運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-03-07 第98回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月七日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 越智 伊平君       鴨田利太郎君    堀内 光雄君       沢田  広君    兼務 川本 敏美君 兼務 小林  進君    兼務 後藤  茂君 兼務 長田 武士君    兼務 小渕 正義君 兼務 中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      魚津 茂晴君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   西井  昭君         日本電信電話公         社職員局長   児島  仁君         日本電信電話公         社営業局長   信澤 健夫君         日本電信電話公         社計画局長   池沢 英夫君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局総局         長)      田沼 修二君     ───────────── 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     渡辺  貢君 同日  辞任         補欠選任   渡辺  貢君     簔輪 幸代君 同日  辞任         補欠選任   簔輪 幸代君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   藤田 スミ君     中路 雅弘君 同日  第一分科員中井洽君、第二分科員川本敏美君、  第三分科員長田武士君、第四分科員小林進君、  第五分科員後藤茂君及び第六分科員小渕正義君  が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (郵政省所管)      ────◇─────
  2. 越智伊平

    越智主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算郵政省所管について政府から説明を聴取いたします。桧垣郵政大臣
  3. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 郵政省所管会計昭和五十八年度予算案につきまして、御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は、二百四十一億八千四百万円で、前年度補正後予算額に対し、二億一千九百万円の増加となっております。この歳出予定額には、宇宙の開発利用推進に必要な経費のほか、電気通信政策推進放送行政国際協力推進電波資源開発利用秩序維持など、通信技術の著しい向上と多様化する行政需要に即応した施策推進に必要な経費を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも四兆二千十八億一千六百万円で、前年度に対し、一千二百五十五億七千百万円減少になっております。これは主として業務外収入及び業務外支出が減少したものであります。  このうち、歳出予定額におきましては、重要施策としております安定した郵便業務運行の確保と送達速度向上に必要な経費を初め郵便貯金簡易保険郵便年金普及推進に必要な経費郵便局舎等改善に必要な施設費、その他所要の人件費などを計上いたしております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和五十八年度年度で、二百四十六億円の利益が見込まれており、過年度における欠損のため生じている累積欠損金は、年度末では四百九十三億円にまで減少する見込みであります。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出予定額ともに六兆一千七百十億九千五百万円で、前年度に対し、七千八百六十八億一千八百万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は五兆三千六百四十二億三千二百万円で、前年度に対し、四千九百二十七億四千六百万円の増加となっております。歳出予定額は三兆九百四十九億五千九百万円で、前年度に対し、三千七百二十六億五千二百万円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は九百九十六億五千八百万円で、前年度に対し、四百八十二億四千六百万円の増加となっております。歳出予定額は九十六億三千万円で、前年度に対し、十二億五千百万円の増加となっております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきまして御説明申し上げます。  事業収入につきましては、四兆三千二百八十四億円で、前年度に対し、一千六百二十億円の増加となっており、事業支出は、四兆一千九百七十九億円で、前年度に対し、一千三百九十一億円の増加となっております。  建設投資の額につきましては、一兆六千百億円といたしております。これにより、一般加入電話百十万加入増設等を行うとともに、電気通信網維持改善に特に配意することといたしております。  また、臨時かつ特例的な措置として、臨時国庫納付金額のうち、昭和五十八年度に係る金額昭和五十九年度に係る金額を繰り上げて合計二千四百億円の納付を予定いたしております。  これらの建設投資のほか、電信電話債券の償還、国庫への臨時納付金等に必要な資金は、二兆四千三百四十九億円となりますが、その調達につきましては、減価償却引当金等内部資金で一兆四千二百九十一億円を、特別債・借入金、財政投融資等外部資金で一兆五十八億円をそれぞれ予定いたしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計昭和五十八年度予算案概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 越智伊平

    越智主査 以上をもちまして郵政省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  5. 越智伊平

    越智主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕正義君。
  6. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私は、ただいま郵政省所管の五十八年度予算概略説明があったわけでありますが、その中で、特に電電公社関係の中の電話料金問題について質疑を申し上げたいと思います。  特に、私は長崎県出身でありますが、長崎全国一の離島を抱えた県でございます。それだけに、離島関係では、県民生活安定向上という点でいきますと地理的に非常にいろいろなふぐあいな面がございまして、いまだ島民の生活環境は必ずしもよろしいというわけにいかない状況であります。  そういう関係からお尋ねするわけでありますが、今次国会の中に、電話料金変更といいますか、遠距離料金値下げという問題を中心とした改正案が提案されているそうでありますが、今回改正されようとしている主なもの、あわせて、今日の電話料金制度をつくり上げているそういう考え方というものについての御説明をいただきたい、かように思います。
  7. 小山森也

    小山政府委員 公衆電気通信法改正いたしまして、通話料金を引き下げようということが今回の公衆法改正の主な目的でございますが、この内容につきましては、三百二十キロメートルを超え五百キロメートルまで現在四秒ごとに十円、五百キロメートルを超え七百五十キロメートルまでは三・五秒ごとに十円、七百五十キロメートルを超えるものは三秒ごとに十円となっている料金につきまして、これを、三百二十キロメートルを超えるものは一律四・五秒ごとに十円、このように改めるものでございます。  このことによりまして、従来、世界各国電話料金の中でいわゆる遠距離通信料が非常に高いと言われておりましたものを引き下げ、さらに、遠近格差が非常にあると言われておりましたものを、この遠近格差を少なくしようとするものが、この公衆電気通信法の一部を改正する法律案内容でございます。
  8. 小渕正義

    小渕(正)分科員 改正の点はわかりましたが、こういった料金仕組みといいますか、制度をつくり上げている電話料金制度考え方について、その基本的なものがあったらお示しいただきたいと思います。
  9. 西井昭

    西井説明員 いまの電話料金は、いわゆる二部料金制というものをとっておりまして、基本料とそれから通話料、この二つでもって原則的に電話にかかわります経費を回収する、こういう形をとっているわけでございます。  その中で、基本料はどういう考え方で取っておるかということでございますが、これは考え方といたしましては、電話をお使いになってもお使いにならなくてもかかる経費基本料で回収をし、お使いになるに応じてかかる経費度数料で回収するのが一番の筋でございますが、そのようにいたしますと、基本料が非常に高くなりまして、通話料が相対的に安くなる、こういう問題が出てまいりますので、また、必ずしも原価に忠実なのが利用者の方の本当の納得を得られるかどうかということは別でございますので、これは世界各国ともそうでございますが、ある程度の部分通話料の方に料金をふやしまして、基本料の方を相対的に安くいたしまして、いわゆる限界需要を喚起する、こういう料金政策をとっております。  また、そういう基本料の中でも、御存じのとおり事務用住宅用基本料格差をつけておりますが、それにつきましても大体同じような考え方でございます。  一方、通話料遠近格差考え方でございますが、これはむしろ歴史的な沿革に基づくものでございまして、かつての裸線とか搬送ケーブル中心時代距離に応じてコストが非常に高くなったわけでございますが、現在は通信技術の発達によりまして長距離が相対的に安くなってきておる、こういうのが実態でございますので、そういうものに近づけるように料金というものを逐次直してきましたのも事実でございます。戦後間もないころにはいわゆる遠近格差は一対二〇〇以上という大きなものがございましたが、ただいまは遠近格差は一対六〇まで縮まっておりまして、今国会に法案をお願いしております通話料値下げが通りますと遠近格差は一対四〇にまで縮まる、こういう状態でございます。
  10. 小渕正義

    小渕(正)分科員 少し突っ込んでお尋ねしますが、いまのお話では、現在基本料金通話料との二本立ての中で、特に通話料中心料金体系をつくっているということでありましたが、いま公衆電話が十円で三分間ですかね、大体これがすべての基礎になっているわけですか。ということになりますと、この十円の中で通話料基本料金との割合がどのようになっておるのか、その点お示しいただければと思います。
  11. 西井昭

    西井説明員 ただいま公衆電話通話料は、一般加入電話からおかけになります通話料と全く同じ料金になっております。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、基本料部分は言ってみれば公衆電話料金の中では回収されておらないと申しますか、基本料分相当部分料金というのは公衆電話料金の中に入っていないという形になっておるわけでございます。これはなぜそういうことをやっておるかといいますと、課金技術上の問題といたしまして、公衆電話加入電話料金の取り方を全く変えますと、課金機器がそれだけ複雑になりますというのが一つ。それから、公衆電話はどういたしましてもコインの関係で、単位当たりを十円単位とか、もっと大きくしますと百円単位とか、こういう単位にせざるを得ないという技術的な問題もございまして、現在のところは加入電話と同じ料金をいただいております。  なお、余談でございますが、少し前に電話が三分七円のころは公衆電話は十円いただいておりまして、そこである程度の格差がついておりましたわけですが、一般電話通話料単位料金を十円にいたしましたときにその部分は合わせてしまったというのが実態でございます。
  12. 小渕正義

    小渕(正)分科員 あと一つお尋ねしますが、いまの仕組みについては考え方はわかりましたが、私どもの素人考えでありますが、電報はどんなに遠くても近くても単一特定料金ですね。電力の送電にいたしましても、どんなに近かろうが遠かろうが、これはすべて単一の統一されている料金電話であっても、たとえ設備投資その他のお金がかなり要ったといたしましても、電話料金を近かろうが遠かろうが単一料金でやっていいじゃないかという議論は当然至極出てくる問題だと思います。したがって、そういうことをやろうとした場合にどういう問題点があるのか、何か技術的にまた大きないろいろな設備の更新その他切りかえをやらなければいかぬという問題点があるのか、またはそのために多大の資金が要るのか、それともほかに何かまだそういった問題に対する問題点があるのかどうか、その点、時間もありませんから、大まかなもので結構ですから、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  13. 西井昭

    西井説明員 最初に、電報料金の方から申し上げますが、電報にかかるコストを、大ざっぱに発信、それから電報を送ります中継信、それから着信、配達、こういうふうに割りますと、一番たくさん金がかかっておりますのが配達でございまして、それに次いで発信ということで、したがいまして通信にかかる経費が非常に安うございます。御存じのとおり、電話一回線によりまして電報というのは二十四回線とれるということで、中継信にかかる経費が相対的に非常に安いということで、昔は市内と市外と電報料金が変わっておったこともございますが、現在はただいま先生おっしゃいましたように全国均一料金ということになっております。  電話もそういうふうにやるという考え方いかんということでございますが、ただいまのところでは、電話原価といいますのは長距離ほど原価は高うございますが、これは技術進歩によりまして、先ほど申しましたとおり、次第次第に長距離原価というのは相対的に低下をいたしてまいりまして、そして近距離の方は、人件費のアップでございますとか土地代その他諸物価の値上がりで、高くなることはあっても決して安くならないというのがいままでの実情でございます。  そういう実情を踏まえまして、この遠近格差をうんと縮める、極端に申しますと全国均一制に持っていく、こういうことでございますが、そういたしますと、公社の経営上の問題から申しまして、長距離を大幅に下げようとしますとどうしても近距離をある程度上げざるを得ない、こういう問題に逢着をいたしまして、そのようにいたしますと、比較的長距離電話を多くおかけになる方、近距離を多くおかけになる方、そういう方々の利害が必ずしも一致をいたしませんでして、電電公社といたしましては、先ほど申しましたとおり次第次第に遠近格差というのを縮めてまいってきておりますが、そういう問題につきましては、広く国民の御理解、御納得の上でそういう方向に今後逐次進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  14. 小渕正義

    小渕(正)分科員 とりあえず、確かに全国単一料金にした場合に近距離の方は非常に高くなるということになりますが、そういった利用者側問題点以外に、公社側のそういう設備的な問題で何か問題点があるのかどうか、そこらあたりについての内容がもしあれば、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 西井昭

    西井説明員 当然のことながら、料金を変えますとそれに伴います課金機器中心とします機器改造費がかかることは確かでございますが、距離段階を少なくし、あるいは極端に言いますと全国一本にいたしますと、本質的には課金関係経費というのは相対的に安くなる。むしろ、一時的に金がかかりましても、長期的に見れば経費は安くなるということになりますので、設備上の問題そのものは格別ございません。  また、過去の経験によりますと、料金を下げますとある程度利用の増が見込まれますので、そういうものに関して当然のことながら設備をふやさなければなりませんが、これも当然のことながら料金で回収されるものでございますので、そういう意味では、一時的にお金がかかりましても、ある程度の長期の期間でございますと、むしろ公社にとって好ましいと申しますか問題のない方向で解決できる、こういうふうに理解しておるところでございます。
  16. 小渕正義

    小渕(正)分科員 あと一つお尋ねしますが、そういった全国単一料金に直した場合、現在一分間十円のところもあるし、〇・五秒で十円のところもあるし、いろいろ十円に対するあれが違うわけですね。だから、もしそういう単一基準をとった場合に、現在一分間どの程度の料金になるだろうというふうな予測ですか、そういうものがありますれば、参考までにお聞かせいただきたいと思います。
  17. 西井昭

    西井説明員 電話のトラフィックの内容は年々変わっておりますが、少し前に公社で試算をいたしました計算によりますと、三分六十円にいたしますと全国均一料金になるという計算をいたしたことがございます。
  18. 小渕正義

    小渕(正)分科員 それから、現行制度の中でも、夜間特別割引とか休日の特別割引制度があるわけですね。そういう特定の時間帯、特定の日を決めて料金割引するということは、私は技術的な問題はわからぬわけですけれども、そういう考え方を採用すれば、別にそう大きな何か設備的な変更をしなくても、考え方を採用することによってすぐそれはいろいろほかの方向にもまだ広げられるということになるのかどうか、そういうふうなものを現行でも夜間特別時間帯でとっていますし、だから、何かそういう考え方さえ採用すればさほど設備的なものはいじらなくてもやれるのじゃないかと素人的に判断するのですが、その点はどうでしょうか。
  19. 西井昭

    西井説明員 電話設備と申しますのは一番最繁時のピークに合わせてつくっておるわけでございます。通常で申しますと、大体平日の午前十時前後が一番の通話ピークでございまして、そしてそのピークに合わせて設備をつくっておるものでございますから、日曜・祝日とか夜間帯といいますのは、特に深夜におきましてはその設備が遊んでおると申しますか、使われておらないという状態でございます。したがいまして、われわれとして一番好ましいのは、設備を使われる使われ方が、一日間、極端に申しますと一年間平均してお使いになっていただきますと、少ない設備でたくさんの通話が運べるということになってまいるわけでございまして、ただいま先生のおっしゃいました夜間割引あるいは深夜割引、日曜・祝日割引と申しますのは、できるだけそういうふうに通話を誘導をするような料金政策という意味で、そういう料金体系をとっておるところでございます。  なお、これに伴いまして、設備はどうかということでございますが、昼、夜、深夜と、こういうふうに料金の取り方を変えてまいりますと、当然のことながらそれだけ課金の装置といいますのは多少とも複雑になるわけでございますが、御存じのとおり、現在の課金秒数は昼も夜も時間帯はずれておりますが、一定課金単位を、一定の数の課金秒数をとっておりますので、できるだけそういう設備によけいな金をかけずにそういうことができるようにというようなやり方をとっておるところでございます。
  20. 小渕正義

    小渕(正)分科員 ちょっと大臣にお尋ねしますが、先ほど私が申し上げましたように、長崎県は離島が非常にたくさんある県でございまして、全国トップという中で、現在、離島振興法対象市町村になっているのが六十一カ所ございます。それで、実はそこに約二万五千六百七十人が住居を構えられて生活をされているわけでありまして、ちなみに、これは長崎県庁所在地長崎市の方から、電話で考えてみますならば、大体十円でどこの範囲までかけられるかということでちょっと調べてみたのですが、佐賀県には大体十五秒、熊本県も十五秒、福岡は十秒、大分宮崎は大体六・五秒です。ところが、長崎県の対馬の厳原というところがございますが、ここが六・五秒なんです。全国の県の中で、こういうふうに幾ら広い面積を有した県であっても、十円でそんな六・五秒ぐらいの電話しかかけられないという地域はほかにございません。それで、これで見ますと、もう長崎対馬あたりは、電話料金から見れば、宮崎大分とほぼ同じような生活圏、そういう状態に実は置かれておるわけでございます。したがって、そういう意味電話料金遠近格差というものは住民生活に非常に大きな影響、圧迫を与えているわけでありますが、そういう点で、ひとつ大臣も、御承知のように離島振興法という法律議員立法でできまして、約三十年間これが発動されて、それぞれの国土の保全、環境整備、その他いろいろと調べてみますと、現在まで約一兆五百億程度全国的に離島振興のために国費が実は使われて国づくりが行われておるわけでありますので、当然そういった角度から見て、電話料金も、離島振興法というそういった法の精神を生かすならば、ここにそういったものも一つの適用という範囲の中に考えていいんじゃないか、かように私ども思うわけでありますが、そこらあたりに対する大臣の所見をお聞かせいただければと思いますが。
  21. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 離島方々にとりまして電話通信というのは生活上大変重要な役割りを果たしておると心得ておりますので、従来、加入電話でございますとかあるいは公衆電話につきましても、極端なことを言いますと、離島住民方々の利便を中心に考えまして、採算というようなことを度外視して普及を進めてきたわけでございます。今後もあらゆる地域において、電話の活用、利用が可能なように普及も進めてまいりたいと思っておる次第でございます。  また、いままで答弁がございましたように、遠距離格差の解消も順次取り進めておるところでございますが、離島振興法がございますことは私もよく承知しております。私の県も大変離島の多い県でございまして、長崎が一番多いこともよく承知しておるところでございますが、現段階離島だけの電話料金を別扱いをするということは困難であると私は思うわけでございますが、先ほども答弁がございましたように、近距離遠距離の問題はまだ問題としては残っておると私は思うわけでございます。今後のいろいろな通信施設合理化進歩の問題等にらみ合わせながら、将来の料金体系全体の中で検討をすべき問題であろうというふうに思っております。
  22. 小渕正義

    小渕(正)分科員 離島振興の問題は、もう大臣も当然いまのお話のように十分御承知だと思いますが、そういう離島なるがゆえに、生活環境がきわめてまだまだ本土といいますかそれと格差がついて、同じ長崎県の県内においても、いま私が数字で示したような状態に置かれておるわけでありますので、電話料金に対しても住民としては非常に根強い希望、要望が出されておるわけでありますが、とりあえず、離島関係のそういった離島振興法で適用されているような市町村に対しては、夜間料金制度をそのまま適用するということだけでも導入ということは考えられないかどうかですね。先ほどのお話から承りますならば、設備的にそのことをすることによってさほど問題はないような感じもするわけでありますが、とりあえず、現在の制度の中でも、夜間料金制度をそういう振興法の適用を受けている市町村離島についてだけでも適用させていく、こういうことも考えることは可能ではないか。現在、今日まで離島問題につきましては、離島航路に対する補助、助成の問題とか、いろいろやはり離島なるがゆえのそういうハンディに対する何らかの国としての特別的な配慮をしているわけでありますから、そういう意味で、電話料金制度の中でも、現行制度でも適用区域の中に入れてしまうということも私は一つの方法じゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  23. 小山森也

    小山政府委員 先生の御質問に直接的なお答えにならないかとも存じますけれども、離島振興法関係につきましての電話料金関係を申し上げますと、特に配慮している点は現在でもございます。実は、電話設備をいたしますのと、それから使用料におきまして、普通は電話局から五キロ以上離れているところ、これは区域外通話となっておりますが、これにつきましては、いま現在全国的に七キロメートル以内まで区域内通話にすることになっております。さらに、七キロメートルを超える範囲でありましても、この離島振興法に適用されている島の場合には、現在線路設置費を百メートルまでごとに九千円いただいております。また、付加使用料におきましても、百メートルごと住宅用では三十三円、事務用では五十五円という付加使用料の増加分があるわけでございますが、これにつきましては六十年度をめどにいたしまして全部解消するという計画になっております。  なお、通話料そのものにつきましては、現在公衆法を御審議願うべく今国会に提出いたしておりますけれども、これは先ほど大臣も申し上げましたとおり、全体の料金体系の中において解決すべき問題だと考えている次第でございます。
  24. 小渕正義

    小渕(正)分科員 ただいま離島振興法の適用されている町村に対しましてそれなりの配慮をされているという御説明でありましたが、そういった配慮については心からお礼を申し上げる次第でありますが、私が申し上げましたようなハンディを抱きながら離島に住まわれている人たちは、まだまだ非常な不便を感じながら私生活をしている、そういう環境にあるということをぜひひとつ御配慮いただきまして、こういった料金体系という全体的なバランスの問題もありましょうけれども、離島振興法というものが存在し、そのためにそういったところに国費を投じても本土との格差を是正していくという政策がとられている以上は、当然そういった政策の範囲の中でしかるべき特別な配慮をされていいのじゃないか、このように私は思いますので、電話料金の問題、先ほど私は夜間料金区域として特別指定でもできないかということを申し上げたのでありますが、そこらあたりについては特別な配慮をするという立場の中で、今後とも引き続き検討していただきたいということを大臣に御要望申し上げて、終わりたいと思います。大臣、その点いかがでしょうか。
  25. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 申し上げましたとおり、現段階ではなかなかむずかしい問題でございますが、将来の料金体系の検討の中で、御指摘の問題も含めて検討させていただきたいというふうに思います。
  26. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これで終わります。
  27. 越智伊平

    越智主査 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕
  28. 長田武士

    長田分科員 本日は、NHKに参考人としておいでをいただきましてありがとうございます。  今日、NHKが厳しい経営環境の中で視聴者の要望にこたえるべく放送の実施に努めていらっしゃるという点については、私もよく理解しているつもりでございます。中でも、聴力障害者向けの新しい放送サービスについて尽力されておりますことは高く評価をいたしております。私も、一昨年予算委員会で、聴力障害者字幕スーパーの早期実施につきまして強く要望いたしました。いよいよ本年秋から文字多重放送として実現される運びとなりまして、大変うれしく思っておる一人でございます。  そこで、聴力障害者向けの多重放送について郵政省並びにNHKにお尋ねをいたします。  初めにNHKにお尋ねするわけでありますが、文字多重放送の具体的な実施日と、さしあたってどの地域で放送される予定なのか、まずお尋ねをいたします。
  29. 田沼修二

    ○田沼参考人 ただいまお尋ねがございましたが、NHKの五十八年度の事業計画の中で文字多重放送を実施すべく準備を進めております。実施をいたします時期は、一応十月を目途にいたしておりまして、放送する地区につきましては、東京地区並びに大阪地区を予定しております。
  30. 長田武士

    長田分科員 文字多重放送の実施に当たりましては、関係者の間で番組の内容等につきまして種々検討がされたと聞いております。どのような番組を考えていらっしゃるのか。また、放送の時間帯等については、どうしても昼間よりも夜の方が皆さんは都合がいいんじゃないか、そのように私は考えております。そういう点で、これらについてNHKはどう考えていらっしゃいますか。
  31. 田沼修二

    ○田沼参考人 放送番組の編成につきましては目下鋭意詰めているところでございますけれども、御指摘のように文字放送は初めての試みでございますので、どの範囲までやるかにつきましては、いま具体的に番組編成を詰めているところでございます。当面、聴力障害者に対するサービスに限定をして始めたいというふうに思っておりますが、内容といたしましては、テレビの画面全部が文字及び図形によって表示されるという形の番組といたしましては、全体で七ないし八の番組、つまり聴力障害者の方々のお役に立つようなニュースですとか、あるいはその地区のローカルニュース、天気予報、あるいは聴力障害者の福祉に役立つようなお知らせ等々を考えております。  いま一つは、聴力障害者にとって最も要望の強い、ドラマ番組に字幕をスーパーいたしまして、耳がお聞き取りにくい方にも文字を読めばわかる、そういういわゆる字幕サービスでございますけれども、これについては、ただいま放送しております午前八時十五分からの朝の連続テレビ小説、これは午後の零時四十五分からも再放送がございますが、この番組に字幕サービスをつけまして、耳の不自由な方にも御理解できるようにということを考えております。ただいま夜間というお話がございましたけれども、もちろん、この字幕サービスの番組については朝と午後でございますが、その他のニュース等の番組は随時御自由に選択されてごらんになれるようにと考えております。
  32. 長田武士

    長田分科員 最近、NHKは文字多重放送の番組の試作品をつくられたそうですね。そして聴力障害者の皆さんに見ていただいたと伺っておるのでありますが、その結果どのような反響があったのか、お尋ねをいたします。
  33. 田沼修二

    ○田沼参考人 私どももこの数年間、文字放送を前提にいたしました各種の試作をしてまいったわけでございますけれども、何よりも一番御要望の多いのは、ニュースをどう御理解されるかということでございまして、普通のいわゆるニュースという形の表現ではなかなか御理解が得られない面がございますので、たとえばむずかしい問題をどのようにわかりやすくかみくだいて御理解いただけるかというような工夫、それから、一つのブラウン管の画面にどのぐらいの文字を入れることが適切であるのか、あるいはどういう図形を使うことが御理解を得やすいのか。また、ドラマ番組等のせりふのやりとりといったようなものについても、たとえば男性は白い文字で表現する、女性は赤い文字で表現する。電話が鳴れば、電話の音は聞こえないわけでございますから、電話器からベルが鳴っている漫画が出るとか、そういう文字と図形との組み合わせといったようなものも考案いたしまして、関係方々にごらんいただき、またいろいろと御注文もいただきまして、試行錯誤を続けながら、ほぼこういう形であれば御理解得られるであろうというところまでいま到達した段階でございます。
  34. 長田武士

    長田分科員 文字多重放送の実施につきましては、聴力障害者の方々が社会の平等参加という観点からも大きな期待を寄せられておるわけであります。そうした期待にこたえる意味からも、番組の編集等に当たりましては現場の声を数多く聞いてほしい、こういう声も非常に強いようであります。その点、具体的に話し合いというのは行われておりましょうか。
  35. 田沼修二

    ○田沼参考人 私ども昭和五十二年から「聴力障害者の時間」という番組をつくりまして、これは教育テレビジョンでございますけれども、最初は十五分間番組で、昭和五十五年から二十分番組にしておりまして、毎週一回放送しておりますが、こういう番組を実施する際にも、全国の聾唖者の連盟でございますとか、ただいまつくられております聴力障害者情報文化センターというような機関でございますとか、聾唖者を持たれるお母様方の会でございますとか、聾学校の先生方とか、こういう方々と定期的に会合を持ちまして、いろいろ御要望を伺っておりますし、また、特にこの文字放送につきまして御関心が高いこともございますので、これらの問題についても相当長い期間お話をしてまいりましたし、特にこれから放送を開始するに当たりましては、さらにお話し合いをしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  36. 長田武士

    長田分科員 文字多重放送を受信する場合、別売りのアダプターか、アダプター内蔵のテレビの新たな購入がどうしても迫られてくるということだそうであります。  そこで、パターン方式でのアダプターの価格はどのくらいなのか、また、六十年以降に導入が予定されておりますところのハイブリッド方式のアダプター、その価格はどのくらいなのか、その点お尋ねをいたします。
  37. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 先生おっしゃいましたように、文字多重放送は当初パターン方式で開始されるわけですけれども、既存のテレビ受像機に付加しますアダプターの価格は三万ないし五万円というふうに見積もっております。その後ハイブリッド方式というものを導入いたすわけでございますけれども、そのパターン方式のアダプターを持っていた人が追加いたしますコードコンバーターの価格は、さらに約四万円程度必要だということでございまして、先生の御質問のハイブリッド方式、これはパターンとコードと両方受けられるものですが、この価格は、三万ないし五万にコードコンバーターの付加した四万で七万円以上になるというふうな推定をいたしております。
  38. 長田武士

    長田分科員 ただいまのお話を伺いますと、相当高額なものになっておるようであります。これではせっかく聴力障害者のために行う放送も十分にその対応ができない、見る方の側が受信できない。したがって、もしこのようなことになれば、当初の目的の達成というのは、放送はするけれども受像できない、見ることができないというような状況になるように私は思います。近い将来一般方々にも普及することを考えてまいりますと、何とかコストを具体的に下げてもらうという努力がどうしても必要でありますけれども、その見通しはどうなんでしょうか。
  39. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 御指摘のとおり、非常にその点が問題であるということで、私どもも日本電子機械工業会に対しまして、受信機、アダプターでございますが、これができる限り低廉な価格で供給できるように指導しているところでございまして、工業会の方といたしましては、受信者に対して過大な負担とならない価格で供給できるはずですという意向を郵政省の方にも伝えてきております。先ほど申しましたパターンで先発いたしまして、後はコードを入れましてハイブリッドということになるわけですけれども、その辺も、早く買った人が損をしないようにということで、三万足す四万の七万、こういうような指導もぜひともやっていただきたいというような考え方から出ました、工業会とも話し合いなんかはした上での予定価格ということでございます。
  40. 長田武士

    長田分科員 いずれにいたしましても、文字多重放送の受像機の普及がどのように進められていくかということが大きなポイントだろうと私は考えております。何といいましても、コストを伺いますと三万ないし四万プラスされなくてはいけないという状況では、一般的にはちょっと普及しにくいだろうと考えております。  そこで、大臣、せっかく放送いたしましても受像できないという状況でございますから、身体障害者の皆さんに、特に聴力の非常に弱い方に対しての問題ですが、受像機を買う場合に、今後国が福祉政策の一環としてある程度国で助成したらどうか、あるいは補助金を出したらどうか、私はそういう考えですけれども、大臣の忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 聴力障害者の方もテレビジョン放送の受信の恩恵を受けるということは大変大事なことだということで、技術的にもその対応の一つとして文字多重放送ということを開発をしてきたわけでございます。そのために、新たなアダプターの設置のための経費がかかることはいま説明があったとおりでございます。  これに対して助成をしたらどうかという御意見でございますけれども、これは私が答えるのが妥当かどうか、ちょっと疑問があるわけでございまして、全体の福祉政策の中でそのような助成を取り上げるかどうかという問題であろうかと思いますから、私からはっきり申し上げることはちょっとちゅうちょするところがあるわけでございますけれども、ただ、私もいままでいろいろな助成事業に関係をしてきた人間の経験から申しますと、災害その他の特殊な事情の場合は別でございますけれども、個人財産に対する助成はしないというのが助成の大原則になっておるわけでございまして、その点はかなりむずかしい問題ではないかというふうに私は思います。ただ、福祉政策という大きな枠の中でこれが処理されるということは全く不可能とは思わないのでございますが、助成の原則から言えば困難な問題ではないかというふうに思います。
  42. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 ちょっと補足させていただきます。  先ほどの工業会ですが、昨年度、法を改正いたしまして、この文字多重放送を進める法律的な処置もいたしましたわけですけれども、その際に工業会の方においでいただきまして、たとえば工業会にとりましては新しいマーケットが開けたわけでございまして、私どもといたしましては、特に難聴者に対する配慮を考えて、法改正もいろいろまだ早いんじゃないかというお声もあったわけですけれども、受け皿をつくるべきだということで改正いたしましたので、その辺に工業会の希望もございましたので、ひとついろいろな面で御協力をいただきたいということをお話ししたわけで、お答えからちょっと外れますけれども、工業会の方としても、個人ではございませんけれども、聾学校あるいは聾唖者厚生施設等に対しまして文字多重放送用の受信機を寄贈するとかいうようなことも検討しておりますという最近のお答えをいただいておりますので、ちょっと補足させていただきます。
  43. 長田武士

    長田分科員 大臣、個人の財産については云々というお答えがございましたけれども、私も基本原則としてはそうだと思います。ただ、問題は、ここに日本ろうあ体育協会会長から請願が出ておるのです。これには「聴覚言語障害者が情報を得、文化を享受し、潤いのある生活をする手段は、文字と手話による以外方法がない。しかし、現在のテレビには、字幕や手話通訳が挿入されておらず、聴覚言語障害者は、災害時の情報源に不安を持ち、娯楽や文化に対する希求心も、むなしいあきらめとなっている。」こういう非常にせつない陳情、請願が出ておるのです。そういう意味では、地震等の災害も予測されておりまして、私たちも常に備えをしようということで、国民全体がそれに携わっておるわけであります。どちらかというとこういう方々はおくれておる、あるいは瞬間的な情報なんというのは非常に得られにくい。そういう意味で、こういう方が災害時に取り残されてしまうというような危惧を私は非常に強く持っておるのです。そういう意味で、生命尊厳の上からも、こういう点は郵政大臣が大蔵省とかけ合って、ぜひ実施するように働きかけていただけませんか。そのぐらいの努力をしなければしようがないじゃないですか。
  44. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 確かに、仰せのような災害通報等について聴力障害者の方に大変難点がある、それを解消する手段としての文字多重放送というものを取り上げることは、私は確かに大事な観点であろうと思うわけでございます。私としては、できるだけ安い値段でアダプターの購入ができるような条件はつくるように努力すべきであると思っておりますが、政府の助成ということまでまいりますと、これは郵政の仕事という範囲内だけでは、私は率直に言って、とても助成原則の壁は破れないだろうというふうに思うわけでございまして、政府内部、たとえば災害関係のところもございますし、この問題について何らかの政府の対策を講ずることについての合意というものを得なければ、とてもこれはできることではないと思いますので、政府の内部で十分検討させていただきたいと思います。
  45. 長田武士

    長田分科員 次に、手話通訳についてお尋ねをいたします。  聴力障害者の方々から強い要望がありますのは、手話通訳の挿入でございます。私も予算委員会でこの問題も拡大を要望してまいりました。そこで、手話通訳を取り入れた番組はどのくらいあるのか、また、今後こうした番組を拡大していくお考えがあるのかどうか、この点をひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  46. 田沼修二

    ○田沼参考人 現在NHKで放送しております番組のうちで手話を挿入しておりますものは、教育テレビの「聴力障害者の時間」でございます。  この問題には二つの側面があろうかと思います。一つは、テレビの画面の中に手話通訳を入れることは、聴力障害者以外のいわゆる健常者の方々のテレビの視聴に障害があるという考え方一つございます。もう一つは、手話そのものが必ずしも全国に同じ規格で普及していない、かなり地方差がある、また非常に細かいニュアンスが伝え得ない、そういう意味では不完全な手段であるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、全面的にこれを番組に取り入れることは、NHKとしてはとらないところでございますが、たまたまこの新しい文字放送というものは、補完する意味では完璧な手段であろうということでございますので、将来ともわれわれといたしましては「聴力障害者の時間」には手話通訳をもちろん残しますけれども、一般番組にこれを導入することは当面考えていない、こういうことでございます。
  47. 長田武士

    長田分科員 そうなりますと、スーパーが出てまいりますね、それとあわせて手話もやりたいというお考えなんですが、文字多重放送が出てまいりますと、いままでの番組で手話が減るのではないか、そういう危惧があるのですが、その点はございませんか。
  48. 田沼修二

    ○田沼参考人 「聴力障害者の時間」につきましては、われわれといたしましては今後とも長く継続してまいりたいと思っております。といいますのは、当面開始を予定しております文字放送は東京、大阪地区のみでございまして、全国で聴力障害者の障害者手帳を持っておられる方が約四十五万人いると推定されておりますし、かつまた、東京、大阪地区だけに限定して考えますと十四万人程度でございますので、仮にこの方々が文字放送を享受できるといたしましても、全国普及するにはまだしばらく時間がかかりますし、また番組内容としても当初はそう完璧なものにはならないはずでございますので、文字放送が成熟するまでは、当然のことながらこういった番組は継続的に続けてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  49. 長田武士

    長田分科員 ところで、ことしの十月に実施をされます多重放送、その際、一画面に出る文字数は百二十字と伺っております。画面に全部出るわけですから、多少文字が多いのかなという感じも実は持っておるわけです。そうすると、字を追っただけで画面は全く見られないというようなことになりはしないかということを危惧いたしております。そういう点、一画面について百二十字と決められたその根拠といいますか、その基本的な考え方はどこにあるのでしょうか。
  50. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 一画面当たりの情報量というものは送る側から見るといいわけでございますけれども、当然、見る人の読みやすさ、文字の大きさ、字の間隔あるいは行の間隔、そういうものを考慮すべきでございまして、一ページ読むのに必要な時間は、百二十字の場合、通常の人で二・五分ないし三分というようなことが出ておりますけれども、これは電波技術審議会という場におきまして、放送事業者の方あるいは学識経験者の方、一般放送事業者も含めまして、NHKは当然でございますけれども、そうしたところで御審議された上で決定されたものでございます。  それから、それが全面表示の場合百二十字でございますけれども、背景に画面が出る場合には二行で三十字程度というようなことで、私どもはこの電波技術審議会の結果に基づいて、百二十字という、これは機械に関係いたしますので、そういう原則を決めなければ普及しない、いろいろなものが普及したら困るということで標準的に決めたものでございます。
  51. 長田武士

    長田分科員 これからますます高齢化社会に突入してまいります。そうなりますと、耳の遠い人も当然ふえてまいります。そういう意味で、私は、この問題につきましてはある程度柔軟性を持たした方がいいんじゃないかという考え方があるのですが、その点はどうなんでしょう。
  52. 田沼修二

    ○田沼参考人 放送を実施する側といたしましては、技術的な基準として定められた一画面百二十字というのは、一般的に視聴する場合にきわめて適切な画面表示の限界であろう、これ以上はちょっと無理だ。しかし、われわれとしては、特に聴力障害者の方々に百二十字をすべてお読みいただくという画面構成は考えておりません。たとえば、八行で十五文字というようなことになるわけでございますけれども、何も八行全部使わなくともいいわけでございますし、それを半分にして図形等で補完をするとか、いろいろな形でごらんになりやすいようにあるいは御理解いただけるような形の表示をしてまいりたい、これが放送番組として必要なことであろうと思っております。ただ、たまたま技術基準の上限が百二十字に定められたということでございまして、われわれとしては、この百二十字の中でいろいろな工夫をして御理解の得られるような番組をつくってまいりたい、こう考えておるわけであります。
  53. 長田武士

    長田分科員 次に、民間放送における文字多重放送について郵政大臣にお尋ねいたします。  現在、文字多重放送についてはNHKが非常に努力をされていらっしゃいます。しかし、民放においてもこの問題に取り組んでおられるようでございます。これは、資金面を初めコマーシャルの扱いなど、実現までは諸問題が相当残されておるようでございます。  そこで、民放における文字多重放送開始のめど、その進捗状況はどうなっておるのか、お尋ねいたします。
  54. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 先生御指摘のとおり、文字多再放送というのは全く新しいサービスでございます。また、多重ということで本番組に重ねるわけでございまして、民放各社といたしましては、収益可能性の営業的な問題、あるいは番組をどうつくっていくか、あるいは受信機がどの程度伸びるかというようなことで、導入に当たりましてのいろいろな問題について慎重に検討していると聞いておるわけでございますが、NHKの方からは先ほどお話がございましたけれども、近く新年度に入りますれば民放としての計画も決まりますので、計画をお聞きするという形で早く始めてくれる方向へ持っていきたいというふうに考えております。  なお、先ほど話の出ましたパターンとコードでございますが、両方含めましての実験は現在大きな会社が四社ほど実験局をやっておりますし、また、二社ほどは申請が出ておるというような状況で、これを含めまして技術的にも検討を早急にやるという態勢でおるわけでございます。
  55. 長田武士

    長田分科員 文字多重放送は世界各国でも非常に関心が高いわけです。研究開発あるいはもうすでに放送を開始しているところがたくさんございます。中でも各国から注目をされておりますのはアメリカのNCI、全米字幕機構というのがございますけれども、聴力障害者のハンデを補うために政府、自治体あるいは財団等が一致して大きな成果を上げておるわけであります。  そこで私は、わが国でもこうした趣旨の団体あるいは機構をつくりましてバックアップといいますか、こういうことの推進を図るべきだと思うのですけれども、郵政大臣どうでしょうか。
  56. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 いままでお聞き取りを願いましたように、郵政省、政府としても、あるいはNHK、また民放においても文字多重放送についての諸準備を進め、その普及のために努力をいたしておるところでございますが、さらに、文字多重放送の実施の内容でございますとか、あるいは受信者側からの要望でありますとか、そういうことについて民間団体として推進をしていただけるような組織ができますならば、私は率直に言って大変望ましいことであるというふうに思っております。
  57. 長田武士

    長田分科員 厚生省の認可団体であります財団法人聴力障害者情報文化センターというのがございます、大臣御存じですね。ここでは一部自治体及び財団法人あるいはNHK厚生事業団等から寄附を受けまして、そういうものを財政基盤としているわけです。聴力障害者向けの情報提供や資料の公開などを行っておりますけれども、障害者の方々からは非常に喜ばれておるそうであります。そこでNCI、いま申し上げました全米字幕機構のような組織を創設することが不可能ならば、当面の問題といたしまして政府が聴力障害者情報文化センターに財政的な応援を行って、将来NCIの日本版にしていったらどうかと私は思いますけれども、大臣の御所見をお尋ねいたします。
  58. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 障害者の方々の社会参加を進めるために、通信や放送のメディアが利用できるように配慮していくということは大変大事なことだと思っておるわけであります。従来から郵政の分野でも、郵便料金の減免の問題でございますとか、福祉用電話機器の提供でございますとか、NHKの受信料の減免等の措置をとってきておるわけでございます。  いま申し上げましたように、私は、NHKなり民放なりが実施をいたします文字多重放送等について、聴力障害者文化センターの方で聴力障害者の方の立場に立った注文をつけ、あるいはまた、障害者の方にも普及をしていただくというようなことは大変望ましいことであると思うわけでございますが、このセンターは本質的に聴力障害者の方々についての全般的な文化センターである、言うならば福祉事業センターとしての役割りをしておられるわけでございますので、これに政府がどのような援助をすることが適当であるかという問題は、郵政大臣だけでとかく言えない問題であるというふうに私は思うわけでございますので、これはセンター自身がどのようなことを企画なさるか、それに応じて政府としてどう対応するかという問題として考えてまいりたい。また、センターの主管省であります厚生省ともよく連絡をとらせまして、政府としてできるだけのことは支援を惜しまないことがいいのではないかというふうに私は思っております。
  59. 長田武士

    長田分科員 最後に、要望でありますけれども、聴力障害者に対しましてどうかひとつそういう細かい心遣い、NHKさん大変御努力願っておりますけれども、国のバックアップという点でもどうか将来ともに御努力していただきたい、心から要望いたしまして質問を終わります。
  60. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  61. 中井洽

    中井分科員 郵政省に二つの点でお尋ねをいたします。  まず最初に、大阪の浜寺局で起こりました保険の貸付金の問題でございます。五十七年六月に長年郵便局を利用しております池田キミさんという方から、自分が借りた覚えのない五十万円というお金を返済するようにということで通知を受けた、しかしこれは何かの間違いじゃないか、こういう訴えが浜寺局にありました。その後近畿郵政監察局で半年間にわたってお調べをいただいて、五十七年十二月に、これは間違いなく池田さんが借りておる、この結論が出た。池田さんはそれをまだ不満としていろいろな形で訴え続けておる、こういう事件があったわけでありますが、これはほぼ間違いありませんか。
  62. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 聞違いございません。
  63. 中井洽

    中井分科員 私もいろいろな形で話を聞きまして、郵政からも話を聞きました。どちらがどちらか、やぶの中みたいなことでなかなか判断のしにくい問題です。結論について両方に言い分があるなという感じがするわけでありますが、訴えられておる池田さんがこの後どういう残された手続あるいは訴える方法等があるのか、それをまずお尋ねいたします。
  64. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 郵政省の仕組みの中では、保険年金審査会の苦情としてなじみ得るかどうか、多少問題はございますが、一つ制度としてございます。それから一般的な行政機関に対する不服の申し立てということも考えられようかと思います。それから当然司法的な裁判請求という形での救済があろうかと存じます。
  65. 中井洽

    中井分科員 この事件をずっと私も見させていただいて、お話を聞きますと、結論は結論といたしましても、池田さんが郵便局を利用したり郵便局からいろいろなことをされてやっている過程の中で、こんなことがあり得るのかというような問題が幾つかあるわけであります。一つ一つ私申し上げますので、こういうことはいいのか悪いのか、郵政省の職員としてこういうことをやっていいのかどうか、このことを御返事賜りたいと思います。  まず最初に、問題の外務員は、池田さんのところで、名義を変えなければ不利になるじゃないか、こういうことで名義変更の手続を買って出て、そのことによって新しく保険契約を一つ取って、名義変更の手続等の印鑑は自分が一切ポケットマネーで買ってやっているわけであります。間違いの発生の根本はここにあるわけであります。こういう形で代理手続というものを勝手に印鑑を買ってやれるものか、やっていいかどうか、その点はどうですか。
  66. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私は、結論といたしまして、誤れるサービス精神であって、内部的な手続、ルールに違反をしていると思います。
  67. 中井洽

    中井分科員 それから次に、ここからが郵政側と池田さんとで分かれるわけであります。池田さんの方はそんなものは借りた覚えはないと言っているわけでありますが、郵政の方は貸した、こうなっておるわけでありますが、貸すときに外務員が一切書類を書き込んでおる、こういうことが行われていいのかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、その職員が郵便局の窓口でその書類を出して五十万円のお金を受け取っておる。窓口はその職員の字だ、代理で書き込んでおるのを知っておるわけであります。しかも印鑑が一つ足りないということもわかっておって、お金を渡して印鑑を後からもらってきてください、こういうことを言っておるわけであります。こういうことをやっていいのですかどうですか。
  68. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私どもはそういったことは許容していないところでございます。したがって、やるべきでないというふうに思っております。
  69. 中井洽

    中井分科員 それから、保険外務員の方が預かったその五十万円、預かったかどうかもわからないのですよ、それを池田さんに渡した、こういうふうになっている。池田さんはそんなものは全然もらってないのだ、借りてもいないのだ、こういうことであります。ところが、郵政省側は五十万円を預かって渡したと言うけれども、受け取りも何もとっていないのですね。こういうことというのはあり得るのですか。私ちょっとわからないのですけれども、郵政省側では、代理受領だとか授与だとか、そういうことをやって、いい悪いは別にして、渡したとして受け取りももらわないというような訓練をしておるのかどうか、その点はどうですか。
  70. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 貸付金をお渡しする際は受取書を徴するということは仕組みとしては考えてないわけでございます。と申しますのは、貸し付けを受ける際には加入者である方が郵便局の窓口に参りまして、窓口で所定の手続をとって、そこで交付をする。ですから、そのルールどおりまいりますと受取書というものはないわけでございますので、本件の場合は個人的な判断で便宜の扱いをしたということから、ルール外で取った方がいいかどうか、そういった問題がございますけれども、私どもの手続としてはそういったことが求められていないわけでございます。
  71. 中井洽

    中井分科員 先ほど申し上げた窓口で外務員が代理に書いた書類、しかも印鑑のない書類で、お金を出すときに窓口の人が、しょっちゅう使っている相手なんですから電話一本入れればいいのでしょう。違いますか。そういうチェックがすべて抜けておる。しかも、代理で受け取ってはいけないお金を外務員が預かって持っていったのですから、帰ってきたときに受け取り持ってきたのですかとか、あるいは受け取っていただけましたかと局が電話を入れればいいわけです。民間金融機関はすべてそういうことを、本当は民間金融機関も代理のものはやめろと言っているのだろうけれども、まあまあお客さんへのサービスでやっておる。郵政だってこれはやってはいかぬ、こう言うけれども、現実にあちこちの局ではサービスでおやりになっておる。それは信頼関係があるからだろう。しかし、やっておるからというて、野放しにしておるからこういう間違いがどんどん出てくる。チェックというものを厳しくやってこそ信頼あるいは金銭を扱う資格というものが出てくるわけであります。それを野方図にしてきたところにこの問題があると私は思うのであります。  大臣、こういうずいぶんずさんなお金の扱いをされておる。結論はいいけれども、そういうずいぶんずさんな扱いをされておる。そして訴える。訴えたことに対して、これは判を押してあるからあなたは借りているに決まっていますとばんと突っ放してしまう。民間金融機関であるなら、当然これは金融機関側の誤りとしてお金を返すなり何かして謝ってしまう。そこが郵政の悪いところでもあり、逆に言えばかたいところでもあろう、こんなふうに私は思うのであります。日常こういう安易なやり方で保険金あるいは預金等が扱われておる、このことについて大臣はどうお考えになりますか。
  72. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 浜寺郵便局の外務員が御指摘がありましたような行為をとりまして、そのためにトラブルが起こっておることは私も大変残念に思います。簡保事業というのは、言うまでもないことでございますが、郵政当局と加入者との間の信頼関係で成り立っておるものでございますから、今度の事件はその信頼関係を著しく損ねた、ひいては簡保事業全体の権威を傷つけたということを私ははなはだ残念に思うわけでございます。私も事務当局に対しまして守るべきルールはきちんと守らせろということを厳しく伝えておるところでございます。大臣としても遺憾の意を表したいと存じます。
  73. 中井洽

    中井分科員 守るべきルールを守れ、こういう形で何回通達を出されても、実際は全国で数万ある郵便局の窓口あるいは外務員の人たちは、保険契約あるいは預金を集めるためには無視してやっておられるわけであります。そうじゃないと集まらないのです。したがって、そういうことをやめさせるのなら預金の目標も保険の目標も本当にうんと下げなければならない、私はこのように思います。したがって、そういう形でやっておるならやっておるで、現実は現実として認めて、民間金融機関のようにその中でも厳しいチェック機構、局員同士がなれ合わずにお互いに厳しくチェックすることが私は必要だと思うのです。大臣のおっしゃるように、残念だ、不信感が出た、そのとおりであります。この問題が起こってこの訴えた人の近所の人が、私もおかしいのじゃないかと思って浜寺の局へ行ったらやはり使い込みがあった、こういう問題があったのでしょう。この局全体がたるんでいるのか郵政全体かどうかは知りませんけれども、もう少し厳しい形でお金を扱っていただきたい。私もたくさんの郵政職員が各地でまじめにやっておられるのは知っております。しかし、残念なことに不祥事もたくさん出てきている。新聞等マスコミにもたびたび出てくる。このことは非常に大ぜいの中の少ない人数とはいえ残念なことであります。  それは一つには、毎日毎日お金を扱っておる職場が余りにもルーズな形でお金を扱わせておる、ここに大きな問題があろうかと思います。そういう意味で、通達を出して法律を守れと言うだけじゃなしに、現実に即応したチェック機構、チェック機能、こういったものをお考えいただくつもりはありませんか。
  74. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 浜寺事件から私どもが厳しい教訓というかっこうで受けとめるものは先生のただいまの御指摘のとおりでございますが、要するに日常の郵便局と加入者の間の親近性というものの中からありがちな、安易な便宜扱いというものが一つと、それからその便宜扱いに対する牽制機能が十分作用しなかったということに尽きると思います。そういうことで、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、大臣の意を受け、私ども、保険事業人の厳しい自己批判というものに基づきまして、改正するものは改正をし、そして注意喚起するものは注意喚起するということで、この事件を将来の信用保持のための教訓とさしていただいた次第でございます。
  75. 中井洽

    中井分科員 もう一つの問題に移ります。  そこに局長さんがお二人おられるから、お二人にお尋ねします。大変失礼だけれども、お二人は自民党員ですか。
  76. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいまのお尋ねは、本来個人の思想、信条の問題で、お答えすべきかどうかとも思いますが、せっかくのお尋ねでございますのでお答えいたします。私は政党に加入をいたしておりません。
  77. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 人事局長の最初の言い分を省略いたしまして、私も自民党員ではありません。
  78. 中井洽

    中井分科員 突然の質問でごめんなさい。人事局長の言われたとおり、個人の問題であります。したがって、強制するものでもなければ私どもが聞くことでもないと思います。しかし、郵政の局長さん方はそういう形で自民党員じゃない、こうおっしゃるけれども、現場の最前線におられる特定局長あるいは特定局長代理さんは、本年の参議院の選挙に向かって自民党員になることを強制をされていると私どもは聞いております。現実に知っておるわけでございます。この姿をどうお考えになりますか。大臣、どうですか。
  79. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 いろいろ新聞で報ぜられましたし、また、国会でも問題とされましたから、担当局長、官房長にそのような事実があるのかということをただしたのでございますが、省内の調査の範囲では特定郵便局長に勧誘を強制するとか、あるいは勧誘をしておるというような事実はありませんという報告を受けております。
  80. 中井洽

    中井分科員 そういうお話を聞きますと、先ほどの郵政独自の監察局の調査、それから今回の調査も郵政省は全く調査能力なし、実はこう言わざるを得なくなるわけでございます。  去年の法改正の後、私自身も公職選挙法の委員会の理事をしておりまして、ずいぶんあの法案については関心を持ち、あるいはまた、その後どういう形で各党が選挙運動をやっていくか、関心を持って見ているわけであります。私どもも大変苦しい中でいろいろな運動、準備をしているわけであります。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕 しかし、郵政省のおやりになっておられる運動は、私は、公務員としての立場もあるいは政党、こういったものに対する感覚もすべて無視したものであると言わざるを得ないと思うのでございます。大臣はそういう事実はないとおっしゃいますが、去年から特定局長会議あるいは局長代理会議において、特定局長については一人につき三人の自民党員をつくること、局長代理については二人の党員をつくること、こういう強制がなされ、現場の特定局長さん、局長代理さんは大変苦しんでみえるわけであります。いままでのように、郵政省から出ている人を後援会という形で応援をするなら、日本人ですから、お互いまあまあしようがないわなということで、地域でもお認めをいただいてやれる。しかし、自民党へ入れ、自民党へ投票せい、こういうことを言われたのでは、地域の信頼の厚い特定局長さんあるいは局長代理さん等は、本当に郵政事業そのものに差しさわりがある、こう言って泣いているのであります。どうして郵政省だけがこういう厳しい、あるいはまた、憲法も何もかも無視したような党員集めに走らなければならぬのですか。私は、このことを大変残念に、不愉快に思っているわけであります。ないということであるが、私どもはある。しかもれっきとした特定局長会議で割り当てまで決まっておる。これは公務員の会議じゃないですか。出張で全部その会議に行っているじゃありませんか。局長代理だってみんなそうじゃありませんか。お調べください。全国全部そうだ。郵政関係だけで七万人の党員がいる、こう言われておりますけれども、これは全部この人たちでつくった党員でありましょう。自民党の好きな局長さんは率先して自分は入って、あと二人勧誘していますよ。いやな人は、もうおれいやだから嫁はん、おまえだけ入れ、こう言って泣く泣くやっていらっしゃるじゃないですか。そんなことで預金やあるいは保険、郵便の中立、厳正、公平、こういったものが保てるでしょうか。あるいはこれから郵政省の職員の方が職場で集会を開いて、私どもがそこへ行って民社党員になれ、こう言っても構わぬのですか。社会党の方が社会党に入れ、こういうように言いに行っていいのですか。割り当て何人、こう言うのですか。そんなばかなことはないじゃないですか。そんなことで本当に郵政事業をやれるのですか。大臣どうです。
  81. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私が申し上げるまでもないことでございますが、特定郵便局長初め郵政省の職員はすべてこれ一般職公務員でございますから、国家公務員法及び人事院規則の定めるところによりまして政治行為の制約があるわけでありますから、これを厳正に保つことでなければ公務員としての中立性は保てない。私は郵政の職員はこのことは十分承知をいたし、また、それを遵守してもらっておることと信じておるわけでございます。
  82. 中井洽

    中井分科員 お信じになるのは、それはそれで結構だと私は思う。しかし事実は事実でございます。したがいまして、まあまあ余りしつこく言うのも私もいやであります。そういう事実がないということであるならば、事実がないという形での文書通達、もし大臣が知らずに、これはすでにもう去年のことでありますから、大臣大臣におなりになる前でありますが、やっておられるということであるならば、撤回をしていただきたい、こんなふうに思います。どうです。
  83. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま大臣もお答えいたしましたとおり、公職の選挙等に関して公務員法あるいは人事院規則等に触れるというような行為について、郵政省として何かの指導とか措置とか、そういうことをいたしたことはございません。  また、職員一般につきまして、大臣が申しましたとおり、常に公務員法等の諸法令に違背することのないように指導してきておりますし、そういうことはないものと信じますが、今後とも適時適切な指導をいたしてまいりたいと考えております。
  84. 中井洽

    中井分科員 先ほども言いましたように、とにかく初めての選挙のやり方でありますから、各党いろいろな苦労をいたしておるわけでございます。郵政省だけではなしに、自民党さんサイドにおかれては、各省庁許認可団体にいろいろな形で要請をされて、党員ふやせの活動をされておると私ども承知をいたしております。それについて余りとやかく、まあ塚本書記長は予算委員会で言いましたけれども、言うつもりはございません。しかし、郵政の場合には現実に最先端におられる、しかも国民の本当に郵政に対する信頼というのはこの特定局長さんなんかなんですね。日常のおつき合い、あるいは場合によっては親代々の特定局長さん、この人たちがあの莫大な預金、保険、こういったものを集めて貢献をしていただいているわけであります。その人たちが本当にやりにくくなるような、信頼を失わせるような強制というものをすべきじゃないと私は思います。  そういった意味であえてきょう、私は逓信委員でありますから委員会でやればいいわけでありますが、予算分科会の時間をかりて申し上げている次第でございます。ひとつ大臣も自民党員としてのお立場があって、なかなか訂正するとかそんなことは言えないと思いますが、十分そういう認識を持たれてこの問題をお考えいただきたい、このように要請をいたしまして質問を終わります。
  85. 越智伊平

    越智主査 これにて中井洽君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  86. 沢田広

    ○沢田分科員 順不同になりますが、その点お許しをいただきたいと思います。  電電からおいでをいただいております。御苦労さまです。  この前、電電の研究所を視察さしていただきました。電電の方では、いまいろいろ大変高度な研究をされておりまして、敬意を表するわけであります。一つには自動車電話、大変便利になってきたと思うのでありますが、言うならば障害音その他がまだまだ非常に多くて、どこに原因があるか、私、素人にとってみればわからないのでありますが、便利でありますが相手はきわめていい感じは持たない。こっちも忙しいから自動車の中でかける場合もあり得るのであります。ところが、聞いている方では途中で切れてみたり雑音が入ってみたり、日本の最高の技術をもってしてもまだそういう障害は残るのかという感じを持つのであります。その割りにしては料金が高いということで、これは原価の上でそうなるのか、そして技術上障害の排除はできないのか、まず第一点、お答えいただきたいと思います。
  87. 信澤健夫

    信澤説明員 自動車電話につきましては、五十四年の十二月にまず東京二十三区でサービスを開始いたしまして、それ以降、大阪、名古屋、福岡、札幌とサービスを開始いたしまして、現在約二万の方々加入、御利用いただいております。今後、五十八年の三月には広島、仙台でのサービス開始を初め、逐次主要都市へサービスを拡大することにいたしております。五十九年度末までには大体全国県庁所在地級の都市でサービスを利用していただけるようにしていこうと考えているところでございます。  ところで、先生御指摘の料金でございますけれども、この自動車電話料金につきましては、自動車電話利用するために必要なコスト分について受益者の方々に御負担いただくということで、自動車に積みます発信機、送受信機でございますが、それにつきましては大体基本料ということで利用していただく方からいただく。それから、通話料につきましては、この自動車電話利用するためにそれぞれ各地にアンテナを立てなければいけない、基地局を必要といたします。これらの基地局に要する経費分を通話料といたしまして通常の電話通話料にプラスをして、この基地局とアンテナ等のためによけいにかかる費用をそれに加算をして通話料を算定するということにしてございます。大体百六十キロまでは六・五秒、三百二十キロまで四秒、三百二十キロ以遠は三秒ということで通話料金を算定してございます。この料金算定の根拠になっておりますのは、先ほど申しましたような計画でサービスを開始していくために要する総費用を回収していこうということで考えておりまして、計画どおりに進めばおおむね六十一年ごろには全体の費用回収ができるのではないかというふうに考えております。現在のところは投資に要する費用が大変かかっておりますので、まだ公社の自動車電話の事業としては収支ペイしてないような状態でございます。
  88. 沢田広

    ○沢田分科員 障害の方の排除については見通しはいかがでしょうか。
  89. 池沢英夫

    ○池沢説明員 お答え申し上げます。  自動車電話を御利用いただいている中で、たとえばトンネルとかちょっと山の陰とか、いろいろ通話が聞き取りにくいような状況もございますが、そういう点につきましてはいろいろ電波の調査、あるいはトンネルですとそういったところの中で電波が通りやすいような工夫をいたしながら、いろいろと改善を進めてまいりたいというふうに思っております。
  90. 沢田広

    ○沢田分科員 そういうところだけじゃなくて、一般の通路であっても切れたり、これはハムがあるのかあるいは高圧線が影響するのかわれわれ素人にはわかりませんけれども、一般のところでいろいろな障害が生ずるということについてはどういうふうに考えておられますか。
  91. 池沢英夫

    ○池沢説明員 自動車電話の場合、小ゾーンの方式をとっておりまして、一つのエリアから次のエリアへ移るときに、自動車電話通話の受け持ちを隣の局に切りかえるわけでございまして、あるいはそういうところのお話かとも思うのですが、なおさらに調査いたしまして改善をしてまいりたいというふうに思います。
  92. 沢田広

    ○沢田分科員 もう一つ電話で申しわけないのですが、留守番電話というのが普及をされてきました。これは電電で扱っておられるのじゃなく、民間ですか、電電ですか、どちらですか。監督は電電かもしれませんが。
  93. 信澤健夫

    信澤説明員 電電公社でも扱ってございます。電電公社で扱っております「でんわばん」は、電話局に「でんわばん」のための装置を置いてサービスを提供してございます。そのほかに、民間の業者の方が提供されておる留守番電話装置というものもございます。
  94. 沢田広

    ○沢田分科員 これは電電公社としては使用料というものを正規に徴収をしていると理解してよろしいですか。
  95. 信澤健夫

    信澤説明員 毎月の使用料、月額五百円ということでいただいております。
  96. 沢田広

    ○沢田分科員 それは業者からという意味ですか、個人からという意味ですか。
  97. 信澤健夫

    信澤説明員 電電公社と「でんわばん」の利用契約を締結していただきました加入者の方々から、五百円を電話の使用料などと一緒に請求していただいております。
  98. 沢田広

    ○沢田分科員 その留守番電話で私がいろいろ意見を聞いている範囲では、どうも空疎だし、相手がいないということになると急にどうも気が抜けてしまうし、何かそらぞらしいという印象が強いわけです。何かもう一工夫する方法はないのかどうか。こちらだけ一方的に、プーと鳴ったらひとつ言ってください、こういう式なんですね。きわめて一方通行的な話になるので、これをもっと普及するならばもう一工夫する必要性があるのじゃないのかと思うのでありますが、相手がだれがかけてくるんだかわかりませんから、下手な返事をしたらこれはちぐはぐになるのですから、そんなことはわかっていることですけれども、なおこの間に工夫がありはしないかという気がするのですが、いかがですか。
  99. 信澤健夫

    信澤説明員 いま先生が御指摘になりましたのは、恐らく民間の方の提供されている留守番電話装置だろうと思います。公社で提供しております「でんわばん」は、加入者の方から一方的に通知をするだけでございまして、ただいまは留守です、後でおかけくださいとか、いま別のところに行っておりますので何番におかけ直しくださいという、そういう一方的なメッセージを伝えるというサービスを公社ではしております。民間の留守番電話装置を提供していらっしゃる方々の装置にはいろいろございまして、一方的に通知をするもの、それからいま先生がおっしゃいましたように、メッセージがあればおっしゃってくださいということで相手のメッセージを録音するという高度なものもございます。公社ではまだそういうものは提供してございません。  それから、確かに先生おっしゃるように、メッセージの内容がちょっと単調ではないか、もっといろいろなメッセージを相手に伝えられるようにすべきではないかというような御意見もございまして、これについては現在鋭意技術開発に取り組んでおるところでございますけれども、現在の「でんわばん」のサービス以上のものをちょっと公社としてはしばらくの間は提供できない、いまのものでしばらく御利用いただきたいと思っております。
  100. 沢田広

    ○沢田分科員 転送電話は、現在どの程度普及されているのか。それから、今後転送電話というものがより一層普及していくようにやっていくのか、この点をお答えいただきながら、さっきの自動車の電話、それから留守番電話、これは民間会社がやっているのでしょうが、電電自身でやられる方がいいのじゃないかという気がするのです。臨調とは反対になるかもしれませんが、その方が料金が安くなるような気もしないでもない。そういうことで、普及度によってそれらは下がっていくという要素を持っているのかどうか、その点あわせてお答えいただきたいと思います。
  101. 信澤健夫

    信澤説明員 自動着信転送サービスにつきましては、五十七年二月にまず横浜市内で試験的に実施をいたしました。現在約百加入の方に御利用いただいております。その結果、これは大体御利用いただけるという見通しを得られましたので、この三月から東京、横浜、名古屋、大阪の全地域にサービス地域を拡大いたしまして、この地域方々はどなたでも御利用いただけるということにする予定でございます。そして、本年中には県庁所在地級の都市であるならば御利用いただけるようにいたしまして、大体五十九年度までには全国的にどちらでも御利用いただけるようにしていくことに考えております。  いずれにしろ、このような転送電話あるいは「でんわばん」、自動車電話など、皆さんの生活行動が、移動する時間が大変ふえてきているという実態に合わせまして、このような移動中あるいは移動したところでも電話が自由に受けられるというようなサービスは、公社としてもこれからも一生懸命に新しいサービスも考えていかなければいけない分野だと考えておりますので、これらの分野につきましても、新規サービスあるいは既設のサービスの改良などについては今後とも努力をしてまいりたいと存じております。
  102. 沢田広

    ○沢田分科員 最後に、もう一歩進めてラジオと同じように携帯電話、持って歩けるようにする。どうせ自動車にくっつけるのも携帯するのもそう変わりはないのですね。桃太郎じゃないが背中からアンテナを立てながら歩けば、これは理屈では解決するわけでありますが、まさかそれはないにしても、そういう発想もなくはないだろうと思うのです。どうせそこまでいくならば携帯まで前進さしてもらうことが、日本の電話、いわゆる電電をより一層高度なものへ近づけることになるのではないか、こう思うのですが、一言だけお答えいただいて、電電の皆様にはお帰りいただいて結構です。
  103. 信澤健夫

    信澤説明員 おっしゃるとおり、将来の問題としてはそのような方向で検討すべきものでございますし、現在開発検討中でございます。
  104. 沢田広

    ○沢田分科員 では、電電の皆様御苦労さまでした。総裁にはもう少し聞きたいこともあったのですが、またいずれ。  郵政大臣にお伺いいたしますが、私も前に大蔵におりましたから、いわゆる郵政の郵便貯金と大蔵との関係というのは、陰惨なとまでは言いませんけれども、きわめて激しい内部抗争みたいな印象を国民に与えていることは間違いないのであります。臨調の方も郵便貯金について、民間だあるいは公だというようなことの中からいろいろと意見を出しております。しかしながら、郵便貯金が今日まで果たしてきた日本の歴史の中での役割りというものはきわめて高かったことだけは否定できないのであります。ようやくこれだけになってきたら、ちょっと目の上のたんこぶだからこれはどうだというのもどうもわれわれ理解しがたい面なしとしないのでありますが、郵政大臣、この臨調答申が出ると、あなたは閣内の一人としてこれを拳々服膺しなければならぬ立場にあるわけでありますが、この点は断固として譲れぬというものを持っておられるのか、やっぱり長い物には巻かれろ、臨調大明神の言うことにゃ従わなければならぬかという立場でおられるのか、その辺、まず大臣の所信のほどをひとつお聞かせいただきたい。
  105. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 臨調におきましては、御案内のように第四部会から報告が出されておるわけでありまして、現在臨調で審議中で、近く最終答申が出るように承っておるわけでございます。でございますので、部会報告の段階でそれに対してとかくのことを申し述べますことは、閣僚としては慎みたいというふうに思っておるのでございます。いずれ臨調の答申も出ることと思われますが、私ども閣僚、政府の一員としては、臨調の答申を最大限尊重するという閣議の了解があるわけでございますから、私も臨調の答申を最大限に尊重しなければならない。同時にまた、郵政の主要事業、特に郵便貯金の運営につきましては、郵政大臣の諮問機関として郵政審議会があるわけでございますから、郵政審議会の御意見も伺わなければならない、また、その御意見も最大限に尊重しなければならないというふうに思うわけでございまして、それらのそれぞれの答申を承りながら、郵政大臣として、郵便貯金としてかくあるべしという道を求めまして、郵政省としての対応を決めたいというふうに思っておるわけでございます。
  106. 沢田広

    ○沢田分科員 若干所信はあいまいな点なしとしないのでありますが、郵政大臣になったら郵政省で骨を埋めるという気持ちでひとつ郵政大臣もがんばってもらいたい。要すれば、国民の零細なお金が、郵政省というものを信頼して、郵便貯金というものを信頼して七十兆円という金が集まっておるわけですから、その集まってきた金に対する信義というものを大臣は守る。私は、立場をかえて言えば、そういう形で国民の信頼にこたえることが政治であるとするならば、七十兆円の国民の零細な金の運用をすることが大臣に課せられた使命だ。総理が何と言おうと国民に背は向けられません、そういう答えが実は聞きたかった。その方がかっこよかったのじゃないかという気がしないでもないのでありますが、ぜひそういうお気持ちで臨んでいただきたいというふうに思います。  それで、自主運用ということをよく言われますが、では自主運用の内容はどんなものを考えておられるのか、その点をお伺いいたしたい。
  107. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省によります郵便貯金資金の直接運用でございますが、これは私どもいまいろいろ検討いたしております。大臣の御答弁にもございましたように、郵政審議会からも答申をいただいているところでございます。当面、その検討の対象として考えております中で、一つは運用対象でございますけれども、その考え方といたしまして、一つには、郵便貯金資金というものが利用者の皆様からお預かりをした有償の資金であるということからいたしまして、そのときどきの市場実勢を反映すべき資金、いわゆる市場性を持った資金であるということから、市場運用という形で、国債等の債券運用ということを考えております。それから二つ目には、全国津々浦々の利用者方々からお預かりをいたしておるという資金の性格からいたしまして、地方公共団体等への貸し付けというふうな形での地方への還元を考えておるところでございます。  なお、運用の規模でございますけれども、御承知のように、郵便貯金資金は長年にわたりまして資金運用部資金といたしまして運用されてきた歴史的経緯もございますので、これまでの財政投融資といったことについての配意もしながら、漸進的に進めていきたいと考えているところでございます。(小林(進)分科員「急激にやれ」と呼ぶ)
  108. 沢田広

    ○沢田分科員 ただ、先輩からもそういうお言葉がありましたが、全体的な政策の整合性ということも一面で見ていかなければならぬことだと思うのですね。ですから、その辺については十分配慮していただかなければならぬ。これは、たとえばモーターボートのところからどんどん補助金が行ったりなんかして全体的な政策のバランスを崩すという面もなしとしないわけでありますから、そういうことの中での運用については十分配慮していただきたい、こういうふうに考えます。  次の問題に入りますが、週休二日制をいよいよ実施することになりました。それから、労働時間の短縮も、これまた世界的な日本への要請であります。郵政省だけでできるということにはならぬかもわかりませんが、しかも二千時間を超えているということも貿易摩擦の一因であることには間違いないのであります。ですから、いま大蔵で聞いたら、週休二日制を八月の第二土曜日から実施をするということに決まったようでありますが、郵政省も同じように八月の第二土曜日から週休二日制として休む、その場合には思い切って全部休んだらどうだという気がするのです。これは経理上からいってもその方が得じゃないかという気がするのです。電気であるとか暖冷房とか、いろいろな面から見ましても、思い切って二日制の一日をそこに充てるということも一つの大きな考え方ではないかと思いますが、労働時間の短縮、それから週休二日制、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  109. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、週休二日制につきましては社会的な趨勢であると認識をいたしておりまして、郵政省としてもこれまで逐次その方向に向けて努力をしてまいったわけでございますが、郵政事業における週休二日制につきましては、財政基盤の確立あるいは週休二日制の実施に伴う要員問題あるいはサービスとの関連等、企業経営体としての立場から解決する問題が数多いわけでございます。  そういう状況の中で、現在までに郵政省全職員の約六割につきまして何らかの週休の増加を図っている状況でございますが、今後とも関連する諸問題の解決を図りながら、鋭意努力してまいりたいと思っているわけでございます。  また、御指摘の窓口サービスのあり方でございますが、先生おっしゃいましたとおり、金融機関の月一回土曜日の窓口閉鎖という社会的な状況の推移を認識いたしまして、八月から郵便貯金、それから簡易保険のサービスについて、月一回土曜日の窓口取り扱いを閉鎖するという考え方は決定いたしておるところでございますが、郵便局の窓口全体をどうするかということにつきましては、郵便局の仕事は国の仕事であるということから、何と申しましても民間、また他の行政機関の窓口サービスの今後の動向というものにも配慮しなければならないと思います。また、週休二日制の推進に伴います郵便等の窓口サービスの利用状況の今後の変化、そういったことにも留意しなければならないと思っております。これらの諸点に配慮しながら対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  110. 沢田広

    ○沢田分科員 CDが全国的に普及するまでは自動支払いも一応ここで停止していくという申し合わせができておるようですね。これをいつまでも放置すると、消費者といいますか、利用者の方からやはり苦情が出てくるだろうと思う。目の前にぶら下がっているニンジンを馬に食わせないでいるということはなかなか大変なことなんです。ですから、片一方がいつできるかということになると、いまの情勢では当分の間できない、こう言うのですね。そうすると、自動支払いの機械を持っているところではやむを得ずあけざるを得なくなってくるという状況も生まれる。そのときになると、この協定がまた破れるというおそれもなくはない。ですから、郵政の方においてもそれらの条件を配慮しつつ、全国的にこのCDの問題も一応にらみながら、一定限度これを確保していってもらう、あるいは他の条件にも誘導していってもらう、こういうことが必要じゃないか。  また、きょうの新聞を見れば、今度は企業の中にもCDを取りつけることを一部認めようかと大蔵は言い出してきているわけでございまして、そういうことになりますとますます固定的な金融機関というものも生まれてくるわけですから、あるいは郵便局のCDも今度は企業の中につくらなければならないということになって、自動販売機じゃないが、これはどこの銀行のCDだ、どこの銀行の支払い機だというように、たくさん据えつけられるような事態も生じかねないわけでありますね。それらについてはどうお考えになっておられるか。それから、その現状についてどう把握をされておるか。その点もしわかっていたらお答えいただきたい。
  111. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 わが国におきます週休二日制推進ということのために、金融機関がこの八月から月一回に限りまして第二土曜日を閉店するということになっております。郵便局につきましても、同じようにこの八月から月一回第二土曜日を原則として閉庁するということを考えております。  ただ、これは私ども民間の動向等を見ながら独自の判断をいたしているわけでございますけれども、その中で、いま御指摘のATM、CD、いわゆる現金自動支払い機等の稼働は、私どもも当面考えておりますところでは稼働させないということでございますけれども、これは民間金融機関が土曜開店をするということは、先ほど申しました週休二日制という社会的な趨勢、これを行うために当面避けられないことであるという考え方から、私どももそのような現在の判断をしているわけでございます。  私ども日常的なATM、CDの稼働という点につきましては、利用者サービスの観点からただいまも鋭意努力をいたしておるところでございまして、こういった問題に向けましても、これから先さらにオンライン化との絡みにおきましてATM、CDの配置については十分な配慮をしていく所存でございます。
  112. 沢田広

    ○沢田分科員 あとテレビの深夜放送について申し上げようと思ったのですが、もう時間の関係で省略しますが、深夜放送については、視聴率、利用者、それから一般の子供たちやその他の面から見て、NHK並みにしろとまでは言いませんけれども、若干度が過ぎる時間帯までいっているのではないかというような気もいたしますから、一般的な意見を十分聴取しつつ配慮してほしいと思います。ただ広告欲しさにやっているのじゃちょっと問題があるのじゃないかという気もしないでもありませんので、その点は御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  もし一言お答えいただければ一言お答えいただいて……。
  113. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 深夜放送の問題は、省エネの見地から、また放送が青少年に与えます影響というものも十分承知しているわけでございます。ただ、公式的に申しますと、一応放送番組というものは時間も含んだものを放送番組と言うわけですけれども、放送法第三条によりまして編集の自由というものは事業者の自主性に任されているということでございますが、先生御指摘の省エネの見地からの深夜放送あるいは青少年に与える影響というようなことは、昨年の放送局の一斉再免許でも郵政大臣から要望したということでございます。
  114. 沢田広

    ○沢田分科員 一言念のために言えば、関東地方で言えば、私の方では1、3、4、6、8、10、12、地方へ行くとこんなにはないのです。どれだけ本を読む人がいなくなってきたかということを相対的に考えなければならぬと思う。視覚教育は発達したかもしらぬが、字を見ることの努力を怠ってくるという傾向もなしとしないのです。この点の弊害の方が私はより大きいのじゃないかというふうな気もするくらいです。ですから、全体的な立場に立って御判断をいただくよう願って、質問を終わりたいと思います。
  115. 越智伊平

    越智主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、小林進君。
  116. 小林進

    小林(進)分科員 法制局長官と人事院総裁お見えになっていますか。——私は第二何とかというのは要求してないので、法制局長官を要望しているのでありますから、その点は間違いのないように。ここは立法府ですから、部長やら局長やら課長やらなんという細かい者とは何もここで論じる必要はないのであって、この点間違いのないようにしてください。立法府の権威のためにもきちっと処置してもらいたい。きょう私は、公務員、昔で言えば官吏だ、この服務が大変乱れておりますから、この問題を関係の責任者にお尋ねしたいということであえて出席を要望したわけであります。  公務員の官紀の紊乱、特に見るにたえないのは郵政省だ。一番悪いから——君ら頭を下げることないよ。黙って聞いていればいいのだ。特に郵政省が悪いから、一つの公務員のモデル役所として郵政省の問題を私はこれからあなたに質問を繰り返すのでありまするけれども、これは郵政省だけに限ったことではありません。各省にまたがっている。  そこで、限られた時間が三十分だから、私は郵政大臣からお聞きしますけれども、全国特定郵便局長会というのがありますな。これは任意団体ですけれども、ありますでしょう。——これは大臣に聞いているのだ。そんなものがあるかないかみたいなことは大臣だって答えられるでしょう。
  117. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 全国特定郵便局長会というのは任意団体として存在しております。
  118. 小林進

    小林(進)分科員 それはあることは明らかだ。その特定郵便局長会は、特定局業務推進連絡会と称するものをつくって、そして中央、あるいは関東だとか信越だとかそういう地方ブロック、それから県、県の下にはまた数特定局が集まって細かいブロック会議なるものをやっている。これは御存じでしょうな。
  119. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 特定郵便局長会は、小林委員ももう十分御承知のことと思いますが、特定郵便局職員の処遇の改善、社会的地位の向上、郵政事業の推進を目的とした任意団体として活動をいたしておるわけでございますし、推進会議、これは別段団体ではございませんで、郵政事業の推進のための会議であるというふうに理解をいたしております。
  120. 小林進

    小林(進)分科員 大臣、もしあなたが答えられなかったら、だれかあなたの部下に答えさせると言いなさい。そのときには私は許す。大臣と言っているものを、わきの方で勝手に手を挙げてのこのこ出てくることは、委員会の秩序の違反だ。あなたが答えられなかったらだれかに答えさせると言いなさい。それから改めて主査の許可を得てこっぱ者が出てくればよろしい。  そこで私は言うのだが、主管官庁だから、いわゆる任意団体であろうとも、中央の特定郵便局長会議が月に何回、累計一年間に何回、それから信越、関東その他のブロック会議が年間に何回、それから県が何回、ブロック会議が何回開かれたか、そういう数字はあるはずだ。その資料をひとつ提出してもらいたい。
  121. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 事務当局に答弁をいたさせます。
  122. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 ただいま資料を持ち合わせておりません。
  123. 小林進

    小林(進)分科員 持ち合わせてないからどうするというのだ。出すというのか出さないというのか。
  124. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 わかる範囲でお出しをいたします。
  125. 小林進

    小林(進)分科員 わかる範囲とは何だ。君たちは主管官庁として、自分たちの監督下にあるその局長連絡会議が開かれているのを任意のままで放任しているのですか。監督官庁として放任しているなら、それはあるだけのものはあるということになるだろうけれども、そういう秩序のないようなやり方がもし郵政内部で行われているなら、私は別の角度から弾劾しなくちゃいかぬ。
  126. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 特推連の会議等の開催状況につきましては、調査をすれば集計はできると思います。
  127. 小林進

    小林(進)分科員 その開催の目的、その内容はどんなことがその会議の中で話し合われたかもちゃんと報告もしてあるわけだ。その内容についてもひとつ御報告を得たい。
  128. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 それぞれの郵政局管内におきましていろいろな形での掌握はしていると思いますので、その辺のところを調査いたしたいと思います。
  129. 小林進

    小林(進)分科員 時間がないから、それが何回開かれたか、その会議の内容が何だったかということを細かく要求しておきますが、もしおっちゃらかすような資料ならば、その段階において私は責任を追及いたします。  次に申し上げますが、その特定局長会の顧問である元郵政官僚の名簿登載順位。参議院議員の中のいわゆる全国比例代表制で名前を上位に登録してもらおうということのために、いまの特定局長会の組織を使って、一特定局長当たり党員獲得三名の割り当てをして、強制的な党員集めが去年の七月ごろからずっと展開されているが、大臣、その点御存じですか。
  130. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 新聞の報道がございましたし、また国会でも二度にわたりまして御質問がございましたので私も事務当局に調査をさせたのでございますが、そういう事実はないという報告を受けております。
  131. 小林進

    小林(進)分科員 あなたはここで速記をつけて、ないとおっしゃいますか。いまあなたの下で特定局長会がそういう資料や指令を出していることをないと言った監督局は何局ですか。何局がこれを主管しているのです。
  132. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私は人事局並びに官房長から報告を聞きました。
  133. 小林進

    小林(進)分科員 それはわかりました。  官房長というのはけしからぬやつだ。それを知らぬなんということは言えるわけがない。ここにも資料があるのです。部外者の私もその資料を持っている。全国の全部の特定郵便局長に党員集めの文書が来ております。しかもそれに従わざるを得ない。これは私は数十人の局長からそういう証言を得ております。しかも、党費だけでも負担が大変でございますので全く私どもはやりきれません、こう言っている。いいですか。主として特定局長中心にして党員獲得を割り当てた数量は八万人だろう。官房長、君だろう。あと人事局長はだれだい。君か。党員を八万名獲得する目標を立てて、これだけでも党費が、一年三千円だから、この特定郵便局長が党費として納入しなければならない総額は大体三兆円に達するだろうと言われている。——三億円か。おれはどうもここら辺にくると数字はわからない。三億円かな。すべからくそういう割り当てをして、資金的にも全くまいってしまうと言っているのだ。  全国特定局長会において配られたという「取扱注意」の資料がここにあります。それを君たちはないというふうにしらばくれるのか。     〔主査退席、沢田主査代理着席〕 特定局長会において局長に配られた「取扱注意」の文書によると、「入党は県連直轄の職域支部とし、局長を含み三名とする。」一人の局長が三名の入党者をつくれと言うのだ。「申込者は局長、夫人、親、子等の親族とするが、縁故者やこれに準ずる者でもよい。ただし親族以外の場合は縁故者等であることを明確にしておくこと。」云々と、七項目にわたってこの資料は微に入り細に入りこれを指示している。  これを君たちが知らないなどと言ってわれわれをちょろまかそうとしたって、君、そんなことはいかぬぞ。君が責任をとるかい。官房長の責任をとって腹を切るかい。そういうおっちゃらかしの答弁をして国会議員のわれわれをごまかすなんというようなひきょうなことは君たちはやめたまえ。ちゃんとこういう資料があるじゃないか。そういう資料を出しておいて、しかも、入党は、これはみんな申し上げたが、県連の職域支部とするとか、申込者は局長、夫人、親や子供とするとか、親族以外の者は縁故者であることを明確にしておけとか、しかもその次には「紹介者は、A氏に統一したので、」これはあえて情けでA氏と言ってやる。特定の名前だが、ここでA氏と私は言ってやる。「「紹介者名」欄は記入しないこと。」いわゆる紹介者の名前は欄に記入するな。それは後で全国区参議院候補者のそのA氏の名前を全部紹介者の欄に入れる必要があるから、特定郵便局長は紹介者の名前は書くな。その他詳細に記述されていて、そして最後に、これは「取扱注意」で、極秘の書類だな、他に漏れると平穏無事には済まないから、本書は申込書と一緒に支部長のところに返しなさい、こういう指示まで与えられているじゃないですか。知らぬ存ぜぬという形でやることなんかは許さるべきじゃない。  以上の強制指示に協力することが、これは特定郵便局長がじかに私に言ったことだ、三名以上の入党者をつくることによって昇格、昇給、特定局長会幹部への昇格の際の実績評価等につながりますので、私どもは本当にせつなくてしようがない、嫌でしようがないけれどもこの指示に従わざるを得ません、こう言っている。いいですか。大臣、あなたはこれを承知しておりますか。あなたは特定局長の声を聞いたことがありませんか。一言あるかないか言ってください。
  134. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私は特定郵便局長から一度も聞いたことはございません。
  135. 小林進

    小林(進)分科員 あなたはよほどぼや助だ。それであなたはよく郵政大臣が務まりますね。まことに情けないよ。  なお、このほかには、去年の夏、特定局長は自腹で、自費で百枚の暑中お伺い状、いわゆる見舞いのはがきを上からの指示で持たされた。買わされたのです。そして、その百枚の見舞い状の表書きを全部書けということを指示せられたから、自分の知人や友人の百名のあて名を書いて、その書いたはがきの裏面は白紙だ。本文の方は白紙にして、それをそっくり東京へ送ったのだ。特定郵便局長会というのはどこにあるか。郵政省の本省の中にあるのだろう。本省の中にこういうインチキをやる本部を設けているのだが、そこへそのはがき百枚を送らされた。その集まったはがきの本文の方には元郵政官僚であるA氏の表書きの人にあてる文章が全部印刷されて、それが表書きのとおりに配達をされた。ここまでならまだいいのです。  しかも、そのはがきがあて名どおりにちゃんと届いて、そしてそのA氏なるものの運動にそれが協力してくれるかくれないかを確認するための印がちゃんと一枚一枚のはがきにつけてある。チェックされる仕組みになっている。実に微に入り細に入りですよ。そのチェックの手段というのは何かといったら、その手段というのは、特定局長一人一人に全部違ったゴム印を預けておいて、そのゴム印を割り当てられたはがきの隅っこに押してあるから、そのゴム印で、この百枚のはがきはどこの局長が持ってきたはがきである、この百枚はどこの局長があて名を書いたはがきであるということが全部わかる。だから、その百枚のはがきの中で一枚でも受取人不明などといってそれが返ってくると、あっ、あの局長は誠意がない、本当に選挙運動をする熱意がないから降格だ、ボーナスも減らしておけ、こういうふうな形でちゃんとチェックされるということになっている。  それから、そのチェックをするいま一つの方法は、この特定局長がどれくらい党員にさせたかというその加入の状況を知らせる一覧表ができ上がっている。その一覧表がこれなんです。いま配付をいたしました。この一覧表がちゃんとできている。どこの局長が何人の党員をつくったかということが全部できているのです。その本当の局名を全部入れた実際のものがここにあるのです。特定郵便局の名前が全部で一体幾つありますか。これは全国の中のほんの一地域です。一地域でありまするが、その中にはその地域の八十四の特定郵便局が全部入っている。その八十四の特定郵便局長は全部入党をいたしております。のみならず、その奥さん、郵便局長だからみんな奥さんを持っている、しかし奥さんを亡くしてしまって未亡人——未亡人じゃありませんが、独身の局長もいるから、これは奥さんは入党できない。それらを抜いても、奥さんの入党は五十七名です。八十四の局長の中で奥さんの入党は五十七名、そしてその親戚の入党が八名、合計百四十九名が入党をいたしておりますが、これがその原文です。この原文には八十四の局の名前が入っておるけれども、これだけは先生出していただいたら、私はあしたから郵政でまんまは食われません、弾圧をされる、痛めつけられる、間接直接にやられてとても飯を食えないんで、私はこの郵政をやめていかなければならぬ、私の生涯の生活がかかっておりますから、ひとつその資料だけは出さないで御勘弁願いたいと言ったから、私は残念ながらこういう架空の名前で丸を書いたんだ。本文はこのとおり、ここにあります。こういうようなことを公々然とやっている。これが一体許されることですか。こういうようなことがいわゆる役人として許されるか。  そこで郵政大臣に聞くんだ。これほどの資料だが、私の手に入るんだから、あなたがわからないわけがない。いままで特定郵便局長で党員となった者が一体何千人か。特定郵便局は一万八千か二万ぐらいあるでしょうから、何万人いるか。それで奥さんで入党した者が何千人いるか。その人たちの関係で、いわゆる親戚、身内で入った者が何千人か、おわかりになっていましょう。監督官庁として知らぬことはないでしょうから、いままでの数字を教えてください。
  136. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私は承知をいたしておりませんが、各人がいかなる政党を支持するか、あるいはいかなる政党の構成員になるか、これは各人の自由であるわけでございますし、官庁といえども、あなたは何党に入っておりますかということを調べることは私は行き過ぎではないかというふうに思いますが、事務当局でどういう把握をいたしておりますかは、事務当局から答弁をさせます。
  137. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま大臣がお答えいたしましたとおり、政治団体等への加入の問題は、個人の思想、信条の問題にもかかわることでございますので、調査をしたことはございません。したがって数字も承知いたしておりません。
  138. 小林進

    小林(進)分科員 私があえて聞くのは、思想、信条だけれども、あれは共産党員だとか、あれは何だということは、案外郵政は細かく調査して知っているから、一方の左翼運動や左翼の党員についてはそれほど細かく知っているから、こっちの方も知っているだろうと思って聞いたんです。ところが知らないと言うんだから、それはそれでいい。人の信条がどうでございますとか、個人がどうでございますなんということは承知で私は質問しているんだから、問われたことだけ答えればよろしいのです。  そこで私は、時間もないから、これは法制局長官に聞くんだけれども、公務員というものは、明治憲法においては天皇の官吏だった。天皇の官吏にして公正無私、こういう服務の規定があったが、新憲法に基づいては、官吏というものは、主人公は天皇にかわって国民なんだ。その国民のために公正無私だ。一党一派に偏してはいけないということが公務員法の規定だろう。どうだね、法制局。ならば、いまのこの問題に関連して、こういう細君や親戚、身内までを特定の政党へ加入させる運動をやっているということが、一体公務員法の違反でないかあるか。ごまかしの答弁は要らぬぞ。——君は一体何だ。
  139. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  公務員が公正無私であるべきことは御指摘のとおりでございまして、公務員法百二条に、「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」というふうに規定してございます。
  140. 小林進

    小林(進)分科員 そのような条文なんかを私はここで読んでくれと言っているんじゃないんだ。いままで私が郵政大臣に質問した一連の事実が、いまのあなた方の規定に違反して公務員法違反でないかということを聞いているんだ。その判断を私は聞いているんだ。
  141. 関守

    ○関(守)政府委員 ただいま申し上げましたとおり、百二条におきましては、「人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」というふうに書いてございますので、具体的な点につきましては人事院の方からお答えいただいた方がよろしいかとも思いますが、人事院規則では、「特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。」は政治的行為で、こういうことはいかぬというような趣旨のことが書いてあると思います。
  142. 小林進

    小林(進)分科員 ともかく特定郵便局長であろうとも、任用には若干の制度の違いはあるけれども、一般公務員であることは間違いないでしょう。一般公務員であって、君の言う公務員法の百二条に基づいて、政治的行為が一般公務員と同じように制限されていることは明白な事実だ。あえて君の答弁を求めぬでもこれは明白だ。ならば、私がいま言ったことは制限行為に全部違反しているじゃないか。これは明らかだろう。これは君、公務員法違反行為じゃないか。こういう入党を勧誘して歩いたり、これは継続的にやっている、要請をしたり、そしてしばしばその運動のために、入党行為のために会議を開いたり、やっていることは全部違反です。  そこで私は申し上げまするが、人事院総裁、あなたは大物だ。分科会ではと思ったけれども、しかしこれは国の存立の基本に関する問題だ。民主政治の基本に関する問題である。役人が自分たちのいわゆる出世栄達のために一定の政党の下請みたいなことをやって、そういう入党勧告やあるいは会員獲得のために強制的な行為をして、それがその役人の本来の業務にまで影響して、昇格、昇給、あるいは日常の業務をするにも戦々恐々として行わなければならぬというこの実態を、そのまま黙視していいかということだ。  桧垣君、君は官僚の上がりだろう。こういうような事実を、われわれと同じ立法府に来て、それをけ散らかしてごまかしするような答弁をするのは、君、ひきょう者だよ。みずからの良心に恥じるところはないのかね、君は一体。そんなおっちゃらかしはだめだ。  人事院総裁、お答えください。人事院規則の一四—七に、いわゆる国家公務員法の適用範囲が定まって具体的に示されているはずですから、どうぞお答え願いたいと思います。
  143. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お答えをいたします。  公務員法には百二条の規定がございまして、政治的行為の制限をやっておるわけでございます。その具体的な内容につきましては、法律自体で書いてあるものがございますが、そのほかは人事院規則に委任をされております。  その人事院規則で、いま小林先生がるるお述べになりましたようなことに該当するものとして、特定の政党その他の政治的団体に加入し、または加入しないように勧誘運動をするということはいけない、これは明確に政治的行為の制限に該当するということを規定いたしております。
  144. 小林進

    小林(進)分科員 総裁は実に明快にお答えいただきました。あなたは人勧の問題についても、凍結はだめだ、これは行うべきである。これはりっぱですよ。人事院総裁としてりっぱだが、しかし、人事院の仕事は何も人勧だけじゃありませんからな。こういう公務員の服務が人事院規則に基づいて正しく行われているかどうかをあなたは監視し、監督し、その実行を正しく見ていくという重大な責任があるのです。  いまあなたが言われたことは重要ですから、私自身もいま一回繰り返しますけれども、すなわち、この百二条の「政治的行為」を人事院規則が説明しているわけだが、その中に、「政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。」これはだめですよということははっきり決められている。それから、人事院規則一四—七の5の三には、いま総裁が言われたとおりでありますが、「政治的目的」とは「特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。」公務員というものはそういうことをやっちゃいけないというのだ。それから、その6の六には、「特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。」いいですか、「勧誘運動をすること」だ。特定の政党、政治団体の構成員になりなさい、入党しなさい、あなたは社会党なんかやめて来なさい、こういうふうに勧誘運動をすることが政治運動だとちゃんと書いてある。明快じゃありませんか。いま特定局長がやっていることは、全部この人事院規則の違反だ。  この規則に違反した場合には、一体どういうことになるのでありますか。これは人事院総裁にひとつお伺いいたしたいと思います。
  145. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この違反行為がございました場合には、二つの措置が講ぜられます。一つは、刑事罰でございまして、これは三年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金ということでございます。それからもう一つは、懲戒処分の対象になります。法令違反ということになりますからして、服務規定違反ということで懲戒処分の対象になる。これは行政罰でございます。そういう事実があれば、この二つの面から矯正措置が講ぜられるということでございます。
  146. 小林進

    小林(進)分科員 いま総裁が仰せになったとおりでございまして、この百二条に違反すれば、国家公務員法の中に「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」これは百十条です。国家公務員法の百十条に明確に規定されています。いま一つ、おっしゃいましたように行政罰においては懲戒処分をおやりになるということになっておりますが、この事実関係の調査は一体どこでおやりになるのですか。
  147. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 刑事罰の適用の関係は、無論警察、検察の問題でございます。  それから懲戒の対象としては、先刻お述べになりましたように、総括的には、直接的には人事院が最終責任を持っておりますから、無関心ではあり得ないことは当然でございます。ただ、懲戒事犯があるかないかということは、人事院といたしましては全体の各省の職員個人個人まで常に監視して掌握するというわけには物理的にもまいりません。これは当然任命権者である大臣とその当局の組織というものが、これを確保できるように監視をしてまいるということに相なるわけでございます。  したがいまして、そのたてまえを樹立をいたしまして、それを確保あらしめるために、懲戒事犯に該当するような事件があれば、関係の各省大臣が人事院、私のところにまで報告をしなければならない、同時に、その行為を矯正、防止するための有効な措置を講じなければならぬということに相なっておりますので、第一次的には関係の省庁ということになるわけであります。     〔沢田主査代理退席、主査着席〕
  148. 小林進

    小林(進)分科員 それでは人事院総裁にお伺いいたしますけれども、いままで懲戒処分に値するような公務員法違反、人事院規則違反の行為があったことは明確でありますけれども、これに対して、第一次の責任者である所管官庁の農水大臣から人事院に対して、こういう懲戒処分に値する行為があった、これに対しては当然防止策を講ずるように努めたいと思う云々の報告が一体あったかどうか、それをひとつお伺いいたしたい。  これは農水大臣にも私はお伺いしますよ。(「農水じゃない、郵政大臣だ」と呼ぶ者あり)いや、農水じゃありません。もとの農林省の官僚上がりなものだから、つい農林省のにおいがして、どうも失礼、郵政大臣だ。  郵政大臣にお伺いしますが、あなたは農林省にいたときにはもっと明快な答弁をする人だと思って私は期待しておったけれども、きょうあたりはさっぱり期待を裏切ってしまった。そういうことをいままで知らないということ自体が実に恥ずべきことなんですよ。怠慢至極である。しかし、いまの人事院総裁お話のとおりに、一体人事院にこういう事実があることを意見具申されたかどうか。しなかったとするならば、今後直ちにこれを調査して、いまの規定どおり人事院にこれを報告し、あるいは今後の防止策について何分の指示を受けるというような具体的な行為に出られるお考えがあるかどうか、それが一つ。  三番目に、私は人事院総裁にもう一回お伺いしますけれども、これは国家の行政、司法、立法という三権分立の行政に関する基本的な問題でありますから、私どもは決してこれを軽く見ているわけにいきませんので、私はこれを告発という形で、あるいは告訴か、いずれかによって、ひとつ裁判の場でこういう問題の黒白を争って将来の禍根を断ちたい、何かその具体的方法はということで関係弁護士と相談しておりますけれども、こういう処置が一体あるものかないものか、あわせて総裁の御意見を承っておきたいと思います。
  149. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 先ほど申し上げましたように、郵政大臣としては御指摘のような事実は承知をいたしておりませんので、人事院に報告等の手続はとっておりません。  なお、私ども、郵政職員が法規を遵守して職務に精励することを望んでおるわけでございますので、その点は毎回の選挙の都度通達を出してきておるのでございますが、今回も職員の自粛自戒を求めるための手続はいたしたいというふうに思っております。
  150. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いま郵政大臣がお述べになりましたところから、当然のこととしてわれわれの方にはそのことについての報告は参っておりません。  それから、告発云々の問題は、これは私が申し上げることではなくて、そもそも刑事訴訟法その他の刑罰法規違反の手続問題でございますので、その点については、一般的な規定に従って運用されるべきものであるというふうに考えております。
  151. 小林進

    小林(進)分科員 これで終わりますが、ひとつ郵政大臣、あなたの部下の局長部長関係者から、あなたの言われるとおりこういう重大問題について報告がない。あなたの報告が正直だとすれば、部下の諸君があなたをごまかしていたことになる。もしこの事実が明らかになったら、あなたは一罰百戒で、その部下をきちっと処分をして郵政の姿勢を直すという考えがあるかどうか、これを一言だけ伺っておきます。
  152. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私は大臣として、郵政部内の綱紀の問題については責任を持って当たりたいと思っております。
  153. 小林進

    小林(進)分科員 これで終わります。
  154. 越智伊平

    越智主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。  次に、川本敏美君。
  155. 川本敏美

    川本分科員 私は、郵政大臣並びに電電公社の方に対して、第二臨調の電電公社の分割民営といいますか、そういう基本的な答申、部会報告が出されておるわけでして、それに基づいて五十七年九月二十四日に閣議決定をしておられるわけですが、この内容に関連して若干お聞きをしていきたいと思うのです。  まず最初にお聞きしたいのは、二月十五日あるいは十九日の新聞に、電電公社がINS確立段階では九万人の人を削減できるという案を持っておる、株式会社化を前提にしてということで、読売新聞や毎日新聞が大きく報道しておるわけです。技術の革新で従業員の数を減らすことが、あたかも鬼の首でもとったような形の案を電電公社はつくって世間に発表しておるわけです。この点について私は若干お聞きをしたいのですが、大体この電電公社の分割民営ということについて、閣議決定でもまだはっきりとしたことは書かれていない。「答申の趣旨に沿って、各方面の意見を聴取し、所要の法律案を次期通常国会に提出すべく準備を進める。」こうなっている。郵政大臣、郵政省としては今度の国会に提出する準備を進めておられるわけですか。
  156. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 郵政省としては、九月二十四日の行革大綱の線に沿って検討をいたしておるところでございますが、その次の項にございますように、そのために、政府・自由民主党行政改革推進本部常任幹事会において各方面の意見を聴取し、調整をするということが言われておるわけでございまして、郵政省としていまの段階で、今国会に提出するとか、あるいは今国会には提出できそうにございませんとか言える段階でも立場でもないわけでございます。私どもとしては、事は郵政行政の基本にかかわる問題でございますので、慎重に検討を進めていきたいというふうに思っております。
  157. 川本敏美

    川本分科員 そこで、ちょっと電電公社にお聞きをしたいのですが、INS体制で十五年先には九万人削減できる、こういう案をつくっておられる。このことについて、先日来の逓信委員会では、あるいはいろいろな方々からの質問に対して、これは全くのデッサンをかいた程度のものであるというような答弁をされておるようですけれども、私はいま国会に出されておる法律案一つを見てみましても、通産省の所管で商工委員会に出されておるいわゆる特定産業構造改善臨時措置法というような法律案を見ても、これは構造改善ですから合理化を進めるという法案ですけれども、その法案の中身を見ても、構造改善の基本計画を定める際には、まず関係労働組合の意見を主務大臣が聞く、そしてさらにそれの具体的な計画をいよいよ立てるということになりますと、その場合は、企業は労働組合と協議をしなければならぬ、こういうふうに法律の中に明記をされておるわけです。  設備を廃棄したり、設備変更したり、そのことによって雇用が変わってくるというような場合に、人を減らすことだけがいいことのように電電公社は考えておられるけれども、それよりも、失業の予防とか雇用の安定ということをまず頭に置いて施策が講じられなければいけない。デッサンをかく場合にでも、失業の予防あるいは雇用の安定ということがまずもって頭の中に描かれなければならぬはずだと思っているにもかかわらず、九万人も減らすということは、これは失業の予防、雇用の安定どころの話じゃないですよ。こういう問題について電電公社は一体どのような考え方で臨んでおるのか私は不思議でならぬわけです。その点についてまずお聞きしたいと思います。
  158. 児島仁

    ○児島説明員 私から、ちょっと事務的な面もございますので、お答えをさせていただきたいと思います。  この前新聞に載りました事項につきましては、現在、こういう状態になっております。いわゆる最近よく世の中で使われておりますINSという新技術の導入、一言で言いますと、新しい電気通信の交換形態というものになっていかないと国際的にもおくれるということでございます。そのINSというものに向かっていく過程で、一体どういうふうな問題があって、将来的にどういうふうな展開をしていくのだろう、こういったことについては、私ども責任者としていろいろな資料あるいは多角的な面から検討をしております。その中の一つ考え方、まあいろいろな考え方があるわけでありますが、それを十五年、二十年にわたって考えておる中の一つが新聞に出たということでございます。私どもの立場から申しますと、さらにいろいろな角度からいろいろな形態を研究していくわけでありまして、あそこに載りました九万人あるいはその他の問題が、公社として完全に唯一の案として決まったというふうには考えておりません。  それから最後に、先生がいま申されましたように、雇用の問題につきましては、事業経営は投資、収入、支出、資金、あるいは要員、こういったものが総合的にかみ合っての経営でございますから、その中の要員問題だけを切り出して、これで経営がよくなるのだというふうな考え方には立っておりませんで、私ども、設備計画をやってまいりますときには組合とも十分意見の交換をする場を持っておりますし、雇用の安定の問題については十分意を尽くしておるところでございます。したがいまして、そういった要員の削減というふうな事態に立ち至りましたときには、労働組合とも十分意見の交換並びに討論をしていきたいというふうに現実的には思っております。
  159. 川本敏美

    川本分科員 私は、要員の削減という事態に立ち至りましたときにはという言葉はおかしいと思う。計画の段階から労働組合の意見を聞かなければいかぬ。構造改善臨時措置法では、主務大臣が基本計画を立てる段階で労働組合の意見を聞く、こう規定されておるわけです。ところが、いまあなたのおっしゃったように、基本計画は勝手につくっておいて、いよいよ具体的な問題が起こったときに労働組合の意見を聞いてというのだったら、いわゆる人員削減を押しつけるということになるんじゃないですか。
  160. 児島仁

    ○児島説明員 ただいま、いささか私の言葉が足りなくて先生に誤解を与えまして大変申しわけないと思っておりますが、確かに私ども大きな変革というものにつきましては、事前に組合と十分話し合っていく態度と姿勢を持っているつもりでございます。今回のものは、たまたま事務当局が試案としていろいろ検討しておりましたものが卒然と世の中に出たことで、私どもとしても大変申しわけないというふうに思っておりますが、試案そのものを固めていくという場合においても、先生の御趣旨は今後十分取り入れてやっていくつもりであります。  在来も、大きな変革というものにつきましては事前に労働組合の意見も聞き、また私どもの考えも訴えてやってきた実績もございますので、繰り返しになりますが、今後ともそういった姿勢でやっていきたいというふうに思っております。
  161. 川本敏美

    川本分科員 次に、九月二十四日の閣議決定で、先ほど大臣から御答弁いただきました政府・自民党云々の続きに、(2)の項で「日本電信電話公社合理化に関する当面の措置として次の方策を講ずる。」アとイとがありまして、アは「交換手等運用部門、保守部門、電報部門等について極力要員合理化を図ることとし、新規採用を抑制する。」次にイは「また、宅内機器部門、データ通信設備サービス部門、保守部門の一部等の分離を図る方向で所要の検討を進める。」こういう閣議決定がなされておるわけなんですが、これに対して郵政大臣はどのように考えておられるのですか。
  162. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 これは閣議の決定でございますから、当然郵政大臣も加わって決定をしたことでございまして、この基本的な方向電電公社においても御努力を願いたいというふうに考えております。
  163. 川本敏美

    川本分科員 そこで、電電公社の方にお聞きしたいのですが、このアの方で「極力要員合理化を図ることとし、新規採用を抑制する。」新規採用を抑制するということは別として、極力要員合理化を図るということになりますと、いわゆる人員の縮小ということになるのじゃないか。合理化ということはそういうことだと思う。私は、こういう問題について、失業の予防、雇用の安定ということを先ほど申し上げましたが、仮にも公の機関である電電公社が要員の合理化を図るというような前提で計画を立てられる場合は、前もって関係労働組合との協議が調わなければできないことじゃないかと思うのですが、その点について電電公社はどのような取り組みをしておられますか。
  164. 児島仁

    ○児島説明員 過去の例から申し上げますと、一時私ども交換部門で大変に仕事の内容が変わりまして、世間的に余ったと言われたような時代がございました。そのときにも組合と正式な団体交渉あるいはその他別途の場で話し合いを続けまして、要員削減という言葉は適当じゃないかもわかりませんが、その部門についておる人間の数をかなり減らしたことがございます。これは組合と話し合いをしております。ただし、その場合といえども、退職に追い込むとか、むちゃな首切りをするということは全くやりませんで、その他の部門の新しい仕事につけていくということをやっております。  したがって、いま先生御指摘の要員削減という問題も、ある部門でむだな人間をつけておくということはやめたい、必要最小限の人間でお国のために効率ある運営をやっていく。その場合に、余った人間の仕事は、われわれの義務としても、むだな仕事をつくっては当然いけませんが、有効な仕事は生み出していきたい、この知恵と努力は今後とも続けてやっていきたい。労働組合との間でも、基本的にそういった思想でわれわれの事業を運営していこうではないかということもございます。  それから、さらに申し上げますと、私どもの事業、三十三万おりますが、これは日本の国としても有数な雇用体でございます。ここが安易に要員問題を、単に減ればいいということでやっていくということもいささか問題もありましょうし、知恵と努力で、雇用を減らさないけれども中身は濃くしていく、新しい事業も始めていくというふうに考えていきたいと思っております。
  165. 川本敏美

    川本分科員 私が言う失業の予防対策というのはどういうことかといいますと、やはりこれは労働省がいま推し進めておる労働時間の短縮という問題と関連があると思う。私は、少なくとも、こういう技術さえ革新していったら体質がよくなるんだという発想は間違いで、技術が革新されて労働力がそれだけ必要なくなったら、その時点で、まず働いておる労働者の労働時間を短縮する。週休二日制等を完全に実施する。あるいは、ヨーロッパの先進国と言われる国々は、全部夏のバカンスは連続休暇が三十日ぐらいあるわけなんですが、そういうことはまだ日本では認められていないので、残業を減らしたり、バカンスを与えたり、そういう形で、先進国並みの労働条件を確保することによって失業が予防されるような措置をあわせて考えなければいけないんじゃないかと私は思うわけです。  だから、この九万人減らすという案は、現在の労働条件のままでいったら九万人減るということであって、私が指摘するような完全週休二日制をやったり、労働省がいまやっておる、いわゆる年間千八百時間ですか、もうイタリーなんかでは千六百時間ぐらいになっておると思うのですが、そういう労働時間を短縮していくということを前提にして考えたならば、こんな数字が生まれてくる道理はないと私は思う。だから、この九万人というのは、現在の電電公社における労働条件をそのままにして、技術だけが革新されたら九万人減るということじゃないのですか、その点……。
  166. 児島仁

    ○児島説明員 私どもとしまして、ちょっとお答えが最初すれ違いの感じになるかもわかりませんが、現在、電電公社の主要なる仕事は、一口で言って電話電報だけでございます。しかし、今後電気通信の中身が濃くなってまいりますと、いわゆる電報電話というもの以外の仕事が相当大量にふえてくる、またふやしていかなければ国民のニーズにこたえられないというふうに考えております。その程度がどの程度であるか、また、どれだけの料金で提供していくことによって需要の拡大を図れるか、これは現在勉強中でございますが、いずれにしても傾向的には相当ふえていくだろうということを考えております。したがって、先生御指摘のように、電信電話に関与する仕事は相対的には減ってまいりますけれども、トータルとしてはむちゃな減り方をするというふうには考えておりません。  その際に、先生は、まず週休二日とか労働条件等を変えていけばということをおっしゃいましたが、それも大変重要なことでございますが、むしろそれ以上に、新しい仕事が出てきてそっちへ回していくのに忙しいのではないか、現在まだ検討の段階でございますから確定的には申し上げられませんが、そういうふうな感じで私どもはやっております。
  167. 川本敏美

    川本分科員 そういう新しい仕事がふえてきて、そちらに回さなければいけないくらいだとおっしゃるなら、新規採用の抑制ということはおかしいわけですよ。学校を卒業してくる若い人たちに夢と希望を持たせるためには、新規採用を抑制するというようなことで日本の将来はよくなりませんよ。私が言うように、労働条件を改善して、そして労働時間を短縮して、その中から雇用が必要になれば必要なだけ雇用を拡大していくということでなければ、二十一世紀に向かって日本の国の夢はない、ロマンもないと私は思うわけです。  だから、その辺について、今後、失業の予防とか雇用の安定ということをまず念頭に置いて、電電公社がこれからのこういう計画の立案に当たってはまずこの問題を念頭に置いてやるのだというはっきりした姿勢を総裁からお示しいただきたいと思うわけです。
  168. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま大臣からお話がございましたように、行革大綱に基づいていろいろな勉強をいたしておりますが、いま先生の御質問のとおり、私どもいま勉強の視点を一番注いでおりますのは、いま職員局長が申しましたように、これから先、新規事業なり新しいサービスなりというものに対して、どういう時間的なスケジュールでどういう種類のものがどう出てくるであろうか、それに対して私どもがどういうふうに対応するのか、対応を一番しやすいような企業形態というものは一体どういうものであるべきか、ということに視点を注いで勉強いたしておりますので、それについては、現在の設備なり技術なりが、さっき申しましたような高度情報通信網の設備なり技術なりに変わっていきますから、その中で、どの部分から、どういう時間でどういうふうに人間が出てくるのか、どういう新しい事業に、どういう人間がどういうふうに要るのかということを勉強しておる。  これは、具体的に申し上げますと、長距離電話技術が非常に大きく変わりますので、その部分からそういう数字が出てきそうだ。そうすると、その人間をどう持っていくのかという資料として勉強しておりますのが、すっぽ抜けて、大きく新聞に出まして、そういうものは資料を管理する私の責任だというふうに私はいま思っておりますが、勉強の趣旨は、いま私が申しましたように、総合的な事業計画として、先生の御趣旨のとおりに、いまおる人間を有効に使うのにはどうするか、そうするのには、どこにどういうふうに人間が余裕ができて、どういうところにどういうふうに新しく人間を持っていける可能性があるかということが、私ども当事者としての臨調に対する勉強の視点になっております。そういう意味の一片のものが新聞に出たというのが事実でございますので、そういうふうに御解釈いただきますと非常にありがたいと思います。
  169. 川本敏美

    川本分科員 いわゆる高度情報化社会というのですか、INSというのは。そういう中で、この毎日新聞の報道で見ると、これは報道だけでなしに、電電公社がはっきりとこの計画の中に書いておると私は思うのですね。「三十三万人の職員のうち、六十年代半ばまでに約三万人、約十五年後のINS確立段階では約九万人の職員を縮減できるとし、具体的には新規事業を行う新設の別会社」いま職員局長が言われたものですね。「新設の別会社に職員を出向させることで実施するなど民営化に伴う事業の分離と要員縮減を並行して推進する構想を打ち出している。」これは構想じゃないですか。デッサンじゃないですよ。ですから、この辺については関係労働組合と事前に協議をして、完全な同意が得られておるのかどうかということを私は聞いておるわけです。民間の企業だったらそんなことしませんよ。民間の企業だったら、先ほど言ったように、企業が勝手にそんなことを出して勝手に発表してやる、そんな企業なんかありませんよ。まず事前に労働組合と協議をして、労働組合も納得をして、理解をして同意をしてから発表もし実行もするというのが当然のことだと思うのです。その辺について、私はもう一度総裁の意見を聞きたいと思うのです。
  170. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま先生のおっしゃいました行革全体について、私ども組合といわゆる別途の場で相当いろいろな議論はいたしております。しかしながら、いま新聞の記事として出ておりますように、私どもが具体的にそういう構想を打ち立てるという段階にはまだいっておりません。と申しますのは、各方面の意見を聞いてという行革大綱の中で、各方面の意見を聴取する段階にまだ立ち至っておりませんので、各方面の御意見、コンセンサスがまとまって初めて具体的な構想になるわけでございまして、私どもが勝手にいまの段階で具体的な構想を打ち立てるという立場にはないわけでございまして、いまそういう構想を立てる資料を集めてその資料ごとに検討しておる段階でございまして、各方面の御意見がまとまって、郵政の方と一緒になって、行革大綱に書いてありますような段階に入りますと同時に、いま先生のおっしゃるような組合との対応というのが正式に始まるというふうに解釈しています。勉強の資料を集めておるという状態でございます。
  171. 川本敏美

    川本分科員 郵政大臣、聞いてくれていますか。いまお聞きすると、電電公社の内部でも、この閣議決定の問題については、各方面の意見を聞いて、十分意見が一本化されコンクリートされたものは持っていない、まだその途中の段階である。そして郵政大臣も先ほどおっしゃったように、これはまだ自民党とか各方面との意見の調整をしなければならぬということで、こういういま私が申し上げましたいわゆる電電公社に対する第二臨調の答申を受けても、そのまますぐ国会に出すことはない。  「交換手等運用部門、保守部門、電報部門等について極力要員合理化を図ることとし、新規採用を抑制する。」とか、「また、宅内機器部門、データ通信設備サービス部門、保守部門の一部等の分離を図る方向で所要の検討を進める。」ということも、検討を進めるということだけですから、これもまだいわゆる制度化するとか、法律改正するとか、あるいは措置を講ずるという段階には今国会中には至らないのじゃないかと私は理解するわけなんです。  先ほど来の質疑を経た中から感じたわけなんですが、それは私の思っておるとおりで間違いないですか。郵政大臣に最後にお伺いします。
  172. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 電電公社の経営形態の改革の問題につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもとしては、電気通信行政の基本に触れる問題をよく詰めました上で対応していきたい。  電電の当面の問題につきましては、これは電電で御検討願うことでございますから、御検討は私は誠実にやっていただきたいと思いますが、結論は、これは検討の結果を待つわけでございまして、いますぐにどうということでもないと心得ております。
  173. 川本敏美

    川本分科員 それでは最後に総裁に要望しておきたいと思うのですが、先ほど来私が申し上げてきましたように、事労働条件の変更とか雇用の安定、失業の予防というようなものに関連する問題については、事前に労働組合と十分協議をし、それを調えてやっていく、そしてさらに将来の日本の雇用の拡大に向けての基本的な姿勢は失わない、こういう姿勢で取り組んでいただくことを強く要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  174. 越智伊平

    越智主査 これにて川本敏美君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ────◇─────    午後一時三十分開議
  175. 越智伊平

    越智主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政省所管について質疑を続行いたします。後藤茂君。
  176. 後藤茂

    後藤分科員 私は本委員会で毎年切手発行政策について御質問申し上げ、また、具体的な提案をこれまでも何回かさせていただきました。ほとんどを切手発行政策の中で取り上げていただいておりますことをまずもって敬意を表したいと思うわけです。  とりわけ、私も驚いたのですが、昨年の分科会で提案をいたしました慶弔切手、それからその二、三年前ですか、提案をいたしましたふみの日の切手、こういうようなのは、提案をいたしましてからすぐ、大臣の方からも非常にいい提案だからそれはぜひ実現をしたいという言明がございまして、早速その年度内に実施をしていただいた。こういうように、最近の郵政業務の中で、特に切手発行政策等については積極的に取り組んでいただいていることを感謝申し上げたいわけであります。  最初に大臣にちょっとお伺いしたいのですけれども、私のところに実はこういうような手紙が土曜日に参りました。というのは、実は二月十九日に京都で国際紙会議が開かれたわけです。これは毎日新聞ですけれども、「感嘆、美の世界」というように非常に評価している報道がなされているわけです。そこで、私のところへ来た手紙というのはこういう内容なんです。「同封のように先般京都で国際紙会議なるものが開かれました。 大変なもので、紙に関係もあり、イタリアの黒すかしの秘法の公開に立会いで印刷局からもきているようでした。それなのに、この紙に関係の深い切手が出てこないのはどういうことかといろいろの人から聞かれます。 申請がないと記念切手は発行されないのか、いろいろと疑問点もあります。」このような問題についてひとつぜひ国会でも指摘をしてもらいたい、こういうような内容です。  これまでに切手に紙が使われてどのくらいの量になるか、はかり知れないと思うのです。また、特殊切手が毎年たくさん出されております。それぞれの記念行事に対応して出されているわけですけれども、こういうような紙との関係ということが、直接ではございませんけれども、国際会議があちこちで開かれる。申請があったものについては一応この対象の検討に付されるのでしょうけれども、そうでないものは見送られている、そういう姿勢がまだ郵務行政の中ではあるのではないだろうか。ぜひひとつ広い視野に立って、国民の皆さんにあるいは諸外国に対しましても、日本としては注目しておる行事であるあるいは会議であるということをアピールしていくことが必要ではないかと思うわけでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  177. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 国際紙会議につきましては、開催されまして、その事情を新聞で拝見して初めて私も知ったようなことでございます。大変ユニークな会議で、得るところの大きいものであったということを承知をいたしております。ただ、郵政省として、次の年にどのような行事があるかというのは実はなかなかわからないことでございまして、あらかじめ関係各省に、どのような行事があり、どのような記念切手の希望があるかという意見を徴してまいっておるわけでありますが、残念ながら紙会議についてそういう通報がなかったようでございます。  私は、この切手というものが持ついろいろな多面的な機能といいますか、役割りというものを考えますと、お話しのように、国民に理解をされあるいは周知をされる必要のあるような行事については極力記念切手を発行するというようなことを考えていきたい。ただ、切手を発行するにつきましては、申すまでもないことでございますが、相当の期間のデザインの研究とか用意も要るわけでございますので、右から左に発行するというわけにもまいらない。それらの問題を頭に置きながら、仰せのような事態には対応していくような努力をいたしたいというように思います。
  178. 後藤茂

    後藤分科員 確かに申請がなかったり、あるいはその都度計画の事前の報道等がない場合は、郵政省としてもキャッチすることは大変困難であろうと思いますけれども、やはり国際的ないろいろな会議なり行事なりというものにはぜひひとつ視野を広めておいていただいて、マークしておいていただきたいということを要望申し上げておきたいと思うわけであります。  そこで、最近郵政省といたしましては、いままで窓口業務は八時から行われておったわけでありますけれども、これが九時からになった。このことは大変結構だと思うのですけれども、ただ、厄介なことに、その八時から九時までの一時間で、つまり郵便業務のサービスの面で利用しておる人々から幾つか改善の要望がなされているのであります。私のところにもたくさんの要望が参っておりますが、一つは消印をしていく場合に、これは従来の八時から十二時までという午前の時間帯が消印に書かれているわけでありますが、これが九時からになってまいりますと、八時から九時までの間なら通勤途上等で利用することができるが、九時を過ぎるともうすでに職場に入っているというようなことで、たとえば記念切手等が出されたような場合に、その初日印が大変取りにくい、こういうような意見等も出てきているわけであります。機械印の初日印等は、これは日付のないものもあるわけですけれども、この日付の問題について、普通の郵便の場合は必ずしも九時から十二時というように入れなければならぬという性格ではないだろう。たとえば速達だとかあるいは書留だとか、その他の郵便の取り扱いについては、そういう時間帯というものが大変重要になるだろうと思いますけれども、そうでないものはそれほど重要視しなくてもいいのではないか。場合によればなくして、たとえば外国でもやっておりますように、ファーストデー・オブ・イシューというような形で入れても、つまり日本語にすれば初日印という形で入れてもいいのではないかという気がするわけですけれども、郵務局長、この問題についてはどういうようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  179. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 お答えします。  先生御指摘のように、ことしの二月十五日から普通局におきまして朝夕一時間ずつ時間を短縮させていただいたわけでございます。そのために、先生ただいま御指摘のように、郵趣家の方々には大変御迷惑をおかけしておるということで、大変恐縮に存じますが、私たちといたしましては、まず第一に、できるだけ新しい窓口取り扱い時間の中で初日押印をお願いしたいというふうに思います。  ただ、先生御指摘のように、現在の初日印は八時—十二時という日時が刻印されておるわけでございますが、これは必ずしも必要ではないのではないかという御意見でございます。まだ慎重に検討したわけではございませんが、絵入りのハト印につきましては必ずしも八—十二という表示が必要なのかどうか、場合によってはそれをなくすことも検討の余地もあるのではないかというふうに考えられますが、その他の初日用の通信日付印につきましては郵便物に押捺をいたしますので、八時—十二時という日時を一挙になくすことについてはいろいろな問題があるのではないか、ちょっと困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
  180. 後藤茂

    後藤分科員 これは要望として申し上げておきたいと思います。いま局長言われましたように、全部外すということは確かに問題があると思いますけれども、絵入りハト印等についてはどうしても入れなければならぬということもないし、入れるとすれば、先ほど私が申し上げましたように外国等でもやっておるファーストデー・オブ・イシューというような形で工夫をしてみたらどうだろうかということを要望申し上げておきたいと思います。  それからもう一点は、八時から九時までの業務がなくなるわけでありますから、切手売りさばきもそこでは行われない。さらばと言って、たばこ屋さんやそのほかの小売店で切手を買おうとしてもまだ店が閉まっているというようなこともあり得るわけです。だんだんと手紙等を書く人が少なくなってきていると言って郵政省の方でも悩んでおられるようですが、諸外国でも出しておりますように、切手帳についてぜひ工夫をされるべきじゃないだろうか。私はこの委員会で前回も実は申し上げたわけですが、そうしますと、切手帳を出したような場合に日本の場合にはどうも利用が少ない、ですから出さないと言っているのですが、これは逆じゃないかと思うのです。こういう切手帳を出されておりますと、常備薬と同じように各家庭においてもそれを常備している、あるいはポケットにそれを持っておるということだと、ちょっと手紙を出そうと思ってもすぐにそれが使えるということでもあるわけですから、切手帳につきましては、出してはみたがそれほど売れ行きがよくない、需要がないようだということでやめるのではなくて、むしろ積極的にこういった切手帳を使っていくような工夫を事前にされておきますと窓口業務としてもそれほど混雑しないわけですし、手紙を出そうという者もその利便を受けるわけでありますから、局長、切手帳につきましてもぜひ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  181. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 現在切手帳は六十円切手の五枚つづりの売価三百円のもの一種類だけ発行いたしまして、郵便切手・はがき発売機で販売しているところでございます。先生の御質問は、切手帳の種類をふやす、たとえば四十円と六十円を組み合わせたものを出すとか、その他いろいろな取り合わせがあると思いますが、そういうものをたくさん発行することによって郵便の需要も伸びるのではないかという御提言かと思いますが、一般的に郵便局の窓口の機械化はこれまではかなりおくれておったことは否定できないわけでございますが、窓口時間の短縮を初め、勤務時間の短縮等の社会情勢の変化に即応しまして、私どもとしましては郵便局の郵便窓口取り扱い作業の機械化を今後とも積極的に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございまして、そういった過程の中で、先生御提言のように切手帳の種類をさらにふやすということもあわせて検討してまいりたいというふうに思います。
  182. 後藤茂

    後藤分科員 これは要望としてぜひ検討をお願いしておきたいと思います。外国でも時間短縮が進んでいるわけです。それはそれとして歓迎すべきことでありますけれども、それに伴うサービスの低下を救済していくためにいろいろな方法をとられていくわけでありますから、その点をぜひひとつ検討を進めていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  それから、これは郵政省からいただいたのですけれども、現在発行されている普通郵便切手のリストであります。私は、相当前に普通切手がどうも不統一だ、もう少し統一性を持って発行されたらどうかということを出し上げて、ある程度統一に努力をされて、きれいな普通切手が発行されるようになったわけでありますけれども、ただ、いつまでこのデザインでずっと続けていくのか。これまた外国の例を出して大変恐縮ですけれども、四年か五年ぐらいにはまた新しいデザインに変えているのですね。ですから、マンネリ化した同じ図柄の切手が出ているということじゃなしに、オリンピックじゃないですけれども、やはり四年に一回ぐらいは変えていく。いままでの郵政省の普通切手のデザインの変更というのは料金改定、つまり料金が上がったときに改定しているということですけれども、そうじゃない形でぜひひとつ考えていただきたいと思います。統一的なデザインをつくり上げていく対象はたくさんあります。ですから、こういったことについてもひとつ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  183. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 通常切手の図案につきましては、先生からかねて御指摘を受けたこともございまして、昭和五十五年から五十七年にかけてかなり整備してまいっております。一円切手は伝統的に前島密の像でありますが、五十円以下の比較的小額のものにつきましては国民に親しまれている動植物を図案として採用いたしておりますし、六十円以上のものにつきましては国宝とか重要文化財クラスの美術工芸品にすることを基本として、五十五年から五十七年にかけて整備してまいったところでございます。  現在はお手元のような一覧になっておるわけでございますが、先生御提言の、四、五年に一度諸外国の例にならって変えてはどうかというお話でございますが、料金改正のときに通常切手を変えるのは、これは必然的なことでございますが、私どもは、通常切手はかなり継続して安定的に同じものが出されるというのも一つの理念か、方針かというふうに思いますので、この場で先生御提言のような方向で変えることにつきましては、やや慎重であるということを申し上げておきます。
  184. 後藤茂

    後藤分科員 どうもそういう点が切手は発行してやっているんだという郵政省の姿勢がまだ大変残っているのじゃないかという気が実はするわけです。先ほど大臣から切手の発行政策について基本的な考えを述べられたわけでありますけれども、領収書的なものなら数字だけを印面に刻んでおけばいいわけです。いろいろなデザインを考えていくということは、せっかく郵便を出される場合に一番目のつくところに切手が張られる。美しいデザインの切手が、またこういうように新しく郵政省は配慮してくれているなということが、心に通うような政策を実施されることが大切じゃないかということで私は申し上げたわけです。せっかくいま統一性を持ってやっと整理したところで、全く念頭にはないということであるかもわかりませんけれども、こういうことは、しょっちゅう私たちが背広を変えたりあるいは家の調度品の位置をちょっと変えたりすると同じように、同じものが同じように出てくるということではないことが必要じゃないかと思うわけであります。  それと関連いたしまして、今度の近代美術シリーズ、これも私御提案申し上げたわけですが、いい近代美術シリーズがずっと続いてまいりました。これは三月に終わるのでしたでしょうか。
  185. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 三月に終了します。
  186. 後藤茂

    後藤分科員 一応三月に終わるようでありますが、また後のいろいろなシリーズ等も御検討になっておられるのだろうと思うのですけれども、問題は趣味週間、これは毎年四月に行われているわけですが、それに出される切手がほとんどこれまでも浮世絵であった。浮世絵がいけないと言うのじゃなしに、いい切手がたくさん出ております。しかし、ことしの四月に発表されております図案等を見ますと、歌麿の「台所美人」ですか、切手にしては必ずしもいい切手ではないのではないかという感じがするわけです。こういう浮世絵のシリーズがずっときて、最近ちょっとマンネリ化してしまっているような感じがいたします。近代美術シリーズが続けられまして、そして三月で終わる。まだまだ美人画等で取り上げられていないものがたくさんあるだろうと思う。趣味週間は大体女性が多かったわけですけれども、仮に女性を踏襲するといたしますと、近代美術シリーズで取り上げられなかったような美人画等を、来年からになりますけれども、これからの発行政策の中でひとつぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  187. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ことしのものにつきましてはすでに決定をいたしておりますので変更はできないわけでございますが、来年につきまして、先生の、浮世絵がある程度マンネリ化しておるので、美人画等その他のりっぱな絵を図案にしてはどうかという御提言につきましては、十分誠意を持って検討させていただきたいと思います。
  188. 後藤茂

    後藤分科員 窓口指導ですが、私ども郵便局の窓口に行きまして、特殊切手といいますか、記念切手というのが余り目立たないし、それから切手を買いたいと言うと通常切手が出されてくるということになっているわけですが、この前も私はこの分科会でその点を質問いたしますと、大体一週間の切手の売りさばきが枚数として約四千万枚ぐらいだ。それをその期間仮に特殊切手を指導しているということになりますと、いろいろな繁雑な面だとか印刷能力等の面において、必ずしも窓口で特殊切手を積極的にひとつ売りさばくようにというような指導をされていないやに聞いておったわけですけれども、この点は通常切手のノルマというものがあるわけじゃないのでしょうが、窓口での記念切手なり特殊切手と通常切手の売りさばき指導というのですか、そういうようなのはどのようになされておったのか、これからこれを改善されるようなおつもりがあるとすれば何か改善の方法等を考えていらっしゃるか、この点をお伺いしたいと思います。
  189. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 窓口での切手の発売についての指導でございますが、記念切手等につきましては、そういった行事の期間に売りさばくように各窓口とも積極的に対応しておるわけでございますが、通常切手につきまして積極的に売りさばくというような指導はこれまでは特にいたしておりません。
  190. 後藤茂

    後藤分科員 私が申し上げておったのは、むしろ特殊切手なり記念切手というのをもっと周知して、窓口でも余り煩わしがらないで売るような指導というものをぜひ進めていただきたいということであったわけであります。  そこで、次に電子郵便についてお伺いしたいのですけれども、電子郵便の状況はどういうようになっているでしょうか。
  191. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 電子郵便は、先生御案内のように五十六年七月から東京、大阪、名古屋の三中央局でサービスを実験的に開始しまして、先般、五十八年二月十四日から新たに取扱局をふやしまして、現在全国で十四局で取り扱っているところでございます。当初一日の取扱通数は百通以下でございましたが、最近は取扱局をふやしたこともございまして、一日平均二百通前後までふえてまいっております。ともかくまだ実験的な段階でございまして、周知も十分にされておりませんので、私どもとしては利用がまだ伸び切っていない、今後とも大いに伸ばしていかなければならぬ、そして本格的実施に向けての土台をつくっていかなくちゃならぬというふうに考えておる状況でございます。
  192. 後藤茂

    後藤分科員 利用者の反応はどうでしょうか。
  193. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 アンケート調査等の結果では、やはり直筆のお祝い文が行くとか、それから非常に速いとか、多目的に使われるというようなことから、大変好評だというふうに認識しております。
  194. 後藤茂

    後藤分科員 私もこれからああいうのは伸ばしていかなきゃならぬと思っておりますので、ぜひひとつ窓口をふやしていただくということと、それからまだ知りませんからぜひ周知徹底を図っていただきたい。  それとあわせて、普通の物の売買等の領収証等については収入印紙を張るわけですけれども、戦前は貯金切手等もあったわけですが、郵務局長、どうでしょうか、電子郵便の場合はただ金を払うだけですわね。手紙の場合は切手が張られて配達されてくるわけですけれども、電子郵便の場合はそれがない。その申し込みといいますか、購入というのですか、それをされたものについてはいま五百円ですか、その五百円の特別郵便切手を発行されて、そして押印をするということが必要じゃないだろうかという感じが私はするわけでありますけれども、ぜひこれもひとつ検討というよりも、そういう実施をしていただきたいなという強い希望を申し上げておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  195. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 電子郵便の需要を伸ばす上からも、ただいまの先生の御提案は大変興味深いものだというふうに思いますが、現在先生御提案と同じようなパターンの取り扱いに料金別納がございます。これはあくまでも一たん買っていただいた切手を郵便局に納付するという形でございまして、電子郵便切手というものを仮に発行いたしましても差出人の手元に戻らないというような形になりますので、先生御提案のように料金納付の証として差出人の手元に残るというような形にするには、料金別納との関連を考えますときわめて厄介な問題が起こるのではないかというふうにただいまのところ考えておるところでございます。
  196. 後藤茂

    後藤分科員 これはひとつ研究しておいてほしい。窓口がまた繁雑になってめんどうだということになるかもわかりませんけれども、まだいま一日に二百通ぐらいということで、でしたらそのくらいのサービスはしてやっていいのじゃないだろうかという感じもいたしますので、要望を申し上げておきたいと思います。  最後に、もう時間になりましたので一、二点だけこれまた要望しておきたいのですが、ことしはマルクスが死んで百年ということで、主として社会主義国ですが、この間ニカラグアで、第三国がマルクスの死去百年の切手を出しております。日本でこれを出せということを申し上げているのじゃないのですけれども、大体歴史的に一つの大きな役割りを果たしてきているあるいは歴史に大きな影響を与えてきているというのは、各国ともその人を顕彰する切手を発行しているわけです。大臣、これはひとつ、これまでも私は何回もこの分科会で申し上げているわけですけれども、日本でも数多くの先覚者、歴史的な足跡を残された方々がいるわけでありますから、ぜひひとつそういう方々を顕彰をする、生誕百年あるいは死去百年、何百年というこういうような記念の切手を出してやっていただきたい。生存者の場合には最近では文化勲章等とかあるいはいろいろな表彰の制度もあるわけですけれども、もうすでに亡くなられた方で、今日の日本を築き上げてくる歴史的な大きな足跡を残している人に対して、やはり切手発行の中で顕彰していくということが大切だろうと私は思うのです。これは毎年考えさしてくれとか検討したいということのお答えをいただいているわけですけれども、大臣、ぜひひとつこの点をお願いを申し上げておきたい。  まだたくさん申し上げたい点があるわけですが、もう一点は、最近、中曽根総理も緑をふやそうというようなことを提案をされ始めてまいりました。たとえばリヒテンシュタイン等はコケの切手まで出しているわけですけれども、最近野草を見直していく、乱開発の中で野草が踏みにじられ、なくなり始めてきているということから、野草を見直していこうというような声も上がってきている。素朴ですからなかなか切手の図案にはむずかしいかもわかりませんけれども、こういった日本の野草等に対しても、あるいは緑に対しても、もっと目を向けた切手発行を考えていただきたい。  この二つの点について、ひとつ大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  197. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 国民に感謝をされたといいますか、歴史上功績のあった人物の切手発行という点は、実は私も事務当局に人物シリーズのようなことも考えてみたらどうかということを言っておるのでございますが、後藤委員のお話は、生誕何百年とかいうような記念の意味のものの御指摘があったようでございますが、やはり日本の歴史上大きな功績のあった人たち、そういう人たちの顕彰の意味を含めた切手の発行は私も好ましいことだというふうに考えておるのでございます。  それから緑の運動が行われることになったわけでありますが、いまも植物類の切手もあるわけでございますけれども、もっと、何といいますか、失われていく緑を思い返すというような意味の切手もまた考えていいのではないか。なかなか選択に非常にむずかしい問題があるわけでございますが、郵政省の知恵もしぼってひとつ考えさせていただきたいというふうに思います。
  198. 後藤茂

    後藤分科員 終わります。
  199. 越智伊平

    越智主査 これにて後藤茂君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして郵政省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時四分散会