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1983-03-04 第98回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十八年三月三日(木曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月三日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       越智 伊平君    金子 一平君       鴨田利太郎君    堀内 光雄君       沢田  広君    中路 雅弘君 三月三日  越智伊平君が委員長指名で、主査選任され  た。 ────────────────────── 昭和五十八年三月四日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 越智 伊平君       鴨田利太郎君    堀内 光雄君       沢田  広君    山花 貞夫君       小沢 和秋君    瀬長亀次郎君       蓑輪 幸代君    兼務 上原 康助君 兼務 小林  進君    兼務 清水  勇君 兼務 新村 勝雄君    兼務 新盛 辰雄君 兼務 野坂 浩賢君    兼務 日野 市朗君 兼務 広瀬 秀吉君    兼務 渡部 行雄君 兼務 有島 重武君    兼務 鈴切 康雄君 兼務 玉城 栄一君    兼務 春田 重昭君 兼務 小沢 貞孝君    兼務 塩田  晋君 兼務 中野 寛成君    兼務 西村 章三君 兼務 岩佐 恵美君    兼務 伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣審議官   林  淳司君         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸大臣官房長 犬井 圭介君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸大臣官房会         計課長     大塚 秀夫君         運輸省海運局長 石月 昭二君         運輸省船員局長 小野 維之君         運輸省港湾局長 松本 輝壽君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省航空局長 松井 和治君         海上保安庁長官 永井  浩君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    藤田 健次君         警察庁刑事局捜         査第一課長   三上 和幸君         防衛庁経理局施         設課長     大原 重信君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  田中  滋君         防衛施設庁施設         部施設補償課長 甲斐 三郎君         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         文部省学術国際         局研究機関課長 重藤 学二君         厚生省社会局更         生課長     池堂 政満君         通商産業省生活         産業局繊維製品         課長      竹内 征司君         運輸省航空局飛         行場部長    栗林 貞一君         運輸省航空局技         術部長     長澤  修君         運輸省航空局管         制保安部長   川井  力君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      中村  哲君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     青木 正次君         建設省都市局特         定都市交通施設         整備室長    椎名  彪君         建設省都市局都         市緑地対策室長 坂本新太郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本国有鉄道常         務理事     坪内 享嗣君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   吉村  恒君     ───────────── 分科員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   沢田  広君     山花 貞夫君   中路 雅弘君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     沢田  広君   藤原ひろ子君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     三谷 秀治君 同日  辞任         補欠選任   三谷 秀治君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     小沢 和秋君 同日  辞任         補欠選任   小沢 和秋君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     小沢 和秋君 同日  辞任         補欠選任   小沢 和秋君     蓑輪 幸代君 同日  辞任         補欠選任   蓑輪 幸代君     中路 雅弘君 同日  第一分科員上原康助君、日野市朗君、春田重昭  君、塩田晋君、伊藤公介君、第二分科員小沢貞  孝君、中野寛成君、第三分科員盛辰雄君、第  四分科員小林進君、有島重武君、玉城栄一君、  岩佐恵美君、第五分科員新村勝雄君、野坂浩賢  君、第六分科員鈴切康雄君、西村章三君、第八  分科員清水勇君、広瀬秀吉君及び渡部行雄君が  本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ────◇─────
  2. 越智伊平

    越智主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分料会は、運輸省及び郵政省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省所管事項説明は、両省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算運輸省所管について政府から説明を聴取いたします。長谷川運輸大臣
  3. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 昭和五十八年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二千五百八十三億三千二百四十二万八千円であり、歳出予算総額は、他枠省管計上分一千百八十五億一千三百三十三万八千円を含め、一兆五千百八十九億四千七百九十七万一千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で二・三%の減少になっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆七千七百六億八千六百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千三百六十三億八千六百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百七十一億八千百万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千五百二十四億五千七百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十八年度財政投融資計画中には、当省関係公社公団等分として一兆七千四百十五億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道事業再建推進することといたしております。  国鉄の事業再建につきましては、昨年九月に閣議決定した「日本国有鉄道事業再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」に基づいて、職場規律の確立、新規採用原則停止設備投資の抑制、貨物営業合理化地方交通線整理促進等緊急対策推進に努めているところであります。  五十八年度におきましては、運賃改定は見送り、積極的な営業施策の展開により収入の確保に全力を挙げるとともに、予算人員二万二千六百人の縮減を初め、工事規模の大幅な圧縮等経費の節減に一層の努力を傾注することを前提として、総額七千三十億円の助成を行うことといたしております。  第二に、交通基盤施設等整備を促進し、国民生活安定向上を図るため、港湾、海岸及び空港の各部門について、五カ年計画に基づいて、それぞれの事業計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。  また、鉄道につきましては、東北新幹線の都心乗り入れ工事都市高速鉄道整備等推進することとし、整備新幹線の今後の進め方につきましては、従前からの方針に沿い、関係機関等協議をしていくことといたしております。  第三に、海運造船対策といたしまして、貿易物資安定輸送確保するため、財政資金により外航船舶整備を促進するとともに、造船業経営安定化のため、船舶輸出確保を図るほか、過剰施設の処理に関する助成を行うことといたしております。  また、船員対策といたしましては、船員雇用対策及び船員教育体制等整備を積極的に推進することといたしております。  第四に、広域化、多様化する海上警備救難業務に対処し、船舶航行安全体制を確立する等のため、巡視船艇及び航空機整備推進するとともに、海洋情報システム整備を進めるほか、海洋調査充実強化を図ることといたしております。  第五に、経営改善努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体協力して助成を行い、国民日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  第六に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、広域的な気象観測に重要な役割りを果たす静止気象衛星三号の打ち上げ計画を引き続き推進するとともに、地震・火山対策交通安全対策交通被害者救済対策空港周辺対策等充実強化を図ることといたしております。  このほか、国際海上輸送路整備等のための国際協力推進するため、所要の調査を行うことといたしております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和五十八年度運輸省予算説明」及び「昭和五十八年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和五十八年度の運輸省関係予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 越智伊平

    越智主査 以上をもちまして、運輸省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  5. 越智伊平

    越智主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
  6. 山花貞夫

    山花分科員 私は、調布にあります場外離着陸場一般調布飛行場と言われておりますけれども、これにかかわる問題につきまして若干の質疑を行います。  まず初めに、一言伺いしておきたいのですけれども、二月の二十二日早朝、調布飛行場に駐機してあります飛行機百四台につきまして、ほとんどの機体、タイヤ損壊されるという事件が起こっております。  まず、運輸省航空局にその実情について、駐機数被害内容等をお伺いをいたします。
  7. 松井和治

    松井(和)政府委員 本年二月二十二日の朝のことでございますが、調布飛行場に駐機をいたしております航空機タイヤパンクをしているということが発見をされました。調査をいたしました結果、駐機いたしておりました小型航空機百五機のうち百四機のタイヤと、駐車中の自動車三台、これは私どもの車一台、気象庁の車一台、民間会社の車一台でございます。その自動車三台のタイヤが、すべてきりのようなもので刺されて、パンクをしているということが判明をいたしました。格納庫に入っておりました修理整備中の小型航空機が別途二十二機ございますが、これは被害を受けておりませんでした。  こういう状況に対応いたしまして、警察現場検証が行われまして、その後警察当局による捜査が進められておるわけでございます。  私どもといたしましては、空港長が直ちに関係小型機使用者等を集めまして、対策協議をいたしました。同時に、被害を受けました航空機につきましては、タイヤの補修だけではなくて、念のために、そのようないたずらがほかの部分に加えられているおそれもあるということから、オイル、燃料、エンジン部分、脚の部分といったような部分につきまして特に留意をして、航空機の十分な点検を行わせたわけでございます。同時に、整備も実施させまして、その実施が終わったということの報告がなければ運航できないというようなことで指示をいたしました。昨日現在でございますが、被害機百四機中百一機が点検整備を終了したという報告を受けております。  以上でございます。
  8. 山花貞夫

    山花分科員 かなり大がかりな事故ということになると思います。当然捜査関係も進んでいると思いますので、念のため警察庁捜査状況についてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 三上和幸

    三上説明員 ただいまのお尋ね事件につきましては、警視庁で現在捜査をいたしております。  タイヤ痕跡等から判断をいたしまして、使用した凶器の種類は鋭利なきりのような刃物と認められますけれども、詳細は調査中であります。  なお、同飛行場周辺を管轄する調布、府中、三鷹、小金井の管内におきましても、路上あるいは駐車場駐車中の自動車タイヤが鋭利な刃物で刺される事件が多発しておりますので、これらの事件との関連も含めまして、現在捜査をいたしておるところでございます。
  10. 山花貞夫

    山花分科員 警察庁一言だけつけ加えて御説明していただきたいわけですけれども、当時駐機していた飛行機のすべてについて被害があったのではなくて、一部被害を受けなかったものもあると伺っております。そういう実情があったのかということが一つ。  もう一つは、飛行場だけではなく、周辺タイヤ事故があったということでありますけれども周辺警察署のそうした被害状況について付言していただきたいと思います。
  11. 三上和幸

    三上説明員 場外に駐機をいたしておりました飛行機のうち、外れにありました一機が被害を受けておりません。  また、関連をして捜査をいたしております自動車に対する損壊といいましょうか、タイヤパンク状況でございますが、昨年の一月ごろからでございますが、これまで五百六十四台、二千九十二本が損壊をされております。
  12. 山花貞夫

    山花分科員 もう一つ確認をしておきたいのですが、一機だけ被害を受けなかったということですが、被害を受けた機数ですけれども警察庁調べでは百三機でしょうか、百四機でしょうか。
  13. 三上和幸

    三上説明員 私ども把握をしておりますのは、小型飛行機百四機のうち百三機のタイヤ被害に遭っているというふうに把握をいたしております。
  14. 山花貞夫

    山花分科員 いま伺ったところでは、実は警察庁の方の調べ運輸省航空局調べ数字が違っているわけでありまして、運輸省は百五機ということになっているのですけれども、この点、一体どうなっているのか。実は新聞報道でもそこのところがいささかのばらつきがあったわけでありますけれども、問題は、この飛行場の駐機の枠は百四機のはずでありまして、警察庁の話はよくわかるのですが、百五機ということになりますと、本来の駐機枠を超えて駐機していたということなのかどうか。この辺、運輸省の方はわかりますか。
  15. 松井和治

    松井(和)政府委員 私ども事故後の空港長からの報告に従った数字をただいま申し上げたわけでございます。  お尋ねの百五機と百四機の関係につきまして、現在私ども把握をいたしておりませんので、後刻調査をさせていただきたいと思います。
  16. 山花貞夫

    山花分科員 問題は、いまの機数把握ともかかわると思うのですけれども、こうした調布飛行場安全面管理面について若干の問題をこれまでの経過から感ぜざるを得ないわけであります。  実は、たまたまこれは飛行場内の飛行機タイヤパンクさせられたということでありますから、第三者に対する被害というものは起こっていないわけですが、ここ三、四年、この調布飛行場にかかわる航空事故が非常にふえているということについて関心を持たざるを得ないわけです。  五十五年以降ですけれども、五十五年一月二日には、調布飛行場に向かう飛行機が三重県に墜落いたしまして、四名の死亡事故。八月の十日には、調布中学校墜落をいたしまして、二名の死亡事故。これはまさに新宿から十五分という至近距離にある周辺都市の市街地の真ん中に落ちた事故でありまして、大変大きな問題となりました。同年十二月五日には、調布に向かう飛行機が青森県に墜落をいたしまして、このときは死亡者なしであります。しかし、翌年に入って三月十一日、飛行場内に着陸した飛行機事故を起こす。五十七年十月二十一日には、これはつい最近のことでありますけれども調布飛行場を離陸した後、松戸付近飛行機不時着をいたしまして、一名死亡という事故が起こりました。  過去十年ほどの事故調べてみますと、調布飛行場を飛び立ったり向かったりした飛行機調布市内墜落したのではなかったので、それほど問題にならなかったわけですが、この五十五年八月の調布中学校に落ちました事故は、私も事故直後に駆けつけましたけれども、一呼吸おくれますと、学校の校庭で子供たち野球を始めて大事故になるところであった。たまたま日曜日で、私の知っておるところでは、野球を始める時間が、監督さんが時間にちょっとおくれたものですから野球が始まっていなかった。いろいろな僥幸が重なりまして、子供たちの集まっている真ん中に落ちましたけれども、まだ野球が始まっていないので、乗員二名の死亡で済んだということから、事故に対して関心が大変高まったところであります。  この問題については、事後、運輸省といたしましても、飛行停止を命じて安全対策についてかなりの努力をされた、そして、それまでわれわれの要求してまいりました幾つかの問題点について適切な措置をとっていただいた、このことについては評価をするにやぶさかではありません。しかし、今回また事故が起こったことから、また新たな問題が幾つか出ているのではないかというように考えます。  五十七年十月二十一日の事故につきまして、事故概要事故原因が明らかになったのかどうか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  17. 松井和治

    松井(和)政府委員 御指摘のように、調布飛行場関東地区における唯一と言ってもいい小型機の専用の飛行場でございます。しかしながら、周辺市街化が進んでおりますので、私ども周辺地区との調和を図るべく種々努力を重ねてまいっております。その一つとして、安全対策十分気をつけるようにということを常々指導しております。五十五年の事故は、まことに、御指摘のように、私どももあの事故が起こりましたときに、大変ショックを受けたわけでございまして、特にあの事故以来、注意を重ねてきたわけでございますが、御指摘の五十七年十月にまた事故が起こったということは、まことに遺憾千万に考えております。  この事故は、昨年十月二十一日、個人の所有しておりますパイパーという航空機でございますが、これが調布飛行場から慣熟訓練のため千葉方向に向かいました。千葉松戸付近の江戸川の河川敷に不時着をいたしまして、小型機は大破し、乗員一名が死亡いたしました。そのような事故が起こったわけでございますが、その原因につきましては、現在、事故調査委員会の方で原因を究明中でございまして、まだ明らかになる段階には至っておりません。
  18. 山花貞夫

    山花分科員 いま御説明がありまして、慣熟飛行のために千葉方向に向かった、こういうお話だったわけですけれども、実は、当該飛行計画概要フライトプランの一部のものと思いますが、拝見いたしますと、調布空港を十四時三十分に出発いたしまして、速度百二十ノットで訓練空域まで飛行して、訓練終了後再び調布空港に十六時五十分に帰着する計画である、こういうように伺っているわけであります。実は、訓練空域というのは定まっておるわけでして、調布飛行場から北方に飛ぶということであります。いま御説明がありましたとおり、千葉県に飛んだというのは、どう考えてもこの飛行計画に――従来問題となっております、遊覧計画などに使ってはいけない、正当な必要性ということが必要なんだ、場外離着陸場でありますから、大臣の許可とのかかわりもありますが、そういう問題点があったわけでありますけれども、この飛行の場合には、事故そのものに対しては、大変お気の毒な事故でありまして、哀悼の意を表する次第でありますけれども、どう考えても、飛行計画大臣の承認のあった慣熟訓練ということで、訓練空域に行こうとしたのではなくて、東京二十三区を回って千葉県の方に行って墜落をした、こういうケースではないかと思っているわけであります。  地元といたしましては、飛行場暫定使用の条件、要件といたしましていろいろ御説明をいただいたところを尊重してこれを認めているという現状でもあるわけですけれども、プライベートな飛行とか遊びのための飛行、こういうものについては厳に戒めていただきたい、回数を減らしてもらいたい、こういうようにお願いしてきているところでございます。  いま御説明いただきましたとおり、慣熟飛行ということでありながら千葉県に向かったというのはいかにも疑問でありますし、やはりこれはきわめてプライベートな飛行という側面があったのではないかというようにわれわれは把握しているわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  19. 長澤修

    長澤説明員 ただいま先生指摘がございましたように、この飛行機は、調布を離陸いたしまして、調布北方にございます訓練空域の方へ向かって出かけて、そこで訓練を終了して帰ってくる、こういう飛行計画空港事務所の方に出されておりまして、空港事務所の方ではそういう前提フライトプランを受け付けております。しかしながら、ただいま先生指摘のように、この飛行機千葉県の方で事故を起こしておる状況でございます。この点につきましては、空港事務所におきましては、遊覧飛行は平日と言わず日曜・祭日と言わず禁止するという要領を決めておりまして、厳密にこれを守るように指示をしてきたところでございます。しかしながら、現実に事故千葉県の方で起こっておるということで、空港長は直ちに調布空港に駐在しております各事業者あるいは個人機所有者を集めまして、調布飛行場運用要領並びに制限要領の厳守をするようにということを重ねて要求したところでございます。
  20. 山花貞夫

    山花分科員 五十六年度一年間における目的別飛行回数というのをお教えいただいているわけでありますけれども、五十六年度一万二千七百七十三回の飛行のうち、訓練空域往復というのが二千六百九十回、個人フライトというのが一千七百八十二回でありまして、報道の取材とか遭難防止のパトロールであるとか、あるいは航空写真測量等であるとか、いわばこうした必要性が明確なものについてはさておきまして、いまのような訓練空域往復でもプライベートなものが入っているということになりますと、大体三回に一回くらいの飛行機については疑問が出てくる余地があるという問題もあるわけでありまして、いまの点につきましては、従来のさまざまな経過については省略をいたしますが、ぜひ遊覧飛行的な飛行、そういうものについては厳に戒めるという方向監督を強化していただきますことを強く要請する次第であります。  実は、先ほども関東地域におけるこの種では唯一の飛行場と御説明いただいたわけですけれども、本来これは飛行場ではないはずでありまして、飛行場としての資格、航空法上の要件を備えておりません。したがって、安全の施設につきましても、第一種、第二種、第三種の飛行場と比べますと、はるかに劣っているということだと思います。  しかし、飛行回数は従来から日本で一番多い離着陸のある小型飛行場であるというように言われているわけでありまして、最近の資料をいただいたものについて整理いたしましても、若干私が整理したところでは、五十五年の運輸省からいただいた資料でありますけれども、一種の成田とか羽田とか、こういうところは別といたしまして、二種飛行場は全国二十二カ所、平均一日の離着陸回数というものが三十五・六回であります。三種の飛行場は全国四十三カ所、一日の平均的な離着陸回数というのは六・四回ということでありまして、三種の約六倍、一日平均で四十回以上というのが調布飛行場の離着陸であります。もっとも、従来は一日、多い日は二百機くらい離着陸があったわけでして、本当に二分間に一機ぐらい出たり入ったりしたという時期があったわけですが、事故その他の関係もありまして、最近は飛行の数が従来に比べるとおよそ半分くらいに減っている。朝早くから、日の出から飛行機が飛ぶということではなくて、日曜日などは地元の騒音対策も考えていただきまして時間をずらしていただいた、こういうようないろいろな経過があるわけですけれども場外離着陸場という、一種、二種、三種の空港に備えられている安全施設がない飛行場ということを考えますと、先ほどのタイヤ事故の問題もそうですし、今回の事故にかかわる出てきた問題もそうですし、そうした意味におきましては、ここの保安の問題、管理の問題については、そうした問題点を踏まえてひとつ今後も、後の質問の前提として伺っておきたいと思うわけですが、運輸省も決意を持ってやっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  21. 松井和治

    松井(和)政府委員 御指摘のように、調布飛行場におきます離発着の回数というのは数が多いわけでございまして、私どもといたしましては、施設の老朽化を防ぎ、安全な施設整備を行うということでかねがね念願をいたしておりましたが、地元との話し合い等もございまして、かなり施設の補修等がおくれたわけでございます。おかげさまで五十六年度から補修工事に着手することができるようになりました。五十七年度をもちまして滑走路、誘導路等の補修あるいは庁舎、管制塔の整備が行われたわけでございまして、今後も調布飛行場の施設の安全面の強化という点には特に意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  22. 山花貞夫

    山花分科員 重ねてお伺いしておきたいと思うのですが、実は先ほど申し上げましたとおり、最近一、二年の事故といたしましては、調布中学校墜落いたしました大きな事故、そして昨年十月の事故と続いたわけでありますけれども調布中学校墜落した事故の場合には、飛行停止までして場内のさまざまな指導に当たった、安全点検をしたという経過があるわけです。実は昨年の十月二十一日の事故の後には、そのときと比べますと、私の実感ですけれども、いささか甘かったのではないか。手抜かりがあったとは申しませんけれども、その姿勢において、市内で落っこちたのではなくて別のところへ落っこちたのだからということもあって、その後の措置は前回に比べると甘かったのではないか、こういう気がするわけですけれども、この点についていかがでしょうか。
  23. 松井和治

    松井(和)政府委員 私ども事故が起こりました際に種々の対策を講ずるわけでございます。これは同種の事故の再発を防止するということがその目的になることは当然でございますが、五十五年の事故におきましては、先生御案内のように、これは双発機のエンジンの関係事故でございまして、事故直後はもちろんまだ真の原因は確定してはおりませんでしたが、しかし、エンジンに問題があるらしいという推定が私どもとして行われましたので、特に十分念を入れて点検を行うようにということで、御指摘のように飛行停止まで行って総点検を行った。  今回の事故は、場所がどこで起こったかということでなくて、もちろんまだ事故原因は先ほども報告いたしましたように確定はいたしておりませんけれども、いま私どもの推定で考えておりますところでは、そのようなエンジンに起因する事故ということではないようでございます。  そこで、今回の事故にかんがみまして、整備の徹底確認、あるいは燃料、潤滑油の搭載量の確認というようなことを、特に調布飛行場に駐機しております個人あるいは使用事業の方々に厳に空港長から通達したところでございます。  特に、今回事故を起こしました航究機が複数の方の共有の形で一つの会をつくっておられる。「中央線オーナーズクラブ」というようなクラブを組織しておられます。そのクラブの代表者の方には、特にメンバーの飛行の掌握をするようにということを強く要請をいたしました。この後で事故調査委員会の方で事故原因が明確になりました段階で、私ども必要に応じてさらに所要の措置をとる予定にいたしております。
  24. 山花貞夫

    山花分科員 飛行機事故と申しますと、何といっても飛行中というよりは離着陸の際に発生しやすいということでありまして、市街地の真ん中にある安全施設が航空法上の資格を備えていない場外離着陸場という特殊な飛行施設でありますから、周辺の市民としてはその存在に大変強い関心を持ち続けてまいりました。もともとこの飛行場というのは、米軍の基地跡地の問題とかかわるわけでして、きょうは大蔵省関係については御質問するだけの余裕がありませんけれども、その返還がなされた時期、飛行場のおよそ八割ぐらいの地域が東京都の土地、都有地であるという絡みもありまして、これも地元に使わせてもらいたいという声が高まりました。返還当時のことでありますけれども運輸省の方が、とりあえず三年間だけ暫定的に飛行場として使わせてもらいたい、こういうやりとりがありまして、十年余の時日が過ぎている、こういう問題の場外離着陸場であります。  古いところでありますけれども、当時の記憶を思い起こしてみますと、四十七年三月十日に航空局長の方から、「調布飛行場について」ということで東京都知事あて文書が出ました。内容は、「本飛行場の将来の取扱いについては、代替空港の検討等をも含め慎重協議の上別途処理することとし、さしあたり暫定的に飛行場として使用する場合における措置についてご協力を得たく」、こういう申し入れであります。四十七年四月三日、約一月ぐらいたったところで知事から運輸省に回答がありました。暫定的に三年間使ってもよろしいという結論ではあったわけですが、「この場合、飛行場の施設、機能は拡大しない、すなわち、離着陸する飛行機の機種、機数および使用区域は、あくまで現状以下に止めるとともに、必要最少限の補修のほか一切の施設の変更を行なわないことをお約束いただきたい」、こういう返事がありまして、暫定使用が開始をいたしました。以後、今日まで約十年の経過があるわけでありますけれども、この問題につきまして運輸省の方は、代替空港については努力をしているのだけれども、まだ努力中であるというお返事が続いております。  八〇年、五十五年八月十日の事故後のことでありますけれども、このときには、十一月六日、当時の松本航空局長名義の、各市に対する問い合わせに対する回答文があるわけでありますけれども、それを拝見いたしましても、その内容といたしまして、代替空港探しについては一生懸命やっているからもうちょっと待ってもらいたい、こういうお返事でありました。実は当時、われわれも当時の塩川運輸大臣に面会を求めまして、代替飛行場問題について努力をしていただきたいということをお願いしたわけですが、当時、大臣も、市街地の真ん中にこれだけ離着陸の多い飛行場のあることについては問題である、土地の問題もあるわけですけれども、代替飛行場問題については早急に努力をしたいということを約束してくださいました。この飛行場は、申し上げましたとおり土地問題を抱えておりまして、東京都に対して地代にして約十億から十三億ぐらいの地代を払わなければいけないはずでありますけれども、これが払えていないというような形で、根本的な使用権原についても問題があるということがあります。  実は、代替飛行場問題につきまして、従来幾度か経過をお伺いいたしましたけれども、今日までの努力の経過をまず航空局長の方からお伺いをいたしたいと思います。次いで、大臣からこの問題についての基本的な御見解を伺いたいと思います。
  25. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、私どもといたしましては、すでに数年前から調布にかわるべき関東地区における小型機専用空港がとれるかどうかということで調査をいたしております。  代替空港の適地選定というのは、ただ単に一定の面積があればいいということではございませんで、小型機の離発着に必要な空域がとれなければいけない。それから周辺の環境問題を引き起こさないという条件も必要になります。そのような観点で、五十六年度におきまして、小型機空港に必要な基本的条件を整理いたしまして、これを関東地区一円の五万分の一の地形図をもとにいたしまして、設置可能なエリアはどの辺にあるかということの調査を行いました。引き続き五十七年度におきましては、先ほど申しましたように、土地の面積だけではなくて、空域の面から新たに小型機用の空港が設置できる個所がどの辺にあるかというような、空域の条件から見た設置可能エリアを調査をいたしておるわけでございます。  そのようなことで具体的な地名を挙げるのはお許し願いたいと思いますが、関東地区一円にわたりまして幾つかの候補地を私どもとしては考え、さらに詳細な調査を進めていきたいと考えております。何分、首都圏の場合におきましてはかなり広く市街化が進んでおりますために、どうしても必要な空域あるいは地域をとりますと東京からかなり離れた場所にならざるを得ないというようなこともございまして、候補地の選定はなかなか難航しておるということが現実の姿でございます。
  26. 山花貞夫

    山花分科員 大臣からも一言お答え願いたいと思います。
  27. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私も調布飛行場を一、二回乗ったり降りたりしたことがありますが、滑走路なんか余りよくない。そして、いまのように場外離着陸場という、そういうところを知ったわけです。しかも、いまのパンク事件等もありますし、役所といたしますと、場外離着陸場、そして小型、そういう飛行場というのが必要だという認識をしておりますから、役所全体としては、どういうところが適地か、またその需要に合うかということで鋭意いままでもやりましたが、いまから先も、やりたいと思っておりますし、また、調布飛行場についても安全あるいはさくの問題等々、パンクなんかさくがないから起こる、そういう安全の問題等々についても十分に考えてまいりたい、こう思っております。
  28. 山花貞夫

    山花分科員 以上で終わりますけれども、代替飛行場問題については、その折伺ってまいりましたけれども、むずかしい問題とは思いますが、努力していただきますことを要望しておきたいと思います。  ありがとうございました。
  29. 越智伊平

    越智主査 これにて山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。
  30. 新村勝雄

    新村分科員 最初に、交通政策、特に鉄道を中心とする交通政策について、基本的な点を大臣からお伺いをしたいと思います。  それは、鉄道についてはいろいろ問題がございますけれども鉄道の使命というのは大きく分けますと、大都市圏内の通勤輸送が一つ、それからもう一つは、遠距離の旅客輸送及び貨物ということになろうかと思いますが、現在の国鉄の実態を拝見しますと、遠距離輸送及び貨物については、これはむしろ能力がある面では上がっておる、あるいは交通需要に対する一応の能力としては対応する力があると思いますけれども、大都市圏内の通勤輸送については、これは全くのパンク寸前という状態です。私は通勤電車にお世話になっておるわけですけれども、私がお世話になっているのは常磐線、千代田線でありますが、これが全く限界に達しておるという状態です。  こういうことを考えた場合に、鉄道、交通政策として今後どういうふうに能力のアンバランス、需要のアンバランスについて対応されていかれるのか、これをまず最初にお伺いしたいと思います。
  31. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 御案内のように、鉄道というのは、昔は遠距離に行くのに鉄道が便利だということもあったでしょう。しかしそれが、飛行機が発達しましてから遠距離の方は飛行機ということになる。そうすれば、二百キロ、三百キロ、こういうところは最近は鉄道を重点的に使わなければならない。そこに新幹線なども生まれた。同時に、一方、都市化、過密でございますから、日本の電車は、通勤電車は体が斜めになって新聞も読めない、どうにもならぬ、後ろからけつを押してドアの中にたたき込む、こんなことは醜態の限りで、これをいかに緩和するかというところに鉄道の問題があり、また、政府の方もその緩和をするように、いま通勤関係の列車については特別に、都市間交通あるいは通勤の問題等々については、先ほど御説明した予算の中にもそういうものを重点に置くというように考えているところであります。
  32. 新村勝雄

    新村分科員 それに国鉄さんの投資を見ますと、いま申し上げたように、大都市圏内の通勤交通は全く限界に達しておるということで、需要に対応できないということですね。ところが一方では、これはその地域の人たちには申し上げていいかどうかわかりませんけれども、一部の新幹線あるいは一部の新線は、果たしてその必要があるかどうかという疑問さえ持たれておるという状態ですね。ですから、必要なところへは十分な投資をしないで、必要がないとは言いませんけれども、必要度の低いところへ資金が流れておる、こういう実態があると思うのです。  この必要度から言えば、大都市圏内の通勤交通なんかについては真っ先に十分の投資をして、ああいう殺人的な電車を解消していただかなければいけないと思うのですね。その点についてひとつ伺いたい。
  33. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおりでございますから、国鉄を補完する意味で、最近は地下鉄が大変需要があるというようなことも通勤関係のことだろうと思います。新幹線が要らないとかそういう話もありますけれども、これは将来に向かっての国土の均衡ある発展のために――それじゃ、昔東海道新幹線というのが要った、あるいは東北本線なり遠距離の鉄道が要った、その当時はどうだったかというと、やはりそのときそのときの発展の一つの過程じゃなかろうかと思いますし、いま現在は、通勤関係、都市間の輸送というものは、私は、大変大事な問題で重点的にやらなければならぬ、こう思っております。
  34. 新村勝雄

    新村分科員 そこで、具体的な点についてひとつお願いをしたいのですが、大都市圏の通勤輸送のうちで、東京を例にとりますと、東京を中心として、東海道、中央あるいは常磐、総武というふうに放射状に鉄道が出ております。この放射状の通勤の電車、通勤時間にして一時間半から二時間以内の地域、この地域が特に混雑が激しいわけです。たとえば、千葉県で言えば総武線、常磐線、これは統計があると思いますけれども、混雑度はまさに三〇〇%、定員の三倍ということです。特にその中で常磐線が一番ひどいというふうに言われております。というのは、常磐線の沿線が一番人口増が激しいわけでして、現在もかなりのテンポで人口がふえておるわけです。この常磐線が一番交通需要に対して対応がおくれておるというふうに思われるわけです。  そこで、常磐線について伺いたいのですが、六十年の科学博では数千万、二千万とか三千万とかいいますけれども、その程度の利用客をその期間中にさばかなければいけない、こういう要求があるわけですが、これとの関連。これだけではなくて、日常の通勤輸送が困っておるわけですけれども、日常の通勤輸送の解決と、さらに六十年の特別の需要があるわけですから、これらに対してどうなさるのか。私は前にも常磐線の輸送力強化については総裁にもお願いをしておりますけれども、実態を見ますと、その後余り進んでおらないのですよ。これをどういうふうになさるのかを伺いたい。
  35. 永光洋一

    ○永光政府委員 先生のおっしゃいますように、東京の都市交通、特に、いま申されます千葉あるいはいわゆる東京から東北の方でございますが、非常に混雑が激しくて、それに対する通勤対策をどうやっていくかというのは、われわれも非常に頭を悩ましているところであります。  特に常磐線につきまして、非常に混雑が通勤帯に激しいということで、なかなか目に見えないし、はっきりした増強対策がとられていないのではないかというお話でありますが、国鉄の予算の中で通勤対策につきましてはできるだけ意を尽くしておるつもりでございますし、いま申しました昭和六十年の科学技術博覧会との関連もありまして、編成長を十五両にする、あるいはそれに関連するホームの延伸等でできるだけのことをわれわれとしてはやりたい、こういうふうに考えておりますが、実情につきましては、もう少し国鉄の方から御説明をさせていただきます。
  36. 橋元雅司

    ○橋元説明員 ただいま鉄監局長からお話がございましたが、少し詳しく御説明申し上げたいと思います。  まず、六十年の科学技術博覧会の開催に伴う問題でございますが、これは先生御承知のように、三月十七日から九月十六日まで百八十四日にわたって開催されるわけでございます。博覧会御当局の推定によりますと、鉄道の御利用が大体一千万人あるだろう、こういうお話でございまして、そのうち東京方面からおいでになるお客様が約九百三十万人ぐらい、こう推定をされておられます。さらに、その九百三十万人のうち、取手から関東鉄道の常総線ルートでいらっしゃる方が百万人ぐらいおられるということでございますので、問題は、この取手から以遠のお客様、直通旅客等をどういうふうにさばいたらよろしいか、それが八百三十万人程度で、私どもの責任ということに相なるわけでございます。  本来、この輸送は通勤と逆方向であるということから、そういう点では取手まで輸送力は十分あるわけでございますが、問題は取手以遠の問題、こういうことになるわけでございます。博覧会当局ともいろいろ御相談申し上げているわけでございますが、この種の輸送の対応につきましてはいろいろ前提がございます。たとえば、ピーク日がどのぐらいあるかとか、そのピーク日は全期間入場者のうちのどのぐらい集まるのか、そのうちさらにピーク時間二時間ばかりの間にどのぐらいの割合のお客様がおいでになるかというような前提がいろいろございますけれども、私ども、二時間で四万五千人ぐらいのお客様を運ばなければいかぬ、こういうことを考えておるわけでございます。  先ほど鉄監局長からお答えがございましたように、現在の取手以遠の輸送力は、急行が三本、中距離電車が五本ということでございまして、この中距離電車の五本は現在十二両で運転しておるわけでございますが、これを十五両編成に増結をする、さらには臨時に増発を六本ぐらい考えるということになりますと、大体二万二、三千人の定員輸送力がつくわけでございます。これを前提にいたしまして、約二倍程度御乗車をいただけばということで、先ほど申し上げました四万五千人前後の輸送需要に対しては十分対応可能であろう。もちろん、それに加えまして団体臨時列車の運転ということも考えておりますので、博覧会御当局の見込みの需要と申しますかお客様に対しましては、これで十分対応可能であろうと考えておるわけでございます。  それから、ちょっと長くなりますが、常磐線全体の問題でございますが、常磐線は、先生御承知のように、ラッシュ時一時間の運転本数が、まず中距離電車、これは七本取手以遠から上野の方に入ってまいります。これは現在は十二両編成でございます。それから快速電車が、取手から八本、我孫子、松戸からそれぞれ一本ずつ朝始発になっておりまして、これは十両編成で十本ということになります。加えまして、緩行電車が営団千代田線乗り入れをいたしておりますが、これが十両編成で十八本ということでございまして、私どもの輸送力といたしましては大体四万八千人程度輸送力があると考えております。これに対しまして現在のお客様の流れが大体十二万四千人ということでございますので、その混雑率と申しますか乗車効率が二五六%、こうなっております。  先生指摘のように、確かに首都圏の各線区に比べまして常磐線は混雑度が非常に高い、しかもここ数年年率四%から五%の伸びを示しておるということでございます。  そこで、私どもいままで打ってきた手でございますが、四十六年の四月には先生御承知のように綾瀬から我孫子まで線増をいたしまして、それから昨年の十一月には我孫子から取手までさらに線増区間とか複々線区間を延ばしたということでございまして、それに伴いましてダイヤ改正の都度、電車の増結であるとかあるいは編成長の増大ということを進めてまいったわけでございます。特に昨年十一月、ただいま申し上げましたように我孫子から取手複々緑化が完成いたすということでございましたので、朝晩の通勤通学の時間帯に十七往復取手まで増発をいたしました。また、中距離電車につきましても、我孫子―土浦間にデータイムで四往復、あるいは夕方の通勤時間帯に二往復、合計で六往復という増発をいたしたわけでございます。さらに、夕方の通勤時には快速電車を二往復増発するというようなことで、特に昨年の十一月の改正ではかなりの輸送力増強を図ったというところでございます。  今後の問題でございますけれども、やはり先ほど申し上げました六十年の科学博覧会の対策も考え合わせまして、当面中電の十二両の十五両化というのが中心になるわけでございますが、このためにホームの延伸、これは北千住、柏、それから取手以遠の各駅ということになりますし、また土浦に電留線を設けるというようなことで、かなり巨額の投資をいたしまして輸送設備の整備をいたしたいと考えております。ただ、どうしてもやはり常磐線は上野口でネックになっております。申し上げましたように、上野口で一時間に十七本という列車をとるのはこれはマキシマムでございます。さらに日暮里に一分停車というような条件も重なっておりまして、これをさらに電車を増発するということははなはだ困難であります。したがいまして、編成長を増大させる、増車をする、増結をするというようなことで当面対応してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  37. 新村勝雄

    新村分科員 当局の御努力はわかるのですが、そしてある程度改善をされておりますけれども、中電については十二から十五にする、これは結構ですが、これが限度だとおっしゃるわけですね。それから緩行線はどうなるのか。実は、中電ももちろんですけれども、緩行線がひどいようです。これは恐らく三〇〇%になっておると思うのですね。これをどうするのかということですね。  それから、六十年のこれは科学博の対策でもありますけれども、それと同時に、それ以上に通勤輸送をどう確保するかということなんですけれども、現状で満足されているとは考えませんし、望ましい通勤電車の収容度、混雑度をどこらまでこれは許容されるのか、当局としてはどの程度に考えていらっしゃるのか。それから緩行線、特に緩行線の方が、もちろん中電も必要ですけれども、緩行電車についての対策が緊急であるというふうに私は考えますが、いかがですか。
  38. 橋元雅司

    ○橋元説明員 実は、先生、お言葉でございますが、快速電車の混雑度が一番高うございます。次いで中電、そして緩行電車という順でございまして、緩行電車につきましては、営団側とよく御相談申し上げて今後の輸送改善を考えてまいりたいと思っております。  それから快速電車が、やはりこのまままいりますと、二五六%でございますが、あと四、五年いたしますと二八〇ぐらいになるのではないかという推定がございますので、これについては抜本的な改善がどうしても必要ではないか。私どもの望ましい混雑率といたしましてはやはり二〇〇%前後、こう思っておりますので、その辺について今後抜本的な問題の検討が必要かと存じます。
  39. 新村勝雄

    新村分科員 時間がありませんので、簡単に、緩行線についての対策、これはここではだめですか、営団ですから。――では、営団の方へ強くひとつ要請を願いたいですね。  それから次に、電車の安全輸送ということについてですけれども、私あの線を利用させていただいて文句言うのは恐縮なんですが、現在の電車の構造が二五〇も三〇〇%も乗せるような予想はしてないのじゃないかと思いますけれども、早い話が三〇〇%近く乗りますと、もう完全なすし詰めになっちゃうわけですが、それでいて電車にはバスと違ってつり革が不足なんですよ。御承知のように、バスはさすがに動揺も違うでしょうしその他の配慮がありまして、バスに乗っていますと立っていてもどこかに必ずつかまれるわけですよ。上には横棒があるなりあるいはつり革があってどこかにつかまれるということになっております。ところが電車の場合には、乗っていて全くどこにもつかまれないわけですよ。そしていっぱい詰まっている。急停車をする場合もあるし、発進する場合にもこう揺られるわけですね。足がこっちの方で頭がこっちになってしまうというのが常なんです。  それで、実は私の友達のお母さんがそういう電車に乗ったところが、どこにもつかまれないで大変不安定で倒れたのですね。倒れたのかあるいはどこかにぶつかったのか知りませんけれども、打撲傷を負って数日間入院したというのです。こういうことがあるわけですよ。  ですから、混雑するのをすぐに混雑しないようにしろと言っても無理ですから、混雑するのはやむを得ないとしても、少なくともバスと同じように、乗った人がどこかにつかまれるような装置をぜひ至急につくってもらいたいのです。これはもう絶対必要です。そういう苦情は日常余りお受けになりませんか。満員電車に乗ってどこにもつかまれないでぐらぐらやられるほど困ることはないのですよ。特に御老人とかそれから赤ちゃんを抱いたお母さんとかそういう人の場合は困っちゃう。これについて当局はどうお考えでしょうかね。
  40. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 ただいま御指摘のございました乗客の安全対策につきましては、日ごろ私どもハード、ソフト両面からじみちに勉強をし対策をとっているつもりでございますが、先生指摘のように、つかまるところと申しますと、現在、御存じのように、通勤型の電車とかあるいは近郊型の電車、これにつきましては、つり革でございますとか、それからドアの近傍には握り棒をつけておりますし、また、向かい合わせの座席の上下でございますけれども、これには取っ手をつけてございます。そういうことで、揺れた場合におつかまりになるところは一応設けているつもりでございますが、たとえば、昭和の三十年代の初期でございますけれども、国電の中にドアの踊り場に握り棒を中央につけたことがございます。そのときいろいろ問題がございまして、先ほど先生おっしゃいましたように、大変混雑してまいりますと、今度はその握り棒に押されて胸を圧迫されるというようなことがございまして、この間、新しい回生電車をつくりましたときにもそのテストをいたしましたけれども、やはり評判が悪くて、実は中央の握り棒を取ったという経緯もございます。いろいろ私どもも勉強をしているつもりでございますが、今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。
  41. 新村勝雄

    新村分科員 つかまるところをつけるという配慮がまだ大変足りないですよ。これは実際にお乗りになってわかりますけれども、ドアから入って中に入って、向かい合っている座席の方へ進んでいきますと、その上にはつり革がありますね。それから、握り棒というのは、横に握り棒をつけたのではだめですね、上につけなければだめですよ。横につけたのではそれを利用できる人は何人もいないですからね。バスにはちゃんと上につけてありますね、上とか横。少なくとも、満員電車はいつも満員なんですから、乗った人がどこかにつかまれるような配慮がないといかぬですね。ところがいまの電車はどこにもつかまれないという部分がかなり多いのですよ。ですから、横の棒を言っているのではなくて、あれはだめですよ、ほとんど用をなしません。そうではなくて、上に横棒をつけるか、あるいはつり革をつけなければだめなんですよ。  それで、現在の電車につり革は幾つありますか。それも座席の方へ進んでいって、中へ行かなければないのですよ。乗ったところの、踊り場というのですか、あそこの面積はかなりあるのですね。本当ほ乗客はあそこに立っているはずじゃないのですね。ちゃんと中へ進んで座席に座るか、あるいは座る席がなくても中へ進んでつり革に下がるというのが常態ですよね。あそこには乗客がいないというのが想定かもしれませんけれども、実際はそうではなくて、あそこにいっぱい乗るわけですから、あそこに乗った人が困っちゃう。これはひとつ電車を点検してくれませんか。あれではどうにも困るのです。
  42. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 いま正確にはあれでございますが、つり革の数は電車一両当たり六十ないし八十ぐらいだと記憶しております。  先生のただいまの御指摘、私どもいろいろ勉強はしておるのでございますけれども、お客様の居住性と、それからいまの安全をどういうふうに協調していくかというようなことも含めまして、さらに勉強を続けさしていただきたいと考えております。
  43. 新村勝雄

    新村分科員 いや、先ほどの御答弁ですけれども、横棒をつけたと言いますが、横棒をつけるというのは全く乗客の立場を考えないことだし、効果がないのですよ。なぜ上につけないのか、あるいはつり革を全面的に、どこにいてもつかまれるような配慮をしないのかということですね。これがいままで余り問題になっていないということは私は不思議に思うのですね、あれほどいっぱい乗っている電車ですから。その点については乗客は始終困っているわけですよ、揺すぶられるわけですから。それを研究しますなんということではなくて、これは絶対必要です。大臣、どうですか、いま申し上げていることは研究の問題じゃないのです。すぐに、あしたからでもやってもらいたいのですよ。大して金がかかる問題じゃないですから。どうですか、そんな悠長なことをおっしゃらずに、もっと真剣に考えてくださいよ。
  44. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 つり革につきましては、先生御存じのように、私どもは線路方向だけではなくて、まくら木方向と申しますか、線路と直角方向にもつけております。これは入り口の両側でございます。これは、そんなことを言うと失礼でございますが、私鉄ではそれはつけておりません。ですから、そういう意味では私鉄よりもつかまるところは、つり革につきましては一般的には多うございます。しかし、さりながら、先生のおっしゃることも私ども十分胸に畳みまして勉強さしていただきたいと思います。
  45. 新村勝雄

    新村分科員 いや、私鉄がつけてないから国鉄はつけないなんて、こんなおかしな話はないですね。私鉄さんがつけてもつけなくても、それはつけた方がいいとすれば私鉄さんにも勧告したらどうですか。この点大臣、これは本当に緊急の問題ですから直ちに御検討を願います。  それで、この点については、どうでしょうか、その検討の結果をひとつ文書で後でいただけますか。
  46. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 勉強しました結果を文書で御報告いたします。
  47. 新村勝雄

    新村分科員 それで、いまの点は毎日乗客が困っているわけですから、細かい問題ですけれども、やはり細かくないのですよ。そのために押されて倒れてけがをする者もいるわけですから、真剣にひとつ御検討願いたいと思うのです。  以上で終わります。
  48. 越智伊平

    越智主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 まず、野岩線についてお伺いいたします。  この野岩線は三代にわたって運動、陳情を重ねてきて、ようやくそのめどがついたわけであります。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕 そこで、この野岩線の工事の進行状況をひとつ詳しく述べていただきたいと思います。
  50. 永光洋一

    ○永光政府委員 野岩鉄道は、営業キロが三十・九キロメートルでありまして、開業予定年度を一応六十年度ということにいたしております。それで、昨年から工事をいわゆる第三セクターということで始めておりまして、昭和五十七年度の当初予算額は二十五億円を計上してやっておるわけであります。昭和五十六年の十一月に野岩鉄道株式会社として発足し、これによりまして六十年度以降運営されることになると思います。五十八年度予算につきましては、今後認可予算により検討して決めていきたいということでございます。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この五十八年度の予算の配分については、どのようにお考えでしょうか。
  52. 永光洋一

    ○永光政府委員 御案内のように、いわゆるAB線と申します鉄道新線につきましては、五十八年度予算で百四十億ということで、いまいろいろ審議を願っておるところでありまして、その中で国鉄の新線あるいは第三セクターの該当線いろいろございまして、その中で野岩線が六十年開業ということのめどを含みながら、その配分について今後もし予算が成立しました上におきましては考えたい、こういうふうに考えております。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 六十年度開業と言われますが、五十九年あたりまでに大体見通しがついていると聞いておるのですが、若干早まる傾向はどうでしょうか。
  54. 永光洋一

    ○永光政府委員 今後のAB線関係の新線の予算が将来どういうふうについていくかという問題もございますし、それから野岩線以外の第三セクター、その他の新緑の進捗状況等問題がございますので、いま見通しにつきまして、五十九年も可能かということではございますが、ちょっといまのところはっきり申し上げられません。むしろ六十年度にいけたらという感じではないかと思います。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この野岩線のいわゆる経営主体というのは、第三セクターでやるということを聞いているのですが、その中で実質運営の主体になるのは東武鉄道だろうと思います。その第三セクターの構成の中でそれぞれ果たす役割りについてお伺いしたいと思います。
  56. 永光洋一

    ○永光政府委員 野岩鉄道の出資率は、先生もう御存じと思いますが、福島県あるいは栃木県等々地方公共団体の出資比率がほとんど大半でございまして、当初払い込み資本三億のうち約八割以上が県並びに関係市町村になっております。そこで、金融機関が六・七%、東武鉄道が六・七%という形になっておりますが、実際上の運行の、いろいろな専門的な立場からの運営につきましては東武鉄道が大きな役割りを果たす、こういうふうに考えておりますが、やはり第三セクターとしまして、地元の鉄道として、地域の方々がいろいろな創意と工夫を持ち出されて健全な運営がなされることを期待しておるわけでございます。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、運営の主体が東武鉄道になるわけですが、その際に地方公共団体の果たす役割りは、今後はどういうふうなものについて地方公共団体がその事業の一部を負担していくものか、その辺について少し詳しくお伺いします。
  58. 永光洋一

    ○永光政府委員 いま申しましたように、いわゆる第三セクターという形で地方公共団体が主体になってつくりました会社でございまして、地域の鉄道として、それぞれの地域の方々のその鉄道に対する愛着と、その事業への協力によってうまくいくのではないかとわれわれ考えておりますが、財政的に申しますと、現在の予算の制度の関係で申しますと、もし運営された場合に、当分の間経営状態が非常に苦しいという状況はあるかと思いますので、その間はやはり地方公共団体の方にその赤字経営につきましての補てんといいますか、助成というものを仰がねばならないのではないか、このように考えております。
  59. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この第三セクターというのは、今後永久にその経営権を持続させていくわけですか。それともある一定の段階で、軌道に乗った場合は東北開発株式会社のように純然たる民間に移行させていく、こういうお考えですか。
  60. 永光洋一

    ○永光政府委員 現在まだ野岩あるいは三陸鉄道が建設中でございますので今後の話でございますが、われわれとしましては、やはり地域の鉄道としまして、第三セクターとしてその鉄道が継続されるということを考えておるわけでございます。
  61. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この野岩線の第三セクター方式というものについては、最初は各地元で非常な反対が起こったのです。しかし、全然鉄道がなくなるよりは、どうしてもこれはつくらなければならないということで、その協力を決意してこの第三セクター方式に賛成した。この経緯は十分おわかりだと思います。  そこで、こういう住民の犠牲的精神と申しますか、そういう中でいまの野岩線は支えられてきて、しかも政府は多額の予算をここに出して工事を進めてきたわけです。そういうさなかにこれと連結している会津線を廃止する、こういうことを政府からおっしゃられる、国鉄側もそういうことを発表してやられると地元の人は何が何だかわからなくなる。会津若松から荒海までの鉄道が廃止されたら一体野岩線の生命はどうなるのでしょう。そういう点についてはどのようにお考えですか。これは大臣ひとつお願いします。
  62. 永光洋一

    ○永光政府委員 昨年の十一月に会津線ほか第二次特定地方交通線の選定の承認申請がございまして、現在関係知事へ意見を照会中でございます。それで、野岩線につきまして第三セクターとして皆様方いろいろ御協議され、会社をつくり、そして現在鉄建公団で建設をいたしておりまして、六十年度から地元の鉄道として運営をしていこう、こういう形になっておるわけでありますが、いわゆる乗車密度が四千人以下の鉄道については、四十線ほどありましたAB線について、国鉄のローカル線対策との整合もありまして、四千人に該当する線が二線ございますが、この二線につきましては鉄道新線としてつくっておったわけでございますが、それ以外のものについては、第三セクターとして地元がやろうというものについては公団として協力して建設を再開しよう、こういう考え方で地元とお話し合いをして第三セクターをつくり、建設を再開したわけでございます。確かに、そういう一つ鉄道の政策の転換に協力したではないかというお気持ちも十分わかるわけでございますが、ある意味におきましては、野岩線の鉄道に対する地元の情熱がそういう第三セクターの生まれたもとではないかとも考えておるわけでございます。それはそれといたしまして、それにつながっております会津線につきましては、五十二年、五十三年、五十四年の乗車密度の基準年度におきます乗車密度から、いわゆる転換対象路線として他の特定地方交通線と同様に取り上げたわけでございます。  他の交通線とは違って、そういう野岩線との絡みがあって特殊ではないか、こういうお考えもあるかと思います。たとえば東北の三陸鉄道におきましても、これがいわゆる特定地方交通線、廃止対象路線、いわゆるAB線と、第三セクターで地元でやろうという線とが交錯しておるわけでございます。そこにおきましても、地元の第三セクターでやる線をつくっても、既存のいわゆる転換対象路線が廃止になればその線は余り意味がないというようなこともあるわけでございまして、地元の方では、これは新線と既存の転換路線と合わせて地元で運営していこうということで、岩手県の方ではそういう考え方でいま現在進んでおられるわけでありまして、今後会津線につきまして第二次選定の申請がありますので、もう少しいろいろな意見を照会しますが、現状では一応基準には該当するのではないかとわれわれは考えております。したがいまして、野岩線と会津線につきましては、地元で全体としてお考え願えたらというふうに現在では考えておるわけでございます。
  63. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは基本的な考え方ですよ。だから私は大臣に聞いたのです。いまどんどんと国費を使って建設して、その先を通らなければこの線は生きないというのにその先の線を廃止する、こういう運輸行政というものがあるだろうか。橋を途中までかけて、あとかけないのと同じですよ。もう少しかければ岸に行かれるものを途中でやめたのと同じじゃないでしょうか。こういう基本的な運輸行政の考え方として、ひとつ説明してください。
  64. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いまこういうふうな路線を持っておる地方からはその実情等々をよく私も聞かされるわけです。この問題については、松平知事なども来られておりますし、また、皆さん方からそういう話があるわけです。局長からもお話がありましたが、一遍に全部特定交通線として指定することもあったろうし、あるいはまた、いまのように第三セクターとしておやりいただき、またそれにあわせて御協議いただく中に何かいい知恵があって、そのままずっと第三セクターとしておやりいただくというふうな姿も路線を残すためにいいのじゃないか。その場合といえども政府とすれば転換金をお出しいたしますという法律的にちゃんと決まったことなどがありますから、鉄道を廃止しないためにはこういう方法もありますという処方せんを書いておるものを、どう御活用いただくかという問題じゃなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、地元の方々の鉄道に対する愛着、輸送に対する期待、そういうものをどういまの時代に生かしていくかということに心から御期待申し上げておるわけでございます。
  65. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは非常にずるいやり方だと私は思います。それは廃止すれば必ず地元は騒いで、そして第三セクターなりあるいはその他の方法ででもいいから残してくれ、こういうふうに考え方が変わってくることを期待してやったことだと思うのですよ。本当に腹の底からこれは一つの基準に合わないから廃止するというものではなかろうと思うのです。地元でも黙っておったら本当に国鉄がそのままそこを廃止してしまうかというと、そうしたらもうおしまいですよ。運輸行政も何もないのです。私は、そういう回りくどい卑劣なやり方というか、そういうことはしないで、初めからもうここは国鉄ではとても経営できない、今度野岩線がここまで来ているのだから、これを野岩線の第三セクターに譲っていきたいがどうだ、何でこういうことを正面から取り上げて、住民を動揺させないように努力しないのか、その辺について構想があればお聞かせ願いたいと思うのです。
  66. 永光洋一

    ○永光政府委員 そのあたりの問題につきまして、地元に非常に明らかになってなかったではないかというような御議論はあるかと思いますし、また、現時点でいま大臣が申されましたように、それを鉄道としてどうやっていくかということを地元でも御議論願うということだと思いますが、実際上は野岩線の問題のときに並行的に地方ローカル線としていわゆる再建法に基づく四千人未満、特に六十年までには乗車密度が二千人未満であるものについては、一定の事由のあるもの以外は転換対象路線にするという一般的な話は進んでおったわけでございますので、そういう意味で会津線につきましてやみ討ちといいますか、そういうようなつもりはないわけでございますので、その点は御理解願いたいと思うわけでございます。  いずれにしましても、この野岩線の今後の建設、運営につきまして、これとの関連で会津線をどうやっていくかということはいろいろ御協議願いたいと思いますが、現段階におきましては、他の地方ローカル線との基準の適合という問題との関連もありますので、特段他の地方交通線の取り扱いで区別をするということはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えております。
  67. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうするとこういうふうに解釈していいでしょうか。この会津線の廃止というのは、これは言葉上のものであって、実際はただ国鉄のいわゆる籍を抜いて、今度はその野岩線なら野岩線の第三セクターに籍を入れかえる、あるいはその施設は無償で譲渡するとか、そういうふうにして経営そのものは変わりなく継続する、こういうふうに解釈していいでしょうか。
  68. 永光洋一

    ○永光政府委員 ちょっと私の方の理解もよくわからない点もございますが、この線をどうするかというので今後いろいろ議論をしていく問題でございまして、いま見通しがこうだと言うようなことはまだちょっと段階として早いのではないかと思いますが、いま申し上げられますことは、会津線だけを他の特定地方交通線と、いわゆるバス転換の措置と異なる形ではなかなか取り扱いにくいということで、あとは今後いろいろ話を地元といたすということではないか、こういうふうに思っております。
  69. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この問題は国鉄の財産だけの問題じゃないのですよ。労働者がいるということを忘れないでもらいたい。国鉄労働者を、ここに働いていた方々を一体どういうふうにしていくのか。第三セクターにそのまま労働者ごと移譲していこうとしているのか、あるいはこの国鉄労働者は一たん他の方に転勤させて、やはり国鉄勤務をそのまま保証していくのか、その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  70. 永光洋一

    ○永光政府委員 もしセクターといいますか、野岩線の取り扱いにつきまして今後そういう経営主体等の問題で議論がありますときには、いまおっしゃいましたような働く方々の身分と申しますか、そういうものは十分に考えてその対策を進めていくべきもの、そういうふうに考えております。
  71. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 とにかく血の通っておる人間がおるということをお忘れないように、しかもいままで国鉄のために一切をささげてきたこれら労働者の方々に対して不利益を与えないように、この機会に私から強く要望しておきます。  時間がありませんから続いてお伺いいたしますが、いまこの会津線の会津若松駅から田島駅までは距離にして四十八キロあるのですが、ここを通る列車は一時間四十分かかっていると言われているのです。その速度は時速三十五キロで走っておる。走っておるのだか歩いておるのだかわからぬくらいだという状況なわけです。しかも、その途中の駅である湯野上では四十分も停車をする、また楢原では二十分も停車する、こういう状況だと地元の人は嘆いて私のところに陳情に来ておるわけですが、こういう停車時間を、これは単線ですから、何ら他の列車との連絡関係で待たせる必要はないわけですよ。こういうものをなくしてそうして列車の速度にしてもスピードアップをするということはできないでしょうか。
  72. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 先生指摘のように、会津線のスピードは確かにおっしゃるとおりでございます。たとえば湯野上の停車時間でございますけれども、私どもでの調べでは三二一Dという列車が二十三分の停車でございます。その他二十分ぐらい停車している列車があと一、二ございます。これは、御存じのように会津線が只見線と競合するところがございまして、これをもし仮に二十分停車をなくそうといたしますと、今度は只見線のダイヤに当たるというふうなことで、やむを得ずこうしたダイヤを組んでおるわけでございますが、できる限りこうした停車時間をなくして、早く到達するような努力はしておるつもりであります。それから、この線区は御存じのように大変古い信号方式でございまして、いまのままではなかなかスピードアップができないというのが現状でございます。
  73. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは、国鉄の専門家に言わせるとまだまだ六十キロくらいは平気でスピードアップはできると言っておりますし、そして只見線との関係は会津若松で調整すればいいので、途中は関係ないですよ、これは分かれている線なんですから。だから、やる気であれば私は二十分なんというそういう停車時間は必要ないと思うのです。会津若松駅で待つのならば、これはお客さんはがまんできるのです。ところが何にもない田舎のそれこそごくちっぽけな駅でこんなに待たせられたのではみんな苦情が出るのはあたりまえだと思うのですが、その点についてお伺いします。
  74. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 御存じのように只見線とは西若松―会津若松というところで競合いたしまして、列車のダイヤは御存じのように両方が競合した場合にどちらを優先するかということでございまして、確かにおっしゃるように分かれておりますから関係はございませんけれども、西若松―会津若松で競合するのですから、その競合をどういうふうに両方が便利なようにするかというところが私どもダイヤを作成する上での悩みでございます。そういった意味で両方の便利性を立てながらつくったダイヤでございますので、何とぞ御了解をいただきたいと思います。
  75. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 列車に乗る方々はそういう理屈はわからないのですよ。問題は自分の目的地に早く行きたいということだけですから。私は営業というのはそういうニーズにこたえるのが営業の一番重要なところじゃないかと思いますが、何かこうやって見ていると、わざわざ国鉄というのはお客さんを乗せないようにして、そうして赤字をわざわざつくっているような感じがするのですよ、こういうやり方は。理屈じゃないのです。二つの分かれた線であれば、こっちはこっちで自由にあなた方のいいように走らせればいいし、こっちはこっちで組めばいいと思うのですよ。ダイヤの連絡で何かそこに調整しなきゃならぬということがあれば別だけれども。これはたとえば郡山駅あたりでやられるならば仕方ないですよ。しかし、全く別な線が会津若松から走っているのに、線は全然競合しないわけですから、合わさらないわけですから、そういうのはもう少しこれは考えていただきたいと思うのです。こういうことばかりやっていると、いよいよ国鉄が国民に向かって協力してくれと言ったときに協力しない、反発が出てくると私は思うのですよ、何を言っているんだと。そういうことで、このダイヤ改正とスピードアップはできる限りお願いしたいと思います。  そこで、時間が参りましたから最後にお伺いしますが、野岩線の工事をいま進めておられますが、この工事が完全に終わってから電化をするということになると、予算が物すごくかかるというふうに聞いておるのです。ところが、いま、工事の中で電化をあわせて進めればそれほどかからぬのではないかという話が地元の人たちの中で語られているわけでございますが、そういう点で、これは工事の中に電化というものも取り入れて新たに構想するお考えはないかどうか。その辺についてお伺いします。
  76. 永光洋一

    ○永光政府委員 野岩線の電化につきましては、東武線の関係がございまして電化について非常に要望が強いことはよく存じ上げておりますが、一般的に輸送密度二千人ぐらいの線でございまして、私鉄あるいは国鉄等から見ましてもなかなか電化という形にはできない。そういう規則があるわけではございませんが、いろいろ問題があるのではないかと思います。電化の問題はまだ今後もう少しいろいろ議論をしたいと思うのであります。したがって、開業までにやった方が手戻りがなくて安上がりなので、どうせやるなら一緒にやったらどうか、こういうお話だと思いますが、これは、私もちょっと専門家ではありませんが、仮に電化ということになった場合も、夜間作業というようなことになるということはあるそうでありますが、それほどの手戻りにはならないというふうにも聞いておりますので、急にいますぐ電化というのはなかなかまだ問題がございますので今後の議論にさせていただきまして、いま申しましたように若干の手戻りはあるかもしれませんが、さほどのことはないというふうに聞いておりますので、その点今後の問題にさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  77. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ひとつ、そういう電化についても大変な要望があり、野岩線が完成すればきっと乗客は物すごくふえると思いますから、ぜひ早急にそういうことが実現できるようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  78. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、春田重昭君。
  79. 春田重昭

    春田分科員 私はハイタク業界の諸問題についてお伺いしたいと思いますが、まずハイヤー・タクシー業界の概況といいますか、現況につきまして御説明いただきたいと思います。  なお、企業の経営状態、また、そこに働く運転手の賃金状態、労務状態、若干労働省にもかかりますけれども運輸省として把握している点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  80. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 最近のタクシーの輸送状況、それから経営状況でございますが、輸送状況は、五十五年度三十四億三千万人の輸送をやっておりまして、五十六年度は三十四億一千万人、対前年比が九九・四%ということになって、減少しております。それから五十七年度に入りましても需要は低迷しているような状況でございまして、五十七年度の九月までの対前年同月比で見てみますといずれも九〇%台でございまして、減少している。ただ、十月以降の最近の数字はわかりませんが、業界紙等によりますと最近は少し伸びているというようなうわさも聞いております。したがいまして、こういうような状況でございますので、人件費、それから物価の上昇、こういうのと相まちまして経営の状況は依然として厳しいものがあろうかと思っております。  それからタクシー運転手の賃金の問題でございますが、これは所管は労働省でございまして私どもの所管ではございませんけれども、一応タクシー事業を預かるものとしてその賃金の状況でございますが、具体的な数字は持っておりませんが、やはり年間の収入というものはまだ一般産業平均に比べて低いのではないかというような考えを持っております。個別の月ごとの、各月ごとの収入というのは、これはタクシーの賃金形態がA型とかB型とかいろいろございますので、一概に月ごとの給与の平均というものは他産業の従業員との比較はできませんが、生涯給与といいますか、退職金、ボーナス、そういったものを含めた全体の給与ではまだ低位に置かれているのではなかろうか、こういうような感じを持っておるわけでございます。
  81. 春田重昭

    春田分科員 輸送人員でございますけれども、ただいま御説明があったように、非常に低下しているわけでございまして、かつて昭和四十五年には四十二億八千万人の輸送人員があったわけでございますけれども、五十四年を境にして年々低下している、減ってきているという状況ですね。また、賃金状況も必ずしも他の企業に比べて高くはないということでございますし、私は、厳しい面にさらされているということで認識しているわけでございます。  そこで、ハイヤー、タクシーの車両の認可の問題でございますけれども、聞くところによりますと、臨調の第三部会報告、また公取の見解では、新規参入の要件の緩和及び許認可手続の簡素化等、車両台数をふやす方向が出されているやに聞くわけでございますけれども、こうした輸送人員が非常に減ってきている現況の中で、ハイヤー、タクシーの車両台数をふやすことが即お客といいますか、消費者の利便につながるか、こういう点で私は疑問を持っているわけでございますけれども運輸省の御見解を承りたいと思います。
  82. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 先生の御質問二つあると思いますが、一つはタクシーに対する事業規制の緩和の問題でございます。先生ただいま御指摘のように、臨調、それから公取、こういうような機関から運送事業につきましての事業規制の緩和の問題についてそれぞれ御提言があったわけでございまして、公取につきましては、昨年の八月に一連のタクシー事業以外の運送事業、それから運送事業以外のいろいろな事業につきましての規制の緩和についての御提言があったわけでございます。その公取の御見解は、要約しますと、できるだけ参入規制等につきましても緩和を図る、それから運賃の規制についても、最高を決めておいて、下の方は野放しで自由に競争させたらいいのではないか、こういうような公正取引委員会というお役所の性格から来る一つの自由化政策を御提案されております。  それから、臨時行政調査会につきましては、第三部会の報告が出まして、まだ本調査会で議論をされておる段階でございまして、調査会の正式な答申としてはまだ世の中に出ていない、こういう状況でございますが、第三部会の報告の中には、事業規制の問題につきましては、利用者の利便の増進、それから事業の経営の効率化、それから事業者の過大な負担を削除する、こういうような観点から、一般論としては事業規制の緩和について取り組むべきである、こういうような御見解を出されております。ただ、個別の業種としてタクシーの問題については部会報告では具体的には取り上げられていない、そういう段階でございます。  それで、私どもの考えでございますが、タクシー事業は、もう私から申し上げるまでもなく、公共交通といたしまして国民生活の中で重要な役割りを果たしておる、そういうことでございますので、利用者の保護、それから事業の適正な運営、公正競争の確保、これを図るためには参入の規制、それから引き受け供給義務、それから運賃の規制、こういう基本的な事業規制というものはどうしても必要である、こういうふうに考えておるわけでございます。そのほかの細かいいろいろな規制がこれはあるかもしれません。それは、不要となった規制につきましてはいろいろその都度見直しをいたしまして削り取りていく必要があろうかと考えますが、免許制という一つの参入規制の枠組み、それから運賃の認可制、こういうような基本的な枠組みはどうしても必要な業種である、かように考えております。  それから、第二の点の先生の御質問の、こういうような需要の低迷期に新免増車というものについては配慮すべきではないか、こういう御指摘でございますが、私ども、こういういまのような景気の低迷期、それからそれが反映してタクシーの需要が低迷しているというような状況でございますので、新免増車の申請につきましては、必要なところもあるいはあるかもしれません。しかし、全般としては慎重に対処する必要があろうと思っております。新しい団地やなにかができまして、そこにタクシー需要が急激に発生するという場合はこれは例外でございますが、全般としては新免増車については、それぞれ需給のバランスというものが大事でございますので、慎重に対処するよう指導しておりますし、今後ともそういう方向でやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  83. 春田重昭

    春田分科員 特にタクシーの増車の問題でございますけれども、タクシー会社に従事する運転者の個々にとってみれば、当然増車になれば過当競争になっていくわけでございまして、水揚げ率も低くなるわけですね。したがって、当然無理してスピードを出したり、労基法に決められている以上の労働時間になったりということで、かえってこれが利用者、お客さんに迷惑になる。事故になれば大変でございます。そういった面も十分配慮すべきではないか、私はこう思っているわけでございます。  次に、タクシー運転手に多い職業病の対策でございますけれども、あるタクシー会社の従業員の健康状態の調査結果を見ますれば、従業員が二百八名おりまして、平均年齢が三十九歳の会社だそうでございます。そのうち、医者から何らかの治療を要すると言われた人が八十八名、したがって全体の約四割というきわめて高い状態を示しているわけでございまして、こうした例は決してこの会社だけではないのだ、ほとんど似たり寄ったりの健康状態である、こう聞いたわけでございますけれども、特に運転手に多い職業病としては脊椎病、腰痛、視力の低下、これがベストスリーだと言われているそうでございます。これは連続長時間の勤務、固定された中の仕事といいますか、また、常は緊張し過ぎての仕事、こういうことが原因に挙げられると思いますけれども、こうした健康管理といいますか、労務管理等は労使の話し合いの中で決めていくわけでございます。また、労働省も一部かむわけでございますけれども、主管庁としての運輸省として、当然経営者といいますか、企業側にも行政指導すべきところ、また改善すべきところはしていくべきではないか、こう私は思っているわけでございますけれども運輸省としての御見解をいただきたいと思います。
  84. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたようなタクシー事業の運転者の健康状態、これは私ども所管ではございませんので具体的には把握しておりませんけれども、ただ、やはり非常な労働でございまして、一歩間違えば自分の生命も失いますし、それから相手方の生命も失うというような、そういう機会があるような中での仕事でございますので、大変なお仕事だろうと思っております。したがいまして、私ども事業者の経営状態だけではなくて、事業者の中に働く運転者の方々、そういった方々の賃金あるいは健康状態というものについてやはり相当な関心を持って事業者の指導に当たらなければいけない、こういうふうに考えておる次第でございますので、今後ともその面につきましても、現場の第一線の陸運局の担当官あるいは陸運事務所の担当官に対しましてそういうような注意を喚起してまいりたい、かように考えております。
  85. 春田重昭

    春田分科員 さらに、次の点も強調してほしいわけでございますけれども、タクシー運転手の安全といいますか、衛生の面からいって特に注意しなければならないのは、タクシーの中でお客さんがたばこを吸うわけですね。そのいわゆるたばこ公害というのが非常に多いと言うのです。そういう面でタクシーの中に換気装置をつけてほしいという声が非常に強いわけです。二番目としまして、ハンドルをパワーハンドルにしてほしい、パワーハンドルだったら非常に楽だと言うのです。また、運転席のシートでございますけれども、これは固定されておりますが、できたらリクライニングないし前後左右の自由調整ができるような席にしてもらえれば、自分たちにとっては非常に仕事がしやすいという声もあるわけでございます。この点もあわせて現場の陸運局の方に指導徹底していただいたらありがたい、こう思っておるわけでございます。  時間がございませんので、最後に一点だけお伺いしますけれども、タクシー運賃の改定の問題ですね。従来は二年サイクルで改定していったわけでございますけれども、そういった順序からいけばことしが改定の時期になるわけでございます。まだ俎上に上ってないと思いますけれども運輸省の基本的な見解をお聞かせ願いたいと思います。
  86. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 先生ただいま御指摘のように、タクシーの運賃は二年ローテーションということで私どもその作業をやっておるわけでございますが、この二年ローテーションというのは、二年ごとに改定をするということではなくて、二年ごとに見直しをする、その見直しをした結果運賃改定の必要があるという場合には運賃の改定作業を始める、こういうやり方をやっておるわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、五十六年度に六大都市を初め大部分事業者の運賃を改定したわけでございますので、五十八年度、ことしはその運賃につきましての見直しをする時期に来ております。来ておるわけでございますが、いまのところはまだ具体的に事業者からの申請は出ておりません。したがいまして、ここで具体的に五十八年度のタクシー運賃の改定についてどうこうというような御答弁はできないわけでございますが、一般論といたしましては、経営の実績、これからの需要の動向、物価、それから賃金の動向、また利用者に与える影響、こういうようなものを勘案して対処していかなければならないということでございます。いずれにしましても申請がまだ出ておりませんので、私ども、それに対する具体的な方針というものは申し上げられない段階でございますが、一般論としては以上のとおりでございます。
  87. 春田重昭

    春田分科員 もし申請があって見直す場合、大臣、物価も落ちついているわけでございますし、燃料も安くなっているわけでございますし、まして利用者が減っている段階で上げれば、国鉄と同じような状態になるのじゃないかと思うのですね。そういった面からもタクシーの運賃改定につきましては慎重に配慮すべきである。まだ上がっておりませんけれども大臣の決意といいますか、そういったものを聞かせていただきたいと思うのです。
  88. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私もタクシーにはよく乗ります。いまたばこの話が出ましたが、私はたばこを吸うときはのんでいいですかと聞くわけです。するとあけるのですね。特別に施設というような話は初めて聞きました。  それから運賃の問題は、おっしゃるように何せ上げてお客さんが減っても大変なことですし、といって油も下がっていることですから、やはり局長が申し上げたように申請も来ておりませんが、ひとつ慎重に対処してまいりたい、こう思っております。
  89. 春田重昭

    春田分科員 それからもう一点お伺いしますけれども、この問題は再三国会で論議されております国鉄の身障者の割引制度でございます。  これは御案内のとおり、現行制度は、身体障害者の中でも内部疾患の方または精薄の方は対象になってないわけでございます。いろいろな経緯があるみたいでございますけれども、障害者にとってみれば完全参加と平等のいわゆる均衡性を欠くとか、お互いハンディキャップがあるのだという理念に全く欠けることである、こういうことで、何とか内部障害者また精薄の方も割引制の中に入れてもらいたいという要望が再三出ているわけでございます。しかしながら、国鉄の赤字ということでなかなかそれがなされてないわけでございます。現今福祉後退がかなり言われている中で、赤字だからというだけでこうした均衡を欠くような施策はまずい、後退の中で前進が一つぐらいあってもいいんじゃないか、私はこう思っているわけでございますのでこの問題をあえて質問したわけでございます。この際、福祉後退の中で一歩前進の、福祉増進の施策として入れていただきたい、こう思っているわけでありますが、どのようにお考えになっていますか。
  90. 橋元雅司

    ○橋元説明員 私ども実施しております身体障害者割引でございますが、今年度の見込みで約六十億円ございます。これは先生指摘のようにかねてから長いいきさつがございますけれども、私どもとしてやはり政策実施省庁におかれて御検討いただきたい、私どもの力ではリードすることはなかなか困難である、こう申し上げているわけでございます。昨年の九月に閣議決定がございました再建を図るために当面緊急に措置すべき事項の中で「運賃上の公共負担については、所要の措置を講ずる。」と記されておりまして、こういったいわゆる公共負担につきましては、政府におかれて何らかの結論が出されるのではないかと私ども考えておるところでございまして、したがいまして、先生おっしゃいますように、私どもとしては現時点で新たに枠を拡大するといいますか、割引を拡大することは御勘弁いただきたいと思っているわけでございます。
  91. 春田重昭

    春田分科員 いまおっしゃったように、臨調答申の中にも文教、社会福祉政策の観点から割引制度云々については所要の措置を講ずるですか、こういうことで出ているわけでございます。いま運輸省を中心に、その他大蔵とか経企庁、厚生省等が入って国鉄公共負担軽減対策検討会議というのが行われているやに聞いているわけでございます。相当長い期間検討されているみたいでございますけれども、経緯といいますか、結論というのは大体どのあたりで出てくるのか、その辺の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  92. 永光洋一

    ○永光政府委員 これはこの前も先生お取り上げになりまして、非常に長い経緯がございまして、昭和五十一年から国会でもいろいろ決議がございますし、いま臨調でもそういう答申があり、閣議決定も昨年いたしました。国鉄を所管しております運輸省としましても非常に頭の痛い問題でございまして、いま申されました関係省の連絡会議でも、正式にあるいは非公式に関係課長等がいろいろ議論をいたしておるわけでありますが、政策担当部門で持つというような方向としましても、いまの財政的な問題がありますので非常にむずかしい。国鉄は国鉄として、これ以上のものを負担するということはより困難だという状況でありますので、まだ明確な結論をこの会議におきまして得るに至ってはいないわけでございますが、今後とも関係者といろいろ検討を重ねていきたい、こういうふうに思っております。
  93. 春田重昭

    春田分科員 せっかく総裁がお見えになっておりますので、総裁、この問題については国鉄自身としてはどうお考えになっておりますか。
  94. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもの経営の問題と、それからもろもろの福祉政策の接点の問題があると思います。私どもとしても、なるべくそういう方々に対するサービスを行うということは、いろいろな角度から本来あるべきものだと思うのでございます。しかし、何せ現在の対象だけでもかなりの額になっておりますし、かねがね私どもの相談に乗っていただいております諮問委員会というのがございますけれども、そちらからも、これは福祉政策として政府にお金を出してもらうべきだと言われておりますし、先ほど来話が出ておりますように、臨調でも同じような考え方をとっていただいておるわけでございます。  ここ数年の間に何回か文部大臣あるいは厚生大臣にも強くお願いをいたしたわけでございますが、心配はしているけれども、なかなかほかの福祉政策との関連で金を出せないというお話でございました。まあなかなか出口が見つからぬということで弱っておるわけでございます。いろいろやらなければならぬことがあるわけでございまして、その部面だけで何億もの負担を私どもがいたしていくこともなかなかむずかしいわけでございます。  なお、今後とも各省各庁にお願いをして解決の道を生み出したいと思いますが、気持ちはあってもなかなか容易でないというふうに考えております。
  95. 春田重昭

    春田分科員 福祉を守る立場の厚生省の方からもお見えになっておりますので、厚生省の御所見をお伺いしたいと思います。
  96. 池堂政満

    池堂説明員 私ども福祉を担当する立場といたしましては、現在対象になっておりません内部障害者あるいは精神薄弱者等、これらを含めて一緒に促進していただくということは非常に望ましい姿だ、かように考えておるわけでございます。  ただ、先ほど来運輸省の方からもお話がございましたように、現行制度についても、そのあり方等について各省間の検討を進めてまいっておるわけでございますが、そういう意味におきましても、その検討の結果を受けながら、そしてさらにその段階で、内部障害者あるいはまた精神薄弱者を含めること等につきましても御相談を申し上げながら対処してまいりたい、かように考えております。
  97. 春田重昭

    春田分科員 課長のお話を聞いておったら、何か受け身のような感じがするわけです。厚生省としては、要するにこういう身体障害者の方、当然内部疾患も含めて精薄の方もいわゆる割引制度をしてほしい、拡大をすべきであると主張するのが本当でしょう。何か臨調答申が出たからといって受け身になっているような感じかするわけでございますけれども、そんな腹で、決意でこれは守られませんよ。もう一回答弁してください。
  98. 池堂政満

    池堂説明員 もちろん現行制度におきましては、心身障害者対策基本法におきましても、第五条におきまして、国民ひとしく障害者対策についてはそれぞれが分担していくということで、これは決定しているわけでございます。それを受けて実は二十三条等におきまして対処していただいている、かような考えでいるわけでございます。  そういう立場からいたしますと、私どもの方では現行制度の中に内部障害者あるいは精神薄弱者等も含めてやっていただくということを基本的には持っているわけでございますが、それらの基本的な考えを持ちつつ、関係省庁との話し合いの際にも、ぜひそれを提案し、現行制度の中に含めてとにかく継続していきたいという考え方でおるわけでございます。
  99. 春田重昭

    春田分科員 時間が参りましたけれども大臣、これは内部疾患の方、精薄の方以外に、現在そういう割引制度の恩恵をこうむっている方も、昨年のこの臨調の基本答申に相当危惧を抱いているわけです。心配しているわけですよ。やはり現行制度そのものもなくなっていくのじゃないかという心配があるわけです。  そういった面で、この障害者の割引制度というのは、国鉄だけではなくて、国内の航空運賃、また高速道路、NHK等々もそうした制度があって、維持されているわけですよ。それが今回の基本答申で、所要の措置ということで、拡大強化どころか、その制度そのものがなくなっていくような心配をしている方もあるわけですから、当然現行制度は維持するとともに、拡大強化することが福祉日本を守る大きな基本になってくるわけでございますから、そういった面、大臣も大きな立場に立って、国鉄が赤字になったからといってこれを取り消すということは、全体的に見れば福祉の面に影響するわけですから、ひとつ十分考えて現行制度の拡大をやっていただきたいと思います。大臣の最後に決意をちょっと聞かせてください。
  100. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 こういうむずかしい時代でございますから、いろいろな議論がそちこちから出ることは当然だと思います。その中においても、いままでの福祉というものをいかにして守るかということは大変大事な問題でもございます。そしてまた、折あらばなるべく拡大する機会をねらっていくこともまた政治家の仕事。しかし全体的に財政の問題等々があって、国鉄の場合は破産寸前というときですから、原局といたしますと、なかなか大変な問題だが、こういうことを勘案しながら十二分に将来ともに研究してまいりたい、こう思っております。
  101. 春田重昭

    春田分科員 当然現行制度を維持しながら拡大強化を図っていただきたい。強く要望しておきます。  終わります。
  102. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。  次に、西村章三君。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕
  103. 西村章三

    西村分科員 三十分という限られた持ち時間でございますので、私は関西新国際空港の問題について、特に当面する諸問題につきましてお尋ねをしたいと思うのであります。  御承知のように、関西新国際空港は、運輸省が候補地の調査を始めてからもうすでに十五年でございます。また、いわゆる泉州沖が最適だという中身を盛り込んだ航空審議会の答申が出ましてからでも、もうすでに八年が経過をいたしました。当初地元では、幻の空港ではないか、こういう声さえ一時あったわけでございますが、その危惧も払拭をされまして、本年度予算の中では、関係者あるいは関連者皆さんの非常な御協力によりまして、待望の着工準備調査費三十二億円が認められたということでございまして、われわれもようやく軌道に乗ってきたという心強い感じを持っておるわけでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、この五十八年度予算の中で盛り込まれました着工準備調査費の性格でありますが、運輸省は当初、いわゆる一般調査が終了いたしました時点で実施設計調査費を計上して順次それを高めていく、こういう計画だったと思うのでありますが、今回示されました調査費の性格は、実施設計調査費と異なりまして、いわゆる着工準備調査費という名目でございます。当初要求をされておりました実施設計調査費とこの着工準備調査費との差というものは一体どこにあるのか、違いがあるのかないのか、明確にしていただきたいと思います。
  104. 松井和治

    松井(和)政府委員 五十八年度予算におきまして、私ども指摘のように関西国際空港に関する実施設計調査費の要求をいたしました。御案内と思いますが、実施設計調査費と申しますのは予算上の科目ではございませんで、あるプロジェクトの着工を前提といたしまして、その着工のための測量とか設計等を行う、そういうふうな経費を総称して申す用語でございます。今回、予算で着工準備調査費という科目が新しく設置されることになりました。これは予算上の正式の目になるわけでございます。これは護岸、埋め立て、空港諸施設の設計等、従来実施設計調査費という名前で総称されておりましたたぐいの経費の内容を含む、同時に、まだ結論が出ておりません事業主体のあり方等の調査も行う。つまり、実施設計調査費的な中身と一般調査費的な中身とが両方合わさったかっこうで組み立てられた科目でございまして、関西国際空港という固有名詞を付して着工準備調査費という新たな科目を立目したということでございまして、実施設計調査費の内容が含まれるというふうに御理解いただきたいと思います。
  105. 西村章三

    西村分科員 実施設計調査費というものが含まれるということでございますが、特に運輸大臣と大蔵大臣のいわゆる確認覚書というものが示されておりまして、その中でこのこともうたわれております。同時に、この二項の中でいわゆる工事費に直接移行できるものということも明記をされておりますが、この意味もあわせて教えていただきたいと思います。
  106. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど申しましたように、従来の予算科目で申しますと、空港整備事業費という目がございまして、その中にいわゆる工事費というふうに分類されます経費と、先ほど申しました実施設計調査費という通称で総括されます科目とが一緒に含まれております。従来の考え方でいけば、実施設計調査費というものがまず予算計上され、しかるべき時期に工事費に移行する、こういうのが従来の行き方でございました。今回、着工準備調査費という新しい科目でございますので、先ほど申しましたように実施設計調査費の内容を含んでおるということでございまして、そこからまた改めて実施設計調査費という段階を経ることなしに、着工準備調査費からしかるべき時期に工事費に移行できる、こういう意味でございます。
  107. 西村章三

    西村分科員 この調査費の頭にいわゆる泉州沖関西国際空港というものがついておりますので、当然のことながら新空港の位置はすでに泉州沖に確定をしたものだ、かように理解をいたしておるのであります。しかし、そうはいいますものの、ごく一部の人々の中で、この調査費は実施設計調査費ではないからいわゆる泉州沖を前提としたものではない、そういう予算ではない、それは運輸省の考え方に対しての反発という意味もありましてそういうことを唱えておる人がございますが、この際、もう一度この新空港の位置は泉州沖だと確認をしてよろしゅうございますか。運輸大臣、いかがですか。
  108. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 西村さんさっきからお話しのように幻の国際空港などという話が大分続いておりましたが、ただいま局長から御答弁申し上げたとおり、これは着工することになりまして、泉州沖にしっかりと決まってそこに一歩踏み出したということで御理解いただきたいと思います。
  109. 西村章三

    西村分科員 今日にこぎつけますまでにいろいろな努力が払われてまいりました。これは大臣も御承知のとおりでございます。特に昭和五十六年五月にいわゆる予備協議という形の中で地元三府県に空港計画案、環境アセスメント、地域整備の考え方といういわゆる三点セットというものが提示をされまして、運輸省と地元三府県の間で協議が続けられてまいりました。その結果、昨年の七月五日に大阪府が回答をいたしました。また和歌山県はそれに引き続きまして八月三十一日それぞれ合意の回答をいたしたわけであります。すなわちゴーというサインを出したわけでございますが、残念ながらただ一県、地元の兵庫県がいまだ回答を出しておりません。  運輸省がこれまで新空港にとってまいりましたいわゆる手続、手順は、慎重の上にも慎重を期したといいますか、きわめて長い期間を要してその手続に万全を期したということでございます。環境調査など計画決定のために十分な調査を行ってきた。さらには、計画決定に際しまして地元府県の同意を事前に得る、これまでのいわゆる国家的なプロジェクトの進め方といたしまして前例のない、きわめて民主的な方法が取り入れられてきたと思うのであります。  地元三府県のうち、大阪や和歌山はすでに地元協議の趣旨を体しまして真剣にこの手続、手順を進めてまいりました。大阪府は特に地元中の地元でもございます。環境アセスメントにつきましても独自の調査をやってまいりました。また、その資料も広く公開されてまいりました。閲覧者も非常に多数に上っております。さらに、府民説明会あるいは各市町村あるいは各種団体への説明会、知事と地元八市五町の市町長との個別会談による意向の聴取でありますとか事前の打ち合わせでありますとか、これを何回も繰り返してきたわけでございます。これは単に大阪府だけではなしに、同じようなケースを各市町ともそれぞれとってきたわけでございまして、いわば膨大な協議を積み重ねてやっとのことで回答を出したというふうに手順、手続についての段取りを重ねてきたわけであります。ところが、残念なことに、先ほど申し上げましたようにこのうちで兵庫県だけが前向きの手続をいまだにとってくれておりません。その手続、手順を踏まないような形で横を向いておる、かような状態でございまして、まことに理解に苦しむわけであります。  運輸省はこれまで兵庫県との間でいろいろな話し合いを進めてこられたと思うのでありますが、具体的に兵庫県とどのような話し合いをしてこられたのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  110. 松井和治

    松井(和)政府委員 私ども五十六年五月に、いわゆる三点セットと称しておりますが、私どものそれまでの調査の結果をまとめました資料を関係三府県に提示いたしまして御意見を伺うという手続をとったわけでございます。私どもは、そのような手続をとることによって若干の時間がかかっても、むしろ全体のプロジェクトを進める上ではかえって早めることができるという観点でそのような手続をとったわけでございます。大阪府、和歌山県、兵庫県を含めまして、私どもの担当官が現地に参りましてこの三点セットの説明会においてしばしば説明を行いました。  その後、兵庫県との間では、兵庫県から私どもに対して文書による疑問点の照会がございまして、これに対し私ども詳細な回答を出しました。その後、兵庫県はさらになお疑問点があるということで第二回の質問を出してまいりました。これに対しても私ども回答を出し、さらに兵庫県からは他の府県と異なりまして第三回目の質問が出たわけでございます。これまた私どもとして誠意をもって回答をいたしました。その後、昨年の八月の末に至りまして、予算要求のぎりぎりの時期でございましたが、兵庫県から正式に、現時点で回答はいたしかねる、もう少し協議を重ねさせてほしい、こういうような申し出がございました。  その後私どもは、回数はちょっとはっきりいたしておりませんが、十回を超える兵庫県との間の話し合いを行ったわけでございます。しかしながら、最終的に兵庫県としてどうしてもまだ回答を出すに至らずということでございましたので、昨年の暮れに兵庫県知事においでを願いまして、長谷川運輸大臣との間でお話し合いをしていただいたというようなことでございますが、兵庫県知事も関西に国際空港を設置することについては反対でないということは明言されておりますが、なお文書による回答はいただけない現状でございます。私どもとしては、できるだけ早く兵庫県から文書による回答をちょうだいしたいということで、現在もなお話し合いを続けておるという状況でございます。
  111. 西村章三

    西村分科員 兵庫県側からのいわゆる疑問点解明に対し、その回答をするということは当然の責務だろうと思うのであります。ただ、従来それを三回積み重ねてきた。しかも運輸大臣と知事のトップ会談までしていただいて、なおかつ今日その回答が出てこない。まことに遺憾なことだと思います。運輸省としては、この疑問点というのはすでに全部回答し尽くしてしまってある、こういうことでございますね。あとは向こうの態度待ち、それだけでございますか。
  112. 松井和治

    松井(和)政府委員 私どもは、先ほど申しましたように、兵庫県の疑問点については完全に回答を済ませたというふうに理解をいたしております。  ただ、兵庫県が現在問題にしておられますのは、この三点セットと直接の関係はないわけでございますが、兵庫県として神戸の沖合いに、国際空港ではない、次元が全く違うわけでございますが、ローカル空港をつくりたいという希望を持っておられる。その点に関連して運輸省の態度を明らかにしてほしいというようなことを言っておられまして、この点は、私どもはいわゆる三点セットの協議とは別次元の話とは考えておりますけれども、しかしながら、兵庫県がその点についての解明を望んでおられる以上、その点に関してもなお話し合いを続けて、先ほど申しましたように文書による一刻も早い回答を願っておるというところでございます。
  113. 西村章三

    西村分科員 兵庫県と連動いたしまして、神戸市の方も不可解な行動をいたしております。昨年の六月四日、宮崎神戸市長は前小坂運輸大臣を訪ねまして、いわゆる神戸沖案なるものを手渡そうとして、運輸大臣はこの受け取りを拒否された、こういうことも聞いております。  泉州沖の新空港は、申し上げるまでもないことでありますが、航空審議会が神戸沖を含む候補地の中から長年月にわたって比較検討を行い、さらに最終的に泉州沖という結論が出され、答申がなされたものでございます。運輸省を初め地元三府県も、航空審議会答申に基づきまして、泉州沖について調査検討をその後もずっと続けてまいりました。いわばこうした議論済みの問題で、しかも内容につきましては全く検討も議論もされておらない神戸沖案を突然に持ってこられましても、受け取れないのは当然だと思うのであります。  その後、神戸市の方から運輸省に対して何かアクションがあったのかどうか、あわせてお尋ねしたいと思います。簡単に答えてください。
  114. 松井和治

    松井(和)政府委員 五十七年の六月、神戸市長が神戸沖案を持って小坂前大臣のところを訪ねられました以後のことでございますが、昨年の十二月十八日付で「関西国際空港建設に係る疑義について」という文書が私どもの方に郵送されました。これは全く何らの説明もない、ただ疑義がありますということが書き連ねてある文書でございますが、その文書が送られてきたということ以外、特別のアクションは私ども受けておりません。
  115. 西村章三

    西村分科員 神戸沖案につきましては、専門家のいろいろな方の意見をお聞きいたしますと、空港建設につきましては、環境やアクセス、そういったものを中心に各分野にわたって非常に問題点が多い、特に船舶往来の激しい神戸港、この港湾機能と相入れない要素を多く持っておると、こう聞いておるのであります。  そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、神戸沖案につきましてのいわゆる環境問題、それから工期、建設費、利便性、アクセスですね、港湾機能との関係、これは船舶交通の支障になるかならないのか、泉州沖と両立できるのかできないのか、以上の六点につきまして、運輸省の見解を手短にまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  116. 松井和治

    松井(和)政府委員 私どもは、神戸市の案と申しますのは実のところ詳細を承知しておるわけではございません。また、正確な図面に基づく資料をちょうだいしたわけでもございません。したがって、神戸市の言われるポートアイランド沖約四キロのところに島をつくり、滑走路を一本つくるという、はなはだおぼろげな計画としてしか実は受けとめようがないわけでございますけれども、これは先ほど先生指摘いただきましたように、すでに航空審議会で神戸沖に設置をする案というものが検討の対象になったわけでございまして、そのときの検討結果と現在考えておられる神戸市案というものは大差がないというふうに考えております。  まして、そのときの航空審議会で議論されました案に比べますと陸上にやや近い案になっております。と申しますことは、ただいま先生指摘いただきましたいろいろな点の中で、特に海上交通に及ぼす影響というものが非常に大きくなりはせぬだろうかというふうに私ども考えております。また、神戸市の場合には、できるだけ工費を節約しようということで陸地に近づける案をお出しになったのだと思いますけれども、あの神戸市沖、ポートアイランド沖の地質等を考えますと、私どもの目から見ると、神戸市案に記載されておる工費で実現できるかどうかというのは、はなはだ疑問だというふうに考えております。
  117. 西村章三

    西村分科員 安くて早くて便利だ、こういうのが神戸沖案の特徴だというふうに宣伝をされておるわけでございますが、いま御説明がございましたように、必ずしもそうではございません。むしろその構想自体が非常に無理があると私ども判断をいたしております。  ところで、毎日新聞が今年の一月十一日から二十一日までの間、七回にわたって「神戸沖は翔べるか」という記事を掲載をいたしております。その中で、兵庫県の動きにつきまして「兵庫県は、泉州沖着工に不可欠な「兵庫県の同意」を”切り札”に運輸省と渡り合い、国の大プロジェクトが一自治体によってこれほど揺さぶられたのも異例だが、その方針は坂井知事一人で決められている。」と、かように述べておるわけでございます。兵庫県のこうした動きは、ごね得ないしは地域エゴそのものでございまして、これを許容し、放置をするということは、真の地方自治発展のためにも決して望ましいことではございません。兵庫県や神戸市の主張する神戸沖案は、基本的な手続や行政ルールを無視をいたしておりますし、地域に無用の混乱をまき散らしておりまして、まことに遺憾なことでございます。  しかし、これは単に兵庫県だけを責めるのではなしに、われわれの側もやはり反省をしなければなりません。この兵庫県の回答が長引いておるというのは、一つには、ある意味におきましては優柔不断な運輸省の従来の姿勢にもあったのではないかと、かように思うわけでございまして、運輸省は、兵庫県、神戸市のこれらの動きに対しまして、今後毅然とした態度で臨むべきであろう、こう思うのでありますが、いかがでございますか。
  118. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ことしの予算が着工を前提とした準備調査費でございます。そのことが一つ。  さらにまた、兵庫県の知事と年末にお会いいたしまして、知事さんからも、関西に国際空港は必要ですという話を、私ははっきり聞いております。その後で出てきたのが神戸の沖合いに何か空港をつくりたい。これは地方空港でございます。ですから、関西国際空港はそのまま泉州沖として進めていく。さらに、どういう意見があるにいたしましても、私は、成田空港の二の舞はしたくない。  ですから、あなたのおっしゃったように、各町村で協議を重ね重ね今日まで来ておりますから、私は、いまいろいろな話をしておりましても、兵庫県から何か相談があれば運輸省はいつでも相談に応じて御回答申し上げて、やはり一つの行政機関としての権威だけは認め、私の方は私の方として、運輸省の皆さん方の御声援によるこの泉州沖は、国際空港としてそのままずっと仕事をしていくように毅然たる態度で国策プロジェクトを推進してまいりたい、こう思っております。
  119. 西村章三

    西村分科員 運輸大臣から力強い御回答をちょうだいいたしまして、私も満足でございます。おっしゃいましたように、いつまでも回答引き延ばしのための口実づくりに振り回されておったのでは前へ進まないわけでございます。そうはいいますものの、今後も理解と納得を得られるように誠心誠意を尽くして、しかも一つのめどを持ちながら進めていただきたいということを強くお願いをいたしておきます。  そこで、時間も限られてきたのでありますが、兵庫県の問題は若干残されておりますけれども、とにもかくにも、国としては泉州沖新空港の具体化についての方針を決定されたわけでございます。今回のこの三十二億の着工準備調査費によってどのような調査を具体的に行うのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  120. 松井和治

    松井(和)政府委員 着工準備調査費の具体的な内容につきましては、予算の成立を待って財政当局とも十分御協議をし、確定をしていくべき性格のものでございます。  したがって、これから申し上げるのは私ども運輸省としての計画というふうに御理解願いたいのでございますが、護岸、それから埋め立て、空港諸施設等の基本的な設計、あるいは今後の工事を施行してまいります際の施工管理システムというようなものの基本設計ということが第一点でございます。それから第二点といたしましては、土砂採取地関連の所要の調査を行いたいというふうに考えております。それからまた、先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、着工準備調査費というのはいわゆる実施設計調査費的な部分以外の一般調査費的な部分もございます。そのような経費をもちまして事業主体のあり方あるいは採算性についてのさらに細かい精査等の調査を行っていきたい。これを五十八年度におきまして着工準備調査費の中身として私どもとしては進めていきたいというふうに考えております。
  121. 西村章三

    西村分科員 運輸省を中心にしていろいろな実施設計のための調査が推し進められていくわけでございますが、そうはいいますものの運輸省だけではなかなか前へ進んでまいりません。このような大規模なプロジェクトを実現させるためには関係省庁の協力体制を確立することが何よりも大事でございます。関係閣僚会議の設置も覚書の中に入っておるわけでございますが、その見通しは一体どうなのか、いつごろまでに設置できるのか、でき得ればひとつ大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  122. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 まさに二十四時間世界に開かれた初めての空港でございますから、これはりっぱなものにしていかなければなりません。それにはまた皆さん方の御協力をいただかなければなりませんから、この予算案が通過いたした暁には直ちに関係閣僚会議を招集するという気持ちでございます。あるいはその予算が通過した後には、先ほど局長が御説明いたしましたように現場の方に工事事務所らしいものもつくって盛り上げてまいりたい、こう思っております。
  123. 西村章三

    西村分科員 最後にお尋ねをいたしますが、これらの実施設計調査あるいは着工準備調査が強力に進められ、さらに閣僚会議が早急に設置をされるという見通しの中で、今後のスケジュールとして大まかなものについてお答えをいただきたいと思います。
  124. 松井和治

    松井(和)政府委員 私どもといたしましては、まず五十八年度は、ただいま御答弁いたしましたとおり、この予算の執行によりまして準備のための測量、設計その他を進めていく、また事業主体の詰めを行っていくということが本年度における最大の問題であるというふうに考えております。  一方で、関係各省に関連の多い事業でございますので、関係閣僚会議あるいはその下に幹事会のようなものが設けられることになろうかと思いますので、そういうところを通じて関係各省の御理解と御協力を得ていくという努力をしてまいりたいと考えております。したがって、五十八年度は、そういうことで一番の課題は事業主体の詰めであるというふうに考えております。
  125. 西村章三

    西村分科員 一応軌道に乗ったわけでございますが、問題はこの二、三年が非常に大切でございます。二十四時間使用可能の国策としての空港推進をしていくためにも、一層の御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 越智伊平

    越智主査 これにて西村章三君の質疑は終了いたしました。  次に、日野市朗君。
  127. 日野市朗

    日野分科員 私は東北の宮城県の北部地帯の田舎者でございまして、交通の便には非常に恵まれない地域に住んでおりますので、別にひがんで物を言うわけではありませんが、そういう観点からいろいろ物を申したいと思ってきょう出てまいりましたので、ひとつよろしくお願いいたします。  東北新幹線も走り始めまして、まあまあ業績を上げているということは私も非常に同慶の至りであります。それと同時に、東北新幹線がずっと走るその沿線と、そこからさらに引っ込んだところの格差といいましょうか、私たちから言わしていただきますと、沿線とそこからさらにローカル線で引っ込んだ地域との一種名状しがたい格差がまた脚光を浴びてきているような感じがしてならないのであります。  まず、根本的な思想と申しますか考え方を伺っておきたいのでありますが、この新幹線とローカル線との結びつき、これについてどのように考えておられるか、まずその根本的な考え方を伺っておきたいと思うわけであります。
  128. 橋元雅司

    ○橋元説明員 その接続問題というのは、もちろんダイヤ設定に際しまして最も重要な事柄であると考えております。しかしながら、ローカル線につきまして、たとえば線区内の通勤通学といったローカル線自体の使命もございますし、それから他の線区との接続が問題になる、あちら立てればこちら立たずというような関係もございます。あるいは単線のための設備上の制約であるとか、さらには接続駅でのホームの容量がどうしても足りないといったようないろいろな問題がございまして、すべてを満足させることはなかなか困難がございます。  しかし、私どもはそういったもろもろの御要請、御要望を最大限に取り入れまして、調整いたしてダイヤを設定したい、こういうことで今後とも可能な限り改善に努力いたしたい、こう思っております。
  129. 日野市朗

    日野分科員 おっしゃることはよくわかるのであります。しかし、一方、新幹線の駅から遠いところに住んでいる人たちの目から見ますと、そういった国鉄側のいろいろな努力にもかかわらず、現実に不満感が非常にうっせきしているという現状もあるところであります。  私は、時刻表をいろいろと検討を加えてみました。これはすべての駅に検討を加えるというわけにはまいりませんで、私の最も身近なローカル線で検討を加えてみたわけであります。  まず、東北新幹線で古川という駅がございます。古川に新幹線を降り立って、さて、この連絡している列車はどのくらいあるか、これを数えてみますと、まずまずこれは連絡しているだろうというふうに思われるのは、実は古川から小牛田方面に行く列車、小牛田というのは、御承知のとおりあの辺の地方線が集結する非常に重要な駅であるというふうに私考えているのでありますが、まず新幹線の下り線から見てみますと、やまびこ二三号、これは大宮発十三時、それ以前にはちょっと連絡していると思われる列車はございません。それからずっと下りまして、やまびこ二九号十六時大宮発、やまびこ三一号十七時大宮発、やまびこ三三号十八時大宮発、このわずか四本があるだけなんです。こういう状態を見ますと、私は、やはりここいらはかなり冷遇されているのかなというふうに考えざるを得ないのですね。これなんかはちょっとした努力でもっと新幹線から連絡させる列車をふやすことはできそうなものではなかろうかと考えます。  そのほかに仙石線などという列車、これは特に連絡するという列車ではありませんで、仙台―石巻間という閉鎖された区間を走るだけなんですが、ここのダイヤなどを見てみますと、これは非常に不親切ではないかなという感じすらするのであります。石巻を五時二十三分の列車に乗った人が仙台には六時四十九分に到着いたします。仙台発の上りのやまびこは六時四十八分、一分前に出ていく、こういう状態でございます。それから、六時三十二分に石巻を出た人は七時五十八分に着くわけであります。仙石線のホームから新幹線ホームまでこの程度の時間しかないということになるとこれは非常に厳しい。それから、一番早い快速電車で石巻を七時四十四分に出てきた人は九時一分に仙台着ということで、非常に半端な時間になっているというようなことでございまして、これからダイヤの改正に当たって、石巻―仙台間というのは先般のダイヤ改正の対象になっておりませんが、こういうダイヤ改正で適宜これを直していくという努力ができるものかどうか。ひとつこれはお願いをしたいところですが……。
  130. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生指摘のように、いろいろ御不便と申しますか、十分な御便利になっておらぬというのは御指摘のとおりでございます。先ほど申し上げましたように、いろいろな御要請を最大限調整いたしましてやっておるわけでございまして、そのために、関係する各管理局、現場と一年有余にわたって何回となく会議を繰り返してつくり上げてまいっておるところでございます。  しかし、なお、現状いろいろ御不満があるということは十分承知いたしておりますので、機会あるごとに、次回ダイヤ改正、一年あるいは二年以内にはまた行われると思いますので、そういった改正の機会に向けましてさらに勉強いたしたい、かように思っております。
  131. 日野市朗

    日野分科員 このダイヤの改正についてはむずかしい問題があることは私も重々承知しておりますが、せっかく新幹線というすばらしい、これは世界一の乗り物でございますね。東北新幹線というのは世界一であります。そういうすばらしいものが開通をしたわけでありますから、これの機能が最大限度に生かされるような御努力をお願いをいたしたいというふうに、私の方から地元の住民の声をしょってひとつお願いを申し上げたい、こういうことでございます。  それからもう一つ、私、気になりますのは、このダイヤの接続の問題もさることながら、東北新幹線、このすばらしい新幹線を通すのは結構でございます。これは非常にすばらしいことなんですが、それと同時に地方線が独自で抱えている問題点というようなものもぜひともお願いをしたいと思うわけであります。ややもすれば、根本的な物の考え方の中に、地方線について私たちに非常に納得のいかない考え方というのがちらちらと出てきたりするわけでございますね。たとえば、仙石線の問題について私なんかも国鉄の若い方などといろいろ話をいたしますと、仙石線というのは仙台周辺の旅客をいかに効率的に運ぶかが使命なのだ、仙台から離れた遠隔の地に行けば、それはもうある程度冷遇されるのはやむを得ないのだというようなことをおっしゃる方が実はおいでになるわけですね。私、これは驚くべき発言であるというふうに思っているのですが、そういう考え方は国鉄の中にはよもやないのでしょうね。これはひとつ確かめておきたいのですが……。
  132. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 スピードアップにつきましては、これはもう輸送機関の非常に大きな生命でございます。そういった意味で、私どももスピードアップにつきましては、限られた予算の範囲内においてあるいは旅客の需要動向、綿区の性格等に応じまして、今後ともぜひ前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  133. 日野市朗

    日野分科員 いま私は仙石線を例にとって申し上げているわけでありますが、決して仙石線のことばかりではなしに、大都市周辺のローカル線一般について伺っているつもりでございますので、ひとつそのつもりでお答えをいただきたいというふうに思うのですが、大都市周辺、これは本数がふえたり、周辺においてスピードアップをされるということはやむを得ないことであろうというふうに私は思います。しかし、それのあおりを食って、たとえば石巻市のようなところがスピードアップの計画がむしろ後退をするというような事態があってはならないと思うのですが、そこらの根本的な考え方はいかがでしょう。
  134. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 仙石線の問題につきましては、私どもも地方中核都市の通勤ということで位置づけを行っております。いまこの線区につきましても、私どもとしましてはどうやったらスピードアップができるかという点について鋭意勉強しているというのが現状でございます。
  135. 日野市朗

    日野分科員 かつて仙石線には特別快速という一時間足らずで石巻ー仙台間を結んだ列車がございました。しかし、これがもう廃止されてしまっているわけですね。また、通勤時間帯の快速が廃止をされてしまった。これはいずれも石巻在住の仙台通勤者または石巻から仙台まで出かけていく地域の住民たちにとって非常に不評でございます。石巻周辺地域から仙台に勤務する勤め人、サラリーマンは膨大な数に上っているわけでございまして、この人たちから非常な不評を買っておりまして、こういう点についての何とかならぬのかという相談は、自治体の長、それから議会筋、さらに一般市井の一市民に至るまで、スピードアップ、それから快速電車の復活というようなものについては非常に強い要望を持っているわけでございますが、この点については国鉄側としてもそういう住民の意向、要望というようなものは酌み取っていただいておるのかどうか、その点、非常に心配な点でございますので、ひとつお答えをいただきたいのです。
  136. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 仙石線のスピードアップにつきましては、管理局を通じまして私どもも御要望につきましては承知をいたしております。現在、大変東塩釜から石巻までの間は旧式な信号装置でございまして、いまのままでスピードアップするということはなかなか困難でございます。  そういう意味で、どうしたら厳しい予算事情の中でスピードアップが実現でざるか、あるいは沿線の状況、今後の展望等を踏まえて、私どもは現在検討しておるところでございます。
  137. 日野市朗

    日野分科員 スピードアップの検討をなさっておられるということですが、信号装置の自動化とかいろんなスピードアップの方途というのが考えられるだろうと思うのです。現在の研究の状況、そしてその研究をいつごろまでに終えられて、その計画を進められるというスケジュールを抱いておられるのか、明らかにできるなら明らかにしていただきたいと思うのです。
  138. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 現在、本社の関係個所で鋭意検討をさしていただいております。できるだけ早い機会に結論を出させていただきたいというふうに考えております。
  139. 日野市朗

    日野分科員 その具体的な内容として、信号の自動化ということによってどのくらいのスピードアップを計画しておられるのか、明らかにできますか。
  140. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 現在、快速列車が石巻ー仙台間で七十分台でございますが、それを約二十分程度短縮できないかということで勉強いたしております。
  141. 日野市朗

    日野分科員 その研究が終わって現実に快速が走り出すという状況までいくのは、どのくらいかかるでしょうか。
  142. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 きょう現在では、ちょっとそのことは御勘弁いただきたいと思います。
  143. 日野市朗

    日野分科員 その計画を、研究を進められて、そして快速を走らせるということについてしっかりした方針をお持ちである、つまりそれは実現可能性がきわめて高いというふうに伺ってよろしゅうございますか。
  144. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 私どもはいまどうやったらできるかという方向で勉強させていただいておるということでございます。
  145. 日野市朗

    日野分科員 仙石線を見まして私いま感じますことは、どっちにしても、現在の研究が実を結んで、それに基づく快速電車が走り出すというまでにはかなりの時間がかかるであろうというふうに思っているわけでありますが、当面、従来走っていた特別快速と言われる、五十八分だったと思いますが、五十八分間で仙台―石巻間を走る電車の復活はできないものでしょうか。
  146. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 現在の運転システムでは、先ほど申し上げましたように東塩釜―石巻間が大変旧式な信号機でございますので、困難だというふうに判断しております。
  147. 日野市朗

    日野分科員 現実にこの間まで走っておったのでございますよ。これが復活できないということはないと私は思うのですが。
  148. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 先生のおっしゃるとおりでございますが、現在、タマ取り要員と申しますか、運転士の一人乗務化を行っておりまして、そのために、各駅でタマを取るためには、そこで停止して、そしてタマを取って、閉塞を確認して出るという仕組みしかできない。ですから、これを通過させるためには、そしてスピードアップするためには、そのタマを取る仕掛けを変えなきゃいけないということでございます。
  149. 日野市朗

    日野分科員 どうも私そこいらの技術がよくわからないのでございますけれども、タマ取りというのは、結局、通票でございますね。通票の受け渡しということ自体はそれほど多大の労力を要するものとは私にはちょっと思えないのでございますけれども一般の人にもわかるようにちょっと説明していただきたいと思う。私は、あんなことは、そんな多くの労力を割くことなくできるのではないかというふうに思っているのですが、どうでしょう。
  150. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 先生のおっしゃるとおりでございますが、運転をしながら、しかもホームが左側なり右側なり、タマの取る場所が変わるという状態において、一人の運転士が、運転をしながら、走りながら、タマを渡し、そして取るということは、なかなかむずかしいと考えます。
  151. 日野市朗

    日野分科員 これはとにかくこの間までは走っていたという実績があるのでございますから、私はこれは努力によって決してそんなにむずかしいことではないというふうに考えざるを得ませんし、あの地域の住民はだれでもそう思っているのじゃないでしょうか。国鉄さんからそういう説明はしょっちゅう受けたにもかかわらず、みんなどうにも納得しないという点がございますので、ひとつこの点は十分に御考慮を煩わしたいというふうに思っております。  それから、もう一つ問題点としては、通勤通学時間帯の快速が消えてしまったという点に問題があるかと思いますね。  一番早く仙台市に着く快速電車は、九時に到着をするわけですが、九時に到着をされると、あの辺の人たちは勤勉でございますから、大体八時半から出勤というところが非常に多い。何とか年休などをやりくりしながら九時までに職場に入るという努力をいままでしてきた。ところが、いまは、それが全くできないわけでありまして、この点についても、これは考慮できないのかというふうに思います。  帰り時間には、もうこれは快速は一本もなく消えてしまったわけでございまして、この点についてもサラリーマンの方々からは非常に評判が悪い。やっぱり一日仕事を終わって帰るとなれば、それは一刻も早く帰りたいのは人情でありまして、疲れた体を各駅停車の列車に乗せて帰すというのもかなり酷なような感じがしてならないのでありますが、この通勤通学時間帯の快速の復活ということはいかがでございましょう。これもこの間まで動いていたのです。
  152. 橋元雅司

    ○橋元説明員 いまいろいろ御説明申し上げたわけでございますが、結局、列車の設定というのは、お客様の需要の動向に合わせるというのが基本でございます。  そこで、前に先生から御指摘ございましたが、この仙石線というのは、やはり塩釜の以遠とそれから手前とはかなり大きな需要の段差がございます。仙台から松島海岸間では片道約二万三千人の輸送をいたしておりまして、列車本数は片道で七十一本ということでございます。逆に松島海岸以遠は六千二百人ということでございまして、列車本数は二十六本ということで、大変大きな段差がある。  そこで、先生御承知でございますが、仙台の近いところでかなり列車の増発をしなければならぬということになってまいりまして、そういった御利用の実態に合わせて設定を行っておりますので、かつてあったラッシュ時間帯に快速を動かすことは、仙台のところまで入れることはなかなか困難になってくる、これが実情でございます。
  153. 日野市朗

    日野分科員 私が一番最初に基本的な考え方を伺っておきたいと言ったのは実はそこのところでございましてね。これは確かに乗っている人間が少ないではないかと言われると私も弱いところではございますけれども、やはりこれは国鉄がそういうふうに大都市周辺にばかり力を入れていく、ますます人が乗らなくなる、そしてますますいろいろな人的な交流、経済的な交流、文化的な交流、こういったものが、地方の中小都市の場合、中央から疎遠になっていく、または地方の大都市から疎遠になっていくということを招来しているのではないか、これでいいのかというのが私の根本的な発想なんですね。そして、同じような問題点は石巻―仙台間ばかりではなくて、全国各地、多くの場所にあるのではないかということなんでございます。  ですから、私は仙石線のようなところ、しかも塩釜から以遠のところにもっと力を注ぐ、こういうことを考慮すべきではないか、こういうことを申し上げているのでございまして、やはりこういう石巻のような地域にもっと力を注ぐという点について、これは非常に財政上からの御苦労のあることもわかりますが、これは私が最初に申し上げたとおり、われわれはひがみっぽくなっておりますからね。  ひとつそこらで国鉄なり運輸省の根本的な態度、これを聞かせていただきたい。そうしないと地方の人たちはなかなか安心ができかねるというふうに思うのです。いかがでございましょう、ひとつ高い政治的な角度からのお考えをいただきたいと思います。
  154. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 日野代議士と私は選挙区が同じですから、日野さんがいまおっしゃったことは、私が言うことを代弁してくれたと思います。それに一体運輸省なり国鉄が何と答えるか横から見ていたわけです。こういう冷酷無残な諸君を相手に仕事をすることですから。  本当にたった一分違いでやまびこに乗れない、こんなことはせんだってから歩いてみればだれでも言うことです。それはむずかしいことはわかるけれども、こんなことくらい直さなければ、恐らく直すでしょう、あなたからの御質問がありますから。それはやはり毛細管現象でお客さんを乗せなければ、新幹線にお客さんが乗れないわけですから。  もう一つは、やはりいまの仙石線の問題等々も地元でも大いに要望もしておりますし、また、こういうお話がございましたから、私は快速なりあるいは時間をどうして縮めるかということを――ただ問題は、いまの国鉄の財政の中においては、工事費をいただいて、安全確保の問題、それから大都市間の通勤通学、そういうものを重点的にやっておりますから、なかなか財政的にむずかしいところがあるだろうと思いますけれども、新幹線、仙台に非常に関係のあるところでございますから、恐らく国鉄の諸君はお話しの話を具体的に詰めて、いずれまた御発表いただくチャンスがある、委員会で発言したことが、政治家の発言が一つ実になっていく、こういうふうに思って、その辺は国鉄も温かい愛情を示して、新幹線が喜ばれるように、地方の喜ぶところに国鉄の存在がある、こう思います。
  155. 日野市朗

    日野分科員 大臣から非常に心強い御答弁をいただいたわけでありますが、私いまちょっと石巻に偏って物を申しましたけれども、これは決して石巻ばかりじゃないのです。古川を中心とする――じゃ一ノ関に出るにはどうすればいいか。たとえば大臣の地元であります栗原郡あたりの駅から一ノ関に出よう、そうすると、これはもう新幹線が出た直後に列車が入るのです。そういうのが非常に多い。こういうことを私ら見て、これは非常に非効率的であると思いますし、いま私が田舎者代議士のひがみを申し上げましたけれども、ここにはそれこそ大臣から国鉄のまさに頭脳になられる方々がそろっておいででございますから、私がいま申し上げましたことをちゃんとひとつ受け取っていただいて、地方の住民の思いを一つでもかなえていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  156. 越智伊平

    越智主査 これにて日野市朗君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  157. 越智伊平

    越智主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。上原康助君。
  158. 上原康助

    上原分科員 私は、かねてより問題になっております沖縄近郊に米軍が新たな訓練空域を設けようとしております、いわゆるACMI、空中戦闘技量評価装置設置の点についてお尋ねをさしていただきたいと思います。  多く指摘するまでもないと思うのですが、この問題は、一九八一年六月の日米安保事務レベル協議、言うところのハワイにおける日米防衛首脳の会談によって米側から要求され、その後にわかに問題として出てまいりました。いろいろ日米間でやりとりもあったようですし、私もまた何回かこの問題を取り上げて、前の運輸大臣、現長谷川運輸大臣にもお会いして、いろいろ事情をお聞きし、私たちの立場も強く申し入れいたしました。一部にはすでに日米間で合意をされたという報道もなされておりますし、私たちも残念ながらそのように受けとめざるを得ない運輸省の態度あるいは防衛施設庁の見解、態度というものが出ておるわけですが、一体事実関係はどうなっているのか。運輸省の担当者にいろいろ聞いてみると、まだ日米間で決まっていないとか、あるいはすでに運輸省局長あたりが米側にしかるべき提案をしたというようなことなどが言われているわけですね。  このACMI設置をめぐって日米間でどういう話し合いが現時点までなされて、何が合意されてどうなっているか、まず簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  159. 松井和治

    松井(和)政府委員 私ども運輸省航空局のこれまで米側と折衝いたしました経緯につきまして御説明いたします。  私ども昭和五十六年、一昨年の十一月ごろにこの計画が提案されたという御連絡を受けまして、私どもなりに検討に入ったわけでございます。同年十二月二十九日になりまして、民間航空分科委員会が開催され、その際、米側議長から私どもに対して、このACMIの空域説明並びに提案があったわけでございます。その後折衝を重ね、また私ども部内の検討を進めまして、五十七年、昨年の二月二十二日までの間いろいろの意見交換を行いました。二月二十二日には米側議長から、わが方の意見はある程度わかるので、若干空域を変更するということではどうかという一種の新しい提案がございました。この新しい提案を含めまして、私どもさらに詳細に検討いたしました結果、どうしてもこれは民間航空機の航行の安全に支障があるという判断をいたしまして、同年三月十七日に、私どもの方から米側に対して反対である旨の回答をいたしました。昨年七月二十八日に至りまして、米側は、さらに区域を少し変えて新しい空域の提供を認めてほしいというような新たな提案がございました。これに対しまして私どもとしてはさらに検討を重ねましたが、やはり同様に航空機の安全上支障があるという判断をいたしまして、八月十三日に私の名前で在日米軍司令官に対しまして反対である旨の回答をいたしました。  その後しばらく交渉がとだえておりましたが、昨年の秋ごろからまた話し合いをしたいという要請がございまして、これは正式の会議ということではない、いわば実務者レベルの意見交換というようなことが行われました。従来米側が要請しておりました沖縄の西方海域についてはなかなか問題があるという判断だろうと思いますが、しからば沖縄の東方海域でそのような空域がとれるかどうかというようなことが議論の過程で出てまいったわけでございます。私どもといたしましては、これまでの御説明でおわかりいただけますように、あくまでも民間航空機の航行に支障がないかどうかという点で判断しておるわけでございまして、現在のところ米側は、沖縄東方海域ならば民間航空機の航行に支障がないのではないかということで検討をされておりまして、恐らく具体的にどのような空域というような提案がなされるのではないだろうかと思っておりますが、現在までのところ新提案という形で私どもに示されてはおりません。現在米側が検討をしておるという段階でございます。
  160. 上原康助

    上原分科員 どうも表向きの御答弁のような感がしてならないですね。  そこで、時間の都合もありますから確かめておきたいのですが、そういたしますと、昭和五十六年八月十八日の施設特別委員会、これは第五百六回委員会ですね。これに米側が正式に提案をいたしましたね。これは間違いないですね。
  161. 田中滋

    ○田中説明員 お尋ねの件につきましては、一昨年、五十六年八月の段階で米側からACMI設置に関しましての米側計画案が施設委員会あて覚書の形で提出されました。
  162. 上原康助

    上原分科員 この提案については、場所としてはいわゆる硫黄鳥島付近、いま航空局長おっしゃった西方空海域、これについては民間航空に支障があるということで、政府としては米側提案を受け入れられない、拒否というか同意できないということは確認されているわけですね。
  163. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもは、民間航空の航空路ではございませんけれども航空機をレーダーで誘導する空域に該当しておりますので、これについては運輸省として反対であるということを申し上げたわけでございます。
  164. 上原康助

    上原分科員 その後米側からは、五十六年八月に提案されたもの以外の、変更をしたいとか、あるいはどういう空域に設定したいというような提案は具体的にあったのですか、なかったのですか。
  165. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど申し上げましたように、その後の議論の過程において、西方海域はどうしても民間航空機の航行に支障があるという判断から、米側の方から東側に空域をとったらどうだろうかというようなことが出てまいりました。私どもも、もし東方に空域をとるならば民間航空の航行の安全に支障があるかどうかという検討はいたしておりますけれども、それがまだ新しい提案の形で出されたわけではございません。
  166. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、米側は施設特別委員会に提案をした案というものはまだ公式には撤回をしていない、こういうふうに理解できないこともないのですが、そこいらはどうなんですか。はっきりさせてください。
  167. 田中滋

    ○田中説明員 先ほど申し上げました、一昨年八月に施設委員会あてに覚書の形で提出されました米側計画案といいますか、ACMIを日本に設置するという米側の要求はそのままでございます。
  168. 上原康助

    上原分科員 あなた、ACMIを設置する要求はそのままだと言うが、場所はどうなのかを聞いている。場所が問題になっているのです。もちろん、僕は場所がどこであっても賛成というわけじゃないですよ。
  169. 田中滋

    ○田中説明員 私ども防衛施設庁として承知しておりますのは、空域に関しましての場所等につきましての日米間の折衝といいますか、協議につきましては、米軍側におきましても、その所管管庁の意向、要望、判断等を十分尊重考慮いたしまして鋭意検討されている。米側の一昨年八月の計画案を大幅に変更するよう米側において検討されているというように承知しております。
  170. 上原康助

    上原分科員 大幅に変更するよう検討しているというふうに承知をしていると言うが、その点は運輸省もそのように理解しているわけですか。
  171. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど申しましたように、その後の協議の過程で、アメリカ側は東方に空域がとれるかどうかということを議論いたしておりますので、恐らくそこである程度の空域がとれるという判断がもしなされるとするならば、前の提案を引っ込めて新しい提案をするという動きが出てくるのではないかというふうに考えております。
  172. 上原康助

    上原分科員 そこで、大臣お尋ねしておきたいのですが、いままでのやりとりを見てみましても、私は二月の十七日に直接お会いいたしました。そのときに、大臣の御返事というか、私はあくまでこれは東方空域に持っていっても民間航空飛行に重大な支障を来すという認識、理解に立っておりますので、ACMI設置そのものをやってはいかぬ、これ以上訓練空域を設置すること自体が問題だという立場なんです。しかし、大臣のお答えは、当初計画よりははるかに民間機の飛行に影響がないという報告を受けている、前任者の段階でほとんど話し合いがついておったのではないかと思う、決裁事項でもないから私の方には詳しいあれはなかったということ、さらに、米側がぜひ必要というのであれば、技術的な面を工夫してやはり日本側としては設置せざるを得ないのじゃないか、大体こういう御回答でしたね。小坂運輸大臣は、やはり運輸委員会で私のお尋ねに対して、言葉そのものはそのとおりでないかもしれませんが、民間航空に重大な支障を来すのでこれはお断りするということをはっきり明言なさったのですよ。現在の沖縄のいろいろな空域をごらんになっていただいておわかりのように、たとえ西方でなくして東方に場所を変更するにしても、民間の飛行に重大な支障を来すと私は思うのですね。そういう面で、大臣としてはこの問題をどういうふうに御認識し、どう対処していかれようとするのか、まず中間的にお答えをいただきたいと思います。
  173. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 あなたが大臣室へぶらっと遊びに来て、そして雑談のようにいろいろな話をして、私もあなたを知っていますしいろいろな話をした。その後で話を聞くと、どこか許可したとかしないとか、そういうふうに新聞が書いているという話がありましたね。私の立場としますと、前の大臣がどうであるか別として、やはり日本の空域に航空交通に大きな支障を来さないような新しい提案が出た場合には慎重に構えてやっていくという姿勢をいまから先――これは決定したわけではありませんが、そういう問題が出た場合にはそういう姿勢でやっていく。あなたは、沖縄にはどこの飛行機も、アメリカの軍隊も要らないのだ、そういう雑談をされておった、そういう姿勢の中で言われている。私は、民間航空に支障がなければ、これはやはり許さなければならぬのじゃないかというふうな感じを持っているのです。そのためには慎重に考えていかなければならぬ、こう思っております。
  174. 上原康助

    上原分科員 民間航空に支障がないと言うけれども、その保証ができるかという問題だと思うのですね。  そこで、少し議論を進めていきたいわけですが、最近運輸省がこの問題を米側と話し合ったのはいつですか。五十七年の八月が最後ですか。最近はどうなんですか。
  175. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、公式のやりとりが行われた五十七年八月十三日に私の名前で西方海域についてのお断りをしたということでございまして、その後、これは公式の会合ということではなくて、向こうの実務家レベルの方が私どもの同じく実務者レベルのところに相談に見えまして、そこでいろいろな議論が行われた過程で、西の方がだめなら東の方にそういう空域がとれるだろうか、あるいは東の方の空域がとれたとしても、水深がこのような評価装置を設定するのに妥当かどうか、そういうようなことで議論が行われてはおりますが、最終の話し合いの期日が何日ということはちょっといまはっきりいたしておりませんが、いずれにしましてもそういう話し合いは断続的に行われまして、ことしに入っても一、二回は行われておるというふうに承知しております。
  176. 上原康助

    上原分科員 一、二回行われていると承知していると言うけれども、あなたがやっていらっしゃるのでしょう。ことしに入って、いま三月四日ですよね。二月にお話し合いをしたのですか、一月ですかと聞いているのです。
  177. 松井和治

    松井(和)政府委員 私が直接話し合いをしておるわけではございませんが、航空局の担当官が二月に話し合いをしたのが最後だそうでございます。
  178. 上原康助

    上原分科員 その二月の段階ではどういうお話し合いがなされているのですか。
  179. 川井力

    ○川井説明員 先ほど局長が申し上げております話の続きでございまして、新しい進展は特にございません。
  180. 上原康助

    上原分科員 まあわれわれも新聞報道で――大臣、さっき、私と大臣が話し合った中で決定したというようなことを大臣が言ったというのは、私は言っていませんよ。それはその前段の話なんです。航空局の提案がなされて決定されたという報道が多くなされているのです。そこは誤解のないようにしておいてください。私は、さっき大臣がメンションしたのは、こうこうこういう内容でしたということを断って申し上げておりますのでね。  そこで、委員長、ちょっとわかりやすいようにここに図面を持ってきておりますので、大臣と航空局長にちょっとおあげしますが、よろしいですね。  大臣、これをごらんになっていただきたいと思うのです。沖縄本島を中心に、もちろん宮古、八重山、久米島あたりを含めてですが、この青く塗られたところが現在の米軍の訓練空域なんですね。制限空域。これをごらんになるとどれだけ窮屈かおわかりですね。この黄色いところですね。伊江島訓練第一空域、第二空域と書いてある。黄色く塗ったところ、これが米軍の当初計画だったと思うのですね。これはおおよそ間違いないかどうか。
  181. 川井力

    ○川井説明員 黄色く塗られた部分でございますけれども、これが当初米軍から提案のございました空域におよそ間違いございません。
  182. 上原康助

    上原分科員 あとの青く塗られたところ、これが訓練空域、制限空域であることも大体間違いないですね。
  183. 川井力

    ○川井説明員 青く塗られた部分が米軍の訓練空域であることはほぼ間違いございません。
  184. 上原康助

    上原分科員 そこでお尋ねしたいわけですが、二月に入ってもいろいろ非公式に話し合った。航空局はこういう提案を米側に実際にやったんじゃないですか。「米側提案の空域は航空交通管制上必須の空域であり、円滑な運航を確保する必要上同意できないとして、米側の再三にわたる要請を拒否してきた。」いわゆる黄色く塗った部分については拒否してきた。「航空局としては沖縄周辺のの米軍訓練空域の設定状況(別図四)」、図はありませんけれども、「及び航空交通の安全の見地から、沖縄東方訓練空域(W―一七三別図三斜線部分)内に設定することを提案したが、」――皆さんがW一七三内に設定することを航空局として最近になって提案したのでしょう。「したが、米側は技術的に困難であるとして反対した。再度航空局から別図五の空域内に設定することを提案し、検討の結果、米側はこれを受けることとなった。航空局としては、同時にACMI空域を設定するための条件として、①懸案である沖縄地区VOR航空路の設定に必要な空域確保、②ACMI空域を設定することにより増加する分以上の空域訓練空域から削除、③現在、北部地区で計画されているVOR航空路の設定に障害となっている米軍訓練空域の移設と削減(別図六)を提示し、調整の結果、米側は受け入れることとしたので、航空局はACMI空域の設定に同意することとした。」これは新聞にも大きく出ましたね。これは航空局長か航空管制調査官ですかが最近になって米側と話し合ってこういうまとめをしたのじゃないですか。
  185. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますが、昨年私どもの反対の回答を出しまして以来、数度の非公式の協議が行われました。その際に、東方海域についての話し合いがなされたことは事実でございますが、私どもが何か新しい案を提案したということではございませんで、話し合いの過程の中で、もし東方海域にそのような空域をとるならばどのような場所が考えられるかというような話が出たということは事実でもございますし、また、先生先ほど御引用になりました私どもとしての基本的なスタンスといたしまして、提供空域が民間航空機の航行の安全に支障のない空域であることというのが第一点。それから第二点といたしまして、もしもそういう空域を提供することになった場合に、現在の提供空域の中にすっぽり含まれるならともかく、もしもはみ出す分があるならば、その増加する空域は見合う空域をどこかの提供空域から削ってもらうということ。第三点といたしまして、懸案の沖縄のVOR航空路の設定について、これまで米側との交渉で話し合いが進まなかったものが、これを同時解決をし、かつ、そのために必要な空域を削ることというものが全部言ってみれば包括的な形で合意されない限り、私どもとしては設定には賛成できないという立場が基本的なスタンスでございます。
  186. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、いま私が引用したことが話し合われたのは間違いないですね。
  187. 松井和治

    松井(和)政府委員 したがいまして提案という形ではございませんが、話し合われたことは事実でございます。
  188. 上原康助

    上原分科員 そこが問題になるわけですね。皆さん盛んに航行に支障を来すことはないと言っているのですが、専門家の皆さんが支障を来すということを言っておるのですよ。  そこで、このW一七三ですね、一応はみ出るのじゃなかろうかというのは私がちょっと赤で斜線を入れてありますね。これもほぼそういうかっこうになるのですか、どうなんですか。
  189. 川井力

    ○川井説明員 先ほど来局長が御説明申し上げましたように、まだ米軍から正式な提案がございまんので、どの程度の位置になるかははっきり申し上げられない段階でございます。
  190. 上原康助

    上原分科員 この一七三にすっぽりはまらないことだけは恐らく間違いないですね。
  191. 川井力

    ○川井説明員 ただいまも申し上げましたとおり、まだ米軍からの提案がございませんので、すっぽり入るか入らないかということも現在まだわからない状態でございます。
  192. 上原康助

    上原分科員 大臣、これは大変重大な問題で、具体的例を挙げて公式の場でいろいろお尋ねしてみると、まだ日米間で合意を見ていないとか、あるいは米側から提案がない。しかし、報道では、まあ世論の反応を見ているのかどうか知りませんが、すでに決定とか、あるいはほぼこういう形になるであろうということは専門家の皆さんも言っておるわけですね、こういうところにはみ出ると。そうしますと、いかに東方といっても窮屈な航空路はなるかということは素人が見てもわかるのです。大臣、これだけ重大な問題なんですよ。その御認識をぜひ持っていただきたいということ。私は、いまのような答弁のやり方はきわめて誠意のないふまじめな答弁だと言わざるを得ない。皆さんは相当のところまで詰めて、もう日米間でほぼ合意を見ていると私は見ている。それを公式の場で言うと、提案がないとかと言う。これは納得できませんよ。  航空安全推進連絡会議、これから二月十四日に大臣あて、総理大臣まで行ってますね、「米軍用訓練空域「空中戦闘技量評価装置(ACMI)」の設置について その計画撤回を求める再度の要請書」が出ています。これはパイロットの皆さんとか乗務員とか、航空関係に携わる全職員といいますか従業員が危険だと反対をしているのです。きょうは一々申し上げる時間はありませんが、そこでもだめだと言っているのですよ、大臣。また雫石みたいな重大な事故が起きたらどうしますかと警鐘を鳴らしているのです。  しかも、私がいま引用したのは二月十四日。八二年三月五日には、前小坂運輸大臣に同じく航空安全推進連絡会議の方から、ACMIの設置には絶対われわれとしては反対だということを言っておるのですよ。航空管制官の皆さんも、西側もともかく絶対だめなんだが、東側に移行したってこれは大変な問題があるんだということを指摘しているわけです。したがって、非常に生命にかかわる、安全にかかわる重要な問題であるだけに、先ほど慎重を期した検討をするとおっしゃいましたが、改めて、この件についてはやはり航空行政の最高責任者というお立場で、軍事を優先させるのでなくして、あくまでも民間航路の安全確保という立場から、大臣の決意を伺っておきたいと私は思うのです。
  193. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 先ほど航空局長が原則を三つばかり申し上げましたが、私はあれに尽きるのではないかと思います。民間航空路というものを非常に大事に守っていこう。ですから、いろいろな御要求があった場合でも、それじゃだめだ、エリアがはみ出すようなことでは困る、いままでのエリアよりはみ出さないようにしよう。りっぱな姿勢。そういう中から慎重に協議していこう、こういうことでございますから、御信頼をしていただきたいと思います。
  194. 上原康助

    上原分科員 終わりますが、まだ最終的な決定は出てない、また米側からの具体的な提案がないということでしたが、私たちはあくまでもこの設置には同意するわけにはまいりません。したがって、民間航空の安全確保に支障がない、あるいは関係者、県民の不安を除去する、少なくともそういうものを明確にした上で日米間の話し合いを進めていく、最低限度そういうことがないと、この問題は絶対に沖縄側としては容認できませんので、私は改めての決意を伺っておきたいと思います。
  195. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 あなたの御意見も胸に体して、慎重に推移を見守ってまいりたい、こう思います。
  196. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  197. 越智伊平

    越智主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬長亀次郎君。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕
  198. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 最初に、運輸大臣に御質問しますが、私もACMIについて質問したいと思います。  去年の二月二十七日に予算委員会第五分科会において小坂国務大臣に対しまして質問しましたが、大臣は、米側提案のACMI空域は沖縄の航空路の相当な要衝の点に当たっているので同意できない、さらに、米側の配慮、再考を促すことで交渉を続けさせたいという答弁をしておりますが、大臣も小坂大臣と同じような姿勢であると見ていいでしょうか。
  199. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 小坂運輸大臣の意見と同じです。
  200. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それで、最初に私が提起したいのは、この運輸省の文書なんです。「航空局側の対応」という問題で、この前、局長にも話をしたのですが、この提案を大体やってはいる、だがアメリカからのこれに対する同意はないということでしたが、局長にお聞きしますが、まだありませんか。
  201. 松井和治

    松井(和)政府委員 まだ米側から新しい提案という形で返ってきておりません。
  202. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それは米側はあなた方の提案について何か不満であるとか、こういった点を一応直したらどうかといったような意見は出ておりませんか。
  203. 松井和治

    松井(和)政府委員 私どもはあくまでも航空という立場で今後ACMI問題を見るわけでございまして、民間航空機の安全に支障があるかどうかというのが私どもの最大の関心事であり、それに尽きると言っても過言ではないわけでございます。アメリカ側がそういうACMIをつくるに当たりましては、そういう空域の問題のほかに、たとえば水深がどうであろうかとか、あるいは電波の問題がどうであろうかとかいう、ほかの問題が恐らく検討材料としておありだろうと思います。したがって、私ども米側がどのようなことを現在検討しておられるのか全く承知しておりませんけれども、米側の方で恐らく総合的な慎重な検討をしておられるのではないだろうかというふうに推測しておるわけでございます。
  204. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 運輸大臣は御承知かもしれませんが、われわれ安保条約反対の立場です。政府はもちろん賛成の立場であるが、しかし、立場が違うにしても一致する点は、陸海空の日本の主権の及ぶ範囲はできれば全部主権が及んだ方がいい。しかし、安保条約があるものだからだんだん縮小されて、陸の基地も提供する、海も提供する、空も提供する、これのやはり整理縮小、これは陸海空とも同じことが言えると思うのです。何か空は基地はないかのように国民は印象があるのですが、空も基地があるのですよ、こっちが入れぬところがあるのだから。それを縮小して、民間機が自由に使える範囲は大きくなった方がいいわけなんで、いわゆる日本の主権が、陸海空ともに完全に主権者となるという点については大臣も同じ意見だと思いますが、いかがですか。
  205. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 それは一般論としてはそのとおりでございます。しかし、やはりこういう複雑な世界でございますから、二百海里があってみたり、それから空の上だってどこどこを通ってはいかぬ、通っていいということは各国みんな決まっているのです。日本の場合にはことに安全保障条約の関係等々がありますから、また、アメリカと協力している関係でいまのような空域の問題等々もある。しかし、その間においても、民間の場合には、なるべくアメリカの言うことだけを聞かないで、民間航空の安全航行をいかにして私たちが守っていくかというところで苦心をし折衝しているという形でございます。
  206. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それでお聞きしますが、これは具体的に局長に答えてもらいたいと思いますが、「航空局側の対応」として、「交通の安全の見地から、沖縄東方訓練空域(Wー一七三別図三斜線部分)内に設定することを提案したが、米側は技術的に困難であるとして反対した。再度航空局から別図五の空域内に設定することを提案し、検討の結果、米側はこれを受けることとなった。」これは事実ですか。これはあなた方の資料ですよ。
  207. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいま御引用になりました文章を私どもがそのように書いたとは実は思われないのでございます。と申しますのは、先ほども上原先生の御質問にお答えいたしましたように、米側との議論が行われまして、東方海域にACMIの空域がとれるかどうかという議論が行われたことは事実でございます。しかしながら、私どもの方から、このような空域でどうですかというようなことは、私どもはACMIの専門家でもございませんし、そのようなことを提案というようなかっこうで持ち出すということは本来できないわけでございます。提案という言葉にこだわるようでございますけれども、私どもとしては、議論の過程でアメリカ側からこういう空域ならどうですかという話があれば、これは民間航空に支障があるかどうかという観点から検討もしお返事もする立場でございまして、私どもの方からこういう空域でどうですかというようなことを言う立場ではないわけでございまして、私どもとしては、常にそういう観点で、あくまでもいわば受け身のかっこうで、もしそういう空域が必要だというような話があれば、それは民間航空機の航行の安全に支障があるかどうかという観点で、少しでも支障があると判断すれば、昨年の経緯でもおわかりいただけますように、私どもとしては強い態度で反対をしていきたいというふうに考えております。
  208. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私、なぜいまごろそういった危険な空域の設置を要求するか非常に不可解なんですよ。御承知のように、沖縄における陸上の基地は幾らか整理縮小されております。ところで、空は整理縮小どころか、まだこんな危険なものをつくろうとする。  あなた方に来ておる日本乗員組合連絡会議、後で聞きますが、この中にこれがあるのですよ。F15イーグルの訓練は、マッハ〇・八として四分以内に訓練空域を飛び出してしまう、実に危険なんですよね。十二機編隊で六時から八時までやるんだな。たとえ訓練空域をはみ出そうが、はみ出すまいが、これを許した場合にはどんなに危険であるか、この一事でもわかるのです。いまはそんな編隊はない。F15が行きますね、これも欠陥機で有名なんです。これもこの前沖縄の空で落ちましたね。これが十二機編隊で、六時から八時まで同じ十二機でやるわけにはいかぬ。だから行ったり来たり、行ったり来たり、これだけでもどんなに沖縄の空が危険になるかということは、これは軍事評論家でなくてもわかりますよ。いまないのですよ。設置されたら、F15十二機編隊で常時飛んで行って、そこで空対空の戦闘技量の評価をやって、それが嘉手納にコンピューターで行きますから、そのときにパイロットの緊張度というのですか、常時見張られていますからね。君のいま発砲した機関砲は当たった、だめだ、常時ですよ。もうそれの緊張度が大変らしいですよ。緊張すればするほどこの欠陥機の墜落はもう目に見えています。それがいまはないのが今度は強化されるわけです。私、これだけでも運輸大臣、空の安全秩序のためにこれは絶対許可しちゃいかぬな。訓練空域であっても、はみ出そうが、はみ出すまいが、現在アメリカが使っている訓練空域内でも許しちゃいかぬ、これを国民は運輸大臣に非常に期待していますよ。事実ですよ。私は、この前、局長に会ったときも、いま頼りになるのは運輸省だ。防衛庁も外務省もやろう、やろう、自衛隊は自分のものをつくりたいんだ、これをつくったら一緒にやろう、あの五六中業にも書いてある。ですから、頼りになるのはもう長谷川運輸大臣、あなたですよ。ですから、私は、こういったような戦闘技量評価をアメリカ国内でやればいいんだ、アメリカ国内でやれ。何で狭い日本へやってきて、しかも、四〇%はまだ依然として占領時代と同じように縮小されていないですよ。それを持ってきて、またぽかっとやる。その点、大臣、小坂大臣にもその点は申し上げましたが、繰り返し、大臣、絶対許可しない方針でいってくださいよ。どうなんですか、危険ですよ。いかがですか。
  209. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私の方は民間航空の安全を守るという立場でございまして、ですから新しい要求があっても、そのエリアがいままで以上に大きくちゃいかぬとか、いろいろなことで制約を申し上げ、そして民間航空の危険にならないように慎重にひとつ話を進めてまいりたい、こう思っております。国策全体の問題でございますから、それは私一人で及ぶところではいまのところ残念ながらございません。
  210. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 関連して、大臣に、これは要請ですが、日本乗員組合連絡会議、これは局長松井さんに当てての文書ですね。これが一向に返事がないらしいのですよ。この人たちは機長、パイロットなんですよ。これは常時これをやっているのです。もう感じ方、不安を通り越して危険を感じている。私は、せめてこの人々に会って、六つの質問書を出していますよ、こういうのを解明してほしい、これは局長知っていましたか、いまだに局長、返事をしておらぬと思いますが、せめて会って、現時点までこうこうこういうふうなことになっておりますが、皆さんの安全確保をするためには努力しますくらい、大臣忙しいから会えぬかもしれないが、せめて局長くらい会って、親切にやってもらいたいと思うが、いかがです、局長
  211. 松井和治

    松井(和)政府委員 この質問状の中に六項目の項目が掲げられておりますが、これは実は現段階で私どもがお答えできない問題がございまして、ACMIの正確な位置と言われましても、私どもは米軍からの提案がないのでお答えはできない。あるいはACMI空域と基地との間のルートと言われても、これは位置が決まらない以上お答えができない。あるいは関連する空域調整と言われましてもこれまたお答えができないというようなことで、現段階でお答えのできない問題がここに掲げられておるわけでございます。  しかしながら、先生いまお話しございましたように、乗員組合連絡会議の方々、非常に心配しておられるということでございまして、先般航空局にお見えになりました。私どもの担当官と十分意見の交換を行いました。したがって、この質問状に対してお答えできない問題がありますけれども、現段階の進捗状況なり私どもの考え方なりというものは、十分その段階で御説明をいたしたわけでございます。これはごく最近のことでございます。
  212. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは文書をもって答えてくれということですから。なるほどいまの御答弁を聞いてもわかります。ただ、御答弁のように、これこれこれはまだはっきりしませんというくらいの答弁はできますよ、委員会であなた答弁しているんだから。だから、一から五まで具体的にはまだ決まっておらないので決まり次第はっきりお知らせしますと文書で出すくらいの親切さを、しかもあなた、常時空を飛んでいる人たちなんですよ。その点は要望しておきます。これは文書でもって答えてくれと書いてある。ですから、文書でもっていままでのいきさつくらい答える、これは国民の請願権ですからね。いかがですか。
  213. 松井和治

    松井(和)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、先般代表者の方がお見えになった際に御説明をいたしまして、私どもとしてはそれで御回答になっておるというふうに考えますが、どうしても文書で回答しろと言われるならば、文書で回答することはやぶさかでございませんが、すべて決まっておりませんのでお答えできませんという回答をするよりは、むしろお会いして御説明をし御了解を得るということがすでに行われておりますので、そちらの方が十分な意思の疎通になっておるのじゃないだろうかというふうに考えております。
  214. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 共産党の調査に基づいて残り時間質問します。  このACMIは、大体の構想が二カ所の陸上のステーションが要るんですね。これは与論島、沖永良部、この二カ所なんです。施設庁だれか来ていますか。それで、沖永良部、与論島、これにパラボラアンテナ、マイクロウェーブ回線がもうすでにつくられておる。これは東亜国内航空のルートなんですね。八三年二月九日にわかったのですが、沖永良部島の空港から西南西に向かって二キロの地点に高さ約百メートルのパラボラアンテナが建設されている、この事実。与論島は飛行場の中心から東南東に三キロの地点、これは四百四十八フィートで百二十から百三十メートルのパラボラアンテナが建設されている。これは東亜国内航空の進入方式が変更されることを示しておりますが、これは運輸省、御承知ですか。
  215. 長澤修

    長澤説明員 ただいま先生御質問の話は、沖永良部及び与論の両空港にかかわります最低降下高度を変更したことに関連した御質問だと承知いたしておりますが、ただいま先生お話しのとおり、沖永良部空港及び与論空港の近くにパラボラアンテナが建設をされまして、その結果、最低降下高度がそれぞれ、これは着陸方式によって変わりますけれども、十八メートルから四十二メートルほど高くなっております。  この当該パラボラアンテナの使用目的につきましては、電電公社の説明によりますと、鹿児島及び沖縄方面を結ぶ市外電話、テレビジョン中継等の施設であるというふうに聞いております。
  216. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは電電公社のものじゃないのですよ。全部調べたのです。それは工事はそうかもしれない。これは一体だれがやっているのか。ACMIとこれは関連なしにつくれないです。しかも陸上ステーション、あなた方の計画しているあれなんですよ。もうすでに建っておる。これはどこの管轄なんですか。電電公社じゃないのですよ、これは。電電公社に聞いたんですよ。これはどこですか。
  217. 長澤修

    長澤説明員 私どもこれは電電公社のものというふうに承知しております。
  218. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 施設局ですか、あなた方。
  219. 長澤修

    長澤説明員 運輸省でございます。
  220. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは運輸大臣御承知のように、外務省と防衛庁はもうこのACMIを設置したくてしようがないのですよ、五六中業に書いてあるんだから。ですからこれは危険なんですよ。これは御承知のように陸上のステーションが要るんですよ。これがないとだめなんですよ。そこへ海上のブイが五個ないし七個、まあ数個ですが、ここに置かれるわけです。これから発進して対空のあれを全部、当たった当たらぬを調べてマスターステーションに行くわけなんですが、陸上はすでに設定されておる、与論と沖永良部。これはあなた方のあれからするとまさにその通路にありますよ。(瀬長分科員、図面を示す)これが沖永良部、これが与論ですよ、これが沖縄、これを結ぶ。そして、もうすでにその問題については図面で承知されておると思いますが、こういったかっこうなんです、大臣飛行機が飛んでいるでしょう。そこに陸上の基地があるのですよ。このアンテナがすでに建設が終わっておる、先行している。ですから、大臣があるいは局長がまだ返事がないのだということで安心させようとされても、向こうの漁業組合は断固反対、立ち上がっているのですよ。それで十三日に徳之島に行くことになっておりますがね。もう本当に漁場なんですよ。そこを全部、いろいろな装置のあれで禁止されるのです、ここは。陸だけでなしに、陸に近接するものはブイが置かれますから全部禁止される。ですから、これは空だけじゃないのですよ。いわゆる空、陸、ステーションがこの中にある。それから海、禁止区域になる。それほどの重大な問題になっておる。すでに先行している。だから、その点をはっきりさせないとこの問題は解決しない。南西航空あたりにも来ておるのは、高い塔が建っているからもっと高いところを飛べという通告まで来ているのですよ。運輸省、これは知っていますかな。これは知っているでしょう。与論空港における着陸の最低気象条件に次の改定をするということで、これが建ったために改定通知まで来ておる。ですから、これは施設庁あたりが来れば――電電公社でごまかしているのですよ。調べたらこれは電電公社のものじゃないのです。だから、当然、防衛施設庁関係、防衛庁関係であることは間違いないわけです。私はそういった認識で、最初に小坂大臣の言われた方針を長谷川大臣も貫き通されるということを聞いて、一応は安心しています。しかし、これは一応ですよ。こうして先行しておりますから、また状況の変化で、いやこれはこう認可しましたなどと言って国民を落胆させないようにお願いしたいと思います。  あとわずかしかないから、最後に、自衛隊沖縄地方連絡部の違法入居に関する質問を私やったのですが、これは国会始まって以来じゃないのかな、内閣から回答を拒否してきているのですよ。これはどういうことかというと、いま運輸省港湾局長通達で示されている条例を那覇はつくって、港湾にはそういったような港湾関係しないような事務所は置いてならないというあれがあるのですよ。それで政府は、いまのビルを持っておる所有者が用途変更命令の取り消しの審査請求を運輸大臣に対してなされているところであり、答弁は控えたいということで、この答弁拒否は運輸大臣にげたを預けてしまった。これは大臣は御承知ないかもしらぬが、事務当局は何か知っているのじゃないですか。
  221. 松本輝壽

    ○松本政府委員 お答えいたします。  御質問の件につきましては、昨年の十二月二十一日に那覇市長が、沖縄総合リースまた共光建設両社に対しまして、自衛隊の地方連絡部の入居について用途変更命令を発した。それに対しまして、沖縄総合リース及び共光建設は用途変更命令の取り消しを求めて、現在運輸大臣に対して審査請求がなされているわけでございます。運輸省といたしましては、二月十六日に審査請求書を受理いたしまして、現在、調査を開始し事実解明に乗り出しているわけでございます。したがいまして、非常に微妙な問題でございますので、現在の時点では答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。
  222. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 あなた方が答弁を差し控えるというのは、那覇市は自治体なんですね。ここは国だ。憲法でも自治の原則は認められていますからね。五つの原則のある中で、一番最後に自治の原則。国の機関が、しかも自衛隊が――港湾法にもある、局長通達にもありますよ、港湾関係以外のものはだめだと。自衛隊なんか港湾関係じゃないでしょう。自衛隊を募集する事務所ですよ。  だから、基本的に私が大臣にお聞きしたいのは、これは大臣として法律を守って、局長通達も出ておる。これに基づいて那覇市長は検討して、これはひとつどいてもらいたいということを言っているわけなんだから、この点は、そういった意味で自治体の長の苦労も勘案されて、これが通るように、そういった自衛隊の不法入居を許すようなことのないように、私は重ねて運輸大臣にお願いし、どういう意見であるか、ちょっと意見を聞かしてください。
  223. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 自衛隊だからだめだというわけにはまいりませんが、いまおっしゃるような事実関係を一遍よく調べてみましょう。
  224. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 終わります。
  225. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて瀬長亀次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、新盛辰雄君。
  226. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 国鉄の関係者お見えですか。――すでに国鉄のローカル線廃止の問題については、法律に基づいてそれぞれに行政当局でもお進めになっておられると思いますし、第一次のローカル線の廃止、どの程度協議会が進んでいるのか。すでに廃止決定の路線、さらにはいまだに終結をしていない関係の個所、これについてお知らせを願いたいし、また、第二次の廃止路線の明示があったし、すでに協議会を地方でつくることになっているわけですが、その進捗状況について鉄監局として把握しておられるか、また、国鉄は進めておられるかどうか、お聞きします。
  227. 竹内哲夫

    竹内(哲)説明員 お答え申し上げます。  第一次の特定地交線につきましては、四十線区のうち三十八線区につきましてすでに会議開始希望日が到来いたしまして、三十八線についての協議会が持たれてございます。このうち、多いところでは四回程度、おおむね二回程度は協議会が持たれている。ただ、必ずしも協議会の開催回数よりも、回数が少なくても実質的に進んでおるところもございます。なお、残りの二線につきましては、この四月一日に協議開始希望日が参りますので、この時期に合わせて協議会を開催いたしたいということでお願いを申し上げておるところでございます。  現在、協議会の進捗状況でございますが、御承知のとおり、三陸縦貫関係につきましてはすでに第三セクターを設立いたしまして、五十九年四月一日の開業を目途に順調に計画が進んでございます。その他の線につきましても、バス転換を希望いたしまして、年内にその転換を図りたいという希望を承っております綿区が数線ございます。その他の線区につきましては、第三セクターでいくのかあるいはバス転換でいくのかというような点についてまだ結論が出ていない、なお検討中であるというような線区でございます。  それから、第二次の関係につきましては、昨年の十月二十二日に、国鉄といたしましては法令に基づきまして三十三線区を選定いたしまして、運輸大臣あてに承認の申請をいたしておりまして、運輸省からは各道府県知事あてに知事意見を求めていらっしゃるというのが現状でございます。
  228. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 この第三セクター方式、バス化の方向へ行くのと、まあ第三セクターというのもなかなか経済不況の中では危険度も高いし、大変消極的ではないだろうか、そう思うのでありますが、このウエートはどうでしょうか。第三セクターとバス化への方向ですね。どちらの方が大きいのですか。
  229. 竹内哲夫

    竹内(哲)説明員 結論が出されておりますのは、三陸縦貫を除きましてはまだ公式にはございません。内々意向が表明されているという段階でございますので、はっきりしたことはまだ申しかねるのでございますけれども、バス転換を希望する線区がかなりあるのではないかというふうに思っております。しかし、第三セクターを考えたいというところも、私どもがいままで聞いておりますところでも数線あるわけでございまして、比率がどっちが多いのかという点については、数字的にこうだというところまではまだはっきり申し上げかねるような状況でございます。
  230. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 この第二次の発表以来地元で大変問題になってきているのですが、私は鹿児島ですから、鹿児島鉄道管理局内では四三%廃止ということになっているのですね。これらについては先般総裁も鹿児島を視察されておるわけですが、率直に申し上げて、志布志、大隅、山野、宮之城各四線区についてはそれぞれ地域経済開発の問題と絡んで、地元は知事を先頭に、それぞれの沿線区で反対をしておられるわけです。特に志布志線などは、鹿児島県が進めている大隅新開発等の計画と合わさって、片や新しい企業開発を含める石油備蓄問題でいま大問題になっているのですが、もう廃止をする。これらの地域経済開発、あるいはこれからの交通の持つ役割り、大変矛盾してきているじゃないか。また、大隅線に至っては新設されて十二、三年ですね。莫大な資金を投下していまは廃止という、まさに今日の現状から見て言うならむだ遣いをしているじゃないか、このような率直な声があるのですが、総裁自身現地を見てこられていかなる感想を持っておられますか。
  231. 高木文雄

    ○高木説明員 この地方交通線の問題というのは、本来、その地方地方の実情に即していろいろな判断が進められるべきものではございましょうけれども、どこの地区でもこれはぜひ続けてくれということになるものですから、そこで法律のたてまえでも、その後のいろいろな基準の決め方でも、やむを得ず画一的に決めざるを得ないということで基準が決められてきております。したがって、各線区線区ごとにこういう事情がある、ああいう事情があるということでございまして、志布志線のような場合、あるいは大隅線につきましても、たまたま志布志湾の開発ということからの関連からいいますと、何か国の政策なりあるいは国鉄のとっておる態度なりに矛盾があるのではないかという印象を地元の方から強く寄せられるのは、ある意味ではごもっともなことだと思うわけでございます。私が参りましたときにもそういうお話をいろいろ承ったわけでございますけれども、しかしいずれにしましても、今回の地方交通線の転換に関する基本的な考え方は、地元の方々にいろいろ実情に即した御研究をいただいて、そして私どもの立場も御説明申し上げ、また、運輸省として国の政策をお示しになって、みんなで相談していこうということでございますから、現地でいろいろ御質問をいただきましたけれども、私としては、とにかくまず協議会を早く設けていただいて、そこでひとつ丁々発止の議論をしていただきたいということをお願いをいたしたわけでございます。  いま私の印象いかんということでございますけれども、ほんの半日なり何なり、ちょっと立ち寄ったというだけのことでございますから、いまここでそのようなことについて申し上げるのはいかがかと思いますので御勘弁いただきたいのですが、いずれにしても私といたしましては、協議会がなるべく早く発足をして、どうしたらいいのかということで皆さんでお考えをいただきたい。私は、決して線路がなくなることが絶対的にマイナスだとは考えられないのではないか、むしろバスの方が便利なこともあり得るのではないかという前提で各地域にもお話し申し上げているのでございまして、今後とも、まだ相当期間がございますから、ゆっくり御協議願いたいというのが私の考えでございます。
  232. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 先のあることですからということですが、バス転換にしましても、さきに運政審で出されておりますように、第三種生活路線、五名未満とか、あるいは第二種生活路線、五人以上十五人以下、こういうような基準が出されたやに聞いておるのですが、こういう過疎化現象を早めつつある中で、バス転換というのは現実ほとんどもう採算とれない。だから、キロ当たり三千万円の金をやって早く第三セクターだとかバス路線だとかおっしゃいましても、なかなか現実はそうなまやさしいものじゃないと思うのです。こうしたことに対して、やはり地域住民の同意を得るとかあるいは協議会で早く結論を出されるようにということなんですが、地場企業の少ない過疎地方ではなかなかそういうふうにいかないだろう。理論としては考えられるけれども、現実はどうにもならないということが言えるわけです。だから、総合交通の確立、政府が持つ総合的な中から問題を見詰めなければならない時期に来ていると私は思うのです。その点大臣どうでしょうか。
  233. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、第二次交通線の問題等々は各地域にとっては大変なことでございます。第三セクターお願いして、いまのように一キロ三千万、そしてでき上がった後には、赤字が出た場合にはその半額を国の方が出す、こういうふうな、ときには厚い手当ても財政再建の中でやっているつもりでございます。それもできないということになればこれはどうにもこうにもならぬ。それを国鉄が引き受けて風やら空気ばかり運んでおってはこれもまたまずい。十何年前にできたのか知らぬけれども、せっかくこれだけのそういうルートがあるとするならば、ここでひとつ鹿児島県の方々の知恵を何とか出してもらわなければ話にも何にもならぬという感じもいたしますので、これはあなたのように説得力のある、しかも国鉄をよく知っておられる人が何とか知恵を出していただきたいという感じを持つのです。  とにかくそれだけの手当てをしていまやろうとする三陸がある、あるいは宮福がある、野岩線がある、あるいはバス転換をやろうとしているところがある。これだけの長距離で、そして何か将来志布志湾――志布志湾といったって、私も非常に注目しておりますけれども、あしたすぐ大きなアパートができて、工場団地ができて、すぐに人間が張りつく、二千人が三千人になるという見込みはいますぐはないとすれば、やはりこういう制度がどうしても先行せざるを得ない。それをどう地域が受けとめて、かわりの足についていろいろ知恵を出す時期じゃなかろうかと感じていますがね。
  234. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 それは知恵をとおっしゃいましても、皆さんが英知をしぼっておつくりになったのがこれだけしか出ないのですから大変なんで、やはり日本は総合交通政策を考えなければならぬ時期に来ている。だからこうした面では、これからの国力をつける意味でも、さっきも話が出ましたように、ただ画一的に押しつけて事が済むものじゃない。この点ひとつ頭に入れていただいて今後の対策をお立ていただきたいと思うのです。  次に、それに関連をするわけですが、私どものそうした環境の中で鹿児島交通株式会社というのがあるのですが、民鉄としてここだけある南薩鉄道ですね。この廃止が突如として昨年の十月に組合側の方に非公式に提案をされ、そしてさらに十二月に関係沿線の首長にこの提案がされたわけです。もう寝耳に水でして、みんな大変びっくりしちゃって、すぐさま、南薩鉄道を守ろうという、そういう期成同盟会が、加世田の市長さんが中心になっておられるようですが、できました。  かねがねからこのことについては運輸省民鉄部とは接触をしているわけですが、ここで確認をしておきたいのは、非常に抵抗が強い、廃止反対、こういう状況であります。それで、いわゆる認可を与えたのは運輸省ですし、これを廃止することに対して応諾を与えるのもこれまた運輸省です。運輸省の今日の見解は、交通事業は公共機関なので住民の同意、つまり議会決定など当然必要である、ただ労組の同意書があれば廃止申請だけは受理されることもある、もちろんこの場合でも認可の時点までに住民の同意を得なければならない、こういうように明確に答えを出されて、いわゆるコンセンサスを得なければ、われわれとしてそう軽々に廃止申請があったらこれを認めるというわけにはまいりませんということを明確にお答えになっておるのです。そのことはいまも確認できるかどうか。また、現実に会社側の方から廃止しますという申請が来ているのかどうか。三月いっぱいでもうなくなるというのですから、ここのところを確認をしておきたい。
  235. 永光洋一

    ○永光政府委員 鹿児島交通が南薩線を廃止したいという意向を持っていることは聞いておりますけれども、現時点におきまして廃止申請はまだ出されておりません。  この線は、御承知のとおり非常に長い線でありますが、確かに利用人員は、一日輸送密度は五百人程度で非常にローカル的な鉄道でございますし、経営もなかなかむずかしいと思いますが、仮にこの申請がありました場合は、いろいろ地元に対する影響等もございますし、その他関連のいろいろな影響がありますので、慎重に検討してその可否を判断してまいりたい、かように考えております。
  236. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 この沿線地域はいわゆる南薩関発事業として県も相当大きく取り組んでいるところです。吹上浜は有名な白砂青松の場所ですが、ここに約百十町歩の総面積の海浜公園をつくろうというので、五十六年度から着工して、約六十億の総事業費でもって六十三年度には開園したい。そうすると、この路線が非常に活用度が高くなってくるわけであります。そうした状況もありますし、この沿線、二十九年でしたか、当時は四百十六名の従業員がいたのですね。それから過疎化の傾向を早めたものですから、労組との間で合理化を随時進めてまいりました。四十三年には貨物の合理化で八十一名解雇、四十四年三月には廃止を提案しましたが、これを撤回して百五十四名の解雇、しかしそのうちまた九十四名をバックしました。そして四十六年の三月には貨物の輸送を全面的に廃止をして三十二名、現在は四十八人でこの沿線を担当しているわけです。正社員が三十六人、あとは臨雇、こんな状況ですから、犬くぎも手で抜けるようなあんばいでして、大変危険度も高くなっていることは事実です。だから、八千万ぐらいが民鉄赤字の限界ということがよく言われますが、一億円ぐらい毎年赤字が出るので、廃止と端的に出てきたわけですが、ぜひとも、地元の強い要求もありますから、いま十分コンセンサスを得られるように慎重な態度でというお答えでございますが、こうした地域の開発とのにらみ、過疎化の現象、そうした問題も含めて、軽々に廃止を許可するということにならないように、ここのところはもう一回お答えをいただきたいと思います。
  237. 永光洋一

    ○永光政府委員 いま申しましたように、事業者は廃止ということの意向を持っていまして、現時点において地元等といろいろ話し合いを進めておるやに聞いておりますけれども、まだわれわれのところには正式に申請は上がってきておりません。しかし、再度申しますように、上がってまいりましたら地域の状況等も十分にわれわれとしても調査し、あるいは今後の影響等も十分に勘案して慎重に対応してまいりたいと思っております。
  238. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 その際、地元から申請が上がってくる際、あるいは民鉄部の方でいろいろ結論を出される際は、ぜひ地元の代表者の皆さんには事前に、私どもにも事前にお知らせをいただきたい。これは御要望申し上げておきます。  時間がございませんではしょりますが、次に大島航路の減船問題について、もうすでにこれもやりとりがございました。六月に見切り発車しません、六月以降も現行の四船運航を責任を持って指導します、今後九州海運局と地元民の意見交換の場を設けて対処したい、こういうことで、当分の間現行体制、六月にこだわらない、こういうことでありますが、九州海運局の方ではすでに三隻でもって三十航海の行政指導をしてこられた経緯もあります。そういう提案もされた経緯もある。しかし、現実にこの大島航路というのは、大島運輸、そして照国郵船、この二会社が運航しているわけですが、離島振興とのかかわり合いはどうなるのか。私も国土庁の離島振興審議委員の一人ですから、これらの兼ね合いと今回のこういう取り扱い、六月をめどにしないとおっしゃいますが、当面現行体制だとおっしゃいますが、当面というのはいつまでを指してのことか、あるいは乗客などの流れを見てのことなのかも経常を見てのことなのか、どういう判断に立っておられるのかをお聞かせをいただきたい。
  239. 石月昭二

    石月政府委員 奄美の航路、現在四隻配船しておりますものを三隻に減らす、これは三隻に減らしました結果便数が減るとか輸送力が足りなくなるというような計画ではございませんので、実はかえって便利になるという計画でございます。しかし、それには果たして欠航が出ないのかどうか、時間がおくれないかとか、その辺いろいろ問題点の詰めがあったわけでございますけれども、その辺の詰めを十分にやらないうちに、住民の皆さんの方で、四隻体制が三隻体制に減るということで不便になるのではないかという疑惑が生じたわけでございます。この辺、九州海運局の意図と地元の住民との間に若干のコミュニケーションギャップがあったというぐあいに私認識しております。  こういうのが実態でございますので、私どもといたしましては、ただいま先生おっしゃいましたように、地元住民、それから九州の海運局、事業者、この三者が入りまして、できるだけ早い機会にお互いが理解し合った上で、三隻体制に移行することを考えていきたいというぐあいに考えております。
  240. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 当分の間ということはそのことを指しているのですか、コンセンサスを得られるようにとか、同意を得られるようにとかいうことですか。
  241. 石月昭二

    石月政府委員 本件につきましては、九州の海運局の方で、六月一日をめどに三隻体制に移行するということで行政指導をしてきたわけでございますけれども、この点につきましては、ただいま申し上げましたように十分なコンセンサスの形成がなされていないので、その六月一日というものを白紙に還元する、その上でよく皆さんとお話をし合って、早い機会にしかるべき結論を見つけたい、こういうことでございます。
  242. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 それで、いま一連の陸運行政の問題、特に過疎地域での交通情勢、離島の振興にかかわる航路の保持、こうしたことが全般的にやや速度を増して拡大しつつある。だから、この辺のところについて、いずれにしましても国策として打つ手を、いい知恵があればと大臣おっしゃられるかもしれませんが、いまのこうした状況を無視することはできませんので、県側の方も一生懸命お取り組みいただいておるようですが、政府としてもこの種問題に注目をしていただいて、そしてもっと先ほど少し申し上げました総合的な対策、交通の諸情勢を踏まえて対処していただかねばならぬ、とう思うのですが、大臣の決意などを聞かせていただいて終わりたいと思います。
  243. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私は、奄美大島が本土復帰して一番先に実は行ったのです。そして帰ってきましてからあそこの振興五カ年計画などをお手伝いしたこともございますし、私の方にも離島がございます。私も経済企画庁時代に離島振興の委員どもしております。ああいうところに補助金のかさ上げ等をして非常によくなった。ある場合には水道のないところ、天水を飲んでいるところは水道が引かれた。学校施設、道路、港湾等、そういうふうなことが一つありますし、また一方、最近は離島関係の航空路、これなどは非常にいいことじゃないですか。やはりそういうふうにしてお互いみんな分担するところで少しずつ目をつけて差し上げる。過疎になることも、これはほかに雇用の関係を持って本土へ渡ることですから、これはいたし方ありません。しかしながら、その地域地域について考えてやるというところに私たちの仕事がありはせぬか、こう思っております。
  244. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 終わります。
  245. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。  次に、広瀬秀吉君。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕
  246. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 国鉄経営再建法を受けまして、いわゆる第二次の廃止基準に該当する路線として足尾線が選ばれたわけでありますが、私はもう三年くらい前からずっとこの予算分科会でこの問題を連続して取り上げてきておったわけであります。これはなるほど五十二年から五十四年の間における旅客輸送人員あるいは貨物輸送トン数、こういうようなもので一定の廃止基準を設けて、それに該当する、こういう形でやられたんだと思うのでありますが、特に私が強調したのは、足尾線は非常に歴史的に重要な役割りも果たしてきた、しかも日本の経済にとっても、銅の生産、採鉱から精練まで一貫事業をやってきた、そういうところである。しかも、企業城下町などという表現がこのごろはやるわけでありますが、まさに足尾銅山とともに足尾の町は発展をしてきたと申しますか、歩みをともにしてきた、こういう歴史があるわけであります。すでにもう百数十年にわたって銅山の町ということできておるわけでありまして、あそこに立地をしておりますのは古河鉱業であることはもう御存じのとおりであります。  そういう点で足尾線が、旅客の問題もさることながら、特に貨物輸送の面で、これは一つの産業と言ってはやや大げさかもしれぬけれども一つの企業が百数十年の歴史を閉じざるを得ないというような甚大な影響を及ぼす結果になるということ、そしてそれとともに現在足尾町、これは十年前の四十八年に銅鉱脈が枯渇したといいますが、そういうようなことで、その部門を全面的にやめたということで約三千以上の人口が減っているということになりますと、一つのいわゆる企業城下町的なその企業が百数十年の歴史を閉じると同時に、それと運命をともにしてきた町自体の存立が危ぶまれる、こういう状況から、私はこれについては特別な配慮があってしかるべきである、こういう立場でこの廃止反対の論陣を張ってきたわけなんです。特に国鉄総裁は、その点は十分事情がわかるということで何とかこれは残したいという希望も実は表明されてきたわけであります。運輸省はなかなかそこまでははっきり答弁しなかったのですけれども、私どもはやはりいかに赤字財政、危機にある国鉄といえども、企業をつぶし町をつぶすというようなことをよもや考えない特別な措置を講じてしかるべきであろう、こういうように考えてきたわけでありますが、これに対して今度の第二次廃止路線の中に足尾線を入れてきたという点についてどういうお立場でありますか、大臣と総裁からひとつお答えをいただきたいと思います。
  247. 高木文雄

    ○高木説明員 第一次、第二次の特定地交線の問題の中で、いまお触れになりましたように町の存立にまでかかわるということがかなり心配されるケースが数線ございます。多かれ少なかれ鉄道がなくなれば、バスである程度足を確保できるとしても、さびしくなるということはあるでございましょうけれども、町そのものの存立に直接かかわるおそれのあるというのは数線でございます。  そこで、そうした問題について、率直に申しまして私どもだけではどうにもならない、鉄道だけの立場で申しますと、輸送力が少ない、したがって採算的にいってどうもぐあいが悪い、全国的な整理ということになりますれば、基準はなかなかそうきめ細かくできません。したがって、基準は一律的なものにして、そしてあとは協議会その他で御議論いただくというたてまえになっておるわけでございますが、同時にその産業のお世話役である通産省等においても何とかひとつ一緒になって工夫をしていただけぬものか、また、企業といたしましても全部が全部鉄道に載せられているというわけでもないので、率直に言ってそろばんから見てぐあいのいいところはトラックを利用されるというようなことになっているものですから、もうちょっと企業としても、レールの存続を強く主張されるのであれば何とかその辺もお考え願えないかというようなことで、今日まで足尾についても二年たってしまったわけでございます。でございますから、これは大変な問題だということ、何とかならぬかというような気持ちを特にその幾つかの線区について個人的に考えていることは昔もいまも変わっておりません。いよいよ事態が切迫してまいりましたから、私どもも企業ともお話をし、それからまた、通産省ともいろいろお打ち合わせをしながらと思いますけれども、それらも含めてやはり協議会で御議論願うというのが、今日の段階では法律に基づいて決められたもろもろのルールなり手続なりからいってふさわしいのではないかと思いますので、そういうことにつきましてもまた地元関係者の御協力を得たいというふうに考えております。これはなかなか大問題だという認識を持っております。
  248. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 そこで、大臣は閣議でこういう問題を決定されたわけでありますが、過日山中通産大臣にもお会いをしまして、いわゆる鉱業政策全般から見て足尾線の廃止がどういう影響を及ぼすかということについても、山中通産大臣にも足尾の実態を申し上げたわけでありますが、通産大臣も鉱業政策をつかさどる大臣としては、これはやはり一律一体で、特殊事情というようなものの配慮が少し足りないのではないかという観点で、これは通産サイドからの鉱業政策全体をスムーズに進めていくという見地からは非常に遺憾なことだと私も思う、こういう私どもに対する受け答えをされまして、そういう態度を表明されて、運輸省に対しても物を申さねばならぬ、こういう話があったのでありますが、運輸大臣は通産大臣からのそういうお話は伺っておりますか。
  249. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 まだ伺っていません。
  250. 永光洋一

    ○永光政府委員 ローカル線の問題、特に最近出てきました貨物駅の取り扱いの問題でございますが、通産省にも話をし、事務的に通産省からのいろいろな話も聞いておりまして、まだ大臣のところまでいろいろ話が上がっているかどうかは別としまして、事務的にはいろいろ話を聞いております。
  251. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 それで、廃止基準は一応あるわけですね。その後地域沿線の関係市町村等で地域開発の計画どもそれぞれ進行する、そういう状況の変化というものがあるだろうと思うのです。そういうようなことで足尾線の場合におきましても、一日キロ当たり大体二千人という旅客の廃止基準がある、なるほど足尾線は千三百十五人程度である、こういうことでありますから、四捨五入ということがあっても、四捨五入の中にも入らぬということにもなろうかと思うのでありますが、増加見込みというようなことでは沿線における住宅団地の設置であるとか、あるいは桐生―足尾間の中間に位する大間々あたりに県立高校を持ってくるというような計画もあるようです。そういうようなことを考慮すれば、ごく近い将来において少なくとも三百人程度はふえるであろう、二百八十九名ぐらいのことを言っておるわけでありますが、その程度の旅客の増も見込めるということになれば、これはもう千六百をはるかに超える。はるかにというのはオーバーかもしれぬけれども、少なくとも四捨五入というようになれば、これは二千人に近づいていくわけですから、そういうようなところを二千名を一名でも切ったらというような、あるいは百でも切ったらというようなことであっては、やはり国鉄の持つ公共輸送としての役割りというものは達成し得ざるところではないのかというようなこともあるわけであります。  そういうような事情があると同時に、けさも第八分科会の方で国土庁長官ともやりとりをしたわけでありますが、この過疎問題を担当している国土庁の局長は、今度足尾線が、もし仮に第二次の廃止路線として廃止されるということが実現をした暁においては、いわゆる足尾銅山の企業関係者、これは本体の製錬事業に働く人たち、それから関連企業に働く人たち、そういうものの労働者の数が大体七百二十名と推定されております。これはほぼ一〇〇%確実な数字でありますが、家族を含めますと大体二千名は下らない。これがいま五千八百名に落ちた町から出ていく。それから、閉山のときには九千五百おったのですよ。それがいまや五千八百七十七名に落ちている。全国的にも過疎地域振興法の適用を受けている対象市町村の人口の減り方というのは、全国平均では三一%である。足尾は四十八年と五十七年を比較いたしまして三九%、約四〇%の人口減になっている。それで現在五千八百、その中から足尾線廃止に伴って企業が成り立たぬということになれば、これは約二千以上の人口が減ることは確実である。それだけ減れば今度は商店も成り立たなくなる。それからあそこにはかつて一万を超える人口があったことですから、県立高校もあるのですが、この県立高校もまず維持できなくなる。そうすればその関係の者も減っていく、こういうような状況にならざるを得ない。恐らく三千くらいの人口減少は必至であろう。これは町当局がいま過疎対策で必死になって、銅山観光事業をやったり、あるいは老人の機能回復訓練などを中心とする双愛病院を誘致したりなどということでありますが、営利事業というものはなかなかやってこないわけです。非常に交通が不便であるというようなこともありまして、鉄道が走っておってもなおかつ交通が不便である。その後、日足トンネルができたりなんかして過疎地域振興特別措置法によるいろいろな手は打たれておりますが、そういう状況である。そうすればやはり二千名台の町に陥るだろうということを国土庁の局長もお認めになりました。もうそうなったら、もはや地方自治体としての機能も完全に果たし得ない。生活、福祉、その他産業、教育、そういうもの一切を含めて町としての機能はもはや発揮できないであろうという危惧を率直に表明されました。これは議事録を見ていただけば、その点私は決してオーバーな表現を使っておりません。そういうような状態になることは必至である。こういうような場合に全国一律、基準に該当しないから切って捨てるんですというようなことは、大臣としてはいかがなものでございましょうか。
  252. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 足尾は、私たちは古河さんのお話あるいは田中正造さんの話、みんな日本の鉱山の発達の中で非常に歴史のあることはよく存じ上げています。そしてまた、産業の変化から山が衰微したりする、それは私の地方にもございます。かつて宮城にたった一つ交付金をもらっていない鉱山があったが、これが完全に転落しました。その場合でも、私たちは自分の選挙区なものですから、そこの商工会の者を仙台市の団地の方にも御紹介して入ってもらったりというふうな形、苦心されている姿は広瀬先生も同じだろうと思うのです。一方今度は御案内のような国鉄の財政のときなものですから、第一次交通整備、第二次というふうなかっこうになりまして、いまお伺いしますと、総裁の話を聞いても、企業もぜひこの線を残したいという場合、都合のいいときは貨車、あとのところはトラックというふうな話なども間々あるわけでして、できればどうしても残したいというならば、第三セクターというもので、鉱山も町も一緒になってという気持ちも私もなきにしもあらずです。それによって、一キロ三千万ですか、ある場合には、経費によっては二分の一の欠損補助をする、こういうふうな制度等々もあるわけです。一方、またいまのような大変なときでもありますから、こういう問題について通産がどういうふうなことを考えておられるか知りませんが、ひとつ慎重な考え方で当たりたい。とにかくいまの第二次交通、第一次交通の場合は全部足がなくなって、バス転換であったりあるいは第三セクターであったり、第三セクターをする場合にはそこに建設費をつけてやるとかいうことですが、おたくの場合には特殊的な話で、これにどう対応するかということで、いまのトラック問題等等やら、よけいに載せてもらう問題等々やらも話が出てくるだろうと思いますので、ひとつ慎重に各省の話なども改めて聞きながらやってまいりたい、こう思います。御同情されている姿に対して敬意を払います。
  253. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 大臣から慎重にという言葉がございました。これは国土庁長官も、国土、特に過疎地域振興特別措置法というものを所管しておるわけです。過疎地の振興、住民の生活を守るあるいは福祉を守る、その上に雇用の増大、地域産業の発展というようなことでいわゆる過疎振興法ができておるわけでありますが、そういうような立場からいって、一方においては過疎をつくらないようにしよう、そして一定の国家助成もしたりあるいは過疎債の発行によっていろんな事業をやることによって、過疎地域をできるだけ過疎過密という極端な形、レイアウトじゃない、国土のバランスのとれた発展を願おうという政策が強力に進められている一方において、国鉄の路線を廃止することによって過疎地域がさらに一層決定的なものになって、救いようのないゴーストタウン的なものをつくる。政府の同じ施策として、一方において過疎対策を進めながら、過疎を決定的にするそういう施策が行われるということは、いかにもこれは政策の整合性を欠く問題ではないかという私の質問に対して、そういう意味で局長の答弁は、もはや人口二千台になったら、本当に過疎法の第一条の目的とする、集約的に述べられているそういう問題と全く矛盾することにもなりますということを認められて、これは国土庁の立場からもこの問題については重大な関心を払って、運輸大臣とも十分話していきたいという気持ちも表明されておるわけでありますから、通産大臣の御意向あるいは国土庁長官のそういう過疎問題からのアプローチ、こういう問題もぜひひとつ運輸大臣としても十分お聞きになっていただきたい、こういうように思うわけです。  それからもう一つ問題点。これは足尾銅山は、本来ならばああいう素材産業なんというものは、しかも国内に銅鉱石がもうなくなって、ほとんどアフリカ方面などから大量の、しかも重量の銅鉱石を輸入する、したがって、内陸では非常に不経済であることは常識的に考えられることなんですけれども、その不利をカバーして自溶製錬技術という、私も技術屋ではありませんからその詳しいことはわかりませんけれども、これは世界に冠たる技術であるというのですね。しかもそれは足尾銅山で開発した技術であり、その技術をいま欲しいといって引き合いが来て、ひとつ指導してもらいたい、供与してもらいたいというようなことを要求している国が十カ国にも及ぶということなんですね。それで、あそこのそれが壊滅をするというようなことになったら、足尾でやっておったものがすぐそれじゃ臨海工業地帯なり臨海地帯の船着き場に近いところに立地ができるかどうか。これは亜硫酸ガスが出るとかあるいは濃硫酸が製錬の過程ででてくるというような問題もありまして、それだけ世界に冠たる技術も失われていくような一面もある。     〔主査退席、沢田主査代理着席〕  それからもう一つ問題点は、これはもう何回も議論をしたことでありますが、いままでレールの上を濃硫酸という劇毒物を運んで、しかもこれはいろいろ使い道があるわけであります。肥料関係、無機薬品関係、繊維工業関係、紙パルプ関係あるいは輸出というようなことで用途があるわけですが、これがいままでレールの上を安全にタンク車で運ばれて、しかもいま申し上げたようなそれぞれの業種の工場に、肥料工場にあるいはパルプ工場にというようなことで、タンク車で三十トンあるいは三十五トンという大量が一定の設備でレールの上を安全に通っていって、そして工場の中の引き込み線に入って工場用のタンクの中は入れられるという、きわめて安全性を持った輸送が今日まで行われてきたわけです。しかし足尾線が撤廃されたら、これは全部タンクローリー車といういわゆる路面交通、道路交通に転換せざるを得ない。その数は大体一日五十両近い、四十八両ぐらいには最低でもならざるを得ないだろう。そういうような危険物を安全にしかもコストを安く輸送するということは、これはやはり国鉄の一つの使命ではないのか、安全にしかも低廉な価格で。タンクローリー車で道路交通に行ったら、トン当たり一万四千三百円ぐらいにふえるだろうという試算があるわけであります。これは通産省にも確かめたのですが、大体一万四千円程度かな、こう言っております。それだけコストアップになる、そういう関係もある。これはもう大変なことであります。一日四百四十トンぐらい出るといたしまして、これをまあ単純に算術計算をしてみましても、年間では二十七億ぐらいコストアップになるということであります。これは実は通産省にも数字を確かめてきたのです。そういうような面もあるのですね。  しかも今度は、これは建設省、大臣を呼んで十七時からまた第八分科でやるのですけれども、そういう中で道路にそういうものが加わる。しかも、輸送するあれが平均二百五十キロぐらいの距離だというのですね。これはやはり全国レベルよりも遠い距離を運んでいるわけであります。これが市街地を毎日五十台も出て、帰りの車はまあ危険じゃありませんけれども、帰ってくるというようなことで、道路混雑をさらに助長し、交通麻痺に力をかす、まあこれだけで一気に道路交通が麻痺するということではないでしょうけれども、そういう濃硫酸という劇毒物を積んだタンクローリー車が足尾から両毛線の沿線の桐生に出る。あるいは上信越方面にも二、三〇%行っているわけですから、その場合には伊勢崎であるとか高崎であるとか前橋であるとか、そういうようなところも通過をする。それから東海あるいは東北地方に行くというようなことになりますれば、桐生はもちろんですが、両毛線の足利あるいは栃木の小山、宇都宮というようなところを通過していくわけです。市街地でそれがひっくり返って事故でも起こしたら一体どうするのですか。そういう点で、本当にこれはどうなのかということで、万全の安全輸送対策が講じられているかどうかというような点も非常に心配であるということも私は質問をしたいわけなんです。  そういう非常に困難な、危険な、しかもいま国鉄で運べば大体平均的にトン当たり四千円だというのです。それが一万四千円になるのですよ。これはもう三倍以上、四倍になるわけですね。そういう三倍以上、四倍近くの輸送コストがかかるということも積算されている。こういうことだったら、国家目的、国家の役割りというようなことからいえば、いま国鉄の財政状況が悪化しているというような中でも特別な配慮があってしかるべきであろう、こういうように思うのです。それらの問題点についても大臣の所見をひとつお伺いをして、なるべくならばそういう特殊事情を考慮をされて特別な扱いをすべきであって、やみくもに基準に達しないから廃止してしまうんだということは、それらの諸点を総合してこれはもう高度な政治判断をされてしかるべき問題ではないかというように思うのでございますが、いかがでございますか。     〔沢田主査代理退席、鴨田主査代理着席〕
  254. 永光洋一

    ○永光政府委員 先にちょっと申し上げますが、確かに鉄道は従来安くて安全という機能であったと思いますけれども、まあ運賃の面で非常に変わるというようなことがあるかとは思いますが、やはり国鉄にも現在そういうものを転化するような機能はなくなったとわれわれは考えているわけでございます。  それは別としまして、硫酸の関係につきましては、いまおっしゃったような話はいろいろわれわれも聞いております。したがいまして、いま知事に意見を照会中でもございますし、道路の面その他関係者等の話も十分聞きながら、今後そのあたり検討してみたいと思っております。基本的には、硫酸そのものは現在でも相当のものが消防法等に適合した道路輸送として行われてはおるわけでございますが、しかし、現実に具体的なケースにつきまして関係の方々と今後もまた話し合いをしてみたい、こう思っております。
  255. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 輸送コストの問題なんかも含めて総合的に大臣ちょっと。
  256. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 こういう問題が起こって一つの特徴は、北海道の場合でも町村長を初め組合の諸君が来られ、いまあなたのお話の場合でも、古河がおやりになっておる、そしてトン当たり四千円ぐらいのものが一万四、五千円になって、三倍も四倍も金がかかるというふうな話、企業のことも御心配、その中に雇用も心配されておられる姿。ですからいま局長が言うたように、知事さんの意見の中に、そういう企業家の方々の話なども聞いて、やはり地元としてのコンセンサスを、線路そのものを外すわけじゃないわけですから、やはりそういう幅広い話の中に地方振興ということをお考えいただくいいチャンスではなかろうか。もちろん、いまあなたのお話でもございますし、あるいはまた通産省、国土庁の方からもお話があるでしょうから、ひとつ十二分に慎重に考えたいと思いますが、あなたもお詳しいように、本当に国鉄は危機的状況にありますから、ワンイクセプションというのをすっと国会で表明するわけにまいりませんことも御理解いただきたい、こう思います。
  257. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 足尾線の特殊事情というものが、いかに困難な、しかも過疎法などについて、大臣も内閣の一員であるわけでございますから、国政全般を見渡してのそういう立場から、ぜひひとつ特別な配慮をしていただきたいということを強く求めまして、終わらせていただきます。
  258. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて広瀬秀吉君の質疑は終了いたしました。  次に、野坂浩賢君。
  259. 野坂浩賢

    野坂分科員 自動車局長、過疎バスの維持対策のための補助金というのがございますね。ことしはたしか九十六億円程度だったと思うのですが、一種、二種、三種とありまして、三種路線についてはどのぐらいの補助金がついているのでしょうか。
  260. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 三種路線につきましては、五十八年度予算案では二億三千六百九十八万八千円でございます。前年の五十七年度予算額が一億五千四百六十万一千円ですから、八千二百三十八万七千円の増になっております。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕
  261. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうしますと、去年の七月でしたか、運輸審議会の答申がございましたが、あの中で、余り乗らないところは相互扶助の精神で白ナンバーでやるようにという話がありましたね。これは一地域でモデルとしてやったというふうに聞いておりますが、どの程度の実績が上がっておりますか。
  262. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいまの先生のお話は、自家用車を活用する方策について検討すべきではないか、こういう運輸政策審議会の答申を受けて、これは運輸省の官房の方でございますけれども、実験をしたいということでいろいろ検討を重ねておりまして、一応候補地としては岐阜県の河合村、そこはバス事業それからタクシー事業者、そういったところの関係が非常に薄いものですから、その辺のところを一つの候補地として実験をしてみようじゃないかという案を一応持って、いろいろな検討は加えたはずでございます。しかし、関係者の方々の合意が得られませんものでしたから、その河合村の実験は打ち切った、こういう状況でございます。
  263. 野坂浩賢

    野坂分科員 それで、この三種路線は五十七年度よりも五十八年度の方がふやしていただいたのですから、やはり角田局長はりっぱだなと思って感心しております。  そこで、高木総裁もお座りですけれども、国鉄も切られ、バスも切られる。若い人たちは自家用車で通勤することもありますが、お年寄りがお医者さんなんかに通うときに非常に困っているわけですね。自動車がないのですから、バスが打ち切られるということになりますと本当に困るわけです。私のところは過疎地域でして、鳥取県なんか六十万しか県民がおらぬものですから、もしなくなればそういう点では非常に困るということで、まさに生活路線だという認識が強いわけですよ、山奥だけに。したがって、この三種路線をことしもやっていただくわけですが、いまの、岐阜県で行われようとしたのはおやめになったわけですが、この打ち切りは中止して、しばらく、五十九年度もやっていただかなければ困るなあ、こういうふうに思っておるのですけれども、いかがなものでしょうか。
  264. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 第三種生活路線の補助のお話でございますが、これは先生御承知のように、乗車密度五人未満の路線で非常にお客様の少ない路線でございます。  それで、この三種生活路線に対する補助の制度につきましては、五十五年度の予算の策定の際に、三年間三種路線の補助を受けた路線については、三種路線の補助を以後は受けないようにしましょう、こういうことでいままで来たわけでございまして、五十五年度以前から受けているものにつきましては、五十七年度でその三年間が来て三種の補助制度のところから卒業していかなければならない、こういうことであったわけでございます。  それで、三年間補助を受けた路線について以後受けられないというのは一つの約束ごとでございまして、基本的な方針は変更はできないわけでございますが、ただ切りっ放しでいいかということになりますと、やはりそれはその地域の住民の大切な足でございますので、ただ切るということではなくて、その代替措置を考えた上で三種路線なら三種路線を廃止あるいは卒業していただく、こういうことでなければいけないのではないかということで、財政当局ともいろいろ検討を重ねました結果、従来、三種から市町村の廃止路線代替バスに移行する場合には、市町村の運営する廃止路線代替バスに対する補助が出るわけでございまして、それ以外のものについては出ていなかったわけでございますが、今後は貸し切りバス形態のもの等につきましても廃止路線代替バスの補助をつけよう、こういうことにしたわけでございます。  それからもう一点は、そういうように廃止路線代替バスに移行するというようなものにつきましては、経過期間として、一年以内に限りまして三種路線の運行費の補助をやっていこう、こういうようなことに一応して五十八年度の予算を計上しているわけでございます。  過疎地域の住民の足を守るということは私どもの仕事の大事な部門でございますので、これからもいろいろな工夫をこらして努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  265. 野坂浩賢

    野坂分科員 住民の貴重な唯一の交通機関だから一方的には切らない。それは市町村が運行する場合、あるいは市町村が貸し切りバスを借り上げて通行する場合、市町村の依願を受けて貸し切りバス会社が代替バスを運行する場合、こういうものについては引き続いて補助をする、こういうことでございますね。
  266. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 それは三種路線の補助としてではなくて、市町村の廃止代替バスの補助として従来なかったような対象に新たに加えるということで、補助はそういう形でしていく、こういうことでございます。
  267. 野坂浩賢

    野坂分科員 三種路線の代替措置というかっこうでそれぞれの協議が調わない場合は、貸し切りなりそういう点について従来どおり運行するもの、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  268. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 それぞれの協議といいますか、会社それから地元の市町村、そういうところと関係事業者などとが協議をいたしまして、それでは三種路線を廃止して市町村の廃止代替バスでいこうということになれば、それはそれでよろしいわけでございまして、もしそういう協議が万一調わないような場合、いま先生が御指摘になりましたようないろいろな形の廃止代替バスの形態に移行するのはどうも協議が相調わないというようなときには、これはやはり補助の対象にはならない、こういうことでございます。
  269. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうなれば一方的に打ち切るということになりますか。
  270. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 その三種の路線が打ち切られるような年数を経ておれば、三年間ですが、今度は五十八年度については暫定措置として一年以内の経過期間を設けておりますけれども、そういう経過期間も過ぎて、それで話が相調わないということになれば、残念ながらそれは補助の対象になりません。
  271. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうしますと、バス会社はもうかりませんからやめてしまう、役場もどうも地方財政が窮迫の折からだめだ、運輸省は三年間やったんだからこれで切るということになれば、住民は病院に行くときにはリヤカーか大八車で行け、こういうことになりますか。
  272. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 そのような住民の御不便がいろいろ具体的に発生するような場合は、やはり地元の市町村なりバス業者なりが十分によくお話し合いをしていただく、こういうことを私どもとしては希望しております。
  273. 野坂浩賢

    野坂分科員 そういう場合には、運輸省として、出先に事務所もあるわけですから御指導いただいて、円満に住民の足が守られるように措置をしていただけるでしょうか、これはお願いですが。
  274. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 その辺のところは私どもも非常に大きな仕事の範囲でございますので、ケース・バイ・ケースで、必要な場合には行政指導もしていかなければならないということでございます。
  275. 野坂浩賢

    野坂分科員 必要な場合ですから言っておるので、そういうことのときにはぜひやっていただく。これは議事録に残しておかなければいかぬから、ちょっと言ってください。
  276. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 努力してまいりたいと思います。
  277. 野坂浩賢

    野坂分科員 大変どうも済みません。  この間、特定地方交通線の問題で、運輸大臣、上手に御答弁いただきまして、納得したつもりでしたが、後から考えてみると、どうも調子悪いなと思いまして、もう一遍聞かなければならぬと思います。  第一次の地方交通線、これは五十八年度見込みでいきますと、全体の国鉄の赤字に比べて一%程度なんですね。たしか百五十九億だと思いますよ。皆さんがおっしゃっています、鉄監局長がいつでも鬼の首を取ったように継続性と定着性ということを盛んに言われますけれども、継続性と定着性というのは、素人にわかるように教えていただくと具体的にどういうことになりますか。
  278. 永光洋一

    ○永光政府委員 実際上、二千人を超えた状態がどの程度続き、客観的にどういう情勢でその需要がふえたかということを見きわめる必要があると思います。  まず第一に、われわれいま考えておりますのは、たとえば基準年次の五十二年から五十四年に輸送密度が二千人未満のものは、これはやはり承認をしていく。そうして協議会をとりあえず開いていただく。そうして協議会の開催途中において二千人を超えておるという実態が――いま運用的に考えておりますのは、ちょうど過去一年間をとってみたところ、基準年次では千五、六百人であったけれども、過去一年間の実績がどうも二千人を超えておるようだということになりますと、しばらく協議会を中断しよう、こういう考え方でございまして、これは先生御案内のように、基準年次が五十二、五十三、五十四でありますが、いわゆる基準年次の輸送密度をもとにしながらも、集団住宅の整備等によって確実に輸送需要が増加するという場合は、一定の計算方式にこれを加えて算定することにしておりますので、これとの均衡という観点からもそういう運用をしよう。たまたまそういう考え方で行政的に措置をした例が一件あるわけでございます。これは御存じと思います。  実例はそういうところまででございますが、今後のわれわれの考え方としましては、先生からいま定着性、継続性という話がありましたが、半年ぐらいたちまして協議会を開いて、この半年どうだっただろうかということを調べてみる、検証してみるということではないかと思います。そこで、そういうことをやって継続性、定着性の数字を見、かつ、それがいかなる理由によってそういうような数字になってきたか。一般的に、ローカル線というのは通常からいうと減りぎみなのが普通でございます。それがそういうふうに、異常と言ってはなんですけれども、目立ってそういう状態になったのはどういうことであろうかという原因、高校ができたからとか、あるいは住宅ができたからとか、そういう客観的な事情等も加えながら、需要が二千人以上継続するということが関係者等で確証を得られました場合は、これはまた特段の配慮をしなければならぬ、かように考えております。
  279. 野坂浩賢

    野坂分科員 頭がいい人は回りくどくいろいろ説明がありますが、問題は、あなたがおっしゃっておるのは、一年半ということですか、一年ということですか、その定着性を物差しで言えば。
  280. 永光洋一

    ○永光政府委員 一年とか一年半と言っておるわけじゃなくて、とにかく一年の過去の実績を見て、そして協議会の取り扱いをまず決め、あるいはそのとき二千人を超えたら中断をとりあえずする、そしてそれから半年ごとに検証をしていくという考え方をいま持っておるわけでございます。
  281. 野坂浩賢

    野坂分科員 その辺でごまかされるんですよ。この間長谷川さんにもちょろちょろっと言われて、ああそうかなと思ったのですけれども大臣はこの間、一年間でもよろしい、それは二千五百人だ、こう言われたんですよ。それを僕は二千人と聞き間違えて、ははあと思った、後から。  それで、わかりやすく言うと、いまの鉄監局長のお話は、一年間やってみる、そしてしばらく協議会は中断する、半年後に思い出したようにやってみて、またつないでおったらそれでいいな、こういうような御答弁だったわけですね。  いまも過疎バスで角田さんにずいぶん御無理を言ったのですけれども、乗らないというところは過疎地域なんですね、山手線なんかと違って。余り代替輸送というのはない。代替輸送がないところは残すということなんですけれども、道路ができておりますからバスも通ります。何としても残さなければ、産業にも教育にも大きな影響があると言って、町長が先頭に立って旗を振って、みんな一生懸命乗せているのですね。駅の横内にはバスの置き場を開放して、国鉄が貧乏しておるものですから、町が借りて、借り上げ代も払って、そこに自動車をとめて、汽車へ乗れという運動をどこも盛んにやっていますね。ようやく二千人になった。一年間続けた。そうするうちに団地なんかができる、だからもつだろうということになると、行き着いたと思って、決勝点だと思うと、またテープを向こうに持っていって、もうちょっと走れということになって、いつになってとめどがつくかわからぬという情勢で非常に困るんだ。だから、一年間なら一年間に区切ってやってもらいたい。そして、一年間すればそれが定着するんじゃないか。国鉄も切るのが能じゃないと思うんです。ところが、地方交通線というのは四千人未満というのが後ろに控えておりますから、どのようなことがあっても切ろうと思って永光さんは考えておるのですよ、事務官僚ですから。  しかし政治家のあなたは、中川さんの亡き後をまとめてやられるぐらいの大物ですから、その程度、一年間二千人ぐらいが定着をしたらやはりそれは考えてみよう、そういうような決断をしていただかなければ、引っ張って引っ張って、馬の前にニンジンをぶら下げておいて走れ走れと言って倒れるまで走らせるというようなことは、非常識ではないかと思うのですよ。だから、大臣としても、二千五百人なんという酷なことは言わぬで、決めて二千人以上ということになっておるのですからね。大臣、継続性とか定着性というのは見かけぬ字ですし、法律には余りないが、官僚というのは切るためにちゃんとつくるんですよ。だから定着性、継続性というのは一年だ、それについて十分判断をする、こういうことにしてもらえませんかな。どうでしょう。大臣にお答えいただいた方がいいですね。
  282. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄を愛する余り、いま至るところで二千人運動が起こっていることは私も知っております。そういう中から国鉄に回帰するということになれば、非常に私はいいことだと思います。何さま日本はいま二・五人に一台ぐらいずつ車を持っておるようなわけですから、車で走った方が電車で走るよりも早い、便利ということで、自然に御地あたりでも乗る人が少なくなった、こういうことだろうと思うのです。それにしましても、二千人までいってそれが定着していくならば、これにこしたことはないんじゃないかというふうな感じかと私は思っております。  いずれまた一つ一つの問題について地方で御協議をいただいて、その御協議に熱意がどの程度にあらわれるのかというところはよく私の方も見きわめていかなければならない、国全体の財政あるいは国鉄再建という一つの目玉の中の大事な問題でございますから、慎重に考えてまいりたい、こう思います。
  283. 野坂浩賢

    野坂分科員 やはり大臣らしい御答弁で、前向きになりましたが、みんな切っても百五十九億なんですよ。特定の退職金だけでも一年間で二千七百億円あるわけですね。公共割引でも七百億円国はサボっておるわけです。それから年金でも、六十年にパンクすると言いますけれども、これも構造的欠損部分で二千七百億あるわけですよ。後ろの方にお座りの方は、弱いところばかりをねらってねらい打ちしておるわけですね。  だから、いまお話があったように、二千人で定着すればいいんだ、その期間は大体一年だ、こういうふうに理解を統一しておいた方が目標設定にいいだろう、こう思うのですが、大臣、それでいいでしょう。
  284. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 これは幾ら野坂さんの話でも即答はできませんから、大いに研究させていただきます。
  285. 野坂浩賢

    野坂分科員 余り長い期間研究しないで、早く結論を山してください。  長々としゃべってしまいまして、時間が来たようですけれども、もう一つ。  国鉄総裁は、運輸省から経営改善計画を出させられて、火のついたようにあおっていますね。しりをたたいておる。いま国鉄は、運輸大臣の管掌を超えて内閣全体の問題ですね。ちっとも何とかしてやろうということでなしに、みんな弱いところの国鉄に荷物を負わせて、いま立って歩かないで、はって歩いているという格好ですね。これが国鉄の現状なんです。  最近は、そういうことですから縮小再生産になりまして、今度は貨物をねらい撃つ。直行型は二百億円もうかっておるけれども、ヤード系は千九百億の赤字だ、千九百億切れば二百億黒字になる、こういう格好の単純計算をして、頭のいい方もたくさんいらっしゃいますけれども、何でもかんでもこういう格好でやっていらっしゃいますけれども一つお願いしたいのは、今度車扱いをやめてコンテナになるわけですね。十五トン車のワムは五トン車で三つになります。十トンもありますけれどもね。ただ、コンテナはそれでいいのですけれども、車扱い制度の全国ネットワークをそのまま残していただきませんと、名古屋の管理局はやるけれども大阪や天王寺はやらぬということになりますと、途中で切り放して、一貫作業みたいにならぬわけですね。たとえば、北海道からは車扱いはもうないですからね。そういうような格好があるので、車扱いの全国ネットワークをやはり残してもらわなければ非常に不便じゃないのかな、こういうふうに思います。  それから、八百五十一駅をたしか四百五十七駅に切って、そしてその拠点駅は百十二にするわけですね。たとえば、私のところで言いますと、東京から米子まで送ってもらいまして、またバックして鳥取まで持っていくわけですからね。それから集配をしますと、いままでは五キロぐらいのところまで配達しておったのですけれども、二十キロも二十五キロも走って、運賃はそっちの方が非常に高くなる。国鉄の方は安くなるけれども、集配が非常に高くつく、こういうことになるわけです。その辺については、やはり車扱いは全国ネットワークにしてもらう、これが一つ。  それから、駅がなくなりますと、通運に従事しておる労働者は五千人ないし六千人おるわけですが、これを運輸省が早くやれ早くやれと言って国鉄が切る。そこの分はパアだ。人のことは知らぬ、うちは火がついておるのだからしようがない、こう言って、うえしたまけで押さえつけてやられるということになると、これは大変なことになると思うのです。だから国鉄は、あなた方が改善計画だ、やれ何だかんだ言って、やることはやらぬで、黒字にせいということばかりやって、あとは、長谷川大臣あたりは腕を組んで見ていらっしゃる、こういうことでは困るので、そういう通運事業に従事する勤労者の問題、あるいは車扱いのネットワークの問題。それらは監督権を持つ運輸省としては十分に対応していただくものだ、こういうふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  286. 高木文雄

    ○高木説明員 運輸省の御答弁の前に、一言だけ私ども考えておりますことを申し上げます。  確かに、直行系貨物だけを残してヤード系の貨物をなくすということは、これは大変なことでございまして、影響が非常に大きいということを考えております。ただ、それは現行制度を前提とした場合の影響でございますので、現行制度をそういう新しい輸送の形に切りかえた後、どういうやり方をしたらいいかということについて、運賃の立て方なり通運料金の立て方なり、そういったことをいままでとは違った考え方を取り入れていけば、車扱いによる全国ネットワークをやめることによるデメリットを相当吸収できるんではないかというふうに考えておるわけでございますが、これは一つ一つの貨物ごとに、また一つ一つの具体的な輸送ごとに事情が大変違ってまいりますので、いま各方面から一斉にけしからぬことをするなと言われておるわけでございますので、ちょっとお待ちくださいということで一つ一つお話をいたしておるわけでございまして、お話をいたすというよりもお話を伺っておるわけでございまして、全然その影響なしということはとてもできませんけれども、相当程度は影響を救済するというか、御迷惑をかける程度を少なくしながら切りかえていくという案をつくるべく、これから約半年の間にわたって最大限の努力をしてまいりたいと思います。  それから、通運業界に与える影響もこれまた非常に大きいわけでございますし、通運業界に与える影響が大きいということは、通運業に勤めていらっしゃる労働者の方々にも非常に影響が大きいことは十分承知をいたしております。この点についても通運業界ともいまお話をしている最中でありまして、通運業としても、基本的には、国鉄が輸送方を変更することについて、それほどの赤字が出ておるのであれば、なかなか待ったということにもいかないけれども、しかしわれわれの方の犠牲も余りにも大きいので、それについてこうしてくれああしてくれということを次々持ってくるから、それをよく聞いてくれということで、どこの通運業者ということでなくて、通運業界全体といまお話し合いをしているところでございます。  確かに相当数人手が通運業界でも余ってくるという問題があるわけでございますが、それはある意味では、逆に言いますとそれだけアイドルレーバーがあったということになるわけでございますので、その辺、ショックを大きく起こさないように考えながら、しかし通運業界においてもやはりそういう意味での御努力を願うということを期待しながら進めてまいりたい。  何分まだ一月末に大きな方針だけを示しただけでございますので、現時点では各方面に大変御心配をかけ、かつ、ある意味では要らざる御心配をかけている面もあるわけでございまして、それらは、私ども末端のことがなかなかわかりませんので、個別具体的にお話を承って、いま申しましたように最大限ショックを緩和しながら、目的に合うようには考えながらということでやってまいりたいというふうに思います。
  287. 野坂浩賢

    野坂分科員 時間が参りましたので、そう多くは申し上げられませんが、総裁、いまのお話を聞いておりますと、要らざることをやっておる、もう喜ばれる国鉄ではなしに、方針を変更されて、このごろは怒られる国鉄だ。あなたのところも一緒ですけれども。  そうすると、いまの案というのは、たとえば八百五十一駅を四百五十七駅にするという意味は、これはたたき台だ、原案ではなしに素案だ、こういうふうな理解ですから、たとえば、奈良県なんかは一つも貨物駅はないのですね、今度の案では。だからそれらについては個々別々にいろいろとお話を承って、四百五十七駅というのは絶対ではなしに、もっと残すことが多くなるだろうということは当然予想される、こういうふうに考えてよろしいかということが一つ。  それで、運輸省としては、いま申し上げました車扱いの全国ネットワークの問題や、そこに働く国鉄関連の従業員、そういうものについても十分配慮をして、誤りのない国鉄の、これが後に引けないというものではなしに、国民のための国鉄、消費者のための国鉄ということも頭の中に入れて検討し、監督をしていただけるかということをお伺いして、終わりたいと思います。
  288. 橋元雅司

    ○橋元説明員 まず、一月三十一日に発表させていただきました駅配置の計画でございますが、これはそういう先生がおっしゃる意味ではまず変更を加えたくない、加えないという原則でまいりたいと思っております。  ただ、お話し合いの過程で、総裁が申し上げましたように、これからまだ半年以上期間もございますので、いろいろ荷主さんあるいは通運の方々ともお話を重ねまして、必要なつなぎを、全国のネットをどういうふうにとるかということについてはこれからさらに成案を得るべく努力したい。それから、臨時の約束というやり方である程度そういう御要請にこたえられるかどうか、そういったものもよく勉強してまいりたい、こう思っております。
  289. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄が申しておりますように、具体的なダイヤ等がまだ決まっておりませんので、全国ネットという点につきましてはなお今後検討させていきますが、拠点間直行ということを一つのベースにしておりますので、そういう形になるかどうかということはいま申し上げがたいところでありますが、しかし、少なくとも今回の合理化計画によりまして、通運事業者その他関係者あるいは従業員の方々、こういったものについてはわれわれとしても十分に配慮いたしたい、このように考えております。
  290. 野坂浩賢

    野坂分科員 最後に大臣に御意見を聞いて終わりたいと思いますが、いま橋元常務理事さん、なかなか強引な風貌をしておられますので、原則を曲げない、切り捨て御免じゃというような御発言ですが、高木総裁はさすがにゆとりがあって、考えてみなければいかぬということをお話しになっております。そういう意味を含めて大臣に、貨物駅の集約について、関連の従業員あるいは荷主の考え方、そして国鉄の公共的な位置づけ、こういうものを考えていただいて、この貨物駅集約については、問題点がないように、この一年間十分御配慮をいただいて誤りなきを期していただきたい、こう思いますが、最後に御答弁をいただいて終わります。
  291. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄に理解深いあなたのことでございます。何といいましても、運輸省は何も国鉄をいじめているわけじゃございません。いかにしていまこの国鉄を再建させるか、その御加勢に一生懸命で、ひとつ皆さんの御協力をお願いしたい。  日本の国鉄というものは、たとえば新幹線、リニアモーターなどをやりますと、いまの時代に各大学の技術の一番いいのがみんな入ってくる。月給が安かろうとやろう、そういうところをやりたいという希望、こういうものにいまから先も国鉄になってもらいたい、私はこういう希望でこの再建に当たっているわけです。  通運問題の具体的なことは技術者じゃありませんからわかりませんが、長い間国鉄が通運業者をお得意にし、ある場合には仲間にして自分の仕事を支えてもらってきているわけですから、新しい変革のある場合にそうめちゃくちゃなことはしないであろうし、またしてはまずい、こういう感じで恐らく行政に当たってくれる、こう考えております。
  292. 野坂浩賢

    野坂分科員 それでは終わります。
  293. 越智伊平

    越智主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  政府委員にお願いをいたします。きょうは二十数名の方の質問でございますから、答弁は簡明にお願いを申し上げます。  それから、記者の皆さんはもう少し前へ出ていただいて結構でございます。政府委員の方、また随員の方もあいた席に座っていただきたいと思います。  次に、玉城栄一君。
  294. 玉城栄一

    玉城分科員 最初に航空局の方にお伺いしたいのですが、沖縄の南の表玄関であります那覇空港の将来構想と申しますか、計画、御存じのとおり六十二年に国体が沖縄県で行われるわけですから、それとの関係が非常に深いわけでありますので、概略御説明願いたいと思います。
  295. 松井和治

    松井(和)政府委員 沖縄県は、地理的特性から申しまして、非常に航空輸送の特性が発揮される地域だと考えております。特に、非常に離島が多いということもございまして、航空の恩恵が非常に大きく享受される地域であるというふうに考えております。  その中心をなします那覇空港整備でございまますが、これは沖縄県の拠点空港であると同時に、わが国の南の玄関口でもあるということでございまして、現在の二千七百メートルの滑走路を三千メートルに延長する事業を行っていることは御承知のとおりであります。  先生いま御指摘の六十二年度の国体開催に伴いまして、旅客がふえることが当然予想されます。そうなりますと、滑走路の延長だけではなしに、ターミナル地域の整備ということが当然必要になるわけでございます。現在のターミナルは三カ所に分かれており、またかなり狭隘化いたしております。またエプロンあるいは道路、駐車場等の施設につきましても対応性は必ずしも良好でない、こういう現状でございますので、私どもといたしまして早急にこの対策を進めなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  当面の計画といたしましては、現在のターミナル地域を拡張いたしまして、旅客ターミナルビル、特に混雑が著しいと考えております島内線、もう一つは国際線ビルの整備というものが必要になろうかと思います。そのビルを整備するのにあわせて、その前面のエプロンの整備を行う、また当然のことながら道路、駐車場をそれに伴って整備をしていく、こういう計画でございまして、六十二年度の国体の開催に支障のないように整備を心がけてまいりたいというふうに考えております。
  296. 玉城栄一

    玉城分科員 いま局長さんの御説明がございましたが、ターミナルが三カ所にございますね、おっしゃるように。いわゆる県内、国際線、国内線、そのビルの整備ですか、おっしゃいましたが、その三カ所を一つに統合するということですか、その辺はいかがでしょうか。
  297. 松井和治

    松井(和)政府委員 この計画につきましては、まだ詰めるべき問題があり、かつ、関係の県あるいは沖縄開発庁等とのすり合わせも必要かと思っております。  現在のターミナルビルを全部一カ所に集約するというのは、運輸省としての考え方としてはなかなかむずかしいのではないか。しかしながら、現在の島内線、国際線のビル、これについてはいまのまま放置しておくのは適切ではないというふうに考えております。その辺のところを、具体的な計画の設計が決まるというような段階ではございませんが、考え方といたしましては、島内線、国際線のビルの拡張整備ということを考えておるということでございます。
  298. 玉城栄一

    玉城分科員 簡単に言いますと、二つということですね。国内用のターミナルと、国際と県内のものを一カ所ということになるわけですね。そういう意味ですか。六十二年の国体のときには、いろいろな競技が、もちろん沖縄本島が主力ですが、宮古それから八重山、こう行われるわけですね。ですから、ターミナルビルが分散されている形というのは非常に不都合が生じてくる可能性は十分あるわけですから、それも含めてですね。
  299. 栗林貞一

    ○栗林説明員 那覇空港のターミナルビルの問題は、一つは狭隘であるということと、それから三つのビルが離れておりまして旅客に非常に不便をかけているという点でございますが、現在、目標にしております六十二年度の国体開催に関連する問題といたしましては、まだこれから具体的な計画づくりでございますけれども、たとえば、はっきり二つにするとか、そういうところまでいっているわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、いま狭い、特に島内線と国際線は問題があるわけでございますので、そこをできるだけ広いかっこうにする。それから、特に乗りかえでございますが、いま特に国内本土との線とそれから島内線は非常に長いところを歩くというかっこうになっております。その辺はできるだけ改善するということで、いま具体的に計画を考えておる段階でございます。
  300. 玉城栄一

    玉城分科員 いまもお話がありましたとおり、いま大変不便ですね。沖縄県も御存じのとおり観光立県ですから、たとえば東京、大阪あるいは福岡、名古屋から那覇空港に降りて先島に行くときには、また歩くなり、あるいはバスもありますけれども、非常に不便ですね。ですから、これは基本的には三カ所統合、拡張という線が当然だと思うのですが、いまおっしゃるところでは二つにやる。しかもそれは国際線のターミナルとそれから県内ということですが、その辺もう少し、本当に統合、拡張という線でぜひ検討をしていただきたいと思うわけであります。  そこで、局長さんにちょっとお伺いしたいのですが、これは質疑もあったかと思いますが、沖縄県自体で自衛隊専用滑走路を沖合いにつくるという話があるわけですが、そのことについては運輸省とされては知っておられるのか、またそういう御相談を受けていらっしゃるのか、その辺の考え方について運輸省としてはどういう考えを持っていらっしゃるのか。
  301. 松井和治

    松井(和)政府委員 私ども、那覇空港関連いたしまして、長期的な構想といたしまして、将来の旅客、貨物の増加に対応するために、現在の滑走路の沖側の海面を埋め立てて新しい滑走路をもう一本建設するという構想について、これをいわゆる大那覇空港構想というふうに名づけておられるかと思いますが、そのような構想について県の方から説明を受けたことはございます。  しかしながら、それは私どもはあくまでも民間航空用の滑走路を沖合につくる計画というふうに受けとめておりまして、ただいま御指摘の自衛隊専用の滑走路を新しく沖合いに出すというのは、実は新聞では拝見いたしましたが、県からは全く説明を受けておりません。
  302. 玉城栄一

    玉城分科員 もしそういうことで御相談があったら、どういう対応をされるわけですか。
  303. 松井和治

    松井(和)政府委員 この問題は、軍民の分離が望ましいということでかなり前から問題にされていた事柄でもございますし、沖縄の将来を考えますときに、需要が非常にふえてきて航空機が増加してくる、その増加してくる民間航空機と自衛隊の航空機一つの滑走路を共用するということは、将来の問題としては決して好ましいことではない、できるだけ分離が望ましいというふうには考えておりますが、沖合いの滑走路を防衛庁専用の滑走路にするのかあるいは民間航空用の滑走路にするのかというのは、これはまたこれからの話でもございますし、県当局の意向あるいはその他の関係官庁の意向も考え合わせ、私どもとしてもこれからの問題として検討さしていただきたい。私どもとしては、いままで防衛庁用の滑走路を新たにつくるというような話は全く聞いておりませんので、これまで検討もしていないというのが実情でございます。
  304. 玉城栄一

    玉城分科員 先ほど、現在の那覇空港のこれからの構想について伺ったわけですが、ターミナルの整備統合ですか、それから滑走路をもう少し延長しようというお話ですけれども、実は五十五年でしたか、この分科会でも私、指摘した。民間空港を、大臣も御存じのとおり特に自衛隊と共用している、いわゆる軍民共用ということで、これまで事故もありいろいろトラブルもありまして、その危険性が常に指摘されておるわけです。そのことについて当時地崎運輸大臣も、危険性が非常に多いことは確かだ、したがって安全性の確保についてさらに努力をしていきたい、そういう御答弁もありました。当時の局長もそういう趣旨のお話があったわけですが、那覇空港のいわゆる民間と自衛隊と共用という状態は将来は好ましくないからといういまのお話は、当然危険性が伴うからという意味だと思うのですが、大臣の御認識としていかがでしょうか。
  305. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 沖縄の空港あるいはターミナル、あるいはまた出たり入ったりする場所がなかなか不便であることは、あなた初め利用されている方みんながわかっていることでありますから、そういうことで統合なり新しくしようという御意見は、私の方でも特に御相談においでになったらあずかろう、こういうことです。そして、軍民の間にいつでも摩擦のないような形にしていかないとまずいのじゃないか。そういうことは慎重にいまから先も考えていかなければならない、こう思っております。
  306. 玉城栄一

    玉城分科員 ちょっとしつこいのですけれども局長安全面確保についてその後どういう努力をしてこられているのか、その点いかがでしょうか。
  307. 松井和治

    松井(和)政府委員 自衛隊との共用飛行場、これは那覇に限らないことでございますけれども、私ども、常に民間航空機の安全に十分配慮するために、防衛庁とは空港別にその運用について十分御相談をいたし、また必要な場合にはその運用面で協定等を結ぶというようなことで安全の確保に努めておるわけでございます。  那覇についても同様でございまして、現在の需要からいきますと現滑走路でまだ余裕がある状態でございますが、しかしながら、航空機の数と安全というのは必ずしも結びつくわけでもなく、常に共用飛行場においては通常の空港以上の注意を払う必要があるというふうに考えております。  今後とも防衛庁とは十分協議をし、航空機の安全には最大限の努力を払っていきたいというふうに考えております。
  308. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、先ほどの沖合いに自衛隊専用の滑走路をつくるという話ですが、防衛庁の方、いままでそういう話を検討したことはあるのですか、それとも全くそういうことはない、あるいは県からそういう要請があった場合に皆さんはどうされるのか、その辺をまとめてお答えいただきます。
  309. 大原重信

    ○大原説明員 お答えいたします。  先ほどの件につきまして、沖縄県の内部でそのような論議がございましたことにつきましては新聞報道によりまして承知しておりますけれども、防衛庁にはそのような話はいただいておりません。また、防衛庁といたしましてもそのような計画は持っておりません。
  310. 玉城栄一

    玉城分科員 それは将来ともですね。
  311. 大原重信

    ○大原説明員 私の立場といたしまして、将来のことにつきましては、また、運輸省さんの御指導もございましょうし県の御意向もございましょうから、言及はちょっといたしかねますけれども、いまの段階でそのような話は参っておりません。
  312. 玉城栄一

    玉城分科員 自衛隊さんはいつまで那覇空港にいらっしゃるおつもりですか。
  313. 大原重信

    ○大原説明員 那覇基地には、沖縄方面の防空、哨戒等の任務をさせるために、私どもといたしましては必要な部隊を配置させていただいております。ほかに適当な飛行場が見当たるという状況でもございませんし、できますれば引き続き那覇空港を共用させていただきたい、このように思っております。
  314. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、いわゆる軍民共用ということで非常に危険が伴っているわけですね。その安全の確保という問題については先ほども努力をさらに続けるということですけれども、いずれにしましても、一日おおよそ二百機でしょうか、離発着している状況ですから、さらに危険性というものは出てくる可能性も十分あると私は思うのですね。ですから、その点ひとつ十分な配慮をお願いをしておきたいと思います。  それから次に、この危険性の問題と関連しまして例のACMIの件なんですが、これはもう大臣もよく御存じのとおりでありまして、米側から強い設置要求がありましたが、大臣運輸省の方も民間航空路の安全に支障があるので反対である、そういう考え方はいまもお変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。
  315. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、民間航空の安全のために十分に配慮を払って主張すべきものはしてまいりたい、こう思っております。
  316. 玉城栄一

    玉城分科員 このACMIの設置の状況につきましては、現在はどういう段階にあるのですか。
  317. 松井和治

    松井(和)政府委員 当初、米側から硫黄鳥島周辺上空にACMIを設置したいという提案がございました。その後、私どもと米国側と協議をいたしまして、私どもが最終的には昨年の八月に賛成できない旨の回答を正式に出しまして、この硫黄鳥島周辺上空に設けることについて反対であるという意思表示をしたことは、御承知のとおりかと思います。  その後米側は、しからばいかなる空域ならば設定が可能であるかという研究をしておりまして、また私どもにも相談に見えております。そういうことで、私どもと米側とはその後も昨年の暮れごろから話が断続的に行われております。  現在は、硫黄鳥島周辺上空ではなくて、むしろ沖縄の東方海域の方にそういう空域がとれるだろうかというふうな話が持ち上がり、米側が現在その具体的な空域がどういうところにとれるかということを検討されておるということでございまして、米側がもし仮にそこに設置可能だという結論をお出しになるならば、恐らく米側の方から新しい提案の形で出てくるのではないか、これは推測でございますが、私どもとしてはそういうふうに考えております。
  318. 玉城栄一

    玉城分科員 御存じのとおり、沖縄の空域は米軍への提供空域だらけと言ってもいいくらいで、その間隙を縫って民間航空機が離発着しておるわけですね。管制官の方々も、安全に誘導するということで大変御苦労していらっしゃるわけです。当然パイロットの方々にも相応の負担がかかっているわけですね。そういう中でさらにそういうACMIという空域をつくり上げる、これは管制官の方々もさらに大変だと思いますし、当然またパイロットの方々の負担も大きい。これは、大臣御存じのとおり、沖縄は観光立県ですから、そういうことで少しでも不安感が伴いますと、県のこれからの発展に非常に大きな阻害になってくるわけですね。ですから、その安全性の問題について私たちは非常に――これは当然な話でありますので、運輸省としてはどこまで安全性が確保されてという見通しがあるのかどうか。それは空域のいろいろな設置場所にもよると思うのですけれども、その辺についてどういう検討をしていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  319. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いま航空局長から話もありましたように、当初持ってこられたのは前の大臣時代で、なかなか民間航空の安全のためにはいけないというふうなことで拒否されたという話を聞いております。そういうことで、新しいものを向こうの方で研究されておる。ですから、航空局のそういう拒否する態度に対して、ときには敬意を払ってくれる者もあります。私は、いずれにいたしましても、民間航空をそういう危険性のないような形にぜひやる、そういう姿勢で相談にあずかりたい、こう思っております。
  320. 玉城栄一

    玉城分科員 まあお言葉としてはそのようなことだと思うのですけれども、予想されている空域に設置されるということになりますと、当然民間航空機と戦闘機とはクロスしますね。いろいろな高度差によってどうのこうのという技術的な問題はあると思うのですけれども、ここにその安全性が本当に一〇〇%確保されるという保証はありませんね、そういう場合。いかがですか、局長さん。
  321. 松井和治

    松井(和)政府委員 これは先ほど御答弁申し上げましたように、米側からまだ新しい提案がない段階でございますので、どういう空域が米側で検討されておるかということについてはまだわからないわけでございますが、いずれにしろ、そういう空域と嘉手納基地との間の往復という問題は当然起こり得る問題だと思っております。したがって、私どもとしては、提供空域が航空路にかかるのはもちろん論外でございますし、また、前回の提案に私どもが反対をいたしましたように、前回の提案も航空路にはかかってなかったわけでございますけれども、しかし、管制官がレーダーで航空機を誘導するレーダーベクター空域というところにひっかかっておったために、私どもは反対したわけでございます。したがって、今後の米側の提案がありました際には、航空路もしくはべクター空域にかからないということが第一の条件であろうかと思いますし、さらには、その空域と嘉手納基地との間の往復について民間航空機の安全を阻害しないという条件が必要であろうというふうに考えております。
  322. 玉城栄一

    玉城分科員 これはこれ以上申し上げてもなんでしょうけれども、基本的には、たとえばいまの那覇空港につきましても、自衛隊と共用ということで、過去にそういう事故の例もありますし、現実にこれからも予想されるわけですから、そういう危険性がある。そういうことで、沖縄ではこの那覇空港はあくまでも民間専用にしてもらいたいという要望が非常に強いわけですし、そのことは運輸省もあるいは防衛庁自体も十分知っていらっしゃると思うのですね。そういう中で、さらにいま言われているACMIというものが設置をされますと、二重にこの危険性というものがかぶさってくるわけですね。ですから、そういうものについては私たちは容認できないことは当然であるということだけは申し上げておきたいと思います。  それから、最後にもう一点は、沖縄県の宮古島の下地島というところにパイロット訓練飛行場がございますね。このことにつきましても、いきさつがある空港でございまして、これはたしか五十四年の決算委員会でも取り上げられましたが、この空港に国費あるいは県費を約二百億ぐらい投じてでき上がっている空港なんですが、現在は県内の定期便が一部、それとパイロット訓練――このパイロット訓練にしましても、余り頻繁に訓練はされていないという状況にありますね。ですから、あれだけの国費も投じてあるいは県の予算も投じてでき上がった空港に対する活用をもっと真剣に考えないと、あれだけではちょっとぐあいが悪いという感じがするわけですが、局長さん、何か考えを持っていらっしゃいますか。
  323. 松井和治

    松井(和)政府委員 これはジェット機の訓練要の飛行場ということで設置された空港でございまして、御指摘のように、現在の段階で下地島空港がフルに活用されているとは言い得ないかもしれないと思っております。これは、航空事業が現在需要が低迷しておるというようなことも反映をされておるかとは思いますけれども、今後の問題といたしましては、まだ現在米国で訓練をしておる航空機も残っておりますので、そういうものをできる限りこの下地島は持ってくるという方向で航空会社を指導するということによりまして、訓練用の空港が本来の目的である訓練機を現在よりももっと多く受け入れるということが最も大事ではないかというふうに考えております。
  324. 玉城栄一

    玉城分科員 これは最近の新聞の報道なんですけれども、宇宙科学研究所で、いわゆるスペースシャトル、宇宙連絡船の開発計画がありまして、その着陸空港に使用するということが報道されておったわけですが、宇宙科学研究所は文部省なんですか。その辺、報道と事実関係とはどういう状況にあるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  325. 重藤学二

    ○重藤説明員 お答えをいたします。  宇宙科学研究所は、全国の大学の研究者が集まりまして、観測ロケットや科学衛星で天文学、太陽地球間物理学、そういった研究をしますとともに、そういう研究をやるための道具、宇宙工学と言っておりますが、その宇宙工学の研究を行っておるところでございます。  先生お尋ねは、いまの新聞報道でございますが、宇宙研では、有翼飛翔体という言葉で言っておりますが、これは、そういう観測機器を地上に無事に回収をすれば、研究上も役に立ちあるいは経済的にも非常に安くなるというようなことから、研究者の間で構想が生まれたものでございまして、その構想をもとに現在基礎的な研究を行っておるという段階でございます。  飛行場云々という報道が出ておりますが、これは一学者のアイデアというものが語られたのがそういうことで報道されたのだ、宇宙科学研究所では、そういうものはまだ基礎研究の段階でございまして、正式に計画として決まったというものではございません。いわゆる学者の自由な基礎研究の一環という形で現在進められておるものでございます。したがいまして、国の宇宙開発を調整する宇宙開発委員会でもこういうものについての開発について検討されたことはまだございません。そういう学者の自由な基礎研究という段階でございます。
  326. 玉城栄一

    玉城分科員 いまのように、基礎研究の段階である。これが具体的に計画にのってきまして、着陸空港として下地島パイロット訓練飛行場を、今後の問題でしょうけれども、その計画が煮詰まってきた場合使いたいということに対して、運輸省とされては、この空港を多目的に活用することが地域にとってもあるいは国にとっても非常にプラスであるという判断が出れば、どういうふうに対応されるのか、いかがでしょうか。
  327. 松井和治

    松井(和)政府委員 私どもも実はごく最近の新聞報道で初めて耳にしたことでございますし、また、宇宙科学研究所の方からの御要請が特別あったということでもございません。特に、今後の問題として、そういうものが実用化されるような段階に下地島を使った方がいいかどうかという問題でございますけれども、御承知のように、下地島空港は沖縄県が管理する第三種空港でございます。当然、設置管理者である沖縄県の意向というものが必要になろうかと思います。私どもといたしましては、先ほど来お尋ねございました航空交通の安全の面から、果たして適当かどうかという検討は当然行うことになろうかと思います。まだ現段階では使用の適否について全く検討もしておりませんし、現段階で私どもの意見は差し控えさせていただきたいと思います。
  328. 玉城栄一

    玉城分科員 以上です。
  329. 越智伊平

    越智主査 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。  次に、清水勇君。
  330. 清水勇

    清水分科員 大臣には早朝から大変御苦労さんであります。お元気のようでございまして何よりだと思います。  改めて私が申し上げるまでもないのですけれども、本来、国は、国土の均衡ある発展を実現する責務を持っていると思います。しかし、これまでの歴史的な経過をずっと見てみますと、大臣も東北の御出身でよくわかっておられるように、明らかに不均衡発展という様相が見られる。  そこで、一つの例を言えば、たとえば太平洋沿岸ベルト地帯、それからよく裏日本などと言われる日本海側、この格差とかギャップというものは大変なものですから、当然、国はそうした格差の是正に最大の力点を置くべきではないのか、そのために具体的な計画等を持つということが当然のことだ、こう思うわけでありますが、その点のことについて、最初に大臣の所見を承りたいと思います。
  331. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 狭い日本でございますけれども、地域格差は当然生まれてきております。太平洋ベルト地帯と日本海地方、こういうところの国土の均衡ある発展、地域格差の是正、これがお互い国会に席を持つ者の大きな責任だろう、こう思います。  しかし、一方、政府の施策ももちろんやらなければなりませんが、私はそういう地方に生まれておりまして、余り卑屈にならぬ方がいいと私は思っているのですよ。それは寒門に傲骨ありで、あなたのような人が北陸から出ている、私たちも東北から出ている。ひとつそういう者が推進していくようにやってみようじゃありませんか。
  332. 清水勇

    清水分科員 激励をいただいたわけでありますから、大いにがんばる所存であります。  ところで、たとえば三全総がある。それを具体化する意味で定住構想などが立てられている。しかし、これはやはりお題目だけを唱えていたのでは何の意味も持たない。したがって、いま私が指摘をしたような、たとえば格差を是正する、そのためにこれらの一連の計画等が機能をする、そういうものでなければならぬと思うのですね。  実はそういう観点も含めてのことだと私は思っておりますが、たとえば新幹線整備五線という問題がかねがね提起をされている。しぼりにしぼって、そのうちで北陸なり東北なりの着工順位をまず優先させよう、こういうことが方向づけられていることについて大いに歓迎をしておるわけでありますが、問題は、むろん昨今の臨調の答申もありますし、財政事情というものもあります。また国鉄の立場で言えば、いま総裁見えているけれども、財政状態は非常に厳しい場面にぶつかっている、それやこれやを通じてなかなか着工のめどが明らかにならない、こういうふうな状況なのでありますが、最前申し上げたような基本的立場に立って、大臣としては、当然これは早期に着工すべきもの、こういう考えをお持ちだと思いますが、具体的にめどといったようなものについて所信がございましたらお聞かせいただきたい。
  333. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国土の均衡ある発展、その中に東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線、上越新幹線が生まれたわけでして、私は二、三日前もスウェーデンの運輸大臣が来たとき申し上げたのですが、この狭い日本に全部国道がずっと通っている、それに在来線があって、国会議員がつくった高速自動車道路が走っている、それに新幹線、こういう中から日本の物流が行われて、経済生活が行われて、そして伸びたんだ。そして、いまや北陸の問題にいたしましても、整備五線の問題は臨調から当分見合わせるということになっておりますが、私の方とすれば、ちゃんと一応調査費とかそういうものを予算を組んだ。しかし、基本的な財源の問題は皆で御苦心をいただいている最中でございます。そういうものを待って、できるならばひとつ着工してもらいたい、こういうふうな感じを持っております。
  334. 清水勇

    清水分科員 そこで、去年の十二日に、大臣日も御承知かと思うのですけれども、北陸新幹線に関する環境アセスの報告書案が出された。いやが上にも着工への期待と機運が関係自治体の間や沿線住民の間に高まっている。かたがた、この環境アセスの報告書案に対する意見だとか要望なんというものが求められて、関係自治体から御承知のようにたくさん出ている。ところが、着工のめどという話になるとあいまいもことしているということではちょっと困るのではないか。そこで、およそのところ、こんな時期には何とかならないものかというようなものが、一つの希望であってもいいけれども、示されてしかるべき時期なのではないかという感じがするのでありますが、どうでしょうか。
  335. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いつということはなかなかちょっとだれにも言えないのじゃないですかね。問題は、やはり輸送需要の問題とか、ある場合には財源の問題とか、その捻出をどうするかということで、それぞれいま苦心している向きがありますが、さて、その苦心したものをどう了解させるかということにまた大変な努力が必要だ、こう思っているわけであります。
  336. 清水勇

    清水分科員 これは釈迦に説法になるわけでありますが、いまやまさに高速交通時代、こういうふうに言われております。そこで、高速交通手段というものを持たない地方地域の場合、たとえば通産省などは御承知のようにテクノポリス構想というものを取り上げて、今度の国会にも法案を出しておりますね。ところが、そうした産業政策からも疎外をされる、あるいは疎外をされようとしている、これは非常に問題だと思うのです。たとえばテクノポリス構想によれば、集積されたエレクトロニクス産業あるいは技術等が存在をする、一定の三百平米なら三百平米といったような土地が確保される、あるいは周辺に工科大学ないし大学の工学部等が存在をする、これが大前提ではあるけれども、同じウエートで、たとえば新幹線が走っているとか、ジェット機が離着陸できる空港があるとか、そういうものが指定要件の重要な一つになっているわけですね。  そうすると、私は長野市なんですけれども、長野市などには、前段に申し上げた三つの条件などは完全に具備されているけれども、たとえば新幹線がないということのためにテクノポリス構想の指定対象から外されるといったような状況がある。たとえば均衡ある発展を図るという立場から言えば、現実の問題として、さらにその地域の産業経済活動ないしは生活環境全体が後退を余儀なくされる、つまり先進地域と比較をすればさらに後進性を加味せざるを得なくなる。これは国策という立場から見ても非常に重大ではないか、こういうふうに実は思っているわけなんであります。たとえば長野市などは、県庁所在地でありますけれども、新幹線もないところから、現在では東京から見れば一番遠い県都である、こういうようなことが言われたり、陸の孤島というようなことが言われたりしておるわけでありますが、僕は、やはりそういう状況をどう克服をさせるか、あるいは改善をするか、そのために、やはりいわゆる均衡ある国土の発展というような視点に立って、新幹線などというものについて国策的な立場に立ってウエートを持たせる、こういうことが非常に重要なんではないかという気がするのですけれども、いかがでしょう。
  337. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 どこもかしこも一遍に新幹線を引けばいいわけでしょうけれども、これこそなかなか夢みたいな話ですね。といって、いまのテクノポリスの話もあれば、ある場合には新産業都市の話もあったり、それから三全総の話もあったりします。そして、それが一つ一つ果たして全部自分の地域に来たかという期待感、失望した時代もあります。しかし、一方には、その地域がそういうものを期待しながらも、自分で生きるものがある。私は、いま朝五時過ぎからラジオをかけて聞くと、長野県を舞台にした「大地に生きる」という農村の物語で一年間ぐらいずっと続いておりますが、なるほどなと思うのですね。とにかく世界に一番先に入っていったのは長野県の蚕でしょう。国際金融というところから見たときに、不況も一番先に来たかもしらぬ。あれだけ長野教育というものが日本に対して非常にすばらしい功績を上げた。今日朝鮮ニンジンでも長野県がすばらしかったとか、いろいろな知恵がある。観光資源でもそうでしょう。そういうことを思いますと、はやるところだけを羨望するのもいいが、自分自身の問題で一つ一つ解決して、その中でお互いの先祖が飯も食い、そして私たちがその中のいいものをまた持っていくような努力をすべきではないか、こう感じております。
  338. 清水勇

    清水分科員 大臣の哲学の片りんが披瀝されたわけですけれども、ただこれまでの時代はそれでよかったのですね。だがしかし、さっきも言ったように、好むと好まざるとにかかわらず高速交通時代という新しい時代を迎えているわけです。だから、これ以上がまんをということは、結局不均衡発展ということを助長するようなことになって、国の方針に逆行する、こういうことにもなるものですから、この辺を実は私申し上げたかったわけです。  さてそこで、鉄建公団からも見えていると思うのですけれども、これは、こういう状況ですから仮説ということに立たなければならぬと思うのですけれども、たとえば仮に北陸新幹線について着工をしたという場合、工事の期間はどのくらいかかるというふうに見ているのですか。
  339. 吉村恒

    ○吉村参考人 お答えをいたします。  区間の長さにもよりますけれども、従前からの新幹線建設の例から見まして、一区間六年ぐらいかかると思っております。東北・上越のように、途中にオイルショックなどがありまして十年かかった例もございますが、それ以前の東海道・山陽の例から申しまして、いま申し上げました六年ということかと思います。
  340. 清水勇

    清水分科員 その六年間というのはどことどこの間ということですか。大阪までということですか。
  341. 吉村恒

    ○吉村参考人 予算にもよるわけでございます。東北の場合は五百キロが一遍でございます。上越の場合は二百七十キロが一遍でございます。それらの予算確保ができれば、その中はワンユニットといたしまして、申し上げましたようなかっこうの進め方も可能でございますし、また、階段状に施行することも可能だと思っております。  北陸につきましては、いま先日来アセスメントを進めておりますのは東半分でございます。東半分を一遍に進めるか、その中を階段建設するかという辺が議論かと思います。
  342. 清水勇

    清水分科員 そういたしますと、これも仮説なんですけれども、いま六年と言われましたかね、仮に主要経過地ともいうべき長野まではどのくらい、あるいは富山まではどのくらいといった一応の試案といいましょうか、試算といいましょうか、おありになるのでしょうか。
  343. 吉村恒

    ○吉村参考人 事務的にと申しますか、技術的にいろいろの案を引いてはおりますけれども、先ほど大臣から御答弁のありましたように、財源問題の見通しのつかない中でございますので、現段階で何とも申し上げかねる次第でございます。
  344. 清水勇

    清水分科員 それから、いずれにしても石川県の小松でしたかね、東日本の関係について六年、こういうふうなことですから大体想像はできますが、問題は、いまも触れているわけでありますが、段階開業と言われましたか、部分開業と言いましょうか、そういうことも考えられるわけですな。
  345. 吉村恒

    ○吉村参考人 理論的にはそういうことも考えられると思います。
  346. 清水勇

    清水分科員 理論的のみならず、たとえば上越の場合は、仮に六十年に入れば上野から直通になるわけですから、いわば上野―高崎間約百キロぐらいでしょうか、これは現に上越新幹線として確保されているわけですから、いわば高崎以北という関係になるのだろうと思うのです。そこで、できるだけ経済性と言いましょうか、そういうものを考慮に入れれば、ある意味で部分開業という形をとった方が経済的なメリットは現実的に出てくる、こういうふうにも素人考えで考えられるわけですが、その辺はいかがですか。
  347. 吉村恒

    ○吉村参考人 先生指摘のように、部分的につくることのメリットもあると思います。ただ、新幹線のように相当高速の性能を発揮しなければならない鉄道としましては、余り短いとつくりましたかいがないということから、ある限度があるわけでございます。その辺につきましては、今後実際に、事業の採算性でございますとか、並行いたします国鉄の営業状況とか、そういうものをその時点でよく眺めました上で、具体的に決定すべきものかと思っております。
  348. 清水勇

    清水分科員 さてそこで、公団の方からも出たし、さっき大臣指摘をされているのですけれども、問題は建設費用をどうするのか。そこで、従来は国の責任で建設費用が賄われる、これは当然なことでありますが、そうなってきたわけであります。最近の財政事情からいって、新幹線整備法の一部が改正をされ、たとえば公費助成、地域負担というものが取り入れられる、こういうことになったわけなんでありますが、問題は、いま考えられている公費助成及び地域負担の程度、方法といったようなことについて、現在はどの程度の検討がなされておりますか。
  349. 永光洋一

    ○永光政府委員 五十八年度の予算の編成に当たりましても、いま先生から言われましたように、建設費用は公的助成及び地域負担の程度、方法の整備を進めて、これを待って工事着工という段取りになっておりまして、現在、関係省庁あるいは関係者の中でいろいろ議論をいたしております。  地方の負担につきましては、先ほどお話がありましたように、整備法の改正を行いまして、地方が負担できる、地財法の関係にもかかわらずできるという道を開きましたけれども、まだ具体的にどの程度のものをどういうかっこうでやっていただけるかというところまで参っておりませんし、さらに、国鉄の財政状況から見まして、いわゆるその他の公的助成につきましても、国の財政が非常に厳しい折からでありますし、現実にはいろいろ議論はいたしておりますけれども、はっきりしためどはまだついていない段階でございます。
  350. 清水勇

    清水分科員 これは地域の負担ということになれば、自治省も一定の見解を披瀝なしているわけですから、当然自治省等とも調整をしなければならぬということになりましょうし、また、全体の建設なり建設後の運営なりというようなことになると、これ以上の重荷を国鉄にしょわせるというふうなことは、いよいよ国鉄自体の財政機能を破綻をさせる、こういうことにも連動するわけですから、そういうことは避けなければならない。ですから、財政問題というのは非常に大変な問題だとは思うのですけれども、しかし、いまの局長の話によると遅々として進んでいない、こういうことのようでありますが、できればどのくらいまでに何とか調整をしたい、あるいは方向づけをしたいというような希望でもおありになったら、聞かしていただけませんか。
  351. 永光洋一

    ○永光政府委員 整備新幹線は、地方の開発なり国土の均衡ある発展という観点から、長期的には進めるべきプロジェクトであると思ってはおりますが、財源の問題につきましては、いまどの程度のところでというめどがなかなか立ちにくいのが現状でございますので、ちょっと申し上げかねるところでございます。
  352. 清水勇

    清水分科員 どうもみんないろいろな方面へ遠慮をなすって、奥歯に物が挟まったような言い方をされるのですけれども、中曽根さんはかつて、かつてといってもごく最近ですけれども、富山あたりに行って、早期に着工するという大演説をぶたれたという経過もあるわけでありまして、それなりの反響と期待があることは事実だと思うんですね。政治家はうそをついてはならない、私はそう思うわけでありますが、そういう点なども含めて、ひとつ十分協議、調整を促進してもらうということをひとつ希望しておきます。  それからいま一つは、たとえば環境アセスに対する要望の中にも、在来線、特に信越本線なり飯山線なりについては、引き続き十分な機能が発揮できるような配慮をしてもらいたいというようなことが自治体等からも寄せられているというふうに私承知をいたしております。事実、たとえば信越本線等についても、完全な複線化を初めとした整備改良等が年々進められているということは私も承知をしておりますけれども、しかし、実際には遅々としてなかなか進んでおらない。しかも、昨今の国鉄の財政事情を反映して、そうした投資が抑制をされる、こういうことになっているわけなんでありますが、まず最初に、信越本線の整備改良の現況と今後の計画という点についてお聞かせいただきたい。
  353. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 信越本線の複線化の状況でございますが、高崎―新潟間三百二十七キロございます。そのうちの二百六十四キロが複線化が完成いたしておりまして、複線化率八一%、現在単線で残っている区間は北長野から直江津に至る区間でございまして、一部、黒姫―妙高の区間は複線化がなされておりますけれども、それ以外は複線化されてないという状況でございまして、現在単線で残っている区間が六十三キロあるわけでございます。現在、妙高―関山の間で災害に遭う地域の防災関係の工事を進めておりますが、残る区間の複線化ということになりますと、昨今の輸送事情が全国的にそのような傾向があるわけでございますが、この地域におきましても輸送量としては減少いたしておるような状況でございます。また、御承知のように、投資に対しましても相当厳しい抑制をしていかなければいけないという国鉄の財政事情もございまして、現在この地域について複線化を積極的に進めるという状況にはなかなかなりにくいというふうに感じている次第でございます。
  354. 清水勇

    清水分科員 これは大臣にも総裁にも御承知おきを願いたいと思うのですが、たとえばダイヤの面で、通勤通学者を初めとして必ずしも十分便利な形になっていない、利用しようという者は非常にあるけれども、そういう点での隘路がある。  それから、次に私が申し上げるたとえば飯山線、時間もありませんから簡単にいたしますが、これは百円の収入を得るのに八百四十円の経費がかかると言われる赤字路線でありますけれども、しかし、奥信濃から新潟県十日町等にかける命綱ともいうべき貴重な存在、これも貨物の集約だとか駅の無人化というようなことがすでに行われておりますけれども、ある意味で利用者に対するサービスが増強される、つまりダイヤが改善をされたり利便に供する割合が大きくなれば、国鉄離れを食いとめるだけではなしに、利用者が急速に拡大をするという条件と可能性を十分持っている、私はこういうふうに見ているわけなんですが、そういう点でも、やはり改良整備というようなものを含めてダイヤの改善といったようなことなども十分留意をしながら、一面では国鉄離れを食いとめ、一面では運収を確保していく、同時に通勤通学者の利便に供する、そういう方向を積極的に示すべきときではないのかという気がするわけなんですが、いかがでしょうか。
  355. 橋元雅司

    ○橋元説明員 飯山線につきましては、近代化、合理化につきましてかねて地域の方々から大変深い御理解と御協力を得ておりまして、感謝申し上げる次第でございますが、先生いま御指摘のように、サービスがちょっとよくない、たとえばダイヤは夕方四本ぐらいしかないというようなお話を伺っております。ただ、御利用の度合いがここのところ数年やはり減っておりまして、その辺がちょっと気がかりなんでございますが、これは私どものサービスが先なのか、あるいは御利用の度合いがどうなのかということでございますので、これはよく勉強いたしたいと思います。また、列車の配列などにも問題があるようでございますので、これも必要な手直しは今後ともいたしたい、こう思っております。  それから、貨物集約、無人化も昨年十月、十一月にさらに進めさせていただいたわけでございますが、私ども、この線区は、先生が御指摘のように収入が六億ちょっとに対して経費が五十数億かかっておりまして、八二五という係数になっておりますが、しかし、一面、将来にわたってはスキー客を中心に観光客であるとか十分増客が見込める線区であろうと思っております。現に防災工事費なども年間五億円というような金を投じてやっておりますので、私ども、この線区は十分大切にして、せいぜい御利用をふやすための努力を今後とも続けたい、こう思っております。
  356. 清水勇

    清水分科員 時間になりましたからやめますけれども、どうも年々利用者が減っている。これは私がさっき指摘をしたような面に利用者が減るという一つの側面があることも事実なので、どこかでこの悪循環を断ち切らなければならない。悪循環を断ち切るためには、時によれば思い切って利用者を呼び戻すようなこういう措置というようなものが一つの具体的な方策として考えられなければならぬ。いま局長から、飯山線については非常に大事な路線であり将来ともにできるだけのことをしていきたい、こういうお話がございましたので、その点をひとつくれぐれも留意をしていただいて、後進性からの脱却あるいは国土の均衡ある発展に大いに運輸省も国鉄当局も努力を尽くしていただきたい、このことを心からお願いを申し上げまして、最後に一言だけ大臣の所信をその点で承ります。
  357. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ただいま橋元常務理事からお話がありましたように、国鉄も将来よさそうだと思うところは商売気を出してしっかりとがんばる、こういうことでございますから、御期待を願いたいと思います。
  358. 越智伊平

    越智主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  359. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私は、いまお手元に図面を差し上げておきましたが、主として国鉄の篠ノ井線の明科―西条間の問題についてお尋ねをしたいと思います。  先ほど質問したのは長野県の北信の清水勇君、私は南信。昔から長野県は県会で分県をするといって大げんかをやって歴史に残っているわけで、コロンブス作戦とかいうめずらしい作戦をやりて、一票差だとかなんとかという歴史が残っているような県で、衆議院の選挙区は四つですから大変広いわけで、これはまいっちゃうのです。その長野県の南北を貫く篠ノ井線、松本―長野、これを結ぶところの県内で言えば大動脈であります。そういう位置づけになっております。  それから、ここが地すべり常襲地帯、災害常襲線区、こういうように国鉄からも言われておるわけで、このために篠ノ井線の明科―西条間の複線化工事が企てられて、そこにも、これ運輸省の資料でありますが、大臣認可昭和四十九年七月、工期は昭和四十九年十二月から始まっているわけですが、まずこの工事の現況を、事務当局で結構でありますから、かいつまんで御説明いただきたいと思います。
  360. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 篠ノ井線の明科―西条間でございますが、これはいまお話のございましたように、四十九年七月に大臣認可を得て十二月に着工ということでございますが、現在までのところ、あそこにはトンネルが三カ所ございます。そのうちの両側の第一、第三白坂トンネル、このトンネルがほぼ貫通いたしまして、工事としては大体いまでき上がってきているという状況であります。残っているところは真ん中の第二白坂トンネルでございまして、このトンネルにはこれから着工するという状況でございます。かいつまんで申し上げますと、そのような状況でございます。
  361. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それで、現在、明科―西条間九・八キロを直線で九キロにしよう、こういうわけです。それで、いま御説明のあったように、第一白坂トンネル千二百九十五メーターと第三の一番長い四千二百六十メーターは完成しているわけです。いわば真ん中のわずか千七百メーター余の第二白坂トンネルが放置されたまま今日に至っているわけです。それでずばりと言って、工事着工してもらえますか。私の質問はそれだけ、やりますと、こう答弁してくれれば、あと三十分あるが帰ります。
  362. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 実は、今日まで継続してこの区間の工事を続けてきております。五十八年度の予算見通しがまだはっきりいたしておりませんけれども、私どもの立場といたしましては、いろいろ財政事情がありまして、むずかしい問題がありますけれども、防災問題を控えておりますので、できるだけこれは継続してやっていきたいと考えている次第であります。
  363. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 要するに、工事を継続してやってくれるということですね。
  364. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 そういうことでありますが、ただ、いわゆる工事のピッチといいますかスピードにつきましては、今後の予算事情がございますので、いまの段階ではっきり申し上げられませんけれども、そういうことでございます。
  365. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 臨調下で、われわれ臨調の考えているようなことは賛成。ところがここへ来てこれを見ると、いやそれでよろしいとは言えないわけで、ことしは工事予算が一兆円から七千億に削られた、その事情もわかっているわけです。  そこで、工事をやってくれる、こういうことなので、私は質問をやめてもいいわけですが、今度は工事のやり方ですね。あとたった千七百メーター。だから、これは突貫工事でやってもらえば、私は端的に申し上げると、もう十年もかかって、後でお尋ねしますが、幾ら工事費をかけたか知らないが、それを放置しておくということは、金利は大変なことでもあるし、それから大体付近の住民が、こんなことをしているものだから国鉄は赤字になってしまう、こういう不信感の種にもなる、この新聞にもあからさまに書いてあるわけです。こういうことになるので、今度は工事をやっていただくピッチをどのようにしていただけるか。  この新聞の真ん中どころの右の方に「ズバ抜けて数多い災害」、こういう小見出しで書いてある。「では、篠ノ井線は当面凍結の道しかないのか―。「ちょっと、この数字を見て下さい」。久保田長鉄局工事課長は、こう言って篠ノ井線で起きた過去の災害データを示した。それによると、明治三十三年」、昔からのことを調べたわけなんだが、「三十三年の開通から一昨年までの八十一年間に、わずか九・八キロの明科―西条間で、不通になる災害が百十四件起きている。延べ二百三日間、四千八百五十八時間に及ぶ。原因は、地滑りが八十六件で圧倒的に多い。地盤の悪い山沿いを縫うように走る同線区は、他の綿区より災害が多いが、明科―西条間はズバ抜けている。」こういう状態でありますから、ピッチを速めてやっていただかないと、そこにも書いてありますが、いま災害工事はみんな手を抜いている。これは私は当然なことだとも思います。どうせトンネルをやるのだから、あの防災工事に金をかけてももったいない、二重投資を防ぐ、こういう意味で無理からぬことだと私は思いますが、「他の区間に導入しているコンクリートまくら木を、明科―西条間には入れておらず、レール交換も最小限。災害の際も、復旧の応急策だけで、コンクリート土止め壁を作るなどの大工事はほとんど行っていない。また五カ所あるレンガ造りのトンネルは、変形してきたため内側を削って列車を通したり、トロリー線がトンネルの天井すれすれにあり十分保守ができない事態になっている。長鉄局自身、「今のままの線では、抜本的に手を入れないと防災上も問題になりつつある」」、そこに書いてあるとおり、工事課ではそう言っているわけです。  これは、いまピッチの問題ですが、やはり民間の偉いところは、発電所なんか、補償交渉をやるためには時間をずっとかけていて、さあ補償がよろしい、こういうことになれば、一気かせい、徹夜、突貫工事でやって投資を早く回収しよう。これは民間の経営者の最高の問題だと思います。  ちょっとお尋ねしますが、いままでここに幾らの予算で幾らかけてありますか、年次別に簡単でいいですから。
  366. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この区間の線増工事にかけている工事費でありますが、昭和五十年から工事にかかっておりまして、当初のころは金額としては非常に少ないのでありますが、五十二年度以降毎年大体十億から二十億かけておりまして、五十七年度までで総額約百億を投じております。
  367. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 あと工事費は幾ら要りますか。
  368. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この区間の総額が二百二十億ぐらいでありますので、なお今後、五十八年度以降百億ちょっと残っているわけでございます。
  369. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 ほうっておいたからだんだん高くなってしまうわけですかね。五、六キロやるのに百億かかって、あと千七百メーターやるのにまた百億もかかる、こういうことになるのは、これは物価の上昇の影響ですか。
  370. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この予算を当初組みましたのは、五十年から着工しておりますから四十年代後半に計画したわけでございます。もちろんそれ以後の物価、賃金の値上がりの影響というものはどうしても受けざるを得ない状況でございます。それと、このトンネルを二カ所施工いたしまして、いろいろ水の問題その他、多少当初の予想以上に工事費を要しているところもございます。
  371. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私この質問をする前に、われわれはすぐこういう感覚に立つわけです。昭和五十年に何億かけた、それからいま八年間たつから、昭和五十年に二億かけたら二億の八年間の金利がかかる。五十一年には何億、さっきの話で五十二年から十億ないし二十億というのですから、五十二年に十億ないし十五億かけたとすれば、この六年間には金利幾ら、そういうように計算をすると、ここにかけて寝かせて使わないでいる金の金利というものは、私ちょっと簡単に計算しても、まあおたくの金利は多分安いでしょうが、われわれはぱっと一割と見るわけです。それだから、平均百億なのを真ん中どころからとすると五年、百億の金の五年の金利といえば、われわれ頭の中ではすぐ一割と見る。そうすると、ここへかけて寝かせてある金の金利はもうすでに五十億近くかかっている、こういうことですよ。そうしてこれだけの金をかけても何にも回収ができないでいる。こういうのを見ると、私は本当にいても立ってもいられない感じを受けるのです。民間の発電所の工事なんか見れば、金をかけ始めればぱあっとかけて、急いで発電をして急いで売って回収をしよう、これは命がけでやっている話です。こういうことを考えれば、いかんとも、付近の住民が見て国鉄に不信感を持つのはけだしあたりまえのことではないかと私は思う。  そういう意味においても、今度は金をかけ出したら――臨調下で七千億しか建設費がないところだけれども、これは経営者としての選択だと思う。今度あと千七百メーターばかり二年かそこらでぱあっとやってしまえば、そこが複線になって便利になって、災害が起こるという心配もなくなって、隣の明科町はまた都市計画等を考えて、こういうことで増収にもなる。だから、民間経営者と同じ感覚で、こういう問題は早くやってしまってひとつ便利を与えてもらう、それが経営者としての方針でなければならぬ、こういうように私は考えるわけで、地元は大変心配していて、あのままほったらかしかなと思っているところを、いまやりますということで、これは本当にありがたい話で厚くお礼を申し上げますが、今度はそうなったら、やり始めたら効率的に資金を使うためには早く金をかけて二年ぐらいで完成する、こういうぐあいにして、かけた金を回収する、こういう目標に向かってもらわなければいかぬと思うが、予算のことで大変申しわけないが、ピッチを速めてもらえるか、どのくらいにしてもらえるか。
  372. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま先生のおっしゃるように、私どもも一たん工事を決心いたしましたならば一日も早く完成させて開業させたいと考えているわけでございますけれども、残念ながらなかなか予算事情が許さず、特にこの辺で申し上げますと塩嶺トンネル等の工事もございまして、相当の工事費を要するわけでございます。ただ、一方、この区間につきましては防災的な問題もあるということで、私どもとしては精いっぱい許される予算の範囲の中で努力してきたつもりでございます。  今後の工程でございますが、このトンネルの工事の工程と予算事情の両方からこの工程は決まっていくと思います。このトンネルの工程でいきますとやはり三年から五年ぐらいの間ではないかと思いますが、まあ予算事情も絡みますのでいま確定的なことは申し上げられませんけれども、できるだけ努力していきたいというふうに考えておる次第であります。
  373. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 三年から五年というと半分と倍くらいに開きがあるんだが、これはいろいろの事情があるから無理は申しません。二年じゃ私もちょっと無理かと思いますが、三年ぐらいでひとつ上げてもらうように、これは強く希望をいたします。総裁の方もぜひひとつよろしくお願いします。
  374. 高木文雄

    ○高木説明員 実は昨年の秋にここの現場を見てまいりましたのですが、現場の諸君は非常に涙ぐましい苦労をいたしております。と申しますのは、なるほど大変地質が悪いところでありまして、直しては崩れ、直しては崩れというような補修作業を大分やっておるようでございます。一方、このトンネルを全部掘り直すという計画がありますために、直す方もほんの応急手続をしてごまかしごまかしやっている。そういうことで、地元のあれももちろんでございますが、現場の諸君のいわばむだな労力を使っているという面も考えまして、これは相当問題地域だというふうに見てまいりました。  ただ、今回一兆円のところで三千億カットされたということは、致命的に大変きついわけでございまして、実はこの種の地区でちょっと工事をスローダウンせざるを得ないと申しますか、先行きの見通しを十分立てられない場所が全国的にかなりたくさん出てきてしまったわけでございます。いま担当常務理事が大変歯切れの悪い答弁をしておりますのも、実はこの種のものが全国的に大変多いわけでございますので、それをあちこちにばらまいて少しずつ仕事をしておりますと、先ほどお示しのような非効率施工ということになるものですから、それを新しく投資予算を抑制されたことに関連して選別を行っていかなければならぬということでございます。実は、先生のお気持ちには反するわけでございますけれども、これは各地区にあるものですから、それをいま選別作業中でございまして、気持ちとしてはかなり早くやらなければならぬ順位のところだとは思っておりますけれども、同時にほかにもありますものですから、その辺のところを見合いながら今後の計画を立てていかなければならぬと考えております。残念ながら本日の段階では、大変問題の場所である、経済的にもほっておいては引き合わぬ場所であるということは認識をいたしておりますので、最大限努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  375. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いま常務が三年ないし五年と言うのを三年にしてくれということなんです。いろいろあることを百も承知の上で質問をし、常務からの答弁はそうあったわけで、三年ないし五年はかかるでしょうと言うのを経済効率からいろいろ考えてみて、三年に短縮をしてほしい、こういうことなんで、その辺総裁、それはあちこちあるのはわれわれわかっておる。わかっておるが、その間に大災害でもあったらこれはまた大変な事態になるので、この三年ないし五年を三年に短縮するよう御努力をいただきたい。がんばりましょうとこう言っていただければ、私はきょうはこれで質問をやめて帰ります。
  376. 高木文雄

    ○高木説明員 お言葉ではあるのですが、実際三年ないし五年というようなところがたくさんあるわけでございまして、それを三年の方に持っていくには、どこかを五年にしなければならないということでございますから、各地区に同じような問題をたくさん抱えておりますので、ここで明快に申し上げることだけはそういう事情で御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。しかし、いまおっしゃるように、建設したものの金利を考えましても、それから、その間のいわばむだになる維持補修費を考えましても、この地区のことは非常に心配しているというか、問題地区であるということを十分認識しておりますから、今後選別といいますか、選択をいたします場合に、そうした気持ちで取り組むということだけはお約束できるということでございます。
  377. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 大変むずかしい中で三年ないし五年でやりましょう、こういう御答弁をいただいたので、あと質問があったのだけれども、それだけいただいて、総裁には三ないし五を三に切り詰めるように御努力をいただいて、時間が早いが質問をやめます。
  378. 越智伊平

    越智主査 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。  次に、有島重武君。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕
  379. 有島重武

    有島分科員 時間の許す限り二、三質問をさせていただきます。  初めに、東京に荒川区南千住というところがございまして、そこに貨物の隅田川駅があるわけです。これにつきまして一つの投書が朝日新聞の二月十四日付に載りました。これについて質問をいたします。  初めに、その投書を読んでみます。「国鉄常磐線の隅田川貨物駅構内の踏切は「魔の大踏切」といわれ、交通の難所でした。十数年の悲願が実って、昨年三月、自動車専用の地下道が開通、やれやれと思っていましたが、昨年十二月、線路をまたぐ歩道橋の工事が終わると、踏切を閉鎖するではありませんか。人も自転車も歩道橋を渡れということですが、自転車を引きずりながら歩道橋を渡るのは非常にきつく、三百メートル離れたガードまでう回する始末。今まで街をつなげ、人々の行き来していた道路が、踏切閉鎖でプツリと遮断されてしまいました。人と自転車の通れるだけの踏切でいいから復活させて下さい。荒川区南千住二丁目 主婦上田ふじさん(五五)」こういうふうになっている。  これはあらかじめ通告しておきましたから、わかっていらっしゃる方も来ていらっしゃるかもしれないけれども、この歩道橋は十年越しの計画でもってできた。ところが、この歩道橋は非常に評判が悪いのだということについては御認識がおありになるかどうか、これをまず第一番に承りたい。
  380. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 実はこの踏切、昭和四十四年の東京都知事との協議によりまして立体交差化工事に着手したわけでございますけれども、そのときに、最初は地下道、現在道路が地下を通っておりますけれども、それと並行いたしまして歩道もつけるという計画であったわけでございます。その後、周囲の情勢から人道橋を別途つくりまして、それによって、歩く人ないしは自転車で通行の方は斜路を使って線路の上をまたぐ、それから自動車は線路の下をくぐる、こういう形に直したわけでございます。このときも地元の方々のいろいろな御要請がございまして、そういう形に変えたわけでございまして、実際でき上がって、安全対策上とにかく踏切をやめるということを念願としてやった工事でございますので、これが完成しまして踏切を外させていただいたという状況でありまして、危険の有無を度外視して考えれば、平面的に移動した方が便利であることは確かに間違いないのでございますけれども、やはり列車と横断する自動車、人との安全ということを考えますと、抜本的にはどうしてもこういった立体交差にせざるを得ない、これは何とか御利用なさる皆様方に忍んでいただきたいというふうに考えている次第でございます。
  381. 有島重武

    有島分科員 評判が大変悪いということはよく御認識していらっしゃるかどうか。
  382. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 現地においてはそういう苦情があるということは承っております。
  383. 有島重武

    有島分科員 私も数回見に行って、自分も渡ってみた。自転車にも乗ってみた。半谷さんは実際にごらんになりましたか。
  384. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私、現地はよく知っておりますが、でき上がってからは行っておりませんので、見ておりません。
  385. 有島重武

    有島分科員 これは行ってごらんになると、自転車が通る橋のようになっているところ、これはちょっとひど過ぎるなあとお思いになると思います。地元から苦情がきていることは知っておるということでございますけれども、一遍ぜひとも見てもらいたい、それから何らかの改善策を講じてもらいたい、こういうことでございますが、何かそういった御用意はありますか。
  386. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 実は、この立体交差につきまして私どもだけでこの設計は決められないわけでございまして、東京都なり荒川区役所なりと意見を交換いたしまして、特にこういった人道橋に伴う斜路というような設計になりますと、これはむしろ建設省の方が地元道路管理者の方を指導しておりますから、それに基づいて東京都あるいは荒川区の方が私ども協議してこういう形にしようということで決めたわけでございますので、仮にこれを手直しするとしましても、やはり道路管理者である建設省、東京都あるいは荒川区の御意見を承ってやらなければいけないと考えております。
  387. 有島重武

    有島分科員 そういたしますと、東京都ないしは荒川区ないしは建設省、これは第六建設事務所というのですか、そことこの件について協議をする御用意がある、そういうことと受けとめてよろしゅうございますか。
  388. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 昨年十二月に完成した段階でありまして、現時点でこの設計について見直すあるいは手直しするということが現地において話題になっているというふうには聞いておりません。したがいまして、もう少しこの形で御利用いただきまして、もしどうしても手直ししなければいけないというようなことが出てくれば、当然道路管理者の方からもお話があるかと思いますが、そのときには私どもとしてもそれなりの御協議を受けていかなければいけないというふうに考えております。
  389. 有島重武

    有島分科員 おっしゃっている順序でいくということが正式なのかもしれないけれども、それだったらここで御質問申し上げることもないのであって、道路管理者の方は、踏切をやめるためにいろいろ工夫をして工事したんだ、だからここで言われているような、また、特定な時間だけでもいいから踏切をあげてくれないかというような要望が出ておるわけでございますけれども、そういうことは最初の趣旨に反するからと言って突っぱねている。踏切をもし再開するようなことになれば歩道橋が無用の長物化してしまう、こういうことも言っておられるらしいですな。一見もっともみたいだけれども、これは住民側からいくと非常に官僚的というか、つくってしまったもののために今度は人が苦労しなければならぬという、少し何か手段のために目的が犠牲にされてしまうというような印象が強い。  それで、ひとつ積極的にどうなんだと声をかけてやってもらいたい。これはお願いできないでしょうか。
  390. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお話のございました、時間によって踏切をあげるというようなことでございますが、実はこの工事には三十億近い金額を投じまして、道路の渋滞を解消させると同時に、最もねらいとしたのは安全対策でございまして、そういう面から見ますと、多少の御不便があってもやはりこれをぜひ使っていただきたい。時間制限であげるというようなことをいたしますと、そのあいている時間はやはり危険の状態がありますし、また、時間によってあげるというような踏切は私どものところでいままでそういう例は聞いておりません。また、いろいろな面で問題が出てくる設備になるわけでございまして、私どもがお願いしているのは、いろいろ現地での御説明に言葉の上での至らざる点があったかと思いますけれども安全対策、人命を守るということから出てきている問題でございますので、この点につきましてはぜひ御了解願いまして、この設備の御使用をお願いしたいというふうに考えている次第であります。
  391. 有島重武

    有島分科員 そういたしますと、こちら側から声をかけるということはできない、そういうことですか。
  392. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 言葉をかけないというと何か非常に冷たく感じられますけれども、私どもとしてはぜひひとつこの設備を御利用いただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。
  393. 有島重武

    有島分科員 現にみんな利用しているわけですよ。それで、本当に行ってごらんになれば、安全対策のためであったんだけれどもかなり危険だなということはよくわかります、いまの自転車などの上がりおりしているところを見ておりますと。主婦が買い物をして荷物をちょっと載っけたような自転車がございますね。上がりのときはやはりかなりきつくて、押さないと上がり切れないほどの傾斜があります。したがって、今度はおりるときにはこれは本当に危ないですね。上がってくる車もあるわけですけれども、狭いですね。これは本当に交通安全のためにつけたのかしら、ちょうど何か大きな工事をしている、その工事のために二、三カ月間これでがまんしてくださいというような感じであります。だから、これも設計どおりだ、いろいろ打ち合わせをして設計したんだから、こういうようなことは理屈としてはありますでしょう。しかし、これは本当にひど過ぎるという感じを私は非常に受けました。だから、これも道路管理者の方からどうでしょうかと言って伺いを立ててくるまて黙っていたんじゃ、これは無理だと私は判断したからいまお願いしているわけなんですよ。とにかく一声かけてやってくれませんか。どうでしょうか。
  394. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 荒川区役所なり建設省の出先機関なり、それぞれ所管のところの意見というものを聞いてみたいと思います。
  395. 有島重武

    有島分科員 結構です。ぜひそうお願いしたい。向こうでも本当は困っていると思うんですよ。  それから、いま踏切を日に数時間特別に使わせるようにするというようなことはいままで例がない、そしていろいろ問題があるということを言われましたけれども、例がなくてもそういった例を必要があればつくればよろしいということがまず第一番ですね。  それからもう一つは、そのいろいろな問題の中で、踏切番の人件費節減ということがかなり大きい問題じゃないでしょうか。
  396. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 踏切対策というのは、一つの大きな問題は安全問題でございます。それと同時に、私どもはいま経営改善、経費の節減という観点に立ってあらゆるものを見直しております。そういう面から見ますと、この立体交差ができるということは、そこに張りついておる踏切警手が必要なくなりますから、そういう意味では合理化されるわけでございます。また、踏切警手というものも、この日光街道、陸羽街道の踏切というのは私よく状況を知っておりますけれども、あれだけの交通量があり、あれだけの列車回数がありますと、立っている踏切警手も同じ人間でありますから、安全に対して万全を期するというのもなかなか限界があるわけでございまして、そういう意味から言いましても、やはり立体交差によって、人の注意力によらずに完全に安全が保たれるということは、私どもとしては安全としては一番間違いのない対策であるというふうに考えている次第でございます。
  397. 有島重武

    有島分科員 これは地元の方々の意見、それから区の方々の意見もそうですけれども、日に数時間だけでもということになれば、正規の職員の方でなくとも、いま高齢者の事業団というような施設があるわけですね。その中にいろいろな交通安全関係の経験者もかなりおられるわけですね。そういった方々の起用ということだって考えられ得ることだというような意見も出ておりました。  それから、十年前の、設計されたときのそこの踏切の国鉄側の使用回数といいますか、その踏切を一日何本の列車が往復し、あるいは途中でとまったりなんかして、いろいろ操車場のような形になっていたわけですけれども、去年は一日に百九本になったそうですね。それで、私なんか見ておりましても、十年前はもっともっとたくさんあったように思います。こういったことの統計といいますか、設計されたときには大体一日何本ぐらいの列車通過の本数を見込んでおったのか。恐らくそのころは、国鉄側の使用も今後ますます過密になるであろうということも想定されておったのではないかと思いますね。これほど国鉄の貨物そのものが絶対量としてどんどん減ってしまうということは、まだそのころは想定されておらなかったのではないかというふうに私は思います。そこで、五十七年度は一日平均百九本だそうですけれども、十年前には一体何本であったのか、その辺のことはわかりますでしょうか。
  398. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 実は、この隅田川駅の踏切でございますけれども、貨物列車が列車として通る線路と、貨物駅の構内入れかえによりまして出てきて踏切を支障するというケースと両方あります。計画時点、四十三年当時この踏切を通過いたします、いま申し上げました二種類の列車のトータル回数というものは五百八十七回ということでございました。これが五十七年十一月現在での、同じように列車本数と入れかえで出てまいりまして支障する回数とをトータルいたしますと、約四百五十回ということでございます。
  399. 有島重武

    有島分科員 この間に五百八十七が四百五十になった。何%になりますかね。今後これがふえる方向にあるのか減る方向にあるのか、こういったことも考慮の中にお入れいただくべきじゃないかと思います。  以上の問題はさっきお答えをいただきましたので終わります。  次に、地下鉄八号線と十一号線の問題を伺います。  御承知のように、地下鉄八号線は、東京の新富町から湾岸について現在工事が進められております。昭和六十二年の春には完成の予定である、こう伺っておるわけでございます。それで、豊洲から東陽町、錦糸町、押上、亀有、これについては昭和五十七年の一月二十九日に免許申請が提出してある、こういうことになっております。ところが、認可がまだ出ていないということであります。普通、申請と申しますと一年ぐらいでもって認可がおりるというのが普通になっておると聞いておるわけですね。一年をもう過ぎておるのですけれども、これはどうなっておるのでしょうか。
  400. 永光洋一

    ○永光政府委員 お答えいたします。  八号線の豊洲―亀有間につきましては、いま先生がおっしゃいました五十七年に免許申請が出ております。免許をする場合には、当該線の輸送需要の動向なりあるいは採算性等について審査をしなければなりませんし、また、それとの関連で財源と申しますか、助成の程度がどの程度かというような問題もございまして、こういう問題をもう少し見きわめたいと思いますので、現在のところ、いつごろの免許というところまではいま申し上げられる段階になっておりません。
  401. 有島重武

    有島分科員 いまおっしゃったようなことは、ほかの線についても皆同じだと思うのですね。ところが、ほかの線は大体一年以内でもってこれが認可になっておる、こういうことがあるわけです。何か特別な事情があるのでしょうか。それで、これも交通量については東京の中でも人口はどんどんふえている方向のところでございまして、当分の間ふえることはあっても減ることはない、そのようにわれわれとしては考えます。  いまおっしゃったのは一般論でございまして、そうだとすると、どうももっともっと慎重にしなければならぬということですな。これは何か特殊事情があってそうなのか、あるいはもっと促進をどんどんしていただけるかどうか。
  402. 永光洋一

    ○永光政府委員 一般論と申しますか、この線につきまして現在そういう段階だということでございますが、強いて申しますと、これほどの相当大きな工事になりますと、これに伴います財源という問題がやはり関連いたしまして、去年あるいはことしあたりの財政状況の非常に厳しいというような状況もございまして、全体の地下鉄の助成額といいますか、補助というものはある程度一定のものでございますので、その中での兼ね合いということもございますし、強いて申せば、特段おくれているということでもないと思いますが、そういう財政状況というような問題はやはり最近の状態としてはある、特別の事情と申しますか、環境はそういう問題があるということであります。
  403. 有島重武

    有島分科員 わかりました。これは輸送量の事情等、なお調査するということではなしに、財源の関係ということがいま特に特徴的なものである。そうすると、いままでも申請から認可に至るまで財源のことでおくれる、まあたとえ認可をしても財源のことでもって工事がおくれるという話はございますけれども、それももう一考していただきたいと思います。  それから、もう時間がございませんけれども、今度は停車駅の問題ですけれども、東陽町から亀有にかけて東西線、それから都営新宿線、総武線、京成、東武、こういった幾つかの路線と交差しているわけですね。この交差地は必ず駅をつくっていくべきであろう、これは必ずそうであろうと思いますが、これは確認しておきます。  それから豊洲と東陽町、あるいは東陽町と住吉町、それから住吉と錦糸はわりと近うございますけれども、錦糸町と押上、これは相当距離がございますので、住民の利便を考えるならば間に駅を設けるべきであろうと私は思いますけれども、こういった点についてはもうすでに大体内定をいたしておるのかどうか。
  404. 永光洋一

    ○永光政府委員 ちょっと補足いたしますが、先ほど助成なり補助の話をいたしましたが、当然当該線におきます採算という問題と関連をいたしますので、そういう問題も含めて、この線につきまして検討いたしておるということでございます。  それから駅につきましては、免許申請がございますが、現実にまだ駅は確定をいたしておりません。いま先生がおっしゃいましたように、それぞれの他の鉄道との交差部分というところ等につきましては予定をいたすべきものだとも考えておりますが、それ以外の間につきましては、やはりどういう形でお客さんが集まるかとか、いろいろな面があると思いますので、まだ現時点においては確定していないと聞いております。
  405. 有島重武

    有島分科員 まだわかってない、そういうことですね。これはほぼ常識的みたいなことでございますから、あらかじめ当然考慮していただくべきことであろうと思います。  では、最後に一点だけ。今度は十一号線でございますけれども、これは都交審から答申が出ておりまして、扇橋までは早く申請の準備に入ってもらいたい、こういう要望が非常にたくさん来ているわけなんですね。それで五十九年秋には半蔵門から三越前、六十二年には三越前から蛎殻町間がそれぞれ完成するというふうに伺っております。そこで蛎殻町から扇橋については都交審の答申でもって整備指摘されております。この免許申請というのはされているか。まだしてないんじゃないかと思うのですけれども、今後申請を出す予定があるかどうか。
  406. 永光洋一

    ○永光政府委員 現在申請が出ておりません。具体的な計画もまだ未成熟だと思いますが、現在運輸政策審議会で首都圏の交通体系のあり方を審議しておりますので、そのあたりは地元の要望等を踏まえながら議論をされるのではないか、こういうふうに思っております。
  407. 有島重武

    有島分科員 最後に大臣にお願いでございますけれども、東京の交通事情は御承知のとおりずいぶんよくなってまいりましたけれども、いままで、特に下町の方ですと工場がたくさんあったわけです。それがみんな団地に変わっているわけですね。それがみんな通勤をしておるわけですね。この十年の間に非常に事情が変わっているわけであります。ですから十年前の大体の常識といいますか、物の考え方ではない一つの新しい考え方を導入して促進をしていただきたい、これをお願いしたいのですけれども、いかがでございましょうか。
  408. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり下町、あちらの方は本当に変わりましたし、すばらしい団地が大変な勢いでございます。それからまた、地下鉄に対する要望も非常に多うございまして、需要のあるところ、そしてお客さんが乗りますから、一キロ当たり相当な金額がかかりますが、そういう中でもいまのような需要にはなるべく応じるように、私も大臣になってすぐに半蔵門のところでテープカットや電車に乗せられたようなかっこうで、そういう面については緊急の問題については協力してまいりたい、こう思っております。
  409. 有島重武

    有島分科員 ありがとうございました。終わります。
  410. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて有島重武君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  411. 中野寛成

    中野(寛)分科員 大阪空港問題についてお尋ねをいたします。  周辺整備一つの目標になっております環境基準の達成、これが五十八年度を目標として環境庁からの設定がなされて、運輸省としても努力をしてこられたわけでありますが、この環境基準の達成について各論に入る前にまず一言お聞きをしておきたいと思います。
  412. 松井和治

    松井(和)政府委員 環境庁の定められました環境基準によりまして私ども鋭意各空港の環境対策努力をしてまいりました。ことしの暮れが一つの目標になっておることは御承知のとおりでございます。ただ、あの基準をお読みいただきますとおわかりいただけますが、大阪、福岡というような特殊な空港につきましては五十八年を超えてなるべく速やかに、こういうことになっておりまして、私ども大阪、福岡を除きます他の空港につきましては、五十八年度の予算を執行いたしますと何とか環境基準の達成ができるというところまでこぎつけた次第でございます。残る大阪、福岡につきましては、これは対象戸数が大変多いということもございますので、残念ながら五十八年末までの達成は困難であるというふうに考えておりますが、これも環境基準に定められましたように可及的速やかに達成すべく、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  413. 中野寛成

    中野(寛)分科員 その可及的速やかということなんですが、一昨年の暮れに閣議決定をされました第四次空港整備五カ年計画、この計画もこの問題についての一つの大きな基本的な役割りを果たすわけでありますが、これによりますと、この五カ年計画の達成年次が六十年度、このときには、いまの可及的速やかにというその年度をこの辺にはしたいというふうなことを昨年おっしゃられたと思うのですけれども、これはどうですか、間違いありませんか。
  414. 松井和治

    松井(和)政府委員 大阪について申し上げますと、五十七年度末で民家の防音工事の達成率がW八十以上の区域につきましては九〇%、W七十五以上の区域につきましては六八%に達する見込みでございます。しかしながら、全体の戸数が大変多うございます。残されます戸数としては三万戸をやや下回る程度ではなかろうかというふうに私ども把握をいたしておるわけでございますが、これを五十八、五十九、六十、この三カ年で私どもとしては何とかすべてやり終えたいという気持ちに変わりはございません。
  415. 中野寛成

    中野(寛)分科員 次に進みますが、この大阪空港周辺における都市計画的手法による積極的緑地整備ということで、新たな御検討がなされているわけであります。私もこの空港周辺については、地元の市会議員をしているころから数えますと約十七年間取り組んでいるわけで、やっとここまで来たかという印象が強くします。その過程の中で、いろいろ現行制度の中で御努力をなさったけれども、やはり最後行きつくところは都市計画的な手法がなければ、また、新たな制度が設けられなければどうにもならぬというところまで行き着いた、その結果であると思うのです。  そこで、地元としても、地域住民の皆さんはこの新たな決意といいますか、検討に対して大変期待をしているし、また反面、その地元の地主にとっては不安感を持っている向きもあるわけであります。しかし私は、この方法を積極的に取り入れることによってしか対策は抜本的に講じられることはないだろうというふうにも思いますので、私自身は期待をいたしております。また、並行して告示日以後の転入者に対するクリアランス問題も、やっとことしは三億六千万円の予算計上がなされている。これについても一歩前進したなという印象を強く持っています。しかし、この都市計画決定の手続については建設省、税制面では国税庁の協力も得なければなりません。現在どの程度の検討が進められているのか、そして、施行に当たっての展望はどうであるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  416. 松井和治

    松井(和)政府委員 移転跡地の計画的、具体的な整備ということの必要性はかなり前から叫ばれておりました。御指摘のように、私どももいろいろな手法について模索を重ねました。その結果、やはり都市計画手法の適用が、計画的、一体的な整備を図るためには最も適切であるという結論に達したわけでございます。このことは一昨年四月の基本大綱の中でも、計画的、一体的整備推進のため、都市計画手法の導入について検討するということを定めた次第でございます。その後、関係各省とも協議を重ねまして、また、大阪府とも協議を続けてきたわけでございます。大阪府の方も積極的にこの手法を活用することによって移転跡地の一体的な整備を図ろうじゃないかという気運が盛り上がってまいりました。先ほど御質問の中にも触れられましたが、来年度予算では、告示日後の建物のクリアランス費用が計上されたというのが具体的なこの手法を進める上での非常に大きなプラスであるというふうに考えております。  私どもといたしましては、五十八年度に大阪府と共同いたしまして調査を行うということで、できる限り具体的な、きめ細かい調査を行いまして、どのようにこれから進めていくかということについて、大阪府と共同歩調で仕事を進めていきたい。同時に建設省に対しましても、ぜひとも御協力をお願いするということで事務的に連絡をとり、御協力をいただけるということで、これから一緒に仕事を進めていこうという段階にたどりついておるということでございます。
  417. 中野寛成

    中野(寛)分科員 基本的なことについてのお答えなんですが、将来の見通し、展望等々、まだ各論についての御答弁がないわけですけれども運輸省と建設省にお伺いしたいと思います。
  418. 栗林貞一

    ○栗林説明員 都市計画の手法によりましてこの緑地整備を進めていこうということで、府あるいは地元の市一緒になって、計画をこれからどういうふうに進めようかという相談をしているところでございますが、幸い関係者は非常に協力的でございまして、また、建設省の方にもお願いして、これから一緒にやっていこうということになっております。たとえば、具体的にどういう空港の近接地あるいは飛行直下のどのあたりをどういう緑地にしていくか、あるいはさらにその周辺のあたりをどういう緑地として考えていくか、この点につきましては地元で地区の整備計画というものを、委員会をつくりまして、あるいは協議会で地元の住氏の方にも入っていただいて相談をしてきたわけでございます。そういった点をさらに進めていくということ、それから具体的に都市計画の手法でやるということになりますと、そういったそれぞれの地域につきまして、だれが事業主体になってやっていくか、また、この都市計画の手法で空港周辺整備するというのは初めてのケースでございますので、これを騒音防止法の体系と、それから都市計画法の体系、これをどういうふうにドッキングして費用負担などを考えていくか、実際のやり方についていろいろ協議していく点がございますので、その点はこれから関係省庁と鋭意御相談をしていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、五十八年度予算でいま先生おっしゃられたような告示日後の建物の除却費用というものも認められておりますし、これは具体的に事業を始める最初の予算でございますので、その辺を頭に置いて、できるだけ急いで計画決定に持っていくように努力したいというふうに考えております。
  419. 坂本新太郎

    ○坂本説明員 建設省から都市計画関係につきましてお答えいたします。  御質問の緑地についてでございますけれども運輸省の方からその考え方と申しますか、全体的な整備なり問題の概要、こういったことをお聞きをいたしておりまして、建設省といたしましても空港周辺緑地の整備につきましては、基本的には積極的に進めることが必要だというふうに考えておる次第であります。現在、整備の具体的なあり方についてでありますが、運輸省協議さしていただいているところでありますが、現在の段階ではまだ概要をしているところでもありまして、都市計画上の位置づけ等につきまして、まだ断定的なことを申し上げられる段階に来ておりませんが、今後検討内容が煮詰まってまいりますことに伴いまして、騒音の防音ですとか周辺の土地利用との調整あるいは緑地としての都市計画上の配置など、いろいろな諸条件を総合的に考え合わせながら、都市計画上におきます位置づけあるいは事業の具体的なあり方などにつきまして前向きに検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  420. 中野寛成

    中野(寛)分科員 建設省の方としてもぜひ積極的に御努力をいただきたいし、運輸省としてはなおさら、この問題は言うならばこの大阪空港周辺整備にかけた最後の手段という感じさえするわけでありますので、ぜひ御努力をお願いを申し上げたいと思います。  私はときどき皮肉まじりに冗談で言うのですが、同じ建物に入っていて、建設省と運輸省というのはなかなか連携がうまくとれないことが多い。犬猿の仲というのは聞いたことがあるが、建運の仲というのは困るということをときどき申し上げるのですが、この問題についてはそういうことはなかろうという期待もいたします。ぜひ協力をして進めていただきたいと思います。  それでは建設省、どうもありがとうございました。  さて、周辺整備機構の果たしてきた役割りというのは大変大きなものがあると思います。しかしながら、国とか府とか県とか、それぞれの皆さんが出かけていっての構成、寄り合い世帯でもございますから、住民サイドからするとなかなか歯がゆいところが結構多いわけであります。また、その結果汚職問題まで起こったりというふうなこともあったわけでありまして、私どもとしてはこういう機構をつくる場合によほどその目的意識といいますか、使命感といいますか、そういうものを職員の中にきちっと銘記さしておかなければいけないなということを痛感をするわけであります。これは職員に限りません、理事以下同じことが言えると思うのです。しかしながら、そういう状態の中でも曲がりなりにも具体的な作業を進めてこられたわけでありますが、先般臨調の検討の中に、もうそろそろ周辺整備機構は役割りは果たし終わったのじゃないか、めどもついたのじゃないかというようなことも触れられているようでありますが、今後の周辺整備機構についてどのようにお考えでしょうか。
  421. 松井和治

    松井(和)政府委員 大阪空港周辺整備機構は、現在まで環境整備のためにかなりの事業をこなしてきたわけでございます。そのうち工事費の面ではやはり民家防音工事というものが大宗を占めているわけでございます。民家の防音工事は先ほど御答弁申し上げましたとおり、できるだけ速やかに完成させる必要がございます。これは当然のことでございますが、空港周辺整備問題は、民家の防音工事が終わればすべて終わるということではございません。先生先ほど御指摘の都市計画手法による緑地造成の事業もございます。こういう空港サイドの騒音防止関係の法体系と都市計画関係の法体系の接点になるような事業というものは、まさしく国と地方公共団体の共同出資になり、両者の職員が出向しておるこの間辺整備機構が担当するのにふさわしい事業であるということも言えないことはないと思います。私どもといたしましては、民家防音工事の達成に当面全力を挙げるといたしまして、引き続き残された周辺整備事業に積極的に取り組んでいくということで、この大阪国際空港周辺整備機構の役割りというものは直ちになくなるというようなものではないというふうに考えておる次第でございます。
  422. 中野寛成

    中野(寛)分科員 都市計画手法でいろいろの物事を進めていくときに、事業主体を明確にしておかないといけない。国がやるのか府がやるのか、こういう整備機構に実務面での主体性を持たせるのか、この辺のことが明確でないと、ややもするとその作業というものは責任転嫁ばかりが続いてなかなか進捗していかない。むしろこういうのは、事業主体をたとえば大阪府なら大阪府と決めてしまった方が事業は早く進むのではないかとさえ思うのであります。このあたりのことについて、整備機構にその役割りを果たさせるとするならば、これはこれでもっと明確に、毅然たる態度で積極的に仕事に取り組んでいただく、そういう姿勢が必要だと思うのですね。このことについては特に要望を申し上げておきたいと思います。  さて、関西新空港の建設については私は一応のめどがついたというふうに思いますし、御努力にも敬意を表したい、こう思うわけでありますが、これに関連をして、現空港の存廃についてどのようにお考えか、お聞きをいたしたいと思います。新空港の建設のめどがついた段階で現空港の存廃についての検討調査を始める、こういうふうに規定をされているわけでありますが、その調査にも入るのかどうか、そういうことを含めてお聞きをしたいと思います。
  423. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいま御指摘の問題は、昭和五十五年の公害等調整委員会における調停条項のことをお指しになったことだろうと思います。関西新空港の建設決定後、可及的速やかに所要の調査研究を行う、そして地元の意見を十分聴取した上で新空港の開港時までに決定をするということが調停事項になっておるわけでございまして、これは国側もこの条項を受諾しておるということでございます。  しかしながら、この条項による建設決定というのは一体何を指すのかというのは、またいろいろと解釈のしようもあろうかと思います。ただ、全般的に現伊丹空港の存廃問題については賛否両論いろいろ問題のあるところでございますし、できるだけ早く調査に着手すべきではないかというような声も各方面から聞いておるような次第でございまして、私どもといたしましては調停条項の文言に必ずしもとらわれる必要はないというふうに考えておりまして、決定は新空港の開港時までにするといたしましても、調査の開始につきましては、私どもの気持ちとしてはできるだけ早く始めたいというふうに考えておる次第でございます。
  424. 中野寛成

    中野(寛)分科員 まあこれは一つの大きな政治的な問題でもございますし、政治判断を必要とする問題でもあろうと思うのです。  大臣、当然運輸省として慎重な検討はなされると思いますが、それはそれとして、この新空港と現在の空港とについてのどうあるべきかという基本的なことについて、大臣の率直な御見解をお聞きしたいと思います。
  425. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 年末に兵庫県の知事とお目にかかったとき、知事は伊丹空港をやめることが泉州沖の国際空港をつくる前提じゃないかというふうなお話もありました。存廃の意味の解釈の問題と、こう私は思いました。一方には整備機構があのとおり防音装置、いろいろなことをやっておるわけでして、これはやはり、たとえばいまの大阪空港というのは兵庫県にも関係していることであります。もちろん大阪府にも関係しておる。また、経済的に大変なメリットのあることでもございますから、まさに慎重といいますか、地方の方方の意見も聞きながら、泉州沖の空港を着工するに当たって、ただいま航空局長の答弁したような形において決定していきたい、こう思っております。
  426. 中野寛成

    中野(寛)分科員 音源対策について最後にお聞きしたいと思いますが、現在離発着三百七十便のうち二百便にジェット機はしぼっているわけです。いよいよしかし、YS11ももう生産しているわけではありませんし、もうプロペラ機の寿命もそろそろ来ている、こういう中で新たな対策を考えなければなりません。そのための地元協議も当然なされると思いますけれども、これについては周辺整備その他のことが、また、新空港との関係がいろいろと明確になってきませんと、やはりこれらのことについての十分な了解がとりにくいということもあろうと思うわけであります。そういうことで、この音源対策について新しい機種の選定等にも関連をいたしまして、どのような見通しを持っておられるのか。まあロッキード事件の二の舞はかなわぬというあれもあるかもしれませんけれども、しかしながらこのこととあれとはまた別の問題でございますから、技術的な面から、また、騒音対策の面からの運輸省としての一つの方針なり展望というものは十分あろうか、このようにも思います。あわせまして、これも音源対策一つだと思いますが、夜間飛行の時間制限については、一昨年ですか最高裁判決後、当面九時以後の飛行について認める意思はないということでありましたけれども、この当面という言葉についてずいぶんこだわった論議がなされました。いまも住民はやはりこの当面がいつ崩れるかということで心配をしているところであります。この夜間飛行の時間制限に関しても、あわせて運輸省の現在の御方針をお聞かせいただきたいと思います。
  427. 松井和治

    松井(和)政府委員 まず、音源対策でございますが、音源対策で、航空機の騒音値の低いものを多く入れるというのは最も騒音対策としては基本的な手段でございますし、また、一番効果の大きい方法であるわけでございます。これまで大阪国際空港につきましてもできる限り騒音値の低い航空機を使うようにという指導をしてまいりました。また、航空各社とも新鋭機の導入に当たっては低騒音値の航空機を導入するということは当然のことでございます。  一つ数字を申し上げたいと思いますが、昭和四十七年当時、大阪空港のジェット機の一日の便数は、現在よりも多くて二百四十便ございました。その中で非常に音のうるさいと言われておりますDC8あるいは707というような飛行機の便数が八十九・六便ございました。比率で申し上げますと、三七%がそういううるさい飛行機でございました。現段階でそれを見てまいりますと、これは五十七年の数字でございますが、一日当たり平均して百九十八便ジェット機が飛んでおりまして、そのうちDC8と707の便数はわずか四・五便、パーセンテージにして二・三%というところまで改善を見たわけでございます。今後の見通しといたしましては、御承知のようにことしから全日空がボーイング767を購入いたします。これは非常に騒音値の低い航空機でございまして、これが逐次727あるいは737に代替されていくという予定でございます。また、本年四月から日本航空ではDC8型機を定期便としては使用しないという措置がとられるというふうに聞いております。そのようなことで、さらに低騒音機が導入をされていくという見通しはかなり明確になっておるわけでございます。  また一方、大阪国際空港は国際線が飛んでおります。外国の航空会社の使用する航空機につきまして、私どもとしては、絶対に認めないという言い方はなかなかむずかしいわけでございますが、騒音値の高い航空機は低いものに極力取りかえてほしいというような要望は、でき得る都度しております。たとえば、中国民航の使用しておりますトライデントという、これも音のうるさい飛行機でございますが、先般の中国との交渉の際に話し合いをいたしまして、トライデントにつきましても、できるだけ早い機会に騒音の低い航空機に取りかえたいという中国側の意向が表明されたわけでございます。国内会社のみならず、外国会社につきましても、そういうことで音源対策はさらに一段と進んでいくというふうに考えておる次第でございます。  そうなってまいりますと、当然のことながら、先ほど御指摘のありましたように、YSもいずれは取りかえなければいかぬという時代が来るとすれば、ジェット機は二百便という制限ではどうにもならないではないか、あるいは地方空港のジェット化が進んでまいりますと、当然地方空港の所在する府県はジェット機に取りかえたいと希望いたします。しかし、大阪がジェット二百便の枠があると、それがなかなかジェットに切りかえられないという問題があるわけでございます。この辺は地元の意向等大変むずかしい問題がございますし、先ほどの調停条項の問題もございますので、にわかにこの二百便の枠を変えるということはなかなかむずかしいと思いますが、これは将来の問題といたしまして、音源対策の進捗とそのほかの騒音対策の進捗というような事態の推移を踏まえ、かつ、地方空港のジェット化、YSの代替というような諸情勢、そういうものを考え合わせて、この点については今後地元とも十分御相談をしていきたいというふうに考えております。  また、やはり同じ音源対策一つといたしまして、夜間の発着制限がございます。この点につきましては、御指摘のように、一昨年の十二月の最高裁判決のときに、私も住民代表の方にお約束をいたしました。現在もその気持ちは変わっておりませんで、遅延便というようなケースは別といたしまして、現在九時までのダイヤになっておりますものを九時以降に変更するというようなことを認めるつもりは現段階では全く持っておりません。
  428. 中野寛成

    中野(寛)分科員 こうして論議をしている間にも飛行機は飛んでおりますし、そして住民は、民家防音工事が進んでおるとはいえ、やはり外に出れば大変な被害を受けているわけであります。これらについては、やはり一日たりともおざなりにできない問題ですし、また緊急を要する課題であります。大臣としても十分に御関心を持っていただいて、御担当の方々を督励をしていただきまして、この対策が進みますように御要望申し上げておきたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。  終わります。
  429. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢和秋君。
  430. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、日航機の羽田沖墜落事故の補償問題を中心にしてお尋ねをしたいと思います。  まず、この事故原因と責任の追及がどうなっているか、いつごろ結論が出るかといった点についてお尋ねをします。
  431. 中村哲

    ○中村説明員 日本航空の羽田仲事故事故原因調査でございますが、航空事故調査委員会といたしましては、すでに御案内のとおり、昨年二月十九日及び四月十三日の二度にわたりまして中間報告をまとめまして運輸大臣の方に御報告申し上げ、公表いたしまして、さらに昨年の暮れには、それまでに得られました事実調査の結果を踏まえまして聴聞会を開催いたしまして、広く関係者あるいは学識経験者から意見を聴取したところでございます。現在、鋭意作業を進めておりまして、最終報告書の案文作成に取りかかっている、こういう段階でございます。  鋭意作業を進めておるのでございますが、ただいま申し上げましたような状況でございますので、最終報告書の公表がいつになるのか、現段階ではっきりと申し上げられないような状況にございます。(小沢(和)分科員「およそ」と呼ぶ)できるだけ早く大臣の方に御報告申し上げまして公表いたしたいと作業を進めておるところでございます。
  432. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 はっきりというふうにいま言われましたけれども、それは無理だとあなたが言われるなら、おおよそいつごろ、大体この春のうちにはできるくらいに作業は大詰めになっているのじゃないですか。それならもうそういうふうにおっしゃってくださいよ。
  433. 中村哲

    ○中村説明員 ただいま申し上げましたとおり、案文作成に取りかかったところでございます。これがどの程度の時間を要するのか、ちょっといまの段階でははっきり申し上げかねますものですから、いつ公表できるか申し上げかねると、このように御説明申し上げたわけでございまして、ひとつ御了承いただきたいと存じます。
  434. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 それはそれでわかりました。  大臣に私お尋ねをしたいと思うのですけれども、日航の法的責任の解明は、いまの事故調査委員会報告なりあるいは警察捜査なりを待たなければ明らかにならないにしても、日航がああいう心身症の機長に飛行機を運航させて、そのためにああいうような大惨事を引き起こしたという点では、私は、社会的道義的には間違いなく日航が絶対に悪い、責任があるということはもうはっきりしているのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  435. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 日航は、一時安全では世界一と言われたくらい、また私たちは、ナショナルキャリアとしてそういう日航というものを誇りにもしておったことでございますが、ああした大事件を起こして、社会的道義的責任は確かにあるのだ。そういう中から、日航が二度と再び事故を起こさないように全社を挙げて邁進しなければならぬ、こういうふうな感じを持って接触しているわけであります。
  436. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ところが、日航のこの一年余りの被災者に対する補償問題などの出方というのを見ておりますと、私は、日航は本当にそう思っているのかと大変疑問に思わざるを得ないわけなんです。  事故が起こった直後には、高木社長は一軒一軒おわびをして回りましたし、見舞い金も持って回ったというようなことで、被災者の間からは、ちょうど同じ時期に起こったあのホテル・ニュージャパンの事故などと対比して、ああいう横井みたいなあこぎな相手でなくてよかったというような話まで聞かれたものであります。ところが、いざ補償の問題というのが起こり始めたら、日航の態度というのはがらっと変わった。どういうふうにかというと、事故の責任と補償とは別だということで、自分たちに責任があるかどうかははっきりしないが、とにかく補償はいたしましょう、こういう態度だというわけですね。そして、日弁連などが出しております補償基準というようなものを盾にして、慰謝料なら千五百万というようなことを持ち出してきている。ところが私、これは日弁連にも聞いてみたのですけれども、この慰謝料などというのはやはり責任の問題と密接に関係があるという。たとえば、酔っぱらって暴走したというような場合だとか、出会い頭でお互いどっちがどうかなかなかわからない程度の事故だとかいうようなこととは全然違うわけですね。ところが、そういう責任問題については置いて補償するというようなことで、遺族の人たちは、そういう責任をあいまいにしたようなことで補償の提案を押しつけられたのではたまらぬということで、非常に反発も出ているわけなんです。  だから私、先ほど責任の問題をはっきりさせるべきじゃないかということも改めて申し上げたのですけれども大臣、そういう点について日航に、もっと明確に、自分の責任を自覚してこの補償交渉に当たれという指導をぜひしていただきたいのですが、いかがでしょう。
  437. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 たしかせんだって一周忌が福岡で行われたことは私も存じております。何さまこういう事件ですから私もずっと注目しているわけでして、その後、社の幹部にお目にかかったときに、一周忌が終わった今日、昨年一年間日航が国内線であの事故からしてどれだけ信用を失墜してお客さんが減ったか、そういうことからしても、補償問題というものは、いろいろなことにこだわらないで、ひとつ誠意を持って補償して早く問題を片づけるようにということを申し上げました。いままでの例からすると、よくやっているようにも聞いてもおりますが、何さま相手が大ぜいでございましょうから、それぞれ事情が違って解決しないものもある、こういうように伺っております。
  438. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 それで、もうちょっと具体的な問題も申し上げてみたいと思うのですけれども事故で発生した損害については、たとえば亡くなった方に対して幾ら金を積んだからといってそれで償いがつくものじゃありませんけれども、経済的にお金で何とかその損害を償えるようなものについては最大限努力をする、その金銭的な補償に応ずるというのが当然の姿勢じゃないかと私は思うのですが、これはいかがでしょう。
  439. 松井和治

    松井(和)政府委員 損害賠償の問題は、基本的には事故の加害者と被害者の間の当事者の問題でございますが、一般論として申し上げますならば、先生仰せのように、できる限り誠意を持って事に当たるということは、金銭的な償いで償えるものについてはできる限り償いをするという意味だと私ども考えております。
  440. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ところが、その点でいろいろトラブルもあっておるのです。私が聞いておるのでこれはひどいなと思うのは、たとえば被災者の方の中に自営業者がおられます、塾の経営者とかあるいは中古車の売買をしている方とか。このような方の御本人の収入がこれによって失われたということについては、日航も話し合いに応ずるというふうに言っておるのです。ところが、この塾にしろ中古車店にしろ、自営業の業種の人が被災されたわけですから、この方が何カ月も長期に入院してしまつたら経営が全く立ち行かないということで、どちらかがつぶれてしまった、一方はもう長期に休業に追い込まれた状態だというふうに私は伺っておるのです。こういう損害についても当然考えてほしいというふうに被災者の人たちは言うけれども、いや御本人の所得の減少は見るけれどもそこまでは見ませんと言う。しかし、御本人が元気ならば当然従業員の人たちにもちゃんと給料を払えるほどの状態でずっといけたケースじゃないかと思うのですよ。こういうようなことについて、そんなことで果たしてこれが誠意のある補償の態度だと言えるのか。運輸当局としてはいかがお考えですか。
  441. 松井和治

    松井(和)政府委員 私ども、本問題に関しまして日本航空に誠意を持って補償に当たるようにという指導をしておるわけでございますが、具体的に日本航空にどのような考え方で補償に当たっているかということにつきまして、私どもも聞いてみたわけでございます。日航の見解によりますと、企業が受けた損害でありましても、社会的に認められた相当な範囲で補償は行うことにいたしますということを言っております。  ただ、企業が受けた損害と申しますのが本件事故とどのような因果関係があるかという、そこの因果関係の見方というのがもちろんむずかしい問題があろうかと思います。したがって、個別の問題について私ここで意見を申し述べる立場ではないわけでございますが、たとえば、先ほど御指摘ございました個人経営というようなケースにつきまして、被災者本人の損害額の算定について、日航としてもできる限りの配慮をしたいというふうに申しております。したがって、その企業損害は一切見ないということではないというように私どもは日航から報告を受けております。
  442. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 当局がそういうように指導していただいて一歩前進したということだろうというように、私、いままでの経過から見てその答弁を理解したいと思います。  そうすると、こういうようなケースも言われているんですね。被災者の方の看病のために、会社なりを一カ月とか相当長期にわたって休んでそれに当たった。ところが、こういうような人たちの交通費などについては見たけれども、しかし、この一カ月なり休んだということに対してはめんどうを見ないというようなことで、これもまたいろいろと問題になっておるようですが、こんな点はいかがですか。
  443. 松井和治

    松井(和)政府委員 私、先ほど御答弁申し上げましたように、個別のケースにつきましてここで一々役所としての見解を申し上げるという立場ではないと思うのでございます。先ほども申し上げましたように、事故の損害の認定というのはやはりいろいろな考え方があることも事実でございますし、それを広目に見るか、あるいは非常に厳密に見るかというところにその差が出てくる問題であろうかと思います。  先ほど申しましたように、日本航空も誠意を持って当たるということについてはしばしば言明をいたしております。私どもといたしましては、日本航空に対してそういう個別の問題について口を出す立場ではございませんが、基本的に自分の起こした事故についての責任を感じ、そういう感覚を持ってこの補償問題に当たるようにということを今後も指導してまいりたいというふうに考えております。
  444. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 個別の問題をあなた方が一々全部承知していないというのも当然でしょうから、その事例は、いま私、特にどうかなと思った点二つだけ申し上げたのです。  被災者の方がこの補償問題の話し合いの中で特に頭にきているもう一つの問題は、遺族、被災者などに事故の直後に見舞い金が手渡されたわけです。ところが、その補償の話が大話めに来たら、それも補償の一部としていわば前渡ししてあったんだ、だからこれは差し引きますというような話が出てきておるんですね。ところが、こういうようなトラブルが起こりはせぬかというので、かなり多くの遺族や被災者の方が、日航がお金を包んで事故の直後に持ってきたときに、いやそれは補償のときに話し合いましょうと言って受け取るのを辞退するのに、いやいやこれは全く後で問題にならないお金ですからどうぞ受け取ってくださいというようなことで置いて帰ったというようなケースが幾つもあるわけです。ところが、いよいよ補償の話が具体的になったら、それは差し引くということだというので、これも皆さんが非常に腹を立てる原因になっておるのです。これは個々のケースじゃなくて、全体そうなんです。  あなたもたしか、私が被災者の会の方を案内して連れていったときに、陳情の中でその話が出まして、そんなみみっちいことをするんですか、それは会社にもちょっと事情を聞いてみましょうというふうにあのとき言われたと思うのですが、その後この点はどうなっておりますか。
  445. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいまお尋ねの問題につきまして、お約束どおり、その後会社にどのようなことであったかということについて尋ねた次第でございます。  日本航空の見解を申し上げますと、見舞い金については補償額の一部であるということを御説明してお渡ししたんだ、ただ、もちろん事故の直後ということもあって説明が不徹底であったという例があるかもしれないし、したがってそのような誤解を生んだことはまことに遺憾に思いますというようなことでございました。それが、もし日航の言うように事前にはっきり御説明して渡したのだとすればこのような問題にはならなかったと思うのでございますけれども、私ども見舞い金の額もはっきり承知しておりませんが、いずれにしろそう多額なものではないと思われますし、そのような問題は補償額全体の算定の際にあわせて考えれば、いたずらに被害者の方々の神経を逆なでするようなことをしないで済んだのではないか、私個人としてはそういうふうに考えております。
  446. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 その日航の説明ですけれども、ああいう事故の直後に、常識的に考えてみても、大変に取り込んでいるときに、将来補償のことが問題になりましたときにその一部となるものですよ、それをお渡しいたしますなんと言って渡すものでしょうか。実際にそのときはそういう説明は何もしていなかった、しかしいま会社からそういうふうに言えと言われておりますからといって説明をして回っているというようなことを遺族や被災者の方から私は聞くが、そっちの方が実情に合っていると思うのですよ。だから、いま局長も言われたとおり、そんなに大きな金額ではない、そういうようなことについてまでこんな態度をとるということは、私はぜひ改めさせていただきたいと思うのです。  私、不思議に思うのは、日本航空は当然事故に備えて保険を掛けております。これは、機体だけではなくて人的な被害についても保険を掛けているのだと思うのですね。そうすると、その保険で大体のところはみんな見てもらうということになるんじゃなかろうか。そうなっているんじゃないのですか。
  447. 松井和治

    松井(和)政府委員 保険の問題につきましては、日本航空と保険会社との契約関係でございまして、その細かい内容についてなかなか私どもも承知し得ない面がございますが、日航に問い合わせましたところ、日航が現在掛けております旅客賠償保険、これは法律上支払いの責めに任ずべき賠償金額についてはすべて保険の対象になるという回答が得られたような次第でございます。
  448. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いまの局長の御説明のとおりだというと、日航はどんどん被害者の話を聞いて、それは理にかなっているなというふうに日航も思ったら出していいんじゃないでしょうか。日航としては腹が痛まないということになるんじゃないでしょうか。
  449. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、法律上支払いの責めに任ずべき損害であるかどうかというところがやはり一つの問題ではあろうかと思います。したがって、日本航空の払ったものが、これは法律上支払いの責めに任ずべきものを超えておるという保険会社の判定があれば、これはてん補されないということもあろうかと思います。  しかしながら、基本的には保険会社がカバーするというシステムが確立されておるわけでございますので、現在補償の交渉が必ずしも順調に進捗していないという御批判がございますけれども、それは保険がてん補しないからとか、そういうことが理由になっているとは私ども考えていない次第でございます。
  450. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 保険会社が査定をするということは、私、当然あると思うのです。それでその場合、本当に日航として誠意を持ってこの補償に当たるということはどういうことかといったら、査定で削られるようなケースであっても、なるほどこれは被害者や遺族の言うことはもっともだと思うようなことについては、自分の身銭を切って出す、これが私は誠意というものの中身じゃないかと思うのです。高木社長は、事故の直後に国会に出てみえて、衷心より深く今度の事故についておわびを申し上げますというふうに発言をして頭を下げ、最大の誠意を持って、約款の上限を超えてでも補償をするということをそのとき明言しておるのですね。私は、この姿勢の意味するものは、まさに私がいま言ったように、査定で削られるようなものであっても、日航としては必要があれば出すという姿勢だということじゃないかと思うのですよ。そういう立場にもっと日航がしっかり立つようにぜひ指導をして、早急に補償交渉が進むように、もっと当局としても努力を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
  451. 松井和治

    松井(和)政府委員 仰せのとおり、この事故の補償問題につきましていたずらに日にちがかかるというようなことのないように、私どもとしては、これまでも日本航空に対してはしばしば指導してまいったところでございますけれども、今後とも強く指導してまいりたいというふうに考えております。
  452. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いま私、保険ということで申したので、それに関連して一言だけ言っておきたいと思うのですが、日航が今度の事故でむしろ事故太りしたのじゃないかというような指摘もあるのです。これは吉原公一郎さんという作家で、日航の今度の事故を扱って「墜落」というルポルタージュを出版した方なんですけれども、この人が、日航の広報部に確かめたことだから間違いはないといって、昨年の暮れにこの日航の事故の問題についてシンポジウムが開かれた席上で発言をしているのですが、どういうことを言っているかというと「事故機DC―8にかけた保険金として、六月に十四億円が支払われていることが確認された。しかし、あの機体は一億円程度の評価しかないほど消耗していた。また、会社は、損害保険から三億円の見舞金を受取っている。この事実からみても、一度渡した見舞金や葬式料をとり戻すなんてとんでもない話だ」というふうにそこで発言をしているということが、遺族・被災者の会の会報に載っております。だから、こういうこともひとつ念頭に置いて指導していただきたいということを申し上げておきます。  次に、私お尋ねしたいと思いますのは、いま申し上げた日航事故の遺族・被災者の会に対する日航側の態度の問題なんです。日航が、かつて労働組合を分裂させて、日航労組の初代委員長であった小倉寛太郎さん、これは実は私の大学時代の友人なんですが、彼をアフリカのケニアなどに十年近くも島流しをしたというようなことで、近ごろそういう意味で非常に有名になっている会社だということは私知っておったのですけれども、同じようなやり方を遺族・被災者の会にも用いているということを感ずるのですね。遺族や被災者の方がお互いに励まし合おう、助け合おうということでこの遺族・被災者の会をつくりました。そうしたら、早速日航は何と言ったかというと、あの会はアカだ、ごね得をねらった無法者の集団だというふうに宣伝をして、この会を社会的にも孤立させよう、遺族、被災者の中でも分裂させようというようなことで策動した。中には、あの会に入らなければ逸失利益をもっとよく見てあげますよというような誘いを受けた人もいるわけであります。  いまどき、こういうような問題が起こったら会がつくられるなどということは、私はごく常識的なことじゃないかと思うのです。私もカネミ油症の患者の会とかスモンの会とかいうような人たちからいろいろ御相談を受けたりして、厚生省にも連れていく、あるいは会社などにも会わせたというようなこともあります。そしてまた、運輸省の当局も、さっきの話の中に出ましたように、この会の方と現に私が連れていって会っていただきました。こういうように会などができたり会っていただいたりというようなことは、これはごくごく常識的なことじゃないかと思うのですね。ところが日航は、この会とは、まあ用件がどうだというようなことじゃない、とにかく一切会わない。それからこの会の人たちが五十四名の遺族、被災者の連名で、これは相当な数だと思うのですが、手紙を出した。社長のところへ三回手紙を出したというふうに私聞いておりますけれども、これも全くナシのつぶてだ。これは私はちょっと対応として非常識じゃないかと思うのですが、当局としてはどうお考えになりますか。
  453. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいまお話がございましたように、私自身も被災者の会の方にお目にかかったわけでございます。日本航空は当然補償交渉の当事者であるわけでございまして、補償交渉と申しますのは個別の事情を考慮して交渉をするというのが本来の姿だとは思います。ただ、そういう団体ができて、団体としての交渉というよりは、何と申しますか、むしろいろいろな意見を述べる機会を与えろという気持ちは私よくわかるわけでございまして、日本航空も、お会いして全くそういう話を聞く耳も持たないということではないと私は思うのでございます。ただ、そこでいわゆる団体交渉というような方法をとるかどうかというのは、これはまた話が別だと思うのでございますが、そういう形で、せっかく結成されました会の方の御意見というものはできる限りくみ上げるべきではないだろうかというふうに私は感じております。
  454. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 全然聞く耳を持たぬというわけじゃないのじゃなかろうかというようなことをいま局長は言われたのですが、実際に私がこの前、日航事故の遺族・被災者の会の方々を日航に案内していったときには、名前だけはばか丁寧に「ご被災者相談室」とかいって「ご」までくっつけているのだけれども、山本さんという人に会ったときに、会の方が「円満な解決のために話しあいをのぞんでいる。同じテーブルについて欲しい。」と言ったら、この山本さんという人は「社としては、その必要を認めません。個別に示談をするのが妥当と考えています。」会の方が「社長と相談しなさい!」というふうに言ったら、山本さんは「いや、必要ありません。」こういう調子なんですね。私が連れていったからようやく、室長という、課長級の人だと聞いたけれども、その人とだけちょっと会ったけれども、会う必要はありませんという話をするだけのことで、ほかに実際的な話は何もこの人たちは聞く耳を持たないのですよ。  先ほどもお話ししたように、個別じゃなくて、実際に自営業者のことはどう考えてくれるとか、全体に共通して話し合った方がよほど話が進むような問題がたくさんあるわけですね。だから、ぜひこういう問題について早急に会とも話し合いをするように、これはひとつ大臣もこういうようなことについては円満な話し合いの糸口をつくっていただくということで御努力を願いたいのですが、いかがでしょう。それで終わります。
  455. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国会の委員会においてあなたからこうしたお話のあったことを心に体して、誠意を持って交渉するように私の方からさらに申し上げましょう。
  456. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ありがとうございました。
  457. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤公介君。
  458. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 大臣、大変御苦労さまです。お話を伺いますと、昼食も大変短時間のようで、このままだと夕食の時間もないというお話でありますから、少し東京の交通問題で伺いたいと思いますが、ちょっと大臣にこれからの東京をどうするかという構造だけ基本的なことを伺って、食事に行っていただきたいと思っておるわけであります。  関係各界の皆さんの御努力と御協力をいただいて、東京の多摩地区のモノレール計画にことしは国の調査費がつきまして、いよいよ東京の二十三区は山手線、東京三多摩はモノレール計画という東京の二極構造がスタートを切るということに、これが実現をしていきますとなるわけであります。私どもは限られたスケジュールの中で毎年世界の主要な都市を飛び歩きますが、その首都には必ずと言っていいほど足を踏み入れます。そしてその首都がある意味ではその国の顔になるわけであります。外国に行って皆さんに東京の評判を聞くと、もうとにかく車で身動きがとれなくて、人間の住むようなところじゃない。そうして都心を離れるとウサギ小屋などと言われる高層住宅が軒並み建っていて、どうも日本は文化的な暮らしをやっていないんじゃないかという評価を受けたりすると、大変さびしい思いをいたすわけでありますが、そういう意味で、東京のこれから、これは何も東京だけでなくて、どうも行政が、運輸省運輸省、建設省は建設省、そして国は国、都は都、市町村は市町村で、自分のところのテリトリーの道路やあるいは交通には気を配っても、全体をネット化していく、そういう遠大な計画にどうも欠けていたところがあるのではないか。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕  きょうこの絵を見ておりますと、河野一郎さんの絵がありますが、私どもの多摩川に弾丸道路をつくるといって、当時建設大臣だったときに、東京の都心から奥多摩、東京の奥座敷ですけれども、そこまで多摩川の堤防を使って弾丸道路をつくるという計画をして、いま川崎からすでに世田谷の隣の狛江市まではノンストップの道路ができております。河野さんが志半ばで亡くなりまして、その後、多摩川はススキが生えていた方がいいとかいろいろ議論がありまして、その計画はいまストップをしているわけでありますが、とにかく東京はどこを歩いても、特に多摩はもう南北交通はずたずたで、しかも国鉄や私鉄の踏切で、これもみんな細切れになってしまっておる。  そういう中でモノレール計画調査費が少なくともついたということは、私ども東京に住んでいる者としても大変画期的なことだと思っておりまして、関係各位の御努力に大変敬意を表しているものであります。しかも運輸大臣の名のもとに――運輸大臣、建設大臣は、もし東京のこのモノレール計画が実現をしたときには、この計画に初めて予算をつけていただいた大臣でありますから、歴史に残るわけであります。  東京は日本の玄関、そのモノレール計画を含めて、これから東京の交通体系をどうしていくのかということを、まず大臣に構想をちょっと伺いたいと思います。モノレール計画というのは大臣御存じかどうか。
  459. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 東京はそう悪い町ではございません。これは外国人が日本へ来ますと、夜遅くまで女が一人で歩ける町、ニューヨークのようなあんなざまな町とわけが違うし、最近は東京湾にも魚が泳ぐというふうなかっこうで、一時、東京は柳町の公害からまるで息もつけないような汚らしい公害の町というふうに世界に宣伝されたのですね。しかし日本がいま七十八歳、七十五歳というふうに長生きする国になったけれども、一番長生きしているのは東京の都民が一番平均寿命が長いわけですから、私はやはり悪いところじゃない。それをまたさらによくするところに私の責任がある。  多摩のこの問題、オリンピックをきっかけにして多摩ニュータウンの計画がありましたが、全然あちらの方には民鉄が、敗戦後一本も新線建設が入っていない。それは、借りた金で利子を払うと運賃で賄えないということでございましたから、当時民鉄線というものを計画をして、それがいま行われているわけですし、その上にどんどんいま東京が多摩地方にも発展しておりますから、そうした中でモノレールの調査費がついた。まだその具体的な計画が出てないようでございますが、計画をお聞きして、その具体的な計画の中に免許申請などがあれば、そういう問題について積極的に御加勢申し上げたい、こう思っております。
  460. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 大臣からお話がございましたけれども、私がいまちょっと申し上げたとおり、モノレール計画についてはすでに地方自治体でも青写真をつくって計画を進めているわけでございまして、ことしは東京都と国が調査費をつけていただいた。これは環境アセスメントの調査を始めて、恐らく二年ないしは三年の調査期間があって、そして免許申請ということになるのだろうと思いますけれども、まあ国鉄の問題がいろいろいま云々されていますけれども、どうもいま計画をされているこのモノレール計画は、人口が集中しているところを連環にしていく、これは採算ということを考えれば当然のことなんですけれども、もう一つ、東京のこういう地理的にというか、面積的に言えば、東京二十三区の倍もあるところのこのモノレール計画にもう一つ必要なのは、東京都民の皆さんがいかに容易に自然に触れられるか。先ほどちょっとサイクリングロードのお話をしましたけれども、各市町村が細切れにつくっているんですよね。ところがそれがネットにされていないものですから、たとえば土曜日や日曜日、子供たちはせっかくお父さんの自転車に乗っても、都心から車に会わないで奥多摩の奥座敷まで行かれる、そういう道路づくりではない。もう少しいろんな交通体系をネット化していく。まあ中曽根総理も、忙しい国会のさなかに、先日は休日を奥多摩の別荘で過ごされたという記事が載っておりましたが、奥多摩や檜原というところは東京の最後に残された自然の地域でありまして、私はこの交通体系の中に、こういう自然も含めて、たとえば御岳山とか高尾山とか、こういうところは観光地でもありますから、そういうものも含めて、このモノレール計画の中に入れて考えていく必要があるんじゃないか。  いろいろの総合的な調査の中で計画を進めていかれるんだと思いますが、行政の立場で、東京のこれからの、言ってみればさまざまな交通改革のかなめになるわけですから、いまスタートしたところでありますが、調査費がついたということで、地方自治体ではモノレールがもうあしたにもできるかというようなそういう雰囲気にもなってきているわけですが、ひとつしっかりそうした計画を進めていただきたいと思いますが、基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
  461. 永光洋一

    ○永光政府委員 いま先生のお話を伺っておりまして、われわれやはり首都圏の交通の整備のときに、通勤通学ということを重点に、そういう需要の多いところで隘路打開をということが頭にいつもあるわけでございますが、いまの東京郊外におけるそういう自然環境、あるいはそういう自然に親しむというような面も含めた交通体系ということも一つのお考え方かと思いますので、ひとつわれわれもそういうものを御参考にしながら、首都圏の交通体系の今後の長期的な展望をつくっていきたい、かように思っております。
  462. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 これからこの計画は具体的に青写真をつくって、免許申請までは若干の時間があるわけでございますので、ひとつ日本の首都の都市づくりのかなめになるという認識でぜひ御努力をいただきたいとお願いをいたしておきたいと思います。  東京の交通問題の中で、私かつて一度委員会で触れたことがございますが、そのときにも若干御答弁をいただいておりますので、それを前進をさせる意味で、国鉄の構内権の問題をお伺いをさせていただきたいと思うのです。  中央線沿線をずっと調べてまいりますと、従来営業していたタクシーは国鉄構内に入って営業しているわけですね。しかし、既得権があっていままで営業していたタクシー会社の方たちは営業できるけれども、構内に入れないで、非常に大きなハンディを背負いながら営々として営業をしなければならぬ、こういう人たちもいるわけであります。いま国鉄の構内の営業の認可は一体どういう状況になっているのかを伺いたいと思います。
  463. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 ただいま先生のお話がございましたように、国鉄の構内へのタクシー乗り入れにつきましては、鉄道輸送と道路輸送との結合ということで、旅客サービス上重要なものと考えております。  ただいまのお話のように、東京都下、特に三多摩地区につきましては、最近の人口の急増とも相まちまして、もっと乗り入れをふやせないかという声を一般からも聞いております。しかし、何分にも駅前広場は非常に狭隘でございますので、物理的な制約があるということで、お話のように現在なかなか入れないという方もおられるわけでございます。この承認制度と申しますのは、特に都下の場合ですと駅前広場の面積がございまして、そこに駐車できる両数ということから構内の承認の業者の数がしぼられているというわけでございます。
  464. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 国鉄構内の営業は承認制度だというお話でございましたね。  最近、認可の申請をして認可したという推移をちょっと教えてください。
  465. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 東京都下の例で申しますと、最近では認可は一件もございません。全国的には、それぞれ余裕のあるところがございますので、かなりの両数が認可をされております。ちなみに、この一年間で約千両ぐらいふえているかと思います。
  466. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 東京はいつごろから認可をしてないのですか。
  467. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 東京の関係につきましては、ちょっとはっきりしたことはわかりませんが、ここ数年はほとんど承認をしてございません。これはやはりいまの駅前広場の広さの制約がございますことと、それからもう一つは、やはり夜間、特に夜遅くお客さんから車が足らないという声がございますので、夜間だけ増車をするというようなことは一部いたしておりますけれども、これは一般的な承認ではございませんのでその承認に入っておりませんけれども、そのような方策を講じつつ、何とか旅客に御利用いただけるようにという努力をしておるわけでございます。
  468. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 お話を伺いますと、東京では最近ずっと認可されていないんですよ。承認の制度にはなっているけれども、ぜひ構内で営業させてもらいたいという業者はたくさんあるのに、自由主義経済なのにいつまでたったって道は開かれないわけです。  いま大森とか立川とか八王子とか、東京でも駅ビルをつくっていますね。そうすると、こういうところは今度は認可していくという方向なんですか。
  469. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 東京都内二十三区と、それから武蔵野市、三鷹市につきましては、どの駅に入ってもいいという意味で承認をしたものがございます。これは私どもでは第一種タクシーと申しまして、特に駐車場所などを決めずに、ただぐるぐる回るという意味で構内に入っているというような承認制度でございます。大森のような場合ですと、やはり都内でございますので、そういう意味で特に流しがそのまま入れるような形での承認ということになっております。
  470. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 立川にしても、八王子にしても、いまお話しの大森にしても、画期的な駅ビル周辺整備をしているわけでしょう。それでも承認をされないということになると、これはいま構内で営業させてほしいという業者の人たちは一切営業できないということですよ。永久に構内へは入れないということになるわけだから。だから、それは駅によってはスペースが十分でないとかいろいろあると思うのです。あると思うけれども、いままで入っているところとこれから申請するところと全く同じということがいいかどうかわかりませんけれども、少なくとも基本的には何台でも認可していくという方向でないと、またそれだけのハンディを背負って――それじゃ、東京陸運局は去年個タクを三多摩に認可しましたよ。これは私、委員会で取り上げて認可になった。認可になったけれども、その個人タクシーの人たちは構内に入れなくて、全然離れたところですごいハンディを背負ってみんな流しをやっているわけですね。できるだけ許可しないために、あるいはそういう道を開かないために突っ張っていると言わざるを得ない。私は、少なくとも国鉄の主要な駅には、ちゃんと点検をして、調査をして、そしてそういう人たちが公平な競争ができる、そういう土俵をつくるべきだと思うのです。せっかく承認の制度はあるけれども、実質的には東京では一切そういうものを認めないという状況になっているわけですから、少なくとも新しい駅ができるというところについては優先をして、そしてその他の主要な駅についても速やかに調査をして、そういう状況ができるなら認可をしていくという方向を示してもらいたいと私は思いますけれども、どうですか。
  471. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 駅前広場の問題は、先ほどるる申しましたように、やはり全体的に進める必要があるわけでございますが、承認制度自体がもう少し工夫できないかという御指摘かと思いますので、これにつきまして、やはりその市町村あるいは交通警察ともいろいろ御相談いたしまして、何らかいい方法をこれから考えていきたいと考えます。  ただ何分にも、先生御承知のように国分寺にしても立川にいたしましても、駅のつくり、駅前広場に取りつけている道路の形、これが普通のっぼ型といいますか、入って出ていくような形の駅前広場が非常に多うございますので、流し込むようなかっこうで入りましてもどうしても道路の方に車が出てしまうということで、警察関係からも、私ども絶えず御相談しておりますけれども、やはり承認は、増車することについてはいまは少しまだ早いのではないかというような御指摘もあるわけでございまして、全体的な駅前広場の整備状況、それから取りつけ道路のいろいろな整備といったようなことも含めて、これからだんだん解決するように、旅客の便に供するためによく勉強してまいりたいというふうに考えております。
  472. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 いま個人タクシーの構内営業はどういう状況ですか、ちょっと教えてください。
  473. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 全国で構内営業承認をしております両数は約十四万両でございますけれども、そのうち個人タクシーは二六%でございます。
  474. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 東京地区は。
  475. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 東京について申しますと、三万四千両ほどの承認の中で、個人タクシーは一万八千両ほどでございます。
  476. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 三多摩はどうですか。
  477. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 三多摩につきましては、何分にも駅前広場の制約がございますので、まだ個人タクシーの承認は一件もございません。
  478. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 一件もしていないのですよ。陸運局は個タクの認可はするけれども、国鉄の構内には入れないというのは私はおかしいと思うのですよ。日本国有鉄道の構内で切瑳琢磨して営業する、そういう競争の中でタクシー業界というものも運転手さんを含めて改善されるし、東京都内ではたしかもう二台に一台は個人タクシーという時代だと私は思うのですね。  先ほども外国の話をしましたけれども、外国のお客さんが来て、われわれも外国に行くとそうですけれども、手短に市内を回るときには必ずタクシーを使うわけです。そのタクシーの運転手さんと、最近どうですか日本はとか、この町はどうですかという話をする。そのときにタクシーの運転手さんが、話しかけたって答えは返ってこないわ、急ブレーキはかけるわなんというのでは印象がよくない。やはりそういう方たちが人間的な職場として仕事ができる、そういう状況をつくってあげる必要がある。そうしないと、条件を満たしたから認可だけはしたけれども、公平な競争の原理で同じ土俵で営業できないということになるわけですから、少なくとも、多摩と言いますけれども、中央線の主要な駅はみんなここにあるわけですから、そういうところについては、既存の既得権だけがそのままにされていて、そして切瑳琢磨して努力をしている人たちがそうしたところでは営業できないということでは私は不公平だと思うのです。せっかくいま駅ビルをつくって、駅の構内がどうだという話がありましたけれども、そういうことを含めた駅前の整備をやるべきじゃないですか。いま、あれだけの大きな駅をつくって、しかも駅前整備をこれからやるところなんですから、少なくとも、全部認可しろと私申し上げませんけれども、まじめに営業をやっている人たちや会社に関しては、一台、二台という実績をつくって、駅構内でもちゃんと同じように営業できるという道をはっきり開くべきだというふうに私は思いますけれども、どうでしょう。
  479. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 承認をしていないと申しますか、特に三多摩地区につきましては会社組織のタクシーの方もずっと待っていただいておるわけでございまして、特に個人タクシーであるからということで承認をしていないわけではないわけでございます。やはり立川も八王子も、先ほど申しましたように、どうしても駅前広場の制約から来ている問題でございますので、増車するときにどうかというようなこととは別に、全体的に整備を図ってまいりませんと増車というのはむずかしいわけでございますので、要するに、私どもはいまのままではなかなかどの業者も増車ができないということで、むしろ限界に来ているというふうに考えておるわけでございます。ですから、先ほど申しましたように、やはり何か方策をよく考えて、これを解決できるようにしてまいりたいとは考えておりますけれども、現在においてはそういう事情であることを御報告申し上げておきたいと思います。
  480. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 いま具体的なことで、立川とか八王子は駅前整備をやっていますよね。そういう中では、調査して、そしてそういう駅前の整備ができれば、そういう状況をつくっていただくという見通しも持てるんですか。
  481. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 立川につきましては、昨年十月に駅舎が完成をいたしました。順次駅ビルが完成して、現在駅前広場のレイアウトが大体決まったわけでございますが、地元関係者といろいろ協議をしておりまして、五十八年度着工ということで、五十八年度着工ということは、駅前広場の整備をこれからやるわけでございます。その場合に、スペースが拡張できないかということで私どもいろいろ相談をしたわけでございますけれども、なかなかやはり全体を広げるというふうにはならないというのがいままでの結論でございまして、そういう意味では、これはまだこれからできるわけでございますけれども、現在ではまだそれを機会に増車ができるというまでにはいっていないというのが現状でございます。  八王子につきましては、現在駅舎の改良中でございますので、従前に比べてもさらに少なくなっておりますので、現時点ではこれはなかなかむずかしいわけでございますけれども、今後駅前広場ができました段階では、地元の警察署とか市役所とかといろいろ御相談をいたしまして、少しでもそういうことが可能になりますように努めてまいりたいと思います。
  482. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、私は、タクシー業界とかということだけでなしに、やはり公平な原則でお互いに競争する、そして切瑳琢磨していくということは大事だと思うのですよね。いままでの既得権みたいなものだけがかちっとしていて、新しく自分たちで事業を起こしてやろう、そして何年間も非常にまじめにやってきている。しかし、そういう人たちは、限りなく見通しもなしにハンディを背負って営業していかなければならないということは、私は非常に不自然だと思うので、やはり少なくとも新しい駅をつくっていくというようなときには、特にそういうことを配慮してやってもらいたい。特に主要な駅については、今後そういう調査をして、道が開かれるような努力をしていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
  483. 越智伊平

    越智主査 これにて伊藤公介君の質疑は終了いたしました。  次に、小林進君。
  484. 小林進

    小林(進)分科員 長谷川運輸大臣にひとつ御質問をいたしたいと思いますけれども、あなたと私は古い仲だから、ここで改めてそういうことを言うのもちょっと面映ゆいけれども、まあやはり公式は公式ですからね。しかし、気持ちの中ではひとつフランクにいきましょうや。何もあなたをひっかけてどうのこうの、そんなさもしい気持ちは一つもないのであって、お互いに腹の中を探り合う、いろいろな話を出すということで……。  実は私は、今度の国会の一つのメーンと言われているあの国鉄監理法案、予算が近く八日あたりに通るというと、後に残るのは国鉄監理法案、これをどう処理するかということが今次国会の重大なポイントになるわけですが、これに対して主管庁の長としての運輸大臣はどんなぐあいにお考えになっているか、ひとつお伺いします。
  485. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、今度予算が衆議院でも通過するようなことになれば、日程とすればぜひともひとつ国鉄再建監理委員会の法案を上程し、皆さんの御審議を得て日の目を見せていただきたい。いま、あなたも国政全般おわかりでしょうが、国が百兆円の国債というなら、わが国鉄は、あなたは詳しいが、二十兆円の累積赤字、毎年二兆円ずつという赤字、国が赤字の中にもう一つ永遠に続く赤字を抱えていかなければならない。これを何とかしなければいかぬというのは大変な国民関心があるところです。それをやるためには、国鉄再建監理委員会をつくって、そこに何人かの委員にお集まりいただいて、いま出ているいろいろな経営の問題等々を吟味していただいて、私は、国鉄を本当にすばらしいものとして、いままで日本の歴史をつくった国鉄ですから、それをぜひ残していきたい、こういうことであります。
  486. 小林進

    小林(進)分科員 大臣のその意気込みは私も支持します。歴史に残るりっぱなものを大いにやってください。ただしかし、問題は内容なんだ。おかしくやられたのでは、これまたね、国民の財産ですから。僕は非常にその点心配しているのです。  第一番目に、これが済んだら監理委員会法案をお出しになると言うが、じゃ、もう草案の素案はできているわけですな、まだ監理委員というものは任命されていないわけですけれども。――どこだ、その辺でのこのこ手を挙げたのは。名を名のれ。そんな後ろの方から手を挙げて。おれはなるべく官僚と話をしないことにしているんだ。立法府の立法府たるゆえんは、政治の衝に当たる大臣とともに論議をするところにわれわれの価値があるのであって、そこら辺からのこのこつまらないのが出てくると全く困るのだ。  それが一つです。いいですか。草案の素案ができて、もうふところに入れて、どうもレールを敷いているのじゃないかという心配が一つあるのです。  それから、出た場合に、一体、民間とのコンセンサスを、まあ、あなたりっぱなものができると言うけれども、やはりこれは世論が支持するようなものでないと大変です、大事業ですから。コンセンサスをどんなぐあいに持っていこうと考えておられるのか。  それから、あそこで三十五万とか四十万とか働いているのだから、労使の問題がこれもやはりスムーズにいくような観点、そういうような方面を大臣はどんなぐあいにお考えになっているか。簡単でいいですよ。
  487. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 法案そのものはこの前の国会に提出いたしまして継続審議になっております。それを今度はぜひ提案理由の説明と御審議をお願いしたい、こういうことです。  それからその次は、どういうものをつくるかという話でございますが、何といたしましても国鉄には三十数万の従業員がおります。この従業員諸君が自分の与えられた部署をしっかりおやりいただいて、とかく労使がおかしくなっているとか、組合員の諸君が余り働かないとかというふうなことがありますから、そういういまの時代に自分の職場をきちっと保持しながら自分の飯を食いつつ、そして自分の職場に誇りを持つ、これが背の国鉄でなかったでしょうか。そういうものを、ぜひ雰囲気をつくっていただくことが国民が信用してくれること。私は先ほどからも申し上げておりますが、どんなに不景気になっておっても、国鉄が新幹線をやると言えば、各大学の技術の一番いいのは国鉄に入りたいという。やはりそんなすばらしいものに参加したい、こういうことでしょう。ですから、そういう希望の灯は永遠にともしていくことが、日本の国鉄は世界において、新幹線は人身事故なしに東京オリンピックから今日まで来ている。私はこの誇りを持ち、あなたの方も新幹線が通ってすばらしい人気を呼んでいるでしょう。そういうところにお互いがしっかりやらなければいかぬ、こう思っております。
  488. 小林進

    小林(進)分科員 そこで、時間がないものだから、わが上越新幹線にも言いたいことがあるけれども、そういう話に入ってしまうとあなたのペースに持っていかれてしまうから、それは入らないことにしておいて……。  第一、臨調の第四部会というのをしばしば見たり聞いたりしているのだが、あそこは加藤君といって、慶応の彼が、主査ですか主任か何かでやっているのだけれども、あれを見ていると、もう民営分割化を基本にして彼は盛んに論じているのだが、その根本がどうも、国鉄の労働組合が非常に悪い、そういう論拠に立って、能率は上がらない、成績は悪い、怠け休みはする、就業中にも休んでいる、ふろに入っているなんというようなことばかり中心にして憂い論じている。そして、民営にすれば直ちにこれが再建できて黒字になるような、そういう幻想を抱かせるような主張をしているので、これは僕ら第三者、公平な立場にいても非常に不愉快だ。どうしてこういうような発想が出てくるのかということです。  次は、これは本当かうそか知りませんけれども、時間のない関係上どうもちょっと先へ急いで言うのですけれども、どうも土光さんが財界の意見を受けて、財界は挙げてやはり最終的には民間に持っていくべきだ、電電あるいは専売、国鉄の三公社を民営にするという意見がある。それを先入的に入れてしまう、それがいいという先入前提を結論に持っていくようなそういう方向へ世論といいますか臨調の結論を持っていく、第四部会でそれが出るように持っていく。それを持っていって、最終的に認めるのが政府だから、政府がその民営論というものを認めるか認めないか、中曽根君、行って鈴木総理に聞いてこい。いまの中曽根が行管担当の大臣のときにそういうことを言わして、それで風見鶏の中曽根何がしがそろそろ鈴木さんのところへ行って、どうだ民営移管を認めるかどうか、認めなければ土光さんあたりはどうも臨調の責任者もやめるというような意向もあるがというようなことで、問題を基礎固めをしていったというのがいままでのわれわれの情報なんですよ。ということで、非常に不愉快ですが、この問題に対しても大臣はどの程度認識をお持ちになっているのか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  489. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ここに国鉄総裁もおりますけれども、私も小林君と一緒に国会へ出てきてから二十数年、しかも運輸委員会でやり合ったこともある。そういうことからしますと、簡単に分割民営と言うことはやはりいけないと思います。それは大ぜいの方々が考える中の一つの方法である、私はそう認識しています。(小林(進)分科員「まだ結論じゃないんだな」と呼ぶ)それは、ですから、たとえば今度五人で再建監理委員会ができますと、そこで御議論をいただきます場合にそういう一つの考え方も出てくる、こう私は考えております。  問題はやはり、いまの従業員の諸君が失った信用があるならばそれを取り返す。もう一つは、ボーナスも何も取れない中小企業、民間が一生懸命やっているときに、あなたも認めるように、きょうの新聞にも出ているけれども、時間中にふろに入るのに、それをやめると言えばかぎかけて壊したとか壊さぬとか、いまの時代に一体そんなことが通るか通らぬか、労働組合運動はイデオロギーだけでは飯が食えない、こういう問題に対するところの、有識者がときに民営ということなどを言うて刺激してくださっている、私はこういうふうに解釈しています。
  490. 小林進

    小林(進)分科員 だんだん結論に近づいてきましたけれども、大体ふろへ入ったとか入らぬとか、これは運輸大臣よりは総裁の問題ですけれども、総裁ここにいらっしゃるかどうか知りませんけれどもね。  ともかく国鉄の発生ですよ。「汽笛一声新橋を」と言っていたときには、国鉄職員というものはお巡りさんと同じ、サーベル下げていたんだから。サーベルを下げて国民大衆を取り締まるというそこから発想が出ていた。だから、その長い伝統がいまでもつきまとっている。ちょっと横に行きますが、これ時間がなくなるからやめたいんだけれどもね。だから、いまでも国鉄の姿勢は国民にサービスするという精神はないですよ。あるといったら間違えていますよ。私鉄と比較してごらんなさい。まだ国民を取り締まり、説教を食らわせる。まず、汽車に乗ってごらんなさい。網の棚に物を置いたら落ちるから注意せい、切符拝見、おまえどろぼうじゃないか、そういうことから始まって、そしてこの国鉄の中にはどろぼうが多いから洋服なんかもかけておくな、盗まれても知らないよ、警戒せい。ともかく聞いていると初めから終わりまで全部訓示です。だから、僕は国鉄総裁にも言ったんだ、そんなことよりサービスに徹底しなさい、車掌さんもむずかしい仕事だろうけれども航空機並みにミニスカートをはいたきれいなお嬢さんで車掌やってみたらどうかい、そうしたら乗る人もふえますよと言っているんだが、確かにそういう問題はあります。  その問題はそれとして、大臣の主張は私も認めますが、ただ、私がここでお尋ねしたいことは、いま国民が非常におそれている。というのは、いま言われた三公社というものは国家が持っている大きな一つ国民の財産ですよ。専売といい、電電といい、国鉄といい、これはあだやおろそかにできるものじゃないですよ。それが能率が悪いというせいで民間へ払い下げてばらばらにして、そして営利を上げるか上げないか、民間は営利が目的ですから、営利対象にやられたら国民の便宜と安全は一体保つことができますか。国民がここまで残した三つの最大の財産を、単なる合理化、能率を上げるという理由で安易に民間に払い下げるなんということは、国民の大きな夢を破壊する間違った発想ではなかろうかと私は思っているんです。これはもし払い下げるんだったら、まだ固まっていませんけれども、五年間ぐらいは監理委員会や国鉄に任せて、手や足を皆もぎ取って非常に合理的な払い下げやすいものにして、それを今度は七分割して払い下げるという、そのときはどうか私にも払い下げてください。払い下げてもらえば、利益追求が民間会社の目的ですから、邪魔になるものは全部払い下げて、黒字になるところだけは一生懸命に経営して――あの国鉄の財産はいま幾らありますか。帳簿上は二十兆円とか三十兆円とか言っておりますけれども、不動産を含めて時価の相場で見積もれば百兆円とか二百兆円とか言われる。そういう財産を紙一枚入れて現金なしに払い下げてもらって、土地売買でもうかるところは土地不動産にして売ってもうける、あるいはストリップ劇場をやってもうかるところはストリップ劇場をつくればいい。民間に払い下げるものは民間の自由ですから、赤字になるような国鉄は廃止してしまってモノレールでも走らせればいいだろうし、あらゆる芸当ができますよ。そうなったら、国民の三大財産企業の一つであるものがめちゃくちゃにされてしまう。私はそういうことは簡単にできるとも思いませんし、いま大臣は、一つの方法である、最終の一番いい方法を考えるとおっしゃったから、私は非常に共感を覚えていますよ。  いま一つ申し上げますが、いま二十兆円の赤字とおっしゃいました。今日現在は十六兆円でしょう。六十年までいけば赤字は二十兆円になるということでございましょうけれども、その赤字は一体何でできたか。そのうちの十三兆円有余は、政府、特に自民党の代議士先生、政治家だ、それがみんなあっちへつくれ、こっちへつくれと国鉄の敷設を命じたんだ。いわばその施設費ですよ。これをつくれば赤字になることは知りながら、弾圧を加えて、おれの選挙運動のためにそれを引きなさいとか、わが新潟県にもありますよ、つくった次の日から赤字となってしまってどうにもならないのが、いま出るけれども。今度は一たんつくったら、どんなに赤字であろうとももはや中止することはできないという、まさに時世の混乱を起こす的になっている。そういうことを全部勘案いたしましたら、赤字が十六兆円だから、国鉄おまえの責任だという言い方も私は気の毒なような気がするのですよ。飛行機はどうですか。バスはどうですか。トラックは、乗用車はどうですか。ターミナルでも港でも飛行機の発着場でも、そういう施設は別の会計で国その他が全部つくっているじゃないですか。つくったものをバス会社に応分の料金で使わせる、飛行機に応分に使わせる、運搬者に使わせるにもかかわらず、国鉄だけはその施設自体も全部国鉄が持てという、ここに私はスタートから間違いがあると思うのだ。そういうことも大臣ひとつ御勘案をいただきたい。  しかし、労使の協調と、官だとかサーベル下げたときの昔の夢をいまでも追って大衆から批判を受けるような職員がもしいたとするならば、それは許すべからざる問題でありますから、そういうところは峻厳に処置していただきまして、最もいいすばらしい国鉄が再建されるように、これは運輸大臣の生涯の仕事としてやってもらいたい。あなたがその勢いがあるならば、今度の内閣改造でもやめないで、五年でも十年でも運輸大臣をやってきちっとやっていただくようにお願いしたいと思うのですが、いかがでございますか。
  491. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 小林君から大変激励をいただいたわけであります。国鉄とけんかした小林君がこんなに国鉄を同情し理解するとは思わなかったのでございます。ということは、どんな個人のうちでも、将来に望みがある場合には借金をしてでもやります。私は、国鉄の場合でも、新幹線で二兆円かけようとも、やはり将来これが日本のためになり、またそれがペイするというところに赤字もあると思う。こうした考えの中に、赤字全体が全部、業績が悪い、サボタージュだという形じゃないと私は思う。しかし、不親切な行動、物を売ってありがとうと言わない御無礼な態度、あなたのおっしゃる警察的態度、こんなことでいまの商業社会には生きていかれない。だから、経営のあり方、運営のあり方というものは、これはもう経営者も組合員もみんなが深く考えるいいチャンスじゃないか、私はこう思います。
  492. 小林進

    小林(進)分科員 経営者も職員、従業員もともに考えるべきだ、全く賛成ですね。本当に賛成だ。見ていると、国鉄はどうも管理者が多いようだ。頭が重いようだ。もし合理化を必要とするならば、やはり上の方から管理者といっても適当に削減をしていただいて、そこら辺からやってもらわなければだめだと私は思っていますが、そういう細部の点は、大臣の御指示に基づいて国鉄が考えていただくということでよろしいと思います。  大体御意向を承りましたから、細かいことは言う必要はないと私は思います。  ただ、この問題に関連して一つ心配なことは、いまのところは三十五万人体制ですか、これを今度は三十一万人にするとか二十九万人にするとか、だんだん減らして二十五万人にするとかという方法で人員の削減をおやりになっている。そのために新規採用はしない。国鉄の運命が百年、千年続いていくものならば、そこで新しい者を採用しない、輸血をしないで、将来にいって重大な支障を起こすのじゃないか、これが心配の一つです。  それからいま一つは、人員を削減する、これはまあいいです。そしてその中には、民間企業が持っている長所などというものはどんどん入れていったらいいと私は思います。入れていくべきだと思うが、首を切られた者は一体どこへやる。いまの臨調の諸君がやっている小さな政府、能率の上がる企業という考え方で、非常に首切り合理化というものを前面に出しているが、これが私はいまの臨調で一番気に入らないところです。企業はそれでいいです。大臣も何も役人出じゃないから、同じことだからこれは話はすぐ通ずると思うけれども、企業はそれでいい。赤字になったら人員を、首を切って、ともかく支出を抑えて、そして経営を再建していくように持っていけばいいだろうけれども、国家はそうはいきませんぞ。国は、どうも財政が赤字になったからといってこれを首切ったからといったって、退職金で後はさようならというわけにはいきません。国はやはり最後まで責任を負わなければいけません。企業の中でいわゆる雇用として人間が余ったならば、今度は、次の日は失業手当をやって、あるいはまたどこかで新しい職場を見つけてやるか、失業手当か退職金か何かで最終的に見てやらなければいけない。おまえは国鉄に勤めていたけれども、国鉄は合理化して要らなくなったから海の中に入って死んでしまえ、明日から国はめんどう見ない、こういうわけにはいかない。ここに企業と国との問題の整理や処理の仕方に根本的な違いがあると思うが、いまの財界主導型でいっている臨調にはこれがわからない。土光さん以下入っている諸君がどうも財界人が多いのと、それに迎合するような官僚の古手がいるものだから、その点がいけない。  それで、いま日本が不景気で、非常に景気は鎮静をしております。非常に冷え切っております。いまでももはや百三十五万人の失業者が出ているが、これからの将来を見た場合は、日本がヨーロッパやアメリカのように、国民の雇用者の中のあるいは八%あるいは一割あたりの失業者が出るのではないかという不安の念に非常に私はかられているのですよ。そういうときに一体どうしますか。いまヨーロッパは、西ドイツでもイギリスでも失業者の暴動が起きる寸前にありまして、むしろそういう失業者をヨーロッパはいかに雇用するかということで頭がいっぱいです。そのために、週休二日はもちろんでありますけれども、時短といって八時間労働を六時間にして、お互いの仕事を分け合っても雇用を伸ばしていって失業をなくしよう、これが世界の趨勢です。その趨勢が日本に来ない。  一体、運輸大臣、これは運輸大臣を離れて私は国務大臣としてお伺いしますけれども、そういう場合が来たときに、財界的な思考で、おまえ要らぬからと言ってどんどん首を切っていって、それで問題が処理されるとあなたはお考えになりますか。この問題はいかがでございますか。
  493. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私は、国鉄というものは大事なもので、こういうふうにしていまたたかれる最中は国鉄だけ――電電だ専売だと言われていますけれども、具体的にいま俎上に上っているのは国鉄だ。そこで、赤字の原因とかいろいろな問題がみんなわかっておりますけれども、さてその中において国鉄が、一体自分たちは何を望んでやろうとするのだ。いままでの明治四年からのこの歴史の中に、二万二千キロつくった。新幹線は世界一最大。そしてこういう中から、一体何をいまから生み出して国民に期待させ、従業員に期待させていくのだ。やはりひとつこういう夢、継続性ある夢をつくってもらわなければならぬ。私は実はそこまで心配をしている。  それからもう一つは、臨調がいろいろなことを言っていますけれども、これは、あなたも労働運動、私も労働大臣をしましたけれども、ありがたいことには私の時代に雇用保険をつくって、とにかく二年九カ月というものは失業保険だ、関連手当でもらえる、これが日本ががたがたしない、社会不安にならないたった一つの大きな理由だ、こう思うのです。  国鉄が今度仮に新しく人間を採用しないといっても、それは生首を取るということじゃないというところに一つの特徴がある。  同時に、将来の夢を持たせるというならば、やはりどんなものを自分が受け持つのだ、こういうようになってから、将来こうやるのだという夢を、国鉄の常務理事あるいは総裁以下がこのごろは私鉄に学ぶと言って経営を学んで勉強して、本まで高木さんは書いているけれども、そういう明治時代から今日までやってきた国鉄の幹部、同じ気持で何かをおつくりいただいて、それをわれわれが国会で御審議して、そして続くような形にしてもらいたい。  現に、つい二、三日前に東北新幹線に乗りますと、「グッデイ」という雑誌、ただの雑誌があります。それを見ますと、今日の国鉄が世界にわたって技術協力をしている。ただの雑誌です。技術協力をしているのがずっと書いてある。そして、そこへ行って張りついている人間の数も出ている。国鉄が出した資料か何かわかりません。いまのこうたたかれている国鉄が、そこまで技術者が外国に行って歓迎されているというこの実績、こういう者に失望させないようにしなければまずいのじゃないかな。そういう意味も、私は再建委員会ができたならば議論をしてもらいたい。また、そういう議論をする材料も私自身が御提供申し上げる、こんなことを考えております。
  494. 小林進

    小林(進)分科員 きょうは分科会で六つだか七つだか、あっちこっち走り回って、最後の場所としてここに来たけれども、なかなか明快な回答で、私も愉快になりました。なかなかごりっぱな御返事をいただきまして、またちょっとあなたを見直した。  私も、いまやはり国鉄の首を切られ、公務員等の将来も実は本当に心配していたけれども、そこまでちゃんと労働大臣時代の一つの経験を生かそうということになっていただけば、それもありがたいです。しかし、切らざるにこしたことはない。新天地を目指して、新しい理想に向かわせる方が一番いいのだが、アメリカなんかもやはり、ちょっと余分ですけれども、一九三〇年のルーズベルトのころには、失業者がいまと同じくらいで、大変な混乱に陥ったけれども、いまアメリカは、失業手当だそうですね。それだけ進歩して手当を出しているから、そういう一割近くも、千有余万名の失業者が出ても、暴動も起きない、平穏にいっているということですけれども、ここら辺も将来重大な問題だと思いますが、あわせて、いま大臣おっしゃったから、私はもういいのですよ。あのフランスが日本の新幹線よりは速いやつをつくったなんというと、ああいうのは私も愛国心があるから不愉快になって、フランスに負けたとは何事だと思っていたが、日本の方は単なるスピードだけじゃなくて総合的にすぐれているということで、いまアメリカなんかもフランスの速いやつを断って日本の新幹線を発注して、日本の技術を買っている。こういうことは非常に愉快です。愉快ですから、そういうことを世界に普及して、技術屋が、狭い日本よりは余ったら全部世界の国鉄の指導、開発に努力していただいて、だんだん夢を実現していってもらいたい。私は全く大臣の言われたことに賛成でございますから、大臣、どうかその勢いでひとつ……。  私ども至るところで言われるのですよ、国鉄の職員も何となしに憂うつですと。それは仲間には一、二悪いのがいるかもしれませんが、私どもは国鉄の職員としてまじめにやってきた、全国二万本の国鉄をつつがなく動かすために命を投げ出すくらいの真剣さで闘っているんだ、それをだめだだめだとたたかれて、ずたずたにして民間へ払い下げるなんて言われると、本当に働く意欲もなくなると言っていましたけれども、いまの大臣の御答弁を聞きますと、これはなかなかいいから、これを速記録にして流してやれば、また彼らも勇気を持って働く気を持つかもしれません。どうぞひとつ大臣もがんばっていただきたいと思います。総裁もひとつその勢いでがんばっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。これで終わります。
  495. 越智伊平

    越智主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。  次に鈴切康雄君。
  496. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣、大変遅くまで御苦労さまです。私、いわゆる新羽田空港について御質問申し上げたいと思っております。大変短い時間でございますので、要点をかいつまんで矢継ぎ早に御質問申し上げますので、要領のよい御答弁をいただきたいと思います。  そこで、羽田空港の沖合い展開基本計画が二月二十三日運輸大臣の決裁で正式に決定されました。そのスケジュールにつきましては、第一期が新A滑走路で六十三年供用開始、第二期は湾岸道路西側旅客ターミナルで六十五年供用開始、第三期は新B、C滑走路と残りの全施設で六十八年供用開始となっておりますけれども、予定どおりのスケジュールで工事が進んでいくかどうか、地元としては大変関心を持っている問題でございます。     〔主査退席、沢田主査代理着席〕 財政事情の大変に厳しい中ではありますけれども、地元住民との約束につきましては誠実に履行することによって、地元住民と調和のとれた空港運営を図っていくべきであると思いますが、まず、大臣はそのことについてどうお考えでありましょうか。
  497. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 羽田の沖合い展開が、東京都等の協力を得ながら今度初めて予算をつけまして、そのとおりの姿において実行したいということで、万般の準備を整えております。どうぞひとつ地元の御協力のほど、しっかり盛り上げ方をお願いいたします。
  498. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 これは三者協議によって進められまして、意外と早く地元の了解が得られたということを私も非常に喜んでいるわけでありますけれども、新空港沖合い移転に関連して今後発生する問題としては、一つ鉄道輸送の問題、一つは湾岸道路の南伸問題、それから現空港の跡地利用並びに総合交通体系の問題、これは私は非常に関心のある問題ではないかと思います。  そこで、新空港への鉄道輸送の問題につきましてお伺いいたします。  京浜急行羽田空港線は、当面東京モノレールと接続する駅まで延長され、さらにターミナルまでとなっております。地元住民の利便性を考えた場合、モノレールから空港線に一駅乗りて乗りかえなくてはならないというようなことになるのではないかと思うのですけれども運輸省の言う旅客の動向を勘案してという意味はどういうことをお考えになっているのでしょうか。
  499. 永光洋一

    ○永光政府委員 旅客のサイドからの考え方も確かにおっしゃるようにありますが、適正な輸送需要に適応する輸送力を提供するという観点から見まして、当面需要は当分在来線のいわゆる東京モノレールの延長でいいのではないか、こういうふうに考えたわけでございまして、京浜関係の方からのお客さんのために接続は考えておるわけですが、需要の増加と申しましても、現実に当該需要が増加をして、京浜の直通乗り入れによっても両者ともに一応採算等が大体健全な経営ができるというような状況のときということを考えております。
  500. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうなりますと、まずモノレールが先に一応新空港のターミナルの方に行く、それに引き続いていわゆる旅客の動向を見ながら羽田空港線を乗り入れをするということなんですけれども、大体御存じのとおり六十八年になれば新しい空港というものがすでに開始するような形になるわけですけれども、モノレールは大体いつごろであって、羽田空港線の乗り入れというものについてはどのようなめどをお立てになっていましょうか。
  501. 永光洋一

    ○永光政府委員 モノレールは六十五年ということで考えております。いま需要はどの程度かということでございますが、大まかに言いまして、採算その他はそのときの運賃とかいろんな問題が前提としてあると思いますけれども、大体現時点における予想需要といいますか実績のおおむね倍ぐらいになったときは両者で分け合えるのではないかと考えておりますが、ちょっと時期的にもどの程度お客がふえるかどうかわからないものでございますから、現時点の量としてはそんなところではないかなというところを一応踏まえて需要増加という考え方をとっております。
  502. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、飛行機の発着回数が現在の一・六倍、大体二十四万回という計算がなされているわけですけれども、これは軌道に乗るということはかなり先のことではあろうと思いますけれども、しかし、六十八年大体供用開始ということになりますと、少なくともその目安に京浜急行も一応乗り入れの態勢がとれるかどうか、そういうことはどうでしょうかね。
  503. 永光洋一

    ○永光政府委員 これは発着回数あるいは航空の旅客需要の推定というのはいろいろ要素があるわけでございまして、いま申しましたように現在の輸送実績から比べて大体倍程度というのはいつごろに見込めるかというと、これはちょっと時点としてははっきりしないと思うのでございますが、現状ではやはり六十年代じゃなくて七十年代ということではないかというふうにわれわれは考えております。そこのところどうかたく見積もるのか、旅客といいますか、空港利用客が将来非常に伸びるかどうかという問題にかかっているのではないかと思います。
  504. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、六十八年供用開始と同時に乗り入れというよりも少しおくれるだろうということですが、いずれにしても旅客に不便があってはならないわけですから、そういう意味から言いますと、そのところは十分に勘案されながら羽田空港線の乗り入れという問題については考えていただきたいな、このように思います。  そこで、羽田空港の沖合い展開基本計画は、実は首都東京の玄関口を再構築するということから考えると、私は国の大きなプロジェクトだろうというふうに思っております。となると、この問題については、一企業がこれに対処するなんということはとてもできるはずはないわけであって、国の方針に基づいて計画が進められるということになればそれなりの国としての配慮が必要だろう。そこで、京浜急行及び東京モノレールに対しては、鉄建公団のP線対策という取り計らいが可能であるのか、あるいは何らかの補助の対象ということも考えられないのかということなんですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  505. 永光洋一

    ○永光政府委員 確かにモノレールなり京浜にとりましても大きなプロジェクトになると思いますので、もしこのプロジェクトを遂行するにつきましての資金問題というのは、やはり大きな課題であると思うのです。先生いま申されましたように、鉄建公団P線方式でどうかということで、これも一つの考えとして考えられるわけでありますけれども、そもそもこの方式と申しますのが、大都市における通勤通学を中心とする輸送需要の激増に伴う措置として現在運用されておりまして、今回のこのプロジェクトというのは空港の利用客対象ということでございますし、しかも、いまP線は非常に資金需要が多いわけでございます。特にいま申しました通勤通学を中心とする輸送力増強の資金需要が非常に多うございまして、そういう公団の発足並びに現在の状況から見まして、またこのプロジェクトの目的から見まして、P線方式を採用できるかどうかということは問題があるところで、もう少し検討させていただきたい、こういうふうに思っております。私鉄につきましては低利の開銀融資という方式もございますので、その全体のプロジェクトの採算性等とその資金コストという関連をながめながら、もうしばらく検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
  506. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣、いま私が申し上げましたこと、これは本当に大きなプロジェクトですから、そういうことに協力して、一つ鉄道が敷かれるということですから、可能な限りひとつ運輸省においても御検討いただけませんでしょうか。その点いかがでしょう。
  507. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いま鉄監局長から説明がありましたように、P線方式というのは私も関係してあれしておりますが、これは一体なじむかなじまぬか。しかし、もしそれがなじまないなら、何さま需要の大きい大プロジェクトでございますから、この資金関係、そしてそれがうまくいくような方式はじっくりとひとつ考えて推進したい、こう思っております。
  508. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それでは、話はちょっと変わりますけれども、東京湾岸道路の南伸問題についてちょっとお伺いします。  羽田空港の沖合い展開基本計画で、第一期の新A滑走路が六十三年供用開始ということになっておりますけれども、いつから工事に取りかかられるのか。また、その際、工事機器あるいは資材の搬入路についてはどういうふうなお考えなんでしょうか。
  509. 青木正次

    ○青木説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のありました湾岸道路につきましては、これは大井埠頭から空港内に設置いたします道路、これを首都高速道路の新規路線として来年度以降着手する計画といたしてございます。ただ、それの工事用その他の資機材の搬入等につきましては、先生御案内と思いますけれども、現在の計画といたしましては、一番北から言いますと、大井埠頭から京浜六区、いわゆる京浜島を高架で渡りまして、それから、空港内に入ります場合には高度制限がございますので、トンネルで入るということにいたしてございます。それで、工程から申しますと、いま言いましたように北の方からやっていく。空港内におきましては、多少の工事用道路、これはなかなか制約がございますけれども、そこに掘削等の機器類を入れまして掘削をやっていくというようなことを考えてございます。なお、後ほどになりますと、京浜運河の工事が完了いたしました後におきましては、京浜運河の地下トンネル部を利用しながら、Bランの下を掘削していくというような形で、それを利用しながら工事を進める、このように一応計画してございます。
  510. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 じゃ、工事の機器とか資材の搬入については、これは産業道路とか環八はほとんどお使いにならぬのですか。
  511. 青木正次

    ○青木説明員 産業用道路というところを使いまして大々的に工事用の資機材あるいはトラックの輸送ということは、工事着手から当分の間というのは非常に困難であろうと考えてございます。重複いたしますが、先ほど申し上げましたように、大井埠頭の方から入ってきて京浜運河のトンネルをつくる、そちらの方から資機材その他土砂等の搬出、こういうことを考えておるところでございます。
  512. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 実は現状でも大鳥居の交差点は都内でも有数の交通渋滞の個所であるわけですね。それに加えて新空港建設工事のための機材等の運搬車が入ってくるということになれば、もう本当に大渋滞になってしまうのじゃないかということで大変に心配されているわけですが、湾岸道路も空港近くまで延びてきておりますから、羽田トンネルさえ完成すれば、B滑走路の下のボックスカルバートの土を取るだけで資材搬入は可能になるというふうに思うわけであります。空港建設と湾岸道路建設と整合性を持って第一期工事に間に合うような計画を建設省は持っていなければならないと私は思いますけれども、建設省の計画とはどういうふうな計画なんでしょう。
  513. 青木正次

    ○青木説明員 その点につきましては、はなはだ重複して申しわけございませんけれども、現在の工事を行います場合に、京浜運河は航路となってございまして、船舶の運航がなされておるところでございます。したがいまして、船舶の運航を確保しつつ工事をするというためには、その地下のトンネルを掘る場合におきましても、川で言いますならば半川締め切りと申しますか、そういうぐあいに運河を半分一応締め切って、そして掘ってそこにトンネルをつくる。それからまたそちらを航路にしまして残りの半分をするというふうな工法をどうしてもとらざるを得ないということがございまして、それに要する期間が相当長期間かかるということで、現在それぞれの技術陣で検討いたしたところでございますけれども、現在羽田仲の沖合い展開の第二期工事完了時点に間に合わせるというのが限度であろう、このように考えてございます。
  514. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 じゃ、羽田トンネルの工事をするとすれば、完成までは何年ぐらいかかるのでしょうか。また、いつをめどとして完成をしようとされているのでしょうか。
  515. 青木正次

    ○青木説明員 いまの御質問のうち、沖合い展開計画の第二期工事、これが一部ターミナル供用というのが六十四年度までに終わって、六十五年度からそういう形に供用をしようというぐあいに私ども聞いてございまして、それに合わせるべく計画の調整をなしておるところでございます。
  516. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 六十四年度をめどということは、六年かかるということになりますね。だから、これをやはりそんなに六十四年度をめどというのでなくして、何とか少し早くできる、あるいは半分といってもなかなかむずかしいかもわかりませんけれども、少なくとも早期に促進するということはできないのでしょうか。
  517. 青木正次

    ○青木説明員 再々お答え申し上げますが、先ほども答弁で申し上げましたように、京浜運河の工事、これで半分ずつ締め切るということによりまして五年強かかるわけでございます。それからまた、Bランの下、これを掘るにつきましても、すぐ近辺が離着陸の激しい滑走路の横でございますので、その下を掘るということでございますので、その一番京浜運河寄りに一応竪坑を掘りまして、それから横に掘削をしていくというむずかしい工程を含んでございますので、最大限努力いたしまして先ほど答弁いたしましたような時期になろうかと思っています。
  518. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それから、羽田トンネルの工事の早期完成と並行して、大鳥居の交差点の京浜急行羽田空港線の地下化計画並びに産業道路と環八の立体化計画、これはどういうふうになっているのでしょうか。
  519. 椎名彪

    ○椎名説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘の通称大鳥居付近交差点は、現在でも非常に混雑しておるわけでございますけれども、そこの交差点のちょうど真ん中に京浜急行が平面で横断しているわけでございます。これを地下化いたしまして、この交差点の中におきます鉄道の平面横断という変則的な交通状況を解消すべく、昭和五十六年度から工事に着工いたしたところでございます。現在、用地買収を行っておりますけれども、できますれば五十九年度から本工事にかかってまいりたい、こういうことで進んでおるところでございます。
  520. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、それの完成のめどは大体いつごろになるのか。また、環八と産業道路の立体化の計画はまだ事業計画にはなっていないわけですけれども、これは大体いつごろできる予定でしょうか。
  521. 椎名彪

    ○椎名説明員 お答え申し上げます。  この鉄道の地下化につきましては、現在の鉄道が走っておりますけれども、その真下に地下化するという非常にむずかしい工事でございますので、工事に着工いたしましてもおおむね五年程度はかかるのではないかというふうに見込まれております。さらに、その道路同士の放射十七号と環状八号線の立体交差につきましては、その鉄道の地下化が完成いたしました後で着工する、こういう手順になっておるわけでございます。
  522. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、いまのお話からいいますと、五十九年度に着工して五年ぐらいかかるということは六十四年ということですね。それじゃ、六十四年から環八と産業道路の立体化をやるということになると、これはかなり長い計画になり、地元の交通の渋滞というのはとても解消できないというふうに思うのですけれども、これを促進する考え方はないのですか。
  523. 椎名彪

    ○椎名説明員 ただいまの鉄道の地下化につきましては、別の方法を考えますと別途のルートを考えるというのもあろうかと思いますけれども、御案内のようにここは非常に人口密集地帯でございますので、住民の皆様方の御協力を得ながらやっていかなければならない。そういったことでも時間のかかる事業にならうかと思います。
  524. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、いまあなたが言いました六十四年に一応地下化が完成したら、その後で環八と産業道路の立体化を図っていきたいというわけですが、環八と産業道路の立体化に着手して完成するのはいつごろなんですか。
  525. 椎名彪

    ○椎名説明員 現段階では、この立体交差計画につきましては、具体的な予定は、具体的と申しますか、正式な予算上の問題として取り上げられておりませんけれども、こういった工事につきましては、もし用地があいているとするならばおおむね二年ないし三年で完成できるものではないかと思います。
  526. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま地元で一番関心が深いのは、空港が沖合い移転した段階での跡地利用の問題だと思います。  そこで、現在埋め立てが進められている土地は、東京都によってなされておりますけれども、将来は新空港として使用されるわけです。新空港の土地と跡地との関係ですが、国と都との処理方法はどういうふうになる予定でしょうか。
  527. 松井和治

    松井(和)政府委員 羽田の沖合い展開計画はかなりユニークな面を持っておりまして、ただいま御指摘のように、現空港の沖合いを東京都が廃棄物処理という形で埋め立てをする、当然東京都の土地になるわけでございます。その土地を国が空港用地として買い上げる、と同時に、空港が沖合いに展開した後には空港用地として不要になる土地が出てくる、その土地を東京都に売り払う。つまり、一種の交換のような形になってこの工事を進めていくという意味で、廃棄物処理事業空港造成事業をドッキングさせたという点が一つと、それから、不要になる土地を交換もしくは売買によって、もちろん差額が出ればその差額は払うわけでございますが、そういう形で空港を進めていくという二つの意味においてかなり新しい空港の造成方法ではないかと考えております。
  528. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 跡地の利用については、第一次的にはいまのお話からいいますと東京都の権原に移されることになりますね。そうなった場合、都に売却するということになるわけですけれども、新空港との関係から何らか国が跡地利用について干渉することになるのかどうか、あるいは、それはもう東京都に売ったのであるから、それは地元の方の考え方を最大限優先をするという形になるのか、あるいは、隣の新空港ができたから、ここも売ったことは売ったけれどもかなり干渉しなくてはならぬのか、その点はどうなんでしょうか。
  529. 松井和治

    松井(和)政府委員 この点に関しましては、私どもの沖合い展開計画を東京都と御相談をいたしまして、五十六年八月に東京都知事から承諾する旨の御返事をいただきましたが、その際に、東京都と私どもの間で今後の問題についていろいろ御相談をいたしました。その中の一つの項目に、「沖合展開により空港用地外とする範囲とその土地の利用計画」につきましては「別途協議するものとする。」ということで合意が成り立ったわけでございます。したがいまして、跡地開放の範囲あるいは時期、さらにはその土地の利用計画、これにつきましては、今後事業の進展を見ながら東京都あるいは地元特別区等々と意見を交換して協議をして決めていくという問題でございます。  しかしながら、跡地の利用計画について、国としてある特定のものに限定をしなさいとかそういう制約を置くというつもりはございませんし、何分空港に隣接しておる部分でございますので、騒音問題その他の問題も当然ございますので、利用計画というのは、そういう面で騒音問題に余りかかわりのない利用というものが望まれるということでございますが、具体的な利用計画は今後の両者の協議によって決まっていくというふうに考えております。
  530. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま、これからの協議によるというととでありますけれども、問題になっているのは、新空港完成時に空港関連施設の移転についてちょっと問題があるわけなんです。たとえば、ターミナルビルを初めとする諸施設を航空会社あるいは民間に払い下げをされるということになりますと、これが跡地利用の総合計画、すなわち広域避難場所に使える大規模公園とか再開発用地とかあるいは航空博物館等、地元区としてはそれなりに構想を持っているわけです。その構想が、そういうふうなことでぽんと売られてしまうというようなことになりますと大変に崩れてしまうというおそれが多分にありますので、その点、これから御協議をされるというわけでありますけれども、東京都とそれを交換するということですから、東京都といわゆる地元区、これが真剣に、もちろん運輸省等にも御相談を申し上げるにしても、地元区との間においていろいろと合議されてでき上がったものについては、ぜひとも最大限尊重していただきたいと思うのですが、運輸大臣どうですか。
  531. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いまおっしゃるとおり、地元の協力があって初めてすばらしい空港ができることですし、また知事も非常に御熱心ですし、そういうことでございますから、いまお話しのような問題については、時間も大分あることでございますから、よく協議をし意見を聞きながらうまくやってまいりたい、こう思っております。
  532. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣、羽田空港については、かつてあそこに住んでいた方々、空港ができるというので強制疎開させられたり、騒音問題で大変に御迷惑をかけたり、いろいろそのために御苦労されているわけです。やはり地元区という立場から言うならば、東京都が地所の所有者になるわけですからもちろん東京都とも相談はしますけれども、地元区の考え方というものをぜひ最大限尊重していただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
  533. 沢田広

    沢田主査代理 これにて鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  534. 塩田晋

    塩田分科員 私は、運輸省の所管事項につきまして、主として鉄道監督局、船員局、それから国鉄関係の問題につきまして御質問申し上げます。  すでに運輸委員会とか予算分科会におきまして過去何回か取り上げてまいりました問題につきまして、関係者の誠心誠意の御努力によりましてすでに解決を見ているものがかなりございます。たとえば、国鉄明石駅西北にありました未利用地、商工会議所の横でございますが、なかなかむずかしいというお話もございましたけれども、解決をしていただきまして、駐車場にいま変わっております。また、西明石駅以西の通勤通学電車の増発につきましても御配慮をいただきました。また、加古川線と国鉄山陽本線の乗りかえに便利なようにダイヤの改正も行っていただきました。この点につきましては、この席をかりまして御礼を申し上げます。  お尋ね申し上げたい第一点は、国鉄山陽本線加古川駅駅舎の改築問題でございます。木造の駅舎でございまして、すでに非常に老朽化いたしております。平家でございますが、南北道路が非常に渋滞しているということ等の関係もこれあり、これをぜひとも立体交差をして駅舎を改築していただきたい、このように思うのでございますが、いかがでございますか。
  535. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 加古川の高架化計画でございますが、これにつきましては、五十五年度、五十六年度の二カ年にわたりまして建設省の方の調査費がつきまして、調査を行ってまいっております。これにつきましては、高架化計画の案をまとめまして、この計画をいたしております県、市にその結果を御報告申し上げることになるわけでございますが、その後事業化するにつきましては、やはり相当の工事費を要する予定でございますので、道路管理者側としてもいろいろ御検討になりますでしょうし、私どもの方も私どもの方の分担する工事費も相当になりますので、今後、その辺の粗いお話し合いをした上で、高架化事業の進め方について決めていくことになるかと思います。そうなりますと、高架になれば、通例の場合は高架下に大部分の駅施設は入るわけでございまして、その機会に駅本屋の改築も実施されることになるのではないかと考えております。
  536. 塩田晋

    塩田分科員 高架化の問題につきましては、国鉄明石駅、山陽電車明石駅との合体等の問題があるわけでございます。これはあす建設省関係分科会で御質問申し上げますが、国鉄側としてこれはどのように対処して、どのような見通しを持っておられますか。
  537. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私ども鉄道の高架化につきましては、建設省と基本的な協定ができております。これは、一つには踏切をなくしまして交通渋滞をなくし、安全な設備にするということでありますし、また、大部分の地域がそうでございますけれども、線路によりて町が分断される、それによって都市の発展が支障するというような状況が出てきておりますので、都市計画、町づくりの上からも高架化を進めたいということでございます。  そういったことがございまして、この高架化をする場合の費用負担の原則につきましても、国鉄側で持つ分と道路管理者側で持つ分とすでにルールができているという状況でございまして、私どもの方としては、国鉄の受益になる分に相当する分を工事費負担するという取り決めができていることでもありますので、都市計画として御計画なさるこの高架化計画につきましては前向きに取り組んできているわけでございます。  ただ、御承知のように、現在高架化を進めております件数も全国的にたくさんございまして、国鉄側の負担比率はわりあい少ないのでございますけれども、それでも高架化に要する総工事費というのは相当の額に上るものでございます。国鉄のいまの財政事情からいいますと、年度年度の予算の中でどの程度の高架化工事を進めていかれるかということについて非常に頭を悩ましているような状況でございまして、高架化計画については前向きに取り組んでいるわけでございますけれども、それの進め方につきましては、やはり予算事情を眺めながら、また、そういったことを背景にして、建設省等ともお話しながら進めていくことになるかと存じます。
  538. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひとも早急にこれを推進をしていただきたいと思います。  時間の関係で簡潔に具体的なことを申し上げておりますので、明確な御答弁をお願いいたします。一般論でなくして具体的にお願いをいたします。  次の第二点ですが、加古川駅の駅舎の問題、高架化の問題と非常に関連の深い問題といたしまして高砂線の問題がございます。  私の関係しているところでは国鉄の三木線、北条線、高砂線の三線がいわゆる赤字ローカル線として廃止の対象になって、関係機関等との間で協議が進められておるところでございます。これの期限はもうあと一年足らずになっておると思いますが、現在の状況はどのようになっておりますか。
  539. 竹内哲夫

    竹内(哲)説明員 高砂線、北条線、三木線につきましてはすでに協議会が三回持たれてございます。ごく最近では二月九日に開かれておりますが、非常に積極的に御検討をいただいておりまして、次回の協議会では転換の方法についての検討に入るというようなお話を承っております。  私どもとしましては、ここに高砂工場がございますけれども、高砂工場については現在具体的な移転計画を検討いたしております。いずれにしましても、その協議会の結論に支障のないということで考えさせていただきたいというふうに思っております。
  540. 塩田晋

    塩田分科員 この赤字ローカル線の三線につきましては、関係市なりあるいは地元住民の存置の要望が非常に強いわけであります。協議会におきまして、いまお話があったようにかなり進んでおるようでございますが、この赤字ローカル線の廃止によりまして赤字がどれぐらい減るものか、どのように算定しておられますか。
  541. 竹内哲夫

    竹内(哲)説明員 昭和五十六年度で年間赤字額がこの三級で十六億五千四百万円でございます。
  542. 塩田晋

    塩田分科員 この赤字ローカル線の廃止につきましては、稼ぎが悪いということで国鉄財政の赤字の原因となっており、そのために切るのだということも当初は言われておりましたけれども、十六億円、そして全国で四十線を切りましても百五、六十億じゃないかというふうにも聞いておりますが、その程度というとあれですけれども、四十線を利用している住民の立場から見ますと、赤字解消には余り役立たないということで存置をしてはどうかと思われます。むしろ大きな新幹線の東北、上越等、聞きますと一年間に三千六百億円以上も赤字になるということでございますが、それに比べますと、こういった地域の住民に非常に要望の強いこういう線は存置してはどうかと思いますが、いかがでございますか。
  543. 永光洋一

    ○永光政府委員 特定地方交通線はモータリゼーション等によりまして輸送量が著しく減少して、すでに鉄道の特性を失った線区でありまして、国鉄自身のいろいろな経営努力によりましても恒常的な赤字が出る。いま先生おっしゃいますように絶対額はというお話もありますが、やはり合理化をしていかなければならない大きな対象事項であることは間違いないことでありまして、国鉄再建対策一つの柱として現在進めておるわけでありますが、もちろんその他のいわゆる合理化しなければならないものと整合しながら着実に再建対策を進めていくべきものと考えております。  さらにローカル線対策につきましては、やはり輸送需要に適合した、効率的な交通体系を地域に形成していくという観点からも取り組まなければならない問題であるというふうに考えておるところであります。
  544. 塩田晋

    塩田分科員 次に第三点。この国鉄の財政再建のときにもよく出てくる問題でございますが、国鉄は各地に遊休の土地をずいぶん持っておられるということが目につくわけでございます。私の近くでは東加古川駅の東に相当広大な遊休地がございます。国鉄線路わきでございまして、目につくし、雑草が茂り、いろいろな被害の訴えもあるわけでございます。あんなに広大な土地をどうしてずっと遊ばしておくのだ。一部はテニス場に貸したり、一部は処分もあったようでございますけれども、もともと操車場として確保してあったのだ。この前尋ねましたときはもうその必要がなくなったので他に何に使うか検討中であるという御答弁でございましたが、現時点におきまして検討の結果どういう利用計画を持っておられるか、あるいは売却される意思はございませんか。
  545. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 御指摘の用地は加古川地区の貨物のターミナルということを考えまして、四十三年から四十九年にかけまして買収した土地でございます。ところが貨物の状況につきましては御承知のような状況でございまして、輸送量が前に考えておりましたよりも大分減ってきております。今後の見通しとしても、四十三年当時に考えました様子とは大分変わってきているということでありまして、先般貨物についての今後の営業施策というものを発表したというような状況でございまして、それによりますと、この加古川地区に拠点となるような大きな貨物駅をつくるという計画はまず今後考えられないのではないかという結論がほぼ出たと申し上げてもいいかと思います。  そういう状況でありますので、いままであの土地の使い方につきましていろいろ検討してきたわけでございますけれども、最近になりましてそういう状況を踏まえまして、今後あの土地をなお貨物以外にどう使うかという点につきましても多少検討してみる余地は残しておりますので、それらの点についていま詰めておりますけれども、その結果によりましてはさらに関連事業、あるいは場合によってはこれを売却ということも検討しなければいけないと思いますけれども、現時点ではそのような状況でございます。
  546. 塩田晋

    塩田分科員 第二臨調からは破産宣告を受けた国鉄がああいった遊休地を、通勤者は毎日見て通るわけですが、ずいぶん検討も長くかかり、ずいぶんむだじゃないかという声がありますので、その辺をよく踏まえて早急に検討して処置をしていただきたいと思います。  次に第四点でございますが、国鉄新幹線の高架下がずいぶん未利用のままで残っているものがあります。これも住民からも要望があるわけでございます。たとえば西明石駅の新幹線の西側にずっとつながっているところでございますが、一部は用地買収のときに、公共的なものということで自治会の集会所なんかにも利用させていただいている、あるいは子供の遊園地にもなっているわけでございます。まだ残っているところは駐車場の要望があったり、商店、企業、民間会社が貸してくれというような希望もあるようでございますが、何しろなかなかむずかしいということなんです。適当な値段で貸し付けてもらいたいということを申し入れてもなかなか値段が高いという声があります。そういった点、今後どう対処していかれるか、お聞かせいただきたいと思います。
  547. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 高架下の貸し付けの問題でございますが、これは私どもとしては業務上必要なもの、あるいは関連事業等で高架下を使って開発するというようなことに使うケースが多いのでありますが、それ以外に一般にお貸しするというケースも多々あるわけでございます。その場合には、ちびっ子広場とか公民館を建てるというような非常に公共的なものになりますと、相当使用料を減額するあるいは減免するというようなことをやっておりますけれども一般にお貸しするというのはやはり私どもとしては関連事業収入として、一つは収入に結びつけたいという気もあるわけでございまして、したがいまして、近傍類似の土地のお値段等から適正な使用料というものを算定してお願いしているわけでございます。したがいまして、その土地の値段等につきましては不動産鑑定士等の鑑定評価をとっておりますので、それほど一般世間の使用料とかけ離れていないと思っておりますけれども、もしその使用料が、不動産鑑定士等の鑑定による使用料よりもはるかにうちの言っていることが高いというようなことがあれば、これはやはり検討しなければいけないかと思っております。しかし、原則的にはやはり適正な使用料をいただくということでお願いしておりますので、この点については何とぞ御了承いただきたいと思います。
  548. 塩田晋

    塩田分科員 この問題につきましては、具体的にまたいろいろお話し申し上げたいと思います。ほかにもいろいろあると思いますが、折り合わない、値段が高いということでいつまでも未利用のままほっておくのではなしに、その辺は弾力的に対処して、国鉄が赤字なら少しでも稼ごうという態度を示していただきたいと思います。  次に、第五点でございますが、これは細かい点でまことに恐縮でございますけれども、国鉄の大久保駅の南口通路、朝と夕方の通勤時に臨時の改札口をつくっていただいて利用さしていただいております。これにつきまして利用しておる人たちから強い要望がございまして、何回か御要望もしたのでございますが、一時間くらい延ばしてもらえないかということなんです。その答えが、職員も非常に足らない、これは人員の問題ですからそうだと思いますけれども、食事する時間にかかってなかなかできないんだ、こういうお話も聞いたことがあるのです。いろいろ問題はあると思うのですけれども、住民から愛される国鉄となるためにはそういったことも、職員組合の関係もあるかと思いますが、話し合って、できるだけひとつめんどうを見ていただきたい、このことを要望したいと思います。これは要望にとどめておきます。  第六点でございますが、国鉄あるいは私鉄の駅の構内、または道路も一部かかっておると思うのですけれども、駅前の広場ですね、そこに自転車が放置されまして非常に支障を来しておる、通行人のじゃまになる。それから自転車、自動車が行き交う中で非常に危険であります。たとえば山陽電車の明石から西に三つほど行ったところに藤江という駅があるのですけれども、ここなんか特にひどいと思うのです。すっかり自転車で覆われまして、付近にある商店街、マーケットにも行き来ができないような細い、半身になって通らなければいかぬような状況、車が入れない、商店の売り上げにも響いておるということで、非常に住民、商店等からの苦情が多いわけでございます。国鉄あるいは私鉄でそういう駅が多いと思うのです。これは所管がどこだということは非常にむずかしいと思うのですが、国鉄、私鉄の駅構内にかかっている問題でもありますし、何とかいい方法でこれを整理収納してもらえないだろうかと思いますが、いかがですか。これは総理府の交通安全対策室からも来ていただいておりますから、両方で答えていただきます。
  549. 藤田健次

    ○藤田説明員 お答え申し上げます。  駅周辺における放置自転車が多いため、歩行者の通行の安全性の低下その他いろいろ問題を生じておりますことは先生お話しのとおりかと思います。このような駅周辺等における自転車の大量の放置につきましては、昭和五十三年一月、「自転車駐車対策推進について」という交通対策本部決定を行い、関係行政機関の講ずべき施策を明らかにし、この問題に対処してきたところでございます。さらに、昭和五十六年五月二十日より施行となりました自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場整備に関する法律の趣旨に基づきまして、関係省庁において同法その他の関係法令の総合的な運用等が図られているところでございまして、公共自転車駐車場整備計画的な交通規制、放置自転車の整理、撤去等の自転車駐車対策が今後さらに円滑に進められてまいりますよう、総理府におきまして連絡調整を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
  550. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお話のありましたように、この駐車場整備に関する法律が出まして、それに基づいて地方自治体あるいは道路管理者が主体になりまして駅周辺の駐輪場対策への取り組みをお進めになっておられます。その場合に、私どもの方の用地が業務上支障しないというものであれば極力御協力申し上げるということで、駐輪場を建設できるようにということで道路管理者側と一体となってこの対策を進めてきているつもりでございます。
  551. 塩田晋

    塩田分科員 運輸省といたしましては、これは私鉄の関係がございますから、国鉄もあわせましてぜひとも、関係者がそういった要望をし、対処をしようという場合に協力方を強力に指導していただきたいと思います。よろしくお願いします。  最後に二問ほどお願いします。  船員局関係でございますが、長谷川運輸大臣船舶海運関係につきまして非常に御造詣が深く、また、いろいろと御支援をいただいておりまして感謝しておるところでございます。何といいましても日本は海洋国家でございます。海に生きるということは日本人の宿命であるし、また、そのために日本は経済大国として今日まで成長してきたと思うのでございます。  そこで、まず第一問は、海運の日本経済に占める位置といいますか、役割りといいますか、貿易、輸出入にわたりまして、また、国際収支への貢献度、こういったものはどのように認識しておられますか、お伺いします。
  552. 小野維之

    ○小野(維)政府委員 先生がおっしゃいましたとおり、日本のほとんどのエネルギー資源、その他の資源、食糧の大部分を島国である日本に輸入してくるわけでございますから、日本にとって海運企業の存在が不可欠のものであるということは間違いがないことだと思います。  御質問のございました貿易収支の中で占める割合でございますが、少し古くなりますが、昭和五十六年の国際貿易収支、受け取りが千八百九十三億、支払いの方が千八百四十六億ということで、経常収支では差し引き四十七億ほどの黒字ということになってございますが……(塩田分科員「円ですか、ドルですか」と呼ぶ)失礼申し上げました。ドルでございます。海運収支の方では受け取りが百三十三億ドル、支払いが百五十五億ドルということで、二十一億ドルほどの赤字、こういうことになっております。国際収支面から見ますと一割弱のところを担っておるということになろうかと思います。
  553. 塩田晋

    塩田分科員 そこで、海員になろうとする方がこのごろ減ってきているのじゃないか、海員養成の高専等におきましては定員に満たないようなところがあって、臨調でも問題になったと言われておりますけれども、これはゆゆしき問題だと思います。  そこで、労働力需給のどういう見通しを持っておられるか。それから、やはり海員というのは特別な条件の中で労働するわけでございますから、家族を含めて、離れておりますからね。すぐ帰ろうと思っても帰れない、そういう事情がございます。そういう特別の事情からいって、やはり魅力ある職場にしなければならぬ。そして家族を含めて安心でき、安全であるという状況ができないといかぬと思うのです。労働条件の改善はどのように進んでいっているか。船の近代化、それから安全衛生規則が、海員につきましてはまだ規則なんですね。陸上の労働省関係では安全衛生法にしておりますね。これをどう今後陸にあわせてやっていかれるか、そのお考え。そして何よりも海洋国家日本は、海洋思想というものをもっともっと高揚していかないといかぬと思うのです、その重要性からいって。そして後継者がどんどん集まるようにしなければいかぬ。そのためにも海の記念日、これをもっと考える必要があるのではなかろうか。それから海洋少年団等もございますし、また、いま大臣が非常に骨を折られました日本丸の代船もできまして、日本丸の廃船になる分を各市が誘致をして誘致合戦が行われておる。これは帆船ブームでいいことだと思うのですけれども、こういったいろいろなことを通じまして海洋思想といいますか、そういったものの高揚を図る必要があると思います。こういったことにつきまして、最後に大臣から聞かせていただきたいと思います。
  554. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 塩田議員おっしゃるように、日本は海を離れては生活ができません。そういう意味からしますと、最近はどうも船酔いする日本国民が多いということからしましても、海事思想の普及は最も大事なことだと思っております。一方いまの船員諸君はよく働きもします。そしてまた、船でずっと自分の家族と別れていることですから、これを魅力ある職業にしなければならぬというところから、運輸省ではそれぞれの、船員法の改正とか近代化船とかいうことで職員諸君あるいは部員諸君の給料がよくなるようにこれを考えております。  日本丸、そんなもので誘致運動が東京あるいは神戸その他から盛んでございますが、これなども海事思想を普及させる一つのゆえんである、こう思っております。海洋少年団でも何でもそうですが、荒い海を見てこわがらない国民をつくらなければいかぬ。海を見ただけでこわがって、ひざまでしか海の波が来ないのにそこでおぼれてしまうような、そんなことではかないませんから、常時海事思想というものをみんなで普及させることが日本の安全保障のためにも、経済安全保障のためにも必要だ、こう考えて、せっかく努力してまいりたいと思っております。
  555. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。
  556. 沢田広

    沢田主査代理 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  557. 岩佐恵美

    岩佐分科員 今国会で大臣は、所信表明の中で身障者対策推進を図るというふうに述べられておりますが、障害者の移動手段である公共交通機関を利用しやすくしてほしい、こういう要望が大変強く、その重要性はますます高まってきているというふうに言えます。まずこの点についての大臣の御意見を伺いたいと思います。     〔沢田主査代理退席、主査着席〕
  558. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 身体障害者の社会参加としての移動交通の確保は、重点課題の一つだと私は考えております。今後とも関係利用者とよく相談いたしまして、せっかく身障者の皆さん方も利用されるように配慮するように努力してまいりたい、こう思います。
  559. 岩佐恵美

    岩佐分科員 かなり国鉄の場合を見ても身障者の対策というのは年々進んできているということが言えると思います。しかし、現状ではまだまだ不十分な点やあるいは不合理な面があります。それらを改善してほしいという切実な要望があるわけですけれども、その一つとして障害者運賃割引の問題がございます。現行では単身の場合には百キロメートル以上しか割引をされないことになっているわけですが、どうしてそうなったのか、その間の事情を説明をしていただきたいと思います。
  560. 永光洋一

    ○永光政府委員 いまのお話でありますが、これは、国有鉄道運賃法の定めます範囲を超えまして、いわゆる単独で乗車船をする方々を割引の対象とすることとして国鉄が昭和二十七年に定めたものでありますが、その際運賃負担が大きくなる百一キロ以上という制限を設けたものであります。
  561. 岩佐恵美

    岩佐分科員 同伴者が一緒にいる場合はどうなっているんでしょうか。
  562. 永光洋一

    ○永光政府委員 第一種身体障害者の場合には、距離の制限がありません。
  563. 岩佐恵美

    岩佐分科員 そこのところがおかしいという意見があるわけです。なぜ単身者では割引がされないのか。昭和二十七年当時と現状では状況がずいぶん違っているのではないか。たとえば運輸省が行っているいろいろな障害者のための対策、スロープをつくったりエレベーターやエスカレーターをつくったり、そしてまた、視力障害者のための点字ブロックやチャイムなどは障害者が単身でも利用できる、そういうことで設置をつくり、またその対応をとっているということではないかと思うわけです。それを一方では単身者の行動を規制をするような運賃割引の壁をつくる、このことは行政の矛盾なのではないか。百キロ制限を撤廃できない何か合理的な理由でもあるんでしょうか。
  564. 永光洋一

    ○永光政府委員 別に合理的な理由ということではないと思うのですが、身障者対策というのは国の施策の一つとしていま推進をし、われわれとしてもやっておりますが、ハードな面で、いまおっしゃいましたようないろいろなスロープをつくるとかあるいは点字券売機を設けるとか、そういう面ではできるだけ推進をしておりますが、このソフトな運賃の面につきましては、現時点におきましても国鉄の公共負担問題というのはいろいろ大きな議論になっておりますので、新しくさらにこれを拡大するということにつきましては、現在いろいろ問題があろうかと思いまして、現状百一キロで制限をいたしておるところであります。
  565. 岩佐恵美

    岩佐分科員 合理的な、明確な理由がないということで、こういう制度があるということは非常に問題であろうというふうに思うわけです。百キロ制限を撤廃することによって国鉄の減収というのは一体どのくらいになるんでしょうか。
  566. 橋元雅司

    ○橋元説明員 最近の実績で仮に百一キロ制限を撤廃をいたしますと、二十億弱になります。
  567. 岩佐恵美

    岩佐分科員 わが党の不破委員長予算委員会で質問をしましたけれども、国鉄はお金がないと言いながら、一方では上越新幹線だけで年間一千億円以上の経常的な赤字が出る、あるいは長岡の駅舎の建設だけで五十億円かかっている。これを現在の単価で東海道新幹線並みの駅舎をつくるということになれば、十五億円で済むはずのものだというような事実を言っているわけでありますけれども、こうした面から、お金の使い方が少し不公平なのではないかということを感じるわけです。しかも、国鉄が百キロ制限を設けているために、ほとんどの大手私鉄も同じような措置をとっているわけです。ここに大変大きな問題があります。私鉄で百キロ以上の路線があるところは東武伊勢崎線、それから近鉄大阪線の二社だけなんですね。そういう二社を除いてはみんな百キロ未満である。ところが、ほとんどの私鉄が国鉄並びで割引をしていない、そういう状態になっているわけです。しかし、一方では中小の私鉄については、私ども全国にいろいろ連絡をして調べてみたのですが、三十社がキロ制限を設けないで割引を実施している、そういう例もあるわけですが、大手はなかなか渋くて、西武が五十キロ制限という一社ということであるわけです。中くらいのところで西鉄が距離制限を設けていないという例はあるわけですが、大手私鉄は大変問題があるというふうに思うわけです。大手私鉄の経営状況については、これはもういつも順調であるということが言えると思いますし、大手私鉄に見ても、百キロ制限を撤廃できないというようなことはないわけです。  そこで、大臣にお伺いをしたいわけですが、国鉄の不合理な距離制限が私鉄にも及ぶというようなこともあるわけですから、国鉄の制限は合理的な理由がないということでありますので、撤廃をさせる、そして私鉄にもそれを広げていく必要がある、こう思うわけですけれども、お考えを伺いたいと思います。
  568. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 中小私鉄の例は初めて私も聞きました。いい勉強をさせていただきました。  国鉄の場合、いま局長からも話がありましたけれども、いままで調子のいいときやっておけばよかったことを、こう赤字になってどうもこうもならなくなったときに、厚生省とかそういう関係省庁にいまの時代は負担してくれ負担してくれ、学生割引でもそう言って国鉄が騒いでいるときなものですから、いままでのやつを伸ばせということはなかなかむずかしい、こう思っております。いずれにしても、中小私鉄でもそういういいことをやっている会社があるということは私は非常に喜ばしいことだ、こう思っています。
  569. 岩佐恵美

    岩佐分科員 障害者にとって最近はかなり外へ出ていくような機会がふえている、そういう社会にどんどん入っていくというようなことが環境的にも推進をされているし、本人たちのためにもそういうことがいいんだというふうになっているわけですね。ですから、そういう点で障害者は独立した人はなかなか経済的に苦しい状況にあるし、また、障害者を抱えた家庭もやはり生計を維持するということにおいて大変厳しい状況があるわけです。確かに国鉄の場合に赤字であるという状況があって、そしてそういう状況の中でそういう出費を伴う措置を思い切ってやるということ、これはなかなか英断が要るところだろうというふうに思いますけれども、しかし、先ほど伺ってみても、二十億円という金額であるわけです。大きな赤字の中から見れば、この二十億円というのはそう大きな負担にはならないはずですし、また、その問題があることによって大手私鉄にもそんな悪い影響を及ぼしている、そこのところを何とか大臣にいろいろ調査をしていただいて、そしてこれを改善をするという方向で何らかの対策をぜひお願いをしたいというふうに重ねて申し上げたいと思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
  570. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 人生で何といっても不幸なことは体の弱いこと、いわんや家族はなおさらです。自分の家にそういう人が、仮にお子さんが一人あったとした場合考えられることでございますから、恩恵とかそういうことではなしに、やはり大ぜいの中に入って分け隔てなくつき合える、そしてその中で健康を取り戻して人生を喜ぶということの環境をみんなでつくるということが大変大事なことだと思いますから、私もいろいろと調査をしてみましょう。
  571. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、同じ運賃の割引の問題なんですけれども、割引の対象者も問題があるのです。同じ身体障害者福祉法に基づいて障害者手帳を交付をされている内部障害者の場合には、この割引制度が適用されていないのです。それからまた、全国に三十五万人ぐらいいるというふうに推定される精神薄弱者の場合も同じなんです。東京都の場合には乗合自動車条例というのがありまして、そこでは精薄者も身体障害者と同じ扱いになっているわけです。私はこの事実を見て、都ができて国ができないわけがないのではないかというふうに思いました。ぜひこの点も大臣に、検討されるときに一緒に含めていただいて、そして改善をお願いをしていきたいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  572. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 仙台なんかでも県の方が植物人間というものを国より先にやりました。それに私たちも寄附したり何かしてやったことがあるのです。だから、いろいろな場所でいろいろなことを考えたものがほかのものに行き渡り、気がつかないものにも気をつかせるというふうな効果はあると思います。そうした問題をみんなで広く考えるいいチャンスだ、こう思っています。
  573. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、昭和五十四年度から養護学校が義務化をされました。多くの障害児が公共交通機関や福祉バスなどを利用して通学をするようになったわけですけれども、この通学バスの車いすの固定方法の操作がきわめて複雑で、障害児の乗りおりに時間がかかるという指摘があるわけです。この車いすの固定方法、これを指示した通達の出された経緯と内容についてお示しをいただきたいと思います。
  574. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいま先生の御指摘のございました車いすの乗車方法についての通達でございますが、これは車いすの利用者の乗り合いバスの乗車につきまして、従来具体的な基準がなかったものでございますから、地域によっては、身障者の方々とそれからバスの事業者などとの間にトラブルが発生してまいったわけでございます。そのため、五十二年六月から五十三年二月の間に車いすの乗車をどういうふうに安全にさせたらいいかというような実験等を関係団体とも行いまして、その上で安全かつ円滑な乗車方法について通達を定めて出したわけでございます。  それで、その通達の内容の骨子は、一つは、乗車口は一定の幅員を有すること。それから二番目に、車いすを固縛し、それからしっかりとめるためのロック装置等を備えること。それから三番目に、車いすの固定場所をちゃんと定めておくこと。それから四番目に、このバスは車いすの乗車が可能ですよというような表示を車体にさせるということ、大体以上のような内容を持った通達を乗り合いバスに関しまして発したわけでございまして、それ以外のいわゆる身障者の方々の専用のバス等につきましては、具体的な通達は出しておりません。
  575. 岩佐恵美

    岩佐分科員 つまりこの通達は、福祉バス、障害児が専用に利用するそういうバスのことを念頭に置いていなかったということであるといま御説明があったわけでございますけれども、この通達が出される前には福祉バスの車いすの固定は非常に簡単だった。ところが、通達が出た後複雑になって困っているのだという声が強いわけです。この点について改善できるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  576. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、確かに乗り合いバスにつきましての車いすの乗車方法につきましての通達を出した以後、これは私どもの具体的な指導というよりは、むしろ乗り合いバスの例を見てメーカーの方で、あの程度の安全度、安定度といいますか、そういうものがなければいかぬだろうということで、メーカー自体がそういうものをつくって発売し出したということが結果として一つございます。  それからもう一つは、バス形態のものではなくて、いわゆる自家用乗用車のようなものにつきましても、これは最近事業用のタクシーで身障者の方々を乗せる場合に、やはり車いすをしかっり固定させておくためのそれ相当の装置をつければいけませんので、それは今度はタクシー事業者の方ですから、身障者の方が車いすに乗ってタクシーに乗ってけがをもしされた場合に、当然その責任はそのタクシーを運行しているタクシー会社の方に責めが帰せられる、こういうようなことで相当神経を使ってそういう施設をしてきまして、それで今度はまた、事業用ではない自家用の乗用タイプの車もメーカーの方でそういうものにならってやってきたというような状況ではないかと思います。ただいま先生がおっしゃいましたように、これは車いすに乗った方の安全を図るためにやっておるものでございますから、簡易なものであっても安全が担保されるものならば結構ではないかというふうに考えております。したがいまして、そういう点で私どもも担当の者あるいはメーカーの方々を今後指導してまいりたい、かように考えております。
  577. 岩佐恵美

    岩佐分科員 障害児のバス通学の実態について聞いたことがあるのですけれども、東京の近郊の場合には非常に車の混雑があるということもありますし、それからかなり学校が限られた地域に限られた数しかありませんから、広域から子供たちが通うということがあるわけですね。それで、ただでさえ子供が家を出て学校に着くまで時間がかかる。二時間ぐらいかかることがざらだというのですね。そういう中で、固定をさせるのが複雑なケースだと、ふだんのときはいいのだけれども、雨が降ったときにはとても通い切れない。雨の日は欠席率が非常に高くなるというような調査もあるわけです。その点ぜひ今後いろいろ実態を聞いて、私どもももちろん安全第一ですから、安全を十分考えた上で、しかし利用しやすいようなそういうことをぜひお願いをしたいというふうに思います。  それから、重度の障害児は車いすよりバギーの方が使いやすいということがあるようです。日本では、福祉バスにバギーの固定装置がまだ利用されていません。安全で簡単なバギーの固定装置を福祉バスにつけてほしいという要望があるわけですけれども、この点、運輸省として積極的に取り組んでいただけるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  578. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 バギータイプのものでございますが、これも車に乗せた場合には一つの乗車設備となるわけでございまして、その安全性を確認しなければなりませんけれども、車いすと同じようにこのバギータイプのものにつきましても認めるように、前向きに検討させていただきたいと思っております。
  579. 岩佐恵美

    岩佐分科員 以上で私のきょうの質問の中身は終わるわけでございますけれども、最初に大臣のお考えを伺って、障害者のために、身障児のために一生懸命やってくださるということで大変前向きな御姿勢を伺ったものですから大変心強く思っているわけですが、いままでの質疑を聞いておられて何か言っていただけることがありましたら、どうぞ一言お聞かせください。
  580. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いい話を伺いました。重度の子供たちの入っておる学校やら、私も行くのですよ。時折行ってそういう余りよく発言もできない諸君と何遍となく会っておったときに、あるときそこで大きなお祭りがあって、県のえらい諸君がたくさん行った。そうすると、私の顔を見まして、ほかの人の名前はだれも言わない、私の名前だけ言う。やはり何かちゃんとやっておくとこんなふうに感じる、そういう感じ方を見ますと、やはり最近は、そういうところに心を寄せる、そういう施設を見る、あるいはそういう改善をするという人は大変大事な人と思いますから、あなたもぜひ従来以上にしっかりやってください。私も負けないようにやります。
  581. 岩佐恵美

    岩佐分科員 何か逆に激励をされたようです。  以上で終わります。
  582. 越智伊平

    越智主査 これにて岩佐恵美君の質疑を終了いたしました。  次に、蓑輪幸代君。
  583. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 私はきょう、国民の生活に非常に重大なかかわり合いを持ち、また、地場産業との深いかかわり合いの中での運輸行政、そして国鉄の問題ということで幾つか御質問をしたいと思います。それで大臣にも御所見を伺いたいと思っているのですけれども、最初に幾つ問題点指摘をしたいと思いますので、お聞きをいただきたいと思います。  最初に国鉄の禁煙車の問題にかかわるわけですけれども、御存じのとおり、たばこの害については喫煙者自身の健康にとって百害あって一利なしということはもちろん広く承知されていることでございますが、自分はたばこを吸わなくても、たばこの煙で汚れた空気の中にいますと、そのことによってたばこを吸わない人間がかなりの健康障害を受ける。これがいわゆるパッシブスモーキング、受動的喫煙というふうに言われているものですけれども、そういう被害についても最近非常に理解が進んできているわけです。そして、国民の世論も高まってきているというふうに私は思っています。私は、たばこを吸うこと自体がどうとか、たばこをなくせとか、全面的に禁煙しろということではなくて、吸う人も吸わない人もいる中での問題として考えていただきたいと思うのです。特に国民のだれしもが利用し、また利用せざるを得ないという公共交通機関、ここにはぜひ禁煙車両というものを設けて、非喫煙者の健康を守るというふうにしていくことが望ましいと思っております。特に、最近のように冷暖房が進んでまいりまして窓が完全に閉じられたような車両、密閉された空間の中では、何時間も閉じ込められるということになりますとたまらない状態になってまいります。民鉄の方にお聞きしましたところが、これはほとんど全線、全車両禁煙という方向で進めているというふうに聞いております。ところが、国鉄についてはそういう状態になっていませんで、禁煙車の問題についてかなりおくれているというふうに思うわけです。  公共交通機関の禁煙車、禁煙席というようなものについて、運輸省としてどういうふうに考えてどういうふうに指導していくべきというふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  584. 永光洋一

    ○永光政府委員 禁煙車につきましては、近時嫌煙権というような話で、禁煙される方も非常に多うございます。人に迷惑をかけることもありましょうし、旅行する際にも、そういう意味では喫煙されない方々の快適な旅行という問題もあると思いますので、そういう面では先生おっしゃいましたような方向でわれわれも行政を進めたいというふうには考えております。
  585. 橋元雅司

    ○橋元説明員 禁煙車について特別の設置基準というようなものを私ども持っておるわけではございませんが、従来とも四つばかりのケースに整理をして考えております。  まず第一は、これは古くからやっておりますが、大都市中心の国電であるとかあるいは近郊電車でございますが、これは当然車内が相当程度混雑いたしますので、喫煙が他のお客様に著しく迷惑をかける、あるいは被服を焦がすといった被害を及ぼすおそれがある、こういう場合でございます。  それから二番目のケースでございますが、これは寝台車等でございまして、火災対策上、喫煙の禁止または制限をいたしておるという場合でございます。  それから、これは最近ふえているケースでございますが、地域ぐるみで青少年非行防止運動を展開いたす、その場合国鉄もこれに御協力申し上げるということでございまして、特に通学列車などを中心にいたしましてモデル列車を指定する、あるいは時間帯あるいは区間の限定といった方向で喫煙の問題に対処しておる、これは全国各地でいまやっておるわけでございます。  最後に第四のケースでございますが、先生のおっしゃいましたたばこを吸わない方への心配りと申しますか、サービスの問題でございます。これは、五十一年に初めて東海道新幹線におきまして自由席車両の一両を禁煙車に指定いたしたわけでございますが、その後、順次拡大をいたしてまいりまして、現在では東海道、山陽、東北、上越の各新幹線の一号車を全部指定いたしております。それから、昨年の十一月十五日でございましたが、全国的なダイヤ改正の際に在来線の昼間の特急列車の自由席を禁煙車に指定をいたしました。  そういったことで、いろいろそれなりに努力をいたしてまいってきておるわけでございますが、今後その禁煙車両を、一両でなくてさらにもっと両数をふやすという問題であるとか、あるいは自由席車両だけではなくて指定席車両についても拡大したらいかがかというような問題意識は十分持っておりますので、これについて前向きに考えていきたいと思っております。いずれにいたしましても、私どもとしては社会的なコンセンサスをだんだん得て、かつまた地域の実情であるとか線区の実態というものを踏まえて、順次実施をいたしてまいりたいと思っております。  最後に先生、私鉄に比べておくれているというお話でございましたが、最初に申し上げましたように、私どもとしては、私鉄と同じようなサービスを行っております大都市圏の国電であるとかあるいは郊外電車につきましては現に三十六線区にわたってやっておりますので、格段私鉄におくれているとは思っておりません。
  586. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 国鉄の御答弁を伺いまして一生懸命やっておられるということはある程度認めるものですけれども、それにしても不十分だ。新幹線自由席の一号車を禁煙車にしているわけですけれども、これは最も利用しにくい車両、場所ということになるわけですね。禁煙席を利用したい人は一体どういう人かということを理解してもらわなければなりません。たとえば、小さな子供連れ、赤ちゃん連れ、あるいはまた病人、そういうような人たちが禁煙車を利用したいわけですが、そういう人たちを一番端っこまで歩かせるという不親切さというのはいかがかというふうに一つは思うわけですね。  それから、いま指定席車両の禁煙車の問題についても前向きにというお話でしたけれども、前向きというだけじゃなくて、大体どんな展望で、いつごろこういうことが実現できるのだろうかということも明らかにしていただけたらと思うのです。
  587. 橋元雅司

    ○橋元説明員 何号車を禁煙車に指定するかという問題、いろいろ議論がございまして、私どもとしましては、やはりお客様の案内、これは車両とかホームとかそれぞれあるわけでございますが、そういった案内上の整理から、先生指摘のようにちょっと不便でございますけれども、決まったところへ、これは四車両しかございませんので、そのうちの一号車を指定しておるということでございます。  それから、指定席車へも拡大するという時期の問題でございますが、これはみどりの窓口のコンピューターの問題とも絡んでおりますので、これの耐用年数が参る六十年ごろを一つのめどにしてこれから検討を進めてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  588. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 六十年ごろめどというのは、六十年ごろは指定席車両の禁煙車実施がほぼ実現するというふうに理解してよろしいのですか。
  589. 橋元雅司

    ○橋元説明員 そういう方向努力をいたしたい、こういう気持ちでございます。
  590. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 いろいろ事情があるかと思いますけれども、たとえば諸外国の例から見ましても、また非喫煙者人口の割合を科学的に見ましても、現状というのは非常におくれているんじゃないかということをよく理解いただきたいと思うのです。  アメリカでは、公共交通機関あるいは公共の場所での喫煙を規制する法律というのが五十州中四十州近くに実施されているということですし、フランスでは、公共交通機関の中では半数以上の座席が禁煙席になっている。気密装置の設置が義務づけられているとかあるいは間仕切りのない列車はすべて禁煙にすべしということがあるわけです。イギリスでは、国鉄の列車全車両中五、六〇%が禁煙車、ロンドンの地下鉄は全車両の七五%が禁煙とか、イタリアでは公共交通機関での喫煙自体が禁止されているというように、ヨーロッパ、諸外国の例を見てみましても、日本はずいぶんおくれているんだなということを嫌というほど思い知らされるわけですね。  また、人口の面で見ましても、専売公社の調べによりますと、五十七年のわが国の喫煙人口というのは成人人口の四一・八%と報告されております。全人口で比較してみますとまあ三割くらいになるのでしょうか。毎日新聞の調査では、五十七年の九月、喫煙者は成人の三九%、全人口の二七・三%というふうに調査の結果が報告されていますね。そうすると、たばこを吸う人よりも吸わない人の方が多いわけですよ。ですから、そういう点での実態にマッチした対策を立てていただかなければなりません。  もちろん、一気にぱっと実現するというのはいろいろ困難な事情もあるでしょうから、一つ一つ克服していって、できるだけ早く目的にかなうようにしていただかなければなりません。先ほど社会的コンセンサスと言われましたけれども、コンセンサスづくりということに国鉄が寄与するという役割りも求められていると思うのですね。たばこを吸う人たちも、灰皿のないところでは遠慮するというモラルも求められるでしょうし、おのずと国鉄がリードをするという姿勢も必要であろうかというふうに思います。そういう意味で、思い切ってその手だてをとっていただきたいと思います。  交通機関は、そのほか飛行機などでも、パンアメリカンの禁煙席は七割ある。ノースウエスト、エールフランスは六割が禁煙席である。日本では従来二割程度であったけれども、いろいろ要望が強くて、昨年十一月二十日から日航が禁煙席を倍増させ四割にするというような方向に進んできていることから見ましても、やはり国鉄が格段の努力をしていただく必要があるのではないかというふうに思います。  国鉄の利用者というのは非常に幅広く、すべての国民が利用すると言ってもいいわけですが、特に問題にしなければならないと思うのは、赤ん坊や乳幼児、それから未成年者、妊産婦、ぜんそくなどの呼吸器系の患者、あるいはまた狭心症とか心筋梗塞とかいうような循環器系の病気を持っておられる方、アレルギー患者の方、そういう人たちが、私はそうでございますと一見してわかる方もありますけれども、全然わからないまま苦労しておられて、たばこの害によって悩んでおられる方も多々あるわけですね。ですから、そういう実態をやはりつぶさに調べていただいてそれに対応する処置をとっていただくためにも、国鉄利用者の方々の意見を直接聞くというような具体的な手だてをとる必要があるのではなかろうかというふうに思っています。聞くところによりますと、何か毎年十月ごろに国鉄では旅客質的調査というのをしておられるそうですので、その調査をされる際に、こういう禁煙問題あるいはたばこに関する利用者の意見というようなものを質問項目に加えて乗客の状況を承知する、そういう手だてを具体的にさしあたりすぐとってみる必要があるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  591. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生仰せのとおり、旅客質的調査は二年に一回、大体十月に行っております。これは平日と土曜日と休日の三日間、アンケート調査を行っているわけでございます。本年はその年に当たるわけでございますので、私どもいろいろ禁煙問題については勉強してまいっておるわけでございますが、何らかの形で利用者の、お客様のうちの禁煙人口と申しますか、禁煙問題についての調査をいたしてみたい、こう考えております。いずれにいたしましても、先生のお話をよく参考にさせていただいてこれからも勉強してまいりたい、こう考えます。
  592. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 禁煙車とか禁煙席の問題もありますけれども、そのほか駅構内の問題とか幅広く関係する部分があると思うのですね。そんなところも含めて考える必要がありましょう。そうでないと全面的な解決には遠いというふうに思いますし、そうすれば、たとえば車両の汚れの問題とかあるいはまたモク拾いの問題とか、いろいろな問題で国鉄にもプラスになる部分が出てくるだろうというふうに思いますので、それらも含めて広い検討をお願いしたいと思います。そしてこの問題に関しては、これは国鉄だけではなくて公共交通機関全体にかかわる問題だと私は思うのですが、一定の場所に長時間閉じ込められるというような場合は同じような問題がありますので、運輸行政の中でもそういう点を位置づけて指導を深めていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  593. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私も電車などに乗りますと、駅のホームに嫌煙権という大きなポスターがかかっていますが、ああいう込んだ電車の中では、だれしもがたばこを吸うことのいけないことがPRされるわけですし、もう一つは、たばこの吸い殻が構内にぽんぽん捨てられて、それがずっと並んでいるのを見ると、これはモラルの方が先だなというふうに感じるわけです。それから自分の健康、私なんかもたばこを吸いますけれども、一日に一箱二十本、外国へ行くときにはチェリーを一箱ずつ持っていく。新幹線に乗っている間は一切吸わないと自分の心の中に決めているわけです。  いま国鉄あるいは民鉄の話なども出ましたが、こういうふうな話が出るとそれぞれ参考にもなりますし、刺激にもなりますし、また民鉄の会合などのあった場合にはこういう話をして、なるべく不愉快な旅行をさせないようにすること、こんなことで御注意申し上げて協力させてもらいたい、こう思うのです。  私は外国人とつき合うとき、よく日本の女のきれいさを向こうが褒めるのですよ。そのとき言うのです、日本の女の一般的慣習はたばこを吸わないことであると。そうでしたね。昔、ロ分の母親なんかもお産した後だけ吸っていました。ところがこのごろは、グリーン車に乗ってみてもきれいなお嬢さんが、お嬢さんかなんかわからぬけれども、これがすっぱすっぱやっている。こっちは遠慮して吸わないのにというふうな感じを持って見ることもありまして、一般的にそういうモラルというか、エチケットというか、そういう対社会的な自分の姿勢というものを出すところをやはりよく考えなければいかぬのじゃないか。私が最初にソ連へ行くときに、大使館から注意された。モスクワへ行ったら絶対に戦争の話と、たばこの吸い殻、マッチの軸は捨てないでください、こう言われました。なるほどそれぞれの国によって言い方もあるし、また指導の仕方もある、こういうことでありますから、嫌煙権もございますし、健康の問題もございますし、経済の問題もございますから、いまのようなお話はずっと推し進めてまいりたい。御注意ありがとうございました。
  594. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 続いて、関連して私鉄の問題ですが、私どもが日ごろ利用しております名古屋鉄道に関する問題です。  民鉄の問題でいろいろと御指導いただいて、障害者用設備の問題などにつきましても逐次改善されてきているところでございますが、残念ながらこの名古屋鉄道の場合は、五十四年から五十六年を見ましても、たとえば斜路の設備がゼロからゼロ、それから車いす用の通路もゼロからゼロ、点字券売機が二件から二件で全然前進してないといった調子で、この方面での改善がなかなか進んでいないということが調査で明らかになっておりまして、これではいかがか。国際障害者年を過ぎてまいりましても、そういうことと少しも関係なくこういう状態がまかり通っているようではいかがかと思いますので、民鉄への指導ということで、名鉄に対して、こうした障害者用設備の問題について極力改善を図るように、ぜひ運輸省が強力な指導をしていただきたいというふうに私は思っておりますけれども、その点をお伺いしたいと思います。
  595. 永光洋一

    ○永光政府委員 名鉄の件につきましては、運輸省としては、私鉄全般につきまして、身障者用の施設については積極的にいろいろな施設をつくるように指導いたしておりまして、ずいぶん進んでおるとは思っておりますが、確かに名古屋鉄道につきましては他と比べましておくれておりますし、絶対的な整備数も少のうございます。これはそれぞれの鉄道の支線が多いとか田舎が多いとか、あるいは都市に線が集中しておるとか旅客を取り扱う量が多いとか、いろいろな差はあると思いますけれども、そうは申しましても、十四私鉄の中でそういう数字的には見劣りがすることは確かでございますので、今後名古屋鉄道につきまして、そういう面で積極的に整備を進めるように指導してまいりたい、かように考えております。
  596. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  続いて、国鉄の岐阜駅高架の問題でお尋ねしたいのですけれども、御存じのように、この問題は岐阜の町の産業と将来ということに非常に大きくかかわる問題でございます。国鉄の駅と線路によって岐阜の町は南北に大きく二分されて、そのためにいろいろな支障が出ているというのが実態です。そんな中で、この近辺を中心にしながら岐阜の地場産業、繊維産業を同時に発展させるということで、ファッションタウン構想を持って高架問題というのを発展させていきたい、実現させたいということで、県も市も非常に努力をしているというのが実態なわけです。  ところが、この岐阜駅高架問題というのは、五十五年の十二月に建設大臣の認可を受けた都市計画事業の重要な一環となっており、県、市と国鉄との協議が五十五年五月以来再三にわたって行われてきたところですけれども、国鉄との間の工事協定の締結というのが一向に進まないわけですね。県や市や市民は、一体どうなるのか、国鉄はちゃんとやってくれるのだろうか、この国鉄高架事業というのはどうなるのだろうかという大きな不安と疑問を持っているというのが現状じゃないかというふうに思います。  五十七年度に岐阜市は、みずからが負担する貨物駅移転事業のための予算を十三億五千四百万円計上していましたけれども、国鉄から明確な対応がなかったというようなことで進まず、結局、十三億三千七百七十九万円の減額補正をする事態になってしまったわけです。五十八年度には、協定締結を見込みまして十六億九千二百八十万円の予算を計上しております。これがまたまた実現できずに減額補正ということになりますと、ますます大変なことになってしまうわけです。  国鉄の態度がずるずるとこういうふうな状態が続くということになりますと、自治体が全体展望の中で計画を進めております都市計画や、それにかかわる予算や、ひいては住民の生活や産業にいろいろな悪影響が出てくるわけですね。そういう中で、国鉄の態度としては、ぜひここで責任ある対応をして自治体の態度にこたえていくというふうにすべきではないかと私は思うわけです。  国鉄は、部内の問題やらいろいろな問題がほかにもあるというふうに言われておりますし、行政改革などでもいろいろな問題があることはわかるのですけれども、しかし、ここまで来た以上、何としてもこの国鉄高架は実現していただかなければなりません。それで、ぜひその工事協定を一日も早く締結して、着実にこれが前進していくようにお願いをしたいというふうに思っておりますけれども、その点、いかがでしょうか。
  597. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 岐阜駅の高架化につきましては、長い歴史がございまして、地元の知事さん、市長さん初め皆さん方から大変な促進の御要望を受けておるわけでございます。  五十五年十二月に都市計画決定をいたしておりますけれども、これには国鉄としてもちろん同意を申し上げたわけでございます。これに至るまでに実はたくさん問題がありまして、ちょうど手前で名鉄が交差しているとか、あるいは地下にならないかとか、いろいろな御要望がありまして、調査調査を重ねたということで相当の年月をかけたという状況がございます。十二月にやっと意見一致をしまして都市計画決定となったのでございますけれども、実はそのころから今日に至るまで、私どもの事情でございますけれども、貨物輸送の実態というものが明らかに違ってきたということでございまして、御承知のように、今後貨物駅の移転をやらなければいけない、川のすぐわきに持っていくわけでございますけれども、その規模を当初見込んでいた規模でやったのでは、これは設備的に大き過ぎるということで、再三見直しに入ったわけであります。しかし、なかなかその貨物の見込みというものをつけるのに時間がかかったということと、それから貨物の輸送体系、営業体制というものをどう持っていくかということも内部的に非常に議論のあったところでございまして、その辺がこの岐阜の貨物駅設備の計画に直接響くということになりましたものですから、将来に向かってむだな投資は一切やってはいけないような国鉄の現状でありますし、また県、市のお金も入ることでございますので、むだはやりたくないということで慎重を期しまして検討したわけでありますけれども、最近に至りまして、本社においてもその方針を決めまして現地に指示いたしました。  現在、協定を結べるようにこの年度末を目標に事務処理を進めている状況でございまして、大変おくれましたことは申しわけないのでありますが、地元の御要望にこたえて一日も早くというつもりでいま取り組んでいるということでございます。
  598. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 ぜひ年度末までにその工事協定締結ということで、御尽力をいただきたいと思っております。  この国鉄高架の早期促進ということは、岐阜のファッション産業の振興を図る上で非常に大きい役割りを持っているわけです。  岐阜市は、市を挙げて、行政も業界もファッション産業、アパレル産業の振興に取り組んでまいりました。そのために、これまでイタリアのフィレンツェと姉妹都市提携をしたとか、全国でいち早くファッションタウンに名のりを上げたとか、それから岐阜メードを岐阜ファッションフェスタとして新しく衣がえをして発足させたとか、岐阜市立の岐阜女子短大に服飾デザインコースを新設したとか、ファッション工科大学構想を持って独自に調査委員会を設けて調査を委託し、各地の都市を調査した上で岐阜市が設置に最適だという結論も引き出したりなど、うんと努力をしてまいりました。そして、五十八年度の当初予算案には、仮称日本ファッション大学設立協議会の費用として四百四十九万円の予算を計上しているわけです。こういう積極的な産地振興の方向を打ち出す中で、鉄道高架というのは不可欠であり、一日も早くというふうに望まれているわけです。  通産省の委託を受けました繊維工業構造改善事業協会の昭和五十六年三月の、岐阜地区ファッションタウン事例研究の報告書でも、教育文化、生活環境、産業、都市機能基盤、コミュニティーなどについての施策をとって、ファッション産業、アパレル産業を軸として、町づくり、都市の近代化計画が提唱されております。  ファッションタウン構想やファッション工科大学構想はこのような熱意のあらわれでもございますし、すでに道路の改良や必要な土地の購入なども進められつつあります。行政も民間も挙げて努力がされているときでもございますし、政府も積極的に手を差し伸べて、知恵も出す、力もかすというふうになっていただきたいと思っているわけです。通産省がこの点でどう認識しておられるか。  岐阜におけるアパレル産業、ファッション産業振興の必要性、そして自治体の努力に対してどう対応しようとしているのか。そしてさらにまた、通産省としてこの鉄道高架促進ということについて国鉄にも働きかけていただくという問題についてお答えをいただきたいと思います。
  599. 竹内征司

    竹内(征)説明員 ただいま先生の御指摘がございましたファッションタウン構想につきましては、私ども、全国の繊維にゆかりの深い各地でファッションタウン構想というのをいろいろ取り上げて、モデル事例という形でやっておるわけでございます。  岐阜の場合は、岐阜駅が高架になる、こういう話がございまして、その跡地をどう利用するかという形で、その場合に、岐阜の地場産業であるファッションと結びつけましてどうやればいいであろうかというふうな一つの事例研究という形で進めたわけでございます。この前提が岐阜駅が高架になるという前提でございますので、こういう前提条件が早く進みまして、次のわれわれの段階に移るということになるわけでございますから、構想が実現できるかどうかということになるわけでございますから、この前提条件が早く進めばわれわれとしては非常に結構なことだと思います。  ただ、本件につきましては、これはただいま国鉄の方からいろいろ前向きの御発言がございましたけれども、各官庁がいろいろ関係しておることかと思います。私どもは、この点については直接関係しておりませんけれども、全般的な見地から、必要な御要望だけは申し上げていきたい、こう思っております。
  600. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 時間がなくなりましたので、最後に一言だけ大臣にお伺いしておきたいと思います。  お聞きのように、国鉄高架問題というのは岐阜地区にとりましては非常に重要な問題でもございますので、運輸大臣もその意味を理解していただきまして、一日も早くその完成に向かって進めるように、ことに当面の工事協定が年度末までに実現できるように、大臣としても国鉄を督励、奨励していただくようにぜひお願いしたいと思います。その点の御意見を伺いまして終わりたいと思います。
  601. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 先生と半谷常務理事の話をよく聞いておりましたから、それを基礎にして推進してまいりたいと思います。
  602. 簑輪幸代

    蓑輪分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  603. 越智伊平

    越智主査 これにて蓑輪幸代君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前九時三十分より開会することとし、運輸省所管について審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後九時三十一分散会