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塚本委員 私は、民社党を代表いたしまして、当面する内外の諸
情勢につきまして、許された時間内、力いっぱい国民の立場から
質問を申し上げてみたいと存じております。
昨日来、武器輸出三
原則の
国会決議をめぐりまして事態が紛糾をいたしております。
申し上げるまでもなく、武器の輸出については、
平和国家として
わが国の立場から、それによって国際紛争を助長することを回避させるために、
政府みずからが五十一年に方針をお決めになったところでございます。ところが、
政府の決められた方針に対していささか疑義の出るような輸出が行われておるということから、後日、五十六年の三月に
政府の
考え方を本院におきましてきちっとただしました。そうして、
政府の方針をかっちりとさせるために、いわゆる
政府の方針を土台として国会の決議がなされております。だから、根は
政府の三
原則の方針にあることは間違いありません。
政府の方針だから
政府がそれを勝手に解釈を違えるということは、それが国会でがっちりと固められた決議になっておる以上は、勝手にその方針を変えるということについては問題が多過ぎると思います。
特にその
国会決議のなされるときに、
政府は御承知のとおり、その武器の輸出については技術も含むという説明をなされております。まして、
アメリカに対しても禁止の対象となると約束をなさっておるわけです。私
どもは、日米
安全保障条約を、いまの
日本の
安全保障の立場からは必要だと思っております。その日米
安全保障条約を効果的に運用するためには、そんなにいいかっこうをなさって大丈夫であろうか、
日本の
防衛に対して、
アメリカからじゃんじゃんとは言わないまでも、特に航空機などにおきましては設計図も向こうから相当に買っております。いや、P3CであるとかF15も買っておることは御承知のとおりです。相手方からどんどんと武器の供給を受けておりながら、特にこのような事態で、いわゆる同盟と言葉を表現するような事態になってきたときに、こちらは分けていただくけれ
ども、向こうへは技術さえも出さないということを、
政府がそのようにきちっと言い切ることは大丈夫かなという若干の危惧が私たちはございました。しかし、
政府が自信を持って御
発言をなさるから、それは結構なことだ、私たちは反対じゃありません。ですから、その決議に賛成をいたしたことは御承知のとおりです。
ところが、その後、中曽根
総理におなりになってから、いや、どうしても
アメリカからの強い要望がある。当時はそうでなかったかもしれませんけれ
ども、
わが国の科学技術の進歩は目覚ましい。特に
アメリカからは、
日本の技術に対する強い希望がすでに五十六年当時からも出ておったことは御承知のとおりです。だから、貿易摩擦あるいは
防衛摩擦という立場から、これはもう防ぎ切れないと
総理は御判断なさったのではないかと推察をいたします。
総理がそのように決断をなさったら、ここが大事なところだと思います。私
ども、佐々木
委員長のお供をいたしまして、たしか十二月の二十八日でしたか、党首会談をいたしました。その日は恐らく各党の党首が
総理にお会いになっておいでになる。そのときに、
政府としてはこういうふうに方針の変更をしたい、
アメリカに対する技術だけは、これはうちの三
原則から外したいと思うということの事前の了解を党首会談の際に説明をなさるべきではなかったか。
あるいはまた、一月十四日に
政府が閣議で決定なさったときに、
官房長官がこのような文書をお読みになりました。日米
安全保障条約に基づいて、自主的に
防衛が全的にできないとする以上、
アメリカの
防衛の協力をいただくことはいたし方がない、こういう立場から
考えておるとするならば、私はこういうふうに踏み切ることはやむを得ないと心底思っております。しかし、それは国会の決議にはやはり抵触するものであることには間違いがありませんので、十七日のワシントンにおいでになる前に、意を尽くして各党にいち早くそのことの了解をお求めになるだけの努力と手続をなさるべきではなかったでしょうか。問題はそこにあると思います。
その努力と手続を怠ったということが、社会党さんからあるいはまた公明党さんからのいわゆる問題の指摘で、答えることができない問題になっております。
防衛はどうでもいい、
安全保障は反対だという単なる西と東の対立ならば、これは力で押すこともいたし方ありません。公明党さんのごときは、
自衛隊の立場は民社党と同じように認めてあげよう、それは世界の中における
日本の今日の置かれた立場を
理解しておられるからだと思います。にもかかわらず、国会の決議をこんなにいとも簡単に踏みにじるということは国会軽視じゃないか、その手続をおとりにならなかったことに、今回
総理の最も大きな問題が浮かび上がってきたのではないか。
この点を重大に受けとめられまして、国会に対して、後日とるといたしましても、やはり軽視をしたということに対して、反省と陳謝の意を表していただくことがこれからの出発に対して大切だと私は判断いたします。
総理、いかがでしょう。