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玉沢委員 このアクティブメジャーズ、
日本語で言えば
積極工作といいますか
政治工作、この十項目の目的というものは非常に信憑性がある、いまこういう御答弁をいただいたわけでございます。
先ほど来から申し上げておりますように、
日本の
存立というものは自由と
民主主義を基盤とする
政治体制を守っていくことである。これはいかなる一党
独裁の
共産主義とも反するものである、相違するものである、こういうことを申し上げてきたわけであります。つまり、
日本は、自分の自由と
民主主義というものを守る上におきまして、たとえば
防衛体制におきましては専守
防衛、また
外交におきましては日米安保
体制というものを基軸といたしまして、
安全保障というものを確保しておるわけでございます。したがって、
ソ連という立場からこの関係に対して見てまいりますと、やはり
日本を
影響下に置こうという意図が非常に強い。したがいまして、
日本をアメリカから孤立せしめる、こういう戦略のもとに動いているということはきわめて明瞭に理解できるわけであります。
したがいまして、第一の目的が日米両国の
政治、軍事協力の緊密化を阻止すること、そして日ソの関係におきましては、日ソ友好善隣条約の締結を促進する、この
外交的な戦略というものは
日本をたとえばフィンランド化する、こういうような無力化した、そして完全にコントロールできるような状態に置こう――完全とは言いませんけれども、
影響力を十二分に行使できるようなそういう形に一つの意図を持ってやっておるのではないか。
したがいまして、私は次の
証言も非常に信憑性があると思うのでありますが、たとえば「一九七〇年代に
日本のある政党幹部で
国会議員でもある
KGBエージェントの一人は、在京
KGB機関の指示で、日ソ協力・友好のための
議員連盟を組織しました。
ソ連は、このグループと
ソ連最高
会議との間で代表団のひんぱんな交流を開始しました。交流の都度
ソ連は、
日本の
国会議員(複数)に対し
ソ連との
政治・経済関係の強化について
日本政府を説得するよう働きかけました。このグループの会長は、スタッフの給与、月刊誌発行の資金として、
KGBから相当額の金を受け取っていました。」こういうことですね。
それから、いま
局長が言われましたように、世論の
工作、うそも百遍唱えれば正しいことになる、こういうようなことで世論
工作をやっておる。つまり、
日本人の
考え方あるいは
日本人の主要な勢力、そういうようなものに
ソ連の物の
考え方を浸透せしめて、
日本をアメリカから引き離しまして、孤立せしめて
影響下に置こうというような意図が生々しく感じられるわけであります。こういうことに対して、われわれはやはり警鐘を乱打しまして、十二分に注意をしなければならぬと思うわけでございます。
そこで、私は先ほど来
KGBという言葉を使ってまいったわけでありますが、
KGBというものの組織は一体どういうものであるか、これがやはり
国民の間に明らかにされることが大事であると私は思うわけでございます。公然並びに非公然の活動をしておる。
国会議員にも金を配っておる。あるいは新聞記者にも世論
工作をやっておる。あるいは学者、文化人にも
工作を行っておる。あるいはまた財界人にもシベリア開発等をえさに非常に
工作が浸透しておる。したがって、こういうような
工作をする
KGBとは一体何であるか、これが問われなければならぬと私は思うわけでございます。
私自身が理解をいたしております
KGBというのは、一九一七年のロシア革命と同時に、反革命・怠業撲滅非常
委員会、こういうような理由によって創設をされた。この頭文字をとったのがチェカー、こう言っておるわけでありますが、
秘密警察の始まりである。それが今日の
KGBになっておる。
ロシアの革命史というものを見てまいりますと、たとえばプロレタリア
独裁、こういう
考え方があるわけでございますが、つまり資本主義
社会から
社会主義
社会に移行する上におきましては、一足飛びに
社会主義
体制というものに移行することはできない。なぜならば、革命によって権力から追われたところの反動主義者、あるいはまたいままで権力の座におったところのいろいろな人間、これが反革命に立ち上がってくるかもしれない。それから同時にまた、一たん革命を成功させますと、労働者が工場を管理いたしたわけでありますが、サボタージュをしてなかなか思うように働かない、したがいまして、この怠業を撲滅しなければならない、こういうことで、つまり革命に反対をし、その芽を摘む者は即時に射殺をする、そして共産党中央
委員会に事後
報告をするだけでいい、こういうような権限を与えられて出発をしたというふうに
考えられるわけでございます。
そこで、このプロレタリア
独裁というものを見ますと、これはほんの一時期反革命勢力というものを一掃すれば、みずからの権力を解体して
国家を死滅いたしまして、
社会を単位としたところの自由で平等な
社会に移るということを目的としておったはずであります。ところが、実際に権力を握りますと、結局労働者を弾圧し、農民の食糧を隠匿するという行為を厳しく罰して、そして弾圧機関になっていった。レーニンからスターリンに移るや、スターリンは自分の権力の確立のためにこの
秘密警察というものを用いて
弾圧政治をやった。
革命が成功してから今日まで数十年の歴史を持っておるわけでありますが、最初の、当初のこの革命の理想であるところの、
国家を単位とするのではなくして、
社会を単位とする自由で平等な
社会に移るはずであったわけでありますが、この理想はどこかに吹っ飛びまして、一党
独裁の
国民大衆を弾圧する今日の
ソ連の
政治の
状況というものが生まれた、ここにわれわれは注目をしなければならぬと思うわけであります。
したがいまして、
KGBというものは
国民を統括し、あるいは共産党員に対しましても統制力を発揮する、そういう非常に強大な権限を国内において与えられておる。したがって、アンドロポフが
KGBの
議長であったわけでありますが、ブレジネフが亡くなりましてからその後継の書記長に選ばれる。これは決して
KGBと無関係ではないと私は
考えております。
さらにはまた、対外的には、
KGBというものは、やはり
ソ連の
国家目的である全
世界を
共産主義化するという理由のもとに一つの帝国主義的な野望をたくましくしまして、
日本に対する
工作も、これは
日本を
影響下に置いてみずからの帝国主義的な目的を達成しようという、こういう
KGBというものが何か一つの
国家目的のために積極的に利用されまして、革命を樹立するというような機関に変わっておるのではないか、私はそういうふうに
認識をいたしますが、
KGBというものは一体何であるか、これはひとつ端的に理解をしておるところをお答えをいただきたいと思います。