○大出
委員 堀田ハガネ、また武器輸出禁止に関する国会決議の話が出ましたので、これは私の当時の質問に直接絡んでおりますから、関連して、論点を明らかにさせていただきたい、こう存じます。
堀田ハガネがあったからと本
会議でお答えでございましたが、実はこれは堀田ハガネだけじゃない。私の当時の質問を見ていただければわかります。そのはるか以前にフィリピンに対する手りゅう弾等の信管、雷管等の部品数十万個の輸出もございまして、これは判決が出て有罪になっております。台湾に対するものもございまして、これは私、指摘しておりますが、引き合いの相手方の住所、氏名まで挙げて申し上げてあります。政府は
調査したがわからぬというお答え。マレーシア等等は関してもございました。しかも、フィリピンへの輸出で有罪になりました商社、七、八名の小さいところでありますが、われわれだけが有罪というのは不当である、大きな企業がみんなやっているじゃないかという実は御
答弁がございました。したがいまして、氷山の一角として出てきた堀田ハガネでございまして、だから審議中断に伴って、ここにもおいでになりますが、皆さんの方から、どなたでも御存じの皆さんの党を代表される方がお見えになりまして、何とかこの際、中断をいたしておる状況をもとに戻したいという
お話、ごもっともでございまして、どうしたらいいかとおっしゃるから、武器輸出禁止法をつくってもらいたい。御相談の結果、とてもできないというので、それにかわるものは何かないか、それでは武器輸出禁止三原則並びに五十一年政府方針を国会決議に上げていただけぬかという
お話をして、いろいろなことがございましたが、結果的に国会決議になった。だから、決議そのものは確かに武器と書いてある。ありますが、これは武器輸出三原則、そして政府統一方針を国会決議に上げたという
認識を全部がお持ちでございます。決して堀田ハガネだけではない。
だから、政府
答弁が明確にございまして、まず、園田さんが外務大臣でございましたが、ここに園田さんの御
答弁がございます。きわめてはっきりいたしておりますけれども、
憲法や三原則や国会決議には抵触しないということがアメリカに対する武器輸出の前提でございます、武器技術輸出の前提でございます。これはアメリカに対する武器技術輸出ですね。対米武器技術輸出、これが「
憲法や三原則や国会決議には抵触しないということは前提でございます。」はっきりしている。明確であります。
さらに、通産大臣の
答弁等もございまして、非常に具体的な結論が出ておりますのは五十六年十月十六日でございますけれども、通産省の広海説明員「お答えします。通産省といたしましても、今後とも武器輸出三原則及び政府統一方針、それから先般の国会決議を踏まえまして、対米
関係についても対処する方針でございます。」はっきりしているでしょう。
それを政府がごまかして、決議の文章の一端をとらえて、そこで決議に含まれていないというふうに苦し紛れに逃げようという論法、これはいま申し上げましたように、政府の皆さん自体が、だから一年半もかかって何とか枠内でというのでずいぶん苦労なさった。つまり、この国会決議は、武器輸出禁止三原則と政府統一方針を厳守せよという決議なのです。そして、武器輸出三原則と政府統一方針の中には武器技術が含まれている。なぜか、この点を
最後に明確にいたしておきます。
昭和五十一年六月十日の決算
委員会における当時の河本通産大臣の
答弁で、質問者は、武器の技術、軍事技術、こうわが党の原茂さんが聞いておりますが、「第一の生産技術の輸出問題でありますが、これはいま
お話しのように、武器の輸出三原則に照らして処理すべきものだと思います。」つまり武器というのは武器技術の集合体であるという
答弁が出てまいりまして、だから武器の中に武器技術は含まれる。したがって、河本さんは最終的に、武器の輸出三原則に照らして軍事技術輸出、武器技術輸出、生産技術の輸出についても同じように扱うということを明らかにされた。
この
答弁以来、もうちょっと詳しい
答弁が、さきの国会の宮澤さんの
答弁がございます。これは公明党の坂井さんの御質問に答えておいでになりますが、河本さんの
答弁で武器技術輸出、軍事技術輸出は三原則の枠内である、技術の集合体が武器である、これは坂井さんもそういうふうに御質問になっておいでになりますが、そのことを前提として宮澤さんは、いま私が取り上げた河本
答弁で、武器技術の輸出は、三原則の枠内で、できないということになっている、だが、それがより正確にはっきり完備したのは
昭和五十三年の四月である。
制度本来から申せば、五十三年の四月にまずまず完備をした。輸出手続を許可制にしたのです、具体的に。そこで押さえることにしたのです。これはもう通産省の方はよく御存じであります。完備した。つまり明確にこの段階で、武器三原則の武器の中に武器技術、武器は武器技術の集合体であるということで同じように含まれているという解釈で、武器技術も共同開発も——四十一年の共同開発の覚書が
日米間にございます。これは私が追及いたしまして明確に通産大臣等もお答えになりました。安倍さんの御
答弁もたくさんございます。引っ張り出す気はありませんけれども、この中で、共同開発ができないのは、武器技術輸出が武器輸出禁止の中に含まれているから、武器技術輸出ができないからその限り共同開発もできない、こうなっているわけであります。明確でございまして、だから、ここまで言ってしまいますが、私はこれは後に引き下がれません、口火を切りましたからには。
これは
中曽根さん、あなた御自身の
答弁がある。いままで全然出ておりませんが、五十七年、昨年の十二月二十一日です。国務大臣
中曽根康弘君「行政府といたしましては、
国権の
最高機関である国会の諸決議については原則としてあくまで尊重していくべきものであり、政府はそのようにいままで
答弁してきておると思います。その
答弁は遵守していかなければならないと思っております。」こういうふうに
中曽根さんは参議院で赤桐さんの質問にお答えになった。
これは、対米武器輸出については当時新聞にいっぱい出ておりましたから、二十一日の日でございますが、この前の国会の、ついこの間でございます。その点を、対米武器輸出はできないじゃないか、国会決議があるからというので詰めた。そうしたら、次の
答弁。「原則として枠を超えることがないようにすべきである、」国会決議の枠を超えることがないようにすべきである。「これが基本的立場でございます。もしいろいろな変化が出てくるという場合には、これは国会は
政党間の交渉によって事実上機能が形成されておるわけでございますから、それらの諸手続を行うことが好ましいことであると
考えております。」
総理の
答弁ですよ。いいですか。この国会決議——三原則を厳守せよ、政府統一方針を厳守せよというのが三原則の国会決議だと本
会議で
総理は
答弁されている。この厳守方針を決議しているのだから、これに反すること、はみ出すことなどなどということになった場合には、国会は
政党間の話し合いで構成されているんだから、あなたは「
政党間の交渉によって事実上機能が形成されておるわけでございますから、それらの諸手続を行うことが好ましいことである」。
総理が「好ましいことである」とおっしゃったら私どもはそれ以上質問しませんよ、信用しますから。もし、こういうことをなさるなら、当然あなた方はわれわれの側に相談があってしかるべきものだ。あたりまえでございましょう。
国権の
最高機関と行政府という
関係は、
平林書記長がお述べになったとおりであります。
もう
一つだけ念のために申し上げておきますが、あなた方は十四日の日に、これは記者の方に私は聞いてみました。こういうことなんですよ。「政府は十四日の閣議で「米国に対しては武器輸出三原則によらないで武器技術の供与を行う」との方針を了承し、十七日からの首相訪米を前に
日米間の懸案になっていた」、つまり、われわれは手みやげだと思うのでありますが、「同問題に
決着をつけたが、国内的には国会決議との関連をどうするかが残る形となった。」
そこで、「この点について政府首脳は」、名前もわかっておりますが、十四日の晩に記者の方々といろいろ御相談になっている。これは官房
長官が談話を出した晩だ。いいですか。記者の方々が聞いたのは「国会決議は法律ではないのだから、」この問題だ。「国会決議は法律ではないのだから、それを行政府が全面的に守らなければならないというものではない。しかし、行政府として(武器輸出三原則という)
政策の一部修正を行ったのだから国会決議についても(立法府に)再考をお願いしたい。そのための何らかの措置を取りたい」。これは半オフレコという面があったから名前は伏せられています。しかし、記者の方々たくさんおいでになる。そんなことはわかっておる。そうでしょう。これは政府の腹でしょう。それを途中から、国会に手直し要請という記事になった途端に、手直しをしようといったって、決議の再決議という先例はない。この国会決議に、一番
最後に、アメリカだから別だとくっつけようたって全会一致にはならないというところに気がついて、国会の中に任せるということにした。任せてみてもどうにもならぬということになったから、文章を読んでいって、武器、武器と書いてあるじゃないか、技術は別だという解釈をとって、よらないことにした。これをもって舌先三寸小細工と言う。
そして、もう
一つ結論を申し上げておきますが、ごらんなさい、すでにアメリカから第一号「国防総省、技術提供を要請 レーザー誘導の対戦車ミサイル 川崎重工」、レーザー誘導の対戦車ミサイルというのは、レーザー基地をつくってアメリカ側から戦車を走らせる、レーザー光線で相手の戦車の弱点を一遍で見つける、戦車砲を発射すると百発百中命中をして戦車は壊れる、人は死ぬ。この戦車が今度戦争に行ってごらんなさい。
日本の武器技術が人を殺したことになりますよ。
これを売り込もうという今度は死の商人。こんなに大きな、ごらんになったらわかるでしょう、これは日商岩井さんです。日商岩井さんは、アメリカに武器技術輸出
会社を設立した。「”解禁”受け巨大市場発掘」、そこで何と言っているかといいますと、
日米間の軍事技術交流は今後ますます活発になり、いずれ共同で開発する時代が来る、土屋武彦取締役。はっきりしている。つまり、さっき私が申し上げた四十一年
日米間の共同開発覚書、この歯どめになっているのは、武器技術輸出が、三原則で、統一方針で禁止をされている。だから、できない。これを野放しにすればたちどころに共同開発は成り立ってしまう。だから、先取りをして
会社までつくっている。アメリカに本社を置いて、こっちにも、東京にも大阪にも営業所。こういう姿になっていることを、私は、後世の
日本の後を継ぐ方々を含めまして——
中曽根さんは海軍ですが、私は陸軍でございますが、私の同期は沖縄でほとんど死んでしまっている。こういうことを認められない、平和
憲法の趣旨に照らして。そういう決議でもございます。ごまかさないでいただきたい。
だから私は、
平林さんがおっしゃいましたように、この御決定は、行政府が国会の
意思に反してお決めになっている。両立をしない。武器輸出三原則と対米輸出は両立をしない。武器技術輸出は両立をしない。しないから、よらないことにした。武器輸出禁止三原則と五十一年統一方針を厳守しろという国会決議だと
総理は本
会議で
答弁されている。にもかかわらず、この三原則、統一方針、政府方針から、よらないことにする、全くおっ外してしまっている。七割従うとか八割従うとか九割従うならまだいい。全く従わない。厳正に履行せよというのに全く従わない。ということになると、われわれは撤回を求める以外に道はない。御撤回を願いたい。