○
広瀬分科員 大臣から慎重にという言葉がございました。これは国土庁長官も、国土、特に過疎地域振興特別措置法というものを所管しておるわけです。過疎地の振興、住民の生活を守るあるいは福祉を守る、その上に雇用の増大、地域産業の発展というようなことでいわゆる過疎振興法ができておるわけでありますが、そういうような立場からいって、一方においては過疎をつくらないようにしよう、そして一定の国家
助成もしたりあるいは過疎債の発行によっていろんな
事業をやることによって、過疎地域をできるだけ過疎過密という極端な形、レイアウトじゃない、国土のバランスのとれた発展を願おうという政策が強力に進められている一方において、国鉄の路線を廃止することによって過疎地域がさらに一層決定的なものになって、救いようのないゴーストタウン的なものをつくる。
政府の同じ施策として、一方において過疎
対策を進めながら、過疎を決定的にするそういう施策が行われるということは、いかにもこれは政策の整合性を欠く問題ではないかという私の質問に対して、そういう意味で
局長の答弁は、もはや人口二千台になったら、本当に過疎法の第一条の目的とする、集約的に述べられているそういう問題と全く矛盾することにもなりますということを認められて、これは国土庁の立場からもこの問題については重大な
関心を払って、運輸
大臣とも十分話していきたいという気持ちも表明されておるわけでありますから、通産
大臣の御意向あるいは国土庁長官のそういう過疎問題からのアプローチ、こういう問題もぜひひとつ運輸
大臣としても十分お聞きになっていただきたい、こういうように思うわけです。
それからもう
一つの
問題点。これは足尾銅山は、本来ならばああいう素材産業なんというものは、しかも国内に銅鉱石がもうなくなって、ほとんどアフリカ方面などから大量の、しかも重量の銅鉱石を輸入する、したがって、内陸では非常に不経済であることは常識的に考えられることなんですけれ
ども、その不利をカバーして自溶製錬技術という、私も技術屋ではありませんからその詳しいことはわかりませんけれ
ども、これは世界に冠たる技術であるというのですね。しかもそれは足尾銅山で開発した技術であり、その技術をいま欲しいといって引き合いが来て、ひとつ指導してもらいたい、供与してもらいたいというようなことを要求している国が十カ国にも及ぶということなんですね。それで、あそこのそれが壊滅をするというようなことになったら、足尾でやっておったものがすぐそれじゃ臨海工業地帯なり臨海地帯の船着き場に近いところに立地ができるかどうか。これは亜硫酸ガスが出るとかあるいは濃硫酸が製錬の過程ででてくるというような問題もありまして、それだけ世界に冠たる技術も失われていくような一面もある。
〔
主査退席、
沢田主査代理着席〕
それからもう
一つの
問題点は、これはもう何回も議論をしたことでありますが、いままでレールの上を濃硫酸という劇毒物を運んで、しかもこれはいろいろ使い道があるわけであります。肥料
関係、無機薬品
関係、繊維工業
関係、紙パルプ
関係あるいは輸出というようなことで用途があるわけですが、これがいままでレールの上を安全にタンク車で運ばれて、しかもいま申し上げたようなそれぞれの業種の工場に、肥料工場にあるいはパルプ工場にというようなことで、タンク車で三十トンあるいは三十五トンという大量が一定の設備でレールの上を安全に通っていって、そして工場の中の引き込み線に入って工場用のタンクの中は入れられるという、きわめて安全性を持った輸送が今日まで行われてきたわけです。しかし足尾線が撤廃されたら、これは全部タンクローリー車といういわゆる路面交通、道路交通に転換せざるを得ない。その数は大体一日五十両近い、四十八両ぐらいには最低でもならざるを得ないだろう。そういうような危険物を安全にしかもコストを安く輸送するということは、これはやはり国鉄の
一つの使命ではないのか、安全にしかも低廉な価格で。タンクローリー車で道路交通に行ったら、トン当たり一万四千三百円ぐらいにふえるだろうという試算があるわけであります。これは通産省にも確かめたのですが、大体一万四千円程度かな、こう言っております。それだけコストアップになる、そういう
関係もある。これはもう大変なことであります。一日四百四十トンぐらい出るといたしまして、これをまあ単純に算術計算をしてみましても、年間では二十七億ぐらいコストアップになるということであります。これは実は通産省にも
数字を確かめてきたのです。そういうような面もあるのですね。
しかも今度は、これは建設省、
大臣を呼んで十七時からまた第八分科でやるのですけれ
ども、そういう中で道路にそういうものが加わる。しかも、輸送するあれが平均二百五十キロぐらいの距離だというのですね。これはやはり全国レベルよりも遠い距離を運んでいるわけであります。これが市街地を毎日五十台も出て、帰りの車はまあ危険じゃありませんけれ
ども、帰ってくるというようなことで、道路混雑をさらに助長し、交通麻痺に力をかす、まあこれだけで一気に道路交通が麻痺するということではないでしょうけれ
ども、そういう濃硫酸という劇毒物を積んだタンクローリー車が足尾から両毛線の沿線の桐生に出る。あるいは上信越方面にも二、三〇%行っているわけですから、その場合には伊勢崎であるとか高崎であるとか前橋であるとか、そういうようなところも通過をする。それから東海あるいは東北地方に行くというようなことになりますれば、桐生はもちろんですが、両毛線の足利あるいは栃木の小山、宇都宮というようなところを通過していくわけです。市街地でそれがひっくり返って
事故でも起こしたら一体どうするのですか。そういう点で、本当にこれはどうなのかということで、万全の安全輸送
対策が講じられているかどうかというような点も非常に心配であるということも私は質問をしたいわけなんです。
そういう非常に困難な、危険な、しかもいま国鉄で運べば大体平均的にトン当たり四千円だというのです。それが一万四千円になるのですよ。これはもう三倍以上、四倍になるわけですね。そういう三倍以上、四倍近くの輸送コストがかかるということも積算されている。こういうことだったら、国家目的、国家の
役割りというようなことからいえば、いま国鉄の財政
状況が悪化しているというような中でも特別な配慮があってしかるべきであろう、こういうように思うのです。それらの
問題点についても
大臣の所見をひとつお
伺いをして、なるべくならばそういう特殊事情を考慮をされて特別な扱いをすべきであって、やみくもに基準に達しないから廃止してしまうんだということは、それらの諸点を総合してこれはもう高度な政治判断をされてしかるべき問題ではないかというように思うのでございますが、いかがでございますか。
〔
沢田主査代理退席、鴨田
主査代理着席〕