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沖本分科員 時間もなくなることなんですけれ
ども、
大臣も薄々おわかりだと思うのです。
局長さん力を入れてお答えにはなっていらっしゃるわけですけれ
ども、やはりさっきお話ししたポスター的な
感じを外れないんですね。具体的にどうしたらそういう問題が前向きに解決していくかということの問題になるわけでもありますし、そこで
局長さんの発言、言葉に非常に注意されて、逆に下手なこと言うとやられないかと
一つ一つ選んで答えていらっしゃる、その辺も意識的に差別になるんですよ。こういう問題、自由に議論してそして前向きに取り組んでいかないと解決しないですよ。それで、特別措置法というのは事業面が主体なんですからね、物の面ではどんどん進むところもあるし行き届かない問題も出てくるから、残事業が何であるかどうであるかという問題もあるわけなんですけれ
ども、それ以上に心の問題をいまおっしゃっているわけです。心の問題を解決するのは大変な時間もかかりますし、努力も要るわけです。時間もかかって、努力するためにどういうことをしていったらいいかということにもなるわけですから、真剣に取っ組んでいけば何かの問題も出てくるでしょう。あるいは諮問機関つくるなり協議機関つくるなり、あるいは一般から
意見を聞くなり、
関係の
人たちの
意見を聞くなり、そういう形で取っ組んでいただかないと、向こうを向いて進まないと思うのです。
基本はどういうことかというと、同和対策
審議会の
答申の中にあるように、このことは人類普遍の原理なりというのです、差別をなくすることは。それをただ——解放同盟がいろいろ
運動している。国民全体であり、世界の人類的な問題でもあるわけでしょう。だから、人類普遍の
原則であり、これを解決することは国民の課題であって、国の責務となっているのでしょう、
原則が、原理が。だから、国の責務を果たすにはどうしたらいいかという取り組みがなかったら解決になっていかないと思うのです。差別をすることは大変なんですよということです。人権は憲法で定められて平等なんでしょう。そういう問題に欠けているから、
中学生が浮浪者を殺すような
事件が起こるわけでしょう。殺すことを何とも思ってない。浮浪者はごみみたいなんだ、人間に害をするネズミを殺す、そういう概念でとらえている、そこに大きな問題があるわけです。そういう中の
法務省の人権担当の
皆さんがおやりになることは、国民全体にかかわってくる問題でもあるわけですし、地方的なレベルの中からいろいろ問題が起こって吸い上げられてくるということになるわけですからね。それじゃ三十五周年という
一つの節目をとらえながらさらに認識して、それをどういう形で本格的なものにしていくかということでなければ、
大臣が所信で表明なさったって何にもならぬということになるのではないでしょうか。僕はその点を非常に問題にしたいわけです。
去年の十二月十三日の朝日
新聞に載っているわけですけれ
ども、反差別国際会議が持たれたわけです。ここで、フィリピンの元外相代理ホセ・イングレス氏と外国の差別問題を扱っている
人たちが集まったわけですけれ
ども、
大臣も参考にお耳に入れておいていただきたいのですが、このイングレス氏は「平等の原理が
日本国憲法の中で尊重されており、その
原則に違反する差別は憲法違反であって、憲法に違反する行為を防止するために、正当な訴訟が起こされ、法律が制定さるべきで、
政府の側の決断が必要だ」こう述べていらっしゃるわけです。それから、レビ氏というフランスの人なんですけれ
ども、「フランスでは反人種差別法が成立、人々の差別行為は断罪されることになっている」、こういうことになるわけです。先ほど一番最初に述べたように、国籍法を認めたら
日本人の血が濁ってしまう、まるでナチ時代と同じ
考えを持っている方がいらっしゃるわけでしょう。どこの国の
人たちだって、どこの国へ行って住んだって同じ権利のもとに人類は生活していけるんだ、その国の法律は守らなければならないという
原則はあるわけですけれ
ども、そういう形で物事をとらえていかなければならないじゃないか、私はそう
考えるわけです。なじるわけじゃありませんけれ
ども、もう少し問題を把握してお
仕事をしていただかないと、十年一日のごとく、いつまでたっても同じ文句が
大臣の所信表明で並べて、それで適当な
予算が使われて、それで何か変わったかというと何も変わってなかったというようなことが起こってくると思うのですね。ただ、人権
局長さんの能力がないということではないわけですよ。ないわけなんですけれ
ども、その辺をやっぱり
考えていただきたいし、
大臣はわりと何でも率直に御
意見をぱっぱお述べになるわけですから、お
感じになった面、あるいはやっぱりこうした方がいいとお思いになる面もあると思うのですね。ただ、言葉じりをとらえたりということは私はありませんけれ
ども、そういう意味合いで、いま申し上げたことで
大臣もお
感じになったと思いますし、差別的な問題というものは、
大臣が前に警察畑にいらっしゃったときには、数多く実際に経験していらっしゃると思うのですね。そういうものから
考えながら、今後
法務省はどういうふうな形でこれに
対応していかれるか、その辺をお聞かせいただきたいのですよね。