○鍛冶
委員 私は、きょう午前中横山
委員からもちょっと御
質問がありました戸塚ヨットスクールの件についてお尋ねをしたいと思います。大体この問題だけで時間を消化いたしたいと思いますので、おいでいただいておる各省庁の
方々にはよろしく御答弁をお願いをいたします。それから、午前中横山
委員から
質問ございましたので、ダブる分野もございます。なるべくはしょってしたいと思いますが、若干重なる点ないしは
質問通告を申し上げておることから少し離れたようなことも御
質問申し上げるかもわかりませんが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
最初に申し上げたいのは、言うまでもなく、人間の生命というのはこれは本当に大切であり、とうといものだ、私はこう思っております。特に最近平均寿命が医学の進歩で延びてまいりまして、平均寿命が女性の方でもう八十歳になんなんとするというところまできておりまして、戦後間もなくのときに比べると三十年近く寿命が延びているんじゃないかと思いますが、やはり長いようで短いのが人生である、こう言われておりますし、そういういわば人生を一人一人が生きていきます中で、本人の体の中とか、または本人の過失による不可抗力、こういう力でその命が絶たれていくということはこれはやむを得ない向きがあるかとは思いますけれ
ども、その過程で人為的にもし命を絶つというようなことがあるとすれば、これは私は許されないことであろう、こういうふうに思います。
ただ、戦後の教育の中で——このヨットスクールも教育と関連がありますので一言申し上げますけれ
ども、戦後の教育の中で、いま見直しがだんだん行われつつありますけれ
ども、その中で、現在の子供たちはまず根性が非常になくなってきた、それから忍耐力も非常に弱くなったんではないか、さらには、秩序心というものが失われてきているんではないか、こういうことが言われておりますし、また、物を創造する、新しく考えていく力というものも非常に弱くなってきているんじゃないか。それに加えて国際的な感覚ということも言われておりますけれ
ども、そういう問題が問われております中で、最近特に家庭における、ないしは学校教育におけるしつけというもの、こういったものがいろいろと議論になってきていると思います。
特に戦後民主的な教育という中でいわばけじめというものが非常になくなってきた、そういう育て方を子供がされてきたのではないかという反省の中から、やはりいいことはいい、悪いことは悪い、場合によっては半ば強制してでも、子供にとってそれが将来幸せにつながる問題になるならば、生活の知恵として、しつけの分野では愛情というものをそのかわりに根底に置きながら、けじめあるしつけもしていかなければならぬだろう、そういう意味合いの中から学校教育の中では懲戒権に伴う体罰の問題といったものも大変議論になっておりまして、いまの教育の中では
禁止はされておりますが、やはりその体罰というものもある意味では幅を持たせるべきでないか、こういう議論も現在あります。
私たちもこの体罰自体一〇〇%悪であるとか、だめなことで使っちゃならぬという考え方に立つのは、これもやはりよくないんではないか。しかし、これが行き過ぎて人命に及ぶというようなことになりますと、これは大変な問題になる。そこらあたりの調和をどこでとり、教育し、人を育てるかということが教育の中では大変大切になる、こう思います。
その一番根底は、やはり最初申し上げた人間一人一人の命というもの、生命というものは本当にこれはとうといものであり、大切なものだ、それを大きく輝かして本当に悔いのない人生を送らせるために、特に子供の教育というものはそれを
指導する
立場にある人、また周囲の親、先輩の
人たちがやはり心がけてやっていかなきゃならぬだろう、こういうふうに実は思っております。きょうもこの戸塚ヨットスクールの問題をいろいろと議論をさしていただきますけれ
ども、その根底にはそういう考え方があるということを大前提にいたしまして、これからいろいろとお尋ねをしてみたいと思います。
最初に
警察庁の方でお答えをいただきたいと思いますが、戸塚ジュニアヨットスクールでこの四、五年の間に、午前中も横山
委員から御
指摘あっておりましたように、死亡事故が三件、それから行方不明が二件ということで、さらには送検されております中で暴力事件等も入っているようでありますけれ
ども、いろんな事件が起こってきておる。さらには、同スクールを脱走するという事件もあるというふうにいろいろ報道もされております。
こういう一連の事件の概要については午前中若干御
説明がありましたので、それをひとつ踏み込みまして、この本ヨットスクール、これに収容されている子供たちの
実態、大体の人員は八十から九十名ぐらいじゃないかと言われておりますが、
新聞報道等によりますと、情緒障害児を治すために親の委託を受けて契約に基づいて教育をやっているんだ、こういうふうに言われておりますが、どうも戸塚ヨットスクールから出ておる「特別合宿入校案内」を見ますと、その
対象とする子供は「小学生以上。但し知恵遅れ、分裂症、自閉症等の障害がある場合はお断りしております。」こういうふうに書かれておりまして、「自閉症等」とくくってありますところを見ますと、情緒障害児というのは
対象にしてないような気もするのですが、まずそこらあたりの
実態をお調べになっていて、もし詳しくわかっているようならお答えをいただきたいと思います。