○正
森委員 中曽根総理もこの
総括質問でのやりとりの中で、「
防衛計画の大綱」というのはできるだけ速やかに実現したい、こう言われました。
そこで、
資料を見ていただきますと、これは
防衛庁が出している五六中業、軍事費十五兆六千億から十六兆四千億、五十七
年度価格に換算したものであります。それを見ていただきますと、五十七
年度が二兆五千八百六十一億、五十八
年度は二兆六千九百四十九億――失礼しました、二兆七千五百四十二億円でありますが、これは名目で六・五%の上昇であります。しかしながら、五六中業は五十七
年度価格で見ておりますから、これを五十七
年度価格にデフレートいたしますと、
伸び率は四・二一%で二兆六千九百四十九億円、こういうことになります。そこで、便宜上十五兆六千億ないし十六兆四千億、最小と最大から五十八
年度のデフレートした額を引いて、残りを
等率で五十九
年度から六十二
年度まで伸ばして十五兆六千億円ないし十六兆四千億円の五六中業を達成する、こう見ますと、実質の、左のところを見ていただきますと、
防衛費は最小七・三三%から九・八四%実質で
伸びなければなりません。
そこで、それが
政府の
経済見通しの消費者物価と卸売物価の上昇率に見合って名目ではどのくらいになるかを計算したのが右側の名目であります。そうすると、五十九
年度から六十二
年度まで、最小で一〇・一五%、最大の場合は一二・七二%、これだけ
防衛費がふえなければならない。したがって、六十二
年度は四兆五百四十五億から四兆四千四百六十三億、こういうことになり、名目の総計は十六兆八千六百五十一億から十七兆七千四百九十億円になります。
そこで、それを
政府統計による六%のGNPの中間値をとってGNPがどれだけ
伸びるかと計算しますと、その右側にあります。
そこで、それに対してこれらの
防衛費の
伸びが対GNP比幾らになるかを計算した額が一番右側であります。それを見ますと、五十八
年度が〇・九七八%でありますが、五十九
年度は一・〇一六ないし一・〇四、順次ふえまして、六十二
年度には一・一四%ないし一・二五%、つまり五十九
年度から一%を突破して、六十二
年度に近づくにつれて急速にふえるというのが
政府の
経済見通し等による冷厳な事実であります。つまりGNPで確実に一%を突破する。
それだけではありません。ここに書いておきましたが、いま
人事院総裁あるいは労働大臣の言明によりますと、ILOに対しても人勧はできるだけ誠実に実施する、それは去年の額にことしの賃金の上昇を加えた額であるということでありますが、どれぐらい人勧が実施されれば五十八
年度でもGNP一%を突破するか見てみますと六・二三%、一%はすでに
予算計上しておりますから、残りが五・二三%で、人勧が六・二三%以上答申があれば、そしてそれを実施すれば、それは現在の物価上昇や雇用者所得の
伸びから当然予想されることでありますが、五十八
年度にすでに一%を突破するということがこの計算から出てくるわけであります。
つまり
政府が言う五六中業を期間内にできるだけ早急に達成するということは、
財政的には必然的にこういうことにならざるを得ないというのが冷厳な数字の出てくる結論であります。
そこで、
防衛庁長官と
中曽根総理大臣に伺いたいと思います。
こういうようなことに対して、かつて谷川
長官は、
防衛費の一%枠突破に備えて各界の有識者に
防衛問題の検討、答申を求める
諮問機関を設置する予定である、こういうように言われたこともありますし、
中曽根総理も、安全保障問題等に関する臨時調査会の新設を考慮すると言われたことがありますが、こういう数字を前にしてどういうようにお考えになりますか、伺っておきたいと思います。