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1983-03-05 第98回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月五日(土曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 橋本龍太郎君       石橋 一弥君    久野 忠治君       岩垂寿喜男君    竹内  猛君       水田  稔君    山本 政弘君       竹本 孫一君    兼務 稲葉 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  禿河 徹映君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         総理府人事局長 藤井 良二君         宮内庁次長   山本  悟君         皇室経済主管  宮尾  盤君         科学技術庁長官         官房会計課長  三井 嗣郎君         科学技術庁計画         局長      下邨 昭三君         科学技術庁振興         局長      原田  稔君         科学技術庁原子         力局長     高岡 敬展君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君  分科員外出席者         衆議院事務総長 弥富啓之助君         参議院事務総長 指宿 清秀君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   西村 健一君         裁判官訴追委員         会事務局長   青山  達君         国立国会図書館         長       荒尾 正浩君         大蔵省主計局主         計官      藤原 和人君         大蔵省主計局主         計官      米澤 潤一君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     伊藤 欣士君         会計検査院事務         総長      藤井健太郎君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         最高裁判所事務         総長      勝見 嘉美君        参  考  人        (動力炉・核燃        料開発事業団理        事)      伊勢谷三樹郎君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     山本 政弘君   坂井 弘一君     鳥居 一雄君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     水田  稔君   鳥居 一雄君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     竹内  猛君   渡部 一郎君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     岩垂寿喜男君 同日  第二分科員稲葉誠一君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所会計検査院及び総理府所管科学技術庁)〕      ────◇─────
  2. 橋本龍太郎

    橋本主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。弥富衆議院事務総長
  3. 弥富啓之助

    弥富事務総長 昭和五十八年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、三百八十九億九千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三千八百万円余の減額となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百七十五億七千三百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し四億円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十四億一千百万円余計上いたしております。このうち主なものは、五十八年度末完成目途として改修中の第一議員会館外装改修工事等でございます。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億五千万円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費でありますが、三億四千三百万円減額して七百万円計上いたしました。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 橋本龍太郎

    橋本主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。指宿参議院事務総長
  5. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 昭和五十八年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、二百三十四億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額二百三十二億五千三百万円余に比較いたしますと、二億四千六百万円余の増加となっております。  その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百二十一億一千三百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し四億九千八百万円余の増加となっておりますが、増加の主なものは、第十三回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費議員秘書及び職員人件費等であります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十三億八千百万円余を計上いたしております。その内訳は、本年十月完成予定の麹町議員宿舎第一期改築工事費六億五千七百万円余のほか、昭和六十年度末完成目途とする麹町議員宿舎第二期改築工事費二億九千三百万円余及び本館その他庁舎等施設整備費四億二千三百万円余であります。  第三は、国会予備金でありますが、五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 橋本龍太郎

  7. 荒尾正浩

    荒尾国立国会図書館長 昭和五十八年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は、百十四億三千九百万円余でございまして、これを前年度予算額百八億二百万円余と比較いたしますと、六億三千六百万円余の増額となっております。  次に、要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は、七十五億九千八百万円余であり、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億五千四百万円余の増額となっております。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、二千万円余を増額いたし、要求額は五億一千二百万円余であります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、別館新営と支部上野図書館整備等に必要な経費三十三億二千八百万円余であります。  なお、別館新営に関しては、昭和五十八年度を初年度とする三カ年国庫債務負担行為十六億一千万円余を新たに要求いたしております。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 橋本龍太郎

  9. 西村健一

    西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十八年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は、七千八百七十五万二千円でありまして、これを前年度予算額七千六百十九万八千円に比較いたしますと、二百五十五万四千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比べて増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費増加によるものでございます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 橋本龍太郎

  11. 青山達

    青山裁判官訴追委員会参事 昭和五十八年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十八年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は、八千四百四十七万六千円でありまして、これは裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費であります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  13. 橋本龍太郎

    橋本主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
  14. 山本政弘

    山本(政)分科員 十年一日と言いますけれども、ここへ来まして考えてみますと、十六年間毎年、国家公務員といいますか、あるいは国会職員のことについて質問してきたわけでありますけれども、きょうは、国家公務員女性職員に対する産前産後の休暇についてお伺いしたい、こう思います。それで、数字とかあるいは傾向とかということについては時間の関係がありますので、改めて私の方からお話を申し上げる気持ちはございません。  単刀直入に人事院総裁にお伺いをいたしたいと思いますが、五十六年二月二十七日に第一分科会で私が質問いたしました。そして、その質問に答えられて総裁が、五十六年度中に産前産後の八週間への延長を実施したいということを明言されたことは御存じであると思うのです。しかし、今日に至ってもそれが実施されておりません。昨年総裁はこういう答弁をされました。五十七年三月一日でありましたけれども、私は有言不実行じゃありませんか、こう申し上げましたところが、民間での普及がおくれておるからというのが答弁であったと、こう思います。  で、考えてみますと、民間普及がおくれたということが五十六年の二月二十七日、つまりそれ以降急におくれたわけじゃないのですね。それが一つ問題としてあるだろうと僕は思うのです。もう一つは、地方自治体の普及というものは国家公務員についてよりか早く進んでおる。たとえば県の職員を見ますと、産前の八週がもう五割に達しております。産後の八週ということについて言いますと、愛媛県の七週を除いてすべての県でもう八週ということで実施されておる。要するに国だけが六週、六過である。そういう意味では、これは大変おくれているといいますか不公平だというふうに私は感じるわけです。そういうことについて一体どういうふうにお考えになっているのだろうか、これが一つであります。  もう一つは、国連婦人の十年というのがもう後半に入ってきました。婦人に対する差別撤廃条約の批准に向けての国内の整備作業が進んでおる、あるいは準備が進められておる、こう言っているのですが、母性保護の規定を劣悪にした平等なんというものはないだろう、こう思うのです。現に総理府でこういうものが出ておる。開いてみますと、たくさんこう書いてあるのですけれども、要するに婦人差別撤廃ということについていろいろな文章が出ているのです。しかも、これはよその国のことについても、たとえば職業の平等、こういうことについて男女平等法を与党の全議員の賛成で可決しました、これは外国のことです。こういうことが書かれているのです。にもかかわらず、わが国においては、あえて言いますけれどもまだそういうことが遅々として進んでおらぬ。こういうことについてどういうふうにお考えになっておるのか、ひとつ御答弁をお聞かせいただきたいと思うのです。
  15. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 女性産前産後の休暇の問題についてでございますが、これはただいま御指摘がございましたとおりでございまして、私といたしましては、実はこの問題は大変重要な意味を持つ問題であり、また影響も大きいことでございますので、積極的に取り組んでいくべきであるという姿勢をとっておりました。五十六年あるいは去年も引き続き御指摘をいただきました際にも、若干申しわけ的なことで申し上げたのでありますが、実は私は、もっと前にこの問題は解決すべきだということを考えておったことは事実でございます。そういう趣旨から、この席上でも御答弁申し上げたというふうに、はっきりこれは記憶をいたしております。  ただ、去年、この席上で山本委員の方から御指摘がございました際に、言いわけ的になってはなはだ申しわけがないがということで御答弁申し上げたことがございました。そのときに申し上げましたのは、民間普及率の問題、それからその後における情勢変化といたしまして、いろいろ婦人勤務条件労働条件等について、基本的なまた抜本的な検討が行われていくというような情勢が出てきたということ、それから人事院自体の問題といたしましては、おととしはっきり打ち出しましたように、公務員制度を取り巻く情勢というものが非常に長い間に変化をしてまいった、特に高年齢化高学歴化というものが進んでまいるという情勢のもとに、もう一遍やはりこの際長続きする制度を見直してはどうかということを考えまして、その作業に取り組むという状況が出てまいりました。  これは大変精力的にやっておりまして、でき得るならば、六十年度を目途といたしまして実施に移してまいりたいということで意気込んでいまやっておるわけでございまして、そういうことの中に、いま御指摘になっております婦人産前産後の休暇の問題ということだけでなくて休暇制度全般、これは実は大変古いままに暫定的な措置みたいなことで今日まで来ておるわけでありますけれども、これはやはり新しい観点に立って実情にも即応したことで改めなければならぬという問題が出てまいっております。  そういうような点もございますので、実はこの問題だけを取り出してやるということについて若干じくじたるものが出てきたということでございまして、私としても大変申しわけないことに思いながら、ひとつもうしばらく検討期間を与えてもらいたいということを申し上げた次第でございます。この点は、ことしの場合、いまの場合も実は変わっておりませんが、しかしあれからまた一年たっておるわけでありまして、私としては精いっぱいの努力でできるだけ速やかに、私の考えておりますまた御指摘にもございました線に沿ってこれは必ず改正はしたいという決意でございますが、その時期等につきましてひとつもうしばらく御検討期間をいただきたい、御猶予をいただきたい。大変、初め申し上げた時期、時点との食い違いがございまして、これは率直に言って私おわびを申し上げておきたいと思いますが、ひとつもうしばらく時間的な御検討機会をいただきたいというふうにお願いをいたすということでございます。  それから男女平等の問題でございますが、これにつきましては実は各方面努力でだんだんと、男女を同様に取り扱っていく、平等に取り扱っていくという施策は着実に進んでは来ていると私は思います。ただ、見方によっては、まだまだ手ぬるいという批判があることも事実でございまして、人事院が直接受け持っております問題にいたしましても、実は先生も御承知のように試験関係では、各省についても相当問題点がございましたけれども、しかしこれはやはり当然やるべきだということで、ほとんど全部にわたって門戸の開放をいたしました。これは各方面にも非常に好評であり、また御婦人の方々も、大変職業意識に目覚めて新しい分野に積極的に進出しようということでそれなりの成果が上がってきておることでありまして、大変結構なことではないかと私は思っております。しかし、事柄はこの面だけではございませんで、あと全般的な各領域においてその平等の実現ということについては、われわれとしてもその立場立場努力をしていきたいというふうに決意を固めておる次第でございます。
  16. 山本政弘

    山本(政)分科員 十時八分までで実は質問者が二人おったのですが、これは一人でしろということで、時間がありませんので先を急ぎます。  事務総長にお伺いしたいのですけれども、大変前向きな答弁といいますか、まじめな誠実な答弁総長からあるいは総裁からありましたが、どうでしょう、国会の方でそういうことについて先駆けておやりになるという気持ちはないだろうかということが一つであります。  それからもう一つは、図書館長がいらっしゃいますけれども、去年、当時の事務総長お話をして、要するに女性昇任昇格とか人事の問題について、もう少し機会というものを与えて、そして活動の場を広げていく必要があるのじゃないだろうかというお話を申し上げたことがございます。そのときに、能力を開発するということでチャンスを与えていきたい、そういう御答弁があったのですが、そういうことについて一体どういうふうな努力をなされておるのだろうか。参議院はもう女性課長が出てきている。そういうことについても一歩先んじられたというような話があったのですが、どうでしょう、いまの要するに男女平等というようなことで門戸が開放された、こういうお話がありましたけれども、ひとつそういう点について、本院において一体どういうことをお考えになっておるのかということについて、簡単で結構でありますから御答弁をお願いできませんでしょうか。
  17. 弥富啓之助

    弥富事務総長 お答えを申し上げます。  まず、産休の問題でございますが、産休は、いまの女性の地位、それから職場への進出に伴いまして、母性保護という点から非常に大切な点であろうと考えております。ただ、先ほど人事院総裁も申されましたごとく、産休休暇制度一つでございまして、わが国会職員におきましても国家公務員であります以上は、これは制度としてなかなか改正をするというわけにはむずかしいということを御了解いただきたいと存じます。ただ、いろいろの場合があると思いますので、それはケース・バイ・ケースと申しますか、適切な運用を図ってまいる。これは従来もそのとおりでございますし、これからもそういう考えで対処してまいりたい、かように考えております。  それから、男女平等の点に対してでございますが、まさにわが院におきましては、従来からも男女平等の取り扱いというものについては非常に留意をいたしているつもりでございます。これからも機会があれば、教育等につきまして配慮しつつも、適切な指導をいたしまして女性に――確かに女性になじまないというところも、部署もあるかとも思いますけれども、そうでない場合には積極的に活用してまいりたい。  なお、五十八年度でございますけれども、男女大学卒業者、これは区別なしに試験をいたしまして、現に若干の女性を採りました。この女性は、将来調査部門とかあるいは適切な部門において昇格をしていくというふうな考えを持っております。  それから最後でございますが、女性管理職の点にお触れになりましたが、参議院でやっておられる、わが方でまだ出ておりませんのははなはだ残念ではございますけれども、今後、能力あるいは意欲その他を勘案しまして、りっぱに管理職が勤まるというケースがございました場合は、これはそれに積極的に対処をして管理職に登用してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  18. 山本政弘

    山本(政)分科員 事務総長、抽象的なお話は結構でありますが、具体的に能力を開発するということについてひとつお考えいただけませんでしょうか。そういうことを一つだけ御答弁いただけませんか。
  19. 弥富啓之助

    弥富事務総長 女性能力開発機会というものは、これは途中に入りましてからも各部におきまして、それぞれ研修ということをやっております。そのときには、従来にも増しまして女性をその研修に参加させ、しかも論文、あるいは試験と申しますと語弊がございますが、そういう制度を、たとえば委員部なら委員部議事部なら議事部、そういう研修機会女性を積極的に参加をさせ、その結果をいろいろと見ていきたい、こういうことは現にやっておるつもりでございます。
  20. 山本政弘

    山本(政)分科員 女性に対して門戸を開放しているというお話があったのですが、これは政府文書の中で、総裁、依然として格差が残っていることは否めないというのが官庁文書の中に出ているのですよ。何でしたら僕は読み上げてもいいのですけれども。ですから、やはりその点を十分にお考え願いたい、こう思いますが、時間の関係がありますから次に参ります。  週休二日制の問題です。これもまたいままでずっとお伺いをしてきたのですけれども、総理府にお伺いしたいのですが、昭和五十四年の閣議決定の中の新経済社会七カ年計画の中で労働時間の短縮、週休二日制の一般化に努める――ここにありますけれども。それから、労働省のこれもそうでありますが、第四次雇用対策基本計画昭和六十年度までには週休二日及び労働時間を欧米並みに近づけるとの方針、こういうものが出ております。二つ出ておるわけであります。これは総理府労働省も、この点について基本方針としてはお変わりになりませんね。これはイエスかノーかだけで結構ですから、お答えいただけませんか。
  21. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 国家公務員週休二日制につきましては、昭和五十六年三月より四週一回交代半休制を導入しており、また、これを進めていく方針については変わりございません。民間普及状況その他を見まして、この点についてはさらに努力してまいりたいと思っております。
  22. 伊藤欣士

    伊藤説明員 いま御指摘ございました第四次の雇用対策基本計画につきましては、経済政策全般計画とリンクさせるということで、現在雇用審議会において見直しを行っていただいている最中でございますけれども、基本的に現在の考え方に、先生指摘考え方に従って行政指導を行っておるところでございます。
  23. 山本政弘

    山本(政)分科員 総理府からも労働省からも基本計画には変わりがない、こういうお話がありました。  ちょっと話が戻りますが、産前産後の休暇について民間がおくれておる、そういうことでなかなか実施がむずかしいという人事院総裁の御答弁があった。ところで、週休二日制についてはこういうことがあるのです。ちょっと読みましょう。「職員週休二日制実施については、昨年の報告において本院の考えを明らかにするとともに、関係機関と協議を続けてきた。その結果現在なお検討を要する分野が残されているが、一方、上述のとおり民間における普及状況は顕著なものがあり、」こうなっておる。そうすると、産前産後の問題についてはそういう民間のおくれが成り立つのだけれども、週休二日については民間は進んでおりますよ、こういうことなんです。  そうすると、それに右へならえをするということになれば、もっともっと役所としては週休二日を進めていいんじゃありませんか、完全週休二日制ということを。もう金融機関もこうなっている。御承知のように金融機関もやるということが、これは完全じゃありませんけれども、そういうことが出てきておるとするならば、官庁としてももっと積極的に取り組んでいいのではないでしょうかということがお伺いしたい点でありますが、いかがでしょうか。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 週休二日制につきましては、国会その他各方面の御理解と御協力によりまして、まだ不完全でございますけれども、四週五休ということで滑り出しております。これは私といたしましても、完全だと無論思っておりません。ただ、現在の状況といたしましては、非常に予算の問題あるいは人員の確保の問題等で大きな制約というものが現在立ちはだかっておるという冷厳な事実がございます。現在の四週五休制度にいたしましても、一般の事務的な分野では大体支障なく行われておりますけれども、交代制の分野等につきましては大変苦労してやりくりに腐心をいたしておる、それでやっと非常に変則的な形で実施をしておる、通年的に見れば何とかこなしておるという状況でございます。これを一歩進めるということになりますと、特に交代制の分野等では大変な無理が出てまいりまして、やはり人の問題なり業務の運営自体についても相当抜本的に対処、方策を考えないとなかなか進めないということが、現実の姿として出てまいっておるわけでございます。  ただ、方向といたしましては、毎年私ども民間普及状況等を調べております。七〇%を超えておるわけでございますし、内容的に見ても完全週休二日制をとる事業所というものはどんどんふえておる。大体の傾向というものはいま落ちつきぎみに来ておりまして、今度は中小企業の方にこれがどの程度普及していくかということは、役所関係の対策あるいは金融機関等の進みぐあいということによってあらわれてくると思いますけれども、いまのところでは役所関係では、四週五休がそれ以上に進むことがなかなかむずかしいという現実があることは事実でございます。  ただ、各省ともこの問題については、無論業務の運営ということを確保しなければならぬという重要な問題がございますけれども、やはり世間並みのことはやっていかなければならぬということで、取り組みの姿勢は積極的でございます。それと、業務の運営とどういうふうにうまく確保していくかという点との絡み合わせでもって、これももう少し、積極的ではございますけれども、慎重な取り組みが必要ではないかというふうに思っております。  いま先生の御指摘になりましたように、この夏からは金融機関においても、不完全な形でございますけれども月一回休むということが決定されたようでございます。これを取り巻く事態の推移等も、大変関心を持ってわれわれとしても注目しながら、この問題についてさらに前向きに対処したいというのが現在の考え方でございます。
  25. 山本政弘

    山本(政)分科員 総理府基本計画については変わりありません、労働省も同じように基本計画は六十年を目途にしてひとつ進めていきたい。そして、いま総裁の御答弁についても、慎重にではあるけれどもひとつ積極的に取り組んでいきたい。三者異口同音に、前向きにお考えになっているというふうに私は理解するわけです。  そこで、事務総長にお伺いしたいのですが、いま申し上げたように、六十年までに欧米先進国並みの水準にひとつ高めるようにしていきたい、こういうふうに言っているわけでありますが、議論があるかもわかりません。しかし、官庁が先行という問題についてどうなのだろうかという、いま申し上げたように議論はあろうかと思いますけれども、民間より先に官庁実施するということもあっていいのじゃないか、こう思うわけです。特に、国会職員についてはそういうことをやって、一つの先行といいますか、そういうものがあってもいいのではないかという気が私はしますし、それから、あえて申し上げますけれども、私はここに来る前に国対関係にもお話をいたしました。議員の皆さんたちにも責任者の皆さんたちにも御理解を得ました。もし、そういうことがあるならば積極的に協力してよろしい、こういうお話もいただいた上での御質問でありますけれども、議員の理解と協力ということで、そういうことを踏まえましてひとつ国会の方からおやりになるというお気持ちはないだろうか。  時間の関係がありますので、もう一つ続けて質問させていただきたいわけでありますけれども、もう一つは、生活の充実を図るという意味から年次休暇、結婚休暇あるいは長期勤続の休暇それから国会特別休暇、こういう休暇のあり方を再検討しなきゃならぬのではないだろうか、してもいいのではないだろうかという感じがいたします。  そしてもう一つは、最後でありますけれども、昨年、本院の職員組合の青年部で何か年次有給休暇の調査をやったそうでありますけれども、五〇%の人たちが年休をとりにくい、こういう統計が出たそうであります。とりにくいことについての状況というものが僕はわからぬではない、そんな気持ちかするわけですが、そういうことについて総長として改善策がないものだろうか、お考えいただけないものだろうかという気持ちがするわけであります。時間の関係がありますからこれでやめますけれども、ぜひ前向きな御答弁をお考えいただきたい、こう思います。
  26. 弥富啓之助

    弥富事務総長 まず週休二日制の試行でございますが、これにつきましては、先生御案内のとおり、昭和五十年の七月、七十五回国会の閉会から一般職に先駆けまして、閉会中に限り、わが職員は隔週二日制という制度をとってきたわけでございます。その後、五十六年の三月から一般職につきまして、いま申されましたように四週五休制が制定をされました。それでわが方もこれにならいまして、今度は閉会、開会中を問わず、四週五休の方式に移ったわけでございます。その後二年になりまして、この制度も定着をいたしておりますので、今後はこの制度で一応やっていってみたい。  しかし、わが方の勤務体制といいますものは、先生御案内のとおり、閉会中と開会中では非常に差がございますので、そこら辺を何とか考えて、できるだけ弾力的に対処していきたいな、そういうふうに考えております。これは、第二点の休暇制度一般についても言えることでございまして、国家公務員であります国会職員でございますので、制度として一般の政府職員あるいは一般職と非常に変わったことはすることができないのは先ほどから申し上げているとおりで、御了解をいただきたいと思いますけれども、特殊な勤務体制でございますので、その辺に何かやるかぎはないかというふうに考えております。  それからまた、非常にとりにくいという話でございますが、これは御案内のとおり、開会になりますと非常に忙しくなりまして、事実上なかなかとりにくい場合もあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、事務に支障のない限り積極的にとってよろしいということをたびたび申しておるところでございまして、機会あるごとに職場の管理者等に、余暇の積極的な活用のために、そういうとりにくいような雰囲気をつくらないように指導をいたしております。今後とも、そういう精神でやってまいりたいと存じております。
  27. 山本政弘

    山本(政)分科員 終わりますけれども、鋭敏な総長だと思いますので、ひとつそういう点でぜひ前向きに、いま申し上げた点についても考えていただきたいと最後にお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  28. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  29. 橋本龍太郎

    橋本主査 次に、総理府所管について審査を進めます。  科学技術庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
  30. 水田稔

    水田分科員 岡山県の上斎原の人形峠でことしの二月三日に、動燃事業団としては初めての殉職者が出るという事故があったのです。七日に私ども現地に行きまして、どういう原因でこういう事故が起きたのかということをいろいろ伺ったわけでありますけれども、調査中ということでまだわからなかったわけであります。いわゆる放射性物質を扱うところでありますから、事故そのものは一般的な化学反応で起こったことだろうと思うのでありますけれども、きわめて重要な問題でありますので、原因の究明というのは大変大事だと思います。一カ月たった今日、どういうぐあいに事故原因の究明ができておるのか、まず動燃事業団にお伺いしたい。
  31. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 お答えを申し上げます。  まず第一に、本席をかりまして、人形峠におきまして人身事故を起こしましたことはまことに遺憾に存じておるということを表明したいと思います。  原因の究明でございますが、直ちに、本社におきましては事故調査委員会それから人形峠におきましても調査委員会を設けまして、この原因の究明に当たっておるわけでございます。何分にも、操作しておりました本人、及び分析室でございますので単独操作であったということで、本人より直接事情を聴取することができないという現状の中で、原因究明というのは大変むずかしいということでございます。事故の場に残留しておりますいろいろの物質、そういったものから、その分析を通じまして、基本的な原因の究明に目下努めておるということでございますが、この原因の究明に当たりましてはなお、さらに時日を要するということをお答え申し上げたいと思います。
  32. 水田稔

    水田分科員 それでは、原因究明のためにも、どういう作業でどういうものを使っておったかということが大事なことだと思うのですが、どういう作業をどういう手順でやっておったのか、お答え願いたいと思います。
  33. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 この作業は、本来濃縮でいろいろの作業が行われる中で、シリンダーの洗浄ということが、これは通常作業として行われるわけであります。シリンダーを洗浄いたしますと廃水が出るわけであります。この廃水をできるだけ簡単に分析する方法を確立する必要があるということであります。  そのために、この場合には例の比色法という分析方法を確立しようということで、五十七年十月に工場長、技術課長、これは亡くなった分析員の上司でありますが、それと主任というものを含めまして、比色法によるウラン微量分析法の確立を図ろうということで、口頭によりましてそのことが本人に指示されております。本人はそれに従いまして、この比色法の分析法の開発のために分析を行ってきたわけであります。  この分析をやりますと、この分析自体から、分析に伴いまして廃液が出てまいります。もちろん、その分析に使いますビーカーの洗浄というようなことによってそういう液が生ずるわけでありますが、この量が比較的大量でありますために減容する必要があります。すなわち蒸発させる必要があるわけであります。したがってその蒸発の作業、これを減容作業と申しますが、この減容作業というものを行っていたということであります。この作業は十一月以来数次にわたって行われておるわけであります。二月の場合においては、その上での不幸な事故が発生した、こういう経緯でございます。
  34. 水田稔

    水田分科員 現地で聞きますと、この減容の作業ですね、昨年十一月以来、工場の作業計画に従い、当人が数回にわたりこの作業実施してきた、この作業は慎重なコントロールのもとに行われていた、こういうことです。慎重なコントローということになれば、たとえばそれを減容するためにどういう手順で、あるいはマニュアルがあるのかどうか。現地で聞きますと、そんなものはありませんと言うのです。慎重なコントロールというのは、私はやられてないと思うのです。というのは、ビーカーに入れてサンドバスの上に乗せるだけですから。それで熱を加えて水分を蒸発させるわけです。その点は現地の説明では、私ども納得できない、そういう説明があったのですが、いかがでしょう。
  35. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 そこで慎重なコントロールと申し上げております第一は、この蒸発のために使いますのはサンドバスという装置でございます。この装置は、この場合には熱源は電熱でありますが、電熱の上に砂の層を置きまして、その砂の層の上に蒸発物をビーカーに入れてやるということでありまして、温度コントロールというのは、直接火に当たらない、しかも作業全体の時間を通じまして、ある一定以上に温度が上がらないということがコントロールという意味でございます。すなわち、それはサンドバスを使うことによってそういうことが可能であるというのが認識でございます。
  36. 水田稔

    水田分科員 そうすると、廃液はビーカーに入れてサンドバスの上で、サンドバスの電源の温度調整をして、それだけで後はほったらかしておいたらいい、そういう減容作業をやっておった、こういうぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  37. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 仰せのとおりでございます。いま先生お話では、調整装置があるのかというようなイメージでお話があるのですが、実際には調整装置はございません。スイッチを入れる、切るという操作しかございません。  それから、もちろんこの作業は、その容量によりまして想定される時間というのがございます。この事故を起こしました場合は、実際に作業が始まりましたのが午前九時からでございまして、事故が起きましたのは十一時半でありますから、三時間ぐらい。通常ですから、その量によりましてどのくらいのときが仕上がりだということは、本人の意思によってわかるわけでありますが、本人が量とその時間の関係をどのように意識していたのかということは、本人が死亡いたしましたのでわかっておりません。
  38. 水田稔

    水田分科員 たとえば、温度を一定にしてやろうと思えば、オイルバスの場合もありましょうし、ウォーターバスの場合もあるわけです。これは抵抗をつけて電熱の強さを変える、そういうことはいまの答弁でもないということですね。ですから、慎重なコントロールなんというのは――たとえば、砂の層が薄くなれば温度はもっと上がるわけです。百五十度に調整してあったと言うけれども、それはわからぬ。現地の説明というのは、報告としてきわめて慎重にやっておったという言葉だけ使っておるけれども、実際にはありきたりの、いわゆる蒸発さしていくという作業、そういうことをやっておったと理解せざるを得ないと思うのです。  時間がありませんから多く申し上げませんが、原因として蒸発乾固して、液は飛んでないそうです。私は現地へ行って見ましたけれども。この状態ですから、御存じのとおりです。ですから、いわゆるサンドバスの砂が少し飛んでおった、あるいはガラスの破片ということで、あとは本人の、亡くなられた菊地君の血がずっと落ちているということです。ですから、蒸発乾固して、しかも水分がなくなった状態でサンドバスから熱が加わっていく。中に入っておるものを調べてみますと、使っておる薬品というのは量は微量なんでしょうが、たとえばアゾ化合物あるいはアミンあるいはニトリルというようなものが存在しておる。これらがどう変化するかというと、液状の中ではわかりませんけれども、蒸発乾固した状態で、さらに温度が百度を超した状態でいった場合に、これはニトロ基に変化する可能性というのがある、私はそういう疑問を持つわけですが、そういう点は事業団の方ではどういうぐあいに――断定はできないけれども、そういう可能性というものがあるのではないか、その点いかがですか。
  39. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 先生がそこまで御推定なさっていることに対しましては、私は敬意を表したのですけれども、確かに、先生のおっしゃっているような一つの推論ができるということを私は否定するつもりは全くございません。ただ問題は、いま先生がおっしゃったような物質、すなわちこれは有機物でありますが、その有機物がどんな種類であったのかということ、そしてまた、それにどのような酸、アルカリというようなものが加えられたかということは、本人がおりませんために、廃液といいながらも確認できないというところが非常に問題でございまして、したがって、どうしても現場に残されたものからそれを改めて分析しまして、どんな物質であったかということを定めまして、それから原因を究明するという道をたどらざるを得ないわけであります。したがって、いろんな意味合いでの推論というのはできるわけでありますが、いまのところ、いま先生のおっしゃいましたことに対しまして、私の方からそれは違うのではないでしょうかということも申し上げられませんし、それはそうであったかもしれませんということも申し上げることはできない、こういう状態にあるということを御了解いただきたいと思います。
  40. 水田稔

    水田分科員 可能性というのは、ないことはないと私は思う。そういう危険――コントロールが完全にできておっても、人間というのは錯誤というのがあるわけですから、そういう場合でも事故が起きないということが一番大事な手法なわけです。そして、慎重なコントロールといいながら、それは単にサンドバスを使ったということだけです。しかも人身事故が起きる。これは普通のところでもあってはならぬことですが、いわゆる放射性物質を扱う現場なんですね。動燃のこれは一つの大事な事業所なんです。そこで起きた。しかもそれは原因が明らかでないことで、慎重なコントロールというのは、慎重なコントロールではないと私は思う。それが人形峠で行われたとしたならば、ほかのいわゆる核物質を扱うところでも、そういう可能性、わからぬことで事故が起こるようなことがあるのではないか、そういう点はいかがです。私は、その点が一番、ほかの事業所でもやはり同じような、わからないことで起こる事故というのは可能性を秘めておるのではないか、そういうことを心配するわけですが、その点はいかがですか。  それから、これは科学技術庁の方も、どこも安全だ安全だと言いながら、原子力関係――この間も東海村では再生処理工場で事故が起きた。これは、別の人が調査に行っていますから改めて質問すると思うのですが、そういう問題というのは危険が存在しておると私は思う。危険というのは、こういう小さなことですが、こういうことがほかでもあるという心配をするわけです。科学技術庁と両方、お答えいただきたいと思います。
  41. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 先生おっしゃっていることは、私ども責任者にとりましては非常によくわかるわけでございまして、私どもは、どちらかと申しますと、この種分析につきましてはその分析をする人の能力、レベルというものを相当に信頼をしてきたという前提に立っておりましたが、今度の事故の反省といたしましては、やはりそういう信頼ということだけではなくて、もう少しその辺の保安対策というものを講じなければいけないということをいたく反省しております。  次に、先生の第二の御質問……(水田分科員「ほかの事業所で」と呼ぶ)それからもう一つ、私どもは、この事故が起きましてすぐ全事業所に対しまして、この種の減容作業は当分の間中止せよということを指示いたしております。そして、これは原因解明の上、いまの保安対策というようなものの講じられ方によって改めて指示をするということにしております。
  42. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 今回の事故は、いわゆる原子力施設におきますプラント等の定常的な事故とは異なりまして、それだけにまた原因究明、対応もむずかしいわけでございます。確かに、動燃事業団あるいはその他の機関におきましても、原子力関係の研究で化学実験を行うということは相当数行われているのが現状でございます。御指摘のように、わずかにしましても放射性物質も含む。化学実験は、元来未知なものに挑戦するという性格もございまして、潜在的に危険を含んでいるわけでございまして、それを事前にできる限り予測し、不明な部分については所要の用意をしてかかるのが化学実験の常道でございます。それに加えて、放射性物質の対策ということも十分気をつけなければならないわけでございます。  そういう意味におきまして、動燃事業団はもとより、ほかの関係方面におきましても、化学実験に伴っては、普通の化学実験以上に慎重に配慮しながら行わなければならないと存じておりまして、動燃事業団にもその旨指導してまいりたいと思いますし、さらに、ほかの機関についても安全指導の面から十分配慮してまいりたいと考えております。
  43. 水田稔

    水田分科員 この原因もさることながら、なぜこういうことをやるのかということですね。これは放射性廃棄物の量をできるだけ少なくしたい、捨て場所がない、保管に困るということがそこにあると思うのですね。だから、安易ないわゆる減容ということをやるべきではないのじゃないかという気がするわけです。原因究明については、御答弁がありましたようにこれは一日も早い解明と、ほかの事業所でもそういうことの起こらないように対策を講じてもらいたいということを申し上げておきます。     〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕  時間の関係で、あと通報の問題ですが、現地で聞きますと、これは十一時三十分に事故が発生して十三時二十分に通報した、こういうのです。実際は、事業所から通報されていないわけです。県で確認いたしますと、これは十一時三十分に事故があって、十三時十五分ごろに警察から情報が入ったわけです。鉱山保安監督局ですか、両方から入っておる。十三時二十分に問い合わせたら、話し中で電話は出なかった。結局、十四時二十分にもう一遍電話をしたら、通じた。そしてそこで、この連絡をもって通報にかえさせてもらう、県の問い合わせに対して通報にかえさせてもらうというのは、両方一致なんです。一時間のずれがあるわけです。まさに、通報というのは常に、原子力関係の施設で事故が起きた場合には、しなかったあるいは通報のおくれというのが問題になるわけですね。この点は県なり上斎原村との間の協定もある。協定の内容を見ますと、これは九条五号で「事業所内で火災その他の災害等の緊急事態が発生したとき」というのは、無条件通報ということになっているわけですね。しかも、この事業所では昭和五十五年に八時間、全体がとまったわけですね。これは原因はトンビが電線にとまって焼け死んだのですが、それでとまった。全く通報がなかった。これも後でわかって文句を言いますと、相済まぬ、こういうことになるわけですね。現地で聞いてみますと、確かにそういう事態ですから、本人死亡確認まで気も動転するような状態であったというのですね。だけれども、災害のときには火災であろうと地震であろうと、みんな大変な状態の中でなお緊急に対応できる体制がなければ緊急事態の体制とは言えないわけです。しかも原子力、いわゆる放射性物質を扱う場所で、それがあの程度の事故で動転して通報さえできない、そういうことなんです。それであれば体制の問題で問題がある。  もう一つは、こんなことはわからなかったら通報しなくてもいい、言えばまた原子力施設で事故があったと言われるから、わからなければできるだけ伏せておけということなら、それもまた秘密主義ということで問題になる。私どもはけしからぬと思っています。こういうことは今後あってはならぬというふうに思っていますが、事業団としてはどういうぐあいに受け取られて、今後どういうぐあいにその通報等についての体制をきちっとやられるお考えか、伺いたいと思うのです。
  44. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷参考人 通報の事実関係につきまして、県側のおっしゃっていることと私どもの申し上げていることとの間に食い違いがあったということはあるのですが、今回の事故にかんがみまして、全体のあり方から反省してみますと、一つは、今回の事故が人身事故であったということでございます。したがいまして、まず人命尊重の見地からいかなる対応をとるべきかということが、当然のことなんですが、優先したということが第一。第二は、少なからず汚染ということがつきまとっているわけでありますから、したがって汚染に対するサーベイが当然の行為として、非常に緊急な事項としてつきまとっておるということであります。したがって、その事故の発生からそういうような緊急的な対応をとるということに相当の時間を費やさざるを得なかったということを御了解を得たいと思うわけであります。  またもう一つ、どうしてその通報にトラブルが起きたかと申しますと、人身事故の場合には病院あるいはそれに伴う警察というようなところへいち早く連絡がいくわけであります。そういうところから非常にショートタイムに情報が拡散していく。ところが、本拠の方は対策に追われておりますから、通報がおくれたということがあり得たのではないかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、その事故に伴います通報ということは、先生おっしゃっておられますように協定の中にも書かれております。私どもは、これはきわめて重要なことだという意識においては変わりはございません。したがいまして、その辺はいたく反省をしておるところでありまして、やはり通報体制というものはどうあるべきか、あるいは通報手段というものはどうあるべきかということにつきましては、今後早急に検討をいたしまして改善を図っていきたいということで、事故の初期動作としての対策に努めますこと、そういう対応の確立を図りますと同時に、通報体制につきましても万全を期していきたい、その改善策を図っていきたい、そういうふうに考えております。
  45. 水田稔

    水田分科員 放射性物質というのは、目に見えないものなんです。それだけに通報のおくれというのは住民に大変な疑心暗鬼を生むわけです。そういう点ではいまお答えいただきましたように改善をして、今後県なり村なりあるいは関係住民が不安のないような通報体制をぜひとっていただくようにお願いしたいと思います。  時間がありませんので、以上で終わります。
  46. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、特に茨城県の筑波地域にいま起きているP4、ライフサイエンスをめぐる建設の問題と、それから科学技術博覧会の運営に関する問題の二点について質問したいと思います。  まず最初に、P4と言われるライフサイエンスの問題については、五十六年四月二十一日に私が内閣委員会で質問をしたときに、初めて筑波地区の高野台にそういう施設をつくるということが明らかになった。それまでは地元には何ら相談がなしにこれが進められてきたものであります。その後今日まで約二年間、この地区には賛成と反対の渦が巻いております。  そういう中で、特に地元の谷田部町においては、当初全議員が反対をし、途中でいろいろな工作があり、二名程度の多数によるところの賛成によってこれが反対から賛成になり、町長も当初反対したものが今度は賛成という形になる。この間に、われわれが調査したところによると、これはことしの一月二十七日でありますが、土浦のある料亭に賛成をすべき谷田部の町会議員が招かれて、そして県の県南事務所の所長もそこに参加をして工作をさせた。そしてその翌日にこれが覆された、こういう記事が出ておりますし、そのような問題があります。また一方においては、地元の新聞との関係で契約をしたようなことで、これは記事の面にいろいろなことが取り行われた、こういうことも言われておる。このように疑惑が非常に背景にある。  そうしてその中で、安全性の確保という問題についてどうしても折り合いがつかない。安全性が確保されるかというと、いやそれは安全であります、常にそういうことを言っておりますけれども、いまだにこの問題については決着がつかないままに来ております。  なお、和光市にあるところの理化学研究所の職員の皆さん、労働組合が依然として移転反対の数多い状態というものをそのまま今日も続けておるということからしてみると、やはりP4というものは、当初理研の皆さんが言っているように、和光でできない、より危険なものは筑波でやるんだ、こういうことがそこに証明されたように思います。  そこで、なぜ一体こんな重大な問題を隠しながら計画を立ててきたか。重大な問題であればこそ地元と十分に相談をして、住民の理解と納得を得るということが民主主義の前提ではないか、その民主主義が破られているところに問題がある、こういうふうに思いますけれども、関係機関科学技術庁あるいは理化学研究所の皆さんはいままでやってきたことが正当だと思っておられるのかおられないのか、まずその点からお尋ねします。
  48. 原田稔

    ○原田政府委員 御案内のとおり、P4施設というのは、最近世界的に非常に問題になっておりますライフサイエンス、特に遺伝子組みかえという先端技術中の先端技術でございますが、それの推進と申しますか、基礎的な研究、総合的な研究、安全性の確認といった作業を含めてそういった研究をやろうということでございます。  五十六年度予算から計上されたわけでございますが、私どもといたしましては、五十五年の十二月に谷田部町の町議会に対しまして理研の方からP4施設の構想の説明を始めたというのが地元に対する御理解を求める作業の第一着手であったわけでございます。その後何回か地元への説明を繰り返してきたわけでございます。何しろ非常な先端技術を扱うこういう研究施設でございますから、どうしてもなかなか専門的な事項が多くなったりいたしまして、そういったこともありまして地元の御理解が十分ではなかったという途中経過はあったわけでございますが、幸いにいたしまして昨年の夏に至りまして地元の御理解を得て、昨年の秋着工ということになったわけでございます。  私どもとしましては、理研も含めて最善の努力をしたつもりではございますが、何せこういう最先端技術を内容とする施設ということなどもありまして、説明の仕方その他につきましてはなお反省すべき点もあるかなという気も持っておりますけれども、そういう反省も踏まえまして今後ともなお地元の御理解、御協力を十分に得るように努力を進めてまいりたいと思っております。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま一定の話があったけれども、一体どこを地元と言うのか。つまり谷田部町の町議会というものが地元であるのか、それともその施設をつくるところ、高野台地区。高野台地区というのは第二種住居地帯ですね。それでいま宅地を造成して東京やその他の都市からそこへ居住者が移転をしてきているところなんです。そこにより危険なものをつくるということを住民に言わない。たとえば小さな工場をつくるにもその周辺の人々の同意を得るというのは常識なんだ。その常識が欠けているところに問題がある。  これは前知事から出ている。地元の町会議員は反対しているはずですね。そういうようなときに、たとえば去年の十月二十一日ごろに、真夜中にブルドーザーを入れて工事をする、こういうようなことをしなければならないほど秘密にやっているということの中に疑惑が生ずる、問題が生ずる。なぜ堂々と皆さんの理解を得てやらないか。こういうところからこれからもその問題は続くのです。これはどうなんです。地元というのは一体どこなんだ。
  50. 原田稔

    ○原田政府委員 私ども、理研も含めまして地元の御理解を得るための説明会その他につきましては、当然のことながら関係の方々を含め各方面の方々が御参加しているようでございます。  ただ、私どもといたしましては、この施設が立地しますところの谷田部町、これが基本的、第一義でございますので、その立地する地元の谷田部町を中心にいろいろと努力をしてきたということでございます。幸いにいたしまして地元町議会、町長の御理解を得たわけでございますので、町長あるいは町議会というものがその地域全体を代表する、こういうことで私どもは着工に入ったわけでございます。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それでは、社会党の調査団が一月二十七日に現地でいろいろ問いただしたところが、土浦のある料亭で反対の町会議員がそこに呼び集められてある工作をされた。その翌日に町議会においてその人々が、従来は反対であった者が賛成に回ったと言われているその事実について、どのようなお答えができますか。
  52. 原田稔

    ○原田政府委員 従来から私どもは地元の御理解を得るためにいろいろな手段を講じてきているわけでございます。地元の説明会等もその一つでございますし、あるいは町議会の全体協議会といったところに理研の担当の理事以下専門家が出まして御説明をするといったようなことも、何遍かやってきているわけでございます。  地元の関係の方々との間につきましては、たとえば地元の説明会がおそくなったといったような場合等もあったわけでございまして、そういう場合にたまたま夕食を共にするということもあったと私どもは聞いております。ただ、それはいずれも世間一般の常識を超えないと申しますか、その程度のものであると理解いたしております。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 地元の人たちはなかなかそれを理解してない。やはり工作をされて、飲まされてひっくり返された、こういうふうに理解をしている。いまの説明は依然として理解をされないということであります。だから今後もこのことについてはいろいろな意味で尾を引いていくということをまず申し上げておきたい。  続いて地元という問題について、これは五十六年の段階だったかと思いますが、主婦の会の皆さんが来ていろいろと話し合いをしたときに、いまは科学技術庁におられませんが、松田調査官あるいは下邨局長等が立ち会われた中で、主婦の方々あるいは地元の皆さん方が反対である限りは着工はしません、こういう約束をしたことがありますね。あるでしょう。
  54. 原田稔

    ○原田政府委員 日取りはたしか五十七年の二月だと思いますが、当時科学技術庁に在籍しておりました松田調査官がそのような趣旨の発言をしたということを私どもも伺っております。
  55. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 ところがだんだん話題をすりかえて、ついに地元というのは町議会だ、こういうふうに言い出したのです。問題は、なるほど町議会が工作をしてひっくり返されたということで、これはひっくり返されたけれども二名の差ですよ。全員がひっくり返されたわけじゃない。やはり四、六ぐらいの関係になっている。そういう中で、特に問題は、谷田部町はそうなったかもしれないが、地元も理解はしない。現地が理解をしない。またその周辺の町会議員は反対をしている。  ところが、その隣の茎崎町の牧園地区では町長も反対、町議会も反対ですね。確かに行政から言えば谷田部町と茎崎町ですから行政は違うけれども、距離から言えば、現地との距離は三百メートルぐらいなんだ。これは地続きです。そういう中で、同じ地域と言ってもいいくらいのところで今度はそこが反対をしている。その場合、これはどういうふうに理解をしますか。
  56. 原田稔

    ○原田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この施設が立地するところが谷田部町でございますので、私どもは第一義的に理研ともども谷田部町の御理解を得るということでいろいろと努力をしてきたわけでございます。もちろん、住民の方々に対する説明会等には、谷田部町の住民の方々だけではなくて、もっと広く各方面からの御参加があったと私どもは聞いております。  それから、先生指摘の茎崎町でございますが、この町につきましても、たしか昨年の十月でございましたか、計画変更の決議が、当時は村だったと思いますが、村議会でなされたと聞いております。私どもは、計画変更の御決議ということで反対ということではないわけでございますけれども、その御変更の内容等につきましても町議会あるいは町当局と理研との間でいろいろな情報交換等が行われているやに聞いておりますが、昨年の秋に担当の理研がこの村の全員協議会に参りまして改めてまた説明をいたしたような経緯があるわけでございます。茎崎町でそういう決議がなされたという点につきまして、私ども、この計画が専門的であってなかなかむずかしいという点のハンディはございますが、なお説明等に至らぬ点があったのではないかという点につきましては反省をいたしております。今後とも、なおひとつ、周辺の方々、一部反対しておられる方々があるわけでございますから、そういった方々の御理解と御協力を得られるように努力を積み重ねてまいりたいと思っております。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 このように話は非常にやみからやみへ矛盾と矛盾の重なり合いで今日まで来ている。だから問題は非常に複雑怪奇と言わなきゃならないのですね。その中で一番の問題になるのは安全性の問題なんです。ところが、安全性を確保されたかというと、安全でありますと言う。言うに決まっているのですね。  そこで問題は、安全性は大丈夫だ大丈夫だというところに多くの事故が起こっているのは、すでに原子力発電所を見ても何を見てもわかるでしょう。人のやることですからね。これは安全だと言わなかったらどうにもならないかもしれませんが、そこで、これができ上がってくると、官、学、それから産業界も一緒になるでしょう。そのときの事故責任というのは一体だれがとるのか、これを明らかにしてもらいたい。
  58. 原田稔

    ○原田政府委員 この施設は、先生が御指摘のとおり、理研がメーンになって使うわけでございますけれども、施設の先端的な性格、総合的な性格から、共同利用という形で外部の方々の利用にも供するということにしております。  この施設の安全性につきましては、御案内のとおり、計画局長の諮問機関というところでこの施設の安全検討というものを約一年くらい、一年弱でございましたか、かけて検討してまいりまして、いろいろな意味で安全だという御判定を得ているわけでございますが、そういう外部の方々の御利用につきましては、当然のことながらこの設置管理者である理研と外部の研究者あるいは外部から派遣されてくる研究者を所轄するいろいろな組織との間で厳重な契約を結ぶことになるわけでございまして、その研究者の方々の安全確保のためのいろいろな義務あるいは行動につきまして、理研の職員と全く同等の義務、責任が生ずるわけでございます。そういった意味で、私どもといたしましては、そういう安全性の確保につきまして理研内部と全く同様に外部の方々につきましても万全を期してまいりたい、かように考えております。
  59. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 あの地域は日本でも有名な地震地帯です。ついこの間の二月二十七日の九時十五分、あの地震は霞ケ浦、土浦、あの辺が震源地であってマグニチュード六・三ぐらいの地震であったわけですね。相当な地震なんです。そのときにこれは地震等によるところの災害が影響するということは予想されますね。防火体制あるいはその他の十分な体制等についてどういう準備をされているのか。
  60. 原田稔

    ○原田政府委員 安全性の確保上防災対策、消防対策というのは最重点の課題でございます。この点につきましては、先ほども申し上げたとおり、計画局長の諮問機関を特別に設けまして、関係の専門家の方々にお集まりいただいて理化学研究所の施設の設計につきまして詳細に検討していただいたわけでございます。それに基づきまして御判定を得てゴーというサインが出たわけでございます。  たとえば地震について申し上げますと、関東大震災の二倍を超えるような地震にも耐えるような性能になっております。また、消防対策といたしましては、耐火構造であることはもう当然でございますが、いろいろな防火扉等も設けてございます。あるいは停電等が起こる場合があるわけでございますから、停電につきましても自家発電あるいは蓄電池といったようなことでいろいろな防護措置が講ぜられております。  また、運営関係につきましても、安全委員会あるいは安全主任者その他いろいろな組織を設けまして、万々が一にも問題が生じないようなそういう措置を講じているところでございます。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう一点伺いますが、稼働して出た廃物の処理は東海村で処理をする、こういうことを県議会でも明らかにされたわけですね。いま茨城では県議会が開かれておりますが、そこでも明らかにした。谷田部から東海まで運ぶ途中にいろいろな事故が起きる可能性がないとは言えない。これについてはどういうような予防措置、防衛措置をするのか。
  62. 原田稔

    ○原田政府委員 先生の御質問は恐らくラジオアイソトープ、放射性同位元素のことではないかと思いますが、理研のこの施設におきましても他の医学、生物学等の研究機関と同様にある程度のラジオアイソトープを取り扱うことにいたしております。このラジオアイソトープの使用は御案内のとおり法令で厳重に規制されておりまして、この施設で使われるラジオアイソトープにつきましてもこの厳重な法令の規制を受けるわけでございます。具体的に申し上げますと、この施設から発生するラジオアイソトープの廃棄物につきましては、まず減菌するなどの生物的な処理をいたしまして、それ以降は他の研究機関で取り扱っているラジオアイソトープと同じようなルートを通りまして、法律で許可を受けた業者によって回収させ、最終的には原研で安全に処理をされる、こういうルートになるわけでございます。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 P4の問題についてはまだいろいろ問題があるし、なかなか理解できない面ばかりです。また別の機会に科学技術委員会でしっかり整理してその続きをこれからやりますから、これはまだ序の口ですから、長官、ひとつ序の口の話としてぜひとどめておいてもらいたい。  最後に、科学技術博覧会の運営問題について一点だけただしておきたい。  それは、国際科学博覧会を進める中の財政問題について、あの法律の中には確かに財政については国が出したりあるいは専売公社の益金、電電公社、国鉄等々から寄附を募るという形になっていますね。これは法律上明らかにされているところです。ところが、実際は、いま運営の中で資金部というものをつくって、そしてやがて店が出るであろう品物についてシールを配り、その販売代として七%を得ているという。ところがまた一方においては、店を出したいという申告も受け付けている。一千万円の売り上げをすれば七十万円をこれは出すわけですね。ところが、出せない零細な企業も出店を希望している。しかし、人情とすれば、シールで前々から七%に協力した者と書類だけ出して申請した者との間では、当然差別されるおそれがないことはない。この場合の取り扱いについて一体どうされるのか。  これは法律上の問題ではありません。どういう機関でこれを決めて、だれが実際に運営をしているのか。この点についてひとつ説明してもらいたい。
  64. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 博覧会の会場建設、運営につきましては、多様な資金を導入するということで計画をいたしております。民間資金も導入していかなければなりませんし、いろいろな手段を使ってお金を集めるということで計画をいたしております。  その一環といたしまして、いま先生指摘のシンボルマークの使用ということもやっておりまして、その使用に伴う協賛金収入というのも運営の資金の一部に充てるということで考えております。できるだけ多くの収入を得たいということで、皆さんに御協力をいただいているところでございます。  もう一つの御指摘でございますが、営業参加といいますか、会場内の出店でございます。この出店についてどのようにしていくかということは、現在博覧会協会の中におきましてその審査基準について検討をしているところでございます。できるだけ多くの出店がされて、営業参加ということにつきましても十分できるように指導してまいりたいと思っております。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題は、零細な地元の者で同じ業種の者であっても、シールを買っている者であっても、シールを買っている者とそれを拒否している者とがある。こういうふうにした場合には当然差別されるおそれがないとは言えない。その点について差別するかしないか、そこだけはっきりしてもらいたい。
  66. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 マークの使用によります協賛金を出す出さないの問題と、この営業参加、出店ということにつきましては、別の問題ではないか、こう思っております。したがいまして、マークの使用の有無ということが営業参加の前提にならないということと承知いたしております。私どもといたしましては、マークの使用料を納めてないという理由で出店を断るというようなことのないように協会を指導してまいりたいと思っております。
  67. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 最後に、従業員の宿舎の問題と観客の宿舎の問題について質問します。  先般もある新聞に出ていましたが、前々から心配だったことですが、博覧会に従事する職員だけでも一万三千名、これは外国人も加えてそうなりますが、法律上は外国人の宿舎は提供する、こうなっている。ところが、国内の従事者に対する宿舎の手当てがほとんどできていないということで、これは重要な問題ですね。  それからもう一つは、参観者の宿泊所がどのようにされるのか。私は民泊論を唱えてきているのですが、民泊についても余り動いている状況は見当たらない。このままでいったらどのようにして宿舎を確保できるのか、この点はどうなんです。
  68. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 御指摘の宿泊の問題でございます。先生も御案内のとおり、会場地の周辺の宿泊能力というのは非常に小そうございます。茨城県内の主要都市の宿泊能力もきわめて限られております。したがいまして、観客の宿泊施設の大部分は東京に頼らざるを得ないと考えております。しかし、観客の利便とか交通対策等の観点からいたしますと、できるだけ会場地の近くに宿泊者の収容能力を向上させるということが必要だと思っております。  そういう点から、博覧会協会とか地元の茨城県を中心にいたしまして、いろいろと対策を検討していただいております。博覧会終了後の利用という問題もございますので、恒久的な宿泊施設を数多く設けるというのは、後にいろいろ大きな問題を残すおそれがございます。したがいまして、現実的な対応策といたしまして、先生指摘の民泊の問題、そういうこともやっていかなきゃならないということでございます。たしか昨年でございますが、民泊の試験宿泊というようなこともやってみました。十分可能性があると思いますので、この辺の民泊の提供者の組織化と申しますか、そういうようなこともこれから進めていかなきゃならないと考えております。  一方、従業員の宿舎でございますが、これも相当数確保しなければなりません。この点につきましては、住宅・都市整備公団あるいは雇用促進事業団等の公的住宅の利用も考えておりまして、お願いをしているところでございます。また、民間の住宅の借り上げとか仮設住宅の建設につきましても、その対策について鋭意進めているところでございます。
  69. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 まだ十分尽くせない問題がありますけれども、これはまた別の機会にいたしまして、時間が来たから終わります。
  70. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、科学技術庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  71. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から予算の説明を聴取いたします。藤井会計検査院事務総長
  72. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 昭和五十八年度会計検査院所管の歳出予算案について説明いたします。  会計検査院昭和五十八年度予定経費要求額は、八十七億四千八百五十四万二千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として七十七億六千四百六十七万一千円を計上いたしましたが、これは総額の八九%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十人を増置する経費も含まれております。  旅費として五億七千五百五十四万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億六千百四十万六千円、外国旅費が六百七十二万五千円であります。  施設整備費として三千五百二十四万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎本館給排水設備その他改修工事費二千百九十三万円であります。  その他の経費として三億七千三百七万五千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千二十万四千円、並びに、検査業務の効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費四千三百五万八千円、電子計算機等借料一千七万円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十八年度予定経費要求額八十七億四千八百五十四万二千円を前年度予算額八十六億一千七百三十三万三千円に比較いたしますと、一億三千百二十万九千円の増加となっておりますが、これは人件費において一億一千五百九十二万七千円、検査業務に必要な経費において三千四百三十七万一千円増加し、施設整備費において、一千五百九十九万五千円減少したことなどによるものであります。以上、はなはだ簡単でありますが、本院の昭和五十八年度予定経費要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  73. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  74. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。
  75. 稲葉誠一

    稲葉分科員 私がなぜ会計検査院の皆さん方に来ていただいたかということですが、実は去年の六月だったと思いますが、官房長官に対して、俗に言う官房報償費ですね、約十二億幾らありますが、これについて、使途や何かいろいろ質問いたしましたらば、私はそれがやましいかやましくないかなんということを聞いたわけではないのに、クールな宮澤さんが、それはやましくないんだ、やましくないんだと盛んに言うものですから、だれもそんなことを聞いてないじゃないかと言ったのですが、そこで、会計検査院の検査を得ているから会計検査院に聞いてくれ、聞いてくれと盛んに言うわけですね。そこで私は、会計検査院の皆さん方に、それと同じような費用がいろいろあるわけですね、たとえば第三者通報費みたいなものがありますが、そういうようなもの全体を含めまして、特にこの官房報償費に関連をして、実際はどうやって会計検査院が検査をやっているのかということをお聞きをしたい、こういう趣旨なわけですね。  そこで、全体的なものとして会計検査院法がもちろんありまして、二十二条で「国の毎月の収入支出」、毎月やるのですか、これが検査の対象になっているのですが、簡易証明といいますか、簡易検査といいますか、これは俗称だと思います。その正式な名前は、計算証明規則の十一条ですね、「特別の事情がある場合の計算証明」、このことを言うのだと思いますが、これに当たるものは一体どういうものが現実にあるのか。十一ぐらいあるというお話をちょっとお聞きしたのですが、そこら辺のところをまず御説明をお願いいたしまして、そして、計算証明規則の第十一条は現実にはどういうふうにやっておられるのか、御説明をお願いいたしたい、こう思うわけです。
  76. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  いまお話しの簡易証明でございますが、御指摘のとおり計算証明規則の第十一条に基づいて簡易証明の取り扱いを承認いたしておりますのは、現在、内閣、公正取引委員会、防衛庁、警察庁、法務省、外務省、大蔵省、厚生省、海上保安庁、労働省、このほかに総理府本府というのがあったのでございますが、現在は総理府本府には報償費の予算はついておりません。したがいまして、現在はこの十省庁等の報償費、それから調査活動費、調査委託費、捜査費というものを承認しているわけでございます。  簡易証明を承認しておりますものの予算額がどれくらいかということでございますが、本院が簡易証明を承認いたしております報償費等の費目の金額のすべてが簡易証明というわけではございませんので、予算段階で簡易証明分が幾らかということを申し上げることは困難でございます。したがいまして、決算額で申し上げますと、五十六年度の場合は、簡易証明を承認しております費目の決算額の総額が百四十七億三千四百万円ございますが、このうち簡易証明によっているものは百三十六億七千九百万円でございます。
  77. 稲葉誠一

    稲葉分科員 あなたの方は簡易証明というのでわかっておられるのでしょうけれども、聞いている方はわからないわけですよ。私もよくわからないわけですね。だから、その簡易証明というのは、たとえば官房報償費、内閣の場合はいま十二億幾らでしょう。内調は二億幾らありますから、ずっと据え置きの金額になっていますね。これは田中内閣ができたときに倍くらいになった予算です。それを、簡易証明と言われるけれども、具体的には一般の正規の証明とどういうふうに違うのかということですね。それを説明していただかないとよくわからないわけですね。
  78. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 本院の検査は、御承知のように書面検査と実地検査と両方ございます。在庁して常時検査を実施する必要から、計算証明規則に基づきまして、国の各機関から一定の期間ごとに計算書、それからその内容を証明する証拠書類を提出していただくのが原則でございます。原則ではございますが、先ほど御指摘ございました計算証明規則の十一条に、会計検査院の承認を経てこの原則と異なる取り扱いをすることができるという規定がございます。この規定に基づきまして、役務提供者等の請求書それから領収書、これにかえまして取扱責任者への支出決議書、その領収書、それを証拠書類というふうに認めたものが、いわゆる簡易証明でございます。  では、これはどういう場合にそれを認めるのかという御疑問がおありになるかと思いますが、一般的には国の情報収集、それから捜査活動、こういったものに使用される経費で、その性質上、使途を明示しまして計算証明をするということが国の機密保持上適当でない、それからまたさらに、個々の支出に当たりまして、正当債権者に小切手を交付するという取り扱いをすることが困難だというふうに認められるものに限るという方針にいたしているわけでございます。  ただ、これは本院への提出書類の簡易化というのにすぎないものでございまして、毎年実施しております実地検査の際には、通常の庁費その他の検査と同様に、受検庁側に保管させております証拠書類等に基づきまして、取扱者の説明を聴取しておるわけでございます。
  79. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そうすると、内閣の官房報償費が十二億幾らあります。月に大体一億でしょう。日曜日を除くと、二十五で割ると、大体一日四百万ぐらいかな。それは総理府の会計課長が取扱責任者になっているわけでしょう。官房長官がなっているわけですか。現実にその金がどういうふうに払われたかということについて、検査はだれに対してやるのですか。
  80. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  取扱責任者は官房長官でございますが、実際には内閣の会計課長承知しておりますので、会計課長から説明を聴取し、それから会計課長の方で保管している証拠書類、これを検査しております。
  81. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そうすると、会計課長が保管をしている証拠書類というのは、どんな書類なんですか。それがよくわからないのですよ。たとえばある人が、だれでもいいのですが、たとえば私なら私としてもいいですが、私がそんなものをもらうことはありませんけれども、例として私でもいいのですが、私が官房長官のところに行って、どこかへ行くと、外国へ行くからせんべつをもらいたいと言うか、向こうがくれると言うのか、あるいはいろいろな意味で金をもらうというときに、金をもらいますね、そのときに私は領収書を書かないわけですね。そうでしょう。それから官房長官、金を出すのは、いま言ったように小切手は出しませんね。この二つをまず答えてください。     〔石橋(一)主査代理退席、主査着席〕
  82. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 いまの例示されましたような支出があったかどうか、それは私、記憶しておりませんが、ただ、そういう祝儀、不祝儀といったようなものにつきましては、これは当然領収書がございません。これは報償費に限らず、交際費も同様だと思います。そういう場合には支払い責任者、それの、これは支払いましたという書類が領収書にかわるものとしてついております。どういうところへどういう目的で支払ったのかということの説明を聞きまして、そしてこれは妥当であるとか妥当でないとかという心証を得てきておるわけでございます。
  83. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そうすると、内閣の報償費十二億幾らの実際の検査のやり方は、まず第一点、あなた方は官房長官に会うのですか。これは会わないのじゃないですか。会計課長に会ってそこで何を見るのですか。だれとだれに払ったという個人名は書いてないのじゃないですか。それで心証なんか得られるのですか。どういうことなんですか。
  84. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 支払い先が書いてないというお話でございますが、どこへ払ったかということは一応書いてございます。そのために説明を聞いて、この支払いが妥当であるのかどうかということを判断するわけでございます。
  85. 稲葉誠一

    稲葉分科員 だから、それはだれに会って聞くのですか。
  86. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 失礼いたしました。会計課長でございます。
  87. 稲葉誠一

    稲葉分科員 会計課長のところへ行ったところで、まずはっきりした受取はないわけですよ。受取はない。そしてそこへ行って、だれに払ったということは一体何か証拠になっているわけですか。官房長官が何かだれに払ったということを証明した書類でも出しているのですか。そんなことないでしょう。会計課長は小切手で払うんじゃないでしょう、現金で払うんでしょう。だから、だれに払ったかということも、いつ幾ら払ったかということもわからないんじゃないですか。会計課長はだれに払ったとまで書いてないんじゃないですか。どうもよくわかりませんがね、そこら辺のところが。きょうは会計課長を呼んでいないからあれですけれども。  そうすると、どうしてそれが違法であるか違法でないか、妥当であるか妥当でないか、これは違いますけれども、それはどうやってわかるのですか。
  88. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 だれに払ったか書いてないのじゃないかという御疑問ですが、これは書いてございます。  それで、官房長官から直接御説明を伺うことはまずございません。その点はもうおっしゃるとおりでございますが、会計課長は官房長官から十分なお話を聞いておりまして、それに基づいて私どもに説明をしておるわけでございます。  それじゃ果たして本当にそれがそういう目的に払われたかどうかわからぬじゃないかという御疑問でございますが、これはほかの例で恐縮でございますけれども、たとえば交際費、この中で香典なんかが出る場合がございます。これも当然領収証はございませんし、わからないじゃないかとおっしゃればそれはそういう御疑問も当然でございますが、検査をしておる調査官というのは長年の間検査に当たっているわけでございまして、説明でこれは本当の説明かどうかということはある程度判断がつきます。  以上でございます。
  89. 稲葉誠一

    稲葉分科員 この前官房長官が答えたのは、これは高度の機密だと言うんですよ。高度の機密だから、それがどこへどういうふうに使われたかということはお答えできないというわけですよ。会計検査院はこれはやはり高度の機密だというふうに認めているわけですか。
  90. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、計算証明規則で簡易証明を認めるものはこういうものであるという中に、国の機密に関するものであるということがございます。したがいまして、高度の機密というふうに認めているかとおっしゃれば、それは認めているわけでございます。
  91. 稲葉誠一

    稲葉分科員 高度の機密に関するものだ、それについては特別の事情のある場合の計算証明、俗に言う簡易証明でいいということですね。これはどこに書いてあるのですか。
  92. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 計算証明規則上明文はございません。ただ、十一条に「異なる取扱をすることができる。」というのがございまして、これは検査官会議の議を経てそういう簡易証明を認めるということをやっております。
  93. 稲葉誠一

    稲葉分科員 どうもその点がよくわからないですね。高度の機密だとこう言う。高度の機密ならあなた方は検査できないんじゃないですか。そうじゃないんですか。
  94. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お言葉でございますが、検査はできます。これはもう検査院に対しては秘密というのはないわけでございます。そのかわり検査院自身は、政府が機密であると言っているものはやはり機密だというふうに解釈しておるわけでございます。機密ではございますが、検査はしております。
  95. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そうすると、機密だというのを検査するということになると、会計課長の方から説明を聞いて、これは機密だよという話をするわけでしょう。そうすると、それについて深くあなたの方としてはせんさくはしない、こういうことでしょう。
  96. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 深くせんさくしないかと言われましても、これは検査にはおのずから検査の方法がございます。当然合規性、それから効率性、経済性という観点はほかの検査と同様でございます。
  97. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そうすると、たとえばいまの内閣の報償費十二億幾らありますね。それについての具体的な検査をどういうふうにやっているのか、ちょっと説明をしてくれませんか。
  98. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 先ほどお話し申し上げましたように、私どもの検査は、書面検査とそれから随時職員を各省庁に派遣する実地検査がございます。  まず内閣報償費の書面検査でございますが、これは報償費の性質上、先ほどお話し申し上げましたように、通常の証拠書類の提出にかえまして、取扱責任者に対する支出決議書それからその領収証とすることを、計算証明規則において認めておりますので、端的には書面検査では計数検査をやっておるわけでございます。  そのかわり実地検査、これは毎年実施しております。実地検査におきましては、通常の庁費などの検査と同じように、先ほども申し上げましたような内閣官房が保管しております証拠書類等に基づきまして取扱者の説明を聴取いたしまして、そして合規性、経済性、効率性といったような見地から支出の妥当性を検討しておるわけでございます。
  99. 稲葉誠一

    稲葉分科員 いや、くどいようですけれども、支出の妥当性というようなことをあなたの方で聞けば、高度の機密だと言っているんでしょう。高度の機密があるものに対して、これが支出が妥当であるとか妥当でないとかあなたの方が聞けないんじゃないですか。聞いたら、あなた高度の機密がどんどん漏れちゃうということになるでしょうが。もちろん守秘義務はあるとしてもですね。  高度の機密だからと言って、ただこういうふうに払いました、一日に金額幾ら払いましたということだけを説明するだけじゃないんですか、実際は。そうじゃないんですか。
  100. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 これは先ほど来申し上げておりますように、通常の検査と同じように、高度の機密だからといって検査院に説明を拒否するということはございません。そのかわり私どもの方は守秘義務を持っておりますので、それを外部に漏らすというようなこともございません。ただ、検査だけは通常の検査と同じようにやっております。
  101. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そうすると、その結果はどういうふうにして報告するのですか。官房長官はやましいことはないと言うんですよ。これは私が聞きもしないのに、やましいことはありませんと向こうから答えたのですけれども、やましいことがあるとかないとかいうのがどうしてそれでわかりますか。総理府の会計課長かなんかが自分の責任で幾ら払ったかということだけ書いてあるわけでしょう。だれに払ったか書いてあるかわからぬけれども、それをある程度聞かないで、やましいとかやましくないとどうしてわかるのですか。
  102. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  その支出の目的によっても、どうして判断するかというのはそれぞれ異なってくるわけでございますが、先ほど例示されましたたとえばせんべつでございますが、こういったものにつきましても国の内政上こういうものが必要であるかどうかということは当然判断できるわけでございます。
  103. 稲葉誠一

    稲葉分科員 では、あなた方が判断してその官房報償費が不当支出であった、こういうふうに認定して、決算報告書を出しますね、あれに出したことありますか。
  104. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 現在までのところはございません。
  105. 稲葉誠一

    稲葉分科員 結局、それはないということは中身に入れないからないんで、中身に入るということは現実にはできないようになっているんじゃないですか。あなたの方は検査をした検査をしたと言うけれども、ただ一応説明を聞くだけの話で、しかももらった人の方のあれは何もないわけでしょう。いわゆる第三者通報制度、たとえば密入国の人を通報する場合とか報償費の規定がいろいろありますね。その他警備関係あるいは公安関係とかあるでしょう。そういうのは民間人の場合だから、民間人がこれをもらったときに名前がわかってしまうと、後で復讐されたりなんかすることがあるでしょう。だから、そのことのためにそれは伏せておこうということはわかるわけですけれども、この官房報償費というのは民間人がもらうわけじゃないでしょう。そうじゃないのじゃないですか。大筋はどうなっているんですか。あなた方は見たと言うのでしょう。あなた方は検査をしたと言うならば、大筋はどうなんですか。
  106. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 実地検査に際しましては、先ほどお話ししましたように、内閣官房が保管している証拠書類に基づきまして検査をしておるわけです。検査と申しますのは、検査の結果検査担当官が、何らか使途等の妥当性について疑念があるというふうに思った場合は、その内容を詳細に記録して帰ってまいります。そして、帰りましてからこれらを資料としまして、所定の審議を経まして相手方に質問を発することもございますし、それから不当と認めたものにつきましては検査報告にも掲記するわけでございますので、こういう事実があれば、その当該支出については使途等の明細を私どもで保管しておるわけですが、先ほどお答えしましたようにこういう事実はございませんので、いまどういうものに使われているかとおっしゃられても、正確なお答えはいたしかねるわけでございます。
  107. 稲葉誠一

    稲葉分科員 そういう事実はないと言ったって、それはあなたの方でよく調べないし、現実問題としては、向こうの言うことを一々疑っていくことができないような状況なんじゃないですか。これは内容を一々調べれば、不当な支出であるかどうかということはわかってくるわけですよ。それは実際にはできない仕組みになっているから、あなたの方としては一回もそのことについて指摘をしたことがない、こういうことなんじゃないですか。同じことを何回言っても同じですが、あなたの方は一遍もそういうことを指摘したことはないと言うのですが、それは内容に入っていないから指摘したことはないわけなんで、内容に入っていればあるいは問題が出てくるかもわからない、こういうふうに思われるわけです。  それからもう一つ、小切手で払うのではないのですか。これはどういうふうにして支払うのですか。総理府の会計課長が保管をしていて、払うときはどうするのですか。
  108. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 まず第一点の、内容に立ち入っていないから指摘がないのではないかという御質問ですが、これは先ほど来申し上げておりますように、相手方は、われわれに対しては秘密事項はないということを了解しておりまして、何でも説明はしてくれております。  それから、証拠書類につきましても十二億全部が全くないというものではございませんで、領収証の取れるものは取っております。そういうものは全部保管されております。  それからもう一点は小切手の問題、これは現金で渡しております。
  109. 稲葉誠一

    稲葉分科員 小切手を切ると、後でいつ幾日幾ら切ったかということがわかってしまうのではないですか。だから前もって現金にしてあって、どこかの金庫か何かに入れてあって、それでそれは渡しておるのではないですか。それが一つ。  それから、あなたの方に言わせると、いろいろ調べているようなことを言われていますけれども、現実にはもうそれは調べられないわけなんですよ。受取はあるものはあると言ったけれども、それはあるものはあるかもわかりませんよ。国会議員やなんかに渡したものは、受取なんかありっこないでしょう。だからこの金は、派閥の運用資金か何かにどんどん流れていっているのか、あるいはいろいろなランクをつけて流しているのか、さっぱりわからないですよ。これはそういう点ですよ。私が聞きもしないのに、やましいことない、やましいことないと盛んに答えるのですけれども、私は不思議でしようがない。そんなこと聞きやしないじゃないかと言ったら、あれしていましたけれどもね。だから、こういうふうな金があること自身が非常に不思議でならないというか、問題点があるというふうに私には思われるのです。だから、あなたの方で会計検査に行って内容について指摘したことなんて一遍もないですよ。  それから、そのほかにも十省庁あると言いましたね。細かく説明しませんでしたけれども大体わかります。法務省で言えば公安調査庁のあれだとか入管のあれだとか、警察で言えば警備の報償費とかそういうような費用でしょう。防衛庁でもあるのですか。そういうようなものでしょう。みんなこれは俗に言う情報収集費が中心ですわね。情報収集費だから、受取をもらえないということかもしれませんけれどもね。こういうふうなものがこんなに多いということについて、しかも俗に言う簡易証明で百三十六億ですか、こういうようなものが行われているということは――それはどこの国でもやっているかもわかりませんよ、よくわかりませんが、民主主義国家ですべてのものの経理を、ことに決算を公開しなければならないというのは、国民の税金ですから当然過ぎるくらい当然だ、私はこういうふうに思うのですが、それをやられていないというところに問題があるわけです。  本当なら、いま言った十省庁のものを一つ一つ聞いて、現実にそれが使われているかどうかをよく調べていかなければいかぬと思うのですが、これは恐らく決算委員会でやるべき仕事だと思いますから、それは決算委員会の方でやることにしますが、いまのような内閣の官房報償費にしても実際はどうなんですか。実際は予備費か何かから回して、予算よりもよけい使われているのですか。そういうようなことがありますか。そこはどうなっているのですか。
  110. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 たとえば、内閣官房の報償費の五十六年度の予算額でございますが、予算現額で申し上げますと十五億一千三百十六万一千円、これは内調の分も含んでおります。決算額は十五億一千三百十六万、ほぼ予算額どおり使われているわけで、別にふやしているということはございません。
  111. 稲葉誠一

    稲葉分科員 いまのは内調と一緒にしてしまっているから、内調を別にして官房報償費だけ調べると、官房報償費は予算額よりも決算額の方がふえていませんか。そこのところはどうですか。
  112. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  総理が海外に出張されますが、そのために予備費を使ったのがございます。それ以外にはふえておりません。     〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕
  113. 稲葉誠一

    稲葉分科員 私が、なぜこんなに官房報償費のことを聞くかといいますと、金額がこれだけ必要かどうかということももちろんありますし、それが全く機密のうちに行われて、しかもそれが派閥の運営資金みたいな形に使われたり議員を操作するのに使われているということが再三言われてきているわけですね。それなんですよ。だから、外遊に行くとき総理大臣のところへ行った人は、必ず官房長官のところへあいさつにいくわけです。官房長官は会計課長の方に連絡して、金庫の中から札束か何か持ってきて金を渡しているとかいう話が盛んに伝わってくるわけです。どうもこの金の使い方が不明朗だ、こういうふうに私は思うのです。だから、検査のやり方がどういうふうに行われているかということを聞いたわけです。そうすると官房長官は、それは決してやましいことはない、やましいことはない、会計検査院の検査が行われていると言う。なるほど行われている。行われているけれども、内容に立ち至って調査が行われているわけではないように私にはどうも感ぜられるというわけです。だから、この点について私は疑問に思っているからお聞きした、こういうことなんです。  いま十省庁ありますということですが、私は十一省庁と聞きましたけれども、一つ減りましたから十省庁だと思いますが、こういうふうなものの使い道がどういうふうに行われているかということについては、決算委員会の本来やるべきことですから、決算委員会の中で詳細にお聞きをすることが新しいやり方ではないか。ことに、通報システムでまるで密告主義を将励するような形で、たとえば密入国の場合なんかそうです。あれは密入国だからと通報すると、金が通報者に払われるわけです。実際、いま余り払われていないようですね。減ってきておるようですけれども、そういうことになっています。そういう問題については、決算委員会の中で十分論議すべきことであろうと私は思うのであって、ここではこれ以上お聞きすべきことではない、こういうふうに思います。  時間も参りましたので、一応これで終わります。
  114. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  115. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 次に、皇室費及び裁判所所管について、順次説明を聴取いたします。山本宮内庁次長
  116. 山本悟

    山本(悟)政府委員 昭和五十八年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和五十八年度における歳出予算要求額は、二十八億二千四百六十七万八千円でありまして、これを前年度予算額二十八億八千八百六十九万四千円に比較いたしますと、六千四百一万六千円の減少となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億二千百万円、宮廷に必要な経費二十四億四千百九万円、皇族に必要な経費一億六千二百五十八万八千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億四千七百六十万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十億九千三百四十八万八千円でありまして、前年度に比較して六千四百一万六千円の減少となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  以上をもちまして、昭和五十八年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  117. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 次に、勝見最高裁判所事務総長
  118. 勝見嘉美

    ○勝見最高裁判所長官代理者 昭和五十八年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和五十八年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、一千九百九十六億五千八十九万二千円でありまして、これを前年度補正後予算欄一千九百六十一億七千七百五十七万九千円に比較いたしますと、差し引き三十四億七千三百三十一方三千円の増加となっております。  これは、人件費において三十七億八千二百八十九万一千円、裁判費において二億五千八百四十八万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において七億四千十万四千円が増加し、施設費において十三億八百十六万二千円が減少した結果であります。  次に、昭和五十八年度予定経費要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。  特殊損害賠償事件、民事執行法に基づく執行事件等の適正迅速な処理を図るため、判事七人、裁判所書記官五人、裁判所事務官三十四人、合計四十六人が増員となっております。  他方、定員削減計画に基づく昭和五十八年度削減分として裁判所事務官三十九人が減員されることになりますので、差し引き七人の定員増となるわけであります。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書、図書館図書等裁判資料の整備に要する経費として四億五千二百二十六万五千円、複写機、計算機等裁判事務能率化器具の整備に要する経費として三億五千一百四十一万七千円、調停委員に支給する手当として四十四億一千一百二十四万二千円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十一億九千六百五十七万三千円、証人、司法委員、参与員等旅費として五億八千八百五十一万六千円を計上しております。  次は、裁判所施設の整備等に必要な経費であります。  東京高等、地方、簡易裁判所合同庁舎の新営は五年計画で行われておりますが、その最終年度分の工事費並びに新庁舎の法廷等器具整備及び維持管理のための経費として百一億七千六百六十七万五千円、その他の裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として四十億四千七百六万七千円を計上しております。  以上が、昭和五十八年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  119. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、皇室費及び裁判所所管については終了いたしました。  次回は、来る七日午前九時三十分から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会