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1983-03-04 第98回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十八年三月三日(木曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月三日  本分料員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       石橋 一弥君    久野 忠治君       橋本龍太郎君    岩垂寿喜男君       坂井 弘一君    竹本 孫一君       楢崎弥之助君 三月三日  橋本龍太郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ────────────────────── 昭和五十八年三月四日(金曜日)     午前九時三十二分開議  出席分科員    主 査 橋本龍太郎君       石橋 一弥君    久野 忠治君       岩垂寿喜男君    鈴木  強君       日野 市朗君    坂井 弘一君       吉浦 忠治君    渡部 一郎君       岡田 正勝君    竹本 孫一君       楢崎弥之助君    兼務 小林  進君 兼務 小沢 和秋君    兼務 栗田  翠君 兼務 瀬長亀次郎君    兼務 中島 武敏君 兼務 東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣総理大臣官         房会計課長兼内         閣参事官    渡辺  尚君         警察庁長官官房         会計課長    森田 雄二君         行政管理庁長官         官房会計課長  前山  勇君         北海道開発庁予         算課長     服藤  収君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 矢崎 新二君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁次長 森山  武君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 参午君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         防衛施設庁労務         部長      木梨 一雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  三井 嗣郎君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省条約局長 栗山 尚一君  分科員外出席者         人事院事務総局         管理局会計課長 藤野 典三君         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      地頭所五男君         防衛庁経理局会         計課長     源氏田重義君         防衛施設庁総務         部会計課長   風間  登君         大蔵省主計局主         計官      小川  是君         郵政省電気通信         政策局データ通         信課長     内海 善雄君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 分科員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     鈴木  強君   坂井 弘一君     渡部 一郎君   竹本 孫一君     岡田 正勝君   楢崎弥之助君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     日野 市朗君   渡部 一郎君     春田 重昭君   岡田 正勝君     部谷 孝之君   伊藤 公介君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     上原 康助君   春田 重昭君     吉浦 忠治君   部谷 孝之君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     鈴木  強君   吉浦 忠治君     渡部 一郎君   塩田  晋君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     岩垂寿喜男君   渡部 一郎君     坂井 弘一君 同日  第三分科員中島武敏君、第四分科員小林進君、  栗田翠君、第七分科員小沢和秋君、瀬長亀次郎  君及び東中光雄君が本分料兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  〔内閣及び総理府所管防衛庁)〕      ────◇─────
  2. 橋本龍太郎

    橋本主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分料会主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分料会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管について審査を行うことになっております。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算内閣総理府、ただし経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  まず、政府から説明を聴取いたします。丹羽総総理府総務長官
  3. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 昭和五十八年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和五十八年度における歳出予算要求額は百二億九千八百二十二万五千円でありまして、これを前年度歳出予算額百一億五千七百七十九万四千円に比較いたしますと、一億四千四十三万一千円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和五十八年度における歳出予算要求額は六兆二千八百二十九億六千八百八十三万二千円でありまして、これを前年度歳出予算額六兆六百五十四億二千九百九十九万二千円に比較いたしますと、二千百七十五億三千八百八十四万円の増額となっております。  このうち、経済企画庁環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費一兆七千八百六十二億九千九百三十八万八千円、警察庁に必要な経費一千五百六十六億二千百八十七万九千円、行政管理庁に必要な経費二百十四億六千八百十六万五千円、北海道開発庁に必要な経費七千八十二億九千五百五十七万三千円、防衛本庁に必要な経費二兆四千五百五十四億三千百二十三万二千円、防衛施設庁に必要な経費二千九百八十六億七千八百八十三万四千円、科学技術庁に必要な経費三千二百七十二億一千三百三十七万八千円、沖縄開発庁に必要な経費二千百六十四億一千六百七十四万円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して百十二億五百七十九万六千円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関経費並びに都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して十億六千五百七十五万六千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁一般行政及び国の行う統計調査事務に従事する地方公共団体職員の設置の委託等のための経費でありまして、前年度に比較して五億二千九百三万三千円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸漁港住宅、公園、下水道、農業基盤整備造林、林道、沿岸漁場整備等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して二十三億三千三百六十六万六千円の減額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千八百十一億四千三百五十六万七千円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備事業提供施設整備補償経費基地従業員対策提供施設移設等のための経費でありまして、前年度に比較して六十五億三千六百三十七万九千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、科学技術振興調整費の拡充並びに流動研究システムによる創造科学技術原子力研究開発利用宇宙開発海洋開発重要総合研究国際協力及び国際科学技術博覧会開催準備推進のほか、科学技術振興基盤整備等のための経費でありまして、前年度に比較して百四十五億六百六万四千円の増額となっております。  沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興保健衛生対策農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸漁港住宅環境衛生施設都市計画土地改良造林等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して二十一億一千四百七十四万一千円の増額となっております。  また、以上のほかに新規継続費として防衛本庁において一千四百三億六千五十三万六千円、国庫債務負担行為として、総理本府において百十七万六千円、警察庁において五億九千四百七十九万一千円、北海道開発庁において二百五十七億八千七百万円、防衛本庁において九千百九十四億六千三十九万六千円、防衛施設庁において四百六十九億五千九百二十万五千円、科学技術庁において一千三百八十一億二千八百二十八万二千円、沖縄開発庁において二百三十一億二千五百七十二万円を計上いたしております。  以上をもって、昭和五十八年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要の御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議くださるようお願いいたします。
  4. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  5. 橋本龍太郎

    橋本主査 防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  6. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は、第一は北富士演習場使用協定について、第二は日米間の陸海空の合同演習について、三つ目は、けさの新聞にちょっと出ておりますが、アメリカが日本を含む世界の主要海峡に対艦巡航ミサイルを配備するという問題、この三つについて質問いたします。  まず第一の北富士演習場使用協定についてでございますが、この協定は本年四月十日で五年間の期限が切れることになっております。先般、塩田防衛施設庁長官山梨県を訪れて、知事以下関係者使用協定更新について要請をしておるようでありますが、その経緯をちょっと説明していただきたい。
  7. 塩田章

    塩田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、ことしの四月十日でもって現在行っておりますいわゆる第二次使用協定が期限切れになりますので、それ以前に新しい協定につきましての協議方をお願いいたしたいということで、私が、二月七日だったと思いますが山梨県庁並びに富士吉田市を訪問いたしまして、関係者にお集まりいただきまして新しい協定協議方についての御要請をしてまいった次第でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 知事以下関係者はどういうお答えをしておりましたか。
  9. 塩田章

    塩田政府委員 まず、山梨県庁におきましては知事さんにお会いしたわけでございます。それから、演対協の議長さんにもお会いいたしたわけでございますが、知事さんから特に、地元基本的立場というものは長期的に言えば演習場そのものを返してもらいたいのだということをまずおっしゃって、しかし同時に、防衛庁の現在の立場もわかりますので協議には応じましょうというような御趣旨の御発言でございました。  富士吉田市では、ずいぶん大ぜいの関係者の方にお集まりいただきましてお願いをしたわけでございますが、やはり基本的には同じような趣旨で、しかし今度の協定改定時期までには御協議に応じましょうというような趣旨に承ってまいりました。
  10. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 この演習場霊峰富士のすそ野にある演習場でございまして、世界的にも非常に誇る山でありますし、観光客も多いのでありまして、ぜひこの演習場を全面的に返していただきたい、そしてあそこは学校あるいは福祉施設等平和的な利用をしたい、こういうのが私ども八十万県民のすべての願いでございます。恐らくこのことを踏まえて知事お答えになったと存じます。  ただ一面、確かに、それでは現状の中でこの演習場をどこへ持っていくかということになりますと、いろいろ問題があるわけでございますが、これはいま始まったことではなくして、長年にわたってそういう要求は続けられてきたのでございますから、防衛庁として、何か知恵をしぼって霊峰富士のふもとから演習場をかえる、そういう考え方をお持ちになっていままでおやりになっていたのでしょうか。その点をちょっと伺っておきたいのです。
  11. 塩田章

    塩田政府委員 先ほど申し上げました席で、私といたしましては、地元の御要望は御要望としてわかりますけれども、同時に、あの演習場自衛隊にとって非常に大事な演習場でございますということもはっきり申し上げまして、具体的には地元の方とのお話し合いの中でよく調整を図っていきながら今後とも使用させていただきたいということを申し上げてまいったわけでございます。  先生も御存じと思いますが、演習場返還問題につきましては四十八年に二回、約千七百ヘクタールの返還をいたしております。それから、五十三年の協定締結の際にも約百ヘクタールの返還ということが覚書の中に入っておりまして、これはまだ実現はしておりませんけれども地元側から具体的な案が出てまいっておりますので、近く結論が出されると思いますが、そういう話し合いは進めておりますし、今後も地元とのそういった面でのお話し合いは進めていきたいと思っておりますが、私ども立場として非常に重要な演習場であるということもぜひ御理解いただきたいということを申し上げてまいったわけであります。
  12. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 塩田さん、私の聞いているのはそういうことでなくて、この演習場を全面的に返していただきたいという長年にわたる願いがあるわけですから、防衛庁としてはその趣旨に沿って努力をいたしました、しかしなかなか適地がありません、したがってやむを得ずひとつ御迷惑ですがあそこを使わしてください、こういう態度でなければいかぬと思うのですよ。ですからそういうことについて、あなたが長官になられてからでもいいですし、その前からもそういう考え方で御配慮はいただいておるわけでしょう。しかし適地が見つからない、こうなっているのですか、どうなんです。そこだけ聞いているのです。
  13. 塩田章

    塩田政府委員 先生御案内のように、いまの演習場代替地ということになりますと見つけることが大変困難でございまして、実際問題としてはあそこを廃止してよそに移るということはなかなか困難でございます。ただ地元の御要望で、演習に差し支えのない範囲で一部返還することは実施してまいったということは先ほど申し上げましたが、全面的に廃止してよそに移ることについて現在めどがあるわけではございませんので、その点、先ほど私が申し上げたのは、そういった点を踏まえて地元側の御理解を賜りたいということをお願いしてまいったわけでございます。
  14. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、私はこのことに対していまここでどうこうということは触れませんが、県民考え方、そして恐らく知事の頭の中にある問題、そういったものを考えて、最終的には演対協なり市町村なり県がお決めになることでございますが、ここでひとつお聞きしておきたいのは、前回五年前に協定を結びました際に、たしか五つ、六つくらいの、閣議決定を含めまして地元約束をした事項がございますね。その中で、現在までにやられた、というとまだ緒についたばかりでありますが、東富士有料道路の問題についてはようやく昨年十二月に路線の発表がございまして、いま測量に入っておるわけですが、そのくらいのものではないのですか。あとについてはこの約束が中途半端になっているということだと思いますが、やはり閣議で決定したことは忠実に実施してもらわなければ困るし、できなければ、どういうわけでできないかということをはっきりしておいていただかなければいけないと思うのです。  きょうは時間がありませんので、たとえば諏訪の森と沖新畑国有地有効利用については、富士吉田市が八・五九ヘクタール、山中湖が約三ヘクタールの払い下げ要望していますが、これまた環境庁文化庁林野庁等相談がなされておる程度であって、どうも進んでおらない。それから公民有地演習場の除外は、具体的な候補地名も挙がっていない。百ヘクタールの払い下げについてもまだこれが未解決である。そういうふうに、全部を触れることはできませんが、少なくとも協定を結ぶときには、こういう協定を結ぶに際してはこれだけのことは約束しますということで、地元皆さんの意向に沿えるような、できるだけ要望皆さんも決めておやりになっておるわけでありますから、それが実現しないでおって、なおまたここで更新をしてくれと言っても、感情としては許せないと私は思うのですね。  ですから、そういう点についてなぜできなかったのか、時間がないから簡単でいいですが、明らかにしていただきたい。
  15. 塩田章

    塩田政府委員 御指摘のように、でき上がったといいますか、東富士道路路線決定につきましてはこれはでき上がりまして、逐次その後の作業も進んでおるようにいま聞いておりますが、そのほかのことにつきましても、それぞれの事情によって段階がございますけれども、私どもとしては努力をしてまいったつもりでございますし、逐次進行しておるというふうに見ておるわけでございますが、いま御指摘のたとえば諏訪の森につきましては、昨年末地元から具体的な計画が出まして、いまお話がございましたように現在林野庁環境庁文化庁等においてすでに審議をされておるというふうに聞いておりますし、また沖新畑につきましては山中湖計画されておるわけでございますが、これも近く林野庁環境庁文化庁計画が提出されるという段階まで来ておるやに聞いております。  私どもといたしましては、こういった関係省庁とよく御相談をしながら、側面からでございますけれども促進を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  そのほかの周辺整備事業等につきましても、たとえば百六十億の事業見込みというようなことで覚書は結ばれておるわけでございますが、地元との具体的な話し合いがつきましたものについては、私どもとしては一〇〇%実施をしてまいっております。なかなか具体的な話し合いがつかなくて、まだ百六十億全部というふうにはいっておりませんけれども、これも逐次、今後話し合いの中で解決するように努力していきたいというふうに考えておるところでございます。(鈴木(強)分科員「百ヘクタールは」と呼ぶ)  失礼しました。百ヘクタールにつきましても、具体的な案がごく最近、先月の十五日だったと思いますが、地元からここを返してもらいたいという案が出てまいっておりますので、これも近く結論が出る段階に来たというふうに思っております。
  16. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 特に諏訪の森ですね、それから沖新畑、この問題については非常に問題のあるところですが、特に諏訪の森については、これが林野庁関係にも絡みまして、あそこには種苗ですね、苗木をつくるところがありましてね。確かに、全国的に見ると苗木が余っているという話ですけれども、あそこはアカマツとかモミの特別な種類でございますから、何とかその苗木畑を確保したいというのがこれは林野庁考え方だと思うのです。たまたまそこに文化庁やあるいは環境庁が入ってまいりまして非常に難航しているわけですが、特に私がお願いしておきたいのは、それは三庁の間でおやりになることでございましょうけれども、問題は、協定を結ぶときに防衛施設庁が立ち会った上でやっておられるわけでありますから人ごとではないわけでありまして、そこに働いておる職員の処遇の問題等含めまして慎重に配慮しなければならない問題だと思います。  したがって、それらの点を配慮して、これは少なくとも、結んでくださいというときには、およそ前回閣議決定その他の約束したことについてはこういうふうになりましたということをはっきり出さない限りは地元は納得せぬと私は思いますよ。ですから、そういう配慮を十分してもらわないと。いまからでは遅いでしょう。大体いつごろ、あなたの方ではこの決着をつけたいと思っているの。これは四月十日が更新の時期ですからね。そういう意味においても、早くこの問題は環境整備をしないと、これは前へ進まないでしょう。
  17. 塩田章

    塩田政府委員 いまいろいろ申し上げましたようなことで進んでおりますが、現在地元との新しい協定協議を行っておるわけでございます。その中で、いま申し上げましたようないろいろな点を逐次御説明をしながら地元との話し合いを進めていきたいと思っております。  いま特に御指摘諏訪の森につきましては、御指摘のとおりこの前の協定のときに閣議決定をいたしまして、そのときに当然その問題、いま御指摘の、現在の苗木を育てる施設がございまして、そこに職員が働いておるということでございまして、そういったことも十分踏まえた上で閣議決定をいたしております。林野庁もその辺は十分承知していただいておるわけでございますから、その辺は含んで今後の処理を円滑にするように話し合いを進めていきたいと思っております。
  18. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それから、入り会い協定がこれはなかなか進みませんね。地元の方でも推進協議会というものを再編成しておりますが、入会権に変えますとこれは法律的の問題もありまして、従来の政府態度からいたしましても、入会権の問題になると非常にむずかしいと思いますが、入り会い慣行というふうに考える向きもあるし、そうでないという、入会権を主張する人たちもおるわけでございます。ですから、そういう点で非常に問題がありますけれども、だからといって、これをそのままにしておくわけにはいかないのでありますから、これはよく連携を密にして早く解決できるようにお願いしたいと思いますが、長官の決意をひとつ披瀝しておいてください。
  19. 塩田章

    塩田政府委員 先ほど閣議決定と申し上げましたが、閣議報告でございます。その点をお断りいたしておきます。  いまの入り会い協定の問題でございますが、これも私、この前行きましたときにも地元の人とよくお話をしてまいり、その後庁内でも検討しておるわけでありますが、御指摘のように、政府政府立場政府の従前からの解釈は確かにございます。その点はございますけれども、しかし、いずれにしましても入り会っている慣行というのは存在しておるわけでございまして、それに基づくところの受益というものは地元にあり、それを失う場合には補償しなければいけないというたてまえはお互いに一致しておるわけでございますので、私は、立場立場としましても、必ず話し合う余地があるというふうに確信をしておりますので、そういう方向でいま指示しておりまして、ごく最近、具体的にも、地元側も入り会いに関する協議をする体制もできまして、わが方の横浜局との間に話が進んでおるというふうに聞いております。したがって、これもそう長い期間でなしに話し合いが進んでいくものというふうに私は期待をしているところでございます。
  20. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 山梨県は知事選挙が終わりまして、これから統一地方選挙に入るわけですね。したがって、県会議員の構成がどうなるか、これはちょっとわかりません。したがって、この十日に期限が切れるわけですけれども、なかなかその辺むずかしさがありまして、一説には、とりあえず暫定的な協定にして本協定は後にしたらどうかというような意見もありますけれども防衛庁としてはそういう意見に対してどう考えていますか。
  21. 塩田章

    塩田政府委員 これは、私が地元に行きましたときも、地元委員の中から実はそういう御意見がございまして、施設長官としてどう考えているのかというお尋ねがございましたが、そのとき私がはっきり申し上げましたのは、われわれの気持ちとしてはぜひ四日十日までに新しい協定を合意に達したいということでございますということでお願いをしてまいりました。いまもそのつもりでおります。
  22. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 いずれにしても、これは大事な問題でございます、幸いに演対協という組織がございます。これはもう超党派的に委員が出ておりますし、十分に地元の意見を聞いて、そして円満返還、平和利用の方向に一歩でも二歩でも近づけるようなそういう配慮を前提にしてこの問題にひとつ取り組んでいただくように強く要望して、終わります。  それからちょっといま外務省の北米局長においでいただきましたので、合同演習の問題は後にしまして、この問題を先に質問させていただきます。  私はけさ毎日新聞を拝見しまして、ワシントン二日時事で報道されているのですが、アメリカの国防総省が世界の主要海峡に地上発射対艦巡航ミサイルというものを配備することを検討しているという報道がございます。その中に当然日本も入っているように書いてありますけれども、詳細ここで申し上げることはできませんが、トマホークというものを配備する。そして「太平洋艦隊の」これはまあ恐らくソ連だと思いますが、「日本海・オホーツク海の通過を遅らせたり、大損害を与えられると国防総省筋はその効果を説いている。また、この巡航ミサイルは、オマーン、ケニア、ノルウェー、日本、デンマーク、スウェーデンへの水陸両用作戦に対する沿岸防衛の役割も担うとされている。国防総省筋は、トマホークが韓国、日本から発射されれば、ウラジオストクに到達する飛行能力があるとし、さらに日本や韓国がソ連からの水陸両用作戦の脅威に直面していると指摘している。」こういうのがありますが、外務省はこのことを御承知でございますか。
  23. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 ただいま委員の御指摘になりました新聞の記事は、私も読みました。きのうの夕刊それからけさの朝刊にも出ております。  ただ、こういうような計画が米国の国防政策の一環として実際に米国政府で考えられているというようなことは、私どもは承知いたしておりません。
  24. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 二月二十八日のアビエーション・ウィークにいま先生指摘のようなことが報道されていることは私ども承知しておりますが、国防総省から正式の連絡というものは一切受けておりません。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これは非常に重要な問題でありまして、ここで簡単に論じられる問題ではございません。中曽根総理の四海峡封鎖、こういった問題との関連も十分あるでしょうし、わが国の憲法のもとで集団自衛権が発動できないということも明らかでございますし、アメリカがどういうような形でするのか、日本の基地を使ってやるのか、よくわかりませんが、事は非常に重大でございます。深い関心を持って見守っていきたいと思います。  それから最後に、日米の陸海空の合同演習の問題でございますが、五十八年度中に日米間で合同の陸海空演習をやるという計画はいまございますか。
  26. 西廣整輝

    西廣政府委員 五十八年度におきます日米の共同訓練につきましては、例年と同じように、たとえば陸上自衛隊の指揮所演習、海上自衛隊につきましては対潜訓練、それから航空自衛隊につきましては戦闘機戦闘訓練といったようなことを当然行うことになると思いますけれども、現在のところ、まだ、御案内のように予算も審議中でございまして、具体的な計画というものは決まっておりません。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 リムパックを初め大規模の合同演習がずっと行われてきておるわけでありますが、特に陸上における日米間の合同演習、訓練というのは皆さんがいつも言っておりますように大変おくれておるし、余りやらなかった。昨年、一昨年でしたか図上演習をやっておりますが、どうしても陸上の日米合同演習ということになると東富士ないしは北富士、これが使われるのではないだろうか、こういう心配をするわけでございますね。したがって、私たちは、仮に演習場を使用される場合にも、富士山には夏場になるとたくさんの観光客が参ります、ですから、そういう時期にはできるだけ演習はやめてもらいたいし、やるとしても小規模のものにしてもらいたいというような要請も出しておるわけでございますが、更新に絡んで県民の頭の中には当然そのことが浮かんでくるわけでございます。  したがって、私たちとしては、願わくは北富士演習場においてそういった日米合同演習などが行われないように願っておるわけでございますが、いろいろ相手のこともあるでございましょうしするので、防衛庁としてはできるだけひとつ北富士演習場を除外していただくような配慮をしていただきたいと思うのですけれども、全般的な合同演習等について予算がまだ通っておらない。したがって、具体的には予算が通った暁に実施計画というものは行われると思いますけれども、しかし、予算を立てる際にはあらかじめ、どういう演習をするか、それに対する兵員装備その他はどうなるのか、所要費用は幾らかかるのか、そういう算出根拠に基づいて予算を出しておるわけでございまして、形式論とすれば予算が通らないといえば実行計画は当然立てられません。立てられませんが、いま予算委員会で、そういう演習があるとすれば何回でどの程度やることを根拠にして予算を組んだか、こういう立場で聞いているのです。  ですから、ここで、陸海空の演習は五十八年度中にどのくらいやろうとしているのか、規模はどうなのか、そして特に北富士演習場における陸上自衛隊の合同訓練というものはやる計画があるのかどうなのか、こういう点を聞きたいのです。
  28. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、いま現在具体的な計画があるわけじゃございませんが、御案内のように、日米共同訓練というのは相手方もあることでございまして、いつどの程度の規模のものができるかということは今後詰めていかなくちゃいかぬ。それを全体の訓練なり演習経費の中で賄っていくということになるわけでございます。  なお、富士地区の陸上自衛隊関係の、陸上関係日米共同訓練につきましては、今年度東富士で実動訓練をやったわけでございますが、その際、東富士演習場では来年度は日米の共同訓練はやらないという合意を地元の方としておりますので、そういうことは十分尊重いたしたいと考えておりますので、北富士も含めて富士地区は恐らくそういうことになるのではなかろうかというように考えております。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 去年というか、今年ですか、五十七年度にやりました図上訓練で、大体図上訓練的なのは終わって、今度は実戦訓練といいますか実動訓練といいますか、そういうふうなものに入る、しかも規模を大きくしていく、そういう方針であるわけですか。
  30. 西廣整輝

    西廣政府委員 陸上関係日米の共同訓練は、通信訓練、指揮所訓練、実動訓練というサイクルでやっておりまして、富士地区では一応通信訓練、指揮所訓練それと実動訓練という一サイクルが終わったということでございまして、逐次各方面でそういうような形で実施をしていくということになろうかと思います。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 では、五十八年度は少なくとも北富士においては演習はない、こう理解していいですな。私はそう理解しておきます。反論がないからいいというふうにしておきますよ、いいですね。  それから最後に防衛庁長官に伺いたいのですが、大変御苦労に存じます。あなたは防衛庁長官として大変大事な職責を担っておるわけでありますが、少なくともその職責を遂行するに当たって、現行日本国憲法のもとに厳粛に行動していくという御決意でございますか。その点だけ伺っておきたいと思います。
  32. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 この時期に大変な重責を仰せつかっておりますが、私といたしましては、憲法のもと、これを厳正に解釈しながら行動いたしたい、この職責を果たしたい、こう考えております。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これで終わります。
  34. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、日野市朗君。
  35. 日野市朗

    日野分科員 私は、ブルーインパルスの問題及びそれに関連する諸問題について質問をいたします。  まず、言葉を整理しておきたいと思いますが、いわゆる戦技研究班というものとブルーインパルスというものとの違い、この違いがあればある、どのように違うという点を御説明いただきたいと思います。     〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕
  36. 西廣整輝

    西廣政府委員 戦技研究班と申しますのは、第四航空団に所属をしております一つの班でございまして、そこでは現在はT2という航空機を使いまして、そういう航空機のぎりぎりの特性と申しますか性能、そういったものを追求して、操縦等の特性、操縦技法なりあるいは戦闘技法というものを研究するという任務を持っておるわけでございます。したがって、戦技研究班というのは正式名称でございまして、ブルーインパルスというのはそういう公開展示等を実施いたしますときの呼び出しの符号、それからきております愛称でございまして、実体的にはブルーインパルスというものと戦技研究班というものは同じものだというふうに御理解いただいて結構でございます。
  37. 日野市朗

    日野分科員 このブルーインパルスのデモンストレーションの飛行に使う飛行機というのは、T2のどれでも構わぬ、この第四航空団の戦技研究班に属している飛行機のどれでも構わぬというわけですか。それとも特別にデモンストレーション用に使う飛行機については何か色彩を施してあるとか、そういうことはございますか。
  38. 西廣整輝

    西廣政府委員 公開等のための効果及びその戦技研究そのものにつきましても非常に高度の、激しい運動をしますので、背面と腹面といいますか、そういうものが明白にわかるようにということで特別の色彩を施しております。
  39. 日野市朗

    日野分科員 昨年の十一月に不幸にも浜松でデモンストレーションの最中に事故が起こったわけでございますけれども、この事故の原因、これについては厳しく究明されなければならないであろうというふうに思うところであります。その究明はどのように行われて、現在どういうふうな成果を得ておられるか。
  40. 西廣整輝

    西廣政府委員 防衛庁内に事故調査委員会というものが設けられまして、そこで現在鋭意事故原因の究明を行っているということでございます。現在のところ、まさに事故原因の究明中ということで、まだ具体的にこういう原因であろうというようなことはわかっておりませんが、スケジュール的に申しますと、事故調査は通常四カ月というのが訓令で決まっております。ただ、今回の場合は実は墜落した後の機材、そういったものが警察の方に長い間領置されておりまして、一カ月半ほど領置されておりましたのでそういった関係でおくれる。さらには戦技研究班という非常に特殊な部隊の事故であった。これは、戦技研究班というのはパイロットとしては最もすぐれたパイロットが配置についておるわけですが、そういった人間の事故であったということも含めまして、航空幕僚長の方から長官の方に特に申し出がありまして、調査期間を二カ月半ほど延長するということで五月いっぱいまでに調査を終わりたいというように考えております。
  41. 日野市朗

    日野分科員 事故の調査が大体四カ月という訓令であるということでありますが、この事故は世間の耳目を聳動した事故でありますね。そして、これについては非常に強い関心を全国的に呼びました。でありますから、さらに二・五カ月間幕僚長の方からの指示で延期をするということでありますけれども、これは可及的速やかにこの究明は遂げなければならないのであろうと思うのであります。  時間の問題はとやかく言わないとして、現在どういう点が事故の原因であるというふうに考えられているのか、大づかみに幾つかの原因と考えられているものをちょっと示していただきたいと思いますが。
  42. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど申し上げましたように現在調査中で、今回の事故そのものの原因がどういうものであろうかということについては申し上げられる段階にないわけでございますが、一般的に事故ということになりますと、機材の方の故障なりふぐあいといったような場合、それと操縦者の方に原因がある場合と大きく大別できると思います。現在の調査は主として墜落した機材、これを集めまして、そして工場あるいは自衛隊の中でいろいろ分析をして、機材の方の問題、ふぐあい点がなかったかどうかという検討を進めると同時に、運用上あるいはパイロットの操縦関係について問題があったかないかという検討を、機材の方が済み次第引き続き進めていくということでございます。
  43. 日野市朗

    日野分科員 この点を余りやっていると、何しろ時間を三十分の中におさめなければなりませんので別の機会に譲りたいと思いますが、いずれにしてもこの問題の解決には急いでいただきたいということはこれは私の方から要望しておきますが、特に私はT2という飛行機の性能について伺いたいと思います。  この飛行機そのものはいわゆるスピードに乗員をならす、習熟させるということに主目的がある飛行機ではありませんか。
  44. 冨田泉

    ○冨田政府委員 ただいまお尋ねのように、T2という飛行機はF86Fの損耗に伴いまして実戦戦闘機に移行する間の高等練習機といたしまして開発したものでございまして、この開発に当たりましてもその飛行性能につきましては低速度、高速度及び低高度、高高度、あらゆる範囲にわたりましてその能力の範囲いっぱいの十分なテストをしておりまして、その開発の段階におきましては、その性能上の問題というものは全部クリアされておったものでございます。
  45. 日野市朗

    日野分科員 この飛行機については行動性能についてのいろいろの欠陥を指摘する声も若干あるようであります。そういう点についての検討もいま、いささか後ろ向きの検討になるかと思いますけれども、事故原因の究明とあわせて行っておられるかどうか、ちょっと伺いたいのですが。
  46. 冨田泉

    ○冨田政府委員 先ほど西廣参事官から御答弁申し上げましたように、機材についての特殊な状態における事故といいますかふぐあいというものが起こったのではないかどうかということにつきましても、調査をしておるわけでございます。
  47. 日野市朗

    日野分科員 この事故に関して死傷者等の人身的な被害及び物質的な被害が出ておりますが、その補償はどのように進んでおりますか。
  48. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 本件の事故によりまして民間人十三名の方が負傷されまして、他に家屋一棟が全焼しております。それから、工場建物が三棟全壊または半壊、それから、それ以外に二十数棟の家屋につきまして屋根がわらとか壁、ガラス窓等の損壊がございます。そのほかに配車センターにありました多数の車両等に財産上の損害を与えた、こういうような被害を与えた状況になっておるわけでございます。  負傷されました方々には治療を待ちまして補償を実施することといたしておりますし、財産被害四十二件の中ですでに三十六件につきましては和解が成立しておりますし、残り六件につきましても早期に解決を図るべく鋭意努力をしておるところでございます。
  49. 日野市朗

    日野分科員 いま私が死傷者と申し上げたのは、実はパイロットも含むという意味を持たしていたわけであります。本当にパイロットには非常にお気の毒なことであったわけでありますが、亡くなられたパイロットについての補償も含めて伺いたいと思います。  それと、時間がないのであわせて若干尋ねておきますが、防衛庁側の補償の基準が低いのではないか、補償に当たっての基準が一般の裁判所等の基準に比較して低いのではないかという不満の声が出ているというようなことが一部報道されております。そういう点についてはいかがでしょう。
  50. 上野隆史

    ○上野政府委員 防衛庁職員の公務上の災害に対します補償等につきましては、防衛庁職員給与法第二十七条一項の規定に基づきます国家公務員災害補償法の準用等によりまして、一般職の国家公務員と同様の補償を行っております。  今回の事故におきますパイロットの御遺族に対しましては、一時金といたしまして葬祭補償、遺族特別支給金、遺族特別援護金、退職手当等を含めまして約一千万円、それから、年金といたしまして遺族補償年金、遺族特別給付金、これを合わせまして約三百五十万円でございます。そのほかに、国以外から給付されるものといたしまして、たとえば共済組合弔慰金あるいは防衛弘済会の共助部の弔慰金等々、それから御本人の掛けておられました生命保険金等も合わせまして約七千万円、これが一時金でございます。そのほかに共済組合の遺族年金といたしまして約九十万円でございます。
  51. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 防衛庁が損害賠償を行う場合の考え方でございますが、基本的には事故と相当因果関係のある範囲で通常生ずべき損害というものにつきまして適正な賠償を行うということで考えておるわけでございます。  賠償額の算定につきましては自賠法の基準に準じまして算定をしておりますほか、裁判例とかその他ほかの動向等も参考にいたしまして社会通念上妥当なものとなるように配意をしておるわけでございます。  具体的に若干申し上げますと、財産被害の場合につきましては財産の被害直前の時価ないしは修繕費用とか、あるいは財産の損傷等によります休業があります場合には休業に伴う逸失利益を補償をするといったような考え方でございますし、それからまた、死亡の場合につきましては、御遺族の方に対しまして、療養費用でありますとかあるいは死亡に伴う逸失利益、葬儀費用、慰謝料といったようなものを算定をしていく、そういうふうな取り扱いをしているわけでございます。
  52. 日野市朗

    日野分科員 先ほど、死亡されたパイロットに対する一時金七千万余りということで、その中に本人の生命保険をも含ませておられるわけですが、これは補償というものとは全く別でして、本人と保険会社、それからその保険金を受け取る人との間の全くプライベートな契約でありますから、除外すべきだと思います。それがどのくらいあったかだけ聞かしていただきたい。  それから、補償基準として一般に持っておられるもので自賠責の基準を置かれたわけですね。私はそういう自賠責の基準をもって補償算定の基準とすることには反対であります。これは自賠責の補償が交通事故の被害に対してなされた後、それで不足であるということで裁判所に訴えを提起するということは枚挙にいとまのないところでありまして、ほとんど裁判例においては自賭責を上回るもの、それもかなり大幅に上回るものを支払うということでその結論を見ているのが現状です。こういう基準を変更されるべきではないかというふうに思います。  二点にわたって伺います。
  53. 上野隆史

    ○上野政府委員 先ほど申し上げました国以外から給付されたものの中で御本人が生命保険会社と契約をなすってその生命保険金が支給されたというものは合わせまして六千七百万円でございます。先ほど約七千万と申し上げましたうちの六千七百万ということでございます。  なお、先ほどの御答弁では触れませんでしたけれども、事故原因の究明がなされました後におきましては、これはジェットパイロット一般についてそうでございますけれども、いわゆる特別弔慰金というものが最高一千万円、この場合には、こういうような訓練中の事故におきましては最高一千万円のものがその後に支給されるということに恐らく相なろうかと思います。  それから、先生の先ほど御指摘になりました自賠責等の問題につきましては、これは国家公務員災害補償法全般にわたります問題でございまして、特にパイロットの場合にはその同乗者とは立場を異にしておりまして、なかなかこれはむずかしい問題がございますけれども、御指摘の点は、まことに一般的な考え方といたしますとそういうことでございましょうと思いますので、私どもも、鋭意これにつきましては検討を続けておる状況でございます。
  54. 日野市朗

    日野分科員 この点ばかりに時間をかけるわけにもまいりませんので、一言感想だけ申し上げさしていただきたいのですが、これは公務員の職務上の災害全般にわたる問題であるということもそのとおりでありましょう。しかし、この例を見て、私どもが一般の交通事故その他の災害における死亡というものと対比をしてみますと、これから、いまおっしゃった一千万近くのものが出るであろうという見通しをも含めて、三千万前後ということに相なろうかと思います。これは一人の人間の命の値段、しかも働き盛りの一人の人間の命の値段としては非常に私は安いというふうに、そういう感想を持たざるを得ません。それから、一般の被害についても、公務員以外の被害、自衛官以外の被害者についても、この自賠責の基準でこれが算定などをされたのではたまったものじゃないということを私、感想として申し上げておきたい。  そして私、この事故の原因の究明もさることながら、こういうブルーインパルスの飛行そのものが多分に危険を伴うものであること、これは一般的に言って肯定せざるを得ないところであろうと思うのです。それが、機体そのものの欠陥が原因であるか、人為的なミスがあったかどうかということにいたしましても、ああいうブルーインパルスの飛行というものは、非常に高度の技術を要する飛行でございましょう。そうすると、これはいささかのミスも許されない。しかし、人間というものは大体そういうものではないのでありまして、常に危険が伴う、そういうふうに考えざるを得ないのであります。  実は、私は石巻市の日和山というところに住んでおりまして、ブルーインパルスの飛行が始まりますと電話が聞こえないという地域です。特に、私も仕事柄、いろいろ国際電話なんかかけたり受けたりする。ちょうど国際電話をかけているときに、飛行機がぐっと上を通って電話が聞こえなくなるなんということになりますと、やはり頭にくるわけですな。これは騒音の被害もさることながら、こういう危険な飛行、そもそも危険な飛行の訓練というものは、私は陸上ではやるべきではないというふうに思っているわけであります。この事故はたまたま浜松で起きました。しかし、常時訓練地帯になっている宮城県の桃生郡、石巻、牡鹿郡、こういう地帯でいつこの事故が起きないとも限らないわけであります。私は、もう陸上ではこの訓練飛行は行うべきではない、このように思っておりますが、いかがでございましょう。
  55. 西廣整輝

    西廣政府委員 御質問のように、確かにこの戦技研究班の訓練というものは、大変高度な操縦技術を要するものでございますので、私ども現在、先般の事故にかんがみまして、先ほどの事故調査とは別個にこの戦技研究班そのものの管理、運用、あるいは訓練方法、そういったものについての検討を進めておりまして、これは六月いっぱいをめどにいま進めておりますが、その間どうするかということでございます。  一つは、戦技研究班そのものの研究につきましては、これは休むわけにもまいらないということで、現在海上でできるものを中心に海上の方で、松島沖を使っておりますけれども、実施をしているということであり、かつ、もう一つの仕事といいますから展示公開の方は、この事故調査なりの結果が出るまでは全面的に中止をするということでやっております。  ただ、いま先生の御質問に、すべて海上でやったらどうだということがございましたのですが、御案内のように、海上ですと目標物というものが全くないといいますか、そういったことがございまして、どうしても地上でやらなければいけないものが若干ございます。そういったことも含めまして、将来ともどういう形でこの戦技研究班を運用していくか、訓練をしていくかということを、現在検討しているところでございます。
  56. 日野市朗

    日野分科員 それは大分、住民と防衛庁側との感覚のずれというものがあると思いますよ。私も、私の目の前でこのブルーインパルスの訓練をやりますから、しょっちゅうこれを見ます。それはもうパイロットはかっこよく飛んでいるとお思いかもしれない。そして自衛隊皆さんも、どうだ、すばらしいだろう、こういう目でごらんになるかもしれない。しかし私なんか見ていて、非常に危なっかしいという感想は常々持っておりました。もっと早くこの問題は国会ででも言えば、浜松の事故は起こらなかったかなとすらいまでも思っております。目の前を蛇行しながら飛んでいく飛行機の迫力というのは、これは皆さんから見ればかっこよく見えるかもしれないし、すばらしいとお思いになるかもしれないが、こっちから見たら、いつあれが落ちてくるのか。しかも、あの轟音でぐうっと人を圧倒するような訓練をおやりになる。これは、決して地元の住民としては好感を持っては見ていない、私こんなふうに思います。いかがでしょう、この点についてどんなふうに皆さんお考えになります。そういう住民感情を十分に考慮すべきだと私は思うのだが。
  57. 西廣整輝

    西廣政府委員 戦技研究班の訓練に関連いたします地元側のたとえば騒音その他の御要望については、私ども重々承知をしているわけでございますが、まず私の所掌の運用面の方から申し上げますと、そういった地元の方々の気持ちというものを十分しんしゃくいたしまして、できるだけの配慮をしておるつもりでありますし、今後も努力したいと思っております。たとえば訓練時間等につきまして、早朝あるいは深夜を避けるというようなことはもちろんでございますが、個々の訓練につきましても、離発着はやむを得ませんけれども、先ほど申し上げましたようにできる限り海上を使用する、あるいは訓練につきましてもきめ細かに、たとえば地元の学校で入学試験があるというようなときには遠慮をするとか、そういった点も含めまして、地元の方々と十分調整しながら、できるだけ地元に御迷惑をかけないようにしたいというように考えておるわけであります。
  58. 日野市朗

    日野分科員 この問題については、地元の方々が松島基地周辺自治体連絡協議会というものに集結をいたしまして、ブルーインパルスの撤去という要求を掲げたことは、もうすでに御承知のとおりであります。これは、とりもなおさず、私が言ったように、住民側はどのような目でこのブルーインパルスを見ていたかということの、住民サイドの意思表示の一つの証左ではないかというふうに私考えるわけであります。こういう人たちの意見に、いまいろんな配慮はしているんだというふうにおっしゃった。しかし、まずブルーインパルスは撤去してくれというのが、この人たちの一番トップに掲げた要望ですね。これに対してどのようにお答えになるのか。  これは、できれば大臣あたりからお答えをいただきたいところなんですがね。
  59. 西廣整輝

    西廣政府委員 長官お答えになる前にちょっと一言申し上げます。  ブルーインパルスの存在によりまして、地元の方々に大変御迷惑をかけていることは申しわけないと思っておりますが、先ほど来申し上げておりますように、この戦技研究班のやっております仕事、それぞれの航空機の特性のぎりぎりの点まで操縦特性なりあるいは戦法を研究するということが、ひいてはすべてのパイロット、ほかの飛行機の安全性、そういったものに結びつくことでございますので、この仕事をやめるわけにはいかないということを御理解いただきたいと思うわけであります。
  60. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 ブルーインパルスの展示飛行による浜松の事故は昨年の十一月に発生をいたしておりまして、前長官時代の事故でぐざいますが、前長官と私の間の事務引き継ぎの面におきましても、前長官といたしましてはこの問題に対して非常に責任を感じておられながら、私に対して後の引き継ぎをよろしく頼むということで事務引き継ぎをいたしました。  なお、この事故によって一般民間の方々に大変御迷惑をかけたわけでございまして、この点につきましては、前長官ともども防衛庁といたしまして、補償その他について万全を期したいと考えております。  なお、事故調査につきましては、内規によって四カ月以内というところでございますが、この三月に四カ月が参りますが、先ほど政府委員から答弁いたしましたように、実は事故のありました直後に警察の出動もございました関係もございまして、私はさらに一カ月半ばかり、五月いっぱい事故調査の延期をいたすことを決定いたしました。  なお、ブルーインパルス戦技研究班の所属いたします浜松周辺の訓練についてでございますが、戦技研究班は主として高度の操縦戦闘技法についてこれを研究開発するなど、航空自衛隊における操縦戦闘技量の維持向上を礎を開くという、航空自衛隊として大変大事な任務を持った研究班でございまして、私といたしましては、少なくともこの意味においては、戦技研究班については今後とも維持をしていきたい、こう考えております。  なお、航空基地の運営につきましては、再々御答弁をさせていただいておりますように、地元住民の方々や地元自治体との調和を図りながら今後も進めたい、こう考えておるわけでございまして、この問題につきましては今後とも慎重に対処いたしてまいりたいと存じます。  なお、私、ただいま戦技研究班ブルーインパルスの所属しておりまする航空基地を浜松と申し上げましたが、松島の間違いでございまして、訂正させていただきます。  以上でございます。
  61. 日野市朗

    日野分科員 時間が参りましたようですから終わりますが、最後に要望だけ一言言っておきます。  陸上で、あの松島基地の周辺は人口稠密地帯であります。だから、安全といえるまでは絶対にブルーインパルスの訓練はしないでもらいたい、またわれわれは許さない、このことを一言申し上げて、質問を終わります。
  62. 石橋一弥

    石橋(一)主査代理 これにて日野市朗君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部一郎君。
  63. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私は、国際海峡を封鎖するというきわめて刺激的な中曽根発言以降、話を整理してみますと、大変いろいろ問題があると思いますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、有事の際にせよ、国際海峡を封鎖するという言い方によりまして、少なくともソビエトの太平洋艦隊に対して非常に攻撃的姿勢を示されるということは、挑発行動としては相当なものであったと思うわけであります。その後の国会答弁において総理並びに外務大臣は、これは国を守る気概を表明したものであるというような、比喩であるというふうにお答えになったわけであります。  比喩なら比喩らしい話が続くわけでございますが、ここのところは比喩とは思われない面が非常にございまして、たとえばアメリカの高官、ワトキンス海軍作戦部長が十七日の下院軍事委員会において、日本は機雷の敷設役である、日本は多くの機雷を保有している点で代表的な例である、この問題について、同盟国ときわめて突っ込んだ形で作業しているというふうに述べまして、日本の機雷敷設能力に対し、またその行為に対して打ち合わせをしていることをすでに下院において言明しておるわけであります。これは、日本側においてどういうふうな打ち合わせをされているのか、まことに大きな疑惑を引き起こしているわけでございます。  また、先日、海峡封鎖能力について、防衛庁の方針としてのお話が新聞報道等でも行われているわけでございますし、しまいには外務省の方が、米軍の海峡封鎖については有事以前でも認めるというところまでお話が発展してくるわけでございまして、これはもう、まさにけんか腰といいますか、やるかというふうに構えておる姿勢かと思われます。これは決していい印象ではない。  そこで私は、どこからお話を承っていいかわからぬほど問題が混乱しておりますから、一つずつまず申し上げますから、簡単にお答えをいただきたい。  まず、日本は機雷の敷設役であるとワトキンス・アメリカ海軍作戦部長がお述べになった例、そして日本に機雷敷設能力があるし、それを期待している、打ち合わせをしている、こう述べられた点について、連絡を受けているのか、常時そういうのをやっているのか、これはワトキンスさんの放言であるのか。下院で述べたことをこちらの衆議院で否定するというのもどうかと思われますが、そこのところの事実関係を伺います。
  64. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ワトキンス海軍作戦部長が下院の軍事委員会で御指摘のような発言があったということを報道によって承知しておりますが、実は下院の証言録の正確な内容というのを私どもまだ入手しておりませんので、正確な発言の要旨はわかりませんが、いずれにせよ、米側がわが国に対して期待しているということをそんたくいたしますと、五十三年に決められた「日米防衛協力のための指針」という、ガイドラインというものがございまして、この中において、周辺の防衛すなわち海峡防備を含んだ防衛というのは日本が主体になってやる、米軍はそれを支援するというふうな形で決められております。そういったことを指しながら、すでに日米間において話し合いが進められているということを申したのではないかというふうに推測されておりまして、それ以上、現在具体的な話し合いがあるわけではございません。  ただ、これは何回もお答えいたしておりますとおり、シーレーンの防衛についての共同研究をこのガイドラインの枠内で近々始めたいということを前々から申し上げているわけですが、そういった中で、当然このシーレーン防衛の中の重要な作戦分野として海峡防備の問題も議論されるであろうということは予想されます。
  65. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そうすると、その会議をこれからやるニュアンスでいまお答えになりましたけれども、ある程度のお話し合いが総括的に行われるニュアンスもちゃんと残しながら、みごとな答弁をされたわけでございますが、日本の周辺の海峡あるいはその他のエリアにおいて機雷を敷設する場合に、日本側がやる気であるのか、アメリカ側にやらせるつもりがまだあるのか、また、その機雷は日本製のを使うのかアメリカ製のを使うのか、そこをまず御答弁いただきたい。
  66. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず第一点。私ども、海峡封鎖という言葉自体が非常に刺激的であるということを十分認識しておりますので、なるべく海峡防備あるいは通峡阻止というふうな言い方をしておりますが、シーレーン防衛の一つの作戦分野としていろいろな作戦が考えられるわけであります。その中には、海峡防備それから哨戒あるいは船団護衛あるいは港湾防備、こういったものがあるわけですが、そういった作戦の中で、一つの海峡防備、通峡を阻止することが相手方の潜水艦の行動を制約して、これが相手の勢力の漸減に寄与し得るという意味で、必要な場合には通峡阻止をすることがあるだろうということを申し上げております。  そうして、その通峡阻止の中にはいろいろな作戦がまたあるわけでございまして、これは艦艇による場合、潜水艦による場合、航空機による場合、これまたいろいろな作戦の和み合わせになるわけですが、必要に応じて機雷をまくこともあるだろう。この機雷をまくということも含めまして、海峡防備の作戦は、有事の際には自衛隊がアメリカと共同対処をすることになりますが、自衛隊が主体となって行う、米軍はそれを支援すると、こういうたてまえになっておるわけでございます。  それから、その場合に使用するであろう機雷というのは、国産の機雷を考えております。
  67. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いま言われた海峡防備、通峡阻止などという問題について、私は注意を喚起しておきたいと思いますけれども、海峡防備というと、その防備というのは非常にあいまいな言葉なんで、通峡阻止というのを重ねておっしゃっているわけでありますが、領海条約においては、その第十四条に「この条約の規定に従うことを条件として、沿岸国であるかどうかを問わず、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有する。」となっておりまして、すなわち、有事でなければ通峡阻止というのはできないとなっているわけであります。有事でなければ通峡阻止ができないのに、いま通峡阻止ということを公然と始める、これは有事でないときには不当な行為であります。  また、いま一つ。公海に関する条約の第二条には、「公海はすべての国民に開放されているので、いかなる国も、公海のいずれかの部分をその主権の下におくことを有効に主張することができない。公海の自由は、この条約の規定及び国際法の他の規則で定める条件に従つて行使される。」とありまして、「航行の自由」「漁獲の自由」「海底電線及び海底パイプラインを敷設する自由」「公海の上空を飛行する自由」と四項目挙げられている。機雷を敷設する自由なんというのはないのです。機雷を敷設する自由だとか、あるいは軍事施設を公海に属する部分、国際海峡に属する部分に敷設していいなどという物すごいものはないのであります。いまの御説明ではなはだ不満足と思いますが、いかがですか。
  68. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 私、先ほど有事の際はというふうに申し上げたつもりですが、あくまでも、われわれが通峡阻止をするというふうなことは、有事の際、わが国に対する武力攻撃があった際に、自衛権の範囲内で、わが国に対して武力攻撃を加えている相手方の艦船の通峡を阻止しようということでございます。
  69. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そうすると、おもしろいことになるのですよ。有事の場合でなければ通峡阻止ができないのですから、平時に国際海峡あるいは公海部分に機雷をばらまいたり敷設することはできませんね。
  70. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 有事の際、すなわち、わが国に対する武力攻撃がなければ、われわれはそういった機雷を敷設するというようなことは考えておりません。
  71. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 これは、将来きわめて重大な問題を含む問題です。いいですか、大臣。これはいま恐るべき質問をしておるのですけれども、いまの答弁でよろしいですね。もう一回念を押します。公海部分、国際海峡において、平時において機雷その他の施設を敷設することはありませんね。
  72. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 従来から再々御答弁申し上げさせていただいておりますように、自衛隊の実力行動は自衛隊法七十六条の発動によって生ずるわけでございまして、海峡の通峡阻止という実力行為も、わが国有事の場合でないとあり得ません。
  73. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そうすると、機雷を敷設するのは、私が心配しているのはここなんです。もしもわが国が有事において国際海峡を封鎖するとするならば、明らかに想定される敵国グループは同じ措置をとらなければならないと考慮するでありましょう。ということは、国際海峡あるいは公海上において、日本船が大量に通過するところにおいて同等の措置がとられるでありましょう。それは、有事の場合にという名前のもとに平時から研究が開始されるでしょう。こちらも開始するなら同じようにやられるでしょう。大臣、どう思いますか。
  74. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 御質問の意味が必ずしもよくわかりかねますが、わが方の、従来から答弁をいたしておりますことをもう一遍ここで改めて繰り返させていただきます。(渡部(一)分科員「わからなかったらもう一回言うよ」と呼ぶ)もう一遍答弁さしていただきまして、改めてまたもう一遍、その後聞かしていただければありがたいと存じます。  有事の場合、つまり、わが国に対する武力攻撃が行われたときに、海峡の通航の阻止を含めて自衛の範囲の中で必要最小限の行為は行われ得ると、こう考えておるわけでございます。
  75. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 ソビエトの太平洋艦隊をたとえばある例として申すわけでありますが、ウラジオストクにいる太平洋艦隊のグループを阻止するために三海峡を阻止したとします。阻止するということがもし行われたら、同じようにソビエト側も東京湾や瀬戸内海やそれらの出口というものを阻止にかかることは当然だろうと思います。そしてまた、平時からそういう研究をし、その準備をするとしたら、先方も同じような研究をし、阻止をするということを考えていますねと私は聞いているのです。どうぞ。
  76. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 常に、いかなる侵略に対してもこれを排除する、これに対する対処については、自衛隊防衛庁といたしましては研究、対処の方途について努力をし続けなければなりませんが、もしわが国有事の場合には、安保条約第五条自体でございまするが、日米共同してこれに対する対処を行うということはあり得ることでございます。その共同対処の範囲の中で、日米ガイドラインに基づいて、海峡についての通峡阻止については一義的に日本の海上自衛隊が行うということで日米間の協議が続いておりますが、さらにそのことについて、ただいま御指摘のような意味合いで、われわれといたしましては共同対処の方途について常に研究をし続けるということは必要なことだと、こう考えておるわけでございます。
  77. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私が言っているのは、防衛庁の発言あるいは総理大臣の発言、あなたの所管防衛庁でありますけれども、それはきわめて外交的な大きなインパクトを与えるということを指摘しているわけです。だから、下手なことを言うと物すごい反動、あおり返しが来るわけですね。すでに不沈空母で相当のショックを与えられた中曽根総理と組んでおられる防衛庁長官とされまして、気をつけて口をきいていただきたいなということが率直な印象なんです、俗語的に言えば。  防衛庁長官時代でありました中曽根さんは、昔、日本海を日本の湖にしたいと放言しました。この日本海を日本の湖にというのは、向こう側に沿岸国があるわけですから、これは侵略行為と受けとられる言葉ですね。これもまた当時きわめて問題になった問題でございますけれども、その日本海湖論から日本不沈空母に至るまで、中曽根さんの防衛問題に対する姿勢というのは挑発型放言をもって彩られている。  これは、むしろ甘く言ったわけなんです。放言だと私は規定しているわけですから、かなり甘く言っているわけです、これでも。それに乗じてまた、機雷をまくぞとか通峡を阻止するぞなんということを大声で言うとすると、有事の際にはという言葉が消えてしまって、非常にひどい結果を外交において招くのではないかと私は心配しているわけです。だから、慎重な用語と慎重な政略が外交関係も踏んまえて行われなければならないと思いますが、賛成ですか、反対ですか。
  78. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 安全保障の問題あるいは防衛論議につきましては常に慎重でなければならぬと思いますが、特に沿岸国を持つ海峡の通航阻止のごとき問題につきましては、慎重の上にも慎重であってしかるべきだ、こう判断をいたしております。
  79. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 かなりいい答弁になってきたと私は思うのですよ。  ではその次ですよ。今度は、ソビエトに本当に三海峡封鎖で打撃が与えられるかということ。私は、これは考えなければいかぬと思うのです。といいますのは、私は、この三海峡封鎖をきょう直ちにやるなら、それはソビエト側としても打撃だろうとは思います。しかしながら、きょうの報道で出ているように、トマホークか何か使ってやる場合は別にいたしまして、機雷か何かで飛行機二、三機飛ばしてやるのでしたらこれは余り意味がない。といいますのは、ウラジオストクに確かに二百隻近い太平洋艦隊の連中がいる。しかし、いまはカムチャッカのペトロパブロフスクにおいて、戦略ミサイル潜水艦は二十隻そちらへ常駐されている。その三分の一ないし四分の一は、常時太平洋からインド洋の中におる。  そうすると三つ難点がある。一つは、ウラジオストクには確かに三海峡封鎖ですごい圧力がかかるけれども、ペトロパブロフスクの方についてはこれは何も意味がない。要するに、下の方だけ袋で包んでいるけれども、上側部分は全部上の方から抜け出してくるということになりますでしょう。しかもソビエトとしては、ソビエト専門家に言わせると、最近ウラジオストクの施設というものをペトロパブロフスクの方へ大々的に移動が開始されている。数年以内に民間港としてウラジオストクを開放しようという話もあるやに話が漏れてきておる。そのときに三海峡封鎖というのはきわめてナンセンス、日本独自で言えば。  二番目に、戦略ミサイル艦というのは、わざわざ敵のそばまで行ってぽんと撃つようなことはないですよ。御存じのとおりです。居場所からぽんと撃てばいいので、何もニューヨークのそばまで沈んで行って、あるいは東京湾の中まで来てからぽんと撃つ、それはライフルか何かで撃つなら別として、いま地球の反対側へ来て撃てるのだから、それを相手にして通峡阻止だヘチマだと言うこの無意味さ、ナンセンスさ、あほらしさ、戦略上の意味のなさ、挑発行為の重さというものはきわめて大きいでしょう。  そうするとこれは、私は、アメリカ政府に対するサービスの言葉として、それこそお世辞としてかなり配慮された発言だなという気がするわけですね。だけど、それをあえてソビエト側に対して、アメリカ側に対するサービスでなく腹の底から思っておりますというのがあなたの使命なのかもしれませんけれども、幾ら何でもあほらしいんじゃないでしょうか。この通峡阻止をして、有事にやるよと言うだけでも、ソビエトとの関係を緊張に緊張させていくということについてどう思われますか。私は、国務大臣としてのあなたに承りたいと思うのです。ということは、これは防衛庁の防衛のもう一つ基本にある政策的判断の問題になると思うからです。
  80. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 わが国は周辺を海に囲まれた国でございまして、海上交通路の確保というのは常に重大な関心を持たざるを得ない大きな問題である、こう判断をいたしております。そしてわが国有事の場合には、特にわが国周辺数百海里あるいはもし航路帯を設けるとすれば千海里程度、これを対象にいたしまして防衛計画を目下整備をいたしておるわけでございますが、その中には当然海峡の通峡阻止という問題も考えなければならない事態にあるいは入るかもしれぬ。そのときには、わが方といたしましては、自衛権の範囲の中で必要最小限度そういう行為を行うということもあり得べし、こう答弁をいたしてきておりますが、基本の問題は、わが国自身の安全の確保という国益の観点からわが国が自主的判断に基づいて行うものである、こういうことでございます。
  81. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 問題は、自主的に判断しているのかということが、論戦のそれこそ主題として本当に論議されなければいけないテーマだし、私は、そこにおいてさまざまな見解の差がわが国民の中にもあるのは当然だと思います。  私は、心配論の立場から二、三申しますと、この間、宗谷の施設を見学させていただきました。レーダーサイトも見せていただきました。そして余りにも無防備。戦争が始まる前の予備行為で五人の兵士がやってきたら、あのレーダーサイトはたたきつぶされるでしょう。哀れなレーダーサイトで、まるでやっつけてくださいと言わんばかりに、防備もされずにほうり出されている奇妙なところで、昔の特攻隊の玉砕部隊のような精神でがんばっておられる自衛隊の士官たち、あるいは兵隊の皆さんとお会いしてきました。私は、あれは非常に大きな挑発行為だなと思います。というのは、向こうに、やっつければやっつけられるのではないかという刺激を与えるという意味で、私は挑発的だと思うのです。私は心配しています。  ただ、宗谷海峡をにらんでいるあのレーダーサイトでよくわかったのですけれども、半分は先方の領海で、こちら側の領海があって、真ん中に国際海峡があります。ソ連領海が十海里、日本領海が三海里、幅がわずかに二十海里、こんな狭いものですね。しかも、先方は少し浅い海です。しかし、通ろうと思えば通れないことはない。そこに深さ、たかが三十ないし六十なんというところに機雷をまけば、一発まいたというだけで行動が麻痺するということは明らかだという意味で、ソビエトの特色のあるオーバーな安全保障マインドといいますか、そういうものを持っているソビエト側としては、いきり立つべき話になるだろうと思うのです。いわんや、向こう側の領海の中に機雷なんかを持ち込むことになりましたら、それは明らかにソビエト領に対する爆撃と同じような効果を与えて戦闘行為である、宣戦布告なき戦闘行為として強大な反撃をこうむるということは明らかだと思うのです。  私は、そういうあほなことはなさらないとは思いますけれども段階を飛び越えて国際海峡にあるいは先方の領海に、こちらの領海に、その狭いところに、その三つは種類は違いますけれども、機雷などを敷設するようなことをすれば、これは国際海峡として意味がなくなってしまう。これは恐ろしい反応を巻き起こすものだろうと思います。こういう刺激を与え続けていくということはわが国にとって決してプラスではないのであって、むしろそういうような放言は撤回された方がいいのではないか、放言的挑発的外交をとるべきものではないと思いますが、どうですか。
  82. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 先ほど私は、自衛隊法七十六条が発動されたときということについて答弁をさせていただきましたが、七十六条には、わが国に対する武力攻撃が行われたとき、それともう一つ、わが国に対する武力攻撃が行われるかもしれないときと二つございます。防衛出動命令が下令されておりましても、わが国に対する武力攻撃が現実行われていなければ、海峡の通航阻止というような実力行動はいたしません。これは、従来答弁をいたしてきているところでございます。防衛庁といたしましては、ただいま申し上げさせていただきましたように、海峡の通峡阻止というふうな行為を行うには、沿岸国あるいはこの海峡を通峡するであろう第三国艦艇その他に対しましても十二分に配慮するという、常に慎重にも慎重を期すということは重ねて答弁をいたしてきておるところでございます。御了解をいただきたいと存じます。
  83. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 最後に、非常に微妙な問題を少しぼかして言いますけれども、現在の潜水艦には、昔のように磁気をもってするもの、音響をもってするもの、水圧の変化をもってするもの、浮遊機雷と称するうんと過去の係留機雷型のもの、こういうふうにいろいろなタイプのものがございますが、これらの機雷の中でも、海底に装着をして有事になると浮かび出てくるというようなものが最近各国で開発中でございます。そういうものを国際海峡の中に事前に沈めておくということは、先ほどからの議論において慎重の上にも慎重にお考えになれば、平時の際においてそういう行為はおとりにならないものと理解いたしますが、それでよろしいですか。
  84. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 予防戦争というような概念は一切憲法の許すところではない、こう私どもは判断をいたしております。
  85. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 海底固着型の機雷を国際海峡に事前に敷設するというようなことはありませんね。
  86. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 従来から再々答弁させていただいておりますように、わが方の実力行使を海峡で行う場合はわが国が武力攻撃を受けた場合でございます。
  87. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 では委員長、これで結構です。どうもありがとうございました。
  88. 石橋一弥

    石橋(一)主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、竹本孫一君。
  89. 竹本孫一

    竹本分科員 内外の情勢が大変厳しいときに、谷川さん大変重要なポストにつかれまして、まずもって御健闘を祈ります。     〔石橋(一)主査代理退席、岩垂主査代理着席〕  御承知のように私ども民社党は、防衛の問題につきましては、そういうものは一切要らない、非武装でいこうという考えでもありません。また、日米安保問題につきましても、それが果たしておる現実的な役割りというものは、一応正しく評価しておるつもりであります。そういう立場でございますが、同時に、防衛費というものは幾らでもふやしさえすればよろしいという立場ではありません。また、外交、防衛の姿勢というものも、強気でさえあればよろしい、それが国を守る唯一の方法だとも考えておりません。そうした立場で、二、三の希望をきょうは申し上げてみたいと思うのです。  そういう意味から申しますと、私は、いま世界の政治家の中で外交、防衛の問題についてすばらしい見識を持っておるのは、ドイツの前宰相であるシュミットさんだと思うのですね。彼は、われわれと同じような社会民主主義あるいは民主社会主義者でありますから、そういう身びいきも若干あるかもしれませんけれども、しかし、公平に見て彼の意見と見識は、世界の政治家の中で一番すばらしいと思っております。若い、これから大いに伸びていただく長官でございますから、シュミットの言っていることはひとつ注意をして読んでもらい、聞いてもらいたいと実は思うのです。  たとえば、彼が最近世界の新聞に広告というか訴えを出した。その中にもこういうことが書いてあるのですね。われわれは、レーガンとは書いてなかったが、アメリカの指導者がアメリカ国民の民主的な選挙を通じて選び出されてやっておるのであるから、これを信頼しなければならぬということをまず書いてある。同時に、レーガンさんも、われわれの信頼にこたえてもらわなくては困るということを書いている。  そのこたえるというこたえ方は、彼が書いておるところによれば、無責任な演説や軽率なる行動によってわれわれの信頼を裏切るようなことがあっては困るということが一つ。それからもう一つは、軍事的にしろ経済的にしろ、アメリカはソ連その他共産主義国の首を絞めるのだというような誤った印象を与えるような動きをしてもらっては困る、また、ヨーロッパのわれわれはそんなことはできないということをよく知っている、こういうふうに書いてある。大体これからの外交、防衛の姿勢は、これらのシュミットの言葉に尽きていると僕は思うのです。だから、ぜひ長官も、シュミットの動きやシュミットの意見は十分に読みかつ聞いておいてもらいたいという、これは要望です。  ところが、中曽根さんの内閣になりましてから、新聞等で御承知のように、支持率もスタートラインからして三十数%、最近ではそれが二九%、だんだん落ちていく。それは何に起因するかということはなかなかむずかしいけれども、一口に言えば、彼の外交、防衛に関する姿勢が著しく国民に不安を与えておる、あるいは不信感を招いておるということだと思うのです。これは、日本のためあるいは平和のため大変残念なことだと思います。  そこで、まず長官にお伺いいたしたいのは、中曽根内閣鈴木内閣の外交路線、政策路線というものを踏襲するという、約束であったか宣言であったかは別として、考え方であったとわれわれは受け取っておる。ところが最近の、特にアメリカに行かれてからの中曽根さんの言動は、政策路線において鈴木内閣の時代よりも大分変わったように少なくともわれわれは印象を受けるが、この内閣のメンバーである防衛庁長官は、鈴木内閣路線というものを中曽根内閣は変えようとしておるのか、変えたのであるか、あるいは変わりつつあるのであるか、長官御自身はどういうふうに受けとめておられるか、承りたいと思います。
  90. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 鈴木内閣当時からの路線が変わったと私は思っておりません。と同時に、自由民主党の党としての政策が変わったとも思っておりません。と同時に、もう一つ加えて申し上げさしていただきますが、防衛庁自衛隊の最高指揮監督権は内閣を代表した内閣総理大臣にございますが、私は、自衛隊法によって自衛隊を統括をいたしております。しかし、今日に至るまで総理は、防衛の問題について各般の御発言がございますが、防衛庁長官に対して、いままでの既存の防衛政策に対する変更を命令あるいは指示をされた事実は一つもございません。
  91. 竹本孫一

    竹本分科員 大変明快な御答弁をいただいて安心をいたしました。国民も、ぜひそういうふうに鈴木内閣路線を踏襲してもらいたいというふうに恐らく願っておると思いますので、その意味でもまたひとつ御健闘をお祈りしたいと思うのです。  そこで具体論に入りまして、まず第一は防衛費一%論。この問題も、私はまずお断りしておきたいのだけれども、〇・九七とか〇・九八とか一%に足らないということがいいとか悪いとかいうことや、あるいは一%を〇・二ほどオーバーしたら困るというような、数学的、顕微鏡的議論を余りしようとは思わないのです。われわれも、科学技術の発達やあるいは外における国際情勢の動き等を無視して、ばかの一つ覚えみたいな防衛費論をやろうとは思いません。  しかし、いろいろ考えてみますと、わが国の防衛費一%論というのは、平和国家としての日本が東南アジアの諸国にもあるいは米ソの関係にも悪い影響や反響を呼び起こさないように、われわれがあくまでも平和を守るためにはこれでいかなければならぬ、遠い将来は別ですよ、ここしばらくは、ここら辺で歯どめをかけておくことによって、初めて日本の平和国家としての理念なりあるいは日本の姿勢に対する信頼が集まるという、一%論も単なる財政技術や数学的な問題ではなくて、政治的決断だと思うのですね。したがって、これは政治的に非常に意義が大きい。  いま御答弁ありましたように、鈴木内閣路線を踏襲し、防衛庁も新たな指示も受けていない、したがって従来の路線でいかれるということであれば、この一%路線というものは、確かに五六中業の問題にしても、あるいは五十九年から始まる新しい計画にしても、あるいはその根本になる「防衛計画の大綱」にしても、いろいろと問題点があるということはわかります。しかし、政治的な決着としては、あくまで一%は守るということでここしばらくは貫いてもらわないと、いろいろとむしろ疑惑や誤解が多くなる。そういう意味で防衛庁長官としては、いろいろ困難はありましても、一%論はあくまで守るんだ、その範囲内において精いっぱい、力いっぱいの努力をするんだということでいっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  92. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 たびたび答弁をさしていただいておりますように、当面の防衛費は、国民総生産の百分の一をめどとしてという閣議決定が五十一年に行われておるわけでございます。私といたしましては、この閣議決定をできる限り尊重し続けてまいりたい、こう考えております。
  93. 竹本孫一

    竹本分科員 一つは、これから五十八年以後は一〇%ぐらい伸ばしていかなければならぬとか、いろいろ議論があるし、そうなれば一%を超えるではないかという議論があることも事務的、技術的にはわかります。しかし、同時に、GNPもいまのように落ち込んだままであったら、日本の経済、特に財政は破産しますよ、破綻しますよ。だから私は、世界の経済の動きもある意味で少し好転し始めた、アメリカでも三・六%指数が伸びたとえらい喜んでいるようですけれども、日本の国内もいろいろとまた様子が変わってくる。したがって、一%は絶対守るという政治決断を出して、後は内部の合理的な再検討を十分やるということも必要でしょうし、もう一つは、GNPそのものを伸ばすという努力も必要だと思うのですね。  そうすることによって最大限の努力をするということにしてもらって、とにかく簡単に、これは一つのめどであって、やむを得ないときはオーバーしても仕方がないというような議論があるということは、いたずらに誤解を大きくしますので、むしろ私は、GNPも変わるし、変わらなければならぬ情勢にありますし、変わり得る情勢に、私は経済専門にやっていますからその点は自信を持って言うのですけれども、そういうこともあるので、まず政治決断というものはあらゆる技術的、事務的な議論を超えて、一%は守るということでいっていただきたい。  次に移ります。  それは、日本が防衛の問題についてはアメリカの努力にただ乗りをしているというような議論もよくありますし、いろいろまたアメリカでも厳しい意見があることも私承知しておりますが、そういうことも含めて、それに対する答えとして、日本におきましても、特に昔の軍人さんあたりからは、防衛費一%なんてむちゃだ、三%ぐらいが普通だ、穏健な人でも二%あるいは一・五と、いろいろ数字にバラエティーがありますが、しかし私は、いま申しましたように、政治決断として出されておる一%は絶対守るという前提においてさらに考えますのは、やはり日本の国際的な平和維持に対する責任というものは一%にとどまってはならぬと思うのです。そういう意味で、最近よく言われる総合安全保障という立場から、これは私自身の考えですけれども、三%を考えたらどうか。  ただし、その中身が問題なんですね。私は、防衛費については、いま申しました一%をあくまで守る。それから次の一%は、海外援助協力が日本は非常に少ないのでよく文句を言われておりますが、これも大体一%に持っていく。国際的責任を果たす意味において、海外援助協力はいまの倍以上に、三倍近くなるかもしれませんけれども、一%に持っていく。  さらにもう一つ、世界の政治の中で日本のイメージアップをするために、たとえば三菱経済研究所は非常に膨大なプロジェクトを考えておられるのですね。それから、財界あたりでも、パナマ運河をもう一つつくる、こっちが引き受けようかというような議論もある。それから、大石武一さんは、最近何か党をかわられたようだけれども、グリーンの問題、緑の温存ということについて非常に熱心ですね。私も非常に賛成なんです。すなわち、世界の森林の現状を守る。緑の危機を守る。さらに、緑をふやす植林運動をやる。そういうことの、大きな、世界的な、グローバルなひとつプロジェクトをつくって、それに一%を投ずる。  合わせて三%でいくということにして、われわれは防衛については確かに一%で歯どめをかけておるけれども、国際的責任はトータルでは三%を果たすあるいは果たそうとしておるんだ、こういう構えになることの方がよほど安全でもあるし、また国際的な信頼も集めるゆえんではないかと思いまして、私は、総合安全保障、極端に言いますと防衛庁を総合安全保障省にする。そして、そういういまの三%の上に立って国際的責任も果たす。そのうちの一つとして、まず自分のところがひっくり返っては困りますので、一%の防衛の努力はするんだというような大きな構想に切りかえるべきではないか。  大変むずかしい案を突然に申し上げるようでございますけれども、少なくともそういう方向に向かって、総合安全保障というのは言葉で言うただけでは意味をなさぬ。具体的に日本は世界の平和の維持のためにもこれだけの努力をする。GNPの三%防衛費をふやすと言ったって、こちらがふやしたって向こうがふやせば何にもならぬ。それよりも、これはこれで守りながら、もっと他の面で国際的な協力をすることによって、日本の国際的、政治的発言権を強めるということを私は願っておる。  大臣に、そのとおりということもむずかしいと思いますが、こういう考え方に対して大臣はいかに評価されるか、承っておきたい。
  94. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 国際社会の一員として、日本が国際的に果たすべき責務というものもあろうかと存じます。また、国の独立を確保し安全を維持するということはすぐれて最高の政治課題である、こういうふうにも判断をいたします。  その中で、総合安全保障という考え方の中で、ただいま私が担当させていただいておりまする防衛という面だけに限って申し上げさしていただきますと、やはり、わが国の安全を確保するために、私どもとしては、なすべきことは常に努力をし続けなければならない。ただし、そのことは、国会を通じて御審議をいただきまする財政支出の面に限ってだけ申しましても、国の他の施策とのバランスもあわせ考えるべきである、こう判断をいたしております。  そういう点から申し上げますと、現在私どもが基本として考えておりまする防衛力整備の根幹は、五十一年に決定をいたしておりまする「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早く近づけたい、こういう考え方を基本として目下努力をいたしておるところでございます。
  95. 竹本孫一

    竹本分科員 行政長官としての防衛庁長官の御見解は一応了承いたしますが、私がいま申し上げたのは、国務大臣としての長官に、ひとつそういう政治構想を持たれてはいかがですかということを申し上げましたので、記憶にとどめておいていただいて、お考えをいただければありがたいと思います。  次にもう一つ、国連軍の問題ですが、鈴木前総理が国連総会で、日本も国連の平和維持機能の強化のためには大いに積極的に協力をするという大演説をぶたれた。これは非常に印象深く、各国の方々にも感銘を与えたようでありますけれども、ただそれだけに終わっているような感じなんですね。その後、この国連の平和維持機能を強化するために日本は何をなすかということについては、憲法論、法律問題の面も一向前進したようにも見えないし、もちろん具体的行動もあると聞いてない。しかし、私は、国連総会であれだけ演説した後は、それを受けて、だから日本としてはこれをやるんだということでなければ、全く意味をなさないと思うのですね。そういう意味から申しますと、私は、国連軍に日本は協力すべきだという意見なんですが、これに対しましてやはり憲法上の議論がいろいろあるようでございますが、その辺もひとつ伺いたいと思うのです。  まず第一に、新しい憲法をつくるときの特別委員長をやられました芦田さんが、その当時にも吉田総理に質問をされまして、日本は国連加盟といっても国連のいろいろの義務を果たすことができない、特に自衛隊をそこへ派遣することはできないということで、果たして国連加盟ができるのであろうかというような質問を総理にされておる。そのときの答弁は何だかあいまいで、ちょっと私にもよくわからぬが、日本政府のその後の説明もあるいは解釈も、国連軍に積極的に参加協力するということについて、池田総理の見解というものもあった。それから最近の、政府が示されておる見解もある。それぞれ非常に食い違っておると思うのですけれども、どれがいまの政府の本当の考え方であるかということを伺いたい。
  96. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  国連軍につきましては、一番新しい政府の統一見解と申しますか、有権解釈は、五十五年十月二十八日、稲葉誠一議員に対して、質問主意書答弁書の中でお示しをした見解、すなわち「いわゆる「国連軍」は、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」、しかしながら、当該国連軍の任務、目的が武力行使を伴わないという——そういう武力行使を伴うものであれば憲法上は許されませんが、武力行使を伴わないものであれば憲法上許されないという性格のものではない。ただし、自衛隊法に任務として、これに参加することが任務付与されておらないので、参加ができない。これが国連軍参加問題についての政府見解でございます。
  97. 竹本孫一

    竹本分科員 短時間でこの問題を本格的に論議するのは少しむずかしいので、残念ながら問題点を指摘する範囲に終わるかと思いますが、いまの問題で私の方からついでに質問いたします。  武力行使ということ、そういうものには参加できないのだ、憲法上できないのだということでありますが、それならばお伺いするが、国連に加盟するときに国連憲章の第二条あるいは第四十三条というものを十分検討して、理事会が要請することについては、国連に加盟したものは協力しなければならぬと書いてある、そうでしょう。そして、うちの憲法上それが制約されるというならば、国連に加盟するときに一定の留保条件をとっておかなければならぬと思うが、その留保しなかった理由は何かということが一つ。  それから第二は、武力行使というと、われわれはすぐ簡単に戦争というふうに思うのだけれども、国際法の常識として、戦争には三つの種類があると私は思うのですね。     〔岩垂主査代理退席、主査着席〕 すなわち、よく言われるように、侵略の戦争と、自衛のための防衛の戦争と、国際平和を国際正義の上に立って守っていく正義の戦争というかあるいは制裁の戦争というかわかりませんけれども、そういうものと三つある。その三つあるものを、物理的観念としてはみんな武力行使だけれども、同じように解釈する理論的根拠は何であるかという、この二つをまず伺いましょう。
  98. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  まず、国連加盟の問題につきましては、防衛庁所管でございませんので、この点につきましては、所管官庁の方へ御質問いただきたいと存じます。すなわち、第一の点、なぜ加盟の際に安全保障問題についての責任について留保条件をつけなかったのか。この点については、私どもの方から御答弁申し上げることは差し控えさせていただきます。  次に、武力の行使の三つのカテゴリーがあるではないか、先生指摘の問題点は、第三番目の点、すなわち、国連の警察活動、これに国際的な安全保障の分野で貢献すべきではないか、これと武力の行使とごちゃまぜにするな、こういう御趣旨であろうかと存じます。  国連に武力の行使を伴う形でのわが国の参加が憲法上許されておらないという理由は、いわゆる海外派兵の禁止ということであろうかと存じます。海外派兵、すなわち、武装した実力集団を敵地の占領その他海外の武力行使のために海外へ派遣することはできない、こういう海外派兵禁止の憲法の基本の精神、これからきておるものと判断されます。
  99. 竹本孫一

    竹本分科員 少しややこしくなりますけれども、海外派遣が絶対にできないのだというのは、政治的な立場として私よくわかりますよ。しかし、憲法の解釈において、海外派遣は一切できないのだというのはどういう解釈であるかということをひとつ伺いたい。  それからもう一つの問題は、国連の平和維持機能には積極的に協力するんだといって、そして先ほど御答弁の中にありましたが、自衛隊法にはそのことが何も書いてないからできませんと言うのならば、将来は自衛隊法を改正してでも国連の平和維持機能には協力をする。それは日本の軍国主義とはむしろ逆だ。そういう方向の努力をする意思なり、あるいは必要なりがありはしないかと思うが、それはどうですか。
  100. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  憲法で認められております第九条の自衛権は、根源は国連憲章五十一条であろうかと存じます。すなわち、個別的自衛権と集団的自衛権でございますが、わが国は個別的自衛権はこれを認めるも、集団的自衛権については、独立国家として保有はしておりますけれども、自己規制をしておる、こういう憲法の解釈で、自衛のため、国連憲章五十一条の精神にのっとった個別的自衛権行使のための武力の行使が許されておる、こういうところから海外派兵は条理上許されないということになろうかと存じます。海外派遣が自衛隊法に書いてない、その点、改正の考えがあるかないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、海外における居留民の保護、在外法人の保護の問題等、いろいろな問題がございます。いわゆる有事法制の研究の第三分類、すなわち、現在どこの省庁も所管しておらない問題の一つとして、国際的な安全保障上の問題の一つとして研究課題とはいたしておりますが、現時点においてはまだ結論を見ておりません。
  101. 竹本孫一

    竹本分科員 これは議論がややこしくなりますのでこの辺で終わりますが、自衛隊法の問題はそれで結構ですが、個別的自衛権の解釈につきましては、私は少し広く解釈しておるのです。というのは、世界において世界の平和の秩序が維持される。国連がその秩序維持のために国連軍を編成して動きを始めるという場合に協力するのは、世界が平和であってくれることは日本の安全のためにも一番プラスになることですから、それをも限定的に制限的に解釈しなければならぬかどうか。先ほど申しました国際社会における戦争の三つのカテゴリーの第三のカテゴリーに対する理解が十分であるかないかというところに問題があるかと思いますけれども、これは時間がなくなりましたから、次に最後にもう一つだけ。  憲法六十六条によれば、すべて大臣は、文民でなければならぬという文章が入っておる。文民でなければならぬということ、そうすると、文民でない人がおるということになる。全部が文民であるならば、「文民でなければならない。」ということを書く必要はない。そこで、文民でなければならぬというその文民以外の人種というかカテゴリーは何であると解釈されておるか、それを伺いたい。
  102. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  この点につきましては、四十八年十二月七日、衆議院予算委員会理事会に法制局作成で配付をいたしました資料の中に明記されておりますが、「旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」、もう一つ、「自衛官の職に在る者」、この二つがいわゆる文民に対置する概念としての武人である。国の武力組織に職業上の地位を有しない者、こういうことで区別をされておると理解しております。
  103. 竹本孫一

    竹本分科員 最後になりますけれども、そうしますと、いまの解釈によれば、憲法の六十六条がつくられた瞬間に、日本には文民以外の、いまお話しになった軍国主義の思想がどうのは別にしまして、自衛隊もちゃんとおるということが前提になっておると思うのです。そうでしょう。いまの説明から解釈して、六十六条は自衛隊というものの存在、自衛官の存在を前提にしておるから文民でなければならぬということになっておるのだ。  そうなれば、よく自衛隊は違憲論だとかやみの存在だとか日陰者とかいろいろ言われるけれども、そこで長官に聞きたいことは、やはりわずかな予算の中で六・五%伸びても大問題を起こすような厳しい財政の中で自衛隊を持っている以上は、やはり自衛隊には自衛隊としての誇りと使命感を持たせなければならぬと思います。その誇りと使命感の中にはいろいろ問題があると思います。あるいは正しい意味の祖国愛もあるでしょう。あるいは自衛隊というものは日陰者ではないんだという憲法上の解釈の上における誇りと自信というものもなければならぬ。六十六条もその一端を支えておると思うのですね。そういう意味で、やはり正しい思想教育というかあるいは教育訓練といいますか、自衛隊にも、誇りを持ち過ぎても困りますけれども、ちゃんとした正しい誇りと責任感、使命感というものは持たせるべきだと思うがいかがですか。
  104. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 自衛隊の使命は民主主義を基調とするわが国の平和と独立を守り国の安全を保つことにある、こう考えます。したがって、隊員に対してこの守るべき国土が自分たちにとってその生存の礎であることを認識させ、これに対する愛着の気持ちを深めさせることはきわめて重要である、こう考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、昭和三十六年制定いたしました「自衛官の心がまえ」を自衛官教育のもとといたしておりまして、その中で、自衛官の精神の基盤となるものは健全な国民精神である、民族と祖国を思う心は正しい民族愛、組織愛として常に自衛官の精神の基調となるものである、こう教えておるわけでございます。今後とも自衛官の心がけ、心の持ち方ということはわが国の防衛についてきわめて重大な問題だ、こう考えまして、この点につきましては心いたしていく覚悟でございます。
  105. 竹本孫一

    竹本分科員 いまの御説明のほかに、私がいま申し上げたのは、憲法の問題も含めて彼らに正しい理解と自信なり責任なりを持たせなければならぬではないかということでございますが、おおむねおわかりをいただいたと思います。この辺で終わります。
  106. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて竹本孫一君の質疑は終了いたしました。  次に、栗田翠君。
  107. 栗田翠

    栗田分科員 私は三つのテーマできょうは質問させていただきたいと思っております。  一つは、東富士演習場における日米合同実動演習をめぐる問題、それからもう一つは、昨年起きましたブルーインパルスの事故の問題、そして三つ目は、アメリカ艦載機の訓練施設調査費をめぐる問題でございます。  時間がありませんので端的に伺ってまいりますが、まず最初に、去年十一月に東富士演習場日米合同実動演習が行われました。これはその東富士基地の地元であります御殿場の住民にとっても、また静岡県民にとっても大変大きな問題でありましたけれども、それに先立って通信訓練などもことを使ってやられておりますので、この基地が今後恒常的に合同演習場として使われたのでは大変だということで非常に心配をしております。  この演習に先立って、十月の二十九日に東富士演習場行政権和協定当事者合同会議というのが開かれておりますが、この会議の合意議事録によりますと、「今後少くとも昭和五十八年度においては東富士演習場日米合同訓練をしないことを確約する。」というふうになっております。この確約は誠意を持って守られますか、大臣に伺いたいと思います。
  108. 西廣整輝

    西廣政府委員 日米共同訓練の陸上関係の訓練につきましては、まだ来年度どこでやるかということについては具体的に決まっておりませんけれども先生申されましたとおり、昨年の地元との約束で五十八年度は東富士は使用しないということでございますので、そのお約束の内容というものは十分尊重してまいりたいというように考えております。
  109. 栗田翠

    栗田分科員 次に、十一月の実動演習のときに、米軍の作戦行動の日本における出発地点を清水に想定したというふうに聞いております。清水を起点としたということはどういう意味を持っているのでしょうか。
  110. 西廣整輝

    西廣政府委員 御案内のように昨年の日米の陸上自衛隊の共同訓練は東部方面総監隷下の部隊が参加いたしましたので、当然のことながら東部方面地域というものを想定した訓練をしたわけであります。したがいまして、最寄りの清水というものを想定したということであります。
  111. 栗田翠

    栗田分科員 つまり清水を想定したということをお認めになったわけですけれども、これは単に最寄りだということで想定なさったわけですか。
  112. 西廣整輝

    西廣政府委員 訓練そのものにどういうシナリオが必要かということになり、シナリオそのものが問題というよりも、部隊は現在おります実際に実動訓練をやります地域の地形というものを前提としてそれぞれ訓練をいたしましたので、たまたま東部方面隷下の部隊としたので東部方面地域というものを頭に置いた訓練をしたということであります。
  113. 栗田翠

    栗田分科員 それでは次の点について伺います。  去年十一月十四日に、ブルーインパルスの展示飛行中に浜松で事故がございました。これはまだ報告が出ておりません。事故調査報告書がまだ出ていないようなんですけれども、これはどうなっておりますでしょうか。いつごろ出ますか。
  114. 西廣整輝

    西廣政府委員 御質問のように昨年十一月に事故が起きたわけでありますが、通常、事故調査というのは、訓令によりまして四カ月以内に出すということになっております。ただ、今回の場合は、事故後、航空機の残骸等につきまして、これを警察がまず領置をしていろいろ調べたということで、返還を受けましたのは一カ月半後でありまして、そういった点で調査の開始がおくれたということ、それが第一点。もう一つは、事故が戦技研究班という特殊な事故でありましたので、そういった点でさらに慎重な事故調査をやりたいということをあわせまして、若干調査期間を延長したいという航空僚監部の方からの上申がありまして、二カ月半ほど延長するということで、五月いっぱいに調査報告が出てくるという予定であります。
  115. 栗田翠

    栗田分科員 いま調査の途中というわけですけれども、そうしますと、その墜落の原因は、中間的な調査の中で何だと考えていらっしゃいますか。
  116. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほども申し上げましたように、現在調査中でございまして、機材そのものについての何かふぐあいがなかったかどうか、あるいはパイロットの操縦についてはどうだったか、あるいはパイロットの管理についてはどうだったか、身体的な問題はどうだったかということを含めまして、いま予断を持たずに並行的に検討、調査をしておるということでございまして、現在のところ、何が原因ということについてはまだわかりません。
  117. 栗田翠

    栗田分科員 墜落をしたパイロットが非常に未熟だったということなどはお考えになっていませんか。
  118. 西廣整輝

    西廣政府委員 今回事故を起こしましたパイロットを含めまして、戦技研究班に所属しておりますパイロットは、一般のパイロットに比べて経験年数あるいは飛行時間等はかなり上位にある者が所属をいたしております。
  119. 栗田翠

    栗田分科員 私、ここに「航空情報」の九月号を持ってまいりました。これによりますと、こういうことが書かれております。これは「公開迫るT—2ブルーインパルス」というブルーインパルスの特集号になっておりますけれども、この中で「現在のチームの仕上り状態は、ほぼ完璧で全く心配はない。欲をいえば、正規のメンバーが十名〜十二名ぐらい欲しいところだ」と飛行群司令が語っているのですが、その後で「チームの仕上がり状態については、」ということで、第二十一飛行隊長の井澤二佐がいろいろ語っております。この中でメンバー一人一人について名前、生年月日、出身地それから所属、ずっと語っておりますが、こういうのがありますね。特に高嶋二尉について書かれていますが、「なお、高嶋二尉は後尾機としての一通りの練成訓練を終了しているが、公開展示飛行に参加できるようになるまでには、まだ若干時間を要するという。」高嶋二尉についてだけ特別にこのような注がついております。  この「航空情報」は九月号ですから取材は八月ぐらいだと思いますけれども、いろいろ私が調べた中でも、十一月に高嶋二尉はブルーインパルスの展示飛行に初めて参加していわゆる下向開花というのをやっていると聞いておりますが、ここに見ましても「まだ若干時間を要する」、訓練が不十分だということを一番身近にいる飛行隊長が言っているわけですね。これを見ますと、高嶋二尉は、言われたとおり訓練が未熟であったのにかかわらずこの展示飛行に参加をして、そして心配されていたとおりむずかしい展示飛行で失敗をして墜落したということは当然言えるのではありませんか、どうですか。
  120. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど御答弁申し上げたとおり、まず戦技研究班に所属しているパイロットそのものはその機種なりあるいは航空機全般について操縦経験の農富な者がなっておるということは、一般論として申し上げたとおりであります。  なお、いま御指摘の記事について、私も承知をしておりますけれども、戦技研究班の隊員もどうしても永久にやっておるわけにはまいりませんので、逐次新しい人が入ってくるわけであります。そういう点で、そのメンバーの中で高嶋二尉が新しいメンバーであるということは申すまでもないわけでありますが、しかしながら、いまそこで語っております隊長が、班長が公開展示に参加してよろしいという判断をしたからこそ参加をしたわけでありまして、未熟な者を危ないと思いながら参加をさせるということはあり得ないわけでありまして、その点は御理解をいただきたいと思うわけであります。
  121. 栗田翠

    栗田分科員 しかし、実際に事故を起こしております。しかもここの記事は、幾度も読みますけれども、「公開展示飛行に参加できるようになるまでには、まだ若干時間を要する」。事実、一番身近な隊長がそう言っているわけですから、これは結果から見ても、またこのことが八月ごろに言われていたことから見ても、非常に不十分な状態だったということはお認めになるべきではありませんか。
  122. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど来申し上げておりますように、事故調査そのものを、機材の問題あるいはパイロットの技能技量の問題も含めまして並行的に予断を持たずにしておるということでございまして、現段階でパイロットの技量が未熟であったかどうかというようなことについては、そういう判定はしておらないということであります。
  123. 栗田翠

    栗田分科員 なかなかお認めになりませんが、また、予断を持たずにとおっしゃいますけれども、すでに予断を持っていらっしゃるわけで、客観的なこのようなものが出されているときに、本人は亡くなっているのに未熟ではなかったということをしきりにおっしゃっている。  私が心配しますのは、これから事故調査報告が出されていく中で、本当に予断を持たずにやられるのかという心配、そしてもし未熟な人をこういう展示飛行に使ったということになれば、防衛庁の責任は重大、政府の責任は重大でございます。  第一、何のためにこんな展示飛行などというものをやるのか。事故の内容から言えば比較的死傷者の数が少なかったという不幸中の幸いはありますけれども、しかしこれが大きな頭故になった場合に一体どうするのだろうか。いまの事故でも大変犠牲は出ているわけです。こういうことを考えますと、人口密集地の上空で、このような不十分な状態で展示飛行訓練などはするべきではないと思います。住民の命をないがしろにした態度でこのような訓練をやっていくことについて私は絶対反対ですし、何としましても、基地上空でのさまざまな問題が起こっている以上、住民の生命を第一に重視した取り扱いをしていかなければならないと思います。浜松基地などは取り払ってしまうのが一番いいわけですけれども、少なくともこういう展示飛行などはやめていくべきだということを私は主張したいと思いますが、大臣いかがでございますか。
  124. 西廣整輝

    西廣政府委員 戦技研究班の公開展示につきましては、現在事故原因の調査、さらには戦技研究班の今後の管理運用について鋭意調査検討中でございまして、そういった結論が得られるまでは公開展示を中止をしておるということでございます。
  125. 栗田翠

    栗田分科員 命を大切に考えるべきだという点で、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  126. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 自衛隊は国民の生命財産を直接並びに間接の侵略から守らなければならないという使命を与えられております。したがって、常に訓練に励んでいかなければなりませんが、その中で、特に航空自衛隊におきましては高度の戦技訓練というものは必要不可欠のものでございまして、その意味から申しますと、航空自衛隊の持っておりまする戦技研究班の使命というものはまことに高い、こう考えております。したがいまして、防衛庁長官といたしましては、今後ともこの戦技研究班についてはこれを存続せしめ、さらに一層の戦技訓練の磨きをかけてもらいたい、こう考えております。  なお、その問題とは直接には関係ございませんが、その訓練に当たって、常に自衛隊としては、たとえば航空基地周辺の住民の方々あるいは基地周辺地方自治体との調和を図っていくという努力、あるいは、いま人命の尊重というお言葉がございましたけれども、人命はもちろんのことでございます。そればかりでなくて、国民の生活をする問題、あるいは生命並びに財産の保全、こういったものに対しては、当然のことでございますが、訓練の中においては第一義的にこれを重要視しながら訓練を続けていくということかと存じております。
  127. 栗田翠

    栗田分科員 次に、米軍鑑載機夜間訓練代替施設の問題について伺いたいと思います。  五十八年度予算の中に調査費九百万円がついておりますけれども、この使途はどういう内容なのでしょうか。
  128. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  これは、厚木飛行場周辺の艦載機によります着陸訓練の騒音の緩和を図るため、一つの飛行場に訓練を集中することをなるべく避けようという配慮から、他にも訓練の実施ができる施設を見出す、あるいは方策を調査検討するための調査費として計上いたしております。
  129. 栗田翠

    栗田分科員 その施設はいつまでに確保することになっておりますか。
  130. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいま五十八年度予算にこのような調査費を計上しておるところでございますので、いつまでということはまだ考えておりません。
  131. 栗田翠

    栗田分科員 これは米軍側の要請で調査をしていらっしゃると思いますけれども、アメリカの側からいつまでに確保せよという期限を切った要請があるのか、それとも日本の側の判断で決めればよいのか、どちらなのでしょうか。
  132. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え出し上げます。  米側から関東地区周辺にこのような訓練ができる飛行場を提供してほしいという要望は基本的にはございますが、今回、これは、厚木周辺において現在着艦訓練が行われておりまして、それによる周辺住民に対する影響、こういうものを配慮しまして日本側で対策を講じるために、こういう調査費を計上した次第でございます。
  133. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、期限というのは日本側の判断で決めればよいということですね。
  134. 千秋健

    ○千秋政府委員 日本側の判断でと申しますか、できるだけ早くこのような事態、厚木における騒音緩和というものは図らなければならないと思っております。
  135. 栗田翠

    栗田分科員 調査によりますと、すでに横田基地がその代替基地として一部使われているというふうに聞いておりますが、イントルーダーとかコルセアなどが激しく訓練をしているということを最近聞いておりますが、そのとおりですね。
  136. 千秋健

    ○千秋政府委員 米側の方におきまして着艦訓練を厚木でやる際に、私どもとしましては、一つの飛行場にこれが集中して行われますとその周辺の住民に与える影響が大きゅうございますので、分散してやってほしいということを基本的に申しております。しかし、横田飛行場、これもまた非常に市街の密集したところにございますので、ここでジェット機による着艦訓練を行うのは非常に問題があるということで、現在のところ米側はレシプロでございますE2機につきまして着艦訓練をこちらでやっておるという実情でございます。
  137. 栗田翠

    栗田分科員 分散をしてきているということはかなり代替基地をつくる事情が逼迫していることだと思います。  続いて、この予算は夜間訓練代替施設というふうになっておりますけれども、いま探していらっしゃる施設というのは夜間だけのものを探していらっしゃるのですか、それとも昼夜広げていくことをお考えになっていらっしゃいますか。
  138. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま調査費として計上しておりますのは、ミッドウェーの鑑戦機の着艦訓練ができる飛行場を探しておるということでございます。
  139. 栗田翠

    栗田分科員 質問にお答えになっていらっしゃらないのですが、そうしますと、夜間だけではなく昼夜の場合もあるということですね。
  140. 千秋健

    ○千秋政府委員 現在米側が求めておりますのは、艦載機の夜間着陸訓練、これの技量を維持向上するために必要な施設を求めておりますので、そういうことになるかと思います。
  141. 栗田翠

    栗田分科員 私の聞き方が悪いのかもしれませんが、そうしますと、夜間訓練基地を求めているのだから夜間の訓練だけをするところを探しているということですか。そうとは限らないのですか。
  142. 千秋健

    ○千秋政府委員 失礼しました。夜間の着艦訓練ができる飛行場を求めております。
  143. 栗田翠

    栗田分科員 夜間としますと、それは時間帯はどういう時間帯になるのでしょうか。
  144. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいまのところたしか十八時から二十二時ということを聞いております。
  145. 栗田翠

    栗田分科員 次に、施設の場所なんですけれども、いままでこの種の問題での質問があった議事録などを見ましても、既設の施設を使う場合、新設の場合、それから附帯施設を使う場合、三つを考えていらっしゃるということですが、とりあえず既設の施設を使う場合にしぼって伺いたいと思います。  関東及びその周辺の場所といいますと、候補地としてどこをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  146. 千秋健

    ○千秋政府委員 いま先生指摘のように、関東周辺の飛行場ということで予算の計上をしておりますが、まだ具体的にどこというふうにしぼってはおりません。
  147. 栗田翠

    栗田分科員 場所をちっともおっしゃらないのですけれども、でも周辺の既存の基地ということになれば当然あるものにしぼられてくるわけです。その中で条件のかなったものに当然しぼられてくると思います。  そこで、すでにいままで新聞報道などもいろいろとされておりますが、そればかりではなくて、実は私はここに一つのコピーを持ってまいりました。これは二つあります。上の方は、千葉県の下総の住民組織の方が防衛施設庁へ行って一体どこが候補に挙がっているのかということをいろいろお尋ねになったときに、防衛施設庁の連絡調整小林さんという方が答弁をしておられますけれども、これによりますと、関東地方の既存施設で候補に挙がっているのは、航空自衛隊の基地として百里、入間、浜松、静浜の四カ所、それから海上自衛隊の基地として館山、下総というふうにはっきりとおっしゃっているわけです。このとおりですね。
  148. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいま申し上げましたように、この調査対象としましては、関東地方及びその周辺における既存の飛行場ということで、まだ具体的にしぼっておりませんが、ただいまの御指摘の件は、そういうところに所在する飛行場として何があるかという意味ではそういう飛行場がございますというふうに答えたのだと思います。
  149. 栗田翠

    栗田分科員 しかし、飛行場ならばまだほかにもあるわけで、この六カ所が出されたということはやはりかなり候補地がしぼられているということだと思います。  また、千葉県の白井町当局が防衛庁にいろいろと聞いてそこから得た回答をコピーしたものを持っておりますけれども、それでも既存の基地六カ所というふうにやはり書かれておりますね。これは正式に町当局が入手をして住民組織などにも渡しているものですから、六カ所にしぼられているということは確かですね。
  150. 塩田章

    塩田政府委員 いま施設部長お答えしましたように、決していまの時点でどの飛行場としぼっておるわけではございません。いまの御指摘のようなやりとりは、関東及びその周辺でどんなところが考えられるかというと、こういう飛行場が考えられるというやりとりでございまして、御指摘の六カ所にしぼっていま防衛庁が調査を始めるのだというふうにまだしぼっておるわけではございません。
  151. 栗田翠

    栗田分科員 つまり、考えられるところがこの六カ所であるというお答えだと思います。  それからもう一つ、最近入手した情報によりますと、硫黄島も候補に挙がっているというふうに聞いておりますが、ここは遺骨の収集がまだ終わっていないので厚生省が非常に渋っておるけれども、遺骨の収集が終わったら候補地として考えようとしているという情報を聞いておりますが、それはそうですね。
  152. 塩田章

    塩田政府委員 米側が関東及びその周辺地区にと言っておる趣旨は、一つは距離の問題があって、いま岩国、三沢では遠過ぎるという問題があります。ということを考えますと、御指摘の硫黄島の場合、距離という点では三沢、岩国あるいはそれ以上に遠いわけですから、そういう意味で今回の候補地にそのままはいるかどうか、ちょっと私は疑問に思います。
  153. 栗田翠

    栗田分科員 訓練基地としていろいろな条件があると思いますが、艦載機の夜間訓練基地として必要な要件というのはどういうことなのでしょうか。
  154. 千秋健

    ○千秋政府委員 現在、三沢、厚木、岩国、これら三つの飛行場でやっておりますので、大体これと同様な飛行場が条件になるかと思います。
  155. 栗田翠

    栗田分科員 もう少し詳しく伺いたいのですが、同様の条件といいますと、たとえば滑走路の長さとか幅、照明の問題、通信施設の問題、また周辺地域の問題、いろいろあると思いますが、そこらはいかがでしょうか。
  156. 千秋健

    ○千秋政府委員 いま先生指摘のような点を含めまして調査して検討したいと考えておるわけでございます。
  157. 栗田翠

    栗田分科員 では、つまり、同様であれば候補として考えていくということにもなるわけですね。  次に、既存の自衛隊の基地を使う場合ですけれども、いまある自衛隊の基地をときどき米軍が使用する場合と、逆に常時米軍が使う形にして、ときに自衛隊が使うというふうに変わる場合がありますね。一時使用か常時使用か、地位協定で二4(a)、二4(b)というような協定の区別もあると聞いておりますけれども、もし今度訓練基地を新しくつくっていった場合には、そのどちらになるのでしょうか。
  158. 千秋健

    ○千秋政府委員 これも実際にどこを使うと——これは自衛隊の飛行場または新たな飛行場、いろいろなケースがあると思いますが、そのケースに応じて変わってくるかと思います。
  159. 栗田翠

    栗田分科員 使う場合の機種はF4ファントムだけですか。その他も使う可能性がありますか。
  160. 千秋健

    ○千秋政府委員 現在ミッドウェーにはF4以外にA6、A7その他の艦載機等もおりまして、それらの飛行機も同じように使うことになるかと思います。
  161. 栗田翠

    栗田分科員 周辺に市街地、人家密集地などがあった場合、これは厚木、横田ですでに問題になっているわけですけれども、こういうところは当然候補から外していらっしゃるのでしょうね。それとも、あえてそういうところでも対象に考えていらっしゃいますか。
  162. 千秋健

    ○千秋政府委員 今回の調査内容にそういう点も調べることになっております。
  163. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、そのことは大いに考慮して、密集地だった場合にはやめていくということですか。
  164. 塩田章

    塩田政府委員 考慮する場合の一つの重要な要件であることは間違いございません。
  165. 橋本龍太郎

    橋本主査 粟田君、質疑時間が終了しましたから締めくくってください。
  166. 栗田翠

    栗田分科員 それでは、時間がなくなりましたので、最後に大臣に一言だけお答えいただきたいと思います。  厚木にしましてもその他にしても、住民が騒音で大変苦痛を味わっているわけです。まず住民の意向を何としても尊重していただきたいと思うわけで、候補地に挙がった場合にも住民また自治体の意向を打診しながら、それを尊重していくたてまえでおやりになるべきですし、またこういう基地を置くこと自体私は反対でございますが、住民の意向をどのように尊重されるかということを最後に伺いたいと思います。
  167. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 日米安保条約のもとでわが国としては義務を持っておるわけでございますが、わが国は必ずしも国土も広くないし、国柄でもございますので、米軍の施設ばかりではない、自衛隊施設におきましても、基地周辺の住民の方々、関係市町村の方々には常々大変にお世話になってきておるわけでございます。このたびのこの問題に関しましても、これからどういうふうな手だてをもってどういうふうに決定をしていくか、今回の予算の中で、わずかな金額でございますが調査費を認められたのでございまして、この調査費を有効に使いながら、いま先生指摘のような問題についても心いたしながら十分調査を続けたい、こう考えております。
  168. 栗田翠

    栗田分科員 終わります。
  169. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時から再開することとし、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  170. 橋本龍太郎

    橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  171. 中島武敏

    中島(武)分科員 私は、きようは、陸上自衛隊十条基地の問題についてお尋ねしたいと思います。  最初に、陸上自衛隊十条駐屯地の面積、これは本部地区、いわゆる十条地区と赤羽地区のそれぞれについて、それから人員、これは武器補給処十条支処、武器補給処の直轄機関一〇三高射直接支援隊ごとにその定員と実員について、さらに、業務内容についてお伺いをしたいと思います。
  172. 木下博生

    ○木下政府委員 十条駐屯地の面積でございますが、赤羽地区は十一万二千平方メートル、十条地区が十二万九千平方メートルでございます。  人員につきましては、武器補給処十条支処で約七百三十名、それから第一〇三高射直接支援隊約八十名、その他二十名で、全体が八百三十名でございますが、それに加えまして、霞ケ浦にあります武器補給処から約百四十名が派遣されて勤務しておりますので、それを足しますと千名弱の人数でございます。  業務につきましては、陸上自衛隊十条駐屯地におきましては、武器補給処十条支処等が火器、車両及び誘導武器、ホークでございますが、に関する次の業務を行っております。  まず第一は、火器、車両等の物品の整備、保管、補給に関する業務。第二番目は、これらに関連いたします部品、工具等の製作に関する業務。第三番目は、米軍から無償供与を受けておりました武器につきまして、不要になったものでまだ米軍に返還が済んでおりませんものについての回収、保管に関する業務。四番目が、調達、補給、整備に必要な技術資料の作成、保管に関する業務。五番目は、ホーク・ミサイルにつきます計器類の検査、校正に関する業務。六番目に、これらの仕事をやります場合の電子計算機の運用に関する業務をやっております。
  173. 中島武敏

    中島(武)分科員 いまお答えのあったうち、赤羽地区における業務内容と人員についてはどうなっていますか。
  174. 木下博生

    ○木下政府委員 赤羽地区におきましては、戦車等の装軌車両及び装輪車両の車体の整備に関する業務と車両の整備完了品の検査に関する業務、それから、先ほど申し上げました米軍に返還すべき無償供与物品の保管に関する業務をやっておりまして、人数は約七十名でございます。
  175. 中島武敏

    中島(武)分科員 次に伺いたいのは、装軌車、装輪車、火砲、ホーク・ミサイル、これらの整備の仕組みはそれぞれどういうふうになっているものかについて、御説明をいただきたいと思います。
  176. 木下博生

    ○木下政府委員 陸上自衛隊の火砲や車両等についての整備につきましては、五つの段階に分けた整備が行われておりまして、第一段階は使用する部隊における整備、それから第二段階が同じく部隊で整備する段階のものでございまして、連隊等におきまして整備所というのがありますが、そこで整備するものでございます。それから第三段階が師団におきます部隊におきます整備ということになっておりまして、第四段階と第五段階と、この一番大きな整備をやる部門につきまして、第四段階は地区の補給処における整備、それから第五段階は全国一円の補給処として霞ケ浦に武器補給処というのがございますが、そこにおきます整備と、それから一部は外注に出しております。したがいまして、いま申し上げました十条支処におきましては、この第四段階、第五段階に当たるものをやっているわけでございます。
  177. 中島武敏

    中島(武)分科員 東部関係についてお尋ねしたいのですが、これは地区補給処をたしか持っていないと思うのですが、それでよろしいか。それから、そうすると地区補給処の機能、任務は、十条支処が兼務をしているというふうに理解してよろしいですか。
  178. 木下博生

    ○木下政府委員 全国全体の武器の補給関係をやっておりますものが武器補給処でございまして、霞ケ浦にあるわけでございますが、それ以外に地区補給処があるのは先生おっしゃったとおりでございます。ただ、東部方面につきましては、霞ケ浦の武器補給処が東部方面のその地区の補給処の役割りも担っているということでございます。したがいまして、十条支処におきましては東部方面関係の補給を主にやっておりますが、ホーク・ミサイルにつきましては、全国一円の補給、整備関係の仕事をやっているわけでございます。
  179. 中島武敏

    中島(武)分科員 もう一つ、これに関連してお伺いしたいのですけれども、地区補給処で整備できるものはみんな整備するわけですね。それで、地区補給処で整備できないものは、いま局長の話にあった外注に出すのか、それともこの十条支処に送ってくるのか、その辺のことについてお尋ねします。
  180. 木下博生

    ○木下政府委員 装軌車両、装輪車等につきましては、地区補給処で整備できないものは十条へ送ってくるわけでございます。外注いたすものはございますが、外注いたします仕事は十条支処ではやっておりません。
  181. 中島武敏

    中島(武)分科員 これはやはり装軌、装輪車、実際に十条支処まで送ってくるのですか。つまり、たてまえは十条支処に送るといいますか、霞ケ浦の本部に送るということになるのだと思うのですけれども、実際のところを聞きたいわけなんです。
  182. 木下博生

    ○木下政府委員 戦車等の装軌車につきましては、全部実際に武器補給処でやるべきものを十条支処に持ってきて、そこで整備しているわけでございます。
  183. 中島武敏

    中島(武)分科員 それではもう一つ関連してお尋ねしますが、十条支処における装軌、装輪車、それから火砲、ホーク・ミサイル、年間の整備台数はどれくらいになっておりますか。
  184. 木下博生

    ○木下政府委員 まず車両関係でございますが、車両関係につきましては五十四年約四百両、五十五年四百七十両、五十六年四百六十両でございます。そのうち、戦車等の装軌車は約二十両ぐらいでございます。  それから、あと火砲等についての整備を十条地区の方で行っておりますが、これらは全部平均いたしまして年間約一万件でございます。
  185. 中島武敏

    中島(武)分科員 火砲についてお尋ねしますが、これはいま小火器も含めた数字だと思うのですけれども、小火器を除いてでっかいものですね、これについてはどうですか。
  186. 木下博生

    ○木下政府委員 大きい火砲につきましては、約七、八十門を毎年整備しております。
  187. 中島武敏

    中島(武)分科員 装輪車についてお尋ねしたいのですが、装輪車の整備の台数が急増しているのは何年からか、そして、その理由はどこにあるのかということについてお尋ねします。
  188. 木下博生

    ○木下政府委員 先生おっしゃいますように、四十九年、五十年ごろは百台ぐらいの台数であったわけでございますが、五十三年から四百台あるいは五百台に近いところまでふえております。ふえておりますものは車両、特に一般の自動車でございますが、そういうものの整備あるいは検査を行うようになったために台数がふえたわけでございます。
  189. 中島武敏

    中島(武)分科員 戦車等の装軌車についてお尋ねしますが、これは二十両という答弁でしたけれども、ずっと二十両なんですか。
  190. 木下博生

    ○木下政府委員 四十七年は三十五両、四十八年は二十両、四十九年は三十両ということで、台数は多うございましたが、最近は減りまして、二十両程度に落ちてきております。
  191. 中島武敏

    中島(武)分科員 減った理由は何でございますか。
  192. 木下博生

    ○木下政府委員 なぜそういうふうに減ったか、ちょっとよくわかりませんが、自衛隊全体が持っております戦車等の装備品が古い型から新しい型へかわってきたことに伴っての、その整備能力との関係でやや減ってきたのではないかと思います。
  193. 中島武敏

    中島(武)分科員 装軌車ですが、外注との関係なんですけれども、先ほど、最近は二十両というお話でしたが、外注に出す場合には、重ねて先ほど御答弁があったかもしれませんが、この二十両の中から外注に出されるのか。要するに、外注に出されるものを含むのか含まないのかという質問です。
  194. 木下博生

    ○木下政府委員 オーバーホールを外注に陸上自衛隊として出すことはございますが、これはいまの二十両とは別に、陸上自衛隊全体として年間約五十両程度を業者にオーバーホールに出しております。
  195. 中島武敏

    中島(武)分科員 そうすると、外注には十条駐屯地に来る二十両が含まれてないとすると、結局、これはどの段階から外注に出されるのでしょうかね。つまり、その方面隊あるいは師団、そういうところから直接外注されるわけですか。
  196. 木下博生

    ○木下政府委員 私、ちょっと手元に資料がありませんので、具体的にどういう形で契約をしているかわかりませんが、部隊で整備することができないような大規模なオーバーホールは業者に出さざるを得ませんので、そういうオーバーホールが必要なものについては、部隊なりあるいはまとめて契約をして発注しているものだと思っております。
  197. 中島武敏

    中島(武)分科員 ちょっとわかりにくいのですが、では、こういうふうにお尋ねします。外注に出す場合には、どこから外注に出されるのか。
  198. 木下博生

    ○木下政府委員 ちょっと資料が出てまいりましたので、御説明いたします。  北海道地区補給処につきましては、外注に出す場合、オーバーホールは北海道地区補給処でやっておりまして、それ以外の地域は武器補給処でまとめてやっております。それで五十六年度は北海道が約三十両、それから武器補給処が約二十両ということでございます。
  199. 中島武敏

    中島(武)分科員 その武器補給処というのは、地区の武器補給処ではなくて霞ケ浦の武器補給処、つまり、実際には十条支処ということでしょうか。
  200. 木下博生

    ○木下政府委員 十条支処はいわば実戦部隊でございますので、組織としては霞ケ浦にある武器補給処が全体を統括しております。このオーバーホールの契約は、霞ケ浦にある武器補給処の方で契約しております。
  201. 中島武敏

    中島(武)分科員 契約はわかりました。契約はわかりましたが、物の流れでいいますと、実際はどうなっているかということをお尋ねしたいのです。
  202. 木下博生

    ○木下政府委員 ちょっと、物の流れまでは把握した資料がございませんのでわかりませんが、契約の相手が、一つの会社は相模原にございますし、一つの会社は塩尻にございますので、これは私の全くの想像でございますが、それぞれの会社にそれぞれの部隊から物を直接送っているものだと思います。わざわざ、一度十条に集結するとかというような手間はとっていないと思います。
  203. 中島武敏

    中島(武)分科員 重ねてお尋ねしますが、東部に関するものは、どうもはっきりわかりにくいのですが、物の流れでいいますと、先ほど二十両というお話がありましたでしょう。ですから、その二十両の中に外注のものが含まれていないという答弁でしたね。そうすると、地区補給処はないわけですから、物の流れとしてはどこから外注されるのかということなんですよ。
  204. 木下博生

    ○木下政府委員 十条支処でやりますのは自隊整備でございますから、自分のところで修理ができるものについての大きな修理を十条支処でやるわけでございまして、業者に頼まなければならないものは直接業者の方に送ってオーバーホールをしてもらっているというふうに理解しております。
  205. 中島武敏

    中島(武)分科員 武器補給処十条支処における装軌、装輪車、それぞれ整備に一体、平均何日を要するものかということについてお尋ねしたいと思うのです。
  206. 木下博生

    ○木下政府委員 装軌車につきましては平均約百三十日、それから装輪車については平均二十日でございます。
  207. 中島武敏

    中島(武)分科員 外注した場合には何日を要するものですか。
  208. 木下博生

    ○木下政府委員 外注した場合は、平均約百八十日だというふうに聞いております。
  209. 中島武敏

    中島(武)分科員 百八十日というのは、実際にオーバーホール、修理にかかっている日数ですか。
  210. 木下博生

    ○木下政府委員 外注に契約いたしましてから物が納入されるまで、約百八十日でございます。
  211. 中島武敏

    中島(武)分科員 契約から納入までですから、実際に何日かかっているのかということについてはよくわかりませんね。  それから、その前にお答えになりました十条支処における何日要するかという問題について百三十日、それからもう一つは二十日と言われたけれども、これは実際に修理に要している日数ですか。
  212. 木下博生

    ○木下政府委員 装軌車について百三十日、それから装輪車二十日というのはおおむねの数字でございますが、在場日数ということで報告を受けておりますので、実際に物が来て修理して出るまでというふうにお考えいただいてよろしいんじゃないかと思います。
  213. 中島武敏

    中島(武)分科員 在場日数、どうもよくわからない点があるのです。私も十条の基地を見せていただいたことがあります。一生懸命仕事をやっていらっしゃる。だけれども、ふだんはそうでもないよという声が大分近所の人からあるのです。それで、どうも視察に行くというので一生懸命やっているようだということをいろいろ言われる。私は、どれくらい修理に実際の日にちを要するものなのか、それから外注に出した場合にもどれくらい日数を要するものかというようなことについては、よく把握をしておくということが必要なんじゃないかと思うのです。そういう点を指摘をして、次の問題についてお尋ねしたいのですが、MAPであります。  アメリカからの供与品の問題です。この問題についてお尋ねしたいのですが、アメリカからの無償供与、これは現在も続いているのかどうかという点です。
  214. 木下博生

    ○木下政府委員 MAPが供与を開始されましたのは昭和二十六年度からでございまして、アメリカの政策変更によって無償援助は日本等に行わないということになりましたので、昭和四十四年度末でMAP供与は終わっております。
  215. 中島武敏

    中島(武)分科員 現在も十条駐屯地にMAPは送られてきますか。
  216. 木下博生

    ○木下政府委員 古い時代に供与されたものでございまして、各部隊でまだ使用しているものもたくさんございますが、使用できなくなって不要になったものをこの十条に集中して持ってきているわけでございます。
  217. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは歴年を見るとずっと減ってきているのじゃないかというふうに考えられますけれども、その点はどうかということについてお尋ねします。
  218. 木下博生

    ○木下政府委員 不要になりましたものすべてを十条に集めているわけじゃございませんで、アメリカに返す手続が済んでアメリカに返すことができれば、それは十条に置く必要もないわけでございますし、全国から全部集めているわけではございませんが、年々不要物品の集結の度合いが減っているということは必ずしも言えないのではないかと思います。
  219. 中島武敏

    中島(武)分科員 現在は返還待ちの供与品、これの保管はどの程度保管されているものでしょうか。
  220. 木下博生

    ○木下政府委員 現在十条駐屯地の赤羽地区に保管しておりますものは、車両類で約三百両、これは五十六年度末でございます。それから火砲で約百門、それから小火器等は屋内に保管しておりますが、約二千三百丁でございます。
  221. 中島武敏

    中島(武)分科員 いまお話を聞いて大分わかったのですけれども、十条支処は重要な機能を果たしている。しかし同時に、東部関係の地区の補給処的機能が相当な部分を占めているということもわかりました。  それから、各地区補給処からすべてが送られてくるわけではないということもわかりました。  それから、火砲とかあるいはミサイルの関係は、これはお尋ねしませんでしたけれども、装軌、装輪車と違って非常に広い場所を必要とするものでないことも、非常にはっきりしていると思うわけであります。  それから、MAPについても供与が事実上打ち切りになっておりますから、だんだんこれから減ってくるということも予想される問題であります。それで、現在野積みされているというものについても、これもいずれ処理されるものだ。  そこで、伺いたい点があるのですけれども、それにもかかわらず十条、赤羽、いずれも非常に広い場所を確保しておかなければならないという理由があるのだろうかという問題であります。特に赤羽地区の場合には、あれだけの広いところを本当に必要とするのだろうかということを私どもは思うのです。しかも、この十条、赤羽地区とも、超過密大都市東京の北区の中にあるという状況であります。     〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕  これまでも、北区の区議会でこの基地の解放を要求する決議や意見書がたび重ねて採択されました。私自身も、直接防衛庁に解放を要求したこともあります。また、前の防衛庁長官でありました増原長官、山中長官、三原長官、いずれもこの問題について、つまり解放について前向きな検討を約束してこられているわけであります。しかし、実際にはその後余り音さたがないのです。  それで、長官に伺いたいのですけれども長官、これはどうですかね、これはよく検討して、この基地の解放あるいは少なくとも縮小というようなことについて考えるべきではないかというように思うのですけれども、どうでしょうか。
  222. 友藤一隆

    友藤政府委員 先に、従来の経緯について私の方から申し上げたいと思います。  いまお尋ねがございましたように、この十条、特に赤羽地区につきましてはいろいろ御論議があり、過去、防衛庁長官からいろいろ御答弁申し上げたことも私どもよく承知をいたしております。  私どもも、非常に真剣に検討いたしておるところでございますけれども、先ほど来お話がございますように、ここは補給処として非常に重要な任務を果たしておるということでもございますし、また、MAPの処理もまだ終わっていないというような問題がございます。それとともに、地元の方からもいろいろいまのお話のような御要望等も出てまいってきておりまして、たとえば地下鉄の用地にこれを活用してもらえないかというようなお話もございまして、私どものこの問題に関します検討も、そういった問題も含めましてより効率的な活用ということで検討いたしておるところでございます。  ただ、御案内のとおり自衛隊施設と申しますのは、発足当初米軍の返還されました跡でございますとか、旧軍の施設をそのまま引き続いて使用しているところが大変多うございまして、その関係から整備が大変おくれております。それぞれの施設、それぞれの用途に従って、できるだけ効率的に工夫をしながら修理して使っているわけでございますけれども、なかなか一挙には手が行き届かないということで、一見、何か大変効率の悪いように見える場合も出てくるわけでございますけれども、私どもとしましても一生懸命その辺は工夫をして今後進みたいというふうに考えております。
  223. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 問題は二点あるように考えております。一つは、現在の業務を続けなければならぬわけでございますが、その問題が一つございます。もう一つは都心にある自衛隊施設でございまして、この二つの問題があろうかと存じますが、歴代長官の答弁もございます。私といたしましても、少なくとも都心にある自衛隊施設については高度利用について今後とも十分配慮を続けなければならぬだろう、こう考えておる次第でございます。
  224. 中島武敏

    中島(武)分科員 終わります。
  225. 石橋一弥

    石橋(一)主査代理 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。
  226. 吉浦忠治

    吉浦分科員 中曽根総理のアメリカ訪問以来大変防衛問題がエスカレートしているように思われるわけでございますが、特に日本が再び軍国主義に走るのではないかというふうに隣国のアジア等から不安の目で見られている状態だというふうに思うわけでございます。また国民からも中曽根内閣のタカ派的な姿勢に強い不信や不満が出ている、こういうふうに各種の世論調査等ですでにはっきりしているわけでございまして、こうした中曽根内閣の姿勢は国民の安全保障に対する考え方、いわゆる国民的合意づくりに大きな障害でありはしないか、またこれに水を差すものではないかというふうに思われるわけでありますが、こうした国民世論の動向について防衛庁長官はどのようにお考えになっておられますか。この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  227. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 国民が常に自国の安全の確保について深い関心を示されるということは当然のことと存じます。  それから、近年わが国を取り巻く国際環境も厳しいものがございまして、その意味からも国民の関心が高まっておるということも考えられるわけでございます。  さらに、中曽根内閣発足以来、総理が訪韓、訪米をなさいまして、いろいろと総理の御発言がございまして、当委員会におきましても活発に御審議をちょうだいいたしておるところであって、その意味でも国民の関心が高まっておる、このように私は判断をいたしております。  しかしながら、防衛庁といたしましては、国民の生命財産を守る、いかなる形の侵略にも対処しなければならぬ、こういうことを常に念頭に置きながら一層努力を続けたい、こう考えておる次第でございます。
  228. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に、日本周辺の三つの海峡のいわゆる封鎖能力保持という問題でございますけれども、これを防衛庁では目標に掲げていらっしゃるようでございますが、自衛隊としていつごろまでにこの能力を持つということを目標にしておられるのか、また、自衛隊単独でこれを保持しようというふうになさっておられるのか、または米軍と共同で行うというふうにお考えなのか、お尋ねをいたします。
  229. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず、海峡防備の問題でございますが、海峡防備のあり方としてはそのときそのときに応じていろいろな作戦の場面があると思います。たとえば水上船舶、水上艦船による防備、潜水艦による防備、航空機を使用する場合、それからまた必要やむを得ざる場合には機雷を敷設するというふうなことがあり得るかと思いますが、現在、私ども、海峡防備というのは海上防衛力の主要な柱として「防衛計画の大綱」の水準を一日も早く達成するよう五六中業を定めているわけでございまして、どの部分がこのうちの海峡防備に充てられるかということを明確に区分することはなかなか困難でございますけれども、たとえば地方隊に配属されるであろうDE護衛艦のうちミサイル護衛艦を三隻五六中業でつくる、あるいは潜水艦も二千二百トン型の相当潜航深度の深いもの、持続力のあるような潜水艦を六隻建造する、あるいは陸上固定翼対潜機といったものを数十機整備するというふうなことを計画しております。またさらには、もう一つ機雷の備蓄の増加、こういうこともあわせて考えておりますので、こういうふうな計画が達成されれば現在の能力に比して相当能力が改善されるのではないか、ただ、これを定量的に申し上げるのはなかなか困難であろうというふうに思います。  それから、この海峡防備の作戦というのは日米防衛協力のためのガイドラインに基づきまして海上自衛隊が主体となって行いますが、必要に応じて米海軍の支援を受けることがあるというふうなことで考えております。
  230. 吉浦忠治

    吉浦分科員 海峡封鎖の問題はこれまで何回も取り上げられておりますけれども、私、長官に二、三の点をお尋ねをいたしたいのです。  午前中も質問があったようでございますけれども、伝えられるところによりますと、アメリカ側では巡航ミサイル、トマホークのことでございますが、これを海峡封鎖用に使って日本への配備も検討中であるというふうなことでございます。  第一に、アメリカの巡航ミサイル・トマホークの日本への配備要請もあり得ると考えていいかどうか。  第二番目に、具体的に要請があった場合には基本的にどういう態度でこれに臨まれるのか。  第三に、巡航ミサイルの日本配備は日本の防衛にとって役に立つあるいは必要なものであるというふうに長官は判断されているかどうか。  以上、三つの点をお答えをいただきたい。
  231. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず第一点の、アメリカがそういうことを考えているのかということのお尋ねでございますが、二月二十八日のアビエーション・ウイークに、トマホークのミサイルを日本に配備して、いわゆるチョークポイントに配備することによってソ連の海軍の進出を阻止するというようなこと、それからさらには、この研究は二年ぐらい続けているというふうな記事があるわけです。それを受けまして、そういった開発経費の負担ということを考えた場合に、これをFMS、いわゆる有償援助として日本に買わしたらどうかというふうなことも報道されていることは承知しておりますが、私ども、そうした米国政府の正式な見解としては全くまだ聞いておりませんので、仮定の問題についていまここでもってお答えするような材料の持ち合わせがございません。  それから第二の質問につきましては、このトマホークというミサイルは核と非核と両用があります。核兵器については、御案内のとおり事前協議の対象でございますし、そういうものが事前協議されればノーと言うのは従来からの政府考え方でございます。非核のものはどうかということについて、これはまあ仮定の話で、そういうことを言ってくるかどうかわかりませんけれども、それはそのときになって検討したいというふうに考えております。
  232. 吉浦忠治

    吉浦分科員 三番目の質問にお答え願いたい。防衛にとって役立つというふうにお考えか、必要かどうか。
  233. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 これもいま私どもトマホーク・ミサイルというものの内容の詳細もよくわかりませんので、先ほど第一の御質問に対するお答えで申し上げたように、対艦ミサイルとしてアメリカが有効であると考えているというふうなことを雑誌の記事では承知しておりますが、このトマホーク・ミサイルが果たしてわが国の防衛にどのような効果があるのかについていまにわかに材料の持ち合わせがございませんので、御勘弁をいただきたい。
  234. 吉浦忠治

    吉浦分科員 長官どういうふうにお考えでございますか。
  235. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 アメリカ側がこの問題についてどういうふうな考えを持ち、それでどういうようなことを今日までやってきておるかにつきましては、米政府よりわが国政府に対する連絡がございませんので、いまこの時点ではただいま政府委員が答弁をさしていただいたようなところでございます。  なお、最後の問題点でございますが、これを地対艦ミサイルと限定をいたして考えてみますと、わが国周辺海に囲まれた地形でございます。したがって、この地対艦ミサイルにつきましては、わが国を攻撃する水上艦艇を撃つことを目的として、もっぱら上陸侵攻への対処等に用いられるような、こういう形で地対艦ミサイルについて目下わが方といたしましても開発中でございますが、具体的な整備計画はまだこれからということでございます。私は、地対艦ミサイルをわが国のような地形で開発するということはきわめて有効な侵攻に対する抑止の手だてだ、こう考えております。
  236. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に、シーレーンの防衛についてお尋ねをいたしますが、これは日米間で共同研究を行うというふうになっておりますが、海峡封鎖問題もその一環として検討されるのかどうか、こういう点でございますが、お尋ねをいたしたいと思います。
  237. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御案内のとおり、シーレーン防衛というのは、単に通峡阻止だけでなく、広域洋上における監視、哨戒あるいは港湾防備あるいは船団の護衛といういろいろな作戦との組み合わせによる累積効果によって効果を高めようということでございまして、当然のことながらこのシーレーン防衛の共同研究を開始するに当たっては、その作戦の一分野として通峡阻止の作戦も検討する、こういうことに相なろうかと思っております。
  238. 吉浦忠治

    吉浦分科員 それではいつごろまでをめどにこの共同研究をなさいますか、または結論を得ようとこういうふうにお考えなのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  239. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この研究を開始するに当たって日米間において種々事前の連絡協議が必要でございまして、そういった作業を従来続けておったわけですが、大方打ち合わせも終わっておりますので、できるだけ早い機会に、そう遠くない将来に始めることができるのであろうというふうに思っております。なお、研究の期間、いつごろ終わるかということについては、これは研究を開始してみないといまにわかに何カ月あるいは何年くらいであるということを申し上げるような状況にございません。
  240. 吉浦忠治

    吉浦分科員 シーレーン防衛や海峡封鎖等の問題は、これは国会でもしばしば指摘されておりますように、集団的自衛権の行使にもつながりかねないというふうな危険な内容を持っているわけでございます。大変国民も関心は高いわけでございますが、そこで、共同研究の結論あるいは結果というものは原則として国会に報告すべきであるというふうに私は思います。また、防衛庁長官の基本的な考え方というもの、どういうふうに思っておられるのか、お尋ねをいたしたい。
  241. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 まず第一に、この共同研究につきましては、日米の間でそれぞれ、たとえば憲法あるいはその他の防衛施策の原則、こういうものを踏み越えた議論はいたさないということになってございます。したがいまして、特に国民の多くの方々が一番懸念を持ち、または関心をお持ちなところは、集団的自衛権の中へ踏み出してくるのではなかろうかというようなところであろうかと思いますが、こういうことは万ございません。  それからなお、研究の成果についてでございますが、これにつきましては、研究自体はミリタリーとミリタリーで行うと存じますけれども、常にその研究についての報告は防衛庁長官へ上がってまいりますから、私の責任においてこの研究の進行については常に報告を受けていくというつもりでおります。
  242. 吉浦忠治

    吉浦分科員 三海峡封鎖の中に対馬西水道が含まれているというのが政府の見解でございますけれども、対馬西水道は韓国の領海に接近しているということでございますから、防衛庁の海峡封鎖発言に対して韓国側の大きな反響を呼んでいるわけでございます。東亜日報紙等では、有事の際、大韓海峡封鎖、いわゆる対馬西水道でございますが、これについて韓日の事前協議をすべきだ、こういうふうに述べているわけでございます。こうした問題は事前に韓国とも協議することが望ましかったというような不快感を表明しているわけですが、この問題について韓国側の世論というものを長官はどういうふうに受け取っておられるのか、お尋ねをいたしたい。
  243. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御指摘のような報道文について私どもも十分承知しておりますが、私どもが通峡阻止を考え海峡防備を考えるに当たって、あくまでもこれは有事の際、すなわち、わが国に対する武力攻撃を受けた際に、われわれは自衛権の範囲内でわが国に攻撃を加えている国の艦船の通峡を阻止するということでございまして、これは自衛権の範囲であろう。しかし、国際海峡ということになりますと、沿岸国あるいは第三国の影響も非常に大きいものでございますから、そういう意味合いにおいて、いざ実施することになれば、そういった関係、たとえばいまの対馬西水道について言わせていただきますならば、韓国の意向というものを配慮しないでやるということは安易ではないかというふうに考えております。あくまでも慎重に行うべきであるというふうに考えております。
  244. 吉浦忠治

    吉浦分科員 国際的常識としては、仮に日本が三海峡の封鎖を行うような場合には一方の海峡に接する韓国側に対して了解を得るというのが当然であろうというふうに思うわけでありますが、こういう点は長官はいかがお考えですか。
  245. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 海峡防備の作戦行動が具体的にいかなる局面で行われるかはそれぞれの事態の態様によってさまざまであって一概に言えないと存じますが、一般論として言えば、海峡防備の態様いかんによっては沿岸国を含む第三国に影響を及ぼすことになろうかと存じます。したがって、このような点も十分に考慮してこの種の作戦につきましてはあくまで慎重に行う必要があろうかと存じます。このことは対馬西水道についても妥当することだ、こう考えております。
  246. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうなりますと、今後韓国側とこういう問題が想定される前に協議したりまたは話し合うというふうなお考えはお持ちでございますか。いかがでございます。
  247. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 一点だけ明確にさせていただきたいことは、わが国の自衛の範囲の中でわが国有事の際にそういう作戦行動もあり得べしということでございまして、そのときの事態がどうなっているかによりまして様相を異にいたします。したがって、ただいまの御質問に対していまこの時点で明確に答弁をすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  248. 吉浦忠治

    吉浦分科員 じゃ時間もございませんので次に移らせていただきます。  防衛予算の対GNP、国民総生産への割合でございますけれども、一%以内という閣議決定昭和五十一年の十一月、三木内閣のときに行われておりますが、これは防衛費の歯どめとして大きな役割りを果たしてきているわけでございます。しかし、ことしの夏あたりいわゆる五十九年度予算の概算要求段階で、さまざまな要因もあろうというふうに思われますけれども、GNP一%を突破する可能性があるのではないかというふうな懸念が示されておりますし、またこの見通しについて長官はどういうふうに見ておられるのか、考えておられるのか、お尋ねをいたしたい。
  249. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 五十九年度以降の防衛費のGNP比がどのようなものになるかについては、今後のGNPの推移及び防衛費の動向に不確定な要素がございまして、いまこの時点で見通しを申し上げることは困難であるということは御理解をいただきたいと存じます。  それから、GNPの一%に関する昭和五十一年の閣議決定、この閣議決定につきましては、私はでき得る限りこの閣議決定を尊重していきたい、こう考えておりまして、現在のところ直ちにこの閣議決定の一%の問題を変えなければならないというふうには考えておらないのでございます。この時点ではこれを変えなければならぬ、その必要があるというふうには考えてはおりません。
  250. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、GNPの一%以内に防衛予算を抑えるということは、歯どめとしてこれはわかりやすいし、また定着をしてきているわけですので、これを将来にわたって堅持することはどうしても困難なのかどうか。いまの言葉の中に少しは、まだいまの時点ではということでございますけれども、もう一度長官の決意のほどをお伺いをさしていただきたいと思うのです。
  251. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私どもといたしましては、現在防衛大綱の水準にできるだけ早く近づけたい、こういう努力をいたしておりまして、そのために計画を持っておるわけでございますが、その計画自体も、実を言いますと、これはそのときどきの予算の概算をいたすときのいわば庁内におきまする一つのめどとして持っておりまして、またその概算そのものも、正面装蹄につきましてはある程度の積み上げの計算をいたしておりますが、その他の経費につきましては、そのときどきの経済情勢その他において必ずしも詰め切っておりません。そういう意味で、五十九年度の防衛庁の概算要求する額がどの程度になるかということは、実はこの時点ではまだ申し上げかねるわけでございます。一方、わが国の国民総生産も、経済の動向によってこれもまたどういう形になるか、もう少し様子を見てみないと何とも申し上げられない。  こういうような形で不確定の要素がございまして、したがって、ただいま答弁をさしていただいたような御答弁をこの時点ではさしていただくということで御了解いただきたいと存じます。
  252. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そういうことをお尋ねしているわけじゃございませんで、その歯どめとして防衛費のいわゆる予算をここで一%以内に抑えるというその決意のほどを長官はどういうふうにお考えなのかをお尋ねしているわけでございまして、推移がどうなるかわからないということを聞いているわけじゃございません。その決意のほどをもう一度お答えいただきたい。
  253. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 すでにたびたび当委員会におきましても御答弁をさしていただきましたごとく、私といたしましては、五十一年のこの閣議決定につきましてはでき得る限りこれを尊重してまいりたい、こう考えております。
  254. 吉浦忠治

    吉浦分科員 いずれにしても数年内にGNPの一%を防衛予算が突破することになるというふうにとられるわけでございますが、最近の中曽根総理のいわゆる不沈空母発言、あるいは国民が心配している果てしない軍備拡大路線を歩むのではないかというふうな不安が出てくるわけでございます。もし仮にGNP一%という枠が取り外されるようなことになれば、歯どめなき防衛予算ということになりかねないか、あるいは国民の不安もこの点で増大するのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで新たに、GNP一%の枠というものにかわる明確な歯どめ措置というものをみずから国民に示すべきじゃないかというふうに思うのですが、この点どういうふうにお考えでございますか。
  255. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私どもが防衛政策として現在持っておりまする整備の発想は、先ほど申し上げましたように、「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早く到達をいたしたいというのが基本の姿勢でございます。  さらに、先ほど来答弁をさしていただいておりますように、現時点では、昭和五十一年の閣議決定は、私といたしましてはでき得る限りこれを尊重していきたい、こう考えております。そして今後、経済の動向、あるいは防衛庁費というのはそのときどきの財政事情、経済事情それから国民的判断あるいは国の他の施策とのバランスを考えながら、その年次年次によって概算要求されていくものでもございまするが、もし、いま先生の御指摘のようなあるいは御懸念のようなことがあるいはあったりいたしましても、それはそのときにおいて改めて考える、こういうふうに考えておるわけでございます。
  256. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そのときに考えるんでなくて、私が提案を申し上げておるのは、この歯どめの一%の枠を超えるならば、長官の決意として、いまこの新しい歯どめ、それにかわる歯どめはどこで措置をとられるのかということを明確に国民に示さなければ、いまのようなあいまいな態度ではいけないと思うのです。     〔石橋(一)主査代理退席、主査着席〕  次に進みますが、もし仮にGNP一%を取り外すというような事態があれば、五十一年度の閣議決定というものの新しい歯どめへの措置というものを閣議決定されるのかどうか、また国民の前にそれを示していただけるという約束をしていただけるかどうか、その点をお尋ねいたしたい。
  257. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 五十一年の閣議決定でございまする一%につきましては、でき得る限りこれを尊重してまいりたいと存じておりまするし、と同時に、現時点ではこれを外さなければならないというような必要を感じておるわけでもございません。  それから、もし結果的に一%を超えるような場合にはどうするのかという御質問でございますが、これはその事態が生じた時点で考えなければならぬ問題だ、こういうふうに理解いたしております。
  258. 吉浦忠治

    吉浦分科員 最後にもう一点だけお尋ねをいたしたいのですが、米軍が青森の三沢基地に六十年度から約五十機のF16戦闘爆撃機を配備する予定になっておるわけでございます。これについて、去る二月九日の米下院歳出委員会公聴会で、マッコイ米空軍次官補は証言を行い、三沢基地のF16関連施設日米双方で総額三億七千三百万ドルであり、そのうち日本側が負担することが期待されるのは約二億七千五百万ドルである、こういうふうに述べておりますが、これは金額の約七四%も日本側が負担するものであり、大幅な財政負担をもたらすというふうになるわけでありますけれども防衛庁としてこうした米側の期待をどのように受けとめておられるのか、また原則的に受け入れるという方針なのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  259. 塩田章

    塩田政府委員 御指摘の空軍次官補の議会の発言は私どもも報道で承知いたしまして、早速原文を取り寄せてみましたけれども、御指摘のような内容でございます。この内容を見ますと、要するに日本側に対しまして米側の期待を表明しておるというふうに私どもは見ておりますが、ただ、そういう議会の証言がございましたけれども、わが方に対しまして、いまそういうような具体的な金額をもって要請が来ておるわけではございませんで、われわれと在日米軍の担当者の間で現在調整を行っておりますが、そういう全体的なトータルの話はまだ来ておりません。いずれそういった希望がもし来るということであれば、その時点で私どもは慎重に検討し、関係省庁相談をして対処する必要があると思っておりますが、いずれにしましても、この問題はわが国の財政事情にも大いに関係いたしますので、基本的には毎年度の日本側の予算でどれだけの協力ができるかということを決めていくというのが私どもの基本的な態度でございまして、全体的な枠についてどういうふうにするとか、協議を進めて向こうとの分担を決めるとか、そういうようなことは私どもは考えているわけではございません。
  260. 吉浦忠治

    吉浦分科員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
  261. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  262. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 自分の国は自分で守る、専守防衛、侵略は許さない、備えあれば憂えなしというこの国民的な感情はあたりまえのことであるという立場に私は立っております。しかしながら、軍事ということはあくまでもその手段でありまして、主たる目的はあくまで国民の安全を図る、このことが主目的であろうと私は思います。その国民の安全を達成するためにいろいろな手段がありますね、外交その他いろいろな手段があります。そういうたくさんある手段の中の、軍事というのは一つの手段である、私はこういう理解をしておるのであります。  そこで、日本はこれまで平和憲法、非核三原則、それから武器禁輸政策、こういうものによりまして、今日まで歩んでまいりました。このことは世界に対して、また、なかんずく近隣諸国に対してかなりの程度日本の平和政策というものが理解されて、評価されて、信憑性を与えてきたと私は信じておるものであります。しかしながら、中曽根さんのあのアメリカにおける発言というものでこれがいまや崩されてしまいつつあるのではないかということを、実は心から憂えておる者の一人であります。  いま日本の国民は、自分の国は自分の手で守るんだという基本原則には賛成はいたしておりましても、戦争になってもらっては困る、戦争には巻き込まれたくないという感情を持っておる国民が全部と言っていいのではないかと私は思うのであります。そういう基本的な理念に対しまして、大臣は同感でございましょうか。
  263. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 国の独立を確保し、安全を保障するということはきわめて重大な政治的課題だ、こう考えております。そして、日本全国民がわが国の独立並びに安全の保障ということに対してきわめて真剣な関心を有しておられるのは、これはもう当然のことであって、事実そのとおりだと考えております。  なお、自衛隊の役目としては、直接、間接の侵略を阻止するということでありまするが、これには、一つは抑止という面ももちろんございます。それから、万が一侵攻を受けたときには一刻も早くこれを排除するということがとりあえずの自衛隊に与えられておる使命でございますが、それを含めまして、ただいま岡田先生の御指摘のような、日本の国が平和に、そして安全に、将来かけて発展することを国民すべての方々が願っておられるということは、私もまさに同感でございます。
  264. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで、いまはもう比較にはならないと思いますけれども、意外に国民に知られていない一面がありますので、そのことについてお尋ねをいたしますが、昔の日本軍が平時編制のときに一体どのくらいのいわゆる兵力を持っておったのであろうか、それで、現在の自衛隊の兵力と比べてどれほどの差があるのであろうかということ、これは比較にならぬかもわかりませんが、しかし、一応の参考として知っておくのもむだではないと思いますので、もしおわかりでしたら発表いただきたいと思います。
  265. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず、旧日本軍と現在の自衛隊は、歴史的、社会的な沿革といいますか背景が全然異なりますので、また、さらには装備の体系が全然違うということがありますから、これを一概に比較することはどうかということでありますが、念のため手元にある資料で申し上げれば、平時編制ということでございますが、たとえばわが国が満州事変、上海事変に入る直前、昭和六年ぐらいが適当かと思いまして、その数字を申し上げますと、陸軍は二十三万三千人、海軍は八万八千人。これに比べて、現在の陸上自衛隊は十八万人、海上自衛隊は四万四千人、航空自衛隊は四万六千人、こういうことになっております。艦艇の数を申し上げますと、約二百八十隻、百万トン。航空機は、陸海合わせまして約六百数十機ということになっております。これに比べて現在は、海上自衛隊の艦船は百六十隻、約二十三万トン。航空機は、海上自衛隊が約三百機、航空自衛隊が約七百八十機。それから師団の中身について申し上げれば、かつての師団は、これもはっきりわかりませんが、あるいは正確なことでないかもしれませんが、二万人前後ということに聞いております。それから馬が約六千頭、車両が約三百六十両。それに比べて現在の九千師団を例にして申し上げれば、七千から九千。九千人の師団については、戦車が約六十両、火砲が五十門、装甲車が十五両、こういうことでございます。  まあ、一概にこれを単純に比較するのはいろいろ問題があるかと思いますが、念のため……。
  266. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで、国民の間でちょっと不思議がられておる問題が一つあります。いま、陸上自衛隊が十八万、こういうことでございました。陸上自衛隊の定員は十八万と承ったわけでありますが、現在員は何名でございますか。
  267. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 定員十八万に対して、充足率が約八六%、二万五千ぐらいの欠員があるというふうに記憶しております。
  268. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そのマイナス二万五千人という、定員に充足しない理由は何でしょうか。勘ぐってみますと、自衛隊を募集しても、応募する人がおらぬからそうなったのかということでありますが、この点をはっきりしてください。
  269. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 十八万人の定員というのは、これは平時において必要最小限度ということで法律でお認めいただいた定員でございますから、私ども、でき得べくんば十八万人、一〇〇%の充足が望ましいというふうに思っております。ただしかし、現在まだ平時でございまして、緊張が差し迫ったということではございませんので、いわゆる経費の効率的使用ということから、人件費に割く分を若干節約してほかの方に回すということは、別な言い方を申し上げれば、平時の訓練あるいは有事即応ということを考えたときのぎりぎりのがまんの線ということで八十数%の充足率を持っておるということでございまして、これは、いま先生指摘のように応募してくる隊員がいないのじゃないか、こういうことでございますが、現在二士の応募は、大体二倍程度の志願者から毎年二万前後の新隊員を採用しているということでございまして、必ずしも応募者がいないということは当たらないのではないかというふうに思っております。
  270. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 よくわかりました。平時ということで十八万人の定員をお願いしてお許しを得ておる、しかしながらその定員を充足するに至っていない、それは八六%である、だけれどもがまんをして、人件費の節約をして、その費用をほかの方へ回しておると、一見、聞きますと何かしらあたりまえのような感じがいたしますが、もしそれがあたりまえなら、定員数をお変えになるのが本当じゃないのでしょうか。定員数を変えるのが本当であって、本当の裏は、大蔵省から締めつけがあって、そんなものおまえ八五%でいいよ、どうして一〇〇%も要るんだ、むだなことをするなというような、どう言うていいかわかりませんけれども、とにかく大蔵省の締めつけでこれが充足できないというのが本当の理由じゃないのですか。
  271. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほどもお答え申し上げたとおり、私どもとしては、この充足率をできるだけ高めておくことが、即応性の維持という見地からも、あるいは平時における訓練のあり方から申しても望ましいわけでございます。そういった意味合いにおきまして、先ほど私八六%と申し上げましたが、五十七年度においては〇・三三%、人数にして約七百人前後の充足率の向上をお認めいただいております。今後も引き続き、特に充足率の問題は陸上自衛隊が主でございますので、この陸上自衛隊の充足率の向上については、財政当局とも協議しながら少しでも高めたいというふうな願望を持っており、これからも努めてまいりたいというふうに思っております。
  272. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大体大蔵省の締めつけであるなということがわかりました。  さて、そこで、先般来予算委員会におきまして海峡封鎖の問題についていろいろとお話がありまして、それは有事のときだよと、こういう御説明であります。そこで、有事とはどういうときですか。
  273. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 有事についての定義というのは必ずしもはっきりはしておりません。ただ、私も防衛庁の部内において考えます場合に、自衛隊法第七十六条によるところの防衛出動が下令されたときというのが一つの考え方であろうかと思います。  ただ、防衛出動下令のときというのは、御承知のようにわが国に対する武力攻撃があったときと、それからもう一つはおそれのあるときと二つに分かれております。その両方の場合に防衛出動が下令されることになっておりますが、たとえて言えば、わが国の武力行使を伴うようなことは武力攻撃がないと発動はできないだろうというふうに思っております。そういう意味合いにおきまして、その使うときの状況、前提でいろいろと変わってくると思いますが、いずれにしてもわが国に武力攻撃があったとき、あるいはおそれのあるとき、そのときの使い方で若干は違いますが、そういうふうな理解でおります。
  274. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 わが国に対する武力攻撃があったとき、またはそのおそれのあるときと、非常に明快な説明でございます。  そこで、わが国への武力攻撃ということになれば、いわゆる日本の国の中に弾をぶち込んでくるとかあるいは他国の軍隊が上陸してくるとか、こんなのはだれが考えてもはっきりよくわかることでありますが、一つわかりませんのは、わが国は周りを全部海で囲まれておりますから、海の外にはずいぶんたくさんの漁船、商船、タンカーもその中でありますが、そういうものがたくさん出ております。そういうものに対する攻撃、あるいは攻撃されるおそれがあるときも言うのでしょうか。
  275. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 わが国に対する直接的な攻撃ということは比較的はっきり申し上げられると思いますが、たとえば公海上におけるわが国の艦船なり船舶に対する攻撃というものがあった場合に、それがたまたま一隻か二隻そういう攻撃を受けてたとえば沈没したとしても、それが果たしてこの自衛隊法第七十六条の防衛出動下令の条件になるような、自衛権の発動の根拠になるような攻撃であるかどうかというのは、なかなか認定がむずかしゅうございます。そういうものはそのときの態様によって一概に申し上げられませんのでこの場合どうだということを申し上げるわけにいきませんが、あくまでもそういうふうなことが認定されるということが必要であろうかというふうに思っております。
  276. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 いまの場合、艦艇というふうに一緒に含めて言われましたが、民間の船が一隻や二隻攻撃されたからといって、直ちにこれが武力攻撃であるかどうかは認定することが非常にむずかしい、そのときのケース・バイ・ケースによるであろうというような意味のお答えでありますが、たとえば自衛隊に所属をいたしております艦艇がもし攻撃をされた場合、これもやはり一隻や二隻沈められたぐらいでは考えるのでありますか。
  277. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 非常に厳しい御質問でございまして私もいまあれですが、やはりそのときの状況によるだろうというふうに思います。一概に艦艇、わが国の自衛艦であるからといって、たまたまそういう攻撃を受けたからといって直ちに自衛権を発動することが適当かどうかという判断は、また別途あろうかと思います。
  278. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 時間がないので次に進みます。  日米安保条約というものがございまして、わが国がもし攻撃をされたような場合、米軍にこれを援助してもらえるということに相なっておりますね。ことで、米軍が日本に応援に駆けつけてくれるというのは一体どこから何日ぐらいかかって来てくれるのだろうかという、国民の素朴な疑問があるのですよ。そんなあほなことは質問してくれるなと言われるかもわかりませんが、しかし国民の知りたいことでありますから、お答えをいただきたいと思います。
  279. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず、前提を二つ申し上げたいと思います。  まず一つは、われわれの防衛力整備は「防衛計画の大綱」に基づいている。これはどういうことかと申しますと、限定かつ小規模の侵略に対してわが国は原則として独力で対処する、そういうような限定、小規模を超えるような場合には米軍の来援を待つということにしております。これが第一点でございます。  それから第二点は、日米安保条約によって、わが国に対する攻撃があった場合には米軍と共同して対処するということになっております。そこで、私どもとしては、この米軍の来援があるかないかというのは、この侵略の態様によって非常に重要な問題でございます。このために去る五十一年から日米防衛協力のための協議の場というものが設けられまして、五十三年にガイドラインというものをつくりまして、米国の来援のあり方等についても種々、この作戦計画の中で協議を続けているという状況でございまして、いま直ちにどの部隊がということを申し上げる材料はありませんけれども、いずれにせよ、米軍の来援を期待するときには米軍はどういうことを準備するかというようなことについての具体的な検討をしておるというのが現状でございます。  ただ、一般論として申し上げれば、この来援は、陸上部隊についてはなかなか時間がかかるでしょうが、海空の兵力については、すでにわが本土内にも駐留しておりますし、それから七艦隊も極東にいるということから、相当早目に来ることも可能ではないかということは言えようかと思っております。
  280. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 簡単なことでありますが、一般的に、守る方と攻める方というのは、守る方が相当な準備をしなければなかなか守り切れるものではないということをよく言います。日本のように四周を海に囲まれたようなところは特に大変だと言われておりますが、そういう感覚というのは全然逆でしょうかね。いまの時代では攻める方が大きい力でなくては攻めることはできない、守る方がうんと少ない力で守れるというような状況にあるのでしょうか。
  281. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 再三むずかしい御質問をいただいておりますが、まずわが国が専守防衛でございますから、これは守りに徹しているということからいやおうなく守りを強いられております。  そして、攻める側と守る側とどちらが有利かというふうな御質問の趣旨だと思いますが、これはそのときの地形あるいは準備の状況、それから装備の状況等によっていろいろ変わってくると思いますので一概には言えませんが、周到な準備をしているところに攻撃してくる、あるいは上陸してくるということになりますと、相当それを上回るような兵力を持っての侵攻というものが必要である。昔、攻者三倍の原則なんということを言われたわけでございますが、そういったことを意味しているのではないかと思います。  ただ一方、いままでの戦訓を見ますと、上陸をしようとしてできなかったという作戦もまたないように記憶しております。そういう意味合いから、守りが鉄壁になるというのもなかなかむずかしいことでございまして、われわれとしては、そういった場合に備えてできるだけ即応性を高めた部隊を配備しておくことが必要であろうというふうに考えております。
  282. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ちまたにおきましては国民が不安がるようなうわさが流れておるのですね。それは、日本はやれ飛行機だ、やれ戦車だ、あるいは艦艇だと言って目で見える大きなものについてはずいぶん整備に力を注いでおるが、実際には敵と応戦する場合、専守防衛で、それに対して侵略を撃ち返すという場合に必要なのは何といったって弾ですね。飛行機がどんなにぎょうさんおったって飛行機から撃ち出すミサイルもなければ弾もないというのだったら、あとは逃げまくる一方でありますね。艦艇だって同じことです。陸上の兵隊だって同じことでございますが、一部のうわさによりますと、わが日本の自衛隊が持っておる弾薬の備蓄量というものはまことにささやかなものであって、これは有名な○○さんという人が演説をしておるのでありますが、たとえば機銃弾に例をとってみると、日本にある機銃弾を用意ドンといってだっと引き金を引いたら十五分間で全部なくなってしまうというような恐ろしいことを聞くのですね。戦争で全部の機銃をそろえて一遍に引き金に手を当てて撃つ、そういう戦争もないでしょうけれども、しかし国民をびくっとさせるような話なんですよ。  この点で、弾薬の備蓄量というのは機密に属するのかどうか知りませんが、もし機密に属するのならその量はおっしゃっていただかなくても結構でありますが、防衛庁の期待しておる弾薬量というもの、いわゆる専守防衛に必要であると思われる弾薬量は確保しているのか、あるいは確保されていないのか。もっと言うならば、必要であると思っておる量が一〇〇とすれば、現在備蓄されているものは四〇%なのか二〇%なのか、もし答えられたら答えてください。
  283. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 弾薬の備蓄の量が継戦能力を大きく左右するということは、御指摘のとおりでございます。ただ、先生みずから御指摘のように、日本全国にある自衛隊の全機種について一度に用意ドンで撃ったらということは現実にはあり得ないわけでございます。こういう撃ち方をすればアメリカ陸軍といえども大した量は持ってないというふうに思います。  ただし、現在のわが自衛隊の弾薬備蓄量というのは十分かどうかということになりますと、私どもこの点についても五六中業において重点的にいま整備を進めておるわけでございますが、目標に比べてまだ相当低い地位にある。具体的な数字については御勘弁いただきたいと思いますが、現在八万数千トンがわれわれの持っておる量であるということだけで御理解をいただきたいと思います。
  284. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それではそのことはもう聞きません。  そこで次に、総理の言っていらっしゃいます不沈空母、海峡のコントロール、それからシーレーンの防衛というような勇ましいことをアメリカで約束をしてお帰りになったわけでございますが、そのお約束を果たすための必要な金額というのは、現在考えておる五六中業、それでオーライなんですか、あるいはそれ以外に何兆円要るのでしょうか、その点がわかるなら発表していただきたいと思います。
  285. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 たとえばシーレーン防衛というのは、これも何回か申し上げるとおり海峡防備から港湾の防備あるいは哨戒、船団護衛、いろいろな作戦の総合的な積み重ねによるものを期待しておるわけでございます。また、さらに申し上げさせていただくならば、航空自衛隊の防空能力もその能力の及ぶ範囲でシーレーンの防衛に寄与し得る能力を持っております。それから、単にこういった航空機とか艦船とかいうふうなハードウエアだけではなく、教育訓練であるとか整備であるとか、そういった人員面での経費というものも当然この能力の裏打ちになってくるということから申し上げて、この金額が幾らかということも非常にむずかしい話でございまして、これは五六中業で言わしていただくならば、四兆四千億から四兆六千億の中の海上自衛隊の分を申し上げれば一兆九千四百億かち一兆八千二百億、もう一つの例を申し上げさせていただくならば、五十八年度の予算二兆七千五百四十二億のうちの六千五百四十億円が海上自衛隊の予算である。これがすべてとは申し上げませんが、いろいろな組み合わせによってシーレーンの防衛能力を高める金になっておる、こういうことではお答えにはならないと思いますが、御勘弁いただきたいと思います。
  286. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ようわかりましたと言ったらうそになりますので、ようわかりませんでした。しかし、それ以上無理でしょう。  そこで次に、大臣にお尋ねをいたしますが、自衛隊もずいぶん長い歴史がありますね。そこで、その中で殉職者という方がいらっしゃると思うのですね。こういう方々の霊はいまどこにお祭りをしてあるのでしょうか。
  287. 上野隆史

    ○上野政府委員 霊を祭るという宗教的な意味ではなくて、一応慰霊碑という形でございますが、市谷の駐屯地の中にございます。
  288. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それではこれで最後の質問にさせていただきますが、いま中曽根さんが総理になられまして非常に歯切れがいい、思うことをずばずば言う、タブーはない、なかなかにぎやかな大臣でございますが、防衛の任務を預かります防衛庁長官といたしまして現在の日本国憲法は改正すべきであると考えていらっしゃるかどうか、この質問をもって終わらせていただきます。
  289. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私は、現在この時点におきまして現行憲法のもとで国民の安全を確保する責任を仰せつかっておるのでございまして、これをもって私の答弁とさせていただきたいと思います。
  290. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣、なかなか用心深いですね。用心深いのでありますが、しかし御大将がタブーはない、こう言うのですから、気楽なおつもりで、防衛の任に携わる長官としては、それは現在の憲法ではどうもならぬ、こんなものじゃ隔靴掻痒の感がある、もう直ちに憲法改正すべきである、こういうふうな気持ちがおなかの中にあるのと違いますか。そのあるかないかだけおっしゃってください。
  291. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 先ほど答弁いたしたとおりでございまして、いやしくもおなかの中にも頭の中にもいずれにもそのような考えはございません。
  292. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。
  293. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬長亀次郎君。     〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕
  294. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私は、海洋環境観測所について御質問します。  これは沖縄の場合も下北半島にも、あちこちあるようですが、この前防衛課長から話をお聞きしまして那覇の防衛施設局長にお会いした結果、大体四十億円の費用をかけて、三十億円ぐらいは建物をつくる。建物の場合には、わかりやすく話をすれば那覇の施設局は大工さんの仕事だ。ただし、ケーブルなど機械関係はわれわれはわからぬ、多分、これは多分なんですが、防衛庁施設庁の方で取り扱うのではなかろうかということでしたが、多分ですからそのとおりだろうと思う。これはどっちが直接、ケーブルとか分析機械、器具ありますね、これが予算では八億ぐらいになっていますか、これは防衛施設局が直接やるのですか。
  295. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 那覇の海洋観測所の関連の予算は、施設関係が三十一億円、器材関係が約十億円、合わせて四十一億円ということになっておりますが、これは五十七年度の予算でお認めをいただいたものでございまして、今後これに基づいて工事をしていただく、こういうことでございます。
  296. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私の聞いておるのは、予算がこの前わかりましたのでいいのですが、問題の建物、二回出ておりました。ここで課長から聞いたものと全部合っております。問題は機械ですね。観測所ですからケーブルもあるだろうし、ケーブル何本あるかわからぬですが、こういった機械設備の問題、据えつけは防衛庁単独でやるのですか。建物は六月いっぱいにできると言っております。
  297. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 建物の予算についての工事は防衛施設庁にお願いをする、敷設の工事は自衛隊がやる、こういうことでございます。
  298. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それで、あのときの説明でしたが、この観測所ができましたら資料は集まりますね、海洋の水温とか塩分とか水圧、海流、潮流。集めるとこれ整理して、毎日じゃなしに整理してアメリカにもこれを知らせる、報告するということでした。これは課長の発言です。そこでそれを整理し、そしてアメリカに行く前に、横須賀にそういった作業群がありますね、そこを通じてアメリカのどこにやるのですか、窓口は。
  299. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この海洋観測所で得た資料、データというのは、水温であるとか潮流であるとか、そういった水中における音波の伝搬状況を調べるための海洋環境を調べるわけでございます。これは蓄積をして科学的分析をすることに意味があるわけでございまして、この材料をそのままアメリカにやるというふうなことはない。海洋業務群ですかに送られて、そこでまた作業するというものでありまして、いわゆる基礎的なデータになるものでございます。
  300. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 そこで基礎的な資料を集めて、海洋業務群が横須賀にありますね。この横須賀に集まったのをアメリカにやる場合、アメリカの窓口はどこかと聞いているのです。
  301. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 いま先生は、ここで得られたデータを横須賀を通じて直ちにアメリカにやるような前提での御指摘でございますが、この資料はあくまでも、私どもが将来の対潜戦を行うに当たっての基礎的なデータを収集し分析をしておくことに意味がある資料でございます。アメリカとの間について御指摘でございますが、一般論として申し上げれば、アメリカとの間においては平素から各種の情報交換というのはありますが、いつ、どういう資料をやったりいただいたりするかということをお答え申し上げるわけにはいかないというふうに考えております。
  302. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは別に秘密ではないと思いますが、このデータをアメリカに報告する場合に、合同委員会なりそういった窓口が、横須賀にあるたとえばアメリカの第七艦隊司令部とか、そういったものが窓口になってアメリカに報告するということになりますか。
  303. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず第一点、一般論から申し上げますと、先ほど逆に申し上げておわかりいただけなかったと思いますので、一般論として申し上げれば、アメリカとの間には平素からいろいろな情報の交換はあり得る。ただし、何をどういう形でやるかということについては答弁を差し控えたい。これは各国共通の考え方でございまして、御理解をいただけると思います。  第二点は、今回の沖縄の観測所で得られたデータというものは、あくまでもその当該水域における水温であるとか潮流であるとかいうふうな基礎的なデータであって、このものは直ちにアメリカへ渡す意味というのは、余り必要ないのではないかというふうに考えられますが、いま先生は、それを何かあたかもストレートにアメリカに渡すという前提でのお尋ねでございますので、とりあえずそのことだけ申し上げさしていただきたいと思います。
  304. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私が聞きましたのは、これは課長はっきり言いましたよ。アメリカにももちろん、毎日やるのじゃないが、整理して提供する、これは当然だというふうに彼は説明しておりましたが、この場合、いまの対潜作戦との関連なしに、わざわざことさらに沖縄に観測所ができるといったことはちょっと想像しにくいのですよ、事実上。  では具体的に聞きますが、ケーブル何本敷きますか、これ答えてください。
  305. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 具体的にケーブルを何本、どこへ敷設するかということについての答弁は、差し控えさしていただきます。
  306. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私、問題はそこに矛盾があると思うのですよ。これ、軍事機密でなければ、それは言えませんとかということはあり得ないですよ。そういった軍事機密であるからこそ、ケーブルが何本行くか、このケーブルは領海十二海里をずっと越して公海にまで行くか、さらにケーブルの先に何がついているのか、何本ついているかというふうなことになりますと差し控える、これ自体差し控えないでもいいじゃないですか。いま局長が言われた海洋関係のいろいろ水温、塩分、水圧あるいは潮流、一般的な問題があるとすれば、ケーブルを、いや三本敷くんだとか五本敷くんだとかということは、言えないことないんじゃないですか。局長、どうですか。
  307. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 わが方がどこでどういう調査をしているかということが明らかになりますので、御容赦をいただきたいと思っております。
  308. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは、少なくとも四十億も使ってつくろうというのでしょう。国民の血税でつくるわけなんですよ。このケーブル、これは事実上国有財産なんですよ、消耗品じゃないのだから。そういったものを明らかにできないということの中に、一般的な海洋調査ではなく、軍事的なものであるのだということをはっきり示している。でなければ言えるはずなんです。せめて、何本ぐらいケーブルを敷くということだけは言えないのですか、局長
  309. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 再三同じ答弁になって恐縮でございますが、御勘弁をいただきたいと思います。
  310. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大臣、お聞きのとおりだと思いますが、いまアメリカに対する情報提供、対潜作戦、潜水艦作戦、これは海上自衛隊あるいは航空自衛隊関係が主だと思いますが、不沈空母論とも関係して、四海峡封鎖とも関係して、周辺数百海里とも関係するものなんですよ。私、それで、こういったような簡単なものが言えない、ケーブルが何本ぐらいか言えないといったことは、軍事的なことと関連しているからこそ言えないと思いますが、そう解釈していいのですか。大臣、どうお考えですか。
  311. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 わが国は周辺を海に取り囲まれておる国でございます。したがって、常に海の交通の確保、海上交通の安全の確保というのは非常に重大だと存じておりまして、自衛隊にとりましてもこれは一つの大きな使命であると思っております。その場合に、現在の状況からして、対潜作戦の実施に当たって、常に海の中における音の伝搬状況に対するいろいろな影響を与えるような調査というものをいたしておかなければならないことは当然のことでございます。  なお、そういう事柄を常にやり続けるわけでございますが、それについて、なぜこれをすべて明らかにし得ないのかという御質問が再々ございましたが、しかし、この種のものにつきましては、諸外国も同じような方針をとっていると私は承知をいたしております。
  312. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 ただいま大臣の御答弁の中にも、やはり軍事的な関係があるという一連の説明がありましたが、そういった意味で公開できないという理解、やはり国民的にはそうしか理解できないと思うのですよ。  そこで、郵政省は来ておられますか。——公海の場合、いわゆる領海の場合は届け出制ですね、領海を越えて公海になると許可制になる。たとえば、いま下北半島にもとの観測所がありますが、現在までに領海内で、これは下北半島だけじゃなしに、沖縄は現在建設中である、その他、竜飛にもある、あるいは対馬にもある、こういうことで、防衛庁なら防衛庁がそういう施設をやった場合に、あれは領海は届け出制になっていますからね。この届け出られた現状、これを説明してほしいと思います。  一例ですが、下北半島にありますね。この下北半島のケーブル、何本敷いたのか。これがまた事前であるのか事後であるのか。一応設備しておいて、こういう設備をしましたよということで郵政省に届け出るのか、あるいは計画をしている間に、こういった計画でやりますからということを郵政省に——有線電気通信法ですか、それに書かれていますね。いままでの経過はどうなっていますか。
  313. 内海善雄

    ○内海説明員 設備が有線電気通信である場合には、有線電気通信法というものがございまして、そこでいろいろ手続が書かれております。一般に有線電気通信設備を設置しようとする者は、郵政大臣に、その設置の工事の開始日の二週間前までに届け出をしなければならないというふうに書かれておりますが、しかしながら有線電気通信法第三条三項三号というところに、「政令で定める業務を行う者が設置する」場合は届け出をしなくてもいいというふうに書かれておりまして、その政令の中には、自衛隊が設置するようなものについては届け出をしなくてもいいというふうな法体系になっております。
  314. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それでは、いま私が申し上げました沖縄の場合も、下北半島の場合も、竜飛の場合でも、対馬海峡方面の場合でも、郵政省としては、何がどのように施設を行われておるか全然掌握していないということになりますか。
  315. 内海善雄

    ○内海説明員 一般的には、自衛隊が設置するそのような電気通信設備については郵政省に届け出がございませんので、郵政省では把握を全然しておりません。しかしながら、そういう電気通信設備が、いろいろな条件下、特殊な条件下で使用される——特殊な条件というのは、だれか別の人と使うとか、そういう一般的でない場合には、郵政大臣の許可を得なければならないような場合もございます。
  316. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 許可を得なければならない場合はありましたか。
  317. 内海善雄

    ○内海説明員 自衛隊が設置します電気通信設備は、事柄の性格上、そういう許可をしなければならないようなものがあったかどうか、ここで公表をすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  318. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 公表を差し控えるわけだから、あったと理解していいわけですね。
  319. 内海善雄

    ○内海説明員 そういう事例があったかどうかということ、そういうことについても差し控えさしていただきたいということでございます。
  320. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 国民の知らないうちに——これは国民の税金ですよね、長官、そうでしょう。みんな国民の税金でいろいろつくるのでしょう。だから、たとえば対潜水艦用の探知のソーナーあるいはケーブル、そして海洋観測所のいろいろなケーブル、そういった探知装置は、国民が税金を納めて、それで何十億あるいは場合によっては何百億ということで設置する場合に、国民が全然知らぬうちに、主管庁の郵政省すら差し控えるということになると、後で質問しますが、どんなに秘密のうちに、日本の海、領海から公海にわたるかもしれない、そういったようなことが、現実にあり得るということがいまの答弁ではっきりとわかりましたが、長官、そういったような、国民の前に知らさないうちにどんどん防衛関係が強化されていくということでいいのかどうか。どうなんですか。
  321. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私どもといたしましては、いかなる形の侵略に対しても、これに対応しなければならないという使命を持っておるわけでございますが、防衛庁が現在やっております事柄は、もっぱら各種の侵攻に対してこれから守るということでございまして、相手方の潜水艦に対しては、海中を伝わってくる音波の伝搬の状況を常にとらえるということが一番大事なことである、そういう種類のものでございます。したがって、それについてはあるいは航空機をもって行うことも可能でもありましょうし、艦艇をもってそういう調査をすることも可能でありましょうし、こういうような施設を使って常に調査のデータを集めておくということも必要かと存じております。  なお、そのことについてすべてこれを公開、公表いたしていけば、当然のことでございますが、われわれがどこで何をしておるかということを常に相手方に知らしめる行為になるわけでございまして、そういう意味で、公開について、これを明らかにし得ない部分がございますということを重ねて答弁をさしてきていただいておるところでございます。
  322. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 公開してはならないという——私の質問も、すべてやれと言っているのではないのですよ。たとえば下北半島にあるでしょう。いまは沖縄のホワイト・ビーチに建設中だ。津軽半島の竜飛にもすでにある。それから対馬にもある。北海道の松前にもある。そういった主要な場所にあるものは、どういうことになっているのかということくらいは発表してもいいのではないかと思っていまやりましたが、現在までの答弁によると、防衛庁のやっていることはどのようなことでも一切非公開ということになる。  それで、論を進めますが、防衛庁のそういった海洋観測所のケーブルが領海外に延びておるところはありませんか、ありますか。
  323. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 公海に延びるかどうかについての御答弁も、差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げれば、もしそういうことがあれば、国内法に基づく所定の手続を踏むということは当然のことでございます。
  324. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 問題は、やはりその点にきていると思うのですよ。公海に、いわゆる領海を越えて公海に行っているかどうかは言明を避けるということは、行っていることなんですよ。  それで、これは公海、いわゆる領海外には全然行っていないということは、この前の委員会の証言であるのです。これは昭和四十六年十二月二十八日、参議院での、当時の江崎防衛庁長官の答弁ですが、「公海には絶対出ておりません。」現在も変わっていないのかどうか私は聞こうと思って、いまこれを言っているのです。その当時、江崎さんははっきり、「一般論としてはもちろん公海に行くこともあり得るかもしらぬが、絶対」現在は絶対。絶対を使っているんですよ。「公海には絶対出ておりません、ケーブルは。」現在もこれを変えていないかどうかということを聞くために言いましたら、変わっているのですね、いや、これについては答弁できない。ですから、この昭和四十六年以降、いつ変えられたのか。いわゆる領海外、公海に行くと、これは郵政大臣の許可を受ける。この点を防衛課長もそう言っておりました。  それでいま申し上げましたのは、領海外、十二海里を越えて行っていることについての答弁は差し控える。差し控えるということは、領海外に出ておるということを意味するわけなんですよ。はっきり領海外には行っていないということを答弁できない以上、ケーブルが領海外に延びておる。ケーブルが何本あるかもわからぬ、言わない。それで領海外、これも言えない。言えないということは、領海外に延びているということの裏づけなんです。私はそう解釈していますが、そのように理解していいかどうか。これは時間が来ましたので、大臣、ひとつ答えてほしいと思いますが、領海内と領海外なんです。数百海里と関連するのですよ、これは。十二海里でしょう。数百海里は防衛の範囲と、航路一千海里ということと関連するものですから、これを私は重視しているわけなんです。大臣、いかがでしょう。
  325. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 あくまで海上自衛隊のなすべき使命の中に入るわけでございますけれども、しかし、その海上自衛隊が、しからば、わが国周辺海域のどこでどのような海洋観測を行っておるかというようなことにつきましては、これは先ほど申し上げておりますように、公表を差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、一般論として、これは政府委員から御答弁さしていただきましたように、ただいま先生の御指摘のような施設あるいは付随したケーブルその他公海に出るようであれば、必要な国内法の手続は守る、こういうことにいたしておるわけでございます。
  326. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 最後ですが、仮に領海外に延びて公海に出る場合に、一億、二億するような、これは公海ですから、だれに盗まれようが何しようが、どうにもならぬでしょう。これはあなた、国有財産ですよ、消耗品とも違って。これをどうするおつもりなのか。公海ですから、だれがとろうが、どうにもならぬでしょう。主権の及ぶところは十二海里、そういった意味で私は国民の税金をもう少し大事にして、少なくとも国有財産が盗まれても何とも言えないという状態を断ち切らないといかぬ、そう思うのですが、大臣、ここら辺はどう考えますか。国有財産ですよ。
  327. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この種のものについての所在について公表しないというのは、国際的な常識であるというふうに私どもは承知しておりますし、いま先生指摘のような理由も踏まえると、なおさらこれは明らかにせぬ方がよろしいのではないかというふうに思っております。
  328. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 終わりますが、このように国民の血税を、防衛費突出しているといいますが、まさにこれも国防予算については削らなくちゃいかぬなという結論になるのですよ。大体、国有財産もどうなるかわけのわからぬような状態に、公海にほったらかしておいて、それが消耗品じゃないのですよ、一億、二億するのだから。そういったような観点に立って防衛の担当者が、責任者がこの委員会で公言するに至っては、まさに防衛費を削って生活と福祉、教育に回せというのは当然の話だ、私はそう考えます。  時間がありませんので、これで終わります。
  329. 石橋一弥

    石橋(一)主査代理 これにて瀬長亀次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、小林進君。
  330. 小林進

    小林(進)分科員 ちょっと防衛庁長官に資料の要求をいたしますが、これは大したものじゃございません。  きのうの予算の一般で欧亜局長も答えておりましたが、以前に外務委員長の指示で例のレフチェンコの資料を、全部じゃないけれども、いま外務省も防衛庁もお持ちになっている。それでいいのです。まだ細部のものはアメリカから届いていないそうですから、届いているもので結構ですから、それをひとつ私の方へお出しくださるように。これはもう発表されているのですから、もうあすでもすぐ下さるようにお願いいたします。よろしゅうございますね。
  331. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 正式にアメリカから届いているものはございませんが、しかしながら外務省を通じまして議会における証言緑の抜粋されたものは私どもの手元にございますので、それを出させていただきたいと思います。
  332. 小林進

    小林(進)分科員 結構でございます。  防衛庁長官とは、ともに外国旅行もした旧友の仲でありますから、きょうはひとつなごやかにやりたいと思います。  第二番目といたしまして、私は、これは総括質問にも言ったのですよ。一番大切な、新憲法のもとでわれわれは何を守るのだ、自衛隊は、あるいは国民でもいいです、何を守るか。この何を守るかという定義が大変明確になっていないのです。防衛白書の中には書いてあるとか、あるいはあっちでこうだとか怪しげな答弁をされておりますけれども、これはないのです。私はこの前も申し上げましたよ、旧憲法と比較して考えてくれと。旧憲法は、実に単純明快なんです。それは、いわゆる天皇のために守るんだ、天皇のために死ぬんだ。それで、国民はいわゆる大君の民である。一切はそこに統括されているから非常に単純で、また精神訓話というか集団統一をして行動をともにするにはこれは実に明快なんだ。この点を私は総括質問のときに申し上げたのです。いい悪いは別だ。「大君の辺にこそ死なめ」だ。「海行かば水漬く屍 山行かば草むす屍 大君の辺にこそ死なめ」か。     〔石橋(一)主査代理退席、主査着席〕  これは有名な話ですけれども、こんなことを言ったら時間がたってしまいますからやめます。重点的に申し上げるけれども、旧憲法時代にはあの美濃部達吉といういわゆる憲法学者が、天皇は機関だ、国家というものを人間の体にたとえれば頭脳だ、あとの国家、国というものは身体の形であって、天皇の命令一下でこの体は動くんだという、こういう天皇機関説というものを出したときに、御承知のとおり当時の貴族院議員、それから旧学者、それから蓑田胸喜などという人が中心になって、天皇は頭脳だとは何だ、天皇が機関とは何だ、天皇即国家なんであって、天皇をおいて日本の国家の存在なんかあり得るものじゃない、これは不忠の臣であるということで大変問題になって、美濃部さんは貴族院議員を追われ、あるいは一切の公職を追われてさびしく晩年を死んでいかれたけれども、しかし、天皇機関説は誤りがないということで最後まで所信を曲げずして、そうして晩年を終わられた。  そういうことで、明治憲法のときには天皇即国家なんです。天皇即臣民なんです。天皇のほかに日本国民なんかいないのです。そういうことで統一したから、だから戦争に負けるときも、国がどうなろうと、国民が全部死んでいこうと、そんなことは問題ではない。敗戦の条件は、わが皇室が一体どうなるか、皇室が存在するかどうかということの一点で、ポツダム宣言を受諾するかしないかが終戦のときの最後の悩みであったことは御承知のとおり。  私も戦争に引っ張られた。毎日毎日訓練を受けた。死んでいくときは、天皇万歳と言うんだ。お母ちゃん万歳なんか言ったら大変だ。国家万歳なんて言ったら大変だ。不忠の臣だと言われた。こういう一つの思想的統制を、この天皇即国家、われわれは何のために死ぬのだ、天皇のために死ぬのだ、大君の辺に死ぬのだという画然とした哲学を、今度は新憲法の中に注入してやらなければ、りっぱな軍隊なんかできっこない、自衛隊なんかできっこないじゃないか。その自衛隊は、どういう思想を統一しているかということを私は聞きたいのです。ないから、こうやって、見なさい。私は、時間がないから言いますけれども、全部書き出してみた。  まず防衛白書の中。それから栗栖弘臣、これは有名ないまの自衛隊を代表する人物であります。彼なんか、「何のための軍隊か、誰れのために戦うのか」ということの問題で野坂昭如と対談をしておる。その中で野坂は、結局、軍隊というものは生命、財産、社会の仕組み、文化を守るのだ、こういうことを言ったことに対して、栗栖は発言なし。なしが、後になって、これは非常に論議する必要がありますということを認めた。自衛隊の頂点にいる人さえも、何を守るかということについては議論する必要がある、こういう発言をしておる。  それから、防衛研究所の教官、京都産業大学教授の小谷秀二郎「国防の論理」という中に、守るべきは現在の民主主義体制である、こう言っておる。民主主義体制を守るのが国防の本義である、こう言っておる。  それから、防衛庁の事務局が編さんしたものの中には、防衛を考える会事務局編「わが国の防衛を考える」昭和五十年。防衛の目的は武力侵略から国土と国民の安全を守ることだ、こう位置づけておる。みんな違うのだよ。  海原治と久保卓、「現実の防衛論議」昭和五十四年に出した。何と言っているか。海原は、安全保障とは、外交、経済、防衛——軍事、この三つの力を総合することによって国の安全を保つのである。これは総合論だ。それに対して久保卓は、安全保障の対象は、国の安全と独立と、もう一つは繁栄だ、こう言っている。  防衛大学の校長をやった猪木正道は一体何と言っているか。「軍事大国への幻想」、昭和五十六年発行の本です。この中で「およそ、国家の防衛というものは、国際社会の一員として領土、領海に責任を持つという意味で主権と独立を守るための権利であると同時に義務でもある」これが防衛の本義だと言っている。  まあ、一々言ったら切りがない。いわば統一したものがないのだよ。ないところに高い金を使って、二十八万だの三十万だのと自衛隊を陸海空軍を持って、そして飯食わしてやったって、本当に必要なときに役に立つわけないじゃないですか。思想の統一がないからだ。明治憲法のようにきちっとしたものがないからだ。だから、各人みんなばらばらだ。  もっと言ってやろうか。まだある。まだ防衛関係論者のことを言ってやれば、防衛なんというものはマイクロ的に見れば自分の生命の問題であり、したがって宗教及び哲学の問題である。人生観が人ごとに違うのだから、国防観も十人十色であってしかるべきだと言っている。十人いたら十人みんないろいろの意見があってしかるべきだ、こういう論議もある。こんなことで一、二、一、二と訓練したって、一体物になりますか。この問題は議論したってしようがないが、どうだ防衛庁長官、私の言うことに異論があるか。あるならあるでちゃんと言いなさい。
  333. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私どもといたしましては、防衛庁として、自衛隊として、法に基づいて守るべき事態並びに守るべき対象を決めてといいますか、決められておるわけでございます。ただいま先生の御指摘の中には、防衛庁あるいは自衛隊のみならず日本国民としてという点もあったかと存じますが、私といたしましては、あくまで法に基づいた実力行使として、何に対して何を守るかということに限定して答弁をさせていただきますれば、私どもの準拠いたしまする法は自衛隊法でございまして、その自衛隊法の第一条にこの法律の目的がございまして、自衛隊の任務についてこの法が定めるとございますが、その三条において「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」とする、これが私どもが法に基づいて実力行使を行う基本だと、こう考えております。  中身につきましては、いま先生の御指摘のございましたような国民的基盤について何を守るかという問題につきましては、これは自衛隊あるいは防衛庁として議論をするといいますか考えるというよりも、もっと国民的な課題であろうかと、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
  334. 小林進

    小林(進)分科員 国とか国家というものは、これは抽象的な名称なんですよ。だから、国家とは何だ、国とは何だ、そこからいかなくちゃならない。国というものは、これは三つの要素からでき上がっている。それは領土、国土です。それから、その国土の上に住んでいる国民です。そして、それを統制をしている、いわゆる独立国家としての主権です。この主権と国土と国民という三つの要素がそろって、初めて国あるいは国家というものが成立しているわけだ。どれ一つも欠けてはいけない。私の議論しているのは、この三つの中で、国土を守るのが一体防衛の本当の目的なのか、独立という主権を守るのが一番重点なのか、あるいはそこに住んでいる国民の生命、財産を守るのが目的なのか、国という抽象的な言葉の中に介在をしている三つの要素を引っ張り出して、その三つの中のどこに一体国防の重点を置くのか、私はそれを言っているのです。その議論をするために旧憲法を見なさいよと。  旧態法時代にも国土もあり、国民もいた。領土も主権もあったが、それをひっくるめて、守るものはいわゆる国の頂点にいらした天皇を守る、実にこれは単純です。明快だ。天皇のためにこそわれわれは一身をなげうって、国土なんかどうなってもいい、国民なんかどうなってもよろしい、天皇御一人の身だけは……、まあ極端に言えば。「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」と言った。それを聞くときには直立不動でいなくちゃならぬ。これは実に厳粛なものである。その厳粛なものにこそ火の玉一丸となって、最後はわが身を鴻毛のごとく投げ捨てて天皇万歳と死んで、靖国神社へお祭りいただいて、ばあさん会いに来たよはるばると、こういうような形になっていくわけだが、これぐらいに思想が統一されて初めて、火の玉となって守るという犠牲的な精神も勇気も出てくる。  それを、新憲法になったらこれにかわるべきものは何かと言っている。あなたのように、国だとか国家だとかという抽象論じゃだめですよ。働きませんよ。ここをいま少し純粋に不動のものをつくらなければ、自衛隊に魂がないと同じだということを言っているのです。どうです、魂を入れる気はありませんか。私の言っていることがまだわかりませんかな、この崇高な議論を。言っていることを理解してもらわなければ議論がかみ合わないよ。だめですよ、それでは。  だから、中曽根君のように、彼なんかは国土を守るのが目的だと思うから、日本国土のために、アメリカのために、日本は不沈艦となって、盾となってアメリカのために守る。あれを聞いている国民は何と言っているか。ははあ、あの人は国土を守るために、その上に住んでいる国民の命なんかどうでもいいんだ、ああいう物騒な総理大臣の言うことにはわれわれはついていけない、あの人は国土あって国民あるを知らざる総理大臣だ、危なし危なしという、そういう声がいまずうっとみなぎっておる。  そういう考え方は間違いないです。あの人は、旧憲法における天皇の地位を国土に変えちまった。新憲法で守るものは国土だと。日本の国土さえ守ればもう、北方領土、ソ連から各種兵器が雨あられと飛んできて、その上に住んでいる生きとし生けるものは全部死んだところで、国土さえ不沈艦にしておけばこれでよろしいということなんだ。自分も死んでいくことを忘れているんだ、あれは。そういう無鉄砲な議論じゃ国民は動きませんよ。だから、いまだって自衛隊の中に行って、百人の兵隊がいれば百人みんなそれぞれ自分のことを考える。自衛隊でまんま食って腕磨いて、出ていったらひとつ運転手になろうかと考えたり、国家の大事になったら何といってもおれは先に逃げようとか、そういうふうにみんなばらばらです。聞いてごらんなさい、一人一人の兵隊に。だから、それを純粋にやりなさい。あなたは私の友人だから、これは余りせっつくのはやめて、この問題はひとつ研究すると答えてください。
  335. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 ただいま先生の御指摘の問題につきましては、ある意味で大変に大きな問題も内蔵しておる御発言だと私理解いたしております。したがって、防衛庁長官として私、どういうようにお答えしてよろしいかわかりませんが、いままで、今日に至るまで先生から御指導もいただいておりまする谷川和穂といたしましては、ただいまの御議論につきましては心いたしまして、私自身も大いにこの点について勉強をさせていただきたい、こう考えております。
  336. 小林進

    小林(進)分科員 私も了承をいたしましたから、次の問題に移りたいと思います。  それは、例の、これも私は総括のときにやったが、時間がなくてなにですけれども、五月二十五日ワシントン・ポスト紙、現在アメリカの国防省で回覧されている秘密の政策指針文書というものがあるということなんです。この文書は、アメリカのワインバーガー国防長官が昨年の三月、国防長官に就任するときにレーガン大統領と署名した秘密の文書なんです。その秘密の文書がついにスクープをされて、五月三十日にはニューヨーク・タイムズ紙がこれを詳しく批判をいたしております。  いろいろありますが、これを全部紹介していたのでは時間がなくなってしまいますから重点項目だけを申し上げますと、六月七日付のニューヨーク・タイムズ紙は、六日ワシントン発として、「U・S・イズ・ファッショニング・ニュー・ミリタリー・ストラテジー・フォー・アジア」と題する記事を掲げた。上述の対アジア戦略を敷衍して、当面在日・在韓米軍を撤退する計画はないが、緊急事態には在日米海空軍、海兵隊部隊を東南アジア——日本におけるアメリカの軍隊ですよ。これを東南アジア、ペルシャ湾地域に派兵する計画が国防省で練られており、東アジア及び太平洋地域における最も重要な目的は、地域の同盟・友邦諸国と相携えて、——地域の同盟・友邦諸国というのは日本であり、韓国であります。友邦諸国と相携えて、ソ連とベトナムの勢力拡張を阻止することである旨指摘している事実が注目される。この点、さきのワインバーガー国防長官の極東旅行等をも参考として、指針は、日韓両国の防衛努力の強化、特に日米間の軍事的パートナーシップの緊密化を求めているとされている。どうですか。  それからいま一つ、六月二日付ワシントン・ポスト及び三日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙によりますと、ワシントン・ポスト・サービスとしてジョージ・C・ウィルソン記者の何々と題する記事を掲げ、特に通常戦争における地域的優先順位について触れている。アメリカが戦争をするときの優先順位です。  すなわち、国防指針の最終案では、さきのクラーク大統領補佐官のジョージタウン大学における講演を敷衍した形で、ソ連との間の世界的な規模の戦争では、——対ソ戦争です。戦争では、一つ、ハワイ、アラスカ及び接続地域たるカリブ海地域を含む北アメリカ、——これが一番重要だ。それはそうですよ、北アメリカは自分の国ですから。次いでNATOの地域及び同地域に至る海上交通路に最高順位が置かれた。これはアメリカの戦略ですよ。アメリカの戦略は、北アメリカとNATOとそれに接続するカリブ海の地域が、アメリカの世界戦略の最重要地点だ。これが首位です。  第二順位は、南西アジアの石油へのアクセスを確保すること、次いで太平洋の同盟諸国、インド洋と太平洋の海上交通路の防護並びにラテン・アメリカとアフリカのその他の友邦の防衛に置かれる。ラテン・アメリカとアフリカは第二番目の順位とされている。  指針は、さらに、その他の地域で米国にとって重要な利害のあるところでは、緊急事態の際、かかる利害を守るため、ソ連の脆弱な点を利し、その注意と戦力を欧州や南西アジアからそらす作戦に出ることとしているが、米国は、そのような地域でも、開戦の初頭に暴露された敵の戦列に乗じて反撃することも十分あり得ようと説明している。いいですか。     〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕  本件文書は、レーガン政権下初のまとまった防衛の指針であって、これまでの歴代政権の指針に合致するものであり、NATOとペルシャ湾岸地域は戦略的に連結しているので、戦力をNATO正面と湾岸地域に分散配備することによって、NATO諸国の直接防衛と南西アジアの同盟諸国の防衛に対処し得るよう指示している旨明らかにされている。  この点、指針は、特にNATOの東南部の防衛のための偵察、監視、空中警戒、統制や戦闘機による防御の改善は、湾岸地域上部の防衛にも直ちに役立ち、したがって、抑止力を総体的に強化し得ようと指摘しているとしている。  より政治戦略的な指針としては、本件文書は、米国が東欧の諸国民との間にもっと有効なリンケージを築くことによって、東欧諸国の信頼性に対するソ連の自信を喪失させることが大事である旨強調しているとされている。  そこで私が言いたいことは、これによってソ連の弱点、ソ連の弱いところを日本が分断して、これは具体的に言えば、この文書は、朝鮮半島あるいはウラジオストク、千島等におけるソ連の弱点を日本が抑えて、ペルシャ湾や南西ヨーロッパにおける戦いを阻止するというのが、同盟日本に対する任務だということを明らかにしているのです。アメリカの戦略、戦争に日本が一翼を担っている。ソ連の軍隊を太平洋に出さないようにして、東南アジア、ペルシャ湾などにおいて、どんどんアメリカが安心してソ連との戦いができるように日本に任務を与えた文書です。どうですか、これは。  ワインバーガーが来たときに、あなたと二人の話の中にそういう約束が出てきましたか。私は、この秘密文書に基づいていわゆる運命共同体などという総理大臣の発言があり、北方から来るときには三つの海峡を封鎖して、日本が不沈艦になってもアメリカの盾になりますなどという発言はこの秘密文書から出ていると判断している。いかがですか。
  337. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 アメリカの国防指針の中にいかなることが明記されておるのか、その内容は秘密とされておりまするし、防衛庁としては入手しているわけではございませんので、この内容についてコメントすることは一切差し控えさせていただきたいと存じますが、私の理解しておりますことをこの時点において申し述べさせていただきたいと存じます。  現在わが国の自衛隊が防衛力の整備に努めておりますのはあくまでもわが国の自衛のためでございまして、しかも、整備の目標といたしますところは「防衛計画の大綱」の水準に近づけたいという努力でございます。ただいま日本の周辺におきまするソビエトロシアに対する問題の御指摘もございましたけれども、国防の方針から申しましても、現在自衛隊が行おうといたしておりまする侵略に対する対処は、限定的な小規模侵略に対して独力で対処するということをまず第一義にいたしておりまして、それ以上の侵略が行われる場合には日米共同して対処するということになっておるわけでございます。したがって、日本が独力でそれ以上の大きな侵攻に対処するがごとき計画を持っていま防衛力の整備に努めておるわけではございませんので、この点だけは付言をさせていただきたいと存じます。
  338. 小林進

    小林(進)分科員 これで終わります。大変まじめな答弁をいただきまして、何しろ谷川さんという人はりっぱな人ですから。しかし、ただ自衛隊の制服組、軍事官僚がりっぱだとは私は言いません、なかなか危険性を持っておりますから。その点ひとつ防衛庁長官は、そういう者どもにだまされないようにしゃんとしてやっていただきたいことが一つです。  それからいま一つは、いま私が申したけれども、私だけでもこういうワインバーガーの秘密文書が入るのです。防衛庁は手に入っておれば私の方へ資料を回してもらいたい。なければ直ちに入手をして、部分的にこういうのが発表されないようにちゃんとまとめたものをわれわれが手に入れるように御努力願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。よろしゅうございますね。よし、承知しました。  それじゃ終わります。
  339. 石橋一弥

    石橋(一)主査代理 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢和秋君。
  340. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、福岡県遠賀郡岡垣町に計画されております対潜水艦超長波送信所の問題についてお尋ねをしたいと思います。  岡垣町に防衛施設庁が提出をした資料によりますと、これまでは潜航中の潜水艦に対する通信は米軍依佐美通信所を利用してきたとなっておりますが、それはいつからですか。米軍とのどういう協定によってどのような利用のされ方をしてきたのか、簡潔にまずお答え願いたいと思います。
  341. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  米軍の依佐美の通信所を海上自衛隊利用いたしておりましたのは五十三年六月まででございます。それ以降は、米軍の事情によりまして私ども利用がかないませんで、茨城県にございます電電公社の長波の送信所名崎を利用いたしております。
  342. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 どういう協定によってと僕は聞いているのですよ。
  343. 千秋健

    ○千秋政府委員 海上自衛隊が米軍提供施設の依佐美通信所を使っておりましたのは、地位協定第三条の米軍の管理権の範囲内で使っておったわけでございます。
  344. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、五十三年六月の段階でその協定は打ち切られたわけでしょうか。今後自衛隊の潜水艦がこの依佐美を利用するということはなくなったのか、あわせて確認する意味でお尋ねしておきます。  それから、現在利用している電電公社の名崎送信所というのは、新しい送信所ができたら使用を打ち切るということになるのかもお尋ねをしておきます。
  345. 千秋健

    ○千秋政府委員 まず米軍の依佐美通信所の使用の件でございますが、これは先ほど申し上げましたように地位協定第三条によって米軍が管理権で使ったわけでございますから、地位協定そのものは現在もございます。そういう意味で協定が終了したということではございません。
  346. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 細目の協定か何かあったのじゃないかと言って聞いているのですよ。
  347. 千秋健

    ○千秋政府委員 これは実際に使用するに当たりましてはそういう細目協定というのは取り結んでないというふうに聞いております。
  348. 友藤一隆

    友藤政府委員 ただいま海上自衛隊が潜水艦通信として使っております長波は必ずしも部隊の所要として十分な能力を持っておりませんので、新しい超長波の送信所ができました場合には恐らくそちらの方を使うということになろうかと思います。
  349. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 それでは次の質問ですが、この送信所の機能というか能力などでちょっとお尋ねをしておきたいのですが、新しい送信所の周波数と出力が幾らになるか、依佐美と対比して説明をお願いしたいと思います。
  350. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 潜水艦との連絡というのは、潜水艦が水の中にもぐっておっても的確に連絡ができなければいけないということから超長波の通信が必要である。しかもこの設置する場所については、たとえば三海峡においての行動をしている潜水艦に対しての通信ができるような位置について設置することが望ましいということでございますが、具体的な波長の数字につきましては後刻調べた上でお返事をさしていただきたいと思います。
  351. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 後刻ということですから、それは後でお願いします。  それから、岡垣町への資料によると、新送信所は高さが二百メートル、長さが約千五百メートル、十六本のアンテナが張られることになっております。このような図面も添えられて岡垣町に出されているわけですね。これは依佐美と比較してみますと、非常に特徴的なのは、アンテナの数が依佐美の方は八本ですが、こちらの方は十六本になっている。倍もアンテナの本数があるということはどういうような特性を持つということになるのか、お尋ねしておきます。  それから、先ほどの周波数と出力は、細かいことは後で結構ですけれども、ほぼ依佐美と似たような能力だというふうに概念的に理解しておいていいかどうか、ちょっとこの機会にお答えください。
  352. 友藤一隆

    友藤政府委員 一応現在私どもが承知しております範囲では依佐美とほぼ同じようなものをつくりたいというふうに聞いておりますが、まだ具体的に岡垣とかそういうところで場所を決定いたしておるというものではございませんので、先ほどお話がございました周波数、出力等についてはまだはっきりしたことを私ども承知いたしておりません。
  353. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 アンテナの数。
  354. 友藤一隆

    友藤政府委員 アンテナの形状でございますとか張り方その他につきましては、そういった技術的な周波数の数値でございますとか出力とか、そういうものとのかかわり合いもあろうかと思いますけれども、具体的なところにつきましてはまだ設計その他をやっておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  355. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 細かい設計はしていないかもしれないけれども、ここへただやみくもにこういう絵を、美術家か何かがかいたのなら適当に引いたということも言えるでしょうけれども、あなた方専門家が引いているのですよ。それで、私は一本、二本と勘定してみたら十六本になるのです。依佐美は八本。そうしたら、倍もアンテナの本数があるということは非常に特徴的で意味があるんじゃないかと言ってお尋ねしているのですよ。細かい設計がないから答えられないということはないでしょう。
  356. 友藤一隆

    友藤政府委員 岡垣町にお渡しをした資料は、当時、いまお話がございましたように具体的な設計も何もございませんので、もし仮に岡垣にそういった施設を建設するとした場合には大体このようなものになるのではないかということで、これでもって具体的に確定した設計でございますとかそういう形のものではないというふうに、私承知いたしております。
  357. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 時間ばかりたってしまうから、一般的にお尋ねしておきますけれども、アンテナの本数がこのように二倍になるということは、どういうような電波の送信上の特性が生まれてくるのかということでちょっと説明してほしいのです。  それから、次の質問もしておきますけれども、この新しい通信所によって、潜水艦がもぐっている状態で通信ができると言ったけれども、大体何メーターぐらいもぐっている潜水艦にその通信が可能になるのかということも、ちょっと説明をしておいてください。
  358. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 具体的に正確な数字を申し上げるわけにはいきませんが、そうべらぼうに深いところにもぐっているのはなかなか困難じゃないかというふうに想像されます。
  359. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 べらぼうというのはどのくらいのことなんですか。  先ほどからやたらに時間を食うように、私がちゃんと聞いていることに対して的確に答えてないのですよね。私はさっきのアンテナ数が二倍になるということは一般的に言うとどういうような特性が生まれてくるかということを聞いたでしょう。全然答えもせぬで引っ込んでしまうのですよ。それで私の三十分が来たらやめてくれと言われたってそうはいきませんよ。だから、それもはっきりいま答えてください。  それから、べらぼうにというのはどのくらいの概念ですか。十メーターぐらいというところもありましょう。三十メーターもありましょう。百メーターもべらぼうじゃないかもしれません。
  360. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 正確な数字の答弁は差し控えさせていただきますが、そう深いところではないという意味で申し上げたわけであります。
  361. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 アンテナは。
  362. 木下博生

    ○木下政府委員 アンテナは、一応の考え方として、八本ということでございまして、それで、名崎の方は長波を利用しておりますが、今度の計画では超長波を利用したいと……(小沢(和)分科員「八本ですか。この絵は十六本かいてあります」と呼び、資料を示す)柱の数は八本でございます。
  363. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 柱を聞いているのじゃない。  こういういいかげんな答弁をしたのでは、らちが明かないでしょう。いたずらにさっきから、どんどん進むはずのところがひっかかっておるのですよ。  ではついでに、次の問題もお尋ねするけれども、これは大体カバーエリアはどれぐらいかというふうに私は質問主意書で前に質問したことがありますけれども、これも念のため、大体何キロぐらいカバーする能力があるかということをお尋ねしておきます。
  364. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 少なくともわが方の主要海域において行動しておる潜水艦との連絡ができる程度ということで御勘弁をいただきたいと思います。
  365. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、わが国の主要海域というのは、一番遠い場合には宗谷海峡ということを私は考えるけれども局長、大体そこら辺までが主要海域といった場合には普通考えられているわけでしょうね。これは私はそういうふうに理解しておきますけれども、いいですか。
  366. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 大体そういうふうに御理解いただいて結構だと思います。
  367. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 それから、ここから出る電波はアメリカの潜水艦なども受信が可能になるのではないかということを考えますが、ここは日米共同使用する可能性があるのか、あるとすればどういうようなケースかということもお尋ねしておきます。
  368. 木下博生

    ○木下政府委員 アメリカの潜水艦の性能を私どもは知っておりませんので、われわれの超長波の送信所から出される波長が届くかどうかは何とも申し上げられません。
  369. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 あなたそう言うけれども、依佐美の方はアメリカ軍のものを日本側が受けられたんですよ。その逆のことはあり得ないというふうには言えないのじゃないですか。その点、だから、可能性がないのかどうかということはもう一遍お尋ねしておきます。
  370. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいまのところ米軍から、新たに岡垣にそういう施設ができた場合に使わしてほしいという要請は聞いておりません。
  371. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 次に、なぜ岡垣にこの施設をつくるのかということについてお尋ねしたいのですが、私への答弁書によりますと、中国地方及び九州北部地区などで何カ所か候補地があった、これは私四カ所というようなことを聞いた覚えもあるのですけれども、その中で具体的な環境調査をやったのは岡垣だけじゃないかと思うのです。ということは、もう事実上岡垣にしぼられているということではないのか。それから、しぼられているとすれば、岡垣はどういう点でこの送信所に最も適しているというふうにあなた方がその立地条件を評価しているかということもお答えください。
  372. 友藤一隆

    友藤政府委員 まだ確定しておるわけでございませんで、お話のように、中国、九州地方を含めまして数カ所に最終的にはしぼってきておるというような段階でございますが、岡垣につきましては、その中の有力な候補地の一つであるというふうに私どもは考えております。  岡垣が有力であるという理由として申し上げますのは、この送信所の選定の条件として三つばかりあるわけでございますが、二百ヘクタールばかりの平たん地と申しますか比較的なだらかな平たん地が必要である。アンテナを展張する必要からでございます。  それから、降雪、結氷が少ないというのが第二番目でございます。  第三番目としまして、これはアンテナでございますので、通信確保のための位置というものがやはり適当な位置でなくてはいけないというのが第三番目です。  以上の基準を勘案しまして現在選定作業を行っておる。  ほかのところでは環境調査をやったのかという御質問でございますけれども、他の場所につきましては、岡垣にございますような防風保安林といったものはございませんので、航空写真その他の公刊資料を使いまして私どもで別途調査をいたしておるということでございます。
  373. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 その環境調査が行われてからもう大分たつわけですけれども、この結論はいつごろまとまるのか。  まとまった場合には当然これは公表されるというふうに理解しておいてよいのかどうか。  それから、最終的に立地の結論が出るのはいつか。三つお尋ねします。
  374. 友藤一隆

    友藤政府委員 いまお尋ねの環境影響調査でございますが、五十六年七月から五十七年十月まで現場での調査を行いまして、これのデータの整理等行いまして、昨年末に報告書が一応私どもの方へ参ってきておりますが、現在これにつきまして関係のところで検討を行っております。勉強中でございます。  それで、結論はできるだけ早く出したいというふうには考えておるわけでございますけれども、いろいろ関係方面との分析検討等も行わなければなりませんので、しばらく時間がかかるかと思いますが、いずれにいたしましても、この内容等につきましては、選定等の際には当然公表するという形になろうかと思います。  それで、今後の段取りということでお尋ねがございましたけれども、もし岡垣という場合でございますが、ここは保安林でございますので、保安林の解除の問題でございますとかあるいは作業許可手続等を含めまして関係方面との調整等の作業が当然入ってまいります。その前にやはり地元、県、町等に対する御協力をお願いをしていく必要もあろうかと思いますし、もちろん保安林は林野庁所管でございますので、そちらの方との調整ということも必要になってくると思いますが、まだ報告書の検討を了しておりませんので、具体的に岡垣というふうに決めておるわけではございません。
  375. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、先ほど岡垣の立地条件という点でお尋ねしたのですが、立地条件という場合に、軍事的な意味での立地条件の検討がなされたのかどうかですね。私は考えるに、最近、中曽根首相が、日本列島を不沈空母にしてソ連のバックファイアを一歩もここから南下させぬというようなことを言ったりしている。仮想敵国がソ連という状態になっていることはだれも否定できないと思うのですが、日本海側につくるというのは、ソ連に直接面しているという点では非常に攻撃を受けやすいのではないか、常識的に言うならば太平洋側につくった方がより防衛上いいのではないかという議論も成り立つのではないかと思うのです。私が素人なりに考えてみると、その場合、太平洋側から電波が、超長波が山を越すときに減衰でもしてしまって、思うような機能を得られないというような問題でもあるいは起こるのかなというようなことも想像するわけですけれども、そういうようなことが絡んでいるのかどうかもあわせてお尋ねしておきます。
  376. 友藤一隆

    友藤政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、三つばかり条件を申し上げましたが、カバーエリアの問題はどうかというようなお話でございますけれども、その辺は何というのでございますか、ピンポイントで、ここだけでなければいけないというようなきわめて限定されたものではございませんで、一番初めに申し上げましたように、中国、九州地方一円を含めてこういった条件のところがあればよいということでございます。  したがいまして、比較的降雪、結氷が少ない場所でもございますし、二百ヘクタールという比較的良好な平たん地であるというようなところをむしろ重点的に考える。そのほかに収得の難易というものも当然ございますので、理想的であってもとても取得不可能な場所であってはぐあいが悪いわけでしょうし、そういった全体的な判断から今後選定をしていくということになろうかと思います。
  377. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いや、軍事的な検討は、立地の中に入らなかったかと聞いているのですよ。一番肝心なことを言っていない。
  378. 友藤一隆

    友藤政府委員 もちろん、潜水艦に対する通信手段としての有効性という面からは、専門家も当然検討に加わっておるわけでございます。
  379. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いまのも事実上、答弁拒否みたいなものじゃないかと思うのですね。  次にお尋ねをしておきたいと思いますのは、町への資料の中に「この送信所が騒音や危険感を与えるような施設ではなく心配はないものと考えられる」というように述べておるわけです。確かにふだんのときに電波が出ているだけというような施設ができ上がっても、それは危険というのは余りないかもしれない。しかし、問題は、戦争が起こったときにどういうことになるのかということじゃないかと思うのです。  それで先ほどもお話が出ましたけれども、ここから通信を送る相手の潜水艦というのは、わが国の主要海峡等の防備に当たるために、潜水行動中の潜水艦ということになるわけでしょう。     〔石橋(一)主査代理退席、主査着席〕 そうすると、先ほどからお話が出ておった、いわゆる三海峡封鎖というような作戦をやっておる潜水艦というものに、ことから通信を送るということになるわけじゃないのですか。その点、はっきりお答えください。
  380. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この超長波の通信施設というのは、行動中の潜水艦、具体的には潜没している潜水艦との連絡ですから、場合によってはそういうこともあり得るというふうに思っています。
  381. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、これはもう今度の国会を通じてずっと議論されておりましたように、あの三海峡封鎖というのは、日本がまだ攻撃されてなくても、アメリカがソ連と戦闘状態に入っているという状態のもとででも、場合によったら発動される作戦かもしれないというようなことは、盛んに議論されているわけですね。日本がまだ戦争に入ってもいないような時期あるいは入ってもごく初期、こういうような時期にこの三海峡封鎖をめぐって戦闘が起こるというような事態が考えられる。そうすると、真っ先に、そういうような戦争をやらなければいけない潜航中の潜水艦に対してことから指令が出るということになったら、もう戦争が始まるか始まらないかのうちに、ここは攻撃目標になることになりやしませんか。
  382. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず第一点は、この通信施設というのは、第一義的にわが国の自衛隊の潜水艦との連絡に当たるものである。米軍の関係については米軍はすでに依佐美の通信施設を持っておりますので、われわれとしては海上自衛隊の潜水艦に指示通信を与えるものであるということでございまして、いま先生の御懸念のようなことはどういう場合なのか、ちょっと想像かつきかねますので、もう一度御質問いただければお答えしたいと思います。
  383. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いや、それはアメリカが海峡封鎖をやるという場合はアメリカの潜水艦が使われるかもしれませんけれども、日本がいよいよ戦争に巻き込まれるというような事態になった場合にでも、中曽根さんは真っ先に三海峡封鎖をやるということはこの前から言っているわけでしょう。私はそう理解していますよ。そうすると、その海峡封鎖をするときに、海峡の前面のところにわが国の潜水艦を配置するのじゃないですか。私はそういう作戦の構想になっているというふうに聞いていますね。それに対して、ここから指令の電波がいくということになれば、この潜水艦が事実上盲目状態になって作戦行動能力がなくなるように、ここに、いわゆる送信所に攻撃をするというようなことは、軍事的に見ても、ごく常識じゃないかというふうにお尋ねしているわけです。
  384. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 第一点、まず総理が、わが国が必要にして通峡阻止をする場合はあくまでもわが国に対する武力攻撃があったときのことをおっしゃっているというふうに、私は理解しております。  それから第二の質問でございますが、この通信施設は現に行動中の潜水艦との連絡に当たるものであれば、敵の、わが国に対して武力攻撃を与えている相手方の攻撃を受けやすいことになるのではないか、こういう御質問であれば、これはこの通信施設に限らず、航空基地にしても艦艇の基地にしても陸上自衛隊の部隊の駐屯地にしても同様、そういうことは言えるかと思っております。一般的な意味でそういうことがあるかと言えば、ないとは申しません。ただ、この施設だけがきわめて危険であるというふうには理解しておりません。
  385. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 この施設だけが特に危険だとは言えないというお話ですけれども、いま国会全体で大問題になっている三海峡封鎖というのは、いずれにしろ日本が戦争状態に入ったら真っ先に発動される作戦だということで議論をされているわけでしょう。そうだとすると、ごく初期に、しかもあの海峡を突破するというのはソ連にとっても非常に重大な問題にそうすればなってくるから、だからそこを突破するためには、そこでひそんでいる潜水艦に指令をする送信所をまずやっつけるというのはごく戦争の初期の段階で起こることじゃないか。あなたもいまそれは否定されなかったと思うのです。  時間が来たようですから、私は最後に結論的に申し上げたいと思いますけれども、いまのような点について地元人たちの間でこれは非常に不安が大きいわけであります。もともと岡垣というところはかつてアメリカ軍、そしてその後は自衛隊のいわゆる対地射爆撃訓練の施設があったところです。住民の人たちは長年にわたって……
  386. 橋本龍太郎

    橋本主査 小沢君、時間が過ぎましたから締めくくってください。
  387. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 反対運動をやってようやくこれを取り戻した。そのやさきにまたこういう危険なものをつくるという話が持ち上がっているわけで、そんなことは絶対やめてくれというのが住民の切実な声です。ですから私はこういう計画は直ちに撤回することを要求して、きょうの質問を終わりたいと思います。
  388. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  389. 東中光雄

    東中分科員 防衛庁長官にお伺いをいたしますが、先日二月十九日にいわゆる三海峡封鎖問題でお伺いをしたわけでありますが、日本有事の場合でない限り自衛隊は三海峡封鎖に出ることはあり得ないという、アメリカから共同対処を要請されてもそれをノーと言う。これはそう承りました。その後、アメリカが単独で三海峡を封鎖するということで日本政府に了解を求めてきた場合にはどうなのかということをお伺いしたのに対して、防衛庁長官は、国際法上のたてまえ、それから日米安保条約を締結いたしております日米両国の関係その他から、そういうことはあり得ないということを言われて、これは防衛庁長官としての答弁をしたわけだ。なお、アメリカが単独封鎖をやるということで日本の了解を得ないでやることはあり得ないのだけれども、了解を得に来た場合にはどうするかということについては、あり得ないということを言われているのだけども、それは政府で決定すべきことだ、こういうふうに答弁をされたと思うのですが、そのとおりでよろしいのですか。
  390. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 去る二月十九日の本予算委員会における通峡阻止の可能性の問題につきまして私が主として御答弁申し上げましたのは、わが国に対する武力攻撃が発生してない場合においては、仮に米国からの要請があっても、わが国の自衛隊が通峡阻止のための実力の行使を行うことは憲法上認められてもいないことで、あり得ない、従来からの政府の見解を申し述べさせていただきました。  それから、その後の問題につきましては、この点につきましては、私の答弁は実を申しますと全体を通じて御理解をいただきたいと存じますが、全体を通じてと申しますのは、何人かの委員先生から同じような御質問がございましたので、その意味で全体を通じて、こう申し上げさせていただきます。全体を通じて御理解していただきたいと存じますが、これにつきましては、いずれ政府から統一の見解について当委員会に対して御報告があるのだろう、私はこう考えております。
  391. 東中光雄

    東中分科員 政府の統一見解は後で、二十一日の質問でそういうことになっているようでありますが、こういう問題というのは国防会議にもかけられるべき問題でありますし、それからもちろん閣議政府全体として答えられるべき問題だと思いますが、その構成メンバーとしての防衛庁長官ですね、谷川個人じゃなくて、防衛庁長官の見解としてはどういうことになるのか。その点については、防衛局長は、この間の十九日の質問で、相談なく独自にやることも考えられない、しかし、そういう場合、わが国について言うならば、そういうことがもしあったにしてもお断りするだろう。防衛局長をして答弁せしめられた防衛庁長官の答弁だと私は聞いているわけですけれども、その点についての見解をお聞きしておきたい、こういうことであります。すでにこういう見解が出ているわけですから、いかがですか。
  392. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 先ほど答弁申し上げさせていただきましたがごとく、午前午後に及んだ十九日のこの問題についての質問に対する私の答弁につきましては、答弁を通じて御理解をちょうだいいたしたいと存じますが、この問題については先ほど申し上げさせていただきましたように、最終的な政府の統一見解は、当委員会の理事の先生方の御協議もあったのではなかろうかと存じますが、改めて正式に政府統一見解として提示されるというふうに私は承知いたしております。  したがって、そういうような立場を踏まえまして、ただいまの御質問について私の答弁さしていただきました趣旨についてこの場で答弁さしていただきますが、私はあくまで武力攻撃が発生してない場合の通常の場合、わが国自身の安全の確保のために必要と判断されることはまず考えられないというような観点から、私の答弁をさしていただいたわけでございます。
  393. 東中光雄

    東中分科員 どうもあなたの言われることは、二十一日のやりとりを見てみますと、閣僚の一員としての判断をつけ加えたというのは私のそこつでございましてとか、ああいうことを答えたのは答えるべきことでなかったのを答えて陳謝しますとかいう発言をやられておりますね。だから、十九日の答弁がいま言われているようなことだったら、何もそんなそこつだとか陳謝だとかというようなことは、陳謝を申し上げますなんて言っていますけれども、そんなことを言う必要はないわけですね。  やはりそこで態度が余りはっきりしないですよ。防衛庁長官としての立場であくまでも答弁をされておるわけですし、防衛庁長官所管事項について内閣総理大臣がそれを指揮し、監督し、訂正させるのだったら閣議の決定に基づいてやるべきなんでありますし、そういうものがないのだったら、防衛庁長官として答えられたことはちゃんと維持されるべきじゃないでしょうか。
  394. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 先ほど答弁さしていただきましたように、私の答弁の中で、武力攻撃が発生しない場合には、これはもう米国からの要請があってもあり得ないと、こういうことを答弁さしていただきました。これはあくまで海上自衛隊の出動においての、わが海上自衛隊が実力行使を要請によっては行うか、しかもそのことが武力攻撃がなかった場合においてもあり得るかという御質問でございましたので、そう答弁をさしていただきましたが、午後に至りまして、米軍として米軍の自衛権の発動という形で行われたものに対する同意を求められた場合にどうするかという問題につきまして、実はこれは防衛庁長官として答弁すべき問題ではなくて、政府全体の事柄であって、防衛庁長官私一人が答弁申し上げる問題でないと、これはそのときの答弁でもお答え申し上げたわけでございます。それで、そのことにつきまして、私が、安保条約第五条の発動下でない事態を想定して答弁をいたしたものですから、私としてはその点についてはそこつでございましたということをおわびさしていただいた次第でございます。  いずれにしましても、この問題に関しましては政府の統一見解が示されるというふうに聞き及んでおりますので、そのときまでいましばらくお待ちをいただければと、こう考えておるわけでございます。
  395. 東中光雄

    東中分科員 統一見解は統一見解でいいのですけれども、私がいま言うておりますのは、先ほど読みましたように、日本有事でなくてアメリカが独自に封鎖をする場合について、そういうことはあり得ない、了解なしにやるということはあり得ないということを言われて、これは夏目さんがそういう答弁をしていますね。どうしてもそういうことを言うてこられたときにはどうするかということになれば、アメリカがそういうことについて相談なく独自にやることは考えられませんし、そういう場合、わが国について言うならば、そういうことがもしあったにしても、要するに、やりますよということを了解を求めてきた、そういうことがもしあったにしてもお断りするだろう、これは防衛庁局長の答弁であり、防衛庁長官の答弁であった。  だから、この点について総理大臣の答弁との食い違いがあったということで、これはもう事実なんですから、それについて、このときに言われた防衛庁としての見解を、何かいまは言うてなかったみたいなことを言われるけれども、現にそう言うているのです。速記録にもそう書いてあるのですからね。そういうことについて、その主張を貫くというのじゃなくて、そういう答弁をしたがそれはそこつであったというようなことで、防衛庁長官ともあろう人が、内閣総理大臣といえども権限外のことですから、そういうことについて違った見解を総理大臣が言うたからといって、何かいまふにゃふにゃと撤回したかのごとく撤回しなかったかのごとく、言うておったのか言うてなかったかのごとくという態度をとられるのは、私は、三軍の長官としてはいかがかと思うのです。その点は、はっきりするものはして、違うのだったら違うで訂正するなら訂正するというのだったら、これはまた別です。訂正したらいかぬのです。私たちはそういうことを認めたらいかぬという立場に立っているわけですから、あなたの防衛庁としての答弁はちゃんと守るという姿勢を貫いてほしいと思うのですが、いかがでございましょう。
  396. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 くどいようでまことに恐縮でございますが、この問題は政府全体の事柄であって、私一人が答弁申し上げる問題ではないと、こう考えもいたしましたし、またそういうふうにもお断りを申し上げましたが、その上であえて申し上げましたのは、通常の場合における原則的な考えを申し述べさしていただいたわけでございます。その趣旨は、先ほど答弁さしていただきましたように、わが国に対する武力攻撃が発生してない場合においては、通常の場合、米軍の三海峡封鎖に同意することがわが国自身の安全の確保のために必要と判断されることはないだろうと、そういうように私は判断をいたしましてあのような答弁をさしていただいた次第でございます。  なお、もう一つつけ加えさしていただきますと、これまたくどいようでございますが、政府の統一見解が恐らく近々出されることだと思いますので、ひとつそのときにまた改めて答弁に立たしていただければと、こう考えております。
  397. 東中光雄

    東中分科員 それじゃ、何かようわかりませんけれども、前の答弁を維持しておられるようであって、ちょっとニュアンスが、通常の場合というのが入ってきたのですね。前は入ってなかったのです。そして原則ノーと言われた総理大臣の答弁と、通常の場合ということで合わされたような感じがしますのを私は非常に遺憾に思います。後また統一見解が出たときにお伺いするならお伺いしたいと思います。  それで、この三海峡については、ある日突然封鎖するというようなことじゃなくて、監視、警戒、哨戒活動というのをずっとやられておるはずであります。平時においてもやられておるはずであります。いま三海峡についての警戒、監視、哨戒はどういうふうにやられておるか、御質問いたします。
  398. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 三海峡の監視につきましては、主としてまず陸上における監視所等からの監視というのは申し上げられると思います。それから二つ目には、対馬、津軽海峡においては航空機、艦船による監視というものを行っております。たとえば、具体的に申し上げますれば、日本海においては一日一回、東シナ海周辺においては二日に一遍というふうな頻度で航空機の監視活動を行っているということでございます。
  399. 東中光雄

    東中分科員 えらい簡単に言われますけれども昭和五十三年以降は、五十四年度の防衛白書によりますと「津軽、対馬両海峡に水上艦艇を常続的に配備することにより、諸外国の艦船の装備、動向などに関する情報の入手に努めている。また、広大な周辺海域を行動する艦船の動向をは握するための対潜哨戒機による監視飛行は、監視海域を今年度から更に広めて実施している。」こういうふうに書いていますね。だから、津軽と対馬には常続的に水上艦艇を配備しておる。そして、その配備しておる自衛艦だと思うのですが、この五十四年の防衛白書によりますと、麗々しく写真が載っておりまして「海上自衛隊撮影(昭五四・二)」ということが書いてあって「ソ連カシン級ミサイル駆逐艦(手前)を監視中の海上自衛隊護衛艦(対馬海峡東水道)」という写真が載っていますね。この写真を撮ったのも自衛隊機ですから、手前におるソ連カシン級ミサイル駆逐艦というのはずいぶん大きく写っていますから、相当そばへ寄っていって、そして遠くに監視中の海上自衛隊の護衛艦も写真に一緒に撮っておる。こういう状態ですね。こういうのをずっと常続的にやっているわけですね、昭和五十三年から。そうじゃないのですか。
  400. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほども申し上げましたように、津軽、対馬海峡においては護衛艦一隻が常時遊よくして監視に当たっているということでございます。その監視する船がたまたま通峡するソ連の艦艇の写真を撮るということは間々あることだと思います。
  401. 東中光雄

    東中分科員 いや、船が写真を撮るのじゃないのです。飛行機が船を写真に入れているのです。  それで話は飛びますが、ガイドラインの二項によると、いわゆるおそれ段階ですね。平時において、しかも待機命令も出ていない段階でガイドラインによるおそれ段階、要するに作戦準備段階に入ったとすれば、一番最初にやるのは部隊の警戒監視のための態勢が強化から出発をして、部隊の戦闘準備の態勢の最大限の強化に至るまでの準備段階に入るのだ、こう言っておるわけですが、部隊の警戒監視のための態勢の強化は、いま言われておることからいってどういうふうに強化されていくのですか。
  402. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 このガイドラインによりますところのいわゆる準備段階といいますか、これはいろいろな段階があると思います。たとえば警戒監視の強化から部隊の戦闘準備の態勢の最大限の強化の段階までのいろいろな段階があると思いますが、この具体的なやり方等については、現在このガイドラインに基づく日米間においての研究事項になっているということでございます。
  403. 東中光雄

    東中分科員 現在の状態というのは作戦準備段階に入る前の段階で、常に駆逐艦が一隻この海峡に配備されて常続的に行動しておる、これがまたどんどん強化されていくことになるということだと思うのでありますが、こういう常続的監視をやる法的な根拠は何ですか。
  404. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 これは防衛庁設置法の第五条第二十号の所掌事務の遂行に必要な調査、研究ということに基づいて実施しております。
  405. 東中光雄

    東中分科員 防衛庁設置法の第五条第二十号は、必要な調査及び研究を行うことができるとなっておりますけれども、この権限の行使は、法律に従ってなされなければならないと五条本文には書いておりますが、どの法律にのっとってやっておるのですか。
  406. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この五条二十何号の権限はもちろん防衛庁設置法でございますが、たまたまほかの法律に該当し、あるいは抵触するような場合にはその当該関係の法律に基づかなければならないということでございまして、この監視業務というのは防衛庁の権限としてできることであるということでございます。
  407. 東中光雄

    東中分科員 何を言っているんですか。第五条は、「防衛庁は、この法律」防衛庁設置法ですね、「に規定する所掌事務を遂行するため、次に掲げる権限を有する。ただし、この権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従ってなされなければならない。」だから、たとえば五条の十九号は「訓練」、これは隊法にあるでしょう。あるいは「領空侵犯に対する措置」十八号にありますが、隊法の八十四条にある。こういうふうに全部法的根拠があるわけです。ところが、監視警戒活動というのは、あなた方は五条の二十号だとおっしゃるけれども、何の法律に基づいてこの二十号の権限が行使されるのですか。何の法的根拠もないのじゃないですか。
  408. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御承知のように自衛隊は、自衛隊法の第三条によって、わが国に対する武力攻撃に対して、わが国の平和と安全を守るということが任務とされております。その任務の遂行に必要な監視活動を防衛庁設置法に基づいて行うというふうに御理解をいただきたいと思います。
  409. 東中光雄

    東中分科員 そんな自衛隊法の目的を待ってくるんだったら、領空侵犯だってあるいはいわゆる掃海活動だって全部根拠は要らなくなります。そういう平時における行動についての法的根拠なしに自衛隊法上の一般的な目的だけで言うということになったら、これはシビリアンコントロールも全くないということになるわけですが、それだけじゃないのです。先ほど言いましたように、おそれ段階、作戦準備段階ということになったらどんどん強化していくんだ、何の権限もなしに強化していくんだということになる。  そこで、そういう形で監視警戒をやっていくということになって、防衛庁長官、先ほど来問題になっておりますような極東における米ソ間の戦闘状態が起こり得るということは、アメリカの国防報告でもよく出てきていますね、中東で起こったって同時多発戦略でと言っているわけです。そういうときに、日本海なり三海峡なりが風雲急を告げるといいますか、米ソ戦の戦場になりかねないという状態になったときに、自衛隊は、もちろん日本有事ではありません、そういうときに監視、哨戒、警戒行動だということで、いまでも常駐護衛艦が一隻おる、それを三隻にふやし、五隻にふやしてこの海峡へ出ていくというようなことをやれるのか、やるつもりなのか、その点はいかがでしょうか。
  410. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず第一点は、自衛隊の監視、いわゆる極東有事の際の云々という御指摘でございますが、私どもがいろいろな作戦準備を行うに当たって、防衛庁ができること、できないこと、いろいろな段階のものがあると思います。もちろん防衛庁でできることは防衛庁レベルでやるし、そうでないものがあればちゃんと適切な措置をとった上でやるという前提でございまして、野放図にやることが前提ではないということを御理解いただきたいと思います。  第二の極東有事の際にどこまでやるかということは、これはそのときのいろいろな状況によりまして一概に言えませんので、仮定の問題について、極東有事あるいは中近東有事の場合にどうかというようなことについては、いますぐさま具体的な対応というものが想起されませんので、監視活動がどうなるかということは申し上げるわけにいかないのじゃないかと思っております。
  411. 東中光雄

    東中分科員 長官、この間の総理の答弁では、米軍が単独で三海峡封鎖に出てくるという場合に、原則ノーだけれども、場合によっては、たとえば日本の艦船が次々に国籍不明の艦船によって撃沈されるとか、あるいは非常に緊迫性が高まっておるときとか、そういうときは国民世論、国会の意見を聞いてというような答弁をされましたね。そういう事態のときに、国民世論、国会の意見なんかも聞いてと言っているそういう時期、だから、まだアメリカは海峡封鎖をやるとは言ってない、あるいはやりたいといって申し入れてきているかもしれないけれども、そういう緊迫した情勢のときに、もちろん日本有事ではありません、七十六条による発動はされていないという事態で監視行動だあるいは警戒監視、哨戒行動だということで日本の自衛隊が三海峡へ出ていく。いまでも常駐一隻おるのです。それをもっと出していくというふうなことがあったら、これは日本がみずから戦争に突き進んでいくことになるのですね。そういうことは絶対にない、そういう場合は監視活動、三海峡なんかに出ていかないということをはっきりすべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  412. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 緊急事態と言われますが、緊急事態というのはどういう事態であるか、さまざまであって、いまここで直ちに想定することはなかなかむずかしいと思います。しかし、実態としてわが国の周辺に何事か起こったような事態、これがわが国の安全に重要な影響を与えるであろう場合が起こってきた場合には、私は、一般論としては監視活動が活発化するということは十分考えられる、それは当然のことだ、こういうふうに考えております。ただ、具体的にそれじゃどういう時期にどういうやり方をするのか、そのときどきの状況に応じてこれは異なるだろうと思いますから、ただいま答弁させていただきましたのは、あくまでこれは一般論として答弁させていただきましたが、どういう状態にどういうような監視活動がどの程度まで強化されるのかというような問題については、一概には申し上げられないような感じがいたしております。
  413. 東中光雄

    東中分科員 先ほど防衛局長が答えました設置法五条二十号による調査活動ですよ。緊迫時になったら、あのいわば政治的な調査活動を今度は作戦行動として強化していくという方向に、一般論としてであれ、防衛庁長官はそう言われたのです。そうなりますと、設置法五条二十号による調査活動が今度は作戦行動としての哨戒活動にずっと高められていきよる、それが作戦準備行動にもなる。それが一般的なんだということになれば、そのことによって戦闘行動じゃなくて——だって、ソ連艦隊が日本海から外へ出ていこうとしておるのを封鎖しようかといってアメリカが動いておるという事態のときに、日本の自衛艦が、一般的な調査活動でございます、設置法の調査活動でございますといってどんどん監視活動を強化していくのだ。これは全く戦争への、それこそ侵害を受けてないだけでなしに、宣戦布告のないままでどんどん出ていく。あそこに二十隻も並んでごらんなさい、対馬海峡に。それ自体で戦闘行動になってしまいますよ。そういうことは、厳にやるべきでないんだということははっきりされるべきだと思うのですが、防衛庁長官にお聞きして私の質問を終わります。
  414. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 先ほど政府委員から設置法五条の二十号について答弁をいたしましたが、その二十号は「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行う」ということが明記されておるわけでございますが、法文の解釈、それから先ほど政府委員の答弁をいたしました細目にわたっては、さらに政府委員から答弁をさせていただくことをお許し願いたいと存じます。
  415. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 いま大臣からも御答弁ありましたように、現在行っておりますのはあくまでも平時における監視活動ということで、根拠も申し上げたわけでございます。極東有事の際にどうかということについては、これはもう様相が一概に申し上げられませんので、具体的にいまどういうことになるのかということは申し上げられませんが、いずれにしても先生の御懸念のような、総理も先般お答えになりましたような、日本が巻き込まれることのないような十分の配慮というものは当然必要だと思っております。
  416. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  417. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 カムチャッカ半島のペトロパブロフスク、これは米軍の第七艦隊の守備範囲に入っておりますか、それとも第三艦隊の守備範囲に入っておりますか。
  418. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 多分、第七艦隊の守備範囲だと理解しております。
  419. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは多分というのは、はっきりわからないという意味じゃないですか。よく調べてごらんなさい。わからなかったら時間上げますけれども……。
  420. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 第七艦隊の守備範囲は、私ども認識しておりますのは、西は東経十七度から東は東経百六十度ということでございまして、カムチャッカ半島のペトロがこの線のどこになるかということはちょっといまのところ認識がございませんので、御勘弁願います。
  421. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 すぐ調べてください、後の質問と関連いたしますから。私は、多分第三艦隊だと思っております。それ調べてください、後の質問に関係がありますから。  私は、集団的自衛権の問題を主として質問をいたしたいと思います。  去年の十一月二十三日にイーグルバーガー米国務次官、これは政治担当であります。ワシントンで外人記者団に、シーレーン防衛は日本の領土防衛の一環であると言い切っておりますが、防衛庁長官の認識はどうですか。
  422. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 わが国は、食糧、エネルギーその他の資源を海外に依存しているという意味で、シーレーンというものがわが国の防衛にとってきわめて重要であるというふうに認識しております。
  423. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では、イーグルバーガー米国務次官と同じ認識ですね。  次に、例の二月四日から五日にかけての総括質問の中で、日本有事に来援する米艦船が阻害されようとしたときは自衛隊は公海上でも救出行動を行う、これは個別的自衛権の範囲内である、こう中曽根総理は答弁をされております。われわれの過去の何回かのやりとりで、日本有事の際にいろいろやっておる場合に結果として守ることになることはあり得る。特に五十年十月二十九日の衆議院予算委員会で、宮澤さんはこう答弁されております。自衛隊は米艦を守る責任はない。あるいはそれを主たる目的とするような行動は差し控えるべきである。しかし、結果として守ることになることはあり得る。明確に答弁されておる。  つまり、私が言いたいのは、結果としては守ることになることがあるかもしれないが、目的として、それを目的にそういう行動をすることは差し控えるべきである。明確になっておる。それはいまも認識変わりませんか、防衛庁長官
  424. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この問題につきましては、四十八年の楢崎委員の質問提起以来再三といいますか、もう十数回にわたって議論がなされておりますが、この間の政府側の答弁の主張の大筋を申し上げますと、まず第一点は、自衛隊の行動はわが国を防衛するための必要限度内、すなわち個別的自衛権の範囲内であるということを強調しております。そして、このことを強調するために、時によって結果としてというふうな言い方をしていることもまた事実でございますが、要は、個別的自衛権の範囲を出ることがいけないのだということを言っているのだと思います。  それから第二の問題は、もっぱら米艦を守ることを目的として行動することはない、ということは、裏返しに申し上げれば、米艦隊の行動は必ずしもわが国を防衛するための行動に限るものではないというふうな認識が背景にあるものと思われます。  第三の問題は、当該米艦がわが国防衛のために行動しているということが、いま第二番目に申し上げたことの裏返しになろうかと思います。  それから最後に、もう一つ従来の答弁で繰り返されておるのは、一般的に米艦隊を守る責任というものはないということを申し上げておる。  この基本的な枠組みといいますか大筋というものは、従来と今日も変わっていないというふうに認識しております。
  425. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 つまり、結果としてはあり得るが、目的としてそういうことをやるのは差し控える、これは集団的自衛権に触れる非常にデリケートな問題である、そういう配慮があったと思うのですね。  そういう観点から見るならば、二月四日から五日にかけての総理の答弁は、従来の政府答弁を超えるものである、素直に読んで。みんなそういう認識を持ちましたよ、あの答弁を受けまして。その点はどうでしょうか。
  426. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 従来の答弁の趣旨も、いま私が申し上げた四つの原則といいますか、枠というものから見た場合に、現在の政府考え方と変わっていないと思いますが、その答弁の仕方はそのときの環境によってのニュアンスに相違がありましたので、確かにいま先生が御指摘のような受け取られ方をした向きもあるかもしれませんが、私どもとしては、基本的な大筋は変わっていないだろうというふうに理解しております。
  427. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 しかし、明らかに総理答弁はこうなっているのですね。日本有事に来援する米艦船が阻害されようとしたときは自衛隊は救出行動をとる、公海上でも。それは目的として行くというのです。結果としてじゃなしにね。明らかにそうです。だから、この二月四日、五日の総理答弁は、従来の政府答弁を超えるものではないか、こう言っているのです。
  428. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 総理の答弁は、わが国に対して武力攻撃があった際にわが国と米側は共同対処をするということを踏まえました上で、米艦がわが国の近辺においてわが国を防衛するために行動をしている、それをわれわれが、わが海上自衛隊なり航空自衛隊が共同対処の一環として守るということは個別的自衛権であるというふうな認識から、これは憲法に、集団的自衛権にわたるような事柄ではないという趣旨を述べられたということは、先ほど来私が何回か申し上げている従来の答弁と大筋において変わりない、踏み外したものではないというふうに理解しております。
  429. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 近辺という言葉が入ってないのです。あなた、どうして勝手に総理の答弁の中に近辺と入れるのですか。ここが重大なんだ。近辺というのは入ってませんよ。
  430. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 何回かの質問、討議のやりとりがあったものですから、あるいは近辺というのがない、省略されたときの御議論もあろうかと思いますが、私は、いまわが国の近海においてというふうなことがあったように聞いております。いずれにしても、この近海におけるということを申し上げたのは特段の意味があるわけでなくて、そうしたわが国の個別的自衛権に該当する事案であるということを説明する一つの典型的な例として申し上げたんだろうと思います。もし、そういうふうな近辺、近海ということの前提がなしの御議論があれば、そういう意味だろうというふうに思っております。
  431. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では逆に、そういう近辺というような条件でなしに総理の答弁が行われたとすれば、これは従来の答弁を逸脱していますね。
  432. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 これも従来再三にわたって御答弁申し上げておりますが、わが国の自衛権の及ぶ範囲というのは必ずしもわが国の領空、領海にとどまるものではなく、必要に応じて公海、公空に及ぶことがあり得べし、ただし、それがどこまで及ぶかについては一概に言えないというのが、これは従来の政府の答弁でございまして、日米の共同対処における行動の範囲も、それと同じことであるというふうに理解しております。
  433. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では、あなたが近海とおっしゃったのは、どういうことを考えていらっしゃるのですか。
  434. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほど近海と言ったのは、何か総理は来援に駆けつけているというようなことをおっしゃったようでございます。そういう意味で、ますますその典型的な例として申し上げたのだろうというふうに思います。  第二の質問、ただいまの御質問でございますが、近海というのはどういう意味かというのは必ずしもはっきりしておりませんが、私どもとしては、通常私ども日米共同作戦をやる場合に、わが方は防衛力整備の目標として周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には千マイルということを申し上げております。そういう意味合いから、わが方の自衛隊の行動の限界といいますか能力的な限界というものも、おのずからあるだろうというふうに考えております。
  435. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、そういうことだろうと、それなりに、賛成はしませんけれども、理解はするのですよ。つまり、例の周辺数百海里、これは三百海里と言われたこともあります、航路帯を設けるときは千海里程度、つまりそういう近海あるいは近辺という場合には大体めどとしては周辺三百海里ぐらいのところ、そう理解してよろしゅうございますか。
  436. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この周辺数百海里も、過去十数年にわたって種々——十数年でもございませんが、十年近く御議論があったことでございまして、いろいろな言い方がありますが、少なくも昭和四十年代の後半以降は数百マイルと、その数字を具体的に言うのはなかなかむずかしいだろう、数百マイルということで御理解をいただいているというのがいままでの実情であるというふうに理解しております。
  437. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、いろいろ言い方を変えたのは、こっちじゃないのですよ。政府の方ですよ。  その中で、亡くなられた久保防衛局長は、三百海里ということを言われたことがあるのです。それから、これはかつて塩田さんが防衛局長のときにもいろいろ論議のやりとりをしましたけれども、シーレーンの一千海里という幅の問題についても、当時の久保さんははっきり言っているのです。だから、そういうことでいいですかと聞いている。久保さんのあれが変わったなら変わったと言ってください。  数百海里というのは、私よくわかりませんが、フューなのか、セブラルなのか、どうなんですか。数百海里の数というのは何ですか。
  438. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 数百海里というのはフューかセブラルかというのはなかなかむずかしゅうございまして、いずれにせよ数百海里、その程度のものであるということで、具体的にこれを三百とかあるいは五、六百かとか、あるいは六、七百かというふうなことをお答えするのは、なかなかむずかしいだろうというふうに思っております。(楢崎分科員「いや、答えられたのです、久保さんは」と呼ぶ)
  439. 橋本龍太郎

    橋本主査 どうぞ許可を得て発言のほどを。
  440. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 かつてそういうことを答えたことがありますが、その後、なかなか、そういうふうに決めるのは適当でない、妥当でない、また決めかねるということがあったと思います。  それからもう一つ、幅については、当時の考え方として、一つは当時は通常潜水艦が主体であった。そういう潜水艦がシュノーケルを一たん出して、またそれを引っ込めて行動して、そのいろいろな行動をするにはそれぞれの行動の距離、範囲、限界というものがあるだろう、そういうことをかねて航路帯の幅を何マイルというふうなことを申し上げたように私は記憶しておりますが、なかなかそれも確定的な、意味のあるものではなくて、やはり航路帯というのはもともとあるものでございませんから、その幅を言うことはかえって混乱のもとになるのではないかというふうに理解しております。
  441. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ペトロパブロフスクはわかりましたか。
  442. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 どうも先生の御指摘のとおり、三艦隊の守備範囲のようでございます。
  443. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が指摘したとおりなんです。  私は、なぜこれを問題にしておるかというと、第三艦隊は練習艦隊のはずです、名目上。しかし、有事の場合は、いわゆる七鑑と一緒に実動部隊になるでしょう。局長が、常識的にこれは第七艦ではないかと思われたのは無理ないと思う。私もそう思っていた。  というのは、ペトロパブロフスクは、極東有事の際でも日本有事の際でも、たとえばそれが紛争相手国、対象国がソ連の場合は、これを攻撃というと生々し過ぎますけれども、一応ウラジオストクと並んで重要な攻撃対象になる海軍基地なんですね。それなのになぜ第三艦隊の守備範囲になっているか。あなたはどう思われますか。
  444. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 アメリカがどのような考え方に基づいて七艦隊と三艦隊の守備範囲を決めているか、私は浅学非才にして存じておりません。
  445. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この第三艦隊に自衛隊のユニホームが出向しておりますね。
  446. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 私、いま正確なことを承知しておりませんが、たしか私の記憶によりますれば、海上自衛隊の幹部が一人、いわゆる連絡官といいますか、リエゾンオフィサーとしてハワイに派遣されているように記憶しております。
  447. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その意味が私はわからないのですよ。ハワイ駐在だけで十分じゃないのでしょうか。なぜ第三艦隊に派遣されているのです。
  448. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ちょっと突然のお尋ねなものですから……。いずれにしても、ハワイにはいわゆるCINCPAC、太平洋軍あるいは太平洋艦隊司令部がありますので、そのいずれかではないかというふうに思いますが、正確なことはちょっといま私わかりませんので、必要であれば調べて御返事をさせていただきます。
  449. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、正確にその所属、派遣された相手を調べてください。ハワイにおるだけじゃわからないのですね。では、それは一応留保いたしておきます。  そこで、日本有事の際に共同作戦を日米はとります。先ほど申し上げたとおり、ペトロパブロフスクは重大な攻撃対象基地である。仮定の問題として、日米がこのペトロパブロフスク攻撃のための共同作戦をする。日本の側の行動はどの程度までと考えられますか。どうせ公海上に出るのですけれども、どこら辺までは共同作戦ができると。
  450. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 これも先ほど申し上げましたが、わが国の防衛力というのは、わが国周辺数百海里、航路帯を転ける場合には千マイルということをめどにして現在防衛力整備を進めております。また、私ども五六中業で、一刻も早くこの大綱の水準を達したいというふうに願っているわけでございます。そういう意味合いから申して、われわれ現在持っている海上自衛隊の及ぶ行動範囲というのは、およそ限界があろうかというふうに思っております。  具体的にどこまでということは、いま直ちに考え方の持ち合わせがあるわけではございませんが、あくまでもわが国防衛のための自衛の範囲内にとどまるべきことはまたこれ当然でございまして、それが具体的にどこまでということをお答えするようなものはございません。それは、そのときの作戦の様相によっても異なるでありましょうし、具体的にペトロがどうとかということをお答えする材料は持ち合わせておりません。
  451. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 日米共同作戦のガイドラインの中においてこれは当然検討課題になると思われますが、どうですか。架空な論議をする場じゃないと思うのですよ、日米協議は、ガイドラインは。当然私は検討範囲に入る、こう思いますが、どうですか。
  452. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 「日米防衛協力のための指針」、ガイドラインにおきます日米間の作戦の分担ということは、これも釈迦に説法でございますが、一般原則を申し上げれば、わが自衛隊は防勢作戦を行う、米側はそれに対して支援を行い、あるいは自衛隊が能力を持ってない機動打撃力等を伴うような、海空の兵力を伴う作戦を実施する、こういうことになっておりまして、私どもとしてはいわゆる防勢作戦が主体でございますから、そういう意味合いからおのずから限界があろうかと思います。  それから第二点は、具体的な日米共同対処のあり方については、一昨年の夏、一つのシナリオに基づく成案というものは得ておりますが、これも現在手直しをして、より精緻なものにすべく努力を継続しているというのが第二点。  それから第三点は、先生がただいま御指摘になったような作戦は、あるいはシーレーンの防衛についての共同研究にも該当するかと思いますが、これは最初申し上げたような前提条件を踏まえて研究をすることになる。その具体的な形がどうなるかは、これから研究を開始してみないと、どういうふうな共同作戦のあり方が出てくるかというのは一概に申せないということでございます。
  453. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 先ほど外務省関係でお伺いしたのですが、同じ問題を防衛庁の方ではどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。  それは五十八年二月十九日の総括の最終日でありますが、東中委員が海峡封鎖問題と関連をして、極東有事、日本が攻撃されていない場合の海峡封鎖の問題、もし日本が攻撃されなくて、極東有事の場合に、米軍から海峡封鎖をしたいというような事態が起こったときにはイエスかノーかとわかりやすく、それを総理大臣に聞いたら、総理大臣はこういう答弁をされております。「私は、日本に対する武力攻撃が発生していない、そういう場合には原則ノーだ、」「ただし、そのときの情勢によりまして、日本に対する武力攻撃の発生が非常に緊迫性をもって出てきておるというふうに判断されるような場合とか、あるいは日本の船舶が国籍不明の船等によって非常に甚大な被害を受けてき始めているとか、」これは前段は「とか」となっておりますが、後半は具体的な例を出しておるわけです。日本の船舶が国籍不明の船によって頻繁に攻撃された、そういうときが米軍に海峡封鎖をしてよろしかろうというような場合の例だというふうにこれはなっているわけですね。  防衛庁長官、国籍不明の船となっておるんですね。国籍不明の船からやられたときに、どうして海峡封鎖をイエスと言うことにつながるのですか。どこの国かわからぬということですから。従来海峡封鎖というのは、紛れもなく米ソ紛争の場合のことなんですね。それで、ソ連の太平洋艦隊を日本海に封じ込めるために海峡封鎖をする、こういう想定で論議がされておりますね。この国籍不明が、明らかにたとえばソ連の船によって非常に攻撃が頻繁になったといえば、そういう場合はだから海峡封鎖、こうなるけれども、相手国がわからぬ、国籍不明です。それなのに、どうしてイエス——イエスというのは、つまり海峡封鎖してよろしかろうとアメリカに対して言う場合の例になるのです、防衛庁長官。わからないんだ、私は。さっきも外務省関係で法制局長官に聞いても、私はわからない。法制局長官も何となくわからないような感じだ。防衛庁長官は、これはどのように理解されますか。総理大臣が公の場で例として挙げられた。
  454. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 このような実態はどのような実態であるかについていろいろの想定があろうと存じますが、いずれにいたしましても、総理の御答弁のような場合は恐らく五条事態以外の状態に限られると思いますので、この答弁につきましてはしかるべき政府委員から答弁をいたさせることをお許しいただきたいと存じます。
  455. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 長官は、よくわからないから政府委員に答えさせるという意味ですか。それならそれでわかるのです、私もわからないから。同じ認識になるわけですね、よくわからぬという。それで、政府委員の中で知っておる人があったら答えてちょうだい、こういうことですか。
  456. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ただいま大臣から御答弁がありましたように、米側が、日本有事でない、日本に対する攻撃がない事態において、そのようなことをみずからやるということの申し出があるということが実際にあるのかないのか、なかなかむずかしい問題であると思いますが、通常の場合であれば、わが国の安全保障に影響があるとは考えられないというふうな意味から、原則的な意味でノーではあるが、ただ、理論的な例外的な場合が全くないとは言えないというふうな意味合いで、一つの例示として総理が申し上げたのではないかというふうにそんたくはいたしておりますが、私もその程度の理解をする以外にいま具体的な材料を持ち合わせておりません。
  457. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 委員長、わかりましたか。国籍不明のとおっしゃっておるのです。私は架空のことを言っているんじゃない。国籍不明の船によってやられたとき——どなたかわかる人、ありますか。
  458. 橋本龍太郎

    橋本主査 しかるべき人、ないか。
  459. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これが、たとえばソ連ならわかるんですよ。ソ連ならよくわかります、論理上。こういうことで日本側がイエスなどと言うことができるのですか。総理はできるとおっしゃっているんだ。
  460. 橋本龍太郎

    橋本主査 条約局長
  461. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや委員長、ちょっと済みません。あなたは済んでいるんですね、さっき。
  462. 橋本龍太郎

    橋本主査 いや、しかし、しかるべき人らしいから答えさせてみてください。
  463. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 僕は防衛庁の考えを聞きたい。外務省の考えはさっきわかりましたから。
  464. 橋本龍太郎

    橋本主査 ただ、私はしかるべき人をいま指名しました。条約局長
  465. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 先ほど第二分科会の方で御質問がありまして、法制局長官より御答弁がございましたが、ソ連とかなんとか具体的な国名を挙げて議論をするのは必ずしも適当でないと思いますが、いずれにしましても、ここで総理が言っておられるのは、武力攻撃の発生が非常に緊迫性を持って出てきておるというふうに判断されるような場合、こういうふうに言っておられまして、その後の、国籍不明の船舶等によって云々とおっしゃるのは、楢崎委員指摘のように、一つの例示の事態であろうというふうに考えます。  そこで楢崎委員の御質問は、国籍不明であるからどこの国から日本の船舶がやられているかわからないではないか、そういう場合に、他方におきまして、X国からの武力攻撃に対応して自衛権を行使しておるアメリカが通峡阻止を行うのに、日本がイエスを言う場合があり得るというのはおかしいではないかというのが、楢崎委員の御質問のポイントであろうかというふうに推測するわけでございますが、これは必ずしもそういうふうに、要するに日本の船舶を攻撃しておる国がアメリカが自衛権を行使しておる相手国である、同一の国から攻撃を受けておるのであるというふうに、そこまで認識されてない事態ではあるけれども、しかし、武力攻撃の発生が非常に緊迫性を持ってきておる事態であるので、アメリカが他方において、X国であればX国に対する自衛権行使の一環として通峡阻止を行うことによって、その結果として日本の船舶の安全が確保され、日本に対する武力攻撃の発生、非常に緊迫してきた事態というものが緩和される、そういう意味において日本の安全に寄与するのであれば、そういう非常に例外的な場合には、アメリカがそのX国に対する自衛権の行使の一環として、海峡において何らかの通峡阻止の行動をとるということを容認する場合があるかもしらぬ、そういうふうな総理のお考えで御答弁になったのではないかというふうに考える次第でございます。
  466. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 全然わからぬですね。これは適当でないかもしれぬが、仮にソ連と言った方がわかりやすいから言いますよ。国籍不明の船がソ連であれば、日本海を封じ込めるために三海峡封鎖ということはあり得るけれども、ソ連以外のものかもしれないのだ、これは。ソ連以外の国かもしれないのに、何でソ連の艦船封じ込めの海峡封鎖をやる必要があるのですかと聞いておるのです。  私は先ほども申し上げたけれども、これは防衛庁のかつての演習の想定の中にあったのです。国籍不明の潜水艦からいろいろやられて、そこで防衛出動が行われる。そういう演習の想定になっておる。だから突如として出てきた話じゃない。これは、中曽根総理がかつて防衛庁長官のときにあったんだ。だから、またちょろっと出てきた。それで私は問題にしておるのですよ。しかも、総理になっても公の場でこういうことをおっしゃるとはどういうことなのかということを私ははっきりさせたいのですよ、こういうことで海峡封鎖ができるのですかと。わからぬでしょう、どこの国か。ソ連ならわかると言うんだ、私は。そうでない、もしほかの国だった場合には、何で三海峡封鎖するんですか。
  467. 橋本龍太郎

    橋本主査 防衛庁側にしかるべき方はありませんか。
  468. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 よくわからぬとおっしゃればいいんですよ。わかったようなふうにして答弁なさるからいけないんです。正直にわからないとおっしゃれば、それはそれでいいんですよ。
  469. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 要するに、通常の場合は考えにくいけれども、理論的な場合として、そういった可能性を全く否定し去るわけにはいくまいだうということで、国際情勢が緊迫したというふうなことの例示として申されたんだろうというふうに思っております。
  470. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはそう言っている。例示と私は言っている。その例示の中身がわからぬから聞いておるのです。国籍不明の船によって日本の船舶が撃沈されるというのはどういうことなんですか、わからない。こういう無責任なことを何で言われるのであろうか。おとといの質問で申し上げたでしょう。中曽根総理は海峡封鎖に関して、かつて四十五年夏アメリカへ行かれてレアード長官と会われたときにも、シー・オブ・ジャパンじゃなしにレーク・オブ・ジャパンにする、日本の湖にしている。そうして一方、今度の訪米ではワシントン・ポストに、海峡封鎖についてはコンプリート・アンド・フルコントロール。念が入っておるんですよ、完全かつ全面的に。ところが防衛庁お答えでは、三〇%ぐらいしか可能性がない、完璧にということはないんだと答弁なさったでしょう。だから、その整合性はどうなるのかと僕は聞いたでしょう、おととい。お答えがなかったんだ、わからないから。完全にかつ全面的という言葉だったら一〇〇%でしょう。どうして総理はそんな言い方をするのです、できもしないことを。これを私は言いたいわけです。  それで、防衛庁長官、これはどういう意味かと聞いておいてくださいよ。だれもわからないのだから、本人でなくちゃ、国防会議議長にね。これはどこかでちょろっと新聞記者に話した問題とは違う。当予算委員会の総括の場において総理が答えられた。しかも、重要な個所なんだ。だれでも問題にした、各党の人が。どうでしょうか、長官
  471. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 お答えにならぬかと存じますけれども、総理の例示された問題は、先ほど政府委員が答弁をいたしましたように、非常な緊迫性を持っている場合において、わが国自身の安全の確保のためにぜひとも必要と判断されるような可能性も完全には排除されない、そのうちの例示として、例外的な場合にはそのような事情を考慮に入れるべきではなかろうかという意味で御発言なさったように、私は受けとめたわけでございます。したがいまして、それ以上の答弁は、私としてもこの場所では何とも申し上げかねます。
  472. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから、総理に聞いてくださいと言っているんです、あなたもわからないのだから。それを聞いているのです、総理にただしておいてくださいと。いずれほかの委員会でもチャンスがあろうと思いますから、その節その総理のお考えを伝えていただきたい。どうですか、これは。
  473. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 予算委員会総括質問の時点において出た問題でございまして、これについては私自身の答弁にも関係をすることもございまして、私の記憶では、各党の理事先生の間の協議もこれあり、いずれ時を改めまして政府として見解の形で出させていただくというふうに理解をいたしております。それまでの間、しばし猶予をいただきたい、こう考えております。
  474. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまのような御答弁ですから、これは理事会で取り扱いを検討していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  475. 橋本龍太郎

    橋本主査 理事会の方にお伝えをいたします。
  476. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでちょっと法制局長官、おっていただいて長くなって恐縮ですけれども、自衛権発動の場合の条件は、先ほど明白にしたのですが、まず第一番の急迫不正の侵害が現実に行われたときというこの第一条件ですが、この侵害というのは、自衛隊法で言う七十六条の防衛出動の場合の「おそれある場合を含む」となっておりますね。このおそれあるというような状況のときは、これは急迫不正の侵害があったときということに該当しますか。
  477. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 防衛出動の要件と自衛権発動の要件とは別でございまして、いま御指摘のおそれがあるという状態では自衛権の発動はできません。
  478. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、おそれある場合も自衛隊法では防衛出動はできる。いま長官がおっしゃった意味は、防衛出動はできても、実際の武力の行使はできないという意味ですか。
  479. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 防衛出動が下令されていても、自衛権の発動の要件が満たされない限り自衛権は発動できない、こういうことでございます。
  480. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 武力の行使を聞いているのです。
  481. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 自衛権の発動というのは、もとより武力の行使という意味でございます。
  482. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは、ほかの自衛隊はわかりません。海上自衛隊にタ−コという言葉があるのを御存じですか。
  483. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 多分、P2Jとか、ああいう対潜哨戒機に搭乗している戦術航空士のことをTACCOというふうにわれわれ呼んでいますが、そのことではないかと思います。
  484. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりであります。このオフィサーは、具体的にどういう権限があるのですか。
  485. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 対潜哨戒機の任務というのは、いわゆる洋上における相手の潜水艦の捜索探知が主任務でございまして、これは捜索のパターンによって広域捜索とか、あるいは狭い海域の捜索とかいろいろありますが、いずれにせよ、そういった捜索探知というものを有効にするために、いろいろな集められた情報を総合して、航空機のパイロットにあちらへ行けというふうな指示もするでしょうし、あるいはソノブイ等の投下の指示もするというふうな、いわばP2Jの乗組員の中枢になるんではないかというふうに考えております。
  486. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 P2Jを言われましたから、P2Jを例に挙げましょうか。これは機長ではありませんね。
  487. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 機長といいますか、通常の場合の機長というのは、操縦士、副操縦士ということになって、そのうちの操縦士が機長ということでありますが、このTACCOはいわゆるパイロットではございません。
  488. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 機長以上の指揮権限を持っていますね。
  489. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 指揮権限といいますか、いわゆるコントロールといいますか、対潜哨戒機の行動その他についてのいわば機内の調整の主任になるのだろうというふうに思います。
  490. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 一例を挙げますと、突発時における武器使用命令権を持っていますね。
  491. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 あくまでもTACCOというのは、潜水艦の探知、捜索のための先ほど申し上げたような調整の主任者ということであって、航空機の運航についての責任者なりは機長になるのだろうというふうに理解しております。
  492. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私はそんなことを聞いていない。突発時点における武器使用の命令権を持っている、突発時におけるですよ。
  493. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ちょっと一概にそれはどういう場合か、なかなか想像がむずかしいわけですが、いずれにしても航空機の運航についての責任者というのは機長でございますから、そういう必要があれば多分機長の命令によって行われる、あるいは事態によってはもっと上級司令部の許可が要る、こういうことになるのだろうと思います。
  494. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは違うのじゃありませんか。かつて栗栖さんが奇襲時の武器使用について問題を提起をされた。そういう突発時における判断というものは現地の指揮官、こうなっているでしょう。私は、P2Jの場合はこのTACCOがその権限を持っている。実際のP2Jのユニホームから聞いている話ですよ。
  495. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず第一に明らかにしなければならないのは、武器の使用といわゆる有事の際における武力行使とは意味合いが違うということでございまして、いま先生の御指摘が武器の使用ということでありますれば、P2Jという航空機は最終的には潜水艦を探知し、それを攻撃するロケットなりそういったものの装備はできますけれども、いわゆる一般的な武器の使用としてそういうことができるかどうか。私は栗栖元統幕議長の発言の趣旨、十分存じておりませんけれども、要撃機の場合に、いわゆる緊急避難、正当防衛に当たるような場合には武器の使用ができるということであれば、パイロットがそういった責任を持っているというふうに言えようかと思います。
  496. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 やっとそれらしい答弁になったわけですけれども、突発時においてこれが権限を持っているのです、命令権限を。  P2Jなりあるいはスクランブルのファイター、戦闘機が現実に実弾とか、そういう装備をしたのはいつからですか。
  497. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 まず、戦闘機、スクランブル機が実際の弾なりミサイルを装着するようにしたのは、五十五年の夏だったと記憶しております。  それから、P2J等につきましては、ふだんの訓練にいつでも実弾を積んでいるわけではございませんで、いま申し上げたのは、あくまでもスクランブルのための要撃戦闘機がそういった実装をしているということでございます。
  498. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では明確にいたしましょうか。P2Jの場合は、ずっと前からそういう対潜兵器を積んでおった。スクランブルの戦闘機は、五十五年夏ごろから実際の実弾を装備するようになった。いつから明確にどのような形でその指示がなされたか、通達だと思いますが、それを出せますか。
  499. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 多分、当時の防衛庁長官の承認を得てそういった通達なり指示が出ておると思います。その指示、通達については、私いまにわかにどういうものかわかりませんので、検討して、出せるべきものであれば当然お出しいたします。
  500. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはぜひお願いをします。  そこで、一番最後になりましたけれども自衛隊法の七十六条で言うおそれという段階ではこれは自衛権は発動できない、明確におっしゃったわけです。ところが法制局長官、実際の進行状態はそうではないのですね。たとえば、先ほどの明らかに日本が攻撃されるおそれのあった場合はシーレーン防衛に着手しますか、できますか。
  501. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 いまのシーレーン防衛のための着手というのが具体的にどういうことを意味するかわかりませんが、いずれにしても自衛権の発動、武力行使を前提とするような自衛権の発動はおそれのあるときではできない、これは先ほど法制局長官からも御答弁があったとおりだと思います。
  502. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それじゃ、要するに武力行使はしないでも、シーレーンの日米共同防衛体制に入りますか。そういうふうに聞きましょうか、七十六条のあのおそれの段階で。
  503. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 これは、ガイドラインの中におきましても、いわゆる有事における共同対処というものを有効に、整合のとれた形で進めるように、平素の準備というか準備段階というものを研究しておこうということでございます。そういう意味合いの研究をいたすことにはしておりますが、具体的にどういうふうなことができるかということについては、今後の共同研究の結果を待たないと、いま直ちにどういう準備ができるかということを申し上げるような段階にまだ来ておりません。
  504. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が一番問題にしているのは、実際にはさっき言ったおそれの段階では、個別的自衛権も発動できない段階で、しかしシーレーン防衛体制に入ると思うのですね、そういうおそれのある場合は。つまり、七十七条の待機命令のときでもそういう体制に入るのではなかろうかと私は思うが、それよりも一段と進んで七十六条の防衛出動下令下——おそれある場合は含みますから、そういう場合も、いままでの防衛庁政府のいろいろな発言を見ますと、私は当然シーレーン防衛体制に入ると思う。武力行使するかどうかは別として、できないということでしょうが、体制には入る。つまり、集団自衛権に触れるような予備的なといいますか、非常にデリケートなところの体制に入るのは事実なのですね、実際問題として。そこを私は申し上げている。  それからもう一つ。三番目の自衛権発動の三条件目、必要最小限度という条件もある。このシーレーン防衛は必要最小限度、先ほど防衛局長お話では、これは日本領域を守ることに匹敵するという認識ですから必要最小限度ということになるのではなかろうか、私はそのように聞きましたけれども、法制局長官、その点どうでしょうか。
  505. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 どうも具体的な態様について私がお答えする能力はありませんけれども、御質問の趣旨が、要するにいかに武力攻撃のおそれがあったとしても現に武力攻撃がない限り、それはもう自衛権の発動というか武力行使はできないと思います。その以前の段階でどこまでできるかということは、先ほど防衛局長もいろいろな態様があるだろうということを申し上げておりますが、私もそれ以上申し上げることはできないと思います。  それから最後に御質問になりました、自衛のため必要最小限度の武力行使というのは個別的自衛権の場合でも無論当てはまるわけで、集団的自衛権にならなくとも個別的自衛権の範囲内において自衛のため必要最小限度でなければならない。ただし、その自衛のために必要最小限度という場合の態様についても、前にお答えしたと思いますが、いろいろな態様がありまして、どこまでというようなことは申し上げられないと思います。
  506. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 シーレーン防衛も事態によっては必要最小限度、そういうことになる場合もあるということですね。
  507. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 シーレーンの防衛という具体的な中身が私にはよくわからないのですが、武力行使に至らないものであれば武力行使のない前にもできるし、それから武力攻撃があった後であればそれは必要最小限度の範囲内に入ればできる、それだけでございます。
  508. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 入ればできる、それはあたりまえの話で、入る場合もありますかと私は聞いているのですよ。
  509. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 先ほども申し上げたと思いますけれども、シーレーンの防衛というのが具体的にどういうところまで入っているのかよくわかりませんから、一応そのことをお断りした上で申し上げれば、それは入ることもあり得ると思いますけれども、その概念自体が、また具体的な態様がはなはだ私にはまだわかりませんから、そういうふうに申し上げたわけです。
  510. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がなぜこういうことをお伺いしているかというと、いまからガイドラインで詰めが行われる。かつて宮澤官房長官が、昨年の九月三日、日米安保事務レベル会議の日米共同研究についてということで、こういうことを記者会見で言われているのです、シーレーン防衛に関して集団的自衛権と個別的自衛権の区別をあらかじめはっきりさせるのは困難だ、この事務レベル会議の共同研究の場合。この官房長官の認識についてはどうですか。
  511. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 いずれにいたしましても、このシーレーン防衛の共同研究というのはガイドラインに基づいて行うわけでございまして、このガイドラインを設定するために先立ちまして決められた条件、前提条件がございます。それはそれぞれの憲法の中で行う、事前協議は対象としない、非核三原則も対象としない、しかも米国側はわれわれの立場が個別的自衛権を超えることは一切できないことを認識した上で共同研究の着手に合意をしているということから見て、御懸念のようなことは万々起こり得ないというふうに理解しております。
  512. 橋本龍太郎

    橋本主査 時間が参りましたので締めくくりをしてください。
  513. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 締めくくりをやります。  それは私に対する答弁というよりも、宮澤長官に対してあなたはおっしゃっていることになるのですよ、ゆめゆめ御心配は要りません。しかし、宮澤長官は、非常にデリケートな問題だから区別をあらかじめ設定するのはむずかしい。私は、それが正直なところだろうと思う。というのは、三海峡問題でもシーレーン防衛問題でも、集団的自衛権に触れるのではないかということを今度の予算委員会でもずっとやってきたのですが、この問題は非常にデリケートなところなんです、海峡封鎖にしろシーレーンの問題にしろ。だからこの辺は、先ほど法制局長官が言われた自衛権の発動というこの条件を踏まえてきちっとやっていただきたい、研究なさるならば。その点について、最後に長官お答えだけ聞いて終わります。
  514. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 この研究開始に先立ちまして、すでに日米協議でさらに詰めを行っておるところでございまして、その詰めもほぼ完了しつつある事態でございます。研究が開始されました時点におきましては、その研究の進行に従いまして、進捗状態に従いまして防衛庁長官に逐次報告が上がってくることになっておりますので、ただいま委員指摘の特に御懸念をいただきました問題点につきましては、私の責任におきまして今後ともその点についてよく心いたしていく覚悟でございます。
  515. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 終わります。
  516. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前九時三十分から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会