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岡田(正)
分科員 そこで、今回の五十八年度
予算を見てみますと、五十七年度の人勧の凍結も含めての話でございますが、財政が非常に苦しい、こういうときであるから、先憂後楽、公務員の皆さんはひとつここでがまんをしていただいて、五十七年度の四・五八%ですかのベアはひとつ遠慮してもらいたい、こういう大変な決断が下ったわけでございます。そのことについて、これを全面的に復活をしてもらいたいという要求がしきりに出ておることも御存じのとおりであります。このことにつきまして、人勧の凍結というのは、もうこれは公務員の皆さんだけではございません。この五十八年度の民間労働者の
方々のいわゆるベースアップにまでもろにこたえておる問題でございまして、どうしてもその足を引っ張るようになります。
そういうこと以外に、この
予算の関係に戻らせていただきますと、
予算の関係では、年金受給者、
国民年金、厚生年金、福祉年金、こういう人たちだけで約千六百万人です。その千六百万人の人たちのいわゆる物価スライドというものも抑えてしまいました。そのために浮かした金は幾らかと言ってみますと、大体二百八十億円
程度であります。
このことにつきまして、私は厚生
大臣に別の
質問でお伺いしようと思っておりますから、そのことについては特別に申し上げませんけれ
ども、
大臣、考えてみてくださいよ。今度の五十八年度の
予算の中に行財政改革らしきものはほとんどあらわれておりませんが、目に立つものは何かと言ったら人勧凍結、今度は
予算では一%上げることにしていますけれ
ども人勧凍結と、それから年金受給者の支給を昨年並みに抑える、これがもろに表へ出ているわけです。
行政改革をやらなければならぬこの大事な年に、どうしてそんなに弱い人にばかりしわ寄せをするのだろうか。
特に厚生年金なんかをもらっていらっしゃる人なんかは、三十年かかって積立金をしているのですね。この厚生年金の趣旨そのものは、三十年かかって年金を積み立てなさい、積み立てたら、六十歳になったら生活できるだけのものは差し上げますよ、こういう制度なんです。ところがそれを抑えられる。抑えられるということは、
大臣、考えてみてくださいよ、民間のサラリーマンで六十歳から年金をばたっともらっている人というのは余りいらっしゃらぬ。なぜかといいますと、まだ子供が嫁入り前だ、まだ大学院に行っておるというようなことから、金が要るものですから、どうしても働かなければいかぬ。
そうして働きますと、働いただけの金額を
——三十年のモデル年金で大体十五万ちょっと切れるのですかね、その十五万円の中から働いただけを取ってしまうのです。結局、働いたお金と年金の残金とで合わせて月十五万円
程度になるようになっておるのです。そして、いつになったら一〇〇%、年金を三十年掛けてきたらもらえるのかと言えば、七十にならぬともらえません。それで、やれやれ七十歳で一〇〇%もちえたと思ったら、あと四年しか
平均生きません。それで人生おしまいです。実に無残なものですね。
これは官民格差の問題もありますけれ
ども。そういういわゆるお年を召されて会社をやめられた方が再就職できるかと言うたら、労働省の調べでも、年率六%の就職率を目標といたしておりますが、その目標にははるかに届きません。こんな状態では、働こうにも働く場所がない。そして、いただく年金は昨年並みに抑えられる。物価は、
政府でさえ三・四%上がると見ている。ということは結局、六十歳を過ぎた人がこれから家を建てますか、これから自動車を買いますか、これからピアノを買うでしょうか。そんなことは恐らくありません。ただ食べるだけに使っていると思うのですね。ということは、その生活費をダウンさせるということにほかなりません。
行政改革を進めていく上におきましても、こういう弱いところへしわ寄せをしていくということは私は憤慨にたえないのです。
それでしかも、もらえるお金がないなら仕方がありません。国にも金がないからがまんせいということになりますけれ
ども、実際は金がある。幾らある。四十兆円積んであるのです。これを大蔵省の資金運用部で運用されているから、年率七・三%しか利子がつかない。これを十年国債を買えば七・五%の利子が入る。〇・二%の利子が違っただけで、年間、四十兆ですから、八百億違うじゃありませんか。それを大蔵省に勝手に握られて運用されておって、有効な運用をさしてもらうことができないままで、しかも自分たちの積んでおる金は四十兆あって、そして物価スライドしないというのですから、これはむごいじゃありませんか。私は理屈の通らぬ話だと思うのであります。
しかし、
大臣にいまこれを責めましても、それは厚生
大臣の分野ということになりますから、そのことについては余り申し上げませんが、何といっても
大臣、何をやるのにも、隗より始めよという言葉がありますね、それで私は、
大臣の顔を見るのが忍びぬのですけれ
ども、
中曽根内閣の中で一番右腕になっていらっしゃる、実力も貫禄もナンバーツーの
大臣に要求したいことがあるのです。まず行管庁
長官として、隗より始めよ。だから、総理
大臣がいまいただいております月額百五十万、この中には国会議員としての八十八万円が含まれていると思いますが、その国会議員の給与だけでいいではないか。それから国務
大臣がいただいておりますところの百三十万、この中に八十八万の国会議員の歳費が入っておると思いますが、その国会議員の歳費だけでよろしいじゃないですか。まず隗より始めよで、一般の公務員の諸君のベースアップもとめて、年金受給者の生活も三・四%ダウンさせるというなら、
大臣みずから、国会議員の歳費以外の給与についてはこれを返上しようではないかという声が
大臣の口から閣議で出てもおかしくないのじゃないかと私は思うのですが、
大臣の決意はいかがですか。