○松井(和)政府委員 確かに御指摘のように、将来、航空輸送需要は現在の五十万人台という数字から見ますとかなり大幅に伸びるんではなかろうかと私
どもも想定をいたしております。
実は、これはある方の研究でございますが、
国鉄の所要時間と、それからその区間を利用されるお客様の
国鉄、航空のシェアというものを一つの表にまとめてみますと、横軸に
国鉄の所要時間をとり縦軸に航空のシェアをとりますと、ある一定の放物線が描かれるわけでございまして、その線をたどってまいりますと、
国鉄の所要時間が五時間を超しますと航空のシェアが五〇%になるという数字が出ております。これはもちろん二つの地点の間に海があるかないかとか、鉄道に急行が走っているかいないかとか、いろいろな
条件があって一律ではございませんが、そのような数字が出ておりまして、
国鉄の所要時間が八時間になりますと航空のシェアは七五%、つまり四分の三になるという一つの報告がなされております。
ところで、東京—広島について見ますと、先ほど申しましたように新幹線の所要時間は約五時間ということでございますが、現在の航空のシェアはまだ一〇%台でございます。したがって、もしもそのある方の研究が正しいとするならば、東京—広島間を行ったり来たりされる旅客の五〇%近くが航空に移ってもおかしくはないということになるわけでございまして、もちろんそのとおりになるということではございませんが、そのようなことで、供給力をつければなお需要はついてくる路線ではないかと私
ども考えておるわけでございます。
そういうことで、現空港のままでは今回の767の就航が限度でございまして、それ以上の航空機の就航は不可能でございますので、私
どもといたしましても、今後一体どうしたらいいだろうか、ある程度中長期的な問題かもしれませんが、広島の空港のあり方ということを実は五十五年から二カ年で県と
協力をして検討したわけでございます。
その検討の中身でございますけれ
ども、一つは、現在の広島空港を、多少お金はかかるかもしらぬけれ
どもさらに沖に出すという案が
考えられます。それと、さらに別の場所に新空港を設置するという、この二つの
考え方で調査をしたわけでございます。
そのうち、現空港を沖の方に延長するという案につきまして
建設の可能性をいろいろ探ったわけでございますが、非常に金がかかるということが一つ。もう一つは、現在の広島空港は誘導路がございません。滑走路が一本で、滑走路におりた航空機は滑走路端で旋回をして、また滑走路上を戻ってエプロンに入るということになっています。沖出しということだけではなくて、空港の効率性を
考えますと、もう少し空港にいわば幅を持たせなければいけません。ところが、その土地がなかなかこれはむずかしいということでございまして、新空港の沖出しによる
建設というのは大変むずかしいという結論になったわけでございます。
しからば、新しい場所についてはどうかということでございますが、これにつきまして、県の方でも数十カ所の場所を
選定されまして次第にふるいにかけていかれましたが、最終的には数カ所にしぼられ、それがさらに最終的なふるいで二カ所にしぼられたわけでございます。一カ所は広島市の東方約三十キロの位置にあります洞山地区と言われるところであります。それから残り一カ所が同じく広島市の東方約四十キロにございます本郷地区、この二カ所が一応適地ではなかろうかという
選定がなされたわけでございます。
こういう調査結果を踏まえまして広島県、広島市は、地域社会と空港とのいわば調和ある発展と申しますか、
地元に受け入れられる空港をつくりたいという意味合いから、県民各層の代表者をお集めになりまして、学識経験者を加えて
協議会をおつくりになって、適地の
選定について諮問をされたわけでございます。その結果、昨年の七月になりまして、現空港の有効活用によって当面の需要には対処する、しかしながら中長期的な需要の増大に対処するためには新空港の
建設が必要だ、ただ、候補地二カ所については今後さらに現地調査を重ねて、
行政サイドにおいて決定をすべきである、こういうような答申が出されたわけでございます。
私
どもといたしましても、今後、これは第二種空港でございますので国の設置、管理する空港でもございますので、県あるいは市と十分連絡をとりながらさらに調査を進めていきたいと
考えておる次第でございます。