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1983-03-07 第98回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月七日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 海部 俊樹君       亀井 善之君    三原 朝雄君       木島喜兵衞君    関  晴正君       村山 喜一君    竹内 勝彦君       武田 一夫君    四ッ谷光子君    兼務 川本 敏美君 兼務 草川 昭三君    兼務 岡田 正勝君 兼務 神田  厚君    兼務 辻  第一君 兼務 小杉  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         文部大臣官房長 高石 邦男君         文部大臣官房審         議官      齋藤 尚夫君         文部大臣官房会         計課長     國分 正明君         文部省初等中等         教育局長    鈴木  勲君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      大崎  仁君         文部省社会教育         局長      宮野 禮一君         文部省体育局長 西崎 清久君         文部省管理局長 阿部 充夫君         文化庁次長   浦山 太郎君  分科員外出席者         国立国会図書館         総務部長    高橋徳太郎君         青少年対策本部         参事官     阿南 一成君         警察庁刑事局保         安部少年課長  阿部 宏弥君         大蔵省主計局主         計官      米澤 潤一君         厚生省薬務局審         査課長     代田久米雄君         厚生省保険局医         療課長     寺松  尚君     ───────────── 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     関  晴正君   武田 一夫君     長田 武士君   寺前  巖君     四ッ谷光子君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     村山 喜一君   長田 武士君     竹内 勝彦君   四ッ谷光子君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     木島喜兵衞君   竹内 勝彦君     柴田  弘君   野間 友一君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   柴田  弘君     武田 一夫君   寺前  巖君     四ッ谷光子君 同日  辞任         補欠選任   四ッ谷光子君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     寺前  巖君 同日  第一分科員小杉隆君、第二分科員川本敏美君、  岡田正勝君、第六分科員草川昭三君、神田厚君  及び第七分科員辻第一君が本分料兼務となった  。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (文部省所管)      ────◇─────
  2. 三原朝雄

    三原主査代理 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算文部省所管について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、川本敏美君。
  3. 川本敏美

    川本分科員 私は、文部大臣に、最近だんだんとふえつつある中学生高校生のいわゆる校内暴力とか非行の問題を中心にお聞きしたいと思うわけです。  私は、最近の校内暴力の激発といいますか、あるいは青少年非行の問題が大変社会的にも大きな反響を呼び起こして、特にこれは日本の将来は大変な時代を迎えるのではないか、心ある人々には大変な不安、心配をかけておると思うわけです。これに対して、いま一番問われているのは私は政策の問題ではないかと思うわけです。  まず、文部大臣にお聞きしたいと思うのですが、いま大臣としてはこのような問題についてどのように考えておられますか。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 川本さんおっしゃるように、こういう少年非行あるいは校内暴力と言われるものは突然発生したものではなくて、従来から残念ながらあったわけでございます。それが最近激化しておるという言葉が適当であるかどうかわかりませんが、非常に目につきつつある。と同時に、特に最近に起こりました横浜の外部に対する殺人事件、それから町田市立中学における先生教え子を刺すというような事件まで発生してきている。その後もいろいろな事件が続発しておりますが、そういう非常に特異な事件まで発生するようになった。こういう意味で、従来から心配されておったわけでございますけれども、一段と全国民的に注目するところとなった。  おっしゃるように、こういう状況がだんだん拡大していけば、日本の次代を担う青少年でございますから、将来が非常に心配になる。われわれもそうでございますが、当然そういうことが国民的に心配されておると思います。まことに残念といいますか、遺憾なことだと思っておりますが、文部大臣といいますか、文教行政を担当する文部省といたしましても、御存じだと思いますが、従来からこういう問題については特にいろいろな方策を講じてきておるわけでございます。いま一々申し上げませんけれども原因が非常に多岐にわたっておることでありますし、専門家の意見等集約しながら対策を講じてきておりますが、しかもなお、こういう状況になってきておる。  そういうことでありますから、最近こういう状況を見まして、従来のやり方にどこに欠陥があったのか、どういう効果があったのかなかったのか、こういう点を再反省しながら、新たにこの問題点分析やり方等、いろいろ検討しております。問題はやはり家庭教育、一番中心的なものは学校先生方指導、それから、子供に対する大人たちというか父兄地域的な指導、こういうものを集中的にやらなければなるまいということでいろいろ工夫をしております。  詳細な点については初中局長から御説明させたいと思います。
  5. 川本敏美

    川本分科員 ちょっと後でまたお聞きします。  そこで、警察庁の方からおいでいただいておると思うのですが、私の聞いておる範囲内では、警察庁調べによりますと、昨年一カ年間で中高生の校内暴力だけを見ても千五百五十八件あった。うち中学生の分が千二百二件、千二百件を超える部分が中学生校内暴力だと言われておるというふうにお聞きをしておるわけです。いま文部大臣からも話がありましたように、きょうも朝のニュースを見てみますと、何か横須賀市の中学校校内暴力があったとかいっていますけれども、卒業する間際に気に食わぬ教師を殴るぐらいのことは私たち時代もあったことでありまして、私はそういうことはなかなかなくならないのではないかと思うのです。しかしながら、先ほど文部大臣の話があったように、町田市立忠生中学ですか、ここでは校内暴力が余り激しいために、窮鼠かえって猫をかむというようなかっこうで、先生果物ナイフ生徒を刺したとかいうような話も聞かれますし、さらには一月十二日から二月五日にかけて横浜市におけるいわゆる一連浮浪者狩りということでの中学生の弱い者いじめ、こういうのが出てきておるわけで、これはもういままでかつてなかったような事件じゃないかと思うのですが、こういう点について、ひとついままでの警察庁として調査されました概況をまず報告いただきたいと思うのです。
  6. 阿部宏弥

    阿部説明員 横浜市の少年によります浮浪者襲撃事件について、その捜査状況についてお答え申し上げます。  この事件は、本年一月中旬から二月初めまでの間に、横浜市内地下街公園等において飲酒したり、就寝していた浮浪者が連続的に襲われたという事件でございます。神奈川県警察で鋭意捜査中のところ、二月五日発生を見ました傷害致死事件少年グループによる犯行であるということを突きとめまして、二月十二日、無職少年五名、中学生五名、計十名を逮捕いたしまして、二月十四日までに全員を傷害致死容疑横浜地方検察庁に送致いたしております。  その後の余罪捜査によりまして、一連事件のうち三件、二月五日の横浜スタジアム周辺浮浪者八名に対して行った連続暴行傷害事件、それから一月十二日、地下街浮浪者一名に対して行った傷害事件、一月十五日、公園浮浪者二名に対して行った連続傷害事件について解明をいたしまして、その過程で新たに関係する少年五名を割り出して書類送致をいたしております。  この結果、現在までに判明したところによりますと、一連事件被疑者中学生八名、無職少年五名、有職少年二名となっておりまして、被害者は死者一名、負傷者八名、暴行被害者三名という状況でございます。  なお、引き続きまして一連事件解明を図っているところでございます。  以上でございます。
  7. 川本敏美

    川本分科員 先ほども申し上げたように、中学生なんかが卒業間際になって学校で気に食わぬ先生を殴ったりするというようなことは昔からあったことですから、私自身は大して大きな関心を持たないのですけれども中学生が集団で、最も弱い無抵抗な浮浪者を殴ったり、ボールのようにけったり、そして最後は死に至らしめる、それで何の反省もしない、こういうことについては、人間尊厳とか生命尊重ということが憲法でもうたわれているにもかかわらず、現在、文部省としてはこのようなことについて教育現場でどのような教育をさしておるのか。あるいはこういうショッキングな事件が起こったときには、文部省は直ちに全国の中学校指示をして、人間生命の大切さとか人間尊厳さというものを、教師中心生徒との間でディスカッションをして、一大討論を巻き起こして、その中から、みんなが人間というものは尊厳にして侵すべからざるものだというようなことを青少年の心に植えつけていくというような臨機応変の措置がとられてあたりまえではないか。そんなことを文部省が果たしてやっておるのかどうか、私は不安に思うわけなんです。  その点についてひとつ文部省考え方をお聞きしたいと思います。
  8. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 御指摘の、人間に対する尊厳の認識でございますとか人命の尊重とか、そういうことは学校教育におきましても、社会とか道徳とか、いろんな場面でやっておるわけでございます。また、この間の横浜事件が起こりました際には、横浜市の教育委員会が直ちに市内の全部の中学校長を集めまして、御指摘のような観点からの指導を徹底することを横浜教育委員会自身が早急にやっているわけでございます。  私どもとしては、直ちにこのケースにつきましてそのような指示をするかどうかということは別にいたしまして、横浜市におきますそのような指導の徹底を踏まえ、さらに来る十日には、都道府県教育長会議を招集いたしまして、いろんな観点からの生徒指導の体制についての問題点等について、改めて注意を促し、このような社会影響を与えるような行動が他の地域にも波及してはならないという観点から、十分な指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  9. 川本敏美

    川本分科員 あのショッキングな事件以後、私の近くのPTAの役員をしておられる、中学生を持つお父さんやお母さんとか、あるいは学校教師とか、いろんな方々と、一体これはどういうことなんだろう、どうしたらいいんだろう、原因はどういうところにあるんだろうというようなことで今日まで私はいろいろ討議をしてまいったわけです。     〔三原主査代理退席亀井(善)主査代理着席〕  その中で私自身も感じましたことは、やはり現在の政策的な問題ですけれども原因はいろいろたくさんあると思うのですけれども、その中で一番大きい問題は、現在のいわゆる差別選別を進める入試地獄といいますか、受験制度に大きな問題があると思うのです。  いま公立の高等学校においてぼつぼつ入試が始まろうといたしております。ところが、その入試を受ける際に、まず進学指導をするのは中学先生ですね。あんたは偏差値がこうだからこの優秀な学校に行けますよ、あんたは偏差値が悪いから農業高校にしなさいよ、職業高校にしなさいよ、あんたは偏差値が悪いからもうとても高校には行けません、私立でもだめですから職業訓練校に行きなさい。本人意思じゃなしに、父兄意思じゃなしに、進学指導の段階で中学教師子供差別して、選別をして、ランクづけをしてしまっているわけなんです。そのことが青少年に夢やロマンを持たせない、人生に失望してしまう。一番夢大きい青少年時代にショックを受けた少年たち非行に走ってくるのはやむを得ないんじゃないかと私は思うわけです。  だから、このいまの差別選別入試方式受験地獄、これは生き地獄ですよ。子供を生き地獄に落とすようなことを教育現場でやっておって、そうして、その子たちがあるいは弱い者いじめをしたら、これは教育責任じゃないかと私は思うわけです。その点について文部省はどう考えておられますか。
  10. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 横浜ケースにつきましてただいまいろいろな情報を聴取をしておりますが、やはりその家庭の問題でございますとか学校における学習状況とかいろんな原因がございまして、直ちにこれをもって受験競争の結果であるというふうには言えない面があろうかと思います。他のいろいろな校内暴力につきましてもいろいろなことが言われるわけでございますが、背景はいろいろございまして、過度な学歴偏重社会におきますところの受験競争の激化というものが子供に与えるストレスとかいろいろな問題も確かにございましょうけれども、多くの子供はその中で健全に成長しておりますし、チャレンジして志望を目指しているという点もあるわけでございます。  ただ、御指摘のございました偏差値による進路指導、これは偏差値というある程度客観的な評価の物差しを使いまして、できるだけ中学生等浪人をつくらないというふうな配慮もございましょうし、また父兄高校進学要求等もございまして、そういうものを勘案して、いろんな角度から進路指導をしておるわけでございますが、この偏差値のみによって進路指導をするというふうなことがあってはならないのは当然でございます。  文部省としても、この進路指導に当たりましては、教師自身による平生の子供学習評価あるいは進路適性というふうなものを十分に評価をして、また本人希望も勘案して、総合的に勘案して進路指導をすべしという指導はしているわけでございます。また、個々の子供能力でございますとか親の希望でございますとかいろんなものがございますので、それらを勘案して、現場教師はいまできるだけ中学浪人をつくらないようにいろんな配慮をしながらやっておるわけでございますけれども偏差値のみによって進路を振り分けるということがあってはならないのは前から指摘しているところでございますし、御指摘のとおり問題があろうかと思います。
  11. 川本敏美

    川本分科員 私はいまの答弁ではちょっと納得しかねるのです。というのは、いま中学浪人という言葉を使われました。中学浪人をつくる、つくらないということを文部省考えておるとすれば、私はもう根本的に違うと思うわけです。中学浪人とか高校浪人とかいうのは日本だけだと私は思うのです。アメリカとか外国へ行けば、中学校を卒業して三年なり五年なり労働して、そして、その労働体験を経た人がまた高校へ進学するときには、それだけの一つ試験科目を免除する等の優遇措置が講ぜられておる。日本中学からストレート高校へ入らなかったら、それは中学浪人だということで、そこでもう差別をしてしまう、そういうような発想が文部省教育の中にあるとすれば、私はこれは大変だと思う。労働というものをもっと大切なこととして、労働というものに対してはそれだけの地位を与えなければいけない。労働が卑しいことで、中学浪人は落ちこぼれで、そして、ストレート高校に進学する者がいかにもあたりまえの人間のような考え方に立っておるとすれば、私はもう根本的に違うと思う。その辺について文部省はどう考えておるか。中学を卒業して一度労働現場に出て三年なり働いて、僕は仕事をしておるけれどもやはりもう一度学校へ行って勉強をしたいという気が起こったときに、そこで高校へ行ける、高校を卒業して労働現場で働いたけれどもやはり勉強した方がいいと思う人はまたもう一度大学へ行ける、このような道を開くために私はもう一度考え直すべきじゃないかと思う。
  12. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 川本委員に反論するわけじゃありませんけれども文部省中学浪人をつくらないようにとか高校浪人をつくらないようにという指導をしておることではないわけでございまして、おっしゃるとおり中学だけでも一人前になる人もある。また、高校卒業だけでもちゃんとした人間になる能力を持っておる人はたくさんあるわけでございます。また、そういう生活をしている人もあるわけです。私事を申し上げて恐縮でありますけれども、私は中学という学校へ行った経験のない男でございまして、いろいろやる道はあるわけでございます。残念ながらいまの社会では、御父兄方々が、何とか中学から上の高校に入れたい、ほかの子供高校に入ったが自分子供だけいわゆる中学浪人世間から言われる、あるいは高校でも同じでございますが、そういう気持ちは非常に強い。これは川本さんもお認めになると思います。  そこで、学校先生方は、自分教え子でございますから何とか、言葉が当たるかどうかわかりませんが、世間様から白い目で見られないような子にしてやらなければいけないという、愛情と言えるかどうか知りませんが、愛情からだと私は思いますが、何とかその子に適した学校に向けよう、こういう考え方でやっておられるのじゃないかと私は見ております。  でありますから、文部省が、中学浪人をつくらないために偏差値をちゃんと分析をして、分別をして指導せいとか、あるいは高校浪人をつくらないために云々ということでやっておるわけではございませんが、これは社会全体がこういう偏差値云々とかということをよく——まあ私も文部省は御承知のとおり経験が浅いわけでございますが、おかしな言葉がはやって、何だか人を差別したような偏差値だとか輪切りだとかいう言葉が始終出ますから、非常におかしなことだという考えでいろいろ事務当局説明を求めておるのですけれども、それはいわゆる統計上の問題で、正確に子供指導するすべとしてそういう指導学校なんかでやっておる、こういうことも聞きました。問題は、そういうことだけでいいのかどうか、こういうことももちろん反省の上になければならないと思いますけれども文部省がそういう指導をしておるようにお考えくださると大変な誤解をされておりますから、私から一応お答えをしておきます。
  13. 川本敏美

    川本分科員 文部大臣のお考えをお聞きしましたが、私はそれはいろいろな背景はあると思うのです。しかし、労働というものをもっと評価をし、尊重して、そして、そういう中から、労働現場から再び高校へも大学へも行けるような道を開くということは私は大切なことだ。入学試験で厳しい選別をして、そして入学できたらもうストレートに卒業できるといういまの入試制度そのもののあり方にも私は問題があると思う。その辺についてもう一度ひとつ考え直していただきたいと思うわけです。  さらに私は、大人たち責任ということを先ほど大臣おっしゃいましたが、全く同感でありまして、現在、テレビとか漫画とか雑誌とか、こういうものの中で人を殴ったりけったり、あるいは人を安易に殺したり、正義のために殺すのではなしに、そうでないためにも暴力をふるったり殺したりするような場面がもういっぱいあふれておりますね。そういうことが子供の心にも大きく反映しておるのではないかと思うわけなんです。  こういうテレビとか新聞とか雑誌のいわゆる表現の自由というものを規制することが一概にいいとは言えませんけれども、いまそういう中で自主的な倫理規制といいますか、そういうようなことがどういうふうに行われておるのか。これは総理府青少年対策本部の担当ではないかと思うのですが、どのように行われておるのか、お聞きしたいと思うわけです。
  14. 阿南一成

    阿南説明員 お答えいたします。  青少年を取り巻く現在の環境でございますが、先生指摘のとおり、映画、テレビあるいはスポーツ紙夕刊紙等を含めまして、一般出版物等で、その一部に青少年健全育成影響を与えているのではないかと思われるものがある現状でございます。  総理府といたしましては、関係機関団体に対しまして環境浄化の進め方についていろいろと御協議を申し上げておるところでありまして、これらの機関団体関係業界との協議によりまして自主規制が進められることを期待いたしておるわけであります。私ども団体にも青少年健全育成国民会議という社団法人がございまして、ここでもしばしば業界との協議を持たせていただいておるところであります。また、さらに各都道府県におきましては、青少年健全育成の見地から青少年保護育成に関する条例というものが制定されておるわけでございますが、この中で青少年に有害な出版物等規制に関する規定が設けられておる県もございまして、それぞれの地域の実情に応じて有害指定等措置を講じておるところでございます。
  15. 川本敏美

    川本分科員 もう時間がありませんので、最後一つだけ、決意のほどをお聞きしたいと思うのです。これは大臣にお答えいただけばと思うのですが、こういう事件を契機に文部省が、文部省だけでできないことは総理府とかあるいは警察庁、いろいろな民間の学識経験者等も含めて抜本的な対策考えなければいけない時期に来ておるのではないかということをこの横浜事件は教えておるのではないかと思うわけです。私は、人間尊厳を守るために、あるいは人間の命の大切なことをこの際国民にもう一度改めてたたき込んでいく、そういうために文部省中心になって果たすべき役割り、その責任は重かつ大だと思うのですが、その辺について、ひとつ文部省決意をお聞きしたい。
  16. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 申し上げるまでもなく、われわれ人間家庭をつくり、社会をつくり、いろいろな政治形態経済形態等をつくって苦労して努力しておりますのは、まさに人間生命を健やかに伸ばすということが最大の目標でございます。でありますから、あらゆる場面人間生命といいますか、これを尊重し、伸ばすということを考えなければならない。学校教育、当然であります。最初に川本さんからお話がありましたが、まだ小中学校というのはそういう本来の意義を知らない時代である。でありますから、特にそういう時代に、こういうものである、何のためにわれわれはしゃばに生まれて苦労をしておるか、これは人間が健やかに育ってよくなるためなんだ、命というものが大事なんだということを徹底的に指導しなければならない。やっておると思いますけれども、たまたまこういう事件が起こりますと、どこまで言っておるかということを私自身も疑っておるわけでございます。  でありますから、これは原因先ほども申し上げましたようにいろいろあって、時間の関係もありましてここで事細かく申し上げませんが、文部省学校家庭あるいは警察、それだけで済むものではありまぜん。そしてまた、過去にもいろいろあっていろいろやっておるわけでございますけれども、なおかつこういうことが起こった。さらに、これを細かく分析し、衆知を集めて、よく政府からも言っておりますけれども世間では茶化して書いておる新聞なんか見ますが、そういうことではなしに、真剣にこの問題は子供の問題として、国民全体の問題として考えなければならない。可能なものから対策を立てて、これは即効薬でないものもありますから、制度の面が悪ければ制度も変える、こういうふうなことを検討を進める、全力を挙げてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 川本敏美

    川本分科員 終わります。
  18. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて川本敏美君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  19. 草川昭三

    草川分科員 公明党・国民会議草川昭三でございます。私は、限られた時間でございますので、いわゆる医科大学を取り巻く今日の問題点、それから入試問題等を中心にお伺いをしたいと思います。  きのう来からいろいろと新聞報道にも紹介をされておるわけでございますが、昭和大学の薬理学教室で、明治製菓から委託をされましたエクヒラーゼカプセルの医薬品の動物実験のデータが改ざんをされておる、捏造をされておるということが報道をされておるわけであります。消化酵素製剤のエクセラーゼというものの実験をしたわけでありますが、これはいわゆるゾロゾロメーカーのたぐいでございますから、先発メーカーのデータを頭に置きながらやったと思うのでありますけれども、実験用の犬が三分の一死んだ、そういう事実があるにもかかわらず、死ななかったこととしてデータをつくってメーカーに渡した。そして、学術論文に紹介をした。しかも、その学術論文に紹介したデータはメーカー側のデータを引用したというようなことが内部から告発をされておるわけであります。この薬は五十年八月に実験をされて五十三年から発売をされておりますが、いろいろと聞くところによりますと、大学の中での測定集計には会社側のメンバーも出席をしている、そしてこのデータが新薬承認の際に厚生省に提出をされておるということも認めているわけでありますけれども、このようなことは私どもにとりましても非常にショッキングなことであります。きょうは厚生省もお見えになっておられますが、厚生省としてどういうようにこの問題について対処をなされるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  20. 代田久米雄

    ○代田説明員 お答えいたします。  私ども新聞の報道を見まして非常にショックを受けておりますが、現在、この医薬品の申請を行いました明治製菓から事実関係につきましての調査をまず行うという予定にいたしておりまして、今後詳しい内容につきまして十分点検をいたしたいというふうに考えております。
  21. 草川昭三

    草川分科員 そこで文部省にお伺いをいたしますけれども、医科大学というものは全国にたくさんあるわけであります。いわゆる大学の教授、また研究所、これらの方々は、私もこれは過去何回か予算委員会でも取り上げておりまして、いわゆる治験なり研究を委託される場合には、受託研究費ということを明確に会計上もはっきりしてもらおうじゃないかということで、ことしから、国立大学の場合あるいは国立病院の場合には受託研究費という項目を予算上設けていただいて、非常にめんどうがかかるわけですけれども、やっておるわけであります。  ところが、最近、秋田大学に対して秋田県のある町が自治体病院に医師を派遣してもらいたいというので、大学の学長等に四十一万円持っていった。もらった先生は、一時間五万円から十万円の講演が普通だから、これは当然だというようなこともあるわけであります。どこか研究者の良心というものが麻痺をしておるのではないか、あるいは道義的な責任が失われておるのではないか。  特に、今回の昭和大では担当教授が助手に指示をして、死んだ犬に対するデータがないわけですから、カーブを引いてここら辺でいいだろうという推定値を指示したというようなことすら助手の方が告発をしておるわけであります。厚生省の方としては、いわゆる後発メーカーでございますから、薬効成分が表示どおり行われているのか、あるいは品質の安定性、新薬と同等性かを事務的にチェックするだけが限界だと思うのです。私も厚生省の部屋によく行きますが、狭いところですから無理だと思うのですね、後発メーカーのデータを一々細かく調べるのは。いわゆるデータに信用がなければこれは基本的に崩れるわけでございます。昨年来から、日本ケミファのシンナミン事件もありますし、あるいは大鵬薬品のダニロン、鎮痛消炎剤でございますが、これも発がん性の問題で出ておる。あるいはミドリ十字のいわゆる造血剤等の問題もございます。データの捏造ということが最近非常に多いわけでありますけれども、これは、われわれ国民としては聞くにたえない、見るに忍びないことでございます。  特にこれは文部大臣にはっきりと申し上げておきますが、許認可の実質上の権限は薬事審議会というところにあるのです。これはもちろん厚生省ですよ。その薬事審議会のメンバーは一流国立大学の著名な教授です。そして、大学の教授等からいろいろな経験をした人が大きい病院の病院長になるとか、あるいは研究所の所長だとか、こういう方々が実質的に薬を認定するわけでありますけれども、一体水面下に隠れた問題はどうなんだ。私は、いろいろな薬の問題を長い間取り上げておりますけれども、最終的には大学教授に問題があると思っているのです。教室制度に問題があると思っているのです。その点についての見解はどうでしょうか。
  22. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 かねがね先生から医料大学のあり方の問題等につきまして御指摘をいただいている点は、私どもそれを率直に受けとめまして、大学教育、研究についての指導に当たって機会あるごとにその点の注意の喚起をいたしてきておるわけでございます。  御指摘昭和大学の実験の問題について新聞報道のような事実があったとすれば、それは受託研究のあり方としてはまことに遺憾なことであるというぐあいに感じております。大学におきます教育、研究活動については、基本的には研究の自由、学問の自由ということが保障され、研究者が主体的に実施することは当然のことでございます。しかしながら、それは先生も御指摘のように、研究者としての良心に支えられたものでなければならないことはもとよりでございまして、そういう研究者自体のモラルといいますか、そういうものが国民の信頼を欠くことのないように、私どもとしても大学人全体の自覚は促してまいりたい、かように考えております。  国立大学の場合について申しますと、これは公務員でございますので、公務員としての公務員法に基づく規制が及ぶわけでございますが、特に私立大学の場合については、研究そのものの中身について私どもが直接関与できる事柄は、ただいま申しましたような一般的な全体のモラルの確立といいますか、研究者としてのモラルの確立ということをぜひお願いしたいということで申し上げる以上のことはいかがかと思うわけでございますけれども国民全体の信頼を回復するために、私どもとしても大学の研究者全体の自覚は今後とも促してまいりたい、かように考えております。
  23. 草川昭三

    草川分科員 これはちょっと一言大臣にお願いしたいのですが、いま一般的なモラルの確立ということをおっしゃいまして、私立大学に対する指導の限界ということも触れられたわけでございますが、御存じのとおり膨大な私学助成もしておるわけでありますし、特に医科大学は、これは後ほども触れますけれども、かなりいまさまざまな問題点があるわけであります。私が指摘をしましたように、いま研究者の良心について訴えるということをおっしゃいましたが、道義的な責任について、幅広く文部行政という立場からぜひ大臣としての見解を示してください。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いま大学局長からもお答えいたしましたが、わが国の文部行政、特に学問に対する文部行政は、むずかしいというと恐縮でありますけれども、なかなかむずかしいということであります。  学問の自由、大学の自治とかいうことが大原則になっておりますから、一々介入するわけにはいかない。しかし私学等においていろいろ問題が起こる場合があるわけでありますが、私学の非常な重要性といいますか、国民的重要性から国民の税金から助成をしておる面があるわけでありますから、法律、規則等に違反するようなことがあれば、これは厳に戒めなければならない。そういう機関で、いかに学問とはいいながら、モラルを欠き、道義的におかしいような点があってはならないわけでありますから、文部省の限界がありますけれども、今後とも十分注意を促していきたい、かように考えております。
  25. 草川昭三

    草川分科員 ぜひそのような訴えというのですか、指導をしていただきたいと思うのです。  続いて、これも高校入試の不正というのですか、入試の試験問題が一部受験生に漏れていた疑いがあるという報道も出ておるわけであります。日本大学の附属の日本大学高校でことしの試験問題が漏れたという話でございますが、この例も受験生の五人が内申書の評価が低いのに国語の試験がトップクラスの得点をしていた。個人的な教師のルートで内容が漏洩したのではないだろうか、あるいは生徒みずからが同校の教師から問題を教えられたというようなことを言っておるようであります。  これも一々細かいことを調査してどうのこうのは申し上げませんけれども、どこかに狂った点があると思うのです。結局いまの良心なり道義的というのでしょうか、その根本のところが狂っておるわけでございまして、これはお互いに学生にとってはテストというものがいま一番大きな人間的な苦痛になっておるわけでありますし、この難関を乗り越すためには、家族もはれものにさわるようなことになっておるわけであります。これが今日の非行化にもつながるのじゃないだろうかということが盛んに言われておるわけでありますけれども、いわゆるルール違反というのでしょうか、言語道断というのでしょうか、とにかくむちゃむちゃですわな、それは。これはまじめな生徒がトライをする気にならなくなると思うのです。こういう事件だけは私学といえども徹底的に調査をして一回毅然とした態度をとっていただかないと、子供の基本的な問題に影響すると私は思うのですが、この点についてはどうでしょう。
  26. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 御指摘横浜の日大高校事件ですが、ただいま新聞を拝見したわけでございますが、学校側にいま事情を調査をしておりますけれども、事実関係はまだ十分わかっておりませんので、後刻また詳細に調査をいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、このようなことが事実であるといたしますと、公正な入試に関する父兄の信頼と申しますか、国民全体の信頼を失うという意味でも大変遺憾なことでございますし、また入試が、特に私立学校につきましては過度の受験競争と申しますか、そういう形で激化しているという状況考えますと、それだけに私学側におきましてはその責任の重要性を考えて公正な入試のあり方について配慮しなければならないにもかかわらず、このような事件が起こったことはまことに遺憾でございます。今後とも関係者の一層の努力を求めまして、信頼を回復するようにしなければならないというふうに考えております。
  27. 草川昭三

    草川分科員 いまぜひ公正に、そして信頼を回復するように行政側としての対応を求めていきたいというふうに思います。  そこでまた、これも不正事件の話になって恐縮でございますけれども、これもいわゆる国立大学、しかも関東以北では最大と言われる東北大学の附属病院における診療報酬の不正請求というのが出てきておるわけでございますけれども、この中をわれわれも分析をいたしますと、今日の地域医療あるいはまた医療のあり方に相当深刻な問題が出てくるわけでございます。  これは厚生省の方としては、保険医療機関の指定を取り消す——不正内容というのは、東北大学の附属病院の再診料と処方せん料、それからこれまた厚生省としては行政指導しておる第二薬局の調剤料、これ等が不正請求になっておるわけでございますが、どういう経過で、この指定取り消しという態度を一たん発表しておきながら、最終的には一段軽い戒告処分ということになったのか、経過を御説明願いたいと思います。
  28. 寺松尚

    寺松説明員 いま先生の御質問でございますけれども、宮城県と厚生省とが共同監査をいたしまして、その結果ほぼ取りまとめられ、返還額等も確定いたしましたので、知事の方から、それではこの処分につきましてどうやったらいいかというふうなお話がございました。それにつきまして厚生省としましてもいろいろケースを検討いたしまして、取り消し処分が相当であるというふうな判断を示したわけでございます。それに基づきまして知事の方では、厚生省の見解を是としながらも、地域の医療の確保あるいは動機あるいは改善措置等につきましての完全な実施というふうな見通しができたというふうなことを総合的に勘案され、県民本位の立場から今回は厳重な戒告ということにとどめた、こういうわけでございます。  これに対しまして厚生省といたしましても、知事の御判断の基礎となりますことにつきまして十分検討いたしました。特に、今後そういう不正行為が未然に防止できるような改善措置が確実に行われるというふうなお話もございましたので、知事の判断もやむを得ないものだ、こういうふうに考えたわけでございます。
  29. 草川昭三

    草川分科員 架空請求をした不正総金額は幾らかということと、それから戒告処分の中には、その返却というのはそれぞれの保険組合に返却になるのかどうかお伺いします。
  30. 寺松尚

    寺松説明員 御承知のように東北大学の附属病院に関しますものと第二薬局と言われております辛酉薬局に関するものと両方ございますが、大学の方につきましては約一億円、それから辛酉薬局につきましては約二千九百万でございます。それから、保険金の返還でございますが、いま先生の御指摘のとおりでございます。
  31. 草川昭三

    草川分科員 この経過の中に大学側の発言としては、一日に千三百人から千五百人の外来患者というのがある、外来診療の過密が原因になっているというようなこともあるわけです。早朝六時半にドアをあけなければ患者に対しても気の毒だという同情すべき点がずいぶんあると思うのでございますけれども、実は、大学病院というのは、本来朝の六時半からたくさんの患者を受けるという病院ではないのではないか。いわゆる本当の研究機関であり、あるいは医師を教育する、研修を行う使命が本来ならば主であって、いわゆる一次診療等については、その地域の病院に役割り分担を図るべきではないか、あるいはまた、当然のことながらその近くにも総合病院があるわけでありますから、その地域医療対策協議会のメンバーでもあるわけでありますから、国立大学の附属病院というものがもう少し地域医療との連携を密にして対応を立てるべきではないか、こう思うのですが、その点はどういうようにお考えになられますか。
  32. 寺松尚

    寺松説明員 最近でございますけれども、患者さんの方の高次診療機能の外来志向というものは非常にふえておりまして、これの外来患者のコントロールというものは、大きな病院では大変重荷になっておるというのが実情でございます。これにつきましては、大学だけあるいは大きな病院だけがいかにコントロールしようと思ってもなかなかむずかしいわけでございまして、それはその地域地域において医師会等専門団体あるいは行政機関というようなところといろいろ相談しながら、その地域地域で大きな病院と診療所というようなものの連携をとっていくべきである、こういうふうに考えております。その辺は行政の方が中心となると思いますけれども関係機関大学、病院との協議会のようなものもつくっていただきまして、その辺の対応策を練っていただきたい、こういうふうに考えております。
  33. 草川昭三

    草川分科員 それと、これは私かねがね言っておりますけれども、私は本来は第二薬局のあり方については意見があるのです。これはもう法律的に間違っておることは事実ですが、患者の立場を考えますと、あるいはまた、いまの大学のあり方等を考えますと、いま直ちにここでわれわれが強く発言をするとかえって混乱が起きるから、申し上げておりませんが、いずれにいたしましても、今回指摘になっている第二薬局のあり方は、国立大学としてはなじまぬことは事実でありますから、少し時間をかけて、基本的にどうあるべきかということはゆっくりと相談をして、これは東北大学だけではありません、全国的にこれはあるので、いけないことはいけないのでありますから、対応を図るべきではないかと思っております。これは十分考えておいていただきたいと思います。  それから、これに関連をいたしまして、厚生省の方から、大学の附属病院の診療報酬の点数というのですか、単価の引き下げということを考えたらどうだろう、大学附属病院というのは研究施設を持っておるわけでありますし、濃厚診療が部分的に出たり、あるいはサンプル等の薬品も多いので、一点単価十円というのを七円とか八円に下げたらどうだろうというようなことが一部報道に出ておりますが、これは大学側としては、どういうようにお考えになられますか、まず大学の方からお伺いいたしましょう。
  34. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 健康保険の診療報酬単価は、先生御案内のとおり、すべての医療機関を通じて一点十円と定められているわけでございます。御指摘のような点が一部報道機関から報ぜられているわけでございますが、文部省といたしましては、ただいまのところ、そのことについての具体的な内容を厚生省側から格別情報を得ておりませんので、現段階ではそのことについては文部省としては申し上げることは差し控えたい、かように考えます。
  35. 草川昭三

    草川分科員 厚生省にお伺いしますが、私も厚生省からいろいろとお話は聞いておりますが、一部こういう意見があるという程度のようでございますが、将来にわたって、厚生省側としては大学附属病院の点数と一般診療機関とは同等であるべきではない、差をつけてもいいのだという考え方が全くないのか、多少なりともあるのか、お伺いしたいと思います。
  36. 寺松尚

    寺松説明員 いま先生が御指摘になりました報道については私どもも承知いたしておるわけでございますが、これについて厚生省が正式な見解ということで話したわけではございません。ただ、部内の討論におきましては、大学病院の診療報酬というのはといいますか診療については、研究であるとか教育というふうなものの要素もあるのではないかというようなことで、それがどのくらいの割合なんだろうか、二割という方もある、三割もあるというような意見もございました。それならば一点が七円か八円か、こういうような話も実は出たわけではございますが、先ほども申し上げましたように、厚生省としての正式な見解、こういうわけではございません。  それから、一般大学の診療報酬につきまして、これは大学の病院の機能と申しますか、教育研究等の機能をもあわせ持っておるわけでございますから、普通の一般の保険医療機関とは違うのではないかというふうな御意見もございます。これは一般に診療所というものと、それから大きな高次の診療機能を持ちました病院との間でも、やはり同じ診療報酬の点数でいいのかなというような御意見もございます。そのようなこともいろいろございまして、私ども省内において医療費適正化のための総合対策を推進するための本部を設けておりまして、この中ではいろいろと検討いたしておりますし、また中医協におかれましても二月から会議を再開されまして、これから総合的に診療報酬の見直し等についての御審議が予定されておるところでございます。
  37. 草川昭三

    草川分科員 その適正化が、いま診療機関側としては非常に神経をとがらしておるところでありまして、私どもの方にも一体厚生省の真意はどうなんだろうという問い合わせもずいぶんあるわけであります。同じように大学の附属病院の方も、国立大学の場合は、私、親方日の丸という言葉を使いたくありませんけれども、直ちに理事者側にどうのこうのということはないわけでありますが、少なくとも私立医大はこれはもろにひっかかってくるわけであります。私立医大の中でも非常に古い歴史を持つ大学の附属病院の場合はまだしも、新設医大は経営の基盤が非常に脆弱であります。そのために問題がずいぶんたくさん出ておる例があるわけでありまして、どうでしょう、一体、大学の附属病院はどこまでが経費になるのか、どこからが管理者側の費用になるのか、研究費用になるのか、なかなかむずかしい問題があると思うのでありますけれども大学側としては、いまの経営形態は安定しておるのか、あるいは非常に赤字なのか、これをお伺いしたいと思います。
  38. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 大学の附属病院は、本来臨床医学の教育研究機関として設置されたものでございますので、診療を本務とする一般の医療機関とは基本的に目的、性格が違うわけでございます。そして、臨床教育なり医師の卒後研修及び教育研究活動の場として十分機能し得るように整備を図っていかなければならぬわけでございます。しかしながら、そういう活動と切り離して診療活動のみについて独立採算的な運用を行うということはきわめて困難であろう、かように考えております。  現在の病院の収支状況について見ますと、いずれもこれは歳出超過ということになっておりまして、たとえば国立大学の附属病院で申しますと、全体的に歳出超過、いわば収支率としてはほぼ七四%ぐらい、五十五年度の場合でございます。私立大学については、病院の収支だけで申せば九五%ぐらいの収支率ということになっておりますが、いずれにいたしましても、病院の収支としてはいずれも基本的にはいわば赤字という状況になっているわけでございます。  私どもは、医療供給者としての医師の養成ということが、国民皆保険制度のもとではそれがなければ成り立たないわけでございまして、継続的に後継者の医師が養成できるような仕組みということをやはり基本的には考えていかなければならない、かように考えております。
  39. 草川昭三

    草川分科員 もうこれで終わりますので、最後に一言。  大臣、どちらにしても、私、予算委員会でも申し上げたのですが、医師の増加抑制対策ということも出てくるわけでありますし、私立医科大学の経営が非常に困難になってくることも事実でありますし、文部省としてももうそろそろここら辺で、医師の養成あるいは各県それぞれの新設医大あるいは国立大学の附属病院、こういう関連性を少し腰を落ちつけて考える時期が来たと思うんですが、その点について、最後大臣から答弁を求めて終わりたいと思います。
  40. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先般もお答えしたと思いまするが、医師の過剰傾向が起こらないように、こういうことを観点に置いて、厚生省ともよく専門的に詰めながら進めていきたいというのが私ども考えでございます。
  41. 草川昭三

    草川分科員 以上で終わります。
  42. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。
  43. 関晴正

    ○関分科員 国会議員に議席を持ちまして初めて文部大臣にお目にかかることができ、また質問することができました。  私は、実はいろいろな質問を考えておったのですが、こうして文部大臣日本教育の行政の最高の方に会えますというと、何としても聞かなければならない。それは、今日の日本教育行政の基本というものを大臣は何に置いて執行しようとお考えになっておられるか。私は、当然わが国の日本国憲法、そうして教育基本法であろう、こう思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 教育は、人間の集まりである社会、国をなしている国、その中で、それこそ人間が、国民がともいいましょうか、平和で物心ともに豊かな暮らしができるような社会、国をつくろう、それにふさわしい人間をつくると言うと恐縮でありますけれども、仕立てよう、これが憲法といいますか、教育の最大の課題であろうと思います。いまおっしゃるように、日本国憲法の精神に従って、それを生かすような教育をしなさいということが教育基本法に書いてあるのは、やはりそのことを示しておる。ですから、たびたび申し上げて恐縮でありますが、それはすばらしいことである。問題は、そのように教育が実際に行われるかどうかということがわれわれが常に研究また気をつけなければならない、こういうことだろうと思います。
  45. 関晴正

    ○関分科員 私は、戦後の日本教育の行政の基本といいますか、これは日本国憲法並びに教育基本法だ、大臣も間違いなくこの憲法と教育基本法の理念に立って行政を執行しよう、こういう決意にあるものだと思うのですが、いかがですか。
  46. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまお答えしたとおりでありまして、そのとおりでございます。
  47. 関晴正

    ○関分科員 私は、最近の教育の中に日本国憲法を重視しない傾向が出てきているんじゃないだろうか、憲法をきちんと学校において教え徹底させる、憲法教育というものがいま非常に大事なときにある、こう思うのですけれども、それが逆に軽視されている、そういう傾向が数々の不祥事件というものを生んでいるんじゃないだろうか、こう思うのですけれども、これについては同感でございましょうか。それともまた別だと思っておられましょうか。
  48. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 憲法の教育がどうなっておるかということを、私は現場の実情を細かくは知りません。私の感想といたしましては、最初に申し上げましたように、憲法の示す本当の意義を——本当の意義というとまた議論があると思いますが、私はそういう表現をしておきますが、子供のときからつぶさに指導、教えておけば、いま社会にいろいろあらわれておる、あるいは中高校生、青少年子供たちが、ああいう報道されておる、いま心配されておるような行動に出るはずかないというのが私の所感であります。学校ばかりじゃなくて、学校を出て社会をつくっておりましてもいろんな問題が起こってくる。よけいなことかもしれませんけれども、従来われわれは余り経験しなかった、白昼自動車を乗りつけて強盗が横行するとか、ピストル事件が起こるとか殺傷事件が起こる、その他、もし憲法の条章を、意味をよく徹底しておったらばこういうことはないはずだというのが私の認識でありますが、憲法を間違って教えておるかどうかというお問いに対して、私、そうだと言う確信は、現場を知りませんから承知しておりません。
  49. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 学校における憲法教育につきましては、学習指導要領によりまして、主として社会科におきまして、日本国憲法につきましてその基本原則でございますところの基本的人権の尊重国民主権、平和主義を中心指導しているわけでございます。たとえば小学校社会科でございますと、第六学年におきまして、「我が国の民主政治が日本国憲法の基本的な考え方に基づいていることを具体的に理解させるとともに、平和を願う日本人として世界の国々と協調していくことが大切であることを自覚させる。」というふうな項目がございまして、これによりまして、教科書の記述等におきましても、憲法の基本的な原則でございますこのようなことについて記述がなされ、それをもとにして学校におきましても憲法についての教育が行われているということでございまして、決して学習上軽視されているということはないかと存じます。
  50. 関晴正

    ○関分科員 私は、ぜひそうあってほしいと思うのです。  しかし、現実にいま憲法論について、特に中曽根総理なんかも憲法改正の問題もタブー視すべきではないなどという発言をするようになってから、ことにこの憲法問題について、何かアメリカからもらったものだから改正する方向がいいのじゃないかというような一つのムードをあおる傾向が多々見られていると私は思うのです。こういうことも現場教育にもまた大きく影響をしております。  とにかくこれ以上よけいに憲法論議をしようとは思いませんが、今日の日本の世上に起こっておる子供暴力事件、あるいはまた子供ばかりじゃありません、大人の暴力、特にわが日本というのは暴力団を公然と認めているような姿勢がある。過日私はモンゴル人民共和国を訪ねる機会に恵まれまして、約二週間視察してまいりました。特に感じたことは、暴力を否定するという気構えの強さです。このモンゴル人民共和国の社会において暴力行為は許さぬ、大人でも子供でも。何よりも悪いものは暴力だというようなことに徹して教育社会教育も行われておるのを見まして、大きな感動をして帰ってきました。日本は先端技術がどうの科学の粋がどうの、そうして世界にいばっておる向きも悪いとは言いません。しかしこの暴力の問題を見るときに、公然と暴力団がわが国の中にはある。こういうようなものをそのままにしておいて、またそれに依存しているようなものもある。  本当にきれいな社会をつくるために、わが国の憲法精神を生かしていくためには、わが国の憲法というものは本当に暴力を否定している憲法です。暴力の最大のものは戦争でしょう。その最大のものの戦争を否定しているのがわが国の憲法第九条です。これあるがゆえに日本国民というのは世界の諸民族の間にあって、偉くなったと言えばなんですが、誇れるものがあるのじゃないだろうかと私は思うのです。この点について瀬戸山文部大臣は、この憲法第九条というものを何か変えた方がいいなどとおっしゃったと聞くのだけれども、そうお思いになっておるのでございましょうか。お答えいただきます。
  51. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私は、たびたび申し上げますけれども、いまの憲法は精神といいますか方向はすばらしくよくできておると思う。いわゆる平和主義、平和でなければならない、これは人間社会は当然そうあるべきだと私は思っている。これは一つの大きな理想であるわけであります。それから、よく言われます人間としての尊厳、したがって自由の擁護、生きるための諸権利、基本的人権というのは生きるための活動の要素だと私は思います。したがって、それを最大限に尊重しなければならない、制限してはならない、こういう規定が憲法にいろいろ書いてあります。平和主義、自由主義、自分の国を自分で采配を振るという主権在民、あるいは国際間の争いをしてはならない、お互い人類は平和に暮らすために国際協調していかなければならないという国際協調主義と言われているのですが、そういう意味ですばらしい精神を持っておる。  ただ、私が憲法についていろいろ議論をしておりますのは、私が議論するのではなくて、世間でこの憲法についていろいろな議論がある。御承知だと思います。見解が分かれておるというところに遺憾な点がある、あるいは率直に言ってこれではいけないという考えを私は持っております。といいますのは、憲法というのは、私が申し上げるまでもなく国をこういう仕組みでこういうやり方でつくっていこう、国民生活もこういうしきたり、やり方で続けていこうという土台の仕組みである、私はこういうふうに考えておりますけれども、その土台の仕組みが常にそうではない、こうではないという議論がされるということは、私は率直に言って適当じゃないと思う。もちろん物事というのは文字の解釈その他について意見が分かれ、議論がされることは常にあることでありまして、それで進歩があると思いますが、しかしその土台そのものについて議論があるということは、どこかに足らないところがあるのじゃないかという感想を私は持っておって、そうでないような、国民全体が理解し合ってこれでいこう、そしてそれが私は憲法というのは国民の魂であるべきだという観念を持っております。そこまでいかなければ、どんなにりっぱな理想を掲げ、どんなにりっぱな文章で書かれたって、それは本物でないというのが私の憲法に対する考え方でございます。  その点が日本国憲法には今日まだある。それが、先ほどお話がありましたが、よく書いてあるんだけれども憲法の教育が心に入っておらない。したがって、憲法の規定どおりにいけばうまくいくはずの社会暴力の横行などない社会、よけいなことを申し上げて恐縮でありますけれども、憲法第三章の自由及び人権、これはまさに、あなたがよく生きなさいということ、人間はよく生きなければいけない、健康で平和でよい生活ができるようにならなければいけないという道を示しておる、その生きるということは、他のあなたも生きなければならない、生きるということは他の人を生かすことだということを私は第三章には書いてあると思う。そういう精神が徹底しておれば、人を傷めたり暴力が横行したりあるいは外国からピストルを買わなければ暮らしができないというような、あるいは先生を殴ったり先生から切られたりというようなことはないはずだというのが私の考えでございます。  そういう点が何とかわかりやすい憲法になったらどうかという期待を、希望を私は持っておる、こういうことであります。これを改憲論者であるとかなんとか言われるのは、それはその人の自由でありますけれども、私の偽らざる考え方はそうであります。私の本をごらん下されば、話し合えばわかると言いますから、もし機会があったら見ていただきたい。
  52. 関晴正

    ○関分科員 あなたは文部大臣なんですよ。文部大臣なんです、あなたは。そうして、日本教育行政の最高責任者なんです。そのあなたが世間のどこかで憲法問題についてぐらついておるということを指摘したりあるいは見るのは、それはあなたの御自由でいいかもしれません。だがしかし、日本教育行政を進める最高責任者としてあるあなたが、この日本国憲法というものを守って、擁護の義務を負うて、そうして教育行政にはこの憲法の徹底を図るような教育行政が、また教育基本法にうたわれていることが執行されていかなければならないのに——何も私はあなたの本を読めと言われて読んで物を言わなければならないとは思っておりません。ただ、あなたがいま文部大臣にあるわけですから、日本国の教育の最高の機関に座っておる方が憲法がぐらついているなんていうことを言うたり、思ったりして言われた日には、教育がぐらつくじゃないですか。  私の聞きたいのは、私ども日本国憲法では憲法の魂ともいうべきものは九条だと思っているんです。私も学校先生をして、そのように教えるべしと言われて教えてきました。子供たちも喜んで学びましたよ。せっかくまた現実にそう教えているときに、一国の文部大臣が憲法第九条については変えた方がいいなどというようなことを思って言ったりするようになるならば、これは大臣の席からお去りになることがいいのではないでしょうか。そうでないというならば、きちんと座ってこの憲法をとにかく執行すべく、教育の世界においてこれが具現さるべく全力を挙げるのだ、こうでなければならないと思うのです。そういう点について私はもう一言あなたからの御答弁をいただきたい。
  53. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 たびたびこの席でもほかの席でも申し上げておるわけでありますが、憲法の精神を中心にして教育をしていただきたい。またそういうように教育基本法にも書いてあるわけであります。その精神がどこにあるかということが徹底しておらぬのじゃないかということを私は申し上げておるのです。だから、それは憲法はわかりにくくできておるのではないか、文章を読んだだけでは。私から見るとわかるという気がするのですけれども、実際はわかりにくくなっておるのではないか。いろいろな議論がありますから。(関分科員「第九条で答えてください。第九条しか聞いていませんから」と呼ぶ)九条はあのとおりでいいわけです。平和でなければいかないというわけでございますから。もちろんそれは日本の国ばかりではなくて、世界でもそうあるべきだと私は思いますけれども、よそのことは言いません。わが国は大きな歴史の過ちをしてそういうことになっておるわけでありますから、またそうでなければ、特に世界情勢は前の戦争時代と違います。日本の生きる道は、もうそういうことにならないという大きな反省の上に立ってああいうことになっておるわけでありますから、これは徹底した教え方をしなければならない。私は確信して疑わないんですよ。誤解のないようにお願いいたします。
  54. 関晴正

    ○関分科員 私は、誤解をしているというよりも、誤解を与えないようにひとつ文部大臣は御発言いただきたい、こう思っております。  そこで、とにかくいまどうしてこんなに大人の中にも子供の中にも道義的に相反することが多くなったのだろうか。第一番に申し上げました憲法、教育基本法を重んずる風潮が軽くなったのではないだろうか、薄くなったのではないだろうか。そういう意味において、これを強めることを施策としていまよけい声を大にして進めるべきときにあるんじゃないだろうか、こう私は思います。  そこで、学校教育の部面についてずっと縮めてお話を申し上げたいと思うのですが、今日どうして四十五人学級まで来ていながら、そうして四十人学級を目指していながら——私ども時代には六十人も七十人も教えたことがある。だがしかし、落ちこぼれなどと言われるようなことは、今日のようなかっこうのものはほとんどなかったと言っていいと思うのです。私は大体落ちこぼれなんという言葉も、これは人権尊重からいっても言うべき言葉ではないと思っていますが、世上落ちこぼれ、落ちこぼれ、こう言うものだから、その方がわかりやすくて言わざるを得ないのですが、何で学校の授業についていけないような子供たちが出てきたのか。授業についていけるようにするにはどうしたらいいのか。このことが私は大事だと思うのです。  そのためには、よくありましたよ、よく学びよく遊べ。一体いまの先生方子供たちと遊べるようにできているでしょうか。また子供同士がよく遊ぶようにもできているでしょうか。私は、もっと教師子供たちと、よく学びよく遊べのよく遊べの方が取り入れられるようにしなければならないと思っているのです。先生方にもっとゆとりを持たせるように行政は働かなければならない。行政は先生がゆとりを持って子供たちと遊べるように、学べるようには進められていないと私は思う。そこにいろいろな問題が出てきているんじゃないだろうか。先生方がみんな主任になりたい、教頭になりたい、校長になりたい、教育委員会の職員になりたい、そういうような方向に進んでいる傾向が強いのです。やれレポートを出せ、やれ研究発表しろ。あの研究発表ぐらいでたらめなものはないと言えばなんですけれども、書き進めながら、だれのためにこれが役に立つんだろうかなと私は幾度か現場にあったとき思ったことかしれません。  しかし、いま現場は大変なラッシュアワーと言ってもいいでしょう。研究だ、レポートの提出だ、体験発表だ、公開授業だ。そこにとりこになっている先生の姿を見るときに、うまくないなと私は思うのです。もっと伸び伸びと教育先生方が活動できるようにされないものだろうか。教師にもっとゆとりを持たせるように行政は働くようにされないものだろうか、私はこう思うのです。どこの学校へ行っても、先生のあの忙しそうに立ち回っている姿、息つく暇なく走り回っている姿。夏休みだ、冬休みだ、春休みだから、あるというのでゆっくりしているのかと思ったら、またその休みでも忙殺されておる。  大臣、ひとつここで、教師よよく学べよく遊べの実行を促進するように具体的な措置をおとりになれないものでしょうか。これをひとつ伺っておきます。
  55. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私は学校現場を、もう昔小学校で教わっただけでよく承知しておりません。関さんは学校先生をしておられた経験があられるからよく御存じだと思います。細かいことは初中局長からお答えさせますが、私自身学校先生方がどういうことをしておられるか、ぜひ今後時間がある場合に細かく知りたいと思っているのですけれども、確かに忙し過ぎないかという気がするのです。そして子供も忙し過ぎるのではないかという、これはもう分析しないで感じだけで申し上げているから間違っているかもしれません。  といいますのは、私は学校の教科書がどんなふうなことを教えておるだろうということで教科書を見出しておるのですけれども、小学校中学校高校、全部見るのはなかなかこれは時間がありませんから十分見ておるわけではありませんが、こんなに豊富に何もかにもわからなければ——これは綿桐なことでございますが、大変な負担だろうという感じを実は持っておるのです。こんなに何事も——知るにこしたことはありませんけれども、まだ小学校中学校高校になると体力も相当できますし、また判断力も相当進みますからいいと思いますが、こんなによけい教えなければいけないのか。私ども経験から言うと、そんな経験がないからかもしれません、時代が違うからかもしれませんけれども、そういう感じを持っております。  そこで、よけいなことですけれども、奈良教育大学というのですか、そこの私が知らない子供ですけれども、附属中学校二年の子供が、私が文部大臣になっておめでとうございますなんという手紙をくれました。それで返事を書いたのです。  私はこういうことを書いて返事を出しました。喜んだと、母親からまた手紙が来ておりましたが、よく遊びながら勉強しなさい、その反語として勉強しながら遊びなさいということを書いてやったのです。本ばかりにらめっこして、学校から帰ったらさあ塾だというのでは、本当に心豊かな人間になり得るのかな、心身ともにいまはやりのたくましい人間になれるのかなという気がしておるのが実情であります。でありますから、こういう点はもう少し実情を見たり聞いたりしてから、私自身専門家の意見を聞きながら検討してみたいと思いますが、それ以上のことを言いますと間違いますから、初中局長からぜひ説明させていただきます。
  56. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 教員の勤務条件、勤務負担の軽減等につきましては、先生指摘のように第五次教職員定数改善計画が十二年計画で一応策定されまして、財政再建期間中は抑制されておりますが、全体計画なりその目標というものは一応進めるということになっておりますし、いろいろな方面で教員定数の充足を図っているわけでございます。これは六十人の学級から比べますと非常に進んだ状況になっているわけでございます。  また、その教育内容につきましては、これは大臣からお話がございましたが、新しい学習指導要領が小学校につきましては五十五年度から実施をされておりますが、その主眼点はやはり知的な教育だけに過度に偏らないという観点から体育なり道徳教育というものを重視いたしまして、知育と同時に徳育、体育が調和を保っていけるようなカリキュラムの構成になっておるわけでございます。  また、その教科書でございますけれども、これは指導要領が、従来の非常に詰め込みのものを基本的、基礎的なものに精選するということになっておりますので、それに従って教科書もつくられておりますから、全体としては非常に薄くなっておりますし、また、基礎的、基本的にしぼられておりますから、子供学習の面から見ますとかなり基礎的、基本的なものに精選されているということが言えるのではないかと思います。  そのほか、授業の時数等につきましては、これを削減いたしまして、学校によりましてはゆとりのできました時間を子供の集団的な活動とかあるいは勤労生産学習とかそういうものに充てるような措置を講じておりまして、学校の工夫によりましてはまだまだそのような生徒先生が触れ合っていろいろな活動をしていけるような余地が工夫されるようになっているわけでございまして、私どもとしてもその方向で指導をしてまいっているところでございます。
  57. 関晴正

    ○関分科員 ことしも国立の大学への受験も終わったようであります。全国の大学受験、進学の率というものを見ますときにずっと進んできているわけなんですが、一向に進学率が進まない常に全国最低のところを歩いているのが私の方の青森県の状態であります。何とかして大学の進学率というものを高める道がないものか、また、何がその阻害原因になっているのかということを考えますときに、なかなか中央まで子供を送ることがむずかしい経済上の理由がある、また、いい学校を目指して受けても競争のむずかしさがそこははある。そういう点からいって、公立の大学、国立の大学を目指す子供たちの数は進んでおるのだけれどもかなえられる数というものが全国最低である。  この問題について、私どもは実は何としても国立の大学を青森において誘致することができないだろうか、弘前大学の充実のためにやがて十学部までも日指して進むという計画もあるようですが、そういう計画の中にでも、また、県庁所在地であるところの青森市に国立の大学を設ける、置く、そういう方向はぜひとっていただきたい、私はこう思うわけです。  戦前は、青森師範学校があり、青森医学専門学校があり、国立の専門機関があった。戦後全部弘前に移ってしまったために、言うなれば敗戦の結果の被害を教育の場においても著しく受けているわけであります。いま行革絡みで学校の建築も思うようにいかない財政上のつらさがありますけれども、全国において県庁所在地で国立の大学がないというのは一つ青森市だけであります。ぜひこれからの構想の中で青森市に国立の大学をつくる機会というものを忘れないで対処していただけないだろうか。この点については文部大臣でもいいし、大学局長でもいいんですけれども日本は北方領土の返還というのが国民の悲願だということぐらいに、青森市民においてはあったところの国立の最高機関が復活されないものだろうか、こういう市民の悲願があるわけです。そういう意味において、五年計画でもいいあるいは十年計画でもいい、やがていまの凍結の時代から緩やかな時代が来るときに、ぜひひとつそういう方向をとるようにされないものだろうか、こういうことでお考えをいただければ、こう思いますので、お願いします。
  58. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 国立大学、特に地方の国立大学について充実整備を図ってほしいという御要望は各地からそれぞれございまして、青森市からもそういうお話のあることは承知をしている点でございます。  ただ、先生指摘のように、ただいまのところ財政的にも非常に苦しいということで、当面対応できる事柄ではないというぐあいに考えておりますが、地方の国立大学の充実そのものについては、私どもも基本的には考えていかなければならぬ事柄というぐあいには理解をいたしております。
  59. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私からもお答えしておきます。  結論はいまのようなことでございますが、私の出身県のことを申し上げてそれこそ恐縮ですけれども、あなたからいま似たようなお話がありましたから。  実は、宮崎県から七、八千人大学にいま進学しておる。ところが、その大部分は東京、大阪とか、福岡とか、そういういわゆる県外の大学に、席がないわけですから約五千人が県外にやむを得ず行っておる。これが県民の父兄の負担あるいは県民経済に大きな影響があると同時に、教育の機会均等が破られておる、こういうことが常に言われております。もっともだと思っているんです。  青森における状況も、私は実は青森市に行きまして青森大学というりっぱなのがありましたから、これは国立かと言ったら私立だと言う。弘前には元高等学校がありましたから国立弘前大学があることは承知しておりましたが、同じで、気持ちはよくわかります。  ただ、宮崎の場合もそうでございますけれども、いま直ちに大学をふやすということは、諸条件がまず整っておりませんし、青森の場合も同じだ、財政その他もありますから。しかし、私は今後機会を見てそういうところは充実していく、ただ学校をつくるだけ、数をふやすだけではいけませんけれども、内容の充実した、なるほど大学らしい大学だというものができることを目標に考えていくべき問題だ、かように考えておることを申し上げておきます。
  60. 関晴正

    ○関分科員 とにかく全国の大学進学率が三五%までいっている。青森はその半分そこそこという状態。いかに中央から離れているかという、疎外されているかという実態。宮崎の方は青森よりはずっと進学率が高くてもなお希望はあるだろう、こう思います。そういう意味において、かつて大学の地方分散だとかあるいは学園都市構想だとかいろいろありましたが、どれもこれも影を薄めております。しかし、国民に対する機会均等といいましょうか、そういう意味において、いま大臣が青森大学というのがあると聞いたと言うのですが、本当はあれは青森大学という名前がもったいないなと私は思っているくらい、私立の大学としてとても人様にこれはりっぱな私立の大学でございますなどと褒めて、勧めて評価できるようなものであるかどうかというと、なかなか言いにくいものがあります。これは大学局長よく承知しているだろうと思う。むしろあれは青森大学じゃなくて山田大学とつけた方がもっといいのだ。そうしないと、いろいろと戸惑いを与えて御迷惑をかける向きがあるのじゃないだろうかと思っているわけです。この問題についてはまたいずれじっくり取り組みたいと思いますが、幸い大臣が私どもの県に対しても心を込めてのお答えがあったことをありがたく思いますので、ぜひひとつその向き、事に向かって進んでいただきますことを希望して終わりたいと思います。
  61. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  62. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 まず冒頭にお尋ねをいたしたいと思いますのは、最近、校内の暴力あるいは非行少年などということがテレビあるいは新聞に出ない日はないというくらいにぎやかな状態であります。この現況と、それからその現状認識と対策についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  63. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 青少年非行でございますが、最近の傾向は、いわゆる第三のピークと言われる状況になりましてからまだ低落傾向になっていないわけでございます。しかし、最近の東京都内等におきます傾向を見ますと、全体といたしまして非行の数は鈍化をしているという傾向がございますが、その中で、中学校におきます教師に対する暴力の傾向がふえているというデータが出ておりまして、私どもとしては、学校教育におきますこのような教師に対する暴力の増加傾向というものは大変ゆゆしい問題だというふうに認識をしているわけでございます。  この原因につきましては、いろいろ考えられるかと思いますけれども一般的な風潮といたしまして、学力を過度に重視する風潮でございますとか、あるいは余りにも豊かな社会の中で生きる目標をどのように定めていくかという生き方の問題でございますとか、いろいろございますし、また、家庭が非常に子供が少なくなっておりますことあるいは核家族化しているとか、いろいろなことがございまして、従来持っておりますような家庭教育力、教育の機能と申しますか、そういうものが衰弱をしているのではないか。家庭におきましては、消費傾向を反映いたしまして、過保護でございますとかあるいは逆に放任でありますとか、そういうことがありまして、家庭において教育されるべき基本的な日常的な生活態度というふうなものが十分に育成されないで学校に来ている。  また、学校におきましては、学校教育指導にも確かに問題があろうと思います。この教育指導につきましては、現在新しい教育課程の実施が進んでおりまして、ゆとりを持って充実した学校教育ができるように制度的には配慮をしているわけでございます。しかし、いろいろ問題の起こる子供につきまして学校全体が生徒指導体制をしっかりと組織をいたしまして対応しているかどうかということになりますと、その点の問題があろうかと思います。学校が校長を中心とした一体となった生徒指導体制ができない場合にいろいろな問題が拡大をするという傾向がございまして、いろいろ問題が起こりましたケース分析してみますと、異口同音に申しますのは、学校におきます生徒指導体制の十分でないという点の反省がございます。  そのほか、社会におきましても、地域社会の持っておりますところのこれまでの連帯感によります地域社会教育力と申しますか、お互いに近所の子供自分子供のように教育をしていくというような考え方が薄れている。特に都市でございますとかあるいは新興住宅とか、そういうところにいろいろ問題があるわけでございまして、いずれにいたしましても、この起こってまいります原因につきましては一つ原因として考えられない点がございますので、私どもとしては全体的な問題としてこれをとらえ、学校におきましては学校教育活動を充実する、生徒指導を充実するという観点から取り組んでまいりますし、また、家庭に対しましても社会に対しましてもこの問題についての協力を求めて、学校家庭社会が一体となってこの問題に取り組んでいくということで、その考え方を基本といたしまして都道府県教育委員会等を指導してやってまいっているところでございます。
  64. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで、けさの新聞にも出ておりましたが、中曽根総理大臣は非常にせっかちでありまして、聞いたことをすぐ矢継ぎ早に言うては、対策を立てい対策を立ていと言うてせかす。事務当局はてんやわんやの大騒ぎで、どうしていいやらさっぱりわからぬ。忙しいばかりだ。こういうようなことがけさの新聞におもしろ半分に書いてございました。その中に非行少年対策という問題がありまして、総理府中心となってまとめようとしておるようでございますが、文部省も実際は途方に暮れているというのが実態のようであると私はにらんでおります。  そこで、やはり問題となるのは、政治家だけじゃなくて、国民全体の、なかんずく教育界における倫理の確立というようなものが明確にならないから、先ほど憲法論争も関さんとの間でお話があったようでございますが、ともかく倫理というものが明確になっていないというところに非常に大きな原因があるのではないかと私は思っておりますけれども大臣、どう思われますか。
  65. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 結論から申し上げると、そういう点が大きな原因一つになっておると思います。  私がかつて文部大臣に就任いたしました際に、記者会見で、非行の大きな根が、そればかりじゃありませんけれども、占領政策に大きな根が、関係があるということを申し上げました。ところが、それが何か占領政策を云々して憲法をどうだこうだ言うのだろうとか、あるいは昔に返る、昔の道徳に返るのだとか、戦前の社会に返そうとしているのじゃないかとかいう、間接的な批判、記事等がいろいろありました。国会でも一部そういう意味の御質疑を受けたことがあります。  少し長くなって恐縮でありますが、私はそういう意味じゃなくて、占領政策というものは、それはやはり外国の軍隊でありますから、日本の実態に対する研究は詳細にしておりましたけれども、しかし社会構造、国の成り立ちが違いますから完全な認識はなかったと私は見ておりますが、従来のあの長い戦争行為をやった日本に対して、過去の日本社会構造、歴史、伝統、風俗あるいはいわば道徳、これが全部こり固まってこうなっておるという見方をしまして、簡単に申し上げると全部これを御破算にしなければならないという占領政策を行っておりました。また、そういう指示をしておるわけでございます。率直に言って、時代が大分変わりましたから、それは一面私は間違っていなかったと思うのです。実はそのくらいしなければ世の中というものはなかなか改まるものじゃない。  そこで御承知のとおりに、日本の歴史もあるいは従来の道徳も家庭のことも、あるいは隣組という、先ほど隣人としての教育力という話がありましたが、そういうものもすべて破壊されてしまった。そして、人間尊重結構でございます、個人の尊重結構でございます、それが強力に反動的に推移してきている。あらゆる制度はそういうことで来ている。これはいまの憲法の人権の尊重、自由の尊重、これにあらわれておるのでありますが、それも正しいことなんです。  ただ、こう言っちゃまた怒られる点があるかもしれませんけれども、わが国の国民の受け取り方が、反動として、そうだ個人だ、自分だ、これだけに集中してきている。それがひいては、当然のことでございますけれども、欲望の赴くところ経済の急速な発展になって、そして個人を尊重しなければならない、それが大事なんだけれども、その間における、先ほど私は妙なことを言いましたが、自分が生きることは人を生かすことだという社会連帯の意識があらゆる面で少なくなってきた。あるいは国際連帯ということも盛んに言っておりますけれども、そういう世の中にならなければいかぬのですが、憲法でうたっておるけれども国民の意識に深くとどまらなくなってきた。まだそれが続いておる。それが高じてきていろいろな問題が起こってきておる。道徳とか社会倫理とかより、自分さえよければ人のことは考えなくてもいいとかいうような観念が、あらゆる階層に、政界と言わずあるいは官界と言わず、ましてや財界その他いろいろな面に非常に浸透してくる。わが国ではいまわが民族的に、国民的にこれでいいのかということを、昔に返れと言うのじゃありません、本来の意味の憲法の精神をよく深くかみしめて、もう一遍反動の揺り戻しをするくらいの考え方をみんなで努力しなければいかぬ時期に来ているのではないか。  そういう意味で私は占領政策に根があるということを申し上げておるのですけれども、私はそういう見方をしております。校内暴力青少年非行等もその一環である、その一つのあらわれであるという感じがしておるわけでございます。
  66. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 私は、教育界あるいは社会家庭あるいは政治家にとりましても倫理の確立ということがなおざりにされておるから、社会全体が乱れてき、しまいには警察官にまで、ばくちというものが大したものではない、あのぐらいはよかったと思った、こういうような発言がひょろっと出てくる、そこまで社会全体というものが腐りかけてきているのではないかという憂いを大臣、持っているのです。  そこで、妙なことをお尋ねいたしますが、委員長、ちょっとお許しください。大臣のような方は別といたしましても、いまここにいらっしゃる方は皆高級官僚です。その皆さんにちょっとその手だけ動かしていただきたいと思うのですが、一カ月に十万円は確実に間違いなく貯金をしているよという方がいらっしゃったら、ちょっと手を挙げてみてください。——ないですか。世界に冠たる日本の高級官僚においてさえ、そのとおりであります。  大臣、ここをよく聞いていただきたいのですが、いま私はだれとは申し上げません。申し上げませんが、金目だけで申し上げますと、たとえば五億円のお金をためようといたしますと、利子をつけないで元金だけためていったとするならば、これならば小学校生徒でもわかりますから、毎月十万円ずつ貯金をして五億円になるのには一体何年かかるだろうか。そうすると大臣、四百十七年かかりますよ。そこで困ったです。四百十七年といったら私も生まれておらぬし、わかりません。  それで図書館で調べてみました。それに最も近い、国民がよく知っている時代は一体いつだろうかということを調べてみますと、織田信長が本能寺におきまして明智光秀に殺されたこのときが天正十年六月二日、一五八二年でございまして、ちょうどいまから四百一年前なんです。ですから四百十七年前からといったらそれよりまだ十六年昔から、すなわち足利幕府倒壊の日から毎月毎月日本の金で十万円ずつためてこないときょう現在五億円にならないのです、利子をつけないでためたとして。  ですから、国民から見ますと、五億円というのは途方もない大きな金だなという感じがしております。そこへもっていって政界の頂点におられました田中議員さんが、これはまだ疑いの段階じゃないか、検事求刑の段階じゃないか、判決が出たわけじゃない、しかも最終審が出たわけじゃない、こういういろいろなにぎやかな議論がございますけれども、いまここにお座りになっている公務員の皆さん方というのは、この間の警察官と同じことでありまして、とにかく刑事事件で起訴された段階で、もう出てこぬでよろしい、謹慎せよという状態になる。そして、もし一審判決で有罪なんということになったらもちろん懲戒解雇、こういうことになるわけでございますから、一般公務員の人は一般国民とは全然違ったモラルを要求されておりますね。なればこそ公務員法というものがありますね。国民の規範にならなければならない、公務員の皆さんはそういう立場にある。  その公務員の皆さんよりもっと高いモラルを要求されておるのが私ども政治家じゃないでしょうか、特に国会議員ではないでしょうか。その国会議員の中でも総理大臣ということになれば日本最高の地位に立つわけでございますから、そういう立場に立たれた人は、李下に冠と言います、いやしくも五億円を収賄したのではないかという疑いを受けた限りその身の進退を鮮やかにするべきではないかというのが国民七五%の意思であるということは、世論調査をごらんになってもおわかりのとおりであります。  そこで、人間をつくり上げていくという教育界の最高の地位に座っていらっしゃる大臣といたしましては、この田中議員のなかなかおやめにならない、疑いをかけられたぐらいでやめられるかという姿は正しいな、それが本当だよ、それが倫理だよというふうにごらんになりますか。
  67. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 岡田さんからすばらしいことを教えていただきました。十万円ずつためて四百十七年もかかるのでしょうか。思ったこともありませんけれども、天正十年まで、そんなにかかるのでしょうか。いまNHKで徳川家康のドラマをやっておりますが、私はあれは、山岡荘八さん全部読んだ記憶があるのですけれども、そこまでは考えなかったのです。(岡田(正)分科員「関ケ原で徳川家康が勝ったのが三百八十三年前です」と呼ぶ)そうですか。だから今月中に本能寺が始まるのではないかという気がしておるのですけれども、いま信長が一生懸命暴れておりますが、あるいは来月になるのかもしれません。  そういう計算はしたことはありませんが、私は現在、個人の名前を指摘されてのお問いでありますけれども、そういう個人的なことは差し控えます。差し控えますが、子供教育するというのは、言葉や文字だけじゃだめだと思います。私は、体、姿勢で教えるということが幼児時代から小中学校あたりは一番の教育になる。その先生がどういう姿勢をしておられるか、どういうマナーを持っておられるか、あるいは父母がどういう日常生活をしておるか、親の影といいましょうか、先生の影といいましょうか、これが一番の大きな教育だという、昔人間ですからそういうことを言うのかもしれませんけれども、いまも信じて疑わない。でありますから、社会でいいますと、青少年指導するということは口や言葉よりも先達、年長者といいますか先輩といいましょうか、先輩の行いというものが青少年の目と心に大きく映る。でありますから、その先輩といいますか年長者は、青少年を、これはわれわれの子供ですから、後継者ですから、後継者が真っすぐな道を歩くためには、人のふり見てわがふり直せということを昔から教わっておりますけれども、正すべきものは正す、こういう点がわが国にすたっておるということを私は嘆いて、占領政策もあれこれ意見を申し上げておるのです。偉そうなことを言っておまえはどうだと言われると、もちろん人間でありますから欠点だらけでございますけれども、私自身は政治家と言われておりますから、政治家は最高機関といま言われておるそういう時代でありますから、可能な限り身を持するということに努力しておりますが、そうあってほしいということだけを申し上げておきます。
  68. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 いや、さすがに文部大臣ですね。近ごろ本当にすばらしい答弁を聞いたと思います。本当に人間はそうでなくてはならない。なかんずく政治家はそうでなくてはならない。  これは大臣、私、非常に心配しておりますのは、いわゆる生徒学童の中で、ちょっと悪いことをするでしょう。その悪いことをした人をつかまえまして、何ということをやる、そんなことをしてはいかぬじゃないか、こう言ってやりますと、このごろはそれに口答えをする子供がふえましたね。その口答えをする子供たちの中で、全部じゃありません、ごく少数でありますが、ちょっと頭のいい子供になりますとこういうことを言いますね。何を言うんだ、総理大臣だって悪いことをしたってちゃんと国会へ行っているじゃないか、何でおれが怒られなければいかぬのだ、そんなことを言って僕だけいじめてうれしいんか、こういう言い方をするそうですね。これには先生が唖然とするそうです。何と言って教え諭していいかわからなくなってしまう。これは大臣、大変なことですよ。  それで、頂点に立つ方のその姿が何となくあいまいで、結局裁判に持ち込んだまま、はや七年目に入りかけようとしております。こんなことは国民にはわかりません。私は非常に恐ろしいことだと思います。  かつて、これは大分昔でありますけれども、ドイツにおきまして宗教改革者と言われましたマルチン・ルター、大臣、御存じでしょう、有名な方ですからね。このマルチン・ルターが言いました言葉の中でこういうのがあります。ある人が、どういう世の中が一番こわいですかと、こういう質問をしたのです。そうしたらそのときにマルチン・ルターいわく、裁きのない世界が一番危険である、こう言った。まさにいま日本の国の中がそうなっておるんじゃないでしょうかね。ですから、現職の文部大臣としては個人的な名前を挙げての質問にはなかなかお答えがしにくいと思いますけれども、しかし、大臣の腹の中に思っていること、これはいまもう切々と言われました。全部で六つほどの項目に分けて言われましたが、私は非常にりっぱだと思う。その精神を貫いていただきまして、後日この問題が表に火が噴いたときには、さすがに日本を代表する文部大臣だわい、違うわいというところを、鮮烈な姿勢というものを子供たちや親たちに示していただきたい、このことを私は希望を申し上げておきます。  それから、時間がなくなりましたのでもう一つだけに縮めさせていただきますが、私、高等学校の校長先生のお話を二、三開きますと、驚くべきことをおっしゃるのですね。それはどういうことを言うかといいますと、何とまあ先生聞いてくださいよ、一体中学校というのは何を教えているのだろうかと、こう言うのですね。これにはたまげましたね。私は小学校教師じゃないのでようわからぬから、何を言うのかなと思って聞いていましたら、英語のアルファベットもわからず、そして掛け算、割り算もろくにできず、もちろん分数の計算なんというのは全然どこかよその話を聞いておるような姿である、こういう人が高等学校に入ってくるのですよ、中学校では一体何を教えているのでしょうか、こういう質問がありました。それは私は答えようがない。ようお答えができませんでした。  お答えはできませんでしたが、わかりますのは、いま少年非行が横行し、校内の暴力が横行しておるのは、もっぱら中学校ですね。このことを考えてみると、社会の一部には、この際戦前の教育制度に戻して、いま高等学校も九七%から進学しているのだから高等学校までを義務教育制にせよという世論の強いときでありますが、逆に、義務教育は小学校だけにして、中学から上は義務教育でないようにした方がかえって健全な子供が育てられるのではないか、義務教育だからどんな悪いことをしたって学校から放り出されるおそれはない、何をやったって勝手だ、文句があるなら学校から放り出してみろという姿勢がありありと見える、これは恐ろしいことだ、義務教育だから退学させられない、退校することができない、ちゃんとそれを読んでいる、これは実に大人の知恵としか言いようのないことでないでしょうか、だから義務教育制度というのは考え直すべき時期が来ているのではないかという声が国民の中の一部にあります。教育の最高の責任者であります大臣はどのようにお考えでしょうか。
  69. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いま岡田さんがおっしゃったような意見を述べて私のところへ手紙をくれる人が、専門家でおります。また、書いた物を見てもそういうことがあります。私は、そういう学制制度その他については、正直言ってまだつまびらかにしない。素人でありますから、この学制制度というものを簡単にあああるべぎだ、こうあるべきだという意見を申し述べることは控えております、間違いを犯すおそれがありますから。  しかし、やはり三十数年たっておりますし、物事というものは五十年、三十年の歴史のうちにはずっと変化を来します。弊害も積み重なってくる。場合によっては悪いことになる場合もあります。でありますから、そういう点を検討していかにあるべきかはやはり研究してみる必要があると思いますが、どうあるべきかということについてまだまだ確たる意見がそろうという状態ではないように思います。これは専門の中教審等いろいろありますから、学校教育についてそういう点でも研究してもらっておりますので、そういう意見を聞きながら考えなければならない。これは国民全体の重大な問題でありますから軽々に結論は出せない、これがいま私の感じでございます。
  70. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 最後の質問にさせていただきますが、主任手当の現況についてお知らせください。
  71. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 主任手当につきましては、昨年一月沖縄県におきまして実施をされましてから、全国すべての都道府県におきまして完全に実施をされたわけでございます。したがいまして、手当は現在全都道府県において支給されておりまして、支給総額は五十六年度で見ますと約百九億円でございます。  これに対しまして、日教組等の一部の組合の方針といたしまして主任手当を拠出することを運動として展開側しておりまして、それに協力する主任等が全国的に見ますと、日教組等の発表によりますと額にいたしまして約二割程度に及んでおります。文部省としては、手当が学校におきます主任の重要性にかんがみまして国費を使って支給するということで行われておりますので、このようなことはきわめて遺憾なことだということで、昨今通知を出しまして、これが適正に使われるような指導を各都道府県におきましても徹底するように指導しておるところでございます。
  72. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 時間が参りましたので、希望だけ申し上げておきます。  この主任手当を出す経緯については、もうここで論ずる必要も何もございません。学校の運営をより円滑に、そしてよりよい教育ができるように、そして校長が安心して学校の運営に当たられるように、それを助けるためにもつくられた制度でございますから、そのために御苦労さまというので主任手当がついているんですから、せっかくいただきました主任手当を日教組といういわゆる組合の活動のために使用するなんということは、国民の目から見てまことに不純である、まことにわかりにくい。こういうことをするから、教育の倫理というものが崩れていく一つ原因になっておると私は思います。そういう点で国民の中では、この主任手当というものが有効に使われていないとするならばそんな余分なものを出すのをやめてしまえ、百九億の金ももったいないじゃないかということを言っております。今度の厚生年金を抑えただけでも、実に五百四十万人の人たちの厚生年金のベースアップ、いわゆる物価スライドを抑えた。何ぼ抑えて節約したか。五百四十万人でたったの三十五億円です。こういうことを考えたら、一般の行政職の職員よりも一割も一割五分も余分の手厚い給与を差し上げておって、さらに主任手当を差し上げておるのに、それに対してどうも野方図な取り扱いをされておる、国民は非常に怒っておるということを十分御認識いただきまして、徹底した指導をしていただきますように希望申し上げまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  73. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  74. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 六十三年に京都国体が、二巡目の出発として現在のところ予定されております。そういう中で、従来の考え方にとらわれることなく、現在京都といたしましてもいろいろな面で準備を進めておるのが現状でございます。  たとえば競技会場地市町村を内定したとか、あるいは五十八年度の文部省の現在の補助金、運営費として群馬県に、まだ一巡目の終わりじゃないのですけれども、最終の方でございますけれども、四億四千三百六十万円、こうなっておりますね。国民体育大会開催都道府県や市町村では、体育の施設の整備であるとかあるいは道路等関連施設の整備、その他運営のための諸経費等、多額の支出が御承知のとおりございます。  そこで、国民体育大会を、日本体育協会を中心に、より開かれた国体、より身近な国体として国民のニーズに合ったものに改革し、国民の体育、スポーツの祭典にしよう、そういった検討も進められております。そういうものを踏まえて、とりあえず諸経費というのは相当かかります。運営費以外のもので、その他の体育施設の設備やらあるいは道路等の関連やら、そういった面で今後の開催地における運営その他の諸経費に対してどう考えておるか。並びに第二巡目を迎えていく第一回目ですから、これまた全く新しい立場での、本当に国民に開かれた国体としてどうとらえておるのか。その点で、とりあえず諸経費に対する対策を最初にお述べいただきたいと思います。
  75. 西崎清久

    ○西崎政府委員 ただいま先生のお尋ねの二点でございますが、第一点の諸経費に係る国の補助の問題でございます。  国といたしましては、国も主催者の一員であるということから、運営費の一部についての助成を行っておるわけでございます。この運営費の一部の補助につきましては、競技費であるとか式典費等が入るわけでございますが、いまお話がございましたように、群馬県の五十八年度の補助につきましては四億四千三百六十万円という助成を予算に計上いたしたわけでございます。この点につきましては、国の予算としては五十八年度大変厳しい状況があったわけでございますが、五十七年度の島根国体に係る補助とぴたり同額ということで、削減することなく計上し、国としては努力をいたしたところでございます。  運営費につきましては、私どもとして昭和四十九年以来、国民体育大会については質実な運営をやってほしいということでかねてから指導いたしております。やはり今後もこの点については努力をしつつ、運営費についてはその時点時点における助成について考えてまいりたい、こういう点で今後も対処してまいる所存でございます。  それからなお、施設費についてでございますが、体育館とかプールとか、いろいろな社会体育施設に係る国庫補助予算、五十八年度につきましても約百億余を計上いたしております。開催県の国体施設に係る申請がございます場合には、優先的に国の補助について採択をし、国体の開催に施設面でも支障がないようにという点については今後とも努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  それから、第二点目にお尋ねの第二巡目の国体のあり方でございますが、先生御案内のとおり、京都が自主的に懇談会を設けられまして二巡目のあり方について種々討議をされ、そして体協の方に国体委員会というのがございまして、体協の方の国体委員会における二巡目のあり方の検討にさらに挙げてただいま審議が行われておるという段階でございます。参加の範囲の問題であるとか人員の問題であるとか競技種目の問題等、多々検討課題があるわけでございまして、体協の中における開催予定県も含めた議論が詰まった段階におきまして、私どももその結果を踏まえて種々体協等とも協議をし、開かれた国民スポーツの祭典としての国体のあり方というものを考えてまいりたい、こういうふうな考え方でおります。
  76. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま二巡目の問題で、充実したものにということで現在体協で検討されておるということでございますけれども、その検討の中身、何らかのものをキャッチされておりましたらここでお述べいただくのと、同時にまた、体協任せということでなくして、文部省として国体をどのように指導し——それからさっきの諸経費、いろいろなものに相当かかっております。そういう面で、また二巡目というのは、一巡目の惰性ではなくしてどこまで意欲的に文部省として取り組んでいく考えなのか。その面もあわせて御答弁ください。
  77. 西崎清久

    ○西崎政府委員 二巡目の国体のあり方につきましては、先ほど申し上げました体育協会の中の国体委員会というものが、三月十六日の理事会へ報告をしようということで中間報告をまとめておるわけでございます。この中間報告で全部尽きるわけではないと思いますが、若干その内容を御紹介いたしますと、成年二部を設置する。これは、従来の競技能力にすぐれた者以外の者に国体参加の機会を与えていこうというふうな考え方一つあると思うわけでございます。それから二点目は、総合成績採点方法を簡略化する。天皇杯、皇后杯にかかわるわけでございますが、採点方法の簡略化の問題。その他、中学生の参加の問題をどうするかとか、参加人員はふやさないことが原則であるべぎだとか、それから内定の時期を少し早めてはどうかというふうな諸点について中間報告の内容があるわけでございます。しかし、これは今後、理事会へ答申という形で出されました以後さらに検討が行われると思います。  さらに、文部省としてもこの点について十分検討し、指導を行うべきではないかということのお尋ねでございますが、すぐれてスポーツは自主的、自発的活動でございます。アマチュアスポーツ団体の統括団体として体協があるわけでございます。まず私どもとしては、体協における一つ考え方をまとめていただきまして、その上で、その結論に基づく内容について文部省も十分協議をさせていただく、そして文部省と体協との協議の結果に基づきまして開催基準要項というものの改正を図ることにいたしたい、そのプロセスにおいては文部省としても十分考えてまいりたい、こういうふうに考えております。  諸経費の問題でございますが、この諸経費は先ほどお答え申し上げました質実であるべきだという点、私どもとしては今後とも各開催県に対する指導を重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。しかし、国としても施設設備なりあるいは運営費について応分の助成をすべきではないかという御指摘の点でございますが、これは、国家財政全体の問題の中で国体に係る補助がどの程度可能であるかというところで、年度年度の問題として検討をいたさねばならない問題でございまして、私どもとしては五十八年度においても精いっぱいの予算を計上したつもりでございまして、今後におきましても大会の諸経費の節減を図ることを求めると同時に、国としても努力をする、こういう立場で考えてまいりたいというふうに思っております。
  78. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 各種競技団体あるいはスポーツ団体からの要望、どのようになっておりますか。
  79. 西崎清久

    ○西崎政府委員 諸経費の問題でございましょうか。
  80. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 諸経費もそうですが、中身に関して。
  81. 西崎清久

    ○西崎政府委員 失礼いたしました。  まず中身に関しての問題でございますが、各種競技団体につきましての要望ということでございますけれども先ほどお話し申し上げました体協の中に国民体育大会委員会というものがございまして、その委員会の中に各種競技団体の代表者が入っておるわけでございます。たとえば陸上とかホッケーとかカヌーとか、いろいろ入っておりまして、この大会委員会の中における各競技団体の、全部ではございませんが、代表者が入っておるところで競技団体の意見がそれぞれ開陳され、そして討議の場に供せられておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。個々に申しますと競技種目は三十五種目以上あるわけでございまして、それぞれの競技団体の事情がございます。個別にわたりますので私どももいま現在全部は把握しておりませんが、各競技団体の意見の集約と開催県の都合、そして主催者である体協、文部省考え方、それらを総合して今後の二巡目のあり方を決めてまいらなければならない、こういうふうに考えております。  それから、諸経費の問題につきましては、開催県からの要望とそれから競技団体の要望、これはそれぞれもちろん増額ということでございまして、国としての運営費はぜひたくさん出してほしいということは競技団体からも出るわけでございます。先ほど申し上げましたような国家財政との兼ね合いで、今後の検討課題ということにさせていただきたいと思います。
  82. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま御答弁いただきましたこの二巡目以降の国体のあり方ということで、国体小委員会、こういったところが、一部、二部、こういう考え方で進めてきた、そういう案を出しておる。  私、思うのですけれども国民に開かれた国体、より身近な国体として、関係者の一部の人がやっておるのではなくして、やはり一部、二部と大きく開いていって、そして、全員というわけにいかぬかもわからないですけれども、より大ぜいの人たちがそういったものに参加できるような体制、こう考えていいのでしょうか。
  83. 西崎清久

    ○西崎政府委員 現在体協内部に設けられております国体委員会で、成年の部を一部、二部というふうに設けて、二部におきましては従来参加したことのない選手が参加できる道を開く、こういうことでございますから、考え方としましては、先生がおっしゃいましたとおり、できるだけ多くの国民が国体に参加できるようにという考え方を基礎としていくというふうに私どもも理解しておりますし、この考え方が今後体協内部における検討、そして全体の姿としてどういうふうに最終的にまとまるかというところで私どもも対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  84. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは文部大臣、いま国体の二巡目のあり方として京都におきましては、一巡目も一番最初に京都から出発いたしまして、そしていよいよ一巡目はもうじき終わるわけでございますけれども、この二巡目の出発に当たって、いま文部省としていろいろ御答弁いただきましたけれども、現在、青少年非行化問題、暴力問題やら、いろいろなものがございます。これは教育の中での知育、体育、徳育、先ほどから大臣からも御答弁いただいておるとおり、非常に重要な立場ではないかと思います。スポーツマンシップを入れた中でいかに人間教育をしていくか、そういう面も含めて、この二巡目というものが本当に新たな国体、本当に国民のニーズに合った、そういうものにとらえて重点的に文部省としての措置考えていただきたいと思いますので、大臣としての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  85. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 おっしゃるように、国民体育大会、いわゆる国体、これがもう一巡する、一巡を終わるということになります。これはまさに全国民的な体育大会で、これに参加することを非常に誇りにするといいますか、喜びを感ずるということがずっと続いてきておるわけでございます。  ただ、私ども専門家じゃありませんが、従来、各県各県によって事情は違いますけれども、だんだん余りに華美に流れ過ぎはしないかという、経費その他の問題もあるのでしょうが、批判がたまには出ておった、こういうことを感じるわけでありますが、局長からいまいろいろ御説明申し上げましたように、そういう一巡目の終わりました過去の経験を生かし、さらに、国民的な本当の体育大会でありますし、特に青少年が、甲子園に行ったという誇りを持つと同じように、国体に出た、それだけでも喜びを感じ、またそれを一生の思い出にする。私は、見ておりますと、全部というわけにはいきませんでしょうが、およそスポーツや音楽等に非常に喜びを感じて努力しておる青少年は余りいわゆる非行には走らない面があると思います。  そういう意味で、教育的効果も非常に多いわけでございますから、過去のいろいろないままでの長い経験から二巡目のあり方というものは、いま局長から説明をされましたけれども、それぞれ体協とかその他の関係者、識者の意見を聞きながら、もっと改善すべきところは改善された姿でやるべきものである、かように努力をしたいと思っております。
  86. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 次の問題で、同じく中学校非行暴力問題やらいろいろなものも含めて、中学校における学校給食の教育的効果——いろいろ過去の例におきましても、いままで給食を行っていなかった中で、校長先生が赴任したときには、何しろ暴力やら服装やら、それからいろいろな生徒たちの問題やらで非常に荒れていた。そういう中で、父兄あるいはいろいろな人たちと相談した中で学校給食を実施して、そして給食をやっていく中でいろいろ対話を深め、あるいは子供たちに給食を通していろいろな面の人間的なものを教えていこう、こういったもので非常に効果を上げていった。もう非行が全然なくなったというようなものも一部報道されておりましたし、そういうものをどのように教育的効果として評価しておるか、最初に御説明をしてください。
  87. 西崎清久

    ○西崎政府委員 学校給食につきましては、まさに先生おっしゃいますようにいろいろな教育効果があるわけでございまして、私どもとしましては、三点、効果として整理できようかと思うわけでございます。  まず第一点といたしましては、申すまでもなく健康の増進と体位の向上、それから正しい食習慣の形成、それが第一点。それから第二番目としては、教師と児童生徒の心の触れ合いの場をつくるということに大変役立つものではないか。この教師子供との心の触れ合いの場をつくるところにおいて、ただいま先生おっしゃいましたような非行の問題における教師子供との関係に大変有意義な点があろうかと思うわけでございます。それからまた第三点といたしましては、児童生徒同士の協調の精神とか作業を共同にするというふうな考え方、これは集団的な立場におけるそれぞれの個人個人のあり方、こういうふうに申し上げられましょうか、そういう生徒同士における触れ合いというところでなかなか効果がある。こういうふうな点で三つの効果を私どもは整理しておるわけでございますが、第二点、第三点の教師生徒生徒同士、これらの点につきましては、確かに生徒指導の面で非常に大きな効果があるのではないか、先生の御指摘のとおりであろうかと存じます。
  88. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 現在、中学校学校給食の普及率はどのようになっておりますか。特にその中で京都の場合を例を挙げて説明してください。
  89. 西崎清久

    ○西崎政府委員 学校給食におきます中学校の普及率でございますが、昭和五十七年度の統計によりますれば、中学校の全体の普及率は全国的に八二・二%でございます。ただし、完全給食をやっておる率は五七・五%でございます。この完全給食の点が、小学校の場合はもうすでに九八%になっておりまして、中学校の完全給食が五七・五%であるというところが小中の際立って異なるところでございます。  そこで、全体の中学の給食の状況はどうかと申しますと、長野県など八県は九〇%以上でございます。五〇%以下が大阪、京都など十県ございます。したがいまして、全体が五七・五でございますから、まあ九〇%以上のグループと五〇%以下のグループ、ほぼ十県、十県というふうに分かれるわけでございますが、京都につきましては、残念ながら一〇・一%の普及率でございます。中学校につきましては、京都の場合は大変低いという数字でございまして、これが実情と申し上げざるを得ないわけであります。
  90. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 この間、全国的にいろいろな問題はあるわけでございますけれども、たとえば町田や横浜でいろいろ中学生の問題が大きく出ましたね。そこは、私も調べたのですが、町田の中学、やはり学校給食は行っていません。それから横浜も行っていません。まあ短絡的にそれだけが結びつくなどとは私は考えておりませんけれども、しかし、いま局長からも答弁をいただいたように、この給食を通して人間的な触れ合い、またいろいろなものを学ばせていく。たとえば、先ほど私申し上げました例で、いままで給食をやっていなかったときには、弁当を持たせてくる家庭は少ない、その地域において。生徒が何百円か持って、そうしてパン屋へ走る。だが、中には仲間にその金を巻き上げられる。あるいはパン代がたばこ代に変わるのもいる。あるいは腹を減らして、金を巻き上げられちゃうんですから、学校の片隅でぼそぼそとしておる。あるいは簡単なパンを買ってきてぼそぼそ食べておる。こういうような、生徒にとったら非常にさびしい思いをさしておった。ところが、給食をやることによって、生徒にももちろん自立的に手伝わせ、そして食べ物に対する、自分たちが給食をやっていただけるというそのありがたさ、そういった面や、給食の時間で、だんだん時間がたっていく中でビデオを見せたりして、こうやって給食ができるんですよ、ここまで、食事ができるまでにはいろんな苦労があるんですよというものを見せたり、あるいは栄養失調でおるカンボジアの難民の子供たちの写真なども見せたり、いろいろと苦心をしておる。あるいは、ときには学校で親子でもちつき大会をやったりして、そして触れ合いを持っていって、その非行というもの、大変なものであったものが完全になくなっていった例、これを私考えるのですけれども、特に京都でも少ないです。あるいはいろいろと問題になっているところでも、調べていただければ恐らく給食はないところでございましょう。  そういう中で、完全給食ということはなかなか大変なことでございますけれども、まずいま児童にとってカルシウムなどは物すごく大事ですね。そういう面ではカルシウム、ビタミン等を含んだミルクの給食、こういったものが一部始められないか。私の育った環境から考えてみますと、私は農家で育ちましたけれども、当時給食なんて確かにございません。しかし、寒いところでしたから、特にそのときに寒い期間だけ親が交代で出てきて、みそ汁をつくってくれた。そしてみんなが持ってきた野菜などを入れてやってくれた。そのありがたさは——もちろんみんなで運んだり、そしてみんなに渡していくのや、いろいろ全部そういうのまで生徒が手伝ってやった。そういうのは非常に心に残っていますね。そういう面から考えて、まず始められるところからこの給食が実施できるようにしっかりと進めていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  91. 西崎清久

    ○西崎政府委員 中学の完全給食が都道府県の一部では大変低いということは遺憾でございますが、私どももぜひその推進方を各都道府県にもプッシュしておるわけでございますし、各都道府県もそれなりに努力し、検討をしておられるところでございます。  この点、ミルク給食のお話がございましたが、ただいま京都の話がちょっと出たわけでございますが、京都におきましては、校長会等の方々が集まりまして学校給食に関する懇談会みたいなものを設けまして、中学についてぜひ学校給食を推進しようではないかということでの検討が行われておるようでございます。完全給食はなかなかむずかしいかもしれないけれども、とりあえずミルク給食はぜひ始めたいというふうなことで、その懇談会では話し合いが進められておるというふうに聞いておるわけでございまして、一つの方向としましては、完全給食に至る前のプロセスとしましてミルク給食をまず始めるということは大変適切な措置であろう。また私どもも、これにかかわる助成があるわけでございます。始める場合には、その点の助成の適用についても十分考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  92. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 時間のかげんで、もう一点だけお伺いしておきます。  国立第二国会図書館の設立のために関西プロジェクト調査会ができて、この第一回目の会合が五十八年二月十七日に開催されました。この調査会に国立国会図書館長から諮問が出されておりますけれども、どんな内容でございましょうか。
  93. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 お答え申し上げます。  本年の二月十四日付で諮問が出されました。その諮問をいま読み上げます。「国立国会図書館法に規定する図書館の組織及び図書館奉仕の改善を目的として、関西地域に設置すべき施設及びその機能について」、以上の文言で諮問をいたしております。  なお、この諮問を受けまして、同二月十七日に第一回の調査会の会合が持たれたわけでございます。
  94. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その諮問に対する関西プロジェクト調査会の調査結果、こういったものはいつごろ出てくるのでございましょうか。
  95. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 その調査結果と申しますと、これは調査会のこれからの御審議によるわけでございますし、第一回でございまして、委員の諸先生方はほとんど館外の学識経験者の先生方でございますが、第一回の自由な意見交換をおやりになったばかりで、今後の調査結果等は、五月にもう一回集まって御相談いただくということになっております。それで、ここ両三年は調査段階というふうなお話もその中に出ておりましたので、われわれも大体そんなふうに承知しております。
  96. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 今後この第二国会図書館が着工されていくようになりますと、最近、欧米の図書館ではコンピューターやファクシミリを使って端末機のある各地域にサービスするシステムというものが普及されております。そういう意味から、このようなシステムというものを取り入れていくようなことが検討されておるのかどうか、キャッチしておったら御説明下さい。
  97. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 いまの件にお答え申し上げます。  もちろん、仰せのとおりいまいろいろ科学技術に基づきます新式の機械等が出ておりまして、図書館においでにならなくとも、それぞれの会社、事務所、あるいは家庭におきまして、いま仰せのようなファクシミリのような機械を使って本を読むあるいはコピーをとるということができる時代になってきております。いろいろ経費の問題等もございまして早急に広く普及するというところまでいくかどうか、これは今後の課題でございますが、同調査会におきましてはこういう点も含めまして御研究をお願いをする、そういうふうに申し上げてございますし、そのとおり非常に御熱心な御意見等も出ましたので、その方向は間違いなく調査会におきましても取り上げられ、そちらが積極的に推進をしていただけるというふうに考えております。
  98. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 時間ですので、もう一点だけお伺いして終わりたいと思いますが、この第二国会図書館に関しては、今後の問題でございますけれども、京都府を初め他の自治体からいろいろな要望が出ておりますが、どのような内容になっておりますか、それを御説明いただきたいと思います。
  99. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 要望といたしましては、各自治体からの要望書それぞれ表現が違っておりまして、一括と申しますと困難でございますが、要約をいたしますと、関西地区においては国立国会図書館が首都圏において提供しておるような便利な図書館サービスが欠けておるから、首都圏におけると同じレベルの図書館機能を発揮できるような施設を関西地方でも設けてほしい、こういうことになろうかと思います。  以上でございます。
  100. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 終わります。
  101. 西崎清久

    ○西崎政府委員 ちょっと補足して……。  先ほど先生にお答えしましたミルク給食に係る補助を私どもの補助と申し上げましたが、実際のミルク代の補助は農林省予算に計上されておりまして、畜産事業団を通じて交付されるものであるということをちょっと補足させていただきたいと思います。
  102. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。     午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  103. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。小杉隆君。
  104. 小杉隆

    小杉分科員 私は、私立学校指導監督というような面にしぼって御質問をしたいと思います。  特にこれは私立学校でも百年近い歴史を持つ名門の暁星学園に関することでございまして、この暁星学園の問題についてはたびたびマスコミでも取り上げられておりますし、私のところにもたびたび投書等が参っております。たとえば、いままでちょっと拾っただけでも、つい最近でありますが、一月二十九日付の新聞報道によれば、先生が職員室内暴力ということで、暁星国際で殴る、けるという暴力行為が行われたというようなことが報道されておりますし、そのことがいま発売中の週刊誌にも取り上げられております。さらに、三年前にもやはり週刊誌に「カトリック名門校の校長が学校屋と言われる事情」ということで取り上げられておりますし、さらに五十四年七月にも新聞紙上は、体罰高校教師の解雇撤回というような記事が出ておりまして、私立学校のことについてとやかく外部から言ったり、また文部省が介入をするということは好ましくないし、私自身もこの問題を取り上げるのは余り心が進まなかったわけですけれども、昨年来ずっと事態が変わらないでいまだに実態を訴える投書等が参っておりますので、あえてこの機会に文部省の対応をお願いしたいという観点から質問をするわけでございます。  そこで、私が一番大きな問題だと思うのは、異常な寄附金集めが行われているということなのです。これはよく調べてみますと、九段にある暁星の本校の事情によって寄附金がどうしても必要だということではなしに、五十四年に設立をいたしました千葉県木更津にある暁星国際学園、これは海外子女教育ということで、海外からの帰国者を対象とした高等学校あるいは中学校、この経営のために非常に多くのお金が要るということでございます。  ここに当初の設立の計画がございますが、この中には国庫支出金とかあるいは寄附金とかあるいは私学振興財団からの借り入れとかいろいろございますが、当初予定した寄附金が集まらなかったということで相当無理をした寄附金集めを始めているわけでございます。  暁星国際学園の設立に当たって国庫補助金が幾らくらい支出をされているのか。それから、国庫支出金を出す場合の条件といいますか、それはどういうことなのか、まずお答えいただきたいと思うのです。
  105. 大崎仁

    ○大崎政府委員 昭和五十一年四月に、実は海外子女教育のあり方につきまして学識経験者に御検討をお願いいたしておりましたおとりまとめが出まして、その御報告の中に帰国子女の問題についても御提案をいただいておりまして、帰国子女の受け入れ体制を整備する必要がある、その一環といたしまして、帰国子女を受け入れる高校を整備してはどうか、その高校の設置に当たりましては、私立高校の設置を助成をするという方法が考えられるのではないかという御報告をちょうだいしたわけでございます。  それを受けまして、文部省といたしましては、従来国際的な理解あるいは交流ということに意を用いてこられました私学等の御希望等も伺いながら、初めに国際基督教大学の附属高校というものの設置を助成をいたしまして、続きまして同志社にやはり同趣旨の高校設置を助成をいたしまして、三番目といたしまして、ただいまお話しのございました暁星国際高校の設置の助成ということを取り上げたわけでございます。  それで、結果的にはその三校を助成をしたということになっておりまして、その三校を対象とするにつきましては、いわば従来からそういう面での実績のある私学で、かつ御希望の表明があったところにつきまして検討させていただいた上で補助金を措置をした、こういう経緯でございます。  補助の内容につきましては、校舎、寄宿舎、体育館の建設整備に要する経費十四億七千万円のうち、昭和五十三、五十四の両年度にわたりまして四億八千万円を補助いたしております。
  106. 小杉隆

    小杉分科員 先ほど申し上げたように、この国庫補助金もかなり有力な財源になったわけですが、それでも寄附がなかなか予定どおり集まらないということで、この投書にも克明に書いてあるのですが、暁星国際高校ができてからここ数年間というのは、不正入学といいますか、裏口入学というのが行われているという指摘がございます。  これは特に幼稚園とか小学校に入学あるいは編入するときに、父兄に、願書の受け付けの期日以前から個人面接という形で、あなたは寄附をするかしないか、あるいはどのくらい寄附をするのかというような話が持ち出されまして、その金額について確約をした者については入学を認めるというようなことで、その合格の条件となる金額も、幼稚園、小学校という学校にしてはけた外れの二百万とか三百万とかいう金額が提示されているのですね。  私は極秘の資料も入手いたしましたけれども、本当に常識を外れたような金額を寄附しているのがいっぱいここに一覧表で出ております。  こういうことで、これが本校のたとえば老朽化した体育館を改築するために必要だから寄附をしてくれとか、そういうことであるならばまだ話はわかるのですが、その本校の必要からじゃなくて暁星国際の建設資金の足りない分を補うのだという形で徴収をされる、そういうことで果たしていいんだろうかと思うのです。  これは一つ学校法人として、九段の暁星とそれから千葉の暁星というのは一体としての一つの学園だから、そういう融通は法律上は認められているのかもしれませんけれども父兄の感情としてはやはりこれはちょっとおもしろくないと思うのですが、そういったような点についてはどういうお考えでしょうか。
  107. 阿部宏弥

    阿部政府委員 暁星学園は、先生御案内のとおり、学校法人といたしましては東京都所管の学校法人でございますが、持っております学校が東京都と千葉県にまたがってそれぞれございますので、それぞれの具体の学校の運営につきましてはそれぞれの東京都知事あるいは千葉県知事が所轄庁としてこれに対応するという形に制度上なっておるわけでございます。したがいまして、私ども、具体の運営につきまして個々に承知をしておるわけではございません。しかしながら、ただいま御指摘がございました寄附金の問題につきましては、一般的に、先生のお話にもございましたように、学校法人が行う寄附金募集というのは当該学校法人として行っておりますので、その具体に使われる先がどの学校に使われるかということについては、それぞれ適宜その法人で考えていくというたぐいのことであろうかと思います。  今回のケースにつきましても同じ学校法人の中でございますし、それからまた、募金の目的を明確にして具体に木更津の学校のためにということで使用しているのであるとするならば、その点については問題はないと思うわけでございますが、ただお話にございましたように、裏口入学でございますとか、あるいは寄附を条件にして入学をさせるというようなことがあってはならないことはもちろんでございますし、特に寄附というものは任意のものであって強制にわたってはならないというふうに考えているところでもございますので、今回の件につきましては、また東京都あるいは千葉県等から事情をよく聞いてみたい、その上で必要に応じて助言等も行ってまいりたいと思うわけでございます。
  108. 小杉隆

    小杉分科員 本来ならばこれは東京都とか千葉県の問題としてそれぞれ県議会あるいは都議会で取り上げるべき問題かもしれませんが、問題は東京都と千葉県にまたがっているだけにやはりこの場でただして、文部省として、両県にまたがる問題ですから、指導監督をひとつやっていただきたいという趣旨でいま取り上げているわけでございます。  この裏口入学の問題につきましては、何か昨年から抽せん制度を取り入れて、そういった従来のようなやり方を改めようという動きがあるようですけれども、この数年間の実態については、やはり文部省から、実態について東京都なり千葉県からひとつ実情を聴取していただいて、調べていただきたいということを要望しておきます。  それから、そのほかにもいろいろな事件があるんですね。これはいずれも財源を確保するためにやっていることなのでしょうが、たとえば後援会の幹部の人が所属しているある生命保険会社に、父兄の一人一人に加入をするように呼びかけまして、そして理事長や校長から直接その生命保険会社の社員を紹介して極力加入を迫っている。学校への収入は年に二千万円、これはどういうことで学校の収入になるのか知りませんが、二千万円も年々入ってくる、学校の会計にはこのお金は計上されていないというような事実が私の調査では判明しております。さらに、暁星国際を励ます会というようなことで、これは政治家の激励会みたいですけれども、会費二万円で相当多額の純益を上げているということもございます。  それから、暁星学園は一八八八年に創立をされたわけで、もう間もなく百周年を迎えるわけですが、その記念事業の準備として募金活動が計画されているということですが、すでに百周年のために個人寄附を募っている。しかも、この寄附も学校会計以外のところで処理をされていて、領収書も何か、領収書の受領したものが異なっているような二通りの様式で処理されているという実例があるようでございます。  それから、学校収入の寄附金の項で、特別寄附金というのがありますけれども、それが昭和五十二年度以前には一億円以上計上されていたのが、最近ほほとんどゼロに近く、寄附金としては学園後援会からの寄附金として七千万円だけが計上されておりまして、先ほど私が申したように、裏口入学というような形で集めた寄附金は、九段の暁星学園には全然入っていないというような実態でございます。この暁星国際の設立の時点から寄附の金額は大きく、かつ強引であるのに学校会計に計上されていないというのは、各都道府県の補助制度について、法人として正当ではないのではないかという疑いがあるわけですが、そういう処理をしたらこれは当然いけないわけですね。ちょっと、質問の趣旨、わかりましたか。
  109. 阿部宏弥

    阿部政府委員 学校法人の収入となるべきものを簿外処理をするというようなことは認められておらないことでございます。
  110. 小杉隆

    小杉分科員 私の調査したところによりますと、正規合格者というのは募集人員の半数を割っていて、寄附をした人が優先的に補欠合格になっていたという事実が明らかでございます。  それから、もう一つ問題と思いますのは、せっかく海外帰国子女の教育の目的でつくられた学校であるにもかかわらず、現実は海外帰国子女が非常に少ないということですが、私は先ほど千葉県の学事課の方に伺いましたら、中学校は確かに定員を満たしているのですが、高等学校は定員を割っております。  それから、文部省の補助をしたときの条件として、海外帰国子女がその定員の三分の二以上という規定がたしかあったはずですが、その点、いかがですか。
  111. 大崎仁

    ○大崎政府委員 暁星国際高校につきましては、お話しのように、定員の三分の二以上を帰国子女の定員として運用するということが補助条件になっております。ただ、現時点におきましては残念ながら現員が定員を大きく割り込んでおるというのが実情でございます。
  112. 小杉隆

    小杉分科員 帰国子女は大体年間どのぐらいあって、いわゆる需要と供給の実態というのはどんなものなんですか。全国的な規模で結構ですから。
  113. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 帰国子女の数でございますが、五十六年度で申しますと、小学校で五千七百十六人、中学校で千八百七十四人、高等学校で八百七十三人、合計八千四百六十三人になっております。  これに対しまして、帰国子女に対応する研究協力校でございますけれども、これは公立につきましては小学校三十校、中学校十九校、高等学校七校、合計五十六校、これは五十七年度の数字でございます。  私立が小学校二校、中学校九校、高等学校十八校、合計二十九校でございます。  そのほか、国立の附属学校への受け入れがございまして、これの学級を置く学校が、小中高合わせまして十二校、それから普通学級へ受け入れる学校が中高合わせまして六校ございます。  そのほか、日本語の理解が不十分で国内の学校生活に適応が困難なものを対象といたしまして、財団法人波多野ファミリスクールに委嘱をいたしまして、特別な指導をしておりますが、これが年間四十六名でございます。
  114. 小杉隆

    小杉分科員 いまの実態報告を聞きましても、そんなに受け入れ体制が余裕があるようには思えないわけですけれども、暁星国際と同時に国庫補助金を受けた国際基督教高校とか同志社の場合は、実態はどういうことになっておりますか。
  115. 大崎仁

    ○大崎政府委員 国際基督教高校について申しますと、帰国子女用の定員が四百八十名でございますが、これに対しまして、現時点で全学年を通じまして五百六名が在学をいたしております。それから、同志社国際高校につきましては、若干年次による変動がございまして、五百二十人の帰国子女用定員に対しまして三百十一名が在学をしておるという状況でございます。
  116. 小杉隆

    小杉分科員 国際基督教高校は定員よりも上回っているし、同志社も大体三分の二を超しているわけですね。ところが、暁星国際の場合は、そうした文部省が決めた基準にもはるかに達していないし、特にここ二年間で退学者が急増しているということなんですね。というのは、国内からの入学者で穴埋めをするものですから、どうしても学内で生徒同士の交流がうまくいかない、あるいは学校全体の一つの雰囲気というものがどうも耐えられない。特に、ここの校長さん、理事長さんが同一人物で、九段の本校の方の幼稚園から小学校中学校高等学校の校長を兼ねると同時に、暁星国際の方の校長も兼ねているということで管理が行き届かないということですから、これは全寮制度で四六時中生活をともにする学校であるならば、やはり管理者が本当にそこで寝食を忘れてその国際暁星の管理運営に専念をするというような体制でなければなかなかうまくできないと私は思うのです。そういう学校の管理体制にも非常に大きな問題があるというふうに私は考えるのです。  それで、千葉県のお役所の人は否定をしておりましたけれども、私が父兄の方からいろいろ聴取したところによりますと、たとえば高校生が集団脱走をして寮から出てしまうとか、あるいは中学生がやはりグループで外へ出かけていって一般家庭をのぞき見したり、いろいろ不都合な行動があるとか、あるいは中学生がお酒を飲んでいるとか、そういう情報というのが私の耳にもたびたび入ってくるわけでございまして、こういうあり方では親としても安心して預けるわけにはいかない。そんないろいろなことが重なって、ここ二年間どんどん退学者がふえてしまって、文部省が意図した帰国子女の教育、海外からの受け入れ施設としての機能を、役割りを果たしていないという実態があるわけでございまして、この点についてもやはりもう少し実態を把握されて、本当に帰国子女の受け入れということの目的に沿った一つ学校運営というものができるようにぜひ県なり都なりを指導していただきたいと思うのですが、その点についていかがですか。
  117. 大崎仁

    ○大崎政府委員 先生指摘のように、現状におきましては国が助成いたしました目的を十分に達成しているとは申しがたい状況にもございますので、その改善方につきまして検討をいたしたいと存じます。
  118. 小杉隆

    小杉分科員 もう時間がありませんから、私は余り多くを申し上げませんが、私の知っている方も父兄でOBで、たとえば軽井沢のレイクニュータウンの土地を買わされた。これも学校の要請に従って、学校教育上どうしても必要なんだということで買わされた。これも結局口車に乗せられたということがございます。これは昭和五十年から五十一年にかけての問題です。それから、昭和四十年前後にも那須の校外校舎の隣接の土地を買ったりしているわけですけれども、このように非常にしゃにむに財源を確保するためにいろいろとやっているようでございますが、こういう点についても、私もいろいろ資料も集めましたし、また父兄からのいろいろな話も聞いておりますので、必要があればいつでも提供します。  どうかこういう実態をぜひ調べていただいて、私は何も暁星を非難、攻撃をするのが目的ではなくて、やはり名門中の名門と言われて、いまの日本の政財官界の中にも多数の人材を輩出している私学の名門の暁星がこういうことであっては困る、もっと立ち直ってもらいたいということを切に祈るから、こういう質問をしているわけです。  私が率直に感ずるのは、もう相当長い間校長さんがワンマン体制をしいて、たとえば学校暴力事件が起こっても、むしろそれを問題にした父兄が袋だたきに遭うというような非常に陰湿な工作が行われたり、そのほかにもいろいろ、ここで言うのもはばかられるような点がたくさん投書でも来ております。こういったワンマン体制とその君臨ぶりを称して三越暁星なんて悪口を言う人も出てきているわけでして、かつての三越の岡田社長じゃありませんが、こういったリーダーのあり方についても厳しい態度で臨んでもらいたいと思うわけです。  きょうは一方的に私の方で事実の指摘あるいは私が調査した内容の披瀝に終わりましたけれども最後に、文部大臣から、ひとつこういう点に関して、十分に文部省として東京都なり千葉県とも連携をとってぜひ善処方をお願いしたいわけですが、その御見解を承って質問を終わりたいと思います。
  119. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 小杉さんから暁星高校をめぐるいろいろな事情を承りました。御承知のとおりに、わが国では国公立だけでは子弟の教育が間に合いませんから、私立学校、特に私学の大学あるいは高校が大きく教育に貢献しているところがあるわけでございます。私学は、それぞれ建学の精神を持って、いい人材を養成しようということでやっておるわけでございますけれども、それにしてもずいぶん国家、社会に貢献する国民を養成するわけでありますから、そういう意味で国といたしましても財政の許す限り助成をしよう、こういうことでやっておるわけでございます。  その一環として、特に海外からの帰国子女の教育ということは問題でありますから、先ほど来御説明申し上げておりますような組織をつくって、私学に貢献をお願いしておる。その中の一つの暁星国際高校が問題があるという事情をいろいろとお話がありました。  これは、先ほど来申し上げておりますように、私学はできるだけ自主的にいわゆる学校としての使命を果たしてもらいたい、教育の実績を上げてもらいたいということをお願いしておるわけでありますが、国としても放任するわけにはまいりません。高校は郡なら都、あるいは千葉県下にあれば千葉県の管轄といいますか、認可によってやっておるわけでございますから、おっしゃるように、どういう実情になっておるか、こういうことは両方聞かなければわかりませんから、そういう都なりあるいは県、そういう各機関を経由いたしまして事情を調べて、そういう非難のないように、学校としての使命を果たし得るように、こういうことの指導に努力したい、かように考えます。
  120. 小杉隆

    小杉分科員 終わります。
  121. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて小杉隆君の質疑は終了いたしました。  次に、四ッ谷光子君。
  122. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 五十八年度の予算で、公立学校建物の大規模改修の補助事業が新設される見通しになっております。該当地域、離島、豪雪、台風常襲、地震防災対策強化地域、こういうところでは非常に喜ばれております。  本日も私の手元に奄美群島の名瀬市から喜びの手紙が参っております。喜界島のある小学校の校長先生が、「これまで何回か町役場に改修のことを御相談に行っても金がないということで相手にされなかったが、今度からは強く要求できるし、見通しも立ちそうで本当に喜んでいる。」こういう手紙をいただいております。私もこのことは大変喜ばしいことだと思っております。  ところが、全国に、該当していないということで、非該当地域からは、ぜひともこの補助事業を全国に広げてほしいという非常に強い要望が出ております。来年度、五十九年度で見通しがつくようにぜひとも御検討願いたい、そのことをお願いし、文部省の御見解をお伺いしたいと思います。  それで、関連をいたしまして、二月二十三日の文部大臣の所信表明の中でも「学校安全の充実」ということを述べておられます。ところが、学校安全会の調査によりましても、体育館での事故が小学校では二二・四%、中学校では五〇・四%というふうになっております。体育館での授業、クラブ活動等の安全の確認や設備に対する安全の配慮がきわめて必要ではないかと私は考えているのですが、体育館の床板が板ではなくて、たとえばコンクリートの上に合成樹脂等の塗り床を使っている、そういうふうな体育館があるわけです。  大阪の大東市の深野小学校、深野中学校等から、この体育館で授業をしていると子供の背骨が曲がる、あるいはひざ、アキレス腱等に相当な被害が及んでいる、授業でも安全を考えると運動量を抑制しなければならない、剣道の打ち込みも靴をはかせてやらなければできないのだというふうな先生方父兄からの大変強い声もございまして、ぜひ床の張りかえをしてほしい、こういう要望が出ているわけです。  五十三年に「学校施設設計指針」、こういうふうなものが出されておりますが、その中でも、学校建築の資材等については、子供の発達に合わせて安全が確保されるようにということも述べておりますし、体育館の床でも「木製床以外とする場合には、適度の反発性を有し、かつ、緩衝効果が確保されるとともに、」と指針は述べているところです。これはもう財政の問題ではなくて、発育途上にある子供にとっては非常に大きな問題であると思いますが、それぞれの地方自治体は、財政が非常に困難な中で、すぐに床を張りかえるのは非常に困難だと申しております。国としても直ちに対策を立てていただきたい、このように思うのですが、さきの大改修の対象地域ならその補助事業を利用することもできますけれども、そうでないところでは、これまた困ったということになって、何とか国の方でやっていただけないだろうか、こういうふうなことが強い要望として出されておりますが、この二点にわたりまして文部省の御見解をお聞きしたいと思います。
  123. 阿部宏弥

    阿部政府委員 御指摘にございました大規模改修の問題でございますけれども、申し上げるまでもないところでございますが、鉄筋の校舎等の耐久効果を高めていく、あるいは施設の安全性を確保する、さらには教育環境の改善でございますとか、最終的には教育効果の向上というところにつながるわけでございますが、大規模改修を適時適切に行っていくということは非常に有意義なことであると私ども考えておるわけでございます。もちろん公立学校の建物の改修と申しますことは、建物の維持管理の一環でもございますので、基本的にはそれぞれの設置者である地方公共団体がこれを行うというのが原則でもございますし、従来からそのように行われてきたわけでございます。  しかしながら、先生先ほどお挙げになりましたように、離島でございますとか豪雪地帯あるいは台風常襲地帯、静岡等を中心にいたします地震防災対策の強化地域というようなところにつきましては、潮風でございますとか雨や雪が大変多いといったようなこと等から建物の傷みの進行がほかの地域よりも大変著しいわけでもございますし、また、そのために大規模改修のための経費も非常に多額のものを要するというようなことがございますので、これを地方公共団体に任せておきますと、大規模改修が適時適切に行われることが必ずしも期待しがたいというような点等もいろいろと考慮いたしまして、国といたしまして、ただいま御審議をいただいております昭和五十八年度予算におきまして、これらの地域における大規模改修を助長するために、新たにこれらの地域に限定して補助をすることにいたしたものでございます。したがいまして、補助対象の地域につきましては、先生からいろいろお話がございましたけれども、当面はこの四つの地域に限定してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、第二点として御指摘がございました体育館の床仕上げの問題でございますけれども、近年新しい建材の普及に伴いまして合成樹脂の関係あるいはゴムの系統の化学製品によりまして塗り床あるいは張り床と言われるような形のものが採用されるようになってまいりました。現在、全国的に見ますと、木製の床以外のこういった新しい建材による床は率としてはきわめて微々たるものでございますけれども、新建材ということで使われるようになってきておるわけでございます。  私どもといたしましても、これが子供たちの発育あるいはけが等の面で問題がないかどうかということを心配いたしまして、昭和五十三年から五十五年、三年間にわたりましてこの問題についての調査研究を専門家に依願をしていたしたわけでございまして、その結果が、先ほど先生お話がございましたように、木製以外の床を使う場合には、その弾力性についての配慮あるいは結露等が余り出ないように、子供たちが滑ったりしてもいけませんし、また、ひざ等に衝撃が出てもいけないというような点についての配慮を十分にしてほしいということで各都道府県あるいは市町村を指導しておるわけでございます。  現実にこういう床が使われており、そして、はがれてしまったというようなケースにつきまして、これが今回の大規模改修に該当するような地域あるいは該当するような内容のものであれば当然その対象として取り上げられるわけでございますけれども、それ以外の部分については現在では直接対象となっておらないわけでございます。  いずれにいたしましても、この大規模改修の問題につきましては、先ほど来申し上げましたような趣旨でこれを取り上げ、あるいは現下の財政事情等も考えてこれに取り組んだものでもございますので、当面はこの形で進めざるを得ないと思っておるわけでございますが、将来の問題につきましては、この維持管理といったような事柄の性格等も十分考えながら、少し先の問題として、実態等を見ながら検討させていただきたい、かように思っているところでございます。
  124. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 再度お尋ねしたいのですが、委員長、済みません、これをちょっと大臣にお見せしたいのですけれども。——ただいま大臣にお見せいたしますのは、大阪の枚方の市立香里小学の現状でございます。枚方はその該当地域に入っておりませんけれども、非常に校舎の傷みが各学校出てまいりまして、年間六億円ほどの単費を出しまして整備に努めております。その学校は、私が見に参りましたが、まだ十分に直っていないところもあるのですが、床板を張りかえましたところでは、子供たちがホームルームで自発的に、学校を大切にしようということで、教室の外で靴を脱ぎ、写真にありますように、教室の中では靴下で、教室をきれいにするというふうな、教育効果が非常に大きく上がっております。校長先生も大変感激をしておられましたし、私もそれを見に行きまして、学校環境をよくするということが、いま学校暴力問題とか非常に教育上いろいろな問題が社会問題化しておりますけれども一つの手だてとして教育環境を改善していくということは、子供たちの心の中まで温かくする、そういう意味で非常に重要ではないかと思います。  いま財政の必要から当面は四カ所にというふうな大変冷たいお言葉がございましたけれども、それでは大臣考えていらっしゃるような子供たちの本当に行き届いた教育というのはなかなかできない。財政の面からだけ教育の問題を考えていいのかどうか、こういう点から再度早急に御検討いただけるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  125. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 四ッ谷さんおっしゃるように、子供教育は、一般社会環境もそうでございますが、教育施設上の環境というものをよく考えてやらなければならない、さように考えております。  そこで、先ほど局長から御説明申し上げた問題は、たとえば鉄筋の校舎を建てましても二十年あるいは三十年たって、そうしますと、その当時の材料あるいは工法その他の状況から改修を大々的にしなければならぬところがたくさん出てきておる、これを地方だけに任しておるということも適当でないということで、初めてこの制度を五十八年度から始めようじゃないかということで予算措置を講じ、いま国会にお願いしておるわけでございまして、そういうことで、財政全体の関係もありますし、新しく始める事業でもありますから、全国的に一斉にというわけにはなかなかまいらないわけでございまして、四つの条件を付して、この範囲のところを早く、危険でありますから、そういうところを先にということでやっておるわけでございます。     〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕 でありますから、今後はできるだけこれを拡大しなければならない、これは財政とのにらみでございまして、そういう考えでおりますが、直ちにそれでは来年度からやりましょうか、こういうお約束をいまここでするということは軽率になりますので、申し上げかねます。  それからもう一つ、この体育場の問題、屋内体操場といいますか、これはそれこそ子供教育上非常に有効な屋内体育場でございますし、また、それが危険であってはならない、伸び伸びといろいろな体育訓練をすることができるようにすることが一番大切だと思いますが、建材やあるいは従来の床の施設の状況等でそれができない、これは率直に言って銭金の問題ではない、教育は銭金で論ずるものではないという基本的な考えを私は持っているわけですけれども、さればといって、銭がなくて理屈ばかりでもいかぬわけですから、そう簡単に申し上げられないわけでございますけれども、もう少し実態をよく調査してもらって、これが本当に子供教育上適切でないのがたくさんある、こういうことでありますれば、もっと努力をしてみたい、そういう方式を、できるかできないか努力をしてみたい、率直にかように考えております。
  126. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 ただいま大臣から御答弁がありました方向で、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  次は、幼稚園の問題についてお伺いいたします。  たとえば、幼児が幼稚園に通園をするのに、片道一時間ぐらいかかる、そして危険な道、たとえば交通の非常に激しい国道を横断するような条件があるというのは、幼稚園教育として好ましい条件と文部省はお考えになりますか。
  127. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 幼稚園の環境等につきましては、幼稚園設置基準におきまして一般的に指示しているわけでございますが、いまお挙げになりましたような具体的なものにつきましては、それだけではちょっとわからないのでございますけれども、やはり全体の幼稚園の位置でございますとか、地域におきます幼稚園の状況でございますとか、そういうものがないと一概には判断できないとは思いますけれども、それだけ、お挙げになりました事例だけでは、幼児の、たとえばバス通園とかいろいろなことを考えないと、いまお挙げになりましたものだけでは、私ちょっと判断できかねると申し上げたいと思います。
  128. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 それでは、幼稚園の定数は、設置基準で四十人以下が原則、こうなっておりますね。一クラスの園児数が仮に二十五人、そうしますと、幼稚園における教育効果は二十五人より四十人の方が好ましいでしょうか、いかがですか。
  129. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 一般的に、やはりある程度の一学級の幼児数がまとまっていませんと、集団的な教育を行う場合にいろいろ問題がありまして、四十人以下というふうに設置基準は定めているわけでございますが、四十人以下でどれだけが適正かということにつきましては、幼稚園におきます指導の方針とかいろいろな問題によって変わってくるかと思いますけれども、二十五人の方がよりきめ細かい指導ができるという意味では、四十人よりは好ましいかと思います。
  130. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 私は、この二つの問題、幼稚園で、子供が通園するのにどういう条件かというのは、これは文部省の設置基準の中にも「幼稚園の位置は、幼児の教育上適切で、通園の際安全な環境にこれを定めなければならない。」こういうふうにも述べていますし、また昭和三十九年八月七日、文部省が出されました通達でも「幼児の発達段階や気候、地勢、交通機関などの地域の実態からみて、幼児の通園距離が適度であるようにじゅうぶんの配慮をすること。」こういうふうになっているわけですから、先ほど何となくはっきりしない御答弁でしたけれども、これは幼児教育観点から見まして、こういうふうな条件が出てくると好ましくないのは当然ではないかと思いますし、いま外国でも幼児教育の場合、四十人よりも小人数でという、また日本でも四十人を見直そう、こういうふうな声が高まってきているのは当然です。  そういうふうな中で、ただいまの文部省のお答えは何となくすっきりとしない御答弁でございますけれども先ほどおっしゃった二番目の、四十人よりも二十五人の方が好ましい、そうしますと、四十人の方は、人数の多い方は余り好ましくないということになりますし、園児が危険なところを通っていくという条件も余り好ましくない。しかし、そういう環境がつくられている。そういうことは、このたび大阪の守口市の公立幼稚園十三園のうち六園を一挙に廃止するというふうな、これはどこから見ても大変なことをするなあというふうな状況がつくり出されました。御存じだと思います。市民の方から大きな反対の声が上がっております。人口十六万三千名のうち反対署名が実に五万二千余り集まっている。  このような事態を見られても、この守口の状態は幼稚園教育の立場から見て決して好ましくない状況ではないか、このように考えるのですが、文部省はこの守口市の事態をどのように判断をされますか。このような状態は好ましいとお思いになりますか。
  131. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 いま先生、学級の収容定員という点からだけおっしゃったわけですが、やはり守口市の計画を考えますと、それによりまして二年保育をするというふうな計画もございますし、あるいは距離につきましても遠いところはバスを用意するというふうなこともございますから、そういうもの全体を比較して考えませんと、いまお挙げになりましたようなものを切り離してそれだけで論じられてもどうかという気がいたします。守口市におきましても、幼稚園教育を将来どうするかという観点から真剣に検討されまして、公私のバランスでございますとか、二年保育の充実でございますとか、そういう諸般の情勢を考えてそのような計画を進めているというふうに私どもは聞いているわけでございます。
  132. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 いま局長、そういう御答弁をなさいますけれども、バスで園児を通わせばいいじゃないかという一つの条件を出されましたけれども、できればそんなものを使わないで子供たちがごく身近なところで安全に幼稚園に通うのは当然じゃないですか。また、私は時間の関係上二つしか言いませんでしたけれども、統廃合することによりまして設置基準に満たないというふうな状況がたくさん出てきているのですよ。園舎面積もあるいは運動場も不足をするというようなところが出てくるのです。こういうふうなすべての状況も含めてあなたは判断をされるのですか。しかも、五万何千人からの反対の住民の声もあるというのに、それを無視するようなこの守口の状況。  それはいろいろな状況でやむを得ないというふうにおっしゃっているかもわからないけれども、幼稚園の大切な子供たち環境を悪くしているというふうなところから、ごく一部のいいことだけの面を見て、全体から非常に条件が悪くなっていることに文部省が目をつぶられて、やむを得ないというふうに判断をされるのかどうか、その辺をお答え願いたいと思います。
  133. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 幼稚園の廃園を含めましてその設置認可、変更につきましては府の教育委員会が判断をしております。府の教育委員会を私どもの方へ呼びましていろいろ事情を聴取いたしましたが、府といたしましても守口市の全体の計画を了としてこれを認可をしたということでございまして、その中には、お挙げになりましたように、一部によりましてはあるいはそういう観点から見て問題があるという点があるかと存じますけれども、全体として幼児数減少の中で、二年保育を進めるとか、あるいは公私のバランスを考えるとか、いろいろなことを考えまして地方自治体が自主的に判断されましたことについて、幼稚園の設置基準に適合しているというふうなことも考えますと、私どもとしては大阪府が認可という判断をしたことについてはやむを得ないというふうに考えています。
  134. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 いま、大阪府が認可を判断したのはやむを得ない、こういうふうでございますが、それでは、補助金の適正化という点から御質問させていただきたいと思います。  この六園廃止される中で、きた幼稚園は国の補助を受けて建てられまして、五十年度分からそれが始まっているわけです。こういうものを廃園する場合には大臣の認可が必要でございますけれども、方針は一体どうなっているのか。  それから、大阪府は六園まとめて廃止の認可をしたそうですけれども、この一つの問題は文部省がいま検討中なんでしょう。全部まとめて廃園の認可をしていいのですか。その辺の適正化の問題について、先ほどもお話があったように、財政がしんどいからなかなか補助は広がらない、そういう中で国の補助金を使ってつくったものを、そういうふうなことで安易に認可をひっくるめてやってもいい、こういうふうに判断されるのですか。
  135. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 大阪府の認可と申しましたのは、私の間違いでございまして訂正させていただきますが、これは承認でございます。  いま建物に補助をいたしました場合の扱いでございますが、これは補助金を受けて取得いたしました財産につきまして、その処分については一定の制限を設けておりまして、幼稚園の施設につきましては、その制限の期間を減価償却資産の耐用年数等に関する省令の例によりまして運用いたしております。補助金によりまして建築をした幼稚園で、十年に満たない建物の財産処分の承認につきまして申請がありましたときには、処分の理由、方法等を審査いたしまして、それが妥当であるかどうかという点を十分に審査をいたしまして承認を与えているわけでございますが、守口市のこの件につきましても、同様に十分に検討した上で対処させていただきたいと考えております。
  136. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 いま厳重に対処したいということでしたけれども、このきた幼稚園に限って言いますと、この後、公民館にすると言っているんですよ。しかし、地元の人たちはここに別に公民館は要らないんだ、幼稚園があってほしいんだと言っているんです。だから、これを転用するのに、住民が望まないものに転用しようとしているのか、住民が望んでいるものをやめようとしているのか、その辺はきちんと判断をしていただかないと、財政難、財政難と口から先におっしゃるけれども、財政難なら、せっかく補助がついたものを十二分に生かすような幼稚園行政をやっていただかないとだめだ、このように思いますので、その点は厳正に御判断を願いたいと思います。  最後に、大臣にお聞きしたいんですけれども、このように守口市のようなことはやむを得ないというふうな文部省の御答弁だけれども、これは住民の立場からいきますと異常としか言えない。守口市の教育委員会の態度もけしからぬ、府の態度もけしからぬ、それをやむを得ないと言う文部省の態度は一層けしからぬ、こういうことに恐らく守口市の人は思うと思いますけれども、こういう混乱が起こるのは、結局いま幼児がきわめて減少している傍ら、幼児教育に対する国民の声が非常に強くなっている中で、文部省がこうした新しい事態に対してきちんとした方針を出していないところに混乱が起こっているのではないかと私は思います。しかも、公立幼稚園に対する位置づけがきわめて不明確であるという点も今度の事態を招いている一つ原因ではないかと思うのです。  そういう点で、この守口に起こっている事態を今後の教訓に生かしていただくために、守口の事態を十二分に調査をしていただくことができるかどうか、そしてまた、幼児教育に対して、この新しい事態に即して、文部省として幼稚園教育に対する確固とした方針をお出しになるおつもりがあるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  137. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 守口市の件につきましては、守口市当局あるいは大阪府教育委員会等の担当者に事情を十分聞いておりますので、いま申し上げたようなお答えをしたわけでございます。  なお、幼稚園の振興計画につきましては、第二次の振興計画が一応終わったわけでございますが、現下の財政事情等もございまして、また幼児の減少傾向等もございまして、どのような振興計画を今後樹立していくかということにつきましては、もう少し時間を置いて検討させていただきたいと思っておりますが、当面の措置としては幼稚園の未設置の市町村がまだございますので、そういうところを重点的に勧奨するというふうなこと、あるいは小学校と幼稚園との関連と申しますか、そういう問題のカリキュラムの開発でございますとか、あるいは三年保育、二年保育の教育内容の連関性、そういうふうなものを含めて今後の幼稚園教育の振興計画を考えていきたいと考えておるところでございます。
  138. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 大臣、一言お願いします。
  139. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 守口市の幼稚園の統廃合といいましょうか、事態についてはきょう初めて私、いま承ったわけでございますが、局長からもるる御説明申し上げておりますように、これは地方自治体といいましょうか、守口市でいろいろ市議会等にもかけられて決められた方針である、それを大阪府が認めておる、こういう事態のようでありますから、いろいろこういった意見があるのだと思いますが、公の機関が公式に——また、よほど幼稚園としては不適切な施設であるということであれば別でございますけれども、それを一々こちらから指導といいますか、指図するというのはちょつと困るのではないかと思うのですよ。
  140. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 私は、大臣に、守口の問題よりも、幼稚園教育全体の問題で先ほど局長がお答えになりましたけれども大臣のお立場から幼稚園教育の問題についてどうお考えなのか、それをお聞きしたかったのです。
  141. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 これもいま局長から申し上げましたが、四ッ谷さん御存じのとおり、幼児の減少傾向がある、そういうものを勘案して今後どうするかということは検討しなければならぬわけでございます。都市等においては幼稚園が大分普及しておるようでございますけれども、地方においてはまだ幼稚園というものがないところもあるわけでございますから、そういうところを勘案して今後の方向を決めていかなければならない、かように考えております。
  142. 海部俊樹

    ○海部主査 これにて四ッ谷光子君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  143. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は、文部省の研究指定校の制度について質問をいたします。この目的は何なのか、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  144. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 研究指定校というのはいろいろな種類がございますけれども一般文部省教育課程でございますとかあるいは新しい生徒指導の方向を考えている場合に、そのような施策に合った研究を各都道府県学校等に依頼いたしまして研究をしてもらう、またその成果を今後の政策に反映する、そのためのものでございます。
  145. 辻第一

    ○辻(第)分科員 ところで、いま非行に走る子供がふえ、しかも低年齢化している、中学校では校内暴力的な問題が起こる、また毎日の授業についていけない子供さん、いわゆる落ちこぼれの子供がふえる、大変深刻な事態が進んでおります。また、昨年私、質問させていただいたのですが、人口急増地域などでは大規模校というような問題があり、教育条件が非常に悪化をしている、こういうこと。さらに言えば、四十人学級が凍結をされる。こういう事態の中で、第一線の教職員の方々が本当に精いっぱい奮闘されているわけでありますが、この教職員の皆さん方の仕事と申しましょうか、あるいは肉体的、精神的な負担といいましょうか、こういうものがどんどん厳しい状況になっていく、負担が増大をしている、このような状況だと私は認識しておるわけでありますが、当局の認識はどうでしょう。
  146. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 一般に教員の負担につきましては、たとえば四十人学級の推進でございますとか、あるいは主任手当の制度の創設でございますとか、いろいろな意味で負担が軽減できるような措置を講じているわけでございますし、また教育内容につきましても、新しい指導要領の趣旨は、できるだけ知的な教育の詰め込みに終わらないで、体育とか道徳とかあるいは特別活動とか、そういうものを十分に調和のある学校運営によって全人格、人間形成に役立つような教育をするという方向で進んでおりますので、方向といたしましては、条件は負担を軽減し、教育の内容についても精選をして基本的なものにしぼっていくというふうな方向で進めておるところでございます。
  147. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私が聞いているのは、方向を聞いているのではなしに、現在の実態が第一線の教職員の先生方の負担が増大をしておる、そのような状況ではないのかということを聞いているわけです。その点についてはっきりお答えをいただきたい。
  148. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 負担というのが何をもって負担というのか、その定義の仕方によるかと思いますけれども、教員が研究活動についていろいろと研究をして、それによって自分の知識、能力を高めていくということは、やはり教員としては研修を重ねているということもございまして……(辻(第)分科員「私は一般的に言っているのですよ」と呼ぶ)そういうものも含めておっしゃっているのではないかと思いましたので、その点につきまして、そういうものもふえているかもしれませんが……(辻(第)分科員一般的に私がこうだとか何だとか申したでしょう、そういうことを含めて一般的に先生方の負担はどうなっているんだ、仕事がどうなっているんだ、こういうことを聞いておるのです」と呼ぶ)私が申し上げましたのは、授業の時数とかそういうものは軽減されましたし、いろいろな意味で軽減の方向に向かっている。現実においてそれがどのように運営されていくかということは個々の学校の運営によりますので、一概に申し上げることはできないと思います。
  149. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いまの御答弁は納得できませんが、時間がありませんので前へ進みます。  いまの第一線の先生方は、この非行の問題だとか校内暴力の問題など本当に体を張って精いっぱいがんばっておられる、大変な事態であるというふうに私は認識をしておるわけであります。この研究指定校制度ですが、私はこういう制度も必要だというふうにも思うのですが、本当は毎日毎日の教育の営みの中でこういうことが十分やれるという体制が本当に必要だと思うのですが、先ほど申しましたような状況の中で私は先生方は大変な御苦労をいただいているというふうに思うわけであります。そういうことで私どもそのような教育条件や体制を十分整備をしていただく、そして毎日毎日の教育の営みの中で一人一人の子供能力を引き出し、健やかな成長を図る、しっかりとした基礎学力や自主的な判断力、たくましい体力、豊かな情操や市民道徳、こういうことを身につけさせることである、こういうふうに考えるわけであります。その点について局長、お答えいただけませんか。
  150. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 もちろん、日常の実践活動の中でそういう自主的にその能力を高めるような活動をなさることは推奨さるべきであろうと思いますし、またその一面におきましては課題を与えてやっていくということも、やはり両方必要なのではないかというふうに私は思います。
  151. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それで実際問題としますと、やはり時間外に及ぶことがかなりあるようなんですね。そういうことが熱心なところになりますと、ますますそういう状況が起こる。また、もともと仕事が非常に多いというような状況の中で研究指定の仕事がふえるわけですから、そういうことになる。そういうことで、私はできるだけ先ほど申しましたような点も整備をしていただいて、時間内にできるような、そのような御指導を賜りたいということが一つ。  それから私は、そういう状況ですから当然先生の加配をもっと十分にやっていただきたい。公立義務教育学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律によって、いわゆる教員加配の要件の一つに「当該学校において教育指導の改善に関する特別な研究が行なわれていること」、こういうことがあるわけでありますが、研究指定校の場合はこれに当てはまる、こういうふうに思うのです。先ほど来申しました大変な現場状況から見ましても、教育課程研究指定校だけではなしにこの研究指定校にもっともっと加配すべきである、このように考えますが、どうでしょうか。
  152. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 教育課程研究指定校は、文部省教育課程なり学習指導なりの方法につきまして、将来の教育課程改善の資料といたしますために非常に重要なテーマを提供いたしまして研究をしていただいているものでございますので、その意味で負担も多うございます。そういう観点から教員の加配を行っているものでございますが、その他の協力校等につきましても、どちらかといいますと教育課程全般というょりは特定の教育内容の分野と申しますか、そういうものを中心といたしまして、また、この教育課程推進校とは違いまして各地域におきます拠点校というふうな観点からその役割りを期待いたしておりますので、教育課程研究指定校と同一には論じられないというふうに考えているわけでございます。したがいまして、いまのところは教育課程全体の調査研究をするという観点からのところに教員については加配を行っているところでございます。
  153. 辻第一

    ○辻(第)分科員 もっともっと加配をして、十分な研究ができるような体制を保障していただきたい。それから、ちょっとさっき言いました時間外にわたらないようにということもひとつ考えていただきたい、こういうふうに思います。  それから、研究指定校の指定を受ける、このことはその学校の教職員、先生方の集団での十分な共通理解と合意の上に決められるべきである。校長さんあたりあるいは教頭さんあたりがやれやれと言って押しつけでやられるというようなことは好ましくないと私は思うのです。また教育研究の推進をする上でも、その基本はそれぞれの学校で主体的に研究を推進するということが第一義だというふうに思うのですが、その点についてお考えを聞きたいと思います。
  154. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 文部省が研究を委嘱いたします場合には、各部道府県の教育委員会に推薦をお願いしております。推薦に当たりまして、恐らく教育委員会におきましては、全県的な視野からその地域とか学校の体制でありますとか、いろいろなものを考えてやっておると思いますので、当然学校内におきます研究協力体制のようなものはその判断の中に入っているものだというふうに考えています。
  155. 辻第一

    ○辻(第)分科員 受ける受けないについてはどうですか。教育委員会からそういうお話がある、校長さんや教頭さんはやろうと考えられる、しかし、それは押しつけるのじゃなしに、先生方の集団で十分な理解と合意の上で決められるということはどうですか。
  156. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 集団というのはちょっとどうかと思いますが、学校の研究の組織でございますとか、平生の体制でございますとか、意欲でございますとか、そういうものが十分に備わっておりまして、校長も教頭もこの学校でやっていけるという判断をし、教育委員会が客観的に見て、県内におきましてはこれが適当であると認めたときに恐らく推薦がある、私どもはそういうものだと思っておりますので、校長と教員との間にそごがあるとかそういうふうには考えていないわけでございます。
  157. 辻第一

    ○辻(第)分科員 教職員の方々の理解、合意の上に進められるべきであると再度申し上げて、次に移ります。  ところが、文部省の指定を受けますと、一定の支出金というか補助金みたいなものが出るのですね。奈良県のある中学校、いろいろ内容によって違いがあるようですが、ここは生徒指導か何かの分野だったと思うのです。それで見てみますと、一年間に十万二千円なんですね。一年に一回連絡協議会、奈良は東京へということらしいですが、そうなりますと、大体二人来られるようですけれども、新幹線で来られますと往復二万三千円、細かい話ですが近鉄が六百円、一人が二万四千円ほどかかるのですね。二人ですと旅費だけで四万八千円かかるのです。十万二千円支出金が出てもそれで大方飛んでしまいますね。文部省の指定を受けたといって、学校文部省指定云々校と書いて看板をかけておるところもあるようですけれども文部省の指定を受ける、県の指定を受けるということになると、第一線の先生学校というのは非常に熱心に一生懸命やられるわけです。ところが、十万二千円なんて旅費で半分飛んでしもうて、お金も出さぬでやれというような話なんですね。いろいろ財政上の問題もあると思いますけれども、私はこういう点は文部省としては十分な支出金を出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  158. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 積算の基礎としてはいろいろあるわけでございますが、研究指定校の目的に従いましてその規模なり実際の活動、研究状況もいろいろございますので、その趣旨が達成されるように、また、教員の方々も余りにもオーバーワークになって平常の教育活動に支障が生ずるというようなことではなくて、余裕を持って研究が行われる、成果がまとまるというようなことを私どもは期待しておりますし、連絡協議会の席上等におきましてもそういう指導は一応しているわけでございます。
  159. 辻第一

    ○辻(第)分科員 局長はもうちょっとまともに答えてくださいよ。  非常に少ないとお思いになりませんか。それから少ないとお思いになれば、増額しなくちゃならないなとお思いになりませんか。
  160. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 教育課程研究指定校とかあるいは研究開発校とかいろいろございまして、一概に単価がこれが多い、少ないということは言えないかと思いますが、いろいろな指定校の目的に従いまして額に多寡があるわけでございます。また、都道府県等の要望と申しますか、大体四十七ぐらい対象で、一つの県に一校というふうなことでございまして、希望も多いというようなこともございまして、このような積算単価におきまして要望にこたえているということでございます。
  161. 辻第一

    ○辻(第)分科員 また私の言うたことにあんじょう答えていただけなかったのですが、私は具体的に例を出したのです。十万二千円だと、二人新幹線で往復して四万八千円、あとそれで一年間どう考えてもまともなことがやれるはずがないですね。現地では県の指定あるいは市町村の指定なども大体兼ね合わせてやられて、私の聞いたのでは、多いところでは市町村から八十万だとか二百四十万というような補助をもらったというような、ちゃんと文書を見たのですけれども、そういうことで実際は賄われている。それでも足らずに、いわゆる発表会なんかのパンフレットをかなりのお金で買ってもらうというような、そういう努力もされておるのですね。そういうことも含めて、ぜひ検討していただきたい、こういうふうに考えます。  それから次に、ちょっと質問が変わるわけですが、文部省に「学校施設設計指針」というのがありますね。その中に、校地の選定に当たり、「校地の環境」として「校地の環境は、教育上ふさわしいものとする。」こういうふうにあるわけですね。そして「校地周辺の環境は、健全な人格の形成や豊かな情操の育成にふさわしいものでなければならない。そのためには、次のような施設の周辺には校地を選定しないことが望ましい。」そして、アイウエオと五つの項目があって、たとえばアが演芸場など、こういう施設で特に教育上支障のある施設だとか、あるいは競馬場とか競輪場とか競艇場とか、こういうところ、あるいはキャバレーだとかナイトクラブだとかトルコぶろだとか、こういうように教育上支障のある施設、それから飛行場、工場、ごみ処理場、このような施設や交通の頻繁な道路など、そして最後に火葬場、屠畜場、刑務所等の施設、このように「学校施設設計指針」にはあると認識しているのですが、そのとおりかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  162. 阿部宏弥

    阿部政府委員 学校の立地に関連をいたしましては、一般にいろいろ法律上の規制等もあるわけではございますけれども、こういうものとは別に、文部省が公立学校の施設に対しましていろいろ補助をいたしておりますので、この補助をいたす場合の学校施設の計画についての指導上の留意事項というような形で、先生指摘のような「学校施設設計指針」と申しますものを定め、これによりまして各設置者を指導しているということでございます。
  163. 辻第一

    ○辻(第)分科員 その「学校施設設計指針」というものの中に、私が先ほど言いましたのがありますね。
  164. 阿部宏弥

    阿部政府委員 ただいま御指摘がありましたような内容でございます。
  165. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それでは最後文部大臣にお尋ねをいたします。  私、先ほどからるる申し上げたわけでございますけれども、いま教育をめぐる状況は非常に重大な事態に立ち至っている、このように考えます。非行の問題でも校内暴力の問題でも、毎日の新聞に載らない日はないというぐらいの状態であります。どんどん広がっている。しかも、それだけじゃなしに、毎日の授業についていけない子供や落ちこぼれた子供、それから受験地獄も深刻な事態だ、こういうこと。中には子供が自殺をする、こういうこともふえている、こういうように思うわけでございます。このような状況の中で、学校の教職員の人々というのは、これまでにない仕事がふえたり、あるいは肉体的、精神的な負担が増大をしているということですね。  私も身近に中学校へ勤めている者がおるわけでありますけれども、はたから見ておりましたこれまでの感じじゃなしに、実際その姿を見ておりますと、昔、私ども学校先生というものに思っていた印象と全然違うのですね。本当に大変な仕事だなと私は思うわけです。そういう状況先ほど局長はだんだんそれを解除する方向へ云々なんておっしゃっていたけれども、なかなかそんななまやさしい状況じゃないですね、現場というのは。私はそういうふうに認識をしておるわけであります。また、マンモス校の問題など、あるいは学校の周辺の環境の問題なども非常によくない、好ましくないというような状況もふえてきておる、私、こういうふうに認識をいたしております。  こういう状況の中で、本当に毎日毎日の学校教育の営みというものがもっともっと十分にやれるような体制あるいは条件というものをぜひ確立するために御努力をいただきたい。このように考えるわけですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  166. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 辻さんお話しのように、申し上げるまでもないことですが、子弟の教育は、特に次代を担う大切な国民でございますから、教育が非常に大事だということを認識しておるわけでございます。ところが、いまも御指摘になりましたように、われわれほとんど全国民が心を痛めておると言ってはばかりないというくらいの状況が今日起こっておる。  もう時間がありませんから、長くいろいろ申し上げませんけれども、これにはいろんな原因、理由があると思います。本人の素質にも理由がありましょうし、家庭教育指導のあり方にも理由があるでしょうし、あるいは学校先生方指導にも理由があるでしょうし、まだ社会環境その他たくさんあると思います。  いずれにいたしましても、実は私の兄弟一族にも学校先生をしておる者がありますし、もうすでにやめたのもおりますが、いま世の中全体が、お互いそうでございますけれども、何となくせわしい世の中になっておるのと軌を一にしておるのかどうか知りませんけれども学校先生方も、従来、われわれの時代学校先生方とまた違った意味で非常にいろんな面の多忙さがあるのじゃないか、これは想像でございます。学校教育がおろそかになるように負担が重くなってはいけない、それが第一であります。  もちろん学校の教職員の方々は、その使命の重大さを感じて、やはり相当の負担があってもこれを解消する、貫く、このくらいの決意は持ってもらいたいと思いますけれども、さればといって人間には限度がありますから、四十人学級とかいろいろありますけれども、そういう教育が正常に行われるように努力をしてもらうとともに、行われるような環境をつくることに今後とも努力をしていきたい、かように申し上げたいわけでございます。
  167. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いまの教育の大変な状況、さらに言うならば、荒廃と言ってもいいような状況があるわけでありますが、この基本は、長い間の自民党の教育政策、私どもから見れば細切れ、詰め込みというようなこともあるわけでありますし、また、自民党政治のもとでの文化の退廃というような状況の中でも非行だとか校内暴力というものが起こっているというふうに思うわけであります。そういう点も十分心して今後の教育行政に携わっていただきたい。お願いをして私の質問を終わります。
  168. 海部俊樹

    ○海部主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。
  169. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私はきょう大臣に、青少年非行の問題を中心にして文部省のこれに対応する行政のあり方の問題をただしてまいりたいと考えます。  警察庁の白書を読んでおりましたら、五十六年度に不良行為として補導をした数は百万人を超えるというような状況が出ておりまするし、また、波がありますが四十四年を最低にいたしまして、後は刑法犯少年の該当者の数はウナギ登りに登っているという数字が出ておりました。  そこで、非行少年の範囲やらあるいは非行少年等の定義の問題もいろいろ調べてまいりましたが、これは明らかに社会的な病理現象がもう救いもないような姿の中で蔓延しつつある。毎日、新聞テレビをにぎわしているのは校内暴力の問題であり、あるいは少年犯罪、非行の問題であります。こういう姿を見ながらテレビの画面を眺めておりますと、おやと思うような対応の仕方が出てくるわけでございまして、これは後ほど大臣にその具体的な例を指摘をしながらお尋ねをいたしたいと考えます。  まず第一点は、警察庁の方にお尋ねをいたしますが、この問題は、過去の傾向値をグラフでたどったのを見てみますと、やはり波があるようでございまして、終戦後の混乱期、それから高度成長期の終わりになりますかその時期、そしてまた今日不況の中で経済が停滞をしている中での犯罪の増加というような問題が出ておりますが、これは大学紛争というのが過去ありました。これが今日はすっかりどこにそういうことがあったのだろうかというくらいの状況になっておる。これは一過性の問題としてとらえられると思うのでございますが、一体今日のこの青少年非行という問題は一過性の問題として眺めるべきであるのか、それとも構造的な要因を含んでいるものとして見るべきであるのか、この点についての所見を、まず認識をお伺いしたいと思います。
  170. 阿部宏弥

    阿部説明員 お答え申し上げます。  最近の少年非行でございますけれども、この数年来著しい増加を続けております。昨年中刑法犯少年の補導人員が十九万一千九百三十人、前年比三・八%の増加だということでございまして、先ほど先生指摘のグラフでも依然として現在もふえ続けているという状況でございます。  態様別に見ますと、校内暴力が多発しているとかあるいは傷害、恐喝などの粗暴事犯の増加とか、あるいはシンナー、覚せい剤等まことに多種多様の非行内容でございます。特に、最近指摘されておりますのは、中学生非行ということでございまして、従来から非行一般化とかあるいは低年齢化ということが言われておりますけれども、結局中学生による非行が非常にふえてきているという実情にございます。  一過性の問題なのかあるいはそうでないのかということなんですけれども少年非行の全体を統計的に見ましてもそうなんですが、低年齢化ということは逆にいきますと年齢が増すに従って減っていくということでございまして、ましてや成人の人口比なんかを見ますと、また年々減っていくというような統計が出ておりますので、相対的には一過性を強く持っているものだという感じをしております。しかし、警察が取り扱う非行事案を個々に観察いたしますと、そこにいろいろと一般少年たちに共通するような背景なりがございまして、これからもどんどんこれが拡がっていく様相を持っているのじゃないだろうか。あるいは非行歴あるいは前歴などを見ますと、かなり反復継続しているというような少年もございます。  そういうようなことから見まして、この非行ということにつきましては社会のさまざまな問題、家庭の問題あるいは学校における問題なども非常に色濃くその非行背景として持っていると考えておる次第でございます。  以上でございます。
  171. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういうような状況を受けまして、政府としてもこれは放置できないということで、昨年六月二十四日に「青少年非行等問題行動への対応(答申)」を青少年問題審議会が行うのを受けまして、総理府非行防止対策推進連絡会議が設置をされ、今日までいろいろ対策を講じていらっしゃることは聞いております。ところがなかなか効果が上がらない。なぜ効果が上がらないのだろうか、この点については総理府はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
  172. 阿南一成

    阿南説明員 お答えいたします。  少年非行に走る原因あるいは背景というものにはいろいろ複雑な要因があることは先生指摘のとおりでございまして、耐性の欠如という少年自身の問題あるいは過保護あるいは放任という家庭の問題、学業からの落ちこぼれ等を初めとしますいろいろな学校の中の問題、それから少年を取り巻く有害環境等を初めとする社会問題等がお互いに複雑に絡み合って問題行動に出ており、その根が大変深いものだと考えております。  非行事案の態様から見まして、一過性で終わるものもあれば、反復継続してさらに深化していくものもありまして、その態様はさまざまでありますけれども、こういったことにつきまして先生指摘のように、一昨年の一月に青少年問題審議会に「青少年問題への基本的な対応方策」についてという諮問がなされまして、昨年の六月に同審議会から答申を受け、青少年非行防止対策についての閣議決定をさせていただきました。総理府関係省庁から構成する非行防止対策推進連絡会議が設けられまして、相互に連携を図りながら青少年非行防止と健全育成に努めてきているところでございます。  今回、横浜市あるいは町田市に一連事件が起こりまして、関係省庁から成る非行防止対策推進連絡会議を緊急に開催させていただきまして、それぞれの省庁で当面早急に措置すべき事項について討議をお願いしてきたわけであります。  この間にも、総理府青少年問題審議会の委員の皆様と懇談し意見を伺っておりますし、文部省においてはこの問題を契機としての問題行動についての懇談会というものを催されておりますし、またさらにプロジェクトチームをつくって省内で御検討いただいておるというふうに伺っております。  これらの事柄を踏まえまして、三月四日に私ども会議で当面早急に措置すべき事項ということで五項目を申し合わせをいたしました。一つが「青少年育成国民会議中心とした全国民的な青少年非行防止・健全育成運動の喚起、推進」、二つ目が「学校警察連絡協議会等非行防止活動に関する地域関係機関団体の連携強化」、三つ目が「暴力非行集団の解体補導の徹底」、四つ目が「環境浄化活動の推進」、五つ目が「全教職員一体の生徒指導体制の確立と学校における豊かな教育活動の展開」という五項目を申し合わせをいたしまして、それぞれ各省の立場で指示、依頼をお願いしているところでございます。それから総理府としましても、三月五日に都道府県の主管課長会議を開きまして御協力を依頼しておるところでございます。  ただ、この措置につきましては非常に緊急に、いま起こっておる卒業期を迎えての問題を中心とした問題でございまして、さらに根源的あるいは長期的なものにつきましては、すでに申し合わせを行っております各省庁の申し合わせ事項をさらに着実に実施していくということで協議をいたしておるところでございます。
  173. 村山喜一

    村山(喜)分科員 いままでの条項と余り目新しいものはないという報道もされておりました中身であるようでございまして、緊急対策だ、こうおっしゃるわけですが、そういうのを未然に防止するという形のものでございます。根源的な対応策はこれから工夫をしなければならない問題だろうと私も思っておりますので、この問題は総理府が所管でございますから、政府全体の受けとめの中で処理を願いたいと思っております。  そこで、私は教育の問題の観点で、校内暴力、特に対教師暴力が続発をしている現状から、一体どういう対応の仕方が正しいんだろうかということについて聞きたいと思うのです。  町田の例でございましたが、あの事件が起こりました後、学校でどういう協議をなさったのか知りませんが、校門に校長先生先生方が出てまいりまして、大臣見られたかどうか知らぬが、生徒がやってきますと先生の方からおはようございますと声をかけるわけですね。いままでやったこともないものですから、子供たちは何だかおかしいな、いままではやらなかったのにあの事件が起こってから急に先生たちがそういう姿で出てきて、先生たちの方からおはようございますという声をかけて、何だか変だよな、こう言っているわけですね。われわれも見ておりまして何だか変だなという感じがするのです。中には、校門に棒を持った先生が立っておりまして、それで服装点検をして、ちょっとでも違反をしているようなのになりますと、おまえちょっと来い、こういうことでやるような例もあるようでございまして、こういうのもどんなものだろうかなという感じがするのでございますが、それは教育的に見て価値ある行為であろうと判断をされておいでになるんでしょうか。これは大臣でなくても鈴木さんでもよろしいですが、御所見をお聞かせをいただきたいと思います。
  174. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 町田のケースは私どもテレビで拝見したわけですが、事件が起こってからどうこうするということではなくて、日常の生徒指導の体制の中で不断に努力をするということが肝心でございまして、その中の一つの変形としてそういうことでもあれば効果を持つかと思いますけれども事件が起こりました一つの解決策、対応としてああいうことだけで事態が解決する、それほど楽観的な問題ではないと思いますし、町田の例を見ますと、学校内におきます平生の生徒指導体制、教員の協力の体制あるいは父母との連携、地域との連携、生徒教師との人間関係、信頼関係の確立という面におきましてさらに努力を要するような点が多々あったと私どもも思います。そういう意味で、平生におきます生徒指導のあり方が問題であって、個々の対応現象だけで処理できるものではないと思うわけでございます。
  175. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 局長だけでいいとおっしゃったのですけれども、私もちょっと感想を。  あのテレビについては、新聞にも何か皮肉って書いてあったようでございますが、学校先生方がこれじゃいかぬということで協議をされてわざわざ校門に出て生徒を迎えるという努力をされておるのですから、それにけちをつけるようなことになってもいけないと思いますけれども、常識的に、見ておって、かえっておかしいのではないかという感想を私は持ちました。かえって子供から軽視されて、何だこの先生はという印象を持たれるおそれがある。よけいなことですけれども、ほかの場合でも申し上げたのですが、そういう学校はほかにもあるのではないかと思います。村山先生は長い経験があられるし詳しいのですが、私はそういう教育上の経験が浅いですから、ほかの場合があるかないかわかりませんが、実は私の郷里に、これは私立学校でございますけれども——教育場というのは子供にとっては、言葉がオーバーかもしれませんが、まさに神聖な場所だというぐらいにならなければいかぬと思います。自分の一生を決する教育をやってもらう学びやでございます。そこでその私立学校では、生徒が必ず制服制帽で参り、女子もそうでございますが、登校のときに全部帽子を脱いでおじぎをしてから校舎に入っていく、また、学校が終わりますと帰りがけにまた校門に立ってわざわざ校舎の方を向いておじぎをして帰る、私はこうなければいかぬのじゃないかと思うのです。学校先生が迎えに行っておはようなんて、きのう事件があった後で妙な感じを起こすだけで教育効果がないのではないか。失礼でありますけれども先生方がもう少し大事な子供を育てるんだ、一致団結して使命感に燃えていただきたいというのが私の本当の偽らざるあの状況を見ての期待でございます。
  176. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣の所見は承っておきたいと思います。  そこで、これは文部行政上の問題でございまして、遠山中学校教育課長がNHKのテレビに出られたのを私は聞いておりまして、そういうような問題が出たら学校は直ちに教育委員会に届けるべきである、ちゃんと学校教育法という法規があるんだから、これによって実態を明確にして対応の仕方を考えるべきだ、こういうお話があったように承知をしています。私は学校教育法の二十六条と四十条を見てみました。これによりますと、そういうような「児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。」こういう条項がございます。  そこで、一体それは具体的にはどうなっているんだろうと思って政令や施行規則を調べてみましたが、それはございません。そこで、何かほかに根拠法があるんだろうかと思って地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十三条、これによってやるんだという話でございます。それは、教育委員会の規則でこれを定めるものとする、そういうようなことでございますので、一体これはどのような指導文部省としてはなさっていらっしゃるのですかということを電話で聞きましたが、それは教育委員会の自主性によって、また当該地域状況によって判断をすべき問題である、こういうようなお話でございます。  これは教育行政的に見た場合とそれから学校教育という現場で問題をとらえる場合と違いがあるんじゃなかろうかと思いまして、皆さん方がおつくりになりました「校内暴力問題を中心に」という「生徒健全育成をめぐる諸問題」の生徒指導資料というのもずっと目を通させていただきました。非常によく具体例も取り上げながら指導書ができているように拝見をいたします。しかしながら、学校という教育現場の中で、私も多少経験がございますが、そういうようなのを教育委員会に報告する、教育委員会が、義務教育でございますから、親におまえのところは出るなという命令を下す、それだけで問題が解決できるはずはないのでありまして、そういう点から、いま具体的には自宅学習とかあるいは職場研修とかあるいは停学処分とかいうような形のものが、現実には喫煙をした場合には何日、暴力行為を働いた場合には何日とかというような一つの基準を決めて、やっているところもあればやっていないところもあるというような形であるようでございます。  そういう行政的な側面から物を見られることは、それは文部省という役所のお立場の仕事でありましょうが、教育という原点に立ってこの問題をとらえるときに、そういう観点だけで果たして一体いいのであろうか、ちょっと足らないのではないだろうか。  もちろんあのときには、テレビの時間というのは少ない時間でございますから、特定の方向だけの回答しか出し得ないような質問の仕方というものがあったかもしれません。しかしながら、何だかそれでは、今日悩んでいる中学校、荒れている学校現場というものに対する文部省としての指導原理というものから言えば、これは教育なくして行政だけが存在をするような印象を私は受けました、率直に言って。一体、そういうようなのに対しては、どういうような角度からこの問題については処置をされるものであろうか。そういうふうになっていきますと、いま管理されている学校現場というのは、やはり行政に全部げたを預けてしまって、学校という教育の場がそういうことで責任をすりかえてしまうおそれがあるのではないだろうかということを私は心配しているのです。  というのは、三サル教師、体罰教師、三サルというのは見ザル、言ワザル、聞カザル、そして三無主義というのがはやっている。無気力、無感動、無関心、こういうような白けの状態が学校現場に漂っているという姿の中で、教師子供たちから見限られているというところにこういうような問題が発生をしているんじゃないだろうか、そういう問題の追求点が十分になされていないのではないだろうかという懸念を持っているのでございます。この問題については、そのほかにも、なぜ落ちこぼれていくんだろうか、なぜ仲間外れになっていくんだろうか、こういうような問題に根本的なメスを入れる対策がとられなければならないのじゃないだろうかと思うのでございます。これに対する文部省の基本的な姿勢というものをお聞かせを願いたいと思うのです。
  177. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 学校教育法二十六条には、性行不良で他の児童生徒教育に妨げのある場合には、市町村の教育委員会が出席停止を命ずることができるという旨の規定がございまして、これは義務教育を円滑に行うという見地から市町村の教育委員会が義務教育の履行の事務をとっているわけでございますけれども、それに対応いたしまして、義務教育につきましては停学とかそういう懲戒処分ができないわけでございますから、義務教育を円滑に行うという観点から、校長にございます懲戒権という形ではなくて、義務教育の事務を遂行する市町村の教育委員会の職掌として出席停止という権限を与えまして、これを円滑に行う場合の責任を明らかにしているということでございます。  普通の場合にはこういうことが発動されないのが例でございますけれども、たまたま私どもが調査をいたしましたいろいろなケースにつきまして、この二十六条によらずに、学校長限りにおきまして、自宅謹慎でございますとかあるいは校外実習とか、そういう形で問題のある児童生徒学校教育から排除をされまして教育を受けることができない、そういう実態にあることがかなりわかりましたので、これはひとつどのような実態になっているのか、それについて市町村の教育委員会なり監督指導する都道府県教育委員会がどのように考えているのか、そういうものをまず十分に把握をして検討いたしたいということで、私ども大臣指示によりまして開きました省内のプロジェクトチームにおきましても、まず制度的にどうなっているかという観点からのアプローチをいたしまして、この点をひとつ実態を調べまして、どうなっているか明らかにしなければならないだろうということでやっておるところでございまして、中学校課長が教委に直ちに届けるべきだというふうに申し上げたわけではないと思います。まず実情を十分調べて対応しなければならない、そういう意味で私どもはこれを二十六条によって行うべきであるとか、そういうことを直ちに考えているわけではございませんで、学校のいろいろな苦心の結果行われているところもあると思いますので、その辺の経緯を十分に調査して、法令の規定と現実の学校教育の場とがどのように調和を保ってやっていけるかという観点から、実情をまず明らかにするということなんでございまして、一定の方針でこれをやっていくということではないのでございます。  しかし、やはり法令の規定がございまして、どうしても学校において他の児童生徒の妨げになるというふうなことがある場合には、いろいろな判断があると思いますけれども、市町村教育委員会に与えられているこのような規定もあるということもいろいろな手段の中の一つとして思い起こして、それをとるというようなケースもあろうかと思いますし、あるいは学校の校長が監督下に置きまして図書室等で十分指導するとか、いろいろな形態があると思います。教育的な配慮と法令上の措置とは必ずしも私は矛盾しないと思いますけれども、そういう意味で、まず実情を明らかにして対応しなければならないということで、いまこの問題は検討しているところでございます。
  178. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間がありませんので、最後大臣に要望申し上げておきたいと思いますが、小学校の高学年の時代からもうすでに落ちこぼれは始まっております。授業についていけない。うちの木島喜兵衛先生などを中心にして内容をいろいろ調べておいでのようですが、どうもレベルが高過ぎるようになっているのじゃないか。たとえば関数の問題なり集合の理論、あるいは確率の理論、これは数学教育の内容でございますが、それが、従来中学校で、あるいは高等学校で教えていたものを小学校で教えるようになっている、あるいはそのほか最近は塾が大変はやっておりまして、そういうような知的な教育の部門だけに偏ってしまう、輪切りの教育偏差値教育、これについていけない子供たちというものが非行に走るというのは、具体的な例として、内面的な価値を追求しなければならない子供たちがそれができないでおるという状態があります。  それともう一つは、やはり地域社会教育力が低下している。それで私のところの教職員組合の大会では、任地に住みつく運動をやろうじゃないかということで運動を提起しまして、そういうふうに決定をしている。ところが、これはぜひ大臣考えてもらいたいのですが、住みついてまいろうと思いましても、学校先生たちはやはり普通のサラリーマンと違いまして本を読まなければならない、本を置く場所もないような狭い二DKくらいの公営住宅に住むわけにはいかぬ、こういうような状態が出ておりまして、ここに住めばいいじゃないかと簡単に言われてもなかなかそういうような状態にないというような状況がございまして、マイホーム、マイカーの時代というようなことで避けられないような社会現象が生まれている。やはり地域社会における教育力というものを今日失っている社会現象というものを解決するために、文部行政としても一肌脱ぐべきではないだろうかという気が私はいたします。そういうような前向きの姿勢もぜひ講じていただくように、大臣にお願いをしておきたいと思います。いかがでございましょう。
  179. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 これはまた、まさに素人で、たびたび申し上げるわけですけれども、小学校高学年から、私は落ちこぼれという言葉はどうも使いたくないのですけれども子供に失礼な気がいたしまして、おくれをとって、基礎がわからないと次に幾ら進んでもこれはだめなんでありますから、そうなりますと、もう学校へ行きたくない、何かほかの方へぐれてしまうという子供が相当あるんじゃないかという気がいたしております。  まあわれわれの時代とは、村山さん御存じのとおり、大分いまごろ何もかも進んでおりまして、このごろの子供は何でも知っている、こっちが感心するようなことがあるのですけれども、余りに教科の内容が複雑、詳し過ぎるという印象を私は持っておるのです。最近、教科書を見たことはありませんから、たまに時間があるときに見るのですけれども、こんなに詰め込まなければ社会の一員として立っていけないものだろうか。成長期には吸収力は多いのですけれども、それには限度がある。やはり一定の高校あるいは高校卒業後くらいから非常に理解力も強くなって、学校先生に教わらぬでも、自分で勉強すれば相当の知識が入ると私は思うのですけれども、余り短兵急につぎ込む。これは学校ばかりでなくて、父兄にもそういう空気があるように私はとっておりますが、ここら辺を文部省専門家に、素人が言っては恐縮だけれども、そんなことはないのかということ、そこら辺までやはり一応根本的に考えてみたらどうかということは常日ごろ話をしております。  と同時に、これはきょう初めて伺いましたが、確かに地域教育力、常に文部省でも言っておるわけでございますけれども、なるほど学校先生方はこのごろはマイカー通勤というように非常に、これは居住関係だというのですけれども、これも口で簡単に言うようにはなかなか実情はまいりません。まいりませんが、なるほど学校にそう遠くないところに担任の先生がおる、こういうことになると、距離的にも勉強の時間もありますし、住居の大きさも関係ありますけれども子供もまた学校先生のうちに行ってみようか、こういうふうになることが、師弟といいますか、教える者と教えられる者の緊密な間柄、先生がどこか遠いところから毎朝来ておるだけというよりも、自分の近所におられるということが非常に教育的には効果があるような気がいたします。また父兄関係でもそうでございますが。これはよく御注意として、直ちにこれはすぐ全部やりますよというわけにいきませんけれども、できるだけ今後教育の面で考えていきたい、かように考えております。
  180. 海部俊樹

    ○海部主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、神田厚君。
  181. 神田厚

    神田分科員 私は最初に大臣に、現在非常に教育が荒廃をしている、さらに青少年非行問題は一層深刻な状況になっておりますが、一体こういうふうに暴力教室あるいは青少年非行の増加、こういうことが一体どういうところに原因があるとお考えでありますか、その認識と原因についてお聞かせいただきたいと思います。
  182. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 しばしば同じことを申し上げるわけでありますが、まあ率直に、いろいろある。分析してみますと、私はまず第一に、その子供の素質ももちろん一つ原因であると思います。ただ、子供の素質がおくれておるとかなんとかだから、それでほっておくわけにいかない。それが教育でございますから、今度は家庭のしつけの問題、ところがその家庭が、いろいろな社会情勢の変化で、御承知のとおり、なかなか家庭教育というものがしつけができるような状況でない場合が非常に多くなっておる。この原因は、急激な経済成長あるいは家庭生活の高度化に伴って、その収入を図るためにお父さんもお母さんも働かなければならぬとか、あるいはそうでなくて、自然自然に消えた、片親になったとか、いろいろなそういう教育の、家庭教育、しつけの場が非常に変化が来ている。それと、もう一つは、そういう子供をそういう社会情勢の中で指導してもらうために学校制度というのをつくっておるのですから、最大の責任学校にある、先生方にある。そういう子供をそういう環境の中でいかによい子、よい国民、よい社会人を指導し育成するかが教育だと私は思っておりますから、この職責を担当しておる学校及び教職員は最大の責任がある、そこに何か欠陥がありはせぬか、こういうこと。  それから大きく言いまして、いま申し上げましたように社会全体が繁栄の中にあって、マナーが失われておるといいましょうか、自我を主張するだけがはびこって、他人を尊敬するように憲法には書いてあるのですが、それが忘れられておる。こういういろいろな条件がこり固まってこういうふうになっておると私は思います。  この間も文部省でいろいろ将来の相談をしたのですが、いまさらということをよく新聞などで指摘されておりますけれども、いまさらでも、これからでも——過去もいろいろやったわけでございますけれども、それにもかかわらずこういう事件が起こっておるのは、過去のものがどこに対策が及ばなかったのか、そういう点を含めてその原因分析して、直ちに対応できるものあるいは今後制度的に変えなければいかぬもの、いろいろあると思いますから、そういう点まで検討して、これは学校文部省だけで解決できません、家庭だけでも解決できない、国民全体でこの問題を解決するという気迫でやるべきじゃないかというお話をしているのですけれども原因はとおっしゃればそういういろいろな原因が錯綜している、かように考えております。
  183. 神田厚

    神田分科員 いまのお話の中で、学校教育に最大の欠陥があるという御指摘でありますが、この学校教育の最大の欠陥というのは、率直にどんなふうにお考えでありますか。
  184. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私は、残念ながら学校現場を詳しく知りません。いろいろ世間では言われておりますが、よく言われますように、私は学校先生方がこの日本国民をつくり上げるんだと。私はそういう意味で、人間の成長というものはどういうものなんだろうか。  よけいなことですけれども、学者の本などを見ておりますと、地球に生命ができたのが二十五億年前からと学者が言われておる。それから、人間という生命が細胞から分裂して初めてできたのは二十億年前。それがずっと、海底に生まれていろいろな名前の経過を経て、そして今日、人間というものになっておる。この長い二十億年の歴史を母の胎内からその経過をたどるんだということが書いてあります。ああなるほどそうかなという気がします。母の胎内から生まれ、三、四歳になって、小学校中学校へ行くときにはちょうど北京原人ぐらいの知能の程度だということを言われておりまして、なるほどそうか、そういうものとして教育しなければならない、だから私は、余りむずかしいことを教えても、北京原人にいまのような教科書を与えたってそうなかなか理解できないのじゃないかと私なりの考えで言うのですが、学校先生方はそういうものとしてこれを近代人まで育てるということですから、使命感を持ってやっていただきたいという言葉を使うのですけれども、どうもそれに欠けておるのではないか。そしてまちまちになって、子供のしつけが足らないのじゃないかということをよく言われます。  実態については局長からお話しした方が一番わかりやすい。私、現場をよく知りませんから、この程度しかお答えができないわけでございます。
  185. 神田厚

    神田分科員 北京原人からこれを近代人にまで育てるという、初めてお聞きしましたけれども、要するに大変愛情を持って本当に丁寧に教育をしなければならないのだ、そういうことに幾らか現状において欠けているところがある、こういう御認識だと思うのでありますが、私は、現在のこういう暴力教室をあるいはこういう青少年非行をこのままこの時点で何ら手をこまねいて有効な対策が立てられないということになりますと、アメリカの現在の教育の荒廃はすさまじいものがある、これもやはり十五年なり二十年前にその非行の芽をあるいは暴力教室の芽を行政があるいは教育がきちんと阻止できなかったところにある、こういうことでありますから、特に現時点においてこれだけ社会問題化している問題でもありますので、ひとつ勇断をもって新して対策を、強固な対策を知恵を集めて確立をしていただきたいというふうに思っておりますが、いかがですか。
  186. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 率直に申し上げまして、即効薬でできるようななまやさしい問題じゃないと思います。いま世間で、こういうことはアメリカにもある、ヨーロッパにもあるんだ、時代の趨勢だと言う方もあります。あるいはそうかもしれません。先ほど構造的なものか一過性のものかという議論もありましたが、私は仮にアメリカがそうであっても、ヨーロッパの先進国がそうであっても日本だけはそうならないように努力すべきものがわれわれの責任、いま現在の親たち時代国民責任じゃないかという気持ちでおりますから、衆知を集めて、またいろいろな知恵を授けてもらって、教えてもらって全力を挙げたい、こういう考えであります。
  187. 神田厚

    神田分科員 それから、私ども地方を歩いておりますと、いま元総理が外国企業から五億円もらったということで裁判で争っている。論告求刑においては懲役五年という実刑被告人という立場でございます。こういうことが教育の面でも、生徒教育する面でも非常にいろいろ問題があるし、あるいは家庭の中での対話の中でも、いろいろと子供のしつけの問題についてもそういうものが入ってきている。こういうことを考えまして、私、大変大きな影響を持っていると思っているのですが、その点について大臣はどういう御認識をお持ちでありますか。
  188. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 神田さんのお話、私、想像にかたくありません。特定の問題について私は意見を言うのは差し控えますが、午前中もお話が出たのですけれども、私も申し上げたのですが、教育というのは私はしつけが前提にならなければだめだと思っております。あるいは徳育といいましょうか道徳といいましょうか、道徳というと何か昔に返るんだ、明治に返るんだという茶化し方をする人もいますけれども、いつの時代でも人間のマナー、しつけ、人間社会における道徳といいますかマナーといいましょうか、しつけがなければ、どんな知恵がありどんな技術を持っておってもそれは空虚なものだという気が私はいたしております。それにはやはり学校で、学校先生が読み書きを教える前にその姿勢を持って指導してもらう。これもまた、古いからそんなことを言うのだと言われるかもしれませんけれども、昔は三尺下がって師の影を踏まず、本当に先生のおっしゃることならと、非常に尊敬の念、信頼の念を持っておった。いまそれが欠けておるのではないかという気がいたします。  と同時に、社会においても——親でもそうでございます。親の姿を見ながら、もう本当にいたいけな子供のときから、幼児のときからだんだん見習い、まねをしながら育っていって知恵を蓄えていく。世間の大人でも同じだと思います。そういう意味で大人の姿勢が青少年といいますか子供に大きく影響する。でありますから、いかなる立場の大人でも、私はそういうことを十分頭に置いて子孫のために気をつけるべきだ、かように考えております。
  189. 神田厚

    神田分科員 地方を歩いておりますといろいろ意見を聞くわけでありますが、ただいま大臣がおっしゃいましたように、そういう意味におきましては、われわれとしまして大変不幸な時点にあるというふうに考えております。したがって、教育の最高責任者といたしまして、それだけのお考え方をお持ちでありますならば、もしも辞職勧告案が国会に上程をされた場合には、そのことにおいてどういうふうな態度をおとりになるのでありましょうか。
  190. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そのときになってから判断をしたいと思います。
  191. 神田厚

    神田分科員 それでは、ちょっときょうの新聞に、各紙に報道されておりますが、総理府教育の世論調査をした中で、幾つかの問題が出ております。その中で、特に二、三、重要だと思う点につきまして御質問申し上げます。  まず最初に、世論調査の中で、親の意見といたしまして、道徳教育をもう少ししっかりやってほしいという要望が大変強く出ておりますが、現時点における道徳教育の実態はどういうふうになっておりますのか、その辺をお聞かせいただきたい。
  192. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 道徳教育につきましては、昭和三十三年に道徳を教育課程の中の一つの領域として位置づけまして、一週間に一時間はこの時間に充てるという制度をとりまして、またこれは、教科書はございませんが、文部省におきましても道徳の指導資料、読み物などを作成いたしまして、教材として無料で教師に配付をいたしまして、制度的には道徳教育の時間におきまして基本的な生活習慣態度、人生態度につきましても指導できるようなたてまえにはなっているわけでございます。  ただ、現実に個々の学校におきまして、生徒の心に訴えるような非常に有効な道徳教育がその時間に行われているかということになりますと、いろいろあろうと思いますし、また、道徳の時間だけでは十分でございませんで、各教科なり特別活動等、全体の教育活動の中で道徳教育の問題は全学校挙げまして指導するというふうになっておりまして、そういう意味では地域差なり学校差がございまして、必ずしも十分ではないという面があろうと思います。そういう面が父兄の意見の中に出てきたのだというふうに思うわけでございます。
  193. 神田厚

    神田分科員 私はやはりいま答弁を聞いておりますと、制度はつくったけれども、実態はうまく動いていない、こういうことを見過ごしてきた積み重ねが現在の教育の荒廃を呼んでいるのだ、こういうふうに考えているのでありますが、道徳教育の問題にいたしましても、いろいろやり方はむずかしいけれども、しかしながら、制度としてきちんと確立をした上では、やはりこれを十二分に有効にやらせるという強固な文部省の姿勢というものを貫いていただかなければならないのではないか、こういうふうに思っておりますが、大臣はこの道徳教育の問題についてどういうふうにお考えでありますか。
  194. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私は、今日のいろいろな忌まわしい非行問題等の原因、それ全部じゃありませんけれども、その根源の一つにいわゆる占領政策があるということを申し上げておる。ところが、それは大分悶着を起こしているようでございますけれども、私はそういう感じを持っておる。その中で日本の風俗、習慣、道徳一切を御破算にしなければならない、また、御破算にしたわけです。修身を教えてはいかぬ、道徳を教えてもいかぬと一切を御破算にした。その大きな反動が、道徳という言葉、そういうことを使っちゃ間違いだというような印象でわが国の国民が受け取ったところに問題があると思うのです。  最近どこかの新聞の社説に、政治家が道徳を語るときというような表題で、ろくなことはないのだというような意味のことが書いてありましたけれども、私はその人の頭の構造がどうなっているのかよくわかりませんけれども、そういうものじゃない。だれが語っても道徳は人間生命であります。そういう意味で、道徳を語ることが何かまた戦争でも始めるのじゃないか、昔に返るのじゃないかというような、そういう間違った考え方が、道徳の教え方をわざわざ本を出してもそれは着実に行われておるかどうかという疑問を私は持っております。そうでなければ、こんなになるはずがない、こういうふうに私は考えておるのですけれども、ただ、これをどういうふうな——なるほど教科書にはいいことを書いてあるのですが、文言だけでは私はだめだと思うのです。だから、まだ子供ですから、いろいろむずかしい言葉で書いても、それをそしゃくするかどうかということを私は現に疑っておる。小学校の本も見ました。中学校の本も見ました。なるほどいいことを書いてありますが、それよりも私は、同じことを言って恐縮でございますけれども、わが身をつねって人の痛さを知れとか、自分のいやなことを人に押しつけるなとか、そういう簡単な、何かすぐ覚えられるような標語的な教え方はないものだろうか。これは素人が考えているのですが、何か工夫の必要があるのじゃないか、こういうようなことも考えております。
  195. 神田厚

    神田分科員 ですから、道徳の教え方も非常にいろいろ工夫をして、少なくともわれわれは民主主義国家として生まれ変わったといいますか、戦後民主主義の中でその芽を大事にしていくわけでありますから、そういう基本の中で教育問題も論じていくわけでありますが、しかしながら、文部省が制度として一たん決めたものを非常に中途半端にしている。これは後で御質問申し上げますが、主任制手当の問題もそうであります。こういうところにやはり現在の教育の荒廃があるわけですから、これはひとつきちんと実態を把握して、どういうところとどういう話し合いをしてどういうふうにするのだということの強力な指導をもう少ししてもらいたい、こういうふうに要望しておきます。いかがですか。
  196. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 制度の運用と実態につきましては、ただいま申し上げたとおりでございまして、そういうふうな世論調査にもございますように、多くの父母は、やはり学校において教科の授業だけではなくて、しっかりした基本的な生活態度、様式をしつけてもらいたいというような希望を持っていると思います。  道徳教育の内容につきましては、種々工夫すべき点があろうと思いますけれども学校におきましてもこのような要望にこたえなければならないというふうに思いますし、私ども、いま大臣指示を受けましたプロジェクトチームにおきましてもいろいろな問題点の検討をしておりますが、いま御指摘の問題につきましても、どのような形でこれを今後実態を把握しながら進めていくかという点を重要な観点として検討しているわけでございます。
  197. 神田厚

    神田分科員 この調査の中で特に要望が多いのは、すでに大臣もお読みかと思いますが、教員の資質の向上、これを大変強く望んでいる。そして次には入試制度の改善、教育内容の改善、父兄教育費負担の軽減、こういう順序で要望が多いようであります。これは、きょうは特に時間がありませんので、これ以上のこの問題についてのお話はできませんが、特に教員の資質の向上ということが約半数近く出ているというところに、これもいろいろむずかしい問題はたくさんありますけれども、しかしながらこれはやはりやっていかなければならない、こたえていかなければならない問題だと思っておりますので、ひとつその辺につきましても要望として申し上げておきますので、よろしくお願いをしたいと思っております。  続きまして、主任制手当の問題でありますが、主任手当の現状はどういうふうになっているのか、ごく簡単に御報告をいただいてから御質問申し上げたいと思っております。
  198. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 主任手当でございますが、これは現在のところ、沖縄県が昭和五十七年の一月に実施をいたしましてからすべての都道府県におきまして実施をされ、支給をされているわけでございます。支給総額は、五十六年度で申しますと百九億円に相なっております。
  199. 神田厚

    神田分科員 そのうち、これが完全に個人の主任さん、個々の学校の主任に渡っている割合と、あるいは団体等におきまして、組合等におきましてこれがプール、管理をされている状況はどういうふうに把握をなさっておりますか。
  200. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 これは手当は一応正当に本人に支給はされているわけでございますが、支給された後にそれをどのようにするかという点につきましては、日教組等の拠出闘争運動に協力するという形で主任等が一たん受領いたしました手当を支出しておりますのが、これは日教組の発表でございますけれども、手当支給総額の約二〇%に当たるというふうになっております。
  201. 神田厚

    神田分科員 この主任制は、それぞれいろいろな生活指導とか教務とかそういう主任を設けることによってさらにその幅を広げまして、つまり学校の教職員の管理のシステムをより強化しよう、こういうふうなことであったと思うのでありますね。つまりそれは、そういうことが十二分になされていないからこそ、やはりこういうふうな校内暴力やあるいは学校教育の荒廃というものが出てきておるわけでありまして、私はやはり文部省がきちんとそういう趣旨に沿って提出したものは、出したものは、そういう趣旨に沿ってそれを使わせるような、そういう指導をもっときちんとすべきだと思うのでありますが、その点はどうでありますか。
  202. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 文部省といたしましては、まさに御指摘のとおりでございまして、主任等の職責の重要性に対しまして、必要な制度を整備いたしまして手当を支給するということでございますから、それはやはり受領されましたものは、主任等が自分の教養を高めるとかあるいは教育研究に使うとか、いろいろな形でこれを有効に使っていただくのが本来の趣旨でございまして、これが拠出闘争に協力するという形で使われているのはまことに遺憾なことでございます。  文部省といたしましても、このような状態が続く限り、やはり教職に対する信頼と申しますか、そういう点におきまして非常に憂慮すべき事態が生ずるということでございまして、従来から指導はしておるわけでございますけれども、さらに徹底いたしますために各都道府県教育委員会にこの間通達を出しまして、都道府県教育委員会におかれましても、主任制度の趣旨に即してこのようなことがないように十分な指導をしてもらいたいということを通達をしたところでございますし、これは今後ともそのような方向で十分に指導してまいりたいというふうに考えております。
  203. 神田厚

    神田分科員 それでは最後に、転校問題と海外子女の受け入れの問題について御質問申し上げます。  高度経済成長に伴いまして企業の活動範囲が広くなったりしますと、それぞれ転勤という問題が起こってまいります。ところが、それに対応する、特に高校枚生の子供たちを受け入れる問題が非常におくれている。そのために大部分の人は結局子供と母親を、奥さんを残して単身赴任をしていくというような状況が非常に多いのでありますが、これらもいろいろたくさん問題を抱えていることになりますが、この転校問題について、もう少し門戸を広げて、こういう新しい社会に対応するようなシステムといいますか、編入制度といいますか、これをもうちょっと改善をする、そういうお考えがないかどうか。  さらにもう一つは、海外勤務が多くなりまして、海外に子供を連れていった場合に、帰ってきてからの教育の問題が非常に問題になっております。このことも同時にやはり、特別な施設をつくるということでなくても、学校にそういうふうな教室をつくるなりしてそれを受け入れていくという方向をとっていかなければ、これも非常に現時点においていろいろ問題が出てきておりますので、国内的には転校に際しての編入制度の改善の問題、それから海外子女の帰国に当たっての受け入れ体制の整備の問題、この二点をちょっと答えていただきたいと思います。
  204. 鈴木勲

    鈴木(勲)政府委員 最近、転入学に伴ういろいろな要望を聞くわけでございますが、これはやはり特定の学校に限定しなければ転校は可能な状況にあると思うのでございますけれども父兄の勤務あるいは転勤先の居住とかいろいろな問題で、どうしても特定の学校等に集中するということがあっていろいろ問題が起きていると思います。  都道府県等におきましては、ある県によりましては特に県教育委員会がクラス一名の増を余裕をもって認めるというふうな方針をとっているところもございますし、あるいはパーセントで示しているところもございますし、特に東京が非常に対応がむずかしいという点があろうかと思いますが、私どもも事あるごとに過密県の指導担当の者たちと連絡をいたしましてこの問題の協議をしているわけでございますけれども、大阪、愛知等につきましてある程度対応できるような体制をとりつつございます。東京につきましても、いま非常にむずかしい状況でございますけれども、その点につきましては、何らかの円滑な措置ができるような協議をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、海外からの子女の受け入れでございますが、これは国立学校、公立学校、私立学校を含めまして、海外子女の協力校を設けまして、そこに教員でございますとか教材でございますとか、いろいろ整備いたしましてこの体制の整備をしているわけでございますけれども、五十八年度予算におきましては、特に首都圏におきましてかなり帰国子女の多い地域学校にいたしますと必ずしも集中いたしませんけれども地域として一つ学校に——一校、二校というふうな受け入れるところもございますから、そういうところは一つ地域といたしまして協力できるような地域指定を行いまして、円滑な帰国子女の協力体制と申しますか、あるいは研究体制と申しますか、そういうような予算も認められておりますので、今後ともその方向につきまして整備を図ってまいりたいと考えております。
  205. 神田厚

    神田分科員 終わります。
  206. 海部俊樹

    ○海部主査 これにて神田厚君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、文部省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分料会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会