問題が出てくることも否定できないと思います。したがって、御本人というか、そういう会社なら会社の方で、これを国なら国で買い取れ、そのかわりおれの方はもっと別なところで効率的な建物を建てて仕事をやりやすいようにしたいからどうだというような御相談でもあって、それに対応できるような予算とか制度があればおこたえできるでしょうけれども指定だけしていろいろな制約だけを加えるということになりますと、問題も逆に大変多くなってくるんじゃないかという感じもいたすわけでございます。
  282. 浦井洋

    浦井分科員 私の言い方も悪いのかもしれないのですけれども、私はそういうことを言ってないわけですよ。いかにも高度成長を推進した田中角榮的発想を大臣はされているような感じがします。悪いものはつぶして機能がよいものにかえればいいんだという、そういう単純なものではないと思うのですよ。時間も迫ってきていますから、余り深く言っていても仕方ないですけれども、緩やかな規制ができるような手法、それの根拠になるような法体系みたいなものがつくれないだろうか。一遍建設省やら文化庁やら地方自治体なんかの意見も聞いて、ひとつ前向きに検討してほしいということを言っているわけです。一言だけ何か。
  283. 内海英男

    内海国務大臣 そういうお話であれば、関係省庁と寄り寄り相談もしてみたいと思います。ただし、民間の場合は、所有者、会社なり個人にしましても、おれのところじゃとてもこの古い建物じゃやれないんだということになりますと、枠だけはめて建物も建てかえさせないという制約になりますと、これまた問題もあるかと思います。御指摘の点はわかっているつもりですからいろいろと相談してみます。
  284. 浦井洋

    浦井分科員 大体わかっていただいてきておるように思うのです。たとえば、いまちょっと固有名詞を忘れたのですが、東京銀行の本店でしたか、後でちょっと申し上げますけれども、外壁の古いものを残して、後ろに近代的なのを結合させて、結構機能的にもたえているようなこともあるわけですね。だからそういうことをやってほしい。そこで今度は公共建築物であるとか行政が使っておるような建物であれば、これは皆さん方でいろいろ工夫をすればより一層やりやすいわけですね、皆さん方の守備範囲内ですから。  そこで、私が言いたいのは、たとえば京都の中京郵便局であるとか熊本の地方裁判所、こういうところで実験済みなんですが、ファサード保存方法というのですか、外観保存。私も中京郵便局へ行って外からも見たし、中へ入って見たのですけれども、機能的にも非常に快適だと言っておりますし、うまいことやったと思うのですね。費用は改築をまともにやるのより六%くらい高くついたということですね。熊本の地裁についても、昔の古い車寄せを残して、あとは上手にそれにコンビネーションよく近代建築物を建てて違和感なしにでき上がって使われておる。こういうやり方を必要なものにはとっていただきたい。特に公共建築物であれば、それがより一層やりやすいだろうと思うので、そのことを要望しておきたいと思うのです。  そこで、私の質問のポイントは、神戸の地方裁判所がこういうもので、これは写真を大臣にお見せいたしますけれども、これはかなり古いので機能的には何とかしなければならぬわけです。しかし、それは明治三十七年に竣工したルネッサンス様式の流れをくむれんがづくりの洋風建築物です、東京駅なんかのように。法務省もそうですね。全国の地裁の中では、れんがづくりとしてはただ一つ残されたものである。そこでかなり神戸市民にも親しまれておるし、何とかこれを保存しなければならぬ。しかし、よそへやるわけにもいかぬ、それだけの敷地が必要ですから。とすると、中京郵便局なんかがやっているような外壁保存方式というのですか、これが一番適当ではないか。保存し再生する。費用もトータルとしては安くつくわけです。そういうことでひとつ大臣の積極的な御協力をお願いしたい。これが一つポイントです。
  285. 渡辺滋

    渡辺説明員 先生指摘の建物、明治三十七年に建設されたドイツルネッサンスといいますか、そういう様式のれんがづくりの建物でございます。戦災で内外部をやられまして、昭和二十四年に改修して今日に至っておると聞いております。この建物は、実は最高裁判所の所管の建物でございまして、現在、神戸地方裁判所といたしましては、行政事務といいますか、裁判事務を進めるに当たって一部を拡張しなければいかぬというふうなことで、いろいろ考えておるというふうに聞いております。ただ、保存について強い要望も出ておるということで、これを一体どうしたらいいかということでいま心を痛めておるというふうに聞いております。そういう状況でございます。
  286. 内海英男

    内海国務大臣 具体的なそういう問題が出てまいりましたら、その時点でよく相談をいたしたいと思います。
  287. 浦井洋

    浦井分科員 これは確かに最高裁の所管ではありますけれども、官庁営繕の主務官庁として、ひとつ大臣の方、よろしくお願いしたいと思うのです。  最後に、別の問題ではありますけれども、やはり神戸の問題ですが、神戸の例のポートピアの埋め立てがありました。山を削って海を埋め立てるようなかっこうで、その跡地が比較的使いやすくなっておる。それを三分の二は松蔭女子学院大学が買っていま使っているのですが、残りを住友不動産が持っておる。そこへかなりな高層のマンションを建てようということで、建築確認が出る直前までいっておるのです。違法ではないわけです。ところが、大臣も御承知だと思うのですが、小説家の陳舜臣、ああいう方を会長にいたしました「六甲と長峰の自然と環境を守る会」というところ、たくさんの学者やら自治会の代表とか文化人、こういう人たちが、やはり文教地区でもあるし、ひとつそれにふさわしい建物にしてくれないだろうかということで運動を進めておるわけです。もちろん、その企業の私有財産ですし、そこがどうしようと法に合致しておれば文句が言えたものではないのですけれども、ここ十年来それでもめているわけです。神戸の市議会でも、市当局は、開発は住民合意が前提だ、あるいは住民協議することというようなことをいろいろ言っているのですが、企業の方は少々意地になりまして、どんどんと工事を進めようという姿勢を見せて、なかなか住民と話し合おうとしないわけなんです。  大臣も御承知かもわかりませんが、住宅専門家の神戸大学の教授である早川和男さん、こういう人たちがいろいろ客観的に調査をしてみますと、のり面であるとかがけの崩壊の危険性があるとか、あるいは下流部に溢水、浸水の危険性があるとか、地震の際には危険であるとか、いろいろなことが指摘をされて、結論は、開発には周辺地域、マンション居住者の人命と居住環境にかかわる諸問題がひそんでおり、十分な科学的検討を待ってその是非を判断すべきであるということで、この地区においてマンションの建設を安易に許可することは重大な問題を発生するということになろうという警告じみた発言までされて警告されておるわけです。それでもなおかつ施工者の方は、これに対して安心させるような資料も何ら明らかにしないし、住民との話し合いにも応じようとしないという問題がここずっと続いているわけです。  そこで、住民も不安ですし、私、大臣にお願いしたいのですけれども、この施工者に対して、関係住民とよく相談をし協議をするようにということで指導をしていただけないだろうか、こういうことなんです。これは最後の質問です。
  288. 内海英男

    内海国務大臣 担当の局長に命じまして、よく現状を調べさせます。その上で対処いたします。
  289. 浦井洋

    浦井分科員 終わります。
  290. 藤本孝雄

    ○藤本主査 これにて浦井洋君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分料会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分料会の議事を終了することができましたことを、ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会